JP2503110B2 - 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法Info
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Description
れた無方向性電磁厚板の製造方法に関するものである。
医療機器の進歩に伴って、大型構造物に磁気を用いる装
置が使われ、その性能向上が求められている。直流磁化
条件で使用される粒子加速器用磁極材、リターンヨーク
材では、高い飽和磁束密度の他に5Oe(400A/
m)付近の中磁場での高い磁束密度が求められている。
から薄板分野で珪素鋼板、電磁軟鉄板をはじめとする数
多くの材料が提供されているのは公知である。しかし、
構造部材として使用するには組立加工及び強度上の問題
があり、厚鋼板を利用する必要が生じてくる。これまで
電磁厚板としては純鉄系成分で製造されている。たとえ
ば特開昭60−96749号公報が公知である。しかし
ながら、近年の装置の大型化、能力の向上等に伴いさら
に磁気特性の優れた、特に中磁場、たとえば5Oe(4
00A/m)付近での磁束密度の高い鋼材開発の要望が
強い。従来5Oe付近での中磁場の高い磁束密度が安定
して得られていない。
点を鑑みなされたもので、中磁場での磁気特性の優れた
無方向性電磁厚板の製造方法を提供するものである。
である。 (1) 重量%で、C:0.01%以下、Si:0.0
2%以下、Mn:0.20%以下、S:0.010%以
下、Al:0.040%以下、N:0.004%以下、
O:0.005%以下、H:0.0002%以下、残部
実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片または、鋳片を950
〜1150℃に加熱し、800℃以上で圧延形状比Aが
0.6以上の圧延パスを1回以上はとる圧延を行ない、
引き続き800℃以下で圧下率を35%超70%以下と
する圧延を行ない、板厚50mm以上の厚板とし、該厚板
を600〜750℃で脱水素熱処理を行なうことを特徴
とする中磁場での磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の
製造方法。
理後、750〜950℃で焼鈍するかあるいは910〜
1000℃で焼準することを特徴とする(1)記載の中
磁場での磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方
法。
Si:0.02%以下、Mn:0.20%以下、S:
0.010%以下、Al:0.040%以下、N:0.
004%以下、O:0.005%以下、H:0.000
2%以下、残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片また
は、鋳片を950〜1150℃に加熱し、800℃以上
で圧延形状比Aが0.6以上の圧延パスを1回以上はと
る圧延を行ない、引き続き800℃以下で圧下率を35
%超70%以下とする圧延を行ない、板厚50mm未満の
厚板とし、該厚板を750〜950℃で焼鈍するかある
いは910〜1000℃で焼準することを特徴とする中
磁場での磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方
法。
態の鋼を磁界の中に入れ、磁界を強めていくと次第に磁
区の向きに変化が生じ、磁界の方向に近い磁区の優勢に
なり他の磁区を蚕食併合していく。つまり磁壁の移動が
起こる。さらに磁界が強くなり磁壁の移動が完了する
と、次に磁区全体が磁化方向に向きを変えていく。
度を決めているのは、磁壁の移動しやすさである。つま
り低磁場で高磁束密度を得るためには、磁壁の移動を障
害するものを極力減らすことであると定性的に言うこと
ができる。この観点から従来磁壁の移動の障害となる結
晶粒の粗大化が重要な技術となっていた(特開昭60−
96749号公報)。これに対し、中磁場で高磁束密度
を得るための方法については知見がなかった。
密度を得るためには、単に結晶粒の粗大化だけでなく、
隣あった結晶粒間の磁化の方向が圧延方向に平行に揃っ
ていることが重要であることを見出した。超粗大粒で
も、細粒でもない比較的粗粒(フェライト粒度No.が0
〜4番程度)でかつ(100)方向が圧延方向に平行に
ランダムとなることで中磁場の磁気特性が大幅に向上す
ることを見出したのである。
以下において35%超70%以下の圧下率をとること
で、圧延後の熱処理前の結晶粒を微細化して再結晶させ
やすくするとともに、鋼中に歪みを導入して、この歪み
を熱処理時の再結晶の駆動力とすることで、比較的大き
な結晶粒を板厚全体にわたって安定的に得ると同時に、
(100)の結晶方位を圧延方向に平行にランダムとな
る。
0.015Al鋼での800℃以下の圧下率と5Oeで
の磁束密度を示す。35超%70%以下の圧下により、
高磁束密度が得られる。さらに中磁場での高磁束密度を
得るための手段として、内部応力の原因となる元素及び
空隙性欠陥の作用につき詳細な検討を行ない、所期の目
的を達成した。
討した結果、そのサイズが100μ以上のものが磁気特
性を大幅に低下することを知見したものである。そして
この100μ以上の有害な空隙性欠陥をなくすためには
圧延形状比Aが0.6以上必要であることを見出した。
板厚50mm以上の厚板において、脱水素熱処理を行なう
ことによって磁気特性が大幅に向上することを知見し
た。高形状比圧延により空隙性欠陥のサイズを100μ
以下にし、かつ、脱水素熱処理により鋼中水素を減少す
ることで中磁場での磁束密度が大幅に上昇する。
部応力を高め、磁気特性、特に低磁場での磁束密度を最
も下げる元素であり、極力下げることが中磁場での磁束
密度を低下させないことに寄与する。また、磁気時効の
点からも低いほど経時低下が少なく、磁気特性の良い状
態で恒久的に使用できるものであり、このようなことか
ら、0.01%以下に限定する。図2に示すようにさら
に、0.005%以下にすることにより一層高磁束密度
が得られる。
少ない方が好ましく、MnはMnS系介在物を生成する
点からも低い方がよい。この意味からSiは0.02%
以下、Mnは0.20%以下に限定する。Mnに関して
はMnS系介在物を生成する点よりさらに望ましくは
0.10%以下がよい。
し、結晶粒の粗大化を妨げる害を及ぼし含有量が多くな
るに従って磁束密度の低下が見られ、磁気特性を低下さ
せるので少ない程よい。このため、Sは0.010%以
下、Oは0.005%以下とした。Alは脱酸剤として
用いるもので、多くなりすぎると介在物を生成し鋼の性
質を損なうので上限は0.040%とする。さらに結晶
粒粗大化を妨げる析出物であるAlNを減少させるため
には低いほどよく、望ましくは0.020%以下がよ
い。
粒微細化作用により中磁場での磁束密度を低下させるの
で上限は0.004%とする。Hは磁気特性を低下さ
せ、かつ、空隙性欠陥の減少を妨げるので0.0002
%以下とする。
いては、まず圧延前加熱温度を1150℃以下にするの
は、1150℃を超える加熱温度では、加熱γ粒径の板
厚方向のバラツキは大きく、このバラツキが圧延後も残
り最終的な結晶粒が不均一となるため、上限を1150
℃とする。加熱温度が950℃未満となると圧延の変形
抵抗が大きくなり、以下に述べる空隙性欠陥をなくすた
めの形状比の高い圧延の圧延負荷が大きくなるため、9
50℃を下限とする。
凝固過程で大小はあるが、必ず発生するものであり、こ
れをなくす手段は圧延によらなければならないので、熱
間圧延の役目は重要である。すなわち、熱間圧延1回当
たりの変形量を大きくし、板厚中心部にまで変形が及ぶ
熱間圧延が有効である。
0.6以上の圧延パスが1回以上を含む高形状比圧延を
行ない、空隙性欠陥のサイズを100μ以下にすること
が磁気特性によい。圧延中にこの高形状比圧延により空
隙性欠陥をなくすことで、後で行なう脱水素熱処理にお
ける脱水素効率が飛躍的に上昇するのである。ここに8
00℃以上で高形状比圧延を行う理由は、800℃未満
の低温では変形抵抗が大きく通常の圧延機では圧下が困
難となるからである。
率35%超にすることにより結晶粒を微細化するととも
に歪みを導入し、これに続く熱処理時の再結晶を促進さ
せる。さらにこの圧延により(100)の結晶方位を圧
延方向に平行にランダムとする。ただし70%超の圧下
率になると、熱処理後結晶粒度が板厚方向に不均一にな
り、磁束密度のばらつきを大きくする。従って板厚方向
に均一な比較的粗大な粒を得るために、圧下率を35%
超70%以下とする。
部歪除去及び板厚50mm以上の厚手材については脱水素
熱処理を施す。板厚50mm以上では水素の拡散がしにく
く、これが空隙性欠陥の原因となり、かつ、水素自身の
作用と合わさって中磁場での磁束密度を低下させる。こ
のため、脱水素熱処理を行なうが、その際600℃未満
では脱水素効率が悪く750℃超では変態が一部開始す
るので600〜750℃の温度範囲で行なう。脱水素時
間としては種々検討の結果〔0.6(t−50)+6〕
時間(t:板厚)が適当である。
に行なうが、750℃未満では結晶粒粗大化が起こら
ず、また、950℃超では結晶粒の板厚方向の均質性が
保てないため、焼鈍温度としては750〜950℃に限
定する。
去のために行なうが、焼準温度は910〜1000℃に
限定する。910℃未満ではオーステナイト域とフェラ
イト域の混在により結晶粒が混粒となり、1000℃超
では結晶粒の板厚方向の均一性が保てない。
大化と内部歪除去とが考えられるが、特に内部歪除去は
必須条件である。内部歪除去は、板厚50mm以上の厚手
材では脱水素熱処理で行うことができるので、本発明の
厚手材では脱水素熱処理で、上記焼鈍あるいは焼準を兼
ねることができる。
る。表1に電磁厚板の製造条件とフェライト粒径、中磁
場での磁束密度を示す。
1〜26は比較例を示す。例1〜5は板厚80mmに仕上
げたもので、中磁場で高磁束密度を示す。例1に比べ、
例2はさらに低C、例3、4は低Mn、例5は低Alで
あり、より高い磁気特性を示す。例6〜8は400mm、
例9は50mm、例10は6mmに仕上げたもので、高磁束
密度である。
例13はMnが高く、例14はSが高く、例15はAl
が高く、例16はNが高く、例17はOが高く、例18
はHが高く、それぞれ上限を超えるため低磁気特性値と
なっている。例19は加熱温度が上限を超え低磁束密度
となっている。例20は加熱温度が下限をはずれている
ため、低磁束密度となっている。例21は800℃以下
の圧下率が下限をはずれ低磁束密度となている。例22
は最大形状比が下限をはずれ、例23は脱水素熱処理温
度が下限をはずれ、例24は焼鈍温度が下限をはずれ、
例25は焼準温度が上限を超え、例26は脱水素熱処理
がないため低磁束密度となっている。
厚い厚鋼板に均質な高電磁特性を具備せしめることに成
功し、直流磁化による磁気特性を利用する構造物に適用
可能としたものであり、かつその製造法も前述の成分限
定と熱間圧延後結晶粒調整及び脱水素熱処理を同時に行
なう方式であり、極めて経済的に製造する方法を提供す
るもので産業上多大な効果を奏するものである。
下の圧下率の影響を示すグラフである。
響を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.01%以下、 Si:0.02%以下、 Mn:0.20%以下、 S :0.010%以下、 Al:0.040%以下、 N :0.004%以下、 O :0.005%以下、 H :0.0002%以下、 残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片または、鋳片を9
50〜1150℃に加熱し、800℃以上で圧延形状比
Aが0.6以上の圧延パスを1回以上はとる圧延を行な
い、引き続き800℃以下で圧下率を35%超70%以
下とする圧延を行ない、板厚50mm以上の厚板とし、該
厚板を600〜750℃で脱水素熱処理を行なうことを
特徴とする中磁場での磁気特性の優れた無方向性電磁厚
板の製造方法。 【数1】 - 【請求項2】 板厚50mm以上の厚板を脱水素処理後、
750〜950℃で焼鈍するかあるいは910〜100
0℃で焼準することを特徴とする請求項1記載の中磁場
での磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法。 - 【請求項3】 重量%で、 C :0.01%以下、 Si:0.02%以下、 Mn:0.20%以下、 S :0.010%以下、 Al:0.040%以下、 N :0.004%以下、 O :0.005%以下、 H :0.0002%以下、 残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片または、鋳片を9
50〜1150℃に加熱し、800℃以上で圧延形状比
Aが0.6以上の圧延パスを1回以上はとる圧延を行な
い、引き続き800℃以下で圧下率を35%超70%以
下とする圧延を行ない、板厚50mm未満の厚板とし、該
厚板を750〜950℃で焼鈍するかあるいは910〜
1000℃で焼準することを特徴とする中磁場での磁気
特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法。 【数2】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3026494A JP2503110B2 (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3026494A JP2503110B2 (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04268020A JPH04268020A (ja) | 1992-09-24 |
JP2503110B2 true JP2503110B2 (ja) | 1996-06-05 |
Family
ID=12195051
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3026494A Expired - Lifetime JP2503110B2 (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2503110B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7654094B2 (en) | 2004-03-09 | 2010-02-02 | Hitachi, Ltd. | Radial turbine and method of cooling nozzle of the same |
Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
JP2503122B2 (ja) * | 1991-05-09 | 1996-06-05 | 新日本製鐵株式会社 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法 |
KR101977507B1 (ko) * | 2017-12-22 | 2019-05-10 | 주식회사 포스코 | 자기장 차폐용 강판 및 그 제조방법 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS6096749A (ja) * | 1983-11-01 | 1985-05-30 | Nippon Steel Corp | 直流磁化用厚板及びその製造方法 |
JPH0266119A (ja) * | 1988-08-31 | 1990-03-06 | Nkk Corp | 磁気シールド特性に優れた高透磁率軟磁性純鉄板の製造方法 |
JPH02243719A (ja) * | 1989-03-16 | 1990-09-27 | Nippon Steel Corp | 切削性が良く板厚方向の磁気特性の均一な良電磁厚板の製造方法 |
JPH034606A (ja) * | 1989-05-31 | 1991-01-10 | Toshiba Corp | 増幅回路 |
-
1991
- 1991-02-20 JP JP3026494A patent/JP2503110B2/ja not_active Expired - Lifetime
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