JP2502108Y2 - 捩子の下穴作成治具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ギアやプーリのボスに
シャフトを押さえる捩子の下穴を開ける為の治具に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ギアやプーリのような部品に捩子
の下穴を作るためには、ボスの表面をけがいてポンチで
印を付けて、平行バイスで固定した後、タッピングボー
ル盤等で穴を開けていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】通常、捩子の穴は、中
心に対して一定の角度で２つ以上設けるが、従来の表面
をけがいてポンチで印を付ける方法では、該印の位置決
めが難しかった。また、位置決めができても、全ての穴
を中心に向かって開けることに熟練を要していた。

【０００４】本願は、ギア等に装着するだけで、軸の中
心に向かって、かつそれぞれが期待する角度になるよう
に捩子の下穴を作ることを補助する治具を提供すること
を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案は、少なくとも下面と上面が平行である台
と、該台上面の中央部に設けられ、高さがギア等の厚み
以下で、かつ径がギア等を装着するシャフトと同径の軸
と、該台上面の該軸の周辺に設けられ、該軸の中心に対
して一定の角度となる複数個のドリルの誘導穴を有する
部材から成ることを特徴とする構造を有している。

【０００６】台の形は、平行バイスに収まる大きさであ
れば良いが、ギア等に９０度の角度で下穴を作るならば
２等辺の直方体が望ましい。ギア等に６０度の角度で下
穴を作るならば正６角柱が望ましい。同様に、期待する
角度により、台の形を正多角柱にすることにより、最も
コンパクトな治具を作ることができる。

【０００７】該台と該軸と該部材は離脱したり歪みを生
じたりせぬように固着させ一体化させる。材質はＳＫＳ
等の硬い金属が望ましいが、Ｓ３５ＣやＳ４５Ｃ等の柔
らかい金属で成形した後、焼きを入れて硬くしても良
い。誘導穴は特に材質の硬度を必要とするので、穴を広
げてブッシュを打ち込んでも良い。

【０００８】該軸の長さはギア等の厚み以下とする。ギ
アの内穴より軸が飛び出すと、平行バイスに鋏難くなり
不具合が生じる。

【０００９】該軸は、ギア等を該台に装着させるための
ものであり、シャフトと同径とする。

【００１０】複数個のドリルの誘導穴を有する部材は、
矩形の一つの部材に複数個の誘導穴を有していても構わ
ないが、一つの誘導穴を有する部材を複数個設ける方が
材料が少なく済み望ましい。

【００１１】該部材は、ギア等が該軸の台の上面に完全
に装着することを妨げないように、高さをギア等のボス
の厚み以下とし、ボスの外径の外に位置させる。

【００１２】ドリルの誘導穴は、該台の上面に平行で、
該軸の中心に向かい、穴の中心と軸の中心を結ぶ線同志
は、期待する角度とする。この場合、誘導穴の位置の高
さは一定とするが、ボスの厚みが異なる多種類のギア等
を一つの治具で対応するためには、高さの異なる誘導穴
としておくことも可能である。

【００１３】

【作用】上記のように構成された捩子の下穴作成治具で
は、まず穴を開けようとするギア等を該治具に装着し、
平行バイスで固定した後、ドリルの誘導穴を用いてタッ
ピングボール盤等で穴を開ける。穴は、ギア等を貫いて
軸に達する。ギア等に穴を開けたときに発生するバリ
が、軸の穴と部材の誘導穴に絡み、ギア等が該治具に軽
く固定される。

【００１４】ギア等と該治具を平行バイスから外し、次
の誘導穴が上に来るようにして再度平行バイスに固定
し、タッピングボール盤で次の穴を開ける。３つ以上穴
を開けるときは上記操作を繰り返す。

【００１５】ギア等を該治具から外し、バリを取り除く
ことにより、複数個の期待する角度の捩子の下穴が出来
上がる。

【００１６】さらに、小型ラジアルボール盤等でタップ
を立てることにより、捩子穴が完成する。

【００１７】

【実施例】以下、図面に示す実施例により、本考案を詳
細に説明する。図１は本考案の説明図である。１は台、
２は軸、３はドリル誘導穴、４は誘導穴を含む部材で、
以上が本考案の斜視図となる。

【００１８】５はギアで、６がギアのボス、７がギアの
内穴、８がギアの歯である。ギア５を治具に装着し、軸
２を内穴７に通す。軸２の高さは、内穴７の長さより低
いため、内穴７から飛び出さない。部材４の台１の上面
からの高さは、ボス６の長さと等しいため、ギアの歯８
の裏面が部材４の上面に接触すると共に、ボス６の底面
が台１の上面に完全に接触する。

【００１９】誘導穴３は、部材４の台１の上面からの高
さの真ん中に位置する。このため、該誘導穴３を通して
ドリルで穴を開けると、丁度ボス６の中央に下穴を開け
ることができる。

【００２０】誘導穴３は二つ有り、いずれも台１の上面
に平行でかつ軸２の中心に向かっており、二つの穴の方
向は９０度となるように設けられている。したがって、
該二つの誘導穴にドリルの針を通すだけで、容易にボス
６に９０度の下穴を作ることができる。

【００２１】９は、ドリルの針が、ボス６を貫通したと
きにできる傷穴であり、初めから設ける必要はない。

【００２２】

【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考案
にあっては、次に列挙するような効果がある。１．少な
くとも下面と上面が平行である台と、該台上面の中央部
に設けられ、高さがギア等の厚み以下で、かつ径がギア
等を装着するシャフトと同径の軸と、該台上面の該軸の
周辺に設けられ、該軸の中心に対して一定の角度となる
複数個のドリルの誘導穴を有する部材とにより構成され
ているので、該治具とに装着したギア等を平行バイスに
固定でき、軸の中心に向かって捩子の下穴を開けること
ができる。

【００２３】２．誘導穴は、軸の中心に向かって期待す
る角度に設けられているので、誘導穴に従ってタッピン
グボール盤のドリルを通すと、ギア等に一定の角度で捩
子の下穴を開けることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の説明図である。

【符号の説明】

１ 台 ２ 軸 ３ 誘導穴 ４ 誘導穴を含む部材 ５ ギア ６ ボス ７ 内穴 ８ 歯 ９ 傷穴

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも下面と上面が平行である台
   と、該台上面の中央部に設けられ、高さがギア等の厚み
   以下で、かつ径がギア等を装着するシャフトと同径の軸
   と、該台上面の該軸の周辺に設けられ、高さがギア等の
   厚み以下で、該軸の中心に対して一定の角度となる複数
   個のドリルの誘導穴を有する部材とにより、構成するこ
   とを特徴とする捩子の下穴作成治具。