JP2024523297A - バイオマスの温度制御された脱リグニン - Google Patents

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Abstract

Figure 2024523297000001
バイオマスを脱リグニンする方法であって、容器を用意する工程と、リグニン、ヘミセルロース及びセルロース繊維を含むバイオマスを前記容器に供給する工程と、硫酸成分を含む水性酸性組成物を用意する工程と、過酸化物成分を用意する工程と、前記バイオマスを前記硫酸成分及び過酸化物成分に曝露し、反応塊を作成する工程と、脱リグニン反応が起こり、前記バイオマスから前記リグニン及びヘミセルロースの90重量%超を除去するのに十分な期間、前記硫酸成分及び過酸化物成分を前記バイオマスと接触させる工程と、脱リグニン反応の温度を制御して、脱リグニン反応を55℃未満に維持する工程とを含む方法。

Description

本明細書の発明は、温度制御条件下でのリグノセルロースバイオマス(例えば、木材、樹木、草、農業廃棄物、及び古紙に見られる)の脱リグニンのための新規方法を開示する。
石油又は化石燃料系の製品には、車両、家庭及び産業に動力を供給するために使用される消費製品及び燃料の製造のすべての態様において豊富に存在する界面活性剤、医薬品、プラスチック及びエラストマーとして、膨大な数の製品が含まれる。気候変動及び環境圧力は、化石燃料及び石油系の製品の代替品を見出すことを社会に強いている。非石油系製品の周知の供給源は、リグノセルロースバイオマスである。これは、地球上のカーボンニュートラル有機材料の単一の最も豊富な供給源であり、エネルギー生産、化学物質、食品、医薬品、コンクリート、様々な製造及び農業用途を含むがこれらに限定されない複数の産業を持続させるために必要な化合物のほとんどを含む。
生合成によって毎年数十億トンが生産されている。しかしながら、リグノセルロースバイオマスの3つの成分を効率的に分離することは、それが石油系の製品の強力で正当な競合品又は代替品であるための課題であることが判明している。リグノセルロースバイオマスから恩恵を受け、それをさらに使用することができるためには、ヘミセルロース及びセルロースからリグニンを分離することができなければならない。セルロースは、高い強度及び生分解性を有する豊富に存在する高分子量の天然繊維である。供給原料に応じて、セルロースは、植物材料の30~60パーセント又は場合によってはそれより多くを構成する可能性があり、樹木/林業残渣、藻類、作物、都市及び産業廃棄物、並びに様々な植物に見られる。
さらに、リグニンとヘミセルロースとの間にセルロースが内包されていることに起因して、セルロースの効率的かつ商業的に実行可能な抽出は、抽出プロセス中に使用される方法及びバイオマス供給源に大きく依存する。多くの現在及び提案されている処理方法は、セルロースの使用を制限するか、又は構造的完全性を変化させ、限界収量及び過剰な処理コストをもたらす可能性がある。一般に、植物材料から抽出されるセルロースは、非晶質領域と結晶質領域の両方を含有する。
バイオマス中のセルロースからリグニン及びヘミセルロースを分離する現在非効率的であり、高価であり、規模を拡大することが困難であるプロセスにおける技術的困難が、このような技術が石油系又は化石燃料製品の実行可能な代替案であることを妨げるものであることは広く同意されている。
紙製造及び最もエネルギー集約的なものにおける最初の工程は、パルプの製造である。それにもかかわらず、パルプを作製するために使用される水、木材及び他の植物材料は、3つの主な成分:セルロース繊維、リグニン、及びヘミセルロースを含有する。パルプ化は、リグニンから繊維を分離することを主な目的とする。リグニンは、植物内ですべての繊維を一緒に保持するための比喩的にはモルタルとしての機能を果たす三次元ポリマーである。完成パルプ中のその存在は望ましくなく、完成品に何も付加しない。木材のパルプ化とは、チップ、茎又は他の植物部分であれ、繊維供給源のバルク構造を構成繊維に分解することを指す。セルロース繊維は、製紙が関与する場合、最も望ましい成分である。ヘミセルロースは、ランダムな非晶質ポリマー構造を形成する様々な糖モノマーからなる、より短い分岐炭水化物ポリマーである。完成パルプ中のヘミセルロースの存在は、紙製品に価値をもたらさないとも考えられる。これはバイオマス変換にも当てはまる。課題は同様である。所望の結果のみが異なる。バイオマス変換は、所望の結果として単炭水化物へのさらなる分解を有するが、パルプ及び紙プロセスは通常リグニン溶解直後に停止する。
木材パルプ又は木質バイオマスを調製するための2つの主な手法:機械的処理及び化学的処理がある。機械的処理又はパルプ化は、一般に、木材チップを機械的に引き裂くこと、よってセルロース繊維を互いに分離しようとして引き裂くことからなる。この手法の欠点には、破壊されたセルロース繊維、したがってより短い繊維及びリグニンがセルロース繊維上に残り、よって、非効率的であるか又は最適ではないことが含まれる。このプロセスはまた、大量のエネルギーを消費し、資本集約的である。化学パルプ化にはいくつかの手法が含まれる。これらは、一般に、リグニン及びヘミセルロースを小さな水溶性分子に分解することを目的とする。ここで分解されたこれらの成分は、セルロース繊維を脱重合することなくセルロース繊維を洗浄することによってセルロース繊維から分離することができる。化学プロセスは現在エネルギー集約的であり、大量の熱及び/又はより高い圧力が通常必要とされ、多くの場合、撹拌又は機械的介入も必要とされ、プロセスに非効率性及びコストをさらに追加する。
様々な程度で、パルプ化の化学的態様をパルプ化の機械的態様と組み合わせるパルプ化又は処理方法が存在する。いくつか例を挙げると、熱機械的パルプ化(通常、TMPとも呼ばれる)及び化学熱機械的パルプ化(CTMP)を考慮しなければならない。各一般的なパルプ化方法によって提供される利点を選択することにより、処理は、パルプ化処理の機械的態様によって必要とされるエネルギー量を低減するように設計される。これはまた、これらの複合パルプ化手法に供される繊維の強度又は引張強度の劣化に直接影響を及ぼし得る。一般に、これらの手法は、(従来の排他的化学パルプ化と比較して)短縮された化学処理を含み、その後、典型的には機械的処理が続いて繊維を分離する。
紙製造用のパルプを作製する最も一般的なプロセスは、クラフトプロセスである。クラフトプロセスでは、木材チップは、ほぼ完全に純粋なセルロース繊維である木材パルプに変換される。多工程クラフトプロセスは、木材チップを薬液で含浸/処理する第1の工程からなる。これは、木材チップを浸漬し、次いで蒸気で予熱することによって行われる。この工程は、木材チップを膨潤させ、木材チップ内に存在する空気を排出し、空気を液体で置き換える。これにより、クラフトプロセスから得られた副産物である黒液が生成される。これは、水、リグニン残渣、ヘミセルロース及び無機化学物質を含有する。白色液は、水酸化ナトリウム及び硫化ナトリウムを含む強アルカリ溶液である。木材チップが様々な化学溶液に浸漬されると、木材チップは蒸解される。木材チップにおける脱リグニンを達成するために、蒸解は、176℃までの温度で数時間行われる。これらの温度では、リグニンは分解して水溶性断片を生じる。蒸解工程後、残りのセルロース繊維を収集し、洗浄する。
米国特許第5,080,756号は、改善されたクラフトパルプ化方法を教示しており、有機物を含有する使用済みの濃硫酸組成物をクラフト回収システムに添加して、その総硫黄含有量が濃縮された混合物を得て、それを回収炉内で脱水、熱分解及び還元に供することを特徴とする。硫酸組成物の有機物は、炉内で起こる酸化還元反応を促進するために高い熱レベルを容易に維持することを可能にする熱エネルギーの供給源として特に有益であり、よって、パルプ化に適した蒸解液の調製に使用される硫化物の形成をもたらす。
ペルオキシモノ硫酸(HSO)としても知られるカロ酸は、公知の最も強力な酸化剤の1つである。カロ酸の調製にはいくつかの公知の反応があるが、最も端的なものの1つは、硫酸(HSO)と過酸化水素(H)との間の反応に関与する。この方法でカロ酸を調製することにより、価値のある漂白剤及び酸化剤であるさらなる反応物である一過硫酸カリウム(PMPS)を得ることが可能になる。カロ酸はいくつかの公知の有用な用途を有するが、注目すべきは木材の脱リグニンにおけるその使用である。
リグノセルロース供給原料を前処理するための他の方法が開発されている。これらの前処理方法には、希酸前処理、水蒸気爆発(CO爆発)、pH制御水前処理、アンモニア繊維膨張、アンモニアリサイクル浸透(ARP)、及び石灰前処理(Mosier et al.2005、Wyman et al.2005、Yang and Wyman 2008)が含まれる。1つの手法は、オルガノソルブの概念に関与する。オルガノソルブパルプ化は、有機溶媒又はそれらの水溶液を用いてリグニンをリゴセルロース供給原料から抽出する方法である。オルガノソルブパルプ化は、1970年代以来、従来のパルプ化方法、クラフト及び亜硫酸塩プロセスが空気及び水の汚染などのいくつかの重大な欠点を有するため、注目を集めている。オルガノソルブ前処理はオルガノソルブパルプ化と類似しているが、前処理のための脱リグニンの程度はパルプ化の程度ほど高いとは予想/要求されない。しかしながら、オルガノソルブ前処理の欠点は、プロセスが100~250℃より高い温度で、多くの場合185~210℃の範囲で行われることが知られている高温である。このような温度には、高いエネルギー入力が必要とされる。
脱リグニンのための改善されたプロセスは、環境的態様及び最終生成物の生成を考慮する必要がある。周囲温度プロセス(摂氏20~25度)は、エネルギー集約的な入力を必要としないため、非常に望ましい。しかしながら、低温及び大気圧で脱リグニン操作を行うためには、典型的には強酸が必要である。リグノセルロース供給原料に存在するリグニンを除去するのに十分である、使用される酸の強度は、リグニンが他の産業又は用途で使用可能であるいずれのリグニンモノマーよりも分解するのでリグニンには有害であり得るが、得られるセルロースを損傷する可能性もあり、したがって前記供給原料から使用可能な製品を送達することができない。
バイオ燃料生産は、クラフトプロセスの別の潜在的な用途である。バイオ燃料生産の現在の欠点の1つは、適度に効率的なプロセスで炭水化物を燃料に変換するために、食品グレードの植物部分(種子など)の使用を必要とすることである。炭水化物は、クラフトプロセスにおいて非食品グレードのバイオマスを使用することによって、セルロース繊維から得ることができたが、しかしながら、脱リグニンのためのクラフトプロセスのエネルギー集約的な性質は、これを商業的に実行可能な選択肢ではなくする。プラントベースの化学資源サイクルを構築するために、ヒトの食品生産と競合しないプラントベースの供給原料を利用することができるエネルギー効率の良いプロセスが大いに必要とされている。
セルロースの回収に加えて、リグニンの回収がますます重要になっている。溶解リグニンに関連するほとんどの変換技術は、リグニンを低分子量芳香族に効果的に分解するために熱及び金属触媒を使用し、これは産業全体にわたる他の使用/用途の価値を保持する。様々な方法を探索する際に考慮すべき考慮事項のいくつかには、以下が含まれる:使用される触媒の効率、触媒の安定性、触媒選択性、リグニンの縮合及び再重合反応の制御。リグニンの縮合及び再重合は、従来の手法を使用して容易に分解することができない生成物を生じることが多く、したがって、産業における将来の使用/用途に関して非常に大きな価値を失う。リグニンの縮合及び再重合は、標的リグニン生成物(低分子量フェノール化合物など)の回収に直接影響を及ぼす。よって、標的生成物の収率を最大化するために、縮合及び再重合反応を回避することが重要である。
リグニン再重合は、リグノセルロースバイオマスの脱リグニンのプロセスの多くの段階において実質的な懸念事項であった。従来の分画プロセス、すなわちバイオマス前処理は、一般に酸又は塩基触媒を用いて、バイオマス構造からリグニンを除去するその有効性に焦点を当てている。得られた残留固体、主にリグニンは、前処理条件に応じて著しく不可逆的な再重合を受ける。これは、将来の使用のためにセルロースとリグニンの両方を回収することを目的とした処理から最大値を抽出するために回避しなければならない結果である。
クラフトパルプ化プロセスは、世界で最も広く使用されている化学パルプ化プロセスであるが、非常にエネルギー集約的であり、多くの欠点、例えば、パルプ製造工場の周囲で放出される実質的な臭気又は多くのパルプ及び紙製造管轄区域で現在高度に規制されている一般的な排出物を有する。現在の環境問題、経済的問題及び気候変動、並びに実施されている排出料金に鑑みて、現在のパルプ化プロセスを最適化することが非常に望ましい。少なくとも一元的品質の繊維を、その製造中の環境に現在の実質的な損害を与えることなく提供するために。したがって、追加の設備投資を必要とせずに、現在使用されているものよりも低温及び減圧下で木質物質の脱リグニンを実施することが可能な組成物が依然として必要とされている。
したがって、大きな追加資本支出を必要とせず、さらなる用途のためにリグノセルロースバイオマスの成分を可能な限り保存するように適合させた、現在使用されているものよりも低温及び減圧下でリグノセルロースバイオマスに対して脱リグニンを実施することが可能な組成物に対する必要性が依然として存在する。本発明者らは、世界中の政府によって実施される環境上の制約及び規制の増大にさらに沿った、改善された脱リグニン方法を開発した。
本発明の一態様によれば、バイオマスの制御された発熱性脱リグニンを実施する方法が提供される。本発明者らは、脱リグニン反応を完了させるために熱を投入することを必要とせずにバイオマスの脱リグニンのための方法を開発した。むしろ、本発明の好ましい実施形態によれば、方法法で使用される組成物は、炭水化物をカーボンブラックに変えることなく、周囲条件下(すなわち17~40℃)で化学物質を使用してバイオマスの脱リグニンを行うことが可能である。さらに、このような組成物は他の用途にも使用することができるが、硫酸及び過酸化物を含有するという事実にもかかわらず、硫酸及び過酸化物という成分を含む従来の組成物よりも良好な取り扱い品質を示すことを指摘することは注目に値する。
本発明の別の態様によれば、バイオマスの制御された発熱性脱リグニンを実施する方法であって、
-容器を用意する工程と、
-リグニン、ヘミセルロース及びセルロース繊維を含むバイオマスを前記容器に供給する工程と、
-硫酸成分を含む水性酸性組成物を用意する工程と、
-過酸化物成分を用意する工程と、
-前記バイオマスを前記硫酸供給源及び過酸化物成分に曝露し、反応塊を作成する工程と、
-脱リグニン反応が起こり、前記バイオマスから前記リグニン及びヘミセルロースの90重量%超を除去するのに十分な期間、前記硫酸供給源及び過酸化物成分を前記バイオマスと接触させる工程
とを含む方法が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、バイオマスを脱リグニンする方法であって、
-容器を用意する工程と、
-リグニン、ヘミセルロース及びセルロース繊維を含むバイオマスを前記容器に供給する工程と、
-硫酸成分を含む水性酸性組成物を用意する工程と、
-過酸化物成分を用意する工程と、
-前記バイオマスを前記硫酸供給源及び過酸化物成分に曝露し、反応塊を作成する工程と、
-脱リグニン反応が起こり、前記バイオマスから前記リグニン及びヘミセルロースの90重量%超を除去するのに十分な期間、前記硫酸供給源及び過酸化物成分を前記バイオマスと接触させる工程と、
-水を前記容器に添加することによって、脱リグニン反応の温度を制御する工程
とを含む方法が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、バイオマスを脱リグニンする方法であって、
-容器を用意する工程と、
-リグニン、ヘミセルロース及びセルロース繊維を含むバイオマスを前記容器に供給する工程と、
-硫酸成分を含む水性酸性組成物を用意する工程と、
-過酸化物成分を用意する工程と、
-前記バイオマスを前記硫酸供給源及び過酸化物成分に曝露し、反応塊を作成する工程と、
-脱リグニン反応が起こり、前記バイオマスから前記リグニン及びヘミセルロースの90重量%超を除去するのに十分な期間、前記硫酸供給源及び過酸化物成分を前記バイオマスと接触させる工程と、
-前記容器へのバイオマスの添加を制御することによって、脱リグニン反応の温度を制御する工程
とを含む方法が提供される。
本発明の好ましい実施形態によれば、反応塊の温度は、脱リグニン反応の期間中、55℃未満に維持される。好ましくは、反応塊の温度は、脱リグニン反応の期間中50℃未満に維持される。好ましくは、反応塊の温度は、脱リグニン反応の期間中45℃未満に維持される。好ましくは、最適な反応時間及び少なくとも90%の脱リグニンを達成するために、反応温度は30~45℃の範囲に制御される。本発明の好ましい実施形態によれば、反応塊の温度は、最大上限温度として55℃未満に維持され、この温度を超えると、反応が暴走する傾向があり、外部温度制御で制御することがより困難になることに留意されたい。反応温度の上昇が速すぎると、反応を制御するため又は停止させるために水を添加することが必要になる可能性がある。好ましくは、反応温度は30~45℃、さらにより好ましくは35~40℃に維持される。
本発明の好ましい実施形態によれば、反応塊の初期温度は40℃以下であり、脱リグニン反応の期間中55℃を超えない。好ましくは、反応塊の初期温度は35℃以下であり、脱リグニン反応の期間中55℃を超えない。より好ましくは、反応塊の初期温度は、脱リグニン反応の期間中、30℃以下であり、55℃を超えない。好ましくはまた、反応塊の初期温度は、脱リグニン反応の期間中、25℃以下であり、55℃を超えない。
本発明の好ましい実施形態によれば、反応塊の温度は、脱リグニン反応からその後の溶媒(水)の添加までを通して制御されて、1℃/分未満から0.5℃/分未満まで毎分温度上昇の勾配を徐々に低下させる。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、混合反応塊の温度は、反応塊の1分あたりの温度上昇勾配を1分あたり1℃未満に低下させるために溶媒(水)の添加によって制御される。
本発明のまた別の好ましい実施形態によれば、混合反応塊の温度は、反応塊の1分あたりの温度上昇勾配を1分あたり0.7℃未満に低下させるために溶媒(水)の2回目の添加によって制御される。
好ましくは、反応塊の温度は、反応塊の1分あたりの温度上昇勾配を1分あたり0.3℃未満に低下させるために溶媒(水)の3回目の添加によって制御される。
好ましくは、反応塊の温度は、反応塊の1分あたりの温度上昇勾配を1分あたり0.1℃未満に低下させるために溶媒(水)の4回目の添加によって制御される。
本発明の好ましい実施形態によれば、得られるセルロースのカッパ数は10未満であり、好ましくは、得られるセルロースのカッパ数は4.2未満である。
本発明の好ましい実施形態によれば、水性酸性組成物を使用してバイオマスを脱リグニンする方法であって、
-硫酸、
-複素環式化合物、及び
-過酸化物
を含む方法が提供される。
本発明のまた別の態様によれば、バイオマスの制御された発熱性脱リグニンを実施する方法であって、
-容器を用意する工程と、
-リグニン、ヘミセルロース及びセルロース繊維を含むバイオマスを前記容器に供給する工程と、
-組成物A、組成物B及び組成物Cからなる群から選択される改質カロ酸組成物を用意する工程であって、
前記組成物Aが、
-組成物の総重量の20~70重量%の範囲の量の硫酸、
-タウリン、タウリン誘導体、及びタウリン関連化合物からなる群から選択されるアミン部分及びスルホン酸部分を含む化合物、並びに
-過酸化物
を含み、
前記組成物Bが、
-アルキルスルホン酸、及び
-過酸化物を含み、酸が、組成物の総重量の40~80重量%の範囲の量で存在し、過酸化物が、組成物の総重量の10~40重量%の範囲の量で存在し、
前記組成物Cが、
-硫酸、
-アミン部分を含む化合物、
-スルホン酸部分を含む化合物、及び
-過酸化物
を含む、用意する工程と、
-前記バイオマスを前記改質カロ酸組成物に曝露し、反応塊を作成する工程と、
-前記改質カロ酸組成物を、脱リグニン反応が起こり、前記バイオマスから前記リグニン及びヘミセルロースの90重量%超を除去するのに十分な期間、前記バイオマスと接触させる工程と、
-脱リグニン反応の温度を、
-水を前記容器に添加することと、
-バイオマスを前記容器に添加することと、
-熱交換器を使用すること
からなる群から選択される方法によって、55℃未満に維持するように制御する工程
とを含む方法が提供される。
本発明の好ましい実施形態によれば、水性酸性組成物は、硫酸成分と過酸化物成分の両方を組み合わせ、したがって、
-組成物A、組成物B及び組成物Cからなる群から選択される改質カロ酸組成物を含み、
前記組成物Aは、
-組成物の総重量の20~70重量%の範囲の量の硫酸、
-タウリン、タウリン誘導体及びタウリン関連化合物からなる群から選択されるアミン部分及びスルホン酸部分を含む化合物、並びに
-過酸化物
を含み、
前記組成物Bは、
-アルキルスルホン酸、及び
-過酸化物
を含み、ここで、酸は、組成物の総重量の40~80重量%の範囲の量で存在し、過酸化物は、組成物の総重量の10~40重量%の範囲の量で存在し、
前記組成物Cは、
-硫酸、
-アミン部分を含む化合物、
-スルホン酸部分を含む化合物、及び
-過酸化物
を含む。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記硫酸、アミン部分及びスルホン酸部分を含む前記化合物、並びに前記過酸化物は、1:1:1以上のモル比で存在する。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記硫酸、アミン部分及びスルホン酸部分を含む前記化合物、並びに前記過酸化物は、15:1:1以下のモル比で存在する。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記硫酸、並びにアミン部分及びスルホン酸部分を含む前記化合物は、3:1以上のモル比で存在する。
本発明の好ましい実施形態によれば、アミン部分及びスルホン酸部分を含む前記化合物は、タウリン、タウリン誘導体、及びタウリン関連化合物からなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記タウリン誘導体又はタウリン関連化合物は、タウロリジン、タウロコール酸、タウロセレコール酸、タウロムスチン、5-タウリノメチルウリジン及び5-タウリノメチル-2-チオウリジン、ホモタウリン(トラミプロサート)、アカンプロサート、及びタウラート、並びにアルキルがC~C直鎖アルキル及びC~C分岐アルキルからなる群から選択されるアミノアルキルスルホン酸からなる群から選択される。好ましくは、前記直鎖アルキルアミノスルホン酸は、メチル、エチル(タウリン)、プロピル、及びブチルからなる群から選択される
好ましくは、前記分岐ノアルキルスルホン酸は、イソプロピル、ソブチル、及びイソペンチルからなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態によれば、アミン部分及びスルホン酸部分を含む前記化合物はタウリンである。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記硫酸並びにアミン部分及びスルホン酸部分を含む化合物は、3:1以上のモル比で存在する。
本発明の好ましい実施形態によれば、アミン部分を含む前記化合物は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びそれらの組合せからなる群から選択されるアルカノールアミンである。
本発明の好ましい実施形態によれば、スルホン酸部分を含む前記化合物は、アルキルスルホン酸及びそれらの組合せからなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記アルキルスルホン酸は、アルキル基がC~Cの範囲であり、直鎖又は分岐鎖であるアルキルスルホン酸及びそれらの組合せからなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記アルキルスルホン酸は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2-プロパンスルホン酸、イソブチルスルホン酸、t-ブチルスルホン酸、ブタンスルホン酸、イソペンチルスルホン酸、t-ペンチルスルホン酸、ペンタンスルホン酸、t-ブチルヘキサンスルホン酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記アルキルスルホン酸、及び前記過酸化物は、1:1以上のモル比で存在する。
本発明の好ましい実施形態によれば、スルホン酸部分を含む前記化合物はメタンスルホン酸である。
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物Cにおいて、前記硫酸及びアミン部分を含む前記化合物及びスルホン酸部分を含む前記化合物は、1:1:1以上のモル比で存在する。
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物Cにおいて、前記硫酸、アミン部分を含む前記化合物及びスルホン酸部分を含む前記化合物は、28:1:1~2:1:1の範囲のモル比で存在する。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、
-硫酸、
-複素環式化合物
を含む水性酸性組成物を使用してバイオマスを脱リグニンする方法であって、
硫酸及び前記複素環式化合物が、1:1以上のモル比で存在する方法が提供される。
好ましくは、硫酸及び前記複素環式化合物は、28:1~2:1の範囲のモル比で存在する。より好ましくは、硫酸及び複素環式化合物は、24:1~3:1の範囲のモル比で存在する。好ましくは、硫酸及び複素環式化合物は、20:1~4:1の範囲のモル比で存在する。より好ましくは、硫酸及び複素環式化合物は、16:1~5:1の範囲のモル比で存在する。本発明の好ましい実施形態によれば、硫酸及び複素環式化合物は、12:1~6:1の範囲のモル比で存在する。
また好ましくは、前記複素環式化合物は、300g/mol未満の分子量を有する。また好ましくは、前記複素環式化合物は、150g/mol未満の分子量を有する。より好ましくは、前記複素環式化合物は第二級アミンである。本発明の好ましい実施形態によれば、前記複素環式化合物は、イミダゾール、トリアゾール、及びN-メチルイミダゾールからなる群から選択される。
本発明の一態様によれば、
-硫酸、
-複素環式化合物、及び
-過酸化物
を含む水性酸性組成物を使用して、木材などのバイオマスを脱リグニンする方法であって、
硫酸及び複素環式化合物が、2:1~28:1の範囲のモル比で存在する方法が提供される。
好ましくは、容器への水の添加が可能な限り回避される実施形態によれば、脱リグニン反応の制御は、容器内の混合物の温度、したがって脱リグニンの発熱性を制御することによって行われ、反応は、硫酸成分及び過酸化物成分を含有する容器にバイオマスをゆっくりと添加し、より多くのバイオマス材料を添加する前に反応を生じさせることによって制御される。第1の量のバイオマスの反応が実質的に終了し、より多くのバイオマス材料が添加されると、この追加の材料が反応し、脱リグニンを開始するが、反応は、以前の脱リグニンされた材料の存在によってある程度調整され、よって、第2の量のバイオマスをより希釈された混合物中で反応させ、その後の容器へのバイオマスの添加などを行う。本発明の好ましい実施形態によれば、(発熱性である)脱リグニン反応から生じる温度上昇を利用して、反応混合物を所望の30~45℃の範囲まで加熱する。これは、自己充足的な発熱を可能にする高度な温度制御システムと一致する。
本発明の一態様によれば、バイオマスの制御された発熱性脱リグニンを実施する方法であって、
-容器を用意すること、
-リグニン、ヘミセルロース及びセルロース繊維を含むバイオマスを前記容器に供給すること、
-硫酸成分を含む水性酸性組成物を用意すること、
-過酸化物成分を用意すること、
-前記バイオマスを前記硫酸供給源及び過酸化物成分に曝露し、反応塊を作成すること、
-脱リグニン反応が起こり、前記バイオマスから前記リグニン及びヘミセルロースの90重量%超を除去するのに十分な期間、前記硫酸供給源及び過酸化物成分を前記バイオマスと接触させること
からなる方法が提供される。
本出願の実施形態の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
単一の反応器を使用する本発明の好ましい実施形態による方法のフロー図を例示する。 1メートルトン/日のセルロースの製造のための本発明の好ましい実施形態によるスケールアップされたプロセスの構成図を示す。 様々な脱リグニン実験のためのバイオマスの添加(t=0)後の反応器温度曲線のグラフ表示である。 2つの反応容器を含む本発明の好ましい実施形態によるスケールアップされたプロセスの構成図を示す。 脱リグニン工程後のフロー図を含む、本発明の好ましい実施形態によるスケールアップされたプロセスの構成図を示す。 脱リグニン工程後のフロー図を含む、本発明の好ましい実施形態によるバイオマス材料を脱リグニンするプロセスのフロー図を示す。 カッパ数に対する消費された過酸化物(H)/生成されたセルロースの量の比のグラフ表示である。 本発明によるいくつかの脱リグニン反応のための、反応時間に対する消費された過酸化物(H)/生成されたセルロースの量の比のグラフ表示である。
バイオマス発熱加水分解反応温度を制御するための方法
本発明の好ましい実施形態によれば、本方法は、バイオマス及びバイオマス廃棄物の発熱加水分解反応温度を制御する工程を提供する。セルロースを溶解させ、それを他のバイオマス成分、すなわちリグニン及びヘミセルロースから分離することが困難であるため、リグノセルロース材料を分離するために強酸及び過酸化物を使用する必要がある。これは、反応を非常に発熱性にし、制御に費用がかかり、安全上の懸念を表す。
本発明の好ましい実施形態によれば、本方法は、温度上昇電位を抑制し、滑らかで非常によく制御され、予測された反応をもたらす反応開始サイクルで断続的な水注入を使用する。最初の結果は、反応の発熱挙動が反応時間を通して完全に抑制され、所望の反応生成物に変化はないことを示した。好ましくは、この方法は、資本コストの大幅な削減を可能にし、従来のプロセスと比較してバイオマスの脱リグニンを実施するときの安全率を増加させるので、バイオマスからの再生可能な材料に基づく新しいプロセスの開発の完全な転換をもたらす。
図1に例示されているように、本発明の好ましい実施形態による方法は、ポンプ(12a)の作動により酸収容ユニット(7)に含有される酸性組成物、並びにポンプ(12b)の作動により過酸化物収容ユニット(8)に含有される過酸化物が供給される反応器(1)を提供する。必要に応じて水を反応容器(1)に添加する。水はタンク(9)内に収容され、ポンプ(12c)の作動によって反応器(1)に供給される。好ましくは、容器は、反応物がバイオマスに曝された場合に容器(1)内の温度を制御するための熱交換器(2)を含有してもよい。熱交換器(2)には、冷却器(3)を備える閉ループ回路を通って循環する流体が供給され、流体を冷却する。脱リグニン反応が完了すると、バイオマス及び硫酸が容器(1)から除去され、硫酸が硫酸回収ユニット(4)で回収され、一方、脱リグニンされたバイオマス(セルロース、リグニン断片及びヘミセルロース)を含有する残りの溶液はフィルターセクション(5)でさらに分離される。分離されたセルロースは、乾燥機(6)に送られ、リグニン断片及びヘミセルロースを含む残りの液体流は、さらなる処理のために保持タンク(11)に送られる。硫酸回収ユニット(4)で回収された硫酸は、その後、回収硫酸タンク(10)に送られてプロセスにリサイクルされる。このプロセスは、大規模生産者への小口販売、したがって非常に多用途の設備投資(CAPEX)オプションを可能にする堅牢な設計を有する。
図2に例示されている本発明の別の好ましい実施形態によれば、共有出口に接続された改質硫酸を含有する複数のタンク(T1、T2、T3、及びT4)が存在し、これらは順に、いくつかの反応器ユニット(R1、R2、R3及びR4)に供給することができる。同様に、過酸化物成分を含有するタンク(T5、T6、T7及びT8)も反応器に流体接続される。複数のフィルター(F1、F2、F3、及びF4)が濾過ユニットセクション内及び生成物分離ユニット(PS1)内に見られ、ここで流れは流体流に分離され、流体流は液体生成物タンク収集ユニット(T11、T12、T13、T14、T15及びT16)に流れる。分離されたセルロース部分は、乾燥ユニット(D1)に送られ、乾燥ユニット(D1)は乾燥し、次いで収集された乾燥セルロース生成物をセルロース生成物タンク(C1及びC2)に送る。この構成は、オペレーターにとって安全であり、他の用途のために反応熱が回収される制御された発熱プロセスを介してセルロースを生成しながら、毎日1メートルトンのセルロースの製造を可能にすると予想される。
本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応が起こり、前記バイオマスから前記リグニンースの90重量%超を除去するのに十分な期間、前記硫酸供給源及び過酸化物成分を前記バイオマスと接触させること、並びに
-水を前記容器に添加することによって、脱リグニン反応の温度を制御すること。
本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応用の容器内のバイオマス充填量は、最大20重量%とすることができる。本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応用の容器内のバイオマス充填量は、最大15重量%とすることができる。本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応用の容器内のバイオマス充填量は、最大10重量%とすることができる。本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応用の容器内のバイオマス充填量は、最大8重量%とすることができる。本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応用の容器内のバイオマス充填量は、最大7重量%とすることができる。本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応用の容器内のバイオマス充填量は、4~6重量%の範囲である。
本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニンが起こる容器内の初期温度は18~20℃と低く、それでもなお合理的な期間内に実質的な脱リグニンをもたらし得る。好ましくは、脱リグニンが起こる容器内の初期温度は25℃である。より好ましくは、脱リグニンが起こる容器内の初期温度は30℃である。本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニンが起こる容器内の初期温度は、30~45℃の範囲である。本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニンが起こる容器内の初期温度は、32~40℃の範囲である。
本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応の持続時間は最大24時間継続し得る。好ましくは、脱リグニン反応の持続時間は最大12時間継続し得る。好ましくは、脱リグニン反応の持続時間は最大6時間継続し得る。好ましくは、脱リグニン反応の持続時間は最大4時間継続し得る。本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応の持続時間は約3時間かかる。一部の好ましい実施形態では、脱リグニン反応の持続時間はわずか1.5時間である場合がある。
本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応で使用される化学物質は、その後の脱リグニンで再利用され、依然として良好な脱リグニン力を維持することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応で使用される化学物質は、過酸化物成分の一部を添加すること(「トッピングアップ」と呼ばれる)によってその後の脱リグニンに再使用され、依然として良好な脱リグニン力を維持することができる。脱リグニンに使用される化学物質のリサイクルは、いくつかの利点をもたらし、最も明白なものの1つは、使用済み(又は使用された)化学物質の排出を排除することである。本発明の好ましい実施形態によれば、脱リグニン反応で使用される化学物質は、各反応の間に過酸化物をトッピングアップすることによって数回再使用することができる。
実験結果
希釈液による温度制御
10Lのガラス反応器容器内で、3,368gのHSO(93%)、3,746gのH(29%)、576gのHO及び310gのスルファミン酸を10:10:10:1のモル比になるように混合した。この改質酸/過酸化物ブレンドを使用し、リグノセルロースバイオマスを脱リグニンしてセルロースを生成することができる。バイオマス(本例では、5%の質量負荷の木材削りくずからなる)をこの規模でこのブレンドに添加すると、反応は非常に発熱性であり、暴走する。図3に最もよく見られるように、暴走反応を妨げ、セルロースの分解をもたらし、混合物を制御下に保つために、反応器内の温度上昇が反応を進行させ続けるのに充分少ないが暴走はしないまで、少量の水(それぞれ500g)を反応器に添加し、この場合、混合物は以下の特定の所定温度に達する:35℃(1回目の水の添加)、37℃(2回目の水の添加)、39℃(1回目の水の添加)、41℃(水の4回目の添加。添加される水が多すぎる場合、反応が停止し、バイオマスは完全に脱リグニンされない。いずれの実験においても外部冷却を適用しなかった。
一度に過剰な水を添加することによって反応を停止させることなく反応塊を制御するために添加する必要がある最小量の水を決定するために、一連の5回の希釈実験を実行した。最初の3つのセットを、同じ数の水を添加して同じ条件下で実行して、再現性を検証した(500mlの4回の添加)。唯一の違いは、外部温度制御を適用しなかったため、実験室内の室温に応じた開始温度である。
バイオマスを改質酸/過酸化物ブレンド(t=0秒)に添加した後、温度は0.74K/分の平均温度上昇で非常に急速に上昇する。反応器温度が35℃に達すると、500gの水を迅速に添加する。水が酸に添加されたときの熱放出により、温度は急上昇し、次いで0.30K/分の平均温度上昇で上昇し続ける。
次の添加温度(37℃)に達すると、さらに500gの水が反応器に添加され、再び温度が急上昇し、次いで0.14K/分で上昇し続ける。3回目及び4回目の水添加は39℃及び41℃で実行され、それぞれ0.071K/分及び0.016K/分の平均勾配が得られた。
水を3回だけ添加した実験では、反応器の温度は41.6℃まで上昇し、次いで反応が終了するまで再び低下する。水を2回だけ添加した実験では、最高温度は45.5℃である。これは、起こり得る暴走反応を妨げるために外部反応器の冷却がオンに切り替えられたであろう50℃の自己に課された安全限界に非常に近くなる。暴走反応は、初期バイオマスからのカーボンブラック残渣の生成をもたらす場合があるため、回避することが望ましい。
本発明の好ましい実施形態によれば、温度上昇は、安全な作業条件内に留まるために0.14K/分未満でなければならない。大規模反応器の外部冷却は非常にエネルギー集約的であり、したがって高価である。
好ましくは、外部冷却なしで改質酸/過酸化物ブレンドを用いてバイオマスの脱リグニンを実行することが有利であり、これは脱リグニンを実行する投入コストを低下させるためである。本発明の好ましい実施形態によれば、水のみの添加によるバイオマス添加後の温度上昇を制御することによって、プロセスを調節することができる。添加する必要がある水の最小量を決定することによって、プロセスを安全かつ効率的に実行することができる。行った実験では、得られたすべてのセルロースバッチは、4.2未満のカッパ数を有していた。
図4に例示されているように、本発明の好ましい実施形態による方法は、ポンプ(405)の作動により、硫酸、過酸化水素、及び別々のタンク(それぞれ402、403、404)に収容された改質剤を含む酸性組成物が供給される混合容器(401)を提供する。混合容器(401)は、再循環ポンプ(408)と協働して、改質酸組成物を構成する個々の成分を混合して脱リグニン反応を生じさせるミキサー(407)を含有する。ミキサー(407)及び再循環ポンプ(408)を使用して一旦撹拌混合すると、改質酸組成物は、2つの別々の反応容器(421a及び421b)に送られ、そこでバイオマス(422a及び422b)と組み合わされ、脱リグニン反応が起こる。改質酸組成物混合容器(401)はまた、その近傍にポンプ(410)を含み、改質酸を冷却器(409)を通して再循環させて混合容器(401)に戻すことを可能にする。
前記反応容器(421a及び421b)の各々は、ミキサー(424a及び424b)、再循環ポンプ(428a及び428b)、並びにヒーター(430a及び430b)、ポンプ(432a及び432b)、及び冷却器(434a及び434b)を含む熱交換ループを含むシステムを備えている。熱交換ループは、オペレーターが最適な反応速度を達成するために反応温度を所望の温度まで上昇させることを可能にするだけでなく、反応混合物(必要に応じて、バイオマス及び改質酸組成物及び水を含む、)を冷却してその温度を制御し、それを所望の範囲内に維持することも可能にする。反応容器(421a及び421b)(バイオマス及び改質酸組成物を含む)がポリマー(HDPEなど)で作製されている場合、ポリマー容器の分解を防ぐように反応混合物の温度を制御することが望ましい。容器がステンレス鋼で作製されている場合、温度制御は依然として必要であるが、異なる理由のためである。反応温度を制御し、リグニン分解生成物の一部が揮発する(蒸気生成物として逃げる)可能性がある温度未満に維持することは、脱リグニン反応からの生成物(リグニン分解化合物)の損失を防ぐだけでなく、このようなシステムが設置されている領域に潜在的に可燃性の蒸気がないようにするためにも望ましい。好ましくは、HDPE反応容器を使用する場合、反応温度を制御し、50℃未満に維持することが望ましい。好ましくは、ステンレス鋼反応容器を使用する場合、反応温度を制御し、70℃未満に維持することが望ましい。少なくとも90%の脱リグニンを達成し、55℃を超えて生じる価値のある有機化合物の潜在的な酸化を回避し、さらに、温度制御をより困難にする57℃の暴走温度に達することを回避するために、温度範囲を30~45℃に維持することも望ましい。
脱リグニン反応が完了すると、得られた混合物はフィルタープレス(442)に送られ、そこで水(448)を得られた生成物に注入して分離プロセスを助けることができる。フィルタープレス(442)は、液体部分の大部分を固体部分から分離し、液体部分を液体生成物捕捉容器(450)に送り、そこで液体をさらに処理して残りの反応化学物質を分離し、それらをポンプ(454)を通して混合容器(401)に送り返すことができる。フィルタープレス(442)から排出された固体部分は、ポンプ(444)を介して第2のフィルタープレス(460)を通してさらに処理される。第2のフィルタープレス(444)によって、液体部分が得られ、これをポンプ(462)を介して保持容器(464)に圧送してさらに処理し、一方、固体部分はその後、乾燥機(466)に送ることができる。一部の事例では、セルロース固体が部分的に湿潤したままである必要がある場合、乾燥段階は用いられない。乾燥を受けないセルロース製品には多くの用途があり得るので、「湿潤」セルロース製品の使用は、将来の用途のために出荷前に乾燥される従来のパルプと比較して、エネルギーフットプリントをさらに最小化する。
図5に例示されているように、本発明の好ましい実施形態による方法は、1日あたり5メートルトンのセルロースを得ることができる設備を提供する。システムは、硫酸、過酸化水素、及び別々のタンク(それぞれ504、506、508)に含有された改質剤を含む酸性組成物が供給される混合容器(501)を含む。混合容器(501)とも呼ばれるブレンドタンクは、改質酸組成物を構成する個々の成分を混合して脱リグニン反応を可能にするミキサー(503)を含有する。一旦激しく混合されると、改質酸組成物は、2つの別々の反応容器(510a及び510b)に送られ、そこでバイオマス(512a及び512b)と混合され、脱リグニン反応が行われる。
脱リグニン反応が完了すると、得られた混合物は濾過ユニット(520)に送られる。濾過ユニット(520)では、固体部分を液体部分から分離するために、以下のうちの1つ又は複数が行われ得る:デカンテーション、遠心分離及びフィルタープレス。第一濾過ユニット(520)で生じる得られた分離は、ナノ濾過工程(530)に送られる液体流を生じる。ナノ濾過工程(530)では、脱リグニン中に抽出された様々な有機化合物が、硫酸、過酸化物、水及び改質剤、化学物質の脱リグニンブレンドから除去される。次いで、脱リグニンブレンドは、ブレンド中に存在する水を除去するために蒸発ユニット(540)に送られる。水が除去されると、化学物質は再利用され、将来の脱リグニン反応のために混合容器(501)中に再利用され得る。
固体部分は洗浄工程(550)に送られ、そこで残留化学物質が固体から取り除かれる。残留化学物質は、さらなる分離のためにナノ濾過ユニット(530)に送ることができる。洗浄工程(550)から得られた流れは、より多くの液体が除去されるフィルタープレス(560)に送られるスラリーである。フィルタープレス(560)から得られた流れは、中和工程(570)を経る酸性固体の流れである。中和プレス(570)から得られた生成物は、別のフィルタープレス工程(580)を経る中和スラリーである。得られた中和された固体は、別の洗浄工程(590)を経て中和されたスラリーになり、これは別のフィルタープレス工程(600)を経て、25~25%の固形分の範囲であり得る固体含有量を有する生成物を生じる。得られた中和された固体は乾燥工程(610)で乾燥させることができる。
図6には、本発明の好ましい実施形態によるプロセス工程のフロー図が例示されている。様々な化学物質と水のブレンドは、640で実施される。これは、以下の組合せを含む:改質剤を保持するタンク(又は貯蔵部)(635)からの改質剤、過酸化水素を保持するタンク(又は貯蔵部)(625)からの過酸化水素、硫酸を保持するタンク(又は貯蔵部)(615)からの硫酸、及び貯水部(605)からの水。改質酸をブレンドし、容器に移し、そこでバイオマスと組み合わせて、供給原料調製段階(650)を経て反応混合物(660)を形成する。反応は、所望の脱リグニン点が達成されるまで、大気圧力下にて、所定の温度、好ましくは30~40℃の範囲で行われる。この時点で、混合物を移動させ、固体部分を液体部分から分離する濾過工程(670)に供する。固体部分は、乾燥工程(680)を経て乾燥固体:セルロースを生じる。固体セルロースは、顧客の仕様に従って所望の粒径を達成するために、粉砕、篩分けなどの後処理(690)において他の処理工程を受けることができる。液体は、回収段階及び分離段階(675)を経て、改質酸を構成する化学物質が液体の残りから分離され、ブレンド作製工程(640)にリサイクルされる。主に粗有機化合物を含有する残りの液体は、アップグレードされたバイオオイルを得るためのアップグレード工程(685)を経るバイオオイルの基礎成分である。
実験
本発明の方法の好ましい実施形態によるバイオマスの脱リグニンにおいて改質カロ酸組成物を使用する一連の実験を行った。各実験の条件及び得られたセルロースのカッパ数を表2に列挙し、硫酸(HSO)、過酸化水素(H)、トリエタノールアミン(TEOA)、及びメタンスルホン酸(MSA)並びに水(HO)を使用して実験を行った。3つの異なる供給原料の種類、すなわちキルン乾燥木材、軟質木材及びトウモロコシ茎葉を試験した。本方法で使用されるHを最適化する目的で、過酸化水素(H)消費量対生成されたセルロースの量の関係も研究した。H消費量の最適化を得られたセルロースの品質尺度としての最終カッパ数に直接関連付け、それによって評価した。

用いた化学物質のモル比、HSO:H:TEOA:MSAは10:10:1:1であった。これは、操作者にとって非常に安全なブレンドでありながら、良好な脱リグニンを提供することが分かった。実験はおよそ24時間行った。ほとんどの場合、過酸化物成分の消費は、反応ブレンド中に存在する全過酸化物の25%未満であった。よって、「トップアップ」が実施された実験では、補充しなければならない過酸化物は多くとも25%であった。バイオマス(場合によっては)が水分含量の非常に低いキルン乾燥木材であったため、ブレンドに水を添加する必要があったことは注目に値する。この場合、処理されたバイオマスは異なり、例えば、West Fraser木材チップ(水分含量がより高い)では、ブレンドに添加される水の量が減少した。
図7及び図8は、いくつかの実験について、カッパ数及び反応時間の変化に対する消費された過酸化物(H)と生成されたセルロースの量との比を示す。これらの実験からの最も重要な知見の1つは、カッパ数が2である得られたセルロースが、従来の多工程パルプ化プロセスと比較して、単一の反応器の運転で達成されたことである。カッパ数2は、ほぼ完全な脱リグニンを示し、消費された過酸化物(H)と生成されたセルロースの量の比の平均がおよそ0.9である場合に起こることが多いことを指摘することも注目に値する。
過酸化水素(H)消費量を最適化するための価値ある手法は、各反応後の反応ブレンドのリサイクル及び濾過による固体セルロースの除去である。これは実施され、ブレンドに添加された過酸化水素(H)の20%のみが消費されるため、実施することが非常に有利である。したがって、得られたセルロースの分離後に多量の未反応過酸化物成分を有するブレンドをリサイクルすると、全体の過酸化物(H)の消費が大幅に減少する。
本発明の好ましい実施形態によれば、反応温度の良好な制御は、反応が動力学的に駆動されることを示す脱リグニン反応を前進させる要因の1つである。他の実験は、3時間の脱リグニン反応時間が達成されることを実証している。30~45℃の範囲の温度で行われたこれらの実験は、過酸化水素(H)消費量及び得られたセルロースのカッパ数に影響を与えることなく所望の脱リグニンが達成されることを示す。
本発明の好ましい実施形態によれば、反応温度は、得られるセルロースに一定のカッパ数を与えるだけでなく、一定のリグニン-ヘミセルロース-脱重合有機(LHDO)混合物も与えるので、30~45℃の範囲内である。また、過酸化水素(H)による潜在的な酸化からLHDOを保護する。好ましくは、生成されたLHDOは、濾過によってセルロースから分離され、この用途のための特定の膜設計を有するナノ濾過プロセス工程を使用して硫酸から精製され、90%を超える分離効率を可能にする。これにより、高価値の再生可能燃料に容易にアップグレードすることができる独自の有機流が提供される。
上記の発明は、明確性及び理解のためにある程度詳細に説明されているが、当業者であれば、本開示に精通すると、添付の特許請求の範囲における本発明の真の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることを理解するであろう。

Claims (45)

  1. 55℃未満の温度でバイオマスの制御された発熱性脱リグニンを実施する方法。
  2. バイオマスの制御された発熱性脱リグニンを実施する方法であって、
    容器を用意する工程と、
    リグニン、ヘミセルロース及びセルロース繊維を含むバイオマスを該容器に供給する工程と、
    硫酸成分を含む水性酸性組成物を用意する工程と、
    過酸化物成分を用意する工程と、
    該バイオマスを該硫酸成分及び過酸化物成分に曝露し、反応塊を作成する工程と、
    脱リグニン反応が起こり、該バイオマスから該リグニン及びヘミセルロースの90重量%超を除去するのに十分な期間、該硫酸成分及び過酸化物成分を該バイオマスと接触させる工程
    とを含む方法。
  3. バイオマスを脱リグニンする方法であって、
    容器を用意する工程と、
    リグニン、ヘミセルロース及びセルロース繊維を含むバイオマスを該容器に供給する工程と、
    硫酸成分を含む水性酸性組成物を用意する工程と、
    過酸化物成分を用意する工程と、
    該バイオマスを該硫酸成分及び過酸化物成分に曝露し、反応塊を作成する工程と、
    脱リグニン反応が起こり、該バイオマスから該リグニン及びヘミセルロースの90重量%超を除去するのに十分な期間、該硫酸成分及び過酸化物成分を該バイオマスと接触させる工程と、
    水を容器に添加することによって、脱リグニン反応の温度を制御する工程
    とを含む方法。
  4. バイオマスを脱リグニンする方法であって、
    容器を用意する工程と、
    リグニン、ヘミセルロース及びセルロース繊維を含むバイオマスを該容器に供給する工程と、
    硫酸成分を含む水性酸性組成物を用意する工程と、
    過酸化物成分を用意する工程と、
    該バイオマスを該硫酸成分及び過酸化物成分に曝露し、反応塊を作成する工程と、
    脱リグニン反応が起こり、該バイオマスから該リグニン及びヘミセルロースの90重量%超を除去するのに十分な期間、該硫酸成分及び過酸化物成分を該バイオマスと接触させる工程と、
    該容器へのバイオマスの添加を制御することによって、脱リグニン反応の温度を制御する工程
    とを含む方法。
  5. 反応塊の温度が、脱リグニン反応の期間中、55℃未満に維持される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 反応塊の温度が、脱リグニン反応の期間中、50℃未満に維持される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 反応塊の温度が、脱リグニン反応の期間中、45℃未満に維持される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  8. 反応塊の温度が、脱リグニン反応からその後の溶媒(水)の添加まで制御され、1分あたりの温度上昇勾配を1分あたり1℃未満から1分あたり0.5℃未満まで徐々に低下させる、請求項1から3、5、6及び7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 反応塊の温度が、反応塊の1分あたりの温度上昇勾配を1分あたり1℃未満に低下させるために溶媒(水)の添加によって制御される、請求項1から3、5、6及び7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 反応塊の温度が、反応塊の1分あたりの温度上昇勾配を1分あたり0.7℃未満に低下させるために溶媒(水)の2回目の添加によって制御される、請求項9に記載の方法。
  11. 反応塊の温度が、反応塊の1分あたりの温度上昇勾配を1分あたり0.3℃未満に低下させるために溶媒(水)の3回目の添加によって制御される、請求項10に記載の方法。
  12. 反応塊の温度が、反応塊の1分あたりの温度上昇勾配を1分あたり0.1℃未満に低下させるために溶媒(水)の4回目の添加によって制御される、請求項11に記載の方法。
  13. 得られるセルロースのカッパ数が10未満である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 得られるセルロースのカッパ数が4.2未満である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記水性酸性組成物が、複素環式化合物をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記硫酸成分及び前記複素環式化合物が1:1以上のモル比で存在する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記硫酸成分及び前記複素環式化合物が28:1~2:1の範囲のモル比で存在する、請求項15又は16に記載の方法。
  18. 前記硫酸成分及び前記複素環式化合物が24:1~3:1の範囲のモル比で存在する、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記硫酸成分及び前記複素環式化合物が20:1~4:1の範囲のモル比で存在する、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記硫酸成分及び前記複素環式化合物が16:1~5:1の範囲のモル比で存在する、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記硫酸成分及び前記複素環式化合物が12:1~6:1の範囲のモル比で存在する、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記複素環式化合物が300g/mol未満の分子量を有する、請求項15から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記複素環式化合物が150g/mol未満の分子量を有する、請求項15から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記複素環式化合物が第二級アミンである、請求項15から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記複素環式化合物が、イミダゾール、トリアゾール、及びN-メチルイミダゾールからなる群から選択される、請求項15から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 反応塊の初期温度が、脱リグニン反応の期間中40℃以下であり、55℃を超えない、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 反応塊の初期温度が、脱リグニン反応の期間中35℃以下であり、55℃を超えない、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
  28. 反応塊の初期温度が、脱リグニン反応の期間中30℃以下であり、55℃を超えない、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
  29. 反応塊の初期温度が、脱リグニン反応の期間中25℃以下であり、55℃を超えない、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
  30. バイオマスの制御された発熱性脱リグニンを実施する方法であって、
    容器を用意する工程と、
    リグニン、ヘミセルロース及びセルロース繊維を含むバイオマスを該容器に供給する工程と、
    組成物A、組成物B及び組成物Cからなる群から選択される改質カロ酸組成物を用意する工程であって、
    組成物Aが、
    組成物の総重量の20~70重量%の範囲の量の硫酸、
    タウリン、タウリン誘導体、及びタウリン関連化合物からなる群から選択されるアミン部分及びスルホン酸部分を含む化合物、並びに
    過酸化物
    を含み、
    組成物Bが、
    アルキルスルホン酸、及び
    過酸化物を含み、酸が、組成物の総重量の40~80重量%の範囲の量で存在し、過酸化物が、組成物の総重量の10~40重量%の範囲の量で存在し、
    組成物Cが、
    硫酸、
    アミン部分を含む化合物、
    スルホン酸部分を含む化合物、及び
    過酸化物
    を含む、上記用意する工程と、
    該バイオマスを該改質カロ酸組成物に曝露し、反応塊を作成する工程と、
    該改質カロ酸組成物を、脱リグニン反応が起こり、該バイオマスから該リグニン及びヘミセルロースの90重量%超を除去するのに十分な期間、該バイオマスと接触させる工程と、
    脱リグニン反応の温度を、
    水を該容器に添加すること、
    バイオマスを該容器に添加すること、及び
    熱交換器を使用すること
    からなる群から選択される方法によって、55℃未満に維持するように制御する工程
    とを含む方法。
  31. 前記硫酸、アミン部分及びスルホン酸部分を含む前記化合物、並びに前記過酸化物が、1:1:1以上のモル比で存在する、請求項30に記載の方法。
  32. 前記硫酸、アミン部分及びスルホン酸部分を含む前記化合物、並びに前記過酸化物が、15:1:1以下のモル比で存在する、請求項30に記載の方法。
  33. 前記硫酸と、アミン部分とスルホン酸部分とを含む前記化合物とが、3:1以上のモル比で存在する、請求項30に記載の方法。
  34. アミン部分及びスルホン酸部分を含む前記化合物が、タウリン、タウリン誘導体、及びタウリン関連化合物からなる群から選択される、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  35. タウリン誘導体又はタウリン関連化合物が、タウロリジン、タウロコール酸、タウロセレコール酸、タウロムスチン、5-タウリノメチルウリジン及び5-タウリノメチル-2-チオウリジン、ホモタウリン(トラミプロサート)、アカンプロサート、及びタウラート、並びにアルキルがC~C直鎖アルキル及びC~C分岐アルキルからなる群から選択されるアミノアルキルスルホン酸からなる群から選択される、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  36. アミン部分及びスルホン酸部分を含む化合物がタウリンである、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  37. 硫酸並びにアミン部分及びスルホン酸部分を含む化合物が、3:1以上のモル比で存在する、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  38. アミン部分を含む化合物が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びそれらの組合せからなる群から選択されるアルカノールアミンである、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  39. スルホン酸部分を含む化合物が、アルキルスルホン酸及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  40. アルキルスルホン酸が、アルキル基がC~Cの範囲であり、直鎖又は分岐鎖であるアルキルスルホン酸及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  41. アルキルスルホン酸が、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2-プロパンスルホン酸、イソブチルスルホン酸、t-ブチルスルホン酸、ブタンスルホン酸、イソペンチルスルホン酸、t-ペンチルスルホン酸、ペンタンスルホン酸、t-ブチルヘキサンスルホン酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  42. アルキルスルホン酸、及び過酸化物が、1:1以上のモル比で存在する、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  43. スルホン酸部分を含む化合物がメタンスルホン酸である、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  44. 組成物Cにおいて、前記硫酸と、アミン部分を含む前記化合物と、スルホン酸部分を含む前記化合物とが、1:1:1以上のモル比で存在する、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  45. 組成物Cにおいて、前記硫酸と、アミン部分を含む前記化合物と、スルホン酸部分を含む前記化合物とが、28:1:1~2:1:1の範囲のモル比で存在する、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。

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