JP2024521530A - 損傷誘導性dna増幅(lida)によるsars-cov-2についてのアッセイ - Google Patents

損傷誘導性dna増幅(lida)によるsars-cov-2についてのアッセイ Download PDF

Info

Publication number
JP2024521530A
JP2024521530A JP2023578814A JP2023578814A JP2024521530A JP 2024521530 A JP2024521530 A JP 2024521530A JP 2023578814 A JP2023578814 A JP 2023578814A JP 2023578814 A JP2023578814 A JP 2023578814A JP 2024521530 A JP2024521530 A JP 2024521530A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
primers
cdna
primer
strand
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023578814A
Other languages
English (en)
Inventor
ベンジャミン・デイヴィッド・コッブ
Original Assignee
レディーゴー・ダイアグノスティクス・リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by レディーゴー・ダイアグノスティクス・リミテッド filed Critical レディーゴー・ダイアグノスティクス・リミテッド
Publication of JP2024521530A publication Critical patent/JP2024521530A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/70Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving virus or bacteriophage
    • C12Q1/701Specific hybridization probes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6844Nucleic acid amplification reactions
    • C12Q1/6853Nucleic acid amplification reactions using modified primers or templates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2565/00Nucleic acid analysis characterised by mode or means of detection
    • C12Q2565/10Detection mode being characterised by the assay principle
    • C12Q2565/101Interaction between at least two labels

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

RNA又はDNAを増幅するための損傷誘導性DNA増幅(LIDA)ベースの方法と併せた、SARS-CoV-2についてのアッセイが記載される。

Description

本発明の分野
本発明は、核酸アッセイ、並びに核酸を増幅するための方法又は増幅し検出するための方法に関する。特定の実施形態では、本発明は、SARS-CoV-2核酸を検出するためのアッセイに関する。
本発明の背景
SARS-CoV-2パンデミックは、このウイルスを検出するためのいくつかのアッセイの開発をもたらした。最も一般的なもののうち2つは、スパイク、エンベロープ、膜若しくはヌクレオカプシドタンパク質に結合するコンジュゲート化抗体を使用する、特定のウイルスタンパク質の存在を検出する抗原ベースのラテラルフローアッセイ;又はウイルスの存在を検出するために特定のウイルスゲノム配列を増幅するRT-PCRアッセイである。これらの各々は、利益及び不利益を有する;ラテラルフローアッセイは、迅速であり、わずか30分で結果を生じるが、比較的感度が低く、偽陰性を生じやすい。RT-PCR試験は、より正確であるが、試験のために一般的に実験室に試料を戻す必要性を考慮すると、迅速な選択肢とは見なされない。代替的な試験選択肢を利用可能にすることが有益である。更に、通常アッセイされる遺伝子及びタンパク質におけるウイルス変異の速度を考慮すると、これらのアッセイの感度の低減が存在し得る。したがって、アッセイにウイルスゲノムの異なる領域を採用することが有益である。
SARS-CoV-2についての代替的なアッセイ中に組み込むのに適切であり得る種々の等温増幅方法が、核酸の増幅のために公知である。これらには、NASBA(核酸配列ベースの増幅);LAMP(ループ介在等温増幅);HAD(ヘリカーゼ依存的増幅);RCA(ローリングサークル増幅);MDA(多重置換増幅);WGA(MALBAC、LIANTI、DOP-PCRが含まれる全ゲノム増幅);及びRPA(リコンビナーゼポリメラーゼ増幅)が含まれる。等温増幅の利点は、標的を増幅するための温度サイクリングを必要とせず、したがって、アッセイを実施するための特定の設備を必要としない場合があるという点である。
更なる等温技法は、RT-LIDA(逆転写損傷誘導性DNA増幅(reverse transcription lesion-induced DNA amplification))である。LIDA技法は、米国特許第9,193,993号に一般に記載されており、不安定化性DNA鋳型(destabilizing DNA template)を相補的なヌクレオチド断片にハイブリダイズさせて、第1のニック入り二重鎖を形成する工程;第1のニック入り二重鎖をライゲーションさせて、DNA配列及び鋳型を含む産物二重鎖を形成する工程であって、産物二重鎖が、DNA配列及び鋳型を放出するように解離することが可能である、工程;及びこれらの工程を繰り返して、複数コピーの鋳型及びDNA配列を生成する工程、を含む、DNA配列を等温増幅するための方法である。初期鋳型がRNAである場合、RNAからcDNAを生成するための初期工程も含められる。RT-LIDAは、Alladin-Mustanら、「Reverse transcription lesion-induced DNA amplification: An instrument-free isothermal method to detect RNA」; Analytica Chimica Acta、第1149巻、2021、238130、https://doi.org/10.1016/j.aca.2020.12.005にも記載されている。
本明細書に記載されるSARS-CoV-2アッセイを開発する際に、本発明者は、改善された増幅結果を提供し得るRT-LIDAの改変を更に開発した。特に、従来のRT-LIDAでは、偽陽性を生じるプライマーの自己ライゲーションが問題になり得る。本明細書で示される改変されたアッセイは、他の利益の中でも、かかる偽陽性の発生を低減させると考えられる。
本明細書に記載される特異的アッセイは、SARS-CoV-2ゲノムの一部分のRT-LIDA増幅であるが、a)SARS-CoV-2ゲノムの同じ部分が、他の方法、特に、等温増幅を使用して検出され得ること;及びb)本明細書に記載される改変されたRT-LIDAが、このアッセイにというよりも、より一般的に適用可能であること、が理解される。本明細書に記載されるアッセイの重要な利点は、単一の反応容器中での等温増幅及び検出を可能にし、所望により、アッセイ試薬を超える特殊な設備なしに実施することができるという点である。
米国特許第9,193,993号
Alladin-Mustanら、「Reverse transcription lesion-induced DNA amplification: An instrument-free isothermal method to detect RNA」; Analytica Chimica Acta、第1149巻、2021、238130、https://doi.org/10.1016/j.aca.2020.12.005 Nucleic Acids Research、2003、第31巻、第17号、DOI: 10.1093/nar/gkg665 G Lohmanら、「Efficient DNA ligation in DNA-RNA hybrid helices by Chlorella virus DNA ligase」; Nucleic acids research、42(3)、1831~1844. https://doi.org/10.1093/nar/gkt1032
本発明の概要
本発明のある態様によれば、SARS-CoV-2についてのアッセイであって、ORF9cタンパク質の末端又はその近傍のLeu-Thr-Asp(LTD)配列をコードする核酸の一部分が、増幅され検出される、アッセイが提供される。
試料中のSARS-CoV-2を検出するための方法であって、試料中に存在するRNAからcDNAを生成する工程;ORF9cをコードするSARS-CoV-2ゲノムに対応するcDNAの一部分に対して特異的な増幅プロセスを使用してcDNAの一部分を増幅する工程;及びORF9cタンパク質の末端又はその近傍のLeu-Thr-Asp(LTD)配列をコードする増幅されたcDNAの一部分の存在を検出する工程、を含む方法も、提供される。
SARS-CoV-2ゲノムは、ORF9c(以前にはORF14として公知)をコードする遺伝子を含む。これは、機能が以前には未知であり、ヒトSARS及びコウモリCoV中に存在する、70アミノ酸のタンパク質である。SARS-CoV-2では、ORF9cタンパク質は、73アミノ酸長であり、転写物の末端に、3つの更なるアミノ酸(LTD)をコードする9bpの挿入部を有する。SARS-CoV-2(配列番号12)、ヒトSARS(配列番号13)及びコウモリCoV(配列番号14)由来のORF9cアミノ酸配列の比較は、図2に与えられる。より最近、このタンパク質は、ヒトの免疫系を逃れるウイルスの能力において重大かつ重要な役割を果たすことが示された。LTD挿入部は、SARS-CoV-2において高度に保存されているようであり、このことが、それを、検出に適切な標的にしている。特に、SARS-CoV-2ゲノムは、ゲノムにわたって記録された広く分布した変異を有するが、ORF9c中には最低限の変異が見出され、このLTD挿入中の記録された変異は更に少ない。ウイルス感染性におけるORF9cの可能な役割を考慮すると、この変動性の欠如は、ウイルスに対する選択的利益を示唆し、したがって、挿入は、診断法として有用である。
LTD挿入をコードするcDNA配列は、AAC TGT CTA(配列番号1)である。ゲノム配列は、もちろん、対応するRNA配列(UUG ACA GAU、配列番号2)である。増幅は、この挿入部にわたるDNA配列の増幅であり得、検出は、この挿入を含む配列に結合するプローブを介した検出であり得る。
好ましい実施形態では、増幅は、RT-LIDAを介したものである。LIDAは、リガーゼ連鎖反応(LCR)の改変に基づく、実行が簡単な増幅技法である。LIDAは、選択された標的の迅速な(≦20分の)増幅を提供するために、18℃~37℃の間の室温で動作する。LIDAは、4つのオリゴヌクレオチドプライマー及び単一の酵素を使用し、このことが、それを、他の等温化学と比較して有意に複雑さが低いものにしている。
試料中の標的RNA分子を増幅する方法であって、
a)前記標的RNA分子を含有する試料を提供する工程;
b)前記標的RNA分子の隣接する部分に対して相補的な第1及び第2のDNAプライマー(P2p、P2*)を提供する工程;
c)P2p及びP2*プライマーに対して相補的な第3及び第4のDNAプライマー(P1c*、P1(csp))を提供する工程であって、第3及び第4のDNAプライマーが、不安定化性プライマーである、工程;
d)P2p及び又はP2*プライマーと重複し、標的RNA分子に対して相補的な置換DNA鎖(disDNA)を提供する工程;
e)P2p及びP2*プライマーを標的RNAにアニールさせて、RNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
f)P2p及びP2*プライマーをライゲーションさせて、RNA-DNA二重鎖を形成する工程であって、DNA鎖が、ライゲーションされたP2p-P2*である、工程;
g)disDNAに、ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖を二重鎖から置換させる工程;
h)不安定化性プライマーを、ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
i)P1c*及びP1(csp)プライマーをライゲーションさせて、P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;
j)不安定化されたcDNA鎖を、第1のcDNA鎖から解離させる工程;
k)P2p及びP2*プライマーを、不安定化されたcDNA鎖にアニールさせ、不安定化性プライマーを第1のcDNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
l)プライマーをライゲーションさせて、P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;並びに
m)工程j)~l)を繰り返して、複数コピーの第1及び第2のcDNA鎖を産生する工程
を含み、ライゲーションさせる工程が、単一塩基オーバーハング又は平滑末端ライゲーション能力を有さないDNAリガーゼを用いて実施される、方法も提供される。
本明細書で議論されるように、本発明者は、単一塩基オーバーハング又は平滑末端ライゲーション能力を有さないDNAリガーゼの使用が、この方法から、増強された精度及びバックグラウンドの低減を提供することを決定した。好ましい実施形態では、リガーゼは、PBCV-1 DNAリガーゼであるが、単一塩基オーバーハングライゲーション能力又は平滑末端ライゲーション能力を低減又は除去するように天然形態から改変された操作されたリガーゼが含まれる他のリガーゼが使用され得る。かかるリガーゼの使用によるバックグラウンド増幅の低減は、リガーゼ反応を加速する成分(例えば、クラウディング剤、例えば、PEG)が、反応ミックス中に含まれ得ることを意味している。単一塩基オーバーハングライゲーション能力を有する従来のリガーゼ、例えば、T4リガーゼを用いると、このバックグラウンドでの共増幅が促進され得るので、これらは省かれる必要がある。
不安定化性プライマーは、塩基脱落部位、又は対応する相補的な配列とのミスマッチの存在から選択される1つ以上の特色を含み得る。実施形態では、1つのプライマーは、ミスマッチを含み、1つのプライマーは、塩基脱落部位を含む。好ましくは、P1c*プライマーは、ミスマッチを含む;これは、A:Tミスマッチであり得る(即ち、完全に相補的な配列は、G又はCを含み得るが、ミスマッチは、A又はTを含む)。好ましくは、ミスマッチは、プライマーに関して内部である;即ち、5'末端及び3'末端から、少なくとも2、3、4又はそれよりも多くのヌクレオチド分の距離がある。実施形態では、P1(csp)プライマーは、塩基脱落部位を含む。塩基脱落部位は、好ましくは、プライマーの末端、好ましくは、5'末端にある。
プライマーは、標的の隣接する部分にハイブリダイズするように設計される。ライゲーションを可能にするために、各対の上流側のプライマー(即ち、他方のプライマーからみて5'側の標的上の領域にハイブリダイズするプライマー)は、5'末端にリン酸基を含む。例えば、P2p及びP1(csp)プライマーは、このリン酸基を含み得る。
方法は、cDNA鎖の少なくとも一方を検出する工程を更に含み得る。好ましくは、プライマーの少なくとも一方は、標識を含む。例えば、P2*プライマーは、標識を含み得る。実施形態では、各対からの1つのプライマーが、検出可能な標識を含む(例えば、P2*プライマー及びP1c*プライマー)。これは、両方のcDNA鎖の検出を可能にする。標識は、蛍光標識、例えば、フルオレセイン基であり得る。
検出工程は、固体支持体に固定化された相補的なオリゴヌクレオチド(Ro、レポーターオリゴヌクレオチド)を介して、cDNA鎖の少なくとも一方を捕捉する工程を含み得る。cDNA鎖が標識される場合、これは、例えば、標的配列の検出を示す線又は他の指標を発生させるために、標識を特定の位置に限局化するために使用され得る。
ある実施形態では、固定化された相補的なオリゴヌクレオチドRoは、一部分的に相補的なオリゴヌクレオチド(例えば、1つ以上のミスマッチを有するオリゴヌクレオチド、又は固定化されたオリゴヌクレオチドよりも短いオリゴヌクレオチド)に最初にハイブリダイズされ得;cDNA鎖を捕捉する工程は、cDNA鎖に、部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを置換させることを含む。部分的に相補的なオリゴヌクレオチドは、cDNAと部分的に同一であることが明らかである。好ましい実施形態では、部分的に相補的なオリゴヌクレオチドは、固定化されたオリゴヌクレオチドよりも短く、cDNAよりも短い。相対的な長さは、好ましくは、置換されたオリゴヌクレオチドが遊離cDNA又はプライマーにハイブリダイズする場合に、リガーゼが活性化できないように、選択される。これは、偽陽性を低減させ、増幅工程と同じ環境(即ち、プライマーの存在下)で検出工程が行われるのを更に可能にする。実施形態では、固定化された相補的なオリゴヌクレオチドRo及び部分的に相補的なオリゴヌクレオチド(Qo)は、レポーター-クエンチャー対を含む(例えば、Roは、レポーターを含み得、Qoは、クエンチャーを含む)。cDNA鎖によるQoオリゴヌクレオチドの置換は、レポーター-クエンチャー対を分離し、レポーターが検出されるのを可能にする。このアプローチは、初期プライマー中に標識を含める必要性を回避する。任意の適合性のレポーター-クエンチャー対が使用され得る;例えば、レポーター色素としてFAM又はVIC、及びクエンチャー色素としてTAMRA。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドRo及びQoは、核酸の介在区域を介して、又は非核酸リンカーを介して、単一の分子として連結され得る。更なる実施形態では、レポーター-クエンチャー対が使用される場合、Roオリゴヌクレオチドは、固体支持体に固定化される必要がなく、溶液中にあり得る。一例では、溶液中のRo及びQoオリゴヌクレオチドは、リンカー(核酸又は非核酸)によって接続され得る。
一部の実施形態では、プライマー配列の少なくとも一方は、増幅される標的配列の一部ではないタグ(例えば、核酸タグ)を含む。このタグは、本明細書に記載されるように、方法の検出工程又は他の工程において使用され得る。
実施形態では、プライマー及び他の配列は、以下の通りである:
3'-GAA CGA AAC GAC GAC GAA CT-5'、配列番号3 - disDNA配列
3'-GAC GAA CTGp-5'、配列番号4 - P2p配列
3'-TCT AAC TTG-5'、配列番号5 - P2*配列、
5'-CTG ATT GA-3'、配列番号6 - P1c*配列
5'-p(Ab) AGA TTG AAC-3'、配列番号7 - P1(csp)配列、(Ab)は塩基脱落部位である。
更なる実施形態では、Ro及びQoオリゴヌクレオチド配列は、
5'-CTG CTT GAC AGA TTG AAC-3' 配列番号8、レポーターオリゴ
3'-GAC GAA CTG TC-5'、配列番号9、クエンチャーオリゴ
である。
初期二本鎖DNA分子をほどくDNAアンフォールディング酵素(例えば、リコンビナーゼ又はヘリカーゼ)の添加を伴う、DNAを増幅するための類似の方法を使用することも可能である。したがって、試料中の標的DNA分子を増幅する方法であって、
a)前記標的DNA分子を含む試料を提供する工程;
b)前記標的DNA分子の隣接する部分に対して相補的な第1及び第2のDNAプライマー(P2p、P2*)を提供する工程;
c)P2p及びP2*プライマーに対して相補的な第3及び第4のDNAプライマー(P1c*、P1(csp))を提供する工程であって、第3及び第4のDNAプライマーが、不安定化性プライマーである、工程;
d)一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)及びDNAアンフォールディング酵素を提供する工程;
e)P2p及びP2*プライマーを標的DNAにアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成するために、SSB及びDNAアンフォールディング酵素に、標的DNA分子の鎖を分離させる工程;
f)P2p及びP2*プライマーをライゲーションさせて、DNA-DNA二重鎖を形成する工程であって、一方のDNA鎖が、ライゲーションされたP2p-P2*である、工程;
g)ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖を、二重鎖から解離させる工程;
h)不安定化性プライマーを、ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
i)P1c*及びP1(csp)プライマーをライゲーションさせて、P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;
j)不安定化されたcDNA鎖を、第1のcDNA鎖から解離させる工程;
k)P2p及びP2*プライマーを、不安定化されたcDNA鎖にアニールさせ、不安定化性プライマーを第1のcDNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
l)プライマーをライゲーションさせて、P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;並びに
m)工程j)~l)を繰り返して、複数コピーの第1及び第2のcDNA鎖を産生する工程
を含み、ライゲーションさせる工程が、単一塩基オーバーハング又は平滑末端ライゲーション能力を有さないDNAリガーゼを用いて実施される、方法も、本発明によって提供される。
SSBは、細菌SSBであり得る。DNAアンフォールディング酵素は、DNAヘリカーゼであり得るか、又はDNAリコンビナーゼ、好ましくは、RecAであり得る。
DNAリガーゼは、好ましくは、PBCV-1 DNAリガーゼである。本発明のこの態様の他の特色は、本明細書に記載されるRNA増幅方法に関して同じであり得る。ライゲーションされたDNAは、いったん形成されると鋳型から自発的に解離するので、この方法では置換DNAが必要とされないことに留意されたい。更に、本発明者らは、この方法(SSB及びヘリカーゼ又はリコンビナーゼを使用すること)が、本明細書に記載されるRT-LIDA法からdisDNAを置き換えるように働くこともできると考えている。このように、本発明の更なる態様は、試料中の標的RNA分子を増幅する方法であって、
a)前記標的RNA分子を含有する試料を提供する工程;
b)前記標的RNA分子の隣接する部分に対して相補的な第1及び第2のDNAプライマー(P2p、P2*)を提供する工程;
c)P2p及びP2*プライマーに対して相補的な第3及び第4のDNAプライマー(P1c*、P1(csp))を提供する工程であって、第3及び第4のDNAプライマーが、不安定化性プライマーである、工程;
d)一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)及びDNAアンフォールディング酵素を提供する工程;
e)P2p及びP2*プライマーを標的RNAにアニールさせて、RNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
f)P2p及びP2*プライマーをライゲーションさせて、RNA-DNA二重鎖を形成する工程であって、DNA鎖が、ライゲーションされたP2p-P2*である、工程;
g)SSB及びDNAアンフォールディング酵素に、ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖を二重鎖から置換させる工程;
h)不安定化性プライマーを、ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
i)P1c*及びP1(csp)プライマーをライゲーションさせて、P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;
j)不安定化されたcDNA鎖を、第1のcDNA鎖から解離させる工程;
k)P2p及びP2*プライマーを、不安定化されたcDNA鎖にアニールさせ、不安定化性プライマーを第1のcDNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
l)プライマーをライゲーションさせて、P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;並びに
m)工程j)~l)を繰り返して、複数コピーの第1及び第2のcDNA鎖を産生する工程
を含み、ライゲーションさせる工程が、単一塩基オーバーハング又は平滑末端ライゲーション能力を有さないDNAリガーゼを用いて実施される、方法を提供する。
配列番号3~7の配列、並びにまた必要に応じて配列番号8及び9を有するオリゴヌクレオチドを含むキットも、提供される。配列番号8を有するオリゴヌクレオチドは、固体支持体に固定化されて提供され得、配列番号9のオリゴヌクレオチドは、それにハイブリダイズされ得る。
本発明者は、反応ミックスが、液体マスターミックスへと分離され得、凍結乾燥された試薬成分が可能であることも見出した。したがって、本発明は、標的RNA配列の増幅のためのキットであって、
a)PBCV-1 DNAリガーゼ、Tris、MgCl2、ATP及びDTTを含む液体マスターミックス;
b)凍結乾燥された形態での、本明細書に記載されるRT-LIDAを実施するのに適切なオリゴヌクレオチドプライマー及び置換DNA
を含む、キットを更に提供する。
キットは、その上にレポーターオリゴヌクレオチドが固定化された固体支持体、及びレポーターオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたクエンチャーオリゴヌクレオチドを更に含み得る。
マスターミックスは、1.05μM DNAリガーゼ、50mM Tris、10mM MgCl2、1mM ATP及び10mM DTTを含み得る。実施形態では、マスターミックス及び/又は凍結乾燥された成分は、クラウディング剤、好ましくはPEGを含み得る。
実施形態では、固体支持体は、反応容器の形態であり、そこで反応が生じ得る。凍結乾燥された試薬は、反応容器中で提供され得る。この方法では、検出されるRNAを含有する試料、及びマスターミックスが、凍結乾燥された試薬を含有する反応容器に添加され得、増幅及び検出プロセス全体は容器中で生じる。
本発明のなお更なる態様は、代替的な液体マスターミックスに関する。この実施形態では、マスターミックスは、8よりも高いpHで、Tris、マンガンカチオン、DTT、及び1mMを下回るATPを含む。特に好ましいマスターミックスは、pH8.5で、50mM Tris-HCl、5mM MnCl2、10μM ATP、10mM DTTを含む。これは、より高いATP濃度を含有し、より低いpHを有し、MnCl2ではなくMgCl2を含有する、PBCV-1のための従来のマスターミックスとは異なる。例えば、New England Biolabs社から入手可能なSplintRリガーゼについての製品データシートを参照されたい。本明細書で更に説明されるように、この改変されたマスターミックスは、正確なライゲーションされた産物の産生を低減させ得る副産物であるアデニリル化されたDNAの産生を低減させる。ミックスは、好ましくは1.05μMで、PBCV-1 DNAリガーゼを更に含み得、及び/又はクラウディング剤、好ましくはPEGを更に含み得る。このマスターミックスはまた、記載されるように、凍結乾燥された試薬と一緒に提供され得る。
図面の簡単な説明
SARS-CoV-2のゲノムマップを示す図である。 SARS-CoV-2 ORF9cを示す図である。赤の影付きの配列は、タンパク質配列間の類似性を示し、3アミノ酸の「LTD」末端挿入の位置は、矢印で示される。 SARS-CoV-2 ORF9cの一部分のヌクレオチド配列、及び関連するオリゴヌクレオチドの位置を示す図である。 RT-LIDAプロセスの概観を示す図である。 SARS-CoV-2 ORF9c RT-LIDAオリゴヌクレオチドを示す図である。 T4リガーゼによる増幅された産物の形成を示す図である。 T4リガーゼ及びPBCV-1リガーゼによる単一塩基オーバーハングライゲーションの比較を示す図である。 陽性及び陰性対照試料におけるPCBV-1リガーゼの使用を示す図である。 RNA鋳型上でのDNAライゲーションの反応動態を示す図である。 置換報告戦略を示す図である。 報告戦略において使用したオリゴヌクレオチド配列を示す図である。 試験結果の指標を示す図である。 試験結果の例を示す図である。 改変された置換報告戦略を示す図である。
本発明の詳細な説明
コロナウイルス(CoV)(ニドウイルス目、コロナウイルス科、コロナウイルス亜科)は、プラス鎖一本鎖RNAゲノムを有するエンベロープウイルスである。ゲノムサイズは、長さが26~32キロ塩基(kb)の範囲である。コロナウイルスは、ヒトに感染し、風邪に似た上気道感染症(URTI)から、下気道感染症(LRTI)、例えば、気管支炎、肺炎、及び更には重症急性呼吸器症候群(SARS)まで、様々な程度で疾患を引き起こす。SARS-CoV-2、SARS-CoV及びMERS-CoVは、高い死亡率をもたらす重症感染症を引き起こす。
コロナウイルスゲノムは、4つの主要な構造タンパク質:スパイク(S)タンパク質、ヌクレオカプシド(N)タンパク質、膜(M)タンパク質及びエンベロープ(E)タンパク質をコードし、これらは全て、構造的に完全なウイルス粒子を産生するために必要とされる。Eタンパク質は、主要な構造タンパク質のうちで最も小さい。複製サイクルの間に、Eは、感染細胞の内側で豊富に発現されるが、ごく一部のみが、ビリオンエンベロープ中に取り込まれる。Eは、ウイルスアセンブリ、ビリオンの放出、及びウイルスの病理発生に関与する。このタンパク質の多くは、細胞内輸送の部位であるER、ゴルジ及びERGICに局在し、この場所で、CoVのアセンブリ及び出芽に関与する。
SARS-CoVゲノムの組織化及び転写の比較分析と組み合わせた、SARS-CoV-2株の配列決定されたゲノムは、遺伝子産物の暫定的なリストを構築するために使用されてきた。SARS-CoV-2は、ポリタンパク質を構成する16個の予測された非構造タンパク質(wORFlab)と、その後の、(少なくとも)13個の下流のオープンリーディングフレーム(ORF):表面糖タンパク質(即ちスパイク)、ORF3a、ORF3b、エンベロープ、膜、ORF6、ORF7a、ORF7b、ORF8、ヌクレオカプシド、ORF9a、ORF9b及びORF10とを有することが示唆された。そのタンパク質が最も高い類似性を共有した3つのウイルス種は、一貫して同じであった:ヒトSARSコロナウイルス(SARS-CoV)、コウモリコロナウイルス(BtCoV)、並びに別のコウモリベータコロナウイルス(BtRf-BetaCoV)。SARS-CoV-2のゲノムマップは、図1に示される。
ますます多くの変異が、SARS-CoV-2の臨床試料において既に同定されている。したがって、変異によって、又は臨床医若しくは研究者に変異を報告し戻すことができる化学を選択することによって、最も少なく影響される領域に関するアッセイを設計することが重要である。
いくつかのこれらの変異は、市販のアッセイにおいて使用される部位にわたることが示されており、これらの試験の性能を変更させている。一部では、プライマー、プローブ、又はプライマー及びプローブ部位にわたる複数の変異が観察されている。
スパイクタンパク質中の可変性の領域に対するプライマー及びプローブのセットを設計するのではなく、本発明者らは、他のSARS中にもコロナウイルス中にも存在せず、SARS-CoV-2において比較的保存されている領域を選択した。本発明者らは、それを高度に特異的なものにする、SARS-CoV-2に独自の挿入部にわたる試験を設計した。この標的を選択することの利益は、SARS-CoV-2についての試験が、単一の標的を使用して実施することができることである;SARS-CoV-2についての他のアッセイは、典型的には、非独自の標的からの他のコロナウイルスとの交差反応性の可能性に起因して、少なくとも2つの別々のゲノム標的の使用を必要とする。
具体的には、本発明者らは、ORF9c(以前にはORF14として公知)に標的化されたRT-LIDAアッセイを設計した。これは、機能が以前には未知であり、ヒトSARS及びコウモリCoV中に存在する、70アミノ酸のタンパク質である。SARS-CoV-2では、ORF9cタンパク質は、73アミノ酸長であり、転写物の末端に、3つの更なるアミノ酸をコードする9bpの挿入部を有する(図2は、SARS-CoV-2(配列番号12)、ヒトSARS(配列番号13)及びコウモリCoV(配列番号14)由来のORF9cアミノ酸配列の比較を示す)。より最近、このタンパク質は、ヒトの免疫系を逃れるウイルスの能力において重大かつ重要な役割を果たすことが示された;このタンパク質の重要性、及びORF9c配列における観察された変動性の欠如を考慮すると、この高度に保存された領域は、診断標的として非常に適切なようである。
図3は、アミノ酸配列(配列番号16)及び相補的なDNA配列(配列番号17)と共にORF9c挿入部にわたるSARS-CoV-2ゲノムから得られたcDNAのヌクレオチド配列(配列番号15)を示す。置換DNA(disDNA)並びに第1及び第2のプライマー(P2p、P2*)の由来する位置が図上に示される。
RT-LIDAのプロセス全体は、図4に示される。上パネルにおいて、RNA誘発されるライゲーションが線形増幅として生じて、鋳型からcDNAを生成する。次いで、下パネルにおいて、cDNAは、指数関数的に増幅される。標的RNA(「標的RNA-I'」)を含有する試料は、RNA-ニック入りDNA二重鎖を形成するために、標的RNA-I'の隣接部分にハイブリダイズするDNAプライマーP2p及びP2*と組み合わされる。次いで、反応ミックス中のリガーゼがニックを修復し、RNA-DNA二重鎖を生じる。cDNAと部分的に重複する置換DNA鎖(disDNA')が、RNAと優先的にハイブリダイズし、生成されたcDNA-II鎖を置換する。
次いで、反応は指数増殖期に移り、このとき、DNAプライマーP2p及びP2*並びに不安定化性DNAプライマーP1c*及びP1(csp)は、c-DNA-II又はF-DNA-I鎖に交互にハイブリダイズし、ライゲーションされ、次いで、不安定化性プライマー中の塩基脱落部位及び内部ミスマッチの不安定化特色の存在に起因して、ハイブリダイズした鎖から自発的に解離する。したがって、各サイクルは、cDNA鎖の数を倍加する。この例示では、不安定化性プライマーは、蛍光標識を含み、形成後のF-DNA-I鎖の検出を可能にする。図5は、SARS-CoV-2についてのRT-LIDA検出方法において使用した種々のオリゴヌクレオチドを示す。RNAcov(配列番号10)は、アッセイ試験において使用した合成RNA鋳型である。
従来のRT-LIDAプロセスは、ライゲーション酵素としてT4リガーゼを使用する。しかし、図6に示されるように、この酵素は、ある特定の期間後に偽陽性を生じる。具体的には、図6は、異なる出発濃度の鋳型cDNAにおけるDNA-I産物の産生を示す。陰性試料を用いた場合であっても、DNA-Iはなおも産生される。これは、反応ミックス中のオリゴヌクレオチドプライマー二重鎖の形成のせいであると考えられる - T4リガーゼは、単一塩基オーバーハングが存在する場合には、かかる二重鎖を自発的にライゲーションさせ、かかるライゲーションされたオリゴヌクレオチドは、反応の進行と共に増幅を生じる。明らかに、これは望ましくない。
したがって、本発明者らは、単一塩基オーバーハングライゲーション能力を欠如する代替的なリガーゼの使用を調査した。PBCV-1リガーゼは、Nucleic Acids Research、2003、第31巻、第17号、DOI: 10.1093/nar/gkg665に記載されており;PBCV-1リガーゼによるRNAによって添え木を当てられた(RNA-splinted)DNAのライゲーションは、G Lohmanら、「Efficient DNA ligation in DNA-RNA hybrid helices by Chlorella virus DNA ligase」; Nucleic acids research、42(3)、1831~1844. https://doi.org/10.1093/nar/gkt1032に記載されている。図7は、T4リガーゼ及びPBCV-1リガーゼによる単一塩基オーバーハングのライゲーションを比較する。PBCV-1リガーゼではライゲーションは存在しない。図の下の部分は、産物のゲル電気泳動を示す。単一塩基オーバーハングと5'-塩基脱落リン酸との低レベルのライゲーションが、T4 DNAリガーゼで生じることが示される(i)。SBOライゲーションは、PBCV-1 DNAリガーゼでは検出不能であった(ii)。比較目的のために、14nMの標的で開始した完全ライゲーション産物が示される(iii)。PBCV-1 DNAリガーゼによる5'-塩基脱落リン酸のライゲーションが存在しないことは、T4 DNAリガーゼで観察されたバックグラウンド増幅を回避する。
陽性及び陰性対照試料においてPBCV-1リガーゼを使用した結果は、図8に示される。パーセント収量は、蛍光標識したP1cオリゴヌクレオチドのライゲーションに基づく。酵素を、増幅混合物に直接添加した。300分後であっても、陰性対照においてシグナルが観察されなかったことがわかる。
推奨された条件下で、PBCV-1反応緩衝液は、50mM Tris-HCl、10mM MgCl2、1mM ATP、10mM DTTを含有し、反応は、pH7.5で25℃で実施される。しかし、これは、正確なライゲーション産物の収量を低減させるアデニリル化されたDNAプライマーの生成を生じ得る。PBCV-1DNAリガーゼは、反応性3'-OH及び5'-PO4末端を含有するニック入りDNA二重鎖に結合する。これは、連続DNA二重鎖にも、テイル付き(tailed)二重鎖にも、更にはライゲーション不能な3'-OH及び5'-OH末端を含有するニック入りリガンドにも結合しない。
ATP依存的DNAリガーゼは、3回の順次のヌクレオチジル転移反応を介して、5'-リン酸終結した鎖の、3'-ヒドロキシル終結した鎖への接続を触媒する。第1の工程では、ATPのα-リン酸に対するDNAリガーゼによる攻撃が、ピロリン酸の置換、及びAMPがリジンのε-アミノ基に連結された共有結合的リガーゼ-アデニル酸中間体の形成を生じる。活性部位のリジン残基は、保存されたモチーフKxDGxR内に位置する。次いで、AMPが、ニック入りDNA二重鎖の5'-一リン酸末端に転移されて、逆位(5')-(5')ピロリン酸架橋構造からなるDNA-アデニル酸中間体AppDNAを形成する。DNA-アデニル酸に対する、ニック入り二重鎖の3'-OH終結した鎖による攻撃が、ニックを塞ぎ、AMPを放出する。
AppDNAが溶液中に放出される場合、これは、mMのATP濃度の条件下では、「デッドエンド(dead end)」産物になり得るが、それは、遊離リガーゼが、ATPと迅速に反応して、酵素の活性部位をアデニリル化するからである。アデニリル化された酵素は、AppDNAに結合できないが、それは、酵素上のアデニリル基が、AppDNA中間体上のアデニリル基と同じ結合ポケットを占有するからである。μMのATP濃度は、AppDNA基質に結合でき、AppDNA基質を、ライゲーションされたDNAと効果的に反応させることができる、脱アデニリル化されたリガーゼのより高い定常状態濃度を生じる。
μMのATP(例えば、10μM)を使用することだけでなく、酵素濃度及びMg2+の代わりのMn2+(5mM)の選択は、AppDNAの形成及びデッドエンド基質の可能性を有意に低減させる。pH8.5も、AppDNAを排除し、通常、7と8との間のpHが、ほとんどのリガーゼマスターミックスに使用される。したがって、本発明は、マンガンカチオン、低減された(1mM未満の)量のATPを含む、8を上回るpHのリガーゼ緩衝液を更に提供する。本発明の方法との使用のための好ましいリガーゼ緩衝液は、pH8.5で、50mM Tris-HCl、5mM MnCl2、10μM ATP、10mM DTTを含む。
更なる調査は、PBCV-1リガーゼが、T4リガーゼよりも迅速に、RNA鋳型上のDNAプライマーを更にライゲーションさせることを実証した。図9を参照されたい。ここでは、RNA鋳型は、5'-CUU GCU UUG CUG CUG CUU GAC AGA UUG AAC CAG CUU GAG A-3'(「RNAcov」;配列番号10)であり、P2p及びP2*プライマーを使用した。PBCV-1によるより迅速なライゲーションは、RNAを鋳型とする工程にかかる時間を低減させる際に利点を有するが、両方の反応の反応動態を最適化することによって、RNA-鋳型工程後に置換DNAにLIDAを開始させる際にも決定的に重要であり得る。具体的には、disDNAの長さを低減させることは、RT-ライゲーション産物の置換にかかる時間を増加させる。したがって、PBCV-1の使用は、初期cDNA産物の生成を確実にするために、置換前にライゲーションを生じさせる。これは、感度を改善し、偽陰性の可能性を低減させる。反応を、PBCV-1 DNAリガーゼ1.05μM、50mM Tris 10mM MgCl2、1mM ATP及びDTTを用いて;又はT4 DNAリガーゼ2000 CEU、50mM Tris 10mM MgCl2、10μM ATPを用いて、実施した。更に、これらの反応の反応動態は、反応を更に加速させるために、PBCV-1を有する反応ミックス中での、分子クラウディング剤、例えばPEGの使用も許容する。
報告戦略の例示は、図10に示される。ライゲーション工程及び増幅工程は、レポーター色素を含む固定化されたレポーターオリゴヌクレオチドRoがその上にある固体支持体と接触して、液相中で実施される。これは、クエンチャー分子を含むより短い相補的なオリゴヌクレオチドQoに最初にハイブリダイズされる。重要なことに、Roオリゴヌクレオチドは、cDNA産物鎖の一方と同じ長さでありかつそれと完全に相補的である;しかし、Qoオリゴヌクレオチドは、cDNA産物鎖の一部と同じ配列を有するが、全長よりも短く(ここでは6nt短い)、個々のプライマーのいずれよりも長い。したがって、cDNAは、存在する場合、Qoオリゴヌクレオチドを置換して、レポーターとクエンチャーとを分離し、レポーターの検出を可能にする。より小さい個々のプライマーは、Qoオリゴヌクレオチドを置換することができず、したがって、この系は、偽陽性を生じにくい。更に、ニックライゲーションを可能にするにはオーバーハングが短すぎる(例えば、3nt、このとき、Qo全体は、cDNAよりも6nt短い)場合、放出されたQoオリゴヌクレオチドは、PBCV-1によってもたらされるライゲーション反応に参加することができない;再び、これは、偽陽性の可能性を低減させる。関連する配列は、図11に示される(Ro、配列番号8;Qo、配列番号9;LIDAライゲーション産物、配列番号11。LIDAライゲーション産物は、P1c*、配列番号6及びP1(csp)、配列番号7である)。
他の実施形態では、プライマーは、増幅される標的領域の一部ではない更なる配列タグも含み得る;これは、配列タグに対して一部相補的なレポーター配列の使用を可能にし、プライミング領域自体に対するいずれの配列相同性も必要としない。これは、配列がレポーター又は放出された配列に結合するリスクを低減させる。一例として、検出される配列が、P2p-P2*ライゲーションされたオリゴヌクレオチドである場合、P2*プライマーは、更なる配列タグを含み得る:P2p-P2*-T。レポーターオリゴヌクレオチドRoは、P2p-P2*-T配列に対して全体として相補的であるが、クエンチャーオリゴヌクレオチドQoは、タグを省き、したがって、P2p-P2*配列を有する。この実施形態では、放出されたQoオリゴヌクレオチドは、P1プライマーのための鋳型として機能することができる;しかし、放出は、P2p-P2*-T産物が蓄積する場合にのみ生じ、その結果、シグナルは、真正の増幅及び放出が存在する場合にのみ検出される。この改変された置換報告戦略は、図14に示される。
偽陽性産物形成の記載された除去を有するこの組み合わせの特定の利益は、投入標的RNA濃度にかかわらず、終点決定として蛍光強度を評価するための最低限の要件が存在するように、増幅が、ある特定の時間後に完了(100%)に常に向かうことであり、これは、POC及びOTC適用に特に適したイエス/ノー結果を提供する。しかし、時間の関数としての蛍光シグナルのモニタリングは、試料中のRNAの量の決定が重要である専門的使用のために定量的測定値を提供するために使用され得る。この方法は、両方の様式で使用することができる。
図13は、本明細書に記載されるアッセイ及び報告戦略の概念実証を示す。3つのアッセイ試験が示される;左から右に、これらは、クエンチされていないRoレポーターオリゴ;Ro/Qoレポーター-クエンチャー対からのクエンチされたシグナル;及びSARS-CoV-2ライゲーション産物の添加によるレポーターからのクエンチャーオリゴヌクレオチドの置換後の陽性シグナルである。
最後に、報告戦略がどのように現れ得るかの例示が、図12に示される。レポーター-クエンチャーオリゴは、十字形状で提示され得、十字の1つの腕は、陽性試験(例えば、SARS-CoV-2)についてのレポーターであり、他方の腕は、試験中に取り込まれた対照(例えば、試料中に存在すると期待されるヒトmRNA)についてのレポーターである。したがって、レポーターの発色は、試験が陰性であるか陽性であるかの単純な表示を提供する。
要約すると、次いで、本発明者らは、密接に関連するウイルスとははっきりと異なる高度に保存された領域を同定する、SARS-CoV-2についてのアッセイを開発した。更に、開発のプロセスにおいて、本発明者らは、RT-LIDA反応におけるPBCV-1リガーゼの使用が、以下のいくつかの利点を有することを決定した:
T4 DNAリガーゼとは異なり、PBCV-1リガーゼは、単一オーバーハングを5'-塩基脱落リン酸とライゲーションさせず、T4 DNAリガーゼを用いて観察されたバックグラウンドで誘発されるライゲーションを完全に排除する;
PBCV-1 DNAリガーゼは、T4 DNAリガーゼよりもかなり速く、DNA断片のRNAを鋳型とするライゲーションを触媒する;これは、この工程のための時間を2~3分に短縮する;
disDNAオリゴヌクレオチドの長さを最適化することは、この重要なライゲーション工程の効率を通常は制限する、置換活性がDNAオリゴをRNAから除去する前に、RTを生じさせ得る。これは、単一の工程プロセスを可能にする。
更に、置換報告方法の採用は、LIDAのために特に有用であり、実際、LIDAアッセイ内のオリゴヌクレオチド会合解離反応動態の同じ置換機構に基づく。これもまた、単一の工程プロセスとして実施され得る。
本発明者らは、改善されたライゲーションマスターミックスを更に開発しており、その使用は、正確なライゲーション産物の収量を低減させ得る、ライゲーションの間のAppDNAの産生を低減させ得る。
更に、SSB及びDNA巻き戻しタンパク質、例えば、RecA又はヘリカーゼの使用は、単一の工程増幅手順が、DNA並びにRNAに対して実施されるのを可能にし得る。
これらの特性は、本明細書に記載されるアッセイが、単一の反応容器中で単一の工程で迅速に実施され得ることを意味している。
配列表
3'-AAC TGT CTA-5'、配列番号1 - LTD挿入のcDNA配列
5'-UUG ACA GAU-3'、配列番号2 - LTD挿入のゲノム配列
3'-GAA CGA AAC GAC GAC GAA CT-5'、配列番号3 - disDNA配列
3'-GAC GAA CTGp-5'、配列番号4 - P2p配列
3'-TCT AAC TTG*-5'、配列番号5 - P2*配列、*は標識である
5'-C*TG ATT GA-3'、配列番号6 - P1c*配列
5'-p(Ab) AGA TTG AAC-3'、配列番号7 - P1(csp)配列、(Ab)は塩基脱落部位である
5'-CTG CTT GAC AGA TTG AAC-3' 配列番号8、レポーターオリゴ
3'-GAC GAA CTG TC-5'、配列番号9、クエンチャーオリゴ
5'-CUU GCU UUG CUG CUG CUU GAC AGA UUG AAC CAG CUU GAG A-3' 配列番号10、RNAcov
3'-GAC GAA CTG TCT AAC TTG-5'、配列番号11、LIDAライゲーション産物
配列番号12 - 図2からのSARS-CoV-2配列
配列番号13 - 図2からのヒト-CoV配列
配列番号14 - 図2からのコウモリ-CoV(SARS様)配列
配列番号15 - 図3からのORF9c_RT-LIDA配列
配列番号16 - 図3からのフレーム1配列
配列番号17 - 配列番号15の相補体(complement)

Claims (31)

  1. 試料中のSARS-CoV-2を検出するための方法であって、前記方法が、前記試料中に存在するRNAからcDNAを生成する工程;ORF9cをコードするSARS-CoV-2ゲノムに対応するcDNAの一部分に対して特異的な増幅プロセスを使用して前記cDNAの一部分を増幅する工程;及び前記ORF9cタンパク質の末端又はその近傍のLeu-Thr-Asp(LTD)配列をコードする増幅されたcDNAの一部分の存在を検出する工程、を含む、方法。
  2. 増幅が、RT-LIDAを介したものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記RT-LIDAが、単一塩基オーバーハング又は平滑末端ライゲーション能力を有さないDNAリガーゼの使用を含み;好ましくは、前記DNAリガーゼが、PBCV-1 DNAリガーゼである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記検出工程が、固体支持体に必要に応じて固定化された、相補的なオリゴヌクレオチドを介して、前記cDNA鎖の少なくとも一方を捕捉する工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記固定化された相補的なオリゴヌクレオチドが、部分的に相補的なオリゴヌクレオチドに最初にハイブリダイズされ;前記cDNA鎖を捕捉する工程が、前記cDNA鎖に、前記部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを置換させることを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記部分的に相補的なオリゴヌクレオチドが、前記固定化されたオリゴヌクレオチドよりも短く、前記cDNAよりも短い、請求項5に記載の方法。
  7. 前記固定化された相補的なオリゴヌクレオチド及び部分的に相補的なオリゴヌクレオチドが、レポーター-クエンチャー対を含む、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 置換された部分的に相補的なオリゴヌクレオチドが、更なる増幅のための基質を形成しない、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記増幅が、配列番号4~7のヌクレオチド配列を有するプライマーの使用を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. SARS-CoV-2についてのアッセイであって、ORF9cタンパク質の末端又はその近傍のLeu-Thr-Asp(LTD)配列をコードする核酸の一部分が、増幅され検出される、アッセイ。
  11. 配列番号3~7の配列、並びにまた必要に応じて配列番号8及び9を有するオリゴヌクレオチドを含む、キット。
  12. 配列番号8を有する前記オリゴヌクレオチドが、固体支持体に固定化される、請求項11に記載のキット。
  13. 試料中の標的RNA分子を増幅する方法であって、前記方法が、
    a)前記標的RNA分子を含有する試料を提供する工程;
    b)前記標的RNA分子の隣接する部分に対して相補的な第1及び第2のDNAプライマー(P2p、P2*)を提供する工程;
    c)前記P2p及びP2*プライマーに対して相補的な第3及び第4のDNAプライマー(P1c*、P1(csp))を提供する工程であって、前記第3及び第4のDNAプライマーが、不安定化性プライマーである、工程;
    d)前記P2p及び又は前記P2*プライマーと重複し、前記標的RNA分子に対して相補的な置換DNA鎖(disDNA)を提供する工程;
    e)前記P2p及びP2*プライマーを前記標的RNAにアニールさせて、RNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
    f)前記P2p及びP2*プライマーをライゲーションさせて、RNA-DNA二重鎖を形成する工程であって、DNA鎖が、ライゲーションされたP2p-P2*である、工程;
    g)前記disDNAに、前記ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖を前記二重鎖から置換させる工程;
    h)前記不安定化性プライマーを、前記ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
    i)前記P1c*及びP1(csp)プライマーをライゲーションさせて、前記P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;
    j)前記不安定化されたcDNA鎖を、前記第1のcDNA鎖から解離させる工程;
    k)前記P2p及びP2*プライマーを、前記不安定化されたcDNA鎖にアニールさせ、前記不安定化性プライマーを前記第1のcDNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
    l)前記プライマーをライゲーションさせて、前記P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び前記不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;並びに
    m)工程j)~l)を繰り返して、複数コピーの前記第1及び第2のcDNA鎖を産生する工程
    を含み、前記ライゲーションさせる工程が、単一塩基オーバーハング又は平滑末端ライゲーション能力を有さないDNAリガーゼを用いて実施される、方法。
  14. 前記不安定化性プライマーが、塩基脱落部位、又は対応する相補的な配列とのミスマッチの存在から選択される1つ以上の特色を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 1つの不安定化性プライマーが、ミスマッチを含み、1つの不安定化性プライマーが、塩基脱落部位を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 各対の上流側のプライマーが、5'末端にリン酸基を含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記cDNA鎖の少なくとも一方を検出する工程を更に含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記プライマーの少なくとも一方が、標識を含む、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記検出工程が、固体支持体に必要に応じて固定化された、相補的なオリゴヌクレオチドを介して、前記cDNA鎖の少なくとも一方を捕捉する工程を含む、請求項17又は18に記載の方法。
  20. 前記固定化された相補的なオリゴヌクレオチドが、部分的に相補的なオリゴヌクレオチドに最初にハイブリダイズされ;前記cDNA鎖を捕捉する工程が、前記cDNA鎖に、前記部分的に相補的なオリゴヌクレオチドを置換させることを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記部分的に相補的なオリゴヌクレオチドが、前記固定化されたオリゴヌクレオチドよりも短く、前記cDNAよりも短い、請求項20に記載の方法。
  22. 前記固定化された相補的なオリゴヌクレオチド及び部分的に相補的なオリゴヌクレオチドが、レポーター-クエンチャー対を含む、請求項20又は21に記載の方法。
  23. 置換された部分的に相補的なオリゴヌクレオチドが、更なる増幅のための基質を形成しない、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記標的RNA分子が、ウイルスRNA、好ましくはSARS-CoV-2 RNAである、請求項13から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記プライマーが、配列番号4~7のヌクレオチド配列を有する、請求項13から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記DNAリガーゼが、PBCV-1 DNAリガーゼである、請求項13から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 標的RNA配列の増幅のためのキットであって、前記キットが、
    a)PBCV-1 DNAリガーゼ、Tris、MgCl2、ATP及びDTTを含む液体マスターミックス;
    b)凍結乾燥された形態での、RT-LIDAを実施するのに適切なオリゴヌクレオチドプライマー及び置換DNA
    を含む、キット。
  28. レポーターオリゴヌクレオチド及び前記レポーターオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたクエンチャーオリゴヌクレオチドを更に含み、必要に応じて、前記レポーターオリゴヌクレオチドが、固体支持体に固定化される、請求項27に記載のキット。
  29. pH≧8.0、ATP≦1mM、及びマンガンカチオンの使用、のうちの1つ以上の選択を介して、AppDNAライゲーション中間複合体の産生を制限する、ライゲーション緩衝液。
  30. 試料中の標的DNA分子を増幅する方法であって、前記方法が、
    a)前記標的DNA分子を含む試料を提供する工程;
    b)前記標的DNA分子の隣接する部分に対して相補的な第1及び第2のDNAプライマー(P2p、P2*)を提供する工程;
    c)前記P2p及びP2*プライマーに対して相補的な第3及び第4のDNAプライマー(P1c*、P1(csp))を提供する工程であって、前記第3及び第4のDNAプライマーが、不安定化性プライマーである、工程;
    d)一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)及びDNAアンフォールディング酵素を提供する工程;
    e)前記P2p及びP2*プライマーを前記標的DNAにアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成するために、前記SSB及びDNAアンフォールディング酵素に、前記標的DNA分子の鎖を分離させる工程;
    f)前記P2p及びP2*プライマーをライゲーションさせて、DNA-DNA二重鎖を形成する工程であって、一方のDNA鎖が、ライゲーションされたP2p-P2*である、工程;
    g)前記ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖を、前記二重鎖から解離させる工程;
    h)前記不安定化性プライマーを、前記ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
    i)前記P1c*及びP1(csp)プライマーをライゲーションさせて、前記P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;
    j)前記不安定化されたcDNA鎖を、前記第1のcDNA鎖から解離させる工程;
    k)前記P2p及びP2*プライマーを、前記不安定化されたcDNA鎖にアニールさせ、前記不安定化性プライマーを前記第1のcDNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
    l)前記プライマーをライゲーションさせて、前記P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び前記不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;並びに
    m)工程j)~l)を繰り返して、複数コピーの前記第1及び第2のcDNA鎖を産生する工程
    を含み、前記ライゲーションさせる工程が、単一塩基オーバーハング又は平滑末端ライゲーション能力を有さないDNAリガーゼを用いて実施される、方法。
  31. 試料中の標的RNA分子を増幅する方法であって、前記方法が、
    a)前記標的RNA分子を含む試料を提供する工程;
    b)前記標的RNA分子の隣接する部分に対して相補的な第1及び第2のDNAプライマー(P2p、P2*)を提供する工程;
    c)前記P2p及びP2*プライマーに対して相補的な第3及び第4のDNAプライマー(P1c*、P1(csp))を提供する工程であって、前記第3及び第4のDNAプライマーが、不安定化性プライマーである、工程;
    d)一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)及びDNAアンフォールディング酵素を提供する工程;
    e)前記P2p及びP2*プライマーを前記標的RNAにアニールさせて、RNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
    f)前記P2p及びP2*プライマーをライゲーションさせて、RNA-DNA二重鎖を形成する工程であって、DNA鎖が、ライゲーションされたP2p-P2*である、工程;
    g)前記SSB及びDNAアンフォールディング酵素に、前記ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖を前記二重鎖から置換させる工程;
    h)前記不安定化性プライマーを、前記ライゲーションされたP2p-P2*DNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
    i)前記P1c*及びP1(csp)プライマーをライゲーションさせて、前記P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;
    j)前記不安定化されたcDNA鎖を、前記第1のcDNA鎖から解離させる工程;
    k)前記P2p及びP2*プライマーを、前記不安定化されたcDNA鎖にアニールさせ、前記不安定化性プライマーを前記第1のcDNA鎖にアニールさせて、DNA-ニック入りDNA二重鎖を形成する工程;
    l)前記プライマーをライゲーションさせて、前記P2p-P2*プライマーに対応する第1のcDNA鎖及び前記不安定化性P1c*-P1(csp)プライマーに対応する第2の不安定化されたcDNA鎖を有する産物DNA二重鎖を形成する工程;並びに
    m)工程j)~l)を繰り返して、複数コピーの前記第1及び第2のcDNA鎖を産生する工程
    を含み、前記ライゲーションさせる工程が、単一塩基オーバーハング又は平滑末端ライゲーション能力を有さないDNAリガーゼを用いて実施される、方法。
JP2023578814A 2021-06-21 2022-06-20 損傷誘導性dna増幅(lida)によるsars-cov-2についてのアッセイ Pending JP2024521530A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB2108853.9 2021-06-21
GBGB2108853.9A GB202108853D0 (en) 2021-06-21 2021-06-21 Assay
PCT/EP2022/066736 WO2022268724A2 (en) 2021-06-21 2022-06-20 Assay

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024521530A true JP2024521530A (ja) 2024-05-31

Family

ID=77050649

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023578814A Pending JP2024521530A (ja) 2021-06-21 2022-06-20 損傷誘導性dna増幅(lida)によるsars-cov-2についてのアッセイ

Country Status (8)

Country Link
EP (1) EP4359563A2 (ja)
JP (1) JP2024521530A (ja)
KR (1) KR20240023114A (ja)
CN (1) CN117677711A (ja)
BR (1) BR112023026939A2 (ja)
GB (1) GB202108853D0 (ja)
MX (1) MX2023015342A (ja)
WO (1) WO2022268724A2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2773505C (en) * 2012-03-07 2019-11-26 The Governors Of The University Of Alberta Isothermal dna amplification

Also Published As

Publication number Publication date
CN117677711A (zh) 2024-03-08
WO2022268724A2 (en) 2022-12-29
KR20240023114A (ko) 2024-02-20
WO2022268724A3 (en) 2023-02-02
GB202108853D0 (en) 2021-08-04
EP4359563A2 (en) 2024-05-01
MX2023015342A (es) 2024-01-18
BR112023026939A2 (pt) 2024-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3936798B2 (ja) Rna標的配列の増幅方法
JP3514630B2 (ja) 核酸配列の増幅および検出
US9222124B2 (en) Method for the simultaneous detection of multiple nucleic acid sequences in a sample
KR102592367B1 (ko) 게놈 및 치료학적 적용을 위한 핵산 분자의 클론 복제 및 증폭을 위한 시스템 및 방법
JP6638122B2 (ja) 標的核酸の検出方法及びキット
JPH09505464A (ja) 自立性配列複製電気化学発光核酸測定法
JPH02501532A (ja) 標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅
JPH04211399A (ja) 核酸の増幅法
EP3286329B1 (en) Method for the simultaneous detection of multiple nucleic acid sequences in a sample
US11180787B2 (en) Strand-invasion based DNA amplification method
JP2017532044A (ja) ポリdnaスペーサー配列を有する配列変換およびシグナル増幅dnaならびにそれらを用いた検出方法
JP2012508571A (ja) Rna検出法
JP2023553860A (ja) 標的rna検出
JP2023518217A (ja) 標的核酸を検出するためのループプライマー及びループ・デ・ループ方法
US9512470B2 (en) Method for the simultaneous detection of multiple nucleic acid sequences in a sample
JP2024521530A (ja) 損傷誘導性dna増幅(lida)によるsars-cov-2についてのアッセイ
CN114182001B (zh) 非对称环介导恒温条件下合成核酸的方法及试剂盒和应用
US20230407390A1 (en) Nucleic acid amplification method, primer set, probe, and kit for nucleic acid amplification method
CN117363806A (zh) 一种半重叠引物核酸恒温扩增方法、试剂盒及应用
JP2024506277A (ja) 脱塩基核酸を有する配列変換及びシグナル増幅dna、並びにそれを使用する検出方法
KR20230063085A (ko) 분할된 t7 프로모터를 이용한 등온 단일 반응용 프로브 세트 및 이의 용도
WO2024062126A1 (en) Method of detection of a target nucleic acid sequence
CN116904564A (zh) 同时检测n种目标基因的荧光实时检测***、方法、多重引物、试剂盒
CN116694816A (zh) SARS-CoV-2、甲型流感病毒和乙型流感病毒核酸等温多重检测试剂及检测方法
CN117625768A (zh) 一种通用数字pcr检测体系及其应用