JP2024520413A - 多能性幹細胞における遺伝子の迅速なサイレンシングを防止するための方法 - Google Patents

多能性幹細胞における遺伝子の迅速なサイレンシングを防止するための方法 Download PDF

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Abstract

CpGモチーフの除去によって導入遺伝子の安定した発現を有する細胞株を生成する方法が本明細書において提供される。さらなる方法では、新規プロモーターにより発現を駆動することによる又は内因性遺伝子をタグ付けすることによる導入遺伝子の安定した発現を有する細胞株のための方法が提供される。

Description

優先権の主張
本出願は、2021年5月26日に出願された米国仮特許出願第63/193,472号の優先権の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
配列表の組込み
34,000バイト(Microsoft Windows(登録商標)において測定した場合)であり、2022年5月26日に作成された「CDINP0103WO_ST25.TXT」という名称のファイルに含まれる配列表は、電子的提出により本明細書とともに提出され、参照により本明細書に組み込まれる。
1. 分野
本開示は、概して、幹細胞生物学の分野に関する。より詳細には、本発明は、遺伝子の迅速なサイレンシングを低減するための人工多能性幹細胞における遺伝子のコドン最適化の方法に関する。
2. 関連技術の説明
同一と思われる細胞株でも、その性能には大きな違いがあることが研究で示されている(Kyttala、2016年)。同一のドナーに由来する複数のクローンを比較した場合に検出されるこれらの違いは、「クローン間のばらつき」と呼ばれている。これらのクローンは、同一のDNA配列を含有すると考えられており、一部の場合には確認されている。同じ細胞株の分化バッチにおいて収率及び純度が一定しないことは、「バッチ間のばらつき」と呼ばれている。多くの場合には、分化性能の違いはエピジェネティックな改変に起因しているが、細胞株のばらつきを防ぐために、特定のエピジェネティックなメカニズム、及びこれらのエピジェネティックなメカニズムを変更する方法を特定する必要性は満たされていない。
第1の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの導入遺伝子を発現するように操作された単離された細胞株であって、少なくとも1つの導入遺伝子が、(a)配列番号1~12若しくは17に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有するプロモーターの制御下にある、(b)HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、及びUBCからなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある、及び/又は(c)CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされる、単離された細胞株を提供する。ある特定の態様では、細胞株は、人工多能性幹細胞(iPSC)株である。
一部の態様では、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列は、配列番号14又は配列番号16に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有する。ある特定の態様では、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列は、配列番号14又は配列番号16である。
一部の態様では、少なくとも1つの導入遺伝子は、(a)配列番号1~12若しくは17に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有するプロモーターの制御下にある、及び/又は(b)HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、及びUBCからなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある。特定の態様では、少なくとも1つの導入遺伝子は、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされている。
ある特定の態様では、少なくとも1つの導入遺伝子は、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされており、配列番号1~12又は17に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有するプロモーターの制御下にある。一部の態様では、少なくとも1つの導入遺伝子は、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされており、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、及びUBCからなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある。特定の態様では、少なくとも1つの導入遺伝子は、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされており、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、及びMYL6からなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある。
さらなる態様では、細胞株は、少なくとも第1の導入遺伝子及び第2の導入遺伝子を発現するように操作されている。一部の態様では、第1の導入遺伝子は、配列番号1~12若しくは17に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有するプロモーターの制御下にあり、第2の導入遺伝子は、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、及びUBCからなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある。他の態様では、第1の導入遺伝子は、配列番号1~12若しくは17に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有するプロモーターの制御下にあり、第2の導入遺伝子は、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、及びMYL6からなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある。一部の態様では、第1の導入遺伝子及び/又は第2の導入遺伝子は、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされている。特定の態様では、CpGモチーフの少なくとも50パーセント、例えば、少なくとも70パーセント、80パーセント、90パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント又は99パーセントが除去されている。特定の態様では、すべてのCpGモチーフが除去されている。一部の態様では、CpGモチーフのコドンは、稀ではない及び/又はモノヌクレオチドストレッチを生じないコドンで置き換えられている。特定の態様では、CpGモチーフのコドンは、表1の対応するコドンで置き換えられている。
一部の態様では、プロモーターは、応答エレメントである。ある特定の態様では、プロモーターは、応答エレメントによって駆動される。
一部の態様では、導入遺伝子は、レポーター遺伝子又は選択マーカーである。ある特定の態様では、レポーター遺伝子は、蛍光タンパク質又は発光タンパク質、例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)又は赤色蛍光タンパク質(RFP)のものである。ある特定の態様では、少なくとも1つの導入遺伝子は、選択マーカー、例えば、ピューロマイシン、ネオマイシン、又はブラスチシジンである。特定の態様では、少なくとも1つの導入遺伝子は、自殺遺伝子である。一部の態様では、少なくとも1つの導入遺伝子は、チミジンキナーゼ、TET、又は筋芽細胞決定タンパク質1(myoblast determination protein 1)(MYOD1)である。
特定の態様では、細胞株は、少なくとも30日間、例えば、少なくとも2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間又はそれより長期間の導入遺伝子の安定した発現を有する。特定の態様では、細胞株は、6カ月を超えて、例えば、1年を超えて、2年を超えて、又は3年を超えて、導入遺伝子の安定した発現を有する。
一部の態様では、少なくとも1つの導入遺伝子は、発現カセットによってコードされている。ある特定の態様では、少なくとも1つの導入遺伝子は、電気穿孔又はリポフェクションによって細胞株に導入されている。特定の態様では、発現カセットは、ゲノムセーフハーバー部位、例えば、PPP1R12C(AAVS1)遺伝子座又はROSA遺伝子座に挿入されている。
ある特定の態様では、プロモーターは、配列番号2、3、4、6、又は17に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有する。一部の態様では、プロモーターは、配列番号2、3、4、6、又は17を含む。
特定の態様では、本方法は遺伝子編集を含み、詳細には、導入遺伝子は、遺伝子編集、例えば、TALEN媒介遺伝子編集、CRISPR媒介遺伝子編集、又はZFN媒介遺伝子編集を含む。
さらなる実施形態は、操作された細胞における導入遺伝子の発現のサイレンシングを防止するための方法であって、CpGモチーフを除去するために導入遺伝子配列を最適化することを含む方法を提供する。
一部の態様では、最適化することは、本質的にすべてのCpGモチーフのコドンを置き換えることを含む。ある特定の態様では、最適化することは、CpGモチーフの少なくとも50パーセント、例えば、少なくとも70パーセント、80パーセント、90パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント又は99パーセントを置き換えることを含む。特定の態様では、すべてのCpGモチーフが除去される。特定の態様では、CpGモチーフのコドンは、稀ではない及び/又はモノヌクレオチドストレッチを生じないコドンで置き換えられる。一部の態様では、CpGモチーフのコドンは、表1の対応するコドンで置き換えられる。特定の態様では、CpGモチーフを除去するために最適化された導入遺伝子の配列は、野生型導入遺伝子の配列のGC含有量のパーセントと実質的に同様のGC含有量のパーセントを含む。
一部の態様では、導入遺伝子の配列は、レポーター遺伝子、例えば、蛍光タンパク質、例えば、GFP又はRFPのものである。
ある特定の態様では、導入遺伝子は、構成的プロモーターの制御下にある。一部の態様では、構成的プロモーターは、実質的にすべての細胞型で発現を有する。特定の態様では、構成的プロモーターは、本質的にすべての細胞型で発現を有する。ある特定の態様では、構成的プロモーターは、すべての細胞型で発現を有する。
特定の態様では、導入遺伝子は、誘導性プロモーターの制御下にある。一部の態様では、導入遺伝子は、EEF1A1プロモーターの制御下にある。
さらなる態様では、本方法は、細胞株を酪酸ナトリウム、VPA、又はTSAで処理することをさらに含む。具体的な態様では、酪酸ナトリウムは、0.25mM~0.5mMの濃度で添加される。
一部の態様では、細胞株は、iPSC株である。ある特定の態様では、本方法は、iPSC株を分化させることをさらに含む。一部の態様では、iPSC株は、成熟細胞、例えば以下に限定するものではないが、造血前駆細胞、神経前駆細胞、GABA作動性ニューロン、マクロファージ、ミクログリア、又は内皮細胞に分化する。
別の実施形態は、配列番号1~12又は17に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有するプロモーターを含む発現ベクターを提供する。一部の態様では、プロモーターは、配列番号2、3、4、6、又は17に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有する。ある特定の態様では、プロモーターは、配列番号2、3、4、6、又は17を含む。特定の態様では、発現ベクターは、pGL3プラスミドベクターである。一部の態様では、ベクターは、プロモーターの制御下で導入遺伝子をコードする。特定の態様では、導入遺伝子は、レポーター遺伝子、例えば、蛍光タンパク質又は発光タンパク質、例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)又は赤色蛍光タンパク質(RFP)のものである。
さらなる実施形態は、安定した導入遺伝子の発現を有する細胞株を生成する方法であって、本発明の実施形態のベクター(例えば、配列番号1~12又は17に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有するプロモーターを含む)を発現するように細胞株を操作することを含み、ベクターが前記導入遺伝子をコードする方法を提供する。一部の態様では、細胞株は、多能性細胞株、例えばiPSC株である。
一部の態様では、本方法は、ベクターを第19染色体上のAAVS1遺伝子座に組み込むことを含む。ある特定の態様では、組み込むことは、遺伝子編集、例えば、CRISPR媒介遺伝子編集、TALEN媒介遺伝子編集、又はZFN媒介遺伝子編集を含む。
さらなる態様では、本方法は、細胞株を分化させることをさらに含む。一部の態様では、細胞株は、造血前駆細胞、神経前駆細胞、GABA作動性ニューロン、マクロファージ、ミクログリア、又は内皮細胞に分化する。特定の態様では、細胞株は、少なくとも30日間、例えば、少なくとも2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間又はそれより長期間培養される。特定の態様では、細胞株は、6カ月を超えて、例えば、1年を超えて、2年を超えて、又は3年を超えて培養される。特定の態様では、細胞株は、少なくとも30日間、例えば、少なくとも2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間又はそれより長期間の導入遺伝子の安定した発現を有する。特定の態様では、細胞株は、6カ月を超えて、例えば、1年を超えて、2年を超えて、又は3年を超えて、導入遺伝子の安定した発現を有する。一部の態様では、細胞株は、少なくとも6カ月間培養される。ある特定の態様では、細胞株は、6カ月間、導入遺伝子の安定した発現を有する。
別の実施形態は、本実施形態の発現ベクター(例えば、配列番号1~12又は17に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有するプロモーターを含む)を含む単離された多能性細胞株を提供する。
さらなる実施形態は、外因性導入遺伝子の安定した発現を有する細胞株を生成する方法であって、内因性遺伝子の制御下で導入遺伝子を発現するように細胞株を操作することを含み、内因性遺伝子が、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、及びUBC、例えばHSP90AB1、ACTB、CTNNB1、又はMYL6である方法を提供する。
一部の態様では、操作することは、遺伝子編集、例えば、TALEN媒介遺伝子編集、CRISPR媒介遺伝子編集、又はZFN媒介遺伝子編集を含む。一部の態様では、導入遺伝子は、レポーター遺伝子、選択マーカー、又は自殺遺伝子である。
ある特定の態様では、細胞株は、多能性細胞株、例えばiPSC株である。
別の実施形態は、導入遺伝子でタグ付けされた内因性のHSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、及びUBCを含む単離された細胞株を提供する。一部の態様では、導入遺伝子は、レポーター遺伝子、選択マーカー、又は自殺遺伝子である。ある特定の態様では、細胞株は、多能性細胞株、例えばiPSC株である。
細胞を検出するためのアッセイであって、本発明の実施形態の細胞株を培養すること及びレポーター遺伝子の発現を測定することを含むアッセイが本明細書においてさらに提供される。細胞アッセイ、例えば、細胞生存率アッセイ、又は候補薬剤をスクリーニングするためのアッセイに関する本発明の実施形態の細胞株の使用も本明細書において提供される。一部の態様では、アッセイは、ハイスループットアッセイである。ある特定の態様では、細胞アッセイは、レポーター遺伝子の発現を測定することを含む。
別の実施形態は、細胞アッセイにおいて使用するための本発明の実施形態の細胞株を含む組成物を提供する。
本開示の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び具体例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、本発明の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるであろうから、例示のためにのみ与えられていることを理解されたい。
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の態様をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書に提示される具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つ以上を参照することにより、よりよく理解され得る。
EEF1A1pによって駆動されるZsGreenの発現はiPSCにおいて斑状である。iPSC01278.103(図1A、1B)及び01279.107(図1C、1D)を、PPP1R12C遺伝子座のEEF1A1p-ZsGreenを用いて操作した。明視野及び蛍光(GFP)顕微鏡を使用して、操作後11継代(図1A~1B)又は操作後18継代(図1C~1D)の細胞におけるGFP発現を捕捉した。
AcGFP1 DNA配列(配列番号13)のコドン最適化により、CpGを含まないAcGFP1 DNA配列(配列番号14)がもたらされた。
CpGを含まないAcGFP1の発現は安定しているが、AcGFP1の発現は経時的に維持されていない。EEF1A1p-CpGを含まないAcGFP1で標的化した5つのクローン(図3A)及びAAVS1遺伝子座のEEF1A1p-AcGFP1で標的化した9つのクローン(図3B)におけるGFP発現パーセントを経時的にモニターした。
iPSCにおけるAcGFP1の迅速なサイレンシング。3つのカセット、EEF1A1p-mRFP1+PGKp-Puro、EEF1A1p-AcGFP1又はEEF1A1p-CpGを含まないAcGFP1を含むPPP1R12C遺伝子座(AAVS1セーフハーバー)でのiPSC操作についての描写。図中に記したのは、細胞株8717及び9650について操作されたiPSCのID番号であり、これらを、本文書全体を通してさらなる実験において使用する(図4A)。AcGFP1発現クローンを摘出し、拡大したが、一貫した発現を保持しなかった。2カ月の培養後に、AcGFP1で操作されたiPSCをAcGFP1の発現についてバルク選別した。明視野顕微鏡及び蛍光(GFP)顕微鏡を使用して、選別の12日後(図4B)又は選別の23日後(図4C)の細胞におけるGFP発現を捉えた。同様のサイレンシングは、単量体mNeonGreen及び四量体ZsGreenを含む他の緑色蛍光タンパク質でも観察された。
サイレンシングされた導入遺伝子はNaBut処理で再活性化される。CpGを含まないAcGPF1培養では、少数の細胞がサイレンシングされた(細胞の3%未満、図3A)。これらのサイレンシングされた細胞は選別され、拡大された細胞であり、それらのサイレンシングについてさらに調査し、サイレンシングを克服する方法を研究した。GFP発現なしについて選別してから2カ月後に、サイレンシングされたCpGを含まないAcGFP1クローンを1mM、0.5mM、又は1μMのNaButで処理した。NaBut処理の9日後に、細胞をフローサイトメトリーによってGFP発現%についてアッセイし、CpGを有さないAcGFP1の用量依存的再活性化が観察された。パイロット実験が成功した後、NaBut処理用量を0.25mM及び0.5mMとしてNaBut処理期間を46日まで延長し、蛍光顕微鏡及びフローサイトメトリーによりGFP発現レベルを経時的にモニターした。最初の結果が確認された(図5A及び5B、紺色のバー:処理8日目)。NaBut処理の用量依存的な効果は、実験期間を通じて明らかであった(図5A及び5B)。
iPSC 9650(AAVS1のCpGを含まないAcGFP1)の分化。iPSC 9650は、肝細胞の分化(CXCR4、AAT及びALB発現によって測定)及び誘導性ニューロン(induced neuron)(iN)の分化(TUJ発現によって測定)を通してGFP発現を維持した。
1069:WT PuroR(図7A)、1362:CpGを含まないPuroR1(図7B)及び1363:CpGを含まないPuroR1(図7C)のプラスミド。
AAVS1にCpGを含まないAcGFP1で操作したiPSC 9650-GFPから内皮細胞を生成するためのプロトコールの概略説明。
低酸素順化したiPSCをPurecoat Amineプレートに播種して、6日間の血液内皮細胞の生成を開始した。分化6日目のiPSC由来血液内皮細胞の代表的な写真から、GFPの発現を保持する二次元フォーマットの血液内皮コロニーの存在が明らかになった。
4倍の対物レンズを使用してGFP/BFの重複を明らかにする培養2継代目の9650-GFP由来内皮細胞の形態。
9650-GFP iPSC由来の内皮細胞の純度。低酸素順化したiPSCをPurecoat Amineプレートに播種して、血液内皮細胞の生成を開始し、その後、再度播種して、複数継代にわたって増殖可能な純粋な内皮細胞を生成した。内皮細胞の純度は、継代時に、フローサイトメトリーによってCD31、CD144及びCD105の同時発現を染色して定量した。
低酸素順化したiPSCをPurecoat Amineプレートに播種して、血液内皮細胞の生成を開始し、その後、再度播種して、複数継代にわたって増殖可能な純粋な内皮細胞を生成した。GFP発現の強度を複数継代にわたりフローサイトメトリーによって定量した。
iPSCから造血前駆細胞(HPC)を生成するためのプロトコールの概略説明。
低酸素順化したiPSCを採取し、13~15日間にわたり3D凝集フォーマットでHPCに分化させた。HPC分化プロセスの最後に細胞を採取し、CD34、CD45、CD31、CD41及びCD235発現をGFP(図14A)又はRFP(図14C)発現とともに染色してHPCの純度を定量して、最終段階のHPCにおける蛍光の保持を示した。MACS分離後のGFPとCD34の同時発現は90%を超えている(図14B)。
HPCの生成効率:1個のインプットiPSCから、8717及び9650ではそれぞれ0.766個及び0.225個のHPCを生じた
HPCからのミクログリアの生成についての概略図。
9650-GFP株(図17A)及び8717-RFP株(図17B)のミクログリア分化の位相画像及び蛍光画像。
造血前駆細胞(HPC)の生成効率。CD34+ MACで選別した9650-GFP由来のHPC及び選別されていない8717-RFP由来のHPCをミクログリアに分化させた。インプットHPC及びアウトプットミクログリアの総生存数を定量した。プロセス効率は、ミクログリア分化の23日目に存在するCD34+陽性細胞の純度及び絶対数を、インプットされた生存HPCの絶対数で割った値に基づいて計算した。
それぞれ8717-RFP(図19A)及び9650-GFP(図19C)のiPSCから生成した23日目のミクログリアの純度プロファイル。最終段階のミクログリアを採取し、PU.1、IBA、CX3CR、TREM2及びP2RY12の発現の存在について染色し、フローサイトメトリーによって定量した。マーカーの同時発現は、最終段階の細胞におけるGFP又はRFPの保持とともに定量した(図19B、19D)。
HPCから最終段階のマクロファージの生成についての模式図。
8717-RFP由来のHPCの分化をさらに進めて、最終段階のマクロファージを生成した。最終段階のマクロファージの純度評価は、分化プロセスの44日目及び51日目にCD68発現の存在を染色することによって定量した。
マクロファージ分化プロセスの異なる日数における8717-RFP株の位相画像及び蛍光画像。画像は10倍の倍率で捉えた。
8717-RFP iPSC由来のHPCを最終段階のマクロファージに分化させた。インプットHPC及びアウトプットマクロファージの総生存数を定量した。プロセス効率は、マクロファージ分化の51日目に存在するCD68+陽性細胞の純度及び絶対数を、インプットされた生存HPCの絶対数で割った値に基づいて計算した。
分化プロセスを通して操作された蛍光色素の存在の保持。9650-GFP及び8717-RFPのiPSCは、iPSCからHPCへの分化、さらに純粋な最終段階のミクログリア及びマクロファージの生成に至るまで、蛍光色素の存在を保持した。
デュアルSMAD阻害を使用せずにiPSCから神経前駆細胞(NPC)を生成する方法の概略説明。関与した様々なステップ、及び使用した培地の組成を説明する。
(図26A)NPC分化プロセスの2Dプレコンディショニング段階における赤色及び緑色蛍光の可視化。図26Bは、採取前の最終段階の3D NPC培養の蛍光を捉えたものである。すべての画像は4倍の対物レンズで撮影した。
8717-RFP及び9650-GFP由来のNPCにおける解凍後の純度の定量。NPCを解凍し、関連するアイソタイプ対照を使用して、SSEA4、CD56及びCD15発現の存在を染色した。
NPCからGABA作動性ニューロンへの分化プロトコール。NPCは3D分化培養に供し、PLO-ラミニンをコーティングしたプレート上で2D培養に移行した。最終段階のニューロンを18日目に採取し、フローサイトメトリーによってネスチン及びβ-チューブリン3の純度を定量した。
GABA作動性ニューロン分化の2日目(3D)(図29A)及び18日目(2D)(図29B)に撮影した明視野画像及び蛍光画像。ULA T25 Flaskで3D培養し、6ウェルのPLO-ラミニンをコーティングしたプレートで2D培養する。すべての画像は10倍の倍率で撮影した。
GABA作動性ニューロン分化の13日目及び18日目における、未分化の操作したiPSCと最終段階のニューロン培養におけるGFP及びRFP発現の保持。13日目の試料をPLO-ラミニン上に播種する前に染色し、18日目の培養物をGABA作動性ニューロン分化終了時に染色した。
分化18日目の9650-GFP及び8717-RFPのiPSC培養由来のGABA作動性ニューロンを採取し、フローサイトメトリーによってネスチン及びβ-チューブリンの純度を染色した。最終段階の培養におけるGFP又はRFPとネスチン及びチューブリンとの同時発現を定量した。
(図32A)正規化したルシフェラーゼ(ホタル/ウミシイタケ比、EEF1A1=100%に対して正規化した)を示す(HSP90AB1del400プロモーター及びHSP90AB1プロモーターはEEF1A1のおよそ66%及び75%を発現させた)。(図32B)ZsGreen蛍光タンパク質を制御するための一例としてCAGプロモーターを使用し、ヒトiPSCの第19染色体上のAAVS1(PPP1R12C)セーフハーバー遺伝子座を標的とするプラスミド設計。
ZsGreen(ZsG)蛍光タンパク質を発現する操作したiPSC株を最長7カ月間培養維持し(E8培地/ビトロネクチンをコーティングしたプレート)、Accuri C6機器(BD)でフローサイトメトリーを使用して緑色発現を定期的にチェックした。8月の時点で多くの細胞で蛍光の低下を示したRPS19プロモータークローンの1つ(5363)を除けば、ほとんどのクローンは経時的に一貫したフロープロファイルを維持した。グラフは、操作されていないiPSC=1に対して正規化した蛍光レベルの中央値を示す。
(図34A)ZsGreen(ZsG)で操作したiPSC株のフローサイトメトリープロット。(図34B)分化21日目に、すべての細胞が目に見えるニューロン表現型を有した。フローサイトメトリーは、多くの細胞で、CAG、UBC(v1)、及びHSP90AB1del400プロモーターの蛍光が減退していることを示す。UBCv2、UBA52、及びRPS19プロモーターは、タグ遺伝子HSP90AB1、CTNNB1、及びMYL6と同様に、タイトで安定した発現を示した。
DNAのメチル化は、転写抑制の誘導、転写因子のDNAへの結合の防止、いくつかの転写因子のDNAへの結合の必要条件、HDAC複合体の動員、X染色体の不活性化、及びTLR9などのCpGモチーフの免疫原性を含む遺伝子の発現を調節する上で重要な役割を果たしている。哺乳類におけるDNAメチル化は、メチル基がメチル基転移酵素によってシトシンリン酸グアニン(CpG)のシトシンの5番目の炭素(5-mC)に付加された場合に起こる。DNMT3A及びDNMT3B(DNAメチルトランスフェラーゼ)は、de novoメチル化(すなわち、以前はメチル化されていなかったDNAをメチル化すること)を担い、DNMT3BはiPSCでオンになることが示されている。DNMT1は、複製後のヘミメチル化DNAのメチル化を担い、維持メチル基転移酵素として特徴付けられる。脱メチル化の研究はより最近になって浮上し、Gadd45aはDNA修復におけるDNA脱メチル化の重要な担い手として、TET及びTDGはDNAにおける5-mCの酸化及び切り出しの重要な担い手として同定されている。
iPSCへのゲノム操作によって導入遺伝子を加えることで、経時的に及び分化プロセスを介して導入遺伝子の発現をモニターする機会が得られている。緑色蛍光タンパク質(GFP)及び赤色蛍光タンパク質(RFP)は、天然のタンパク質のアセンブリー及び機能を著しく妨げることなく融合タンパク質を生成するために広く使用されており、前駆細胞集団をモニターし、出現しつつある細胞系列の動態を決定するためのin vivo分析及びバイオマーカーに関する強力なツールとなっている。緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するiPSC又は分化細胞が市販されていないことから明らかなように、広範な継代及び分化にわたり導入遺伝子の発現を維持する方法が必要とされている。具体的には、図1は、iPSCにおけるGFPの斑状発現を示す。
よって、ある特定の実施形態では、本開示は、CpGモチーフを除去し、よって導入遺伝子の迅速なサイレンシングを防止するために導入遺伝子の配列を最適化することによって、細胞株における導入遺伝子の発現を維持する方法を提供する。メチル化は、RNAが関連するサイレンシング及びヒストン修飾に加えて、主要なエピジェネティック機構である。本研究では、オワンクラゲ(Aequorea coerulescens)緑色蛍光タンパク質(AcGFP1)のDNA配列を図2に示すようにCpGモチーフを除去するように改変した。その結果、CpGを含まないAcGFP1の発現は安定であったが、野生型AcGFP1の発現は安定ではなかった(図3)。したがって、本方法により、グローバルメチル化又は他のエピジェネティックな調節不全による導入遺伝子のサイレンシングの防止が可能になる。
さらなる実施形態では、本明細書において提供される新規プロモーター(例えば、配列番号1~12又は17)により導入遺伝子の発現を駆動することによって、又はHSP90AB1、ACTB、CTNNB1、若しくはMYL6などの遺伝子にタグ付けすることによって導入遺伝子の発現を駆動することによって、細胞株における導入遺伝子の発現を維持する方法が提供される。
さらに、本発明の細胞株は、特定の細胞型に分化され、導入遺伝子の発現を3カ月間、6カ月間、又はさらには12カ月よりも長く導入遺伝子の発現を維持し得る。特定の態様では、細胞株は、少なくとも30日間、例えば、少なくとも2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間又はそれより長期間培養される。特定の態様では、細胞株は、6カ月を超えて、例えば、1年を超えて、2年を超えて、又は3年を超えて培養される。特定の態様では、細胞株は、少なくとも30日間、例えば、少なくとも2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間又はそれより長期間の導入遺伝子の安定した発現を有する。特定の態様では、細胞株は、6カ月を超えて、例えば、1年を超えて、2年を超えて、又は3年を超えて、導入遺伝子の安定した発現を有する。追加の態様では、細胞生存率アッセイ及びスクリーニングアッセイのために本発明の細胞株を使用する細胞アッセイ方法が提供される。
I. 定義
「精製された」という用語は、絶対的純度を必要とせず、むしろ相対的な用語として意図される。よって、精製された細胞集団は、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の純度を超えるか、又は最も好ましくは、他の細胞型を本質的に含まない。
本明細書で使用される場合、「安定した発現」という用語は、改変されていない配列よりも安定な発現を指す。例えば、安定した発現は、1カ月、6カ月、1年の、又は1年を超える期間にわたり変化がないままである発現を指し得る。
本明細書で使用される場合、特定の構成成分に関して「本質的に含まない」は、特定の構成成分のいずれも組成物に意図的に配合されていないこと、及び/又は夾雑物として若しくは微量で存在するに過ぎないことを意味するために本明細書において使用される。したがって、組成物の意図しない汚染に起因する特定の構成成分の総量は、0.05%未満、好ましくは0.01%未満である。最も好ましいのは、標準的な分析方法では特定の構成成分の量が検出できない組成物である。
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、1つ以上(one or more)を意味し得る。請求項において使用される場合、「含む(comprising)」という語と併せて使用される場合、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という語は、1つ又は1つより多く(one or more than one)を意味し得る。
請求項における「又は(or)」という用語の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されない限り、又は代替物が相互に排他的でない限り、「及び/又は(and/or)」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物並びに「及び/又は」のみを指す定義を支持する。本明細書で使用される場合、「別の(another)」は、少なくとも2番目又はそれ以降を意味する場合がある。
「本質的に」という用語は、方法又は組成物が、指定されたステップ又は材料、並びにこれらの方法及び組成物の基本的且つ新規の特性に重大な影響を与えないもののみを含むことを理解されたい。
「実質的に含まない」という用語は、列挙された構成成分の98%、及び組成物又は粒子が実質的に含まない成分の2%未満に対して使用される。
「実質的に」又は「およそ」という用語は、本明細書で使用される場合、関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく、許容される範囲で変化し得る任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現を修正するために適用され得る。
「約」という用語は、一般に、記載された値を測定するための標準的な分析技法を使用して決定された、記載された値の標準偏差の範囲内を意味する。この用語は、記載された値のプラスマイナス5%を指して使用することもできる。
本明細書で使用される場合、野生型配列に「実質的に」類似する配列は、野生型のGC含量パーセントの5%以内のGC含量パーセントを含む。
「細胞集団」という用語は、典型的には共通する型の細胞群を指すために本明細書において使用される。細胞集団は共通の前駆細胞に由来してもよく、2つ以上の型の細胞を含む場合もある。「濃縮された」細胞集団は、出発細胞集団(例えば、未分画の異種細胞集団)に由来する細胞集団であって、出発集団中のその細胞型のパーセンテージよりも高いパーセンテージで特定の細胞型を含有する細胞集団を指す。細胞集団では、1つ以上の細胞型が濃縮されていても、1つ以上の細胞型が枯渇していてもよい。
「幹細胞」という用語は、好適な条件下では、多様な範囲の特殊な細胞型に分化することが可能であるが、他の条件下では、自己再生が可能であり、本質的に未分化の多能性状態のままであることが可能である細胞を指す。「幹細胞」という用語は、多能性細胞(pluripotent cell)、多分化能細胞(multipotent cell)、前駆細胞(precursor cell)及び始原細胞(progenitor cell)も包含する。例示的なヒト幹細胞は、骨髄組織から得られた造血幹細胞又は間葉系幹細胞、胚組織から得られた胚性幹細胞、又は胎児の生殖器組織から得られた胚性生殖細胞から得ることができる。例示的な多能性幹細胞は、多能性に関連するある特定の転写因子の発現によって、体細胞を多能性状態にリプログラミングすることによって、体細胞から生成することもでき、これらの細胞は「人工多能性幹細胞」又は「iPSC」と呼ばれる。
「多能性」という用語は、胚外細胞又は胎盤細胞を除いた、生物の他のすべての細胞型に分化する細胞の特性を指す。多能性幹細胞は、長期間培養した後でも、3つすべての生殖細胞層(例えば、外胚葉、中胚葉、及び内胚葉)の細胞型に分化することが可能である。多能性幹細胞は、胚盤胞の内部細胞塊に由来する胚性幹細胞であっても、核移植によって生成されたものであってもよい。他の実施形態では、多能性幹細胞は、体細胞のリプログラミングに由来する人工多能性幹細胞である。
「分化」という用語は、特殊化されていない細胞が、構造的及び/又は機能的特性の変化を伴って、より特殊化された型になるプロセスを指す。成熟細胞は、典型的には、細胞構造が変化し、組織特異的なタンパク質を有する。
本明細書で使用される場合、「未分化」は、胚又は成体起源の終末分化細胞と明確に区別できる、未分化細胞の特徴的なマーカー及び形態学的特徴を示す細胞を指す。
「胚様体(EB)」は、内胚葉、中胚葉、及び外胚葉の胚葉の細胞に分化することができる多能性幹細胞の凝集体である。多能性幹細胞を非接着培養条件下で凝集させるとスフェロイド構造が形成され、よって、懸濁液中ではEBが形成される。
「単離された」細胞は、生物又は培養物中の他の細胞から実質的に分離又は精製されている。単離された細胞は、例えば、少なくとも99%、少なくとも98%純粋、少なくとも95%純粋、又は少なくとも90%純粋であり得る。
「細胞株」は、本明細書で使用される場合、1つの細胞を起源とする細胞の集まりを指す。細胞株は、チューブ、フラスコ、又はディッシュ中で増殖培地中に保たれてもよい。細胞株は、単一の細胞からのクローン増殖によって発生し、複数の細胞に拡大させることができる。細胞株は、遺伝学的に同一であり、数カ月又は数年などの経時的に培養を維持できる細胞を含み得る。
「胚」は、人工的にリプログラミングされた核を有する接合体又は活性化卵子の1つ以上の分割によって得られる細胞塊を指す。
「胚性幹(ES)細胞」は、胚盤胞期の内部細胞塊などの初期段階の胚から得られるか、又は人工的な手段(例えば核移植)によって生成される未分化の多能性細胞であり、胚又は生殖細胞(例えば、***及び卵子)を含む成人のあらゆる分化した細胞型を生じさせることができる。
「人工多能性幹細胞(iPSC)」は、因子の組合せ(本明細書ではリプログラミング因子と称される)を発現するか又は発現を誘導することによって体細胞をリプログラミングすることによって生成される細胞である。iPSCは、胎児、出生後、新生児、幼若、又は成体の体細胞を使用して生成することができる。ある特定の実施形態では、体細胞を多能性幹細胞にリプログラミングするために使用され得る因子としては、例えば、Oct4(Oct 3/4と称されることもある)、Sox2、c-Myc、及びKlf4、Nanog、及びLin28が挙げられる。一部の実施形態では、体細胞を多能性幹細胞にリプログラミングするために、少なくとも2つのリプログラミング因子、少なくとも3つのリプログラミング因子、又は4つのリプログラミング因子を発現させることによって、体細胞がリプログラミングされる。
「フィーダーフリー」又は「フィーダー非依存性」は、フィーダー細胞層の代替としてサイトカイン及び増殖因子(例えば、TGFβ、bFGF、LIF)を補充した培養を指す。よって、「フィーダーフリー」又はフィーダー非依存性培養系及び培地は、多能性細胞を未分化の増殖状態で培養し、維持するために使用されてもよい。一部の場合には、フィーダーフリー培養は、動物ベースのマトリックス(例えばMATRIGEL(商標))を利用するか、又はフィブロネクチン、コラーゲン、若しくはビトロネクチンなどの基質上で成長させる。これらのアプローチにより、ヒト幹細胞は、マウス線維芽細胞の「フィーダー層」を必要とすることなく、本質的に未分化の状態を維持することができる。
「フィーダー層」は、培養皿の底などにある細胞のコーティング層として本明細書において定義される。フィーダー細胞は培養培地中に養分を放出し、多能性幹細胞などの他の細胞が付着できる表面を提供し得る。
「定義された」又は「十分に定義された」という用語は、培地、細胞外マトリックス、又は培養条件に関連して使用される場合、ほぼすべての構成成分の化学組成及び量が知られている培地、細胞外マトリックス、又は培養条件を指す。例えば、定義された培地は、ウシ胎仔血清、ウシ血清アルブミン又はヒト血清アルブミンのように定義されていない因子を含有しない。一般に、定義された培地は、組換えアルブミン、化学的に定義された脂質、及び組換えインスリンを補充された基礎培地(例えば、アミノ酸、ビタミン、無機塩、緩衝剤、抗酸化剤、及びエネルギー源を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、F12、又はロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)1640)を含む。十分に定義された培地の例は、Essential 8(商標)培地である。
ヒト細胞で使用される培地、細胞外マトリックス、又は培養系において、「ゼノフリー(XF)」という用語は、使用される材料が非ヒト動物起源ではない条件を指す。
II. 操作された細胞株
一部の実施形態では、安定した発現を伴う導入遺伝子を発現するように操作された細胞株が本明細書において提供される。安定した発現は、CpGモチーフを除去するように導入遺伝子の配列をコドン最適化し、新規プロモーター(例えば、配列番号1~12又は17)によって発現を駆動することによって、又は内因性遺伝子(例えば、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、又はMYL6)をタグ付けして発現を駆動することによって実現され得る。
本明細書で使用される場合、「CpGモチーフ」は、システイン「C」とそれに続くリン酸結合「p」及びグアニン「G」を含有するヌクレオチドを指す。「CpGモチーフの除去」への言及は、C及び/又はGヌクレオチドがモチーフを除去するために改変されることを意味する。本明細書で使用される場合、核酸分子に関する「ヒト化」は、核酸分子がヒトの配列に類似するか若しくは酷似している配列若しくは配列の一部を有すること、又は分子がヒト細胞においてより機能的になるように他の方法で作製されることを意味する。例えば、コドンは、ヒト細胞における核酸の発現の有効性を高めるために、例えば、より高速な翻訳速度及び高精度を実現するために、ヒトにおける公知のコドン使用に基づいて、ヒトでの使用のために最適化され得る。
メチル化による遺伝子スイッチオフのプロセスは、最終的にクロマチン構造の変化をもたらし、転写が弱い状態を形成する一連のカスケード事象によって説明される。遺伝子の5’-CpG-3’のメチル化により、メチル化されたDNA配列に結合し、同時にヒストン脱アセチル化酵素(MBD-HDAC)及び転写阻害タンパク質(転写リドレッサータンパク質)に結合する。人工遺伝子合成技法は、この可能性から選択される任意のヌクレオチド配列の合成を可能にし、ここで、対応する遺伝子によってコードされるアミノ酸配列は、好ましくは変化しない。改変された標的核酸配列は長いオリゴヌクレオチドから、例えば実施例に記載されているステップワイズPCRによって、又は従来の遺伝子合成の場合には専門の供給業者(例えば、Geneart GmbH、Qiagen AG)によって生成される。
一部の態様では、遺伝暗号の範囲内で除去され得る導入遺伝子のCpGはすべて除去される。しかしながら、より少ないCpG、例えば、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が除去されてもよい。本開示によるコドン最適化構築物は、例えば、使用される発現系と同じコドン分布を選択することによって調製することができる。発現系は、哺乳動物の系、例えば、ヒトの系であってもよい。好ましくは、コドン最適化は、ヒト遺伝子のコドン選択に適合する。
ホモサピエンス(homo sapiens)の一部のコドンの存在量は少ないが、他のコドンは中程度又は多い。本明細書で使用される場合、「レアコドン」は、ホモサピエンスにおいて0.2未満の頻度のコドンを指す。DNA配列を改変する場合にレアコドンの使用を回避するために、コドン頻度表を使用して、少なくとも0.3、例えば少なくとも0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、又は0.9の頻度のコドンを選択してもよい。
例えば、L、すなわちロイシンをコードする配列を改変する場合、評価するコドンは6つ存在する(コドン+頻度としてここに列挙される):UUA 8%、UUG 13%、CUU 13%、CUC 20%、CUA 7%、又はCUG 40%。ロイシンコドンCUCの後にGで始まるコドンが続く場合、CGモチーフが存在し、CUGへのロイシンコドンの改変が、CGモチーフを除去し、レアコドンの使用を回避するために、他の4つのコドンよりも好ましい。
CGモチーフを除去するためのプロリンのCCGのようなコドンの改変は、CCCというコドンを使用して達成することができるが、タンパク質領域がいくつかのプロリンを含有する場合には、この改変はモノヌクレオチドストレッチリピートを生成することになる。よって、CCU又はCCAなどの他のコドンをプロリンに使用して、モノヌクレオチドストレッチを回避することができる。本明細書で使用される場合、「モノヌクレオチドストレッチ」は、CCCCCCのように、同じヌクレオチドが少なくとも6個、一列に並んだ領域を指す。
導入遺伝子の配列は、RNA、その誘導体又は模倣体、ペプチド、又はポリペプチド、改変されたペプチド若しくはポリペプチド、タンパク質又は改変されたタンパク質をコードし得る。導入遺伝子は、異なる野生型配列のキメラ及び/又はアセンブル配列であってもよく、例えば、融合タンパク質又はモザイク型アセンブルポリジーン構築物をコードしてもよい。導入遺伝子は、合成配列を含んでもよい。この点に関して、核酸配列は、コンピュータモデルを使用するなどして、合成的にモデル化することができる。
発現される導入遺伝子は、任意のタンパク質、例えば組換えタンパク質、人工ポリペプチド、融合タンパク質及びそれらの等価物の遺伝子の配列であってもよい。一部の態様では、導入遺伝子は診断用及び/又は治療用のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質である。一部の態様では、導入遺伝子はレポーター遺伝子であり、以下に限定するものではないが、GFP、RFP、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、又はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼである。一部の態様では、導入遺伝子は、LacZ、mSEAP、又はLuciaである。ペプチド/タンパク質としては、例えば、i)ヒト酵素(例えば、アスパラギナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、インスリン、tPA、凝固因子、ビタミンKエポキシドレダクターゼ)、ホルモン(例えば、エリスロ)、ポイエチンなどの治療用タンパク質の産生、卵胞刺激ホルモン、エストロゲン)、及び他のヒト由来タンパク質(例えば、骨形成タンパク質、アンチトロンビン)、ii)ウイルスタンパク質、ワクチンとして使用することができる細菌タンパク質、若しくは寄生虫由来のタンパク質(例えば、HIV、HBV、HCV、インフルエンザ、ボレリア、ヘモフィルス、髄膜炎菌、炭疽菌、ボツリヌス毒素、ジフテリア毒素、破傷風毒素、原虫など)、又はiii)診断薬が挙げられる。導入遺伝子は、プロモーター又は選択遺伝子、例えばブラストサイジン又はネオマイシンであってもよい。
A. 人工多能性幹細胞
一部の実施形態では、操作された細胞株はiPSCである。多能性の誘導は、2006年にマウス細胞を使用して(Yamanakaら、2006年)、2007年にはヒト細胞を使用して(Yuら、2007年、Takahashiら、2007年)、多能性に関連する転写因子を導入して体細胞をリプログラミングすることによって元々実現された。多能性幹細胞は未分化の状態で維持することができ、任意の成体細胞型に分化することができる。
生殖細胞を除けば、任意の体細胞をiPSCの出発点として使用することができる。例えば、細胞型は、ケラチノサイト、線維芽細胞、造血細胞、間葉系細胞、肝細胞、又は胃細胞であり得る。T細胞も、リプログラミングのための体細胞の供給源として使用されてよい(米国特許第8,741,648号)。細胞分化の程度又は細胞を回収する動物の年齢に制限はなく、未分化の始原細胞(体性幹細胞を含む)及び最終的に分化した成熟細胞であっても、本明細書に開示される方法において体細胞の供給源として使用することができる。iPSCは、ヒトES細胞を特定の細胞型に分化させることが知られている条件下で成長させることができ、以下を含むヒトES細胞マーカーを発現する:SSEA-1、SSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、及びTRA-1-81。
A. HLA適合
主要組織適合複合体(MHC)は同種臓器移植の免疫拒絶の主な原因である。3つの主要なクラスI MHCハプロタイプ(A、B、及びC)及び3つの主要なMHCクラスIIハプロタイプ(DR、DP、及びDQ)が存在する。
ドナーとレシピエントの間のMHC適合性は、ドナーの細胞がHLAホモ接合体である、すなわち各抗原提示タンパク質について同一の対立遺伝子を含有する場合に著しく向上する。ほとんどの個体はMHCクラスI及びII遺伝子についてヘテロ接合性であるが、ある特定の個体はこれらの遺伝子についてホモ接合性である。これらのホモ接合性の個体はスーパードナーとしての役割を果たすことができ、それらの細胞から得られた移植片は、そのハプロタイプについてホモ接合性又はヘテロ接合性のいずれかの個体すべてに移植することができる。さらに、ホモ接合性のドナー細胞が集団に高頻度に見られるハプロタイプを有する場合、これらの細胞は多数の個体への移植療法に応用できる可能性がある。
したがって、iPSCは、処置される対象、又は患者のHLA型と同一若しくは実質的に同一のHLA型を有する別の対象の体細胞から生成することができる。ある場合には、ドナーの主要なHLA(例えば、HLA-A、HLA-B及びHLA-DRの3つの主要な遺伝子座)は、レシピエントの主要なHLAと同一である。一部の場合には、体細胞ドナーはスーパードナーであってもよく、よって、MHCホモ接合性スーパードナーに由来するiPSCを使用して分化細胞を生成してもよい。よって、スーパードナーに由来するiPSCは、そのハプロタイプについてホモ接合性であるか又はヘテロ接合性である対象に移植されてもよい。例えば、iPSCは、HLA-A及びHLA-Bなどの2つのHLA対立遺伝子でホモ接合体であり得る。このように、スーパードナーから生成されたiPSCは、本明細書に開示された方法において使用して、多数の潜在的レシピエントに潜在的に「適合」する分化細胞を生成することができる。
B. リプログラミング因子
体細胞は、当業者に公知の方法を使用して、人工多能性幹細胞(iPSC)を生成するようにリプログラミングされ得る。当業者は、人工多能性幹細胞を容易に生成することができ、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20090246875号、米国特許出願公開第2010/0210014号、米国特許出願公開第20120276636号、米国特許第8,058,065号、米国特許第8,129,187号、米国特許第8,278,620号、PCT公開番号WO2007/069666 A1号、及び米国特許第8,268,620号を参照されたい。一般に、核リプログラミング因子は、体細胞から多能性幹細胞を生成するために使用される。一部の実施形態では、Klf4、c-Myc、Oct3/4、Sox2、Nanog、及びLin28のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なsくとも4つが利用される。他の実施形態では、Oct3/4、Sox2、c-Myc及びKlf4が利用される。一部の態様では、5、6、7、又は8個のリプログラミング因子が使用される。
細胞は核リプログラミング物質で処理され、核リプログラミング物質は一般に、体細胞からiPSCを誘導することが可能な1つ以上の因子、又はこれらの物質をコードする核酸(ベクターに組み込まれた形態を含む)である。核リプログラミング物質には一般に、少なくともOct3/4、Klf4及びSox2、又はこれらの分子をコードする核酸が含まれる。p53の機能的阻害剤、L-myc若しくはL-mycをコードする核酸、及びLin28若しくはLin28b又はLin28若しくはLin28bをコードする核酸は、さらなる核リプログラミング物質として利用され得る。Nanogも核リプログラミングに利用され得る。米国特許出願公開第20120196360号に開示されているように、iPSCの生成のための例示的なリプログラミング因子には、(1)Oct3/4、Klf4、Sox2、L-Myc(Sox2は、Soxl、Sox3、Soxl5、Soxl7又はSoxl8で置き換えることができ、Klf4は、Klfl、Klf2又はKlf5で置き換え可能である)、(2)Oct3/4、Klf4、Sox2、L-Myc、TERT、SV40 Large T抗原(SV40LT)、(3)Oct3/4、Klf4、Sox2、L-Myc、TERT、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)16 E6、(4)Oct3/4、Klf4、Sox2、L-Myc、TERT、HPV16 E7 (5) Oct3/4、Klf4、Sox2、L- Myc、TERT、HPV16 E6、HPV16 E7; (6) Oct3/4、Klf4、Sox2、L-Myc、TERT、Bmil; (7) Oct3/4、Klf4、Sox2、L-Myc、Lin28; (8) Oct3/4、Klf4、Sox2、L-Myc、Lin28、SV40LT; (9) Oct3/4、Klf4、Sox2、L-Myc、Lin28、TERT、SV40LT; (10) Oct3/4、Klf4、Sox2、L-Myc、SV40LT、(11)Oct3/4、Esrrb、Sox2、L-Myc(EsrrbはEsrrgで置き換え可能である)、(12)Oct3/4、Klf4、Sox2; (13) Oct3/4、Klf4、Sox2、TERT、SV40LT; (14) Oct3/4、Klf4、Sox2、TERT、HP VI 6 E6; (15) Oct3/4、Klf4、Sox2、TERT、HPV16 E7; (16) Oct3/4、Klf4、Sox2、TERT、HPV16 E6、HPV16 E7; (17) Oct3/4、Klf4、Sox2、TERT、Bmil; (18) Oct3/4、Klf4、Sox2、Lin28 (19) Oct3/4、Klf4、Sox2、Lin28、SV40LT; (20) Oct3/4、Klf4、Sox2、Lin28、TERT、SV40LT; (21) Oct3/4、Klf4、Sox2、SV40LT、又は(22)Oct3/4、Esrrb、Sox2(EsrrbはEsrrgで置き換え可能である)が含まれる。非限定的な一例では、Oct3/4、Klf4、Sox2、及びc-Mycが利用される。他の実施形態では、Oct4、Nanog、及びSox2が利用され、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,682,828号を参照されたい。これらの因子には、以下に限定するものではないが、Oct3/4、Klf4及びSox2が含まれる。他の例では、因子には、以下に限定するものではないが、Oct 3/4、Klf4及びMycが含まれる。非限定的な一部の例では、Oct3/4、Klf4、c-Myc、及びSox2が利用される。非限定的な他の例では、Oct3/4、Klf4、Sox2及びSal4が利用される。Nanog、Lin28、Klf4、又はc-Mycのような因子は、リプログラミング効率を高めることができ、いくつかの異なる発現ベクターから発現させることができる。例えば、EBVエレメントに基づくシステムなどの組込みベクターを使用することができる(米国特許第8,546,140号)。さらなる態様では、リプログラミングタンパク質は、タンパク質導入によって体細胞に直接導入され得る。リプログラミングは、細胞を、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3(GSK-3)阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)阻害剤、形質転換成長因子ベータ(TGF-β)受容体阻害剤若しくはシグナル伝達阻害剤、白血病阻害因子(LIF)、p53阻害剤、NF-カッパB阻害剤、又はこれらの組合せを含む1つ以上のシグナル伝達受容体と接触させることをさらに含み得る。これらの調節因子には、低分子、阻害性ヌクレオチド、発現カセット、又はタンパク質因子が含まれ得る。事実上、いずれかのiPS細胞又は細胞株が使用され得ることが予想される。
これらの核リプログラミング物質のマウス及びヒトのcDNA配列は、参照により本明細書に組み込まれるWO2007/069666に記載のNCBI受託番号を参照して入手可能である。1つ以上のリプログラミング物質、又はこれらのリプログラミング物質をコードする核酸を導入する方法は当技術分野で公知であり、例えば、米国特許出願公開第2012/0196360号及び米国特許第8,071,369号に開示されている。
誘導されたiPSCは、多能性を維持するのに十分な培地で培養することができる。iPSCは、米国特許第7,442,548号及び米国特許公報第2003/0211603号に記載されている多能性幹細胞、より詳細には胚性幹細胞を培養するために開発された様々な培地及び技法を用いて使用され得る。マウス細胞の場合には、通常の培地に分化抑制因子として白血病阻害因子(LIF)を添加して培養が行われる。ヒト細胞の場合には、LIFの代わりに塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を添加することが望ましい。当業者に公知であるように、iPSCを培養及び維持するための他の方法を使用してもよい。
ある特定の実施形態では、定義されていない条件を使用してもよく、例えば、多能性細胞は、幹細胞を未分化状態に維持するために、線維芽細胞フィーダー細胞上、又は線維芽細胞フィーダー細胞に曝露された培地上で培養してもよい。一部の実施形態では、細胞は、フィーダー細胞として、細胞***を終結させるために放射線又は抗生物質で処理したマウス胚線維芽細胞を共存させて培養される。あるいは、多能性細胞は、TESR(商標)培地(Ludwigら、2006a;Ludwigら、2006b)又はE8(商標)培地(Chenら、2011年)などの定義されたフィーダーに依存しない培養系を使用して、本質的に未分化な状態で培養及び維持され得る。
C. プラスミド
一部の実施形態では、iPSCは、外因性核酸を発現するように、例えば、プロモーターに作動可能に連結されたエンハンサー及び第1のマーカーをコードする核酸配列を含むように、改変され得る。構築物はまた、翻訳開始のためのリボソーム結合部位(内部リボソーム結合配列)、転写/翻訳ターミネーターなどの他の要素を含むことができる。一般に、細胞に構築物をトランスフェクトするのが有利である。安定なトランスフェクションに好適なベクターとしては、以下に限定するものではないが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター及びセンダイウイルスが挙げられる。
一部の実施形態では、マーカーをコードするプラスミドは、(1)高コピー数複製起点、(2)以下に限定するものではないが、カナマイシンによる抗生物質選択のためのネオ遺伝子などの選択可能なマーカー、(3)チロシナーゼエンハンサーを含む転写終結配列及び(4)様々な核酸カセットを組み込むためのマルチクローニング部位、及び(5)チロシナーゼプロモーターに作動可能に連結されたマーカーをコードする核酸配列から構成される。タンパク質をコードする核酸を誘導するためのプラスミドベクターは、当技術分野で数多く知られている。これらには、以下に限定するものではないが、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,103,470号、米国特許第7,598,364号、米国特許第7,989,425号、及び米国特許第6,416,998号に開示されたベクターが含まれる。一部の態様では、プラスミドは、プロドラッグ又は薬物の投与の際に、遺伝子産物を、宿主細胞を死滅させる化合物に変換する「自殺遺伝子」を含む。使用され得る自殺遺伝子、プロドラッグ又は薬物の組合せの例は、例えば、限定するものではないが、切断型EGFR及びセツキシマブ、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-tk)及びとガンシクロビル、アシクロビル又はFIAU;酸化還元酵素及びシクロヘキシミド、シトシンデアミナーゼ及び5-フルオロシトシン、チミジンキナーゼチミジル酸キナーゼ(Tdk::Tmk)及びAZT、並びにデオキシシチジンキナーゼ及びシトシンアラビノシドである。
ウイルス遺伝子送達システムは、RNAベース又はDNAベースのウイルスベクターであり得る。エピソーム遺伝子送達システムは、プラスミド、エプスタイン-バーウイルス(EBV)ベースのエピソームベクター、酵母ベースのベクター、アデノウイルスベースのベクター、シミアンウイルス40(SV40)ベースのエピソームベクター、ウシパピローマウイルス(BPV)ベースのベクター、又はレンチウイルスベクターであり得る。
マーカーには、以下に限定するものではないが、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質又は赤色蛍光タンパク質)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ又はホタル/ウミシイタケルシフェラーゼ又はnanoluc)、又は他のタンパク質が含まれる。マーカーは、タンパク質(分泌タンパク質、細胞表面タンパク質、又は内部タンパク質を含む;細胞によって合成されるか、又は取り込まれる)、核酸(例えば、mRNA、又は酵素的に活性な核酸分子)、又は多糖類であってもよい。抗体、レクチン、プローブ又は核酸増幅反応によって検出可能で、目的の細胞型のマーカーに特異的な、このようないずれかの細胞構成成分の決定基も含まれる。マーカーはまた、生化学的アッセイ若しくは酵素アッセイ、又は遺伝子産物の機能に依存する生物学的応答によって同定することもできる。これらのマーカーをコードする核酸配列は、チロシナーゼエンハンサーに作動可能に連結することができる。加えて、幹細胞の分化、又は細胞機能、又は生理学、又は病理学に影響を及ぼし得る遺伝子など、他の遺伝子を含めることもできる。
D. 送達システム
本開示の操作された細胞株へのDNA又はRNAなどの核酸の導入には、本明細書に記載されているか又は当業者に公知であるような細胞の形質転換のための核酸送達に関する任意の好適な方法を使用してもよい。このような方法には、以下に限定するものではないが、ex vivoトランスフェクション(Wilsonら、1989年、Nabelら、1989年)、マイクロインジェクション(参照により本明細書に組み込まれる、Harland及びWeintraub、1985年;米国特許第5,789,215号)を含む注射(それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号及び同第5,580,859号);電気穿孔(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,384,253号;Tur-Kaspaら、1986年;Potterら、1984年);リン酸カルシウム沈殿(Graham及びVan Der Eb、1973年;Chen及びOkayama、1987年;Rippeら、1990年);DEAE-デキストランを使用し、次いでポリエチレングリコールを使用すること(Gopal、1985);直接的な音波負荷(Fechheimerら、1987年);リポソームに媒介されるトランスフェクション(Fechheimerら、1987年);リポソームに媒介されるトランスフェクション(Nicolau及びSene、1982年;Fraleyら、1979年;Nicolauら、1987年;Wongら、1980年;Kanedaら、1989年;Katoら、1991年)及び受容体に媒介されるトランスフェクション(Wu及びWu、1987年;Wu及びWu、1988年);微粒子銃(PCT出願第WO94/09699号及び同第95/06128号;米国特許第5,610,042号;同第5,322,783号、同第5,563,055号、同第5,550,318号、同第5,538,877号及び同第5,538,880号、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる);炭化ケイ素繊維による撹拌(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Kaepplerら、1990年;米国特許第5,302,523号及び同第5,464,765号);アグロバクテリウムに媒介される形質転換(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,591,616号及び同第5,563,055号);乾燥/阻害に媒介されるDNA取り込み(Potrykusら、1985年)、及びこのような方法の任意の組合せによるなど、DNAの直接的な送達が含まれる。これらのような技法の応用により、オルガネラ、細胞、組織又は生物は、安定的又は一過的に形質転換されてもよい。
1. ウイルスベクター
ウイルスベクターは、本開示のある特定の態様において提供され得る。組換えウイルスベクターの生成において、非必須遺伝子は、典型的には、異種(又は非天然の)タンパク質の遺伝子又はコード配列で置き換えられる。ウイルスベクターは、核酸及び場合によってはタンパク質を細胞に導入するためにウイルス配列を利用する一種の発現構築物である。ある特定のウイルスが細胞に感染するか又は受容体に媒介されるエンドサイトーシスを介して細胞に侵入し、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、ウイルス遺伝子を安定的且つ効率的に発現する能力により、これらは、外来核酸を細胞(例えば、哺乳動物細胞)に移入するための魅力的な候補となっている。本開示のある特定の態様の核酸を送達するために使用され得るウイルスベクターの非限定的な例を以下に記載する。
レトロウイルスは、その遺伝子を宿主ゲノムに組み込む能力、大量の外来遺伝物質を移入する能力、広範な種及び細胞型に感染する能力、特殊な細胞株にパッケージされる能力により、遺伝子送達ベクターとして有望視されている(Miller、1992年)。
レトロウイルスベクターを構築するために、核酸がある特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入されて、複製欠陥ウイルスが生じる。ビリオンを産生するために、gag、pol、及びenv遺伝子を含有するが、LTRもパッケージング構成成分も含まないパッケージング細胞株が構築される(Mannら、1983年)。レトロウイルスのLTR及びパッケージング配列と一緒にcDNAを含有する組換えプラスミドを特殊な細胞株に導入する場合(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)、パッケージング配列により、組換えプラスミドのRNA転写物がウイルス粒子にパッケージングされ、次いで、それが培養培地中に分泌される(Nicolas及びRubenstein、1988年;Temin、1986年;Mannら、1983年)。組換えレトロウイルスを含有する培地は、次いで、回収され、場合によって濃縮され、遺伝子移入に使用される。レトロウイルスベクターは多種多様な細胞型に感染することができる。しかしながら、組込み及び安定した発現には宿主細胞の***が必要である(Paskindら、1975年)。
レンチウイルスは複雑なレトロウイルスであり、一般的なレトロウイルス遺伝子であるgag、pol、及びenvに加えて、調節機能又は構造機能を有する他の遺伝子を含有する。レンチウイルスベクターは当技術分野で周知である(例えば、Naldiniら、1996年;Zuffereyら、1997年;Blomerら、1997年;米国特許第6,013,516号及び同第5,994,136号を参照されたい)。
組換えレンチウイルスベクターは非***細胞に感染可能であり、核酸配列のin vivo及びex vivo遺伝子移入と発現の両方に使用され得る。例えば、非***細胞に感染可能な組換えレンチウイルス(好適な宿主細胞は、パッケージング機能、すなわちgag、pol及びenv、並びにrev及びtatを有する2つ以上のベクターをトランスフェクトされる)は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,994,136号に記載されている。
2. エピソームベクター
プラスミド又はリポソームベースの染色体外(すなわち、エピソーム)ベクターの使用もまた、本開示のある特定の態様において提供され得る。このようなエピソームベクターには、例えば、oriPベースのベクター、及び/又はEBNA-1の誘導体をコードするベクターが含まれてもよい。これらのベクターは、DNAの大きな断片が細胞内に導入され、染色体外に維持され、細胞周期ごとに1回複製され、効率的に娘細胞に分配され、実質的に免疫応答を惹起しないことを可能にし得る。
特に、oriPベースの発現ベクターの複製に必要な唯一のウイルスタンパク質であるEBNA-1は、MHCクラスI分子上でのその抗原提示に必要なプロセシングを回避する効率的なメカニズムを発達させたため、細胞性免疫応答を惹起しない(Levitskayaら、1997年)。さらに、EBNA-1はトランスで作用してクローン化遺伝子の発現を強化し、いくつかの細胞株ではクローン化遺伝子の発現を100倍まで誘導することができる(Langle-Rouaultら、1998年;Evansら、1997年)。最後に、このようなoriPベースの発現ベクターの製造は安価である。
ある特定の態様では、リプログラミング因子は、1つ以上の外因性エピソーム(episiomal)遺伝要素に含まれる発現カセットから発現される(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公報第2010/0003757号を参照されたい)。よって、iPSCは、レトロウイルス又はレンチウイルスのベクターエレメントなどに由来する外因性遺伝エレメントを本質的に含まない可能性がある。これらのiPSCは、染色体外複製ベクター(すなわち、エピソームベクター)の使用によって調製され、染色体外複製ベクターは、外因性のベクター又はウイルスエレメントを本質的に含まないiPSCを作製するために、エピソームによって複製することが可能なベクターである(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,546,140号;Yuら、2009年を参照されたい)。アデノウイルス、サル空胞ウイルス40(Simian vacuolating virus 40)(SV40)又はウシパピローマウイルス(bovine papilloma virus)(BPV)、又は出芽酵母ARS(自律複製配列)を含有するプラスミドなどの多数のDNAウイルスが哺乳動物細胞内で染色体外複製又はエピソーム複製を行う。これらのエピソームプラスミドは、組込みベクターに関連するこれらの欠点(Bodeら、2001年)を本質的に有さない。例えば、上記で定義されているリンパ球増殖性ヘルペスウイルス又はエプスタインバーウイルス(EBV)をベースとするものは、染色体外で複製し、体細胞にリプログラミング遺伝子を送達するのに役立つ。有用なEBVエレメントは、OriP及びEBNA-1、又はそれらのバリアント若しくは機能的等価物である。エピソームベクターのさらなる利点は、外因性エレメントが細胞に導入された後、時間とともに失われ、これらのエレメントを本質的に含まない自続性のiPSCが得られることである。
他の染色体外ベクターには、他のリンパ増殖性ヘルペスウイルスベースのベクターが含まれる。リンパ増殖性ヘルペスウイルスは、リンパ芽球(例えば、ヒトBリンパ芽球)において複製し、その自然な生活環の一部においてプラスミドとなるヘルペスウイルスである。単純ヘルペスウイルス(HSV)は「リンパ増殖性」ヘルペスウイルスではない。例示的なリンパ増殖性ヘルペスウイルスには、以下に限定されるものではないが、EBV、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV);ヘルペスウイルスサイミリ(HS)及びマレック病ウイルス(MDV)が含まれる。また、酵母ARS、アデノウイルス、SV40、又はBPVなどのエピソームベースのベクターの他の供給源も考えられる。
当業者であれば、標準的な組換え技法によってベクターを構築することは十分に可能であろう(例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれる、Maniatisら、1988年及びAusubelら、1994年を参照されたい)。
ベクターはまた、遺伝子送達及び/若しくは遺伝子発現をさらにモジュレートする、又は標的化細胞に有益な特性を提供する他の構成成分又は機能性を含み得る。このような他の成分には、例えば、細胞への結合又は標的化に影響を及ぼす構成成分(細胞型又は組織特異的結合を媒介する構成成分を含む);細胞によるベクター核酸の取り込みに影響を及ぼす構成成分;取り込み後の細胞内でのポリヌクレオチドの局在化に影響を及ぼす構成成分(核局在化を媒介する薬剤など);及びポリヌクレオチドの発現に影響を及ぼす構成成分が含まれる。
このような構成成分はまた、ベクターによって送達された核酸を取り込んで発現している細胞を検出又は選択するために使用することができる検出可能なマーカー及び/又は選択マーカーなどのマーカーを含み得る。このような構成成分は、ベクターの天然の特徴として提供することができ(結合及び取り込みを媒介する構成成分又は機能性を有するある特定のウイルスベクターの使用など)、又はベクターはこのような機能性を提供するように改変され得る。非常に様々なこのようなベクターは当技術分野で公知であり、一般に入手可能である。ベクターが宿主細胞内に維持される場合、ベクターは有糸***期に細胞によって自律構造として安定的に複製されるか、宿主細胞のゲノム内に組み込まれるか、又は宿主細胞の核若しくは細胞質内に維持されるかのいずれかであり得る。
3. 調節エレメント
本開示において有用なリプログラミングベクターに含まれる発現カセットは、好ましくは、タンパク質コード配列に作動可能に連結した真核生物転写プロモーター、介在配列を含むスプライスシグナル、及び転写終結/ポリアデニル化配列を含有する(5’~3’方向に)。
a. プロモーター/エンハンサー
本明細書において提供される発現構築物は、プログラミング遺伝子の発現を駆動するプロモーターを含む。プロモーターは一般に、RNA合成の開始部位を位置決めするために機能する配列を含む。この最もよく知られた例はTATAボックスであるが、TATAボックスを欠くいくつかのプロモーター、例えば哺乳動物の末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーター及びSV40後期遺伝子のプロモーターなどでは、開始部位自体の上にある別個のエレメントが開始場所を固定するのに役立つ。追加のプロモーターエレメントは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは開始部位の上流の30~110bpの領域に位置するが、いくつかのプロモーターは開始部位の下流にも機能的エレメントを含有することが示されている。コード配列をプロモーターの「制御下に」置くために、コード配列を、選択されたプロモーターの「下流」(すなわち、その3’側)の転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端側に位置させる。「上流」のプロモーターはDNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。
プロモーターエレメント間の間隔はフレキシブルである場合が多く、その結果、エレメントが互いに対して反転又は移動した場合も、プロモーター機能は保存される。tkプロモーターでは、活性が低下し始める前に、プロモーターエレメント間の間隔を50bpまで広げることができる。プロモーターに応じて、個々のエレメントは転写を活性化するために協働的に又は独立して機能することができるようである。プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用型調節配列を指す「エンハンサー」と併せて使用しても使用しなくてもよい。
プロモーターは、コードセグメント及び/又はエクソンの上流に位置する5’非コード配列を単離することによって得られ得るように、核酸配列に天然に関連するものであってもよい。このようなプロモーターは「内因性」と呼ばれる。同様に、エンハンサーは、その配列の下流又は上流のいずれかに位置する、核酸配列に天然に関連するものであってもよい。あるいは、コード核酸セグメントを組換えプロモーター又は異種プロモーターの制御下に位置させることによって、ある種の利点が得られ、組換えプロモーター又は異種プロモーターはまた、その天然環境において核酸配列と通常関連しないプロモーターを指す。組換えエンハンサー又は異種エンハンサーはまた、その天然環境において核酸配列と通常関連しないエンハンサーを指す。このようなプロモーター又はエンハンサーには、他の遺伝子のプロモーター又はエンハンサー、及び他の任意のウイルス、又は原核細胞若しくは真核細胞から単離されたプロモーター又はエンハンサー、及び「天然に存在しない」プロモーター又はエンハンサー、すなわち、異なる転写調節領域の異なるエレメント、及び/又は発現を変更する変異を含有するプロモーター又はエンハンサーが含まれ得る。例えば、組換えDNA構築において最も一般的に使用されるプロモーターには、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトース及びトリプトファン(trp)プロモーター系が含まれる。プロモーター及びエンハンサーの核酸配列を合成的に生成することに加えて、配列は、本明細書に開示された組成物に関連して、PCR(商標)を含む組換えクローニング及び/又は核酸増幅技術を使用して生成され得る(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,683,202号及び同第5,928,906号を参照されたい)。さらに、非核オルガネラ、例えばミトコンドリア、葉緑体などの内の配列の転写及び/又は発現を指示する制御配列を、同様に用いることができることが企図される。
当然のことながら、発現のために選択されたオルガネラ、細胞型、組織、器官、又は生物においてDNAセグメントの発現を効果的に指示するプロモーター及び/又はエンハンサーを用いることが重要であろう。分子生物学の当業者は、一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサー、及び細胞型の組合せの使用について知っている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrookら1989年を参照されたい)。用いられるプロモーターは、組換えタンパク質及び/又はペプチドの大規模産生において有利であるような、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指示するために適切な条件下で、構成的、組織特異的、誘導性、及び/又は有用であり得る。プロモーターは異種性であっても内因性であってもよい。
さらに、任意のプロモーター/エンハンサーの組合せ(例えば、Eukaryotic Promoter Data Base EPDBによる)も発現を駆動するために使用され得る。T3、T7又はSP6細胞質発現系の使用も可能な別の実施形態である。真核細胞は、適切な細菌ポリメラーゼが送達複合体の一部として又は追加の遺伝子発現構築物として提供される場合に、ある特定の細菌プロモーターからの細胞質転写を支持することができる。
プロモーターの非限定的な例としては、初期又は後期ウイルスプロモーター、例えばSV40初期又は後期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)初期プロモーター;真核細胞プロモーター、例えば、ベータアクチンプロモーター(Ng、1989年;Quitscheら、1989年)、GADPHプロモーター(Alexanderら、1988年、Ercolaniら、1988年)、メタロチオネインプロモーター(Karinら、1989年;Richardsら、1984年);並びに連結応答エレメントプロモーター、例えば最小TATAボックス近傍の環状AMP応答エレメントプロモーター(cre)、血清応答エレメントプロモーター(sre)、ホルボールエステルプロモーター(TPA)及び応答エレメントプロモーター(tre)が挙げられる。ヒト成長ホルモンプロモーター配列(例えば、Genbank、受託番号X05244、ヌクレオチド283~341に記載のヒト成長ホルモン最小プロモーター)又はマウス乳腺腫瘍プロモーター(ATCC、カタログ番号ATCC 45007から入手可能)を使用することも可能である。
組織特異的な導入遺伝子の発現、特にプログラミングに由来する造血細胞及び造血細胞の前駆体におけるレポーター遺伝子の発現は、由来する造血細胞及び前駆体を同定する方法として望ましい場合がある。特異性と活性の両方を高めるために、シス作用型調節エレメントの使用が企図されている。例えば、造血細胞特異的プロモーターが使用されてもよい。多くのこのような造血細胞特異的プロモーターは当技術分野で公知である。
ある特定の態様では、本開示の方法はまた、エンハンサー配列、すなわち、プロモーターの活性を増加させ、比較的長い距離(標的プロモーターから最大数キロ塩基離れている)であっても、シスで、及びその配向に関係なく作用する可能性を有する核酸配列に関係する。しかしながら、エンハンサーの機能は必ずしもこのような長距離に限定されるものではなく、所与のプロモーターに近接して機能する場合もある。
多くの造血細胞プロモーター及びエンハンサーの配列が同定されており、本発明の方法において有用であり得る。例えば、米国特許第5,556,954号;米国特許出願第20020055144号;米国特許出願第20090148425号を参照されたい。
b. 開始シグナル及び関連する発現
特定の開始シグナルも、コード配列の効率的な翻訳のために、本開示において提供される発現構築物において使用され得る。これらのシグナルは、ATG開始コドン又は隣接配列を含む。ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルは、提供される必要があり得る。当業者であれば、容易にこのことを判断し、必要なシグナルを提供することができるであろう。開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと「インフレーム」でなければならないことは周知である。外因性の翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然でも合成でもよい。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメントを含めることによって向上させることができる。
ある特定の実施形態では、配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメントが、多遺伝子、又はポリシストロンメッセージを生成するために使用される。IRESエレメントは、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソームスキャニングモデルを迂回し、内部部位で翻訳を開始することができる(Pelletier及びSonenberg、1988年)。ピコルナウイルスファミリーの2つのメンバー(ポリオ及び脳心筋炎)からのIRESエレメント(Pelletier及びSonenberg、1988年)も、哺乳動物メッセージからのIRES(Macejak及びSarnow、1991年)と同様に報告されている。IRESエレメントは異種のオープンリーディングフレームに連結され得る。複数のオープンリーディングフレームが一緒に転写され、それぞれがIRESで分離され、ポリシストロンメッセージを生成することができる。IRESエレメントによって、各オープンリーディングフレームは効率的な翻訳のためにリボソームにアクセス可能である。単一のメッセージを転写するために、単一のプロモーター/エンハンサーを使用して、複数の遺伝子を効率的に発現させることができる(米国特許第5,925,565号及び第5,935,819号を参照されたい)。
さらに、ある特定の2A配列エレメントは、本開示で提供される構築物において、プログラミング遺伝子の関連発現又は同時発現を生じるように使用され得る。例えば、切断配列は、オープンリーディングフレームを連結して単一のシストロンを形成することによって遺伝子を同時発現させるために使用され得る。例示的な切断配列は、F2A(***ウイルス2A)又は「2A様」配列(例えば、トセアアシグナ(Thosea asigna)ウイルス2A;T2A)である(Minskaia及びRyan、2013年)。特定の実施形態では、F2A切断ペプチドは、多系統構築物における遺伝子の発現を関連付けるために使用される。
c. 複製起点
宿主細胞内でベクターを増殖させるために、ベクターは、1つ以上の複製起点部位(「ori」と呼ばれることが多い)、例えば、上記のようなEBVのoriPに対応する核酸配列、又はプログラミングにおいて類似の若しくは向上した機能を有する遺伝子操作されたoriP(複製が開始される特定の核酸配列である)を含有し得る。あるいは、上記のような他の染色体外複製ウイルスの複製起点、又は自律複製配列(ARS)を用いることができる。
d. 選択マーカー及びスクリーニング可能なマーカー
ある特定の実施形態では、核酸構築物を含有する細胞は、発現ベクターにマーカーを含めることによって、in vitro又はin vivoで同定され得る。このようなマーカーは、発現ベクターを含有する細胞の容易な同定を可能にする同定可能な変化を細胞に付与することになる。一般に、選択マーカーは、選択を可能にする特性を付与するものである。正の選択マーカーは、そのマーカーの存在によって選択が可能になるものであり、負の選択マーカーは、そのマーカーの存在によって選択が妨げられるものである。正の選択マーカーの例は薬剤耐性マーカーである。
通常、薬物選択マーカーを含めると、形質転換体のクローニング及び同定が容易になり、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン及びヒスチジノールに耐性を付与する遺伝子は有用な選択マーカーである。条件の実行に基づいて形質転換体の識別を可能にする表現型を付与するマーカーに加えて、比色分析を基礎とするスクリーニング可能なマーカー、例えばGFPを含む他の種類のマーカーも企図される。あるいは、負の選択マーカーとしてのスクリーニング可能な酵素、例えば単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(tk)又はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)が利用されてもよい。当業者であれば、場合によってはFACS分析と併せて、免疫学的マーカーを用いる方法も知っているであろう。遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現可能である限り、使用されるマーカーは重要ではないと考えられる。選択マーカー及びスクリーニング可能なマーカーのさらなる例は当業者に周知である。
E. 遺伝子編集
一部の実施形態では、本方法は、DNA結合標的化ヌクレアーゼ、例えばジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、並びにRNA誘導ヌクレアーゼ、例えば遺伝子又はその一部の配列に標的化されるように特異的に設計されたCRISPR関連ヌクレアーゼ(Cas)を含む、配列特異的ヌクレアーゼ又は標的化ヌクレアーゼによる遺伝子編集を含む。
一部の実施形態では、遺伝子編集は、遺伝子における1つ以上の二本鎖切断及び/又は1つ以上の一本鎖切断を、典型的には標的化様式で誘導することによって行われる。一部の実施形態では、二本鎖切断又は一本鎖切断は、ヌクレアーゼ、例えばエンドヌクレアーゼ、例えば遺伝子標的化ヌクレアーゼによってなされる。一部の態様では、切断は遺伝子のコード領域、例えばエクソンにおいて誘導される。例えば、一部の実施形態では、誘導は、コード領域のN末端部分付近、例えば第1のエクソン、第2のエクソン、又は後続のエクソンにおいて起こる。
一部の態様では、二本鎖又は一本鎖の切断は、細胞修復プロセスにより、例えば非相同末端結合(NHEJ)又は相同組換え修復(HDR)によって修復を受ける。一部の態様では、修復プロセスはエラーを起こしやすく、遺伝子の破壊、例えばフレームシフト変異、例えば2対立遺伝子フレームシフト変異をもたらし、遺伝子の完全なノックアウトをもたらす可能性がある。
一部の実施形態では、遺伝子編集は、DNA標的化分子、例えば遺伝子に特異的に結合するか又はハイブリダイズする、DNA結合タンパク質若しくはDNA結合核酸、又はそれらを含有する複合体、化合物若しくは組成物を使用して実現される。一部の実施形態では、DNA標的化分子は、DNA結合ドメイン、例えば、ジンクフィンガータンパク質(ZFP)DNA結合ドメイン、転写アクチベーター様タンパク質(TAL)又はTALエフェクター(TALE)DNA結合ドメイン、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)DNA結合ドメイン、又はメガヌクレアーゼ由来のDNA結合ドメインを含む。ジンクフィンガー、TALE、及びCRISPRシステム結合ドメインは、例えば、天然に存在するジンクフィンガー又はTALEタンパク質の認識ヘリックス領域を操作することにより(1つ以上のアミノ酸を変更する)、所定のヌクレオチド配列に結合するように操作され得る。操作されたDNA結合タンパク質(ジンクフィンガー又はTALE)は、天然に存在しないタンパク質である。合理的な設計基準には、既存のZFP及び/又はTALEの設計及び結合データの情報を格納するデータベース内の情報を処理するための置換規則及びコンピュータ化アルゴリズムの適用が含まれる。例えば、米国特許第6,140,081号;同第6,453,242号;及び同第6,534,261号を参照されたい;また、WO98/53058;WO98/5305号;WO98/5306号;WO02/01653号及びWO03/01649号並びに米国特許出願公開第2011/0301073号も参照されたい。
一部の実施形態では、DNA標的化分子、複合体、又は組合せは、DNA結合分子及び1つ以上の追加のドメイン、例えば遺伝子の抑制又は破壊を容易にするエフェクタードメインを含有する。例えば、一部の実施形態では、遺伝子編集は、DNA結合タンパク質及び異種調節ドメイン又はその機能的断片を含む融合タンパク質によって行われる。一部の態様では、ドメインは、例えば、転写因子ドメイン、例えばアクチベーター、リプレッサー、コアクチベーター、コリプレッサー、サイレンサー、発癌遺伝子、DNA修復酵素並びにそれらの関連因子及び修飾因子、DNA再編成酵素並びにその関連因子及び修飾因子、クロマチン関連タンパク質及びその修飾因子、例えばキナーゼ、アセチラーゼ及び脱アセチラーゼ、及びDNA修飾酵素、例えばメチルトランスフェラーゼ、トポイソメラーゼ、ヘリカーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、ポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼ、並びにそれらの関連因子及び修飾因子を含む。DNA結合ドメイン及びヌクレアーゼ切断ドメインの融合に関する詳細については、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0064474号;同第2006/0188987号及び同第2007/0218528号を参照されたい。一部の態様では、追加のドメインはヌクレアーゼドメインである。よって、一部の実施形態では、遺伝子編集は、操作されたタンパク質、例えばヌクレアーゼ及びヌクレアーゼ含有複合体又は融合タンパク質(非特異的DNA切断分子、例えばヌクレアーゼと融合体を形成するか又は複合体を形成する配列特異的DNA結合ドメインから構成される)を使用して、遺伝子又はゲノム編集によって容易にされる。
一部の態様では、これらの標的化キメラヌクレアーゼ又はヌクレアーゼ含有複合体は、標的化二本鎖切断又は一本鎖切断を誘導することによって正確な遺伝子改変を行い、エラーを起こしやすい非相同末端結合(NHEJ)及び相同組換え修復(HDR)を含む細胞DNA修復機構を刺激する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼ、例えばジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALEヌクレアーゼ(TALEN)、及びRNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)、例えばCRISPR関連(Cas)タンパク質、又はメガヌクレアーゼである。
一部の実施形態では、ドナー核酸、例えば遺伝子操作された抗原受容体をコードするドナープラスミド又は核酸が提供され、HDRによってDSBの導入後に遺伝子編集部位に挿入される。よって、一部の実施形態では、遺伝子の破壊及び抗原レセプター、例えばCARの導入は同時に行われ、それによって遺伝子はCARをコードする核酸のノックイン又は挿入によって部分的に破壊される。
一部の実施形態では、ドナー核酸は提供されない。一部の態様では、DSB導入後のNHEJに媒介される修復は、例えばミスセンス変異又はフレームシフトを生じることによって遺伝子破壊を引き起こし得る挿入変異又は欠失変異をもたらす。
1. ZFP及びZFN
一部の実施形態では、DNA標的化分子は、エフェクタータンパク質、例えばエンドヌクレアーゼに融合したDNA結合タンパク質、例えば1つ以上のジンクフィンガータンパク質(ZFP)又は転写アクチベーター様タンパク質(TAL)を含む。例としては、ZFN、TALE、及びTALENが挙げられる。
一部の実施形態では、DNA標的化分子は、配列特異的にDNAと結合する1つ以上のジンクフィンガータンパク質(ZFP)又はそのドメインを含む。ZFP又はそのドメインは、亜鉛イオンの配位によってその構造が安定化される、結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である1以上のジンクフィンガーによって配列特異的にDNAに結合するタンパク質又はより大きなタンパク質内のドメインである。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質という用語は、ジンクフィンガータンパク質又はZFPと略されることが多い。ZFPの中には、個々のフィンガーのアセンブリーによって生成された、特定のDNA配列、典型的には9~18ヌクレオチド長を標的とする人工的なZFPドメインがある。
ZFPには、単一のフィンガードメインがおよそ30アミノ酸長であり、亜鉛を介して1つのベータターンの2つのシステインと配位する2つの変化しないヒスチジン残基を含有し、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのフィンガーを有するアルファヘリックスを含有するものが含まれる。一般に、ZFPの配列特異性は、ジンクフィンガー認識ヘリックス上の4つのヘリックス位置(-1、2、3及び6)でアミノ酸置換を行うことによって変更される場合がある。よって、一部の実施形態では、ZFP又はZFP含有分子は天然に存在せず、例えば、選択された標的部位に結合するように操作されている。
一部の態様では、MeCP2の破壊は、遺伝子中の第1の標的部位を第1のZFPと接触させ、それによって遺伝子を破壊することによって起こる。一部の実施形態では、遺伝子中の標的部位は、6つのフィンガー及び調節ドメインを含む融合ZFPと接触し、それによって遺伝子の発現が阻害される。
一部の実施形態では、接触させるステップは、遺伝子中の第2の標的部位を第2のZFPと接触させることをさらに含む。一部の態様では、第1及び第2の標的部位は隣接している。一部の実施形態では、第1及び第2のZFPは、共有結合により連結されている。一部の態様では、第1のZFPは、1つの調節ドメイン又は少なくとも2つの調節ドメインを含む融合タンパク質である。
一部の実施形態では、第1及び第2のZFPは、それぞれが1つの調節ドメインを含むか又はそれぞれが少なくとも2つの調節ドメインを含む融合タンパク質である。一部の実施形態では、調節ドメインは、転写リプレッサー、転写アクチベーター、エンドヌクレアーゼ、メチルトランスフェラーゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、又はヒストンデアセチラーゼである。
一部の実施形態では、ZFPは、プロモーターに作動可能に連結されるZFP核酸によってコードされている。一部の態様では、本方法は、脂質:核酸複合体において又はネイキッド核酸として、核酸を細胞に最初に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、ZFPは、プロモーターに作動可能に連結されるZFP核酸を含む発現ベクターによってコードされている。一部の実施形態では、ZFPは、誘導性プロモーターに作動可能に連結される核酸によってコードされている。一部の実施形態では、ZFPは、弱いプロモーターに作動可能に連結される核酸によってコードされている。
一部の実施形態では、標的部位は、遺伝子の転写開始部位の上流にある。一部の態様では、標的部位は、遺伝子の転写開始部位に隣接している。一部の実施形態では、標的部位は、遺伝子の転写開始部位の下流のRNAポリメラーゼ休止部位に隣接している。
一部の実施形態では、DNA標的化分子は、DNA切断ドメインに融合して、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を形成するジンクフィンガーDNA結合ドメインであるか又はそれを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、少なくとも1つのliS型制限酵素に由来する切断ドメイン(又は切断ハーフドメイン)及び操作されていても操作されていなくてもよい1つ以上のジンクフィンガー結合ドメインを含む。一部の実施形態では、切断ドメインは、liS型制限エンドヌクレアーゼであるFok Iに由来する。Fok Iは、一般に、一方の鎖の認識部位から9ヌクレオチド及び他方の認識部位から13ヌクレオチドで、DNAの二本鎖切断を触媒する。
一部の実施形態では、ZFNは、操作された細胞内に存在する遺伝子を標的とする。一部の態様では、ZFNは、例えば、遺伝子のコード領域内の所定の部位で、二本鎖切断(DSB)を効率的に生じる。標的とされる典型的な領域には、エクソン、N末端領域をコードする領域、第1のエクソン、第2のエクソン、及びプロモーター又はエンハンサー領域が含まれる。一部の実施形態では、ZFNの一過的発現は、操作された細胞の標的遺伝子の高度に効率的且つ永続的破壊を促進する。特に、一部の実施形態では、ZFNの送達によって、50%を超える効率で遺伝子の永続的破壊がもたらされる。
多くの遺伝子特異的に工学的に作製されたジンクフィンガーが市販されている。例えば、Sangamo Biosciences(Richmond、CA、USA)は、Sigma-Aldrich(St. Louis、MO、USA)と協力して、ジンクフィンガー構築に関するプラットフォーム(CompoZr)を開発し、研究者らがジンクフィンガーの構築及び検証を回避することを可能にし、何千ものタンパク質に関して特異的に標的化されたジンクフィンガーを提供する(Gajら、Trends in Biotechnology、2013年、31巻(7号)、397~405頁)。一部の実施形態では、市販のジンクフィンガーが使用されるか、又はカスタム仕様にされる。
2. TAL、TALE及びTALEN
一部の実施形態では、DNA標的化分子は、天然に存在するか又は操作された(天然に存在しない)転写アクチベーター様タンパク質(TAL)DNA結合ドメイン(例えば、転写アクチベーター様タンパク質エフェクター(TALE)タンパク質におけるように)を含み、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0301073号を参照されたい。
TALE DNA結合ドメイン又はTALEは、1つ以上のTALEリピートドメイン/単位を含むポリペプチドである。リピートドメインは、TALEのその同族の標的DNA配列への結合に関与する。単一の「リピート単位」(「リピート」とも称される)は、典型的には33~35アミノ酸長であり、天然に存在するTALEタンパク質内の他のTALEリピート配列と少なくとも一部の配列相同性を示す。各TALEリピート単位は、一般に、このリピートの12位及び/又は13位に、リピート可変二残基(Repeat Variable Diresidue)(RVD)を構成する1個又は2個のDNA結合残基を含む。これらのTALEのDNA認識に関する天然の(カノニカル)コードを、12位及び13位のHD配列がシステイン(C)への結合をもたらし、NGがT、NIがAに結合し、NNがG又はAに結合し、NGがTに結合し、非カノニカル(非典型的)RVDも公知であるように決定した。米国特許公報第2011/0301073号を参照されたい。一部の実施形態では、TALEは、標的DNA配列に対する特異性を有するTALアレイの設計によって、いずれかの遺伝子に対して標的化され得る。標的配列は、一般に、チミジンで始まる。
一部の実施形態では、分子は、DNA結合エンドヌクレアーゼ、例えばTALEヌクレアーゼ(TALEN)である。一部の態様では、TALENは、核酸標的配列を切断するためのTALEに由来するDNA結合ドメイン及びヌクレアーゼ触媒ドメインを含む融合タンパク質である。
一部の実施形態では、TALENは、遺伝子内の標的配列を認識及び切断する。一部の態様では、DNAの切断によって、二本鎖の切断がもたらされる。一部の態様では、この切断は、相同組換え又は非相同末端結合(NHEJ)の速度を刺激する。一般に、NHEJは、DNA配列の切断部位に変化をもたらすことの多い不完全な修復プロセスである。一部の態様では、修復メカニズムは、直接的な再ライゲーション(Critchlow及びJackson、1998年)による、又はいわゆるマイクロホモロジーに媒介される末端結合による、2つのDNA末端の残っている部分の再結合を伴う。一部の実施形態では、NHEJによる修復は、小さな挿入又は欠失をもたらし、これを使用して遺伝子を破壊し、それによって抑制することができる。一部の実施形態では、改変は、少なくとも1つのヌクレオチドの置換、欠失、又は付加であり得る。一部の態様では、切断に誘導される突然変異誘発事象、すなわちNHEJ事象に連続する突然変異誘発事象が起こった細胞は、当技術分野で周知の方法によって特定及び/又は選択することができる。
一部の実施形態では、TALEリピートをアセンブルして、遺伝子を特異的に標的とする。ヒトのタンパク質コード遺伝子18,740個を標的とするTALENのライブラリーが構築されている。カスタム仕様のTALEアレイは、Cellectis Bioresearch(Paris、France)、Transposagen Biopharmaceuticals(Lexington、KY、USA)、及びLife Technologies(Grand Island、NY、USA)から市販されている。
一部の実施形態では、TALENは、1つ以上のプラスミドベクターによってコードされたトランス遺伝子として導入される。一部の態様では、プラスミドベクターは、前記ベクターを受容した細胞の特定及び/又は選択をもたらす選択マーカーを含有することができる。
3. RGEN(CRISPR/Casシステム)
一部の実施形態では、破壊、例えばRNA誘導型エンドヌクレアーゼ(RGEN)を介した破壊は、1つ以上のDNA結合核酸を使用して行われる。例えば、破壊は、CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)及びCRISPR関連(Cas)タンパク質を使用して行われ得る。一般に、「CRISPRシステム」は、Cas遺伝子をコードする配列、tracr(トランス活性化CRISPR)配列(例えば、tracrRNA又は活性部分tracrRNA)、tracr-mate配列(内因性CRISPRシステムの文脈では「直接的リピート」及びtracrRNA処理部分直接反復を包含する)、ガイド配列(内因性CRISPRシステムの文脈では「スペーサー」とも呼ばれる)、及び/又はCRISPR遺伝子座からの他の配列及び転写物を含むCRISPR関連(「Cas」)遺伝子の発現に関与するか又はその活性を指示する転写物及び他のエレメントを総称する。
CRISPR/Casヌクレアーゼ又はCRISPR/Casヌクレアーゼシステムは、配列特異的にDNAに結合する非コードRNA分子(ガイド)RNA、及びヌクレアーゼ機能(例えば、2つのヌクレアーゼドメイン)を有するCasタンパク質(例えば、Cas9)を含み得る。CRISPRシステムの1つ以上のエレメントは、I型、II型、又はIII型のCRISPRシステム、例えば内因性CRISPRシステムを含む特定の生物、例えば化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)に由来し得る。
一部の態様では、Casヌクレアーゼ及びgRNA(標的配列に特異的なcrRNAと固定されたtracrRNAとの融合体を含む)が細胞内に導入される。一般に、gRNAの5’末端の標的部位は、相補的塩基対合を使用して、Casヌクレアーゼを標的部位、例えば遺伝子に標的化する。標的部位は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列のすぐ5’側の位置、例えば典型的にはNGG又はNAGに基づいて選択することができる。この点で、gRNAは、ガイドRNAの最初の20、19、18、17、16、15、14、12、11、又は10ヌクレオチドを標的DNA配列に対応するように改変することによって、所望の配列に標的化される。一般に、CRISPRシステムは、標的配列の部位におけるCRISPR複合体の形成を促進するエレメントを特徴とする。典型的には、「標的配列」は、一般に、ガイド配列が相補性を有するように設計された配列を指し、標的配列とガイド配列との間のハイブリダイゼーションはCRISPR複合体の形成を促進する。完全な相補性は必ずしも必要ではなく、ハイブリダイゼーションを引き起こし、CRISPR複合体の形成を促進するのに十分な相補性があればよい。
CRISPRシステムは、標的部位において二本鎖切断(DSB)を誘導することができ、続いて本明細書で議論されるような破壊を誘導することができる。他の実施形態では、「ニッカーゼ」と思われるCas9バリアントは、標的部位で一本鎖をニックするために使用される。対合したニッカーゼは、例えば、特異性を改善するために使用することができ、ニックが同時に導入されると、5’オーバーハングが導入されるように、配列を標的とする異なるgRNAの対によって指示される。他の実施形態では、触媒的に不活性なCas9は、異種エフェクタードメイン、例えば転写抑制因子又はアクチベーターに融合されて、遺伝子発現に影響を及ぼす。
標的配列は、任意のポリヌクレオチド、例えばDNA又はRNAポリヌクレオチドを含んでもよい。標的配列は、細胞の核又は細胞質内、例えば細胞のオルガネラ内に位置していてもよい。一般に、標的配列を含む標的遺伝子座への組換えに使用され得る配列又は鋳型は、「編集鋳型」又は「編集ポリヌクレオチド」又は「編集配列」と呼ばれる。一部の態様では、外因性鋳型ポリヌクレオチドは編集鋳型と呼ばれる場合がある。一部の態様では、組換えは、相同組換えである。
典型的には、内因性CRISPRシステムの文脈において、CRISPR複合体(標的配列にハイブリダイズし、1つ以上のCasタンパク質と複合体を形成したガイド配列を含む)は、標的配列内又はその付近(例えば、標的配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、又はそれより多い塩基対内)に1つ又は両方の鎖の切断をもたらす。tracr配列は、野生型tracr配列のすべて又は一部(例えば、野生型tracr配列の約20、26、32、45、48、54、63、67、85、若しくはそれより多いヌクレオチド又はそれより多いヌクレオチド)を含むか又はそれからなってもよく、tracr配列の少なくとも一部とともに、ガイド配列に作動可能に連結されたtracrメイト配列のすべて又は一部にハイブリダイズすることによって、CRISPR複合体の一部を形成してもよい。tracr配列は、ハイブリダイズしてCRISPR複合体の形成に関与するために、tracrメイト配列に対して十分な相補性を有し、例えば、最適にアラインした場合にtracrメイト配列の長さに沿って少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%の配列相補性を有する。
CRISPRシステムの1つ以上のエレメントの発現を駆動する1つ以上のベクターは、CRISPRシステムのエレメントの発現が1つ以上の標的部位におけるCRISPR複合体の形成を指示するように、細胞に導入され得る。構成成分は、タンパク質及び/又はRNAとして細胞に送達することもできる。例えば、Cas酵素、tracrメイト配列に連結されたガイド配列、及びtracr配列はそれぞれ、別々のベクター上の別々の制御エレメントに作動可能に連結され得る。あるいは、同じ又は異なる調節エレメントから発現されるエレメントの2つ以上を単一のベクターに組み合わせ、1つ以上の追加のベクターが、第1のベクターに含まれないCRISPRシステムの任意の構成成分をもたらしてもよい。ベクターは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列(「クローニング部位」とも呼ばれる)などの1つ以上の挿入部位を含んでいてもよい。一部の実施形態では、1つ以上の挿入部位は、1つ以上のベクターの1つ以上の配列エレメントの上流及び/又は下流に位置する。複数の異なるガイド配列が使用される場合、単一の発現構築物は、細胞内の複数の異なる対応する標的配列にCRISPR活性を標的化するために使用され得る。
ベクターは、CRISPR酵素、例えばCasタンパク質をコードする酵素コード配列に作動可能に連結された調節エレメントを含んでもよい。Casタンパク質の非限定的な例としては、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1及びCsx12としても公知)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csfl、Csf2、Csf3、Csf4、そのホモログ、又はその改変バージョンが挙げられる。これらの酵素は公知であり、例えば、化膿性連鎖球菌のCas9タンパク質のアミノ酸配列は、SwissProtデータベースの受託番号Q99ZW2に見出され得る。
CRISPR酵素は、Cas9(例えば、化膿性連鎖球菌又は肺炎球菌(S. pneumonia)由来)であり得る。CRISPR酵素により、標的配列内及び/又は標的配列の相補物内などの標的配列の場所における一方又は両方の鎖の切断が指示され得る。ベクターは、CRISPR酵素は、対応する野生型酵素に対して突然変異したものであり、その結果、突然変異したCRISPR酵素は、標的配列を含有する標的ポリヌクレオチドの一方又は両方の鎖を切断する能力を欠く。例えば、化膿性連鎖球菌由来のCas9のRuvC I触媒ドメイン内のアスパラギン酸からアラニンへの置換(D10A)により、Cas9が、両方の鎖を切断するヌクレアーゼからニッカーゼ(一本鎖を切断する)に変換される。一部の実施形態では、Cas9ニッカーゼを、ガイド配列、例えばそれぞれDNA標的のセンス鎖及びアンチセンス鎖を標的とする2つのガイド配列と組み合わせて使用することができる。この組合せにより、両方の鎖にニックを入れ、NHEJ又はHDRを誘導するために使用することが可能になる。
一部の実施形態では、CRISPR酵素をコードする酵素コード配列は、特定の細胞、例えば真核細胞における発現のためにコドン最適化される。真核細胞は、特定の生物、例えば、以下に限定されるものでもないが、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、又は非ヒト霊長類を含む哺乳類のものであっても、又はそれに由来してもよい。一般に、コドン最適化は、天然の配列の少なくとも1つのコドンを、天然のアミノ酸配列を維持しながら、その宿主細胞の遺伝子においてより頻繁に又は最も頻繁に使用されるコドンで置き換えることによって、目的の宿主細胞における発現を増強するために核酸配列を改変するプロセスを指す。種々の種が特定のアミノ酸に関してある特定のコドンへの特定の偏りを示す。コドンバイアス(生物体間のコドン使用の差異)は、多くの場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳の効率と相関し、今度は翻訳の効率は、とりわけ、翻訳されるコドンの特性及び特定の転移RNA(tRNA)分子の利用可能性に依存すると考えられる。細胞において選択されるtRNAの優勢は、一般に、ペプチド合成において最も頻繁に使用されるコドンを反映するものである。したがって、所与の生物体における最適な遺伝子発現のために、遺伝子をコドン最適化に基づいて調整することができる。
一般に、ガイド配列は、標的ポリヌクレオチド配列と十分な相補性を有し、標的配列とハイブリダイズし、CRISPR複合体の標的配列への配列特異的結合を指示する任意のポリヌクレオチド配列である。一部の実施形態では、ガイド配列とその対応する標的配列の間の相補性の度合いは、好適なアライメントアルゴリズムを使用して最適にアラインされた場合に、約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%、又はそれより高いパーセンテージであるか又はそれを超える。
最適アライメントは、配列をアライメントするための任意の適切なアルゴリズムを使用して決定されてもよく、その非限定的な例としては、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wunschアルゴリズム、Burrows-Wheeler Transformに基づくアルゴリズム(例えば、Burrows Wheeler Aligner)、Clustal W、Clustal X、BLAT、Novoalign(Novocraft Technologies)、ELAND(Illumina、San Diego、Calif.)、SOAP(soap.genomics.org.cnで入手可能)、及びMaq(maq.sourceforge.netで入手可能)が挙げられる。
CRISPR酵素は、1つ以上の異種タンパク質ドメインを含む融合タンパク質の一部であり得る。CRISPR酵素融合タンパク質は、任意の追加のタンパク質配列、及び場合によっては任意の2つのドメイン間のリンカー配列を含んでもよい。CRISPR酵素に融合され得るタンパク質ドメインの例としては、限定されるものではないが、エピトープタグ、レポーター遺伝子配列、及び以下の活性の1つ以上を有するタンパク質ドメインが挙げられる:メチラーゼ活性、脱メチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、RNA切断活性、及び核酸結合活性。エピトープタグの非限定的な例としては、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、Mycタグ、VSV-Gタグ、及びチオレドキシン(Trx)タグが挙げられる。レポーター遺伝子の例としては、以下に限定されるものではないが、グルタチオン-5-トランスフェラーゼ(GST)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)ベータガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、HcRed、DsRed、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、及び青色蛍光タンパク質(BFP)を含む自家蛍光タンパク質が挙げられる。CRISPR酵素は、以下に限定されるものではないが、マルトース結合タンパク質(MBP)、Sタグ、Lex A DNA結合ドメイン(DBD)融合体、GAL4A DNA結合ドメイン融合体、及び単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合体を含むDNA分子に結合するか、又は他の細胞分子に結合するタンパク質又はタンパク質の断片をコードする遺伝子配列に融合されてもよい。
F. iPSCの分化
一部の実施形態では、多能性幹細胞(PSC)、例えばヒトのiPSCの本質的に単一細胞の懸濁液から分化細胞を生成する方法が提供される。一部の実施形態では、PSCはいずれの細胞凝集も防ぐためにプレコンフルエントに培養される。ある特定の態様では、PSCは、TRYPSIN(商標)又はTRYPLE(商標)によって例示されるように、細胞解離酵素とのインキュベーションによって解離する。PSCは、ピペッティングによって本質的に単一細胞の懸濁液中に解離することもできる。さらに、ブレビスタチン(例えば、約2.5μM)を培地に添加して、細胞が培養容器に接着していない状態で、単一細胞への解離後のPSCの生存率を高めることができる。ブレビスタチンの代わりにROCK阻害剤を使用して、単一細胞への解離後のPSCの生存率を高めてもよい。
PSCの単一細胞懸濁液が既知の細胞密度で得られたら、細胞は一般に、適切な培養容器、例えば組織培養プレート、例えばフラスコ、6ウェル、24ウェル、96ウェルプレートに播かれる。細胞を培養するために使用される培養容器としては、以下に限定されるものではないが、その中で幹細胞を培養することが可能である限り、フラスコ、組織培養用フラスコ、ディッシュ、シャーレ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウェルプレート、マルチプレート、マルチウェルプレート、マイクロスライド、チャンバースライド、チューブ、トレイ、CELLSTACK(登録商標)チャンバー、培養バッグ及びローラーボトルが挙げられる。細胞は、培養の必要性に応じて、少なくとも又は約0.2、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50ml、100ml、150ml、200ml、250ml、300ml、350ml、400ml、450ml、500ml、550ml、600ml、800ml、1000ml、1500ml若しくはそこから派生する任意の範囲の容積で培養されてもよい。ある特定の実施形態では、培養容器はバイオリアクターであってもよく、これは細胞を増殖させることができるような生物学的に活性な環境を支持するex vivoの任意のデバイス又はシステムを指し得る。バイオリアクターは、少なくとも又は約2、4、5、6、8、10、15、20、25、50、75、100、150、200、500リットル、1、2、4、6、8、10、15立方メートル、又はそこから派生する任意の範囲の容積を有し得る。
ある特定の態様では、PSC、例えばiPSCは、効率的な分化に適した細胞密度で播種される。一般に、細胞は、約1,000~約75,000個の細胞/cmの細胞密度、例えば約5,000~約40,000個の細胞/cmの細胞密度で播種される。6ウェルプレートでは、細胞はウェル当たり約50,000~約40万個の細胞の細胞密度で播種され得る。例示的な方法では、細胞はウェル当たり約10万個、約15万個、約20万個、約25万個、約30万個又は約35万個、例えばウェル当たり約20万(200,00)個の細胞密度で播種される。
PSC、例えばiPSCは、一般に、細胞の生存率を維持しながら細胞接着を促進するために、1つ以上の細胞接着タンパク質でコーティングされた培養プレート上で培養される。例えば、好ましい細胞接着タンパク質には、細胞外マトリックスタンパク質、例えば、多能性細胞成長のための固体支持体を提供する手段として培養表面をコーティングするために使用され得るビトロネクチン、ラミニン、コラーゲン及び/又はフィブロネクチンが含まれる。「細胞外マトリックス」という用語は、当技術分野で認識されている。その構成成分としては、以下のタンパク質の1つ以上:フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、テネイシン、エンタクチン、トロンボスポンジン、エラスチン、ゼラチン、コラーゲン、フィブリリン、メロシン、アンコリン、コンドロネクチン、リンクタンパク質、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、オステオポンチン、エピネクチン、ヒアルロネクチン、ウンドリン、エピリグリン、及びカリニンが挙げられる。例示的な方法では、PSCはビトロネクチン又はフィブロネクチンでコーティングされた培養プレート上で成長する。一部の実施形態では、細胞接着タンパク質はヒトタンパク質である。
細胞外マトリックス(ECM)タンパク質は、天然に由来するものであってく、ヒト又は動物の組織から精製されたものであってもよく、あるいはECMタンパク質は、遺伝子操作された組換えタンパク質又は本来合成タンパク質であってもよい。ECMタンパク質は、全タンパク質であっても、ペプチド断片の形態であってもよく、天然であっても操作されたものであってもよい。細胞培養のためのマトリックスにおいて有用であり得るECMタンパク質の例としては、ラミニン、コラーゲンI、コラーゲンIV、フィブロネクチン及びビトロネクチンが挙げられる。一部の実施形態では、マトリックス組成物は、フィブロネクチンの合成的に生成されたペプチド断片又は組換えフィブロネクチンを含む。一部の実施形態では、マトリックス組成物は、ゼノフリーである。例えば、ヒト細胞を培養するためのゼノフリーマトリックスでは、ヒト起源のマトリックス成分を使用することができ、非ヒト動物の任意の構成成分は除外されてもよい。
一部の態様では、マトリックス組成物中の総タンパク質濃度は、約1ng/mL~約1mg/mLであり得る。好ましい一部の実施形態では、マトリックス組成物中の総タンパク質濃度は、約1μg/mL~約300μg/mLである。より好ましい実施形態では、マトリックス組成物中の総タンパク質濃度は、約5μg/mL~約200μg/mLである。
細胞は、それぞれの特定の細胞集団の成長を指示するのに必要な栄養素を用いて培養することができる。一般に、細胞は、炭素源、窒素源及びpHを維持するための緩衝剤を含む成長培地中で培養される。培地はまた、脂肪酸又は脂質、アミノ酸(例えば、非必須アミノ酸)、ビタミン、成長因子、サイトカイン、抗酸化物質、ピルビン酸、緩衝剤、及び無機塩類も含有し得る。例示的な成長培地は、様々な栄養素、例えば非必須アミノ酸及びビタミンを補充した最小必須培地、例えばダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)又はESSENTIAL 8(商標)(E8(商標))培地を含有して、幹細胞の成長を強化する。最小必須培地の例としては、以下に限定されるものではないが、最小必須培地イーグル(MEM)アルファ培地、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、RPMI-1640培地、199培地、及びF12培地が挙げられる。さらに、最小必須培地には、添加剤、例えばウマ、ウシ又はウシ胎仔血清が補充されていてもよい。あるいは、培地は無血清でもよい。他の場合には、成長培地は、本明細書において、未分化細胞、例えば幹細胞を培養して成長させる及び維持するために最適化された無血清製剤と称される「ノックアウト血清代替物」を含有してもよい。KNOCKOUT(商標)血清代替物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2002/0076747号に開示されている。好ましくは、PSCは十分に定義されたフィーダーフリー培地で培養される。
したがって、PSCは一般に、播種後、十分に定義された培養培地で培養される。ある特定の態様では、播種の約18~24時間後に培地を吸引し、新鮮な培地、例えばE8(商標)培地が培養に添加される。ある特定の態様では、単一細胞のPSCは播種後約1、2又は3日間、十分に定義された培養培地中で培養される。好ましくは、単一細胞のPSCは、分化プロセスを進める前に、十分に定義された培養培地中で約2日間培養される。
一部の実施形態では、培地は、血清に対する任意の代替物を含有してもよく、又は含有しなくてもよい。血清に対する代替物としては、アルブミン(例えば、脂質の豊富なアルブミン、アルブミン代替物、例えば組換えアルブミン、植物デンプン、デキストラン及びタンパク質加水分解物)、トランスフェリン(又は他の鉄輸送体)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3’-チオグリセロール(thiolgiycerol)、又はこれらの等価物を適切に含有する材料を挙げることができる。血清に対する代替物は、例えば国際公開第WO98/30679号に開示されている方法によって調製することができる。あるいは、より簡便には、市販の任意の材料を使用することができる。市販の材料としては、KNOCKOUT(商標)血清代替物(KSR)、濃縮された化学的に定義された脂質(Gibco)、及びGLUTAMAX(商標)(Gibco)が挙げられる。
他の培養条件は適宜定義することができる。例えば、培養温度は約30~40℃、例えば少なくとも約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃とすることができるが、特にこれらに限定されるものではない。一実施形態では、細胞は37℃で培養される。CO濃度は、約1~10%、例えば約2~5%、又はそこから派生する任意の範囲であってもよい。酸素分圧は、少なくとも、最大、若しくは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20%、又はそこから派生する任意の範囲であってもよい。
G. iPSC又は分化細胞の凍結保存
本明細書に開示された方法によって生成された細胞は凍結保存することができ、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開第2012/149484 A2号を参照されたい。細胞は、基質用いて又は用いないで凍結保存することができる。いくつかの実施形態では、保存温度は、約-50℃~約-60℃、約-60℃~約-70℃、約-70℃~約-80℃、約-80℃~約-90℃、約-90℃~約-100℃の範囲、及びそれらの重複する範囲である。一部の実施形態では、より低い温度が、凍結保存細胞の保存(例えば、維持)のために使用される。いくつかの実施形態では、細胞を保存するために液体窒素(又は他の類似の液体冷却剤)が使用される。さらなる実施形態では、細胞は約6時間より長く保存される。追加の実施形態では、細胞は約72時間保存される。いくつかの実施形態では、細胞は48時間から約1週間保存される。さらに他の実施形態では、細胞は約1、2、3、4、5、6、7、又は8週間保存される。さらなる実施形態では、細胞は1、2、3、4、5、67、8、9、10、11又は12カ月間保存される。細胞はより長い時間保存することもできる。細胞は別個に、又は基質上、例えば本明細書に開示された基質のいずれかの上で凍結保存することができる。
一部の実施形態では、追加の凍結保護剤を使用することができる。例えば、細胞は、1つ以上の凍結保護剤を含む凍結保存溶液、例えばDM80、血清アルブミン、例えばヒト又はウシ血清アルブミン中で凍結保存することができる。ある特定の実施形態では、溶液は、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%のDMSOを含む。他の実施形態では、溶液は、約1%~約3%、約2%~約4%、約3%~約5%、約4%~約6%、約5%~約7%、約6%~約8%、約7%~約9%、又は約8%~約10%のジメチルスルホキシド(DMSO)又はアルブミンを含む。具体的な実施形態では、溶液は2.5%のDMSOを含む。別の具体的な実施形態では、溶液は10%のDMSOを含む。
細胞は、例えば、凍結保存の間、約1℃/分で分冷されてもよい。一部の実施形態では、凍結保存温度は約-80℃~約-180℃、又は約-125℃~約-140℃である。一部の実施形態では、細胞は、約1℃/分で冷却される前に4℃まで冷却される。凍結保存された細胞は、使用のために解凍する前に液体窒素の気相に移すことができる。一部の実施形態では、例えば、細胞が約-80℃に達したら、液体窒素の保管場所に移す。凍結保存はまた、速度制御されたフリーザーを使用して行うこともできる。凍結保存された細胞は、例えば、約25℃~約40℃の温度で、典型的には約37℃の温度で解凍されてもよい。
III. 操作された細胞株の使用
ある特定の態様は、いくつかの重要な研究、開発、及び商業目的に使用することができる、安定した導入遺伝子発現を有する細胞株を生成する方法を提供する。
本明細書に開示された方法によって生成される細胞株は、当技術分野のiPSC又は分化細胞で現在知られている任意の方法及び適用において使用することができる。例えば、細胞株で化合物の薬理学的又は毒物学的特性をアッセイすることを含む、化合物の評価方法が提供され得る。細胞培養物への効果について化合物を評価する方法であって、a)本明細書において提供される細胞培養物を化合物と接触させることと、b)細胞培養物への化合物の効果をアッセイすることとを含む方法も提供される。
A. 試験化合物のスクリーニング
細胞培養物は、このような細胞及びその様々な子孫の特性に影響を及ぼす因子(例えば、溶媒、低分子薬物、ペプチド、オリゴヌクレオチド)又は環境条件(例えば、培養条件又は操作)をスクリーニングするために商業的に使用することができる。例えば、試験化合物は、化学化合物、低分子、ポリペプチド、成長因子、サイトカイン、又は他の生物学的薬剤であり得る。
一実施形態では、方法は、細胞培養物を試験薬剤と接触させることと、試験薬剤が集団内の細胞の活性又は機能をモジュレートするかどうかを決定することとを含む。一部の適用では、スクリーニングアッセイは、細胞増殖をモジュレートし、細胞分化を変化させ、又は細胞生存率に影響を及ぼす薬剤の同定に使用される。スクリーニングアッセイはin vitro又はin vivoで実施され得る。候補薬剤をスクリーニングし同定する方法には、ハイスループットスクリーニングに好適なものが含まれる。例えば、細胞培養物を培養皿、フラスコ、ローラーボトル又はプレート(例えば、単一のマルチウェルディッシュ又はディッシュ、例えば8、16、32、64、96、384及び1536マルチウェルプレート又はディッシュ)上に、場合によって規定された位置で、潜在的治療分子の同定のために配置するか又は置くことができる。スクリーニングされ得るライブラリーには、例えば、低分子ライブラリー、siRNAライブラリー、及びアデノウイルストランスフェクションベクターライブラリーが含まれる。
他のスクリーニング用途は、網膜組織の維持又は修復への医薬化合物の効果に対する試験に関する。スクリーニングは、化合物が細胞への薬理学的効果を有するように設計されているため、又は他の場所で効果を有するように設計された化合物が、この組織タイプの細胞に対して意図しない副作用を有する可能性があるため、行われ得る。
B. 治療及び移植
他の実施形態は、疾患又は障害の処置のための細胞株の使用も提供し得る。別の態様では、本開示は、それを必要とする個体の処置方法であって、操作された細胞を含む組成物を前記個体に投与することを含む方法を提供する。
治療薬投与のための細胞組成物の適性を決定するために、細胞を最初に好適な動物モデルで試験することができる。一態様では、細胞株はin vivoで生存し、その表現型を維持する能力について評価される。組成物は免疫不全動物(例えば、ヌードマウス又は化学的若しくは放射線照射により免疫不全にした動物)に移植される。一定期間成長した後に組織を採取し、多能性幹細胞由来の細胞がまだ存在しているかどうかを評価する。
本明細書で使用される場合、疾患又は障害は、例えば感染又は遺伝的欠陥に起因し、同定可能な症状によって特徴付けられる、生物における病理学的状態を指す。本明細書に記載されている例示的な疾患は、新生物疾患、例えばがんである。本明細書で使用される場合、新生物疾患は、腫瘍の発生、成長、転移及び進行を含む、がんに関与する任意の障害を指す。
本明細書で使用される場合、がんは、転移性がん、リンパ系腫瘍、及び血液がんを含む、あらゆる種類の悪性腫瘍によって引き起こされる、又はそれによって特徴付けられる疾患に関する用語である。例示的ながんとしては、以下に限定されるものではないが、白血病、リンパ腫、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、子宮頸がん、膀胱がん、前立腺がん、神経膠腫腫瘍、腺癌、肝臓がん及び皮膚がんが挙げられる。ヒトにおける例示的ながんとしては、膀胱腫瘍、***腫瘍、前立腺腫瘍、基底細胞癌、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳及びCNSがん(例えば、グリオーマ腫瘍)、子宮頸がん、絨毛癌、結腸及び直腸がん、結合組織がん、消化器系のがん;子宮内膜がん、食道がん;眼のがん;頭頸部のがん;胃癌;上皮内新生物;腎臓がん;喉頭がん;白血病;肝臓がん;肺がん(例えば、小細胞がん及び非小細胞がん);ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫;黒色腫;骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔がん(例えば、***、舌、口腔、及び喉頭);卵巣がん、膵臓がん、網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸がん、腎がん、呼吸器系のがん;肉腫、皮膚がん;胃がん;精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、泌尿器系のがん、並びに他の癌腫及び肉腫が挙げられる。イヌ、ネコ、及び他のペットで通常診断される例示的ながんとしては、以下に限定されるものではないが、リンパ肉腫、骨肉腫、乳腺腫瘍、肥満細胞腫、脳腫瘍、黒色腫、腺扁平上皮癌、カルチノイド肺腫瘍、気管支腺腫瘍、気管支肺腺癌、線維腫、粘軟骨腫、肺肉腫、神経肉腫、骨腫、乳頭腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、バーキットリンパ腫、ミクログリオーマ、神経芽細胞腫、破骨細胞腫、口腔新生物、線維肉腫、骨肉腫及び横紋筋肉腫、生殖器扁平上皮癌、伝達性性器腫瘍、精巣腫瘍、セミノーマ、セルトリ細胞腫瘍、血管外皮腫、組織球腫、クロローマ(例えば、顆粒球性肉腫)、角膜乳頭腫、角膜扁平上皮癌、血管肉腫、胸膜中皮腫、基底細胞腫瘍、胸腺腫、胃腫瘍、副腎癌、口腔乳頭腫症、血管内皮腫及び嚢胞腺腫、濾胞性リンパ腫、腸リンパ肉腫、線維肉腫及び肺扁平上皮癌が挙げられる。フェレットなどのげっ歯類で診断される例示的ながんには、以下に限定されるものではないが、インスリノーマ、リンパ腫、肉腫、神経鞘腫、膵島細胞腫瘍、胃MALTリンパ腫及び胃腺癌が含まれる。農業家畜に影響を及ぼす例示的な新生物としては、以下に限定されるものではないが、白血病、血管外皮細胞腫及びウシ(bovine)眼球新生物(ウシ(cattle)の場合);前庭線維肉腫、潰瘍性扁平上皮癌、前庭癌、結合組織新生物及び肥満細胞腫(ウマの場合);肝細胞癌(ブタの場合);リンパ腫及び肺腺腫症(ヒツジの場合);肺肉腫、リンパ腫、ラウス肉腫、網状内皮細胞腫、線維肉腫、腎芽細胞腫、B細胞リンパ腫及びリンパ性白血病(鳥類種の場合);網膜芽細胞腫、肝新生物、リンパ肉腫(リンパ芽球性リンパ腫)、形質細胞性白血病及び浮袋の肉腫(swimbladder sarcoma)(魚類の場合)、乾酪性リンパ節炎(CLA):ヒツジ偽結核菌(Corynebacterium pseudotuberculosis)という細菌によって引き起こされるヒツジ及びヤギの慢性の感染性の接触伝染病、並びにヤーグジークテによって引き起こされるヒツジの接触伝染性肺腫瘍が挙げられる。
本明細書に開示された方法によって生成される細胞株の医薬組成物も提供される。これらの組成物は、少なくとも約1×10個の細胞、約1×10個の細胞、約1×10個の細胞、約1×10個の細胞、約1×10個の細胞、約1×10個の細胞、又は約1×10個の細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に開示された方法によって生成される分化細胞を含む実質的に精製された調製物である。足場、例えばポリマー担体及び/又は細胞外マトリックス、並びに本明細書に開示された方法によって生成される細胞有効量を含む組成物も提供される。マトリックス材料は一般に生理学的に許容され、in vivo適用での使用に好適である。例えば、生理学的に許容される材料としては、以下に限定されるものではないが、吸収性及び/又は非吸収性の固体マトリックス材料、例えば小腸粘膜下層(SIS)、架橋又は非架橋アルギネート、親水コロイド、発泡体、コラーゲンゲル、コラーゲンスポンジ、ポリグリコール酸(PGA)メッシュ、フリース及び生体接着剤が挙げられる。
好適なポリマー担体には、合成ポリマー又は天然ポリマーから形成される多孔性メッシュ又はスポンジ、及びポリマー溶液も含まれる。例えば、マトリックスはポリマーメッシュ若しくはスポンジ、又はポリマーヒドロゲルである。使用され得る天然ポリマーには、タンパク質、例えばコラーゲン、アルブミン、及びフィブリン;多糖類、例えばアルギネート及びヒアルロン酸が含まれる。合成ポリマーには、生分解性ポリマーと非生分解性ポリマーの両方が含まれる。例えば、生分解性ポリマーには、ヒドロキシ酸、例えばポリ乳酸(polyactic acid)(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)及びポリ乳酸-グリコール酸(PGLA)、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、及びこれらの組合せが含まれる。非生分解性ポリマーには、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エチレン酢酸ビニル、及びポリビニルアルコールが含まれる。
イオン性又は共有結合で架橋された、可鍛性のヒドロゲルを形成できるポリマーを使用することができる。ヒドロゲルは、有機ポリマー(天然又は合成)が共有結合、イオン結合、又は水素結合を介して架橋され、水分子を捉えてゲルを形成する三次元の開格子構造を創出する場合に形成される物質である。ヒドロゲルを形成するために使用され得る材料の例としては、イオン結合で架橋される多糖類、例えばアルギネート、ポリホスファジン、及びポリアクリレート、又はブロックコポリマー、例えばそれぞれ、温度又はHによって架橋されているPLURON1CS(商標)又はTETRON1CS(商標)、ポリエチレンオキシド-ポリプロピレングリコールブロックコポリマーが挙げられる。他の材料としては、タンパク質、例えばフィブリン、ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸及びコラーゲンが挙げられる。
C. 市販目的、治療目的、及び研究目的の区分
一部の実施形態では、製造、区分又は使用中の任意の時間に存在する細胞のセット若しくは組合せを含む試薬システムが提供される。培養セットは、多くの場合同じゲノムを共有する未分化多能性幹細胞又は他の分化細胞型と組み合わせた、本明細書に記載の細胞集団の任意の組合せを含む。各細胞型は、同一施設内、又は異なる場所、同時期又は異なる時期に、同一事業体又は事業関係を共有する異なる事業体の管理下で、一緒に、又は別々の容器にパッケージングされてもよい。
医薬組成物は、場合によって、所望の目的、例えば、疾患又は組織の傷害を改善するための細胞機能の再構成についての書面の使用説明書とともに好適な容器内にパッケージングされてもよい。
[実施例]
IV. 実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下に続く実施例において開示される技法は、本発明の実践において良好に機能することが本発明者によって発見された技法を表すものであり、したがって、その実践のための好ましい様式を構成するものと考えることができることを、当業者は認識すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示されている特定の実施形態において多くの変更を加えることができ、それでもなお、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、同様又は類似の結果を得ることができることを認識すべきである。
[実施例1]
遺伝子サイレンシングを防止するためのコドン最適化
メチル化が導入遺伝子のサイレンシングの原因であるかどうかを試験するために、サイレンシングされていることが知られている(例えば、GFP)又はサイレンシングされていると推測される(例えば、PuroR及びNeoR)遺伝子のコード領域から、すべてのCpGモチーフを除去した。目視検査が容易なため、WT AcGFP1とCpGを含まないAcGFP1とを比較して、このコンセプトを厳密に試験した。配列番号13と配列番号14の間で、CpGモチーフ除去後のアミノ酸配列に変化はなかった。
AcGFP1 DNA配列(配列番号13):
atggtgagcaagggCGcCGagctgttcacCGgcatCGtgcccatcctgatCGagctgaatggCGatgtgaatggccacaagttcagCGtgagCGgCGagggCGagggCGatgccacctaCGgcaagctgaccctgaagttcatctgcaccacCGgcaagctgcctgtgccctggcccaccctggtgaccaccctgagctaCGgCGtgcagtgcttctcaCGctacccCGatcacatgaagcagcaCGacttcttcaagagCGccatgcctgagggctacatccaggagCGcaccatcttcttCGaggatgaCGgcaactacaagtCGCGCGcCGaggtgaagttCGagggCGataccctggtgaatCGcatCGagctgacCGgcacCGatttcaaggaggatggcaacatcctgggcaataagatggagtacaactacaaCGcccacaatgtgtacatcatgacCGacaaggccaagaatggcatcaaggtgaacttcaagatcCGccacaacatCGaggatggcagCGtgcagctggcCGaccactaccagcagaatacccccatCGgCGatggccctgtgctgctgccCGataaccactacctgtccacccagagCGccctgtccaaggaccccaaCGagaagCGCGatcacatgatctacttCGgcttCGtgacCGcCGcCGccatcacccaCGgcatggatgagctgtacaagTAA
CpGを含まないAcGFP1 DNA配列(配列番号14):
ATGGTGAGCAAGGGCGCCGAGCTGTTCACCGGCATCGTGCCCATCCTGATCGAGCTGAATGGCGATGTGAATGGCCACAAGTTCAGCGTGAGCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCTGTGCCCTGGCCCACCCTGGTGACCACCCTGAGCTACGGCGTGCAGTGCTTCTCACGCTACCCCGATCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGAGCGCCATGCCTGAGGGCTACATCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCGAGGATGACGGCAACTACAAGTCGCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGATACCCTGGTGAATCGCATCGAGCTGACCGGCACCGATTTCAAGGAGGATGGCAACATCCTGGGCAATAAGATGGAGTACAACTACAACGCCCACAATGTGTACATCATGACCGACAAGGCCAAGAATGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGATGGCAGCGTGCAGCTGGCCGACCACTACCAGCAGAATACCCCCATCGGCGATGGCCCTGTGCTGCTGCCCGATAACCACTACCTGTCCACCCAGAGCGCCCTGTCCAAGGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGATCTACTTCGGCTTCGTGACCGCCGCCGCCATCACCCACGGCATGGATGAGCTGTACAAG
目的の遺伝子のDNA配列は、1)稀ではない、2)モノヌクレオチドストレッチのストレッチを生成しない及び3)遺伝子のWTバージョンと類似するGC含量の%を維持するコドンに置き換わるすべてのCGモチーフを除去するように細心の注意を払って改変された。例えば、CpGを含まないAcGFP1の場合、WTバージョンのAcGFP1(配列番号13)はGC含量が59%であり、新しいCpGを含まないAcGFP1(配列番号14)はGC含量が52%である。
EEF1A1プロモーターを、PPP1R12C遺伝子座におけるiPSCでのAcGFP1の発現に使用した。CpGを含まないAcGFP1をWT AcGFP1と比較して試験したところ、タンパク質コード配列中のCpGを除去することにより、遺伝子発現のサイレンシングが克服されることが明らかになった(図3)。
しかし5カ月後、AcGFP1からCpGが除去されているにもかかわらず、GFPを発現しない細胞がごくわずかのパーセンテージ(3%)検出された。この集団を調査するために、GFP発現のないクローンを単一細胞選別によって単離した。この細胞を、クロマチン構造を除去し脱メチル化を誘導することが可能なヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤である酪酸ナトリウム(NaBut)で処理した。NaBut処理により、GFP発現が用量依存的に再活性化されることが観察された(図5)。
CpGを含まないAcGFP1 iPSCを肝細胞又はニューロンに分化させたところ、高いパーセンテージでGFP陽性の分化細胞が観察された(図6)。
結果を検証するために、pUC57-KanR(m)中のPuroRv1(Invivogenのアミノ酸配列に基づいて合成した)のコドン最適化を実施した。PuroRのCpGを含まない配列(配列番号15)を以下に示す。
プラスミド1346のCpGを含まないPuroR:
ATGACTGAATACAAACCAACTGTTAGACTGGCAACTAGAGATGATGTTCCAAGAGCAGTTAGAACCCTGGCTGCTGCATTTGCTGACTACCCTGCAACCAGACACACTGTGGACCCAGACAGACACATTGAAAGAGTGACTGAACTGCAGGAGCTGTTCCTGACCAGAGTGGGCCTGGACATTGGCAAAGTGTGGGTGGCAGATGATGGTGCTGCTGTGGCAGTGTGGACCACCCCTGAATCTGTTGAAGCTGGTGCAGTGTTTGCTGAGATTGGCCCAAGAATGGCAGAACTGTCTGGCAGCAGACTGGCAGCACAACAGCAGATGGAAGGTCTGCTGGCACCACACAGACCAAAAGAACCTGCTTGGTTCCTGGCAACTGTGGGTGTGAGCCCTGACCACCAGGGTAAGGGCCTGGGCTCTGCAGTGGTGCTGCCTGGTGTGGAAGCAGCTGAAAGAGCAGGTGTGCCTGCTTTCCTGGAGACCTCAGCTCCAAGAAACCTGCCTTTCTATGAAAGACTGGGCTTCACTGTGACTGCTGATGTGGAAGTGCCAGAAGGCCCAAGAACTTGGTGCATGACTAGAAAACCAGGTGCTTGATAATGA(配列番号15)
プラスミド1347及び1363におけるCpGを含まないPuroRv2:
ATGACTGAATACAAACCAACTGTTAGACTGGCAACTAGAGATGATGTTCCAAGAGCAGTTAGAACCCTGGCTGCTGCATTTGCTGACTACCCTGCAACCAGACACACTGTGGACCCAGACAGACACATTGAAAGAGTGACTGAACTGCAGGAGCTGTTCCTGACCAGAGTGGGCCTGGACATTGGCAAAGTGTGGGTGGCAGATGATGGTGCTGCTGTGGCAGTGTGGACCACCCCTGAATCTGTTGAAGCTGGTGCAGTGTTTGCTGAGATTGGCCCAAGAATGGCAGAACTGTCTGGCAGCAGACTGGCAGCACAACAGCAGATGGAAGGTCTGCTGGCACCACACAGACCAAAAGAACCTGCTTGGTTCCTGGCAACTGTGGGTGTGAGCCCTGACCACCAGGGTAAGGGCCTGGGCTCTGCAGTGGTGCTGCCTGGTGTGGAAGCAGCTGAAAGAGCAGGTGTGCCTGCTTTCCTGGAGACCTCAGCTCCAAGAAACCTGCCTTTCTATGAAAGACTGGGCTTCACTGTGACTGCTGATGTGGAATGCCCAAAGGACAGAGCAACTTGGTGCATGACTAGAAAACCAGGTGCTTGATAATGA(配列番号16)
CpGを含まないPuroRカセットを電気穿孔によってiPSCに導入した。CpGを含まないPuroRv1及びPuroRv2を有する細胞が、薬物耐性を付与できることが観察された。
これらの結果は、CpGがiPSC株における導入遺伝子のサイレンシングに重要な役割を果たすことを示唆する。さらに、これらの結果は、全体的なメチル化又は他のエピジェネティックな調節不全が、分化不全を起こしたiPSCにおいて重要な役割を果たすことを示唆する。よって、CpGモチーフの一部又はすべてを除去する最適化の本発明の方法は、導入遺伝子のサイレンシングを防ぐために使用することができる。
[実施例2]
CpG最適化iPSCの分化
CpGを含まないAcGFP1及びmRFP1をトランスフェクトしたiPSCは、培養中何継代にもわたって蛍光色素を構成的に発現し続けた。次のステップは、操作したiPSCから始原細胞及び最終段階の系統にiPSCが分化する際の蛍光色素の保持を確認することであった。CpGを含まないプラスミドをトランスフェクトした操作したiPSCは、内皮細胞、造血細胞、マクロファージ及びミクログリアの純粋な集団をうまく生成することが示された。
9650 GFP iPSCからのiPSC由来内皮細胞の生成:未分化の9650-GFPは、E8の存在下でMATRIGEL(商標)又はビトロネクチン上で維持し、少なくとも5~10継代にわたって低酸素に適応させたiPSCであった。内皮細胞の分化を開始させるため、サブコンフルエントになったiPSCを採取し、低酸素条件下で5uMのブレビスタチン又は1uMのH1152を補充したSerum Free Defined(SFD)培地(表5)の存在下、ピュアコートアミン培養皿に25万個の細胞/ウェルの密度で播種した。播種の24時間後に、細胞を、SFDEB#1培地として知られる(表7)、50ng/mlのBMP4、VEGF及びFGF-bを補充したSFD培地中に置いた。細胞を48時間ごとに4~6日間供給して、血液内皮始原細胞を生成した。これらの始原細胞を凍結保存するか又は組織培養処理したプラスチック表面に、正常酸素条件下で10k/cmの密度で再度播種して、H1152を含むSFDベースの内皮細胞培地(表7)の存在下で内皮細胞分化を開始させることができる。
例示的な方法では、凍結保存した6日目の血液内皮細胞又は生培養物を、1uMのH1152を含むSFDベースの内皮細胞培地の存在下、正常酸素条件下で、組織培養処理したプラスチック表面に10k/cmで播種した。細胞には、播種の24時間後に新鮮な内皮細胞培地を供給し、コンフルエントに達するまで48時間ごとに供給した。細胞がコンフルエントに達するには培養で5~6日かかった。細胞をTrypLE Selectを使用して採取し、表面内皮マーカーCD31、CD105及びCD144を染色し、内皮細胞培地とともに10k/cmの組織培養処理プラスチック上に再度播種し、正常酸素インキュベーター条件下に置いて、内皮細胞の純粋な集団を拡大し、増殖させた。
GFPで操作した9650及びRFPで操作した8717のiPSCからの造血始原細胞(HPC)の生成:E8の存在下、マトリゲル又はビトロネクチン上で維持したGFPで操作した9650及びRFPで操作した8717 iPSCを、少なくとも5~10継代にわたって低酸素に適応させた。サブコンフルエントになったiPSCから細胞を分割し(split)、5uMのブレビスタチン又は1uMのH1152を補充したSerum Free Defined(SFD)培地の存在下で、スピナーフラスコに25~50万個の細胞/mlの密度で播種した。播種の24時間後に、50ng/mlのBMP4、VEGF及びFGF2を補充したSFD培地を交換した。分化プロセスの5日目に、細胞を、50ng/mlのFlt-3リガンド、SCF、TP0、IL3及びIL6と10U/mlのヘパリンとを含有する培地中に置いた。細胞は、分化プロセスを通して48時間ごとに供給した。すべてのプロセスは低酸素条件下で実施した。HPCの純度は、CD4及びCD34の発現の定量によって決定した。プロセスの概要を図14に示す。HPCを、CD34抗体を使用する磁気選別によってさらに精製した。
HPCの純度は12日目から開始して評価し、図14Aに概略を示すように、CD34発現が20%を超えるまで続けた。分化HPC培養物はGFPの発現を保持した。図14B。9650株のCD34 MACS精製を15日目に実施した。RFPで操作した8717株は、HPCの生成効率が低いことが明らかになった。それにもかかわらず、培養液は分化プロセスを通してRFPの発現を保持した。17日目に、培養物の半分を消化し、ミクログリア分化のために播種し、残りの半分はマクロファージ分化のために凝集体として維持した。両株のプロセスの効率は図15で見ることができる。
ミクログリアの生成:精製したHPCを正常酸素条件下でミクログリア分化培地(MDM)中に置いた。培養物を48時間ごとに2X MDMを使用して供給し、分化プロセスは23日後に終了した。このプロセスの概略を図16に示す。ミクログリアの分化プロセスにおける細胞の形態及び蛍光は、図17A及び図17Bで観察することができる。HPCからミクログリアへのプロセスの効率は図18で見ることができる。
最終段階のミクログリア培養物の純度を評価した。フローサイトメトリーよるCD45、CD33、TREM2及びCD11bの細胞表面発現、並びにPU.1、IBA、P2RY12、TREM2、CX3CR1及びTMEM119の細胞内発現(図19A及び図19B)。
マクロファージの生成:マクロファージの分化は、HPC分化の17日目に8717-RFP株を用いて開始した。HPCからのマクロファージプロセスの概要を図20に示す。分化のこの部分の培地の編集物を表11に記載している。20日目に、凝集体を消化し、CMP培地に播種した。この時点で培養を正常酸素環境に変えた。1週間後に、培養をマクロファージ培地に変え、その後4日ごとに2倍のマクロファージ培地を供給した。CD68の純度を44日目及び51日目に評価し、図21に示す。52日目に細胞を採取し、凍結保存した。細胞の形態及び蛍光は図22で見ることができる。HPCからマクロファージへのプロセスの効率は図23に記載されている。フローサイトメトリーで測定した、iPS細胞からHPC、ミクログリア及びマクロファージへの蛍光強度を図24で実証する。
8717-RFP及び9650-GFPで操作したiPSCからの神経前駆細胞(NPC)の生成:神経始原細胞(NPC)は、ニューロン及びグリアを生成する能力を有する自己再生始原細胞である(Breunigら、2011年)。初代神経細胞及びiPSCからNPCを生成するプロトコールは数多く確立されており、その効率は様々である(Shiら、2012a、Shiら、2012b)。最近のプロトコールのほとんどは、SMADシグナル伝達経路の阻害に依拠している。本発明の方法は、デュアルSMAD阻害経路を使用することなく、外胚葉へ向かうiPSCの自然ドリフトを利用して、異なるiPSC株間でNPCを生成する簡単なプロトコールについて説明する。デュアルSMAD阻害を使用せずにiPSCから神経前駆細胞(NPC)を生成する方法の概略説明。関与する様々なステップ、及び使用される培地の組成は、図25に記載されている。簡単に説明すると、エピソームによりリプログラミングしたiPSC株、8717-RFP及び9650-GFPを、マトリゲル/ラミニン/ビトロネクチンをコーティングしたプレート及びE8培地上で維持した。iPSCを、NPCを生成するための分化の開始前に、低酸素条件下で維持した。神経前駆体の分化を開始させるために、iPSCを採取し、E8培地を使用して、ロック阻害剤の存在下で、マトリゲル、ラミニン又はビトロネクチンプレート上に15K/cmで播いた。細胞を、ロック阻害剤の非存在下で、次の48時間、新鮮なE8培地中に置いた。次のステップは、3μMのCHIRを補充したDMEMF12培地中に、72時間、正常酸素条件下で毎日培地を交換しながらiPSC培養物を置くことを含むプレコンディショニングステップを伴った。細胞を、プレコンディショニングステップ終了時に採取し、30K/cmでマトリゲル、ラミニン、若しくはビトロネクチンプレートに2Dフォーマットで再度播種するか、又はUltra low Attachment(ULA)プレート若しくはスピナーフラスコを使用し、ロック阻害剤の存在下で、30万個の細胞/mlの密度で3D凝集体を生成した。培養物に1日おきにN2を補充したE6培地を、その後8日間、正常酸素条件下で供給した。分化プロセスを通したGFP及びRFPの蛍光の保持が図26に捉えられている。分化14日目に培養物を採取し、TrypLEを使用して個別化した。細胞を、細胞表面染色により、SSEA4、CD56、CD15の存在について染色した。NPCの純度の定量を図27に示す。CD56を、この方法によって得られたNPCのマーカーとして使用した。細胞を、CS10を使用して凍結保存し、これらは、解凍後も純度及び増殖能を保持していた。
神経前駆細胞からのGABA作動性ニューロンの生成:NPCの効力は、NPCを解凍し、細胞を図28に概説した分化経路を辿らせることによって試験した。簡単に述べると、NPCはGABA作動性ニューロンを生成するための下流分化プロトコールに供した。NPCを解凍し、N2とNEAAを補充したDMEM/F12に0.3e6個/mLで10μMのブレビスタチンの存在下で24時間播き、凝集体を形成させた。培養物には、N2とNEAAとを補充したDMEM/F12と、ソニックヘッジホッグシグナル伝達分子(SHH)及びプルモルファミンをそれぞれ100ng/mL及び1.5μMを含む完全培地と、10日間毎日交換して与えた。DMEM/F12、N2、NEAA、及び10μMのブレビスタチンを使用してPLO-ラミニンをコーティングしたプレートに20万個/cmで24時間播種される前に、次の48時間培養では、培養物に、N2、NEAA、及び5μMのDAPTを補充したDMEM/F12を供給した。培養物には、DMEM/F12、N2、NEAA、及び5μMのDAPTをその後1日おきに供給し、播種の5日後に採取した。GABAニューロンの出現培養における蛍光の保持を図29に示す。iPSC段階から18日目のGABAニューロン分化までのGFP及びRFPの強度の定量化を図30に捉えている。最後に、ネスチン及びβ-チューブリン3の純度を定量することによって、最終段階のGABAニューロンの純度を図31に示した。これらの細胞分化は、CpG最適化iPSCが、これらに限定されるものではないが、上記のものを含む複数の細胞型に分化し得ることを示した。
[実施例3]
安定した発現のためのプロモーター
iPSC株における安定した導入遺伝子の発現は、時間及び分化後にわたって実現することが困難であった。多くのプロモーターは、サイレンシング又は可変的な発現を示し、以前の研究では、プロモーター、例えばPGK及びEEF1A1でこのことが示されている。以下の研究は、iPSCと分化細胞型の両方で安定した発現をもたらすために使用することができるプロモーター又はタグ付け可能な遺伝子の遺伝子座を同定するために行われた。DNAのメチル化が大きく変化し、発現に影響を及ぼすのは、分化プロセスの間であることが多く、よって、最良のプロモーターは、***している細胞と、細胞***がほとんどない静止細胞(例えば、成熟した、完全に分化した心筋細胞)の両方で活性である必要がある。
クローニングされるプロモーター:以下のプロモーターは、すべての細胞型において構成的発現の候補となりそうなものとして同定された。いくつかは既存のプラスミドからクローニングした(CAG、PGK、UBC-バージョン1、EEF1A1、ACTB)。その他の領域は、iPSCと分化細胞の両方で安定した発現をもたらすプロモーターを同定する目的で、(ゲノムDNAからPCRで、又は合成によって)新たに作製した。新しいプロモーターには、RPS19、UBA52、HSP90AB1、UBCの拡大領域(バージョン2)、UBB、RPSA、NACA、及びCOX8Aが含まれる。配列はpGL3プラスミドベクター(MluIとNcoIの制限部位間でSV40プロモーターを置き換える)にクローニングして、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を駆動する際のプロモーター強度の比較を可能にした。
一過的トランスフェクション中のルシフェラーゼ発現:iPSCへのプロモーター-pGL3プラスミドの一過的トランスフェクションを実施して、発現の強さを決定した。96wpフォーマットを使用して、50uLのE8培地+10uMのブレビスタチンを各ウェルに添加した。各プラスミドを、16.5uLの以下の試薬調製物を添加して3連でアッセイした。iPSC株01279.107の6wpの1ウェルを、アキュターゼを使用して採取し、3.5mLのE8培地+10uMのブレビスタチンに再懸濁させ、各ウェルに50uLを添加した。一日後、細胞をDual-Luciferase Reporter Assay System(Promega)を使用してアッセイした。
正規化したルシフェラーゼ(ホタル/ウミシイタケ比、EEF1A1=100%に対して正規化した)を以下に示す(HSP90AB1del400プロモーター及びHSP90AB1プロモーターはEEF1A1のおよそ66%及び75%を発現させた)。PGKプロモーターのレベル以上の発現値が望まれたので、RPS19、UBA52、HSP90AB1、及びUBCをさらなる研究のために選択した。
AAVS1セーフハーバー遺伝子座に組み込まれたZsGreen構築物:候補プロモーターよって駆動された長期発現を染色体に関連して調査するために、候補プロモーターを、ZsGreen蛍光タンパク質を制御するプラスミドにクローニングし、ヒトiPSCの第19染色体上のAAVS1セーフハーバー遺伝子座に標的化した(プラスミドデザインを、CAGプロモーターを例として使用して以下に示す)。プラスミドをCRISPRに媒介される遺伝子編集によりiPSC株01279.107に組み込み、ピューロマイシン選択を適用し、耐性コロニーを摘出し、PCRにより遺伝子型を決定した。正しく標的化されたヘテロ接合性クローンを拡大した。
構成的発現をもたらすタグ付けに好適なゲノム遺伝子座:セーフハーバーからのプロモーターに駆動される発現に加えて、ほとんどの細胞型で発現する特定の遺伝子にレポーター遺伝子をタグ付けして、構成的発現を得ることができる。HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、及びMYL6という遺伝子を評価用に選択し、TALENに媒介される遺伝子編集によってZsGreen及びF2A切断配列でタグ付けした。正しく標的化されたヘテロ接合性クローンを拡大した。
iPSCにおけるZsGreen発現:ZsGreen蛍光タンパク質を発現する操作したiPSC株の培養を最長7カ月間維持し(E8培地/ビトロネクチンをコーティングしたプレート)、Accuri C6機器(BD)でフローサイトメトリーを使用して緑色発現を定期的にチェックした。8月の時点で多くの細胞で蛍光の低下を示したRPS19プロモータークローンの1つ(5363)を除けば、ほとんどのクローンは経時的に一貫したフロープロファイルを維持した。
分化:分化後の発現の安定性を決定するために、操作された株を、神経細胞型又は心臓細胞型のいずれかに誘導する分化プロトコールに供した。
分化21日目に、すべての細胞が目に見えるニューロン表現型を有した。フローサイトメトリーは、多くの細胞で、CAG、UBC(v1)、及びHSP90AB1del400プロモーターの蛍光が減退していることを示した。UBCv2、UBA52、及びRPS19プロモーターは、タグ遺伝子HSP90AB1、CTNNB1、及びMYL6と同様に、タイトで安定した発現を示した。
分化21日目に、CAG、UBC(v1)、RPS19、及びHSP90AB1del400プロモーター株は、様々な量の発現のサイレンシングを示した。UBC(v2)及びUBA52プロモーターは、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、及びMYL6のタグ付き遺伝子と同様に、タイトで安定した発現を示した。
新たに生成したプロモーター領域UBCv2、UBA52、RPS19、及びHSP90AB1del400は、培養4カ月にわたり、7カ月まで安定したiPSC発現を示したが、RPS19だけはこの時点で若干のサイレンシングを示した。HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、及びMYL6遺伝子の遺伝子座では、タグ付きZsGreenレポーターの安定した発現が示された。UBCv2及びUBA52レポーターは、HSP90AB1、CTNNB1、及びMYL6遺伝子から誘導される発現と同様に、2つの分化プロトコール下で安定であることが示された。
本明細書において開示され、特許請求されるすべての方法は、本開示に照らして過度の実験を行うことなく成し遂げられ、実行することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態の観点から記載されているが、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法のステップ又はステップの順序において、本方法に変更を適用し得ることは、当業者には明らかであろう。より詳細には、化学的及び生理学的に関連するある特定の薬剤を、本明細書に記載の薬剤と置き換えても、同じ又は類似の結果が得られることは明らかであろう。当業者に明らかなこのような類似の代替物及び改変はすべて、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨、範囲及び概念の範囲内であるとみなされる。
参照文献
以下の参照文献は、それらが本明細書に記載されたものを補足する例示的な手順又は他の詳細を提供する限りにおいて、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
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米国特許5,935,819
米国特許5,945,100
米国特許5,981,274
米国特許5,994,136
米国特許5,994,136
米国特許5,994,624
米国特許6,013,516
米国特許6,103,470
米国特許6,140,081
米国特許6,416,998
米国特許6,453,242
米国特許6,534,261
米国特許7,442,548
米国特許7,598,364
米国特許7,989,425
米国特許8,058,065
米国特許8,071,369
米国特許8,129,187
米国特許8,268,620
米国特許8,278,620
米国特許8,546,140
米国特許8,546,140
米国特許8,741,648
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米国特許公開2007/0218528
米国特許公開2009/0148425
米国特許公開2009/0246875
米国特許公開2010/0003757
米国特許公開2010/0210014
米国特許公開2011/0301073
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Claims (102)

  1. 少なくとも1つの導入遺伝子を発現するように操作された単離された細胞株であって、少なくとも1つの導入遺伝子が、(a)配列番号1~12若しくは17に対して少なくとも90%の配列同一性を有するプロモーターの制御下にある、(b)HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、及びUBCからなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある、及び/又は(c)CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされる、細胞株。
  2. 少なくとも1つの導入遺伝子が、(a)配列番号1~12若しくは17に対して少なくとも90%の配列同一性を有するプロモーターの制御下にある、及び/又は(b)HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、及びUBCからなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある、請求項1に記載の細胞株。
  3. 少なくとも1つの導入遺伝子が、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされている、請求項2に記載の細胞株。
  4. CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列が、配列番号14又は配列番号16に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項3に記載の細胞株。
  5. CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列が、配列番号14又は配列番号16である、請求項3に記載の細胞株。
  6. 少なくとも1つの導入遺伝子が、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされており、配列番号1~12又は17に対して少なくとも少なくとも90%の配列同一性を有するプロモーターの制御下にある、請求項1に記載の細胞株。
  7. 少なくとも1つの導入遺伝子が、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされており、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、及びUBCからなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある、請求項1に記載の細胞株。
  8. 少なくとも1つの導入遺伝子が、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされており、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、及びMYL6からなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある、請求項1に記載の細胞株。
  9. 細胞株が、少なくとも第1の導入遺伝子及び第2の導入遺伝子を発現するように操作されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の細胞株。
  10. 第1の導入遺伝子が、配列番号1~12又は17に対して少なくとも90%の配列同一性を有するプロモーターの制御下にあり、第2の導入遺伝子が、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、及びUBCからなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある、請求項9に記載の細胞株。
  11. 第1の導入遺伝子が、配列番号1~12又は17に対して少なくとも90%の配列同一性を有するプロモーターの制御下にあり、第2の導入遺伝子が、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、及びMYL6からなる群から選択される内因性遺伝子の制御下にある、請求項9に記載の細胞株。
  12. 第1の導入遺伝子及び/又は第2の導入遺伝子が、CpGモチーフを除去して安定した発現をもたらすように改変された配列によってコードされている、請求項9又は11に記載の細胞株。
  13. CpGモチーフの少なくとも50パーセントが除去されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の細胞株。
  14. CpGモチーフの少なくとも70パーセントが除去されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の細胞株。
  15. CpGモチーフの少なくとも90パーセントが除去されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の細胞株。
  16. CpGモチーフのすべてが除去されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の細胞株。
  17. CpGモチーフのコドンが、稀ではない及び/又はモノヌクレオチドストレッチを生じないコドンで置き換えられている、請求項1から16のいずれか一項に記載の細胞株。
  18. CpGモチーフのコドンが、表1の対応するコドンで置き換えられている、請求項1から17のいずれか一項に記載の細胞株。
  19. 細胞株が、人工多能性幹細胞(iPSC)株である、請求項1から18のいずれか一項に記載の細胞株。
  20. 導入遺伝子が、レポーター遺伝子又は選択マーカーである、請求項1から19のいずれか一項に記載の細胞株。
  21. 少なくとも1つの導入遺伝子がレポーター遺伝子である、請求項1から20のいずれか一項に記載の細胞株。
  22. レポーター遺伝子が蛍光タンパク質である、請求項21に記載の細胞株。
  23. レポーター遺伝子が緑色蛍光タンパク質(GFP)又は赤色蛍光タンパク質(RFP)である、請求項21に記載の細胞株。
  24. 少なくとも1つの導入遺伝子が選択マーカーである、請求項1から23のいずれか一項に記載の細胞株。
  25. 選択マーカーが、ピューロマイシン、ネオマイシン、又はブラスチシジンである、請求項24に記載の細胞株。
  26. 少なくとも1つの導入遺伝子が自殺遺伝子である、請求項1から23のいずれか一項に記載の細胞株。
  27. 少なくとも1つの導入遺伝子が、チミジンキナーゼ、TET、又は筋芽細胞決定タンパク質1(MYOD1)である、請求項1から25のいずれか一項に記載の細胞株。
  28. 細胞株が、6カ月を超えて、導入遺伝子の安定した発現を有する、請求項1から27のいずれか一項に記載の細胞株。
  29. 少なくとも1つの導入遺伝子が発現カセットによってコードされている、請求項1から28のいずれか一項に記載の細胞株。
  30. 少なくとも1つの導入遺伝子が、電気穿孔又はリポフェクションによって細胞株に導入されている、請求項1から29のいずれか一項に記載の細胞株。
  31. 発現カセットが、ゲノムセーフハーバー部位に挿入されている、請求項1から30のいずれか一項に記載の細胞株。
  32. ゲノムセーフハーバー部位が、PPP1R12C(AAVS1)遺伝子座又はROSA遺伝子座にある、請求項31に記載の細胞株。
  33. プロモーターが、配列番号2、3、4、6、又は17に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項1から32のいずれか一項に記載の細胞株。
  34. プロモーターが、配列番号2、3、4、6、又は17に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1から33のいずれか一項に記載の細胞株。
  35. プロモーターが、配列番号2、3、4、6、又は17を含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の細胞株。
  36. プロモーターが応答エレメントである、請求項1から35のいずれか一項に記載の細胞株。
  37. プロモーターが応答エレメントによって駆動される、請求項1から35のいずれか一項に記載の細胞株。
  38. 導入遺伝子が遺伝子編集を含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の細胞株。
  39. 遺伝子編集が、TALEN媒介遺伝子編集、CRISPR媒介遺伝子編集、又はZFN媒介遺伝子編集を含む、請求項38に記載の細胞株。
  40. 操作された細胞株における導入遺伝子の発現のサイレンシングを防止するための方法であって、CpGモチーフを除去するために導入遺伝子配列を最適化することを含む方法。
  41. 最適化することが、本質的にすべてのCpGモチーフのコドンを置き換えることを含む、請求項40に記載の方法。
  42. 最適化することが、CpGモチーフの少なくとも50パーセントを置き換えることを含む、請求項40に記載の方法。
  43. CpGモチーフの少なくとも70パーセントが除去される、請求項40に記載の方法。
  44. CpGモチーフの少なくとも90パーセントが除去される、請求項40に記載の方法。
  45. CpGモチーフのすべてが除去される、請求項40に記載の方法。
  46. CpGモチーフのコドンが、稀ではない及び/又はモノヌクレオチドストレッチを生じないコドンで置き換えられる、請求項40から45のいずれか一項に記載の方法。
  47. CpGモチーフのコドンが、表1の対応するコドンで置き換えられる、請求項46に記載の方法。
  48. CpGモチーフを除去するために最適化された導入遺伝子の配列が、野生型導入遺伝子の配列のGC含有量のパーセントと実質的に同様のGC含有量のパーセントを含む、請求項40から46のいずれか一項に記載の方法。
  49. 導入遺伝子の配列がレポーター遺伝子である、請求項40から48のいずれか一項に記載の方法。
  50. レポーター遺伝子がGFP又はRFPである、請求項49に記載の方法。
  51. 導入遺伝子が、構成的プロモーターの制御下にある、請求項40から50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 構成的プロモーターが、実質的にすべての細胞型で発現を有する、請求項51に記載の方法。
  53. 構成的プロモーターが、本質的にすべての細胞型で発現を有する、請求項51に記載の方法。
  54. 構成的プロモーターが、すべての細胞型で発現を有する、請求項51に記載の方法。
  55. 導入遺伝子が、誘導性プロモーターの制御下にある、請求項40から50のいずれか一項に記載の方法。
  56. 導入遺伝子が、EEF1A1プロモーターの制御下にある、請求項40から50のいずれか一項に記載の方法。
  57. 細胞株を酪酸ナトリウム、VPA、又はTSAで処理することをさらに含む、請求項40から56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 細胞株を酪酸ナトリウムで処理することをさらに含む、請求項40から56のいずれか一項に記載の方法。
  59. 酪酸ナトリウムが、0.25mM~0.5mMの濃度で添加される、請求項58に記載の方法。
  60. 細胞株が、iPSC株である、請求項40から59のいずれか一項に記載の方法。
  61. iPSC株を分化させることをさらに含む、請求項60に記載の方法。
  62. iPSC株が分化する、請求項61に記載の方法。
  63. iPSC株が成熟細胞に分化する、請求項61に記載の方法。
  64. iPSC株が、造血前駆細胞、神経前駆細胞、GABA作動性ニューロン、マクロファージ、ミクログリア、又は内皮細胞に分化する、請求項61に記載の方法。
  65. 配列番号1~12又は17に対して少なくとも90%の配列同一性を有するプロモーターを含む発現ベクター。
  66. プロモーターが、配列番号2、3、4、6、又は17に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項65に記載の発現ベクター。
  67. プロモーターが、配列番号2、3、4、6、又は17に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項65又は66に記載の発現ベクター。
  68. プロモーターが、配列番号2、3、4、6、又は17を含む、請求項65から67のいずれか一項に記載の発現ベクター。
  69. 発現ベクターが、pGL3プラスミドベクターである、請求項65から68のいずれか一項に記載の発現ベクター。
  70. ベクターが、プロモーターの制御下にある導入遺伝子をコードする、請求項65から69のいずれか一項に記載の発現ベクター。
  71. 導入遺伝子がレポーター遺伝子である、請求項70に記載の発現ベクター。
  72. レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)又は赤色蛍光タンパク質(RFP)である、請求項71に記載の発現ベクター。
  73. 安定した導入遺伝子の発現を有する細胞株を生成する方法であって、請求項55から65のいずれか一項に記載のベクターを発現するように細胞株を操作することを含み、ベクターが前記導入遺伝子をコードする、方法。
  74. 細胞株が、多能性細胞株である、請求項73に記載の方法。
  75. 多能性細胞株が、iPSC株である、請求項73又は74に記載の方法。
  76. ベクターを第19染色体上のAAVS1遺伝子座に組み込むことを含む、請求項73から75のいずれか一項に記載の方法。
  77. 組み込むことが遺伝子編集を含む、請求項73から76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 組み込むことが、CRISPR媒介遺伝子編集、TALEN媒介遺伝子編集、又はZFN媒介編集を含む、請求項73から76のいずれか一項に記載の方法。
  79. 細胞株を分化させることをさらに含む、請求項73から78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 細胞株が、ニューロン又は心臓細胞に分化する、請求項73から79のいずれか一項に記載の方法。
  81. 細胞株が少なくとも30日間培養される、請求項73から80のいずれか一項に記載の方法。
  82. 細胞株が、少なくとも6カ月間培養される、請求項73から80のいずれか一項に記載の方法。
  83. 細胞株が、少なくとも30日間、導入遺伝子の安定した発現を有する、請求項73から81のいずれか一項に記載の方法。
  84. 細胞株が、6カ月において、導入遺伝子の安定した発現を有する、請求項73から82のいずれか一項に記載の方法。
  85. 請求項55から84のいずれか一項に記載の発現ベクターを含む単離された多能性細胞株。
  86. 外因性導入遺伝子の安定した発現を有する細胞株を生成する方法であって、内因性遺伝子の制御下で導入遺伝子を発現するように細胞株を操作することを含み、内因性遺伝子が、HSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、又はUBCである、方法。
  87. 操作することが遺伝子編集を含む、請求項86に記載の方法。
  88. 遺伝子編集が、TALEN媒介遺伝子編集、CRISPR媒介遺伝子編集、又はZFN媒介遺伝子編集を含む、請求項87に記載の方法。
  89. 導入遺伝子が、レポーター遺伝子、選択マーカー、又は自殺遺伝子である、請求項86から88のいずれか一項に記載の方法。
  90. 細胞株が、多能性細胞株である、請求項86から89のいずれか一項に記載の方法。
  91. 多能性細胞株が、iPSC株である、請求項90に記載の方法。
  92. 導入遺伝子でタグ付けされた内因性のHSP90AB1、ACTB、CTNNB1、MYL6、UBA52、CAG、RPS、又はUBCを有する単離された細胞株。
  93. 導入遺伝子が、レポーター遺伝子又は選択マーカーである、請求項92に記載の細胞株。
  94. 細胞株が、多能性細胞株である、請求項92に記載の細胞株。
  95. 多能性細胞株が、iPSC株である、請求項94に記載の細胞株。
  96. 請求項1から39、85、又は92から95のいずれか一項に記載の細胞株を培養すること、及びレポーター遺伝子の発現を測定することを含む、細胞を検出するためのアッセイ。
  97. 細胞アッセイのための請求項1から39、85、又は92から95のいずれか一項に記載の細胞株の使用。
  98. 細胞アッセイが細胞生存率アッセイである、請求項97に記載の使用。
  99. 細胞アッセイが、候補薬剤をスクリーニングするためのアッセイである、請求項97に記載の使用。
  100. アッセイがハイスループットアッセイである、請求項97から99のいずれか一項に記載の使用。
  101. 細胞アッセイが、レポーター遺伝子の発現を測定することを含む、請求項97から100のいずれか一項に記載の使用。
  102. 細胞アッセイにおいて使用するための請求項1から39、85、又は92から95のいずれか一項に記載の細胞株を含む組成物。
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