JP2024519847A - 原核生物フェニルアラニンアンモニアリアーゼの組成物及び青年対象を治療する方法 - Google Patents

原核生物フェニルアラニンアンモニアリアーゼの組成物及び青年対象を治療する方法 Download PDF

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Abstract

PKUに罹患した青年対象の治療を含む治療用途のための、野生型のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)と比較してより高いフェニルアラニン変換活性及び/又は低下した免疫原性を有するフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)バリアント。【選択図】 図1A

Description

(1.関連出願への相互参照)
本出願は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている2021年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/190,567号の利益を主張する。
(2.配列表)
本出願は、「11808-479-228_SEQ_LISTING.txt,」と名付けられ、2022年5月15日に作成され、サイズが20,195バイトであるテキストファイルとして本出願と共に提出される配列表を引用により組み込む。
(3. 開示の分野)
本開示は、原核生物フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)及びその組成物、並びに原核生物PALの免疫原性及び/又はタンパク分解感受性を低下させつつ原核生物PALの触媒活性及び/又は安定性を向上させるそのような組成物の最適化に関する。さらに、本開示は、原核生物PALのそのような最適組成物の、青年対象を治療するための使用に関する。
(4. 開示の背景)
PALは、植物(Koukolらの文献、J. Biol. Chem. 236:2692-2698 (1961); Hansonらの文献、The Enzymes 7:75-166 (1972); Poppeらの文献、Curr. Org. Chem. 7:1297-1315 (2003))、一部の真菌(Raoらの文献、Can. J. Biochem. 4512:1863-1872 (1967); Abellらの文献、Methods Enzymol. 142:242-253 (1987))、及び細菌(Bezansonらの文献、Can. J. Microbiol. 16:147-151 (1970); Xiangらの文献、J. Biol. Chem. 277:32505-32509 (2002); Hillらの文献、Chem. Commun. 1358-1359 (2003))に広く分布している非哺乳類酵素であり、組換えによって大腸菌(Escherichia coli)内で産生させることができる。
シアノバクテリア株アナベナ・バリアビリス(Anabaena variabilis)(Av)由来のPALが、クローニングされて細菌で発現されており、PAL酵素活性をインビトロ及びインビボで示すことが明らかにされている(例えば、米国特許第7,531,341号;第7,534,595号;第7,537,923号;及び第7,560,263号を参照されたい)。また、ペグ化された組換えアナベナ・バリアビリスPAL(rAvPAL-PEG)も作られており、ここで、該rAvPALタンパク質は、ポリエチレングリコール(PEG)の共有結合による取り付けによって誘導体化されて、その半減期を増加させ、かつその薬物動態プロファイルを最適化し、かつ/又はその免疫原性を低下させている(同文献)。近年、rAvPAL-PEGが、成人対象におけるフェニルケトン尿症(PKU)の治療のための注射用製品として承認された。そのような治療用物質を青年対象において使用するための方法の必要性が依然として存在する。
(5.開示の概要)
一態様において、本明細書で提供されるのは、対象において血中フェニルアラニン濃度を低下させるための方法であって、該対象にAvPALバリアントを含む製剤の1週間用量を投与することを含み、該対象が、約12歳~約18歳であり、かつ該1週間用量が、約50週間超投与され、該AvPALバリアントが、配列番号:2、配列番号:3、又は配列番号:4のアミノ酸配列を含む、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約60週間超、約70週間超、約80週間超、約90週間超、約100週間超、約110週間超、約120週間超、約130週間超、約140週間超、約150週間超、約160週間超、約170週間超、約180週間超、約190週間超、約200週間超、約210週間超、約220週間超、約230週間超、約240週間超、又は約250週間超投与される。
いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約0.1mg~1週間あたり約1mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約1mg~1週間あたり約2mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約2mg~1週間あたり約10mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約10mg~1週間あたり約20mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約20mg~1週間あたり約40mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約40mg~1週間あたり約70mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約70mg~1週間あたり約140mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約140mg~1週間あたり約280mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約280mg~1週間あたり約420mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約420mg~1週間あたり約840mgの範囲である。
いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、週1回投与される。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、週2回投与される。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、1週間あたり4回投与される。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、1週間あたり7回投与される。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、1週間あたり14回投与される。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、毎日投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法は、前記対象に前記AvPALバリアントを、1週間あたり約0.1mg~1週間あたり約10mgの範囲の導入投薬量で投与すること、それに続き、該対象に該AvPALバリアントを、1週間あたり約1mg~1週間あたり約200mgの範囲の用量調節投薬量で投与すること、それに続き、該対象に該AvPALバリアントを、1週間あたり約20mg~1週間あたり約840mgの範囲の維持投薬量で投与することを含む。いくつかの実施態様において、前記導入投薬量は、1週間あたり約2.5mgである。いくつかの実施態様において、前記用量調節投薬量は、1週間あたり約5mg~1週間あたり約70mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、1週間あたり約140mg~1週間あたり約420mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記導入投薬量は、約2週~約6週の期間投与され、前記用量調節投薬量は、約3週~約8週の期間投与され、かつ前記維持投薬量は、約50週~約80週の期間投与される。いくつかの実施態様において、前記導入投薬量は、約4週の期間投与され、前記用量調節投薬量は、約5週の期間投与され、かつ前記維持投薬量は、約56週~64週の期間投与される。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、1週間あたり約70mg~1週間あたり約280mgの第1の維持投薬量、1週間あたり約140mg~1週間あたり約560mgの第2の維持投薬量、及び1週間あたり約210mg~1週間あたり約840mgの第3の維持投薬量から構成される。いくつかの実施態様において、前記第1の維持投薬量は、約16週~約24週の期間投与され、前記第2の維持投薬量は、約16週の期間投与され、かつ前記第3の維持投薬量は、約24週の期間投与される。
いくつかの実施態様において、前記維持投薬量の投与後に、前記方法は、対象に前記AvPALバリアントを1週間あたり約20mg~1週間あたり約840mgの範囲の延長投薬量で投与することをさらに含む。いくつかの実施態様において、該延長投薬量は、約40週~約120週の期間投与される。
いくつかの実施態様において、前記導入投薬量は、約4週の期間投与され、前記用量調節投薬量は、約5週の期間投与され、前記維持投薬量は、約64週の期間投与され、かつ前記延長投薬量は、約80週の期間投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法は、前記導入投薬量を投与することの前に前記血中フェニルアラニン濃度を評価することをさらに含む。
いくつかの実施態様において、前記方法は、1回以上の導入投薬量、用量調節投薬量、維持投薬量、及び/又は延長投薬量の投与の後に、前記血中フェニルアラニン濃度を評価することをさらに含む。
いくつかの実施態様において、前記方法は、前記血中フェニルアラニン濃度に基づいて前記投薬量を調整することをさらに含む。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、約600μM未満の血中フェニルアラニン濃度を達成するように調整される。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、約360μM未満の血中フェニルアラニン濃度を達成するように調整される。いくつかの実施態様において、血中フェニルアラニン濃度が、約360μM超である場合に、前記維持投薬量は増加される。
いくつかの実施態様において、前記対象は、フェニルケトン尿症(PKU)に罹患している。いくつかの実施態様において、前記対象は、約12歳~約15歳である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約16歳~約17歳である。
いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、配列番号:2のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、配列番号:3のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、配列番号:4のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、ペグ化されている。いくつかの実施態様において、前記ペグ化は、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが少なくとも1.6個の比率で反応させることにより達成される。いくつかの実施態様において、前記ペグ化は、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが少なくとも2.4個の比率で反応させることにより達成される。いくつかの実施態様において、前記ペグ化は、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが3個の比率で反応させることにより達成される。いくつかの実施態様において、前記ペグ化は、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが5個の比率で反応させることにより達成される。いくつかの実施態様において、前記ペグ化は、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが6個の比率で反応させることにより達成される。いくつかの実施態様において、前記ペグ化は、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが7個の比率で反応させることにより達成される。いくつかの実施態様において、前記ペグ化は、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが8個の比率で反応させることにより達成される。いくつかの実施態様において、前記ペグ化は、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが9個の比率で反応させることにより達成される。
いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、安定化剤を含む医薬として許容し得る担体を含む製剤として投与される。いくつかの実施態様において、前記安定化剤は、L-フェニルアラニン又はその構造類似体である。いくつかの実施態様において、前記安定化剤は、L-フェニルアラニン、trans-桂皮酸、及び安息香酸からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、前記安定化剤は、trans-桂皮酸である。いくつかの実施態様において、前記製剤は、塩化ナトリウム、並びにトロメタミン及びトロメタミン塩酸塩をさらに含む。
本開示の他の特徴及び利点が、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、詳細な説明及び具体例は、本開示の好適な実施態様を表しているものの、当業者には当該詳細な説明から、本開示の主旨及び範囲を超えないさまざまな変更及び修正が明らかであろうから、これらが、例示としてのみ示されていることが理解されるべきである。
(6. 図面の簡単な説明)
図1Aは、血中Phe閾値≦600μmol/Lを満たした対象の百分率を示す。図1Bは、血中Phe閾値≦360μmol/Lを満たした対象の百分率を示す。図1Cは、血中Phe閾値≦120μmol/Lを満たした対象の百分率を示す。
図2Aは、コホートA(16歳~17歳の人):単一群非盲検の試験についての試験の概要を説明する。図2Bは、コホートB(12歳~15歳の人)についての試験:ペグバリアーゼ活性治療アーム対食事制限単独対照アーム(登録時に無作為化された治療の割当)の概要を説明する。図2Cは、コホートA、及びコホートBの活性薬アームの投薬の概略図を示す。9名のコホートB食事制限単独対照の対象は、第1週から第73週までパート1の評価スケジュール(ペグバリアーゼ投薬を除く)に従い、その後、第74週から第146週までペグバリアーゼ投薬を含むパート1の評価スケジュールを繰り返す。
図3は、パート1(コホートA、及びコホートBの活性薬アーム)についての評価のスケジュールを示す。ACTH、副腎皮質刺激ホルモン;ADHD-RS IV、注意欠陥多動性障害評価尺度IV;BRIEF、実行機能の行動評価尺度、ECG、心電図;eCRF、電子症例報告書;HRV、過敏症反応での通院;PK、薬物動態;PKU、フェニルケトン尿症;SC/ET、試験完了/早期中止での通院。a)計画される通院は全て、試験のクリニックにおけるもの又は在宅医療看護師によるものである;非通院は、電話によるものである。評価は、特に明記されない限り、投与前に行われる。b)書面によるインフォームドコンセント後、スクリーニング評価を、パート1の第1日の前28日以内に行わなければならない。対象は、スクリーニング/観察の間に、2~4週間空けた2回の測定で血中Phe濃度について評価される。c)第1の治験薬用量の自己投与は、試験クリニックにおいて行われる;適格性が文書化されたら、対象は、治験薬を毎日自己投与する。d)治験薬の初回投与の実施前に完了されていなければならない。スクリーニング後に確認された追加の観察者は、訓練を受けなければならない。e)PKUの病歴は、最高血中Phe(及び年齢)、対象による代謝調節の評価、及び低Phe食が中止された時の年齢を含む。f)HIV、B型及びC型肝炎スクリーニングが行われる。g)尿試料は、1回目又は2回目の朝の排尿として得ることが推奨される。試験結果に基づく尿中タンパク質の上昇の場合には、再度の尿検査が、行われるべきである。この再度の尿試料は、正確な試験結果を可能にするために午前中の1回目又は2回目の朝の排尿時に行われなければならず、在宅医療看護師によって行われてもよい。h)現地の検査機関によって行われるものとする。i)血清コルチゾール試料は、午前10:00より前の午前中の治験薬投与の前に採取されるべきである。対象の利便性のために、在宅医療看護師が、試料を集めてもよい。2つの結果が、低くかつ異常である場合、対象は、血漿ACTHのための追加のサンプリング及び低用量慣用ACTH刺激試験又は施設での診療に基づくACTH試験方法を行うように依頼される。j)尿試料は、1回目又は2回目の朝の排尿として得ることが推奨される。≧100mg/gの尿/アルブミンクレアチニン比が確認されている対象は、ベースラインにおいて結果が正常範囲内であった場合には、腎臓専門医を受診させるべきである。ベースラインにおいて上昇した結果を有していた対象であって、それに続き、100~200mg/gのベースラインからの増加がその後に確認された対象も、腎臓専門医を受診させるべきである。k)現地で実施されるものとする(適用可能な場合)。尿妊娠検査が、陽性であるか又はどちらとも取れる場合には、血清妊娠検査(中央検査機関)を実施しなければならない。l)対象は、試験のための通院の前の連続する3日間で消費した食品、飲料、専用低タンパク質食品、及び医療用食品を全て家で記録すべきである。タンパク質(食事用食品及び医療用食品)摂取量の変更は、パート1では許されない。スクリーニング時に、パート1、第1週での報告に使用するための食事日誌が配布される。m)血液が、治験薬投与の前に採取される(投与前)。集中的PKサンプリングが、第73週の時点で全ての対象において行われる。試料は、投与前、投与後2、4、8、12、及び24時間に採取される。24時間での試料は、次の1日量の前に採取される。n)2.5~5時間絶食した後に血漿Phe分析のために血液が採取される。o)免疫原性アッセイは、総抗ペグバリアーゼ抗体(TAb)、抗PAL IgG、抗PAL IgM、抗PEG IgM、抗PEG IgG、及び中和抗体(NAb)を含む。過敏症反応(HRV)での通院時には、抗ペグバリアーゼIgEのみが評価される。p)治験責任医師による評価。q)養護者/親によって記入される。r)計画された通院と通院の間、クリニックの職員は、対象と毎週連絡を取り、対象が、自己投与に伴う問題を抱えていないかどうかをモニタリングし、AE又は併用薬について尋ね、質問に解答する。s)対象が試験担当者による評価を受ける時はいつでも、AE及び併用薬が記録されるべきである。署名されたインフォームドコンセントの後かつペグバリアーゼの初回投与前は、試験手順に関連するSAEのみが集められる。初回投与後は、最後の治験薬用量又は試験完了通院/早期中止通院のどちらか最後に起こった方の4週間後まで、全てのAE及びSAEが集められる。≧14日持続する皮膚反応がある場合は、該皮膚反応が、eCRFに記入されるべきである。≧14日間持続する注射部位皮膚反応がある対象は、皮膚科医を受診させ皮膚生検を受けさせるべきである(任意選択)。事象を評価するのに役立つように、当該皮膚反応の写真が、対象又は機関によって撮影されることが推奨される;写真は、治験依頼者によって集められてもよい。t)対象は、治験責任医師の決定によって、治験薬の約2~3時間前にH1アンタゴニスト、及びH2アンタゴニスト、及び解熱剤(例えば、アセトアミノフェン)を事前投与されてもよい。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が、前投薬として投与される場合、それは、食品と共に与えられるべきである。非通院の場合、対象は、治験薬自己投与について尋ねられる。
図4は、パート2(コホートA、及びコホートBの活性薬アーム)の評価のスケジュールを説明する。ACTH、副腎皮質刺激ホルモン;ADHD-RS IV、注意欠陥多動性障害評価尺度IV;BRIEF、実行機能の行動評価尺度、ECG、心電図;eCRF、電子症例報告書;HRV、過敏症反応での通院;PK、薬物動態;PKU、フェニルケトン尿症;SC/ET、試験完了/早期中止での通院。a)計画される通院は全て、試験のクリニックにおけるもの又は在宅医療看護師によるものである;非通院は、電話によるものである。評価は、特に明記されない限り、投与前に行われる。b)第73週の通院は、1次治療期(パート1)の終わり及び延長期(パート2)の始まりの双方となる。1次治療期の終わりを構成する投与前評価及び延長期の始まりを構成する治験薬の投与を、図3及び図4双方の第73週の列に示す。c)スクリーニング後に確認された追加の観察者は、訓練を受けなければならない。d)尿試料は、1回目又は2回目の朝の排尿として得ることが推奨される。試験結果に基づく上昇した尿中タンパク質の場合には、再度の尿検査が、行われるべきである。この再度の尿試料は、正確な試験結果を可能にするために午前中の1回目又は2回目の朝の排尿時に行われなければならず、在宅医療看護師によって行われてもよい。e)現地の検査機関によって行われるものとする。f)血清コルチゾール試料は、午前10:00より前の午前中の治験薬投与の前に採取されるべきである。対象の利便性のために、在宅医療看護師が、試料を集めてもよい。2つの結果が、低くかつ異常である場合、対象は、血漿ACTHのための追加のサンプリング及び低用量慣用ACTH刺激試験又は施設での診療に基づくACTH試験方法を行うように依頼される。g)尿試料は、1回目又は2回目の朝の排尿として得ることが推奨される。≧100mg/gの尿/アルブミンクレアチニン比が確認されている対象は、ベースラインにおいて結果が正常範囲内であった場合には、腎臓専門医を受診させるべきである。ベースラインにおいて上昇した結果を有する対象であって、それに続き、ベースラインからの100~200mg/gの増加がその後確認された対象も、腎臓専門医を受診させるべきである。h)現地で実施されるものとする(適用可能な場合)。尿妊娠検査が、陽性であるか又はどちらとも取れる場合には、血清妊娠検査(中央検査機関)を実施しなければならない。i)対象は、試験のための通院の前の連続する3日間で消費した食品、飲料、専用低タンパク質食品、及び医療用食品を全て家で記録すべきである。タンパク質(食事用食品及び医療用食品)摂取量の変更は、パート1では許されない。スクリーニング時に、パート1、第1週での報告に使用するための食事日誌が配布される。j)血液が、治験薬投与の前に採取される(投与前)。集中的PKサンプリングが、第73週の時点で全ての対象において行われる。試料は、投与前、投与後2、4、8、12、及び24時間に採取される24時間での試料は、次の1日量の前に採取される。k)2.5~5時間絶食した後に血漿Phe分析のために血液が採取される。l)免疫原性アッセイは、総抗ペグバリアーゼ抗体(TAb)、抗PAL IgG、抗PAL IgM、抗PEG IgM、抗PEG IgG、及び中和抗体(NAb)を含む。過敏症反応(HRV)での通院時には、抗ペグバリアーゼIgEのみが評価される。m)治験責任医師による評価。n)養護者/親によって記入される。o)計画された通院と通院の間、クリニックの職員は、毎週対象と連絡を取り、対象が、自己投与に関する問題を抱えているかどうかをモニタリングし、AE又は併用薬について尋ね、質問に解答する。p)対象が試験担当者による評価を受ける時はいつでも、AE及び併用薬が記録されるべきである。最後の治験薬用量又は試験完了通院/早期中止通院のどちらか最後に起こった方の4週間後まで、全てのAE及びSAEが集められる。≧14日間持続する皮膚反応がある場合は、該皮膚反応が、eCRFに記入されるべきである。≧14日持続する注射部位皮膚反応がある対象は、皮膚科医を受診させ皮膚生検を受けさせるべきである(任意選択)。事象を評価するのに役立つように、当該皮膚反応の写真が、対象又は機関によって撮影されることが推奨される;写真は、治験依頼者によって集められてもよい。q)対象は、治験責任医師の決定によって、治験薬の約2~3時間前にH1アンタゴニスト、及びH2アンタゴニスト、及び解熱剤(例えば、アセトアミノフェン)を事前投与されてもよい。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が、前投薬として投与される場合、それは、食品と共に与えられるべきである。非通院の場合、対象は、治験薬自己投与について尋ねられる。
図5は、パート1(コホートBの食事制限単独対照アーム)の評価のスケジュールを説明する。ACTH、副腎皮質刺激ホルモン;ADHD-RS IV、注意欠陥多動性障害評価尺度IV;BRIEF、実行機能の行動評価尺度、ECG、心電図;eCRF、電子症例報告書;HRV、過敏症反応による通院;PK、薬物動態;PKU、フェニルケトン尿症;SC/ET、試験完了/早期中止による通院。a)計画される通院は全て、試験のクリニックにおけるもの又は在宅医療看護師によるものである;非通院は、電話によるものである。b)書面によるインフォームドコンセント後、スクリーニング評価を、パート1の第1日の前28日以内に行わなければならない。対象は、スクリーニング/観察の間に、2~4週間空けた2回の測定で血中Phe濃度について評価される。c)初めての治験薬用量の自己投与は、パート2でクリニックにおいて行われる;適格性が文書化されたら、対象は、パート2の間治験薬を毎日自己投与する。d)パート2での治験薬の初回投与の実施前に完了されていなければならない。スクリーニング後に確認された追加の観察者は、訓練を受けなければならない。e)PKUの病歴は、最高血中Phe(及び年齢)、代謝調節の対象による評価、及び低Phe食が中止された時の年齢を含む。f)HIV、B型及びC型肝炎スクリーニングが、行われる。g)尿試料は、1回目又は2回目の朝の排尿として得ることが推奨される。試験結果に基づく上昇した尿中タンパク質の場合には、再度の尿検査が、行われるべきである。この再度の尿試料は、正確な試験結果を可能にするために午前中の1回目又は2回目の朝の排尿時に行われなければならず、在宅医療看護師によって行われてもよい。h)現地の検査機関によって行われるものとする。i)血清コルチゾール試料は、午前10:00より前の午前中の治験薬投与の前に採取されるべきである。対象の利便性のために、在宅医療看護師が、試料を集めてもよい。2つの結果が、低くかつ異常である場合、対象は、血漿ACTHのための追加のサンプリング及び低用量慣用ACTH刺激試験又は施設での診療に基づくACTH試験方法を行うように依頼される。j)尿試料は、1回目又は2回目の朝の排尿として得ることが推奨される。≧100mg/gの尿/アルブミンクレアチニン比が確認されている対象は、ベースラインにおいて結果が正常範囲内であった場合には、腎臓専門医を受診させるべきである。ベースラインにおいて上昇した結果を有していた対象であって、それに続き、ベースラインからの100~200mg/gの増加がその後確認された対象も、腎臓専門医を受診させるべきである。k)現地で実施されるものとする(適用可能な場合)。尿妊娠検査が、陽性であるか又はどちらとも取れる場合には、血清妊娠検査(中央検査機関)を実施しなければならない。l)対象は、試験のための通院の前の連続する3日間で消費した食品、飲料、専用低タンパク質食品、及び医療用食品を全て家で記録すべきである。タンパク質(食事用食品及び医療用食品)摂取量の変更は、パート1では許されない。スクリーニング時に、パート1、第1週での報告に使用するための食事日誌が配布される。m)2.5~5時間絶食した後に血漿Phe分析のために血液が採取される。n)治験責任医師による評価。o)養護者/親によって記入される。p)計画された通院と通院の間、クリニックの職員は、毎週対象と連絡を取り、AE又は併用薬について尋ね、質問に解答する。q)対象が試験担当者による評価を受ける時はいつでも、AE及び併用薬が記録されるべきである。署名されたインフォームドコンセントの後かつ第1日の前は、試験手順に関連するSAEのみが集められる。第1日の通院から開始して、最後の治験薬用量又は試験完了通院/早期中止通院のどちらか最後に起こった方の4週間後まで、全てのAE及びSAEが集められる。≧14日間持続する皮膚反応がある場合は、該皮膚反応が、eCRFに記入されるべきである。≧14日間持続する注射部位皮膚反応がある対象は、皮膚科医を受診させ皮膚生検を受けさせるべきである(任意選択)。事象を評価するのに役立つように、当該皮膚反応の写真が、対象又は機関によって撮影されることが推奨される;写真は、治験依頼者によって集められてもよい。
図6は、パート2(コホートBの食事制限単独対照アームに対するペグバリアーゼでの治療)の評価のスケジュールを説明する。ACTH、副腎皮質刺激ホルモン;ADHD-RS IV、注意欠陥多動性障害評価尺度IV;BRIEF、実行機能の行動評価尺度、ECG、心電図;eCRF、電子症例報告書;HRV、過敏症反応による通院;PK、薬物動態;PKU、フェニルケトン尿症;SC/ET、試験完了/早期中止による通院。計画される通院は全て、試験のクリニックにおけるもの又は在宅医療看護師によるものである;非通院は、電話によるものである。a)評価は、特に明記されない限り、投与前に行われる。b)コホートBの対照の対象の場合、第73週の通院は、対象のPKUが食事制限単独で治療されるパート1の終わり及び対象がペグバリアーゼを与えられるパート2の始まりの双方となる。パート1の終わりを構成する第73週の投与前評価を、図5の第73週の列に示す。パート2のベースライン評価として使用される同一の評価を、パート2の始まりとなる治験薬の投与と共に、図6の第73週の列に示す。c)初めての治験薬用量の自己投与は、試験クリニックにおいて行われる;適格性が文書化されたら、対象は、治験薬を毎日自己投与する。d)治験薬の初回投与の実施前に完了されていなければならない。スクリーニング後に確認された追加の観察者は、訓練を受けなければならない。e)尿試料は、1回目又は2回目の朝の排尿として得ることが推奨される。試験結果に基づく上昇した尿中タンパク質の場合には、再度の尿検査が、行われるべきである。この再度の尿試料は、正確な試験結果を可能にするために午前中の1回目又は2回目の朝の排尿時に行われなければならず、在宅医療看護師によって行われてもよい。f)現地の検査機関によって行われるものとする。g)血清コルチゾール試料は、午前10:00より前の午前中の治験薬投与の前に採取されるべきである。対象の利便性のために、在宅医療看護師が、試料を集めてもよい。2つの結果が、低くかつ異常である場合、対象は、血漿ACTHのための追加のサンプリング及び低用量慣用ACTH刺激試験又は施設での診療に基づくACTH試験方法を行うように依頼される。h)尿試料は、1回目又は2回目の朝の排尿として得ることが推奨される。≧100mg/gの尿/アルブミンクレアチニン比が確認されている対象は、ベースラインにおいて結果が正常範囲内であった場合には、腎臓専門医を受診させるべきである。ベースラインにおいて上昇した結果を有していた対象であって、それに続き、ベースラインからの100~200mg/gの増加がその後確認された対象も、腎臓専門医を受診させるべきである。i)現地で実施されるものとする(適用可能な場合)。尿妊娠検査が、陽性であるか又はどちらとも取れる場合には、血清妊娠検査(中央検査機関)を実施しなければならない。j)対象は、試験のための通院の前の連続する3日間で消費した食品、飲料、専用低タンパク質食品、及び医療用食品を全て家で記録すべきである。タンパク質(食事用食品及び医療用食品)摂取量の変更は、パート1では許されない。スクリーニング時に、パート1、第1週での報告に使用するための食事日誌が配布される。k)血液が、治験薬投与の前に採取される(投与前)。集中的PKサンプリングが、第73週の時点で全ての対象において行われる。試料は、投与前、投与後2、4、8、12、及び24時間に採取される。24時間での試料は、次の1日量の前に採取される。l)2.5~5時間絶食した後に血漿Phe分析のために血液が採取される。m)免疫原性アッセイは、総抗ペグバリアーゼ抗体(TAb)、抗PAL IgG、抗PAL IgM、抗PEG IgM、抗PEG IgG、及び中和抗体(NAb)を含む。過敏症反応(HRV)による通院時には、抗ペグバリアーゼIgEのみが評価される。n)治験責任医師による評価。o)養護者/親によって記入される。p)計画された通院と通院の間、クリニックの職員は、毎週対象と連絡を取り、対象が、自己投与に関する問題を抱えているかどうかをモニタリングし、AE又は併用薬について尋ね、質問に解答する。q)対象が試験担当者による評価を受ける時はいつでも、AE及び併用薬が記録されるべきである。最後の治験薬用量又は試験完了通院/早期中止通院のどちらか最後に起こった方の4週間後まで、全てのAE及びSAEが集められる。≧14日間持続する皮膚反応がある場合は、該皮膚反応が、eCRFに記入されるべきである。≧14日間持続する注射部位皮膚反応がある対象は、皮膚科医を受診させ皮膚生検を受けさせるべきである(任意選択)。事象を評価するのに役立つように、当該皮膚反応の写真が、対象又は機関によって撮影されることが推奨される;写真は、治験依頼者によって集められてもよい。r)対象は、治験責任医師の決定によって、治験薬の約2~3時間前にH1アンタゴニスト、及びH2アンタゴニスト、及び解熱剤(例えば、アセトアミノフェン)を事前投与されてもよい。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が、前投薬として投与される場合、それは、食品と共に与えられるべきである。非通院の場合、対象は、治験薬自己投与について尋ねられる。
図7Aは、野生型AvPALの配列(配列番号:1)を示す。図7Bは、3つのAvPALバリアントの配列(配列番号:2~4)を示す。
(7. 開示の詳細な説明)
本開示は、一部に、本明細書で提供される投薬レジメンによるPKUに罹患している青年対象(例えば、12歳~17歳の対象)のrAvPALでの治療における優れた作用をベースとする。従って、一態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載される投薬レジメン、例えば、後述の実施例セクションにおけるものにより本明細書で提供されるrAvPALを投与することを含むPKUに罹患している青年対象を治療するための方法である。
(定義)
特に断りのない限り、明細書及び特許請求の範囲を含む本出願において用いられる以下の用語は、以下に記載の定義を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形の「a(1つの)」、「an(1つの)」及び「the(前記/該)」が、文脈により、そうでないことが明確に必要とされない限り、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。標準的な化学用語の定義は、Carey及びSundbergの文献、「上級有機化学(Advanced Organic Chemistry,)」、第3版、A及びB巻(Plenum Press, New York 1992)などの参考文献に記載されている。本開示の実践は、別途示されない限り、本分野の技術の範囲内の合成有機化学、質量分析、クロマトグラフィーの分取及び分析方法、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の慣用方法を採用するものである。例えば、T.E. Creightonの文献、「タンパク質:構造及び分子の性質(T.E. Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties)」、(W.H. Freeman and Company、1993);A.L. Lehningerの文献、「生化学(Biochemistry)」、(Worth Publishers社, 第4版, 2004);Sambrookらの文献、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」(第2版, 1989);「酵素学の方法(Methods In Enzymology)」、(S. Colowick及びN. Kaplan編の文献、Academic Press社);「レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、第18版(Easton、Pennsylvaniaの文献:Mack Publishing Company, 1990)を参照されたい。
本明細書で引用される刊行物、特許、及び特許出願は全て、上記のものであろうと下記のものであろうと、その全体がこれによって引用により組み込まれる。
「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド単位で構成されるポリマーを意味する。ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(「DNA」)及びリボ核酸(「RNA」)などの天然に存在する核酸、並びに核酸類似体を含む。核酸類似体は、非天然の塩基、天然に存在するホスホジエステル結合以外の結合で他のヌクレオチドと結合したヌクレオチドを含むもの又はホスホジエステル結合以外の結合を介して結合した塩基を含むものを含む。従って、ヌクレオチド類似体は、限定するものではないが例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロトリエステル、ホスホロアミダート、ボラノホスフェート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)などを含む。このようなポリヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成装置を用いて合成することができる。「核酸」という用語は、通常、大きなポリヌクレオチドを意味する。「オリゴヌクレオチド」という用語は、通常、一般的には、約50ヌクレオチドを超えない短いポリヌクレオチドを意味する。ヌクレオチド配列が、DNA配列(すなわち、A、T、G、C)によって表される場合、これはまた、「T」が「U」で置き換えられたRNA配列(すなわち、A、U、G、C)も含むことが理解されるであろう。
「cDNA」は、一本鎖又は二本鎖のいずれかの形態でmRNAに相補的な又は同一なDNAを意味する。
慣用表記法が、ポリヌクレオチド配列を記述するために本明細書で使用され:一本鎖ポリヌクレオチド配列の左手側の末端が、5’末端であり;二重鎖ポリヌクレオチド配列の左手側の方向を、5’方向と呼ぶ。新生RNA転写産物に対するヌクレオチドの5’から3’への付加の方向は、転写方向と呼ばれる。mRNAと同じ配列を有するDNA鎖は、「コード鎖」と呼ばれ;DNA鎖上の配列であって、該DNAから転写されたmRNAと同じ配列を有しかつ該RNA転写産物の5’末端に対して5’に位置する、前記配列は、「上流配列」と呼ばれ;DNA鎖上の配列であって、該RNAと同じ配列を有しかつコーディングRNA転写産物の3’末端に対して3’である、前記配列は、「下流配列」と呼ばれる。
「相補的な」は、2つのポリヌクレオチドの相互作用する表面の位相幾何学的適合性(topological compatibility)、或いは、相互適合性(matching together)を意味する。従って、当該2つの分子が、相補的であると記述することができ、更に、接触表面の特性は、互いに相補的である。第1のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、第2のポリヌクレオチドのポリヌクレオチド結合パートナーのヌクレオチド配列と同一である場合、当該第1のポリヌクレオチドは、当該第2のポリヌクレオチドに相補的である。従って、配列が 5’-TATAC-3’であるポリヌクレオチドは、配列が5’-GTATA-3’であるポリヌクレオチドに相補的である。
ヌクレオチド配列は、当該対象ヌクレオチド配列に相補的な配列が、参照ヌクレオチド配列に実質的に同一である場合に、参照ヌクレオチド配列に「実質的に相補的」である。
「をコードする」とは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチドの特定の配列の、明確化されたヌクレオチド(すなわち、rRNA、tRNA、及びmRNA)の配列又は明確化されたアミノ酸の配列のいずれかを有する、生物学的プロセスにおける他のポリマー及び巨大分子の合成のためのテンプレートとして働く、遺伝子、cDNA、又はmRNAなどの固有の性質並びにそれらの結果としての生物学的性質を意味する。従って、遺伝子は、当該遺伝子から作られるmRNAの転写及び翻訳によって、細胞又は他の生物系でタンパク質が産生される場合には、タンパク質をコードしている。遺伝子又はcDNAのコード鎖(そのヌクレオチド配列が、mRNA配列と同一でありかつ、通常、配列表に示される)及び非コード鎖(転写のテンプレートとして使用される)は双方とも、当該遺伝子又はcDNAのタンパク質又は他の産物をコードしているということができる。特に明記されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重したバージョンでありかつ同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質及びRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含むことができる。
「組換えポリヌクレオチド」は、天然には互いに連結されない配列を有するポリヌクレオチドを意味する。増幅された又は構築された組換えポリヌクレオチドを、適当なベクターに含ませることができ、該ベクターを使用して、適当な宿主細胞を形質転換することができる。組換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」と呼ばれる。次いで、該遺伝子は、組換え宿主細胞内で発現されて、例えば、「組換えポリペプチド」を生じさせる。組換えポリヌクレオチドは、ノンコーディング機能(例えば、プロモーター、複製起点、リボソーム結合部位など)を果たすこともある。
「発現ベクター」は、発現されるべきヌクレオチド配列に作動的に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを意味する。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用エレメントを含み;発現のための他のエレメントは、宿主細胞又はインビトロ発現系によって供給することができる。発現ベクターは、組換えポリヌクレオチドを組み込むコスミド、プラスミド(例えば、裸の又はリポソーム内に入っているもの)及びウイルスなどの当技術分野において公知のもの全てを含む。
「増幅」は、例えば、逆転写、ポリメラーゼ連鎖反応、及びリガーゼ連鎖反応によって、ポリヌクレオチド配列をコピーして、従って、より大きな数のポリヌクレオチド分子へと増やす任意の手段を意味する。
「プライマー」は、指定のポリヌクレオチドテンプレートに対して特異的にハイブリッド形成して相補的なポリヌクレオチドの合成のための開始点を提供することができるポリヌクレオチドを意味する。そのような合成は、ポリヌクレオチドプライマーが、合成が導入される条件下に、すなわち、ヌクレオチド、相補的なポリヌクレオチドテンプレート、及びDNAポリメラーゼなどの重合のための作用剤の存在下に置かれている場合に生じる。プライマーは、通常、一本鎖であるが、二重鎖である場合もある。プライマーは、通常、デオキシリボ核酸であるが、多様な合成の及び天然のプライマーが、多くの用途に有用である。プライマーは、それがハイブリッド形成して合成の開始のための部位として働くように設計されているテンプレートに相補的であるが、テンプレートの正確な配列を反映している必要はない。そのような場合、テンプレートに対するプライマーの特異的ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシー次第である。プライマーは、例えば、発色性、放射活性、又は蛍光部位で標識することができ、検出可能部位として使用することができる。
「ポリペプチド」は、ペプチド結合、関連する天然の構造的バリアント、及びそれらの合成の非天然類似体を介して連結された、アミノ酸残基、関連する天然の構造的バリアント、及びそれらの合成の非天然類似体で構成されるポリマーを意味する。合成ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成装置を用いて合成することができる。「タンパク質」という用語は、通常、大きなポリペプチドを意味する。「ペプチド」という用語は、通常、短いポリペプチドを意味する。
慣用表記法が、ポリペプチド配列を描写するのに本明細書で使用され:ポリペプチド配列の左手側の末端は、アミノ末端であり;ポリペプチド配列の右手側の末端は、カルボキシル末端である。
「保存的な置換」は、ポリペプチドにおけるアミノ酸の機能的に類似するアミノ酸との置換を意味する。以下の6群はそれぞれ、互いに保存的な置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);及び
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
アミノ酸は、以下のように分類することもできる:
(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
(5)鎖の向きに影響を与える残基:Gly、Pro;及び
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
2つ以上のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の文脈において、「同一の」又はパーセント「同一性」という用語は、最も一致するように比較され整列された場合に、その全体が引用により本明細書に組み込まれている米国特許第7,553,653号に記載されている配列比較アルゴリズムを用いて又は目視での検査によって測定して、同一であるか又は特定の同一であるヌクレオチド又はアミノ酸残基の百分率を有する2つ以上の配列又は部分配列を意味する。
2つの核酸又はポリペプチドの文脈において、「実質的に相同の」又は「実質的に同一の」という句は、一般に、最も一致するように比較され整列された場合に、以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを用いて又は目視での検査によって測定して、少なくとも40%、60%、80%、90%、95%、98%のヌクレオチド又はアミノ酸残基同一性を有する2つ以上の配列又は部分配列を意味する。実質的な同一性が、少なくとも約50残基の長さの配列の領域にわたって、例えば、少なくとも約100残基の領域にわたって、又は少なくとも約150残基の領域にわたって存在する場合がある。ある実施態様において、前記配列は、比較バイオポリマーのいずれか又は双方の全長にわたって実質的に同一である。
「実質的に純粋な」又は「単離された」は、目的の種が、存在する主たる種であり(すなわち、モル濃度ベースで、組成物中の任意の他の個々の巨大分子種よりも大量に存在し)、かつ実質的に精製された画分が、組成物であって、ここで、該目的の種が、存在する全ての巨大分子種のうちの少なくとも約50%(モル濃度ベースで)を構成することを意味する。一般に、実質的に純粋な組成物は、該組成物中に存在する巨大分子種のうちの約80%~90%又はそれを超える部分が、対象となる精製された種であることを意味する。組成物が、本質的に、単一の巨大分子種からなる場合には、目的の種は、必須な均一性となるまで精製されている(夾雑種は、組成物中に慣用の検出方法によって検出できない)。溶媒種、小分子(<500ダルトン)、安定化剤(例えば、BSA)、及び基本的な(elemental)イオン種は、この定義の目的では巨大分子種とみなされない。いくつかの実施態様において、前記原核生物PALバリアント組成物は、実質的に純粋であるか又は単離されている。いくつかの実施態様において、前記原核生物PALバリアント組成物は、それらの合成に用いられるマクロ分子出発材料に関して実質的に純粋であるか単離されている。いくつかの実施態様において、前記医薬組成物は、1以上の医薬として許容し得る賦形剤と混合された、実質的に精製された又は単離された原核生物PALバリアントを含む。
対象につけられた場合の「天然の」は、当該対象を自然界で見つけることができるという事実を意味する。例えば、自然界の起源から単離することができかつ実験室でヒトによって意図的に修飾されていない生物(ウイルスを含む)中に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、天然である。
「野生型の」(wt)は、生物の天然の遺伝子形態を意味する用語である。野生型は、変異体形態(遺伝子変異を有する生物)とは区別される。
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを意味し、産物の最小限の長さに限定されない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などが、定義内に含まれる。全長タンパク質及びその断片は双方とも、当該定義に包含される。また、本用語は、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。更に、本明細書で使用される「ポリペプチド」は、タンパク質が、所望の活性を維持する限りは、天然配列に対する欠失、付加、及び置換(一般的に、性質が保存的なもの)などの修飾を含むタンパク質を意味する。そのようなポリペプチドは、本明細書において「変異体」と呼ばれる場合もある。これらの修飾は、部位特異的な変異誘発によるもののように意図的なものである場合もあり、該タンパク質を産生する宿主で生じる変異又はPCR増幅を原因とするエラーによるものなど偶発的なものである場合もある。
本明細書で使用される場合、「バリアント」、「類似体」、又は「誘導体」は、所与の化合物、例えば、ペプチドと約70%超であるが100%未満の配列類似性を有する化合物、例えば、ペプチドである。そのようなバリアント、類似体、又は誘導体は、限定するものではないが一例として、ホモアルギニン、オルニチン、ペニシラミン、及びノルバリンを含む非天然のアミノ酸残基、並びに天然のアミノ酸残基で構成されることができる。そのようなバリアント、類似体、又は誘導体は、1つ以上のD-アミノ酸残基で構成されることもでき、2つ以上のアミノ酸残基の間に非ペプチド性の連結部(interlinkage)を含むこともできる。
本明細書で使用される場合、PALポリペプチド(例えば、AvPAL又はそのバリアント)と水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール又はPEG)との「比率」は、該PALポリペプチドと該水溶性ポリマーとの反応条件モル比を意味する。例えば、AvPAL及びポリエチレングリコールについての約1:3の比率(1:3 AvPAL:PEG)は、化学的に修飾されたPALが、ポリエチレングリコール3molあたりAvPAL上のリジン残基が約1molの反応条件で製造されたことを意味する。AvPALモノマーは、18個のリジン残基を有するために、約1:3 AvPAL:PEGの比率は、ペグ化反応においてPEGが54molあたりAvPALが1molに対応する。
本明細書で使用される場合「治療」又は「治療すること」は、予防的治療又は治療的治療又は診断的治療を意味する。「予防的」治療は、疾患又は病状(pathology)、すなわち、PKUの兆候を示さないか、又は初期の兆候のみを示す対象に、病状の発症のリスクを低下させる目的のために実施される治療である。本明細書で提供される製剤などの原核生物PAL組成物は、病状、すなわち、PKUの発症の可能性を低下させるため、又は発症した場合には病状の重症度を最小化するための予防的治療として投与することができる。「治療的」治療は、病状、すなわち、PKUの兆候又は症状を示す対象に、これらの兆候又は症状を減少させる又はなくす目的のために投与される治療である。当該兆候又は症状は、生化学的なもの、細胞のもの、組織学的なもの、機能的なもの、主観的なもの、又は客観的なものであり得る。原核生物PAL組成物は、診断のための治療的治療として投与することができる。「診断的」は、病状、すなわち、PKUの存在又は性質を特定することを意味する。各診断法は、特異性及び選択性の点で異なる。特定の診断法は、状態の確定診断を提供しないこともあるが、該方法が、診断に役立つ正の指標を提供する場合には、十分である。
本明細書で使用される場合、「予防する」、「予防すること」、及び「予防」という用語は、本明細書で提供される療法又は療法の組合せ、例えば、AvPAL、AvPALバリアント、又はそれらの任意の誘導体の実施に起因する、疾患及び/又はそれに関連する症状(例えば、患者におけるPKUなどの上昇したフェニルアラニンレベルと関連する疾患又はそれに関連する症状)の、進展、再発、発症、又は拡散の完全な又は部分的な阻害を意味する。
「医薬組成物」は、ヒト及び哺乳動物を含む対象動物における医薬としての使用に適した組成物を意味する。医薬組成物は、薬理学的有効量の原核生物PALポリペプチドを含み、また、医薬として許容し得る担体も含む。医薬組成物は、活性成分(複数可)及び担体を構成する不活性成分(複数可)、並びに成分のうちのいずれか2つ以上の組合せ、複合体形成、又は凝集の結果として、又は成分のうちの1つ以上の解離の結果として、又は成分のうちの1つ以上の他の種類の反応又は相互作用結果として直接的に又は間接的に生じる任意の生成物を含む組成物を包含する。従って、医薬組成物は、本明細書で提供される原核生物PALポリペプチド及び医薬として許容し得る担体を混ぜ合わせて作られる任意の組成物を包含する。
「医薬として許容し得る担体」は、標準的な医薬賦形剤、ビヒクル、希釈剤、安定化剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント、及び/又は限定するものではないが、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、5%ブドウ糖水溶液などの担体、及び油/水又は水/油型乳濁液などの乳濁液、並びにさまざまな種類の湿潤剤及び/又はアジュバントのいずれかを意味する。好適な医薬担体及び製剤は、レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第19版(Mack Publishing社, Easton, 1995)に記載されている。用いられる医薬担体は、活性薬剤の意図される投与様式次第であり得る。典型的な投与様式としては、経腸(例えば、経口)又は非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、若しくは腹腔内注射;又は局所、経皮、若しくは経粘膜投与)が挙げられる。
「医薬として許容し得る」又は「薬理学的に許容し得る」は、生物学的に又はその他の点で望ましくないものではない材料を意味し、すなわち、当該材料は、望ましくない生物学的作用を引き起こしたりそれが含有される組成物の成分のいずれかと有害な様式で相互作用したりすることなく個体に投与することができる。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物及び非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、哺乳綱(the mammalian class)の任意の成員:ヒト、非ヒト霊長類(チンパンジーなど)、及び他の類人猿及びサルの種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物;ラット、マウス、及びモルモットなどの齧歯動物を含む実験動物などが挙げられるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例としては、トリ、魚などが挙げられるが、これらに限定されない。本用語は、特定の年齢や性別を意味するものではない。本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、互換的に使用される。本明細書で使用される場合、対象は、好ましくは、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)などの哺乳動物であり、最も好ましくは、ヒトである。いくつかの実施態様において、前記対象は、AvPALなどのPAL酵素、若しくはそのバリアント(例えば、配列番号:2、配列番号:3、及び/又は配列番号:4(図7B))並びに/又はそれらの任意の誘導体(例えば、ペグ化PAL)、並びに/又は任意の医薬組成物並びに/又は本明細書で開示される方法のうちのいずれかによって製造された任意の医薬組成物を投与されたことのある哺乳動物、好ましくは、ヒトである。本明細書で提供される方法及びキットのいくつかの実施態様において、患者は、HPA又はPKU(例えば、古典的PKU、重症PKU、中等症PKU、若しくはそれらの任意の亜集団)などの、上昇したフェニルアラニンレベルと関連する疾患又はそれに関連する症状を有している。いくつかの実施態様において、前記患者は、上昇したフェニルアラニンレベルに対してEST(例えば、rAvPAL又はrAvPAL-PEG)を受けた患者(例えば、PKUの患者)である。本明細書において提供される方法の別の実施態様において、患者は、血漿フェニルアラニンが、例えば、少なくとも約25%低下するように、低タンパク質食若しくはタンパク調整食又は低フェニルアラニン食若しくはフェニルアラニン調整食を、本明細書で開示される医薬組成物と組み合わせて与えられる。ある実施態様において、本明細書で提供される方法及びキットに関連して使用することができるPAL又はPAL-PEG(例えば、AvPAL若しくはrAvPAL-PEG、又はそれらのいずれかのバリアント)での、上昇したフェニルアラニンレベルを有する患者集団(例えば、HPA及びPKU)の管理ついてのさらなる情報については例えば、米国特許第7,531,341号及び第7,534,595号を参照されたい。
本明細書で使用される場合、「療法(therapy)」という用語は、上昇したフェニルアラニンレベルに関連する疾患(例えば、PKU)(又はそれに関連する症状)の予防、管理、治療及び/又は改善に使用することができる任意のプロトコール、方法、及び/又は薬剤を意味する。ある実施態様において、「療法(therapies)」及び「療法(therapy)」という用語は、医療者などの当業者に公知の上昇したフェニルアラニンレベルに関連する疾患(例えば、PKU)の予防、管理、治療、及び/又は改善に有用な生物学的療法、支持療法、及び/又は他の療法を意味する。
本明細書で使用される「組織」という用語は、哺乳動物、例えば、ヒトから得られる組織を意味する。例えば、組織は、生検試料、外科的に除去された組織、又は死後採取物由来であり得る。更に、組織は、酵素又は抗体を該組織から単離するために均質化され抽出されてもよい。
(青年対象を治療するための方法)
一態様において、本明細書で提供されるのは、青年対象において血中フェニルアラニン濃度を低下させるための方法であって、該青年対象に、1週間用量のペグ化AvPALバリアントを含む製剤を投与することを含む、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約12歳~約18歳の年齢である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約12歳~約17歳の年齢である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約12歳~約16歳の年齢である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約12歳~約15歳の年齢である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約15歳~約18歳の年齢である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約16歳~約18歳の年齢である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約17歳~約18歳の年齢である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約15歳~約17歳の年齢である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約16歳~約17歳の年齢である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約12歳である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約13歳である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約14歳である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約15歳である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約16歳である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約17歳である。いくつかの実施態様において、前記対象は、約18歳である。
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるのは、対象において血中フェニルアラニン濃度を低下させるための方法であって、該対象にAvPALバリアントを含む製剤の1週間用量を投与することを含み、該対象が、約12歳~約18歳であり、かつ該1週間用量が、約50週間超投与される、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約60週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約70週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約80週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約90週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約100週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約110週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約120週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約130週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約140週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約150週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約160週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約170週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約180週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約190週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約200週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約210週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約220週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約230週間超投与される。いくつかの実施態様において、前記1週間用量は、約240週間超、又は約250週間超投与される。
いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約0.1mg~1週間あたり約1mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約1mg~1週間あたり約2mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約2mg~1週間あたり約10mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約10mg~1週間あたり約20mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約20mg~1週間あたり約40mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約40mg~1週間あたり約70mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約70mg~1週間あたり約140mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約140mg~1週間あたり約280mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約280mg~1週間あたり約420mgの範囲である。いくつかの実施態様において、前記投薬量は、1週間あたり約420mg~1週間あたり約840mgの範囲である。
いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、週1回投与される。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、週2回投与される。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、1週間あたり4回投与される。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、1週間あたり7回投与される。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、1週間あたり14回投与される。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、毎日投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法は、前記対象に前記ペグ化AvPALバリアントを導入投薬量で投与すること、それに続き、該対象に該ペグ化AvPALバリアントを用量調節投薬量で投与すること、それに続き、該対象に該ペグ化AvPALバリアントを維持投薬量で投与することを含む。いくつかの実施態様において、前記導入投薬量は、1~5週間、例えば、1、2、3、4、又は5週間投与される。いくつかの実施態様において、前記用量調節投薬量は、4~10週間、例えば、4、5、6、7、8、9、又は10週間投与される。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、50週間以上、例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70週間、又はそれを超える週数投与される。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、50~70週間投与される。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、70週超投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法は、前記対象に前記ペグ化AvPALバリアントを1週間あたり約0.1mg~1週間あたり約10mgの範囲の導入投薬量で投与すること、それに続き、該対象に該ペグ化AvPALバリアントを1週間あたり約1mg~1週間あたり約200mgの範囲の用量調節投薬量で投与すること、それに続き、該対象に該ペグ化AvPALバリアントを1週間あたり約20mg~1週間あたり約840mgの範囲の維持投薬量で投与することを含む。いくつかの実施態様において、前記導入投薬量は、1~5週間、例えば、1、2、3、4、又は5週間投与される。いくつかの実施態様において、前記用量調節投薬量は、4~10週間、例えば、4、5、6、7、8、9、又は10週間投与される。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、50週間以上、例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70週間、又はそれを超える週数投与される。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、50~70週間投与される。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、70週超投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法は、前記対象に前記ペグ化AvPALバリアントを1週間あたり約2.5mgの範囲の導入投薬量で投与すること、それに続き、該対象に該ペグ化AvPALバリアントを1週間あたり約5mg~1週間あたり約70mgの範囲の用量調節投薬量で投与すること、それに続き、該対象に該ペグ化AvPALバリアントを1週間あたり約140mg~1週間あたり約420mgの範囲の維持投薬量で投与することを含む。いくつかの実施態様において、前記導入投薬量は1~5週間、例えば、1、2、3、4、又は5週間投与される。いくつかの実施態様において、前記用量調節投薬量は、4~10週間、例えば、4、5、6、7、8、9、又は10週間投与される。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、50週間以上、例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70週間、又はそれを超える週数投与される。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、50~70週間投与される。いくつかの実施態様において、前記維持投薬量は、70週超投与される。
いくつかの特定の実施態様において、本明細書で提供される方法は、前記対象に前記ペグ化AvPALバリアントを1週間あたり約2.5mgの範囲の導入投薬量で4週間投与すること、それに続き、該対象に該ペグ化AvPALバリアントを1週間あたり約5mg~1週間あたり約70mgの範囲の用量調節投薬量で5週間投与すること、それに続き、該対象に該ペグ化AvPALバリアントを1週間あたり約140mg~1週間あたり約420mgの範囲の維持投薬量で56~64週間投与することを含む。
いくつかのより具体的な実施態様において、本明細書で提供される方法は、表3の投薬レジメンにより前記対象に前記ペグ化AvPALバリアントを投与することを含む。
ペグ化AvPALバリアントを、以下のセクションでより詳細に説明する。いくつかの特定の実施態様において、本明細書で提供されるペグ化AvPALバリアントは、N-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)-メトキシポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートされた組換えフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(rAvPAL)で構成される。rAvPALは、1モノマーあたりの分子量が62kDであるホモテトラマータンパク質である。いくつかの実施態様において、ペグ化AvPALバリアント(rAvPAL-PEG)を製造するために、平均で9個の20kD PEG分子を、rAvPALの各モノマーに共有結合によって結合させる(又はコンジュゲートさせる)。いくつかの実施態様において、ペグ化rAvPALの総分子量は、およそ1000kDである。いくつかの実施態様において、rAvPALモノマーのアミノ酸配列は、配列番号:4であり、配列において、位置503及び565のセリン残基に下線を付している:
Figure 2024519847000002
N-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)-メトキシポリエチレングリコール(PEG)の化学構造は、以下:
Figure 2024519847000003
のとおりである。
(フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)及びそのバリアント)
本明細書で使用される場合、「細菌PAL」及び「原核生物PAL」は、互換的に使用されて、(1)これらに限定されないが、ストレプトマイセス・マリチマス(Streptomyces maritimus)、ノストック・パンクチフォルメ(Nostoc punctiforme)、アナベナ・バリアビリス、アナシィスティス・ニダランス(アナシィスティス・ニダランス(Anacystis nidulans))(Lofflehardtの文献、Z. Naturforsch. 31(11-12):693-9 (1976))、フォトラブダス・ルミネセンス(Photorabdus luminescens) TT01 (Williamsらの文献、Microbiology 151 :2543-2550 (2005))、及びストレプトマイセス・バルチチラタス(Streptomyces verticillatus)(Bezansonらの文献、Can. J. Microbiol. 16(3): 147-51 (1970))由来のPALなどの原核生物由来の野生型のPAL;(2)フェニルアラニンに対する類似の(すなわち、少なくとも50%の)触媒活性を維持する、及び、例えば、増加した触媒活性、より高い生物化学的安定性、増加した半減期、及び/又は低下した免疫原性を示すことができる、そのような野生型PAL酵素の断片、変異体、バリアント、又は類似体、並びに(3)限定するものではないが、例えば、向上した半減期及び/又は低下した免疫原性などの他の有利な効果を提供する他の化学的部位に連結されたそのような野生型PAL酵素又はその断片、変異体、バリアント、若しくは類似体の化学修飾されたバージョンを意味する。例えば、治療のための、原核生物PAL、及びその断片、変異体、バリアント、類似体、又は化学的に修飾されたバージョン、並びにそのような酵素の組成物を作製する又は用いる方法への言及は、全てのそのような野生型原核生物PAL又はその断片、変異体、バリアント、類似体、若しくは化学修飾体を作製する、用いる、又は製剤化する方法を意味するものとする。
一実施態様は、アナベナ・バリアビリス由来の原核生物PAL(配列番号:1)(図7A参照)又はその生理活性な断片、変異体、バリアント、若しくは類似体である。
特定の巨大分子についての信頼できる三次元構造又は構造モデルの解明は、合理的設計が該巨大分子の特定の構造及び/又は機能の最適化のための生産的な方法となることを可能とする。PAL酵素を最適化するために三次元構造又は構造モデルを使用する方法が、その全体が引用により本明細書に組み込まれている米国特許第7,553,653号に記載されている。原核生物PALの高分解能三次元的タンパク質結晶構造を、原核生物PALの生化学的及び生物物理学的性質を向上させるため及び原核生物PALのインビボでの治療有効性を増加させるためにタンパク質工学が関与する方法に使用することができる。ある実施態様において、本明細書で提供されるのは、野生型原核生物PALと比較してより高いフェニルアラニン変換活性及び/又は低下した免疫原性を有する原核生物PALバリアントである。また、本明細書で提供されるのは、野生型原核生物PALと比較してより高い生物化学的安定性及び/又はより長い生化学的半減期を有する原核生物PALバリアントである。
以前の実験によって、PAL変異体(Schusterらの文献、FEBS Lett. 349(2):252-254 (1994); Schusterらの文献、Proc Natl Acad Sci USA 92(18):8433-8437 (1995); Langerらの文献、Biochemistry 36: 10867-10871 (1997); El- Batalらの文献、Acta Microbiol Pol. 49(1):51-61 (2000); Rotherらの文献、Eur. J. Biochem. 269:3065-3075 (2002))、及びHAL変異体(Taylorらの文献、J. Biol. Chem. 269(44):27473- 27477 (1994); Baedekerらの文献、Eur. J. Biochem. 269(6): 1790-1797 (2002))などのPALの修飾された形態が説明されている。
本明細書で提供される野生型のPALの生理活性部位を修飾して、PALの動力学的特性を最適化することができる。最大半量の活性を与える基質の濃度であるKmが、Pheレベルの許容範囲内、すなわち、120μΜ~240μΜでの維持におけるPALの治療有効性と密接に関連する。Kmは、酵素の基質に対する親和性である。親和性を制御することによって、種々の濃度での基質に対する任意の酵素の有効性を制限又は制御することができる。例えば、Kmが、1000μΜである場合(例えば、ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)由来のPAL)、酵素の活性は、240μΜの血中Pheレベルでは約12.5%まで低下し、60μΜの血中Pheレベルでは約3%まで低下するであろう。Kmが、240μΜである場合、酵素の活性は、240μΜの血中Pheレベルでは約50%>まで低下し、60μΜの血中Pheレベルでは約12%まで低下するであろう。Kmが、120μΜである場合、酵素の活性は、240μΜの血中Pheレベルで約70%>まで低下し、60μΜの血中Pheレベルで約35%>まで低下するであろう。好適には、治療の目的は、Pheを約120μΜ~約240μΜの最適範囲内に低下させるが、それ維持するのにも十分な活性を有する酵素を得ることであろう。高いKm(すなわち、1000μΜ)を有する酵素は、Pheレベルが正常範囲内で低下するにつれて活性を急速に失ってしまうものであり、また、高度に濃縮された又は大量の用量の非実用的な投与を必要とするものである。一方で、非常に低いKmを有する酵素は、Pheレベルを急速に枯渇させる可能性があり、これは、高フェニルアラニン血症の場合に致命的であり得るが、疾患又は障害の管理に有用であり得る。
いくつかの実施態様において、前記生理活性な修飾PALは、少なくとも約0.1s-1の又は約0.5s-1よりも大きいkcatを有する。別の実施態様において、前記生理活性な修飾PALは、少なくとも約0.2s-1又は約1.0s-1超のkcatを有する。別の実施態様において、前記生理活性な修飾PALは、約10μΜ~約1000μΜのKmを有する。別の実施態様において、前記生理活性な修飾PALは、約100μΜ~約1000μΜのKmを有する。別の実施態様において、前記生理活性な修飾PALは、野生型のものよりも約2倍から約1000倍高い酵素活性を示す。別の実施態様において、前記生理活性な修飾PALは、野生型の酵素活性よりも約10%~約100%高い酵素活性を示す。そのような生物学的に活性な修飾PALタンパク質を、当技術分野において周知の方法を用いて、例えば、部位特異的変異誘発によって作製することができる。
いくつかの戦略が、タンパク質免疫原性を低下させるのに現在用いられている。ある実施態様において、免疫応答を最小化するように導入される修飾は、巨大分子の構造、機能、又は安定性を破壊しない。用いられる有効な戦略としては、ヒト配列含量を増加させること(キメラ及び/又は他のヒト化手法)、溶液の性質を改善すること、抗体エピトープを除去すること、化学的誘導体化(ペグ化など)を導入すること、及び/又はMHCアグリトープを識別し除去することが挙げられる。
抗原性表面タンパク質領域の修飾は、免疫原性を低下させる(Chirinoらの文献、Drug Discov. Today 9(2): 82-90 (2004)))。改善する方法の1つは、触媒活性を保持しているより小さなサイズのタンパク質の作製を伴う(例えば、吸光度アッセイが、活性測定に使用される。ELISAスクリーニングと組み合わせたタンパク質工学も、免疫反応性が低下した変異体を特定するのに使用し得る。別の方法では、ペグ化による誘導体化用の追加表面Lys部位のために点変異が導入され、これは、試験酵素プリンヌクレオシドホスホリラーゼでの免疫原性を低下することが示されている方法である(Hershfieldらの文献(1991)、同上)。別の経路では、タンパク質エピトープ領域に位置する残基の変異を利用して、免疫原性部位を除去する(Yeungらの文献、J. Immunol. 172(11):6658-6665 (2004))。抗体のヒト化に類似の手法では、ヒト抗体由来の相同ループ領域及び/又は残基が、相同タンパク質の対応するループ領域へと置換される。
タンパク質の溶液特性を改善すると、特定の酵素活性を上昇させかつ/又は免疫原性を低下させることができる。細菌発現組換えタンパク質に特有の溶液特性の1つは、例えば、鎖間ジスルフィド結合形成(inter-chain disulfide bind formation)、疎水性相互作用、及び/又は二価カチオンによるタンパク質凝集体の形成である(Chiらの文献、Pharm. Res. 20(9): 1325-1336 (2003))。組換発現されたタンパク質の凝集は、免疫応答を強化することがある(Hermelingらの文献、Pharm. Res. 21(6): 897-903 (2994);Schellekensの文献、Nephrol. Dial. Transplant. 20(suppl 6):vi3-9 (2005))。改善する方法の1つは、表面システイン残基を他のアミノ酸残基(例えば、セリン)で置換して、鎖間ジスルフィド結合(inter-chain disulfide bond)の形成の可能性を最小化することを伴う。例えば、セリン残基での2つの表面システイン残基の置換は、酵素活性に対する軽微な作用を伴ってコリスミ酸リアーゼの凝集を減少させた(Holdenらの文献、Biochim. Biophys. Acta 1594(1): 160-167 (2002))。
また、本明細書で提供されるのは、野生型のPALと比較して、類似の又はより高いフェニルアラニン変換活性及び/又は低下した免疫原性を有する原核生物PALバリアントである。本明細書でさらに提供されるのは、酵素活性の低下、免疫原性の増加、及び/又はインビボでの他の不利な作用(バイオアベイラビリティの減少など)に関連する場合があるタンパク質の凝集を減少させるように別のアミノ酸残基(例えば、セリン)で置き換えられている1つ以上のアミノ酸残基(例えば、システイン)を含む原核生物PALバリアントである。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるのは、原核生物PALバリアントの1つ以上のアミノ酸残基が、別のアミノ酸で置換されている医薬組成物である。いくつかの実施態様において、前記置換は、野生型のPALと比較して、フェニルアラニン変換活性を増加させかつ/又は免疫原性を低下させる。
本方法又は使用の特定の実施態様において、原核生物PALバリアントは、アナベナ・バリアビリスPAL(AvPAL)バリアントである。いくつかの実施態様において、AvPALバリアントの1つ以上のアミノ酸残基が、別のアミノ酸残基で置換されている。いくつかの実施態様において、AvPALバリアントの1つ以上のシステイン残基が、セリン残基で置換されている。いくつかの実施態様において、1つ以上のセリン残基で置換されている前記AvPALバリアントの1つ以上のシステイン残基は、位置503及び565のシステイン残基からなる群から選択される。具体的な実施態様において、前記AvPALバリアントの位置503のシステイン残基は、セリン残基で置換されている(例えば、配列番号:2)。ある実施態様において、前記AvPALバリアントの位置565のシステイン残基は、セリン残基で置換されている(例えば、配列番号:3)。特定の実施態様において、前記AvPALバリアント位置503及び565のシステイン残基は、セリン残基で置換されている(例えば、配列番号:4)。
また、原核生物PALバリアントは、半減期を増加させることが本技術分野で知られているサルベージエピトープを保持している免疫グロブリンの天然の若しくは修飾された定常領域又はそれらの断片などの別の異種ポリペプチドにPAL酵素が融合されている融合タンパク質も含む。
(ペグ化PAL)
巨大分子化学修飾を、非特異的な様式(誘導体化された種の混合物をもたらす)で又は部位特異的な様式(野生型巨大分子反応性指向性誘導体化(wild-type macromolecule reactivity-directed derivatization)及び/又は部位特異的変異誘発及び化学修飾の組合せを用いる部位選択的修飾に基づく)で、あるいは、発現タンパク質ライゲーション法(Hofmannらの文献、Curr. Opin. Biotechnol. 13(4):297-303 (2002))を用いて行うことができる。ある実施態様において、化学修飾は、免疫原性を低下させるのに用いられる。ペグ化は、タンパク質の免疫原性を低下させることが実証された方法である(Bhadraらの文献、Pharmazie 57(1):5-29 (2002))が、グリコシル化並びにリン酸化、アミド化、カルボキシル化、アセチル化、メチル化、酸付加塩、アミド、エステル、及びN-アシル誘導体の生成での修飾を用いる他の化学的誘導体化手法も可能である(Davisの文献、Science 303:480-482 (2004))。
さまざまなPEG化学試薬対PALタンパク質の比率を用いてPALに対して一連の異なるペグ化反応を行うと、各修飾方法ごとにPEG-PAL誘導体が得られる。最適なペグ化の程度は、PEG誘導体化の度合いを決定するために、吸光度アッセイをPAGE及びネイティブゲル分析と組み合わせて用いて又はSE-HPLCを多角度光散乱(MALS)と用いることによって誘導体化された各PAL種について得られる残存活性に基づき決定することができる。最適な修飾の初期範囲が決定された後に、比較速度論的分析(Vmax及びKmの決定、基質の結合定数、タンパク質分解安定性、活性のpH依存性、活性の温度依存性を含む)及び最適なPEG-PAL種の免疫反応性を、ELISA、免疫沈降、及びウエスタンブロットによって決定することができる。また、タンパク質工学を使用して、最適な誘導体化条件を用いてペグ化に最も好ましいPAL変異体を作製することもでき;PALタンパク質のサイズ最小化すること及びPAL表面の最も抗原性の高い領域のみを修飾することによって、最大量の酵素活性及び最小量の免疫原性を維持しつつ、同時にPEG修飾の費用を低下させるであろう。同様に、部位特異的なペグ化を使用して、酵素誘導体を提供することができる。
リン酸化などの他の化学修飾又はLys、Arg、及びCys残基の他の化学修飾を使用して、免疫原性領域及び/又はタンパク分解感受性領域をマスクすることができる。そのような化学修飾としては、PAL安定性を向上させ、免疫原性を低下させ、かつプロテアーゼ抵抗性を向上させるためのBednarsakiのポリマー付加法が挙げられ、Altus社の架橋結合方法が、代表例である。Bednarsakiは、ポリマーの付加が、タンパク質の温度安定性を向上させることを実証し(Wangらの文献、J. Am. Chem. Soc. 114(1):378-380 (1992))、Altus社は、グルタルアルデヒド架橋結合が、酵素安定性を改善することを見出している。
PALなどのタンパク質のインビボ治療半減期が、ペグ化による利益を得るかどうかを明らかにするために、種々の異なるPEG:PALコンジュゲートを合成し、インビトロで特性評価し、L-Pheの低下についてインビボで試験した。ペグ化の可能性のある作用を最適化すること及びPEG結合の1つ以上の部位を特定することの双方のために、ポリマー長、コンホメーション、及びPEG結合の度合いがさまざまである設計戦略を採用した。いくつかの実施態様において、ペグ化PALを調製するための方法は、一般に:(a)PALが1つ以上のPEG基に結合する条件下でPALをポリエチレングリコールと反応させること、及び(b)反応生成物を得ることを含む。PAL修飾の特定の部位が、コンジュゲートの固有の活性顕著に変化させ得るために、PEGの種々の種類及び量を調査した。PALのペグ化に使用した化学は、メトキシ-PEG(O-[(N-スクシンイミジルオキシカルボニル)-メチル]-O’-メチルポリエチレングリコール)のNHSエステルを用いるPALの一級アミンのアシル化であった。メトキシ-PEG-NHS又はメトキシ-PEG-SPAでのアシル化は、元の一級アミンから電荷を失わせるアミド結合をもたらす。
本方法は、ポリマー:タンパク質コンジュゲートの実質的に均質な混合物を提供する。本明細書で使用される場合、「実質的に均質な」は、ポリマー:タンパク質コンジュゲート分子のみが認められることを意味する。ポリマー:タンパク質コンジュゲートは、生物活性を有し、この本明細書で提供される「実質的に均質な」ペグ化PAL調製物は、均質な調製物の利点、例えば、ロット間の薬物動態の予測可能性における臨床応用の容易さを示す程度に十分に均質なものである。
本明細書に記載されるペグ化手法における使用に想定されるポリマー分子は、水溶性ポリマー又はその混合物から選択することができる。水溶性ポリマーは、例えば、ポリエチレングリコール、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリ-(N-ビニル ピロリドン)、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、HPMA、Fleximer(商標)、及びポリビニルアルコール、モノ-(C1-C10)アルコキシ-PEG、アリールオキシ-PEG、トレシルモノメトキシPEG、PEGプロピオンアルデヒド、ビス-サクシニミジルカーボネートPEG、セルロース、又は他の炭水化物ベースのポリマーからなる群から選択することができる。選択されるポリマーは、それが取り付けられたタンパク質が、生理学的な環境などの水性環境中で沈殿しないように水溶性であるべきである。ポリマーは、分岐状であっても、非分岐状であってもよい。いくつかの実施態様において、最終製品調製物の治療的使用のために、ポリマーは、医薬として許容し得るものであろう。
いくつかの実施態様において、本明細書における使用のための水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコールであり、PEGと略される。本明細書で使用される場合、ポリエチレングリコールは、モノ-(C1-C10)アルコキシ-又はアリールオキシ-ポリエチレングリコールなどの他のタンパク質を誘導体化するのに用いられているPEGの任意の形態を包含することを意図している。
ポリエチレングリコール分子のタンパク質分子に対する比率は、反応混合物中のそれらの濃度がそうであろうように、さまざまであろう。一般に、最適な比率(過剰の未反応タンパク質又はポリマーが存在しないという点で反応の効率の観点から)は、選択されたポリエチレングリコールの分子量によって及び存在する利用可能な反応性基(通常、εアミノ基)の数に基づいて決定されるものである。一般に、用いられるポリマーの分子量が高い程、タンパク質に取り付けることができるポリマー分子の数は少ない。同様に、ポリマーの分岐を、これらのパラメーターを最適化する場合に考慮に入れることができる。一般に、分子量が高い程(又は分岐が多い程)、ポリマー:タンパク質比は高い。これらに限定されないが、5kDa及び20kDaなどのいくつかの異なる直鎖状PEGポリマー長が想定され、これらに限定されないが、10kDa及び40kDaなどの2本腕の分岐状PEGポリマーのコンジュゲートが想定される。いくつかの実施態様において、本明細書において想定されるペグ化反応に関して、平均分子量は、約2kDa~約100kDaである(「約」という用語は、+/-1kDaを示す)。別の実施態様において、前記平均分子量は、約5kDa~約40kDaである。
その全体が引用により本明細書に組み込まれている共有の米国特許第7,531,341号の実施例7~9は、ENU2又はBTBRenu2マウスにおけるPheレベルに対する、ロドスポリジウム・トルロイデス由来のリジン変異体R91K PAL(RtPAL)、NpPAL、及びAvPALのペグ化及び非ペグ化形態の効果を記載している。この動物モデルは、重症の高フェニルアラニン血症の動物をもたらすPAH遺伝子座でのホモ接合変異体である。高い血漿Pheレベルは、この動物を、PALの血漿Pheを低下させる能力を評価するのに適切なモデルとしている。ペグ化された形態のNpPAL及びAvPALの投与は、それぞれ、非ペグ化NpPAL及びAvPALと比較して、ENU2マウスにおいてPheの低下をより多くもたらした。そのような効果は、NpPALについては週1回の注射で10週間にわたって維持された。これらの結果は、シアノバクテリアであるノストック・パンクチフォルメ及びアナベナ・バリアビリス由来のPALのペグ化が、PKUに冒されたマウスにおいてPheレベルを低下させるのに必須であることを示している。
また、ENU2マウスにおけるPheレベルに対する、AvPALポリペプチドにおけるシステイン残基(例えば、位置503及び565のもの)のセリン置換の効果も示されている。ペグ化AvPAL二重システイン変異体(位置503及び565)AvPAL_C565SC503Sの投与は、ペグ化された野生型のAvPALで達成されるものと同程度である血漿Pheの低下をもたらす。AvPAL_C565SC503Sが、ペグ化野生型AvPALと同程度であるインビボPAL酵素活性を有し、かつペグ化野生型AvPALと比較して低下した免疫原性を有することが示されている。
低下した免疫原性を有するペグ化PALバリアントが、本明細書で提供される。一実施態様は、低下した免疫原性を有するAvPALバリアントのペグ化された形態である。特定の実施態様は、ペグ化がAvPALバリアントを、水溶性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)と反応させることにより達成されているAvPALバリアントを企図する。いくつかの実施態様において、ペグ化は、AvPALバリアントをPEGと少なくとも1:1、少なくとも1:1.5、少なくとも1:2、少なくとも1:3、少なくとも1:4、少なくとも1:5、少なくとも1:6、少なくとも1:7、少なくとも1:8、少なくとも1:9、又は少なくとも1:10(PAL:PEG)の比率で1回反応させることにより達成される。一実施態様において、前記PALバリアントは、AvPALバリアントであり、前記ペグ化は、約1:1~約1:20のPAL:PEG比を用いて達成される。別の実施態様において、前記PALバリアントは、AvPALバリアントであり、前記ペグ化は、約1:3~約1:12のPAL:PEG比を用いて達成される。さらに別の実施態様において、前記PALバリアントは、AvPALバリアントであり、前記ペグ化は、約1:5~約1:10のPAL:PEG比を用いて達成される。さらに別の実施態様において、前記PALバリアントは、AvPALバリアントであり、前記ペグ化は、約1:9のPAL:PEG比を用いて達成される。
ある実施態様において、1つ以上のリジン残基が、原核生物PALバリアントの活性部位に及び/又はその近くに導入されて、部分的には、該酵素の該活性部位の及び/又はその近くの他のアミノ酸残基(例えば、チロシン)の起こりうるペグ化を妨げることによって、又は酵素活性に重要なリジン残基の起こりうるペグ化を妨げることによって、触媒活性を向上させ、免疫原性を低下させ、かつ/又は生物化学的安定性を向上させる。特定の理論にとらわれるものではないが、原核生物PALの活性部位の及び/又はその近くのチロシン残基(すなわち、AvPALにおける位置78又は314)を、酵素活性を低下させるペグ化のための部位とすることができることが仮定される。いくつかの実施態様において、酵素活性に必要とされない原核生物PALの活性部位の及び/又はその近くの1つ以上のアミノ酸残基が、リジン残基で置換される。特定の実施態様において、原核生物PALは、AvPALである。一実施態様において、位置78又は314のAvPALチロシン残基は、ペグ化に利用可能ではない。ここでも、特定の理論にとらわれるものではないが、通常は、隣接するリジン残基PAL(すなわち、AvPALの位置413)のペグ化のためにペグ化が妨げられている原核生物PALのリジン残基(すなわち、AvPALの位置419)を、ペグ化のための部位とすることができ、これが、基質への結合及び/又は触媒活性を低下させることが仮定される。いくつかの実施態様において、原核生物PALの1つ以上のアミノ酸残基が、酵素の基質への結合及び/又は触媒活性に重要なリジン残基が、ペグ化に利用可能ではなくなるようにリジン残基で置換される。具体的な実施態様において、前記原核生物PALは、AvPALである。一実施態様において、位置419のAvPALリジン残基は、ペグ化に利用可能ではない。
いくつかの実施態様において、前記組成物は、細菌由来の高度に精製された原核生物PALバリアント、又はその生理活性な断片、変異体、若しくは類似体を、単独で又は医薬として適当な担体と組み合わせて含む。いくつかの実施態様において、調製物は、約90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%を超える純度の原核生物PALバリアントを含有する。別の実施態様において、原核生物PALバリアントの相対的比活性(relative specific activity)は、野生型原核生物PALの比活性の少なくとも約50%であるか、又は約110%超である。
このような原核生物PALバリアントは、当技術分野において公知の方法に従って単離し精製することができ、それによって、原核生物PAL酵素を治療に用いることを可能にする量で存在する。いくつかの実施態様において、完全な又は野生型の原核生物PALをコードするcDNAが用いられる。しかしながら、別の実施態様において、その生理活性な断片、変異体、バリアント、又は類似体をコードするcDNAを使用することができる。更に、本明細書で提供されるのは、構造ベースの分子工学手法によって得られる最適化された原核生物PAL及び/又はPALの化学的に修飾された(例えば、ペグ化された)形態の組成物である。特定の実施態様は、治療的使用に適した向上した比活性、向上した安定性、低下した免疫原性、及び/又はタンパク分解感受性を有する原核生物PALの最適組成物を企図する。いくつかの実施態様において、前記PALは、向上した比活性、向上した安定性、低下した免疫原性及び/又はタンパク分解感受性を有するアナベナ・バリアビリスPALのペグ化された形態である。
いくつかの実施態様において、前記ペグ化原核生物PALバリアントは、AvPALバリアントであり、AvPALの位置503のシステイン残基が、セリン残基で置換されている(配列番号:2)。いくつかの実施態様において、前記ペグ化原核生物PALバリアントは、AvPALバリアントであり、AvPALの位置565のシステイン残基が、セリン残基で置換されている(配列番号:3)。いくつかの実施態様において、前記ペグ化原核生物PALバリアントは、AvPALバリアントであり、AvPALの位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基で置換されている(配列番号:4)。
(原核生物PAL組成物、医薬組成物、及び製剤)
本開示は、治療有効量の本開示の原核生物PAL組成物を、1以上の医薬として許容し得る賦形剤、ビヒクル、希釈剤、安定化剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント、及び/又は担体と一緒に含む医薬組成物を企図する。そのような医薬組成物は、さまざまな緩衝剤内容物(例えば、トリス-HCl、リン酸)、pH、及びイオン強度の希釈剤;界面活性剤及び可溶化剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、Thimerosol、ベンジルアルコール)、及び増量物質(例えば、乳糖、マンニトール)などの添加剤を含む;例えば、引用により本明細書に組み込まれているレミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版(1990, Mack Publishing Co., Easton, Pa.)、1435~1712頁を参照されたい。有効量の活性成分は、治療的に、予防的に、又は診断的に有効な量であり、これは、当業者が、体重、年齢、及び治療の目標などの因子を考慮することによって容易に決定することができる。
本開示の原核生物PAL医薬組成物は、溶液のpHを所望の範囲内に維持する緩衝剤を含んでもよい。好適な緩衝剤としては、トリス-HCl、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムが挙げられる。これらの緩衝剤の混合物を用いてもよい。組成物において有用な緩衝剤の量は、主に、用いられる特定の緩衝剤及び溶液のpH次第である。例えば、酢酸は、pH6でよりもpH5で効率の高い緩衝剤であり、従って、pH5の溶液中ではpH6でよりも少ない酢酸を用いてもよい。より好適な緩衝剤は、トリス-HClである。本開示の医薬組成物に好適なpH範囲は、約pH6.0~8.5である。本開示の医薬組成物により好適なpH範囲は、約pH7.0~8.0である。本開示の医薬組成物に最も好適なpH範囲は、約pH7.0~7.6である。
さらに、本開示の医薬組成物は、溶液を等張とし注射への適合性を高める等張性調整剤を含んでよい。好適な薬剤は、50~200mMの濃度範囲内の塩化ナトリウムである。より好適な薬剤は、100~150mMの濃度範囲内の塩化ナトリウムである。最も好適な薬剤は、130~150mMの濃度範囲内の塩化ナトリウムである。
医薬として許容し得る担体又は賦形剤は、本開示の原核生物PAL組成物を安定化する分子である安定化剤を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「安定化する」という用語は、限定するものではないが、例えば、原核生物PAL酵素の有効期間をのばすこと、原核生物PAL酵素をタンパク分解性の消化から保護すること、原核生物PAL酵素を活性なコンホメーションに保つこと、及び高い温度での保管時に原核生物PAL酵素活性を保つことを含むことを意図している。
本開示の安定化剤としては、trans-桂皮酸(t-CA)、安息香酸、チロシン(Tyr)などのL-フェニルアラニン(Phe)及びその構造類似体が挙げられる。インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)由来の植物PAL(PvPAL)の活性の喪失が、アフィニティー精製後のその基質であるL-フェニルアラニンの除去時に示されており(Da Cunhaらの文献、Eur. J. Biochem. 178:243-248 (1988))、ロドスポリジウム・トルロイデス由来の酵母PAL(RtPAL)が、チロシンによるプロテアーゼ不活性化から保護されていることが示されている(Wangらの文献、Mol. Genet. Metab. 86:134-140 (2005); Pilbakらの文献、FEBS J. 273:1004-1019 (2006))。本明細書において以下で示されるように、Phe及びその構造類似体のうちの一部は、アナベナ・バリアビリス由来の原核生物PAL(AvPAL)のPEG:PALコンジュゲートを安定化する能力を有する(実施例11を参照されたい)。特定の理論にとらわれるものではないが、原核生物PAL酵素が、結合した基質Pheが、生成物t-CAに又はt-CAの遷移状態類似体に変換されている酵素-基質複合体としてより安定であることが仮定される。t-CAは、それが結合していなければ高度に反応性の活性部位の中心(MIO基)に結合したままであり、それによって、PAL酵素を安定化している。従って、PAL酵素基質であるPhe、生成物t-CA、又はその構造類似体は、本開示の安定化剤である。
本開示は、原核生物PALバリアント及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物であって、該医薬として許容し得る担体が、安定化剤を含む、前記医薬組成物を企図する。安定化剤は、Phe又はその構造類似体である。安定化剤は、L-フェニルアラニン、trans-桂皮酸、及び安息香酸からなる群から選択される。本開示の安定化剤についての好適な範囲は、原核生物PALの活性部位1モルあたり安定化剤が約0.1~20モルである。本開示の安定化剤についてのより好適な範囲は、原核生物PALの活性部位1モルあたり安定化剤が約0.5~10モルである。本開示の安定化剤についての最も好適な範囲は、原核生物PALの活性部位1モルあたり安定化剤が約1~10モルである。
いくつかの実施態様において、前記医薬組成物は、原核生物PALバリアント及び医薬として許容し得る担体を含み、ここで、該原核生物PALバリアントは、野生型のPALと比較してより高いフェニルアラニン変換活性及び/又は低下した免疫原性を有し、かつ対象の血液、血清又は血漿中のPhe濃度を、検出レベル未満から約20μM~60μMの間までの範囲まで、好ましくは、約20μM未満まで、さらにより好ましくは、約10μM未満まで低下させるのに有効であり、かつここで、該医薬として許容し得る担体は、安定化剤を含む。いくつかの実施態様において、前記安定化剤は、Phe又はその構造類似体である。いくつかの実施態様において、前記安定化剤は、L-フェニルアラニン、trans-桂皮酸、及び安息香酸からなる群から選択される。
いくつかの特定の実施態様において、医薬組成物は、原核生物PALバリアント及び医薬として許容し得る担体を含み、ここで、該原核生物PALバリアントは、アナベナ・バリアビリスPAL(AvPAL)バリアントであり、ここで、該AvPALバリアントの位置503及び565のシステイン残基が、セリン残基で置換されており、該AvPALバリアントは、ポリエチレングリコールの水溶性ポリマーをさらに含み、ここで、AvPALバリアントとポリエチレングリコールとの比は、約1:3であり;かつ該AvPALバリアントは、対象の血液、血清、又は血漿中のフェニルアラニン濃度を、検出レベル未満から約20μM~60μMの間までの範囲まで、好ましくは、約20μM未満まで、さらにより好ましくは、約10μM未満まで低下させるのに有効であり、かつここで、該医薬として許容し得る担体は、安定化剤を含む。いくつかの実施態様において、前記安定化剤は、Phe又はその構造類似体である。いくつかの実施態様において、前記安定化剤は、L-フェニルアラニン、trans-桂皮酸、及び安息香酸からなる群から選択される。
いくつかのより具体的な実施態様において、本明細書で提供される医薬組成物は、配列番号:2、配列番号:3、又は配列番号:4のアミノ酸配列を含むAvPALバリアント、及びtrans-桂皮酸を含む。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、配列番号:2のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、配列番号:3のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、前記AvPALバリアントは、配列番号:4のアミノ酸配列を含む。上述のさまざまな医薬組成物のいくつかの実施態様において、医薬組成物は、塩化ナトリウム、並びにトロメタミン及びトロメタミン塩酸塩をさらに含む。
本明細書で使用される場合、原核生物PALバリアント組成物を企図する場合の「治療有効量」という用語は、患者の健康に対して意図される有益な効果を生じさせるのに有効な量を意味する。いくつかの実施態様において、治療的有効量の原核生物PALバリアントは、患者に利益をもたらす血中、血漿中又は血清中、好ましくは、血漿中L-フェニルアラニンレベルを低下させる。当該量は、個体毎に異なるものであり、患者の総合的な健康状態、食事、及び疾患の状態などのいくつかの因子に依存するものである。療法のために使用される原核生物PALの量は、血中、血漿中又は血清中、好ましくは、血漿中L-フェニルアラニンレベルの許容し得る低下をもたらし、この値をPAL治療の間有益なレベルで(通常、血中、血漿中又は血清中、好ましくは、血漿中L-フェニルアラニンの正常範囲の約5%未満から約35%~100%の間までの範囲で、好ましくは、約5%未満から約35%までの範囲で、さらにより好ましくは、約5%未満から約15%の範囲で)維持する。いくつかの実施態様において、治療的有効量の原核生物PALバリアントは、未治療の患者と比較して、治療を受けた患者において約10%、30%、50%、70%、90%、95%、98%、又は99%を超えて腫瘍増殖、腫瘍サイズ、又は腫瘍負荷を減少させる。いくつかの実施態様において、治療的有効量の原核生物PALバリアントは、未治療の患者と比較して治療を受けた患者において静的な状態に腫瘍を維持する。いくつかの実施態様において、治療的有効量の原核生物PALバリアントは、未治療の患者と比較して、治療を受けた患者において少なくとも約10%、20%、50%、100%、2倍、5倍、又は10倍長く生存期間又は無病期間を増加させる。治療的有効量の本開示の原核生物PALバリアント組成物は、公衆に利用可能な材料及び手順を用いて当業者によって容易に確認され得る。
本開示は、天然のPALよりも低い頻度で原核生物PALバリアントを投与することを提供する。投薬頻度は、治療中の状態に応じて変化するものであるが、一般に、1週間あたり約1回であろう。実際に用いられる投薬頻度は、異なる個体による原核生物PALバリアントに対する反応の多様性のために、本明細書で開示される頻度とはいくらか異なり得ることが理解され;「約」という用語は、そのような多様性を反映することが意図される。原核生物PALバリアントは、1週間あたり約2回、1週間あたり約1回、2週間ごとに約1回、1ヵ月あたり約1回、又は1ヵ月あたり約1回よりも長く(longer than about one time per month)投与されることが想定される。
従って、本開示は、血中、血漿中、又は血清中L-フェニルアラニンレベルを低下させるのに使用され得る。血中、血漿中、又は血清中L-フェニルアラニンレベルの枯渇が有益であろう多数の状態が、本開示の原核生物PALバリアント医薬組成物で治療され得る。
本開示に従って調製される原核生物PAL医薬組成物は、好ましくは、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、動脈内、又は髄腔内のいずれかの非経口の注射によって投与される。しかしながら、他の送達経路も、本開示の医薬組成物を用いて効果的に利用されるであろうことが当業者には明らかであろう。
本明細書に記載される方法は、上述の分子を、1以上の医薬として許容し得る賦形剤、ビヒクル、希釈剤、安定化剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント、及び/又は担体、並びに、任意に、他の治療用及び/又は予防用成分と一緒に含む原核生物PAL医薬組成物を使用する。そのような賦形剤としては、液体、例えば水、生理食塩水、グリセロール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、エタノール、シクロデキストリン、修飾シクロデキストリン(すなわち、スルホブチルエーテルシクロデキストリン)などが挙げられる。非液体製剤に適した賦形剤も、当業者に公知である。
医薬として許容し得る塩を、本開示の組成物において使用することができ、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩;並びに酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸の塩が挙げられる。医薬として許容し得る賦形剤及び塩の詳細な解説は、レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第18版(Easton、Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990)で入手可能である。
更に、湿潤又は乳化剤、生物学的緩衝物質、界面活性剤などの補助物質が、そのようなビヒクル中に存在してもよい。生物学的緩衝液は、薬理学的に許容し得る溶液であって、かつ所望のpH、すなわち、生理学的に許容される範囲内のpHを有する製剤を提供する実質的に任意の溶液とすることができる。緩衝溶液の例としては、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、ハンクス緩衝生理食塩水などが挙げられる。
意図される投与様式に応じて、医薬組成物は、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤などの固体、半固体、又は液体剤形の形態であり得、好ましくは、厳密な投薬量の単回の投与に適した単位剤形であり得る。組成物は、治療的有効量の原核生物PALを医薬として許容し得る担体と組み合わせて含むものであり、加えて、他の薬剤、アジュバント、希釈剤、緩衝液などを含んでもよい。
一般に、本開示の原核生物PAL医薬組成物は、経口(頬側及び舌下を含む)、直腸、経鼻、局所、経肺、膣、又は非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下、及び静脈内を含む)投与に適したもの又は吸入又は吹送法による投与に適した形態のものなどの医薬製剤として投与されるであろう。好適な投与様式は、病気(affliction)の度合いに応じて調整することができる使いやすい1日用量レジメンを用いる静脈内である。
固体組成物については、慣用の無毒性の固体担体として、医薬グレードのマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。液体の医薬として投与可能な組成物は、例えば、本明細書に記載される原核生物PALバリアント組成物及び任意選択の医薬アジュバントを例えば、水、生理食塩水、水性ブドウ糖、グリセロール、エタノールなどの賦形剤中に溶解、分散などし、それによって、溶液又は懸濁液を作製することによって調製することができる。望ましい場合、投与される医薬組成物は、少量の湿潤又は乳化剤、pH緩衝剤、張度調整剤(tonicifying agent)などの無毒性の補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム(triethanolamine sodium acetate)、オレイン酸トリエタノールアミンなども含有し得る。そのような剤形を調製する実際の方法は公知であるか、又は当業者にとって自明であろう;例えば、上で参照した「レミントンの薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」を参照されたい。
経口投与については、組成物は、一般に、錠剤、カプセル剤、又は軟ゲルカプセル剤の形態をとるものであり、又は水性若しくは非水性の液剤、懸濁剤、又はシロップ剤であり得る。錠剤及びカプセル剤は、好適な経口投与形態である。経口での使用のための錠剤及びカプセル剤は、一般に、乳糖及びトウモロコシデンプンなどの1以上の通常使用される担体を含むであろう。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も、通常添加される。懸濁液を使用する場合、活性薬剤を、乳化又は懸濁化剤と組み合わせてもよい。望ましい場合、香味料、着色料、及び/又は甘味料も、同様に添加し得る。本明細書における経口製剤への組み入れのための他の任意選択の成分としては、防腐剤、懸濁化剤、増粘剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
非経口製剤は、溶液若しくは懸濁液、注射の前の液体中での再構成、可溶化、又は懸濁に適した固体若しくは凍結乾燥形態としてか又は乳濁液としてのいずれかの慣用の形態で調製することができる。好ましくは、無菌の注射可能な懸濁液が、適当な担体、分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤を用いて当技術分野において公知の技術により製剤化される。また、無菌の注射可能な製剤も、無毒性の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁液であり得る。採用され得る許容し得るビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の固定油、脂肪酸エステル、又はポリオールが、溶媒又は懸濁媒として従来採用されている。加えて、非経口投与は、一定レベルの投薬量が維持されるように、徐放性システム又は持続放出システムの使用を伴ってよい。
本明細書に記載される開示の原核生物PAL組成物は、治療上有効な用量で患者に投与することができる。そのような原核生物PAL組成物の毒性及び治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)及びED50(集団の50%で治療上有効な用量)を決定することによるものなどの、細胞培養液又は実験動物での標準的な薬学の手法によって決定することができる。有毒な作用と治療効果との間の用量比は、治療係数であり、それは、比LD50/ED50として表すことができる。通常は、大きな治療係数を示す原核生物PAL組成物が、好ましい。
(患者集団の特定及びモニタリング)
本明細書の全体にわたって記載されているように、初めは治療中のPKU患者のクラスを特定し、進行中の治療レジメンの間は該レジメンの有効性をモニタリングするという双方の目的のために特定の患者が、PAL療法に反応するかどうかを決定すること及び患者のフェニルアラニン濃度を決定することが本開示のさまざまな実施態様で必要となろう。例示的なそのような方法を、本明細書において以下に記載する。
(BH4負荷試験)
BH4負荷試験は、BH4の欠損を原因とするHPAの患者とPAHの不足によるHPAの患者との区別を可能とする。
最も単純なBH4負荷試験は、外来性のBH4が投与され、血漿Phe濃度の低下に対する投与の作用が決定されるものである。初めに、2mg/kg BH4の静脈内負荷が、Danksらの文献、Lancet 1:1236 (1976)によって提案され、より高い純度のBH4が入手可能なとなってきたために、約2.5mg/kg体重の量でのBH4の経口投与を用いる試験を行うことが可能となっている。最終的には、7.5mg/kgの単回のBH4の経口用量が投与される標準的化されたアプローチが、Niederwieserらによって提案された(Niederwieserらの文献、Eur. J. Pediatr. 138:441 (1982))。しかしながら、一部の機関では、依然として20mg BH4/kg体重を超えて使用されている。
単純なBH4負荷試験で信頼できる結果を得るためには、患者の血中Pheレベルが、400μMよりも高い必要がある。従って、多くの場合、患者は、負荷試験を行う前に2日間PKU食を中止することが通例である。BH4試験キットが入手可能であり、Schircks博士の研究室(Jona、スイス)によって配布されている。このキットは、通常の食事の摂取の約30分後に20mg BH4/kg体重の投薬量を推奨している。
(Phe濃度の決定)
血液中のPheの存在を決定するための多くの方法が存在する(Bickettら編集の文献、「フェニルケトン尿症及びいくつかの他の先天性アミノ酸代謝異常(Phenylketonuria and Some Other Inborn Errors of Amino Acid Metabolism,)、Stuttgart, Georg Thiem Verlag, 47-56 (1971)内のShawらの文献、「フェニルケトン尿症における分析方法-臨床生化学(Analytical Methods in Phenylketonuria-Clinical Biochemistry)」。通常、フェニルアラニン及びチロシン濃度が、蛍光定量アッセイを用いて患者の血清から決定される。このアッセイは、フェニルアラニンがロイシルアラニンの存在下でニンヒドリンと加熱された時の蛍光物質の生成に依拠している(McCamanらの文献、J. Lab. Clin. Med. 59:885-890 (1962))。
最も普及しているPhe濃度を決定するための方法は、患者由来の血液試料で飽和させた濾紙からディスクを打ち抜くガスリー(Guthrie)試験である。均一なディスクを、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)が播種されかつバチルス・スブチリス増殖の特異的阻害剤を含有する寒天のトレー内でインキュベートする。フェニルアラニンが、前記均一なディスクから寒天上へと移動するにつれて、Pheが、細菌増殖の阻害を反転させ、それによって、既知の量のPheを含有するディスクを用いて行われる同様のアッセイとの比較によってフェニルアラニン濃度と相関させることができる細菌増殖の領域が生じる。
Phe濃度を定量化する他の方法としては、HPLC、質量分析、薄層クロマトグラフィーなどが挙げられる。そのような方法を使用して、療法前の患者の血漿Phe濃度を決定すること及び治療レジメンの間のPhe濃度をモニタリングしてその有効性を決定することができる。
患者の血漿Pheレベルが、治療レジメンの時間経過の全期間にわたり都合の良い間隔(例えば、毎日、1日おき、又は毎週)でモニタリングさせるであろうことが想定される。そのように規則的に血漿Pheレベルをモニタリングすることによって、臨床医は、治療の有効性を評価し、それに合わせて、PAL及び/又は食事性タンパク質の必要量を調節することができるであろう。
(併用療法)
本発明の特定の方法は、さまざまな形態のHPAの患者において治療結果をもたらすPAL及び食事性タンパク質制限の併用を含む。本明細書において想定される併用療法において適切な治療結果を達成するために、一般に、所望の治療結果(すなわち、血漿Phe濃度の低下及び/又は付随する血漿Phe濃度の増加を生じさせることなくより多くの量のPhe/タンパク質摂取に耐容性を示す能力)を生じさせるのに効果的な併用量で対象に対してPAL組成物が投与され及び食事制限が実施されるであろう。このプロセスは、PAL組成物及び食事性タンパク質治療用組成物を同時に投与することを含み得る。このことは、食事性タンパク質必要量の全てを含む単一の組成物又は薬理学的タンパク質製剤であって、該タンパク質製剤内にPALも含むものを投与することによって達成され得る。あるいは、食事性タンパク質(サプリメント又は通常のタンパク質食)が、PALの薬理学的製剤(錠剤、注射、又は飲料)とほぼ同じ時間に摂取される。また、PALは、プロテインバー又はブラウニー、パンケーキ、ケーキなどの摂取に適した他の食品として製剤化されてもよい。
他の選択肢において、PAL治療は、分単位から時間単位の範囲の間隔をあけて食事性タンパク質療法の前に又は後に行い得る。タンパク質及びPAL組成物が別々に投与される実施態様において、一般に、PALが、依然として患者に対して有利な効果を発揮することができるように、各送達の時点の間に相当の期間が経過していなかったことを確実とするであろう。そのような場合、PALを食事性タンパク質摂取から(その前後)約2~6時間以内に投与するであろうことが想定され、僅か約1時間の時間的な遅れが、最も好ましい。ある実施態様において、PAL療法は、1日量のPALが患者に無期限で投与される連続的な療法であろうことが想定される。別の状況、例えば、より軽症の形態のPKU及びHPAのみである妊娠中の女性では、当該女性が妊娠中及び/又は授乳中である限りPAL療法が継続されるのみであろう。
さらに、PAL及び食事性タンパク質制限の送達のみに基づく療法に加えて、本発明の方法は、HPAの症状のうちの1つ以上を特異的に標的とする第3の組成物との併用療法も企図する。例えば、HPAによって引き起こされるチロシンの不足が、神経伝達物質であるドーパミン及びセロトニンの不足をもたらすことが知られている。従って、本発明の文脈において、PAL及び食事性タンパク質ベースの方法が、さらに、Lドパ、カルビドパ、及び5-ヒドロキシトリプトファン神経伝達物質の投与と組み合わされて、食事中のチロシンの量の減少に起因する不足を修正し得ることが想定される。
PALの投与は(PAHの投与とは異なって)、チロシンを生じさせないであろうから、そのような治療は、依然として、そのような患者にとってチロシンを必須アミノ酸とするであろう。従って、チロシンでの食品栄養補充が、PALをBH4療法と組み合わせて与えられている患者にとって望ましいであろう。
(食事性タンパク質)
原核生物PAL組成物を対象に投与することに加えて、患者の食事性タンパク質も制限又は変更され得ることが想定される。当業者は、PKUの治療における使用のためのさまざまな市販のタンパク質処方を認識している。そのような調合物としては、MAXIMAID、PHENEX 1、PHENEX 2 Ross Laboratories, Liverpool, UK)、LOFENALAC、PHENYL-FREE (Mead-Johnson)などが挙げられる。
当業者は、一般に、Phe濃度がない言及されたタンパク質処方を使用し得る。タンパク質処方には、多くの場合、PKU患者で不足するアミノ酸が補充されている。そのようなアミノ酸としては、例えば、L-チロシン及びL-グルタミンが挙げられる。
さらに、ヒトの母乳及び動物起源の他の食料中に通常みられるL-カルニチン及びタウリンもまた、タンパク質制限に加えて供給されるべきであることが知られている。ある実施態様において、ヒトの母乳及び動物起源の食品中に通常みられる量のこれらの因子を供給するのを助けるために、L-カルニチンは、20mg/100gのタンパク質サプリメントとして供給され得、タウリンは、40mg/100gのタンパク質サプリメントとして供給され得る。
加えて、当業者は、患者に供給されるべき必須ビタミン及びミネラルなどの他の成分のさらなるリストについて2000年の米国科学アカデミー・米国研究協議会の食事摂取基準(2000 National Academy of Sciences-National Research Council Dietary Reference Intakes)を参照して、食事性タンパク質制限を行っていても他のサプリメントが提供されていることを確実なものとする。
総蛋白量及び所望の血漿Phe濃度に関する上述の解説を参照して、当業者は、必要とされる食事性タンパク質制限の量を決定し、従って、それに合わせて患者の食事を調節することができるであろう。原核生物PALをこの対象に投与すると、本開示の方法が有効であるかどうかを決定することは、患者の血漿Phe濃度を定期的に決定して、該血漿Phe濃度が、検出レベル未満から約20μM~60μMの間まで、好ましくは、約20μM未満まで、さらにより好ましくは、約10μM未満までの範囲にとどまっていることを確実とすることを必然的に伴うであろう。そのような濃度を決定するための試験を、以下に記載する。好ましくは、検出のレベル未満から約20μMから60μMの間までの濃度が、達成され、より好ましくは、約20μM未満まで、さらにより好ましくは、約10μM未満までである。
ある実施態様において、本開示は、対象を治療するための方法であって、そのような治療を必要とする対象に、原核生物フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)バリアント及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物の治療的有効量を投与することを含み、該 PALバリアントが、野生型のPALと比較してより高いフェニルアラニン変換活性及び/又は低下した免疫原性を有し、かつ対象の血液、血清、又は血漿中のフェニルアラニン濃度を、検出レベル未満から約20μM~60μMの間までの範囲まで、好ましくは、約20μM未満まで、さらにより好ましくは、約10μM未満まで低下させるのに有効であり、かつ該対象に、タンパク質制限(すなわち、フェニルアラニンを含まない)食を実施することをさらに含む、前記方法を提供する。
本明細書において想定される併用療法において適切な治療結果を達成するために、好ましくは、一般に、対象に対して、所望の治療結果(すなわち、当技術分野において周知の標準的な検出方法を用いて、検出のレベル未満から最適には約20μM~60μMまでの範囲まで、好ましくは、約20μM未満まで、さらにより好ましくは、約10μM未満までの血漿Phe濃度の低下)を生じさせるのに効果的な併用量で原核生物PAL組成物の投与及び食事制限の実施が行われるであろう。このプロセスは、前記原核生物PAL組成物及び前記食事性タンパク質治療用組成物を同時に投与することを含み得る。このことは、食事性タンパク質必要量の全てを含む単一の組成物又は薬理学的タンパク質製剤であって、該タンパク質製剤内に原核生物PALも含むものを投与することによって達成され得る。あるいは、食事性タンパク質(サプリメント又は通常のタンパク質食)が、原核生物PALの薬理学的製剤(錠剤、注射、又は飲料)とほぼ同じ時間に摂取される。また、原核生物PALは、プロテインバー又はブラウニー、パンケーキ、ケーキなどの摂取に適した他の食品として製剤化されてもよい。
原核生物PALの投与は(PAHの投与とは異なって)、チロシンを生じさせないであろうから、そのような治療は、依然として、そのような患者にとってチロシンを必須アミノ酸とするであろう。従って、チロシンでの食品栄養補充が、原核生物PALを単独で食事性タンパク質療法と組み合わせて与えられている患者にとって望ましいであろう。
他の選択肢において、原核生物PAL治療は、分単位から時間単位の範囲の間隔をあけて食事性タンパク質療法前に又は後に行い得る。タンパク質及び原核生物PAL組成物が別々に投与される実施態様において、一般に、PALが、依然として患者に対して有利な効果を発揮することができるように、各送達の時点の間に相当の期間が経過していなかったことを確実とするであろう。そのような場合には、PALを食事性タンパク質摂取から(その前後)約2~6時間以内に投与するであろうことが想定され、僅か約1時間の時間的な遅れが、最も好ましい。ある実施態様において、PAL療法は、1日量のPALが、患者に無期限に投与される連続的な療法であろうことが想定される。
(原核生物PALの製造)
本発明の別の態様は、原核生物PALを製造する方法である。好ましい実施態様において、組換えPALが、IPTG(イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド)でのものなどの誘導性プロモーターを有するベクター、好ましくは、大腸菌(E. coli) BL21 (DE3)/pLysS (Invitrogen)においてN末端オクタヒスチジルタグ化融合タンパク質として過剰発現される。別の好適な実施態様において、組換えPALは、N末端タグを用いずに大腸菌(E. coli) BL21 (DE3)/pLysS細胞で過剰発現される。バイオリアクター/発酵槽用の種培養物を、グリセロールストックから振盪フラスコ内で増殖させる。次いで、そのような種培養物を用いて、バッチ供給モード(fed-batch mode)で制御されたバイオリアクター中にスパイクする。グルコースを追加し、pHを、塩基(NH4OH)で制御し、攪拌は、最大で1200rpmとする。O2供給により、溶存酸素を20%超に保つ。細胞を、70~100のOD600に到達するまで(約22~25時間)30℃の温度で増殖させ、次いで、0.4mM IPTGを用いて誘導する。温度を、22~26℃まで低下させ、活性変化が、<0.1IU/ml(約40~48時間及び通常200のOD600)となるまで増殖させる。細胞培養培地は、通常、限定培地であり、酵母抽出タンパク質、ペプトン-トリプトン、グルコース、グリセロール、カザミノ酸、微量の塩及びリン酸緩衝塩で構成される。当該組換えPAL生成物は、細胞内で産生され、分泌されない。細菌を、連続的な遠心分離によって回収する(Alfa-Laval、Carr、Ceba、又は同等品)。
(原核生物PALの精製)
本発明のさらなる態様は、細菌PAL又はその生理活性な断片、変異体、若しくは類似体を精製する方法を特徴とする。第1の実施態様によれば、形質転換された細胞塊を、増殖させ破裂させると、粗体の組換え酵素が残る。通常、外来性の材料が、粗体のバルクから分離され、カラムの汚染が防止される。クロマトグラフィー精製が、1種又は数種のクロマトグラフィー樹脂を用いて行われる。それに続き、精製されたタンパク質が、安定な活性を長期間にわたって提供するように設計された緩衝液中に製剤化される。別の好適な実施態様において、細菌PALを精製する方法は:(a)圧力式ホモジナイザーを用いる組換えPALを含む細菌の溶解(しかしながら、場合によっては、ガラスビーズ溶解などの他の物理的手段による);(b)熱処理;(c)第2の連続的遠心分離工程及び/又は深層濾過を用いる溶解物の清澄化(Cuono Zeta Plus若しくはMaximizer、Pall Filtron、又はMillipore Millistak若しくはOpticao filterフィルターを用いて行われるようなもの);(d)活性炭濾過工程の通過(Millipore Millistak 40ACを用いて行われるようなもの);(e)最終濾過工程の通過(
Sartorious Sartopore 0.2μmフィルターを用いて行われるようなもの);(f)ブチル疎水性相互作用クロマトグラフィーの通過(Tosoh BiosciencesのToyopearl Butyl 650Mにおいて行われるようなもの);(g)Qイオン交換カラムの通過(BioRadのMacroprep High Qにおいて行われるようなもの);及び(h)接線流濾過でのバッファー交換による最終生成物の回収(Sartorious Hydrosart又はPES100kDa膜を用いて行われるようなもの)を含む。当業者は、クロマトグラフィー工程のうちの1つ以上を、省略し又は置き換えてもよいこと、又はクロマトグラフィー工程の順序を本発明の範囲内で変更してもよいことを容易に認識する。最後に、所望により、適切な滅菌工程を行い得る。
ここまで、本発明を一般的に説明してきたが、同発明は、以下の実施例について以下で言及することを通じてより容易に理解され得る。実施例は、例示的な目的のみで提供されるものであり、いかなる方法でも本発明の範囲を限定することを意図しない。用いられる数(例えば、量、温度など)に関する正確性を確保するよう努めている者の、一部の実験的な誤差及び逸脱は、勿論、考慮に入れられるべきである。
(治療的使用及び投与)
さまざまな形態の高フェニルアラニン血症(HPA)
本明細書で提供されるのは、HPA及び/又はPKUを管理するための、本明細書で提供される医薬組成物の単独で又は他の治療レジメンと組み合わせてのいずれかでの使用を含む種々のHPA患者集団を治療する方法である。特に、本明細書で提供される医薬組成物を使用して、食事による治療介入が通常用いられないほど低いフェニルアラニン濃度を有する患者集団(すなわち、軽症HPAの患者)、中等症PKUの患者、古典的又は重症PKUの患者、及びそれらの任意の亜集団を治療することができることが想定される。
特定の実施態様は、対象にタンパク質制限食を原核生物PALバリアント又はその生理活性バリアント、変異体、もしくは断片を含む組成物と組み合わせて投与することによって古典的重症PKUを治療することに向けられたものであり、ここで、タンパク質制限食及び原核生物PALバリアントの併用投与は、該対象の血漿中のフェニルアラニン濃度を、該併用投与の非存在下での該濃度と比較して低下させるのに有効である。具体的な実施態様において、療法は、420μΜを超えるPheレベルを示す患者に対して想定される。別の具体的な実施態様において、療法は、500μΜを超えるPheレベルを示す患者に対して想定される。さらに別の具体的な実施態様において、療法は、550μΜを超えるPheレベルを示す患者に対して想定される。さらに特定の実施態様において、療法は、600μΜを超えるPheレベルを示す患者に対して想定される。具体的な実施態様において、療法は、650μΜを超えるPheレベルを示す患者に対して想定される。
他の実施態様は、本明細書で提供される原核生物PALバリアントを含む医薬組成物を、原核生物PALバリアントの投与の前に180μΜを超える血漿Phe濃度を特徴とするHPAの任意の個体に、患者のそのような血漿Phe濃度の低下を生じさせるのに効果的な量で投与することを必然的に伴う。
重症古典的PKUの特徴及びその治療の方法
重症PKUは、1200μΜを超える血漿Phe濃度に現れ、4800μΜもの高さであることがみられることもある。この障害を有する患者は、血漿Phe濃度を臨床的に許容し得るレベル(通常、600μΜ未満又は300μΜ未満)まで下げるためにPheを含まない食事で治療されなければならない。これらの患者は、最高で1日あたり250~350mgの間の食事由来のPheに対して耐容性を示すことができるのみである(Spaapenらの文献、Mol. Genet Metab. 78:93-99 (2003))。従って、これらの患者には、出生から7~10日後にPhe制限処方食が開始され、この食事制限が、患者の残りの生涯にわたって課される。これらの個体が負わされている厳密な食事制限に何らかの軽減があれば、有益であろう。
古典的なPheである個体の診断のために使用される試験を、ここでさらに詳細に説明する。これらの試験は、古典的重症PKUの患者が、低フェニルアラニン食を必要とすることを明らかにしている(Luckeらの文献、Pediatr. Neurol. 28:228-230 (2003))。従って、本明細書で提供される特定の方法が、個体の血漿Phe濃度をモニタリングすることによって患者が古典的PKUを患っていると決定することを必然的に伴うであろうことが想定される。次いで、患者を、患者の血漿Phe濃度の25%の低下が少なくとも生じるように、本明細書で提供される原核生物PALバリアントを含む医薬組成物を単独で投与又は低タンパク質食及びPALバリアントの併用レジメンを投与することによって治療することができる。いくつかの実施態様において、前記方法は、血漿Phe濃度の30%の低下を生じさせるであろう。別の実施態様において、前記方法は、個体の血漿Phe濃度の40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれを超える低下を生じさせるであろう(例えば、重症古典的PKUの患者が、4800μΜのPhe濃度を有する場合、Phe濃度の90%の低下は、ほとんど食事制限を必要としないほど十分に低い濃度である480μΜの血漿Phe濃度をもたらすであろう)。勿論、本明細書で提供される治療方法が、重症古典的PKU治療するためのものであれ、本明細書に記載される任意の他のHPAを治療するためのものであれ、約120μΜ~約360μΜ±15μΜの範囲又は約120μΜ~約240μΜの最適範囲に可能な限り近いレベルまで、患者の血漿Phe濃度を低下させるよう試みるべきであることを理解すべきである。
いくつかの実施態様において、古典的治療中のPKU患者の血漿Phe濃度は、1000μΜを超える任意の量の非制限血漿Phe濃度から、600μΜ未満の任意の血漿Pheレベルまで低下する。勿論、原核生物PALバリアント及びタンパク質制限食での併用治療が、より少ない血漿Phe濃度の低下、例えば、800μΜ~約1200μΜのレベルまでの低下をもたらす場合であっても、これは、この範囲に血漿Phe濃度を有する患者は、Phe制限処方をとることとは対照的に、単に食事中のタンパク質の量を制限することによって疾患を管理することができ、それによって、個体の生活の質の顕著な改善がもたらされるのみならず、患者の食事制限のコンプライアンスが向上するという理由で療法の臨床的に有用な結果であるとみなされるであろう。
本治療の結果として患者が耐容性を示すことができる食事由来のPheレベルの量の増加は何であれ、治療上有効な結果であるとみなされるであろう。例えば、原核生物PALバリアント療法を実施することの結果として、患者は、該患者の食事由来のPheの摂取量を250~350mg/日から350~400mg/日まで増加させることができるであろうことが想定される(すなわち、患者のPhe耐性表現型が、古典的PKU患者のものから中等症PKU患者へと変更される)。本明細書で教示される治療的治療介入によって、患者が、該患者の食事由来のPheの摂取量を250~350mg/日から400~600mg/日に増加させることを可能とすることが望ましいであろう(すなわち、患者のPhe耐性表現型が、古典的PKU患者のそれから軽症PKU患者へと変更される)、又はある場合には、該患者が、600mg Phe/日を超える摂取量(すなわち、通常の食事摂取量)をとることを可能とする。
BH4非応答性PKU患者の特徴及びそれの治療の方法
本明細書で提供される医薬組成物及び方法で治療することができる第2の群の患者は、上昇した血漿Phe濃度、すなわち、200μΜを超える任意の濃度を有していると決定されているが、BH4療法に対して非応答性であると診断されている個体である(以下で説明するBH4負荷試験によって決定される)。そのような患者は、軽症PKUである個体(すなわち、最高で600μΜの血漿Phe濃度)、中等症PKUである個体(すなわち、600μΜ~約1200μΜの間の血漿Phe濃度)、及び古典的重症PKUである患者(すなわち、1200μΜを超える血漿Phe濃度)含むことができる。
いくつかの実施態様において、BH4療法に対して非応答性の患者は、該患者の血漿Phe濃度を低下させるために、PALバリアントを、患者の食事中のタンパク質の量の減少と組み合わせて与えられる。原核生物PALバリアントの投与は、原核生物PALバリアント療法の非存在下で実施される同じ食事プロトコールでもたらされる低下と比較して患者の血漿Phe濃度のより大きな低下を生じさせることができる。食事制限は、Pheの量を減らした合成の医療用タンパク質処方を提供することによってPhe摂取量を制限する食事とすることができるか、あるいは、食事制限は、患者が、単にその総タンパク質摂取量を制限することを必要とするが、それでもやはり、該患者が制限された量で通常の食料をとることを許容するものとすることができる。
古典的PKU患者に関して説明した治療結果は、引用により本セクションに組み込まれる。例えば、中等症PKUの患者(すなわち、600μΜ~1200μΜの非制限血漿Phe濃度を有する患者)に対する治療結果は、少なくとも、患者の血漿Phe濃度の25%の低下を含むことができる。いくつかの実施態様において、前記方法は、30%の血漿Phe濃度の低下を生じさせるであろう。別の実施態様において、前記方法は、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれを超える個体の血漿Phe濃度の低下を生じさせるであろう(例えば、中等症の古典的PKUの患者が、1000μΜのPhe濃度を有する場合、90%のPhe濃度の低下は、食事制限をほとんど又は全く必要としないほど十分に低い濃度である100μΜの血漿Phe濃度をもたらすであろう)。
いくつかの実施態様において、治療中の中等症PKU患者の血漿Phe濃度は、600μΜから1200μΜの間の任意の量の非制限血漿Phe濃度から300μΜ未満である任意の血漿Pheレベルまで低下する。一実施態様において、原核生物PALバリアントでの治療(単独で又は食事制限と組み合わせてのいずれか)は、例えば、200μΜから約400μΜ間のレベルへの血漿Phe濃度の低下をもたらす。このことは、Phe制限処方を摂取することとは対照的に、この範囲に血漿Phe濃度を有する患者が、単に、食事中のタンパク質の量を制限することによって疾患を管理することができるという理由で療法の臨床的に有用な結果とみなされるであろう。実際に、多くの研究において、そのような患者は、通常の食事をとることさえもできることが教示されている。
本治療の結果としての、患者が耐容性を示すことができる食事由来のPheレベルの量の増加は、治療上有効な結果であるとみなされるであろう。例えば、原核生物PALバリアント療法を(単独又は他の治療的治療介入との組み合わせのいずれかで)実施することの結果として、患者は、該患者の食事由来のPheの摂取量を350~400mg/日から400~600mg/日へと増加させることができるであろう(すなわち、該患者のPhe耐性表現型が、中等症PKU患者のそれから軽症PKU患者へと変更される)ことが想定される。勿論、本明細書で教示される治療的治療介入が、患者が、該患者の食事由来のPheの摂取量を350~400mg/日から増加させて、600mg Phe/日を超える摂取量(すなわち、通常の食事摂取量)を有するようになることを可能とするであろうことは望ましいであろう。
軽症PKUのみを示している、すなわち、400~600mg Phe摂取量/日の食事由来許容量を有する患者は、本明細書で提供される組成物及び方法を用いて治療することができ、原核生物PALバリアントベースの療法の恩恵を受けることができる。これは、360μΜ±15μΜにできるだけ近い正常化された血漿Phe濃度をもたらすことが望ましいためである。そのような患者にとっては、有利な治療結果は、該患者の血漿Phe濃度の25%の低下を少なくとも含むであろう。一実施態様において、前記方法は、血漿Phe濃度の30%の低下を生じさせるであろう。別の実施態様において、前記方法は、該個体の血漿Phe濃度の40%>、50%>、60%>、又はそれを超える低下を生じさせるであろう(例えば、軽症PKUの患者が、600μΜのPhe濃度を有する場合は、60%のPhe濃度の低下は、360μΜの血漿Phe濃度、すなわち、許容し得る通常の血漿Pheの濃度をもたらすであろう)。
いくつかの実施態様において、治療中の軽症PKU患者の血漿Phe濃度は、400μΜから600μΜの間の非制限血漿Phe濃度の任意の量から、100μΜ未満である任意の血漿Pheレベルまで低下する。勿論、原核生物PALバリアントでの治療(単独又は食事制限との組み合わせのいずれか)が、より少ない血漿Phe濃度の低下、例えば、200μΜ~約400μΜのレベルへの低下をもたらす場合であっても、これは、療法の臨床的に有用な結果であるとみなされるであろう。
本治療の結果としての患者が耐容性を示すことができる食事由来のPheレベルの量の増加は何であれ、治療上有効な結果であるとみなされるであろう。例えば、原核生物PALバリアント療法を(単独又は他の治療的治療介入との組み合わせのいずれかで)実施することの結果として、患者が、該患者の食事由来のPheの摂取量を400~600mg/日から増加させることができ(すなわち、該患者のPhe耐性表現型が、軽症PKU患者のそれから軽症HPA患者へと変更され)、該患者が600mg Phe/日を超える摂取量(すなわち、通常の食事摂取量)有するようになることを可能とするであろうことが想定される。[00145]更に、患者が、非PKU HPAの症状のみを示す、すなわち、最高で600μΜまでの上昇した血漿Phe濃度を有すが、その他の点では、通常のタンパク質食をとることを許されている者である場合であっても、原核生物PALバリアント療法の恩恵を受けるであろう。これは、上昇したPhe濃度が、そのような個体のIQに対して著しい作用を有することが示されているためである。
簡潔性のために、特定の略語が、本明細書で使用される。1つの例は、アミノ酸残基を表す1文字略語である。アミノ酸及びそれらの対応する3文字及び1文字略語は、以下の通りである:
Figure 2024519847000004
本発明は、多数の実施態様を説明するために断定的な文言を用いて本明細書において概略的に開示されている。また、本発明は、物質若しくは材料、方法の工程及び条件、プロトコール、手順、アッセイ、又は分析などの特定の主題が、全体的又は部分的に排除されている実施態様を明確に含む。従って、本発明が、本発明が含まないものの点において本明細書で一般に示されていない場合であっても、本発明に明示的にはふくまれていない態様は、それでもやはり本明細書で開示されている。
本発明者らが知っている本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の特定の実施態様が、本明細書に記載される。上記の説明を読めば、本開示された実施態様の変形形態が本技術分野において働く者には明らかとなるであろうし、当業者が、そのような変形形態を適宜採用することが期待される。従って、本発明が、本明細書に具体的に記載されるものとは別のやり方で実施されること、及び適用法により認められているように、本発明が、本明細所に添えられた特許請求の範囲に記載される主題の変更形態及び均等物の全てを含むことが意図される。さらに、上述の要素のその全ての考え得る変形形態での任意の組合せは、本明細書において別途示されたり文脈によってそうではないと明確に否定されたりしない限り、本発明に包含される。
本明細書で引用される各刊行物、特許出願、特許、及び他の引例は、それが、本開示と矛盾しない限り、及び各個の刊行物、特許出願、特許、又は引例が、具体的にかつ個々に引用により組み込まれていると示されているのと同じ程度までその全体が引用により組み込まれている。本明細書において検討される刊行物は、本出願の出願日の前にそれらが開示されていることのみをもって提示されている。本明細書には、先行発明であるとの理由でそのような刊行物に本発明が先行する資格がないことを認めるものとして解釈されるべきものはない。さらに、記載される刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なる場合があり、独立に確認される必要があることもある。
(8. 実施態様)
(実施態様1)
対象において血中フェニルアラニン濃度を低下させるための方法であって、
該対象にAvPALバリアントを含む製剤の1週間用量を投与することを含み、
該対象が、約12歳~約18歳であり、かつ
該1週間用量が、約50週間超投与され、
該AvPALバリアントが、配列番号:2、配列番号:3、又は配列番号:4のアミノ酸配列を含む、前記方法。
(実施態様2)
前記1週間用量が、約60週間超、約70週間超、約80週間超、約90週間超、約100週間超、約110週間超、約120週間超、約130週間超、約140週間超、約150週間超、約160週間超、約170週間超、約180週間超、約190週間超、約200週間超、約210週間超、約220週間超、約230週間超、約240週間超、又は約250週間超投与される、実施態様1記載の方法。
(実施態様3)
前記投薬量が、1週間あたり約0.1mg~1週間あたり約1mgの範囲である、実施態様1又は2記載の方法。
(実施態様4)
前記投薬量が、1週間あたり約1mg~1週間あたり約2mgの範囲である、実施態様1又は2記載の方法。
(実施態様5)
前記投薬量が、1週間あたり約2mg~1週間あたり約10mgの範囲である、実施態様1又は2記載の方法。
(実施態様6)
前記投薬量が、1週間あたり約10mg~1週間あたり約20mgの範囲である、実施態様1又は2記載の方法。
(実施態様7)
前記投薬量が、1週間あたり約20mg~1週間あたり約40mgの範囲である、実施態様1又は2記載の方法。
(実施態様8)
前記投薬量が、1週間あたり約40mg~1週間あたり約70mgの範囲である、実施態様1又は2記載の方法。
(実施態様9)
前記投薬量が、1週間あたり約70mg~1週間あたり約140mgの範囲である、実施態様1又は2記載の方法。
(実施態様10)
前記投薬量が、1週間あたり約140mg~1週間あたり約280mgの範囲である、実施態様1又は2記載の方法。
(実施態様11)
前記投薬量が、1週間あたり約280mg~1週間あたり約420mgの範囲である、実施態様1又は2記載の方法。
(実施態様12)
前記投薬量が、1週間あたり約420mg~1週間あたり約840mgの範囲である、実施態様1又は2記載の方法。
(実施態様13)
前記AvPALバリアントが、週1回投与される、実施態様1~12のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様14)
前記AvPALバリアントが、週2回投与される、実施態様1~12のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様15)
前記AvPALバリアントが、1週間あたり4回投与される、実施態様1~12のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様16)
前記AvPALバリアントが、1週間あたり7回投与される、実施態様1~12のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様17)
前記AvPALバリアントが、1週間あたり14回投与される、実施態様1~12のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様18)
前記AvPALバリアントが、毎日投与される、実施態様1~12のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様19)
(1)前記対象に前記AvPALバリアントを、1週間あたり約0.1mg~1週間あたり約10mgの範囲の導入投薬量で投与すること、それに続き
(2)該対象に該AvPALバリアントを、1週間あたり約1mg~1週間あたり約200mgの範囲の用量調節投薬量で投与すること、それに続き
(3)該対象に該AvPALバリアントを、1週間あたり約20mg~1週間あたり約840mgの範囲の維持投薬量で投与すること
を含む、実施態様1記載の方法。
(実施態様20)
前記導入投薬量が、1週間あたり約2.5mgである、実施態様19記載の方法。
(実施態様21)
前記用量調節投薬量が、1週間あたり約5mg~1週間あたり約70mgの範囲である、実施態様19又は20記載の方法。
(実施態様22)
前記維持投薬量が、1週間あたり約140mg~1週間あたり約420mgの範囲である、実施態様19~21のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様23)
前記導入投薬量が、約2週~約6週の期間投与され、
前記用量調節投薬量が、約3週~約8週の期間投与され、かつ
前記維持投薬量が、約50週~約80週の期間投与される、
実施態様19~22のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様24)
前記導入投薬量が、約4週の期間投与され、
前記用量調節投薬量が、約5週の期間投与され、かつ
前記維持投薬量が、約56週~64週の期間投与される、
実施態様23記載の方法。
(実施態様25)
前記維持投薬量が、1週間あたり約70mg~1週間あたり約280mgの第1の維持投薬量、1週間あたり約140mg~1週間あたり約560mgの第2の維持投薬量、及び1週間あたり約210mg~1週間あたり約840mgの第3の維持投薬量から構成される、実施態様23記載の方法。
(実施態様26)
前記第1の維持投薬量が、約16週~約24週の期間投与され、
前記第2の維持投薬量が、約16週の期間投与され、かつ
前記第3の維持投薬量が、約24週の期間投与される、
実施態様25記載の方法。
(実施態様27)
前記維持投薬量の投与後に、対象に前記AvPALバリアントを1週間あたり約20mg~1週間あたり約840mgの範囲の延長投薬量で投与することをさらに含む、実施態様19~26のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様28)
前記延長投薬量が、約40週~約120週の期間投与される、実施態様27記載の方法。
(実施態様29)
前記導入投薬量が、約4週の期間投与され、
前記用量調節投薬量が、約5週の期間投与され、
前記維持投薬量が、約64週の期間投与され、かつ
前記延長投薬量が、約80週の期間投与される、
実施態様28記載の方法。
(実施態様30)
前記導入投薬量を投与することの前に前記血中フェニルアラニン濃度を評価することをさらに含む、実施態様19~29のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様31)
1回以上の導入投薬量、用量調節投薬量、維持投薬量、及び/又は延長投薬量の投与の後に、前記血中フェニルアラニン濃度を評価することをさらに含む、実施態様19~30のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様32)
前記血中フェニルアラニン濃度に基づいて前記投薬量を調整することをさらに含む、実施態様31記載の方法。
(実施態様33)
前記投薬量が、約600μM未満の血中フェニルアラニン濃度を達成するように調整される、実施態様32記載の方法。
(実施態様34)
前記投薬量が、約360μM未満の血中フェニルアラニン濃度を達成するように調整される、実施態様32記載の方法。
(実施態様35)
血中フェニルアラニン濃度が、約360μM超である場合に前記維持投薬量が増量される、実施態様33記載の方法。
(実施態様36)
前記対象が、フェニルケトン尿症(PKU)に罹患している、実施態様1~35のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様37)
前記対象が、約12歳~約15歳である、実施態様1~36のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様38)
前記対象が、約16歳~約17歳である、実施態様1~36のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様39)
前記AvPALバリアントが、配列番号:2のアミノ酸配列を含む、実施態様1~38のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様40)
前記AvPALバリアントが、配列番号:3のアミノ酸配列を含む、実施態様1~38のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様41)
前記AvPALバリアントが、配列番号:4のアミノ酸配列を含む、実施態様1~38のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様42)
前記AvPALバリアントが、ペグ化されている、実施態様1~41のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様43)
前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが少なくとも1.6個の比率で反応させることにより達成される、実施態様42記載の方法。
(実施態様44)
前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが少なくとも2.4個の比率で反応させることにより達成される、実施態様42記載の方法。
(実施態様45)
前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが3個の比率で反応させることにより達成される、実施態様42記載の方法。
(実施態様46)
前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが5個の比率で反応させることにより達成される、実施態様42記載の方法。
(実施態様47)
前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが6個の比率で反応させることにより達成される、実施態様42記載の方法。
(実施態様48)
前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが7個の比率で反応させることにより達成される、実施態様42記載の方法。
(実施態様49)
前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが8個の比率で反応させることにより達成される、実施態様42記載の方法。
(実施態様50)
前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが9個の比率で反応させることにより達成される、実施態様42記載の方法。
(実施態様51)
前記AvPALバリアントが、安定化剤を含む医薬として許容し得る担体を含む製剤として投与される、実施態様1~50のいずれか1つ記載の方法。
(実施態様52)
前記安定化剤が、L-フェニルアラニン又はその構造類似体である、実施態様51記載の方法。
(実施態様53)
前記安定化剤が、L-フェニルアラニン、trans-桂皮酸、及び安息香酸からなる群から選択される、実施態様52記載の方法。
(実施態様54)
前記安定化剤が、trans-桂皮酸である、実施態様53記載の方法。
(実施態様55)
前記製剤が、塩化ナトリウム、並びにトロメタミン及びトロメタミン塩酸塩をさらに含む、実施態様54記載の方法。
本発明のいくつかの実施態様が、記載されている。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくさまざまな改変を行い得ることが理解されるであろう。従って、実験セクションの説明は、請求項に記載された発明の範囲を説明するものであるが、限定するものではないことが意図される。
(9. 実施例)
(9.1 実施例1: 16歳~17歳の対象に対するAvPALバリアントの効果)
試験を行って、AvPALポリペプチドバリアント(例えば、位置503及び565のシステイン残基のセリン置換を有するもの(配列番号:4))のペグ化された形態の16歳~17歳の青年/若年成人PKU患者に対する効果を調査した。
ペグ化AvPAL二重システイン変異体AvPAL_C565SC503Sを調製する方法が、その全体が引用により本明細書に組み込まれている共有のUS7534595B2に記載されている。ペグ化AvPAL二重システイン変異体AvPAL_C565SC503Sは、US7534595B2の実施例10に記載されているように調製された。
PRISM-1(165-301、NCT01819727)及びPRISM-2(165-302、NCT01889862)の試験設計は、以前に報告されている(Thomas JAらの文献、Mol Genet Metab.2018;124(1):27-38)。同意の時点で16歳又は17歳であった11名の対象についてのペグバリアーゼの安全性、有効性、及び免疫原性を評価した。
(対象の曝露及び性質)
PRISM-2における11名の青年/若年成人対象についてのペグバリアーゼに対する曝露及び性質は、成人(≧18歳)集団と同様とした。ベースライン人口統計学及び特性を、表1に示す。
(表1. PRISM-1に参加した対象の年齢別のベースライン人口統計学及び特性)
Figure 2024519847000005
青年/若年成人対象に対する平均(SD)曝露期間は、885.5(645.06)日であり、平均(SD)1日量は、36.9(12.70)mg/日であった。大部分の青年/若年成人対象は、≧40mg/日~<60mg/日(45.5%[n=5])又は≧20mg/日~<40mg/日(36.4%[n=4])の平均用量を投与され、18.2%(n=2)は、<20mg/日の平均用量を投与され、≧60mg/日の平均用量を投与された対象はいなかった。11名の青年/若年成人対象のうちの4名(36%)が、治験薬を中止し:そのうち、2名は(18%)、AEを原因とし、1名(9%)は、治験責任医師の決定によって治験薬を中止し(対象の服薬不順守のため)、1名(9%)は、追跡不能であった。
(有効性の結果)
成人と同様に、PRISM-2パート4においてペグバリアーゼの長期的な投薬を受けた青年/若年成人は、臨床的に意義のある血中Phe閾値(<600μmol/L[>12歳の年齢の患者に対する欧州ガイドライン目標値]、<360μmol/L[全ての患者に対する米国臨床遺伝・ゲノム学会(American College of Medical Genetics and Genomics; ACMG)の目標値]、<120μmol/L[正常上限])を達成することができ(図1A~図1C)、時間の経過とともに平均血中Pheの実質的かつ持続的な低下を示し、平均(SD)は、第49週までで595.8(539.07)、及び第169週までで500.0(625.01)μmol/Lであり、これらは、それぞれ、36.8%及び47.1%のベースラインPhe値からの低下であった。
(安全性/免疫原性の結果)
安全性及び免疫原性を、PRISM-2に登録された対象の年齢群別の有害事象の割合を決定することによって評価した。結果を表2に示す。有害事象(AE)は、双方の年齢群において同様の割合で生じた(表2)。急性全身性過敏症反応はいずれも、薬物特異的な免疫グロブリンEに関連するものではなく、全ての事象は、続発症を伴うことなく回復した。重篤有害事象(SAE)が生じた2名の青年/若年成人対象はいずれも、当該事象を原因として治験薬又は試験を中止することはなかった。免疫原性及び薬物動態/薬力学(PK/PD)プロファイルは、2つの年齢群の間で一貫していた。PAL IgG抗体が、100%の対象で確認され、中和抗体(NAb)が、大部分の対象で確認され、平均検出可能レベルは、双方の年齢群で時間が経過しても安定なままであったか又は時間の経過とともに低下した。
(表2. PRISM2に登録された対象の年齢群別の有害事象の割合の概要)
Figure 2024519847000006
結果は、青年/若年成人16歳~17歳の対象が、60mg/日までのペグバリアーゼ投薬量で実質的かつ持続的な血中Pheの低下を達成するとともに、長期治療を受けた大部分の対象について管理しやすい安全性プロファイルが得られたことを示す。青年/若年成人での有効性、安全性、免疫原性の結果は、成人でみられるものと一貫しており、正のベネフィット:リスクプロファイルを示し、ペグバリアーゼでの治療に16歳~17歳の青年/若年成人PKU患者を含めることを支持している。青年期の間に食事管理に対するアドヒアランスが悪化し始めるために、この患者集団において最適な血中Phe管理を達成するには薬物療法が考慮されるべきである。
(9.2 実施例2: 12~17歳の青年の治療のための原核生物PAL組成物を用いた臨床評価)
フェニルケトン尿症(PKU)は、非存在の又は不十分なフェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性に関連する稀な常染色体潜性遺伝性障害である。結果として生じる血中フェニルアラニン(Phe)の上昇が、認知神経科学的及び精神医学的な症状を引き起こすことがある。従って、推奨される閾値未満にPheを維持するための一生涯にわたる食事管理が、重要である。Pheをする維持ことの難しさが、青年でよく報告されている。これは、彼/彼女らが小児期を脱し、食事管理に対する親の監督が減るためである。ペグバリアーゼは、PKU(Phe>600μmol/L)の成人においてPheを低下させるのに承認されたペグ化PAL酵素置換療法である。以下の実施例は、本開示の治療方法において原核生物PAL又はその生理活性な断片、変異体、バリアント、若しくは類似体を含む組成物の臨床評価のために使用されるパラメーターについての指針を提供する。第3相非盲検無作為化対照試験を、青年におけるペグバリアーゼの安全性及び有効性を評価するように設計する(NCT05270837)。本明細書の全体にわたって検討されているように、原核生物PAL組成物が、12~17歳の青年対象の治療に用いられる。代替評価項目及び規定された臨床評価項目双方の安全性、薬物動態、及び初期反応についての原核生物PALの皮下用量の評価を提供する臨床試験を実施する。
(方法)
本試験を行って、フェニルケトン尿症(PKU)の青年対象(12~17歳)におけるペグバリアーゼの自己投与型皮下注射の安全性及び有効性を評価する。12歳~17歳の年齢のPKUの青年対象を、2つの年齢コホート(コホートA:16歳~17歳及びコホートB:12歳~15歳)に分ける。コホートA及びBを登録し、並行して投与を行う(図2A~図2Cを参照されたい)。
コホートAは、非盲検単一群試験設計を用いて評価される約25名の16歳~17歳の米国人対象からなる。主要有効性評価項目は、1次治療期(パート1)の最後である第73週の時点での血中Pheのベースラインからの変化である。第73週後に、コホートAの対象は、延長期(パート2)において最長でさらに80週間非盲検ペグバリアーゼの投与を受け続ける。
コホートBは、対照としてPKUの食事制限単独管理を用いる非盲検2アーム無作為化対照設計を用いて評価される12歳~15歳(両端も含める)の27名の米国人及び欧州人対象からなる。対象は、それぞれ、ペグバリアーゼを与えられる18名の対象と食事制限単独でPKUを管理する9名の対象を含む活性薬アームと対照アーム(active and control arms)に2:1の比率で無作為化される。主要有効性評価項目は、パート1の終わりである第73週の時点での血中Pheのベースラインからの変化である。第73週の後に、活性治療アームの18名の対象は、延長期(パート2)において最長でさらに80週間非盲検ペグバリアーゼの投与を受け続ける。食事制限単独対照アームの9名の対象は、第74週にペグバリアーゼでの治療を開始し、第74週から第146週まで、コホートA及びコホートB双方の活性薬対象(active subject)が、第1週から第73週まで従ったものと同じ投薬及び評価スケジュールに従う。
2つのパートからなる無作為化対象ファージ3(Phage 3)臨床試験を行って、食事制限単独と比較したペグバリアーゼのリスク及びベネフィットを、現行の治療選択肢では実質的に満たすことのできない必要性を有する青年において評価する。試験は、Phe>600μmol/L(12歳~17歳(米国)(両端も含める);12歳~15歳(EU)(両端も含める))の青年約54名を登録するものとする。パート1において、参加者は、ペグバリアーゼ(n=36)又は食事管理(n=18)に2:1に無作為化され、72週間追跡される。4週間の導入期及びそれに続く用量調節期の後に、ペグバリアーゼの維持用量が、患者の反応に応じて最高で60mg/日までで個別化されるものとする。主要有効性評価項目は、試験72週間後の血中Pheのベースラインからの変化である。パート1の参加者は全て、パート2(第73週に開始)に入っても継続するものとし、ペグバリアーゼでの治療を第153週まで受けるものとする。安全性及びPhe評価項目に加えて、認知神経科学的な変化が評価されるものとする。
(別々のコホートについての設計の理論的根拠)
単一の全てを含む試験の中で年長の(16歳~17歳)及び年少の(12歳~15歳)青年を試験する2つの異なる設計を用いることについての理論的根拠は、単一の試験内で青年PKU患者の全てにおける未対処の医学的必要性を迅速に満たす方法の評価に基づいている。
PKU患者におけるサプロプテリン二塩酸塩及びペグバリアーゼの双方を評価する広範な臨床経験に基づいて、PKU集団における血中Phe有効性を評価するために、食事性タンパク質摂取を、試験の全期間にわたり非盲検の設計において個々の対象を自身の対照として用いて一様に維持する。ベースライン血中Pheに対する対象内での比較は、これが、各対象の個々の食事由来Phe耐性(すなわち、個体が血中Phe濃度を規定の目標範囲内に維持しつつ毎日消費することができる食事由来Pheの量)に起因する実質的な対象間のばらつきを考慮に入れるために、有効性の証拠となることが保証されている。Phe耐性は、対象の異化/同化状況に加えて、遺伝的に決定され安定である残存PAH活性などの生理学的な特質によって決定される場合がある。
米国のセンターに登録された年長の青年PKU患者(16歳~17歳)からなるコホートAについて、非盲検単一群設計は、所与の試験サイズについてより大きな安全性データベースを可能とすることによってペグバリアーゼの安全性評価を強化する。これは、全ての対象が、試験の開始から活性薬での治療(active treatment)を受けるためである。これは、無作為化対照試験(RCT)設計においてよく生じる安全性への洞察が失われることなく達成される。ペグバリアーゼの安全性プロファイルを主として規定するIII型免疫複合体介在性過敏症イベントは、ペグバリアーゼを与えられていない成人又は青年のPKU患者集団で通常認められものではない。その結果、ペグバリアーゼ治療群と対照群(食事制限単独であろうと盲検としたプラセボであとうと)間での安全性データの比較が、非盲検の試験で明らかとされない安全性シグナルを明らかにすることはありそうにない。免疫系は、青年期前に成熟するために(Olinらの文献, Cell. 174(5):1277-1292.e14 (2018); Georgountzouらの文献, Front Immunol. 8:957 (2017))、青年対象の間のペグバリアーゼに対する免疫応答は、ペグバリアーゼ臨床開発プログラムにおける16歳~57歳の試験対象で認められる応答と同様であると期待される。重要なことに、16歳~17歳の集団の12名の対象は、実施例1に記載されているように過去のペグバリアーゼ臨床試験で研究されており、該対象のデータは、この青年集団が、安全性及び有効性の双方に関して成人と同様であることを示している。
EU及び米国の双方でセンターに登録された年少の青年PKU患者(12歳~15歳)からなるコホートBでは、PKUの食事制限単独管理を対照として用いる無作為化対照試験(RCT)設計は、年少の以前に試験されたことのない青年集団の堅牢なデータの取得を確実とし、バイアスの可能性を最小化する。毎日のプラセボ注射は、青年PKU患者に対して必要以上の負荷をかけるであろうから、食事療法対照アームは、本年齢群にとって最高の対照である。食事療法対照は、食事に対するコンプライアンスに関連する成人との挙動の違いの可能性を原因とする反応に対して年齢が持ち得る影響に対処する。食事療法対照に無作為化された対象は、該対象の現在の処方食を継続する。
コホートA及びBの青年対象は、単一のすべてを含むプロトコールの下で2つの別々のコホートに効果的に参加している。コホートA及びBについての試験手順、投薬及び評価スケジュール、安全性モニタリング、及び試験の他の運用上の態様が、本質的に同じであることを考えると、これは、青年PKU患者における未対処の必要性にできるだけ効率的に対処しようとして実施される。コホートを1つの試験に統合すると、試験手順、場所、及び主要人員の一貫性が確保され、これは、2つのコホート全体にわたるより一貫した評価を確実なものとする。
(投薬レジメンについての理論的根拠)
ペグバリアーゼは、PKUの患者にとって日常の治療である。以前の臨床試験によって、血漿からのペグバリアーゼの主要なクリアランス機構が、補体活性化及びファゴサイトーシスによる該薬物の除去に繋がる循環性免疫複合体の形成を経るものであることが示唆されており、ペグバリアーゼの血漿中曝露量が、免疫応答によって決定されたことを示している。免疫系が、青年期前に成熟すること(Olinらの文献, Cell. 174(5):1277-1292.e14 (2018); Georgountzouらの文献, Front Immunol. 8:957 (2017))を考慮すると、青年対象の間のペグバリアーゼに対する免疫応答は、本発明者らの臨床開発プログラムにおいて16歳~57歳の試験対象で認められる応答と同様であると期待される。
クリニックでの初期用量(最初の8週間)の投薬後に、ペグバリアーゼが、親又は保護者(訓練された成人観察者)の観察下で対象によって自己投与される。家庭での自己投与は、毎日の治療を患者にとってより負担の軽いものとし、それによって、治療のコンプライアンスを向上させる。初めてのクリニックでの用量の前の自己投与の訓練に加えて、対象及び訓練された成人観察者は、治験薬での治療に関連し得る可能性のある有害事象(AE)をモニタリングする方法及びそれに対応する方法についての広範囲にわたる訓練を受ける。
ペグバリアーゼが、表3による導入/用量調節/維持(I/T/M)投薬レジメン(米国において行われる第3相試験で用いられるレジメン及び米国添付文書(United States Prescribing Information, USPI)を改変)を用いて投与される。ペグバリアーゼ臨床開発の間に、本投薬レジメンが、血中Phe濃度を実質的に低下させつつ、過敏症反応の発症及び重症度を緩和するのに役立つことが分かった。
本試験におけるペグバリアーゼ用量レベルが、6つの複数用量第2相及び第3相試験で評価されている。導入のための用量レベルは、週1回2.5mgであり、週1回の投薬頻度で治療の初めの4週間(すなわち、導入)に投与されたこの用量が、より高い開始用量(0.4mg/kg)での1週間あたり5日の投薬頻度と比較した過敏症反応の発生率及び重症度の低下に関連しているという理由で選択された。
パート1についての73週の期間は、それが、必要とされる場合に、最適な血中Pheレベルを達成するために、プロトコールに規定された投薬スケジュール後に、対象が60mg/日の用量レベルに到達するのにかかると予想される時間の量であるという理由で選択された。
(目的及び評価項目(コホートA及びB))
主要目的は、PKUの青年対象におけるペグバリアーゼの安全性及び有効性を評価することである。
コホートAについて、有効性の主要評価は、未治療のベースラインから第73週までの血中Phe濃度の変化である。コホートA(16歳~17歳)について、対象は、自身の対照としての役割を果たす。対象は、スクリーニング/観察(Run-in)の間(2~4週間空けて2回の測定)、第1日の投与前、1次治療期(パート1)の終了まで4週毎、及び延長期(パート2)において8週間毎に血中Phe濃度について評価される。有効性の主要評価は、第73週の時点での未治療のベースラインからの血中Phe濃度の変化である。
コホートB(12歳~15歳)について、ベースラインからの血中Pheの変化が、活性薬(ペグバリアーゼ)アームの対象と対照(食事制限単独)アームの対象との間で比較される。対象は、スクリーニング/観察の間(2~4週間空けて2回の測定)、第1日の投与前、1次治療期(パート1)の終了までの4週毎、及び延長期(パート2)において8週間毎に血中Phe濃度について評価される。
評価を行った安全性の変数は:AE(重篤なAE(SAE)を含む);臨床検査(化学、血液学、及び尿検査)結果;バイタルサイン(成長を含む);身体検査;心電図(ECG)試験結果;並びに免疫原性試験結果(抗PEG IgG、抗PEG IgM、抗PAL IgG、抗PAL IgM、TAb、NAb、補体C3及びC4、並びに抗ペグバリアーゼIgE[過敏症反応による通院のみ])を含む。
パート1での安全性評価は、最初の8週間は毎週、次いで、第73週まで4週毎の通院時に行われ、パート2の間の通院は、8週毎である。対象の予定される通院がない週には、投薬上の質問に答えAE及び併用薬を調査する電話での評価が行われる。免疫原性試験は、第1日、第4週、第8週、第12週、第16週、第20週、第24週、並びにパート1においてはその後8週毎及びパート2においては8週毎に行われる。
副次的有効性評価を行って、PKUの青年対象における認知神経科学的なアウトカムに対するペグバリアーゼでの治療の効果を評価する。注意欠陥多動性障害評価尺度(attention deficit hyperactivity disorder rating scale; ADHD-RS)不注意サブスコア及び実行機能の行動評価尺度(Behavior Rating Inventory of Executive Function; BRIEF)を用いる認知神経科学的な評価が、第1日(ベースライン、治験薬の前)及び12週毎に行われる。
ペグバリアーゼでの治療後のPKUの青年対象における無処置の食品からの食事性タンパク質摂取量を評価するために、治験薬での治療後の医療用食品及び/又は無処置の食品からのタンパク質摂取の変化が調査される。
PKUの青年対象におけるペグバリアーゼの薬物動態(PK)を評価するために、トラフPK試料用の血漿試料を、第1日に及び初めの24週間は4週毎に採取し、それに続き、その後のパート1の間は8週間毎にサンプリングを行う。集中的PKサンプリングが、全ての対象において第73週の時点で行われる。試料が、投与前、投与後2、4、8、12、及び24時間に採取される。24時間試料が、次の1日量の前に採取される。トラフPK試料が、パート2の間8週間毎に集められる。
三次的有効性評価を行い、PKUの生化学的、分子的、及び細胞的態様を調査する。血液及び尿試料を集め、PKUの生化学的、分子的、及び細胞的態様を評価し、これらの評価のために使用されるアッセイを開発する。
(総合的な試験設計)
(対象適格性(コホートA及びB))
PKUの青年対象(年齢12歳~17歳、(両端も含める))により毎日自己投与されるペグバリアーゼの安全性及び有効性を評価するために、試験における2つのコホートを並行して登録し、投与を行い、評価を行う。コホートAは、スクリーニング時に16歳~17歳の対象を含み、コホートBは、スクリーニング時に12歳~15歳の対象を含む。
以下の基準のいずれかを満たす対象は、試験への参加に不適格である:以前のペグバリアーゼでの治療;スクリーニング/観察の前の30日以内のいずれかの被験薬又は治験医療機器の使用、又は全ての計画された試験評価の終了前にいずれかの治験薬剤を必要としたこと; 第1日の治験薬の投与前14日以内の、大きな中性アミノ酸の使用などのPKUを治療することが意図される何らかの薬物の使用;スクリーニング/観察の前3ヶ月以内及び試験に参加している間のメドロキシプロゲステロン注射などの、ポリエチレングリコール(PEG;ペグバリアーゼ以外)を含有する注射用薬物の使用又は計画された使用;HIV抗体、B型肝炎表面抗原、又はC型肝炎抗体の試験陽性;臓器移植又は慢性免疫抑制剤療法の病歴;過去12ヶ月における物質乱用(米国精神医学会:精神疾患の診断・統計マニュアル(the American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders [DSM])によって定義されるもの)の病歴又は現時点でのアルコール若しくは薬物乱用;スクリーニング/観察時に妊娠中若しくは授乳中であるか、又は試験の間の任意の時点で妊娠することを計画している(自己又はパートナー)若しくは授乳中である;試験参加又は安全性の妨げとなり得る併発の疾患又は疾病(例えば、臨床的に重要な心血管、肺、肝、腎、血液学的、胃腸、内分泌、免疫性、皮膚科学的、神経学的、腫瘍学的、又は精神医学的疾患の病歴又は存在);試験期間中に計画されている大きな外科手術;治験責任医師の考えで、対象を治療コンプライアンス不良又は試験からの早期離脱の高リスクとする任意の条件;アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度>2×正常値上限(ULN);及びクレアチニン>1.5×ULN。
(コホートBの設計(概要))
コホートBの設計は、米国及びEUの試験場所で行われる12歳~15歳の27名の対象の非盲検2アーム無作為化対照評価であり、食事制限単独を対照アームとする。登録時に、コホートBの対象を、活性薬アームと対照アームに2:1で無作為化し、18名の対象が、毎日ペグバリアーゼを与えられ、9名の対象は、食事制限単独によってPKUを管理する。治療の割当は、≦1000μmol/L又は>1000μmol/Lのベースライン血中Phe(最後の評価の平均)によって層別化される。主要有効性評価項目は、第73週の時点でのベースラインからの血中Pheの変化である。活性薬アームと対照アームのコホートBの対象は、対照の対象が、ペグバリアーゼを与えられず、PK採血を受けないことを除き、73週間の1次治療期(パート1)の全期間にわたり同じ通院スケジュールに従い、同じ評価を行う。コホートBの活性薬対象に対する導入/用量調節/維持(I/T/M)投薬レジメンの詳細は、上記コホートAに関して記載した通りである。コホートBの活性薬の対象及び対照の対象についてのパート1評価のタイミングは、図3及び図5にそれぞれ提供される。
第73週の後に、コホートBの活性治療アームの18名の対象は、延長期(パート2)において最長でさらに80週間非盲検ペグバリアーゼの投与を受け続ける。第73週の後に、コホートBの対照アームの9名の対象は、ペグバリアーゼでの治療を開始し、第74週から第146週まで、パートBの活性薬アームの対象が、1次治療期(パート1)の間第1週から第73週まで従うものと同様の投薬、試験のための通院、及び評価のためのスケジュールに従う。コホートBの活性薬の対象及び対照の対象についてのパート2の評価のタイミングは、それぞれ、図4及び図6で提供される。
(小括)
本試験の目的は、ペグバリアーゼの安全性及び有効性を評価すること及びPKUの青年対象におけるペグバリアーゼのPKを特性評価することである。試験の詳細は、以下を含む:
(状態/疾患)
フェニルケトン尿症(PKU)は、PAH酵素活性の非存在又は不足及び高フェニルアラニン血症(HPA)として知られる続発する血液中のアミノ酸フェニルアラニン(Phe)の上昇に繋がるフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)遺伝子における変異によって引き起こされる稀な常染色体潜性遺伝性障害である(Vockleyらの文献, Genet Med. 16(2):188-200 (2014); Mitchellらの文献, Genet Med. 13(8):697-707 (2011))。PAHの不足は、異常に上昇したPheの濃度をもたらし、これは、脳に対して毒性を有する。乳児期及び小児初期の間の高いPheレベルは、重度の認知神経科学的及び発生上の欠陥を引き起こし、年長の小児及び成人における制御が不十分な血中Pheレベルは、学習障害、注意欠陥多動障害、行動上の問題、及び精神医学的症状に関連する。
(試験仮説)
安全性集団は、少なくとも1回の治験薬の用量を与えられた全ての対象からなる。有効性集団は、試験の間に少なくとも1回の治験薬の用量を与えられており治療後の血中Phe測定を受ける全ての対象からなる。分類上のデータは、対象の数及び百分率を用いて提示され。連続変数は、対象の数、平均、標準偏差(SD)、中央値、最小値、及び最高値を用いて提示される。
コホートAについて、有効性の評価項目についての主たる解析は、記述的である。加えて、第73週の時点での血中Phe濃度の平均変化の95%信頼区間を示し、ベースライン血中Pheを共変数として含む共分散分析(ANCOVA)モデルを用いて250μmol/Lと比較する。コホートBについて、有効性(第73週の時点での血中Phe濃度)についての主たる解析は、ベースライン血中Pheを共変数として含み治療群を因子として含むANCOVAモデルである。LS平均及び95%信頼区間が、ペグバリアーゼと食事制限単独との間の治療の差について計算される。
安全性解析が、安全性集団に対して行われる。AEは、国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities; MedDRA)の最新のバージョンを用いてコード化される。治療下で発現したAE、SAE、及び特に注目すべきAEの発生率が、MedDRAの器官別大分類、基本語、治験薬との関係、及び重症度によってまとめられる。治験薬の中止、投薬の中断、又は用量レベルの低下をもたらすAEを示す対象が表に示される。全てのAEの対象ごとリストが提供される。
臨床検査データが、ベースライン及びベースライン後通院において記述的にまとめられる。シフトテーブルが作成され、ベースラインから最悪のベースライン後値までの有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events; CTCAE)グレードの変化がまとめられる。AEとして報告された臨床的に重要な検査異常が、まとめられる。バイタルサイン、身体検査結果、ECG試験結果、及び免疫原性試験結果についての記述統計も提供される。統計学的な方法の詳細は、統計解析計画(SAP)で提供される。
(試験期間)
試験期間は、活性薬での治療に無作為化コホートAの対象及びコホートBの対象について最長で157週である。これは、パート1及び2における4週間のスクリーニング/観察期間及び最長で153週間のペグバリアーゼでの治療を含む。試験期間は、食事制限単独対照アームに無作為化されたコホートBの対象について150週である。これは、4週間のスクリーニング/観察期間、パート1の評価スケジュールに従いつつ食事制限単独での73週間のPKUの管理、及び同じパート1の評価スケジュールに従う第74週から第146週までの73週間のペグバリアーゼでの治療を含む。
(治療期間(皮下ペグバリアーゼとして定義される治療))
治療期間は、コホートAの対象及びコホートBでペグバリアーゼに無作為化された者について最長で153週である。治療期間は、食事制限単独対照アームに無作為化されたコホートBの対象について73週である。
(健康測定/観察)
血中Pheの低下。
(通院頻度)
コホートA及びコホートBの活性薬(ペグバリアーゼ)アームの対象について、パート1での通院は、最初の8週間は毎週、次いで、第73週までは4週毎、及びパート2の間は8週毎で行われる。コホートBの対照(食事制限単独)アームの対象について、パート1での通院は、初めの3週間は毎週、次いで、第73週までは4週毎に行われる。第73週の後は、これらの対象は、ペグバリアーゼでの治療を開始しつつ、パート1の通院スケジュールを繰り返す。即ち、8週間は毎週通院、次いで、第146週まで4週毎である。
(対象の数)
約25名の対象が、コホートAに登録される。I/T/M投薬レジメンを利用するそれまでのペグバリアーゼ試験で17ヵ月の治療を完了した対象(16歳~57歳)において、第17月時点での未治療のベースラインからの血中Phe濃度の平均(標準偏差[SD])低下は、640μmol/L(570μmol/L)であった。25名の対象を含む青年16歳~17歳の対象において同様の治療効果を仮定すると、250μmol/Lとは統計学的に有意に異なる、第17月時点での未治療のベースラインからの血中Phe濃度の低下を検出する90%超の検出力が得られる。解析は、ベースラインからの血中Phe変化に対する両側1標本T検定及び0.05の有意水準に基づく。
約27名の対象が、コホートBに登録され、ペグバリアーゼ群又は食事制限単独群に2:1の比率で無作為化される。第73週の時点でのPheの平均(SD)低下が、ペグバリアーゼ群で640(570)μmol/L、食事制限単独群で100(250)μmol/Lであると仮定すれば、27名の対象の合計サンプルサイズで、不等分散での2標本T検定及び有意水準0.05(両側)に基づいて、治療の差を検出する90%超の検出力が得られる。
(治療群及び治療期間)
被験薬は、ペグバリアーゼ(かつては、BMN 165と呼ばれていた;販売名Palynziq;組換えアナベナ・バリアビリスフェニルアラニンアンモニアリアーゼ-PEG[rAvPAL-PEG])であり、自己投与のための充填済みシリンジ(PFS)に入れて対象に供給される。ペグバリアーゼは、3種の用量強度:2.5mg(0.5mLの5mg/mLタンパク質濃度)、10mg(0.5mLの20mg/mLタンパク質濃度)、及び20mg(1.0mLの20mg/mLタンパク質濃度)でPFSに入れて提供される。
対象は、ペグバリアーゼを5.0又は20.0mg/mLの濃度で与えられる。ペグバリアーゼは、2.5~60mgの範囲の用量レベルで皮下投与される。ペグバリアーゼの最小用量は、2.5mg/週である。ペグバリアーゼの最大許容1日量は、60mg/日である(420mgの最大1週間用量の場合)。各用量調節工程間の期間は、AEに応じて増やしてもよい。AE又は低フェニルアラニン血症(<30μmol/Lの血中Pheレベル)を原因とする用量レベルの低減を、試験の間の任意の時点で行ってもよい。
1次治療期(パート1)の期間は、73週であり、その期間内に、ペグバリアーゼでの治療が、I/T/M投薬レジメンを用いて開始される。コホートA又はBのいずれかでペグバリアーゼを投薬される全ての対象に推奨される投薬スケジュールを、表3に示す。導入は、対象に、PFSを用いて2.5mg/週の一定用量でペグバリアーゼが皮下投与され、その間には、投薬レジメンが、血中Phe濃度に応じて変更されることがない4週間の期間からなる。対象が、導入を完了したら、該対象は、最大で10mg/日の用量までの用量調節を行う。投薬頻度は、用量調節期の間に毎日(7日/週)まで徐々に増加される。維持期の間に、用量を、個々の血中Pheを低下させる有効性(治験責任医師の裁量による)に応じて、20mg/日、40mg/日、及び60mg/日まで増加させる。用量は、20mg/日で24週間の投薬後に血中Pheが>360μmol/Lである場合は、40mg/日まで増加されるべきであり、40mg/日での16週間の投薬後に血中Pheが>360μmol/Lである場合は、60mg/日まで増加されるべきである。目標血中Pheレベルは、個々の必要性に基づくべきであり、最低限の目標血中Pheは、<600μmol/Lである。
パート1の完結後に、PKUの青年対象におけるペグバリアーゼの長期的な安全性及び有効性を評価するために、対象は、延長期(パート2)に入り、その期間内に、対象は、最大60mg/日までのペグバリアーゼの投薬を最長でさらに80週間継続する。
(表3: 治験薬用量調節スケジュール)
Figure 2024519847000007
a用量調節/用量増加は、対象の認容性に応じて遅らせてもよい。
b全ての対象は、1日当たり20mgで維持を開始する。必要とされる場合にのみ、用量を、40mg/日及び/又は60mg/日まで増加させる。
登録後、対象(及び対象が指定する養護者)は、治験薬を家庭で投与するよう訓練される。最低限、初めの3回の治験薬用量(第1、2、及び3週)は、クリニックでクリニックの職員の監督下で対象(又は養護者)によって投与される。治験薬を家庭で投与することが許されるには、対象(又は養護者)は、治験薬を注射できる能力を実際に示さなければならない。治療のパート1の間(すなわち、第73週まで)、治験薬の投与の間及び投与後最低で1時間は、適格な成人(訓練された成人観察者)も、同席していなければならない。治験薬の投与は、この成人観察者が同席している場合にのみ実施し得る。対象及び治験薬の投与の間該対象を観察する訓練された成人観察者には、可能性のあるアレルギー性反応、該反応の重症度をどのように認識するかに関する情報及び広範囲の訓練、並びに反応が生じた場合に何を行うべきかについての指示が提供される。
治療の初めの73週間を超えて自己投与型用量のために訓練された成人観察者を必要とすることは、治験責任医師の臨床的判断に基づいて個々の対象について選択可能なものと考えられる。例えば、訓練された成人観察者が、知的障害の対象に、又は以前に米国国立アレルギー・感染症研究所/食物アレルギー及びアナフィラキシーネットワーク(National Institute of Allergy and Infectious Disease/Food Allergy and Anaphylaxis Network; NIAID/FAAN)基準によるアナフィラキシーの経験がある対象に検討され得る。
対象は、2本のエピネフリン注射器を提供され、少なくとも1本のエピネフリン注射器を常に携帯するように指示される。対象及び訓練された成人観察者は、アナフィラキシー又は急性全身性過敏症反応(ASHR)の兆候及び症状を認識するように、及びこれらの反応が生じた場合には、救急医療支援を求めエピネフリン注射器を打つように訓練される。試験の間、各対象には、自己投与に関する問題及び有害事象(AE)をモニタリングするために試験機関の人員からの連絡がある。
導入期及び用量調節期の間、ペグバリアーゼを与えられる対象は全て、治験薬の各用量の約2~3時間前にH1アンタゴニスト、及びH2アンタゴニスト、及び解熱剤を事前投与される。治験責任医師の裁量で、事前投与を、維持期の間に行うことを考えてもよい。また、事前投与は、治験薬の再導入時、AEの解消時、≧4日の投与の中断の後、及び延長期における用量増加のための1週間、治験薬の約2~3時間前に臨床的判断に基づいて実施され得る。また、対象は、治験責任医師の裁量によって本試験の任意の時点で事前投与を受ける。この事前投与レジメンは、第3相成人臨床プログラムにおいて成功裏に実施された。対象は、治験薬注射の日付及び時刻、注射部位、事前投与の利用、及びAEの疑いを記録する記録簿を提供される。
安全性に関連する問題以外の理由で≧4回の用量が投与されない場合には、治験責任医師は、対象が治験薬を再開する前にメディカルモニターに相談しその承認を得るべきである。
(食事モニタリング)
対象は、73週間のI/T/M期(パート1)の全期間にわたって医療用食品及び/又は無処置の食品からの安定な食事性タンパク質摂取量を維持するよう依頼される。有効性及び安全性評価項目を、食事性タンパク質摂取量の変化にではなく試験治療に帰すことができることを確実とするために、対象が安定なタンパク質摂取量を維持する能力は、本試験の成功に必須である。対象は、インタクトなタンパク質変化が、ベースラインから<10%であり、医療用食品タンパク質変化が、ベースラインから<10%であるものとして定義される一貫した食事を用いて、試験の全期間でベースラインレベルと一貫している食事性タンパク質摂取レベルを維持することを求められる。
治験責任医師の監督下の栄養士が、試験の全期間にわたり対象の食事をモニタリングし管理することが求められる。対象は、全ての食事性タンパク質摂取(医療用食品及び/又は無処置の食品を含む)を、栄養士による調査のために各計画された通院の直前に3日連続で記録しなければならない3日分の日誌を提供される。全ての対象には、治験責任医師の裁量でチロシン補充(500mg、食事と共に1日あたり3回)の選択肢が提供される。
スクリーニング/観察期において、3日間の食事日誌評価が、2~4週間空けて2回行われる。対象は、その食事性タンパク質摂取量(医療用食品及び/又は無処置の食品)を試験のスクリーニング/観察及び1次治療期(パート1)の間変更しないように指示される。しかしながら、血中Pheレベルが、<30μmol/Lまで低下し、再チェック(約4週間以内に行われる)で確認された場合には、対象の食事の変更及び治験薬用量レベルの低減を実施しなければならない。
対象が、延長期(パート2)に入ったら、血中Phe濃度が、最短で4週間≦360μmol/Lである場合に、食事性タンパク質摂取量を変更してもよい。パート2の間に血中Phe測定が≦360μmol/Lである対象は、個々の対象のペグバリアーゼに対する反応及び治験責任医師又は指名された者からの案内に基づいて食事性タンパク質摂取量を調節してもよい。
対象の用量レベルが、低減される場合には、60mg/日から40mg/日への又は40mg/日から20mg/日へのペグバリアーゼへの低減が、推奨される。中間の用量とする低減は、メディカルモニターとの検討の後に許可され得る。用量の低減は、電話越しに又はクリニックで行い得る。食事が変更される場合、対象が、年齢的に適切なタンパク質レベル(世界保健機関、国際連合食糧農業機関(World Health Organization, Food and Agriculture Organization of the United Nations)、2007)を既に消費している場合を除き、インタクトなタンパク質が、10gの増分で増加されることが推奨される。必須アミノ酸が、年齢的に適切なレベルに達していると栄養士が決定した場合には、医療用食品を中止してもよい。
(妊娠)
妊娠及び授乳中に治験薬を取り入れることのリスクが、分かっていないという理由で、対象は、妊娠しようと試みている、妊娠中である、又は授乳中である場合には、治験薬を取り入れることはできない。本プロトコールの組み入れ基準セクションに概略が示されているように、第28日からは、性的に活性な対象は、許容し得る避妊方法を2つ用いなければならない。血清妊娠検査によって妊娠中であることが確認され一時的に治験薬から離れる対象は、計画された尿妊娠検査を行うことを要しない。
(対象の中止)
試験完結の前に治験薬が中止される場合、治験責任医師は、対象に、試験に残って、試験のための通院及び評価を続けるように依頼する。早期に治験薬を中止した対象は、中止後30日間行われる試験評価を受け続けるべきである。但し、そのような参加の継続が、治験責任医師の決定に基づいて対象の健康、安全性、及び幸福に有害な影響を及ぼさない場合に限られる。
(安全性管理計画)
独立のデータ監視委員会(Data Monitoring Committee; DMC)が、試験対象の安全性をモニタリングする。
(過敏性有害事象への対応)
対象は、試験の全期間にわたり安全性について評価され、アナフィラキシー又は急性全身性過敏症反応(NIAID/FAAN基準による)などの可能性のある過敏性AE(HAE)及びどのように対応すべきかを認識するよう訓練される。対象は、HAEの疑いについてどんなものであれ治験責任医師と連絡をとるように指示される。電話での評価後に、治験責任医師は、クリニックでのさらなる評価を要求する場合もある。過敏症反応(例えば、注射部位反応、発疹、関節痛、そう痒)が生じた場合には、対象は、後続の治験薬用量の約2~3時間前にH1アンタゴニスト、及びH2アンタゴニスト、及び解熱剤(例えば、アセトアミノフェン)を予備投与するよう勧められる場合もある。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が、予備投薬として投与される場合、それは、食品と共に与えられるべきである。
対象が、重篤な又は皮膚科学的に著しい皮膚反応(又は場合によっては血管炎であり得る反応)を生じた場合、該対象に、皮膚科を受診させるべきである。皮膚生検が、何らかのそのような症状の評価の一部として考慮され得る。
治験薬投与によるHAEの発生が、予想される。HAEの疑いに対応して、治験薬の投薬が、事象の重症度及び疑われる治験薬の因果関係に応じて変更又は中止され得る。HAEとみなされる国際医薬用語集(MedDRA)基本語による個々のAEが、「過敏症反応」薬物有害反応(ADR)の定義と一致して定義される。HAEに関連するAE(基本語)の重症度が、米国国立がん研究所-有害事象共通用語規準(National Cancer Institute - Common Terminology Criteria for Adverse Events; NCI-CTCAE)基準により段階分けされる。
(ペグバリアーゼでの治療の間の有害事象についての個々の停止基準評価)
治験責任医師及び/又は治験依頼者のメディカルモニターの判断で、治験薬に関連しており、Brownの重症の基準(グレード3)を満たすことが疑われるアナフィラキシー関連エピソードが生じた対象は、治験薬を永久に中止する。
(過敏性有害事象に応じた投薬)
HAEに応じた投薬は、NCI-CTCAEグレード及び疑われる治験薬との関係次第である。投薬指示が、表4に提供される(以前の発生は問わない)。
(表4: 過敏性有害事象に応じた投薬指示)
Figure 2024519847000008
AE、有害事象; CTCAE、有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)、バージョン5.0; HRV、過敏症反応による通院; NCI、米国国立がん研究所。
aNCI-CTCAEグレード決定は、治験責任医師によって行われ、電話又は受診のいずれかで行われ得る。
b治験責任医師は、対象に、グレード1への改善又は回復(クリニックで又は電話による治験責任医師の評価による)まではAE発症の時点の治験薬用量を維持するように指示する。
c治験薬用量は、必要であれば、治験責任医師の決定によって減量又は中断してもよい。
d対象が、治験責任医師及び/又は治験依頼者のメディカルモニターの判断で治験薬に関連しかつBrownの重症の基準(グレード3)を満たすことが疑われるNCI-CTCAEグレード≧3の過敏性AEを有する場合には、該対象は、治験薬を永久に中止する。
e治験責任医師が、NCI-CTCAEグレード≧3の過敏症反応が、治験薬を用いた投与に関連すると決定する場合は、対象は、臨床検査(化学、血液学、尿検査、抗ペグバリアーゼIgE[試料採取は、事象の発症の8~24時間後かつ治験薬の次の用量の前に行われるべきである]、尿中アルブミン/クレアチニン比、CRP、C3、及びC4)を含む評価のために事象の発症から24時間以内にクリニックに戻るよう依頼される。
HAE(アナフィラキシー以外)が、グレード1まで改善するか又は回復してしまえば、治験薬用量を、治験責任医師の裁量で増量、維持、又は減量し得る。減量する場合、減量は、どちらが適切であるにせよ、60から40mg/日へ、40から20mg/日へ、又は20から10mg/日へとすべきである。
(アナフィラキシー又は急性全身性過敏症反応への対応)
対象が、アナフィラキシー又は急性全身性過敏症反応を生じた場合、該対象は、エピネフリンを注射し、即座の医学的な配慮を求め、かつ治験責任医師に知らせるように指示される。
治験責任医師が、AEが、NIAID/FAANによって定義されるアナフィラキシーであることを疑う場合、対象は、クリニックにおいて評価を受け、治験依頼者のメディカルモニターは、直ちに通知を受けるべきである。アナフィラキシー事象の疑いについての検査評価は、(適用可能であれば)次の治験薬の投与の前に行われ、抗ペグバリアーゼIgE(最適な結果のために、試料採取は、事象の発症の8~24時間後に行われるべきである)を含む。治験責任医師が、試験の間の任意の時点でのアナフィラキシーの回復後に対象が治験薬での投薬を再開することが安全であると決定する場合、以下の段階を必要とする:少なくとも、アナフィラキシーの回復後に投与される初めての投与は、アクセスが容易な範囲に救急蘇生のための設備(エピネフリンを含む)を備えるクリニックで与えられる;投与の中断期間を問わず、対象は、投薬の再開の際少なくとも1週間、治験薬の各用量の約2~3時間前にH1アンタゴニスト、及びH2アンタゴニスト、及び解熱剤(例えば、アセトアミノフェン)を事前投与されなければならない;投与の中断期間を問わず、訓練された成人観察者は、投薬の再開後少なくとも1週間の間治験薬の投与の間及び治験薬投与の後最低で1時間は対象を観察しなければならない;また治験薬の投与は、この者が同席している場合にのみ、行い得る。
(治験薬での治療の間の有害事象についての試験停止基準評価)
Brownの重症の基準(グレード3;表4)を満たすアナフィラキシー又は急性全身性過敏症反応が生じると、DRBの議長及び/又は委員会は、通知を受け、試験運営に対して可能な変更について治験依頼者に助言する。Brownの基準による臨床的に重篤な過敏症は、生命の危険があるか又は生命の危険がある事象を予防する治療を必要とした著しい低酸素、低血圧症又は神経学的障害:チアノーゼ又はSpO2≦92%;SBP<90mmHgの低血圧症;神経学的変化(例えば、錯乱、意識消失、虚脱、及び失禁)と定義される。
上記の実施例に記載されるもののような本開示における多くの変更及びバリエーションが、当業者の頭に浮かぶことが予想される。その結果、添付の特許請求の範囲に現れるそのような制限のみが、本開示に課されるべきである。

Claims (55)

  1. 対象において血中フェニルアラニン濃度を低下させるための方法であって、
    該対象にAvPALバリアントを含む製剤の1週間用量を投与することを含み、
    該対象が、約12歳~約18歳であり、かつ
    該1週間用量が、約50週間超投与され、
    該AvPALバリアントが、配列番号:2、配列番号:3、又は配列番号:4のアミノ酸配列を含む、前記方法。
  2. 前記1週間用量が、約60週間超、約70週間超、約80週間超、約90週間超、約100週間超、約110週間超、約120週間超、約130週間超、約140週間超、約150週間超、約160週間超、約170週間超、約180週間超、約190週間超、約200週間超、約210週間超、約220週間超、約230週間超、約240週間超、又は約250週間超投与される、請求項1記載の方法。
  3. 投薬量が、1週間あたり約0.1mg~1週間あたり約1mgの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 投薬量が、1週間あたり約1mg~1週間あたり約2mgの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  5. 投薬量が、1週間あたり約2mg~1週間あたり約10mgの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  6. 投薬量が、1週間あたり約10mg~1週間あたり約20mgの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  7. 投薬量が、1週間あたり約20mg~1週間あたり約40mgの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  8. 投薬量が、1週間あたり約40mg~1週間あたり約70mgの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  9. 投薬量が、1週間あたり約70mg~1週間あたり約140mgの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  10. 投薬量が、1週間あたり約140mg~1週間あたり約280mgの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  11. 投薬量が、1週間あたり約280mg~1週間あたり約420mgの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  12. 投薬量が、1週間あたり約420mg~1週間あたり約840mgの範囲である、請求項1又は2記載の方法。
  13. 前記AvPALバリアントが、週1回投与される、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
  14. 前記AvPALバリアントが、週2回投与される、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
  15. 前記AvPALバリアントが、1週間あたり4回投与される、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
  16. 前記AvPALバリアントが、1週間あたり7回投与される、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
  17. 前記AvPALバリアントが、1週間あたり14回投与される、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
  18. 前記AvPALバリアントが、毎日投与される、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
  19. a.前記対象に前記AvPALバリアントを、1週間あたり約0.1mg~1週間あたり約10mgの範囲の導入投薬量で投与すること、それに続き
    b.該対象に該AvPALバリアントを、1週間あたり約1mg~1週間あたり約200mgの範囲の用量調節投薬量で投与すること、それに続き
    c.該対象に該AvPALバリアントを、1週間あたり約20mg~1週間あたり約840mgの範囲の維持投薬量で投与すること
    を含む、請求項1記載の方法。
  20. 前記導入投薬量が、1週間あたり約2.5mgである、請求項19記載の方法。
  21. 前記用量調節投薬量が、1週間あたり約5mg~1週間あたり約70mgの範囲である、請求項19又は20記載の方法。
  22. 前記維持投薬量が、1週間あたり約140mg~1週間あたり約420mgの範囲である、請求項19~21のいずれか1項記載の方法。
  23. 前記導入投薬量が、約2週~約6週の期間投与され、
    前記用量調節投薬量が、約3週~約8週の期間投与され、かつ
    前記維持投薬量が、約50週~約80週の期間投与される、
    請求項19~22のいずれか1項記載の方法。
  24. 前記導入投薬量が、約4週の期間投与され、
    前記用量調節投薬量が、約5週の期間投与され、かつ
    前記維持投薬量が、約56週~64週の期間投与される、
    請求項23記載の方法。
  25. 前記維持投薬量が、1週間あたり約70mg~1週間あたり約280mgの第1の維持投薬量、1週間あたり約140mg~1週間あたり約560mgの第2の維持投薬量、及び1週間あたり約210mg~1週間あたり約840mgの第3の維持投薬量から構成される、請求項23記載の方法。
  26. 前記第1の維持投薬量が、約16週~約24週の期間投与され、
    前記第2の維持投薬量が、約16週の期間投与され、かつ
    前記第3の維持投薬量が、約24週の期間投与される、
    請求項25記載の方法。
  27. 前記維持投薬量の投与後に、対象に前記AvPALバリアントを1週間あたり約20mg~1週間あたり約840mgの範囲の延長投薬量で投与することをさらに含む、請求項19~26のいずれか1項記載の方法。
  28. 前記延長投薬量が、約40週~約120週の期間投与される、請求項27記載の方法。
  29. 前記導入投薬量が、約4週の期間投与され、
    前記用量調節投薬量が、約5週の期間投与され、
    前記維持投薬量が、約64週の期間投与され、かつ
    前記延長投薬量が、約80週の期間投与される、
    請求項28記載の方法。
  30. 前記導入投薬量を投与することの前に前記血中フェニルアラニン濃度を評価することをさらに含む、請求項19~29のいずれか1項記載の方法。
  31. 1回以上の導入投薬量、用量調節投薬量、維持投薬量、及び/又は延長投薬量の投与の後に、前記血中フェニルアラニン濃度を評価することをさらに含む、請求項19~30のいずれか1項記載の方法。
  32. 前記血中フェニルアラニン濃度に基づいて投薬量を調整することをさらに含む、請求項31記載の方法。
  33. 前記投薬量が、約600μM未満の血中フェニルアラニン濃度を達成するように調整される、請求項32記載の方法。
  34. 前記投薬量が、約360μM未満の血中フェニルアラニン濃度を達成するように調整される、請求項32記載の方法。
  35. 血中フェニルアラニン濃度が、約360μM超である場合に、前記維持投薬量が増量される、請求項33記載の方法。
  36. 前記対象が、フェニルケトン尿症(PKU)に罹患している、請求項1~35のいずれか1項記載の方法。
  37. 前記対象が、約12歳~約15歳である、請求項1~36のいずれか1項記載の方法。
  38. 前記対象が、約16歳~約17歳である、請求項1~36のいずれか1項記載の方法。
  39. 前記AvPALバリアントが、配列番号:2のアミノ酸配列を含む、請求項1~38のいずれか1項記載の方法。
  40. 前記AvPALバリアントが、配列番号:3のアミノ酸配列を含む、請求項1~38のいずれか1項記載の方法。
  41. 前記AvPALバリアントが、配列番号:4のアミノ酸配列を含む、請求項1~38のいずれか1項記載の方法。
  42. 前記AvPALバリアントが、ペグ化されている、請求項1~41のいずれか1項記載の方法。
  43. 前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが少なくとも1.6個の比率で反応させることにより達成される、請求項42記載の方法。
  44. 前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが少なくとも2.4個の比率で反応させることにより達成される、請求項42記載の方法。
  45. 前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが3個の比率で反応させることにより達成される、請求項42記載の方法。
  46. 前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが5個の比率で反応させることにより達成される、請求項42記載の方法。
  47. 前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが6個の比率で反応させることにより達成される、請求項42記載の方法。
  48. 前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが7個の比率で反応させることにより達成される、請求項42記載の方法。
  49. 前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが8個の比率で反応させることにより達成される、請求項42記載の方法。
  50. 前記ペグ化が、前記AvPALバリアントをNHS活性化ポリエチレングリコールと、AvPALバリアントのリジン残基1個あたりポリエチレングリコールが9個の比率で反応させることにより達成される、請求項42記載の方法。
  51. 前記AvPALバリアントが、安定化剤を含む医薬として許容し得る担体を含む製剤として投与される、請求項1~50のいずれか1項記載の方法。
  52. 前記安定化剤が、L-フェニルアラニン又はその構造類似体である、請求項51記載の方法。
  53. 前記安定化剤が、L-フェニルアラニン、trans-桂皮酸、及び安息香酸からなる群から選択される、請求項52記載の方法。
  54. 前記安定化剤が、trans-桂皮酸である、請求項53記載の方法。
  55. 前記製剤が、塩化ナトリウム、並びにトロメタミン及びトロメタミン塩酸塩をさらに含む、請求項54記載の方法。
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