JP2024519600A - 遺伝子のサイレンシング法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、真核細胞における標的遺伝子の発現をサイレンシングするための改善された方法及び生産物に関する。【選択図】図5

Description

本発明は、真核細胞における標的遺伝子の発現をサイレンシングするための改善された方法及び生産物に関する。
特定の遺伝子の発現をサイレンシングする能力は、研究ツール、治療薬、及び農業を含む様々な分野で大きな好機をもたらす。農業に関しては、世界の食糧供給が増え続ける人口についていけるように作物の改良が必要とされている。伝統的な育種を用いて生み出すことができる形質には限界があり、これは特定の作物に特に当てはまるため、遺伝子操作を用いて遺伝子をサイレンシングすることが有望なアプローチとなる。
植物及び他の真核生物における遺伝子のサイレンシングは、トランスジェニックRNAiを用いて日常的に行われている。RNAiサイレンシングコンストラクトの作製には、二本鎖ヘアピンコンストラクト等のサイレンシングRNAをコードしている配列を設計する必要がある。対象となる標的遺伝子に相補的な配列を用いることによって、対象となる標的遺伝子に対する特異性が得られる。その後、サイレンシングRNAをコードしている配列を、強力な発現を駆動する独立したプロモーター及びターミネーターと組み合わせる。外来性配列を減少させるために、標的生物由来のプロモーターを使用し、シーケンシングコンストラクトに融合させてもよい(例えば、Miroshnichenko et al.,2020,PCTOC,140:691-705)。
国際公開第2019/058255号及び同第2019/058253号には、DNA編集剤を利用し、インサイチュ及びインビボで内在性遺伝子座を改変することを伴う、真核細胞における遺伝子発現をサイレンシングする方法が記載されている。
標的遺伝子の発現をサイレンシングする改善された方法が求められている。
本発明者らは、真核生物における標的遺伝子の発現をサイレンシングするための改善された系を開発した。本発明の系は効率的であり、最小限の遺伝子改変しか利用せず、様々なサイレンシング効果を実現する。特に、本発明の系では、所望の発現パターンを有し、最小限のヌクレオチド変化で標的遺伝子をサイレンシングするように改変及びリダイレクトすることができる内在性サイレンシング配列が同定される。そのプロモーター及びターミネーターを含む内在性サイレンシング配列を使用して、標的遺伝子に対する特異性を提供するために最小限のヌクレオチド変化しか含まないサイレンシング挿入物を作製する。サイレンシング挿入物を真核細胞のゲノムに挿入して、所望の組織及び条件で標的遺伝子を特異的にサイレンシングする。
サイレンシング挿入物は、そのプロモーター及びターミネーターを含む内在性サイレンシング配列から作製されるため、内在性配列と非常に類似している。従って、有利なことに、サイレンシング挿入物は、挿入物の配列及びその配置が宿主に内在しているため、宿主によって効率的にプロセシングされる。また、サイレンシング挿入物は、プロモーター及びサイレンシングコンストラクトを近位に配置することなく内在性配列を内在性の配置で導入するシスジェニックな改変であり、このことは、消費者にとって魅力的であり、規制当局にとっては潜在的な問題が大幅に軽減される。
サイレンシング挿入物はゲノムにランダムに挿入されるので、非常に効率的である。サイレンシング挿入物にプロモーター及びターミネーターを含めることで、ランダムに挿入されても有効に発現させることができ、ターゲティング配列の必要性を回避することができる。挿入物が選択可能なマーカーを含む場合、配列の挿入によって、成功した形質転換体を選抜することも可能になる。
本発明のサイレンシング挿入物は、最小限のヌクレオチド変化で内在性配列をその内在性配置で導入することから恩恵を受け、また、所望の組織及び条件で標的遺伝子を特異的にサイレンシングすることからも恩恵を受ける。これが達成されるのは、一つには、挿入物が、サイレンシングRNAをコードしている内在性配列とその同種のプロモーター及びターミネーターとの間に加えて5’UTR及び3’UTRの配列等の発現を制御する他の配列との間の連結も維持しながら、対象とする標的遺伝子にサイレンシングをリダイレクトするためにターゲティング配列に対する改変も含むためである。
従って、本発明は、サイレンシング挿入物を真核細胞のゲノムに挿入することを含む、第1の標的遺伝子の発現を低下させる方法であって、
該サイレンシング挿入物が、プロモーター又はその一部、該第1の標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーター又はその一部を含み、
該サイレンシング挿入物が、プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む該真核細胞における内在性サイレンシング配列に対して、その長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
該内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、活性を有さず、該第1の標的遺伝子とは異なる第2の標的遺伝子の発現をサイレンシングすることもない方法を提供する。
本発明はまた、そのゲノム中に
(a)プロモーター又はその一部、該第1の標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーター又はその一部を含むサイレンシング挿入物と、
(b)該挿入物によって分離された内在性ゲノム配列と、
(c)プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む内在性サイレンシング配列と、
を含み、
該サイレンシング挿入物及び該内在性サイレンシング配列が、該挿入物の長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
該内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、活性を有さず、該第1の標的遺伝子とは異なる第2の標的遺伝子の発現をサイレンシングすることもない真核細胞を提供する。
本発明はまた、プロモーター又はその一部と、真核細胞における第1の標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列と、ターミネーター又はその一部とを含むサイレンシング挿入物を含む、単離されたサイレンシングコンストラクトであって、
該サイレンシング挿入物が、プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む該真核細胞における内在性サイレンシング配列に対して、その長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
該内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、活性を有さず、該第1の標的遺伝子とは異なる第2の標的遺伝子の発現をサイレンシングすることもないコンストラクトを提供する。
好ましい実施形態では、サイレンシング挿入物は、微粒子銃(遺伝子銃)、プロトプラストトランスフェクション、エレクトロポレーション、又はナノ粒子媒介トランスフェクションによって挿入される。このような技術はトランスジェニックDNAを必要としないので、本発明の系によって提供される最小限の遺伝子変化のみを導入する。
好ましい実施形態では、真核細胞は、植物細胞である。遺伝子変化を最小限に抑えながら標的遺伝子をサイレンシングする方法は植物において特に有用であるが、その理由は、外来性DNAもその内在性配置ではない内在性DNA配列も含まない作物及び植物生産物を作出することができ、このことが消費者や規制当局に好まれるためである。また、植物におけるトランスジェニックDNAを繁殖させて除去すること(breed out)も可能である。
好ましい実施形態では、真核細胞は、バナナ植物細胞、又はコーヒー植物細胞、又はイネ植物細胞である。バナナは無性であり、形質又は表現型を改良するためにバナナを育種することは不可能であるため、本発明の方法及び生産物は、バナナ植物における遺伝子をサイレンシングするために特に有用である。同様に、コーヒー植物の育種には15~25年間かかり、不経済であるため、本発明の方法及び生産物は、コーヒー植物における遺伝子をサイレンシングするために特に有用である。同様に、イネ植物の育種には特に時間がかかるため、本発明の方法及び生産物は、イネ植物における遺伝子をサイレンシングするために特に有用である。
別の実施形態では、真核細胞は、動物細胞、好ましくは家畜動物細胞である。家畜動物とは、有用な商業目的のためにヒトに飼育されている動物の任意の品種又は集団であり得る。本発明で使用するための家畜動物の例としては、ウマ、ロバ、ウシ、若しくは任意の他の反芻動物;コブウシ、ヤク、バッファロー、ヒツジ、ヤギ、トナカイ、ラクダ、ラマ、アルパカ、ブタ、ウサギ、若しくは任意の他のげっ歯類;イヌ、ネコ、例えばニワトリ、七面鳥、ガチョウ、若しくはアヒル等の家禽類;魚類、甲殻類、及び軟体動物が挙げられる。家畜動物は、ヒトではない。遺伝子変化を最小限に抑えながら標的遺伝子をサイレンシングする方法は、家畜動物において特に有用であるが、その理由は、外来性DNAもその内在性配置ではない内在性DNA配列も含まない動物及び動物生産物を作出することができ、このことが消費者や規制当局に好まれるためである。また、家畜動物におけるトランスジェニックDNAを繁殖させて除去することも可能である。本発明はまた、本発明のサイレンシング挿入物又は動物細胞を投与することを含む家畜動物における疾患を治療又は予防する方法を提供し、疾患の治療又は予防において使用するための本発明のサイレンシング挿入物及び動物細胞を提供する。
別の実施形態では、真核細胞は、ヒト細胞である。遺伝子変化を最小限に抑えながら標的遺伝子をサイレンシングする方法はヒトにおいて特に有用であるが、その理由は、有害となる恐れのある他の変化を最小限に抑えながら、治療用配列を導入することができるためである。本発明はまた、本発明のサイレンシング挿入物又はヒト細胞を投与することを含むヒトにおける疾患を治療又は予防する方法を提供し、疾患の治療又は予防において使用するための本発明のサイレンシング挿入物及びヒト細胞を提供する。ヒト細胞を用いる実施形態では、細胞は単離され、インビトロで取り扱われるか、又は方法は治療的である。いくつかの実施形態によれば、真核細胞はヒトの身体から単離されたヒト細胞であり、本発明のサイレンシング挿入物はインビトロで導入され、任意で、本発明のサイレンシング挿入物を有するヒト細胞がヒトに再導入される。いくつかの実施形態によれば、本発明は、(1)ヒトの身体から細胞を単離することと、(2)本発明のサイレンシング挿入物をインビトロで該細胞に導入し、改変細胞を得ることと、(3)該改変細胞をヒト対象、任意で、非改変細胞が由来するヒト対象と同じヒト対象に投与することとを含む、ヒトにおける疾患を治療又は予防する方法を提供する。いくつかの実施形態によれば、そのような方法において、本発明のサイレンシング挿入物は、該方法が治療又は予防する疾患に関連する標的遺伝子に対するサイレンシング特異性を導入する。
好ましい実施形態では、サイレンシング挿入物は、内在性サイレンシング配列に対して1~40個、例えば5~40個、5~30個、5~20個、3~40個、3~30個、3~20個、5~15個、3~10個、10~30個、又は10~20個のヌクレオチドの付加、欠失、及び置換を含む。このような改変は、内在性配列に最小限の変化しか与えない一方で、対象となる標的遺伝子を標的とするように内在性サイレンシング配列をリダイレクトするのに好適である。従って、好ましくは、これら変化は、サイレンシングRNAをコードしている配列におけるものであり、そして好ましくは、サイレンシング挿入物中のプロモーター及びターミネーター、並びに5’UTR及び3’UTRの配列等の発現を制御する任意の他の配列は、内在性サイレンシング配列における対応する配列と同一である。
好ましい実施形態では、サイレンシング挿入物は選択可能なマーカーに隣接し、本発明の方法は、隣接する選択可能なマーカーと共にサイレンシング挿入物を真核細胞のゲノムに挿入することを含む。選択可能なマーカーを使用することで、成功した形質転換体を選抜することが可能になり、その作出がはるかにより効率的になる。好ましくは、導入される外来性遺伝物質を最小限にするために、選択可能なマーカーは、真核細胞の内在性遺伝子、例えば真核細胞に内在する遺伝子の変異体バージョンに非常に類似している。選択可能なマーカーは、真核細胞の内在性遺伝子の変異体バージョンであってよく、任意で、変異(好ましくは、優性変異)が導入されるまでマーカーとして機能せず、変異が選択可能なマーカーとして機能することを可能にする遺伝子であってもよい。好ましくは、内在性遺伝子の変異体バージョンである選択可能なマーカーを、内在性遺伝子のプロモーター及びターミネーターと共に使用する。好ましくは、マーカーの変異体バージョンは、同属又は同種の別の真核細胞に天然に存在する変異を含む。選択可能なマーカーの非限定的な例は、クロルスルフロン除草剤抵抗性を付与するALS遺伝子の変異バージョンである。本発明の系は、複数のサイレンシング挿入物を一緒に挿入することを可能にし、複数の遺伝子のサイレンシング及び形質の「積み重ね」を提供する。これは、形質を組み合わせるために交配することができないバナナ等の無性作物に使用するのに特に有利である。
本発明はまた、本発明の方法から得られ、本発明のサイレンシング挿入物を有する細胞を含む植物、植物の部分、種子、果実、及び植物生産物を提供する。そのような生産物は、特異的な遺伝子サイレンシングによってもたらされる改良された形質を示すが、シスジェニックであり、任意の外来性DNAも非内在性配置の内在性DNAも含有しない。
本発明はまた、本発明の方法から得られ、本発明のサイレンシング挿入物を有する細胞を含む動物及び動物生産物を提供する。このような動物及び生産物は、特異的な遺伝子サイレンシングによってもたらされる改良された形質を示すが、シスジェニックであり、任意のトランスジェニックDNAも非内在性配置の内在性DNAも含有しない。
プロモーター同定パイプライン:プロセスの概要。 ターミネーター同定パイプライン:プロセスの概要。 miRNAの一例(ath-miR173)についてのWT(A)及びGEiGS(商標)-Insertion(B)の配列、並びにステムループ構造(C)。プロモーター、ncRNA(非コードRNA)、及びターミネーターの領域を、それぞれ下線、イタリック体、及びイタリック体+下線で示す。WT配列からの変化を太字で示す。5’→3’の配向を示す。 tasiRNAの一例(ath-Tas3a)についてのWT(A)及びGEiGS(商標)-Insertion(B)の配列。プロモーター、ncRNA(非コードRNA)、及びターミネーターの領域を、それぞれ下線、イタリック体、及びイタリック体+下線で示す。WT配列からの変化を太字で示す。5’→3’の配向を示す。 GEiGS(商標)-Insertion改変を導入するための重複PCRストラテジ。ゲノムDNAをテンプレートとして用いて、それぞれプライマーA+B(PCR1)及びC+D(PCR2)を用いた2回の別々のPCR反応を行う。プライマーB及びCは、その5’に改変GEiGS(商標)配列を含有する(点線)。GEiGS(商標)-Insertionカセット全体を増幅するために、PCR1及び2からの産物の改変領域にアニーリングし、プライマーA+Dを用いる3回目のPCR反応(PCR3)を行う。 選択図によるGEiGS(商標)-Insertion。GEiGS(商標)-Insertionカセットは、GEiGS(商標)ncRNA及び変異型P197S発現カセットが反対方向(A)又は同一方向(B)を向くように設計することができる。読み過し転写を防ぐために配向Aが好ましい。ALSカセットは、相補鎖からネイティブに発現する。ALSの内在性プロモーター(5’UTRを含む)及びターミネーター(3’UTRを含む)の領域を示す。ncRNAの内在性プロモーター及びターミネーターを示す。GEiGS(商標)ncRNAは、その二次構造に影響を与えない最小限の変異しか含まず、sRNAのサイレンシング活性及び特異性を、挿入物のベースとなるサイレンシング遺伝子のサイレンシング活性及び特異性からリダイレクトする。ALS P197S:プロリン197をセリンに変異させてクロルスルフロン抵抗性を付与したALS一点変異体。cTP:ALSオープンリーディングフレームの一部である葉緑体輸送ペプチド。 選択を伴うGEiGS(商標)-Insertion。ALS/ALS P197Sの内在性プロモーター(5’UTRを含む)及びターミネーター(3’UTRを含む)の領域を示す。miR173の内在性プロモーター及びターミネーターを示す。miR173 GEiGS(商標)配列における最小限の変異に球で印を付ける。これら変異はncRNAの二次構造に影響を与えず、sRNAのサイレンシング活性及び特異性をリダイレクトすることができる。ALS P197S:プロリン197をセリンに変異させてクロルスルフロン抵抗性を付与したALS一点変異体。cTP:ALSオープンリーディングフレームの一部である葉緑体輸送ペプチド。ALS/ALS P197S及びmiR173は、それぞれ相補鎖及びセンス鎖からネイティブに発現する。 GEiGS(商標)コンボ-1つのT-DNAセグメントにおけるトランスジェネシスベース及びHDRベースのGEiGS(商標)植物系統の作出。GEiGS(商標)コンボアプローチは、同じT-DNAセグメントを使用して、HDRベースのGEiGS(商標)植物系統(左)及びシスジェニックベースのGEiGS(商標)系統(右)を作出することを容易にする。このセグメントは、DNA切断を行うための発現カセット(例えば、CRISPR/CAS9及びsgRNA)、DNAドナーテンプレート(HDR経路による改変配列の導入を容易にする)、及び形質転換事象の質を高めるために選択又はレポーターマーカーの選択肢を含有する。(A)ドナー配列は、CRISPR/CAS及びsgRNAカセットによって生成されたDNA切断に続いて、HDR経路を介して細胞によって使用されるドナーテンプレートとして機能する。このドナーテンプレートは、GEiGS(商標)ソリューションの配列を導入するために、内在性スカフォールド遺伝子座に所望のDNA改変を導入する。その結果、GEiGS(商標)ソリューション遺伝子がゲノム内のネイティブの位置から発現する。GEiGS(商標)コンボ法のこの機能は、非GM的に行うことができ、この場合、遺伝子編集事象はT-DNAカセットの一過性発現を通じて行われる。更に、このプロセスはGM的に実施してもよく(すなわち、T-DNAを植物ゲノムに組み込んでもよく)、その結果GM植物が得られ、次世代でT-DNAを繁殖させて除去することができる。(B)GEiGS(商標)コンボ法でGEiGS(商標)mimicアプローチを実行するために、ドナー領域は、少なくともGEiGS(商標)ソリューション配列を、該ソリューションのベースとなるスカフォールドのネイティブのプロモーター及びターミネーターと共に含有しなければならないように設計される。より長い配列が必要な場合、HDRベースの方法の場合、これを更に拡張して、図中では「ゲノム配列」として表され、より長い相同アームを生成することができる。T-DNAが植物ゲノムに組み込まれると、この領域は内在性スカフォールドとして活性を有するようになり、GEiGS(商標)ソリューションが発現し、プロセシングされる。その結果、GEiGS(商標)mimicを介してGM的に関連する要求形質が得られる。言い換えれば、この方法は、組み込まれたT-DNAカセットからの発現により、シスジェニックなアプローチを通じてGEiGS(商標)を導入する。 GEiGS(商標)-Insertionカセットの例。GEiGS(商標)-Insertionカセット(ここでは「DONOR」と称する)の長さは1.2kbであり、miRNAのサイレンシング特異性をリダイレクトするのに必要な改変領域(ここでは「GEiGSソリューション」と称する)に加えてこの部位の上流及び下流約500bpに及んでいる。 sRNA-seqに使用したGEiGS(商標)-Insertion植物のHDR遺伝子型。各植物から葉組織の小片を採取し、意図するHDR編集に特異的なフォワードプライマーと、HDRドナー/GEiGS(商標)-Insertionカセット外部にある、すなわちネイティブなスカフォールドに特異的なリバースプライマーとを用いてダイレクトPCRを行った。ポジティブコントロールとして、HDRドナー/GEiGS(商標)-Insertion配列及び隣接領域配列の両方を含むプラスミドを用いた。PCR反応物を、エチジウムブロマイドで染色した0.8%アガロースゲルにロードし、紫外線下で可視化した。 TuMVバイオアッセイに用いたGEiGS(商標)-Insertion植物のHDR遺伝子型。各植物から葉組織の小片を採取し、意図するHDR編集に特異的なフォワードプライマーと、HDRドナー/GEiGS(商標)-Insertionカセット外部にある、すなわちネイティブなスカフォールドに特異的なリバースプライマーとを用いてダイレクトPCRを行った。ポジティブコントロールとして、HDRドナー/GEiGS(商標)-Insertion配列及び隣接領域配列の両方を含むプラスミドを用いた。PCR反応物を、エチジウムブロマイドで染色した0.8%アガロースゲルにロードし、紫外線下で可視化した。 GFP領域解析。(A)TuMV:GFPを感染させたシロイヌナズナ(A.thaliana)植物を、距離及び設定を固定し、三脚に取り付けたデジタルカメラを用いて紫外線照射下で撮影し、GFPの広がりについて調べた。(B)CellProfiler3.1.9でカスタム画像解析パイプラインを開発し、葉の総面積のうちGFP蛍光が占める割合を求めた。品質管理のために、GFP領域を重ねた出力画像を保存した。(C)品質管理のために保存した画像を手作業で確認し、誤差の大きいものはImageJを用いて手作業で総葉面積及びTuMV面積を測定した。 葉の総面積に占めるGFP蛍光の割合。TuMV:GFPを感染させたシロイヌナズナ植物を、接種後7日目、11日目、15日目、及び17日目(dpi)に紫外線照射下で撮影した。TuMV:CellProfiler3.1.9で開発したカスタム画像解析パイプラインを用いて総葉面積及びGFP面積を測定し、ImageJを用いて手作業でキュレーションした。各時点における個々の植物について、全葉面積に対するTuMV:GFP面積の百分率を算出した。箱ひげ図は、中央値(中央の帯)並びに四分位範囲(IQR、箱)±最小値及び最大値(ひげ)を示す。外れ値は、小さな円で示す。n=5植物/群。
サイレンシング挿入物の設計
本発明は、サイレンシング挿入物を挿入することを含む、標的遺伝子の発現を低下させる方法を提供し、サイレンシング挿入物を保有する真核細胞を提供し、サイレンシング挿入物自体を提供する。本発明のサイレンシング挿入物は、その内在性配置の内在性のDNAのみを導入しつつ、オーダーメイドの柔軟かつ特異的なサイレンシング効果を提供する。
本発明のサイレンシング挿入物は、サイレンシングRNAをコードしている内在性配列を、その同種のプロモーター及びターミネーターと、更に5’UTR及び3’UTRの配列等の発現を制御する他の配列とも組み合わせて利用する。本発明のサイレンシング挿入物を設計するために、サイレンシングRNAをコードしている配列に対して、対象となる標的遺伝子にサイレンシングをリダイレクトするための最小限の配列改変がなされる(そして、サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNAがその機能に必須である場合は、恐らくその二次構造を維持する)。
本発明のサイレンシング挿入物の設計には、好適な内在性出発配列を同定することが必要である。出発配列は、プロモーター及びターミネーターと、任意で、例えば発現の強度、発現のタイミング、及び/又は発現の組織の観点で所望の発現パターンを提供する5’UTR及び3’UTRの配列等の発現を制御する他の配列を含んでいなければならない。出発配列はまた、最小限のヌクレオチド変化で対象となる標的遺伝子にリダイレクトされ得る、サイレンシングRNAをコードしている配列を含んでいなければならない。いくつかの実施形態によれば、出発配列は、真核細胞内のサイレンシングRNA配列に類似しているが、サイレンシングRNAとしてプロセシングされることはない非コードRNAをコードしている配列を含み得る。そのような実施形態では、配列に導入された改変は、サイレンシング挿入物の状況において、コードされているRNAのサイレンシング能力を再活性化し、そのサイレンシング特異性を選択された標的配列に対してリダイレクトする。このような出発配列の同定及びサイレンシング活性の再活性化に必要な改変を同定するプロセスは、本質的に国際公開第2020/183419号に記載の通り行うことができる。実施例1及び2は、適切な出発配列(非コードRNA、ncRNAと称される)を同定するために使用することができる例示的なプロセス及び有用なデータベースを提供している。
従って、内在性サイレンシング配列の標的配列だけでなく、そのプロモーター及びターミネーターの配列並びに発現プロファイルも解析するバイオインフォマティクス検索及び解析によって、出発配列を同定する。検索及び解析は、G/C含量、プロモーターの長さ、サイレンシング配列及び/又はターミネーター、並びに二次構造も考慮することができる。好ましい実施形態では、自動化された計算プラットフォームを使用して、出発内在性サイレンシング配列の同定及び/又はサイレンシング挿入物の設計を実施する。自動化された計算プラットフォームは、例えば、必要とされる編集の様々な程度、サイレンシング挿入物の異なる発現プロファイル、及び異なる効力等を有する特定の遺伝子を標的とするための複数の選択肢を提供することができる。
最小限のヌクレオチド変化で標的遺伝子をサイレンシングするために、内在性サイレンシング配列によってサイレンシングされる標的遺伝子は、サイレンシング挿入物によってサイレンシングされる標的遺伝子に対して配列同一性、例えば少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、又は95%の配列同一性を示してもよい。サイレンシング挿入物と内在性サイレンシング配列とは異なる遺伝子を標的とするため、一般的に同一性は100%にはならない。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物の異なる部分の、内在性配列における対応する配列に対する配列同一性は、独立して定義され得る。特定のそのような実施形態では、サイレンシング挿入物におけるプロモーター及び内在性サイレンシング配列におけるプロモーターは、プロモーターの長さ全体にわたって少なくとも90%、例えば少なくとも92%、94%、96%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の配列同一性を有する。特定のそのような実施形態では、サイレンシング挿入物におけるターミネーター及び内在性サイレンシング配列におけるターミネーターは、ターミネーターの長さ全体にわたって少なくとも90%、例えば少なくとも92%、94%、96%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の配列同一性を有する。特定のそのような実施形態では、サイレンシング挿入物におけるサイレンシングRNAをコードしている配列及び内在性サイレンシング配列におけるサイレンシングRNAをコードしている配列は、サイレンシングRNAをコードしている配列の長さ全体にわたって、少なくとも60%、例えば少なくとも70%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、又は99.9%の配列同一性を有する。特定のそのような実施形態では、サイレンシング挿入物におけるプロモーター及び内在性サイレンシング配列におけるプロモーターは本質的に同一であり(一塩基多型を除く)、サイレンシング挿入物におけるターミネーター及び内在性サイレンシング配列におけるターミネーターは本質的に同一であり(一塩基多型を除く)、かつサイレンシング挿入物におけるサイレンシングRNAをコードしている配列及び内在性サイレンシング配列におけるサイレンシングRNAをコードしている配列は、サイレンシングRNAをコードしている配列の長さ全体にわたって少なくとも60%、例えば少なくとも70%、80%、85%、90%、92%、94%、96%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、又は99.9%の配列同一性を有する。そのような実施形態では、内在性サイレンシング配列におけるプロモーター、内在性サイレンシング配列におけるターミネーター、及び内在性サイレンシング配列におけるサイレンシングRNAをコードしている配列は全て、同じ内在性サイレンシング配列中に存在する。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物の異なる部分の、内在性配列における対応する配列に対する配列同一性は、独立して、異なる尺度で定義され得る。特定のそのような実施形態では、サイレンシング挿入物におけるプロモーター及び内在性サイレンシング配列におけるプロモーターは、プロモーターの長さ全体にわたって少なくとも90%、例えば少なくとも92%、94%、96%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の配列同一性を有する。特定のそのような実施形態では、サイレンシング挿入物におけるターミネーター及び内在性サイレンシング配列におけるターミネーターは、ターミネーターの長さ全体にわたって少なくとも90%、例えば少なくとも92%、94%、96%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の配列同一性を有する。特定のそのような実施形態では、サイレンシング挿入物におけるサイレンシングRNAをコードしている配列は、内在性サイレンシング配列におけるサイレンシングRNAをコードしている配列に対して1~40個、例えば5~40個、5~30個、5~20個、3~40個、3~30個、3~20個、5~15個、3~10個、10~30個、又は10~20個のヌクレオチドの付加、欠失、及び置換を含む。このような実施形態では、内在性サイレンシング配列におけるプロモーター、内在性サイレンシング配列におけるターミネーター、及び内在性サイレンシング配列におけるサイレンシングRNAをコードしている配列は全て、同じ内在性サイレンシング配列中に存在する。
本明細書に記載の実施形態のいずれかでは、サイレンシング挿入物におけるプロモーター及びターミネーターへの言及は、5’UTR及び3’UTRの配列等の発現を制御する内在性サイレンシング遺伝子座に存在する任意の他の配列を含み得る。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、プロモーター又はその一部、サイレンシングRNAをコードしている配列、ターミネーター又はその一部、並びに5’UTR及び3’UTRの配列等の発現を制御する遺伝子座からの他の配列に加えて、追加のヌクレオチド配列を含む。特に、サイレンシング挿入を設計する場合、5’末端及び3’末端を内在性のプロモーター及びターミネーターに正確に限定する必要はない。内在性のプロモーター及びターミネーターの配列の正確な境界が知られていない場合もある。サイレンシング挿入物における任意の付加配列も同じ内在性サイレンシング配列(プロモーター配列の上流及び/又はターミネーター配列の下流)に由来するので、内在性サイレンシング配列に対して高い同一性を有する。従って、特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、プロモーター又はその一部、サイレンシングRNAをコードしている配列、ターミネーター又はその一部、並びにプロモーター及び/又はターミネーターに隣接する付加配列からなり、付加配列を含むサイレンシング挿入物は、内在性サイレンシング配列及び対応するプロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、ターミネーター、並びにプロモーター及び/又はターミネーターに隣接する付加配列に対して、その長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有する。特定のそのような実施形態では、サイレンシング挿入物は、サイレンシングRNAをコードしている配列と、サイレンシングRNAの5’の少なくとも50塩基対、100塩基対、250塩基対、500塩基対、750塩基対、1000塩基対、2000塩基対、又は5000塩基対と、サイレンシングRNAの3’の少なくとも20塩基対、50塩基対、100塩基対、250塩基対、500塩基対、750塩基対、1000塩基対、又は2000塩基対とを含み、一般にプロモーター及びターミネーターを含むであろう。特定のそのような実施形態では、サイレンシング挿入物は、サイレンシングRNAをコードしている配列と、サイレンシングRNAの5’の50~5000塩基対、100~2500塩基対、200~1500塩基対、又は400~1000塩基対と、サイレンシングRNAの3’の20~2000塩基対、50~1000塩基対、100~750塩基対、又は150~500塩基対とを含み、一般にプロモーター及びターミネーターを含むであろう。
別の実施形態では、サイレンシング挿入物の5’末端はプロモーターの5’末端と連続している、及び/又は3’末端はターミネーターの3’と連続している。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、内在性サイレンシング配列における配列又は内在性サイレンシング配列に隣接する配列と高度に同一ではない付加配列に隣接する。本発明のこのような方法において、サイレンシング挿入物は、隣接する付加配列と共に真核細胞のゲノムに挿入される。例えば、サイレンシング挿入物は、更に後述するように、選択可能なマーカーに連結してもよい。そのような実施形態では、サイレンシング挿入物と内在性配列との間の配列同一性は、隣接する付加配列を除外することによって算出される。特定のそのような実施形態では、隣接する付加配列は、異なる内在性配列に対して少なくとも90%、例えば少なくとも92%、94%、96%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の配列同一性を有する。例えば、特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、プロモーター又はその一部、選択可能なマーカーをコードしている配列、及びターミネーター又はその一部を含み、プロモーター、内在性遺伝子をコードしている配列、及びターミネーターを含む真核細胞内の内在性配列に対して、その長さ全体にわたって少なくとも90%、例えば少なくとも92%、94%、96%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列に隣接する。特定の実施形態では、内在性遺伝子をコードしている配列は、選択可能なマーカーとして機能しない。
別の実施形態では、本発明の方法は、サイレンシング挿入物の挿入を含み、隣接する付加配列は挿入しない。従って、この方法は、サイレンシング挿入物からなるコンストラクトを挿入することを含む。そのような実施形態では、本発明の真核細胞は、サイレンシング挿入物を含み、該挿入物によって分離された内在性ゲノム配列が該挿入物の5’末端及び3’末端に存在する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、サイレンシング挿入物は、真核細胞のゲノム中にランダムに挿入される。ランダム挿入は、追加の外来性標的配列を必要としないので、より効率的である。従って、特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、ターゲティング配列を含まず、ターゲティング配列を含むベクター中にも組成物中にも存在しない。サイレンシング挿入物がランダムに挿入された結果、本発明の真核細胞は、該挿入物によって分離された内在性ゲノム配列を含む。サイレンシング挿入物(及び選択可能なマーカー等の任意の付加隣接配列)の両端に隣接する配列は、挿入物が存在しない場合よりも更に離れることになる。ランダム挿入では、サイレンシング挿入物(及び選択可能なマーカー等の任意の付加隣接配列)によって分離された配列との間で若干の少量の内在性配列が欠失する可能性がある。従って、本発明の真核細胞は、例えば相同組換え又は相同性指向性修復を利用するゲノム編集技術で改変された細胞とは区別されるが、その理由は、そのような細胞は、挿入物によって分離された内在性のゲノム配列を含まないためである。同様に、本発明の方法は、サイレンシング挿入物を挿入することを含み、この挿入は、この用語の通常の意味と一致して、任意の相同配列の置換を含まない。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物の位置は、挿入物によって分離される内在性配列の観点ではなく、内在性サイレンシング挿入物に対して規定され得る。例えば、サイレンシング挿入物は、挿入物の非存在下ではサイレンシングRNAをコードしないゲノム中の位置に存在し得るか、あるいはサイレンシング挿入物及び内在性サイレンシング配列は、異なる染色体上又は同じ染色体上の少なくとも5kb、10kb、50kb、若しくは100kb離れた異なる位置に存在し得る。
特定の実施形態では、本発明のサイレンシング挿入物は、1~10kb、例えば2~5kbであり得る。
サイレンシングRNA
本発明は、内在性サイレンシングRNAのターゲティングを変化させる最小限のヌクレオチド変化を有する、内在性配列をその内在性配置で使用して対象となる特定の遺伝子を標的とするサイレンシング挿入物を提供する。
サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNAは、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Piwi結合RNA(piRNA)、段階的低分子干渉RNA(phasiRNA)、トランス作用性siRNA(tasiRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、二本鎖RNAを形成するインバーテッドリピートRNA、低分子核内RNA(snRNA又はU-RNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、低分子カハール体RNA(scaRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、リピート由来RNA、自律性若しくは非自律性の転位若しくはレトロ転位因子由来RNA、自律性若しくは非自律性の転位若しくはレトロ転位因子RNA、トランスファーRNA断片(tRF)、又は長鎖非コードRNA(lncRNA)であってもよく、これらにプロセシングされてもよい。好ましい実施形態では、サイレンシングRNAは、低分子干渉RNA(siRNA)又はマイクロRNA(miRNA)である。更に好ましい実施形態では、サイレンシングRNAは、低分子干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Piwi結合RNA(piRNA)、段階的低分子干渉RNA(phasiRNA)、又はトランス作用性siRNA(tasiRNA)である。
好ましい実施形態では、サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNA及び内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAは、同じ種類のサイレンシングRNA、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Piwi結合RNA(piRNA)、段階的低分子干渉RNA(phasiRNA)、トランス作用性siRNA(tasiRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、二本鎖RNAを形成するインバーテッドリピートRNA、低分子核内RNA(snRNA又はU-RNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、低分子カハール体RNA(scaRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、リピート由来RNA、自律性若しくは非自律性の転位若しくはレトロ転位因子由来RNA、自律性若しくは非自律性の転位若しくはレトロ転位因子RNA、トランスファーRNA断片(tRF)、又は長鎖非コードRNA(lncRNA)である。好ましい実施形態では、サイレンシングRNAは、低分子干渉RNA(siRNA)又はマイクロRNA(miRNA)である。
特定の実施形態では、サイレンシングRNA分子は、RNA干渉(RNAi)分子である。
内在性サイレンシング配列をリダイレクトするために、サイレンシング挿入物にヌクレオチド変化を導入する。様々な異なる種類のサイレンシングRNA分子のターゲティング機序がよく理解されているので、サイレンシングRNA分子のターゲティングをインシリコでモデル化することができ、これにより本発明のサイレンシング挿入物の設計において適切なヌクレオチド変化を選択することが可能になる。変化は、ヌクレオチド置換、ヌクレオチド欠失、及び/又はヌクレオチド挿入であってもよい。
サイレンシングRNAと標的遺伝子配列との特異的な結合は、計算アルゴリズム(例えば、BLAST)によって決定し、例えば、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、QuantiGene Plex Assay等を含む方法によって検証することができる。
特定の実施形態では、変化は、サイレンシングRNAのステム領域に存在する。特定の実施形態では、変化は、サイレンシングRNAのループ領域に存在する。特定の実施形態では、変化は、サイレンシングRNAの非構造化領域に存在する。特定の実施形態では、変化は、サイレンシングRNAのステム領域及びループ領域に存在する。特定の実施形態では、変化は、サイレンシングRNAのステム領域、及びループ領域、及び非構造化領域に存在する。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物におけるサイレンシングRNAをコードしている配列は、内在性サイレンシング配列におけるサイレンシングRNAをコードしている配列に対して1~40個、例えば5~40個、5~30個、5~20個、3~40個、3~30個、3~20個、5~15個、10~30個、10~20個、3~10個、又は5~10個のヌクレオチドの付加、欠失、及び/置換を含む。好ましい実施形態では、ヌクレオチドの変化は連続しないか、又は10個を超える、8個を超える、6個を超える、4個を超える、若しくは2個を超える連続する変化を含まない。好ましい実施形態では、ヌクレオチドの変化は全て置換である。
いくつかの実施形態によれば、内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAのサイレンシング活性は、サイレンシングRNAの二次構造によって影響を受ける(miRNAをコードしているサイレンシングRNAの場合等であるが、これに限定されない)。好ましい実施形態では、内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAのサイレンシング活性がサイレンシングRNAの二次構造によって影響を受ける場合、サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNA及び内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAは、同じ二次構造を形成する。このような実施形態では、サイレンシングRNAを変化させてそのターゲティングをリダイレクトする場合、確実に該変化によって二次構造が破壊されないようにするためにモデリングを使用してもよい。二次構造を維持することは、サイレンシング挿入物によってコードされているRNAが、細胞のサイレンシング機構によって適切に認識され、プロセシングされることを保証するのに役立ち得る。二次構造は、塩基対合プロファイルを維持することによって維持できる。
標的遺伝子をサイレンシングするために、サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNAは、一般に、標的遺伝子に相補的な配列を含む。これは、サイレンシングRNA分子(又はプロセシングされたサイレンシングRNA中に存在するその少なくとも一部、又は二本鎖ポリヌクレオチドの少なくとも一本の鎖若しくはその一部、又は一本鎖ポリヌクレオチドの一部)が生理学的条件下で標的RNA又はその断片にハイブリダイズして、標的遺伝子を調節する又は機能させる又は抑制することを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、サイレンシングRNA分子は、標的RNAにおける6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、70個、80個、90個、100個、150個、200個、300個、400個、500個、又はそれ以上の連続するヌクレオチドの配列と比較して、100パーセントの配列同一性、又は少なくとも80パーセント、85パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、若しくは99パーセントの配列同一性を有する。サイレンシングRNAがmiRNAである場合、相補性は、シード配列全体にわたってもよく、又は成熟miRNAの配列全体にわたってもよい。
好ましくは、サイレンシングRNAは、5’→3’方向に読んだ配列の一方の全てのヌクレオチドが、3’→5’方向に読んだときの他方の配列の全てのヌクレオチドと相補的であるように、標的遺伝子に対して完全な相補性を示す配列を含む。参照ヌクレオチド配列に対して完全に相補的なヌクレオチド配列は、参照ヌクレオチド配列の逆相補体配列と同一の配列を示す。配列の相補性を判定する方法は、当技術分野において周知であり、当技術分野において周知のバイオインフォマティクスツール(例えば、BLAST、多重配列アラインメント)が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「RNAサイレンシング」又はRNAiとは、非コードRNA分子(「RNAサイレンシング分子」又は「RNAi分子」)が、配列特異的に、遺伝子の発現又は翻訳の同時転写又は転写後の阻害を媒介する細胞調節機序を指す。いくつかの実施形態では、サイレンシングRNAは、転写中にRNAの抑制を媒介することができる(同時転写遺伝子サイレンシング)。いくつかの実施形態では、同時転写遺伝子サイレンシングは、エピジェネティックサイレンシング(例えば、遺伝子発現を妨げる染色体の状態)を含む。いくつかの実施形態では、サイレンシングRNAは、転写後のRNA抑制を媒介することができる(転写後遺伝子サイレンシング)。転写後遺伝子サイレンシングとは、典型的には、翻訳を妨げることによってその活性を低下させるメッセンジャーRNA(mRNA)分子の分解又は切断のプロセスを指す。例えば、RNAサイレンシング分子のガイド鎖は、mRNA分子における相補的な配列と対合し、例えば、アルゴノート2(Ago2)による切断を誘導する。
同時転写遺伝子サイレンシングは、典型的には、遺伝子活性の不活性化(すなわち、転写抑制)を指し、典型的には細胞核内で起こる。このような遺伝子活性の抑制は、標的DNA及びヒストンをメチル化するメチル基転移酵素等のエピジェネティック関連因子によって媒介される。このように、同時転写遺伝子サイレンシングでは、低分子RNAと標的RNAとの会合(低分子RNA-転写物相互作用)により、標的新生転写物が不安定化し、遺伝子の活性及び転写を抑制する構造へのクロマチンのリモデリングを誘導するDNA及びヒストン修飾酵素(すなわち、エピジェネティック因子)を動員する。また、同時転写遺伝子サイレンシングでは、クロマチンに会合した長鎖非コードRNAスカフォールドが、低分子RNAとは独立にクロマチン修飾複合体を動員し得る。これら同時転写サイレンシング機序は、不適切な転写事象を検出し、サイレンシングするRNA監視系を形成し、自己強化型エピジェネティックループを介してこれら事象の記憶を提供する[D.Hoch and D.Moazed,RNA-mediated epigenetic regulation of gene expression,Nat Rev Genet.(2015)16(2):71-84に記載の通り]。
いくつかの実施形態では、サイレンシングRNAは、RNAiバイオジェネシス/プロセシング機構によってプロセシングされる。特定の実施形態では、サイレンシングRNAは、RNA干渉(RNAi)を誘導することができる。特定の実施形態では、サイレンシング挿入物が発現するサイレンシングRNAは、より小さなサイレンシングRNA分子にプロセシングされる前駆体である。特定の実施形態では、サイレンシングRNAは、一本鎖RNA(ssRNA)前駆体である。特定の実施形態では、サイレンシングRNAは、二重鎖構造の一本鎖RNA前駆体である。特定の実施形態では、サイレンシングRNAは、dsRNA前駆体(例えば、完全及び不完全な塩基対合を含む)である。
完全及び不完全に塩基対合したRNA(すなわち、二本鎖RNA;dsRNA)、siRNA、及びshRNA-細胞内に長鎖dsRNAが存在すると、ダイサーと称されるリボヌクレアーゼIII酵素の活性が刺激される。ダイサー(エンドリボヌクレアーゼダイサー又はRnaseモチーフを有するヘリカーゼとしても知られている)は、植物では典型的にはダイサー様(DCL)タンパク質と称される酵素である。植物によってDCL遺伝子の数が異なるので、例えば、シロイヌナズナゲノムは、典型的には4つのDCL遺伝子を有し、イネは8つのDCL遺伝子を有し、トウモロコシゲノムは5つのDCL遺伝子を有する。ダイサーは、低分子干渉RNA(siRNA)として知られているdsRNAの短い片へのdsRNAのプロセシングに関与する。ダイサー活性に由来するsiRNAは、典型的には、約21~約24ヌクレオチド長であり、2個の3’ヌクレオチドのオーバーハングを有する約19塩基対の二重鎖を含む。
従って、本発明のいくつかの実施形態では、dsRNAをコードしている内在性遺伝子を単離し、改変し、そしてサイレンシング活性を新たな遺伝子にリダイレクトするためのサイレンシング挿入物を調製するために使用する。
特定の実施形態では、21bpよりも長いdsRNA前駆体を使用する。様々な研究により、長鎖dsRNAを用いて、ストレス応答を誘導することも著しいオフターゲット作用を引き起こすこともなく遺伝子発現をサイレンシングできることが実証されている-例えば、[Strat et al.,Nucleic Acids Research,2006,Vol.34,No.13 3803-3810;Bhargava A et al.Brain Res.Protoc.2004;13:115-125;Diallo M.,et al.,Oligonucleotides.2003;13:381-392;Paddison P.J.,et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA.2002;99:1443-1448;Tran N.,et al.,FEBS Lett.2004;573:127-134]を参照。
用語「siRNA」とは、RNA干渉(RNAi)経路を誘導する低分子阻害性RNA二重鎖(一般的には18~30塩基対)を指す。典型的には、siRNAは、中央に19bpの二重鎖領域を有し、末端に対称的な2塩基の3’オーバーハングを有する21merとして化学的に合成されるが、最近、25~30塩基長の化学的に合成されたRNA二重鎖が、同じ位置にある21merと比較して100倍も高い効力を有し得ることが報告されている。RNAiの誘発においてより長いRNAを用いて得られる効力の増大が観察されたことは、ダイサーに生成物(21mer)ではなく基質(27mer)を与えたことに起因しており、これがsiRNA二重鎖のRISCへの侵入の速度又は効率を改善することが示唆される。
3’オーバーハングの組成ではなく位置がsiRNAの効力に影響を与え、一般にアンチセンス鎖に3’オーバーハングを有する非対称的な二重鎖はセンス鎖に3’オーバーハングを有するものよりも効力が高いことが判明している(Rose et al.,2005)。
二本鎖干渉RNA(例えば、siRNA)の鎖は、接続してヘアピン又はステムループの構造(例えば、shRNA)を形成することができる。従って、前述のように、本発明のいくつかの実施形態のサイレンシングRNAは、ショートヘアピンRNA(shRNA)であってもよい。
ショートヘアピンRNA、「shRNA」という用語は、本明細書で使用するとき、ステムループ構造を有し、相補的配列の第1及び第2の領域を含み、該領域の相補性の程度及び配向が該領域間で塩基対合が生じるのに十分であり、該第1及び第2の領域がループ領域によって接合され、該ループがループ領域内のヌクレオチド(又はヌクレオチドアナログ)間の塩基対合の欠如から生じるRNA分子を指す。ループにおけるヌクレオチド数は、3以上23以下、又は5以上15以下、又は7以上13以下、又は4以上9以下、又は9以上11以下の数である。ループにおけるヌクレオチドの一部は、ループにおける他のヌクレオチドとの塩基対相互作用に関与し得る。ループを形成するために使用することができるオリゴヌクレオチド配列の例は、国際公開第2013126963号及び同第2014107763号に提供されている。当業者であれば、得られた一本鎖オリゴヌクレオチドが、RNAi機構と相互作用することができる二本鎖領域を含むステムループ又はヘアピンの構造を形成することを認識するであろう。
トランス作用型siRNA(Ta-siRNA又はTasiRNA)、リピート関連siRNA(Ra-siRNA)、及び天然アンチセンス転写物由来のsiRNA(Nat-siRNA)を含む、様々な種類のsiRNAが本発明によって企図される。
一実施形態によれば、サイレンシングRNAは、約26及び31ヌクレオチド長のPiwi結合RNAのクラスである「piRNA」を含む。piRNAは、典型的には、Piwiタンパク質との相互作用を通じてRNA-タンパク質複合体を形成する、すなわち、アンチセンスpiRNAは、典型的には、Piwiタンパク質(例えば、Piwi、Ago3、及びAubergine(Aub))にロードされる。
miRNA-別の実施形態によれば、サイレンシングRNAはmiRNAであってもよい。
用語「microRNA」、「miRNA」、及び「miR」は同義であり、遺伝子発現を調節する約19~24ヌクレオチド長の非コード一本鎖RNA分子の集合体を指す。miRNAは、広範な生物(例えば、昆虫、哺乳類、植物、線形動物)にみられ、発生、恒常性、及び疾患の病因において役割を果たすことが示されている。
pre-miRNAは、当初長い不完全な二本鎖のステムループRNAとして存在し、ダイサーによって、成熟ガイド鎖(miRNA)とパッセンジャー鎖として知られている同様のサイズの断片(miRNA)とを含むsiRNA様二重鎖に更にプロセシングされる。miRNA及びmiRNAは、pri-miRNA及びpre-miRNAの対向するアームに由来し得る。miRNA配列は、クローニングされたmiRNAのライブラリーにみられることもあるが、典型的には、miRNAよりも低頻度である。
当初はmiRNAと共に二本鎖種として存在するが、miRNAは、最終的には、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)として知られているリボ核タンパク質複合体に一本鎖RNAとして組み込まれる。様々なタンパク質がRISCを形成することができ、これによって、miRNA/miRNA二重鎖に対する特異性、標的遺伝子の結合部位、miRNAの活性(抑制又は活性化)、及びmiRNA/miRNA二重鎖のどちらの鎖がRISCにロードされるかが多様になり得る。
RISCは、miRNAとmRNAとの間の高いレベルの相補性に基づいて、特にmiRNAの2~8番目のヌクレオチド(「シード配列」と称される)によって標的核酸を特定する。
翻訳を効率的に阻害するためのmiRNAとそのmRNA標的との間の塩基対合要件については、多くの研究によって調べられている(Bartel 2004,Cell 116-281により概説)。ゲノム全体におけるmiRNAの結合を解析した計算機による研究では、miRNAの5’側の2~8番目の塩基(「シード配列」とも称される)が標的結合において特別な役割を果たすことが示唆されているが、通常「A」であることが判明している最初のヌクレオチドの役割も認識されている(Lewis et al.2005 Cell 120~15)。同様に、Krekら(2005,Nat Genet 37-495)は、1~7番目又は2~8番目のヌクレオチドを用いて標的を同定し、検証した。mRNAにおける標的部位は、5’UTR、3’UTR、又はコード領域に存在し得る。興味深いことに、同じ部位又は複数の部位を認識することによって、複数のmiRNAが同じmRNA標的を調節することがある。ほとんどの遺伝的に同定された標的に複数のmiRNA結合部位が存在することは、複数のRISCの協同作用が最も効率的に翻訳を阻害することを示している可能性がある。
miRNAは、mRNAの切断又は翻訳抑制という2つの機序のいずれかによって遺伝子発現をダウンレギュレートするようにRISCに指示することができる。mRNAがmiRNAに対してある程度の相補性を有している場合、miRNAはmRNAの切断を指定することができる。miRNAが切断を導く場合、典型的には、miRNAの10及び11番目の残基に対するヌクレオチド対合間が切断される。あるいは、miRNAがmiRNAに対して必要な程度の相補性を有しない場合、miRNAは翻訳を抑制することができる。動物ではmiRNAと結合部位との間の相補性の程度が低い場合があるので、動物では翻訳抑制がより一般的である可能性がある。
miRNA及びmiRNAの任意の対の5’末端及び3’末端は多様である場合があることに留意すべきである。この多様性は、切断部位に対するドローシャ及びダイサーの酵素的プロセシングの多様性に起因している可能性がある。miRNA及びmiRNAの5’末端及び3’末端における多様性は、pri-miRNA及びpre-miRNAのステム構造におけるミスマッチに起因している可能性もある。ステム鎖のミスマッチにより、様々なヘアピン構造の集団が生じる可能性がある。ステム構造における多様性は、ドローシャ及びダイサーによる切断の生成物の多様性にもつながる可能性がある。
一実施形態によれば、miRNAは、ダイサーとは独立に、例えばアルゴノート2によってプロセシングされ得る。
pre-miRNA配列は、45~90ヌクレオチド、60~80ヌクレオチド、60~70ヌクレオチド、80~120ヌクレオチド、100~120ヌクレオチド、又は120~150ヌクレオチドを含み得、一方、pri-miRNA配列は、45~30,000ヌクレオチド、50~25,000ヌクレオチド、100~20,000ヌクレオチド、1,000~1,500ヌクレオチド、又は80~100ヌクレオチドを含み得ることが理解されるであろう。特定の実施形態では、サイレンシングRNAは、pri-miRNA、pre-miRNA、又は一本鎖成熟miRNAである。
アンチセンス-アンチセンスは、ある遺伝子のmRNAに特異的にハイブリダイズすることによって該遺伝子の発現を阻止又は阻害するように設計された一本鎖RNAである。標的RNAをコードしているmRNA転写物に特異的にハイブリダイズすることができるアンチセンスポリヌクレオチドを用いて、標的RNAのダウンレギュレーションを行うことができる。
転位因子RNA
転位性遺伝要素(TE)は膨大なDNA配列を含み、その全てが、カットアンドペースト機序によって直接(トランスポゾン)又はRNA中間体を介して間接的に(レトロトランスポゾン)ゲノム中の新たな部位に移動する能力を有している。TEは、転位に必要なタンパク質をコードしているORFを有しているかどうかに応じて、自律性クラスと非自律性クラスに分けられる。RNAが媒介する遺伝子サイレンシングは、ゲノムがTE活性、並びにゲノムの遺伝的な及びエピジェネティックな不安定さに由来する有害な影響を制御する機序のうちの1つである。
内在性サイレンシング配列は、古典的な(固有の)RNAi活性を含まない場合がある、及び/又は活性サイレンシング配列ではない場合がある(例えば、古典的なRNAサイレンシング分子ではない)。このような内在性サイレンシング配列としては、以下が挙げられる。
一実施形態によれば、内在性サイレンシング配列は、トランスファーRNA(tRNA)である。用語「tRNA」とは、核酸のヌクレオチド配列とタンパク質のアミノ酸配列とを物理的に連結させる機能を有するRNA分子を指し、以前は可溶性RNA又はsRNAと称されていた。tRNAは、典型的には約76~90ヌクレオチド長である。
一実施形態によれば、内在性サイレンシング配列は、リボソームRNA(rRNA)である。用語「rRNA」とは、リボソーム、すなわち、リボソーム小サブユニット又はリボソーム大サブユニットのいずれかのRNA構成要素を指す。
一実施形態によれば、内在性サイレンシング配列は、低分子核内RNA(snRNA又はU-RNA)である。用語「sRNA」又は「U-RNA」とは、真核細胞における細胞核のスプライシングスペックル及びカハール体内にみられる低分子RNA分子を指す。snRNAは、典型的には約150ヌクレオチド長である。
一実施形態によれば、内在性サイレンシング配列は、低分子核小体RNA(snoRNA)である。用語「snoRNA」とは、他のRNA、例えば、rRNA、tRNA、及びsnRNAの化学修飾を主に導く低分子RNA分子のクラスを指す。snoRNAは、典型的には、2つのクラスのうちの1つに分類される:C/DボックスsnoRNAは、典型的には約70~120ヌクレオチド長であり、メチル化に関連しており、H/ACAボックスsnoRNAは、典型的には約100~200ヌクレオチド長であり、プソイドウリジン化に関連している。
RNA成熟においてsnoRNAと同様の役割を果たすscaRNA(すなわち、低分子カハール体RNA遺伝子)はsnoRNAに類似しているが、その標的はスプライセオソームsnRNAであり、(核のカハール体において)スプライセオソームsnRNA前駆体の部位特異的な修飾を行う。
一実施形態によれば、内在性サイレンシング配列は、細胞外RNA(exRNA)である。用語「exRNA」とは、それが転写された細胞の外側に存在するRNA種を指す(例えば、エキソソームRNA)。
一実施形態によれば、内在性サイレンシング配列は、長鎖非コードRNA(lncRNA)である。用語「lncRNA」又は「長鎖ncRNA」とは、典型的には200ヌクレオチドよりも長い非タンパク質コード転写物を指す。
特定の実施形態によれば、内在性サイレンシング配列としては、マイクロRNA(miRNA)、Piwi結合RNA(piRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、段階的低分子干渉RNA(phasiRNA)、トランス作用性siRNA(tasiRNA)、低分子核内RNA(snRNA又はURNA)、転位因子RNA(例えば、自律性及び非自律性の転位性RNA)、トランスファーRNA(tRNA)、低分子核小体RNA分子(snoRNA)、低分子カハール体RNA(scaRNA)、リボソームRNA(rRNA)、細胞外RNA(exRNA)、リピート由来のRNA、及び長鎖非コードRNA(lncRNA)を挙げることができる。
一実施形態によれば、内在性サイレンシング配列は、非コード遺伝子である。ゲノムの例示的な非コード部分としては、非コードRNA、エンハンサー及び遺伝子座制御領域、インスレーター、S/MAR配列、非コード偽遺伝子、非自律性のトランスポゾン及びレトロトランスポゾン、並びに染色体のセントロメア及びテロメアの領域の非コード単純反復の遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態によれば、内在性サイレンシング配列は、遺伝子と遺伝子との間、すなわち遺伝子間領域に位置する。一実施形態によれば、内在性サイレンシング配列は、コード遺伝子(例えば、タンパク質コード遺伝子)である。
本発明のサイレンシング挿入物は、それが由来する内在性サイレンシング配列とは異なる遺伝子を標的とする。言い換えれば、サイレンシング挿入物は、標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列を含み、内在性サイレンシング配列は、第1の標的遺伝子とは異なる第2の標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列を含む。第1及び第2の標的遺伝子は、一般に、異なるタンパク質又はRNA分子をコードしている。特定の実施形態では、第1及び第2の標的遺伝子は、80%未満、例えば70%未満、60%未満、又は50%未満の配列同一性を有する。
プロモーター及びターミネーター
本発明のサイレンシング挿入物は、サイレンシングRNAの所望の発現を駆動するためのプロモーター及びターミネーターを含む。上記で詳述した通り、サイレンシング挿入物の設計には、所望の標的遺伝子を標的とするように改変するのに適切な配列を同定するために内在性サイレンシング配列、そのプロモーター、そのターミネーター、及びその発現プロファイルを分析することが含まれる。
真核生物のプロモーターは、典型的には、TATAボックス及び上流のプロモーターエレメントという2種類の認識配列を含有する。転写開始点の25~30塩基対上流に位置するTATAボックスは、RNAポリメラーゼにRNA合成を開始するように指示することに関与していると考えられている。他の上流のプロモーターエレメントは、転写が開始される速度を決定する。
実施例1及び2は、適切なプロモーター及びターミネーターの配列を同定するために有用な例示的なプロセス及びデータベースを提供する。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、プロモーターの一部及び/又はターミネーターの一部を含む。プロモーター及びターミネーター配列の境界を正確に決定することは必須ではなく、プロモーターの一部及び/又はターミネーターの一部を用いてサイレンシングRNAを有効に発現させることができる。
特定の実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、誘導性プロモーター、キメラプロモーター、発生的に調節されるプロモーター、生物的条件特異的プロモーター、又は非生物的条件特異的プロモーターである。プロモーターは、強力なプロモーターであっても弱いプロモーターであってもよい。組織特異的プロモーターは、種子、胚乳、胚、花、葯、根、若花、カルス、芽、葉、又は***組織等の任意の適切な組織、又は1つを超える上記組織において発現を駆動することができる。エンハンサーエレメントは、連結された相同又は異種のプロモーターからの転写を刺激して最大1,000倍にすることができる。エンハンサーは、転写開始点の下流又は上流に配置されたときに活性を有する。特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、内在性サイレンシング配列由来のエンハンサーを含み得る。サイレンシング挿入はまた、5’UTR及び3’UTRの配列等の発現を制御する他の配列を含んでいてもよい。
標的遺伝子の発現を低下させる方法
本発明は、真核細胞にサイレンシング挿入物を挿入することを含む、標的遺伝子の発現を低下させる方法を提供する。有利なことに、本発明の方法及び本発明のサイレンシング挿入物は、最小限のヌクレオチド改変で内在性配列をその内在性配置で使用しつつ、特異的なサイレンシングを提供する。サイレンシング挿入物は、当業者に利用可能な種々の技術を用いて真核細胞に挿入することができる。
好ましい実施形態では、サイレンシング挿入物は、1回の送達で再生植物細胞のゲノムに挿入され、それにより、選択されるプロモーター、ターミネーター、又は他の調節配列に応じて、全ての細胞に挿入物を有する植物の作出及び全ての細胞又は選択された細胞における標的遺伝子のサイレンシングを可能にする。
好ましい実施形態では、サイレンシング挿入物は、微粒子銃、プロトプラストトランスフェクション、エレクトロポレーション、又はナノ粒子媒介トランスフェクションによって挿入される。これら技術は、標的細胞に外来性トランスジェニック(例えば、外来性)配列を導入しないので、効率的である。
好ましい実施形態では、サイレンシング挿入物発現カセットは、DNA銃により線状DNAとして細胞に導入される。このような実施形態では、サイレンシング挿入物は、非相同末端接合(NHEJ)によって組み込まれ得る。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、平滑末端を有する線状分子として導入される。そのような分子は、標準的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、それ以上処理を行うことなく生成することができる。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、突出末端を有する線状分子として導入される。そのような分子は、5’末端に固有の制限部位を含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行うことで生成することができる。PCR産物を対応する高忠実度制限酵素で制限酵素消化すると、突出末端が生じる。
サイレンシング挿入物発現カセットは、好ましくは、化学合成によって作製され、高忠実度PCRによって全体として増幅される。あるいは、サイレンシング挿入物カセットは、ゲノムDNAをテンプレートとして用いて挿入物のベースとなる配列に関連する改変を導入するための重複PCR反応を行うことによって作製することもできる(図5)。これらアプローチはいずれもプラスミドを使わない方法を構成する。PCR増幅の後かつ制限酵素消化の前に、市販のキットとして入手可能な遠心フィルターを用いることによってDNAを濃縮する必要がある場合もある。特定の実施形態では、化学的に安定化された分子が使用され、このようなオリゴヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼ分解を減少させるために安定化5’-ホスホロチオエート結合を含む。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、アグロバクテリウム媒介形質転換を用いてT-DNAカセットにおいて真核細胞に導入されるか、又はサイレンシング挿入物は、挿入されるT-DNAカセット配列内にあるか、又は単離されるサイレンシングコンストラクトが、T-DNAカセットである。T-DNAカセットを使用すると、植物細胞において高頻度でサイレンシング挿入物が組み込まれ、後述するように、サイレンシング挿入物と並んで選択可能なマーカー、及びエンドヌクレアーゼ、及びガイドRNA等の追加の配列を組み込むことが可能になる。このようなT-DNAカセットは、完全な形でゲノムに組み込まれてもよく、サイレンシング挿入物のみが組み込まれてもよい。
特定のこのような実施形態では、T-DNAカセットは選択可能なマーカーを含み、これは成功した形質転換体の選択を支援することができる。例示的な選択可能なマーカーについては、次の章で論じる。
本発明のサイレンシング挿入物を真核細胞に導入するためには、他の様々な方法を用いることもできる。このような方法は、概して、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1989,1992)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1989)、Chang et al.,Somatic Gene Therapy,CRC Press,Ann Arbor,Mich.(1995)、Vega et al.,Gene Targeting,CRC Press,Ann Arbor Mich.(1995)、Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Butterworths,Boston Mass.(1988)、及びGilboa et at.[Biotechniques 4(6):504-512,1986]に記載されており、例えば、安定的又は一過的トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、微粒子銃、組換えウイルスベクターの感染が挙げられる。更に、ポジティブ-ネガティブセレクション法については、米国特許第5,464,764号及び第5,487,992号を参照。
従って、核酸の送達は、DNA、RNA、ペプチド、及び/若しくはタンパク質、又は核酸とペプチドとの組み合わせを細胞に送達する方法において、プロトプラストの形質転換による(例えば、米国特許第5,508,184号を参照);乾燥/阻害が媒介するDNAの取り込みによる(例えば、Potrykus et al.(1985)Mol.Gen.Genet.199:183-8);エレクトロポレーションによる(例えば、米国特許第5,384,253号を参照);炭化ケイ素繊維と共に撹拌することによる(例えば、米国特許第5,302,523号及び同第5,464,765号を参照);アグロバクテリウムが媒介する形質転換による(例えば、米国特許第5,563,055号、同第5,591,616号、第5,693,512号、同第5,824,877号、同第5,981,840号、及び同第6,384,301号を参照);DNAでコーティングされた粒子の加速による(例えば、米国特許第5,015,580号、同第5,550,318号、同第5,538,880号、同第6,160,208号、同第6,399,861号、及び同第6,403,865号を参照)、並びにナノ粒子、ナノキャリア、及び細胞透過性ペプチドによる(国際公開第201126644A2号、同第2009046384A1号、同第2008148223A1号)方法が挙げられるがこれらに限定されない当業者に公知の任意の方法によって、本発明の実施形態における細胞に導入してもよい。好ましくは、挿入方法は、サイレンシング挿入物(及び任意選択の選択可能なマーカー)に加えていかなる配列も導入しないか、又はいかなる外来性配列も導入しない。
トランスフェクションの他の方法としては、トランスフェクション試薬(例えば、Lipofectin、ThermoFisher)、デンドリマー(Kukowska-Latallo,J.F.et al.,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA93,4897-902)、細胞透過性ペプチド(Mae et al.,2005,Internalisation of cell-penetrating peptides into tobacco protoplasts,Biochimica et Biophysica Acta 1669(2):101-7)、又はポリアミン(Zhang and Vinogradov,2010,Short biodegradable polyamines for gene delivery and transfection of brain capillary endothelial cells,J Control Release,143(3):359-366)の使用が挙げられる。
特定の実施形態によれば、細胞(例えば植物細胞、例えばプロトプラスト)にDNAを導入するために、方法は、ポリエチレングリコール(PEG)が媒介するDNAの取り込みを含む。更なる詳細については、Karesch et al.(1991)Plant Cell Rep.9:575-578;Mathur et al.(1995)Plant Cell Rep.14:221-226;Negrutiu et al.(1987)Plant Cell Mol.Biol.8:363-373を参照。
ウイルス感染による細胞(例えば、真核細胞)への核酸の導入は、リポフェクション及びエレクトロポレーション等の他の方法に比べていくつかの利点をもたらすが、その理由は、ウイルスの感染性に起因して、より高いトランスフェクション効率を得ることができるためである。
現在、好ましいインビボ核酸移入技術としては、アデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスIウイルス、又はアデノ随伴ウイルス(AAV)等のウイルス又は非ウイルスコンストラクトによるトランスフェクション、及び脂質ベースの系が挙げられる。脂質が媒介する遺伝子の移入に有用な脂質は、例えば、DOTMA、DOPE、及びDC-Cholである[Tonkinson et al.,Cancer Investigation,14(1):54-65(1996)]。遺伝子治療の場合、好ましいコンストラクトはウイルスであり、最も好ましくは、アデノウイルス、AAV、レンチウイルス、又はレトロウイルスである。レトロウイルスコンストラクト等のウイルスコンストラクトは、少なくとも1つの転写プロモーター/エンハンサー若しくは遺伝子座を定義するエレメント(複数可)、又はオルタナティブスプライシング、核内RNA核外輸送、若しくはメッセンジャーの翻訳後修飾等の他の手段によって遺伝子発現を制御する他のエレメントを含む。このようなベクターコンストラクトは、予めウイルスコンストラクト内に存在していない限り、パッケージングシグナル、末端反復配列(LTR)又はその一部、及び使用するウイルスに適したプラス鎖及びマイナス鎖のプライマー結合部位も含む。更に、このようなコンストラクトは、典型的には、それが配置される宿主細胞からペプチドを分泌させるためのシグナル配列を含む。任意で、コンストラクトは、ポリアデニル化を指示するシグナル、並びに1つ以上の制限部位及び翻訳終結配列を含んでいてもよい。一例として、このようなコンストラクトは、典型的には、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第2の鎖のDNAの合成起点、及び3’LTR又はその一部を含む。カチオン性脂質、ポリリジン、及びデンドリマー等の非ウイルス性の他のベクターを使用してもよい。挿入されたコード配列の転写及び翻訳に必要なエレメントを含む以外に、本発明のいくつかの実施形態の発現コンストラクトは、発現したペプチドの安定性、生成、精製、収量、又は毒性を高めるように遺伝子操作された配列を含んでいてもよい。
特定の実施形態によれば、真核細胞にサイレンシング挿入物を導入するために、打ち込み(bombardment)法が用いられる。一実施形態によれば、方法は、一過的である。真核細胞の打ち込みは、参照により本明細書に援用されるUchida M et al.,Biochim Biophys Acta.(2009)1790(8):754-64にも教示されている。
一実施形態によれば、植物細胞は、本発明のいくつかの実施形態の核酸コンストラクトで安定的又は一過的に形質転換され得る。安定的な形質転換では、本発明のいくつかの実施形態の核酸分子が植物のゲノムに組み込まれるので、安定的かつ遺伝性の形質となる。一過的な形質転換では、核酸分子は、形質転換された細胞によって発現されるがゲノムには組み込まれないので、一過的な形質となる。
単子葉植物及び双子葉植物の両方に外来遺伝子を導入する様々な方法が存在する(Potrykus,I.,Annu.Rev.Plant.Physiol.,Plant.Mol.Biol.(1991)42:205-225;Shimamoto et al.,Nature(1989)338:274-276)。
外来性DNAを植物のゲノムDNAに安定的に組み込むための基本的な方法は、2つの主なアプローチを含む:
(i)アグロバクテリウムが媒介する遺伝子移入:Klee et al.(1987)Annu.Rev.Plant Physiol.38:467-486;Klee and Rogers in Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,Vol.6,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes,eds.Schell,J.,and Vasil,L.K.,Academic Publishers,San Diego,Calif.(1989)p.2-25;Gatenby,in Plant Biotechnology,eds.Kung,S.and Arntzen,C.J.,Butterworth Publishers,Boston,Mass.(1989)p.93-112。
(ii)以下を含む、DNAの直接取り込み:Paszkowski et al.,in Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,Vol.6,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes eds.Schell,J.,and Vasil,L.K.,Academic Publishers,San Diego,Calif.(1989)p.52-68;DNAをプロトプラストに直接取り込む方法、Toriyama,K.et al.(1988)Bio/Technology 6:1072-1074.植物細胞に短時間電気ショックを与えることによって誘導されるDNA取り込み:Zhang et al.Plant Cell Rep.(1988)7:379-384.Fromm et al.Nature(1986)319:791-793.微粒子銃による植物の細胞又は組織へのDNA注入、Klein et al.Bio/Technology(1988)6:559-563;McCabe et al.Bio/Technology(1988)6:923-926;Sanford,Physiol.Plant.(1990)79:206-209;マイクロピペットシステムの使用による:Neuhaus et al.,Theor.Appl.Genet.(1987)75:30-36;Neuhaus and Spangenberg,Physiol.Plant.(1990)79:213-217;細胞培養物、胚、又はカルス組織のガラス繊維又は炭化ケイ素ウイスカー形質転換、米国特許第5,464,765号、又はDNAを出芽花粉と共に直接インキュベーションすることによる、DeWet et al.in Experimental Manipulation of Ovule Tissue,eds.Chapman,G.P.and Mantell,S.H.and Daniels,W.Longman,London,(1985)p.197-209;及びOhta,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1986)83:715-719。
アグロバクテリウム系は、植物のゲノムDNAに組み込まれる規定のDNAセグメントを含有するプラスミドベクターを使用することを含む。植物組織への接種方法は、植物種及びアグロバクテリウム送達系によって異なる。広く使用されているアプローチは、植物全体の分化を開始させるのに優れた資源を提供する任意の組織外植片を用いて行うことができるリーフディスク手順である。Horsch et al.in Plant Molecular Biology Manual A5,Kluwer Academic Publishers,Dordrecht(1988)p.1-9.補助的なアプローチでは、真空浸透と組み合わせてアグロバクテリウム送達系を使用する。アグロバクテリウム系は、特にトランスジェニック双子葉植物の創出において実行可能である。
一実施形態によれば、アグロバクテリウムを使用しない発現方法を用いて植物細胞に外来遺伝子を導入する。一実施形態によれば、アグロバクテリウムを使用しない発現方法は一過的である。特定の実施形態によれば、打ち込み法を用いて植物細胞に外来遺伝子を導入する。別の特定の実施形態によれば、植物の根への打ち込みを用いて植物細胞に外来遺伝子を導入する。
本発明の方法は、サイレンシング挿入物のサイレンシング特異性又は効率を測定することを含み得、これらは、標的遺伝子のRNA若しくはタンパクの質レベルを測定することによって求めることもでき、表現型的に判定することもできる。
表現型的な判定は、細胞サイズ、成長の速度/阻害、細胞形状、細胞膜の完全性、腫瘍サイズ、腫瘍形状、腫瘍の血管新生、生物の着色、生物のサイズ、作物の収量、代謝プロファイル、果実の形質、生物的ストレス抵抗性、非生物的ストレス抵抗性、感染パラメータ、及び炎症パラメータからなる群から選択される少なくとも1つの表現型を判定することによって影響を受け得る。
本発明のいくつかの実施形態によれば、サイレンシング挿入物のサイレンシング特異性又は効率は、遺伝子型的に判定される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、遺伝子型の前に表現型を判定する。本発明のいくつかの実施形態によれば、表現型の前に遺伝子型を判定する。
本明細書で使用するとき、標的遺伝子の発現を低下させる及び標的遺伝子の発現をサイレンシングするとは、標的遺伝子からのタンパク質及び/又はmRNA産物が存在しないか又は観察可能なレベルの低下を指す。従って、本発明の設計されたサイレンシング挿入物が標的としない標的遺伝子と比較して、標的遺伝子は、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%サイレンシングされ得る。
表現型レベルで、分子事象の検出によって、蛍光レポーターの検出によって、又は(選択可能なマーカーを使用する場合)選択の存在下で成長させることによって挿入の成功を検出することができ、挿入が成功すると上記によって選抜される改変細胞となり得る。実施例5は、例示的な同定及び選択プロトコールを提供する。
一実施形態によれば、改変細胞の選抜は、新たに編集されたサイレンシングRNA分子の発現(例えば、新たに編集されたmiRNA、siRNA、piRNA、tasiRNA等の存在)を解析することによって行われる。
一実施形態によれば、改変細胞の選抜は、標的遺伝子によって影響を受ける表現型的形質、例えば、細胞サイズ、成長速度/阻害、細胞形状、細胞膜の完全性、腫瘍サイズ、腫瘍形状、腫瘍の血管新生、着色、サイズ、生物における感染パラメータ(例えば、ウイルス量又は細菌量)、植物の葉の発色、例えば、葉及び他の器官におけるクロロフィルの部分的又は完全な消失(白化)、壊死パターンの有無、花の発色、果実の形質(例えば、保存期間、硬さ、及び香り)、成長速度、植物サイズ(例えば、矮性)、作物の収量、生物的ストレス抵抗性(例えば、耐病性、線形動物の死亡率、甲虫の産卵率、又は細菌、ウイルス、真菌、寄生虫、昆虫、雑草、及び栽培植物若しくは在来植物のいずれかに関連する他の抵抗性表現型)、作物の収量、代謝プロファイル、果実の形質、生物的ストレス抵抗性、非生物的ストレス抵抗性(例えば、耐暑性/耐寒性、耐干性、耐塩性、アリルアルコールに対する抵抗性、又は例えばリン(P)等の栄養素の不足に対する抵抗性等)を解析することによって行われる。
一実施形態によれば、改変細胞の選抜は、標的遺伝子のRNAレベルを測定することにより、サイレンシング挿入物のサイレンシング活性及び/又は特異性を分析することによって行われる。これは、例えばノーザンブロッティング、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ、インサイチュハイブリダイゼーション、定量RT-PCR、又はイムノブロッティング等の当技術分野で公知の任意の方法を用いて行うことができる。
一実施形態によれば、改変細胞の選抜は、内在性サイレンシング配列とは配列が異なるサイレンシング挿入物の存在について細胞を分析することによって行われる。配列変化を検出する方法は当技術分野において周知であり、DNA及びRNAのシーケンシング(例えば、次世代シーケンシング)、電気泳動、酵素ベースのミスマッチ検出アッセイ、並びにPCR、RT-PCR、RNase保護、インサイチュハイブリダイゼーション、プライマーエクステンション、サザンブロット、ノーザンブロット、及びドットブロット分析等のハイブリダイゼーションアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。また、一塩基多型(SNP)を検出するために使用される様々な方法、例えば、PCRベースのT7エンドヌクレアーゼ、ヘテロ二重鎖、及びサンガーシーケンシング、又はPCRに続いて制限酵素で消化して固有の制限部位(複数可)の出現若しくは消失を検出する等を用いてもよい。
インデル等のDNA編集事象の存在を検証する別の方法は、ミスマッチDNAを認識し、切断する構造選択的酵素(例えば、エンドヌクレアーゼ)を利用するミスマッチ切断アッセイを含む。
一実施形態によれば、形質転換細胞の選抜は、蛍光レポーターが発する蛍光を示す形質転換細胞をフローサイトメトリー(FACS)で選択することによって行われる。FACS選別の後、蛍光マーカーを示す形質転換真核細胞の陽性選択されたプールを収集し、上述のようにDNA編集事象を試験するためにアリコートを使用することができる。
抗生物質選択マーカーを使用した場合、形質転換後に、選択(例えば、抗生物質)の存在下で、例えば細胞培養下で又は植物細胞が発生してコロニー、すなわちクローン及びマイクロカルスになるまで真核細胞を培養する。次いで、細胞培養物の細胞の又はカルスの細胞の一部を、上述のようにDNA編集事象について分析(検証)する。
陽性の真核細胞クローンを保存してもよい(例えば、凍結保存)。
本発明の方法の好ましい実施形態では、サイレンシング挿入物は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列と内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列とを更に含むコンストラクトにおいて、真核細胞のゲノムに挿入される。同様に、本発明の真核細胞は、好ましくは、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列と、内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列と、本発明のサイレンシング挿入物とを含むコンストラクトをそのゲノム中に含み得る。同様に、本発明のサイレンシングコンストラクトは、サイレンシング挿入物と、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列と、内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列とを含み得る。好ましくは、サイレンシングコンストラクトは、T-DNAカセットである。このような本発明の実施形態の利点と以下の段落で述べる利点については、実施例6で更に実証される。
上記の実施形態に記載の通りRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及び内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAを使用すると、真核細胞を更に改変することが可能になる。例えば、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAは、内在性サイレンシング配列に挿入、欠失、又は挿入及び欠失等の改変を導入することができ、これにより、内在性サイレンシング配列の発現又は活性を低下又は消失させる。従って、1回の形質転換で、内在性サイレンシング配列がノックアウトされると同時にサイレンシング挿入物の新たなサイレンシング特異性が提供される。従って、本発明の方法の特定の実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAは、挿入、欠失、又は挿入及び欠失等の改変を内在性サイレンシング配列に導入し、これにより、内在性サイレンシング配列の発現又は活性を低下又は消失させる。また、特定の実施形態では、本発明の真核細胞における内在性サイレンシング配列は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAによって導入された改変、例えば、挿入、欠失、又は挿入及び欠失等を含み、これにより、内在性サイレンシング配列の発現又は活性を低下又は消失させる。特定の実施形態では、細胞、植物、又は動物における全ての内在性サイレンシング配列が、挿入、欠失、又は挿入及び欠失によってノックアウトされる。
更に、上記の実施形態に記載の通りRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及び内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAを使用すると、相同性指向性修復(HDR)によって内在性サイレンシング配列をサイレンシング挿入物に置換することが可能になる。これにより、内在性遺伝子座において新たなサイレンシング特異性が得られる。次いで、エンドヌクレアーゼ及びガイドRNAを含むサイレンシング挿入物を繁殖させて除去して、内在性サイレンシング配列の位置に置換されたサイレンシング挿入物を含みかつ真核細胞のゲノムに挿入されたコンストラクトを含まない植物又は家畜動物を提供することができる。このような植物や家畜動物は、最小限の遺伝子変化しか有しないので、例えば消費者及び規制当局にとって非常に望ましい。従って、本発明の方法の特定の実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAは、真核細胞における内在性サイレンシング配列のサイレンシング挿入物による置換を媒介し、任意で、該方法は、植物又は家畜動物を作出し、ゲノムに挿入されたコンストラクトを繁殖させて除去し、それにより、内在性サイレンシング配列の位置に置換されたサイレンシング挿入物を含みかつ真核細胞のゲノムに挿入されたコンストラクトを含まない植物又は家畜動物を作出することを更に含む。特定の実施形態では、細胞、植物、又は動物における全ての内在性サイレンシング配列が置換される。
特定の実施形態では、細胞、植物、又は動物における1つ以上の内在性サイレンシング配列が、挿入、欠失、又は挿入及び欠失によってノックアウトされ、細胞、植物、又は動物における1つ以上のnousサイレンシング配列が、サイレンシング挿入物に置換される。
上記の実施形態と一致して、本明細書に記載の任意の実施形態と組み合わせることができる本発明の別の態様では、そのゲノム中に
(a)RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列、内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列、並びにプロモーター又はその一部、第1の標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーター又はその一部を含むサイレンシング挿入物を含む挿入コンストラクトと、
(b)該挿入コンストラクトによって分離された内在性ゲノム配列と、
(c)該サイレンシング挿入物によって置換された、プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む内在性サイレンシング配列と、
を含み、
該サイレンシング挿入物及び該内在性サイレンシング配列が、その置換前に、該挿入物の長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
該内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、活性を有さず、該第1の標的遺伝子とは異なる第2の標的遺伝子の発現をサイレンシングすることもない真核細胞が提供される。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物と、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列と、内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列とを含むコンストラクトを、内在性サイレンシング配列を改変することなく組み込むことができる。次いで、本発明の方法は、植物又は家畜動物を作出し、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAが内在性サイレンシング配列のサイレンシング挿入物による置換を媒介するまで、該植物又は家畜動物を少なくとも1世代繁殖させることを更に含み得る。
上記の実施形態は、サイレンシング挿入物にエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAを組み込むことにより、1回の形質転換で、内在性のサイレンシング遺伝子座でサイレンシング挿入物を交換する可能性も提供すると同時にサイレンシング挿入物を発現する植物又は家畜動物を高頻度で作出することができるため、効率的な製品開発アプローチを提供する。エンドヌクレアーゼ及びガイドRNAを有するサイレンシング挿入物は、その後、最小限の遺伝子変化しか有しない植物又は動物を作出するために繁殖させて除去することができる。
本明細書に開示される任意の実施形態と組み合わせることができる本発明の更なる態様では、サイレンシングカセットを真核細胞のゲノムに導入することを含む、第1の標的遺伝子の発現を低下させる方法であって、
該サイレンシングカセットが、プロモーター又はその一部、該第1の標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーター又はその一部を含み、
該サイレンシングカセットが、プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む該真核細胞における内在性サイレンシング配列に対して、その長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
該内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、活性を有さず、該第1の標的遺伝子とは異なる第2の標的遺伝子の発現をサイレンシングすることもない方法を提供する。特定の実施形態では、相同性指向性修復経路を介して内在性サイレンシング配列がサイレンシングカセットに置換される。本発明のこの態様の特定の実施形態では、サイレンシングカセットは、相同性指向性修復経路を介した内在性サイレンシング配列の位置におけるサイレンシングカセットの導入を媒介するのに好適なRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAをコードしている配列もコードしている配列に導入される。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物又はサイレンシングカセットは、内在性サイレンシング配列遺伝子座におけるHDRを支援するために、プロモーターの5’及びターミネーターの3’に相同性アームを含む。相同性アームは、100~2000ヌクレオチド長、例えば100~1500ヌクレオチド長、100~1000ヌクレオチド長、200~1000ヌクレオチド長、200~750ヌクレオチド長、300~750ヌクレオチド長、350~750ヌクレオチド長、400~600ヌクレオチド長であり得る、特定のこのような実施形態では、T-DNAカセットは選択可能なマーカーを含み、これは成功した形質転換体の選抜を支援することができる。例示的な選択可能なマーカーについては、次の章で論じる。
本発明の上記実施形態における使用に適した好適なRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、一般に「CRISPR関連エンドヌクレアーゼ」(又は「Cas」)であり、これは、RNAガイドポリヌクレオチド編集活性を有するエンドヌクレアーゼを指す。このようなエンドヌクレアーゼは、少なくとも1つの付加的な構成要素である「ガイドRNA」(gRNA)を使用する、ゲノム編集のためのCRISPR/Cas系の構成要素の1つである。本発明のいくつかの実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、「Cas9エンドヌクレアーゼ」(又は「Cas9」)である。いくつかの実施形態によれば、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、SpCas9、SaCas9、FnCas9、NmCas9、St1Cas9、BlatCas9(Shota Nakade,Takashi Yamamoto&Tetsushi Sakuma(2017),Bioengineered 8:3,265-273、及びその参照文献)等であるがこれらに限定されない当技術分野で公知の任意のCas9であってもよい。他の実施形態では、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、AsCpf1又はLbCpf1(Shota Nakade,Takashi Yamamoto&Tetsushi Sakuma(2017),Bioengineered,8:3,265-273、及びその参照文献)等であるがこれらに限定されないCpf1であってもよい。
いくつかの実施形態によれば、本発明の上記実施形態で使用するのに好適なRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼは、「改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼ」(又は「改変型Cas」)である。本明細書で使用するとき、改変型Casとは、触媒ドメインが変化している及び/又は追加のドメインと融合しているCasを指す。いくつかの実施形態によれば、「改変型Cas」とは、不活性触媒ドメイン(dead Cas又はdCas)を含有し、ヌクレアーゼ活性を有さないが、依然としてgRNA特異性に基づいてDNAに結合することはできるCasを指す。いくつかの実施形態によれば、「改変型Cas」とは、ニッカーゼ活性を有する(「nCas9」)ので、一本鎖切断を誘導するCasを指す。いくつかの実施形態では、改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、「改変型Cas9エンドヌクレアーゼ」であり、場合によっては、触媒的に不活性なCas9(すなわち「dCas9」)又はニッカーゼCas9(「nCas9」)である。dCasは、不活性酵素を既知の調節ドメインに融合させることによって遺伝子発現を活性化又は抑制するためのDNA転写調節因子用のプラットフォームとして利用することができる。例えば、ゲノムDNA中の標的配列にdCasが単独で結合すると、遺伝子の転写に干渉することができる。標的配列の選択及び/又は設計に役立てるのに利用可能なツールに加えて、バイオインフォマティクスで特定された様々な種における様々な遺伝子に固有のgRNAのリストが多数公に利用可能であり、例えば、Feng Zhang研究室のTarget Finder、Michael Boutros研究室のTarget Finder「E-CRISP」、RGEN Tools:「Cas-OFFinder」、CasFinder:ゲノム中の特定のCas9標的を同定するためのFlexibleアルゴリズム、及びCRISPR Optimal Target Finder等であるが、これらに限定されない。
本発明の文脈において、dCas又はnCas9等の改変型Casを、塩基編集のために他の酵素と共に(場合によっては融合タンパク質として)いくつかの実施形態に従って使用することもできる。塩基編集は、CRISPR系の構成要素を他の酵素と併用して、二本鎖DNAを切断することなく細胞のDNA又はRNAに点変異を直接導入するゲノム編集アプローチである。DNA塩基エディターは、核酸塩基デアミナーゼ酵素と融合した触媒作用のないヌクレアーゼと、場合によってはDNAグリコシラーゼ阻害剤を含む。RNA塩基エディターは、RNAを標的とする構成要素を用いて同様の変化を実現する。塩基エディターは、ある塩基又は塩基対を別の塩基又は塩基対に直接変換することで、過剰な望ましくない編集副産物を生成することなく、非***細胞に点変異を効率的に導入することを可能にする(Rees and Liu(2018),“Base Editing:Precision Chemistry on the Genome and Transcriptome of Living Cells”,Nature Reviews Genetics,19(12):770-788)。いくつかの実施形態によれば、改変型Cas9は、アデノシン又はシチジンデアミナーゼ等の塩基エディター酵素と融合したnCasである。企図される具体的な塩基エディターとしては、APOBEC、BE1、BE2、BE3、HF-BE3、BE4、BE4max、BE4-GAM、YE1-BE3、EE-BE3、YE-BE3、YEE-BE3、VQR-BE3、VRER-BE3、Sa-BE3、Sa-BE4、SaBE4-Gam、SaKKH-BE3、Cas12a-BE、Target-AID、Target-AID-NG、xBE3、eA3A-BE3、A3A-BE3、BE-PLUS、TAM、CRISPR-X、ABE7.9、ABE7.10、ABE7.10、xABE、ABESa、VQR-ABE、VRER-ABE、SaKKH-ABEが挙げられる(Rees and Liu(2018),“Base Editing:Precision Chemistry on the Genome and Transcriptome of Living Cells”,Nature Reviews Genetics,19(12):770-788、及びその参照文献)。
本明細書で使用するとき、用語「ガイドRNA」又は「gRNA」は、互換的に使用することができ、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ又はCRISPR関連エンドヌクレアーゼ又は改変型CRISPR関連エンドヌクレアーゼの標的配列への特異的ターゲティングを促進するポリヌクレオチドを指す。従って、ガイドRNAは、内在性サイレンシング配列を標的とするのに好適な配列を含む。いくつかの実施形態によれば、gRNAは、キメラ/単一分子(単一のRNA分子を含み、単一ガイドRNA又はsgRNAとも称される)であってもよく、又はモジュラー(1つを超える別個のRNA分子を含み、典型的には、例えば二重鎖形成によって連結され得るcrRNA及びtracrRNAである)であってもよい。いくつかの実施形態によれば、gRNAはsgRNAである。sgRNAは、tracrRNA及びcrRNA(及び連結ループ)の両方を含むRNA分子である。sgRNAは、単一のキメラ転写物において標的相同配列(crRNA)とcrRNAをCas9ヌクレアーゼに連結させる内在性細菌RNA(tracrRNA)とをコードしているヌクレオチド配列を含む。可変領域として知られているcrRNAのこの領域は、関連するエンドヌクレアーゼの切断特異性を付与し、典型的には20ヌクレオチド長である。
選択可能なマーカー
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物は、選択可能なマーカー配列である付加配列に隣接する。このような選択可能なマーカーの使用は、成功した形質転換体の同定を支援し、サイレンシングされた遺伝子を有する細胞の作製効率を高める。
一般に、選択可能なマーカーは、内在性サイレンシング配列と同じ内在性配列には由来しないので、内在性サイレンシング配列の配列又は内在性サイレンシング配列に隣接する配列と高度に同一ではない。従って、サイレンシング挿入物と内在性配列との間の配列同一性は、隣接する選択可能なマーカーを除外することによって算出される。特定のそのような実施形態では、選択可能なマーカー配列は、異なる内在性配列に対して少なくとも90%、例えば少なくとも92%、94%、96%、98%、99%、99.5%、又は99.9%の配列同一性を有する。
一般に、選択可能なマーカーは、それ自体のプロモーター及びターミネーターを含む。いくつかの実施形態によれば、選択可能なマーカーは、その天然に存在するプロモーター及びターミネーター又はその一部を含む。いくつかの実施形態によれば、選択可能なマーカーは、真核細胞の内在性配列又はその変異バージョン(例えば、優性変異)であり、該選択可能なマーカーは、その天然に存在するプロモーター及びターミネーター又はその一部を含む。特定の実施形態では、選択可能なマーカー及びサイレンシング挿入物は、それらのプロモーターが反対方向に転写される「ヘッド・ツー・ヘッド(head to head)」構成で配置される。別の実施形態では、プロモーターは同方向に転写される。
好ましい実施形態では、選択可能なマーカー配列は、真核細胞に内在する。特に好ましい実施形態では、選択可能なマーカーは、真核細胞に内在する配列の変異体バージョンである。更に特に好ましい実施形態では、マーカーの変異体バージョンは、同じ種の別の真核細胞におけるマーカーと同じである。言い換えれば、変異体バージョンのマーカーは、特定の個体において天然に存在する。このようなマーカーはいずれも、遺伝子サイレンシングを達成するために最小限の外来性遺伝物質しか使用されないことを保証する。
本発明で使用するのに好ましい選択可能なマーカーは、クロルスルフロン等であるがこれに限定されない、ALS阻害剤に対する除草剤抵抗性を付与する変異型ALS遺伝子である。いくつかの実施形態によれば、変異型ALS遺伝子は天然に存在するため、外来性遺伝物質を導入することなく、サイレンシング挿入物と連結した選択可能なマーカーとして導入することができる。そのような方法の例を実施例3に提供する。好ましいALS変異は、P197Tである。
別の実施形態では、マーカーは、成功した形質転換体を同定した後にゲノムから切除することができる選択可能で切除可能なエレメントである。特定のそのような実施形態では、エレメントは、遺伝子編集剤によって切除可能な抗生物質抵抗性遺伝子等の選択可能なマーカーを含む。選択可能なマーカーカセットは、CRISPR/CAS9又はTALEN等の遺伝子編集因子によって認識及び切断される内在性標的配列に隣接している。選択可能なマーカーのゲノム切除は、挿入された隣接内在性配列を切断する配列特異的遺伝子編集因子を導入することによって達成される。
別の実施形態では、マーカー、任意で切除可能マーカーは、抗生物質選択マーカーである。使用することができる抗生物質選択マーカーの例は、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(nptII)及びハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hpt)である。本教示に従って使用することができる追加のマーカー遺伝子としては、ゲンタマイシンアセチルトランスフェラーゼ(accC3)抵抗性並びにブレオマイシン及びフレオマイシン抵抗性の遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。更に好ましいマーカーとしては、トリアジン抵抗性を与える変異体psbA、特にG264S及びI219V;並びにEPSP合成酵素阻害剤に対する抵抗性を付与する変異体エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(EPSPS)、特にトリプトファン102変異、アラニン103変異、及びプロリン106変異が挙げられる。
酵素NPTIIは、カナマイシン、ネオマイシン、ゲネチン(又はG418)、及びパロモマイシン等の多数のアミノグリコシド抗生物質をリン酸化によって不活性化することが理解されるであろう。これらのうち、カナマイシン、ネオマイシン、及びパロマイシンは、多様な植物種で使用される。
植物、並びに植物及び植物生産物の生成方法
本発明の方法及び生産物は、植物細胞を含む真核細胞における遺伝子のサイレンシングに有用である。特定の遺伝子の発現がサイレンシングされた植物細胞を使用して、改良された形質を有し得、より効率的に生成され得る改良された植物及び植物生産物を生成することができる。
従って、本発明は、本発明の真核細胞を含む植物又は植物の一部、例えば種子を提供し、本発明の植物細胞を植物に成長させ、任意で該植物を繁殖させる方法を提供する。本発明はまた、果実又は他の植物生産物の収穫方法も提供する。
特定の実施形態では、本発明の方法は、交配又は自殖を含み得る追加の育種を含んでいてもよい。
特定の実施形態では、本発明の真核細胞は、プロトプラスト、例えば、果実、花、根、葉、胚、胚細胞懸濁液、カルス、又は苗組織等の任意の植物組織に由来するプロトプラストである。特定の実施形態では、植物細胞は、体細胞胚形成細胞等の胚形成細胞である。
本発明のサイレンシング挿入物を用いた安定的な形質転換後に、植物を繁殖させてもよい。植物を繁殖させる最も一般的な方法は、種子によるものである。しかし、種子繁殖による再生では、メンデルの法則に支配される遺伝的分散に従って植物が種子を生成するので、ヘテロ接合性により作物の均一性が失われるという問題がある。基本的に、それぞれの種子は遺伝子的に異なっており、それぞれがその固有の形質を持って成長する。従って、形質転換された植物は、再生された植物が親トランスジェニック植物と同一の形質及び特徴を有するように生成されることが好ましい。従って、形質転換された植物は、遺伝的に同一の形質転換された植物を迅速に一貫して再生させる微細繁殖によって再生されることが好ましい。
微細繁殖とは、選択した親植物又は品種から切除した単一の組織片から新世代の植物を成長させるプロセスである。このプロセスにより、所望の形質を有する植物を大量に再生させることが可能になる。新たに生成された植物は、元の植物と遺伝子的に同一であり、元の植物の特徴を全て有している。微細繁殖(又はクローン化)は、短期間で高品質の植物材料を大量に生産することができ、元のトランスジェニック又は形質転換植物の特徴を保持しつつ、選択した品種を迅速に繁殖させられる。クローン植物の利点は、植物の増殖速度並びに生成される植物の品質及び均一性である。
微細繁殖は、段階間で培養培地又は生育条件を変更する必要のある多段階手順である。従って、微細繁殖プロセスは4つの基本的な段階を含む:段階1、初期組織培養;段階2、組織培養増殖;段階3、分化及び植物形成;並びに段階4、温室栽培及び順化。段階1の初期組織培養中に、組織培養物を確立し、汚染物質のないことを証明する。段階2中に、生産目標を達成するのに十分な数の組織サンプルが生成されるまで、初期組織培養物を増殖させる。段階3中に、段階2で成長させた組織サンプルを分割し、個々の小植物に成長させる。段階4では、形質転換された小植物を順化のために温室に移し、そこで、自然環境で成長することができるように、光に対する植物の耐性を徐々に高める。
現在は安定的な形質転換が好まれているが、本発明のいくつかの実施形態によって、葉の細胞、***組織細胞、又は植物全体の一過的な形質転換も想定される。
本発明の好ましい植物生産物としては、種子、特にコーヒー豆及び米、並びに果実、特にバナナが挙げられる。
本発明の真核細胞を更に培養し、例えば、未分化な状態で長期間維持してもよく、又は必要に応じて他の細胞種、組織、器官、又は生物への分化を誘導してもよい。
まず植物細胞の群に成長させ、カルスに発生させ、次いで、植物組織培養法を用いてカルスからシュートを再生させる(カルス発生(callogenesis))ことによって、植物細胞(例えば、プロトプラスト又は胚細胞懸濁液(ECS)中の細胞)を植物全体に再生させることができる。プロトプラストをカルスに成長させ、シュートを再生させるには、組織培養培地に植物成長調節物質を適切なバランスで配合する必要があり、これは、各植物種ごとにカスタマイズしなければならない。
また、プロトプラスト融合と呼ばれる技術を用いて、プロトプラストを植物の育種に使用することもできる。電界又はポリエチレングリコールの溶液を用いることによって、異なる種由来のプロトプラストの融合を誘導する。この技術を使用して、組織培養で体細胞ハイブリッドを生成することができる。
プロトプラストを再生させる方法は、当技術分野において周知である。いくつかの要因、すなわち、遺伝子型、ドナー組織及びその前処理、プロトプラストを単離するための酵素処理、プロトプラストの培養方法、培養、培養培地、並びに物理的環境が、プロトプラストの分離、培養、及び再生に影響を与える。完全な概説については、Maheshwari et al.1986 Differentiation of Protoplasts and of Transformed Plant Cells:3-36.Springer-Verlag,Berlinを参照。
再生した植物は、当業者が適切であると考える通り更なる育種及び選抜に供してもよい。
従って、本発明の実施形態は、更に、本発明のサイレンシング挿入物を含む植物、植物細胞、及び植物のプロセシング産物に関する。
本発明の一態様によれば、繁殖を可能にする条件下で植物又は植物細胞を成長させることを含む、本発明のいくつかの実施形態の植物又は植物細胞を作出する方法が提供される。
用語「植物」は、本明細書で使用するとき、植物全体、接ぎ木された植物、植物の祖先及び後代、並びに種子、芽、茎、根(塊茎を含む)、台木、若枝、並びに植物の細胞、組織、及び器官を含む植物の一部を包含する。植物は、懸濁培養物、胚、***組織領域、カルス組織、葉、配偶体、胞子体、花粉、及び小胞子を含む任意の形態であってもよい。本発明の方法において有用であり得る植物としては、緑色植物上科に属する全ての植物、具体的には、以下を含むリストから選択される飼料又は飼い葉植物、観賞植物、食用作物、樹木、又は低木を含む単子葉及び双子葉の植物が挙げられる:アカシア属(Acacia)の種、カエデ属(Acer)の種、マタタビ属(Actinidia)の種、トチノキ属(Aesculus)の種、アガティス・オーストラリス(Agathis australis)、アルビジア・アマラ(Albizia amara)、アルソフィラ・トリカラー(Alsophila tricolor)、ウシクサ属(Andropogon)の種、ラッカセイ属(Arachis)の種、ビンロウジュ(Aseca catechu)、アステリア・フラグランス(Astelia fragrans)、アストラガルス・シサー(Astragalus cicer)、バイキアエア・プルリジュガ(Baikiaea plurijuga)、カバノキ属(Betuila)の種、アブラナ属(Brassica)の種、オヒルギ(Bruguiera gymnorrhiza)、ブルケア・アフリカーナ(Burkea africana)、ハナモツヤクノキ(Butea frondosa)、カダバ・ファリノーサ(Cadaba farinosa)、ベニゴウカン属(Calliandra)の種、チャノキ(Camellia sinensis)、アサ科(Cannabaceae)、ダンドク(Canna indica)、アサ属(Cannabis)、アサ(Cannabis sativa)、***、工業用***、トウガラシ属(Capsicum)の種、カシア属(Cassia)の種、セントロエマ・プベスケンス(Centroema pubescens)、ボケ属(Chacoomeles)の種、シナニッケイ(Cinnamomum cassia)、アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)、コロフォスペルムム・モパネ(Colophospermum mopane)、タマザキクサフジ(Coronillia varia)、コトネアスター・セロティナ(Cotoneaster serotina)、サンザシ属(Crataegus)の種、キュウリ属(Cucumis)の種、イトスギ属(Cupressus)の種、シルバー・ファーン(Cyathea dealbata)、マルメロ(Cydonia oblonga)、スギ(Cryptomeria japonica)、オガルカヤ属(Cymbopogon)の種、シンシア・ディアルバータ(Cynthea dealbata)、マルメロ、ヴェロニカ(Dalbergia monetaria)、ダバリア・ディバリカータ(Davallia divaricata)、ヌスビトハギ属(Desmodium)の種、ディクソニア・スクアローサ(Dicksonia squarosa)、ジベテロポゴン・アンプレクテンス(Dibeteropogon amplectens)、ジオクレア属(Dioclea)の種、フジマメ属(Dolichos)の種、ドリクニウム・レクタム(Dorycnium rectum)、エチノクロア・ピラミダリス(Echinochloa pyramidalis)、エーラフィア属(Ehraffia)の種、シコクビエ(Eleusine coracana)、スズメガヤ属(Eragrestis)の種、デイゴ属(Erythrina)の種、ユーカリ属(Eucalypfus)の種、ユークレア・シンペリー(Euclea schimperi)、ユーラリア・ビロサ(Eulalia vi/losa)、ヅパ属(Pagopyrum)の種、フェイジョア・セロウィアナ(Feijoa sellowlana)、オランダイチゴ属(Fragaria)の種、フレミンジア(Flemingia)の種、フレイシネチア・バンクシイ(Freycinetia banksli)、ゲンノショウコ(Geranium thunbergii)、イチョウ(GinAgo biloba)、グリシン・ジャバニカ(Glycine javanica)、グリリシディア属(Gliricidia)の種、アプランドワタ(Gossypium hirsutum)、グレビレア属(Grevillea)の種、グイボウルティア・コレオスペルマ(Guibourtia coleosperma)、イワオウギ属(Hedysarum)の種、ヘマルチア・アルティッシマ(Hemaffhia altissima)、ヘテロポゴン・コントルツス(Heteropogon contoffus)、オオムギ(Hordeum vulgare)、ヒパーレニア・ルファ(Hyparrhenia rufa)、オトギリソウ(Hypericum erectum)、ヒペフェリア・ジソルテ(Hypeffhelia dissolute)、インジゴ・インカマタ(Indigo incamata)、アヤメ属(Iris)の種、レプタルレナ・ピロリフォリア(Leptarrhena pyrolifolia)、レスペディザ属(Lespediza)の種、レチュカ属(Lettuca)の種、ギンネム(Leucaena leucocephala)、ロウデチア・シンプレクス(Loudetia simplex)、ロトヌス・バイネスリ(Lotonus bainesli)、ミヤコグサ属(Lotus)の種、マクロチローマ・アキシラレ(Macrotyloma axillare)、リンゴ属(Malus)の種、キャッサバ(Manihot esculenta)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago saliva)、メタセコイア(Metasequoia glyptostroboides)、ムサ・サピエンツム(Musa sapientum)、バナナ、ニコチアヌム属(Nicotianum)の種、オノブリョチス属(Onobrychis)の種、オルニソプス属(Ornithopus)の種、イネ属(Oryza)の種、ペルトフォルム・アフリカヌム(Peltophorum africanum)、チカラシバ属(Pennisetum)の種、アボカド(Persea gratissima)、ペチュニア属(Petunia)の種、インゲンマメ属(Phaseolus)の種、カナリーヤシ(Phoenix canariensis)、フォルミウム・クッキアヌム(Phormium cookianum)、カナメモチ属(Photinia)種、ピセア・グラウカ(Picea glauca)、マツ属(Pinus)種、エンドウ(Pisum sativam)、ポドカルプス・トタラ(Podocarpus totara)、ポゴナルスリア・フレッキイ(Pogonarthria fleckii)、ポゴナルスリア・セクアルローサ(Pogonaffhria squarrosa)、ポプラ属(Populus)の種、プロソピス・シネラリア(Prosopis cineraria)、ベイマツ(Pseudotsuga menziesii)、プテロロビウム・ステラツム(Pterolobium stellatum)、セイヨウナシ(Pyrus communis)、カシ属(Quercus)の種、リャフィオレプシス・ウンベラータ(Rhaphiolepsis umbellata)、ロパロスチリス・サピダ(Rhopalostylis sapida)、ルス・ナタレンシス(Rhus natalensis)、セイヨウスグリ(Ribes grossularia)、スグリ属(Ribes)の種、ニセアカシア(Robinia pseudoacacia)、バラ属(Rosa)の種、キイチゴ属(Rubus)種、ヤナギ属(Salix)の種、スキザクリウム・サングイネウム(Schyzachyrium sanguineum)、シアドピチス・ベフィシラタ(Sciadopitys vefficillata)、セコイア(Sequoia sempervirens)、セコイアデンドロン(Sequoiadendron giganteum)、ソルガム(Sorghum bicolor)、ホウレンソウ属(Spinacia)の種、スポロボルス・フィムブリアツス(Sporobolus fimbriatus)、スチブルス・アロペクロイデス(Stiburus alopecuroides)、スチロサントス・フミリス(Stylosanthos humilis)、タデハギ属(Tadehagi)の種、ラクウショウ(Taxodium distichum)、テメダ・トリアンドラ(Themeda triandra)、ジャジクソウ属(Trifolium)の種、コムギ属(Triticum)の種、アメリカツガ(Tsuga heterophylla)、スノキ属(Vaccinium)種、ソラマメ属(Vicia)の種、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)、ワトソニア・ピラミダタ(Watsonia pyramidata)、オランダカイウ(Zantedeschia aethiopica)、トウモロコシ(Zea mays)、アマランサス、アーティチョーク、アスパラガス、ブロッコリー、芽キャベツ(Brussels sprouts)、キャベツ、キャノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、コラードの葉(collard greens)、亜麻、ケール、レンズマメ、アブラナ、オクラ、タマネギ、ジャガイモ、イネ、ダイズ、イチゴ、サトウダイコン、サトウキビ、ヒマワリ、トマト、カボチャ、チャノキ。あるいは、藻類及び他の非緑色植物を本発明のいくつかの実施形態の方法に使用することもできる。
特定の実施形態によれば、植物は、作物、花卉、又は樹木である。
特定の実施形態によれば、植物は、木本植物種、例えば、オニマタタビ(Actinidia chinensis)(マタタビ科(Actinidiaceae))、キャッサバ(Manihotesculenta)(トウダイグサ科(Euphorbiaceae))、ユリノキ(Firiodendron tulipera)(モクレン科(Magnoliaceae))、ポプラ(Populus)(ヤナギ科(Salicaceae))、ビャクダン(Santalum album)(ビャクダン科(Santalaceae))、ニレ(Ulmus)(ニレ科(Ulmaceae))、並びにバラ科(Rosaceae)(リンゴ属(Malus)、サクラ属(Prunus)、ナシ属(Pyrus))及びミカン科(Rutaceae)(柑橘属(Citrus)、ミカン属(Microcitrus))の様々な種、裸子植物、例えば、カナダトウヒ(Picea glauca)及びテーダマツ(Pinus taeda)、森林樹(例えば、カバノキ科(Betulaceae)、ブナ科(Fagaceae)、裸子植物、及び熱帯樹種)、果樹、低木又は草本、例えば、(バナナ、ココア、ココヤシ、コーヒー、ナツメヤシ、ブドウ、及びチャ)、並びにアブラヤシである。
好ましい実施形態によれば、植物は、熱帯作物、例えば、コーヒー、マカダミア、バナナ、パイナップル、タロ、パパイヤ、マンゴー、オオムギ、豆類、キャッサバ、ヒヨコマメ、カカオ(チョコレート)、ササゲ、トウモロコシ(コーン)、キビ、イネ、ソルガム、サトウキビ、サツマイモ、タバコ、タロ、チャ、ヤムである。特に好ましい実施形態では、作物は、コーヒー、米、又はバナナである。
「子実」、「種子」、又は「豆」は、別の顕花植物に成長することができる顕花植物の生殖単位を指す。本明細書で使用するとき、これらの用語は同義的かつ互換的に使用される。
特定の実施形態によれば、植物は、植物細胞、例えば胚細胞懸濁液中の植物細胞である。
特定の実施形態によれば、植物は、本発明のいくつかの実施形態の方法によって作出された植物細胞を含む。
用語「交配」とは、本明細書で使用するとき、雄性植物(又は配偶子)による雌性植物(又は配偶子)の受精を指す。用語「配偶子」とは、配偶体から有糸***によって植物で生成され、異性の2つの配偶子が融合して二倍体の接合体を形成する有性生殖に関与する、半数体生殖細胞(卵又は***)を指す。この用語は、一般に、花粉(精細胞を含む)及び胚珠(卵細胞を含む)への言及を含む。従って、「交配」とは、一般に、ある個体の胚珠と別の個体からの花粉との受精を指し、一方、「自殖」とは、ある個体の胚珠と同じ個体からの花粉との受精を指す。交配は、植物の育種において広く用いられており、母親からの1つの染色体セットと父親からの1つの染色体セットとが交配して2つの植物間でゲノム情報が混合される。これにより、新たな組み合わせの遺伝的に受け継がれる形質が生じる。
上述したように、望ましくない因子、例えばDNA編集剤(例えば、エンドヌクレアーゼ)を含まない植物を得るために、植物を交配してもよい。
一実施形態によれば、植物は、非遺伝子改変(non-GMO)植物である。
一実施形態によれば、植物は、遺伝子改変(GMO)植物である。
一実施形態によれば、本発明のいくつかの実施形態の方法に従って作出された植物の種子が提供される。
家畜動物、並びに動物及び動物生産物の作出方法
本発明の方法及び生産物は、動物細胞、特に家畜動物細胞を含む真核細胞における遺伝子のサイレンシングに有用である。特定の遺伝子の発現がサイレンシングされた動物細胞を使用して、改良された形質を有し得るか又はより効率的に生成され得る改良された動物及び動物生産物を生成することができる。
従って、本発明は、本発明の真核細胞を含む動物又は動物生産物、例えば肉、乳、卵、皮革、又は羊毛を提供し、本発明の動物細胞を動物に成長させ、任意でその動物を繁殖させる方法を提供する。本発明はまた、該動物から動物生産物を作製する方法を提供する。
特定の実施形態では、本発明の方法は、交配又は自殖を含み得る追加の育種を含んでいてもよい。
上述したように、望ましくない因子、例えばDNA編集剤(例えば、エンドヌクレアーゼ)を含まない動物を得るために、動物を交配してもよい。
一実施形態によれば、動物は、非遺伝子改変(non-GMO)動物である。
一実施形態によれば、動物は、遺伝子改変(GMO)動物である。
標的遺伝子及び形質
本発明を用いて多種多様な異なる遺伝子をサイレンシングさせて、様々な効果を実現することができる。本発明は、改善された形質を提供するために、そして例えばがん、ウイルス、昆虫、真菌、線形動物、熱、干ばつ、飢餓等の様々な生物学的及び非生物学的ストレスから生物を保護するために、内在性遺伝子発現を調節するのに特に有用である。この章は、サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNAによりサイレンシングされる好ましい標的遺伝子を提供する。
特定の実施形態では、本発明に係る遺伝子をサイレンシングすることにより、ストレス耐性が増大した、収量が増加した、成長速度が増加した、又は収量の質が向上し植物が提供される。
特定の実施形態では、本発明に係る遺伝子のサイレンシングは、収量が増加した、成長速度が増加した、又は品質が向上した動物を提供する。
特定の実施形態では、サイレンシング挿入物によってサイレンシングされた標的遺伝子は、真核細胞に対して外来性である。このような場合、その遺伝子は、天然では真核細胞ゲノム(すなわち、サイレンシングインサートを発現する)の一部ではない。例示的な外来性標的遺伝子としては、本明細書において以下で更に論じる通り、病原体(例えば、昆虫、ウイルス、細菌、真菌、線形動物)の遺伝子等の感染性病因物質に関連する遺伝子が挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態によれば、サイレンシング挿入物によってサイレンシングされる標的遺伝子は、ハウスキーピング遺伝子、優性遺伝子、コピー数の多い遺伝子、及び細胞アポトーシスに関連する遺伝子からなる群から選択される。
特定の実施形態では、サイレンシングインサートが標的とする第1の標的遺伝子は、内在性サイレンシング配列が標的とする第2の標的遺伝子のホメオログ(homeolog)である。
語句「ストレス耐性」とは、本明細書で使用するとき、代謝、成長、生産性、及び/又は生存率が実質的な変化を受けることなく、植物が生物的又は非生物的なストレスに耐える能力を指す。
語句「非生物的ストレス」とは、本明細書で使用するとき、植物の代謝、成長、発生、繁殖、又は生存(まとめて「成長」)に悪影響を及ぼす非生存(「非生物的」)環境、物理、又は化学剤に植物、植物細胞等が曝露されることを指す。例えば、水(例えば、洪水、干ばつ、又は脱水)、嫌気状態(例えば、より低濃度の酸素又は高濃度のCO)、異常な浸透圧状態(例えば、浸透圧ストレス)、塩分、又は温度(例えば、高温/熱、低温、凍結、又は霜)、汚染物質への曝露(例えば、重金属毒性)、嫌気生活、栄養欠乏(例えば、窒素欠乏又は窒素の制限)、大気汚染、又は紫外線照射等の環境要因によって、植物が非生物的ストレスに曝され得る。
語句「生物的ストレス」とは、本明細書で使用するとき、植物の代謝、成長、発生、繁殖、収量、又は生存(まとめて「成長」)に悪影響を及ぼす生存(「生物的」)生物(更にウイルスを含む)に植物、植物細胞等が曝露されることを指す。生物的ストレスは、例えば、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫、有益昆虫及び有害昆虫、雑草、並びに栽培植物又は在来植物によって引き起こされ得る。
語句「収量」又は「植物収量」は、本明細書で使用するとき、植物の成長(成長速度)の増加、作物の成長の増加、バイオマスの増加、及び/又は植物生産物の生産(子実、果実、種子等を含む)の増加を指す。
一実施形態によれば、ストレス耐性が増大している、収量が増加している、成長速度が増加している、又は収量の質が向上している植物を作出するために、サイレンシング挿入物は、ストレスに対する感受性、収量の減少、成長速度の低下、又は収量の質の低下をもたらす植物の遺伝子を標的とするように設計される。
一実施形態によれば、標的とされる(例えば、ノックダウンされる)例示的な感受性植物遺伝子としては、MLO(べと病遺伝子座O)として知られている遺伝子座に存在するもの等の感受性S遺伝子が挙げられるが、これに限定されない。
一実施形態によれば、本方法によって作出された植物は、本方法によって作出されていない植物と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%のストレス耐性の増大、収量の増加、収量の質の向上、成長速度の増加を含む。
ストレス耐性の増大を評価するための当技術分野において公知の任意の方法を、本発明に従って使用することができる。ストレス耐性の増大を評価する例示的な方法としては、Yoon,SK.,Bae,EK.,Lee,H.et al.Trees(2018)32:823.)に記載の塩ストレス耐性を増大させるためのポプラにおけるPagSAP1のダウンレギュレーション、及びSlbZIP38のダウンレギュレーションによるトマトの耐干性の増大(参照により本明細書に援用されるPan Y et al.Genes 2017,8,402;doi:10.3390/genes8120402)が挙げられるが、これらに限定されない。
収量の増加を評価するための当技術分野において公知の任意の方法を、本発明に従って使用することができる。収量の増加を評価する例示的な方法としては、Ar-Rafi Md.Faisal,et al,AJPS>Vol.8 No.9,August 2017 DOI:10.4236/ajps.2017.89149に記載のイネにおけるDST発現の低下;及びWang Y et al.,Mol Plant.2009 Jan;2(1):191-200.doi:10.1093/mp/ssn088)に記載の収量を増加させるキャノーラにおけるBnFTAのダウンレギュレーションが挙げられるが、これらに限定されず、これらはいずれも参照により本明細書に援用される。
成長速度の増加を評価するための当技術分野において公知の任意の方法を、本発明に従って使用することができる。成長速度の増大を評価する例示的な方法としては、参照により本明細書に援用されるMarcelo de Freitas Lima et al.Biotechnology Research and Innovation(2017)1,14---25に記載の成長及びバイオマスを増大させるシロイヌナズナにおけるBIG BROTHER又はGA2-OXIDASEの発現の低下が挙げられるが、これに限定されない。
収量の質の向上を評価するための当技術分野において公知の任意の方法を、本発明に従って使用することができる。収量の質の向上を評価する例示的な方法としては、Yeh S_Y et al.Rice(N Y).2015;8:36に記載の、より多くの分げつ、より多くの子実が生産されるようになり、子実がより重くなる、イネにおけるOsCKX2のダウンレギュレーション;及びVerma SR and Dwivedi UN,South African Journal of Botany Volume 91,March 2014,Pages 107-125に記載の、リグニンの蓄積を変化させ、産業目的のために物質の吸収率を増加させる、多くの植物におけるOMTレベルの低下が挙げられるが、これに限定されず、これらはいずれも参照により本明細書に援用される。
一実施形態によれば、方法は、更に、甘味の増加、糖度の増加、香りの増加、熟成制御の改善、水ストレス耐性の増大、熱ストレス耐性の増大、及び耐塩性の増大を含む植物の作出を可能にする。当業者であれば、本明細書に記載の方法を利用して、サイレンシングするための標的遺伝子配列を選択する方法について理解するであろう。
一実施形態によれば、病原体又は有害生物に耐性又は抵抗性のある植物を作出する方法であって、(a)本発明のいくつかの実施形態の植物を繁殖させることと、(b)病原体又は有害生物に耐性又は抵抗性のある後代植物を選抜することとを含む方法が提供される。
一実施形態によれば、標的遺伝子は、病原体又は有害生物に対する感受性を付与する。一実施形態によれば、標的遺伝子は、病原体の遺伝子である。一実施形態によれば、標的遺伝子は、有害生物の遺伝子である。
本明細書で使用するとき、用語「病原体」とは、定着、損傷、攻撃、又は感染することによって植物に悪影響を与える生物を指す。従って、病原体は、植物の成長、発生、生殖、収穫、又は収量に影響を与える可能性がある。これには、疾患を蔓延させる及び/又は宿主に損傷を与える及び/又は宿主と栄養素をめぐって争う生物が含まれる。植物の病原体としては、真菌、卵菌、細菌、ウイルス、ウイロイド、ウイルス様生物、ファイトプラズマ、原生動物、線形動物、昆虫、及び寄生植物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば、サイレンシング挿入が標的とする第1の標的遺伝子は、病原体遺伝子である。
病原体の非限定的な例としては、長い触角を持つカミキリムシ(long horned borer)等のカミキリムシ(Roundheaded Borer);レッドガムラープキジラミ(red gum lerp psyllid)(グリカスピス・ブリンブレコンベイ(Glycaspis brimblecombei))、ブルーガムキジラミ(blue gum psyllid)、スポッティッドガムラープキジラミ(spotted gum lerp psyllid)、レモンガムラープキジラミ(lemon gum lep psyllid)等のキジラミ;カメノコハムシ;ゾウムシ;ハムシ;ナラタケ;トウマストコリス・ペレグリヌス(Thaumastocoris peregrinus);ユーカリアシブトコバチ(Leptocybe invasa)、オフェリムス・マスケッリ(Ophelimus maskelli)及びセリトリコデス・グロブレス(Selitrichodes globules)等の付着性のタマバチ(タマバチ科(Cynipidae));雑食性シャクトリムシ(Omnivorous looper)及びオレンジハマキガ(Orange tortrix)等の食葉性毛虫類;ガラスのような羽を持つヨコバイ(Glassy-winged sharpshooter);並びにジャイアント・ホワイトフライ(Giant whitefly)等のコナジラミ類が挙げられるが、これらに限定されない。病原体の他の非限定的な例としては、ケアブラムシ亜科(Chaitophorus)の種、クラウディーウィングド・コットンウッド(Cloudywinged cottonwood)及びニタイケアブラムシ属(Periphyllus)の種等のアブラムシ;リンゴカキカイガラムシ及びサンホセカイガラムシ等のマルカイガラムシ科のカイガラムシ(Armored scale);ボクトウガの幼虫(Carpenterworm);アメリカスズメバチガ(American hornet moth)及びウエスタン・ポピュラー・クリアウィング(Western poplar clearwing)等のスカシバガ(Clearwing moth)穿孔虫;ブロンズバーチボーラー(Bronze birch borer)及びブロンズポプラボーラー(Bronze poplar borer)等のタマムシ類(Flatheaded borer);アメリカシロヒトリ(Fall webworm)、果樹ハマキムシ(Fruit-tree leafroller)、レッドハンプトキャタピラー(Redhumped caterpillar)、ヤナギドクガ、キベリタテハ、テンマクケムシ(Tent caterpillar)、ドクガ類(Tussock moth)及びニシトラフアゲハ等の葉食性毛虫類;ポプラシールドベアラー(Poplar shield bearer)等のハモグリバエ;コットンウッドフシダニ(Cottonwood gall mite)等のフシダニ類並びに水疱ダニ類(blister mite);ポプラ虫コブアブラムシ(Poplar petiolegall aphid)等の虫コブアブラムシ(Gall aphid);ガラスのような羽を持つヨコバイ(Glassy-winged sharpshooter);ハムシ類及びノミトビヨロイムシ類;コナカイガラムシ類;ポプラ及びヤナギの穿孔虫(Poplar and willow borer);カミキリムシ;ハバチ類;オリーブカタカイガラムシ、ヒラタカタカイガラムシ、モミジワタカイガラムシ及びミズキカタカイガラムシ(European fruit lecanium)等のカタカイガラムシ類;バッファローツノゼミ(Buffalo treehopper)等のツノゼミ;並びにグンバイ及びカスミカメ(Lygus bug)等の半翅類昆虫が挙げられる。
ウイルス性植物病原体の他の非限定的な例としては、種:マメ早期褐変ウイルス(Pea early-browning virus:PEBV)、属:トブラウイルス(Tobravirus)、種:トウガラシ輪紋ウイルス(PepRSV)、属:トブラウイルス、種:スイカモザイクウイルス(WMV)、属:ポティウイルス(potyvirus)、及びポティウイルス属由来の他のウイルス、種:タバコモザイクウイルス属(TMV)、トバモウイルス(tobamovirus)及びトバモウイルス属由来の他のウイルス、種:ジャガイモウイルスX属(PVX)、ポテックスウイルス(Potexvirus)及びポテックスウイルス属由来の他のウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。従って、本教示では、RNAウイルスに加えて、DNAウイルス(例えば、ジェミニウイルス又はビジェミニウイルス)を標的とすることも想定している。標的とすることができるジェミニウイルス科(Geminiviridae)ウイルスとしては、アブチロンモザイクビジェミニウイルス、カッコウアザミ葉脈黄化ビジェミニウイルス、インゲンマメカリコモザイクビジェミニウイルス(Bean calico mosaic bigeminivirus)、インゲンマメゴールデンモザイクビジェミニウイルス、ビンディ(Bhendi)葉脈黄化ビジェミニウイルス、キャッサバアフリカモザイクビジェミニウイルス、キャッサバインドモザイクビジェミニウイルス、チノデルトマトビジェミニウイルス、ワタ縮葉ビジェミニウイルス(Cotton leaf crumple bigeminivirus)、ワタ葉巻ビジェミニウイルス、クロトン(Croton)葉脈黄化モザイクビジェミニウイルス、フジマメ黄化モザイクビジェミニウイルス、ユーフォルビアモザイクビジェミニウイルス、ホースグラム黄化モザイクビジェミニウイルス、ナンヨウアブラギリモザイクビジェミニウイルス、ライマメゴールデンモザイクビジェミニウイルス、メロン葉巻ビジェミニウイルス、リョクトウ黄化モザイクビジェミニウイルス、オクラ葉巻ビジェミニウイルス、トウガラシワステコビジェミニウイルス(Pepper hausteco bigeminivirus)、トウガラシテキサスビジェミニウイルス、ジャガイモ黄化モザイクビジェミニウイルス、タンキリマメモザイクビジェミニウイルス、セラーノ(serrano)ゴールデンモザイクビジェミニウイルス、カボチャ葉巻ビジェミニウイルス、タバコ葉巻ビジェミニウイルス、トマトオーストラリア葉巻ビジェミニウイルス、トマトゴールデンモザイクビジェミニウイルス、トマトインド葉巻ビジェミニウイルス、トマト縮葉ビジェミニウイルス、トマト斑紋ビジェミニウイルス、トマト黄化葉巻ビジェミニウイルス、トマト黄化モザイクビジェミニウイルス、スイカ退緑萎縮スタントビジェミニウイルス、及びスイカ葉巻斑紋ビジェミニウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい実施形態では、ウイルス性植物病原体は、カブモザイクウイルス(TuMV)である。好ましいこのような実施形態では、サイレンシングRNAは、miRNA、例えば22nt miRNAである。
本明細書で使用するとき、用語「有害生物」とは、直接的又は間接的に植物に害を与える生物を指す。直接的な影響としては、例えば、植物の葉を食べることが挙げられる。間接的な影響としては、例えば、病因物質(例えば、ウイルス、細菌等)を植物に伝播することが挙げられる。後者の場合、有害生物は、病原体を伝播するためのベクターとして機能する。
一実施形態によれば、有害生物は、無脊椎動物の生物である。
例示的な有害生物としては、昆虫、線形動物、カタツムリ、ナメクジ、クモ、イモムシ、サソリ、ダニ、マダニ、真菌等が挙げられるが、これらに限定されない。
昆虫の有害生物としては、甲虫目(例えば、カブトムシ)、ハエ目(例えば、ハエ、カ)、ハチ目(例えば、ハバチ、スズメバチ、ミツバチ、及びアリ)、チョウ目(例えば、チョウ及びガ)、ハジラミ目(例えば、シラミ、例えば、ハジラミ(chewing lice、biting lice、及びbird lice)、カメムシ目(例えば、カメムシ)、腹吻亜目(例えば、アブラムシ、コナジラミ、及びカイガラムシ)、頚吻亜目(例えば、セミ、ヨコバイ、ツノゼミ、ウンカ、及びアワフキムシ)、及び鞘吻亜目(例えば、コケムシ(moss bugs)及びカブトムシ(beetle bugs))を含む同翅目、バッタ目(例えば、バッタ、トノサマバッタ、並びにキリギリス及びウェタを含むコオロギ)、アザミウマ目(例えば、アザミウマ)、ハサミムシ目(例えば、ハサミムシ)、シロアリ目(例えば、シロアリ)、シラミ目(例えば、シラミ)、ノミ目(例えば、ノミ)、トビケラ目(例えば、トビケラ)等から選択される昆虫が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の昆虫の有害生物としては、トウモロコシ:ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis);タマナヤガ(Agrotis ipsilon);アメリカタバコガ(Helicoverpa zea);ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda);南西部アワノメイガ(Diatraea grandiosella);モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus);サトウキビメイガ(Diatraea saccharalis);ウエスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera、western corn rootworm);ノーザンコーンルートワーム(Diabrotica longicornis barberi、northern corn rootworm);ジュウイチホシウリハムシ(Diabrotica undecimpunctata howardi);クシコメツキ属(Melanotus)種、コメツキムシの幼虫(wireworms);ノーザンマスクドコガネムシ(Cyclocephala borealis、northern masked chafer)(地虫);サザンマスクドシェイファー(Cyclocephala immaculata、southern masked chafer)(地虫);マメコガネ(Popillia japonica);ミノハムシ(Chaetocnema pulicaria);トウモロコシゾウムシ(Sphenophorus maidis);トウモロコシアブラムシ(Rhopalosiphum maidis);コーンルートアフィド(Anuraphis maidiradicis、corn root aphid);アメリカコバネナガカメムシ(Blissus leucopterus leucopterus);アカアシトビバッタ(Melanoplus femurrubrum);ミグラトリーグラスホッパー(Melanoplus sanguinipes、migratory grasshopper);タネバエ(Hylemya platura);コーンブロットリーフマイナー(Agromyza parvicornis、corn blot leafminer);クサキイロアザミウマ(Anaphothrips obscrurus);シーフアント(Solenopsis milesta、thief ant);ナミハダニ(Tetranychus urticae);ソルガム:ソルガムボーラー(Chilo partellus、sorghum borer);ツマジロクサヨトウ;アメリカタバコガ;モロコシマダラメイガ;グラニュレートカットワーム(Feltia subterranea、granulate cutworm);地虫(Phyllophaga crinita);エレオデス(Eleodes)属、コノデルス(Conoderus)属、及びアエオルス(Aeolus)属の種、コメツキムシの幼虫;クビアカクビホソハムシ(Oulema melanopus);ミノハムシ;トウモロコシゾウムシ;トウモロコシアブラムシ;イエローシュガーケーンアフィド(Sipha flava、yellow sugarcane aphid);アメリカコバネナガカメムシ;ソルガムタマバエ(Contarinia sorghicola);ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus);ナミハダニ;コムギ:ヨトウムシ(Pseudaletia unipunctata);ツマジロクサヨトウ;モロコシマダラメイガ;ウエスタンカットワーム(Agrotis orthogonia、western cutworm);モロコシマダラメイガ;クビアカクビホソハムシ;オオタコゾウムシ(Hypera punctata);ジュウイチホシウリハムシ;ロシアコムギアブラムシ(Russian wheat aphid);ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum);ムギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum avenae);アカアシトビバッタ;ディファレンシャルグラスホッパー(Melanoplus differentialis、differential grasshopper);ミグラトリーグラスホッパー;ヘシアンバエ(Mayetiola destructor);ムギアカタマバエ(Sitodiplosis mosellana);ムギキモグリバエ(Meromyza americana);コムギスイセンハナアブ(Hylemya coarctata);ウスグロアザミウマ(Frankliniella fusca);コムギクキバチ(Cephus cinctus、wheat stem sawfly);チューリップサビダニ(Aceria tulipae);ヒマワリ:ヒマワリハマキガ(Suleima helianthana);サンフラワーモス(Homoeosoma electellum、sunflower moth);サンフラワービートル(zygogramma exclamationis、sunflower beetle);キャロットビートル(Bothyrus gibbosus、carrot beetle);サンフラワーシードミッジ(Neolasioptera murtfeldtiana、sunflower seed midge);ワタ:ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens);アメリカタバコガ;シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua);ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella);メキシコワタミゾウムシ(Anthonomus grandis);ワタアブラムシ(Aphis gossypii);ワタノミハムシ(Pseudatomoscelis seriatus);オンシツコナジラミ(Trialeurodes abutilonea);ミドリメクラカメムシ(Lygus lineolaris);アカアシトビバッタ;ディファレンシャルグラスホッパー;ネギアザミウマ(Thrips tabaci);ウスグロアザミウマ(Franklinkiella fusca);ニセナミハダニ;ナミハダニ;イネ:サトウキビメイガ(Diatraea saccharalis);ツマジロクサヨトウ;アメリカタバコガ;グレープコラスピス(Colaspis brunnea、grape colaspis);イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus);ココクゾウムシ(Sitophilus oryzae);クロスジツマグロヨコバイ(Nephotettix nigropictus);アメリカコバネナガカメムシ;アオクサカメムシ;ダイズ:ダイズシャクトリムシ(Pseudoplusia includens);ビロードマメケムシ(Anticarsia gemmatalis);グリーンクローバーワーム(Plathypena scabra、green cloverworm);ヨーロッパアワノメイガ;タマナヤガ;シロイチモジヨトウ;ニセアメリカタバコガ;アメリカタバコガ;インゲンテントウ(Epilachna varivestis);モモアカアブラムシ(Myzus persicae);ジャガイモヒメヨコバイ(Empoasca fabae);アオクサカメムシ;アカアシトビバッタ;ディファレンシャルグラスホッパー;タネバエ;ダイズアザミウマ(Sericothrips variabilis);ネギアザミウマ;イチゴハダニ(Tetranychus turkestani、strawberry spider mite);ナミハダニ;オオムギ:ヨーロッパアワノメイガ;タマナヤガ;ムギミドリアブラムシ、アメリカコバネナガカメムシ;アオクサカメムシ;チャイロカメムシ(Euschistus servus、brown stink bug);タネバエ(Delia platura);ヘシアンバエ;ホモノハダニ(Petrobia latens);ナタネ:ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae);フリービートル(Phyllotreta cruciferae、Flea beetle);ベルタアワヨトウ(Mamestra configurata);コナガ(Plutella xylostella);デリア(Delia)属の種、根食い虫が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態によれば、病原体は線形動物である。例示的な線形動物としては、ネモグリセンチュウ(Radopholus similis)、エレガンス線虫(Caenorhabditis elegans)、ラドホルス・アラボコフェアエ(Radopholus arabocoffeae)、ミナミネグサレセンチュウ(Pratylenchus coffeae)、ネコブセンチュウ(メロイドギン属(Meloidogyne)の種)、シストセンチュウ(ヘテロデラ属(Heterodera)及びグロボデラ属(Globodera)の種)、ネグサレセンチュウ(プラチレンクス属(Pratylenchus)の種)、クキセンチュウ(Ditylenchus dipsaci)、マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)、ニセフクロセンチュウ(Rotylenchulus reniformis)、ブドウオオハリセンチュウ(Xiphinema index)、ナコブス・アベルランス(Nacobbus aberrans)、及びアフェレンコイデス・ベッセイ(Aphelenchoides besseyi)が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態によれば、病原体は、真菌である。例示的な真菌としては、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、レプトスファエリア・マキュランス(Leptosphaeria maculans)(キャベツ根朽病菌(Phoma lingam))、菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)、イネいもち病菌(Pyricularia grisea)、イネ馬鹿苗病菌(Gibberella fujikuroi)(フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme))、イネいもち病菌(Magnaporthe oryzae)、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinereal)、プッチニア属(Puccinia)の種、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、コレトトリカム属(Colletotrichum)の種、ウスティラゴ・メイディス(Ustilago maydis)、メラムプソラ・リニ(Melampsora lini)、ファコプソラ・パチリジ(Phakopsora pachyrhizi)、及びリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態によれば、有害生物は、アリ、ミツバチ、スズメバチ、イモムシ、カブトムシ、カタツムリ、ナメクジ、線形動物、バグ、ハエ、コナジラミ、蚊、バッタ、ハサミムシ、アブラムシ、カイガラムシ、ツリガネムシ、クモ、ダニ、キジラミ、及びサソリである。
好ましくは、病原体又は有害生物の遺伝子をサイレンシングした結果、病原体又は有害生物が抑制、制御、及び/又は殺傷され、その結果、病原体又は有害生物が植物に与える損傷が制限される。有害生物の制御としては、有害生物を殺傷する、有害生物の発生を阻害する、有害生物が植物に与える損傷が少なくなるように有害生物の繁殖力若しくは成長を変化させる、生まれる子孫の数を減少させる、あまり適合しない有害生物を作出する、捕食者の攻撃をより受けやすい有害生物を作出する、又は有害生物が植物を食べるのを阻止することが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態によれば、標的となる例示的な植物遺伝子としては、キュウリにおいてウイルス感染に対する感受性を付与する遺伝子であるeIF4Eが挙げられる。
サイレンシングされる植物又は病原体の標的遺伝子の同定は、ルーチンなバイオインフォマティクス解析等の当技術分野において公知の任意の方法を用いて達成することができる。
一実施形態によれば、サイレンシング挿入物は、線形動物病原体であるバナナネモグリセンチュウ(Radopholus similis)の遺伝子であるカルレチキュリン13(CRT)又はコラーゲン5(col-5)を標的とする。
一実施形態によれば、サイレンシング挿入物は、真菌病原体であるフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)の遺伝子であるFOW2、FRP1、及びOPRを標的とする。
一実施形態によれば、病原体遺伝子としては、例えば、液胞ATPase(vATPase)、dvssj1及びdvssj2、α-チューブリン、又はsnf7が挙げられる。
特定の実施形態によれば、植物がアブラナ(Brassica napus)である場合、標的遺伝子は、レプトスファエリア・マクランス(キャベツ根朽病菌)(例えば、根朽病を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:AM933613.1に記載);ノミトビヨロイムシ(Flea beetle)(フィロトレタ・ビッツラ(Phyllotreta vittula)又はハムシ科(Chrysomelidae)、例えば、GenBankアクセッション番号:KT959245.1に記載)の遺伝子;又は菌核病菌の遺伝子(例えば、菌核病を引き起こす)(例えば、GenBankアクセッション番号:NW_001820833.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、植物がオレンジ(Citrus x sinensis)である場合、標的遺伝子は、柑橘類潰瘍病(CCK)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:AE008925に記載);カンジダタス・リベリバクター(Candidatus Liberibacter)種(例えば、カンキツグリーニング病を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:CP001677.5に記載);又はならたけ病の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:KY389267.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、植物がアブラヤシ(Elaeis guineensis)である場合、標的遺伝子は、マンネンタケ属(Ganoderma)の種(例えば、マンネンタケ根株腐朽病としても知られている基部腐朽(BSR)を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:U56128.1に記載)、ヒロヘリアオイラガ(Nettle Caterpillar)の遺伝子、又はフザリウム属の種、フィトフトラ属(Phytophthora)の種、フハイカビ属(Pythium)の種、リゾクトニア・ソラニのいずれか1つの遺伝子(例えば、根腐れを引き起こす)である。
特定の実施形態によれば、植物がワイルドストロベリー(Fragaria vesca)である場合、標的遺伝子は、バーティシリウム・ダーリエ(Verticillium dahlia)(例えば、バーティシリウム萎凋病を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:DS572713.1に記載);又はイチゴ萎黄病菌(Fusarium oxysporum f.sp.fragariae)の遺伝子(例えば、立ち枯れ病を引き起こす)(例えば、GenBankアクセッション番号:KR855868.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、植物がダイズ(Glycine max)である場合、標的遺伝子は、ダイズさび病菌(P.pachyrhizi)(例えば、アジアさび病(Asian rust)としても知られているダイズさび病を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:DQ026061.1に記載);ダイズアブラムシの遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:KJ451424.1に記載);ダイズ矮化病ウイルス(SbDV)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:NC_003056.1に記載);又はアオクサカメムシの遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:NW_020110722.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、植物がワタ(Gossypium raimondii)である場合、標的遺伝子は、ワタ萎黄病菌(Fusarium oxysporum f.sp.vasinfectum)(例えば、立ち枯れ病を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:JN416614.1に記載);ダイズアブラムシの遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:KJ451424.1に記載);又はワタアカミムシの遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:KU550964.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、植物がイネ(Oryza sativa)である場合、標的遺伝子は、いもち病菌(Pyricularia grisea)(例えば、イネいもち病を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:AF027979.1に記載);イネ馬鹿苗病菌(Gibberella fujikuroi)(フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme))の遺伝子(例えば、馬鹿苗病を引き起こす)(例えば、GenBankアクセッション番号:AY862192.1に記載);又はテッポウムシ(Stem borer)、例えば、イッテンオオメイガ(Scirpophaga incertulas Walker-Yellow Stem Borer)、イネシロオオメイガ(S.innota Walker-White Stem Borer)、ニカメイガ(Chilo suppressalis Walker-Striped Stem Borer)、イネヨトウ(Sesamia inferens Walker-Pink Stem Borer)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:KF290773.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、植物がトマト(Solanum lycopersicum)である場合、標的遺伝子は、疫病菌(Phytophthora infestans)(例えば、疫病を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:AY855210.1に記載);コナジラミ類であるタバココナジラミ(Bemisia tabaci)の遺伝子(例えば、Gennadius、例えば、GenBankアクセッション番号:KX390870.1に記載);又はトマト黄化葉巻ジェミニウイルス(TYLCV)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:LN846610.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、植物がジャガイモ(Solanum tuberosum)である場合、標的遺伝子は、疫病菌(例えば、ジャガイモ疫病を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:AY050538.3に記載);エルウィニア属(Erwinia)の種の遺伝子(例えば、黒脚病及び軟腐病を引き起こす)(例えば、GenBankアクセッション番号:CP001654.1に記載);又はシストセンチュウ(Cyst Nematodes)の遺伝子(例えば、ジャガイモシロシストセンチュウ(Globodera pallida)及びジャガイモシストセンチュウ(G.rostochiensis)(例えば、GenBankアクセッション番号:KF963519.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、植物がカカオ(Theobroma cacao)である場合、標的遺伝子は、担子菌であるカカオ霜白鞘病菌(Moniliophthora roreri)(例えば、霜白鞘病を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:LATX01001521.1に記載);天狗巣病菌(Moniliophthora perniciosa)(例えば、天狗巣病を引き起こす)の遺伝子;又はメクラカメムシの変種(Mirid)、例えば、ジスタンチエラ・テオブロマ(Distantiella theobroma)及びカカオカスミカメムシ(Sahlbergella singularis)、ヘロペルティス(Helopeltis)属の種、モナロニオン属(Monalonion)の種の遺伝子である。
特定の実施形態によれば、植物がブドウ(Vitis vinifera)である場合、標的遺伝子は、クロステロウイルスGVA(例えば、ルゴースウッド病を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:AF007415.2に記載);ブドウリーフロール病ウイルスの遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:FJ436234.1に記載);ブドウファンリーフ病ウイルス(GFLV)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:NC_003203.1に記載);又はブドウフレック病(GFkV)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:NC_003347.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、植物がトウモロコシ(コーンとも称される)である場合、標的遺伝子は、ツマジロクサヨトウ(Fall Armyworm)(例えば、ツマジロクサヨトウ)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:AJ488181.3に記載);ヨーロッパアワノメイガの遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:GU329524.1に記載);又は北部及び西部コーンルートワーム(Northern and western corn rootworms)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号:NM_001039403.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、植物がサトウキビである場合、標的遺伝子は、穿孔性節足動物(Internode Borer)(例えば、スジツトガ(Chilo Saccharifagus Indicus)の遺伝子、サトウキビ白すじ病菌(Xanthomonas Albileneans)(例えば、白すじ病を引き起こす)の遺伝子;又はサトウキビ黄葉ウイルス(SCYLV)の遺伝子である。
特定の実施形態によれば、植物がコムギである場合、標的遺伝子は、コムギ黄さび病菌(Puccinia striiformis)の遺伝子(例えば、黄さび病を引き起こす)又はアブラムシの遺伝子である。
特定の実施形態によれば、植物がオオムギである場合、標的遺伝子は、オオムギ小さび病菌(Puccinia hordei)(例えば、葉さび病を引き起こす)の遺伝子、オオムギ黄さび病菌(Puccinia striiformis f.sp.Hordei)(例えば、黄さび病を引き起こす)の遺伝子、又はアブラムシの遺伝子である。
特定の実施形態によれば、植物がヒマワリである場合、標的遺伝子は、ヒマワリさび病菌(Puccinia helianthi)(例えば、さび病を引き起こす)の遺伝子;ボエレマ・マクドナルディイ(Boerema macdonaldii)(例えば、フォーマ茎枯病(Phoma black stem)を引き起こす)の遺伝子;ゾウムシ(Seed weeil)(例えば、赤及び灰)、例えばスミクロニクス・フルウス(Smicronyx fulvus)(赤);スミクロニクス・ソルディダス(Smicronyx sordidus)(灰)の遺伝子;又は菌核病菌(例えば、茎腐れ病(Sclerotinia stalk)及び花蕾腐敗病を引き起こす)の遺伝子である。
特定の実施形態によれば、植物がゴムの木である場合、標的遺伝子は、南米葉枯病菌(Microcyclus ulei)(例えば、南米葉枯病(SALB)を引き起こす)の遺伝子;パラゴムノキ根白腐病菌(Rigidoporus microporus)(例えば、根白腐病を引き起こす)の遺伝子;ガノデルマ・シュードフェレウム(Ganoderma pseudoferreum)の遺伝子(例えば、根湿腐病を引き起こす)である。
特定の実施形態によれば、植物がリンゴ植物である場合、標的遺伝子は、ネオネクトリア・ジチシマ(Neonectria ditissima)(例えば、リンゴ腐爛病を引き起こす)の遺伝子、モモうどんこ病(Podosphaera leucotricha)(例えば、リンゴうどんこ病を引き起こす)の遺伝子、又は黒星病菌(Venturia inaequalis)(例えば、リンゴさびを引き起こす)の遺伝子である。
一実施形態によれば、本方法によって作出された植物は、本方法によって作出されていない植物と比較して(すなわち、野生型の植物と比較して)、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%、病原体に対する耐性又は抵抗性が高い。
植物の病原体に対する耐性又は抵抗性を評価するための当技術分野において公知の任意の方法を、本発明に従って使用することができる。例示的な方法としては、Ramirez V1,Garcia-Andrade J,Vera P.,Plant Signal Behav.2011 Jun;6(6):911-3.Epub 2011 Jun 1に記載の通り、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)に対する抵抗性を高めるシロイヌナズナにおけるMYB46の発現を低下させる;又はGallego-Giraldo L.et al.New Phytologist(2011)190:627-639 doi:10.1111/j.1469-8137.2010.03621.x)に記載の通り、植物における防御応答の活性化を促進するアルファルファにおけるHCTをダウンレギュレーションすることが挙げられるが、これらに限定されず、これらはいずれも参照により本明細書に援用される。
一実施形態によれば、除草剤抵抗性植物を作出する方法であって、(a)本発明のいくつかの実施形態の植物を繁殖させることと、(b)除草剤抵抗性である後代植物を選抜することと、を含む方法が提供される。
一実施形態によれば、除草剤は、色素体内(例えば、葉緑体内)に存在する経路を標的とする。
除草剤抵抗性植物を作出するために、サイレンシング挿入物は、葉緑体遺伝子psbA(除草剤アトラジンの標的である光合成キノン結合膜タンパク質Qをコードしている)又はEPSP合成酵素(核タンパク質であるが、それが葉緑体において過剰発現又は蓄積することにより、EPSPの転写速度が増加するので、更には酵素のターンオーバーを減少させることによって、除草剤グリホサートに対する植物の抵抗性が得られる)の遺伝子等の遺伝子を標的とするように設計される。
一実施形態によれば、本発明が標的とするウイルスは、アルボウイルス(例えば、水胞性口内炎インディアナウイルス-VSV)である。一実施形態によれば、標的遺伝子は、VSV遺伝子、例えば、Gタンパク質(G)、巨大タンパク質(L)、リンタンパク質、マトリックスタンパク質(M)、又は核タンパク質である。
一実施形態によれば、真核細胞はヒトであり、標的遺伝子は、gag及び/又はvif(すなわち、HIV-1における保存配列);Pタンパク質(すなわち、RSVにおけるウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼの必須サブユニット);P mRNA(すなわち、PIVにおける);コア、NS3、NS4B、及びNS5B(すなわち、HCVにおける);VAMP関連タンパク質(hVAP-A)、La抗原、及びポリピリミジントラクト結合タンパク質(PTB)(すなわち、HCVの場合)である。
特定の実施形態によれば、真核細胞がヒトである場合、標的遺伝子は、マラリアを引き起こす病原体の遺伝子;HIVウイルスの遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号NC_001802.1に記載);HCVウイルスの遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号NC_004102.1に記載);又は寄生虫の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号XM_003371604.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、真核細胞がヒトである場合、標的遺伝子は、がん性疾患に関連する遺伝子(例えば、bcr/abl e8a2融合タンパク質のヒトmRNA、GenBankアクセッション番号AB069693.1に記載)、又は骨髄異形成症候群(MDS)若しくは血管疾患に関連する遺伝子(例えば、ヒトヘパリン結合血管内皮増殖因子(VEGF)mRNA、GenBankアクセッション番号M32977.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、生物がウシ細胞である場合、標的遺伝子は、感染性ウシ鼻気管炎ウイルスの遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号AJ004801.1に記載)、例えばBRD(ウシ呼吸器病症候群)を引き起こす1型ウシヘルペスウイルス(BHV1);ブルータング病(BTVウイルス)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号KP821170.1に記載);ウシウイルス性下痢(BVD)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号NC_001461.1に記載);例えば***を引き起こすピコルナウイルスの遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号NC_004004.1に記載);例えばBRDを引き起こすパラインフルエンザウイルス3型(PI3)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号NC_028362.1に記載);又は例えばウシ型結核(bTB)を引き起こすウシ型結核菌(M.bovis)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号NC_037343.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、真核細胞がヒツジ細胞である場合、標的遺伝子は、サナダムシ病を引き起こす病原体(単包条虫生活環、単包条虫、ヒツジ条虫(Taenia ovis)、胞状条虫(Taenia hydatigena)、モニエジア属(Moniezia)の種)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号AJ012663.1に記載);扁形動物病を引き起こす病原体(肝蛭(Fasciola hepatica)、巨大肝蛭(Fasciola gigantica)、巨大肝吸虫(Fascioloides magna)、槍形吸虫(Dicrocoelium dendriticum)、ボビス住血吸虫(Schistosoma bovis))の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号AY644459.1に記載);ブルータング病を引き起こす病原体(BTVウイルス、例えば、GenBankアクセッション番号KP821170.1に記載)の遺伝子;又は回虫病を引き起こす病原体(寄生性気管支炎、「フーズ(hoose)」としても知られている、シュナイダー糸状虫(Elaeophora schneideri)、捻転胃虫(Haemonchus contortus)、毛様線虫属(Trichostrongylus)の種、オステルターグ胃虫(Teladorsagia circumcincta)、クーペリア属(Cooperia)種、ネマトジルス属(Nematodirus)種、ディクチョカウルス・フィラリア(Dictyocaulus filaria)、プロトストリンギルス・レフェセンス(Protostrongylus refescens)、毛細肺虫(Muellerius capillaris)、腸結節虫属(Oesophagostomum)の種、ネオストロンギルス・リネアリス(Neostrongylus linearis)、大口腸線虫(Chabertia ovina)、ヒツジ鞭虫(Trichuris ovis)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号NC_003283.11に記載)である。
特定の実施形態によれば、真核細胞がブタ細胞である場合、標的遺伝子は、アフリカブタ熱ウイルス(ASFV)(例えば、アフリカブタ熱を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号NC_001659.2に記載);ブタコレラウイルス(例えば、ブタコレラを引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号NC_002657.1に記載);又はピコルナウイルス(例えば***を引き起こす)の遺伝子(例えば、GenBankアクセッション番号NC_004004.1に記載)である。
特定の実施形態によれば、真核細胞がニワトリ細胞である場合、標的遺伝子は、トリインフルエンザの遺伝子、トリパラミクソウイルス1(APMV-1)(例えば、ニューカッスル病を引き起こす)の変種の遺伝子、又はマレック病を引き起こす病原体の遺伝子である。
特定の実施形態によれば、真核細胞がカブトエビ細胞である場合、標的遺伝子は、ホワイトスポット病ウイルス(WSSV)の遺伝子、イエローヘッドウイルス(YHV)の遺伝子、又はタウラ症候群ウイルス(TSV)の遺伝子である。
特定の実施形態によれば、真核細胞がサケ細胞である場合、標的遺伝子は、伝染性サケ貧血(ISA)の遺伝子、伝染性造血器壊死症(IHN)の遺伝子、又はフナムシ(例えば、レペオフテイルス(Lepeophtheirus)属及びウオジラミ(Caligus)属の外部寄生性カイアシ類)の遺伝子である。
本発明はまた、本発明のサイレンシング挿入物又は細胞を投与することを含む、上記の疾患を治療又は予防する方法を提供する。本発明はまた、上記の疾患の治療又は予防において使用するための本発明のサイレンシング挿入物及び細胞を提供する。
一実施形態によれば、本方法によって作出された動物は、本方法によって作出されていない動物と比較して(すなわち、野生型の動物と比較して)、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%、病原体に対する耐性又は抵抗性が高い。
別の態様
本発明の任意の実施形態の別の態様では、サイレンシング挿入物は、内在性サイレンシング配列と同じ遺伝子でるが、標的遺伝子中の異なる配列位置を標的とする。従って、このような別の態様では、本発明は、サイレンシング挿入物を真核細胞のゲノムに挿入することを含む、標的遺伝子の発現を低下させる方法であって、
該サイレンシング挿入物が、プロモーター又はその一部、第1の標的遺伝子を標的とすることによって該標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーター又はその一部を含み、
該サイレンシング挿入物が、プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む該真核細胞における内在性サイレンシング配列に対して、その長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
該内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、該第1の標的配列とは異なる第2の標的配列を標的とすることによって該標的遺伝子の発現をサイレンシングする方法を提供する。
これら別の態様では、本発明はまた、そのゲノム中に、
プロモーター又はその一部、第1の標的遺伝子を標的とすることによって該標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーター又はその一部を含むサイレンシング挿入物と、
該挿入物によって分離された内在性ゲノム配列と、
プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む内在性サイレンシング配列と、
を含み、
該サイレンシング挿入物及び該内在性サイレンシング配列が、該挿入物の長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
該内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、該第1の標的配列とは異なる第2の標的配列を標的とすることによって該標的遺伝子の発現をサイレンシングする真核細胞を提供する。
これら別の態様では、本発明はまた、プロモーター又はその一部と、真核細胞における標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列と、ターミネーター又はその一部とを含むサイレンシング挿入物を含む単離されたサイレンシングコンストラクトであって、
該サイレンシング挿入物が、プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む真核細胞における内在性サイレンシング配列に対して、その長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
該内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、第1の標的配列とは異なる第2の標的配列を標的とすることによって該標的遺伝子の発現をサイレンシングするコンストラクトを提供する。
概要
開示される生産物及び方法の様々な用途は、当技術分野における具体的なニーズに応じて調整できることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定を意図するものではないことも理解されたい。
更に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が特に明確に指示していない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「ポリペプチド(a polypeptide)」に対する言及は、「複数のポリペプチド(polypeptides)」等を含む。
特に禁止されない限り、本明細書に開示される方法の工程は、任意の適切な順序で実行してよく、工程が列挙される順序は、限定的であるとみなされるべきではない。
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施例1-本発明に係るサイレンシング挿入物の設計上の検討事項
本発明の方法の実施形態に従ってゲノムに導入されるサイレンシング挿入物を設計する際に考慮され得る種々の検討事項について以下に記載する。
本発明のいくつかの実施形態に従って真核細胞に導入されるサイレンシング挿入配列は、プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む。このサイレンシングRNAをコードしている配列は、真核細胞に存在する内在性サイレンシング配列(例えば、プロモーター、サイレンシングncRNAをコードしている遺伝子、及びターミネーターを含む)に対して、その長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有する。サイレンシング挿入物のベースとなる内在性サイレンシング配列(「スカフォールド」)を選択するための様々な検討事項が存在し得、これには以下が含まれるが、これらに限定されない:
1.発現プロファイル-入力基準(例えば、所望の時空間的発現パターン)に一致する関連ncRNAがフィルタリング(すなわち、選出)されるように、公開されているか又は独自のncRNAデータセット(例えば、低分子RNAシーケンシング、RNAシーケンシング、ゲノムシーケンス、マイクロアレイ等)を検索する。例えば、サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNAが、遍在的に(例えば、構成的に)発現することを意図しているか又は特異的に発現(例えば、特定の組織、発生段階、ストレス、熱/低温ショック等に特異的に発現)することを意図しているかに基づいて、好適な内在性配列を選択してもよい。これはまた、選択された内在性プロモーターの発現の位置/タイミングによって判定することもできる。可能なデータベースは、以下であり得る:
-miRbase(Kozomara,A&Griffiths-Jones,S 2011,’MiRBase:Integrating microRNA annotation and deep-sequencing data’,Nucleic acids research.,vol.39,no.1,pp.D152-D157.https://doi.org/10.1093/nar/gkq1027)
-tasiRNAdb(Changqing Zhang,Guangping Li,Shinong Zhu,Shuo Zhang,Jinggui Fang,tasiRNAdb:a database of ta-siRNA regulatory pathways,Bioinformatics,Volume 30,Issue 7,1 April 2014,Pages 1045-1046,https://doi.org/10.1093/bioinformatics/btt746)
-mirEx 2.0(Zielezinski,Andrzej et al.“mirEX 2.0 - an Integrated Environment for Expression Profiling of Plant microRNAs.” BMC Plant Biology 15(2015):144.PMC.Web.15 Sept.2018).
-Plant Non-coding RNA database(Xin Yi,Zhenhai Zhang,Yi Ling,Wenying Xu,Zhen Su,PNRD:a plant non-coding RNA database,Nucleic Acids Research,Volume 43,Issue D1,28 January 2015,Pages D982-D989,https://doi.org/10.1093/nar/gku1162)
サイレンシング挿入物を用いた所望のサイレンシングに応じて、好適なncRNA発現が選択される(例えば、低構成的発現、高発現、ストレス誘導等)。高いサイレンシング活性を得るためには、高発現ncRNAが望ましい場合があり、これは、sRNA-Seqデータベースに存在するリード数の多さから判断することができる。低分子RNA発現データをゲノムにアラインして、各ゲノム位置にマッピングされるリードの量を確定することができる(例えば、対応する内在性配列に一致するリードの分布をプロットするためには長さ19~24bpのリードが使用される)。
2.サイレンシング効率-サイレンシング挿入物のサイレンシング効率は、そのベースとなる内在性ncRNAの同一性(並びにサイレンシング挿入物が標的とする遺伝子の同一性等の要因)によって影響を受け得る。従って、サイレンシング挿入物の所望のサイレンシングの程度に基づいて、選択される内在性ncRNAは、特定のサイレンシング活性(その標的遺伝子のタンパク質及び/又はmRNA産物の不在又は観察可能なレベルの低下を引き起こす)を有する。ncRNAのサイレンシング効率は、上述のもの等のデータベースから抽出してもよく、当技術分野で公知の通り経験的に求めてもよい。
3.選択された標的遺伝子(すなわち、サイレンシング挿入物が標的とする遺伝子)と、挿入物のベースとなる内在性サイレンシング配列によってコードされるncRNAとの間の相同性の程度-サイレンシング挿入物設計の基礎となる内在性配列(「スカフォールド」)を選択するとき、サイレンシング挿入物によってコードされるサイレンシングRNAと高い相同性を有するncRNAをコードしている配列を選択することが好ましい。従って、いくつかの実施形態によれば、サイレンシング挿入物によってコードされるサイレンシングRNAを選択したら、使用する内在性配列、すなわち内在性「ncRNAスカフォールド」を選択する。サイレンシング挿入物によってコードされるサイレンシングRNAは、既知のサイレンシングRNAのデータベースから選択してもよい。好ましくは、サイレンシング挿入物によってコードされるサイレンシングRNAの意図しない標的(すなわち、「オフターゲット」)として作用する可能性のある内在性/外来性標的遺伝子に対して高度に相同な配列が存在しないかどうかについても植物ゲノムをチェックする。
上記の発現基準に基づいてサイレンシング挿入物のベースとなる内在性配列を選択したら、サイレンシング挿入を設計する。サイレンシング挿入物は、プロモーター又はその一部と、第1の標的遺伝子の発現をサイレンシングする低分子サイレンシングRNA(成熟sRNA)にプロセシングされるサイレンシングRNA前駆体をコードしている配列と、ターミネーター又はその一部とを含む。サイレンシング挿入物内の成熟sRNAをコードしている配列は、標的遺伝子の配列、及び当技術分野で公知である(例えば、上記のもの等のデータベースに列挙されている)、経験的に同定された、又は当技術分野において公知のバイオインフォマティックツールを使用して同定されたサイレンシングRNAの配列に基づいて選択してもよい。好ましくは、成熟sRNAは、標的の配列と完全に一致する。従って、サイレンシング挿入物内の前駆体サイレンシングRNAは、そのベースとなる内在性前駆体サイレンシングRNAと非常に類似しており、選択した標的遺伝子を標的とすることを可能にする最小限の変化しか有しない。任意で、サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNAからプロセシングされた成熟サイレンシングsRNAとそのベースとなる内在性サイレンシングRNAとの間の配列変化は、使用されるサイレンシングRNAの種類が二次構造の影響を受けるかどうかに依存する。例えば、サイレンシング挿入物内のサイレンシングRNAの種類が、二次構造がその適切な生合成及び/又は機能において役割を果たさないようなものである場合(例えば、tasiRNA)、サイレンシング挿入物内のサイレンシングRNAが、その対応する内在性配列とわずか数個の改変(例えば、20~30ヌクレオチド、1~10ヌクレオチド、又は5ヌクレオチド)異なるだけで十分であり得る。サイレンシングRNAが必須の二次構造を有するタイプである場合(すなわち、RNAサイレンシング分子の適切な生合成及び/又は活性がその二次構造に依存する;例えば、miRNA)、サイレンシング挿入物内のサイレンシングRNAは、二次構造を維持しながらサイレンシング特異性を実現するために、その対応する内在性配列とより多数のヌクレオチド(例えば、10~200ヌクレオチド、50~150ヌクレオチド、30ヌクレオチド超、200ヌクレオチド以下、30~200ヌクレオチド、35~200ヌクレオチド、35~150ヌクレオチド、又は35~100ヌクレオチド)が異なっていてもよい。
サイレンシング挿入物はまた、挿入物のベースとなる内在性配列と同一のプロモーター及びターミネーターの領域を含む。
サイレンシング挿入物に含まれるプロモーター領域は、例えば、以下のような様々な方法で選択することができる:
1.既知のプロモーターの使用-プロモーターデータベースには、実験的に検証された転写開始点(TSS)を有するアノテーション付きプロモーターが含まれており、更に実験的証拠は既刊文献に見出すことができる。例えば、シロイヌナズナの平均プロモーター長は約0.5kbである(Korkuc P,Schippers JH,Walther D.Characterization and identification of cis-regulatory elements in Arabidopsis based on single-nucleotide polymorphism information.Plant Physiol.2014 Jan;164(1):181-200.doi:10.1104/pp.113.229716.Epub 2013 Nov 7.PMID:24204023;PMCID:PMC3875800)。
2.バイオインフォマティクスによる予測に基づいたプロモーターの使用-プロモーターが由来する種のゲノムにアノテーションが付いていると考えられる場合、公的に利用可能なデータベースで配列を検索することができ、プロモーターを同定/予測するためにバイオインフォマティックツールを使用することができる。異なる植物種のプロモーターを予測するための公知のツール/データベースとしては、以下が挙げられる:
-TSSP(PlantProm DB及びPpdbデータベースに基づくツール)
(http://linux1.softberry.com/berry.phtml?topic=tssp&group=programs&subgroup=promoter)
-PlantProm DB(データベース:様々な植物種の実験的に決定された転写開始点(複数可)TSSを有するRNAポリメラーゼIIの近位プロモーター配列のアノテーション付き非冗長コレクション)
(http://www.softberry.com/berry.phtml?topic=plantprom&group=data&subgroup=plantprom)
-Prompredict(隣接領域間の安定性の差に基づいてゲノムDNA配列中のプロモーター領域を同定するためのツール)
(http://nucleix.mbu.iisc.ernet.in/prompredict/prompredict.html).
-Ppdb(データベース)
(http://ppdb.agr.gifu-u.ac.jp/ppdb/cgi-bin/index.cgi)
-NSITE-PL(ツール:植物調節配列のコンセンサスパターン検索)
(http://www.softberry.com/berry.phtml?topic=nsitep&group=help&subgroup=promoter)
-PLACE(植物のシス作用性調節DNAエレメントにみられるモチーフのデータベース)
(https://www.dna.affrc.go.jp/PLACE/?action=newplace)
-PlantCARE(植物シス作用性調節エレメントのデータベース)
(http://bioinformatics.psb.ugent.be/webtools/plantcare/html/)
-MBMEDA(ツール)
(https://github.com/JmonkG/MBMEDA)
-CoVote(Common query Voting)(miRNAの未知のコアプロモーターを予測するためのツール)
-マイクロRNAプロモーターを予測する方法及び転写因子が媒介する調節ネットワークZhao Y,Wang F,Chen S,Wan J,Wang G.Methods of MicroRNA Promoter Prediction and Transcription Factor Mediated Regulatory Network.Biomed Res Int.2017;2017:7049406.doi:10.1155/2017/7049406.Epub 2017 Jun 5.PMID:28656148;PMCID:PMC5474535.
-AtmiRNET(NGSデータから構築したデータベース)
(http://AtmiRNET.itps.ncku.edu.tw/)
-PlantPAN 3.0(転写因子結合部位及び調節エレメントを検出するためのツール)
(http://plantpan.itps.ncku.edu.tw/)
-更に、アノテーション付きのゲノムに対してオープンリーディングフレーム(ORF)及びncRNA配列を検索することができ、そのようなORF又はncRNAの5’領域の配列を検索することができる。
種のゲノムにアノテーションが付いていない場合は、遺伝子発現データを代わりに使用することができる。転写開始点は、完全長cDNA/5;-5’ESTマッピング、CAGE(Cap Analysis Gene Expression)、及びSAGE(Serial Analysis of Gene Expression)アプローチを適用することによって同定することができる。TSSの選択は、細胞/組織の種類、発生段階、及び環境条件に依存するので、NGSデータは、様々な状況におけるプロモーター配列を同定することを可能にする。RT-qPCR、ノーザンブロット、ChIP-seq、及びマイクロアレイ解析を用いてプロモーター発現プロファイルを評価することもできる。プロモーター活性及びその発現プロファイルは、レポーター遺伝子(例えば、uidA、gfp、luc)の5’領域で配列を融合させることによって同定することもできる。プロモーターを含む配列が同定されたら、そのような配列に由来する遺伝子断片を次第に小さくしながらレポーター遺伝子の5’領域で融合させて、最小プロモーター領域を同定することができる。
バナナにおけるプロモーター解析は、例えば、Santos E.et al.(2016)Promoter Analysis in Banana.In:Mohandas S.,Ravishankar K.(eds)Banana:Genomics and Transgenic Approaches for Genetic Improvement.Springer,Singapore.https://doi.org/10.1007/978-981-10-1585-4_11に示されている。
3.発現データに基づく十分なプロモーター断片の同定-プロモーター領域を同定するために、図1及び2に概説し、以下に記載する以下のプロセスに従って、シロイヌナズナ及びバナナ(M.acuminata)におけるバイオインフォマティック同定パイプラインを試験した:
ゲノム及びゲノムのアノテーション
シロイヌナズナのゲノム及びゲノムのアノテーションについては、TAIR(バージョン10)から入手した。更に、シロイヌナズナの公知のmiRNA前駆体及び成熟配列は全て、miRBase(バージョン22)(The microRNA Registry.Griffiths-Jones S.Nucleic Acids Res 2004 32:D109-D111)から入手した。バナナゲノムは、その対応する遺伝子の構造及び機能情報と共にgff形式でバナナゲノムハブ(Musa acuminata DH Pahang v2)から入手した。phasedRNA及びmiRNAを同定するために、2つの社内予測パイプラインを利用した。
低分子RNA-seqデータセット
公的に利用可能なリソースから合計33個のシロイヌナズナ低分子RNA-seqシーケンシングサンプルを抽出した。データセットは様々な組織からサンプリングする:7個の苗サンプル、5個の根サンプル、2個の芽サンプル、5個の葉サンプル、6個の花序サンプル、3個の花サンプル、及び4個の他の異なる組織。いくつかの発生段階/組織から合計14個のバナナ低分子RNAサンプルを得、社内でシーケンシングした-緑色の果肉(2サンプル)、緑色の果皮(2サンプル)、巻葉(2サンプル)、天葉(2サンプル)、根(2サンプル)、黄色の果皮(2サンプル)、及び黄色の果肉から2サンプル。
RNA-seqデータセット
公的に利用可能なリソースから合計35個のシロイヌナズナRNA-seqシーケンシングサンプルを抽出した。データセットは様々な組織からサンプリングする:10個の葉サンプル、8個の根サンプル、7個の苗サンプル、3個の稚苗サンプル、2個の芽サンプル、3個の胚珠サンプル、及び2個の長角果サンプル。いくつかの発生段階/組織から合計14個のバナナmRNAサンプルを得、社内でシーケンシングした-緑色の果肉(2サンプル)、緑色の果皮(2サンプル)、巻葉(2サンプル)、天葉(2サンプル)、根(2サンプル)、黄色の果皮(2サンプル)、及び黄色の果肉から2サンプル。
Cutadaptを用いてRNA-seqサンプルを品質トリミングに供した。低分子RNA-seqサンプルにおけるアダプター配列を同定するために、各サンプルごとにQC解析を行い、Cutadaptを用いてアダプターをトリミングした。次いで、STARを用いて全てのサンプルを対応する種のゲノムにアラインし、出力されたアラインメントファイルを、Samtoolsを用いてソートした。
発現に基づく転写開始点及び切断点の検出
アノテーション付き又は予測された各遺伝子について、sRNA-seq及びRNA-seq発現データに基づいて、遺伝子の転写開始点及び切断点のゲノム座標を同定した。低分子RNA-seq及びRNA-seqのデータを用いて、遺伝子のゲノム上の位置と、その遺伝子の上流及び下流20Kbの位置に一致するリードを記録した。生のリードカウントを、以下の式を用いてRPMに対して正規化した:
(式中、X=Xのゲノム座標にマッピングされるリード数、N=マッピングされたリードの総数、10は、正規化係数である)
正規化されたリードカウント(RPM)が所定の閾値以上である位置を、発現しているとみなす。任意の所与の遺伝子について、その発現に基づく転写開始点は、前述の定義に鑑みて発現しているとみなされる最も上流の位置である。遺伝子の開始位置よりも上流で発現が検出されない場合、本質的に、その発現に基づく転写開始点がアノテーション付き遺伝子の開始位置となる。
同様に、発現に基づく切断点及び終結点は、その遺伝子が発現している最も下流の位置であると定義される。遺伝子の終結位置よりも下流で発現が検出されない場合、発現の切断点又は終結点を遺伝子の終結位置と定義する。
プロモーター領域のインシリコ予測
プロモーターを同定するための実験的方法は、コストがかかり、時間がかかり、手間もかかる。従って、インシリコ法が魅力的な選択肢となる。プロモーター配列は、転写の特異的調節に関与する転写因子(TF)の結合部位として機能する複数の短いDNAモチーフを含んでおり、各プロモーターはTF結合部位の独自の構成を有する。要するに、プロモーター予測アルゴリズムは、プロモーター領域の特徴(例えば、配列、状況、構造等)が他のゲノム領域とは異なるという考えに基づいてプロモーター領域を同定する。プロモーターは、ほとんどの場合、転写開始点(TSS)の位置の直上流数百塩基対に及ぶ。対象となる遺伝子のプロモーター領域を予測するために、TSSPlant及びPromPredictの2つの予測アルゴリズムを採用した。TSSPlantは、人工ニューラルネットワークベースのモデルを供給する植物のプロモーター配列の組成及びシグナルに関する特徴を利用するが、一方、PromPredictは、実験的に決定されたTSSに対して、隣接する上流及び下流の領域のDNA安定性の差に基づいている。各プロモーター予測法の出力を、社内のプログラムを用いて解析し、次いで、予測されたプロモーター領域の最も上流の位置を各方法ごとに記録する。最終的なプロモーター領域は、前の工程で記録された2つの位置間の最も上流の位置と発現に基づく転写開始点との間にまたがる領域として定義される。
RNA pol IIの植物ターミネーターは、一般に、終結複合体が結合するために終止コドン部位の下流、3’UTRに2つのエレメントを必要とする。この複合体は、AAUAAAポリアデニル化(ポリ(A))モチーフ及びU又はGCリッチ配列に結合する。転写物は、これら2つのエレメント間の部位で切断される。プロセシング部位は、Uリッチ領域に含まれるCA又はUA配列からなり、通常シロイヌナズナではAAUAAA部位の10~30nt下流、イネでは10~35nt下流にある。ポリ(A)ポリメラーゼは、終結複合体の一部であり、切断された転写物の3’末端にポリAテールを付加する。3’UTRの平均長さは、シロイヌナズナでは242bp、イネ(Oryza sativa)では469bpである。
サイレンシング挿入物に含まれるターミネーター領域は、例えば、以下のような様々な方法で選択することができる:
1.アノテーション付きゲノムにおけるターミネーター-ゲノムにアノテーションが付いている場合、対象となる特定のORF又はncRNA配列の下流の終結シグナルについてスキャンすることができる。認証されたポリ(A)モチーフを含む既存のデータベースに対してRNA-seqを検索することができる。
2.アノテーションが付いていないゲノムにおけるターミネーター-ゲノムにアノテーションが付いていない場合、ターミネーターはNGSによって同定することができる。RNAサンプルを3’-RACE(Rapid Amplification of cDNA Ends)アッセイに供した後、シーケンシングすることによって、ポリAテールを同定することができる。ターミネーター領域は、これらポリA領域の直上流にみられる。更に、RHAPA(RNase H alternative polyadenylation assay)をポリアデニル化部位の直接検証に使用することもできる。ターミネーター活性は、プロモーターの制御下においてレポーター遺伝子(例えば、uidA、gfp、luc)の3’領域の配列で融合することによって同定することもできる。ターミネーターを含む配列が同定されたら、そのような配列に由来する遺伝子断片を次第に小さくしながらレポーター遺伝子の3’末端で融合させて、最小ターミネーター領域を同定することができる。
3.ポリアデニル化部位の予測-様々な植物種のポリアデニル化部位を予測するために利用可能なオンラインツール/データベースがいくつか存在する:
-SignalSleuth2
(http://www.g3journal.org/lookup/suppl/doi:10.1534/g3.114.010249/-/DC1/FileS2.zip)
-PASS(ポリ(A)部位探索)(ツール)(https://static-content.springer.com/esm/art%3A10.1186%2F1471-2105-8-43/MediaObjects/12859_2006_1415_MOESM1_ESM.pdf)
-PASPA(植物及び藻類におけるポリ(A)部位予測)(ツール)
(http://bmi.xmu.edu.cn/paspa)
-PlantAPAdb(植物における別のPoly(A)部位のデータベース)(http://bmi.xmu.edu.cn/plantAPAdb/index.php)(http://www.bmibig.cn/plantAPAdb/)
あるいは、所与の遺伝子のターミネーター領域は、その発現切断点又は終結点(sRNA-seq及びRNA-seq解析によって決定される転写物の’3末端)の下流に位置する一続きの約500bpとして定義することもできる。
実施例2-シロイヌナズナ及び線形動物ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)の遺伝子を標的とするサイレンシング挿入物の設計
以下に、設計された2つのサイレンシング挿入物(本明細書では「GEiGS(商標)-Insertion」とも称される)について説明する。サイレンシング挿入物の一方はシロイヌナズナのフィトエンデサチュラーゼ(PDS)遺伝子を標的とするmiRNAをコードしており、他方のサイレンシング挿入物は線形動物ジャガイモシストセンチュウ遺伝子を標的とするtasiRNAをコードしている。
サイレンシング挿入物の設計を作成するための計算パイプライン
計算パイプラインを用いて、下記のサイレンシング挿入物によってコードされている非コードRNA(ncRNA)を設計した。このパイプラインは、生物学的メタデータを適用して、サイレンシング挿入物のベースとなる内在性サイレンシング遺伝子を最小限しか変化させることなく、選択した標的遺伝子をサイレンシングすることができるncRNA設計を見出す。
簡単に説明すると、a)サイレンシングされる標的配列、b)サイレンシング挿入物を発現させるための宿主生物、c)サイレンシング挿入物によってコードされているncRNAの種類、及びd)サイレンシング挿入物の所望の発現パターンを含み得る入力をパイプラインに供給する。次いで、入力基準に合致し、標的の配列と高い相補性レベルを有するncRNAについて、計算プロセスによってncRNAデータセット(例えば、低分子RNAシーケンシング、マイクロアレイ等)を検索する。次いで、ncRNAの配列を、標的の配列と完全に一致するように改変し、改変された成熟ncRNAの配列を、サイレンシング効力を予測するアルゴリズムにかける。サイレンシング効力が最も高いと予測されるncRNAの中から、サイレンシング挿入物に含まれるncRNAを選択する。
シロイヌナズナのPDS3を標的とするサイレンシング挿入物の設計
このサイレンシング挿入物の基礎/スカフォールドとして、シロイヌナズナ由来のmiR173(ath-miR173)を選択した。Ath-miR173は、遍在的に高発現する。それは、刊行物及びデータベースに掲載されており、そのステムループ構造について説明されており、成熟miRNAに関する実験的証拠及び配列が入手可能である。ath-miR173の配列は、miRBaseデータベース[Kozomara,A.and Griffiths-Jones,S.,Nucleic Acids Res(2014)42:D68,AiD73]から入手した。野生型Ath-miR173の配列は、
5’-taagtactttcgcttgcagagagaaatcacagtggtcaaaaaagttgtagttttcttaaagtctctttcctctgtgattctctgtgtaagcgaaagagcttg-3’(配列番号1)
である。
サイレンシング挿入物内のncRNAの配列(ath-miR173に基づく)は、
5’-taagtactttgacaatccagccaatccagcagtggtcaaaaaagttgtagttttcttaaagtctctttcctctgctgattggcaggattgtcaaagagcttg-3’(配列番号2)
である。
サイレンシング挿入物によってコードされるsiRNAの配列は、
5’-tgacaatccagccaatccagc-3’(21nt)(配列番号3)
である。
プロセシングされた成熟低分子RNAは、5’に標的配列と一致しない追加の「t」を含む。従って、改変型成熟siRNAは22ntとなる。
標的遺伝子(AT4G14210.1と命名、Tairアクセッション配列:2129517及びGenBankアクセッションNM_117498を有する)は、色素蓄積に関与しているフィトエンデサチュラーゼ(PDS)遺伝子である(従って、それをサイレンシングすると、光退色が引き起こされる)。その配列は、
5’-ATGGTTGTGTTTGGGAATGTTTCTGCGGCGAATTTGCCTTATCAAAACGGGTTTTTGGAGGCACTTTCATCTGGAGGTTGTGAACTAATGGGACATAGCTTTAGGGTTCCCACTTCTCAAGCGCTTAAGACAAGAACAAGGAGGAGGAGTACTGCTGGTCCTTTGCAGGTAGTTTGTGTGGATATTCCAAGGCCAGAGCTAGAGAACACTGTCAATTTCTTGGAAGCTGCTAGTTTATCTGCATCCTTCCGTAGTGCTCCTCGTCCTGCTAAGCCTTTGAAAGTTGTAATTGCTGGTGCTGGATTGGCTGGATTGTCAACTGCAAAGTACCTGGCTGATGCAGGCCACAAACCTCTGTTGCTTGAAGCAAGAGATGTTCTTGGTGGAAAGATAGCTGCATGGAAGGATGAAGATGGGGACTGGTATGAGACTGGTTTACATATTTTCTTCGGTGCTTATCCGAATGTGCAGAATTTATTTGGAGAACTTGGGATCAATGATCGGTTGCAGTGGAAGGAACACTCCATGATTTTTGCTATGCCAAGTAAACCTGGAGAATTTAGTAGATTTGACTTCCCAGATGTCCTACCAGCACCCTTAAATGGTATTTGGGCTATTTTGCGGAACAACGAGATGCTGACATGGCCAGAGAAAATAAAGTTTGCTATTGGACTTTTGCCAGCCATGGTCGGCGGTCAGGCTTATGTTGAGGCCCAAGATGGTTTATCAGTCAAAGAATGGATGGAAAAGCAGGGAGTACCTGAGCGCGTGACCGACGAGGTGTTTATTGCCATGTCAAAGGCGCTAAACTTTATAAACCCTGATGAACTGTCAATGCAATGCATTTTGATAGCTTTGAACCGGTTTCTTCAGGAAAAACATGGTTCCAAGATGGCATTCTTGGATGGTAATCCTCCGGAAAGGCTTTGTATGCCAGTAGTGGATCATATTCGATCACTAGGTGGGGAAGTGCAACTTAATTCTAGGATAAAGAAAATTGAGCTCAATGACGATGGCACGGTTAAGAGTTTCTTACTCACTAATGGAAGCACTGTCGAAGGAGACGCTTATGTGTTTGCCGCTCCAGTCGATATCCTGAAGCTCCTTTTACCAGATCCCTGGAAAGAAATACCGTACTTCAAGAAATTGGATAAATTAGTTGGAGTACCAGTTATTAATGTTCATATATGGTTTGATCGAAAACTGAAGAACACATATGATCACCTACTCTTTAGCAGAAGTAACCTTCTGAGCGTGTATGCCGACATGTCCTTAACTTGTAAGGAATATTACGATCCTAACCGGTCAATGCTGGAGCTAGTATTTGCACCAGCAGAGGAATGGATATCACGGACTGATTCTGACATCATAGATGCAACAATGAAAGAACTTGAGAAACTCTTCCCTGATGAAATCTCAGCTGACCAAAGCAAAGCTAAAATTCTGAAGTACCATGTCGTTAAGACTCCAAGATCTGTGTACAAGACCATCCCAAACTGTGAACCATGTCGTCCTCTACAAAGATCACCTATTGAAGGATTCTACTTAGCTGGAGATTACACAAAACAGAAGTACTTAGCTTCCATGGAAGGCGCTGTCCTCTCTGGCAAATTCTGCTCTCAGTCTATTGTTCAGGATTACGAGCTACTGGCTGCGTCTGGACCAAGAAAGTTGTCGGAGGCAACAGTATCATCATCATGA-3’(配列番号4)
である。
siRNA標的部位の配列は、以下の通りである:5’-GCTGGATTGGCTGGATTGTCA-3’(配列番号5)。
miR173のプロモーター、ターミネーター、及び遺伝子領域の推定を以下のように決定し、サイレンシング挿入物の設計に用いた:
-プロモーター-プロモーター領域の推定には、NGSデータから構築したAtmiRNETデータベースを使用した。2つの転写部位は、miR173 ncRNA転写物配列から64bp及び104bp上流であると予測された。TSSPツール(PlantProm DB及びPpdbデータベースに基づく)によって、miR173 ncRNA転写物配列の100nt未満上流にプロモーター及びTATAボックスが存在すると予測された。これら予測及びシロイヌナズナの平均プロモーター長(500bp)を考慮して、miR173 ncRNAの直上流500bpをプロモーター領域として選択した。
-ターミネーター-ターミネーター領域については、シロイヌナズナの平均3’UTR長(242bp)を考慮して、miR173 ncRNA転写物配列の直下流400bpをターミネーターとして作用するように選択した。
-遺伝子-miR173の配列は、miRBaseデータベースから入手した。
野生型miR173配列に対する完全に設計されたサイレンシング挿入物を図3A~Cに示す。
ジャガイモシストセンチュウのリボソームタンパク質3aを標的とするサイレンシング挿入物の設計
このサイレンシング挿入遺伝子の基礎/スカフォールドとして、トランス作用性-siRNA生成(TAS)分子をコードしているシロイヌナズナ由来のTas3a(ath-Tas3a)を選択した。線形動物ジャガイモシストセンチュウの必須遺伝子を標的とし、サイレンシングする長鎖dsRNA及び低分子二次tasiRNAが生じるように、特定のヌクレオチド配列変化を有するTas3a配列を含むように、サイレンシング挿入物の配列を設計した。At3g17185は、ta-siRNA生成遺伝子座であることが示されている。それは、刊行物及びデータベースに掲載されており、siRNAに関する実験的証拠及び配列が入手可能である。dsRNAによって引き起こされるサイレンシングに関与する二次構造は存在しない。tasiRNAの前駆体及び成熟配列をtasiRNAdbデータベースから入手した[Zhang,C.et al,Bioinformatics(2014)30:1045,Ai1046]。
WT ath-Tas3a ncRNA配列:
5’-ATCCCACCGTTTCTTAAGACTCTCTCTCTTTCTGTTTTCTATTTCTCTCTCTCTCAAATGAAAGAGAGAGAAGAGCTCCCATGGATGAAATTAGCGAGACCGAAGTTTCTCCAAGGTGATATGTCTATCTGTATATGTGATACGAAGAGTTAGGGTTTTGTCATTTCGAAGTCAATTTTTGTTTGTTTGTCAATAATGATATCTGAATGATGAAGAACACGTAACTAAGATATGTTACTGAACTATATAATACATATGTGTGTTTTTCTGTATCTATTTCTATATATATGTAGATGTAGTGTAAGTCTGTTATATAGACATTATTCATGTGTACATGCATTATACCAACATAAATTTGTATCAATACTACTTTTGATTTACGATGATGGATGTTCTTAGATATCTTCATACGTTTGTTTCCACATGTATTTACAACTACATATATATTTGGAATCACATATATACTTGATTATTATAGTTGTAAAGAGTAACAAGTTCTTTTTTCAGGCATTAAGGAAAACATAACCTCCGTGATGCATAGAGATTATTGGATCCGCTGTGCTGAGACATTGAGTTTTTCTTCGGCATTCCAGTTTCAATGATAAAGCGGTGTTATCCTATCTGAGCTTTTAGTCGGATTTTTTCTTTTCAATTATTGTGTTTTATCTAGATGATGCATTTCATTATTCTCTTTTTCTTGACCTTGTAAGGCCTTTTCTTGACCTTGTAAGACCCCATCTCTTTCTAAACGTTTTATTATTTTCTCGTTTTACAGATTCTATTCTATCTCTTCTCAATATAGAATAGATATCTATCTCTACCTCTAATTCGTTCGAGTCATTTTCTCCTACCTTGTCTATCCCTCCTGAGCTAATCTCCACATATATCTTTTGTTTGTTATTGATGTATGGTTGACATAAATTCAATAAAGAAGTTGACGTTTTTCT-3’(配列番号6)
GEiGS(商標)-Insertion ath-Tas3a ncRNA配列:
5’-ATCCCACCGTTTCTTAAGACTCTCTCTCTTTCTGTTTTCTATTTCTCTCTCTCTCAAATGAAAGAGAGAGAAGAGCTCCCATGGATGAAATTAGCGAGACCGAAGTTTCTCCAAGGTGATATGTCTATCTGTATATGTGATACGAAGAGTTAGGGTTTTGTCATTTCGAAGTCAATTTTTGTTTGTTTGTCAATAATGATATCTGAATGATGAAGAACACGTAACTAAGATATGTTACTGAACTATATAATACATATGTGTGTTTTTCTGTATCTATTTCTATATATATGTAGATGTAGTGTAAGTCTGTTATATAGACATTATTCATGTGTACATGCATTATACCAACATAAATTTGTATCAATACTACTTTTGATTTACGATGATGGATGTTCTTAGATATCTTCATACGTTTGTTTCCACATGTATTTACAACTACATATATATTTGGAATCACATATATACTTGATTATTATAGTTGTAAAGAGTAACAAGTTCTTTTTTCAGGCATTAAGGAAAACATAACCTCCGTGATGCATAGAGATTATTGGATCCGCTGTGCTGAGACATTGAGTTTTTCTTCGGCATTCCAGTTTCAATGATAAAGCGGTGTTATCCTATCTGAGCTTTTAGTCGGATTTTTTCTTTTCAATTATTGTGTTTTATCTAGATGATGCATTTCATTATTCTCTTTTTCTTGACCTTGTAAGGCCTTTTCTTGACCTTGTAAGACCCCATCTCTTTCTAAACGTTTTATTATTTTCTCGTTTTACAGATTCTATTCTATCTCTTCTCAATATAGAATAGATATCGGCTTCTTCAGCACCTTCACCTTACGAATTTTCTCCTACCTTGTCTATCCCTCCTGAGCTAATCTCCACATATATCTTTTGTTTGTTATTGATGTATGGTTGACATAAATTCAATAAAGAAGTTGACGTTTTTCT-3’(配列番号7)
RNAi技術を用いて遺伝子を標的とした場合の線形動物における悪影響について論じた過去の刊行物に基づいて、ジャガイモシストセンチュウのリボソームタンパク質3a標的遺伝子を選択した。この遺伝子は異なる系統の線形動物で同定されたので、選択した遺伝子をクエリとして用いて、ジャガイモシストセンチュウの公に利用可能なデータベース(https://parasite.wormbase.org/Globodera_rostochiensis_prjeb13504/Info/Index/)におけるBLAST検索を通してそのホモログを同定した。
線形動物の標的遺伝子配列(標的配列を下線で示す):
5’-ATGGCAGTCGGAAAGAATAAGAAAATGGGCAAAAAGGGAGCCAAGAAGAAGGCTGTCGATCCGTTCACACGCAAAGAATGGTACGACATCAAAGCGCCGGCGATGTTCACACATCGAAACGTCGGCAAAACGTTGGTCAACCGTACTCAGGGAACGCGCATTTCGAGCGACTTTCTAAAAGGCCGCGTTTACGAAGTGTCACTGGGTGACCTTAACAGCACTGACGCCGACTTTCGAAAGTTCCGCCTGATCTGTGAAGAGGTACAGGGCAAGATTTGCCTGACCAACTTTCACGGAATGTCGTTCACTCGGGACAAACTGTGCTCTATTGTCAAGAAGTGGCACACGCTCATTGAGGCGAATGTGGCAGTGAAGACTACCGACGGTTTCATGCTCCGACTCTTTTGTATCGGCTTTACCAAGCGAAATGCCAATCAAATTAAGAAGACGAGCTATGCAAAAGCCTCTCAGGTGCGGATGATTCGTGCCAAAATGGTGGAGATCATGCAGAAAGAGGTCTCTTCCGGCGATCTGAAGGAAGTAGTCAACAAGCTGATCCCGGATTCGATCGGCAAAGACATAGAGAAGGCGTGCTCCTTCTACTACCCTCTGCAGGACGTTTACATTCGTAAGGTGAAGGTGCTGAAGAAGCCGAAGTTCGAGCTGGGCAAACTATTGGAGATGCATGGGGAGGGTGCCGGAACGGTCGCTACGATTACGACGGCCGCCGGTGAAAAAATTGAGAGCCGTCCGGATGCGTACGAACCGCCTGTTCAACAGAGCGTTTGA-3’(配列番号8)
標的遺伝子内のsiRNA標的部位配列:
5’-ATTCGTAAGGTGAAGGTGCTGAAGAAGCCG-3’(配列番号9)
サイレンシング挿入物設計における相同領域:
5’-CGGCTTCTTCAGCACCTTCACCTTACGAAT-3’(配列番号10)
以下は、サイレンシング挿入物内にコードされているsiRNA配列であり、標的遺伝子に対して相同な領域を示している。線形動物におけるsiRNAの生成を促進するために、設計したsiRNAの長さは30ntである:
5’-cggcttcttcagcaccttcaccttacgaat-3’(配列番号10)
Tas3aのプロモーター、ターミネーター、及び遺伝子領域の推定を以下のように決定し、サイレンシング挿入物の設計に用いた:
-プロモーター-ここでは、シロイヌナズナの平均プロモーター長(500bp)を考慮しただけでなく、Prompredictツールも適用した。このツールは、隣接する領域間の安定性の差に基づいて、ゲノムDNA配列におけるプロモーター領域を同定する。次いで、Tas3a ncRNA転写物配列の直上流1200bpをプロモーターとして選択した。
-ターミネーター-ターミネーターの長さの推定にはPlantAPAdbデータベースを使用した。このデータベースは、3’-seqで得られた大量のデータから作成された。アノテーション付きTas3a ncRNA転写物配列の約300bp下流にポリ(A)部位が存在すると予測された。これを考慮して、ターミネーターとして作用するように500bpを選択した。
-遺伝子-Tas3の配列は、tasiRNAdbデータベースから入手した。
野生型miR173配列に対する完全に設計されたサイレンシング挿入物を図4A~Bに示す。
設計された挿入物の合成及び転換
サイレンシング挿入物発現カセットを、DNA銃により線状DNAとして細胞に導入し、ランダムに組み込む。サイレンシング挿入物発現カセットを化学合成によって作製し、高忠実度PCRによって全体として増幅させる。あるいは、ゲノムDNAをテンプレートとして用いて、挿入物のベースとなる配列に関連する改変を導入するための重複PCR反応によって、サイレンシング挿入物カセットを作製する(図5)。組み込みを促進するために突出末端を作製するのに必要な、PCR増幅の後かつ制限酵素消化の前に、市販のキットとして入手可能な遠心フィルターを用いることによってDNAを濃縮する必要がある場合もある。
線状DNA分子の5’末端及び3’末端に可能な別の構成が存在する:
・平滑末端分子は、標準的なオリゴヌクレオチドプライマーを用い、それ以上処理を行うことなく生成することができる。PCRで増幅したら、GEiGS(商標)-Insertionカセットを市販のクリーンアップ濃縮キットで精製し、ゲル分析及び蛍光定量を通して収量及び完全性を評価する。
・突出末端分子は、5’末端に異なる制限部位を含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いて生成することができる。PCR産物を対応する高忠実度制限酵素で制限酵素消化すると、突出末端が生じる。制限酵素処理したら、GEiGS(商標)-Insertionカセットを市販のクリーンアップ濃縮キットで精製する。これらキットにより、酵素及びプライマーからDNAをクリーンアップすることが可能になる。ゲル分析及び蛍光定量を通して、収量及び完全性を評価する。
・化学的に安定化された分子は、エキソヌクレアーゼ分解を低減するために安定化5’-ホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドを用いて生成することができる。PCRで増幅したら、GEiGS(商標)-Insertionカセットを市販のクリーンアップ濃縮キットで精製し、ゲル分析及び蛍光定量を通して収量及び完全性を評価する。
平滑末端GEiGS(商標)カセット生成用プライマー
ath-miR173 GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-cagaagccaaatctttggtaaacaaagtaatttttttg-3’(配列番号11)
プライマーRev:5’-aacttcaatattaaggtttcctgactaccctcac-3’(配列番号12)
ath-Tas3a GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-atgaaattaagagccttgtcctagttttgtagtag-3’(配列番号13)
プライマーFw:5’-agtagagacatatacttctgtctacaaacaattgtttttatc-3’(配列番号14)
突出末端GEiGS(商標)カセット生成用プライマー
ath-miR173 GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-nnxxxxxxcagaagccaaatctttggtaaacaaagtaatttttttg-3’(配列番号15)
プライマーRev:5’-nnxxxxxxaacttcaatattaaggtttcctgactaccctcac-3’(配列番号16)
ath-Tas3a GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-nnxxxxxxatgaaattaagagccttgtcctagttttgtagtag-3’(配列番号17)
プライマーRev:5’-nnxxxxxxagtagagacatatacttctgtctacaaacaattgtttttatc-3’(配列番号18)
(式中、
-n:任意のヌクレオチド
-xxxxxx:高忠実度酵素の制限部位)。
化学的に安定化したGEiGS(商標)カセット生成用プライマー
ath-miR173 GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-cagaagccaaatctttggtaaacaaagtaatttttttg-3’(配列番号19)
プライマーRev:5’-aacttcaatattaaggtttcctgactaccctcac-3’(配列番号20)
ath-Tas3a GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-atgaaattaagagccttgtcctagttttgtagtag-3’(配列番号21)
プライマーRev:5’-agtagagacatatacttctgtctacaaacaattgtttttatc-3’(配列番号22)
(式中、は、ホスホロチオエート結合を表す)
線状サイレンシング挿入物発現カセットを、微粒子銃プロトコールを用いてシロイヌナズナの根組織に導入する(Sawasaki et al.,1994,Ruf et al.,2019)。簡単に説明すると、シロイヌナズナの根の切片をカルス誘導培地で48時間培養した後、マイクロカルスにGEiGS(商標)-Insertionカセットを打ち込む。カルス誘導培地上で48時間回復させた後、マイクロカルスを適切な選択剤を含む芽誘導培地に移す。次いで、形質転換された植物を、以下の実施例に詳述されている通り再生させ、遺伝子型を決定することができる(参照文献:Ruf,S.,Forner,J.,Hasse,C.,Kroop,X.,Seeger,S.,Schollbach,L.,Bock,R.(2019).High-efficiency generation of fertile transplastomic Arabidopsis plants.Nature Plants,5(3),282-289.https://doi.org/10.1038/s41477-019-0359-2;Sawasaki,T.,Seki,M.,Anzai,H.,Irifune,K.,& Morikawa,H.(1994).Stable transformation of Arabidopsis with the bar gene using particle bombardment.Transgenic Research,3,279-286)。
実施例3-サイレンシング挿入物を含む細胞の選抜方法
以下は、優性シスジェニック選抜を用いた、サイレンシング挿入物を含む細胞の選抜方法について説明する。
優性シスジェニック選抜の根拠
優性対立遺伝子とは、同じ遺伝子に他の劣性対立遺伝子が存在していたとしても、その表現型が優勢になる特定の遺伝子バリアントである。劣性遺伝子の表現型効果はホモ接合体条件下でのみ明らかになるが、優性対立遺伝子の効果はホモ接合体条件下及びヘテロ接合体条件下の両方でみられる。機能獲得型変異によって生じる優性選択マーカーは、植物の形質転換及びゲノム編集に特に有用である。この変異型対立遺伝子は感受性の非変異型対立遺伝子(複数可)に対して優性であり、ヘテロ接合体条件下であっても抵抗性表現型が優勢となる。場合によっては、アセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子にみられるように、優性除草剤抵抗性表現型を作り出すには特定の単一点変異で十分である。強力な優性マーカーは低コピー数で選択できるため、形質転換効率を高める。
自然発生変異を利用した除草剤選択
そのような選択マーカーの1つは、アセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子を変化させることによって実現することができる。核内ALS遺伝子は、分岐鎖アミノ酸の生合成の第一段階に関与する酵素をコードしている。ALS酵素を阻害する除草剤は、分岐アミノ酸の合成に干渉し、植物を枯死させる。そのような除草剤には5つの主なファミリー、すなわち、トリアゾロピリミジン(TP)、スルホニルウレア(SU)、ピリミジニルチオベンゾエート(PTB)、イミダゾリノン(IMI)、及びスルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン(SCT)がある。
ALS酵素を標的とする除草剤が広く採用されるようになって以来、ALS阻害型除草剤に抵抗性を示す雑草において、複数の自然発生した非同義ALS変異が報告されている。2020年現在、少なくとも22種の単子葉雑草及び48種の双子葉雑草が、ALS阻害型除草剤に対して自然抵抗性を有している。これら場合のほとんどは、ALS遺伝子における1つ以上の単一点変異からなる。
最初の変異は、早くも1990年には報告されている(P197Tであった)。それ以来、広く使用され、選択圧が高く、単一点変異の性質を有することに鑑みて、除草剤抵抗性ALS変異体は頻繁に出現している。一例として、シロイヌナズナのALS1遺伝子におけるプロリン197のセリンへの変異(P197S)は、クロルスルフロン(SUバリアント)抵抗性を付与する。変異型ALS対立遺伝子は、感受性の非変異型対立遺伝子に対して優性である。ヘテロ接合体条件下であっても抵抗性表現型が優勢である(Yu Q,Han H,Vila-Aiub MM,Powles SB.AHAS herbicide resistance endowing mutations:effect on AHAS functionality and plant growth.J Exp Bot.2010;61(14):3925-3934.doi:10.1093/jxb/erq205;Tranel,P.,& Wright,T.(2002).Resistance of weeds to ALS-inhibiting herbicides:What have we learned? <i>Weed Science,</i><i>50</i>(6),700-712.doi:10.1614/0043-1745(2002)050[0700:RROWTA]2.0.CO;2)。
使用することができる他の可能な遺伝子/変異が他の自然抵抗性雑草で見出されている(Gaines,T.A.,and Heap,I.M.Mutations in herbicide-resistant weeds to EPSP synthase inhibitors.Online http://www.weedscience.com.12/1/2020;Takano,Hudson Kagueyama,Ovejero,Ramiro Fernando Lopez,Belchior,Gustavo Gross,Maymone,Gizella Potrich Leal,& Dayan,Franck E..(2021).ACCase-inhibiting herbicides:mechanism of action,resistance evolution and stewardship.Scientia Agricola,78(1),e20190102.Epub March 13,2020.https://dx.doi.org/10.1590/1678-992x-2019-0102):
-psbAのグリシン264がセリンに変異(G264S)した結果、トリアジン抵抗性を付与する改変型D1タンパク質が得られる
-psbAのイソロイシン219がバリンに変異(I219V)した結果、トリアジン抵抗性を付与する改変型D1タンパク質が得られる
-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(EPSPS)のトリプトファン102の変異は、EPSP合成酵素阻害剤に対する抵抗性を付与する
-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(EPSPS)のアラニン103の変異は、EPSP合成酵素阻害剤に対する抵抗性を付与する
-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(EPSPS)のプロリン106の変異は、EPSP合成酵素阻害剤に対する抵抗性を付与する
シスジェニックコンストラクト設計の検討事項
サイレンシング-挿入コンストラクトがシスジェニックであるとみなされるためには、通常のセンス配向のネイティブのプロモーター及びターミネーターが含まれていなければならない。ネイティブ配列中に存在する場合は、ncRNA配列における任意のイントロンを含めなければならない(Telem RS,Wani SH,Singh NB,et al.Cisgenics-a sustainable approach for crop improvement.Curr Genomics.2013;14(7):468-476.doi:10.2174/13892029113146660013)。挿入物を構築するための可能な方法を図6に示す。図7は、上記実施例2のシロイヌナズナmiR173に基づくサイレンシング挿入物の可能な設計を示し、これをALS1のP179S変異型と組み合わせて、除草剤を用いた選抜に好適なGEiGS(商標)-Insertionコンストラクトを作製した。
変異型ALS発現カセットのプロモーター、ターミネーター、及び遺伝子領域の推定
プロモーター:TSSPツール(PlantProm DB及びPpdbデータベースに基づく)によって、ALSオープンリーディングフレームの120nt上流にプロモーター及びTATAボックスが存在すると予測された。これら予測及びシロイヌナズナの平均プロモーター長(500bp)を考慮して、予測された転写開始点に隣接する500bpをプロモーター領域として選択した。
ターミネーター:ターミネーターの長さの推定にはPlantAPAdbデータベースを使用した。このデータベースは、3’-seqで得られた大量のデータから作成された。終止コドンの371bp下流にポリ(A)部位が存在すると予測された。これを考慮して、ターミネーターとして作用するように終止コドンの直下流500bpを選択した。miR173のプロモーター、ターミネーター、及び遺伝子領域は、実施例2に記載の通り見出された。
遺伝子(アセト乳酸合成酵素スモールサブユニット1、葉緑体)
ALS1の配列にはすでにアノテーションが付けられており、オンラインデータベース(https://www.uniprot.org/uniprot/Q9FFF4及びhttps://www.arabidopsis.org/servlets/TairObject?accession=locus:2114525)から入手可能である。オープンリーディングフレームは2013nt(670アミノ酸)からなり、そのうち291nt(97アミノ酸)には推定葉緑体トランジットペプチド(cTP)とアノテーションが付けられている。成熟ALSタンパク質は、長さ1719nt(573アミノ酸)と掲載されている。ChloroP 1.1 Server(タンパク質配列におけるcTPの存在及び潜在的なcTP切断点の位置を予測する)では、157ntのcTPが、アノテーションの付いている291ntと一部重なっていると予測される。変異の表記については、トランジットペプチドを含む前駆体ALSタンパク質の先頭からアミノ酸に付番される。除草剤抵抗性ALSバージョンは、コドンCCTがTCTに変異した単一点変異P197Sを含む。
シスジェニック選択によるサイレンシング挿入物コンストラクトの合成
選択用の変異型P179S ALSカセットを含むサイレンシング挿入物コンストラクトは、化学合成によって作製し、高忠実度PCRによって増幅させることができる。あるいは、GEiGS(商標)-Insertionカセット及び変異型P179S ALSカセットは、ゲノムDNAをテンプレートとして用いて関連するGEiGS(商標)改変及び単一点ALS変異を導入するために、ゲノムDNAをテンプレートとして用いる重複PCR反応によって作製することもできる。実施例2に記載した通り、いずれもプラスミドを使わない方法を構成する。
制限ストラテジ
選択カセットを含むGEiGS(商標)-Insertion全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-nnxxxxxxcatatcaagctagattttgaattaccctatttcatcgt-3’(配列番号23)
プライマーRev:5’-nnxxxxxxaacttcaatattaaggtttcctgactaccctcac-3’(配列番号16)
(式中、
-n:任意のヌクレオチド
-xxxxxx:高忠実度酵素のための固有の制限部位。制限部位は、GEiGS(商標)挿入カセット中にそのような部位が存在しないように、固有でなければならない)。
化学修飾ストラテジ
選択カセットを含むGEiGS(商標)-Insertion全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-catatcaagctagattttgaattaccctatttcatcgt-3’(配列番号24)
プライマーRev:5’-aacttcaatattaaggtttcctgactaccctcac-3’(配列番号20)
(式中、
ホスホロチオエート結合がによって表される)。
実施例4-サイレンシング挿入物を細胞に導入する方法
設計を終えたら、サイレンシング挿入物カセットを細胞に導入するには複数の方法がある。一般的な方法は、遺伝子銃、アグロバクテリウム媒介形質転換、及びプロトプラストトランスフェクションである。選択される方法は、宿主の種及び規制環境によって異なる。遺伝子銃の利点は、最小限の遺伝子カセット(T-DNAボーダーがない)で形質転換が可能であること、及び好適な宿主種がより広範囲であることである。プラスミド骨格配列の挿入を避けるために、PCRによる線状DNAの大規模(μg-mg)プラスミドフリー生成を使用することができる。
サイレンシング挿入物コンストラクトのクローニング
サイレンシング挿入物カセット(ネイティブncRNAプロモーター::改変型ncRNA転写物:ネイティブncRNAターミネーター)は、クロルスルフロン選択に対する抵抗性を提供するネイティブ(プロモーター及びターミネーターを含む)ALS遺伝子カセットの変異型と共に、商業的遺伝子合成によって生成される。転写単位は、ゲノム配列に従って同じ方向であってもよく、分岐していてもよい。プラスミドを含む形質転換大腸菌(E.coli)細胞を選抜できるようにするために、コンストラクトは、抗生物質抵抗性を有するプラスミド骨格において提供される。次いで、GEiGS(商標)-Insertionプラスミドを複製し、市販のプラスミド分離キットを用いて精製することができる。以下は、植物細胞にそのようなサイレンシング挿入物を導入する2つの例であり、一方はシロイヌナズナにおいてアグロバクテリウムを用いる例、他方はトマトにおいて遺伝子銃を用いる例である。
シロイヌナズナのアグロバクテリウム媒介形質転換
形質転換されるコンストラクトは、コードされているmiRNAの特異性がPDS3遺伝子に対するものに変化している、シロイヌナズナにおけるmiR173配列に基づくサイレンシング挿入物を含む。形質転換には、開花しているシロイヌナズナ植物及び挿入物プラスミドで形質転換されたアグロバクテリウムが必要である。この形質変換は、本質的には、以下に記載の通り行うことができる:Clough SJ&Bent,AF(1998)Floral dip:a simplified method for Agrobacterium-mediated transformation of Arabidopsis thaliana.Plant J 16:735-43。形質転換したシロイヌナズナの種子を、選択剤として100nMのクロルスルフロンを含む培地で発芽させる。これにより、変異型ALS遺伝子を欠く(ひいては、サイレンシング挿入物を欠く)苗の成長が妨げられる。次いで、生育が良好な植物の遺伝子型を同定し、種子生産のために土壌に移植してもよい。
発芽後、形質転換された苗の遺伝子型を同定して、サイレンシング挿入物の存在を確認する。ピンセットで苗から組織を採取し、Thermo Scientific Phire希釈バッファ中に保存する。発芽した苗の葉組織を含む希釈バッファを用いて、Thermo Scientific Plant Phireポリメラーゼを用いたPCRを行う。以下のプライマーを用いてサイレンシング挿入物の存在を確認する:
>At_GEiGS(商標)_geno_F1
5’-acaaactacctgcaagtggtca-3’(配列番号25)
>At_GEiGS(商標)_geno_R1
5’-caagctctttatccacact-3’(配列番号26)
ジェノタイピングPCRの結果が陽性(86bpのバンドが生じる)の苗を土壌に移植し、種子を生産するために生育する。シロイヌナズナゲノムにおけるGEiGS(商標)-Insertionの位置を同定するために、ゲノムDNAに対してIllumina全ゲノムシークエンシングを行う。改良CTAB法を用いてゲノムDNAを抽出する(Inglis et al.,2018)。Illumina DNAプレップキットを用いてペアエンドショートリードシーケンシング用のライブラリーを調製し、Nextseq 550(https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0206085)等のIlluminaシーケンサーを用いてライブラリーをシーケンシングする。
挿入部位を同定するために、bowtie2(Langmead and Salzberg,2012)を用いてライブラリーをシロイヌナズナゲノム及びサイレンシング挿入物コンストラクトにアラインした。不一致リードペア(1つはシロイヌナズナゲノムに、もう1つはGEiGS(商標)-Insertionコンストラクトにアラインするリード)を抽出し、プライマーの設計に使用する。次いで、これらプライマーを用いて、元のサンプルのゲノムDNAから増幅させ、挿入部位の正確な位置を特定するためにシーケンシングする(Langmead,B.& Salzberg,S.L.Fast gapped-read alignment with Bowtie 2.Nat.Methods 9,357-359(2012);Inglis,P.W.,Marilia de Castro,R.P.,Resende,L.V.,& Grattapaglia,D.(2018).Fast and inexpensive protocols for consistent extraction of high-quality DNA and RNA from challenging plant and fungal samples for high-throughput SNP genotyping and sequencing applications.PLoS ONE,13(10),1-14.https://doi.org/10.1371/journal.pone.0206085;Lambirth,K.C.,Whaley,A.M.,Schlueter,J.A.,Bost,K.L.,& Piller,K.J.(2015).CONTRAILS:A tool for rapid identification of transgene integration sites in complex,repetitive genomes using low-coverage paired-end sequencing.Genomics Data,6,175-181.https://doi.org/10.1016/j.gdata.2015.09.001)。
トマトの遺伝子銃媒介形質転換
遺伝子銃により、例えば別の種由来の異種DNAを含まない非トランスジェニックDNAで細胞を形質転換することが可能になる。形質転換されるコンストラクトは、コードされているmiRNAの特異性が線形動物ジャガイモシストセンチュウのリボソームタンパク質3a遺伝子に対するものに変化している、トマトにおけるmiRNA遺伝子sly-MIR164b(GROS_g0462)に基づくサイレンシング挿入物を含む。TSSPツール(PlantProm DB及びPpdbデータベースに基づく)によって、miR164 ncRNA転写物配列の約120nt上流に転写開始点と共にプロモーター及びTATAボックスが存在すると予測された。これを考慮して、miR164 ncRNAの直上流500bpを、サイレンシング挿入に含めるプロモーター領域として選択した。ターミネーター領域については、トマト(Solanum lycopersicum)の平均3’UTR長(257bp)を考慮して、サイレンシング挿入物においてターミネーターとして作用するように、miR164b ncRNA転写物配列の直下流500bpを選択した。
以下のプライマーを用いて、サイレンシング挿入物プラスミドから、サイレンシング挿入物のみを含む線状DNA(ALS選択カセットを含む)を増幅させる:
>TomGEiGS(商標)_linear_F1
5’-AATTCAAAGCCAATGGAACT-3’(配列番号27)
>TomGEiGS(商標)_linear_R1
5’-AGTACAAGATGTCAAATGCC-3’(配列番号28)
いずれのプライマーも5’-ホスホロチオエート残基を含む(アスタリスクで示す)。製造業者の指示書に従って、NEB LongAmp DNAポリメラーゼを使用して増幅させる。線状DNAの予測される長さ及び特異的な生成は、PCR反応物の少量のサンプルのゲル電気泳動を用いて目視で確認しなければならない。次いで、残りのPCR反応物(複数可)から市販のシリカカラムキットを用いて線状DNAを精製することができる。
次に、線状サイレンシング挿入物DNAで金ナノ粒子をコーティングし、これを打ち込みに使用する。打ち込み用のトマトの外植片を調製するために、滅菌したトマト種子を4℃で48時間春化し、25℃、16:8時間の明暗サイクルを用いて滅菌培地上で発芽させる。8~10日後、子葉を無菌条件下で約0.5cm角に切断し、背軸側を上にして密に並べる。次いで、本質的に以下に記載の通り、これら外植片を打ち込みに使用することができる:Vishnevetsky,J.,White,T.L.,Palmateer,A.J.,Flaishman,M.,Cohen,Y.,Elad,Y.,Perl,A.(2011).Improved tolerance toward fungal diseases in transgenic Cavendish banana(Musa spp.AAA group)cv.Grand Nain.Transgenic Research,20(1),61-72.https://doi.org/10.1007/s11248-010-9392-7。
形質転換されたトマト小植物を選抜するために、打ち込みの2週間後に、40μg/Lのクロルスルフロンを含む培地に外植片を移植する。更に2週間後、組織培養プレートにおける新鮮培地+40μg/Lクロルスルフロンに外植片を移植する。その後、4週間ごとに、Phytatray(Sigma-Aldrich,USA)における培地+40μg/Lクロルスルフロンに外植片を移し替えた。***組織を含む健康な小植物を採取する。挿入を確認するために、ピンセットで小植物の組織を採取し、Thermo Scientific Phire希釈バッファ中に保存する。この希釈バッファを用いて、Thermo Scientific Plant Phireポリメラーゼを用いたPCRを行う。以下のプライマーを用いて挿入物の存在を確認する:
>Sl_GEiGS(商標)_geno_F1
5’-GGTAACTCATTTGGGATGGTA-3’(配列番号29)
>Sl_GEiGS(商標)_geno_R1
5’-GAACGGTCGCTACGATTAC-3’(配列番号30)
ジェノタイピングPCRの結果が陽性(103bpのバンドが生じる)の小植物を温室条件に順化させ、土壌に移植し、種子を生産するために生育する。トマトゲノムにおける挿入物の位置を同定するために、上記の通りIllumina全ゲノムシークエンシングを行う。
実施例5-インプランタにおけるゲノムに組み込まれたサイレンシング挿入物の確認
ゲノムに組み込まれたサイレンシング挿入物のインプランタにおける効果を確認するために、本実施例では、(1)実施例2のサイレンシング挿入物のゲノム組み込み;及び(2)サイレンシング挿入物から発現したサイレンシングRNAが標的とする遺伝子の発現レベルの低下について試験する。
これを説明するために、実施例2と同様に、フィトエンデサチュラーゼ遺伝子(PDS3)を標的とするように改変したネイティブmiR173遺伝子カセットを含む挿入物コンストラクトでシロイヌナズナを形質転換する。PDS3は、カロテノイド生合成に重要な酵素であり、カロテノイドは、葉緑体膜の安定化及びクロロフィルの蓄積に必要である[Qin et al.,Cell Res(2007)17:471]。PDS3は、遺伝子サイレンシングについての確立された視覚的レポーターである:PDS機能が喪失すると、アルビノの表現型が生じる[Fan et al.,Sci Rep(2015)5:12217]。従って、挿入物コンストラクトによるPDS3転写物のダウンレギュレーションは、白化表現型によって示される。挿入物の改変バージョンではなく野生型miR173を含むか又は(例えば、GFPを標的とする)シロイヌナズナにおける特異的標的を有しない改変型miR173バージョンを含むことを除いて、同一のコントロールプラスミドを使用する。本質的に実施例4に記載の通りアグロバクテリウムを用いてプラスミドを形質転換する(アグロバクテリウム形質転換の前に、挿入物をバイナリーベクターの左端と右端との間に挿入しなければならず、これは当技術分野で公知の任意の方法を用いてクローニングすることができる)。
形質転換されたシロイヌナズナの種子を、選択剤として100nMのクロルスルフロンを含む培地で発芽させる。これにより、変異型ALS遺伝子を欠く(ひいては、挿入物を欠く)苗の成長が妨げられる。次いで、生育が良好な植物の遺伝子型を同定し、種子生産のために土壌に移植してもよい。苗の遺伝子型を同定するために、ピンセットで組織を採取し、Thermo Scientific Phire希釈バッファ中に保存する。発芽した苗の葉組織を含む希釈バッファを用いて、Thermo Scientific Plant Phireポリメラーゼを用いたPCRを行う。以下のプライマーを用いて、実験プラスミドの存在を確認する:
>At_GEiGS(商標)_geno_F2
5’-AATCCAGCAGTGGTCAAAA-3’(配列番号31)
>At_GEiGS(商標)_geno_R2
5’-CAAGCTCTTTGACAATCCT-3’(配列番号32)
挿入物を含む植物では、上記のプライマー対によって80bpのバンドが生じる。
>At_GEiGS(商標)_dummy_geno_F1
5’-GAGCTTCCTCAAAGGGCTGA-3’(配列番号33)
>At_GEiGS(商標)_dummy_geno_R1
5’-TGGTTACGAATGAATTTAATGGGGA-3’(配列番号34)
「ダミー」(コントロール)プラスミド及び試験される挿入物プラスミドを含む植物では、上記のプライマー対によって312bpのバンドが生じる。ジェノタイピングPCRの結果が陽性の苗を土壌に移植し、種子を生産するために生育させる。
シロイヌナズナゲノムにおける挿入物の位置を同定するために、コンストラクトのゲノム隣接領域をシーケンシングすることによって組み込み部位を同定する。これは、既知のDNA配列と未知のDNA配列との間を増幅させる熱非対称インターレース(TAIL)PCRを用いて達成される。TAIL PCRでは、比較的低いTm(例えば45℃)を有する任意の縮重(AD)プライマー及び既知の配列内の高いTm(例えば67℃)を有するネステッド特異的プライマーを使用して数回PCRを行う(表1)。最初のPCR反応では、ADプライマー及び最も外側の特異的プライマーと、それぞれ特異的増幅又は非特異的増幅に好ましい高Tm及び低TmのインターリーブPCRサイクルとを使用する。ネステッド特異的プライマー(ADプライマーも含む)を用いた2回の後続PCR反応によって、所望の産物(コンストラクトと隣接領域との間の産物)を濃縮することができる。PCRの開始時における特異的プライマー並びにADプライマー及び特異的プライマーにおける相補的な領域を用いる複数ラウンドの線形増幅によって特異的増幅の効率を高めることができる(これにより、相補的な末端が相互作用してヘアピン構造を形成するため、増幅が短い産物から離れる方向に偏る)(Liu and Chen,2007)。必要なプライマーを以下に示す:
>AC1
5’-ACGATGGACTCCAGAG-3’(配列番号35)
>LAD1-1
5’-ACGATGGACTCCAGAGCGGCCGC(G/C/A)N(G/C/A)NNNGGAA-3’(配列番号36)
>LAD1-2
5’-ACGATGGACTCCAGAGCGGCCGC(G/C/T)N(G/C/T)NNNGGTT-3’(配列番号37)
>LAD1-3
5’-ACGATGGACTCCAGAGCGGCCGC(G/C/A)(G/C/A)N(G/C/A)NNNCCAA-3’(配列番号38)
>LAD1-4
5’-ACGATGGACTCCAGAGCGGCCGC(G/C/T)(G/A/T)N(G/C/T)NNNCGGT-3’(配列番号39)
>At_GEiGS(商標)_TAIL_F1
5’-TAAGTACTTTGACAATCCAGCCAATCCAGCAGTGGT-3’(配列番号40)
>At_GEiGS(商標)_TAIL_F2
5’-GACAATCCAGCCAATCCAGCAGTGGTCAAAAAAG-3’(配列番号41)
>At_GEiGS(商標)_TAIL_F3
5’-CTCTGCTGATTGGCAGGATTGTCAAAGAGCTTGCTC-3’(配列番号42)
挿入部位を同定するために、二次TAIL-PCRからのPCR産物を市販のキットを用いて平滑末端クローニングし、サンガーシーケンシングする(Liu,Y.G.,&Chen,Y.(2007).High efficiency thermal asymmetric interlaced PCR for amplification of unknown flanking sequences.BioTechniques,43(5),649-656.https://doi.org/10.2144/000112601)。
サイレンシング挿入物の表現型効果をアッセイするために、挿入物コンストラクトで形質転換したシロイヌナズナ植物をダミーコンストラクトで形質転換した植物と比較した。比較により、サイレンシング挿入物コンストラクトで形質転換された植物だけが白化を示すことが実証される。植物を撮影し、ImageJ等のソフトウェアを使用して群間の白化領域の大きさを定量することによって、群間の定量的比較がなされる。PDS3の発現レベルを比較するために、両群の植物に対してRNA-seq又はqRT-PCRも実施いた。サイレンシング挿入物コンストラクトで形質転換した植物では、PDS3の発現が低下する。
実施例6-RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列及び内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列を更に含むコンストラクトの例示的な使用
本発明の好ましい実施形態では、サイレンシング挿入物は、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列と内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列とを更に含むコンストラクトにおいて、真核細胞に導入される。このようなコンストラクトを用いた形質転換は、後述するように、様々な可能性のあるシナリオを提供することができる。
シナリオ1:コンストラクトが組み込まれ、全ての内在性ncRNA対立遺伝子がNHEJ編集される
このシナリオでは、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列及びガイドRNAをコードしている配列を含むトランスジェニックサイレンシング挿入物カセットを、組み込まれたDNA、好ましくは組み込まれたT-DNAから発現させる。好ましくはCRISPR/CAS9であるエンドヌクレアーゼ及びsgRNAの発現が、サイレンシング挿入物のベースとなる全ての標的ncRNA遺伝子座の遺伝子編集を駆動し、その結果、インデルが生じる。このシナリオでは、HDR事象は存在しない(交換事象は存在しない)。従って、提供されたsgRNAが内在性サイレンシング配列遺伝子座を再度標的とすることができないため、該遺伝子座にサイレンシング挿入物を保有する非トランスジェニック植物をこのような植物から作出することはできないが、これら植物を使用して、サイレンシング挿入物活性(T-DNAから発現)を研究することはできる。所望の遺伝子座のターゲティングにおいてsgRNAは不活性であるので、その後の世代でHDR事象をスクリーニングし続ける意味はない。注記:編集されたwt遺伝子座(内在性サイレンシング配列)へのサイレンシング挿入物の導入が、将来の世代において相同組換え(HR)によって実行される可能性もあるが、そのような事象は非常にまれであり、検出が困難である。
シナリオ2:コンストラクトが組み込まれ、内在性ncRNA対立遺伝子がNHEJ編集されない又は部分的に編集される
このシナリオでは、シナリオ1と同様に、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列及びガイドRNAをコードしている配列を含むトランスジェニックサイレンシング挿入物カセットを1、組み込まれたDNA、好ましくは組み込まれたT-DNAから発現させる。しかし、好ましくはCRISPR/CAS9であるエンドヌクレアーゼ及びsgRNAを発現させても、サイレンシング挿入物のベースとなる標的ncRNA遺伝子座は全て(すなわち、全く)編集されなかった。従って、遺伝子座のうちの一部はインデルを含まないが、それでも提供されたsgRNAの標的となることはできる。このシナリオでは、HDR事象は存在しない(交換事象は存在しない)。従って、内在性サイレンシング配列遺伝子座にサイレンシング挿入物を保有する植物を、このような被験植物から作出することはできない。しかし、これら植物を、サイレンシング挿入物の活性(T-DNAから発現)を研究するために使用することはできる。内在性ncRNA対立遺伝子のNHEJ編集が全く又は部分的にしか行われない場合、編集機構が依然として活性を有する次世代でHDRをスクリーニングすることができる。注記:wt遺伝子座(内在性サイレンシング配列)へのサイレンシング挿入物の導入が、将来の世代において相同組換えによって実行される可能性もあるが、そのような事象は非常にまれであり、検出が困難である。
シナリオ3:コンストラクトが組み込まれ、内在性ncRNA対立遺伝子がHDR編集される
このシナリオでは、シナリオ1及び2と同様に、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列及びガイドRNAをコードしている配列を含むトランスジェニックサイレンシング挿入物カセットを、組み込まれたDNA、好ましくは組み込まれたT-DNAから発現させる。更に、DONORテンプレートとしてサイレンシング挿入物の配列が存在すると共に、好ましくはCRISPR/CAS9であるエンドヌクレアーゼ及びsgRNAを発現させると、サイレンシング挿入物のベースとなるncRNA遺伝子座の全て(又は一部)でHDRが生じる。従って、T-DNA(元々サイレンシング挿入物が挿入されていた)及び交換されたncRNA対立遺伝子(非トランスジェニック)からサイレンシングRNA転写物が発現する。このような被験植物から、内在性サイレンシング配列遺伝子座にのみサイレンシング挿入物を保有する植物(非トランスジェニックである)を作出することはできないが、これら植物を、サイレンシング挿入物の活性(T-DNAから発現)を研究するために使用することができる。次世代において、トランスジェニックT-DNAカセット(及び元々挿入されていたサイレンシング挿入物)を交配して除去することができ、その結果、内在性サイレンシング配列遺伝子座からサイレンシング挿入物を発現する非トランスジェニック植物が得られる。注記:wt遺伝子座(内在性サイレンシング配列)へのサイレンシング挿入物の導入が相同組換えによって実行される可能性もあるが、そのような事象は非常にまれであり、検出が困難である。
シナリオ4:コンストラクトは組み込まれず、内在性ncRNA対立遺伝子の全て又は一部がNHEJ編集される
このシナリオでは、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列及びガイドRNAをコードしている配列を含むサイレンシング挿入物は組み込まれないので、サイレンシング挿入物カセットは発現しない。好ましくはCRISPR/CAS9であるエンドヌクレアーゼ及びsgRNAの一過性発現が、サイレンシング挿入物のベースとなるncRNA遺伝子座の全て又は一部の遺伝子編集を駆動し、その結果、インデルが生じる。遺伝子編集機構及びDONORテンプレートが欠失しているため、次世代で事象のスクリーニングを続ける意味はない。しかし、これは遺伝子編集機構の活性及び効率についての確実な証拠である。
シナリオ5:コンストラクトは組み込まれず(一過性発現)、内在性ncRNA対立遺伝子のNHEJは観察されない
このシナリオでは、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列及びガイドRNAをコードしている配列を含むサイレンシング挿入物は組み込まれないので、サイレンシング挿入物カセットは発現しない。更に、好ましくはCRISPR/CAS9であるエンドヌクレアーゼ及びsgRNAを一過性に発現させても、サイレンシング挿入のベースとなるncRNA遺伝子座のいずれも遺伝子編集されなかった。従って、サイレンシングRNA転写物は存在せず、これら植物を更に試験する意味はない。これは、実験デザインを改善する必要があることを示唆している可能性がある(例えば、異なるsgRNA、異なるヌクレアーゼ等)。
シナリオ6:コンストラクトは組み込まれず(一過性発現)、内在性ncRNA対立遺伝子がHDR編集される
このシナリオでは、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列及びガイドRNAをコードしている配列を含むサイレンシング挿入物は組み込まれないので、サイレンシング挿入物カセットは発現しない。しかし、シナリオ3と同様に、DONORテンプレートとしてサイレンシング挿入物の配列が存在すると共に、好ましくはCRISPR/CAS9であるエンドヌクレアーゼ及びsgRNAを一過的に発現させると、サイレンシング挿入物のベースとなるncRNA遺伝子座の全て(又は一部)でHDRが生じる。従って、サイレンシングRNA転写物は、交換されたncRNA対立遺伝子からのみ発現する。サイレンシング挿入物を発現する非トランスジェニック植物が、このような試験植物から作出される。注記:wt遺伝子座へのサイレンシング挿入物の導入が、相同組換えによって実行される可能性もあるが、そのような事象は非常にまれであり、検出が困難である。
シナリオ7:GEiGS挿入物カセットの全部又は一部のみを含むコンストラクトが部分的に組み込まれる
このシナリオでは、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列及びガイドRNAをコードしている配列を含むサイレンシング挿入物は、全体として組み込まれるのではなく、サイレンシング挿入物カセットの一部のみ又は完全なサイレンシング挿入物カセットとして組み込まれる。従って、サイレンシング挿入物は、ランダム組み込みの位置から表現することができる。ランダムな遺伝子座にサイレンシング挿入物を保有する植物が、このような被験トランスジェニック植物から作出される。将来の世代では、相同組換えによってwt遺伝子座にサイレンシング挿入物が導入される可能性があるが、これはまれであり、その結果、内在性サイレンシング挿入物からサイレンシング挿入物を発現する非トランスジェニック植物が生じる。
シナリオは、異なる遺伝子座における活性を通して、複数の挿入物を通して、又はヘテロ接合的に組み合わせることができる。例えば、以下の通りである:
シナリオ8:コンストラクトが組み込まれ、内在性ncRNA対立遺伝子が部分的にNHEJ編集され、内在性ncRNA対立遺伝子がHDR編集される;
これは、ある遺伝子座における標的遺伝子のインデルを生じさせるシナリオ2(部分的NHEJ)と、別の遺伝子座におけるHDRを生じさせるシナリオ3との組み合わせによって生じ得る。この結果、好ましくはT-DNA断片である、組み込まれたDNAに元々挿入されていたサイレンシング挿入物及び交換されたncRNA対立遺伝子(内在性サイレンシング配列)からサイレンシングRNAが発現するようになる。シナリオ3に記載の通り、次世代では、トランスジェニックT-DNAカセット(及び元々挿入されていたサイレンシング挿入物)を交配して除去することができ、その結果、内在性サイレンシング配列遺伝子座からサイレンシング挿入物を発現する非トランスジェニック植物が得られる。注記:wt遺伝子座へのサイレンシング挿入物の導入が、相同組換えによって実行される可能性もあるが、これは非常にまれである。
シナリオ9:コンストラクトは組み込まれず、内在性ncRNA対立遺伝子が部分的にNHEJ編集され、内在性ncRNA対立遺伝子がHDR編集される
これは、ある遺伝子座における標的遺伝子の一部のインデルを生じさせるシナリオ4(部分的NHEJ)と、別の遺伝子座におけるHDRを生じさせるシナリオ6との組み合わせによって生じ得る。この結果、交換されたncRNA対立遺伝子からサイレンシング挿入物が発現するようになる。従って、交換されたncRNA対立遺伝子からのみサイレンシングRNA転写物が発現する。このような被験植物から非トランスジェニック植物が作出される。注記:wt(内在性サイレンシング配列)遺伝子座へのサイレンシング挿入物の導入が、相同組換えによって実行される可能性もあるが、そのような事象は非常にまれであり、検出が困難である。
実施例7.GEiGS(商標)-Insertionカセットを保有するシロイヌナズナ植物の作出
RNAサイレンシングは、長鎖dsRNA前駆体のプロセシングによって生じる二次低分子干渉RNA(siRNA)の生成によって増幅され得る。22nt長のmiRNAは、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RDR)及びダイサー様(DCL)依存的に二次siRNAの生成を惹起することが示されている(Chen et al.,2010;McHale et al.,2013)。DCL及びAGO2等のRNAサイレンシング関連遺伝子における変異は、ウイルスに対する宿主の感受性と関連しており、このことは、RNAサイレンシングがウイルス感染に対する有効な防御機構であることを示唆している(Jaubert et al.,2011;Yang et al.,2004)。本発明者らは、カブモザイクウイルス(TuMV)ゲノムを標的とするGEiGS(商標)-miRNAを発現するように改変された22ntのmiRNAスカフォールドを挿入することにより、シロイヌナズナにおいてTuMV感染に対する抵抗性が誘導されるという仮説を立てた。
本実施例では、(i)選択カセット、(ii)遺伝子編集カセット、及び(iii)22nt miRNA GEiGS(商標)-Insertionカセットを含むT-DNAを保有しているシロイヌナズナ系統を作出するプロセスについて説明する。HDRを介したCRISPR/Casが媒介する遺伝子編集のためのドナーテンプレートとして又は発現カセットとして、挿入カセットを使用することができる。この実施例で用いるGEiGS(商標)-Insertionカセットの長さは1.2kbであり、miRNAのサイレンシング特異性をリダイレクトするのに必要な改変領域に加えてこの部位の上流及び下流約500bpにまたがっている(図9)。
TuMV特異的22nt miRNA GEiGS(商標)挿入カセットの発現の多面的効果を制御するために、各改変されたスカフォールドごとに「ダミー」コントロールを設計した。「ダミー」コンストラクトでは、GEiGS(商標)-miRNAガイド及びパッセンジャー配列が、同一のRNA二次構造を維持してはいるがTuMV又はシロイヌナズナトランスクリプトームと相補的ではないランダムなヌクレオチド配列に置き換えられている。
実施例1に記載の通りバイオインフォマティック解析を用いて、ネイティブの22ntスカフォールドのプロモーター及びターミネーターを予測し、GEiGS(商標)-InsertionカセットがGEiGS(商標)-miRNAの転写を駆動するために必要な配列を含むことを確認した。表3は、この実施例で使用したGEiGS(商標)-Insertionカセットによって発現されると予想される成熟miRNAの詳細である(完全な配列は付録に見出すことができる):
コンストラクトのクローニング
Golden Gateクローニングを用いて遺伝子編集用のバイナリープラスミドを組み立て、次いで、PacI/AscIによる制限消化及びライゲーションを介してGEiGS(商標)-Insertionカセットを導入した。最終プラスミドをサンガーシーケンシングによって検証した。
アグロバクテリウムの調製
エレクトロポレーションによりアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)GV3101(pMP90、pSoup)をプラスミドで形質転換し、カナマイシン抵抗性コロニーを、コロニーPCR、サンガーシーケンシング、及び鑑別消化(differential digestion)によって検証した後、グリセロールストックとして保存した。グリセロールストックを、カナマイシン50mg/L、リファンピシン50mg/L、ゲンタマイシン50mg/L、及びテトラサイクリン5mg/Lを補給した固形LB培地に画線し、プレートを28℃で2日間インキュベートした。コロニー10個を、カナマイシン50mg/L、リファンピシン50mg/L、ゲンタマイシン50mg/L、及びテトラサイクリン5mg/Lを補給したLB10mLに接種し、28℃、200rpmで一晩培養物をインキュベートした。翌日、培養液10mLを用いて、カナマイシン50mg/L、リファンピシン50mg/L、ゲンタマイシン50mg/L、及びテトラサイクリン5mg/Lを補給したLB培地1Lに接種した。培養物を28℃、200rpmで一晩インキュベートした。翌日、NanoDrop2000を用いて細菌のOD600nmを測定し、20μMアセトシリンゴンを補給した5%スクロース中で1.0に対して正規化した。培養物を室温、暗所で3時間、穏やかに攪拌しながらインキュベートした。
花浸漬によるシロイヌナズナの形質転換
シロイヌナズナ生態型Columbia-0(Col-0)の植物を播種し、短日条件(8時間明期及び16時間暗期)で6週間生育させた。開花を誘導するために、植物を10日間長日条件(16時間明期及び8時間暗期)に移した。浸漬の直前に、アグロバクテリウム・ツメファシエンス細胞懸濁液に0.05% Silwet L-77を補給し、よく混合した。植物の花序を細胞懸濁液に浸漬し、1分間真空に供した。真空を直ちに解除し、植物を24時間の回復のため水分を保持するために袋の中で水平に保管した。植物を更に6週間長日条件(16時間明期及び8時間暗期)で維持した。植物が開花し、最初の長角果が乾燥し始めたら、植物を袋に入れ、T1種子を収穫した。
T1植物の選抜
20mLの非滅菌二酸化ケイ素(Sigma 84880)及び10mLの1/4ムラシゲ・スクーグ(MS)培地(1.1g/L MS、ビタミンを含む-Duchefa M0222、pH5.8)にハイグロマイシンB40mg/Lを補給したもの又は補給していないものをペトリ皿上で混合することによって選抜プレートを調製した。余分な液体をティッシュペーパー片で吸い取った。シロイヌナズナの種子を塩素ガスに2時間曝露することによって表面殺菌した。種子を湿潤培地に低密度で散布し、プレートをマイクロポアテープで密封し、4℃、暗所で2~3日間インキュベートした。層形成後、プレートを長日条件下において22℃で維持した。3日後、ハイグロマイシンB 40mg/Lを補給した又は補給していない1/4MS培地で、表面が湿って見えるようになるまでプレートに給水した。この時点から、3~4日ごとにハイグロマイシンBを含まない1/4MS培地でプレートに給水した。発芽及び選抜効率を確認するためにコントロールとしてCol-0種子を用いた。層形成の15日後には、抵抗性植物が容易に目視できた(Davis et al.,2009)
T1植物のジェノタイピング
選抜下で2週間後、植物1体ごとに小さな葉を採取し、20μLの希釈バッファ(Phire Plant Direct PCR Master Mix、Thermo Scientific)中に保存した。以下のプライマー及び条件(表4~5)を用いて、GEiGS(商標)-Insertionカセットを含むT-DNA領域を増幅するために、製造業者の指示書に従ってPCR反応を行った:
>G1177:5’-TCACATGTGCATCCTCTCTGA-3’(配列番号50)
>G1178:5’-GGCTAGTCCGTTATCAACTTGA-3’(配列番号51)
ExoSAP-IT PCR Product Cleanup Reagent(Thermo Scientific)を用い、製造者の指示書に従ってPCR産物をクリーンアップし、選択した植物内のT-DNA挿入物の同一性を確認するためにサンガーシーケンシングに送った。
T2種子の収穫
遺伝子型の同定に成功した植物を土壌に移植し、開花を誘導するために長日条件(16時間明期及び8時間暗期)で維持した。最初の長角果が乾燥し始めたら、植物を袋に入れ、T2種子を収穫した。
実施例8.GEiGS(商標)-Insertionカセットを保有する植物はGEiGS(商標)-miRNAの発現を示す。
この実施例は、GEiGS(商標)-InsertionカセットがGEiGS(商標)-miRNAの発現を駆動できることを実証する。
シロイヌナズナの培養
T2シロイヌナズナ植物を発芽させ、ハイグロマイシンで選抜し、実施例7に記載の通り遺伝子型を同定した。更に、GEiGS(商標)miRNAを発現させる可能性のあるHDR媒介編集がネイティブなスカフォールドには存在しないことを保証するために植物の遺伝子型を同定した(図10)。意図するHDR編集に特異的なフォワードプライマーと、HDRドナー/GEiGS(商標)-Insertionカセット外部にあるリバースプライマー、すなわちネイティブなスカフォールドに特異的なプライマーを用いてPCR反応を行った。以下のプライマー及び条件(表6~7)を用いて、製造業者の指示書に従って反応を行った:
>TuMV10HDR特異的Fwd:GAAGCCTACTACATGAACA(配列番号52)
>mir162a外部Rev:TAGTCCACTGGTTAATCAGAGA(配列番号53)
遺伝子型の確認後、植物を土壌に移植し、28日間長日条件(16時間明期及び8時間暗期)で維持した。各植物の葉4枚を収穫し、液体窒素で瞬間冷凍した。サンプルをRNA抽出まで-80℃で保存した。
RNAの抽出
サンプルを、組織溶解器(TissueLyserII,Qiagen、24Hz、30秒)内で5mmステンレス鋼製ビーズを用いて2回粉砕し、溶解バッファ(100mM Tris-HCl、pH9.5;150mM NaCl、1.0% Sarkosyl、1%β-メルカプトエタノール)に再懸濁させた。サンプルを室温で5分間撹拌しながらインキュベートし、15,000gで5分間スピンダウンし、回収した上清をクロロホルムと混合した(1:1)。チューブを2分間ボルテックスし、水飽和フェノールを添加し(1:1:1)、続いて2分間ボルテックスした。サンプルを15,000gで15分間スピンダウンし、水相を回収し、上記の通り2回目の洗浄工程のために等体積のクロロホルムと混合した。水相を回収し、1100μLのイソプロパノール及び90μLの3M酢酸ナトリウム(pH5.2)とよく混合した。穏やかに反転させることによってサンプルを混合し、RNAを沈殿させるために-20℃で一晩保存した。翌日、サンプルを15,000gで20分間スピンダウンし、上清を廃棄した。RNAペレットを1mLの75%エタノールで2回洗浄し、続いて、15,000gで5分間遠心分離した。エタノールを完全に除去し、ペレットを7~10分間風乾した。サンプルを50μLのヌクレアーゼフリー水に再懸濁させた。RNAペレットが完全に溶解したら、1mLのTRIzol(Thermo Scientific)を添加し、サンプルを室温で15分間撹拌しながらインキュベートした。インキュベーション後、各サンプルに200μLのクロロホルムを添加した。サンプルを2分間ボルテックスし、15,000gで15分間スピンダウンした。上清を回収し、等体積の絶対エタノール(1:1)と混合し、650μLをDirect-zol RNA Miniprep kit(Zymo Research)のカラムにロードした。サンプルを製造業者の指示書に従って処理し、35μLのDEPC処理水で溶出した。バイオアナライザー(Agilent)を用いてRNAの完全性を判定し、サンプルを-80℃で保存した。
sRNAシーケンシング(sRNA-seq)
NEB Next Multiplex Small RNA Library Prep Set for Illumina(NEB)を用い、製造業者のプロトコールに従って、低分子RNAライブラリー(Novogene)を作製した。サンプルを多重化するために指標を含めた。低分子RNAは5’末端にリン酸基、3’末端に水酸基を有するので、アダプターを低分子RNA断片に直接ライゲーションした。アダプターライゲーション、逆転写、及びPCR濃縮を介してライブラリーを構築した。18~40bpの挿入物のサイズ選択を行った後、Illumina NovaSeq 6000 SPフローセルを用いて50bpのリード(SE50)を生成するためにシングルエンドシーケンシングを行った。
sRNA-seq解析
以下のこれら手順に従って生のシーケンスデータを処理してクリーンデータにした:(1)50%を超える塩基が5未満の塩基品質スコアを有するリードの排除、(2)10%を超えるNを含有するリードの排除、(3)5’プライマーが夾雑しているリードの排除、(4)3’プライマーを有しないリード及び挿入タグを有しないリードの排除、(5)3’プライマー配列のトリミング、(6)ポリA/T/G/Cを含むリードの排除。低分子RNAアダプターの配列は以下の通りである:RNA5’アダプター(RA5):5’-GTTCAGAGTTCTACAGTCCGACGATC-3’(配列番号54)及びRNA3’アダプター(RA3):5’-AGATCGGAAGAGCACACGTCT-3’(配列番号55)。
まず、パラメータがエンド・ツー・エンドで100%配列が一致するように設定され、最大1000のマルチマップが許容されるSTARアライメントツールを用いて、クリーンシーケンスデータをTAIR10参照ゲノム配列にマッピングした(Dobin et al.,2013)。同じ方法を用いて、全てのクリーンリードをGEiGS(商標)-Insertion転写物配列にもマッピングした。最後に、同じ方法を用いて、最初のランでマッピングされなかったリードを全てGEiGS(商標)-Insertion転写物配列にマッピングした。
植物では、ウイルス感染によって、優先的に21~22ヌクレオチド長であるウイルス由来のsiRNA(vsiRNA)が蓄積する(Xia et al.,2014)。GEiGS(商標)-Insertionカセットの転写活性に由来するTuMV特異的miRNAの発現を明確に検出するために、感染していないGEiGS(商標)-Insertion植物においてsRNA-seq解析を行った。TuMV由来のsiRNAを検出するためのコントロールとして、感染した野生型植物についてもシーケンシングを行った。表8に示すように、感染した野生型植物及び感染していないGEiGS(商標)-Insertion TuMV10植物から抽出したRNAにおいて、TuMV特異的sRNAの発現が検出された。予想通り、感染していないGEiGS(商標)-Insertionダミー植物ではTuMV特異的sRNAの発現は検出されなかった。このことは、GEiGS(商標)-Insertionカセットは転写的に活性であり、TuMV感染に対する抵抗性を生じさせる可能性があることを示唆している。追加のGEiGS(商標)-Insertionカセット(TuMV12)の転写活性も同様に確認された(データは示さない)。
実施例9.GEiGS(商標)-Insertionカセットを保有するシロイヌナズナ植物は、TuMV感染に対して抵抗性を示す。
TuMV10及びダミーGEiGS(商標)-Insertionから転写活性を確認した後、これらカセットをそのゲノム中に保有する植物をTuMVに曝露した。この実施例は、シロイヌナズナに転写的に活性のあるTuMV特異的GEiGS(商標)-Insertionカセットが存在すると、TuMVに対する抵抗性が生じることを実証する。
この実施例で用いたTuMVの感染性クローンは、そのT-DNA領域にウイルスゲノムの完全長cDNA形態を含むバイナリープラスミドであり、送達方法としてアグロバクテリウム・ツメファシエンスを用いた。好適なプロモーター下では、ウイルスゲノムのDNA形態がウイルスRNAに転写され、感染成立のトリガーとして作用することができる(Boyer&Haenni,1994)。使用したTuMV単離株は、緑色蛍光タンパク質(GFP)レポーターでタグ付けされているので、シロイヌナズナ植物に紫外線を照射した際に、ウイルスの拡散を迅速に可視化することができた。
TuMV-GFPコンストラクトのクローニング
NIbとカプシドタンパク質との間に挿入されたGFP遺伝子を保有するTuMV、単離株UK1のCDS(Tourino et al.,2008)をSmaI/ApaI消化によって線状化した。以下のプライマー及び条件(表9~10)を用いて、pICSL4723ベクターを増幅させた:
>1401:5’-ATGTTTGAACGATCGGGCCCaagggacacgaagtgatccg-3’(配列番号56)
>1402:5’-CTCCACCATGTTCCCGGGggcacagagtgttcaacccc-3’(配列番号57)
In-Fusionクローニング(Takara Bio Europe)を用い、製造業者の指示書に従って、pICSL4723バイナリーベクターのT-DNA領域にTuMV CDSをクローニングした。最終プラスミドをサンガーシーケンシングによって確認した。
アグロバクテリウムの調製
プラスミドを、エレクトロポレーションによりアグロバクテリウム・ツメファシエンスAGL-1に形質転換し、カナマイシン抵抗性コロニーを、コロニーPCR、サンガーシーケンシング、及び鑑別消化によって検証した後、グリセロールストックとして保存した。グリセロールストックを、リファンピシン50mg/L、カルベニシリン50mg/L、及びカナマイシン50mg/Lを補給した固形LB培地に画線し、プレートを28℃で2日間インキュベートした。コロニー10個を、リファンピシン50mg/L、カルベニシリン50mg/L、及びカナマイシン50mg/Lを補給したLB5mLに接種し、培養物を28℃、200rpmで一晩インキュベートした。翌日、培養液150μLを用いて、リファンピシン50mg/L、カルベニシリン50mg/L、及びカナマイシン50mg/Lを補給したLB培地10mLに接種した。培養物を28℃、200rpmで一晩インキュベートした。翌日、NanoDrop2000を用いて細菌のOD600nmを測定し、浸潤培地(10mM MES、10mM MgCl、200μMアセトシリンゴン)中で0.5に対して正規化した。培養液を浸潤培地で1:100希釈し、28℃、200rpm、暗所で3時間インキュベートした。
TuMVバイオアッセイ
T2シロイヌナズナ植物を発芽させ、ハイグロマイシンで選抜し、実施例7に記載の通り遺伝子型を同定した。更に、GEiGS(商標)miRNAを発現させる可能性のあるHDR媒介編集がネイティブなスカフォールドには存在しないことを保証するために植物の遺伝子型を同定した(図11)。意図するHDR編集に特異的なフォワードプライマーと、HDRドナー/GEiGS(商標)-Insertionカセット外部にあるリバースプライマー、すなわちネイティブなスカフォールドに特異的なプライマーを用いてPCR反応を行った。以下のプライマー及び条件(表11~12)を用いて、製造業者の指示書に従って反応を行った:
>TuMV10HDR特異的Fwd:GAAGCCTACTACATGAACA(配列番号52)
>ダミーHDR特異的Fwd:GATTAGTGAACCCCACGAA(配列番号58)
>mir162a外部Rev:TAGTCCACTGGTTAATCAGAGA(配列番号53)
遺伝子型の同定後、植物を土壌に移植し、合計4週間長日条件(16時間明期及び8時間暗期)で維持した(プレ抽薹段階)。葉3枚の背軸面をP10ピペットチップで軽く刺し、アグロバクテリウム・ツメファシエンス懸濁液の液滴2μLを傷口の上に置いた。葉の液滴が置かれた箇所を再び軽く刺した。バイナリーベクターを含まないAGL-1アグロバクテリウム・ツメファシエンス懸濁液で擬接種を行った。接種した植物を、封じ込めレベル2の生育施設において長日条件(16時間明期及び8時間暗期)で維持した。GFPの広がりを調べるために、接種後7日目、11日目、15日目、及び17日目(dpi)に紫外線照射下で、固定の距離及び設定(ISO400、絞りf/8、露出3.2秒)の、三脚に載せたデジタルカメラ(Lumix,Leica Lens-DC Vario-ELMAR1:3.3-6.4/4.3-129 ASPH,Panasonic)で植物を撮影した。
GFP領域解析
写真を解析して、葉の総面積のGFP蛍光が占める割合、すなわちTuMVがコロニー形成した地上部の植物組織の割合を求めた。CellProfiler 3.1.9(Mcquin et al,2018)で、カスタム画像解析パイプラインを開発した。簡単に説明すると、青色成分のグレースケール画像を閾値処理(最小クロスエントロピー)し、オブジェクトを特定し、小さなオブジェクトをフィルタリングし、残りのオブジェクトを手動でキュレーションすることによって、葉の総面積を特定した。この時点で、特定されたオブジェクトは葉の総面積の近似値となり、パイプラインによってこの面積を測定した。品質管理のために、葉の総面積を重ねた出力画像を保存した。TuMV:GFPによってコロニー形成された総面積(TuMV面積)を特定するために、総葉面積オブジェクトを使用して入力画像をマスクした、すなわち、葉として特定された領域のみを分析した。次に、赤色成分のグレースケール画像を緑色成分のグレースケール画像から差し引き(アーティファクトを除去)、得られた画像を閾値処理し(Otsu、2クラス)、オブジェクトを特定し、手作業でキュレーションを行い、次いで測定し、TuMV:GFP面積を記録した。品質管理のために、TuMV:GFP面積を重ねた出力画像を保存した。品質管理のために保存した画像を手作業で再確認し、誤差の大きいものはImageJを用いて手作業で葉の総面積及びTuMV:GFP面積を測定した(図12)。異なるGEiGS(商標)-Insertionコンストラクトで形質転換した個体及びその対応する「ダミー」コントロール及び野生型シロイヌナズナの間で、葉の総面積に占めるTuMV:GFP面積の割合を比較した。
感染植物の葉におけるTuMV:GFP面積の定量は、ダミー及び野生型(Col-0)コントロールと比較して、TuMV特異的GEiGS(商標)-Insertionカセットの存在がウイルス拡散の減少につながることを実証する(図13)。
配列
全てのヌクレオチド配列を5’-3’配向で記載する。全てのタンパク質配列をN末端→C末端で記載する。
実施例2の配列:
miR173 WT
シロイヌナズナ染色体3配列(配列番号59)
GenBank:CP002686.1(5860291-5862937)
miR173プロモーター領域(配列番号60)
miR173(WT)ncRNA(配列番号1)
miR173ターミネーター領域(配列番号61)
miR173(GEiGS(商標)-Insertion)(配列番号62)
Figure 2024519600000019
WT配列から変化したヌクレオチドの数:31(3.09%)
miR173(GEiGS(商標))プロモーター領域(配列番号60)
WT配列から変化したヌクレオチドの数:0(0%)
miR173(GEiGS(商標))ncRNA(配列番号2):
Figure 2024519600000020
WT配列から変化したヌクレオチドの数:31(30.39%)
miR173(GEiGS(商標))ターミネーター領域(配列番号61)
WT配列から変化したヌクレオチドの数:0(0%)
Tas3a(WT)
シロイヌナズナ染色体3配列(配列番号63)
GenBank:CP002686.1(8235653-8236654)
Tas3aプロモーター領域(配列番号64):
Tas3a(WT)ncRNA(配列番号6)
Tas3aターミネーター領域(配列番号65)
Tas3a(GEiGS(商標)-Insertion)(配列番号66)
Figure 2024519600000021
WT配列から変化したヌクレオチドの数:18(0.68%)
Tas3a(GEiGS(商標))プロモーター領域(配列番号64)
WT配列から変化したヌクレオチドの数:0(0%)
Tas3a(GEiGS(商標))ncRNA(配列番号7):
Figure 2024519600000022
WT配列から変化したヌクレオチドの数:18(1.90%)
Tas3a(GEiGS(商標))ターミネーター領域(配列番号65)
WT配列から変化したヌクレオチドの数:0(0%)
線状DNA調製用プライマー
平滑末端GEiGS(商標)カセットの生成用プライマー
ath-miR173 GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-cagaagccaaatctttggtaaacaaagtaatttttttg-3’(配列番号11)
プライマーRev:5’-aacttcaatattaaggtttcctgactaccctcac-3’(配列番号12)
ath-Tas3a GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-atgaaattaagagccttgtcctagttttgtagtag-3’(配列番号13)
プライマーFw:5’-agtagagacatatacttctgtctacaaacaattgtttttatc-3’(配列番号14)
突出末端GEiGS(商標)カセットの生成用プライマー
ath-miR173 GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-nnxxxxxxcagaagccaaatctttggtaaacaaagtaatttttttg-3’(配列番号15)
プライマーRev:5’-nnxxxxxxaacttcaatattaaggtttcctgactaccctcac-3’(配列番号16)
ath-Tas3a GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-nnxxxxxxatgaaattaagagccttgtcctagttttgtagtag-3’(配列番号17)
プライマーRev:5’-nnxxxxxxagtagagacatatacttctgtctacaaacaattgtttttatc-3’(配列番号18)
(式中、
-n:任意のヌクレオチド
-xxxxxx:高忠実度酵素の制限部位)。
化学的に安定化したGEiGS(商標)カセット生成用プライマー
ath-miR173 GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-cagaagccaaatctttggtaaacaaagtaatttttttg-3’(配列番号19)
プライマーRev:5’-aacttcaatattaaggtttcctgactaccctcac-3’(配列番号20)
ath-Tas3a GEiGS(商標)-Insertion例カセット全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-atgaaattaagagccttgtcctagttttgtagtag-3’(配列番号21)
プライマーRev:5’-agtagagacatatacttctgtctacaaacaattgtttttatc-3’(配列番号22)
(式中、は、ホスホロチオエート結合を表す)
実施例3の配列:
miR173(GEiGS(商標)-Insertion)(配列番号62)
Figure 2024519600000023
WT配列から変化したヌクレオチドの数:31(3.09%)
miR173プロモーター領域(配列番号60)
WT配列から変化したヌクレオチドの数:0(0%)
miR173(GEiGS(商標))ncRNA(配列番号2):
Figure 2024519600000024
WT配列から変化したヌクレオチドの数:31(30.39%)
miR173ターミネーター領域(配列番号61)
WT配列から変化したヌクレオチドの数:0(0%)
変異型ALSカセット
ALS前駆体配列(WT、ヌクレオチド)(配列番号67)
ALS前駆体配列(P197S変異体、ヌクレオチド)(配列番号68):
Figure 2024519600000025
WT配列から変化したヌクレオチドの数:1(0.050%)
推定葉緑体トランジットペプチド(WT及びP197S変異体、ヌクレオチド)(配列番号69)
WT配列から変化したヌクレオチドの数:0(0%)
ALS成熟タンパク質(WT、ヌクレオチド)(配列番号70)
ALS成熟タンパク質(P197S変異体、ヌクレオチド)(配列番号71):
Figure 2024519600000026
WT配列から変化したヌクレオチドの数:0(0.058%)
ALS前駆体タンパク質(WT、アミノ酸)(配列番号72)
ALS前駆体タンパク質(P197S変異体、アミノ酸)(配列番号73):
Figure 2024519600000027
WT配列から変化したアミノ酸の数:1(0.149%)
推定葉緑体トランジットペプチド(WT及びP197S変異体、アミノ酸)(配列番号74)
WT配列から変化したアミノ酸の数:0(0%)
成熟ALSタンパク質(WT、アミノ酸)(配列番号75)
573aa
成熟ALSタンパク質(P197S変異体、アミノ酸)(配列番号76):
Figure 2024519600000028
WT配列から変化したアミノ酸の数:0(0.174%)
ALSプロモーター領域(5’UTRを含む)(配列番号77)
WT配列から変化したヌクレオチドの数:0(0%)
ALSターミネーター領域(3’UTRを含む)(配列番号78)
WT配列から変化したヌクレオチドの数:0(0%)
ALS選択を伴うGEiGS(商標)-Insertion配列(miR173 GEiGS(商標)+P179SALS)(配列番号79)
Figure 2024519600000029
Figure 2024519600000030
WT配列から変化したヌクレオチドの数:32(0.774%)
miR173 GEiGS(商標)発現カセットを小文字で示し(センス鎖から転写)、変異型ALS P197Sカセットを大文字で示す(相補鎖から転写)。両カセットが反対方向を向くように、GEiGS(商標)-Insertion配列全体を設計した。
GEiGS(商標)-Insertionシスジェニック選択コンストラクト合成用プライマー
制限ストラテジ
選択カセットを含むGEiGS(商標)-Insertion全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-nnxxxxxxcatatcaagctagattttgaattaccctatttcatcgt-3’(配列番号23)
プライマーRev:5’-nnxxxxxxaacttcaatattaaggtttcctgactaccctcac-3’(配列番号16)
(式中、
-n:任意のヌクレオチド
-xxxxxx:高忠実度制限酵素の制限部位)。
化学修飾ストラテジ
選択カセットを含むGEiGS(商標)-Insertion全体のPCR増幅用プライマー:
プライマーFw:5’-catatcaagctagattttgaattaccctatttcatcgt-3’(配列番号24)
プライマーRev:5’-aacttcaatattaaggtttcctgactaccctcac-3’(配列番号20)
(式中、
ホスホロチオエート結合は、によって表される)。
実施例4の配列:
>GEiGS(商標)_insertion_At_miR173_to_PDS3_ALS1(配列番号79)
>At_GEiGS(商標)_geno_F1(配列番号25)
5’-acaaactacctgcaagtggtca-3’
>At_GEiGS(商標)_geno_R1(配列番号26)
5’-caagctctttatccacact-3’
>トマトGEiGS(商標)-Insertionコンストラクト(配列番号80)
>TomGEiGS(商標)_linear_F1(配列番号27)
5’-AATTCAAAGCCAATGGAACT-3’
注記-アスタリスクはホスホロチオエート結合を示す
>TomGEiGS(商標)_linear_F1(配列番号28)
5’-AGTACAAGATGTCAAATGCC-3’
注記-アスタリスクはホスホロチオエート結合を示す
>Sl_GEiGS(商標)_geno_F1(配列番号29)
5’-GGTAACTCATTTGGGATGGTA-3’
>Sl_GEiGS(商標)_geno_R1(配列番号30)
5’-GAACGGTCGCTACGATTAC-3’
実施例5の配列:
>野生型シロイヌナズナmiR173(配列番号1)
5’-taagtactttcgcttgcagagagaaatcacagtggtcaaaaaagttgtagttttcttaaagtctctttcctctgtgattctctgtgtaagcgaaagagcttg-3’
>PDS3を標的とするように改変されたシロイヌナズナmiR173(配列番号2)
5’-taagtactttgacaatccagccaatccagcagtggtcaaaaaagttgtagttttcttaaagtctctttcctctgctgattggcaggattgtcaaagagcttg-3’
>改変型AtmiR173からの成熟siRNA(配列番号3)
5’-tgacaatccagccaatccagc-3’
>シロイヌナズナフィトエンデサチュラーゼ3_(PDS3)転写物(配列番号81)
>GEiGS(商標)_Insertion_At_MiR173_to_PDS3_ALS1(配列番号79)
>GEiGS(商標)_dummy_At_miR173_wt_ALS1(配列番号82)
>At_GEiGS(商標)_geno_F2(配列番号31)
5’-AATCCAGCAGTGGTCAAAA-3’
>At_GEiGS(商標)_geno_R2(配列番号32)
5’-CAAGCTCTTTGACAATCCT-3’
>At_GEiGS(商標)_dummy_geno_F1(配列番号33)
5’-GAGCTTCCTCAAAGGGCTGA-3’
>At_GEiGS(商標)_dummy_geno_R1(配列番号34)
5’-TGGTTACGAATGAATTTAATGGGGA-3’
>AC1(配列番号35)
5’-ACGATGGACTCCAGAG-3’
>LAD1-1(配列番号36)
5’-ACGATGGACTCCAGAGCGGCCGC(G/C/A)N(G/C/A)NNNGGAA-3’
>LAD1-2(配列番号37)
5’-ACGATGGACTCCAGAGCGGCCGC(G/C/T)N(G/C/T)NNNGGTT-3’
>LAD1-3(配列番号38)
5’-ACGATGGACTCCAGAGCGGCCGC(G/C/A)(G/C/A)N(G/C/A)NNNCCAA-3’
>LAD1-4(配列番号39)
5’-ACGATGGACTCCAGAGCGGCCGC(G/C/T)(G/A/T)N(G/C/T)NNNCGGT-3’
>At_GEiGS(商標)_TAIL_F1(配列番号40)
TAAGTACTTTGACAATCCAGCCAATCCAGCAGTGGT
>At_GEiGS(商標)_TAIL_F2(配列番号41)
GACAATCCAGCCAATCCAGCAGTGGTCAAAAAAG
>At_GEiGS(商標)_TAIL_F3(配列番号42)
CTCTGCTGATTGGCAGGATTGTCAAAGAGCTTGCTC
実施例6の配列:
>TuMV8(1.2kb)(配列番号83)
AGGATAGAAAATTTCAGATGATGGTGAAAACTTAGAGGAGTAGTTCTCTGGTATAGTGACCAATGCATAAGTCGAATCATTTGGGTAATCTAGTTCTGAAATCTTAGGATGCCATATGCGGTGGTAATATGTGATGTTTCCGGGTACGGAAATTTCTTTGGAACTAAGAATTAGAGTGAGTGAAGTCACATGAACATTAATGTAGATCACTGATCATCTGGTGGATATCAAAACAATCAACCACAAAACAAGAAAACAAATGTACGTAGAATTCCAAGACCATTAGTGATTACGATATATTAAGCTTACATTGCATCTTAGAAGGCAATTCAAGGTCATCATGCATGTTCAAAGAAGATAAACAATGATCCTTTACCTCTTGTGTGAAGCAAAGTTTGTTTAACAATTCTCTAGGCATCTCTAATGGAATAAAACTAAGAGGACCACCGAGTTCAGTTTCCAGAAGCTTCGTACGTAGCTTTCTCCACGaatcagatggtgttaagtatcaacttcgcaccaagagaggccagccttctATTATTTCAAAGTAGTTGCTGcacgtatactccacgagatgctgtttcgaaaaacaatagagacctctaacttcggaacggcagacaaaggagtagacacacggaggctagtttacatagttgaagggaagcctctcaaaggcacactgaaggtacttaaaaccatatgatACCAAGGAGAAATCAATGAAACTTTTAGAGACTGAATGATGTTGTTATCTTAGTTGTCTTCCACTAGAGATGCATAATGGAATCGTTAATAAAATTTGCCCCGCACAAAACGAAGGATTATTGCTCTTATGCTTTAAACATGTATATAATATTACACTACCTTTTAAGATGCGAGGTAAGCTAAATAAATACTAGTGATTAAGAAATATTACAACTGTCTTCTTCTTGCGTTGCTACTTGATTCGACCACATGATCGCTACAAGGATGTTCACTCAATCTATTTGTTGATGACGAAGTATCTTCCTCACCAGATGATGGGGTCATCAAGTCAGCATCAACCAAGGATCATGGAGGAGGCACCAATAAGTCGACCAAGATCCACGAGAGAACCAACCTAAGCATACCAAATACATATGTGCCTTTCAAGAAGCATACCAGCCCAACCCGAAGAATTTAAGCTACAAATCAACTTATTCCAAAAACTTAACT
>ダミー17(1.2kb)(配列番号84)
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Claims (51)

  1. サイレンシング挿入物を真核細胞のゲノムに挿入することを含む、第1の標的遺伝子の発現を低下させる方法であって、
    前記サイレンシング挿入物が、プロモーター又はその一部、前記第1の標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーター又はその一部を含み、
    前記サイレンシング挿入物が、プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む前記真核細胞における内在性サイレンシング配列に対して、その長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
    前記内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、活性を有さず、前記第1の標的遺伝子とは異なる第2の標的遺伝子の発現をサイレンシングすることもない方法。
  2. 前記サイレンシング挿入物が、微粒子銃、プロトプラストトランスフェクション、エレクトロポレーション、ナノ粒子媒介トランスフェクション、又はアグロバクテリウム媒介形質転換によって挿入される、請求項1に記載の方法。
  3. そのゲノム中に、
    (a)プロモーター又はその一部、第1の標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーター又はその一部を含むサイレンシング挿入物と、
    (b)前記挿入物によって分離された内在性ゲノム配列と、
    (c)プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む内在性サイレンシング配列と、
    を含み、
    前記サイレンシング挿入物及び前記内在性サイレンシング配列が、前記挿入物の長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
    前記内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、活性を有さず、前記第1の標的遺伝子とは異なる第2の標的遺伝子の発現をサイレンシングすることもない真核細胞。
  4. 分離された前記内在性ゲノム配列の間から前記内在性ゲノム配列が欠失している、請求項3に記載の真核細胞。
  5. プロモーター又はその一部と、真核細胞における第1の標的遺伝子の発現をサイレンシングするサイレンシングRNAをコードしている配列と、ターミネーター又はその一部とを含むサイレンシング挿入物を含む単離されたサイレンシングコンストラクトであって、
    前記サイレンシング挿入物が、プロモーター、サイレンシングRNAをコードしている配列、及びターミネーターを含む前記真核細胞における内在性サイレンシング配列に対して、その長さ全体にわたって95%を超える配列同一性を有し、
    前記内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、活性を有さず、前記第1の標的遺伝子とは異なる第2の標的遺伝子の発現をサイレンシングすることもないコンストラクト。
  6. 前記真核細胞が、バナナ植物細胞、コーヒー植物細胞、又はイネ植物細胞等の植物細胞である、請求項1~5のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  7. 前記真核細胞が、植物プロトプラストである、請求項6に記載の方法又は真核細胞。
  8. 前記真核細胞が、ヒト細胞又は動物細胞、好ましくは家畜動物細胞、例えばウマ、ロバ、ウシ、若しくは任意の他の反芻動物;コブウシ、ヤク、バッファロー、ヒツジ、ヤギ、トナカイ、ラクダ、ラマ、アルパカ、ブタ、ウサギ、若しくは任意の他のげっ歯類;イヌ、ネコ、例えばニワトリ、七面鳥、ガチョウ、若しくはアヒル等の家禽類;魚類、甲殻類、又は軟体動物の細胞である、請求項1~5のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  9. 前記サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNAが、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Piwi結合RNA(piRNA)、段階的低分子干渉RNA(phasiRNA)、トランス作用性siRNA(tasiRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、二本鎖RNAを形成するインバーテッドリピートRNA、低分子核内RNA(snRNA又はU-RNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、低分子カハール体RNA(scaRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、リピート由来RNA、自律性若しくは非自律性の転位若しくはレトロ転位因子由来RNA、自律性若しくは非自律性の転位若しくはレトロ転位因子RNA、トランスファーRNA断片(tRF)、又は長鎖非コードRNA(lncRNA)である、請求項1~8のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  10. 前記サイレンシング挿入物が、前記内在性サイレンシング配列に対して1~40個、例えば5~40個、5~30個、5~20個、3~40個、3~30個、3~20個、5~15個、3~10個、10~30個、又は10~20個のヌクレオチドの置換、付加、及び/又は欠失を含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  11. 前記置換が連続していない、請求項10に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  12. 前記ヌクレオチドの置換が全て、前記サイレンシングRNAをコードしている配列中に存在する、請求項10又は請求項11に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  13. 前記ヌクレオチドの置換が全て、転写された配列中に存在する、請求項10又は請求項11に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  14. 前記サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNA及び前記内在性サイレンシング配列によってコードされているサイレンシングRNAが、同じ二次構造を形成する、請求項1~13のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  15. 前記サイレンシング挿入物中のプロモーター及びターミネーターが、前記内在性サイレンシング配列中のプロモーター及びターミネーターと同一であるか又は部分的に同一である、請求項1~14のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  16. 前記サイレンシング挿入物及び前記内在性サイレンシング配列が、前記挿入物の長さ全体にわたって96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%を超える配列同一性を有する、請求項1~15のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  17. 前記サイレンシング挿入物が、隣接する選択可能なマーカーと共に挿入される、請求項1~16のいずれかに記載の方法、又は前記サイレンシング挿入物が、選択可能なマーカーに隣接する、請求項1~16のいずれかに記載の真核細胞又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  18. 前記選択可能なマーカーが、前記真核細胞に内在する、請求項17に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  19. 前記選択可能なマーカーが、前記真核細胞に内在するマーカーの変異体バージョンであるか、又は前記選択可能なマーカーが、選択可能なマーカーとして機能しない前記真核細胞に内在する遺伝子の変異体バージョンである、請求項18に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  20. 前記変異体バージョンにおける変異が、同属の、任意で同種の別の真核細胞において天然に存在する変異と同じである、請求項19に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  21. 前記選択可能なマーカーが、クロルスルフロン除草剤抵抗性等の除草剤抵抗性を付与するALS遺伝子の変異バージョンである、請求項19又は20に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  22. 前記サイレンシング挿入物が、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列と、前記内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列とを更に含むコンストラクトにおいて、前記真核細胞のゲノムに挿入される、請求項1、2、及び6~21のいずれかに記載の方法。
  23. 前記RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAが、前記内在性サイレンシング配列に挿入、欠失、又は挿入及び欠失等の改変を導入し、これにより、前記内在性サイレンシング配列の発現又は活性を低下又は消失させる、請求項22に記載の方法。
  24. 前記RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAが、前記真核細胞において前記内在性サイレンシング配列の前記サイレンシング挿入物による置換を媒介する、請求項22に記載の方法。
  25. 前記真核細胞が、植物細胞又は家畜動物細胞であり、前記方法が、前記RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAが前記内在性サイレンシング配列の前記サイレンシング挿入物による置換を媒介するまで、植物又は家畜動物を作出し、前記植物又は家畜動物を少なくとも1世代繁殖させることを更に含む、請求項22に記載の方法。
  26. 前記真核細胞が、植物細胞又は家畜動物細胞であり、前記方法が、植物又は家畜動物を作出し、ゲノムに挿入された前記コンストラクトを繁殖させて除去し(breeding out)、それにより、前記内在性サイレンシング配列の位置に置換された前記サイレンシング挿入物を含みかつ前記真核細胞のゲノムに挿入された前記コンストラクトを含まない植物又は家畜動物を作出することを更に含む、請求項24又は25に記載の方法。
  27. 前記真核細胞が、そのゲノム中に、RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列と、前記内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列と、請求項1~26のいずれかに記載のサイレンシング挿入物とを含むコンストラクトを含む、請求項3、4、及び6~21のいずれかに記載の真核細胞。
  28. 前記内在性サイレンシング配列が、前記RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ及びガイドRNAによって導入された改変、例えば、挿入、欠失、又は挿入及び欠失等を含み、これにより、前記内在性サイレンシング配列の発現又は活性を低下又は消失させる、請求項27に記載の真核細胞。
  29. RNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列と、前記内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列とを更に含む、請求項5~21のいずれかに記載のサイレンシングコンストラクト。
  30. 前記サイレンシング挿入物が、アグロバクテリウム媒介形質転換を用いてT-DNAカセットにおいて真核細胞に導入される、請求項1及び6~26のいずれかに記載の方法、又は前記サイレンシング挿入物が、挿入されたT-DNAカセット配列内にある、請求項3、4、6~21、27、及び28のいずれかに記載の真核細胞、又はT-DNAカセットである、請求項5~21及び29のいずれかに記載の単離されたサイレンシングコンストラクト。
  31. 前記T-DNAカセットが、選択可能なマーカー並びに/又はRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼをコードしている配列及び前記内在性サイレンシング配列を標的とするガイドRNAをコードしている配列を含む、請求項30に記載の方法、真核細胞、又はサイレンシング挿入物。
  32. 前記方法が、複数のサイレンシング挿入物を挿入することを含む、前記真核細胞が、複数のサイレンシング挿入物を含む、又は前記単離されたサイレンシングコンストラクトが、複数のサイレンシング挿入物を含む、請求項1~31のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  33. 各サイレンシング挿入物によってコードされているサイレンシングRNAが、異なる遺伝子を標的とする、請求項32に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  34. 前記標的遺伝子が、前記真核細胞に内在する、請求項1~33のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  35. 前記標的遺伝子のサイレンシングによって、形質又は表現型が改善される、請求項34に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  36. 前記標的遺伝子が、有害生物遺伝子等の真核細胞に対して外来性である、請求項1~33のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  37. 前記標的遺伝子のサイレンシングによって、有害生物抵抗性、疾患耐性又は抵抗性が提供される、請求項36に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  38. 前記標的遺伝子が、前記真核細胞に対して外来性であるが、前記真核細胞内に存在する、請求項36又は請求項37に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  39. 前記標的遺伝子が、前記真核細胞に対して外来性であり、前記真核細胞内には存在しない、請求項36又は請求項37に記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  40. 前記第1の標的遺伝子が、前記第2の標的遺伝子のホメオログである、請求項1~39のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  41. 前記サイレンシング挿入物中のプロモーター、ターミネーター、及び/又は他の調節配列が、組織特異的、生物学的条件特異的、非生物学的条件特異的、誘導性、発生的に調節される、又は構成的である、請求項1~40のいずれかに記載の方法、真核細胞、又は単離されたサイレンシングコンストラクト。
  42. 請求項3、4、又は6~41のいずれか一項に記載の真核細胞を含む、植物又は植物の部分。
  43. 前記真核細胞が植物細胞であり、前記方法が、前記細胞から植物を成長させ、前記植物を繁殖させることを更に含む、請求項1、2、6~41のいずれかに記載の方法。
  44. 果実又は他の植物の部分若しくは生産物を収穫することを更に含む、請求項43に記載の方法。
  45. 請求項43に記載の方法によって作出される植物。
  46. 請求項42又は43に記載の植物の種子。
  47. 請求項3、4、又は6~41のいずれか一項に記載の真核細胞を含む動物又は動物生産物。
  48. 前記真核細胞が動物細胞であり、前記方法が、前記細胞から動物を発生させ、前記動物を繁殖させることを更に含む、請求項1、2、6~41のいずれかに記載の方法。
  49. 動物生産物を生産させることが更に含む、請求項48に記載の方法。
  50. 請求項48に記載の方法によって作出された動物。
  51. 請求項3、4、6~41のいずれかに記載のヒト若しくは家畜動物の細胞、又は請求項5~41のいずれかに記載のサイレンシング挿入物を投与することを含む、ヒト患者又は家畜動物の疾患を治療又は予防する方法。
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