JP2024517796A - 抗baffr抗体を使用するループス腎炎の治療 - Google Patents

抗baffr抗体を使用するループス腎炎の治療 Download PDF

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Abstract

本開示は、抗BAFFR抗体又はその結合断片、例えばイアナルマブを使用して、ループス腎炎(LN)を治療するための方法に関する。さらに、本明細書で開示したのは、LN患者を治療するための抗BAFFR抗体又はその結合断片、例えばイアナルマブ、並びに開示した使用及び方法において使用するための薬物、投薬レジメン、医薬製剤、剤形、及びキットである。

Description

配列表
本願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含み、その全体を参照することによって本明細書で組み込まれる。2022年4月28日に作成された前記ASCIIコピーは、PAT058081_SL.txtという名称であり、サイズが14000バイトである。
本開示は、一般に、BAFFR(BAFF受容体)に対する抗体、例えばイアナルマブを使用し、ループス腎炎(LN)を治療するための治療及び方法に関する。
LNは、腎臓の炎症を表し、全身性エリテマトーデス(SLE)の臓器特異的疾患発現の1つである Lupus 14(1):19-24)。LNは、自己抗体産生及び他の独特の免疫学的異常を特徴とする慢性炎症性疾患である(Gurevitz et al.(2013)Consult Pharm 28:110-21)。LNは、予後転帰及び治療転帰との改善された相関のために腎生検解釈のための標準となった国際腎臓学会/腎病理学会(International Society of Nephrology/Renal Pathology Society)(ISN/RPS)分類システムによって、組織学的に6つのクラスに分類されている(Weening et al.(2004)J Am Soc Nephrol.15(2):241-50;Markowitz et al.(2007)Kidney Int;71(6):491-5)。LNにおける免疫複合体の形成は、全身性自己免疫の結果であり、この疾患の特徴である(Waldman(2005)Lupus 14(1):19-24;Nowling(2011)Arthritis Res Ther.13(6):250)。いったん形成されると、免疫複合体は、補体を活性化し、これは腎細胞を傷付け、メサンギウムLN(クラスI、II)、内皮細胞増殖性LN(クラスIII、IV)、又はネフローゼ症候群(クラスV)のいずれかをもたらし得る。
LNの病因は複雑であり、自然及び適応の両方の免疫系、様々なサイトカイン及び組織並びに免疫細胞を包含する。腎内炎症は、局所性サイトカイン及びケモカイン産生を介して、及び例えば糸球体及び間質中に誘引される好中球等の自然免疫系の細胞によって維持される。個々のサイトカインを遮断することによる前炎症性サイトカインの局所性遊離を目標とすることは、全身性免疫抑制を増加させることなく自己免疫における治療有効性を強化し得る(Allam(2008)Curr Opin Rheumatol;20(5):538-44;Yu et al.(2017)Nat Rev Nephrol;13(8):483-95)。
数種の自己免疫疾患のための治療における近年の進歩にもかかわらず、LNのための適正な治療法は依然として存在しない。LNは、依然として罹病率及び死亡率の主要な原因であり、LN患者の22%は15年以内にESRDに進行する(Faurschou et al.(2010)Arthritis Care & Research 62(6):873-80;Tektonidou et al.(2016)Arthritis Rheumatol.68(6):1432-41)。現在は、FDAが承認したLNのための特定の療法はない。現行の治療は非特異的であり、全身性免疫抑制を用いた進行の緩徐化を目的としている。腎反応率は最適以下であり、LNを有する患者の治療における持続性の満たされていない高いニーズがあることを明確に示している。
ループス腎炎のスクリーニング、治療及び管理についての米国リウマチ学会議(American College of Rheumatology)(ACR)ガイドラインは、2012年に公表されており、国際的に認識されている(Hahn et al.(2012)Arthritis Care Res(Hoboken);64:797-808)。欧州リウマチ学会・欧州腎臓学会・欧州透析移植学会合同委員会(EULAR/ERA-EDTA)ガイドラインは、同年に公開されている(Bertsias et al.(2012)Ann Rheum Dis.71:1771-82)。これらのガイドラインで推奨された治療に関する一般的な合意はあるが、これらの医薬品は、LNの適応に対して米国又は欧州規制官庁のいずれの承認も受けていない。LN患者は、例えば、ヒドロキシクロロキン(HCQ)、脂質を降下させるスタチン及びレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤(ACE/ARB阻害剤)等の数種の補助的薬物を摂取することが推奨される。症候性発現に対して指示される場合、ステロイドは、クラスIの最小変化のLN疾患のための治療の主力である。ACRガイドラインは、クラスIIのLNに対しては、追加の免疫抑制薬を推奨していない。EULAR/ERA-EDTAガイドラインは、タンパク尿及び血尿の症例において、低用量から中用量の経口グルココルチコイドを単独で、又はアザチオプリンと組み合わせることを推奨している。
これらのガイドラインは、クラスIII及びIVのLNのための療法に対するそれらの推奨において一様であり、導入期及び維持期の順序を含んでいる。クラスIII若しくはIVの増殖性糸球体腎炎を有する患者に対しては、ACRガイドラインは、i.v.(静脈内)メチルプレドニゾロンの初期パルスを用いる、又は用いない、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)又はi.v.シクロホスファミド(CYC)を用いる導入療法に関して一致している。現行の導入レジメンを用いると、クラスIII~Vの<60%の患者が、完全寛解を達成する(Appel et al.(2009)J Am Soc Nephrol.20:1103-1112)。現行の標準治療(SoC)を用いて完全腎寛解(CRR)を達成する患者の中で、患者のほぼ半数は、再発を有した。これらの患者における再発率は、患者100人年当たり5~15人であった(Grootscholtenet al.(2006)Nephrol Dial Transplant 21:1465-1469)。
クラスVのループス腎炎を有する患者は、典型的には抗タンパク尿薬及び抗高血圧薬で治療され、持続性ネフローゼタンパク尿の存在に依存して必要とされるコルチコステロイド及び免疫抑制療法を受けることができる。
数種の組織学的特徴は、治療の決定及び予後に影響を及ぼす。例えば、高「活性」(A)病変を有する患者は、典型的には免疫抑制により治療されるが、他方「慢性」(C)病変を有する患者は、より不良な反応予後のために免疫抑制療法を摂取することができない(Hiramatsu et al.(2008)Rheumatology(Oxford)47:702-07)。
現行のSoCを用いるLNの内科療法は、満足できる腎反応を患者の約半数においてしか達成することができず、安全性に関する有意な負担を背負っている。現行の導入療法及び維持療法への非応答者は、最悪の転帰を迎える。クラスIVのLNを有する患者中では、約40%が15年後にESRDを発症する(Tektonidou et al.(2016)Arthritis Rheumatol.68(6):1432-41)。したがって、SoC治療の攻撃的な性質にもかかわらず、1年後に40%までの患者しかCRRを達成できない(Rovin et al.(2014)Am J Kidney Dis.63(4):677-90)。さらに、現行のLN治療レジメンは、グルココルチコイド及び長期免疫抑制からの実質的な副作用を有する(Schwartz et al.(2014)Curr Opin Rheumatol.26:502-09)。免疫抑制LN患者は、重篤な感染症を発症する重大なリスク状態にある。多民族のメディケイド(Medicaid)コホート内では、重篤な感染症の発生率は、SLE患者よりLN患者の方が>2倍高かった(Feldman et al.(2015)Arthritis Rheumatol.67:1577-85)。
この状態の重症度及び承認された療法の欠如を前提とすると、LNの治療のための安全で効果的な長期療法(すなわち、独立型又はアドオン療法)に対する高度の満たされていない医学的必要性がある。
BAFFRに対する抗体は、例えば国際公開第2010/007082号パンフレットから公知であり、配列番号1のアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号2のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むことを特徴とする抗体を含む。抗体MOR6654は、1つのこうした抗体(IgG1κ)である。それは、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を有する。この抗体は、配列番号14及び15から、好ましくはフコシルトランスフェラーゼを欠く宿主細胞内で発現され、増強されたADCCを有する機能的な非フコシル化抗BAFFR抗体を提供することができる。この抗体は、以降、MOR6654B又はVAY736と称されるか、又はその国際的な非専売名としてイアナルマブである。
自己免疫疾患におけるB細胞枯渇療法の利点は、主にCD20標的化枯渇での経験を通じて十分に確立されており、実証されている(Schioppo and Ingegnoli 2017)。自己免疫疾患患者における抗CD20 mAbのリツキシマブを用いる臨床試験からの証拠により、より完全にB細胞が枯渇され、より良いことに、急性増悪疾患と同時発生することが多いB細胞枯渇後の回復に伴い、臨床反応が達成されることが示された(Vital 2011)。
関節リウマチ、シェーグレン症候群、及びSLEを含むいくつかの自己免疫疾患は、BAFF駆動性のB細胞多動性から生じると仮定される(Perosa 2010)。さらに程度の差はあるが、これらの疾患は、リツキシマブなどの抗CD20標的化B細胞枯渇剤での治療に抵抗し、これは、B細胞のより有効な標的化が要求されることを示唆する。
イアナルマブは、ヒトBAFF-Rを標的にし、BAFFのBAFF-Rへの結合を競合的に阻害し、それによりB細胞におけるBAFF-R媒介性シグナル伝達をブロックするように設計されたヒトIgG1/κ mAbである。さらに、イアナルマブは、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)によって、インビボで循環からB細胞を有効に除去する。
B細胞枯渇療法に対する治療反応は、異なる疾患間で、そして所与の疾患カテゴリー内の個体において実質的に変動し、B細胞のより有効な標的化が要求されることが示唆される。増強されたADCCによってB細胞を枯渇させる一方で、BAFF:BAFF-Rシグナル伝達遮断を通じてB細胞多動性を同時に抑制するためのイアナルマブの二重の作用機構の使用により、単独療法として使用されるこれらの機構のいずれかによって得られる場合を上回る臨床的有効性をもたらすために相補的又は相乗的効果を達成する可能性が提供される。
発明者らは、ここで、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブ(ianalaumab)を使用する、LN患者における新規な治療を考案しており、これは、安全で効果的であり、患者における持続的反応を提供する。重要なことに、LNのための現行のSoC治療は強力な免疫抑制作用を有するので、任意のアドオン療法は、好都合なリスク/ベネフィットプロファイルを維持しなければならない。したがって、これらの新規な治療は、LNのための安全で持続性且つ効果的な療法(特に、アドオン療法)に対する臨床医及び患者の長年に渡る必要性を満たす。B細胞を直接的に枯渇させ、さらにB細胞多動性を抑制するための、イアナルマブの二重の作用機構により、単独でのこれらの機構のいずれかによって得られる場合を上回る臨床的有効性をもたらすための効果を達成する可能性を提供する。
本明細書で開示した通り、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを使用するLN患者に対する治療は、(推定糸球体濾過率(eGFR)≧90ml/分/1.73m2又はベースラインの85%以上、及び24時間UPCR<0.5と定義される)完全腎奏効(CRR)を達成する効果的治療である。
本明細書で開示した通り、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを使用するLN患者に対する治療は、完全腎奏効(CRR)又は部分腎奏効(PRR)のいずれかの達成と定義される、安定な全腎反応(Overall Renal Response)(ORR)を達成する効果的治療である。
本明細書で開示した通り、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを使用するLN患者に対する治療は、慢性疾患療法の機能的評価(FACIT)疲労スコア(FACIT-Fatigueスコア)における改善を達成する効果的治療である。
本明細書で開示した通り、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを使用するLN患者に対する治療は、投与間隔にわたり(部分的なBAFF-Rの遮断ではなく、持続的なBAFF-Rの遮断をもたらす)中等度又は重度急性増悪疾患の低減を示す効果的治療である。この低減は、中等度及び重度急性増悪に注目するとともに、急性増悪の不在、事象率(年換算率)の減少及び急性増悪までの期間を維持している対象の割合に注目することによって、急性増悪を評価することである。中等度又は重度急性増悪は、最も一般的な場合には細胞傷害性薬物及び/又はコルチコステロイドでの治療においていくらかの増加を含むことになるBILAGスコア(それぞれ、1の新カテゴリーA項目又は2の新カテゴリーB項目)を用いる、疾患活動性における臨床的に有意な増加と定義される。
本明細書で開示した通り、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを使用するLN患者に対する治療は、ループス低疾患活動性状態(LLDAS)を達成する効果的治療である。
本明細書で開示した通り、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを使用するLN患者に対する治療は、UPCRの発生率<(尿タンパク質対クレアチニン比)(UPCR)が0.5又はベースラインから≧50%の低下を達成する効果的治療である。
一実施形態では、抗BAFFR抗体が提供され、前記抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメイン及び配列番号2のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインを含み、且つ前記抗体は、約50mg~約300mgの用量としてそれを必要とする対象に投与されるべきである。
好ましい実施形態では、VAY736(イアナルマブ)と名付けられた抗BAFFRが提供される。具体的に、VAY736(イアナルマブ)は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、且つ前記抗体は、約50mg~約300mgの用量としてそれを必要とする対象に投与されるべきである。
一実施形態では、投与経路は、本明細書に記載した実施形態に従う、抗体の皮下若しくは静脈内、又は皮下若しくは静脈内の組み合わせである。
一部の患者は、負荷レジメン(例えば、数週にわたり毎週[例えば、1~5週、例えば、0、1、2、3及び/又は4週目に投与する]又は数週にわたり隔週(例えば、2~8週、例えば、0、2、4、及び/又は6週目に投与する)、それに続いて維持レジメン、例えば毎月の維持レジメンから利益を得てもよい。例えば、抗BAFFR抗体についての適切なレジメンは、数週にわたり毎週又は隔週[例えば、1~5週、例えば、0、1、2、3及び/又は4週目に投与する]、それに続いて毎月の維持レジメンであり得る。
別の例では、イアナルマブについての適切なレジメンは、毎月のレジメンである。
いくつかの実施形態では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、皮下送達される300mgの初期用量で患者に投与することができ、次いで、用量は、医師によって決定される通りに、必要に応じて、調節することができる。
一実施形態では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、約300mgの用量で4週毎(q4w)に皮下投与される。
一実施形態では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、約300mgの用量で12週毎(q12w)に皮下投与される。
さらに別の具体的な実施形態では、150mgのイアナルマブの2単位用量を含む用量が、4週毎(q4w)に皮下投与される。
イアナルマブは、3か月毎、毎月、毎週又は隔週に、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg又は約300mgの単位用量で、例えば、皮下注射によって投与される約50mg~500mg、例えば約150mg~約400mg、例えば約150mg~約300mg、又は例えば約200mg~約300mgの用量で皮下投与することができる。
イアナルマブは、隔週、又は毎月に、約50mg~約300mg、好ましくは約300mgの用量で、皮下注射によって投与することができる。
本明細書で定義される通り、「単位用量」は、約50mg~500mg、例えば約150mg~約400mg、例えば約150mg~約300mg、又は例えば約200mg~約300mgからなり得る皮下用量を指す。例えば、単位皮下用量は、約50mg、約150mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mgである。
一実施形態では、本発明は、LNを有する患者に,イアナルマブを、約50mg~約500mg/治療の範囲内、好ましくは50mg~300mg、好ましくは100mg~300mg、好ましくは150mg~300mg/治療の範囲内で投与することを含む。一実施形態では、患者は、50mg~300mg/治療を受ける。一実施形態では、患者は、150mg~300mg/治療を受ける。一実施形態では、患者は、20mg、30mg、60mg、90mg、120mg、150mg、180mg、200mg、210mg、250mg、275mg、又は300mg/治療を受ける。一実施形態では、LNを有する患者は、各治療を、2週毎に、3週毎に、月1回(4週毎に)、6週毎に、隔月(2か月毎)に、9週毎に、又は年4回(3か月毎)に受ける。一実施形態では、患者は、各治療を3週毎に受ける。一実施形態では、患者は、各治療を4週毎に受ける。
安全性の懸念が生じると、用量は、好ましくは投与間隔を増加させることによって、好ましくは投与間隔を2倍又は3倍にすることによってダウン滴定することができる。例えば、300mgの毎月又は3週毎のレジメンの場合、それぞれ2か月毎若しくは6週毎に2倍にする、又はそれぞれ3か月毎若しくは9週毎に3倍にすることができる。
いくつかの実施形態では、抗BAFFR抗体又はその結合断片は、1つ又は複数の追加薬剤と組み合わせて投与されるべきである。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の追加薬剤は、LNの治療における標準治療(SoC)療法を含む。
別の態様では、本開示は、LNを治療する方法において使用することができる抗BAFFR抗体(例えばイアナルマブ)及びその結合断片についての新しい投薬レジメンを提供する。
いくつかの実施形態では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、イアナルマブに対するバイオシミラーであるか又はそれと互換可能であることを示している抗体を指してもよい。それらの抗体は、本明細書で開示した通り、イアナルマブ投与を指す実施形態に従って投与することができる。
本明細書を解釈することを目的として、以下の定義が適用され、適切であれば常に、単数形で使用される用語は、複数形も含み、その逆も言えることになる。
用語「を含むこと」は、「が含まれること」ならびに「からなること」を包含し、例えば、X「を含む」組成物は、もっぱらXのみからなる可能性もあるし、何か追加のものが含まれる(例えば、X+Y)可能性もある。
そうではないという記述が具体的にない限り、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用する場合、数値に関する用語「約」は、当技術分野の通常の許容範囲内、例えば平均値の二標準偏差内であると理解される。したがって、「約」は、記述した値の+/-10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内、好ましくは記述した値の+/-10%であり得る。数値範囲又は数の列挙の前に使用される場合、用語「約」は、系列内のそれぞれの数に適用される。例えば、表現「約1~5」は、「約1~約5」と解釈されるべきであり、又は例えば、表現「約1、2、3、4」は、「約1、約2、約3、約4など」と解釈されるべきである。
単語「実質的に」は、「完全に」を排除しない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない可能性がある。必要に応じて、単語「実質的に」は、本開示の定義から省くことができる。
本明細書で言及される用語「抗体」は、全抗体及びその任意の抗原結合断片(すなわち、「抗原結合部分」)又は一本鎖を含む。天然起源の「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖とを含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVと略される)及び重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、アイソタイプに応じて、3つ又は4つのドメイン、CH1、CH2、CH3及びCH4からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVと略される)及び軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。V及びV領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存される領域に割り込まれた、相補性決定領域(CDR)と称される高頻度可変性の領域にさらに細分化することができる。各V及びVは、アミノ末端からカルボキシ末端まで次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列される3つのCDR及び4つのFRからなる。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1の成分(C1q)を含めた宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。
抗体の用語「抗原結合部分」(又は単に「抗原部分」)は、本明細書で使用する場合、抗原(例えば、BAFFRの部分)と特異的に結合する能力を保持する全長又は1つ又は複数の抗体の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって果たされ得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例としては、Fab断片、すなわちV、V、CL及びCH1ドメインからなる一価の断片;F(ab)2断片、すなわちヒンジ領域でのジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片;V及びCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一のアームのV及びVドメインからなるFv断片;VドメインからなるdAb断片(Ward et al.,1989 Nature 341:544-546);並びに単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
さらに、Fv断片の2つのドメイン、V及びVは、別の遺伝子によってコードされるが、これらが単一のタンパク質鎖(ここで、V領域とV領域とが対合して、一価の分子(一本鎖Fv(scFv)として公知;例えば、Bird et al.,1988 Science 242:423-426;及びHuston et al.,1988 Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879-5883を参照されたい)を形成する)として振る舞うことを可能にする合成のリンカーにより、組換え方法を使用してこれらを連結することができる。こうした一本鎖抗体は、抗体の用語「抗原結合領域」内に包含されることも意図される。これらの抗体断片は、当業者に公知である従来の技術を用いて得られ、その断片は、インタクトな抗体と同様にして、有用性についてスクリーニングされる。
用語「BAFFR」は、B細胞活性化因子受容体タンパク質を指す。BAFFRは、TNF受容体スーパーファミリーメンバー13C(TNFRSF13C)としても公知である。ヒト及びマウスのアミノ酸及び核酸配列は、GenBank、UniProt及びSWISS-PROTなどの公的なデータベース内で見出すことができる。例えば、ヒトBAFFRのアミノ酸配列は、UniProt/SWISS-PROT受入番号Q96RJ3として見出すことができ、ヒトBAFFRをコードするヌクレオチド配列は、受入番号NM_052945.4で見出すことができる。それは、Bリンパ球及びT細胞のサブセットで主に発現される。
「単離された抗体」は、本明細書で使用する場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指し、例えば、ヒトBAFFRに特異的に結合する単離された抗体は、BAFFR以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。しかし、BAFFRに特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原、例えば他種からのBAFFR分子と交差反応性を有してもよい、さらに、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。
本明細書で使用する場合の用語「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」は、単一分子組成の抗体分子の調製を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性及び親和性を呈する。
用語「ヒト抗体」には、本明細書で使用する場合、そのフレームワークもCDR領域もヒト起源の配列に由来する可変領域を有する抗体が含まれる。さらに、抗体が定常領域を含む場合、定常領域もまた、こうしたヒト配列に由来し、例えば、ヒト生殖系列配列、若しくはヒト生殖系列配列の突然変異バージョン、又はコンセンサスフレームワーク配列を含む抗体は、例えば、Knappik,et al.(2000.J Mol Biol 296,57-86)に記載の通り、ヒトフレームワーク配列分析に由来する。
所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、例えば、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Kabat」付番スキーム),Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」付番スキーム)及びImMunoGenTics(IMGT)numbering(Lefranc,M.-P.,The Immunologist,7,132-136(1999);Lefranc,M.-P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27,55-77(2003)(「IMGT」付番スキーム)によって記載された場合を含む、いくつかの周知のスキームのいずれかを用いて決定することができる。例えば、古典的フォーマットの場合、Kabat下で、重鎖可変ドメイン(VH)内のCDRアミノ酸残基は、31~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)、及び95~102(HCDR3)と付番され;また軽鎖可変ドメイン(VL)内のCDRアミノ酸残基は、24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)、及び89~97(LCDR3)と付番される。Chothia下で、VH内のCDRアミノ酸は、26~32(HCDR1)、52~56(HCDR2)、及び95~102(HCDR3)と付番され;またVL内のアミノ酸残基は、26~32(LCDR1)、50~52(LCDR2)、及び91~96(LCDR3)と付番される。Kabat及びChothia両方のCDR定義を組み合わせることにより、CDRは、ヒトVH内のアミノ酸残基26~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)、及び95~102(HCDR3)、ヒトVL内のアミノ酸残基24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)、及び89~97(LCDR3)からなる。IMGT下で、VH内のCDRアミノ酸残基は、およそ26~35(CDR1)、51~57(CDR2)及び93~102(CDR3)と付番され、またVL内のCDRアミノ酸残基は、およそ27~32(CDR1)、50~52(CDR2)、及び89~97(CDR3)と付番される(「Kabat」による付番)。IMGT下で、抗体のCDR領域は、プログラムIMGT/DomainGap Alignを用いて決定することができる。本明細書全体を通じて、相補性決定領域(「CDR」)は、上記スキームのいずれかに従って定義される。
本発明のヒト抗体は、ヒト配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダム又は部位特異的変異誘発によって、又はインビボでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含んでもよい。しかし、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用する場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことは意図されない。
用語「ヒトモノクローナル抗体」は、フレームワーク及びCDR領域の両方がヒト配列に由来する場合の可変領域を有する単一結合特異性を呈している抗体を指す。
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書で使用する場合、組換え手段によって調製、発現、作出又は単離された全てのヒト抗体、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック若しくはトランスクロモソーマルである動物(例えば、マウス)又はそれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体、例えばトランスフェクトーマからヒト抗体を発現するために形質転換された宿主細胞から単離された抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、及び他のDNA配列に対するヒト免疫グロブリン遺伝子配列の全部又は一部のスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作出又は単離された抗体を含む。こうした組換えヒト抗体は、フレームワーク及びCDR領域がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する場合の可変領域を有する。しかし、特定の実施形態では、こうした組換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(又は、ヒトIg配列についてトランスジェニックである動物を使用する場合、インビボ体細胞変異誘発)を受ける可能性があり、それ故、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、それらに関連する一方で、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然には存在しないことがある配列である。
本明細書で使用する場合の「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によって提供される抗体クラス(例えば、IgM、IgA、IgD、IgE及びIgG、例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)を指す。
用語「抗BAFFR抗体又はその結合断片」は、本明細書で使用する場合、BAFFR結合ドメインを含む抗体、又はその結合断片を指す。抗体(又はその結合断片)のBAFFRへの結合により、BAFFRのBAFFへの結合が阻害され、それによりBAFF/BAFFR複合体の形成が低減され、且つ/又はBAFFRの活性化が低下する。好適には、抗BAFFR抗体又はその結合断片は、BAFF/BAFFR複合体の形成を低減し、且つ/又はBAFFRの活性化を、好適な対照(例えば、抗BAFFR抗体又はその結合断片の存在を伴わないサンプル)と比較して、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又はそれ以上低下させ得る。追加的又は代替的に、抗BAFFR抗体又はその結合断片(binding thereof)は、予め形成されたBAFF/BAFFR複合体を解離させ得る。好適な実施形態では、抗体又はその結合断片は、予め形成されたBAFF/BAFFR複合体の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又はそれ以上を解離させ得る。前述同様に、この特性は、好適な対照(例えば、抗BAFFR抗体又はその結合断片の存在を伴わないサンプル)と比較され得る。
本明細書で使用する場合の表現「薬学的に許容される」は、合理的なリスク・ベネフィット比に見合う、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わない、ヒト及び動物の組織との接触状態での使用に適した、健全な医学的判断の範囲内であるような化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
本明細書で使用する場合の用語「薬学的組み合わせ」は、2つ以上の活性成分の使用又は混合又は組み合わせから得られる生成物を意味する。本明細書で使用する場合の薬学的組み合わせが、活性成分の固定的組み合わせと非固定的組み合わせの両方を含むことは理解されるべきである。
本明細書で使用する場合の用語「同時投与」又は「組み合わせ投与」などは、本明細書に記載した1つ又は複数の化合物の、選択された組み合わせパートナーと一緒での、それを必要とする単一対象(例えば、患者又は対象)への投与を包含することを意味し、その化合物が同一の投与経路により、及び/又は同時には必ずしも投与されない治療計画を含むことが意図される。
用語「医薬組成物」は、温血動物を罹患させる特定の疾患又は状態を予防又は治療するため、温血動物、例えば哺乳動物又はヒトに投与されるべきである、少なくとも1つの活性成分又は治療薬を含有する混合物(例えば、溶液又はエマルジョン)を指すように本明細書で定義される。
本開示の化合物の用語「治療有効量」は、対象(対象の患者)の生物学的又は医学的反応、例えば酵素又はタンパク質活性の低減若しくは阻害を誘発し、又は症状を寛解させ、状態を軽減し、疾患進行を遅くするか若しくは遅延させ、又は疾患を予防する(例として)本開示の化合物の量を指す。化合物、医薬組成物、又はその組み合わせの治療的に有効な用量は、患者の種類、体重、年齢、性別、及び個人の状態、障害若しくは疾患又は治療中のその重症度に依存する。通常の技能のある医師、臨床医又は獣医は、障害又は疾患の進行を予防、治療又は阻害するのに必要な活性成分それぞれの有効量を容易に決定することができる。
表現「治療計画」は、疾病を治療するために使用されるレジメン、例えばLNの治療中に使用される投与プロトコルを意味する。治療計画は、誘導レジメン及び維持レジメンを含んでもよい。
用語「投与すること」は、本明細書で使用する場合、治療的目的(例えば、LNの治療)を達成するための物質(例えば、抗BAFFR抗体)の投与を指す。
用量の頻度は、使用される化合物及び治療又は予防されるべき特定の状態に応じて変動してもよい。一般に、効果的治療を提供するのに十分である最小用量の使用が好ましい。患者は、一般に、当業者に公知であろうが、治療又は予防されている状態に適したアッセイを用いて、治療有効性について監視することができる。
本明細書で使用する場合、用語「担体」又は「薬学的に許容される担体」は、当業者に公知であろうが、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬剤、薬物安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、色素など、及びそれらの組み合わせを含む(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照されたい)。任意の従来の担体が活性成分と不適合である場合を除いて、治療又は医薬組成物におけるその使用は企図される。
本明細書で使用する場合、用語「対象」は、動物を指す。典型的には、動物は、哺乳動物である。対象はまた、例えば、霊長類(例えば、ヒト、男性又は女性)、雌ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、鳥類などを指す。特定の実施形態では、対象は、霊長類である。好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。用語「対象」は、それがヒトを指す場合、「患者」と互換可能に用いられる。
本明細書で使用する場合、対象は、こうした対象が、治療から生物学的に、医学的に又は生活の質において利益を得る場合、こうした治療「を必要とする」。
本明細書で使用する場合、表現「患者の集団」は、患者の一群を意味するために使用される。
用語「を含むこと」は、「が含まれること」並びに「からなること」を包含し、例えば、X「を含む」組成物は、もっぱらXのみからなる可能性もあるし、何か追加のものが含まれる(例えば、X+Y)可能性もある。
AUC0-tは、時間0から時間「t」(ここでtは、投与後の規定された時点である)の血漿濃度-時間曲線下の面積[質量×時間/体積]を指定する。
AUCtx-tyは、時間「x」から時間「y」(ここで「時間x」及び「時間y」は、投与後の時点と定義される)の血漿濃度-時間曲線下の面積を表す。
Cmaxは、薬剤投与後の観察された最大血漿濃度[質量/体積]である。
Cminは、薬剤投与後の観察された最小血漿濃度である。
Ctroughは、投与間隔の開始直前、又はその終了時の観察された血漿濃度である。
Tmaxは、薬剤投与後の最大濃度に達するまでの時間[時間]である。
ss(添字)は、パラメータが定常状態で定義されることを示す。
表現「投与するための手段」は、限定はされないが、プレフィルドシリンジ、バイアル及びシリンジ、ペン型注射器、自己注射器、点滴静注バッグ、ポンプ、パッチポンプなどを含めた、患者に薬物を全身的に投与するためのあらゆる利用可能な道具を示すために使用される。こうしたものを用いて、患者が薬物を自己投与する(すなわち薬物を医師の代わりに彼ら自身で投与する)ことができ、又は医師が薬物を投与することができる。
用語「治療」又は「治療する」は、本明細書では、本開示による化合物(抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブ)の、対象への又は対象由来の単離された組織若しくは細胞株への適用又は投与(ここで、対象は、特定の疾患(例えば、LN)、その疾患(例えば、LN)に随伴する症状又はその疾患(例えば、LN(該当する場合))の発症の素因を有し、その目的は、疾患の1つ又は複数の症状を治癒させる(該当する場合)か、開始を遅らせるか、重症度を低下させるか、軽減するか、回復するか、疾患を改善するか、疾患のあらゆる随伴症状又は疾患の発症の素因を低下させるか又は改善することである)と定義される。用語「治療」又は「治療する」には、疾患を有することが疑われる患者及び病気であるか又は疾患若しくは医学的状態を患っていると診断されている患者を治療することが含まれ、また臨床的再発の抑制が含まれる。
本明細書で使用する場合、表現「患者の集団」は、患者の一群を意味するために使用される。開示した方法のいくつかの実施態様では、イアナルマブなどの抗BAFFRは、LN患者の集団を治療するために使用される。
本明細書で使用する場合、患者に関する「選択すること」及び「選択される」は、特定の患者が、その特定の患者があらかじめ定められた基準を有することに基づいて(に起因して)、患者のより大きい群から個々に選択されることを意味するために使用される。同様に、「選択的に治療すること」は、特定の疾患を有する患者(ここで、患者は、その特定の患者があらかじめ定められた基準を有することに基づいて個々に選択される)に治療を提供することを指す。同様に、「選択的に投与すること」は、その特定の患者があらかじめ定められた基準を有することに基づいて(に起因して)、患者のより大きい群から個々に選択された患者に薬物を投与することを指す。選択すること、選択的に治療すること及び選択的に投与することは、患者が、より大きい群内の患者の帰属のみに基づく標準の治療レジメンを送達されるのではなく、患者の個別の病歴(例えば、以前の治療介入、例えば生物製剤での以前の治療)、生物学(例えば、特定の遺伝子マーカー)及び/又は徴候(例えば、特定の診断基準を満たさないこと)に基づく個別化治療を送達されることを意味する。本明細書で使用される治療の方法に関する選択することは、特定の基準を有する患者の好運な治療を指すのではなく、患者が特定の基準を有することに基づいて患者に治療を施すという意図的な選択を指す。したがって、選択的な治療/投与は、特定の疾患を有するすべての患者にその個別の病歴、疾患の徴候及び/又は生物学にかかわらず特定の薬物を送達する標準の治療/投与と異なる。いくつかの実施形態では、患者は、LNを有することに基づく治療のために選択された。
いくつかの実施態様では、患者は、LN、例えばISN/RPSのクラスIII又はIVのLNを有することに基づいて、治療について選択される。いくつかの実施態様では、患者は、活動性LNを有することに基づいて、治療について選択される。いくつかの実施態様では、患者は、標準LN療法に対する不適切な反応を以前に有していたことに基づいて、治療について選択される。
抗BAFFR抗体
BAFFRに対する抗体(「抗BAFFR抗体」)は、例えば、国際公開第2010/007082号パンフレットから公知であり、配列番号1のアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号2のアミノ酸配列を有するVLドメインを含むことによって特徴づけられる抗体を含む。抗体MOR6654は、1つのこうした抗体(IgG1κ)である。それは、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を有する。この抗体は、好ましくはフコシルトランスフェラーゼを欠く宿主細胞内で、例えば不活性FUT8遺伝子を有する哺乳動物細胞株(例えば、FUT8-/-)中で、配列番号13及び14から発現させ、増強されたADCCを有する機能的な非フコシル化抗BAFFR抗体を提供することができる。この抗体は、以降、MOR6654B又はVAY736と称されるか、又はその国際的な非専売名としてイアナルマブである。非フコシル化抗体を産生するための代替的方法は、当該技術分野で公知である。イアナルマブのアミノ酸配列は、イアナルマブの重鎖及び軽鎖をコードする核酸配列とともに表1に示される。
Figure 2024517796000001
Figure 2024517796000002
Figure 2024517796000003
いくつかの実施形態では、抗BAFFR抗体又はその結合断片は、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5の配列をそれぞれ有する3つのCDRを含む重鎖可変領域、並びに配列番号6、配列番号7、及び配列番号8の配列をそれぞれ有する3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。好ましい実施形態では、抗BAFFR抗体又はその結合断片は、配列番号1の配列からなる重鎖可変領域及び配列番号2の配列からなる軽鎖可変領域を含む。より好ましい実施形態では、抗BAFFR抗体又はその結合断片は、イアナルマブ又はその結合断片である。
治療方法及び抗BAFFR抗体又はその抗原結合断片、例えばイアナルマブの使用
開示した抗BAFFR抗体又は抗原結合断片(例えばイアナルマブ)は、インビトロで、生体外で使用するか、又は医薬組成物中に組み込み、インビボで投与し、LN患者(例えば、ヒト患者)を治療することができる。
LNは、予後転帰及び治療転帰の改善された相関のために、腎生検解釈のための標準となった国際腎臓学会/腎病理学会(ISN/RPS)分類システムによって、組織学的に6つのクラスに分類されている(Weening et al.,2004;J Am Soc Nephrol;15(2):241-50;Markowitz et al.,2007 Kidney Int;71(6):491)。治療としては、後期疾患のためのコルチコステロイドによる管理、その後により重度の疾患のためのより積極的な免疫抑制療法及び最終的には腎移植が挙げられる。
クラスI及びIIのLNは、LN患者のおよそ10.2~25.7%の患者において存在し、抗体の自己抗原への結合によるメサンギウム内で形成される免疫複合体を特徴とする(Wang et al.,2018 Arch Rheumatol;33(1):17-25)。クラスIの最小メサンギウムLNを有する患者は、光線顕微鏡では正常糸球体を示すが、メサンギウム免疫付着物は、免疫蛍光法によって視認することができる。LNのクラスI及びIIを有する患者は通常、他のクラスのLNを有する場合よりも有望な予後を有する。クラスI及びIIのLNは、通常はコルチコステロイドにより管理されている(Yu et al.,2017 Nat Rev Nephrol;13(8):483-495)。
クラスIII及びIVのLNは、およそ39~71.9%のLN患者において検出され、糸球体毛細管の内皮下腔内の免疫複合体の沈着の結果である(Wang et al.,2018 Arch Rheumatol;33(1):17-25)。どちらのクラスも重症度及び分布が異なる類似の病変を有すると考えられている。クラスIVのびまん性LNは、血管内皮病変を伴う50%超の糸球体が関与することに基づいてクラスIIIから識別される。クラスIII及びIVのLNを有する患者は、グルココルチコイド及び免疫抑制剤を用いる積極的な療法を必要とする(Hahn et al.(2012)Arthritis Care Res 64:797-808)。
膜性ループス腎炎としても公知であるクラスVのLNは、LNの患者のおよそ12.1~20.3%において存在し、糸球体の上皮下区画内への免疫複合体の沈着を特徴とする(Wang et al.,2018 Arch Rheumatol;33(1):17-25)。クラスVのLNは、III又はIVと結合した場合には、III又はIVと同様の方法で治療されなければならない。
クラスVIのLNは、1.3~4.7%のLN患者を表し、硬化性病変の発症を特徴とし、不可逆性糸球体硬化症をもたらす(Wang et al.,2018 Arch Rheumatol;33(1):17-25)。クラスVIのLNに伴って、腎線維症及び硬化症の進行には、通常は糸球体濾過率の進行性低下、及び最終的にはESRDの発症が結び付いている。組織学的クラスVI(≧90%の糸球体の硬化症)は、一般的に免疫抑制よりむしろ腎機能代替療法のための製剤を必要とする。
クラスIII及びIVのLNは、「A」(活動性病変)、「C」(慢性病変)及び「A/C」(活動性及び慢性病変)のサブグループを有する(Hahn et al.(2012))。LNの病理学的分類の改定に従って、クラスIVのセグメント又は包括的再分類(「IV-S」及び「IV-G」)へのカテゴリー化は、情報の再現性の限界及び低い臨床有意性のために排除されるべきである。NIHのLN活動性及び慢性スコアリングシステムについて新規に提案された改善はさらに、「A」、「C」、及び「A/C」パラメータの代わりに、活動性及び慢性病変を記載するための半定量的アプローチ並びにメサンギウム過形成について、そして細胞性、線維細胞性、及び線維性半月体についての新規な定義も推奨している(Bajema et al(2018).Kidney International;93(4):789-796)。
いくつかの実施態様では、開示した方法、使用、キットなどを使用して治療されるべきLN患者は、国際腎臓学会/腎病理学会(ISN/RPS)のクラスIII又はIVのLNを有する。いくつかの実施態様では、開示した方法、使用、キットなどを使用して治療されるべきLN患者は、クラスVのLNの同時に存在する特徴を伴う、又は伴わないISN/RPSのクラスIII又はIVのLNを有する。いくつかの実施態様では、開示した方法、使用、キットなどを使用して治療されるべきLN患者は、ISN/RPSのクラスIII又はIVのLNを有するが、クラスIII(C)、クラスIV-S(C)又はIV-G(C)のLNを有していない。他の実施形態では、開示した方法、使用、キットなどを使用して治療されるべきLN患者は、ISN/RPSのクラスIII又はIVのLNを有するが、慢性クラスIII又はクラスIVのLNを有していない。本明細書で使用する場合、表現「クラスVのLNの特徴」は、ISN/RPSによって提供されるクラスVのLNの疾患態様(例えば、組織学的、病理学的など)を指す(例えば、Weening et a.(2004)Kidney Int.65:521-530及びWeening et a.(2004)J Am Soc Nephrol.15:241-250を参照のこと)。
開示した方法、キット及び使用のいくつかの実施態様では、治療されるべきLN患者は、同時に存在するクラスVの特徴を伴う、又は伴わない、活動性糸球体腎炎のWHO又はISN/RPSのクラスIII又はIVのLN[III(C)、IV-S(C)及びIV-G(C)を除く]を示す腎生検を有しており、彼らの疾患は、以前のSoC治療を用いて不適切にコントロールされてきた。
本明細書で使用する場合、表現「活動性LN」は、以下の基準:同時に存在するクラスVの特徴を伴う、又は伴わない、活動性糸球体腎炎のWHO又はISN/RPSのクラスIII又はIVのLN[III(C)、IV-S(C)及びIV-G(C)を除く]を示す生検結果;治療前の≧1のUPCR;慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)による>30mL/分/1.73m2の推定eGFR(Levy et al.(2009)Ann Intern Med 150(9):604-612;Martinez-Martinez(2012)Rheumatol Int 32:2293を参照のこと);及び活動性尿沈渣(細胞円柱(顆粒細胞又は赤血球円柱)の存在又は血尿(強拡大視野当たり>5個の赤血球)のLNを指す。開示した方法、キット、及び使用のいくつかの実施態様では、治療されるべきLN患者は、活動性LNを有する。
本明細書で使用する場合、表現「不適切にコントロールされた」、「不適切な反応」などは、患者における不十分な反応を生成する治療を指し、例えば、LN患者は依然としてLNの1つ又は複数の病的症状、例えば、腎機能障害、ネフローゼ症候群、上昇した尿円柱、尿中タンパク、上昇した尿沈渣、血尿、腎症などを有する。いくつかの実施態様では、患者は、抗BAFFR抗体を投与する前に、標準LN療法を用いた以前の治療に不適切な反応を有していた。本開示の幾つかの実施態様では、不適切な反応は、>1のUPCR及び活動性尿沈渣(細胞[糸球体細胞又は赤血球]円柱の存在)又は血尿(高倍率視野顕微鏡によって>5個の赤血球)を有するLN患者によって示される。いくつかの実施態様では、開示した方法、使用、キットなどを使用して治療されるべきLN患者は、以前のSoC治療を用いて不適切にコントロールされていたLNを有する。
標準LN療法による治療に適切に反応していたが、副作用のために治療を中止していた患者は、「不耐性」と呼ばれる。いくつかの実施態様では、開示した方法、使用、キットなどを使用して治療されるべきLN患者は、標準LN療法に対して不耐性である。
本明細書で使用する場合、「標準(SoC)LN療法」は、免疫抑制薬及びステロイド(例えば、コルチコステロイド、例えば、グルココルチコイド、例えば、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンなど)、例えば、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロスポリンA、リツキシマブ、オクレリズマブ、アバタセプト、アザチオプリン、カルシニューリン阻害剤、シクロスポリンA、タクロリムス、シクロホスファミド(CYC)、ミコフェノール酸(MPA)(その塩を含む)、ボクロスポリン、ベリムマブ、ウステキヌマブ、イグラチモド、アニフロルマブ、BI655064、及びそれらの組み合わせを含む、典型的には医療従事者によって使用されるLN薬剤を使用する治療レジメンを指す。LNを治療するためのステロイドは、IVパルス又は経口によって投与することができ、好ましくは、コルチコステロイド、例えば、グルココルチコイド、例えば、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンなどである。これらのLN薬剤の用量及びレジメン(導入及び維持両方の用量及びレジメン)は、臨床医に知られており、例えば、Hahn et al.(2012)Arthritis Care Res(Hoboken)64(6):797-808の中に見出すことができる。いくつかの実施態様では、LNステロイド療法は、例えば1日3回の投与のための500~1000mgのメチルプレドニゾロン、その後に1日1回経口グルココルチコイド(0.5~1mg/kg/日)が指示されるパルス静脈内コルチコステロイド療法を含む。いくつかの実施態様では、LN免疫抑制剤療法は、1日3gまでのMMF用量を含む。いくつかの実施態様では、LN免疫抑制剤療法は、1日15mg/kgまでのCYC用量を含む。本明細書で使用する場合、「ミコフェノール酸(MPA)」は、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)又は等価用量での腸溶コーティングMPAナトリウムを指す。いくつかの実施態様では、抗BAFFR抗体又はその結合断片での治療中、患者に投与されるMPAの用量は減量させられ、患者は前記減量の結果として急性増悪を経験しない。
最も好ましい標準LN療法は、クラスIII/IVのLN患者の導入療法(Hahn et al(2012)Arthritis Care Res 64:797-808;Bertsias et al(2012)Ann Rheum Dis;71,1771-1782)並びに寛解の誘導後の維持療法(Palmer et al(2017)Am J Kidney Dis;70(3):324-336)のためには、コルチコステロイドと一緒に、MPA(MMF若しくは腸溶コーティングMPAナトリウム)又はCYCを使用する。例えば:
低用量CYC導入治療は、典型的には2週毎の500mgの6回の静脈内(i.v.)CYCの投与からなる。
MMF導入用量は、典型的には1日3g(好ましくは1日2g)又は1日2,160mg(好ましくは1日1440mg)までの等価用量の腸溶コーティングMPAナトリウムであり(Zeher et al(2011)Lupus 20(14):1484-93;Jones et al(2014)Clin Kidney J(2014)7:562-568)、クラスIII/IV以上を有する患者にとって、並びにタンパク尿及び最近のクレアチニンの有意な上昇を有する患者にとって好都合である。
パルスi.v.コルチコステロイドは、典型的には3回の投与について1日500~1000mgのメチルプレドニゾロン、その後に1日1回の経口グルココルチコイド(0.3~1mg/kg/日、好ましくは0.3mg/kg/日~0.5mg/kg/日)であり、その後は疾患をコントロールするために必要な最少量への漸減が続く。
本明細書で使用する場合、「導入」は、疾患の寛解を導入するLN療法の部分を指す。好ましい導入治療には、患者へのMPA又はCYCの投与が含まれる。MPAについての導入は、典型的には6か月間であり、CYCについては、典型的には12週間である。その後、患者は、患者を無病(又は無再発)状態に維持するための「維持」療法により治療される。典型的な標準LN療法は、例えば、導入:6か月にわたり1日当たりMMFを2~3g又は3日間にわたりCYC+グルココルチコイドIVパルス、次に経口のプレドニゾンを数週後に1日当り0.5~1mg/kgの最小有効用量へ漸減させた;維持(導入後に改善が見られた場合は):1日当り1~2gのMMF又は2mg/kg/日のAZA+低用量の1日1回のグルココルチコイドを使用することができる。いくつかの実施態様では、維持期間中の目標用量は、1~2g/日のMMF又は等価用量の腸溶コーティングMPAである。0.5g/日のMMF又は等価用量の腸溶コーティングMPAへのさらなる低下は、さらに本開示の範囲内に含まれる。いくつかの実施態様では、患者は、さらに第16週から5mg/日(2.5~7.5mg/日の許容される用量範囲)の目標用量と共に、維持用量の経口コルチコステロイドも摂取するであろう。
本開示の一実施形態では、抗BAFFR抗体又は抗原結合断片、(例えば、イアナルマブ)は、維持療法中に活動性LNを有する成人患者における標準治療に対する「アドオン」として使用される。本開示の他の実施形態では、抗BAFFR抗体又は抗原結合断片、(例えば、イアナルマブ)は、導入療法及び維持療法のどちらにおいても、活動性LNを有する成人患者における標準治療に対する「アドオン」として使用される。
本明細書で使用する場合、LN急性増悪(「腎急性増悪」とも呼ばれる)の状況における用語「急性増悪」は、Parikh et al.(2014)Clin.J.Am.Soc.Nephrol.9(2):279-84に、すなわち、代替又はより集中的な治療を必要とするLN疾患活動性の増大として記載されている。本開示のいくつかの実施態様では、抗BAFFR抗体又は抗原結合断片(例えば、イアナルマブ)との開示した方法、キット、使用などに従った治療は、LN急性増悪を予防し、LN急性増悪の重症度を低下させ、及び/又はLN急性増悪の頻度を低下させる。
LN治療の有効性は、腎臓の疾患状態及び/又は腎臓の活動性を測定する、様々な公知の方法及び手段を使用して評価することができる。そのような試験としては、例えば、糸球体濾過率(GFR)若しくは推定GFR(eGFR)、血清クレアチニン測定値、細胞円柱の測定、尿中タンパク質:尿中クレアチニン比(UPCR)の決定が挙げられる。
尿中タンパク質:尿中クレアチニン比(UPCR)(好ましくは24時間尿検査の一部として実施される)は、患者の尿からの試料中のタンパク質濃度対クレアチニンの比率を試験する診断検査を指す。
推定糸球体濾過率(eGFR)は、慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)方程式によって測定することができる(Martinez-Martinez et al.(2012)Nefrologia 33(1):99-106);Levey et al.(2009)Ann Intern Med.150(9)604-12))。
いくつかの実施態様では、LN患者は、完全腎臓奏効(CRR)又は部分腎臓奏功(PRR)を達成する。
本明細書で使用する場合、表現「完全腎臓奏功(CRR)」は、例えば、開示した抗BAFFR抗体(例えば、イアナルマブ)を用いて、LNにおける療法の好ましい転帰を指す。これは、腎機能の臨床的に有意な改善によって証明される。好ましい実施態様では、CRRは、以下の2つの条件:1)推定糸球体濾過率(eGFR)が、標準範囲内又はベースラインの85%以上である;及び2)≦0.5mg/mgの24時間尿中タンパク質対クレアチニン比(UPCR)、が満たされた場合に達成される。
「ステロイド1日量に対する適切な反応」は、患者がステロイドの特定の1日量で治療されている間に再発又はLN急性増悪を経験しないことを意味する。この適切な反応を達成する用量は、「安定した用量」と呼ばれる。本明細書で使用する場合、表現「ステロイドの漸減レジメン後に1日当たりXのステロイド用量を達成する」は、元の用量がXに漸減された後に、患者が安定したステロイド用量Xを利用できることを意味する。
本明細書で使用する場合、「ステロイドの漸減」、「漸減」、「漸減レジメン」などは、患者に経時的に投与されるステロイド(例えば、コルチコステロイド、例えば、グルココルチコイド、例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン)の減量レジメンを指す。漸減スケジュール(タイミング及び減量)は、患者が抗BAFFR抗体又は抗原結合断片、(例えば、イアナルマブ)での治療前に摂取する元のステロイド(例えば、コルチコステロイド、例えば、グルココルチコイド、例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン)の用量に依存するであろう。漸減レジメンは、LNにおける一般的医療行為と合致しており、ステロイド関連毒性を最小限に抑えるために設計される。ステロイドの漸減は、現行のSoC LN治療レジメンがグルココルチコイド及び長期免疫抑制からの実質的な副作用を有することを考えると、LN患者において達成するための重要な目標である(Schwartz(2014).Curr Opin Rheumatol;26:502-509)。本開示のいくつかの実施態様では、抗BAFFR抗体又はその抗原結合断片、(例えば、イアナルマブ)での治療中、患者に投与されるステロイド(例えば、コルチコステロイド、例えば、グルココルチコイド、例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン)の用量は漸減レジメンを用いて低下させられ、患者は前記減量の結果として急性増悪を経験しない。本開示のいくつかの実施態様では、LN患者の集団を治療するために前記方法が使用される場合、前記患者の少なくとも50%は、抗BAFFR抗体又は抗原結合断片、(例えば、イアナルマブ)での治療中にステロイドの漸減レジメン後に<10mg/日のステロイド1日量を達成する。本開示のいくつかの実施態様では、LN患者の集団を治療するために前記方法が使用される場合、前記患者の少なくとも50%は、抗BAFFR抗体又は抗原結合断片、(例えば、イアナルマブ)での治療中にステロイドの漸減レジメン後に<5mg/日のステロイド1日量を達成する。
本明細書で使用する場合、表現「部分腎臓奏功(PRR)」は、LNにおける療法のために好ましい転帰を指す。Bertsias et al(2012)Ann Rheum Dis;71,1771-1782から適応させたPRRは:1.サブネフローゼレベルへのタンパク尿の≧50%の低下;及び2.正常又は正常に近いeGFR(ベースラインの≧85%)は、治療開始後12か月以内に達成される、と規定されている。Wofsy et al.(2013)Arthritis Rheum;65(6):1586-1591から適合させたPRRは、1.ベースラインで>3のUPCRを有する患者については、UPCRにおける<3への低下;又はベースラインで≦3のUPCRを有する患者については、少なくとも50%又は<1の最終UPCRへの低下;及び、2.ベースラインに比較して低下した血清クレアチニン又はベースラインを上回る15%以下の血清クレアチニンの増加である、と規定されている。好ましい実施態様では、治療された患者は:1)正常範囲内又はベースラインの85%以上のeGFR、及び2)ベースラインと比較して、24時間UPCRにおけるサブネフローゼレベルへの≧50%の低下である、と規定されたPRRを達成する。
経時的な治療の成功は、CRR、PRR、ステロイド減少、eGFR、尿中アルブミン対クレアチニン比(UACR)、UPCR、FACIT-疲労スコア(Cella et al(1993)J.Clin.Oncol;11(3):570-9,Yellen et al(1997)J Pain Symptom Manage;13(2):63-74)、短期間健康調査(SF-36)(Holloway et al(2014)Health Qual Life Outcomes;12:116)、医学的転帰短期間健康調査(SF-36 Physical Component Summary(PCS))(Ware et al(1994)SF-36 Health Survey manual and interpretation guide.Update.Boston:The Health Institute,New England Medical Center)、ループスQoL(Yazdany(2011)Arthritis Care Res 63(11):S413-9)、多発性ループスドメインにおける改善、例えばSLEDAI-2000(Bombardier et al(1992)35(6):630-40)、CLASI(Albrecht et al(2005)J.Invest.Dermatol;125:889-94)、DAS-28(Ceccarelli et al(2014)Scientific World Journal;article ID:236842;Cipriano(2015)Reumatismo;62(2):62-7)、LLDAS(Franklyn et al(2016)Ann.Rheum.Dis;75(9):1615-21)を含む様々な技術及び調査によって測定することができる。
慢性の中等度~重度の活動性SLEは、以下を有すると定義される:
・「発熱」、「ループス頭痛」及び「器質性脳症候群」に起因するポイントを除き、SLEDAI-2K≧6(Touma 2010,Gladman 2002);
・皮膚粘膜ドメイン内若しくは筋骨格ドメイン内のいずれかにおける少なくとも1つの「A」、又はいずれかの皮膚粘膜ドメイン内における1つの「B」及び第2ドメイン内の少なくとも1つの「A」若しくは「B」のBILAG-2004スコア
SRI-4は、複合エンドポイントであり、これは、SLEの治療の有効性を評価するために臨床医及び保健機関によって用いられる「標準」転帰になっている。それは、疾患活動性の低下についてのスコア、全身状態の非増悪についてのスコア及び新たな臓器系の非動員についてのスコアを組み合わせており、反応者率として表される。SRI-4反応は、以下の全てを達成することによって定義される:
・SLEDAI-2KにおけるAのベースラインからの≧4ポイントの減少(すなわち、より低い疾患活動性)及び
・新たなBILAG-2004 Aスコアがなく、且つ≦1の新たなBILAG-2004 Bドメインスコア(すなわち、新たな急性増悪がない)、及び
・医師の総合評価における減少がなく、0~3の視覚的アナログスケールでのベースラインからの≧0.3の増加と定義される(すなわち、疾患増悪なし)
SRI-6は、よりストリンジェントな要件を提供する:SRIスコアのこのSLEDAI-2Kコンポーネントは、反応者分析において要求される疾患活動性の最小閾値として4のSLEDAI-2K基準を用いる代わりに、≧6に高められる。
ループス低疾患活動性状態(LLDAS)は、以下の疾患活動性及び維持投薬を含む5つの項目からなる:
1.SLEDAI-2K≦4で、主要な臓器系の活動性を伴わない;
2.以前の評価と比較して、ループス疾患活動性の新たな特徴がない;
3.SELENA-SLEDAI PGA≦1;
4.現行のプレドニゾ(ロ)ン(又は同等薬剤)用量≦7.5mg(毎日);及び
5.適切な非治験薬の耐容性が良好な標準維持用量
本明細書で使用する場合、用語「ベースライン」など(例えば、「ベースライン値」)は、例えば、開示した抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブで治療される対象の以前の所定の可変値を指す。
本明細書で使用する場合、表現「非活動性尿沈渣」は、典型的には物質を濃縮するために尿を遠心することによって実施される尿検査であって、強拡大視野(hpf)当たり≦5個の赤血球及び/又は白血球が存在する尿検査に関する尺度である。例えば、Cavanaugh and Perazella(2019)Am J.Kid.Diseases.73(2):258-72を参照のこと。
本明細書で使用する場合、表現「細胞円柱」は、尿が尿検査中に顕微鏡下で検査された場合に見出すことができる細胞から作られた小管状粒子(例えば、白血球、赤血球、腎細胞)を指す。例えば、Ringsrud(2001)“Casts in the Urine Sediment”Laboratory Medicine(4)32を参照のこと。
いくつかの実施態様では、患者は、LNを有する成人のヒト患者である。いくつかの実施態様では、患者は、LNを有する小児のヒト患者である。小児患者を定義するために使用される年齢の上限は、専門家の間で異なり、21歳という年齢までの青年が含まれ得る(例えば、Berhman et a.(1996)Nelson Textbook of Pediatrics,15th Ed.Philadelphia:W.B.Saunders Company;Rudolph AM,et al.(2002)Rudolph’s Pediatrics,21st Ed.New York:McGraw-Hill;及びAvery(1994)First LR.Pediatric Medicine,2nd Ed.Baltimore:Williams&Wilkinsを参照のこと)。本明細書で使用する場合、用語「小児の」は、一般に、16歳又はそれ以下(これは、米国FDAによって使用されるヒト小児の定義である)であるヒトを指す。
いくつかの実施形態では、患者は、活動性LN(共存するクラスVの特徴を伴う、若しくは伴わないISN/RPSのクラスIII、IVの活動性糸球体腎炎、又は純粋なクラスVの膜状)を有するヒト患者である。
いくつかの実施形態では、小児患者には、SC用量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、患者の体重にかかわらず、約150mg~約300mg(例えば、150mg又は300mg)の用量として4週毎に(月1回)投与される。
いくつかの実施形態では、小児患者には、SC用量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、患者の体重が<25kgである場合に約75mg、又は患者の体重が>25kgである場合に約150mgの用量として4週毎に投与される。いくつかの実施形態では、小児患者には、SC用量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、約150mg又は約300mgの用量として4週毎に投与される。
いくつかの実施形態では、小児患者には、SC用量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、約300mgの用量として4週毎に投与される。
いくつかの実施形態では、小児患者には、IV用量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、約3mg/kg~約9mg/kgで投与される。
医薬組成物
開示した方法において使用するための医薬組成物は、従来の様式で作製することができる。
抗BAFFR抗体又は抗原結合断片(例えばイアナルマブ)は、薬学的に許容される担体と組み合わされる場合、医薬組成物として使用することができる。こうした組成物は、抗BAFFR抗体に加えて、担体、様々な希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、及び当該技術分野で公知の他の材料を含有してもよい。担体の特徴は、投与経路に依存することになる。開示した方法において使用するための医薬組成物はまた、特定の標的の障害を治療するための追加の治療薬を含有してもよい。例えば、医薬組成物はまた、抗炎症剤を含んでもよい。こうした追加の因子及び/又は薬剤を医薬組成物中に含ませ、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブとの相乗効果をもたらすことができる。好ましい実施形態では、開示した方法において使用するための医薬組成物は、イアナルマブを150mg/mlで含む。
開示した方法に使用するための医薬組成物は、従来の方式で製造することができる。一実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥形態で提供される。即時投与のために、これは、好適な水性の担体、例えば注射のための滅菌水又は滅菌した緩衝生理食塩水に溶解される。再構成凍結乾燥剤は、「再構成剤」と呼ばれる。ボーラス注射ではない注入による投与のためのより大きい体積の溶液を構成することが望ましいと考えられる場合、製剤時、ヒト血清アルブミン又は患者自身のヘパリン処理した血液を生理食塩水に組み込むことが好都合である可能性がある。過剰量のこうした生理学的に不活性なタンパク質の存在は、注入溶液と共に使用される容器及び管の壁への吸着による抗体の喪失を予防する。アルブミンが使用される場合、好適な濃度は、生理食塩溶液の重量に対して0.5~4.5%である。他の製剤は、すぐに使用できる液体製剤を含む。
抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを含む例示的な医薬組成物は、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2012/076670号パンフレット及び国際公開第2013/186700号パンフレットに開示されている。一実施形態では、医薬組成物は、典型的には、注入による、又は本発明の医薬組成物を含む送達装置(例えば、シリンジ)(例えば、プレフィルドシリンジ)を介する投与が提供される。
組み合わせ
開示した方法により、LN患者の治療が提供されることが理解される一方で、その治療法は、必ずしも単独療法でない。確かに、患者が抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療のために選択される場合、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、単独、又はLN患者を治療するための他の薬剤及び治療法との組み合わせ、例えば少なくとも1つの追加のLN治療、例えば標準治療(SoC)での治療との組み合わせのいずれかの本開示の方法に従って投与することができる。
様々な療法は、LNの治療中の、開示した抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブと有益に組み合わせることができる。開示した抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの全身治療において使用されるLN薬剤の非限定的な例としては、IL-17アンタゴニスト(イキセキズマブ、ブロダルマブ、CJM112)、ステロイド(例えば、コルチコステロイド、例えば、グルココルチコイド、例えば、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンなど)、例えば、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロスポリンA、リツキシマブ、オクレリズマブ、アバタセプト、アザチオプリン(AZA)、カルシニューリン阻害剤、シクロスポリンA、タクロリムス、シクロホスファミド(CYC)、ミコフェノール酸(MPA)(その塩を含む)、ボクロスポリン、ベリムマブ、ウステキヌマブ、イグラチモド、アニフロルマブ、BI655064、CFZ533及びそれらの組み合わせが挙げられる。抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブと共に開示したキット、方法、及び使用において使用するための好ましいLN薬剤は、コルチコステロイド、(例えば、グルココルチコイド、例えば、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、ミコフェノール酸(MPA)(その塩を含む)、(集合的に「MPA」)、シクロホスファミド(CYC)及びそれらの組み合わせである。
当業者は、イアナルマブなどの開示した抗BAFFR抗体との共送達のための、上述のLN薬剤の適切な投薬量を認識することができるであろう。例えば、Hahn et al.(2012)Arthritis Care Res(Hoboken)64(6):797-808を参照のこと。
抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、好都合には、非経口的に、例えば静脈内に(例えば、肘前他の末梢静脈に)、筋肉内に又は皮下に投与される。本開示の医薬組成物を使用する静脈内(IV)療法の期間は、治療される疾患及び状態の重症度並びにそれぞれ個々の患者の個別の反応に応じて変動する。企図されるのは、本開示の医薬組成物を使用する皮下(SC)療法でもある。医療提供者は、本開示の医薬組成物を使用する、IV又はSC療法の適切な期間及びこの療法の投与のタイミングを決定する。
好ましい実施形態では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、皮下(SC)経路を介して投与される。
抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、患者に、例えば約150mg~約300mg(例えば、約150mg、約300mg)で月1回(4週毎に)SC投与することができる。
いくつかの実施形態では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、患者に、約2mg/kg~約9mg/kg(好ましくは約3mg/kg)の用量で4週毎に(月1回)静脈内(IV)投与できることが企図される。
ある種の患者、例えば、治療の第10週、第12週、第14週、第16週、第18週、第20週、第22週、第24週、第48週、第52週、又は第104週までに、IL-17アンタゴニスト、例えば抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療に対して、(例えば、本明細書で開示したLNスコアリングシステムのいずれか、例えば、CPR、PRR、推定糸球体濾過率(eGFR)、24時間尿タンパク質対クレアチニン比、慢性疾病療法-疲労の機能的評価(FACIT-Fatigue(著作権))、短期健康調査(SF-36身体的側面のサマリー(PCS)、ループスの生活の質(LupusQoL)などによって測定された場合に)不適切な反応を呈するLN患者にとっては、用量漸増が必要とされる可能性があることが理解されよう。したがって、イアナルマブのSC用量は、約150mg~約300mgのSC、例えば、約200mg、約250mg(元々150mg用量の場合)、約350mg、約450mg(元々300mg用量の場合)などよりも大きい可能性があり;同様に、IV投薬量は、約2mg/kg~約9mg/kg、例えば、約2.5mg/kg、約3mg/kg、4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg(例えば、元々2mg/kg用量の場合)、約9.5mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg(元々9mg/kg mg用量の場合)などよりも大きい可能性がある。
同様に、より頻回の投与は、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療中に使用することができる。これらの患者は、(増加用量よりむしろ)より頻回の投与に転換することができ、例えば、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブの4週毎(月1回;Q4w)の投与から2週毎(Q2w)又は毎週(Q1w)の投与に転換することができる。この転換は、例えば、治療の10週目、12週目、14週目、16週目、18週目、20週目、22週目、24週目、48週目、52週目、又は104週目に、医師による必要な決定の通りに、行うことができる。
用量減量は、特に、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療に対して強固な治療反応、又は有害事象/反応を呈する特定の患者、例えばLP(例えば、CLP、MLP、LLP)患者のためにも使用できることも理解されるであろう。したがって、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブの用量は、約150mg~約300mg未満のSC、例えば、約250mg、約200mg、約150mg(元の300mg用量の場合);約100mg、約50mg(元の150mg用量の場合)などに減量させることができる。同様に、IV用量は、約8mg/kg未満、例えば、約7mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kgなどに減量させることができる。
いくつかの実施形態では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、送達した300mg又は150mgの初期用量で患者にSC投与することができ、次いで用量は、必要な場合、医師による決定の通りに、約450mg(元の300mg用量の場合)又は約300mg(元の150mg用量の場合)まで増量される。
同様に、あまり頻回でない投与は、例えば、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療に対して特に強固な治療反応、又は有害事象/反応を有する患者において使用することができる。これらの患者は、(減少用量よりむしろ)あまり頻回でない投与に転換することができ、例えば、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブの4週毎(月1回;Q4w)の投与から6週毎(Q6w)又は8週毎(Q8w)の投与に転換することができる。この転換は、例えば、治療の10週目、12週目、14週目、16週目、18週目、20週目、22週目、24週目、48週目、52週目、又は104週目に、医師による必要な決定の通りに、行うことができる。
本明細書で使用する場合、「固定用量」は、一定の用量、すなわち、患者の特性にかかわらず変更されない用量を指す。したがって、固定用量は、体表面積に基づく用量又は体重に基づく用量(典型的にはmg/kgとして与えられる)などの可変の用量とは異なる。開示した方法、使用、医薬組成物、キットなどのいくつかの実施態様では、LN患者は、固定用量の抗BAFFR抗体、例えば、固定用量のイアナルマブ、例えば、固定用量の約75mg~約450mgのイアナルマブ、例えば、約75mg、約150mg、約300mg、約400mg、又は約450mgのイアナルマブを投与される。或いは、いくつかの実施態様では、患者は、体重に基づく用量、例えば、kgでの患者の体重に基づくmg(mg/kg)で与えられる用量で投与される。
本明細書で使用する場合、表現「[指定された用量]の[投与経路]送達を可能にするための投薬量で製剤化される」は、所与の医薬組成物を用いて、指定された投与経路(例えば、SC又はIV)を介して、所望される用量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを提供することができることを意味するために使用される。一例として、所望されるSC用量が300mgである場合、臨床医は、150mg/mlの濃度を有する抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブ製剤の2ml、300mg/mlの濃度を有する抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブ製剤の1ml、600mg/mlの濃度を有する抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブ製剤の0.5mlなどを使用することができる。こうした各場合において、これらの抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブ製剤は、抗BAFFR抗体の皮下送達を可能にするのに十分に高い濃度である。皮下送達は、典型的には、約2ml以下の体積、好ましくは約1ml以下の体積の送達を必要とする。好ましい製剤は、約50mg/mL~約150mg/mLイアナルマブ、約10mM~約30mMヒスチジン、約200mM~約225mMスクロース、約0.02%~約0.05%ポリソルベート20を含み、好ましくは約6.0~約6.5のpHを有する、すぐに使用できる液体医薬組成物である。
本明細書で使用する場合、表現「[指定された用量]の送達を可能にするのに十分な量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを有する容器」は、所与の容器(例えば、バイアル、ペン、シリンジ)が、所望される用量を提供するために使用することができる、(例えば、医薬組成物の一部としての)ある体積の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブをその中に配置していることを意味するために使用される。一例として、所望される用量が300mgである場合、臨床医は、150mg/mlの濃度を有する抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブ製剤を含有する容器からの2mL、300mg/mlの濃度を有する抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブ製剤を含有する容器からの1mL、600mg/mlの濃度を有する抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブ製剤を含有する容器からの0.5mLなどを使用することができる。こうした各場合において、これらの容器は、所望される300mg用量の送達を可能にするのに十分な量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを有する。
開示した使用、方法、及びキットのいくつかの実施態様では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブの用量は、約300mgであり、抗BAFFR抗体(例えばイアナルマブ)又はその抗原結合断片は、150mg/mlの濃度で液体医薬製剤中に含まれ、2mlの医薬製剤が、2本のプレフィルドシリンジ、ペン型注射器、又は自己注射器(それぞれ1mlの医薬製剤を有する)に配分される。この場合、患者は、各投与中、300mgの総用量について、それぞれ1mlの2回の注射を受ける。いくつかの実施態様では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブの用量は、約300mgであり、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、150mg/mlの濃度で液体医薬製剤中に含まれ、2mlの医薬製剤が、自己注射器又はPFSに配分される。この場合、患者は、各投与中、300mgの総用量について、2mlの1回の注射を受ける。2mlの1回の注射を用いる(例えば、単回のPFS又は自己注射器を介する)方法(すなわち「単回投与調製物」)では、薬物曝露(AUC)及び最大濃度(Cmax)は、1mlの2回の注射を用いる(例えば、2回のPFS又は2回のAIを介する)方法(すなわち、「反復投与調製物」)と等しい(同様である、すなわち、米国FDA標準による許容変動の範囲内である)。
したがって、本明細書で開示したのは、LNを治療する方法であって、それを必要とする患者に、約150mg~約300mgの用量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを月1回(4週毎に)皮下(SC)投与することを含む方法である。
本明細書で開示したのは、LNを治療する方法であって、それを必要とする患者に、約150mg~約300mg(例えば、約150mg、約300mg)の用量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを月1回(4週毎に)皮下(SC)投与することを含む方法である。さらに本明細書で開示したのは、LNを治療するための医薬品の製造において使用するための、それを必要とする患者に、約150mg~約300mg(例えば、約150mg、約300mg)の用量の抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを月1回(4週毎に)皮下(SC)投与されるべき抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブである。
本明細書で開示したのは、LNを治療する方法であって、それを必要とする患者に、約150mg~約300mgの用量の抗BAFFR抗体、例えば約150mg~約300mgの用量のイアナルマブSCを2週毎に皮下(SC)投与することを含む方法である。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施形態では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブの用量は、約150mg又は約300mgである。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施態様では、患者は、治療の第52週までに完全腎奏功(CRR)、治療の第52週までに部分腎奏功(PPR)、治療の第52週までにUPCRの改善、治療の第52週までにeGFRの改善、治療の第52週までにステロイド減量(例えば、1日<11mgの用量に)、治療の第52週までに不活性尿沈渣(細胞円柱なし)、治療の第52週までにFACIT-F疲労スコアの改善、又はこれらのあらゆる組み合わせを達成する。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施態様では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療の前に、患者には、ミコフェノール酸(MPA)又はシクロホスファミド(CYC)、及び任意選択的に少なくとも1種のステロイドが投与された。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施態様では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療の前に、LNは、MPA又はCYC、及び任意選択的に少なくとも1種のステロイドでの以前の治療によって不適切にコントロールされた。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施態様では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療中に、患者には、MPA又はCYC、及び任意選択的に少なくとも1種のステロイドが同時に投与された。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施態様では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療中、患者に投与されるMPA又はCYCの用量は低下させられるが、ここで患者は前記減少の結果として急性増悪を経験しない。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施態様では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療中、患者に投与される少なくとも1種のステロイドの用量は、漸減レジメンを用いて低下させられ、ここで患者は前記減量の結果として急性増悪を経験しない。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、活動性LNを有する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、国際腎臓学会/腎病理学会(ISN/RPS)のクラスIII又はIVのLNを有する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、ISN/RPSクラスのIIIのINは、クラスIII(C)ではない。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、ISN/RPSクラスのIVのLNは、クラスIV-S(C)又はIV-G(C)ではない。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、ISN/RPSのクラスVのLNの特徴を有する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者には追加して、リツキシマブ、オクレリズマブ、アバタセプト、アザチオプリン、カルシニューリン阻害剤、シクロスポリンA、タクロリムス、シクロホスファミド、ミコフェノール酸、ボクロスポリン、ベリムマブ、ウステキヌマブ、イグラチモド、アニフロルマブ、BI655064、CFZ533、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のLN薬剤が投与される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、成人である。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブは、医薬製剤中に配分され、ここで前記医薬製剤は、緩衝液及び安定剤をさらに含む。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、医薬製剤は、液体医薬製剤である。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、医薬製剤は、凍結乾燥医薬製剤である。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、医薬製剤は、少なくとも1本のプレフィルドシリンジ、少なくとも1本のバイアル、少なくとも1本のペン型注射器、又は少なくとも1本の自己注射器中に配分される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、少なくとも1本のプレフィルドシリンジ、少なくとも1本のバイアル、少なくとも1本のペン型注射器、又は少なくとも1本の自己注射器がキット中に配分され、及び前記キットは、使用のための説明書をさらに含む。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施形態では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブの用量は、約300mgであり、これは、150mg/mlの抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを含む製剤から2ミリリットル(mL)の総体積の単回皮下投与として患者に投与され、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブへの患者の薬理学的曝露は、同じ製剤のそれぞれ1mlの総体積の2回の別の皮下投与を使用する抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブへの患者の薬理学的曝露と等しい。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施形態では、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブの患者に投与される用量は、300mgであり、これは、150mg/mlの抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを含む製剤からのそれぞれ1mlの体積の2回の別の皮下投与として投与される。
本開示の好ましい実施形態では、前記方法がLNを有する患者の集団を治療するために使用される場合、少なくとも50%の前記患者が、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療中にステロイドの漸減レジメン後に<10mg/日のステロイド1日量を達成する。
本開示の好ましい実施形態では、前記方法がLNを有する患者の集団を治療するために使用される場合、少なくとも50%の前記患者が、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの治療中にステロイドの漸減レジメン後に<5mg/日のステロイド1日量を達成する。
本開示の好ましい実施形態では、前記方法がLNを有する患者の集団を治療するために使用される場合、少なくとも15%の前記患者が、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの52週の治療後にCRRを達成する。
本開示の好ましい実施形態では、前記方法がLNを有する患者の集団を治療するために使用される場合、少なくとも20%の前記患者が、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブでの52週の治療後にCRRを達成する。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施形態では、患者は、52週までにUPCRにおける>75%の改善を達成する。
開示した方法、使用及びキットの好ましい実施形態では、患者は、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブで少なくとも1年間治療される。
本開示の好ましい実施形態では、抗BAFFR抗体は、イアナルマブである。
本明細書で開示したのは、標準LN療法での以前の治療に対して過去に不適切な反応を示した活動性LNを有する成人患者を治療する方法であって、前記患者に、4週毎に(月1回)、約300mgの用量のイアナルマブを皮下投与することを含み、さらに、前記患者に標準LN療法を同時に施すことを含み、前記患者がISN/RPSのクラスIII又はIVのLNを有する方法である。
本明細書で開示したのは、活動性ループス腎炎を有する患者(例えば、成人患者)を治療する方法であって、前記患者に、4週毎に(月1回)、約300mgの用量のイアナルマブを皮下投与することを含み、さらに、前記患者に標準LN療法を同時に施すことを含む、方法である。
本明細書で開示したのは、活動性ループス腎炎を有する患者(例えば、成人患者)を治療する方法であって、前記患者に、4週毎に(月1回)、約300mgの用量のイアナルマブを皮下投与することを含み、さらに、前記患者に標準LN療法を同時に施すことを含み、前記患者がISN/RPSのクラスIII又はIVのLNを有する、方法である。
いくつかの実施形態では、標準LN療法は、MPA又はシクロホスファミド(CYC)、及び任意選択的に、ステロイドでの治療を含む。
本明細書で開示したのは、活動性ループス腎炎を有する患者(例えば、成人患者)を治療する方法であって、前記患者に、4週毎に(月1回)、約300mgの用量のイアナルマブを皮下投与することを含む方法である。
本明細書で開示したのは、LNを有する患者(例えば、成人患者)を治療する方法であって、患者に、4週毎に(月1回)、約3mg/kgの用量のイアナルマブを静脈内(IV)投与することを含む方法である。
本明細書で開示したのは、活動性ループス腎炎を有する患者(例えば、成人患者)を治療する方法であって、患者に、4週毎に、約3mg/kg~約9mg/kg(好ましくは約3mg/kg)の用量のイアナルマブを静脈内(IV)投与することを含む方法である。
キット
本開示は、LNを治療するためのキットも包含する。こうしたキットは、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブ(例えば、液体若しくは凍結乾燥形態で)、又は抗BAFFR抗体を含む医薬組成物(上に記載)を含む。さらに、こうしたキットは、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを投与するための手段(例えば、自己注射器、シリンジ及びバイアル、プレフィルドシリンジ、プレフィルドペン)及び使用のための説明書を含むことができる。これらのキットは、LNを治療するための、例えば封入された抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブと組み合わせた送達のための追加のHS治療薬(上に記載)を含有することができる。こうしたキットは、LN患者を治療するための抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブの投与のための説明書も含むことができる。こうした説明書は、封入された抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブと共に使用するための、用量(例えば、3mg/kg、6mg/kg、150mg、300mg)、投与経路(例えば、IV、SC)及び投薬レジメン(例えば、毎週、毎月、毎週の後に毎月、毎週の後に1週おきに)を提供することができる。
表現「投与するための手段」は、限定はされないが、プレフィルドシリンジ、バイアル及びシリンジ、ペン型注射器、自己注射器、点滴静注バッグ、ポンプなどを含めた、患者に薬物を全身的に投与するためのあらゆる利用可能な道具を示すために使用される。こうしたものを用いて、患者が薬物を自己投与する(すなわち薬物を医師の補助を受けずに投与する)ことができ、又は医師が薬物を投与することができる。いくつかの実施態様では、300mgの総用量が、それぞれが150mg/mlの抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを有する1mlの体積を含有する2つのPFS又は自己注射器に配分された2mlの総体積で送達されることとなる。この場合、患者は、2回の1ml注射(反復投与調製物)を受ける。好ましい実施態様では、300mgの総用量が、単一のPFS又は自己注射器に配分された150mg/mlの抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを有する2mlの総体積で送達されることとなる。この場合、患者は、1回の2ml注射(単回投与調製物)を受ける。
本明細書で開示したのは、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブと、LN患者に抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを投与するための手段とを含む、LNを有する患者を治療するのに使用するためのキットである。いくつかの実施態様では、キットは、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを投与するための使用のための説明書をさらに含むが、ここで説明書は、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブが、4週毎に、約150mg~約300mg(例えば、約150mg、約300mg)の用量で患者にSC投与されるべきであることを示す。いくつかの実施態様では、キットは、抗BAFFR抗体、例えばイアナルマブを投与するための説明書をさらに含み、例えば、イアナルマブは、4週毎に(月1回)、約3mg/kg~約9mg/kg(好ましくは約3mg/kg)の用量で患者に静脈内(IV)投与されるべきである。
全般
開示した方法、キット、又は使用の最も好ましい実施形態では、抗BAFFR抗体は、イアナルマブである。
開示した方法、キット、又は使用の好ましい実施形態では、用量サイズは一定であり(「固定」用量とも称され、これは、体重に基づく又は体表面積に基づく投薬とは異なる)、用量は300mgであり、投与経路はSCであり、レジメンは、4週毎の投与である。
開示した方法、キット、又は使用の他の実施形態では、用量サイズは、体重に基づき、用量は、3mg/kgであり、投与経路は、IVであり、レジメンは、4週毎の投与である。
本開示の1つ又は複数の実施形態の詳細は、上の随伴する説明に記述されている。本明細書に記載したものと類似の又は均等なあらゆる方法及び材料を本開示の実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料をここで記載する。本開示の他の特徴、目的及び利点は、この説明及び特許請求の範囲から明らかであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形には、文脈によって他に明確に指示されない限り、複数の指示内容が含まれる。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に引用したすべての特許及び刊行物を参照によって組み込む。以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態をより詳細に説明するために与えられる。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示した主題の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。
実施例1:活動性ループス腎炎を有する患者における標準療法と組み合わせた、イアナルマブの有効性、安全性及び忍容性を評価するための無作為化、二重盲検、並行群、プラセボ対照、多施設第3相試験
試験の目的
本試験の目的は、(2003年国際腎臓学会(ISN)/腎病理学会(RPS)基準を用いた、同時に存在するクラスVの特徴を伴う、又は伴わないISN/RPS分類のクラスIII又はIVの)活動性ループス腎炎を有する対象において、標準療法(SoC)と組み合わせて、プラセボと比較した、皮下(SC)イアナルマブ300mgの有効性及び安全性を評価することである。
バックグラウンドSoCは、等価用量(経口)でのミコフェノール酸(MPA)(ミコフェノール酸モフェチル(MMF)(Cellcept(登録商標)若しくはジェネリックの同等薬剤)を指す、又は腸溶コーティングMPAナトリウム(Myfortic(登録商標)若しくはジェネリックの同等薬剤)、又はシクロホスファミド(CYC)(静脈内(i.v.))での導入療法、その後のMPAを用いる維持療法から構成されることになる。さらに、全対象はi.v.及び/又は経口コルチコステロイドを摂取することになる。
これは、標準療法の治療を受けている活動性LNの患者における、プラセボに対する、月1回皮下投与される300mgの用量のイアナルマブを評価する、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、多施設2アーム試験である。
試験は、以下の期間からなる:
スクリーニング期間(最大6週):ACR/EULARのSLE分類及び活動性LN基準(腎生検評価を含む)を満たしている患者が適格性について評価される。
盲検治療期間#1(18か月):ベースライン訪問時、適格患者は、イアナルマブ300mg又はプラセボのいずれかを月1回摂取するため、1:1の比で無作為に割り当てられる。試験治療薬の全部で18回の月1回投与が、SoCバックグラウンド療法に加えて、17か月にわたって実施される。試験治療薬は、プレフィルドシリンジ(PFS)を使用し、それぞれ1mLの2回の皮下(S.C.)注射として投与される。
盲検治療期間#2(18か月):18か月目の訪問時、第1の盲検治療期間を完了している全ての患者は、イアナルマブ300mgを月1回又は3か月に1回のいずれかに摂取するため、1:1の比で無作為に再割り当てられる。18か月目に開始して、全患者は、イアナルマブ300mgを月1回皮下に、又はイアナルマブ300mgを3か月に1回皮下に摂取し、36か月目に最終投与を受ける。
安全性フォローアップ:(18か月目以前に)盲検期間#1若しくは(36か月目以前に)盲検治療期間#2の試験治療薬を早期に中断している、又は36か月目に両方の治療期間を完了している患者は、治療後フォローアップに移行することになる。
患者は、B細胞回収又は試験治療薬の最終投与後最大2年まで、少なくとも5か月間(強制的なフォローアップ)又はより長期間(条件付きフォローアップ)従うことになる。
用量及びレジメンについての理論的根拠
本試験における投薬レジメンは、18か月の治療期間にわたる、月1回、300mgの皮下イアナルマブとなる。発明者らのデータは、イアナルマブが、試験がなされている、自己免疫疾患における用量-曝露-反応曲線のプラトーで機能することを強く示唆し、これは、LNにおいて同様にこの用量レベルを選択するための理由の1つである。
薬物動態シミュレーションの結果は、患者が35kgまで体重減少すると、彼らのイアナルマブへの曝露が、体重が70kgの患者の曝露の2倍を超えることがないことを示唆する。
にもかかわらず、腎損傷に起因し、LNを有する患者において、タンパク尿が一般に認められることは注目される必要がある。生物製剤のPKに対する腎障害の効果は、化合物が、主に分子量(MW)によって駆動される糸球体濾過を受ける能力に依存している。69kDaを超えるMWを有する生物製剤では、通常、腎クリアランスが排出における最低限の役割を発揮する(Meibohm 2012)。イアナルマブは、147kDaのMWを有し、それ故、腎障害がイアナルマブのPKを変化させることは予想されない。
イアナルマブ300mgのq4wでは、迅速且つ持続的なB細胞枯渇がもたらされ、バイオマーカーの結果に基づき、持続的なBAFF-Rの遮断が示唆される。イアナルマブ300mgのq4wは、好ましい安全性特性を有し;主に軽度の局所注射部位反応以外の用量関連安全性の観察結果が認められない。
3か月毎に(q12w、年4回)投与されたイアナルマブ300mgは、循環B細胞の枯渇及びそれに関連した臨床効果を維持することが予想される。
実施例2:全身性エリテマトーデス(SLE)を有する患者におけるVAY736の薬力学、薬物動態、安全性、忍容性及び有効性を評価するための、プラセボ対照の患者及び治験責任医師の盲検化された無作為化並行コホート試験
これは、標準治療を受けているSLEを有する患者における、月1回皮下投与された300mgの用量のイアナルマブをプラセボに対して評価する、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、多施設2アーム試験である。
結果:
持続的なプレドニゾロンの減量≦5mg/日の下で、SRI-4の28週目に複合一次エンドポイントを達成した試験患者の割合は、イアナルマブの場合、プラセボの場合よりも42%大きかった。また、イアナルマブは、プラセボよりも、中等度急性増悪の発生率又は重度急性増悪の発生率(それぞれ、45%対73%)及び最初の急性増悪までの時間(それぞれ、中央値に達しない対11.9週)について良好であった。28週目、イアナルマブとプラセボとの間の差異は、SRI-4反応を達成している患者の割合については50%、コルチコステロイド使用の低減については34%、これら2つの転帰の一次複合エンドポイントについては43%、ループス低疾患活動性状態(LLDAS)については20%、及びBILAGベースの複合ループス評価(BICLA)については31%であった。イアナルマブは、28週の盲検治療期間中、並びに非盲検治療期間中(28週目~52週目)及びそれに続く安全性フォローアップ期間中に検出される新たな安全性シグナルを全く伴わずに、十分な耐容性があった。
具体的な実施形態、参考文献の引用
様々な具体的な実施形態が例示及び説明されている一方で、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることは理解されるであろう。本開示は、以下に記載される付番された実施形態によって例示される。
1.それを必要とする対象におけるLNの治療において使用するための、治療有効用量で投与させるべきである、抗BAFFR抗体又はその結合断片。
2.配列番号3、配列番号4、及び配列番号5のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3、並びに配列番号6、配列番号7、及び配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む、実施形態1に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
3.配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、実施形態1又は実施形態2に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
4.イアナルマブ又はその結合断片である、実施形態1~3のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
5.50mg~300mgの用量で投与されるべきである、実施形態1~4のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
6.150mg~300mgの用量で投与されるべきである、実施形態5に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
7.150mgの用量で投与されるべきである、実施形態5に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
8.300mgの用量で投与されるべきである、実施形態5に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
9.約1mg/kg~約10mg/kgの用量で投与されるべきである、実施形態1~4に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
10.3mg/kgの用量で投与されるべきである、実施形態9に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
11.6mg/kgの用量で投与されるべきである、実施形態9に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
12.9mg/kgの用量で投与されるべきである、実施形態9に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
13.それを必要とする対象に2週(+/-3日)毎に1回投与されるべきである、実施形態1~12のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
14.それを必要とする対象に4週(+/-3日)毎に1回投与されるべきである、実施形態1~13のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片
15.それを必要とする対象に静脈内投与されるべきである、実施形態9~12のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
16.それを必要とする対象に皮下投与されるべきである、実施形態5~8のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
17.LNの治療のための単独療法として投与されるべきである、実施形態1~16のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
18.1つ又は複数の追加薬剤と組み合わせて投与されるべきである、実施形態1~17のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
19.抗BAFFR抗体又はその結合断片での治療の前に、患者に、ミコフェノール酸(MPA)又はシクロホスファミド(CYC)、及び任意選択的に少なくとも1種のステロイドが投与された、実施形態1~18のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
20.抗BAFFR抗体又はその結合断片での治療の前に、LNは、MPA又はCYC、及び任意選択的に少なくとも1種のステロイドでの以前の治療によって不適切にコントロールされた、実施形態1~19のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
21.抗BAFFR抗体又はその結合断片での治療中、患者に、MPA又はCYC、及び任意選択的に少なくとも1種のステロイドが同時に投与される、実施形態1~18のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
22.抗BAFFR抗体又はその結合断片での治療中、患者に投与されるMPA又はCYCの用量は低減され、且つ患者は、前記減量の結果として急性増悪を経験しない、実施形態21に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
23.抗BAFFR抗体又はその結合断片での治療中、患者に投与された少なくとも1種のステロイドの用量は、漸減レジメンを用いて低減され、且つ患者は、前記減量の結果として急性増悪を経験しない、実施形態21又は22に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
24.患者は、随伴するプラーク型乾癬を有しない、実施形態1~23のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
25.患者が活動性LNを有する、実施形態1~24のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
26.患者が国際腎臓学会/腎病理学会(International Society of Nephrology/Renal Pathology Society)(ISN/RPS)のクラスIII又はIVのLNを有する、実施形態1~25のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
27.ISN/RPSのクラスIIIのINは、クラスIII(C)ではない、実施形態26に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
28.ISN/RPSのクラスIVのLNは、クラスIV-S(C)又はIV-G(C)ではない、実施形態26に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
29.患者は、ISN/RPSのクラスVのLNの特徴を有する、実施形態1~28のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
30.前記患者は、治療の1年後、完全腎奏効(CRR)を達成する、実施形態1~29のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
31.前記患者は、治療の1年後、部分腎奏効(PRR)を達成する、実施形態1~30のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
32.患者は、リツキシマブ、オクレリズマブ、アバタセプト、アザチオプリン、カルシニューリン阻害剤、シクロスポリンA、タクロリムス、シクロホスファミド、ミコフェノール酸、ボクロスポリン、ベリムマブ、ウステキヌマブ、イグラチモド、アニフロルマブ、BI655064、CFZ533、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のLN剤がさらに投与される、実施形態1~31のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
33.患者は、成人である、実施形態1~32のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
34.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、医薬製剤中に配置され、前記医薬製剤は、緩衝液及び安定剤をさらに含む、実施形態1~33のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
35.医薬製剤は、液体医薬製剤である、実施形態34に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
36.医薬製剤は、凍結乾燥医薬製剤である、実施形態34に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
37.医薬製剤は、少なくとも1本のプレフィルドシリンジ、少なくとも1本のバイアル、少なくとも1本のインジェクションペン、又は少なくとも1本の自己注射器中に配分される、実施形態34~36に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
38.少なくとも1本のプレフィルドシリンジ、少なくとも1本のバイアル、少なくとも1本のインジェクションペン、又は少なくとも1本の自己注射器は、キット中に配分され、さらに、前記キットは、使用のための説明書を含む、実施形態37に従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
39.抗BAFFR抗体又は結合断片の用量は、300mgであり、これは、150mg/mlの抗BAFFR抗体又は結合断片を含む製剤からの2ミリリットル(mL)の総体積の単回皮下投与として患者に投与され、抗BAFFR抗体又は結合断片への患者の薬理学的曝露は、同じ製剤のそれぞれ1mlの総体積の2回の別の皮下投与を使用する抗BAFFR抗体又は結合断片への患者の薬理学的曝露と等しい、実施形態1~38のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
40.患者に投与される抗BAFFR抗体又はその結合断片の用量は、300mgであり、これは、150mg/mlの抗BAFFR抗体又はその結合断片を含む製剤からのそれぞれ1mlの体積の2回の別の皮下投与として投与される、実施形態1~38のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
41.ヒトモノクローナル抗体である、実施形態1~40のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
42.IgG1/κアイソタイプに属する、実施形態1~41のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
43.少なくとも50%の前記患者が、抗BAFFR抗体又はその結合断片での治療中にステロイドの漸減レジメン後に<10mg/日のステロイド1日量を達成する、LNを有する患者の集団を治療するための使用のための実施形態1~42のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
44.前記方法がLNを有する患者の集団を治療するために使用される場合、少なくとも50%の前記患者が、抗BAFFR抗体又はその結合断片での治療中にステロイドの漸減レジメン後に<5mg/日のステロイド1日量を達成する、実施形態1~43のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
45.前記方法がLNを有する患者の集団を治療するために使用される場合、少なくとも15%の前記患者が、抗BAFFR抗体又はその結合断片での52週の治療後にCRRを達成する、実施形態1~44のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
46.前記方法がLNを有する患者の集団を治療するために使用される場合、少なくとも20%の前記患者が、抗BAFFR抗体又はその結合断片での52週の治療後にCRRを達成する、実施形態1~45のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
47.患者は、52週までにUPCRにおける>75%の改善を達成する、実施形態1~46のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
48.患者は、抗BAFFR抗体又はその結合断片で少なくとも1年間治療される、実施形態1~47のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
49.イアナルマブである、実施形態1~48のいずれか1つに従う使用のための抗BAFFR抗体又はその結合断片。
50.標準LN療法での以前の治療に対して過去に不適切な反応を示した活動性LNを有する成人患者を治療する方法であって、前記患者に、4週毎に、約300mgの用量のイアナルマブを皮下投与することを含み、さらに、前記患者に標準LN療法を同時に施すことを含み、前記患者がISN/RPSのクラスIII又はIVのLNを有する方法。
51.活動性ループス腎炎を有する患者(例えば、成人患者)を治療する方法であって、前記患者に、4週毎に、約300mgの用量のイアナルマブを皮下投与することを含み、さらに、前記患者に標準LN療法を同時に施すことを含む、方法。
52.活動性ループス腎炎を有する患者(例えば、成人患者)を治療する方法であって、前記患者に、前記4週毎に、約300mgの用量のイアナルマブを皮下投与することを含み、さらに、前記患者に標準LN療法を同時に施すことを含み、前記患者がISN/RPSのクラスIII又はIVのLNを有する、方法。
53.前記標準LN療法は、MPA又はシクロホスファミド(CYC)、及び任意選択的にステロイドでの治療を含む、実施形態50~52のいずれか1つの方法。
54.活動性ループス腎炎を有する患者(例えば、成人患者)を治療する方法であって、前記患者に、2週毎に、約300mgの用量のイアナルマブを皮下投与することを含む方法。
55.LNを有する患者(例えば、成人患者)を治療する方法であって、患者に、4週毎に、約3mg/kgの用量のイアナルマブを静脈内(IV)投与することを含む方法。
56.活動性ループス腎炎を有する患者(例えば、成人患者)を治療する方法であって、患者に、4週毎に、約3mg/kg~約9mg/kg(好ましくは約3mg/kg)の用量のイアナルマブを静脈内(IV)投与することを含む方法。
57.LNを有する対象を治療する方法であって、対象に、治療有効用量の抗BAFFR抗体又はその結合断片を投与することを含む方法。
58.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3、並びに配列番号6、配列番号7、及び配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む、実施形態57の方法。
59.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、実施形態57又は実施形態58の方法。
60.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、イアナルマブ又はその結合断片である、実施形態57~59のいずれか1つの方法。
61.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、1mg/kg~10mg/kgの用量で投与される、実施形態57~60のいずれか1つの方法。
62.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、3mg/kg~10mg/kgの用量で投与される、実施形態61の方法。
63.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、1mg/kgの用量で投与される、実施形態61の方法。
64.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、3mg/kgの用量で投与される、実施形態61の方法。
65.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、6mg/kgの用量で投与される、実施形態61の方法。
66.抗BAFFR抗体又はその結合断片は投与され、抗BAFFR抗体又はその結合断片は、9mg/kgの用量で投与される、実施形態61の方法。
67.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、対象に4週(+/-3日)毎に1回投与される、実施形態50~63のいずれか1つの方法。
68.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、対象に静脈内投与される、実施形態50~79のいずれか1つの方法。
69.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、LNにおける単独療法として投与される、実施形態50~80のいずれか1つの方法。
70.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、本明細書で開示した1つ又は複数の追加のLN剤と組み合わせて投与される、実施形態50~80のいずれか1つの方法。
71.LNを有する対象を治療するための薬剤の製造における抗BAFFR抗体の使用であって、任意選択的に薬剤は、1つ又は複数の追加薬剤との組み合わせ投与のためであり、任意選択的に1つ又は複数の追加薬剤は、リツキシマブ、オクレリズマブ、アバタセプト、アザチオプリン、カルシニューリン阻害剤、シクロスポリンA、タクロリムス、シクロホスファミド、ミコフェノール酸、ボクロスポリン、ベリムマブ、ウステキヌマブ、イグラチモド、アニフロルマブ、BI655064、CFZ533、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の追加のLN剤である、使用。
72.LNを有する対象を治療するための薬剤の製造における追加薬剤の使用であって、薬剤は、抗BAFFR抗体又はその結合断片との組み合わせ投与のためであり、任意選択的に追加のLN剤は、実施形態71に記載されている薬剤である、使用。
73.抗BAFFR抗体又はその結合断片は、実施形態1~49のいずれか1つに記載されている抗BAFFR抗体又はその結合断片である、実施形態71又は実施形態72の使用。
74.抗BAFFR抗体及び/又は1つ若しくは複数の追加薬剤は、実施形態50~70のいずれか1つの方法に従う投与のために製剤化される、実施形態71~72のいずれか1つの使用。
本願中で引用される全ての出版物、特許、特許出願及び他の文書は、各個別の出版物、特許、特許出願又は他の文書が、あらゆる目的で参照により組み込まれることが個別に示されるのと同じ程度まで、あらゆる目的でそれら全体が参照により本明細書によって組み込まれる。本明細書に組み込まれる参考文献の1つ又は複数の教示内容と本開示との間に何らかの矛盾が生じる場合には、本明細書の教示内容が企図される。

Claims (13)

  1. それを必要とする対象におけるLNの治療において使用するための薬剤の製造のための抗BAFFR抗体又はその結合断片の使用であって、前記抗BAFFR抗体又はその結合断片は、治療有効用量で投与されるべきである、使用。
  2. 前記抗BAFFR抗体又はその結合断片は、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3、並びに配列番号6、配列番号7、及び配列番号8のアミノ酸配列をそれぞれ有するCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含む、請求項1に記載の使用。
  3. 前記抗BAFFR抗体又はその結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記抗BAFFR抗体又はその結合断片は、イアナルマブ又はその結合断片である、請求項1のいずれか一項に記載の使用。
  5. 前記抗BAFFR抗体又はその結合断片は、約50mg~約300mgの用量で投与されるべきである、請求項4に記載の使用。
  6. 前記抗BAFFR抗体又はその結合断片は、約150mg~約300mgの用量で投与されるべきである、請求項5に記載の使用。
  7. 前記抗BAFFR抗体又はその結合断片は、約300mgの用量で投与されるべきである、請求項4に記載の使用。
  8. 前記抗BAFFR抗体又はその結合断片は、1mg/kg~10mg/kgの用量で投与されるべきである、請求項4に記載の使用。
  9. 前記抗BAFFR抗体又はその結合断片での治療中、前記患者に投与された前記少なくとも1種のステロイドの前記用量は、漸減レジメンを用いて低減され、且つ前記患者は、前記減量の結果として急性増悪を経験しない、請求項1に記載の使用。
  10. 前記患者に投与された前記抗BAFFR抗体又はその結合断片の前記用量は、300mgであり、これは、150mg/mlの前記抗BAFFR抗体又はその結合断片を含む製剤からのそれぞれ1mlの体積の2回の別の皮下投与として投与される、請求項1に記載の使用。
  11. 活動性ループス腎炎を有する患者(例えば、青年患者)を治療する方法であって、約300mgの用量のイアナルマブを4週毎に前記患者に皮下投与することを含む方法。
  12. 前記抗BAFFR抗体又はその結合断片は、4週(+/-3日)毎に1回、前記対象に投与される、請求項1に記載の使用。
  13. 前記抗BAFFR抗体又はその結合断片は、12週(+/-3日)毎に1回、前記対象に投与される、請求項1に記載の使用。
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