JP2024516320A - Fc受容体への結合が改変されたFc変異体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、FcγRまたはC1qへの結合を低減した、修飾された免疫グロブリン定常領域(Fc)変異分子に関し、当該分子は、生体内で望ましくないADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCエフェクター機能を顕著に低減させることができる。また、本発明は、さらに前記Fc変異分子の使用、前記変異分子を含む融合タンパク質およびその使用に関する。

Description

本発明は、一般に、免疫学および抗体工学の分野に関し、具体的には、IgG免疫グロブリンの変異体、その調製方法およびその使用に関する。
近年の治療用抗体の開発に伴い、研究者は、一方では新たな標的の探索と発見を継続し、他方では、その有益な効果を高めるかまたは増強するために、創薬可能な抗体に対してアップグレード改造を継続して行い、ここで、研究の焦点の1つは、抗体Fc領域に対する改造に集中している。
周知のように、抗体のFc領域は抗原結合活性がないが、抗体が細胞表面のFc受容体と相互作用する部位であるため、抗体のエフェクター機能に対して重要な役割を果たし、Fc領域は異なFc受容体との相互作用により、抗体が多様なエフェクター機能、例えば、抗体は抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)、抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)、補体依存性細胞傷害(CDC)を発揮することができる。ADCC、ADCP、CDCエフェクター機能に関して、腫瘍細胞または病原体上に発現する抗原を認識して悪性細胞を除去することを標的とする抗体に対しては、効果的に、さらには強化されたADCC、ADCP、CDCエフェクター機能は、抗体の治療効果に寄与するが、例えば、T細胞上に発現する抗原に対して細胞表面受容体/サイトカインまたは免疫調節を遮断することを標的とする抗体に対しては、ADCC、ADCP、CDCエフェクター機能を低減さらには除去することはしばしば必要とされ、これは、標的細胞表面抗原の抗体が、免疫細胞に不要な免疫刺激および関連するエフェクター機能ならびに補体活性化を誘発して不利な結果をもたらすからであり、この点は、特に、標的細胞の低損失が必要とされる免疫チェックポイント阻害剤抗体に対しては、特に重要である。
ヒトIgGサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)は異なる免疫機能を有し、例えば、異なるサブクラスのIgG抗体は異なるADCC活性を有し、他のサブクラスと比較して、IgG1とIgG3は比較的強いADCC活性を有し、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4は、抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)を有する。治療用抗体およびFc融合構築物は、多くの場合、所望の局所細胞または組織を破壊または損傷することができなく、標的リガンド機能領域を標的および活性化または中和する必要があるため、実際の生産用途では、Fcエフェクター機能を低減または除去する(例えば、ADCCおよび/またはADCP活性を低減または除去すること、CDC活性を低減または除去すること)Fc変異体を求める実際の要求が常に存在しており、本出願はこの要求を満たす。
既存の文献報告によると、Fc領域の一部のアミノ酸変異は、ADCCおよび/またはADCP活性を低減または除去する効果、CDC活性を低減または除去する効果が奏する可能性があり、例えばXENCORのパテントファミリーUS8734791B2、US10183999B2、US8883147B2、RocheのパテントファミリーCN103476795Bなど、多数はADCCおよびCDC活性を低減させる効果を有するが、ADCCおよびCDC効果を完全に除去する変異は比較的まれであり、本出願は野生型Fcアミノ酸配列を標的化改造することにより、ADCCおよびCDC効果を完全に除去するFc変異分子を取得する。
本発明は、操作改造された抗体または抗体ベースの治療薬に使用可能な、修飾された免疫グロブリン定常領域(Fc領域)の変異分子を提供する。
本出願に開示された変異および/またはそれらの組み合わせをFc領域に含めることにより、野生型Fc領域を含む分子と比較して、本出願の変異Fc領域を含む抗体、抗体ベースの治療薬、および変異Fc領域を含む他の分子は、FcγRまたはC1qへの結合作用が極めて低減され、これにより、望ましくないADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCエフェクター機能は、生体内で顕著に低減される。さらに、本出願に開示されたFc変異は、本出願の変異Fc領域を含む抗体、抗体ベースの治療薬、および変異Fc領域を含む他の分子がFcRnに結合する能力に影響を与えず、したがって、対応する分子の半減期に影響を与えない。したがって、本出願は、特定の変異を有するFc領域ポリペプチド分子、低減または除去されたADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCエフェクター機能を有するが、依然としてFcRnに結合する能力を保持している前記の変異Fc領域を含む抗体分子または類似の構造分子を提供する。
第1の態様では、本出願は、異なる修飾を有するFc変異体を提供し、野生型Fc領域と比較して、当該Fc変異体はFc受容体および/またはC1qに対する親和性の低下を示し、ひいては当該Fc変異体によって誘導されるADCC、CDCおよびADCPエフェクター機能を低減または除去する。一実施形態では、Fc変異体によって誘導されるADCC、CDCおよびADCPエフェクター機能は、対応する野生型によって誘導されるADCC、CDCおよびADCPエフェクター機能の少なくとも80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%、1%もしくは完全に除去されるまで低減される。
一実施形態では、本出願で提供されるFc変異体は、1つまたは複数のアミノ酸欠失を含む。一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位のアミノ酸の欠失(Δ329)を含む。一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体と対応する野生型Fcとの相違は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位の欠失(Δ329)にある。別の具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位および330位のアミノ酸の欠失(Δ329およびΔ330)を含む。一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体と対応する野生型Fcとの相違は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位および330位の欠失(Δ329およびΔ330)にある。
一実施形態では、本出願で提供されるFc変異体は、1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた234位および/または235位のアミノ酸の置換を含み、ここで、234位のL、V、Fおよび/または235位のLは、それぞれA、V、L、およびIで置換されている。一好ましい実施形態では、前記Fc変異体は、L234A+L235A、V234A、またはF234A+L235Aを含む。一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体と対応する野生型Fcとの相違は、L234A+L235A、V234AまたはF234A+L235Aにある。
一実施形態では、本出願で提供されるFc変異体は、1つまたは複数のアミノ酸欠失および1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位のアミノ酸の欠失および330位の置換を含み、ここで、330位は、G、DまたはQで置換されている。一好ましい実施形態では、前記Fc変異体は、Δ329+A330GまたはΔ329+S330Gを含む。一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体と対応する野生型Fcとの相違は、Δ329+A330GまたはΔ329+S330Gにある。
一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位のアミノ酸の欠失および234位と235位のアミノ酸の置換を含み、ここで、234位のL、V、Fおよび/または235位のLは、それぞれA、V、L、およびIで置換されている。一好ましい実施形態では、前記Fc変異体は、L234A+L235A+Δ329、V234A+Δ329、またはF234A+L235A+Δ329を含む。一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体と対応する野生型Fcとの相違は、L234A+L235A+Δ329、V234A+Δ329、またはF234A+L235A+Δ329にある。
別の具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位と330位のアミノ酸の欠失および234位と235位のアミノ酸の置換を含み、ここで、234位のL、V、Fおよび/または235位のLは、それぞれA、V、L、およびIで置換されている。一好ましい実施形態では、前記Fc変異体は、L234A+L235A+Δ329+Δ330、V234A+Δ329+Δ330、またはF234A+L235A+Δ329+Δ330を含む。一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体と対応する野生型Fcとの相違は、L234A+L235A+Δ329+Δ330、V234A+Δ329+Δ330、またはF234A+L235A+Δ329+Δ330にある。
別の具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位のアミノ酸の欠失および234位、235位、330位のアミノ酸の置換を含み、ここで、234位のL、V、Fおよび/または235位のLは、それぞれA、V、L、およびIで置換されており、330位は、G、D、またはQで置換されている。一好ましい実施形態では、前記Fc変異体は、L234A+L235A+A330G+Δ329、L234A+L235A+S330G+Δ329、V234A+L235A+A330G+Δ329、V234A+L235A+S330G+Δ329、F234A+L235A+S330G+Δ329、またはF234A+L235A+A330G+Δ329を含む。一具体的な実施形態では、本出願で提供されるFc変異体と対応する野生型Fcとの相違は、L234A+L235A+A330G+Δ329、L234A+L235A+S330G+Δ329、V234A+L235A+A330G+Δ329、V234A+L235A+S330G+Δ329、F234A+L235A+S330G+Δ329、またはF234A+L235A+A330G+Δ329にある。
いくつかの実施形態では、本発明で提供されるFc変異体は、IgG1型Fc変異体であり、対応する野生型Fc領域と比較して、前記変異体は、低減、さらには除去されたFcγRに結合する能力を有する。別のいくつかの実施形態では、本発明で提供されるFc変異体はIgG2型、IgG3型、およびIgG4型Fc変異体であり、対応する野生型Fc領域と比較して、前記変異体は、低減、さらには除去されたFcγRに結合する能力を有する。好ましくは、本発明で提供されるFc変異体は、FcRnに結合する能力を保持する。
本出願で開示されるFc変異体は、ADCC/ADCP/CDCエフェクター機能を低減さらには除去する必要がある任意の場面、例えば、ADCC/ADCP/CDCエフェクター機能の低減さらには除去が望まれる任意の種類の抗体分子、類似の抗体構造を有する分子において、プラットフォーム構成要素として適用することができる。
一実施形態では、前記Fc変異体は実質的にIgG配列に基づき、一好ましい実施形態では、前記Fc変異体は実質的にヒトIgG配列に基づき、別の実施形態では、前記Fc変異体は実質的にヒトIgG1配列に基づく。
別の実施形態では、前記Fc変異体は、他の修飾、例えば、免疫原性を低下させ、安定性、溶解性、機能および臨床的利益を向上させるための従来技術で知られている他の修飾をさらに含み得る。
一具体的な実施形態では、Fc変異体は以下の配列を含む:
1)配列番号2のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
2)配列番号3のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
3)配列番号4のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
4)配列番号5のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
5)配列番号6のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
6)配列番号7のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
7)配列番号8のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
8)配列番号11のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
9)配列番号12のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
10)配列番号13のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
11)配列番号14のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
12)配列番号15のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
13)配列番号16のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
14)配列番号17のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
15)配列番号19のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
16)配列番号20のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
17)配列番号21のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
18)配列番号22のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
19)配列番号23のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
20)配列番号24のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
21)配列番号25のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
22)配列番号27のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
23)配列番号28のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
24)配列番号29のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
25)配列番号30のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
26)配列番号31のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
27)配列番号32のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
28)配列番号33のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの。
第2の態様では、本発明は、第1の態様に記載のFc変異体を含むポリペプチドを提供し、野生型Fc領域を含むポリペプチドと比較して、前記ポリペプチドは、低減または除去されたADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCエフェクター機能を有し、好ましくは、前記ポリペプチドは、ADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDC効果を引き起こさない。一具体的な実施形態では、前記ポリペプチドは、延長された半減期を同時に有する。一実施形態では、第1の態様に記載のFc変異体を含むポリペプチドによって誘導されるADCC、CDCおよびADCPエフェクター機能は、対応する野生型を含むポリペプチドによって誘導されるADCC、CDCおよびADCPエフェクター機能の少なくとも80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%、1%もしくは完全に除去されるまで低減される。
いくつかの実施形態では、前記ポリペプチドは抗体分子であり、好ましくは、前記抗体分子はIgGクラスの抗体分子である。別の実施形態では、前記抗体分子は、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト化抗体、キメラ抗体、抗体融合体である。対応する野生型抗体分子と比較して、本出願で得られた前記Fc変異体を含む抗体分子は、FcγRとの結合能力が低減、さらには除去されており、したがって、低減または除去されたADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCエフェクター機能を有する。
いくつかの実施形態では、前記ポリペプチドは、Fc変異体に有効に連結された1つまたは複数の融合パートナーを含む融合タンパク質であり、前記融合パートナーは通常、任意のタンパク質または小分子、例えば、任意の抗体の可変領域、受容体の標的結合領域、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、ケモカイン、もしくはいくつかの他のタンパク質またはタンパク質ドメインであってもよい。一実施形態では、前記融合タンパク質は、例えばイムノアドヘシンである。
一実施形態では、本出願は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位のアミノ酸の欠失(Δ329)を含む、Fc変異体を含むIgG抗体を提供する。別の具体的な実施形態では、本出願は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位および330位のアミノ酸の欠失(Δ329およびΔ330)を含む、Fc変異体を含むIgG抗体を提供する。
一実施形態では、本出願は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた234位および/または235位のアミノ酸の置換を含み、ここで、234位のL、V、Fおよび/または235位のLは、それぞれA、V、L、およびIで置換されている、Fc変異体を含むIgG抗体を提供する。一好ましい実施形態では、前記IgG抗体は、L234A+L235A、V234A、またはF234A+L235Aを含む。
一実施形態では、本出願は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位のアミノ酸の欠失および330位の置換を含み、ここで、330位は、G、DまたはQで置換されている、Fc変異体を含むIgG抗体を提供する。一好ましい実施形態では、前記IgG抗体はΔ329+A330GまたはΔ329+S330Gを含む。
一実施形態では、本出願は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位のアミノ酸の欠失および234位と235位のアミノ酸の置換を含み、ここで、234位のL、V、Fおよび/または235位のLは、それぞれA、V、L、およびIで置換されている、Fc変異体を含むIgG抗体を提供する。一好ましい実施形態では、前記IgG抗体は、L234A+L235A+Δ329、V234A+Δ329、またはF234A+L235A+Δ329を含む。
一実施形態では、本出願は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位と330位のアミノ酸の欠失および234位と235位のアミノ酸の置換を含み、ここで、234位のL、V、Fおよび/または235位のLは、それぞれA、V、L、およびIで置換されている、Fc変異体を含むIgG抗体を提供する。一好ましい実施形態では、前記IgG抗体は、L234A+L235A+Δ329+Δ330、V234A+Δ329+Δ330、またはF234A+L235A+Δ329+Δ330を含む。
一実施形態では、本出願は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位のアミノ酸の欠失および234位、235位、330位のアミノ酸の置換を含み、ここで、234位のL、V、Fおよび/または235位のLは、それぞれA、V、L、およびIで置換されており、330位は、G、D、またはQで置換されている、Fc変異体を含むIgG抗体を提供する。一好ましい実施形態では、前記IgG抗体は、L234A+L235A+A330G+Δ329、L234A+L235A+S330G+Δ329、V234A+L235A+A330G+Δ329、V234A+L235A+S330G+Δ329、F234A+L235A+S330G+Δ329、またはF234A+L235A+A330G+Δ329を含む。
いくつかの実施形態では、本発明で提供されるIgG抗体は、IgG1型抗体であり、対応する野生型抗体と比較して、前記抗体は、低減、さらには除去されたFcγRに結合する能力を有する。別のいくつかの実施形態では、本発明で提供されるIgG抗体は、IgG2型、IgG3型、IgG4型抗体であり、対応する野生型抗体と比較して、前記抗体は、低減、さらには除去されたFcγRに結合する能力を有する。好ましくは、本発明で提供される抗体は、FcRnに結合する能力を保持する。
いくつかの実施態様において、前記抗体分子は、抗claudin18.2のIgG抗体である。
一具体的な実施形態では、本発明で提供されるFc変異体を含むIgG抗体は、以下のような重鎖および軽鎖を含む:
1)配列番号2に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
2)配列番号3に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
3)配列番号4に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
4)配列番号5に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
5)配列番号6に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
6)配列番号7に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
7)配列番号8に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
8)配列番号11に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
9)配列番号12に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
10)配列番号13に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
11)配列番号14に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
12)配列番号15に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
13)配列番号16に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
14)配列番号17に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
15)配列番号19に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
16)配列番号20に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
17)配列番号21に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
18)配列番号22に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
19)配列番号23に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
20)配列番号24に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
21)配列番号25に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
22)配列番号27に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
23)配列番号28に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
24)配列番号29に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
25)配列番号30に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
26)配列番号31に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
27)配列番号32に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
28)配列番号33に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの。
別の実施形態では、本出願で提供される前記Fc変異体を含むポリペプチドド(例えば、抗体)は、Fc領域に、他の修飾、例えば、ポリペプチド(例えば、抗体)の免疫原性を低下させ、半減期を増加させ、安定性、溶解性、機能および臨床的利益を向上させるための従来技術で知られている他の修飾をさらに含み得る。
別の実施形態では、本出願で提供される前記Fc変異体を含む抗体は、従来技術で知られている異なる標的抗原に対する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有する。当業者は、従来技術で知られている重鎖可変領域および軽鎖可変領域を本出願に開示されたFc変異体上に容易にグラフトして、所望の特性(例えば、低減または除去されたADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCエフェクター機能)を有する抗体の変異体を得ることができる。
第3の態様では、本発明は、第2の態様に記載のポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、前記医薬組成物は、本発明に記載のFc変異体を有する抗体分子を含む。一実施形態では、前記医薬組成物は、本発明に記載のFc変異体を有するIgG抗体を含む。別の実施形態では、前記医薬組成物は、本発明に記載のFc変異体を有するIgG1型抗体、IgG2型抗体、IgG3型抗体、またはIgG4型抗体を含む。
第4の態様では、本発明は、本出願に記載のFc領域修飾により、抗体のADCC/ADCP/CDCエフェクター機能を低減または除去し、かつ半減期を保持、さらには増加させる方法を提供する。一実施形態では、ADCC/ADCP/CDCエフェクター機能を低減または除去するために必要な抗体Fc領域に対して本出願に開示された1つまたは複数の修飾を行うことにより、抗体のADCC/ADCP/CDCエフェクター機能を低減または除去する。
第5の態様では、本発明は、Fc変異体の医薬の調製における使用を提供する。一実施形態では、前記医薬は免疫療法、免疫補助療法に使用される。一実施形態では、前記医薬は、低減または除去されたADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCエフェクター機能の作用を有する。一具体的な実施形態では、例えば、前記医薬は、本出願のFc変異体を含む融合タンパク質、例えば、IL-2Fc融合タンパク質である。別の具体的な実施形態では、例えば、前記医薬は、ADCC/ADCP/CDCエフェクター機能を低減または除去する作用を有する、本出願のFc変異体を含む免疫細胞表面分子を標的とする抗体である。別の実施形態では、前記医薬は、対象の腫瘍を治療するために使用され、例えば、一実施形態では、前記医薬は、ADCC/ADCP/CDC作用を活性化することなく、半減期を延長して患者の免疫細胞を活性化し、これにより、抗腫瘍効果を達成する。
第6の態様では、本発明は、対象の疾患を治療する方法であって、本出願に記載のFc変異体を含む、対応する疾患に対する有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、前記疾患は、免疫療法または免疫補助療法を必要とする疾患である。エフェクター機能の除去は、細胞表面分子を標的とする抗体、特に免疫細胞上の抗体にとって有利である。一実施形態では、本発明は、対象の疾患を治療する方法であって、本出願に記載のFc変異体を含む、対応する免疫細胞上の抗原に対する有効量の抗体を対象に投与することを含む方法を提供する。
第7の態様では、本発明は、本出願に開示されるFc変異体、前記Fc変異体を含むポリペプチド、または前記Fc変異体を含む免疫グロブリン分子を含むキットを提供する。一実施形態では、本発明は、機能性分子(例えば、酵素、抗原、受容体、リガンド、サイトカインなど)とFcとを融合させることによって融合タンパク質の安定性を向上させることができるだけでなく、フローサイトメトリー、免疫組織化、インビトロ活性検出、およびタンパク質マイクロアレイ検出などの非臨床分野で使用可能な検出キットを提供する。
本出願で提供される具体的なFc変異を有する抗体分子は、低減または除去されたADCC、ADCPおよびCDCエフェクター機能を有するが、FcRnに結合する能力は依然として保持しているため、改良型抗体変異体として使用でき、抗体の治療効果を高めるだけでなく、抗体の安全性、安定性および低免疫原性も確保する。驚くべきことに、Fc領域の329位のプロリン残基を欠失させることにより、Fc領域の受容体FcγRIII、FcγRII、FcγRI、およびC1qへの結合が顕著に低減し、これにより、ADCC、ADCP、およびCDC活性が顕著に低減または除去されることが判明した。さらに、Fc領域のPro329と、例えばA330欠失、A330G、L234AおよびL235Aからなる群から選択される1つまたは複数との組み合わせ変異は、受容体FcγRIII、FcγRII、FcγRI、C1qへの結合の顕著な低減をもたらし、これにより、ADCC、ADCP、およびCDC活性が顕著に低減または除去される。
ヒトIgG1FcおよびヒトCD16Aの結晶構造である(PDB:3SGJ)。 図2は、本発明のFc変異体と各種FcγRの結合の状況を示す図であり、図2aは、Fc変異体とCD16A(F176)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD16A(V176)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD16B(NA1)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD16B(NA2)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD32A(H167)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD32A(R167)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD32Bの結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD64の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とFcRnのpH6.0での結合曲線であり、 Fc変異体とFcRnのpH7.0での結合曲線であり、 Fc変異体とC1qの結合および解離曲線である。 図3は、バイオレイヤー干渉技術に基づいて測定したFc変異体と各種のFcγRの結合の状況を示しており、ここで、溶液には200nMの抗体が含まれている。図3aは、Fc変異体とCD16A(V176)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD16A(F176)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD16B(NA1)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD16B(NA2)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD32A(H167)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD32A(R167)の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD32Bの結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とCD64の結合曲線であり(pH7.4)、 Fc変異体とFcRnのpH6.0での結合曲線である。 抗体のADCC活性を示す。
発明の詳細な説明
明確に反対すると指定しない限り、本発明における実施は、本分野の技術的な日常化学、生物化学、有機化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、遺伝学、免疫学と細胞生物学の方法を用いる。これらの方法の説明は、例えば、Sambrookら.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版、2001);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology(John WileyとSons、2008年7月に更新);Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub.AssociatesとWiley-Interscience;Glover、DNA Cloning:A Practical Approach、vol.I&II(IRL Press、Oxford、1985);Anand、Techniques for the Analysis of Complex Genomes、(Academic Press、New York、1992);Transcription and Translation(B.Hames&S.Higgins、Eds.、1984);Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning(1984);HarlowとLane、Antibodies、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1998)Current Protocols in Immunology(Q.E.Coligan、A.M.Kruisbeek、D.H.Margulies、E.M.ShevachとW.Strober、eds.、1991);Annual Review of Immunology;およびAdvances in Immunologyのような定期刊行物専門書を参照する。
定義
以下、本発明を詳細に説明するに先立ち、本明細書に記載される特定の方法学、形態または試薬が変更され得るため、本発明はそれらに限定されるものではないことが理解すべきである。また、本発明に使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとは意図せず、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって限定されると理解すべきである。特に定義のない限り、本明細書に使用される技術・科学用語は、当業者による通常の理解と同じ意味を有する。
本明細書を解釈するために次の定義が使用され、また、適切であるならば、単数形で使用される用語には複数形が含まれてもよく、その逆も同様である。本明細書に使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定するためのものではないと理解しなければならない。
用語「約」は、数字または数値とともに使用される場合、下限として指定された数字または数値より5%小さく、上限として指定された数字または数値より5%大きい範囲内の数字または数値をカバーすることを意味する。
用語「かつ/または」は、2つまたは複数のオプションの接続に使用される場合、オプションのうちのいずれか1項またはオプションのうちのいずれか2項もしくは複数項を指すと理解すべきである。
用語「含有する」または「含む」は、前記要素、整数またはステップを含むが、任意の他の要素、整数またはステップを排除しないことを意味する。本明細書において、用語「含有する」または「含む」が使用される場合、特に断りのない限り、前記他の要素、整数またはステップの組合せの場合も包含する。例えば、ある具体的な配列を「含む」抗体可変領域が言及される場合、この具体的な配列からなる抗体可変領域を包含することも意図する。
用語「抗体」は、本明細書で最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、単鎖抗体、完全な抗体または所望の抗原結合活性を示す抗体断片を含むが、これらに限定されない、多種の抗体構造物を包含する。完全な抗体は通常、少なくとも2つの完全長重鎖および2つの完全長軽鎖を含むが、いくつかの場合では、比較的少ない鎖を含み、例えばラクダに天然に存在する抗体は重鎖のみを含む場合がある。
本明細書に使用されるように、用語「結合」および「特異的結合」は、抗体の結合作用が抗原に対して選択的であり、かつ望ましくない相互作用または非特異的相互作用と区別できることを意味する。特定の抗原に対する抗体の結合能力は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、表面プラズモン共鳴法(SPR)、またはバイオフィルム層光学干渉技術(ForteBio)、もしくは当分野で知られている他の通常結合測定法により測定することができる。例えば、SPRにおいて、抗体は、約1×10-7以下のKD、約1×10-8以下のKD、約1×10-9以下のKD、約1×10-10以下のKD、約1×10-11以下のKDで、BCMAまたはCD3に結合すると、当該抗体は、「BCMAまたはCD3に特異的に結合する」抗体である。しかし、ヒトBCMAまたはCD3に特異的に結合する抗体は、他の種由来のBCMAまたはCD3タンパク質と交差反応性を有し得る。例えば、ヒトBCMAまたはCD3に特異的な抗体は、いくつかの実施形態では、カニクイザルBCMAまたはCD3と交差反応し得る。交差反応性を測定する方法は、実施例に記載される方法、および本分野で知られている標準的な測定法、例えば、光干渉による生体測定法、またはフローサイトメトリー技術を含む。
用語「Kabatの可変ドメイン残基の番号付け方式」、「Kabatの番号付けシステム」または「Kabatによるアミノ酸位置の番号付け方式」およびそれらのバリエーションとは、Kabatらによる抗体重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメイン編集のための番号付けシステムを指す(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991)を参照)。Kabatの番号付けシステムは通常、抗体の可変ドメイン中の残基(およそ1位~107位の軽鎖残基および1位~113位の重鎖残基)に適用される。
用語「EU番号付けシステム」、「KabatのEUインデックスのように」または「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリン重鎖の定常領域内の残基に適用される(例えば、Kabatら、前記記載を参照)。本明細書において特に断りのない限り、本明細書の抗体可変ドメイン中の残基番号付けはKabat番号付けシステムの残基番号付けにしたがって、抗体定常ドメイン中の残基番号付けはEU番号付けシステムの残基番号付け方式にしたがう。
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体Fc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因して抗体アイソタイプによって変化する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、補体依存性細胞傷害作用(CDC)、抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)、抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレート、B細胞活性化などを含む。
用語「エフェクター細胞」とは、1つまたは複数のFcRを発現し、エフェクター機能を発揮する細胞、例えば、FcγRIIIAを発現し、ADCCエフェクター機能を発揮する細胞を指し、一実施形態では、ADCC機能を媒介する細胞は、例えば、NK細胞、末梢血単核細胞、単球、細胞傷害性T細胞、好中球細胞である。エフェクター細胞は、血液などの天然環境に由来し得る。
用語「抗体依存性細胞介在性細胞傷害性」または「ADCC」とは、細胞媒介性免疫応答を指し、ここで、一部の細胞傷害性細胞の表面に存在するFc受容体が標的細胞上に結合する抗体を認識し、これにより、細胞傷害性細胞が抗原を有する標的細胞に特異的に結合し、免疫系のエフェクター細胞を活性化して標的細胞を溶解する。典型的なADCC作用はナチュラルキラー細胞(NK)によって媒介され、マクロファージ、好中球、および好酸球(eosinophil cells)もADCC作用を媒介できる。例えば、好酸球(eosinophil cells)は、ADCC作用により一部の特定の寄生虫を殺すことができる。
用語「抗体依存性細胞貪食」または「ADCP」とは、標的細胞に結合する抗体がマクロファージ表面上のFcγRIIIaに結合することによってマクロファージの活性化が誘導され、これにより標的細胞が内在化し、ファゴソームによって酸性化分解される、細胞応答を指す。ADCPは、FcγRIIaおよびFcγRIによっても媒介され得るが、その割合は比較的小さい。
補体系は、一連のタンパク質からなる先天性免疫系の一部である。補体系のタンパク質は「補体」と呼ばれ、略語記号C1、C2、C3などで表され、ヒトや脊椎動物の血清、組織液中に存在する、熱に弱い活性化された酵素活性を有するタンパク質のグループである。C1qは補体依存性細胞傷害(CDC)経路の第1の成分であり、6つの抗体に結合できるが、補体カスケードを活性化するには2つのIgGに結合するだけで十分である。
用語「補体依存性細胞傷害性」または「CDC」とは、補体が関与する細胞傷害作用を指し、ここで、標的に結合する抗体のFcエフェクタードメインが一連の補体カスケード反応を活性化し、標的細胞膜に穴を形成し、これにより、標的細胞を死滅させる。
用語「Fc領域」とは、天然配列Fc領域および変異体Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を指す。ヒトIgG重鎖のFc領域は、通常、そのCys226またはPro230位のアミノ酸残基からカルボキシル末端までのセグメントとして定義され、Fc領域のC末端447位のリジン残基(EU番号付けシステムによる)は存在または欠失してもよい。したがって、完全な抗体組成物は、すべてのK447残基が除去される抗体の集団、K447残基が除去されていない抗体の集団、またはK447残基を有する抗体とK447残基を有さない抗体が混在する抗体の集団を含み得る。
一部の実施形態では、免疫グロブリンのFc領域は、2つの定常ドメイン、すなわちCH2およびCH3を含み、別のいくつかの実施形態では、免疫グロブリンのFc領域は、3つの定常ドメイン、すなわちCH2、CH3およびCH4を含む。
IgGのFcγ受容体またはC1qへの結合は、ヒンジ領域およびCH2ドメインに位置する残基に依存する。CH2ドメインの2つの領域は、FcγRと補体C1qの結合に対して重要であり、IgG2とIgG4において唯一の配列を有する。ヒトIgG1およびIgG2における233位~236位の残基の置換、ならびにヒトIgG4における327位、330位、および331位の残基の置換は、ADCCおよびCDC活性を大幅に低減させることがすでに示された(Armourら、Eur.J.Immunol.29(8)、1999、2613-2624;Shieldsら、J.Biol.Chem.276(9)、2001、6591-6604)。さらに、Idusogieらは、K322を含む異なる位置でのアラニン置換が補体活性化を顕著に低減させることが判明した(IdusogieEEら、J.Immunol164(8)、2000、4178-84)。
「機能性Fc領域」および「機能的Fc領域」などの類似の用語は、互換的に使用されてもよく、野生型Fc領域のエフェクター機能を有するFc領域を指す。
「変異Fc領域」、「Fc突然変異体」、「変異を有するFc領域」、「突然変異Fc領域」、「Fc領域変異体」、「Fc変異体」、「変異体Fc領域」および「突然変異のFc領域」などの類似の用語は、互換的に使用されてもよく、天然配列Fc領域/野生型Fc領域と区別する少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むFc領域を指す。
いくつかの実施形態では、変異Fc領域は、天然配列Fc領域のアミノ酸配列と、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、または付加が異なるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、変異Fc領域は、野生型IgGのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸欠失を有する。いくつかの実施形態では、変異Fc領域は、野生型IgGのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、変異Fc領域は、野生型抗体のFc領域において1つまたは複数のアミノ酸置換および1つまたは複数のアミノ酸欠失を有する。いくつかの実施形態では、変異Fc領域は、少なくとも1つまたは2つの本明細書に記載のFc領域のアミノ酸欠失を有する。いくつかの実施形態では、変異Fc領域は、少なくとも1つ、2つ、3つもしくはそれ以上の本明細書に記載のFc領域のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、変異Fc領域は、少なくとも1つ、2つ、3つもしくはそれ以上の本明細書に記載のFc領域のアミノ酸置換、および少なくとも1つ、2つの本明細書に記載のFc領域欠失を有する。いくつかの実施形態では、変異体Fc領域は、野生型Fc領域および/または親Fc領域と少なくとも約80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の相同性を有する。
「Fc受容体」または「FcR」とは、抗体Fc領域に結合する分子を指す。いくつかの実施形態では、FcRは天然のヒトFcRである。いくつかの実施形態では、FcRは、IgG抗体に結合する受容体、すなわちFcγRであり、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcγRIII(CD16)の3つの受容体を含み、ならびにこれらの受容体の対立遺伝子変異体および可変スプライシング形式を含む。FcγRII受容体はFcγRIIAおよびFcγRIIBを含み、FcγRIII受容体はFcγRIIIAおよびFcγRIIIBを含む。
受容体機能に応じて、FcγRは活性化型受容体(FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIC、FcγRIIIA、FcγRIIIBであって、CD64、CD32A、CD32C、CD16A、CD16Bとも呼ばれる)と抑制型受容体(FcγRIIB、CD32Bとも呼ばれる)に分類することができる。活性化型受容体は、その細胞質ドメインにおいて免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(Immunoreceptor Tγrosine-based Activation Motif、またはITAM)を含み、当該モチーフは活性化シグナルを伝達し、細胞活性化の作用を促進し、抑制型受容体は、その細胞質ドメインにおいて免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ((Immunoreceptor Tγrosine-based Inhibitorγ Motif、またはITIM))を含み、当該モチーフは細胞活性化の作用を阻害する。活性化性FcγRのエフェクター機能は主にADCC、ADCP、および抗原提示を含み、これに対して、抑制性FcγRのエフェクター機能は主に抑制、清掃などの機能を有する。FcγRIIBは、ヒトおよびマウスで発現される唯一の阻害性FcγRであり、腫瘍を直接標的とする抗体において、FcγRIIBの発現は抗体の治療効果の低下と関連する。
異なるFcγRは、異なる細胞発現プロファイルを有し、例えば、FcγRIIIA(CD16A)はマクロファージ、単球、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)などの細胞ですべて発現する。FcγRIIIA受容体は、NK細胞上に発現する唯一の受容体であり、ADCC機能を媒介することができる。
用語「FcR」は、細胞膜の表面に位置するIgG抗体受容体である新生児受容体(FcRn)をさらに含む。FcRnは、母体IgGを胎児に移し、インビボでの免疫グロブリンの定常状態の調節を担う。FcRnはIgGのFc部分に結合して、IgG分子がリソソームによって溶解されるのを阻止することができ、IgGのインビボ半減期を延長する効果を奏し、IgGのインビボ輸送、維持、および分布代謝に関与することができる。
IgG1~IgG4サブクラスは、Fc受容体に結合する能力が異なり、異なるFcγRに対して、IgG1およびIgG3は普遍的なリガンドであり、すべてのFcγRに結合し、強力なADCC作用を有する。IgG2またはIgG4は通常、「不活性」IgGサブクラスとも呼ばれ、両方のサブクラスを使用することで免疫活性化効果を回避することができる。実際、多くのモノクローナル抗体は、ADCC効果を回避するために、抗体のバックボーンとしてIgG4を選択する。しかし、IgG2およびIgG4は完全に「不活性」ではなく、それぞれ活性化型FcγRIIa-H131およびFcγRIに結合し、これにより好中球の活性化を開始することができる。
さらに、実際の状況では、IgG1サブクラスによるADCC効果を低減する必要があり、従来技術では、IgG1の「LALA」(L234A+L235A)変異が広く使用されており、当該変異は、FcγRに対する抗体Fc領域の結合親和性を100倍低減させることができる。本出願で得られたFc変異体は、「LALA」変異と比較してFcγRに対する結合親和性が低いため、ADCCの作用がより強く低減された。
ADCC/ADCP/CDCが関与する文脈において、「低減されたADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCエフェクター機能」または「低減されたADCC/ADCP/CDCエフェクター機能」および類似の表現とは、対応する野生型によって引き起こされるADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCエフェクター機能の数値と比較して、本出願に記載のFc変異体、Fc変異体を含むポリペプチドなどによって引き起こされるADCCおよび/またはADCPおよび/またはCDCエフェクター機能の数値は、当業者であれば、対応する生物学的状況において統計的に有意であると考えるほど十分に高い低減を有することを指す。例えば、一部の実施形態では、前記2つの数値の低減は、例えば、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90超、もしくは約100%超、さらにはそれ以上である。
「アミノ酸置換」とは、所定のアミノ酸配列中に存在する少なくとも1つのアミノ酸残基を、別の異なる「置換」アミノ酸残基に置換することを指す。
用語「保存的置換」とは、1つのアミノ酸が同じクラス内の別のアミノ酸によって置換され、例えば、1つの酸性アミノ酸が別の酸性アミノ酸によって置換され、1つの塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸によって置換され、または1つの中性アミノ酸が別の中性アミノ酸によって置換されたことを指す。例示的な置換は下記の表に示す通りである:
Figure 2024516320000001
共通の側鎖特性に従って、(1)疎水性:Ile、Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性度:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;(6)芳香族:Trp、Tyr、Pheにグループ化する。非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスと交換する必要がある。
「アミノ酸欠失」とは、所定のアミノ酸配列から少なくとも1つのアミノ酸残基を除去することを指す。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」と「宿主細胞培養物」は、交換して使用されてもよく、外因性核酸が導入された細胞を指し、この細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」と「形質転換細胞」を含み、初代形質転換細胞および継代数に関係なくそれに由来する子孫を含む。子孫は、核酸の内容において親細胞とは全く同じではない可能性があり、変異を含んでもよい。本明細書では、初代形質転換細胞からスクリーニングまたは選択された同じ機能または生物学的活性を有する変異体子孫を含む。
以下のように、配列間の配列同一性を算出する。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセンテージを決定するために、前記配列を最適比較のためにアラインメントを行う(例えば、最適アラインメントのために第1と第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方もしくは両方にギャップを導入してもよく、あるいは比較のために、非相同配列を捨ててもよい)。一好ましい実施形態では、比較のために、アラインメントされる参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、さらに好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が、第2の配列における対応の位置での同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されている場合、前記分子はこの位置において同一である。
数学アルゴリズムにより、2つの配列間の配列比較および同一性パーセンテージの計算を実現することができる。一好ましい実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセンテージは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに統合されたNeedlemaおよびWunsch ((1970)J.Mol.Biol.48:444-453)アルゴリズム(http://www.gcg.comにて取得可能)により、Blossum 62行列若しくはPAM250行列、およびギャップ重み16、14、12、10、8、6もしくは4と長さ重み1、2、3、4、5もしくは6を用いて決定される。別の好ましい実施形態では、GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラム(http://www.gcg.comにて取得可能)により、NWSgapdna.CMP行列、およびギャップ重み40、50、60、70もしくは80と長さ重み1、2、3、4、5もしくは6を用いて、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセンテージを決定する。特に好ましいパラメータセット(および特に断りのない限り使用すべき1つのパラメータセット)は、ギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4、およびフレームシフトギャップペナルティ5のBlossum 62スコアリング行列を採用する。
また、PAM120加重余り表、ギャップ長ペナルティ12、ギャップペナルティ4を利用して、ALIGNプログラム(2.0版)に統合されたE.MeyersとW.Millerアルゴリズム((1989)CABIOS、4:11-17)により、2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列間の同一性パーセンテージを決定してもよい。
抗体の標的抗原
本発明によって提供されるFc変異体を含む抗体は、例えば、サイトカイン、膜結合因子、酵素、受容体、リガンド、病原体およびその毒素、ウイルス粒子、腫瘍関連因子、シグナル伝達経路メンバー分子などの標的抗原に属するタンパク質、サブユニット、ドメイン、モチーフおよび/またはエピトープを含むがこれらに限定されない任意の抗原を標的とすることができる。適切な抗原は、目的の用途によって異る。抗癌治療に対しては、癌細胞内で発現が制限されている標的を有することが望ましい。抗体治療に特に適していることが証明されている一部の標的は、シグナル伝達機能を有するものである。他の治療抗体は、受容体とその共役リガンドとの間の結合を阻害することにより、受容体のシグナル伝達を遮断することによってその作用を発揮する。
臨床試験のために承認されている、または開発中の多くの抗体は、本発明のFc変異体から恩恵を受ける可能性がある。したがって、これらの抗体の可変領域は、本出願に開示されるFc変異体と統合して、改良された優れた特性を有する製品を形成することができる。一実施形態では、本出願に開示されたFc変異体は、例えば、それらの重鎖可変領域に融合されて、ヒト化抗体、親和性成熟抗体、操作された抗体に組み込むことができる。
Fc領域の他の修飾
従来技術においてすでに開示された様々な方法を使用して、本出願で提供されるFc変異体、Fc変異体を含む融合タンパク質(例えば抗体)などに対して、さらなる修飾、例えば免疫原性を低減させ、安定性、溶解性、機能および臨床的利益を向上させるための他の修飾を行うことができる。このような修飾は、例えば、血清半減期を延長する可能性がある位置252、位置254および位置256における修飾を含むが、これらに限定されない。
実施例
以下の実施例を用いて本発明をさらに説明するが、実施例は、限定ではなく、説明することで記載され、当業者は、様々な変更を行うことができると理解すべきである。
明確に反対すると指定しない限り、本発明における実施は、本分野の技術的な日常化学、生物化学、有機化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、遺伝学、免疫学と細胞生物学の方法を用いる。
実施例1.Fc変異体の設計
抗体Fc領域とFc受容体との相互作用が悪影響を生じ得ることを考慮して、モノクローナル抗体の使用においてFc領域のエフェクター機能(例えば、ADCC、CDC)を除去する必要がある場合がある。例えば、IgG1サブクラス抗体の場合、主にFc領域を介してFcγRIIIAに結合することによってADCC機能を実現する。ADCCおよびCDC機能を低減させる必要があるIgG1サブクラス抗体の場合、そのFc領域を改造してFcγ受容体への結合を低減させる必要がある。したがって、本実施例は、ヒトIgG1FcとFcγRの共結晶構造に基づいて、ヒトIgG1FcとFcγRとの相互作用の重要な部位を検討し、それがFcγRとの相互作用を低減するために対応するFc変異体を設計した。
ヒトIgG1FcおよびヒトCD16A(FcγRIII)の結晶構造(PDB:3SGJ)を図1に示し、ここで、Fcの2つのセグメント、P232-V240およびN325-E333がCD16Aエピトープの結合部位を構成し、Fcのアミノ酸P329は、CD16Aのアミノ酸W90およびW113との間で形成されるπ結合が相互作用し、それらの相互結合界面における重要なアミノ酸である。この重要なセグメントとアミノ酸に基づいて、発明者らは、分子間の作用界面に基づいて表1に示すようなFc変異体を設計した。
本実施例では、信達製薬(Innovent Biologics,Inc.)の内部スクリーニングを通じて取得されたヒトclaudin18.2タンパク質に対するIgG1モノクローナル抗体(Fcmut-01)を例示として、関連する設計と研究を実施した。すなわち、親および対照としてのFcmut-01に基づいて、表1に示す一連のFcの異なる変異を有する変異体(Fcmut-02~Fcmut-024)が得られた。Fcmut-25はHerceptin(Genentech)であり、Fcmut-26~Fcmut32はHerceptinのFcに対して行う異なる改造である。
Figure 2024516320000002
実施例2:Fc変異を有する抗体の発現と精製
プラスミド構築:通常の実験方法に従って、前記重鎖Fc変異および軽鎖のヌクレオチド配列を取得し、それぞれpcDNA3.1ベクターにクローニングして各プラスミドを得た。
タンパク質の発現と精製
一過性トランスフェクションプラスミドの調製:1/10(トランスフェクション容量で計算する)の血清低減培地Opti-MEMTM(Gibco、製品番号31985-070)を取り、プラスミド混合物(50ug/50mL、重鎖と軽鎖の質量比は1:1である)を加え、プラスミド含有Opti-MEMTM培地を新しい50mL遠沈管に濾過して、濾過したPEI(1g/L、Polγsciences)を当該遠沈管に加え(質量比(プラスミド:PEI)=1:3)、均一にを混合し、20分間静置した。
細胞トランスフェクション:前記で得られたDNA/PEI混合物をExpi293細胞(Gibco)に軽くてしなやかに注ぎ、均一に混合し、37℃、8%COの条件で14時間トランスフェクトし、その後、トランスフェクトされた細胞の体積でそれぞれ、0.1%のバルプロ酸ナトリウム塩(VPA)(2.2M、Sigma)を追加し、2.5%のグルコース(200g/L、Sigma)および2.5%Feed溶液(1g/LのPhγtone Peptone+1g/LのDifco SelectPhγtone)を追加し、細胞を再び37℃、8%COで7日間培養した。
精製産物:培養後の細胞培養液を4000rpmで50分間遠心分離し、上清を収集し、プレパックカラムHitrap Mabselect Sure(GE、11-0034-95)を使用して上清を精製した。具体的な操作は以下の通りである:精製前に5倍カラム体積の平衡液(20mMのTris、150mMのNaCl、pH7.2)で充填カラムを平衡化し、収集した上清をカラムに通し、さらに10倍カラム体積の平衡液で充填カラムを洗浄し、非特異的に結合するタンパク質を除去し、5倍カラム体積の溶出緩衝液(100mMのクエン酸ナトリウム、pH3.5)で充填物を洗い流し、溶出液を収集した。2MのTrisで溶離液のpHを6.0に調整し、濃度を測定して精製の抗体産物を得た。
収集した抗体産物を限外濾過によって濃縮してPBS(Gibco、70011-044)に交換した後、superdex200 increase(GE、10/300GL、10245605)でさらに単離して精製し、モノマーの溶出ピークを収集し、カラムの平衡化および溶出緩衝液はPBS(Gibco、70011-044)であった。
実施例3.Fc変異体とFc受容体の親和性測定
一、SPR法によるFc変異体を有する抗体の親和性の測定
本発明で得られたFc変異体を有する抗体とヒトFcγRとの結合を表面プラズモン共鳴(SPR)により測定する場合、各抗体変異体とFcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、FcγRIIIbおよびFcRnとの平衡解離定数(KD)を具体的に検出した。SPRの原理により、偏光ビームがプリズムの端面に一定の角度で入射すると、プリズムと金膜の界面で表面プラズモン波が発生し、金属膜内の自由電子の共鳴、すなわち表面プラズモン共鳴を引き起こす。分析する時、まずセンシングチップの表面に一層の生体分子認識フィルムを固定し、次に測定対象の試料がチップ表面を流れ、チップ表面の生体分子認識膜と相互作用可能な分子が試料中に存在すると、金膜表面の屈折率変化を引き起こし、最終的にSPR角度の変化につながり、SPR角度の変化を検出することにより、被分析物の親和力、動力学定数などの情報を得た。
本実施例は、実施例2で得られたFc領域変異を有する抗体とヒトFcγRのKDをBiacore(Cγtiva、T200)で測定し、具体的な方法は以下の通りである:抗ヒスチジン抗体がカップリングしたチップ表面に、ヒスチジンタグ含有FcγRおよびFcRnタンパク質(各Fc受容体についての情報は下記の表2を参照)を捕獲し、次いで、チップ表面タンパク質と移動相中の抗体との間の結合および解離を検出することにより、親和性および動力学定数を得た。この方法は、チップの調製および親和性の検出を含む。測定プロセスは、10倍に希釈した10×HBS-EP+(BR-1006-69、Cγtiva)を実験緩衝液として使用した。
Figure 2024516320000003
メーカーの仕様に基づいて、具体的な方法は次の通りである:
チップ調製:アミノカップリングキット(BR-1006-33、Cγtiva)およびヒスチジン捕獲キット(28995056、Cγtiva)を使用して、ヒスチジン捕獲キット内の抗ヒスチジン抗体をCM5チップ(29-1496-03、Cγtiva)の表面にカップリングし、カップリング後、1Mのエタノールアミンを注入して残りの活性化部位をブロッキングした。
親和性検出:各サイクルは、受容体の捕獲、本出願のFc領域変異を有する一定濃度の抗体への結合、およびチップの再生を含む。勾配希釈した各抗体変異体溶液(FcγRsに結合する時、希釈勾配は0nM、12.5nM、25nM、50nM、100nM、200nM、400nMであり、FcRnに結合する時、希釈勾配は0nM、50nM、100nM、200nM、400nM、800nM、1600nMである)は、低濃度から高濃度の順で、それぞれ各親和性検出サイクルを完了した。各サイクルにおいて、抗体変異体溶液を30μL/分の流速でチップ表面に流し、結合時間が60秒、解離時間が60秒であった。最後に、10mMのGlγcine pH1.5(BR-1003-54、Cγtiva)を使用してチップを再生した。得られたデータは、Biacore T200分析ソフトウェア(バージョン番号3.1)を使用して、分析1:1結合または定常状態分析モデルを使用して分析し、対応する結果を得た。
以下の表3は、本研究における各抗体変異体の各Fc受容体に対する親和性データを示し、図2は、対応する分子のフィッティング曲線を示す。
この結果から、本研究の対照抗体として、IgG1野生型Fcmut-01抗体はCD64に対して高い親和性を有し、K値は1.07E-09であり、CD32Aの2つのサブタイプであるH167およびR167にいずれも結合し、K値はそれぞれ2.01E-07および4.60E-08であり、CD16Aの2つのサブタイプであるF176およびV176に対する親和性はそれぞれ1.57E-07および2.44E-08であり、これに対して、CD16B(NA1)、CD16B(NA2)、およびCD32Bに対しは弱い結合であることがわかった。
変異体Fcmut-05がCD16A(V176)に対して比較的弱い親和性(3.06E-07)を有すること以外、他のFc変異を有する抗体分子は、いずれもCD16A(F176)、CD16A(V176)、CD16B(NA1)、CD16B(NA2)、CD32A(H167)、CD32A(R167)、およびCD32Bに結合しなかった。野生型IgG1と強い結合を有するCD64については、変異型Fcmut-06/07/08は、すべてCD64に結合しなかったが、Fcmut-02/03/04/05のCD64への結合も大幅に低減し、対照Fcmut-01と比較して、それぞれ8.7倍、12.9倍、14.02倍、50.75倍弱化された。また、Fcmut-26~Fcmut-32でも類似の結果を示し、Fcmut-25と比較して、Fcmut-29以外の他のFc変異を有する抗体分子は、いずれもCD16A(F176)、CD16A(V176)、CD16B(NA1)、CD16B(NA2)、CD32A(H167)、CD32A(R167)、およびCD32Bに結合しなかった。
F176およびV176はCD16Aの主要な遺伝子型であり、結晶構造により、CD16Aの176位のアミノ酸はFcとの結合領域に位置するため、CD16AとFcの親和性に重要な影響があることがわかった。本出願で得られたFc変異体は、実質的にCD16Aの遺伝子型F176およびV176と相互作用しないため、本出願で得られたFc変異体は、実質的にすべての機能性CD16Aと相互作用せず、これによりADCC効果を誘発しないことが示された。したがって、本出願のFc変異体を含むタンパク質分子(例えば、抗体)分子は、実質的にADCCエフェクター機能を有さない。
抗体のFc領域は、pH中性条件下ではFcRnに結合せず、酸性条件下でのみ結合することが知られており、これは、抗体分子が比較的長い半減期を有する主要なメカニズムであった。検出でわかるように、対照抗体Fcmut-01は、pH6.0でFcRnに対する親和性が3.86E-07であるが、pH7.0の条件でFcRnに結合せず、本研究で得られたFc変異を有する抗体分子は、同じ条件下で対照抗体Fcmut-01と一致しており(図2i、図2j)、本研究で得られたFc変異体がFcRnへの結合に影響を与えないことが示された。
FcRnはインビボの様々な細胞で発現され、FcRnのFc領域への結合はpH依存性であり、pH6.0付近の弱酸性でのみ結合し、中性pHでは結合しないため、対応する抗体の半減期を延長することができる。本出願の実験データは、抗体が有するFc領域変異が抗体分子のFcRnへの結合に影響を及ぼさないことを示し、したがって、FcRnは依然として本出願の抗体変異体のインビボ半減期を延長することができる。
本出願で得られた抗体変異体はCD32Bに結合せず、抗体のFc領域を変異させることで抗体の治療効果を高めることができることが示された。
従来技術で広く使用されている「LALA」変異(Fcmut-05)は、抗体Fc領域のFcγRに対する結合親和性を100倍低減させた。本出願で得られたFc変異体は、「LALA」変異と比較してFcγRに対する結合親和性が低いため、ADCCの作用がより強く低減された。
野生型IgG2およびIgG4はADCC効果が弱いか、またはADCC効果がないため、ADCC効果を回避することが望まれる多くの抗体分子は、生産中にIgG2サブタイプまたはIgG4サブタイプのFc領域を選択した。しかし、場合によっては、IgG2サブタイプまたはIgG4サブタイプのADCCエフェクター機能をさらに低減させることが依然として望ましい。このため、出願人は、IgG2およびIgG4サブタイプのFc領域の対応する部位(表1を参照)に対して対応する変異を行った後、それが様々なFcRに結合する状況をさらに検討した。データは、本出願の対応する変異を含むIgG2サブタイプまたはIgG4サブタイプのFc変異体は、野生型Fcと比較してFcγRへの結合を弱めることを示した。
Figure 2024516320000004
N.B.:結合しない
二、バイオレイヤー干渉技術による本発明のFc変異体のFc受容体への結合の測定
バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して、ヒトFc受容体に対する本発明のFc変異体の結合親和性(KD)を測定した。
実験開始の半時間前に、試料数に応じて、適切な数のHIS1Kセンサー(18-5120、Sartorius)をSD緩衝液(1xPBS、0.1%BSA、0.05%Tween(登録商標)-20)に浸漬し、FcRnに結合する時、実験で使用した緩衝液を、10mMのHEPS、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%のP20、pH6.0に変更した。抗体を200nMに希釈し、Fc受容体(試料情報については表2を参照)を100nMに希釈した。
200μLのSD緩衝液、200μLの標識抗体溶液、および200μLのFc受容体を96ウェル黒色ポリスチレンマイクロプレート(Greiner、655209)に加えた。Fortebio Octet Red96eを使用して検出を行い、試料の位置に応じてプレートをレイアウトし、センサーの位置を選択した。機器設定パラメータは次の通りである:実行ステップ:平衡ベースライン120秒、固定化Fc受容体100秒、平衡ベースライン120秒、抗体結合60秒、および解離60秒を実行し、回転速度は1000rpm、温度は30℃であった。実験が完了した後、ForteBio Octet分析ソフトウェアを使用してKD値を分析した。
結果を下記の表4および図3に示す。Fcmut-25と比較して、Fcmut-29以外の他のFc変異を有する抗体分子は、いずれもCD16A(F176)、CD16A(V176)、CD16B(NA1)、CD16B(NA2)に結合しなかった。変異体Fcmut-26/27/28/29/30/31/32変異体は、CD32A H167、CD32A R167、CD32Bに結合しなかった。変異体Fcmut-30/31/32は、いずれもCD64に結合しかったが、Fcmut-/26/27/28/29のCD64への結合も大幅に低減した。
Fc-25はHER2に結合する抗体であり、その抗体の定常領域は野生型のIgG1配列であり、結果から、P329の削除はFc gamma受容体への分子の結合を低減することができるが、FcRn(pH6.0)への結合は影響を受けないことがわかった。
Figure 2024516320000005
Figure 2024516320000006
Figure 2024516320000007
Figure 2024516320000008
Figure 2024516320000009
Figure 2024516320000010
Figure 2024516320000011
Figure 2024516320000012
Figure 2024516320000013
実験例4.バイオレイヤー干渉技術による本発明のFc変異体のC1qに対する親和性の測定
抗体のFcとC1qとの親和性の強弱は、抗体がCDCエフェクター機能を有するか否かを直接決定するため、本実施例では、各Fc変異体のC1qに対する親和性を測定することにより、当該Fc変異体がCDCエフェクター機能を有するか否かを判断した。
バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して、ヒトC1qに対する本発明の抗体の結合親和性(KD)を測定した。BLI法による親和性の測定は、従来の方法(Estep、Pら、High throughput solution Based measurement of antibody-antigen affinity and epitope binning.MAbs、2013.5(2):p270-8)で行われた。
まず、EZ-LinkTMSulfo-NHS-LC-Biotin(21327、Thermo Scientific)を使用してビオチンと抗体をモル比3:1で混合した後、静置してビオチン標識を行い、遠心分離して標識されていないビオチンを除去し、抗体をPBS溶液に等体積置換した。
実験開始の半時間前に、試料数に応じて、適切な数のSAセンサー(Foretbio、18-5019)をSD緩衝液(1xPBS、0.1%BSA、0.05%Tween(登録商標)-20)に浸漬した。抗体を約100nMに希釈し、C1q(A099、Complement Technology)を40nMに希釈した。
200μLのSD緩衝液、200μLの標識抗体溶液、および200μLのC1q抗原を96ウェル黒色ポリスチレンマイクロプレート(Greiner、655209)に加えた。Fortebio Octet Red96eを使用して検出を行い、試料の位置に応じてプレートをレイアウトし、センサーの位置を選択した。機器設定パラメータは次の通りである:実行ステップ:ベースライン、試料添加~3nm、ベースライン、会合(Kon)および解離(Kdis)を実行し、各ステップの実行時間は試料の結合および解離速度に依存し、回転速度は1000rpm、温度は30℃であった。実験が完了した後、ForteBio Octet分析ソフトウェアを使用してKD値を分析し、座標軸データをエクスポートして、Graphpad Prism8ソフトウェアを使用してプロットした。
結果は表5および図2kに示しように、Fcmut-01のみがC1qに結合可能であり、親和性は2.02E-08であり、Fcmut-2~Fcmut-8はすべてC1qに結合しなかった。本研究のFc変異体は、FcとC1qの結合を弱めるか、または阻止することができ、したがって、抗体のCDCエフェクター機能を低減また除去できることが示された。対応する野生型対照と比較して、Fcmut-10~Fcmut-16、Fcmut-18~Fcmut-24も同様に、C1qに結合しなかった。また、Fcmut-25と比較して、Fcmut-26~Fcmut-32も同様に、C1qに結合しなかった。
Figure 2024516320000014
実験例5.バイオレイヤー干渉技術による本発明の抗体と抗原との親和性の測定
以下の内容を除き、実施例4に記載の方法と同じBLI法を用いて親和性の検出を行った。
実験開始の半時間前に、試料数に応じて、適切な数のAHC(Foretbio、18-5060)センサーをSD緩衝液(1xPBS、0.1%BSA、0.05%Tween(登録商標)-20)に浸漬した。抗体およびClaudin18.2(cp0007、Genscript)をそれぞれ100nMに希釈した。
200μLのSD緩衝液、200μLの抗体、および200μLのClaudin18.2抗原をそれぞれ96ウェル黒色ポリスチレンマイクロプレート(Greiner、655209)に加えた。Fortebio Octet Red96eを使用して検出を行い、試料の位置に応じてプレートをレイアウトし、センサーの位置を選択した。機器設定パラメータは次の通りである:実行ステップ:ベースライン、試料添加、ベースライン、会合(Kon)および解離(Kdis)を実行し、各ステップの実行時間は試料の結合および解離速度に依存し、回転速度は1000rpm、温度は30℃であった。実験が完了した後、ForteBio Octet分析ソフトウェアを使用してKD値を分析した。
結果を表6に示し、Fcmut-02~08および抗原のKD値は、Fcmut-01および抗原のKD値と同程度であるため、本発明に開示されたFc領域における具体的な変異は、対応する抗体とその抗原の親和性に影響を及ぼさず、ひいては本発明のFc変異体を含む抗体は、それ自体の抗原親和性を保持することが示された。
Figure 2024516320000015
実施例6.抗体媒介によるADCC効果
FcγRによって媒介される主要なエフェクター機能の1つは、抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)であり、NK細胞およびマクロファージ上のFcγRIIIA(CD16A)によって媒介された。前記実施例において本出願で得られたFc変異を有する抗体のFc受容体に対する親和性を研究した後、本実施例では、前記抗体変異体のADCCエフェクター機能を引き続き検討した。
本実施例では、Promega社のJurkat-ADCCNF-AT luciferaseエフェクター細胞株(以下、ADCCエフェクター細胞と略称する)を使用して、NF-ATシグナルの活性化状況を検出することにより、抗体のADCC活性を検出した。実験手順は具体的に以下の通りである。
1)細胞の準備
ヒトclaudin18.2を表面過剰発現する細胞DANG-18.2(CLS Cell Lines Service)およびADCCエフェクター細胞に対して細胞計数を行った:遠心分離して細胞DANG-18.2およびADCCエフェクター細胞の上清を除去し、細胞をPBS溶液で2回洗浄し、そして細胞を検出培地(5%の低IgG血清を含む1640培地(Gibco))で再懸濁し、ADCCエフェクター細胞の濃度を6×10個/mLに調整し、DANG-18.2細胞の濃度を1×10個/mLに調整した。
2)プレーティング:標的細胞DANG-18.2を96ウェルプレートにウェル当たり25μLでプレーティングした。
3)段階希釈した本発明の抗体を添加した:Fc領域変異を有する各抗体試料および対照試料の開始濃度は表7に示すようであり、そして3倍希釈を行って合計10個の希釈勾配を得、それぞれウェルプレートに順次にウェル当たり25μL添加した。
Figure 2024516320000016
4)ADCCエフェクター細胞を各ウェルプレートに、ウェル当たり25μLずつ添加した。
5)37℃のインキュベーター中で12時間インキュベートした。
6)96ウェルプレートを取り出し、室温で10分間置き、各ウェルに解凍したLuciferase試験試薬(Bio-GloTMLuciferase assaγ reagent)を75μL加えた。マイクロプレートリーダーで検出し、GraphPadソフトウェアで濃度依存性曲線をフィッティングした。
試験結果を図4に示すように、対照抗体Fcmut-01は野生型IgG1モノクローナル抗体のFc領域を有し、標的細胞(DANG-18.2)上の抗原に結合することでADCCエフェクター細胞のNF-ATシグナルを効果的に活性化でき、これによりADCCの下流シグナル伝達経路を活性化し、当該抗体が優れたADCC殺傷能力を有することが示された。しかし、本出願で得られたFc領域変異を有する他の抗体は、非常に弱い又はほとんどないADCC効果を示し、具体的には、変異体Fcmut-05(L234AおよびL235A変異を有する)は、対照Fcmut-01より10倍高い濃度で非常に弱いADCC活性を示したが、他の変異体は、Fcmut-01より10倍高い濃度でもADCC活性を有さず、本出願で得られたFc領域変異を有する抗体分子のADCCエフェクター機能が実質的に除去され、この結果も、実施例3の各抗体分子のCD16Aに対する親和性データと一致することが示された。
従来技術によれば、Fc領域に対してLALA変異を行うことにより抗体のADCC効果が顕著に低減されることが知られているが、本実施例の結果から、LALA変異と比較して、本出願で得られたFc変異体はADCC効果に対する低減効果がより大きいことが示された。
本出願が抗体Fc領域の329位、330位、234位、もしくは235位の1つまたは複数のアミノ酸に対して変異修飾(例えば、欠失、置換)を行うことによって得られた抗体変異体は、ADCCエフェクター機能を実質的に除去させ、これにより、前記アミノ酸の位置は、抗体のADCC/ADCPエフェクター機能にとって重要であることが示された。標的抗体が実際の要求においてADCC/ADCPエフェクター機能を回避する必要がある場合、当業者は、本出願に開示された内容にしたがって、Fc領域の329位、330位、234位、もしくは235位の1つまたは複数のアミノ酸に対して対応する修飾を行うことを選択でき、これにより実際の技術的効果を奏した。具体的には、抗体Fc領域の329位のアミノ酸の欠失、329位~330位のアミノ酸の欠失、329位のアミノ酸の欠失、および320位のアミノ酸の置換、ならびに前記修飾とLALA修飾(L234A+L235A)との組み合わせ適用を考慮することができ、これにより、ADCC/ADCPエフェクター機能を除去する抗体分子を得た。

Claims (15)

  1. ヒト野生型Fc領域と比較して、1つまたは複数のアミノ酸修飾を含むFc変異体であって、前記修飾は、KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位、234位、235位、もしくは330位から選択される、Fc変異体。
  2. 以下のような修飾を含む、請求項1に記載のFc変異体:
    1)KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位のアミノ酸の欠失(Δ329)、あるいは
    2)KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされた329位および330位のアミノ酸の欠失(Δ329およびΔ330)を含む、あるいは
    4)KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされたΔ329+A330GまたはΔ329+S330Gの修飾、あるいは
    5)KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされたL234A+L235A+Δ329、V234A+Δ329またはF234A+L235A+Δ329の修飾、あるいは
    6)KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされたL234A+L235A+Δ329+Δ330、V234A+Δ329+Δ330またはF234A+L235A+Δ329+Δ330の修飾、あるいは
    7)KabatのEUインデックスにしたがって番号付けされたL234A+L235A+A330G+Δ329、L234A+L235A+S330G+Δ329、V234A+L235A+A330G+Δ329、V234A+L235A+S330G+Δ329、F234A+L235A+S330G+Δ329またはF234A+L235A+A330G+Δ329の修飾。
  3. ヒトIgG型Fc変異体であり、好ましくはIgG1型、IgG2型、またはIgG4型Fc変異体である、請求項1または2に記載のFc変異体。
  4. 以下のような配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のFc変異体:
    1)配列番号2のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    2)配列番号3のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    3)配列番号4のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    4)配列番号5のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    5)配列番号6のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    6)配列番号7のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    7)配列番号8のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    8)配列番号11のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    9)配列番号12のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    10)配列番号13のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    11)配列番号14のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    12)配列番号15のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    13)配列番号16のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    14)配列番号17のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    15)配列番号19のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    16)配列番号20のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    17)配列番号21のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    18)配列番号22のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    19)配列番号23のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    20)配列番号24のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    21)配列番号25のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    22)配列番号27のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    23)配列番号28のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    24)配列番号29のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    25)配列番号30のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    26)配列番号31のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    27)配列番号32のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの、あるいは
    28)配列番号33のEUインデックスによる221位~447位のアミノ酸の配列、または当該配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、さらにはより高い同一性を有するアミノ酸配列、または当該配列からなるもの。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のFc変異体を含む、ポリペプチド。
  6. 抗体分子であり、好ましくは、前記抗体分子はIgGクラス抗体分子である、請求項5に記載のポリペプチド。
  7. 以下のような重鎖および軽鎖を含む、請求項6に記載のFc変異体を含む抗体分子:
    1)配列番号2に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    2)配列番号3に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    3)配列番号4に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    4)配列番号5に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    5)配列番号6に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    6)配列番号7に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    7)配列番号8に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    8)配列番号11に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    9)配列番号12に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    10)配列番号13に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    11)配列番号14に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    12)配列番号15に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    13)配列番号16に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    14)配列番号17に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    15)配列番号19に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    16)配列番号20に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    17)配列番号21に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    18)配列番号22に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    19)配列番号23に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    20)配列番号24に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    21)配列番号25に示される重鎖および配列番号9に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    22)配列番号27に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    23)配列番号28に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    24)配列番号29に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    25)配列番号30に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    26)配列番号31に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    27)配列番号32に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの、あるいは
    28)配列番号33に示される重鎖および配列番号34に示される軽鎖を含むもの。
  8. 請求項1~4のいずれか一項に記載のFc変異体、または請求項5~7のいずれか一項に記載のポリペプチド、および薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
  9. 請求項1~4のいずれか一項に記載のFc変異体の、ADCC、ADCPまたはCDCエフェクター機能を低減または除去することにおける、使用。
  10. 請求項1~4のいずれか一項に記載のFc変異体、または請求項5~7のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする、核酸分子。
  11. 請求項10に記載の核酸分子を含む、ベクター。
  12. 請求項10に記載の核酸分子または請求項11に記載のベクターを含む、宿主細胞。
  13. 対象の腫瘍を治療する方法であって、有効量の請求項8に記載の医薬組成物または請求項1~4のいずれか一項に記載のFc変異体、もしくは請求項5~7のいずれか一項に記載のポリペプチドを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
  14. 請求項1~4のいずれか一項に記載のFc変異体、請求項5~7のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む、キット。
  15. 請求項1~4のいずれか一項に記載のFc変異体、または請求項5~7のいずれか一項に記載のポリペプチドを調製する方法であって、適切な条件下で、請求項12に記載の宿主細胞において、請求項10に記載の核酸分子または請求項11に記載のベクターを発現させることを含み、場合により、前記方法は、発現されたFc変異体またはポリペプチドを回収することをさらに含む、方法。
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