JP2024513983A - 第viii因子または第viii因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体を含む液体組成物 - Google Patents

第viii因子または第viii因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体を含む液体組成物 Download PDF

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Abstract

第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体を含む液体組成物であって、グリセロール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、ベタイン、プロリン、アルギニン、ヒスチジン、NaCl、カルシウム、界面活性剤、アンチトロンビンIII、ヘパリン、およびアルブミンから選択される1以上の安定剤を含み、プロテアーゼ含有量が30ng/1,000 FVIII IU以下であり、前記液体組成物の浸透圧が350~800mOsmol/kgである、液体組成物。【選択図】図1

Description

技術分野
本開示は、医薬製品の分野に関する。特に、本願は、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体を含む治療用濃縮物の新規液体製剤およびその調製のための方法に関する。
背景
フォン・ヴィレブランド因子(VWF)は、多量体構造を持つ血漿タンパク質であり、様々な形態の分子量は、各単量体サブユニットの約230,000ダルトン(Da)から、分子量の大きい多量体では2,000万ダルトンを超えるまで多様であり、最大の既知の可溶性タンパク質を形成している。その血漿濃度はおよそ5~10μg/ml前後であり(Siedlecki et al., Blood (1996) v. 88, 8, 2939-2950)、より小さいサイズの血漿形態は二量体に相当するもので、およそ500000Daの大きさである。
VWFは一次止血に不可欠な役割を有し、損傷した血管表面に血小板を接着して血小板プラグの形成を担い、ここでフィブリン凝固形成のメカニズムが進行する。分子量が大きい多量体ほどより効率的に内皮下への血小板接着機構を支持することが示唆されており、VWF濃縮製剤の臨床的有効性は、これらのより高分子量の多量体の濃度と関連付けられている(Metzner et al., Haemophilia (1998) 4, 25-32)。
これに加えて、血漿中ではVWFは第VIII因子(FVIII)のトランスポーターおよび安定剤の一部でもあり、自然状態のFVIII因子はVWFの多量体に連結していることが見出されている。第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子(FVIII/VWF)の複合体は、長さ1150nmに達する(Furuya K et al., Vox Sanguinis (2006) 91, 119-125)。これに加えて、より小さな球形態のVWFは約149×77×3.8nmの大きさであり、剪断力に応じてその構造を伸長型または直線型に変化させることができる(Siedlecki et al., Blood (1996) 88, 2939-2950)。FVIIIの血漿濃度は約0.05~0.1μg/ml前後(VWFの約50分の1~100分の1)である。
VWFの量的または質的欠損は一次止血に変化をもたらし、フォン・ヴィレブランド病として知られ、出血障害として現れる。精製VWF濃縮製剤および機能的VWF含有量の高いFVIII濃縮製剤は、フォン・ヴィレブランド病の治療において治療的に使用される。
考慮しなければならないもう一つの側面は、VWFがFVIIIの天然の安定剤であることから、VWF含有量の高いFVIII濃縮製剤は、血友病Aの治療に使用した場合、多くの利点を有する可能性があり、多数の著者が指摘しているように、例えば、輸注したFVIIIの生体内での平均寿命が長いこと、FVIII阻害抗体に対して保護効果があること(Gensana M. et al., Haemophilia, (2001) v.7, 369 374] [Bjorkman S. et al., Clin Pharmacokinet, (2001) v.40, 815-832) (Behrmann K. et al., Thromb Haemost, (2002) v.88, 221-229)およびFVIII活性阻害抗体の発現頻度が低い可能性があること(Goudemand J. et al., Blood (2006) 107, 46-51)が挙げられる。
現在、第VIII因子製剤は、保存中にFVIIIとフォン・ヴィレブランド因子の生物学的活性を維持するために凍結乾燥されている。凍結乾燥製剤は、患者に注射する前に再構成してシリンジに移さなければならず、患者にとって面倒で時間のかかるものである。しかし、液体ですぐに使用できるFVIII製剤またはFVIII/VWFは再構成の必要がなく、現在の凍結乾燥製剤よりもはるかに患者に優しい。また、液体FVIII製剤はシリンジ充填がしやすい。しかしながら、現在のFVIII製剤は液体状態では数時間またはせいぜい数日しか安定でない(初期力価の80%超を保持していない)。
PCT出願WO2014026954A1では、CaClと糖類/ポリオールを含むFVIII液体製剤が従前に記載されているが、浸透圧が800mOsmol/kgを超える高い安定剤濃度であった。
PCT出願WO2009133200A1では、非常に低濃度のCaClを含む液体製剤が、いくつかのタンパク質複合体を安定化する可能性があることが示唆されている。それらのFVIIIとの併用は記載されていない。
スペイン特許出願ES2280924T3では、リガンドとしてヘパリン、プロテアーゼ阻害剤としてアンチトロンビン、およびEDTAのような金属キレーターを含むFVIII製剤が従前に記載されている。しかしながら、本明細書に記載される本発明は、アフィニティー処理と相加的であり、これは自明ではなく、はるかに長い安定化時間を提供する。
欧州特許出願EP3483173Aは、第VIII因子および/またはVWFを得るための賦形剤を開示している。しかしながら、EP3483173出願はATIIIの使用は開示していない。ATIIIの添加は重要であり、達成された安定化レベルはATIIIの存在によるものであり、その結果、他の製品と比較してはるかに安定な液体製剤が得られる。さらに、EP3483173出願に記載されている疎水性クロマトグラフィーは、本発明によって開発されたアフィニティークロマトグラフィーとは全く異なる。特に、アフィニティークロマトグラフィーによってプロテアーゼが除去されたという記述はない。
液体FVIII組成物からプロテアーゼを除去してその安定性を改善するためのアフィニティーリガンドの使用は、一般論としてすでに知られている。例えば、欧州特許出願EP2126106には、FVIIIを安定化させるためにデキストラン硫酸を哺乳動物細胞培養培地に添加することが開示されている。これは培地中のプロテアーゼ活性を阻害または中和するが、プロテアーゼを除去するわけではかった。また、欧州特許出願EP0607392にはデキストラン硫酸アフィニティーカラムを用いたチモーゲン(第II因子と第X因子)の分離および精製が記載されている。デキストラン硫酸はFIXおよびFXに親和性があるので、FIXおよびFXをデキストラン硫酸カラムに吸着することにより他の因子から分離する。
全てのFVIII製剤およびFVIII/VWF複合体製剤は、液状では不安定であるため、現在凍結乾燥状態で包装されている。
米国特許20050074866には、血漿由来FVIIIの液体製剤用の安定化製剤が記載されており、これは25℃で保存した場合、8週間にわたり初期FVIII力価の67.6%を保持する。本発明者らは、この製剤を使用することで、25℃で12週間または5℃で12か月間、開始時の第VIII因子:C(第VIII因子凝固活性)の50%を保持できると推定した。これらの限界を超えて液体状態でより多量のFVIII:Cを保存する他の方法論または医薬製剤は記載されていない。
FVIIIの液体製剤の回収と安定性は、米国特許20050074866に記載されているものを超えており、製剤の中には、5℃で少なくとも4か月間、開始時の第VIII因子:C(100~200単位/mL)の90%以上の保持、または少なくとも6か月間、開始時の第VIII因子:Cの80%を超える保持を示すものがある。観察された6か月の安定性は予期されず、研究がまだ進行中であるため、実際の安定性は6か月を超える可能性がある。
本発明者らは、意外にも、FVIIIまたはFVIII/VWF複合体を含む液体組成物の安定性を高め、液体状体で調製し、患者が使用するために製造、貯蔵、および流通を可能とするに十分な期間、貯蔵されるようにするための新規製剤を開発した。さらに、本発明者らは、FVIII不活性化タンパク質の除去を含む独特な製造方法を特定した。
概要
第1の側面において、本発明は、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体を含む液体組成物であって、グリセロール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、ベタイン、プロリン、アルギニン、ヒスチジン、NaCl、カルシウム、界面活性剤、アンチトロンビンIII、ヘパリン、およびアルブミンから選択される1以上の安定剤を含み、プロテアーゼ含有量が30ng/1,000 FVIII IU以下であり、前記液体組成物の浸透圧が350~800mOsmol/kgである液体組成物に関する。
一態様では、グリセロール、ソルビトール、スクロース、トレハロースおよびベタインの濃度は、0.1~0.3Mである。
一態様では、プロリンの濃度は、0.10~0.45Mである。
一態様では、アルギニンの濃度は、0.001~0.10Mである。
一態様では、ヒスチジンの濃度は、0.003~0.025Mである。
一態様では、NaClの濃度は、0.1~0.2Mである。
一態様では、カルシウムの濃度は、0.01~0.04Mである。
一態様では、ポリソルベート80および20並びにポロキサマー188から選択される界面活性剤の濃度は、0.02%である。
一態様では、アンチトロンビンIIIおよびヘパリンから選択されるFVIIIプロテアーゼ阻害剤の濃度は、0.1~5U/mLの間である。
一態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子の複合体は、ヒト由来である。一態様では、前記FVIIIまたはFVIII/VWFは、ヒト血漿由来である。
一態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子の複合体は、組換え由来である。
一態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子の複合体は、少なくとも100日間安定である。
一態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子の複合体は、少なくとも270日間安定である。
さらなる側面において、本発明は、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体を含む液体組成物を得る方法であって、
a)精製または部分精製されたFVIIIまたはFVIII/VWF含有液体バルクを得る工程;
b)前記バルクをアフィニティー樹脂で処理してプロテアーゼを除去する工程;
c)安定剤を添加してより安定なFVIIIまたはFVIII/VWF含有溶液を得る工程;
d)工程c)で得られた組成物を5℃~30℃の温度で保存する工程
を含む方法に関する。
本発明の方法は、従来技術と比較して、溶液中のFVIIIまたはFVIII/VWF複合体の安定化を高めるための種々のアプローチ:1)標準的な製造工程への新規の精製工程としてアフィニティークロマトグラフィーの追加、2)製剤中へのFVIII不活化酵素阻害剤の包含、3)FVIIIタンパク質の変性および/または凝集を防ぐための、製剤への安定剤の包含を組み合わせたものである。
新規精製工程は、プロテアーゼを除去するための置換クロマトグラフィーモードでのアフィニティー樹脂の使用を含む。
一態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、ヒドロキシアパタイト、シバクロンブルー、プロシオンレッド、ヘパリン、デキストラン硫酸、硫酸化セルロース、リジン、ベンズアミジン、またはそれらの組合せから選択されるアフィニティー樹脂を用いて行われる。
一態様では、本発明の方法の工程c)の安定剤は、グリセロール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、ベタイン、プロリン、アルギニン、ヒスチジン、NaCl、カルシウム、界面活性剤、アンチトロンビンIII、ヘパリン、アルブミン、およびそれらの組合せから選択することができる。
一態様では、グリセロール、ソルビトール、スクロース、トレハロースおよびベタインの濃度は、0.1~0.3Mである。
一態様では、プロリンの濃度は、0.10~0.45Mである。
一態様では、アルギニンの濃度は、0.001~0.10Mである。
一態様では、ヒスチジンの濃度は、0.003~0.025Mである。
一態様では、NaClの濃度は、0.1~0.2Mである。
一態様では、カルシウムの濃度は、0.01~0.04Mである。
一態様では、ポリソルベート80および20並びにポロキサマー188から選択される界面活性剤の濃度は、0.02%である。
一態様では、アンチトロンビンIIIおよびヘパリンから選択されるFVIIIプロテアーゼ阻害剤の濃度は、0.1~5U/mLである。
一態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体は、ヒト由来である。一態様では、前記FVIIIまたはFVIII/VWFは、ヒト血漿由来である。
一態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体は、組換え由来である。
一態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体は、少なくとも100日間安定である。
一態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体は、少なくとも270日間安定である。
アンチトロンビン(本明細書ではATまたはAT-IIIと呼称)およびヘパリンは、本発明の他の要素と組み合わせると、有効な安定剤となることが判明した。ATおよびヘパリンの安定化効果は、米国特許20050074866で示された結果に基づいて予想することができた。しかしながら、溶液中で長期間80%を超える第VIII因子:Cを維持するために、AT/ヘパリンと追加工程および新規安定剤を組み合わせることは明白でなかった。
開発中、いくつかの潜在的なタンパク質安定剤が、液体第VIII因子製剤に対する安定化効果について、様々な濃度で個々に評価された。単一の安定化剤、単一の阻害剤、および単一の追加精製工程だけでは、望ましい長期安定化結果は得られなかった。しかしながら、安定化剤の種々の組合せが、FVIII:Cを安定化するために相乗的に作用することが見出された。本発明者らは、長期(6か月以上)安定性(初期活性の80%超を維持)を有する液体第VIII因子製剤を製造することができる安定剤、阻害剤および精製工程のいくつかの組合せを見出した。安定剤、阻害剤および精製工程の最も適切な組合せの決定は直感的なものではなく、経験的に解決された。
本発明で検討した製剤用賦形剤/安定剤は、生理学的浸透圧より高い浸透圧の高濃度で最大の安定化効果を示すことが判明した。
一態様では、本発明は、350~800mOsmol/kgであると見積もられる浸透圧で有効な賦形剤/安定剤の組合せを記載する。
本発明をより良く理解するために、例として提示された添付の図面を参照し、本発明の限定ではない例示的な実施例を参照して、以下により詳細に説明する。
図1は、FVIIIまたはFVIII/VWFを得るための現在の工程と本発明の工程を比較した図を示す。米国特許5288853(製法)および5399670(製剤)に記載されているように現在製造されている製品に、本発明に記載される製剤および追加の精製を当てはめた。他の製造方法により製造された他の第VIII因子製剤も同様に本発明により利益を得る可能性がある。 図2は、30℃でのセルファイン(商標)サルフェイト処理の後のFVIIIの安定性に関するグラフを示す。種々の濃度のセルファイン(商標)サルフェイトを試験した:30mg/ml、50mg/ml、75mg/ml、100mg/mlおよび150mg/ml。 図3は、5℃でのアフィニティー樹脂処理および安定剤条件後のFVIIIの安定性に関するグラフを示す。種々の安定剤を試験した:1)1U/mLのATIIIと1U/mLのヘパリンの組合せ;2)30%のソルビトール、0.6MのプロリンおよびATIII/ヘパリン;3)セルファイン(商標)サルフェイト、ソルビトール、プロリンおよびATIII/ヘパリン;4)ブルーセファロース(商標)、ソルビトール、プロリンおよびATIII/ヘパリン;5)ブルーセファロース(商標)、ヘパリンアクチゲル(登録商標)、ソルビトール、プロリンおよびATIII/ヘパリン;6)ヘパリンアクチゲル(登録商標)、セルファイン(商標)サルフェイト、およびATIII/ヘパリン;7)ヘパリンアクチゲル(登録商標)、セルファイン(商標)サルフェイト、ソルビトール、プロリンおよびATIII/ヘパリン。 図4は、5℃でのアフィニティー樹脂処理および安定剤条件後のFVIIIの安定性に関するグラフを示す。種々の安定剤を試験した:1)5%のアルブミンおよびATIII/ヘパリン;2)5%のアルブミン、30mM CaClおよびATIII/ヘパリン;3)0.3Mソルビトール、0.15Mプロリン、20mM CaClおよびATIII/ヘパリン;4)0.3Mソルビトール、0.15Mプロリン、0.02%ポリソルベート80(PS80)およびATIII/ヘパリン;5)50mMアルギニンおよび12.5 ヒスチジンおよびATIII/ヘパリン;6)明澄化バルク。 図5は、5℃でのアフィニティー樹脂処理および安定剤条件後のFVIIIの安定性に関するグラフを示す。種々の安定剤を試験した:1)セルファイン(商標)サルフェイトおよび5%のアルブミンおよび40mM CaCl;2)セルファイン(商標)サルフェイトおよび5%ソルビトール、0.2Mプロリン、5%アルブミンおよび10mM CaCl;3)セルファイン(商標)サルフェイトおよび0.15Mプロリン、5%アルブミン、40mM CaClおよび1mM EDTA;4)HAウルトロゲル(登録商標)ヒドロキシアパタイトおよび5%ソルビトール、0.2Mプロリン、5%アルブミンおよび10mM CaCl;5)セルファイン(商標)MAX DexS-VirSおよび0.15Mプロリン、5%のアルブミン、40mM CaClおよび1mM EDTA。ATIIIおよびヘパリンは上記製剤の全てに添加した。
詳細な説明
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、記載される方法および組成物に関連する分野における熟練者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語および語句は、別段の明示がない限り、それらに付与された意味を有する。
用語「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が別段のことを明示しない限り、複数形の参照語を含む。
本明細書において、文脈が別段のことを要求しない限り、「含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、記載された要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群を含むことを意味するが、他の要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群を除外するものではないと理解される。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における熟練者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。例示的な方法および材料を以下に記載するが、本明細書に記載したものと類似または同等の方法および材料を使用することもでき、これらは当業者には明らかであろう。本明細書で言及される全ての刊行物および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が優先する。材料、方法、および実施例は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
本明細書における各態様は、別段の明示がない限り、他の全ての態様に必要な修正を加えて適用される。
以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有するものと理解すべきである。
本明細書で使用する場合、「組換え体」という用語は、(1)天然に存在する環境から取り出された、(2)遺伝子が天然に見られるポリヌクレオチドの全部または一部と会合されていない、(3)天然には連結されていないポリヌクレオチドと作動可能に結合されている、または(4)天然には存在しない、生体分子、例えば、遺伝子またはタンパク質を指す。用語「組換え体」は、クローン化されたDNA単離物、化学的に合成されたポリヌクレオチド類似体、または異種系によって生物学的に合成されたポリヌクレオチド類似体、ならびにこのような核酸によってコードされるタンパク質および/またはmRNAに関して使用され得る。いくつかの態様において、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体は組換え体である。
本明細書で使用する場合、「ヒト血漿由来」という用語は、ドナーからプールされたヒト血漿の標準品から得られる生体分子、例えば、遺伝子またはタンパク質を指す。いくつかの態様では、ヒト血漿由来という用語は、ヒト血漿由来の第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体を指して使用される。
本明細書で使用する場合、「血漿由来製品」という用語は、血漿または凝固タンパク質が分離または取り出され、凝固因子濃縮物(特定の凝固タンパク質、液体または粉末として凍結乾燥される)または新鮮凍結血漿が製造される提供ヒト血液から作られた製品を指す。従来の血漿分画法の一例としてコーン法がある。
本明細書で使用する場合、「プロテアーゼ」という用語は、タンパク質またはポリペプチドのより小さなアミノ酸ポリマーへの加水分解を触媒する酵素群のいずれをも指す。
本明細書で使用する場合、「安定剤」という用語は、分解を防ぐために使用される化学物質を指す。いくつかの態様では、安定剤は、ソルビトール、プロリン、アンチトロンビンIII、ヘパリン、塩化カルシウムおよびアルブミンである。
本明細書で使用する場合、「リガンド」および「アフィニティー樹脂」という用語は、プロテアーゼを除去するために使用される化学物質を指す。いくつかの態様では、リガンドまたはアフィニティー樹脂は、ヒドロキシアパタイト、シバクロンブルー、プロシオンレッド、ヘパリン、デキストラン硫酸、硫酸化セルロース、リジン、およびベンズアミジンである。
本明細書で使用する場合、「FVIII力価」という用語は、当業者に周知の欧州薬局方発色アッセイを用いて決定される第VIII因子:C力価(IU)を指す。
本明細書で使用する場合、「VWF力価」という用語は、当業者に周知の欧州薬局方に記載されているようなリストセチン補因子アッセイを用いて決定されるフォン・ヴィレブランド因子力価(IU/mL)を指す。
I.FVIIIおよびFVIII/VWF
本発明は、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体を含み、ソルビトール、プロリン、アンチトロンビンIII、ヘパリン、塩化カルシウム、アルブミンおよびそれらの組合せを含む液体組成物に関する。
第VIII因子は血液凝固に関与し、第IXa因子の補因子であり、Ca2+およびリン脂質の存在下で、第X因子を活性化合物形態Xaに変換する複合体を形成する。第VIII因子遺伝子は、2つの選択的にスプライシングされる転写産物を生成する。転写変異体1は、血漿中を循環し、フォン・ヴィレブランド因子と非共有結合複合体として会合する大きな糖タンパク質であるアイソフォームaをコードする。このタンパク質は、複数の切断事象を受ける。転写変異体2は、主として第VIII因子cのリン脂質結合ドメインからなる小さな推定タンパク質であるアイソフォームbをコードする。この結合ドメインは、凝固活性に不可欠である。
第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子の複合体は、強固に結合した複合体(FVIII/VWF)として血漿中を循環する異なるが関連のある2つの糖タンパク質である。それらの欠損または構造的欠陥は、最も一般的な遺伝性出血性疾患、すなわち血友病A(HA)とフォン・ヴィレブランド病(VWD)の原因である。VWFは止血において二重の役割を担い、第一に、それは血栓形成時に血小板の血栓形成表面への接着ならびに血小板同士の凝集を促進し、第二に、血漿中のFVIIIの担体である。FVIIIは凝固カスケードにおいて活性化第IX因子による第X因子の活性化を促進する補因子として働く。
いくつかの態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体は、ヒト由来または組換え由来である。
いくつかの態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体は、少なくとも100日間安定である。いくつかの態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体は、少なくとも270日間安定である。
II.第VIII因子を得る方法
本発明は、液体第VIII因子組成物を得るための方法に関する。
本発明の方法において、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体の濃縮物を得る方法は、
a)精製または部分精製されたFVIIIまたはFVIII/VWF含有液体バルクを得ること;
b)前記バルクをアフィニティー樹脂で処理してプロテアーゼを除去すること;
c)安定剤を添加してより安定なFVIIIまたはFVIII/VWF含有溶液を得ること;
d)工程c)で得られた組成物を5℃~30℃の温度で保存すること
を特徴とする。
工程b)では、FVIIIまたはFVIII/VWFを含有するバルクを撹拌し、次いで、濾過または遠心分離して、FVIII/VWFタンパク質を吸収することなく樹脂を除去する。この方法は、工業的規模の生産において大きな利点がある。この方法は、ごく少量のアフィニティー樹脂しか必要とせず、生成物の代わりに不純物を結合するため、カラムを使用しない。アフィニティー樹脂の添加量は、FVIII活性1,000単位あたりアフィニティー樹脂約1mLである。FVIII/VWFの吸収工程が不要であるため、複雑なクロマトグラフィー操作が不要である。
いくつかの態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、ヒドロキシアパタイト、シバクロンブルー、プロシオンレッド、ヘパリン、デキストラン硫酸、硫酸化セルロース、リジン、およびベンズアミジンまたはそれらの組合せから選択されるアフィニティー樹脂を用いて行われる。いくつかの好ましい態様では、アフィニティークロマトグラフィーは、セルファイン(商標)サルフェイト(JNC Corporation、日本)、HAウルトロゲル(登録商標)ヒドロキシアパタイト(Pall Life Sciences、USA)、セルファイン(商標)MAX DexS-VirS(JNC Corporation、日本)、ブルーセファロース(商標)(Cytiva、USA)、ヘパリンアクチゲル(登録商標)(Sterogene Bioseparations、USA)を用いて行われる。
一態様では、本発明の方法の工程c)の安定剤は、グリセロール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、ベタイン、プロリン、アルギニン、ヒスチジン、NaCl、カルシウム、界面活性剤、アンチトロンビンIII、ヘパリン、アルブミンおよびそれらの組合せから選択することができる。
いくつかの態様では、安定剤は、350~800mOsmol/kgの浸透圧を有する。
いくつかの態様では、第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体は、少なくとも100日間安定である。
第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体の方法、組成物、および使用は、以下の限定されない例によりさらに説明される。
実施例1:本発明によるアフィニティークロマトグラフィー後のFVIIIの安定性
アルファネート(登録商標)(Grifols Biologicals LLC、USA)を実験の出発材料として使用した。製剤の数本のバイアルを注射水で再構成し、それらの内容物をプールし、その後、追加の精製工程を行い、これらの工程によって第VIII因子不安定化化合物が除去され得るかどうか、および製剤の安定性が改善され得るかどうかを検討した。
例えば、再構成製品を硫酸化セルロースアフィニティークロマトグラフィー樹脂(セルファイン(商標)サルフェイト、JNC Corporation、図2参照)で処理した場合、再構成製品が30℃の加速保存条件下で溶液中にとどまり、初期活性の80%以上を維持する期間は、1日(処理無し)から10日(処理有り)に延長された。他のアフィニティークロマトグラフィー樹脂による処理も、同様に製品の安定性を延長することが認められた。例えば、シブリコンブルーアガロース(ブルーセファロース(商標)、Cytiva)またはヘパリンアガロース(ヘパリンアクチゲル(登録商標)、Sterogene Bioseparations)で再構成製品を処理すると、液体FVIIIが30℃で初期活性の80%以上を維持できる期間が6~9日に延長され(結果は示されていない)、リジンアガロース樹脂で処理すると、30℃で保存した場合は1日未満から5日に、5℃で保存した場合は5日から20日に製品の安定性が増加した。デキストラン硫酸、ヒドロキシアパタイト、プロキオンレッド、リジン、ベンズアミジンなどの他のアフィニティー樹脂も同様の結果を示した。
実施例2:本発明の安定剤の添加によるFVIIIの安定性
本実施例では、アルファネート(登録商標)を上述の樹脂の1以上で処理した後、アルギニンおよびヒスチジンならびに以下の安定剤:アンチトロンビン、ヘパリン、アルブミン、プロリン、ソルビトール、グリセロール、ε-アミノ-カプロン酸(EACA)、トレハロース、ベタイン、セリン、グリシン、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188、CaCl、スクロースおよびNaClのうち1以上を配合した。様々な組合せと濃度のほとんど全ての安定化剤が、追加の精製工程と組み合わされた場合に、FVIIIの安定性をアルギニンおよびヒスチジン単独で見られた安定性よりも延長することができた。
これらの樹脂処理と安定剤の組合せのいくつかによる影響を図3に示す。アルファネート(登録商標)を再構成し、ATIIIおよびヘパリン(各1単位/mL)を配合した場合、FVIII活性は100日間安定であった(-●-)。ATIIIとヘパリンに加えて)30%ソルビトールと0.6Mプロリンを添加した場合、FVIII活性は約150日間安定であった(-X-)。再構成液を製剤前に親和性樹脂であるセルファイン(商標)サルフェイト(-■-)またはブルーセファロース(商標)(-▲-)で処理した場合、FVIII活性の安定性は180日~270日以上に延長した。再構成液をヘパリンアクチゲル(登録商標)とブルーセファロース(商標)(-◆-)またはヘパリンアクチゲル(登録商標)とセルファイン(商標)サルフェイト(-□-)の2種類の樹脂で処理した場合、FVIII活性は少なくとも270日間安定であった。
上記製剤の浸透圧(約2500mOsm/kg)は、高濃度の賦形剤/安定剤を使用しているために、生理学的浸透圧よりもはるかに高い。これは、予備研究のために最大限の安定化効果を確保するための意図的なものである。さらに高い浸透圧を持つ同じ賦形剤または異なる賦形剤の他の組合せも試験し、さらに大きな安定化効果が得られることが判明した。しかしながら、高浸透圧製品は静脈内薬物送達には望ましくない性質があるため、低濃度および低浸透圧の安定化剤の組合せで同じ安定化効果が得られるかどうかを判定するためにさらなる研究を行った。
そこで、浸透圧が生理学的浸透圧付近のいくつかの安定化製剤について、アルファネート(登録商標)プレバルク材料をセルファイン(商標)サルフェイトで処理した後、溶液中のFVIII活性に対する安定化効果を評価した。図4は、評価されたいくつかの安定化製剤の安定化効果を示す。これらの試験製剤のFVIII濃度は185単位/mLで、浸透圧は355~819mOsmol/kgの範囲であった。比較のため、アルファネート(登録商標)製剤の浸透圧は150FVIII単位/mLで369±40mOsmol/kg、200FVIII単位/mLで431±34mOsmol/kgである。各配合製剤の推定浸透圧を図4に示す。
製剤の浸透圧は以下の通り。
Figure 2024513983000002
現在製剤化されているアルファネート(登録商標)(図4の明澄化バルク、製剤6を参照)は、溶液中で数日間しか安定でない。このバルクは100mMアルギニン、25mMヒスチジンおよび0.5%アルブミンが配合されている。
しかしながら、中間バルクを図1に示すように樹脂で処理し、その後、同量のアルギニン、ヒスチジンおよびアルブミンとATIIIおよびヘパリン(各2単位/mL)とを配合した場合、5℃におけるFVIII:Cの溶液安定性は150日まで延長した(図4、製剤5)。
中間バルクを樹脂で処理し、その後、通常量の半分のアルギニンおよびヒスチジン(浸透圧を下げるため)と、ATIIIおよびヘパリン(各2単位/mL)および5%アルブミンFVIII:Cを配合した場合、溶液中の安定性は200日まで延長した(図4、製剤1)。この製剤にCaClを加えると、溶液の安定性は200日をはるかに超えた(図4、製剤2)。
中間バルクを樹脂で処理し、その後、通常量の半分のアルギニンおよびヒスチジンと、ATIIIおよびヘパリン(各2単位/mL)、ソルビトールおよびプロリン(アルブミンは含まない)、ならびにCaClまたはポリソルベート80を配合した場合にも、溶液中の安定性は200日を十分に超えて増加した(図4、製剤3、4)。
図5は、評価した様々な安定剤製剤とクロマトグラフィーアフィニティー樹脂の安定化効果を示している。浸透圧は609~790mOsmol/kgであった。各配合製剤の推定浸透圧を図5に示す。
製剤の浸透圧は以下の通り。
Figure 2024513983000003

Claims (19)

  1. 第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体を含む液体組成物であって、グリセロール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、ベタイン、プロリン、アルギニン、ヒスチジン、NaCl、カルシウム、界面活性剤、アンチトロンビンIII、ヘパリン、およびアルブミンから選択される1以上の安定剤を含み、プロテアーゼ含有量が30ng/1,000 FVIII IU以下であり、前記液体組成物の浸透圧が350~800mOsmol/kgである、液体組成物。
  2. グリセロール、ソルビトール、スクロース、トレハロースおよびベタインの濃度が0.1~0.3Mである、液体組成物。
  3. プロリンの濃度が0.10~0.45Mである、液体組成物。
  4. アルギニンの濃度が0.001~0.10Mである、液体組成物。
  5. ヒスチジンの濃度が0.003~0.025Mである、液体組成物。
  6. NaClの濃度が0.1~0.2Mである、液体組成物。
  7. カルシウムの濃度が0.01~0.04Mである、液体組成物。
  8. ポリソルベート80および20並びにポロキサマー188から選択される界面活性剤の濃度が0.02%である、液体組成物。
  9. アンチトロンビンIIIおよびヘパリンから選択されるFVIIIプロテアーゼ阻害剤の濃度が0.1~5U/mLである、液体組成物。
  10. アルブミンの濃度が0.5~5%である、液体組成物。
  11. 第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子の複合体がヒト由来である、液体組成物。
  12. FVIIIまたはFVIII/VWFがヒト血漿由来である、液体組成物。
  13. 第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子の複合体が組換え由来である、液体組成物。
  14. 第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体が少なくとも100日間安定である、液体組成物。
  15. 第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体を含む液体組成物を得る方法であって、
    a)精製または部分精製されたFVIIIまたはFVIII/VWF含有液体バルクを得る工程;
    b)前記バルクをアフィニティー樹脂で処理してプロテアーゼを除去する工程;
    c)安定剤を添加してより安定なFVIIIまたはFVIII/VWF含有溶液を得る工程;
    d)工程c)で得られた組成物を5℃~30℃の温度で保存する工程
    を含む、方法。
  16. アフィニティークロマトグラフィーがヒドロキシアパタイト、シバクロンブルー、プロシオンレッド、ヘパリン、デキストラン硫酸、硫酸化セルロース、リジン、ベンズアミジン、またはそれらの組合せから選択されるアフィニティー樹脂で行われる、請求項15に記載の方法。
  17. 安定剤がグリセロール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、ベタイン、プロリン、アルギニン、ヒスチジン、NaCl、カルシウム、界面活性剤、アンチトロンビンIII、ヘパリン、アルブミン、またはそれらの組合せから選択される、請求項15または16に記載の方法。
  18. 最終組成物が350~800mOsmol/kgの浸透圧を有する、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 第VIII因子または第VIII因子/フォン・ヴィレブランド因子複合体が少なくとも100日間安定である、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
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