JP2024503432A - 抗cd38抗体及び抗cd38抗体の使用 - Google Patents

抗cd38抗体及び抗cd38抗体の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、免疫複合体沈着によって直接引き起こされる疾患の予防及び/又は治療における抗CD38抗体又は抗体断片の使用に関する。本発明によれば、抗CD38抗体は、IgA腎症(IgAN)の治療に有効である。【選択図】図1

Description

本発明は、免疫複合体(IC)の沈着によって引き起こされる疾患の治療及び/又は予防に使用するためのCD38に特異的な抗体又は抗体断片に関する。特に、本発明は、(i)免疫グロブリン分泌細胞の枯渇及び/又は(ii)抗体分泌細胞の枯渇によりICを低減させる方法であって、これらの細胞により分泌される抗体は免疫グロブリンに対する、抗CD38薬を用いる方法を提供する。本発明によれば、抗CD38抗体は、単独で又は1つ又は複数の免疫抑制剤と組み合わせて、IgA腎症(IgAN)及びループス腎炎(LN)の治療及び/又は予防に有効であってよい。本発明による使用するための抗CD38抗体としては、MOR202(felzartamab)が挙げられるが、これに限定されない。
免疫複合体媒介疾患
免疫複合体(IC)は、特定の疾患の病原体であることが多い。循環中で抗原(例えば抗体など)及び二価抗体との間で形成されるICは、例えば糸球体腎炎及び動脈炎における糸球体及び血管病変の原因となる主要な病原性機構である。ICによる組織傷害は通常、補体系の活性化、走化性因子の産生、及び/又は免疫細胞の誘引によって媒介される。用語「免疫複合体媒介疾患」は、循環ICが主要な役割を果たすと考えられる疾患を指すために広く用いられる。たいていのIC媒介疾患は、循環に由来する複合体の沈着により惹起されるが、組織内で局所的に形成される複合体も傷害を引き起こすことができる。疾患の原因となるICは、自己抗原又は外来抗原のいずれかと結合する抗体から成ってよい。IC媒介疾患の病理学的特徴は、IC沈着部位を反映し、抗原の細胞供給源によっては決定されない。したがって、IC媒介疾患は、腎臓及び関節などのいくつかの臓器はとくにかかりやすいが、複数の臓器でかかる傾向がある。用語「免疫複合体媒介疾患」は、ICが傷害の基本的なメディエーターであることを意味する。しかしながら、循環複合体は、他の病原性機構のほうがずっと重要な疾患にも存在してよく、いくつかの例においては複合体は、意味があるとしても、実際はほとんど重要でないようにみえる。重要なことに、本明細書で用いられるIC媒介傷害とは、複合体が、循環中又は組織内で局所的にのいずれかで、細胞外部位で形成される状態のみを指す。この定義では、II型免疫反応に典型的な細胞表面抗原と結合する抗体によってもたらされる傷害を除く。例えば、基底膜に対する自己抗体に起因する疾患(例えば、抗糸球体基底膜疾患、抗PLAR2膜性腎症)は、本明細書のIC媒介疾患と分類されない。本開示は、III型免疫応答としての循環ICに関する。通常、大きなIC凝集体、又は不溶性ICは、肝臓及び脾臓の単核食細胞系によって除去されるが、小さな可溶性ICは、組織沈着する傾向がある。IC沈着は、全身性要因、ICの生理化学的特性及び組織特異的血行動態によって影響され、サイトカイン及び/又は脂質メディエーターによって誘導される血管透過性の変化によって引き起こされてよい。循環ICはまず脈管構造内に局在化し、それから血管外組織中に移動することが非常に多い。
抗CD20抵抗性B細胞の枯渇
抗CD20抗体リツキシマブ(RTX)でのB細胞枯渇は、IC媒介疾患を含む自己免疫疾患の治療に広く用いられる。しかしながら、抗CD20抗体による治療後の長期寛解を達成する患者の割合は、疾患及び臨床状況に依存して大きく変わり、多くの患者は、抗CD20 B細胞枯渇療法後に再発することが多い(Lafayette RAら、(2017)J Am Soc Nephrol.;28(4):1306-1313)。
3個のシナリオでこれらの再発を説明してよい。(i)新しい耐用の破綻が新しく形成されたナイーブB細胞を自己免疫レパートリーに動員してもよい、(ii)RTXに対して抵抗性だった自己反応性メモリーB細胞が再賦活化されてよい、及び(iii)免疫複合体を形成する長命の抗体分泌形質細胞が細胞の微小環境で生き延びた。
本開示は、IC媒介疾患の治療及び/又は予防、特にIgA腎症及びループス腎炎用の改善された選択肢を提供する。
IgA腎症
IgA腎症(IgAN)は、ベルジェ病としても知られ、世界中で最も蔓延している慢性糸球体疾患である。この疾患の名称は、免疫グロブリンA(IgA)が糸球体間質に沈着することに由来する。サブクラスIgA1は、プロリンリッチヒンジ領域の多くのセリン及びスレオニン残基上でO-グリコシル化される2種類の免疫グロブリンの1つである(他のものはIgDである)。IgA1の異常なグリコシル化は、特定の組織、特に糸球体間質のIgA1分子を重合させるようである。ガラクトース欠損IgA1(Gd-IgA1)を産生するトリガー及び部位は、IgANでは分かっていない。長命の形質細胞を含む、形質細胞は、Gd-IgA1に対応する抗体の主要な供給源の可能性がある。IgAN患者の主要な知見は、Gd-IgA1及びヒンジ領域Oグリカンに対する自己抗体(主にIgG)から成る循環及び糸球体IC及びC3の存在である。これらのICは腎性であり、糸球体炎症及び糸球体間質増殖に寄与する。最終的に、レニンアンジオテンシン系(RAS)及び補体系の活性化は、糸球体硬化症及び尿細管間質性線維症に寄与し、腎機能が減少する。IgANの患者の約25~30%が症候の20~25年以内に末期腎不全(ESRD)に進行する(KDIGO Clinical Practice Guideline on Glomerular Diseases,2020)。ESRDに進行する主要なリスク要因は、持続性蛋白尿、高血圧、及び糸球体濾過率(GFR)の減少である(Fellstroem BCら、(2017)Lancet;389(10084):2117-2127)。
IgANの治療は、疾患進行速度を遅らせるための標準治療として非免疫抑制方針、血圧調節、RASの阻害、及び生活習慣の修正(すなわち体重減少、運動、禁煙、及び食事性ナトリウム制限)に焦点を合わせている。複数の研究から、持続性蛋白尿が長期の腎臓アウトカムの最も強力な予測因子であること、及び蛋白尿の減少が、介入の性質に関係なく、腎臓アウトカムの改善と関連することが立証され、これにより蛋白尿の減少がIgANの腎臓アウトカムを改善する妥当なサロゲートマーカーとして確立される(Thompson Aら、(2019)Clin J Am Soc Nephrol;14:469-481)。これらの試験における蛋白尿減少の典型的な標的は、1g/日未満である。したがって、蛋白尿をこの濃度まで減少させることは、進行性慢性腎疾患のリスクが依然として高いIgANの患者における介入の合理的な標的である。6か月の最適化されたRAS遮断にもかかわらず持続性蛋白尿が1g/日を超え、GFRが1.73mあたり50mL/分を超える患者については、6か月間の高用量全身性副腎皮質ステロイドでの治療が提案されている。しかしながら、臨床的有用性が確立されておらず、高用量全身性副腎皮質ステロイドの使用は、重篤感染症、高血圧、体重増加、糖尿病、及び骨粗鬆症などの有害事象及び後遺症のリスク上昇と関連する(Pozzi C(2016)J Nephrol.(1):21-5).全身性副腎皮質ステロイドは、細心の注意を払って投与すべきであり、30mL/分未満のGFR、糖尿病、肥満、潜伏感染(例えばウイルス肝炎、結核など)、続発症(例えば硬変など)、活動性消化性潰瘍又は制御されていない精神疾患の患者には完全に避けるべきである。アザチオプリン、カルシニューリン阻害薬及びリツキシマブでIgANを治療する臨床試験は、有効性の文書証拠が提供されていない(Pozzi C(2016)J Nephrol.(1):21-5;Rauen Tら、(2020)Kidney Int.98(4):1044-1052)。ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は、報告によれば中国人患者の蛋白尿を低減し、GFRを安定化させた(Tangら、(2005)Kidney Int.68:802-812、しかし、コーカサス人患者ではそうならなかった(Frisch Gら、(2005)Nephrol Dial Transplant;20:2139-2145)。
いくつかの糸球体疾患におけるRTXの有効性についての証拠は有望であるが、IgANの初期の結果は期待できない。例えば、蛋白尿及び腎障害を伴うIgANにおけるリツキシマブの無作為化比較試験(NCT00498368)では、RTXで治療しても蛋白尿を有意に減少させ、腎機能に恩恵を受けることができなかった(Lafayette RAら、(2017)J Am Soc Nephrol.;28(4):1306-1313)。
したがって、IgANの患者にとって、リスクベネフィットプロファイルが良好で一般的に有効な改善された治療選択肢が必要とされている。
ループス腎炎
ループス腎炎(LN)は、全身性エリテマトーデス(SLE)の結果として起こる腎臓の炎症であり、SLE患者の20%~60%に起こる。病理組織学的に、LNは、核内抗原に対する自己抗体の形成の結果としてのIC沈着物による糸球体腎炎である。さらなる病理学的変化は、尿細管間質性腎炎並びに血管へのIC沈着物による血管病変及び細小血管症を含んでよい。疾患の重症度に基づいて、LNを少なくとも6個の分類に分類することができる。クラスI疾患(微小メサンギウムループス腎炎)は、光学顕微鏡下では正常な臨床尿検査及び目立たない外観で見えるが、電子顕微鏡により分析すると、糸球体間質沈着物が見える。クラスII疾患(メサンギウム増殖性ループス腎炎)は、メサンギウム細胞増多及び基質の拡大によって特徴づけられる。蛋白尿の有無にかかわらず血尿が存在してよい。クラスIII疾患(巣状糸球体腎炎)は、糸球体の50%未満を含む硬化性病変によって言及され、管内又は管外増殖性病変を含む分節性病変又は全体的病変であってよい。臨床的には、血尿、蛋白尿、高血圧、及び血清クレアチニンの上昇が存在する。クラスIV疾患(びまん性増殖性腎炎)は、最も重症で、最も一般的なサブタイプである。管内又は管外増殖性病変を含む分節性又は全体的病変を示す糸球体の50%超が関与する。臨床的には、血尿及び蛋白尿が存在し、ネフローゼ症候群、高血圧、低補体血症、抗dsDNA抗体価の上昇及び血清クレアチニンの上昇を伴うことが多い。クラスV疾患(膜性糸球体腎炎)は、糸球体毛細血管壁のびまん性肥厚によって特徴づけられる。臨床的には、ステージVは、ネフローゼ症候群の徴候を示す。ステージVはまた、腎静脈血栓症又は肺塞栓症などの血栓性合併症を発症することもできる。クラスVI、又は進行硬化性LNは、糸球体の90%超が関与する全体的硬化症によって表される。このステージは、緩徐進行性腎機能障害によって特徴づけられる。
LN用に処方された投薬計画には、シクロホスファミド及び副腎皮質ステロイド、MMF、アザチオプリン及び副腎皮質ステロイド、並びにタクロリムスが含まれる。シクロホスファミドを含有する計画は、重篤感染症、脱毛症、及び不妊症など有害事象の発生率が高い。さらに、治療に対する応答は遅いことが多く、寛解を達成することができた場合でさえ、再発のリスクはかなり残っている。MMFは、シクロホスファミドより毒性が低い代替物として現れ、MMF並びにシクロホスファミド及び副腎皮質ステロイドは、疾患の寛解を達成するのに等しく有効であると思われる。ループス腎炎(LN)は、免疫抑制の標準治療に対して抵抗性があることが多く、臨床的寛解を達成した後に再発するのが一般的である。
全体的に見て、LNは依然として重篤状態のままであり、10年後患者の15%は末期腎疾患になる。改善された治療選択肢(例えばステロイド節約など)がLNを患う患者に強く求められている。
本発明は、免疫複合体の沈着が自己免疫疾患の主要な病理学的機構的原因である自己免疫疾患の治療及び/又は予防に使用するための、CD38に特異的な抗体又は抗体断片を提供する。特に、抗CD38抗体又は抗体断片は、IgA腎症及び/又はループス腎炎の治療及び/又は予防に使用するためのものである。好ましくは、抗CD38抗体又は抗体断片は、IgA腎症の治療及び/又は予防に使用するためのものである。
さらに、本発明は、IgA腎症の治療及び/又は予防に使用するためのCD38に特異的な治療有効量の抗体又は抗体断片を含む医薬組成物を提供する。
Felzartamab(MOR202)は、形質芽球及び形質細胞などの抗体分泌細胞を主に抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)及び抗体依存性細胞介在性食作用(ADCP)を介して標的にする既知のモノクローナルヒト抗CD38抗体である。MOR202の臨床試験中、腫瘍性、腫瘍状の、悪性形質細胞(すなわち多発性骨髄腫細胞)並びに良性形質細胞の死滅効率を実証した。多発性骨髄腫(MM)を患う患者においては、MOR202により形質細胞を枯渇させるとMタンパク質が有意に減少する。他の抗CD38抗体とは対照的に、MOR202は、CD38発現が低い細胞(例えばNK細胞)を温存し、したがって最適な安全性プロファイルを提供すると予想される。
MOR202の形質細胞に対する効果は、特異的形質細胞の枯渇用のマーカーとしての血清中の抗破傷風トキソイド(抗TT)抗体価を評価することにより示される。MOR202投与後、血清中抗TT抗体濃度は、MOR202投与前のベースラインと比較すると有意に減少し、特異抗体の濃度に対するMOR202治療の直接的効果を示した(図1)。
MOR202投与はまた、主にIgAN患者の腎臓の糸球体において、循環及び沈着したICを効率的に減少させ、これらの患者の腎機能及び幸福を改善した。
形質細胞に対する効果用のサロゲートマーカーである、抗破傷風トキソイド抗体価の減少により作用機序の検証(Proof-of-mechanism)が支持される。
発明の詳細な説明
定義
用語「CD38」とは、以下の同義語、ADPリボシルシクラーゼ1、cADPRヒドロラーゼ1、サイクリックADPリボースヒドロラーゼ1、T10を有する、CD38として知られるタンパク質を指す。ヒトCD38(UniProt P28907)は、以下のアミノ酸配列を有する。
MANCEFSPVSGDKPCCRLSRRAQLCLGVSILVLILVVVLAVVVPRWRQQWSGPGTTKRFPETVLARCVKYTEIHPEMRHVDCQSVWDAFKGAFISKHPCNITEEDYQPLMKLGTQTVPCNKILLWSRIKDLAHQFTQVQRDMFTLEDTLLGYLADDLTWCGEFNTSKINYQSCPDWRKDCSNNPVSVFWKTVSRRFAEAACDVVHVMLNGSRSKIFDKNSTFGSVEVHNLQPEKVQTLEAWVIHGGREDSRDLCQDPTIKELESIISKRNIQFSCKNIYRPDKFLQCVKNPEDSSCTSEI(配列番号9)
CD38は、II型膜貫通糖タンパク質であり、抗体分泌細胞(自己抗体分泌形質芽球及び形質細胞を含む)上に高度に発現する抗原の例である。CD38によるとされる機能には、受容体介在接着及びシグナル伝達現象並びに(外部の)酵素活性の両方が含まれる。外酵素として、CD38はNAD+をサイクリックADPリボース(cADPR)及びADPRを形成するための基質として用い、またニコチンアミド及びニコチン酸アデニンジヌクオチドリン酸(NAADP)を形成するための基質としても用いる。cADPR及びNAADPは、Ca2+動員用のセカンドメッセンジャーとして働くことが分かっている。NAD+をcADPRに変換することにより、CD38は細胞外NAD+濃度を調節し、したがってNAD誘発性細胞死(NCID)の調節により細胞生存を調節する。Ca2+によるシグナル伝達に加えて、CD38シグナル伝達は、T及びB細胞上の抗原受容体複合体又は例えばMHC分子などの、他の種類の受容体複合体とのクロストークによっても起こり、このようにいくつかの細胞応答に関与するが、IgG抗体の切り替え及び分泌にも関与する。
用語「抗CD38抗体」は、本明細書で用いる場合、最も広い意味での抗CD38結合分子を含み、CD38と特異的に結合する又はCD38の活性若しくは機能を阻害する、又は任意の他の方法によりCD38に対して治療効果を及ぼす任意の分子を含む。CD38の機能性を妨害する又は抑制する任意の分子が含まれる。用語「抗CD38抗体」としては、CD38と特異的に結合する抗体、CD38と結合する別のタンパク質足場、CD38に特異的な核酸(アプタマーを含む)又はCD38に特異的な有機小分子が挙げられるが、これらに限定されない。
CD38に特異的な抗体は、例えば国際公開第199962526号パンフレット(Mayo Foundation)、国際公開第200206347号パンフレット(Crucell Holland)、米国特許第2002164788号(Jonathan Ellis)、国際公開第2005103083号パンフレット、国際公開第2006125640号パンフレット、国際公開第2007042309号パンフレット(MorphoSys)、国際公開第2006099875号パンフレット(Genmab)、及び国際公開第2008047242号パンフレット(Sanofi-Aventis)に記載される。CD38に特異的な抗体及び他の作用薬の組み合わせは、例えば国際公開第200040265号パンフレット(Research Development Foundation)、国際公開第2006099875号パンフレット及び国際公開第2008037257号パンフレット(Genmab)、並びに国際公開第2010061360号パンフレット、国際公開第2010061359号パンフレット、国際公開第2010061358号パンフレット及び国際公開第2010061357号パンフレット(Sanofi Aventis)に記載される。CD38標的抗体は、多発性骨髄腫で広く用いられる(Frerichs KAら、2018, Expert Rev Clin Immunol;14(3):197-206で概説される)。抗CD38抗体のさらなる使用は、例えば国際公開第2015130732号パンフレット、国際公開第2016089960号パンフレット、国際公開第2016210223号パンフレット(Janssen)、国際公開第2018002181号パンフレット(UMC Utrecht)、国際公開第2019020643号パンフレット(ENCEFA)及び国際公開第2020187718号パンフレット(MorphoSys)に記載され、その全体を参照により本明細書に援用される。
好ましくは、本明細書に記載の使用するための抗CD38抗体は、CD38に特異的な抗体である。より好ましくは、抗CD38抗体は、CD38と特異的に結合し、特異的なCD38陽性B細胞、形質細胞、形質芽球及び他の任意のCD38陽性抗体分泌細胞を除去する、モノクローナル抗体などの、抗体又は抗体断片である。このような抗体は、マウス、ラット、キメラ、ヒト化又はヒト抗体など、いかなる種類であってよい。
本明細書で用いる場合、「ヒト抗体」又は「ヒト抗体断片」は、フレームワーク及びCDR領域がヒト由来の配列である可変領域を有する抗体又は抗体断片である。抗体が定常領域を含む場合、定常領域もこのような配列に由来する。ヒト由来としては、例えばKnappikら、(2000)J Mol Biol 296:57-86)に記載されるような、ヒト生殖系列配列若しくはヒト生殖系列配列の変異型、又はヒトフレームワーク配列解析に由来する共通フレームワーク配列を含む抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ヒト抗体は、例えば合成ライブラリー又は遺伝子導入マウス(例えばゼノマウスなど)から分離することができる。抗体又は抗体断片の配列がヒトならば、抗体が物理的に由来する、分離された、又は作製された種に無関係に、抗体又は抗体断片はヒトである。
例えばCDRなどの免疫グロブリン可変領域の構造及び位置は、例えばKabatのナンバリングスキーム、Chothiaのナンバリングスキーム又はKabat及びChothiaの組合せなどの周知のナンバリングスキームを用いて定義してよい(例えばSequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services(1991),eds)Kabatら、Lazikani et al.,(1997)J.Mol.Bio.273:927-948); Kabatら、(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edit.,NIH Publication no.91-3242 U.S.Department of Health and Human Services;Chothiaら、(1987)J.Mol.Biol.196:901-917;Chothiaら、(1989)Nature 342:877-883、及びAl-Lazikaniら、(1997)J.Mol.Biol.273:927-948を参照する。)
「ヒト化抗体」又は「ヒト化抗体断片」は、本明細書において抗体分子として定義され、この抗体分子はヒト起源の配列に由来する抗体定常領域を有し、抗体可変領域若しくは抗体可変領域の部分又はCDRのみが別の種に由来する。例えばヒト化抗体は、CDRを移植した抗体であってよく、可変領域のCDRは、非ヒト起源である一方、可変領域の1つ又は複数のフレームワークは、ヒト由来であり、定常領域(ある場合)はヒト由来である。
用語「キメラ抗体」又は「キメラ抗体断片」は、本明細書において抗体分子として定義され、この抗体分子は、一方の種に見いだされる配列に由来する、又は対応する抗体定常領域及び別の種に由来する抗体可変領域を有する。好ましくは、抗体定常領域は、ヒトに見いだされる配列に由来する、又は対応し、抗体可変領域(例えばVH、VL、CDR又はFR領域)は、非ヒト動物、例えばマウス、ラット、ウサギ又はハムスターなどに見いだされる配列に由来する。
用語「分離抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体又は抗体断片を実質的に含まない抗体又は抗体断片を指す。さらに、分離抗体又は抗体断片は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてよい。したがって、いくつかの態様において、提供される抗体は、異なる特異性を有する抗体から分離されている分離抗体である。分離抗体は、モノクローナル抗体であってよい。分離抗体は、組換えモノクローナル抗体であってよい。標的のエピトープ、アイソフォーム又はバリアントと特異的に結合する分離抗体は、しかしながら、例えば他の種に由来するなどの(例えば種のホモログなど)他の関連抗原と交差反応性を有してよい。
本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」とは、単一の分子組成の抗体分子の製剤を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して固有の結合特異性及び親和性を有する固有の結合部位を示す。
さらに、本明細書で用いる場合、「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書によりクラスIgG、IgM、IgE、IgA、又はIgD(又はこれらの任意のサブクラス)に属するタンパク質として定義され、全ての従来既知の抗体又はこれらの機能的断片を含む。
本明細書で用いる場合、フレーズ「抗体断片」とは、抗原と特異的に相互作用する(例えば結合、立体障害、空間分布の安定化などにより)能力を保持する抗体の1つ又は複数の部分を指す。結合断片の例としては、Fabフラグメント、すなわちVL、VH、CL及びCH1領域から成る一価のフラグメント、F(ab)2フラグメント、すなわちヒンジ領域でジスルフィド結合により連結された2個のFabフラグメントを含む二価のフラグメント、VH及びCH1領域から成るFdフラグメント、抗体の単一アームのVL及びVH領域から成るFvフラグメント、VH領域から成るdAbフラグメント、及び分離した相補性決定領域(CDR)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、Fvフラグメントの2個の領域、すなわちVL及びVHは、別々の遺伝子によりコードされているが、このVL及びVH領域が対となり一価の分子(単鎖フラグメント(scFv)として知られる)を形成する単一のタンパク質鎖を作製できるようにする合成リンカーにより、組換え法を用いて結合することができる。このような単鎖抗体は、用語「抗体断片」に包含されるものとする。抗体断片を、シングルドメイン抗体、マキシボディ(maxibodies)、ミニボディ(minibodies)、細胞内抗体、ダイアボディ(diabodies)、トリアボディ(triabodies)、テトラボディ(tetrabodies)、v-NAR及びbis-scFvに組み込むこともできる。抗体断片は、フィブロネクチンIII型(Fn3)などのポリペプチドをベースとする骨格にグラフトすることができる。抗体断片は、相補的な軽鎖ポリペプチドと共に一対の抗原結合部位を形成する一対のタンデムFvセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む一本鎖分子に組み込むことができる。
本開示は、治療有効量の開示される抗CD38抗体をこのような治療を必要とする対象に投与することを含む治療法を提供する。本明細書で用いる場合、「治療有効量」又は「有効量」とは、所望の生物学的応答を引き起こすのに必要とされる、CD38に特異的な抗体の量を指す。本開示によれば、治療有効量は、免疫複合体媒介疾患及びこの疾患に関連する症状を治療及び/又は予防するのに必要なCD38に特異的な抗体の量である。特定の個人に対する有効量は、治療する状態、患者の健康全般、投与方法、経路及び用量、並びに副作用の重症度などの要因に応じて変わってよい(Maynardら、(1996) A Handbook of SOPs for Good Clinical Practice,Interpharm Press,Boca Raton,Fla.; Dent (2001) Good Laboratory and Good Clinical Practice,London,UK)。
本明細書で用いる場合、用語「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」又は同種のものは、一時的若しくは永続的に、のいずれかで症状を軽減する、症状の原因を排除する、又は示された障害若しくは状態の症状の出現を防止若しくは遅らせることを意味する。
「予防すること(Preventing)」又は「予防(prevention)」とは、疾患又は障害にかかる又は発症するリスクを低減すること(すなわち疾患の臨床症状の少なくとも1つを、疾患発症性媒介物に曝露された又は疾患発症の前に疾患になりやすくてよい対象に発症させないこと)を指す。「予防」とは、疾患若しくは疾患の症状の発生を防ぐことを目標とする又は疾患若しくは疾患の症状の発生を遅らせる方法を指す。
「投与した(Administered)」又は「投与(administration)」としては、例えば静脈内、筋肉内、皮内又は皮下経路などの注射可能な形態により、又は例えば点鼻薬若しくは吸入用エアロゾルなど、又は経口摂取可能な溶液、カプセル若しくは錠剤などの粘膜経路により薬剤を投与することが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、投与は、注射可能な形態による。
同時投与には、当業者にとって明らかなように、患者に2個以上の治療薬を同一の治療計画の一部として送達する任意の手段が含まれる。2個以上の作用薬を単一の製剤で、すなわち単一の医薬組成物として同時に投与してもよいが、このことは必須ではない。作用薬を異なる製剤で異なる時点で投与してもよい。本開示の併用療法の治療(例えば予防薬又は治療薬など)を、同時に又は経時的に対象に投与することができる。本開示の併用療法の治療(例えば予防薬又は治療薬など)を、周期的に投与することもできる。サイクリング療法は、第1の療法(例えば第1の予防薬又は治療薬)をある期間に投与し、その後第2の療法(例えば第2の予防薬又は治療薬)をある期間投与し、複数の療法(例えば作用薬)の1つに対する抵抗性の発生を低下させる、複数の療法(例えば作用薬)の1つの副作用を避ける又は低減させる、及び/又は複数の療法の有効性を改善するために、この連続投与、すなわちサイクルを繰り返すことを含む。
本開示の併用療法の療法(例えば予防薬又は治療薬など)は、対象に同時に投与することができる。用語「同時に」は、複数の療法(例えば予防薬又は治療薬)を正確に同時に投与することに限定されず、この用語はむしろ、本開示の抗体又は抗体断片を含む医薬組成物を対象に、本開示の抗体を他の療法(複数含む)とある順序及びある時間間隔以外で投与した場合より利益が増えるよう本開示の抗体が他の療法(複数含む)とともに働くことができるようなある順序及びある時間間隔で投与することを意味する。
「対象」又は「種」とは、本明細書で用いる場合、マウス又はラットなどのげっ歯類、及びカニクイザル(Macaca fascicularis)、アカゲザル(Macaca mulatta)又はヒト(Homo sapiens)などの霊長類を含む、全ての哺乳類を指す。好ましくは、対象は、霊長類であり、最も好ましくは、ヒトである。
本明細書で用いる場合、用語「これを必要とする対象」又は同種のものは、免疫複合体媒介疾患の1つ又は複数の症状又は兆候を示す及び/又は免疫複合体媒介疾患(例えばIgA腎症)と診断されたヒト又は非ヒト動物患者を意味する。好ましくは、対象は、霊長類であり、最も好ましくは、IgA腎症又はループス腎炎と診断されたヒト患者である。
本明細書で用いる場合、用語「免疫複合体媒介疾患」とは、免疫複合体の沈着によって特徴づけられる一群の疾患を指す。例えば、IC媒介疾患は、III型(免疫複合体)過敏症反応を含んでよく、この反応では、循環抗原に対するIgG又はIgM抗体を作製し、この反応は、皮膚、関節、血管、又は腎臓の糸球体などの1つ又は複数の組織に影響を及ぼすことが多い。免疫複合体(IC)媒介疾患の例を表1に示すが、列挙した疾患に限定されない。
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本明細書で用いる場合、特定の列挙された数値に関して用いられる用語「約」は、その値が列挙された値から1%以内分変わってよいことを意味する。例えば、本明細書で用いる場合、表現「約100」には、99及び101並びに間の全ての値(例えば99.1、99.2、99.3、99.4など)が含まれる。
「薬学的に許容される」とは、連邦政府若しくは州政府の規制当局若しくは米国以外の国の対応する機関によって認可されたもの若しくは承認できるもの、又は動物に、より具体的にはヒトに使用するための米国薬局方又は他の一般的に認識されている薬局方に収載されているものを意味する。
「薬学的に許容される溶媒」とは、抗体又は抗体断片を投与する希釈剤、アジュバント、賦形剤又は担体を指す。
本明細書を通して、文脈上別段の解釈を必要としない限り、単語「含む(comprise)」、「有する(have)」及び「含む(include)」並びに「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(includes)」及び「含む(including)」などのこれらの単語それぞれの変形は、示された要素若しくは整数又は要素若しくは整数のグループを包含することを意味するが、他の任意の要素若しくは整数又は要素若しくは整数のグループを除外することを意味しない。
「MOR202」は、「felzartamab」、「MOR03087」又は「MOR3087」としても知られる、抗CD38抗体である。この用語は、本開示において互換的に用いられる。MOR202は、IgG1 Fc領域を有する。
KabatによるMOR202 HCDR1のアミノ酸配列は、
SYYMN(配列番号1)である。
KabatによるMOR202 HCDR2のアミノ酸配列は、
GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)である。
KabatによるMOR202 HCDR3のアミノ酸配列は、
DLPLVYTGFAY(配列番号3)である。
KabatによるMOR202 LCDR1のアミノ酸配列は、
SGDNLRHYYVY(配列番号4)である。
KabatによるMOR202 LCDR2のアミノ酸配列は、
GDSKRPS(配列番号5)である。
MOR202 LCDR3のアミノ酸配列は、QTYTGGASL(配列番号6)である。
MOR202重鎖可変領域のアミノ酸配列は、
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYYMNWVRQAPGKGLEWVSGISGDPSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLPLVYTGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号7)である。
MOR202軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLRHYYVYWYQQKPGQAPVLVIYGDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTYTGGASLVFGGGTKLTVLGQ(配列番号8)である。
MOR202重鎖可変領域をコードするDNA配列は、
CAGGTGCAATTGGTGGAAAGCGGCGGCGGCCTGGTGCAACCGGGCGGCAGCCTGCGTCTGAGCTGCGCGGCCTCCGGATTTACCTTTTCTTCTTATTATATGAATTGGGTGCGCCAAGCCCCTGGGAAGGGTCTCGAGTGGGTGAGCGGTATCTCTGGTGATCCTAGCAATACCTATTATGCGGATAGCGTGAAAGGCCGTTTTACCATTTCACGTGATAATTCGAAAAACACCCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGCGTGCGGAAGATACGGCCGTGTATTATTGCGCGCGTGATCTTCCTCTTGTTTATACTGGTTTTGCTTATTGGGGCCAAGGCACCCTGGTGACGGTTAGCTCA(配列番号10)である。
MOR202軽鎖可変領域をコードするDNA配列は、
GATATCGAACTGACCCAGCCGCCTTCAGTGAGCGTTGCACCAGGTCAGACCGCGCGTATCTCGTGTAGCGGCGATAATCTTCGTCATTATTATGTTTATTGGTACCAGCAGAAACCCGGGCAGGCGCCAGTTCTTGTGATTTATGGTGATTCTAAGCGTCCCTCAGGCATCCCGGAACGCTTTAGCGGATCCAACAGCGGCAACACCGCGACCCTGACCATTAGCGGCACTCAGGCGGAAGACGAAGCGGATTATTATTGCCAGACTTATACTGGTGGTGCTTCTCTTGTGTTTGGCGGCGGCACGAAGTTAACCGTTCTTGGCCAG(配列番号11)である。
実施形態
抗体
本開示の特定の実施形態において、本開示による使用するためのCD38に特異的な抗体又は抗体断片は、国際公開第2007042309号パンフレットに記載のCD38特異抗体のアミノ酸配列のいずれかを含む、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、重鎖、軽鎖及び/又はCDRを含む。
ある実施形態において、本開示による使用するためのCD38に特異的な抗体又は抗体断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCDR1領域、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCDR2領域、配列番号3のアミノ酸配列を含むHCDR3領域、配列番号4のアミノ酸配列を含むLCDR1領域、配列番号5のアミノ酸配列を含むLCDR2領域及び配列番号6のアミノ酸配列を含むLCDR3領域を含む。
1つの実施形態において、本開示による使用するためのCD38に特異的な抗体又は抗体断片は、配列番号1のHCDR1領域、配列番号2のHCDR2領域、配列番号3のHCDR3領域、配列番号4のLCDR1領域、配列番号5のLCDR2領域及び配列番号6のLCDR3領域を含む。
ある実施形態において、本開示による使用するためのCD38に特異的な抗体又は抗体断片は、配列番号7の重鎖可変領域及び配列番号8の軽鎖可変領域を含む。
別の実施形態において、本開示による使用するための抗CD38抗体又は抗体断片は、配列番号7の重鎖可変領域及び配列番号8の軽鎖可変領域又は配列番号7の重鎖可変領域に対して及び配列番号8の軽鎖可変領域に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む本開示による使用するための例示的な抗体又は抗体断片は、MOR202(felzartamab)として知られているヒト抗CD38抗体である。
1つの実施形態において、本開示は、本開示による使用するためのCD38に特異的な抗体又は抗体断片をコードする1つの核酸配列又は複数の核酸配列を含む核酸組成物であって、この抗体又は抗体断片は、配列番号1のHCDR1領域、配列番号2のHCDR2領域、配列番号3のHCDR3領域、配列番号4のLCDR1領域、配列番号5のLCDR2領域、及び配列番号6のLCDR3領域を含む、核酸組成物に関する。
別の実施形態において、本開示は、本開示による使用するための分離したモノクローナル抗体又はその断片をコードする核酸であって、この核酸は、配列番号10のVH及び配列番号11のVLを含む、核酸に関する。
1つの実施形態において、本開示による使用するためのCD38に特異的な開示した抗体又は抗体断片は、モノクローナル抗体又は抗体断片である。
1つの実施形態において、本開示による使用するためのCD38に特異的な開示した抗体又は抗体断片は、ヒト、ヒト化又はキメラ抗体である。
特定の実施形態において、本開示による使用するためのCD38に特異的な抗体又は抗体断片は、分離抗体又は抗体断片である。
別の実施形態において、本開示による使用するための抗体又は抗体断片は、組換え抗体又は抗体断片である。
さらなる実施形態において、本開示による使用するための抗体又は抗体断片は、組換えヒト抗体又は抗体断片である。
さらなる実施形態において、本開示による使用するための組換えヒト抗体又は抗体断片は、分離した組換えヒト抗体又は抗体断片である。
さらなる実施形態において、本開示による使用するための組換えヒト抗体若しくは抗体断片又は分離した組換えヒト抗体若しくは抗体断片は、モノクローナルである。
1つの実施形態において、本開示による使用するための開示した抗体又は抗体断片は、IgGアイソタイプである。特定の実施形態において、この抗体は、IgG1である。
本発明の特定の態様において、本開示による使用するための抗CD38抗体は、MOR202(felzartamab)である。
ある実施形態において、本開示は、CD38に特異的なfelzartamab(MOR202)又はその断片及び本開示により使用するための薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
特定の実施形態において、CD38に特異的な抗体又は抗体断片は、ヒトCD38に特異的に結合する分離したモノクローナル抗体又は抗体断片である。
医薬組成物
医薬品として使用する場合、CD38に特異的な抗体又は抗体断片を典型的には医薬組成物で投与する。本開示の組成物は好ましくは、IgA腎症(IgAN)及び/又はループス腎炎(LN)の治療に使用するための、felzartamab(MOR202)及び薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物である。
薬学的に許容される担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は上皮投与(例えば注射又は注入による)に適するべきである。
薬学的な担体は、組成物を強化する若しくは安定化する、又は組成物の調製を促進する。薬学的に許容される担体としては、生理学的に適合した溶媒、分散媒、コーティング、抗菌薬及び抗真菌薬、等張化剤及び吸収遅延剤、並びに同種のものが挙げられる。多くの場合において、組成物に例えば糖、マンニトール又はソルビトールなどの多価アルコール、及び塩化ナトリウムなどの等張化剤を含むことが好ましい。
本開示の医薬組成物は、当該技術分野において公知の様々な経路により投与することができる。本開示の抗体又は抗体断片の選択された投与経路としては、例えば注射又は注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路が挙げられる。
CD38に特異的な抗体又は抗体断片は好ましくは、注射用組成物として製剤化される。好ましい態様において、本開示の抗CD38抗体は、静脈内に投与される。他の態様において、本開示の抗CD38抗体は、皮下に、関節内に又は脊髄内に投与される。
本開示の重要な態様は、CD38発現抗体分泌細胞(例えば形質芽球、形質細胞など)をADCC及びADCPにより死滅させることを媒介することができる医薬組成物である。
治療方法
1つの実施形態において、本開示は、対象における免疫複合体媒介疾患の治療に使用するための、抗CD38抗体若しくは抗体断片、又は抗CD38抗体若しくは抗体断片を含む医薬組成物を提供する。
1つの実施形態において、免疫複合体媒介腎疾患の治療に使用するための、抗CD38抗体若しくは抗体断片、又は抗CD38抗体若しくは抗体断片を含む医薬組成物を提供する。
1つの実施形態において、免疫複合体媒介疾患は、IgA腎症、ループス腎炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病性腎炎、連鎖球菌感染後糸球体腎炎又は薬剤性免疫複合体媒介びまん性増殖性糸球体腎炎から選択される。
特定の実施形態において、本開示は、IgA腎症(IgAN)及び又はループス腎炎(LN)の予防及び/又は治療に使用するための、抗CD38抗体若しくは抗体断片、又は抗CD38抗体若しくは抗体断片を含む医薬組成物を提供する。
別の実施形態において、本開示は、ガラクトース欠損IgA1抗体(Gd-IgA1)及び抗ガラクトース欠損IgA1抗体(anti-GD-IgA1)陽性IgA腎症の予防及び/又は治療に使用するための、抗CD38抗体若しくは抗体断片、又は抗CD38抗体若しくは抗体断片を含む医薬組成物を提供する。
特定の実施形態において、本開示は、IgA腎症(IgAN)及び/又はループス腎炎(LN)の予防及び/又は治療に使用するための、配列番号1のHCDR1領域、配列番号2のHCDR2領域、配列番号3のHCDR3領域、配列番号4のLCDR1領域、配列番号5のLCDR2領域、及び配列番号6のLCDR3領域を含む抗CD38抗体又は抗体断片を提供する。
別の態様において、本開示は、IgA腎症(IgAN)及び/又はループス腎炎(LN)の予防及び/又は治療に使用するための、配列番号7の重鎖可変領域及び配列番号8の軽鎖可変領域を含む、抗CD38抗体又は抗体断片を提供する。
特定の態様において、本開示は、IgA腎症(IgAN)及び/又はループス腎炎(LN)の予防及び/又は治療に使用するためのMOR202(felzartamab)を提供する。
1つの実施形態において、本開示は、IgA腎症(IgAN)及び/又はループス腎炎(LN)の対象においてCD38発現抗体分泌細胞(好ましくは形質細胞)を枯渇させるのに使用するための抗CD38抗体又は抗体断片を提供する。
好ましい実施形態において、本開示は、IgANの対象において循環免疫複合体及び/又は免疫複合体沈着物を低減させるのに使用するための抗CD38抗体(例えばMOR202)を提供する。
特定の実施形態において、本開示は、IgANの対象における血清Gd-IgA1及び抗GD-IgA1抗体(すなわち抗体価)及び/又は免疫複合体濃度を低減させるのに使用するための抗CD38抗体(例えばMOR202)を提供する。別の態様において、本開示は、IgANにかかった対象の腎臓に沈着したGd-IgA1及び抗GD-IgA1免疫複合体を低減させるのに使用するための抗CD38抗体(例えばMOR202)を提供する。
さらなる態様において、本開示は、IgANの対象における蛋白尿を低減させるのに使用するための、抗CD38抗体(例えばMOR 202など)を活性成分として含む治療薬を提供する。
いくつかの態様において、この蛋白尿は、6.0g/日以下、好ましくは5.0g/日以下、より好ましくは4.0g/日以下(24時間蓄尿に基づく総蛋白)の蛋白尿である。いくつかの態様において、IgANの対象は、持続性蛋白尿を有する。いくつかの態様において、この持続性蛋白尿は、24時間蓄尿に基づいてUPCR>1mg/mgの持続性蛋白尿又はこの持続性蛋白尿は、24時間蓄尿に基づいてUPCR>0.75mg/mgの持続性蛋白尿であり、この抗CD38抗体(例えばMOR202など)を投与又は使用する前12か月以内に少なくとも1回、このIgANの対象は、24時間蓄尿に基づいてUPCR>1mg/mgを有すると決定されている。いくつかの実施形態において、この蛋白尿は、24時間蓄尿に基づいて、少なくとも0.75mg/mg、好ましくは少なくとも1.0mg/mg、より好ましくは少なくとも1.5mg/mg、より好ましくは少なくとも2.0mg/mgの.尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)によって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、この蛋白尿は、24時間蓄尿に基づいて、6.0mg/mg以下、好ましくは5.0mg/mg以下、より好ましくは4.0mg/mg以下の24時間尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)によって特徴づけられる。
好ましくは、蛋白尿は、この抗CD38抗体の投与又はこの使用後、1g/日以下に低減する。
別の態様において、本開示は、IgA腎症(IgAN)の対象におけるCKD-epi式に基づく糸球体濾過率(eGFR)によって示される腎機能を回復させる(restoring)、回復させる(ameliorating)又は正常化するのに使用するための、抗CD38抗体(例えばMOR202など)を含む、予防及び/又は治療薬を提供する。
さらなる態様において、本開示は、IgAN及び/又はLNの治療に使用するための抗CD38抗体(例えばMOR202など)であって、この抗CD38抗体(例えばMOR202など)は、患者の体重に応じて少なくとも2回、少なくとも5回、又は少なくとも9回投与される、抗CD38抗体を提供する。
別の態様において、本開示は、IgAN及び/又はLNの治療に使用するための抗CD38抗体(例えばMOR202など)であって、この抗CD38抗体(例えばMOR202など)は、患者の体重に応じて2回、5回、又は9回投与される、抗CD38抗体を提供する。
別の態様において、本開示は、免疫複合体媒介疾患、好ましくはIgA腎症(IgAN)及び/又はループス腎炎(LN)、より好ましくはGd-IgA1及び抗GD-IgA1陽性IgANの治療及び/又は予防のための薬物の調製における抗CD38抗体又は抗体断片の使用を提供する。
他の態様において、本開示は、配列番号1のHCDR1領域、配列番号2のHCDR2領域、配列番号3のHCDR3領域、配列番号4のLCDR1領域、配列番号5のLCDR2領域、及び配列番号6のLCDR3領域を含む抗CD38抗体又は抗体断片の、IgA腎症(IgAN)及び/又はループス腎炎(LN)の治療及び/又は予防のための薬物の調製における使用を提供する。
他の態様において、本開示は、配列番号7の重鎖可変領域及び配列番号8の軽鎖可変領域を含む抗CD38抗体又は抗体断片の、IgA腎症(IgAN)及び/又はループス腎炎(LN)の治療及び/又は予防のための薬物の調製における使用を提供する。
さらなる態様において、本開示は、IgA腎症(IgAN)及び/又はループス腎炎(LN)の治療及び/又は予防のための薬物の調製におけるMOR202(felzartamab)の使用を提供する。
他の態様において、本開示は、Gd-IgA1及び抗GD-IgA1陽性IgA腎症(IgAN)の治療及び/又は予防のための薬物の調製におけるMOR202(felzartamab)の使用を提供する。
他の態様において、本開示は、IgA腎症(IgAN)及び/又はループス腎炎(LN)の治療及び/又は予防のための薬物の調製における、別の治療薬と併せた、MOR202(felzartamab)又はMOR202(felzartamab)を含む医薬組成物の使用を提供する。
1つの態様において、本開示は、この対象に抗CD38抗体を投与することを含む、免疫複合体媒介疾患の治療及び/又は予防方法を提供する。特定の実施形態において、この免疫複合体媒介疾患は、IgA腎症である。
さらなる態様において、本開示は、対象におけるGd-IgA1及び抗GD-IgA1陽性IgA腎症(IgAN)の治療及び/又は予防方法であって、この方法は、抗CD38抗体をこの対象に投与することを含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本開示は、Gd-IgA1及び抗GD-IgA1陽性IgA腎症を患う対象の予防及び/又は治療方法であって、この対象は、副腎皮質ステロイド若しくはカルシニューリン阻害薬又はB細胞枯渇療法(例えばリツキシマブ又は任意の他の抗CD20抗体、若しくは抗BAFF抗体による)を含む、他の免疫抑制剤療法による治療に対して抵抗性であり、この方法は、有効量の抗CD38抗体又は抗体断片の投与を含む、方法を提供する。
1つの態様において、本開示は、IgA腎症、特にGd-IgA1及び抗GD-IgA1陽性IgA腎症の患者において予防又は治療効果を達成するための抗CD38抗体又は抗体断片の使用方法を提供する。
別の態様において、本開示は、IgA腎症、特にGd-IgA1及び抗GD-IgA1陽性IgA腎症により媒介される症状を治療及び/又は予防するための抗CD38抗体の使用方法を提供する。
別の態様において、本開示は、免疫複合体沈着媒介疾患症状の発生頻度を低減する、免疫複合体沈着媒介疾患症状を寛解させる、免疫複合体沈着媒介疾患症状を抑制する、免疫複合体沈着媒介疾患症状を緩和する、及び/又は対象の免疫複合体沈着媒介疾患の発症、発病又は悪化を遅らせる方法であって、この方法は、有効量の抗CD38抗体をこの対象に投与することを含む、方法を提供する。特に、免疫複合体媒介疾患は、IgA腎症である。
好ましい実施形態において、本開示は、免疫複合体沈着媒介疾患に関連する1つ又は複数の免疫複合体沈着物の濃度が高い患者の治療方法を提供する。
他の態様において、本開示は、Gd-IgA1及び抗GD-IgA1免疫複合体の存在によって起こる疾患の治療及び/又は予防方法を提供する。さらに他の態様において、本開示は、Gd-IgA1及び抗GD-IgA1免疫複合体沈着物の存在と関連する疾患の治療及び/又は予防方法を提供する。さらなる態様において、本開示は、DNA及び/又は核内成分並びに抗DNA抗体及び/又は抗核抗体(ANA)免疫複合体沈着物の存在と関連する疾患の治療及び/又は予防方法を提供する。
他の実施形態において、本開示は、免疫複合体媒介疾患を患う対象の血清及び/又は組織中の免疫複合体を低減する方法であって、この方法は、有効量の抗CD38抗体又は抗体断片の投与を含む、方法を提供する。
好ましい実施形態において、本開示は、IgA腎症及び/又はループス腎炎を患う対象の血清中の免疫複合体を低減する方法であって、この方法は、有効量の抗CD38抗体若しくは抗体断片、又は本明細書に記載の1つ又は複数の医薬組成物の投与を含む、方法を提供する。例えば、本明細書で提供される方法は、Gd-IgA1及び抗GD-IgA1抗体並びにこれらの免疫複合体の濃度が高い患者に抗CD38抗体を投与することを含む。他の態様において、本明細書で提供される方法は、抗核抗体(ANA)及びこれらの免疫複合体の濃度が高い患者に抗CD38抗体を投与することを含む。
1つの実施形態において、IgA腎症及び/又はループス腎炎を患う対象の血清中の免疫複合体の低減(変化)は、抗CD38抗体若しくは抗体断片、又は本明細書に記載の1つ又は複数の医薬組成物を投与した後、ベースラインと比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%である。
別の実施形態において、本開示は、対象のIgA腎症及び/又はループス腎炎と関連する蛋白尿の治療及び/又は予防方法であって、この方法は、有効量の抗CD38抗体若しくは抗体断片、又は本明細書に記載の1つ又は複数の医薬組成物の投与を含む、方法を提供する。
別の態様において、本開示は、IgA腎症及び/又はループス腎炎の個人の腎機能の低下を予防する方法であって、この方法は、有効量の抗CD38抗体若しくは抗体断片、又は本明細書に記載の1つ又は複数の医薬組成物の投与を含む、方法を提供する。
さらなる実施形態において、本開示は、対象のIgA腎症及び/又はループス腎炎の治療方法であって、この対象に、CD38発現細胞と結合し、このようなCD38発現細胞を枯渇させる抗CD38抗体又は抗体断片を含む医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。
好ましい実施形態において、本開示は、対象のIgA腎症及び/又はループス腎炎の治療方法であって、この対象に、CD38発現抗体分泌細胞と結合し、このようなCD38発現抗体分泌細胞を枯渇させる一方、NK細胞又は同種のものなどの、CD38発現が低い他の細胞(抗体非分泌)細胞を残す抗CD38抗体又は抗体断片を含む医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。
特定の好ましい実施形態において、本開示は、対象のIgA腎症及び/又はループス腎炎の治療方法であって、この対象に、CD38発現抗体分泌細胞と結合し、このようなCD38発現抗体分泌細胞を枯渇させる抗CD38抗体又は抗体断片を含む医薬組成物を投与することを含み、この抗体は、NK細胞より抗体分泌細胞に対して、有意に高い特異的な細胞死滅を示す、方法に関する。
1つの実施形態において、本開示は、対象のIgA腎症及び/又はループス腎炎の治療方法であって、この対象に、CD38発現抗体分泌細胞と結合し、このようなCD38発現抗体分泌細胞を枯渇させる抗CD38抗体又は抗体断片を含む医薬組成物を投与することを含み、抗体分泌細胞の特異的な細胞死滅は、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%であり、抗体非分泌NK細胞の特異的な細胞死滅は、標準的なADCCアッセイで決定して、30%未満、25%未満、20%未満、又は15%未満である、方法に関する。
実施例
実施例1:IgA腎症(IgAN)の対象におけるヒト抗CD38抗体felzartamab(MOR202)の有効性及び安全性の評価
1.1研究デザイン
本研究の目的は、IgA腎症(IgAN)の患者におけるヒト抗CD38抗体felzartamab(MOR202)の有効性及び安全性を評価することである。研究の目的及びエンドポイントを表2に要約する。
Figure 2024503432000003
Figure 2024503432000004
1.2調査母集団
組み入れ基準
1.患者年齢18歳以上80歳以下。
2.生検によりIgANとの診断が確認された。
3.選別来診時の蛋白尿1.0g/日以上。
4.最大投与量又は最大耐用量のアンジオテンシン変換酵素阻害薬及び/又はアンジオテンシン受容体拮抗薬で3か月以上治療し、適正な血圧(推奨されるのは、最高血圧125mm Hg未満かつ最低血圧75mm Hg未満である)。
5.女性は、妊娠しておらず、授乳しておらず、治療期間及びfelzartamabの最終投与後少なくとも3か月間避妊ガイダンスに従うことに同意した場合にのみ参加する資格がある。
施設の診療により腎生検を実施し、IgANのMEST-Cスコアにより分析する(表3を参照する)。
Figure 2024503432000005
除外基準
以下の基準のいずれかに当てはまる場合、患者は本研究から除外される。
1.潜在的にIgA沈着物につながる任意の他の全身性疾患の存在により示される、IgANの二次型(例えば、ループス腎炎、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、強直性脊椎関節炎、疱疹状皮膚炎、慢性肝疾患、炎症性腸疾患、セリアック病など)。
2.推算GFR<30mL/分(慢性腎臓病-疫学共同研究[CKD-EPI]式を用いる)によって定義される重篤な腎機能障害又は透析若しくは腎移植の必要性。
3.レニンアンジオテンシン系(RAS)遮断の変化によって説明されない、3か月あたり30%超のeGFRの減少によって定義される、急速進行性異型IgAN。
4.IgANの微小変化型。
5.同時に起こる他の進行性糸球体腎炎又は糖尿病性腎症などの非免疫性糸球体疾患。
6.移植腎のレシピエント。
7.全身性免疫抑制剤(例えば、ミコフェノール酸モフェチル[MMF]、シクロホスファミド、リツキシマブ[RTX]などの生物製剤など)、特に7連続日を越えて20mg/日のプレドニゾン等価物を上回る副腎皮質ステロイド療法。
8.抗CD38抗体を用いた任意の以前の治療。
9.肥満度指数(BMI)>35kg/m
10.ヘモグロビン<70g/L(4.9mmol/L)。
11.血小板減少症:血小板<100.0x10/L。
12.好中球減少症:好中球<1.5x10/L。
13.白血球減少症:白血球<3.0x10/L。
14.1型糖尿病。
15.2型糖尿病:2型糖尿病の患者は、腎生検によりIgANと示されるが糖尿病性腎症の証拠がなく、疾患が、例えば以下のように制御される場合にのみ臨床試験に入ってよい。
a.糖化ヘモグロビン(HbA1c)<8.0%又は<64mmoL/mol。
b.糖尿病性腎症が知られていない。
c.末梢神経障害が知られていない。
16.重大な制御されない循環器疾患(動脈又は静脈の血栓又は塞栓イベント)又は心不全(ニューヨーク心臓協会[NYHA]クラスIV)。
17.選別時の研究者によって決定された、12誘導心電図(ECG)での臨床的に関連する知見
18.重大な脳血管疾患の病歴又は感覚性若しくは運動ニューロパチーの毒性≧グレード3。
19.アスパラギン酸アミノ基転移酵素又はアラニンアミノ基転移酵素>1.5xULN、アルカリホスファターゼ>3.0xULN。
20.felzartamab及びその添加物(L-ヒスチジン、スクロース、ポリソルベート20)に対する既知の過敏症又は過敏症の疑い。
21.HIV、C型肝炎(抗C型肝炎ウイルス[anti-HCV]抗体陽性だが、HCV RNA-PCR陰性患者は登録できる)又は活動性若しくは潜在性B型肝炎(B型肝炎表面抗原[HBsAg]陽性の患者は除外する)。陽性の血清又はウイルスマーカー分離したB型肝炎コア抗体[抗HBc]陽性の患者を登録するには、PCRによるB型肝炎ウイルス(HBV)DNAが検出不能である必要がある。
22.インサイツで適切に治療した子宮頸部癌、基底細胞癌若しくは扁平上皮癌又は他の非黒色腫皮膚癌を除く、選別開始前5年以内の全ての悪性腫瘍。
23.全身療法を必要とする全ての活動性感染症(ウイルス、真菌、細菌)。
1.3投薬
表4によれば、患者は、1日目、8日目、15日目、22日目、29日目、57日目、85日目、113日目及び141日目にfelzartamab又はプラセボのいずれかの9回注入を受ける。
Figure 2024503432000006
患者の体重に応じてFelzartamabを投与する(表5)。静脈内(i.v.)投与する予定の絶対的投与量は、以下の情報にしたがって決定する。
Figure 2024503432000007
各患者は、個人の体重に応じて1回の投薬あたり650mg~1625mgのfelzartamabを静脈内に受ける。本試験の投与量は、MM(MOR202C101)でのFIH試験の結果、及びPK/PDモデル化法(Raab MSら、(2020)Lancet Haematol.7(5):e381-e394 2020)に基づく。指定された4個の体重範囲内で、投与手順を単純化するために一定用量の概念を用いる。表6に示す16mg/kgの投与量(すなわちMOR202C101のFIH試験の推奨投与量)と類似するように、4個の体重範囲についての4個の投与量レベルを選択した。
Figure 2024503432000008
患者にfelzartamabの0.9%生理食塩水溶液又はプラセボ(0.9%生理食塩水のみ)を注入する。IRRのリスクを低減するための前投薬を、各注入の2時間~30分前に投与した。
・経口パラセタモール(アセトアミノフェン)650~1000mg.
・経口又は静脈内ジフェンヒドラミン25~50mg又は等価な薬剤及び投与量
・表7による静脈内副腎皮質ステロイド
IRRが起こらなかった場合、注入速度を速めてもよく、表7によりグルココルチコイド前投薬を減少させてもよい。最初の3サイクル中にfelzartamab/プラセボに対してグレード2以上のIRR/グレード1以上のサイトカイン放出症候群を経験しなかった患者については、続く注入の前投薬は任意となる。そうでなければ、その後の投与でも前投薬を継続する必要がある。
Figure 2024503432000009
1.4有効性評価
全ての有効性評価の予定時点を実施例1.1に示し、有効性の目的及びエンドポイントを表2に示す。
有効性パラメータを表8に定義する。
Figure 2024503432000010
蛋白尿及びUPCRは、24時間尿サンプルから決定する。回収した尿が女性では少なくとも5mgクレアチニン/kg/日及び男性では6mgクレアチニン/kg/日を含まない場合、不当な遅延なくすぐに採尿を繰り返す必要がある。
実施例2:ループス腎炎(LN)の患者におけるヒト抗CD38抗体felzartamab(MOR202)の有効性及び安全性の評価
2.1研究デザイン
本研究の目的は、ループス腎炎(LN)の患者におけるヒト抗CD38抗体felzartamab(MOR202)の有効性及び安全性を評価することである。患者は、felzartamabの3個の異なる投薬スケジュール(投薬群M1、M2又はM3)又はプラセボの1つを受けるよう無作為化される。全ての患者は、試験を通してミコフェノール酸モフェチル(MMF)/ミコフェノール酸(MPA)及びヒドロキシクロロキン(禁忌でなく利用可能な場合)並びにアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)及び/又はアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を用いた基礎LN療法を受ける。患者の経過が良好な場合、副腎皮質ステロイドを最小限に漸減する又は除去する。
Figure 2024503432000011
2.2調査母集団
組み入れ基準
1.患者の年齢18歳以上80歳以下。
2.現在のEULAR/ACR2019基準による、SLEとしての分類。
3.国際腎臓学会/腎病理学会2003分類により選別前又は選別中の12か月以内に実行された腎生検によって証明された、クラスIII又はIVのLN患者は、クラスIII又はクラスIV疾患に加えてクラスV疾患を同時に示してよい。
4.選別来診時の蛋白尿が0.75g/24時間以上。
5.最大投与量又は最大耐用量のアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)及び/又はアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)で3か月以上治療し、適正な血圧最高血圧130mm Hg未満かつ最低血圧80mm Hg未満である。
6.推算糸球体濾過率(eGFR)は30mL/分/1.73m以上。
除外基準
以下の基準のいずれかが当てはまる場合、患者は本試験から除外される。
1.(a)腎生検で評価した糸球体の50%以上に半月体の形成が存在すること又は(b)選別の12週以内に血清クレアチニン値が持続的に倍加すること又は(c)患者は急速進行性糸球体腎炎にかかっているという研究者の意見によって定義される急速進行性糸球体腎炎の存在。
2.移植腎のレシピエント。
3.腎生検で糸球体の50%超が硬化しており、間質性線維症及び尿細管萎縮のスコア(IFTA)が65%未満。
4.選別開始前に、(a)ICFの兆候前90日以内にアルキル化剤(例えばシクロホスファミドなど)若しくはカルシニューリン阻害薬(CNI)(例えばタクロリムス、シクロスポリンAなど)、又は(b)180日以内にリツキシマブ(RTX)を含む生物学的製剤又は(c)180日以内にMMF/MPA若しくはヒドロキシクロロキン(若しくは他のクロロキン化合物)を除く任意の他の経口/非経口IST又は(d)ICFの兆候の42日より前に開始したMMF/MPA及び副腎皮質ステロイドを用いた導入療法を用いて経口又は非経口治療する。
5.抗CD38抗体を用いた任意の以前の治療。
6.SLEから生じる自己免疫性溶血性貧血によって起こらない限り、ヘモグロビンは70g/L未満。
7.血小板減少症:血小板<50.0x10/L。
8.血小板減少症を伴う又はプラスマフェレーシス又は急性輸血若しくは血小板輸血などの治療法を必要とする臨床上重大な出血若しくは臓器不全にかかるリスクが高い不安定な疾患。
9.好中球減少症:好中球<1.5x10/L。
10.白血球減少症:白血球<2.5x10/L。
11.B細胞<5x10/L。
12.1型又は2型糖尿病。
13.研究者によって判断された、重大な制御されない循環器疾患(動脈又は静脈の血栓又は塞栓イベントを含む)又は心不全(ニューヨーク心臓協会[NYHA]クラスIV)。
14.選別時の研究者によって決定された、12誘導心電図(ECG)での臨床的に関連する知見。
15.重大な脳血管疾患の病歴又は感覚性若しくは運動ニューロパチーの毒性≧グレード3。
16.アスパラギン酸アミノ基転移酵素又はアラニンアミノ基転移酵素>1.5xULN、アルカリホスファターゼ>3.0xULN。
17.felzartamab及びその添加物(L-ヒスチジン、スクロース、ポリソルベート20)に対する既知の過敏症又は過敏症の疑い。
18.全身性副腎皮質ステロイド、MMF又はMPAに対する不耐性又は禁忌。
19.HIV、C型肝炎(抗C型肝炎ウイルス[抗HCV]抗体陽性だが、HCVRNAポリメラーゼ連鎖反応陰性患者は登録できる)又は活動性若しくは潜在性B型肝炎(B型肝炎表面抗原[HBsAg]陽性の患者は除外する)。陽性の血清又はウイルスマーカー分離したB型肝炎コア抗体[抗HBc]陽性の患者を登録するには、PCRによるB型肝炎ウイルス(HBV)DNAが検出不能である必要がある。
20.グレード3以上と分類された任意の他の既存の症状及び健康障害又は以前の治療法由来の任意の残留毒性について(NCI-CTCAE、付録4を参照する)、これらの患者は、メディカルモニターによる確認時に含めてよい。
21.インサイツで適切に治療した子宮頸部癌、基底細胞癌若しくは扁平上皮癌又は他の非黒色腫皮膚癌を除く、選別開始前5年以内の全ての悪性腫瘍。
23.全身療法を必要とする全ての活動性感染症(ウイルス、真菌、細菌)。
24.SLE又はLNと関連しない全ての臓器系における重大な又は制御されない内科疾患。この場合は、研究者の意見で、患者の関与を排除する。
25.網膜炎、管理不良の発作性疾患、急性錯乱状態、脊髄炎、脳卒中若しくは卒中症候群、小脳失調、又は現在活性でSLEから生じる認知症
2.3投薬
表4によれば、患者は、1日目、8日目、15日目、22日目、29日目、57日目、85日目、113日目及び141日目にfelzartamab又はプラセボのいずれかの9回注入を受ける。
Felzartamabは、患者の体重に応じて投与される。静脈内(i.v.)投与する予定の絶対的投与量は、表5にしたがって決定する。各患者は、個人の体重に応じて投薬あたり650mg~1625mgのfelzartamabを静脈内に受ける。
本試験の投与量は、MM(MOR202C101)でのFIH試験の結果、及びPK/PDモデル化法(Raab MSら、(2020)Lancet Haematol.7(5):e381-e394 2020)に基づく。指定された4個の体重範囲内で、投与手順を単純化するために一定用量の概念を用いる。表6に示す16mg/kgの投与量(すなわちMOR202C101のFIH試験の推奨投与量)と類似するように、4個の体重範囲についての4個の投与量レベルを選択した。
患者は、治験薬(IMP)Felzartamab/プラセボ(IMP)及びLN基礎療法で治療する。IMPは、蘇生が可能な環境で投与する必要がある。インフュージョンリアクション(IRR)のリスクを低減するための以下の薬物を、各注入の60~30分前に投与する必要がある。
・経口パラセタモール(アセトアミノフェン)650~1000mg.
・経口又は静脈内ジフェンヒドラミン25~50mg又は等価な薬剤及び投与量
・表7による静脈内グルココルチコイド
IRRが起こらなかった場合、注入速度を速めてもよく、表7によりグルココルチコイド前投薬を減少させてもよい。
2.4有効性評価
有効性評価の予定時点を実施例2.1に示し、有効性の目的及びエンドポイントを表9に示す。有効性パラメータは、表8に定義する通りである。
実施例3:IgA腎症(IgAN)及びループス腎炎(LN)患者からのサンプルを用いたfelzartamab(MOR202)のインビトロ及びインビボ評価
3.1インビトロ試験
インビトロ試験の目的は、ヒト抗CD38抗体felzartamab(MOR202)が長命のCD38+形質細胞を枯渇させる能力を評価することである。形質細胞は、IgAN及びLNの自己抗原に対する自己抗体を分泌し、ICを形成し、糸球体炎症を引き起こす主要な細胞型の可能性が非常に高い。形質細胞は、健常者並びにIgAN及びLNの患者の末梢血中の非常にまれな細胞集団なので、末梢血に直接由来する形質細胞を用いたインビトロアッセイを準備するのは実現不可能だと分かった。したがって、最初のステップにおいて、より豊富に存在するメモリーB細胞(Bmem)を長命な形質細胞に分化するために、Cocco Mら((2012)J Immunol 189(12):5773-85)によって記載されるインビトロ分化アッセイを用いる。手短に述べると、末梢血単核球(PBMC)を密度勾配遠心により全血から分離し、続けてBmemをPBMCから磁気細胞分離により分離する。Bmemを、様々なサイトカインカクテル及び支持するフィーダー細胞株の存在下、フローサイトメトリー染色により完全に分化したと確認されるまで、少なくとも16日間培養する。
分化した形質細胞によるヒトIgGの分泌は、ELISAによって確認する。抗GD-IgA1及び抗核抗体を検出し、IgAN及びLN患者のB細胞サンプルからそれぞれ分化した形質細胞から分泌されたこれらの疾患特異的自己抗体の濃度を評価するために、さらにELISAを実行する。
インビトロで分化した患者由来の形質細胞は、ADCCアッセイでも試験し、このアッセイでは標的細胞としての形質細胞をエフェクター細胞としてのNK細胞と共培養し、felzartamab又はアイソタイプコントロール抗体のいずれかと共にインキュベーションする。felzartamab対コントロールによるCD38+形質細胞の枯渇割合を、フローサイトメトリーにより評価する。さらに、インビトロで分化した患者由来の形質細胞を上述したNK細胞及びfelzartamab又はアイソタイプコントロール抗体と共培養し、細胞培養上清中の総ヒトIgG及び疾患特異的自己抗体濃度を測定するELISAを実行して、総及び疾患特異的抗体濃度は、抗体分泌形質細胞がfelzartamab処理後の培養液で枯渇したので、徹底的に減少したことを実証する。さらに、felzartamabが異なる状況でインビトロでCD38+細胞を枯渇させる能力を確認するために、短縮分化プロトコル(Wang Tら、(2019)Front Immunol. 10:1243を適応させた)を用いる。このアッセイを使用して、患者のPBMCをTLR7/8アゴニスト、IL-2、及びIFN 2b、並びにfelzartamab又はアイソタイプコントロール抗体のいずれかと共培養する。5~6日間の培養期間の後、felzartamabによるCD38+CD27+細胞の枯渇をフローサイトメトリーにより及びアイソタイプコントロール抗体で処理した細胞と比較したIgG分泌の減少をELISAにより確認する。
3.2インビボ試験
インビボ試験は、疾患関連マウスモデルで、felzartamabが自己抗体を分泌する形質細胞を枯渇させ、したがって、インビボで自己抗体価及び自己免疫症状の強度を減少させる可能性を実証することを目的とする。
げっ歯類のCD38生物学は、ヒトと比較して非常に異なるので、試験ではヒト免疫成分を移植した免疫低下マウスを含む。
ループス腎炎モデルは、確立したプリスタン誘導自己免疫モデルに基づくが、臍帯血由来のヒトCD34+細胞を移植した免疫低下NSGマウスにある(GunawanMら、(2017)Sci Rep, 7(1):16642)。マウスは、ヒトSLE様症状を発症する(ヒト自己抗体(核抗体)産生、ループス腎炎及び肺性漿膜炎、リンパ球減少症)。読みだした情報には、末梢血、脾臓及び骨髄中の形質細胞の減少(フローサイトメトリーにより評価した)、並びに血清中の病原性抗核抗体の減少(ELISAにより測定した)が含まれる。
ヒト化状況でIgA腎症をモデル化するのは非常に難しいので、唯一の実現可能な選択肢は、felzartamabがガラクトース欠損IgA1(gdIgA)抗体に対する抗体を産生するヒト形質細胞をインビボで枯渇させる可能性を実証することである。このモデルは、CD34+細胞でヒト化したNSG-SGM3マウスにgdIgAをワクチン投与したことに基づく。ヒトCD38+形質細胞は、このマウス系統で存在することができると報告されている(JangalweSら、(2016)Immun Inflamm Dis 4(4):427-440)。読みだした情報には、末梢血、脾臓及び骨髄中の形質細胞の減少(フローサイトメトリーにより評価した)、並びに血清中の抗gdIgA抗体の減少(ELISAにより測定した)が含まれる。

Claims (15)

  1. 対象における免疫複合体媒介疾患の治療に使用するための抗CD38抗体又は抗体断片。
  2. 前記免疫複合体媒介疾患は、腎疾患である、請求項1に記載の使用するための抗CD38抗体又は抗体断片。
  3. 前記免疫複合体媒介疾患は、IgA腎症、ループス腎炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病性腎炎、連鎖球菌感染後糸球体腎炎又は薬剤性免疫複合体媒介びまん性増殖性糸球体腎炎から選択される、請求項2に記載の使用するための抗CD38抗体又は抗体断片。
  4. 前記IgA腎症は、ガラクトース欠損IgA1抗体(Gd-IgA1)及び抗ガラクトース欠損IgA1抗体(抗GD-IgA1)陽性IgA腎症である、請求項3に記載の使用するための抗CD38抗体又は抗体断片。
  5. 前記抗体は、アミノ酸配列配列番号1のHCDR1領域、アミノ酸配列配列番号2のHCDR2領域、アミノ酸配列配列番号3のHCDR3領域、及びアミノ酸配列配列番号4のLCDR1領域、アミノ酸配列配列番号5のLCDR2領域、及びアミノ酸配列配列番号6のLCDR3領域を含む、請求項1~4のいずれかに記載の使用するための抗CD38抗体又は抗体断片。
  6. 前記抗CD38抗体又は抗体断片は、配列番号7の重鎖可変(VH)領域及び配列番号8の軽鎖可変(VL)領域を含む、請求項5に記載の使用するための抗CD38抗体又は抗体断片。
  7. CD38に特異的な前記抗体又は抗体断片は、IgG1である、請求項1~6のいずれかに記載の抗CD38抗体又は抗体断片。
  8. CD38に特異的な前記抗体又は抗体断片は、ヒト抗体である、請求項1~7のいずれかに記載の抗CD38抗体又は抗体断片。
  9. 前記抗体は、ADCC及び/又はADCPにより形質細胞を枯渇させる、請求項1~8のいずれかに記載の抗CD38抗体又は抗体断片。
  10. 前記抗CD38抗体又は抗体断片を投与すると、免疫複合体が減少する、請求項1~9のいずれかに記載の抗CD38抗体又は抗体断片。
  11. 前記免疫複合体は、Gd-IgA1及び抗GD-IgA1抗体を含む、請求項4~10のいずれか一項に記載の抗CD38抗体又は抗体断片。
  12. 前記免疫複合体は、腎臓の糸球体に沈着する、請求項10又は11に記載の使用するための抗CD38抗体又は抗体断片。
  13. 前記抗体又は抗体断片は、対象の体重に応じて投与される、請求項1~12のいずれかに記載の使用するための抗CD38抗体又は抗体断片。
  14. 前記抗体又は抗体断片は、表6により少なくとも2回、少なくとも5回、又は少なくとも9回投与される、請求項13に記載の使用するための抗CD38抗体又は抗体断片。
  15. 治療予定の前記対象は、選別時に1.0g/日以上の蛋白尿によって特徴づけられる、請求項1~14のいずれかに記載の使用するための抗CD38抗体又は抗体断片。


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