JP2024085751A - エンジンシステム - Google Patents

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JP2024085751A JP2022200451A JP2022200451A JP2024085751A JP 2024085751 A JP2024085751 A JP 2024085751A JP 2022200451 A JP2022200451 A JP 2022200451A JP 2022200451 A JP2022200451 A JP 2022200451A JP 2024085751 A JP2024085751 A JP 2024085751A
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Abstract

【課題】エンジンの始動直後から加熱された空気により潤滑油を過熱により硬化させることなく有効に暖機すること。【解決手段】水素エンジンシステム1は、エンジン2と、エンジンに導入される吸気が流れる吸気通路3と、エンジンから排出される排気が流れる排気通路4と、吸気通路に設けられ、エンジンに吸入される吸気量を調節するためのスロットル装置7と、エンジンの潤滑油を貯留するためのオイルパン13aと、オイルパン13aに貯留されたエンジンオイルとの間で熱交換するための熱交換器41と、排気通路4の周囲で加熱された空気を熱交換器を経由して流すための加熱空気通路42と、加熱空気通路を開閉するための開閉弁43と、エンジンの運転状態に応じて開閉弁を制御するための電子制御装置50とを備える。【選択図】図1

Description

この明細書に開示される技術は、エンジンの潤滑油を暖機するように構成したエンジンシステムに関する。
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載される「エンジンの暖機装置」が知られている。この装置は、エンジンの排気を吸気通路に導入する排気還流通路(EGR通路)と、エンジンのオイルパンに貯留した潤滑油を吸入してエンジンの各部に循環させるオイルポンプとを備え、オイルパンには、EGR通路に接続されてEGRガスWを流す熱交換部が設けられる。すなわち、この装置は、EGR装置を備えたエンジンにおいて、そのオイルパン(潤滑油貯留部)に設けた熱交換部に、EGR通路を流れるEGRガスを導入し、EGRガスとの熱交換により潤滑油を暖機するようになっている。
特開2005-188323号公報
ところが、特許文献1に記載の装置では、エンジンでの燃焼が不安定な低水温時には、EGRを実行することができない。また、低水温下では、EGRガスが通過する各部の温度が低いので、各部壁ではEGRガスとの接触により多量の凝縮水(結露)が発生し、エンジンでの燃焼を悪化させたり、腐食を発生させたりする懸念がある。このため、本来、早期に暖機をしたい低水温(潤滑油が低温)時に、EGRを実行することができず、潤滑油を暖機することができない。一方、上記装置では、エンジンの水温が上昇し、燃焼が安定した条件下では、EGRの実行は可能となるが、高温のEGRガスがオイルパンの熱交換部に流入するので、熱交換部入口で潤滑油と接する部分が高温となり、潤滑油が過熱により硬化するおそれがある。このため、EGRガスが高温となる条件下では、EGRガスにより潤滑油を有効に暖機することができない。
ここで、近年は、ガソリンに代わり水素を燃料として使用する水素エンジンシステムの開発が盛んになっている。特に、水素エンジンシステムでは、冷間運転時に、燃焼に伴い燃焼圧力が上昇すると、ピストンとシリンダボアとの間から燃焼ガスがクランクケース内に漏れるおそれがある。また、冷間時には、シリンダボアが冷えているため、シリンダボア内壁で結露が生じる。水素燃料は、ガソリン燃料に比べて燃焼ガスに含まれる水分量が多いため、結露水が潤滑油に混入する量が増加して乳化現象が起きるおそれがある。
この開示技術は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エンジンの始動直後から加熱された空気により潤滑油を過熱により硬化させることなく有効に暖機することを可能としたエンジンシステムを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の技術は、エンジンと、エンジンに導入される吸気が流れる吸気通路と、エンジンから排出される排気が流れる排気通路と、吸気通路に設けられ、エンジンに吸入される吸気量を調節するためのスロットル弁と、エンジンの潤滑油を貯留するための潤滑油貯留部と、潤滑油貯留部に貯留された潤滑油との間で熱交換するための熱交換手段と、排気通路の周囲で加熱された空気を熱交換手段を経由して流すための加熱空気通路と、加熱空気通路を開閉するための開閉弁とを備えたことを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、エンジンの始動直後に、開閉弁により加熱空気通路を開くことで、排気通路の周囲で加熱された空気が加熱空気通路を介し熱交換手段を経由して流れる。従って、潤滑油貯留部に貯留された潤滑油と熱交換手段との間で熱交換が行われ、その潤滑油が加熱された空気の温度範囲内で加熱される。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の技術は、請求項1に記載の技術において、エンジンの運転状態を検出するための運転状態検出手段と、検出される運転状態に応じて開閉弁を制御するための制御手段とを更に備え、制御手段は、潤滑油が含有する含有水分量を、検出される運転状態に基いて算出し、算出した含有水分量に応じて熱交換手段への加熱された空気の流れを制御するために開閉弁を制御することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項1に記載の技術の作用に加え、制御手段は、運転状態検出手段により検出されるエンジンの運転状態に基いて潤滑油の含有水分量を算出し、その含有水分量に応じて開閉弁を制御することにより、熱交換手段への加熱された空気の流れが制御される。従って、潤滑油はエンジンの運転状態に応じて推定される含有水分量に応じて加熱される。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の技術は、請求項2に記載の技術において、検出される運転状態は、エンジンの冷却水温度と空燃比を含み、制御手段は、冷却水温度及び空燃比のうち少なくとも冷却水温度に基いて含有水分量を算出することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項2に記載の技術の作用に加え、制御手段は、含有水分量を、エンジンの運転状態に関連した冷却水温度及び空燃比のうち少なくとも冷却水温度に基いて算出する。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の技術は、請求項3に記載の技術において、検出される運転状態は、冷却水温度及び空燃比に加え、エンジンの負荷及び回転数を更に含み、制御手段は、冷却水温度及び空燃比のうち少なくとも冷却水温度と、負荷及び回転数のうち少なくとも一方とに基いて含有水分量を算出することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項3に記載の技術の作用に加え、制御手段は、含有水分量を、エンジンの運転状態に関連した冷却水温度及び空燃比のうち少なくとも冷却水温度と、負荷及び回転数のうち少なくとも一方に基いて算出する。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の技術は、請求項3又は4に記載の技術において、潤滑油の温度を検出するための潤滑油温度検出手段を更に備え、制御手段は、検出される潤滑油の温度に基き含有水分の蒸発量を算出し、前回算出した含有水分量から算出した蒸発量を減算することにより今回の含有水分量を算出し、今回算出した含有水分量が第1所定値以下となるまで開閉弁を開弁することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項3又は4に記載の技術の作用に加え、制御手段は、前回算出した含有水分量から、潤滑油の温度に基き算出した含有水分の蒸発量を減算することで今回の含有水分量を算出するので、蒸発量を反映したより正確な含有水分量が求められる。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の技術は、請求項5に記載の技術において、制御手段は、今回算出した含有水分量が第1所定値以下であっても、検出される潤滑油の温度が第2所定値以下となる場合は、潤滑油の温度が第2所定値より高くなるまで開閉弁を開弁することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項5に記載の技術の作用に加え、制御手段は、含有水分量が第1所定値以下であっても、潤滑油の温度が第2所定値より高くなるまで開閉弁を開弁するので、潤滑油の粘性低下を想定して開閉弁が閉弁される。
上記目的を達成するために、請求項7に記載の技術は、請求項5に記載の技術において、制御手段は、検出される潤滑油の温度に応じた含有水分の余熱による蒸発量を算出し、今回算出した含有水分量が第1所定値より多くても、算出した余熱による蒸発量未満となる場合は、開閉弁を閉弁することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項5に記載の技術の作用に加え、制御手段は、算出した含有水分量が第1所定値より多くても、算出した蒸発量未満となる場合は、開閉弁を閉弁する。従って、含有水分量が蒸発量より少なくなると潤滑油が加熱されなくなる。
上記目的を達成するために、請求項8に記載の技術は、請求項6に記載の技術において、制御手段は、検出される潤滑油の温度に基き含有水分の余熱による蒸発量を算出し、今回算出した含有水分量が第1所定値より多くても、算出した余熱による蒸発量未満となる場合は、開閉弁を閉弁することを趣旨とする。
上記技術の構成によれば、請求項6に記載の技術の作用に加え、制御手段は、算出した含有水分量が第1所定値より多くても、算出した蒸発量未満となる場合は、開閉弁を閉弁する。従って、含有水分量が蒸発量より少なくなると潤滑油が加熱されなくなく。
請求項1に記載の技術によれば、エンジンの始動直後から加熱された空気により潤滑油を過熱により硬化させることなく有効に暖機することができる。
請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の技術の効果に加え、潤滑油の含有水分量に応じて潤滑油を有効に暖機することができる。
請求項3に記載の技術によれば、請求項2に記載の技術の効果に加え、エンジンの冷却水温度及び空燃比のうち少なくとも冷却水温度を反映した含有水分量を推定することができる。
請求項4に記載の技術によれば、請求項3に記載の技術の効果に加え、更に、エンジンの負荷及び回転数のうち少なくとも一方を反映した含有水分量を精度よく推定することができる。
請求項5に記載の技術によれば、請求項3又は4に記載の技術の効果に加え、開閉弁が、第1所定値を基準として精度よく開弁され、加熱された空気により潤滑油を好適に暖機することができる。
請求項6に記載の技術によれば、請求項5に記載の技術の効果に加え、潤滑油の粘性を好適に低下させることができ、エンジンの燃費を向上させることができる。
請求項7に記載の技術によれば、請求項5に記載の技術の効果に加え、潤滑油の過剰な暖機を防止することができる。
請求項8に記載の技術によれば、請求項6に記載の技術の効果に加え、潤滑油の過剰な暖機を防止することができる。
第1実施形態に係り、水素エンジンシステムを示す概略構成図。 第1実施形態の水素エンジンシステムの車両の走行時間に対する各部温度の変化及び従前のエンジンシステムの車両の走行時間に対する各部温度、車速及び吸気量の変化の一例を示すグラフ。 第1実施形態に係り、オイル暖機制御の内容を示すフローチャート。 第1実施形態に係り、冷却水温度と空燃比に応じた水温係数を求めるために参照される水温係数マップ。 第1実施形態に係り、エンジン負荷に応じた負荷係数を求めるために参照される負荷係数マップ。 第1実施形態に係り、エンジン回転数に応じた回転数係数を求めるために参照される回転数係数マップ。 第1実施形態に係り、オイル温度に応じた蒸発係数を求めるために参照される蒸発係数マップ。 第1実施形態に係り、オイル温度に対するオイル粘度の関係を示すグラフ。 第2実施形態に係り、オイル暖機制御の内容を示すフローチャート。 第2実施形態に係り、オイル温度に応じた余熱蒸発量を求めるために参照される余熱蒸発量マップ。 第3実施形態に係り、オイル暖機制御の内容を示すフローチャート。
以下、エンジンシステムを水素エンジンシステムに具体化したいくつかの実施形態について説明する。
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態につき、図1~図7を参照して詳細に説明する。
[水素エンジンシステムの構成について]
図1に、この実施形態における水素エンジンシステム1を概略構成図により示す。この水素エンジンシステム1は、水素を燃料とするエンジン2と、エンジン2に導入される吸気が流れる吸気通路3と、エンジン2から排出される排気が流れる排気通路4と、排気通路4に設けられ、エンジン2から排出された排気のエネルギーを受けて作動するタービン5と、吸気通路3に設けられ、タービン5により駆動されて吸気を過給するコンプレッサ6と、コンプレッサ6より下流の吸気通路3に設けられ、エンジン2に吸入される吸気量を調節するためのスロットル装置7と、エンジン2で発生するブローバイガス(燃料成分を含むガス)をスロットル装置7より下流の吸気通路3へ還流するブローバイガス還流通路(以下「BGR通路」と言う)8と、BGR通路8を流れるブローバイガスの流量を調節するためのPCV弁9とを備える。タービン5とコンプレッサ6は、過給機10を構成する。
エンジン2は、複数の気筒を有するエンジンブロック11を含む。各気筒には、それぞれピストン12が往復動可能に設けられる。エンジンブロック11の下部には、クランクケース13が設けられる。クランクケース13は、オイルパン13aと共に構成される。クランクケース13の中には、クランクシャフト14が回転可能に支持され、各ピストン12がコンロッド15を介してクランクシャフト14に連結される。オイルパン13aには、エンジン2の潤滑油(エンジンオイル)が貯留される。オイルパン13aは、この開示技術の「潤滑油貯留部」の一例に相当する。
各気筒にて、各ピストン12の上側には燃焼室16が形成される。各燃焼室16には、吸気通路3に対応して吸気弁17が設けられると共に、排気通路4に対応して排気弁18が設けられる。各吸気弁17及び各排気弁18は、周知の動弁機構19により、クランクシャフト14の回転に連動して開閉するように構成される。これら吸気弁17及び排気弁18が開閉することにより、燃焼室16へ空気(吸気)が吸入され、燃焼室16から燃焼後の排気が排出される。エンジンブロック11の上部には、動弁機構19等を覆うヘッドカバー20が設けられる。
各燃焼室16には、吸気通路3が接続される。この実施形態の吸気通路3は、コンプレッサ6より上流の上流側吸気通路3Aと、コンプレッサ6より下流の下流側吸気通路3Bとを含む。上流側吸気通路3Aの入口側には、エアクリーナ22が設けられる。下流側吸気通路3Bには、バタフライ式のスロットル弁7aを含む電動式のスロットル装置7が設けられる。スロットル装置7より上流の下流側吸気通路3Bには、コンプレッサ6により過給された吸気を冷却するためのインタークーラ23が設けられる。スロットル装置7より下流の下流側吸気通路3Bは、周知の吸気マニホルドから構成される。スロットル装置7は、運転席に設けられたアクセルペダル(図示略)の操作に連動してモータ(図示略)によりスロットル弁7aを開閉駆動させるように構成される。この実施形態のスロットル弁7aの構成は、一例に過ぎない。エアクリーナ22にて浄化された空気は、吸気通路3及びスロットル装置7等を介して各燃焼室16に吸入される。この吸入される空気量(吸気量)は、スロットル弁7aの開度に応じて調節される。
この他、エンジンブロック11には、各燃焼室16のそれぞれに燃料を噴射供給するためのインジェクタ(図示略)が設けられる。インジェクタには、燃料タンク(図示略)から燃料ポンプ(図示略)等を介して燃料が供給されるようになっている。各インジェクタから各燃焼室16へ噴射された燃料は吸気と共に混合気を形成する。
エンジンブロック11の上部には、各燃焼室16にて混合気に点火するための点火プラグ25が設けられる。点火プラグ25は、イグナイタ26により印加される高電圧によって点火動作するようになっている。
各燃焼室16には、排気マニホルドを含む排気通路4が接続される。タービン5より下流の排気通路4には、排気浄化のための触媒27が設けられる。各燃焼室16で生じた燃焼後の排気は、排気通路4及び触媒27等を介して外部へ排出される。
この実施形態の水素エンジンシステム1は、各燃焼室16で発生したブローバイガスを吸気通路3へ流してエンジン2へ還流するブローバイガス還流装置(以下「BGR装置」と言う)を備える。このBGR装置は、エンジン2で発生するブローバイガスを蓄積するためのブローバイガス貯留部30を備える。この実施形態では、一例として、クランクケース13とヘッドカバー20がブローバイガス貯留部30を構成する。クランクケース13とヘッドカバー20は、エンジンブロック11に設けられた連通路11aを介して互いに連通する。クランクケース13には、オイルセパレータ31が設けられる。オイルセパレータ31は、クランクケース13の内部にてブローバイガスに混入したエンジンオイル等の油分をブローバイガスから分離して捕捉する機能を有する。
この実施形態では、オイルセパレータ31と、スロットル装置7より下流の下流側吸気通路3B(吸気マニホルド)との間には、クランクケース13に蓄積されたブローバイガスをスロットル装置7より下流の下流側吸気通路3Bへ流してエンジン2へ還流するためのBGR通路8が設けられる。BGR通路8は、ホース等の配管で構成される。ここで、オイルセパレータ31は、クランクケース13に設けられるが、BGR通路8の一部を構成する。また、BGR通路8には、同通路8におけるブローバイガス流量を調節するためのPCV弁9が設けられる。ここで、PCV弁9は、圧力に感応して開度可変に構成された周知の構造を有する。PCV弁9は、コンプレッサ6が非作動の非過給時に開弁し、コンプレッサ6が作動する過給時に閉弁するように構成される。
この実施形態で、上流側吸気通路3Aとヘッドカバー20との間には、ヘッドカバー20及びクランクケース13の中のブローバイガスを掃気するために、上流側吸気通路3Aを流れる吸気の一部をヘッドカバー20の中へ新気として導入するための新気導入通路33が設けられる。ヘッドカバー20の中へ導入された新気は、連通路11aを介してクランクケース13の中へ導かれる。ここで、クランクケース13、ヘッドカバー20、BGR通路8及び新気導入通路33は互いに連通し、一つのBGR系が構成される。
[オイル暖機装置について]
この実施形態の水素エンジンシステム1は、エンジンオイルを暖機するためのオイル暖機装置を更に備える。オイル暖機装置は、図1に示すように、オイルパン13aに貯留されたエンジンオイルとの間で熱交換するための熱交換器41と、排気通路4の周囲で排気熱により加熱された空気(ホットエア)を熱交換器41を経由して流すための加熱空気通路42と、加熱空気通路42を開閉するための電動式の開閉弁43とを備える。熱交換器41は、オイルパン13aの中に配置され、この開示技術の「熱交換手段」の一例に相当する。熱交換器41は、オイルパン13aの外壁に配置することもできる。加熱空気通路42は、その入口42aがタービン5の近傍に配置され、その出口42bがエアクリーナ22より上流の吸気通路3の吸気入口3aの近傍に配置される。タービン5の周囲は、外気に通じる隙間を介してシュラウド44で覆われている。加熱空気通路42の入口42aは、シュラウド44の中に連通し、加熱空気通路42の出口42bは、吸気入口3aの近傍に連通する。加熱空気通路42の途中は、熱交換器41の入口と出口にそれぞれ接続される。電動式の開閉弁43は、板状の弁体43aをアクチュエータ(図示略)により揺動させることで開閉駆動するように構成される。
そして、エンジン2の始動後に、排気通路4を流れる排気によりタービン5が加熱され、その熱によりシュラウド44の内側の空気が加熱される。このとき、開閉弁43が開弁されることで、加熱空気通路42には、その入口42aから出口42bへ向かうホットエアの流れが生じる。そのホットエアが熱交換器41を経由することで、オイルパン13aの中のエンジンオイルが熱交換器41との熱交換により暖機される。
ここで、シュラウド44の内側で加熱される空気(ホットエア)の温度について検討する。図2には、この実施形態の水素エンジンシステム1の車両の走行時間に対する各部温度THAE,THOの変化及び従前のエンジンシステムの車両の走行時間に対する各部温度THAO,THAI,THW,THO、THON、車速SPD及び吸気量Gaの変化の一例をグラフに示す。従前の車両では、シュラウドで加熱されたホットエアは、本実施形態とは異なり、熱交換器を介することなく加熱空気通路を介してエアクリーナ入口近傍から吸気通路へ導入されるように構成される。図2において、破線は吸気量Gaの変化を示し、実線は車速SPDの変化を示し、1点鎖線は加熱されていないオイル温度THONの変化を示し、点線は冷却水温度THWの変化を示し、太線はエアクリーナ入口近傍の加熱空気通路の出口温度THAOの変化を示し、2点鎖線は排気通路の触媒入口温度THSCの変化を示し、別の破線はシュラウド近傍の加熱空気通路の入口温度THAIの変化を示す。また、図2において、出口温度THAOの直上の実線は本実施形態に係り熱交換器41の入口温度(交換器入口温度)THAEの変化を示し、オイル温度THONの直上の実線は熱交換器41で熱交換されたオイル温度THOの変化を示す。図2より、走行時間の経過に伴い、オイル温度THON,THO、冷却水温度THW、交換器入口温度THAE、出口温度THAO及び入口温度THAIは徐々に上昇することがわかる。ここで、入口温度THAIは、触媒入口温度THSCの変動に伴い大きく変動するが、出口温度THAOの変動は小さい。
この実施形態では、図1において、熱交換器41は、加熱空気通路42の出口42bよりも加熱空気通路42の入口42aに近いことから、ホットエアによる熱交換器41の入口温度THAEは、出口温度THAO(100℃前後)より高く(例えば、120℃前後)なると推測できる。このため、図2に示すように、この実施形態のオイル温度THOが、従前のオイル温度THONよりも黒矢印で示すように上昇させることができる。
[電気的構成について]
水素エンジンシステム1の電気的構成について説明する。水素エンジンシステム1は、各種の制御を司る電子制御装置(ECU)50を更に備える。エアクリーナ22の直下流には、上流側吸気通路3Aを流れる吸気量Gaを検出するためのエアフローメータ51が設けられる。スロットル装置7には、スロットル弁7aの開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ52が設けられる。スロットル装置7の直下流の下流側吸気通路3B(サージタンク)には、同吸気通路3Bにおける吸気圧力PMを検出するための吸気圧センサ53が設けられる。エンジンブロック11には、クランクシャフト14の回転角度(クランク角度)の変化をエンジン回転数NEとして検出するための回転数センサ54が設けられる。エンジンブロック11には、その内部を流れる冷却水の温度(冷却水温度)THWを検出するための水温センサ55が設けられる。排気通路4には、排気中の酸素濃度から燃焼室16の中の空燃比λを検出するための空燃比センサ56が設けられる。オイルパン13aには、その中に貯まったエンジンオイルの温度(オイル温度)THOを検出するためのオイル温センサ57が設けられる。オイル温センサ57は、この開示技術の「潤滑油温度検出手段」の一例に相当する。また、車両の運転席には、エンジン2の始動と停止を操作するためのイグニションスイッチ(IGスイッチ)58が設けられる。これら各種センサ等51~58は、エンジン2の運転状態を検出するための、この開示技術の「運転状態検出手段」の一例に相当する。
ECU50は、各種センサ等51~58により検出された吸気量Ga、スロットル開度TA、吸気圧力PM、エンジン回転数NE、冷却水温度THW、空燃比λ及びオイル温度THO等に基づき燃料噴射制御、点火時期制御及びオイル暖機制御等を実行するようになっている。ここで、ECU50は、燃料噴射制御において、エンジン2の運転状態に応じて各インジェクタを制御し、エンジン2へ供給される燃料噴射量を制御するようになっている。また、ECU50は、点火時期制御において、エンジン2の運転状態に応じてイグナイタ26を動作させて点火プラグ25を制御するようになっている。ECU50は、オイル暖機制御において、エンジンオイルを暖機するためにエンジン2の運転状態に応じて開閉弁43を制御するようになっている。ECU50は、この開示技術の「制御手段」の一例に相当する。
[オイル暖機制御について]
次に、ECU50が実行する「オイル暖機制御」について説明する。図3に、その制御内容をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU50は、IGスイッチ58の信号に基きイグニション(IG)がオンか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理ステップ110へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ190へ移行する。
ステップ110では、ECU50は、各種センサ等52~57の検出値に基づきエンジン回転数NE、エンジン負荷KL、冷却水温度THW、オイル温度THO及び空燃比λを取り込む。
次に、ステップ120で、ECU50は、取り込まれたエンジン回転数NE、エンジン負荷KL、冷却水温度THW、オイル温度THO及び空燃比λに基づき水温係数Kthwλ、負荷係数Kkl、回転数係数Kne及び蒸発量Qevpを求める。
ここで、ECU50は、水温係数Kthwλについて、例えば、図4に示すような水温係数マップを参照することにより、冷却水温度THWと空燃比λに応じた水温係数Kthwλを求めることができる。このマップでは、冷却水温度THWが所定温度A1(例えば、「70℃」)より低くなるほど、空燃比λがリッチになるほど、水温係数Kthwλが「0」より高くなるように設定される。
ECU50は、負荷係数Kklについては、例えば、図5に示すような負荷係数マップを参照することにより、エンジン負荷KLに応じた負荷係数Kklを求めることができる。このマップでは、エンジン負荷KLが高くなるほど、負荷係数Kklが曲線的に高くなるように設定される。
また、ECU50は、回転数係数Kneについては、例えば、図6に示すような回転数係数マップを参照することにより、エンジン回転数NEに応じた回転数係数Kneを求めることができる。このマップでは、エンジン回転数NEが高くなるほど、回転数係数Kneが曲線的に低くなるように設定される。
更に、ECU50は、蒸発量Qevpについては、例えば、図7示すような蒸発量マップを参照することにより、オイル温度THOに応じた蒸発量Qevpを求めることができる。このマップでは、オイル温度THOが、例えば、「70℃」より高くなるほど蒸発量Qevpが「0」より高くなるように設定される。
次に、ステップ130で、ECU50は、求められた水温係数Kthwλ、負荷係数Kkl、回転数係数Kne及び蒸発量Qevpと、取り込まれたエンジン回転数NEにより、次の計算式(F1)に従ってエンジンオイルに含まれる含有水分量Wgs(i)を算出する。
Wgs(i)=(Kthwλ*Kkl*Kne*NE-Qevp)+Wgs(i-1) …(F1)
ここで、「Wgs(i)」は今回算出される含有水分量であり、「Wgs(i-1)」は前回算出された含有水分量である。
次に、ステップ140で、ECU50は、算出された含有水分量Wgs(i)が「0」以下か否かを判断する。ここで、「0」はこの開示技術の「第1所定値」の一例に相当する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、エンジンオイルに水分が含まれないものとして処理をステップ150へ移行し、この判断結果が否定となる場合は、エンジンオイルに水分が含まれるものとして処理を180へ移行する。
ステップ150では、ECU50は、含有水分量Wgsを「0」に設定する。
次に、ステップ160で、ECU50は、オイル温度THOが「90℃」より高いか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ170へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理を180へ移行する。
そして、ステップ170では、ECU50は、開閉弁43を全閉制御する。これにより、シュラウド44から加熱空気通路42へのホットエアの流れが遮断され、熱交換器41によるエンジンオイルの暖機が停止される。その後、ECU50は、処理を一旦終了する。
一方、ステップ140又はステップ160から移行してステップ180では、ECU50は、開閉弁43を全開制御する。これにより、シュラウド44から加熱空気通路42へホットエアが流され、熱交換器41との熱交換によりエンジンオイルが暖機される。その後、ECU50は、処理を一旦終了する。
一方、ステップ100から移行して、ステップ190では、ECU50は、含有水分量Wgs(i)をメモリに記憶する。
次に、ステップ200で、ECU50は、ECU50をオフし、その後の処理を一旦終了する。
上記したオイル暖機制御によれば、ECU50は、エンジンオイルが含有する含有水分量Wgs(i)を、検出される運転状態に基いて算出し、算出した含有水分量Wgs(i)に応じて熱交換器41へのホットエアの流れを制御するために開閉弁43を制御するようになっている。詳しくは、ECU50は、冷却水温度THW及び空燃比λに加え、エンジン負荷KL及びエンジン回転数NEに基いて含有水分量Wgs(i)を算出する。
更に、ECU50は、検出されるオイル温度THOに基き含有水分の蒸発量Qevpを算出し、前回算出した含有水分量Wgs(i-1)から算出した蒸発量Qevpを減算することにより今回の含有水分量Wgs(i)を算出し、今回算出した含有水分量Wgs(i)が「0」(第1所定値)以下となるまで開閉弁43を開弁するようになっている。
加えて、ECU50は、今回算出した含有水分量Wgs(i)が「0」以下であっても、検出されるオイル温度THOが「90℃」(第2所定値)以下となる場合は、オイル温度THOが「90℃」より高くなるまで開閉弁43を開弁するようになっている。
[水素エンジンシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の水素エンジンシステム1の構成によれば、エンジン2の始動直後に、開閉弁43により加熱空気通路42を開くことで、排気通路4(タービン5)の周囲で加熱された空気が加熱空気通路42を介し熱交換器41を経由して流れる。従って、オイルパン13aに貯留されたエンジンオイルと熱交換器41との間で熱交換が行われ、そのエンジンオイルが加熱されたホットエアの温度範囲内で加熱される。このため、エンジン2の始動直後からホットエアによりエンジンオイルを過熱により硬化させることなく有効に暖機することができる。この結果、エンジンオイルにおいて含有水分混入による乳化現象の発生を抑制することができる。
この実施形態の構成によれば、ECU50は、各種センサ等51~57により検出されるエンジン2の運転状態に基いてエンジンオイルの含有水分量Wgs(i)を算出し、その含有水分量Wgs(i)に応じて開閉弁43を制御することにより、熱交換器41へのホットエアの流れが制御される。従って、エンジンオイルはエンジン2の運転状態に応じて推定される含有水分量Wgs(i)に応じて加熱される。このため、エンジンオイルの含有水分量Wgs(i)に応じてエンジンオイルを有効に暖機することができる。
この実施形態の構成によれば、ECU50は、含有水分量Wgs(i)を、エンジン2の運転状態に関連した冷却水温度THW及び空燃比λのうち少なくとも冷却水温度THWに基いて算出する。このため、エンジン2の冷却水温度THW及び空燃比λのうち少なくとも冷却水温度THWを反映した含有水分量Wgs(i)を推定することができる。
この実施形態の構成によれば、ECU50は、含有水分量Wgs(i)を、エンジン2の運転状態に関連した冷却水温度THW及び空燃比λのうち少なくとも冷却水温度THWと、エンジン負荷KL及びエンジン回転数NEのうち少なくとも一方に基いて算出する。このため、冷却水温度THW及び空燃比λに加え、更に、エンジン負荷KL及びエンジン回転数NEのうち少なくとも一方を反映した含有水分量Wgs(i)を精度よく推定することができる。
この実施形態の構成によれば、ECU50は、前回算出した含有水分量Wgs(i-1)から、オイル温度THOに基き算出した含有水分の蒸発量Qevpを減算することで今回の含有水分量Wgs(i)を算出するので、蒸発量Qevpを反映したより正確な含有水分量Wgs(i)が求められる。このため、開閉弁43が、「0」(第1所定値)を基準として精度よく開弁され、ホットエアによりエンジンオイルを好適に暖機することができる。
この実施形態の構成によれば、ECU50は、含有水分量Wgs(i)が「0」(第1所定値)以下であっても、オイル温度THOが「90℃」(第2所定値)より高くなるまで開閉弁43を開弁するので、エンジンオイルの粘性低下を想定して開閉弁43が閉弁される。このため、エンジンオイルの粘性を好適に低下させることができ、エンジン2の燃費を向上させることができる。
図8には、オイル温度THOに対するオイル粘度の関係をグラフにより示す。図8に示すように、オイル粘度はオイル温度THOが「90℃」以上では、殆ど低下しないことがわかる。このため、算出した含有水分量Wgs(i)が減少してもオイル温度THOが「90℃」を超えるまで熱交換器41にホットエアを流してエンジンオイルの暖機を継続することで、エンジン2の各部に対しエンジンオイルを有効に機能させることができる。この結果、エンジンフリクションを低減させることができ、エンジン2の燃費向上を図ることができる。
この実施形態では、タービン5の周囲で排気熱により加熱された空気(ホットエア)によりエンジンオイルを暖機するように構成したので、EGRガスの熱によりエンジンオイルを加熱するように構成した従来例とは異なり、エンジン2の始動後に直ちにエンジンオイルの暖機を開始することができる。すなわち、従来例では、エンジンの始動後にエンジンの暖機が未完了の場合にはEGRを開始することができず、その分だけエンジンオイルの暖機開始が遅れていたのに対し、この実施形態では、エンジン動後に速やかにエンジンオイルの暖機を開始することができる。
この実施形態では、タービン5の周囲で排気熱により加熱されたホットエアによりオイルパン13aに貯まったエンジンオイルを熱交換器41を介して暖機するように構成したので、EGRガスの熱によりオイルパンに貯まったエンジンオイルを熱交換器を介して加熱するように構成した従来例とは異なり、熱交換器41の入口がEGRガスにより過熱することがなく、熱交換器41に接するエンジンオイルの熱劣化や熱硬化を防止することができる。すなわち、従来例では、400℃近い高温のEGRガスが熱交換器へ流れることもあり、熱交換器に接したエンジンオイルが熱劣化や熱硬化するおそれがあった。これに対し、この実施形態では、エンジンオイルの過熱を抑制することができ、エンジンオイルの熱劣化や熱硬化を防止することができる。
この実施形態では、熱交換器41に流したホットエアをエアクリーナ22の入口近傍に流すようにしたので、そのホットエアが吸気通路3へ流れることになる。このため、エンジン2に取り込まれる吸気温度を高めることができ、その分だけエンジン2での燃焼効率を高めることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態につき、図9、図10を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し異なった点を中心に説明する。
[オイル暖機制御について]
この実施形態では、オイル暖機制御の内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図9に、この実施形態の「オイル暖機制御」の内容をフローチャートにより示す。図9に示すように、この実施形態のフローチャートでは、図3におけるステップ160の処理が省略され、ステップ130とステップ140との間にステップ300の処理が加わり、ステップ140とステップ180との間にステップ310の処理が加わる。
このルーチンにおいて、ECU50は、ステップ130の処理を実行した後、ステップ300において、オイル温度THOに応じた含有水分の余熱による蒸発量(余熱蒸発量)Wgsevpを求める。ECU50は、例えば、図10に示すような余熱蒸発量マップを参照することによりオイル温度THOに応じた余熱蒸発量Wgsevpを求めることができる。このマップでは、オイル温度THOが「70℃」以上になると余熱蒸発量Wgsevpが「0」から増大するようになっている。
その後、ECU50は、ステップ140の判断結果が肯定となる場合は、処理をステップ150へ移行し、次にステップ170の処理を実行した後、処理を一旦終了する。
一方、ECU50は、ステップ140の判断結果が否定となる場合は、ステップ310で、含有水分量Wgs(i)が余熱蒸発量Wgsevp以上か否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ180へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ170へ移行する。
上記したオイル暖機制御によれば、第1実施形態と同様、ECU50は、検出されるオイル温度THOに基き含有水分の蒸発量Qevpを算出し、前回算出した含有水分量Wgs(i-1)から算出した蒸発量Qevpを減算することにより今回の含有水分量Wgs(i)を算出し、今回算出した含有水分量Wgs(i)が「0」(第1所定値)以下となるまで開閉弁43を開弁するようになっている。加えて、ECU50は、検出されるオイル温度THOに応じた余熱蒸発量Wgsevpを求め、今回算出した含有水分量Wgs(i)が「0」(第1所定値)より多くても、求めた余熱蒸発量Wgsevp未満となる場合は、開閉弁43を閉弁するようになっている。
[水素エンジンシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の水素エンジンシステム1の構成によれば、第1実施形態と異なり、オイル温度THOが「90℃」より高くなることを考慮して、すなわちエンジンオイルの粘性低下を考慮して開閉弁43を閉弁し、ホットエアによるエンジンオイルの暖機を停止することは行っていない。しかし、その代わりに、この実施形態の構成によれば、ECU50は、算出した含有水分量Wgs(i)が「0」(第1所定値)より多くても、算出した余熱蒸発量Wgsevp未満となる場合は、開閉弁43を閉弁する。従って、含有水分量Wgs(i)が余熱蒸発量Wgsevpより少なくなるとエンジンオイルが加熱されなくなる。このため、エンジンオイルの過剰な暖機を防止することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態につき、図11を参照して詳細に説明する。
[オイル暖機制御について]
この実施形態では、オイル暖機制御の内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図11に、この実施形態の「オイル暖機制御」の内容をフローチャートにより示す。図11に示すように、この実施形態のフローチャートでは、図3におけるステップ130とステップ140との間にステップ300の処理が加わり、ステップ140とステップ180との間にステップ310の処理が加わる。
このルーチンにおいて、ECU50は、ステップ130の処理を実行した後、ステップ300において、オイル温度THOに応じた余熱蒸発量Wgsevpを求める。ECU50は、例えば、図9に示すような余熱蒸発量マップを参照することによりオイル温度THOに応じた余熱蒸発量Wgsevpを求めることができる。
その後、ECU50は、ステップ140の判断結果が肯定となる場合は、処理をステップ150へ移行し、次に、ステップ160及びステップ170の処理を実行した後、処理を一旦終了する。
一方、ECU50は、ステップ140の判断結果が否定となる場合は、ステップ310で、含有水分量Wgs(i)が余熱蒸発量Wgsevp以上か否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ180へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ160へ移行する。
上記したオイル暖機制御によれば、第1実施形態のオイル暖機制御の内容に加え、ECU50は、検出されるオイル温度THOに応じた余熱蒸発量Wgsevpを求め、今回算出した含有水分量Wgs(i)が「0」(第1所定値)より多くても、求めた余熱蒸発量Wgsevp未満となる場合は、開閉弁43を閉弁するようになっている。
[エンジンシステムの作用及び効果について]
以上説明したこの実施形態の水素エンジンシステム1の構成によれば、第1実施形態の作用及び効果に加え次のような作用及び効果を得る。すなわち、この実施形態の構成によれば、ECU50は、算出した含有水分量Wgs(i)が「0」(第1所定値)より多くても、算出した余熱蒸発量Wgsevp未満となる場合は、開閉弁43を閉弁する。従って、含有水分量Wgs(i)が余熱蒸発量Wgsevpより少なくなるとエンジンオイルがホットエアにより加熱されなくなる。このため、エンジンオイルの過剰な暖機を防止することができる。
<別の実施形態>
なお、この開示技術は前記各実施形態に限定されるものではなく、開示技術の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
(1)前記第1実施形態では、図3に示すフローチャートにおいて、ステップ160の処理を実行したが、この処理を省略することもできる。すなわち、第1実施形態のオイル暖機制御から、今回算出した含有水分量Wgs(i)が「0」以下であっても、オイル温度THOが「90℃」以下となる場合はオイル温度THOが「90℃」より大きくなるまで開閉弁43を開弁するようにした処理を省略することもできる。
(2)前記各実施形態では、熱交換器41に流したホットエアをエアクリーナ22の入口近傍に流すように構成したが、吸気通路のその他の部位に流すように構成することもできる。
(3)前記各実施形態では、オイル温度THOをオイル温センサ57により検出するように構成したが、オイル温度THOを冷却水温度THWから推測したり、冷却水温度THWをオイル温度THOとして代用したりすることもできる。
(4)前記各実施形態では、エンジンシステムを水素エンジンシステムに具体化したが、ガソリンエンジンシステムに具体化することもできる。
この開示技術は、潤滑油を使用するように構成したエンジンシステムに利用することができる。
1 水素エンジンシステム
2 エンジン
3 吸気通路
4 排気通路
7 スロットル装置
7a スロットル弁
13a オイルパン(潤滑油貯留部)
41 熱交換器(熱交換手段)
42 加熱空気通路
43 開閉弁
50 ECU(制御手段)
51 エアフローメータ(運転状態検出手段)
52 スロットルセンサ(運転状態検出手段)
53 吸気圧センサ(運転状態検出手段)
54 回転数センサ(運転状態検出手段)
55 水温センサ(運転状態検出手段)
56 空燃比センサ(運転状態検出手段)
57 オイル温センサ(潤滑油温度検出手段)
58 IGスイッチ(運転状態検出手段)

Claims (8)

  1. エンジンと、
    前記エンジンに導入される吸気が流れる吸気通路と、
    前記エンジンから排出される排気が流れる排気通路と、
    前記吸気通路に設けられ、前記エンジンに吸入される吸気量を調節するためのスロットル弁と、
    前記エンジンの潤滑油を貯留するための潤滑油貯留部と、
    前記潤滑油貯留部に貯留された前記潤滑油との間で熱交換するための熱交換手段と、
    前記排気通路の周囲で加熱された空気を前記熱交換手段を経由して流すための加熱空気通路と、
    前記加熱空気通路を開閉するための開閉弁と
    を備えたことを特徴とするエンジンシステム。
  2. 請求項1に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記エンジンの運転状態を検出するための運転状態検出手段と、
    検出される前記運転状態に応じて前記開閉弁を制御するための制御手段と
    を更に備え、
    前記制御手段は、前記潤滑油が含有する含有水分量を、検出される前記運転状態に基いて算出し、算出した前記含有水分量に応じて前記熱交換手段への前記加熱された空気の流れを制御するために前記開閉弁を制御する
    ことを特徴とするエンジンシステム。
  3. 請求項2に記載のエンジンシステムにおいて、
    検出される前記運転状態は、前記エンジンの冷却水温度と空燃比を含み、
    前記制御手段は、前記冷却水温度及び前記空燃比のうち少なくとも前記冷却水温度に基いて前記含有水分量を算出する
    ことを特徴とするエンジンシステム。
  4. 請求項3に記載のエンジンシステムにおいて、
    検出される前記運転状態は、前記冷却水温度及び前記空燃比に加え、前記エンジンの負荷及び回転数を更に含み、
    前記制御手段は、前記冷却水温度及び前記空燃比のうち少なくとも前記冷却水温度と、前記負荷及び前記回転数のうち少なくとも一方とに基いて前記含有水分量を算出する
    ことを特徴とするエンジンシステム。
  5. 請求項3又は4に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記潤滑油の温度を検出するための潤滑油温度検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、検出される前記潤滑油の温度に基き含有水分の蒸発量を算出し、前回算出した前記含有水分量から算出した前記蒸発量を減算することにより今回の含有水分量を算出し、今回算出した前記含有水分量が第1所定値以下となるまで前記開閉弁を開弁する
    ことを特徴とするエンジンシステム。
  6. 請求項5に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御手段は、今回算出した前記含有水分量が前記第1所定値以下であっても、検出される前記潤滑油の温度が第2所定値以下となる場合は、前記潤滑油の温度が前記第2所定値より高くなるまで前記開閉弁を開弁する
    ことを特徴とするエンジンシステム。
  7. 請求項5に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御手段は、検出される前記潤滑油の温度に応じた前記含有水分の余熱による蒸発量を算出し、今回算出した前記含有水分量が前記第1所定値より多くても、算出した前記余熱による蒸発量未満となる場合は、前記開閉弁を閉弁する
    ことを特徴とするエンジンシステム。
  8. 請求項6に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御手段は、検出される前記潤滑油の温度に基き前記含有水分の余熱による蒸発量を算出し、今回算出した前記含有水分量が前記第1所定値より多くても、算出した前記余熱による蒸発量未満となる場合は、前記開閉弁を閉弁する
    ことを特徴とするエンジンシステム。
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