JP2024080300A - 金型加熱装置及びパウダースラッシュ成形機 - Google Patents

金型加熱装置及びパウダースラッシュ成形機 Download PDF

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Abstract

【課題】環境悪化の原因となる排気ガスを事実上発生させることなく、加熱部内部に載置した金型を、効率的かつ均一に加熱することができる金型加熱装置及びパウダースラッシュ成形機を提供する。【解決手段】金型を保持するための金型載置部と、吸気口から筐体の内部の空気を取り込んで、送風ダクトを介して空気を送り、筐体内部で空気を循環させる送風部と、送風ダクトと連通しており、送風部によって送られた循環空気を加熱するための加熱部と、を備えており、加熱部は、金型載置部に向かって流路断面積を拡大させる傾斜面、加熱した空気を吹き付ける中央吹出口及び側方吹出口を有しており、傾斜面と、中央吹出口との間に、上下に開口部を有する所定の枠体及び電気発熱体を有する一つ又は複数の長尺状の抵抗加熱ヒータを配置してある。【選択図】図1

Description

本発明は、金型加熱装置及びパウダースラッシュ成形機である。
特に、環境悪化の原因となる排気ガスを事実上発生させることなく、加熱部内部に載置した金型を、効率的かつ均一に加熱することができる金型加熱装置及びそれを用いたパウダースラッシュ成形機に関する。
従来、自動車の内装材等の複雑形状を有するシート状物を製造するにあたり、粉末樹脂パウダー(成形樹脂)を、加熱した金型の成形面に吹き付けて樹脂溶融物とした後、冷却固化して樹脂成形物とするパウダースラッシュ成形方法が広く実施されている。
かかるパウダースラッシュ成形方法は、金型加熱工程、パウダースラッシュ工程、冷却工程、脱型工程等の各工程から成り立っている。
ここで、図9(a)に示すように、金型加熱工程において、通電処理により発熱する所定の電気発熱体152aであって、かつ、耐熱部材を少なくとも背面側に有する電気発熱体152aを設けた金型加熱装置100を有するパウダースラッシュ成形機(図示せず。)が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
すなわち、金型加熱装置100において、金型160の上方から電気発熱体152aとしての遠赤外線ヒータで加熱するとともに、下方及び側方から熱風発生装置140により熱風Wを吹き付けることで、金型160を迅速かつ均一に加熱することができる。
又、図9(b)に示すように、金型加熱装置200の天井部に、金型の搬送方向に沿って、前後に両開きするシャッタ259を設けるとともに、下方に熱風発生装置240を設けてある金型加熱装置200を有するパウダースラッシュ成形機(図示せず。)が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
すなわち、金型加熱装置200において、所定構成のシャッタ259が設けることで、金型の出入りを迅速に行い、シャッタ259開放に伴う熱の放出を抑えることができる。
又、このように熱の放出を抑えることで、下方からの熱風のみで金型260を効果的に加熱でき、小スペース、かつ迅速に金型260を加熱することができる。
特開2019-98544号公報(特許請求の範囲等) 特開2020-29018号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に記載の金型加熱装置は、金型の上方に遠赤外線ヒータを設けていることから、金型交換の際等で、装置上方を開放する場合、必然的に開口部が大きくなって、金型加熱装置内の温度が過度に下がってしまうという問題があった。
更に、赤外線ヒータの背面に耐熱部材を備えることを必須構成としていることから、金型加熱装置の下方に配置する場合、熱風の吹き付けを阻害してしまうという問題が見られた。
又、特許文献2に記載の金型加熱装置は、熱風の生成にあたり、実質的にガス等を燃焼させており、金型をより迅速かつ均一な温度に加熱するために、大量の燃料(LPG等)を必要とするという問題があった。
そのため、このように炭化水素燃料を燃焼させることにより、二酸化炭素(CO)や一酸化炭素(CO)などの排出ガスが大量に排出されるため、製造コストが上昇するばかりか、環境悪化の更なる要因や地球温暖化につながるという問題が見られた。
そこで、本願の発明者は、このような問題点に鑑み鋭意努力した結果、所定の加熱部を備えることで、燃焼ヒータを用いることなく、金型を効率的かつ均一に加熱できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、環境悪化の原因となる排気ガスを事実上発生させることなく、加熱部内部に載置した金型を、効率的かつ均一に加熱することができる金型加熱装置及びそれを用いたパウダースラッシュ成形機を提供することである。
本発明によれば、金型を加熱するための金型加熱装置であって、筐体内で金型を所定位置に保持するための金型載置部と、吸気口から筐体の内部の空気を取り込み、送風ダクトを介して空気を送る送風部と、送風ダクトと連通しており、送風部によって送られた空気を加熱するための加熱部と、を備えており、加熱部は、金型載置部に向かって流路断面積を拡大させる傾斜面、加熱した空気を金型の下方に向かって吹き付ける中央吹出口、加熱した空気を金型の側方に向かって吹き付ける側方吹出口を有しており、傾斜面と、中央吹出口との間に、上下に開口部を有する枠体、及び当該枠体に周囲を囲われた電気発熱体を有する一つ又は複数の長尺状の抵抗加熱ヒータを配置してある。
すなわち、抵抗加熱ヒータを長尺状とすることで、当該抵抗加熱ヒータを筐体内に挿入する際の開口部を小さくして、筐体外部への加熱した空気の放出を低減できるともに、加熱部の容積を広くして、金型に対して加熱した空気を均一に吹き付けることができる。
又、電気発熱体の周囲を上下に開口部を有する枠体によって囲うことで、送風部から導入された空気を過度に分散させることなく整流でき、加熱された空気を、より効率的に金型に吹き付けることができる。
更に、複数の抵抗加熱ヒータを設けた場合であっても、所定枠体で囲うことにより、所定間隔で、或いは任意位置に、正確に配置できるとともに、不具合が生じた場合の交換についても容易となる。
従って、環境悪化の原因となる排気ガスを事実上発生させることなく、内部に載置した金型を、効率的かつ均一に加熱することができる。
又、本発明を構成するにあたり、加熱部は、送風ダクトと連通する円形の連通口を有しており、加熱部の形状を、連通口を有する面から四方に向かって傾斜する四角錐台形としてあることが好ましい。
このような構成とすることにより、送風部から送られた空気を加熱部の内部で効果的に流動させることができ、空気をより効果的に加熱することができる。
更に、空気の温度を均一にすることができ、金型をより効率的かつ均一に加熱することができる。
又、本発明を構成するにあたり、抵抗加熱ヒータは、枠体を介して筐体の側方に固定してあり、枠体を筐体に固定した場合に、加熱部の内部に挿入される加熱領域と、当該加熱領域及び筐体の間に位置する非加熱領域を有することが好ましい。
このような構成とすることにより、加熱部内部の空気のみを加熱でき、より効率的に金型を加熱することができる。
又、非加熱領域を通して、加熱空気を、重力方向に沿って、金型加熱装置の下方まで戻すことで、その一部を再度送風部に取り込むことができ、ひいては、加熱空気の再利用性を著しく向上させることができる。
又、本発明を構成するにあたり、抵抗加熱ヒータは、セラミック棒を芯材としており当該芯材に対して、電気発熱体をコイル状に巻き付けた構成であることが好ましい。
このような構成とすることにより、電気発熱体をたわませることなく加熱部内部に挿入でき、効果的に抵抗加熱ヒータによって空気を暖めることができる。
又、送付部からの風を受けた場合であっても、揺れて加熱部壁面や他の抵抗加熱ヒータ等に接触して、ショート等を起こすリスクを低減することができる。
又、本発明を構成するにあたり、中央吹出口の加熱部側の周囲に、遮熱部材を貼ってあることが好ましい。
このような構成とすることにより、抵抗加熱ヒータからの熱を、中央吹出口の周囲に効果的に分散させることができ、より均一な温度分布で金型を加熱することができる。
又、本発明を構成するにあたり、加熱部は、中央吹出口及び側方吹出口に、加熱した空気の吹き付け方向を調整するルーバを有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、各吹出口から噴き出す熱風を効果的に金型全体に行き渡らせることができ、より均一な温度分布で金型を加熱することができる。
又、本発明を構成するにあたり、金型載置部と、抵抗加熱ヒータと、傾斜面と、を、重力方向に沿って、順に配置してあることが好ましい。
このような構成とすることにより、抵抗加熱ヒータで加熱した空気が上昇気流となって、加熱した空気の温度を低下させることなく、より効率的に熱風を金型まで導くことができるためである。
又、本発明の別の態様は、金型を加熱するための金型加熱装置と、成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した金型の内表面に、シート状物を成形するパウダースラッシュ装置と、金型及び成形した前記シート状物を冷却する金型冷却装置と、冷却したシート状物を、金型から脱型する金型加工装置と、金型を、各部の間で、所定搬送方向に沿って移動させる搬送装置と、を備えたパウダースラッシュ成形機である。
具体的には、金型加熱装置は、筐体内で金型を所定位置に保持するための金型載置部と、吸気口から筐体の内部の空気を取り込み、送風ダクトを介して空気を送る送風部と、送風ダクトと連通しており、送風部によって送られた空気を加熱するための加熱部と、を備えており、加熱部は、金型載置部に向かって流路断面積を拡大させる傾斜面、加熱した空気を金型の下面に向かって吹き付ける中央吹出口、加熱した空気を金型の側面に向かって吹き付ける側方吹出口を有しており、傾斜面と、中央吹出口との間に、上下に開口部を有する枠体、及び当該枠体に周囲を囲われた電気発熱体を有する一つ又は複数の長尺状の抵抗加熱ヒータを配置してある。
すなわち、抵抗加熱ヒータを長尺状とすることで、当該抵抗加熱ヒータを筐体内に挿入する際の開口部を小さくして、筐体外部への加熱した空気の放出を低減できるともに、加熱部の容積を広くして、金型に対して加熱した空気を均一に吹き付けることができる。
又、電気発熱体の周囲を下に開口部を有する枠体によって囲うことで、送風部から導入された空気を過度に分散させることなく整流でき、加熱された空気を、より効率的に金型に吹き付けることができる。
更に、複数の抵抗加熱ヒータを設けた場合であっても、所定枠体で囲うことにより、所定間隔で、或いは任意位置に、正確に配置できるとともに、不具合が生じた場合の交換についても容易となる。
従って、境温暖化等につながる二酸化炭素ガス等の排出ガスの発生を抑制しながら、効率的に、均一なシート状物を成形することができる。
図1は、本発明の金型加熱装置の内部構成を説明するために供する筐体内部の斜視図である。 図2(a)~(b)は、本発明の金型加熱装置における主構成を説明するために供する図である。 図3は、本発明の抵抗加熱ヒータの一例を説明するために供する図である。 図4(a)~(c)は、本発明における加熱部の構成例を説明するために供する図である。 図5(a)~(d)は、本発明における加熱部の変形例を説明するために供する図である。 図6は、本発明の筐体内における空気の流れを説明するために供する図である。 図7は、本発明と、従来技術との、中央吹出口における温度変化を説明するために供する図である。 図8は、本発明の別の態様であるパウダースラッシュ成形機を説明するために供する図である。 図9(a)~(b)は、従来のパウダースラッシュ成形機における金型加熱装置を説明するために供する図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
又、説明に用いる各図は、これらの発明を理解できる程度に概略的に示したものであり、説明中で述べる使用装置、形状、寸法、材質等は、この発明の範囲内の好適例にすぎない。従って、本発明は、以下の実施形態のみに、特に理由なく限定されるものではない。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1及び図2(a)~(b)に例示するように、金型13を加熱するための金型加熱装置10であって、筐体11内で金型13を所定位置に保持するための金型載置部12と、吸気口14bから筐体11の内部の空気を取り込み、送風ダクト14aを介して空気を送る送風部14と、送風ダクト14aと連通しており、送風部14によって送られた空気を加熱するための加熱部16と、を備えており、加熱部16は、金型載置部12に向かって流路断面積を拡大させる傾斜面16a、加熱した空気を金型13の下面に向かって吹き付ける中央吹出口16c、加熱した空気を金型13の側面に向かって吹き付ける側方吹出口16dを有しており、傾斜面16aと、中央吹出口16cとの間に、上下に開口部を有する枠体15a(図3参照。)、及び当該枠体15aに周囲を囲われた電気発熱体15b(図3参照。)を有する一つ又は複数の長尺状の抵抗加熱ヒータ16bを配置してあることを特徴とする金型加熱装置10である。
以下、本発明の金型加熱装置の実施形態につき、適宜図面を参照しながら具体的に説明する。
1.金型
金型は、所望のシート状物の形状の凹部を有する構成であり、加熱した状態で凹部に樹脂パウダを投入することで、成形面に対して、樹脂パウダを溶融付着させ、成形物としてのシート状物を得るための部位である。
金型の材質は、加熱した際に熱変形しない耐熱性及び樹脂成形を行うことのできる強度を有していれば特に限定されないものの、通常、鉄、鋼、鋳鉄等であることが好ましい。
2.筐体
筐体は、金型を内部に載置し、加熱した空気を内部で閉じ込めることで、金型を加熱するための部位である。
すなわち、図2(a)に示すように、筐体11は、周囲を覆う壁面を有し、内部に金型載置部12と、加熱部16と、送風部14とを備えている。
具体的には、筐体の材料としては、特に限定されないものの、鉄やステンレス等から構成されていることが好ましい。
この理由は、かかる材料であれば、重量のある金型を載置した場合であっても安定して支持することができるためである。
又、かかる材料であれば、内部に高温の空気を導入しても、熱変形等を効果的に防ぐことができるためである。
3.金型載置部
金型載置部は、金型を、成形面としての凹部を重力方向(以降、重力方向を単に下方と称する場合がある。)に向けた筐体内部の所定位置に保持するための部位である。
具体的には、図2(a)~(b)に示すように、正面から眺めた場合に、金型13を、加熱部16の天板22よりも高く保持するための支持枠12aを有し、当該支持枠12a及び金型13は、支持枠12aから上方に延びる延設板12bを介して当接していることが好ましい。
この理由は、支持枠によって安定して金型を保持できるとともに、当該支持枠と、金型とを延設板を介して、間接的に当接させることにより、支持枠と、金型との接触面積が小さくなり、より迅速に加熱することができるためである。
従って、延設板の厚さを1~30mmの範囲内の値とすることが好ましく、2~20mmの範囲内の値とすることが好ましく、3~10mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、本発明における正面とは、図2(a)に示すように、側方吹出口を左右に対向させるように眺めた場合を意図する。
4.送風部
送風部は、吸気口から筐体の内部の空気を取り込み、送風ダクトを介して空気を後述の加熱部に送るための部位である。
すなわち、送風部は、筐体の内部において、空気を送風部と、加熱部と、各吹出口とで、順に循環させる構成(自己循環型と称する場合がある。)を有している。
この理由は、かかる構成とすることにより、一度加熱した空気を再利用して、筐体の内部の温度を低下させにくくすることができるためである。
そして、金型の取出し等で筐体の扉を開放した場合であっても、加熱した空気を逃がすことなく筐体内部にとどめることができ、金型を連続して、効果的に加熱することができるためである。
又、送風部は、特に限定されないものの、遠心送風機(横流送風機と称する場合がある。)、軸流送風機、斜流送風機、回転ピストン送風機等のいずれか一つを含むことが好ましい。
この理由は、このような送風機でれば、金型に吹き付けるための十分な量の空気を取り入れることができるとともに、加熱した空気に触れた場合であっても、安定して駆動を維持することができるためである。
従って、図1及び図2(a)~(b)に示すように、送風部14は、送風モータ14dと連動するフィン(図示せず。)を回転させることで送風する遠心送風機であり、送風ダクト14aを介して、加熱部に空気を送る構成であることが特に好ましい。
又、送風ダクトは、図1及び図2(b)に示すように、送風部14から加熱部16までの経路をU字に接続してあることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、送風部と加熱部とを並べて配置し易くなり、金型加熱装置をより小型化することができるためである。
5.加熱部
(1)基本構成
加熱部は、金型周囲に吹き付けるための空気を加熱するための部位である。
すなわち、送風ダクトと連通しており、送風部から送られた空気(循環空気と称する場合がある。)を加熱し、当該加熱された循環空気を中央吹出口と、側方吹出口に導くため部位である。
従って、基本構成として、図2(a)に示すように、傾斜面16aと、抵抗加熱ヒータ16bと、中央吹出口16cと、側方吹出口16dとを有している。
具体的には、加熱部は、鉄、ステンレス、アルミ等から構成されていることが好ましい。
(2)抵抗加熱ヒータ
抵抗加熱ヒータは、電源等を用いて、一定以上の抵抗を有し、かつ導電性物体である電気発熱体に、電流を流すことで発生するジュール熱を周囲に伝熱させて加熱する器具である。
すなわち、図3に示すように、電気発熱体15bと、当該電気発熱体の両端部に電極(15g、15h)を有しており、長尺状とすることを特徴としている。
具体的には、電気発熱体として、ニッケルクロム合金(ニクロム)、鉄クロム合金、二珪化モリブデン等を含むことが好ましい。
この理由は、このような材料であれば、流した電流を、高効率で熱に変換することができ、より迅速かつ効率的に金型を加熱することができるためである。
又、抵抗加熱ヒータは、図3に示すように、両端部の電極(15g、15h)が、枠体の同一側面に配置されるように、電気発熱体15bを枠体の幅方向に沿って、折り返した構成とすることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、電気発熱体における電源等の配線を簡易なものとすることができ、ひいては、金型加熱装置全体を小型化することができるためである。
又、抵抗加熱ヒータは、図3に示すように、上下方向に開口部を有し、後述の電気発熱体15bの周囲を囲う枠体15aを有していることを特徴としている。
具体的には、枠体として、電気発熱体の周囲を囲う金属板を有していることが好ましい。
この理由は、このような構成とすることにより、電気発熱体の熱によって、金属板を加熱して、熱媒体として周囲の空気との接触面を増加させることができ、より効率的に空気を加熱することができるためである。
又、上下方向に開口部を有していることから、送風部から導入された空気を過度に分散させることなく整流でき、加熱された空気を、より効率的に金型に吹き付けることができるためである。
従って、特に限定されないものの、図3に示すように、重力方向に沿った枠体の高さHを30~300mmの範囲内の値とすることが好ましく、50~250mmの範囲内の値とすることがより好ましく、100~200mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、特に限定されないものの、図3に示すように、枠体の長さLaを50~250mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような長さであれば、電気発熱体を、枠体に接触させずに配置することが容易であるとともに、枠体内で空気を拡散させずに、より効率的に空気を案内することができるためである。
従って、枠体の長さLaを80~230mmの範囲内の値とすることがより好ましく、100~200mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、特に限定されないものの、図3に示すように、枠体の幅Waを500~3000mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような幅であれば、加熱部に挿入した場合に、片持ちの状態で、歪ませることなく姿勢を維持することができるとともに、金型加熱装置の側面から挿入した場合であっても、容易に中心部に電気発熱体を配置することができるためである。
従って、枠体の幅Waを800~2500mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1000~2000mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、抵抗加熱ヒータの形状は、上方から眺めた場合に、外縁部が、長方形、楕円形、長穴形、多角形(例えば、3~8角形)等の形状を有していることが好ましい。
この理由は、かかる形状とすることにより、加熱部に配置した際に、隙間を少なくすることができ、より効率的に金型を加熱することができるためである。
又、抵抗加熱ヒータの電力は、金型の大きさやサイクル時間等によって変わるものの、通常、一つの抵抗加熱ヒータあたり、5~20kWの範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかるヒータ出力とすることで、金型を過不足なく、より効率的に加熱することができるとともに、金型の温度状態に合わせて、より精密に出力を制御することができるためである。
従って、抵抗加熱ヒータの電力は、8~18kWの範囲内の値であることがより好ましく、10~15kWの範囲内の値であることが更に好ましい。
又、抵抗加熱ヒータは、図3に示すように、枠体15aを介して筐体(図示せず。)の側方に固定してあり、枠体15aを筐体に固定した場合に、加熱部(図示せず。)の内部に挿入される加熱領域15xと、当該加熱領域15x及び筐体の間に位置する非加熱領域15yを有することが好ましい。
具体的には、枠体の幅方向に沿って、電気発熱体を配置してあり、当該電気発熱体に電流を流すための電極を、非加熱領域を介して、筐体側に引き出すように配置してあることが好ましい。
この理由は、加熱部の内部の空気を効率的に加熱できるとともに、金型に吹き付けた後の加熱された空気を、非加熱領域を通して送風部に戻すことで、筐体の内部で空気を循環させることができ、筐体内の温度の過度な低下を防ぐことができるためである。
更には、図3に示すように、非加熱領域における電極を金属筒15eで囲ってあることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、非加熱領域を空気が通ることに伴って、電極が歪み、枠体との間でショート等をすることをより効果的に防ぐことができるためである。
又、抵抗加熱ヒータは、図3に示すように、枠体15aの幅方向の一端に固定板15fを設け、当該固定板15fと、筐体(図示せず。)と、を固定穴15f´を通して、ネジやボルト等で共締めして固定してあることが好ましい。
この理由は、抵抗加熱ヒータと、筐体とをより容易かつ強固に固定することができるためである。
又、抵抗加熱ヒータは、図3に示すように、加熱領域15xと、非加熱領域15yとを有している場合に、各領域を分割する隔壁15dを有することが好ましい。
この理由は、加熱領域で加熱された空気が、金型に向かわずに、直接非加熱領域に流れてしまうことを効果的に防ぐことができるためである。
従って、隔壁に対して、セラミックを介して電極が固定されていることが好ましい。
又、抵抗加熱ヒータは、図3に示すように、セラミック棒を芯材15cとしており、当該芯材15cに対して、電気発熱体15bをコイル状に巻き付けた巻き線状であることが好ましい。
この理由は、このような構成とすることにより、電気発熱体をたわませることなく加熱部内部に挿入でき、効果的に電気発熱体によって空気を暖めることができるためである。
更に、このような構成とすることにより、送付部からの風を受けた場合であっても、揺れて加熱部壁面や他の抵抗加熱ヒータ等に接触して、ショート等を起こすリスクを低減することができるためである。
又、抵抗加熱ヒータは、複数設けてあることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、空気を、より迅速に加熱することができるためである。
従って、抵抗加熱ヒータは、2~50個の範囲内で設けられていることが好ましく、4~45個の範囲内で設けられていることがより好ましく、8~40個の範囲内で設けられていることが更に好ましい。
又、抵抗加熱ヒータは、図2(a)に示すように、正面から眺めた場合に、左右の両方の側面(以降、単に側面と称する場合がある。)から、水平面に沿って、対向させて挿入して配置してあることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、中央吹出口を通して、抵抗加熱ヒータの熱が直接金型に伝わって、金型の一部が過度に加熱されてしまうことを効果的に防ぐとともに、加熱部を通る空気を広範囲で加熱することができるためである。
更に、抵抗加熱ヒータを左右で対向させて配置した場合に、当該左右の抵抗加熱ヒータの対向させる間隔を20~520mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような間隔とすることにより、中央吹出口へ向かう空気の流れを阻害しにくく、より安定した風量で吹き付けることができるためである。
従って、抵抗加熱ヒータを左右で対向させて配置した場合に、当該左右の抵抗加熱ヒータの間隔を40~440mmの範囲内の値とすることがより好ましく、60~360mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、抵抗加熱ヒータが、複数設けてある場合に、中央吹出口の長さ方向に沿って、抵抗加熱ヒータの配置間隔を5~200mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような配置間隔とすることにより、抵抗加熱ヒータの枠体の外側を通過する空気を減らして、加熱部内の空気をより効率的に加熱することができるためである。
従って、抵抗加熱ヒータの配置間隔を10~150mmの範囲内の値とすることがより好ましく、15~100mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、抵抗加熱ヒータが、複数設けてある場合に、各抵抗加熱ヒータの出力を同時かつ同一条件で制御することも好ましいが、各抵抗加熱ヒータの出力を個別かつ別条件で制御することが更に好ましい。
この理由は、各抵抗加熱ヒータの出力を同時かつ同一条件で制御することにより、より簡易な制御装置で出力を調整できるためである。
一方、各抵抗加熱ヒータの出力を個別かつ別条件で制御することにより、金型の形状等に応じて、場所毎に出力を変えることができ、より均一に金型を加熱することができるためである。
(3)傾斜面
加熱部は、図2(a)に示すように、金型載置部12に向かって流路断面積を拡大させる傾斜面16aを有していることを特徴としている。
具体的には、金型載置部に向かう流路の少なくとも一面が傾斜面(湾曲面を含む。)となっていればよいが、例えば、円錐台状、角錐台状、おにぎり状(台形柱状)等とすることが好ましい。
この理由は、このような形状であれば、送風部から導かれた空気を、効果的に金型の左右全体にまで広げることができ、より均一に金型を加熱することができるためである。
従って、角錐台状とした場合には、3~8角形とすることがより好ましく、4~6角形とすることが更に好ましい。
又、加熱部は、送風ダクトと連通する円形の連通口を有しており、加熱部の形状を、連通口を有する面から四方に向かって傾斜する四角錐台形としてあることが特に好ましい。
この理由は、このような形状であれば、送風部から送られた空気を加熱部の内部で効果的に対流させることができ、空気をより効果的に加熱することができるためである。
そして、空気の温度を均一にすることができ、金型をより効率的かつ均一に加熱することができるためである。
又、図4(a)に示すように、傾斜面の角度θを、重力方向とは反対の方向に対して、30~80°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような角度であれば、加熱部内部での乱流が発生しづらく、より効率的に金型全体を加熱することができるためである。
従って、傾斜面の角度を、重力方向とは反対の方向に対して、40~75°の範囲内の値とすることがより好ましく、50~70°の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(4)中央吹出口
中央吹出口は、加熱部から送られる加熱された空気を、金型載置部に置かれた金型の下方から吹き出すための構成である。
具体的には、中央吹出口は、図2(a)~(b)に示すように、加熱部16の天板22に空けられた貫通穴であることが好ましい。
この理由は、天板に対して穴を空けるだけで中央吹出口としての開口部を形成でき、ひいては、加熱部全体をより簡易な構成とすることができるためである。
従って、中央吹出口の形状は、長方形、楕円、長穴、ノコギリ刃、波型等の形状を有する開口部とすることが好ましい。
この理由は、このような形状とすることにより、中央吹出口からの流量や流速を効果的に制御できるためである。
又、中央吹出口の態様としては、完全に開口していることも好ましいが、金型載置部等から加熱部への物の落下を防止する観点から、開口部を網やパンチング板で覆ってあることも好ましい。
又、特に限定されないものの、図4(b)に示すように、中央吹出口の長さL1を500~3000mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような長さであれば、金型全体の温度を均一にしたまま、より効率的に金型を加熱することができるためである。
従って、中央吹出口の長さL1を800~2500mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1000~2000mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、図4(b)~(c)は、加熱部の内部から上方を見た場合の図である。
又、特に限定されないものの、図4(b)に示すように、中央吹出口の幅W1を10~500mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような幅とすることにより、加熱部における加熱された空気を過度に逃がすことなく、金型に対してより効率的に吹き出すことができるためである。
従って、中央吹出口の幅W1を20~400mmの範囲内の値とすることがより好ましく、30~300mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、図4(a)~(c)に示すように、中央吹出口16cの周囲に、遮熱部材23を設けてあることが好ましい。
具体的には、中央吹出口から、左右の側方ダクトまでの領域に、遮熱部材としてアルミ板を設けてあることが好ましい。
この理由は、周囲に遮熱部材を貼り付けることで、抵抗加熱ヒータからの熱を効果的に反射させて、熱が加熱部の天板を伝わって、金型に対して、熱が不均一に伝わることをより効果的に防ぐことができるためである。
更に、図4(c)に示すように、長さ方向に沿って、所定間隔をあけて遮熱部材23´を設けてあることが好ましい。
この理由は、加熱部で熱が集中しやすい中央部に遮熱部材を設けないことで、温度が分散して、より均一に空気を加熱することができるためである。
従って、遮熱部材の間隔L2を200~2000mmの範囲内の値とすることが好ましく、300~1500mmの範囲内の値とすることがより好ましく、400~1000mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
(5)側方吹出口
側方吹出口は、加熱部から送られる加熱された空気を、金型載置に置かれた金型の左右の側方から吹き出すための部位である。
具体的には、加熱部の天板の側方に沿って配置された、上方に延びる複数の側方ダクトの先端部に設けられた貫通穴であり、左右の吹出口が対向するように空けられた開口部である。
又、側方吹出口は、それぞれ左右に、一つ以上設けてあることが好ましい。
この理由は、このような構成とすることにより、金型の側面をより均一に加熱することができるためである。
従って、側方吹出口は、それぞれ左右に、3つ以上設けてあることがより好ましく、6つ以上設けてあることが更に好ましい。
なお、一つの側方ダクトに対して、複数の側方吹出口を有していることも好ましいが、一つの側方ダクトに対して、一つの側方吹出口を有していることが特に好ましい。
(6)ルーバ
ルーバは、加熱部から送られる加熱された空気の吹出方向を制御するための部位である。
すなわち、所定間隔で平行に配置された二枚の金属平板であり、一方の端部を回転軸として、それぞれの金属平板を揺動する構成である。
具体的には、図2(a)に示すように、ルーバ24は、中央吹出口16cの出口側に設けられた中央ルーバ24aと、側方吹出口16dの出口側に設けられた側方ルーバ24bとを有することが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、金型全体に加熱された空気を吹き付けることができ、より均一に金型を加熱することができるためである。
このとき、ルーバは、それぞれの吹出口から10~200mmの範囲内に設けてあることが好ましい。
又、ルーバの長さは、使用される金型よりも長いものであれば特に限定されないものの、中央吹出口の長さL1(図4(b)参照。)に対して、10mm以上長くしてあることが好ましい。
この理由は、かかる長さとすることにより、吹出口から吹き出した空気を逃がすことなく、より効率的に、吹出方向を制御することができるためである。
従って、中央吹出口の長さL1に対して、100mm以上長くしてあることがより好ましく、200mm以上長くしてあることが更に好ましい。
ここで、ルーバは、長さ方向に連続したものでなくてもよく、図1に示すように、並行に配置された二枚の金属平板を10~300mm程度の間隔を空けて、複数配置してあることも好ましい。
このとき、ルーバの長さとは、複数並んだルーバのうち、最も外側に位置するルーバの端部間距離として表すことができる。
又、ルーバにおける、二枚の金属平板の配置間隔は、中央吹出口の幅W1(図4(b)参照。)よりも狭ければ特に限定されないものの、8~450mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる間隔とすることにより、吹出口から吹き出した空気の吹出方向を、金属平板に沿って、より効率的に制御することができるためである。
従って、ルーバにおける、二枚の金属平板の配置間隔を15~300mmの範囲内の値とすることがより好ましく、25~150mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
(7)変形例
又、加熱部は、図5(a)~(d)に示すように、抵抗加熱ヒータ16bの配置を変更することも好ましい。
具体的には、図5(a)に示すように、抵抗加熱ヒータ16bを一方の側面から挿入した構成の加熱部17´とすることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、左右の電力の出力のバラツキを効果的に防いで、より均一に金型を加熱することができるためである。
又、図5(b)に示すように、抵抗加熱ヒータ16bを、左右の側面から、傾斜面16a(図2参照。)の角度に沿って、斜めに挿入した構成の加熱部17´´とすることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、傾斜面が熱の反射材となって、より迅速に空気を加熱することができるためである。
又、図5(c)に示すように、金型加熱装置10(図2参照。)を一方の側面側から見た場合に、抵抗加熱ヒータ16bを千鳥状に配置した構成の加熱部17´´´とすることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、加熱部の上下で温度差が拡大して、加熱部の内部で意図しない対流が発生してしまうことをより効果的に防ぐことができるためである。
又、図5(d)に示すように、金型加熱装置10(図2参照。)を一方の側面側から見た場合に、抵抗加熱ヒータ16bを複数上下に重ねて配置した構成の加熱部17´´´´とすることが好ましい。
すなわち、抵抗加熱ヒータを2列以上であって、6列以下で重ねて配置した構成とすることが好ましく、5列以下で重ねて配置した構成とすることがより好ましく、4列以下で重ねて配置した構成とすることが更に好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、より迅速に空気を加熱することができるためである。
6.その他の構成
(1)スライドシャッタ
本発明の金型加熱装置は、図2(a)~(b)に示すように、正面から眺めた場合に、左右にスライドして開閉するスライドシャッタ26を設けてあることが好ましい。
具体的には、スライドシャッタは、図2(a)に示すように、モータ(図示せず。)に、チェーン28a、及びギア28bを介して繋ぎ、モータの回転によって、左右にスライドする構成とすることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、金型の出入りを迅速に行うことができ、スライドシャッタの開放に伴う熱の放出をより効果的に抑えることができるためである。
従って、スライドシャッタが閉じている場合に、スライドシャッタを介して、熱が外部に逃げてしまうことを防止するために、スライドシャッタの下面に遮熱部材として、アルミ板が設けられていることが好ましい。
(2)加熱時の空気の流れ
本発明の金型加熱装置内における加熱時の空気の流れは、特に限定されないものの、基本的に、送風部から加熱部を通り、金型に吹き付けた後の加熱した空気を、再度送風部に戻して、再利用する構成であることが好ましい。
具体的には、図6に示すように、送風部14から、抵抗加熱ヒータ16bを介して、各吹出口(16c、16d)に向かう流路R1と、中央吹出口から吹き出してルーバによって、金型下方に案内される流路R2と、側方ダクト20内を通り、側方吹出口から吹き出してルーバによって金型側方に案内される流路R3と、金型に吹き付けられた後、吸気口14bに戻る流路R4とを有する構成であることが好ましい。
この理由は、かかる構成とすることにより、一度金型に吹き付けられた加熱空気を循環させることができ、抵抗加熱ヒータの出力を過度に上げることなく、より高い温度の空気を金型に吹き付けることができるためである。
(3)加熱時の温度
本発明の金型加熱装置内の温度は、測定するタイミングや測定位置によって異なるものの、中央吹出口における最高温度を300~500℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような温度とすることにより、金型に吹き付けた樹脂パウダをより安定して溶融させることができるとともに、過度な加熱を防止して、溶融した樹脂パウダの形状が溶けて変形することをより効果的に防ぐことができるためである。
従って、中央吹出口における最高温度を330~480℃の範囲内の値とすることがより好ましく、350~450℃の範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、中央吹出口の長さL1(図4(b)参照。)を1800mm、幅を30mmとし、中央吹出口における時間毎の温度変化を測定した。
このとき、抵抗加熱ヒータ(12kW×20本)で加熱した場合を曲線A、従来技術のガス燃焼ヒータで加熱した場合を曲線Bとし、いずれも初期温度を200℃、目標温度を420℃として、温度を測定した。
かかる測定結果によれば、ガス燃焼ヒータで加熱した場合は、比較的短時間で温度が上昇するものの、目標温度である420℃を超えて、最終的に目標温度である420℃で安定したのは、加熱開始から30分を経過したときであった。
一方、本発明の抵抗加熱ヒータで加熱した場合は、比較的温度上昇が緩やかであるものの、加熱開始から18分経過後には、目標温度である420℃で安定していた。
従って、抵抗加熱ヒータを用いることによって、より精密な温度制御が可能であって、より効率的に金型を加熱できることが理解できる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、図8に例示するように、金型を加熱するための金型加熱装置10と、成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した金型の内表面に、シート状物を成形するパウダースラッシュ装置51と、金型13及び成形した前記シート状物を冷却する金型冷却装置53と、冷却したシート状物を、金型から脱型する金型加工装置57と、金型を、各部の間で、所定搬送方向に沿って移動させる搬送装置52と、を備えたパウダースラッシュ成形機50であって、金型加熱装置10は、筐体内で金型を所定位置に保持するための金型載置部と、吸気口から筐体の内部の空気を取り込み、送風ダクトを介して空気を送る送風部と、送風ダクトと連通しており、送風部によって送られた空気を加熱するための加熱部と、を備えており、加熱部は、金型載置部に向かって流路断面積を拡大させる傾斜面、加熱した空気を金型の下面に向かって吹き付ける中央吹出口、加熱した空気を金型の側面に向かって吹き付ける側方吹出口を有しており、傾斜面と、中央吹出口との間に、上下に開口部を有する枠体、及び当該枠体に周囲を囲われた電気発熱体を有する一つ又は複数の長尺状の抵抗加熱ヒータを配置してあることを特徴とするパウダースラッシュ成形機50である。
以下、本発明のパウダースラッシュ成形機の実施形態につき、適宜図面を参照しながら具体的に説明する。
1.シート状物
成形樹脂を、加熱した金型の内面に付着させ、溶融後に冷却固化した樹脂成形物である。
すなわち、シート状物の原料となる樹脂(以降、成形樹脂と称する場合がある。)としては、特に制限されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂(熱可塑性ウレタン樹脂も含む。)、ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂も含む。)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂(熱可塑性オレフィン樹脂も含む。)、シリコーン樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
特に、塩化ビニル樹脂や熱可塑性ウレタン樹脂であれば、下地層を形成する第2の樹脂との親和性が良好であって、強固な接着性が得られ、更には、低温脆性に優れていることから、好適な樹脂である。
又、シート状物の厚さは、特に限定されないものの、通常、0.5~2mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような厚さとすることにより、金型加熱装置によって加熱した熱が伝わり易く、効率的にシート状物を成形できるとともに、成形したシート状物の機械的強度を維持できるためである。
従って、シート状物の厚さは、0.8~1.8mmの範囲内であることがより好ましく、1~1.5mmの範囲内の値であることが更に好ましい。
ここで、成形樹脂の融点としては、金型加熱装置で加熱する温度よりも低い融点であれば特に限定されないものの、150~400℃の範囲内であることが好ましい。
この理由は、このような融点とすることにより、加熱部で加熱された金型に対して吹き付けられた際に、容易に溶融して、均一な厚さのシート状物を形成することができるためである。
従って、成形樹脂の融点としては、180~350℃の範囲内であることがより好ましく、200~300℃の範囲内であることが更に好ましい。
2.金型加熱装置
金型を、成形樹脂である樹脂パウダが溶融する温度に加熱するための装置である。
なお、金型加熱装置については、基本的に、第1の実施形態の金型加熱装置と同様の構成とすることが好ましいため、重複する部分の再度の説明は省略する。
3.パウダースラッシュ装置
パウダースラッシュ装置は、加熱した金型の成形面に対して、樹脂パウダを溶融付着させるための装置である。
具体的には、かかるパウダースラッシュ装置は、特に限定されるものではないものの、樹脂パウダが内部に投入されており、その開口部に対して、金型の成形面を対向させて配置されるリザーバタンクを含む構成であることが好ましい。
又、リザーバタンクは、上下に回転可能に構成されており、金型が一体的に連結された状態で、金型が下方に、リザーバタンクが上方に位置するように回転され、リザーバタンク内の樹脂パウダが落下して、金型の成形面に付着する構成となっている。
更に、リザーバタンク内の樹脂パウダの分散性を向上させ、均一な厚さの樹脂膜(シート状物)を形成するために、リザーバタンクの下方に、キャンバス等のメッシュ部材等によって仕切られた空間が設けられていることが好ましい。
この理由は、かかる空間に空気を導入して、樹脂パウダを流動状態にできるためである。
従って、空間の上方は、穴開き部材(メッシュ部材)から構成してあり、導入された空気によって、樹脂パウダを巻き上げる構造であることがより好ましい。
又、フレーム部材を含む金型を反転させる際に、かかる金型における所望の成形面のみに、樹脂膜を形成できるように、金型と、リザーバタンクとの間に、所定の厚さ(高さ)を有する方枠を設けることが好ましい。
従って、例えば、かかる方枠の下部をアルミニウムから構成し、方枠の上部をシリコーンゴム/フッ素樹脂フィルムの組合せから構成することにより、金型と、リザーバタンクとの間の隙間を充填することが好ましい。
4.金型冷却装置
金型冷却装置は、フレーム部材を含む金型を冷却して、樹脂膜を硬化させるための装置である。
すなわち、樹脂が溶融する温度未満に冷却できる構成であれば限定されないものの、金型に対して空気を吹き付ける空冷装置、又は金型に対して水を掛ける水冷装置を有していることが好ましい。
5.搬送装置
搬送装置は、特に限定されるものではないが、少なくとも金型を把持する把持部と、金型を把持したまま伸縮可能なアーム部と、放射状に回転駆動する回転動作部とを、それぞれ備えたロボット型搬送装置(チェーンブロック等を含む)であることが好ましい。
この理由は、かかる搬送装置であれば、放射状に回転駆動して、少なくとも金型を電気発熱体で加熱する金型加熱装置と、パウダースラッシュ装置と、金型冷却装置との間で、金型を把持しながら効率的に移動できるためである。
又、アーム部が金型を把持しながら伸縮して、かかる金型を所定場所に載置可能であるためである。
6.その他の装置
(1)予備加熱装置
本発明のパウダースラッシュ成形機は、先述の金型加熱装置とは異なる装置であって、金型加熱装置に搬送する前の金型を、パウダースラッシュ装置で必要な温度よりも低い温度に加熱しておくための予備加熱装置を有することが好ましい。
具体的には、予備加熱装置は、遠赤外線ヒータ、近赤外ヒータ、抵抗加熱ヒータ等の種々の予備加熱用電気ヒータ、及び送風ファン等が備えられていることが好ましい。
この理由は、金型の温度を、予め一定程度、加熱しておくことで、加熱装置での処理時間を短縮でき、ひいてはパウダースラッシュ成形機のサイクルタイムをより短縮させることができるためである。
又、予備加熱装置を、搬送装置に設けることが好ましい。
すなわち、搬送装置(例えば、クレーン)によって、金型は、金型加工装置から金型加熱装置に移送されるが、その搬送中に、搬送装置には、金型の少なくとも外表面を加熱する構成することが好ましい。
より具体的には、搬送装置の予備加熱装置は、予備加熱装置と同様の構成とすることが好ましいが、小型化の観点から、搬送中の金型をドーム状に覆うように、複数の遠赤外線ヒータが備えられていることが更に好ましい。
(2)金型交換装置
又、本発明のパウダースラッシュ成形機は、図8に示すように、金型交換装置55を更に備えることが好ましい。
この理由は、かかる金型交換装置を利用して、パウダースラッシュ成形の途中で、種類の異なる二色成形されたシート状物を成形するための金型に変更したり、パウダースラッシュ成形中に、金型損傷が生じたりする場合に対応するためである。
すなわち、そのような場合であっても、パウダースラッシュ成形機を動作させたまま、金型を交換できるためである。
一方、かかる金型交換装置は、パウダースラッシュ成形している際には、冷却装置を一時的に載置する箇所(仮台)ともなる。
従って、かかる金型交換装置には、金型を載置するための支持台を備えるとともに、支持台の位置が、外部制御によって、移動可能であることが好ましい。
(3)脱型装置
又、本発明のパウダースラッシュ成形機は、パウダースラッシュ成形したシート状物を、金型から取り出す脱型作業を行うための装置として、脱型装置を更に有することが好ましい。
具体的には、搬送装置によって運ばれてきた、シート状物が形成された金型を把持して、任意に移動することができる構成であることが好ましい。
この理由は、脱型作業を迅速に行うことができるとともに、脱型後に、金型を洗浄したり、シート状物を剥がした金型をそのまま次の成形に使用したりすることができるためである。
以上の説明のとおり、本発明の金型加熱装置及びパウダースラッシュ成形機によれば、所定の加熱部を備えることで、燃焼ヒータを用いることなく、金型を効率的かつ均一に加熱することができる。
従って、筐体内の温度を精度良く制御して、金型の過加熱や加熱不足等を無くすことができ、よりエネルギー効率の良い金型加熱装置とすることが期待できる。
又、金型温度を測定するセンサ等を備えることで、金型温度の状態に応じて、抵抗加熱ヒータの出力を調整することによって、金型を、より均一に加熱することができる金型加熱装置とすることが期待できる。
更に、このような金型加熱装置を、パウダースラッシュ成形機に用いることで、吹出口にルーバを備えることで、より厚みが均等化されたシート状物を得ることが期待できる。
10:金型加熱装置
11:金型
12:金型載置部
14:送風部
15a:枠体
15b:電気発熱体
15c:セラミック棒
15d:隔壁
15x:加熱領域
15y:非加熱領域
16:加熱部
16a:傾斜面
16b:抵抗加熱ヒータ
16c:中央吹出口
16d:側方吹出口
20:側方ダクト
22:天板
24:ルーバ
26:スライドシャッタ
50:パウダースラッシュ成形機
51:パウダースラッシュ装置
52:搬送装置
53:金型冷却装置
55:金型交換装置
57:金型加工装置

Claims (8)

  1. 金型を加熱するための金型加熱装置であって、
    筐体内で前記金型を所定位置に保持するための金型載置部と、
    吸気口から前記筐体の内部の空気を取り込み、送風ダクトを介して空気を送る送風部と、
    前記送風ダクトと連通しており、前記送風部によって送られた空気を加熱するための加熱部と、を備えており、
    前記加熱部は、前記金型載置部に向かって流路断面積を拡大させる傾斜面、前記加熱した空気を前記金型の下面に向かって吹き付ける中央吹出口、前記加熱した空気を前記金型の側面に向かって吹き付ける側方吹出口を有しており、
    前記傾斜面と、前記中央吹出口との間に、上下に開口部を有する枠体、及び当該枠体に周囲を囲われた電気発熱体を有する一つ又は複数の長尺状の抵抗加熱ヒータを配置してあることを特徴とする金型加熱装置。
  2. 前記加熱部は、前記送風ダクトと連通する円形の連通口を有しており、前記加熱部の形状を、前記連通口を有する面から四方に向かって傾斜する四角錐台形としてあることを特徴とする請求項1に記載の金型加熱装置。
  3. 前記抵抗加熱ヒータは、前記枠体を介して前記筐体の側方に固定してあり、前記枠体を前記筐体に固定した場合に、前記加熱部の内部に挿入される加熱領域と、当該加熱領域及び前記筐体の間に位置する非加熱領域を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の金型加熱装置。
  4. 前記抵抗加熱ヒータは、前記電気発熱体を芯材としてのセラミック棒に巻き付けた巻き線状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金型加熱装置。
  5. 前記加熱部は、前記中央吹出口の周囲に、遮熱部材を設けてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の金型加熱装置。
  6. 前記加熱部は、前記中央吹出口及び前記側方吹出口に、前記加熱した空気の吹き付け方向を調整するルーバを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の金型加熱装置。
  7. 前記金型載置部と、前記抵抗加熱ヒータと、前記傾斜面と、を重力方向に沿って、順に配置してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の金型加熱装置。
  8. 金型を加熱するための金型加熱装置と、
    成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した前記金型の内表面に、シート状物を成形するパウダースラッシュ装置と、
    前記金型及び成形した前記シート状物を冷却する金型冷却装置と、
    冷却したシート状物を、前記金型から脱型する金型加工装置と、
    前記金型を、各部の間で、所定搬送方向に沿って移動させる搬送装置と、を備えたパウダースラッシュ成形機であって、
    前記金型加熱装置は、筐体内で前記金型を所定位置に保持するための金型載置部と、
    吸気口から前記筐体の内部の空気を取り込み、送風ダクトを介して空気を送る送風部と、
    前記送風ダクトと連通しており、前記送風部によって送られた空気を加熱するための加熱部と、を備えており、
    前記加熱部は、前記金型載置部に向かって流路断面積を拡大させる傾斜面、前記加熱した空気を前記金型の下面に向かって吹き付ける中央吹出口、前記加熱した空気を前記金型の側面に向かって吹き付ける側方吹出口を有しており、
    前記傾斜面と、前記中央吹出口との間に、上下に開口部を有する枠体、及び当該枠体に周囲を囲われた電気発熱体を有する一つ又は複数の長尺状の抵抗加熱ヒータを配置してあることを特徴とするパウダースラッシュ成形機。
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