JP2024079633A - アンチセンス核酸からなる医薬 - Google Patents

アンチセンス核酸からなる医薬 Download PDF

Info

Publication number
JP2024079633A
JP2024079633A JP2023201238A JP2023201238A JP2024079633A JP 2024079633 A JP2024079633 A JP 2024079633A JP 2023201238 A JP2023201238 A JP 2023201238A JP 2023201238 A JP2023201238 A JP 2023201238A JP 2024079633 A JP2024079633 A JP 2024079633A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oligonucleotide
pharma
acceptable salt
base sequence
bond
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023201238A
Other languages
English (en)
Inventor
智秋 満
成宏 浅野
恭介 日野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Sumitomo Pharma Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Dainippon Pharma Co Ltd
Sumitomo Pharma Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Dainippon Pharma Co Ltd, Sumitomo Pharma Co Ltd filed Critical Sumitomo Dainippon Pharma Co Ltd
Publication of JP2024079633A publication Critical patent/JP2024079633A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】ウェルナー症候群に対する新たな治療薬を提供する。【解決手段】ヒトWRN遺伝子の第26番又は第28番エクソンのスキップ変異に対して、機能的なヒトWRNタンパク質を発現するオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬である。上記オリゴヌクレオチドの塩基長は、10~30merであり、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、特定の塩基配列における、上記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、上記標的領域において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列に対して、相補的な塩基配列、又は、上記標的領域を有するオリゴヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列である。【選択図】図3

Description

本発明は、ウェルナー症候群の原因遺伝子のWRN遺伝子の第27番目のエクソンのスキッピングを可能にするアンチセンスオリゴヌクレオチド(アンチセンス核酸)からなる医薬及び該オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物に関する。
ウェルナー症候群は、早期老化をきたす希少疾患であり、若年期に、一般的な老人に見られる特徴、例えば白髪化、禿、糖尿病、心疾患、ガン、皮膚の退縮、皮膚の強皮症様変化、若年性白内障、早老、性腺機能低下などを示すことが知られている。より具体的には、20~30歳代から皮膚の萎縮・硬化、白髪や禿頭等の毛髪の変化、白内障等の老化徴候が出現する。さらに、糖尿病、動脈硬化ならびに悪性腫瘍等を高率に合併し、多くは50歳代で死に至る。また、肘、膝、踵等に好発する難治性皮膚潰瘍の悪化により四肢切断に至り、生活の質が損なわれるケースも多い(非特許文献1)。
ウェルナー症候群は常染色体劣性の遺伝性希少疾患であり、第8染色体短腕(8p12)上に存在するRecQ型DNA/RNAヘリカーゼ(WRNヘリカーゼ)をコードするWRN遺伝子が原因遺伝子として同定されている(非特許文献2,非特許文献3)。
WRNタンパク質は1432アミノ酸からなり、ATP依存性のDNA/RNAヘリカーゼ活性、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を持つ。生理機能としては、DNA複製、塩基除去修復、DNA二重鎖切断修復、転写、テロメアの維持と多様な機能を持ち、遺伝子修復と染色体の安定性の維持に働く。そのためウェルナー症候群では顕著なゲノムの不安定化が認められる。ウェルナー症候群患者由来線維芽細胞は、健常者由来の正常細胞と比べ***寿命が短く、増殖速度が顕著に低下する(非特許文献4)。線維芽細胞***能の低下は、ウェルナー症候群の皮膚潰瘍の創傷治癒の遅延の一つの要因と考えられる(非特許文献5)。
WRNタンパク質のC末端付近には核移行シグナル(NLS:Neuclear Localization Signal)が存在し、核移行を誘導することで正常な生理機能を果たす(図1)。しかしながら、スプライシング、ナンセンス、フレームシフトなどの変異に基づく中途ストップコドン(終止コドン)の出現によって核移行シグナルが欠失した不完全なWRNタンパク質が作られた場合、本来核内で機能するべきWRNヘリカーゼが核内へ移行できないため、その機能を果たすことができなくなり、ウェルナー症候群が発症する(図1及び図2)(非特許文献3)。
ウェルナー症候群の日本人患者の約7割において、ヒトWRN遺伝子の26番エクソンのスキップ変異c.3139-1G>Cによりアミノ酸の読み枠にズレが生じ(Out-of-Frame)、第27番エクソン(以下、「エクソン27」と称することがある。)にストップコドン(終止コドン)が出現する。このためにヒトWRN遺伝子の第27番エクソン以降のC末端に存在する核移行シグナルを欠失しているWRNタンパク質が作られ、本来の機能を喪失する(図2)(非特許文献3)。
国際公開第2011/052436号 国際公開第2014/046212号 国際公開第2015/125783号 国際公開第1991/009033号 国際公開第2009/064471号
Geriatr Gerontol Int(2013)13:475-481 Nature(1992)355:735-738 Am. J. Hum. Genet.(1997)60:330-341 Human Genetics(1981)58:310-316 皮膚臨床(2000)40:1512-1513 Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol.(2010)50:259-293 J.Med.Chem.(2016)59:9645-9667 J.Am.Chem.Soc(2016)138:15663-15672
ウェルナー症候群は、患者の生命と生活の質を脅かす難病であるが、現在のところウェルナー症候群に対する有効な治療法がなく、新たな治療薬の創製が切望されている。
近年、新たな治療薬として核酸医薬品が実用化されている。核酸医薬品は、核酸あるいは修飾核酸が十数から数十塩基連結したオリゴ核酸で構成され、タンパク質翻訳に関わるメッセンジャーRNA又は非翻訳RNAなどに直接作用するものや、抗体医薬のように標的タンパク質に作用するものが知られており、化学合成により製造される医薬品である。核酸医薬品の一種であるスプライシング制御型アンチセンスオリゴヌクレオチドは、スプライシング因子のmRNA前駆体(以下、「pre-mRNA」と称することがある。)への結合を阻害することで、近傍に存在するエクソンのスプライシングをスイッチし(スプライスアウト)、フレームシフトを起こした異常RNAの読み枠を正常化することができる。この結果、ある遺伝子のエクソンをスプライスアウトさせることにより、機能発現に重要なN末端とC末端を保持した当該タンパク質を発現させる。このように、スプライシング制御型アンチセンスオリゴヌクレオチドによって標的となるエクソンをスキップすることでC末端までが翻訳された機能的なタンパク質を新たに発現させることが可能となり、これによりある疾患の病態を改善する可能性がある。これは、エクソンスキップ療法と呼ばれ、この治療で発現されるタンパク質は正常のものより短くはなるが、変異により欠損していた機能を回復することができる(非特許文献6)。
上記のように、ウェルナー症候群において最も高頻度の変異として報告されているのは、ヒトWRN遺伝子の第26番エクソンのスキップ変異c.3139-1G>Cである。上記スキップ変異c.3139-1G>Cにより第27番エクソン内に終止コドンが出現し、C末端に存在する核移行シグナルを含んだ終止コドン以降のアミノ酸配列を欠失したWRNタンパク質が作られ、本来の生理機能を喪失する。この状態を改善するため、本発明者らは、スプライシング制御型アンチセンスオリゴヌクレオチドに着目し、ヒトWRN遺伝子のエクソン27のスキッピングを誘導するアンチセンスオリゴヌクレオチドの創生の検討を行った。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ヒトWRN遺伝子の第27番エクソンのスキッピングを可能にするオリゴヌクレオチドからなる医薬、及びこれを含むヒトWRN遺伝子の第27番エクソンを高効率にスキッピングさせる薬剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、ヒトWRN遺伝子のmRNA前駆体のうちエクソン27及び周辺のヌクレオチドからなる配列をアンチセンスオリゴヌクレオチドでターゲッティングすることにより、高効率にエクソン27のスキッピングを誘導できることを見出した。本発明者らは、この知見に基づき、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]本発明に係るオリゴヌクレオチドからなる医薬は、ヒトWRN遺伝子の第26番又は第28番エクソンのスキップ変異に対して、機能的なヒトWRNタンパク質を発現するオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬であって、
上記オリゴヌクレオチドは、各ヌクレオチドがリン酸基及び/又は修飾リン酸基で結合されており、
上記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾糖を有する修飾核酸、を含み、
上記オリゴヌクレオチドの塩基長は、10~30merであり、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、上記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
上記標的領域において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列に対して、相補的な塩基配列、又は、
上記標的領域を有するオリゴヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列、である、オリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬である。
上記構成を備えるオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬は、ヒトWRN遺伝子の第27番エクソンのスキッピングを可能にする。
[2]上記[1]において、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、上記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、95%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列であることが好ましい。
[3]上記[1]において、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、上記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列であることが好ましい。
[4]上記[1]~[3]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドの塩基長は、15~25merであることが好ましい。
[5]上記[1]~[4]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドを構成する糖がD-リボフラノースであり、糖の修飾がD-リボフラノースの2’位の水酸基の糖修飾であることが好ましい。
[6]上記[1]~[5]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が下記の式(A1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2024079633000002

(式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、Xはリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合又はアルキルホスホナート結合であり、Yは、それぞれ、独立して、水素原子、水酸基、フッ素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基、又は置換されていてもよいアミノ基であり、Zは、それぞれ、独立して、水素原子であるか、炭素-酸素二重結合若しくは環状構造を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基であるか、又は上記アルキル基の一部の炭素原子とYとが一緒になって環を形成する。)
[7]上記[1]~[6]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が下記の式(A2)又は式(A3)で表される基であることが好ましい。
Figure 2024079633000003

(式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、Xはリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合又はアルキルホスホナート結合であり、Rは、それぞれ、独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Y’は、酸素原子又は置換されていてもよい窒素原子であり、R及びRは、それぞれ、独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、又は、R及びRが一緒になってカルボニル基又は環を形成しており、nは、0又は1である。)
[8]上記[7]において、上記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が上記式(A2)で表される基であり、上記Rは、それぞれ、独立して、メチル基、メトキシエチル基、又はN-メチルプロパンアミド基であることが好ましい。
[9]上記[7]において、上記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が上記式(A3)で表される基であり、上記Y’は、酸素原子、又は水素原子、メチル基、メトキシエチル基、若しくはN-メチルプロパンアミド基で置換されていてもよい窒素原子であり、上記R及びRは、それぞれ、独立して、水素原子、炭素数1~2のアルキル基、又は上記R及びRが一緒になってカルボニル基又は炭素数3~6の環を形成しており、nは、0又は1であることが好ましい。
[10]上記[1]~[9]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチド間結合がホスホロチオエート結合であることが好ましい。
[11]上記[1]~[10]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチド間結合がホスホジエステル結合であることが好ましい。
[12]上記[1]~[9]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間結合がホスホジエステル結合又はホスホロチオエート結合であることが好ましい。
[13]上記[1]~[4]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
上記オリゴヌクレオチドが下記の式(A4)で表されるモルフォリノ核酸で構成され、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、上記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列を持つモルフォリノオリゴ核酸であることが好ましい。
Figure 2024079633000004

(式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、X’はリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホロジアミダート結合、ホスホロジアミドチオアート結合、又はホスホロジアミドジチオアート結合である。)
[14]上記[1]~[13]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番~40番、46番、51番、56番、若しくは62番~63番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108873番、108878番~108917番、108923番、108928番、108933番、若しくは108939番~108940番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
上記標的領域において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列に対して相補的な塩基配列、又は、
上記標的領域を有するオリゴヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列であることが好ましい。
[15]上記[1]~[14]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番~32番、34番~40番、46番、51番、若しくは62番~63番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108878番~108909番、108911番~108917番、108923番、108928番、若しくは108939番~108940番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列であることが好ましい。
[16]上記[1]~[15]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番、3番、5番~12番、14番~19番、21番、25番、29番、30番、31番、34番、46番、若しくは51番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108878番、108880番、108882番~108889番、108891番~108896番、108898番、108902番、108906番~108908番、108911番、108923番、若しくは108928番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列であることが好ましい。
[17]上記[1]~[16]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号9~14、16~26、28~39、41~42、44~50、52、55~56、69、73、80~105、107~108、110、112、114、116、118~131、133、及び135の塩基配列からなる群より選ばれる1つの塩基配列であることが好ましい。
[18]上記[1]~[17]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドは、表2-1から表2-7に示す配列名6-20-A、8-20-A、8-20-B、8-20-C、9-20-A、10-20-A、12-20-A、14-20-A、16-20-A、17-20-A、18-20-A、19-20-A、15-25-A、10-17-A、10-20-B、12-20-B、14-20-B、15-20-B、16-20-B、19-20-B、31-20-B、34-20-B、6-20-B、7-20-B、8-20-D、及び9-20-Bからなる群より選ばれる1つのオリゴヌクレオチドであることが好ましい。
[19]上記[1]~[18]のいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドであることが好ましい。
[20]本発明に係る二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドからなる医薬は、上記[19]に記載のオリゴヌクレオチドと、
上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドに対してハイブリダイズしている第二鎖オリゴヌクレオチドと、を含む二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬であって、
上記第二鎖オリゴヌクレオチドの塩基配列は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列である、二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬である。
[21]本発明に係るオリゴヌクレオチド複合体からなる医薬は、上記[1]~[19]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記[20]に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬と、
上記オリゴヌクレオチド又は上記第二鎖オリゴヌクレオチドに、直接又はリンカー結合を介して結合している付加物質と、を有する、オリゴヌクレオチド複合体又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬であって、
上記付加物質は、ポリエチレングリコール、ペプチド、アルキル鎖、リガンド化合物、抗体、タンパク質、及び糖鎖からなる群より選ばれ、
上記リンカー結合は、それぞれ、独立してホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合、アルキルホスホナート結合、ホスホロジアミダート結合、ホスホロジアミドチオアート結合、又はホスホロジアミドジチオアート結合である、オリゴヌクレオチド複合体又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬である。
[22]本発明に係る医薬品は、上記[1]~[19]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記[20]に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記[21]に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む、医薬品である。
[23]本発明に係るヒトWRN遺伝子の第27番目エクソンのスキッピング剤は、上記[1]~[19]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記[20]に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記[21]に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む、ヒトWRN遺伝子の第27番目エクソンのスキッピング剤である。
[24]本発明に係る機能的WRN回復剤は、上記[1]~[19]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記[20]に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記[21]に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む、ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンのスキッピングによる核移行シグナルを保有する機能的WRN回復剤である。
[25]本発明に係るウェルナー症候群に対する治療剤は、上記[1]~[19]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記[20]に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記[21]に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む、ウェルナー症候群に対する治療剤である。
[26]本発明に係るウェルナー症候群に対する予防剤は、上記[1]~[19]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記[20]に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記[21]に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む、ウェルナー症候群に対する予防剤である。
[27]本発明に係るウェルナー症候群の治療方法又は予防方法は、上記[1]~[19]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記[20]に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記[21]に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を個体に投与することを含む、ウェルナー症候群の治療方法又は予防方法である。
[28]本発明は、ウェルナー症候群の治療又は予防に使用するための、上記[1]~[19]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記[20]に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記[21]に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を提供する。
[29]本発明は、ウェルナー症候群の治療剤又は予防剤を製造するために使用する、上記[1]~[19]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記[20]に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記[21]に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を提供する。
本発明によれば、ヒトWRN遺伝子の第27番エクソンのスキッピングを可能にするオリゴヌクレオチドからなる医薬、及びこれを含むヒトWRN遺伝子の第27番エクソンを高効率にスキッピングさせる薬剤を提供することが可能になる。
図1は、ヒトWRN遺伝子産物の構造を示す模式図である。 図2は、26番エクソンのスキップ変異c.3139-1G>Cを持つウェルナー症候群の発症メカニズムを説明する模式図である。 図3は、本実施形態に係る一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたエクソン27のスキッピングメカニズムを説明する模式図である。 図4は、WRNエクソン27のスキップを誘導するように設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドのエクソン27での相対的位置を示す模式図である。 図5は、HEK293TにおけるWRN遺伝子のエクソン27のスキッピング効率を示す電気泳動の写真である。 図6は、26番エクソンのスキップ変異c.3139-1G>Cを持つウェルナー症候群患者線維芽細胞におけるWRN遺伝子のエクソン27のスキッピング活性を示す電気泳動の写真である。 図7は、26番エクソンのスキップ変異c.3139-1G>Cを持つウェルナー症候群患者線維芽細胞におけるWRN遺伝子のエクソン27のスキッピング活性を示す蛍光顕微鏡の観察画像である。
以下、本発明の一実施形態(以下「本実施形態」と記すことがある。)について説明する。ただし、本実施形態はこれに限定されるものではない。本願明細書において「オリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬」とは、「オリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬」と同義である。「オリゴヌクレオチド複合体又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬」とは、「オリゴヌクレオチド複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬」と同義である。同様に、「○○に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬」とは、「○○に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬」と同義である。「○○に記載のオリゴヌクレオチド複合体又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬」とは、「○○に記載のオリゴヌクレオチド複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬」と同義である。同様に、「~からなる医薬」は、「~を含有する医薬」と書き換えることもできる。
≪ヒトWRN遺伝子の第27番エクソンをスキッピングさせるオリゴヌクレオチド≫
本実施形態のオリゴヌクレオチドは、
ヒトWRN遺伝子の第26番又は第28番エクソンのスキップ変異に対して、機能的なヒトWRNタンパク質を発現するオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩であって、
上記オリゴヌクレオチドは、各ヌクレオチドがリン酸基及び/又は修飾リン酸基で結合されており、
上記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾糖を有する修飾核酸、を含み、
上記オリゴヌクレオチドの塩基長は、10~30merであり、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、上記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
上記標的領域において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列に対して、相補的な塩基配列、又は、
上記標的領域を有するオリゴヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列、である、オリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩、である。また、本実施形態は、上記オリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬を提供する。上記オリゴヌクレオチドは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドであることが好ましい。本実施形態において、用語「修飾糖を有する修飾核酸」には、後述するモルフォリノ核酸が含まれるものとする。
上記構成を備えるオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩は、ヒトWRN遺伝子の第27番エクソンのスキッピングを可能にする。本実施形態の一側面において、上記オリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩は、「ヒトWRN遺伝子の第27番エクソンをスキッピングするオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩」と把握することもできる。本発明は、ヒトWRN遺伝子の第26番エクソンのスキップ変異c.3139-1G>Cにより生じたスプライシング異常に起因する、アミノ酸読み枠のずれたmRNA前駆体に対して、第27番エクソンのスキッピングを誘導して読み枠のずれを解消することで、難治性皮膚潰瘍をはじめとするウェルナー症候群の症状を改善することができる。また、第26番エクソンのスキップ変異c.3139-1G>C以外として、例えば、第26番エクソンのスキップ変異c.3233+1G>T、第26番エクソンのスキップ変異c.3233+1G>C、及び第28番エクソンのスキップ変異c.IVS28+2T>Cを持つウェルナー症候群患者の治療にも応用可能である。以下詳細に説明する。なお、本実施形態に係るオリゴヌクレオチドを便宜上「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、「一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド」等で表現している場合があるが、これらに限定することを意図するものではない。
<用語の定義等>
まず、本明細書において用いられる用語の定義等について以下に説明する。
(WRN遺伝子)
本実施形態において「WRN遺伝子」は、Nature(1992)355:735-738(非特許文献2)、Am. J. Hum. Genet.(1997)60:330-341(非特許文献3)により定義することができる。
(一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド)
本実施形態において「一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド」又は「アンチセンスオリゴヌクレオチド」(以下、「ASO」と称することがある。)とは、標的遺伝子のmRNA、mRNA前駆体、又はncRNA(ノンコ-ディングRNA)(以下、これら三者をまとめて「標的RNA」と称することがある。)に対して相補的なオリゴヌクレオチド又はその薬理学上許容される塩を意味する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNA、RNA及び/又はそれらの類似体から構成される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的とするmRNA、mRNA前駆体、又はncRNAと二本鎖を形成することにより、標的とするmRNA、mRNA前駆体又はncRNAの働きを抑制する。アンチセンスオリゴヌクレオチドには、標的となるmRNA、mRNA前駆体、又はncRNAの塩基配列に対して、完全に相補的な塩基配列を有するもの、当該相補的な塩基配列において1個又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を有するもの、及びゆらぎ塩基対を形成する塩基をその塩基配列中に含むものが含まれる。
また、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、後述する「糖部が修飾糖である修飾核酸」(糖修飾されている修飾ヌクレオチド)以外の、当該分野で公知の修飾ヌクレオチドを更に含んでいてもよい。当該分野で公知の修飾ヌクレオチドとしては、糖修飾されている修飾ヌクレオチドに加えて、例えば、後述するリン酸基修飾されている修飾ヌクレオチド、核酸塩基修飾されている修飾ヌクレオチド等が挙げられる。
なお、本実施形態におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、その両末端の構造は特に制限されず、例えば、-OHであってもよいし、-OR(ただし、Rはアルキル鎖、リン酸エステル体、又は後述する付加物質を示す。)であってもよい。
また、本実施形態における一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一本鎖の形態であってもよいし、後述する第二鎖オリゴヌクレオチドとハイブリダイズして二本鎖の形態をとってもよい。上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドと、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドに対してハイブリダイズしている第二鎖オリゴヌクレオチドとからなる二本鎖オリゴヌクレオチドを、「二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド」と称することがある。
(オリゴヌクレオチド)
本実施形態において「オリゴヌクレオチド」とは、同一又は異なるヌクレオチドが、リン酸ジエステル結合又はその他の結合で2~30個連結されたヌクレオチドのポリマーを意味する。上記オリゴヌクレオチドは、以下の構造式で示すように核酸塩基部、リン酸部、及び、糖部又はモルフォリノ環部から構成されていると把握することもできる。
Figure 2024079633000005
Figure 2024079633000006
上記オリゴヌクレオチドは、天然型のオリゴヌクレオチドと非天然型のオリゴヌクレオチドとに大別される。「天然のオリゴヌクレオチド」とは天然に存在しているヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドを意味する。「非天然のオリゴヌクレオチド」とは、後述する修飾ヌクレオチドを構成単位として少なくとも1つ含むオリゴヌクレオチドを意味する。「非天然型のオリゴヌクレオチド」としては、好ましくは、糖部が修飾された修飾糖誘導体;リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が硫黄原子で1つ置き換えられたホスホロチオエート誘導体;リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が硫黄原子で2つ置き換えられたホスホロジチオエート誘導体;リン酸ジエステル結合がトリエステル化されたエステル誘導体;リン酸ジエステル結合がアミド化されたホスホアミド誘導体;リン酸ジエステル結合がボロン酸エステル化されたボラノホスフェート誘導体;リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子がアルキル基に置換されたアルキルホスホネート(例えば、メチルホスホネート、メトキシプロピルホスホネート等)誘導体;リン酸ジエステル結合がアミド結合に置換されたアミド誘導体:核酸塩基が修飾された修飾塩基誘導体が挙げられる。更に好ましくは、上記非天然のオリゴヌクレオチドは、糖部が修飾された架橋型修飾糖誘導体;リン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が硫黄原子で1つ置き換えられたホスホロチオエート誘導体;リン酸ジエステル結合がエステル化されたエステル誘導体;及び、糖部が後述する修飾糖(例えば、架橋型糖)で修飾され、かつリン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子が硫黄原子で1つ置き換えられているか、又はリン酸ジエステル結合の非架橋酸素原子がアルキル基に置換されたアルキルホスホネート化されている誘導体等が挙げられる。
(ヌクレオシド)
本実施形態において「ヌクレオシド」とは、プリン塩基又はピリミジン塩基と糖とが結合した化合物を意味する。天然に存在しているヌクレオシドを「天然ヌクレオシド」という場合がある。天然に存在していない修飾されたヌクレオシドを「修飾ヌクレオシド」という場合がある。特に糖部分が修飾された修飾ヌクレオシドを「修飾糖ヌクレオシド」という場合がある。
(ヌクレオチド)
本実施形態において「ヌクレオチド」とは、上記ヌクレオシドの糖にリン酸基が結合した化合物を意味する。天然に存在しているヌクレオチドを「天然ヌクレオチド」という場合がある。天然に存在していない修飾されたヌクレオチドを「修飾ヌクレオチド」又は「修飾核酸」という場合がある。「修飾ヌクレオチド」又は「修飾核酸」としては、上記修飾ヌクレオシドの糖部にリン酸基が結合した化合物、及び、天然ヌクレオシドの糖部に後述する修飾リン酸基が結合した化合物等が挙げられる。
(糖修飾、修飾糖)
本実施形態において「糖修飾」とは、上記ヌクレオチドの糖部が修飾されていることを意味する。修飾された糖部を特に「修飾糖」という場合がある。糖修飾が施されている修飾ヌクレオチドは修飾核酸として利用可能であり、例えば、2’-O-アルキル化核酸、2’-F化核酸、5’-メチル化核酸、2’,4’-BNA(Bridged Nucleic Acid、以下「LNA」と称することがある。)、AmNA(アミド架橋型人工核酸、Amido-bridged nucleic acid)、GuNA(グアニジン架橋型人工核酸、Guanidino-bridged nucleic acid)、scpBNA(2’-O,4’-C-Spirocyclopropylene bridged nucleic acid)、ENA(2’-O,4’-C-Ethylene-Bridged Nucleic Acid)、S-cEt(2’,4’-constrained Ethyl Nucleic Acid)等が挙げられる。
2’-O-アルキル化核酸としては、例えば、後述する記号「A(M)」、「A(m)」、「C(M)」、「5(m)」、「G(M)」、「G(m)」、「U(M)」、「T(m)」で示される構造を含むものが挙げられる。LNAとしては、例えば、後述する記号「A(L)」、「5(L)」、「G(L)」、「T(L)」で示される構造を含むものが挙げられる。AmNAとしては、例えば、後述する記号「A(Y)」、「5(Y)」、「G(Y)」、「T(Y)」で示される構造を含むものが挙げられる。GuNAとしては、例えば、後述する記号「A(Gx)」、「5(Gx)」、「G(Gx)」、「T(Gx)」で示される構造を含むものが挙げられる。scpBNAとしては、例えば、後述する記号「A(S)」、「5(S)」、「G(S)」、「T(S)」で示される構造を含むものが挙げられる。
本実施形態の一側面において上記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が下記の式(A1)で表される基であることが好ましい。本実施形態の他の側面において、上記オリゴヌクレオチドを構成する修飾糖が下記の式(A1)で表される、と把握することもできる。
Figure 2024079633000007
上記式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、Xはリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合又はアルキルホスホナート結合であり、Yは、それぞれ、独立して、水素原子、水酸基、フッ素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基、又は置換されていてもよいアミノ基であり、Zは、それぞれ、独立して、水素原子であるか、炭素-酸素二重結合若しくは環状構造を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基であるか、又は、上記アルキル基の一部の炭素原子とYとが一緒になって環を形成する。ここで、「炭素数1~5のアルキル基」は、炭素数1~5のアルキレン基の一部の炭素原子と水素原子とが一緒になって形成される一価の基と把握することもできる。
「置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基」としては、例えば、置換されていない炭素数1~6のアルコキシ基、並びに、水酸基、フッ素原子、炭素数1~6の直鎖状又は分枝状アルコキシ基、炭素数3~8の環状アルコキシ基、カルバモイル基、及び炭素数1~8のアルキルアミド基(-(CO)-NRで表される基)からなる群より選ばれる置換基で置換されている炭素数1~6のアルコキシ基が挙げられる。ここで、R及びRは、それぞれ、独立して、水素原子、又は炭素数1~8の直鎖状若しくは分枝状アルキル基を示す。
「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えば、置換されていないアミノ基、並びに、炭素数1~6の直鎖状又は分枝状アルキル基(当該アルキル基は、炭素数1~6の直鎖若しくは分枝状アルコキシ基、又は-(CO)-NR10で表される基で置換されていてもよい)、炭素数3~8の環状アルキル基、炭素数1~6のアシル基、及び炭素数1~6の直鎖状又は分枝状アルキル基で1~3箇所置換されているアミジン基からなる群より選ばれる置換基で置換されているアミノ基が挙げられる。ここで、R及びR10は、それぞれ、独立して、水素原子、又は炭素数1~6の直鎖状若しくは分枝状アルキル基を示す。
「炭素-酸素二重結合若しくは環状構造を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基」としては、例えば、置換されていない炭素数1~5のアルキル基、炭素-酸素二重結合を有している炭素数1~5のアルキル基、及び炭素数3~5のシクロアルキル基(シクロプロピル基等)が挙げられる。ここで、「炭素-酸素二重結合を有している炭素数1~5のアルキル基」における炭素数は、炭素-酸素二重結合を構成している炭素が含まれていてもよい。そのため、本実施形態において「炭素-酸素二重結合を有している炭素数1~5のアルキル基」には、アルデヒド基が含まれうる。Zがアルデヒド基であり、Yが置換されていてもよいアミノ基である場合、YとZとで一緒に形成される環は、アミド結合を含む構造であってもよい。
本実施形態の一側面において、上記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が下記の式(A2)又は式(A3)で表される基であることが好ましい。本実施形態の他の側面において、上記オリゴヌクレオチドを構成する修飾糖が下記の式(A2)又は式(A3)で表される、と把握することもできる。
Figure 2024079633000008
式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、Xはリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合又はアルキルホスホナート結合であり、Rは、それぞれ、独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Y’は、酸素原子又は置換されていてもよい窒素原子であり、R及びRは、それぞれ、独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、又は、R及びRが一緒になってカルボニル基又は環を形成しており、nは、0又は1である。
本実施形態の他の側面において、上記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が上記式(A2)で表される基であり、上記Rは、それぞれ、独立して、メチル基、メトキシエチル基、又はN-メチルプロパンアミド基(-CHCH-CONH-CH、メチルイミノカルボニルエチル基)であることが好ましい。
本実施形態の他の側面において、上記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が上記式(A3)で表される基であり、上記Y’は、酸素原子、又は水素原子、メチル基、メトキシエチル基、若しくはN-メチルプロパンアミド基で置換されていてもよい窒素原子であり、上記R及びRは、それぞれ、独立して、水素原子、炭素数1~2のアルキル基、又は上記R及びRが一緒になってカルボニル基又は炭素数3~6の環を形成しており、nは、0又は1であることが好ましい。
(糖修飾以外の当該分野で公知のヌクレオチドの修飾)
上記糖修飾以外の当該分野で公知のヌクレオチドの修飾は、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを製造するための修飾核酸として利用可能である。ヌクレオチドの修飾としては、後述するリン酸基修飾、核酸塩基修飾が知られている。このようなヌクレオチドの修飾は、例えば、J.Med.Chem.(2016)59:9645-9667.(非特許文献5)等に記載されているヌクレオチドの修飾が挙げられる。これらのヌクレオチドの修飾は、上記文献で引用されている文献において述べられている当該分野で公知の方法に基づいて行うことができる。
(リン酸基)
本実施形態において「リン酸基」とは、上記ヌクレオチドのリン酸部の結合様式が天然に存在するホスホジエステル結合(後述する記号「-」で示される結合)であるものを意味する。
(リン酸基修飾、修飾リン酸基)
本実施形態において「リン酸基修飾」とは、上記ヌクレオチドのリン酸部が修飾されていることを意味する。修飾されたリン酸部を特に「修飾リン酸基」という場合がある。上記修飾リン酸基を含む結合様式としては、例えば、ホスホロチオアート結合(後述する記号「∧」で示される結合)、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、又はボラノホスフェート結合、アルキルホスホナート結合、ホスホロジアミダート結合(後述する記号「*」で示される結合)、ホスホロジアミドチオアート結合、及びホスホロジアミドジチオアート結合等が挙げられる。
(核酸塩基修飾、修飾核酸塩基)
本実施形態において「核酸塩基修飾」とは、上記ヌクレオチドの核酸塩基部が修飾されていることを意味する。修飾された核酸塩基部を特に「修飾核酸塩基」という場合がある。修飾核酸塩基としては、例えば、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、5-プロピニルシトシン等が挙げられる。
(DNA又はRNAの類似体)
上記DNA又はRNAの類似体とは、DNA又はRNAに類似の構造を持つ分子を意味する。例えば、ペプチド核酸(pNA)、モルフォリノ核酸等が挙げられる。
なお、本発明で用いる核酸は、核酸糖部の修飾に限られず、モルフォリノ核酸やペプチド核酸を用いてもよい。
すなわち、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、下記<一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列>の欄に記載される配列において、オリゴヌクレオチドは、DNA又はRNAの類似体で構成されてもよい。このDNA又はRNAの類似体は、ペプチド核酸やモルフォリノ核酸を少なくとも含む。ペプチド核酸やモルフォリノ核酸を含む本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの合成は一般的な定法に従って行う。モルフォリノオリゴ核酸は、例えば、国際公開第1991/009033号(特許文献4)、国際公開第2009/064471号(特許文献5)、J.Am.Chem.Soc(2016)138:15663-15672(非特許文献8)に従って製造することができる。モルフォリノ核酸としては、例えば、後述する記号「A(N)」、「C(N)」、「G(N)」、「T(N)」で示される構造を含むものが挙げられる。
本実施形態の一側面において、上記オリゴヌクレオチドは、下記の式(A4)で表されるモルフォリノ核酸で構成されるモルフォリノオリゴ核酸であることが好ましい。
Figure 2024079633000009
式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、X’はリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホロジアミダート結合、ホスホロジアミドチオアート結合、又はホスホロジアミドジチオアート結合である。
(ncRNA)
本実施形態において「ncRNA」とは、タンパク質の翻訳には関わらないRNAの総称を意味する。上記ncRNAとしては、例えば、リボソ-ムRNA、転移RNA、miRNA、Natural Antisense Transcript(NAT)等が挙げられる。
(オリゴヌクレオチドの核酸塩基部)
上記オリゴヌクレオチドの核酸塩基部としては、チミニル基、シトシニル基、アデニニル基、グアニニル基、5-メチルシトシニル基、ウラシリル基、2-オキソ-4-ヒドロキシ-5-メチル-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、及び2-オキソ-4-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基等が挙げられる。好ましくは、上記核酸塩基部としては、チミニル基、シトシニル基、アデニニル基、グアニニル基、5-メチルシトシニル基、及びウラシリル基等が挙げられる。当該核酸塩基のうち、ウラシル(U)とチミン(T)は、互換性がある。ウラシル(U)とチミン(T)のどちらも、相補鎖のアデニン(A)との塩基対を形成することができる。また、アンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基部においても同様である。
(標的RNA)
本実施形態において「標的RNA」とは、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが結合するRNAを指す。言い換えると、本実施形態において標的RNAとは、WRN遺伝子のmRNA前駆体を意味する。上記標的RNAとしては、例えば、配列番号2に記載の塩基配列を有するヒトWRN遺伝子のmRNA前駆体、配列番号3~5のいずれかに記載の塩基配列を有するヒトWRN遺伝子のエクソン26スキップ変異を有するmRNA前駆体、配列番号6に記載の塩基配列を有するヒトWRN遺伝子のエクソン28スキップ変異を有するmRNA前駆体が挙げられる。
(標的RNAとの結合)
本実施形態において「標的RNAとの結合」とは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基が、標的RNAとの相補性によって、当該標的RNAの核酸塩基と共に二本鎖核酸を形成することを意味する。上記二本鎖核酸は、上記標的RNAの少なくとも一部において形成されていればよい。なお、上記標的RNAとの結合の強さは、例えば、熱安定性の指標により測定することができる。上記熱安定性の指標としては、例えば、上記二本鎖核酸の融解温度(Tm値)等が挙げられる。上記Tm値としては、好ましくは40~90℃であり、より好ましくは50~70℃である。
(標的領域)
上記標的領域とは、WRN遺伝子のmRNA前駆体における、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドと結合する領域を意味する。上記標的領域には、示された塩基配列からなる標的領域、及びWRNのmRNA前駆体上の領域を含む。
(mRNA前駆体)
上記mRNA前駆体とは、DNAから転写されたRNAの一次転写物を意味する。すなわち、上記mRNA前駆体は、エクソン領域、イントロン領域及び非翻訳領域(Untranslated region:UTR)を含むRNAである。上記mRNA前駆体は、転写後スプライシングが行われる前のRNAと把握することもできる。上記mRNA前駆体がスプライシングされるとmRNAとなる。
(標的領域との結合)
上記標的領域との結合とは、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的領域と二本鎖を形成することを意味する。ただし、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、必ずしも標的領域全体と二本鎖を形成する必要はなく、標的領域の一部の領域と二本鎖形成するものであればよい。すなわち、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的領域と完全な相補性を有しているものであることが好ましいが、WRNの標的領域と結合する限りにおいて、標的領域の少なくとも一部の領域と相補的であればよい。
(標的領域の一部)
上記標的領域の一部とは、標的領域のうち10~15ヌクレオチド塩基長の領域を意味する。
(標的領域の少なくとも一部と相補的)
上記標的領域の少なくとも一部と相補的とは、標的RNA上の標的領域の少なくとも一部の領域の塩基と相補的であることを意味する。ここにおいて、少なくとも一部の領域に対応するmRNA前駆体上の領域の塩基と相補的であることも含む。
本発明者らは、スプライシング制御型アンチセンスオリゴヌクレオチドに着目し、ヒトWRN遺伝子のエクソン27のスキッピングを誘導するアンチセンスオリゴヌクレオチドの創生の検討を行った。
<一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの設計>
フレームシフト等による異常RNAに対し、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは異常となった読み枠を元に戻すことを可能とし、かつ標的領域であるエクソンをスキッピングさせるための化合物である。そのため、アンチセンスオリゴヌクレオチドの構造としては、標的RNAの標的領域に結合できるよう設計されており、加えて、RNaseH等のヌクレアーゼに認識されないよう糖部修飾核酸が配置されている。
<一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列>
本実施形態に係る一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列は、
(A)配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番~40番、46番、51番、56番、若しくは62番~63番に位置する塩基から連続した10~30mer(好ましくは15~25mer)で構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108873番、108878番~108917番、108923番、108928番、108933番、若しくは108939番~108940番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
(B)上記標的領域において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列に対して、相補的な塩基配列、又は、
(C)上記標的領域を有するオリゴヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列、であることが好ましい。また、本実施形態において、配列表に示されている各塩基配列は核酸塩基部の配列情報のみを示すために用いるものとする。上記核酸塩基部に加えて糖部及びリン酸部を含めたオリゴヌクレオチドの構造情報は、後述する表2-1~表2-8に示される記載形式で示すものとする。
本実施形態において「配列同一性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つの塩基配列をアラインさせた場合の最適なアラインメント(好ましくは、該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方又は両方へのギャップの導入を考慮し得るものである。)における、オーバーラップする全塩基配列に対する同一塩基の割合(%)を意味する。塩基配列の「配列同一性」は、当業者であれば容易に確認することができる。例えば、NCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用いることができる。
本実施形態に係る一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列における上述の所定の標的領域に対して相補的な塩基配列と95%以上100%以下の配列同一性を有することが好ましく、98%以上100%以下の配列同一性を有することがより好ましく、100%の配列同一性を有することが更に好ましい。
本実施形態において、「1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列」としては、例えば、欠失、置換、挿入又は付加によって、欠失、置換、挿入又は付加される前の塩基配列に対して80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の配列同一性を有する塩基配列を挙げることができる。「1又は数個の塩基」の具体的な数としては、上述の欠失、置換、挿入又は付加が、それぞれ独立して、1カ所、2カ所、3カ所、4カ所、又は5カ所に存在してもよいし、複数が組み合わさっておこっていてもよい。
本実施形態において「ストリンジェントな条件」とは、6×SSC(1×SSCの組成:0.15MのNaCl、0.015Mのクエン酸ナトリウム、pH7.0)と0.5%SDSと5×デンハルトと100μg/mLの変性サケ***DNAと50%(v/v)ホルムアミドとを含む溶液中、室温にて12時間インキュベートし、更に0.5×SSCで50℃以上の温度で洗浄する条件をいう。更に、よりストリンジェントな条件、例えば、45℃又は60℃にて12時間インキュベートすること、0.2×SSC又は0.1×SSCで洗浄すること、洗浄に際し60℃又は65℃以上の温度条件で洗浄すること等の、より厳しい条件も含む。
本実施形態の一側面において、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番~40番、46番、51番、56番、若しくは62番~63番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108873番、108878番~108917番、108923番、108928番、108933番、若しくは108939番~108940番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列であることが好ましい。
本実施形態の一側面において、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番~32番、34番~40番、46番、51番、若しくは62番~63番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108878番~108909番、108911番~108917番、108923番、108928番、若しくは108939番~108940番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列であることがより好ましい。
本実施形態の一側面において、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番、3番、5番~12番、14番~19番、21番、25番、29番、30番、31番、34番、46番、若しくは51番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108878番、108880番、108882番~108889番、108891番~108896番、108898番、108902番、108906番~108908番、108911番、108923番、若しくは108928番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列であることが更に好ましい。
上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、WRN遺伝子の標的領域と結合することができる。本明細書において、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの「WRN遺伝子の標的領域との結合」とは、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドのWRNのmRNA前駆体への直接結合を包含する。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの一態様としては、WRN遺伝子のエクソン27をスキッピングできる一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、表1-1~表1-5に記載されているいずれかの塩基配列を持ち、当該一本鎖オリゴヌクレオチドは、ヒトWRN遺伝子のmRNA前駆体における標的領域と相補的である。
なお、当該一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、表1-1~表1-5に記載されている塩基配列を含んでいれば3’側及び/又は5’側にそれぞれ1~5塩基延びていてもよい。上記標的領域は、ヒトWRNのmRNA前駆体において、特に、ヒトWRN遺伝子の発現調節に関連する領域(例えば、アンチセンスヌクレオチドが結合しやすいmRNAの二次構造をもつ領域)と言える。例えば、表1-1において配列番号1の5’末端位置が「5」であり3’末端位置が「24」である場合、配列番号1(配列番号2のエクソン27に該当)に記載の塩基配列における5’末端から数えて5番目から24番目までの連続する20merの塩基配列が、対応する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列名「5-20」)が標的とするヒトWRNのエクソン27における標的領域となる。また、表1-1において配列番号1の5’末端位置が「(-)5」であり3’末端位置が「15」である場合、配列番号1(配列番号2のエクソン27に該当)に記載の塩基配列における5’末端に結合するイントロン領域に対してエクソン27に結合する位置から数えて5番目の塩基からエクソン27の15番目までの20merの塩基配列が、対応する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列名「(-)5-20」)が標的とするヒトWRNのエクソン27における標的領域となる。
Figure 2024079633000010
Figure 2024079633000011
Figure 2024079633000012
Figure 2024079633000013
Figure 2024079633000014
上記表1-1~表1-5において、記号「A’」、記号「C’」、記号「G’」及び記号「T’」は、それぞれ天然ヌクレオシド(後述する、a、c、g、及びt)又は修飾ヌクレオシド(修飾糖ヌクレオシドを含む)から選択される。なお、修飾糖ヌクレオシドのうち2’-O-アルキル化核酸としては、記号「A’」は、後述するA(M)、又はA(m)から選択され、記号「C’」は、後述するC(M)、又は5(m)から選択され、記号「G’」は、後述するG(M)、又はG(m)から選択され、記号「T’」は、後述するU(M)、又はT(m)から選択される。架橋型修飾ヌクレオシドとしては、記号「A’」は、後述するA(L)、A(Y)、A(Gx)、又はA(S)から選択され、記号「C’」は、後述する5(x)、5(L)、5(Y)、5(Gx)、又は5(S)から選択され、記号「G’」は、後述するG(L)、G(Y)、G(Gx)、又はG(S)から選択され、記号「T’」は、後述するT(L)、T(Y)、T(Gx)、又はT(S)から選択される。モルフォリノ核酸としては、記号「A’」は、後述するA(N)であり、記号「C’」は、後述するC(N)であり、記号「G’」は、後述するG(N)であり、記号「T’」は、後述するT(N)である。
<薬理学上許容される塩>
本実施形態に係る一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、薬理学上許容される塩の形態であってもよい。ここで、「薬理学上許容される塩」とは、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩であって、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの生理学的に許容される塩、すなわち、当該一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望される生物学的な活性を保持し、かつ望まれない毒物学的効果を保持しない塩を意味する。なお、後述する二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド及びアンチセンスオリゴヌクレオチド複合体についても同様である。
<製薬学的に許容される塩>
本実施形態の一側面において、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、製薬学的に許容される塩の形態であってもよい。ここで「製薬学的に許容される塩」とは、上述の薬理学上許容される塩であってかつ酸付加塩又は塩基付加塩であるものを意味する。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩及びリン酸塩等の無機酸塩、並びに、クエン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、para-トルエンスルホン酸塩及びカンファースルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩及びアルミニウム塩等の無機塩基塩、並びに、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン及びN,N-ジベンジルエチルアミン等の有機塩基塩等が挙げられる。更には、アルギニン、リジン、オルニチン、アスパラギン酸又はグルタミン酸等の塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸との塩(アミノ酸塩)が挙げられる。なお、後述する二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド及びアンチセンスオリゴヌクレオチド複合体についても同様である。
<一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの構造>
本実施形態に係る一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、天然のオリゴヌクレオチド及び/又は非天然のオリゴヌクレオチドで構成されている。
上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一本鎖の形態であることが好ましい。本実施形態の一側面において、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、後述する第二鎖オリゴヌクレオチドとハイブリダイズして二本鎖の形態(二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド)をとってもよい。上記第二鎖オリゴヌクレオチドの塩基配列は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列であることが好ましい。
<一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドによるエクソンスキッピング機構>
上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下のメカニズムで、異常スプライスされた標的RNAの読み枠を元の読み枠に戻し、機能的なWRNタンパク質の発現を誘導する。
エクソンは両方のスプライス部位がスプライソソーム複合体によって認識された場合のみmRNAに包含されるが、スプライス部位をアンチセンスオリゴヌクレオチドでターゲッティングすることにより、スプライシングが阻害され、エクソンスキッピングを誘導することができる。エクソンスキッピングは、エクソンの5’スプライス部位及び3’スプライス部位のいずれか一方若しくは両方、又はエクソンの内部を標的とする一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが当該エクソンに結合することにより誘導することができる。すなわち、当該一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的RNAの標的領域に結合し、当該エクソンのスプライスを阻害することによって、対象となるエクソンをスキップさせることが可能となり、発現されたmRNAを基に機能的なタンパク質の翻訳を誘導する。
また、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本実施形態においては、上述のようなメカニズムでヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンを高効率にスキッピングする(WRNのmRNA前駆体の成熟を調節することを介して作用する場合も含む。)ために好適に用いることが可能である。より具体的には、当該一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的RNA(WRN遺伝子のmRNA前駆体)の標的領域であるエクソン27に結合し(図3上段)、当該エクソン27のスプライスを阻害する。よって、ウェルナー症候群患者で見られるエクソン26のスキップ変異で出現したエクソン27内の終止コドンがスキップされ、エクソン25とエクソン28が連結したWRN mRNA(健常者WRN遺伝子の読み枠に修正:イン・フレーム)が生成し(図3中段)、当該mRNAを基にエクソン34に含まれる核移行シグナルを持つ機能的なWRNタンパク質が翻訳される。更に本実施形態によれば、臨床応用時に通常用いられる投与経路である経皮投与、静脈内投与や皮内投与においても、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドによる機能的なWRN遺伝子の発現を調節する効果が発揮され得る。ここで、「ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンを高効率にスキッピング」とは、ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンを高効率にスキッピングすることを少なくとも意味し、結果として、機能的なWRNタンパク質の発現を回復することを少なくとも意味する。
糖部がデオキシリボースである天然ヌクレオチドとしては、例えば、デオキシアデノシン一リン酸、デオキシグアノシン一リン酸、チミジン一リン酸、デオキシシチジン一リン酸、デオキシ-5-メチルシチジン一リン酸等が挙げられる。言い換えると、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを構成する天然ヌクレオチドとしては、後述する記号a、g、t、c及び5(x)それぞれに対応する構造式を含むものが挙げられる。
糖部がデオキシリボースである非天然ヌクレオチドとしては、例えば、2-チオ-チミジン-リン酸、2-アミノアデノシン-リン酸、7-デアザグアノシン-リン酸等が挙げられる。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基長は、10~30merであり、好ましくは15~25merであり、より好ましくは18~22merであり、更に好ましくは16~20merであり、特に好ましくは18~20merである。本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基長が、15~25mer、18~22mer、16~20mer、18~20merである場合、特に、WRNのmRNA前駆体への結合が強く、ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンにおける高効率なスキッピングをより効果的に調節できる。
本実施形態において、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、各ヌクレオチドがリン酸基及び/又は修飾リン酸基で結合されており、ホスホジエステル結合又はホスホロチオアート結合で結合されていることが好ましい。
<二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド>
本実施形態に係る二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドと、
上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドに対してハイブリダイズしている第二鎖オリゴヌクレオチドと、を含む二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩である。また、本実施形態は、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬を提供する。上記第二鎖オリゴヌクレオチドの塩基配列は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列であることが好ましい。
上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、溶液中で解離して、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドと、上記第二鎖オリゴヌクレオチドとに分離することができる。分離した上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、上述した標的RNAに結合することができる。なお、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、上記第二鎖オリゴヌクレオチドとの関係において、「第一鎖オリゴヌクレオチド」と把握することもできる。なお、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを構成するオリゴヌクレオチドのうち上記第一鎖オリゴヌクレオチドが上述した標的RNAに対するアンチセンス鎖を有しているが、上記第一鎖オリゴヌクレオチドと上記第二鎖オリゴヌクレオチドからなる二本鎖オリゴヌクレオチドを便宜上「二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド」と呼ぶことにする。
≪一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの製造方法≫
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロアミダイト法による固相合成により製造することができる。例えば、市販の核酸自動合成機を使用して固相担体上で所定の塩基配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドをまず合成する。次に、塩基性物質等を用いて固相担体から合成した一本鎖オリゴヌクレオチドを切出し、脱保護を行ない、粗体の一本鎖オリゴヌクレオチドを得る。その後、得られた粗体の一本鎖オリゴヌクレオチドを、HPLC等を用いて精製する。上述の製造法に限らず、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、当業者に公知の方法に準じて、核酸の塩基配列、修飾部位等を適宜変更することにより製造できる。また、AmNA、GuNA、及びscpBNAについては、それぞれ国際公開第2011/052436号(特許文献1)、国際公開第2014/046212号(特許文献2)、及び国際公開第2015/125783号(特許文献3)に記載の方法により製造することができる。また、モルフォリノオリゴ核酸(PMO)は、国際公開第1991/009033号(特許文献4)、国際公開公報第2009/064471号(特許文献5)又は非特許文献8に記載の方法に従って製造することが可能である。
≪二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの製造方法≫
本発明の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、まず、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドと同様の製造方法を用いて、該一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドに相補的な塩基配列を基準として所定の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド(第二鎖オリゴヌクレオチド)を製造する。その後、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび上記第二鎖オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることにより製造することができる。
≪アンチセンスオリゴヌクレオチド複合体≫
本実施形態に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド複合体は、
上記オリゴヌクレオチド(好ましくは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド)若しくはその製薬学的に許容される塩、又は上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩と、
上記オリゴヌクレオチド又は上記第二鎖オリゴヌクレオチドに結合している付加物質と、
を有する。上記付加物質は、ポリエチレングリコール、ペプチド、アルキル鎖(例えば、飽和脂肪族炭化水素等)、リガンド化合物、抗体、タンパク質、及び糖鎖(例えば、炭水化物、多糖等)からなる群より選ばれる。
本実施形態の一側面において、上記オリゴヌクレオチド複合体は、上記オリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩、又は上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩と、
上記オリゴヌクレオチド又は上記第二鎖オリゴヌクレオチドに、直接又はリンカー結合を介して結合している付加物質と、を有する、オリゴヌクレオチド複合体又はその製薬学的に許容される塩であって、
上記付加物質は、ポリエチレングリコール、ペプチド、アルキル鎖、リガンド化合物、抗体、タンパク質、及び糖鎖からなる群より選ばれ、
上記リンカー結合は、それぞれ、独立してホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合、アルキルホスホナート結合、ホスホロジアミダート結合、ホスホロジアミドチオアート結合、又はホスホロジアミドジチオアート結合である。また、本実施形態は、上記オリゴヌクレオチド複合体又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬を提供する。
本実施形態の一側面において、上記アンチセンスオリゴヌクレオチド複合体は、
上記オリゴヌクレオチド(好ましくは一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド)又はその製薬学的に許容される塩と、
上記オリゴヌクレオチドに結合している付加物質と、を有し、上記付加物質は、ポリエチレングリコール、ペプチド、アルキル鎖、リガンド化合物、抗体、タンパク質、及び糖鎖からなる群より選ばれる。
本実施形態の他の側面において、上記アンチセンスオリゴヌクレオチド複合体は、
上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩と、
上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又は上記第二鎖オリゴヌクレオチドに結合している付加物質と、を有し、上記付加物質は、ポリエチレングリコール、ペプチド、アルキル鎖(例えば、飽和脂肪族炭化水素等)、リガンド化合物、抗体、タンパク質、及び糖鎖(例えば、炭水化物、多糖等)からなる群より選ばれる。
本実施形態において「付加物質」とは、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又は上記第二鎖オリゴヌクレオチドに結合している物質であって、所定の作用を付与するために用いられる物質を意味する。上記付加物質は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの5’末端に結合していてもよいし、3’末端に結合していてもよいし、5’末端及び3’末端の両方に結合していてもよい。また、上記付加物質は、上記第二鎖オリゴヌクレオチドの5’末端に結合していてもよいし、3’末端に結合していてもよいし、5’末端及び3’末端の両方に結合していてもよい。本実施形態の一側面において、上記付加物質は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又は上記第二鎖オリゴヌクレオチドの5’末端又は3’末端のいずれか一方に結合していることが好ましい。また、上記付加物質は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又は上記第二鎖オリゴヌクレオチドと直接、共有結合で結合していてもよい。上記付加物質は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又は上記第二鎖オリゴヌクレオチドと、リンカー物質を介して結合していてもよい。上記リンカー物質としては例えば、アルキル、ポリエチレングリコール、ペプチド、ジスルフィド、リン酸結合等及び/又はこれらの組み合わせで構成されたリンカーが挙げられる。上記リンカー物質は、リンカー結合と把握することもできる。
上記付加物質として用いられるペプチドとしては、例えば、以下のようなものが挙げられるが、これらに限らない。CPPs(Cell Penetrating Peptides:細胞膜透過性ペプチド)、核移行性ペプチド、TAT(Trans-Activator of Transcription protein)、ポリアルギニン、グルカゴン様ペプチド-1 類縁ペプチド、合成環状RGDペプチド、皮膚透過性ペプチド。
上記付加物質として用いられるリガンド化合物としては、例えば、以下のようなものが挙げられるが、これらに限らない。N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、糖類(グルコース、マンノース等)、脂質類(コレステロール等)、ビタミン類(葉酸、ビタミンA、ビタミンE等)、アミノ酸。
上記付加物質として用いられる抗体としては、例えば、以下のようなものが挙げられるが、これらに限らない。抗インスリン受容体抗体、抗トランスフェリン受容体抗体、抗LDL受容体関連タンパク質抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗HER2抗体。
上記付加物質として用いられるタンパク質としては、例えば、以下のようなものが挙げられるが、これに限らない。アルブミン。
モルフォリノオリゴ核酸において、上記付加物質と上記リンカー物質の組み合わせとしては、例えば、以下の構造式で示されるものが挙げられるが、これに限らない。
Figure 2024079633000015
≪ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンのスキッピング剤≫
本実施形態に係るヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンのスキッピング剤は、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又は上記アンチセンスオリゴヌクレオチド複合体を有効成分として含む。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、WRNのmRNA前駆体に結合することで、ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンをスキッピングすることができる。上記スキッピング剤の投与方法及び製剤は、当該分野で公知の投与方法及び製剤であれば、いずれも利用可能である。
本実施形態の一側面において、上記ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンのスキッピング剤は、上記オリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記オリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む。
≪機能的WRN回復剤≫
本実施形態に係る機能的WRN回復剤は、上記オリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩、又は上記オリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含む、ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンのスキッピングによる核移行シグナルを保有する機能的WRN回復剤である。本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、WRNのmRNA前駆体に結合することで、ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンをスキッピングすることができる。特に、上記ヒトWRN遺伝子がウェルナー症候群患者で見られるエクソン26のスキップ変異を有する場合、当該ヒトWRN遺伝子で出現したエクソン27内の終止コドンがスキップされ、エクソン25とエクソン28が連結したWRN mRNAが生成し、当該mRNAを基にエクソン34に含まれる核移行シグナルを持つ機能的なWRNタンパク質が翻訳される。
本実施形態の一側面において、上記機能的WRN回復剤は、上記オリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記オリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む。
≪一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド等を有効成分として含有する医薬組成物≫
本実施形態に係る医薬組成物は、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記アンチセンスオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む。本実施形態の医薬組成物の投与方法及び製剤は、当該分野で公知の投与方法及び製剤であれば、いずれも利用可能である。以下、上記医薬組成物を、「アンチセンスオリゴヌクレオチド等の医薬組成物」と表記することがある。
上記医薬組成物は、ウェルナー症候群の治療又は予防に用いられる。言い方を変えると、上記医薬組成物は、ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンを高効率にスキッピングすることによってウェルナー症候群の症状の改善が期待できる治療又は予防に用いることができる。
≪ウェルナー症候群に対する治療剤及び予防剤≫
本実施形態に係るウェルナー症候群に対する治療剤は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記アンチセンスオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む。本実施形態に係るウェルナー症候群に対する予防剤は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記アンチセンスオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む。
<個体>
本発明における個体とは、哺乳動物を意味する。好ましくは、ヒト、サル、マーモセット、イヌ、ブタ、ウサギ、モルモット、ラット及びマウスである。より好ましくはヒトである。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその医薬組成物(ウェルナー症候群に対する治療剤及び予防剤を含む)を投与するに当たっては、その投与方法及び剤型は特に限定されない。すなわち、当該分野における公知の投与方法及び製剤であれば、いずれも本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド等の投与方法及び製剤として用いることができる。投与方法としては、例えば、経口投与、非経口投与等が挙げられる。非経口投与としては、点眼投与、腟内投与、直腸内投与、鼻腔内投与、経皮投与、静脈内注射、点滴、皮下投与、腹腔内投与若しくは筋肉内注入、吸引若しくは吸入による肺投与、髄腔内投与、脳室内投与等が挙げられる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド等の製剤には、賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、嬌味剤、芳香剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、張剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合することができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド等の医薬組成物を局所投与する場合、例えば、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴下剤、坐剤、噴霧剤、液剤、散剤等の製剤を用いることができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド等の医薬組成物を経口投与する場合、例えば、散剤、顆粒剤、水若しくは非水性媒体に溶解させた懸濁液又は溶液、カプセル、粉末剤、錠剤等の製剤を用いることができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド等の医薬組成物を非経口、静脈内投与、皮下投与、又は皮内投与する場合、例えば、無菌水溶液等の製剤を用いることができる。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの有効投与量は、投与される個体の性別、年齢、体重、症状等により、任意に定めることができる。更に、投与の方法、経路、頻度等に応じても任意に定めることができる。例えば、投与量として0.01~100mg/kg等が挙げられる。好ましくは0.1~50mg/kgであり、更に好ましくは0.1~10mg/kgである。
≪ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンを高効率にスキッピングする方法≫
本実施形態におけるヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンをスキッピングする方法は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記アンチセンスオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として、上記WRN遺伝子を発現している細胞、組織又は個体に投与する工程を含む。
本実施形態において、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド等を細胞、組織又は個体に投与する方法は、in vitroで行ってもよいし、in vivoで行ってもよい。in vivoで投与する場合、その投与経路は、上述した投与経路が用いられる。
本実施形態において、「WRN遺伝子を発現している細胞」としては、線維芽細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、ケラチノサイト、筋細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞などが挙げられる。
本実施形態におけるウェルナー症候群の治療方法又は予防方法は、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、上記二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は上記アンチセンスオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として、上記ウェルナー症候群に罹患している個体に投与する工程を含む。
以上、本実施形態に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドについて説明した。上述の構成を備える上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンを高効率にスキッピングすることが可能になる。
≪ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンをスキッピングに対する活性の評価方法≫
<細胞へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの導入>
「WRN遺伝子を発現している細胞」にリポフェクション法、エレクトロポレーション法又は直接添加による導入等の方法を用いてアンチセンスオリゴヌクレオチドを6時間から1ヶ月間処置することで観察できる。なお処置時間は、48時間から7日間が好ましい。使用する細胞はWRN遺伝子が発現している細胞であればよく、例えばHEK293T細胞、又はウェルナー症候群患者由来の線維芽細胞(以下、「ウェルナー症候群患者線維芽細胞」という。)が挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドを処置した細胞は、処置後すぐに回収してもよいし、アンチセンスオリゴヌクレオチドを除去して継続培養してもよい。
<ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンスキッピング評価>
回収した細胞から抽出した全RNAに対して逆転写反応を実施し、得られたcDNAに対してWRN遺伝子のエクソン27の周辺領域をPCRにて増幅する。該PCR増幅産物に対して、ポリヌクレオチド量の定量またはシークエンス解析を行うことにより、WRN遺伝子の第27番目のエクソンスキッピングが確認できる。スキッピング効率は、エクソン27がスキップしたPCR産物のポリヌクレオチド量「A」及びエクソン27がスキップしなかったPCR産物のポリヌクレオチド量「B」を定量し、これら「A」と「B」の測定値を以下の計算式に従って、スキッピング効率(%)を計算することができる。
スキッピング効率(%)=100×A/(A+B)
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。例えば、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下の実施態様を含む。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの一態様としては、
ヒトWRN遺伝子の第26番又は第28番エクソンのスキップ変異に対して、機能的なヒトWRNタンパク質を発現するオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩であって、
上記オリゴヌクレオチドは、各ヌクレオチドがリン酸基及び/又は修飾リン酸基で結合されており、
上記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾糖を有する修飾核酸、を含み、
上記オリゴヌクレオチドの塩基長は、10~30merであり、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
配列番号1に記載の塩基配列における、上記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
上記標的領域において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列に対して、相補的な塩基配列、又は、
上記標的領域を有するオリゴヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列、である、オリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩、である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列は、
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、95%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドを構成する糖がD-リボフラノースであり、糖の修飾がD-リボフラノースの2’位の水酸基の糖修飾である。
上記オリゴヌクレオチドの塩基長は、15~25merである。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が下記の式(A1)で表される基である。
Figure 2024079633000016

(式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、Xはリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合又はアルキルホスホナート結合であり、Yは、それぞれ、独立して、水素原子、水酸基、フッ素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基、又は置換されていてもよいアミノ基であり、Zは、それぞれ、独立して、水素原子であるか、炭素-酸素二重結合若しくは環状構造を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基であるか、又は上記アルキル基の一部の炭素原子とYとが一緒になって環を形成する。)上記炭素数1~5のアルキル基が有する「炭素-酸素二重結合」としては、例えばカルボニル基が挙げられる。上記炭素数1~5のアルキル基が有する「環状構造」としては、例えばシクロプロパン構造が挙げられる。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチド間結合がホスホロチオエート結合である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチド間結合がホスホジエステル結合である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番~12番、14番~21番、24番、25番、29番~31番、34番、36番、41番、46番、51番、若しくは62番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
上記標的領域において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列に対して相補的な塩基配列、又は、
上記標的領域を有するオリゴヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番~40番、46番、51番、56番、又は62番~63番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108873番、108878番~108917番、108923番、108928番、108933番、又は108939番~108940番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
上記標的領域において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列に対して相補的な塩基配列、又は、
上記標的領域を有するオリゴヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番、3番~12番、14番~19番、21番、25番、29番、30番、31番、34番、46番、若しくは51番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番~32番、34番~40番、46番、51番、又は62番~63番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108878番~108909番、108911番~108917番、108923番、108928番、又は108939番~108940番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番、3番、6番~12番、14番~19番、21番、25番、29番、30番、31番、34番、46番、若しくは51番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番、3番、5番~12番、14番~19番、21番、25番、29番、30番、31番、34番、46番、又は51番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108878番、108880番、108882番~108889番、108891番~108896番、108898番、108902番、108906番~108908番、108911番、108923番、又は108928番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が下記の式(A2)又は式(A3)で表される基である。
Figure 2024079633000017

(式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、Xはリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合又はアルキルホスホナート結合であり、Rは、それぞれ、独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Y’は、酸素原子又は置換されていてもよい窒素原子であり、R及びRは、それぞれ、独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、又は、R及びRが一緒になってカルボニル基又は環を形成しており、nは、0~1である。)
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号9、11、14~22、24~29、31、35、39~41、44、52、及び53の塩基配列からなる群より選ばれる1つの塩基配列である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号9~14、16~26、28~39、41~42、44~50、52、55~56、69、73、80~105、107~108、110、112、114、116、118~131、133、及び135の塩基配列からなる群より選ばれる1つの塩基配列である。
本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの別の一態様としては、
上記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
以下、本発明に係る実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪WRN遺伝子に対する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの作製≫
以下の手順でWRN遺伝子に対する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを作製した。
2’-OMe(O-メチル)、2’-MOE(O-メトキシエチル)、AmNA、scpBNA、及びGuNAを含む一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、核酸自動合成機(nS-8型、株式会社ジーンデザイン製)を用いて、0.2μmolスケールで合成した。鎖長の伸長は、標準的なホスホロアミダイトプロトコールにて実施した。このとき固相担体は、CPGレジンを使用した。また、ホスホロチオエート化(PS)骨格形成のための硫化はDDTT(((Dimethylamino-methylidene)amino)-3H-1,2,4-dithiazaoline-3-thione)等を使用した。AmNA及びscpBNAを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、末端の5’位の水酸基がDMTr(4,4’-ジメトキシトリチル)基で保護されておらず、かつ3’位が固相に担持されたものとして得た。続いてアルカリ処理することにより、上記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを固相担体から切り出し、溶液の状態で回収した。その後、回収した溶液から溶媒を留去することで粗生成物を得た。得られた粗生成物を逆相HPLCにて精製することにより精製された一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを得た。得られた各一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの純度及び構造をLC-MS(Waters社製)により確認した。モルフォリノ核酸を含むモルフォリノオリゴ核酸は、国際公開第2009/064471号(特許文献5)又は、J.Am.Chem.Soc(2016)138:15663-15672(非特許文献8)に従って合成した。
下記表2-1~表2-7に、上述の方法で製造した一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを列挙する。また、下記表2-8に列挙された一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを、上述の方法で製造した。
Figure 2024079633000018
Figure 2024079633000019
Figure 2024079633000020
Figure 2024079633000021
Figure 2024079633000022
Figure 2024079633000023
Figure 2024079633000024
Figure 2024079633000025
本明細書において、下記記号又は表記を用いて、対応する構造を表すことがある。
Figure 2024079633000026
Figure 2024079633000027
Figure 2024079633000028
Figure 2024079633000029
上に示す構造式において、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は、直鎖若しくは分岐の炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数3から7のシクロアルキル基を示す。ここにおいて、上述の「Gx」で示されるGuNAにおけるR及びRが共に水素原子で、かつ、Rがメチル基の場合は、「Gm」と示し、Rが水素原子で、かつ、R及びRが共にメチル基の場合は、「Gdm」と示し、R及びRが水素原子で、かつ、Rがtert-ブチル基の場合は、「GtB」と示す。
≪ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンスキッピング評価≫
ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンスキッピング評価は、HEK293T細胞やエクソン26を欠失したウェルナー症候群患者線維芽細胞におけるエクソン27スキッピングの誘導を確認することにより行った。
本実施例における遺伝子発現評価とは、逆転写反応によって得られた相補的DNA(cDNA)に対してWRN遺伝子のエクソン26(正常WRN遺伝子を持つHEK293T)或いは25(エクソン26を欠失したウェルナー症候群患者線維芽細胞)から29にわたる領域を、PCR法を用いて増幅した量を測定することでWRN遺伝子の第27番目のエクソンの配列構造を評価することを意味する。以下、各発現評価の具体的手順について説明する。
(細胞へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの導入)
「ヒトWRN遺伝子を発現している細胞」にリポフェクション法或いは直接添加による導入等の方法を用いてアンチセンスオリゴヌクレオチドを2日間処置した。使用する細胞はWRN遺伝子が発現している細胞(例えばHEK293T細胞又はエクソン26を欠失したウェルナー症候群患者線維芽細胞)を用いた。アンチセンスオリゴヌクレオチドを処置した細胞は、処置後すぐに回収するか、又は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを除去して継続培養してから回収した。
(WRN cDNAの解析)
回収した細胞から抽出した全RNAに対して逆転写反応を実施し、得られたcDNAに対してWRN遺伝子のエクソン26からエクソン29にわたる領域(正常WRN遺伝子を持つHEK293T細胞を用いた場合)、或いはWRN遺伝子のエクソン25からエクソン29にわたる領域(エクソン26欠失したウェルナー症候群患者線維芽細胞を用いた場合)を、PCR法を用いて増幅した。これらの増幅は、アニーリング温度60℃を設定した。
(エクソン27のスキッピングの確認)
こうして、正常WRN遺伝子を持つHEK293Tにおいて、WRN cDNAのエクソン26から29の領域を増幅したところ、アンチセンスオリゴヌクレオチドの無添加では290塩基対のバンドが得られた。この増幅産物の塩基配列を常法により決定したところ、これがエクソン26、エクソン27、エクソン28、エクソン29からなることが示された。
同様に、エクソン26を欠失したウェルナー症候群患者線維芽細胞においては、WRN cDNAのエクソン25からエクソン29の領域を増幅したところ、アンチセンスオリゴヌクレオチドの無添加では290塩基対のバンドが得られた。この増幅産物の塩基配列を常法により決定したところ、これがエクソン25、エクソン27、エクソン28、エクソン29からなることが示された。この結果は患者の遺伝子解析結果とよく一致していた。
一方、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入したHEK293T細胞のcDNAでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入しない細胞から得られた増幅産物と同じサイズの増幅産物が得られたのみならず、培養48時間後、小さなサイズの増幅産物が得られた。この増幅産物の塩基配列を常法により決定したところ、これがエクソン26、エクソン28、エクソン29からなることが示された。この条件で小さなサイズの転写物、すなわちエクソン27のスキッピングを有するもののみが得られた。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入した上述のウェルナー症候群患者線維芽細胞のcDNAでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入しない細胞から得られた増幅産物より小さなサイズの増幅産物が得られた。この小さなサイズの増幅産物の塩基配列を決定したところ、エクソン25の配列が直接エクソン28の配列につながっており、エクソン26とエクソン27の欠失が判明した。このことは、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理によりエクソン27がスキッピングしたことを示している。
正常のヒトWRN遺伝子構造を持つ遺伝子から転写されたmRNA前駆体もスプライシング反応において、本発明者らはデザインしたアンチセンスオリゴヌクレオチドがエクソン27のスキッピングを有効に誘導することを確認した。また、第26番エクソンのスキップ変異c.3139-1G>Cを持つウェルナー症候群患者線維芽細胞(エクソン26を欠失したウェルナー症候群患者線維芽細胞)でも、本発明者らはデザインしたアンチセンスオリゴヌクレオチドがエクソン27のスキッピングを有効に誘導することを確認した。以下、各種の試験に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
≪WRN遺伝子のエクソン27スキッピングの誘導評価≫
WRN遺伝子のエクソン27スキッピングの誘導評価は、製造した一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドに応じて、ヒト胎児腎細胞HEK293T細胞を用いた評価と、26番エクソンのスキップ変異c.3139-1G>Cを持つウェルナー症候群患者線維芽細胞を用いた評価に分けて行った。以下、具体的手順について説明する。
<ヒト胎児腎細胞HEK293T細胞を用いたエクソン27スキッピングの誘導評価>
ヒト胎児腎細胞HEK293T細胞(ATCC(登録商標)CRL-3216 (商標))を、培養培地中、37℃、5%COの条件で培養した。HEK293T細胞の培養培地としては、以下の組成のものを用いた。
HEK293T細胞の培養培地組成
ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM):Thermo Fisher Scientific社製、Cat#11995
10% ウシ胎児血清(FBS):Thermo Fisher Scientific社製、Cat#10437028
まず、トランスフェクションの前日に、96穴プレートにHEK293T細胞(12000 cells/well)を播種し、37℃、5%COの条件で一晩培養した。その後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した各一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(50nM)をリポフェクション法にて、上述の細胞にトランスフェクションした。陰性対照群としては、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが溶解していないPBSをトランスフェクションした細胞を用いた。トランスフェクションした細胞を培養培地中で37℃、5%COの条件で48時間培養した。その後、上記培養培地を除去し、Taqman Fast Cells-to-CT Kit(Thermo Fisher Scientific社製、Cat#4399003)を用いて、抽出した全RNAに対して逆転写反応を実施した。この逆転写反応から得られた相補的DNA(cDNA)を利用して、予め設計された特異的プライマー(下記参照)を用いてWRN遺伝子のエクソン25からエクソン29にわたるPCRを実施した。
用いたPCRのプログラムは、以下の通りである。
94℃、1分間:熱変性
[98℃、10秒間;60℃、5秒間;68℃、40秒間]×35サイクル:PCR増幅
遺伝子特異的プライマーはWRN_Exon26_Fw及びWRN_Exon29_Rvを使用した。
WRN_Exon26_Fw: 5’-CTCAGAGCCTCATCCTTCAAGCTAATG-3’
WRN_Exon29_Rv: 5’-CAATCTGAGTCTCCTGCTCTTGTGC-3’
上記PCR反応の反応物を3%アガロースゲール電気泳動によって分離し、LEDトランスイルミネーターゲルみえーる(Wako社)とiPhone8(Apple社)とを組み合わせた撮影システムにより、ゲル写真を撮影した。
上述の方法で求められた、ヒトWRN mRNA前駆体に対する各一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(図4)によるヒトWRN遺伝子のエクソン27のスキッピング活性測定の実験結果を図5に示す。
正常WRN遺伝子を持つHEK293T細胞において、WRNcDNAのエクソン26からエクソン29の領域を増幅したところ、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入しなかったサンプル(図5中、「無添加」と表記)では291塩基対のバンドが得られた。この増幅産物の塩基配列をDNAシークエンシングにより決定したところ、このバンドがエクソン26、エクソン27、エクソン28、エクソン29からなることが示された。
一方、各アンチセンスオリゴヌクレオチドを添加したHEK293T細胞のcDNAでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入しない細胞から得られた増幅産物と同じサイズの増幅産物が得られたのみならず、培養48時間後、小さなサイズの増幅産物(215塩基対)が得られた。この増幅産物の塩基配列をシークエンスにより決定したところ、当該増幅産物はエクソン26、エクソン28、エクソン29からなることが示された。またこの条件で小さなサイズの増幅産物のみが認められる、すなわち高効率なエクソン27のスキッピング活性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドも得られた。
ImageJ(米国NIH)により、エクソン27がスキップしたPCR産物「215bp、A」と、及びエクソン27がスキップしなかったPCR産物「291bp、B」を定量した。これら「A」と「B」の測定値を以下の計算式に従って、以下の式を用いてスキッピング効率(%)を求めた。その結果を表3-1~表3-3に示す。
スキッピング効率(%)=100×A/(A+B)
Figure 2024079633000030
Figure 2024079633000031
Figure 2024079633000032
<ウェルナー症候群患者線維芽細胞のWRN遺伝子の変異型の確認>
ウェルナー症候群患者線維芽細胞(Coriell Cell Repositories、Cat#AG12795)を、培養培地中、37℃、5%COの条件で培養した。ウェルナー症候群患者線維芽細胞の培養培地としては、以下の組成のものを用いた。
ウェルナー症候群患者線維芽細胞の培養培地組成
イーグル最少必須培地(MEM):Sigma社製、Cat#M5650
15% FBS:Thermo Fisher Scientific社製、Cat#10437028
上記のウェルナー症候群患者線維芽細胞におけるWRN遺伝子の変異型について遺伝子変異の解析を行った。96穴プレートにウェルナー症候群患者線維芽細胞(10000 cells/well)を播種し、37℃、5%COの条件で一晩培養した。その後、細胞
のゲノムDNAを抽出し、予め設計された特異的プライマー(下記参照)を用いてWRN遺伝子のエクソン25からエクソン29にわたるPCRを実施した。
用いたPCRのプログラムは、以下の通りである。
94℃、1分間:熱変性
[98℃、10秒間;60℃、5秒間;68℃、40秒間]×35サイクル:PCR増幅
遺伝子特異的プライマーはWRN_Exon25_Fw及びWRN_Exon29_Rvを使用した。
WRN_Exon25_Fw:5’-CTGGCAAGGATCAAACAGAGAGTTG-3’
WRN_Exon29_Rv:5’-CAATCTGAGTCTCCTGCTCTTGTGC-3’
上記PCR反応の反応物を3%アガロースゲール電気泳動として分離し、LEDトランスイルミネーターゲルみえーる(Wako社)により、増幅したPCR断片を検出し、PCR断片を含むゲルを切り出した。増幅したPCR断片を精製しシークエンスによる解析を実施したところ、当該ウェルナー症候群患者線維芽細胞はWRN遺伝子のc.3139-1G>Cのホモ接合体であることが確認された。
<ウェルナー症候群患者線維芽細胞を用いたエクソン27スキッピングの誘導評価>
次に、WRN遺伝子のc.3139-1G>Cのホモ接合体であるウェルナー症候群患者線維芽細胞を用いて、WRN遺伝子のエクソン27スキッピングの誘導評価を行った。トランスフェクションの前日に、96穴プレートにウェルナー症候群患者線維芽細胞(10000 cells/well)を播種し、37℃、5%COの条件で一晩培養した。
その後、リポフェクション法による導入方法を用いてアンチセンスオリゴヌクレオチドを48時間から10日間処置した。PBSで希釈した各一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(終濃度1~50nM)をリポフェクション法にて、上述の細胞にトランスフェクションした。陰性対照群としては、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが溶解していないPBSをトランスフェクションした細胞を用いた。アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した細胞を培養培地中で37℃、5%COの条件で48時間または240時間培養した。その後、上記培養培地を除去し、Taqman Fast Cells-to-CT Kit(Thermo Fisher Scientific社製、Cat#4399003)を用いて、抽出した全RNAに対して逆転写反応を実施した。この逆転写反応から得られた相補的DNA(cDNA)を利用して、予め設計された特異的プライマー(下記参照)を用いてWRN遺伝子のエクソン25からエクソン29にわたるPCRを実施した。用いたPCRのプログラムは、以下の通りである。
94℃、1分間:熱変性
[98℃、10秒間;60℃、5秒間;68℃、40秒間]×35サイクル:PCR増幅
遺伝子特異的プライマーはWRN_Exon25_Fw及びWRN_Exon29_Rvを使用した。
WRN_Exon25_Fw:5’-CTGGCAAGGATCAAACAGAGAGTTG-3’
WRN_Exon29_Rv:5’-CAATCTGAGTCTCCTGCTCTTGTGC-3’
上記PCR反応の反応物を3%アガロースゲール電気泳動として分離し、LEDトランスイルミネーターゲルみえーる(Wako社)とiPhone8(Apple社)を組み合わせた撮影システムにより、ゲル写真を撮影した。
上述の方法で求められた、ヒトWRN mRNA前駆体に対する各一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドによるヒトWRN遺伝子のエクソン27のスキッピング活性測定の実験結果を図6に示す。ウェルナー症候群患者線維芽細胞においては、WRNcDNAのエクソン25からエクソン29の領域を増幅したところ、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入しなかったサンプル(図6中、「無添加」と表記)では352塩基対のバンドが得られた。この増幅産物の塩基配列をシークエンスにより決定したところ、このバンドがエクソン25、エクソン27、エクソン28、エクソン29からなることが示された。この結果は患者の遺伝子解析結果とよく一致していた。
一方、アンチセンスオリゴヌクレオチドを添加したウェルナー症候群患者線維芽細胞のcDNAでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入しない細胞から得られた産物より小さなサイズの産物(276塩基対)が得られた。この小さなサイズの増幅産物の塩基配列をシークエンスにより決定したところ、エクソン25の配列が直接エクソン28の配列につながっており、エクソン26とエクソン27の欠失が判明した。このことは、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理によりエクソン27がスキッピングしたことを示している。
ImageJ(米国NIH)により、エクソン27がスキップしたPCR産物「276bp、A」と、及びエクソン27がスキップしなかったPCR産物「352bp、B」を定量した。これら「A」と「B」の測定値を以下の計算式に従って、以下の式を用いてスキッピング効率(%)を求めた。その結果を表4-1A~4-1F、表4-2A~4-2D、表4-3A~4-3D、表4-4A~4-4D及び表4-5に示す。
スキッピング効率(%)=100×A/(A+B)
Figure 2024079633000033
Figure 2024079633000034
Figure 2024079633000035
Figure 2024079633000036
Figure 2024079633000037
Figure 2024079633000038
Figure 2024079633000039
Figure 2024079633000040
Figure 2024079633000041
Figure 2024079633000042
Figure 2024079633000043
Figure 2024079633000044
Figure 2024079633000045
Figure 2024079633000046
Figure 2024079633000047
Figure 2024079633000048
Figure 2024079633000049
Figure 2024079633000050
Figure 2024079633000051
<ウェルナー症候群患者線維芽細胞でのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる機能的なWRNタンパク質発現の誘導>
WRN遺伝子のc.3139-1G>Cのホモ接合体であるウェルナー症候群患者線維芽細胞を用いて、WRN遺伝子のエクソン27スキッピングによる機能的なWRNタンパク質発現の誘導評価を行った。評価の前日に、96穴プレートにウェルナー症候群患者線維芽細胞(10000 cells/well)を播種し、37℃、5%COの条件で一晩培養した。その後、PBSで希釈した配列番号28の塩基配列からなる一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(終濃度50nM)をリポフェクション法にて、上述の細胞にトランスフェクションした。陰性対照群としては、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが溶解していないPBSをトランスフェクションした細胞を用いた。トランスフェクションした細胞を培養培地中で37℃、5%COの条件で48時間培養した。その後、細胞を4%paraformaldehyde(富士フイルム和光純薬社製、Cat#163-20145)にて15分間で固定し、0.5%Triton-X(ナカライテスク社製、Cat#12967-45)で10分間インキュベートした。続いて、インキュベートした上記細胞を5%ヤギ血清を含有するPBSで1時間ブロッキングし、抗WRN抗体(Cell Signaling社製、Cat#4666)溶液中で一晩インキュベートした。さらに抗マウスIgG抗体(Thermo Fisher Scientific社製、A32766)溶液中で、上記細胞を1時間インキュベートした。最後にHoechst(登録商標)33342核酸染色(Thermo Fisher Scientific社製、Cat#H3570)溶液中で15分間インキュベートし、蛍光顕微鏡で観察した。
上述の方法で求められた、ヒトWRN mRNA前駆体に対する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドによるWRN遺伝子のエクソン27のスキッピング活性による機能的なWRNタンパク質発現の誘導結果を図7に示す。図7より、配列番号28の塩基配列からなる一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドをトランスフェクションした細胞(図7における「ASO:No.28」)では上記機能的なWRNタンパク質が核内移行していることが分かった。
<ウェルナー症候群患者線維芽細胞でのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる細胞増殖の促進>
ヒトWRN遺伝子のc.3139-1G>Cのホモ接合体であるウェルナー症候群患者線維芽細胞を用いて、WRN遺伝子のエクソン27スキッピングによる細胞増殖能の評価を行った。評価の前日に、96穴プレートにウェルナー症候群患者線維芽細胞(12000 cells/well)を播種し、37℃、5%COの条件で一晩培養した。その後、PBSで希釈した各一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(終濃度10nM)をリポフェクション法にて、上述の細胞にトランスフェクションした。陰性対照群としては、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが溶解していないPBSをトランスフェクションした細胞を用いた。トランスフェクションした細胞を培養培地中で37℃、5%COの条件で288時間培養した。その後、上記増殖培地にCelltiter-Glo 2.0 Assay(Promega社製、Cat#G9242)を添加して細胞数を測定した。一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドをトランスフェクションした細胞の細胞数「A」と陰性対照群の細胞数「B」の測定値を以下の計算式に従って、以下の式を用いて細胞増殖率(%)を求めた。その結果を表5に示す。
細胞増殖率(%)=100×(A)/B
Figure 2024079633000052
≪一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞毒性評価≫
ヒト肝癌由来細胞株であるHepG2細胞を、増殖培地中、37℃、5%CO条件で培養した。増殖培地としては、以下の組成のものを用いた。
細胞毒性評価に用いた増殖培地の組成
10% FBS:GIBCO社製、CAT#10270-106
Minimum Essential Medium (L-グルタミン、フェノールレッド含有) (GIBCO社製、CAT#11095-080)
実験前日に96穴プレートに上記細胞(1.5×10 cells/well)を播種した。播種した細胞を37℃、5%COの条件で一晩培養した後、その後、PBSで希釈した各一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(終濃度3~30nM)をリポフェクション法にて、上述の細胞にトランスフェクションした。添加後、37℃、5%COの条件で24時間上記細胞を培養した。陰性対照群としては、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが溶解していないPBSをトランスフェクションした細胞を用いた。その後、上記増殖培地に、Caspase-Glo 3/7 Assay System(Promega社製、Cat#G8093)を添加してカスパーゼ活性を評価した。上述の方法で求められた、各一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドにおけるカスパーゼ活性を表6に示す。
Figure 2024079633000053
以上のように本発明の実施形態及び実施例について説明を行なったが、上述の各実施形態及び各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態及び実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (29)

  1. ヒトWRN遺伝子の第26番又は第28番エクソンのスキップ変異に対して、機能的なヒトWRNタンパク質を発現するオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬であって、
    前記オリゴヌクレオチドは、各ヌクレオチドがリン酸基及び/又は修飾リン酸基で結合されており、
    前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾糖を有する修飾核酸、を含み、
    前記オリゴヌクレオチドの塩基長は、10~30merであり、
    前記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
    配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、前記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
    前記標的領域において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列に対して、相補的な塩基配列、又は、
    前記標的領域を有するオリゴヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列、である、オリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  2. 前記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
    配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、前記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、95%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  3. 前記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
    配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、前記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  4. 前記オリゴヌクレオチドの塩基長は、15~25merである、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  5. 前記オリゴヌクレオチドを構成する糖がD-リボフラノースであり、糖の修飾が前記D-リボフラノースの2’位の水酸基の糖修飾である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  6. 前記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が下記の式(A1)で表される基である、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
    Figure 2024079633000054

    (式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、Xはリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合又はアルキルホスホナート結合であり、Yは、それぞれ、独立して、水素原子、水酸基、フッ素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基、又は置換されていてもよいアミノ基であり、Zは、それぞれ、独立して、水素原子であるか、炭素-酸素二重結合若しくは環状構造を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基であるか、又は前記アルキル基の一部の炭素原子とYとが一緒になって環を形成する。)
  7. 前記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が下記の式(A2)又は式(A3)で表される基である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
    Figure 2024079633000055

    (式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、Xはリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合又はアルキルホスホナート結合であり、Rは、それぞれ、独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Y’は、酸素原子又は置換されていてもよい窒素原子であり、R及びRは、それぞれ、独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、又は、R及びRが一緒になってカルボニル基又は環を形成しており、nは、0又は1である。)
  8. 前記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が前記式(A2)で表される基であり、前記Rは、それぞれ、独立して、メチル基、メトキシエチル基、又はN-メチルプロパンアミド基である、請求項7に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  9. 前記オリゴヌクレオチドを構成する糖の修飾が前記式(A3)で表される基であり、前記Y’は、酸素原子、又は水素原子、メチル基、メトキシエチル基、若しくはN-メチルプロパンアミド基で置換されていてもよい窒素原子であり、前記R及びRは、それぞれ、独立して、水素原子、炭素数1~2のアルキル基、又は前記R及びRが一緒になってカルボニル基又は炭素数3~6の環を形成しており、nは、0又は1である、請求項7に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  10. 前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチド間結合がホスホロチオエート結合である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  11. 前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチド間結合がホスホジエステル結合である、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  12. 前記オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間結合がホスホジエステル結合又はホスホロチオエート結合である、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  13. 前記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
    前記オリゴヌクレオチドが下記の式(A4)で表されるモルフォリノ核酸で構成され、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に記載の塩基配列における、前記オリゴヌクレオチドと同じ塩基長で構成された少なくとも1つの標的領域に対して相補的な塩基配列を持つモルフォリノオリゴ核酸である、請求項1~4のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
    Figure 2024079633000056

    (式中、Bxは核酸塩基であり、それぞれ、独立して、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチルシトシン、チミン又はウラシルで表される基であり、X’はリン酸結合であり、それぞれ、独立して、ホスホロジアミダート結合、ホスホロジアミドチオアート結合、又はホスホロジアミドジチオアート結合である。)
  14. 前記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、
    配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番~40番、46番、51番、56番、若しくは62番~63番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108873番、108878番~108917番、108923番、108928番、108933番、若しくは108939番~108940番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列、
    前記標的領域において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列に対して相補的な塩基配列、又は、
    前記標的領域を有するオリゴヌクレオチドに対して、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列である、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  15. 前記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番~32番、34番~40番、46番、51番、若しくは62番~63番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108878番~108909番、108911番~108917番、108923番、108928番、若しくは108939番~108940番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列である、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  16. 前記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて1番、3番、5番~12番、14番~19番、21番、25番、29番、30番、31番、34番、46番、若しくは51番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域、又は配列番号2に記載の塩基配列において、5’末端から数えて108878番、108880番、108882番~108889番、108891番~108896番、108898番、108902番、108906番~108908番、108911番、108923番、若しくは108928番に位置する塩基から連続した15~25merで構成された標的領域に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列である、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  17. 前記オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号9~14、16~26、28~39、41~42、44~50、52、55~56、69、73、80~105、107~108、110、112、114、116、118~131、133、及び135の塩基配列からなる群より選ばれる1つの塩基配列である、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  18. 前記オリゴヌクレオチドは、表2-1から表2-7に示す配列名6-20-A、8-20-A、8-20-B、8-20-C、9-20-A、10-20-A、12-20-A、14-20-A、16-20-A、17-20-A、18-20-A、19-20-A、15-25-A、10-17-A、10-20-B、12-20-B、14-20-B、15-20-B、16-20-B、19-20-B、31-20-B、34-20-B、6-20-B、7-20-B、8-20-D、及び9-20-Bからなる群より選ばれる1つのオリゴヌクレオチドである、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  19. 前記オリゴヌクレオチドは、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1~請求項18のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  20. 請求項19に記載のオリゴヌクレオチドと、
    前記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドに対してハイブリダイズしている第二鎖オリゴヌクレオチドと、を含む二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬であって、
    前記第二鎖オリゴヌクレオチドの塩基配列は、前記一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列に対して相補的な塩基配列を基準として、90%以上100%以下の配列同一性を有する塩基配列である、二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  21. 請求項1~19のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は請求項20に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬と、
    前記オリゴヌクレオチド又は前記第二鎖オリゴヌクレオチドに、直接又はリンカー結合を介して結合している付加物質と、を有する、オリゴヌクレオチド複合体又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬であって、
    前記付加物質は、ポリエチレングリコール、ペプチド、アルキル鎖、リガンド化合物、抗体、タンパク質、及び糖鎖からなる群より選ばれ、
    前記リンカー結合は、それぞれ、独立してホスホジエステル結合、ホスホロチオアート結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホアミダート結合、ボラノホスフェート結合、アルキルホスホナート結合、ホスホロジアミダート結合、ホスホロジアミドチオアート結合、又はホスホロジアミドジチオアート結合である、オリゴヌクレオチド複合体又はその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  22. 請求項1~19のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、請求項20に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は請求項21に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む医薬品。
  23. 請求項1~19のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、請求項20に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は請求項21に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む、ヒトWRN遺伝子の第27番目エクソンのスキッピング剤。
  24. 請求項1~19のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、請求項20に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は請求項21に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む、ヒトWRN遺伝子の第27番目のエクソンのスキッピングによる核移行シグナルを保有する機能的WRN回復剤。
  25. 請求項1~19のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、請求項20に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は請求項21に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む、ウェルナー症候群に対する治療剤。
  26. 請求項1~19のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、請求項20に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は請求項21に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を有効成分として含む、ウェルナー症候群に対する予防剤。
  27. 請求項1~19のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、請求項20に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は請求項21に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬を個体に投与することを含む、ウェルナー症候群の治療方法又は予防方法。
  28. ウェルナー症候群の治療又は予防に使用するための、請求項1~19のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、請求項20に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は請求項21に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
  29. ウェルナー症候群の治療剤又は予防剤を製造するために使用する、請求項1~19のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、請求項20に記載の二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬、又は請求項21に記載のオリゴヌクレオチド複合体若しくはその製薬学的に許容される塩からなる医薬。
JP2023201238A 2022-11-30 2023-11-29 アンチセンス核酸からなる医薬 Pending JP2024079633A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022191137 2022-11-30
JP2022191137 2022-11-30

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024079633A true JP2024079633A (ja) 2024-06-11

Family

ID=91391113

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023201238A Pending JP2024079633A (ja) 2022-11-30 2023-11-29 アンチセンス核酸からなる医薬

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024079633A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7416852B2 (ja) Htra1の発現を調節するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド
JP6208349B2 (ja) アンチセンス核酸
EP3010514B1 (en) Double-stranded antisense nucleic acid with exon-skipping effect
JP2019062913A (ja) アンチセンス核酸
KR102473431B1 (ko) 안티센스 핵산
JP2006507809A (ja) Vegf共調節ケモカイン−1発現のアンチセンス変調
US20220042022A1 (en) Antisense oligonucleotides for modulating htra1 expression
CN115397436A (zh) 用于抑制PNPLA3表达的RNAi剂、其药物组合物和使用方法
JP2021511029A (ja) Srebp1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド
JP2024059839A (ja) Smn2を調節するための化合物及び方法
EP4083208A1 (en) Antisense nucleic acid that induces skipping of exon 50
CA3173049A1 (en) Antisense nucleic acid inducing skipping of exon 51
WO2019177061A1 (ja) 核酸複合体
EP4252846A1 (en) Regulator for expression and/or function of rps25 gene
JP2024079633A (ja) アンチセンス核酸からなる医薬
WO2021187540A1 (ja) Scn1a遺伝子の発現及び/又は機能調節剤
WO2022250155A1 (ja) アンチセンス核酸
EP4067489A1 (en) Method for reducing toxicity of antisense nucleic acids
WO2019038228A1 (en) OLIGONUCLEOTIDES FOR MODULATION OF TOM1 EXPRESSION
NZ749395A (en) Antisense oligonucleotides for modulating htra1 expression