JP2024076849A - 押しボタンスイッチおよびコントローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】押しボタンの視認性を向上でき、構造を簡略化できる押しボタンスイッチを提供する。【解決手段】非常停止スイッチ1において、押込み操作可能な停止ボタン2と、停止ボタン2の押込み操作により移動可能な筒状の操作軸6と、操作軸6の内部に配置されたLED8とを設け、停止ボタン2の表面に凸状湾曲面20aを形成しかつ裏面に第1の凹凸面20bを形成するとともに、操作軸6の内周面に第2の凹凸面6a、6bを形成する。【選択図】 図5
Description
本発明は、押しボタンスイッチに関し、詳細には、押しボタンの視認性を向上させるための構造の改良に関する。
特開2020-92067号公報には、押しボタン式のエンジン始動スイッチが記載されている。エンジン始動スイッチ(100)は、ユーザにより押圧操作されるボタン部(31)を有する操作ノブ(3)と、操作ノブ(3)を収容する筐体(1)と、発光部材(41)と、光拡散部(52)を有し、発光部材(41)を覆うシート部材(5)とを有している(同公報の段落[0019]、[0023]、[0025]、[0029]~[0030]、[0034]、[0037]および図3参照)。
上記公報の記載によれば、ユーザがボタン部(31)を押圧操作すると、発光部材(41)からの光は、シート部材(5)の光拡散部(52)で拡散され、ボタン部(31)の中央の表示部(32)および外周側の接続部(34)を透過することにより、ユーザが表示部(32)を視認しやすくなっている。
また、特開2012-113831号公報には、照光式押しボタンスイッチが記載されている。この押しボタンスイッチ(1)は、利用者により押圧される操作ボタン(8)と、LED(21)と、LED(21)からの光を屈折させる構造体(700)を有する透過板(70)とを有している(同公報の段落[0028]~[0029]、[0033]および図1、図6参照)。
上記公報の記載によれば、利用者が操作ボタン(8)を押圧すると、LED(21)からの光は、構造体(700)で屈折し、透過板(70)の内部で反射して、上部周壁部(71)に導かれることにより、操作ボタン(8)の周壁部(81)を照光する光量を増やすことができるようになっている(同公報の段落[0036]~[0039]および図1、図6参照)。
上記特開2020-92067号公報に記載のエンジン始動スイッチにおいては、同公報の段落[0034]、[0037]および図3に示すように、発光部(41)からの光を拡散させるために、光拡散部(52)を有するシート部材(5)を別途設ける必要がある。そのため、部品点数が増え、構造が複雑になる。
また、上記特開2012-113831号公報に記載の照光式押しボタンスイッチにおいては、同公報の段落[0039]および図1、図6に示すように、LED(21)からの光を屈折させるために、構造体(700)を有する透過板(70)を別途設ける必要がある。そのため、部品点数が増え、構造が複雑になる。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、押しボタンの視認性を向上でき、構造を簡略化できる押しボタンスイッチを提供することにある。
本発明に係る押しボタンスイッチは、押込み操作可能な押しボタンと、押しボタンの押込み操作により移動可能な筒状の軸部と、軸部の内部に配置された光源とを備え、押しボタンの表面に凸状湾曲面が形成されかつ裏面に第1の凹凸面が形成されるとともに、軸部の内周面に第2の凹凸面が形成されている。
本発明によれば、光源からの光は、押しボタンの裏面の第1の凹凸面に入射して拡散され、または、軸部の内周面の第2の凹凸面から押しボタンの裏面の第1の凹凸面に入射して拡散されることにより、押しボタンの内部を通って押しボタンの表面の凸状湾曲面で拡散して外部に透過するとともに、押しボタンの側部を通って外部に透過する。これにより、押しボタンの表面のみならず、側部をも照光させることができ、押しボタンの視認性を向上できる。しかも、この場合には、光源からの光を拡散させるのに、押しボタンの裏面に形成された第1の凹凸面を用いるので、光の拡散のために新たな部材を別途設ける必要がなく、構造を簡略化できる。
本発明では、光源が複数のLEDから構成され、各LEDが基板の表裏に相対してそれぞれ面実装されており、各LEDの発光面の少なくとも一部が第2の凹凸面にそれぞれ対向配置されている。この場合、各LEDの発光面から出射された光は、各発光面の少なくとも一部にそれぞれ相対する第2の凹凸面で拡散される。
本発明では、第2の凹凸面が、各LEDの発光面の中央部と対向する領域において疎または密に配置され、各LEDの発光面の周辺部と対向する領域において密または疎に配置されている。これにより、第2の凹凸面の照光状態について、発光面の中央部と対向する領域と発光面の周辺部と対向する領域との間で均一にすることができ、または変化をつけることができるようになる。
本発明では、第1の凹凸面が、第1の凹凸パターンと、これと異なる第1’の凹凸パターンとを有しており、第1の凹凸パターンが、各々直線状に延びる複数の直線状凸部から構成され、第1’の凹凸パターンが、各々曲線状に延びる複数の曲線状凸部から構成されている。
この場合には、光源からの光は、押しボタンの裏面の第1の凹凸面において、複数の直線状凸部から構成された第1の凹凸パターンで拡散されるとともに、複数の曲線状凸部から構成された第1’の凹凸パターンで拡散される。これにより、押しボタンの表面の凸状湾曲面の照光状態を均一にすることができ、または照光状態に変化をつけることができるようになる。
本発明では、直線状凸部および曲線状凸部が三角形状の横断面形状を含んでおり、当該横断面形状が、押しボタンの軸方向と交差する方向に延びる斜辺と、斜辺と鋭角に交差しつつ軸方向に延びる隣辺とから構成されている。
この場合には、光源からの光は、第1、第1’の凹凸パターンにおいて、直線状凸部および曲線状凸部のとくに斜辺で大きく拡散されることにより、押しボタンの表面の凸状湾曲面の照光状態を均一にすることができ、または照光状態に変化をつけることができるようになる。
本発明では、第1の凹凸パターンが押しボタンの裏面の中央を含む領域に配置され、第1’の凹凸パターンが押しボタンの裏面において第1の凹凸パターンの側方に配置されている。
本発明では、第2の凹凸面が、軸部の内周面において、軸方向に直線状に延びる複数の直線状凸部から構成されている。
本発明では、押しボタンが透光性部材から構成されており、光源から出射された出射光が、軸部の内周面の第2の凹凸面、ならびに押しボタンの裏面の第1の凹凸面および表面の凸状湾曲面を介して拡散されることにより、押しボタンの表面および側部から外部に拡散光が射出されるようになっている。
本発明では、押しボタンスイッチが非常停止スイッチである。
本発明に係るコントローラは、非常停止スイッチを備えている。
以上のように本発明によれば、押しボタンの視認性を向上でき、構造を簡略化できる。
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図18は、本発明の一実施例による押しボタンスイッチとしての非常停止スイッチを説明するための図であって、図1ないし図4は非常停止スイッチの外観図、図5および図6は非常停止スイッチの内部構造図、図7ないし図11は停止ボタンの裏面の第1の凹凸面を説明するための図、図12ないし図17は操作軸およびその内周面の第2の凹凸面を説明するための図、図18は非常停止スイッチを備えたコントローラの概略ブロック構成を示す図である。なお、以下の記載では、説明の便宜上、停止ボタンに向かう側を上側(上方/上)とし、固定端子に向かう側を下側(下方/下)と呼称することにする。すなわち、図3、図5を例にとると、図示上側が上側であり、図示下側が下側である。
図1ないし図18は、本発明の一実施例による押しボタンスイッチとしての非常停止スイッチを説明するための図であって、図1ないし図4は非常停止スイッチの外観図、図5および図6は非常停止スイッチの内部構造図、図7ないし図11は停止ボタンの裏面の第1の凹凸面を説明するための図、図12ないし図17は操作軸およびその内周面の第2の凹凸面を説明するための図、図18は非常停止スイッチを備えたコントローラの概略ブロック構成を示す図である。なお、以下の記載では、説明の便宜上、停止ボタンに向かう側を上側(上方/上)とし、固定端子に向かう側を下側(下方/下)と呼称することにする。すなわち、図3、図5を例にとると、図示上側が上側であり、図示下側が下側である。
図1ないし図4に示すように、非常停止スイッチ1は、操作者により押込み操作可能な停止ボタン(押しボタン)2と、停止ボタン2の押込み操作により移動可能な操作軸(軸部)(後述)と、操作軸を収容するとともに、停止ボタン2を支持する筐体3とを備えている。停止ボタン2および操作軸は、透光性部材から構成されており、とくに停止ボタン2については、好ましくは、光拡散作用を十分に発揮できるように乳白色や半透明(たとえば赤色の半透明)などの部材から構成されている。
筐体3には、半径方向外方に張り出すフランジ部3Aと、雄ねじ部30と、雄ねじ部30に螺合するロックナット4とが設けられている。非常停止スイッチ1の取付けの際には、たとえば制御パネル等のパネルに貫通形成した取付孔(図示せず)に雄ねじ部30を挿入し、当該パネルをフランジ部3Aおよびロックナット4間で挟持することにより、非常停止スイッチ1がパネルに取り付けられるようになっている。また、非常停止スイッチ1の底面からは、固定端子5が延びている。
非常停止スイッチ1の縦断面図である図5(図4のV-V線断面に相当)に示すように、非常停止スイッチ1の停止ボタン2は、上側に配置され、操作者により押込み操作される上部20と、その外周縁部から下方に延びる側部21とを有するカップ形状を有している。上部20の上面(表面)20Aは中央に凹部を有し、当該凹部には上凸状湾曲面20aが形成されている(図1、図4、図6参照)。上部20の下面(裏面)には、第1の凹凸面20bが形成されている(図6参照)。上凸状湾曲面20aは、第1の凹凸面20bを上方から覆うように配置されており、上凸状湾曲面20aの形成領域は、好ましくは、第1の凹凸面20bの形成領域よりも大きい(図4参照)。なお、図4では、第1の凹凸面20bの形成領域の外縁のみを示しており、第1の凹凸面20bの詳細は後述する。
図5に示すように、停止ボタン2の裏面側には、各々下方に延びかつ半径方向の間隔を隔てて各々周方向に配設された立壁部22、23が設けられている。立壁部22は立壁部23よりも小径であって、第1の凹凸面20bの形成領域の外縁の半径方向外側に配置されている。各立壁部22、23間には、コイルばね24が配置されている。コイルばね24は、軸方向(図5上下方向)に延びており、その上端は停止ボタン2の裏面に当接している。
停止ボタン2の下方には、軸方向(図5上下方向)に延びる操作軸(軸部)6が設けられており、操作軸6の上端は、停止ボタン2の裏面に取り付けられている。また、操作軸6の上端は、停止ボタン2の第1の凹凸面20bに対向配置されており、操作軸6の上端の外周面は、第1の凹凸面20bの形成領域の外縁よりも半径方向内方に配置されている(図4参照)。なお、図4では、操作軸6の上端の外周面のみを示している。
操作軸6の軸方向中央には、半径方向外方に延びるフランジ部60が設けられている。フランジ部60の上面には、周方向に延びる周溝60aが形成され、周溝60aの底面にコイルばね24の下端が当接している。コイルばね24は、停止ボタン2に対して押込み方向にクッション性(弾力性)を付与することにより、停止ボタン2が軽い力で不用意に押し込まれないようにしている。
操作軸6は筒状の部材であって、その上部内周面には、第2の凹凸面6a、6bが形成されている(詳細は後述)。操作軸6の内部には、上下方向に延設された基板7が配置されている。基板7の短手方向は、操作軸6の中心を通って径方向に延びており、長手方向は、操作軸6の軸方向に延びている。基板7は表裏に実装面を有し、基板7の各実装面には各種電子部品が実装され、基板7の上部において各実装面には、LED(光源)8、8’がそれぞれ面実装されている。図示例では、LED8、8’の各発光面(図6中の符号8a、8’a参照)の一部が操作軸6の第2の凹凸面6a、6bに対向配置されている。
操作軸6の下部には、半径方向外方に突出しつつ周方向に弧状に延びる左右一対の凸部61が設けられている。各凸部61は、互いに交差する方向に延びる上下一対の傾斜面を有している。一方、筐体3の内部には、半径方向にスライド可能な左右一対のロック部材9が設けられている。各ロック部材9は、ばね90の弾性反発力により、操作軸6に向かう側に常時付勢されている。各ロック部材9は、互いに交差する方向に延びる上下一対の傾斜面を有している。ロック部材9の各傾斜面は、操作軸6の凸部61の各傾斜面に対応している。
図5に示すように、停止ボタン2の押込み操作前の状態においては、操作軸6の凸部61の下側の傾斜面にロック部材9の上側の傾斜面が圧接して係合しており、これにより、操作軸6を軸方向下方にロックするロック荷重が作用している。一方、停止ボタン2の押込み操作により操作軸6が下方に移動しようとしたとき、操作軸6に対する軸方向下方への荷重が、凸部61に作用するロック部材9によるロック荷重に打ち勝つと、凸部61がロック部材9を乗り越えて下方に移動し、その結果、操作軸6の軸方向下方へのロック状態が解除される。
操作軸6の下方には、軸方向(図5上下方向)に延びる接点軸10が設けられている。接点軸10の上部は、操作軸6の下部の内周面6cに嵌合して固定されている。接点軸10は筒状の部材であって、基板7は接点軸10の内部を通って下方に延びている。接点軸10の下部には、左右一対の可動接点11が設けられている。一方、筐体3の内部には、左右一対の固定接点12が固定されており、各固定接点12は、対応する各可動接点11の上方に対向配置されている。各固定接点12は、固定端子5に接続されている。各可動接点11は、ばね13の弾性反発力により、対応する各固定接点12の側に付勢されている。
図5に示すように、停止ボタン2の押込み操作前の状態においては、各可動接点11が対応する各固定接点12に接触しており、接点がオンの状態になっている。このとき、ばね13は各接点11、12間に接圧を付与している。一方、停止ボタン2が押込み操作され、操作軸6の軸方向下方へのロック状態が解除されると、各可動接点11が対応する各固定接点12から離反して、接点がオフの状態になる。
次に、停止ボタン2の裏面側の第1の凹凸面20bの詳細について、図7ないし図11を用いて説明する。
図7に示すように、第1の凹凸面20bは、複数の凸部20b0を平面上に配設することにより構成されている。各凸部20b0は、押しボタン2の中心線CLを対称軸として左右対称(線対称)に配置されている。各凸部20b0は横断面(図7の紙面と平行な方向の断面)が略三角形状を有しており、停止ボタン2の軸方向(同図上下方向)と交差する方向に延びる斜辺20b1と、斜辺20b1と鋭角に交差しつつ軸方向に延びる隣辺20b2と、これらを接続する接続辺20b3とを有している(図8参照)。ここで、略三角形状とは、厳密な三角形状でなくてもよく、本発明の作用効果を奏することができるものであれば、たとえば、三角形の頂点が欠けた台形状であってもよい。なお、斜辺20b1、隣辺20b2、接続辺20b3は、必ずしも直線に限らず曲線でもよく、また接続辺20b3は省略してもよい。また、第1の凹凸面20bは、停止ボタン2の裏面にたとえばローレット加工を施すことにより形成されている。ここで、「ローレット加工」とは、金属や樹脂の表面に細かな凹凸や切込みを入れる加工法である。
図7に示すように、第1の凹凸面20bは、複数の凸部20b0を平面上に配設することにより構成されている。各凸部20b0は、押しボタン2の中心線CLを対称軸として左右対称(線対称)に配置されている。各凸部20b0は横断面(図7の紙面と平行な方向の断面)が略三角形状を有しており、停止ボタン2の軸方向(同図上下方向)と交差する方向に延びる斜辺20b1と、斜辺20b1と鋭角に交差しつつ軸方向に延びる隣辺20b2と、これらを接続する接続辺20b3とを有している(図8参照)。ここで、略三角形状とは、厳密な三角形状でなくてもよく、本発明の作用効果を奏することができるものであれば、たとえば、三角形の頂点が欠けた台形状であってもよい。なお、斜辺20b1、隣辺20b2、接続辺20b3は、必ずしも直線に限らず曲線でもよく、また接続辺20b3は省略してもよい。また、第1の凹凸面20bは、停止ボタン2の裏面にたとえばローレット加工を施すことにより形成されている。ここで、「ローレット加工」とは、金属や樹脂の表面に細かな凹凸や切込みを入れる加工法である。
図9ないし図11に示すように、第1の凹凸面20bは、第1の凹凸パターン20Bと、これと異なる第1’の凹凸パターン20B’とを有している。第1の凹凸パターン20Bは、各々直線状に延びる複数の直線状凸部20b0から構成され、第1’の凹凸パターンは、各々曲線状(図示例では円弧状)に延びる複数の曲線状凸部20b0から構成されており、直線状凸部20b0および曲線状凸部20b0は同じ横断面形状を有している。すなわち、第1の凹凸パターン20Bおよび第1’の凹凸パターン20B’のいずれにおいても、これらをそれぞれ構成する各凸部の形状は、図7および図8に示すような略三角形状を有している。
図11に示すように、第1の凹凸パターン20Bは、停止ボタン2の裏面の中央(中心Oおよびその周囲)を含む領域に配置され、第1’の凹凸パターン20B’は、裏面において第1の凹凸パターン20Bの側方に配置されている。図示例では、第1’の凹凸パターン20B’は、第1の凹凸パターン20Bの左右両側方に配置されている。また、同図中、LED8、8’の位置が一点鎖線で示されており、第1の凹凸パターン20Bの各直線状凸部20b0の配設方向は、LED8、8’の各発光面8a、8’aに平行になっている。
図7は図11のVII-VII線断面図(中心Oを通る横断面図)に相当しており、主に第1の凹凸パターン20Bの横断面形状を示しているが、第1’の凹凸パターン20B’の横断面形状についても第1の凹凸パターン20Bと同様に現れる。
次に、第2の凹凸面6a、6bの詳細について、図12ないし図16を用いて説明する。
これらの図に示すように、第2の凹凸面6a、6bは、操作軸6の内周面上において軸線を挟んで相対する位置に設けられている。図示例では、第2の凹凸面6a、6bは、操作軸6の内周面の全周に設けられておらず、LED8、8’の各発光面8a、8’aとそれぞれ対向する位置に設けられており、基板7の端面の側方には設けられていない(図13参照)。
これらの図に示すように、第2の凹凸面6a、6bは、操作軸6の内周面上において軸線を挟んで相対する位置に設けられている。図示例では、第2の凹凸面6a、6bは、操作軸6の内周面の全周に設けられておらず、LED8、8’の各発光面8a、8’aとそれぞれ対向する位置に設けられており、基板7の端面の側方には設けられていない(図13参照)。
第2の凹凸面6a、6bは、図13に示すように、複数の凸部を操作軸6の内周面上に配設することにより構成されており、各凸部の頂点は軸方向に延びている。すなわち、第2の凹凸面6a、6bは、操作軸6の内周面において、軸方向に直線状に延びる複数の直線状凸部から構成されている。各凸部は、横断面(図13の紙面と平行な方向の断面)が概ね三角形状(図示例では二等辺三角形状)を有しており、互いに交差する一対の斜辺を有している。各凸部は、操作軸6の内周面にたとえばローレット加工を施すことにより形成されている。
次に、本実施例の作用効果について説明する。
LED8、8’に電流が供給されるタイミングは、可動接点11が固定接点12から離反したとき、または可動接点11が固定接点12と接触したときのいずれにも設定可能であるが、ここでは、可動接点11が固定接点12に接触した際(すなわち、非常停止スイッチ1がノンアクティブの際)にLED8、8’に電流が供給されてLED8、8’が発光する場合を例にとる。
LED8、8’に電流が供給されるタイミングは、可動接点11が固定接点12から離反したとき、または可動接点11が固定接点12と接触したときのいずれにも設定可能であるが、ここでは、可動接点11が固定接点12に接触した際(すなわち、非常停止スイッチ1がノンアクティブの際)にLED8、8’に電流が供給されてLED8、8’が発光する場合を例にとる。
図5に示すように、非常停止スイッチ1がノンアクティブの状態から、操作者が停止ボタン2を押込み操作すると、停止ボタン2とともに操作軸6が下方に移動しようとし、このとき、操作軸6に対する軸方向下方への荷重が、凸部61に作用するロック部材9によるロック荷重に打ち勝つと、凸部61がロック部材9を乗り越えて下方に移動し、その結果、操作軸6の軸方向下方へのロック状態が解除される。これにより、各可動接点11がこれらに対応する各固定接点12から離反して、接点がオフとなり、非常停止スイッチ1がアクティブの状態に移行する。
接点がオンの状態はたとえばモニター接点(図示せず)により検出され、その検出信号に基づき、LED8、8’に電流が供給されてLED8、8’が発光する。LED8、8’から出射された出射光は、操作軸6の上部においてLED8、8’にそれぞれ相対する第2の凹凸面6a、6bに入射される。第2の凹凸面6a、6bへの入射光は、当該第2の凹凸面6a、6bにおいて反射、屈折および透過、さらには拡散(つまり拡散反射や拡散透過)を繰り返して、操作軸6の上端まで進む。
操作軸6の上端まで進んだ光は、操作軸6の上端の開口から上方に向けて出射され、停止ボタン2の裏面の第1の凹凸面20bに入射される。このとき、第1の凹凸面20bへの入射光の進路の一例について図7を用いて説明する。
図7では、第1の凹凸面20bへの入射光のいくつかを符号L1、L2、L1’、L2’、L3’で示している。入射光L1、L2は、たとえばLED8から出射されて第2の凹凸面6aを経由してきた光であり、入射光L1’、L2’、L3’は、たとえばLED8’から出射されて第2の凹凸面6bを経由してきた光である。なお、同図中、第1の凹凸面20bの凸部20b0の斜辺20b1と交差する細線は、斜辺20b1上の光の入射点に立てた垂線であり、同様に、上凸状湾曲面20aと交差する細線は、上凸状湾曲面20a上の光の入射点に立てた垂線である。
入射光L1は、第1の凹凸面20bにおいて中心線CLの図示右側において凸部20b0の斜辺20b1に入射後、屈折して凸部20b0内に入り(屈折光線L10 参照)、停止ボタン2の内部を進んだ後、上凸状湾曲面20aから外部に透過する(透過光線L11 参照)。同様に、入射光L2は、第1の凹凸面20bにおいて中心線CLの図示右側において凸部20b0の斜辺20b1に入射後、屈折して凸部20b0内に入り(屈折光線L20 参照)、停止ボタン2の内部を進んだ後、上凸状湾曲面20aから外部に透過する(透過光線L21 参照)。透過光線L11 、L21 は、図7の図示右斜め上方に向かって進んでいる。各屈折光線L10 、L20 が上凸状湾曲面20aから外部に透過する際には、上凸状湾曲面20aで拡散透過がなされるので、正透過光である透過光線L11 、L21に加えて、様々な方向に透過する拡散透過光が生じる。
また、入射光L1’、L2’は、第1の凹凸面20bにおいて中心線CLの図示左側において凸部20b0の斜辺20b1に入射後、屈折して凸部20b0内に入り(屈折光線L10 ’、L20 ’参照)、停止ボタン2の内部を進んだ後、上凸状湾曲面20aから外部に透過する(透過光線L11 ’、L21 ’参照)。透過光線L11 ’、L21 ’は、図7の図示左斜め上方に向かって進んでいる。各屈折光線L10 ’、L20 ’が上凸状湾曲面20aから外部に透過する際には、上凸状湾曲面20aで拡散透過がなされるので、正透過光である透過光線L11 ’、L21 ’に加えて、様々な方向に透過する拡散透過光が生じる。
このようにして、停止ボタン2の上凸状湾曲面20aを含む上部20の上面20A全体が正透過光および拡散透過光により照光(つまり面発光)することになる。
一方、入射光L3 ’は、第1の凹凸面20bにおいて中心線CLの図示右側において凸部20b0の斜辺20b1に垂直に入射した後、そのまま凸部20b0内に入り(光線L30 ’参照)、停止ボタン2の内部を上方に進んだ後、上凸状湾曲面20aで反射(または全反射)して停止ボタン2の内部を下方に進み(反射光線L31 ’参照)、凸部20b0で反射(または全反射)した後(反射光線L32 ’参照)、停止ボタン2の側部21(図5)に向かって進み、側部21から外部に透過する(図示せず)。このとき、側部21において拡散透過がなされるので、側部21の外表面では、正透過光に加えて、様々な方向に透過する拡散透過光が生じる。
このようにして、停止ボタン2の側部21が正透過光および拡散透過光により照光(つまり面発光)することになる。この場合には、停止ボタン2の上面20A全体の照光と併せて側部21が照光するので、停止ボタン2全体を照光させることができる。これにより、停止ボタン2の視認性を向上できる。しかも、この場合には、LED8、8’からの光を拡散させるのに、停止ボタン2の裏面に形成した第1の凹凸面20bを用いるので、光の拡散のために新たな部材を別途設ける必要がなく、構造を簡略化できる。
なお、図7では、第1の凹凸面20bにおいて第1の凹凸パターン20Bの直線状凸部20b0に光が入射する例が示されているが、第1の凹凸面20bにおいて第1’の凹凸パターン20B’の曲線状凸部20b0に光が入射する場合についても同図に示すものと同様である。ただ、この場合、曲線状凸部20b0が円弧状に湾曲しつつ延びているので、曲線状凸部20b0への入射光は、図7の紙面手前側および紙面奥側において上凸状湾曲面20aから円周方向に沿って出射されることになる。このときの出射光についても、正透過光のみならず様々な方向に透過する拡散透過光を含んでいる。
このように、LED8、8’からの出射光は、停止ボタン2の裏面の第1の凹凸面20bにおいて、複数の直線状凸部20b0から構成された第1の凹凸パターン20Bで拡散されるとともに、複数の曲線状凸部20b0から構成された第1’の凹凸パターン20B’で拡散される。また、直線状凸部20b0および曲線状凸部20b0のとくに斜辺20b1で大きく拡散される。これにより、停止ボタン2の上面の凸状湾曲面20aの照光状態を均一にすることができ、または照光状態に変化をつけることができるようになる。
前記実施例では、図13に示すように、第2の凹凸面6a、6bを構成する複数の凸部が周方向に均等に配置された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図17は第2の凹凸面6aの変形例を示している。同図において、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。ここでは、第2の凹凸面6aを例にとって説明するが、第2の凹凸面6bの場合も同様である。
図17に示すように、第2の凹凸面6aの各凸部は、LED8の発光面8aの中央部と対向する領域においてパターン幅λ0を有し、発光面8aの周辺部と対向する領域においてパターン幅λ1(>λ0)を有している。すなわち、各凸部は、LED8の発光面8aの中央部と対向する領域において密に配置され、発光面8aの周辺部と対向する領域において疎に配置されている。
この場合には、LED8の発光面8aの中央部と対向する領域の各凸部による拡散光の光量が、発光面8aの周辺部と対向する領域の各凸部による拡散光の光量よりも多くなるので、中央部と対向する領域と、周辺部と対向する領域との間で照光状態を均一にすることができる。
一方、第2の凹凸面6aの各凸部の疎密の配置は、図17に示す例とは逆に、LED8の発光面8aの中央部と対向する領域において疎に配置し、発光面8aの周辺部と対向する領域において密に配置するようにしてもよい。
この場合には、LED8の発光面8aの周辺部と対向する領域の各凸部による拡散光の光量が、発光面8aの中央部と対向する領域の各凸部による拡散光の光量よりも多くなるので、中央部と対向する領域と、周辺部と対向する領域との間で照光状態に変化をつけることができるようになる。
上述した例では、各凸部の繰返しのパターン幅を異ならせることにより、各凸部の疎密の配置を実現したが、各凸部のパターン幅を同じにするとともに、各凸部間の間隔に広狭をつけることにより、各凸部の疎密の配置を実現するようにしてもよい。
前記実施例では、光源として、基板7の表裏に相対して一対のLED8、8’を面実装した例を示したが、LEDの個数はこれに限定されず、これより多くてもよい。また、前記実施例では、各LED8、8’の発光面8a、8’aの一部が操作軸6の第2の凹凸面6a、6bにそれぞれ対向配置された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。各LED8、8’の発光面8a、8’aの全体が第2の凹凸面6a、6bにそれぞれ対向配置されるようにしてもよい。なお、前記実施例のように、各LED8、8’の発光面8a、8’aの一部が操作軸6の第2の凹凸面6a、6bにそれぞれ対向配置されている場合には、非常停止スイッチ1全体の短尺化に寄与できる。
前記実施例では、本発明による押しボタンスイッチが非常停止スイッチに適用された例を示したが、本発明は非常停止スイッチ以外の他の停止スイッチにも適用可能である。
本発明を適用した非常停止スイッチは、たとえば、工場等で使用される機械設備やその制御機器、制御機器に接続される教示装置等の各種コントローラに設けられ、非常停止スイッチの操作時には、機械設備を緊急停止させる。
図18は、このようなコントローラの概略ブロック構成の一例を示している。同図に示すように、コントローラ100の入力側には、非常停止スイッチ1と、たとえばレーザースキャナや光電センサ等の各種センサ101とが接続されており、出力側には、制御対象となるロボット駆動部102と、たとえばコンベヤ等のその他の駆動部103とが接続されている。
上述した実施例では、第1の凹凸面20bが、第1の凹凸パターン20Bと、これと異なる第1’の凹凸パターン20B’とを有している例を示したが(図9ないし図11参照)、本発明の適用はこれに限定されない。
たとえば、第1の凹凸面20bが第1の凹凸パターン20Bのみ有するようにしてもよく、また第1の凹凸面20bが第2の凹凸パターン20B’のみ有するようにしてもよい。
上述した実施例では、第2の凹凸面6a、6bが、操作軸6の内周面の全周に設けられておらず、LED8、8’の各発光面8a、8’aとそれぞれ対向する位置に設けられ、基板7の端面の側方には設けられていない例を示したが(図12ないし図16参照)、本発明の適用はこれに限定されない。
たとえば、第2の凹凸面6a、6bを、操作軸6の内周面の全周に設けるようにしてもよい。また、たとえば、LED8、8’の各発光面8a、8’aと対向する領域には凸部を密に配置し、LED8の発光面8aの側方と対向する領域には凸部を疎に配置するようにしてもよい。
〔その他の実施例および変形例〕
上述した実施例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
上述した実施例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
本発明は、押しボタンスイッチに有用であり、とくに、押しボタンの視認性を向上させるための構造に適している。
1: 非常停止スイッチ(押しボタンスイッチ)
2: 停止ボタン(押しボタン)
20a: 上凸状湾曲面(凸状湾曲面)
20b: 第1の凹凸面
20b0: 凸部
20b1: 斜辺
20b2: 隣辺
20B: 第1の凹凸パターン
20B’: 第1’の凹凸パターン
21: 側部
6: 操作軸(軸部)
6a、6b: 第2の凹凸面
8、8’: LED(光源)
100: コントローラ
L1、L2、L1’、L2’、L3’: 出射光
L11、L21、L11’、L21’: 拡散光
2: 停止ボタン(押しボタン)
20a: 上凸状湾曲面(凸状湾曲面)
20b: 第1の凹凸面
20b0: 凸部
20b1: 斜辺
20b2: 隣辺
20B: 第1の凹凸パターン
20B’: 第1’の凹凸パターン
21: 側部
6: 操作軸(軸部)
6a、6b: 第2の凹凸面
8、8’: LED(光源)
100: コントローラ
L1、L2、L1’、L2’、L3’: 出射光
L11、L21、L11’、L21’: 拡散光
Claims (10)
- 押しボタンスイッチにおいて、
押込み操作可能な押しボタンと、
前記押しボタンの押込み操作により移動可能な筒状の軸部と、
前記軸部の内部に配置された光源とを備え、
前記押しボタンの表面に凸状湾曲面が形成されかつ裏面に第1の凹凸面が形成されるとともに、前記軸部の内周面に第2の凹凸面が形成されている、
ことを特徴とする押しボタンスイッチ。 - 請求項1において、
前記光源が複数のLEDから構成され、前記各LEDが基板の表裏に相対してそれぞれ面実装されており、前記各LEDの発光面の少なくとも一部が前記第2の凹凸面にそれぞれ対向配置されている、
ことを特徴とする押しボタンスイッチ。 - 請求項2において、
前記第2の凹凸面が、前記各LEDの前記発光面の中央部と対向する領域において疎または密に配置され、前記各LEDの前記発光面の周辺部と対向する領域において密または疎に配置されている、
ことを特徴とする押しボタンスイッチ。 - 請求項1において、
前記第1の凹凸面が、第1の凹凸パターンと、これと異なる第1’の凹凸パターンとを有しており、前記第1の凹凸パターンが、各々直線状に延びる複数の直線状凸部から構成され、前記第1’の凹凸パターンが、各々曲線状に延びる複数の曲線状凸部から構成されている、
ことを特徴とする押しボタンスイッチ。 - 請求項4において、
前記直線状凸部および前記曲線状凸部が略三角形状の横断面形状を含んでおり、前記横断面形状が、前記押しボタンの軸方向と交差する方向に延びる斜辺と、前記斜辺と鋭角に交差しつつ前記軸方向に延びる隣辺とを有している、
ことを特徴とする押しボタンスイッチ。 - 請求項4において、
前記第1の凹凸パターンが、前記押しボタンの前記裏面の中央を含む領域に配置され、前記第1’の凹凸パターンが、前記裏面において前記第1の凹凸パターンの側方に配置されている、
ことを特徴とする押しボタンスイッチ。 - 請求項1において、
前記第2の凹凸面が、前記軸部の内周面において、軸方向に直線状に延びる複数の直線状凸部から構成されている、
ことを特徴とする押しボタンスイッチ。 - 請求項1において、
前記押しボタンが透光性部材から構成されており、前記光源から出射された出射光が、前記軸部の前記内周面の前記第2の凹凸面、ならびに前記押しボタンの前記裏面の前記第1の凹凸面および前記表面の前記凸状湾曲面を介して拡散されることにより、前記押しボタンの前記表面および側部から外部に拡散光が射出されるようになっている、
ことを特徴とする押しボタンスイッチ。 - 請求項1において、
前記押しボタンスイッチが非常停止スイッチである、
ことを特徴とする押しボタンスイッチ。 - 請求項9に記載の非常停止スイッチを備えたコントローラ。
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