JP2024076049A - エポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン、それを含む硬化性組成物およびその硬化物 - Google Patents

エポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン、それを含む硬化性組成物およびその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐クラック性および可とう性に優れる硬化物を与えるエポキシ基含有オルガノポリシロキサンを提供すること。【解決手段】下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン。TIFF2024076049000024.tif6371(R1~R4は1価炭化水素基等を表し、Z1およびZ2は、1価炭化水素基、エポキシ基含有1価有機基等を表すが、少なくとも1つはエポキシ基含有1価有機基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン、それを含む硬化性組成物およびその硬化物に関し、さらに詳述すると、エポキシ基含有環状シロキサン骨格が連結基により連結されたオルガノポリシロキサン、それを含む硬化性組成物およびその硬化物に関する。
エポキシ基を有するオルガノポリシロキサンは、非シロキサン系のフェノール樹脂骨格を有するエポキシ材料と比較して、耐熱黄変特性および低硬化収縮に優れることから、電子材料用途にてエポキシ官能型ポリシロキサンを用いた封止材やレンズ成形材が提案されている(特許文献1、2)。
また、エポキシ基を有するオルガノポリシロキサンは、シロキサン骨格の耐熱性、耐候性を生かした塗料用バインダーとしての応用も提案されている(特許文献3~6)。
一方、従来の硬化性エポキシ材料の硬化物にはクラックが生じやすいという欠点があり、エポキシ基を有するオルガノポリシロキサンにおいても十分な特性改良には至っていない。
特開2005-171021号公報 特開2019-189874号公報 特開2015-112599号公報 特開2019-143161号公報 特開2019-108541号公報 特開2012-144678号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、耐クラック性および可とう性に優れる硬化物を与えるエポキシ基含有オルガノポリシロキサン、それを含む硬化性組成物およびその硬化物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、エポキシ基含有環状シロキサンが連結基により連結された主骨格を有するオルガノポリシロキサンが、エポキシ基の重合により得られる硬化物の可とう性および耐クラック性を向上させることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン、
Figure 2024076049000001
(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、酸素原子が介在していてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基を表し、
Yは、2価炭化水素基を表し、
1およびZ2は、それぞれ独立して、酸素原子が介在していてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基、酸素原子が介在していてもよいエポキシ基含有1価有機基、アルコキシシリルアルキル基、または水素原子を表すが、少なくとも1つは酸素原子が介在していてもよいエポキシ基含有1価有機基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して1~5、かつ、n1+n2=3~6を満たす整数を表し、
n3およびn4は、それぞれ独立して1~5、かつ、n3+n4=3~6を満たす整数を表し、
mは、1~11の整数を表す。)
2. 前記R1、R2、R3およびR4が、メチル基である1のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン、
3. 前記Z1およびZ2が、3-グリシジルオキシプロピル基および2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基から選ばれる1種以上である1のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン、
4. 前記Yが、多環構造を有する2価飽和炭化水素基である1のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン、
5. 前記Yが、下式(2a)および(2b)で表される2価飽和炭化水素基から選ばれる1種以上である4のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン、
Figure 2024076049000002
(式中、アスタリスク(*)は、ケイ素原子との結合部位を示し、各不斉炭素における立体配置は、シス(エキソ)またはトランス(エンド)のいずれであってもよい。)
6. n1およびn4が、3であり、n2およびn3が、1である1のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン、
7. エポキシ基の官能基当量が、200~400g/モルである1のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン、
8. (A)1~7のいずれかのエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン:100質量部、および
(B)硬化剤:0.01~5質量部
を含む硬化性組成物、
9. (C)前記(A)以外のエポキシ基含有化合物:1~200質量部を含む8の硬化性組成物、
10. 前記硬化剤が、光酸発生剤である9の硬化性組成物、
11. 9の硬化性組成物が硬化してなる硬化物
を提供する。
本発明によれば、耐クラック性および可とう性を有する硬化物を与えるエポキシ基含有オルガノポリシロキサン、およびそれを含む硬化性組成物を提供できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
[1]エポキシ基含有オルガノポリシロキサン
本発明に係るエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサンは、下記一般式(1)で表される。
Figure 2024076049000003
式(1)において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、酸素原子が介在していてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基を表す。
1価炭化水素基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-デシル基等のアルキル基;ビニル、アリル(2-プロペニル)、1-プロペニル、イソプロペニル、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル、トリル、キシリル、ナフチル基等のアリール基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~12のアリール基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素数1~5のアルキル基がより一層好ましく、メチル基がさらに好ましい。
なお、上記1価炭化水素基は、その分子鎖内またはSi側末端に酸素原子が介在していてもよく、例えば、炭素数1~20のアルコキシ基であってもよい。
式(1)において、Yは、2価炭化水素基を表し、この基としては、特に限定されるものではないが、多環構造を有する2価飽和炭化水素基が好ましく、下記式(2a)、(2b)および(10a)~(10c)で表される基がより好ましく、式(2a)、(2b)で表される基がより一層好ましい。
なお、下記式で表される非対称な2価の炭化水素基は、その左右方向が下記のとおりに限定されるものではなく、個々の下記式を紙面上で180°回転させた構造であってもよい。また、下記式で表される炭化水素基は、それぞれの構造を組み合わせたものであってもよい。
Figure 2024076049000004
(式中、アスタリスク(*)は、ケイ素原子との結合部位を示し、各不斉炭素における立体配置は、シス(エキソ)またはトランス(エンド)のいずれであってもよい。)
式(1)において、Z1およびZ2は、それぞれ独立して、酸素原子が介在していてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基、酸素原子が介在していてもよいエポキシ基含有1価有機基、アルコキシシリルアルキル基、または水素原子を表すが、少なくとも1つは酸素原子が介在していてもよいエポキシ基含有1価有機基である。
1およびZ2の1価炭化水素基は、上記R1~R4で例示した基と同様のものが挙げられる。
エポキシ基含有1価有機基としては、エポキシ基を含むものであれば特に限定されるものではないが、特に、3-グリシジルオキシプロピル基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましい。
アルコキシシリルアルキル基としては、2-(トリメトキシシリル)エチル、2-(メチルジメトキシシリル)エチル、2-(ジメチルメトキシシリル)エチル、2-(トリエトキシシリル)エチル、2-(メチルジエトキシシリル)エチル、2-(ジメチルエトキシシリル)エチル、6-(トリメトキシシリル)ヘキシル、8-(トリメトキシシリル)オクチル基等が挙げられる。
式(1)において、n1およびn2は、それぞれ独立して1~5、かつ、n1+n2=3~6を満たす整数を表し、n3およびn4は、それぞれ独立して1~5、かつ、n3+n4=3~6を満たす整数を表すが、特に、n1およびn4が3であり、n2およびn3が1であることが好ましい。
また、mは、1~11の整数を表す。
上記式(1)で表されるエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサンとしては、原料の入手が容易であり、汎用のエポキシバインダーとの相溶性に優れることから、下記(4)~(7)で表される化合物が好ましいが、これらに限定されるものではない。なお、以下において、Meは、メチル基を意味する。
Figure 2024076049000005
Figure 2024076049000006
(式中、m1は、2~11の整数を表す。)
Figure 2024076049000007
Figure 2024076049000008
(式中、m2は、2~11の整数を表す。)
本発明のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン化合物は、例えば、下記式(3)で表される環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンと付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に1個有し、かつ、エポキシ基を有する化合物とを付加反応させて得られる。
Figure 2024076049000009
式(3)各中、R1~R4、Y、n1~n4およびmは、上記と同じ意味を表し、Z11、Z12は、それぞれ独立して、酸素原子が介在していてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基または水素原子を表すが、これらのうち少なくとも1つは水素原子である。
11およびZ12の1価炭化水素基としては、上記R1~R4で例示した基と同様のものが挙げられる。
上記式(3)で表される化合物の具体例としては、下記式(8)で表されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2024076049000010
(式中、m3は、1~11の整数を表す。)
付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に1個有し、かつ、エポキシ基を有する化合物としては、特に限定されないが、アリルグリシジルエーテル、ヘキセニルグリシジルエーテル、オクテニルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキシドなどが好ましく、市場流通性の観点から、より好ましくはアリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキシドである。
当該化合物の使用量は、得られるエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサンの熱安定性および生産性の観点から、上記式(3)で表される化合物中のケイ素原子に結合した水素原子(Si-H基)1モルに対して、1~10モルの使用が好ましく、1.5~5モルがより好ましい。
付加反応に用いる触媒は、通常ヒドロシリル化付加反応に用いられている公知の触媒を用いることができ、例えば、白金金属を担持したカーボン粉末、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体;パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属系触媒などが挙げられる。
触媒の使用量は、副反応を防止して生成物の着色を防止することを考慮すると、上記式(3)で表される化合物の全量に対して、2質量%以下が好ましく、5~5,000ppmがより好ましい。
付加反応では、溶媒を用いてもよい。
溶媒としては、上記式(3)で表される化合物および付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に1個有し、かつ、エポキシ基を有する化合物を溶解できるものが好ましい。
使用できる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
反応温度は、反応時間の短縮化による生産性向上および副反応を防止して生成物の着色防止の観点から、20~150℃が好ましく、60~100℃がより好ましい。
反応時間は、反応の進行により原料が十分に消費されるような時間であればよいが、生産効率の観点から10分~24時間が好ましく、より好ましくは1~10時間、さらに好ましくは2~7時間である。
本発明のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、当該オルガノポリシロキサンを含む硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物に、十分な硬度、耐屈曲性を付与することを考慮すると、重量平均分子量1,500~20,000が好ましく、2,000~15,000がより好ましく、3,000~10,000がさらに好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値である。
本発明のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサンのエポキシ官能基当量は、特に限定されるものではないが、当該オルガノポリシロキサンを含む硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物に、十分な硬度、耐屈曲性を付与することを考慮すると、200~400g/モルが好ましく、250~350g/モルがより好ましい。
[2]硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、(A)上述したエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサンと(B)硬化剤とを含んで構成される。
(B)成分の硬化剤としては特に限定されるものではないが、生産効率の観点から、光の照射によってカチオン種を発生してカチオン硬化性化合物の硬化反応を開始させる光酸発生剤(光カチオン重合開始剤)が好適である。
光酸発生剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等が挙げられる。これらの中でも、本発明においては、スルホニウム塩系化合物を使用することが、硬化性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。
スルホニウム塩系化合物のカチオン部としては、例えば、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、トリ-p-トリルスルホニウムイオン、(4-ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムイオン、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特にトリアリールスルホニウムイオン)などが挙げられる。
アニオン部としては、例えば、[(Ar)sB(Phf)4-s-(式中、Arは、フェニル基またはビフェニリル基を表す。Phfは、水素原子の少なくとも1つがパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、およびハロゲン原子から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基を表す。sは、0~3の整数である。)、BF4 -、[(Rf)LPF6-L-(式中、Rfは、水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、Lは、0~5の整数である。)、AsF6 -、SbF6 -、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート等が挙げられる。
光酸発生剤の具体例としては、(4-ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]-4-ビフェニリルフェニルスルホニウムフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル] スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-(2-チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル-2-チオキサントニルスルホニウムフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられ、これらは、商品名「サイラキュアUVI-6970」、「サイラキュアUVI-6974」、「サイラキュアUVI-6990」、「サイラキュアUVI-950」(以上、米国ユニオンカーバイド社製)、「イルガキュア250」、「イルガキュア261」、「イルガキュア264」(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、「SP-150」、「SP-151」、「SP-170」、「オプトマーSP-171」(以上、(株)ADEKA製)、「CG-24-61」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、「DAICATII」((株)ダイセル製)、「UVAC1590」、「UVAC1591」(以上、ダイセル・サイテック(株)製)、「CI-2064」、「CI-2639」、「CI-2624」、「CI-2481」、「CI-2734」、「CI-2855」、「CI-2823」、「CI-2758」、「CIT-1682」(以上、日本曹達(株)製)、「PI-2074」(ローディア社製)、テトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート)トルイルクミルヨードニウム塩)、「FFC509」(3M社製)、「BBI-102」、「BBI-101」、「BBI-103」、「MPI-103」、「TPS-103」、「MDS-103」、「DTS-103」、「NAT-103」、「NDS-103」(以上、ミドリ化学(株)製)、「CD-1010」、「CD-1011」、「CD-1012」(以上、Sartomer社製)、「CPI-100P」、「CPI-101A」、「CPI-200K」(以上、サンアプロ(株)製)等の市販品を使用できる。
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、(C)成分として(A)成分以外のバインダー前駆体を含んでいてもよい。
バインダー前駆体としては、バインダーとなり得るものであれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂系;官能または多官能(メタ)アクリレートからなる光硬化性(メタ)アクリル系;単官能または多官能エポキシ化合物からなる光または熱硬化型のエポキシ系;単官能または多官能酸無水物からなる熱硬化性酸無水物系;シラノールによる熱硬化型のシリコーン系などの各種バインダー前駆体が挙げられる。
これらの中でも、当該エポキシ基含有環状オルガノポリシロキサンとの反応性、生産性および耐久性の観点から、単官能または多官能エポキシ化合物からなる光または熱硬化型のエポキシ系バインダー前駆体や単官能または多官能酸無水物からなる熱硬化性酸無水物系バインダー前駆体が好ましい。
エポキシ系バインダー前駆体としては、より好ましくは、分子量100~3,000であり、エポキシ基の官能基当量が100~300g/モルであり、1分子中にエポキシ基を2個以上、好ましくは2個有するエポキシ化合物が挙げられ、特に、(A)成分と同様に、下記式(C1)で表される、環状オルガノポリシロキサン構造を有し、1分子中にエポキシ基を2個以上、好ましくは2~4個有するエポキシ化合物が好適である。
Figure 2024076049000011
(式中、R1、R2、Z1、Z2、n1およびn2は、上記式(1)と同じ意味を表すが、Z1およびZ2の少なくとも2つは酸素原子が介在していてもよいエポキシ基含有1価有機基である。)
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、1~200質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましい。
また、本発明の硬化性組成物は、必要に応じて有機溶媒にて希釈して使用してもよい。その際の有機溶媒としては成分を十分に溶解するものであり、エポキシ基や硬化触媒との反応性を持たない成分であることが好ましい。具体的には脂肪族および/または芳香族炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物、エーテル化合物等が挙げられる。これらの中でも市場流通性の観点からイソドデカン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、さらにその他任意の成分として、沈降シリカ、湿式シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、硬化助剤、溶剤(有機溶剤等)、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤、重金属不活性化剤など)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、補強材(他の充填剤など)、核剤、カップリング剤(シランカップリング剤等)、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、透明化剤、レオロジー調整剤(流動性改良剤など)、加工性改良剤、着色剤(染料、顔料など)、帯電防止剤、分散剤、表面調整剤(消泡剤、レベリング剤、ワキ防止剤など)、表面改質剤(スリップ剤など)、艶消し剤、消泡剤、抑泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、光増感剤、発泡剤などの慣用の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の硬化性組成物を光照射および/または加熱して硬化させることにより、相応する硬化物が得られる。その態様は特に限定されず、基材への硬化塗膜であってもよいし、自立した硬化成型物や封止物であってもよい。硬化方法は生産性の面から光硬化が好ましい。
本発明の硬化性組成物を光硬化させる際には、例えば、硬化組成物を基材上に所望の膜厚が形成されるように塗布し、その後、必要に応じて溶剤を揮発させた後、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ等を用いて紫外線や電子線などを照射する。照射する雰囲気は、空気中でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよい。紫外線を照射する場合には、例えば1~1,000mJ/cm2程度とすることが好ましい。
一方、本発明の硬化性組成物を加熱硬化させる際の条件は、特に限定されないが、例えば、30~200℃が好ましく、より好ましくは50~190℃である。硬化時間は適宜設定可能である。
基材としては、特に限定されることはなく、プラスチック成形体等の有機樹脂、木材系製品、繊維、セラミックス、ガラス、金属、またはそれらの複合物等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の硬化性組成物は、各種プラスチック材料に好適に使用でき、特に、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、変性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂、含硫黄樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、セルロース樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂、およびこれらの複合化樹脂等に好適に使用できる。
また、これらの樹脂基材の表面が処理されたもの、具体的には、化成処理、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液処理されたものを用いることもでき、また、表層が基材本体と異なる種類の樹脂で被覆された積層体を用いることもできる。積層体の具体例としては、共押出法やラミネート法により製造されたポリカーボネート樹脂基材の表層にアクリル樹脂層またはウレタン樹脂層が存在する積層体や、ポリエステル樹脂基材の表層にアクリル樹脂層が存在する積層体等が挙げられる。
なお、本発明の硬化性組成物は、基材表面に直接塗布しても、必要に応じてプライマー層や紫外線吸収層、印刷層、記録層、熱線遮蔽層、粘着層、無機蒸着膜層等を介して塗布してもよい。
塗工方法は、例えば、スピンコーター、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、キスコーター、グラビアコーター、スクリーン塗工、浸漬塗工、キャスト塗工等の公知の塗工方法から適宜選択して用いることができる。
さらに、必要に応じて、本発明のコーティング組成物の硬化塗膜の表面上に、接着層、紫外線吸収層、印刷層、記録層、熱線遮蔽層、粘着層、無機蒸着膜層、撥水撥油層、親水防汚層などのその他の被覆層を形成してもよい。
また、本発明の硬化性組成物は、型を用いた方法の他、あらかじめ離型層を備えたフィルムの上に塗工、硬化させて得るキャスティング法によるフィルム成膜方法により、自立硬化成形物とすることができる。
型の材質は、硬化後に得られる硬化物との離型性が確保されていれば特に限定されず、例えば、金属、ガラス、プラスチック、シリコーン、テフロン(登録商標、以下同じ)加工金型のいずれであってもよいが、なかでもテフロン加工された金型を使用することが好ましい。テフロン加工金型は、本発明において優れた離型性を有し、硬化性組成物を取り出す際に硬化物破損の発生を抑制することができる。
本発明の硬化性組成物によって得られる硬化物は、耐クラック性および可とう性を両立することができるため、プラスチック基材の耐擦傷性コーティング、光学用レンズ、電子材料用のフレキシブルディスプレイ材、LEDデバイス等の光学封止材、および義歯成形材、歯中充填剤などへ応用できる。
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記の例において、特に断らない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。また、実施例で用いた各装置は以下のとおりである。
(1)GPC測定条件
装置:東ソー(株)製HLC-8320GPC
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-H
TSKgel SuperHM-N(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2500(6.0mmI.D.×15cm×1)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50μL(濃度2.0質量%のTHF溶液)
標準: 単分散ポリスチレン
(2)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)測定条件
装置:BURKER社製AVANCE III 400
溶媒:CDCl3
内部標準: テトラメチルシラン(TMS)
(3)動粘度測定条件
キャノン・フェンスケ型粘度計を用いて25℃で測定した。
(4)粘度測定条件
B型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[1]環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンの合成
[合成例1]
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた500mLの4つ口フラスコに、トルエン80gおよび1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン115.2g(0.48モル)を加え、オイルバスを用いて117℃に加熱した。これに5%の白金金属を担持したカーボン粉末0.05gを添加し、撹拌しながらビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成工業(株)製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの略等モル量の異性体混合物)48g(0.4モル)を16分間かけて滴下した。滴下終了後、125℃で16時間加熱撹拌し、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過して除去し、トルエンを減圧留去して、無色透明な粘稠液体(A-0)を得た。このものの25℃における動粘度は2,500mm2/s、含有するSiHの量は平均して7.2ミリモル/gであった。
得られた粘稠液体(A-0)を1H-NMR、GPC測定により分析した結果、下記に示す化合物の混合物であることが確認された。
・テトラメチルシクロテトラシロキサン環を1個有する化合物:約6モル%(下記式(9)に代表的な構造式の一例を示す。)
Figure 2024076049000012
テトラメチルシクロテトラシロキサン環を2個有する化合物:約25モル%(下記式(10)に代表的な構造式の一例を示す。)
Figure 2024076049000013
テトラメチルシクロテトラシロキサン環を3個有する化合物:約16モル%(下記式(11)、m=2に代表的な構造式の一例を示す。)
テトラメチルシクロテトラシロキサン環を4個有する:約11モル%(下記式(11)、m=3に代表的な構造式の一例を示す。)
シクロテトラシロキサン環を5~12個有する化合物:残余(下記式(11)、m=4~11に代表的な構造式の一例を示す。)
Figure 2024076049000014
[2]エポキシ基含有環状オルガノポリシロキサンの合成
[実施例1-1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン124部(1モル)、トルエン121部、イソプロパノール37部、アセトニトリル0.12部、白金錯体(Pt(0)の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体)のトルエン溶液0.0001モル(白金換算)を納め撹拌混合した。その後、加熱して内温85℃となったところで、合成例1で得られた粘稠液体(A-0)116部(Si-H;0.83モル)を1時間かけて滴下した。滴下と同時に反応が起こり、発熱が生じ、反応液温度が85℃から徐々に上昇したため、反応液温度が90℃を超えないように調整しながら滴下を継続した。滴下終了後、内温90℃となるように加熱をしながら反応液を6時間熟成した後に、反応液の水素ガス発生量測定を行いSi-H基の残存が無いことを確認した。その後、トリフェニルホスフィン0.02部を添加し、減圧留去(90℃、5mmHg)によりトルエン、イソプロパノール、アセトニトリル、過剰の1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンを除去することで、25℃における粘度2,000Pa・s以上、エポキシ当量が295g/モルの淡黄色粘稠液体(A-1)を得た。粘稠液体(A-1)は、GPCおよび1H-NMR測定の結果から下記式(12)で示される混合物(m=1~11)であることが確認された。
Figure 2024076049000015
[実施例1-2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコにアリルグリシジルエーテル114部(1モル)、トルエン121部、イソプロパノール37部、アセトニトリル0.12部、白金錯体(Pt(0)の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体)のトルエン溶液0.0001モル(白金換算)を納め撹拌混合した。その後、加熱して内温85℃となったところで、合成例で得られた粘稠液体(A-0)116部(Si-H;0.83モル)を1時間かけて滴下した。滴下と同時に反応が起こり、発熱が生じ、反応液温度が85℃から徐々に上昇したため、反応液温度が90℃を超えないように調整しながら滴下を継続した。滴下終了後、内温90℃となるように加熱をしながら反応液を6時間熟成した後に、反応液の水素ガス発生量測定を行いSi-H基の残存が無いことを確認した。その後、トリフェニルホスフィン0.02部を添加し、減圧留去(90℃、5mmHg)によりトルエン、イソプロパノール、アセトニトリル、過剰のアリルグリシジルエーテルを除去することで、25℃における粘度2,000Pa・s以上、エポキシ当量が282g/モルの淡黄色高粘稠オイル(A-2)を得た。高粘稠オイル淡黄色高粘稠オイル(A-2)は、GPCおよび1H-NMR測定の結果から下記式(13)で示される混合物(m=1~11)であることが確認された。
Figure 2024076049000016
[3]コーティング用硬化性組成物および硬化物の調製
[実施例2-1~2-3、比較例2-1~2-4]
表1に示す配合比にて各成分を混合し、コーティング用硬化性組成物を調製した。
Figure 2024076049000017
(A-1):実施例1-1で得られたエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン
(A-2):実施例1-2で得られたエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン
(B-1):非アンチモン系光カチオン重合開始剤(サンアプロ(株)製、「CPI-200K」)
(C-1):下式(14)で表される環状シロキサン(信越化学工業(株)製、商品名「X-40-2678」、エポキシ当量:300)
(C-2):下式(15)で表される環状シロキサン(信越化学工業(株)製、商品名「KR-470」、エポキシ当量:200)
(C-3):側鎖にエポキシシクロヘキシル構造基を有する、25℃における粘度280mPa・sのジメチルシロキサン(信越化学工業(株)製、商品名「X-40-2715」、エポキシ当量290)
(C-4):炭化水素系2官能エポキシシクロヘキシル化合物((株)ダイセル製、セロキサイド2021P)
Figure 2024076049000018
実施例2-1~2-3および比較例2-1~2-4で得られたコーティング用硬化性組成物を三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ポリカーボネートNF-2000シート(厚さ4mm×長さ15cm×幅10cm)の表面にバーコータNo.14にて塗布した後、15分間風乾し、さらに80℃にて1分間加熱の後、高圧水銀灯を用いて600mJ/cm2の照射量で光照射して塗膜を硬化させ、試験片を得た。
各試験片について下記の評価を行った。結果を表2に示す。
(1)塗膜外観
塗膜を目視で観察し、異常の有無を判定した。
○:異常なし
△:着色あり
×:異物、ムラ、白化の異常あり
(2)初期ヘイズ
日本電色工業(株)製ヘイズメーターNDH5000SPを用いて、塗工シートの曇価を測定し、初期ヘイズとした。
(3)耐擦傷性
ASTM1044に準じ、テーバー摩耗試験機にて摩耗輪CS-10Fを装着、荷重500g下での100回転後の曇価を測定し、試験後と試験前の曇価差を耐擦傷性とした。
(4)初期密着性
JIS K5600に準じ、カミソリ刃を用いて塗膜に2mm間隔で縦、横6本ずつ切れ目を入れて25個の碁盤目を作製し、セロテープ(登録商標、ニチバン(株)製)をよく付着させた後、90°手前方向に急激に剥がしたときの、塗膜が剥離せずに残存したマス目数(X)を、X/25で表示した。
(5)煮沸密着性
試験片を、沸騰水に2時間浸漬した後の密着性を、上記初期密着性と同様に評価した。
(6)鉛筆硬度
JIS K5600-5-4記載の鉛筆引掻き試験に準じた方法で750gの荷重をかけて測定し、その結果を示した。
(7)耐クラック性(耐衝撃性)
JIS K5600-5-3記載の耐おもり落下試験に準じた方法でデュポン式衝撃試験機を用いて測定し、その結果を示した。
Figure 2024076049000019
表2に示されるように、実施例2-1~2-3のコーティング用硬化性組成物からなる塗膜は、透明性、硬度、密着性、耐クラック性を達成するものであることがわかる。
一方、比較例2-1では、硬度、密着性が不足することから耐擦傷性も併せて悪化傾向にあり、比較例2-2では、硬度が優れるものの、膜の可とう性が乏しく、耐クラック性が不足しており、比較例2-3では、硬度、可とう性が不足したことから耐擦傷性が悪化傾向にあり、比較例4では、用いたポリカーボネート基材を侵食しため初期ヘイズが悪化し、また、硬度、可とう性も不足するものであることがわかる。
[4]シート成形用硬化性組成物の調製
[実施例3-1,3-2、比較例3-1~3-4]
表3に示す配合比にて各成分を混合し、シート成形用硬化性組成物を調製した。なお、表中の略語は上記と同一である。
Figure 2024076049000020
実施例3-1,3-2、比較例3-1~3-4で得られた組成物を、テフロン(登録商標)加工された金型(深さ0.3mm×長さ15cm×幅10cm)に流し込んだ後、30分間静置し、高圧水銀灯を用いて600mJ/cm2の照射量で光照射して硬化させ、フィルム状の試験片を得た。
各試験片に関して下記の評価を行った。結果を表4に示す。
(8)フィルム外観
上記にて得られた試験片を目視で観察し、異常の有無を判定した。
○:異常なし
×:クラック等の異常あり
(9)フィルム成形性
金型から取り出す際に自立性のあるフィルムとなるか観察し、以下の通り判断した。
〇:異常なくフィルムとして取り出すことが可能。
×:脆く、フィルムとして取り出すことが不可能。
(10)90°折り曲げ性
上記にて得られた試験片を1cm幅に裁断し、長さ10cm、幅1cm、厚みが0.3mmの短冊状とし両短辺部位をピンセットで摘み、90°に折り曲げた際のフィルムの状態を観察し、以下の通り判断した。
〇:破断なく折り曲げ可能。
△:一部亀裂が入るが破断せず。
×:完全に破断し、折り曲げ不可能。
(11)貯蔵弾性率、Tanδ(max)
上記にて得られた試験片を1cm幅に裁断し、長さ10cm、幅1cm、厚みが0.3mmの短冊状とし、(株)日立ハイテクサイエンス製の粘弾性測定装置DMA7100を用いて、空気雰囲気にて-50℃から250℃まで10℃/minの昇温速度で昇温させていき、引張測定のモードにて測定した。
Figure 2024076049000021
表4に示されるように、実施例3-1および3-2の組成物から得られたフィルムは、成形性、可とう性、硬度(貯蔵弾性率)を達成するものであることがわかる。
一方、比較例3-1では、成形性は良好であったものの硬度(貯蔵弾性率)が低く、ガラス転位温度に相当するTanδ(max)の低下が見られ、比較例3-2では、硬化物が非常に脆く、耐クラック性が低いことから測定に足るフィルムを得るに至らず、比較例3-3および3-4では、いずれも可とう性が不足し、かつ、実施例と比較して硬度(貯蔵弾性率)に劣るフィルムであることがわかる。
以上のとおり、本発明のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサンを用いて得られた硬化物は、硬度および可とう性を両立するものであり、プラスチック基材のハードコーティング層や、レンズ材、封止材等に使用される硬化成形物として好適に利用可能である。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン。
    Figure 2024076049000022
    (式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、酸素原子が介在していてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基を表し、
    Yは、2価炭化水素基を表し、
    1およびZ2は、それぞれ独立して、酸素原子が介在していてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基、酸素原子が介在していてもよいエポキシ基含有1価有機基、アルコキシシリルアルキル基、または水素原子を表すが、少なくとも1つは酸素原子が介在していてもよいエポキシ基含有1価有機基であり、
    n1およびn2は、それぞれ独立して1~5、かつ、n1+n2=3~6を満たす整数を表し、
    n3およびn4は、それぞれ独立して1~5、かつ、n3+n4=3~6を満たす整数を表し、
    mは、1~11の整数を表す。)
  2. 前記R1、R2、R3およびR4が、メチル基である請求項1記載のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン。
  3. 前記Z1およびZ2が、3-グリシジルオキシプロピル基および2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基から選ばれる1種以上である請求項1記載のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン。
  4. 前記Yが、多環構造を有する2価飽和炭化水素基である請求項1記載のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン。
  5. 前記Yが、下式(2a)および(2b)で表される2価飽和炭化水素基から選ばれる1種以上である請求項4記載のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン。
    Figure 2024076049000023
    (式中、アスタリスク(*)は、ケイ素原子との結合部位を示し、各不斉炭素における立体配置は、シス(エキソ)またはトランス(エンド)のいずれであってもよい。)
  6. n1およびn4が、3であり、n2およびn3が、1である請求項1記載のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン。
  7. エポキシ基の官能基当量が、200~400g/モルである請求項1記載のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン。
  8. (A)請求項1~7のいずれか1項記載のエポキシ基含有環状オルガノポリシロキサン:100質量部、および
    (B)硬化剤:0.01~5質量部
    を含む硬化性組成物。
  9. (C)前記(A)以外のエポキシ基含有化合物:1~200質量部を含む請求項8記載の硬化性組成物。
  10. 前記硬化剤が、光酸発生剤である請求項9記載の硬化性組成物。
  11. 請求項9記載の硬化性組成物が硬化してなる硬化物。
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