JP2024075130A - ウエーハの処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工溝と分割起点の位置関係を検出可能なウエーハの処理方法を提供する。【解決手段】ウエーハ(10)は、分割予定ライン(13)に沿って表面(11)からくぼんだ加工溝(16)と、分割予定ラインに沿ってウエーハの内部に形成された改質層(18)とクラック(19)を含む分割起点(17)と、改質層とクラックとに応じて裏面(12)に出現した凹部(20)と、を有し、ウエーハの裏面から検査光(Sa、Sb、Sc)を照射し、凹部を含む裏面で反射された第1の反射光(Ra、Rc)と、ウエーハを透過して表面で反射された第2の反射光(Rb、Rd)とを検出器(37)で受光する検査ステップを備え、検査ステップでは、第1の反射光によって分割起点の位置を検出し、第2の反射光によって加工溝の位置を検出する。【選択図】図2

Description

本発明は、ウエーハの処理方法に関する。
分割予定ラインに沿ってレーザ光線を照射してウエーハの内部に改質層を形成し、改質層と、改質層から延びるクラックと、を分割起点として、ウエーハを分割させる方法が知られている。
特許文献1には、ウエーハにおける改質層の形成状況を確認する検査方法として、改質層に対応した凹凸がウエーハの外面に生じることに着目して、光源から放射される光をウエーハの外面で反射させて凹凸が強調された投影像を形成し、投影像に基づいて改質層の状態を判定することが開示されている。
特開2017-220480号公報
表面側に硬質なパターン層などを有するウエーハにおいて、分割性を向上させるために、ウエーハの表面に加工溝を形成し、さらにウエーハの内部に改質層とクラックによる分割起点を形成する場合がある。このようなウエーハでは、加工溝と分割起点の両方が分割予定ラインに沿って適切な位置関係で形成されている必要がある。分割起点が加工溝に対して所定量以上ずれて形成されると、ウエーハの分割率が悪くなり、ウエーハを分割して得られるチップ(電子デバイス)に不良が生じるという問題がある。
特許文献1に記載のように、改質層の形成状況を確認する方法は提案されているが、ウエーハの分割加工の精度をさらに向上させるために、加工溝と分割起点の位置関係を検査し、不良チップの検知や、分割起点を形成するレーザ光線の照射位置の調整に用いたいという要望があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、加工溝と分割起点の位置関係を検出可能なウエーハの処理方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ウエーハの処理方法であって、該ウエーハは、分割予定ラインに沿って形成された表面からくぼんだ加工溝と、該分割予定ラインに沿って該ウエーハの内部に形成された改質層と、該改質層から表面に至るクラックと、を含む分割起点と、該改質層と該クラックとに応じて該ウエーハの裏面に出現した凹部と、を有し、該ウエーハの裏面から検査光を照射し、該凹部を含む裏面で反射された第1の反射光と、該ウエーハを透過して表面で反射された第2の反射光と、を検出器で受光する検査ステップを備え、該検査ステップは、該第1の反射光によって該分割起点の位置を検出し、該第2の反射光によって該加工溝の位置を検出することを特徴とする。
該検査ステップは、該分割起点が該加工溝に対して所定量以上ずれている場合、異常と判定する判定ステップをさらに備えることが好ましい。
該検出器は、撮像ユニットとすることができる。
該分割起点に沿って外力を付与して該ウエーハを分割し、複数のチップを製造する分割ステップをさらに備えてもよい。
該検査ステップの前に、該ウエーハの表面にレーザ光線を照射し、該加工溝を形成する加工溝形成ステップを有してもよい。
該検査ステップの前に、該ウエーハに第2のレーザ光線を照射し、該ウエーハの内部に該改質層と、該改質層から表面に向かって延びる該クラックと、を含む該分割起点と、該クラックに対応し裏面に出現する凹凸と、を形成する改質層形成ステップをさらに有してもよい。
本発明のウエーハの処理方法によれば、加工溝と分割起点の位置関係を検出可能であり、ウエーハの分割の精度を向上させることができる。
ウエーハの斜視図である。 第1の形態の検査ステップを説明する図である。 第1の形態の検査ステップで得られる画像の例を示す図である。 第2の形態の検査ステップを説明する図である。 第2の形態の検査ステップで得られる画像の例を示す図である。 レーザ加工装置の斜視図である。 加工溝形成ステップを説明する図である。 改質層形成ステップを説明する図である。
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係るウエーハの処理方法について説明する。図1は、ウエーハの斜視図である。図2及び図3は、ウエーハの処理方法に含まれる検査ステップの第1の形態を説明する図である。図4及び図5は、ウエーハの処理方法に含まれる検査ステップの第2の形態を説明する図である。図6は、ウエーハの処理方法を実施する加工装置の一例であるレーザ加工装置を示す図である。図7は、検査ステップの前に行われる加工溝形成ステップを説明する図である。図8は、検査ステップの前に行われる改質層形成ステップを説明する図である。
図1に示すウエーハ10は、例えばシリコンなどからなる円板形状の半導体ウエーハであり、表面11と裏面12を有する。ウエーハ10の表面側には、格子状の複数の分割予定ライン13で区画された複数の領域内に、電子デバイスであるチップ14が形成されている。図1では、格子状の複数の分割予定ライン13のうち、一部の分割予定ライン13のみを図示している。なお、本発明を適用するウエーハは半導体ウエーハには限定されない。
図2及び図4では、断面視したウエーハ10の一部を拡大して示している。図2及び図4に示すように、ウエーハ10の表面11上にパターン層15が設けられている。パターン層15はチップ14の表面側を構成している。ウエーハ10の表面側には、分割予定ライン13に沿って加工溝16が形成されている。加工溝16は、パターン層15を貫通して、ウエーハ10の表面11からくぼんだ(表面11から凹んだ)形状の溝である。
ウエーハ10の内部には、分割予定ライン13に沿って、分割起点17が形成されている。分割起点17は、ウエーハ10が改質された改質層18と、改質層18からウエーハ10の表面11に向けて延びるクラック19と、を含んでいる。
改質とは、レーザ光線の照射などによって、ウエーハ10の内部の密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲と異なる状態となることを意味しており、改質の結果、改質層18は周囲よりも強度が低下した領域になる。クラック19は、改質層18から表面11に至る亀裂である。
ウエーハ10の内部に分割起点17を形成すると、改質層18とクラック19との少なくともいずれかに応じて、ウエーハ10の外面(裏面や表面)に凹凸が出現する。図2及び図4に示すように、本実施形態では、ウエーハ10の裏面12に凹部20が出現する。つまり、分割起点17を形成したウエーハ10の裏面側には、分割予定ライン13に沿って凹部20が存在している。なお分割起点は、必ずしもクラック19を伴わなくてもよい。改質層18によってのみでも凹部20は出現するが、改質層18とクラック19との双方を有する方が凹部20の深さが深くなる。
[加工溝形成ステップ]
図7を参照して、ウエーハ10に加工溝16を形成する加工溝形成ステップを説明する。図7の例では、加工溝形成ステップはレーザ加工装置で実施される。
加工溝形成ステップでは、裏面12を下向きにし、表面11及びパターン層15を上向きにして、ウエーハ10を保持テーブル30に保持する。保持テーブル30は、吸引などによってウエーハ10を安定して保持することが可能である。
保持テーブル30の上方に位置するレーザ照射部31からウエーハ10に向けてレーザ光線Laを照射する。レーザ光線Laの集光点はウエーハ10の表面側の所定位置に設定される。レーザ光線Laが照射された領域でウエーハ10の一部とパターン層15とが除去されてレーザグルービング溝が形成され、このレーザグルービング溝が加工溝16になる。
水平方向で保持テーブル30とレーザ照射部31の相対的な位置を変化させて、全ての分割予定ライン13に沿って加工溝16を形成したら、加工溝形成ステップが完了する。
なお、ウエーハ10の表面側に加工溝16(グルービング溝)を形成するためのツールは、レーザ光線には限定されない。例えば、加工溝16の形成において、切削ブレードを切り込ませる切削加工や、プラズマを利用するプラズマ加工を用いることも可能である。
[改質層形成ステップ]
図8を参照して、ウエーハ10に分割起点17を形成する改質層形成ステップを説明する。改質層形成ステップは、レーザ加工装置で実施される。
改質層形成ステップでは、表面11及びパターン層15を下向きにし、裏面12を上向きにして、ウエーハ10を保持テーブル32に保持する。保持テーブル32は、吸引などによってウエーハ10を安定して保持することが可能である。
保持テーブル32の上方に位置するレーザ照射部33からウエーハ10に向けて、第2のレーザ光線であるレーザ光線Lbを照射する。レーザ光線Lbは、例えば、ウエーハ10の材質に対して透過性を有するパルスレーザビームである。レーザ光線Lbの集光点は、ウエーハ10の厚みの内部の所定位置に合わせられ、レーザ光線Lbが照射された領域でウエーハ10が改質されて改質層18が形成される。
ウエーハ10の内部に改質層18が形成されると、これに付随して改質層18からウエーハ10の表面11に向かうクラック19が形成されて、分割起点17になる。改質層形成ステップにおいて、ウエーハ10の厚み方向におけるレーザ光線Lbの集光点位置を適宜設定することによって、クラック19が形成される方向をコントロールすることができる。ウエーハ10の厚みのうち表面11寄りの位置に改質層18を形成した場合には、改質層18に近い表面11に向けてクラック19が形成される。なお、一部の分割予定ライン13では、改質層18から裏面12に向けてクラックが延びてもよいし、表面11に向かうクラックが形成されていなくてもよい。
改質層形成ステップを実施すると、改質層18とクラック19とに対応した位置で、ウエーハ10の裏面12に凹部20が出現する。
水平方向で保持テーブル32とレーザ照射部33の相対的な位置を変化させて、全ての分割予定ライン13に沿って分割起点17を形成したら、改質層形成ステップが完了する。
[検査ステップ]
以上の加工溝形成ステップと改質層形成ステップの後で、検査ステップに進む。図2に示すように、検査ステップでは、表面11及びパターン層15を下向きにし、裏面12を上向きにして、ウエーハ10を保持テーブル35に保持する。保持テーブル35の上方には、光源36と検出器37が配置されている。
光源36は、ウエーハ10に向けて検査光を照射する機器である。検出器37は、ウエーハ10で反射された反射光(検査光が反射した光)を受光して検出する機器である。例えば、検出器37は、受光した光を光電変換して撮像する撮像ユニットである。光源36は、ウエーハ10に対して所定の角度で検査光を照射するように向きが設定されている。検出器37は、ウエーハ10で反射された反射光を受光可能なように向きが設定されている。
図2に示す第1の形態の検査ステップでは、波長が異なる第1の検査光Saと第2の検査光Sbとを、光源36からウエーハ10の裏面12へ照射する。一例として、第1の検査光Saは、波長632nmの光(可視光の範囲の波長)であり、第2の検査光Sbは、波長1000nm~1600nmの光(赤外光の範囲の波長)である。
第1の検査光Saは、ウエーハ10の裏面12で反射して、第1の反射光Raとして検出器37に受光される。ウエーハ10の裏面12のうち、凹部20が出現していない部分と、凹部20が出現している部分とでは、第1の検査光Saの反射条件が異なるため、検出器37で受光した第1の反射光Raに基づいて、凹部20の形成箇所を識別することができる。ウエーハ10の裏面12における凹部20の位置は、ウエーハ10の内部の分割起点17の位置に対応しているので、凹部20の形成箇所を識別することで、分割起点17の位置を検出することができる。
図3に示す第1画像40は、検出器37によって受光した第1の反射光Raでウエーハ10の裏面12を撮像した画像である。第1画像40には、凹部20が形成されていない箇所を示す平坦領域401と、凹部20が形成されている箇所を示す凹部領域402と、が含まれている。平坦領域401と凹部領域402は、互いの明るさや色調が異なる部分として、画像上での識別が可能である。
第2の検査光Sbは、ウエーハ10を透過して、表面11(表面11とパターン層15の境界)で反射して、第2の反射光Rbとして検出器37に受光される。ウエーハ10の表面11のうち、加工溝16が形成されていない部分と、加工溝16が形成されている部分とでは、第2の検査光Sbの反射条件が異なるため、検出器37で受光した第2の反射光Rbに基づいて、加工溝16の形成箇所を識別することができる。つまり、加工溝16の位置を検出することができる。
図3に示す第2画像41は、検出器37によって受光した第2の反射光Rbでウエーハ10の表面11を撮像した画像である。第2画像41には、加工溝16が形成されていない箇所を示す平坦領域411と、加工溝16が形成されている箇所を示す加工溝領域412と、が含まれている。平坦領域411と加工溝領域412は、互いの明るさや色調が異なる部分として、画像上での識別が可能である。
図3の第1画像40はウエーハ10の一部を拡大したものであり、H方向に間隔を空けて複数の凹部領域402が存在している。図3の第2画像41はウエーハ10の一部を拡大したものであり、H方向に間隔を空けて複数の加工溝領域412が存在している。
図3に示す合成画像42は、基準の座標位置が一致するようにして第1画像40と第2画像41を合成したものである。第1画像40及び第2画像41と同様に、合成画像42においても、平坦領域401、411と凹部領域402と加工溝領域412は、それぞれの明るさや色調が異なる部分として、画像上での識別が可能である。
図4及び図5に示す第2の形態の検査ステップでは、第3の検査光Scを光源36から照射する。一例として、第3の検査光Scは波長1099nmの光(赤外光の範囲の波長)である。当該波長の第3の検査光Scは、一部がウエーハ10を透過すると共に、一部がウエーハ10の裏面12(ウエーハ10と空気の界面)で反射する。
ウエーハ10の裏面12で反射した第3の検査光Scは、第1の反射光Rcとして検出器37に受光される。ウエーハ10の裏面12のうち、凹部20が出現していない部分と、凹部20が出現している部分とでは、第3の検査光Scの反射条件が異なるため、検出器37で受光した第1の反射光Rcに基づいて、凹部20の形成箇所を識別することができる。凹部20の位置は分割起点17の位置に対応しているので、凹部20の形成箇所を識別することで、分割起点17の位置を検出することができる。
裏面12で反射せずにウエーハ10を透過した第3の検査光Scは、表面11(表面11とパターン層15の境界)で反射して、第2の反射光Rdとして検出器37に受光される。ウエーハ10の表面11のうち、加工溝16が形成されていない部分と、加工溝16が形成されている部分とでは、第3の検査光Scの反射条件が異なるため、検出器37で受光した第2の反射光Rdに基づいて、加工溝16の形成箇所を識別することができる。つまり、加工溝16の位置を検出することができる。
図5は、検出器37によって受光された第1の反射光Rc及び第2の反射光Rdに基づいてウエーハ10を撮像した第3画像43である。第3画像43には、凹部20及び加工溝16が形成されていない箇所を示す平坦領域431と、凹部20が形成されている箇所を示す凹部領域432と、加工溝16が形成されている箇所を示す加工溝領域433と、が含まれている。平坦領域431と凹部領域432と加工溝領域433は、それぞれの明るさや色調が異なる部分として、画像上での識別が可能である。
図5の第3画像43は、ウエーハ10の一部を拡大したものであり、H方向に間隔を空けて、複数の凹部領域432及び複数の加工溝領域433が存在している。
以上のようにして、検査ステップでは、ウエーハ10の裏面12で反射した第1の反射光Ra、Rcによって分割起点17の位置を検出し、ウエーハ10の表面11で反射した第2の反射光Rb、Rdによって加工溝16の位置を検出する。
[判定ステップ]
検査ステップは判定ステップを含んでもよい。判定ステップでは、第1の反射光Ra、Rcによって検出した分割起点17の位置と、第2の反射光Rb、Rdによって検出した加工溝16の位置と、に基づいて、分割起点17が加工溝16に対して所定量以上ずれているか否かを判定する。
判定ステップでは、ウエーハ10を検査する検査機器を操作するオペレータが目視で行う判定や、検査機器が備える制御ユニットが自動的に行う判定などが実施される。
第1の形態の検査ステップ(図2)の判定ステップで、オペレータの目視による判定を行う場合、検査機器の制御ユニットは、検出器37で第1の反射光Ra及び第2の反射光Rbを受光してから、図3に示す合成画像42を生成して、当該合成画像42を表示ユニットの画面に表示する。オペレータは、表示ユニットに表示された合成画像42を見て、凹部領域402と加工溝領域412の位置関係を目視で確認する。オペレータによる確認の結果、凹部領域402と加工溝領域412が所定量以上ずれている場合には、分割起点17が加工溝16に対して所定量以上ずれている異常状態であると判定される。
図3に例示する合成画像42では、H方向において、全ての凹部領域402が、同じ分割予定ライン13に属する全ての加工溝領域412の幅の中央付近に位置している。従って、オペレータは、H方向において、加工溝領域412に対応する加工溝16と凹部領域402に対応する分割起点17との間に位置ずれが生じていないと判定する。
仮に、図3の例とは異なり、合成画像42において、同じ分割予定ライン13に属する凹部領域402と加工溝領域412の位置が所定量以上ずれている場合には、オペレータは、当該分割予定ライン13において、加工溝16に対して分割起点17が所定量以上ずれている(加工溝16と分割起点17の位置関係が異常である)と判定する。
第1の形態の検査ステップ(図2)の判定ステップで、検査機器の制御ユニットによる自動判定を行う場合、図3の第1画像40におけるそれぞれの凹部領域402の座標と、図3の第2画像41におけるそれぞれの加工溝領域412の座標と、を制御ユニットが比較して、これらの座標が所定値以上ずれているか否かを検出して判定することができる。
図3に例示する第1画像40と、図3に例示する第2画像41では、H方向において、全ての凹部領域402の座標が、同じ分割予定ライン13に属する全ての加工溝領域412の座標と一致している。従って、制御ユニットは、H方向において、加工溝領域412に対応する加工溝16と凹部領域402に対応する分割起点17との間に位置ずれが生じていないと判定する。
仮に、図3の例とは異なり、第1画像40と第2画像41とを比較して、同じ分割予定ライン13に属する凹部領域402の座標と加工溝領域412の座標とが所定量以上ずれている場合には、制御ユニットは、当該分割予定ライン13において、加工溝16に対して分割起点17が所定量以上ずれている(加工溝16と分割起点17の位置関係が異常である)と判定する。
なお、オペレータの目視による判定と、制御ユニットによる自動判定のいずれにおいても、加工溝16に対する分割起点17の位置ずれが生じているか否かの判定基準は、任意に設定可能である。
例えば、図3に示すように、加工溝領域412の方が凹部領域402よりもH方向の幅が広い。そして、加工溝領域412の幅方向(H方向)の中心線からH方向へのずれの許容範囲を適宜設定し、同じ分割予定ライン13に属する凹部領域402がH方向で当該許容範囲内に収まっている場合には、位置ずれが生じていないと判定する。逆に、同じ分割予定ライン13に属する凹部領域402がH方向で当該許容範囲から逸れた位置(座標)にある場合には、位置ずれが生じていると判定する。
第2の形態の検査ステップ(図4)の判定ステップで、目視による判定を行う場合、検査機器の制御ユニットは、検出器37で第1の反射光Rc及び第2の反射光Rdを受光してから、図5に示す第3画像43を生成して、第3画像43を表示ユニットの画面に表示する。オペレータは、表示ユニットに表示された第3画像43を見て、凹部領域432と加工溝領域433の位置関係を目視で確認する。オペレータによる確認の結果、凹部領域432と加工溝領域433が所定量以上ずれている場合には、分割起点17が加工溝16に対して所定量以上ずれている異常状態であると判定される。
図5に例示する第3画像43では、H方向に間隔を空けて並ぶ3つの凹部領域432のうち、両側の2つの凹部領域432については、同じ分割予定ライン13に属する加工溝領域433の幅方向(H方向)の中央に重なって位置しているが、中央の1つの凹部領域432は、同じ分割予定ライン13に属する加工溝領域433とは重ならずにH方向にずれている。従って、オペレータは、これら3つの凹部領域432のうち、中央の1つの凹部領域432に対応する分割起点17が、同じ分割予定ライン13に属する加工溝16に対してずれていると判定する。
仮に、図5の例とは異なり、第3画像43において、同じ分割予定ライン13に属する凹部領域432の位置と加工溝領域433の位置が全て一致している場合には、オペレータは、各分割予定ライン13の加工溝16と分割起点17に位置ずれが生じていないと判定する。
第2の形態の検査ステップ(図4)の判定ステップで、制御ユニットによる自動判定を行う場合、図5の第3画像43におけるそれぞれの凹部領域432の座標とそれぞれの加工溝領域433の座標と、を制御ユニットが比較して、これらの座標が所定値以上ずれているか否かを検出して判定することができる。
図5に例示する第3画像43では、H方向に間隔を空けて並ぶ3つの凹部領域432のうち、両側の2つの凹部領域432は、同じ分割予定ライン13に属する加工溝領域433とH方向の座標が一致するが、中央の1つの加工溝領域433は、同じ分割予定ライン13に属する加工溝領域433とは重ならないH方向の座標にある。従って、制御ユニットは、これら3つの凹部領域432のうち、中央の1つの凹部領域432に対応する分割起点17が、同じ分割予定ライン13に属する加工溝16に対してずれていると判定する。
仮に、図5の例とは異なり、第3画像43において、同じ分割予定ライン13に属する凹部領域432の座標と加工溝領域433の座標が全て一致している場合には、制御ユニットは、各分割予定ライン13の加工溝16と分割起点17に位置ずれが生じていないと判定する。
同じ分割予定ライン13に属する加工溝16と分割起点17の位置がずれていると、後述する分割ステップの際に、ウエーハ10のカットラインが乱れて、チップ14の製造不良が生じるおそれがある。検査ステップで加工溝16と分割起点17の位置ずれの有無を判定することにより、このような分割時のエラーを原因とする不良チップの発生を予め推定でき、必要な対策を講じることができる。
例えば、判定ステップでの判定結果に基づいて、次に実施する改質層形成ステップでのレーザ光線Lbの照射位置の調整を行い、同じ分割予定ライン13に属する加工溝16と分割起点17の位置を一致させることができる。
以上の検査ステップ(判定ステップを含む)は、独立した検査機器で実施してもよいし、ウエーハ10の加工を行う加工装置に組み込まれた検査ユニットで実施してもよい。
[レーザ加工装置]
検査ユニットを組み込んだ加工装置の例として、図6を参照してレーザ加工装置50を説明する。レーザ加工装置50は、ウエーハ10を保持する保持テーブル51と、保持テーブル51上のウエーハ10に向けてレーザ光線を照射するレーザ照射部52と、保持テーブル51上のウエーハ10を撮像する撮像部53と、を有している。レーザ加工装置50における上下方向をZ軸方向とする。レーザ加工装置50におけるX軸方向とY軸方向はそれぞれZ軸方向に対して垂直な方向(水平方向)であり、X軸方向とY軸方向が互いに垂直な関係にある。
保持テーブル51は、ウエーハ10を載置する上向きの保持面を有している。保持テーブル51の保持面は吸引源(図示略)に連通する多孔質部材によって形成されており、吸引源を作動させて保持面に吸引力を作用させることができる。
レーザ照射部52は、レーザ光源から発したレーザ光線を集光器で集光して、Z軸方向の下方に向けてレーザ光線を照射する。
保持テーブル51は、レーザ加工装置50の基台54に対して、水平方向の移動が可能に支持されている。具体的には、第1移動機構55によって保持テーブル51がX軸方向に移動され、第2移動機構56によって保持テーブル51がY軸方向に移動される。
第1移動機構55は、基台54上に設けられてX軸方向に延びる一対のガイドレール551と、X軸方向に延びてモータによって回転するボールネジ552と、一対のガイドレール551を介してX軸方向に移動可能に支持された第1移動台553と、を有している。ボールネジ552は、第1移動台553に設けた螺合部(図示略)に螺合しており、モータを駆動してボールネジ552が回転すると、ボールネジ552から第1移動台553に動力が伝わり、第1移動台553がX軸方向に移動する。
第2移動機構56は、第1移動台553上に設けられてY軸方向に延びる一対のガイドレール561と、Y軸方向に延びてモータによって回転するボールネジ562と、一対のガイドレール561を介してY軸方向に移動可能に支持された第2移動台563と、を有している。ボールネジ562は、第2移動台563に設けた螺合部(図示略)に螺合しており、モータを駆動してボールネジ562が回転すると、ボールネジ562から第2移動台563に動力が伝わり、第2移動台563がY軸方向に移動する。第2移動台563上に保持テーブル51が支持されている。
基台54のカセット載置部58には、複数のウエーハ10を収容可能なカセット59が載置される。保持テーブル51は、第1移動機構55及び第2移動機構56によって、カセット載置部58の近傍まで移動させることができる。カセット59から引き出されたウエーハ10が、図示を省略する搬送機構によって保持テーブル51に受け渡される。
ウエーハ10を保持した保持テーブル51は、第1移動機構55及び第2移動機構56によって、レーザ照射部52の下方の加工領域まで移動される。そして、レーザ照射部52からウエーハ10に向けてレーザ光線を照射して、ウエーハ10に対するレーザ加工を行う。
レーザ加工装置50は検査ユニット60を備えている。レーザ加工の後で、ウエーハ10が検査ユニット60まで搬送される。検査ユニット60は、上記の検査ステップを実施する検査機器であり、基台54上に保持テーブル35(図2及び図4参照)を備え、保持テーブル35の上方に検出ブロック61を備えている。検出ブロック61には、上記の光源36と検出器37(図2及び図4参照)が設けられている。
図2及び図4を参照して先に説明したように、ウエーハ10は、表面11及びパターン層15を下向きにし、裏面12を上向きにして、保持テーブル35に保持される。保持テーブル35上に保持したウエーハ10に対して光源36から検査光を照射し、ウエーハ10の裏面12で反射した第1の反射光と、ウエーハ10の表面11で反射した第2の反射光を、検出器37で受光する。
レーザ加工装置50の制御ユニット62は、レーザ加工装置50を統括制御する制御部であり、メモリに記憶した制御プログラムに従って、レーザ加工装置50の各部の動作を制御する。検査ユニット60を用いて行うウエーハ10の検査ステップについても、制御ユニット62の制御によって行われる。
レーザ加工装置50はさらに、表示ユニット63を備えている。表示ユニット63は、レーザ加工装置50に関する各種情報を表示するディスプレイである。表示ユニット63は、レーザ加工装置50の筐体外面に設けられていてもよいし、レーザ加工装置50から離れた位置に配置されていてもよい。また、表示ユニット63は、レーザ加工装置50を操作するオペレータによる入力が可能なタッチパネル式のディスプレイであってもよい。
レーザ加工装置50によってウエーハ10に行うレーザ加工は、例えば、上記の加工溝形成ステップ(図7)において加工溝16を形成する加工や、上記の改質層形成ステップ(図8)において改質層18(分割起点17)を形成する加工である。
レーザ加工装置50によって加工溝形成ステップを実施する場合は、図7に示す保持テーブル30がレーザ加工装置50の保持テーブル51に対応し、図7に示すレーザ照射部31がレーザ加工装置50のレーザ照射部52に対応する。
レーザ加工装置50によって改質層形成ステップを実施する場合は、図8に示す保持テーブル32がレーザ加工装置50の保持テーブル51に対応し、図8に示すレーザ照射部33がレーザ加工装置50のレーザ照射部52に対応する。
加工溝形成ステップと改質層形成ステップの両方をレーザ加工装置50で行ってもよい。あるいは、レーザ加工装置50とは異なる加工装置(切削装置やプラズマ加工装置など)で加工溝形成ステップを行い、レーザ加工装置50で改質層形成ステップを行ってもよい。
本実施形態では、レーザ加工装置50とは異なる加工装置で加工溝形成ステップを行った後で、レーザ加工装置50において改質層形成ステップを行う場合を例として説明する。カセット59内にウエーハ10を収めてレーザ加工装置50に搬送する段階で、ウエーハ10には加工溝16が既に形成されている。
改質層形成ステップは、レーザ加工装置50の制御ユニット62が制御プログラムに従って各部を制御して実行される。ウエーハ10は、表面11及びパターン層15を下向きにして、保持テーブル51の保持面に保持される。つまり、ウエーハ10は裏面12を上向きにして保持される。保持テーブル51にウエーハ10が載置されたら、制御ユニット62は、保持テーブル51の保持面に連通する吸引源を作動させ、ウエーハ10を保持テーブル51に吸引保持させる。
なお、図6に示す構成とは異なり、ウエーハ10の外周側に環状のリングフレームを取り付け、保持テーブル51に備えたクランプがリングフレームを保持する構成であってもよい。
続いて、制御ユニット62は、撮像部53を用いてウエーハ10の分割予定ライン13を検出させ、分割予定ライン13に沿ってレーザ光線を照射できるように、レーザ光線照射位置のアライメントを行わせる。具体的には、第1移動機構55及び第2移動機構56によってX軸方向及びY軸方向での保持テーブル51の位置を調整させて、複数の分割予定ライン13のうち所定の分割予定ライン13の一端を、レーザ照射部52の直下に位置付ける。そして、レーザ照射部52から照射されるレーザ光線の集光点を、ウエーハ10の厚みの内部の所定位置に合わせる。
続いて、制御ユニット62は、レーザ照射部52からウエーハ10内の集光点にレーザ光線Lb(図8)を照射させながら、保持テーブル51を送り方向へ所定の送り速度で移動させる。レーザ光線Lbは、裏面12から照射されてウエーハ10に入射する。X軸方向へ延びる分割予定ライン13に沿う加工を行う場合は、送り方向がX軸方向であり、第1移動機構55によってX軸方向に保持テーブル51を移動させる。Y軸方向へ延びる分割予定ライン13に沿って加工を行う場合は、送り方向がY軸方向であり、第2移動機構56によってY軸方向に保持テーブル51を移動させる。そして、レーザ照射部52からのレーザ光線Lbの照射位置が分割予定ライン13の他端に達したら、制御ユニット62は、レーザ照射部52からのレーザ光線Lbの照射を停止させ、送り方向への保持テーブル51の移動を停止させる。
これにより、ウエーハ10の内部には、分割予定ライン13に沿ってウエーハ10が改質された改質層18が形成される。
1つの分割予定ライン13に沿って改質層18を形成したら、制御ユニット62は、第1移動機構55及び第2移動機構56によって保持テーブル51とレーザ照射部52の位置関係を変更させて、次に加工する分割予定ライン13の一端を、レーザ照射部52の直下に位置付けさせる。そして、上記と同様に、ウエーハ10内の集光点にレーザ光線Lbを照射させながら、ウエーハ10の加工送りを行わせて、次の分割予定ライン13に沿って改質層18を形成する。このようにして、格子状の全ての分割予定ライン13に沿って改質層18を形成する。
なお、以上で説明したレーザ加工装置50は一例であり、この構成に限定されるものではない。例えば、Z軸方向の軸を中心として保持テーブル51を回転可能にしてもよい。この構成では、X軸方向とY軸方向のいずれかを送り方向に設定し、全ての平行な分割予定ライン13に沿って改質層18を形成したら、保持テーブル51を90°回転させて、未加工である残りの全ての平行な分割予定ライン13に沿って改質層18を形成することができる。
図8に示すように、改質層形成ステップを行ったウエーハ10は、それぞれの改質層18から表面11に向けてクラック19が形成され、改質層18とクラック19とからなる分割起点17となる。また、改質層18とクラック19に対応して、ウエーハ10の裏面12に凹部20が出現する。
改質層形成ステップが完了したら、制御ユニット62は、ウエーハ10を検査ユニット60に搬送して、ウエーハ10の表面11及びパターン層15を下向きにして保持テーブル35に保持させる。そして、制御ユニット62において検査ステップを行わせる。検査ステップの詳細は、図2から図5を参照して上述した通りである。簡単にまとめると、保持テーブル35に保持したウエーハ10に向けて、検出ブロック61に設けた光源36から検査光(Sa及びSb、Sc)を照射する。ウエーハ10の裏面側で反射した第1の反射光(Ra、Rc)と、ウエーハ10の表面側で反射した第2の反射光(Rb、Rd)とが、検出ブロック61に設けた検出器37で受光される。検出器37で受光した第1の反射光と第2の反射光に基づいて、ウエーハ10における加工溝16と分割起点17の位置を検査し、加工溝16と分割起点17の位置関係が適切であるか否かを判定する。
検査ステップにおける判定ステップをオペレータによる目視で行う場合は、制御ユニット62は、検査ユニット60によって取得された第1の反射光と第2の反射光の受光データに基づいて画像を生成して、図3に示す合成画像42や、図5に示す第3画像43を表示ユニット63に表示する。オペレータは、表示ユニット63に表示された画像を観察して、各加工溝16(加工溝領域412、加工溝領域433)と各分割起点17(凹部領域402、凹部領域432)との間に所定量以上の位置ずれが発生しているか否かを判定する。
加工溝16と分割起点17の間に所定量以上の位置ずれが発生しているとオペレータが判定した場合、オペレータは当該位置ずれの情報を制御ユニット62に入力する。例えば、表示ユニット63がタッチパネル式の場合は、表示ユニット63に表示されている画像にオペレータが触れることによって、加工溝16と分割起点17の位置ずれ箇所を指定することができる。あるいは、表示ユニット63上の画像に座標を表示して、位置ずれが生じている箇所における加工溝16の座標の値と分割起点17の座標の値とをオペレータが入力することも可能である。
検査ステップにおける判定ステップを自動判定で行う場合は、制御ユニット62は、検査ユニット60によって取得された第1の反射光と第2の反射光の受光データに基づいて得られる画像から、各加工溝16(加工溝領域412、加工溝領域433)の座標と各分割起点17(凹部領域402、凹部領域432)の座標を比較して、各加工溝16と各分割起点17との間に所定量以上の位置ずれが発生しているか否かを判定する。
制御ユニット62で行う判定は、画像のパターンマッチングなどを利用することもできる。例えば、凹部領域402と加工溝領域412の適切な位置関係を示すテンプレート画像や、凹部領域432と加工溝領域433の適切な位置関係を示すテンプレート画像を準備して、制御ユニット62のメモリに記憶させる。検査ステップで検出器37によって撮像された対象画像における凹部領域402及び加工溝領域412や、凹部領域432及び加工溝領域433について、テンプレート画像との一致度を判定する。一致度が所定の基準値に達している場合には、加工溝16と分割起点17との間に位置ずれが無いと判定する。一致度が所定の基準値に達していない場合には、加工溝16と分割起点17との間に所定値以上の位置ずれが生じていると判定する。
検査ステップ(判定ステップ)での判定結果は、レーザ加工装置50で行うウエーハ10の加工に反映することができる。例えば、検査ステップの結果、ある分割予定ライン13において、加工溝16に対して分割起点17の位置が所定量以上ずれていることが判明した場合、次の分割予定ライン13に対する改質層形成ステップを停止して、位置ずれの原因を確認する。これにより、加工溝16と分割起点17が所定量以上ずれている不良ラインを含んだウエーハ10が連続的に製造されてしまうことを防止できる。
また、検査ステップを行った結果、加工溝16と分割起点17が所定量以上ずれている分割予定ライン13については不良ラインであると判定して、当該不良ラインに対応する領域のチップ14を、後の検品工程で不合格品として扱うように設定してもよい。これにより、検品の精度が向上すると共に、検品にかかる手間や時間を省略することができる。
判定ステップを制御ユニット62の自動判定で行う場合は、加工溝16と分割起点17の位置ずれを制御ユニット62が検出した際に、制御ユニット62がオペレータに対して位置ずれを報知する報知ステップを実施してもよい。報知ステップでは、表示ユニット63へのエラーメッセージの表示や、レーザ加工装置50が備える発音装置(スピーカー)による警報音の発音などによって報知を行うことができる。
検査ステップでは、加工溝16に対する分割起点17の位置ずれの有無の判定に加えて、どの方向にどの程度の量で位置ずれしているかを検出することが好ましい。位置ずれの方向及び位置ずれの量は、図3に示す合成画像42や図5に示す第3画像43を参照して、画像上の各領域の座標に基づいて取得することが可能である。
加工溝16に対する分割起点17の位置ずれ方向及び位置ずれ量のデータを取得することにより、位置ずれが検出された後に行う改質層形成ステップにおいて、加工溝16に対する分割起点17の位置ずれが生じないように、レーザ照射部52からのレーザ照射位置を調整しながら(保持テーブル51の位置制御に補正をかけて)改質層形成ステップを実施することが可能になる。その結果、加工溝16と分割起点17が所定量以上ずれている不良ラインの発生数を減少させて、チップ14の製造における歩留まりを向上させることができる。
この場合、1つのウエーハ10の全ての分割予定ライン13に対して改質層形成ステップを連続して行うのではなく、1つ(または所定数)の分割予定ライン13に対して改質層形成ステップを行ったら、検査ステップに移行し、検査ステップで得られた結果に基づくレーザ光線の照射位置の調整を必要に応じて行いながら、次の分割予定ライン13に対して改質層形成ステップを行ってもよい。つまり、1つのウエーハ10に対する処理において、改質層形成ステップの実施中に、検査ステップを実施してもよい。
以上のように、レーザ加工装置50に検査ユニット60を備えることによって、検査ステップでの検査結果を利用した加工効率の向上や加工精度の向上という効果を得ることができる。
レーザ加工装置50において、レーザ加工や検査ユニット60での検査ステップなどの一連の処理が完了したら、ウエーハ10をカセット59に戻す。
[分割ステップ]
加工溝形成ステップ、改質層形成ステップ、検査ステップが完了したウエーハ10は、分割予定ライン13に沿って分割される分割ステップを経て、複数のチップ14に個片化される。分割ステップでは、ウエーハ10に対して分割起点17に沿って外力を付与して、ウエーハ10を分割する。このような分割を行う方法として、例えば、分割起点17が形成されたウエーハ10に対して拡張方向の力を付与するエキスパンド方式や、分割起点17が形成されたウエーハ10の裏面12を研削して薄化させて分割させるSDBG(Stealth Dicing Before Grinding)方式などが知られている。エキスパンド方式やSDBG方式によるウエーハ分割は周知であり、図面を省略して簡単に説明する。
エキスパンド方式では、伸縮性のテープを貼着したウエーハ10をエキスパンド装置に搬送する。エキスパンド装置は、ウエーハ10の周囲でテープを突き上げる機構や、テープを拡げる方向に引っ張る機構を備えており、これらの機構によってテープを拡張させる。テープの拡張に伴って、テープが貼着されているウエーハ10にも拡張方向の力が作用する。すると、ウエーハ10が分割起点17に沿って分割される。
SDBG方式では、パターン層15を覆う保護層を設けたウエーハ10を研削装置に搬送する。研削装置では、保護層を下方に向け、裏面12を上方に向けて、ウエーハ10を保持テーブル上に保持する。回転する研削砥石を上方からウエーハ10に接近させ、研削砥石を裏面12に接触させてウエーハ10を研削加工する。研削によって、ウエーハ10が仕上げ厚みまで薄化されると共に、ウエーハ10が分割起点17に沿って分割される。なお、改質層18の位置まで研削された結果としてウエーハ10が分割されてもよいし、改質層18の位置まで研削されるよりも前に研削圧力によってウエーハ10が分割されてもよい。
エキスパンド方式での分割とSDBG方式での分割のいずれにおいても、ウエーハ10には、分割起点17として、改質層18に加えて、改質層18から表面11に至るクラック19が形成されていることにより、カットラインの蛇行を抑制して精度の高い分割を実現できる。また、分割起点17に加えて、ウエーハ10の表面側には加工溝16が形成されているため、パターン層15を含むウエーハ10の厚み全体を効率的に分割させることができる。さらに、分割ステップの前に検査ステップを行うことによって、加工溝16と分割起点17がずれている箇所の存在を把握した状態で、ウエーハ10の分割を行うことができる。
以上に説明した通り、本実施形態のウエーハの処理方法によれば、ウエーハ10に形成した加工溝16と分割起点17のずれを検出可能であり、ウエーハ10の分割の精度を向上させることができる。
一般的に、ウエーハ10の内部の分割起点17は検査しにくいが、分割起点17に対応する凹部20が裏面12に出現することに着目して、凹部20を介して分割起点17の形成位置を識別するという発想によって、検査のしやすさと検査精度の向上を実現している。
加工溝16と分割起点17のずれを検出する検査ステップでは、ウエーハ10の裏面12から検査光(Sa、Sb、Sc)を照射して、分割起点17に対応する凹部20を有する裏面12で反射された第1の反射光(Ra、Rc)と、ウエーハ10を透過して表面11で反射された第2の反射光(Rb、Rd)と、を検出器37で受光する。この構成及び方法によれば、検査ステップを行うための検査機器(例えば、検査ユニット60)を、可動部の少ないシンプルな構造で動作の信頼性が高いものにできる。また、ウエーハ10の裏面12からの検査光(Sa、Sb、Sc)の照射で、ウエーハ10の表面11と裏面12の両方の状態を検出するので、効率の良い検査を実現できる。
また、検出器37として撮像ユニットを適用して、受光した第1の反射光(Ra、Rc)と第2の反射光(Rb、Rd)を撮像した画像を生成することによって、加工溝16と分割起点17のずれの検出が容易になり、検査ステップにおけるずれの検出精度が向上する。そして、画像を利用することによって、上記のように、オペレータによる目視や、制御ユニットによる自動判定など、多様な判定手法で加工溝16と分割起点17の位置ずれを判定できる。
なお、本発明におけるウエーハの処理とは、ウエーハ10に対して加工溝16や分割起点17を形成する加工(加工溝形成ステップ、改質層形成ステップ)や、ウエーハ10を分割する加工(分割ステップ)のような、製造に直接関わる加工だけではなく、加工溝16と分割起点17の検査を行う処理(検査ステップ)を含む概念である。従って、本発明に係るウエーハ処理方法は、検査ステップのみの態様(検査ステップを実施する単独の検査機器の態様)での適用が可能である。
また、本発明に係るウエーハ処理方法は、検査ステップに、加工溝形成ステップ、改質層形成ステップ、分割ステップなどを組み合わせた態様(検査ステップと他の少なくとも1つの加工ステップとを実施する加工装置の態様)での実現も可能である。
上記実施形態では、検査ユニット60を備えたレーザ加工装置50において、改質層形成ステップと検査ステップとを実施するものとしたが、これに限定されない。例えば、加工溝16をレーザ加工で形成するものとし(図7参照)、レーザ加工装置50において、加工溝形成ステップ、改質層形成ステップ、検査ステップをまとめて実施することも可能である。あるいは、検査ユニット60に相当する検査機器を、分割ステップを行うためのエキスパンド装置や研削装置に組み込んで、分割ステップの前段階の処理として検査ステップを行ってもよい。
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
以上説明したように、本発明のウエーハの処理方法は、ウエーハに形成した加工溝と分割起点のずれを検出可能であり、ウエーハの分割の精度を向上させることができるため、電子デバイスなどの生産分野において有用性が高い。
10 :ウエーハ
11 :表面
12 :裏面
13 :分割予定ライン
14 :チップ
15 :パターン層
16 :加工溝
17 :分割起点
18 :改質層
19 :クラック
20 :凹部
30 :保持テーブル
31 :レーザ照射部
32 :保持テーブル
33 :レーザ照射部
35 :保持テーブル
36 :光源
37 :検出器
40 :第1画像
41 :第2画像
42 :合成画像
43 :第3画像
50 :レーザ加工装置
51 :保持テーブル
52 :レーザ照射部
53 :撮像部
54 :基台
55 :第1移動機構
56 :第2移動機構
58 :カセット載置部
59 :カセット
60 :検査ユニット
61 :検出ブロック
62 :制御ユニット
63 :表示ユニット
401 :平坦領域
402 :凹部領域
411 :平坦領域
412 :加工溝領域
431 :平坦領域
432 :凹部領域
433 :加工溝領域
La :レーザ光線
Lb :レーザ光線(第2のレーザ光線)
Ra :第1の反射光
Rb :第2の反射光
Rc :第1の反射光
Rd :第2の反射光
Sa :第1の検査光
Sb :第2の検査光
Sc :第3の検査光

Claims (6)

  1. ウエーハの処理方法であって、
    該ウエーハは、
    分割予定ラインに沿って形成された表面からくぼんだ加工溝と、
    該分割予定ラインに沿って該ウエーハの内部に形成された改質層と、該改質層から表面に至るクラックと、を含む分割起点と、
    該改質層と該クラックとに応じて該ウエーハの裏面に出現した凹部と、を有し、
    該ウエーハの裏面から検査光を照射し、
    該凹部を含む裏面で反射された第1の反射光と、該ウエーハを透過して表面で反射された第2の反射光と、を検出器で受光する検査ステップを備え、
    該検査ステップは、
    該第1の反射光によって該分割起点の位置を検出し、
    該第2の反射光によって該加工溝の位置を検出することを特徴とするウエーハの処理方法。
  2. 該検査ステップは、
    該分割起点が該加工溝に対して所定量以上ずれている場合、異常と判定する判定ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のウエーハの処理方法。
  3. 該検出器は、撮像ユニットであることを特徴とする請求項1に記載のウエーハの処理方法。
  4. 該分割起点に沿って外力を付与して該ウエーハを分割し、複数のチップを製造する分割ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のウエーハの処理方法。
  5. 該検査ステップの前に、
    該ウエーハの表面にレーザ光線を照射し、該加工溝を形成する加工溝形成ステップを有することを特徴とする請求項1に記載のウエーハの処理方法。
  6. 該検査ステップの前に、
    該ウエーハに第2のレーザ光線を照射し、該ウエーハの内部に該改質層と、該改質層から表面に向かって延びる該クラックと、を含む該分割起点と、
    該クラックに対応し裏面に出現する凹凸と、を形成する改質層形成ステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のウエーハの処理方法。
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