JP2024073597A - リチウムの非常に耐久性のある挿入を有する新規な材料およびその製造方法 - Google Patents

リチウムの非常に耐久性のある挿入を有する新規な材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムの極めて耐久性のある挿入(インターカレーション)を示す新規な材料、その製造方法、およびエネルギー貯蔵用途などのためのその使用方法を提供する。
【解決手段】ミクロ細孔、メソ細孔、および/またはマクロ細孔を有する多孔質炭素材料のようなケイ素および多孔質炭素足場材料の複合体、ならびにその製造方法が提供される。組成物には、電気エネルギー貯蔵電極およびそれを有してなるデバイスを含めた種々の用途がみつけられている。
【選択図】なし

Description

(政府の利益に関する陳述)
本発明は、部分的に、エネルギー省のエネルギー効率および再生可能エネルギー局によって授与された授与番号DE-EE0007312の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
(技術分野)
本発明は、一般に、リチウムの極めて耐久性のある挿入(インターカレーション)を示す新規な材料、その製造方法、およびエネルギー貯蔵用途などのためのその使用方法に関する。新規な材料は、多孔質足場(多孔質骨格)、例えば、ミクロ細孔、メソ細孔および/またはマクロ細孔を含む細孔容積を示すカーボン(炭素)を含み、前記容積はシリコン(ケイ素)で含浸され、いくつかの実施形態において、含浸されたシリコンはナノ寸法および/またはナノ特徴である。シリコンで含浸された多孔質足場は、残りの表面積を減少させるためにさらに被覆することができ、例えば、炭素または伝導性ポリマーで被覆することができる。このようなシリコン含浸炭素材料および炭素-または伝導性ポリマー-被覆シリコン含浸炭素材料は、リチウムの挿入に関して顕著な耐久性を示す。したがって、開示された材料は、単独で、または他の材料と組み合わせて、有用性を有しており、例えば、エネルギー貯蔵用途のための物質の組成物を提供するために、炭素粒子、バインダー(結合剤)、または他の成分と組み合わされる。エネルギー貯蔵用途は、本明細書の材料を電極材料として、特にアノード(陽極)材料として、リチウムイオン電池、およびリチウムまたはリチウムイオンを用いた関連エネルギー貯蔵デバイス、例えばリチウム空気電池のために使用することを含む。特定の実施形態において、本明細書に開示された材料は、エネルギー貯蔵デバイス、例えば、リチウムイオン電池、およびリチウムまたはリチウムイオンを用いた関連エネルギー貯蔵デバイスのために、アノード材料として、有用性を有する。したがって、加えて、本発明は、そのような材料を含有する組成物およびデバイス、ならびにそれらに関連する方法に関する。
リチウム系電気貯蔵デバイスは、いずれかの数の用途で現在使用されているデバイスを置換する可能性を有する。例えば、現在の鉛蓄電池は、放電中の非可逆的な安定な硫酸物形成に原因して、次世代の全電気自動車およびハイブリッド電気自動車に適していない。リチウムイオン電池は、それらの能力、および他の考慮のために、現在使用されている鉛系のシステムに対する実行可能な代替品である。炭素(カーボン)は、リチウム2次電池およびハイブリッド・リチウムイオンキャパシタ(LIC)の両方の中で使用される原材料のうちの1つである。炭素アノードは、典型的には、挿入(インターカレーション)と呼ばれる機構によって層状の黒鉛(グラファイト)シート間にリチウムを格納する。従来のリチウムイオン電池は黒鉛カーボンアノードおよび金属酸化膜カソードで構成されている。しかしながら、そのような黒鉛酸アノードは、典型的には、低い出力性能および制限された容量という欠点を有する。
ケイ素、スズ、および他のリチウムアロイ化電気化学修飾剤も、単位重量当たりの非常に多量のリチウムを貯蔵する能力に基づいて、提案されている。しかし、これらの材料は、基本的に、リチウムが完全に挿入されたときに生じる実質的な膨張によって制限される。リチウムが除去されたときのこの膨張および収縮は、限られたサイクル寿命および低電力を有する電極をもたらす。これまでの解決策は、非常に少量のアロイ化電気化学修飾剤を大炭素電極に使用することであった。しかし、この手法は、所望のリチウム容量の増加を与えない。容量を増加させるために、サイクル安定性を保持しながら、アノード組成物中のアロイ化電気化学修飾剤含有量を増加させる方法を見出すことが望まれる。ナノ構造化されたアロイ化電気化学修飾剤、炭素とアロイ化電気化学修飾剤とのブレンド、または真空または高温を用いた炭素へのアロイ化電気化学修飾剤の付着を含む多くの手法が利用されてきた。しかしながら、これらの手法のいずれも、所望の性質をもたらす大規模に実現可能な手法を組み合わせることが証明されていない。
リチウムの挿入時に、特定の材料、例えばシリコン材料に関連する前述の膨張が、エネルギー貯蔵および分配のためのそれらの応用に関して、例えば、再充電可能な電池における使用に関して、前記材料の安定性、すなわち、サイクル寿命における重要な要因である。多くのサイクルにわたって、前記材料の容量は、低下(フェーディング)を受けやすい。この容量低下は、様々な異なるメカニズムによって沈殿させることができ、前記臨界メカニズムの1つは、可逆式リチウム挿入と競合する、負極において固体/電解質界面(SEI)の形成に関連して説明されている。短時間および高温の加速老化に基づいて、長期間にわたってモデル化することができる標準的な劣化メカニズムとして、SEIが能力低下の重要な成分であることは、当該技術分野で知られている。
この技術分野において、SEI層が安全性、電力能力、およびLiイオン電池のサイクル寿命において重要な役割を果たすことが説明されている。化学的かつ機械的に安定なSEI層の形成は、リチウムイオン電池のサイクル寿命を改善するために重要であることも説明されている。電池の充放電サイクル中の電極表面における有機溶媒およびアニオンの減少に原因して、第1のサイクルの間に生じる実質的な程度の形成とともに、アノードにおけるシリコン上のSEI層が形成される。さらに、特定の電解質添加剤、例えば、ビニレンカーボネート、プロピレンカーボネート、リチウムジフルオロオキサレートボレート、およびフルオロエチレンカーボネート、当該技術分野で公知の他の物質、およびそれらの組合せを使用して、シリコン系のアノードのサイクル効率を劇的に向上させることができる。SEI層は、黒鉛電極上に見出される通常のLiCO、アルキルLi炭酸塩(ROCOLi)(リチウムカルボキシレート)、LiF、ROLi(リチウムアルコキシド)、およびポリエチレンオキシドの他に、フッ素化炭素およびケイ素種を含むことができる。負極上のSEI形成は、二次リチウムイオン電池の第1のリチウム化/脱リチウム化サイクルにおいて観測される容量損失の大部分につながる正極からサイクル可能なLiイオンを消費する不可逆的な反応である。第1のサイクルにおける容量損失の他に、この層の連続的な形成はまた、Liイオン拡散に対する耐性(すなわち、電池の内部インピーダンス)をも増加させる。
シリコン系のアノード材料の繰り返しの膨張と収縮は、SEIの不安定性さ、例えば、同時にアノードの能力の低下に寄与する亀裂および再形成、につながる。このために、当技術分野では、リチウムイオン電池におけるサイクル時に起こり得る化学的および機械的分解の傾向を軽減し、破砕を回避するために好ましい様々な異なるシリコン寸法および幾何学的形状が説明されている。この目的のために、当該技術分野(RSC Advances, 2013, 3, 7398,「リチウムイオン電池のリチウム化誘起機械的故障を回避するための臨界的なシリコン-アノードの大きさ」, Ma et al.)は、ナノ粒子の臨界寸法として、90nm、ナノワイヤ用に70nm、ナノフィルム用に33nmを記載している。(それぞれの形状について)これらの寸法以下では、シリコンナノ構造は、リチウム化時に損傷を受けないままである。当該技術分野における別の報告(DOI:10.1002/anie.200906287, 「リチウム二次電池用のシリコンナノアノードの臨界的な大きさ」Angewandte Chemie, Vol 49, Iss. 12, pp2146-2149, 2010, Kim et al.)は、良好に分散されたシリコンナノ結晶について、10nmの近似寸法が5nmまたは20nm寸法に比べてより高い容量保持を示したことを記載する。
さらに、ナノ構造は、膨張および収縮の間にシリコンの粉砕を防止するとともに、サイクル全体にわたって非晶質構造を保持するのに重要である。粉砕は、バルク構造を通る極端な歪み勾配に起因したシリコンの機械的故障として認識されている。シリコンがリチウム化されるとともに、それは(上方に300%にまで)体積膨張する。リチウムイオンは固体シリコンを介して非常にゆっくり移動する。リチウムの挿入中、シリコン粒子は、表面付近に大量のリチウムを保持することができ、粒子の中心に存在しない。濃度勾配は、断面を通る不均一な膨張を生成する。極端な表面体積膨張によって、シリコン粒子は、内部から離れてちぎれ、亀裂および破壊が生じる。一旦シリコンが粉砕されると、性能を回復する既知の方法がないので、セルは故障する。
したがって、エネルギー貯蔵用途では、好ましいシリコン寸法は1ミクロン未満、好ましくは800nm未満、好ましくは300nm未満、好ましくは150nm未満、好ましくは100nm未満、好ましくは90nm未満、好ましくは70nm未満、好ましくは50nm未満、好ましくは33nm未満、好ましくは20nm未満である。特定の例では、好ましいシリコン寸法は、5~20nmである。特定の例では、好ましいシリコン寸法はナノ粒子のために90nm未満である。特定の例では、好ましいシリコン寸法はナノワイヤのために70nm未満である。特定の例では、好ましいシリコン寸法はナノフィルムについて33nm未満である。
上記寸法のシリコン粒子は、一般にナノ寸法のシリコン粒子と呼ばれる。粒子寸法は、典型的には、当該技術分野で知られている種々の方法によって測定して、例えばレーザー回折粒子寸法技術によって測定して、Dv50として、または体積分布50%でのシリコン粒子寸法として記述される。
あるいは、または上記範囲内の一次粒子寸法を示すシリコンに加えて、シリコン粒子は、ナノ特徴を示すこともできる。シリコンナノ特徴は、好ましくは、1ミクロン未満、好ましくは300nm未満、好ましくは150nm未満、好ましくは100nm未満、好ましくは50nm未満、好ましくは30nm未満、好ましくは15nm未満のナノ特徴寸法を有する。上記の特徴を有するシリコン粒子は、一般に、ナノ寸法の特徴を有するシリコン粒子と呼ばれる。ナノ寸法の特徴は、当該技術分野で知られている様々な方法によって、例えば、電子顕微鏡を走査することによって、識別することができる。
ナノ寸法のシリコンを実現するための現在の技術は高価であり、規模の拡大が困難である。例えば、Siナノクラスターの最初の一般に認められた首尾良い製造は、Heathおよび共同研究者によって報告されており(Science 1992, 258, 1131; P. E. Batson, J. R. Heath, Phys. Rev. Lett. 1993, 71, 911)、加熱マントル内に嵌め込まれたボンベ内の高温高圧下でのSiClの還元を含む。別の例では、方法は、不活性雰囲気下において室温でSiCl還元を利用する。しかし、室温で得られた生成物は完全に結晶化せず、さらに高温アニールを必要とした。同様の溶液合成が、LiAlHまたはアルキルシランを用いてケイ素塩を還元した後、低温または高温を用いることが報告されている、しかしながら、このような方法の全ては、広い粒度分布を生成するか、またはナノ粒子の凝集を含む。さらに、これらの手法は、商業的な有用性を可能にするのに適していない。この規模拡大性(スケーラビリティ)および材料収率は、リチウム二次電池のためのアノード製造におけるそれらの使用を可能にするには不十分である。
したがって、ナノ寸法の粒子を含むおよび/またはナノ特徴を示す多孔質シリコン材料を製造するための、容易に規模拡大可能で安価な改良された方法が要求されており、適切な硬質炭素材料と組み合わせて、所望の電気化学的性質を生成することができる。本発明は、この要求を満たし、さらなる関連する利点を提供する。
(簡単な要約)
一般的に言って、本発明は、シリコンが多孔質足場材料の細孔容積内に付着される複合材料に関する。多孔質足場材料は、様々な異なる材料を含むことができる。特定の好ましい実施形態において、多孔質足場材料は、ミクロ細孔、メソ細孔、および/またはマクロ細孔を有する多孔質炭素材料である。具体的には、多孔質炭素材料は、5~1000nmの範囲の細孔を供給し、後に細孔にシリコンが充填される。したがって、本開示は、シリコンが多孔質足場材料の細孔容積内に付着される複合材料の製造方法に関する。複合体は、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示し、したがって、最適化されたリチウム貯蔵および利用性質を供給する。これらの新規な複合体は、多数の電気エネルギー貯蔵デバイスにおいて、例えば、リチウム系電気エネルギー貯蔵デバイス(例えば、リチウムイオン電池)における電極材料として使用することができる。本明細書に開示される新規な複合体を含む電極は、高い可逆的容量、高い第1サイクル効率、高出力性能、またはそれらのいずれかの組み合わせを示す。本発明者らは、このような改善された電気化学的性能が、シリコン(ケイ素)の寸法、サイクル中のケイ素および炭素材料の一体性、安定なSEI層の形成、足場材料の物理化学的性質、例えば、炭素足場の表面積および細孔容積性質、および他の性質に関連することを見いだし、ならびにそれらの材料を製造および組み合わせるために使用される手法を見いだした。
したがって、一実施形態において、本開示は、多孔質足場とケイ素とを含む複合体であって、耐久性のあるリチウム挿入を有する新規な複合体を製造することを提供する。例えば、製造方法は、以下の工程:
a)多孔質足場材料を作成する工程であって、多孔質足場材料が、5~1000nmの範囲の細孔容積を有する工程、
b)多孔質足場材料内にシリコンを含浸させることにより、シリコン含浸の炭素材料を得る工程
を有してよい。
したがって、一実施形態において、本開示は、炭素とケイ素とを含む複合体であって、耐久性のあるリチウム挿入を有する新規な複合体を製造することを提供する。例えば、製造方法は、以下の工程:
a)ポリマーおよび/またはポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間の間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、多孔質炭素材料を生成させる工程;
c)ケイ素含有ガスの存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程
を有してよい。
したがって、一実施形態において、本開示は、シリコン含浸炭素材料を包囲する炭素の層を有する複合体であって、耐久性のあるリチウム挿入を有する新規な複合体を製造することを提供する。例えば、製造方法は、以下の工程:
a)ポリマーおよび/またはポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間の間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、多孔質炭素材料を生成させる工程;
c)ケイ素含有ガスの存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程;および
d)シリコン含浸炭素材料のまわりに伝導性ポリマーを適用して、伝導性ポリマーネットワーク内に埋設されたシリコン含浸炭素材料を得る工程
を有してよい。
したがって、一実施形態において、本開示は、シリコン含浸炭素材料を包囲する伝導性ポリマーの層を有する複合体であって、耐久性のあるリチウム挿入を有する新規な複合体を製造することを提供する。例えば、製造方法は、以下の工程:
a)ポリマーおよび/またはポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間の間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、多孔質炭素材料を生成させる工程;
c)ケイ素含有ガスの存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程;および
d)シリコン含浸炭素材料上に炭素層を適用して、炭素被覆されたシリコン含浸炭素材料を得る工程
e)シリコン含浸炭素材料のまわりに伝導性ポリマーを適用して、炭素被覆され、さらに伝導性ポリマーネットワーク内に埋設されたシリコン含浸炭素材料を生成する工程
を有してよい。
他の実施形態において、多孔質炭素足場およびケイ素を含んでなる複合体であって、
複合体は、重量で15~85%のケイ素を有し、複合体は、窒素吸着(窒素収着)によって求めて、10%未満のミクロ細孔、30%超のメソ細孔、30%超のマクロ細孔、および0.5cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する複合体が提供される。
他の実施形態において、多孔質炭素足場およびケイ素を含んでなる複合体であって、
複合体は、重量で15~85%のケイ素を有し、多孔質炭素足場は、窒素吸着によって求めて、10%未満のミクロ細孔、30%超のメソ細孔、30%超のマクロ細孔、および0.5cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する複合体が提供される。
他の実施形態において、多孔質炭素足場およびケイ素を含んでなる複合体であって、
複合体は、重量で35~65%のケイ素を有し、複合体は、窒素吸着によって求めて、20%未満のミクロ細孔、60%超のメソ細孔、30%超のマクロ細孔、および0.1~0.5cm/gの総細孔容積を有する細孔構造を有する複合体が提供される。
他の実施形態において、多孔質炭素足場およびケイ素を含んでなる複合体であって、
複合体は、重量で35~65%のケイ素を有し、多孔質炭素足場は、窒素吸着によって求めて、20%未満のミクロ細孔、60%超のメソ細孔、30%超のマクロ細孔、および0.1~0.5cm/gの総細孔容積を有する細孔構造を有する複合体が提供される。
したがって、本開示は、リチウム系エネルギー貯蔵デバイスの電極に組み込まれたときに、該材料がリチウムの著しく耐久性のある挿入を示す新規組成物の製造方法に加えて、新規組成物をも提供する。いくつかの実施形態において、リチウム系電気エネルギー貯蔵デバイスは、リチウムイオン電池またはリチウムイオンキャパシタである。
本発明の上記および他の態様は、以下の詳細な説明を参照すれば明らかである。このために、より詳細な具体的な背景情報、手順、化合物および/または組成物を説明する様々な参照を本明細書で示し、これらはそれぞれ、その全体において本明細書に組み込まれる。
図1は、マイクロ波吸収性多孔質炭素足場上にマイクロ波可能なシリコン付着を介して複合粒子を達成する方法の概略図を示す。 図2は、ミクロ多孔質炭素足場およびそれに由来するケイ素含有複合体の細孔容積分布を示す。 図3は、混合されたマイクロ-、メソ-、マクロ-多孔質炭素足場およびそれから誘導されたケイ素含有複合体の細孔容積分布を示す。 図4は、マクロ細孔質炭素足場およびそれに由来するケイ素含有複合体の細孔容積分布を示す。 図5は、ミクロ細孔をキャップするためのCVD処理前および後のミクロ多孔質炭素の細孔容積分布を示す。 図6は、裸カーボン対カーボン複合ナノシリコンについてのアノード膨張対重量容量のデータを示す。 図7は、試料のカーボン-シリコン複合体についてのアノード膨張対重量容量のデータを示す。 図8は、試料のカーボン-シリコン複合体についてのアノード膨張対体積容量のデータを示す。 図9は、様々な試料の黒鉛に対するWh/Lのフルセルのデータを示す。 図10は、混合されたミクロおよびメソ多孔質炭素足場とそれに由来するケイ素含有複合体の細孔容積分布を示す。 図11は、異なる熱分解温度(PC)で製造された混合ミクロおよびメソ細孔質炭素足場から製造されたシリコンカーボン複合体についての容量保持(実線)およびクーロン効率(破線)を示す。 図12は、シリコンカーボン複合体の炭素被覆の影響を示す図を示す。示されたデータは、ハーフセルで電気化学的に測定された非被覆(縞棒)および被覆(ソリッド棒)の試料を示す。(12A)平均計算シリコン容量(mAh/g)、(12B)平均観測複合体容量(mAh/g)、(12C)平均クーロン効率、および(12D)サイクル20における平均容量保持を示す。 図13は、様々なカーボン-シリコン複合体の完全なリチウム化におけるアノード膨張対体積容量を示す。 図14は、比較的小さい(三角形)対比較的大きい(菱形)寸法の多孔質炭素足場から製造されたシリコンカーボン複合体のフルセルのサイクル安定性を示す。 図15は、炭素被覆された(三角形)対非炭素被覆(菱形)の多孔質炭素足場から製造されたシリコンカーボン複合体のフルセルのサイクル安定性を示す。 図16は、例29のC被覆シリコンカーボン複合体のフルセル、パウチセルサイクリングの容量保持を示す。 図17は、例29のC被覆シリコンカーボン複合体のフルセル、パウチセルサイクリングの重量容量を示す。 図18は、例30の様々な材料のための様々なサイクルレートにおける取出容量(抽出容量)を示す。 図19は、例30の様々な材料のための様々なサイクルレートにおける最大取出容量%を示す。 図20は、例31の新規なシリコンカーボン複合体について様々な程度のアノード緻密化におけるサイクル安定性を示す。 図21は、例31の酸化ケイ素比較物のための様々な程度のアノード緻密化におけるサイクル安定性を示す。 図22は、例35における炭素被覆され対非炭素被覆された多孔質炭素足場から製造されたシリコンカーボン複合体のフルセルのサイクル安定性を示す。 図23は、例36におけるフルセル、コインセルにおける黒鉛と比較した炭素被覆シリコンカーボン複合体のフルセルのサイクル安定性を示す。 図24は、例36におけるフルセル、コインセルにおける黒鉛と比較した炭素被覆シリコンカーボン複合体のフルセルサイクリング安定性についてのアノードの差動電圧プロットを示す。 図25は、例36におけるフルセル、コインセルにおける黒鉛と比較した炭素被覆シリコンカーボン複合体のフルセルサイクル安定性のためのカソードの差動電圧プロットを示す。 図26は、例39におけるその場TEMによるシリコンカーボン複合体の粒子膨張の測定を示す。 図27は、例39におけるその場TEMによる炭素被覆シリコンカーボン複合体の粒子膨張の測定を示す。
(詳細な説明)
下記の記載において、種々の実施態様の理解をもたらすために、幾つかの具体的な詳細が説明される。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの詳細な説明を用いなくても実施できるものと理解している。他の場合において、実施例の記載が不必要に不明瞭になることを回避するために、既知の構造は示されていないか詳細が記載されている。文脈上他の意味に解すべき場合を除き、以下の明細書および請求項を通じて、用語「含有」およびそれらの変形例、例えば、「含有する」および「含む」は、開放的な用語であり、すなわち、「包含するが、限定されない」といった包括的な意味を有すると解釈される。さらに、本明細書においてもたらされる表題は、利便性のためだけであり、請求項に記載された本発明の範囲および意義を説明するものではない。
この明細書を介して言及される「1つの実施態様」または「実施態様」は、実施態様に関連して記載される具体的な特徴、構造もしくは性質が、少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。したがって、この明細書における様々な箇所において、「一実施態様」または「実施態様」という表現が見受けられるが、同じ実施態様に全てが関連する必要はない。さらに、具体的な特徴、構造もしくは性質を、1以上の実施態様において、いずれかの適当な方法で組合せることができる。本明細書および添付の請求項において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、他に明確な記載のない限り複数形も包含する。「または」という用語は、一般に、他に明確な記載のない限り「および/または」を含む意義で使用される。
(定義)
本明細書で使用されるように、および他に記載のない限り、以下の用語は下記に特定されるような意味を有する。
「エネルギー貯蔵材料」は、例えば、物理的に同伴された電解質の形態で、電荷を貯蔵することができる材料を意味する。エネルギー貯蔵材料は、充放電可能である。エネルギー貯蔵材料の例としては、炭素、例えば、活性炭、ケイ素、硫黄、リチウム、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。エネルギー貯蔵材料は、粒子の形態で使用されてもよく、粒子の粒子間および/または粒子内混合物の組合せであってもよい。エネルギー貯蔵粒子は、当該技術分野で説明されているように、乾式処理または水性または非水性スラリー処理を用いて電極に組み立てることができる。
「炭素材料」は、実質的に炭素から成る材料または物質を意味する。炭素材料の例としては、活性炭、熱分解炭素、硬質炭素、黒鉛および他の炭素の同素体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「不純物」または「不純物元素」は、原料物質の化学組成とは異なる、材料内の異物(例えば、化学元素)を意味する。例えば、炭素材料中の不純物は、炭素材料中に存在する、炭素以外の元素または元素の組合せを意味する。不純物の濃度は、典型的には百万分の1(ppm)で表わされる。
「TXRF不純物は」、全X線蛍光(TXRF)によって検出されるいずれかの不純物元素である。「総TXRF不純物含有量」および「総TXRF不純物濃度」は、いずれも、試料(例えば、ポリマーゲル、炭素材料、シリコン材料、または炭素とケイ素とを含む複合材料)中に存在する総TXRF不純物の合計である。
「灰分」は、高い分解温度に物質を曝した後に残存する不揮発性の無機物を意味する。ここで、炭素材料の灰分は、不揮発性成分が、予想される燃焼生成物(すなわち酸化物)へ完全に変換されると仮定した場合、プロトン励起X線分析により測定された総PIXE不純物含有量から計算される。
「ポリマー」は、2つ以上の構造的な繰返し単位を有して成る巨大分子を意味する。
「合成ポリマー前駆体材料」または「ポリマー前駆体」は、合成ポリマーの調製において使用される化合物を意味する。本明細書において開示される調製法において使用できるポリマー前駆体の例には以下のものが含まれるが、これらに限定されない:アルデヒド(すなわち、HC(=O)R、式中Rは有機基である)、例えば、メタナール(ホルムアルデヒド);エタナール(アセトアルデヒド);プロパナール(プロピオンアルデヒド);ブタナール(ブチルアルデヒド);グルコース;ベンズアルデヒドおよび桂皮アルデヒド。他のポリマー前駆体の例には以下のものが含まれるが、これらに限定されない:フェノール系化合物(例えば、フェノール)、およびポリヒドロキシベンゼン(例えばジヒドロキシベンゼンまたはトリヒドロキシベンゼン)、例えば、レゾルシノール(すなわち、1,3-ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノン、およびフロログルシノール。2種以上のポリヒドロキシベンゼンの混合物も、ポリマー前駆体の意義内に理解される。
「ゾル」は、前駆体粒子(例えば、ポリマー前駆体)のコロイド懸濁液を意味し、用語「ゲル」は、前駆体粒子の濃縮または反応によって得られる湿潤した三次元多孔質ネットワークを意味する。
「ポリマーゲル」は、ネットワーク成分がポリマーであるゲルを意味する。一般に、ポリマーゲルは、合成前駆体またはポリマー前駆体から形成されたポリマーを含んで成る湿潤した(水系または非水系の)三次元構造である。
「ゾルゲル」は、ポリマーゲルの下位分類を意味する。この場合、ポリマーは、ポリマー前駆体の反応によって得られる湿潤した三次元多孔質ネットワークを形成するコロイド懸濁液である。
「ポリマーヒドロゲル」または「ヒドロゲル」は、ポリマーゲルまたはゲルの下位分類を意味する。この場合、合成前駆体もしくはモノマー用の溶媒が、水または水と1種以上の水混和性溶媒との混合物である。
「酸」は、溶液のpHを低下させることができるいずれかの物質を意味する。酸は、アレニウス、ブロンステッドおよびルイス酸を含む。「固体酸」は、溶媒中に溶解させた際に酸性溶液が生成される乾燥または粒状化合物を意味する。「酸性」という用語は、酸の性質を有することを意味する。
「塩基」は、溶液のpHを上昇させることができるいずれかの物質を意味する。塩基は、アレニウス、ブロンステッドおよびルイス塩基を含む。「固体塩基」は、溶媒中に溶解させた際に塩基性溶液が生成される乾燥または粒状化合物を意味する。「塩基性」という用語は、塩基の性質を有することを意味する。
「触媒」は、化学反応の速度を変化させる物質である。触媒が循環的に再生されて、触媒が周期的に反応に参加する。本開示は、ナトリウムを含まない触媒を考慮する。本明細書において開示されるようなポリマーゲルを調製する際に使用される触媒は、ポリマー前駆体の重合を促進して、ポリマーゲルを生成するいずれかの化合物である。「揮発性触媒」は、大気圧以下にて揮発する傾向がある触媒である。揮発性触媒の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:アンモニウム塩、例えば、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウムまたはそれらの組合せなどである。
「炭化する」、「熱分解する」、「炭化」および「熱分解」は、それぞれ、不活性大気(例えば、アルゴンまたは窒素)中、または真空中で、熱分解可能な滞留温度にて、炭素含有物質を加熱する処理を意味し、これにより、該処理の終端において回収される対象となる物質は、主に炭素である。「熱分解された」は、例えば、熱分解処理が施されている、例えば、炭素材料などの、材料または物質に関連する。
電極に関して使用されているように、「密度」は、活物質(例えば、カーボン-シリコン複合体)およびいずれかの任意のバインダー、伝導性向上剤などの総密度を意味する。電極の密度は、電極に伴った集電体に関連する質量または体積を含んでいない。
「滞留温度」は、比較的一定な温度を維持するために保持される(すなわち、温度を上昇させることも減少させることもない)、工程の一部における加熱炉の温度を意味する。例えば、熱分解の滞留温度は、熱分解の間における加熱炉の比較的一定な温度を意味し、活性化滞留温度は、活性化の間における加熱炉の比較的一定な温度を意味する。
「細孔」は、炭素材料、例えば、活性炭、熱分解され乾燥されたポリマーゲル、熱分解されたポリマークリオゲル、熱分解されたポリマーキセロゲル、熱分解されたポリマーエアロゲル、活性化され乾燥されたポリマーゲル、活性化されたポリマークリオゲル、活性化されたポリマーキセロゲル、活性化されたポリマーエアロゲルなどにおける穴、またはそれらの表面における窪みまたは開口部である。細孔は、単一の穴であってもよく、または他の穴と構造内の連続ネットワークを介して接続していてもよい。
「細孔構造」は、炭素材料(例えば、活性炭材料)内の内部細孔表面における配置を意味する。細孔構造の構成要素には、細孔寸法(細孔径)、細孔容積、細孔面積、密度、細孔寸法分布、および細孔長さが含まれる。一般に、活性炭材料の細孔構造には、ミクロ細孔およびメソ細孔が含まれる。
「メソ細孔」は、一般に、約2ナノメートル~約50ナノメートルに直径を有する細孔を意味し、一方、「ミクロ細孔」は、約2ナノメートル未満の直径を有する細孔を意味する。メソ細孔質炭素材料は、メソ細孔における総細孔容積の50%超を含み、ミクロ細孔質炭素材料は、ミクロ細孔における総細孔容積の50%を超える。約50ナノメートルより大きい細孔を「マクロ細孔」と呼ぶ。
「表面積」は、BET法によって測定可能な、物質の総比表面積を意味する。表面積は、典型的に、m/g単位で表わされる。BET(ブルナウアー-エメット-テラー)法は、不活性ガス、例えば、窒素を用いて、物質に吸着(収着)されたガスの量を測定することにより行われ、物質の接近可能な表面積を測定するための、当該技術分野において常套に使用される方法である。
メソ細孔およびミクロ細孔に対し、本明細書において使用される「接続された」は、このような細孔の空間的位置を意味する。
「バインダー」は、炭素の各粒子を相互に保持することができる材料であり、該バインダーと炭素を相互に混合させた後、得られた混合物を、シート、ペレット、ディスクまたは他の形状に形成させることができる。バインダーの非限定的な例には、フルオロポリマー、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標))、PFA(パーフルオロアルコキシポリマー樹脂、テフロン(登録商標)としても既知)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン、テフロン(登録商標)としても既知)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン、Tefzel(登録商標)およびFluon(登録商標)として市販)、PVF(ポリビニルフッ化物、Tedlar(登録商標)として市販)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン、Halar(登録商標)として市販)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド、Kynar(登録商標)として市販)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン、Kel-FおよびCTFEとして市販)、トリフルオロエタノールおよびそれらの組合せなどが含まれる。
「複合材料」は、同じ粒子内の複数(すなわち、2以上)の異なる化学種、例えば、多孔質炭素材料とケイ素材料の両方を含む粒子を含む組成物を意味する。
「同素体」とは、異なる形態で存在することができる物質を意味する。C60、グラフェン、ダイヤモンド、硬質炭素、軟質炭素、黒鉛、カーボンナノチューブは、炭素同素体の全ての例である。「硬質炭素」とは、非黒鉛化炭素材料を意味する。高温(例えば、>1500℃)において、硬質炭素は実質的に非晶質状態のままであり、一方、「軟質」炭素は結晶化を受け、黒鉛化される。
「リチウム取り込み」とは、リチウム原子数の最大数と6個の炭素原子との比として測定される、リチウムを挿入し、吸収し、貯蔵することができる炭素の能力を意味する。
「SEI」は、当技術分野において知られているように、溶媒/電解質界面を意味する。
「ヤング率」は、引張弾性率または弾性率としても知られており、線状弾性固形物の機械的性質である。これは、材料を伸張(圧縮)するのに必要な力(単位面積当たり)を測定する。
「嵩モジュラス」は体積弾性を記述し、全ての方向に均等に負荷された場合に、対象物が全ての方向に変形する傾向を記述する。体積ひずみに対する体積応力と定義され、圧縮率の逆数である。嵩モジュラスは、ヤング率の3次元への拡張である。
「クーロン効率」は、リチウム挿入の結果として達成される容量性電荷または取り込みの量によって割られるリチウムイオン系のエネルギー貯蔵デバイスのアノードからのリチウム取出(リチウム抽出)の結果として達成される容量性放電の量を意味する。クーロン効率は百分率としてまたは分数として、例えば、99%=(0.99)として報告される。
「ナノ寸法」は、材料(例えば、シリコン)が、ナノメーターのオーダーの少なくとも1つの寸法、例えば、少なくとも1ミクロン未満の少なくとも1つの寸法を有することを意味する。エネルギー貯蔵用途では、好ましいシリコン寸法は、1ミクロン未満、好ましくは800nm未満、好ましくは300nm未満、好ましくは150nm未満、好ましくは100nm未満、好ましくは50nm未満、好ましくは30nm未満、好ましくは15nm未満である。上記寸法のシリコン粒子は、一般に、ナノ寸法のシリコン粒子と呼ばれる。粒子寸法は、典型的には、当該技術分野で知られている種々の方法によって測定して、例えばレーザー回折粒子寸法技術によって測定して、Dv50として、すなわち、50%の体積分布でのシリコン粒子寸法を有することとして記述される。
上記範囲内の一次粒子寸法を示すシリコンを含むことに代えて、またはそれに加えて、シリコン粒子は、ナノ特徴も示すことができる。ナノ特徴は、例えば1ミクロン未満のオーダーの寸法を有する、細孔などの特徴を意味する。「ナノ特徴」材料は、ナノ特徴を有するものである。シリコンナノ特徴は、好ましくは、1ミクロン未満、好ましくは300nm未満、好ましくは150nm未満、好ましくは100μm未満、好ましくは50nm未満、好ましくは30nm未満、好ましくは15nm未満のナノ特徴寸法を含む。上記の特徴を有するシリコン粒子は、一般に、ナノ寸法の特徴を有するシリコン粒子と呼ばれる。ナノ寸法の特徴は、当該技術分野で知られている様々な方法によって、例えば、電子顕微鏡を走査することによって、識別することができる。
A.多孔質足場材料
本発明の目的のために、多孔質足場が必要であり、多孔質足場の中にシリコンを含浸させる。この文脈では、多孔質足場は、様々な材料とすることができる。好ましい実施形態において、多孔質足場材料は、主として炭素、例えば硬質炭素を含む。炭素の他の同素体もまた使用でき、例えば、黒鉛、非晶質カーボン、ダイヤモンド、C60、カーボンナノチューブ(例えば、単層および/または多層)、グラフェンおよび/または炭素繊維を含む。炭素材料への多孔性の導入は、種々の手段によって達成することができる。例えば、炭素材料における多孔性は、ポリマー前駆体、および/または処理条件の調節によって達成することができ、前記多孔質炭素材料を作成し、次のセクションで詳細に説明する。
他の実施形態において、多孔質足場は、ポリマー材料を含むことができる。この目的のために、多種多様なポリマーが有用性を有しており、無機ポリマー、有機ポリマーおよび付加ポリマーを含むが、これらに限定されない。無機ポリマーの例は、ケイ素-ケイ素のホモ鎖ポリマー、例えば、ポリシラン、炭化ケイ素、ポリゲルマニウム、およびポリスタナンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。無機ポリマーのさらなる例としては、限定するものではないが、ヘテロ鎖ポリマー、例えば、ポリボラジレン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)およびポリジフェニルシロキサンのようなポリシロキサン、パーヒドリドポリシラザン(PHPS)のようなポリシラザン、ポリホスファゼン、ポリ(ジクロロホスファゼン)、ポリホスフェート、ポリチアジル、ポリスルフィドが挙げられる。有機ポリマーの例としては、これらに限定されないが、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ナイロン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリ尿素、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)およびこれらの組合せ、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリクロロプレン、ポリアクリロニトリル、ポリアニリン、ポリイミド、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PDOT:PSS)およびその他である。有機ポリマーは、合成であっても天然であってもよい。いくつかの実施形態において、ポリマーは、多糖、例えば、デンプン、セルロース、セロビオース、アミロース、アミルペクチン、アラビアゴム、リグニンである。いくつかの実施形態において、多糖は、単糖またはオリゴ糖、例えば、フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラフィノースのキャラメル化から誘導される。
多孔質基材を提供する潜在的に理解される無数の多様なポリマーに付随して、前記多孔度を達成するために、様々な処理手法が理解される。この文脈において、多孔性を様々な材料に付与するための一般的な方法は、当技術分野で知られているように、無数であり、これらに限定されないが、乳化、ミセル形成、ガス化、溶解、続いて溶媒除去(例えば、凍結乾燥)、軸圧縮および焼結、重力焼結、粉末圧延および焼結、静水圧圧縮および焼結、金属溶射、金属被覆および焼結、金属射出成形および焼結等である。多孔質ポリマー材料を作成するための他の手法は、多孔質ゲル、例えば、凍結乾燥ゲル、エアロゲルを作成することも理解される。
特定の実施形態において、多孔質足場材料は、多孔質セラミック材料を含む。特定の実施形態において、多孔質足場材料は、多孔質セラミック発泡体を含む。この文脈では、当該技術分野で知られているように、セラミック材料に多孔性を付与するための一般的な方法は、種々であり、限定されるものではないが、多孔質の作成を含む。多孔質セラミックを構成するのに適した一般的な方法および材料は、限定されるものではないが、多孔質酸化アルミニウム、多孔質ジルコニア強化アルミナ、多孔質部分安定化ジルコニア、多孔質アルミナ、多孔質焼結炭化ケイ素、焼結窒化ケイ素、多孔質コーディエライト、多孔質酸化ジルコニウム、粘土結合炭化ケイ素等である。
特定の実施形態において、多孔質足場は、多孔質シリカまたは酸素を含有する他のケイ素材料を含む。ゾルおよびゲルを含むシリコンゲルの作成および他の多孔質シリカ材料が当技術分野で知られている。
特定の実施形態において、多孔質材料は多孔質金属を含む。この点に関する適切な金属は、当該技術分野で知られているように、多孔質アルミニウム、多孔質鋼、多孔質ニッケル、多孔質インコンネル(登録商標)、多孔質ハステロイ(登録商標)、多孔質チタン、多孔質銅、多孔質黄銅、多孔質金、多孔質銀、多孔質ゲルマニウム、多孔質構造体に形成することができる他の金属を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、多孔質足場材料は、多孔質金属発泡体を含む。本技術分野では、金属の種類およびそれに関連する製造方法が知られている。そのような方法には、鋳造(発泡、浸潤、および消失泡鋳造を含む)、蒸着(化学的および物理的)、ガス共晶形成、および粉末冶金技術(例えば、粉末焼結、発泡剤の存在下での圧縮および繊維冶金技術)が挙げられるが、これらに限定されない。
B.多孔質炭素材料ポリマー
ポリマー前駆体から多孔質炭素材料を調製する方法は、当該技術分野で公知である。例えば、炭素材料の製造方法は、米国特許第7,723,262号、同8,293,818号、同8,404,384号、同8,654,507号、8,916,296号、9,269,502号、米国特許出願12/965,709号および13/486,731号、ならびに国際特許出願PCT/US2014/029106号に記載されており、これらの全開示は全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に援用される。したがって、一実施形態において、本開示は、上述の炭素材料またはポリマーゲルのいずれかを調製する方法を提供する。炭素材料は、単一の前駆体、例えば、糖類材料、具体的には、ショ糖、フルクトース、グルコース、デキストリン、マルトデキストリン、澱粉、アミロペクチン、アミロース、リグニン、アラビアゴム、当該技術分野で知られている他の糖類、およびそれらの組合せのいずれかの熱分解によって合成することができる。あるいは、炭素材料は、複合樹脂の熱分解によって合成されてもよい。例えば、ポリマー前駆体、具体的には、フェノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、尿素、メラミン、および当該技術分野で知られている他の適切な化合物、およびこれらの組合せを用いて、水、エタノール、メタノール、および当該技術分野で知られている他の溶媒などの適切な溶媒中で、ホルムアルデヒド、フルフラール、当該技術分野で知られている他の架橋剤、およびこれらの組み合わせの架橋剤を用いて、ゾル-ゲル法によって形成できる。樹脂は、酸または塩基性であってもよく、触媒を含んでいてもよい。触媒は揮発性であっても不揮発性であってもよい。熱分解温度および滞留時間は、当該技術分野で知られているように変化することができる。
いくつかの実施形態において、方法は、モノマー前駆体および架橋剤、2つの既存のポリマーおよび架橋剤、または単一のポリマーおよび架橋剤を含む、ゾルゲル法、縮合法または架橋法によってポリマーゲルを製造すること、次いでポリマーゲルを熱分解することを含んでなる。ポリマーゲルは、熱分解前に乾燥(例えば、凍結乾燥)されてもよいが、乾燥は必ずしも必要とされない。
いくつかの実施形態において、所望の範囲および性質の多孔性を残すために、例えば、マクロ多孔度を有するために、ポリマーゲルは凍結乾燥(freeze dry)され、または凍結乾燥(lypophilize)される。理論に拘束されるものではないが、凍結乾燥ゲルまたはクリオゲルにおける多孔度を含む。いくつかの実施形態において、凍結乾燥されたゲルは、まず、モノリシック材料の寸法を粒子に減少させ、極めて急速に凍結させて真空下で乾燥させ、クリオゲルを得る。粒子寸法の減少は、当該技術分野で公知の種々の方法によって達成することができ、例えば、粉砕、粉砕、各種手段による粉砕等を行うことができる。このような方法は、10cm未満、例えば5cm未満、例えば2cm未満、例えば1cm未満、例えば5mm未満、例えば1mm未満、例えば、100ミクロン未満、例えば、10ミクロン未満である体積平均粒子(Dv50)を有する粒子を生成するのに適している。極めて急速な凍結は、粒子を極めて冷たい液体、例えば、液体窒素に曝すことによって達成することができ、または、これ以外の当該技術分野で知られている技術によって急速に凍結される。理論に拘束されるものではないが、極めて急速な凍結は、大きな程度の氷表面積を形成し、当該技術分野で知られているように真空下で昇華すると、凍結乾燥ポリマーまたはクリオゲルにおける大きな表面積を生じさせる。
ゾルゲル法は、様々な電気化学修飾剤の組み込みのためのかなりの柔軟性を提供し、これは、いずれかの数の段階で組み込むことができる。一実施形態において、電気化学修飾剤を含むポリマーゲルを調製する方法が提供される。別の実施形態において、熱分解ポリマーゲルを調製する方法が提供される。開示された方法の様々な実施形態の可変手法パラメータの詳細は、以下に説明される。
標的炭素性質は、重合反応が、必要な炭素骨格を有する樹脂/ポリマーを生成する限り、種々のポリマー化学から誘導することができる。異なるポリマーのファミリーは、ノボラック、レゾール、アクリレート、スチレン、ウレタン、ゴム(ネオプレン、スチレン-ブタジエンなど)、ナイロンなどを含む。これらのポリマー樹脂のいずれかの調製は、いずれかの重合および架橋の工程のために、ゾルゲル、エマルジョン/懸濁液、固体状態、溶液状態、溶融状態などを含む多くの異なる工程を介して行うことができる。
ポリマーゲルは、ゾルゲル法によって調製できる。例えば、ポリマーゲルは、適当な溶媒中で1種以上のポリマー前駆体を共重合させることにより調製できる。一実施態様において、1種以上のポリマー前駆体は、酸性条件下にて共重合される。ある実施態様においては、第1ポリマー前駆体は、フェノール系化合物であり、第2ポリマー前駆体は、アルデヒド化合物である。一実施態様において、本発明による方法におけるフェノール系化合物は、フェノール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、フロログルシノールまたはそれらの組合せであり;アルデヒド化合物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、またはそれらの組合せである。更なる実施態様において、フェノール系化合物はレゾルシノール、フェノールまたはそれらの組合せであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。更なる実施態様において、フェノール系化合物は、レゾルシノールであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。他のポリマー先駆体は窒素含有化合物、例えば、メラミン、尿素およびアンモニアを含む。
いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤は、ポリマーとして材料中に組み込まれる。例えば、有機または炭素含有ポリマー、例えばRFは、電気化学修飾剤を含有するポリマーと共重合されてよい。一実施形態において、電気化学修飾剤含有ポリマーはケイ素を含有する。一実施形態において、ポリマーは、テトラエチルオルトシラン(TEOS)であり、TEOS溶液は、重合前または重合前にRF溶液に添加される。別の実施形態において、ポリマーは、有機側基を有するポリシランである。場合によっては、これらの側基はメチル基であり、他の場合には、これらの基はフェニル基であり、他の場合において、側鎖は、フェニル、ピロル、アセテート、ビニル、シロキサン部分を含む。場合によっては、側鎖は、第14族元素(ケイ素、ゲルマニウム、スズまたは鉛)を含む。他の場合において、側鎖は、第13族元素(ホウ素、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、インジウム)を含む。他の場合において、側鎖は、第15族元素(窒素、リン、ヒ素)を含む。他の場合において、側鎖は、第16族元素(酸素、硫黄、セレン)を含む。
別の実施形態において、電気化学修飾剤はシロールである。場合によっては、電気化学修飾剤は、フェノール-シロールまたはシラフルオレンである。他の場合には、電気化学修飾剤は、ポリ-シロールまたはポリ-シラフルオレンである。ある場合には、ケイ素はゲルマニウムと置換され(ゲルモールまたはゲルマフルオレン)、亜鉛(スタノールまたはスタナフルオレン)、窒素(カルバゾール)またはリン(ホスフォール、ホスファフルオレン)と置換されてよい。全ての場合において、ヘテロ原子含有物質は、小分子、オリゴマーまたはポリマーであってもよい。リン原子は、また酸素に結合されていてもよいし、結合されていなくてもよい。
いくつかの実施形態において、反応体はリンを含有する。特定の他の実施形態において、リンはリン酸の形態である。特定の他の実施形態において、リンは塩の形態であってもよい。前記塩のアニオンは、1以上のホスフェート、ホスファイト、ホスフィド、水素ホスフェート、二水素ホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、ハイポホスファイト、ポリホスフェート、ピロホスフェートのイオン、またはその組み合わせを含む。特定の他の実施形態において、リンは、塩のカチオンが1つ以上のホスホニウムイオンを含む塩の形態であってもよい。上記の実施形態のいずれかのための、アニオンまたはカチオン対を含む非ホスフェートは、当該技術分野で知られかつ記載されているもののために選択することができる。ホスフェート含有アニオンと対になる典型的なカチオンは、アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオンおよびテトラメチルアンモニウムイオンを含むが、これらに限定されるものではない。ホスフェート含有カチオンを含む対への典型的なアニオンとしては、カーボネート、ジカーボネート、アセテートのイオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
場合によっては、架橋剤は、その化学的および電気化学的性質のために重要である。他の場合には、架橋剤は、ポリマーの幾何的構造にロックするので、重要である。他の場合には、ポリマーの幾何的構造および化学的組成の両方が重要である。
架橋剤は、低温または高温のいずれかで反応することができる。場合によっては、反応の一部は低温で起こり、反応の残りはより高い温度で起こる。架橋の程度および反応速度の程度の両方は、種々の化学的技術(TGA、FTIR、NMR、XRDなど)および物理的技術(押し込み、引張試験、モジュラス、硬さなど)によって測定することができる。
場合によっては、初期コポリマー-均質な混合物全体にわたって均一に分布された電気化学修飾剤および/または架橋剤を有することが好ましい。他の場合では、初期コポリマー全体にわたって架橋剤および/または電気化学的修飾の不均一な分布を有することが重要である。
ポリマー前駆体の構造は、特に限定されないが、ポリマー前駆体はポリマーを形成するために、別のポリマー前駆体または第二ポリマー前駆体と反応させることが可能である。いくつかの実施態様において、ポリマー前駆体は、アルコール、フェノール、多価アルコール、糖、アルキルアミン、芳香族アミン、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、尿素、酸ハライド、アルケン、アルキン、アクリレート、エポキシドおよびイソシアネートから選択される。
種々のモノマー、分子成分、オリゴマーおよびポリマー材料を組み合わせて、様々なポリマーを製造することができる。例えば、ノボラック、レゾール、ノボラック型エポキシド(1種以上のフェノール、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、エピクロルヒドリン、ビスフェノール-A、ビスフェノール-F、エポキシドから構成される)、ゴム(イソプレン、スチレン-ブタジエン、スチレン-ブタジエン-スチレン、イソブチレン、ポリアクリレートゴム、エチレン-アクリレートゴム、ブロモ-イソブチレン、イソプレン、ポリブタジエン、クロロブタジエンイソプレン、ポリクロロプレン、エピクロルヒドリン、エチレンプロピレン、エチレンプロピレンジエンモノマー、ポリエーテルウレタン、パーフルオロカーボンゴム、フルオロシリコーン、水素化ニトリルブタジエン、アクリロニトリルブタジエン、ポリウレタン)、ナイロン(ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,9;ナイロン-6,10;ナイロン-6,12、ナイロン-11、ナイロン-12、ナイロン-4,6等を含む)、アクリレート(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、2-クロロエチル-ビニルエーテル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル)、ポリスチレン、ポリウレタン(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、フェニルジエタノールアミン、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンからなる)が挙げられる。
幾つかの場合において、ポリマー前駆体には、(a)アルコール、フェノール系化合物、および他の一価アルコールもしくは多価アルコール化合物および(b)アルデヒド、ケトンおよびそれらの組合せが含まれる。これに関連する代表的なアルコールには、直鎖または分枝の飽和または不飽和のアルコールが含まれる。別の典型的なフェノール化合物はビスフェノールAおよび関連するビスフェノール分子である。適当なフェノール系化合物には、ポリヒドロキシベンゼン、例えばジヒドロキシベンゼンまたはトリヒドロキシベンゼンなどが含まれる。別の典型的なフェノール化合物はビスフェノールAおよび関連するビスフェノール分子である。代表的なポリヒドロキシベンゼンには、レゾルシノール(すなわち、1,3-ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノンおよびフルオログルシノールが含まれる。2種以上のポリヒドロキシベンゼンの混合物も使用できる。フェノール(モノヒドロキシベンゼン)も使用できる。代表的なポリヒドロキシ化合物には、糖類(例えば、グルコースなど)および他のポリオール(例えば、マンニトールなど)が含まれる。これに関連するアルデヒドには以下のものが含まれる:直鎖状の飽和アルデヒド、例えばメタナール(ホルムアルデヒド)、エタナール(アセトアルデヒド)、プロパナール(プロピオンアルデヒド)、ブタナール(ブチルアルデヒド)など;直鎖状の不飽和アルデヒド、例えば、エテノンおよび他のケテン、2-プロペナール(アクリルアルデヒド)、2-ブテナール(クロトンアルデヒド)、3ブテナールなど;分枝の飽和および不飽和のアルデヒド;および芳香族型のアルデヒド、例えばベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヒドロシンナムアルデヒドなど。適当なケトンには以下のものが含まれる:直鎖状の飽和ケトン、例えばプロパノンおよび2ブタノンなど;直鎖状の不飽和ケトン、例えばプロペノン、2ブテノンおよび3-ブテノン(メチルビニルケトン)など;分枝の飽和および不飽和ケトン;および芳香族型ケトン、例えば、メチルベンジルケトン(フェニルアセトン)、エチルベンジルケトンなど。ポリマー前駆体材料は、上述の前駆体の組合せであってもよい。
一実施形態において、方法は、第1および第2のポリマー前駆体を使用することを含み、一部の実施形態において、第1または第2のポリマー前駆体は、カルボニル含有化合物であり、第1または第2のポリマー前駆体の他方は、アルコール含有化合物である。いくつかの実施形態において、第1のポリマー前駆体はフェノール化合物であり、第2のポリマー前駆体はアルデヒド化合物、例えば、ホルムアルデヒドである。方法の1つの態様において、前記フェノール化合物はフェノール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、フロログルシノール、またはそれらの組合せであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、またはこれらの組合せである。さらなる実施形態において、フェノール化合物は、レゾルシノール、フェノールまたはそれらの組合せであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。さらに別の実施形態において、フェノール化合物はレゾルシノールであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。いくつかの実施形態において、ポリマー前駆体は、アルコールおよびカルボニル化合物(例えば、レゾルシノールおよびアルデヒド)であり、これらはそれぞれ約0.5:1.0の比で存在する。
ある実施態様において、ポリマー前駆体の1つはアルコール含有種であり、別のポリマー前駆体はカルボニル含有種である。カルボニル含有種(例えば、アルデヒド、ケトンまたはそれらの組合せ)と反応させるアルコール含有種(例えば、アルコール、フェノール系化合物およびモノ-またはポリ-ヒドロキシ化合物、またはそれらの混合物)の相対量は大きく変化できる。ある実施態様において、アルデヒドに対するアルコール含有種の割合は、アルコール含有種における反応性アルコール基の総モル数が、アルデヒド種における反応性カルボニル基の総モル数とほぼ同じになるように選択される。同様に、ケトン種に対するアルコール含有種の割合は、アルコール含有種における反応性アルコール基の総モル数が、ケトン種における反応性カルボニル基の総モル数とほぼ同じになるように選択される。カルボニル含有種がアルデヒド種とケトン種の組み合せを含有する場合も同様に、一般的に1:1のモル比が当てはまる。
他の実施態様において、ポリマー前駆体は、尿素またはアミン含有化合物である。例えば、いくつかの実施態様において、ポリマー前駆体は、尿素またはメラミンである。他の実施態様は、イソシアネートまたは他の活性カルボニル化合物、例えば酸ハライドなどから選択されるポリマー前駆体を含む。さらに他の実施形態は、フェノール前駆体を使用し、フェノール、レゾルシノールおよび他のヒドロキシ-および芳香環含有分子を含むが、これらに限定されない。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、フェノール前駆体と触媒のモル比は、約5:1~約2000:1であり、あるいはフェノール前駆体と触媒のモル比は約20:1~約200:1である。他の実施形態において、フェノール前駆体と触媒のモル比は約25:1~約100:1である。さらなる実施形態において、フェノール前駆体と触媒のモル比は、約5:1~約10:1である。さらなる実施形態において、フェノール前駆体と触媒のモル比は、約100:1~約5:1である。
1つの特定の実施形態において、1つのポリマー前駆体がレゾルシノールおよび/またはフェノールであり、別のポリマー前駆体がホルムアルデヒドであり、得られたポリマーゲルおよび炭素材料の所望の性質を得るために、レゾルシノールおよび/またはフェノールと触媒の比を変化させることができる。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、レゾルシノールおよび/またはフェノールと触媒のモル比は、約10:1~約2000:1であり、あるいはレゾルシノールおよび/またはフェノールと触媒のモル比が約20:1~約200:1である。レゾルシノールおよび/またはフェノールと触媒のモル比は約25:1~約100:1であり、あるいは触媒に対するレゾルシノールおよび/またはフェノールと触媒のモル比は、約5:1~約10:1である。さらなる実施形態において、レゾルシノールおよび/またはフェノールと触媒のモル比は約5:1~約10:1であり、あるいはレゾルシノールおよび/またはフェノールと触媒のモル比は、約100:1~約5:1である。
ポリマーゲルを形成する前の溶液または懸濁液における総固形分は、変化できる。レゾルシノールと水の重量比は、約0.05~1:約0.70~1である。あるいは、レゾルシノールと水の割合は、約0.15~1:約0.6~1である。あるいは、レゾルシノールと水の割合は、約0.15~1:約0.35~1である。あるいは、レゾルシノールと水の割合は、約0.25~1:約0.5~1である。あるいは、レゾルシノールと水の割合は、約0.3~1:約0.35~0.6である。
本明細書で開示されたポリマーゲルを調製する場合に有用な溶媒の例には、水、またはアルコール、例えば、エタノール、t-ブタノール、メタノールまたはこれらの混合物、ならびにこれらの水性混合物が含まれるが、これらに限定されない。このような溶媒は、ポリマー前駆体の溶解、例えばフェノール性化合物の溶解に有用である。さらに、ある工程において、このような溶媒は、凍結および乾燥の前に、ポリマーゲル中の溶媒を交換するために使用され、この場合、前駆体(例えば、レゾルシノールおよびホルムアルデヒド)の重合における溶媒は、純粋なアルコールと交換される。本出願における1つの実施態様において、ポリマーゲルは、溶媒交換を含まない方法により調製される。
ポリマーゲルの調製に適当な触媒には、前駆体をモノリシックポリマーへ変換させる重合を促進させる揮発性の塩基性触媒が含まれる。触媒は、上述の触媒の種々の組合せを含有する。フェノール性化合物または他のポリマー前駆体を含んでなる実施態様において、このような触媒は、フェノール性化合物:触媒が5:1~200:1のモル比となる範囲で使用される。例えば、具体的な実施態様において、このような触媒は、フェノール性化合物:触媒が5:1~10:1のモル比となる範囲で使用できる。
いくつかの実施態様において、ゲル重合法は、触媒条件下で行われる。従って、いくつかの実施態様において、前記方法は、触媒と無溶媒混合物とを混合することを含んでなる。いくつかの実施態様において、触媒は室温および室圧で固体である。
いくつかの実施態様において、触媒は室温および室圧で液体である。いくつかの実施態様において、触媒は、1以上の他のポリマー前駆体を溶解しない室温および室圧で液体である。
いくつかの実施態様において、触媒は、塩基性の揮発性触媒を含んでなる。例えば、一実施態様において、塩基性の揮発性触媒は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、またはそれらの組み合わせを含んでなる。さらなる実施態様において、塩基性の揮発性触媒は、炭酸アンモニウムである。別のさらなる実施態様において、塩基性の揮発性触媒は、酢酸アンモニウムである。
触媒とポリマー前駆体(例えばフェノール系化合物)のモル比は、ポリマーゲルの最終的な性質および炭素材料の最終的な性質に影響を及ぼし得る。したがって、いくつかの実施態様において、かかる触媒は5:1~2000:1のポリマー前駆体:触媒のモル比の範囲で使用される。いくつかの実施態様において、かかる触媒は10:1~400:1のポリマー前駆体:触媒のモル比の範囲で使用し得る。例えば、別の実施態様において、かかる触媒は5:1~100:1のポリマー前駆体:触媒のモル比の範囲で使用し得る。例えば、いくつかの実施態様において、触媒とポリマー前駆体とのモル比は、約400:1である。別の実施態様において、触媒とポリマー前駆体とのモル比は約100:1である。別の実施態様において、触媒とポリマー前駆体とのモル比は約50:1である。別の実施態様において、触媒とポリマー前駆体とのモル比は約10:1である。特定の前記実施態様において、ポリマー前駆体は、フェノール系化合物、例えばレゾルシノールまたはフェノールである。
さらなる他の実施態様において、方法は、酸を混合することを含んでなる。特定の実施態様において、酸は室温および室圧で固体である。いくつかの実施態様において、酸は室温および室圧で液体である。いくつかの実施態様において、酸は、1以上の他のポリマー前駆体の溶解を生じない室温および室圧で液体である。
酸は、重合法に適するいずれかの数の酸から選択され得る。例えば、いくつかの実施態様において、酸は酢酸であり、他の実施態様において、酸はシュウ酸である。さらなる実施態様において、酸は、酸と溶媒の比が99:1、90:10、75:25、50:50、25:75、20:80、10:90または1:90で、第一または第二溶媒と混合される。他の実施態様において、酸は酢酸であり、第一または第二溶媒は水である。他の実施態様において、酸性は固体酸を添加することにより与えられる。
混合物中の酸の全含有量が変えられて、最終的な生成物の性質を変更し得る。いくつかの実施態様において、酸は混合物の約1重量%~約50重量%で存在する。他の実施態様において、酸は約5%~約25%で存在する。他の実施態様において、酸は約10%~約20%、例えば約10%、約15%または約20%で存在する。
特定の実施態様において、ポリマー前駆体成分は、一緒に混合され、次いで重合を達成するために十分な時間および温度で保持される、1以上のポリマー前駆体成分は、寸法で約20mm未満、例えば10mm未満、例えば7mm未満、例えば5mm未満、例えば2mm未満、例えば1mm未満、例えば100ミクロン未満、例えば10ミクロン未満の粒度(粒子寸法)を有し得る。いくつかの実施態様において、1以上のポリマー前駆体成分の粒度は、混合工程の間、減少される。
溶媒の非存在下における1以上のポリマー前駆体成分の混合は、当該技術で記載されている方法、例えばボールミル、ジェットミル、フリッチュミル(Fritsch milling)、プラネタリーミキシング、および工程条件(例えば温度)を制御しながらの固体粒子のミキシングまたはブレンディングのための他のミキシング方法論によって、遂行することができる。ミキシングまたはブレンディング工程は、反応温度での温置前、間、および/または後に(またはそれらの組み合わせ)遂行することができる。
反応パラメータは、1以上のポリマー前駆体が互いに反応し、ポリマーを形成するために十分な温度および時間で混合された混合物を熟成(aging)することを含む。これに関して、適当な熟成温度は、ほぼ室温から1以上のポリマー前駆体の溶融温度近傍の温度範囲である。いくつかの実施態様において、適当な熟成温度は、ほぼ室温から1以上のポリマー前駆体のガラス転移温度近傍の温度範囲である。例えば、いくつかの実施態様において、無溶媒混合物は、約20℃~約600℃、例えば約20℃~約500℃、例えば約20℃~約400℃、例えば約20℃~約300℃、例えば約20℃~約200℃の温度で熟成させる。特定の実施態様において、無溶媒混合物は、約50℃~約250℃の温度で熟成される。
反応時間は、ポリマー前駆体を反応させてポリマーを形成させるのに通常は十分である。例えば、混合物は、所望の結果に応じて、1時間~48時間またはそれ以上もしくは以下のいずれかによって熟成され得る。通常の実施態様は、約2時間~約48時間の時間に渡る熟成を含む。例えばいくつかの実施態様において、熟成は約12時間を含んでなる。別の実施態様において、熟成は約4時間~約8時間(例えば約6時間)を含んでなる。
特定の実施形態において、上記の重合工程中に電気化学修飾剤が組み込まれる。例えば、いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤は、金属粒子、金属ペースト、金属塩、金属酸化物または溶融金属の形態であり、ゲル樹脂を生成する混合物中に溶解または懸濁される。
複合材料を製造するための例示的な電気化学修飾剤は、化学的分類の1つまたは複数に該当してよい。いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤は、限定されるものではないが、糖類、例えば、キチン、キトサン、グルコース、スクロース、フルクトース、セルロース、およびそれらの組合せである。一実施形態において、電気化学修飾剤は、リグニンなどの生体ポリマーである。一実施形態において、電気化学修飾剤はゼラチンのようなタンパク質である。一実施形態において、電気化学修飾剤は、リグニンなどの生体ポリマーである。一実施形態において、電気化学修飾剤は、尿素またはメラミンのようなアミン化合物またはそれらの組合せである。特定の実施形態において、電気化学修飾剤は、塩化ナトリウム、臭化リチウム、フッ化カリウムおよびそれらの組み合わせを含むハロゲン塩であるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態において、電気化学修飾剤は、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、およびこれらの組み合わせを含む硝酸塩であるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、電気化学修飾剤は、炭化カルシウム、炭化ケイ素、およびこれらの組み合わせを含む炭化物化合物であるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、電気化学修飾剤は、金属を含み、例示的な種は、アルミニウムイソプロポキシド、酢酸マンガン、酢酸ニッケル、酢酸鉄、塩化スズ、塩化ケイ素、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、電気化学修飾剤は、フィチン酸、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、およびこれらの組み合わせを含むリン酸化合物であるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、電気化学修飾剤はケイ素を含み、例示的な種は、シリコン粉末、シリコンナノチューブ、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、非晶質シリコン、多孔質シリコン、ナノ寸法シリコン、ナノ特徴シリコン、ナノ寸法およびナノ特徴のシリコン、シリシン(silicyne)、および黒色シリコン、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電気化学修飾剤は、潜在的(または二次)ポリマー官能との物理的混合または化学反応のいずれかを介して、種々のポリマー系と組み合わせることができる。潜在的なポリマー官能の例としては、エポキシド基、不飽和(二重および三重結合)、酸基、アルコール基、アミン基、塩基性基等が挙げられるが、これらに限定されない。潜在的な官能性(官能基)による架橋は、ヘテロ原子(例えば、硫黄による加硫、リン酸による酸/塩基/開環反応)、有機酸または塩基との反応(上記で説明した)、遷移金属(これらに限定されるものではないが、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ag、Auを含む)への配位、開環または閉環反応(ロタキサン、スピロ化合物等)を介して行うことができる。
ポリマーゲルを形成するための重合は、当該技術分野で説明されている種々の手段によって達成することができ、電気化学修飾剤の添加を含むことができる。例えば、重合は、適切なポリマー前駆体材料および必要により電気化学修飾剤を、適切な触媒の存在下で、十分な時間の間にわたって孵化(インキュベート)することによって達成することができる。重合時間は、温度に応じて、数分間または数時間から数日間までの期間とすることができる(温度が高くなるほど、反応速度を速くすることができ、対応して、必要な時間を短くすることができる)。重合温度は、室温から出発溶液の沸点に近い(しかし沸点よりも低い)温度までの範囲とすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマーゲルは約20℃~約120℃、例えば約20℃~約100℃の温度で熟成される。他の実施形態において、温度は、約30℃~約90℃の範囲の温度、約45℃または約85℃である。他の実施形態において、温度は、約65℃~約80℃の範囲であるが、他の実施形態は、2つ以上の温度、例えば、約45℃および約75℃~85℃または約80~85℃における老化を含む。
電気化学修飾剤は、物理的ブレンドを介してポリマー系に添加することもできる。物理的ブレンドは、ポリマーおよび/またはコポリマーの溶融ブレンド、離散粒子の含有、電気化学修飾剤の化学気相成長、および電気化学修飾剤と主ポリマー材料との共沈を含むことができるが、これらに限定されない。
別の実施形態において、電気化学修飾剤は粒子である。電気化学修飾剤の粒子は、異なる粒度分布を有することができる。一実施形態において、電気化学修飾剤粒子は、10nmまたは50nmまたは100nmまたは150nmまたは200nmまたは500nmまたは1μmまたは1μmまたは2μmまたは3μmまたは5μmまたは10μmまたは20μmまたは40μmまたは50μm以下または100μm以下のD50を有する。いくつかの実施形態において、ポリマーおよび粒子は混合物を形成する。他の実施形態において、粒子はポリマーに共有結合される。他の実施形態において、粒子はポリマーにイオン的に結合される。場合によっては、粒子はシリコンであり、他の場合には、粒子は、異なる第14族の元素(Ge、Sn、Pb)、第15族の元素(P、As、Sb)、第16族の元素(S、Se、Te)である。場合によっては、粒子は単一の元素を含み、他の場合には、2つ以上の元素の混合物を含む。
電気化学修飾粒子は、種々の方法で有機ポリマー溶液またはプレポリマー中に分散させることができる。一実施形態において、粒子は超音波処理によって分散される。別の実施形態において、粒子は混合により分散される。別の実施形態において、粒子は、粒子の表面化学および溶液のpHを変更することによって分散される。別の実施形態において、粒子は界面活性剤を使用して分散される。一実施形態において、界面活性剤はSPAN80である。別の実施形態において、粒子はエマルションまたは懸濁液中に分散される。一実施形態において、界面活性剤は、炭化水素溶媒と組み合わせて使用される。一実施形態において、炭化水素はシクロヘキサンである。一実施形態において、炭化水素は鉱油である。別の実施形態において、炭化水素は植物油である。
場合によっては、電気化学修飾剤は、金属塩溶液を介して添加することができる。金属塩溶液または懸濁液は、金属塩の溶解性を向上させるために酸および/またはアルコールを含むことができる。さらに別の態様において、ポリマーゲルを(任意の乾燥工程の前または後のいずれかに)、電気化学修飾剤を含むペーストと接触させることを含む。さらに別の態様において、ポリマーゲル(いずれかの乾燥工程の前または後のいずれかに)を所望の電気化学修飾剤を含む金属または金属酸化物ゾルと接触させる。
前記例示された電気化学修飾剤に加えて、複合材料は、炭素の1つまたは複数の追加の形態(すなわち、同素体)を含むことができる。これに関連して、黒鉛、非晶質カーボン、ダイヤモンド、C60、カーボンナノチューブ(例えば、単層および/または多層)、グラフェンおよび/または炭素繊維のような炭素の異なる同素体を複合材料中へ含めることが、複合材料の電気化学的性質を最適化するのに有効であることが見出された。炭素の様々な同素体は、本明細書に記載される製造法のいずれかの段階の間、炭素材料中に組み込むことができる。例えば、溶液段階中に、ゲル化段階中に、硬化段階中に、ゲル化段階中に、熱分解段階中に、粉砕段階中に、または粉砕後に、である。いくつかの実施形態において、本明細書でより詳細に記載されるように、ポリマーゲルの重合前または重合中に、第2の炭素形態を添加することによって、第2の炭素形態を複合材料に組み込むことができる。次いで、第2の炭素形態を含む重合されたポリマーゲルを、本明細書に記載の一般的な技術に従って処理して、炭素の第2の同素体を含む炭素材料を得る。
いくつかの実施形態において、有機ポリマーおよび電気化学修飾剤は、異なる溶媒、溶媒の比、溶媒の混合物、触媒の種類、触媒の比、溶媒のpH、酸の種類、または塩基を有する。
予想されることであるが、炭素含有ポリマー溶液の相対的な固体濃度および/またはポリマー溶液を含有する電気化学修飾剤の相対的な固体濃度のいずれかを変化させることによって、最終的な複合体の電気化学修飾剤含有量を変化させることができる。一実施形態において、有機ポリマー溶液の固形分濃度は、1%~99%固形分または10%~90%固形分、または20%~80%固形分、または20%~50%または30%~40%固形分で変化させることができる。一実施形態において、ポリマー溶液の固形分濃度は35%である。一実施形態において、電気化学修飾剤ポリマー溶液の固形分濃度は、1%~99%固形分または10%~90%固形分、または20%~80%固形分、または20%~50%または30%~40%固形分で変化させることができる。一実施形態において、電気化学修飾剤溶液の固形分濃度は35%である。一実施形態において、電気化学修飾剤は、TEOSポリマーであり、エタノールと混合される。他の実施形態において、TEOSポリマーは、アセトンまたはイソプロピルアルコールと混合される。
いずれかの所与の混合物中の有機ポリマーと電気化学修飾剤ポリマー溶液の比を変化させることは、最終複合体における炭素と電気化学修飾剤の最終比を変更することが予想される。一実施形態において、有機ポリマーと電気化学修飾剤ポリマーの比は約10:1または9:1または8:1または7:1または6:1または5:1または4:1または3:1または2:1または1:1、または1:2または1:3または1:4または1:5または1:6または1:7または1:8または1:9または1:10である。
一実施形態において、有機ポリマー/電気化学修飾剤ポリマー溶液は、ゲルが形成されるまで加熱される。一実施形態において、TEOS/RF溶液をゲルが形成されるまで加熱する。一実施形態において、加熱は密閉容器内で行われる。一実施形態において、加熱はポリマー反応器、例えば、撹拌されたポリマー反応器において行われる。一実施形態において、溶液は、乳化液中で、または逆乳化液または懸濁液中で加熱される。ゲル化が起こる温度は、ポリマーの構造に影響を与えることが知られており、最終的な複合材料の構造を制御するように変更修正することができる。1つの態様において、ゲルは40℃または50℃または60℃または70℃または80℃または90℃または100℃または110℃または120℃または130℃で形成される。一実施形態において、ゲルは2段階反応で形成される。例えば、1つの温度が有機ポリマーをゲル化させ、異なる温度が電気化学修飾剤ポリマーをゲル化させる。1つの態様において、2段階重合は、40℃または50℃または60℃または70℃または80℃または90℃または100℃または110℃または120℃または130℃で行われ、次いで第2工程は、40℃または50℃または60℃または70℃または80℃または90℃または100℃または110℃または120℃または130℃で行われる。いくつかの実施形態において、有機ポリマーは完全にゲル化され、次いで、有機ポリマーをドープするために、溶媒交換を介して電気化学修飾剤ポリマー溶液が添加される。いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤ポリマーを完全にゲル化し、次いで有機ポリマー溶液を溶媒交換によって添加し、電気化学修飾剤ポリマーをドープする。
いくつかの実施形態において、反応混合物中の溶媒の割合は低いか、または反応は本質的に無溶媒であり得る。例えば、反応混合物中の溶媒の割合は、反応混合物の合計質量の80%未満、例えば70%未満、例えば60%未満、例えば50%未満、例えば40%未満、例えば、30%未満、例えば20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満、例えば1%未満、例えば0.1%未満、例えば0.01%未満であり得る。理論に拘束されるものではないが、ポリマー材料からの熱分解炭素収率は、約50%とすることができる。したがって、処理されたポリマーの単位質量当たりに生成された熱分解炭素の比率は、約10未満、約7未満、約5未満、約4未満、約3未満、約2.5未満、約2.1未満であってよい。いくつかの実施態様において、処理されたポリマーの単位質量当たりに生成された熱分解炭素の比率は約2である。いくつかの実施態様において、処理されたポリマーの単位質量当たりに生成された熱分解炭素の比率は2未満である。
低溶媒または本質的に無溶媒の反応混合物から生成された熱分解炭素を活性化することができる。処理されたポリマーに対する活性炭の比率が、所望の活性化レベルに応じて、処理されたポリマーに対する熱分解炭素の比率よりも高い。理論に拘束されるものではないが、熱分解炭素材料からの活性炭収率は約50%とすることができる。したがって、処理されたポリマーの単位質量当たりに生成された活性炭の比率は、約14未満、約10未満、約8未満、約6未満、約5未満、約4.5未満、約4.1未満であり得る。いくつかの実施形態において、処理されたポリマーの単位質量当たりに生成された活性炭の比率は約4以下である。
低溶媒または本質的に溶媒を含まない反応混合物での使用に適したポリマー前駆体の構造は、ポリマー前駆体が別のポリマー前駆体と反応し、または第2のポリマー前駆体と反応してポリマーを形成することができる限り、特に限定されない。ポリマー前駆体は、アミン含有化合物、アルコール含有化合物およびカルボニル含有化合物を含む。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマー前駆体は、アルコール、フェノール、多価アルコール、糖、アルキルアミン、芳香族アミン、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、尿素、酸ハライドおよびイソシアネートから選択される。
低溶媒であるかまたは本質的に溶媒を含まない反応混合物を使用する一実施形態において、方法は、第1および第2のポリマー前駆体を使用することを含む。いくつかの実施形態において、第1または第2のポリマー前駆体は、カルボニル含有化合物であり、第1または第2のポリマー前駆体の他方は、アルコール含有化合物である。いくつかの実施形態において、第1のポリマー前駆体はフェノール化合物であり、第2のポリマー前駆体は、アルデヒド化合物(例えば、ホルムアルデヒド)である。1つの態様において、前記フェノール化合物は、フェノール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、フロログルシノール、またはそれらの組合せであり、アルデヒド化合物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、またはこれらの組合せである。さらなる実施形態において、フェノール化合物は、レゾルシノール、フェノールまたはそれらの組合せであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。さらに別の実施形態において、フェノール化合物はレゾルシノールであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。いくつかの実施形態において、ポリマー前駆体は、アルコールおよびカルボニル化合物(例えば、レゾルシノールおよびアルデヒド)であり、それらはそれぞれ約0.5:1.0の比で存在する。
本明細書に開示されるような低溶媒であるまたは本質的に溶媒のない反応混合物に適したポリマー前駆体材料は、(a)アルコール、フェノール化合物、および他のモノまたはポリヒドロキシ化合物および(b)アルデヒド、ケトン、およびそれらの組合せを含む。この文脈における代表的なアルコールは、直鎖および分枝鎖の飽和および不飽和アルコールを含む。適切なフェノール化合物には、ジヒドロキシまたはトリヒドロキシベンゼンのようなポリヒドロキシベンゼンが含まれる。代表的なポリヒドロキシベンゼンとしては、レゾルシノール(すなわち、1,3-ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノン、およびフロログルシノールが挙げられる。この点に関して他の適切な化合物は、ビスフェノール、例えばビスフェノールAである。ポリヒドロキシベンゼンの2種以上の混合物を使用することもできる。フェノール(モノヒドロキシベンゼン)も使用することができる。代表的なポリヒドロキシ化合物は、糖、例えば、グルコース、スクロース、フルクトース、キチン、およびマンニトールなどの他のポリオールを含む。この文脈におけるアルデヒドとしては、直鎖飽和アルデヒド、例えば、メタナール(ホルムアルデヒド)、エタナール(アセトアルデヒド)、プロパナール(プロピオンアルデヒド)、ブタナール(ブチルアルデヒド);直鎖状不飽和アルデヒド、例えば、エテノン、および他のケテン、2-プロペナール(アクリルアルデヒド)、2-ブテナール(クロトンアルデヒド)、3-ブテナール等;分岐状の飽和および不飽和のアルデヒド;芳香族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヒドロシンナムアルデヒド等が挙げられる。好適なケトンとしては、直鎖状の飽和ケトン、例えば、プロパノン、2-ブタノン等;直鎖状の不飽和ケトン、例えば、プロペノン、2-ブテノン、3-ブテノン(メチルビニルケトン;分岐状の飽和および不飽和のケトン等;芳香族系ケトン、例えば、メチルベンジルケトン(フェニルアセトン)、エチルベンジルケトン等を挙げることができる。ポリマー前駆体材料は、上述の前駆体の組み合わせであってもよい。
いくつかの実施形態において、低溶媒であるかまたは本質的に溶媒のない反応混合物中の1つのポリマー前駆体はアルコール含有種であり、別のポリマー前駆体はカルボニル含有種である。アルコール含有種(例えば、アルコール、フェノール化合物およびモノまたはポリヒドロキシ化合物またはそれらの組合せ)を、カルボニル含有種(例えば、アルデヒド、ケトンまたはそれらの組合せ)と反応させる相対量は、実質的に変化させることができる。いくつかの実施形態において、アルコール含有種における反応性アルコール基の総モル数が、アルデヒド種中の反応性カルボニル基の総モルとほぼ同じであるように、アルデヒド種に対するアルコール含有種の比を選択することができる。同様に、アルコール含有種における反応性アルコール基のモル数が、ケトン種中の反応性カルボニル基の総モルとほぼ同じであるように、ケトン種に対するアルコール含有種の比を選択することができる。カルボニル含有種がアルデヒド種とケトン種との組合せを含む場合に、同じ一般的な1:1モル比があてはまる。
他の実施形態において、低溶媒であるかまたは本質的に溶媒のない反応混合物中のポリマー前駆体は、尿素またはアミン含有化合物である。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマー前駆体は、尿素、メラミン、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)またはそれらの組合せである。他の実施形態は、イソシアネートまたは酸ハロゲン化物などの他の活性化カルボニル化合物から選択されるポリマー前駆体を含む。
開示された方法のいくつかの実施形態は、電気化学修飾剤を含む低溶媒または無溶媒のポリマーゲル(および炭素材料)の調製を含む。このような電気化学修飾剤としては、窒素、ケイ素および硫黄が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の実施形態において、電気化学修飾剤は、フッ素、鉄、スズ、ケイ素、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、またはマンガンを含む。電気化学修飾剤は、いずれかの段階で調製手順に含めることができる。例えば、いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤は、混合物、ポリマー相または連続相と混合される。
溶媒の非存在下での1つ以上のポリマー前駆体成分のブレンドは、当該技術分野で説明された方法、例えば、ボールミル、ジェットミル、フリッシュ粉砕、遊星混合、方法条件(例えば、温度)を制御しながら、固体粒子を混合またはブレンドする他の混合方法によって達成することができる。混合またはブレンドの工程は、反応温度でのインキュベーションの前、その間、および/または後(またはそれらの組み合わせ)に達成することができる。
反応パラメータは、1以上のポリマー前駆体が互いに反応してポリマーを形成するのに十分な温度および時間で、ブレンドされた混合物を熟成させることを含む。この点において、適切な熟成温度は、ほぼ室温から、前記ポリマー前駆体のうちの1つまたは複数の融点またはその近傍温度までの範囲である。いくつかの実施形態において、適切な熟成温度は、ほぼ室温から、前記ポリマー前駆体のうちの1つ以上のガラス転移温度またはその近くの温度までの範囲である。例えば、いくつかの実施形態において、溶媒を含まない混合物を約20℃~約600℃、例えば約20℃~約500℃、例えば約20℃~約400℃、例えば約20℃~約300℃、例えば約20℃~約200℃の温度で熟成させる。特定の実施形態において、溶媒を含まない混合物を約50~約250℃の温度で熟成させる。
多孔質炭素材料は、上述のように前駆体から製造されたポリマーの熱分解によって得ることができる。熱分解の温度および滞留時間を変化させることができる。例えば、滞留時間は、1分~10分、10分~30分、30分~1時間、1時間~2時間、4時間~24時間で変化させることができる。温度を変化させることができ、例えば、熱分解温度は200℃~300℃、350℃~450℃、450℃~550℃、540℃~650℃、650℃~750℃、750℃~850℃、850℃~950℃、950℃~1050℃、1050℃~1150℃、1150℃~1250℃で変化してよい。窒素またはアルゴンのような不活性ガス中で熱分解を達成することができる。いくつかの実施形態において、代替ガスが使用され、または窒素などの不活性ガスと代替ガスとの混合物が使用される。この文脈における適切な代替ガスは、二酸化炭素、一酸化炭素、水(水蒸気)、空気、酸素、およびこれらのさらなる組合せを含むが、これらに限定されない。
熱分解の前および/または熱分解後のいずれかにおいて、多孔質炭素粒子は、粒子寸法の減少を受けることができる。粒子寸法の減少は、当該技術分野で知られている様々な技術によって達成することができ、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、超臨界蒸気、および当該技術分野で知られている他のガスを含む種々のガスの存在下でのジェットミリングによって行うことができる。他の粒度低減方法、例えば、粉砕、ボールミル、ジェットミリング、水ジェットミリング、および当該技術分野で知られている他の手法も使用される。
いくつかの実施形態において、多孔質炭素材料の表面積は、500m/g超、例えば750m/g超、例えば1000m/g超、例えば、1250m/g超、例えば1500m/g超、例えば1750m/g超、例えば2000m/g超、例えば2500m/g超、例えば3000m/g超、3000m/g超である表面積を有することができる。他の実施形態において、多孔質炭素材料の表面積は、500m/g未満であり得る。多孔質炭素材料の表面積は、いくつかの実施形態において、200~500m/gである。多孔質炭素材料の表面積は、いくつかの実施形態において、100~200m/gである。多孔質炭素材料の表面積は、いくつかの実施形態において、50~100m/gである。多孔質炭素材料の表面積は、いくつかの実施形態において、10~50m/gである。多孔質炭素材料の表面積は、10m/g未満であることができる。
多孔質炭素材料の細孔容積は、0.5cm/g超、例えば、0.6cm/g超、例えば、0.7cm/g超、例えば、0.8cm/g超、例えば、0.9cm/g超、1.0cm/g超、例えば、1.1cm/g超、例えば、1.2cm/g超、例えば、1.4cm/g超、例えば、1.6cm/g超、例えば、1.8cm/g超、例えば、2.0cm/g超である。他の実施形態において、多孔質シリコン材料の細孔容積は、0.5cm/g未満、例えば0.1cm/g~0.5cm/gである。特定の他の実施の形態において、多孔質シリコン材料の細孔容積が0.01cm/g~0.1cm/gである。
いくつかの他の実施形態において、多孔質炭素材料は、タップ密度が1.0g/cm未満、例えば0.8未満g/cm、例えば0.6g/cm未満、例えば0.5未満g/cm未満、例えば、0.4g/cm、例えば0.3未満g/cm、例えば0.2g/cm未満、例えば、0.1g/cm未満である。
多孔質炭素材料の表面機能性は変更することができる。表面機能性を予測できる1つの性質が多孔質炭素材料のpHである。本開示の多孔質炭素材料は、1未満~約14、例えば5未満、5~8、8超の範囲のpH値を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素のpHが4未満、3未満、2未満、または1未満であってよい。他の実施形態において、多孔質炭素のpHは、約5~6、6~7、約7~8、8~9、または9~10である。さらに他の実施形態において、pHが高く、多孔質炭素のpH範囲は8超、9超、10超、11超、12超、またはさらに13超である。
多孔質炭素足場の細孔容積分布は変更することができる。例えば、%ミクロ細孔は、30%未満、例えば20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満、例えば4%未満、例えば3%未満、例えば2%未満、例えば1%未満、例えば0.5%未満、例えば0.2%未満、または例えば、0.1%未満である。ある実施の形態において、検出可能な細孔容積が多孔質炭素の足場において存在しない。
多孔質炭素足場材料が有するメソ細孔は変更することができる。例えば、%メソ細孔は、30重量%未満、例えば20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満、例えば4%未満、例えば3%未満、例えば2%未満、1%未満、例えば0.5%未満、例えば0.2%未満、または例えば、0.1%未満である。ある実施の形態において、検出可能な細孔容積が多孔質炭素の足場において存在しない。
いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料の細孔容積分布は、50%超のマクロ細孔、例えば60%超のマクロ細孔、例えば70%超のマクロ細孔、例えば80%超のマクロ細孔、例えば90%超のマクロ細孔、例えば95%以上のマクロ細孔、例えば98%超のマクロ細孔、例えば99%超のマクロ細孔、例えば99.5%超のマクロ細孔、例えば99.9%超のマクロ細孔を有する。
ある好ましい実施形態において、多孔質炭素足場の細孔容積は、ミクロ細孔とメソ細孔とマクロ細孔の混合を含む。従って、特定の実施形態において、多孔質炭素足場は、0~20%のミクロ細孔、30~70%のメソ細孔および10%未満のマクロ細孔を有する。特定の他の実施形態において、多孔質炭素足場は、0~20%以下のミクロ細孔、0~20%のメソ細孔および70~95%のマクロ細孔を有する。特定の他の実施形態において、多孔質炭素足場は、20~50%のミクロ細孔、50~80%のメソ細孔および0~10%のマクロ細孔を有する。特定の他の実施形態において、多孔質炭素足場は、40~60%のミクロ細孔、40~60%のメソ細孔、および0~10%のマクロ細孔を有する。特定の他の実施形態において、多孔質炭素足場は、80~95%のミクロ細孔、0~10%のメソ細孔、および0~10%のマクロ細孔を有する。特定の他の実施形態において、多孔質炭素足場は、0~10%のミクロ細孔、30~50%のメソ細孔および50~70%のマクロ細孔を有する。特定の他の実施形態において、多孔質炭素足場は、0~10%のミクロ細孔、70~80%のメソ細孔および0~20%のマクロ細孔を有する。特定の他の実施形態において、多孔質炭素足場は、0~20%のミクロ細孔、70~95%のメソ細孔および0~10%のマクロ細孔を有する。特定の他の実施形態において、多孔質炭素足場は、0~10%のミクロ細孔、70~95%のメソ細孔および0~20%のマクロ細孔を有する。
特定の実施形態において、100~1000A(10~100nm)である細孔を示す多孔質炭素足場における細孔容積の%は、総細孔容積の30%超、例えば、総細孔容積の40%超、例えば、総細孔容積の50%超、例えば、総細孔容積の60%超、例えば、総細孔容積の70%超、例えば、総細孔容積の80%超、例えば、総細孔容積の90%超、例えば、総細孔容積の95%超、例えば、総細孔容積の98%、例えば、総細孔容積の99%超、例えば、総細孔容積の99.5%超、例えば、総細孔容積の99.9%超である。
特定の好ましい実施形態において、100~1000A(10~100nm)である細孔を示す多孔質炭素足場における細孔容積は、0.1cm/g超、例えば0.2cm/g超、例えば0.3cm/g超、例えば0.4cm/g超、例えば、0.5cm/g超、例えば0.6cm/g超、例えば0.7cm/g超、例えば、0.8cm/g超、例えば0.9cm/g超、例えば1.0cm/g超、例えば、1.1cm/g超、例えば1.2cm/g超、例えば1.3cm/g超、例えば1.4cm/g超、例えば1.5cm/g超、例えば2.0cm/g超である。
特定の好ましい実施形態において、多孔質炭素足場は、0.5cm/g超の総細孔容積を有し、%マクロ細孔は80%よりも大きい。特定の好ましい実施形態において、多孔質炭素足場は、細孔容積が1.0cm/gより大きく、マクロ細孔の%が90%よりも大きい。ある他の好ましい実施形態において、多孔質炭素足場は、0.5cm/gより大きい総細孔容積を有し、100~1000Aの%細孔は80%より大きい。ある他の好ましい実施形態において、多孔質炭素足場は、総細孔容積が1.0cm/gより大きく、100~1000Aの細孔が90%を超える。
多孔質炭素足場、すなわち電気化学修飾剤を含まない炭素は、ある直径の細孔に存在する細孔容積の主要(例えば、50%超)であってよい。例えば、いくつかの実施形態において、総細孔容積の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超または95%超が、1nmまたはそれ以下の直径を有する細孔に存在する。他の実施形態において、総細孔容積の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、または95%超が100nm以下の直径を有する細孔に存在する。他の実施形態において、総細孔容積の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超または95%超が、0.5nmまたはそれ以下の直径を有する細孔に存在する。
いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素のタップ密度は、電気化学的改質剤、ひいては電気化学的性能、例えば体積容量を組み込む能力を予測可能であってよい。限定されるものではないが、電気化学修飾物質を含まない炭素の細孔容積はそのタップ密度に関連していてもよく、低い細孔容積を有する電気化学修飾剤を含まない炭素は、高いタップ密度を有することがしばしば見られる(その逆も同様である)。従って、低タップ密度(例えば、<0.3g/cc)、中タップ密度(例えば、0.3~0.5g/cc)または高タップ密度(例えば、>0.5g/cc)を与える電気化学修飾剤を含まない炭素が与えられる。
さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、0.3g/ccまたはそれ以上のタップ密度を有する。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、約0.3g/cc~約0.5g/ccの範囲のタップ密度を有する。いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、0.35g/cc~約0.45g/ccの範囲のタップ密度を有する。いくつかの他の実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、約0.30g/cc~約0.40g/ccの範囲のタップ密度を有する。いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、0.40g/cc~約0.50g/ccの範囲のタップ密度を有する。上記のいくつかの実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、媒体総細孔容積(例えば、約0.1cc/g~約0.6cc/g)を有する。
さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、約0.5g/cc超のタップ密度を含むことができる。いくつかの他の実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、約0.5g/cc~約2.0g/ccの範囲のタップ密度を有する。いくつかの他の実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、約0.5g/cc~約1.0g/ccの範囲のタップ密度を有する。いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、0.5g/cc~約0.75g/ccの範囲のタップ密度を有する。いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、0.75g/cc~約1.0g/cc、例えば約0.75g/cc~約0.95g/cc、例えば、約0.75~約1.2g/ccの範囲のタップ密度を有する。上記のいくつかの実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素は、低、中、または高い総細孔容積を有する。
ヘリウムピクノメトリーによって測定されたそれらの骨格密度はまた、電気化学修飾剤を含まない炭素の密度を特徴付けることができる。特定の実施形態において、電気化学修飾剤のない炭素の骨格密度は、1g/cc~約3g/cc、例えば約1.5g/cc~約2.3g/ccである。他の実施形態において、骨格密度は、約1.5cc/g~約1.6cc/gの範囲、約1.6cc/g~約1.7cc/g、約1.7cc/g~約1.8cc/g、約1.8cc/g~約1.9cc/g、約1.9cc/g~約2.0cc/g、約2.0cc/g~約2.1cc/g、約2.1cc/g~約2.2cc/gまたは約2.2cc/g~約2.3cc/g、約2.3cc/g~約2.4cc/g、例えば約2.4cc/g~約2.5cc/gである。
いずれの場合においても、電気化学修飾剤を含有する前に、電気化学修飾剤を含まない炭素の性質を容易に測定することができる。電気化学修飾剤を含まない炭素の性質は、その事実の後に電気化学修飾剤を除去することによっても測定することができる。これは、ケイ素を、炭素に影響を与えない溶媒で溶解し、次いで、電気化学修飾剤を含まない炭素の性質を測定することによって、容易に行うことができる。
C.複合材料を作成するための足場材料へのケイ素の導入
ナノ寸法のシリコンは、取り扱いが困難であり、従来の電極において処理することが困難である。高い表面積および凝集することの好ましさのために、均一な分散および被覆は、特別な手順および/またはバインダーシステムを必要とする。既存の黒鉛アノード材料の交換のための珠玉(ドロップ)であるために、次世代のSi-C材料はミクロン寸法である必要がある。好ましい実施形態において、複合体の寸法分布は比較的均一であり、例えば、好ましい範囲内で上下の境界を有し、Dv10が5nm以上であり、Dv50が500nm以上5μm以下であり、Dv90が50μm以下である。特定の実施形態において、複合粒子は、Dv10が50nm以上であり、Dv50が1μm~10μmであり、Dv90が30μm以下である粒子寸法分布を有する。特定の他の実施形態において、複合粒子は、以下の寸法分布:Dv10が100nm以上、Dv50が2μm~8μmであり、Dv90が20μm以下である粒子寸法分布を有する。特定のさらなる実施形態において、複合粒子は、Dv10が250nm以上であり、Dv50が4μm~6μmであり、Dv90が15μm以下である粒子寸法分布を有する。
シリコンを不活性材料の塊に埋め込む既存の複合材料とは異なって、最適な性能を達成するために、シリコンは、膨張および収縮するために空間を必要とすることを理解できる。本発明の高細孔容積炭素は、シリコンを埋め込むまたは付着させるための吸込体として見られ、所望の範囲の細孔容積を充填して所望の大きさ範囲の含浸炭素材料を生成させるように構成されている。このように、テンプレート、例えば、多孔質炭素材料は、複合粒子の全体的な電子およびイオン伝導能力に寄与するだけでなく、膨張/収縮のためのフレームワークおよびその場テンプレートとして重要な役割を果たす。この足場構造は、電子および可能なイオンの移動を可能にするが、一次的な役割は、単にシリコンを単一の位置に固定し、細孔内に留まりながら外方に膨張/収縮するように構成されている。
特定の実施形態において、ナノ粒子の含浸によってシリコンが多孔質炭素に導入される。したがって、ナノ寸法のシリコンまたはナノ寸法およびナノ特徴のシリコンが最初に製造される。好ましい実施形態において、ナノ寸法のシリコンまたはナノ寸法およびナノ特徴のシリコンが、米国特許出願62/205,542号「ナノ特徴の多孔質シリコン材料」、米国特許出願62/208,357号「ナノ特徴の多孔質シリコン材料」、および/または米国特許出願62/209,651号「多孔質のナノ特徴のシリコン材料および炭素材料の複合体」に記載されている方法によって製造される。これらの文献について、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
多孔質炭素は、例えば、攪拌される反応器容器内でナノシリコンと混合することができる。この反応器容器内で、炭素粒子、例えば、ミクロ寸法の多孔質炭素粒子が、所望の粒子寸法のナノシリコンと共懸濁される。懸濁環境は、当該技術分野で公知のように変化させることができ、例えば水性または非水性にすることができる。特定の実施形態において、懸濁液は、混和性または非混和性の共溶媒のいずれかを含む多成分であってもよい。水性(水)環境のための好適な共溶媒としては、アセトン、エタノール、メタノールなどが知られているが、これらに限定されるものではない。多種多様な非水溶性の環境が当該技術分野において知られており、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ならびに鉱油および植物油等の油類などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。理論に拘束されるものではないが、反応容器内での混合は、多孔質炭素粒子内でのシリコンナノ粒子の拡散を可能にする。得られたナノシリコンで含浸された炭素粒子は、例えば、当該技術分野で知られているように、遠心分離、濾過、およびそれに続く乾燥によって、収穫することができる。
この目的のために、所望の程度および種類の細孔性を有する多孔質炭素粒子は、前記細孔内にケイ素を形成するという結果を与える処理を受ける。この処理のために、多孔質炭素粒子は、第1の粒子寸法(一次粒子寸法)を小さくすることができ、例えば、1~1000ミクロン、例えば1~100ミクロン、例えば1~50ミクロン、例えば1~20ミクロン、例えば、1~15ミクロン、例えば2~12ミクロン、例えば5~10ミクロンであるDv50を提供することができる。粒子寸法の減少は、当該技術分野で知られているように行うことができ、本明細書中の他の場所に記載されているように、例えばジェットミリングによって行える。
好ましい実施形態において、化学気相成長(CVD)を介してシリコン付着を達成するために、ケイ素含有ガス、好ましくはシランの存在下で、高温でシランガスに多孔質炭素粒子を曝露することによって、多孔質炭素の細孔内にケイ素を生成させる。シランガスは、他の不活性ガス、例えば窒素ガスと混合することができる。処理の温度および時間は変化させることができ、例えば、温度は300~400℃、例えば、400~500℃、例えば500~600℃、例えば、600~700℃、例えば700~800℃の範囲、例えば800~900℃である。ガスの混合物は、0.1~1%のシランと残りの不活性ガスとを含むことができる。あるいは、ガスの混合物は、1%~10%のシランと残りの不活性ガスとを含むことができる。あるいは、ガスの混合物は、10%~20%のシランと残りの不活性ガスとを含むことができる。あるいは、ガスの混合物は、20%~50%のシランと残りの不活性ガスとを含むことができる。あるいは、ガスの混合物は、50%以上のシランおよび残りの不活性ガスを含むことができる。あるいは、ガスは本質的に100%のシランガスであってもよい。CVD法が行われる反応器は、当該技術分野で知られている種々の設計に従って、例えば、流動床反応器、静床反応器、エレベータキルン、ロータリーキルン、ボックスキルン、または他の適切な反応器形式である。反応器材料は、当該技術分野で知られているように、この操作に適している。好ましい実施形態において、多孔質炭素粒子は、気相への均一なアクセスを提供する条件下で処理され、前記多孔質炭素粒子が流動化された反応器、または均一なガスアクセスを提供するために攪拌される他の形態で処理される。
いくつかの実施形態において、CVD法は、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)法である。この方法は、基板上でガス状態(蒸気)から固体状態して薄膜を付着する有用性を提供するために当該技術分野で知られている。化学反応が、反応ガスのプラズマの生成後に起こる方法に含まれる。プラズマは一般に2つの電極間のRF(AC)周波数または直流放電によって作成され、それらの間の空間は前記反応ガスによって充填されている。特定の実施形態において、PECVD法は、目的に適した基板上、例えば銅箔基材に被覆されている多孔質炭素に利用される。PECVDは、様々な温度で行うことができ、例えば300~800℃、例えば300~600℃、例えば300~500℃、例えば300~400℃、例えば350℃で行える。電力は様々であり、例えば25WRFであり、処理に必要なシランガス流量を変化させることができ、当該技術分野で知られているように、処理時間を変化させることができる。
多孔質炭素に含浸されるシリコンは、方法にかかわらず、エネルギー貯蔵材料としての実用性に最適なある性質を有することが理解される。例えば、シリコンの大きさおよび形状は、理論に拘束されるものではないが、多孔質炭素粒子内の細孔容積の程度および性質に合致するように変化させることができる。例えば、シリコンは、5nm~1000nm、例えば10nm~500nm、例えば10nm~200nm、例えば10nm~100nm、例えば33nm~150nm、例えば20nm~100nmである細孔寸法を有する多孔質炭素粒子内の細孔へのCVD、あるいは他の適切な工程によって含浸させることができる。細孔容積に関する炭素細孔の大きさの他の範囲は、ミクロ細孔、メソ細孔またはマクロ細孔であり、本開示の他の場所に記載されている。
シリコン中の酸素含有量は、50%未満、例えば、30%未満、例えば、20%未満、例えば、15%未満、例えば、10%未満、例えば、5%未満、例えば、1%未満、例えば0.1%未満とすることができる。ある実施形態において、シリコン中の酸素含有量は、1~30%である。ある実施形態において、シリコン中の酸素含有量は、1~20%である。ある実施形態において、シリコン中の酸素含有量は、1~10%である。ある実施形態において、多孔質シリコン材料中の酸素含有量は5~10%である。
ケイ素が酸素を含有する特定の実施形態において、ケイ素と、一般式SiO[式中、Xは、0.01から2まで連続的に変化することができる非整数(実数)である。]のケイ素酸化物との混合物としてケイ素が存在するように酸素を含有させる。ある実施形態において、ナノ特徴の多孔質シリコンの表面に存在する酸素の割合は、粒子の内部に比べて高い。
特定の実施形態において、シリコンは結晶シリコンを含む。特定の実施形態において、シリコンは多結晶シリコンを含む。特定の実施形態において、シリコンは、ミクロ多結晶シリコンを含む。特定の実施形態において、シリコンはナノ多結晶シリコンを含む。特定の他の実施形態において、シリコンは非晶質シリコンを含む。特定の他の実施形態において、シリコンは、結晶シリコンおよび非結晶シリコンの両方を含む。
特定の実施形態において、シリコンで含浸されるかあるいは他の態様で埋め込まれる炭素足場は、様々な炭素同素体および/または幾何を含むことができる。この目的のために、シリコンを含浸または他の態様で埋め込むことができる炭素足場は、黒鉛、ナノ黒鉛、グラフェン、ナノグラフェン、伝導性炭素、例えば、カーボンブラック、カーボンナノワイヤ、カーボンナノチューブ等、およびこれらの組み合わせを含んでなる。
特定の実施形態において、所望の寸法性質を有するテンプレートシリコン材料を得るために、シリコンで含浸されるかまたは埋め込まれている炭素足場を除去する。足場炭素の除去は、当該技術分野で知られているように、例えば、シリコンがその電気化学的性質の望ましくない変化を受けない条件下での化学的活性化の熱によって行うことができる。あるいは、足場が、適切な溶媒に可溶である多孔質ポリマーまたは他の材料である場合には、足場は、溶解によって除去することができる。
D.炭素による複合材料の被覆
理論に拘束されるものではないが、多孔質炭素材料へのシリコン含浸により製造された複合体の電気化学的性能は、被覆することによって、例えば、複合材料を炭素層中に被覆することによって達成することができる。この文脈では、表面層は、このセクションで説明するように、炭素層を有してよく、または次のセクションに記載されているように、他の適切な層、伝導性ポリマー層を有してよい。
表面層は、好適なSEI層を提供することが理解される。この場合、表面炭素層は、Liイオンを載せる良好なイオン伝導体である必要がある。あるいは、炭素層は、人工SEI層を含むことができ、例えば、炭素層は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-コ-ポリ(エチレングリコール)コポリマーを含むことができる。被覆は、安定なSEI層を促進することに関して層をさらに改善するために窒素および/または酸素官能性(官能基)を含むことができる。被覆は、十分な導電性、接着性、および粒子間の凝集を提供する必要がある。表面は安定なSEI層を提供するべきであり、後者は典型的にはLiF、LiCO、LiOなどの種から構成される。比較的低い嵩モジュラスを有する無機材料は、より安定なSEI層を提供することができる、例えば、より非晶質な層対結晶質な層が好ましく、例えば、LiCO対LiFが好ましい。
この目的のために、炭素の層をシリコン含浸炭素材料に適用することができる。理論に拘束されるものではないが、この炭素層は、より安定なSEI層、リチウムイオン電池におけるより高い第1サイクル効率およびより高いサイクル安定性を提供するために、低い表面積、低い表面粗さおよび/または形態学的欠陥の低い程度を提供すべきである。表面層をシリコン含浸多孔質炭素材料に提供するという状況において、黒鉛、グラフェン、硬質または軟質炭素、例えば熱分解炭素を含む種々の炭素同素体を理解することができる。
別の実施形態において、上記の被覆は、当該技術分野で知られているような前駆体溶液で達成することができ、続いて炭化処理を行うことができる。例えば、粒子は、粒子上に前駆体材料の薄層を適用することが当該技術分野で知られているワースター(wurster)法または関連する噴霧乾燥法によって被覆することができる。次いで、前駆体被覆は、例えば、本明細書の他の場所に開示された説明と一致するように、高温および不活性ガスの存在下で、ワースター被覆粒子のさらなる流動化によって、熱分解することができる。
別の実施形態において、粒子は、化学気相成長(CVD)によって達成される炭素質層によって被覆することができる。理論に拘束されることを望むものではないが、炭素層(例えば、炭化水素ガスからの炭素層)を付着させるためのCVD法が、黒鉛化可能な炭素(以下、当該技術分野において「軟質」炭素とも称される)を与えると考えられる。本技術分野で一般に説明されているCVDの手順は、本明細書に開示された複合材料に適用することができ、例えば、ナノ寸法ケイ素またはナノ寸法およびナノ特徴のケイ素が、所望の範囲の細孔寸法の炭素細孔容積内に含浸または他の方法で導入された多孔質シリコンの粒子が製造される。CVDは、一般に、炭素原子を含む適切な付着ガスの存在下に、高温で、時間の間、多孔質シリコン材料をさらすことによって達成される。この文脈において適切なガスは、メタン、プロパン、ブタン、シクロヘキサン、エタン、プロピレンおよびアセチレンを含むが、これらに限定されない。温度は、例えば350~1050℃、例えば350~450℃、例えば450~550℃、例えば550~650℃、例えば、650℃~750℃、例えば、750~850℃、例えば850~950℃、例えば、950℃~1050℃で変化させることができる。付着時間を変化させることができ、例えば0~5分、例えば5~15分、例えば15~30分、例えば30~60分、例えば60~120分であり、例えば120分~240分である。ある実施形態において、付着時間は240分より大きい。ある実施形態において、付着ガスはメタンであり、付着温度は特定の実施形態において950℃またはそれ以上である。ある実施形態において、付着ガスはプロパンであり、付着温度は特定の実施形態において750℃またはそれ以下である。ある実施形態において、付着ガスはシクロヘキサンであり、付着温度は800℃またはそれ以上である。
特定の実施形態において、反応器自体を攪拌させることができ、これにより、多孔質炭素足場を攪拌してシリコンを含浸させることができる。例えば、含浸工程は、粒子が攪拌されない静的モードで行うことができる。静的モードにおいて、ケイ素含有反応体は、被覆される粒子の上で接触しているか、または粒子のまわりに接触しているか、または他の態様で接触するように流れる。他の例示的な態様において、粒子は流動化され得る。例えば、流動床反応器内でケイ素含有反応体の含浸を行うことができる。これらに限定されるものではないが、当技術分野で知られているように、様々な異なる反応器設計を使用することができる。例えば、ロータリーキルン、ローラーハースキルン、ロータリーキルン、ボックスキルン、および改変流動床設計が挙げられる。
したがって、本開示は、炭素足場材料が多孔質炭素材料であり、多孔質炭素材料とケイ素含有反応体とを接触させることにより、シリコン含浸を達成する、複合シリコン-カーボン材料の製造を提供する。例えば、方法は、以下の工程:
a)ポリマーおよび/またはポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間の間にわたって貯蔵する工程、
b)得られたポリマー材料を炭化して、多孔質炭素材料を生成させる工程、
c)静的反応器または攪拌反応器において、ケイ素含有反応体の存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程
を有することができる。
別の実施形態において、本開示は、炭素足場材料が多孔質炭素材料であり、ケイ素含有反応体と接触することによりシリコン含浸が達成され、複合体を炭素含有反応体と接触させることにより末端(最外)(ターミナル)炭素被覆が達成される複合シリコン-カーボン材料の製造を提供する。例えば、方法は、以下の工程:
a)ポリマーおよび/またはポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間の間にわたって貯蔵する工程、
b)得られたポリマー材料を炭化して、多孔質炭素材料を生成させる工程、
c)静的反応器または攪拌反応器において、ケイ素含有反応体の存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程、
d)静的反応器または攪拌反応器において、炭素含有反応体の存在下でシリコン含浸炭素材料を高温に付して、末端炭素被覆されたシリコン-カーボン複合材料を得る工程
を有してよい。
別の実施形態において、本開示は、炭素足場材料が多孔質炭素材料であり、ケイ素含有反応体と接触することによりシリコン含浸が達成され、複合体を伝導性ポリマーと接触させ、必要により前記材料を熱分解することにより、末端伝導性ポリマー被覆を達成する複合シリコン-カーボン材料の製造を提供する。例えば、方法は、以下の工程:
a)ポリマーおよび/またはポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間の間にわたって貯蔵する工程、
b)得られたポリマー材料を炭化して、多孔質炭素材料を生成させる工程、
c)静的反応器または攪拌反応器において、ケイ素含有反応体の存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程、
d)静的反応器または攪拌反応器において、伝導性ポリマーの存在下でシリコン含浸炭素材料を高温に付して、末端伝導性ポリマー被覆されたシリコン-カーボン複合材料を得る工程、
e)必要により前記d)の材料を熱分解する工程
を有してよい。
シリコン含浸多孔質炭素複合材料はまた、水熱炭化を介して末端炭素被覆することができ、この場合、粒子は、当該技術分野に従って様々な様式で処理される。水熱炭化は、高い温度および圧力の下で水性環境下で行うことができ、シリコン-カーボン複合体を得ることができる。水熱炭化を行うための温度の例は、例えば150℃~300℃、例えば170℃~270℃、例えば180℃~260℃、例えば200~250℃であってよい。あるいは、水熱炭化は、より高い温度、例えば200~800℃、例えば300~700℃であり、例えば400~600℃で行うことができる。いくつかの実施形態において、熱水炭化は、黒鉛構造を達成する温度および圧力で行うことができる。水熱炭化を行うのに適した圧力の範囲は、当該技術分野で知られており、圧力は、例えば変化することができ、例えば、反応の経過に渡って増加する。水熱炭化のための圧力は、0.1MPa~200MPaの範囲である。特定の実施形態において、水熱炭化の圧力は、0.5MPa~5MPaである。他の実施形態において、水熱炭化の圧力は、1MPa~10MPa、または5~20MPaである。さらに他の実施形態において、水熱炭化の圧力は、10MPa~50MPaである。さらに他の実施形態において、水熱炭化の圧力は、50MPa~150MPaである。さらに他の実施形態において、水熱炭化の圧力は、100MPa~200MPaである。水熱炭化のための炭素源として適した供給原料も当該技術分野で公知である。水熱炭化のためのそのような原料は、典型的には炭素および酸素を含み、限定されるものではないが、本開示の他の場所に記載されている糖、油、バイオ廃棄物、ポリマー、およびポリマー前駆体が挙げられる。
したがって、本開示は、炭素足場材料が多孔質炭素材料であり、ケイ素含有反応体と接触することによりシリコン含浸が達成され、水熱炭化により末端炭素被膜が形成されている複合シリコン-カーボン材料の製造を提供する。例えば、方法は、以下の工程:
a)ポリマーおよび/またはポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間の間にわたって貯蔵する工程、
b)得られたポリマー材料を炭化して、多孔質炭素材料を生成させる工程、
c)静的反応器または攪拌反応器において、ケイ素含有反応体の存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程、
d)シリコン含浸炭素材料を水熱炭化させて、水熱炭化により末端炭素被覆されたシリコン含浸炭素材料を含んでなる複合体を得て、液体媒体中にシリコンアロイの粒子を懸濁させる工程
を有してよい。
理論に束縛されるものではないが、炭素粒子の表面が、所望する反応の程度およびケイ素含有ガスによる付着を達成するための所望の温度を達成する必要があることが重要である。従来の工学技術原理は、粒子の内部と外部とを加熱することが困難であることを示しており、例えば、粒子は、対流加熱(おそらくは、外部表面から加熱する、限定されるものではないが、マイクロ波または放射加熱を含む他の機構)を介して加熱され、次いで、粒子内の温度は、炭素粒子の外部から内部への導電加熱を介して加熱される。多孔質粒子の場合には、粒子表面の炭素と衝突し対流を介して熱を付与する気体分子と同等のアクセスを有する表面領域を有する限り、粒子の内部は外部と同時に加熱されることは明らかではない。
理論に拘束されるものではないが、反応条件は、ケイ素含有ガスの平均自由経路長さが、充填されることが望まれる細孔の直径および/または深さと同等であるかまたは低い。このような場合は、当該技術において、クヌーセン拡散、すなわち、システムのスケール長が、関与する粒子の平均自由経路以下であるときに発生する拡散の手段、によって制御されることが知られている。非常に小さな毛細管孔を通してガス分子の拡散を考慮する。細孔寸法が拡散気体分子の平均自由経路よりも小さく、気体の密度が低い場合、ガス分子は、互いに隣接する細孔壁に衝突することが多い。この方法は、クヌーセン流動またはクヌーセン拡散として知られている。クヌーセン数は、クヌーセン拡散の相対的な重要性の良好な尺度である。1よりもはるかに大きいクヌーセン数は、クヌーセン拡散が重要であることを示す。実際には、クヌーセン拡散は、液体状態の分子の平均自由経路が非常に小さい、典型的には、分子自体の直径に近いので、気体のみに適用される。細孔寸法が気体の平均自由経路長よりもはるかに大きい場合、拡散は、フィスク(Fisk)拡散として特徴づけられる。
この方法は、付着法のために変化させることができ、例えば、周囲圧力、または約101kPaとすることができる。特定の実施形態において、圧力は、周囲圧力未満、例えば101kPa未満、例えば10.1kPa未満、例えば1.01kPa未満であってよい。特定の実施形態において、ガスは、ケイ素含有付着ガスと不活性ガスとの混合物、例えば、シランと窒素との組合せを含む。この場合、付着ガスの分圧は、101kPa未満、例えば10.1kPa未満、例えば1.01kPa未満とすることができる。特定の実施形態において、圧力および温度は、ケイ素含有ガスが超臨界状態であるようなものである。
したがって、特定の実施形態において、ケイ素含有反応体は超臨界シランとすることができ、例えば、約270K(-3C)より高い温度および約45バールより高い圧力にあるシランである。さらなる実施形態において、ケイ素含有反応体は超臨界シランとすることができ、例えば、0~100℃の温度および45~100バールの圧力にあるシランである。さらなる実施形態において、ケイ素含有反応体は超臨界シランとすることができ、例えば、100~600℃の温度および45~100バールの圧力にあるシランである。さらなる実施形態において、ケイ素含有反応体は超臨界シランとすることができ、例えば、300~500℃の温度および50~100バールの圧力にあるシランである。さらなる実施形態において、ケイ素含有反応体は超臨界シランとすることができ、例えば、400~550℃の温度および50~80バールの圧力にあるシランである。
特定の実施形態において、圧力および温度の両方は、多孔質炭素足場のシリコン含浸の過程内の時間にわたって変化する。例えば、多孔質炭素足場は、ある温度および圧力で維持することができ、周囲よりも低いまたは高い温度でかつ周囲よりも低い圧力で維持する。この場合、低圧と高温の組み合わせは、多孔質炭素足場内で潜在的に目詰まりしたり、多孔質を別の態様で占有したりする可能性があるケイ素含有反応体のアクセスを容易にする揮発性成分の脱着を可能にする。温度と圧力の条件の例としては、例えば、50~900℃、0.1~101kPa、およびこれらの種々の組み合わせが挙げられる。これらの条件は、ケイ素含有反応体の非存在下で第1の段階、続いて、ケイ素含有反応体の存在下で温度および圧力の第2の条件として使用することができる。後者の温度および圧力範囲の例は、本開示全体を通して見られる。
CVD法は、当該技術に従った種々のモードを介して達成することができる。例えば、粒子は攪拌されず、CVDガスは、被覆されるべき粒子の上に、またはその周囲に流れるか、またはそうでなければそれを浸透する、静的モードでCVDを行うことができる。他の例示的な態様において、粒子を流動化させることができ、例えば、流動床反応器内でCVDを行うことができる。当技術分野で知られているように、この文脈において様々な異なる反応器の設計を採用することができ、限定されるものではないが、エレベータキルン、ローラーハースキルン、ロータリーキルン、ボックスキルン、および流動床設計が挙げられる。これらの設計は、付着ガスとして使用される種々のケイ素含有ガスと組み合わせることができ、これには、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、クロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ロータリーキルンの場合、反応器内での粒子の適切な分散および転動を容易にするための様々な方法が知られており、多孔質炭素とケイ素含有反応体との最大接触を提供する。これらの方法は、リフター、螺旋状フライト、種々のネジ/プロペラ設計等のような機器の変更を含む。また、多孔質炭素足場粒子の分散および最小凝集を促進するために、ロータリーキルンに追加的な非反応性粒子を重点する方策も当技術分野において知られている。
CVD法はまた、処理される炭素粒子を加熱するためにマイクロ波を使用することができる。したがって、技術的に知られている工学設計原理を採用して、上記の反応器構成は、処理の一部としてマイクロ波と組み合わせることもできる。理論に拘束されるものではないが、炭素粒子は効率的なマイクロ波吸収剤であり、前記粒子に付着させるケイ素含有ガスの導入前にマイクロ波を粒子に照射して、加熱する反応器を理解することができる。
E.誘電加熱
誘電加熱は、高周波交番電場を印加する方法、または電波またはマイクロ波の電磁放射が誘電体材料を加熱する方法である。分子の回転は、電気双極子モーメントを有する極性分子を含む材料中で起こり、その結果、それらは電磁場でそれらを整列させることになる。電磁場が振動している場合には、電磁場は、電磁波または急速に振動する電場にあるので、これらの分子は、整列することにより連続的に回転する。これは双極子回転または双極性分極と呼ばれる。電磁場が交番すると、分子は方向を逆にする。回転分子は、(電気力を介して)他の分子を押し、引っ張り、および衝突すると、前記材料中の隣接する分子および原子にエネルギーを分配する。一旦分散されると、このエネルギーは熱として現れる。
温度は、材料中の原子または分子の平均運動エネルギー(運動エネルギー)に関連し、このように分子を攪拌することにより、物質の温度が上昇する。したがって、双極子の回転は、電磁放射の形態のエネルギーが対象物の温度を上昇させることができる機構である。双極子の回転は、通常、誘電加熱と呼ばれる機構であり、液体水に最も効果的に作用する電子レンジにおいて最も広く観測可能であり、それよりもはるかに少ないが、脂肪および糖、ならびに他の炭素含有物質でも観測可能である。
誘電体加熱は、誘電損失による電気絶縁材料の加熱を含む。材料を横切る変化する電場は、分子が連続的に変化する電場と整列することを試みるにつれて、エネルギーを散逸させる。この変化する電場は、自由空間(電子レンジにおけるように)を伝播する電磁波によって引き起こされ得るものであってもよいし、コンデンサ内の急激な交番電場によって生じ得るものであってもよい。後者の場合、自由に伝播する電磁波は存在せず、アンテナ近接場の電気部品と同様に変化する電場を見ることができる。この場合、加熱は、無線周波数(RF)において、容量性空洞内の電場を変化させることによって達成されるが、周波数では、実際の電波は発生または吸収されない。この意味で、効果は、近接場効果(電波を含まない)でもある磁気誘導加熱の直接電気アナログである。
10-100MHzの範囲の周波数が、効率的な誘電加熱を引き起こすために必要であるが、より高い周波数が均等に良好に作用し、また、いくつかの材料(特に液体)において、より低い周波数が、多くの場合、より普通のメカニズムに起因して、著しい加熱効果を有する。低周波数での誘電加熱は、近接場効果として、電磁放射器から波長の1/2π≒1/6未満の吸収体までの距離を必要とする。したがって、接触方法または近接触方法である。通常、被加熱物(通常は非金属)を挟み込み、被加熱物(通常は非金属)誘電体の場所を考慮した金属板間で、非常に大きなコンデンサを有効に利用することができるからである。しかし、コンデンサ内部の誘電体を加熱するためには、実際の電気的接触は不要である。電圧が印加されたコンデンサの内部に形成された電場が、プレート間のコンデンサプレートと(非導通) 誘電体材料との電気的な接触を必要としないからである。低周波電場はマイクロ波よりもはるかに深く非伝導性材料を浸透し、木材のような乾式材料の内部の水および生物の加熱ポケットを加熱するので、コンデンサプレート間に嵌合する限り、多くの非伝導性食品および農産物を迅速に加熱および製造するために使用することができる。
非常に高い周波数において、電磁場の波長は、加熱空洞の金属壁間の距離よりも短くなるか、あるいは壁自体の寸法よりも小さくなる。これは、電子レンジ内の場合である。このような場合、従来の遠方界電磁波 (空洞はもはや純粋なコンデンサとして作用せずに、アンテナとして機能する)が形成し、吸収されて加熱されるが、熱溶着の双極子回転機構は同じままである。しかし、マイクロ波は、より遅い分子運動、例えば、イオン-抗力に起因するもののようなものに依存する低周波数フィールドの加熱効果を引き起こすのに効率的ではない。
マイクロ波加熱は、100MHz以上の周波数での誘電加熱のサブカテゴリであり、小次元のエミッタから電磁波を発射し、空間を介してターゲットに誘導することができる。現代の電子レンジは、RFヒーターよりもはるかに高い周波数および短い波長の電場を有する電磁波を使用する。典型的な家庭用電子レンジは2.45GHzで動作するが、915MHzのオーブンも存在する。これは、マイクロ波加熱に用いられる波長が12または33cm(4.7または13.0インチ)であることを意味する。これは、高効率であるが、浸透性の低い誘電体加熱を提供する。コンデンサ状の組のプレートは、マイクロ波周波数で使用することができるが、必要ではない。マイクロ波は既に遠視野型電磁放射として存在するからである。その吸収は、RF加熱のように、小さなアンテナと同じ近接を必要としない。それゆえ、被加熱物(非金属)は、単に波の経路内に配置することができ、非接触方法で加熱することができる。
このように、マイクロ波吸収材は、電磁波を熱エネルギーに変換して放散することができる。理論に拘束されるものではないが、材料のマイクロ波吸収容量は、その比誘電率、比透磁率、電磁インピーダンス合致、材料の微細構造、例えば、その多孔質および/またはナノ構造またはミクロ構造によって主に決定される。マイクロ波のビームがマイクロ波吸収材の表面に照射される場合に、電磁インピーダンスのための適切な合致条件は、入射マイクロ波のほぼゼロ反射を可能にすることができ、最終的に、吸収材料への熱エネルギーの伝達をもたらす。
F.炭素材料のマイクロ波加熱
炭素材料は、マイクロ波を吸収することができ、すなわち、マイクロ波放射、すなわち、電磁スペクトルの領域における赤外線および電波によって容易に加熱される。より具体的には、それらは、300~0.3GHzの周波数に対応する0.001m~1mの波長を有する波と定義される。マイクロ波電場の存在下で加熱される炭素の能力は、その誘電正接tanδ = ε''/ε'によって定義される。誘電正接は、2つのパラメータ、誘電率(または実誘電率)ε'と、誘電損失係数(または虚誘電率)ε''から構成され、ε=ε'-iε''[式中、εは複素誘電率である。]によって定義される。誘電率(ε')は、入射エネルギーのどれだけが反射され、どれだけ吸収されるかを求め、一方、誘電損失係数(ε'')は材料内の熱の形態における電気エネルギーの散逸を測定する。最適なマイクロ波エネルギー結合のためには、中程度のε'の値がε'''の高い値に結合されるべきであり(および高い値のtanδ)、マイクロ波エネルギーを熱エネルギーに変換する。したがって、いくつかの材料は、誘電加熱を可能にするために十分に高い損失係数を有さない(マイクロ波を透過させる)が、他の材料、例えば、いくつかの無機酸化物および大部分の炭素材料は、優れたマイクロ波吸収体である。一方、導電体材料はマイクロ波を反射する。例えば、黒鉛および高度に黒鉛化された炭素は、かなりの割合のマイクロ波放射を反射することができる。非局在化π電子が比較的広い領域で自由に移動することができる炭素の場合には、非局在化π電子は、比較的広い領域で自由に移動することができ、付加的かつ非常に興味のある現象が発生する可能性がある。いくつかの電子の運動エネルギーは、それらが材料から飛び出すことを可能にすることがあり、その結果、周囲の大気がイオン化される。巨視的なレベルでは、この現象はスパークまたは電気アーク形成として認識される。しかし、微視的なレベルでは、これらのホットスポットは実際にはプラズマである。これらのプラズマの大部分は、空間および時間の視点からのマイクロプラズマとみなすことができる、それは、空間の小さな領域に閉じ込められ、最後に、第2のわずかな部分だけに限定されるからである。このようなマイクロプラズマの集中的な生成は、関与する方法にとって重要な意味を有することができる。
理論に拘束されるものではないが、マイクロ波加熱による炭素材料の加熱は、従来の加熱に比べて多くの利点、例えば、(i)非接触加熱;(ii)熱伝達に代わるエネルギー移動;(iii)急速加熱;(iv)選択的物質加熱;(v)体積加熱;(vi)迅速な起動および停止;(vii)材料本体の内部からの加熱;および(viii)安全性および自動化のより高いレベルを与える。マイクロ波エネルギーを吸収し、それを熱に変換する高容量の炭素材料を第1表に示す(J.A. Menendez, A. Arenillas, B. Fidalgo, Y. Fernandez, L. Zubizarreta, E.G. Calvo, J.M. Bermudez, “Microwave heating processes involving carbon materials”, Fuel Processing Technology, 2010, 91 (1), 1-8から提供)。第1表は、異なるカーボンの例の誘電正接を示している。理解されるように、石炭を除いてほとんどのカーボンの損失正接は、蒸留水の損失正接よりも高い(2.45GHzおよび室温における蒸留水のtanδ=0.118)。
Figure 2024073597000001
炭素がマイクロ波を吸収する可能性があると、炭素触媒反応、すなわち炭素粒子上または炭素粒子内で起こる反応のマイクロ波増強の可能性もある。理論に拘束されるものではないが、マイクロ波がそのような反応を炭素粒子の上または内部で増強する少なくとも2つのシナリオが存在する:(i)高温を必要とする反応、および(ii)有機化合物と同様に、誘電損失が低く、マイクロ波照射下で十分に昇温しないようにする化学的化合物を含む反応を含む。本発明に関して、炭素材料は、反応表面(例えば、触媒)およびマイクロ波受容体の両方として作用する。
G.多孔質炭素基材上のケイ素含有部分のマイクロ波可能分解によるシリコン-カーボン複合体の製造
本発明は、1つ以上のマイクロ波吸収材料から複合材料を合成する方法を記載する。本明細書において、前記マイクロ波吸収材はマイクロ波放射に曝されることにより加熱され、マイクロ波加熱された材料の細孔内または細孔内で熱分解する1つまたは複数の追加の原材料に導入される。好ましい実施形態において、マイクロ波加熱された材料は、例えば、多孔質であり、例えば、ミクロ細孔、メソ細孔、またはマクロ細孔、またはそれらの組み合わせを含む。好ましい実施形態において、多孔質誘導加熱材料は炭素材料である。多孔質マイクロ波加熱炭素材料は、本質的にマイクロ波を吸収することができ、またはドープされた材料がマイクロ波を吸収することができるような化学種でドープされていてもよい。マイクロ波によって多孔質基材材料を加熱することにより、反応器システム内、例えば、材料容器、反応器壁、および反応器内の大気(気体)の他の材料を直接加熱することなく、基材粒子の局所的な加熱が可能になる。この局所的な加熱は、高効率化を可能とし、ケイ素含有反応体原料の高度に局在化された分解を与える。この点に関する適切な反応原料としては、ケイ素含有ガスおよびケイ素含有液体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましい実施形態において、ケイ素含有供給原料はシランガスである。したがって、本明細書に開示された方法は、均質なシリコン複合粒子を製造する利点を提供する。
一般的に、本発明は、ケイ素がマイクロ波吸収材である多孔質足場材料の細孔容積に付着されている複合材料に関する。多孔質のマイクロ波吸収足場材料は、様々な異なる材料を含むことができる。特定の好ましい実施形態において、多孔質足場材料は、ミクロ細孔、メソ細孔、および/またはマクロ細孔を有する多孔質炭素材料である。具体的には、多孔質炭素材料は、5~1000nmの範囲の細孔を提供し、続いてシリコンが細孔に充填される。したがって、本開示はまた、シリコンが多孔質足場材料の細孔容積に付着された複合材料の製造方法に関する。方法の概略を図1に示す。得られた複合体は、リチウムの著しく耐久性のある挿入を示し、最適化されたリチウム貯蔵および利用性を与える。これらの新規な複合体は、いずれかの数の電気エネルギー貯蔵デバイスに有用であり、例えば、リチウム系電気エネルギー貯蔵デバイス(具体的には、リチウムイオン電池)における電極材料として使用することができる。本明細書に開示される新規な複合体を含んでなる電極は、高い可逆的容量、高い第1サイクル効率、高出力性能、またはそれらのいずれかの組み合わせを示す。本発明者らは、このような改善された電気化学的性能が、シリコンの寸法、サイクル中のケイ素および炭素材料(シリコンおよびカーボン材料)の一体性、安定なSEI層の形成、足場材料の物理化学的性質、例えば、炭素足場の表面積および細孔容積性質、および他の性質に関連すること、ならびにそれらの材料を製造および化合するために使用される手法に関連することを見いだした。
したがって、一実施形態において、本開示は、複合体は多孔質足場とケイ素とを含み、耐久性のあるリチウム挿入を有する新規な複合材料の製造を提供する。例えば、製造方法は、以下の工程:
a)マイクロ波吸収性多孔質足場材が5~1000nmの範囲の細孔容積を有するマイクロ波吸収性多孔質足場材料を作成する工程;
b)ケイ素含有供給原料の分解を可能にするのに十分な温度に、ケイ素含有供給原料の存在下で、マイクロ波によってマイクロ波吸収性多孔質足場材料を加熱して、シリコンで含浸された炭素材料を得る工程
を有してなる。
したがって、一実施形態において、本開示は、複合体は、炭素とケイ素とを含み、耐久性のあるリチウム挿入を有する新規な複合材料の製造を提供する。例えば、製造方法は、以下の工程:
a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、5~1000nmの範囲の細孔容積を有するマイクロ波吸収性多孔質炭素材料を生成する工程;
c)ケイ素含有供給原料の分解を可能にするのに十分な温度に、ケイ素含有供給原料の存在下で、マイクロ波によってマイクロ波吸収性多孔質炭素材料を加熱して、シリコンで含浸された炭素材料を得る工程:
を有してなる。
別の実施形態において、本開示は、複合体は、マイクロ波吸収材料でドーピングされた炭素とケイ素とを含み、耐久性のあるリチウム挿入を有する新規な複合材料の製造を提供する。例えば、製造方法は、以下の工程:
a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、5~1000nmの範囲の細孔容積を有する多孔質炭素材料を生成させる工程;
c)マイクロ波加熱可能な材料で多孔質炭素材料をドーピングする工程;
d)ケイ素含有供給原料の分解を可能にするのに十分な温度に、ケイ素含有供給原料の存在下で、マイクロ波によって、得られたマイクロ波吸収性多孔質炭素材料を加熱して、シリコンで含浸された炭素材料を得る工程
を有してなる。
関連する実施形態において、本開示は、複合体は、マイクロ波吸収材料を含むポリマー材料から製造された炭素とケイ素とを含み、耐久性のあるリチウム挿入を有する新規な複合材料の製造を提供する。例えば、製造方法は、以下の工程:
a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、5~1000nmの範囲の細孔容積を有する多孔質炭素材料を生成させる工程;
c)ケイ素含有供給原料の分解を可能にするのに十分な温度に、ケイ素含有供給原料の存在下で、マイクロ波によってマイクロ波吸収性多孔質炭素材料を加熱して、シリコンで含浸された炭素材料を得る工程
を有してなる。
したがって、一実施形態において、本開示は、シリコンで含浸された炭素材料を包囲する炭素の層を有し、耐久性のあるリチウム挿入を有する新規な複合材料の製造を提供する。例えば、製造方法は、以下の工程:
a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、5~1000nmの範囲の細孔容積を有する多孔質炭素材料を生成させる工程;
c)ケイ素含有供給原料の分解を可能にするのに十分な温度に、ケイ素含有供給原料の存在下で、マイクロ波によってマイクロ波吸収性多孔質炭素材料を加熱して、シリコンで含浸された炭素材料を得る工程;
d)シリコン含浸炭素材料の上に炭素層を適用して、炭素で被覆されたシリコン含浸炭素材料を得る工程
を有してなる。
したがって、一実施形態において、本開示は、複合体は、シリコン含浸炭素材料を包囲する伝導性ポリマー材料の層を有する、耐久性のあるリチウム挿入を有する新規な複合材料の製造を提供する。例えば、製造方法は、以下の工程:
a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、5~1000nmの範囲の細孔容積を有するマイクロ波吸収性多孔質炭素材料を生成させる工程;
c)ケイ素含有原料の分解を可能にするのに十分な温度に、ケイ素含有供給原料の存在下で、マイクロ波によってマイクロ波吸収性多孔質炭素材料を加熱して、シリコンで含浸された炭素材料を得る工程;
d)シリコン含浸炭素材料の周囲に伝導性ポリマーを適用して、伝導性ポリマーネットワーク内にさらに埋め込まれたシリコン含浸炭素材料を得る工程
を有してなる。
したがって、本開示は、前記材料は、リチウム系エネルギー貯蔵デバイスの電極に組み込まれたときに、リチウムの著しく耐久性のある挿入を示す新規組成物の製造方法に加えて、新規組成物をも提供する。いくつかの実施形態において、リチウム系電気エネルギー貯蔵デバイスは、リチウムイオン電池またはリチウムイオンキャパシタである。
H.伝導性ポリマー材料による複合材料の被覆
多孔質シリコン材料を含む複合材料は、容量、安定性および電力性能によって規定されるような電気化学的性能をさらに向上させるために、様々な表面処理または性質を有することができる。一実施形態において、複合体は、1nm~10ミクロンの厚さを有するイオン伝導性ポリマーによって覆われる。別の実施形態において、複合体は、1nm~10ミクロンの厚さを有するセラミック保護被覆によって覆われる。さらに別の実施形態において、複合体は、1nm~10ミクロンの厚さを有する有機膜によって覆われる。厚さは、限定されるものではないが、XPSスパッタリング、FIB/SEMまたはSIMSのような当技術分野で公知の種々の技術を用いて測定することができる。
複合材料はイオン伝導性ポリマーで被覆することができる。例示的な材料は、限定されるものではないが、ポリアニリン系材料、ポリピロール系材料、ポリ-ピロール-コ-アニリンのような2つの組合せ、ポリチオフェン系材料、オリゴマー、PEDOT-PSS、ポリフッ化ビニリデンおよび他のビニレンおよびフルオライド、ネオプレン、シリコーン、ウレタン、スチレン-ブタジエンゴム系材料、およびイソプレンのような他のゴムを含む。
複合材料は、セラミック保護被覆で被覆することができる。被覆材料は、限定されないが、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化クロム等の酸化物系皮膜を含む。被覆材料はまた、炭化物、窒化物、ホウ化物、およびケイ化物のような非酸素含有物であってもよい。セラミックの目的は、複合材料の表面を保護することである。
複合材料は有機材料で被覆することができる。有機材料は、自然界に見られるか、または合成的に合成され得る。有機被覆材料の例としては、リグニン、セルロース、キトサン、多糖類、脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
粒子の被覆の操作は、当業者によって容易に達成され得る。一般的に用いられる方法は、蒸着法、例えば、原子層付着法、化学気相成長法、プラズマ補助蒸着法、物理蒸着法、スパッタリング法、噴霧乾燥法、乳化、スピン被覆、電着、およびシードまたは他の手段による直接-粒子選択成長を含む。
複合材料上の被覆は、腐食を防止すると共に、膨張/収縮時の機械的安定性を提供することを意味する。この目的のために、材料の硬度および弾力性は重要である。これらの硬度および弾性の値は、当該技術分野で公知の方法を用いて測定することができる。材料の選択に応じて、被覆のモース硬度は、0と10との間であることができる。理論に拘束されないが、被覆のモース硬度は、0~5、0~4、0~4、0~3、0~2、または0~1のいずれかであってよい。他の例において、塗膜のモース硬度は、5~10、6~10、7~10、8~10、または9~10の範囲とすることができる。被覆は、異常に高いモース硬度>10を示すことができる。理論に拘束されるものではないが、モース硬度ではなく、ビッカーススケールを用いて硬度を測定することもできる。
さらに別の実施形態において、被覆のヤング率は、0~1210GPaで測定することができる。一実施形態において、被覆のヤング率は、0.01~11GPa、0.01~5GPa、0.01~2GPa、0.01~0.5GPa、0.01~0.1GPa、または1~4GPaである。別の例では、被覆のヤング率は11より大きくてもよい。ヤング率は11~1000GPa、20~1000GPa、50~1000GPa、100~1000GPa、200~1000GPa、または400~700GPaであってもよい。
被覆の厚さは、複合材料の性能を変えることができ、被覆の物理的性質に直接に関連することができる。一実施形態において、被覆の厚さは、1nm~10ミクロン、1nm~5ミクロン、1nm~1ミクロン、1nm~50nmである。別の実施形態において、被覆の厚さは5ミクロン~10ミクロンである。さらに別の実施形態において、被覆は単原子単層である。
複合粒子の質量に対する被覆の質量は、被覆と複合粒子の両方の性質に応じて様々である。理論に束縛されるものではないが、被覆の質量と複合粒子の質量との比は、材料の重量容量および体積容量を変化させることができる。本実施形態において、複合粒子の質量は、伝導性ポリマーまたはセラミック被覆とみなされないいずれかのまたは全ての材料を意味する。一実施形態において、被覆の質量と複合粒子の質量との比は、1:50未満である。他の実施形態において、被覆の質量と複合粒子の質量との比は、1:50と1:1の間、1:50と1:5の間、1:50と1:10の間、1:50と1:20の間、1:20と1:30の間である。被覆の質量と複合粒子の質量との比が1:1を超えることがあり、これは、複合材料よりも多くの被覆が存在することを示す。
複合粒子の体積に対する被覆の体積は、被覆と複合粒子の両方の性質に応じて様々である。理論に束縛されるものではないが、被覆の体積と複合粒子の体積の比は、材料の重量容量および体積容量を変化させることができる。本実施形態において、複合粒子の体積は、伝導性ポリマーまたはセラミック被覆とみなされないいずれかのまたは全ての材料を意味する。一実施形態において、被覆の体積と複合粒子の体積の比は、1:50未満である。別の実施形態において、被覆の体積と複合粒子の体積の比は、1:50と1:1の間、1:50と1:5の間、1:50と1:10の間、1:50と1:20の間、1:20と1:30の間である。さらに別の実施態様において、被覆の体積と複合粒子の体積の比が1:1を超えることがあり、これは、複合材料よりも多くの被覆が存在することを示す。
複合材料上の被覆中の酸素含有量は、80%未満、例えば70%未満、例えば60%未満、例えば50%未満、例えば40%未満、例えば30%未満、例えば20%未満、例えば20%未満、例えば10%未満とすることができる。ある実施形態において、複合材料上の被覆中の酸素含有量は、10~80%である。ある実施形態において、複合材料上の被覆中の酸素含有量は、20~70%である。ある実施形態において、複合材料上の被覆中の酸素含有量は、30~60%である。ある実施形態において、複合材料上の被覆中の酸素含有量は、40~50%である。さらに他の実施形態において、複合材料上の被覆中の酸素含有量は、10%未満である。
複合材料上の被覆中の窒素含有量は、50%未満、例えば30%未満、例えば20%未満、例えば15%未満、例えば10%未満、例えば5%未満、例えば1%未満、例えば0.1%未満とすることができる。ある実施形態において、複合材料上の被覆中の窒素含有量は、1~30%である。ある実施形態において、複合材料上の被覆中の窒素含有量は、1~20%である。ある実施形態において、複合材料上の被覆中の窒素含有量は、1~10%である。ある実施形態において、複合材料上の被覆中の窒素含有量は5~10%である。
特定の実施形態において、伝導性ポリマーは熱分解され、熱分解された伝導性ポリマー被覆を与える。この伝導性ポリマーは、炭素足場に含浸されたナノ特徴および/またはナノ寸法およびナノ特徴のケイ素の複合体に第2のカーボン複合体として添加することができる様々な実施形態が存在する。例えば、シリコン-カーボン複合体は、溶解した伝導性ポリマーを含む溶媒中に懸濁させることができ、次いで、当該技術分野で知られているように、懸濁液を乾燥させることができる。別の実施形態において、伝導性ポリマーの固体粒子は、固体シリコン粒子と混合することができ、粒子の混合物を高温で貯蔵する。好ましい実施形態において、温度は、ポリマーのガラス転移温度付近またはそれ以上である。追加の好ましい実施形態において、温度は、ポリマーの軟化温度付近またはそれ以上である。追加の好ましい実施形態において、温度は、ポリマーの溶融温度付近またはそれ以上である。高温は、約100℃または約120℃、または約140℃または約160℃、約180℃、または約200℃とすることができる。熱分解は、当該技術分野で知られているような高温で、例えば300℃で、または350℃または400℃または450℃または500℃で、600℃、または700℃、または800℃で行うことができる。特定の実施形態において、ナノ特徴またはナノ特徴およびナノ寸法のシリコンは、850℃、900℃、1000℃、1050℃、または1100℃で熱分解することができる。例示的な伝導性ポリマーとしては、限定されるものではないが、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオフェン、ポリ(フルオレン)、ポリピレン(polypyrenes)、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(p-フェニレンスルフィド)(PPS))、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)およびそれらの混合物が挙げられる。ナノ特徴またはナノ特徴およびナノ寸法のシリコンと伝導性ポリマーの比を、例えば95:5~9:95に変化させることができる。特定の実施形態において、ケイ素と伝導性ポリマーの比は95:5~60:40、または90:10~70:30である。
別の実施形態において、本開示は、複合シリコン-カーボン材料の製造を提供する。シリコン材料は、ナノ寸法のシリコン材料、または本明細書に一般的に記載された方法に従って炭素足場内に含浸されるナノ寸法の特徴を有するナノ寸法のシリコン材料であり、得られたシリコンカーボン複合体は、第2の炭素被覆でさらに被覆され、第2のカーボン被覆は、伝導性ポリマーを適用することにより達成される。特定の実施形態において、伝導性ポリマーは熱分解され、熱分解された伝導性ポリマー被覆を達成する。伝導性ポリマーがナノ特徴および/またはナノ特徴およびナノ寸法のケイ素と炭素との複合体と複合化され得る様々な実施形態が存在する。例えば、シリコンカーボン複合体は、溶解した伝導性ポリマーを含む溶媒中に懸濁させることができ、次いで、当該技術分野で知られているように、懸濁液を乾燥させることができる。別の実施形態において、伝導性ポリマーの固体粒子は、固体シリコンカーボン複合粒子と混合することができ、粒子の混合物を高温で貯蔵する。好ましい実施形態において、温度は、ポリマーのガラス転移温度付近またはそれ以上である。追加の好ましい実施形態において、温度は、ポリマーの軟化温度付近またはそれ以上である。追加の好ましい実施形態において、温度は、ポリマーの溶融温度付近またはそれ以上である。高温は、約100℃、または約120℃、または約140℃、または約160℃、または約180℃、または約200℃とすることができる。熱分解は、当該技術分野で知られているような高温、例えば、300℃、または350℃、または400℃、または450℃、または500℃、または600℃、または700℃、または800℃で行うことができる。ある実施形態において、ナノ特徴またはナノ特徴およびナノ寸法のシリコンの混合物は、850℃、900℃、1000℃、1050℃、または1100℃で熱分解することができる。例示的な伝導性ポリマーとしては、限定されるものではないが、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオフェン、ポリ(フルオレン)、ポリピレン(polypyrenes)、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(p-フェニレンスルフィド)(PPS)、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)およびそれらの混合物を挙げることができる。ナノ特徴またはナノ特徴およびナノ寸法のシリコンと複合体の比を、例えば95:5~9:95に変化させることができる。特定の実施形態において、複合体と伝導性ポリマーの比は95:5~60:40、または90:10~70:30である。
I.非常に耐久性のあるリチウム挿入を伴う複合体の電気化学的性能
上述のように、本開示は、多孔質炭素足場のコア、およびシランガスの存在下で、CVDによってナノシリコンを含浸または他の形態で導入した、または他の適切な技術を用いて製造された、足場コアの上のナノシリコン、さらに、いずれかの最終的な被覆、例えば、プロパンの存在下でのCVDによってまたは他の適切な技術によって達成されるカーボン、または伝導性ポリマーによる被覆を有する複合材料に関する。このような複合体は、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示し、リチウム系(またはナトリウム系)または他の電気貯蔵デバイスのアノード材料として極めて有用である。理論に束縛されるものではないが、多孔質炭素足場の所望の細孔容積構造(例えば、5~1000nmの範囲または本明細書に開示した他の範囲の他の範囲であるシリコン充填細孔)において充填の結果として得られるナノ寸法のシリコンは、カーボンまたは伝導性ポリマー被覆を含めて、複合体の他の構成要素の有利な性質と共に、少なくとも部分的には、その調製方法によって、製造パラメータの変動により、異なるおよび有利な性質を有する複合材料を与えることができ、例えば、複合体がリチウムイオンエネルギー貯蔵デバイスのアノードを有する場合に、電気化学的性能を達成すると考えられる。
特定の実施形態において、本明細書に開示される複合体の電気化学的性能を、ハーフセルで試験する。あるいは、本明細書に開示された非常に耐久性のあるリチウムの挿入を有する複合体の性能をフルセル、例えば、フルセルのコインセル、フルセルのパウチセル、角柱セル、または当該技術分野で知られている他のバッテリ構成で試験する。本明細書に開示される非常に耐久性のあるリチウムの挿入を有する複合体を含むアノード組成物は、当該技術分野で知られているように、様々な種をさらに含むことができる。追加の配合成分は、限定されるものではないが、伝導性添加剤、例えば、スーパーP、ケッチェンブラック炭素などの伝導性カーボン、伝導性ポリマー等、バインダー(結合剤)、例えば、スチレン-ブタジエンゴムナトリウムカルボキシメチルセルロース(SBR-Na CMC)等、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等、およびこれらの組合せからなる群を含む。本技術分野では、電極を構成する種々のタイプおよび種が知られている。電極中の活物質の重量%は変化することができ、例えば1~5%、例えば5~15%、例えば15~25%、例えば25~35%、例えば35~45%、例えば45~55%、例えば55~65%、例えば65~75%、例えば75~85%、好ましくは85~95%の範囲に変化することができる。好ましい実施形態において、活物質は、電極の80~95%を含む。特定の実施形態において、電極における伝導性添加剤の量は変化でき、例えば1~5%、5~15%、例えば15~25%、好ましくは25~35%の範囲である。好ましい実施形態において、電極中の伝導性添加剤の量は5~25%である。特定の実施形態において、バインダーの量は、例えば1~5%、例えば5~15%、例えば15~25%、例えば25~35%に変化させることができる。特定の実施形態において、電極中の伝導性添加剤の量は5~25%である。
本明細書に開示されたリチウムの非常に耐久性のある挿入を有する複合体は、いずれかの数の電気エネルギー貯蔵デバイスの性質を改善し、例えば、本明細書中に開示された非常に耐久性のあるリチウムの挿入を有する複合体は、リチウム系電池の第1サイクル効率を改善することが示されている。したがって、本開示の一実施形態は、本明細書に開示されるリチウムの非常に耐久性のある挿入を有する複合体を提供し、この複合体は、複合体がリチウムイオン電池等のリチウム系エネルギー貯蔵デバイスの電極に取り込まれたときに、50%超の第1サイクル効率を有する。例えば、いくつかの実施形態において、表面積が50m/g超である本明細書に開示されるリチウムの非常に耐久性のある挿入を有する複合体を提供し、炭素材料は、前記材料がリチウム系エネルギー貯蔵デバイスの電極に組み込まれたときに、50%超の第1サイクル効率および少なくとも600mAh/gの可逆的容量を有する。他の実施形態において、第1サイクル効率は、55%より大きい。いくつかの他の実施形態において、第1サイクル効率は、60%より大きい。さらに他の実施形態において、第1サイクル効率は、65%より大きい。他の実施形態において、第1サイクル効率は70%よりも大きい。他の実施形態において、第1サイクル効率は75%より大きく、他の実施形態において、第1サイクル効率は80%超、90%超、95%超、98%超、または99%超である。
シリコン-カーボン複合材料は、当該技術分野で知られているように、予備リチウム化されていてもよい。特定の実施形態において、予備リチウム化は電気化学的に達成される。例えば、ハーフセルでは、多孔質シリコン材料を含むリチウム化アノードをフルセルリチウムイオン電池に組み立てる前に、予備リチウム化してよい。特定の実施形態において、予備リチウム化は、リチウム含有化合物、例えば、リチウム含有塩をカソードにドーピングすることによって達成される。この文脈における適切なリチウム塩の例には、限定されるものではないが、ジリチウムテトラブロモニッケレート(II)、ジリチウムテトラクロロカプレート(II)、アジ化リチウム、安息香酸リチウム、臭化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、リチウムシクロヘキサンブチレート、フッ化リチウム、ギ酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸(V)リチウム、六フッ化リン酸リチウム、水酸化リチウム、ヨウ化リチウム、ヨウ素酸リチウム、メタホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、リン酸リチウム、硫酸リチウム、四ホウ酸リチウム、テトラクロロアルミネート、テトラフルオロホウ酸リチウム、チオシアン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
シリコン-カーボン複合材料を含むアノードは、種々のカソード材料と対にして、フルセルリチウムイオン電池とすることができる。適切なカソード材料の例は、当該技術分野で知られている。そのようなカソード材料の例としては、LiCoO2 (LCO), LiNi0.8Co0.15Al0.05O2 (NCA), LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2 (NMC), LiMn2O4 および変異体(LMO), ならびに LiFePO4 (LFP)が挙げられるが、これらに限定されない。
シリコン-カーボン複合材料をさらに含むアノードを有するフルセルリチウムイオン電池について、カソードとアノードとの対化を変化させることができる。例えば、カソード対アノード容量の比は、ある実施形態において、0.7~1.3に変化することができる。カソード対アノード容量の比は、0.7~1.0、例えば0.8~1.0、例えば0.8~1.0、例えば0.9~1.0、例えば0.95~1.0の範囲に変化することができる。他の実施形態において、カソード対アノード容量の比は、1.0~1.3、例えば1.0~1.2、例えば1.0~1.15、例えば1.0~1.1、例えば1.0~1.05の範囲に変化することができる。他の実施形態において、カソード対アノードの容量の比は、0.8~1.2、例えば0.9~1.1であり、例えば0.95~1.05に変化することができる。
シリコン-カーボン複合材料をさらに含むアノードを有するフルセルリチウムイオン電池について、充放電用の電圧ウィンドウを変化させることができる。これに関連して、電圧ウィンドウは、リチウムイオン電池の様々な性質に応じて、当該技術分野で公知のように変化させることができる。例えば、カソードの選択は、当該技術分野で知られているように、選択された電圧ウィンドウにおいて役割を果たす。電圧ウィンドウの例は、例えば、電位対Li/Li+に関して、2.0V~5.0Vであり、例えば2.5V~4.5Vであり、例えば2.5V~4.2Vであってよい。
シリコン-カーボン複合材料をさらに含むアノードを有するフルセルリチウムイオン電池について、当該技術分野で知られているように、セルを調整(コンディショニング)するための方策を変更することができる。例えば、コンディショニングは、様々なレートで、例えば、所望のサイクルレートよりも遅いレートで、1以上の充放電サイクルによって達成することができる。当該技術分野で知られているように、コンディショニング工程はまた、リチウムイオン電池を開封する工程を含むことができ、コンディショニング処理中に発生したガスを排気し、その後、リチウムイオン電池を再封止してよい。
シリコン-カーボン複合材料をさらに含むアノードを有するフルセルリチウムイオン電池において、サイクルレートは、当該技術分野で知られているように変化させることができる。例えば、レートは、C/20~20C、例えばC/10~10C、例えばC/5~5Cであってもよい。特定の実施形態において、サイクルレートはC/10である。ある実施形態において、サイクルレートはC/5である。ある実施形態において、サイクルレートはC/2である。特定の実施形態において、サイクルレートは1Cである。特定の実施形態において、サイクルレートは1Cであり、レートがより遅いレートに周期的に減少し、例えば、20回目のサイクル毎にC/10レートを使用し、1Cでサイクルさせる。特定の実施形態において、サイクルレートは2Cである。特定の実施形態において、サイクルレートは4Cである。特定の実施形態において、サイクルレートは5Cである。特定の実施形態において、サイクルレートは10Cである。特定の実施形態において、サイクルレートは20Cである
上記のいくつかの実施形態において、本明細書に開示されたリチウムの非常に耐久性のある挿入を有する複合体は、また、約5m/g~約400m/gの表面積、または約0.05~約1.0cc/gの範囲の細孔容積あるいはその両方を有する。例えば、いくつかの実施形態において、表面積は約200m/g~約300m/gの範囲であるか、または表面積が約250m/gである。
特定の実施形態において、本明細書で開示されるリチウムの非常に耐久性のある挿入を有する複合体は、200m/g未満、例えば100m/g未満、例えば50m/g未満の表面積を有する。さらなる実施形態において、複合材料は、30m/g未満、例えば20m/g未満、例えば10m/g未満、例えば5m/g未満、例えば2m/g未満、例えば1m/g未満の表面積を有する。
他の実施形態において、本明細書で開示されるリチウムの非常に耐久性のある挿入を有する複合体は、50m/g未満、例えば20m/g未満、10m/g未満、例えば5m/g未満、1m/g未満の表面積を有しており、リチウム系エネルギー貯蔵デバイスの電極に組み込まれたときに、第1サイクル効率が50%よりも大きく、かつ可逆的な容量が少なくとも600mAh/gである。他の実施形態において、第1サイクル効率は、55%より大きい。他の実施形態において、第1サイクル効率は、60%より大きい。さらに他の実施形態において、第1サイクル効率は、65%より大きい。他の実施形態において、第1サイクル効率は70%より大きい。他の実施形態において、第1サイクル効率は75%より大きい。他の実施形態において、第1サイクル効率は、80%超、90%超、95%超、98%超、または99%超である。本発明のいくつかの実施形態において、複合材料はまた、約1m/g~約400m/gの範囲の表面積、または約0.01~約1.0cc/gの範囲の細孔容積またはその両方を有する。例えば、いくつかの実施形態において、表面積は約200m/g~約300m/gの範囲であるか、または表面積は約250m/gである。
本明細書に開示されたリチウムの非常に耐久性のある挿入を有する複合体の電気化学的性質(例えば、第1サイクル効率、容量など)は、当業者に知られている電極に組み込むことにより決定することができる。複合体は電気化学的に試験される。試験方法は、当該技術分野で知られているように、電極組成に応じて変化し得る。一例では、純粋なシリコンは、複合材料の質量に対して、200mA/gの電流で1.0~70mVの2つの形成サイクルの後に、電流400mA/gで1.0Vと10MVの上下の電圧の間で試験される。あるいは、複合材料は、容量を所定値に限定し、複合体の安定性および電圧変動を測定することによって試験される。
本明細書に開示されるリチウムの非常に耐久性のある挿入を有する複合体の第1サイクル効率は、リチウム化の改変前に、第1のサイクル中のアノードに挿入されたリチウムを、第1のサイクルのアノードから取出されたリチウムと比較することによって決定することができる。挿入と取出が等しい場合に、効率は100%である。当該技術分野で知られているように、アノード材料は、ハーフセルで試験することができ、ここでは、対電極がリチウム金属である場合、電解質は1M LiPFの1:1エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(EC:DEC)であり、市販のポリプロピレンセパレーターを使用する。特定の実施形態において、電解質は、改善された性能を提供することが知られている様々な添加剤、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、または他の関連するフッ素化カーボネート化合物、または、エステル共溶媒、例えば、酪酸メチル、炭酸ビニレン、ケイ素含有アノード材料の電気化学的性能を改善することが知られている他の電解質添加剤とを含むことができる。
クーロン効率は、例えば、ハーフセルで試験された場合に、サイクル7乃至サイクル25にわたって平均化することができる。特定の実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を有する複合体の平均効率は0.9超、または90%超である。特定の実施形態において、平均効率は、0.95超または95%超である。好ましい実施形態において、平均効率は0.98超、または98%超である。好ましい実施形態において、平均効率は0.99超、99%超である。さらに好ましい実施形態において、平均効率は0.991超、または99.1%超である。さらに好ましい実施形態において、平均効率は0.992%超、または99.2%超である。さらに好ましい実施形態において、平均効率は0.993%超または99.3%超である。さらに好ましい実施形態において、平均効率は0.994超、または99.4%超である。さらに好ましい実施形態において、平均効率は0.995超、または99.5%超である。さらに好ましい実施形態において、平均効率は0.996超、または99.6%超である。さらに好ましい実施形態において、平均効率は0.997超、または99.7%超である。さらに好ましい実施形態において、平均効率は0.998超、または99.8%超である。さらに好ましい実施形態において、平均効率は0.999超、または99.9%超である。さらに好ましい実施形態において、平均効率は0.9999超、または99.99%超である。
別の実施形態において、本開示は、非常に耐久性のあるリチウム挿入を有する複合材料を提供し、ここで、リチウムイオン電池等のリチウム系エネルギー貯蔵デバイスの電極に材料が組み込まれたときに、複合体は、アロイ化電気化学修飾剤とは独立して、少なくとも400mAh/ccの体積容量(体積容量密度)(すなわち、可逆的容量)を有する。複合体の体積容量は、電気化学修飾剤の存在なしに、最大重量容量(mAh/g)を、ピクノメータの骨格密度(g/cc)で乗算することにより計算することができる。他の実施形態において、体積容量は少なくとも450mAh/ccである。いくつかの他の実施形態において、体積容量は少なくとも500mAh/ccである。さらに他の実施形態において、体積容量は少なくとも550mAh/ccである。さらに他の実施形態において、体積容量は少なくとも600mAh/ccである。他の実施形態において、体積容量は少なくとも650mAh/ccである。他の実施形態において、体積容量は少なくとも700mAh/ccである。別の実施形態において、複合体の炭素成分の体積容量は、700~1100mAh/ccである。
別の実施形態において、本開示は、非常に耐久性のあるリチウム挿入を有する複合材料を提供し、ここで、リチウムイオン電池等のリチウム系エネルギー貯蔵デバイスの電極に材料が組み込まれたときに、複合体は、少なくとも800mAh/ccの体積容量(すなわち、可逆的容量)を有する。複合体の体積容量は、電気化学的試験前に、最大重量容量(mAh/g)を、ピクノメータの骨格密度(g/cc)で乗算することにより計算することができる。他の実施形態において、体積容量は少なくとも900mAh/ccである。いくつかの他の実施形態において、体積容量は少なくとも1000mAh/ccである。さらに他の実施形態において、体積容量は少なくとも1100mAh/ccである。さらに他の実施形態において、体積容量は少なくとも1200mAh/ccである。他の実施形態において、体積容量は少なくとも1300mAh/ccである。他の実施形態において、体積容量は少なくとも1400mAh/cc、少なくとも1500mAh/cc、少なくとも1600mAh/cc、少なくとも1700mAh/cc、少なくとも1800mAh/ccまたは少なくとも1900mAh/ccである。さらに他の実施形態において、体積容量は2000~8000mAh/ccである。さらに他の実施形態において、体積容量は4000~7000mAh/ccである。特定の実施形態において、複合材料は、約2500mAh/cc~約3500mAh/ccの範囲の体積容量を有する。
別の実施形態において、本開示は、非常に耐久性のあるリチウム挿入を有する複合材料を提供し、ここで、リチウムイオン電池等のリチウム系エネルギー貯蔵デバイスの電極に材料が組み込まれたときに、複合体は、アロイ化電気化学修飾剤とは独立して、少なくとも150mAh/ccの体積容量(体積容量密度)(すなわち、可逆的容量)を有する。他の実施形態において、重量容量は、少なくとも200mAh/gである。いくつかの他の実施形態において、重量容量は、少なくとも300mAh/gである。さらに他の実施形態において、重量容量は、少なくとも400mAh/gである。他の実施形態において、重量容量は、少なくとも500mAh/gである。他の態様において、重量容量は、少なくとも600mAh/gであり、いくつかの他の実施形態において、重量容量は少なくとも700mAh/g、少なくとも800mAh/g、少なくとも900mAh/g、少なくとも1000mAh/g、少なくとも1100mAh/g、少なくとも1200mAh/g、少なくとも1300mAh/g、少なくとも1400mAh/g、少なくとも1600mAh/g、少なくとも1800mAh/g、少なくとも2500mAh/g、少なくとも2500mAh/g、少なくとも2500mAh/g、少なくとも2500mAh/g、少なくとも2500mAh/g、少なくとも2500mAh/g、少なくとも3000mAh/g、少なくとも3500mAh/gである。さらに他の実施形態において、重量容量は、1200~3500mAh/gである。特定の実施形態において、複合材料は、約700mAh/g~約2000mAh/gの範囲の重量容量を有する。いくつかの特定の実施形態において、複合材料は、約1000mAh/g~約1500mAh/gの範囲の重量容量を有する。いくつかの特定の実施形態において、複合材料は、約550mAh/g~約750mAh/gの範囲の重量容量を有する。いくつかの特定の実施形態において、複合材料は、400mAh/g~約500mAh/gの範囲の重量容量を有する。複合材料のいずれかのいくつかの例は、以下でより詳細に説明されるような電気化学修飾剤を含むことができる。
J.電気化学的性能に影響を及ぼす非常に耐久性のあるリチウム挿入を有する複合体の物理化学的性質
上述したように、伝統的なリチウム系エネルギー貯蔵デバイスは、黒鉛状のアノード材料を含む。黒鉛状炭素の欠点は、リチウムイオン電池において多数ある。1つの欠点において、黒鉛は、電池動作中に位相および体積変化を受ける。すなわち、リチウムが挿入されたときに物理的に膨張/収縮する材料であるが、個々のシートを物理的に横方向に移動させて低エネルギー保存状態を維持する。第2に、黒鉛は低い容量を有する。黒鉛の規則的な結晶構造が与えられると、1つのリチウムイオンを貯蔵するのに6個の炭素を必要とする。構造体は、追加のリチウムを収容することができない。第3に、リチウムイオンの移動を2D平面に制限し、電池における材料の動力学およびレート能力を低下させる。これは、黒鉛が、電力が必要とされる高レートで良好に機能しないことを意味する。この電力の不利益は、全電気自動車におけるリチウムイオン電池を使用する際の制限要因の一つである。
したがって、理論に拘束されるものではないが、リチウムの非常に耐久性のある挿入を可能にする複合材料の物理化学的性質が存在する。この文脈における重要な特徴の例は、本開示全体を通して、以下に説明されるように、複合体内のケイ素含有量、形態および寸法である。
特定の実施形態において、複合体内に埋め込まれたシリコン粒子は、ナノ寸法の特徴を有する。ナノ寸法の特徴は、好ましくは1μm未満、好ましくは300nm未満、好ましくは150nm未満、好ましくは100nm未満、好ましくは50nm未満、好ましくは30nm未満、好ましくは15nm未満、好ましくは10nm未満、好ましくは5nm未満である特性的な長さスケールを有することができる。
特定の実施形態において、複合体内に埋め込まれたシリコンは、球の形状である。特定の他の実施形態において、多孔質シリコン粒子は、非球状、例えば、棒状または繊維状構造である。好ましい態様において、ケイ素は、多孔質炭素足場内の細孔の内部を被覆する層として存在する。このシリコン層の深さは変化することができ、例えば、深さは、5nm~10nm、例えば5nm~20nm、例えば5nm~30nm、例えば5nm~33nm、例えば10nm~30nm、例えば10nm~50nm、例えば10nm~100nm、例えば10~150nm、例えば50nm~150nm、例えば100~300nm、例えば300~1000nmである。
好ましい実施形態において、複合体内に埋め込まれたケイ素はナノ寸法であり、多孔質炭素足場の細孔内に存在する。例えば、埋め込まれたシリコンは、CVDまたは他の適切な方法により、5~1000nm、例えば10~500nm、例えば10~200nm、例えば10~100nm、例えば33~150nm、例えば20~100nmの細孔寸法を有する多孔質炭素粒子内の細孔に含浸および付着させることができる。ミクロ細孔、メソ細孔、またはマクロ細孔を含む、断片的細孔容積に関する他の範囲の炭素細孔寸法もまた理解される。
特定の実施形態において、複合材料内に埋め込まれた多孔質シリコン粒子は、多孔質炭素足場材料内の細孔を充填する。ケイ素で充填された多孔質炭素足場内の細孔容積のパーセントは変化することができる。例えば、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の5%~15%を占めることができる。他の実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の15%~25%を占有することができる。他の実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の25%~35%を占有することができる。他の実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の20%~40%を占有することができる。他の実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の25%~50%を占有することができる。他の実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%、例えば、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~60%を占有することができる。他の実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の60%~80%を占有することができる。他の実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の80%~100%を占有することができる。
好ましい実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の一部を占有し、細孔容積の残部がケイ素に利用可能であり、リチウムの取り込みに応じて膨張するように構成されている。この文脈では、理論に拘束されるものではないが、この残りの細孔容積は、窒素にアクセス可能であってもよく、そうでなくてもよく、したがって、本明細書に開示されるような窒素ガス吸着を使用する際に観察されても、観察されなくてもよい。
したがって、いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、少なくとも0.01cm/gの細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、少なくとも0.1cm/gの細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、少なくとも0.2cm/gの細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、少なくとも0.4cm/gの細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、少なくとも0.6cm/gの細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、少なくとも0.8cm/gの細孔容積を有する。
したがって、いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、0.5cm/g未満の細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、0.4cm/g未満の細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、0.3cm/g未満の細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、0.2cm/g未満の細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、0.1cm/g未満の細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、0.05cm/g未満の細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、0.02cm/g未満の細孔容積を有する。いくつかの実施形態において、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたシリコンは、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%を占有し、多孔質炭素足場と埋め込まれたケイ素とを含む複合粒子は、0.01cm/g未満の細孔容積を有する。
特定の他の実施形態において、多孔質シリコンの細孔容積内に埋め込まれたケイ素は、ケイ素を添加する前の多孔質炭素足場材料と比較して、ケイ素に埋め込まれた複合材料中のマクロ細孔容積の減少によって証明されるように、実質的にマクロ細孔内に存在する。したがって、いくつかの実施形態において、埋め込まれたシリコンは、マクロ細孔容積の少なくとも10%の減少、例えば、マクロ細孔容積の少なくとも20%の減少、例えば、マクロ細孔容積の少なくとも30%の減少、例えば、マクロ細孔容積の少なくとも40%の減少、例えば、マクロ細孔容積の少なくとも50%の減少、例えば、マクロ細孔容積の少なくとも60%の減少、例えば、マクロ細孔容積の少なくとも70%の減少、例えば、マクロ細孔容積の少なくとも80%の減少、例えば、マクロ細孔容積の少なくとも90%の減少という結果を与える。
特定の他の実施形態において、多孔質シリコンの細孔容積内に埋め込まれたケイ素は、ケイ素を添加する前の多孔質炭素足場材料と比較して、ケイ素に埋め込まれた複合材料中のメソ細孔容積の減少によって証明されるように、実質的にメソ細孔内に存在する。したがって、いくつかの実施形態において、埋め込まれたシリコンは、メソ細孔容積の少なくとも10%の減少、例えば、メソ細孔容積の少なくとも20%の減少、例えば、メソ細孔容積の少なくとも30%の減少、例えば、メソ細孔容積の少なくとも40%の減少、例えば、メソ細孔容積の少なくとも50%の減少、例えば、メソ細孔容積の少なくとも60%の減少、例えば、メソ細孔容積の少なくとも70%の減少、例えば、メソ細孔容積の少なくとも80%の減少、例えば、メソ細孔容積の少なくとも90%の減少という結果を与える。
特定の他の実施形態において、多孔質シリコンの細孔容積内に埋め込まれたケイ素は、ケイ素を添加する前の多孔質炭素足場材料と比較して、ケイ素に埋め込まれた複合材料中のミクロ細孔容積の減少によって証明されるように、実質的にミクロ細孔内に存在する。したがって、いくつかの実施形態において、埋め込まれたシリコンは、ミクロ細孔容積の少なくとも10%の減少、例えば、ミクロ細孔容積の少なくとも20%の減少、例えば、ミクロ細孔容積の少なくとも30%の減少、例えば、ミクロ細孔容積の少なくとも40%の減少、例えば、ミクロ細孔容積の少なくとも50%の減少、例えば、ミクロ細孔容積の少なくとも60%の減少、例えば、ミクロ細孔容積の少なくとも70%の減少、例えば、ミクロ細孔容積の少なくとも80%の減少、例えば、ミクロ細孔容積の少なくとも90%の減少という結果を与える。
特定の実施形態において、シリコンは、多孔質炭素足場粒子内の本質的に全ての利用可能な予備容積内に埋め込まれ、粒子の表面を覆うとともに、シリコン充填は、シリコンを添加する前に、多孔質炭素足場の総細孔容積の100%超を示す。例えば、この文脈におけるシリコン充填は、105%超、例えば110%超、例えば120%超、例えば130%超、例えば150%超、例えば200%超である。
特定の実施形態において、複合材料の細孔容積分布は、高分解能透過電子分光法(HRTEM)によって証明される。
特定の実施形態において、複合材料は、20%未満のミクロ細孔、30%超のメソ細孔および30%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、10%未満のミクロ細孔、30%超のメソ細孔および30%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、5%未満のミクロ細孔、30%超のメソ細孔および30%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、5%未満のミクロ細孔、40%超のメソ細孔および40%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、1%未満のミクロ細孔、40%超のメソ細孔、40%超のマクロ細孔を有する。
特定の実施形態において、複合材料は、10%未満のミクロ細孔、70%超のメソ細孔および20%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、10%未満のミクロ細孔、20%超のメソ細孔、および70%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、10%未満のミクロ細孔、10%超のメソ細孔、および80%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、10%未満のミクロ細孔、80%超のメソ細孔および10%超のマクロ細孔を有する。
特定の実施形態において、複合材料は、5%未満のミクロ細孔、70%超のメソ細孔および20%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、5%未満のミクロ細孔、20%超のメソ細孔、および70%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、5%未満のミクロ細孔、5%超のメソ細孔、および80%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、5%未満のミクロ細孔、80%超のメソ細孔および10%超のマクロ細孔を有する。
特定の実施形態において、複合材料は、1%未満のミクロ細孔、70%超のメソ細孔および20%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、1%未満のミクロ細孔、20%超のメソ細孔、および70%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、1%未満のミクロ細孔、10%超のメソ細孔、および80%超のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合材料は、1%未満のミクロ細孔、80%超のメソ細孔および10%超のマクロ細孔を有する。
特定の実施形態において、複合体は、4%未満のミクロ細孔、84%超のメソ細孔および13%未満のマクロ細孔を有する。
特定の実施形態において、複合体は、0.01~0.5の細孔容積を有し、細孔容積分布は、20%未満のミクロ細孔、50%超のメソ細孔、および30%未満のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合体は、0.05~0.4cm/gの細孔容積を有し、細孔容積分布は、10%未満のミクロ細孔、60%超のメソ細孔、および20%未満のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合体は、0.1~0.3cm/gの細孔容積を有し、細孔容積分布は、5%未満のミクロ細孔、70%超のメソ細孔、および15%未満のマクロ細孔を有する。特定の実施形態において、複合体は、0.1~0.3cm/gの細孔容積を有し、細孔容積分布は、5%未満のミクロ細孔、85%超のメソ細孔、および10%未満のマクロ細孔を有する。
好ましい実施形態において、シリコンは、多孔質炭素足場の一部の中に埋め込まれ、細孔は、複合粒子を囲む被膜で覆われており、例えば、この被覆は、本開示の他の場所に記載されているように、炭素または伝導性ポリマーを含むことができる。この文脈では、理論に拘束されるものではないが、この細孔容積は窒素にアクセスできなくてよく、したがって窒素の吸着によって検出できなくてよい。しかし、この結果得られる複合粒子内の空隙空間は、他の手段によって確認することができ、例えば、タップ密度、またはエンベロープ密度を、例えば、ピクノメトリー技術によって測定することによって、測定することができる。
したがって、非常に耐久性のあるリチウム挿入を有する複合材料は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%で、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素を含むことができ、複合粒子は、0.7g/cm未満、例えば0.6g/cm未満、例えば0.5g/cm未満、例えば0.4g/cm未満、例えば0.3g/cm未満、例えば0.2g/cm未満、例えば0.15g/cm未満、例えば0.1g/cm未満のタップ密度を有する。
いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を有する複合材料は、多孔質炭素足場内の総利用可能な細孔容積の30%~70%で、多孔質炭素足場材料内に埋め込まれたケイ素を含むことができ、複合粒子は、2.1g/cm未満、例えば2.0g/cm未満、例えば1.9g/cm未満、1.8g/cm未満、例えば1.7g/cm未満、例えば1.6g/cm未満、例えば1.4g/cm未満、例えば1.2g/cm未満、例えば1.0g/cm未満の、ピクノメトリーで測定した骨格密度を有する。特定の実施形態において、複合材料は、1.8~2.2g/cm、例えば1.9~2.1g/cm、例えば2.0~2.1g/cmの骨格密度を有する。
非常に耐久性のあるリチウム挿入を示す複合材料内のケイ素含有量を変化させることができる。例えば、複合体中のケイ素含有量は、5~95重量%の範囲であることができる。特定の実施形態において、複合体中のケイ素の含有量は、10%~80%、例えば20%~70%、例えば30%~60%、例えば40%~50%の範囲であることができる。いくつかの実施形態において、複合体中のケイ素の含有量は、10%~50%、例えば20%~40%、例えば30%~40%の範囲であることができる。他の実施形態において、複合体中のケイ素の含有量は、例えば40%~80%、例えば50%~70%、例えば60%~70%の範囲とすることができる。具体的な実施形態において、複合体内のケイ素の含有量は、10%~20%の範囲であることができる。具体的な実施形態において、複合体中のケイ素の含有量は、15%~25%の範囲であることができる。具体的な実施形態において、複合体内のケイ素の含有量は、25%~35%の範囲とすることができる。具体的な実施形態において、複合体内のケイ素の含有量は、35%~45%の範囲とすることができる。具体的な実施形態において、複合体内のケイ素の含有量は、45%~55%の範囲とすることができる。具体的な実施形態において、複合体内のケイ素の含有量は、55%~65%の範囲であることができる。具体的な実施形態において、複合体内のケイ素の含有量は、65%~75%の範囲とすることができる。具体的な実施形態において、複合体中のケイ素の含有量は、75%~85%の範囲とすることができる。
総細孔容積(窒素ガス吸着により決定される)は、リチウムイオンの貯蔵、内部イオン動力学、および電荷移動可能な利用可能な複合体/電解質表面に部分的に関連していてもよいので、これは、所望の電気化学的性質を得るために調整可能な1つのパラメータである。
したがって、極めて耐久性のあるリチウム挿入を示す複合材料の表面積および細孔容積を変化させることができる。例えば、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、10m/g~200m/gの範囲であってよい。特定の実施形態において、複合体の表面積は、10m/g~100m/gの範囲、例えば20m/g~200m/gの範囲、例えば20m/g~150m/g、例えば10m/g~100m/gの範囲とすることができる。いくつかの実施形態において、複合体の表面積は、20m/g~80m/gの範囲とすることができる、例えば20m/g~70m/g、例えば30m/g~70m/g、例えば40m/g~60m/gの範囲とすることができる。
リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の細孔容積は、0.01cm/g~0.2cm/gの範囲とすることができる。いくつかの態様において、複合材料の細孔容積は、0.01cm/g~0.15cm/g、例えば0.01cm/g~0.1cm/g、例えば0.01cm/g~0.05cm/gとすることができる。
極めて耐久性のあるリチウム挿入を示す複合材料の細孔容積分布は、例えば、ミクロ細孔の%は、30%未満、例えば20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満、例えば4%未満、例えば3%未満、例えば2%未満、例えば1%未満、例えば0.5%未満、例えば0.2%未満、例えば0.1%未満に変化させることができる。特定の実施形態において、極めて耐久性のあるリチウム挿入を示す複合材料には、検出可能なミクロ細孔容積が存在しない。
いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合体の細孔容積分布は、30%未満のメソ細孔、例えば20%未満のメソ細孔、例えば10%未満のメソ細孔、例えば5%未満のメソ細孔、例えば4%未満のメソ細孔、例えば3%未満のメソ細孔、例えば2%未満のメソ細孔、例えば1%未満のメソ細孔、例えば0.5%未満のメソ細孔、例えば0.2%未満のメソ細孔、例えば0.1%未満のメソ細孔を有する。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料中に検出可能なメソ細孔容積は存在しない。
いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の細孔容積分布は、50%超のマクロ細孔、例えば60%超のマクロ細孔、例えば70%超のマクロ細孔、例えば80%超のマクロ細孔、例えば90%超のマクロ細孔、例えば95%超のマクロ細孔、例えば98%超のマクロ細孔、例えば99%超のマクロ細孔、例えば99.5%超のマクロ細孔、例えば99.9%超のマクロ細孔を有する。
リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の細孔容積分布の特定の実施形態は、上記いくつかの段落の様々な実施形態を含む。例えば、非常に耐久性のあるリチウム挿入を示す複合材料は、30%未満のミクロ細孔、30%未満のメソ細孔、および50%超のマクロ細孔を有する。他の実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料は、20%未満のミクロ細孔、20%未満のメソ細孔、および70%超のマクロ細孔を有する。他の実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料は、10%未満のミクロ細孔、10%未満のメソ細孔、80%超のマクロ細孔を有する。他の実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料は、10%未満のミクロ細孔、10%未満のメソ細孔、90%超のマクロ細孔を有する。他の実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料は、5%未満のミクロ細孔、5%未満のメソ細孔、90%超のマクロ細孔を有する。他の実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料は、5%未満のミクロ細孔、5%未満のメソ細孔、および95%超のマクロ細孔を有する。
特定の実施形態において、新たなSEI形成のための追加的な機会を破壊せずに、またはそうでない形態で追加の機会を与えながら、リチウムイオンの取り込みや挿入に伴う体積変形を吸収するために、複合材料の表面層は、低いヤング率を示す。この文脈において、表面層は、100GPa未満、例えば10GPa未満、例えば1GPa未満、例えば0.1GPa未満のヤング率を有する複合材料を与えるのに十分である。
特定の実施形態において、新たなSEI形成のための追加的な機会を破壊せずに、またはそうでない形態で追加の機会を与えながら、リチウムイオンの取り込みや挿入に伴う体積変形を吸収するために、複合材料の表面層は、低い体積弾性率(嵩モジュラス)を示す。この文脈では、表面層は、100GPa未満、例えば10GPa未満、例えば1GPa未満、例えば0.1GPa未満の体積弾性率を有する複合材料を与えるのに十分である。
特定の他の実施形態において、リチウムイオンの取り込みや挿入に伴う体積変形を拘束して、新たなSEI形成のための追加的な機会を破壊することを避け、またはそうでない形態で追加的な機会を否定することを避けるために、複合材料の表面層は、高い体積弾性率(嵩モジュラス)を示す。この文脈では、表面層は、10GPa超、例えば50GPa超、例えば100GPa超、例えば1000GPa超の体積弾性率を有する複合材料を与えるのに十分である。
いくつかの実施形態において、非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、500m/gより大きくすることができる。他の実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、いくつかの実施形態において300m/g未満であり得る。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、200~300m/gである。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、100~200m/gである。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、50~100m/gである。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、10~50m/gである。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、10m/g未満である。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、5m/g未満である。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、2m/g未満である。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、1m/g未満である。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は、いくつかの実施形態において0.5m/g未満である。いくつかの実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の表面積は0.1m/g未満である。
複合材料の表面積は、活性化によって変更することができる。活性化方法は、蒸気、化学的活性化、COまたは他のガスを使用することができる。炭素材料の活性化方法は当該技術分野で周知である。
体積容量および重量容量は、当該技術分野で知られているいずれかの数の方法を使用して、例えば、例えば、コインセル内にリチウム金属対極を有する電極ハーフセルに組み込むことによって、決定することができる。重量比容量は、測定された容量を電気化学的に活性な炭素材料の質量で除することにより決定される。体積比容量は、測定された容量を、バインダーおよび伝導性添加剤を含む、電極の体積で除することによって決定される。体積容量および重量容量を決定するための方法は、実施例においてより詳細に説明される。
複合体は、ドーピングを介して、または電気化学的サイクリングを介して、複合体の細孔において、例えば、複合体内の多孔質炭素内の細孔において、リチウム金属を含むことができる。細孔内のリチウム被覆は、硬質炭素の容量およびサイクル安定性の両方に対して有益であると考えられる。細孔内の被覆は、新規なナノファイバーリチウムをもたらすことができる。場合によっては、リチウムを粒子の外側に被覆することができる。外部リチウム被覆は、実施例で説明するように、全体的な性能に有害である。内部および外部リチウム金属の両方の存在は、走査型電子顕微鏡(SEM)および集束イオンビーム(FIB)を用いて材料を切断することによって測定することができる。SEMにおける硬質炭素とは対照的に、金属リチウムを容易に検出することができる。サイクル後、材料が0Vより下に挿入されたリチウムを有するときに、材料はスライスされ、画像化され得る。一実施形態において、材料は、ミクロ細孔内にリチウムを表示する。別の実施形態において、材料は、メソ細孔内にリチウムを表示する。さらに別の実施形態において、材料は、材料の表面上にリチウム被覆を表示しない。さらに別の実施形態において、シリコンは、複数の細孔寸法および形状に貯蔵される。材料の形状および細孔寸法分布は、表面被覆前に細孔被覆を一意的かつ優先的に促進することができる。リチウム貯蔵のための理想的な細孔寸法は、本開示の他の場所で説明される。
非常に耐久性のあるリチウム挿入を示す複合材料の粒度分布は、動力性能および体積容量を決定するのに重要である。充填が改良されると、体積容量が増大する可能性がある。一実施形態において、分布は、形状において単一ピークを有するガウス形、二峰性、または多峰性(>2の異なるピーク)であってよい。複合体の粒子寸法の性質は、D0(分布における最小粒子)、Dv50(平均粒子寸法)およびDv100(最大粒子の最大寸法)によって記述することができる。粒子の充填と性能の最適な組合せは、以下の寸法範囲のいくつかの組み合わせであろう。
一実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料のDv0は、1nm~5ミクロンの範囲とすることができる。別の実施形態において、複合体のDv0は、5nm~1ミクロン、または5nm~500nm、または5nm~100nm、または10nm~50nmの範囲である。別の実施形態において、複合体のDv0は、500nm~2ミクロン、750nm~1ミクロン、または1ミクロン~2ミクロンの範囲である。さらに別の実施形態において、複合体のDv0は、2~5ミクロンまたは5ミクロン超の範囲である。上記の実施形態における粒度低減は、当該技術分野で知られているように行うことができる、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、超臨界蒸気、および当該技術分野で知られている他の気体を含む種々のガスの存在下でのジェットミリングによって行うことができる。
一実施形態において、複合材料のDv50は、5nm~20ミクロンのリチウム範囲の非常に耐久性のある挿入を示す。別の実施形態において、複合体のDv50は、5nm~1ミクロン、5nm~500nm、5nm~100nm、または10nm~50nmの範囲である。別の実施形態において、複合体のDv50は、500~2ミクロン、750nm~1ミクロン、または1ミクロン~2ミクロンの範囲である。さらに別の実施形態において、複合体のDv50は、2~20ミクロン、または3ミクロン~10ミクロン、または4ミクロン~8ミクロン、または20ミクロン超の範囲である。
一実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料のDv100は、8nm~100ミクロンの範囲であり得る。別の実施形態において、複合体のDv100は、5nm~1ミクロン、5nm~500nm、5nm~100nm、10nm~50nmの範囲である。別の実施形態において、複合体のDv100は、500~2ミクロン、750nm~1ミクロン、1ミクロン~2ミクロンの範囲である。さらに別の実施形態において、複合体のDv100は、2~100ミクロン、5~50ミクロン、8~40ミクロン、10~35ミクロン、15~30ミクロン、20~30ミクロン、約25ミクロン、または100ミクロン超の範囲である。
スパン(Dv50)/(Dv90-Dv10)[ここで、Dv10、Dv50およびDv90は、体積分布10%、50%、90%における粒子寸法を表す。]は、100~10、10~5、5~2、2~1の範囲で変化させることができる。いくつかの実施形態において、スパンは1未満であることができる。炭素および多孔質シリコン材料の粒度分布を含む複合体は、例えば、二峰または三峰であることができる。
さらに他の実施形態において、本開示は、複合材料がリチウム系エネルギー貯蔵デバイスの電極に組み込まれる場合、複合材料は、リチウム系エネルギー貯蔵デバイスが黒鉛電極を含む場合よりも少なくとも10%大きい体積容量を有する、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料を提供する。いくつかの実施形態において、リチウム系エネルギー貯蔵デバイスは、リチウムイオン電池である。他の実施形態において、複合材料は、黒鉛電極を有する同じ電気エネルギー貯蔵デバイスの体積容量よりも少なくとも5%大きい、少なくとも10%大きい、少なくとも15%大きいリチウム系エネルギー貯蔵デバイスにおける体積容量を有する。さらに他の実施形態において、複合材料は、黒鉛電極を有する同じ電気エネルギー貯蔵デバイスの体積容量よりも、少なくとも20%大きい、少なくとも30%大きい、少なくとも40%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも200%大きい、少なくとも100%大きい、少なくとも150%大きい、または少なくとも200%大きい、リチウム系エネルギー貯蔵デバイスにおける体積容量を有する。
当該技術分野で知られているように、複合材料は予めリチウム化されていてもよい。これらのリチウム原子は、炭素から分離されていてもよいし、分離されていなくてもよい。6炭素原子に対するリチウム原子数は、当業者に公知の技術により計算することができる:
#Li=Q×3.6×MM/(C%×F)
[式中、Qは、リチウム金属に対して5mVと2.0Vの間の電圧で測定されたリチウム取出容量(mAh/g)であり、
MMは、72、すなわち、6個の炭素の分子量であり、
Fは、96500のファラデー定数であり、
C%は、CHNOまたはXPSにより測定された構造物中に存在する炭素の質量%である。]。
リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料は、約0:6と2:6との間で変化することができるリチウム原子対炭素原子の比(Li:C)によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、Li:C比は約0.05:6~約1.9:6である。他の実施形態において、リチウムがイオン性であり、金属形ではない最大のLi:C比が2.2である。特定の他の実施形態において、Li:C比は約1.2:6~約2:6、約1.3:6~約1.9:6、約1.4:6~約1.9:6、約1.6:6~約1.8:6、約1.7:6~約1.8:6である。他の実施形態において、Li:C比は1:6より大きく、1.2:6より大きく、1.4:6より大きく、1.6:6より大きく、または1.8:6より大きくさえある。他の実施形態において、Li:C比は約1.4:6、約1.5:6、約1.6:6、約1.6:6、約1.7:6、約1.8:6または約2:6である。特定の実施形態において、Li:C比は約1.78:6である。
特定の他の実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料は、約1:6~約2.5:6、約1.4:6~約2.2:6または約1.4:6~約2であるLi:C比を有する。さらに他の実施形態において、複合材料は、必ずしもリチウムを含んでいなくてもよく、リチウム取り込み能力(すなわち、ある量のリチウムを取り込む能力)(例えば、2つの電圧条件(リチウムイオンハーフセルの場合)の間で材料をサイクルする際に使用することができ、例示的な電圧ウィンドウは、0~3V、例えば0.005V~2.7V、例えば0.005V~1V、例えば0.005V~0.8Vである。)を有していてよい。理論に拘束されることを望むものではないが、複合材料のリチウム取り込み能力は、リチウム系エネルギー貯蔵デバイスにおけるそれらの優れた性能に寄与すると考えられる。リチウム取り込み容量は、複合体によって取り込まれたリチウムの原子の比率として表される。特定の他の実施形態において、リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料は、約1:6~約2.5:6、約1.4:6~約2.2:6または約1.4:6~約2:6の範囲のリチウム取り込み容量を有する。
特定の他の実施形態において、リチウム取り込み容量は約1.2:6~約2:6、約1.3:6~約1.9:6、約1.4:6~約1.9:6、約1.6:6~約1.8:6または約1.7:6~約1.8の範囲である。他の実施形態において、リチウム取り込み容量は1:6より大きく、1.2:6より大きく、1.4:6より大きく、1.6:6より大きく、1.8:6より大きい。他の実施形態においてさえ、Li:C比は約1.4:6、約1.5:6、約1.6:6、約1.6:6、約1.7:6、約1.8:6または約2:6である。特定の実施形態において、Li:C比は約1.78:6である。
特定の実施形態において、非常に耐久性のある挿入を示す複合材料は、電気化学修飾剤、例えば、リチウムでドープされる。リチウムをドーピングする異なる方法は、化学反応、電気化学反応、粒子の物理的混合、気相反応、固相反応および液相反応を含むことができる。他の実施形態において、リチウムはリチウム金属の形態である。
以下にさらに詳細に説明するように、非常に耐久性のあるリチウム挿入を示す本開示の複合材料の表面機能性を変更して、所望の電気化学的性質を得ることができる。表面機能性を予測することができる1つの性質は、複合材料のpHである。本開示の複合材料は、1~約14、例えば5未満、5~8,または8超の範囲のpH値を有する。いくつかの実施形態において、複合材料のpHは4未満、3未満、2未満、または1未満であってもよい。他の実施態様において、複合材料のpHは、約5~6、6~7,7~8,8~9または9~10である。さらに他の実施形態において、pHは高く、複合材料のpHは8超、9超、10超、11超、12超、または13超でさえである。
炭素足場の細孔寸法分布は、材料の貯蔵能力およびシステムの動力学および動力能力、ならびに大量の電気化学修飾剤を組み込む能力の両方に重要であり得る。細孔寸法分布は、ミクロ-メソ-マクロ細孔寸法の範囲とすることができ、単峰性、二峰性または多峰性のいずれかとすることができる。1nm未満の平均細孔寸法を有するミクロ細孔は、追加の貯蔵部位ならびにリチウム(またはナトリウム)イオン拡散経路を形成することができる。黒鉛シートは、典型的には、リチウム貯蔵のために、0.33nm離れている。理論に拘束されることを望むものではないが、大量の類似の大きさの細孔は、バルク構造内に追加の硬質炭素型貯蔵を有する細孔内に黒鉛様構造をもたらすことができると考えられる。メソ細孔は、典型的には100nm未満である。これらの細孔は、金属のようなナノ粒子ドーパントの理想的な場所であり、イオンおよび電子伝導のための電解質および伝導性添加剤の両方のための経路を提供する。いくつかの実施形態において、炭素材料は、大きな粒子ドーピングに特に適していることができる100nm超のマクロ細孔を有する。
リチウムの非常に耐久性のある挿入を示す複合材料の細孔寸法分布は、材料の貯蔵容量およびシステムの動力学および動力容量、ならびに大量の電気化学修飾剤を組み込む能力の両方に重要であり得る。細孔寸法分布は、ミクロ-メソ-マクロの範囲とすることができ、単峰性、二峰性または多峰性のいずれかとすることができる。いくつかの実施形態において、複合材料は、リチウム拡散に特に適していることができる100nm未満のミクロ細孔を有する。
したがって、一実施形態において、複合材料は、総細孔容積の少なくとも50%、総細孔容積の少なくとも75%、総細孔容積の少なくとも90%、または総細孔容積の少なくとも99%を有する1nmまたはそれ未満である細孔の部分孔容積を有する。他の実施形態において、複合材料は、総細孔容積の少なくとも50%、総細孔容積の少なくとも75%、総細孔容積の少なくとも90%、または総細孔容積の少なくとも99%を有する10nmまたはそれ未満である細孔の部分孔容積を有する。他の実施形態において、複合材料は、総細孔容積の少なくとも50%、総細孔容積の少なくとも75%、総細孔容積の少なくとも90%、または総細孔容積の少なくとも99%を有する50nmまたはそれ未満である細孔の部分孔容積を有する。
他の実施形態において、複合材料は、総細孔表面積の少なくとも50%、総細孔表面積の少なくとも75%、総細孔表面積の少なくとも90%、または総細孔表面積の少なくとも99%を有する100nmまたはそれ未満である細孔の部分細孔表面積を有する。別の実施形態において、他の実施形態において、複合材料は、総細孔表面積の少なくとも50%、総細孔表面積の少なくとも75%、総細孔表面積の少なくとも90%、または総細孔表面積の少なくとも99%を有する100nmまたはそれ超である細孔の部分細孔表面積を有する。
別の実施形態において、複合材料は、主に100nmまたはそれ以下、例えば10nmまたはそれ以下、例えば5nmまたはそれ以下の範囲の細孔を有する。あるいは、複合材料は、0~2nmの範囲のミクロ細孔と、2~100nmの範囲のメソ細孔とを有する。ミクロ細孔範囲におけるメソ細孔範囲と比較した細孔容積または細孔表面積の比は、95:5~5:95の範囲とすることができる。
本発明者らは、電気化学修飾剤を含む複合材料中の無秩序(不規則)の程度が、炭素材料の電気化学的性質に影響を及ぼす可能性があることを見出した。したがって、複合材料における無秩序の程度を制御することは、レート能力を向上させるために可能な手段を提供する。より小さい結晶子寸法は、非晶質構造を通る低抵抗性リチウムイオン拡散を可能にすることができるからである。本発明は、高レベルおよび低レベルの無秩序の両方を含む実施形態を含む。
ラマン分光法により記録されるように、無秩序は、非晶質構造体と結晶質構造体の両方に見出される微結晶の大きさの尺度である(M. A. Pimenta, G. Dresselhaus, M. S. Dresselhaus, L. G. Can ado, A. Jorio, and R. Saito, “Studying disorder in graphite-based systems by Raman spectroscopy,” Physical Chemistry Chemical Physics, vol. 9, no. 11, p. 1276, 2007)。例示的な炭素のラマンスペクトルを図4に示す。炭素構造については、結晶子寸法(L)は、DおよびGのラマンシフトの相対ピーク強度から計算することができる(式1):
(nm)=(2.4×10-10)λ laser-1 (1)
ここで、R=I/I (2)
RおよびLの値は、特定の実施形態において変化することができ、それらの値は、炭素材料の電気化学的性質、例えば、第2のリチウム挿入の容量に影響を及ぼすことができる。(第2のリチウム挿入は、第1サイクル効率に関連している。第1サイクル効率=(第2のリチウム挿入時の容量/第2のリチウム挿入時の容量)x100であるからである。)例えば、いくつかの実施形態において、Rは、約0~約1または約0.50~約0.95の範囲である。他の実施形態において、Rは約0.60~約0.90の範囲である。他の実施態様において、Rは約0.80~約0.90の範囲である。Lは、特定の実施形態において変化し、約1nm~約500nmの範囲であってもよい。特定の他の実施形態において、Lは、約5nm~約100nmまたは約10~約50nmの範囲である。他の実施形態において、Lは約15nm~約30nmの範囲、例えば約20~約30nmまたは約25~30nmの範囲である。
関連する実施形態において、複合体を構成する材料の電気化学的性質は、X線回折(XRD)により測定された結晶性のレベルに関連する。ラマンは微結晶の大きさを測定するが、一方、XRDは、入射X線の散乱によるバルク構造の周期性のレベルを記録する。本発明は、非黒鉛性(結晶性<10%)および半黒鉛性(10~50%の結晶性)である材料を含む。いくつかの実施形態において、材料の結晶性は、約0%~約99%の範囲である。複合体を構成する材料は、結晶性が10%未満、結晶性が5%未満、または結晶性が1%未満(すなわち、高度に非晶質である)さえである。他の実施形態において、複合体を構成する材料は、結晶性が10%~50%である。さらに他の実施形態において、複合体を構成する材料は、結晶性が50%未満、結晶性が40%未満、結晶性が30%未満、または結晶性が20%未満である。
関連する実施形態において、複合体を構成する材料の電気化学的性質は、X線回折(XRD)により測定された結晶性のレベルに関連する。本発明は、非結晶性(結晶性<10%)および半結晶性(10~50%の結晶性)および結晶性(>50%)を有する材料を含む。いくつかの実施形態において、複合体を構成する材料の結晶性は、約0%~約99%の範囲である。複合体を構成する材料は、結晶性が10%未満、結晶性が5%未満、または結晶性が1%未満(すなわち、高度に非晶質である)である。他の実施形態において、複合体を構成する材料は、結晶性が10%~50%である。さらに他の実施形態において、複合体を構成する材料は、結晶性が50%未満、結晶性が40%未満、結晶性が30%未満、または結晶性が20%未満である。
関連する実施形態において、複合体の電気化学的性能は、実験的値Rに関連する。Rは、小角度X線回折(SAXS)から計算され、R=B/Aであり、ここでBは二重層ピークの高さであり、AはSAXSによって測定された単一グラフェンシートのベースラインである。
SAXSは、おそらくガス吸着技術によってアクセス不能であるが、リチウム貯蔵が可能である内部細孔を測定する能力を有する。特定の実施形態において、R因子は、グラフェンの単層を含み、1未満である。他の実施形態において、R因子は、約0.1~約20または約1~10の範囲である。さらに他の実施形態において、R因子は1~5、1~2または1.5~2の範囲である。さらに他の実施形態において、R因子は、1.5~5、1.75~3、または2~2.5の範囲である。あるいは、R因子は10以上である。SAXSパターンはまた、10°~40°に見られるピークの数によって分析されてもよい。いくつかの実施形態において、低散乱角におけるSAXSによって求められるピークの数は、1、2、3、または3超である。
特定の実施形態において、複合体を構成する材料の有機含有量を操作して、所望の性質を与えることができる。例えば、シクロヘキサン等の炭化水素化合物と接触させることによって、所望の性質を与えることができる。赤外線分光法(FTIR)は、材料の表面構造およびバルク構造の両方の有機含有量を決定するための測定基準として使用することができる。一実施形態において、複合体を構成する材料は、本質的に有機材料を含まない。本質的に特徴がないFTIRスペクトルは、そのような実施形態を示す。他の実施形態において、電気化学修飾剤を含まない炭素材料は、表面上またはバルク構造内のいずれかで有機材料を含む。そのような実施形態において、FTIRスペクトルは、一般に、有機含有量の存在を示す大きな山および谷を示す。
有機含有量は、エネルギー貯蔵用のリチウム含有デバイスに入れたときに、材料の電気化学的性能および応答との直接関係を有することができる。平坦なFTIR信号(有機物を有しない)を有する複合体を構成する材料は、0.2Vで電圧プロファイルに低い取出ピークを表示することが多い。当該技術で良く知られているように、取出電圧は、リチウム溶解(リチウムストリッピング)の典型的なものである。特定の実施形態において、複合体を構成する材料は有機含有量を有し、リチウム溶解プラトーは存在しないか、またはほとんど存在しない。
複合材料はまた、ガスクロマトグラフィーCHNO分析によって測定して、様々な量の炭素、酸素、水素および窒素を含むことができる。一実施形態において、CHNO分析により測定して、複合体の炭素含有量は98重量%超または99.9重量%超でさえある。別の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の約10重量%~約99.9重量%、例えば、合計質量の約50~約98重量%の範囲である。他の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の90~98重量%、92~98重量%または95%超である。さらに他の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の80~90重量%である。他の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の70~80重量%である。さらに他の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の60~70重量%である。さらに他の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の50~60重量%である。さらに他の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の40~50重量%である。さらに他の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の30~40重量%である。さらに他の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の20~30重量%である。さらに他の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の10~20重量%である。さらに他の実施形態において、複合体の炭素含有量は、合計質量の1~10重量%である。
別の実施形態において、CHNO分析により測定して、複合材料中の全成分の合計質量に基づいて、窒素含有量は0~90重量%の範囲である。別の実施形態において、窒素含有量は、合計質量の1~10重量%である。さらに他の実施形態において、窒素含有量は、合計質量の10~20重量%である。さらに他の実施形態において、窒素含有量は、他の実施形態において、合計質量の20~30重量%である。他の実施形態において、窒素含有量は、30重量%超である。いくつかの特定の実施形態において、窒素含有量は、約1%~約6%の範囲であり、他の実施形態において、窒素含有量は、約0.1%~約1%の範囲である。上記実施形態のあるものにおいて、窒素含有量は、複合材料中の全成分の総重量に対する重量に基づく。
炭素および窒素含有量はまた、C:N(炭素原子対窒素原子)の比として測定することができる。一実施形態において、C:N比は、1:0.001~0.001:1または1:0.001~1:1の範囲である。一実施形態において、C:N比は、1:0.001~1:0.01の範囲である。さらに別の実施形態において、C:N比は、1:0.01~1:1の範囲である。さらに別の実施形態において、窒素の含有量は、炭素の含有量を超え、例えば、C:N比は、約0.01:1~約0.1:1または0.1:1~約0.5:1の範囲とすることができる。
シリコン材料を含む複合材料はまた、XPS分析により測定して、例を挙げると、様々な量の炭素、酸素、窒素、Cl、Naを含むことができる。一実施形態において、炭素含有量は、XPS分析により測定して98重量%超である。別の実施形態において、炭素含有量は、合計質量の50~98重量%である。さらに他の実施形態において、炭素含有量は、合計質量の90~98重量%である。さらに他の実施形態において、炭素含有量は、合計質量の80~90重量%である。さらに他の実施形態において、炭素含有量は、合計質量の70~80重量%である。さらに他の実施形態において、炭素含有量は、合計質量の60~70重量%である。
他の実施形態において、炭素含有量は、XPS分析により測定して、炭素材料中の全成分の合計質量に基づいて、10%~99.9%、10%~99%、10%~98%、50%~99.9%、50%~99%、50%~98%、75%~99.9%、75%~99%または75%~98%の範囲である。
別の実施形態において、窒素含有量は、XPS分析により測定して、0~90重量%の範囲である。別の実施形態において、窒素含有量は、合計質量の1~75重量%である。他の実施形態において、窒素含有量は、合計質量の1~50重量%である。他の実施形態において、窒素含有量は、合計質量の1~25重量%である。他の実施形態において、窒素含有量は、合計質量の1~20重量%である。他の実施形態において、窒素含有量は、合計質量の1~10重量%である。他の実施形態において、窒素含有量は、合計質量の1~6重量%である。他の実施形態において、窒素含有量は、合計質量の10~20重量%である。他の実施形態において、窒素含有量は、合計質量の20~30重量%である。他の実施形態において、窒素含有量は30重量%超である。
炭素および窒素含有量は、XPSによるC:Nの比として測定することもできる。一実施形態において、複合体のC:N比は、0.001:1~1:0.001の範囲である。一実施形態において、C:N比は0.01:1~1:0.01の範囲である。一実施形態において、C:N比は、0.1:1~1:0.01の範囲である。一実施形態において、C:N比は、1:0.5~1:0.001の範囲である。一実施形態において、C:N比は、1:0.5~1:0.01の範囲である。一実施形態において、C:N比は、1:0.5~1:0.1の範囲である。一実施形態において、C:N比は、1:0.2~1:0.01の範囲である。一実施形態において、C:N比は、1:0.001~1:1の範囲である。他の実施形態において、C:N比は、1:0.01~1:1の範囲である。さらに別の実施形態において、C:N比は、1:0.01~1:1であ。さらに別の態様において、窒素の含有量は、炭素の含有量を超える。
複合体の炭素およびリン含有量は、XPSによるC:Pの比としても測定することができる。一実施形態において、複合範囲のC:P比は、0.001:1~1:0.001の範囲である。一実施形態において、C:P比は、0.01:1~1:0.01の範囲である。一実施形態において、C:P比は、0.1:1~1:0.01の範囲である。一実施形態において、C:P比は、1:0.5~1:0.001の範囲である。1つの実施形態において、C:P比は、1:0.5~1:0.01である。一実施形態において、C:P比は、1:0.5~1:0.1の範囲である。一実施形態において、C:P比は、1:0.2~1:0.01の範囲である。一実施形態において、C:P比は、1:0.001~1:1の範囲である。さらに別の実施形態において、C:P比は、1:0.01~1:1の範囲である。さらに別の実施形態において、窒素の含有量は、炭素の含有量を超える。
XPSはまた、元素間の個々の結合を検出するために使用され得る。複合体の場合、炭素とケイ素との間の界面は、C-X結合を含むことができ、ここで、Xは、(ケイ素電気化学修飾剤のためのC-Si結合のような)リチウムとアロイ化できる一次元素である。C-Xの存在は、材料の性能に影響を及ぼす可能性がある。複合体内のC-X結合のパーセントは、XPSを用いて特徴付けることができる。一実施形態において、XPSによって測定して、C-X結合のパーセントは、0%~50%である。別の実施形態において、C-X結合のパーセントは、0%~10%、0%~5%、0%~3%、0%~2%、0%~1%、1%~2%であり、さらに別の実施形態において、10%~50%、または50%超である。C-X結合はまた、シリコンと電気化学的にアロイ化することができるその場の材料を生成する。
複合材料を含む炭素材料は、sp3およびsp2混成炭素の両方を含むことができる。この技術分野で知られているように、オーガスペクトルを用いたXPSにより、sp2混成のパーセンテージを測定することができる。100%未満のsp2を有する材料については、結合の残りはsp3であると考える。炭素材料は、約1%sp2混成から100%sp2混成までの範囲である。他の実施形態は、約25%~約95%のsp2、約50%~約75%のsp2、約50%~95%のsp2、約50%~約75%のsp2、約50%~約75%のsp2、または約65%~約95%のsp2または約65%のsp2を含む炭素材料を含む。
特定の実施形態において、XPSを試験して、複合体を構成するシリコン内の特定の結合構造の特定の性質を決定することができる。例えば、100eVの近傍の領域でXPSを試験することができ、シリコン構造物におけるSi 2p結合の詳細を確認する。特定の実施形態において、シリコン材料は、99.4eVに位置するXPSピークを示す元素状シリコンを含む。特定の実施形態において、シリコン材料は、101.7eVに位置するXPSピークを示すSiを含む。特定の実施形態において、シリコンは、10000eVに位置するXPSピークを示す有機ケイ素を含む。特定の実施形態において、シリコンは、103.5eVに位置するXPSピークを示す有機ケイ素を含む。
複合材料はまた、非修飾複合体の電気化学的性能を最適化するように選択された電気化学修飾剤を含むことができる。電気化学的調節剤は、炭素材料の細孔構造中および/または多孔質炭素足場の表面、埋め込みケイ素内、あるいは炭素の最終層内、伝導性ポリマーまたは被覆に組み込まれてよく、またはいくつもの他の方法で組み込まれてよい。例えば、いくつかの実施態様において、炭素材料は電気化学的調節剤の被覆(例えば、ケイ素またはAl)を炭素材料の表面に含んでなる。いくつかの実施態様において、炭素材料は約100ppm超の電気化学的調節剤を含んでなる。特定の実施態様において、電気化学的調節剤は、鉄、スズ、ケイ素、ニッケル、アルミニウム、およびマンガンから選択される。
特定の実施態様において、電気化学的調節剤は、リチウム金属に対して3から0Vまでリチウム化する能力を有する元素(例えば、ケイ素、スズ、硫黄)を含んでなる。他の実施態様において、電気化学的調節剤は、リチウム金属に対して3から0Vまでリチウム化する能力を有する金属酸化物(例えば、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化チタン)を含んでなる。さらに他の実施態様において、電気化学的調節剤は、リチウム金属に対して3から0Vまでリチウム化しない元素(例えば、アルミニウム、マンガン、ニッケル、金属リン酸塩)を含んでなる。さらに別の実施態様において、電気化学的調節剤は非金属元素(例えば、フッ素、窒素、水素)を含んでなる。さらに他の実施態様において、電気化学的調節剤は、上記の電気化学的調節剤のいずれかのものまたはそれらのいずれかの組み合わせ(例えば、スズ-ケイ素、ニッケル-酸化チタン)を含んでなる。
電気化学的調節剤はいくつもの形態で提供され得る。例えば、いくつかの実施態様において、電気化学的調節剤は塩を含んでなる。他の実施態様において、電気化学的調節剤は元素の形態の1以上の元素、例えば元素の鉄、スズ、ケイ素、ニッケル、またはマンガンを含んでなる。他の実施態様において、電気化学的調節剤は、酸化形態の1以上の元素、例えば酸化鉄、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、または酸化マンガンを含んでなる。
他の実施態様において、電気化学的調節剤は鉄を含んでなる。他の実施態様において、電気化学的調節剤はスズを含んでなる。他の実施態様において、電気化学的調節剤はケイ素を含んでなる。いくつかの他の実施態様において、電気化学的調節剤はニッケルを含んでなる。さらに他の実施態様において、電気化学的調節剤はアルミニウムを含んでなる。さらに他の実施態様において、電気化学的調節剤は、マンガンを含んでなる。さらに他の実施態様において、電気化学的調節剤は、Alを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はチタンを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤は酸化チタンを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤は、リチウムを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤は硫黄を含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はリンを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はモリブデンを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はゲルマニウムを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はヒ素を含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はガリウムを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はリンを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はセレンを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はアンチモンを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はビスマスを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はテルルを含んでなる。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤はインジウムを含んでなる
したがって、いくつかの実施形態において、複合材料は、硬質炭素および第2の同素体を含めて、1種を超える炭素同素体を含み、炭素同素体は、これらに限定されるものではないが、黒鉛、アモルファス炭素(軟質および硬質)、C60、カーボンナノチューブ(例えば、単層および/または多層)、グラフェンおよび炭素繊維を含む種から選択される。いくつかの実施形態において、第2の炭素形態は黒鉛である。他の実施形態において、第2の形態は、軟質炭素である。炭素材料(例えば、硬質炭素)と第2の炭素同素体との比は、いずれかの所望の電気化学的応用に適合するように調整することができる。
特定の実施形態において、複合材料中の硬質炭素と第2の炭素同素体の質量比は、約0.01:1~約100:1の範囲である。硬質炭素と第2の炭素同素体の質量比は、約1:1~約10:1または約5:1の範囲である。他の実施形態において、硬質炭素と第2の炭素同素体の質量比は約1:10~約10:1の範囲である。他の実施形態において、硬質炭素と第2の炭素同素体の質量比は1:5~約5:1である。他の実施形態において、硬質炭素と第2の炭素同素体の質量比は、約1:3~約3:1の範囲である。他の実施態様において、硬質炭素と第2の炭素同素体の質量比は、約1:2~約2:1の範囲である。
複数の炭素同素体を単一の複合体内で組み合わせることができ、電気化学的性能をさらに向上させることができる。例えば、硬質炭素は、黒鉛および軟質炭素の両方とブレンドすることができ、密度および容量または第1サイクル効率を変化させることができる。3つ以上の炭素同素体は、相乗効果を有し、独特の構造および性能を生成する。特定の実施形態において、複合材料における硬質炭素と全ての他の炭素同素体の合計質量の質量比は、約0.01:1~約100:1の範囲である。複合材料における硬質炭素と他の全ての炭素同素体の質量の合計の質量比は、約1:1~約10:1または約5:1の範囲である。他の実施形態において、複合材料における硬質炭素と全ての他の炭素同素体の合計質量の質量比は、約1:10~約10:1の範囲である。他の実施形態において、複合材料における硬質炭素と全ての他の炭素同素体の合計質量の質量比は、約1:5~約5:1の範囲である。他の実施形態において、複合材料における硬質炭素と全ての他の炭素同素体の合計質量の質量比は、約1:3~約3:1の範囲である。他の実施形態において、複合材料における硬質炭素と全ての他の炭素同素体の合計質量の質量比は、約1:2~約2:1の範囲である。
複合材料の電気化学的性質は、複合材料中の電気化学修飾剤の量によって、少なくとも部分的に修正することができる。電気化学修飾剤は、ケイ素、スズ、インジウム、アルミニウム、ゲルマニウム、ガリウムのようなアロイ材料である。したがって、いくつかの実施形態において、複合材料は、少なくとも0.10%、少なくとも0.25%、少なくとも0.50%、少なくとも1.0%、少なくとも5.0%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または少なくとも99.5%の電気化学修飾剤を含む。例えば、いくつかの実施形態において、複合材料は、0.5%~99.5%の炭素と0.5%~99.5%の電気化学修飾剤とを含む。好ましい実施形態において、複合材料は、70%~99%のケイ素を含み、例えば75%~95%、例えば80%~95%の範囲である。電気化学修飾剤の百分率は重量%基準(重量%)で計算される。いくつかの他のより具体的な実施形態において、電気化学修飾剤は、鉄、スズ、ケイ素、ニッケルおよびマンガンを含む。好ましい実施形態において、複合材料は、70%~99%のケイ素を含み、例えば75%~95%、例えば80%~95%の範囲である。
未変性炭素材料は、以前に硬質炭素材料で得られなかった純度を有する。理論に拘束されることを望むものではないが、未変性炭素材料の高純度は、それの優れた電気化学的性質に寄与すると考えられる。いくつかの実施形態において、未変性炭素材料は、低い総TXRF不純物(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含む。したがって、いくつかの実施形態において、炭素材料中の他のTXRF元素の全ての総TXRF不純物含有量(意図的に含まれていない電気化学修飾剤を除く)は、(プロトン誘起X線放射により測定して)1000ppm未満である。他の実施形態において、炭素材料中の他の全てのTXRF元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれる電気化学修飾剤を除く)は、800ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満または1ppm未満である。
望ましくないTXRF不純物の低含有量に加えて、開示された未変性炭素材料は、高い総炭素含有量を含むことができる。いくつかの例において、炭素に加えて、炭素材料はまた、酸素、水素、窒素およびいずれかの電気化学修飾剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、材料は、重量/重量基準で、少なくとも75%の炭素、80%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも95%の炭素、少なくとも96%の炭素、少なくとも97%の炭素、少なくとも98%の炭素または少なくとも99%の炭素を含む。いくつかの他の実施形態において、炭素材料は、重量/重量基準で、10%未満の酸素、5%未満の酸素、3.0%未満の酸素、2.5%未満の酸素、1%未満の酸素、または0.5%未満の酸素を含む。他の実施形態において、炭素材料は、重量/重量基準で、10%未満の水素、5%未満の水素、2.5%未満の水素、1%未満の水素、0.5%未満の水素または0.1%未満の水素を含む。他の実施形態において、炭素材料は、重量/重量基準で、5%未満の窒素、2.5%未満の窒素、1%未満の窒素、0.5%未満の窒素、0.25%未満の窒素、または0.01%未満の窒素を含む。開示された炭素材料の酸素、水素および窒素含有量は、燃焼分析によって決定することができる。燃焼分析による元素組成を決定する技術は、当該技術分野において周知である。
未変性炭素材料の全灰分は、いくつかの例では、炭素材料の電気化学的性能に影響を及ぼす。したがって、いくつかの実施態様において、炭素材料の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)は0.1重量%~0.001重量%の灰分の範囲である。例えば、いくつかの具体的な実施態様において、炭素材料の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)は、0.1%未満、0.08wt%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.025%未満、0.01%未満、0.0075%未満、0.005%未満、または0.001%未満である。
他の実施態様において、炭素材料は、500ppm未満の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および0.08%未満の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。別のさらなる実施態様において、炭素材料は、300ppm未満の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および0.05%未満の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。別のさらなる実施態様において、炭素材料は、200ppm未満の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および0.05%未満の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。別のさらなる実施態様において、炭素材料は、200ppm未満の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および0.025%未満の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、炭素材料は、100ppm未満の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および0.02%未満の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、炭素材料は、50ppm未満の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および0.01%未満の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。
他の実施態様において、多孔質ケイ素材料を含んでなる複合材料は、500ppm超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および0.08%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。さらなる実施態様において、複合材料は、5000ppm超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および0.5%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、複合材料は、1%超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および0.5%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、複合材料は、2%超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および1%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、複合材料は、3%超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および2%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、複合材料は、4%超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および3%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、複合材料は、5%超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および4%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、複合材料は、6%超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および5%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、複合材料は、7%超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および6%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、複合材料は、8%超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および7%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、複合材料は、9%超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および8%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。他のさらなる実施態様において、複合材料は、10%超の全ての他の元素の総TXRF不純物含有量(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)および9%超の灰分(意図的に含まれるいずれかの電気化学修飾剤を除く)を含んでなる。
多孔質シリコン材料を含んでなる開示される複合材料中に存在する個々のTXRF不純物の量は、プロトン励起X線放出法によって測定され得る。個々のTXRF不純物は、開示される炭素材料の全体的な電気化学的性能に対して様々に寄与し得る。したがって、いくつかの実施態様において、炭素材料中に存在するナトリウムの濃度は1,000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。いくつかの実施形態において、複合材料中に存在するマグネシウムの濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。いくつかの実施形態において、複合材料中に存在するアルミニウムの濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。いくつかの実施形態において、複合材料中に存在するケイ素の濃度は、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、1ppm未満である。いくつかの実施形態において、複合材料中に存在するリンの濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。いくつかの実施形態において、複合材料中に存在する硫黄の濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、30ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、1ppm未満である。いくつかの実施形態において、複合材料中に存在する塩素の濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。いくつかの実施形態において、複合材料中に存在するカリウムの濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。他の実施形態において、複合材料中に存在するカルシウムの濃度は、100ppm未満、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満または1ppm未満である。いくつかの実施形態において、複合材料中に存在するクロムの濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。他の実施形態において、複合材料中に存在する鉄の濃度は50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満または1ppm未満である。他の実施形態において、複合材料中に存在するニッケルの濃度は、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、1ppm未満である。いくつかの他の実施形態において、複合材料中に存在する銅の濃度は140ppm未満、100ppm未満、40ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。さらに他の実施形態において、複合材料中に存在する亜鉛の濃度は20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。さらに他の実施形態において、複合材料中に存在する他の全てのTXRF不純物(意図的に含まれていない電気化学修飾剤を除く)の合計は、1000ppm未満、500pm未満、300ppm未満、200ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。上記のように、いくつかの実施態様において、他の不純物、例えば水素、酸素、および/または窒素が10%未満~0.01%未満の濃度で存在し得る。
いくつかの実施態様において、多孔質シリコン材料を含んでなる未変性複合材料は、プロトン励起X線放出法分析の検出限界に近いまたはそれを下回る所望でないTXRF不純物を含んでなる。例えば、いくつかの実施態様において、未変性複合材料は、50ppm未満のナトリウム、15ppm未満のマグネシウム、10ppm未満のアルミニウム、8ppm未満のケイ素、4ppm未満のリン、3ppm未満の硫黄、3ppm未満の塩素、2ppm未満のカリウム、3ppm未満のカルシウム、2ppm未満のスカンジウム、1ppm未満のチタン、1ppm未満のバナジウム、0.5ppm未満のクロム、0.5ppm未満のマンガン、0.5ppm未満の鉄、0.25ppm未満のコバルト、0.25ppm未満のニッケル、0.25ppm未満の銅、0.5ppm未満の亜鉛、0.5ppm未満のガリウム、0.5ppm未満のゲルマニウム、0.5ppm未満のヒ素、0.5ppm未満のセレン、1ppm未満の臭素、1ppm未満のルビジウム、1.5ppm未満のストロンチウム、2ppm未満のイットリウム、3ppm未満のジルコニウム、2ppm未満のニオブ、4ppm未満のモリブデン、4ppm未満のテクネチウム、7ppm未満のルビジウム、6ppm未満のロジウム、6ppm未満のパラジウム、9ppm未満の銀、6ppm未満のカドミウム、6ppm未満のインジウム、5ppm未満のスズ、6ppm未満のアンチモン、6ppm未満のテルル、5ppm未満のヨウ素、4ppm未満のセシウム、4ppm未満のバリウム、3ppm未満のランタン、3ppm未満のセリウム、2ppm未満のプラセオジム、2ppm未満のネオジム、1.5ppm未満のプロメチウム、1ppm未満のサマリウム、1ppm未満のユウロピウム、1ppm未満のガドリニウム、1ppm未満のテルビウム、1ppm未満のジスプロシウム、1ppm未満のホルミウム、1ppm未満のエルビウム、1ppm未満のツリウム、1ppm未満のイッテルビウム、1ppm未満のルテチウム、1ppm未満のハフニウム、1ppm未満のタンタル、1ppm未満のタングステン、1.5ppm未満のレニウム、1ppm未満のオスミウム、1ppm未満のイリジウム、1ppm未満の白金、1ppm未満の銀、1ppm未満の水銀、1ppm未満のタリウム、1ppm未満の鉛、1.5ppm未満のビスマス、2ppm未満のトリウム、または4ppm未満のウラニウムを含んでなる。
いくつかの実施形態において、多孔質シリコン材料を含んでなる未変性複合材料は、プロトン励起X線放出法分析の検出限界に近いまたはそれを下回る所望でないTXRF不純物を含んでなる。例えば、いくつかの具体的な実施態様において、TXRFにより測定して、未変性複合材料は、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、140ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、および5ppm未満の亜鉛を含んでなる。他の具体的な実施態様において、未変性複合材料は50ppm未満のナトリウム、30ppm未満の硫黄、100ppm未満のケイ素、50ppm未満のカルシウム、10ppm未満の鉄、5ppm未満のニッケル、20ppm未満の銅、2ppm未満のクロム、および2ppm未満の亜鉛を含んでなる。
他の具体的な実施態様において、未変性複合材料は、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロム、および1ppm未満の亜鉛を含んでなる。
いくつかの他の具体的な実施態様において、未変性複合材料は、100ppm未満のナトリウム、50ppm未満のマグネシウム、50ppm未満のアルミニウム、10ppm未満の硫黄、10ppm未満の塩素、10ppm未満のカリウム、1ppm未満のクロム、および1ppm未満のマンガンを含んでなる。
特定の実施形態において、多孔質シリコン材料を含む複合材料は、炭素および2つ以上の異なる電気化学修飾剤を含む。実施形態において、複合材料は、シリコンと、以下の1つまたはそれ以上の種(またはそれらの組み合わせ):リン、窒素、硫黄、ホウ素またはアルミニウムを含む。特定の実施形態において、複合材料は、炭素、ケイ素、および1~20%の13族元素またはそれらの組合せを含む。他の特定の実施形態において、複合材料は、炭素、ケイ素、および1~20%の15族元素、またはそれらの組合せを含む。他の特定の実施形態において、複合材料は炭素、ケイ素および1~20%のリチウム、ナトリウムまたはカリウム、またはそれらの組合せを含む。他の特定の実施形態において、複合材料は炭素、ケイ素および1~20%のリチウム、ナトリウム、カリウム、またはそれらの組み合わせを含む。
複合材料の粒子寸法は、脱リチウム化状態に比べてリチウム化時に膨張することができる。例えば、膨張係数は、リチウム化時の多孔質シリコン材料を含んでなる複合材料の平均粒子寸法を脱リチウム化条件下の平均粒子寸法で除したものとして定義される。当該技術分野で説明されているように、この膨張係数は、以前に知られている非最適なケイ素含有材料について、かなり大きくすることができ、例えば、約4(リチウム化時の400%体積膨張に対応する)であってよい。本発明者らは、より低い程度の膨張を示すことができる多孔質シリコン材料を含む複合材料を見いだした。例えば、膨張係数は、3.5~4、3.0~3.5、2.5~3.0、2.0~2.5、1.5~2.0、または1.0~1.5の範囲で変化することができる。
特定の実施形態における複合材料は、捕捉された細孔容積の画分、すなわち、窒素ガスの吸着測定により求めて、アクセス不能な空隙容積と窒素ガスの比を有することが理解される。理論に拘束されるものではないが、この捕捉された細孔容積は、リチウム化の際にシリコンが膨張することができる容積を提供するという点で重要である
したがって、複合材料は、0.01:1~100:1である、(窒素ガス吸着により決定して)捕捉された細孔容積と測定された細孔容積の比を有することができる。特定の実施形態において、複合材料は、0.01:1~0.05:1の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。特定の実施形態において、複合材料は、0.05:1~0.1:1間の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。特定の実施形態において、複合材料は、0.1:1~0.2:1の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。特定の実施形態において、複合材料は、0.2:1~0.5:1の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。特定の実施形態において、複合材料は、0.5:1と1:1の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。特定の実施形態において、複合材料は、1:1~2:1の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。特定の実施形態において、複合材料は、2:1~5:1の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。特定の実施形態において、複合材料は、5:1~10:1の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。特定の実施形態において、複合材料は、10:1~20:1の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。特定の実施形態において、複合材料は、20:1~50:1の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。特定の実施形態において、複合材料は、50:1と100:1の補足細孔容積と測定細孔容積の比を有する。
特定の好ましい実施形態において、複合粒子を構成する補足細孔容積とケイ素容積の比は、0.1:1~10:1である。例えば、複合粒子を構成する補足細孔容積とケイ素容積の比は、1:1~5:1、または5:1~10:1である。好ましい態様において、リチウム化時にシリコンの最大膨張程度を効率的に収容するように、複合粒子を構成する補足細孔容積とケイ素容積の比は、2:1~5:1、または約3:1である。
例1
新規な複合材料の性能モデル
18650型セルの近似的な大きさおよびエネルギーをシミュレートするためにフルセルモデルを開発した。LCOを、標準のカソードとして選択した。モデルは、材料性質(密度、充填、体積膨張)、電気化学的性能特性(動作電圧、容量、不可逆容量)、およびセルレベル変化(必要とされる電解質、空隙容量)を説明する。第2表は、市販のセルからのセルレベル性質と、モデルからの出力とを比較する。同様の値は、モデルを用いて計算され、システムレベルの変化を表すモデルの能力の信頼度を供する。
Figure 2024073597000002

次に、第3表の値は、アノードが本明細書に開示される新規な複合材料を含むように修正された場合のセルレベル性能の変化を示す。付加的なSEI損失に部分的に起因するWh/kgの制限された変化であるが、セルレベルでは、容量エネルギー密度はかなりの増加(約43%)がある。理論に拘束されるものではないが、予備リチウム化は重量エネルギー密度をさらに増加させる。
Figure 2024073597000003

例2
多孔質炭素足場材料の例
種々の多孔質炭素足場材料を検討のために得た。第4表は、炭素の物理化学的属性の一覧を記載している。
カーボン1は市販のカーボンであった。第2表に報告された特性に加えて、Dv100は11.62ミクロンであり、Dv10は0.6ミクロンであり、タップ密度は0.27g/cmであり、pHは5.3であり、灰分は0.016%であり、PIXEで検出された不純物の合計は次のとおりであった:カルシウム=12.910ppm、鉄=22.830ppm、ニッケル=3.604ppm、クロム=5.521。
カーボン2は市販のカーボンであった。第1表に報告された特性に加えて、Dv100は18.662ミクロンであり、Dv10は1.2ミクロンであり、粒子寸法のスパンは1.194であり、粒度分布の均一性は0.367であり、タップ密度は0.2347g/cmであり、pHは6.709であり、灰分は0.005%であり、PIXEで検出された全ての不純物は次のとおりであった:カルシウム=20.5ppm、鉄=4.14ppm、亜鉛=2.24ppm、チタン=6.7ppm。
カーボン3は市販のカーボンであった。第1表に報告された特性に加えて、Dv100は21.2ミクロンであり、Dv10は3.8ミクロンであり、粒子寸法のスパンは1.261であり、粒度分布の均一性は0.387であり、タップ密度は0.52/cmであり、pHは9.418であり、灰分は0.075%であり、PIXEで検出された全ての不純物の和が次の通りであった:鉄=3.183ppm、亜鉛=0.555、カリウム=6.952ppm。
カーボン4は、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂から次のようにして製造した。まず、1Lビーカーにおいて、脱イオン水(388g)を、氷酢酸(26mL)およびレゾルシノール(156g)と混合した。全てのレゾルシノールが溶解するまで溶液を攪拌プレート上で混合した。この溶液を連続的に混合しながら、酢酸アンモニウム2.2gを添加して溶解させた。次に、ホルムアルデヒド溶液(212mL)(水中の37重量%ホルムアルデヒド)を攪拌溶液に添加した。この溶液を5~10分間撹拌した。次いで、最終溶液を1Lのポリプロピレンボトルに注ぎ、85℃で24時間置いた。次いで、得られた硬化した固体樹脂を凍結乾燥させて、過剰の水、酸およびホルムアルデヒドを全て除去し、クリオゲルを生成させ、次いで、本明細書に記載の方法に従って熱分解した。
カーボン5およびカーボン6は市販のカーボンであった。
カーボン7は市販のカーボンであった。第1表に報告された特性に加えて、Dv100は35.2ミクロンであり、Dv10は2.69ミクロンであった、粒子径のスパンは1.765であり、粒度分布の均一性は0.539であり、タップ密度は1.015~1.020g/cmであり、pHは3.9099であった。
カーボン8は市販のカーボンであった。
カーボン9は、尿素クエン酸樹脂から次のようにして製造した。まず、予め乾燥した尿素(400g)を、予め乾燥したクエン酸(200g)と混合した。次いで、混合物を、非常に微細な粉末に粉砕した。粉末混合物を硬化容器に注ぎ、140℃で24時間置いた。次いで、得られた硬化した固体樹脂を、本明細書に記載の方法に従って熱分解した。
カーボン10は、市販のカーボンであった。第1表に報告された特性に加えて、Dv100は18.6ミクロンであり、Dv10は2.48ミクロンであり、粒子寸法のスパンは1.348であり、粒度分布の均一性は0.406であり、タップ密度は0.32g/cmであり、pHは7.616であった。
カーボン11は黒鉛であった。
カーボン12は市販のカーボンであった。
カーボン13は、アルゴン中で5mol%のHガス中で1時間1100℃に加熱された市販のカーボン1であった。
カーボン14は、本明細書に記載の手順に従って、ポリオールおよび有機酸を用いた無溶媒方法で製造された硬質カーボンであった。
カーボン15は、本明細書に記載の手順に従って、エポキシ化合物およびリン酸を用いて製造された硬質カーボンであった。
Figure 2024073597000004
例3
多孔質シリコン足場上へのシリコン付着による種々の複合材料の製造
この例では、現在の開示に従って様々な異なる複合材料を製造した。シリコンは、本明細書に一般的に記載されているように、シランガスを用いた化学気相成長技術によって、多孔質炭素足場内に埋め込んだ。この特定の例では、試料を、窒素ガスと混合された2モル%のシランガス流を有する管炉で処理し、記載されているように様々な時間および温度に保持した。試料処理の要約を第5表に示す。シリコンカーボン複合体中のケイ素の最終充填は、当該技術分野で知られているように決定することができ、例えば、当該技術分野で知られている技術である熱重量分析(TGA)を用いて観測された重量損失から決定できる。
Figure 2024073597000005

Figure 2024073597000006

例4
多孔質シリコン足場上にシリコン付着を介して種々の複合材料を製造し、続いて化学蒸着を行い、粒子を取り囲む炭素層の形成
記載するような高温および時間でプロパンガスを使用して、先の例からのいくつかの試料をさらに処理して、管炉において行って、化学蒸着によって表面炭素層を形成した。製造データを第6表に要約する。
Figure 2024073597000007

例5
種々の複合材料の物理化学的性質
上記例による種々の試料の表面積、細孔容積および細孔容積分布を、本開示に記載されているように窒素吸着によって決定した。第7表にデータをまとめた。
Figure 2024073597000008
Figure 2024073597000009
例6
種々の複合材料の電気化学的性質
上記例において多様な複合体を製造した。複合体試料を、それらの電気化学的性質について検討した。第8表は、ハーフセルにおいてアノードとして試験された材料についてのデータを示す。ここで、アノードは活物質、バインダー、および電極質量に対して60%、20%、20%の伝導性カーボンで構成されている。これらの試料をハーフセルに組み立て、c/10のレートで5サイクル試験した。電気化学的試験データを第8表にまとめる。他に記載されない限り、サイクル7からサイクル25までの平均クーロン効率および容量保持が報告され、サイクル6での容量を報告する。
Figure 2024073597000010
Figure 2024073597000011
例7
黒鉛とのブレンドにおける種々の複合材料の電気化学的特徴
上記例によれば、多様な複合体を製造した。選択された数の試料を、それらの電気化学的性質について検討した。第9表は、ハーフセルにおいてアノードとして試験した材料についてのデータを示す。ここで、アノードは、活物質、バインダー、および、電極質量に対して80%、10%、10%の伝導性カーボンで構成されている。活物質はさらに黒鉛を含み、黒鉛の%および試料の%を、500~800mAh/gの範囲の近似容量を実現するように調整した。試料13において、電極は、24%の試料13および76%の黒鉛を含んでいた。試料14において、電極は、30%の試料14と70%の黒鉛とを含んでいた。試料15において、電極は、19%の試料15および81%の黒鉛を含んでいた。試料32において、電極は、24%の試料32および76%の黒鉛を含んでいた。試料33において、電極は、27%の試料33と73%の黒鉛とを含んでいた。試料35において、電極は、24%の試料35および76%の黒鉛を含んでいた。試料50において、電極は、25%の試料35と75%の黒鉛とを含んでいた。これらの試料は、ハーフセルに組み立て、C/10のレートで5サイクル、さらにC/5でサイクル試験した。電気化学的試験データを第8表にまとめる。他に記載されない限り、サイクル7からサイクル25までの平均クーロン効率および容量保持を報告し、サイクル6での容量を報告する。
Figure 2024073597000012
例8
シリコン蒸着によるミクロ多孔質炭素材料の細孔の充填
ミクロ細孔質カーボン(カーボン3)について、ケイ素とカーボンとを含む複合材料を作成するために、120分(試料31)または150分(試料34)にわたってシラン処理する前と後の細孔容積分布について調べた。これらの試料の細孔容積分布を図2に示す。わかるように、ミクロ細孔範囲における細孔容積の実質的な減少があり、シリコンを用いた炭素足場内のミクロ細孔の充填と一致している。
例9
混合されたミクロ-、メソ-、およびマクロ多孔質の性質を有するカーボン(カーボン2)について、ケイ素とカーボンとを含む複合材料を作成するために、60分(試料11)または90分(試料9)にわたってシラン処理する前と後の細孔容積分布について調べた。これらの試料の細孔容積分布を図3に示す。わかるように、ミクロ細孔範囲、メソ細孔範囲およびマクロ細孔範囲における細孔容積の実質的な減少があり、シリコンを有する炭素足場内のミクロ細孔、メソ細孔、およびマクロ細孔の充填と一致している。
例10
シリコン付着によるマクロ多孔質炭素材料の細孔の充填
マクロ多孔性を有するカーボン(カーボン4)について、ケイ素とカーボンとを含む複合材料を作成するために、90分にわたってシラン処理する前と後(試料8)、またはシランで90分処理した後にプロパンで30分間処理した後(試料10)、またはシランで120分間処理した後にプロパンでさらに10分間処理した後(試料13)の細孔容積分布について調べた。これらの試料の細孔容積分布を図4に示す。わかるように、マクロ細孔範囲の細孔容積の実質的な減少があり、シリコンを用いた炭素足場内のマクロ細孔の充填と一致している。さらに、後続のプロパン処理すると(粒子表面上に追加の炭素を層状化すると)、マクロ細孔容積にはさらなる損失があった。理論に拘束されるものではないが、この観察は、マクロ細孔容積の減少を伴うマクロ細孔のキャッピングを与えるCVD炭素被覆と一致する。
したがって、特定の実施形態における複合材料は、捕捉された細孔容積の一部を有すること、すなわち、窒素ガスの吸着測定により測定された窒素ガスに対してアクセス不能な空隙容積を有することが理解される。理論に拘束されるものではないが、この捕捉された細孔容積は、リチウム化の際にシリコンが膨張することができる容積を提供するという点で重要である。
例11
CVDによる多孔質炭素足場内のキャピングオフ
熱化学蒸着による炭素被覆多孔質材料は、カーボンで細孔を充填するのではなく、ミクロ細孔をキャップする。これは、純粋にミクロ多孔質のカーボン(カーボン3)上の炭素CVDによって最もよく観察される。以下の表に見られるように、材料の比表面積は、1720m/gが6m/gまで低下する。また、細孔容積も無視できる値まで減少する。キャッピングの証拠は、窒素ピクノメトリーデータ、ペレット密度およびアセトンピクノメトリーに見られる。ダイ内の粉末を2000kg/cmの圧力で圧縮することによって、ペレットを測定した。アセトン中に粉末を浸漬し、液体の変位を測定することにより、アセトンピクノメトリーを測定した。出発の見かけの骨格密度は、純粋なミクロ多孔質カーボンについて2.24g/ccである。材料上のカーボンのCVD後、見かけの骨格密度は、1.49g/ccに低下し、材料におけるボイド空間の形成を示唆する。データを第10表にまとめ、図5の細孔容積分布にグラフで示す。
Figure 2024073597000013
例12
フルセルコインセルにおける複合材料の電気化学的特徴付け
複合体試料の電気化学的性能を、80%の活物質、10%の伝導性カーボンおよび10%のバインダーを含むアノードとしての材料について試験した。活性は、試験される試料30%と、70%の黒鉛とをさらに含む。あるいは、複合体試料の電気化学的性能を、80%の活物質、10%伝導性カーボンおよび10%バインダーを含むアノードについて試験した。あるいは、90%の活物質、5%伝導性カーボンおよび5%バインダーを含むアノードについて、複合体試料の電気化学的性能を調べた。あるいは、90%の活物質、2%伝導性カーボンおよび8%バインダーを含むアノードについて、複合体試料の電気化学的性能を調べた。あるいは、複合体試料の電気化学的性能を、93%の活物質、2%伝導性カーボンおよび5%バインダーを含むアノードについて試験した。この文脈における活物質は、試験されるべき試料、例えば、シリコンカーボン複合体および黒鉛を含み、活物質は、10~60%のシリコンカーボン複合体と、40~90%の黒鉛とを含む。
フルコインセルは、以下のように構成した。アノードおよびカソードは、ハーフセルの絶対5番目のサイクル挿入(アノード)および第1のサイクル取出(カソード)容量を集め、5~15%の過剰なアノード比が満足されるように電極を整合することによって、対にした。LiNiCoAlOアノードを用いてコインセルを構築した。作製後、セルを、2.0-4.2Vの5つの充放電シーケンスで電気化学的に形成した。4.2VでC/20維持にしてC/10電流で初めの2つのシーケンスを実施し、次の3つのシーケンスを再度C/20維持でC/5で行った。サイクル安定性の評価のために、C/20維持を用いてC/2でセルを2.0-4.2Vにサイクルした。
あるいは、セルは2.5-4.2Vの2つの充放電シーケンスで電気化学的に形成した。C/20維持を用いてC/10電流で初めのシーケンスを実施し、後続のシーケンスは、C/10維持を用いてC/5で実行した。サイクル安定性の評価のために、セルをC/2維持にして1Cで2.5-4.2Vにサイクルさせた。いくつかのそのようなセルは、サイクル安定性段階の間に、(20サイクル毎に1回のレートで)でC/5維持でC/10で2.5-4.2Vに周期サイクルを行った。
例13
付着ガスの平均自由経路の計算
150pm寸法または300pm寸法分子のいずれかについて、平均自由行程(MFP)を、技術分野で知られているようなガス運動理論に従って、様々な異なる温度、圧力および気体について計算した(第11表を参照されたい)。当該技術分野で知られているように、追加の計算が理解される。
Figure 2024073597000014

例14
アノードを、本明細書に一般的に記載された手順に従って作成した。試験されるアノード材料を、典型的には黒鉛で希釈し、400~700mAh/gの範囲で達成する。各試料についてのブレンド中の黒鉛のパーセントは以下に記載され、そのような場合に、電極配合物は、一般に、80%の活物質(黒鉛ブレンド中の材料)、10%の伝導性向上剤、例えばスーパーP、および10%バインダー、例えばSBR-CMCからなる。いくつかの場合には、材料は黒鉛の非存在下で試験され、そのような場合に、典型的には、アノード配合物中に、60%の活物質、20%の伝導性増強剤、および20%のバインダーを含む。ある場合には、アノードは、アノード配合物中に90%の活物質、5%の伝導性増強剤、および5%のバインダーを含んでいた。使用された電極は、1M LiPF EC:DEC+10%FECであり、リチウム金属をカソードとし、ハーフセルのコインセルを構成した。本明細書に一般的に記載されているように、セルを電気化学的に試験した。電圧をC/10レートで0.8Vから0.005Vに5サイクル、続いてC/5レートで25サイクルを繰り返した。サイクルの後、コインセルを最終的な時間で100%の電荷状態にし、次いで、分解し、電気化学試験前の開始厚さと比較して、アノードの厚さを測定した。製造された異なる種類の試料は、黒鉛系、カーボン複合ナノシリコン、カーボン複合ナノ特徴シリコン、カーボン複合酸化ケイ素(SiO)、ならびに多孔質炭素足場上にシラン付着、および炭化水素化学気相成長を介して達成される最終的な炭素被覆を介して製造されたカーボン-シリコン複合体(C-Si-C複合体)であった。試料は、本明細書の他の場所に記載された一般的な手順に従って製造された。また、カーボンと複合されない、裸のナノシリコンを含むいくつかの試料も含まれる。別段の記載がない限り、重量または体積のいずれかの容量は、脱リチウム化材料の容量を意味する。これらの試料は、以下の第12表にまとめる。
非複合の(いわゆる裸の)ナノシリコンと、シリコンカーボン複合材料中の同じナノシリコンについて、アノード膨張と重量容量の関係を示すデーターを図6に示す。理解されるように、裸の材料は、ナノシリコンと黒鉛とのブレンドにおける重量の増加を増加させることにより、劇的に膨張する。これに対し、ナノシリコンをカーボンと複合化した場合に、カーボン複合ナノシリコンの黒鉛とのブレンドについて劇的に低下した膨張があった。図7は、様々な異なる試料のアノード膨張と重量容量の関係を示す。図8に、(脱リチウム化状態で)アノード膨張対体積容量についてのデーターを示す。カーボン複合ナノシリコン試料、カーボン複合ナノ特徴シリコン試料、カーボン複合酸化ケイ素(SiO)試料の全てが、同様の膨張を示し、黒鉛とのそれぞれのブレンドにおける重量容量を増加させた。対照的に、驚くべきことに、予想外の知見は、多孔質炭素足場上にシラン付着により製造されたカーボン-シリコン複合体に、炭化水素化学気相成長を介して最終的な炭素被膜が形成される含む試料(C-Si-C)について劇的に低い膨張であるということであった。
Figure 2024073597000015
理論に拘束されるものではないが、C-Si-C試料の低い膨張が、電池内でのサイクル時の不安定なSEI形成のための材料の低減された割れ傾向に解釈される。データから、C-Si-C複合体が、例えば、黒鉛または他の適切なマトリックスとブレンドされたときに、または、純粋な材料として試験されたときに、30%未満のアノード膨張および400mAh/g超の重量容量を示し得ることが理解される。特定の実施形態において、C-Si-C複合体は、30%未満のアノード膨張および500mAh/g超の重量容量を示すことができる。ある実施形態において、C-Si-C複合体は、30%未満のアノード膨張および600mAh/g超の重量容量を示すことができる。ある実施形態において、C-Si-C複合体は、30%未満のアノード膨張および800mAh/g超の重量容量を示すことができる。ある実施形態において、C-Si-C複合体は、30%未満のアノード膨張および1000mAh/g超の重量容量を示すことができる。
さらなる実施形態において、C-Si-C複合体は、例えば、黒鉛または他の適切なマトリックスとブレンドされたとき、または、純粋な材料として試験された場合に、40%未満のアノード膨張および500mAh/g超の重量容量を示すことができる。さらなる実施形態において、C-Si-C複合体は、40%未満のアノード膨張および600mAh/g超の重量容量を示すことができる。さらなる実施形態において、C-Si-C複合体は、40%未満のアノード膨張および800mAh/g超の重量容量を示すことができる。さらなる実施形態において、C-Si-C複合体は、40%未満のアノード膨張および1000mAh/g超の重量容量を示すことができる。
他の実施形態において、C-Si-C複合体を示すことができる、例えば、黒鉛または他の適切なマトリックスとブレンドされたとき、または、純粋な材料として試験されたときに、50%未満のアノード膨張および800mAh/g超の重量容量を示すことができる。他の実施形態において、C-Si-C複合体は、例えば、黒鉛または他の適切なマトリックスとブレンドされたとき、または、純粋な材料として試験されたときに、60%未満のアノード膨張および1000mAh/g超の重量容量を示すことができる。
いくつかの実施形態において、C-Si-C複合体は、例えば、黒鉛または他の適切なマトリックスとブレンドされたとき、または、純粋な材料として試験されたときに、20%未満のアノード膨張および500mAh/g超の重量容量を示すことができる。さらなる実施形態において、C-Si-C複合体は、20%未満のアノード膨張および600mAh/g超の重量容量を示すことができる。さらなる実施形態において、C-Si-C複合体は、20%未満のアノード膨張および800mAh/g超の重量容量を示すことができる。さらなる実施形態において、C-Si-C複合体は、20%未満のアノード膨張および1000mAh/g超の重量容量を示すことができる。
図8は、試料の膨張と体積容量の関係のデータを示す。理解できるように、カーボン複合ナノシリコン試料、カーボン複合ナノ特徴シリコン試料、およびカーボン複合酸化ケイ素(SiO)の全ては、同様の膨張を示し、黒鉛とのそれぞれのブレンドにおける体積容量が増大した。驚くべきことで予想外の知見は、C-Si-C試料が体積容量に対する膨張の高度に平坦な依存性を示したことであった。
理論に拘束されるものではないが、C-Si-C試料の低い膨張が、電池内でのサイクル時の不安定なSEI形成のための材料の低減された割れ傾向に解釈される。データから、C-Si-C複合体が、例えば、黒鉛または他の適切なマトリックスとブレンドされたときに、または、純粋な材料として試験されたときに、30%未満のアノード膨張および400mAh/cm超の体積容量を示し得ることが理解される。特定の実施形態において、C-Si-C複合体が、30%未満のアノード膨張および500mAh/cm超の体積容量を示すことができる。特定の実施形態において、C-Si-C複合体が、30%未満のアノード膨張および600mAh/cm超の体積容量を示すことができる。特定の実施形態において、C-Si-C複合体が、30%未満のアノード膨張および800mAh/cm超の体積容量を示すことができる。特定の実施形態において、C-Si-C複合体が、30%未満のアノード膨張および1000mAh/cm超の体積容量を示すことができる。
さらなる実施形態において、C-Si-C複合体は、例えば、黒鉛または他の適切なマトリックスとブレンドされたとき、または、純粋な材料として試験された場合に、40%未満のアノード膨張および400mAh/cm超の体積容量を示すことができる。いくつかの実施形態において、C-Si-C複合体は、40%未満のアノード膨張および500mAh/cm超の体積容量を示すことができる。いくつかの実施形態において、C-Si-C複合体は、40%未満のアノード膨張および600mAh/cm超の体積容量を示すことができる。いくつかの実施形態において、C-Si-C複合体は、40%未満のアノード膨張および800mAh/cm超の体積容量を示すことができる。いくつかの実施形態において、C-Si-C複合体は、40%未満のアノード膨張および1000mAh/cm超の体積容量を示すことができる。
他の実施形態において、C-Si-C複合体を示すことができる、例えば、黒鉛または他の適切なマトリックスとブレンドされたとき、または、純粋な材料として試験されたときに、50%未満のアノード膨張および400mAh/cm超の体積容量を示すことができる。いくつかの実施形態において、C-Si-C複合体は、50%未満のアノード膨張および500mAh/cm超の体積容量を示すことができる。いくつかの実施形態において、C-Si-C複合体は、50%未満のアノード膨張および600mAh/cm超の体積容量を示すことができる。いくつかの実施形態において、C-Si-C複合体は、40%未満のアノード膨張および800mAh/cm超の体積容量を示すことができる。いくつかの実施形態において、C-Si-C複合体は、40%未満のアノード膨張および1000mAh/cm超の体積容量を示すことができる。
例15
Liイオンフルセルにおける様々な試料のサイクルデータ
黒鉛、カーボン複合ナノシリコン試料、カーボン複合酸化ケイ素(SiO)試料、および多孔質炭素足場上にシラン付着により製造されたカーボン-シリコン複合体を含み、続いて、炭化水素化学気相成長(C-Si-C)を介して達成される最終的な炭素被覆を含む試料について、フルコインセルを製造した。カソード材料はNCAであり、電解質は1M LiPFEC:DEC+10%FECであった。アノード容量は、ハーフセルで測定した場合、約650mAh/gであった。サイクリングを、電圧ウィンドウが2.0~4.2Vにあり、かつ、I/2維持で、C/2のレートで行った。図9は、黒鉛の平均データに対するWh/Lに関して、サイクリング安定性データを示す。C-Si-C試料のクーロン効率は0.999±0.0016(N=5セル)であった。
例16
シリコン付着による混合ミクロ-およびメソ-多孔質炭素材料の細孔の充填
ケイ素とカーボンとを含む複合材料を作成するために、ミクロ細孔とメソ細孔の両方を有するカーボン(カーボン13)について、380sccmおよび450℃で流動する2モル%シランで60分または120分処理する前および後の細孔容積分布を試験した。これらの試料の細孔容積分布を図10に示す。ミクロ細孔の充填およびメソ細孔の充填に一致するミクロ細孔範囲およびメソ細孔範囲における細孔容積の実質的な減少が存在した。データは、メソ細孔の減少に比べて、ミクロ細孔のより顕著な減少を示し、ミクロ細孔よりもメソ細孔を好んで減少させるシリコンの優先的な付着を示す。
様々な試料の細孔容積分布のデータを調べることにより、同じ結論を導くことができる。多孔質炭素足場の測定された細孔容積分布は、48%のミクロ細孔、52%のメソ細孔および0%のマクロ細孔を有する多孔質足場上の41%のケイ素充填を有した。60分間のシラン処理された試料の測定された細孔容積分布は、45%のミクロ細孔、54%のメソ細孔および1%のマクロ細孔を有する多孔質足場上に26%のケイ素充填をもたらした。これらの値は、出発足場と非常に類似している。対照的に、120分間のシラン処理された試料の測定された細孔容積分布は、5%のミクロ細孔、45%のメソ細孔と50%のマクロ細孔を有する多孔質足場上に41%のケイ素充填がもたらされた。パーセント低減に関して、多孔質足場上の26%のケイ素充填を与えた60分間のシラン処理された試料のミクロ細孔容積は、出発足場と比較してミクロ細孔容積の58%の減少を示し、出発足場と比較してミクロ細孔容積の79%の減少を示した。パーセント低減に関して、多孔質足場上の41%のケイ素充填を与えた120分間のシラン処理された試料のミクロ細孔容積は、出発足場と比較してミクロ細孔容積の100%の減少を示し、出発足場と比較してミクロ細孔容積の99%の減少を示した。
例17
炭化水素CVDによるミクロ多孔質炭素足場内でのミクロ細孔のキャッピングを示すピクノメトリーデーター
ミクロ多孔質炭素足場材料を、本明細書に記載された方法に従って、一般に炭化水素CVDで処理した。炭化水素CVD処理の前に、測定された表面積、細孔容積およびピクノメトリーによる密度は、1744m/g、0.72cm/g、2.24g/cmであった。炭化水素CVD処理の後、測定された表面積、細孔容積、およびピクノメトリーによる密度は6m/g、0.701cm/g、1.49g/cmであった。理論に拘束されるものではないが、劇的に低い表面積および細孔容積は、劇的に減少した骨格密度と共に、炭素ミクロ細孔のキャッピングと一致している。したがって、当該技術分野で知られている炭化水素処理または同等の方法は、炭素細孔、本明細書に一般的に記載された原理に従って付着されたケイ素が充填された炭素細孔をキャッピングするのに適している。理論に拘束されるものではないが、このようなキャッピングによって、粒子のエンベロープ体積の膨張を最小限に抑えながら、粒子内の内部空隙がシリコンの膨張を収容できるようになる。
例18
シラン付着に対する多孔質炭素足場粒子寸法の影響および得られるシリコン炭素足場の電気化学的性能
異なる粒子寸法を有し、混合されたミクロ細孔およびメソ細孔を有する種々の熱分解カーボンを、本明細書に一般的に記載されているように、シランガスを介したそれらのケイ素付着について試験した。試料は、粒状(1mmまで、または1mm以上)であるカーボン、およびFRITSCH遊星ミル(FM)またはジェットミル(JM)を使用して寸法減少された粒子を含む。データを第13表にまとめるが、本明細書に一般的に記載されているように、ハーフセルにおける電気化学的試験を含む。
Figure 2024073597000016
理解されるように、Dv50が1mmよりも大きいものから約4μmまでの範囲で、炭素足場粒子の全てが試験され、全てがシラン付着技術によってシリコンを組み込むことが可能であった。炭素足場粒子寸法を小さくするとともに、改善された電気化学的性能(例えば、より高いFCEおよび高い平均CE)について顕著な傾向があった。理論に拘束されないが、カーボン粒子寸法のさらなる低減、例えば、2~5μmのDv50、または2μm~3μmのDv50、1μmと3μmのDv50、または1μmと2μmのDv50、も同様に有益であろう。あるいは、炭素足場のDv50は、1μm未満のDv50を示す本発明の炭素足場粒子に関して、優れた性質を示すことが理解され、技術分野では、これを実現する技術が知られている。例えば、炭素足場粒子寸法は、0.1μm~1μm、例えば0.2μm~0.8μm、例えば0.4μm~0.6μmとすることができる。
例19
マクロ多孔質炭素足場上のシラン分解によるシリコン付着および得られるシリコンカーボン複合体の電気化学的性能
種々の異なるマクロ多孔質炭素足場をシランで処理して、本明細書に一般的に記載されているようなシリコンカーボン複合体を製造した。データーを第14表に示すが、本明細書に一般的に記載されているように、ハーフセルにおける電気化学的試験を含む。
Figure 2024073597000017

理解できるように、マクロ多孔質炭素足場は、本明細書に一般的に記載したシラン処理を介して、シリコンカーボン複合体に加工することができた。しかしながら、マクロ多孔質炭素足場から製造されたシリコンカーボン複合体の電気化学的性質は、本明細書の他の場所で提示されているようなメソ細孔質、ミクロ細孔質または混合されたミクロ細孔質およびメソ細孔質炭素足場から製造された類似のシリコンカーボン複合体と比較して、比較的低い第1サイクル効率および低い平均CEを与える。
例20
混合されたミクロ細孔質およびメソ細孔質炭素足場へのシラン分解によるケイ素付着および得られたシリコンカーボン複合体の電気化学的性能
本明細書に一般的に記載されているように、ミクロ細孔およびメソ細孔を有する種々の異なる炭素足場をシランで処理して、シリコンカーボン複合体を製造した。データを第15表に示すが、本明細書に一般的に記載されているように、ハーフセルにおける電気化学的試験を含む。
Figure 2024073597000018

理解されるように、ミクロ細孔およびメソ細孔を有する炭素足場は、本明細書で一般的に説明されるシラン処理を介してシリコンカーボン複合体に処理できた。重要なことには、ミクロ細孔およびメソ細孔を有する炭素足場から製造されるシリコンカーボン複合体の電気化学的性質は、一般に、マクロ多孔質炭素足場から製造された類似のシリコンカーボン複合体と比較して、より高い平均CEを与えた。
例21
シラン分解への炭素足場の熱分解温度の影響および得られたシリコンカーボン複合体の電気化学的性能
本明細書で一般的に記載されているように、ミクロ細孔およびメソ細孔を有する炭素足場を種々の温度で熱分解し、シランガスを介したシリコン付着について試験した。試料は、500℃~1100℃の範囲の温度で熱分解されたカーボンを含んだ。データを第16表に示すが、本明細書に一般的に記載されているように、ハーフセルにおける電気化学的試験を含む。
Figure 2024073597000019
わかるように、ミクロ細孔およびメソ細孔を有する炭素足場を、本明細書に一般的に記載されるように、種々の温度で、シラン処理を介して、シリコンカーボン複合体に加工することが可能であった。しかし、500℃で熱分解された試料は、褐色を呈し、次の電気化学試験のための電極への処理には適していないことが判明した。重要なことは、種々の温度で熱分解されたミクロ細孔およびメソ細孔を有する炭素足場から製造されたシリコンカーボン複合体の電気化学的性質は、熱分解温度を増加させるとともに、より高い平均CEを示した。より高い熱分解温度は、改善された容量保持のためにも提供される(図11参照)。
理論に拘束されるものではないが、さらに高い熱分解温度が、シリコンカーボン複合体のさらなる改善された電気化学的性能を提供することが理解され、当該技術分野で知られているように、高い熱分解温度を実施化できる。例えば、好ましい炭素足場熱分解温度は800℃超、例えば800~1200℃の範囲であってよい。あるいは、熱分解温度は900~1300℃、または1000~1400℃、または1100~1500℃、または1200~1600℃、または1300~1700℃とすることができる。いくつかの実施形態において、炭素足場熱分解温度は1700℃を超えることができる、
例22
多孔質炭素への種々の処理の影響およびシリコンカーボン複合体を作成するための足場としての適合性への影響
混合されたミクロ細孔構造およびメソ細孔構造を有する多孔質炭素足場を、種々の処理に付した。これらの処理は、1100、1300、1500および1700℃における窒素の存在下での加熱、1100℃における水素ガスの存在下での加熱、900℃のアンモニアガスの存在下での加熱、または1300℃におけるNの存在下での加熱、続いての1:2(w:w)のカーボン:HMTの存在下での550℃への加熱を含んでいた。処理の持続時間は60分であった。処理の要約および種々の処理された炭素足場の得られる物理化学的性質を第17表に示す。ハーフセルにおけるその電気化学的性能を第18表に示す。
Figure 2024073597000020
Figure 2024073597000021
理解できるように、窒素を用いた処理において、温度が上昇するにつれて比表面積が減少し、細孔容積が減少する傾向があった。また、細孔容積が減少し、メソ細孔容積が増加する傾向があった。参照される実施形態において、多孔質炭素足場は、300~800m/gの表面積、10~30%のミクロ細孔、40~90%のメソ細孔、5%未満のミクロ細孔を有する。
HMTで処理された試料については、驚くべき予想外の結果があった:温度にかかわらず、表面積および細孔容積が劇的に減少し、ミクロ細孔容積%が減少し、メソ細孔容積%が増大する。理論に拘束されるものではないが、メソ細孔容積の割合が非常に高い高表面積カーボンを製造するために、上記の熱処理およびHMT処理を採用することができる。例えば、100~2000m/gの表面積を示し、10%未満のミクロ細孔容積、80%未満のメソ細孔容積、および5%未満のマクロ細孔容積を示すカーボンを製造することができる。他の実施形態において、カーボンは、100~1000m/gの表面積を示し、10%未満のミクロ細孔容積、90%超のメソ細孔容積および5%未満のマクロ細孔容積を示すことができる。他の実施形態において、カーボンは、100~1000m/gの表面積を示し、5%未満のミクロ細孔容積、90%未満のメソ細孔容積、および5%未満のマクロ細孔容積を示すことができる。他の実施形態において、カーボンは100~500m/gの表面積を示し、10%未満のミクロ細孔容積、90%超のメソ細孔容積および5%未満のマクロ細孔容積を示すことができる。他の実施形態において、カーボンは、100~500m/gの表面積を示し、5%未満のミクロ細孔容積、90%超のメソ細孔容積、および5%未満のマクロ細孔容積をも示すことができる。
電気化学データからわかるように、水素の存在下で1100℃に加熱された混合ミクロ細孔質およびメソ細孔質の炭素足場について、最高平均CEを示した。HMTにより55Cで処理された足場も同様である。後者の試料はまた、最高の容量保持をも示した。
例23
異なる炭素足場の影響および得られるシリコンカーボン複合体
580sscm、450℃および120分の条件で流れるシランをケイ素含有反応体ガスとして使用する本明細書に一般的に記載されているように、種々の異なる炭素足場を用いて、シリコンカーボン複合体を製造した。第19表は、種々の試料を示し、第20表は、得られたシリコンカーボン複合体の物理化学的性質を示し、第21表は、ハーフセルにおける得られたシリコンカーボン複合体の電気化学的性質を示す。
Figure 2024073597000022

Figure 2024073597000023

Figure 2024073597000024
データは、シリコンカーボン複合体を製造するために使用する様々な種類の炭素足場(黒鉛、ミクロ多孔質およびメソ多孔質混合、およびマクロ多孔質)の有用性を示す。電気化学的データは、200mAh/gのカーボン容量を仮定して、TGA分析から決定されたケイ素含有量を用いて、計算されたケイ素容量を含む。一般に、計算されたシリコン容量は、2500~4000mAh/gの範囲であった。上記表に含まれるものは、ハーフセル内で電気化学的に試験された試料についての示差容量(dQ/dV)プロットにおいて、0.44V対Li/Li+を中心とする明確なピークの存在が存在するか否かに関する情報である。このピークは、複合体中に存在するケイ素が完全にリチウム化されたことを示す結晶性Li15Siアロイ相の形成を示す。理論に拘束されるものではないが、位相境界の有害な影響(例えば、ひび割れ)および脱リチウム化耐性を有する安定な結晶構造に起因して、好ましいSi-C複合体の実施形態は、サイクル中にこのLi15Siを形成せず、したがって非晶質のままである。
例24
ケイ素含有反応体と同時に反応する2つ以上の異なる多孔質炭素足場原料のためのシリコン炭素足場の作成
いくつかの実施形態において、シリコンカーボン複合体は、シランのようなケイ素含有反応体の存在下で同時に(すなわち、同じ反応器で)反応される2つまたはそれ以上の多孔質炭素原料から製造することができる。本例において、763m/gの比表面積、0.58の細孔容積を有し、44%のミクロ細孔、55%のメソ細孔および1%マクロ細孔をさらに有する多孔質炭素足場を、第2の炭素足場、すなわち、市販の黒鉛状カーボン1と、質量比4:1の質量比で組み合わせる。炭素足場の4:1混合物を、一般に本明細書に記載の方法に従って、シランと反応させた。混合されたミクロ細孔質およびメソ細孔質炭素足場から製造された複合体、黒鉛質炭素足場から製造された複合体、2つの足場の混合物から製造された複合体について、第1サイクル効率は、それぞれ73%、70%、68%であった。混合されたミクロ細孔質およびメソ細孔質炭素足場から製造された複合体、黒鉛質炭素足場から製造された複合体、2つの足場の混合物から製造された複合体について、最大の可逆的容量は、それぞれ1554mAh/g、1531mAh/gおよび1415mAh/gであった。混合されたミクロ細孔質およびメソ細孔質炭素足場から製造された複合体、黒鉛質炭素足場から製造された複合体、2つの足場の混合物から製造された複合体について、平均クーロン効率は、それぞれ0.9962、0.9925および0.9969であった。足場の混合物から製造された複合体の平均クーロン効率が、個々の構成要素から生成された複合体よりも高いということは、驚くべきことであり、予想外の結果であった。
例25
種々のシリコンカーボン複合体上へのCVDによる後続の炭素被覆の影響
ケイ素含有反応ガスとしてシランを使用する本明細書に一般的に記載されているように、種々の異なる炭素足場を用いて、シリコンカーボン複合体を製造した。複合粒子の周囲に炭素被膜を適用する効果を例示するために、複合体試料を、炭素含有ガスの存在下で高温にさらされて炭素質被覆を形成するCVD法に供した。第22表は、種々の試料および炭素CVD条件を示し、第23表は、得られた炭素被覆シリコンカーボン複合体の物理化学的性質を示し、第24表は、ハーフセルにおける得られた炭素被覆シリコンカーボン複合体の電気化学的性質を示す。
Figure 2024073597000025
Figure 2024073597000026
Figure 2024073597000027
わかるように、CVDに使用される種々のガスであるメタン、プロパン、アセチレンおよびプロピレンが、炭素被覆シリコン炭素足場を形成するためにCVD法で使用するのに適した炭素含有ガスとして有用性を示す。図12は、ハーフセルで測定された試料についての非被覆(ストライプ棒)と被覆(ソリッド棒)における電気化学的データを示す。理解されるように、CVD炭素被覆法は、より低いシリコン容量を提供する傾向があり、したがって、複合体のより低い容量を提供する傾向がある。重要なことに、データはまた、CVD炭素被覆が、増加したクーロン効率、ならびに増加した容量保持を可能にすることを示す。理論に拘束されるものではないが、シリコンカーボン複合体のCVDによる炭素被覆の適用が、シリコンに構造遮蔽を与え、粒子のエンベロープ体積を超えて膨張したり、膨張したりすることを防止する。さらに、シリコンの膨張のこの制限は、観測されるわずかに低い容量を提供し、電解質溶媒へのケイ素の暴露、より安定したSEI、改善されたクーロン効率、およびサイクリング時の改善された容量保持と一致する。
例26
シリコンカーボン複合体を含むアノード材料の膨張測定
アノードを、本明細書に一般的に記載された手順に従って作成した。試験されるべきアノード材料は、典型的には、試験されるべき試料と、黒鉛および伝導性向上剤とを含んだ。本開示の他の場所に一般的に記載されているように、アノード調製およびハーフセル調製および試験を行った。この特定の例において、3つの試料群についてデータを考慮した。第1の試料群は、ナノシリコンとカーボンとの複合体を含む。第2の試料群は、5ミクロン未満のDv50を有し、ミクロ細孔とメソ細孔との混合物からなる細孔容積を有する多孔質炭素足場を用いて製造されたシリコンカーボン複合材料を含んでなるものであり、本明細書で説明されているように、ケイ素含有ガスを用いた付着を介してシリコンが生成されており、本明細書で説明されているように、炭素含有ガスを用いたCVDによってシリコンカーボン複合体を炭素被覆している。後者の種類のシリコンカーボン複合体を「グループ14の複合体」と表記する。
図13は、3つの試料群についてのデータを示し、具体的には、データについて、(測定された重量膨張、電極密度およびアノード体積膨張から計算された)全リチウム化における体積容量の関数として、膨張がプロットされている。理解され得るように、シリコンカーボン複合体のグループ14の複合体群のデータは、ナノ特徴のシリコンおよびカーボンを含む複合体またはナノ寸法のシリコンおよびカーボンを含む複合体に比較しての顕著な挙動を示す。具体的には、グループ14のシリコンカーボン複合体は、完全リチウム化での体積容量を増加させるとともに、低い程度の体積膨張を示す。
完全リチウム化における膨張対体積容量についての観察により、グループ14の複合体について驚くべき予想外の性能がみられた。グループ14の複合体は、250~350mAh/cmの完全リチウム化における体積容量を有し、40%未満のアノード膨張を有するアノードを構成できた。あるいは、グループ14の複合体は、250~350mAh/cmの完全リチウム化における体積容量を有し、30%未満のアノード膨張を有するアノードを構成できた。あるいは、グループ14の複合体は、250~350mAh/cmの完全リチウム化における体積容量を有し、20%未満のアノード膨張を有するアノードを構成できた。あるいは、グループ14の複合体は、350~450mAh/cmの完全リチウム化における体積容量を有し、60%未満のアノード膨張を有するアノードを構成できた。あるいは、グループ14の複合体は、350~450mAh/cmの完全リチウム化における体積容量を有し、50%未満のアノード膨張を有するアノードを構成できた。あるいは、グループ14の複合体は、350~450mAh/cmの完全リチウム化における体積容量を有し、40%未満のアノード膨張を有するアノードを構成できた。あるいは、グループ14の複合体は、450~600mAh/cmの完全リチウム化における体積容量を有し、40%未満のアノード膨張を有するアノードを構成できた。あるいは、グループ14の複合体は、450~600mAh/cmの完全リチウム化における体積容量を有し、100%未満のアノード膨張を有するアノードを構成できた。あるいは、グループ14の複合体は、450~600mAh/cmの完全リチウム化における体積容量を有し、80%未満のアノード膨張を有するアノードを構成できた。あるいは、グループ14の複合体は、450~600mAh/cmの完全リチウム化における体積容量を有し、60%未満のアノード膨張を有するアノードを構成できた。
例27
フルセル電気化学的性能に対するシリコンカーボン複合体の粒子寸法の影響
混合されたミクロおよびメソ細孔質の性質を有する炭素足場材料を、ケイ素含有反応体を用いて、続いてのCVDによるカーボン被覆によって、シリコンカーボン複合体に加工した、本開示の他の場所に一般的に記載されているように、すべての処理が行われた。多孔質炭素足場には、2つの異なる粒子寸法を採用した:比較的小さい寸法のDv50=4.4μm(この複合体は試料27-1と表示される)、および比較的に大きな寸法のDv50=22.4μm(この複合体は試料27-2と表示される)を有する対応する多孔質炭素足場。これら2つの異なる寸法の材料を用いて、シリコンカーボン複合体の2つの異なる寸法の試料を製造した。複合体を、本開示に全体的に記載されているように、フルセルにおいて電気化学的に試験した。
フルセルのサイクル寿命データを図14に示す。この例において、サイクルレートは1Cであり、20サイクル毎にC/10サイクルが挿入されている。理解できるように、はるかに大きな安定性があり、より小さい寸法の足場を用いて製造されたシリコンカーボン複合体について2倍の改良があった。理論に拘束されるものではないが、シリコン付着工程中にケイ素含有反応体のより容易なアクセスを可能にするので、小さい足場粒子寸法は、改善された性能をもたらす。これにより、処理されるべき多孔質炭素足場、および得られるシリコンカーボン複合体は、20μm未満、例えば10μm未満、例えば5μm未満、例えば4μm未満、例えば3μm未満、例えば2μm未満、例えば1μm未満のDv50を示すことが好ましい。
例28
フルセル電気化学的性能に対するシリコンカーボン複合体の炭素被覆の影響
ケイ素含有反応体を用いて、混合されたミクロおよびメソ細孔性質ならびに4.4μmのDv50を有する炭素足場材料を、シリコンカーボン複合体に加工した。本開示の他の場所に一般的に記載されているように、すべての処理が行われた。本開示に一般的に記載されているように、この試料(非炭素被覆または非C被覆で表示される)を、フルセルにおいて電気化学的に試験した。非炭素被覆シリコンカーボン複合体は試料28-1と称され、炭素被覆シリコンカーボン複合体は比較のために試料28と称される。本明細書に一般的に記載されているように、同じシリコン炭素足場を、CVDによる炭素被覆の付加工程に供した。後者の試料(炭素被覆またはC被覆されているもの)を、本開示に一般的に記載されているように、フルセルにおいて電気化学的に試験した。
フルセルのサイクル寿命データを図15に示す。C被覆試料については、サイクルレートを1Cとし、20サイクル毎に挿入されるC/10サイクルを用いた。非C被覆試料については、サイクルレートは1Cであった。わかるように、C被覆シリコンカーボン複合体について非常に大きな安定性があった。理論に拘束されないが、シリコン-カーボン複合粒子を被覆する追加の炭素被膜は、粒子の膨張を減少させ、より良好なSEIを提供することを可能にする。したがって、シリコンカーボン複合粒子は、粒子の総質量の0.1~30%、粒子の総質量の1~20%、例えば、粒子の総質量の2~15%、例えば、粒子の総質量の3~10%、粒子の総質量の5~10%、例えば、粒子の総質量の2~10%、粒子の総質量の0.1~10%である炭素の末端表面層(ターミナル表面層)を有する。
例29
C被覆シリコンカーボン複合体の電気化学的試験
ケイ素含有反応体を用いて、混合されたミクロおよびメソ細孔性質、763m/gの総表面積、0.58cm/gの総細孔容積ならびに4μmのDv50を有する炭素足場材料を、シリコンカーボン複合体に加工した。反応ガスは、450℃で2時間、5780sccmで流れる窒素中の1.25モル%のシランであり、重量増加が71%になった。得られたシリコンカーボン複合体のケイ素含有量は39~42%であり、酸素含有量は1~2%であった。シリコンカーボン複合体において、ケイ素によって充填された炭素細孔容積の計算されたパーセンテージは54%であり、総複合体積のパーセンテージとして計算されたケイ素体積は35%であった。
シランを用いたシリコン付着工程の後に、得られたシリコンカーボン複合体について総表面積は75m/gであり、総細孔容積は0.05cm/gであった。次の工程を行い、プロパンの存在下、800℃で処理して炭素被膜を付与すると、2%の重量増加をもたらした。得られたC被覆シリコンカーボン複合体は、37%のケイ素含有量を有し、全表面積が7.7m/gであり、総細孔容積が0.011cm/gであった。シリコンカーボン複合体について、ケイ素によって充填された炭素細孔容積の計算されたパーセンテージは54%であり、総複合体積のパーセンテージとして計算されたケイ素体積は35%であった。C被覆シリコンカーボン複合体について、ケイ素によって充填された炭素細孔容積の計算されたパーセンテージは52%であり、総複合体積のパーセンテージとして計算されたケイ素体積は34%であった。
したがって、シリコンカーボン複合体またはC被覆シリコンカーボン複合体のいずれかについて、ケイ素によって充填された炭素細孔容積の計算されたパーセンテージは、10~90%、例えば20~80%、例えば30~70%、例えば40~60%であってよい。したがって、シリコンカーボン複合体またはC被覆シリコンカーボン複合体のいずれかについて、総複合体積のパーセンテージとして計算されたシリコン体積は、10~90%、例えば20~80%、例えば30~70%、例えば30~60%、例えば30~50%、例えば30~40%とすることができる。
C被覆されたシリコンカーボン複合体を、ハーフセルで電気化学的に試験した。アノード活物質は35:65(w:w)のC被覆されたシリコンカーボン複合体:黒鉛を含み、活物質は、この開示内の他の場所で一般的に記載されているように、バインダーおよび伝導性向上剤と混合され、カレンダー処理されている。
第1サイクル効率は69%であり、最大可逆容量は1201mAh/gであり、計算されたTGAシリコン容量は2905mAh/gであり、平均クーロン効率は0.9967であった。
本明細書に一般的に記載された方法を用いて、C被覆されたシリコンカーボン複合アノードを、フルセル、パウチセルフォーマットにおいて電気化学的に試験した。容量保持率%対サイクルのデータを図16に示す(20番目のサイクルごとにC/10を用いる1Cでのパウチセルサイクリング)。わかるように、C被覆シリコンカーボン複合体を含むアノードは、300~600サイクル安定性を達成することができた。ここで、サイクル安定性は、20%容量損失(または80%容量保持)が観測される前のサイクル数として定義される。理論に拘束されるものではないが、アノードおよびセルの構築レベルのさらなる改善が、当該技術分野で知られているように、達成でき、さらなるサイクル安定性の向上を達成することができる。したがって、C被覆シリコンカーボン複合体を含むアノードは、300~2000サイクル、例えば400~2000サイクル、例えば500~2000サイクル、例えば500~1500サイクル、例えば1000~1500サイクル、あるいは1000~2000サイクルであるサイクル安定性を示す。
図17は、アノード活性基準の重量容量対サイクルを示す(C/2におけるパウチセルサイクリング)。理解されるように、C被覆されたシリコンカーボン複合体を含むアノードが、400mAh/gの重量容量を400サイクル以上保持することが可能であった。理論に拘束されないが、さらなる改良を達成するために、当該技術分野で知られているように、アノードおよびセルの構築レベルのさらなる改善を達成することができる。従って、C被覆されたシリコンカーボン複合体を含むアノードは、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、400mAh/g超の重量容量を示す。従って、C被覆されたシリコンカーボン複合体を含むアノードは、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、500mAh/g超の重量容量を示す。従って、C被覆されたシリコンカーボン複合体を含むアノードは、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、600mAh/g超の重量容量を示す。従って、C被覆されたシリコンカーボン複合体を含むアノードは、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、800mAh/g超の重量容量を示す。従って、C被覆されたシリコンカーボン複合体を含むアノードは、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、あるいは3000サイクル超において、1000mAh/g超の重量容量を示す。
例30
シリコンカーボン複合材料のレート検討
シリコンカーボン複合材料のレート能力を、黒鉛と比較し、シリコン酸化物(SiOX)材料とも比較した。全ての材料は、60%活性、20%バインダー、および20%伝導性増強剤の配合で、ハーフセルにおいて試験した。サイクリングは、C/10から、C/5へ、C/2へ、1Cへ、2Cへ一連の徐々に増加するレートで5サイクル行った。2つのシリコンカーボン複合体を試験し、1つの複合体は試料25-5Bに対応し、第2の複合体は25-6Aに対応する。重量容量のデーターは、mAh/gに関して図18において、試験された最も遅いレートで観察された最大容量の%に関して図19に示されている。
理解されるように、本明細書に開示されるシリコンカーボン複合体は、酸化ケイ素比較物と比較して、優れたレート性能、すなわち、サイクルレートの増加に伴った容量損失の少ない傾向を有する。本明細書に開示されたシリコンカーボン複合体は、黒鉛のレートプロファイルをマッチングさせることができ、例えば、試料25-6Aは、黒鉛について測定されたような増加率と共に非常に類似した正規化された容量低下を示す(図19参照)。これは、アノード材料としてリチウムイオン電池のために好適なレート性能を有する高伝導性材料として、当該技術分野では黒鉛が知られているので、重大な知見である。さらに重要なことであるが、本明細書に開示されたシリコンカーボン複合材料は、試験された全てのレートで、黒鉛に比較して、多数倍の重量改善を可能にした(図18参照)。
したがって、本開示は、ハーフセルで試験されたときに、2Cサイクルレートで、400mAh/g超、例えば500mAh/g超、例えば600mAh/gを超の重量容量を達成することができるシリコンカーボン複合材料を与える。さらなる改善が達成できることが理解され、例えば、ハーフセルで試験された場合に、2Cサイクルレートで、700mAh/g超、例えば800mAh/g超、例えば900mAh/g超、例えば1000mAh/g超の重量容量を達成することができるシリコンカーボン複合材料を与える。
例31
各種材料の電子化学的性能に対する高密度化の影響
試料25-5B:黒鉛の記述に対応する35:65(w:w)シリコンカーボン複合体を含むアノードについて、アノードのカレンダー処理の程度を変化させるコインセルフォーマットのフルセルにおいて、電気化学的性能を試験した。具体的には、アノードを、比較的低いカレンダーの条件で、すなわち、最終的なアノードの活性密度が0.87g/cmになるように、19%のカレンダーの条件で、および比較的高いカレンダーの条件で、すなわち、最終的なアノードの活性密度が1.26g/cmになるように、50%のカレンダーの条件で、カレンダー処理した。これらのデータを図20に示す。
比較のために、酸化ケイ素比較物(25:75(w:w)の比較物:黒鉛)を含むアノードについて、アノードのカレンダーの程度を変化させるコインセルフォーマットのフルセルにおいて、電気化学的性能を試験した。具体的には、アノードを、比較的低いカレンダーの条件で、すなわち、最終的なアノードの活性密度が0.94g/cmになるように、17.6%のカレンダーの条件で、および比較的高いカレンダーの条件で、すなわち、最終的なアノードの活性密度が1.38g/cmになるように、52%のカレンダーの条件で、カレンダー処理した。これらのデータを図21に示す。
シリコン酸化物比較物に見られるように、アノードが0.94g/cmから1.38g/cmまで高密度化されたときにサイクル安定性の劇的な減少、具体的には、観測されるサイクル寿命に73%の減少があった。このようなケイ素含有アノードのサイクル寿命安定性の低下は、当該技術分野で知られているように予想される。本明細書に開示された新規なシリコンカーボン複合体について見られるように、本明細書で試験される低いおよび高いカレンダー条件(低いおよび高いアノード密度条件)の両方において優れたサイクル安定性があった。わずかな低下があっただけであり、具体的には、サイクル寿命の25%減少のみが観測された。この知見は、当業界における予想が、アノード密度を増加させることによってサイクル寿命が短くなることを考慮すると、驚くべきかつ予想外のものである。
したがって、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードが高重量容量と高密度の組み合わせで高いサイクル寿命を達成することが可能である。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードを与え、アノードは、1.0g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、400mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.0g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、500mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.0g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、600mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.0g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、800mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.0g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、1000mAh/g超の重量容量を示す。
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードを与え、アノードは、1.1g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、400mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.1g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、500mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.1g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、600mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.1g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、800mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.1g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、1000mAh/g超の重量容量を示す。
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードを与え、アノードは、1.2g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、400mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.2g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、500mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.2g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、600mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.2g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、800mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.2g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、1000mAh/g超の重量容量を示す。
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードを与え、アノードは、1.3g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、400mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.3g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、500mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.3g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、600mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.3g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、800mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.3g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、1000mAh/g超の重量容量を示す。
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードを与え、アノードは、1.4g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、400mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.4g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、500mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.4g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、600mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.4g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、800mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.4g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、1000mAh/g超の重量容量を示す。
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードを与え、アノードは、1.6g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、400mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.6g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、500mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.6g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、600mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.6g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、800mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.6g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、1000mAh/g超の重量容量を示す。
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードを与え、アノードは、1.8g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、400mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.8g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、500mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.8g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、600mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.8g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、800mAh/g超の重量容量を示す。従って、本明細書に開示される新規なシリコンカーボン複合材料を含むアノードは、1.8g/cm超の密度を示し、500サイクル超、例えば600サイクル超、例えば700サイクル超、例えば800サイクル超、例えば1000サイクル超、例えば1000サイクルと2000サイクルとの間において、1000mAh/g超の重量容量を示す。
例32
種々の炭素足場およびシリコンカーボン材料の細孔構造
例19および例20において作製した炭素足場およびシリコンカーボン複合体を、それらの細孔構造について窒素吸着により分析した。本例の目的のために、リチウム化および脱リチウム化のサイクルに対する適切な安定性を達成するために、シリコンの付着および含有についてのそれらの関連性に応じて、細孔寸法の異なる範囲を分析した。具体的には、50~200Aの範囲の細孔および200A未満の細孔を分析した。データを第25表に示す。
Figure 2024073597000028

理論に拘束されるものではないが、シリコンの付着のための好ましい多孔質炭素足場は、多孔質炭素足場が50~200Aの範囲である細孔を有するものである。さらに好ましくは、リチウムイオン電池におけるリチウム化と脱リチウム化との間のサイクル時のシリコンの膨張および収縮を可能にする追加の空隙容積を与えるために、細孔がシリコン内に部分的に充填され得るような細孔のレベルである。
したがって、多孔質炭素足場は、50~200Aに対応する細孔10~50%、例えば50~200Aに対応する細孔12~42%、例えば50~200Aに対応する細孔30~50%、50~200Aに対応する細孔30~40%を有する。特定の実施形態において、多孔質炭素足場は、50~200Aに対応する細孔10~50%、および200A未満に対応する細孔90%超を有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔12~42%、および200A未満に対応する細孔90%超を有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔30~50%、および200A未満に対応する細孔90%超を有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔30~40%、および200A未満に対応する細孔90%超を有する。
特定の実施形態において、特定の実施形態において、多孔質炭素足場は、50~200Aに対応する細孔10~50%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~1.8cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔12~42%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~1.8cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔30~50%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~1.8cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔30~40%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~1.8cm/gを有する。
特定の実施形態において、特定の実施形態において、多孔質炭素足場は、50~200Aに対応する細孔10~50%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~1.0cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔12~42%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~1.0cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔30~50%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~1.0cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔30~40%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~1.0cm/gを有する。
特定の実施形態において、特定の実施形態において、多孔質炭素足場は、50~200Aに対応する細孔10~50%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~0.8cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔12~42%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~0.8cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔30~50%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~0.8cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔30~40%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~0.8cm/gを有する。
特定の実施形態において、特定の実施形態において、多孔質炭素足場は、50~200Aに対応する細孔10~50%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~0.6cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔12~42%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~0.6cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔30~50%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~0.6cm/gを有する。特定の実施形態において、本発明の多孔質炭素足場は、50~200Aに相当する細孔30~40%、および200A未満に対応する細孔90%超、および総細孔容積0.4~0.6cm/gを有する。
例33
多孔質炭素足場およびそれから製造されたシリコンカーボン複合体の密度および体積測定
本例における材料は、多孔質炭素が22.4μmのDv50を示す例27における多孔質炭素足場と、複合体を製造するために用いられる多孔質炭素足場が22.4μmのDv50を示す例27におけるシリコンカーボン複合体と、炭素被覆複合体を製造するために用いられる多孔質炭素足場が22.4μmのDv50を示す、例27における炭素被覆シリコンカーボン複合体を製造するために一般的に記載されているCVD法を用いて製造された第3の試料とを含んだ。
上記の試料について、以下のデータ:骨格密度(ヘリウムピクノメトリーによる)、総細孔容積(窒素吸着による)、およびペレット密度(該材料を2000kg/cm以下で圧縮して製造したペレットの重量および体積を測定することによりペレット密度を測定する)を測定した。これらのデータから、以下のパラメータ:骨格体積(骨格密度の逆数)、総エンベロープ体積(骨格比体積と総細孔容積の和)と、エンベロープ密度(エンベロープ体積の逆数)を計算した。データおよび計算を第26表にまとめる。
Figure 2024073597000029
以下は第26表の注である:骨格密度はヘリウムピクノメトリーによって測定した;骨格密度の逆数として骨格体積を求めた;窒素吸着から細孔容積を求めた;骨格体積と細孔容積の和としてエンベロープ体積を計算した;エンベロープ密度は、合計エンベロープ体積の逆数として求めた;ペレット密度は、測定された質量と、2000kg/cmの力でペレットに加圧した後の材料の体積とから計算した;理論的なペレット密度は、エンベロープ密度を0.74048倍で乗じて計算した。
炭素足場について、測定された骨格密度が1.97g/cmであった。炭素足場について、計算された骨格体積は、0.508cm/gであった。炭素足場について、測定された総細孔容積は、0.579cm/gであった。炭素足場について、計算された総エンベロープ体積は、1.087cm/gであった。炭素足場について、計算された総エンベロープ密度は、0.920であった。理論に拘束されるものではないが、炭素粒子が球状であると仮定すると、最大充填密度は、当該技術分野で知られている0.74048である。したがって、最大限に圧縮された材料は、理論的には、0.68g/cmのペレット密度を有する。この値は、0.70cm/gの測定ペレット密度と非常に類似している。
シリコンカーボン複合体について、測定された骨格密度は2.15g/cmであった。測定されたケイ素含有量は39%であった。理論に拘束されるものではないが、炭素の骨格密度が変化せず、かつシリコン密度が(当該技術分野で知られているように)2.33g/cmであると仮定し、測定されたケイ素および炭素の含有量を差で採用すると、理論的に計算されたシリコン複合骨格密度が2.11g/cmであり、これは、シリコンカーボン複合体の測定値2.15cm/gに非常に類似している。シリコンカーボン複合体について、計算された骨格体積は、0.465cm/gであった。シリコンカーボン複合体について、測定された総細孔容積は、0.003cm/gであった。シリコンカーボン複合体について、計算された全エンベロープ体積は0.468cm/gであり。シリコンカーボン複合体について、計算されたエンベロープ密度は2.14g/cmであった。理論に拘束されるものではないが、炭素粒子が球形であると仮定すると、最大充填密度は、当該技術分野で知られているように0.74048である。したがって、最大限に圧縮された材料は、理論的に1.58g/cmのペレット密度を有する。驚くべき予想外の結果は、この値、すなわち1.58g/cmが、シリコンカーボン複合体の測定されたペレット密度、すなわち1.04g/cmよりもはるかに高いことであった。理論に拘束されるものではないが、この予想外の知見は、窒素がアクセスできないシリコンカーボン複合粒子内に容積が存在することを示す。計算された隠されたまたは窒素がアクセスできない細孔容積、またはV(窒素がアクセス不能)は、式:V(窒素がアクセス不能)=[0.7404/(測定ペレット密度)-(骨格体積)-(窒素により決定される細孔容積)]にしたがってデーターから求めることができる。この式から、窒素アクセス不能容積が0.244cm/gであると求められた。
炭素被覆シリコンカーボン複合体について、測定された骨格密度は1.65g/cmであった。測定されたケイ素含有量は39%であった。理論に拘束されるものではないが、炭素の骨格密度が変化せず、シリコン密度が2.33g/cm(当該技術分野で知られているように)であると仮定し、測定されたケイ素および炭素の含有量を差で採用すると、理論的に計算されたシリコン複合骨格密度が2.11g/cmであり、これは測定値1.65g/cmよりもずっと高い。理論に拘束されるものではないが、炭素被覆は、ヘリウムによってアクセスできないシリコンカーボン複合体内に存在する容積をもたらした。炭素被覆シリコンカーボン複合体について、計算された骨格体積は、0.606cm/gであった。炭素被覆シリコンカーボン複合体について、窒素吸着による測定された総細孔容積は無視できる(0.001cm/g未満)。炭素被覆シリコンカーボン複合体について、計算された全エンベロープ体積は、0.606cm/gであった。炭素被覆シリコンカーボン複合体について、計算されたエンベロープ密度は1.65g/cmであった。理論に拘束されるものではないが、炭素粒子が球形であると仮定すると、最大充填密度は、当該技術分野で知られているように0.74048である。したがって、最大の圧縮材料は、理論的に、1.22g/cmのペレット密度を有する。驚くべき予想外の結果は、この値、すなわち1.22g/cmが、シリコンカーボン複合体の測定されたペレット密度、すなわち1.09g/cmよりもはるかに高かった。理論に拘束されるものではないが、この予想外の知見は、窒素がアクセスできないシリコンカーボン複合粒子内に容積が存在することを示す。計算された隠れ細孔容積、またはデータからの窒素アクセス不能な細孔容積は、0.072cm/gであると決定された。
したがって、本発明は、ペレット密度が1.0~1.5g/cmの範囲であり、ヘリウムピクノメトリーにより測定される骨格密度が1.9~2.2g/cmの範囲であり、ヘリウムピクノメトリーにより測定される骨格体積が0.454~0.526cm/gの範囲であり、窒素アクセス不能容積が0.2~0.3cm/gの範囲である新規なシリコンカーボン複合体を可能にする。あるいは、前記要素は、0.1~0.5cm/g、または0.2~0.4cm/g、または0.1~0.3cm/g、または0.3~0.5cm/gの範囲の窒素アクセス不能容積と組み合わされる。
したがって、本発明は、ペレット密度が1.0~1.5g/cmの範囲であり、ヘリウムピクノメトリーにより測定される骨格密度が1.5~1.6g/cmの範囲であり、ヘリウムピクノメトリーにより測定される骨格体積が0.625~0.666cm/gの範囲であり、窒素アクセス不能容積が0.05~0.1cm/gの範囲である新規なシリコンカーボン複合体を可能にする。あるいは、前記要素は、0.05~0.5cm/g、または0.2~0.4cm/g、または0.1~0.3cm/g、または0.3~0.5cm/gの範囲の窒素アクセス不能容積と組み合わされる。
例34
種々の被覆技術の後にシリコンカーボン複合体内で観察されたシリコンの容量損失
本明細書に一般的に記載されているように、シランの存在下でシリコンカーボン複合体を製造するために、混合ミクロ細孔およびメソ細孔質の炭素足場を用いた。シリコンカーボン複合粒子を、2つの方法を用いてさらに炭素被覆した:炭素含有ガス(具体的にはメタンおよびアセチレン)を用いたCVDと、伝導性ポリマーによる被覆とを含み、必要に応じてポリマーを部分的に熱分解する。
本開示の他の場所で説明したように、シリコンカーボン複合粒子は、伝導性ポリマーを用いて被覆することができる。特定の実施形態において、伝導性ポリマーは熱分解され、熱分解された伝導性ポリマー被覆を達成する。伝導性ポリマーをシリコンカーボン複合体を有する第2のカーボン複合体として添加することができる様々な実施形態が存在する。例えば、当該技術分野で知られているように、シリコン-カーボン複合体を、溶解した伝導性ポリマーを含む溶媒中に懸濁させることができ、次いで、懸濁液を乾燥させることができる。別の実施形態において、伝導性ポリマーの固体粒子を、固体シリコン粒子と混合することができ、粒子の混合物を高温で貯蔵する。好ましい実施形態において、温度は、ポリマーのガラス転移温度付近以上である。追加の好ましい実施形態において、温度は、ポリマーの軟化温度付近以上である。追加の好ましい実施形態において、温度は、ポリマーの溶融温度付近以上である。高温は、約100℃、または約120℃、または約140℃、または約160℃、または約180℃、または約200℃とすることができる。当該技術分野で知られているように高温、例えば300℃、または350℃、または400℃、または450℃、または500℃、または600℃、または700℃、または800℃で、熱分解を行うことができる。いくつかの実施形態において、熱分解は850℃、900℃、1000℃、1050℃、または1100℃で行うことができる。例示的な伝導性ポリマーとしては、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオフェン、ポリ(フルオレン)、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(p-フェニレンスルフィド)(PPS)、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ナノ特徴またはナノ特徴およびナノ寸法のシリコンと、伝導性ポリマーの比を、例えば、95:5~9:95の範囲に変化させることができる。特定の実施形態において、ケイ素と伝導性ポリマーの比は95:5~60:40、または90:10~70:30である。
この例において、第27表は、種々の炭素被覆シリコン複合体について、測定された容量と計算されたシリコン容量(ハーフセルにおいて)との比較を示す。試料34-1は、9:1(w:w)複合体を混合し、400℃に60分間で加熱することによって得られた炭素被覆シリコンカーボン複合体であった。試料34-2は、7:3(w:w)複合体:PANを混合し、400℃に60分間で加熱することによって得られた炭素被覆シリコンカーボン複合体であった。試料34-3は、9:1(w:w)複合体を混合し、300℃に60分間で加熱することによって得られる炭素被覆シリコンカーボン複合体であった。試料34-4は、シリコンカーボン複合体を、プロパンの存在下で800℃に60分間加熱することによって得られる炭素被覆シリコンカーボン複合体であった。試料34-5は、シリコンカーボン複合体を、メタンの存在下で980℃に15分間加熱することによって得られる炭素被覆シリコンカーボン複合体であった。試料34-6は、シリコンカーボン複合体を、アセチレンの存在下で550℃に15分間加熱することによって得られる炭素被覆シリコンカーボン複合体であった。以下の仮定を採用した:400℃および300℃におけるPANの収率は、それぞれ84%および98%であり、試験された電圧ウィンドウ上のハーフセルにおけるPANの容量は、足場を構成する炭素と同じ、すなわち360mAh/gであった。
Figure 2024073597000030
わかるように、高温(800℃以上)でCVDによって達成される炭素被覆は、一般に、非被覆シリコン複合体と比較して、炭素被覆シリコン複合体中のケイ素を減少させる。CVDを比較的低い温度、例えば550℃で適用した場合、容量損失はなかった。例において、伝導性ポリマーを用いて炭素被覆を達成したが、工程はより低い温度で行うことができ、550℃未満、300℃程度で低い温度であってもよく、非被覆シリコン複合体と比較して、炭素被覆シリコン複合体におけるケイ素容量の損失がなかった。
例35
炭素被覆が伝導性ポリマーの被覆によって得られたC被覆シリコンカーボン複合体のフルセルの電気化学的性能
混合されたミクロおよびメソ細孔質の性質を有する炭素足場材料を、ケイ素含有反応体を用いてシリコンカーボン複合体に加工した。本開示の他の場所に一般的に記載されているように、すべての処理を行った。この試料(非炭素被覆または非C被覆で表示される)を、本開示に一般的に記載されているように、フルセルにおいて電気化学的に試験した。比較のために、同じシリコン炭素足場を、9:1(w:w)複合体:PANの混合物を500℃で60分間加熱することによってカーボン被覆を追加する工程に付した。この後者の試料(炭素被覆またはC被覆されている)を、本開示に一般的に記載されているように、フルセルにおいて電気化学的に試験した。
フルセルのサイクル寿命データを図22に示す。C被覆試料については、サイクルレートは1Cであった。非C被覆試料については、サイクルレートは1Cであった。わかるように、C被覆シリコンカーボン複合体について非常に大きな安定性があった。理論に拘束されるものではないが、ケイ素-炭素複合粒子を被覆する追加の炭素被膜は、粒子の膨張を減少させ、より良好なSEIを提供することを可能にする。従って、シリコンカーボン複合粒子は、カーボンの末端被覆(ターミナル被覆)を含み、カーボンは、部分的に熱分解された伝導性ポリマーを含み、末端被覆は、シリコンカーボン複合粒子の総質量の0.1~30%、例えば、シリコンカーボン複合粒子の総質量の2~30%、例えば、シリコンカーボン複合粒子の5~25%、例えば、シリコンカーボン複合粒子の10~20%である。あるいは、部分的に熱分解された伝導性ポリマーを含む炭素被覆は、シリコンカーボン複合粒子の1~10%、例えば、シリコンカーボン複合粒子の5~10%である。あるいは、部分的に熱分解された伝導性ポリマーを含む炭素被覆は、シリコンカーボン複合粒子の10~30%、例えば、シリコンカーボン複合粒子の20~30%である。
例36
黒鉛と比較してC被覆シリコンカーボン複合体のフルセル電気化学的性能
混合されたミクロおよびメソ細孔性質を有する炭素足場材料を、一般に、本明細書に記載された手順に従って、炭素被覆されたシリコンカーボン複合体に加工した。炭素足場は、4μmのDv50、および混合されたミクロおよびメソ細孔質の性質を有していた。この開示に記載された方法と一致するケイ素含有反応体を用いてシリコンカーボン複合体を製造し、本開示に記載された方法と一致するCVDを用いて、末端炭素被覆を得た。炭素被覆されたシリコンカーボン複合体を、フルセル、パウチセル形式の電気化学的性能について試験した。アノードは、炭素被覆されたシリコンカーボン複合体配合黒鉛を含み、650mAh/g(アノード活性基準)の目標を達成し、バインダーおよび伝導性向上剤を含んだ。アノード断面容量は1.9mAh/cmであった。カソードはNCAを含んでいた。サイクルは、C/2のレートで達成された。電圧ウィンドウは、I/20維持での2.0-4.2Vであった。電解質は、1M LiPFEC:DEC+10%FECを含んでいた。比較のために、炭素被覆シリコンカーボン複合体について上述したのと同じ条件下で、比較物フルセル、パウチセルを電気化学的に試験した。カソード断面容量は1.6mAh/cmであった。
図23は、フルセルのデータを示す。炭素被覆シリコン複合体を含むアノードは、黒鉛アノードよりも高いアノードおよびカソードの総質量に基づく重量容量を示し、400サイクル以上にわたって、黒鉛アノードよりも優れた優位性を保持した。したがって、本発明によれば、少なくとも400サイクルについてアノードおよびカソードの総質量に基づく黒鉛の重量容量よりも大きいアノードおよびカソードの総質量に基づく重量容量を有する炭素被覆シリコンカーボン複合体を含むアノードが可能になる。したがって、本発明によれば、少なくとも500サイクルについてアノードおよびカソードの総質量に基づく黒鉛の重量容量よりも大きいアノードおよびカソードの総質量に基づく重量容量を有する炭素被覆シリコンカーボン複合体を含むアノードが可能になる。したがって、本発明によれば、少なくとも600サイクルについてアノードおよびカソードの総質量に基づく黒鉛の重量容量よりも大きいアノードおよびカソードの総質量に基づく重量容量を有する炭素被覆シリコンカーボン複合体を含むアノードが可能になる。したがって、本発明によれば、少なくとも800サイクルについてアノードおよびカソードの総質量に基づく黒鉛の重量容量よりも大きいアノードおよびカソードの総質量に基づく重量容量を有する炭素被覆シリコンカーボン複合体を含むアノードが可能になる。したがって、本発明によれば、少なくとも1000サイクルについてアノードおよびカソードの総質量に基づく黒鉛の重量容量よりも大きいアノードおよびカソードの総質量に基づく重量容量を有する炭素被覆シリコンカーボン複合体を含むアノードが可能になる。したがって、本発明によれば、少なくとも2000サイクルについてアノードおよびカソードの総質量に基づく黒鉛の重量容量よりも大きいアノードおよびカソードの総質量に基づく重量容量を有する炭素被覆シリコンカーボン複合体を含むアノードが可能になる。
いくつかの様々な異なる実施形態において、アノード断面容量は、少なくとも1.7mAh/cm、少なくとも1.8mAh/cm、少なくとも1.9mAh/cm、少なくとも2.0mAh/cm、少なくとも2.1mAh/cm、少なくとも2.2mAh/cmまたは少なくとも2.3mAh/cmである。
例37
三電極パウチセルにおけるC被覆シリコンカーボン複合体のフルセル電気化学的性能
混合されたミクロおよびメソ細孔性質を有する炭素足場材料を、一般に、本明細書に記載された手順に従って、炭素被覆されたシリコンカーボン複合体に加工した。炭素足場は、4μmのDv50、および混合されたミクロおよびメソ細孔質の性質を有していた。この開示に記載された方法と一致するケイ素含有反応体を用いてシリコンカーボン複合体を製造し、本開示に記載された方法と一致するCVDを用いて、末端炭素被覆を得た。炭素被覆されたシリコンカーボン複合体を、フルセル、パウチセル形式の電気化学的性能について試験した。アノードは、炭素被覆されたシリコンカーボン複合体配合黒鉛を含み、650mAh/g(アノード活性基準)の目標を達成し、バインダーおよび伝導性向上剤を含んだ。アノードはNCAであり、リチウムからなる第3電極をも使用した。このような3電極システムは、アノードおよびカソードの性能を独立して追跡するための有用なツールとして当該技術分野で知られている。本例の目的のために、アノードおよびカソードの安定性を、その差動電圧曲線対サイクルについて監視した。当該技術分野で知られているように、差動電圧曲線は、電圧対電圧の第1導関数のプロットを監視することができ、サイクルにわたる異なる電圧曲線の変化を監視して、アノードおよびカソードの安定性を独立して評価することができる。アノードおよびカソードについての時間にわたる差電圧の変化を、図24および図25にそれぞれ示す。
わかるように、カソードの異なる電圧曲線の変化は、炭素被覆シリコンカーボン複合体を含むアノードの差動電圧曲線に比べてはるかに速く劣化する。これにより、炭素被覆シリコンカーボン複合体の安定性は、使用するカソードよりも優れている。その結果、炭素被覆シリコンカーボン複合体の全安定性電位を決定する現在の能力は、カソードの安定性および他のセルレベルの考慮によって制限される。したがって、カソードおよびセルレベル改良に関するさらなる改良は、このような制約を除去し、炭素被覆されたシリコンカーボン複合体を含むアノードの相応に大きな安定性が得られる。
例38
触媒ドープ多孔質炭素材料からのシリコンカーボン複合体の製造
特定の実施形態において、多孔質炭素足場を1つ以上の触媒でドープする。多孔質炭素内に触媒が存在することにより、その後のシリコンカーボン複合体の製造が容易になる。理論に拘束されるものではないが、多孔質炭素の細孔内における触媒の存在は、シリコンカーボン複合体のシリコン部分に付着し分解するために、ケイ素含有反応体、例えばケイ素含有ガス、例えばシランの部位を与える。重要なことに、多孔質炭素中の触媒の存在は、炭素粒子の外表面、または炭素粒子自体の外側(例えば、熱反応器壁、または合成反応器内の他の非炭素表面)に対抗して、炭素の細孔内でのケイ素の優先的付着を可能にする。触媒ドープされた多孔質炭素の製造方法は、当該技術分野で公知であり、炭素と触媒を混合すること、触媒溶液中に炭素粒子を懸濁させた後、炭素粒子を捕集し乾燥させること、多孔質炭素が生成されたポリマー樹脂内に触媒を含有させることを含む。この点に関する適切な触媒としては、これらに限定されるものではないが、ニッケル、銅、鉄、マンガン、金、アルミニウム、スズ、パラジウム、白金ルテニウム、ロジウム、イリジウム、およびこれらの組み合わせが挙げられる。理論に拘束されるものではないが、金属触媒の場合に、この触媒効果は、アルミニウム、ニッケルおよび金の場合と同様にアロイ化共晶反応を介して、または金属表面でSi-H結合がより容易に切断される水素化効果(白金またはニッケルなど)を介して進行することができる。上記触媒の適切な前駆体としては、それらの塩および他の酸化された形態、例えば、それらの対応する酸化物、ハロゲン化物塩、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、硫酸塩等、およびそれらの組合せが挙げられる。多孔質炭素足場内の触媒の濃度は、例えば0.1~20%、例えば0.5%~10%、例えば1%~5%である、例えば1%~4%の範囲で変化させることができる。いくつかの実施形態において、シリコンカーボン複合体の製造後に触媒を除去することができ、例えば、触媒を溶解するが、炭素を溶解せず、シリコンを溶解しない媒体に溶解させることによって除去できる。
特定の実施形態において、触媒ドープされた多孔質炭素足場は、種々の金属アセテート塩の水溶液中に炭素粒子を懸濁させて、約2重量%の目標触媒充填を達成し、その後に、金属触媒の還元と、2.5時間で(標準温度450℃に対して)低減温度430℃で1.25モル%のSiH/Nガスを用いた後のシリコン付着とを行うことによって調製した。使用される多孔質炭素は、混合ミクロ細孔質およびメソ細孔質構造と、約20μmのDv50とを有した。炭素足場および結果として得られるシリコン炭素足場のデーターを第28表に示す。
わかるように、触媒で処理された多孔質足場は、減少した細孔容積を示し、このことは、炭素足場の多孔度内に実際に付着された触媒を示す。さらにわかるように、触媒ドープ多孔質炭素足場から製造されたシリコンカーボン複合体の全ては、出発の非触媒ドープ炭素足場と比較して、より低い表面積および細孔容積を示した。これらのデータは、シランガスの分解からシリコンの付着を促進する触媒の有用性を示した。また、触媒ドープされたシリコン炭素足場におけるより高いシリコン充填の傾向が、特に、触媒がニッケルまたはマンガンである場合に、存在した。ニッケルドープ多孔質炭素から製造されたシリコンカーボン複合体を、本明細書に一般的に記載されているように、リチウムイオンハーフセルにおいて電気化学的に試験した。ニッケルドープ多孔質炭素から製造されたシリコンカーボン複合体は、第1サイクル効率72%、最大重量容量1362mAh/g、平均クーロン効率99.85%、サイクル20での容量保持率93%を示した。この電気化学的性能は、実施することができる本発明の有用性、スケーラビリティ、性能、コスト、または他の態様を向上させることについての多孔質炭素の触媒ドーピングの概念の有用性を実証する。
Figure 2024073597000031

例39
リチウム化粒子のTEMによって測定されたシリコンカーボン複合体の粒子膨張
この開示内において、新規なシリコンカーボン複合体の驚くべきかつ予想外の低膨張、例えば、シリコンカーボン複合体を含むリチウム化アノードの低い膨張が説明されている。これらの手法は、非常に有用であるが、電極、すなわち、アノードで実施される。この例において、当該技術分野で公知の技術を採用している個々の粒子の解像度における物質の膨張をモニタリングする方法を提供する。具体的には、その場(in-situ)TEMを行った。この手順は、当該技術分野で以前に説明されており、この手順の詳細は、他の場所(Gu, M.; Wang, Z.; Connell, J. G.; Perea, D. E.; Lauhon, L. J.; Gao, F.; Wang, C. ACS Nano 2013, 7, 6303-6309)に見られる。
データを、シリコンカーボン複合体の場合について図26に、炭素被覆シリコンカーボン複合体の場合について図27に示す。炭素足場は、4μmのDv50、および混合されたミクロおよびメソ細孔質の性質を有していた。この開示に記載された方法と一致するケイ素含有反応体を用いてシリコンカーボン複合体を製造し、本開示に記載された方法と一致するCVDを用いて、末端炭素被覆を得た。この例の目的のために、粒子膨張において、特に、記録された粒子膨張において報告された膨張は2次元であり、使用されるその場TEM技術において観察された膨張の正確な視覚化である。わかるように、膨張は、シリコンカーボン複合体について42%のみであったが、炭素被覆されたシリコンカーボン複合体について、29%のみであった。種々の複合体について観察された平均粒子膨張のデータを第29表に示す。
Figure 2024073597000032

したがって、本発明の実施形態は、その場TEMで測定したときのリチウム化時の粒子膨張が10~100%であるシリコンカーボン複合粒子を含む新規組成物を可能にする。特定の実施形態において、リチウム化時のシリコンカーボン複合粒子の膨張は、その場TEMによって決定して、10~50%である。特定の実施形態において、リチウム化時のシリコンカーボン複合粒子の膨張は、その場TEMによって決定して、10~40%である。特定の実施形態において、リチウム化時のシリコンカーボン複合粒子の膨張は、その場TEMによって決定して、10~30%である。特定の実施形態において、リチウム化時のシリコンカーボン複合粒子の膨張は、その場TEMによって決定して、20~30%である。
シリコンカーボン複合体を、逐次(ex-situ)TEMによっても試験した。データは、実質的にサブミクロン、例えば50nmまたはそれ未満、例えば40nmまたはそれ未満、例えば20nmまたはそれ未満であるシリコン一次粒子の存在を明らかにした。この方法は、電子ビーム回折の分析によってシリコンの結晶性を決定することも可能にする。データは、シリコンが多結晶性を有することを示した。
例示的な実施形態は、以下のものを含むが、これらに限定されない。
態様1. 多孔質炭素足場およびケイ素を含んでなる複合体であって、
複合体は、重量で15~85%のケイ素、および0.05~0.5cm/gの範囲の窒素アクセス不能な容積を有し、
複合体は、ヘリウムピクノメトリーによって測定して、1.5~2.2g/cmの範囲の粒子骨格密度を有する複数の粒子を含んでなる複合体。
態様2. 窒素アクセス不能な容積は0.2~0.4cm/gの範囲である態様1に記載の複合体。
態様3. 窒素アクセス不能な容積は0.1~0.3cm/gの範囲である態様1に記載の複合体。
態様4. 骨格密度は1.9~2.2g/cmの範囲である態様1~3のいずれか1つに記載の複合体。
態様5. 骨格密度は1.5~1.8g/cmの範囲である態様1~3のいずれか1つに記載の複合体。
態様6. 1.0~1.5g/cmの範囲のペレット密度を有する態様1~5のいずれか1つに記載の複合体。
態様7. 複合体は、窒素吸着によって求めて、10%未満のミクロ細孔、30%超のメソ細孔、30%超のマクロ細孔、および0.1cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する態様1~6のいずれか1つに記載の複合体。
態様8. 複合体は、窒素吸着によって求めて、30~60%のミクロ細孔、30~60%のメソ細孔、10%未満のマクロ細孔、および0.1cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する態様1~6のいずれか1つに記載の複合体、
態様9. 複合体は、窒素吸着によって求めて、20%未満のミクロ細孔、60%超のメソ細孔、30%未満のマクロ細孔、および0.1cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する態様1~6のいずれか1つに記載の複合体。
態様10. 多孔質炭素足場は、窒素吸着によって求めて、30~60%のミクロ細孔、30~60%のメソ細孔、10%未満のマクロ細孔、および0.1~0.5cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する態様1~6のいずれか1つに記載の複合体。
態様11. 多孔質炭素足場は、窒素吸着によって求めて、40~60%のミクロ細孔、40~60%のメソ細孔、1%未満のマクロ細孔、および0.1~0.5cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する態様1~6のいずれか1つに記載の複合体。
態様12. 粒子骨格密度が1.5~1.8g/cmの範囲である態様1~11のいずれか1つに記載の複合体。
態様13. 多孔質炭素足場は50~200Aの直径を有する細孔10~50%を有し、および200A未満の直径を有する細孔90%以上を有する態様1~6のいずれか1つに記載の複合体。
態様14. ケイ素含有量は25%~65%の範囲である態様1~13のいずれか1つに記載の複合体。
態様15. ケイ素含有量は35%~45%の範囲である態様1~13のいずれか1つに記載の複合体。
態様16. 0.3:1と1:1の間、0.4:1と1:1の間、0.4:1と1:1の間、0.5:1と1:1の間、0.6:1と1:1の間、0.3:1と0.9:1の間、0.3:1と0.8:1の間、または0.3:1と0.7:1の間である炭素足場の細孔容積とケイ素容積の比を有する態様1~15のいずれか1つに記載の複合体。
態様17. 0.3:1~1:1である窒素アクセス不能な細孔容積とケイ素容積の比を有する態様1~15のいずれか1つに記載の複合体。
態様18. 5ミクロン未満の平均粒子寸法を有する態様1~17のいずれか1つに記載の複合体。
態様19. 1ミクロン未満の平均粒子寸法を有する態様18に記載の複合体。
態様20. それぞれの粒子が炭素の表面層を有する複数の粒子を含んでなる態様1~19のいずれか1つに記載の複合体。
態様21. 炭素の表面層は、粒子の総質量の1~20%である態様20に記載の複合体。
態様22. 炭素の表面層は、粒子の総質量の2~10%である態様20に記載の複合体。
態様23. 炭素の表面層は、熱分解された、または部分的に熱分解された伝導性ポリマー材料を含んでなる態様20~22のいずれか1つに記載の複合体。
態様24. 伝導性ポリマー材料はポリアクリロニトリルまたはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含んでなる態様23に記載の複合体。
態様25. 炭素の表面層は黒鉛化可能なカーボンを含んでなる態様20~22のいずれか1つに記載の複合体。
態様26. さらに金属を含む態様1~25のいずれか1つに記載の複合体。
態様27. 金属はアルミニウム、ニッケルまたはマンガンである態様26に記載の複合体。
態様28. 複合体の粒子は、その場TEMによって求めて、10~100%の範囲のリチウム化時の平均膨張を有する態様1~27のいずれか1つに記載の複合体。
態様29. 平均膨張は10~50%の範囲である態様28に記載の複合体。
態様30. 平均膨張は20~30%の範囲である態様29に記載の複合体。
態様31. 複合体は、逐次TEMによって求めて、50nm未満の平均直径を有する複数の粒子を含んでなる態様1~30のいずれか1つに記載の複合体。
態様32. 態様1~31のいずれか1つに記載の複合体を含んでなる電極。
態様33. 電極はアノードである態様32に記載の電極。
態様34. 態様1~31のいずれか1つに記載の複合体または態様32または33に記載の電極を有してなるエネルギー貯蔵デバイス。
態様35. デバイスはリチウムイオン電池である態様34に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
態様36. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
電極は、250~350mAh/cmの範囲の完全リチウム化での体積容量および40%未満の膨張を有する電極。
態様37. 30%未満の膨張を有する態様36に記載の電極。
態様38. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
電極は、350~450mAh/cmの範囲の完全リチウム化での体積容量および60%未満の膨張を有する電極。
態様39. 40%未満の膨張を有する態様38に記載の電極。
態様40. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
電極は、450~600mAh/cmの範囲の完全リチウム化での体積容量および100%未満の膨張を有する電極。
態様41. 80%未満の膨張を有する態様40に記載の電極。
態様42. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
電極は、少なくとも100の充放電サイクルにおいて100%以上の容量保持率を有する電極。
態様43. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
アノードが、リチウムイオンフルセルで試験したときに少なくとも500回の充放電サイクルの間、アノード電極の質量を基準にして400mAh/g超の重量容量を有し、
アノードが予備リチウム化されておらず、
フルセルが、1.05~1.15のアノード:カソード容量比で存在するLiNi0.8Co0.15Al0.05を含むカソードと、10%(w/w)のフルオロエチレンカーボネートを含む2:1(w:w)のエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート溶媒に1M LiPFを含む電解質を有し、
フルセルは、4.2~2.5Vの電圧で25℃で、第1サイクルにおいてC/10に相当する対称充放電電流密度で、続いて20サイクルにおいて1Cに相当する対称充放電電流密度で、後の20サイクル毎にC/10に相当する対称充放電電流密度で、試験され、
各充電の後に電圧は、電流が対称充電電流の半分に達するまで、4.2Vに維持される電極。
態様44. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
少なくとも500の充放電サイクルにわたって、電極は、電極の質量に基づいて、600mAh/g超の重量容量を有する電極。
態様45. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
2Cのサイクルレートでハーフセルにおいて試験された場合に、電極は、400mAh/g超の重量容量を有する電極。
態様46. 重量容量は600mAh/g超である態様45に記載の電極。
態様47. 重量容量は800mAh/g超である態様45に記載の電極。
態様48. 100またはそれ以上の充放電サイクルの後に、重量容量が80%以下で減少する態様45に記載の電極。
態様49. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
電極は、少なくとも1.2g/cmの密度、および少なくとも500の充放電サイクルにおいて400mAh/g超の重量容量を有する電極。
態様50. 密度は少なくとも1.3g/cmである態様49に記載の電極。
態様51. 密度は少なくとも1.4g/cmである態様49に記載の電極。
態様52. 密度は少なくとも1.5g/cmである態様49に記載の電極。
態様53. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
電極は、少なくとも400の充放電サイクルにおいて、電極の総質量に基づいて、対応する黒鉛電極の重量容量より大きい重量容量を有する電極。
態様54. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
電極は、その場TEMによって求めて、10~100%の範囲のリチウム化時の膨張を有する電極。
態様55. 膨張は10~50%の範囲である態様54に記載の電極。
態様56. 膨張は20~30%の範囲である態様54に記載の電極。
態様57. 電極はアノードである態様36~56のいずれか1つに記載の電極。
態様58. カーボン-シリコン複合体は態様1~31のいずれか1つに記載の複合体を含んでなる態様36~56のいずれか1つに記載の電極。
態様59. 電極が電子的におよび/またはイオン的に伝導性のバインダーを含む、態様36~58のいずれか1項に記載の電極。
態様60. バインダーは伝導性ポリマーまたはその部分的に熱分解された形態である態様59に記載の電極。
態様61. 100~2000m/gの表面積、および総細孔容積を有する炭素材料であって、
細孔容積の10%未満がミクロ細孔に存在し、細孔容積の80%超がメソ細孔に存在し、細孔容積の5%未満がマクロ細孔に存在する炭素材料。
態様62. 細孔容積の90%以上はメソ細孔に存在する態様61に記載の炭素材料。
態様63. 細孔容積の5%未満はミクロ細孔に存在する態様61または62に記載の炭素材料。
態様64. 細孔容積の5%未満はマクロ細孔に存在する態様61~63のいずれか1つに記載の炭素材料。
態様65. 100~1000m/gの表面積を有する態様61~64のいずれか1つにに記載の炭素材料。
態様66. 100~500m/gの表面積を有する態様61~64のいずれか1つにに記載の炭素材料。
態様67. 多孔質足場材料およびケイ素を含んでなる複合体の製造方法であって、以下の工程:
a)多孔質足場材料が、50~200Aの直径を有する細孔10~50%、および200A未満の直径を有する細孔90%超を有する多孔質足場材料を作成する工程、
b)多孔質足場材料内にシリコンを含浸させることにより、シリコン含浸の足場材料を得る工程
を有する製造方法。
態様68. 多孔質炭素足場とケイ素とを含む複合材料の製造方法であって、以下の工程:
a.ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
b.得られたポリマー材料を炭化して、50~200Aの直径を有する細孔10~50%、および200A未満の直径を有する細孔90%超を有する多孔質炭素材料を得る工程;および
c.多孔質炭素材料をケイ素含有ガスの存在下で高温に付すことによってシリコン含浸の炭素材料を得る工程
を有する複合材料の製造方法。
態様69. 多孔質炭素足場とケイ素とを含む複合材料を製造する方法であって、以下の工程:
a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、50~200Aの直径を有する細孔10~50%、および200A未満の直径を有する細孔90%超を有する多孔質炭素材料を生成させる工程;
c)ケイ素含有ガスの存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程;および
d)シリコン含浸炭素材料上に炭素層を適用して、炭素被覆されたシリコン含浸炭素材料を得る工程
を有する複合材料の製造方法。
態様70. 多孔質炭素足場とケイ素とを含む複合材料を製造する方法であって、以下の工程:
a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、50~200Aの直径を有する細孔10~50%、および200A未満の直径を有する細孔90%超を有する多孔質炭素材料を生成させる工程;
c)ケイ素含有ガスの存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程;および
d)シリコン含浸炭素材料のまわりに伝導性ポリマーを適用して、伝導性ポリマーネットワーク内に埋設されたシリコン含浸炭素材料を生成する工程
を有する複合材料の製造方法。
態様71. 多孔質炭素足場とケイ素とを含む複合材料を製造する方法であって、以下の工程:
a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
b)得られたポリマー材料を炭化して、50~200Aの直径を有する細孔10~50%、および200A未満の直径を有する細孔90%超を有する多孔質炭素材料を生成させる工程;
c)ケイ素含有ガスの存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程;および
d)シリコン含浸炭素材料上に炭素層を適用して、炭素被覆されたシリコン含浸炭素材料を得る工程
e)炭素被覆されたシリコン含浸炭素材料のまわりに伝導性ポリマーを適用して、炭素被覆され、さらに伝導性ポリマーネットワーク内に埋設されたシリコン含浸炭素材料を生成する工程
を有する複合材料の製造方法。
態様72. ケイ素含有ガスの存在下で300~600℃の温度で反応器において処理することにより、ケイ素の付着を行う態様67~71のいずれか1つに記載の方法。
態様73. ケイ素含有ガスおよび反応器は、管状炉、流動層反応器、回転キルン反応器、エレベータキルンまたはローラーハースキルンである態様72に記載の方法。
態様74. ケイ素含有ガスはシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランである態様72に記載の方法。
態様75. ケイ素含有ガスはシランである態様72に記載の方法。
態様76. 有機ガスの存在下で高温で反応器中の化学蒸着法によって工程(d)によるカーボン層適用を行う態様69または態様71に記載の方法。
態様77. 有機ガスがメタン、エタン、プロパンまたはブタンであり、温度は500~900℃である態様76に記載の方法。
態様78. 有機ガスはプロパンであり、温度は750~850℃である態様77に記載の方法。
態様79. シリコン含浸足場材料またはシリコン含浸炭素材料の製造に先立って多孔質炭素材料または多孔質足場を触媒と接触させることをさらに含む態様67~78のいずれか1つに記載の方法。
態様80. 触媒は金属である態様79に記載の方法。
態様81. 金属はアルミニウム、ニッケルまたはマンガンである態様80に記載の方法。
態様82. 複合材料は態様1~31のいずれか1つに記載の複合体である態様67~81のいずれか1つに記載の方法。
上記の様々な実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わせることができる。発明の開示発明が解決しようとする課題それらが特定の教示および定義と矛盾しない程度まで、2015年8月28日に出願された米国特許出願第62/211,593号および2016年3月22日に出願された米国特許出願6第2/311,794号、本明細書において参照されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許出願、および非特許文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (82)

  1. 多孔質炭素足場およびケイ素を含んでなる複合体であって、
    複合体は、重量で15~85%のケイ素、および0.05~0.5cm/gの範囲の窒素アクセス不能な容積を有し、
    複合体は、ヘリウムピクノメトリーによって測定して、1.5~2.2g/cmの範囲の粒子骨格密度を有する複数の粒子を含んでなる複合体。
  2. 窒素アクセス不能な容積は0.2~0.4cm/gの範囲である請求項1に記載の複合体。
  3. 窒素アクセス不能な容積は0.1~0.3cm/gの範囲である請求項1に記載の複合体。
  4. 骨格密度は1.9~2.2g/cmの範囲である請求項1に記載の複合体。
  5. 骨格密度は1.5~1.8g/cmの範囲である請求項1に記載の複合体。
  6. 1.0~1.5g/cmの範囲のペレット密度を有する請求項1に記載の複合体。
  7. 複合体は、窒素吸着によって求めて、10%未満のミクロ細孔、30%超のメソ細孔、30%超のマクロ細孔、および0.1cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する請求項1に記載の複合体。
  8. 複合体は、窒素吸着によって求めて、30~60%のミクロ細孔、30~60%のメソ細孔、10%未満のマクロ細孔、および0.1cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する請求項1に記載の複合体、
  9. 複合体は、窒素吸着によって求めて、20%未満のミクロ細孔、60%超のメソ細孔、30%未満のマクロ細孔、および0.1cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する請求項1に記載の複合体。
  10. 多孔質炭素足場は、窒素吸着によって求めて、30~60%のミクロ細孔、30~60%のメソ細孔、10%未満のマクロ細孔、および0.1~0.5cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する請求項1に記載の複合体。
  11. 多孔質炭素足場は、窒素吸着によって求めて、40~60%のミクロ細孔、40~60%のメソ細孔、1%未満のマクロ細孔、および0.1~0.5cm/g未満の総細孔容積を有する細孔構造を有する請求項1に記載の複合体。
  12. 粒子骨格密度が1.5~1.8g/cmの範囲である請求項1に記載の複合体。
  13. 多孔質炭素足場は50~200Aの直径を有する細孔10~50%を有し、および200A未満の直径を有する細孔90%以上を有する請求項1に記載の複合体。
  14. ケイ素含有量は25%~65%の範囲である請求項1に記載の複合体。
  15. ケイ素含有量は35%~45%の範囲である請求項1に記載の複合体。
  16. 0.3:1~1:1である炭素足場の細孔容積とケイ素容積の比を有する請求項1に記載の複合体。
  17. 0.3:1~1:1である窒素アクセス不能な細孔容積とケイ素容積の比を有する請求項1に記載の複合体。
  18. 5ミクロン未満の平均粒子寸法を有する請求項1に記載の複合体。
  19. 1ミクロン未満の平均粒子寸法を有する請求項18に記載の複合体。
  20. それぞれの粒子が炭素の表面層を有する複数の粒子を含んでなる請求項1に記載の複合体。
  21. 炭素の表面層は、粒子の総質量の1~20%である請求項20に記載の複合体。
  22. 炭素の表面層は、粒子の総質量の2~10%である請求項20に記載の複合体。
  23. 炭素の表面層は、熱分解された、または部分的に熱分解された伝導性ポリマー材料を含んでなる請求項20に記載の複合体。
  24. 伝導性ポリマー材料はポリアクリロニトリルまたはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含んでなる請求項23に記載の複合体。
  25. 炭素の表面層は黒鉛化可能なカーボンを含んでなる請求項20に記載の複合体。
  26. さらに金属を含む請求項1に記載の複合体。
  27. 金属はアルミニウム、ニッケルまたはマンガンである請求項26に記載の複合体。
  28. 複合体の粒子は、その場TEMによって求めて、10~100%の範囲のリチウム化時の平均膨張を有する請求項1に記載の複合体。
  29. 平均膨張は10~50%の範囲である請求項28に記載の複合体。
  30. 平均膨張は20~30%の範囲である請求項29に記載の複合体。
  31. 複合体は、逐次TEMによって求めて、50nm未満の平均直径を有する複数の粒子を含んでなる請求項1に記載の複合体。
  32. 請求項1~31のいずれか1つに記載の複合体を含んでなる電極。
  33. 電極はアノードである請求項32に記載の電極。
  34. 請求項1~31のいずれか1つに記載の複合体または請求項32または33に記載の電極を有してなるエネルギー貯蔵デバイス。
  35. デバイスはリチウムイオン電池である請求項34に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
  36. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
    電極は、250~350mAh/cmの範囲の完全リチウム化での体積容量および40%未満の膨張を有する電極。
  37. 30%未満の膨張を有する請求項36に記載の電極。
  38. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
    電極は、350~450mAh/cmの範囲の完全リチウム化での体積容量および60%未満の膨張を有する電極。
  39. 40%未満の膨張を有する請求項38に記載の電極。
  40. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
    電極は、450~600mAh/cmの範囲の完全リチウム化での体積容量および100%未満の膨張を有する電極。
  41. 80%未満の膨張を有する請求項40に記載の電極。
  42. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
    電極は、少なくとも100の充放電サイクルにおいて100%以上の容量保持率を有する電極。
  43. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
    アノードが、リチウムイオンフルセルで試験したときに少なくとも500回の充放電サイクルの間、アノード電極の質量を基準にして400mAh/g超の重量容量を有し、
    アノードが予備リチウム化されておらず、
    フルセルが、1.05~1.15のアノード:カソード容量比で存在するLiNi0.8Co0.15Al0.05を含むカソードと、10%(w/w)のフルオロエチレンカーボネートを含む2:1(w:w)のエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート溶媒に1M LiPFを含む電解質を有し、
    フルセルは、4.2~2.5Vの電圧で25℃で、第1サイクルにおいてC/10に相当する対称充放電電流密度で、続いて20サイクルにおいて1Cに相当する対称充放電電流密度で、後の20サイクル毎にC/10に相当する対称充放電電流密度で、試験され、
    各充電の後に電圧は、電流が対称充電電流の半分に達するまで、4.2Vに維持される電極。
  44. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
    少なくとも500の充放電サイクルにわたって、電極は、電極の質量に基づいて、600mAh/g超の重量容量を有する電極。
  45. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
    2Cのサイクルレートでハーフセルにおいて試験された場合に、電極は、400mAh/g超の重量容量を有する電極。
  46. 重量容量は600mAh/g超である請求項45に記載の電極。
  47. 重量容量は800mAh/g超である請求項45に記載の電極。
  48. 100またはそれ以上の充放電サイクルの後に、重量容量が80%以下で減少する請求項45に記載の電極。
  49. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
    電極は、少なくとも1.2g/cmの密度、および少なくとも500の充放電サイクルにおいて400mAh/g超の重量容量を有する電極。
  50. 密度は少なくとも1.3g/cmである請求項49に記載の電極。
  51. 密度は少なくとも1.4g/cmである請求項49に記載の電極。
  52. 密度は少なくとも1.5g/cmである請求項49に記載の電極。
  53. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
    電極は、少なくとも400の充放電サイクルにおいて、電極の総質量に基づいて、対応する黒鉛電極の重量容量より大きい重量容量を有する電極。
  54. カーボン-シリコン複合体を含んでなる電極であって、
    電極は、その場TEMによって求めて、10~100%の範囲のリチウム化時の膨張を有する電極。
  55. 膨張は10~50%の範囲である請求項54に記載の電極。
  56. 膨張は20~30%の範囲である請求項54に記載の電極。
  57. 電極はアノードである請求項36~56のいずれか1つに記載の電極。
  58. カーボン-シリコン複合体は請求項1~31のいずれか1つに記載の複合体を含んでなる請求項36~56のいずれか1つに記載の電極。
  59. 電極が電子的におよび/またはイオン的に伝導性のバインダーを含む、請求項36~56のいずれか1項に記載の電極。
  60. バインダーは伝導性ポリマーまたはその部分的に熱分解された形態である請求項59に記載の電極。
  61. 100~2000m/gの表面積、および総細孔容積を有する炭素材料であって、
    細孔容積の10%未満がミクロ細孔に存在し、細孔容積の80%超がメソ細孔に存在し、細孔容積の5%未満がマクロ細孔に存在する炭素材料。
  62. 細孔容積の90%以上はメソ細孔に存在する請求項61に記載の炭素材料。
  63. 細孔容積の5%未満はミクロ細孔に存在する請求項61に記載の炭素材料。
  64. 細孔容積の5%未満はマクロ細孔に存在する請求項61に記載の炭素材料。
  65. 100~1000m/gの表面積を有する請求項61に記載の炭素材料。
  66. 100~500m/gの表面積を有する請求項61に記載の炭素材料。
  67. 多孔質足場材料およびケイ素を含んでなる複合体の製造方法であって、以下の工程:
    a)多孔質足場材料が、50~200Aの直径を有する細孔10~50%、および200A未満の直径を有する細孔90%超を有する多孔質足場材料を作成する工程、
    b)多孔質足場材料内にシリコンを含浸させることにより、シリコン含浸の足場材料を得る工程
    を有する製造方法。
  68. 多孔質炭素足場とケイ素とを含む複合材料の製造方法であって、以下の工程:
    a.ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
    b.得られたポリマー材料を炭化して、50~200Aの直径を有する細孔10~50%、および200A未満の直径を有する細孔90%超を有する多孔質炭素材料を得る工程;および
    c.多孔質炭素材料をケイ素含有ガスの存在下で高温に付すことによってシリコン含浸の炭素材料を得る工程
    を有する複合材料の製造方法。
  69. 多孔質炭素足場とケイ素とを含む複合材料を製造する方法であって、以下の工程:
    a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
    b)得られたポリマー材料を炭化して、50~200Aの直径を有する細孔10~50%、および200A未満の直径を有する細孔90%超を有する多孔質炭素材料を生成させる工程;
    c)ケイ素含有ガスの存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程;および
    d)シリコン含浸炭素材料上に炭素層を適用して、炭素被覆されたシリコン含浸炭素材料を得る工程
    を有する複合材料の製造方法。
  70. 多孔質炭素足場とケイ素とを含む複合材料を製造する方法であって、以下の工程:
    a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
    b)得られたポリマー材料を炭化して、50~200Aの直径を有する細孔10~50%、および200A未満の直径を有する細孔90%超を有する多孔質炭素材料を生成させる工程;
    c)ケイ素含有ガスの存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程;および
    d)シリコン含浸炭素材料のまわりに伝導性ポリマーを適用して、伝導性ポリマーネットワーク内に埋設されたシリコン含浸炭素材料を生成する工程
    を有する複合材料の製造方法。
  71. 多孔質炭素足場とケイ素とを含む複合材料を製造する方法であって、以下の工程:
    a)ポリマー前駆体材料を混合し、前駆体の重合を可能にするのに十分な温度で時間にわたって貯蔵する工程;
    b)得られたポリマー材料を炭化して、50~200Aの直径を有する細孔10~50%、および200A未満の直径を有する細孔90%超を有する多孔質炭素材料を生成させる工程;
    c)ケイ素含有ガスの存在下で多孔質炭素材料を高温に付して、シリコンを含浸させた炭素材料を形成する工程;および
    d)シリコン含浸炭素材料上に炭素層を適用して、炭素被覆されたシリコン含浸炭素材料を得る工程
    e)炭素被覆されたシリコン含浸炭素材料のまわりに伝導性ポリマーを適用して、炭素被覆され、さらに伝導性ポリマーネットワーク内に埋設されたシリコン含浸炭素材料を生成する工程
    を有する複合材料の製造方法。
  72. ケイ素含有ガスの存在下で300~600℃の温度で反応器において処理することにより、ケイ素の付着を行う請求項67~71のいずれか1つに記載の方法。
  73. ケイ素含有ガスおよび反応器は、管状炉、流動層反応器、回転キルン反応器、エレベータキルンまたはローラーハースキルンである請求項72に記載の方法。
  74. ケイ素含有ガスはシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランである請求項72に記載の方法。
  75. ケイ素含有ガスはシランである請求項72に記載の方法。
  76. 有機ガスの存在下で高温で反応器中の化学蒸着法によって工程(d)によるカーボン層適用を行う請求項69または請求項71に記載の方法。
  77. 有機ガスがメタン、エタン、プロパンまたはブタンであり、温度は500~900℃である請求項76に記載の方法。
  78. 有機ガスはプロパンであり、温度は750~850℃である請求項77に記載の方法。
  79. シリコン含浸足場材料またはシリコン含浸炭素材料の製造に先立って多孔質炭素材料または多孔質足場を触媒と接触させることをさらに含む請求項67~78のいずれか1つに記載の方法。
  80. 触媒は金属である請求項79に記載の方法。
  81. 金属はアルミニウム、ニッケルまたはマンガンである請求項80に記載の方法。
  82. 複合材料は請求項1~31のいずれか1つに記載の複合体である請求項67~81のいずれか1つに記載の方法。
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