JP2024071816A - リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】NaBOB被膜の形成を抑制可能としたリチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】正極活物質31と水酸化リチウム32と酢酸リチウム34とを含む正極合剤層23を備える正極板を製造する正極板製造工程と、負極活物質41とナトリウム塩42とを含む負極合剤層26を備える負極板を製造する負極板製造工程と、正極板と負極板とを収容したケースに、LiBOBを含む非水電解液ELを注液する工程と、を含み、正極板製造工程において添加される水酸化リチウム32のモル数をA、正極板製造工程において形成される酢酸リチウム34のモル数をB、負極板製造工程において添加されるナトリウム塩42のモル数をCとすると、A、B、及びCの値が、0.04≦B/A≦0.06かつ1.9≦B/Cを満たし、酢酸リチウム34は、酢酸ナトリウム50よりも非水電解液ELに対する溶解度が高い。【選択図】図6

Description

本発明は、LiBOBを含む非水電解液を用いるリチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池において、負極合剤層の表面には、SEI被膜(Solid Electrolyte Interface)が形成される。SEI被膜は、その生成過程でリチウムイオンを取り込む。そのため、充放電の繰り返しや電池の長期保存によってSEI被膜が厚くなると、充放電に寄与するリチウムイオンが減少することで電池容量が低下する。
この問題に対しては、非水電解液にリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB、LiB(C)を添加する技術が知られている。非水電解液にLiBOBを添加することで、LiBOBから電離したビスオキサレートボラートイオン(BOBイオン,B(C)2)に由来した安定的な被膜を負極活物質粒子の粒子表面に形成することができる。これにより、SEI被膜の成長を抑制できる(特許文献1参照)。
特開2013-225440号公報
一方、LiBOBから電離したBOBイオンは、負極合剤層に含まれるナトリウムイオンと反応することで、負極合剤層の表面にNaBOB被膜を形成する。ナトリウムイオンは、例えば、負極合剤層において、分散剤兼増粘剤として用いられるカルボキシメチルセルロース(CMC)に由来する。NaBOB被膜は、負極合剤層の抵抗を増加させる一因であることから、その形成を抑制することが望まれる。
上記課題を解決するためのリチウムイオン二次電池の製造方法は、水酸化リチウムを含む正極活物質と有機酸とが添加された正極合剤ペーストを前駆体とした正極合剤層を正極基材に形成することで正極板を製造する正極板製造工程と、ナトリウム塩が添加された負極合剤ペーストを前駆体とした負極合剤層を負極基材に形成することで負極板を製造する負極板製造工程と、前記正極板と前記負極板とを備える電極体を収容したケースに、LiBOBを含む非水電解液を注液する注液工程と、を含み、前記正極板製造工程において、前記正極合剤層には、前記水酸化リチウムに由来するリチウムイオン及び前記有機酸に由来する有機酸イオンからなる第1有機酸塩が形成され、前記正極板製造工程において添加される前記水酸化リチウムのモル数をA、前記正極板製造工程において形成される前記第1有機酸塩のモル数をB、前記負極板製造工程において添加される前記ナトリウム塩のモル数をCとすると、A、B、及びCの値が、0.04≦B/A≦0.06かつ1.9≦B/Cを満たし、前記第1有機酸塩は、前記第1有機酸塩を構成する有機酸イオンと同種の有機酸イオン及びナトリウムイオンからなる第2有機酸塩よりも前記非水電解液に対する溶解度が高い。
非水電解液に含まれるLiBOBから電離するBOBイオンは、非水電解液に含まれる他の成分よりも拡散速度が遅い。そのため、非水電解液を注液した直後には、負極合剤層に含まれるナトリウム塩から電離したナトリウムイオンが、正極合剤層に含まれる第1有機酸塩から電離した有機酸イオンと反応して第2有機酸塩が生成される。このとき、第1有機酸塩が第2有機酸塩よりも非水電解液に対する溶解度が高いことで、第2有機酸塩は、第1有機酸塩と比較して析出し易い状態となる。その結果、非水電解液に含まれる他の成分よりも遅れて含浸するBOBイオンが到達した際には、非水電解液に含まれるナトリウムイオンが少ない状態となる。そのため、ナトリウムイオンとBOBイオンとの反応によるNaBOB被膜の形成が抑制される。このとき、負極合剤ペーストに添加されるナトリウム塩のモル数に対する正極合剤層に含まれる第1有機酸塩のモル数の割合であるB/Cの値が1.9≦B/Cを満たすことで、非水電解液に含まれるナトリウムイオンを好適に減少させることができる。結果として、NaBOB被膜の形成に伴う抵抗の増加を抑制できる。
また、正極合剤ペーストにおいて、水酸化リチウムの一部は、有機酸と反応することによって中和される。正極合剤ペーストにおいて、水酸化リチウムの含有率が過剰に高い場合、正極合剤ペーストのゲル化が生じ易くなる。一方で、有機酸の含有率が過剰に高い場合、正極合剤ペーストのチクソ性が失われることで、正極合剤ペーストに含まれる成分の沈降が生じ易くなる。その場合には、正極板に形成された正極合剤層の結着不良が生じ易くなる。したがって、有機酸の添加量は、水酸化リチウムの一部が有機酸によって中和された状態で、正極合剤ペーストにゲル化及び沈降の何れもが生じないように制御する必要がある。B/Aは、正極合剤ペーストに添加された水酸化リチウムのモル数に対する水酸化リチウムを中和する有機酸イオンのモル数の割合に相当する。そのため、B/Aの値が0.04≦B/A≦0.06を満たすことで、水酸化リチウムの一部が有機酸によって中和された状態においても、正極合剤ペーストにおけるゲル化の抑制、及び、沈降の抑制が可能となる。
上記製造方法において、前記有機酸は、酢酸もしくは無水酢酸であることが好ましい。
有機酸として酢酸もしくは無水酢酸を用いた場合、第1有機酸塩が酢酸リチウムであって、第2有機酸塩が酢酸ナトリウムである。この場合、第1有機酸塩における非水電解液に対する溶解度を、第2有機酸塩における非水電解液に対する溶解度よりも高くすることができる。
上記製造方法において、前記注液工程では、10℃以上20℃以下の前記非水電解液を注液することが好ましい。
ケースに注液される非水電解液の温度を20℃以下とすることで、非水電解液に対する第2有機酸塩の溶解度がより低下するため、第2有機酸塩の析出が促進される。その結果、非水電解液中のナトリウムイオンの濃度がより低下するため、NaBOB被膜の形成が好適に抑制される。ケースに注液される非水電解液の温度を10℃以上とすることで、非水電解液の流動性が過剰に低下することに伴う非水電解液の含浸ムラを抑制できる。
上記製造方法において、前記非水電解液は、エチレンカーボネートと、ジメチルカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、を含むことが好ましい。
仮に、非水電解液の溶媒として、エチレンカーボネートのみを採用した場合では、エチレンカーボネートの融点が高いことから、非水電解液の温度を10℃以上20℃以下とした場合には、非水電解液の流動性が過剰に低下した状態となる場合がある。この点、エチレンカーボネートと、ジメチルカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、を混合した非水電解液を用いることで、非水電解液の温度を10℃以上20℃以下とした場合であっても、適正な流動性を保つことができる。
上記課題を解決するためのリチウムイオン二次電池は、正極板と負極板とを備える電極体と、LiBOBを含む非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、前記正極板に含まれる水酸化リチウムと、有機酸成分と、ナトリウム成分と、を含み、前記有機酸成分は、有機酸イオン及びナトリウムイオンからなる第1有機酸塩、及び、前記第1有機酸塩から電離した有機酸イオンのうち少なくとも一方と、前記第1有機酸塩から電離した有機酸イオン及びナトリウムイオンからなる第2有機酸塩と、であり、前記ナトリウム成分は、前記第2有機酸塩、または、前記第2有機酸塩と、前記負極板に含まれるナトリウム塩、及び、前記ナトリウム塩から電離したナトリウムイオンのうち少なくとも一方と、であり、前記水酸化リチウムのモル数と、前記有機酸成分のモル数と、の和をA、前記有機酸成分のモル数をB、前記ナトリウム成分のモル数をCとすると、A、B、及びCの値が、0.04≦B/A≦0.06かつ1.9≦B/Cを満たし、前記第1有機酸塩は、前記第2有機酸塩よりも前記非水電解液に対する溶解度が高い。
上記構成によれば、リチウムイオン二次電池に含まれるナトリウム成分のモル数に対する有機酸成分のモル数の割合であるB/Cの値が1.9≦B/Cを満たすことで、非水電解液に含まれるナトリウムイオンを好適に減少させることができる。結果として、NaBOBの形成に伴う抵抗の増加を抑制できる。また、正極合剤層に含まれる水酸化リチウムのモル数と有機酸成分のモル数との和に対する有機酸成分のモル数の割合であるB/Aの値が0.04≦B/A≦0.06を満たすことで、正極合剤ペーストにおけるゲル化の抑制、及び、沈降の抑制が可能となる。
本発明によれば、LiBOBを含む非水電解液を用いるリチウムイオン二次電池において、NaBOB被膜の形成を抑制できる。
図1は、リチウムイオン二次電池の斜視図である。 図2は、電極体を展開した状態を示す斜視図である。 図3は、図2のIII-III線から見た断面図である。 図4は、リチウムイオン二次電池の製造工程を示すフローチャートである。 図5は、正極合剤ペーストの混練時における余剰リチウムと有機酸との反応を表す模式図である。 図6は、非水電解液を注液した直後において、正極合剤層に含まれる成分と負極合剤層に含まれる成分との反応を表す模式図である。 図7は、非水電解液を注液した後にBOBイオンが遅れて到達した状態において、正極合剤層及び負極合剤層に含まれる各成分の状態を表す模式図である。 図8は、実施例及び比較例におけるA~Cの値、及び評価結果を示す表である。 図9は、実施例及び比較例におけるB/Cの値に対する反応抵抗を表すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について図1~図7を参照して説明する。
[リチウムイオン二次電池]
図1に示すように、リチウムイオン二次電池10は、ケース11と電極体20とを備える。ケース11は、上側に開口を有した偏平な有底角型の外形を有する。ケース11は、電極体20と非水電解液とを収容する。蓋体12は、ケース11の開口を閉塞する。ケース11は、蓋体12を取り付けることで直方体形状の密閉された電槽を構成する。
蓋体12には、正極の外部端子13Aと負極の外部端子13Bとが設けられる。電極体20における正極側の端部である正極側集電部20Aは、正極側集電部材14Aを介して正極の外部端子13Aに電気的に接続される。電極体20における負極側の端部である負極側集電部20Bは、負極側集電部材14Bを介して負極の外部端子13Bに電気的に接続される。蓋体12は、非水電解液を注入するための注入口15を備える。なお、外部端子13A,13Bの形状は、図1に示す形状に限定されず、任意の形状でよい。
[電極体]
図2に示すように、電極体20は、正極板21と負極板24とがセパレータ27を介して積層された積層体を捲回した偏平な捲回体である。正極板21、負極板24、及びセパレータ27は、それぞれの長手となる方向が長手方向D1と一致するように積層される。電極体20は、セパレータ27を挟んで積層された正極板21と負極板24とが、その帯形状の幅方向D2に沿って延びる捲回軸L1の周りに捲回された構造を有している。
図3に示すように、電極体20は、積層方向D3において、正極板21、セパレータ27、負極板24、及びセパレータ27が、この順に積層される。なお、積層方向D3は、長手方向D1と幅方向D2とを含む面に対して直交する方向である。
[正極板]
正極板21は、正極基材22と、正極合剤層23とを備える。正極基材22は、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金から構成される金属箔が用いられる。正極合剤層23は、正極基材22の相反する方向に面する2つの面の各々に設けられる。正極基材22は、幅方向D2の一端に、正極合剤層23が形成されずに正極基材22が露出した正極側未塗工部22Aを備える。正極基材22が備える正極側未塗工部22Aは、捲回体の状態において、向かい合う部分が互いに圧接されて正極側集電部20Aを構成する。
正極合剤層23は、正極活物質、正極導電剤、及び正極結着剤を含む。正極合剤層23の前駆体となる正極合剤ペーストは、さらに正極溶媒を含む。正極溶媒の一例は、有機溶媒の一例であるNMP(N-メチル-2-ピロリドン)溶液である。
正極活物質は、リチウムイオン二次電池10における電荷担体であるリチウムイオンを吸蔵及び放出可能なリチウム含有複合金属酸化物が用いられる。リチウム含有複合酸化物は、リチウムと、リチウム以外の他の金属元素とを含む酸化物である。リチウム以外の他の金属元素は、例えば、ニッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、マグネシウム、モリブデン、ニオブ、チタン、タングステン、アルミニウム、リチウム含有複合酸化物にリン酸鉄として含有される鉄からなる群から選択される少なくとも一種である。正極活物質は、さらに余剰リチウムを含む。余剰リチウムは、正極活物質に不可避的に含まれる水酸化リチウム(LiOH)である。
例えば、リチウム含有複合酸化物は、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)である。例えば、リチウム含有複合酸化物は、ニッケル、コバルト及びマンガンを含有する三元系リチウム含有複合酸化物(NCM)であって、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNiCoMnO)である。例えば、リチウム含有複合酸化物は、リン酸鉄リチウム(LiFePO)である。
正極導電剤は、例えば、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノファイバ等の炭素繊維、黒鉛が用いられる。正極結着剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリビニルアルコール(PVA)からなる群から選択される少なくとも一種である。
なお、正極板21は、正極側未塗工部22Aと正極合剤層23との境界に、絶縁層を備えてもよい。絶縁層は、絶縁性を有した無機成分と、結着材として機能する樹脂成分とを含む。無機成分は、粉末状のベーマイト、チタニア、及びアルミナからなる群から選択される少なくとも1つである。樹脂成分は、PVDF、PVA、アクリルからなる群から選択される少なくとも1つである。
[負極板]
負極板24は、負極基材25と、負極合剤層26とを備える。負極基材25は、銅または銅を主成分とする合金から構成される金属箔が用いられる。負極合剤層26は、負極基材25の相反する方向に面する2つの面の各々に設けられる。負極基材25は、幅方向D2の一端であって、正極側未塗工部22Aと反対に位置する端部において、負極合剤層26が形成されずに負極基材25が露出した負極側未塗工部25Aを備える。負極側未塗工部25Aは、捲回体の状態において、向かい合う部分が互いに圧接されて負極側集電部20Bを構成する。
負極合剤層26は、負極活物質、負極導電剤、負極増粘剤、及び負極結着剤を含む。また、負極合剤層26の前駆体となる負極合剤ペーストは、さらに負極溶媒を含む。負極溶媒は、一例として、水である。
負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料である。負極活物質は、例えば、黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、カーボンナノチューブ等の炭素材料等が用いられる。負極活物質は、黒鉛粒子を非晶質炭素層で被覆した複合化粒子であってもよい。
負極導電剤は、例えば、正極導電剤と同様のものを用いることができる。負極増粘剤は、一例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いることができる。なお、CMCは、ナトリウム塩を含む添加剤の一例である。また、CMCは、負極合剤ペーストにおいて負極活物質を分散させるための分散剤としても機能する。負極結着剤は、例えば、PVDF、PVA、スチレンブタジエンラバー(SBR)、及びスチレンアクリル酸系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である。負極結着剤のうちSBRなどのナトリウム塩を含む成分は、ナトリウム塩を含む添加剤の一例である。
[セパレータ]
セパレータ27は、正極板21と負極板24との接触を防ぐとともに、正極板21及び負極板24の間で非水電解液を保持する。非水電解液に電極体20を浸漬させると、セパレータ27の端部から中央部に向けて非水電解液が浸透する。
セパレータ27は、ポリプロピレン製等の多孔性の不織布である。セパレータ27としては、例えば、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、及びイオン導電性ポリマー電解質膜等を用いることができる。
[非水電解液]
非水電解液は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。非水溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートからなる群から選択された一種または二種以上の材料である。支持塩は、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等から選択される一種または二種以上のリチウム化合物である。
本実施形態の非水電解液は、一例として、非水溶媒としてエチレンカーボネートと、ジメチルカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、を含む。非水電解液は、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートの質量比が1:1:1であることが好ましい。
非水電解液には、被膜形成剤が添加される。被膜形成剤は、例えば、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)である。例えば、非水電解液におけるLiBOBの濃度が0.001以上0.1以下[mol/L]となるように、非水電解液にLiBOBを添加する。
[有機酸成分]
正極合剤ペーストには、上述した原材料に加えて有機酸が添加される。リチウムイオン二次電池10は、正極合剤ペーストに添加された有機酸に由来する有機酸成分を含む。有機酸成分は、非水電解液中に溶解してイオンの状態で存在するか、もしくは、有機酸塩として電極体20に析出した状態で存在する。
有機酸成分の一例は、正極合剤ペーストに添加された有機酸と余剰リチウムとしての水酸化リチウムとの中和反応によって正極合剤層23に析出した第1有機酸塩である。有機酸は、例えば、酢酸(CHCOOH)もしくは無水酢酸((CHCO)O)である。この場合、第1有機酸塩は、酢酸リチウム(CHCOOLi)である。有機酸成分の一例は、上述した第1有機酸塩から電離した有機酸イオンである。例えば、有機酸が酢酸もしくは無水酢酸である場合、有機酸イオンは、酢酸イオン(CHCOO)である。有機酸成分の一例は、上述した有機酸イオンとナトリウムイオンとの塩である第2有機酸塩である。例えば、有機酸が酢酸である場合、第2有機酸塩は、酢酸ナトリウム(CHCOONa)である。ナトリウムイオンは、例えば、負極合剤ペーストに負極増粘剤として添加された添加剤に含まれるナトリウム塩に由来する。
リチウムイオン二次電池10では、有機酸成分として、少なくとも第2有機酸塩を含むとともに、第1有機酸塩及び有機酸イオンのうち少なくとも一方を含む。例えば、第1有機酸塩を含む正極合剤層23と非水電解液とが接触すると、第1有機酸塩から有機酸イオンが電離する。なお、例えば、正極合剤層23のうち正極基材22に近い側などのように、正極合剤層23のうち非水電解液が接触しづらい箇所において第1有機酸塩が溶解せずに存在してもよい。また、正極合剤層23に含まれる全ての第1有機酸塩が非水電解液に溶解してもよい。そして、第1有機酸塩から電離した有機酸イオンの少なくとも一部がナトリウムイオンと反応することで第2有機酸塩が形成される。なお、第1有機酸塩から電離した有機酸イオンが少ない場合には、第1有機酸塩から電離した有機酸イオンが第2有機酸塩として析出することで、非水電解液中に有機酸イオンが存在していなくてもよい。
[ナトリウム成分]
リチウムイオン二次電池10は、ナトリウム成分を含む。ナトリウム成分は、非水電解液において、イオンの状態で存在するか、もしくは、ナトリウム塩として電極体20に析出した状態で存在する。ナトリウム成分の一例は、負極合剤ペーストに添加された添加剤に含まれるナトリウム塩である。ナトリウム成分の一例は、当該ナトリウム塩から電離したナトリウムイオンである。ナトリウム成分の一例は、当該ナトリウムイオンと有機酸イオンとの塩である第2有機酸塩である。すなわち、第2有機酸塩は、有機酸成分であるとともにナトリウム成分でもある。
リチウムイオン二次電池10は、ナトリウム成分として少なくとも第2有機酸塩を含む。なお、リチウムイオン二次電池10は、ナトリウム成分として第2有機酸塩とともに、負極合剤ペーストに添加されたナトリウム塩及びナトリウムイオンのうち少なくとも一方を含んでもよい。例えば、ナトリウム塩を含む負極合剤層26と非水電解液とが接触すると、ナトリウム塩からナトリウムイオンが電離する。なお、負極合剤層26のうち負極基材25に近い側などのように、負極合剤層26のうち非水電解液が接触しづらい箇所においてナトリウム塩が溶解せずに存在していてもよい。また、負極合剤層26に含まれる全てのナトリウム塩が非水電解液に溶解してもよい。そして、ナトリウム塩から電離したナトリウムイオンの少なくとも一部が酢酸イオンと反応することで第2有機酸塩が形成される。なお、ナトリウム塩から電離したナトリウムイオンが全て第2有機酸塩として析出することで、非水電解液中にナトリウムイオンが存在していなくてもよい。また、第1有機酸塩から電離した有機酸イオンが局所的に少ない場合などには、非水電解液中にナトリウムイオンが存在していてもよい。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
図4に示すように、リチウムイオン二次電池10の製造方法は、ステップS1~S4を含む。ステップS1は、正極板21を製造する正極板製造工程である。ステップS1の正極板製造工程は、正極合剤ペーストの原材料を混錬することで正極合剤ペーストを製造する工程と、正極基材22に塗工した正極合剤ペーストを乾燥させた後、適切な厚さとなるようにプレスすることで正極合剤層23を形成する工程とを含む。以上の工程により、正極板21が製造される。
ステップS2は、負極板24を製造する負極板製造工程である。ステップS2の負極板製造工程は、負極合剤ペーストの原材料を混錬することで負極合剤ペーストを製造する工程と、負極基材25に塗工した負極合剤ペーストを乾燥させた後、適切な厚さとなるようにプレスすることで負極合剤層26を形成する工程とを含む。以上の工程により、負極板24を製造する。なお、ステップS1及びステップS2を行う順序は特に限定されず、例えば、ステップS2の後にステップS1を行ってもよいし、ステップS1及びステップS2を並行して行ってもよい。
ステップS3は、正極板21と負極板24とセパレータ27とを用いて電極体20を製造する工程である。ステップS3では、まず、正極板21と負極板24とをセパレータ27を介して積層した状態で捲回した後、さらに、偏平に押圧する。次いで、正極側未塗工部22Aを圧接して正極側集電部20Aを形成する。同様に、負極側未塗工部25Aを圧接して負極側集電部20Bを形成する。以上の手順により、電極体20が製造される。
ステップS4は、電極体20をケース11内に収容する工程と、非水電解液を注液する注液工程とを含む。ステップS4では、正極側集電部20Aは、正極側集電部材14Aを介して正極の外部端子13Aと電気的に接続される。負極側集電部20Bは、負極側集電部材14Bを介して負極の外部端子13Bと電気的に接続される。ケース11の上部の開口は、蓋体12によって塞がれる。そして、ケース11内に収容された電極体20を乾燥させた後、非水電解液が注液される。注液される非水電解液の温度は、10℃以上20℃以下が好ましい。その後、エージングや初充電工程を経ることによって、リチウムイオン二次電池10が製造される。
[実施形態の作用]
以下、図5~図7を参照して本実施形態の作用を説明する。
[正極合剤ペーストにおいて生じる反応]
図5は、ステップS1において、正極合剤ペースト23Pを混錬する際の状態を模式的に表す。正極合剤ペースト23Pには、原材料として正極活物質31と、有機酸の一例である酢酸33とが添加される。正極活物質31は、余剰リチウムとして水酸化リチウム32を含む。
正極合剤ペースト23Pでは、水酸化リチウム32の一部が酢酸33によって中和されることで、第1有機酸塩の一例である酢酸リチウム34が生成される。すなわち、正極合剤ペースト23Pでは、水酸化リチウム32から電離するリチウムイオン32Aと、酢酸33から電離する酢酸イオン33Aとが反応することで酢酸リチウム34が生成される。酢酸リチウム34は、リチウムイオン32A及び酢酸イオン33Aからなる塩である。また、酢酸イオン33Aは、酢酸リチウム34を構成する有機酸イオンの一例である。
正極合剤ペースト23Pにおいて、水酸化リチウム32の含有率が過剰に高い場合、正極合剤ペースト23Pがゲル化し易くなる。一方で、酢酸33の含有率が過剰に高い場合、正極合剤ペースト23Pのチクソ性が失われることで、正極合剤ペースト23Pに含まれる成分の沈降が生じ易くなる。その場合には、正極板21に形成された正極合剤層23の結着不良が生じ易くなる。したがって、正極合剤ペースト23Pにおける酢酸33の添加量は、水酸化リチウム32の一部が酢酸33によって中和された状態で、正極合剤ペースト23Pにゲル化及び沈降の何れもが生じないように制御する必要がある。
ステップS1の正極板製造工程において、正極合剤ペースト23Pに添加された水酸化リチウム32のモル数をA[mol]とする。また、正極板製造工程において、水酸化リチウム32から電離するリチウムイオン32Aと酢酸33から電離する酢酸イオン33Aとの反応によって正極合剤層23に形成される酢酸リチウム34のモル数をB[mol]とする。このとき、B/Aの値が0.04≦B/A≦0.06を満たすように、酢酸33の添加量が決定される。
B/Aの値が0.04≦B/Aを満たすことで、水酸化リチウム32の含有率が過剰に高くなることに伴う正極合剤ペースト23Pのゲル化を抑制できる。また、B/Aの値がB/A≦0.06を満たすことで、水酸化リチウム32の含有率が過剰に低くなることに伴って正極合剤ペースト23Pに含まれる成分が沈降することを抑制できる。したがって、B/Aの値が0.04≦B/A≦0.06を満たすことで、水酸化リチウム32の一部が酢酸33によって中和された状態においても、正極合剤ペースト23Pにおけるゲル化の抑制、及び、沈降の抑制が可能となる。
[非水電解液を注液した直後に生じる反応]
図6は、ステップS4において、ケース11に非水電解液ELを注液した直後の状態であって、電極体20に非水電解液ELが含浸した状態を模式的に表す。非水電解液ELに含まれるLiBOBから電離したBOBイオンは、非水電解液ELに含まれる他の成分と比較してイオン拡散速度が遅い。そのため、非水電解液ELを注液した直後の状態では、非水電解液ELに含まれるBOBイオン以外の成分が電極体20に含浸する。なお、非水電解液ELを注液する前の電極体20の状態において、正極合剤層23は、正極活物質31と、水酸化リチウム32と、酢酸リチウム34とを含む。また、非水電解液ELを注液する前の電極体20の状態において、負極合剤層26は、負極活物質41と、ナトリウム塩42とを含む。
電極体20に非水電解液ELが含浸すると、正極合剤層23に含まれる酢酸リチウム34からリチウムイオン32Aと酢酸イオン33Aとが電離する。また、負極合剤層26中のナトリウム塩42からナトリウムイオン42Aが電離する。そして、酢酸イオン33Aとナトリウムイオン42Aとが反応することで、酢酸ナトリウム50が生成される。酢酸ナトリウム50は、酢酸イオン33A及びナトリウムイオン42Aからなる塩である。酢酸ナトリウム50は、酢酸リチウム34を構成する有機酸イオンである酢酸イオン33Aと同種の有機酸イオンを含む塩である。
酢酸リチウム34が酢酸ナトリウム50よりも非水電解液ELに対する溶解度が高いことから、酢酸ナトリウム50は、酢酸リチウム34と比較して析出し易い状態となる。結果として、非水電解液ELに含まれるナトリウムイオン42Aが少ない状態となる。
[BOBイオン到達後の状態]
図7は、ステップS4において、ケース11に非水電解液ELを注液した後の状態であって、非水電解液ELに含まれるBOBイオン51が遅れて到達した状態を模式的に表す。上述したように、非水電解液ELに含まれるBOBイオン51が遅れて到達した際には、負極合剤層26に含まれるナトリウム塩42が酢酸ナトリウム50として析出している。そのため、非水電解液ELに含まれるナトリウムイオン42Aが少ない状態となる。したがって、ナトリウムイオン42AとBOBイオン51との反応によるNaBOB被膜の形成を抑制することができる。
ステップS2の負極板製造工程において、負極合剤ペーストに添加されるナトリウム塩42のモル数をC[mol]とする。このとき、負極合剤ペーストに添加されるナトリウム塩42のモル数に対する正極合剤ペースト23Pにおいて生じる酢酸リチウム34のモル数の割合であるB/Cの値が、1.9≦B/Cを満たすように、酢酸33の添加量が決定される。したがって、正極合剤ペースト23Pへの酢酸33の添加量は、A、B、及びCの値が、0.04≦B/A≦0.06かつ1.9≦B/Cを満たすように決定される。B/Cが、1.9≦B/Cを満たすことで、NaBOBの形成に伴う抵抗の増加を好適に抑制できる。
ステップS4の注液工程において、ケース11に注液される非水電解液ELの温度を20℃以下とすることで、非水電解液ELに対する酢酸ナトリウム50の溶解度がより低下するため、酢酸ナトリウム50の析出が促進される。その結果、非水電解液EL中のナトリウムイオン42Aの濃度がより低下するため、NaBOB被膜の形成が好適に抑制される。ケース11に注液される非水電解液ELの温度を10℃以上とすることで、非水電解液ELの流動性が過剰に低下することに伴う非水電解液ELの含浸ムラを抑制できる。
仮に、非水溶媒として、エチレンカーボネートのみを採用した場合では、エチレンカーボネートの融点が高いことから、非水電解液ELの温度を10℃以上20℃以下とした場合には、非水電解液ELの流動性が過剰に低下した状態となる場合がある。この点、非水溶媒としてエチレンカーボネートと、ジメチルカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、を混合した非水電解液ELを用いることで、非水電解液ELの温度を10℃以上20℃以下とした場合であっても、適正な流動性を保つことができる。
[A~Cの値について]
以下、正極合剤ペースト23Pに添加された水酸化リチウム32のモル数であるA[mol]の値について詳述する。なお、Aの値は、原材料として用いられる正極活物質31に含まれる水酸化リチウム32に対してWinkler法等の滴定によって測定できる。
ステップS1の正極板製造工程において形成される正極合剤層23は、正極合剤ペースト23Pに添加された水酸化リチウム32の一部が酢酸33によって中和された状態である。したがって、Aの値は、正極合剤ペースト23Pに添加された水酸化リチウム32のうち、酢酸33によって中和されていない水酸化リチウム32のモル数と酢酸33によって中和された水酸化リチウム32のモル数との和に相当する。言い換えれば、Aの値は、正極合剤層23に含まれる水酸化リチウム32のモル数と酢酸リチウム34のモル数との和に相当する。なお、ステップS1の正極板製造工程において形成される正極合剤層23に含まれる有機酸成分は、酢酸リチウム34である。
リチウムイオン二次電池10の状態では、Aの値は、リチウムイオン二次電池10の状態において、正極合剤層23に含まれる水酸化リチウム32のモル数と、リチウムイオン二次電池10に含まれる有機酸成分のモル数との和に相当する。リチウムイオン二次電池10に含まれる有機酸成分は、酢酸イオン33A及び酢酸リチウム34のうち少なくとも一方、及び、酢酸ナトリウム50である。すなわち、正極板製造工程において正極合剤層23に形成された酢酸リチウム34は、リチウムイオン二次電池10の状態において、全てが非水電解液ELに溶解していてもよいし、一部が溶解せずに正極合剤層23中に存在してもよい。また、酢酸リチウム34から電離した酢酸イオン33Aは、全てが酢酸ナトリウム50として析出してもよいし、非水電解液EL中に存在していてもよい。
なお、リチウムイオン二次電池10の状態では、正極合剤層23に含まれる水酸化リチウム32のモル数と、有機酸成分のモル数とを各別に測定することによってAの値を測定できる。例えば、リチウムイオン二次電池10の状態において正極合剤層23に含まれる水酸化リチウム32のモル数は、Winkler法等の滴定によって測定できる。また、リチウムイオン二次電池10に含まれる有機酸成分のモル数は、非水電解液ELの温度を上昇させることで全ての有機酸成分を非水電解液ELに溶解させた状態とした後に、Winkler法等の滴定を行うことで測定できる。
以下、ステップS1の正極板製造工程において正極合剤層23に形成される酢酸リチウム34のモル数であるB[mol]の値について詳述する。Bの値は、正極合剤ペースト23Pに含まれる水酸化リチウム32を中和する酢酸イオン33Aのモル数の割合に相当する。例えば、有機酸として酢酸33を用いる場合、1molの無水酢酸から1molの酢酸イオン33Aが電離する。そのため、正極板製造工程において正極合剤層23に形成される酢酸リチウム34のモル数B[mol]は、正極合剤ペースト23Pに添加される酢酸33のモル数と等しい。例えば、有機酸として無水酢酸を用いる場合、1molの無水酢酸から2molの酢酸イオン33Aが電離する。そのため、正極板製造工程において正極合剤層23に形成される酢酸リチウム34のモル数B[mol]は、正極合剤ペースト23Pに添加される無水酢酸のモル数の2倍となる。したがって、Bの値は、正極合剤ペースト23Pに添加する有機酸の添加量(モル数)から算出することができる。
リチウムイオン二次電池10の状態では、Bの値は、リチウムイオン二次電池10の状態において、リチウムイオン二次電池10に含まれる有機酸成分のモル数に相当する。したがって、Aの値は、リチウムイオン二次電池10の状態において、正極合剤層23に含まれる水酸化リチウム32のモル数と、Bの値との和に相当する。なお、リチウムイオン二次電池10でのBの値は、上述の通り、非水電解液ELの温度を上昇させることで全ての有機酸成分を非水電解液ELに溶解させた状態とした後に、Winkler法等の滴定を行うことで測定できる。
以下、ステップS2の負極板製造工程において負極合剤ペーストに添加されるナトリウム塩42のモル数であるC[mol]の値について詳述する。なお、Cの値は、例えば、負極合剤層26の一部を切り出した試料に対して誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を行うことで測定できる。
リチウムイオン二次電池10の状態では、Cの値は、リチウムイオン二次電池10の状態において、リチウムイオン二次電池10に含まれるナトリウム成分のモル数に相当する。リチウムイオン二次電池10に含まれるナトリウム成分は、少なくとも酢酸ナトリウム50である。リチウムイオン二次電池10は、さらに、ナトリウム成分としてナトリウム塩42及びナトリウムイオン42Aのうち少なくとも一方を含んでもよい。言い換えれば、リチウムイオン二次電池10に含まれるナトリウム成分は、酢酸ナトリウム50、または、酢酸ナトリウム50に加えて、ナトリウム塩42及びナトリウムイオン42Aのうち少なくとも一方である。すなわち、負極板製造工程において負極合剤ペーストに添加されるナトリウム塩42の全てが非水電解液ELに溶解するとともに、ナトリウム塩42から電離したナトリウムイオン42Aの全てが酢酸ナトリウム50として析出してもよい。また、ナトリウム塩42から電離したナトリウムイオン42Aの一部が非水電解液EL中に存在していてもよいし、負極合剤層26に含まれるナトリウム塩42の一部が溶解せずに負極合剤層26中に存在していてもよい。
なお、リチウムイオン二次電池10でのCの値は、非水電解液ELの温度を上昇させることで全てのナトリウム成分を非水電解液ELに溶解させた状態とした後に、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を行うことで測定できる。
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)正極合剤ペースト23Pに酢酸33を添加することで、正極合剤層23に酢酸リチウム34が形成される。この状態で非水電解液ELを注液すると、負極合剤層26に含まれるナトリウム塩42から電離したナトリウムイオン42Aが酢酸リチウム34から電離した酢酸イオン33Aと反応して酢酸ナトリウム50が生成される。このとき、酢酸リチウム34が酢酸ナトリウム50よりも非水電解液ELに対する溶解度が高いことで、酢酸ナトリウム50は、酢酸リチウム34と比較して析出し易い状態となる。その結果、非水電解液ELに含まれる他の成分よりも遅れて含浸するBOBイオン51が到達した際には、非水電解液ELに含まれるナトリウムイオン42Aが少ない状態となる。そのため、ナトリウムイオン42AとBOBイオン51との反応によるNaBOB被膜の形成を抑制できる。
(2)B/Cの値が1.9≦B/Cを満たすことで、非水電解液ELに含まれるナトリウムイオン42Aを好適に減少させることができる。結果として、NaBOB被膜の形成に伴う抵抗の増加を抑制できる。
(3)B/Aの値が0.04≦B/A≦0.06を満たすことで、水酸化リチウム32の一部が酢酸33によって中和された状態においても、正極合剤ペースト23Pにおけるゲル化の抑制、及び、沈降の抑制が可能となる。
(4)有機酸として酢酸33を用いた場合、第1有機酸塩が酢酸リチウム34であって、第2有機酸塩が酢酸ナトリウム50である。この場合、第1有機酸塩における非水電解液ELに対する溶解度を、第2有機酸塩における非水電解液ELに対する溶解度よりも高くすることができる。なお、有機酸として無水酢酸を用いた場合も同様である。
(5)ケース11に注液される非水電解液ELの温度を20℃以下とすることで、酢酸ナトリウム50の析出が促進されるため、NaBOB被膜の形成が好適に抑制される。また、ケース11に注液される非水電解液ELの温度を10℃以上とすることで、非水電解液ELの流動性が過剰に低下することに伴う非水電解液ELの含浸ムラを抑制できる。
(6)非水溶媒として、エチレンカーボネートと、ジメチルカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、を含む非水電解液ELを用いることで、非水電解液ELの温度を10℃以上20℃以下とした場合であっても、適正な流動性を保つことができる。
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、以下に示す変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
・非水電解液ELの温度を10℃以上20℃以下とした場合に非水電解液ELの流動性が適正な状態であれば非水溶媒の種類は限定されず、例えば、実施形態において例示した何れかの非水溶媒を用いてもよい。また、非水溶媒として、エチレンカーボネートと、ジメチルカーボネートと、エチルメチルカーボネートとを用いる場合であっても、その質量比は1:1:1に限定されない。この場合の非水溶媒の質量比は、非水電解液ELの温度を10℃以上20℃以下とした場合に非水電解液ELの流動性が適正な状態となるように適宜決定すればよい。
・ケース11に注液される非水電解液ELの温度は、非水溶媒の種類に応じて適宜変更してもよい。例えば、酢酸ナトリウム50が十分に析出するのであれば、非水電解液ELの温度が20℃超であってもよい。例えば、非水電解液ELの流動性が適正に保たれるのであれば、非水電解液ELの温度が10℃未満であってもよい。
・有機酸として酢酸33もしくは無水酢酸を用いた場合を例示したが、有機酸の種類はこれらに限定されない。有機酸は、リチウムと当該有機酸との塩である第1有機酸塩における非水電解液ELに対する溶解度が、ナトリウムと当該有機酸との塩である第2有機酸塩における非水電解液ELに対する溶解度よりも高くなるものであればよい。有機酸は、例えば、クエン酸であってもよく、酢酸33もしくは無水酢酸とクエン酸とを組み合わせてもよい。したがって、有機酸は、例えば、酢酸33、無水酢酸、及びクエン酸からなる群から選択される少なくとも一種である。
・リチウムイオン二次電池10は、自動搬送機や荷役用の特殊自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車等の他、コンピュータ、その他の電子機器に搭載されるものであってもよく、これ以外のシステムを構成するものであってもよい。例えば、船舶、航空機等の移動体に設けられるものであってもよく、発電所から変電所等を介して二次電池が設置されたビルや家庭等に電力を供給する電力供給システムであってもよい。
[実施例]
以下、図8,図9を参照して、実施例1~8及び比較例1~10について説明する。なお、以下の実施例は、上記実施形態の効果を説明するための一例であって、本発明を限定するものではない。
[試料の作製]
実施例1~8及び比較例1~10では、ステップS1~S4の工程によってリチウムイオン二次電池10を作製した後、エージング及び初充電を行った。有機酸は、酢酸33を用いた。非水電解液ELは、LiBOBの濃度を0.003[mol/L]とした。なお、比較例1では正極合剤ペースト23Pに酢酸33を添加せずにリチウムイオン二次電池10を作製した。また、比較例5,6,8,9では、ステップS1の正極板製造工程において、正極板21を作製した段階でリチウムイオン二次電池10の作製を中止した。
原材料の状態における単位重量あたりの正極活物質31に含まれる水酸化リチウム32のモル数を測定したうえで、正極合剤層23の目付量からAの値を算出した。また、酢酸33の添加量からBの値を算出した。そして、ステップS2において、負極合剤層26を形成した負極板24から、負極合剤層26の一部を切り出すことで、単位重量あたりの負極合剤層26に含まれるナトリウム元素の量を測定したうえで、負極合剤層26の目付量からCの値を算出した。実施例1~8及び比較例1~10におけるA~Cの値、B/Aの値、及び、B/Cの値を図8に示す。
[実施例1]
図8に示すように、実施例1では、Aの値が0.687[mol]、Bの値が0.034[mol]、Cの値が0.010[mol]、B/Aの値が0.050、B/Cの値が3.57であった。
[実施例2]
実施例2では、Aの値が0.687[mol]、Bの値が0.034[mol]、Cの値が0.012[mol]、B/Aの値が0.050、B/Cの値が2.85であった。
[実施例3]
実施例3では、Aの値が0.834[mol]、Bの値が0.034[mol]、Cの値が0.014[mol]、B/Aの値が0.041、B/Cの値が2.45であった。
[実施例4]
実施例4では、Aの値が0.667[mol]、Bの値が0.034[mol]、Cの値が0.014[mol]、B/Aの値が0.051、B/Cの値が2.45であった。
[実施例5]
実施例5では、Aの値が0.655[mol]、Bの値が0.034[mol]、Cの値が0.014[mol]、B/Aの値が0.052、B/Cの値が2.45であった。
[実施例6]
実施例6では、Aの値が0.687[mol]、Bの値が0.034[mol]、Cの値が0.015[mol]、B/Aの値が0.050、B/Cの値が2.25であった。
[実施例7]
実施例7では、Aの値が0.667[mol]、Bの値が0.027[mol]、Cの値が0.014[mol]、B/Aの値が0.041、B/Cの値が2.00であった。
[実施例8]
実施例8では、Aの値が0.687[mol]、Bの値が0.034[mol]、Cの値が0.018[mol]、B/Aの値が0.050、B/Cの値が1.91であった。
[比較例1]
比較例1では、Aの値が0.533[mol]、Cの値が0.383[mol]が1.91であった。なお、比較例1では酢酸33を添加していないため、Bの値、B/Aの値、及びB/Cの値が何れも0[mol]であった。
[比較例2]
比較例2では、Aの値が0.687[mol]、Bの値が0.034[mol]、Cの値が0.070[mol]、B/Aの値が0.050、B/Cの値が0.49であった。
[比較例3]
比較例3では、Aの値が0.687[mol]、Bの値が0.045[mol]、Cの値が0.389[mol]、B/Aの値が0.066、B/Cの値が0.12であった。
[比較例4]
比較例4では、Aの値が0.687[mol]、Bの値が0.034[mol]、Cの値が0.516[mol]、B/Aの値が0.050、B/Cの値が0.07であった。
[比較例5及び比較例6]
比較例5及び比較例6では、Aの値が0.802[mol]、Bの値が0.056[mol]、B/Aの値が0.070であった。なお、比較例5及び比較例6は、同一の水準の異なる試料である。
[比較例7]
比較例7では、Aの値が0.821[mol]、Bの値が0.059[mol]、Cの値が0.014[mol]、B/Aの値が0.072、B/Cの値が4.24であった。
[比較例8]
比較例8では、Aの値が0.821[mol]、Bの値が0.014[mol]、B/Aの値が0.017であった。
[比較例9]
比較例9では、Aの値が0.821[mol]、Bの値が0.027[mol]、B/Aの値が0.033であった。
[比較例10]
比較例10では、Aの値が0.821[mol]、Bの値が0.030[mol]、Cの値が0.011[mol]、B/Aの値が0.037、B/Cの値が2.74であった。
[評価]
リチウムイオン二次電池10の製造過程において、正極合剤ペースト23Pのゲル化が生じているか否かを確認した。また、リチウムイオン二次電池10の製造過程において、正極板21において正極合剤層23が正極基材22から剥離しているか否かを確認した。そして、各実施例及び各比較例における初充電後のリチウムイオン二次電池10の反応抵抗を測定したうえで、酢酸33を添加していない比較例1の反応抵抗を基準として、比較例1の反応抵抗に対する各実施例及び各比較例の反応抵抗の割合を算出した。評価結果を図8に示す。また、B/Cの値と、比較例1の反応抵抗に対する各実施例及び各比較例の反応抵抗の割合との関係を図9に示す。
[正極合剤ペーストのゲル化及び正極合剤層の剥離]
図8に示すように、実施例1~8及び比較例1~7では、正極合剤ペースト23Pのゲル化が確認されなかった。これに対して、B/Aの値が0.04未満である比較例8~10では正極合剤ペースト23Pのゲル化が確認された。
実施例1~8、比較例1~4、及び比較例8~10では、正極板21における正極合剤層23の剥離が確認されなかった。これに対して、B/Aの値が0.07以上である比較例5~7では正極板21における正極合剤層23の剥離が確認された。
以上の結果から、B/Aの値が0.04≦B/A≦0.06を満たすことで、水酸化リチウム32の一部が酢酸33によって中和された状態においても、正極合剤ペースト23Pにおけるゲル化の抑制、及び、沈降の抑制が可能となることが確認された。
[反応抵抗]
図9に示すグラフは、横軸がB/Cの値を示すとともに、縦軸が比較例1を基準としたときの各実施例及び各比較例の反応抵抗の割合を表す。グラフ中に示す点P1~P8は、点P1から点P8の順に実施例1から実施例8の結果に対応する。グラフ中に示す点PC1~PC4は、点PC1から点PC4の順に比較例1から比較例4の結果に対応する。グラフ中に示す点PC7は、比較例7の結果に対応する。グラフ中に示す点PC10は、比較例10の結果に対応する。
図9に示すように、B/Cの値が1.9以上である実施例1~8では何れも比較例1よりも反応抵抗が低下していることが確認された。そして、B/Cの値が大きくなる程、反応抵抗がより低下する傾向が確認された。なお、B/Cの値が1.9以上である比較例7及び比較例10においても、比較例1よりも反応抵抗が小さくなっていることが確認された。
これに対して、B/Cの値が1.9未満である比較例2~4では何れも比較例1よりも反応抵抗が増加していることが確認された。以上の結果より、B/Cの値を1.9以上とすることで、NaBOB被膜の形成に伴う抵抗の増加を抑制できることが確認された。
EL…非水電解液
10…リチウムイオン二次電池
11…ケース
20…電極体
21…正極板
22…正極基材
23…正極合剤層
23P…正極合剤ペースト
24…負極板
25…負極基材
26…負極合剤層
27…セパレータ
31…正極活物質
32…水酸化リチウム
32A…リチウムイオン
33…酢酸
33A…酢酸イオン
34…酢酸リチウム
41…負極活物質
42…ナトリウム塩
42A…ナトリウムイオン
50…酢酸ナトリウム
51…BOBイオン

Claims (5)

  1. 水酸化リチウムを含む正極活物質と有機酸とが添加された正極合剤ペーストを前駆体とした正極合剤層を正極基材に形成することで正極板を製造する正極板製造工程と、
    ナトリウム塩が添加された負極合剤ペーストを前駆体とした負極合剤層を負極基材に形成することで負極板を製造する負極板製造工程と、
    前記正極板と前記負極板とを備える電極体を収容したケースに、LiBOBを含む非水電解液を注液する注液工程と、を含み、
    前記正極板製造工程において、前記正極合剤層には、前記水酸化リチウムに由来するリチウムイオン及び前記有機酸に由来する有機酸イオンからなる第1有機酸塩が形成され、
    前記正極板製造工程において添加される前記水酸化リチウムのモル数をA、
    前記正極板製造工程において形成される前記第1有機酸塩のモル数をB、
    前記負極板製造工程において添加される前記ナトリウム塩のモル数をCとすると、
    A、B、及びCの値が、0.04≦B/A≦0.06かつ1.9≦B/Cを満たし、
    前記第1有機酸塩は、前記第1有機酸塩を構成する有機酸イオンと同種の有機酸イオン及びナトリウムイオンからなる第2有機酸塩よりも前記非水電解液に対する溶解度が高い
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  2. 前記有機酸は、酢酸もしくは無水酢酸である
    請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  3. 前記注液工程では、10℃以上20℃以下の前記非水電解液を注液する
    請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  4. 前記非水電解液は、エチレンカーボネートと、ジメチルカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、を含む
    請求項3に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  5. 正極板と負極板とを備える電極体と、LiBOBを含む非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極板に含まれる水酸化リチウムと、有機酸成分と、ナトリウム成分と、を含み、
    前記有機酸成分は、有機酸イオン及びナトリウムイオンからなる第1有機酸塩、及び、前記第1有機酸塩から電離した有機酸イオンのうち少なくとも一方と、前記第1有機酸塩から電離した有機酸イオン及びナトリウムイオンからなる第2有機酸塩と、であり、
    前記ナトリウム成分は、前記第2有機酸塩、または、前記第2有機酸塩と、前記負極板に含まれるナトリウム塩、及び、前記ナトリウム塩から電離したナトリウムイオンのうち少なくとも一方と、であり、
    前記水酸化リチウムのモル数と、前記有機酸成分のモル数と、の和をA、
    前記有機酸成分のモル数をB、
    前記ナトリウム成分のモル数をCとすると、
    A、B、及びCの値が、0.04≦B/A≦0.06かつ1.9≦B/Cを満たし、
    前記第1有機酸塩は、前記第2有機酸塩よりも前記非水電解液に対する溶解度が高い
    リチウムイオン二次電池。
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