JP2024062451A - 銅製錬転炉の操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 転炉の炉内状況が変動しても故銅や銅滓・金銀滓等の二次原料を継続して安定的に処理することのできる銅製錬転炉の操業方法を提供する。【解決手段】 フラックスと共に装入したマットを含む原料を酸化して白カワ及び転炉スラグを生成した後に該転炉スラグのみを抜き出す造かん工程を第1造かん工程及びその後の造かん工程として複数回繰り返した後、炉内に残存する白カワを酸化して粗銅を生成する造銅工程を行なうことで1バッチの操業が完了する銅製錬転炉の操業方法であって、前記複数回の造かん工程でそれぞれ生成される前記転炉スラグの質量基準の目標Fe/SiO2比が前記第1造かん工程よりもその後の造かん工程のほうが高くなるように、各々の造かん工程において前記装入する原料に含まれるFe量と、前記フラックスのSiO2品位とに基づいて理論フラックス添加量を求めた後、前記各々の造かん工程の開始時に炉内に残留しているFe量及びSiO2量に基づいて前記理論フラックス添加量に補正係数を掛けて実フラックス添加量を求める。【選択図】 なし

Description

本発明は、銅製錬で使用する転炉の操業方法に関するものである。
硫化銅鉱を原料とする銅製錬法は、前段の乾式製錬工程(熔錬工程とも称する)と、後段の湿式製錬工程(電解工程とも称する)とから構成され、前段の乾式製錬工程では、主原料の銅品位20から30%程度の銅精鉱に対して銅以外の成分を分離することで最終的に銅品位99%まで濃縮した精製アノードを生成し、後段の湿式製錬工程では、この生成した精製アノードを電解製錬することで最終製品として銅品位99.99%の電気銅を生産している。
上記の乾式製錬工程では、銅のロスを抑えつつ効率よく銅を濃縮するため、複数種類の炉を用いて段階的に処理が行なわれる。具体的には、先ず自熔炉に代表される熔錬炉において、銅精鉱を酸素及び空気と共に装入して酸化反応を生じさせることで、該銅精鉱に含まれる過半の鉄を別途添加した硅石と共にカラミ(スラグとも称する)として分離して銅品位60から65%程度のカワ(以下、マットとも称する)を生成する。次に、上記熔錬炉から抜き出したマットを転炉に装入すると共に羽口から空気を吹き込んで上記と同様に酸化反応を生じさせることでカラミ(転炉スラグとも称する)を分離して最終的に銅品位98%程度の粗銅を生成する。最後に、上記転炉から抜き出した粗銅を精製炉に装入して酸素を還元除去することで銅品位99%の精製粗銅を生成する。この精製粗銅を鋳造することで精製アノードが生産される。
上記の熔錬炉及び転炉のいずれにおいても、比重差でマットとスラグと層分離させるため、スラグ中にマットの銅分が溶解や懸垂等により混入して損失することのないように、操業条件を適宜調整することが行なわれている。例えば特許文献1には、自熔炉で生成したスラグにおけるSiOに対するT.Fe(全鉄量)のモル比(T.Fe/SiOモル比)を1.0~1.5、好ましくは1.1~1.4とし、Al含有率を4~8wt%、好ましくは5~7wt%とし、粘度を300mPa・s以下とする技術が開示されている。
特許文献1には、更に自熔炉で生成したスラグをサンプリングしてその構成成分の定量分析と、該スラグの1250℃における粘度測定とを行ない、得られた構成成分の定量値、該定量値から求めたT.Fe/SiOモル比、及び粘度の値を用いて回帰式を算定し、この回帰式を用いて溶剤の構成成分の重量比を求め、該重量比に応じた構成成分の溶剤を炉に投入する技術が開示されている。このように、スラグの組成を調整することで最適の粘度に維持できるので、スラグのCu含有率を下げることができると記載されている。
特開2002-146448号公報
銅精鉱で用いる転炉は略円筒形の容器を横向けにして回動可能に支持した横長炉からなり、これを中心軸のまわりに回動させることでその側面の炉口からマットを装入したりスラグや粗銅を排出したりすることが可能になる。このため、転炉での処理はバッチ操業となる。また、熔錬炉からのマットの受け入れから粗銅の生成までの転炉での処理は、該マットから上記転炉スラグ及び白カワを生成してこれらを層分離させる造かん期と、該造かん期で得た白カワから硫黄を分離して粗銅を生成する造銅期との2段階に分けて行なわれる。
具体的には、先ず造かん期(造かん工程とも称する)では、例えば自熔炉から受け入れた銅品位60から65%のマットと、フラックスと称するSiOを主成分とする硅石とを転炉に装入した後、羽口から空気を吹き込むことによりマットを酸化処理する。これによりFe-SiO系の転炉スラグと、Fe分をほとんど含まない銅品位70%から80%程度の白カワとが生成される。転炉を傾けることでこの転炉スラグは炉口から抜き出される。次の造銅期(造銅工程とも称する)では、転炉内に残存している白カワに対して再び羽口から空気を吹き込んで酸化処理することで粗銅が生成される。得られた粗銅は転炉を傾けることで炉口からレードルに注ぎ込まれ、後段の精製炉に移送される。
ところで、上記の造かん期では、前述した自熔炉から抜き出した熔体状のマット(以下、熔ヒと称することがある)の他、固体状のマット(以下、固ヒと称することがある)、二次原料として銅品位95%程度の故銅、銅品位10から60%程度で貴金属を多く含む銅滓・金銀滓等を転炉に投入して処理することが一般的に行なわれている。また、造かん期において転炉に添加するフラックスの添加量は転炉スラグの組成が所定のSiO品位となるように定められる。このように転炉スラグの組成を調整することで、その性状を間接的に安定化させることができ、よって上記した故銅や銅滓・金銀滓等の二次原料を安定的に処理することが可能になるので銅製錬の増産につながる。
しかしながら、転炉は原料の組成の変動などにより炉内で生成する転炉スラグの性状(炉内状況とも称する)が変動することがあった。その結果、造かん工程で生成した転炉スラグの性状が次工程の造銅工程、あるいは次バッチの操業に悪影響を及ぼすことがあった。例えば、転炉スラグの粘性が通常より高くなると、転炉を傾転させても転炉スラグを炉口からレードルに向けて良好に抜き出すことが困難になり、一部が炉内に残留することになる。この場合、炉内の熔体の液位が通常よりも高くなるので、羽口からの空気吹込み量が低下して操業効率が低下したり、あるいは転炉スラグの残留量の増加により次工程で受け入れるマット用の炉内スペースが減少したりすることがあった。
上記のように、悪化した転炉の炉内状況を回復させるため、炉内で吸熱物質として作用する故銅や銅滓・金銀滓等の二次原料の転炉内への投入を一時的に控えることで対処することがある。しかしながら、この対処法は二次原料の処理の機会損失となり、銅製錬の減産につながる。本発明は上記した銅製錬転炉が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、転炉の炉内状況が変動しても故銅や銅滓・金銀滓等の二次原料を継続して安定的に処理することのできる銅製錬転炉の操業方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の転炉の操業方法は、フラックスと共に装入したマットを含む原料を酸化して白カワ及び転炉スラグを生成した後に該転炉スラグのみを抜き出す造かん工程を第1造かん工程及びその後の造かん工程として複数回繰り返した後、炉内に残存する白カワを酸化して粗銅を生成する造銅工程を行なうことで1バッチの操業が完了する銅製錬転炉の操業方法であって、前記複数回の造かん工程でそれぞれ生成される前記転炉スラグの質量基準の目標Fe/SiO比が前記第1造かん工程よりもその後の造かん工程のほうが高くなるように、各々の造かん工程において前記装入する原料に含まれるFe量と、前記フラックスのSiO品位とに基づいて理論フラックス添加量を求めた後、前記各々の造かん工程の開始時に炉内に残留しているFe量及びSiO量に基づいて前記理論フラックス添加量に補正係数を掛けて実フラックス添加量を求めることを特徴としている。
本発明によれば、転炉の炉内状況が変動しても故銅や銅滓・金銀滓等の二次原料を継続して安定的に処理することが可能になる。
本発明の実施形態の銅製錬転炉の操業方法の対象となる複数基の銅製錬転炉のフロー図である。 図1の複数基の銅製錬転炉を用いて行なわれるバッチ操業の運転スケジュールの一具体例である。 図1に示す各銅製錬転炉における1バッチ操業におけるブロックフロー図である。
以下、本発明の実施形態の銅製錬転炉の操業方法について詳細に説明する。この本発明の実施形態の銅製錬転炉の操業方法は、例えば図1に示すように、自熔炉1からレードル2に抜き出したマットを3基の転炉3A~3Cのうち2基に装入して互いに時間差をつけてバッチ操業する場合に好適に適用することができる。この場合は残る1基の転炉は予備となるが、転炉のバッチ操業はこれに限定されるものではなく、1基以上の転炉を予備を設けることなく全て時間差をつけてバッチ操業してもよい。
上記のように2基の転炉を1号炉3A及び2号炉3Bとして互いに時間差をつけてバッチ操業する場合は、例えば図2に示すような運転スケジュールで操業が行なわれる。これら1号炉3A及び2号炉3Bの各々は、時間差をつけて処理が行なわれることを除いて基本的に同じ方法でバッチ処理が繰り返されるので、以下の説明では代表として1号炉3Aで第nバッチの操業を行なう場合をとり挙げて説明する。すなわち、先ず第1造かん工程S1において、自熔炉1から抜き出される所定量のマット及び別途用意した所定量のフラックスを1号炉3Aに装入した後、ブロワー4から供給される空気又は酸素富化空気(以降、単に空気等と称する)を羽口から吹き込む。これにより、該マットを酸化して白カワ及び転炉スラグ(カラミ)を生成する。
上記の白カワ及び転炉スラグの生成後は、ブロワー4による空気等の供給先を1号炉3Aから2号炉3Bに切り替えると共に、1号炉3Aを傾けて転炉スラグのみをオーバーフローにより抜き出してレードルに受け入れる。その際、白カワが転炉スラグに混入して抜き出されることのないように留意することで、全ての白カワを1号炉3A内に残留させる。これにより第1造かん期S1が終了する。なお、ブロワー4による空気等の供給先を2号炉3Bに切り替えることで、2号炉3Bでは第mバッチの第2造銅工程B2が開始する。
次に、第2造かん工程S2において、再度自熔炉1から抜き出される所定量のマット及び別途用意した所定量のフラックスを1号炉3Aに装入し、ブロワー4による空気等の供給先を2号炉3Bから1号炉3Aに切り替えて羽口から空気等を吹き込む。これにより、該マットを酸化して白カワ及び転炉スラグを生成する。上記の白カワ及び転炉スラグの生成後は、ブロワー4による羽口からの空気等の供給を一旦停止し、上記と同様に白カワが転炉スラグに混入して抜き出されることのないように留意しながら1号炉3Aを傾けて転炉スラグのみをオーバーフローにより抜き出してレードルに受け入れ、全ての白カワを1号炉3A内に残留させる。これにより第2造かん期S2が終了する。
次に、第1造銅工程B1において、ブロワー4による1号炉3Aへの空気等の供給を再開して1号炉3A内の白カワを所定の時間をかけて酸化して粗銅を途中まで生成する。上記の所定の時間が経過した後、ブロワー4による空気等の供給先を1号炉3Aから2号炉3Bに切り替えることで第1造銅工程B1が終了する。このように、ブロワー4による空気等の供給先を2号炉3Bに切り替えることで、2号炉3Bでは次バッチである第m+1バッチの第1造かん工程S1が開始する。
最後に、第2造銅工程B2において、ブロワー4による空気等の供給先を第1造かん工程S1が終了した2号炉3Bから1号炉3Aに切り替えて、1号炉3A内の白カワを第1造銅工程B1と同様に所定の時間をかけて酸化して粗銅を生成する。この所定の時間が経過した後、ブロワー4からの空気等の供給先を1号炉3Aから2号炉3Bに切り替えることで第2造銅工程B2が終了する。その後、1号炉3Aを傾けて炉内の粗銅をオーバーフローにより抜き出してレードルに回収する。これにより1号炉3Aにおける第nバッチの操業が終了する。
なお、図2に示す運転スケジュールでは、1号炉3A及び2号炉3Bの各々において造かん工程をS1及びS2の2回に分けて行なうものであったが、造かん工程の数は上記の2回に限定されるものではなく、3回以上でもよい。また、造銅工程の数も上記のB1及びB2の2回に限定されるものではなく、1回又は3回以上であってもよい。
上記した本発明の実施形態の銅製錬転炉の操業方法は、上記の複数回の造かん工程でそれぞれ生成される転炉スラグの質量基準の目標Fe/SiO比が第1造かん工程よりもその後の造かん工程のほうが高くなるように、各々の造かん工程において装入する原料に含まれるFe量と、フラックスのSiO品位とに基づいて理論フラックス添加量を求めた後、各々の造かん工程の開始時に炉内に残留しているFe量及びSiO量に基づいて該理論フラックス添加量に補正係数を掛けて実フラックス添加量を求めるものである。
すなわち、下記式1に示す酸化反応が生じる銅製錬転炉では、上記した第1造かん工程S1、第2造かん工程S2、第1造銅工程B1、及び第2造銅工程B2の各々において、図3に示す物質収支が生じる。
[式1]
2(CuS・FeS)+SiO+5O
→4Cu+2FeO・SiO+4SO
そのため、下記式2に示すように、装入される原料中のFe量と、フラックス中SiO品位とが分かれば、第1造かん工程S1の目標Fe/SiO比よりもその後の造かん工程の目標Fe/SiO比のほうが高くなるようにするために必要な理論フラックス添加量を物質収支計算により求めることができる。
[式2]
(理論フラックス添加量)=
(原料中のFe量)÷(目標Fe/SiO比)÷(フラックスのSiO品位)
上記のように、複数回の造かん工程でそれぞれ生成される転炉スラグの質量基準の目標Fe/SiO比が第1造かん工程よりもその後の造かん工程のほうが高くなるようにすること、すなわち、図3の場合は第1造かん工程S1で生成される生成される転炉スラグの目標Fe/SiO比をr、第2造かん工程S2で生成される転炉スラグの目標Fe/SiO比をrとしたときにr<rとなるようにする理由は、第1造かん工程S1の開始時の転炉内は、前バッチ操業の造銅工程が終了した後の状態が維持されているため、SiOがほとんど存在しておらず、また、転炉に受け入れるマットなどの原料にもSiOはほとんど含まれないか、含まれる場合であってもSiO量は分析値からほぼ把握できるのに対して、次工程の第2造かん工程S2及び第3造かん工程S3以降が更に行なわれる場合はそれら工程では、前工程の造かん工程の終了時に抜き出されないで一部炉内に残留するSiOが持ち超されるからである。
例えば、第1造かん工程S1の終了後に転炉を傾けて転炉スラグを転炉から抜き出す際、転炉スラグは白カワよりも上層側に層分離して存在しているので、最初は上層側の転炉スラグのみを抜き出すことができるが、大半の転炉スラグの抜き出しが終わると、該転炉スラグの下層側の白カワが転炉スラグに伴って転炉から抜き出され易くなる。このように転炉スラグに伴って白カワが抜き出されると、転炉スラグのCu品位が極端に高くなって銅ロスになる。これを避けるため、転炉スラグが一部炉内に残留して第2造かん工程S2に持ち越されることになるものの、転炉から抜き出される転炉スラグに白カワが混ざるのを確認したタイミングで転炉スラグの抜き出しを終了する。
このように、第2造かん工程S2及び第3造かん工程S3以降が行なわれる場合はそれら工程では、未反応のSiO分を含む転炉スラグが前工程から持ち越されるので、この分を物質収支計算に考慮している。なお、第1造かん工程S1で抜き出される転炉スラグの目標Fe/SiO比は、該転炉スラグの銅品位をできるだけ小さくできる該転炉スラグの性状になるように、過去の運転データなどを参考にして定めれば良い。また、第2造かん工程S2及びそれ以降の造かん工程で抜き出される転炉スラグの目標Fe/SiO比においても、該転炉スラグの銅品位をできるだけ小さくできる該転炉スラグの性状になるように考慮すると共に、前工程の造かん工程における転炉スラグの抜出時に残留する転炉スラグの量に影響する炉口の形状や転炉のサイズ等も考慮して定めれば良い。
下記式3に示すように、この理論フラックス添加量に、造かん工程の開始時に炉内に残留しているFe量及びSiO量を考慮して補正係数を掛けることで実フラックス添加量を求めることができる。
[式3]
(実フラックス添加量)=(理論フラックス添加量)×補正係数
上記の補正係数は、前述したように、第1造かん工程S1の開始時は転炉内にはほとんどSiO量が残存していないうえ、転炉に装入されるマットなどの原料にもほとんどSiOが含まれていない。また、含まれる場合であってもSiO量は分析値からほぼ把握できる、更に、転炉に装入されるマットに含まれるFe分についても、その分析値からほぼ把握できる。このため、第1造かん工程S1では上記式2の量論関係をほぼそのまま採用することができる。但し、例えば前バッチの造銅工程の終了時にFeを含有する複合酸化物の一定量が少量であるものの定常的に炉内に残留する場合があるので、必要に応じてこの残留分を考慮して補正係数として0.9以上1.1以下の範囲内で若干の補正を行なってもよい。
一方、第2造かん工程S2及び第3造かん工程以降を行なう場合はそれら工程では、前述したように持ち越される未反応のSiO分を含む転炉スラグを考慮して転炉スラグの目標Fe/SiO比が前工程よりも大きくなるようにフラックス添加量を調整するものの、この目標Fe/SiO比に基づいてフラックスを添加すると、実際には転炉スラグのFe/SiO比は目標よりも小さくなってしまう。即ち、例えば第2造かん工程S2において、第1造かん工程S1から持ち越されるSiO分を考慮して転炉スラグの目標Fe/SiO比が第1造かん工程S1よりも大きくなるようにフラックス添加量を減らす方向で制御するものの、このフラックス添加量では依然として多すぎるのが実情であった。このため、補正係数で更に調整することが必要になる。この補正係数は、具体的には0.5以上0.8以下が好ましい。
なお、転炉に装入するマットの質量や転炉から別々に抜き出される転炉スラグ及び粗銅の質量は、これらを受け入れるレードルを吊り下げるクレーンが具備する重量計によって測定することができる。また、第1造かん工程S1及び第2造かん工程S2でそれぞれ生成される転炉スラグの組成は、レードル内に排出される途中の転炉スラグをサンプリングして蛍光X線分析法により求めることができる。また、マットに含まれるFe量やフラックスのSiO品位も蛍光X線分析法により求めることができる。なお、転炉に装入したマット中の鉄分はほぼ全量が酸化されて転炉スラグ側に分配される。また、転炉に装入したマット分に含まれる銅分はほぼ全量が硫化物CuS(白カワ)となる。
本発明の実施形態の銅製錬転炉の操業方法においては、転炉スラグの目標Fe/SiO比は1.8以上2.8以下であるのが好ましい。これにより、上述したように該転炉スラグの銅品位ができるだけ小さくなる転炉スラグの性状にすることができる。この値が1.8未満では、転炉スラグの銅品位を低下をさせることができるものの、かえって多量のフラックス添加量が必要になるため好ましくない。逆にこの値が2.8を超えると、SiOが不足して転炉スラグの粘性が増加し、これに伴い転炉スラグの銅品位が増加するので好ましくない。特に、第1造かん工程S1での転炉スラグの目標Fe/SiO比は1.8以上2.3以下が好ましく、第2造かん工程S2以降での転炉スラグの目標Fe/SiO比は2.3以上2.8以下が好ましい。
本発明の実施形態の銅製錬転炉の操業方法においては、前段の製錬炉からの転炉へのマットの装入量が、1バッチ操業当たり150t以上300t以下であることが好ましい。このマットの装入量が150t未満の場合は、第2造かん工程以降に持ち超される未反応のSiO分を含む転炉スラグや、Feを含有する複合酸化物の影響が相対的に大きくなるため、本発明の実施形態の操業方法を適用することが困難になる。逆に、マットの装入量が300tを超える場合は、第2造かん工程以降に持ち超される未反応のSiO分を含む転炉スラグや、Feを含有する複合酸化物の影響が相対的に小さくなるため、本発明の実施形態の操業方法を適用する意義が小さくなる。
図1に示すような乾式銅製錬プラントを用いて、本発明の実施例の操業方法として、自熔炉で生成したマットを3基の転炉に装入して互いに時間差をつけたバッチ操業により粗銅を生成した。その際、各転炉において、図3に示すブロックフローに準じて、転炉スラグを生成する第1造かん工程S1及び第2造かん工程S2、並びに粗銅を生成する第1造銅工程B1及び第2造銅工程B2により処理を行なった。各転炉において、第1造かん工程S1で転炉に装入したマットの量は140~170t、第2造かん工程S2で転炉に装入したマットの量は60~90tとした。
上記の式2及び式3を用いて、第1造かん工程S1で生成される転炉スラグの質量基準の目標Fe/SiO比が1.8以上2.3以下、第2造かん工程S2で生成される転炉スラグの質量基準の目標Fe/SiO比が2.3以上2.8となるように、各々の造かん工程において装入するマットに含まれるFe量と、フラックスのSiO品位とに基づいて理論フラックス添加量を求めた後、各々の造かん工程の開始時に炉内に残留しているFe量及びSiO量に基づいて理論フラックス添加量に補正係数を掛けて実フラックス添加量を求めた。具体的には、第1造かん工程S1の補正係数は0.9以上1.1以下とし、第2造かん工程S2の補正係数は0.5以上0.8以下とした。
比較例として、上記の式2及び式3を用いる代わりに、第1造かん工程S1及び第2造かん工程S2の各々における転炉スラグのSiO品位が所定の目標値となるように実フラックス添加量を決定したこと以外は上記の実施例と同様にして、自熔炉で生成したマットを3基の転炉に装入して互いに時間差をつけたバッチ操業により粗銅を生成した。
その結果、上記した本発明の実施例による操業方法では、転炉スラグの組成を従来と比べて安定化させることができ、銅滓・金銀滓と、転炉の排ガスが導入される廃熱ボイラーから排出されるボイラー煙灰などの系内の繰り返し物とからなる二次原料の転炉での処理量が、比較例では2018年4月~2020年3月の期間の平均で1バッチ操業当たり5.9tであったのに対して、実施例では2020年4月~2021年3月の期間の平均で1バッチ操業当たり8.4tとなり、増加分は2.5tとなり、即ち二次原料の処理量を約40%増やすことができた。
1 自熔炉
2 レードル
3A~3C 転炉
4 ブロワー

Claims (4)

  1. フラックスと共に装入したマットを含む原料を酸化して白カワ及び転炉スラグを生成した後に該転炉スラグのみを抜き出す造かん工程を第1造かん工程及びその後の造かん工程として複数回繰り返した後、炉内に残存する白カワを酸化して粗銅を生成する造銅工程を行なうことで1バッチの操業が完了する銅製錬転炉の操業方法であって、
    前記複数回の造かん工程でそれぞれ生成される前記転炉スラグの質量基準の目標Fe/SiO比が前記第1造かん工程よりもその後の造かん工程のほうが高くなるように、各々の造かん工程において前記装入する原料に含まれるFe量と、前記フラックスのSiO品位とに基づいて理論フラックス添加量を求めた後、前記各々の造かん工程の開始時に炉内に残留しているFe量及びSiO量に基づいて前記理論フラックス添加量に補正係数を掛けて実フラックス添加量を求めることを特徴とする銅製錬転炉の操業方法。
  2. 前記目標Fe/SiO比が1.8以上2.8以下であることを特徴とする、請求項1に記載の銅製錬転炉の操業方法。
  3. 前記マットの装入量が前記1バッチ当たり150t以上300t以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の銅製錬転炉の操業方法。
  4. 前記第1造かん工程の前記補正係数が0.9以上1.1以下であり、前記その後の造かん工程の前記補正係数が0.5以上0.8以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の銅製錬転炉の操業方法。

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