JP2024048993A - 貼付剤 - Google Patents

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篤 村田
朋紀 伊藤
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Abstract

【課題】製造後の貼付剤における経時的な粘着力に加え、貼付剤製造時における取扱性(製造性)の双方を十分に満足できる、含水系貼付剤を提供する。【解決手段】支持体と、該支持体上に設けた粘着剤層及び該粘着剤層上に貼られた剥離ライナーからなる含水系貼付剤であって、前記粘着剤層が下記a)~h)成分を必須として含有してなり、a)有効成分、b)(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、c)ポリアクリル酸部分中和物、d)カルメロースナトリウムを含む水溶性高分子化合物、e)グリセリンを含む湿潤剤、f)架橋剤、g)塩酸、及びh)水、且つ、前記粘着剤層における水の配合量が、40質量%以上70質量%以下である、含水系貼付剤。【選択図】なし

Description

本発明は、経時的に良好な粘着力を有する含水系貼付剤に関する。
一般に「パップ剤」とも称される水を含む粘着基剤を用いる貼付剤(本明細書において含水系貼付剤と称する)は、薬物等の有効成分を含有する膏体層(粘着剤層)を不織布等の支持体上に備える貼付剤の一種である。パップ剤は、膏体層に水を含む粘着基剤を用いているため、皮膚刺激性は低いものの粘着力が弱く、特に膏体層中の水分の揮散とともに粘着力が経時的に低下し、皮膚から剥離し易いことが問題であった。
こうした問題を解決するために、非水系(疎水性、親油性とも称する)の粘着剤を構成する一成分として知られるアクリル酸アルキルエステル共重合体を分散させたエマルション(エマルジョンとも)基剤を、含水系貼付剤の膏体層(粘着剤層)に配合する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、パップ剤基剤(膏体)にアクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン(商品名 ニカゾールTS-620、日本カーバイド工業(株))を1%配合した貼付剤(比較品)が開示されている。
特許文献2には、長時間貼付時の粘着力及び再粘着力発現、水分喪失に伴う硬化及びしなやかさの低下の抑制及び剥離時における支持体の破断抑制を得られる含水系の貼付剤の提供を目的として、含水系外用貼付剤用組成物全体に対して水分散性界面活性剤を0.01質量%以上10.0質量%以下、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合体を同5.0質量%以上10質量%以下の割合で含有する含水系外用貼付剤が開示されている。
特許文献3には、時間経過によるパップ剤の水含有量が減少した場合においても十分な付着力を有するパップ剤の提供を課題として、ポリアクリル酸部分中和物と該中和物の2.5~10倍質量(膏体基準で5~25質量%)のアクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合体とポリアクリル酸とを含有するパップ剤が開示されている。
特許文献4には、より小さな力で剥離ライナーを剥離可能なパップ剤の提供を目的として、ポリ(アクリル酸メチル/アクリル酸2-エチルヘキシル)と、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の界面活性剤とを含むパップ剤が開示されている。
特許文献5には、アクリル樹脂エマルジョン(商品名 ニカゾールTS-620)1.5重量%、ポリアクリル酸ナトリウム6.2重量%を含む粘着剤組成物を用いて冷熱シートを得た点が開示されている。
特開平9-208462号公報 特許第5650684号明細書 特許第5921779号明細書 国際公開第2016/104227号 特開2002-104957号公報
上述したように、含水系貼付剤の粘着持続性を高めるために、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合体等のアクリル酸アルキルエステル共重合体を粘着剤層に配合することが知られている。
一方、含水系貼付剤製造時における粘着剤層形成組成物(塗工液)の粘度上昇抑制と粘着剤層の安定性向上の観点から、粘着剤の架橋度を制御することも重要である。すなわち、粘着剤の架橋速度が早い場合、製造時の粘度上昇により塗工(展延)が困難となりまた塗工不良を引き起こすなど、製造性の低下につながり得、一方、架橋速度が遅い場合、粘着剤の皮膚への残留が生じるなど、製造後の粘着剤層の品質が安定しないといった問題につながり得る。
このように、製造後の貼付剤における経時的な粘着力に加え、貼付剤製造時における取扱性(製造性)の双方を十分に満足できる、含水系貼付剤が求められている。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、含水系貼付剤における粘着性の経時安定性の向上を図るとともに、当該貼付剤の製造性(製造時の操作性)の向上の両立を図るべく、製剤中の水分の配合量を見直し調整したところ、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、支持体と、該支持体上に設けた粘着剤層及び該粘着剤層上に貼られた剥離ライナーからなる含水系貼付剤であって、
前記粘着剤層が下記a)~h)成分を必須として含有してなり、
a)有効成分、
b)(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、
c)ポリアクリル酸部分中和物、
d)カルメロースナトリウムを含む水溶性高分子化合物、
e)グリセリンを含む湿潤剤、
f)架橋剤、
g)塩酸、及び
h)水、
且つ、
前記粘着剤層における水の配合量が、40質量%以上70質量%以下である、
含水系貼付剤に関する。
そして本発明によれば、さらに以下の実施態様が提供される。
1)前記粘着剤層の有効成分がサリチル酸グリコールである、前記含水系貼付剤。
2)前記粘着剤層が、粘着剤層の全質量を100質量%としたとき
a)有効成分を0.1~30質量%
b)(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を0.1~5質量%
c)ポリアクリル酸部分中和物を0.1~10質量%
d)カルメロースナトリウムを含む水溶性高分子化合物を1~30質量%
e)グリセリンを含む湿潤剤を30~70質量%
f)架橋剤を0.01~6.0質量%
g)塩酸を0.1~1.5質量%
の割合にて配合してなる、前記含水系貼付剤。
3)保管条件:60℃で2週間保管前後のボールタックの残存率が70%以上である前記含水系貼付剤。
本発明によれば、含水系貼付剤において粘着剤層の水分含量を所定の範囲とすることにより、粘着力の経時での安定性を実現し、また製造性にも優れる含水系貼付剤を提供できる。
上述したように、本発明者らは、含水系貼付剤、特に非水系の粘着基剤を含水系貼付剤の膏体層(粘着剤層)に配合した含水系貼付剤において、膏体層(粘着剤層)中の水分量を調整することにより、粘着力の経時での安定性を備え、また膏体層(粘着剤層)形成時において粘着剤層形成組成物の展延性にも優れたものとすることができることを見出した。
以下、本発明の含水系貼付剤の構成について説明する。
本発明の含水系貼付剤(以下、単に「貼付剤」とも称する)は、支持体と、該支持体上に設けた粘着剤層及び該粘着剤層に貼られた剥離ライナーからなる。
上記貼付剤、特に支持体と、該支持体上に設けた粘着剤層からなる製剤部分の形状は特に限定されず、方形(正方形、長方形等)、四角形(台形、菱形等)、多角形、円形、楕円形、半円形、三角形、三日月形、並びにこれらを組み合わせた形状等、貼付箇所に合わせて種々の形状を選択できる。
なお貼付剤(特に上記の製剤部分)の面積は適宜決定することができ、例えば粘着剤層に配合する有効成分の量などを考慮し、例えば2~300cmの範囲とすることができる。
[粘着剤層]
本発明の含水系貼付剤における粘着剤層は、a)有効成分、b)(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、c)ポリアクリル酸部分中和物、d)カルメロースナトリウムを含む水溶性高分子、e)グリセリンを含む湿潤剤、f)架橋剤、g)塩酸、及びh)水を必須として含有してなる。
本発明の含水系貼付剤は、その含水系の粘着剤層に対して、後述する親水性のアクリル系粘着剤、すなわちc)ポリアクリル酸部分中和物に加えて、一般に非水系のアクリル系粘着剤を構成するb)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体も配合してなる。
一般に含水系貼付剤の粘着剤層(膏体層)に使用される粘着剤としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物、ポリアクリル酸ナトリウム、N-ビニルアセトアミド・アクリル酸ナトリウム共重合樹脂等の親水性のアクリル系粘着剤が広く用いられている。上記の親水性のアクリル系粘着剤と親和性が高く、均一に練合できる観点から、含水系貼付剤の含水系の粘着剤層に配合する非水系粘着剤としては、アクリル系及びメタクリル系のエマルション型の粘着剤が好ましく配合される。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体」とは、アクリル酸及びメタクリル酸のアルキルエステルの双方を含むことを意図し、また「アクリル系粘着剤」もアクリル系粘着剤とメタクリル系粘着剤の双方を含むことを意図してなる。
<a)有効成分>
本発明の含水系貼付剤における粘着剤層には、有効成分(薬剤等)が配合される。
上記有効成分としては、サリチル酸グリコール(サリチル酸エチレングリコールとも称する)、フェルビナク、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、サリチル酸メチル、インドメタシン、ケトプロフェン、イブプロフェン等の非ステロイド系抗炎症剤またはこれらのエステル;ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤;アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム等の鎮痛剤;リドカイン、ジブカイン等の局所麻酔剤;塩化スキサメトニウム等の筋弛緩剤;クロトリマゾール等の抗真菌剤;クロニジン等の降圧剤;ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等の血管拡張剤;ビタミンA、ビタミンE(トコフェロール)、酢酸トコフェロール、ビタミンK、オクトチアシン、酪酸リボフラビン等のビタミン類、プロスタグランジン類;スコポラミン、フェンタニール、トウガラシエキス、ノニル酸ワニリルアミド、カプサイシン、dl-カンフル等が挙げられる。これらは一種を単独で、また二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記有効成分の配合量は、その種類や組み合わせなどに応じて適宜決定できるが、例えば含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として0.1質量%以上30質量%以下、あるいは0.5質量%以上15質量%以下とすることができる。
<b)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体>
非水系のアクリル系粘着剤を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(非水系粘着基剤)は、粘着力を発現する成分として、(メタ)アルキルエステルの炭素原子数が2~9であり、ホモ重合させたときガラス転移温度(Tg)が-55℃(218K)以下のポリマーとなるモノマーと、凝集力を向上させる成分として、ホモ重合させたときTgが8~165℃(281~438K)のポリマーとなるモノマーと、さらに必要によってはカルボキシル基やヒドロキシ基といった架橋点となるなどの官能基を有するモノマーで構成される共重合体である(モノマーの一例を表1に挙げた)。
Figure 2024048993000001
なお、粘着力を発現するモノマーのみを重合したホモポリマーは、粘着力は高いものの機械的強度が弱いとされ、一般に凝集力を向上させるモノマーとの共重合により機械的強度を向上させた共重合体が粘着剤として用いられる。
上記の表1に示す粘着力を発現するモノマーとして挙げたように、本発明では、より粘着力の高いモノマーとして、該モノマーをホモ重合させたとき(ホモポリマー)のTgが220K以下であるアクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソノニル等が用いられる。これらのうち、医薬品添加物として使用実
績があり、粘着力の高い(ホモポリマーのTgが低い)アクリル酸2-エチルヘキシルを好ましく用いることができる。
また凝集力を向上させるモノマー(ホモポリマーのTgが270K以上)としては表1に挙げたモノマーが挙げられ、中でも本発明では、機械的強度が高く、粘着性を著しく低下させない(ホモポリマーのTgが比較的低い)アクリル酸メチルが好ましい。
なお、従来技術において挙げたように、貼付剤に使用される市販のアクリル酸アルキルエステル系共重合体として、日本カーバイド(株)製の、ニカゾール(登録商標)TS-620(アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン)がある。アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンは、医薬品添加物規格の収載品である。
本発明の含水系貼付剤の粘着剤層において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体の配合量(エマルションの場合、固形分換算量)は、含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として例えば0.1質量%以上5質量%以下、0.5質量%以上4.5質量%以下、1.0質量%以上4.5質量%以下とすることができる。
また、後述するアクリル系親水性粘着剤との配合割合は、例えば、質量比で、アクリル酸アルキルエステル系共重合体:アクリル系親水性粘着剤=1.5:1~1:10、同=1.5:1~1:5、同=1.5:1~1:1などとすることができる。
<c)ポリアクリル酸部分中和物>
本発明の含水系貼付剤の粘着剤層には、アクリル系親水性粘着剤としてポリアクリル酸部分中和物を含有する。
また必要に応じて、該粘着剤層には、ポリアクリル酸部分中和物以外のアクリル系親水性粘着剤を配合してもよい。一般に上記アクリル系親水性粘着剤としては、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーが挙げられる。水溶性(メタ)アクリル系ポリマーは、水溶性を有する官能基(親水性基)を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマーを重合して得られるポリマーであり、粘着剤層に水とともに配合することで、粘着性を発揮する。水溶性(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば前述のポリアクリル酸の部分中和物、そしてポリアクリル酸等のホモポリマー;N-ビニルアセトアミド・アクリル酸ナトリウム共重合樹脂等のコポリマーが挙げられる。
上記ポリアクリル酸部分中和物は、ポリアクリル酸完全中和物であっても、ポリアクリル酸部分中和物であっても、これらの混合物であってもよい。すなわち本明細書において「ポリアクリル酸部分中和物」とは、ポリアクリル酸の酸基の一部が中和された中和物のみならず、ポリアクリル酸の酸基が全て中和された中和物の双方を包含する。ポリアクリル酸部分中和物とは、ポリアクリル酸塩を意味し、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等を用いることができる。例えば、ビスコメートNP-600、NP-700、NP-800(昭和電工社製)が挙げられる。
好ましい態様において、本発明で使用する前記ポリアクリル酸部分中和物は35%~70%の中和度を有する部分中和物である。またポリアクリル酸部分中和物を0.2質量%濃度の水溶液としたとき、20℃におけるその粘度が450~650mPa・sである、ポリアクリル酸部分中和物を用いることが好適である。
ポリアクリル酸部分中和物を用いることにより、特にこうした中和度及び粘度を有するポリアクリル酸部分中和物を用いることにより、含水時に皮膚への粘着性をより発現し得、また架橋剤との架橋がより促進され、含水時の溶解を防ぐことができる。
上記ポリアクリル酸部分中和物の配合量、並びに他のアクリル系親水性粘着剤を含む場合のポリアクリル酸部分中和物と他のアクリル系親水性粘着剤との合計配合量は、含水系
貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.1質量%以上10質量%以下、1質量%以上8質量%以下とすることができる。
例えば上記ポリアクリル酸部分中和物の配合量は、粘着剤層の全質量を基準として、3.5質量%以上4.5質量%以下とすることができる。
<d)水溶性高分子化合物>
上記水溶性高分子化合物として、本発明の貼付剤における粘着剤層にはカルメロースナトリウム(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を必須として含有する。
カルメロースナトリウムの使用により、製剤の保型性をより維持することができ、またチキソトロピー性を有して剥離時の痛みをより軽減することができる。
好ましい態様において、本発明で使用する前記カルメロースナトリウムは、その1質量%水溶液の20℃における粘度を50~2,000mPa・sとすることができる。またカルメロースナトリウムはエステル置換度が0.60~0.85であるものが好ましい。
またカルメロースナトリウム以外の水溶性高分子化合物を含有していてもよく、その例として、ゼラチン、カンテン、ポリビニルアルコール(部分けん化物を含む)、ポリビニルピロリドン、プロピレンカーボネート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、無水マレイン酸共重合体、カラギーナンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせてカルメロースナトリウムと併用できる。
上記水溶性高分子化合物の配合量は、通常、含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば1.0質量%以上30質量%以下、2.0質量%以上30質量%以下、2.5質量%以上20質量%以下、あるいは3.0質量%以上10質量%以下の範囲とすることができる。
また例えば、カルメロースナトリウムの配合量は、粘着剤層の全質量を基準として、2.0質量%以上4.0質量%以下とすることができる。
<e)グリセリンを含む湿潤剤>
本発明の含水系貼付剤の粘着剤層には、経時的な水分の蒸発を抑制するために湿潤剤(保湿剤とも称する)を配合する。
上記湿潤剤として本発明の貼付剤における粘着剤層にはグリセリンを必須として配合する。
またグリセリン以外の湿潤剤を配合していてもよく、その例として、D-ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、マルチトール、キシリトール等の多価アルコールが挙げられる。これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせてグリセリンとともに併用できる。
上記湿潤剤の配合量は、通常、含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば30質量%以上70質量%以下、30質量%以上60質量%以下、30質量%以上50質量%以下、あるいは30質量%以上40質量%以下の範囲とすることができる。
<f)架橋剤>
本発明の含水系貼付剤の粘着剤層に配合される架橋剤としては、多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムを含む多価金属化合物が挙げられる。一例として、水酸化アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム等の水酸化物;塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、アルミニウムグリシネート(ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート)、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、カオリン、
ステアリン酸アルミニウム等の無機又は有機酸の正塩又はそれらの塩基性塩;アルミニウムミョウバン等の復塩;アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸塩;無機性アルミニウム錯塩及び有機性アルミニウムキレート化合物;合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等の多価金属化合物が挙げられ、これらを単独又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
中でも、難溶性アルミニウム化合物であるジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲルを用いることが好適である。
架橋剤の配合量は、粘着剤の皮膚への残留や貼着性の一因となり得る架橋度を考慮して適宜選択すればよい。含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.01質量%以上6.0質量%以下、0.01質量%以上4.0質量%以下、あるいは、0.01質量%以上2.0質量%以下の範囲を挙げることができる。
<g)塩酸>
本発明の含水系貼付剤の粘着剤層は、塩酸を含有するものであり、その配合量は、含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.1質量%以上1.5質量%以下、0.1質量%以上1.0質量%以下、あるいは、0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲とすることができる。
<h)水>
上述した通り、本発明の含水系貼付剤は、粘着剤層中に水(水分)を含有するものである。本明細書において、粘着剤層に含まれる「水」とは、粘着剤層を形成時に、水として別に添加したものだけでなく、エマルションや水溶液などの形態として含まれる水も含む。
本発明において、含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、水の配合量は40質量%以上を必須とする。例えば水の配合量は、40質量%以上70質量%以下、40質量%以上60質量%以下、40質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。なおこの水分配合量は、貼付剤調製時、あるいは、貼付剤の貼付前の値であり、貼付の経過とともに粘着剤層から水が揮散した場合にはこの限りでない。
水の配合量を40質量%以上とすることにより、粘着剤層の粘着力を経時的に安定化させたものとすることができ、また粘着剤層形成時において粘着剤層形成組成物の展延性に優れるという、製造性に優れた製剤を実現することができる。
<i)キレート剤>
本発明の含水系貼付剤の粘着剤層には、製造時の膏体の粘度制御のために、キレート剤を配合してもよい。キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩)が挙げられる。
キレート剤の配合量は、通常、含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.01質量%以上1質量%以下、0.1質量%以上0.3質量%以下の範囲とすることができる。
<有機溶媒>
本発明の含水系貼付剤の粘着剤層には、薬物等の有効成分の溶解を補助(すなわち溶解補助剤としての機能)し、また粘着剤層から有効成分が析出することを防ぐ役割を発揮し得る成分として、有機溶媒を配合してもよい。
このような有機溶媒(溶解補助剤)として、クロタミトン;N-メチル-2-ピロリドン;マクロゴール400(ポリエチレングリコール)、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリビニルアルコール;アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル等の脂肪酸エステル;ポリオキシアル
キレン脂肪酸エステル等;ソルビタンエステル類;1,3-ブタンジオール等の多価アルコール;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
有機溶媒を使用する場合、その配合量は、含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.1質量%以上20質量%以下とすることができる。
<有機酸>
本発明の含水系貼付剤の粘着剤層には、有機酸を配合してもよい。配合可能な有機酸としては、例えば、酒石酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、グリコール酸、リンゴ酸、フマル酸、メタスルホン酸、マレイン酸、酢酸等が挙げられ、これらを単独又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
有機酸を使用する場合、その配合量は、含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば、0.1質量%以上5質量%以下の範囲とすることができる。こうした配合量範囲で有機酸を使用することにより、架橋性が不十分で、粘着剤が溶解したり、べたつく問題を抑制でき、一方で架橋反応が進みすぎて膏体が硬くなり製造できないという問題を抑制できることが期待できる。
<界面活性剤>
本発明の含水系貼付剤の粘着剤層には界面活性剤を配合することもできる。そのような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリプロピレングリコールジオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノセスキオレート、及びこれらのエチレンオキシド付加物等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンドデシルエーテル(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ラウロマクロゴール)、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル;モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、レシチン等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて、使用できる。
これら界面活性剤を使用する場合、その配合量は、含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.001質量%以上10質量%以下、0.01質量%以上5質量%以下の範囲とすることができる。
<その他の任意成分>
本発明の含水系貼付剤の粘着剤層には、さらにその他の任意成分として、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等の酸化防止剤、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸塩、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の無機粉体、ベンゾイルメタン誘導体等の紫外線吸収剤、着色剤、香料、防腐剤等の、従来の含水系貼付剤(パップ剤)やあるいは非水系貼付剤(テープ剤)における粘着剤層に一般に配合され得る成分を配合することができる。これらの任意成分が使用される場合、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて通常、含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.01質量%以上1質量%以下の範囲で使用することができる。
[支持体]
本発明の含水系貼付剤に用いる支持体としては、フィルム、不織布、和紙、綿布、編布、織布、不織布とフィルムのラミネート複合体等の柔軟性を有する支持体が挙げられる。これらの支持体は、皮膚に密着することができ、かつ、皮膚の動きに追随することができる程度の柔軟な材質、そして長時間貼付後において皮膚のかぶれ等の発生を抑制できる材質が好ましい。これらの支持体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ナイロン、コットン、アセテートレーヨン、レーヨン、レーヨン/ポリエチレンテレフタレート複合体、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、アクリル系ポリウレタン、エステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタン、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、セロハン等を必須成分とするものが挙げられる。
また、布類などの支持体は、着色剤により肌色などの色調に着色することにより、貼付時に肌の色との相違を少なくできる。また貼付下の皮膚の色調を透けて出しやすいという点では、透明性に優れたプラスチックフィルムの形態を採用することができる。
支持体の厚みは、通常5μmから1mm程度である。支持体が布類である場合、その厚みは、好ましくは50μm~1mm、より好ましくは100~800μm、更に好ましくは200~700μmである。支持体がプラスチックフィルムである場合、その厚みは、好ましくは10~300μm、より好ましくは12~200μm、更に好ましくは15~150μmである。支持体の厚みが5μm~30μm程度とごく薄い場合は、支持体上に形成された粘着剤層とは反対の面上に、剥離可能なキャリアフィルム層を設けると、貼付剤としての取り扱い性が向上するので好ましい。但し5μmよりも支持体の厚みが小さいと、貼付剤の強度や取り扱い性が低下して、皮膚への貼付が困難になり、他の部材等との接触によって破れることがある。また、支持体の厚みが大きすぎる(1mmより超える)と、貼付剤が、皮膚の動きに追随しにくくなり、貼付剤の辺縁部に剥がれるきっかけを形成しやすくなるため、短時間で皮膚から剥離したり、貼付中の違和感が増えたりする虞がある。
なお支持体がフィルムである場合は、粘着剤と支持体の投錨性を向上することを目的に、支持体の片面又は両面にサンドブラスト処理、コロナ処理等の処理を行なってもよい。
また、包材から取り出しやすくするために支持体の片面又は両面にサンドブラスト以外の方法で凹凸を設けてもよい。
[剥離ライナー]
本発明の含水系貼付剤に用いる剥離ライナー(剥離層・剥離紙ともいう)としては、粘着剤層中の薬物等が吸収・吸着しにくい材質であることが好ましく、貼付剤の技術分野において慣用のものを使用することができる。
例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレート等)、ポリプロピレン(無延伸、延伸等)、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、クラフト紙等の紙や合成紙;前記プラスチックフィルム、紙又は合成紙、合成繊維等にシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングした剥離加工紙;アルミ箔;これらフィルム・シートを種々積層したラミネート加工紙、及び該ラミネート加工紙に剥離剤をコーティングしたラミネート剥離加工紙などの、無色又は着色したシートを挙げることができる。なお剥離ライナーは、包材から取り出しやすいように凹凸を設けることも可能である。
これら剥離ライナーの厚さは特に限定されないが、通常10μm~1mm、例えば20μm~500μm、好ましくは40μm~200μmの範囲である。
なお、剥離ライナーからの粘着剤層を剥離する際の剥離力は、特定の範囲の剥離力であることが望ましい。これは、粘着剤層の剥離ライナーからの剥離力が弱すぎると、包材中の貼付剤を取り出す際に包材に貼付剤が引っかかった場合、粘着剤層(すなわち貼付剤)が剥離ライナーからずれて剥がれてしまう虞があるためである。また、剥離ライナーからの粘着剤層(貼付剤)の剥離力が強すぎると、使用時の取り扱い性が悪くなる虞があるためである。粘着剤層の剥離ライナーからの剥離力は、使用する剥離ライナーの種類にもよるが、例えば0.01N/15mm~0.5N/15mmとすることができる。
[含水系貼付剤の製造方法]
本発明の含水系貼付剤は、従来公知の方法を用いて製造され得る。例えば一例として、以下の(i)又は(ii)の工程を経て製造可能である。
(i)支持体上に、粘着剤層形成組成物を塗工し、粘着剤層を形成する工程、及び、支持体上に形成された粘着剤層と、剥離ライナーとを貼り合わせる工程。
(ii)剥離ライナー上に、粘着剤層形成組成物を塗工し、粘着剤層を形成する工程、及び、剥離ライナー上に形成された粘着剤層と、支持体とを貼り合わせる工程。
なお、上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、通常10μm乃至1000μm、例えば20μm乃至800μm程度とすることができる。
前記粘着剤層形成組成物とは、前述した粘着剤層に含まれる各種成分:有効成分、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体、ポリアクリル酸部分中和物(他、アクリル系親水性粘着剤)、カルメロースナトリウムを含む水溶性高分子化合物、グリセリンを含む湿潤剤、架橋剤、塩酸、及び水を含有し、さらに所望によりキレート剤、有機溶媒、有機酸、界面活性剤、さらにはその他の任意の成分を含有し得る半固形状の組成物である。
上記粘着剤層形成組成物は、製造時の操作性の観点から、20℃~30℃において、90~250Pa・s、100~250Pa・s、さらに好ましくは130~250Pa・sの粘度を有することが好ましい。粘度が90Pa・s未満になると、編布や織布を支持体とした場合に、膏体が裏抜けする虞がある。粘度が250Pa・sを超えると展延しにくくなる。
<ボールタック残存率>
本発明の含水系貼付剤にあっては、その粘着剤層のボールタック粘着力が、60℃で2週間保管の後においても70%以上残存していることが好ましい。すなわち、ボールタックのNo.で示されるボールタックの数値に関して、60℃で2週間保管の前の数値に対する保管の後の数値が70%以上(残存率70%)であることが好ましい。
上記の如く、所定期間・温度の経過後のボールタックの残存率が70%以上であることにより、粘着性に関して経時安定性に優れた粘着剤層を有する含水系貼付剤を提供できる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
<貼付剤の作製>
以下の手順にて、実施例、比較例及び製造実施例の貼付剤(製剤)を製造した。
実施例1:
ポリビニルアルコール1.3質量部を、精製水に溶解させた(水相)。
次に、マクロゴール400 1.00質量部、ラウロマクロゴール0.50質量部、及びアジピン酸ジイソプロピル1.30質量部に、サリチル酸エチレングリコール2.00質量部、L-メントール1.00質量部を加えて溶解させた(油相)。
更に、ポリアクリル酸部分中和物4質量部、カルメロースナトリウム3.00質量部、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート0.25質量部を、濃グリセリン32.50質量部中で均一に分散させた(グリセリン相)。
撹拌機中に、水相、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合エマルジョン7質量部、エデト酸ナトリウム水和物0.20質量部、D-ソルビトール70%水溶液 10.00質量部、精製水にて希釈した塩酸0.40質量部の順に投入し、均一に分散又は溶解させた。ここに、油相、グリセリン相の順に投入し、均一に練合した。更に、乳酸1.00質量部を加え、脱気条件下、均一に練合し実施例1の粘着剤層形成組成物を得た。
得られた粘着剤層形成組成物を展延機でライナー(片面シリコーン処理したPET(厚さ75μm))のシリコーン面上に展延し、ニット支持体(ポリエステル製編布、厚さ650μm、目付100g/m2)をラミネートした後、40℃で1週間熟成させた。熟成後、任意の形状に打抜き、実施例1の製剤を得た。
実施例2乃至実施例4、比較例1乃至比較例5:
各成分の種類並びに配合量を表2及び表3に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2乃至実施例4、比較例1乃至比較例5の製剤を得た。
なおモノオレイン酸ソルビタン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレンオレイルエーテルを配合する場合は、マクロゴール400と同じタイミングで、それぞれ投入することで製造した。
試験例1:製造性
<貼付剤の作製>の手順において製造した実施例及び比較例の粘着剤層形成組成物を、展延機でライナーのシリコーン面上に展延する際の難易について、以下の評価基準にて製造性を評価した。得られた結果を表2及び表3に示す。
<製造性 評価>
++:容易に展延できる
+ :展延できる
± :展延できるが安定しない
- :展延できない
試験例2:粘着力試験 ボールタック
実施例及び比較例の各製剤(製造直後:初期)の剥離ライナーを剥離して粘着剤層を露出し、該粘着剤層のボールタック粘着力を、日局一般試験法 6.12粘着力試験法 3.2.傾斜式ボールタック試験法に従い実施した。n=3の平均値(ボールNo.)をボールタック試験の値とした。
また、実施例及び比較例の各製剤を60℃で2週間保管した後、剥離ライナーを剥離して粘着剤層を露出し、上記と同様にボールタック粘着力を測定した。
得られた結果を表2及び表3に示す。また合わせて、初期のボールNo.に対する経時(60℃で2週間)後のボールNo.の数値割合[残存率、%]をあわせて示す。
なお本ボールタックの評価は粘着剤層の粘着力を反映したものであり、その値は、製造直後(初期)において好ましくは10以上であり、また経時後において初期値の70%以上の値を有していれば、経時安定性に優れると評価できる。
Figure 2024048993000002
Figure 2024048993000003
表2に示すように、粘着剤層中の水の配合量が40質量%以上である実施例1~実施例4の製剤は、初期のボールタック値と比べ経時(60℃で2週間)後においても85%を超えるボールタック値を維持しており、粘着力の経時安定性に優れる含水系貼付剤となった。
また貼付剤製造時においても、粘着剤層形成組成物をライナー上に容易に展延でき、製造性にも優れる含水系貼付剤となった。
一方、表3に示すように、粘着剤層中の水の配合量が40質量%未満である比較例1~比較例5の製剤は、初期のボールタック値と比べ経時(60℃で2週間)後におけるボールタック値は50%以下と大きく減少し、粘着力の経時安定性に劣ることが確認された。
以上の実施例の結果より、本発明によれば、粘着剤層に配合する水分含量を40質量%以上70質量%以下に調整することにより、製造性に優れ、粘着力が経時的に安定した含水系貼付剤を提供できることが確認された。

Claims (4)

  1. 支持体と、該支持体上に設けた粘着剤層及び該粘着剤層上に貼られた剥離ライナーからなる含水系貼付剤であって、
    前記粘着剤層が下記a)~h)成分を必須として含有してなり、
    a)有効成分、
    b)(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、
    c)ポリアクリル酸部分中和物、
    d)カルメロースナトリウムを含む水溶性高分子化合物、
    e)グリセリンを含む湿潤剤、
    f)架橋剤、
    g)塩酸、及び
    h)水、
    且つ、
    前記粘着剤層における水の配合量が、40質量%以上70質量%以下である、
    含水系貼付剤。
  2. 前記粘着剤層の有効成分がサリチル酸グリコールである、請求項1に記載の含水系貼付剤。
  3. 前記粘着剤層が、粘着剤層の全質量を100質量%としたとき
    a)有効成分を0.1~30質量%
    b)(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を0.1~5質量%
    c)ポリアクリル酸部分中和物を0.1~10質量%
    d)カルメロースナトリウムを含む水溶性高分子化合物を1~30質量%
    e)グリセリンを含む湿潤剤を30~70質量%
    f)架橋剤を0.01~6.0質量%
    g)塩酸を0.1~1.5質量%
    の割合にて配合してなる、
    請求項1又は請求項2に記載の含水系貼付剤。
  4. 保管条件:60℃で2週間保管前後のボールタックの残存率が70%以上である、請求項1又は請求項2に記載の含水系貼付剤。
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