JP2024048875A - 断熱材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 断熱効果の高い断熱材を提供する。【解決手段】 発熱体の周囲を覆う断熱材であって、上記断熱材の発熱体側の表面に熱分解炭素を含む熱分解炭素層を有しており、上記熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであることを特徴とする断熱材。【選択図】 図1
Description
本発明は、断熱材に関する。
炭素繊維を用いた断熱材は、耐熱温度が高く断熱性能も優れることから、単結晶引き上げ装置、セラミック焼結炉など、高温炉用断熱材として広く利用されている。
炭素繊維を用いた断熱材は、炭素繊維による伝熱を抑制するため、気孔率の高いフェルト、抄造体などの形態で広く利用されている。一般に、フェルトは変形性があるため、空いた空間に充填して当該空間を埋める部材や、他の部品を囲む断熱材として利用される。一方、抄造体は高い形状保持性を有するため、所定の形状に加工し、断熱部品として利用される。なお、フェルトは、圧縮した後、バインダによって固定することにより、形状保持性の良い断熱部品として使用することもできる。
炭素繊維を用いた断熱材は、炉内での酸化、機械的な摩擦などにより、繊維の脱落を起こし、パーティクルを発生させることがある。また、このような不具合が、放射熱に対する断熱性の低下を引き起こすことがある。
このような課題を解決するため、特許文献1には、嵩密度0.1~0.4g/cm3の炭素質断熱部材と、嵩密度0.3~2.0g/cm3の炭素質保護層と、炭素質保護層よりも嵩密度の大きい熱分解炭素皮膜と、を有する複合炭素質断熱材において、炭素質断熱部材の表面の少なくとも一部に炭素質保護層を接合して接合体を形成し、接合体の表面のうち少なくとも炭素質断熱部材の面に熱分解炭素皮膜層を形成することで、使用時の炭素繊維の消耗、劣化、粉化を抑制し、断熱特性に優れた複合炭素質断熱材を得ることが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の断熱材を、誘導加熱炉のような高温の発熱体の周囲に配置するような断熱材として使用した場合、断熱効果が充分とは言えず、さらに断熱効果を向上させることが望まれていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされた発明であり、本発明の目的は、断熱効果の高い断熱材を提供することである。
本発明の断熱材は、発熱体の周囲を覆う断熱材であって、上記断熱材の発熱体側の表面に熱分解炭素を含む熱分解炭素層を有しており、上記熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであることを特徴とする。
本発明の断熱材は、発熱体と対向する面になる熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであり、従来の断熱材よりも平滑な表面となっている。
発熱体と対向する面が平滑な表面であると、熱反射率が高くなるので、熱分解炭素層の表面において発熱体からの放射熱を反射することができるので、断熱効果の高い断熱材とすることができる。
発熱体と対向する面が平滑な表面であると、熱反射率が高くなるので、熱分解炭素層の表面において発熱体からの放射熱を反射することができるので、断熱効果の高い断熱材とすることができる。
本発明の断熱材は、平滑面を有する平滑層を備えており、上記平滑面に上記熱分解炭素層が形成されていることが好ましい。
平滑面に対して熱分解炭素層を形成することによって、熱分解炭素層の表面を平滑な表面とすることができる。
平滑面に対して熱分解炭素層を形成することによって、熱分解炭素層の表面を平滑な表面とすることができる。
本発明の断熱材は、炭素繊維を含む基材と、基材の表面に形成された上記平滑層と、上記平滑層の上記平滑面に形成された上記熱分解炭素層とを備えることが好ましい。
炭素繊維を含む基材は、炭素繊維間に隙間を有しているため、対流による伝熱を抑制することができ、断熱性能を向上させることができる。
炭素繊維を含む基材は、炭素繊維間に隙間を有しているため、対流による伝熱を抑制することができ、断熱性能を向上させることができる。
本発明の断熱材において、上記平滑層は、炭素材料の圧縮成形体であることが好ましい。
また、本発明の断熱材において、上記平滑層は、炭素製フィルムであることが好ましい。
炭素材料の圧縮成形体、及び炭素製フィルムはその表面を平滑な表面とすることができるので、その表面に熱分解炭素層を形成することで熱分解炭素層の表面を平滑な表面とすることができる。
また、本発明の断熱材において、上記平滑層は、炭素製フィルムであることが好ましい。
炭素材料の圧縮成形体、及び炭素製フィルムはその表面を平滑な表面とすることができるので、その表面に熱分解炭素層を形成することで熱分解炭素層の表面を平滑な表面とすることができる。
また、上記熱分解炭素層は、厚さが2~60μmであることが好ましい。
熱分解炭素層の厚さが2~60μmであると、加熱炉内で発生するガスと炭素繊維を含む基材とのガス遮断性を維持したまま放射熱の遮断特性とを両立させることができる。
熱分解炭素層の厚さが2~60μmであると、加熱炉内で発生するガスと炭素繊維を含む基材とのガス遮断性を維持したまま放射熱の遮断特性とを両立させることができる。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の断熱材について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
以下、本発明の断熱材について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
本発明の断熱材は、発熱体の周囲を覆う断熱材であって、上記断熱材の発熱体側の表面に熱分解炭素を含む熱分解炭素層を有しており、上記熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであることを特徴とする。
断熱材の外形形状は、内側に発熱体を収容するための柱状の空間を有する形状であれば特に限定されず、例えば、円柱形、角柱形等の柱形状が挙げられる。
上記空間の外形形状は特に限定されないが、例えば円柱形、角柱形等の柱形状が挙げられる。
上記空間の外形形状は特に限定されないが、例えば円柱形、角柱形等の柱形状が挙げられる。
断熱材の内側に形成される空間の、長手方向に直交する方向における断面形状は、特に限定されず、例えば、真円、楕円等の円形であってもよく、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよい。
断熱材は、最初から筒形状に成形されたものでなくてもよい。
すなわち、断熱材は、筒形状を複数個に分割した形状の複数の断熱材の集合体であってもよい。
また、断熱材は、平面視略矩形形状のシート状成形体を、内側に発熱体を収容するための柱状の空間が形成されるように変形させ、内側面に熱分解炭素層を形成したものであってもよい。
すなわち、断熱材は、筒形状を複数個に分割した形状の複数の断熱材の集合体であってもよい。
また、断熱材は、平面視略矩形形状のシート状成形体を、内側に発熱体を収容するための柱状の空間が形成されるように変形させ、内側面に熱分解炭素層を形成したものであってもよい。
シート状成形体を筒形状に変形させる場合、シート状成形体の端部同士が接触する部分(接触部)は、互いに分離可能な状態で接していてもよいし、炭素系接着材等により互いに接合されていてもよいし、炭素繊維等で縫合されていてもよい。
断熱材は、発熱体側の表面に熱分解炭素を含む熱分解炭素層を有している。
そして、発熱体と対向する面になる熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであり、従来の断熱材よりも平滑な表面となっている。
発熱体と対向する面が平滑な表面であると、熱反射率が高くなる。そのため、熱分解炭素層の表面において発熱体からの放射熱を反射することができるので、断熱効果の高い断熱材とすることができる。
なお、熱分解炭素を含む熱分解炭素層を、以下単に熱分解炭素層ということもある。
そして、発熱体と対向する面になる熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであり、従来の断熱材よりも平滑な表面となっている。
発熱体と対向する面が平滑な表面であると、熱反射率が高くなる。そのため、熱分解炭素層の表面において発熱体からの放射熱を反射することができるので、断熱効果の高い断熱材とすることができる。
なお、熱分解炭素を含む熱分解炭素層を、以下単に熱分解炭素層ということもある。
熱分解炭素層の表面粗さRaはJIS B 0601(2013)における算術平均粗さであり、接触式の表面粗さ計又は非接触式の表面粗さ計により測定することができる。
また、熱分解炭素層は、厚さが2~60μmであることが好ましい。
熱分解炭素層の厚さが2~60μmであると、加熱炉内で発生するガスと炭素繊維を含む基材とのガス遮断性を維持したまま放射熱の遮断特性とを両立させることができる。
なお、熱分解炭素層を有しているか、及び、熱分解炭素層の厚さは、断熱材の切断面を偏光顕微鏡等で観察することにより確認することができる。
熱分解炭素層の厚さが2~60μmであると、加熱炉内で発生するガスと炭素繊維を含む基材とのガス遮断性を維持したまま放射熱の遮断特性とを両立させることができる。
なお、熱分解炭素層を有しているか、及び、熱分解炭素層の厚さは、断熱材の切断面を偏光顕微鏡等で観察することにより確認することができる。
本発明の断熱材は、平滑面を有する平滑層を備えており、平滑面に熱分解炭素層が形成されていることが好ましい。
平滑面に対して熱分解炭素層を形成することによって、熱分解炭素層の表面を平滑な表面とすることができる。
熱分解炭素層としては、炭化水素ガスを原料として化学気相成長法(CVD法)により形成された層であることが好ましい。平滑面に対してCVD法により熱分解炭素層を形成すると、熱分解炭素層の表面の表面粗さを低くして平滑な表面を得ることができる。
平滑面に対して熱分解炭素層を形成することによって、熱分解炭素層の表面を平滑な表面とすることができる。
熱分解炭素層としては、炭化水素ガスを原料として化学気相成長法(CVD法)により形成された層であることが好ましい。平滑面に対してCVD法により熱分解炭素層を形成すると、熱分解炭素層の表面の表面粗さを低くして平滑な表面を得ることができる。
平滑面の表面粗さは以下の測定で80μm以下であることが好ましい。
平滑面の表面粗さは、断熱材の切断面をSEM等で観察し、幅1mmの範囲の断面写真における平滑面と熱分解炭素層の境界線の形状から画像解析により最大高さと最小高さの差を出すことによって求めることができる。
平滑面の表面粗さは、断熱材の切断面をSEM等で観察し、幅1mmの範囲の断面写真における平滑面と熱分解炭素層の境界線の形状から画像解析により最大高さと最小高さの差を出すことによって求めることができる。
本発明の断熱材は、炭素繊維を含む基材と、基材の表面に形成された平滑層と、平滑層の平滑面に形成された熱分解炭素層とを備えることが好ましい。
炭素繊維を含む基材は、炭素繊維間に隙間を有しているため、対流による伝熱を抑制することができ、断熱性能を向上させることができる。
炭素繊維を含む基材は、炭素繊維間に隙間を有しているため、対流による伝熱を抑制することができ、断熱性能を向上させることができる。
炭素繊維の平均繊維径は、1μm~20μmが好ましい。
炭素繊維の平均繊維径が20μm以下であると、炭素繊維自体による伝導伝熱の効果を抑制することができる。また炭素繊維の平均繊維径が1μm以上であると、遮光性に優れ、放射伝熱を抑制することができる。
炭素繊維の平均繊維径が20μm以下であると、炭素繊維自体による伝導伝熱の効果を抑制することができる。また炭素繊維の平均繊維径が1μm以上であると、遮光性に優れ、放射伝熱を抑制することができる。
炭素繊維の平均繊維長は、2mm~10000mmが好ましい。
また、炭素繊維の平均繊維長は、2mm~8mmであってもよく、10mm~10000mmであってもよい。
また、炭素繊維の平均繊維長は、2mm~8mmであってもよく、10mm~10000mmであってもよい。
とくに、炭素繊維の平均繊維長が2mm~8mmであると、強度が高く、また、炭素繊維が配向しにくいため、誘導加熱炉に用いた場合、誘導加熱による発熱を最小限に抑えることができる。
炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維のいずれでも利用できるとともに、黒鉛質、炭素質いずれの炭素繊維も利用することができる。
基材は炭素材料の圧縮成形体であってもよく、この場合に、平滑層は、炭素材料の圧縮成形体であってもよい。
炭素材料の圧縮成形体はその表面を平滑な表面とすることができるので、その表面に熱分解炭素層を形成することで熱分解炭素層の表面を平滑な表面とすることができる。
炭素材料の圧縮成形体はその表面を平滑な表面とすることができるので、その表面に熱分解炭素層を形成することで熱分解炭素層の表面を平滑な表面とすることができる。
平滑層が炭素材料の圧縮成形体である場合、平滑層の嵩密度は、特に限定されないが、0.25~1.90g/cm3であることが好ましい。
平滑層の嵩密度は、平滑層のみを断熱材から切り出し、平滑層の重量を、平滑層の外形寸法より求めた体積で除することで測定することができる。
平滑層の嵩密度は、平滑層のみを断熱材から切り出し、平滑層の重量を、平滑層の外形寸法より求めた体積で除することで測定することができる。
平滑層としての炭素材料の圧縮成形体の厚さは0.5~10mmであることが好ましい。
平滑層が炭素材料の圧縮成形体である場合、炭素材料の圧縮成形体である基材の全体が平滑層であってもよい。
この場合、断熱材の全体としては、平滑層である炭素材料の圧縮成形体である基材と、平滑層の表面に形成された熱分解炭素層とからなる断熱材となる。
この場合、断熱材の全体としては、平滑層である炭素材料の圧縮成形体である基材と、平滑層の表面に形成された熱分解炭素層とからなる断熱材となる。
また、平滑層が炭素材料の圧縮成形体である場合に、基材と平滑層が異なる層であってもよい。
基材と平滑層が異なる層である場合、基材の表面に形成された平滑層である炭素材料の圧縮成形体と、平滑層以外の層である他の成形体からなる構成であってもよい。
他の成形体としては、炭素繊維のニードルマット、又は、炭素繊維の抄造体であることが好ましい。
すなわち、炭素繊維を含む基材が炭素繊維のニードルマットであり、平滑層が基材の表面に形成された炭素材料の圧縮成形体であってもよい。
また、炭素繊維を含む基材が炭素繊維の抄造体であり、平滑層が基材の表面に形成された炭素材料の圧縮成形体であってもよい。
この場合、断熱材の全体としては、基材と、基材の表面に形成された平滑層である炭素材料の圧縮成形体と、平滑層の表面に形成された熱分解炭素層とからなる断熱材となる。この場合の基材として炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体を用いることができる。
基材と平滑層が異なる層である場合、基材の表面に形成された平滑層である炭素材料の圧縮成形体と、平滑層以外の層である他の成形体からなる構成であってもよい。
他の成形体としては、炭素繊維のニードルマット、又は、炭素繊維の抄造体であることが好ましい。
すなわち、炭素繊維を含む基材が炭素繊維のニードルマットであり、平滑層が基材の表面に形成された炭素材料の圧縮成形体であってもよい。
また、炭素繊維を含む基材が炭素繊維の抄造体であり、平滑層が基材の表面に形成された炭素材料の圧縮成形体であってもよい。
この場合、断熱材の全体としては、基材と、基材の表面に形成された平滑層である炭素材料の圧縮成形体と、平滑層の表面に形成された熱分解炭素層とからなる断熱材となる。この場合の基材として炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体を用いることができる。
炭素繊維のニードルマット及び炭素繊維の抄造体は、ランダムに配置された炭素繊維で構成されるため、高い断熱性を発揮することができ、基材を構成する材料として特に好適である。
基材が炭素繊維のニードルマットである場合、炭素繊維の平均繊維長は、10mm~10000mmであることが好ましい。
基材が炭素繊維の抄造体である場合、炭素繊維の平均繊維長は、2mm~8mmであることが好ましい。
基材が炭素繊維の抄造体である場合、炭素繊維の平均繊維長は、2mm~8mmであることが好ましい。
基材が炭素繊維のニードルマット及び炭素繊維の抄造体である場合、基材の嵩密度は、特に限定されないが、0.05~0.4g/cm3であることが好ましい。
基材の嵩密度は、基材のみを断熱材から切り出し、基材の重量を、基材の外形寸法より求めた体積で除することで測定することができる。
基材の嵩密度は、基材のみを断熱材から切り出し、基材の重量を、基材の外形寸法より求めた体積で除することで測定することができる。
また、平滑層は、炭素製フィルムであってもよい。
炭素製フィルムはその表面を平滑な表面とすることができるので、その表面に熱分解炭素層を形成することで熱分解炭素層の表面を平滑な表面とすることができる。
炭素製フィルムはその表面を平滑な表面とすることができるので、その表面に熱分解炭素層を形成することで熱分解炭素層の表面を平滑な表面とすることができる。
炭素製フィルムの厚さは500μm未満であることが好ましい。炭素製フィルムが500μmを超える厚さであると、可撓性が低下してしまい、巻付け性が低下することがある。炭素製フィルムは、200μm未満の厚さであることがより好ましく、100μm未満の厚さであることがさらに好ましい。また、炭素製フィルムは、20μm以上の厚さであることが好ましい。
炭素製フィルムとしては、黒鉛シート等が挙げられる。
炭素製フィルムが黒鉛シートであると、耐熱性に特に優れる。
なお、黒鉛シートとは、酸処理した膨張黒鉛を圧縮し、シート状に成形した成形体である。
炭素製フィルムが黒鉛シートであると、耐熱性に特に優れる。
なお、黒鉛シートとは、酸処理した膨張黒鉛を圧縮し、シート状に成形した成形体である。
平滑層が炭素製フィルムである場合、基材と平滑層を異なる層とすることが好ましい。
基材としては、炭素繊維のニードルマット、又は、炭素繊維の抄造体であることが好ましい。
すなわち、炭素繊維を含む基材が炭素繊維のニードルマットであり、平滑層が基材の表面に形成された炭素製フィルムであってもよい。
また、炭素繊維を含む基材が炭素繊維の抄造体であり、平滑層が基材の表面に形成された炭素製フィルムであってもよい。
この場合、断熱材の全体としては、基材と、基材の表面に形成された平滑層である炭素製フィルムと、平滑層の表面に形成された熱分解炭素層とからなる断熱材となる。この場合の基材として炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体を用いることができる。
炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体としては、平滑層が炭素材料の圧縮成形体である場合に説明した上述のものを用いることができる。
基材としては、炭素繊維のニードルマット、又は、炭素繊維の抄造体であることが好ましい。
すなわち、炭素繊維を含む基材が炭素繊維のニードルマットであり、平滑層が基材の表面に形成された炭素製フィルムであってもよい。
また、炭素繊維を含む基材が炭素繊維の抄造体であり、平滑層が基材の表面に形成された炭素製フィルムであってもよい。
この場合、断熱材の全体としては、基材と、基材の表面に形成された平滑層である炭素製フィルムと、平滑層の表面に形成された熱分解炭素層とからなる断熱材となる。この場合の基材として炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体を用いることができる。
炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体としては、平滑層が炭素材料の圧縮成形体である場合に説明した上述のものを用いることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の断熱材の一例を説明する。
図1は、本発明の断熱材の一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1におけるII-II線断面図である。
図1は、本発明の断熱材の一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1におけるII-II線断面図である。
図1に示す断熱材1は、基材10、平滑層20及び熱分解炭素層30を備える。
また、断熱材1は、長手方向(図1中、Z方向)に伸びる略円筒形状を有している。長手方向(Z方向)に直交するX方向及びY方向に平行な面に対し、断熱材1をZ方向から見た上面視形状は、環状である。
また、断熱材1は、長手方向(図1中、Z方向)に伸びる略円筒形状を有している。長手方向(Z方向)に直交するX方向及びY方向に平行な面に対し、断熱材1をZ方向から見た上面視形状は、環状である。
図1に示す断熱材1では、基材10は炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体である。平滑層20が炭素材料の圧縮成形体であり、表面に平滑面20a(図2、図4参照)を有する。平滑面20aに形成された熱分解炭素層30がCVD法により形成された熱分解炭素層である。
断熱材1は、発熱体を収容するための円柱形状の空間60を内側に有する。
図2に示すように、発熱体を収容するための空間60に位置する熱分解炭素層30は、発熱体側となる表面30aを有する。
熱分解炭素層の表面30aの表面粗さRaが0.5~10μmとなっている。
図2に示すように、発熱体を収容するための空間60に位置する熱分解炭素層30は、発熱体側となる表面30aを有する。
熱分解炭素層の表面30aの表面粗さRaが0.5~10μmとなっている。
空間60は発熱体(図示しない)を収容するための空間であるから、断熱材1は発熱体の周囲を覆う断熱材である。
断熱材1が使用される場合、図1及び図2に示す空間60に発熱体が配置される。
このことを、図3を用いて説明する。
このことを、図3を用いて説明する。
図3は、本発明の断熱材を用いて構成される加熱装置の一例を模式的に示す一部切り欠き斜視断面図である。
図3に示す加熱装置100は、断熱材1と、るつぼ50と、るつぼ50を加熱させるための誘導加熱用コイル70と、を備えている。
誘導加熱用コイル70が発生させる誘導電流によりるつぼ50が加熱される。従って、るつぼ50は発熱体である。
るつぼ50は空洞51を有している。従って、加熱装置100は、誘導加熱用コイル70によりるつぼ50を発熱させることで、空洞51に配置した物質を加熱することができる。
図3に示す加熱装置100は、断熱材1と、るつぼ50と、るつぼ50を加熱させるための誘導加熱用コイル70と、を備えている。
誘導加熱用コイル70が発生させる誘導電流によりるつぼ50が加熱される。従って、るつぼ50は発熱体である。
るつぼ50は空洞51を有している。従って、加熱装置100は、誘導加熱用コイル70によりるつぼ50を発熱させることで、空洞51に配置した物質を加熱することができる。
るつぼ50の周囲は、断熱材1により覆われている。
断熱材1は、るつぼ50に対向する面に熱分解炭素層30を備える。
るつぼ50が配置されている空間は、断熱材1が有する空間60の一部又は全部である。
断熱材1の外周面には、誘導加熱用コイル70が巻きつけられている。
断熱材1は、るつぼ50に対向する面に熱分解炭素層30を備える。
るつぼ50が配置されている空間は、断熱材1が有する空間60の一部又は全部である。
断熱材1の外周面には、誘導加熱用コイル70が巻きつけられている。
加熱装置100では、るつぼ50と断熱材1とは直接接触しているが、るつぼ50と断熱材1との間に隙間を設けてもよい。
図3に示す加熱装置100において、るつぼ50を構成する材料は、導体であれば特に限定されないが、高温(特に2000℃以上)における耐熱性及び耐久性に優れた黒鉛が好ましい。
発熱体は上記のような、固体及び液体を加熱するためのものに限定されない。
例えば、発熱体は、黒鉛製の筒形状を有し、内部を通過するガスを加熱するものであってもよい。
また、発熱体は直接通電加熱されるヒーターであってもよく、発熱体と断熱材の間に被加熱体が入る隙間があってもよい。
例えば、発熱体は、黒鉛製の筒形状を有し、内部を通過するガスを加熱するものであってもよい。
また、発熱体は直接通電加熱されるヒーターであってもよく、発熱体と断熱材の間に被加熱体が入る隙間があってもよい。
図4は、図3の破線で囲った領域の部分拡大図である。
図4に示すように、るつぼ50に対向する面に熱分解炭素層30を備える。
熱分解炭素層の表面30aの表面粗さが低くなっていることにより、るつぼ50から発せられる放射光を反射して放射伝熱を防ぐことができる。
図4に示すように、るつぼ50に対向する面に熱分解炭素層30を備える。
熱分解炭素層の表面30aの表面粗さが低くなっていることにより、るつぼ50から発せられる放射光を反射して放射伝熱を防ぐことができる。
図5は、断熱材の別の一例を模式的に示す一部断面図である。図5には、図4と同じ位置の断熱材及び発熱体の位置関係を示している。
図5に示す断熱材2では、基材40は平滑層である炭素材料の圧縮成形体であり、表面に平滑面40aを有する。平滑面40aに形成された熱分解炭素層30がCVD法により形成された熱分解炭素層である。
熱分解炭素層の表面30aの表面粗さが低くなっていることにより、るつぼ50から発せられる放射光を反射して放射伝熱を防ぐことができる。
図5に示す断熱材2では、基材40は平滑層である炭素材料の圧縮成形体であり、表面に平滑面40aを有する。平滑面40aに形成された熱分解炭素層30がCVD法により形成された熱分解炭素層である。
熱分解炭素層の表面30aの表面粗さが低くなっていることにより、るつぼ50から発せられる放射光を反射して放射伝熱を防ぐことができる。
図6は、断熱材の別の一例を模式的に示す一部断面図である。図6には、図4と同じ位置の断熱材及び発熱体の位置関係を示している。
図6に示す断熱材3では、基材10は炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体である。平滑層80が炭素製フィルムであり、表面に平滑面80aを有する。平滑面80aに形成された熱分解炭素層30がCVD法により形成された熱分解炭素層である。
熱分解炭素層の表面30aの表面粗さが低くなっていることにより、るつぼ50から発せられる放射光を反射して放射伝熱を防ぐことができる。
図6に示す断熱材3では、基材10は炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体である。平滑層80が炭素製フィルムであり、表面に平滑面80aを有する。平滑面80aに形成された熱分解炭素層30がCVD法により形成された熱分解炭素層である。
熱分解炭素層の表面30aの表面粗さが低くなっていることにより、るつぼ50から発せられる放射光を反射して放射伝熱を防ぐことができる。
[断熱材の製造方法]
本発明の断熱材は、基材として使用可能な炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体、炭素材料の圧縮成形体、炭素製フィルム等の各材料を準備し、これらを組み合わせるとともに、発熱体側になる表面に熱分解炭素層を形成することによって得ることができる。
はじめに、各材料の製造方法について説明する。
本発明の断熱材は、基材として使用可能な炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体、炭素材料の圧縮成形体、炭素製フィルム等の各材料を準備し、これらを組み合わせるとともに、発熱体側になる表面に熱分解炭素層を形成することによって得ることができる。
はじめに、各材料の製造方法について説明する。
(基材となる炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体の準備)
基材となる炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体を準備する。
基材となる炭素繊維のニードルマット又は炭素繊維の抄造体を準備する。
ニードルマットを得る場合、例えば、平均繊維長が10mm~10000mmの炭素繊維をシート状に積層し、ニードリングにより無機繊維同士を交絡させることで炭素繊維のニードルマットを得ることができる。
抄造体を得る場合、例えば、平均繊維長が2mm~8mmの炭素繊維を水等の分散媒に分散させた懸濁液を準備し、型を用いて抄造することで、炭素繊維の抄造体を得ることができる。
抄造に用いる型は平面でもよいが、目的の形状の曲面型でもよい。
ニードルマット又は抄造体は最初から筒形状であってもよいが、この時点では筒形状ではなく、例えば、平面視略矩形形状であってもよい。
成形体の形状が平面視略矩形形状の場合には、後述する変形工程により筒形状に変形させる。
ニードルマット又は抄造体は最初から筒形状であってもよいが、この時点では筒形状ではなく、例えば、平面視略矩形形状であってもよい。
成形体の形状が平面視略矩形形状の場合には、後述する変形工程により筒形状に変形させる。
抄造体を得る場合、懸濁液には有機バインダが含まれていてもよい。
懸濁液に有機バインダが含まれていると、抄造時に炭素繊維同士が固定されて、成形性が向上する。
懸濁液に有機バインダが含まれていると、抄造時に炭素繊維同士が固定されて、成形性が向上する。
(表面が平滑面である圧縮成形体の準備)
圧縮成形体は、炭素繊維を含む炭素繊維シートを圧縮成形することによって得ることができる。炭素繊維シートの圧縮成形に際しては、炭素繊維シートを複数枚重ねて圧縮しながら型に注入することにより、所定の厚さの圧縮成形体を得るようにしてもよい。また、圧縮成形において型の内表面を平滑面にしておくことにより、圧縮成形体の表面を平滑面にして、平滑層を得ることができる。
圧縮成形体は、炭素繊維を含む炭素繊維シートを圧縮成形することによって得ることができる。炭素繊維シートの圧縮成形に際しては、炭素繊維シートを複数枚重ねて圧縮しながら型に注入することにより、所定の厚さの圧縮成形体を得るようにしてもよい。また、圧縮成形において型の内表面を平滑面にしておくことにより、圧縮成形体の表面を平滑面にして、平滑層を得ることができる。
(表面が平滑面である炭素製フィルムの準備)
表面が平滑面である炭素製フィルムを準備する。炭素製フィルムとしては上述した市販品を用いてもよい。
表面が平滑面である炭素製フィルムを準備する。炭素製フィルムとしては上述した市販品を用いてもよい。
図1に示す構成の断熱材、すなわち、基材と、平滑層である圧縮成形体と、熱分解炭素層とを有する断熱材を製造する方法としては、圧縮成形体の平滑面に対して熱分解炭素層を形成し、熱分解炭素層を形成した圧縮成形体を基材と積層する方法が挙げられる。
また、基材と圧縮成形体を先に積層し、圧縮成形体の平滑面に熱分解炭素層を形成する方法も挙げられる。
また、基材と圧縮成形体を先に積層し、圧縮成形体の平滑面に熱分解炭素層を形成する方法も挙げられる。
(断熱材の製造)
図5に示す構成の断熱材、すなわち、基材かつ平滑層である炭素材料の圧縮成形体と、熱分解炭素層とを有する断熱材を製造する方法としては、圧縮成形体の平滑面に対して熱分解炭素層を形成する方法が挙げられる。
図5に示す構成の断熱材、すなわち、基材かつ平滑層である炭素材料の圧縮成形体と、熱分解炭素層とを有する断熱材を製造する方法としては、圧縮成形体の平滑面に対して熱分解炭素層を形成する方法が挙げられる。
図6に示す構成の断熱材、すなわち、基材と、平滑層である炭素製フィルムと、熱分解炭素層とを有する断熱材を製造する方法としては、炭素製フィルムの平滑面に対して熱分解炭素層を形成し、熱分解炭素層を形成した炭素製フィルムを基材と積層する方法が挙げられる。
また、基材と炭素製フィルムを先に積層し、炭素製フィルムの表面に熱分解炭素層を形成する方法も挙げられる。
また、基材と炭素製フィルムを先に積層し、炭素製フィルムの表面に熱分解炭素層を形成する方法も挙げられる。
熱分解炭素層を形成する方法は特に限定されないが、例えば、CVD炉を用いて化学気相成長により熱分解炭素層を形成する方法が挙げられる。
CVD炉を用いて熱分解炭素層を形成する工程をCVD工程ともいう。
CVD炉を用いて熱分解炭素層を形成する工程をCVD工程ともいう。
CVD工程の条件は特に限定されない。
原料ガスは炭化水素ガスが利用でき、例えばメタン、エタン、プロパン、エチレンなどが利用できる。
原料ガスは炭化水素ガスが利用でき、例えばメタン、エタン、プロパン、エチレンなどが利用できる。
CVD工程の温度は例えば800~2000℃が好ましい。
CVD工程の温度が800℃以上であると、原料ガスが容易に分解するので熱分解炭素層を形成しやすい。
CVD工程の温度が2000℃以下であると、CVD炉内に炭素繊維が存在する場合に炭素繊維の昇華が抑制され変質が防止できる。
CVD工程の温度が800℃以上であると、原料ガスが容易に分解するので熱分解炭素層を形成しやすい。
CVD工程の温度が2000℃以下であると、CVD炉内に炭素繊維が存在する場合に炭素繊維の昇華が抑制され変質が防止できる。
(変形工程)
なお、基材及び平滑層の外形形状は、最初から筒形でなくてもよい。
例えば、基材又は平滑層として平面視略矩形形状の炭素繊維成形体(シート状成形体)を作製し、これを変形工程により筒形状に変形させてもよい。
なお、基材及び平滑層の外形形状は、最初から筒形でなくてもよい。
例えば、基材又は平滑層として平面視略矩形形状の炭素繊維成形体(シート状成形体)を作製し、これを変形工程により筒形状に変形させてもよい。
シート状成形体は、例えば、長手方向に対向する第1端面及び第2端面と、該長手方向に直交する厚さ方向に対向する第1主面及び第2主面と、該長さ方向及び該厚さ方向に直交する幅方向に対向する第1側面及び第2側面を有する平面視略矩形形状であってもよい。
シート状成形体を変形させて筒形状にする際、シート状成形体の第1端面及び第2端面は、互いに分離可能な状態で接していてもよく、炭素系接着材等で接着されていてもよく、糸等で縫合されていてもよい。糸は、焼成により焼失するものであってもよく、焼成により焼失しないものであってもよい。
(断熱材の配置)
本発明の断熱材は、熱分解炭素層を発熱体に近い側に配置して使用する。
具体的には、発熱体を収容するための空間を覆うように、かつ、発熱体側の面が熱分解炭素層となるように本発明の断熱材を配置する。
本発明の断熱材は、熱分解炭素層を発熱体に近い側に配置して使用する。
具体的には、発熱体を収容するための空間を覆うように、かつ、発熱体側の面が熱分解炭素層となるように本発明の断熱材を配置する。
本明細書には以下の事項が開示されている。
本開示(1)は、発熱体の周囲を覆う断熱材であって、前記断熱材の発熱体側の表面に熱分解炭素を含む熱分解炭素層を有しており、前記熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであることを特徴とする断熱材である。
本開示(2)は、前記断熱材は、平滑面を有する平滑層を備えており、前記平滑面に前記熱分解炭素層が形成されている、本開示(1)に記載の断熱材である。
本開示(3)は、前記断熱材は、炭素繊維を含む基材と、基材の表面に形成された前記平滑層と、前記平滑層の前記平滑面に形成された前記熱分解炭素層とを備える、本開示(2)に記載の断熱材である。
本開示(4)は、前記平滑層は、炭素材料の圧縮成形体である本開示(2)又は(3)に記載の断熱材である。
本開示(5)は、前記平滑層は、炭素製フィルムである本開示(2)又は(3)に記載の断熱材である。
本開示(6)は、前記熱分解炭素層は、厚さが2~60μmである、本開示(1)~(5)のいずれかに記載の断熱材である。
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
各実施例及び比較例における表面粗さの測定は表面粗さ計(キーエンス社製:形状測定レーザマイクロスコープ(VK-X210))により行った。
各実施例及び比較例における表面粗さの測定は表面粗さ計(キーエンス社製:形状測定レーザマイクロスコープ(VK-X210))により行った。
(実施例1)
[平滑層となる圧縮成形体の製造]
炭素繊維(平均繊維径:13μm、平均繊維長:3.3mm)を抄造法により成形し、炭素繊維からなる抄造体であるマット(厚さ:10mm)を得た。
このマットを複数枚、型に注入し圧縮成形して、不活性雰囲気下で2000℃、1時間焼成し、圧縮成形体を得た。圧縮成形体の形状は、内径95mm、高さ190mm、厚さ3mmの円筒形状であった。
圧縮成形体の内表面の表面粗さは、Ra=2.3μmであった。
圧縮成形体の表面粗さを測定した面を圧縮成形体の平滑面とする。
[平滑層となる圧縮成形体の製造]
炭素繊維(平均繊維径:13μm、平均繊維長:3.3mm)を抄造法により成形し、炭素繊維からなる抄造体であるマット(厚さ:10mm)を得た。
このマットを複数枚、型に注入し圧縮成形して、不活性雰囲気下で2000℃、1時間焼成し、圧縮成形体を得た。圧縮成形体の形状は、内径95mm、高さ190mm、厚さ3mmの円筒形状であった。
圧縮成形体の内表面の表面粗さは、Ra=2.3μmであった。
圧縮成形体の表面粗さを測定した面を圧縮成形体の平滑面とする。
[熱分解炭素層の形成]
圧縮成形体をCVD炉に入れ、一度炉内を真空引きして炉内の気圧を下げた後、原料ガスを導入して、圧縮成形体の平滑面に20μmの厚さで熱分解炭素層を形成した。
熱分解炭素層の表面の表面粗さは、Ra=2.0μmであった。
[断熱材の製造]
炭素繊維(平均繊維径:13μm、平均繊維長:3.3mm)を抄造法により成形し、炭素繊維からなる円筒形状の成形体(内径101mm、高さ190mmの円筒形状、厚さ:42mm)を得た。
この円筒形状の成形体を不活性雰囲気下で2000℃に加熱して、成形体に含まれる有機バインダ(フェノール樹脂)を炭素化し、その後、内側に圧縮成形体を挿入して、断熱材を製造した。
圧縮成形体をCVD炉に入れ、一度炉内を真空引きして炉内の気圧を下げた後、原料ガスを導入して、圧縮成形体の平滑面に20μmの厚さで熱分解炭素層を形成した。
熱分解炭素層の表面の表面粗さは、Ra=2.0μmであった。
[断熱材の製造]
炭素繊維(平均繊維径:13μm、平均繊維長:3.3mm)を抄造法により成形し、炭素繊維からなる円筒形状の成形体(内径101mm、高さ190mmの円筒形状、厚さ:42mm)を得た。
この円筒形状の成形体を不活性雰囲気下で2000℃に加熱して、成形体に含まれる有機バインダ(フェノール樹脂)を炭素化し、その後、内側に圧縮成形体を挿入して、断熱材を製造した。
(実施例2)
[炭素製フィルムの準備]
カネカ製グラフィニティ(登録商標)(厚さ:40μm)を炭素製フィルムとして準備した。
炭素製フィルムの面を炭素製フィルムの平滑面とする。
[炭素製フィルムの準備]
カネカ製グラフィニティ(登録商標)(厚さ:40μm)を炭素製フィルムとして準備した。
炭素製フィルムの面を炭素製フィルムの平滑面とする。
[熱分解炭素層の形成]
炭素製フィルムをCVD炉に入れ、一度炉内を真空引きして炉内の気圧を下げた後、原料ガスを導入して、炭素製フィルムの平滑面に20μmの厚さで熱分解炭素層を形成した。
熱分解炭素層の表面の表面粗さは、Ra=1.2μmであった。
[断熱材の製造]
内径を95mm、高さ190mm、厚さが45mmの円筒形状とした他は、実施例1と同様にして成形体を製造し、その内側に熱分解炭素層が形成された炭素製フィルムを挿入し、カーボンコンポジット製の固定部材を用いて、炭素製フィルムを成形体の内側表面に固定して、断熱材を製造した。
炭素製フィルムをCVD炉に入れ、一度炉内を真空引きして炉内の気圧を下げた後、原料ガスを導入して、炭素製フィルムの平滑面に20μmの厚さで熱分解炭素層を形成した。
熱分解炭素層の表面の表面粗さは、Ra=1.2μmであった。
[断熱材の製造]
内径を95mm、高さ190mm、厚さが45mmの円筒形状とした他は、実施例1と同様にして成形体を製造し、その内側に熱分解炭素層が形成された炭素製フィルムを挿入し、カーボンコンポジット製の固定部材を用いて、炭素製フィルムを成形体の内側表面に固定して、断熱材を製造した。
(比較例1)
[成形体の準備]
実施例1で作製した炭素繊維からなる抄造体と同様のマットを、圧縮成形することなくそのまま焼成、変形させて、内径95mm、高さ190mm、厚さ45mmの成形体(基材)を準備した。
成形体の表面の表面粗さは、Ra=40.5μmであった。
成形体の表面粗さを測定した面を熱分解炭素層を形成する面とした。
[成形体の準備]
実施例1で作製した炭素繊維からなる抄造体と同様のマットを、圧縮成形することなくそのまま焼成、変形させて、内径95mm、高さ190mm、厚さ45mmの成形体(基材)を準備した。
成形体の表面の表面粗さは、Ra=40.5μmであった。
成形体の表面粗さを測定した面を熱分解炭素層を形成する面とした。
[熱分解炭素層の形成]
成形体をCVD炉に入れ、一度炉内を真空引きして炉内の気圧を下げた後、原料ガスを導入して、成形体の表面に20μmの厚さで熱分解炭素層を形成した。
熱分解炭素層の表面の表面粗さは、Ra=14.3μmであった。
成形体をCVD炉に入れ、一度炉内を真空引きして炉内の気圧を下げた後、原料ガスを導入して、成形体の表面に20μmの厚さで熱分解炭素層を形成した。
熱分解炭素層の表面の表面粗さは、Ra=14.3μmであった。
[断熱性の測定]
実施例1、2及び比較例1でそれぞれ作製した断熱材につき、内部に隙間を5mmあけて、黒鉛製るつぼ(外径85mm、内径75mm、高さ190mmの円筒形状)を設置し、高周波誘導加熱により2350℃に加熱した。その時の断熱材の外周の温度を放射温度計で測定した。結果は以下の通りであった。
実施例1:705℃
実施例2:710℃
比較例1:775℃
以上の結果から、熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであると、断熱効果の高い断熱材とすることができることがわかった。これは、熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであることで、熱反射率が高くなったことによるものと推測できる。
実施例1、2及び比較例1でそれぞれ作製した断熱材につき、内部に隙間を5mmあけて、黒鉛製るつぼ(外径85mm、内径75mm、高さ190mmの円筒形状)を設置し、高周波誘導加熱により2350℃に加熱した。その時の断熱材の外周の温度を放射温度計で測定した。結果は以下の通りであった。
実施例1:705℃
実施例2:710℃
比較例1:775℃
以上の結果から、熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであると、断熱効果の高い断熱材とすることができることがわかった。これは、熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであることで、熱反射率が高くなったことによるものと推測できる。
1、2、3 断熱材
10 基材
20 平滑層(炭素材料の圧縮成形体)
20a 平滑面
30 熱分解炭素層
30a 熱分解炭素層の表面
40 平滑層である基材(炭素材料の圧縮成形体)
40a 平滑面
50 発熱体(るつぼ)
51 空洞
60 空間
70 誘導加熱用コイル
80 平滑層(炭素製フィルム)
80a 平滑面
100 加熱装置
10 基材
20 平滑層(炭素材料の圧縮成形体)
20a 平滑面
30 熱分解炭素層
30a 熱分解炭素層の表面
40 平滑層である基材(炭素材料の圧縮成形体)
40a 平滑面
50 発熱体(るつぼ)
51 空洞
60 空間
70 誘導加熱用コイル
80 平滑層(炭素製フィルム)
80a 平滑面
100 加熱装置
Claims (6)
- 発熱体の周囲を覆う断熱材であって、
前記断熱材の発熱体側の表面に熱分解炭素を含む熱分解炭素層を有しており、
前記熱分解炭素層の表面の表面粗さRaが0.5~10μmであることを特徴とする断熱材。 - 前記断熱材は、平滑面を有する平滑層を備えており、前記平滑面に前記熱分解炭素層が形成されている、請求項1に記載の断熱材。
- 前記断熱材は、炭素繊維を含む基材と、基材の表面に形成された前記平滑層と、前記平滑層の前記平滑面に形成された前記熱分解炭素層とを備える、請求項2に記載の断熱材。
- 前記平滑層は、炭素材料の圧縮成形体である請求項2又は3に記載の断熱材。
- 前記平滑層は、炭素製フィルムである請求項2又は3に記載の断熱材。
- 前記熱分解炭素層は、厚さが2~60μmである、請求項1又は2に記載の断熱材。
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---|---|---|---|
JP2022155010A JP2024048875A (ja) | 2022-09-28 | 2022-09-28 | 断熱材 |
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2022
- 2022-09-28 JP JP2022155010A patent/JP2024048875A/ja active Pending
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