JP2024040599A - 樹脂組成物、ポリアミド樹脂組成物、およびポリアミド樹脂成形体 - Google Patents

樹脂組成物、ポリアミド樹脂組成物、およびポリアミド樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性に優れるポリアミド樹脂組成物が得られる樹脂組成物を提供すること。【解決手段】エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)と、グラフト共重合体(M)と、マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)を含む樹脂組成物(Y)であり、前記(M)は、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b-1)、芳香族ビニル単量体(b-2)、(メタ)アクリロニトリル単量体(b-3)、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体(b-4)からなる群より選ばれる1つ以上のビニル単量体(b)由来の構成単位を含む共重合体(B)からなるグラフト共重合体であり、前記(A)と前記(B)の質量比((A)/(B))が50/50~98/2である樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、ポリアミド樹脂組成物、およびポリアミド樹脂組成物から得られるポリアミド樹脂成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、機械特性、耐熱性、耐薬品性などの特長を生かして、自動車部品、電気・電子部品、日用品の材料として使用されている。近年、生産性の向上や錆防止の観点から金属部品の樹脂への代替が進んでおり、特にドアヒンジでは剛性の観点からポリアミド樹脂製部品の置き換えが進んでいる。しかしながら、ポリアミド樹脂(成形体)は、ポリアミド樹脂の部材同士が擦れあうと軋み音が発生し易く、また耐衝撃性が低いことから、高荷重のかかる大型ドア用ヒンジの使用には改善の余地があった。
ポリアミド樹脂組成物の異音防止性を改善する方法として、例えば、特許文献1では、ポリアミド樹脂と、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体とビニル単量体由来の構成単位を含む共重合体からなるグラフト共重合体と、スチレン系ブロック共重合体を含むポリアミド樹脂組成物が開示されている。
特開2022-17648号公報
しかし、特許文献1で具体的に開示されたポリアミド樹脂組成物では、高荷重での異音防止性や耐衝撃性が不十分であった。
以上のような事情に鑑み、本発明は、異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性に優れるポリアミド樹脂組成物が得られる樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記のポリアミド樹脂組成物、およびポリアミド樹脂成形体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)と、グラフト共重合体(M)と、マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)を含む樹脂組成物(Y)であり、
前記グラフト共重合体(M)は、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b-1)、芳香族ビニル単量体(b-2)、(メタ)アクリロニトリル単量体(b-3)、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体(b-4)からなる群より選ばれる1つ以上のビニル単量体(b)由来の構成単位を含む共重合体(B)からなるグラフト共重合体であり、
前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)と、前記共重合体(B)の質量比((A)/(B))が50/50~98/2である樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記樹脂組成物(Y)と、ポリアミド樹脂(X)を含有するポリアミド樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、前記ポリアミド樹脂組成物から得られるポリアミド樹脂成形体に関する。
本発明の樹脂組成物における効果の作用メカニズムは不明な部分があるが、以下のように推定される。ただし、本発明は、この作用メカニズムに限定して解釈されない。
部材同士が擦れあう際、接触面に静摩擦による固着(スティック)と動摩擦による滑り(スリップ)が繰り返されるスティックスリップ現象により発生した摩擦振動が異音として認識される。本発明の樹脂組成物(Y)は、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)と、グラフト共重合体(M)と、マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)を含む。グラフト共重合体(M)が、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)とマレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)の相容性を向上させ、樹脂組成物(Y)がポリアミド樹脂(X)中に微分散することで振動を吸収し、異音を防止することができる。また、マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)を含むことで、ポリアミド樹脂(X)と樹脂組成物(Y)の界面強度が向上し、優れた耐衝撃性を示す。
<樹脂組成物(Y)>
本実施形態に係る樹脂組成物(Y)は、以下に説明するエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)と、グラフト共重合体(M)と、マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)を溶融混錬することにより得られる。
<エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)>
本発明のエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)は、エチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体から合成される共重合体である。前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)において、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、分子末端にアルキル基を有する(メタ)アクリレートであれば、その種類に制限はなく使用できる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)は、必要に応じ、その他の単量体を用いることができる。前記その他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどの飽和カルボン酸ビニルエステルなどが挙げられる。前記その他の単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)中、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の割合(含有率)は、静音化特性を向上させる観点から、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、そして、静音化特性、流動性を向上させる観点から、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましい。なお、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の含有率は、例えば、赤外線吸収スペクトルによる1039cm-1の吸光度から、予め核磁気共鳴スペクトルによって(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の濃度が決められた標準試料を用い、上記吸光度を測定した検量線より求められる。
前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)は、メルトマスフローレート(以下、MFRとも称す)が、流動性、樹脂組成物の製造プロセスにおける作業性を高める観点から、0.2~40(g/10min)であることが好ましく、0.4~30(g/10min)であることがより好ましい。なお、前記MFRは、JIS K6924-1(1997年版)に準拠して測定できる。
前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)において、市販品としては、例えば、日本ポリエチレン(株)製の「レクスパールA6200」、「レクスパールA4250」、「レクスパールA3100」などが挙げられる。
<グラフト共重合体(M)>
前記グラフト共重合体(M)は、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b-1)、芳香族ビニル単量体(b-2)、(メタ)アクリロニトリル単量体(b-3)、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体(b-4)からなる群より選ばれる1つ以上のビニル単量体(b)由来の構成単位を含む共重合体(B)から成るグラフト共重合体である。
前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)は、エチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体から合成される共重合体である。前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)としては、前記のエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)を用いることができる。前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記ビニル単量体(b)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b-1)、芳香族ビニル単量体(b-2)、(メタ)アクリロニトリル単量体(b-3)、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体(b-4)が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b-1)としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1~18のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。前記炭素数は、1~6であることが好ましく、1~3であることがより好ましい。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどが挙げられる。これらの中でも、静音化特性を向上させる観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルが好ましい。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b-1)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記芳香族ビニル単量体(b-2)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、о-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、静音化特性を向上させる観点から、スチレン、α-メチルスチレンが好ましい。前記芳香族ビニル単量体(b-2)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリロニトリル単量体(b-3)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これらの中でも、静音化特性を向上させる観点から、アクリロニトリルが好ましい。前記(メタ)アクリロニトリル単量体(b-3)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体(b-4)としては、例えば、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシベンジルなどが挙げられる。これらの中でも、静音化特性を向上させる観点から、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルが好ましい。前記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体(b-4)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記ビニル単量体(b)は、前記の単量体以外のその他の単量体を使用することができる。前記その他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのグリコール系単量体などが挙げられる。前記その他の単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記共重合体(B)中、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b-1)、前記芳香族ビニル単量体(b-2)、前記(メタ)アクリロニトリル単量体(b-3)、および前記(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体(b-4)からなる群より選ばれる1つ以上の単量体由来の構成単位の合計の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがよりさらに好ましい。
前記共重合体(B)としては、前記単量体の組み合わせが、アクリル酸ブチルとメタクリル酸メチル、スチレンと(メタ)アクリロニトリル、またはアクリル酸ブチルとスチレンとメタクリル酸2-ヒドロキシプロピルであることがより好ましい。この場合、アクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとの質量比(アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル)、またはスチレンと(メタ)アクリロニトリルとの質量比(スチレン/(メタ)アクリロニトリル)は、異音防止性を向上させる観点から、50/50~90/10であることが好ましく、60/40~80/20であることがより好ましい。また、上記のアクリル酸ブチルとスチレンとメタクリル酸2-ヒドロキシプロピルの組み合わせにおいては、アクリル酸ブチルとスチレンとメタクリル酸2-ヒドロキシプロピルの合計中、アクリル酸ブチルが10~40質量%であることが好ましく、スチレンが10~40質量%であることが好ましく、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルが10~40質量%であることが好ましい。
前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)と前記共重合体(B)の質量比((A)/(B))は、50/50~98/2である。前記質量比((A)/(B))は異音防止性を向上させる観点から、60/40~95/5であることが好ましく、70/30~90/10であることがより好ましい。
<グラフト共重合体(M)の製造方法>
前記グラフト共重合体(M)の製造方法は、特に制限はなく、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法などの公知の重合法を使用することができる。これらの中でも、懸濁重合法が好ましい。また、グラフト化する方法としては、特に制限はなく、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法などの公知のグラフト化方法を採用することができる。これらの中でも、ラジカル重合法が好ましく、とくに、グラフト共重合体を工業的に大量かつ効率的に製造できる観点から、過酸化結合を有するビニル単量体(ラジカル重合性有機過酸化物)を用いたラジカル重合法がより好ましい。
前記過酸化結合を有するビニル単量体は、(ラジカル重合性有機過酸化物)は、分子内にペルオキシ基およびエチレン性不飽和基を有する単量体であれば、その種類に特に制限はなく使用でき、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。前記過酸化結合を有するビニル系単量体としては、例えば、t-ブチルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエチルカーボネート、t-アミルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエチルカーボネート、t-ヘキシルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエチルカーボネート、t-ブチルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルカーボネート、t-ヘキシルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルカーボネート、t-ブチルペルオキシ(メタ)アリルカーボネート、t-アミルペルオキシ(メタ)アリルカーボネート、t-ヘキシルペルオキシ(メタ)アリルカーボネートなどが挙げられ、これらの中でも、t-ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネートが好ましい。
前記グラフト共重合体の製造方法は、前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)を、水を主成分とする媒体に懸濁した溶液(エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)濃度:10~30質量部)に、前記共重合体(B)の構成単位となる単量体と、前記過酸化結合を有するビニル単量体と、重合開始剤を加え、前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)(エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)の粒子)中に、前記共重合体(B)の構成単位となる単量体と前記過酸化結合を有するビニル単量体と前記重合開始剤を含浸重合して前駆体を得る工程と、前記前駆体を溶融混練して、グラフト共重合体(M)を製造する工程を含む方法である。なお、前記前駆体を得る工程で、必要に応じ懸濁剤(例えば、ポリビニルアルコール)を前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)100質量部に対して、0.1~1質量部程度使用してもよい。また、上記の含浸の際、前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)中に共重合体(B)の構成単位となる単量体、前記過酸化結合を有するビニル単量体、重合開始剤などを十分に含浸させるため、加温(例えば、60~80℃程度)しながら、撹拌してもよい。
前記重合開始剤は、熱によりラジカルを発生するものであれば、特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤などが挙げられる。重合開始剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記重合開始剤は、重合開始剤の急激な分解を抑制し、重合開始剤や前記モノマー成分の残存を抑制する観点から、10時間半減期温度(以下、T10とも称す)が、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、そして、130℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。なお、前記10時間半減期温度(T10)は、前記重合開始剤を、例えば、0.05から0.1モル/リットルになるようにベンゼンに溶解させた溶液を熱分解させた際に、当該重合開始剤が10時間で半減期を迎える温度のことを意味する。
前記重合開始剤としては、例えば、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート(T10=51℃)、t-ヘキシルパーオキシピバレート(T10=53℃)、t-ブチルパーオキシピバレート(T10=55℃)、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(T10=59℃)、ジラウロイルパーオキサイド(T10=62℃)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(T10=65℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(T10=66℃)、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキシルヘキサノエート(T10=70℃)、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド(T10=71℃)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(T10=72℃)、ベンゾイルパーオキサイド(T10=74℃)、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=95℃)、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート(T10=97℃)、t-ブチルパーオキシラウレート(T10=98℃)、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=99℃)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(T10=99℃)、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート(T10=99℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(T10=100℃)、t-ブチルパーオキシアセテート(T10=102℃)、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン(T10=103℃)、t-ブチルパーオキシベンゾエート(T10=104℃)、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート(T10=105℃)、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(T10=119℃)、ジクミルパーオキサイド(T10=116℃)、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド(T10=116℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(T10=118℃)、t-ブチルクミルパーオキサイド(T10=120℃)、ジ-t-ブチルパーオキサイド(T10=124℃)などの有機過酸化物;2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(T10=51℃)、2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)(T10=65℃)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(T10=67℃)などのアゾ系重合開始剤などが挙げられる。
前記前駆体を製造する工程において、重合温度は、原料(特に、前記重合開始剤の10時間半減期温度)などによって異なるので一概には決定できないが、通常、65℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、そして、90℃以下であることが好ましく、85℃以下であることがより好ましい。また、重合時間は、原料や反応温度などによって異なるので一概には決定できないが、通常、目的物の収率を高める観点から、1.5時間以上であることが好ましく、2時間以上であることがより好ましく、そして、6時間以下であることが好ましく、5時間以下であることがより好ましい。
前記前駆体を製造する工程において、前記過酸化結合を有するビニル単量体は、前記共重合体(B)を構成単位とする単量体100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましく、そして、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることがさらに好ましい。
前記前駆体を製造する工程において、前記重合開始剤は、共重合体(B)を構成単位とする単量体100質量部に対し、0.3質量部以上であることが好ましく、0.5質部以上であることがより好ましく、そして、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
前記溶融混練としては、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの混練機を用いて、前記前駆体を溶融して混練りする方法が挙げられる。混練りする回数は、1回または複数回であってもよい。混練りする時間は、使用する混練機の大きさなどによって異なるが、通常、3~10分程度とすればよい。また、混練機の排出温度は、130~350℃とすることが好ましく、150~250℃とすることがより好ましい。
<マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)>
本発明のマレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)は、ポリスチレンを主体とする重合体ブロックDと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックEを含むスチレン系ブロック共重合体が、マレイン酸により変性されたものである。前記スチレン系ブロック共重合体は、例えば、D-E、D-E-D、E-D-E-D、およびD-E-D-E-Dなどの構造を有するブロック共重合体が挙げられる。前記スチレン系ブロック共重合体は、機械的強度、成形加工性の観点から、分子中の重合体ブロックDが2個以上であることが好ましい。また、前記重合体ブロックEにおいて、共役ジエン化合物と共役ジエン化合物との結合様式は、特に制限されず、任意である。分子中に、重合体ブロックEが2個以上ある場合、これらは同一構造であってもよく、異なる構造であってもよい。前記マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)は、ポリスチレンに由来する構造単位の割合が、異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性を向上させる観点から、5~65質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。
前記マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)は、水素添加したものであっても良く、水素添加率(ポリスチレンと水素添加前共役ジエン化合物とのブロック共重合体中の炭素と炭素の二重結合の数に対する、水素添加により炭素と炭素の単結合となった結合の数の割合)は、特に制限されないが、通常、50モル%以上であり、70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることが好ましい。
前記マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)として、例えば無水マレイン酸変性スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)が異音防止性と耐衝撃性を向上させる観点から好ましい。
前記樹脂組成物(Y)中、前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)の含有割合は、異音防止性を向上させる観点から、20~80質量%であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、そして、75質量%以下であることがより好ましい。
前記樹脂組成物(Y)中、前記グラフト共重合体(M)の含有割合は、異音防止性を向上させる観点から、0.5~20質量%であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、そして、15質量%以下であることがより好ましい。
前記樹脂組成物(Y)中、前記マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)の含有割合は、異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性を向上させる観点から、15~70質量%であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、そして、55質量%以下であることがより好ましい。
<ポリアミド樹脂組成物>
本実施形態に係るポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(X)と樹脂組成物(Y)と、を含有する。
前記ポリアミド樹脂は、主鎖にアミド結合(-NHCO-)を有する重合体である。ポリアミド樹脂(X)としては、特定の種類に限定されないが、例えば、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカラクタム(ナイロン11)、ポリドデカラクタム(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3-メチル-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))などが挙げられる。ポリアミド樹脂(X)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。これらのうち、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)を用いることが好ましい。
前記ポリアミド樹脂において、市販品としては、例えば、デュポン(株)製の「Zytel 103HSL」、東レ(株)製の「アミランCM1017」、「アミランCM3001―N」、ユニチカ(株)製の「マラニールA125」などが挙げられる。
前記樹脂組成物(Y)は、前記ポリアミド樹脂(X)100質量部に対して、1~15質量部であることが好ましい。前記樹脂組成物(Y)は、樹脂成形体の異音防止性を向上させる観点から、前記ポリアミド樹脂(X)100質量部に対して、2質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましく、そして、13質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明のポリアミド樹脂組成物は、各種配合剤を用いることができる。配合剤としては、例えば、セラミックファイバー(CF)、ガラス繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、鉱物破砕繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、石コウ繊維、水酸化マグネシウム繊維、炭化ケイ素繊維、ジルコニア繊維などの繊維強化材;球状シリカ、マイカ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、ベントナイト、セリサイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、アルミナ、硅酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、グラファイト、カーボンブラック、二硫化モリブデン、超高密度ポリエチレンなどの各形状の有機または無機の充填剤;鉱油、炭化水素、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、アルコール、金属石けん、天然ワックス、シリコーンなどの滑剤;PTFE系、アクリル系などの加工助剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機の難燃剤;ハロゲン系、リン系などの有機の難燃剤;ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルなどのエンジニアプラスチック;酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、架橋剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、着色剤などが挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂(X)、前記樹脂組成物(Y)、任意の前記各種配合剤とを、溶融混練によって得ることができる。前記溶融混練としては、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの混練機を用いて、前記前駆体を溶融して混練りする方法が挙げられる。混練りする回数は、1回または複数回であってもよい。混練りする時間は、使用する混練機の大きさなどによって異なるが、通常、3~10分程度とすればよい。また、混練機の排出温度は、150~350℃とすることが好ましく、200~300℃とすることがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂成形体は、前記ポリアミド樹脂組成物を所定の形状に成形することにより得られる。成形方法としては、何ら限定されるものではないが、例えば、射出成形、押出成形などが挙げられ、成形の加熱温度、圧力、時間などは適宜設定できる。当該ポリアミド樹脂成形体は、異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性に優れるため、電気部品、電子部品、機械部品、自動車部品、日用品などに利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例>
<グラフト共重合体(M1)の製造>
内容積5Lのステンレス製オートクレーブに、純水2500gを入れ、更に懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中に、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)として、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(A1)(商品名「レクスパールA4200」、日本ポリエチレン(株)製)800gを入れ、攪拌して分散させた。
さらに、重合開始剤として、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(日油(株)製、商品名「パーロイル355」、10時間半減期温度=59℃)5.1gと、t-ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート(以下、MECとも称す)17.2gを、アクリル酸ブチル(以下、BAとも称す)240gとメタクリル酸メチル(以下、MMAとも称す)103gからなるビニル単量体混合物に溶解させた溶液を調製し、この溶液を上記のオートクレーブ中に投入し攪拌した。
次いで、上記のオートクレーブを60~65℃に昇温し、3時間攪拌することによって、ラジカル重合開始剤、t-ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカーボネート、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルをエチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)中に含浸させた。続いて、上記のオートクレーブを80~85℃に昇温し、当該温度で7時間保持して重合させ、前駆体として共重合体(ポリ(BA/MMA/MEC)が含浸したエチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体組成物)を得た。得られた前駆体を、ラボプラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)を用いて、230℃にて溶融混練し、グラフト化反応させた。次いで、ストランド状の樹脂組成物を得た後、これをカッティングしてペレット状にすることでM1を製造した。
<M2~M4、M´1~M´2の製造>
各原料の種類とその配合量を表1に示すように変えたこと以外は、M1と同様の方法により、M2~M4、M´1~M´2を製造した。
表1中、A1は、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名「レクスパールA4200」、アクリル酸エチルに由来する構成単位の割合が20質量%、MFRが5(g/10min));
A2は、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名「レクスパールA3100」、アクリル酸エチルに由来する構成単位の割合が10質量%、MFRが3(g/10min);
BAは、アクリル酸ブチル;
MMAは、メタクリル酸メチル;
Stは、スチレン;
ANは、アクリロニトリル;
HPMAは、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル;を示す。
<樹脂組成物(Y1)の製造>
エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)として、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(L1)(商品名「レクスパールA4200」、日本ポリエチレン(株)製)45gと前記M1を10gと、マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)として、無水マレイン酸変性スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ブロック共重合体(商品名「Kraton FG1924」、クレイトンポリマー(株)製)45gをドライブレンドした。その後、二軸押出機(PCM-30:池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:160~180℃)した。次いで、ストランド状の樹脂組成物を得た後、これをカッティングしてペレット状にすることで樹脂組成物(Y1)を得た。
<Y2~Y6、Y´1~Y´7の製造>
各原料の種類とその配合量を表2に示すように変えたこと以外は、樹脂組成物(Y1)と同様の方法により製造した。
表2中、L1は、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名「レクスパールA4200」、アクリル酸エチルに由来する構成単位の割合が20質量%、MFRが5(g/10min));
L2は、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名「レクスパールA3100」、アクリル酸エチルに由来する構成単位の割合が10質量%、MFRが3(g/10min));
N1は、無水マレイン酸変性スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ブロック共重合体(クレイトンポリマー(株)製、商品名「Kraton FG1924」);
N2は、無水マレイン酸変性スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ブロック共重合体(クレイトンポリマー(株)製、商品名「Kraton FG1901」);
N´1は、);スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ブロック共重合体(クレイトンポリマー(株)製、商品名「Kraton G1651」);
N´2は、変性ポリオレフィンワックスである酸変性ポリエチレンワックス(クラリアントケミカルズ(株)製、商品名「LICOCENE PEMA4221」);を示す。
<実施例1>
<ポリアミド樹脂組成物の製造>
ポリアミド樹脂(X)として、ナイロン66(X1)(商品名「アミランCM3001―N」、東レ株式会社製)100gと、上記の樹脂組成物(Y1)を10gと、二軸押出機(PCM-30:池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:250~280℃)した。次いで、ストランド状のポリアミド樹脂組成物を得た後、これをカッティングしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
<異音防止性の評価>
上記で得られたペレットを射出成形(バレル温度:280~290℃、金型温度:95℃)し、評価用試験片(長さ:60mm×幅:100mm×厚み:2mm)を作製した。次いで、当該試験片(評価材)を、異音防止性の試験用のプレート(55mm×80mm×2mm)に切り出してバリ取りを行った後、温度25℃、湿度50%RHで12時間放置した。また、相手材用のプレート(長さ:50mm×幅:25mm×厚み:2mm)として準備した。
異音防止性は、上記の異音防止性の試験用のプレートと、相手材用の同材プレートをZiegler社のスティックスリップ測定装置SSP-04に固定し、荷重=40N、速度=1mm/sの条件でそれぞれ擦り合わせた時の異音発生リスク指数を測定して、評価した。なお、異音発生リスク指数は、値が小さいほど異音発生のリスクが低いことを示す。異音発生リスク指数の判断基準は以下に示す通りである。
異音発生リスク指数1~3:異音発生のリスクが低い
異音発生リスク指数4~5:異音発生のリスクがやや高い
異音発生リスク指数6~10:異音発生のリスクが高い
本発明のポリアミド樹脂成形体は、上記の異音防止性の評価において、異音発生リスク指数が3以下を良好とした。
<高荷重での異音防止性の評価>
上記異音防止性の試験用プレートと、相手材用の同材プレートをZiegler社のスティックスリップ測定装置SSP-04に固定し、荷重=80N、速度=1mm/sの条件でそれぞれ擦り合わせた時の異音発生リスク指数を測定して、評価した。なお、異音発生リスク指数の判断基準は、上記と同様である。
<耐衝撃性の評価>
耐衝撃性は、シャルピー衝撃試験JIS K 7111-1に準拠し、衝撃値を求めた。衝撃値は5.0kJ/m以上を合格値とした。
<実施例2~8、比較例1~9>
<ポリアミド樹脂組成物の製造>
各原料の種類とその配合量(質量部)を表3、表4に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様の方法によりポリアミド樹脂組成物を製造した。
上記で得られた各原料および比較例のポリアミド樹脂組成物を用い、上記の評価方法によって評価した結果を表3、表4に示す。
表4中、X1は、ポリアミド樹脂であるナイロン66(商品名「アミランCM3001-N」、東レ株式会社製);
X2は、ポリアミド樹脂であるナイロン6(東レ(株)製、商品名「アミランCM1017」);を示す。
実施例1~8のポリアミド樹脂組成物では、異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性について目標値を満たす評価結果が得られた。
比較例1は、グラフト共重合体(M)の、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)と共重合体(B)の質量比((A)/(B))が、40/60であるため、高荷重での異音防止性が劣っていた。
比較例2は、グラフト共重合体(M)の、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)と共重合体(B)の質量比((A)/(B))が、100/0であるため、異音防止性、高荷重での異音防止性が劣っていた。
比較例3は、マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)の代わりに未変性スチレン系共重合体を使用したため異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性が劣っていた。
比較例4は、マレイン変性スチレン系ブロック共重合体(N)の代わりに変性ポリオレフィンワックスを使用したため異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性が劣っていた。
比較例5は、マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)を含まないため、異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性が劣っていた。
比較例6は、グラフト共重合体(M)を含まないため、異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性が劣っていた。
比較例7は、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)、グラフト共重合体(M)を含まないため、異音防止性、高荷重での異音防止性が劣っていた。
比較例8、比較例9は、樹脂組成物(Y)を含まないため、異音防止性、高荷重での異音防止性、耐衝撃性が劣っていた。

Claims (5)

  1. エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)と、グラフト共重合体(M)と、マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)を含む樹脂組成物(Y)であり、
    前記グラフト共重合体(M)は、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(b-1)、芳香族ビニル単量体(b-2)、(メタ)アクリロニトリル単量体(b-3)、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体(b-4)からなる群より選ばれる1つ以上のビニル単量体(b)由来の構成単位を含む共重合体(B)からなるグラフト共重合体であり、
    前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(A)と、前記共重合体(B)の質量比((A)/(B))が50/50~98/2であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(L)が20~80質量%であり、前記グラフト共重合体(M)が0.5~20質量%であり、前記マレイン酸変性スチレン系ブロック共重合体(N)が15~70質量%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物と、ポリアミド樹脂(X)を含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記ポリアミド樹脂(X)100質量部に対して、前記樹脂組成物が1~15質量部であることを特徴とする請求項3に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載のポリアミド樹脂組成物から得られることを特徴とするポリアミド樹脂成形体。
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