JP2024030916A - 赤外光カットフィルター、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法 - Google Patents

赤外光カットフィルター、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法 Download PDF

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友梨 平井
Yuri HIRAI
玲子 岩田
Reiko Iwata
康剛 明野
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Abstract

【課題】フォトリソグラフィによるパターニングを可能とし、赤外光カットフィルターの吸光度低下、製造時の熱だれを抑制した赤外光カットフィルター、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、製造方法の提供。【解決手段】赤外光カットフィルター13は、シアニン色素と、共重合体と、ナフトキノンジアジド化合物とを含む。共重合体は、フェノール性水酸基を有するモノマーに由来する第1繰り返し単位、および、下記式(1)によって表される第2繰り返し単位を含む。共重合体は、15重量%以上70重量%以下の第1繰り返し単位と、30重量%以上85重量%以下の前記第2繰り返し単位と、を含む。JPEG2024030916000075.jpg59169【選択図】図1

Description

本発明は、赤外光カットフィルター、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法に関する。
固体撮像素子は、光電変換素子上に赤外光カットフィルターを備える。赤外光カットフィルターが有する赤外光吸収色素が赤外光を吸収することによって、各光電変換素子が検出し得る赤外光を光電変換素子に対してカットする。これによって、各光電変換素子での可視光の検出精度が高められる。赤外光カットフィルターは、例えば、赤外光吸収色素であるシアニン色素を含む(例えば、特許文献1を参照)。
特開2007-219114号公報
ところで、固体撮像素子が備える赤外光カットフィルターには、固体撮像素子における積層構造に応じて、パターニングが必要とされる場合がある。赤外光カットフィルターのような薄膜をパターニングする方法には、例えば、フォトリソグラフィまたはドライエッチングを用いることが可能である。このうち、フォトリソグラフィは真空下での処理を必要としない分だけ、ドライエッチングに比べて、固体撮像素子の製造に係るコストを削減することが可能である。そのため、赤外光カットフィルターには、フォトリソグラフィによってパターニングが可能であること、言い換えれば、フォトリソグラフィによる現像性を有することが求められる。
フォトリソグラフィの転写方式には、ネガ型とポジ型とが存在する。ネガ型では、パターニングの対象物のうち、露光された部分が所望のパターンを形成する。これに対して、ポジ型では、パターニングの対象物のうち、露光されていない部分が所望のパターンを形成する。赤外光カットフィルターのパターニングでは、露光の対象である赤外光カットフィルターがシアニン色素を含んでいる。赤外光カットフィルターに含まれるシアニン色素が露光されることによって、シアニン色素が劣化する場合がある。そのため、シアニン色素の劣化を抑える観点では、赤外光カットフィルターをフォトリソグラフィによってパターニングする場合に、転写方式としてポジ型が選択されることが好ましい。
一方、ナフトキノンジアジド化合物とノボラック型フェノール樹脂とを含むポジ型レジストが半導体装置を形成するためのレジストとして広く用いられている。しかしながら、ノボラック型フェノール樹脂を含むポジ型レジストを用いて赤外光カットフィルターを形成した場合には、ノボラック型フェノール樹脂の極性とシアニン色素の極性との違いに起因して、シアニン色素が会合した状態のまま、赤外光カットフィルターが形成される場合がある。これにより、赤外光カットフィルターに含まれるシアニン色素における赤外光の吸収能が低下する。そこで、シアニン色素における赤外光の吸収能が低下せず、ポジ型においてパターニング可能な赤外光カットフィルターが求められる。
また、赤外光カットフィルターの製造時には、赤外光カットフィルターのパターニングが行われた後に、赤外光カットフィルターが加熱される処理であるポストベークが行われる。赤外光カットフィルターのパターニングでは、赤外光カットフィルターの厚さ方向に沿って赤外光カットフィルターを貫通するホールパターンが形成されることがある。この場合には、パターニング後の赤外光カットフィルターが加熱されることによって、ホールパターンに熱だれが生じることがある。熱だれは、赤外光カットフィルターの表面と、ホールパターンを画定する側面とが形成する角部が、加熱によって丸みを帯びることを意味する。これにより、ホールパターンを介した意図しない光の透過が生じることによって、赤外光カットフィルターの表面と対向する視点から見て、ホールパターンの周囲に位置する光電変換素子に対して、意図しない光の入射が生じることがある。
上記課題を解決するための赤外光カットフィルターは、ポリメチン、および、前記ポリメチンの各末端に位置し、窒素を含む複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸アニオンとを含むシアニン色素と、フェノール性水酸基を有するモノマーに由来する第1繰り返し単位、および、下記式(1)によって表される第2繰り返し単位を含む共重合体と、ナフトキノンジアジド化合物と、を含む。前記共重合体は、15重量%以上70重量%以下の前記第1繰り返し単位と、30重量%以上85重量%以下の前記第2繰り返し単位と、を含む。
Figure 2024030916000002
ただし、式(1)において、Aは、水素原子、ハロゲン原子、または、アルキル基である。Xは、酸素原子、NH、または、N‐R5であり、R5はアルキル基である。R1、R2、R3、および、R4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、‐OR6、‐OCO‐R7、‐NHCO‐R8、‐NHCONHR9、‐OCONH‐R10、‐COOR11、‐CONHR12、‐COR13、‐CONR14R15、‐CN、または、‐CHOである。あるいは、R1、R2、R3、および、R4は、これらのうちの2つが結合することによって環状構造を形成してもよい。R6からR15は、各々独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、または、置換アリール基である。
上記課題を解決するための固体撮像素子用フィルターの製造方法は、ポリメチン、および、前記ポリメチンの各末端に位置し、窒素を含む複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸アニオンとを含むシアニン色素、フェノール性水酸基を有するモノマーに由来する第1繰り返し単位と、上記式(1)によって表される第2繰り返し単位とを含む共重合体、および、ナフトキノンジアジド化合物を含む赤外光カットフィルターを形成することと、前記赤外光カットフィルターをフォトリソグラフィによってパターニングすることと、を含む。前記共重合体は、15重量%以上70重量%以下の前記第1繰り返し単位と、30重量%以上85重量%以下の前記第2繰り返し単位と、を含む。
上記赤外光カットフィルタ-、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法によれば、共重合体が第2繰り返し単位を含み、かつ、ナフトキノンジアジド化合物が含まれるから、赤外光カットフィルターの製造において、ポジ型のフォトリソグラフィによるパターニングが可能である。また、15重量%以上70重量%以下の第1繰り返し単位と、30重量%以上85重量%以下の第2繰り返し単位とを共重合体が含むから、赤外光カットフィルターの吸光度における低下を抑え、かつ、加熱に起因した熱だれを抑えることが可能である。
上記赤外光カットフィルターにおいて、前記ナフトキノンジアジド化合物の重量は、前記共重合体の重量に対する5重量%以上40重量%以下であってよい。この赤外光カットフィルターによれば、ナフトキノンジアジド化合物の量が5重量%以上であることによって、赤外光カットフィルターにおいて、未露光部の現像性が低下し、かつ、露光部の現像性が向上する。これにより、赤外光カットフィルターの形状における精度が高められる。また、ナフトキノンジアジド化合物の量が40重量%以下であることによって、シアニン色素の劣化が抑えられるから、赤外光カットフィルターの吸光度における低下が抑えられる。
上記赤外光カットフィルターでは、前記式(1)において、Aは、水素原子、または、メチル基であり、Xは、酸素原子、NH、または、N‐R5であり、R5はアルキル基であり、R1、R2、R3、および、R4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、ハロゲン原子で置換された置換アルキル基、または、‐OR6であり、R6はメチル基であってよい。
上記赤外光カットフィルタ-において、前記共重合体の平均分子量は、3000以上30万以下であってよい。この赤外光カットフィルターによれば、平均分子量が3000以上であるから、共重合体によって、赤外光カットフィルターに含まれるシアニン色素の会合が抑えられる。これにより、赤外光カットフィルターにおける赤外領域での吸光度の低下が抑えられる。また、共重合体の分子量が30万以下であることによって、現像液に対する共重合体の溶解性が低下しにくいから、赤外光カットフィルターが現像性を有する。これにより、赤外光カットフィルターの現像時における赤外光カットフィルターの剥離が抑えられる。そのため、赤外光カットフィルターのパターニングが容易である。
上記課題を解決するための固体撮像素子用フィルターは、上記赤外光カットフィルターと、前記赤外光カットフィルターを覆い、前記赤外光カットフィルターを酸化する酸化源の透過を抑えるバリア層と、を備える。
上記課題を解決するための固体撮像素子は、光電変換素子と、上記固体撮像素子用フィルターと、を備える。
本発明によれば、ポジ型のフォトリソグラフィによるパターニングを可能としつつ、赤外光カットフィルターの吸光度における低下を抑え、かつ、赤外光カットフィルターの製造時における加熱に起因した熱だれを抑えることが可能である。
一実施形態の固体撮像素子における構造を示す分解斜視図である。 各製造例におけるモノマーの配合比を示す表である。
[固体撮像素子]
図1を参照して、固体撮像素子を説明する。図1は、固体撮像素子の一部における各層を分離して示す概略構成図である。
図1が示すように、固体撮像素子10は、固体撮像素子用フィルター10F、および、複数の光電変換素子11を備える。複数の光電変換素子11は、赤色用光電変換素子11R、緑色用光電変換素子11G、青色用光電変換素子11B、および、赤外光用光電変換素子11Pを備える。各色用の光電変換素子11R,11G,11Bは、その光電変換素子11R,11G,11Bに対応付けられた特定の波長を有する可視光の強度を測定する。各赤外光用光電変換素子11Pは、赤外光の強度を測定する。
固体撮像素子10は、複数の赤色用光電変換素子11R、複数の緑色用光電変換素子11G、複数の青色用光電変換素子11B、および、複数の赤外光用光電変換素子11Pを備える。なお、図1では、図示の便宜上、固体撮像素子10における光電変換素子11の繰り返し単位が示されている。
固体撮像素子用フィルター10Fは、複数の可視光用フィルター、赤外光パスフィルター12P、赤外光カットフィルター13、バリア層14、複数の可視光用マイクロレンズ、および、赤外光用マイクロレンズ15Pを備える。
可視光用カラーフィルターは、赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、青色用フィルター12Bから構成される。赤色用フィルター12Rは、赤色用光電変換素子11Rに対して光の入射側に位置する。緑色用フィルター12Gは、緑色用光電変換素子11Gに対して光の入射側に位置する。青色用フィルター12Bは、青色用光電変換素子11Bに対して光の入射側に位置する。
赤外光パスフィルター12Pは、赤外光用光電変換素子11Pに対して光の入射側に位置する。赤外光パスフィルター12Pは、赤外光用光電変換素子11Pが検出し得る可視光を赤外光用光電変換素子11Pに対してカットする。すなわち、赤外光パスフィルター12Pは、赤外光用光電変換素子11Pが検出し得る可視光を吸収し、これによって、赤外光パスフィルター12Pに入射した可視光が赤外光用光電変換素子11Pに達することを抑える。これによって、赤外光用光電変換素子11Pによる赤外光の検出精度が高められる。赤外光用光電変換素子11Pが検出し得る赤外光は、例えば近赤外光である。
赤外光カットフィルター13は、各色用フィルター12R,12G,12Bに対して光の入射側に位置する。赤外光カットフィルター13は、貫通孔13Hを備える。赤外光カットフィルター13が広がる平面と対向する視点から見て、貫通孔13Hが区画する領域内には、赤外光パスフィルター12Pが位置する。一方で、赤外光カットフィルター13が広がる平面と対向する視点から見て、赤外光カットフィルター13は、赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、青色用フィルター12B上に位置する。
赤外光カットフィルター13は、赤外光吸収色素であるシアニン色素を含む。シアニン色素は、近赤外光に含まれるいずれかの波長において、赤外光の吸収率における最大値を有する。そのため、赤外光カットフィルター13によれば、赤外光カットフィルター13を通過する近赤外光を確実に吸収することが可能である。これにより、各色用の光電変換素子11で検出され得る近赤外光が、赤外光カットフィルター13によって十分にカットされる。すなわち、赤外光カットフィルター13は、各色用の光電変換素子11R,11G,11Bが検出し得る赤外光を吸収し、これによって、赤外光カットフィルター13に入射した赤外光が各色用の光電変換素子11R,11G,11Bに達することを抑える。赤外光カットフィルター13は、例えば、300nm以上3μm以下の厚さを有することが可能である。
バリア層14は、赤外光カットフィルター13の酸化源の透過を抑える。酸化源は、例えば酸素および水などである。バリア層14が有する酸素透過率は、例えば、5.0cc/m/day/atm以下であることが好ましい。酸素透過率は、JIS K7126‐2:2006の付属書Aに準拠し、かつ、23℃かつ相対湿度50%における値である。酸素透過率が5.0cc/m/day/atm以下に定められるから、バリア層14によって赤外光カットフィルター13に酸化源が到達することが抑えられるため、赤外光カットフィルター13が酸化源によって酸化されにくくなる。そのため、赤外光カットフィルター13の耐光性が向上可能である。
バリア層14を形成する材料は、無機化合物である。バリア層14を形成する材料は、珪素化合物であることが好ましい。珪素化合物は、例えば、窒化珪素、酸化珪素、および、酸窒化珪素からなる群から選択される少なくとも一つであってよい。
マイクロレンズは、赤色用マイクロレンズ15R、緑色用マイクロレンズ15G、青色用マイクロレンズ15B、および、赤外光用マイクロレンズ15Pから構成される。赤色用マイクロレンズ15Rは、赤色用フィルター12Rに対して光の入射側に位置する。緑色用マイクロレンズ15Gは、緑色用フィルター12Gに対して光の入射側に位置する。青色用マイクロレンズ15Bは、青色用フィルター12Bに対して光の入射側に位置する。赤外光用マイクロレンズ15Pは、赤外光パスフィルター12Pに対して光の入射側に位置する。
各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pは、外表面である入射面15Sを備える。各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pは、入射面15Sに入る光を各光電変換素子11R,11G,11B,11Pに向けて集めるための屈折率差を外気との間において有する。各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pは、透明樹脂を含む。
[赤外光カットフィルター]
以下、赤外光カットフィルター13についてより詳細に説明する。
赤外光カットフィルター13は、シアニン色素、共重合体、および、ナフトキノンジアジド化合物を含む。シアニン色素は、カチオンとアニオンとを含む。カチオンは、ポリメチン、および、ポリメチンの各末端に位置し、窒素を含む複素環を有する。アニオンは、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸アニオンである。
共重合体は、フェノール性水酸基を有するモノマーに由来する第1繰り返し単位、および、下記式(1)によって表される第2繰り返し単位を含む。共重合体は、15重量%以上70重量%以下の第1繰り返し単位を含み、かつ、30重量%以上85重量%以下の第2繰り返し単位を含む。
Figure 2024030916000003
本開示の赤外光カットフィルターによれば、共重合体が第2繰り返し単位を含み、かつ、ナフトキノンジアジド化合物が含まれるから、赤外光カットフィルターの製造において、ポジ型のフォトリソグラフィによるパターニングが可能である。また、15重量%以上70重量%以下の第1繰り返し単位と、30重量%以上85重量%以下の第2繰り返し単位とを共重合体が含むから、赤外光カットフィルターの吸光度における低下を抑え、かつ、加熱に起因した熱だれを抑えることが可能である。
本開示の赤外光カットフィルターでは、共重合体が第2繰り返し単位を有するから、フォトリソグラフィによって塗膜をパターニングすることが可能である。詳細には、第2繰り返し単位が含む芳香環において、アクリロイル基が結合した炭素に対するオルト位の炭素にカルボキシル基が結合している。これにより、ナフトキノンジアジドがカルボキシル基と相互作用することが可能であり、結果として、共重合体とナフトキノンジアジド化合物との混合物が、アルカリ現像液に対する不溶性を有することが可能である。また、ナフトキノンジアジド化合物に対する露光によって、ナフトキノンジアジド化合物がインデンカルボン酸に変化した際には、共重合体が有するカルボキシル基に対してインデンカルボン酸が相互作用しないから、共重合体とナフトキノンジアジド化合物との混合物が、アルカリ現像液に対する可溶性を有することが可能である。
共重合体が、フェノール性水酸基を有したモノマーに由来する第1繰り返し単位を含む。第1繰り返し単位では、フェノール性水酸基が、ナフトキノンジアジドと相互作用することが可能である。さらには、赤外光カットフィルターの前駆体である塗膜のポストベークによって、フェノール性水酸基とナフトキノンジアジドとが縮合することが可能である。そのため、第1繰り返し単位を含む共重合体によれば、ポストベーク時の熱だれを抑えることが可能である。
また、共重合体が、第2繰り返し単位を含む。第2繰り返し単位は凝集力が大きいために分子同士の相互作用が大きく、これによってもポストベーク時の熱だれを抑えることが可能である。そのため、共重合体によれば、第1繰り返し単位と第2繰り返し単位との双方によって、ポストベーク時の熱だれを抑えることが可能である。
一方、赤外光カットフィルターの形成に用いられるポリマー溶液には、モノマーの重合時に用いられたラジカル重合開始剤が含まれることがある。これにより、ポリマー溶液を用いて作製された赤外光カットフィルターにも、ラジカル重合開始剤が含まれることがある。赤外光カットフィルターに含まれるラジカル重合開始剤は、赤外光カットフィルターが加熱された場合に活性化されることによって、ラジカルを生じさせることがある。本開示の赤外光カットフィルターによれば、共重合体が含む第1繰り返し単位が、ラジカルを捕捉することが可能である。そのため、共重合体を含む赤外光カットフィルターによれば、仮に赤外光カットフィルターがラジカル重合開始剤を含んでいたとしても、シアニン色素においてラジカルに起因した分解や変性を抑えることができる。これによって、赤外光カットフィルターが加熱によって劣化することを抑えられる。
また、第2繰り返し単位が有する芳香環において、上述したように、アクリロイル基が結合した炭素に対するオルト位の炭素にカルボキシル基が結合している。そのため、共重合体がシアニン色素と相溶しやすく、結果として、シアニン色素の会合を抑えることが可能である。これにより、赤外光カットフィルターにおいて、赤外光の吸収能における低下を抑えることが可能である。
シアニン色素は、下記式(2)に示される構造を有してもよい。
Figure 2024030916000004
上記式(2)において、Xは、1つのメチン、または、ポリメチンである。メチンが含む炭素原子に結合された水素原子は、ハロゲン原子、または、有機基に置換されてもよい。ポリメチンは、ポリメチンを形成する炭素を含む環状構造を有してもよい。環状構造は、ポリメチンを形成する複数の炭素において、連続する3つの炭素を含むことができる。ポリメチンが環状構造を有する場合には、ポリメチンの炭素数は5以上であってよい。各窒素原子は、五員環または六員環の複素環に含まれている。複素環は、縮環されてもよい。Yは、アニオンである。
また、シアニン色素は、下記式(3)に示される構造を有してもよい。
Figure 2024030916000005
上記式(3)において、nは1以上の整数である。nは、ポリメチン鎖に含まれる繰り返し単位の数を示している。R11およびR12は水素原子、または、有機基である。R13およびR14は、水素原子または有機基である。R13およびR14は、炭素数1以上の直鎖状アルキル基、または、分岐鎖状アルキル基であることが好ましい。各窒素原子は、五員環または六員環の複素環に含まれている。複素環は、縮環されてもよい。
なお、式(2)において、ポリメチンが環状構造を含む場合には、環状構造は、例えば、環状構造がエチレン性二重結合などの不飽和結合を少なくとも一つ有し、かつ、当該不飽和結合がポリメチン鎖の一部として電子共鳴する環状構造であってよい。こうした環状構造は、例えば、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロオクタジエン環、および、ベンゼン環などであってよい。これらの環状構造は、いずれも置換基を有してもよい。
また、式(3)において、nが1である化合物はシアニンであり、nが2である化合物はカルボシアニンであり、nが3である化合物はジカルボシアニンである。式(3)において、nが4である化合物はトリカルボシアニンである。
R11およびR12の有機基は、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、および、アルケニル基であってよい。アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、イソブチル基、tert‐ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、および、デシル基などであってよい。アリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、および、ナフチル基などであってよい。アラルキル基は、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などであってよい。アルケニル基は、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、および、オクテニル基などであってよい。
なお、各有機基が有する水素原子の少なくとも一部が、ハロゲン原子またはシアノ基によって置換されてもよい。ハロゲン原子は、フッ素、臭素、および、塩素などであってよい。置換後の有機基は、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、および、シアノエチル基などであってよい。
R13またはR14は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、イソブチル基、tert‐ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、および、デシル基などであってよい。
各窒素原子が含まれる複素環は、例えば、ピロール、イミダゾール、チアゾール、および、ピリジンなどであってよい。
こうしたシアニン色素が含むカチオンは、例えば、下記式(4)および下記式(5)によって表される構造であってよい。
Figure 2024030916000006
Figure 2024030916000007

なお、シアニン色素が含むカチオンは、例えば、下記式(6)から式(45)に示される構造を有してもよい。すなわち、シアニン色素が含む各窒素原子は、以下に示される環状構造中に含まれてもよい。
Figure 2024030916000008
Figure 2024030916000009
Figure 2024030916000010
Figure 2024030916000011
Figure 2024030916000012
Figure 2024030916000013
Figure 2024030916000014
Figure 2024030916000015
Figure 2024030916000016
Figure 2024030916000017
Figure 2024030916000018
Figure 2024030916000019
Figure 2024030916000020
Figure 2024030916000021
Figure 2024030916000022
Figure 2024030916000023
Figure 2024030916000024
Figure 2024030916000025
Figure 2024030916000026
Figure 2024030916000027
Figure 2024030916000028
Figure 2024030916000029
Figure 2024030916000030
Figure 2024030916000031
Figure 2024030916000032
Figure 2024030916000033
Figure 2024030916000034
Figure 2024030916000035
Figure 2024030916000036
Figure 2024030916000037
Figure 2024030916000038
Figure 2024030916000039
Figure 2024030916000040
Figure 2024030916000041
Figure 2024030916000042
Figure 2024030916000043
Figure 2024030916000044
Figure 2024030916000045
Figure 2024030916000046
Figure 2024030916000047
シアニン色素は、700nm以上1100nm以下に含まれるいずれかの波長において、赤外光の吸光度における最大値を有する。そのため、赤外光カットフィルター13によれば、赤外光カットフィルター13を通過する近赤外光を確実に吸収することが可能である。これにより、各色用の光電変換素子11で検出され得る近赤外光が、赤外光カットフィルター13によって十分にカットされる。
赤外光カットフィルター13は、シアニン色素を1種のみ含んでもよいし、2種以上のシアニン色素を含んでもよい。
なお、波長λにおける吸光度Aλは、下記式によって算出される。
Aλ=-log10(%T/100)
透過率Tは、赤外光にシアニン色素を有する赤外光カットフィルター13を透過させたときの、入射光の強度(IL)に対する透過光の強度(TL)の比(TL/IL)によって表される。赤外光カットフィルター13において、入射光の強度を1としたときの透過光の強度が透過率Tであり、透過率Tに100を乗算した値が透過率パーセント%Tである。
トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸アニオン([(CPF)は、下記式(46)によって示される構造を有する。
Figure 2024030916000048
固体撮像素子10の製造過程において、赤外光カットフィルター13は、200℃程度に加熱される。上述したシアニン色素は、200℃程度に加熱されることによって、シアニン色素が有する構造が変わり、これによって、シアニン色素における赤外光に対する透過率が変化することがある。
この点で、FAPアニオンは、シアニン色素におけるポリメチン鎖の近傍に位置することが可能な分子量および分子構造を有するため、シアニン色素のポリメチン鎖が、シアニン色素の加熱によって切断されることが抑えられる。それゆえに、シアニン色素の加熱に起因してシアニン色素が有する赤外光の透過率が変化することが抑えられ、結果として、赤外光カットフィルター13における赤外光の透過率が変化することが抑制される。
上述したように、赤外光カットフィルター13は、共重合体を含んでいる。共重合体は、第1繰り返し単位および第2繰り返し単位を含む。第1繰り返し単位は、フェノール性水酸基を有するモノマーに由来する。第2繰り返し単位は、下記式(1)に表されるモノマーに由来する。共重合体は、15重量%以上70重量%以下の第1繰り返し単位と、30重量%以上85重量%以下の第2繰り返し単位とを含む。
Figure 2024030916000049
フェノール性水酸基を有するモノマーは、例えば、4‐ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、4‐ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、3‐(tert‐ブチル)‐4‐ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、4‐(tert‐ブチル)‐2‐ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、4‐ヒドロキシフェニルマレイミド、3‐ヒドロキシフェニルマレイミド、p‐ヒドロキシスチレン、α‐メチル‐p‐ヒドロキシスチレンなどであってよい。こうしたフェノール性水酸基を有したモノマーを用いて生成された共重合体は、側鎖にフェノール性水酸基を含む。
式(1)において、Aは、水素原子、ハロゲン原子、または、アルキル基である。ハロゲン原子は、塩素原子または臭素原子であることが好ましい。アルキル基は、炭素数が1個から6個であるアルキル基であってよく、炭素数が1個から4個であるアルキル基であることが好ましい。
上記式(1)において、R1、R2、R3、および、R4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、‐OR6、‐OCO‐R7、‐NHCO‐R8、‐NHCONHR9、‐OCONH‐R10、‐COOR11、‐COONHR12、‐COOR13、‐CONR14R15、‐CN、または、‐CHOである。
アルキル基は、炭素数が1個以上20個以下であるアルキル基であってよく、炭素数が1個以上8個以下であるアルキルであることが好ましい。アリール基は、炭素数が6個以上20個以下であるアリール基であってよく、炭素数が6個以上10個以下のアリール基であることが好ましい。アリール基は、フェニル基またはナフチル基などであってよい。
置換アルキル基および置換アリール基が含む置換基または置換原子は、例えば、アリール基、炭素数が1個以上10個以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ホルミル基、エーテル基などであってよい。また、置換アリール基が含む置換基は、これらに加えて、炭素数が1個以上10個以下であるアルキル基であってよい。
R1、R2、R3、および、R4は、これらのうちの2個が結合することによって環状構造を形成してもよい。R1からR4のうちの2つが結合することによって形成された環状構造は、5員環から7員環であることが好ましい。環状構造は、炭素数が4個以上14個以下である脂肪族環またはアリール環であってよい。脂肪族環またはアリール環は、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、ナフタレンなどであってよい。環状構造は、1個以上4個以下のヘテロ原子を含むヘテロ環でもよい。ヘテロ環は、例えば、ピリジル、フリル、ピロール、インドールなどであってよい。
R5は、炭素数が1個以上6個以下のアルキル基であってよく、炭素数が1個以上4個以下のアルキル基であることが好ましい。
R6からR15は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、または、置換アリール基である。アルキル基は、炭素数が1個以上20個以下のアルキル基であってよく、炭素数が1個以上8個以下のアルキル基であることが好ましい。アリール基は、炭素数が6個以上20個以下のアリール基であってよく、炭素数が6以上10個以下のアリール基であることが好ましい。アリール基は、フェニル基またはナフチル基などであってよい。
置換アルキル基および置換アリール基が含む置換基または置換原子は、例えば、炭素数が6個以上10個以下のアリール基、炭素数が1個以上10個以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数が2個以上10個以下のアルコキシカルボニル基、炭素数が1個以上10個以下のアシルオキシ基、ホルミル基などであってよい。置換アリール基が含む置換基は、これらに加えて、炭素数が1個以上10個以下のアルキル基であってよい。
式(1)において、Aは、水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。Xは、酸素原子、NH、または、N‐R5であることが好ましい。R5は、メチル基であることが特に好ましい。R1からR4は、アルコキシ基で置換されたアルキル基であって、全炭素数が1個以上15個以下のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数が1個以上8個以下のアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、‐OR6基、‐OCOR7基、‐OCONHR9基であることが好ましい。R1からR4は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、メトキシ基であることが特に好ましい。なお、メトキシ基は、‐OR6におけるR6がメチル基である場合の置換基の名称である。
また、ハロゲン原子は、塩素原子であることが好ましい。置換されたアルキル基は、ハロゲン原子によって置換されたアルキル基であることが好ましい。なお、R6、R7、R9は、それぞれ独立して、炭素数が1個以上8個以下のアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アリール基またはアルコキシ基で置換されたアルキル基であって、全炭素数が1個以上15個以下の置換アルキル基、あるいは、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基で置換されたアリール基であって、全炭素数が6個以上15個以下の置換アリール基であることが好ましい。
また、R1からR4は、上述したように、これらのうちの2つが結合し、これによって環状構造を形成してもよい。環状構造を形成する2つのうちの一方が、カルボキシル基が結合したアリール基である場合には、縮環によって形成された環状構造は、ナフタレン、テトラリン、インデン、インダノン、テトラロン、ベンゾフラン、または、インドールであってよい。
上記式(1)で表される繰り返し単位は、例えば、以下に示す構造を有することができる。なお、繰り返し単位は、以下に示す構造のうち、式(47)から式(52)によって示される構造であることが好ましい。
Figure 2024030916000050
Figure 2024030916000051
Figure 2024030916000052
Figure 2024030916000053
Figure 2024030916000054
Figure 2024030916000055
Figure 2024030916000056
Figure 2024030916000057
Figure 2024030916000058
Figure 2024030916000059
Figure 2024030916000060
Figure 2024030916000061
Figure 2024030916000062
Figure 2024030916000063
Figure 2024030916000064
Figure 2024030916000065
Figure 2024030916000066
Figure 2024030916000067
Figure 2024030916000068
Figure 2024030916000069
なお、共重合体は、第1繰り返し単位および第2繰り返し単位以外の第3繰り返し単位を含んでもよい。第3繰り返し単位が由来するモノマーは、例えば、スチレン系モノマー、(メタ)アクリルモノマー、ビニルエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、ハロゲン元素含有ビニル系モノマー、および、ジエン系モノマーなどであってよい。
スチレン系モノマーは、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メトキシスチレン、p‐ヒドロキシスチレン、p‐アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、および、ベンジルスチレンなどであってよい。
(メタ)アクリルモノマーは、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2‐(メタ)アクリロイルオキシエチル‐2‐ヒドロキシプロピルフタレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2‐(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、エトキシ化オルト‐フェニルフェノール(メタ)アクリレート、o‐フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3‐フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、4‐ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2‐ナフトール(メタ)アクリレート、4‐ビフェニル(メタ)アクリレート、9‐アントリルメチル(メタ)アクリレート、2‐[3‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐4‐ヒドロキシフェニル]エチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキシド(EO)変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、フタル酸2‐(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2‐(メタ)アクリロイルオキシエチル、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4‐t‐シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2‐メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2‐エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2‐オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2‐グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3‐グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、オキセタニル(メタ)アクリレート、3‐メチル‐3‐オキセタニル(メタ)アクリレート、3‐エチル‐3‐オキセタニル(メタ)アクリレート、(3‐メチル‐3‐オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3‐エチル‐3‐オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2‐(3‐メチル‐3‐オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2‐(3‐エチル‐3‐オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2‐[(3‐メチル‐3‐オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2‐[(3‐エチル‐3‐オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3‐[(3‐メチル‐3‐オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3‐[(3‐エチル‐3‐オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2‐エチルヘキシルメタクリレートなどであってよい。
ビニルエステル系モノマーは、例えば、酢酸ビニルなどであってよい。ビニルエーテル系モノマーは、例えば、ビニルメチルエーテルなどであってよい。ハロゲン元素含有ビニル系モノマーは、例えば、塩化ビニルなどであってよい。ジエン系モノマーは、例えば、ブタジエン、および、イソブチレンなどであってよい。
また、共重合体は、共重合体が有する極性を調整するためのモノマーを含んでもよい。極性を調整するためのモノマーは、酸基または水酸基を共重合体に付加する。こうしたモノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、アクリル酸‐2ヒドロキシエチル、および、(メタ)アクリル酸-4‐ヒドロキシフェニルなどであってよい。
また、共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、および、グラフト共重合体のいずれの構造を有していてもよい。共重合体の構造がランダム共重合体であれば、製造工程およびシアニン色素との調製が容易である。そのため、ランダム共重合体は、他の共重合体よりも好ましい。
共重合体を得るための重合方法は、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、および、リビングアニオン重合などであってよい。共重合体を得るための重合方法には、工業的に生産が容易なことから、ラジカル重合が選択されることが好ましい。ラジカル重合は、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、および、懸濁重合法などであってよい。ラジカル重合には、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いることによって、共重合体における分子量の制御が容易である。さらに、モノマーの重合後に共重合体を含む溶液を当該溶液の状態で固体撮像素子用フィルターの製造に使用することができる。
ラジカル重合では、上述したモノマーを重合溶剤によって希釈した後に、ラジカル重合開始剤を加えてモノマーの重合を行ってもよい。
重合溶剤は、例えば、エステル系溶剤、アルコールエーテル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族系溶剤、アミド系溶剤、および、アルコール系溶剤などであってよい。エステル系溶剤は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t‐ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどであってよい。アルコールエーテル系溶剤は、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3‐メトキシ‐1‐ブタノール、および、3‐メトキシ‐3-メチル‐1‐ブタノールなどであってよい。ケトン系溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、および、シクロヘキサノンなどであってよい。芳香族系溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、および、キシレンなどであってよい。アミド系溶剤は、例えば、ホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドなどであってよい。アルコール系溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n‐プロパノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、イソブタノール、s‐ブタノール、t‐ブタノール、ジアセトンアルコール、および、2‐メチル‐2‐ブタノールなどであってよい。このうち、ケトン系溶剤、および、エステル系溶剤は、固体撮像素子用フィルターの製造に用いることができるため好ましい。なお、上述した重合溶剤において、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
ラジカル重合において、重合溶剤の使用量は特に限定されないが、モノマーの合計を100重量部に設定する場合に、重合溶剤の使用量は、1重量部以上1000重量部以下であることが好ましく、10重量部以上500重量部以下であることがより好ましい。
ラジカル重合開始剤は、例えば、過酸化物およびアゾ化合物などであってよい。過酸化物は、例えば、ベンゾイルペルオキシド、t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、および、ジ‐t‐ブチルパーオキシドなどであってよい。アゾ化合物は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)、および、2,2’‐アゾビス[2‐メチル‐N‐(2‐ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などであってよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマーの合計を100重量部に設定した場合に、0.0001重量部以上20重量部以下であることが好ましく、0.001重量部以上15重量部以下であることがより好ましく、0.005重量部以上10重量部以下であることがさらに好ましい。ラジカル重合開始剤は、モノマーおよび重合溶剤に対して、重合開始前に添加されてもよいし、重合反応系中に滴下されてもよい。ラジカル重合開始剤をモノマーおよび重合溶剤に対して重合反応系中に滴下することは、重合による発熱を抑制することができる点で好ましい。
ラジカル重合の反応温度は、ラジカル重合開始剤および重合溶剤の種類によって適宜選択される。反応温度は、製造上の容易性、および、反応制御性の観点から、60℃以上110℃以下であることが好ましい。
共重合体のガラス転移温度は、75℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度が75℃以上であれば、赤外光カットフィルターにおいて、赤外光カットフィルター13が加熱された場合に、赤外光の透過率における変化を抑える確実性を高めることが可能である。
共重合体の分子量は、3000以上30万以下であることが好ましく、5000以上10万以下であることがより好ましい。共重合体の分子量がこの範囲に含まれることによって、赤外光カットフィルター13に含まれるシアニン色素の分光特性を保持しながら、赤外光カットフィルター13の現像性を保持することが可能である。
共重合体が30万を超える分子量を有する場合には、現像液に対する共重合体の溶解性が低下する。これにより、共重合体を含む赤外光カットフィルター13が現像された場合には、赤外光カットフィルター13が現像液に溶解しにくく、これによって、赤外光カットフィルター13が、赤外光カットフィルター13の支持体から剥離しやすくなる。そのため、共重合体の分子量が30万を超える場合には、赤外光カットフィルター13をパターニングすることが容易ではない。これに対して、共重合体の分子量が30万以下であれば、現像液に対する共重合体の溶解性が低下しにくいから、赤外光カットフィルター13の現像時における赤外光カットフィルター13の剥離が抑えられる。そのため、赤外光カットフィルター13のパターニングが容易である。
また、共重合体の分子量が3000未満である場合には、共重合体の分子量が小さいために、シアニン色素が容易に移動可能であるから、赤外光カットフィルター13に含まれるシアニン色素の会合を抑制する効果が得られにくい。そのため、赤外光カットフィルター13における赤外領域での吸光度が低下しやすい。一方で、共重合体の分子量が3000以上である場合には、共重合体によって、赤外光カットフィルター13に含まれるシアニン色素の会合が抑えられる。これにより、赤外光カットフィルター13における赤外領域での吸光度の低下が抑えられる。
なお、共重合体の平均分子量は、重量平均分子量である。共重合体の重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー法によって測定することが可能である。例えば、ラジカル重合反応において、溶液中のモノマーおよびラジカル重合開始剤の濃度を変更することによって、共重合体の分子量を制御することができる。
共重合体の製造によって得られたポリマー溶液中には、共重合体と、モノマーとが含まれる。モノマーは、共重合体を製造するために準備されたモノマーのうち、共重合体の製造に用いられなかったモノマーである。ポリマー溶液中において、共重合体の重量が第1重量W1であり、モノマーの重量が第2重量W2である。
第1重量W1と第2重量W2との総和(W1+W2)に対する第2重量W2の百分率({W2/(W1+W2)}×100)は、20%以下であることが好ましい。すなわち、共重合体を製造するために準備されたモノマーのうち、残存モノマーは、20%以下であることが好ましい。残存モノマーが20%以下であることによって、残存モノマーが20%よりも多い場合に比べて、赤外光カットフィルターにおける透過率の向上が抑えられる。
なお、第1重量W1と第2重量W2との総和に対する第2重量W2の百分率は、10%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。第1重量W1、および、第2重量W2は、共重合体の分析結果に基づき定量することが可能である。共重合体の分析方法は、例えば、ガスクロマトグラフィー量分析法(GC‐MS)、核磁気共鳴分光法(NMR)、および、赤外分光法(IR)などであってよい。
例えば、NMRによる分析結果を用いて第1重量W1と第2重量とを定量する場合には、まず、NMRによる分析によってポリマー溶液に対するスペクトルを得る。次いで、得られたスペクトルにおいて、共重合体のピークとモノマーのピークとを特定する。そして、各ピークの面積比を算出する。共重合体のピークにおける面積比が第1重量W1であり、モノマーのピークにおける面積比が第2重量W2である。
第1重量W1と第2重量W2との総和に対する第2重量W2の百分率を変更する方法は、例えば、重合時間を変更する方法、および、重合温度を変更する方法などであってよい。また、第1重量W1と第2重量W2との総和に対する第2重量W2の百分率を変更する方法は、重合反応の開始時におけるモノマーおよびラジカル重合開始剤の濃度を変更する方法であってよい。また、第1重量W1と第2重量W2との総和に対する第2重量W2の百分率を変更する方法は、重合反応後の精製条件を変更する方法であってもよい。このうち、重合時間を変更する方法は、第2重量W2の割合を変更する制御の精度が高いため好ましい。
共重合体の重合時に使用するラジカル重合開始剤が、側鎖に芳香環を有する有機過酸化物である場合には、赤外光カットフィルターに含まれる共重合体を100重量部に設定する場合に、赤外光カットフィルターが、0.35重量部未満の有機過酸化物を含むことが好ましい。赤外光カットフィルターが0.35重量部未満の有機過酸化物を含むことで、可視光領域、および、赤外光領域における赤外光カットフィルターの分光特性の劣化が抑えられる。
ナフトキノンジアジド化合物は、ナフトキノンジアジド系感光剤であってよい。ナフトキノンジアジド系感光剤は、ポジ型フォトレジストの感光剤としても用いられる。ナフトキノンジアジド系感光剤は、例えば、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとフェノール性化合物とのエステル化合物であってよい。
ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドは、例えば、1,2‐ナフトキノン‐2‐ジアジド‐5‐スルホン酸クロリド、1,2‐ナフトキノン‐2‐ジアジド‐4‐スルホン酸クロリドであってよい。
フェノール性化合物は、例えば、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、(ポリヒドロキシフェニル)アルカン、2,3,4‐トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6‐トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’‐テトラヒドロキシ‐4’‐メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’‐テトラヒドロキシ‐3’‐メトキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,6’‐ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6,3’,4’,5’‐ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5,3’,4’,5’‐ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p‐ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(p‐ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1‐トリス(p‐ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2‐ビス(2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3‐トリス(2,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐3‐フェニルプロパン、4,4’‐〔1‐{4‐(1‐[4‐ヒドロキシフェニル]‐1‐メチルエチル)フェニル}エチリデン〕ビスフェノール、ビス(2,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐2‐ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’‐テトラメチル‐1,1’‐スピロビインデン‐5,6,7,5’,6’,7’‐ヘキサノール、2,2,4‐トリメチル‐7,2’,4’‐トリヒドロキシフラバン、2‐メチル‐2‐(2,4‐ジヒドロキシフェニル)‐4‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐7‐ヒドロキシクロマン、1‐[1‐{3‐(1‐[4‐ヒドロキシフェニル]‐1‐メチルエチル)‐4,6‐ジヒドロキシフェニル}‐1‐メチルエチル]‐3‐〔1‐{3‐(1‐[4‐ヒドロキシフェニル]‐1‐メチルエチル)‐4,6‐ジヒドロキシフェニル}‐1‐メチルエチル〕ベンゼン、4,6‐ビス{1‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐1‐メチルエチル}‐1,3‐ジヒドロキシベンゼンであってよい。
赤外光カットフィルター13は、ナフトキノンジアジド化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。ナフトキノンジアジド化合物の重量は、共重合体の重量に対する5重量%以上であってよい。すなわち、共重合体の全量(Wcp)を100重量%に設定する場合に、ナフトキノンジアジド化合物の重量(Wnd)は、共重合体の全量に対して5重量%以上であってよい。さらに言い換えれば、ナフトキノンジアジド化合物の重量は、以下の式を満たしてよい。
100(Wnd/Wcp)≧5(重量%)
ナフトキノンジアジド化合物の量が5重量%以上であることによって、赤外光カットフィルター13において、未露光部の現像性が低下し、かつ、露光部の現像性が向上する。これにより、赤外光カットフィルター13の形状における精度が高められる。
ナフトキノンジアジド化合物の重量は、共重合体の重量に対する40重量%以下であってよい。すなわち、共重合体の全量(Wcp)を100重量%に設定する場合に、ナフトキノンジアジド化合物の重量(Wnd)は、共重合体の全量に対して40重量%以下であってよい。さらに言い換えれば、ナフトキノンジアジド化合物の重量は、以下の式を満たしてよい。
100(Wnd/Wcp)≦40(重量%)
ナフトキノンジアジド化合物の量が40重量%以下であることによって、ナフトキノンジアジドが有するジアゾ基に起因したシアニン色素の分解が抑えられるから、赤外光カットフィルター13の吸光度における低下が抑えられる。
赤外光カットフィルター13は、界面活性剤、保存安定剤、接着助剤、耐熱性向上剤などを含んでもよい。赤外光カットフィルター13は、これらのうちの1種のみを含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
[固体撮像素子用フィルターの製造方法]
固体撮像素子用フィルター10Fの製造方法は、赤外光カットフィルター13を形成することと、赤外光カットフィルター13をフォトリソグラフィによってパターニングすることと、含む。赤外光カットフィルター13を形成することでは、シアニン色素、共重合体、および、ナフトキノンジアジド化合物を含む赤外光カットフィルター13を形成する。共重合体は、15重量%以上70重量%以下の第1繰り返し単位と、30重量%以上85重量%以下の第2繰り返し単位とを含む。以下、固体撮像素子用フィルター10Fの製造方法をより詳細に説明する。
各色用フィルター12R,12G,12B、および、赤外光パスフィルター12Pは、着色感光性樹脂を含む塗膜の形成、および、フォトリソグラフィ法を用いた塗膜のパターニングによって形成される。例えば、赤色用感光性樹脂を含む塗膜は、赤色用感光性樹脂を含む塗布液の塗布、および、塗布によって形成された塗膜の乾燥によって形成される。赤色用フィルター12Rは、赤色用感光性樹脂を含む塗膜に対し、赤色用フィルター12Rの領域に相当する露光、および、現像を経て形成される。なお、緑色用フィルター12G、青色用フィルター12B、および、赤外光パスフィルター12Pも、赤色用フィルター12Rと同様の方法によって形成される。
赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、青色用フィルター12Bの着色組成物に含有される顔料には、有機または無機の顔料を単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。顔料は、発色性が高く、かつ、耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料であることが好ましく、有機顔料であることが好ましい。有機顔料は、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、ペリレン系、チオインジゴ系、イソインドリン系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系などであってよい。
また、赤外光パスフィルター12Pに含有される着色成分には、黒色色素、あるいは、黒色染料を用いることができる。黒色色素は、単一で黒色を有する色素、あるいは、2種以上の色素によって黒色を有する混合物であってよい。黒色染料は、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、アジン系染料、キノリン系染料、ペリノン系染料、ペリレン系染料、および、メチン系染料などであってよい。
各色の感光性着色組成物にはさらに、バインダー樹脂、光重合開始剤、重合性モノマー、有機溶剤、および、レベリング剤などが含まれる。
赤外光カットフィルター13を形成する際には、上述したシアニン色素、共重合体、ナフトキノンジアジド化合物、および、有機溶剤を含む塗布液を各色用フィルター12R,12G,12B、および、赤外光パスフィルター12P上に塗布する。これによって、赤外光カットフィルター13を形成する。次に、ポジ型のフォトマスクを用いて、赤外光カットフィルター13を露光する。その後、アルカリ現像液を用いて露光後の赤外光カットフィルター13を現像し、次いで、現像後の赤外光カットフィルター13を水洗し、そして、乾燥させる。乾燥後の赤外光カットフィルター13を加熱することによって、硬化させる。これにより、赤外光カットフィルター13がパターニングされる。
アルカリ現像液には、水酸化テトラアンモニウム(TMAH)水溶液を用いることができる。TMAH水溶液の濃度は、赤外光カットフィルター13の現像が可能な濃度であれば、特に制限されない。赤外光カットフィルター13と現像液とを接触させる方法は、ディップ法、スプレー法、および、スピン法などであってよい。
バリア層14は、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法などの気相成膜法、あるいは、塗布法などの液相成膜法を用いた成膜によって形成される。酸化珪素から形成されるバリア層14は、例えば、赤外光カットフィルター13が形成された基板に対し、酸化珪素からなるターゲットを用いたスパッタリングによる成膜を経て形成される。酸化珪素から形成されるバリア層14は、例えば、赤外光カットフィルター13が形成された基板に対し、シランと酸素とを用いたCVDによる成膜を経て形成される。酸化珪素から形成されるバリア層14は、例えば、ポリシラザンを含む塗布液の塗布、改質、および、塗膜の乾燥によって形成される。バリア層14の層構造は、単一の化合物からなる単層構造でもよいし、単一の化合物からなる層の積層構造であってもよいし、相互に異なる化合物からなる層の積層構造であってもよい。
各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pは、透明樹脂を含む塗膜の形成、フォトリソグラフィ法を用いた塗膜のパターニング、および、熱処理によるリフローによって形成される。透明樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および、ノルボルネン系樹脂などである。
[製造例]
図2を参照して、赤外光カットフィルターを製造するための共重合体における製造例を説明する。なお、共重合体が2種以上のモノマーを用いて生成された共重合体である場合には、生成された共重合体における各モノマーに由来する繰り返し単位での重量比が、共重合体の生成時における各モノマーの重量比に等しい。
なお、図2において、化合物A‐1は式(47)に示す単位構造を得るためのモノマーであり、化合物A‐2は式(48)に示される単位構造を得るためのモノマーである。化合物A‐3は式(49)に示される単位構造を得るためのモノマーであり、化合物A‐4は式(50)に示される単位構造を得るためのモノマーである。化合物B‐1は、4‐ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートであり、化合物B‐2は、4‐ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミドある。また、DCPMAは、ジシクロペンタニルアクリレートであり、PhMAは、フェニルメタクリレートであり、MAAは、メタクリル酸である。
[製造例1]
150重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)を重合溶剤として準備し、50重量部の化合物A‐1と50重量部のDCPMAをモノマーとして準備した。また、1.5重量部のベンゾイルペルオキシド(BPO)をラジカル重合開始剤として準備した。これらを攪拌装置と還流管とが設置された反応容器に入れ、反応容器に窒素ガスを導入しつつ、80℃に加熱しながら8時間にわたって攪拌しかつ還流した。これにより、化合物A‐1とDCPMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は15,000であった。
[製造例2]
50重量部の化合物A‐1、10重量部の化合物B‐1、および、40重量部のDCPMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐1、および、DCPMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は18,000であった。
[製造例3]
50重量部の化合物A‐1、15重量部の化合物B‐1、35重量部のDCPMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐1、および、DCPMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は11,000であった。
[製造例4]
50重量部の化合物A‐1、20重量部の化合物B‐1、および、30重量部のDCPMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐1、および、DCPMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。重合体の重量平均分子量は15,000であった。
[製造例5]
90重量部の化合物A‐1と10重量部の化合物B‐1とをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1と化合物B‐1とから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は13,000であった。
[製造例6]
70重量部の化合物A‐1、15重量部の化合物B‐1、および、15重量部のDCPMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐1、および、DCPMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は13,000であった。
[製造例7]
70重量部の化合物A‐1、20重量部の化合物B‐1、および、10重量部のDCPMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐1、および、DCPMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は18,000であった。
[製造例8]
50重量部の化合物A‐1、20重量部の化合物B‐1、および、30重量部のPhMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐1、および、PhMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は15,000であった。
[製造例9]
30重量部の化合物A‐1と70重量部の化合物B‐1とをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1と化合物B‐1から生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は11,000であった。
[製造例10]
20重量部の化合物A‐1と80重量部の化合物B‐1とをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1と化合物B‐1とから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は13,000であった。
[製造例11]
60重量部の化合物A‐1、35重量部の化合物B‐1、および、5重量部のMAAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐1、および、MAAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は15,000であった。
[製造例12]
50重量部の化合物A‐2と50重量部のDCPMAとをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐2とDCPMAとから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は10,000であった。
[製造例13]
50重量部の化合物A‐2、20重量部の化合物B‐1、および、30重量部のPhMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐2、化合物B‐1、および、PhMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は15,000であった。
[製造例14]
60重量部の化合物A‐2、37重量部の化合物B‐1、および、3重量部のMAAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐2、化合物B‐1、および、MAAとから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は13,000であった。
[製造例15]
50重量部の化合物A‐3、20重量部の化合物B‐1、および、30重量部のPhMAとをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐3、化合物B‐1、および、PhMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は18,000であった。
[製造例16]
50重量部の化合物A‐4、20重量部の化合物B‐1、30重量部のPhMAとをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐4、化合物B‐1、および、PhMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は13,000であった。
[製造例17]
50重量部の化合物A‐1、10重量部の化合物B‐2、および、40重量部のDCPMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐2、および、DCPMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は15,000であった。
[製造例18]
50重量部の化合物A‐1、15重量部の化合物B‐2、および、35重量部のDCPMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐2、および、DCPMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は10,000であった。
[製造例19]
50重量部の化合物A‐1、20重量部の化合物B‐2、および、30重量部のDCPMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐2、および、DCPMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は15,000であった。
[製造例20]
50重量部の化合物A‐2、20重量部の化合物B‐2、および、30重量部のPhMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐2、および、PhMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は18,000であった。
[製造例21]
50重量部の化合物A‐3、20重量部の化合物B‐2、および、30重量部のPhMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A‐1、化合物B‐2、および、PhMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は18,000であった。
[製造例22]
50重量部の化合物A‐4、20重量部の化合物B‐2、および、30重量部のPhMAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物A-1、化合物B-2、および、PhMAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は11,000であった。
[製造例23]
15重量部の化合物B‐1、70重量部のDCPMA、および、15重量部のMAAをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、化合物B‐1、DCPMA、および、MAAから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は15,000であった。
[製造例24]
85重量部のDCPMAと15重量部のMAAとをモノマーとして準備した。それ以外は、製造例1と同様の方法によって、DCPMAとMAAとから生成された共重合体を含むポリマー溶液を得た。共重合体の重量平均分子量は13,000であった。
[実施例1]
各製造例において、ポリマー溶液の重量に対する共重合体の重量が25%であるようにポリマー溶液を希釈することによって、25%ポリマー溶液を得た。製造例1から製造例24の25%ポリマー溶液をそれぞれ用いることによって、実施例1‐1から実施例1‐16、および、比較例1‐1から比較例1‐8の赤外光カットフィルターを得た。
[分光特性]
0.4gのシアニン色素、12.5gの25%ポリマー溶液、0.625gのナフトキノンジアジド化合物、および、10gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む塗液を作製した。この際に、シアニン色素として、上記式(4)によって表される色素を用い、かつ、上述した製造例1から製造例24によって得られた共重合体をそれぞれ含む24種のポリマー溶液を用いた。また、ナフトキノンジアジド化合物として、4,4’‐[1‐[4‐[1‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐1‐メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと、1,2‐ナフトキノン‐2‐ジアジド‐5‐スルホン酸クロリドとのエステルを用いた。
塗液を透明基板上に塗布することによって塗膜を形成し、次いで、塗膜を90℃で2分間加熱することによって塗膜を乾燥させた。次いで、塗膜を200℃で10分間加熱した。これにより、各実施例および各比較例について、1.5μmの厚さを有する赤外光カットフィルターであって、分光特性を評価するための赤外光カットフィルターを得た。
分光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製、U-4100)を用いて350nmから1150nmの各波長を有した光に対する各実施例および各比較例の赤外光カットフィルターにおける透過率を測定した。これにより、各赤外光カットフィルターについて、透過率のスペクトルを得た。
[矩形性]
分光特性の評価時に用いた塗液と同様の塗液を作製した。次いで、平坦化層を塗布したシリコンウエハーに、スピンコーターを用いて各製造例の共重合体を含む塗液を塗布し、これによって、塗膜を形成した。この際に、スピンコーターの回転数を1000rpmに設定した。そして、塗膜が形成されたシリコンウエハーをホットプレートを用いて加熱することによって、塗膜をプレベークした。この際に、ホットプレートによる加熱の条件を90℃かつ2分間に設定した。
その後、露光機(キヤノン(株)製、FPA-5510iZ)を用いて、プレベーク後の塗膜を露光した。この際に、2.0μm×2.0μmの正方形状を有したホールパターンを有する露光マスクを用い、かつ、露光量を5000J/mに設定した。水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の濃度が1.0重量%になるように、TMAHを純水で調整し、これによってアルカリ現像液を得た。アルカリ現像液を用いて露光後の塗膜を現像し、続いて、塗膜の水洗および乾燥を行い、これによって、2.0μm角のホールパターンを有した塗膜を得た。次に、現像後の塗膜を有するシリコンウエハーをホットプレートを用いて加熱することによって、塗膜をポストベークした。この際に、ホットプレートによる加熱の条件を200℃かつ10分間に設定した。これにより、各実施例および各比較例について、1.5μmの厚さを有し、かつ、ホールパターンを有する赤外光カットフィルターであって、矩形性を評価するための赤外光カットフィルターを得た。
シリコンウエハーの厚さ方向に沿って赤外光カットフィルターを切断することによって、観察用断面を作製した。この際に、観察用断面に、複数のホールパターンが含まれるように、赤外光カットフィルターを切断した。観察用断面を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、s-4800)を用いて観察した。この際に、走査型電子顕微鏡の観察倍率を30000倍に設定した。ホールパターンについて、赤外光カットフィルターの表面と、ホールパターンを画定する側面とが形成する角度を測定した。
[評価結果]
分光特性および矩形性の評価結果は、以下の表1に示す通りであった。
Figure 2024030916000070
表1が示すように、950nmにおける透過率は、実施例1‐2、実施例1‐5、実施例1‐8、実施例1‐10、実施例1‐11、実施例1‐13から実施例1‐16において5%であることが認められた。また、950nmにおける透過率は、実施例1‐9において7%であり、実施例1‐1、実施例1‐3、実施例1‐4、実施例1‐12において8%であることが認められた。また、950nmにおける透過率は、実施例1‐6、実施例1‐7において9%であり、比較例1‐1から比較例1‐3、比較例1‐5、比較例1‐6において10%であることが認められた。また、950nmにおける透過率は、比較例1‐4において15%であり、比較例1‐7において25%であり、比較例1‐8において35%であることが認められた。
このように、各実施例の赤外光カットフィルターでは、950nmにおける透過率が9%以下であること、すなわち、固体撮像素子用のフィルターとして適用された場合に好ましい赤外光の吸収能を有することが認められた。一方で、比較例1‐1から比較例1‐6の赤外光カットフィルターでは、950nmにおける透過率が15%以下であること、すなわち、固体撮像素子用のフィルターとして適用された場合に好ましい赤外光の吸収能を有することが認められた。これに対して、比較例1‐7および比較例1‐8の赤外光カットフィルターでは、950nmにおける透過率が25%以上であること、すなわち、固体撮像素子用のフィルターには適しない透過率を有することが認められた。
また、矩形性は、実施例1‐6において75°であり、実施例1‐1および実施例1‐12において80°であることが認められた。また、矩形性は、実施例1‐2、実施例1‐5、実施例1‐8、実施例1‐10、実施例1‐11、実施例1‐13から実施例1‐16において85°であることが認められた。また、矩形性は、実施例1‐3、実施例1‐4、実施例1‐7、実施例1‐9において88°であることが認められた。
これに対して、矩形性は、比較例1‐7において60°であることが認められた。また、比較例1‐1から比較例1‐3、比較例1‐5、比較例1‐6、比較例1‐8の赤外光カットフィルターでは、赤外光カットフィルターの表面とホールパターンの側面とによって形成される角部において、ポストベークに起因する熱だれが生じていることが認められた。なお、熱だれとは、当該角部が丸みを帯びている状態を意味する。また、比較例1‐4では、ホールパターンが形成されていないこと、すなわち、フォトリソグラフィによるパターニングができないことが認められた。
こうした結果から、赤外光カットフィルターが含む共重合体が、以下の条件を満たすことによって、高い赤外光の吸収能と、ホールパターンにおける熱だれの抑制とを両立することが可能であるといえる。
(条件1)15重量%以上70重量%以下の第1繰り返し単位を含む。
(条件2)30重量%以上85重量%以下の第2繰り返し単位を含む。
[実施例2]
[ナフトキノンジアジド化合物の含有量]
製造例4の共重合体を用いることによって、以下に説明する7種の赤外光カットフィルターを得た。
0.4gのシアニン色素、12.5gの25%ポリマー溶液、ナフトキノンジアジド化合物、および、10gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む塗液を作製した。この際に、シアニン色素として、上記式(4)によって表される色素を用いた。また、ナフトキノンジアジドとして、4,4’‐[1‐[4‐[1‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐1‐メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと、1,2‐ナフトキノン‐2‐ジアジド‐5‐スルホン酸クロリドとのエステルを用いた。塗液を透明基板上に塗布することによって塗膜を形成し、次いで、塗膜を90℃において2分間加熱した。これによって、塗膜を乾燥させ、結果として、1.5μmの厚さを有する赤外光カットフィルターを得た。
ナフトキノンジアジド化合物の量を以下に示す表2に記載のように、7通りの量に変更することによって、7種の赤外光カットフィルターを得た。なお、各実施例の赤外光カットフィルターが含むナフトキノンジアジド化合物の割合を以下の式によって算出した。
含有量(重量%) = 100(Wnd/Wcp)
上記式において、Wndはナフトキノンジアジド化合物の重量であり、Wcpは共重合体の重量である。
Figure 2024030916000071
表2が示すように、実施例2‐1において、ナフトキノンジアジド化合物の量を0.095gに設定し、これにより、共重合体を100重量%とした場合において、ナフトキノンジアジド化合物の割合を3重量%に設定した。試験例2‐2において、ナフトキノンジアジド化合物の量を0.155gに設定し、これにより、共重合体を100重量%とした場合において、ナフトキノンジアジド化合物の割合を5重量%に設定した。
試験例2‐3において、ナフトキノンジアジド化合物の量を0.315gに設定し、これにより、共重合体を100重量%とした場合において、ナフトキノンジアジド化合物の割合を10質量%に設定した。試験例2‐4において、ナフトキノンジアジド化合物の量を0.625gに設定し、これにより、共重合体を100重量%とした場合において、ナフトキノンジアジド化合物の割合を20重量%に設定した。
試験例2‐5において、ナフトキノンジアジド化合物の量を0.950gに設定し、これにより、共重合体を100重量%とした場合において、ナフトキノンジアジド化合物の割合を30重量%に設定した。試験例2‐6において、ナフトキノンジアジド化合物の量を1.250gに設定し、これにより、共重合体を100重量%とした場合において、ナフトキノンジアジド化合物の割合を40重量%に設定した。試験例2‐7において、ナフトキノンジアジド化合物の量を1.400gに設定し、これにより、共重合体を100重量%とした倍において、ナフトキノンジアジド化合物の割合を45重量%に設定した。
[評価結果]
各実施例の赤外光カットフィルターについて、透過率と矩形性とを評価した。なお、透過率の評価方法、および、矩形性の評価方法には、実施例1において説明した方法と同様の方法を用いた。分光特性および矩形性を評価した結果は、以下の表3に示す通りであった。
Figure 2024030916000072
表3が示すように、950nmにおける透過率は、実施例2‐1から実施例2‐4において5%であり、実施例2‐5において8%であることが認められた。また、950nmにおける透過率は、実施例2‐6において9%であり、実施例2‐7において15%であることが認められた。このように、いずれの実施例においても、赤外光カットフィルターとして適した赤外光の吸収能を有することが認められた。また、赤外光の吸収能を高める観点では、ナフトキノンジアジド化合物の割合が3重量%以上40重量%以下であることが好ましく、3重量%以上30重量%以下であることが好ましく、3重量%以上20重量%以下であることがより好ましいといえる。
矩形性は、実施例2‐1において75°であり、実施例2‐2において80°であり、実施例2‐3において83°であり、実施例2‐4において85°であることが認められた。また、矩形性は、実施例2‐5から実施例2‐7において88°であることが認められた。このように、いずれの実施例においても、熱だれが抑えられることが認められた。また、矩形性を高める観点では、ナフトキノンジアジド化合物の割合が5重量%以上45重量%以下であることが好ましく、10重量%以上45重量%以下であることがより好ましく、20重量%以上45重量%以下であることがさらに好ましく、30重量%以上45重量%以下であることが最も好ましいといえる。
こうした結果から、赤外光の吸収能を高めることと、矩形性を高めることとを両立する観点では、ナフトキノンジアジド化合物の割合が5重量%以上40重量%以下であることが好ましく、10重量%以上30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以上30重量%以下であることがさらに好ましいといえる。
以上説明したように、赤外光カットフィルター、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、および、固体撮像素子用フィルターの製造方法の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)赤外光カットフィルター13がナフトキノンジアジド化合物を含み、かつ、共重合体が第2繰り返し単位を含むから、赤外光カットフィルターの製造において、ポジ型のフォトリソグラフィを用いたパターニングが可能である。
(2)15重量%以上70重量%以下の第1繰り返し単位と、30重量%以上85重量%以下の第2繰り返し単位とを共重合体が含むから、赤外光カットフィルターの吸光度における低下を抑え、かつ、加熱に起因した熱だれを抑えることが可能である。
(3)ナフトキノンジアジド化合物の量が5重量%以上であることによって、赤外光カットフィルター13において、未露光部の現像性が低下し、かつ、露光部の現像性が向上する。これにより、赤外光カットフィルター13の形状における精度が高められる。また、ナフトキノンジアジド化合物の量が40重量%以下であることによって、シアニン色素の劣化が抑えられるから、赤外光カットフィルター13の吸光度における低下が抑えられる。
(4)共重合体の分子量が30万以下であれば、現像液に対するアクリル重合体の溶解性が低下しにくいから、赤外光カットフィルター13の現像時における赤外光カットフィルター13の剥離が抑えられる。そのため、赤外光カットフィルター13のパターニングが容易である。
(5)共重合体の分子量が3000以上である場合には、アクリル重合体によって、赤外光カットフィルター13に含まれるシアニン色素の会合が抑えられる。これにより、赤外光カットフィルター13における赤外領域での吸光度の低下が抑えられる。
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[バリア層]
・バリア層14は、赤外光カットフィルター13とマイクロレンズ15R、15G,15B,15Pとの間に限らず、各マイクロレンズ15R、15G,15B,15Pの外表面に配置されてもよい。
・固体撮像素子10は、バリア層14とバリア層14の下層との間にアンカー層を備えてもよい。この場合には、バリア層14とバリア層14の下層との密着性がアンカー層によって高められる。また、固体撮像素子10は、バリア層14とバリア層14の上層との間にアンカー層を備えてもよい。この場合には、バリア層とバリア層の上層との密着性をアンカー層によって高められる。アンカー層を形成する材料は、例えば、多官能アクリル樹脂、あるいは、シランカップリング剤などである。
・バリア層14の層構造は、単一の化合物からなる単層構造でもよいし、単一の化合物からなる層の積層構造であってもよいし、相互に異なる化合物からなる層の積層構造でもよい。
・バリア層14は、赤外光カットフィルター13の表面と赤外光パスフィルター12Pの表面が形成する段差を埋める平坦化層として機能してもよい。
・固体撮像素子用フィルター10Fはバリア層14を備えていなくてもよい。この場合であっても、上述した(1)および(2)に準じた効果を得ることは可能である。
[その他]
・各色用フィルター12R,12G,12Bの厚さは、赤外光パスフィルター12Pと相互に等しい大きさであってもよいし、異なる大きさであってもよい。各色用フィルター12R,12G,12Bの厚さは、例えば、0.5μm以上5μm以下であってよい。
・カラーフィルターは、シアン用フィルター、イエロー用フィルター、マゼンタ用フィルターを含む三色用フィルターでもよい。また、カラーフィルターは、シアン用フィルター、イエロー用フィルター、マゼンタ用フィルター、ブラック用フィルターを含む四色用フィルターでもよい。また、カラーフィルターは、透明用フィルター、イエロー用フィルター、赤色用フィルター、ブラック用フィルターを含む四色用フィルターでもよい。
・各色用フィルター12R,12G,12Bは、赤外光パスフィルター12Pと互いに等しい厚さを有してもよいし、互いに異なる厚さを有してもよい。各色用フィルター12R,12G,12Bの厚さは、例えば、0.5μm以上5μm以下であってよい。
・赤外光カットフィルター13を形成する材料は、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、および、帯電防止剤など添加物であって、赤外光カットフィルター13が、赤外光を吸収する機能以外の他の機能を兼ね備えるための添加物を含むことが可能である。
・固体撮像素子10において、赤外光カットフィルター13に対して入射面15Sの側に位置する積層構造での酸素透過率が、5.0cc/m/day/atm以下であってもよい。例えば、積層構造は、平坦化層や密着層などの他の機能層であって、各マイクロレンズとともに、その酸素透過率が5.0cc/m/day/atm以下であってもよい。
・固体撮像素子10は、複数のマイクロレンズに対して光の入射面側にバンドパスフィルターを備えてもよい。バンドパスフィルターは可視光と近赤外光の特定の波長を有する光のみを透過するフィルターであり、赤外光カットフィルター13と類似の機能を備える。すなわち、バンドパスフィルターにより各色用光電変換素子11R,11G,11Bが検出し得る不要な赤外光をカットすることができる。それによって、各色用光電変換素子11R,11G,11Bによる可視光の検出精度、および、赤外光用光電変換素子11Pの検出対象である850nmあるいは940nm帯域の波長を有した近赤外光の検出精度を高めることができる。
10…固体撮像素子
10F…固体撮像素子用フィルター
11…光電変換素子
12B…青色用フィルター
12G…緑色用フィルター
12P…赤外光パスフィルター
12R…赤色用フィルター
13…赤外光カットフィルター
13H…貫通孔
14…バリア層
15B…青色用マイクロレンズ
15G…緑色用マイクロレンズ
15P…赤外光用マイクロレンズ
15R…赤色用マイクロレンズ

Claims (7)

  1. ポリメチン、および、前記ポリメチンの各末端に位置し、窒素を含む複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸アニオンとを含むシアニン色素と、
    フェノール性水酸基を有するモノマーに由来する第1繰り返し単位、および、下記式(1)によって表される第2繰り返し単位を含む共重合体と、
    ナフトキノンジアジド化合物と、を含み、
    前記共重合体は、
    15重量%以上70重量%以下の前記第1繰り返し単位と、
    30重量%以上85重量%以下の前記第2繰り返し単位と、を含む
    赤外光カットフィルター。
    ただし、式(1)において、Aは、水素原子、ハロゲン原子、または、アルキル基である。Xは、酸素原子、NH、または、N‐R5であり、R5はアルキル基である。R1、R2、R3、および、R4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、‐OR6、‐OCO‐R7、‐NHCO‐R8、‐NHCONHR9、‐OCONH‐R10、‐COOR11、‐CONHR12、‐COR13、‐CONR14R15、‐CN、または、‐CHOである。あるいは、R1、R2、R3、および、R4は、これらのうちの2つが結合することによって環状構造を形成してもよい。R6からR15は、各々独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、または、置換アリール基である。
  2. 前記ナフトキノンジアジド化合物の重量は、前記共重合体の重量に対する5重量%以上40重量%以下である
    請求項1に記載の赤外光カットフィルター。
  3. 前記式(1)において、
    Aは、水素原子、または、メチル基であり、
    Xは、酸素原子、NH、または、N‐R5であり、R5はアルキル基であり、
    R1、R2、R3、および、R4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、ハロゲン原子で置換された置換アルキル基、または、‐OR6であり、R6はメチル基である
    請求項1または2に記載の赤外光カットフィルター。
  4. 前記共重合体の平均分子量は、3000以上30万以下である、
    請求項1または2に記載の赤外光カットフィルター。
  5. 請求項1または2に記載の赤外光カットフィルターと、
    前記赤外光カットフィルターを覆い、前記赤外光カットフィルターを酸化する酸化源の透過を抑えるバリア層と、を備える
    固体撮像素子用フィルター。
  6. 光電変換素子と、
    請求項5に記載の固体撮像素子用フィルターと、を備える
    固体撮像素子。
  7. ポリメチン、および、前記ポリメチンの各末端に位置し、窒素を含む複素環を有するカチオンと、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸アニオンとを含むシアニン色素、フェノール性水酸基を有するモノマーに由来する第1繰り返し単位と、下記式(1)によって表される第2繰り返し単位とを含む共重合体、および、ナフトキノンジアジド化合物を含む赤外光カットフィルターを形成することと、
    前記赤外光カットフィルターをフォトリソグラフィによってパターニングすることと、を含み、
    前記共重合体は、
    15重量%以上70重量%以下の前記第1繰り返し単位と、
    30重量%以上85重量%以下の前記第2繰り返し単位と、を含む
    固体撮像素子用フィルターの製造方法。
    ただし、式(1)において、Aは、水素原子、ハロゲン原子、または、アルキル基である。Xは、酸素原子、NH、または、N‐R5であり、R5はアルキル基である。R1、R2、R3、および、R4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、‐OR6、‐OCO‐R7、‐NHCO‐R8、‐NHCONHR9、‐OCONH‐R10、‐COOR11、‐CONHR12、‐COR13、‐CONR14R15、‐CN、または、‐CHOである。あるいは、R1、R2、R3、および、R4は、これらのうちの2つが結合することによって環状構造を形成してもよい。R6からR15は、各々独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、または、置換アリール基である。
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