JP2024019046A - 光学積層体 - Google Patents

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Seidai Fujita
智 永安
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Abstract

【課題】光学フィルムと、接着剤層と、光吸収異方性膜と、偏光子とをこの順に含む光学積層体であって、湿熱耐久試験において正面透過率の低下が抑制される光学積層体を提供すること。【解決手段】光学フィルムと、接着剤層と、光吸収異方性膜と、偏光子とをこの順に含む光学積層体であって、前記光吸収異方性膜は、二色性色素と重合性液晶化合物とが前記光学積層体の積層方向に配向した状態で硬化した硬化物層である、光学積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELともいう)表示装置において、黒表示時の斜方反射色相の向上を目的として垂直配向液晶硬化膜を配置することが提案されている(特許文献1)。
特開2020-76920号公報
垂直配向液晶硬化膜は、基材フィルム上で二色性色素および重合性液晶化合物を含む組成物を重合性液晶化合物が垂直方向に配向した状態で硬化させた硬化膜である場合が多い。このような垂直配向液晶硬化膜が光学フィルムと共に組み込まれた偏光板は、耐湿熱耐久試験において正面透過率が低下する場合がある。
本発明の目的は、光学フィルムと、接着剤層と、光吸収異方性膜と、偏光子とをこの順に含む光学積層体であって、耐湿熱耐久試験において正面透過率の低下が抑制される光学積層体を提供することである。
本発明は、以下の光学積層体を提供する。
[1] 光学フィルムと、接着剤層と、光吸収異方性膜と、偏光子とをこの順に含む光学積層体であって、
前記光吸収異方性膜は、二色性色素と重合性液晶化合物とが前記光学積層体の積層方向に配向した状態で硬化した硬化物層である、光学積層体。
[2] 前記光吸収異方性膜が、前記二色性色素と、前記重合性液晶化合物と、イソシアネート系架橋剤とを含む重合性液晶組成物の硬化物を含む、[1]に記載の光学積層体。[3] 前記光吸収異方性膜と前記偏光子との間に、ハードコート層をさらに含み、
前記光吸収異方性膜とハードコート層とが直接接している、[1]または[2]に記載の光学積層体。
本発明によれば、光学フィルムと、接着剤層と、光吸収異方性膜と、偏光子とをこの順に含む光学積層体であって、耐湿熱耐久試験において正面透過率の低下が抑制される光学積層体を提供することができる。
光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 光学積層体に含まれる光吸収異方性膜中のX軸、Y軸およびZ軸を示す図である。 光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 光学積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
<光学積層体>
本発明の一実施形態に係る光学積層体は、光学フィルムと、接着剤層と、光吸収異方性膜と、偏光子とをこの順に含み、光吸収異方性膜は、二色性色素と重合性液晶化合物とが光学積層体の積層方向に配向した状態で硬化した硬化物層である光学積層体である。光学積層体について図面を参照しながら説明する。
図1は、光学積層体を模式的に示す断面図である。図1に示す光学積層体1は、光学フィルム11と、接着剤層12と、光吸収異方性膜13と、偏光子14とをこの順に備える。光学積層体1は、光吸収異方性膜13の片側または両側に一または二以上のハードコート層(以下、HC層ともいう)をさらに備えていてもよい。また、光学積層体1は、光吸収異方性膜13と、偏光子14との間に光学フィルムまたはハードコート層付光学フィルムをさらに備えていてもよい。さらに、光学積層体1は、例えば位相差層、プロテクトフィルム、貼合層等をさらに備えることができる。
本発明者によって、光学フィルムと光吸収異方性膜とを備える光学積層体において、光学フィルムと光吸収異方性膜とを接着剤層を介して積層することにより、耐湿熱耐久試験において正面透過率の低下が抑制されることを見出した。
(光学フィルム)
光学フィルム11は、接着剤層12を介して光吸収異方性膜13上に配置される。光学フィルムは、好ましくは接着剤層を介して光吸収異方性膜上に直接的に接して配置される。また、光学フィルムは、光吸収異方性膜と偏光子との間にさらに配置されてもよい。光学フィルムは、光吸収異方性膜あるいはその他の層の熱および/または湿度による寸法変化、割れおよびクラック等を防止することができる。また、紫外線等に曝露した際の劣化を防止することができ、保管時および輸送時の光吸収異方性膜の表面の傷や劣化を防ぐことができる。
光学フィルム11としては、光、特に可視光を透過し得る透明性を有する透明フィルムが好ましく、波長380~780nmにわたる光線に対しての透過率が80%以上となる特性を有するものが好ましい。
光学フィルム11は、片側または両側に後述のハードコート層が設けられていてもよい。光学フィルム11が片側にハードコート層を有する場合、好ましくは光学フィルム11の接着剤層とは反対側となるようにハードコート層が配置される。接着剤層12側とは反対側の表面に、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等を行ってもよい。
光学フィルム11の厚みは、好ましくは3~40μm、より好ましくは5~30μmである。透明光学フィルムの膜厚が上記範囲内であると、光吸収異方性膜の表面を十分に保護し得る。また、光学積層体の薄型化が可能となり得る。本明細書において、光学フィルムの厚みは、光学フィルムが後述のハードコート層を有する場合はハードコート層を含めた厚みである。
光学フィルム11としては、例えばガラスフィルムおよび樹脂フィルム等が挙げられる。中でも好ましくは樹脂フィルムである。樹脂フィルムを構成する樹脂としては後述する光吸収異方性膜13の基材について例示の樹脂を用いることができる。樹脂フィルムとして、好ましくは環状ポリオレフィン系樹脂(COP)フィルムである。
(接着剤層)
接着剤層12は、光学フィルム11と光吸収異方性膜13との間に介在し、両者を接合する機能を有することができる。接着剤層12を構成する接着剤は、任意の適切な接着剤を用いることができる。接着剤は、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤などを用いることができる。
接着剤の塗布時の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。例えば、硬化後または加熱(乾燥)後に、所望の厚みを有する接着剤層12が得られるように設定する。接着剤層12の厚みは、例えば10μm以下であってよく、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。また、接着剤層12は0.05μm以上であればよく、0.1μm以上であることが好ましい。
接着剤層12は、周波数10Hzの引張モードで動的粘弾性測定により得られる損失弾性率(以下、損失弾性率ともいう)[MPa]が最大値となる温度[℃]が、耐湿熱耐久試験における正面透過率の低下抑制の観点から好ましくは60℃以上であってよく、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。損失弾性率の最大値の温度は、後述の実施例の欄において説明する粘弾性の評価方法に従って測定することができる。損失弾性率が最大値となる温度は通常150℃以下であり、密着性の観点からは好ましくは120℃以下である。
接着剤層12が後述するラジカル硬化型接着剤から形成された接着剤層である場合は、周波数10Hzの引張モードで動的粘弾性測定により得られる損失弾性率(以下、損失弾性率ともいう)[MPa]が最大値となる温度[℃]が、耐湿熱耐久試験における正面透過率の低下抑制の観点から60℃以上であってもよく、70℃以上であってもよく、120℃以下であってもよい。
接着剤層12は、30℃における貯蔵弾性率[MPa]が耐湿熱耐久試験における正面透過率の低下抑制の観点から好ましくは1000[MPa]以上、より好ましくは2000[MPa]以上、さらに好ましくは2500[MPa]以上である。密着性の観点からは3500[MPa]以下であることが好ましく、3000[MPa]以下であることがより好ましい。30℃における貯蔵弾性率[MPa]は、後述の実施例の欄に記載の粘弾性の評価方法に従って求めることができる。
接着剤層12は、80℃における貯蔵弾性率[MPa]が耐湿熱耐久試験における正面透過率の低下抑制の観点から好ましくは500[MPa]以上、より好ましくは1000[MPa]以上、さらに好ましくは1500[MPa]以上である。密着性の観点からは、2500[MPa]以下であることが好ましい。80℃における貯蔵弾性率[MPa]は、後述の実施例の欄に記載の粘弾性の評価方法に従って求めることができる。
接着剤層12が後述するラジカル硬化型接着剤から形成された接着剤層である場合は、80℃における貯蔵弾性率[MPa]が耐湿熱耐久試験における正面透過率の低下抑制の観点から300[MPa]以上であってもよいし、500[MPa]以上であってもよいし、2500[MPa]以下であってもよいし、2300[MPa]以下であってもよい。
接着剤層12は、tanδが最大となる温度が、耐湿熱耐久試験における正面透過率の低下抑制の観点から例えば30℃超であってよく、好ましくは50℃以上、より好ましくは95℃以上、さらに好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上であり、密着性の観点からは好ましくは200℃以下であり、より好ましくは150℃以下である。tanδが最大となる温度は、後述の実施例の欄に記載の粘弾性の評価方法に従って求めることができる。
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、またはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、アルデヒド化合物(グリオキザール等)、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、多価金属塩等の架橋剤を含むことができる。
活性エネルギー線硬化型接着剤とは、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する接着剤であり、好ましくは紫外線硬化型接着剤である。中でもラジカル硬化型接着剤およびカチオン硬化型接着剤から選ばれる少なくとも一つが好ましく、ラジカル硬化型接着剤がより好ましい。活性エネルギー線硬化型接着剤は通常、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのラジカル重合開始剤およびカチオン重合開始剤の少なくとも一方をさらに含む。カチオン硬化型接着剤は、さらに光増感剤および光増感助剤の少なくとも一方をさらに含むことができる。ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、光増感剤および光増感助剤については後述する。
上記硬化性化合物は、ラジカル重合性化合物やカチオン重合性化合物であることができる。ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを併用してもよい。
(ラジカル重合性化合物)
ラジカル硬化型接着剤に用いるラジカル重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりラジカル重合反応が進行し、硬化する化合物またはオリゴマーをいい、具体的にはエチレン性不飽和結合を有する化合物を挙げることができる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物の他、スチレン、スチレンスルホン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N-ビニル-2-ピロリドンのようなビニル化合物等が挙げられる。中でも、好ましいラジカル重合性化合物は(メタ)アクリル系化合物である。本明細書において(メタ)アクリロイルオキシとはアクリロイルオキシおよびメタアクリロイルオキシから選択される少なくとも一方を意味する。また、(メタ)アクリルとはアクリルおよびメタアクリルから選択される少なくとも一方を意味する。
(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、および官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルオリゴマー等の(メタ)アクリロイル基含有化合物を挙げることができる。(メタ)アクリルオリゴマーは好ましくは、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーである。(メタ)アクリル系化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー、分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。(メタ)アクリレートとはアクリレートおよびメタクリレートから選択される少なくとも一方を意味する。
単官能(メタ)アクリレートモノマーの例として、アルキル(メタ)アクリレートがある。アルキル(メタ)アクリレートにおいて、そのアルキル基は炭素数3以上であれば直鎖でも分岐していてもよい。アルキル(メタ)アクリレートの具体例を挙げると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ベンジル(メタ)アクリレートのようなアラルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレートのようなテルペンアルコールの(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートのようなテトラヒドロフルフリル構造を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートのようなアルキル基部位にシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのようなアミノアルキル(メタ)アクリレート;2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのようなアルキル部位にエーテル結合を有する(メタ)アクリレートも単官能(メタ)アクリレートモノマーとして用いることができる。
さらに、アルキル部位に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートや、アルキル部位にカルボキシル基を有する単官能(メタ)アクリレートも用いることができる。アルキル部位に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートの具体例は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートを含む。アルキル部位にカルボキシル基を有する単官能(メタ)アクリレートの具体例は、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノ(メタ)アクリレート、1-[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタル酸、1-[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヘキサヒドロフタル酸、1-[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]コハク酸、4-[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]トリメリット酸、N-(メタ)アクリロイルオキシ-N’,N’-ジカルボキシメチル-p-フェニレンジアミンを含む。
(メタ)アクリルアミドモノマーは、好ましくはN-位に置換基を有する(メタ)アクリルアミドであり、そのN-位の置換基の典型的な例はアルキル基であるが、(メタ)アクリルアミドの窒素原子とともに環を形成していてもよく、この環は、炭素原子および(メタ)アクリルアミドの窒素原子に加え、酸素原子を環構成員として有してもよい。さらに、その環を構成する炭素原子には、アルキルやオキソ(=O)のような置換基が結合していてもよい。
N-置換(メタ)アクリルアミドの具体例は、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミドのようなN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミドのようなN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドを含む。また、N-置換基は水酸基を有するアルキル基であってもよく、その例として、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド等がある。さらに、上記した5員環または6員環を形成するN-置換(メタ)アクリルアミドの具体的な例としては、N-アクリロイルピロリジン、3-アクリロイル-2-オキサゾリジノン、4-アクリロイルモルホリン、N-アクリロイルピペリジン、N-メタクリロイルピペリジン等がある。
N-置換(メタ)アクリルアミドは、5員環または6員環を形成するN-置換(メタ)アクリルアミドであることが好ましく、4-アクリロイルモルホリンであることがより好ましい。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ハロゲン置換アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート、水添ジシクロペンタジエンまたはトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールまたはジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのエポキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートモノマーのより具体的な例を挙げれば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン、水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3-ジオキサン-2,5-ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート〕、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物〔化学名:2-(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-5-エチル-5-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等である。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に水酸基を含む2官能(メタ)アクリレートモノマーも挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシ-3-メタクリルプロピルアクリレートが挙げられる。また、分子内に水酸基を含む2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、市販品を用いてもよく、「エポキシエステル70PA(共栄社化学株式会社)」等が挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、アルコキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレートが代表的なものであり、その他に、3官能以上のハロゲン置換ポリオールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ]プロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
一方、(メタ)アクリルオリゴマーには、ウレタン(メタ)アクリルオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリルオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリルオリゴマー等がある。
ウレタン(メタ)アクリルオリゴマーとは、分子内にウレタン結合(-NHCOO-)および少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基および少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとポリイソシアネートとのウレタン化反応生成物や、ポリオールをポリイソシアネートと反応させて得られる末端イソシアナト基含有ウレタン化合物と、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基および少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する(メタ)アクリルモノマーとのウレタン化反応生成物等であり得る。
上記ウレタン化反応に用いられる水酸基含有(メタ)アクリルモノマーは、例えば水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーであることができ、その具体例は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを含む。水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー以外の具体例は、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドモノマーを含む。
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとのウレタン化反応に供されるポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのうち芳香族のイソシアネート類を水素添加して得られるジイソシアネート(例えば、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジベンジルベンゼントリイソシアネート等のジ-またはトリ-イソシアネート、および、上記のジイソシアネートを多量化させて得られるポリイソシアネート等が挙げられる。
また、ポリイソシアネートとの反応により末端イソシアナト基含有ウレタン化合物とするために用いられるポリオールとしては、芳香族、脂肪族または脂環式のポリオールの他、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を使用することができる。脂肪族および脂環式のポリオールとしては、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールA等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、上記したポリオールと多塩基性カルボン酸またはその無水物との脱水縮合反応により得られるものである。多塩基性カルボン酸またはその無水物の例を、無水物であり得るものに「(無水)」を付して表すと、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸等がある。
ポリエーテルポリオールは、ポリアルキレングリコールの他、上記したポリオールまたはジヒドロキシベンゼン類とアルキレンオキサイドとの反応により得られるポリオキシアルキレン変性ポリオール等であり得る。
ポリエステル(メタ)アクリルオリゴマーとは、分子内にエステル結合と少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基(典型的には(メタ)アクリロイルオキシ基)とを有する化合物である。具体的には、(メタ)アクリル酸、多塩基性カルボン酸またはその無水物、およびポリオールを用いた脱水縮合反応により得ることができる。脱水縮合反応に用いられる多塩基性カルボン酸またはその無水物の例を、無水物であり得るものに「(無水)」を付して表すと、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等がある。また、脱水縮合反応に用いられるポリオールとしては、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールA等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリルオリゴマーは、例えば、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応により得ることができ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有している。付加反応に用いられるポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられる。
(ラジカル重合開始剤)
ラジカル重合開始剤として光ラジカル重合開始剤を配合することが好ましい。光ラジカル重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、または電子線のような活性エネルギー線の照射によって、ラジカル硬化性化合物の重合反応を開始させるものである。光ラジカル重合開始剤は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤の具体例は、アセトフェノン、3-メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;その他、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノンを含む。
光ラジカル重合開始剤の配合量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して通常、0.5~20質量部であり、好ましくは1~6質量部である。光ラジカル重合開始剤を0.5質量部以上配合することにより、ラジカル重合性化合物を十分に硬化させることができる。
ラジカル硬化型接着剤は、さらに、(メタ)アクリル系ポリマーを含んでいてもよい。(メタ)アクリル系ポリマーとしては、エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマー等が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、市販品用いてもよい。エポキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの市販品としては、例えば、「ARUFON UG-4000」「ARUFON UG-4010」「ARUFON UG-4035」「ARUFON UG-4040」「ARUFON UG-40070」(東亞合成株式会社製)等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、市販品を用いてもよい。水酸基含有(メタ)アクリルポリマーの市販品としては、例えば、「ARUFON UH-2000」「ARUFON UH-2032」「ARUFON UH-2041」「ARUFON UH-210」「ARUFON UH-2012」(東亞合成株式会社製)等が挙げられる。
ラジカル硬化型接着剤は、(メタ)アクリルアミドモノマー、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー及び水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーから選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましく、(メタ)アクリルアミドモノマー、分子内に水酸基を含む1官能の(メタ)アクリレートモノマー、分子内に水酸基を含む2官能の(メタ)アクリレートモノマー及び水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーから選ばれる少なくとも一つを含むことがより好ましい。
ラジカル接着剤が(メタ)アクリルアミドモノマーを含む場合、(メタ)アクリルアミドモノマーの含有量は、ラジカル接着剤100質量部に対して、1~60質量部であることが好ましく、5~55質量部であることがより好ましく、10~50質量部であることがさらに好ましい。
ラジカル接着剤が水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、ラジカル接着剤100質量部に対して、1~60質量部であることが好ましく、5~50質量部であることがより好ましく、10~50質量部であることがさらに好ましい。
ラジカル接着剤が水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーの含有量はラジカル接着剤100質量部に対して、0.5~25質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましく、3~20質量部であることがさらに好ましい。
(カチオン重合性化合物)
カチオン重合型接着剤に用いるカチオン重合性化合物としては、例えば、オキセタン化合物(分子内に1個のオキセタン環を有する単官能オキセタンまたは2個以上のオキセタン環を有する多官能オキセタン)、エポキシ化合物(分子内に1個のエポキシ基を有する単官能の脂環式エポキシ、単官能の芳香族エポキシもしくは単官能の脂肪族エポキシまたは2個以上のエポキシ基を有する多官能の脂環式エポキシ、多官能の芳香族エポキシもしくは多官能の脂肪族エポキシ)等が挙げられる。カチオン硬化型接着剤は、好ましくは多官能脂環式エポキシ、多官能芳香族エポキシ、脂肪族エポキシおよび多官能オキセタンからなる群から選択される少なくとも1種を含む。カチオン硬化型接着剤は、正面透過率の低下抑制の観点から好ましくは、全カチオン重合性化合物の総量100質量部に対して、多官能脂環式エポキシ、多官能芳香族エポキシおよび多官能オキセタンからなる群から選択される少なくとも一種の合計含有量が、60質量部以上、より好ましくは70質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上である。
(オキセタン化合物)
本明細書において、オキセタン化合物は、オキセタニル基を有する化合物であり、脂肪族化合物、脂環式化合物または芳香族化合物であってもよい。本明細書でいうオキセタン化合物は、エポキシ基を有さない化合物とする。
オキセタン化合物は、オキセタニル基を1つのみ有する単官能オキセタンであってもよいし、オキセタニル基を2つ以上有する多官能オキセタンであってもよい。オキセタン化合物は多官能オキセタン化合物であることが好ましく、オキセタニル基を2つ有する2官能オキセタンであることが好ましい。カチオン重合性化合物は、1種以上の単官能オキセタンまたは1種以上の多官能オキセタンを単独で、または1種以上の単官能オキセタンおよび1種以上の多官能オキセタンを組み合わせて用いることができる。
オキセタン化合物は、具体例として、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、3-エチル-3-(フェノキシ)メチルオキセタン、3-エチル-3-(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(クロロメチル)オキセタン、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、キシリレンビスオキセタン等を含む。オキセタン化合物(A1)としては、1種のオキセタン化合物を単独で用いても、異なる複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも好ましくは、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタンからなる群から選択される少なくとも1種である。
オキセタン化合物は、市販品を用いることができ、例えば、それぞれ商品名で、東亞合成(株)から販売されている“アロンオキセタン(登録商標)”シリーズ、宇部興産(株)から販売されている“ETERNACOLL(登録商標)”シリーズなどが挙げられる。
カチオン重合性化合物がオキセタン化合物を含む場合、カチオン重合性化合物中のオキセタン化合物の含有量は、全カチオン重合性化合物の総量100質量部に対して例えば5質量部以上70質量部以下であってよく、好ましくは20質量部以上60質量部以下である。カチオン重合性化合物がオキセタン化合物を含む場合、オキセタン化合物の含有量が多すぎると密着性が低下する傾向があり、少なすぎると耐湿熱耐久試験における正面透過率が低下しやすくなる傾向にある。
(脂環式エポキシ化合物)
脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ基を1つ以上有する化合物である。脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ基を1つ以上有する化合物であれば、脂環式エポキシ基以外のエポキシ基をさらに有していてもよい。脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ基を1つのみ有する単官能脂環式エポキシであってもよいし、脂環式エポキシ基を2つ以上有する多官能脂環式エポキシであってもよい。脂環式エポキシ化合物は多官能脂環式エポキシであることが好ましく、脂環式エポキシ基を2つ有する2官能脂環式エポキシであることが好ましい。カチオン重合性化合物は、1種以上の単官能脂環式エポキシまたは1種以上の多官能脂環式エポキシを単独で、または1種以上の単官能脂環式エポキシおよび1種以上の多官能脂環式エポキシを組み合わせて用いることができる。
本明細書において、脂環式エポキシ基とは、脂環式環に結合したエポキシ基を意味し、下記式(a)で示される構造における橋かけの酸素原子-O-を意味する。
Figure 2024019046000002
上記式(a)中、mは2~5の整数である。上記式(a)における(CH中の1個または複数個の水素原子を取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が、脂環式エポキシ化合物となり得る。(CH中の1個または複数個の水素原子は、メチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。脂環式エポキシ化合物により、カチオン硬化型接着剤の硬化速度を調整することができる。
脂環式エポキシ化合物の具体例は、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、1,2-エポキシ-1-メチル-4-(1-メチルエポキシエチル)シクロヘキサン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル メタアクリレート、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの4-(1,2-エポキシエチル)-1,2-エポキシシクロヘキサン付加物、エチレン ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、オキシジエチレン ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、1,4-シクロヘキサンジメチル ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、および3-(3,4-エポキシシクロヘキシルメトキシカルボニル)プロピル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物の中でも、適度な硬化性を有するとともに、比較的廉価に入手できることから、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましく用いられる。脂環式エポキシ化合物としては、1種の脂環式エポキシ化合物を単独で用いても、異なる複数種を組み合わせて用いてもよい。
脂環式エポキシ化合物は、市販品を用いることができ、例えば、それぞれ商品名で、(株)ダイセルから販売されている“セロキサイド(登録商標)”シリーズおよび”EHPE3150”、“サイクロマー(登録商標)”、ダウケミカル社から販売されている“サイラキュア UVR”シリーズ等が挙げられる。
カチオン重合性化合物が脂環式エポキシ化合物を含む場合、脂環式エポキシ化合物の含有量は、全カチオン重合性化合物の総量100質量部に対して例えば10質量部以上90質量部以下であってよく、好ましくは20質量部以上80質量部以下、より好ましくは35質量部以上80質量部以下である。カチオン重合性化合物が脂環式エポキシ化合物を含む場合、脂環式エポキシ化合物の含有量が多すぎると密着性が低下する傾向にあり、少なすぎると耐湿熱耐久試験における正面透過率の低下が抑制されにくくなる傾向にある。
(芳香族エポキシ化合物)
芳香族エポキシ化合物は、エポキシ基を1つ以上有する化合物である芳香族化合物であることができる。ただし、本明細書でいう芳香族エポキシ化合物は、脂環式エポキシ化合物に含まれる、分子内に脂環式エポキシ基を有する化合物を除く。芳香族エポキシ化合物は、エポキシ基を1つ有する単官能芳香族エポキシであってよく、エポキシ基を2以上有する多官能芳香族エポキシであってよい。芳香族エポキシ化合物は多官能芳香族エポキシであることが好ましく、エポキシ基を2つ有する2官能芳香族エポキシであることが好ましい。カチオン重合性化合物は、1種以上の単官能芳香族エポキシまたは1種以上の多官能芳香族エポキシを単独で、または1種以上の単官能芳香族エポキシおよび1種以上の多官能芳香族エポキシを組み合わせて用いることができる。
単官能芳香族エポキシとしては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等の1価フェノール若しくはビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール誘導体、またはそれらのアルキレンオキサイド付加物のモノグリシジルエーテル化物;エポキシノボラック樹脂;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のモノグリシジルエーテル化物;ベンゼンジメタノールやベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のモノグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸芳香族化合物のモノグリシジルエステル;安息香酸のグリシジルエステルやトルイル酸、ナフトエ酸のモノグリシジルエステル等が挙げられる。
単官能芳香族エポキシは市販品を用いることができ、例えば、“EX-142”、“EX-146”、EX-147”、“EX-121”(以上、いずれもナガセケムテックス(株)製)等が挙げられる。
多官能芳香族エポキシの具体例は、ナフタレン、またはナフタレン誘導体のポリグリシジルエーテル化物(「ナフタレン型エポキシ化合物」とも称する。);ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール誘導体のポリグリシジルエーテル化物(「ビスフェノールA型エポキシ化合物」、「ビスフェノールF型エポキシ化合物」とも称する。);エポキシノボラック樹脂;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物;ベンゼンジメタノールやベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸芳香族化合物のポリグリシジルエステル;安息香酸のグリシジルエステルやトルイル酸、ナフトエ酸のポリグリシジルエステル等;スチレンオキサイドやアルキル化スチレンオキサイド、ビニルナフタレンのエポキシ化物等のスチレンオキサイド類またはジビニルベンゼンのジエポキシ化物等が挙げられる。多官能芳香族エポキシとしては、1種の化合物を単独で用いても、異なる複数種を組み合わせて用いてもよい。
多官能芳香族エポキシは、市販品を用いることができ、例えば、“デナコールEX-201”、“デナコールEX-711”および“デナコールEX-721”(以上、いずれもナガセケムテックス(株)製);“オグソールEG-280”および“オグソールCG-400”(以上、いずれも大阪ガスケミカル(株)製);“EXA-80CRP”および“HP4032D”(以上、いずれもDIC(株)製);“jER828”および“jER828EL”(以上、いずれも三菱ケミカル(株)製);“アデカレジンEP-4100”、“アデカレジンEP-4100G”、“アデカレジンEP-4100E”、“アデカレジンEP-4100L”、“アデカレジンEP-4100TX”、“アデカレジンEP-4000”、“アデカレジンEP-4005”、“アデカレジンEP-4901”、“アデカレジンEP-4901E”(以上、いずれも(株)ADEKA製)等が挙げられる。
カチオン重合性化合物が芳香族エポキシ化合物を含む場合、芳香族エポキシ化合物の含有量は、全カチオン重合性化合物の総量100質量部に対して例えば10質量部以上60質量部以下であってよく、好ましくは15質量部以上50質量部以下であり、より好ましくは15質量部以上45質量部以下である。カチオン重合性化合物が芳香族エポキシ化合物を含む場合、芳香族エポキシ化合物の含有量が多すぎると粘度が増加し薄膜化が困難になる傾向があり、少なすぎると耐湿熱耐久試験における正面透過率の低下が抑制されにくくなる。
(脂肪族エポキシ化合物)
本発明において、脂肪族エポキシ化合物としては、例えばエポキシ基を1つ有する化合物である単官能脂肪族エポキシ、2つ以上のエポキシ基を有する多官能脂肪族エポキシ等が挙げられる。硬化物の凝集力を維持し、密着性を向上させる観点から、多官能脂肪族エポキシが好ましい。カチオン重合性化合物は、1種以上の単官能脂肪族エポキシまたは1種以上の多官能脂肪族エポキシを単独で、または1種以上の単官能脂肪族エポキシおよび1種以上の多官能脂肪族エポキシを組み合わせて用いることができる。
単官能脂肪族エポキシは、カチオン硬化型接着剤の粘度を調整することができる。単官能脂肪族エポキシとしては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等が挙げられ、その具体例は、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、炭素数12および13混合アルキルグリシジルエーテル、アルコールのグリシジルエーテル、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル等を含む。単官能脂肪族エポキシとしては、1種の単官能エポキシ化合物を単独で用いても、異なる複数種を組み合わせて用いてもよい。
多官能脂肪族エポキシは、2個以上のエポキシ基を有し、芳香環を有さない化合物である。ただし、本明細書でいう多官能脂肪族エポキシは、脂環式エポキシ化合物に含まれる、脂環式エポキシ基を有する化合物を除く。多官能脂肪族エポキシにより、カチオン硬化型接着剤の密着性を調整することができる。
多官能脂肪族エポキシとしては、下記式(b)で表される脂肪族ジエポキシ化合物がより好ましい。下記式(b)で表される脂肪族ジエポキシ化合物を多官能脂肪族エポキシ化合物として含むことにより、粘度が低く、塗布し易い活性エネルギー線硬化型接着剤を得ることができる。
Figure 2024019046000003
式(b)中、Zは炭素数1~9のアルキレン基、炭素数3もしくは4のアルキリデン基、2価の脂環式炭化水素基、または式-C2m-Z-C2n-で示される2価の基である。また、上記式-C2m-Z-C2n-中、-Z-は、-O-、-CO-O-、-O-CO-、-SO-、-SO-またはCO-であり、mおよびnは各々独立に1以上の整数を表し、mおよびnの合計は9以下である。
2価の脂環式炭化水素基は、例えば、炭素数4~8の2価の脂環式炭化水素基であってよく、例えば下記式(b-1)で示される2価の基等が挙げられる。
Figure 2024019046000004
式(b)で示される化合物の具体例としては、例えばアルカンジオールのジグリシジルエーテル、繰り返し数4程度までのオリゴアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、または脂環式ジオールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記式(b)で示される化合物を形成し得るジオール(グリコール)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、3,5-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等のアルカンジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のオリゴアルキレングリコール;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオールが挙げられる。
粘度が低く、塗布しやすいカチオン硬化型接着剤が得られるとの観点から、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルが好ましい。脂肪族エポキシ化合物としては、1種の脂肪族エポキシ化合物を単独で用いても、異なる複数種を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族エポキシ化合物は市販品を用いることができ、例えば、“EP-4088S”、“ED-523T”(以上、(株)ADEKA製)、“EX-211L”、“EX-212L”(以上、いずれもナガセケムテックス(株)製)等が挙げられる。
カチオン重合性化合物は脂肪族エポキシ化合物を含む場合、脂肪族エポキシ化合物の含有量は、全カチオン重合性化合物の総量100質量部に対して例えば1質量部以上90質量部以下であってよく、好ましくは2.5質量部以上80質量部以下、より好ましくは5質量部以上40質量部以下である。カチオン重合性化合物は脂肪族エポキシ化合物を含む場合、脂肪族エポキシ化合物の含有量が多すぎると、耐湿熱耐久試験における正面透過率が低下しやすくなる傾向にあり、少なすぎると密着性が低下する傾向にある。
カチオン硬化型接着剤は、耐湿熱耐久試験における正面透過率の低下抑制の観点から好ましくは多官能脂環式エポキシ、多官能芳香族エポキシおよび多官能オキセタンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、より好ましくは多官能脂環式エポキシおよび多官能オキセタンから選択される少なくとも1種を含み、さらに好ましくは多官能脂環式エポキシおよび多官能オキセタンを含む。
カチオン硬化型接着剤は、耐湿熱耐久試験における正面透過率の低下抑制の観点から好ましくは、全カチオン重合性化合物の総量100質量部に対して、多官能脂環式エポキシ化合物、多官能芳香族エポキシ化合物および多官能オキセタン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の合計含有量が60質量部以上、より好ましくは70質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上である。
カチオン硬化型接着剤は、溶剤を含まないことが好ましい。上記した硬化性成分[オキセタン化合物、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物]は、カチオン硬化型接着剤を無溶剤とするために、有機溶剤などで希釈されていないものを用いることが好ましい。
上記した硬化性成分は、通常室温において液体であり、溶剤を存在させなくても適度な流動性を有し、適切な接着強度を与えるものを選択し、それに適した光カチオン重合開始剤を配合したカチオン硬化型接着剤は、光学積層体の製造設備において、直線偏光板と位相差層積層体とを接着する工程で溶剤を蒸発させるための乾燥設備を省くことができる。また、適切な活性エネルギー線量を照射することで硬化速度を促進させ、生産速度を向上させることができる。
カチオン硬化型接着剤に含まれるカチオン重合性化合物は、上記した硬化性成分に限定されることはなく、上記したカチオン重合性の硬化性成分以外のカチオン重合性の硬化性成分、およびラジカル重合性の硬化性成分を含んでいてもよい。ラジカル重合性の硬化性成分としては、アクリル系化合物が例示される。ただし、ラジカル重合は硬化収縮が大きい傾向にあるため、カチオン硬化型接着剤は、カチオン重合性化合物としてカチオン重合性の硬化性成分のみを含むことが好ましい。
(カチオン重合開始剤)
カチオン重合開始剤は、例えば光カチオン重合開始剤であることができる。カチオン硬化型接着剤は、光カチオン重合開始剤を含有することにより、カチオン重合性化合物を活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化させて接着剤層を形成することができる。光カチオン重合開始剤をカチオン重合性化合物の合計量100質量部に対し1質量部以上含有させることにより、硬化性成分を十分に硬化させることができ、十分な接着強度と硬度とを有する接着剤硬化層を得ることができる。一方、その量が多くなると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、光学積層体の耐久性能を低下させる可能性があるため、光カチオン重合開始剤の量は、カチオン重合性化合物の合計量100質量部に対して10質量部以下とする。カチオン硬化型接着剤中の光カチオン重合開始剤の含有量は、カチオン重合性化合物の合計量100質量部に対し、好ましくは1.5質量部以上8質量部以下、より好ましくは2質量部以上6質量部以下である。
光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線のような活性エネルギー線の照射によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物の重合反応を開始させるものである。光カチオン重合開始剤は光で触媒的に作用するため、カチオン重合性化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。光カチオン重合開始剤として使用し得る、活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩;鉄-アレーン錯体等を挙げることができる。光カチオン重合開始剤は、好ましくは芳香族スルホニウム塩および芳香族ヨードニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種のイオン性化合物である。
芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレート、が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4’-ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジ(p-トルイル)スルホニオ-ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、が挙げられる。
鉄-アレーン錯体としては、例えば、キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロアンチモネート、クメン-シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロホスフェート、キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II) トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド、が挙げられる。
光カチオン重合開始剤は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。上記の中でも特に芳香族スルホニウム塩は、300nm付近の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する接着剤硬化層を得ることができるため、好ましく用いられる。
(光増感剤)
カチオン硬化型接着剤に400nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤(以下、略して光増感剤ともいう)を含有させることにより、それを含有しない場合に比べ、接着剤の硬化性を向上させることができる。
光増感剤は、下記一般式(H):
Figure 2024019046000005

(式中、RおよびRは互いに独立に炭素数1~6のアルキル基または炭素数2~12のアルコキシアルキル基を表し、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す)
で示されるアントラセン系化合物を含む。上記の光カチオン重合開始剤は、300nm付近またはそれより短い波長域に極大吸収を示し、その付近の波長の光に感応してカチオン種またはルイス酸を発生し、カチオン重合性の硬化性成分のカチオン重合を開始させるが、一般式(H)で示されるアントラセン系化合物は、400nmより長い波長域に極大吸収を示すものであるため、それよりも長い波長の光にも感応することができるようになる。
アントラセン系化合物の具体例としては、例えば、
9,10-ジメトキシアントラセン、
9,10-ジエトキシアントラセン、
9,10-ジプロポキシアントラセン、
9,10-ジイソプロポキシアントラセン、
9,10-ジブトキシアントラセン、
9,10-ジペンチルオキシアントラセン、
9,10-ジヘキシルオキシアントラセン、
9,10-ビス(2-メトキシエトキシ)アントラセン、
9,10-ビス(2-エトキシエトキシ)アントラセン、
9,10-ビス(2-ブトキシエトキシ)アントラセン、
9,10-ビス(3-ブトキシプロポキシ)アントラセン、
2-メチルまたは2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、
2-メチルまたは2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、
2-メチルまたは2-エチル-9,10-ジプロポキシアントラセン、
2-メチルまたは2-エチル-9,10-ジイソプロポキシアントラセン、
2-メチルまたは2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン、
2-メチルまたは2-エチル-9,10-ジペンチルオキシアントラセン、
2-メチルまたは2-エチル-9,10-ジヘキシルオキシアントラセン
が挙げられる。
カチオン硬化型接着剤中の光増感剤の含有量は、カチオン重合性化合物の合計量100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上3.0質量部以下である。
(光増感助剤)
カチオン硬化型接着剤は、光増感助剤を含有してもよい。光増感助剤は、好ましくはナフタレン系光増感助剤である。
ナフタレン系光増感助剤の具体例としては、例えば、
4-メトキシ-1-ナフトール、
4-エトキシ-1-ナフトール、
4-プロポキシ-1-ナフトール、
4-ブトキシ-1-ナフトール、 4-ヘキシルオキシ-1-ナフトール、
1,4-ジメトキシナフタレン、
1-エトキシ-4-メトキシナフタレン、
1,4-ジエトキシナフタレン、
1,4-ジプロポキシナフタレン、
1,4-ジブトキシナフタレン
が挙げられる。
カチオン硬化型接着剤にナフタレン系光増感助剤を含有させることにより、それを含有しない場合に比べ、接着剤の硬化速度を向上させることができる。ナフタレン系光増感助剤の含有量はカチオン重合性化合物の合計量100質量部に対し0.1質量部以上とすることにより、このような効果を発現させることができる。一方、ナフタレン系光増感助剤の含有量が多くなると、低温保管時に析出する等の問題を生じることから、その含有量は、カチオン重合性化合物の合計量100質量部に対し5質量部以下とすることが好ましい。ナフタレン系光増感助剤の含有量は、好ましくは、カチオン重合性化合物の合計量100質量部に対し3質量部以下である。
活性エネルギー線硬化型接着剤は溶剤を含まない場合、光学積層体1の製造工程において溶剤を蒸発させるための乾燥設備を省くことが可能となり、適切な活性エネルギー線量を照射することで硬化速度を促進させ、生産速度を向上させることが可能となる。
活性エネルギー線硬化型接着剤には、本発明の効果を損なわない限り、任意成分である他の成分として、添加剤成分を含有させることができる。添加剤成分としては、イオントラップ剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、色素、有機溶剤等を挙げることができる。添加剤成分を含有させる場合、その含有量は、活性エネルギー線硬化型接着剤の合計量100質量部に対し10質量部以下であることが好ましい。ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、光増感剤、光増感助剤および添加剤成分は、活性エネルギー線硬化型接着剤の調製時に、溶剤を含まない状態で添加してもよいし、溶剤に希釈してから直接添加してもよい。上記した含有量の数値範囲は、いずれも固形分基準での数値範囲である。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。本明細書において、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線および電子線等が挙げられる。
電子線硬化型において、電子線の照射条件は、活性エネルギー線硬化型接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。例えば、電子線照射は、加速電圧が好ましくは5kV以上300kV以下であり、さらに好ましくは10kV以上250kV以下である。加速電圧が5kV未満の場合、電子線が接着剤まで届かず硬化不足となるおそれがあり、加速電圧が300kVを超えると、試料を通る浸透力が強すぎて電子線が跳ね返り、透明保護フィルムや偏光子に損傷を与えるおそれがある。照射線量としては、5kGy以上100kGy以下、さらに好ましくは10kGy以上75kGy以下である。照射線量が5kGy未満の場合は、接着剤が硬化不足となり、100kGyを超えると、光学層に損傷を与え、機械的強度の低下や黄変を生じ、所望の光学特性を得ることができない。
電子線照射は、通常、不活性ガス中で照射を行うが、必要であれば大気中や酸素を少し導入した条件で行ってもよい。酸素を適宜導入することによって、最初に電子線があたる光学層にあえて酸素阻害を生じさせ、他の光学層へのダメージを防ぐことができ、接着剤にのみ効率的に電子線を照射させることができる。
紫外線硬化型において、活性エネルギー線硬化型接着剤の光照射強度は、接着剤の組成ごとに決定されるものであって特に限定されないが、10mW/cm2以上1,000mW/cm2以下であることが好ましい。樹脂組成物への光照射強度が10mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、1,000mW/cm2を超えると、光源から輻射される熱および組成物の重合時の発熱により、接着剤の構成材料の黄変を生じる可能性がある。なお、照射強度は、好ましくは重合開始剤、および光増感剤、光増感助剤の活性化に有効な波長領域における強度であり、より好ましくは波長400nm以下の波長領域における強度であり、さらに好ましくは波長280nm以上320nm以下の波長領域における強度である。このような光照射強度で1回あるいは複数回照射して、その積算光量を、好ましくは10mJ/cm2以上、さらに好ましくは100mJ/cm2以上1,000mJ/cm2以下となるように設定する。上記接着剤への積算光量が10mJ/cm2未満であると、重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、接着剤の硬化が不十分となる。一方でその積算光量が1,000mJ/cm2を超えると、照射時間が長くなり、生産性向上には不利なものとなる。この際、光吸収異方性膜や光学フィルムの種類、接着剤種の組み合わせなどによって、どの波長領域(UVA(320nm以上390nm以下)やUVB(280nm以上320nm以下)など)での積算光量が必要かは異なる。
活性エネルギー線の照射により活性エネルギー線硬化型接着剤の重合硬化を行うために用いる光源は、特に限定されないが、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380nm以上440nm以下を発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。エネルギーの安定性や装置の簡便さという観点から、波長400nm以下に発光分布を有する紫外光源であることが好ましい。
接着性を高めるために、接着剤層12および接合する層の少なくともいずれか一方の接合面に表面活性化処理を施してもよい。表面活性化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、放電処理(グロー放電処理等)、オゾン処理、UVオゾン処理、電離活性線処理(紫外線処理、電子線処理等)のような乾式処理等を挙げることができる。これらの表面活性化処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上を組み合わせてもよい。中でもコロナ処理が好ましい。コロナ処理は、例えば1kJ/m以上50kJ/m以下の出力で行うことができる。コロナ処理を行う時間は、例えば1秒間以上1分以下であってよい。
(光吸収異方性膜)
光吸収異方性膜13は、二色性色素と重合性液晶化合物とが光学積層体の積層方向に配向した状態で硬化した硬化物層である。光吸収異方性膜13は、二色性色素と少なくとも1種の重合性液晶化合物とを含む重合性液晶組成物の硬化物であることが好ましい。光学積層体1は、上記硬化物層に直接接するように重合性液晶化合物の配向を規制するための配向膜を有していてもよく、上記硬化物層または配向膜を形成するための基材を有していてもよい。上記硬化物層または配向膜と基材とは、直接接するように設けることができる。本明細書において、光学積層体の積層方向を垂直方向、垂直方向への配向を垂直配向ともいう。
光吸収異方性膜13は、二色性色素と重合性液晶化合物とが光学積層体1の積層方向に配向した状態で硬化した硬化物層である。光吸収異方性膜13は、膜面内の任意の方向をx軸、膜面内でx軸に直交する方向をy軸、x軸およびy軸に直交する膜厚方向(光学積層体の積層方向)をz軸とした際に(図2を参照)、下記式(i)~(iii):
Az>(Ax+Ay)/2 (i)
Ax(z=60°)/Ax>5 (ii)
Ay(z=60°)/Ay>5 (iii)
満たすことが好ましい。
ここで、式(i)~(iii)中、Ax、Ay、Az、Ax(z=60°)およびAy(z=60°)は、いずれも光吸収異方性膜13中の二色性色素の光吸収異方性膜13中での吸収極大波長における吸光度である。
Axは、x軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。Axは、z軸方向から膜面に向かって、x軸方向に振動する直線偏光を入射して測定することができる。
Ayは、y軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。Ayは、z軸方向から膜面に向かって、y軸方向に振動する直線偏光を入射して測定することができる。
Azは、z軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。Azは、例えばx-y平面方向から膜側面に向かって、すなわち膜をx-y平面としたとき、その側面(厚み方向)に向かって垂直に、z軸方向に振動する直線偏光を入射して測定することができる。
Ax(z=60°)は、y軸を回転軸として光吸収異方性膜13を60°回転させたときのx軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。Ax(z=60°)は、y軸を回転軸として光吸収異方性膜13を60°回転させた状態で、Axを測定した直線偏光と同一の直線偏光を入射して測定することができる。ここで、膜の回転は、Axを測定した状態の膜を、y軸を回転軸として直線偏光の入射方向に60°回転させて行う。
Ay(z=60°)は、x軸を回転軸として光吸収異方性膜13を60°回転させたときのy軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。Ay(z=60°)は、x軸を回転軸として光吸収異方性膜13を60°回転させた状態で、Ayを測定した直線偏光と同一の直線偏光を入射して測定することができる。ここで、膜の回転は、Ayを測定した状態の膜を、x軸を回転軸として直線偏光の入射方向に60°回転させて行う。
式(i)におけるz方向の吸光度は、膜側面からの光入射となるため測定が難しい。そこで、測定光である直線偏光の振動面と膜のx-y平面とがなす角を90°としたとき、この振動面に対して、膜のx-y平面を直線偏光の入射方向に30°および60°傾けて測定することによりAz方向の吸光度を見積もることができる。
具体的には、以下の方法等で見積もることができる。
y軸を回転軸として光吸収異方性膜13を30°および60°回転させた状態で、Axを測定した直線偏光と同一の直線偏光を入射することによりAx(z=30°)およびAx(z=60°)を測定し、同様に、x軸を回転軸として光吸収異方性膜13を30°および60°回転させた状態で、Ayを測定した直線偏光と同一の直線偏光を入射することによりAy(z=30)およびAy(z=60)を測定する。
このとき、Ax(z=30°)<Ax(z=60°)かつAy(z=30°)=Ay(z=60°)であれば、Ax(z=30°)<Ax(z=60°)<Ax(z=90°)=Azであり、かつAy(z=30°)<Ay(z=60°)かつAx(z=30°)=Ax(z=60°)であれば、Ay(z=30°)<Ay(z=60°)<Ay(z=90°)=Azであるから、必然的に式(i)を満たす。
特に、x-y平面に吸収異方性がない場合、すなわちAxおよびAyが等しい場合においては、Ax(z=30°)=Ay(z=30°)かつAx(z=60°)=Ay(z=60°)であるから、Ax(z=30°)およびAy(z=30°)をA(z=30°)とすることができ、Ax(z=60°)およびAy(z=60°)をA(z=60°)とすることができる。すなわち、A(z=30°)<A(z=60°)であれば、A(z=30°)<A(z=60°)<A(z=90°)=Azの関係を満たす。さらに、A(z=30°)>(Ax+Ay)/2であれば、必然的にAzは式(i)を満たす。
光吸収異方性膜13は上記式(ii)および(iii)を満たすことが好ましい。
Ax(z=60°)/AxおよびAy(z=60°)/Ayは、その数値が大きいほど優れた光吸収異方性を示すことを意味する。これらの数値は、例えば50以下であってもよく、また30以下であってもよい。
また、光吸収異方性膜13は、好ましくは、式(ii’)および(iii’):
Ax(z=60°)/Ax>10 (ii’)
Ay(z=60°)/Ay>10 (iii’)
を満たすことが好ましい。
光吸収異方性膜13が、式(i)~(iii)を満たすとき、二色性色素は、優れた吸収異方性、すなわち、優れた偏光性能を有する傾向にある。この優れた特性によって、正面方向からの光を効果的に透過し、かつ、斜め方向からの光を効果的に吸収し易くなる。
光吸収異方性膜13の膜厚は、好ましくは0.1~5μm、より好ましくは0.2~3μm、さらに好ましくは0.4~2μmである。光吸収異方性膜13の膜厚が上記範囲内であると、斜め方向における光吸収の低減が起こりにくい傾向にあり、また二色性色素の配向が乱れにくいため、正面方向における透過性が高まりやすい。光吸収異方性膜13の厚みは、例えばレーザー顕微鏡、触針式膜厚計等を用いて測定することができる。
(二色性色素)
二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。二色性色素としては、光吸収異方性膜中にて波長300~700nmの範囲に吸収極大波長(λMAX)を有するものが好ましく、波長500~600nmの範囲に極大吸収波長を有するものがより好ましい。人の視感度が高い波長500~600nmの範囲に極大吸収波長を有することによって、二色性色素の使用量を低減し易くなり、および光吸収異方性膜13を薄膜化し易い傾向となる。
このような二色性色素としては、例えばアクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素およびアントラキノン色素等が挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素およびスチルベンアゾ色素などが挙げられ、好ましくはビスアゾ色素およびトリスアゾ色素である。二色性色素は単独でも、組み合わせてもよいが、可視光全域にわたって偏光特性が求められる場合には3種類以上の二色性色素を組み合わせるのが好ましく、3種類以上のアゾ色素を組み合わせるのがより好ましい。
複数種の二色性色素を組み合わせる場合には、光吸収異方性膜中において波長500~600nmの範囲に極大吸収波長を有するものを少なくとも1種含むことが好ましい。2種類の二色性色素を組み合わせるときは、さらに350~499nm、または601~750nmの範囲に極大吸収波長を有するものを含むことが好ましく、3種類の二色性色素を組み合わせるときは、350~499nm、500~600nmおよび601~750nmの範囲に極大吸収波長を有する二色性色素をそれぞれ含むことが好ましい。
アゾ色素としては、例えば式(I):
(-N=N-A)p-N=N-A (I)
[式(I)中、
およびAは、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。Aは、置換基を有していてもよいp-フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン-1,4-ジイル基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。pは1~4の整数を表す。pが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一でも異なっていてもよい。可視域に吸収を示す範囲で-N=N-結合が-C=C-、-COO-、-NHCO-、-N=CH-結合に置き換わっていてもよい]
で表される化合物(以下、「化合物(I)」ということがある)が挙げられる。
1価の複素環基としては、キノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、チエノチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾールおよびベンゾオキサゾール等の複素環化合物から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。2価の複素環基としては、上記複素環化合物から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
およびAにおけるフェニル基、ナフチル基および1価の複素環基、ならびにAにおけるp-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基および2価の複素環基が任意に有する置換基としては、炭素数1~20のアルキル基、重合性基を有する炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~4のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;重合性基を有する炭素数1~20のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等の炭素数1~4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジノ基等の置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、重合性基を有する炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は-NHである。)等が挙げられる。なお、ここで、上記重合性基としては、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基等が挙げられる。
化合物(I)の中でも、以下の式(I-1)~式(I-8)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure 2024019046000006

[式(I-1)~(I-8)中、
~B30は、互いに独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルケニル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(置換アミノ基および無置換アミノ基の定義は上記のとおり)、塩素原子またはトリフルオロメチル基を表わす。
n1~n4は、互いに独立に0~3の整数を表わす。
n1が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のB14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
アントラキノン色素としては、式(I-9)で表される化合物が好ましい。
Figure 2024019046000007

[式(I-9)中、
~Rは、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表す。
は、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
オキサゾン色素としては、式(I-10)で表される化合物が好ましい。
Figure 2024019046000008

[式(I-10)中、
~R15は、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表す。
は、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
アクリジン色素としては、式(I-11)で表される化合物が好ましい。
Figure 2024019046000009

[式(I-11)中、
16~R23は、互いに独立して、水素原子、-R、-NH、-NHR、-NR 、-SRまたはハロゲン原子を表す。
は、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
式(I-9)、式(I-10)および式(I-11)における、Rで表される炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基等が挙げられ、炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基およびナフチル基等が挙げられる。
シアニン色素としては、式(I-12)で表される化合物および式(I-13)で表される化合物が好ましい。
Figure 2024019046000010

[式(I-12)中、
およびDは、互いに独立に、式(I-12a)~式(I-12d)のいずれかで表される基を表す。
Figure 2024019046000011

n5は、1~3の整数を表す。]
Figure 2024019046000012

[式(I-13)中、
およびDは、互いに独立に、式(I-13a)~式(I-13h)のいずれかで表される基を表す。
Figure 2024019046000013

n6は、1~3の整数を表す。]
光吸収異方性膜13を形成するための重合性液晶組成物(以下、光吸収異方性膜形成用組成物ともいう)における二色性色素の含有量は、二色性色素の配向を良好にする観点から、液晶組成物の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、0.1質量部以上20質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上10質量部以下がさらに好ましく、0.1質量部以上5質量部以下が特に好ましい。二色性色素の含有量がこの範囲内であれば、液晶性化合物の液晶配向を乱し難いため好ましい。
(重合性液晶化合物)
光吸収異方性層は、二色性色素と重合性液晶化合物とが光学積層体の積層方向に配向した状態で硬化した硬化物層であることから、重合性液晶化合物の重合体も含む。
本明細書において「重合性液晶化合物」とは、分子内に少なくとも1つの重合性基を有する液晶化合物をいう。重合性液晶化合物は、重合性基を有する単量体(以下、「重合性液晶モノマー」ともいう。)であってもよいし、単量体の重合物であって重合性基を有するポリマー又はオリゴマー(以下、単に「重合性液晶ポリマー」ともいう。)であってもよい。
また、本明細書において「重合性液晶化合物の重合体」とは、重合性液晶化合物が有する重合性基の重合により形成される、重合性液晶化合物に由来する繰り返し単位を有する化合物をいい、上記重合性基の重合により得られる重合体に対して、特定の官能基(例えば重合性基)を導入する反応等の反応を行って得られる重合体も含まれる。
重合性液晶化合物の重合体は、重合性基を有していてもよいし、有していなくてもよい。重合性液晶化合物の重合体であって重合性基を有する化合物は、光吸収異方性層の形成において、該化合物が重合されているときには、上述の「重合性液晶ポリマー」に相当すると考えることもでき、この解釈においては、該化合物(重合性液晶ポリマー)の重合物が、本明細書における「重合性液晶化合物の重合体」に相当する。
重合性液晶化合物の重合体は、液晶性を有していてもよいし、有していなくてもよい。該重合体は、重合性液晶化合物に由来する繰り返し単位を2種以上有していてもよい。また、該重合体は、重合性液晶化合物に由来する繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。光吸収異方性層は、重合性液晶化合物の重合体を1種又は2種以上含むことができる。
上記重合性基とは、重合開始剤から発生する活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
重合性液晶化合物が有する液晶性は、サーモトロピック液晶でもリオトロピック液晶でもよいが、サーモトロピック液晶が好ましい。また、光吸収異方性層を形成する重合性液晶化合物が、光吸収異方性層を形成するための配向膜を形成する化合物が有する官能基と同じ官能基(重合性基)、例えば(メタ)アクリロイル基を有すると、配向膜と光吸収異方性層との間の相溶性が高く、層間の優れた密着性を発現できる。
重合性液晶化合物が示す液晶状態は、スメクチック液晶相であることが好ましく、高次スメクチック相であれば高性能化の観点からより好ましい。中でも、重合性液晶化合物は、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相、又はスメクチックL相を形成する高次スメクチック液晶化合物であることがより好ましく、スメクチックB相、スメクチックF相、又はスメクチックI相を形成する高次スメクチック液晶化合物であることがさらに好ましい。重合性液晶化合物が形成する液晶相がこれらの高次スメクチック相であると、より高い光吸収異方特性が得られやすい。
重合性液晶化合物としては、分子内に少なくとも1つの重合性基を有する液晶化合物であれば特に限定されず、公知の重合性液晶化合物を用いることができる。中でも、(高次)スメクチック液晶性を示し得る重合性液晶化合物としては、例えば、下記式(L-1)で表される化合物が挙げられる。
-V-W-(X-Y-X-T (L-1)
[式(L-1)中、
及びXは、互いに独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族基又は2価の脂環式炭化水素基を表し、該2価の芳香族基又は2価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子は、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子に置換されていてもよい。ただし、X及びXのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基又は置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
nは1~4を表し、nが2以上の場合、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。Xは、複数のXのうちのいずれか又は全てと同一でも異なっていてもよい。また、nが2以上の場合、複数のYは互いに同一でも異なっていてもよい。
は、重合性基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-、-CO-、-S-、又は-NH-に置き換わっていてもよい。
は、水素原子又は1価の基を表す。]
及びXに関し、2価の芳香族基又は2価の脂環式炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、メチル基、エチル基及びブチル基等の炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフッ化アルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、1価の芳香族基等が挙げられる。1,4-フェニレン基又はシクロヘキサン-1,4-ジイル基が有していてもよい置換基についても同様である。X及びXは、互いに独立して、好ましくは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、又は、置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。シクロヘキサン-1,4-ジイル基は、トランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基であることが好ましい。1つの好ましい実施形態において、1,4-フェニレン基及びシクロヘキサン-1,4-ジイル基は無置換である。
は、好ましくは、-CHCH-、-CHO-、-OCH-、-CHCHO-、-OCHCH-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、単結合、-N=N-、-CR=CR-、-C≡C-、-CR=N-、又は-CO-NR-である。R及びRは、互いに独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表わす。Yは、より好ましくは、-CHCH-、-CHO-、-OCH-、-COO-、-OCO-、-N=N-、又は単結合である。X及びXが全て同一構造である場合、互いに異なる結合方式である2以上のYが存在することが好ましい。互いに異なる結合方式である複数のYが存在する場合には、非対称構造となるため、スメクチック液晶性が発現しやすい傾向にある。
は、重合性基であり、好ましくはラジカル重合性基である。重合性基としては、重合性液晶化合物が有する重合性基として先に例示した基と同様のものが挙げられる。Uで表される重合性基は、好ましくは(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基である。
で表されるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、イコサン-1,20-ジイル基等が挙げられる。Vは、好ましくは炭素数2~12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数4~12のアルカンジイル基であり、さらに好ましくは炭素数6~12のアルカンジイル基である。該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-、-CO-、-S-、又は-NH-に置き換わっていてもよい。
該アルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、シアノ基及びハロゲン原子等が挙げられるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換の直鎖状アルカンジイル基又は該アルカンジイル基を構成する少なくとも1つの-CH-が-O-、-CO-、-S-、又は-NH-に置き換わった基であることがより好ましい。
は、好ましくは、単結合、-O-、-S-、-COO-、又は-OCOO-であり、より好ましくは、単結合又は-O-である。
は、好ましくは1価の基である。Tが1価の基である重合性液晶化合物は、下記式(L-2)で表される化合物であることが好ましい。
-V-W-(X-Y-X-W-V-U (L-2)
[式(L-2)中、
、X、Y、n、U、W及びVは、それぞれ、前記と同じ意味を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-、-CO-、-S-、又は-NH-に置き換わっていてもよい。]
で表される重合性基としては、重合性液晶化合物が有する重合性基として先に例示した基と同様のものが挙げられる。1つの好ましい実施形態において、U及びUはいずれも重合性基であり、より好ましくは、いずれもラジカル重合性基である。U及びUがいずれも重合性基である場合、Uで表される重合性基とUで表される重合性基とは、互いに異なっていてもよいが、U及びUの少なくとも一方は、(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましく、両方が(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基であることがより好ましい。U及びUは、同じ種類の基であることが好ましい。
の詳細については、Vについての上記説明が引用される。Wの詳細については、Wについての上記説明が引用される。
式(L-1)及び式(L-2)中に存在する、式(L-1A):
-(X-Y-X- (L-1A)
[式(L-1A)中、X、Y、X及びnは、それぞれ、前記と同じ意味を表す。]
で示される部分構造〔以下、部分構造(L-1A)ともいう。〕は、非対称構造であることが、スメクチック液晶性を発現し易い点で好ましい。
部分構造(L-1A)が非対称構造である重合性液晶化合物としては、例えば、nが1であり、1つのXとXとが互いに異なる構造である重合性液晶化合物が挙げられる。また、nが2であり、2つのYが互いに同じ構造である化合物であって、2つのXが互いに同じ構造であり、1つのXはこれら2つのXとは異なる構造である重合性液晶化合物、2つのXのうちのWに結合するXが、他方のX及びXとは異なる構造であり、他方のXとXとは互いに同じ構造である重合性液晶化合物も挙げられる。さらに、nが3であり、3つのYが互いに同じ構造である化合物であって、3つのX及び1つのXのうちのいずれか1つが他の3つの全てと異なる構造である重合性液晶化合物が挙げられる。
重合性液晶化合物は、下記式(L-1B)で表される部分構造を有しスメクチック液晶性を示す重合性液晶化合物であることがより好ましい。重合性液晶化合物は、式(L-1B)で表される部分構造を2以上有していてもよい。
-X-Y-X-Y-X- (L-1B)
[式(L-1B)中、
、X及びXは、互いに独立して、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基又は置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。
及びYは、互いに独立して、-CHCH-、-CHO-、-OCH-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、単結合、-N=N-、-CR=CR-、-C≡C-、-CR=N-、又は-CO-NR-を表す。
ただし、式(L-1B)で表される部分構造は、全体として非対称構造である。]
式(L-1B)中のX、Y、X、Y及びXの組み合わせの例を以下に示すが、これに限定されるものではない。表中、Phは1,4-フェニレン基を表し、CHはシクロヘキサン-1,4-ジイル基を表す。
Figure 2024019046000014
重合性液晶化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
式(L-1)で表される化合物、
式(L-2)で表される化合物、
非対称構造である部分構造(L-1A)を有する式(L-1)で表される化合物、
非対称構造である部分構造(L-1A)を有する式(L-2)で表される化合物、
非対称構造である部分構造(L-1A)を有し、部分構造(L-1A)が式(L-1B)で表される部分構造である式(L-1)で表される化合物、
非対称構造である部分構造(L-1A)を有し、部分構造(L-1A)が式(L-1B)で表される部分構造である式(L-2)で表される化合物。
重合性液晶化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。下記の例において、重合性液晶化合物がシクロヘキサン-1,4-ジイル基を有する場合、そのシクロヘキサン-1,4-ジイル基は、トランス体であることが好ましい。
Figure 2024019046000015
Figure 2024019046000016
Figure 2024019046000017
重合性液晶化合物の重合体は、上記重合性液晶化合物が有する重合性基の重合により形成される、重合性液晶化合物に由来する繰り返し単位を有する化合物であり、上述のように、上記重合性基の重合により得られる重合体に対して、特定の官能基(例えば重合性基)を導入する反応等の反応を行って得られる重合体も含まれる。このような重合体の一例として、下記式で表される、末端に重合性基を備える繰り返し単位を有する重合体が挙げられる。
Figure 2024019046000018
上記繰り返し単位は、重合性基への変換が可能な基を末端に有する重合性液晶化合物を重合させた後、該重合性基への変換が可能な基を重合性基に変換することによって得ることができる。上記繰り返し単位を有する重合体は、下記式で表される重合性液晶モノマーの重合体に相当し、偏光膜の形成において重合されているときには重合性液晶ポリマーに相当するともいえる。
Figure 2024019046000019
光吸収異方性層における重合性液晶化合物の重合体の含有量(2種以上の重合体を含む場合はそれらの合計量)は、光吸収異方性層100質量部に対して、好ましくは50~99.9質量部、より好ましくは60~99.5質量部、さらに好ましくは80~99質量部である。重合性液晶化合物の重合体の含有量が上記範囲内であると、該重合体の配向性が高くなり、十分な光吸収異方特性が得られやすい。光吸収異方性層が二色性色素と重合性液晶化合物又はその重合体とを含む光吸収異方性層形成用組成物から形成される場合、光吸収異方性層における重合性液晶化合物の重合体の含有量は、該組成物の固形分に対する重合性液晶化合物の割合として算出されてもよい。
二色性色素および液晶化合物を含む光吸収異方性膜13において、二色性色素が重合性液晶化合物に包摂されて存在し、二色性色素と重合性液晶化合物とが光吸収異方性膜13の垂直方向に高い秩序度をもって配向していることが好ましい。重合性液晶化合物と二色性色素とが高い秩序度をもって配向していることにより、光吸収異方性膜13を含む光学積層体1を有機EL表示装置に組み込んだ場合に、正面方向における透過性に優れ、かつ斜め方向における光吸収特性の方向異方性を低減し易い傾向にある。
光吸収異方性膜13の形成に用いる重合性液晶組成物は二色性色素および重合性液晶化合物以外の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば重合開始剤、レベリング剤、溶剤、酸化防止剤、光増感剤、架橋剤等が挙げられる。これらの成分は、それぞれ1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(重合開始剤)
重合開始剤は、重合性液晶化合物等の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、光の作用により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤としては、例えばベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、例えばベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
アルキルフェノン化合物としては、例えばジエトキシアセトフェノン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1,2-ジフェニル-2,2-ジメトキシエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オンのオリゴマー等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
トリアジン化合物としては、例えば2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジンおよび2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
重合開始剤には市販のものを用いることができる。市販の重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907、184、651、819、250および369(BASF社);セイクオール(登録商標)BZ、ZおよびBEE(精工化学(株));カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100およびUVI-6992(日本化薬(株));アデカオプトマーSP-152およびSP-170((株)ADEKA);TAZ-AおよびTAZ-PP(DKSHジャパン(株));ならびにTAZ-104((株)三和ケミカル)等が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の配向を乱しにくいという観点から、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下である。
(架橋剤)
架橋剤としては、その分子内に炭素-炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有するものが好ましい。なお、ここでいう「活性水素反応性基」とは、カルボキシル基(-COOH)、水酸基(-OH)、アミノ基(-NH)等の活性水素を有する基に対して反応性を有する基を意味し、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジン基、イミド基、イソシアナト基、チオイソシアナト基、無水マレイン酸基等がその代表例である。
架橋剤は、分子内に活性水素反応性基を2つ以上存在する化合物であることが好ましく、この場合、複数存在する活性水素反応性基は同一でも、異なるものであってもよい。
架橋剤が有する炭素-炭素不飽和結合とは、炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合、あるいはそれらの組み合わせであってよいが、炭素-炭素二重結合であると好ましい。中でも、架橋剤としては、ビニル基及び/又は(メタ)アクリル基として炭素-炭素不飽和結合を含むと好ましい。さらに、活性水素反応性基が、エポキシ基、グリシジル基及びイソシアナト基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましく、アクリル基と、イソシアナト基とを有する架橋剤(イソシアネート系架橋剤)が特に好ましい。
反応性添加剤の具体例としては、メタクリロキシグリシジルエーテルやアクリロキシグリシジルエーテルなどの、(メタ)アクリル基とエポキシ基とを有する化合物;オキセタンアクリレートやオキセタンメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とオキセタン基とを有する化合物;ラクトンアクリレートやラクトンメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とラクトン基とを有する化合物;ビニルオキサゾリンやイソプロペニルオキサゾリンなどの、ビニル基とオキサゾリン基とを有する化合物;イソシアナトメチルアクリレート、イソシアナトメチルメタクリレート、2-イソシアナトエチルアクリレート及び2-イソシアナトエチルメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とイソシアナト基とを有する化合物のオリゴマー等が挙げられる。また、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物、無水マレイン酸及びビニル無水マレイン酸などの、ビニル基やビニレン基と酸無水物とを有する化合物などが挙げられる。中でも、メタクリロキシグリシジルエーテル、アクリロキシグリシジルエーテル、イソシアナトメチルアクリレート、イソシアナトメチルメタクリレート、ビニルオキサゾリン、2-イソシアナトエチルアクリレート、2-イソシアナトエチルメタクリレート及び前記のオリゴマーが好ましく、イソシアナトメチルアクリレート、2-イソシアナトエチルアクリレート及び前記のオリゴマーが特に好ましい。
活性水素反応性基としてイソシアナト基を有する架橋剤は、下記式(Y)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2024019046000020

[式(Y)中、
nは1~10までの整数を表わし、R1’は、炭素数2~20の2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは炭素数5~20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰り返し単位にある2つのR2’は、一方が-NH-であり、他方が>N-C(=O)-R3’で示される基である。R3’は、水酸基又は炭素-炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(Y)中のR3’のうち、少なくとも1つのR3’は炭素-炭素不飽和結合を有する基である。]
前記式(Y)で表される化合物は、下記式(YY)で表される化合物(以下、場合により「化合物(YY)」という。)であることがより好ましい(なお、nは式(Y)における定義と同じである)。
Figure 2024019046000021

化合物(YY)には、市販品をそのまま又は必要に応じて精製して用いることができる。市販品としては、例えば、Laromer(登録商標)LR-9000(BASF社製)等が挙げられる。
架橋剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、好ましくは5質量部以下である。
(レベリング剤)
レベリング剤とは、重合性液晶組成物の流動性を調整し、光吸収異方性膜13をより平坦にする機能を有するものであり、例えば界面活性剤を挙げることができる。好ましいレベリング剤としては、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤およびフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤が挙げられる。
ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤としては、BYK-350、BYK-352、BYK-353、BYK-354、BYK-355、BYK-358N、BYK-361N、BYK-380、BYK-381およびBYK-392(BYK Chemie社)等が挙げられる。
フッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤としては、メガファック(登録商標)R-08、R-30、R-90、F-410、F-411、F-443、F-445、F-470、F-471、F-477、F-479、F-482、F-483(DIC(株));サーフロン(登録商標)S-381、S-382、S-383、S-393、SC-101、SC-105、KH-40およびSA-100(AGCセイミケミカル(株));E1830およびE5844(ダイキン工業(株));エフトップEF301、EF303、EF351およびEF352(三菱マテリアル電子化成(株))等が挙げられる。
レベリング剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。レベリング剤の含有量が上記の範囲内であると、得られる光吸収異方性膜13がより平滑となる傾向があるため好ましい。重合性液晶化合物に対するレベリング剤の含有量が上記の範囲を超えると、得られる光吸収異方性膜13にムラが生じやすくなったり、水平方向へ配向する傾向があったりするため好ましくない。光吸収異方性膜13は、レベリング剤を2種類以上含有していてもよい。
(溶剤)
溶剤としては、重合性液晶化合物を完全に溶解し得るものが好ましく、さらに重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトンまたはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルムおよびクロロベンゼン等の塩素含有溶剤;等が挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
溶剤の含有量は、重合性液晶組成物の総量に対して50~98質量%が好ましい。換言すると、光吸収異方性膜13中の成分の割合は、重合性液晶組成物の総量に対して2~50質量%が好ましい。
重合性液晶組成物の総量に対して、該固形分が50質量%以下であると、重合性液晶組成物の粘度が低くなることから、光吸収異方性膜13の厚みが略均一になることで、光吸収異方性膜13にムラが生じにくくなる傾向がある。また、かかる固形分は、製造しようとする光吸収異方性膜13の厚みを考慮して定めることができる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤を配合することにより、重合性液晶化合物の重合反応をコントロールすることができる。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、キノン系酸化防止剤、ニトロソ系酸化防止剤から選ばれる一次酸化防止剤であってもよいし、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤から選ばれる二次酸化防止剤であってもよい。重合性液晶化合物の配向を乱すことなく、重合性液晶化合物を重合するためには、酸化防止剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.01~10質量部であり、好ましくは0.1~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~3質量部である。酸化防止剤は単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
(光増感剤)
光増感剤を用いることにより、光重合開始剤を高感度化することができる。光増感剤としては、例えば、キサントン、チオキサントン等のキサントン類;アントラセンおよびアルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン類;フェノチアジン;ルブレンが挙げられる。光増感剤は単独または2種以上を組み合わせて使用できる。光増感剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.01~10質量部であり、好ましくは0.05~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~3質量部である。
光吸収異方性膜13は、例えば、
重合性液晶化合物および二色性色素と、場合により溶剤等の添加剤とを所定温度で撹拌等することによって光吸収異方性膜形成用組成物を得る工程、
光吸収異方性膜形成用組成物の塗膜を形成する工程、
上記塗膜を乾燥させて乾燥塗膜を形成する工程、および
乾燥塗膜に活性エネルギー線を照射し、液晶硬化膜を形成する工程
を含む方法により製造することができる。
重合性液晶化合物および二色性色素と、場合により溶剤等の添加剤とを撹拌する際の温度は、通常0~50℃、好ましくは10~40℃である。撹拌する方法は特に限定されず、従来公知の方法で撹拌することができる。
光吸収異方性膜形成用組成物の塗膜の形成は、例えば、基材または配向膜上に光吸収異方性膜形成用組成物を塗布することにより行うことができる。
基材としては、例えば、ガラス基材、フィルム基材等が挙げられるが、加工性の観点から樹脂フィルム基材が好ましい。フィルム基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースおよびセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシド等のプラスチックが挙げられる。このような樹脂を、溶媒キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して基材とすることができる。基材表面には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等から形成される保護層を有していてもよく、シリコーン処理のような離型処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
基材は、後述のハードコート層を有していてよい。基材がハードコート層を有する場合、ハードコート層上に光吸収異方性膜を形成することもできる。基材はハードコート層を残して光学積層体から剥離除去されてもよいし、光学積層体に組み込まれてもよい。
基材として市販の製品を用いてもよい。市販のセルロースエステル基材としては、例えば、フジタックフィルム等の富士写真フィルム株式会社製のセルロースエステル基材;「KC8UX2M」、「KC8UY」、および「KC4UY」等のコニカミノルタオプト株式会社製のセルロースエステル基材等が挙げられる。市販の環状オレフィン系樹脂としては、例えば「Topas(登録商標)」等のTicona社(独)製の環状オレフィン系樹脂;「アートン(登録商標)」等のJSR株式会社製の環状オレフィン系樹脂;「ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)」、および「ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)」等の日本ゼオン株式会社製の環状オレフィン系樹脂;「アペル(登録商標)」等の三井化学株式会社製の環状オレフィン系樹脂が挙げられる。市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、「エスシーナ(登録商標)」および「SCA40(登録商標)」等の積水化学工業株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材;「ゼオノアフィルム(登録商標)」等のオプテス株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材;「アートンフィルム(登録商標)」等のJSR株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材が挙げられる。市販のポリエチレンテレフタレートフィルムとしてはリンテック社製の「SP-PLR382050」が挙げられる。
基材の剥離容易性、基材のハンドリング性等の観点から、基材の厚みは通常、5~300μmであり、好ましくは10~150μmである。
光吸収異方性膜形成用組成物を基材等に塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法等の公知の方法が挙げられる。
次いで、溶媒を乾燥等により除去することにより、乾燥塗膜が形成される。乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。この際、液晶組成物から得られた塗膜を加熱することにより、塗膜から溶媒を乾燥除去させるとともに、重合性液晶化合物を塗膜平面に対して垂直方向に配向させることができる。塗膜の加熱温度は、用いる重合性液晶化合物および塗膜を形成する基材等の材質などを考慮して、適宜決定し得るが、重合性液晶化合物を液晶層状態へ相転移させるために液晶相転移温度以上の温度であることが必要である。光吸収異方性膜を形成するための重合性液晶組成物に含まれる溶媒を除去しながら、重合性液晶化合物を垂直配向状態とするため、例えば、光吸収異方性膜13を形成するための重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の液晶相転移温度(スメクチック相転移温度またはネマチック相転移温度)程度以上の温度まで加熱することができる。
なお、液晶相転移温度は、例えば、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡や、示差走査熱量計(DSC)、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)等を用いて測定することができる。また、重合性液晶化合物として2種以上を組み合わせて用いる場合、上記相転移温度は、光吸収異方性膜を形成するための重合性液晶組成物を構成する全重合性液晶化合物を上記重合性液晶組成物における組成と同じ比率で混合した重合性液晶化合物の混合物を用いて、1種の重合性液晶化合物を用いる場合と同様にして測定される温度を意味する。なお、一般に上記重合性液晶組成物中における重合性液晶化合物の液晶相転移温度は、重合性液晶化合物単体としての液晶相転移温度よりも下がる場合もあることが知られている。
加熱時間は、加熱温度、用いる重合性液晶化合物の種類、溶剤の種類やその沸点およびその量等に応じて適宜決定し得るが、通常、15秒~10分であり、好ましくは0.5~5分である。
次いで、得られた乾燥塗膜において、重合性液晶化合物の垂直配向状態を保持したまま、重合性液晶化合物を重合させることにより、光吸収異方性膜13が形成される。重合方法としては、熱重合法、または光重合法が挙げられるが、重合反応を制御しやすい観点から光重合法が好ましい。光重合において、乾燥塗膜に照射する光としては、当該乾燥塗膜に含まれる光重合開始剤の種類、重合性液晶化合物の種類(特に、該重合性液晶化合物が有する重合性基の種類)およびその量に応じて適宜選択される。その具体例としては、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線およびγ線からなる群より選択される1種以上の光および活性電子線が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御しやすい点や、光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって、光重合可能なように、光吸収異方性膜13を形成するための重合性液晶組成物に含有される重合性液晶化合物や光重合開始剤の種類を選択しておくことが好ましい。また、重合時に、適切な冷却手段により乾燥塗膜を冷却しながら光照射することで、重合温度を制御することもできる。このような冷却手段の採用により、より低温で重合性液晶化合物の重合を実施すれば、基材が比較的耐熱性が低いものを用いたとしても、適切に光吸収異方性膜13を形成できる。また、光照射時の熱による不具合(基材の熱による変形等)が発生しない範囲で重合温度を高くすることにより重合反応を促進することも可能である。光重合の際、マスキング、現像を行う等によって、パターニングされた光吸収異方性膜13を得ることもできる。
上記活性エネルギー線の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線照射強度は、通常、10~3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくは光重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒~10分であり、好ましくは0.1秒~5分、より好ましくは0.1秒~3分、さらに好ましくは0.1秒~1分である。このような紫外線照射強度で1回または複数回照射すると、その積算光量は、10~3,000mJ/cm、好ましくは50~2,000mJ/cm、より好ましくは100~1,000mJ/cmである。
本発明の一態様において、光吸収異方性膜13を形成するための重合性液晶組成物の塗膜は配向膜上に形成されることができる。配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。この中でも、垂直方向に配向させる配向規制力を有する配向膜を垂直配向膜、重合性液晶化合物を水平方向に配向させる配向規制力を有する配向膜を水平配向膜と呼ぶことがある。配向規制力は、配向膜の種類、表面状態、ラビング条件等によって任意に調整することが可能であり、配向膜が光配向性ポリマーから形成されている場合は、偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。
配向膜としては、液晶組成物の塗布等により溶解しない溶媒耐性を有し、また、溶媒の除去や後述する重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜および表面に凹凸パターンや複数の溝を有するグルブ配向膜、配向方向に延伸してある延伸フィルム等が挙げられ、配向角の精度および品質の観点から光配向膜が好ましい。
配向性ポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。配向性ポリマーは単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶媒に溶解した組成物(以下、「配向性ポリマー組成物」ということがある)を基材に塗布し、溶媒を除去する、または、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶媒を除去し、ラビングする(ラビング法)ことで得られる。溶媒としては、液晶組成物に用い得る溶媒として先に例示した溶媒と同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶媒に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1~20%が好ましく、0.1~10%程度がさらに好ましい。
配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法としては、液晶組成物を基材へ塗布する方法として例示したものと同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物に含まれる溶媒を除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
配向膜に配向規制力を付与するために、必要に応じてラビング処理を行うことができる(ラビング法)。ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることで基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を接触させる方法が挙げられる。ラビング処理を行う時に、マスキングを行えば、配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を配向膜に形成することもできる。
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーと溶媒とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ともいう)を基材に塗布し、溶媒を除去後に偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御することができる点でも有利である。
光反応性基とは、光照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の液晶配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応または光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基として、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)および炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ-ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基およびシンナモイル基等が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、および、アゾキシベンゼン構造を有する基等が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基およびマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリ-ル基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性および経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基およびカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
光配向膜形成用組成物を基材上に塗布することにより、基材上に光配向誘起層を形成することができる。該組成物に含まれる溶媒としては、液晶組成物に用い得る溶媒として先に例示した溶媒と同様のものが挙げられ、光反応性基を有するポリマーあるいはモノマーの溶解性に応じて適宜選択することができる。
光配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、ポリマーまたはモノマーの種類や目的とする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、光配向膜形成用組成物の質量に対して、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3~10質量%の範囲がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコ-ルやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶媒を除去する方法としては例えば、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
偏光を照射するには、基板上に塗布された光配向膜形成用組成物から、溶媒を除去したものに直接、偏光UVを照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であると特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArFなどの紫外光レ-ザ-などが挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプがより好ましい。これらの中でも、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプが、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。上記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテ-ラ-などの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
なお、ラビングまたは偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
グルブ(groove)配向膜は、膜表面に凹凸パターンまたは複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に液晶化合物を塗布した場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像およびリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化樹脂の層を形成し、形成された樹脂層を基材へ移してから硬化する方法、および、基材に形成した硬化前のUV硬化樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。
重合性液晶化合物を塗膜平面に対して垂直方向に配向させる配向規制力を示す材料としては、上述した配向性ポリマー等の他にパーフルオロアルキル等のフッ素系ポリマーおよびシラン化合物並びにそれらの縮合反応により得られるポリシロキサン化合物などを用いてもよい。
配向膜を形成する材料としてシラン化合物を使用する場合には、表面張力を低下させやすく、配向膜に隣接する層との密着性を高めやすい観点から、構成元素にSi元素とC元素とを含む化合物が好ましく、シラン化合物を好適に使用することができる。シラン化合物を使用することにより配向規制力を高めることができる。これらのシラン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その他材料と混合して使用してもよい。
配向膜(配向性ポリマーを含む配向膜または光配向膜)の厚みは、通常10~10000nmの範囲であり、好ましくは10~1000nmの範囲であり、より好ましくは10~500nm以下であり、さらに好ましくは10~300nm、特に好ましくは50~250nmの範囲である。
本発明の別の一態様において、液晶組成物の塗膜は配向膜を必要とせず、基材上に直接形成し得る。かかる態様において、光吸収異方性膜13を形成するための重合性液晶組成物は、配向促進剤を含んでいてもよい。本発明において、配向促進剤とは所望の方向への液晶化合物の液晶配向を促進させる材料を意味する。液晶化合物の配向を促進させる配向促進剤としては、非金属原子からなるイオン性化合物および非イオン性シラン化合物等が挙げられる。光吸収異方性膜13を形成するための重合性液晶組成物が、非金属原子からなるイオン性化合物および非イオン性シラン化合物のうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、非金属原子からなるイオン性化合物および非イオン性シラン化合物をともに含むことがより好ましい。
非金属原子からなるイオン性化合物としては、たとえば、オニウム塩(より具体的には、窒素原子がプラスの電荷を有する第四級アンモニウム塩、第三級スルホニウム塩、およびリン原子がプラスの電荷を有する第四級ホスホニウム塩等)が挙げられる。これらのオニウム塩のうち、重合性液晶化合物の垂直配向性をより向上させ得る観点から第四級オニウム塩が好ましく、入手性および量産性を向上させる観点から、第四級ホスホニウム塩または第四級アンモニウム塩がより好ましい。オニウム塩は分子内に2つ以上の第四級オニウム塩部位を有していてもよく、オリゴマーやポリマーであってもよい。
非イオン性シラン化合物としては、例えば、ポリシランのようなケイ素ポリマー、シリコーンオイルおよびシリコーンレジンのようなシリコーン樹脂、並びにシリコーンオリゴマー、シルセスシロキサンおよびアルコキシシランのような有機無機シラン化合物(より具体的には、シランカップリング剤等)、シリコーン系レベリング剤等が挙げられる。
(偏光子)
偏光子14は、無偏光の光を入射させたとき、吸収軸に直交する振動面をもつ直線偏光を透過させる性質を有する直線偏光層である。偏光子14は、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルム、吸収異方性を有する色素を含む組成物を基材フィルムに塗布して形成した偏光子を含むフィルム等が挙げられる。
(偏光子を構成する延伸フィルム)
偏光子14は、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムであってもよい。このような延伸フィルムで構成された偏光子は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを吸収異方性を有する色素で染色することにより、その吸収異方性を有する色素を吸着させる工程、吸収異方性を有する色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。偏光子14は、片面または両面に接着剤を介して透明保護フィルムを積層した偏光板として、光学積層体に組み込まれてもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールも使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000~10,000程度であり、好ましくは1,500~5,000の範囲である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光子の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、例えば、10~150μm程度とすることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、吸収異方性を有する色素による染色の前、染色と同時、または染色の後で行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶媒を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3~8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの吸収異方性を有する色素による染色は、例えば、吸収異方性を有する色素を含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法によって行われる。
吸収異方性を有する色素として、具体的には、ヨウ素や二色性の有機染料が用いられる。二色性の有機染料としては、C.I.DIRECT RED 39等のジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、および、トリスアゾ、テトラキスアゾ等の化合物からなる二色性直接染料等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理前に、水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
吸収異方性を有する色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常、0.01~1質量部程度である。また、ヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常、0.5~20質量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20~40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20~1,800秒程度である。
一方、吸収異方性を有する色素として二色性の有機染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性の有機染料の含有量は、水100質量部あたり、通常、1×10-4~10質量部程度であり、好ましくは1×10-3~1質量部であり、さらに好ましくは1×10-3~1×10-2質量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含んでいてもよい。染色に用いる二色性染料を含む水溶液の温度は、通常、20~80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10~1,800秒程度である。
吸収異方性を有する色素による染色後のホウ酸処理は通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬する方法により行うことができる。このホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100質量部あたり、通常2~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。吸収異方性を有する色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましく、その場合のヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常0.1~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常60~1,200秒程度であり、好ましくは150~600秒、さらに好ましくは200~400秒である。ホウ酸処理の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50~85℃、さらに好ましくは60~80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬する方法により行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5~40℃程度である。また浸漬時間は、通常1~120秒程度である。
水洗後に乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。乾燥処理は例えば、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30~100℃程度であり、好ましくは50~80℃である。乾燥処理の時間は、通常60~600秒程度であり、好ましくは120~600秒である。乾燥処理により、偏光子の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常5~20重量%程度であり、好ましくは8~15重量%である。水分率が5重量%を下回ると、偏光子の可撓性が失われ、偏光子がその乾燥後に損傷したり、破断したりすることがある。また、水分率が20質量%を上回ると、偏光子の熱安定性が悪くなる可能性がある。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、吸収異方性を有する色素による染色、ホウ酸処理、水洗および乾燥をして得られる偏光子の厚みは、好ましくは5~40μmである。
(吸収異方性を有する色素を基材フィルムに塗布して形成した偏光子)
吸収異方性を有する色素を基材フィルムに塗布して形成した偏光子としては、液晶性および吸収異方性を有する色素を含む組成物、または吸収異方性を有する色素と重合性液晶とを含む組成物を基材フィルムに塗布して得られる偏光子が挙げられる。基材フィルムとしては、光吸収異方性膜13の製造に用い得る基材として先に例示したものが挙げられる。
吸収異方性を有する色素を基材フィルムに塗布して形成した偏光子の厚みは小さい方が好ましいが、小さすぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向があるため、通常20μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは0.5~3μmである。
上記偏光子としては、具体的には、特開2013-33249号公報等に記載の偏光子が挙げられる。
上記のようにして得られた偏光子14(延伸フィルム、吸収異方性を有する色素を基材フィルムに塗布して形成した偏光子)は、その片面または両面に、接着剤を介して保護フィルムを積層した偏光板とした状態で光学積層体1に組み込まれてもよい。保護フィルムは、光吸収異方性膜13の製造に用い得る基材として先に例示したもの等を用いることができる。吸収異方性を有する色素を基材フィルムに塗布して形成した偏光子では、上記した基材フィルムを保護フィルムとしてもよい。保護フィルムは片側または両側にハードコート層を有していてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、光学フィルム11、光吸収異方性膜13および偏光子14の表面を保護する機能を有することができる。ハードコート層は、光吸収異方性膜13の片側または両側に配置されることができる。ハードコート層は、光吸収異方性膜13の接着剤層12側とは反対側に配置されてもよいし、光学フィルム11の接着剤層12側とは反対側に配置されてもよい。ハードコート層が、光吸収異方性膜13の接着剤層12側とは反対側に配置される場合、ハードコート層は光吸収異方性膜13に直接的に接して配置されてよいし、ハードコート層付光学フィルムとして配置されてもよい。ハードコート層が、光学フィルム11の接着剤層12側とは反対側に配置される場合、光学フィルム11に直接的に接して配置されてよい。
ハードコート層は、好ましくは、任意の適切な紫外線硬化型樹脂の硬化物層である。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、混合して用いることもできる。ハードコート層は、上記紫外線硬化型樹脂を含むハードコート層形成用硬化性組成物の硬化物層であることができる。ハードコート層形成用硬化性組成物は、必要に応じて、重合開始剤、溶剤等を含み得る。重合開始剤としては、例えばラジカル重合開始剤等が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、任意の適切な値に設定し得る。好ましくは30μm以下であり、より好ましくは1~20μmであり、さらに好ましくは1~15μmであり、特に好ましくは1~10μmである。
ハードコート層は、例えば離型フィルムや上述の光学フィルム等の基材上にハードコート層形成用硬化性組成物を塗布し、次いで硬化させることにより硬化物層を形成して積層体とした状態で光学積層体1に積層することができる。離型フィルムは、光学積層体1が光学部材に貼合されるときに剥離除去されてよい。基材は、上記した光吸収異方性膜13の製造方法で用いた基材を採用し得る。
(位相差層)
位相差層は、面内位相差を有する。位相差層が有する面内位相差の値は特に限定されないが、下記式(1)に示される光学特性を満たすことが好ましく、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)で示される光学特性を満たすことが好ましい。
100nm<Re(550)<160nm ・・・(1)
[式中、Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値(面内リタデーション)を表す。]
Re(450)/Re(550)≦1.0 ・・・(2)
1.00≦Re(650)/Re(550) ・・・(3)
[式中、Re(450)は波長450nmの光に対する面内位相差値を、Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値を、Re(650)は波長650nmの光に対する面内位相差値を表す。]
式(2)における、Re(450)/Re(550)は好ましくは0.7以上1.0以下、より好ましくは0.80以上0.95以下、さらに好ましくは0.80以上0.92以下、特に好ましくは0.82以上0.88以下である。
波長λにおける位相差層の面内位相差値ReA(λ)は、下記式(4)で表される式から導きだすことができる。そのため、所望の面内位相差値(Re(λ))を得るには、(nxA(λ)-nyA(λ))と膜厚dとを調整すればよい。
ReA(λ)=(nxA(λ)-nyA(λ))×dA (4)
[式(6)中、
nxA(λ)は、位相差層の面内における波長λnmでの主屈折率を表し、
nyA(λ)は、nxA(λ)と同一面内で、nxA(λ)の方向に対して直交する方向の波長λnmでの屈折率を表し、
dAは、位相差層の厚みを示す。]
位相差層は、例えば、面内位相差を有する延伸フィルムであってもよく、光学積層体1の積層方向に直交する方向(以下、「水平方向」ということがある。)に重合性液晶化合物が配向した状態で硬化した硬化物層(以下、「水平配向液晶層」ということがある。)であってもよい。位相差層を所望する面内位相差値に容易に制御可能であること、薄膜化が可能であることから、位相差層は、水平配向液晶層であることが好ましい。
水平配向配向液晶層は、例えば、特開2010-31223号公報、特開2010-270108号公報、特開2011-6360号公報、特開2011-207765号公報、特開2011-162678号公報、特開2016-81035号公報、国際公開第2017/043438号及び特表2011-207765号公報に記載の重合性液晶化合物が配向した状態で硬化した硬化物層等が挙げられる。
位相差層が延伸フィルムである場合、位相差層の厚みは、通常5μm以上200μm以下であり、好ましくは10μm以上80μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。位相差層が水平配向液晶層である場合、位相差層の厚みは、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.2μm以上であり、また、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下である。
位相差層は、λ/4の位相差特性を有する層とλ/2の位相差特性を有する層との組み合わせ等、各層の遅相軸どうしのなす角度が任意の角度となるように複数の層を積層することにより、全体として上記式(1)~(3)の関係を満たすものであってもよい。面内位相差を有する位相差層がλ/4の位相差特性を有する層とλ/2の位相差特性を有する層とを積層した積層体である場合は、例えば、各層の遅相軸どうしのなす角度が50°以上70°以下とするように積層したものを好適に用いることができる。
また、後述する図4で示す光学積層体3が円偏光板を含む場合、厚み方向に異方性を有する層(ポジティブCプレート)をさらに含んでいてもよい。ポジティブC層は、波長550nmにおける厚み方向の位相差値Rth(550)が、通常-170nm以上-10nm以下の範囲であり、好ましくは-150nm以上-20nm以下、より好ましくは-100nm以上-40nmの範囲である。
ポジティブC層を含む場合は、貼合層を介して位相差層とポジティブC層とを積層させることが好ましい。
(貼合層)
貼合層は貼り合わせる層同士の間に介在させて層同士を接合する機能を有することができる。貼合層は、公知の粘着剤層または接着剤層を用いることができる。粘着剤層は、粘着剤を用いて形成された層である。本明細書において粘着剤とは、それ自体を被着体に張り付けることで接着性を発現するものであり、いわゆる感圧型接着剤と称されるものである。粘着剤としては、従来公知の光学的な透明性に優れる粘着剤を特に制限なく用いることができ、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等のベースポリマーを有する粘着剤を用いることができる。粘着剤層の厚みは3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、また、35μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。
粘着剤層は、紫外線吸収剤、イオン性化合物等を用いた帯電防止剤、溶媒、架橋触媒、粘着付与樹脂(タッキファイヤー)、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラー等の添加剤を含んでいてもよい。
貼合層として用いる接着剤層は、接着剤中の硬化性成分を硬化させることによって形成することができる。貼合層として用いる接着剤層を形成するための接着剤としては、感圧型接着剤(粘着剤)以外の接着剤であってよく、例えば、水系接着剤、紫外線硬化型接着剤等の活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。貼合層に用いる接着剤として上記の接着剤層12において例示した接着剤を用いることもできる。
(プロテクトフィルム)
光学積層体は、その表面(典型的には、光学積層体1の光学フィルム11側の表面)を保護するためのプロテクトフィルムを含むことができる。プロテクトフィルムは、例えば画像表示素子や光学部材に光学積層体1が貼合された後、それが有する粘着剤層ごと剥離除去される。
プロテクトフィルムは、例えば、基材フィルムとその上に積層される粘着剤層とで構成される。粘着剤層については上述の記述が引用される。基材フィルムを構成する樹脂は、例えば、ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂であることができる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂である。
プロテクトフィルムの厚みとしては、特に限定されないが、20μm以上200μm以下の範囲とすることが好ましい。基材フィルムの厚みが20μm以上であると、光学積層体に強度が付与され易くなる傾向にある。
(光学積層体の層構成)
光学積層体は、図1に示す層構成以外の層構成を有することができる。図3に示す光学積層体2は、プロテクトフィルム21、第一ハードコート層付光学フィルム22、接着剤層23、光吸収異方性膜24、第二ハードコート層25、貼合層26、偏光層(直線偏光板)27をこの順に備える。第一ハードコート層付光学フィルム22は、第一ハードコート層28および樹脂フィルム29を備える。
光学積層体が、光吸収異方性膜と偏光子との間にハードコート層が配置される構成である場合、耐湿熱耐久試験において正面透過率の低下がより抑制される傾向にある。光吸収異方性膜が偏光子よりも視認側(パネル側と反対)に位置していた場合には、耐湿熱耐久試験において正面透過率の低下が生じやすい傾向にあるが、本発明の構成であれば、耐湿熱耐久試験において正面透過率の低下を抑制することができる。
図4に示す光学積層体3は、プロテクトフィルム41、第一ハードコート層付光学フィルム42、接着剤層43、光吸収異方性膜44、第二ハードコート層45、貼合層46、第三ハードコート層付光学フィルム47、貼合層48、偏光子49、貼合層50、樹脂フィルム59、貼合層60、第1位相差フィルム51、貼合層52、第2位相差フィルム53、貼合層54をこの順に備える。第一ハードコート層付光学フィルム42は、第一ハードコート層55および樹脂フィルム56を備える。第三ハードコート層付光学フィルム47は、第三ハードコート層57および樹脂フィルム58を備える。
(光学積層体の製造方法)
光学積層体は、上記した各層を、必要に応じて貼合層を介して積層することによって製造することができる。光学積層体は、例えば長尺のフィルムを連続的に搬送しながら積層する、いわゆるロールトゥロールによって光学積層体を製造することができる。例えば、光吸収異方性膜と、光学フィルムとを連続的に搬送しながら接着剤層を介して貼合し、次いで貼合層を介して偏光子を貼合することができる。
ロールトゥロールによって光学積層体を製造することにより、光学積層体の製造工程を短縮することができ、また、層間に異物が混入することを防止して視認性に優れた光学積層体を製造することができる。
(光学積層体の用途)
光学積層体は表示装置に用いることができ、特に有機EL表示装置に好適に用いることができる。表示装置において光学積層体は、光学フィルムが偏光子よりも視認側になるように配置されることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。以下、使用量、含有量を表す部および%は、特に断りのない限り質量基準である。
<粘弾性の評価>
接着剤組成物を、COPフィルム〔日本ゼオン(株)製「ZB」〕の片面に、バーコーター〔第一理化(株)製〕を用いて膜厚およそ25μmとなるよう塗工し、その塗工面に更にCOPフィルムを被せた。次に、紫外線照射装置〔フュージョンUVシステムズ(株)製〕のHバルブで積算光量600mJ/cm(UV-B)の紫外線を照射し、接着剤層が固体となった段階で、片方のCOPフィルムを剥がし、温度23℃相対湿度55%の雰囲気中で3日以上養生させ、接着剤を硬化させた。これを30mm×5mmの大きさに裁断し、もう片方のCOPフィルムを剥がし、接着剤硬化物層を得た。得られた硬化物層を動的粘弾性測定装置〔アイティー計測制御(株)製「DVA―220」〕に、つかみ具間20mmでセットし、周波数10Hz、引張モードで粘弾性測定を行い、損失弾性率[MPa]の最大値の温度[℃]、温度30℃および80℃における貯蔵弾性率[MPa]、tanδが最大となる温度[℃]を求めた。tanδは、貯蔵弾性率をG’および損失弾性率をG’’としたとき以下の関係を有する。
Figure 2024019046000022
<耐湿熱耐久試験>
実施例および比較例で作製した第1積層体の離型フィルムを剥離し、剥き出しとなったハードコート層にコロナ処理を施し、準備したアクリル系粘着剤(リンテック社製、膜厚5μm)をラミネーターで貼合した。次に、それを40mm×40mmに裁断し、粘着剤面を無アルカリガラスに貼合し、プロテクトフィルム/16HC-COPフィルム/接着剤層(実施例1~6)もしくは粘着剤(比較例1)/光吸収異方性膜/ハードコート層/アクリル系粘着剤/無アルカリガラスの積層構造を有する耐久性評価サンプルを得た。得られた評価サンプルのプロテクトフィルムを剥離し、温度50℃、圧力5kg/cm(490.3kPa)で20分間オートクレーブ処理を施し、温度23℃、相対湿度55%の環境下で24時間放置した。その後、65℃90%RH×500hrの条件で耐湿熱耐久試験を行い、オートクレーブ処理前と耐久試験後での正面透過率変化を、紫外可視分光光度計〔(株)島津製作所製“UV―2450”〕を用いて測定し、以下の基準に基づいて評価した。結果を表3に示す。
◎:波長620nmでの正面透過率変化の絶対値が3%未満。
○:波長620nmでの正面透過率変化の絶対値が3%以上5%未満。
×:波長620nmでの正面透過率変化の絶対値が5%以上。
<光吸収異方性膜形成用組成物の調製>
下記成分を混合し、80℃で1時間攪拌することにより、光吸収異方性膜形成用組成物を得た。二色性色素には、特開2013-101328号公報の実施例に記載のアゾ系色素を用いた。
・式(A-6)で表される重合性液晶化合物 75部
Figure 2024019046000023

・式(A-7)で表される重合性液晶化合物 25部
Figure 2024019046000024

・下記に示す二色性色素(1)(極大吸収波長:602nm) 1部
Figure 2024019046000025

・重合開始剤:2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369;チバスペシャルティケミカルズ社製) 6部
・イソシアネート系架橋剤(BASF社製「LR9000」) 2部
・レベリング剤:F-556(メガファックF-556、DIC(株)製) 1部
・溶剤:o-キシレン 650部
<ハードコート層形成用硬化性組成物の調製>
下記成分を混合し、80℃で1時間攪拌することにより、ハードコート層形成用硬化性組成物(X)を調製した。
・アクリレート化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 50部
・ウレタンアクリレート化合物:ウレタンアクリレート(ダイセル・オルネクス(株)製「エベクリル4858」) 50部
・ラジカル重合開始剤:2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン(BASF社製「イルガキュア907」) 3部
・溶剤:メチルエチルケトン 10部
<光吸収異方性膜の作製>
離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「SP-PLR382050」)の離型処理面に、コロナ処理を実施した後、上記ハードコート層形成用硬化性組成物(X)をバーコート法(#2、30mm/s)により塗布し、紫外線照射装置〔ウシオ電機(株)製SPOT CURE SP-7〕を用いて、積算光量500mJ/cm(波長365nm、窒素雰囲気下)の紫外線を塗膜に照射することにより、離型フィルム表面にハードコート層が形成されたハードコート層付き離型フィルムを得た。接触式膜厚計で測定したハードコート層の厚みは2μmであった。
上記ハードコート層の表面に、上記で得られた光吸収異方性膜形成用組成物を、バーコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥した。
次に、紫外線照射装置〔ウシオ電機(株)製ユニキュアVB-15201BY-A〕の高圧水銀ランプで積算光量1000mJ/cm(波長365nm、窒素雰囲気下)の紫外線を照射することにより、重合性液晶化合物および二色性色素が塗膜平面に対して垂直配向した光吸収異方性膜を形成し、離型フィルム/ハードコート層/光吸収異方性膜からなる積層体(1)を得た。この際、光吸収異方性膜の厚さをエリプソメータにより測定したところ、0.4μmであった。
<接着剤組成物の調製>
以下に示す各成分を表2に示す割合で配合し、接着剤組成物1~6を作製した。
(エポキシ化合物)
A-1:3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:CEL2021P、株式会社ダイセル製)
A-2:2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(商品名:EHPE3150、株式会社ダイセル製)
A-3:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:EP-4100E、株式会社ADEKA製)
A-4:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名:EX-211L、ナガセケムテックス株式会社製)
A-5:下記式で表される化合物
Figure 2024019046000026

(オキセタン化合物)
B-1:3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(商品名:OXT-221、東亜合成株式会社製)
(アクリル化合物)
C-1:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:A-DCP、新中村化学株式会社製)
(開始剤)
D-1:カチオン重合開始剤(商品名:CPI-100P、50質量%溶液、サンアプロ株式会社製)
D-2:ラジカル重合開始剤(商品名:Omnirad 907、IGM RESINS製)
(光増感助剤)
E-1:1,4-ジエトキシナフタレン
(レベリング剤)
F-1:シリコーン系レベリング剤(商品名:SH710、東レ・ダウコーニング株式会社製)
F-2:シリコーン系レベリング剤(商品名:BYK-307、ビッグケミー・ジャパン株式会社製)
Figure 2024019046000027
<水系接着剤の調製>
水100部に対し、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔株式会社クラレから入手した商品名「KL-318」〕を3部溶解し、その水溶液に水溶性エポキシ樹脂であるポリアミドエポキシ系添加剤〔田岡化学工業株式会社から入手した商品名「スミレーズレジン(登録商標)650(30)」、固形分濃度30%の水溶液〕を1.5部添加して、水系接着剤を調製した。
<偏光板の作製>
厚み20μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸し、ヨウ素で染色することにより、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向した偏光フィルム(厚み8μm)を得た。かかる延伸におけるトータル延伸倍率は5.2倍であった。
環状ポリオレフィン系樹脂フィルム(COPフィルム)(厚み13μm)の片面にハードコート層(HC層)(厚み3μm)が形成されたハードコート環状オレフィン系樹脂フィルム(HC-COPフィルム2)を準備した。このHC-COPフィルム2はHC層側表面の鉛筆硬度が5Bであった。上記で得た偏光フィルムの一方の面に、上記で調製した水系接着剤を介して、このHC-COPフィルム2のCOPフィルム側(HC層側とは反対側)を貼合し、HC-COPフィルム2/水系接着剤層/偏光フィルムの積層構造を有する直線偏光板を得た。
このHC-COPフィルム2の波長550nmにおける面内位相差値Re(550)は0(ゼロ)nmであり、積分球式光線透過率測定装置(スガ試験機株式会社製「Haze Meter Hz-V3」)を用いて、JIS K7105に準拠して、全光線透過率Ht(%)を測定すると、0.1%であった。
偏光板の偏光フィルム側を入射面として分光光度計(V7100、日本分光製)を用いて光学特性を確認したところ、視感度補正単体透過率は42.1%、視感度補正偏光度は99.996%、単体色相aは-1.1、単体色相bは3.7であった。
<水平配向位相差フィルム(λ/4板)の作製>
(1)水平配向膜形成用組成物の調製
下記構造の光配向性材料5部(重量平均分子量:30000)とシクロペンタノン(溶媒)95部とを成分として混合し、得られた混合物を80℃で1時間撹拌することにより、水平配向膜形成用組成物を得た。
Figure 2024019046000028
(2)重合性液晶化合物の調製
下記分子構造を有する重合性液晶化合物(X1)および重合性液晶化合物(X2)を、それぞれ調製した。重合性液晶化合物(X1)は、特開2010-31223号公報に記載の方法に準じて製造した。また、重合性液晶化合物(X2)は、特開2009-173893号公報に記載の方法に準じて製造した。
重合性液晶化合物(X1):
Figure 2024019046000029

重合性液晶化合物(X2):
Figure 2024019046000030
テトラヒドロフラン50mLに重合性液晶化合物(X1)1mgを溶解させて溶液を得た。得られた溶液を光路長1cmの測定用セルに入れて測定用試料とした。測定用試料を紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定し、得られた吸収スペクトルから極大吸収となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における吸収極大波長λmaxは350nmであった。
(3)水平配向液晶層の形成用の重合性液晶組成物(AA1)の調製
重合性液晶化合物(X1)および重合性液晶化合物(X2)を質量比90:10で混合し、混合物を得た。得られた混合物100部に対して、レベリング剤「BYK-361N」(BM Chemie社製)0.1部と、光重合開始剤として2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア(登録商標)369(Irg369)」)6部を添加した。さらに、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加した。この混合物を80℃で1時間撹拌することにより、水平配向液晶層の形成用の重合性液晶組成物(AA1)を得た。
(4)水平配向液晶層の作製
日本ゼオン株式会社製のCOPフィルム(ZF-14-50)上に、コロナ処理を実施した後、上記で得た水平配向膜形成用組成物をバーコーター塗布し、80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP-9;ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長313nmにおける積算光量:100mJ/cmで偏光UV露光を実施し、水平配向膜を得た。得られた水平配向膜の膜厚をエリプソメータで測定したところ、200nmであった。
続いて、水平配向膜上にバーコーターを用いて上記で得た重合性液晶組成物(AA1)を塗布し、120℃で60秒間加熱した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB-15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、重合性液晶組成物(A1)を塗布した面から紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)することにより、水平配向液晶層を形成し、COPフィルム/水平配向膜/水平配向液晶層の層構造を有する積層構造体(A1)を得た。COPフィルムに位相差がないことを確認した後、王子計測機器株式会社製のKOBRA-WPRを用いて、積層構造体(A1)の波長450nmおよび波長550nmにおける面内位相差値ReA(450)およびReA(550)を測定したところ、ReA(550)は139nmであり、ReA(450)/ReA(550)を算出したところ、0.87であった。
<紫外線硬化型接着剤組成物Aの調製>
下記に示すカチオン硬化性成分a1~a3およびカチオン重合開始剤を混合した後、下記に示すカチオン重合開始剤および増感剤をさらに混合し、得られた混合物を脱泡して、紫外線硬化型接着剤組成物を調製した。なお、下記の配合量は固形分量に基づく。
・カチオン硬化性成分a1(70部):
3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:CEL2021P、株式会社ダイセル製)
・カチオン硬化性成分a2(20部):
ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名:EX-211、ナガセケムテックス株式会社製)
・カチオン硬化性成分a3(10部):
2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(商品名:EX-121、ナガセケムテックス株式会社製)
・カチオン重合開始剤(2.25部(固形分量)):
商品名:CPI-100(サンアプロ株式会社製)の50%プロピレンカーボネート溶液
・増感剤(2部):
1,4-ジエトキシナフタレン
<垂直配向位相差フィルム(Posi-C)の作製>
(1)垂直配向膜形成用組成物の調製
0.5質量部のポリイミド(日産化学工業株式会社製「サンエバーSE-610」)、72.3質量部のN-メチル-2-ピロリドン、18.1質量部の2-ブトキシエタノール、9.1質量部のエチルシクロヘキサン、および0.01質量部のDPHA(新中村化学製)を混合して、垂直配向膜形成用組成物を調製した。
(2)垂直配向液晶硬化膜形成用重合性液晶組成物の調製
下記式(LC242)に示す液晶化合物LC242:PaliocolorLC242(BASF社 登録商標)100質量部に対して、レベリング剤(DIC社製「F-556」)0.1質量部と、重合開始剤Irg369 3質量部とを添加し、固形分濃度が13質量部となるようにシクロペンタノンを添加した。これらを混合し、垂直配向液晶硬化膜形成用重合性液晶組成物を得た。
なお、液晶化合物LC242:PaliocolorLC242(BASF社登録商標)は下記式で表される。
Figure 2024019046000031
(3)垂直配向位相差フィルム(垂直配向液晶硬化膜)の作製
基材としてCOPフィルム(日本ゼオン株式会社「ZF-14-23」)を用い、該COPフィルムに対してコロナ処理を実施した。コロナ処理を実施したCOPフィルムにバーコーターを用いて、垂直配向膜形成用組成物を塗布し、塗膜を形成した。塗膜を80℃で1分間乾燥させ、垂直配向膜を得た。得られた垂直配向膜の膜厚をエリプソメータで測定したところ0.2μmであった。続いて、作製した垂直配向膜上に垂直配向液晶硬化膜形成用重合性液晶組成物を塗布し、塗膜を形成した。塗膜を80℃で1分乾燥させた後、高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製「ユニキュアVB-15201BY-A」)を用いて、窒素雰囲気下、および波長365nmにおける積算光量500mJ/cmの条件で乾燥塗膜に紫外線を照射して、垂直配向位相差フィルム(垂直配向液晶硬化膜)を形成した。
<光学積層体の作製>
<実施例1>
光学フィルムとして、紫外線吸収機能が付与された環状ポリオレフィン系樹脂フィルム(COPフィルム、厚み13μm)の片面にハードコート層(HC層、厚み3μm)が形成されたハードコート環状オレフィン系樹脂フィルム(厚み16μm、以下、「16HC-COPフィルム」という)を用意した。この16HC-COPフィルムのハードコート層側にはプロテクトフィルムを貼合した。
16HC-COPフィルムのCOPフィルム側(ハードコート層側とは反対側)と、上記で得られた光吸収異方性膜からなる積層体(1)の光吸収異方性膜面にそれぞれコロナ処理を施し、接着剤組成物1を介して、接着剤厚みが1.5μmとなるようコロナ処理面同士をラミネーターで貼合した。
次に、離型フィルム側から、紫外線照射装置〔フュージョンUVシステムズ(株)製〕のHバルブで積算光量500mJ/cm(UV-A)の紫外線を照射し、接着剤組成物1を硬化させ、プロテクトフィルム/16HC-COPフィルム/接着剤層/光吸収異方性膜/ハードコート層/離型フィルムの積層構造を有する第1積層体を得た。
この第1積層体について耐湿熱耐久試験を行った。結果を表3に示す。
第1積層体の離型フィルムを剥離し、剥き出しとなったハードコート層と、上記で作製した偏光板のハードコート層にそれぞれコロナ処理を施し、準備したアクリル系粘着剤(リンテック社製、膜厚5μm)を介して、コロナ処理面同士をラミネーターで貼合し、プロテクトフィルム/16HC-COPフィルム/接着剤層/光吸収異方性膜/ハードコート層/粘着剤/HC-COPフィルム2/水系接着剤層/偏光フィルム(偏光子)の積層構造を有する第2積層体を得た。
得られた第2積層体の偏光フィルム(偏光子)側と、上記で作製した水平配向位相差フィルムの液晶層にそれぞれコロナ処理を施し、準備したアクリル系粘着剤(膜厚5μm)を介して、コロナ処理面同士をラミネーターで貼合した。この際、偏光フィルム(偏光子)の吸収軸と水平配向位相差フィルムの液晶層の遅相軸とのなす角が45°となるように貼合した。
次に、水平配向位相差フィルム側のCOPフィルム(ZF-14-50)を剥離し、剥き出しとなった水平配向膜と上記で作製した垂直配向位相差フィルムの液晶層にそれぞれコロナ処理を施し、上記で調整した紫外線硬化型接着剤Aを介して、接着剤厚みが1.5μmとなるようコロナ処理面同士をラミネーターで貼合した。その後、垂直配向位相差フィルム側から、紫外線照射装置〔フュージョンUVシステムズ(株)製〕のHバルブで積算光量500mJ/cm(UV-A)の紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
続いて、垂直配向位相差フィルム側のCOPフィルム(ZF-14-50)を剥離し、剥き出しとなった垂直配向膜にコロナ処理を施し、準備したアクリル系粘着剤(リンテック社製、膜厚25μm)をラミネーターで貼合し、プロテクトフィルム/16HC-COPフィルム/接着剤層/光吸収異方性膜/ハードコート層/粘着剤層/HC-COPフィルム2/水系接着剤硬化層/偏光フィルム(偏光子)/粘着剤/水平配向液晶層/水平配向膜/紫外線硬化型接着A層/垂直配向液晶層/垂直配向膜/粘着剤層の積層構造を有する光学積層体を得た。
<実施例2~6>
実施例1において接着剤組成物1に代えて表3に示す接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして光学積層体を作製した。結果を表3に示す。
<比較例1>
実施例1において接着剤組成物1に代えて表3に示す粘着剤を用いて16HC-COPフィルムのCOPフィルム側(ハードコート層側とは反対側)と、積層体(1)の光吸収異方性膜面とを貼合したこと以外は実施例1と同様にして光学積層体を作製した。結果を表3に示す。
Figure 2024019046000032
<接着剤組成物の調製>
以下に示す各成分を表4に示す割合で配合し、接着剤組成物7~10を作製した。
(アクリル化合物)
C-2:4-アクリロイルモルホリン(商品名:ACMO、KJケミカルズ株式会社製)
C-3:2-ヒドロキシ-3-メタクリルプロピルアクリレート(商品名:701A、新中村化学株式会社製)
C-4:下記構造で示されるモノマー(商品名:エポキシエステル70PA、共栄社化学株式会社製)
Figure 2024019046000033

C-5:1,9-ノナンジオールジアクリレート(商品名:ライトアクリレート1,9ND-A、共栄社化学株式会社製)
C-6:エポキシ基含有アクリル系オリゴマー(商品名:ARUFON UG-4010、東亞合成株式会社製)
C-7:水酸基含有アクリル系オリゴマー(商品名:ARUFON UH-2041、東亞合成株式会社製)
C-8:1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(商品名:CHDMMA,日本化成株式会社製)
(開始剤)
D-2:ラジカル重合開始剤(商品名:Omnirad 907、IGM RESINS製)
(光増感助剤)
E-2:2,4-ジエチルチオキサントン
Figure 2024019046000034
<光学積層体>
<実施例7~10>
実施例1における接着剤組成物1を、表5に示すとおり接着剤組成物7~10に代えたこと以外は実施例1と同様にして第1積層体、第2積層体及び光学積層体を得た。
<耐湿熱耐久試験>
実施例7~10で作製した第1積層体の離型フィルムにコロナ処理を施し、準備したアクリル系粘着剤(リンテック株式会社製、膜厚5μm)をラミネーターで貼合した。次に、それを40mm×40mmに裁断し、粘着剤面を無アルカリガラスに貼合し、プロテクトフィルム/16HC-COPフィルム/接着剤層(実施例7~10)/光吸収異方性膜/ハードコート層/離型フィルム/無アルカリガラスの積層構造を有する耐久性評価サンプルを得た。
得られた耐久性評価サンプルからプロテクトフィルムを剥離し、温度50℃、圧力5kg/cm(490.3kPa)で20分間オートクレーブ処理を施し、温度23℃、相対湿度55%の環境下で24時間静置した。その後、温度65℃、相対湿度90%(90%RH)の条件下で500時間静置して耐湿熱耐久試験を行った。オートクレーブ処理前と耐久試験後での正面透過率変化を、紫外可視分光光度計〔(株)島津製作所製“UV―2450”〕を用いて測定し、以下の基準に基づいて評価した。結果を表5に示す。
◎:波長620nmでの正面透過率変化の絶対値が3%未満。
○:波長620nmでの正面透過率変化の絶対値が3%以上5%未満。
×:波長620nmでの正面透過率変化の絶対値が5%以上。
Figure 2024019046000035
<実施例11>
実施例3で得られた光学積層体を、40mm×40mmに裁断して粘着剤面を無アルカリガラスに貼合し、プロテクトフィルム/16HC-COPフィルム/接着剤層(接着剤組成物3)/光吸収異方性膜/ハードコート層/粘着剤層/HC-COPフィルム2/水系接着剤層/偏光フィルム(偏光子)/粘着剤/水平配向膜液晶層/水平配向膜/紫外線硬化型接着剤A層/垂直配向液晶層/垂直配向膜/粘着剤層/無アルカリガラスの積層構造を有する耐久性評価サンプルを得た。
得られた耐久性評価サンプルからプロテクトフィルムを剥離し、温度50℃、圧力5kg/cm(490.3kPa)で20分間オートクレーブ処理を施し、温度23℃、相対湿度55%の環境下で24時間静置した。その後、温度65℃、相対湿度90%(90%RH)の条件下で500時間静置して耐湿熱耐久試験を行った。オートクレーブ処理前と耐久試験後での正面MD透過率(プリズムから出る偏光の向きと偏光フィルム試料の透過軸とを平行にしたときの透過率)変化を、積分球付き分光光度計〔日本分光(株)製の製品名「V7100」〕を用いて測定し、以下の基準に基づいて評価した。結果を表6に示す。
○:波長620nmでの正面透過率変化の絶対値が2%未満。
×:波長620nmでの正面透過率変化の絶対値が2%以上。
<比較例2>
接着剤組成物3の代わりに、表6に示す粘着剤(アクリル系、膜厚5μm)を用いて、プロテクトフィルム/16HC-COPフィルム/粘着剤/光吸収異方性膜/ハードコート層/粘着剤層/HC-COPフィルム2/水系接着剤層/偏光フィルム(偏光子)/粘着剤/水平配向膜液晶層/水平配向膜/紫外線硬化型接着剤A層/垂直配向液晶層/垂直配向膜/粘着剤層の積層構造を有する光学積層体を得た。
得られた光学積層体を用いて、上記と同様にして、耐湿熱耐久試験を行った。結果を表6に示す。
Figure 2024019046000036
1,2,3 光学積層体、11 光学フィルム、12,23,43 接着剤層、13,24,44 光吸収異方性膜、14,27,49 偏光子、21,41 プロテクトフィルム、22,42 第一ハードコート層付光学フィルム、25,45 第二ハードコート層、26,46,48,50,52,54,60 貼合層、28,55 第一ハードコート層、29,56,58,59 樹脂フィルム、47 第三ハードコート層付光学フィルム、51 第1位相差フィルム、53 第2位相差フィルム、57 第三ハードコート層。

Claims (3)

  1. 光学フィルムと、接着剤層と、光吸収異方性膜と、偏光子とをこの順に含む光学積層体であって、
    前記光吸収異方性膜は、二色性色素と重合性液晶化合物とが前記光学積層体の積層方向に配向した状態で硬化した硬化物層である、光学積層体。
  2. 前記光吸収異方性膜が、前記二色性色素と、前記重合性液晶化合物と、イソシアネート系架橋剤とを含む重合性液晶組成物の硬化物を含む、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記光吸収異方性膜と前記偏光子との間に、ハードコート層をさらに含み、
    前記光吸収異方性膜とハードコート層とが直接接している、請求項1または2に記載の光学積層体。
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