JP2024003789A - 時限放出型顆粒およびその用途 - Google Patents

時限放出型顆粒およびその用途 Download PDF

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佳之 小林
Yoshiyuki Kobayashi
達哉 本庄
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勇 佐伯
Isamu Saeki
豊 奥田
Yutaka Okuda
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Abstract

【課題】生産性および汎用性が高く、有効成分の溶出を高度に抑制してラグ時間を形成し、ラグ時間経過後は速やかに有効成分を溶出できる時限放出型顆粒を提供する。【解決手段】有効成分を含む核部と、この核部を被覆するコーティング層とで形成して、顆粒を調製する。前記核部中の水膨潤性物質の含有質量は15質量%未満である。前記コーティング層は、アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まない。前記顆粒は、溶出試験パドル法において、pH1.2での有効成分の溶出率が60分で85%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、有効成分の溶出のラグ時間を制御できる時限放出型顆粒およびその用途に関する。
薬効成分などの有効成分には苦味を有する成分があり、このような有効成分を含む組成物(製剤)の服用性を向上するには、口腔内で有効成分が溶け出すことを抑制する必要がある。一方で、有効成分による治療効果を十分に発揮させるには、有効成分が体内で速やかに溶出し、体内へ吸収される必要がある。このように苦味の抑制と、有効成分の溶出とはトレードオフの関係にある。そのため、苦味を有する有効成分においては、有効成分の溶出を目的のラグ時間で抑制するとともに、ラグ時間後、速やかに有効成分を溶出させる時限放出性が要求される。
このような時限放出性を有する時限放出型組成物として、WO2005/105045(特許文献1)には、粒子状医薬組成物の中心部に薬物を含有する核粒子と、中間層に2種類の水溶性成分である、不溶化促進剤および不溶化物質を含有する層と、最外層に内部への水浸入速度を制御する水浸入量制御層とを、それぞれ含有する経口投与用放出型粒子状組成物が開示されている。この文献には、前記中間層において、不溶化促進剤および不溶化物質として、塩析型不溶化促進剤および塩析不溶化物質を含む。
特開2009-191036号公報(特許文献2)には、製剤から薬物が放出を開始する時間および薬物放出開始後の薬物放出速度を自由に調節できる時限放出製剤として、薬物および水膨潤性物質を含む中心核が、水不溶性高分子および水不溶性賦形剤を含む皮膜で被覆されている時限放出製剤が開示されている。この文献には、中心核中の水膨潤性物質の含有量は30質量%以上であり、この水膨潤性物質の膨潤によって皮膜が破壊されて薬物が瞬時に全量放出されると記載されている。
WO2005/105045 特開2009-191036号公報
しかし、苦味などを抑制するためには、有効成分の溶出を所定時間遮蔽する必要があるが、遮蔽精度を向上させると、溶出が困難となるトレードオフの関係にあるため、ラグ時間の調整と、有効成分の溶出性とを両立させるのは困難である。さらに、特許文献1の粒子状医薬組成物では、塩析型不溶化促進剤および塩析不溶化物質を含む中間層と水浸入量制御層とを必要とし、層構造が複雑であり、生産性が低い。また、特許文献2の時限放出製剤では、水膨潤性物質を多量に含むため、製剤が大型化する上に、生産性も低い。
従って、本発明の目的は、生産性および汎用性が高く、有効成分の溶出を高度に抑制してラグ時間を形成し、ラグ時間経過後は速やかに有効成分を溶出できる時限放出型顆粒およびその用途を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、有効成分を含み、かつ水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満である核部を、アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないコーティング層で被覆し、pH1.2での有効成分の溶出率を60分で85%以上に調整することにより、生産性および汎用性が高く、有効成分の溶出を高度に抑制してラグ時間を形成し、ラグ時間経過後は速やかに有効成分を溶出できる時限放出型顆粒を提供できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の態様[1]としての顆粒は、有効成分を含む核部と、この核部を被覆するコーティング層とで形成された顆粒であって、
前記核部中の水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満であり、
前記コーティング層が、アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まず、
溶出試験パドル法において、pH1.2での有効成分の溶出率が60分で85%以上である、顆粒を含む。
本発明の態様[2]は、前記態様[1]において、前記(メタ)アクリル系重合体が、アンモニオメタクリレート単位の割合が7.5質量%以上である高水浸透性重合体と、アンモニオメタクリレート単位の割合が7.5質量%未満である低水浸透性重合体との組み合わせであり、かつ前記高水浸透性重合体と前記低水浸透性重合体との質量比が、前者/後者=10/90~90/10である態様である。
本発明の態様[3]は、前記態様[1]または[2]において、前記(メタ)アクリル系重合体の割合が、前記核部100質量部に対して10質量部以上である態様である。
本発明の態様[4]は、前記態様[1]~[3]のいずれかの態様において、前記核部の体積基準の累積50%粒子径(D50)が350μm未満である態様である。
本発明の態様[5]は、前記態様[1]~[4]のいずれかの態様において、前記有効成分が、37℃、pH1.2で15mg/mL以上の溶解度を有する態様である。
本発明の態様[6]は、前記態様[1]~[5]のいずれかの態様において、前記コーティング層の割合が、前記核部100質量部に対して10質量部以上である態様である。
本発明の態様[7]は、前記態様[1]~[6]のいずれかの態様において、前記コーティング層が無機化合物をさらに含み、前記無機化合物の割合が、前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して100質量部以下である態様である。
本発明の態様[8]は、前記態様[1]~[7]のいずれかの態様において、溶出試験パドル法において、pH6.8での有効成分の溶出率を2%以下に抑制できる時間が1分以上である態様である。
本発明には、態様[9]として、
有効成分を含む核部と、この核部を被覆するコーティング層とで形成された顆粒を含む製剤であって、
前記核部中の水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満であり、
前記コーティング層が、アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まず、
溶出試験パドル法において、pH1.2での有効成分の溶出率が60分で85%以上である、製剤も含まれる。
本発明の態様[10]は、前記態様[9]において、前記(メタ)アクリル系重合体が、アンモニオメタクリレート単位の割合が7.5質量%以上である高水浸透性重合体と、アンモニオメタクリレート単位の割合が7.5質量%未満である低水浸透性重合体との組み合わせであり、かつ前記高水浸透性重合体と前記低水浸透性重合体との質量比が、前者/後者=10/90~90/10である態様である。
本発明の態様[11]は、前記態様[9]または[10]の態様の製剤が、溶出試験パドル法において、pH6.8での有効成分の溶出率を10%以下に抑制できる時間が6分以上である態様である。
本発明の態様[12]は、前記態様[9]~[11]のいずれかの態様の製剤が錠剤である態様である。
本発明の態様[13]は、前記態様[12]の態様の錠剤が口腔内崩壊錠である態様である。
本発明には、態様[14]として、
有効成分を含み、かつ水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満である核部を製造する工程と、
アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないコーティング組成物によって、前記核部を被覆する工程を含む顆粒の製造方法も含まれる。
本発明には、態様[15]として、
有効成分を含み、かつ水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満である核部を製造する工程と、
アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないコーティング組成物によって、前記核部を被覆する工程を含む製剤の製造方法も含まれる。
本発明には、態様[16]として、
アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないコーティング層で、有効成分を含み、かつ前記核部中の水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満である核部を被覆することにより、前記有効成分の溶出を制御する方法も含まれる。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「アンモニオメタクリレート単位」とは、単量体としてのメタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルで構成された単位を意味する。
本発明では、有効成分を含み、かつ水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満である核部を、アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないコーティング層で被覆し、溶出試験パドル法において、pH1.2での有効成分の溶出率が60分で85%以上に調整されているため、煩雑な製造工程は必要とせず、生産性および汎用性が高く、有効成分の溶出を高度に抑制してラグ時間を形成し、ラグ時間経過後は速やかに有効成分を溶出できる。特に、核部は有効成分を含んでいればよく、崩壊剤などの他の添加剤が必須成分ではないため、製剤の小型化が容易であり、核部の成分は有効成分の性質に合わせて適宜調整可能となり(種々の有効成分に本発明の顆粒を適用でき)、汎用性が高い。さらに、核部をコーティング層で被覆するだけで、水膨潤性物質の割合が少なくても、時限放出型顆粒を調製できるため、高い生産性で、時限放出性を有する小型の顆粒を製造できる。
図1は、実施例1~2および比較例1で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH1.2での有効成分の溶出率を示すグラフ(溶出プロファイル)である。 図2は、実施例1~2および比較例1で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH6.8での有効成分の溶出率を示すグラフである。 図3は、実施例3~5で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH1.2での有効成分の溶出率を示すグラフである。 図4は、実施例3~5で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH6.8での有効成分の溶出率を示すグラフである。 図5は、実施例6~10で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH1.2での有効成分の溶出率を示すグラフである。 図6は、実施例6~10で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH6.8での有効成分の溶出率を示すグラフである。 図7は、実施例11および比較例1で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH1.2での有効成分の溶出率を示すグラフである。 図8は、実施例11および比較例1で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH6.8での有効成分の溶出率を示すグラフである。 図9は、実施例12および比較例2で得られたOD錠ならびに実施例1で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH1.2での有効成分の溶出率を示すグラフである。 図10は、実施例12および比較例2で得られたOD錠ならびに実施例1で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH6.8での有効成分の溶出率を示すグラフである。 図11は、実施例13で得られたOD錠および実施例11で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH1.2での有効成分の溶出率を示すグラフである。 図12は、実施例13で得られたOD錠および実施例11で得られた時限放出型顆粒について、試験時間に対するpH6.8での有効成分の溶出率を示すグラフである。
[時限放出型顆粒]
本発明の顆粒は、有効成分を含む核部と、この核部を被覆するコーティング層とで形成されており、経口製剤として所定時間後に有効成分を溶出できる時限放出型顆粒である。
(核部)
核部は、必須成分として有効成分を含む。
(A)有効成分
核部に含まれる有効成分(A)としては、慣用または新規のいずれの有効成分も利用でき、例えば、滋養強壮保健剤、解熱鎮痛消炎剤、向精神病剤、抗不安剤、抗うつ剤、催眠鎮静剤、鎮痙剤、胃腸剤、制酸剤、鎮咳去痰剤、歯科口腔用剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、利胆剤、抗結核剤、抗生物質、抗ウイルス剤、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、骨格筋弛緩剤などが挙げられる。これらの有効成分(A)は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、厳密なラグ時間を要求されることが多い有効成分が汎用される。また、苦味などのマスキングが必要な有効成分(例えば、レボフロキサシンなどの抗生物質、ベポタスチンベシル酸塩などの抗ヒスタミン剤など)が好ましい。
有効成分(A)のpH1.2での溶解度は、37℃で15mg/mL以上であってもよく、例えば15~300mg/mL、好ましくは20~200mg/mL、さらに好ましくは30~100mg/mL、より好ましくは35~80mg/mL、最も好ましくは40~60mg/mLである。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、pH1.2での溶解度は、37℃における飽和溶解度を示す。飽和溶解度は、第18改正日本薬局方に記載の紫外可視吸収スペクトル法並びに赤外吸収スペクトル法等を用いて評価できる。
有効成分(A)の含有質量は、核部中10質量%以上であってもよく、例えば30~100質量%、好ましくは50~100質量%、さらに好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、最も好ましくは85~100質量%である。有効成分の含有質量が少なすぎると、顆粒が大型化する虞がある。
(B)結合剤
核部は、有効成分(A)に加えて、結合剤(B)をさらに含んでいてもよい。結合剤(B)としては、例えば、ポリビニルピロリドン類(ポビドン、酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体など)、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸系ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸共重合体など)、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニルなどの合成高分子;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースまたはHPMC)などのヒドロキシアルキルセルロースエーテル類;酢酸セルロースなどのセルロースエステル類などが挙げられる。
これらの結合剤(B)は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、HPCなどのヒドロキシC2-4アルキルセルロースエーテルが好ましい。
結合剤(B)の含有質量は、核部中0.1~90質量%であってもよく、例えば1~50質量%、好ましくは2~30質量%、さらに好ましくは3~20質量%、より好ましくは5~15質量%、最も好ましくは8~12質量%である。結合剤の割合が少なすぎると、顆粒の機械的特性が低下し、逆に多すぎると、顆粒が大型化する虞がある。
(C)水膨潤性物質
核部は、少量の水膨潤性物質(C)を含んでいてもよい。本発明では、特許文献2とは異なり、コーティング層を破壊させることなく有効成分を溶出させるため、水膨潤性物質(C)は必須成分ではない。
水膨潤性物質(C)としては、例えば、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、クロスポビドンコポリマーなどの架橋ポリビニルピロリドン類;トウモロコシデンプン、バレイショデンプンなどのデンプン;アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプン、酸化デンプン、デキストリン、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウムなどのデンプン誘導体;微結晶セルロース、結晶セルロース、粉末セルロースなどのセルロース類;低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、カルボキシメチルセルロース(カルメロースまたはCMC)、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウムなどのセルロースエーテル類;結晶セルロース・カルメロースナトリウム;寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビンガム、アラビアガム、トラガントガム、プルラン、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ペクチン、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどの多糖類;ゼラチン、カゼイン、ダイズタンパク質などのタンパク質などが挙げられる。
これらの水膨潤性物質(C)は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。水膨潤性物質は、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、結晶セルロース、L-HPC、カルメロースまたはその塩、クロスカルメロースナトリウムおよび結晶セルロース・カルメロースナトリウムからなる群より選択された少なくとも1種であってもよい。
水膨潤性物質(C)の含有質量は、ラグ時間を大きくできる点から、核部中15質量%未満であり、コーティング層を破壊することなく、有効成分を溶出でき、顆粒の小型化および生産性を向上できる点から、13質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が最も好ましい。核部は、水膨潤性物質を実質的に含まなくてもよく、完全に含まなくてもよい。
(D)慣用の添加剤
核部は、有効成分(A)に加えて、経口製剤に配合される慣用の添加剤(D)をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤(D)としては、例えば、賦形剤(第1の賦形剤)、崩壊剤(第1の崩壊剤)、滑沢剤、可塑剤、界面活性剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤または矯味剤、抗酸化剤、防腐剤または保存剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤、流動化剤などが挙げられる。これらの添加剤(D)は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤(D)の合計の含有質量は、核部中30質量%以下であってもよく、例えば20質量%以下(例えば0.01~20質量%)、好ましくは10質量%以下(例えば0.1~10質量%)、さらに好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
(E)核部の特性
核部の形状は、特に限定されず、無定形状、繊維状、楕円体状、球状、平板状、粉粒状などであってもよいが、球状が好ましい。
核部の体積基準の累積50%粒子径(D50)は350μm未満であってもよく、例えば300μm以下、好ましくは250μm以下(例えば10~250μm)であり、有効成分の溶出性を向上できる点から、例えば220μm以下(例えば50~220μm)、好ましくは200μm以下(例えば80~200μm)、さらに好ましくは180μm以下(例えば100~180μm)である。また、ラグ時間と溶出性とのバランスに優れる点から、核部の体積基準のD50は、例えば100~280μm、好ましくは100~220μm、さらに好ましくは120~200μmである。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、累積50%粒子径(D50)は、レーザー回折式粒度分布計を用いて体積基準で測定できる。
(コーティング層)
本発明の顆粒は、アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないコーティング層で前記核部を被覆している。本発明では、前記核部を被覆するコーティング層が、前記(メタ)アクリル系重合体を含むため、有効成分の溶出を高度に抑制してラグ時間を形成し、ラグ時間経過後は速やかに有効成分を溶出できる。さらに、コーティング層は、水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないため、製剤を小型化でき、生産性および汎用性も向上できる。
(a)アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体
アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体(a)は、メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル単位を有していればよく、共重性単量体で構成された共重合性単位を含んでいてもよい。共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル単量体、ビニルエステル系単量体、N,N-ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、複素環式ビニル系単量体、重合性不飽和ジカルボン酸またはその誘導体などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
前記(メタ)アクリル系重合体(a)としては、アクリル酸エチル-メタクリル酸メチル-アンモニオメタクリレート共重合体が特に好ましい。
さらに、前記(メタ)アクリル系重合体(a)は、有効成分の溶出性を向上できる点から、アンモニオメタクリレート単位の割合が7.5質量%以上である高水浸透性重合体を含むのが好ましく、ラグ時間と溶出性とのバランスに優れる点から、前記高水浸透性重合体と、アンモニオメタクリレート単位の割合が7.5質量%未満である低水浸透性重合体との組み合わせが好ましく、両者の組み合わせにより、前記バランスに優れるだけでなく、ラグ時間を調整できるとともに、コーティング層の厚みが小さくても、ラグ時間を長くできるため、顆粒を小型化できる。
高水浸透性重合体において、アンモニオメタクリレート単位の割合は、7.5質量%以上であればよく、例えば7.5~30質量%、好ましくは7.8~20質量%、さらに好ましくは8~15質量%、より好ましくは8.5~13質量%、最も好ましくは8.8~12質量%である。アンモニオメタクリレート単位の割合が少なすぎると、コーティング層に対する水の浸透性が低くなって有効成分の溶出性が低下する虞がある。高水浸透性重合体としては、市販品を利用でき、例えば、エボニック社製のアンモニオアルキルメタクリレートコポリマー「オイドラギットRLPO」などを利用できる。
低水浸透性重合体において、アンモニオメタクリレート単位の割合は、7.5質量%未満であればよく、例えば1~7.4質量%、好ましくは2~7.3質量%、さらに好ましくは3~7.2質量%、より好ましくは4~7質量%、最も好ましくは4.3~6.8質量%である。アンモニオメタクリレート単位の割合が多すぎると、コーティング層に対する水の浸透性が高くなってラグ時間が短くなる虞がある。低水浸透性重合体としては、市販品を利用でき、例えば、エボニック社製のアンモニオアルキルメタクリレートコポリマー「オイドラギットRSPO」などを利用できる。
高水浸透性重合体と低水浸透性重合体との質量比は、前者/後者=1/99~100/0程度の範囲から選択でき、例えば10/90~90/10、好ましくは20/80~90/10、さらに好ましくは25/75~90/10である。低水浸透性重合体の割合が多すぎると、有効成分の溶出性が低下する虞があり、高水浸透性重合体の割合が多すぎると、ラグ時間が短くなる虞がある。
前記(メタ)アクリル系重合体(a)(高水浸透性重合体および低水浸透性重合体の合計)の含有質量は、コーティング層中10質量%以上であってもよく、例えば10~99質量%、好ましくは20~95質量%、さらに好ましくは30~90質量%、より好ましくは50~80質量%、最も好ましくは60~70質量%である。前記(メタ)アクリル系重合体の割合が少なすぎると、ラグ時間を制御するのが困難となる虞があり、多すぎると、有効成分の溶出性が低下する上に、顆粒が大型化する虞がある。
前記(メタ)アクリル系重合体(a)(高水浸透性重合体および低水浸透性重合体の合計)の含有質量は、前記核部100質量部に対して5質量部以上であってもよく、例えば5~100質量部、好ましくは7.5~80質量部、さらに好ましくは10~80質量部、より好ましくは12.5~80質量部である。前記(メタ)アクリル系重合体の割合が少なすぎると、ラグ時間を制御するのが困難となる虞があり、多すぎると、有効成分の溶出性が低下する上に、顆粒が大型化する虞がある。
(b)水膨潤性物質
コーティング層は、水膨潤性物質(b)を実質的に含まない。水膨潤性物質(b)としては、前記核部の項で、水膨潤性物質(C)として例示された水膨潤性物質などが挙げられる。水膨潤性物質(b)は、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、結晶セルロース、L-HPC、カルメロースまたはその塩、クロスカルメロースナトリウムおよび結晶セルロース・カルメロースナトリウムからなる群より選択された少なくとも1種であってもよい。
水膨潤性物質(b)の含有質量は、コーティング層中1質量%以下であってもよく、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下である。コーティング層は、水膨潤性物質(b)を完全に含まないのが最も好ましい。
(c)塩析型不溶化促進剤
コーティング層は、塩析型不溶化促進剤(c)を実質的に含まない。塩析型不溶化促進剤(c)は、特許文献1に記載されている塩析型不溶化促進剤(ΔCSTが10℃以上である物質)であってもよい。
塩析型不溶化促進剤(c)としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素力リウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸アルギニン、コハク酸二ナトリウム、酢酸カルシウム、グリシン、アラニン、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、白糖、ブドウ糖、果糖またはそれらの水和物などが挙げられる。
塩析型不溶化促進剤(c)の含有質量は、コーティング層中1質量%以下であってもよく、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下である。コーティング層は、塩析型不溶化促進剤(c)を完全に含まないのが最も好ましい。
(d)無機化合物
コーティング層は、前記(メタ)アクリル系重合体(a)に加えて、ラグ時間および有効成分の溶出性を調整するために、無機化合物(d)をさらに含んでいてもよい。
無機化合物(d)は、滑沢剤であってもよい。滑沢剤としては、例えば、タルク、軽質無水ケイ酸などの無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素(含水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどのケイ酸類;酸化マグネシウム、酸化チタンなどの金属酸化物;沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;無水リン酸水素カルシウム、リン酸一水素カルシウムなどのリン酸塩;ベントナイト、合成ヒドロタルサイト、カオリンなどの鉱物類などが挙げられる。
これらの無機化合物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、タルクが特に好ましい。
無機化合物(d)(特に、タルク)の形状は、特に限定されず、無定形状、繊維状、楕円体状、球状、平板状、粉粒状などであってもよく、通常、無定形状、粉粒状などである。
無機化合物(d)(特に、タルク)の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、例えば0.3~10μm、好ましくは0.5~8μm、さらに好ましくは1~7μm、より好ましくは1.5~6μm、最も好ましくは2~6μmである。
無機化合物(d)(特に、タルク)の割合は、前記(メタ)アクリル系重合体(a)100質量部に対して100質量部以下であってもよく、例えば1~100質量部、好ましくは5~90質量部、さらに好ましくは10~80質量部、より好ましくは30~70質量部、最も好ましくは40~60質量部である。無機化合物(d)の割合が多すぎると、有効成分の溶出性が低下する虞がある。
(e)賦形剤
コーティング層は、賦形剤(e)をさらに含んでいてもよい。賦形剤(第2の賦形剤)としては、例えば、糖類(乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、ショ糖、白糖、粉末還元麦芽糖水アメなど)、糖アルコール(D-マンニトール、D-ソルビトール、エリスリトール、キシリトールなど)、セルロース類(結晶セルロース、微結晶セルロース、粉末セルロースなど)、セルロースエーテル類(メチルセルロース、エチルセルロースなど)などが挙げられる。これらの賦形剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、D-マンニトールなどの糖アルコールが好ましい。
賦形剤(e)の割合は、前記(メタ)アクリル系重合体(a)100質量部に対して100質量部以下であってもよく、例えば1~100質量部、好ましくは5~90質量部、さらに好ましくは10~80質量部、より好ましくは30~70質量部、最も好ましくは50~60質量部である。賦形剤(e)の割合が多すぎると、有効成分の溶出性が低下する虞がある。
(f)慣用の添加剤
コーティング層は、前記(メタ)アクリル系重合体(a)に加えて、経口製剤に配合される慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、崩壊剤(第2の崩壊剤)、結合剤(第2の結合剤)、可塑剤、界面活性剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤または矯味剤、抗酸化剤、防腐剤または保存剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤、流動化剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤の合計割合は、コーティング層中30質量%以下であってもよく、例えば20質量%以下(例えば0.01~20質量%)、好ましくは10質量%以下(例えば0.1~10質量%)、さらに好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
(g)コーティング層の特性
コーティング層は、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造であってもよい。コーティング層は、単層構造または二層構造が好ましく、単層構造がより好ましい。コーティング層が二層構造である場合、コーティング層は、(メタ)アクリル系重合体(a)を含む第1のコーティング層と、第1のコーティング層の上に積層され、かつ賦形剤(e)を含む第2のコーティング層との組み合わせであってもよい。
コーティング層の割合は、核部100質量部に対して1~200質量部程度の範囲から選択でき、例えば10~180質量部、好ましくは15~160質量部、さらに好ましくは20~140質量部、より好ましくは30~120質量部、最も好ましくは40~100質量部である。コーティング層の割合が少なすぎると、有効成分の溶出の遮蔽が困難となる虞があり、多すぎると、有効成分の溶出性が低下する上に、顆粒の小型化も困難となる虞がある。
コーティング層の平均厚み(積層構造の場合は合計厚み)は、例えば5~50μm、好ましくは7.5~40μm、さらに好ましくは10~35μm、より好ましくは10~30μm、最も好ましくは12.5~30μmである。厚みが薄すぎると、有効成分の溶出の遮蔽が困難となる虞があり、厚すぎると、有効成分の溶出性が低下する上に、顆粒の小型化も困難となる虞がある。
[時限放出型顆粒の特性]
本発明の時限放出型顆粒は、有効成分の溶出のラグ時間を制御でき、比較的長いラグ時間にも調整でき、例えば、ラグ時間を1分以上に調整し、pH1.2での有効成分の溶出率が60分で85%以上溶出する経口製剤を容易に調製できる。そのため、有効成分が苦味を有していても、口腔内では有効成分の溶出を抑制し、胃の中で溶出が完了するように設計することもできる。
すなわち、本発明の時限放出型顆粒は、高度に有効成分の溶出を抑制してラグ時間を形成し、ラグ時間経過後は短時間で速やかに有効成分を溶出できる即時放出製剤としての特徴を有している。
具体的には、溶出性について、本発明の時限放出型顆粒は、溶出試験パドル法において、pH1.2で有効成分の85%が溶出する時間(溶出率85%に達するまでの時間)が60分以下であり、例えば1~60分、好ましくは2~45分、さらに好ましくは3~30分、より好ましくは4~20分、最も好ましくは5~15分である。前記溶出時間が長すぎると、有効成分の溶出性(特に、胃の中での溶出性)が低下する。
本発明の時限放出型顆粒は、溶出試験パドル法において、60分経過時におけるpH1.2での有効成分の溶出率が85%以上であり、例えば85~100%、好ましくは90~100%、さらに好ましくは95~100%である。前記溶出率が低すぎると、即時放出性が低下する。
また、ラグ時間について、本発明の時限放出型顆粒は、溶出試験パドル法において、pH6.8で有効成分の1%が溶出する時間(溶出率1%に達するまでの時間)が1分以上であり、例えば1~30分、好ましくは1.2~20分、さらに好ましくは1.5~15分、より好ましくは2~10分、最も好ましくは2.3~7分である。前記溶出時間が短すぎると、口腔内において有効成分の溶出を抑制できない虞がある。
さらに、ラグ時間について、本発明の時限放出型顆粒は、溶出試験パドル法において、pH6.8で有効成分の2%が溶出する時間が1分以上(例えば1~60分)であり、好ましくは2分以上、さらに好ましくは4分以上、より好ましくは5分以上である。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、溶出試験パドル法の溶出率は、第18改正日本薬局方 溶出試験法 パドル法に準拠して測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の時限放出型顆粒の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、例えば100~500μm、好ましくは100~450μm、さらに好ましくは100~400μm、より好ましくは100~350μm、最も好ましくは120~300μmである。
[時限放出型顆粒の製造方法]
本発明の顆粒は、有効成分を含み、かつ水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満である核部を製造する工程(核部調製工程)と、アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないコーティング組成物によって、前記核部を被覆する工程(被覆工程)とを経ることにより製造できる。
核部調製工程において、核部を製造するための造粒方法としては、特に限定されず、慣用の造粒方法を利用できる。慣用の造粒方法は、乾式造粒法であってもよいが、湿式造粒法が好ましい。湿式造粒法は、溶媒を用いて複合粒子を造粒する方法であればよく、例えば、押出造粒法、転動造粒法、流動層造粒法、混合・攪拌造粒法、噴霧乾燥造粒法、振動造粒法などが挙げられる。これらのうち、流動層造粒法、混合・攪拌造粒法を利用する造粒法が好ましく、混合・攪拌造粒法が特に好ましい。
混合・攪拌造粒法としては、有効成分を含む組成物を一括して混合・攪拌して核部を得る方法であれば特に限定されず、慣用の方法を利用できる。前記組成物は、造粒溶媒をさらに含んでいてもよい。
造粒溶媒としては、特に制限されないが、安全性の点から、水、水性溶媒などが利用できる。水性溶媒としては、例えば、低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのC2-4アルカノールなど)、脂肪族ケトン(例えば、アセトンなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらの造粒溶媒のうち、水単独、水性溶媒単独、水および水性溶媒の混合溶媒が好ましく、水単独、水およびC2-4アルカノールの混合溶媒がより好ましく、水単独、水およびエタノールの混合溶媒が最も好ましい。
造粒溶媒の割合は、有効成分100質量部に対して、例えば1~100質量部程度の範囲から選択でき、例えば2~70質量部、好ましくは3~50質量部、さらに好ましくは5~30質量部である。
被覆工程では、核部に対して、前記コーティング組成物を慣用のコーティング方法でコーティングしてもよい。慣用のコーティング方法としては、例えば、塗布、噴霧、含浸・浸漬、パンコーティング、流動層コーティング、転動コーティング、転動流動コーティングなどが挙げられる。これらのうち、流動層コーティング、転動流動コーティングが好ましく、転動流動コーティングが特に好ましい。
[製剤]
本発明の製剤は、前記時限放出型顆粒を含んでいればよく、なかでも、各種の経口製剤として好適に利用できる。経口製剤としては、例えば、丸剤、液剤、散剤、トローチ剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤などが挙げられる。これらのうち、有効成分が口腔内に溶出し易い経口製剤、例えば、散剤、トローチ剤、ドライシロップ剤、錠剤、懸濁剤などに対して有効であり、錠剤に対して特に有効であり、口腔内崩壊錠(OD錠)に対して最も有効である。
(OD錠)
本発明の口腔内崩壊錠(OD錠)は、前記時限放出型顆粒を含んでいればよい。時限放出型顆粒の割合は、OD錠中1質量%以上であってもよく、例えば1~90質量%、好ましくは3~80質量%、さらに好ましくは5~70質量%、より好ましくは10~60質量%、最も好ましくは12~55質量%である。
本発明のOD錠は、前記時限放出型顆粒に加えて、速崩壊性顆粒をさらに含んでいてもよい。速崩壊性顆粒は、賦形剤(第3の賦形剤)および崩壊剤(第3の崩壊剤)を含むのが好ましい。
第3の賦形剤としては、前記時限放出型顆粒のコーティング層の項で例示された第1の賦形剤を利用できる。前記賦形剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記賦形剤のうち、D-マンニトールなどの糖アルコール、結晶セルロースなどのセルロース類、エチルセルロースなどのセルロースエーテル類が好ましい。
第3の賦形剤の割合は、速崩壊性顆粒中30質量%以上であってもよく、例えば30~95質量%、好ましくは50~90質量%、さらに好ましくは60~85質量%、より好ましくは65~80質量%、最も好ましくは70~75質量%である。
第3の崩壊剤としては、例えば、多糖類[トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプン、酸化デンプン、デキストリン、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウムなどのデンプン類;カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)などのセルロースエーテル類;寒天、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビンガム、トラガントガム、プルラン、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ペクチン、コンドロイチン硫酸ナトリウムなど]、タンパク質(ゼラチン、カゼイン、ダイズタンパク質など)、ポリビニルピロリドン類[ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ビニルピロリドン共重合体(コポリビドン)、クロスポビドンなど]、ケイ酸類(タルク、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなど)、鉱物類(ベントナイト、合成ヒドロタルサイト、カオリンなど)などが挙げられる。これらの崩壊剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの崩壊剤のうち、トウモロコシデンプン、部分アルファ化デンプンなどのデンプン類、クロスポビドンなどのポリビニルピロリドン類、軽質無水ケイ酸などのケイ酸類が好ましく、デンプン類、ケイ酸類が特に好ましい。
第3の崩壊剤の割合は、第3の賦形剤100質量部に対して、例えば5~100質量部、好ましくは10~50質量部、さらに好ましくは20~40質量部、最も好ましくは30~35質量部である。第3の崩壊剤の割合が少なすぎると、OD錠の崩壊性が低下する虞があり、逆に多すぎると、機械的特性が低下する虞がある。
速崩壊性顆粒は、経口製剤に配合される慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、結合剤、滑沢剤、可塑剤、界面活性剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤または矯味剤、抗酸化剤、防腐剤または保存剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤、流動化剤などが挙げられる。
速崩壊性顆粒の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、例えば10~500μm、好ましくは10~400μm、さらに好ましくは10~300μm、より好ましくは20~200μm、最も好ましくは30~200μmである。
速崩壊性顆粒の割合は、時限放出型顆粒100質量部に対して、例えば10~3000質量部、好ましくは50~1000質量部、さらに好ましくは50~800質量部、最も好ましくは70~600質量部である。
本発明のOD錠は、前記時限放出型顆粒および前記速崩壊性顆粒に加えて、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤としては、第4の賦形剤(D-マンニトールなどの糖アルコールなど)、流動化剤(軽質無水ケイ酸などのケイ酸類など)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸またはその金属塩など)、甘味剤または矯味剤(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスコルビン酸、ステビア、メントール、カンゾウ粗エキス、単シロップなど)、着香剤または香料(メントール、ジンジャーオイルなど)、清涼化剤などが挙げられる。
他の添加剤の割合は、時限放出型顆粒100質量部に対して、例えば0.1~100質量部、好ましくは1~70質量部、さらに好ましくは1~50質量部、最も好ましくは1~30質量部である。
本発明のOD錠の製造方法は、時限放出型顆粒を含む組成物を用いて打錠する方法であればよく、慣用の方法であってもよい。
(製剤の特性)
本発明の製剤(特に、OD錠などの錠剤)は、有効成分の溶出のラグ時間を制御でき、比較的長いラグ時間にも調整でき、例えば、ラグ時間を1分以上に調整し、pH1.2での有効成分の溶出率が60分で85%以上溶出する経口製剤を容易に調製できる。
本発明の製剤(特に、OD錠などの錠剤)は、溶出試験パドル法において、60分経過時におけるpH1.2での有効成分の溶出率が85%以上であり、例えば85~100%、好ましくは90~100%、さらに好ましくは95~100%である。前記溶出率が低すぎると、即時放出性が低下する。
本発明の製剤(特に、OD錠などの錠剤)は、溶出試験パドル法において、pH6.8で有効成分の10%が溶出する時間(溶出率10%に達するまでの時間)が6分以上であり、例えば6~15分、好ましくは6~14分、さらに好ましくは6~13分、より好ましくは6~12分、最も好ましくは6~11.5分である。前記溶出時間が短すぎると、口腔内において有効成分の溶出を抑制できない虞がある。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例における評価方法を以下に示す。また、使用した原料の質量は全て固形分質量である。
[粒径分布]
粒径分布(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、商品名「マスターサイザー3000」)を用いて、体積基準で測定した。
[コーティング層の平均厚み]
コーティング前後の粒径分布(D50)から算出した。
[時限放出型顆粒またはOD錠の溶出性]
第18改正日本薬局方 溶出試験法 パドル法(回転数50rpm、溶出試験第1液900mL(pH1.2))に準拠して、時限放出型顆粒の平均溶出率を測定し、溶出率が85%に達する時間を溶出時間とした。なお、時限放出型顆粒については、溶出試験中のコーティング顆粒同士の付着・凝集を防ぐため、事前にコーティング顆粒に対して等倍の速崩壊性顆粒A(下記製造方法で得られた賦形剤と崩壊剤で構成される顆粒)を混合し、試験ベッセルへ投入した。
溶出率は、ファイバープローブ型紫外可視分光光度計(Rainbow,Pion株式会社製)を用いて測定した(測定波長:288nm)。
(速崩壊性顆粒Aの製造方法)
転動流動層造粒乾燥機にD-マンニトール71質量部、エチルセルロース2質量部、軽質無水ケイ酸1質量部を投入した。トウモロコシデンプン20質量部およびクロスポビドン6質量部を精製水86.67質量部に分散させ、この分散液を前記投入物にスプレーして造粒した後、乾燥し、目開き30M(目開き500μm)の篩で分級し、速崩壊性顆粒Aを得た。
[時限放出型顆粒またはOD錠のラグ時間]
第18改正日本薬局方 溶出試験法 パドル法(回転数50rpm、溶出試験第2液900mL(pH6.8))で溶出率が1%に達した時点をラグ時間とした。具体的には、測定した時間と溶出率とのグラフにおいて、溶出率が1%に達する前後のポイントを結んだ直線に基づいて、溶出率が1%に達する時点をラグ時間とみなした。
[OD錠の硬度]
硬度の測定には硬度計(ERWEKA社製、商品名「TBH425」)を用いた。
[崩壊時間(第18改正日本薬局方)]
崩壊試験機(日本薬局方準拠)を用いた。ガラス容器に37℃の水900mLを入れ、錠剤を入れたバスケット(底部が網状)を容器の水中で上下運動させ、錠剤が崩れきるまでの時間を測定した。
実施例1
[球状核部の調製]
レボフロキサシン水和物(0.5水和物、以下同じ)89.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製「HPC-L」、以下同じ)10.5質量部からなる混合粉体に、50質量%エタノール水溶液9質量部を噴霧し、高速攪拌混合機を用いて造粒した。転動流動層造粒乾燥機を用いて得られた造粒物を乾燥後、目開き30Mの篩で篩い、目開き30Mの篩を通過したものを球状核部として得た。
[コーティング層の被覆工程]
得られた球状核部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。高水浸透性重合体(エボニック社製のアンモニオアルキルメタクリレートコポリマー「オイドラギットRLPO」、アンモニオメタクリレート単位の割合8.85~11.96質量%、以下同じ)20質量部、低水浸透性重合体(エボニック社製のアンモニオアルキルメタクリレートコポリマー「オイドラギットRSPO」、アンモニオメタクリレート単位の割合4.48~6.77質量%、以下同じ)20質量部を90質量%エタノール水溶液400質量部に溶解後、タルク(日本タルク株式会社製「ミクロエースP-3」)20質量部を分散させた分散液を、前記球状核部100質量部に対して全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、中心粒径(D50)200μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例2
球状核部を調製するための混合粉体として、レボフロキサシン水和物79.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロース10.5質量部、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業株式会社製「LH-31」、以下同じ)10質量部からなる混合粉体を用いる以外は実施例1と同様にして中心粒径(D50)220μmの時限放出型顆粒を得た。
比較例1
球状核部を調製するための混合粉体として、レボフロキサシン水和物74.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロース10.5質量部、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース15質量部からなる混合粉体を用いる以外は実施例1と同様にして中心粒径(D50)201μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例3
[原料の調整]
ヒドロキシプロピルセルロースを、目開き140M(目開き106μm)の篩と目開き200M(目開き75μm)の篩とで分級し、粒径75~106μmのヒドロキシプロピルセルロースAを調製した。
[球状核部の調製]
レボフロキサシン水和物89.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロースA 10.5質量部からなる混合粉体に、50質量%エタノール水溶液9質量部を噴霧し、高速攪拌混合機を用いて造粒した。転動流動層造粒乾燥機を用いて得られた造粒物を乾燥後、目開き30Mの篩で篩い、中心粒径(D50)が162μmの球状核部を得た。
[コーティング層の被覆工程]
得られた球状核部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。高水浸透性重合体6.7質量部、低水浸透性重合体6.7質量部を90質量%エタノール水溶液134質量部に溶解後、タルク6.7質量部を分散させた分散液を、前記球状核部100質量部に対して全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、中心粒径(D50)182μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例4
[原料の調整]
ヒドロキシプロピルセルロースを、目開き100M(目開き150μm)の篩と目開き140Mの篩で分級し、粒径106~150μmのヒドロキシプロピルセルロースBを調製した。
[球状核部の調製]
レボフロキサシン水和物89.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロースB 10.5質量部からなる混合粉体に、50質量%エタノール水溶液10質量部を噴霧し、高速攪拌混合機を用いて造粒した。転動流動層造粒乾燥機を用いて得られた造粒物を乾燥後、目開き30Mの篩で篩い、中心粒径(D50)が203μmの球状核部を得た。
[コーティング層の被覆工程]
得られた球状核部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。高水浸透性重合体6.7質量部、低水浸透性重合体6.7質量部を90質量%エタノール水溶液134質量部に溶解後、タルク6.7質量部を分散させた分散液を、球状核部100質量部に対して、全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、中心粒径(D50)219μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例5
[原料の調整]
ヒドロキシプロピルセルロースを、目開き83M(目開き180μm)の篩と目開き100Mの篩とで分級し、粒径150~180μmのヒドロキシプロピルセルロースCを調製した。
[球状核部の調製]
レボフロキサシン水和物89.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロースC 10.5質量部からなる混合粉体に、50質量%エタノール水溶液9.4質量部を噴霧し、高速攪拌混合機を用いて造粒した。転動流動層造粒乾燥機を用いて得られた造粒物を乾燥後、目開き30Mの篩で篩い、中心粒径(D50)が304μmの球状核部を得た。
[コーティング層の被覆工程]
得られた球状核部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。高水浸透性重合体6.7質量部、低水浸透性重合体6.7質量部を90質量%エタノール水溶液134質量部に溶解後、タルク6.7質量部を分散させた分散液を、球状核部100質量部に対して全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、中心粒径(D50)316μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例6
[球状核部の調製]
レボフロキサシン水和物89.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロース10.5質量部からなる混合粉体に、50質量%エタノール水溶液9質量部を噴霧し、高速攪拌混合機を用いて造粒した。転動流動層造粒乾燥機を用いて得られた造粒物を乾燥後、目開き30Mの篩で篩い、目開き30Mの篩を通過したものを球状核部として得た。
[コーティング層の被覆工程]
得られた球状核部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。高水浸透性重合体26.6質量部を90質量%エタノール水溶液266質量部に溶解後、タルク13.3質量部を分散させた分散液を、球状核部100質量部に対して全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、中心粒径(D50)190μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例7
[球状核部の調製]
レボフロキサシン水和物89.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロース10.5質量部からなる混合粉体に、50質量%エタノール水溶液9質量部を噴霧し、高速攪拌混合機を用いて造粒した。転動流動層造粒乾燥機を用いて得られた造粒物を乾燥後、目開き30Mの篩で篩い、目開き30Mの篩を通過したものを球状核部として得た。
[コーティング層の被覆工程]
得られた球状核部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。高水浸透性重合体20質量部、低水浸透性重合体6.6質量部を90質量%エタノール水溶液266質量部に溶解後、タルク13.3質量部を分散させた分散液を、球状核部100質量部に対して全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、中心粒径(D50)191μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例8
[球状核部の調製]
レボフロキサシン水和物89.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロース10.5質量部からなる混合粉体に、50質量%エタノール水溶液9質量部を噴霧し、高速攪拌混合機を用いて造粒した。転動流動層造粒乾燥機を用いて得られた造粒物を乾燥後、目開き30Mの篩で篩い、目開き30Mの篩を通過したものを球状核部として得た。
[コーティング層の被覆工程]
得られた球状核部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。高水浸透性重合体13.3質量部、低水浸透性重合体13.3質量部を90質量%エタノール水溶液266質量部に溶解後、タルク13.3質量部を分散させた分散液を、球状核部100質量部に対して全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、中心粒径(D50)190μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例9
[球状核部の調製]
レボフロキサシン水和物89.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロース10.5質量部からなる混合粉体に、50質量%エタノール水溶液9質量部を噴霧し、高速攪拌混合機を用いて造粒した。転動流動層造粒乾燥機を用いて得られた造粒物を乾燥後、目開き30Mの篩で篩い、目開き30Mの篩を通過したものを球状核部として得た。
[コーティング層の被覆工程]
得られた球状核部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。高水浸透性重合体3.3質量部、低水浸透性重合体10質量部を90質量%エタノール水溶液133質量部に溶解後、タルク6.7質量部を分散させた分散液を、球状核部100質量部に対して全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、中心粒径(D50)184μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例10
[球状核部の調製]
レボフロキサシン水和物89.5質量部、ヒドロキシプロピルセルロース10.5質量部からなる混合粉体に、50質量%エタノール水溶液9質量部を噴霧し、高速攪拌混合機を用いて造粒した。転動流動層造粒乾燥機を用いて得られた造粒物を乾燥後、目開き30Mの篩で篩い、目開き30Mの篩を通過したものを球状核部として得た。
[コーティング層の被覆工程]
得られた球状核部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。高水浸透性重合体6.6質量部、低水浸透性重合体20質量部を90質量%エタノール水溶液266質量部に溶解後、タルク13.3質量部を分散させた分散液を、球状核部100質量部に対して全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、中心粒径(D50)189μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例11
[核部の調製]
ベポタスチンベシル酸塩(大地化成株式会社製)10質量部を目開き100Mの篩と目開き200M(目開き75μm)の篩とで分級し、粒径75~150μmの核部を得た。
[第1のコーティング層の被覆工程]
得られた核部10質量部を転動流動層造粒乾燥機に投入した。高水浸透性重合体1.4質量部、低水浸透性重合体3.27質量部を90質量%エタノール水溶液46.65質量部に溶解後、タルク2.33質量部を分散させた分散液を、核部10質量部に対して全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、第1のコーティング顆粒を得た。
[第2のコーティング層の被覆工程]
得られた第1のコーティング顆粒を転動流動層造粒乾燥機に投入した。D-マンニトールA(ROQUETTE社製「PEARLITOL 50C」)2.55質量部を精製水15.94質量部に溶解後、第1のコーティング顆粒17質量部に対して全量スプレーしてコーティングした後、乾燥し、目開き100Mの篩と目開き200Mの篩とで分級し、粒径75~150μmの第2のコーティング顆粒を得た。
[キュアリング工程]
得られた第1のコーティング顆粒19.55質量部とタルク0.58質量部とを混合し、得られた混合物を角バットに敷き詰め、恒温恒湿槽内で一定時間静置し、中心粒径(D50)131μmの時限放出型顆粒を得た。
実施例1~11および比較例1で得られた時限放出型顆粒のpH1.2での溶出性およびpH6.8でのラグ時間を測定した結果を表1に示す。
Figure 2024003789000001
表1の結果から明らかなように、比較例1で得られた時限放出型顆粒のラグ時間が短かったのに対して、実施例1~11で得られた時限放出型顆粒は、溶出性に優れ、ラグ時間も長かった。
実施例1~2および比較例1で得られた時限放出型顆粒について、pH1.2での有効成分の溶出プロファイル(表1の溶出時間)を図1に示し、pH6.8での有効成分の溶出プロファイル(表1のラグ時間)を図2に示す。図1から明らかなように、いずれの時限放出型顆粒も溶出性については、60分以内に85%以上溶出するが、図2から明らかなように、核部中に水膨潤性物質を15質量%含む比較例1で得られた時限放出型顆粒は、ラグ時間が短かった。従って、水膨潤性物質量は15質量%未満が望ましく、10質量%以下がさらに望ましい。
また、実施例3~5で得られた時限放出型顆粒について、pH1.2での有効成分の溶出プロファイルを図3に示し、pH6.8での有効成分の溶出プロファイルを図4に示す。図3から明らかなように、球状核部の中心径が小さい程、溶出速度が速い傾向が認められた。一方で、図4から明らかなように、球状核部の粒子径を大きくしても、ラグ時間の延長は認められず、球状核部の粒子径が203μm以下(実施例3、4)の時、溶出性とラグ時間のバランスに優れていた。
さらに、実施例6~10で得られた時限放出型顆粒について、pH1.2での有効成分の溶出プロファイルを図5に示し、pH6.8での有効成分の溶出プロファイルを図6に示す。図5から明らかなように、コーティング層中の高水浸透性重合体の割合が多いほど、溶出性が高かった一方で、図6から明らかなように、コーティング層中の低水浸透性重合体の割合が多いほど、ラグ時間が長く、少ないコーティング量でラグ時間を形成できた。
実施例11および比較例1で得られた時限放出型顆粒について、pH1.2での有効成分の溶出プロファイル(表1の溶出時間)を図7に示し、pH6.8での有効成分の溶出プロファイル(表1のラグ時間)を図8に示す。図7から明らかなように、いずれの時限放出型顆粒も溶出性については、60分以内に85%以上溶出するが、図8から明らかなように、ラグ時間は、溶出率を2%以下に抑制できる時間を比較すると、比較例1よりも実施例11の方が長かった。
比較例2
[速崩壊性顆粒Bの調製]
崩壊剤としてトウモロコシデンプン20.0質量部およびクロスポビドン9.0質量部を精製水90質量部に分散させ、この分散液を造粒液とした。
転動流動層造粒乾燥機に、賦形剤としてD-マンニトール66質量部、エチルセルロース2.0質量部、崩壊剤として軽質無水ケイ酸1.0質量部を投入して混合し、前記造粒液をスプレーした後、乾燥し、目開き30Mの篩で分級し、中心粒径(D50)73μmの速崩壊性顆粒Bを得た。
[混合・打錠工程]
比較例1で得られた時限放出型顆粒55質量部、前記速崩壊性顆粒B 55質量部、流動化剤として軽質無水ケイ酸0.86質量部、、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社製「植物性(太平)」)0.574質量部、袋に入れて混合して打錠末を得た。単発打錠機を用いて得られた打錠末を打錠し、OD錠(錠径7mm、錠厚2.6mm、硬度20N、崩壊時間22秒)を得た。
実施例12
実施例1で得られた時限放出型顆粒45.83質量部、比較例2で得られた速崩壊性顆粒B 45.83質量部、流動化剤として軽質無水ケイ酸0.717質量部、、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社製「植物性(太平)」)0.478質量部、袋に入れて混合して打錠末を得た。単発打錠機を用いて得られた打錠末を打錠し、OD錠(錠径7mm、錠厚2.1mm、硬度20N、崩壊時間23秒)を得た。
実施例12および比較例2で得られたOD錠ならびに実施例1で得られた時限放出型顆粒について、pH1.2での有効成分の溶出プロファイルを図9に示し、pH6.8での有効成分の溶出プロファイルを図10に示す。図9から明らかなように、OD錠および時限放出型顆粒のいずれについても溶出性については、60分以内に85%以上溶出し、図10から明らかなように、ラグ時間は、実施例12(実施例1と同じ時限放出顆粒を含む)のOD錠よりも実施例1の時限放出型顆粒の方が長かったが、実施例12および実施例1のいずれも良好であった。また、実施例12のOD錠のラグ時間は、比較例2のOD錠(比較例1と同じ時限放出顆粒を含む)よりも長かった。
実施例13
実施例11で得られた時限放出型顆粒20.13質量部、比較例2で得られた速崩壊性顆粒B 111質量部、賦形剤としてD-マンニトール(Merck社製「Parteck M200」)0.49質量部、流動化剤として軽質無水ケイ酸1.35質量部、甘味剤としてアスパルテーム(味の素株式会社製)1.35質量部を拡散式混合機に投入して混合し、混合末を得た。さらに、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社製「植物性(太平)」)0.68質量部を投入し、混合して打錠末を得た。ロータリー式打錠機を用いて得られた打錠末を打錠し、OD錠(錠径7mm、錠厚3.4mm、硬度50N、崩壊時間20秒)を得た。
実施例13で得られたOD錠および実施例11で得られた時限放出型顆粒について、pH1.2での有効成分の溶出プロファイルを図11に示し、pH6.8での有効成分の溶出プロファイルを図12に示す。図11から明らかなように、OD錠および時限放出型顆粒のいずれについても溶出性については、60分以内に85%以上溶出し、図12から明らかなように、ラグ時間は、いずれも良好であったが、OD錠よりも時限放出型顆粒の方が長かった。
本発明の時限放出型顆粒は、各種の有効成分を含む経口製剤に含まれる顆粒として利用でき、ラグ時間経過後は速やかに有効成分が溶出し、短時間で溶出を完了するため、即時放出製剤に含まれる顆粒として特に有効に利用できる。

Claims (16)

  1. 有効成分を含む核部と、この核部を被覆するコーティング層とで形成された顆粒であって、
    前記核部中の水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満であり、
    前記コーティング層が、アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まず、
    溶出試験パドル法において、pH1.2での有効成分の溶出率が60分で85%以上である、顆粒。
  2. 前記(メタ)アクリル系重合体が、アンモニオメタクリレート単位の割合が7.5質量%以上である高水浸透性重合体と、アンモニオメタクリレート単位の割合が7.5質量%未満である低水浸透性重合体との組み合わせであり、かつ前記高水浸透性重合体と前記低水浸透性重合体との質量比が、前者/後者=10/90~90/10である請求項1記載の顆粒。
  3. 前記(メタ)アクリル系重合体の割合が、前記核部100質量部に対して10質量部以上である請求項1または2記載の顆粒。
  4. 前記核部の体積基準の累積50%粒子径(D50)が350μm未満である請求項1または2記載の顆粒。
  5. 前記有効成分が、37℃、pH1.2で15mg/mL以上の溶解度を有する請求項1または2記載の顆粒。
  6. 前記コーティング層の割合が、前記核部100質量部に対して10質量部以上である請求項1または2記載の顆粒。
  7. 前記コーティング層が無機化合物をさらに含み、前記無機化合物の割合が、前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して100質量部以下である請求項1または2記載の顆粒。
  8. 溶出試験パドル法において、pH6.8での有効成分の溶出率を2%以下に抑制できる時間が1分以上である請求項1または2記載の顆粒。
  9. 有効成分を含む核部と、この核部を被覆するコーティング層とで形成された顆粒を含む製剤であって、
    前記核部中の水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満であり、
    前記コーティング層が、アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まず、
    溶出試験パドル法において、pH1.2での有効成分の溶出率が60分で85%以上である、製剤。
  10. 前記(メタ)アクリル系重合体が、アンモニオメタクリレート単位の割合が7.5質量%以上である高水浸透性重合体と、アンモニオメタクリレート単位の割合が7.5質量%未満である低水浸透性重合体との組み合わせであり、かつ前記高水浸透性重合体と前記低水浸透性重合体との質量比が、前者/後者=10/90~90/10である請求項9記載の製剤。
  11. 溶出試験パドル法において、pH6.8での有効成分の溶出率を10%以下に抑制できる時間が6分以上である請求項9記載の製剤。
  12. 錠剤である請求項9~11のいずれか一つに記載の製剤。
  13. 前記錠剤が口腔内崩壊錠である請求項12記載の製剤。
  14. 有効成分を含み、かつ水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満である核部を製造する工程と、
    アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないコーティング組成物によって、前記核部を被覆する工程を含む顆粒の製造方法。
  15. 有効成分を含み、かつ水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満である核部を製造する工程と、
    アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないコーティング組成物によって、前記核部を被覆する工程を含む製剤の製造方法。
  16. アンモニオメタクリレート単位を有する(メタ)アクリル系重合体を含み、かつ水膨潤性物質および塩析型不溶化促進剤を実質的に含まないコーティング層で、有効成分を含み、かつ前記核部中の水膨潤性物質の含有質量が15質量%未満である核部を被覆することにより、前記有効成分の溶出を制御する方法。
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