JP2023554456A - 呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合する分子 - Google Patents

呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合する分子 Download PDF

Info

Publication number
JP2023554456A
JP2023554456A JP2023537092A JP2023537092A JP2023554456A JP 2023554456 A JP2023554456 A JP 2023554456A JP 2023537092 A JP2023537092 A JP 2023537092A JP 2023537092 A JP2023537092 A JP 2023537092A JP 2023554456 A JP2023554456 A JP 2023554456A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
rsv
antigen
binding fragment
seq
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023537092A
Other languages
English (en)
Inventor
チョン、ウェイホン
チア、チョンシン
Original Assignee
チューハイ トリノマブ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by チューハイ トリノマブ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド filed Critical チューハイ トリノマブ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
Publication of JP2023554456A publication Critical patent/JP2023554456A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/08Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from viruses
    • C07K16/10Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from viruses from RNA viruses
    • C07K16/1027Paramyxoviridae, e.g. respiratory syncytial virus
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/569Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for microorganisms, e.g. protozoa, bacteria, viruses
    • G01N33/56983Viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/56Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments variable (Fv) region, i.e. VH and/or VL
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/56Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments variable (Fv) region, i.e. VH and/or VL
    • C07K2317/565Complementarity determining region [CDR]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/70Immunoglobulins specific features characterized by effect upon binding to a cell or to an antigen
    • C07K2317/76Antagonist effect on antigen, e.g. neutralization or inhibition of binding
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/90Immunoglobulins specific features characterized by (pharmaco)kinetic aspects or by stability of the immunoglobulin
    • C07K2317/92Affinity (KD), association rate (Ka), dissociation rate (Kd) or EC50 value
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/90Immunoglobulins specific features characterized by (pharmaco)kinetic aspects or by stability of the immunoglobulin
    • C07K2317/94Stability, e.g. half-life, pH, temperature or enzyme-resistance
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/005Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from viruses
    • G01N2333/08RNA viruses
    • G01N2333/115Paramyxoviridae, e.g. parainfluenza virus
    • G01N2333/135Respiratory syncytial virus
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2469/00Immunoassays for the detection of microorganisms
    • G01N2469/10Detection of antigens from microorganism in sample from host

Abstract

本開示は、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合する分子及びその応用に関する。本開示は、前記分子の調製方法及び呼吸器合胞体ウイルスの表面糖タンパク質である融合タンパク質に特異的に結合する製品の調製及び呼吸器合胞体ウイルスワクチンの調製等における当該分子の応用をさらに提供する。

Description

本開示は、医学及び免疫学分野に関し、具体的に、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合する分子、前記分子を調製する方法、及び、呼吸器合胞体ウイルス感染を予防及び治療するためのその使用に関する。
呼吸器合胞体ウイルス(human respiratory syncytial virus、RSV)は、世界中で広く分布しており、乳幼児、高齢者及び免疫力低下の成人の下気道疾患(low respiratory illness、LRI)を招致する最も一般的なウイルス病原体の1つである。ほぼ全ての子供は、2歳で1回以上の感染を経験しており、感染のピック年齢は、2ヶ月~8ヶ月である。RSVは、乳児、小児の下気道感染の第一の要因であり、また、小児の気道疾患による入院の第一の要因でもある。乳幼児の入院例のうち、細気管支炎の40~50%、肺炎の25%は、RSV感染によるものである。さらに、いくつかの研究によれば、乳児の重度感染は、将来の喘息の危険因子であり、その重症度が他の微生物病原体よりも、はるかに高いことが示されている。高齢者も重度のRSV感染に悩まれているが、特定の治療法及び安全で効果的なワクチンの持続的欠如のために、世界中、RSV感染の罹患率及び死亡率を減少させることは依然として困難である。
RSV自然感染により生じする免疫は、不十分で、永続的な免疫力を生成することができないため、RSV感染の大きな特徴として、以前の感染により体内で産生された抗体が永続的な保護を提供できず、同じ流行期において、RSVの異なるサブタイプに再度感染され、即ち、複数回のRSVの自然感染が起こる場合であっても、生涯に亘ってウイルス感染に対する上気道の免疫保護を誘発できないため、繰り返し感染が非常に一般的である。
現在、RSV感染を予防及び治療する方法として、ワクチン開発、抗ウイルス化合物(リバビリン)、アンチセンス薬、RNA干渉技術、及び、抗体製品、例えば、免疫グロブリンや静脈注射モノクローナル抗体が含まれる。モノクローナル抗体であるパリビズマブ(Synagis(R))は、リスクの高い子供のRSV予防に承認されている。しかしながら、パリビズマブは、受動免疫接種のみにより予防治療として使用できる高価なヒト化モノクローナル抗体であり、リバビリンは、重篤な毒性及び催奇形作用を有するヌクレオシド代謝拮抗物である。
従って、新規な抗RSV薬、特にRSV感染を治療できる薬物の開発が、望まれている。
従来技術に存在する問題を解決するために、本開示は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質に特異的に結合する単離のヒト抗体又はヒト化抗体又はその抗原結合断片を提供する。また、本開示は、前記抗体及びその抗原結合断片をコードする核酸配列、前記核酸配列を含むベクター及び対応の宿主細胞、並びに、RSV感染の予防及び治療における前記中和抗体の使用を提供する。
第1の態様において、本開示は、軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含む、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質に特異的に結合する単離されたヒト抗体又はヒト化抗体又はその抗原結合断片であって、
重鎖可変領域は、(1)SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列のCDR1又は同等の機能を有する機能性活性化CDR変異体、(2)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列のCDR2又は同等の機能を有する機能性活性化CDR変異体、(3)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列のCDR3又は同等の機能を有する機能性活性化CDR変異体を含み、及び/又は、
軽鎖可変領域は、(1)SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列のCDR1又は同等の機能を有する機能性活性化CDR変異体、(2)SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列のCDR2又は同等の機能を有する機能性活性化CDR変異体、(3)SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列のCDR3又は同等の機能を有する機能性活性化CDR変異体を含む、単離のヒト抗体又はヒト化抗体又はその抗原結合断片を提供する。
1つの具体的な実施形態において、前記抗RSV抗体及びその抗原断片は、表1に示される抗体のVH領域配列から選ばれる1つ、2つ、又は、3つのCDR(好ましくは、3つのCDR)を含む。他のいくつかの実施形態において、本開示に係る抗体は、表1に示される抗体のVL領域配列から選ばれる1つ、2つ、又は、3つのCDR(好ましくは、3つのCDR)を含む。いくつかの実施形態において、本開示に係る抗体は、表1に示される抗体の6つのCDR領域配列を含む。1つの好ましい実施形態において、抗体のCDR配列は、表2に示されるCDR配列である。いくつかの実施形態において、本開示に係る抗RSV抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、(i)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、又は、前記配列に対して1つ又は複数且つ5つ以下のアミノ酸のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)、欠失又は挿入を含有する配列を含むCDR1、(ii)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、又は、前記配列に対して1つ又は複数且つ5つ以下のアミノ酸のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)、欠失又は挿入を含有する配列を含むCDR2、及び、(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、又は、前記配列に対して1つ又は複数且つ5つ以下のアミノ酸のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)、欠失又は挿入を含有する配列を含むCDR3、を含み、前記軽鎖可変領域は、(i)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、又は、前記配列に対して1つ又は複数且つ5つ以下のアミノ酸のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)、欠失又は挿入を含有する配列を含むCDR1、(ii)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、又は、前記配列に対して1つ又は複数且つ2つ以下のアミノ酸のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)、欠失又は挿入を含有する配列を含むCDR2、及び、(iii)SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列、又は、前記配列に対して1つ又は複数且つ5つ以下のアミノ酸のアミノ酸置換(例えば、保存的置換)、欠失又は挿入を含有する配列を含むCDR3、を含み、修飾したCDRを含む抗RSV抗体は、依然としてRSVに結合する能力を持っている。
いくつかの実施形態において、本開示に係る抗RSV抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、(i)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列からなるCDR1、(ii)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列からなるCDR2、及び、(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列からなるCDR3を含み、軽鎖可変領域は、(i)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列からなるCDR1、(ii)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列からなるCDR2、(iii)SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む。
いくつかの実施形態において、本開示に係る抗RSV抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域VH及び/又は軽鎖可変領域VLを含み、重鎖可変領域は、1)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は、99%以上の同一性、又は、より高い同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、前記配列からなり、前記VHを含む抗RSV抗体は、RSVに結合する能力を持ち、又は、
2)表2に示される抗体の3つの重鎖可変領域CDRを含み、かつ、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は、99%以上の同一性を有し、前記VHを含む抗RSV抗体は、RSVに結合する能力を持ち、又は、
3)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して1つ又は複数の置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を有するアミノ酸配列を含み、前記VHを含む抗RSV抗体は、RSVに結合する能力を持ち、
前記軽鎖可変領域は、1)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列と75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の同一性、又は、より高い同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は、前記配列からなり、前記VLを含む抗RSV抗体は、RSVに結合する能力を持ち、又は、
2)表2に示される抗体の軽鎖可変領域の3つのCDRを含み、かつSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は、99%以上の同一性を有し、前記VLを含む抗RSV抗体は、RSVに結合する能力を持ち、又は、
3)SEQ ID NO:8 のアミノ酸配列に対して1つ又は複数の置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を有するアミノ酸配列を含み、前記VHを含む抗RSV抗体は、RSVに結合する能力を持つ。
好ましい実施形態において、本開示に係る抗RSV抗体は、抗RSV中和抗体又はその抗原結合断片である。
一つの好ましい実施形態において、本開示は、重鎖可変領域VHがSEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、軽鎖可変領域VLがSEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、抗RSV中和抗体又はその抗原結合断片を提供する。
いくつかの実施形態において、本開示は、抗Fタンパク質中和抗体の抗原結合断片をカバーし、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH,F(ab’)2、ダイアボディ、線状抗体、1本鎖抗体分子(例えば、scFv)、及び、抗体断片で形成された多重特異性抗体を含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、前記抗RSV中和抗体又はその抗原結合断片は、ヒト抗体生殖系列の共通配列に由来する重鎖及び/又は軽鎖定常領域配列をさらに含む。前記軽鎖定常領域は、好ましくは、ヒトのκ又はλ鎖定常領域である。重鎖定常領域は、γ、μ、α、δ、又は、ε鎖定常領域であってもよく、いくつかの実施形態において、前記重鎖定常領域は、ヒトのIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD又はIgEアイソタイプである。各重鎖、軽鎖のタイプは、当分野に周知の配列を有する特定の定常領域に特徴付けられる。
いくつかの実施形態において、好ましくは、定常領域は、ヒトIgG定常領域であり、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又は、IgG4アイソタイプの定常領域である。
好ましくは、本開示に係るモノクローナル抗体は、軽鎖がκタイプ又はλタイプであってもよい。
1つの好ましい実施形態において、軽鎖は、λタイプである。軽鎖は、天然的に再配列された軽鎖タイプ、遺伝子改変された軽鎖タイプ、又は、合成された軽鎖タイプを含む、天然的に存在する鎖であってもよい。
本開示に係るモノクローナル抗体の重鎖は、アイソタイプIgM、IgA、又は、IgGから選ばれ、好ましくはIgGである。1つの好ましい実施形態において、モノクローナル抗体の重鎖は、IgGタイプである。
例えば、アミノ酸修飾部位がKabatらの(1991)EUインデックスシステムに応じて標識される1つ又は複数のアミノ酸の修飾を含む、これらの定常領域ドメインの配列変異体を使用しもよいと理解すべきである。前記修飾部位は、234、235、236、237、238、239、240、241、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、279、280、281、282D、283、284、285、286、287、288S、305、306、307、308、309、310、311、312、313、315、317、339、340、341、374、376、378、380、382、383、384、385、386、387、389、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、440及び443から選ばれる。任意的に、Fc領域は、当業者に既知の、追加部位及び/又は代替部位に非天然的に存在するアミノ酸残基(例として、米国特許5,624,821;6,277,375;6,586,207;6,737,056;7,083,784;7,317,091;7,217,797;7,276,585;7,355,008;2002/0147311;2004/0002587;2005/0215768;2007/0135620;2007/0224188;2008/0089892;WO94/29351;WO99/58572;WO 98/48032;WO03/073238;WO05/35727A2;WO05/74524A2;J.W.Chinら、(2002),Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027;J.W.Chin &P.G. Schultz,(2002),ChemBioChem 11:1135-1137;J.W.Chinら、(2002),PICAS United States of America 99:11020-11024;及び、L.Wang&P.G.Schultz,(2002),Chem.1-10を含む)を含む。
いくつかの実施形態において、前記抗体のグリコシル化を防止するために、例えば、ヒトIgG定常領域に対して修飾を行い、このような修飾は、N297A又はN297Qであってもよい(Sazinsky,PNAS(2008),105(51):20167-20172)。
いくつかの実施形態において、Fc受容体の相互作用を変えるために、例えば、ヒトIgG定常領域に対して修飾を行い、このような修飾は、L234A及び/又はL235E又はL235Aあってもよい。
いくつかの実施形態において、鎖交換を防止又は減少するために、例えば、ヒトIgG定常領域に対して修飾を行い、このような修飾は、S228P(Angal,S.Mol Immunol(1993),30:105-108)あってもよい。
いくつかの実施形態において、抗体依存性細胞毒性作用(ADCC)及び/又は補体依存性細胞毒性作用(CDC)を変えるために、例えば、ヒトIgG定常領域に対して修飾を行い、このような修飾は、既知である(Natsumeら,Cancer Res(2008),68(10):3863-72;Idusogieら,J.Immunol(2001),166(4):2571-5;Mooreら,mAbs(2010,2(2):181-189;Lazarら,PNAS(2006),103(11):4005-4010;Shieldsら,J.Biol.Chem.(2001),276(9):6591-6604;Stavenhagen.Cancer Res(2007),67(18):8882-8890;Alegreら,J.Immunol(1992)148:3461-3468.;Kaneko,Niwaら,Biodrugs(2011),25(1):1-11.を含むが、これらに限られない)。
いくつかの実施形態において、T366W修飾により、及び、任意にさらに対応するCH3ドメインにおけるS354C及びY349C修飾により、ジスルフィド結合を導入して異種二量体化を誘導することができる(Carter,Journal of Immunological Methods(2001),248:7-15.)。
いくつかの実施形態において、前記抗RSV中和抗体又はその抗原結合断片は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質(Fタンパク質)に特異的に結合し、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質の融合前立体配座を有するタンパク質(Pre-F)あってもよい。一つの好ましい実施形態において、前記中和抗体は、1×10-5M以下、例えば、1×10-6M、1×10-7M、1×10-8M、1×10-9M、又は、1×10-10M、又はより小さいKDでRSV Pre-Fタンパク質に結合する。
特に、本開示に提供される呼吸器合胞体ウイルスの中和抗体は、ヒト由来抗体、ヒト抗体、又は、単一ドメイン抗体である。
第2の態様において、本開示は、前記研究成果に基づいて、前記抗体又はその断片のいずれかをコードする核酸分子をさらに提供する。上記の抗体分子のアミノ酸配列に基づいて、当業者は、当分野で周知の常識に従い、本願に提供される核酸分子を容易に得ることができる。一つの実施形態において、前記核酸分子は、コドンの縮重により得られた核酸分子を含む。
上記抗体をコードする核酸分子は、自身の細胞又はB細胞で発生する再配列により派生される天然に存在する核酸あってもよく、又は、核酸は、合成されたものあってもよい。合成された核酸は、修飾されたヌクレオシド間結合を有し、分解に対する核酸の抵抗性を高めるためにホスホロチオエートを含む核酸を含む。核酸は、遺伝子操作、又はヌクレオチド合成により完全に合成されてもよい。
1つの好ましい実施形態において、本開示は、少なくとも1種の本開示に係るモノクローナル抗体の軽鎖をコードする核酸及び/又は少なくとも1種の本開示に係るモノクローナル抗体の重鎖をコードする核酸を含むベクターを提供する。核酸は、同一のベクターに存在してもよく、異なるベクターに存在してもよい。好ましくは、ベクターは、軽鎖及び/又は重鎖をコードする核酸の発現を容易にするように核酸に作動可能に接続されたプロモーターを含む。好ましくは、ベクターは、宿主細胞での複製及び維持のための開始点をさらに含む。ベクターは、軽鎖又は重鎖をコードする核酸の5’に位置するシングル配列をコードするヌクレオチド配列をさらに含み得る。シングル配列は、コードされたペプチド鎖の培地への分泌を容易にする。
従って、前記核酸分子を含む組換え発現ベクター、又は発現カセット、又はトランスジェニック細胞系、又は組換え菌なども本開示の保護範囲に属すると理解すべきである。
当分野では、多くの原核生物及び真核生物の発現系が知られており、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞及び哺乳動物細胞などの真核宿主細胞がある。好ましくは、哺乳動物細胞は、HEK293細胞、PerC6細胞、CHO細胞、COS細胞又はHELA細胞及びそれらの誘導体などから選ばれる。特に好ましいのは、ヒト由来の産生細胞系である。
1つの好ましい実施形態において、本開示に係るヒトモノクローナル抗体は、RSVFタンパク質(RSV Pre-F及び/又はRSV Post-F)に対して高力価を有する血漿サンプルの血液リンバ球に由来し、このようにして得られたヒト抗体は、RSVに対する高親和性及び中和効果を有することで、感染に対する効果的な保護を達成することができる。
本開示は、モノクローナル抗体を生成するための方法をさらに提供する。1つの実施形態において、前記発現ベクターを含む宿主細胞を培養することでモノクローナル抗体を生成する。1つの実施形態において、生成されたモノクローナル抗体が上清に分泌され、且つ従来のクロマトグラフィー技術により精製することができる。
1つの実施形態において、本開示は、本開示に係る方法で調製された抗RSV抗体又はその抗原結合断片を提供する。
第3の態様において、本開示は、下記のa)~d)の少なくとも1種における前記RSVに特異的に結合する抗体の使用を提供する。
a)呼吸器合胞体ウイルスの表面糖タンパク質である融合タンパク質に特異的に結合する製品の調製
b)呼吸器合胞体ウイルス抗原に特異的に結合する製品の調製
c)呼吸器合胞体ウイルスを予防、治療又は補助治療するための製品の調製
d)呼吸器合胞体ウイルスワクチンの調製
好ましくは、前記製品は、薬物である。
好ましい応用形態として、本開示は、本開示に提供された抗RSV抗体又はその抗原結合断片を活性成分とする、呼吸器合胞体ウイルスの感染を予防、治療又は補助治療するための薬物をさらに提供する。
好ましくは、本開示に提供される抗体と1種の薬学的に許容される担体とを薬物に調製し、当分野で既知の様々な方法で投与することができる。投与経路及び/又は形態は、所望の結果によって異なる。
第5の態様において、本開示は、本願に提供される抗RSV抗体又はその抗原結合断片のいずれかを含む組成物を提供し、好ましくは、組成物は、薬物組成物である。
1つの実施形態において、前記組成物は、医薬担体をさらに含む。1つの実施形態において、組成物に含まれる抗RSV抗体及びその抗原結合断片は、コンジュゲーション部分にコンジュゲートする。1つの実施形態において、当該薬物組成物は、薬学的に許容されるキャリア、賦形剤、又は、希釈剤をさらに含む。
第6の態様において、本開示は、被験者に予防有効量又は治療有効量の本開示に係る抗RSV抗体、又は、本開示に係る薬物組成物を投与することを含む、RSV感染に関連する疾患又は症状を予防又は治療するための方法を提供する。
本開示は、被験者に有効量の本開示に係る抗RSV抗体、又は、本開示に係る薬物組成物を投与することを含む、RSV感染に関連する疾患又は症状を寛解又は改善するための方法にも関する。
投与は、任意の適切な経路によって行ってもよく、体表(topically)、非経口、局所的又は全身、例えば、鼻内、筋肉内、皮内、腹腔内、静脈内、皮下、経口投与、又は肺による投与を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本願に提供される薬物組成物は、噴霧吸入器又は吸入器により投与する。本開示に提供される抗RSV抗体、又は、薬物組成物は、任意の適切な対象、例えば哺乳動物、例えばヒトに投与することができる。
第7の態様において、本開示は、(a)対象又はサンプルを、本開示に提供される抗RSV抗体又はその断片のいずれかと接触させること、及び、(b)抗RSV抗体又はその断片とRSVとの間の複合体の形成を検出すること、を含む対象又はサンプルにおけるRSVを検出する方法を提供する。1つの好ましい実施形態において、本開示に係る抗RSV抗体及びその抗原結合断片は、検出可能なタグをさらに含む。
第8の態様において、本開示は、被験者のRSV感染に関連する疾患又は症状を予防又は治療するための薬物又はキットの調製における、本開示に提供される抗RSV抗体又はその断片のいずれかの使用に関する。
1つの実施形態において、本開示は、被験者のRSV感染に関連する疾患又は症状を予防又は治療するための薬物又はキットの調製における、前記抗RSV抗体を含む組成物の使用を提供する。
第9の態様において、本開示は、本開示に係る抗体又は組成物を含むキット、例えば、診断キット、検出キット、治療キット等を提供する。
当分野における通常の知識を満たす限り、前記各好ましい条件は、互いに組み合わせて具体的な実施形態を得ることができる。
PBMCの特異的メモリーB細胞のフローソーティングの結果を示す図である。 精製後の非還元性及び還元性抗体タンパク質のSDS-PAGEプロファイルを示す図である。 抗体TRN1021と抗体TRN1022の平均発現量を示す図である。 抗体TRN1021と精製されたRSV Pre-F及びRSV Post-Fとの特異的結合の活性の結果を示す図である。 抗体TRN1021のインビトロでのマイクロ中和活性を示す図である。 抗体TRN1021と異なる濃度のRSV Pre-Fとの結合親和力を示す図である。 抗体TRN1021の広域スペクトルの中和能力試験の結果を示す図である。 抗体の異なる投与用量によるコットンラットの異なる組織におけるウイルス力価の検出結果を示し、図8A、図8Bは、RSV A2ウイルス力価の検出結果であり、図8C、図8Dは、RSV 9320ウイルス力価の検出結果である。 同上。 同上。 同上。
I.定義
以下、本開示を詳しく説明する前に、本開示は、本明細書に記載の特定の方法論、態様及び試薬に限定されないと理解すべきであり、これらは、変更可能であるためである。また、本明細書に使用される用語は、ただ具体的な実施形態を説明するために使用され、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、本発明の範囲は、ただ添付の特許請求の範囲に限定されることも理解すべきである。特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示の属する技術分野における当業者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。
本明細書を解釈するために、以下の定義が使用され、適切であれば、単数形で使用される用語は、複数形を含むこともでき、その逆も同様である。本明細書で使用される用語は、ただ特定実施形態を説明するために使用され、限定的であることを意図していないと理解すべきである。
特に断らない限り、本明細書で使用されている「約」又は「おおよそ」という用語は、所定値又は範囲の±10%以内である。整数であると要求されている場合、当該用語は、所定値又は範囲の±10%以内で最も近い整数に切り上げ又は切り捨てなるものである。
「約」という用語は、数値と組み合わせて使用される場合、指定された数値よりも5%小さい下限と、指定された数値よりも5%大きい上限とを有する範囲内の数値を包含することを意味する。
「及び/又は」という用語は、選択肢のいずれか又は両方を意味すると理解すべきである。
本明細書で使用される「含有する」又は「含む」という用語は、前記要素、整数、又はステップを含むが、任意の他の要素、整数、又はステップを排除するものではないことを意味する。本明細書では、「含有する」又は「含む」という用語が使用されるとき、特に断らない限り、前記要素、整数、又はステップからなる場合も含有する。
例えば、ある具体的な配列を「含有する」抗体可変領域が言及されている場合、その具体的な配列からなる抗体可変領域も含有することを意味する。
本願に提供されるのは、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)及びその抗原結合断片である。具体的な態様では、本願に提供されるのは、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に特異的に結合するモノクローナル抗RSV抗体であり、RSV抗体には親抗体の変異体も含まれている。具体的な態様において、本願に提供されるのは、呼吸器合胞体ウイルス(例えば、ヒト呼吸器合胞体ウイルス)に特異的に結合する抗体である。特定の態様において、本願に提供されるのは、1つ又は複数のアミノ酸残基中の修飾を含む抗RSV抗体(例えば、重鎖可変領域のフレーム領域の1つ又は複数のアミノ酸の置換)であり、前記修飾を有しない親抗体に比較して、その抗原に対する親和力が維持される。
「呼吸器合胞体ウイルス」又は「RSV」という用語は、1本鎖のマイナス鎖RNAウイルスであり、パラミクソウイルス科、ニューモウイルス属に属し、培養細胞に独特の細胞融合作用を起こさせることができるため、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)と命名される。RSVは、表面抗原の差異により、RSV-A及びRSV-Bなどの2つのサブタイプに分けることができる。当該ウイルスは、空中飛沫及び密接な接触により伝搬する。呼吸器合胞体ウイルスは、11種のタンパク質をコードする10種の遺伝子を含み、表面糖タンパク質である融合タンパク質(Fタンパク質)及び付着タンパク質(Gタンパク質)は、生体に防御抗体の産生を誘発する最も主要なウイルス抗原である。Gタンパク質は、サブタイプによって大きく異なり、Fタンパク質はサブタイプの間で高度に保存され、Fタンパク質は、ウイルスと細胞との融合、ウイルスの侵入、及び合胞体の形成を直接に媒介するため、生体に防御抗体の産生を誘発する主な標的タンパク質である。本明細書において、「呼吸器合胞体ウイルス」又は「RSV」とは、当業者に知られている任意の呼吸器合胞体ウイルス又はRSV分子である。例えば、RSVは、上記のサブタイプのいずれかを含んでもよく、例えば、RSVは哺乳動物由来であってもよく、例えば、RSVはヒト由来あってもよい。
Fタンパク質は、N末端で切断されたシグナルペプチド及びC末端の近くに膜アンカーを有する、全長574アミノ酸のN-グリコシル化I型膜貫通タンパク質である。Fタンパク質のアミノ酸配列は、GenBankに登録番号AAX23994として提供される。Fタンパク質は、ウイルス粒子表面に融合前の立体配座(Pre-F)と融合後の立体配座(Post-F)との構造を持っている。Pre-Fは、三量体として存在し、立体配座変化を経った後、疎水性融合ペプチドは、宿主細胞膜に挿入し、そして、Fタンパク質を安定な伸長した融合後の立体配座(Post-F)にリフォールディングし、ウイルスと宿主細胞膜との融合を招致する。
「実験室株」という用語は、インビトロ細胞培養において広く継代されているRSV株を指す。「実験室株」は、その生物学的特性に影響を及ぼし得る適応性の突然変異を獲得し得る。用語「臨床毒株」、「臨床単離株」又は「臨床サンプル単離株」は、感染した個体から得られ、単離され、有限回で継代され、組織培養に増殖されたRSVの単離物、例えばRSVサブタイプA又はサブタイプBを指す。
「抗体」という用語は、本明細書で最も広い意味で使用され、多くの抗体構造物を包含し、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)及び抗体断片を含むが、これに限定されず、これらが所望の抗原結合活性を示すものであればよい。完全な抗体は、通常、少なくとも2本の全長重鎖及び2本の全長軽鎖を含むが、場合によって、少ない鎖を含んでもよく、例えば、ラクダに天然的に存在する抗体は、重鎖のみを含んでもよい。抗体は、ヒト化又はヒト抗体及び単一ドメイン抗体、例えば、VH、VHH又はVLあってもよい。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、1本鎖Fv(scFv)、Fv、dsFv、ダイアボディ、FdとFd’断片、及び、修飾された断片などの他の断片を含むが、これらに限られない(例如,Methods in Molecular Biology,Vol 207:Recombinant Antibodies for Cancer Therapy Methods and Protocols(2003);Chapter 1;p3-25,Kipriyanov)。前記断片は、例えば、ジスルフィド結合及び/又はペプチドリンカーによって連結されている複数の鎖を含み得る。抗体断片は、一般的に、少なくとも又は約50個のアミノ酸を含み、且つ典型的には少なくとも又は約200個のアミノ酸を含む。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」又は「mAb」という用語は、例えば、真核生物、原核生物又はファージクローンに由来する単一コピー又はクローン抗体を指し、即ち、通常にわずかに存在する可能な変異体抗体(例えば、天然の変異を含むか、或いは、モノクローナル抗体製品の製造プロセスに生成される変異体抗体を含む)を除き、前記集団を構成する各抗体は、同一でああるか、及び/又は、同一のエピトープに結合する。「モノクローナル」という修飾語は、抗体が実質的に同質の抗体群から得られることを表し、任意の特定の方法で抗体を産生する必要があると解釈すべきではない。モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ技術、組換え技術、ファージディスプレイ技術、CDRグラフティングなどの合成技術、又は、これら技術或いは他の当分野で知られている技術の組み合わせにより産生されてもよい。
「天然抗体」という用語は、異なる構造を持つ天然的に存在する免疫グロブリン分子を指す。「天然配列Fcドメイン」は、自然界で見出されたFcドメインのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFcドメインは、例えば、天然配列ヒトIgG1 Fcドメイン(非A及びAアロタイプ)、天然配列ヒトIgG2 Fcドメイン、天然配列ヒトIgG3 Fcドメイン、及び天然配列ヒトIgG4 Fcドメイン、及びその天然的に存在する変異体を含む。
「ヒト抗体」という用語は、ヒト又はヒト細胞に生成され、又は、非ヒト供給源に由来し、ヒト抗体ライブラリー又は他のヒト抗体のコード配列を利用する抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。「ヒト抗体」という用語は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確的に排除される。
「中和抗体」という用語は、Fタンパク質の少なくとも1種の生物学的活性を低減又は抑制するための抗体を意味する。例えば、RSVと宿主細胞との融合を遮断し、合胞体形成を防止し、RSVによる原発性疾患を予防する抗体。又は、本開示に係る中和抗体は、RSV感染の少なくとも1種の症状を改善できる。生物学的活性の低減は、一部の低減又は完全な低減であってもよい。抗体がRSVを中和する程度は、抗体の中和効力と称される。抗体の中和効力は、競合的結合アッセイ、直接及び間接サンドイッチアッセイ、免疫沈殿アッセイ、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、プラーク減少アッセイ、マイクロ中和アッセイ、固定抗血清希釈ウイルス法、固定ウイルス希釈抗血清法、ならびに偽ウイルス中和アッセイを含むが、これらに限られない当業者に知られている及び/又は本明細書に言及される1つ又は複数の試験で決定又は測定することができる。
「相補性決定領域」又は「CDR領域」又は「CDR」又は「超可変領域」は、抗体可変領域のうち、主に抗原エピトープとの結合を担うアミノ酸領域である。重鎖及び軽鎖のCDRは、通常、CDR1、CDR2及びCDR3と呼ばれ、N-末端から順に番号付けされる。
特定のVH又はVLアミノ酸配列におけるCDR配列を決定するための様々なスキームが当分野で知られている。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列の変異性に基づいて決定され、最も一般的であり(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、 National Institutes of Health、 Bethesda、 Md.(1991))、一方、Chothiaは、構造環の位置を指し(Chothiaら、(1987)J.Mol.Biol.196:901-917;Chothiaら(1989)Nature 342: 877-883)、AbM CDRは、Kabat CDRとChothia構造環との折衷であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアに使用されており、「接触性」(Contact)CDRは、入手可能な複雑な結晶構造の解析に基づいている。異なるCDR決定スキームによると、これらCDRにおける各残基は、以下の通りである。
1つの実施形態において、本開示に係る抗体のCDRは、Kabatナンバリングシステムに従い、以下のKabat残基位置にあるCDR配列である。
VHにおける位置26-33(CDR1)、位置51-58(CDR2)、及び位置97-116(CDR3)、並びに、VLにおける位置27-32(CDR1)、位置50-52(CDR2)及び位置89-98(CDR3)。
CDRは、参照CDR配列(例えば、本開示に例示的なCDRのいずれか)と同じKabat番号付け位置を有することに基づいて決定され得る。
「機能的に活性なCDR変異体」という用語は、親CDRの機能(即ち、呼吸器合胞体ウイルスの対応する断片に特異的に結合することができる)を保持し、配列において親CDR配列と異なり、親CDRと比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の修飾を有するが、又は、親CDR配列と少なくとも60%超え、65%超え、70%超え、75%超え、80%超え、85%超え、90%超え、95%超え、96%超え、97%超え、98%超え、99%超え又はより高い配列同一性を有するアミノ酸配列を意味する。
アミノ酸残基の修飾は、アミノ酸配列の化学的変化又は配列変更あってもよいが、前記修飾は、親配列の生物学的な特性を保持する。配列変更は、1個~複数のアミノ酸残基、例えば、1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、又は断片のアミノ酸配列の付加、又は1個~複数のアミノ酸残基、例えば、1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸残基の化学的誘導体化、又はそれらの組み合わせであってもよい。アミノ酸残基の置換は、保存的置換あってもよい。
「保存的置換」という用語は、1つのアミノ酸が同種類の別のアミノ酸で置換されていること、例えば、1つの酸性アミノ酸が別の酸性アミノ酸で置換されていること、1つの塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸で置換されていること、又は1つの中性アミノ酸が別の中性アミノ酸で置換されていることを指す。
本明細書に使用される抗体に関連する「変異体」という用語は、少なくとも1個のアミノ酸残基(例えば、1~30個、又は1~20個、又は1~10個、例えば1個又は2個又は3個又は4個又は5個のアミノ酸残基)の置換、欠失及び/又は挿入、又は、1個又は複数個のアミノ酸残基の化学的誘導体化によりアミノ酸改変を有する、目的とする抗体領域(例えば、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域、又は、重鎖CDR領域又は軽鎖CDR領域)を含む抗体であって、変異体が改変前の抗体分子の生物学的特性を実質的に保持する、抗体を意味する。一方、本開示には、本明細書で言及される抗体の任意の変異体を包含する。1つの実施形態において、抗体変異体は、改変前の抗体の60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、又は100%の生物学的な活性(例えば、抗原結合能力)を保持する。抗体の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域、又は各CDR領域は、単独又は組み合わせて改変され得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の重鎖CDR又は3つの重鎖CDRのすべてにおけるアミノ酸改変は、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、又は10個以下である。好ましくは、上記アミノ酸改変は、アミノ酸置換であり、好ましくは、保存的置換である。いくつかの実施態様において、抗体変異体は、標的抗体配列領域において親抗体と少なくとも60%超え、65%超え、70%超え、75%超え、80%超え、85%超え、90%超え、95%超え、96%超え、97%超え、98%超え、99%超え又はより高い配列同一性を有する。
「単離された」抗体は、既にその天然環境の成分から単離された抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、95%又は99%を超える純度まで精製され、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電焦点(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)により確定される。抗体の純度を評価する方法の概要について、例えば、Flatmanら、J.Chromatogr.B848:79-87(2007)を参照する。
「単離された」核酸とは、既にその天然環境の成分から単離された核酸分子をいう。単離された核酸は、通常に該核酸分子を含む細胞内に含まれる核酸分子を含むが、該核酸分子は、染色体の外に存在するか、又はその天然の染色***置と異なる染色***置に存在する。
「親和性」又は「結合親和性」という用語は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)同士の相互作用を反映する固有の結合親和性を意味する。分子Xの配合体Yに対する親和性は、通常に平衡解離定数(KD)により表現され得る。平衡解離定数は、解離速度定数と結合速度定数と(それぞれkdis及びkon)の比である。KDが小さいほど、解離が小さく、抗体と抗原の間の親和力がより強いことを意味する。親和力は、本分野で知られている一般的な方法、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用してBIACORE装置で測定されたKDによって測定することができる。通常、抗体(例えば、本開示に係る中和抗体TRN1021)は、1×10-5M以下、例えば、約1×10-6M未満、約1×10-7M未満、約1×10-8M未満、約1×10-9M未満、約1×10-10M未満、又はより小さい平衡解離定数(KD)で抗原(例えば、RSVのFタンパク質)と解離する。
「免疫コンジュゲーション」という用語は、ベクターを含むがこれに限られない1種又は複数種の異種分子とコンジュゲートされた抗体を意味する。「薬物組成物」という用語は、その中に含まれる活性成分の生物学的活性が有効である形態で存在し、前記薬物の投与される被験者に対して、許容できない毒性を有する他の成分を含まない製剤を指す。
「医薬担体」という用語は、治療剤と共に投与される活性成分の生物的活性を妨げない1種又は複数種の非毒性材料を意味し、緩衝液、防腐剤、許容される担体、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全及び不完全))、賦形剤、媒介物及び任意の他の添加剤又はカプセル化物質を含むが、これらに限られない。本開示に適用可能な医薬品担体は、従来の医薬品製剤補助材、ならびに開示された中和抗体の送達に適用可能な組成物及び製剤あってもよい。
「治療」という用語は、上気道及び/又は下気道のRSV感染又はこれに関連する症状又は呼吸病状(例えば、喘息、喘ぎ又はこれらの組み合わせ)の進行、重症度及び/又は持続時間を遅延、改善、寛解、停止、又は、低減することを意味する。いくつかの実施形態において、当該用語とは、RSVの複製の低減又は抑制、他の組織又は被験者へのRSVの拡散の阻害又は低減(例えば、下気道への拡散)、細胞の感染RSVの抑制又は低減、又は上気道及び/又は下気道RSV感染に関連する1つ又は複数の症状の改善を意味する。
「予防」という用語は、被験者の上気道及び/又は下気道RSV感染又はこれに関連する呼吸病状の進行又は発症の予防又は抑制、投与療法(例えば、予防的な製剤又は治療的な製剤)に起因する上気道RSV感染から下気道RSV感染又はこれらに関連する呼吸病状への進行の予防又は抑制、上気道及び/又は下気道RSV感染又はこれに関連する呼吸病状の症状の予防、又は、投与療法の組み合わせ(例えば、予防的な製剤又は治療的な製剤の組み合わせ)を意味する。
「有效量」という用語は、単回又は複数回の用量を投与した後、所望の效果又はその一部が得られる量又は用量であり、「治療有効量」とは、治療された被験者に、被験者の症状の改善(例えば、1つ又は複数の症状の改善)及び/又は症状進行の遅延等の所望の效果を生み出す量である。疾患の予防有效量とは、疾患の発生を予防、防止又は遅延するのに十分な量を意味する。有效量の決定は、当業者の能力の範囲内であり、例えば、治療有効量は、関係する特定の疾患、疾患の程度又は重症度、個々の患者の応答、投与された特定の抗体、投与パターン、投与された製剤の生物学的利用率特性、選択された投与プロトコル、及び、付随療法の使用などに依存する。
「ワクチン」又は「ワクチン組成物」という用語は、動物において免疫応答を誘導する免疫原性組成物を含む組成物である。
「被験体」又は「個体」という用語は、霊長類(例えば、ヒト及びサルなどの非ヒト霊長類)である。いくつかの実施形態において、個体又は被験体は、ヒトである。
II.具体的な実施態様
一の態様において、本開示は、
(a)下記の重鎖可変領域を含むCDR:
SEQ ID NO:1の配列を含むCDR1;
SEQ ID NO:2の配列を含むCDR2;
SEQ ID NO:3の配列を含むCDR3;
及び、
(b)下記の軽鎖可変領域を含むCDR:
SEQ ID NO:4の配列を含むCDR1;
SEQ ID NO:5の配列を含むCDR2;
SEQ ID NO:6の配列を含むCDR3
を含む、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質に特異的に結合する単離された抗体又は抗原結合断片を提供する。
一の態様において、本開示は、SEQ ID NO:7に示される重鎖可変領域の3つのCDR、及び、SEQ ID NO:8に示される軽鎖可変領域の3つのCDRを含む、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
前記態様のいずれかに係る抗体又はその抗原結合断片によれば、重鎖可変領域は、
(1)前記態様のいずれかに係る重鎖CDRを含み、SEQ ID NO:7と80%以上の同一性を有する配列、又は、
(2)SEQ ID NO:7に示される配列を含む配列、から選ばれる。
前記態様のいずれかに係る抗体又はその抗原結合断片によれば、軽鎖可変領域は、
(1)前記態様のいずれかに係る軽鎖CDRを含み、SEQ ID NO:8と80%以上の同一性を有する配列、又は、
(2)SEQ ID NO:8に示される配列を含む配列、から選ばれる。
前記態様のいずれかに係る単離された抗体によれば、SEQ ID NO:7に示される配列を含む重鎖可変領域、及び、SEQ ID NO:8に示される配列を含む軽鎖可変領域を含む。
前記態様のいずれかに係る単離された抗体によれば、抗体は、IgG抗体である。
前記態様のいずれかに係る単離された抗体又は抗原結合断片によれば、抗原結合断片は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv又は(Fab’)2断片から選ばれる。
前記態様のいずれかに係る単離された抗体又は抗原結合断片によれば、少なくとも一部がヒト共通の定常領域配列である定常領域配列を含む。
一の態様において、本開示は、前記態様のいずれかに係る抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸分子を提供する。
一の態様において、本開示は、前記態様に係る核酸分子を含むベクターを提供する。
いくつかの好ましい実施形態において、前記ベクターは、発現ベクターである。
一の態様において、本開示は、前記ベクターを含む宿主細胞を提供する。
いくつかの好ましい実施形態において、前記宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞である。
いくつかの好ましい実施形態において、前記宿主細胞は、大腸菌細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、又は、抗体又はその抗原結合断片の調製に適する他の細胞から選ばれ、哺乳動物細胞は、例えば、CHO細胞、HEK293細胞又はCOS細胞である。
一の態様において、本開示は、前記態様のいずれかに係る抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸の発現に適する条件で前記宿主細胞を培養すること、任意に前記抗体又はその抗原結合断片を単離すること、及び、任意に産生された抗体又はその抗原結合断片を収集することを含む、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質に結合する抗体又はその抗原結合断片を産生する方法を提供する。
前記の態様に係る方法で調製された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
一の態様において、本開示は、前記抗体又はその抗原結合断片、及び、薬学的に許容される担体を含む、薬物組成物を提供する。
前記の態様に係る薬物組成物によれば、さらに他の治療剤を含む。本開示に提供される中和抗体又は薬物組成物は、併用するために、適切な担体、賦形剤、及び他の試薬に組み込むことができ、これにより、改善された移動、送達、耐性などを提供することが理解されるべきである。
一の態様において、本開示は、RSVに関連する疾患又は症状を予防又は治療するための薬物の調製における、前記態様のいずれかに係る抗体又はその抗原結合断片の使用を提供する。
本開示に係る薬物は、調製及び貯蔵条件で無菌かつ安定でなければならない。無菌注射用溶液を調製するための無菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、活性成分及び他の所望の成分の予め滅菌され濾過された溶液から、活性成分及び他の所望の成分の粉末を生成する真空乾燥及び凍結乾燥である。任意に、本開示に係る薬物は、溶液中に存在し、かつ送達前又は送達時に適切な薬学的に許容される賦形剤を添加及び/又は混合して注射可能な単位剤形を提供してもよい。好ましくは、本開示に使用される薬学的に許容される賦形剤は、濃度の高い薬物に適し、適当な流動性を維持し、かつ必要に応じて吸収を遅らせることができる。
一の態様において、本開示は、有效量の前記抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする被験者に投与することを含む、RSVに関連する疾患を予防又は治療するための方法を提供する。
1つの実施形態において、本開示に係る中和抗体は、ウイルスに対して100%の抑制作用を生じ得る。
一の態様において、本開示は、サンプルを前記抗体又はその抗原結合断片と接触させるステップを含む、前記サンプルにRSVが存在するかどうかを検出するための方法を提供する。
明確かつ簡潔な説明を目的として、本明細書において、特徴が同じ又は別個のいくつかの実施形態の一部として記載されているが、本開示の範囲は、記載されている特徴の全て又は一部の組み合わせを有するいくつかの実施形態を含み得ることが理解される。
実施例1:呼吸器合胞体ウイルス中和抗体のスクリーニング、発現及び精製
1、RSV Pre-F、RSV Post-Fタンパク質の発現及び同定
NCBIデータベースから目的遺伝子RSV A2株Fタンパク質の融合前立体配座(Pre-F)及び融合後立体配座(Post-F)の配列を見出し、その真核発現ベクターを構築し、タンパク質を発現及び精製した。PAGE検出により、天然的に存在する三量体形態のRSV Fタンパク質と一致するRSV Pre-Fタンパク質及びRSV Post-Fタンパク質が得られることが知られた。
次に、ELISA法により検出したところ、RSV Pre-Fタンパク質及びRSV Post-Fタンパク質は、いずれもマウスの抗呼吸器合胞体ウイルスの融合タンパク質抗体に陽性結合し、他の無関係な抗体に結合しないことが示された。従って、本実施例で発現されたRSV Pre-Fタンパク質及びRSV Post-Fタンパク質は、いずれも特異的な結合活性を有する天然の三量体構造タンパク質である。
2、陽性血漿サンプルのスクリーニング及びメモリーB細胞の単離
健康な成人ボランティアから末梢静脈血を採取し、Ficoll密度勾配遠心分離により末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。ELISA法でRSV Fタンパク質(RSV Pre-F及びRSV Post-F)に対して高い力価を有する血漿サンプルをスクリーニングした。抗体力価の高い血漿サンプルをスクリーニングし、そして、当該サンプルのPBMCをフローソーティングした。
フローサイトメトリーによるメモリーB細胞のソーティング:37℃のウォーターバスで蘇生したPBMCを40μmフィルターメンブレンで濾過し、フローサイトメーター(メーカー:BD、型番:FACSria)で個々の形質細胞をソーティングし、CD3-PE-Cy5-/CD16-PE-Cy5-/CD235a-PE-Cy5-/CD14-FITC-/IgD-PE-/CD20-APC+/CD27-APC-H7+RSV Post-BV421+/RSV pre-PE-Cy7+に従い、ゲート制御を設定して選別し、PBMCからRSV Fタンパク質(Pre-F及び/又はPost-F)に対する特異的なメモリーB細胞の細胞集団を選択し、このように選択された形態的に無傷の単一の細胞を、1ウェルあたり1つのメモリーB細胞を含むように96ウェルPCRプレート(単一細胞ライセート20μL/1ウェルを含む)に置き、-80℃の冷蔵庫に保管した。
ソーティング結果を図1に示し、検出するサンプルにおけるメモリーB細胞をフローサイトメトリーによりソーティングし、Pre-Fタンパク質及び/又はPost-Fタンパク質に特異的に結合するメモリーB細胞をスクリーニングした。
3、抗体可変領域遺伝子の単離
(1)RT-PCR:単一のB細胞を含有する96ウェルプレートに異なるサブタイプの重鎖及び軽鎖の定常領域プライマー(プライマーは、常法で特定の部位において設計され、CN107760690Bを参照)0.5μM及びSuperscript III逆転写酵素を添加し、37℃で1時間インキュベートし、下記の条件でPCR増幅を行い、即ち、95℃で15min予備変性し、次いで95℃で1min変性し、55℃で1minアニーリングし、72℃で1min伸長することを30回サイクルし、最後に72℃で10min伸長し、4℃で5min保存し、得られた生成物cDNAを-20℃で保存した。
(2)PCR:50μL反応系に逆転写生成物5μL、HotStarTaq Plus酵素、dNTPs及び0.5μMの異なるサブタイプの重鎖及び軽鎖可変領域の特異性プライマー(プライマーは、常法で特定の部位において設計され、CN107760690Bを参照)を含み、以下の条件でPCR増幅を行い、即ち、94℃で5min予備変性し、次いで94℃で30s変性し、55℃で30sアニーリングし、72℃で50s伸長することを、35回サイクルし、最後に72℃で7min伸長した。
得られたPCR生成物を1%アガロースゲルゲル電気泳動で検出し、残りのPCR生成物をQiagen PCR Purification Kit(Qiagen)により精製した。
4、組み換え抗体の発現ベクターの構築及び抗体発現
ゲル電気泳動で陽性と同定され、重鎖及び軽鎖の対合することができる抗体可変領域遺伝子のPCR生成物をTAクローニング法でpcDNA3.3ベクターに結合し、抗呼吸器合胞体ウイルス全ヒト由来中和抗体の発現ベクターを構築し、発現ベクターをDH5αコンピテントバクテリアに形質転換し、アンピシリンを含むプレートに37℃で一晩培養し、10個の単一コロニーをピックアップし、特異的プライマーでPCRを行い、反応条件は、次のとおりであった。即ち、94℃で3min予備変性し、次いで94℃で30s変性し、55℃で30sアニーリングし、72℃で100s伸長することを28回サイクルし、最後に72℃で5min伸長した。PCR生成物5μLを1%アガロースゲル電気泳動で検出した。その結果、陽性形質転換体において、抗体の重鎖及び軽鎖の遺伝子を含む形質転換体が同定されたことを示した。
抗原への結合が陽性を示した抗体の重鎖及び軽鎖の発現ベクターをHEK293細胞にコトランスフェクトし、トランスフェクトした後、6~8時間、大量の新鮮培地を交換し、37℃、8% COインキュベーターで培養して抗体を発現させ、これにより、全ヒト由来抗呼吸器合胞体ウイルスのモノクローナル抗体TRN1021を得、その配列を、下記の表1~2に示した。
5、発現抗体の精製及び分析
前記トランスフェクトされた細胞を引き続き96時間培養した後、トランスフェクト上清を収集し、4℃、4000rpmで1時間遠心分離して細胞破片を除去した。メーカーの取り扱い書類に従い、Protein A Agaroseアフィニティークロマトグラフィーを一晩行い、収集された上清を、ゆっくりとProtein A Agaroseアフィニティークロマトグラフィーカラムにより抗体に十分に結合させた。PBS60mLで洗浄した後、結合された抗体を溶出緩衝液(0.1M Gly-HCl緩衝液、pH2.5)で溶出し、1M Tris-HC緩衝液(pH9.0)1mLを含むAmicon Ultra-30 Centrifugal Filters(MerckMillipore)に集め、5000g、4℃で20min遠心分離してタンパク質を濃縮し、再度Amicon Ultra-30 Centrifugal Filtersに前記PBSを加え、3500g、4℃で20min遠心分離した後、新しい平衡緩衝液を交換し、3回繰り返し,1mLまで濃縮された抗体タンパク質(全ヒト由来モノクローナル抗体TRN1021)を得た。Mini-Protein cell III反応系(Bio-Rad)を採用し、不連続な垂直電気泳動を行った。抗体サンプルとローディング緩衝液との混合比率は、5:1であり、混合後、還元性サンプルを5min沸騰させ、10μL/1ウェルのようにローディングし、電気泳動時間は、約60minであった。クマシーフラッシュブルーR-250を30min以上染色し、さらに脱色液で背景がきれいになるまで脱色した。SDS-PAGEタンパク質電気泳動分析による精製効果を観察した。
その結果を図2に示し、精製後の非還元性及び還元性の抗体タンパク質でRN1021は、すべてSDS-PAGEプロファイルに明確なバンドを示し、レーン1は、非還元性抗体タンパク質、レーン2は、Marker、レーン3は、還元性抗体タンパク質であり、非還元性バンド(即ち、抗体)の分子量は、約180kDであり、還元性サンプルは、それぞれ約65kDの重鎖及び約25kDの軽鎖に切断され、他のヘテロバンドはほとんどなかった。次いで、精製後の抗体TRN1021の活性及び機能をELISA等により再確認した。
実施例2:HEK293細胞におけるTRN1021及びTRN1022抗体の発現量の比較
1、組み換え抗体の発現ベクターの構築及び発現
ステップは、実施例1における「4、組み換え抗体の発現ベクターの構築及び抗体発現」と同様であった。
2、抗体タンパク質精製及び分析
ステップは、実施例1における「5、抗体タンパク質精製及び分析」と同様であった。
3、抗体平均発現量の算出
それぞれ5つロットのTRN1021抗体の生産及び5つロットのTRN1022抗体(当該抗体は、CN110016079Aを参照)の生産を行い、マイクロUV分光光度計で精製後の抗体のタンパク質濃度を検出し、培地添加総量に基づいて、抗体の平均発現量を算出し、抗体生産情報及び平均発現量を表3及び図3に示した。
表3のデータから分かるように、抗体TRN1021及び抗体TRN1022は、発現量が大きく異なり、TRN1021は、より発現しやすく、平均発現量が2.603mg/Lに達することがあったが、TRN1022は、平均発現量が僅か0.588mg/Lであった。
実施例3:抗呼吸器合胞体ウイルス抗体の活性及び機能測定
1、抗体の結合活性
前文に言及されたELISA法と同様な方法で発現及び精製された抗体TRN1021の結合活性を検出した:
それぞれ炭酸塩被覆緩衝液でELISA96ウェルプレートにおいてRSV Pre-F、RSV Post-Fタンパク質を被覆し、4℃で一晩過ごした。PBST緩衝液でプレートを洗浄し、ブロック液を加え、37℃で2hブロックし、又は、4℃で一晩過ごした。ブロック液で実施例1で得られたRSV抗体サンプルTRN1021(一次抗体)を、1μg/ウェルから3倍勾配で12つの勾配を希釈した。陽性対照は、100μL/1ウェルの陽性血漿サンプル原液(1:50)及びRSVモノクローナル抗体RSV3216(B016、Abcam、#ab24011)(1:1000)である。陰性対照は、100μL/1ウェルの陰性血漿サンプル原液(1:50)及び無関係な抗体(TRN006)0.5μg/mLであり、ブラックにグロック液100μLを加え、37℃で1hインキュベートした。PBST緩衝液で再びプレートを洗浄し、各ウェルにブロック液で1:10000で希釈されたヤギ抗ヒトIgG-HRP、ヤギ抗マウスIgG-HRP(二次抗体)100μLを加え、37℃で1hインキュベートした。PBST緩衝液でプレートを洗浄し、光を遮断し、各ウェルにTMB100μLを加え、37℃で5min置き、2M硫酸で反応を停止させた。2波長450/630nmにおいてOD値を検出し、算出した。
図4から分かるように、発現及び精製後の全ヒト由来抗RSV-Fタンパク質モノクローナル抗体TRN1021は、精製されたRSV Pre-Fタンパク質に結合し、前記結合は、用量依存性であり、抗体TRN1021のRSV Pre-Fへの結合は、特異的であり、発現及び精製後の全ヒト由来抗RSV-Fタンパク質モノクローナル抗体TRN1021は、精製されたRSV Post-Fタンパク質に対して特異的な結合活性を有しない。
2、抗体のインビトロでのマイクロ中和活性
50μL/ウェルの体積で、抗体TRN1021の3倍勾配希釈物を96ウェルマイクロタイタープレートにおけるHEp-2細胞培地に添加した。次いで、RSV A2ウイルス50μLを濃度2×10PFU/mLになるようにHEp-2細胞培地に希釈し、HEp-2細胞培地のみを含む対照ウェルを含み、プレートを37℃、5%COで2時間インキュベートした。調製されたHep-2細胞懸濁液(2×10個/mL)0.1mL/ウェルを添加し、これらのプレートを37℃、5%COのインキュベーター中に培養した。倒立顕微鏡により細胞病変作用(CPE)を毎日観察し、視野におけるウイルス対照ウェル内の細胞合胞体病変面積割合がウェルの底面積の80%以上であれば、判定可能である。上清を捨て、PBST緩衝液で2回洗浄した後、各ウェルに80%アセトンを含む固定液100μLを加え、15~30min固定し、固定液を捨て、PBST緩衝液で2回洗浄した後、各1ウェルにブロック液300μLを添加し、37℃で2hブロックした。PBST緩衝液で3回洗浄した後、1ウェルにRSV050-HRP(ブロック液で1:5000で希釈した)100μLを加え、37℃で1hインキュベートした。PBST緩衝液で5回洗浄し、1ウェルにTMB100μLを加え、室温で5~10min放置した後、直ちに2M HSO50μLで停止させ、マイクロプレートリーダーで読み取り、2波長450-630nmにおいてOD値を検出し、希釈後の抗体サンプルのOD値が100CCID50ウイルス対照ウェルOD値の半分未満である場合、当該濃度の抗体が中和活性を有すると定義された。
応答及び可変勾配曲線に対して、log(抑制剤)によりフィッティングし、Graphpad Prismにおいて非線形フィットアルゴリズムでIC50値を算出し、このIC50値は、450-630nmにおいて測定した吸光度の50%減少に必要な抗体TRN1021の濃度を表した。
図5の結果によれば、等量の抗体TRN1021及びパリビズマブ(Synagis(R))は、いずれもRSV A2株に対して中和活性を有するが、抗体TRN1021は、中和力価がより高く、インビトロでのマイクロ中和活性により検出される最小中和濃度が0.02μg/mLに過ぎないと示した。
3、抗体の親和力
表面プラズモン共鳴(SPR)試験により、アミノカップリングにより抗ヒトIgG(Fc)をCM5チップの2つのチャネルにカップリングし、リガンドとして抗RSV Fタンパク質抗体を捕捉し、最終的に、チャネル1に5485.4RUをカップリングし、チャネル2に5622.4RUにカップリングした。捕捉されたTRN1021は、濃度が1μg/mLであり、結合時間が130sであった。異なる濃度のRSV Fタンパク質(2.5μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、40μg/mL)を分析物として、結合時間90s、解離時間600sで検出チャネルを流した。チップ再生溶液は3M MgCl、再生時間は30sであった。動的解析(解離定数(KD)の算出)をBiacore X100 Evaluation Software (2.0.1)で行った。結果を図6に示した。
2種類のRSV Fタンパク質(RSV Pre-Fタンパク質及びRSV Post-Fタンパク質)を表面プラズモン共鳴(SPR)により測定したところ、抗体TRN1021は、融合後のFタンパク質(RSV Post-F)に結合せず、10-9Mと低い平均解離定数で抗原、即ち、融合前Fタンパク質(RSV Pre-F)に結合することを示した。天然全ヒト由来抗呼吸器合胞体ウイルスのモノクローナル抗体TRN1021は、Pre-Fに特異的に結合することを示した。
4、抗原競合分析
表面プラズモン共鳴(SPR)で天然全ヒト由来抗呼吸器合胞体ウイルスのモノクローナル抗体の呼吸器合胞体ウイルスPre-Fタンパク質に対する抗原競合を分析した。抗原Pre-Fタンパク質で抗体を捕捉し、まず抗体TRN1021 50μg/mLを分析物として、結合時間180sで検出チャネルを流し、そして、同じ濃度のSynagis(R)を、第2の分析物として検出チャネルを流し、結合、解離した。チップ再生溶液は、pH1.5のグリシンであり、再生時間は30sであった。そして、同様に、抗原Pre-Fタンパク質で抗体を捕捉し、まずSynagis(R) 50μg/mLを分析物として結合時間180sで検出チャネルを流し、そして、同濃度抗体TRN1021を第2の分析物として検出チャネルを流し、結合、解離させた。
その結果、第2の分析物が検出チャネルを流したとき、抗体の抗原への結合解離曲線が第2の分析物に影響せず、TRN1021がSynagis(R)と異なる抗原エピトープを認識することを示した。
実施例4:中和抗体の広域スペクトル中和活性
ウイルス中和試験で異なるRSVウイルス株のHEp-2細胞感染に対する標的抗体TRN1021の抑制能力を検出し、本試験では、RSV A2、RSV Long、RSV 9320等の3つの標準的な実験室株及びCL9325、CL8879、CL9133、CL9574、CL6477、CL8938、CL6495、CL0007、CL0014、CL0041、CL0042、CL00J3等の臨床サンプルから単離された12つのRSVウイルス株を使用し、臨床ウイルスサンプルの収集期間は、5年にわたった(重慶小児病院により提供される)。10つのAサブタイプ及び5つのBサブタイプRSVウイルスを含むRSVウイルスの全サブタイプ(A、Bの2つのサブタイプ)、合計15つのRSVウイルスを用い、ウイルスの広域スペクトル中和試験を行った。その結果(表4)、TRN1021抗体は、RSV A2、RSV Long、RSV 9320等の標準的な実験室株及びCL9325、CL8879、CL9133、CL9574、CL6477、CL8938、CL6495、CL0007、CL0014、CL0041、CL0042、CL00J3等の12つの臨床サンプルから単離されたRSVウイルス株をすべて中和することができ、そのIC50範囲は、0.0004μg/mL-0.0631μg/mLであり、TRN1021抗体が極めて強いスペクトル広域中和活性を有する抗体であることを示した。
TRN1021抗体の広域スペクトル中和能力を分析し、抗体TRN1022(当該抗体は、CN110016079Aを参照)及び市販の薬物パリビズマブ(Synagis(R))を対照とし、そのIC50の幾何平均値の結果を図7に示し、その結果、抗体TRN1021及び抗体TRN1022のIC50幾何平均値(図において黒い横線で示す)が市販のモノクローナル抗体薬物であるパリビズマブより低く、抗体TRN1021及び抗体TRN1022の広域スペクトル中和活性がパリビズマブに優れていることを示した。一方、抗体TRN1021のIC50幾何平均値が抗体TRN1022のIC50幾何平均値より低く、抗体TRN1021の広域スペクトル中和活性が抗体TRN1022に優れていることを示した。
実施例5:動物のインビボでの薬効研究
抗RSVモノクローナル薬物の有効性を評価するための標準動物モデルとして、コットンマウスを用い、抗体TRN1021の動物インビボの有効性を評価した。多用量投与研究において、実験群について、異なる投与量で抗体TRN1021の筋肉内注射を行い、投与後1日、RSV A2ウイルス、RSV9320ウイルスをコットンマウスに鼻から接種し、ウイルスを接種した後、4日にコットンマウスの肺、鼻組織におけるウイルス力価及び血中の抗体TRN1021濃度を評価した。
その結果(図8に示される)、抗体の投与用量の増加に伴い、ウイルス力価に対する抑制効果は、段々に強くなり、抗体TRN1021濃度が2mg/kgに達すると、RSV A2ウイルスを接種したコットンマウスの肺及び鼻組織のウイルス感染(図8A、8B)を100%効果的に抑制でき、抗体TRN1021濃度が1mg/kgに達すると、RSV 9320ウイルスを接種したコットンマウスの肺及び鼻組織のウイルス感染(図8C、8D)を100%効果的に抑制できることを示した。用量-効果曲線の非線形なフィッティングより、コットンマウスの肺組織のRSV A2ウイルス抑制率が90%に達する時の薬物血中濃度(即ちEC90)が1.86μg/mLであり、コットンマウス肺組織のRSV 9320ウイルス抑制率が90%に達する時の薬物血中濃度(即ちEC90)が1.83μg/mLであると算出された。
前記薬効研究の用量-有効性の関係に示されているように、薬物血中濃度(即ちEC90)が1.86μg/mLである場合、コットンマウス組織に対するRSVウイルス抑制率は、90%に達し、即ち、RSVウイルスを感染した個体に対して、抗体TRN1021は、非常に優れた保護效果を有する。
上記で一般的な説明及び特定の実施形態を用いて本開示を詳細に説明してきたが、本開示に基づいて、いくつかの修正又は改変してもよく、当業者にとって自明である。従って、本開示の主旨から逸脱しない範囲で行われたこれらの修正又は改変は、本開示の保護要求する範囲に属する。

Claims (12)

  1. (a)下記の重鎖可変領域を含むCDR、
    SEQ ID NO:1の配列を含むCDR1、
    SEQ ID NO:2の配列を含むCDR2、
    SEQ ID NO:3の配列を含むCDR3、
    及び、
    (b)下記の軽鎖可変領域を含むCDR、
    SEQ ID NO:4の配列を含むCDR1、
    SEQ ID NO:5の配列を含むCDR2、
    SEQ ID NO:6の配列を含むCDR3、
    を含む、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質に特異的に結合する単離された抗体又は抗原結合断片。
  2. SEQ ID NO:7に示される重鎖可変領域の3つのCDR、及び、SEQ ID NO:8に示される軽鎖可変領域の3つのCDRを含む、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質に特異的に結合する単離された抗体又は抗原結合断片であって、
    好ましくは、前記重鎖可変領域は、
    (1)請求項1に記載の重鎖CDRを含み、SEQ ID NO:7と80%以上の同一性を有する配列、又は、
    (2)SEQ ID NO:7に示される配列を含む配列、から選ばれ、
    好ましくは、前記軽鎖可変領域は、
    (1)請求項1に記載の軽鎖CDRを含み、SEQ ID NO:8と80%以上の同一性を有する配列、又は、
    (2)SEQ ID NO:8に示される配列を含む配列、から選ばれ、
    より好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:7に示される配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:8に示される配列を含む、単離された抗体又は抗原結合断片。
  3. 前記抗体は、IgG抗体であり、
    好ましくは、前記抗原結合断片は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、又は、(Fab’)2断片から選ばれ、
    好ましくは、前記抗体又はその抗原結合断片は、定常領域配列を含み、前記定常領域配列の少なくとも一部は、ヒト共通の定常領域配列である、請求項1又は2に記載の単離された抗体又は抗原結合断片。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする、核酸分子。
  5. 請求項4に記載の核酸分子を含むベクターであって、
    好ましくは、前記ベクターは、発現ベクターである、ベクター。
  6. 請求項5に記載のベクターを含む、宿主細胞であって、
    好ましくは、前記宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり、
    好ましくは、前記宿主細胞は、大腸菌細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、又は、抗体又はその抗原結合断片の調製に適する他の細胞から選ばれ、
    好ましくは、前記哺乳動物細胞は、例えば、CHO細胞、HEK293細胞又はCOS細胞である、宿主細胞。
  7. 請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸の発現に適する条件で、請求項6に記載の宿主細胞を培養すること、任意に前記抗体又はその抗原結合断片を単離すること、及び、任意に生成された抗体又はその抗原結合断片を収集することを含む、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の表面糖タンパク質である融合タンパク質に結合する抗体又はその抗原結合断片を調製する方法。
  8. 請求項7に記載の方法で調製された、抗体又はその抗原結合断片。
  9. 請求項1~3又は請求項8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、及び、薬学的に許容される担体を含む、薬物組成物であって、
    好ましくは、前記薬物組成物は、さらに他の治療剤を含む、薬物組成物。
  10. 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染に関連する疾患又は症状を予防又は治療するための薬物の調製における、請求項1~3又は請求項8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片の使用であって、
    好ましくは、前記呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、A型RSVウイルス及びB型RSVウイルスから選ばれる1種又は複数種である、使用。
  11. 有効量の請求項1~3又は請求項8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする被験者に投与することを含む、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染に関連する疾患を予防又は治療するための方法であって、
    好ましくは、前記呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、A型RSVウイルス及びB型RSVウイルスから選ばれる1種又は複数種である、方法。
  12. サンプルを請求項1~3又は請求項8のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片に接触させるステップを含む、サンプルに呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を存在するかどうかを検出する方法。
JP2023537092A 2020-12-18 2021-12-14 呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合する分子 Pending JP2023554456A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN202011505001.3 2020-12-18
CN202011505001 2020-12-18
PCT/CN2021/138018 WO2022127793A1 (zh) 2020-12-18 2021-12-14 呼吸道合胞病毒特异性结合分子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023554456A true JP2023554456A (ja) 2023-12-27

Family

ID=81991765

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023537092A Pending JP2023554456A (ja) 2020-12-18 2021-12-14 呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合する分子

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20240059763A1 (ja)
EP (1) EP4265637A1 (ja)
JP (1) JP2023554456A (ja)
CN (2) CN114644708B (ja)
AU (1) AU2021399453A1 (ja)
WO (1) WO2022127793A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117343165B (zh) * 2022-07-05 2024-04-02 东莞市朋志生物科技有限公司 一种抗呼吸道合胞病毒抗体、检测呼吸道合胞病毒的试剂和试剂盒
CN117310163B (zh) * 2023-11-23 2024-02-13 北京贝思泰生物科技有限公司 一种基于重组抗体的呼吸道合胞病毒检测方法

Family Cites Families (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0307434B2 (en) 1987-03-18 1998-07-29 Scotgen Biopharmaceuticals, Inc. Altered antibodies
GB9207479D0 (en) * 1992-04-06 1992-05-20 Scotgen Ltd Novel antibodies for treatment and prevention of respiratory syncytial virus infection in animals and man
JPH08511420A (ja) 1993-06-16 1996-12-03 セルテック・セラピューテイクス・リミテッド 抗 体
US6277375B1 (en) 1997-03-03 2001-08-21 Board Of Regents, The University Of Texas System Immunoglobulin-like domains with increased half-lives
WO1998048032A2 (en) 1997-04-21 1998-10-29 Donlar Corporation POLY-(α-L-ASPARTIC ACID), POLY-(α-L-GLUTAMIC ACID) AND COPOLYMERS OF L-ASP AND L-GLU, METHOD FOR THEIR PRODUCTION AND THEIR USE
GB9809951D0 (en) 1998-05-08 1998-07-08 Univ Cambridge Tech Binding molecules
US6737056B1 (en) 1999-01-15 2004-05-18 Genentech, Inc. Polypeptide variants with altered effector function
ES2269366T3 (es) 2000-02-11 2007-04-01 Merck Patent Gmbh Mejoramiento de la vida media en circulacion de proteinas de fusion basadas en anticuerpos.
US6586207B2 (en) 2000-05-26 2003-07-01 California Institute Of Technology Overexpression of aminoacyl-tRNA synthetases for efficient production of engineered proteins containing amino acid analogues
EP2341060B1 (en) 2000-12-12 2019-02-20 MedImmune, LLC Molecules with extended half-lives, compositions and uses thereof
US20040002587A1 (en) 2002-02-20 2004-01-01 Watkins Jeffry D. Fc region variants
AU2003248370A1 (en) 2002-02-27 2003-09-09 California Institute Of Technology Computational method for designing enzymes for incorporation of amino acid analogs into proteins
US7317091B2 (en) 2002-03-01 2008-01-08 Xencor, Inc. Optimized Fc variants
US7217797B2 (en) 2002-10-15 2007-05-15 Pdl Biopharma, Inc. Alteration of FcRn binding affinities or serum half-lives of antibodies by mutagenesis
EP2368578A1 (en) 2003-01-09 2011-09-28 Macrogenics, Inc. Identification and engineering of antibodies with variant Fc regions and methods of using same
SG143252A1 (en) 2003-10-09 2008-06-27 Ambrx Inc Polymer derivatives
GB0324368D0 (en) 2003-10-17 2003-11-19 Univ Cambridge Tech Polypeptides including modified constant regions
DE602005015542D1 (de) 2004-01-12 2009-09-03 Applied Molecular Evolution Varianten der fc-region
AU2005211362B2 (en) 2004-02-02 2008-03-13 Ambrx, Inc. Modified human interferon polypeptides and their uses
AU2005214988A1 (en) * 2004-02-17 2005-09-01 Absalus, Inc. Super-humanized antibodies against respiratory syncytial virus
EP2053062A1 (en) 2004-03-24 2009-04-29 Xencor, Inc. Immunoglobin variants outside the Fc region
EA012464B1 (ru) 2004-08-04 2009-10-30 Эпплайд Молекьюлар Эволюшн, Инк. Антитело против cd20 и его применение
US20070135620A1 (en) 2004-11-12 2007-06-14 Xencor, Inc. Fc variants with altered binding to FcRn
US8568719B2 (en) * 2009-08-13 2013-10-29 Crucell Holland B.V. Antibodies against human respiratory syncytial virus (RSV) and methods of use
JO3555B1 (ar) * 2015-10-29 2020-07-05 Merck Sharp & Dohme جسم مضاد يبطل فعالية فيروس الالتهاب الرئوي البشري
CN106496324B (zh) * 2015-11-30 2020-01-14 天津昊免生物技术有限公司 一种抗呼吸道合胞病毒的全人源抗体
IL303833A (en) * 2016-10-21 2023-08-01 Adimab Llc Respiratory syncytial virus antibodies and methods for their production and use
CN107760690B (zh) 2017-10-25 2018-08-28 珠海泰诺麦博生物技术有限公司 一种高通量全人源抗体的制备方法及应用
CN110016079B (zh) * 2018-12-18 2019-12-24 珠海泰诺麦博生物技术有限公司 抗呼吸道合胞病毒的中和抗体及其应用
CN111606993B (zh) * 2019-02-26 2022-06-28 中国科学院上海生命科学研究院 抗呼吸道合胞病毒的全人广谱中和抗体4f1及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
CN116785427A (zh) 2023-09-22
AU2021399453A1 (en) 2023-07-27
CN114644708A (zh) 2022-06-21
WO2022127793A1 (zh) 2022-06-23
US20240059763A1 (en) 2024-02-22
EP4265637A1 (en) 2023-10-25
CN114644708B (zh) 2023-06-27
CN116785427B (zh) 2024-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10035843B2 (en) RSV-specific binding molecule
RU2540020C2 (ru) Молекула, специфически связывающаяся с rsv
KR101671452B1 (ko) 항rsv g 단백질 항체
CN110016079B (zh) 抗呼吸道合胞病毒的中和抗体及其应用
WO2014170258A1 (en) Human antibodies binding to rsv g proteins
CN111606993B (zh) 抗呼吸道合胞病毒的全人广谱中和抗体4f1及其应用
JP2023554456A (ja) 呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合する分子
EP4289861A1 (en) Antibodies against human tslp and use thereof
EP3972995A1 (en) Antibodies that bind human metapneumovirus fusion protein and their use
WO2014115893A1 (ja) ヒト・メタニューモウイルスに特異的なヒト抗体もしくはその抗原結合性断片
US10081671B2 (en) Human monoclonal antibody specific for the F protein of respiratory syncytial virus (RSV)
EP4353744A1 (en) Antibody against respiratory syncytial virus and use thereof
CN104628850B (zh) Rsv-特异性结合分子
RU2817697C1 (ru) Моноклональное антитело iC2 и его антигенсвязывающий фрагмент, селективно связывающие рецептор-связывающий домен Spike-белка вируса SARS-CoV-2, обладающие вируснейтрализующей активностью
RU2817696C1 (ru) Моноклональное антитело iC1 и его антигенсвязывающий фрагмент, селективно связывающие рецептор-связывающий домен Spike-белка вируса SARS-CoV-2, обладающие вируснейтрализующей активностью
WO2022250107A1 (ja) SARS-CoV-2野生株および変異株に対するヒト中和抗体およびその抗原結合性断片
WO2023172881A1 (en) Hmpv antibodies and their use

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230616

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230616