JP2023552037A - Rna編集のための人工核酸 - Google Patents

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Abstract

本発明は、増強された編集特異性を有し、望ましくない標的外編集を回避する、標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸を提供する。前記人工核酸は、編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む標的化配列を含み、ここで、当該標的化配列は、デアミナーゼをリクルートすることができる第1のリクルート部分と、デアミナーゼをリクルートすることができる第2のリクルート部分とに隣接し、当該第1および第2のリクルート部分の少なくとも1つは、標的RNA中の相補的な領域に結合する少なくとも1つのリクルートメント配列を含み、好ましくは2つのリクルートメント配列を含む。

Description

発明の詳細な説明
本発明は標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸に関する。特に、本発明は、内因性デアミナーゼを利用することによって内因性転写産物を部位特異的に編集することができる人工核酸を提供する。さらに、本発明は、増強された編集特異性を提供し、望ましくない標的外編集を回避する、標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸を提供する。本発明はまた、上記人工核酸を作製するための方法を含み、前記方法の少なくともいくつかの工程は、コンピュータで支援またはコンピュータで実行される。また、本発明は、上記人工核酸をコードするベクター、ならびに上記人工核酸を含む細胞、組成物、およびキットを提供する。さらに、本発明は、標的RNAの部位特異的編集またはインビトロ診断のための人工核酸、ベクター、細胞、組成物またはキットの使用を提供する。加えて、本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、組成物、またはキットは、医薬品としての使用のために、または疾患もしくは障害の診断における使用のために提供される。
〔背景技術〕
従来の遺伝子治療では、遺伝情報は典型的にはDNAレベルで操作され、したがってゲノムを永久的に変化させる。用途に応じて、ゲノムの持続的な修飾は、有益であるか、または深刻なリスクを伴うかのいずれかであり得る。この点において、DNAの代わりにRNAを標的化することは、魅力的な代替アプローチと言える。RNAレベルで対象を治療する場合、遺伝子発現の変化は通常可逆的であり、調整可能であり、かつ、非常に多くの場合、より効率的でもある。一方では、効果の持続時間が限られることにより、有害な副作用に関連するリスクも制限される。また、効果を微調整できる場合、時間および用量依存的に治療法を継続的に調整し、有害作用を制御することが可能となる。さらに、例えば、遺伝子欠損が致死的であるか、または重複した処理によって容易に補償される場合、遺伝子発現の多くの操作はゲノムレベルでは実行不可能であるか、または効果がない。例えば、RNAレベルでシグナリングネットワークを標的とすることは特に魅力的であると思われる。多くのシグナリングの合図は必須であるかまたは大幅に重複しているので、ノックアウトが明確な表現型をもたらさない場合がある一方、ノックダウンは明確な表現型をもたらす場合もある。
したがって、RNA標的化ストラテジーの設計に対する関心が高まっている。そのようなストラテジーの一つはRNA編集である。アデノシン(A)-イノシン(I)RNA編集は、トランスクリプトームを多様化するための天然の酵素メカニズムである。イノシンは生物化学的にグアノシンと解釈されるので、AからIへの編集は形式的に(formally)AからGへの変異を導入し、とりわけ、アミノ酸コドン、開始コドンおよび終止コドンの再コード化、スプライシングの変化、およびmiRNA活性の変化がもたらされ得る。このような酵素活性を選択された転写産物の特定の部位に標的化することは、部位特異的RNA編集と呼ばれるストラテジーであり、疾患の治療や、タンパク質やRNAの機能の研究全般において大きな期待が寄せられている。改変デアミナーゼに基づくRNA編集ストラテジーが開発されている(例えば、Vogel, P., Schneider, M.F., Wettengel, J., Stafforst, T. Improving Site-Directed RNA Editing In Vitro and in Cell Culture by Chemical Modification of the GuideRNA. Angew. Chem. Int. Ed. 53, 6267-6271 (2014)参照)。しかしながら、治療の場では、RNAに作用する広く発現した内因性デアミナーゼの利用が最も魅力的と思われる。それにより、任意の(改変された)タンパク質の異所性発現を必要とせずに、オリゴヌクレオチド薬物のみの投与によって、トランスクリプトームに特定の変異を導入することが可能になると考えられる。例えば、Wettengelら(Wettengel, J., Reautschnig, J., Geisler, S., Kahle, P. J., Stafforst, T.: Harnessing human ADAR2 for RNA repair - Recoding a PINK1 mutation rescues mitophagy. Nucl. Acids Res. 45, 2797-2808 (2017))は、人工タンパク質を必要とせずに、細胞ADAR2を使用するシステムを報告している。また、部位特異的RNA編集のためのオリゴヌクレオチドコンストラクトが、国際特許出願WO2016/097212およびWO2017/010556に記載されている。また、ドイツ特許DE10 2015 012 522 B3には、部位特異的RNA編集のためのガイドRNA分子が記載されている。
Quら(Liang Qu et al.: Programmable RNA editing by recruiting endogenous ADAR using engineered RNAs. Nature Biotechnology, 37, 133-138 (2019))は、ヒト野生型ADARをある程度リクルートするが、バイスタンダーの標的外編集には大きな問題がある長い非構造gRNAを構築した。
Coxら(Cox D. B. T., et al.: RNA editing with CRISPR-Cas13. Science 358, 1019-1027 (2017))は、高活性E1008Q変異体ADAR1のデアミナーゼドメインをRNAガイド化RNA標的化CRISPエフェクターに融合させることによって、ADARリクルートRNAを構築した。
しかしながら、当該技術分野で知られているストラテジーには同様の問題がある。つまり、一方では、十分なRNA編集を提供するために効率的に十分なデアミナーゼ、特に内因性デアミナーゼをリクルートすることが困難であることが判明した。他方、効率的な編集は、典型的には低特異性、例えば、gRNA-mRNA二本鎖内の多数のバイスタンダーの標的外編集、ならびにトランスクリプトーム全体にわたるグローバル標的外編集を伴う。加えて、当技術分野で公知のストラテジーは、それらのgRNAが標的mRNA内の標的アデノシンの周りに単に逆相補的に結合するので、極めて限られた配列空間を有する。
Merkleら(Merkle, T. Merz, S., Reautschnig, J., Blaha, A., Li, Q., Vogel, P., Wettengel, J., Li, J., Stafforst, T.: Precise RNA editing by recruiting endogenous ADARs with antisense oligonucleotides. Nature Biotechnology, 37, 1059-1069 (2019))は、内因性ヒトADARをリクルートして内因性転写物をより特異的な方法で編集する、化学的修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド(ガイドRNA)の構造が記載されている。しかしながら、化学的修飾のために、このアプローチで使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、生物自体によって合成することができないため、対象に投与されなければならない。
したがって、標的外編集をもたらさない高い編集収率および高い特異性を可能にするRNA編集ストラテジーが緊急に必要とされている。特に、内因性デアミナーゼをリクルートするのに適しており、例えば注射によって個々に添加される必要はないが、ガイド核酸をコードするベクターに基づいて個々自体によって発現され得る化合物が必要とされる。
したがって、本発明の目的は、デアミナーゼ、好ましくは内因性デアミナーゼ、例えばアデノシンデアミナーゼを、編集対象のRNA標的にリクルートすることができる化合物を提供することである。本発明の特定の目的は、高い効率および高い特異性で、特に標的外編集の割合が減少された、RNA標的を編集するのに適した化合物を提供することである。したがって、改善されたRNA編集アプローチが提供され、これは、好ましくは他のトランスクリプトーム部位での非特異的編集の減少を伴わないか、または伴う、標的RNAにおける特異的標的部位でのRNA編集の高収率を可能にする。本発明の別の特定の目的は、好ましくは上述の利点を特徴とする、生物自体によって内因的に発現され得るデアミナーゼをリクルートすることができる化合物を提供することである。
前記目的の解決策は、本明細書に記載され、特許請求の範囲によって定義される実施形態によって達成される。
〔発明の詳細な説明〕
第1の態様において、本発明は、標的RNAの部位特異的編集のための新規な人工核酸に関する。特に、標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸が、本明細書において提供され、当該人工核酸は5’から3’への方向、または3’から5’への方向において以下を含む:
a)デアミナーゼをリクルートすることができる第1のリクルート部分であって、前記標的RNA中の第1の領域に結合する少なくとも1つのリクルートメント配列を含む、第1のリクルート部分;
b)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列、および
c)デアミナーゼをリクルートすることができる第2のリクルート部分、
ここで、前記標的RNA中の前記第1の領域および前記標的RNA中の前記標的配列が、少なくとも1つのヌクレオチドによって隔てられ、前記ヌクレオチドは前記少なくとも1つのリクルートメント配列によっては結合されず、かつ、人工核酸の標的化配列に相補的でない。
本発明者らは驚くべきことに、本明細書に記載の人工核酸、特に、2つのリクルート部分が隣接する標的化配列を含む人工核酸であって、リクルート部分の少なくとも1つが、本明細書に定義されるような少なくとも1つのリクルートメント配列またはリクルートメント配列のクラスターを含む人工核酸が、デアミナーゼ、特に内因性デアミナーゼをRNA標的にリクルートし、前記RNA中の標的部位においてヌクレオチド、好ましくはアデノシンまたはシチジンヌクレオチドを特異的に編集することができることを見出した。有利なことに、標的RNAが本明細書に記載される人工核酸によって高効率で編集され、したがって、編集された標的RNAの高収率を提供する一方で、望ましくない標的外編集を回避することができる。したがって、本明細書に記載される人工核酸は高い効率ならびに高い特異性の両方を有する部位特異的RNA編集を可能にし、最先端のソリューションよりも有利な特性を有するガイドRNAの大きな配列空間を開く。
本発明者らは、人工核酸が多種多様な転写物、例えば、ハウスキーピング遺伝子(例えば、NUP43、GUSB、PDE4D)の内因性mRNA、ならびに疾患関連遺伝子(例えば、BMPR2またはCOL3A1)のプラスミドコード化cDNA転写物を編集するのに適していることを見出した。有利なことに、本発明に係るシステムが不死化細胞株および腫瘍細胞株からいくつかの初代ヒト細胞に及ぶ多種多様な細胞に適用可能であることが証明された。例えば、本発明のシステムを使用して、本発明者らは、ハーラー症候群患者由来の初代線維芽細胞における疾患関連hIDUA W402Xアンバー変異を首尾よく補正した。多価リクルートメントクラスターの使用は、任意の内因性(m)RNAの標的化のための最適なガイドRNAを設計するための大きな配列空間を開く。したがって、本発明者らは、標的(m)RNA上で互いに数千ヌクレオチド離れたイントロン配列またはエクソン配列に結合している場合でさえも、リクルートメント配列が有効であることを見出した。
本明細書において使用される場合、「人工核酸(分子)」という表現は、典型的には天然には存在しない核酸を指す。言い換えれば、人工核酸分子は、非天然核酸分子であってもよい。このような人工核酸分子は、その個々の配列(自然には存在しない配列)のために、および/またはこれに関して自然には存在しないヌクレオチドの他の修飾、例えば、構造的な修飾のために、非天然であり得る。本明細書において使用される場合、人工核酸は、好ましくは少なくとも一つのヌクレオチドが、またはヌクレオチドの少なくとも一つの修飾によって、天然に存在する核酸とは異なる。人工核酸分子は、DNA分子、RNA分子、またはDNA部分およびRNA部分を含むハイブリッド分子であり得る。好ましい実施形態では、人工核酸はRNA分子である。特に、本明細書で使用される人工核酸は、修飾されていないまたは修飾されたリボヌクレオチドおよび/または修飾されていないまたは修飾されたデオキシヌクレオチドを含み得、好ましくは修飾されていないリボヌクレオチドおよび/またデオキシヌクレオチドを含む。さらに、「人工核酸(分子)」という表現は、「単一分子」に限定されず、同一の分子の集合も指す場合がある。したがって、この表現は、例えば、サンプル中に含まれる複数の同一の分子を指し得る。
本発明に関して、「RNA編集」という表現は、標的RNA中のヌクレオチド、好ましくはアデノシンヌクレオチドまたはシチジンヌクレオチドが脱アミノ化反応によって別のヌクレオチドに変換される反応を指す。変化したヌクレオチドは好ましくはコドンの変化をもたらし、例えばRNAから翻訳されたポリペプチドへの別のアミノ酸の組み込みまたは終止コドンの生成もしくは欠失をもたらすので、その変化は典型的には異なる遺伝子産物をもたらす。特に、標的RNA中のアデノシンヌクレオチドは、脱アミノ化によって、例えば本明細書に記載のアデノシンデアミナーゼによってイノシンに変換される。別の実施形態において、標的RNA中のシチジンヌクレオチドはウリジンヌクレオチドに変換される。本明細書で使用される「標的RNA」という用語は、典型的には本明細書に記載の人工核酸によって支持される編集反応に供されるRNAを指す。
本明細書に記載の人工核酸によって達成されるRNA編集はさらに「部位特異的」であり、これは標的RNA中の標的部位における特定のヌクレオチドが好ましくは他のヌクレオチドを編集することなく、または本質的に編集することなく編集されることを意味する。典型的には標的部位のヌクレオチドが本明細書に記載の人工核酸の標的化配列によって標的化され、ここで、標的化配列は好ましくは生理学的条件下で、標的配列と特定の塩基対を形成することができる。したがって、本発明に関して、「標的配列」という表現は、典型的には人工核酸の標的化配列に(少なくとも部分的に)相補的である核酸配列に関して使用される。標的配列は標的部位を含み、ここで、当該標的部位は、典型的には編集対象のヌクレオチド、好ましくはアデノシンヌクレオチドまたはシチジンヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、標的部位が編集対象の二つ以上のヌクレオチドを含んでもよく、ここで、これらのヌクレオチドは好ましくは少なくとも一つ、好ましくは二つの他のヌクレオチドだけ互いに離れている。本明細書で使用される場合、「相補的」または「部分的に相補的」という用語は、好ましくはそれらの相補的であるヌクレオチドのために、好ましくは生理学的条件下で、特定の分子間塩基対形成、好ましくはワトソン-クリック塩基対形成が可能である核酸配列を指す。本明細書で使用される「相補的」という用語は、逆相補的配列を指すこともある。本明細書に記載の人工核酸はまた、人工核酸が典型的には標的RNA中の核酸配列のアンチセンスを表す標的化配列中の核酸配列を含むので、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「ASO」と本明細書中で称され得る。本発明に関して、用語「ガイドRNA」は、好ましくはデアミナーゼ機能を標的部位にガイドする人工核酸を指すために使用されてもよい。
標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸が、本明細書において提供され、当該人工核酸は5’から3’への方向、または3’から5’への方向において以下を含む:
a)デアミナーゼをリクルートすることができる第1のリクルート部分であって、前記標的RNA中の第1の領域に結合する少なくとも1つのリクルートメント配列を含む、第1のリクルート部分;
b)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列、および
c)デアミナーゼに結合することができる核酸配列。
これに関して、デアミナーゼをリクルートすることができる第2のリクルート部分は、好ましくはデアミナーゼを結合することができる核酸配列、好ましくは本明細書に定義される核酸配列、例えばR/Gモチーフを含む。
(リクルート部分)
本発明の人工核酸は、標的化配列に隣接する少なくとも2つのリクルート部分を含む。本発明に関して、用語「リクルート部分」は、デアミナーゼをリクルートし、典型的には標的化配列に共有結合される、本明細書に記載の人工核酸の部分を指す。したがって、そのような「リクルート部分」は、標的RNA中の標的部位へデアミナーゼをリクルートし、ここで、標的RNA(および標的部位)は、好ましくは標的化配列および少なくとも1つのリクルート部分によって配列特異的な様式で認識され、そして結合される。
本発明の人工核酸は、少なくとも2つのリクルート部分、第1のリクルート部分および第2のリクルート部分を含み、第1および第2のリクルート部分のうちの少なくとも1つは標的化配列の3’に位置し、第1および第2のリクルート部分のうちの少なくとも1つは標的化配列の5’に位置する。
用語「第1のリクルート部分」および「第2のリクルート部分」は、第1および第2のリクルート部分の性質に関するいかなる制限も意味することなく、標的化配列の3’および5’に位置する人工核酸のリクルート部分を区別するためにあることに留意しなければならない。言い換えると、「第1の」リクルート部分に関して記載した特徴は「第2の」リクルート部分にも適用することができ、逆もまた同様である。
(第1のリクルート部分)
本発明の人工核酸において、第1のリクルート部分は、標的RNA中の第1の領域に結合する少なくとも1つのリクルートメント配列を含む。好ましい実施形態では、人工核酸の少なくとも1つのリクルートメント配列は標的RNA中の第1の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む。したがって、第1のリクルート部分のリクルートメント配列は標的化配列と共に、配列特異的な様式で標的RNA中の標的部位にデアミナーゼを向ける。
本発明のさらに好ましい実施形態では、第1のリクルート部分がヌクレオチドリンカーを介して連結された少なくとも2つのリクルートメント配列を含むリクルートメント配列のクラスターを含む。好ましくは、クラスターが少なくとも3個のリクルートメント配列、例えば3~20個のリクルートメント配列、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のリクルートメント配列を含み、より好ましくは3~10個のリクルートメント配列を含む。
リクルートメント配列、より好ましくはリクルートメント配列のクラスターは、編集対象のヌクレオチドを含む標的領域においてのみ標的RNAに相補的であるガイド核酸と比較して、標的RNAに対する人工核酸分子の結合親和性を増加させる。さらに、標的RNA中の複数の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である複数のリクルートメント配列の提供はまた、人工核酸および標的RNAの遭遇の確率を増加させ得る。
リクルートメント配列のクラスターに含まれる2つのリクルートメント配列は、互いにすぐ隣に配置されるか、またはヌクレオチドリンカーを介して連結されるかのいずれかである。別の言い方をすれば、任意のヌクレオチドリンカーは、好ましくはリクルートメント配列のクラスター中の2つのリクルートメント配列を隔てることができる。リクルートメント配列を連結するヌクレオチドリンカーは、好ましくは人工核酸の(少なくとも2つの)リクルートメント配列によって結合されるか、またはそれに相補的である、標的RNA中の領域には結合せず、かつ、標的RNA中の領域に相補的でない少なくとも1つのヌクレオチドを含む。人工核酸の第1のリクルート部分の(少なくとも2つの)リクルートメント配列を連結するヌクレオチドリンカーは例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジンまたはチミジンヌクレオチドなどの任意の種類のヌクレオチドを含むことができ、好ましくは、(1つまたは複数の)アデノシンヌクレオチドを含む。リクルートメント配列を連結するヌクレオチドリンカーは、例えば、1~100個のヌクレオチド、例えば、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~40、1~30、1~20または1~10個のヌクレオチドを含み得、好ましくは2~6個のヌクレオチド、好ましくはアデノシンヌクレオチドを含み得る。
人工核酸が標的RNAに結合すると、人工核酸中の2つのリクルートメント配列を連結するヌクレオチドリンカーはしたがって、リクルートメント配列に相補的でなく、それゆえリクルートメント配列によって結合されていない、標的RNAのヌクレオチドを「架橋」する。しかしながら、2つの個々のリクルートメント配列によって結合される標的RNA上の2つの領域間に位置するヌクレオチドの数は一般に、人工核酸中のリクルートメント配列を連結するヌクレオチドリンカーのヌクレオチドの数と一致しないことに留意しなければならない。例えば、人工核酸の2つの隣接するリクルートメント配列への結合部位として機能する標的RNA上の2つの領域間の距離は、数百個または数千個までのヌクレオチドを含むことができ、一方、2つの隣接するリクルートメント配列は、かなり短い、好ましくは本明細書に定義されるヌクレオチドリンカーによって隔てられる。この特定の場合、リクルートメント配列の標的RNAの相補的領域への結合の過程において、リクルートメント配列の2つの特異的結合部位間に位置する標的RNAの領域は、標的RNA中にループを形成し得る。相互にそのような広範囲の距離(大きな配列空間)でリクルートメント配列を使用することの実現可能性は、最新技術と比較して本発明の柔軟性を強調する。
第1のリクルート部分の少なくとも1つのリクルートメント配列は、標的RNA中の第1の領域のヌクレオチドに結合し、好ましくは標的RNA中の第1の領域のヌクレオチドに相補的である任意の数のヌクレオチドを含み得る。好ましくは、(少なくとも1つの)リクルートメント配列が少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個、より好ましくは少なくとも20個のヌクレオチドを含む。本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つのリクルートメント配列は10~200個のヌクレオチドを含み、より好ましくは、10~100個のヌクレオチドまたは15~100個のヌクレオチドまたは20~100個のヌクレオチドを含む。好ましくは、第1のリクルート部分の少なくとも1つのリクルートメント配列は、本質的に一本鎖核酸として、特に生理学的条件下で存在する。
上述のように、好ましい実施形態では、人工核酸の第1のリクルート部分は、少なくとも2つのリクルートメント配列を含むリクルートメント配列のクラスターを含む。したがって、好ましい実施形態では、第1のリクルートメント配列は標的RNA中の第1の領域に結合し、好ましくは標的RNA中の第1の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含み、第2のリクルートメント配列またはさらなるリクルートメント配列は標的RNA中の第2の領域またはさらなる領域に結合し、好ましくは標的RNA中の第2の領域またはさらなる領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む。例えば、特定の実施形態では第1のリクルート部分は3個のリクルートメント配列を含み、第1のリクルートメント配列は標的RNA中の第1の領域に結合し、好ましくは標的RNA中の第1の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含み、第2のリクルートメント配列は標的RNA中の第2の領域に結合し、好ましくは標的RNA中の第2の領域またはさらなる領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含み、第3のリクルートメント配列は標的RNA中の第3の領域に結合し、好ましくは標的RNA中の第3の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む。
人工核酸の第1のリクルート部分においてリクルートメント配列のクラスターを形成する複数のリクルートメント配列はしたがって、標的化配列と共に、デアミナーゼを配列特異的な様式で標的部位に導き、それによって、標的RNAに対する人工核酸の結合親和性を増加させる。各リクルートメント配列に利用可能な大きな配列空間のために、それらの選択は非常に柔軟であり、したがって、編集効率、特異性、バイスタンダー編集、ならびに安定性、免疫原性、毒性、およびその他を含む、ガイドRNAの様々な重要な特性を最適化することを可能にする。
好ましくは、第1のリクルート部分の第1のリクルートメント配列によって結合される標的RNA中の第1の領域、ならびに/または第1のリクルート部分の第2のおよび/もしくはさらなるリクルートメント配列によって結合される標的RNA中の第2のおよび/もしくはさらなる領域は、編集可能なアデノシンヌクレオチドを含まない。すなわち、標的配列の第1の領域およびさらなる領域は好ましくは、減少されたもしくは存在しないRNA編集に供される特異的コドンコンテクストにおけるアデノシンヌクレオチド(例えば、5’-GA-3’コンテクストにおけるグアノシンヌクレオチドに続くアデノシンヌクレオチド)または特異的位置(例えば、リクルートメント配列の5’または3’末端から5nt以内)におけるアデノシンヌクレオチドを除いて、いかなるアデノシンヌクレオチドも含まない。
したがって、人工核酸の第1のリクルート部分のリクルートメント配列は、好ましくは、リクルートメント配列のいずれかの末端(5’または3’)から5nt以内であるか、または5’-NUS(S=CまたはG)コンテクスト中にあるか、のいずれかでない限り、ウリジン塩基が枯渇している。
本発明の特定の実施形態では、人工核酸の第1のリクルート部分のリクルートメント配列は、好ましくは低減されたウリジン含有量を有する。例えば、第1のリクルート部分のリクルートメント配列は、リクルートメント配列のいずれかの末端(5’または3’)から5nt以内であるか、または5’-NUS(S=CまたはG)コンテクスト中にあるかのいずれかでない限り、リクルートメント配列に含まれるヌクレオチドの総数に対して、50%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、または1%未満のウリジンヌクレオチドを含むことが好ましい。より好ましくは、人工核酸の第1のリクルート部分のリクルートメント配列は、リクルートメント配列のいずれかの末端(5’または3’)から5nt以内であるか、または5’-NUS(S=CまたはG)コンテクスト中にあるか、のいずれかでない限り、いかなるウリジン塩基も含まない。
このようにして、標的RNAの第1およびさらなる領域ならびにリクルートメント配列によって形成される二本鎖領域における標的外編集事象が回避される。
好ましい実施形態では、人工核酸は、第1のリクルート部分と標的化配列との間にヌクレオチドスペーサーを含む。ヌクレオチドスペーサーは、好ましくは、i)人工核酸の標的化配列に隣接するリクルートメント配列によって結合される標的RNA中の第1の領域、およびii)標的RNA中の標的配列、に結合せず、かつ相補的でもない。
第1のリクルート部分と人工核酸の標的化配列との間に位置し得る任意のヌクレオチドスペーサーは、任意のヌクレオチド、例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジンまたはチミジンヌクレオチドを含み得、好ましくは(1つまたは複数の)アデノシンヌクレオチドを含む。第1のリクルート部分のリクルートメント配列を連結する任意のヌクレオチドリンカーに関して本明細書に記載されるように、第1のリクルート部分と標的化配列との間に任意に位置するヌクレオチドスペーサーは、好ましくは少なくとも1つのヌクレオチド、例えば1~100個のヌクレオチド、より好ましくは1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~40、1~30、1~20または1~10個のヌクレオチドを含み、さらにより好ましくは2~6個のヌクレオチドを含み、当該ヌクレオチドは好ましくはアデノシンヌクレオチドである。
したがって、人工核酸中の標的化配列と第1のリクルートメント配列とを連結するヌクレオチドスペーサーは、標的配列(人工核酸の標的化配列によって結合される)と標的RNA中の第1の領域(人工核酸の第1のリクルートメント配列によって結合される)との間に位置する標的RNAのヌクレオチドを「架橋」する。ここでもまた、標的配列と標的RNA上の第1の領域(それぞれ、標的化配列および第1のリクルートメント配列によって結合される)との間に位置するヌクレオチドの数は、一般に、ヌクレオチドスペーサーのヌクレオチドの数と一致しないことに留意しなければならない。むしろ、標的化配列への結合部位として機能する標的RNA上の領域と、人工核酸の第1のリクルートメント配列との間の距離は、例えば、数百個または数千個までのヌクレオチドを含み得る。この特定の場合、標的化配列および第1のリクルートメント配列が標的RNAの相補的領域に結合する過程において、標的化配列および第1のリクルートメント配列の特異的結合部位間に位置するヌクレオチドは、標的RNA中にループを形成するだろう。
(標的化配列)
人工核酸の第1のリクルート部分および第2のリクルート部分に隣接する標的化配列は、編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む。好ましくは、標的化配列は、標的RNA中の核酸配列に相補的または少なくとも60%、70%、80%、90%、95%もしくは99%相補的である核酸配列を含み、標的RNA中の相補的核酸配列は標的部位を含み、好ましくは少なくとも10個のヌクレオチド、例えば、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも25または少なくとも30個のヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、標的化配列は、10~50、より好ましくは16~40個のヌクレオチドを含む。好ましくは、人工核酸の標的化配列は、本質的に一本鎖核酸として、特に生理学的条件下で存在する。
いくつかの実施形態によれば、人工核酸の標的化配列は標的配列中の編集対象のヌクレオチドに対応する位置に、シチジンヌクレオチドもしくはそのバリアント、デオキシシチジンヌクレオチドもしくはそのバリアント、または脱塩基部位を含む。好ましくは、標的化配列は、標的配列中の編集対象のヌクレオチドに対応する位置に、好ましくは編集対象のアデノシン、編集対象のアデノシンとミスマッチするシチジンヌクレオチドを含む。好ましくは、編集対象のアデノシンとミスマッチするシチジンヌクレオチドは、標的化配列の5’または3’末端のいずれかから少なくとも6個のヌクレオチド離れて位置する。より好ましくは、編集対象のアデノシンとミスマッチするシチジンヌクレオチドは、標的化配列内の中心外に位置する。例えば、20個のヌクレオチドからなる標的化配列において、編集対象のアデノシンとミスマッチするシチジンヌクレオチドは、標的化配列の3’または5’末端、好ましくは3’末端に対して8位に位置する。
いくつかの実施形態では、標的RNA中の標的部位が編集対象の2つ以上のヌクレオチドを含み、これらのヌクレオチドは好ましくは少なくとも1つ、好ましくは2つの他のヌクレオチドによって互いに隔てられる。これらの実施形態では、標的化配列が編集対象のヌクレオチドに対応する各位置に、上記のヌクレオチド、好ましくはシチジンヌクレオチドまたはそのバリアントを含み得る。
所与の標的RNAを編集するための人工核酸の標的化配列の個々の核酸配列は、典型的には編集対象の特定の標的RNAの標的部位の配列に依存する。
(第2のリクルート部分)
第1のリクルート部分および標的化配列に加えて、本発明の人工核酸は、標的化配列に対して3’または5’に位置するデアミナーゼをリクルートすることができる第2のリクルート部分を含む。したがって、人工核酸は、構造5’-第1のリクルート部分-標的化配列-第2のリクルート部分-3’または5’-第2のリクルート部分-標的化配列-第1のリクルート部分-3’を含み得る。
人工核酸の一実施形態では、第2のリクルート部分は、第1のリクルート部分に関して定義されたリクルート部分であってもよい。すなわち、第2のリクルート部分は、標的RNA中の特定の領域に結合し、好ましくはそれに相補的であるか、または少なくとも部分的に相補的である少なくとも1つのリクルートメント配列を含んでもよく、より好ましくは、第1のリクルート部分に関して上で定義された任意のヌクレオチドリンカーを介して連結される少なくとも2つのリクルートメント配列のクラスターを含む。この特定の実施形態では、人工核酸は、標的化配列と第2のリクルート部分との間に任意でヌクレオチドスペーサー、好ましくは標的化配列と第1のリクルート部分との間に存在し得るヌクレオチドスペーサーに関して定義されるヌクレオチドスペーサーを任意に含み得る。
しかしながら、好ましい実施形態では、第2のリクルート部分は、標的mRNAに結合することなく、デアミナーゼ、好ましくはアデノシンデアミナーゼに結合することができる核酸配列を含む。すなわち、人工核酸の好ましい実施形態では、第1のリクルート部分および第2のリクルート部分は、デアミナーゼをリクルートするそれらの様式が異なる。
特定の実施形態では、人工核酸の第2のリクルート部分はデアミナーゼをリクルートすることができる少なくとも1つのカップリング剤を含むか、または当該カップリング剤からなり、デアミナーゼは前記カップリング剤に結合する部分を含む。デアミナーゼをリクルートするカップリング剤は、典型的には標的化配列の5’末端または3’末端に共有結合される。あるいは、カップリング剤は、標的化配列の内部ヌクレオチド(すなわち、5’-または3’-末端ヌクレオチドではない)に、例えば、ヌクレオチドバリアントまたは修飾ヌクレオチド(好ましくはアミノチミジンなどの本明細書に記載のもの)への連結を介して連結されていてもよい。
カップリング剤は、O6-ベンジルグアニン、O2-ベンジルシトシン、クロロアルカン、1xBG、2xBG、4xBG、およびこれらのいずれかのバリアントからなる群より選ばれる。特に好ましい実施形態によれば、カップリング剤は、2xBGまたは4xBGなどの分岐分子であり、その各々は好ましくはデアミナーゼ分子をリクルートすることができ、したがって、好ましくは、編集反応を増幅することができる。好適な分岐カップリング剤の例示的構造を以下に示す:
カップリング剤は、好ましくはデアミナーゼ中の部分に特異的に結合することができる。デアミナーゼ中の上記部分は好ましくはタグであり、これは本明細書に記載のデアミナーゼ、好ましくは本明細書に記載のアデノシンデアミナーゼまたはシチジンデアミナーゼに連結される。より好ましくは、上記タグは、SNAP-tag、CLIP-tag、HaloTag、およびこれらのいずれか一つの断片またはバリアントからなる群より選ばれる。
本発明に関して、核酸配列またはアミノ酸配列の「バリアント」は、当該バリアントが由来する配列に対して、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、同一であることが好ましい。バリアントは、機能性バリアントであることが好ましい。
本明細書に使用される場合、核酸配列またはアミノ酸配列の「断片」は、完全長配列におけるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の連続配列に相当する、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の連続配列からなり、これは、当該断片が由来する完全長配列の、少なくとも5%、10%、20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、に相当する。本発明の意味において、このような断片は、機能性断片であることが好ましい。
したがって、これらの実施形態においてカップリング剤によって結合されるデアミナーゼは、好ましくは内因性デアミナーゼの人工物バージョン、好ましくは本明細書に記載のデアミナーゼの人工物バージョンである。好ましくは、デアミナーゼは、好ましくは本明細書に記載の、SNAP-ADAR1、SNAP-ADAR2、Apobec1-SNAP、SNAPf-ADAR1、SNAPf-ADAR2、Apobec1-SNAPf、Halo-ADAR1、Halo-ADAR2、Apobec1-Halo、Clip-ADAR1、Clip-ADAR2、Clipf-ADAR1、Clipf-ADAR2、Apobec1-ClipおよびApobec1-Clipfからなる群より選ばれ、またはこれらのいずれかの断片もしくはバリアントから選択され、ここで、デアミナーゼは好ましくはヒト、マウスまたはラットに由来するものである。より好ましくは、デアミナーゼは、SNAP-ADAR1、SNAP-ADAR2、SNAPf-ADAR1、SNAPf-ADAR2、Halo-ADAR1、Halo-ADAR2、Clip-ADAR1、Clip-ADAR2、Clipf-ADAR1およびClipf-ADAR2からなる群より選ばれ、またはこれらのいずれかの断片もしくはバリアントから選ばれ、ここで、デアミナーゼはヒトに由来するものである。別の実施形態によれば、デアミナーゼは、mApobec1-SNAP、mApobec1-SNAPf、mApobec1-Halo、m Apobec1-ClipおよびmApobec1-Clipfからなる群より選ばれ、またはこれらのいずれかの断片もしくはバリアントから選ばれ、ここで、デアミナーゼはマウスに由来するものである。
特に好ましい実施形態において、デアミナーゼは本明細書に記載のデアミナーゼのいずれかの過剰活性(hyperactive)変異体であり、好ましくは過剰活性Q変異体であり、より好ましくはADAR1デアミナーゼ、ADAR2デアミナーゼの過剰活性Q変異体(例えば、ヒトADAR1p150、E1008Q;ヒトADAR1p110、E713Q;ヒトADAR2、E488Q)であり、またはこれらのタグ付きバージョン、最も好ましくは本明細書に記載のものであり、またはこれらのいずれかの断片もしくはバリアントである。
別の実施形態において、デアミナーゼは本明細書に記載のデアミナーゼのいずれかの変異体であり、当該変異体はデアミナーゼのヌクレオチド特異性をアデノシンから別のヌクレオチドに変更させる変異体であり、例えば、C-から-UへのRNA編集を行うことができるADAR2デアミナーゼ変異体である(Abudayyeh, O. O., et al.: A cytosine deaminase for programmable single-base RNA editing. Science 365(6451): 382-386. (2019)を参照されたい)。
好ましくは本明細書に記載のタグ付きデアミナーゼ(例えば、SNAP-、SNAPf-、Clip-、Clipf-、Halo-タグ付きデアミナーゼまたはそれらの断片もしくはバリアント)は、好ましくはRNA編集のために、例えば、上記タグ付きデアミナーゼをコードするベクターによる細胞の一過性トランスフェクションによって、または形質転換細胞、組織もしくは生体における安定な発現によって、過剰発現する。
特定の実施形態において、人工核酸の第2のリクルート部分は、少なくとも1つのRNAモチーフ(例えば、MS2ループ、トランス活性化cr RNAのダイレクトリピート、Box Bモチーフ、HIVトランス活性化応答(TAR)ヘアピン)を含むか、または当該少なくとも1つのRNAモチーフからなり、当該RNAモチーフは、デアミナーゼ、またはテザリングアプローチのために開発された他のエフェクター融合タンパク質(類似のMCP-ADAR(Azad, M. T. A., et al.: Site-directed RNA editing by adenosine deaminase acting on RNA for correction of the genetic code in gene therapy. Gene Ther 24(12): 779-786 (2017)、およびD. Katrekar et al.: In vivo RNA editing of point mutations via RNA-guided adenosine deaminases. Nat. Methods 16(3), 239-242 (2019));または類似のdCas-ADAR(Cox, D. B. T., et al., supra; Omar O. Abudayyeh, et al., supra)、または類似のLambdaN-ADAR(Montiel-Gonzalez, M. F., et al.: Correction of mutations within the cystic fibrosis transmembrane conductance regulator by site-directed RNA editing. Proc Natl Acad Sci U S A 110(45): 18285-18290(2013))、または類似のTBP-ADAR(S. Rauch et al.: Programmable RNA-Guided RNA Effector Proteins Built from Human Parts. Cell 178, 122-134.e12 (2019))をリクルートすることができる。
本発明の好ましい実施形態において、第2のリクルート部分は、デアミナーゼ(好ましくはアデノシンまたはシチジンデアミナーゼ、より好ましくはアデノシンデアミナーゼ)
の二本鎖(ds)RNA結合ドメインに特異的に結合することができる核酸配列を含むか、または当該核酸配列からなる。有利なことに、デアミナーゼに結合することができる核酸配列を含んでいるかまたは当該核酸配列からなるリクルート部分は、内因性デアミナーゼに結合する。これにより、本発明に係る人工核酸は、内因性(または異種発現)デアミナーゼを用いる部位特異的RNA編集を促進する。
人工核酸はデアミナーゼによるRNAの部位特異的編集に適しており、ここで、デアミナーゼは好ましくはアデノシンデアミナーゼまたはその断片もしくはバリアント、好ましくはADAR(dsRNAに作用するアデノシンデアミナーゼ)酵素またはその断片もしくはバリアントであり、より好ましくはADAR1、ADAR2およびその断片もしくはバリアントからなる群より選ばれ、例えば、アデノシンデアミナーゼドメインを含むペプチドもしくはタンパク質である。しかしながら、シチジンデアミナーゼまたはその断片もしくはバリアント、例えばApobec1またはその断片もしくはバリアント、例えばシチジンデアミナーゼドメインを含むペプチドまたはタンパク質、も企図される。
本明細書で使用される用語「デアミナーゼ」は、標的RNA中のヌクレオチドまたはそのバリアントの脱アミノ化、特にアデノシンまたはシチジンの脱アミノ化を触媒することができる任意のペプチド、タンパク質またはタンパク質ドメインを指す。したがって、この用語は、ADAR1、ADAR2またはApobec1などの完全長および野生型デアミナーゼを指すだけでなく、デアミナーゼの断片またはバリアント、好ましくは機能性断片または機能性バリアント、も指す。特に、当該用語は、好ましくは本明細書に記載の、ADAR1、ADAR2またはApobec1の変異体などのデアミナーゼの変異体およびバリアントも指す。さらに、本明細書で使用される用語「デアミナーゼ」は、任意のデアミナーゼ融合タンパク質(例えば、Cas9およびCas13、MS2コートタンパク質もしくはLambda-N-ペプチド、TAR結合タンパク質に基づく)も含む。本発明に関して、用語「デアミナーゼ」はまた、SNAP-ADAR1、SNAP-ADAR2、Apobec1-SNAP、SNAPf-ADAR1、SNAPf-ADAR2、Apobec1-SNAPf、Halo-ADAR1、Halo-ADAR2、Apobec1-Halo、Clip-ADAR1、Clip-ADAR2、Clipf-ADAR1、Clipf-ADAR2、Apobec1-ClipおよびApobec1-Clipfからなる群より選ばれ、またはこれらのいずれかの断片もしくはバリアントから選択されるデアミナーゼなどのデアミナーゼのタグ付きバリアントも指し、ここで、デアミナーゼは好ましくはヒト、マウスまたはラットに由来するものである。
好ましい実施形態において、デアミナーゼはアデノシンデアミナーゼ(ADAR1、好ましくはADAR1p150もしくはADAR1p110、またはADAR2など)、好ましくは真核生物のアデノシンデアミナーゼ、より好ましくは脊椎動物のアデノシンデアミナーゼ、さらにより好ましくは哺乳類のアデノシンデアミナーゼ、最も好ましくはhADAR1もしくはhADAR2などのヒトのアデノシンデアミナーゼ、またはこれらのいずれかの断片もしくはバリアントである。
別の実施形態によれば、デアミナーゼは、シチジンデアミナーゼ(Apobec1、好ましくはヒトApobec1、ネズミ科の動物Apobec1(mApobec1)またはラットApobec1(rApobec1)など)、例えば、脊椎動物のシチジンデアミナーゼ、好ましくは哺乳類のシチジンデアミナーゼ、より好ましくはネズミ科の動物もしくはヒトのシチジンデアミナーゼなどの真核生物のシチジンデアミナーゼ、またはこれらのいずれかの断片もしくはバリアントである。デアミナーゼは、タグ付きシチジンデアミナーゼ、またはその断片もしくはバリアントであってもよい。デアミナーゼは、mApobec1-SNAP、mApobec1-SNAPf、mApobec1-Halo、mApobec1-ClipおよびmApobec1-Clipf、またはこれらのいずれかの断片もしくはバリアントからなる群より選ばれてもよく、ここでデアミナーゼはヒト、マウスまたはラットに由来するものである。
代替的な実施形態では、デアミナーゼは本明細書に記載のデアミナーゼのいずれかの過剰活性変異体(例えばADAR1デアミナーゼ、ADAR2デアミナーゼの過剰活性Q変異体(例えば、ヒトADAR1p150、E1008Q;ヒトADAR1p110、E713Q;ヒトADAR2、E488Q)などの過剰活性Q変異体)もしくはこれらのタグ付きバージョン、またはこれらのいずれかの断片もしくはバリアントである。
好ましくは、第2のリクルート部分は、デアミナーゼの二本鎖(ds)RNA結合ドメインに特異的に結合することができる核酸配列を含むか、または当該核酸配列からなり、ここで、当該核酸配列は、好ましくは標的化配列の5’末端または3’末端のいずれか、より好ましくは標的化配列の5’末端に共有結合している。
いくつかの実施形態では、リクルート部分は分子内塩基対形成が可能な核酸配列を含むかまたは当該核酸配列からなる。リクルート部分は、好ましくはステムループ構造を形成することができる核酸配列を含むかまたは当該核酸配列からなる。特定の実施形態において、上記ステムループ構造は、少なくとも二つのミスマッチを含む二重らせんステムを含むかまたは当該二重らせんステムからなる。好ましい実施形態では、ステムループ構造は、3個~8個、好ましくは4個~6個、より好ましくは5個のヌクレオチドからなるループを含む。当該ループは、好ましくは核酸配列GCUAAまたはGCUCAを含むかまたは当該核酸配列GCUAAまたはGCUCAからなる。
好ましい実施形態において、人工核酸の第2のリクルート部分は、ヌクレオチド配列5’-GGUGU CGAGA AGAGG AGAAC AAUAU GCUAA AUGUU GUUCU CGUCU CCUCG ACACC-3’を含む。このヌクレオチド配列は、ADAR1、特にADAR1p110への結合において特に有効であることが判明している。
他の実施形態において、人工核酸の第2のリクルート部分は、ヌクレオチド配列5’-GUG GAA UAG UAU AAC AAU AUG CUA AAU GUU GUU AUA GUA UCC CAC-3’を含み、特にこのヌクレオチド配列は、ADAR2への結合において有効的であることが示された。
上記の配列は、グルタミン酸受容体2mRNA中の周知のADAR2標的部位から適用されるので、R/Gモチーフとしても知られている。
したがって、第2のリクルート部分は、第1のリクルート部分に関して定義されたリクルート部分、すなわち、少なくとも1つのリクルートメント配列を含み、好ましくは標的RNA中の第1の領域および好ましくはさらなる領域に結合し、好ましくは当該領域に相補的または少なくとも部分的に相補的であるリクルートメント配列のクラスターを含む、リクルート部分であってもよいが、第1および第2のリクルート部分のうち少なくとも1つが、デアミナーゼ、好ましくは本明細書に記載のデアミナーゼ、に結合することができる核酸配列を含むことが好ましい。
したがって、本発明の人工核酸は、好ましくは一本鎖(ss)核酸分子である。好ましい実施形態では、人工核酸は生理学的条件下で二本鎖(ds)領域を含む一本鎖核酸である。好ましくは、人工核酸は、リクルート部分内に二本鎖領域を含む一本鎖核酸であり、デアミナーゼに結合することができる標的mRNAに結合することは意図されない。
したがって、好ましい実施形態において、本発明の人工核酸は、5’から3’への方向、または3’から5’への方向において以下を含む:
a)標的RNA中の第1の領域に結合する少なくとも1つのリクルートメント配列を含み、好ましくは標的RNAの第1の領域およびさらなる領域に結合するリクルートメント配列のクラスターを含む、第1のリクルート部分;
b)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列、および
c)デアミナーゼに結合することができる核酸配列、好ましくは上記で定義された核酸配列、例えばR/Gモチーフ、を含む、第2のリクルート部分。
より好ましい実施形態において、本発明の人工核酸は、3’から5’への方向において、上記で定義されたa)第1のリクルート部分、b)標的化配列、およびc)第2のリクルート部分を含む。
デアミナーゼに結合することができる核酸配列、好ましくは上記で定義された核酸配列、例えばR/Gモチーフを含む、第2のリクルート部分はまた、標的RNA中のさらなる領域に結合し、好ましくは標的RNA中のさらなる領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である少なくとも1つのリクルートメント配列、または標的RNA中のさらなる領域にそれぞれ結合し、好ましくは当該領域にそれぞれ相補的または少なくとも部分的に相補的であるリクルートメント配列のクラスターを含んでいてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の人工核酸は、5’から3’への方向、または3’から5’への方向において以下を含む:
a)標的RNA中の第1の領域に結合し、好ましくは前記標的RNA中の第1の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である少なくとも1つのリクルートメント配列を含むか、または標的RNAの第1の領域およびさらなる領域に結合し、好ましくは前記標的RNAの第1の領域およびさらなる領域に相補的または少なくとも部分的に相補的であるリクルートメント配列のクラスターを含む、第1のリクルート部分;
b)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列、および
c)標的RNA中のさらなる領域に結合し、好ましくは標的RNA中のさらなる領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である少なくとも1つのリクルートメント配列、およびデアミナーゼに結合することができる核酸配列、好ましくは上記で定義された核酸配列、例えばR/Gモチーフを含む、第2のリクルート部分。
例えば、第1のリクルート部分は、標的RNA中の第1の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である1つのリクルートメント配列を含むことができ、一方、第2のリクルート部分は、標的RNA中の第2および第3の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である2つのリクルートメント配列と、デアミナーゼに結合することができる核酸配列とを含む。別の実施形態として、第1のリクルート部分は、標的RNA中の第1および第2の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である2つのリクルートメント配列を含むことができ、一方、第2のリクルート部分は、標的RNA中の第3の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である第3のリクルートメント配列と、デアミナーゼに結合することができる核酸配列とを含む。好ましくは、R/Gモチーフなどのデアミナーゼに結合することができる核酸配列は、人工核酸の5’末端に位置する。
標的RNAのさらなる領域およびリクルートメント配列によって形成される二本鎖領域における標的外編集事象を回避するために、第2のリクルート部分のリクルートメント配列は、リクルートメント配列のいずれかの末端(5’または3’)から5nt以内であるか、または5’-NUS(S=CまたはG)コンテクスト中にあるか、のいずれかでない限り、ウリジン塩基が枯渇している。
したがって、第2のリクルート部分のリクルートメント配列は、好ましくは低減されたウリジン含有量を有する。例えば、第2のリクルート部分のリクルートメント配列は、リクルートメント配列のいずれかの末端(5’または3’)から5nt以内、または5’-NUS(S=CまたはG)コンテクスト中のいずれかにウリジンヌクレオチドがない限り、リクルートメント配列に含まれるヌクレオチドの総数に対して、50%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、または1%未満のウリジンヌクレオチドを含む。より好ましくは、人工核酸の第2のリクルート部分のリクルートメント配列は、リクルートメント配列のいずれかの末端(5’または3’)から5nt以内であるか、または5’-NUS(S=CまたはG)コンテクスト中にあるか、のいずれかでない限り、いかなるウリジン塩基も含まない。
標的RNAにおいて、第1の領域(第1のリクルート部分の少なくとも1つのリクルートメント配列によって結合される)および標的配列(標的化配列に相補的である)は、少なくとも1つのリクルートメント配列によっては結合されず、かつ、人工核酸の標的化配列に相補的でない、少なくとも1つのヌクレオチドによって隔てられる。すなわち、標的RNA中の第1の領域および標的配列は、好ましくは互いにマージしない。標的RNA中の第1の領域および標的配列は好ましくは、少なくとも1つのヌクレオチド、好ましくは2~10,000個のヌクレオチド、例えば2~5000個のヌクレオチド、2~1000個のヌクレオチド、2~500個のヌクレオチド、2~400個のヌクレオチド、2~300個のヌクレオチド、2~200個のヌクレオチドまたは2~100個のヌクレオチドによって隔てられ得る。より好ましくは、標的RNA中の第1の領域および標的配列は、2~50個のヌクレオチド、例えば、2~40個のヌクレオチド、2~30個のヌクレオチド、2~20個のヌクレオチドまたは2~10個のヌクレオチドによって隔てられる。
同様に、標的RNAにおいて、第1の領域(第1のリクルート部分の第1のリクルートメント配列によって結合される)および第2のもしくはさらなる領域(第1のリクルート部分の第2のまたはさらなるリクルートメント配列によって結合される)は、好ましくは少なくとも1つのヌクレオチド、好ましくは2~10,000個のヌクレオチド、例えば、2~5000個のヌクレオチド、2~1000個のヌクレオチド、2~500個のヌクレオチド、2~400個のヌクレオチド、2~300個のヌクレオチド、2~200個のヌクレオチドまたは2~100個のヌクレオチドによって隔てられる。より好ましくは、標的RNAにおける第1の領域および第2のもしくはさらなる領域は、2~50個のヌクレオチド、例えば、2~40個のヌクレオチド、2~30個のヌクレオチド、2~20個のヌクレオチドまたは2~10個のヌクレオチドによって隔てられる。
したがって、少なくとも1つのリクルートメント配列および標的化配列を介して標的RNAに結合する本発明の人工核酸は、標的RNA上の1000個、10,000個、またはさらには100,000個のヌクレオチドの領域にわたり得、それによって、デアミナーゼを標的RNAの特異的標的部位にリクルートする。人工核酸の標的化配列によって結合された標的RNAの標的配列が、人工核酸の第1のリクルートメント配列によって結合された第1の領域から数百個または数千個のヌクレオチド、例えば、100、200、300、400、500、1000、5000、10,000または100,000個のヌクレオチドだけ離れている場合、これらのヌクレオチドは、人工核酸が結合すると、標的RNA中でループを形成し得ることに留意されたい。
本発明に係る人工核酸はその長さが限定されるものではなく、例えば、オリゴヌクレオチドであってもよい。本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は短い核酸分子(例えば、6量体または10量体)ならびにより長いオリゴヌクレオチド(例えば、100個または200個ものヌクレオチドを含む核酸分子)を指し得るものであり、ここで、オリゴヌクレオチドは、(修飾されていないまたは修飾された)リボヌクレオチドおよび/または(修飾されていないまたは修飾された)デオキシヌクレオチドを含み得る。好ましい実施形態によれば、人工核酸は、少なくとも約15個、好ましくは少なくとも約20個、より好ましくは少なくとも約25個、さらにより好ましくは少なくとも約30個、さらにより好ましくは少なくとも約35個、最も好ましくは少なくとも約40個のヌクレオチドを含む。あるいは、人工核酸の長さは、約15個~1000個のヌクレオチド、例えば、約15個~約400個のヌクレオチド、約15個~約300個のヌクレオチド、約15個~約200個のヌクレオチドであり、好ましくは、約20個~約150個のヌクレオチド、より好ましくは約20個~約100個のヌクレオチド、最も好ましくは約20個~約80個のヌクレオチドである。
本発明の特定の実施形態において、人工核酸は、化学的に修飾されたヌクレオチドを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、用語「化学修飾」は、好ましくは、脱塩基部位を含む、骨格修飾、糖修飾または塩基修飾から選択される化学修飾を指す。本発明に関して、「化学的に修飾された核酸」は、少なくとも一つの化学的に修飾されたヌクレオチドを含む核酸を指し得る。
本発明の特定の実施形態において、人工核酸の第1のリクルート部分および/または標的化配列および/または第2のリクルート部分は、少なくとも1つの化学的に修飾されたヌクレオチドを含み得る。特に、第1のリクルート部分および/または標的化配列および/または第2のリクルート部分は、例えばWO/2020/001793にて開示されている特定の修飾パターンをもたらし得る複数の化学的に修飾されたヌクレオチドを含み得る。
一般に、本発明の人工核酸分子は、天然の(=自然界に存在する)ヌクレオチドならびに化学的に修飾されたヌクレオチドを含み得る。本明細書で使用される場合、用語「ヌクレオチド」は、一般に、(修飾されていないおよび修飾された)リボヌクレオチド、ならびに(修飾されていないおよび修飾された)デオキシヌクレオチドを含む。したがって、「ヌクレオチド」という用語は、好ましくはアデノシン、デオキシアデノシン、グアノシン、デオキシグアノシン、イノシン、デオキシイノシン、5-メトキシウリジン、チミジン、ウリジン、デオキシウリジン、シチジン、デオキシシチジンまたはそれらのバリアントを指す。さらに、本明細書において「ヌクレオチド」に言及する場合、それぞれのヌクレオシドも同様に含まれることが好ましい。
この点において、ヌクレオチドの「バリアント」は、典型的にはヌクレオチドの天然または人工バリアントである。したがって、バリアントは、好ましくは天然ヌクレオチドに対して付加または欠失し、またはヌクレオチドの天然に存在する官能基を置換する、非天然官能基を有する化学的に誘導体化されたヌクレオチドである。したがって、このようなヌクレオチドバリアントにおいて、天然ヌクレオチド(好ましくはリボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチド)の各部分は修飾されてもよく、つまり、塩基部分、糖(リボース)部分および/または人工核酸の骨格を形成するリン酸部分は、好ましくは本明細書に記載の修飾によって修飾されてもよい。したがって、用語「(ヌクレオチド、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチドなどの)バリアント」もまた、好ましくは本明細書に記載の化学的に修飾されたヌクレオチドを含む。
本明細書において使用される場合、化学的に修飾されたヌクレオチドは、好ましくは、グアノシン、ウリジン、アデノシン、チミジン、およびシチジンのバリアントであり、例えばアセチル化、メチル化、ヒドロキシル化などによって化学的に改変された天然のまたは非天然のいずれかのグアノシン、ウリジン、アデノシン、チミジン、またはシチジンが挙げられるがこれらに限定されず、1-メチル-アデノシン、1-メチル-グアノシン、1-メチル-イノシン、2,2-ジメチル-グアノシン、2,6-ジアミノプリン、2’-アミノ-2’-デオキシアデノシン、2’-アミノ-2’-デオキシシチジン、2’-アミノ-2’-デオキシグアノシン、2’-アミノ-2’-デオキシウリジン、2-アミノ-6-クロロプリンリボシド、2-アミノプリン-リボシド、2’-アラアデノシン、2’-アラシチジン、2’-アラウリジン、2’-アジド-2’-デオキシアデノシン、2’-アジド-2’-デオキシシチジン、2’-アジド-2’-デオキシグアノシン、2’-アジド-2’-デオキシウリジン、2-クロロアデノシン、2’-フルオロ-2’-デオキシアデノシン、2’-フルオロ-2’-デオキシシチジン、2’-フルオロ-2’-デオキシグアノシン、2’-フルオロ-2’-デオキシウリジン、2’-フルオロチミジン、2-メチル-アデノシン、2-メチル-グアノシン、2-メチル-チオ-N6-イソペンテニル-アデノシン、2’-O-メチル-2-アミノアデノシン、2’-O-メチル-2’-デオキシアデノシン、2’-O-メチル-2’-デオキシシチジン、2’-O-メチル-2’-デオキシグアノシン、2’-O-メチル-2’-デオキシウリジン、2’-O-メチル-5-メチルウリジン、2’-O-メチルイノシン、2’-O-メチルプソイドウリジン、2-チオシチジン、2-チオ-シチジン、3-メチル-シチジン、4-アセチル-シチジン、4-チオウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-ウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、5-アミノアリルシチジン、5-アミノアリル-デオキシウリジン、5-ブロモウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウラシル、5-クロロ-アラ-シトシン、5-フルオロ-ウリジン、5-ヨードウリジン、5-メトキシカルボニルメチル-ウリジン、5-メトキシ-ウリジン、5-メチル-2-チオ-ウリジン、6-アザシチジン、6-アザウリジン、6-クロロ-7-デアザ-グアノシン、6-クロロプリンリボシド、6-メルカプト-グアノシン、6-メチル-メルカプトプリン-リボシド、7-デアザ-2’-デオキシ-グアノシン、7-デアザアデノシン、7-メチル-グアノシン、8-アザアデノシン、8-ブロモ-アデノシン、8-ブロモ-グアノシン、8-メルカプト-グアノシン、8-オキソグアノシン、ベンズイミダゾール-リボシド、ベータ-D-マンノシル-クエオシン、ジヒドロ-ウリジン、イノシン、N1-メチルアデノシン、N6-([6-アミノヘキシル]カルバモイルメチル)-アデノシン、N6-イソペンテニル-アデノシン、N6-メチル-アデノシン、N7-メチル-キサントシン、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ピューロマイシン、クエオシン、ウラシル-5-オキシ酢酸、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ワイブトキソシン、キサントシン、およびキシロ-アデノシン、が挙げられる。そのようなバリアントの調製方法は当業者にとって公知であり、例えば、米国特許US4,373,071、US4,401,796、US4,415,732、US4,458,066、US4,500,707、US4,668,777、US4,973,679、US5,047,524、US5,132,418、US5,153,319、US5,262,530、または5,700,642に記載されている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の人工核酸は、2-アミノ-6-クロロプリンリボシド-5’-三リン酸、2-アミノプリン-リボシド-5’-三リン酸、2-アミノアデノシン-5’-三リン酸、2’-アミノ-2’-デオキシシチジン-三リン酸、2-チオシチジン-5’-三リン酸、2-チオウリジン-5’-三リン酸、2’-フルオロチミジン-5’-三リン酸、2’-O-メチル-イノシン-5’-三リン酸、4-チオウリジン-5’-三リン酸、5-アミノアリルシチジン-5’-三リン酸、5-アミノアリルウリジン-5’-三リン酸、5-ブロモシチジン-5’-三リン酸、5-ブロモウリジン-5’-三リン酸、5-ブロモ-2’-デオキシシチジン-5’-三リン酸、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン-5’-三リン酸、5-ヨードシチジン-5’-三リン酸、5-ヨード-2’-デオキシシチジン-5’-三リン酸、5-ヨードウリジン-5’-三リン酸、5-ヨード-2’-デオキシウリジン-5’-三リン酸、5-メチルシチジン-5’-三リン酸、5-メチルウリジン-5’-三リン酸、5-プロピニル-2’-デオキシシチジン-5’-三リン酸、5-プロピニル-2’-デオキシウリジン-5’-三リン酸、6-アザシチジン-5’-三リン酸、6-アザウリジン-5’-三リン酸、6-クロロプリンリボシド-5’-三リン酸、7-デアザアデノシン-5’-三リン酸、7-デアザグアノシン-5’-三リン酸、8-アザアデノシン-5’-三リン酸、8-アジドアデノシン-5’-三リン酸、ベンズイミダゾール-リボシド-5’-三リン酸、N1-メチルアデノシン-5’-三リン酸、N1-メチルグアノシン-5’-三リン酸、N6-メチルアデノシン-5’-三リン酸、O6-メチルグアノシン-5’-三リン酸、プソイドウリジン-5’-三リン酸、ピューロマイシン-5’-三リン酸、またはキサントシン-5’-三リン酸、から選ばれる少なくとも一つの化学的に修飾されたヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の人工核酸は、ピリジン-4-一リボヌクレオシド、5-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、3-メチルウリジン、5-カルボキシメチル-ウリジン、1-カルボキシメチル-プソイドウリジン、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-プソイドウリジン、5-タウリノメチルウリジン、1-タウリノメチル-プソイドウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン、1-タウリノメチル-4-チオ-ウリジン、5-メチル-ウリジン、1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、ジヒドロウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-メトキシウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、および4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、から選ばれる少なくとも1つの化学的に修飾されたヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の人工核酸は、5-アザ-シチジン、プソイドイソシチジン、3-メチル-シチジン、N4-アセチルシチジン、5-ホルミルシチジン、N4-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、1-メチル-プソイドイソシチジン、ピロロ-シチジン、ピロロ-プソイドイソシチジン、2-チオ-シチジン、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-チオ-プソイドイソシチジン、4-チオ-1-メチル-プソイドイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-プソイドイソシチジン、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-プソイドイソシチジン、および4-メトキシ-1-メチル-プソイドイソシチジンより選ばれる少なくとも1つの化学的に修飾されたヌクレオチドを含む。
他の実施形態では、本明細書に記載の人工核酸は、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノプリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチルアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6-イソペンテニルアデノシン、N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、2-メチルチオ-N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6-グリシニルカルバモイルアデノシン、N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、2-メチルチオ-N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、N6,N6-ジメチルアデノシン、7-メチルアデニン、2-メチルチオ-アデニン、および2-メトキシ-アデニンより選ばれる少なくとも1つの化学的に修飾されたヌクレオチドを含む。
他の実施形態では、本明細書に記載の人工核酸は、イノシン、1-メチル-イノシン、ワイオシン、ワイブトシン、7-デアザ-グアノシン、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-グアノシン、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-メチルイノシン、6-メトキシ-グアノシン、1-メチルグアノシン、N2-メチルグアノシン、N2,N2-ジメチルグアノシン、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、およびN2,N2-ジメチル-6-チオ-グアノシンより選ばれる少なくとも1つの化学的に修飾されたヌクレオチドを含む。
特定の実施形態において、本明細書に記載の人工核酸は、6-アザ-シチジン、2-チオ-シチジン、アルファ-チオ-シチジン、プソイド-イソ-シチジン、5-アミノアリル-ウリジン、5-ヨード-ウリジン、N1-メチル-プソイドウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、アルファ-チオ-ウリジン、4-チオ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン、デオキシ-チミジン、5-メチル-ウリジン、ピロロ-シチジン、イノシン、アルファ-チオ-グアノシン、6-メチル-グアノシン、5-メチル-シチジン、8-オキソ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、N1-メチル-アデノシン、2-アミノ-6-クロロ-プリン、N6-メチル-2-アミノ-プリン、プソイド-イソ-シチジン、6-クロロ-プリン、N6-メチル-アデノシン、アルファ-チオ-アデノシン、8-アジド-アデノシン、7-デアザ-アデノシンより選ばれる少なくとも1つの化学的に修飾されたヌクレオチドを含む。
特定の実施形態において、人工核酸は、2’位が化学的に修飾された、少なくとも1つの化学的に修飾されたヌクレオチドを含む。好ましくは、上記化学的に修飾されたヌクレオチドは、2’位の炭素原子において置換基を含み、上記置換基は、ハロゲン、アルコキシ基、水素、アリールオキシ基、アミノ基、およびアミノアルコキシ基からなる群より選ばれ、好ましくは2’-水素(2’-デオキシ)、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル、および2’-フルオロから選ばれる。人工核酸に関して、特に、人工核酸がRNAまたはリボヌクレオチドを含む分子である場合、デオキシシチジンまたはそのバリアントなどの2’-デオキシヌクレオチド(2’位の炭素原子において置換基として水素を含む)はまた、「化学的に修飾されたヌクレオチド」と呼ばれ得る。
本明細書に記載のヌクレオチドの2’位に関する別の化学修飾は、ロック核酸(LNA)ヌクレオチド、エチレン架橋核酸(ENA)ヌクレオチド、および(S)拘束エチルcEtヌクレオチドである。これらの骨格修飾は、修飾ヌクレオチドの糖を好ましいノーザン立体配置(northern conformation)に固定する。人工核酸の標的化配列におけるこの種の修飾の存在によって、標的RNAへの標的化配列のより強力でより迅速な結合が可能になると考えられる。
いくつかの実施形態によれば、人工核酸は少なくとも一つの化学的に修飾されたヌクレオチドを含み、ここで、人工核酸分子に組み込まれているリン酸骨格は修飾されている。骨格のリン酸基は、例えば、一つ以上の酸素原子を別の置換基で置換することによって修飾され得る。さらに、修飾ヌクレオチドは、本明細書に記載のように、修飾されていないリン酸部分を修飾されたホスフェートで全置換することを含み得る。修飾リン酸基の例としては、ホスホロチオエート、立体純粋ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、ハイドロジェンホスホネート、ホスホロアミデート、アルキルホスホネート、アリールホスホネート、およびホスホトリエステルからなる群が挙げられるが、これらに限定されない。ホスフェートリンカーはまた、結合酸素を窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)および炭素(架橋メチレンホスホネート)で置換することによっても修飾され得る。
さらに好ましい実施形態によれば、人工核酸は脱塩基部位を含む。本明細書で使用される場合、「脱塩基部位」は、有機塩基を欠くヌクレオチドである。好ましい実施形態において、脱塩基ヌクレオチドは、リボースの2’位に本明細書に記載の化学修飾をさらに含む。好ましくは、リボースの2’位のC原子は、ハロゲン、アルコキシ基、水素、アリールオキシ基、アミノ基、およびアミノアルコキシ基からなる群より選ばれる置換基、好ましくは2’-水素(2’-デオキシ)、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル、および2’-フルオロから選ばれる置換基で置換される。したがって、本発明に関して、「化学的に修飾されたヌクレオチド」は、脱塩基部位でもあり得る。
他の実施形態によれば、人工核酸分子は、いわゆる「5’キャップ構造」を追加することによって修飾されてもよい。5’キャップは、概して成熟mRNAの5’末端を「キャップ」する構成要素、典型的には修飾ヌクレオチドの構成要素である。5’キャップは、典型的には、修飾ヌクレオチドによって形成されてもよく、特に、グアニンヌクレオチドの誘導体によって形成されてもよい。好ましくは、5’キャップは、人工核酸の5’末端に対して5’-5’-三リン酸結合を介して連結される。5’キャップは、メチル化されてもよく、例えばm7GpppNであってもよい。ここで、Nは、5’キャップを保有する核酸の、5’末端のヌクレオチドであり、典型的には、RNAの5’末端である。5’キャップ構造のさらなる例には、グリセリル、逆位(inverted)デオキシ脱塩基残基(部分)、4’,5’メチレンヌクレオチド、1-(ベータ-D-エリトロフラノシル)ヌクレオチド、4’-チオヌクレオチド、炭素環状ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド、L-ヌクレオチド、アルファ-ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、トレオ-ペントフラノシルヌクレオチド、非環状3’,4’-セコヌクレオチド、非環状3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド、非環状3,5ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’-3’-逆位ヌクレオチド部分、3’-3’-逆位脱塩基部分、3’-2’-逆位ヌクレオチド部分、3’-2’-逆位脱塩基部分、1,4-ブタンジオールホスフェート、3’-ホスホロアミデート、ヘキシルホスフェート、アミノヘキシルホスフェート、3’-ホスフェート、3’ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または架橋性もしくは非架橋性メチルホスホネート部分が含まれる。特に好ましい修飾5’キャップ構造は、CAP1(m7Gに隣接するヌクレオチドのリボースのメチル化)、CAP2(m7Gの下流の2番目のヌクレオチドのリボースのメチル化)、CAP3(m7Gの下流の3番目のヌクレオチドのリボースのメチル化)、CAP4(m7Gの下流の4番目のヌクレオチドのリボースのメチル化)、ARCA(アンチ-リバースCAPアナログ)、修飾ARCA(例えば、ホスホチオエート修飾ARCA)、イノシン、N1-メチル-グアノシン、2’-フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、および2-アジド-グアノシンである。
いくつかの実施形態では、人工核酸は、当該人工核酸の細胞内取り込みを増強する部分を含む。好ましくは、上記細胞内取り込みを増強する部分は、好ましくは人工核酸の3’末端または5’末端と接合するトリアンテナ型N-アセチルガラクトサミン(GalNAc3)である。
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸は、非修飾リボヌクレオチドおよび/または非修飾デオキシヌクレオチドを含む。より好ましくは、本発明に係る人工核酸は、RNAまたはRNA類似体である。最も好ましくは、本発明に係る人工核酸は、内因的に発現可能なRNAである。
一態様において、本発明は、上記で定義される標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸の配列を生成するための方法を提供する。
標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸の配列を生成するための方法は、以下の工程を含む
i)第1のリクルート部分の配列を生成し、ここで、前記第1のリクルート部分は、標的RNA中の第1の領域に結合する、少なくとも1つのリクルートメント配列を含む;
ii)少なくとも1つのヌクレオチドを含むヌクレオチドスペーサーの配列を任意に生成する;
iii)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列を生成する;
iv)デアミナーゼをリクルートすることができる第2のリクルート部分の配列を生成する;および
v)第1のリクルート部分の配列、任意でヌクレオチドスペーサー、標的化配列、および第2のリクルート部分の配列を、5’から3’への方向または3’から5’への方向においてアセンブルする。
好ましい実施形態において、人工核酸の配列を生成するための方法中の工程i)および任意で工程iv)は、少なくとも2つのリクルートメント配列を含むリクルート部分を生成すること、好ましくはヌクレオチドリンカーを介して連結されたリクルートメント配列のクラスターを生成することを含む。
生成された核酸配列は、インビトロまたはインビボで発現され、それによって本発明の人工核酸分子を合成することができる。生成された配列に基づいて合成された人工核酸は上述のように、高い効率および高い特異性で、特に標的外編集の割合が低減された、RNA標的を編集するのに適している。
本発明の人工核酸の第1のリクルート部分、および任意で第2のリクルート部分は、標的RNAの第1の領域および任意でさらなる領域に結合する、少なくとも1つのリクルートメント配列、好ましくはリクルートメント配列のクラスターを含む。少なくとも1つのリクルートメント配列ならびに標的RNAの第1の領域およびさらなる領域によって形成される二本鎖領域における望ましくない標的外事象を回避するために、少なくとも1つのリクルートメント配列によって結合される標的RNAは、好ましくは編集可能なヌクレオチドを含まず、より好ましくは編集可能なアデノシンヌクレオチドを含まない。したがって、標的RNAの第1の領域および任意でさらなる領域に結合する、人工核酸の第1および任意で第2のリクルート部分のリクルートメント配列を生成するために、標的RNAは好ましくは、人工核酸の少なくとも1つのリクルートメント配列への結合部位として適切であり、好ましくは編集可能なアデノシンヌクレオチドを含まない、領域についてスクリーニングされる。第1およびさらなる領域の「手動による」選択は非常に面倒であり得るので、前記スクリーニング工程は、好ましくは後述するコンピュータプログラム(「Recruitment Cluster Finder」(RCF))の手段によって達成される。
したがって、本発明の人工核酸の配列を生成するための方法において、工程i)、および任意で工程iv)は好ましくは、少なくとも1つのリクルートメント配列への結合部位として適切であり、好ましくは編集可能なアデノシンヌクレオチドを含まない、核酸配列について編集対象の標的RNAをスクリーニングする工程を含むコンピュータで実行される方法によって達成される。
本発明の人工核酸の第1および任意で第2のリクルート部分の配列を生成するためのコンピュータで実行される方法を使用する場合、標的RNA上のリクルートメント配列への結合部位として適切な核酸配列の長さ、および標的RNA上の個々のリクルートメント配列への結合部位間の距離などの、さらなる特定を作製して、リクルート配列の有益な、またはさらに最適な配列を生成することができる。
本発明の人工核酸の配列を生成するための方法のより好ましい実施形態において、全ての工程(i)~(v)は、コンピュータにより実行される。
好ましくは、本発明のコンピュータで実行される方法において、本発明の人工核酸の配列は、例えば、以下の点に関してプリセットに基づいて生成される
- 標的RNA上の標的化配列への結合部位として機能する核酸配列の長さ、
- 標的化配列への結合部位と、標的RNA上の少なくとも1つのリクルートメント配列への結合部位との間の距離、
- ヌクレオチドリンカーの長さ、および任意のヌクレオチドスペーサーの長さ、
- 標的RNA上のリクルートメント配列への結合部位として適切な核酸配列の長さ、および/または
- 標的RNA上の個々のリクルートメント配列への結合部位間の距離。
本発明のコンピュータで実行される方法において使用されるプリセットの一部として、標的RNA上の標的化配列への結合部位として機能する核酸配列の長さは、例えば、5~100個のヌクレオチド、例えば、5~90、5~80、5~70、5~60、5~50、5~40個のヌクレオチドの範囲に設定されてもよく、好ましくは10~50、より好ましくは16~40個のヌクレオチドの範囲である。
さらに、標的化配列(標的配列)への結合部位と、標的RNA中の少なくとも1つのリクルートメント配列(第1の領域)への結合部位との間の距離は、少なくとも1個のヌクレオチドに設定される。好ましくは、標的配列と標的RNA中の第1の領域との間の距離は、2~100,000個のヌクレオチド、例えば、2~100,000、2~10,000、2~5000、2~1000、2~500、2~400、2~300、2~200、2~100個のヌクレオチドの範囲に設定され、より好ましくは2~50個のヌクレオチドの範囲に設定される。
さらに、リクルートメントクラスターのリクルートメント配列を連結するヌクレオチドリンカーの長さ、および人工核酸の第1のリクルート部分と標的化配列との間に位置する任意であるヌクレオチドスペーサーの長さは、少なくとも1個のヌクレオチドに設定される。好ましくは、ヌクレオチドリンカーの長さ、および任意であるヌクレオチドスペーサーの長さは、1~100個のヌクレオチド、例えば、1~90個のヌクレオチド、1~80個のヌクレオチド、1~70個のヌクレオチド、1~60個のヌクレオチド、1~50個のヌクレオチド、1~40個のヌクレオチド、1~30個のヌクレオチド、1~20個のヌクレオチド、1~10個のヌクレオチドの範囲に設定され、好ましくは2~6個のヌクレオチドの範囲に設定される。
コンピュータで実行される方法において使用されるプリセットの一部として、標的RNA上のリクルートメント配列への結合部位として適切な核酸配列の長さは、少なくとも10個のヌクレオチド(例えば、10~500、10~400、10~300、または10~200個のヌクレオチド)、または少なくとも20個のヌクレオチド、好ましくは20~100個のヌクレオチドの範囲に設定され得る。
また、本発明に係る人工核酸の配列を生成するためのコンピュータで実行される方法において、標的RNA上のリクルートメント配列への個々の結合部位間の距離は、少なくとも1個のヌクレオチドに設定され、例えば、1~100,000個のヌクレオチド(例えば、1~100,000、1~10,000、1~5000、1~1000、1~900、1~800、1~700、1~600、1~500、1~400、1~300、1~200または1~100個のヌクレオチド)の範囲に設定され、好ましくは2~500個のヌクレオチド(例えば、2~400、2~300、2~200、2~100個のヌクレオチド)の範囲に設定され、より好ましくは2~50個のヌクレオチドの範囲に設定される。
上記のプリセットの手段により、少なくとも1つのヌクレオチド配列が、本発明の人工核酸を合成することができるコンピュータで実行される方法によって作製される。好ましい実施形態では、本発明の人工核酸の配列を生成するためのコンピュータで実行される方法は、人工核酸の代替配列、特に、リクルートメント配列のクラスターを含む第1のリクルート部分の代替配列を作製することを含む。
より好ましい実施形態では、本発明の人工核酸の配列を生成するためのコンピュータで実行される方法は、アセンブルされた人工核酸内の潜在的な分子内塩基対形成事象を決定する工程をさらに含む。このようにして、潜在的な人工核酸の作製された代替配列のうち、最小の潜在的な分子内塩基対形成を提示する人工核酸が検出され得、特定の標的RNAの部位特異的編集に特に適した人工核酸分子として選択され得る。
この目的のために、コンピュータで実行される方法は、選択されたリクルートメント配列または選択されたリクルートメント配列のクラスター、好ましくは人工核酸が、標的RNA上の他の部位または生物のトランスクリプトーム中の別のRNA分子に結合することができ、望ましくないミスマッチおよび標的外事象をもたらすかどうかを評価し、そのようなリクルートメント配列またはそのようなリクルートメント配列のクラスターを排除する工程をさらに含む。
本発明の特定の実施形態において、人工核酸の配列を生成するための上記方法の工程iv)は、工程i)に関して定義されたものと同じ工程を含む。すなわち、第1のリクルート部分の配列と同様に、第2のリクルート部分の配列は、少なくとも1つのリクルートメント配列を含み、好ましくは標的RNA上の特定の領域に結合するリクルートメント配列のクラスターを含む配列として生成される。言い換えれば、本発明の方法によって生成される人工核酸は、少なくとも1つのリクルートメント配列、好ましくは標的化配列のリクルートメント配列3’および5’のクラスターを含み得る。
しかしながら、上述のように、好ましい実施形態では、人工核酸の第2のリクルート部分は、デアミナーゼに結合することができる核酸配列を含む。したがって、好ましい実施形態では、デアミナーゼに結合することができる核酸配列、好ましくは上記で定義される核酸配列は、本発明の人工核酸の配列を生成するための方法における第2のリクルート部分としてプリセットされる。
上記のように、第1のリクルート部分、任意でヌクレオチドスペーサー、標的化配列および第2のリクルート部分は、5’から3’への方向または3’から5’への方向においてアセンブルされ得る。好ましくは、人工核酸の成分の配列は、3’から5’への方向においてアセンブルされる。
本発明の好ましい実施形態では、上記のすべての工程i)~v)、ならびに潜在的な分子内塩基対形成事象を決定するさらなる工程、および人工核酸が標的RNA上の他の部位もしくは特定の生物のトランスクリプトーム中の別の分子に結合することができるかどうかを評価するさらなる工程は、コンピュータで実行され、それによって、特定の標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸の最適な配列が作製される。
したがって、標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸の配列を生成するための好ましい方法は以下の工程を含む
i)少なくとも1つのリクルートメント配列を含み、好ましくは、少なくとも3個、好ましくは3~10個のリクルートメント配列のクラスターを含む、第1のリクルート部分の配列であって、
前記リクルートメント配列はそれぞれ、少なくとも10個、好ましくは15~100個のヌクレオチドを含み、標的RNA中の第1の領域およびさらなる領域に結合し、ヌクレオチドリンカー、より好ましくはアデノシンリンカーを介して連結される、
第1のリクルート部分の配列を生成する;
ii)少なくとも1個のヌクレオチド、好ましくは2~6個のヌクレオチド、より好ましくはアデノシンヌクレオチドを含む、ヌクレオチドスペーサーの配列を生成する;
iii)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含み、少なくとも10個、好ましくは16~40個のヌクレオチドを含む、標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列を生成する;
iv)標的RNAに結合することなく、デアミナーゼ、好ましくはアデノシンデアミナーゼに結合することができる核酸配列、好ましくは上記で定義された配列を含む、第2のリクルート部分の配列を生成する;
v)第1のリクルート部分の配列、ヌクレオチドスペーサー、標的化配列、および第2のリクルート部分の配列を、5’から3’への方向または3’から5’への方向、より好ましくは3’から5’への方向においてアセンブルする;
vi)アセンブルされた人工核酸内の潜在的な分子内塩基対形成事象を決定し、最小の潜在的な分子内塩基対形成を提示する人工核酸を選択する;
vii)選択されたリクルートメント配列または選択されたリクルートメント配列のクラスター、好ましくは人工核酸が、標的RNA上の他の部位または生物のトランスクリプトーム中の別のRNA分子に結合することができ、望ましくないミスマッチおよび標的外事象をもたらすかどうかを評価し、そのようなリクルートメント配列またはそのようなリクルートメント配列のクラスターを排除する。
本明細書に記載の人工核酸は、本発明の方法によって生成された配列に基づいて、当該技術分野で知られている方法によって合成され得る。人工核酸は、好ましくは本明細書に記載のように、適切なベクターから化学的に、またはインビトロ転写によって合成され得る。好ましくは、本発明の人工核酸は、本明細書に記載のように、細胞または生物において事前にトランスフェクトされた、適切なベクターからインビボで合成される。
別の態様では、本発明は、標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸の配列を生成するための方法を実行するように構成されている手段を含む、データ処理デバイスを対象とし、当該方法は下記による
i)標的RNA中の第1の領域に結合する、少なくとも1つのリクルートメント配列を含む、第1のリクルート部分の配列を生成する;
ii)少なくとも1つのヌクレオチドを含むヌクレオチドスペーサーの配列を任意に生成する;
iii)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列を生成する;
iv)デアミナーゼをリクルートすることができる第2のリクルート部分の配列を生成する;および
v)第1のリクルート部分の配列、任意でヌクレオチドスペーサー、標的化配列、および第2のリクルート部分の配列を、5’から3’への方向または3’から5’への方向においてアセンブルする。
好ましくは、データ処理デバイスは、編集対象のRNAの配列情報と、以下の点に関してユーザによって入力されたプリセットとに基づいて、本発明の方法を実行するように構成される
- 標的RNA上の標的化配列への結合部位として機能する核酸配列の長さ、
- 標的化配列への結合部位と、標的RNA上の少なくとも1つのリクルートメント配列への結合部位との間の距離、
- ヌクレオチドリンカーの長さ、および任意のヌクレオチドスペーサーの長さ、
- 標的RNA上のリクルートメント配列への結合部位として適切な核酸配列の長さ、および/または
- 標的RNA上の個々のリクルートメント配列への結合部位間の距離、本発明に係る標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸の候補。
より好ましい実施形態では、データ処理デバイスは、以下を行うように構成されている
vi)アセンブルされた人工核酸内の潜在的な分子内塩基対形成事象を決定し、最小の潜在的な分子内塩基対形成を提示する人工核酸を選択する;および/または
vii)選択されたリクルートメント配列または選択されたリクルートメント配列のクラスター、好ましくは人工核酸が、標的RNA上の他の部位または生物のトランスクリプトーム中の別のRNA分子に結合することができ、望ましくないミスマッチおよび標的外事象をもたらすかどうかを評価し、そのようなリクルートメント配列またはそのようなリクルートメント配列のクラスターを排除する。
さらなる態様では、本発明は、プログラムがコンピュータによって実行される場合、上述した編集対象のRNAの配列情報とユーザによって入力されたプリセットとに基づいて、コンピュータに標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸の配列を生成するための方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラムを対象とする。
基本的な機能として、コンピュータプログラムは、人工核酸のリクルート部分を構成するいくつかのリクルートメント配列を含むリクルートメントクラスターの配列を生成する「Recruitment Cluster Finder」を含む。
この目的を達成するために、「Recruitment Cluster Finder」は、以下の主要な機能を含むことができる:
機能1:この機能は、入力標的配列内のG、C、T、GAブロックを探索する。
機能2:この機能は、リクルートメント配列をリクルートメントクラスターに再結合する。次いで、リクルートメントクラスターは、入力基準、リクルートメント配列のサイズおよび距離について、フィルタリングされる。基準(ヒット)を満たす全てのグループは、ViennaRNAによって後に使用されるファイルに保存される。
機能3:この機能は、ブロック相補を変換する。
機能4:この機能は、ガイドRNAを折り畳むためにViennaRNA[196]を実行する。結果は出力リストに保存される。
機能5:ViennaRNAの結果は、最初に選択された基準(「数値順」、「ドット/ブラケット比率順」または「最小エネルギー順」)によって分類される。その後、結果テーブルが生成される。
さらに、本発明がコンピュータによって実行される場合には、本発明は、コンピュータに標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸の配列を生成するための方法を実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体を対象とする。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体のシステム、装置、もしくはデバイス、または前述の任意の適切な組合せであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的リスト)は、以下を含む:1つ以上のワイヤーを有する電気接続、ポータブルコンピューターディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能でプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または前述の任意の適切な組合せ。コンピュータ可読ポータブルメモリデバイスの具体例は、USBフラッシュメモリデバイスである。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはそれらに関連して使用するためのプログラムを含むか、または記憶することができる任意の有形媒体であり得る。
一態様では、本発明が本明細書に記載の人工核酸をコードするベクターを提供する。
本明細書において使用される場合、用語「ベクター」は、典型的には核酸分子を指し、好ましくは人工核酸分子を指す。本発明に関して、ベクターは、所望の核酸配列(人工核酸の核酸配列またはその断片など)を組み込むかまたは宿すのに適切である。このようなベクターとしては、ストレージベクター(storage vectors)、発現ベクター、クローニングベクター、トランスファーベクターなどが挙げられる。クローニングベクターは、例えば、プラスミドベクターまたはバクテリオファージベクターであり得る。トランスファーベクターは、核酸分子を細胞または生物に導入するのに適切なベクターであり得、例えば、ウイルスベクターである。好ましくは、本願の意味におけるベクターは、クローニング部位、抗生物質耐性因子などの選択マーカー、および複製起点などのベクターの増殖に適切な配列、を含む。
ベクターは、RNAベクターまたはDNAベクターであり得る。好ましくは、ベクターはDNAベクターである。ベクターは、ウイルスベクターまたはプラスミドベクターなどの、当業者に公知の任意のベクターであり得る。好ましくは、ベクターはプラスミドベクター、好ましくはDNAプラスミドベクターである。特定の実施形態において、ベクターはウイルスベクターであり、好ましくはレンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクターおよびハイブリッドベクターからなる群より選ばれる。
好ましくは、本発明に係るベクターは、本発明に係る人工核酸分子、好ましくはRNAの製造に好適である。したがって、好ましくは、ベクターは転写に必要な要素(プロモーター(例えば、RNAポリメラーゼプロモーター)など)を含む。好ましくは、ベクターは、真核生物、原核生物、ウイルスまたはファージの転写系を用いる転写、例えば真核細胞、原核細胞、または真核生物、原核生物、ウイルスもしくはファージのインビトロ転写系を用いる転写、に適している。したがって、例えば、ベクターは、ポリメラーゼ(RNAポリメラーゼなど)によって、例えば真核生物、原核生物、ウイルス、またはファージのRNAポリメラーゼによって、認識されるプロモーター配列を含み得る。好ましい実施形態において、ベクターは、ファージRNAポリメラーゼプロモーター(SP6、T3またはT7、好ましくはT7プロモーターなど)を含む。好ましくは、ベクターは、T7 RNAポリメラーゼに基づくインビトロ転写系などのファージに基づくインビトロ転写系を用いるインビトロ転写に適している。
いくつかの実施形態において、ベクターは、真核細胞へのトランスフェクションの際の、好ましくは哺乳類細胞へのトランスフェクションの際の、または対象への投与の際の、好ましくは本明細書に記載のような人工核酸の転写用に設計される。好ましい実施形態において、ベクターは、真核生物RNAポリメラーゼ、好ましくはRNAポリメラーゼIIまたはIII、より好ましくはRNAポリメラーゼIIIによる人工核酸の転写用に設計される。特定の実施形態において、ベクターは、U6 snRNAプロモーターまたはH1プロモーター、および任意に、選択マーカー、例えば、レポーター遺伝子(GFPなど)または耐性遺伝子(ピューロマイシンまたはハイグロマイシン耐性遺伝子など)を含み得る。
本発明の一態様によれば、本明細書に記載の人工核酸またはベクターを含む細胞が提供される。細胞は、細菌細胞または真核細胞などの任意の細胞、好ましくは昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞またはマウス細胞)などの脊椎動物細胞であってもよい。細胞は、例えば細菌細胞において、例えば本発明のベクターの複製のために使用され得る。さらに、細胞、好ましくは、真核細胞は、本発明に係る人工核酸分子の合成のために使用され得る。
本発明に係る細胞は、例えば、標準的なトランスフェクション法、形質導入法、または形質転換法などの標準的な核酸導入法によって得られる。本明細書において使用される場合、用語「トランスフェクション」は一般に、DNAまたはRNA(例えば、mRNA)分子などの核酸分子の細胞への、好ましくは真核細胞への導入を指す。本発明に関して、用語「トランスフェクション」は、核酸分子を細胞、好ましくは真核細胞(例えば哺乳類細胞)に導入するための当業者に公知の任意の方法を包含する。このような方法には、例えば、エレクトロポレーション法、リポフェクション法(例えば、カチオン性脂質および/またはリポソームに基づくリポフェクション法)、リン酸カルシウム沈殿、ナノ粒子に基づくトランスフェクション、ウイルスに基づくトランスフェクション、またはカチオン性のポリマー(例えば、DEAE-デキストランまたはポリエチレンイミンなど)に基づくトランスフェクションが包含される。これに関して、本明細書に記載の人工核酸またはベクターは、過渡的アプローチで、または細胞中(例えば、安定な細胞株中)で人工核酸またはベクターを安定に維持するために、細胞中に導入され得る。
好ましくは、細胞は、哺乳類細胞(ヒト対象の細胞、家畜の細胞、実験動物の細胞(マウス細胞またはラット細胞など)など)である。好ましくは、細胞はヒト細胞である。細胞は、CHO、BHK、293T、COS-7、HELA、HEK、ジャーカット細胞株などの確立された細胞株の細胞であってもよく、あるいは、細胞は、ヒト皮膚線維芽(HDF)細胞などの初代細胞であってもよく、好ましくは生体から単離された細胞であってもよい。好ましい実施形態において、細胞は、哺乳類対象、好ましくはヒト対象の単離細胞である。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の人工核酸、ベクターまたは細胞、および任意に、追加の賦形剤、好ましくは薬学的に許容される賦形剤を含む組成物に関する。本明細書に記載の組成物は、好ましくは薬学的組成物である。本明細書に記載の組成物は、遺伝子治療アプローチにおけるような、対象の治療または予防において使用され得る。あるいは、組成物はまた、診断目的のために、または実験用の使用(例えば、インビトロ実験)のために使用され得る。
好ましくは、組成物は一つ以上のビヒクル、希釈剤、および/または賦形剤をさらに含み、それらは薬学的に許容されるものであることが好ましい。本発明に関して、薬学的に許容されるビヒクルは、典型的に、本明細書に記載の組成物用の液体基剤または非液体基剤を含む。一実施形態において、組成物は液体形態で提供される。これに関して、好ましくは、ビヒクルは、発熱物質を含まない水、等張性塩水、緩衝化(水性)溶液(例えば、リン酸塩、クエン酸塩などの緩衝化溶液)などの水をベースにしたものである。緩衝液は、特定の基準媒質を基準として高張性、等張性または低張性であってもよく、つまり、緩衝液は、特定の基準媒質を基準にしてより高い、同一の、またはより低い塩分を有してもよく、好ましくは、浸透性または他の濃縮影響による哺乳類細胞のダメージをもたらさない、そのような濃度の上述の塩が使用されてもよい。基準媒質は、例えば、インビボ方法で生じる液体(血液、リンパ液、細胞質液、または他の体液など)であり、または、例えば、インビトロ方法において基準媒質として使用され得る液体(一般的な緩衝液または液体など)である。このような一般的な緩衝液または液体は、当業者に既知である。液体基剤としては、乳酸リンゲル液が特に好ましい。
対象への投与に適切な、相溶性のある固体もしくは液体の充填剤または希釈剤またはカプセル化化合物の一つ以上が、本発明の薬学的組成物に同様に使用され得る。本明細書において使用される場合、用語「相溶性のある」は好ましくは、(薬学的)組成物のこれらの成分が、組成物の薬学的有効性を典型的な使用条件のもとで実質的に低下させるような相互作用を生じない様式において、本明細書に規定する人工核酸、ベクター、または細胞と混合可能であることを意味する。
本発明に係る組成物は、任意に、一つ以上の追加の薬学的に活性な成分をさらに含んでもよい。これに関して、薬学的に活性な成分は、特定の徴候または疾患を治癒、改善または予防するための治療的効果を示す化合物である。このような化合物としては、ペプチドもしくはタンパク質、核酸、(治療的に活性な)低分子量の有機化合物もしくは無機化合物(分子量5000未満、好ましくは1000未満)、糖、抗原もしくは抗体、または従来技術において既に知られている他の治療剤が挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、組成物は、人工核酸分子用またはベクター用の担体を含み得る。このような担体は、生理学的に許容される液体への溶解、薬学的に活性な人工核酸分子もしくはベクターの輸送および細胞内取り込みを媒介するのに適し得る。したがって、このような担体は、本明細書に記載の人工核酸分子もしくはベクターのデポー(depot)および送達に適した成分であり得る。このような成分は例えば、トランスフェクション剤または複合体形成剤として機能し得るカチオン性もしくはポリカチオン性の担体または化合物であり得る。これに関して、特に好ましいトランスフェクション剤または複合体形成剤は、カチオン性またはポリカチオン性の化合物である。
「カチオン性化合物」という用語は、典型的には、1~9のpH値、好ましくは9以下(例えば、5~9)、または8以下(例えば、5~8)、または7以下(例えば、5~7)のpH値、最も好ましくは生理的pH(例えば7.3~7.4)で正に帯電した(カチオン)荷電分子を指す。したがって、カチオン性化合物は、任意の正に帯電した化合物またはポリマー、好ましくは、生理的条件下で、特にインビボでの生理的条件下で、正に帯電したカチオン性のペプチドもしくはタンパク質、またはカチオン性脂質から選択され得る。「カチオン性のペプチドまたはタンパク質」は、例えば、Arg、His、Lys、またはOrnから選択される、少なくとも一つの正に帯電したアミノ酸、または二つ以上の正に帯電したアミノ酸、を含有し得る。したがって、「ポリカチオン性化合物」は、所定の条件下で二つ以上の陽電荷を示す範囲にも含まれる。
本明細書に記載の組成物は、好ましくはネイキッド(naked)形態または複合形態の人工核酸またはベクターを含む。好ましい実施形態において、組成物は、ナノ粒子、好ましくは脂質ナノ粒子またはリポソーム、の形態の人工核酸またはベクターを含む。
さらなる態様によると、本発明は、本発明の人工核酸分子、ベクター、細胞および/または(薬学的)組成物を含むキットまたはパーツのキットに関する。
好ましくは、キットは、取扱説明書、トランスフェクション用の細胞、組成物を投与するための手段、(薬学的に許容される)担体もしくはビヒクル、および/または人工核酸分子、ベクター、細胞もしくは組成物を溶解もしくは希釈するための(薬学的に許容される)溶液をさらに含む。好ましい実施形態では、キットは、液体形態もしくは固体形態(例えば、凍結乾燥)のいずれかの本明細書に記載の人工核酸もしくはベクター、および投与用の(薬学的に許容される)ビヒクルを含む。例えば、キットは、人工核酸またはベクターおよびビヒクル(例えば、水、PBS、乳酸リンゲルまたは他の好適な緩衝液)を含んでもよく、これらは、対象への投与前に混合される。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、組成物またはキットの使用に関する。
特に、本発明は、標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸、ベクター、細胞、組成物またはキットの使用を含む。そこで、本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、組成物またはキットは、好ましくは、標的化配列を介して標的RNAに特異的に結合することによって、および少なくとも1つのリクルートメント配列、それによる本明細書に記載のデアミナーゼを標的部位にリクルートすることによって、標的RNAの部位特異的編集を促進するために使用されることが好ましい。この反応は、インビトロまたはインビボで起こり得る。
好ましい実施形態において、人工核酸、ベクターまたは組成物は、編集対象の標的RNAを含む細胞に投与または導入される。標的RNAを含む当該細胞は、好ましくは本明細書に記載のデアミナーゼをさらに含むことが好ましい。当該デアミナーゼは、好ましくは、内因性デアミナーゼ、より好ましくはアデノシンデアミナーゼまたはシチジンデアミナーゼ、または組み換えデアミナーゼ(好ましくは本明細書に記載の、タグ付きデアミナーゼまたは変異デアミナーゼなど)であり、これは、好ましくは人工核酸、ベクターまたは組成物に先行してまたは同時に、上記細胞中で安定に発現されるか、または上記細胞中に導入される。あるいは、本明細書に記載の人工核酸またはベクターを含む細胞は、好ましくは本明細書に記載のように、例えばトランスフェクションによって、細胞と標的RNAとを接触させることによって、または細胞に標的RNAを導入することによって、標的RNAの部位特異的編集のために使用される。
さらに好ましい実施形態では、本発明は、標的RNAを部位特異的編集するための方法であって、標的RNAを人工核酸と接触させることを含み、RNAの部位特異的編集のための人工核酸、ベクター、組成物または細胞の使用に関する本明細書に記載の工程を本質的に含む、方法を提供する。
編集反応は、好ましくは標的RNAの配列分析によってモニターまたは制御される。
本明細書に記載の使用および方法は、さらに、疾患または障害のインビトロ診断においても採用され得る。ここで、当該疾患または障害は、好ましくは、感染症、腫瘍性疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、アレルギー、および神経性疾患もしくは障害からなる群より選ばれ、より好ましくは、遺伝性疾患または遺伝性障害から選択され、これらは、好ましくは、代謝性疾患、腫瘍性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患および神経疾患からなる群より選ばれる。
さらなる態様において、本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、組成物、またはキットは、例えば、遺伝子治療における医薬品としての使用のために提供される。好ましくは、本明細書に記載の人工核酸、ベクター、組成物、細胞、またはキットは、疾患または障害の治療または予防に使用するために提供され、ここで、当該疾患または障害は、感染症、腫瘍性疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、アレルギー、および神経性疾患もしくは障害からなる群より選ばれる。好ましい実施形態によれば、本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、組成物、またはキットは、医薬品としての使用のために、または(好ましくは本明細書に規定する)疾患もしくは障害の治療または予防における使用のために提供され、ここで、医薬品としての使用または治療もしくは予防は、標的RNAの部位特異的編集工程を含む。
一態様において、本発明は、疾患または障害に罹患している対象を治療する方法を提供し、当該方法は、本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞または組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。本開示に関する有効量は、典型的には、所望の治療効果を誘発するのに十分な量、すなわち、標的RNAの編集を達成するのに十分な量であると理解される。
当該疾患または障害は、感染症、腫瘍性疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、アレルギー、および神経性疾患もしくは障害からなる群より選ばれ得、ここで、当該疾患または障害は、好ましくは、遺伝性疾患または遺伝性障害から選択され、好ましくは代謝性疾患、腫瘍性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患および神経疾患からなる群より選ばれる。
本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、または(薬学的)組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧によって、局所的に、直腸に、経鼻的に、頬側に、経腟的に、埋め込みリザーバを介して、またはジェット注射を介して、投与され得る。本明細書で用いられる用語「非経口」としては、硝子体内、網膜下、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内、頭蓋内、経皮、皮内、肺内、腹腔内、心臓内、動脈内、および舌下注射または注入の技術が挙げられる。好ましい実施形態において、本明細書に記載の人工核酸分子、ベクター、細胞、または(薬学的)組成物は、無針注射(例えばジェット注射)によって投与される。
好ましくは、本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、または(薬学的)組成物は、非経口的に投与され、例えば、注射剤によって投与され、より好ましくは、硝子体内、網膜下、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内、頭蓋内、経皮、皮内、肺内、腹腔内、心臓内、動脈内、舌下注射または注入の技術によって投与される。特に、皮内注射および筋肉内注射が好ましい。本発明の薬学的組成物の注入可能な無菌の形態は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤ならびに懸濁剤を用いて、当該技術分野で知られている技術にしたがって調合され得る。
本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、または(薬学的)組成物はまた、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されない、任意の経口的に許容される剤形で経口投与されてもよい。
本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、または(薬学的)組成物は、特に、治療の標的が例えば、皮膚または任意の他の到達可能な上皮組織の疾患を含む、局所施用によって容易に到達可能な領域または器官を含む場合に、局所的に投与することもできる。適切な局所製剤は、これらの領域または器官のそれぞれに対して容易に調製される。局所施用のために、本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、または(薬学的)組成物は、一つ以上の担体に懸濁または溶解された適切な軟膏中に製剤化され得る。
一実施形態では、医薬品としての使用は、哺乳類細胞のトランスフェクション工程、好ましくは哺乳類細胞のインビトロまたはエクスビボトランスフェクション工程、より好ましくは医薬品によって治療される対象の単離細胞のインビトロトランスフェクション工程、を含む。使用が単離細胞のインビトロトランスフェクションを含む場合、医薬品としての使用は、トランスフェクションされた細胞の患者への再投与をさらに含み得る。人工核酸またはベクターの医薬品としての使用は、首尾よくトランスフェクションされた単離細胞の選択工程をさらに含み得る。したがって、ベクターは、選択マーカーをさらに含む場合に有益であり得る。
本発明の他の態様によれば、本明細書に記載の人工核酸、ベクター、細胞、または(薬学的)組成物は、疾患または障害の診断に使用するために提供され、ここで、当該疾患または障害は、好ましくは感染症、腫瘍性疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、アレルギー、および神経性疾患もしくは障害からなる群より選ばれ、特に、遺伝性疾患または遺伝性障害から選択され、好ましくは、代謝性疾患、腫瘍性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患および神経疾患からなる群より選ばれる。
〔図面の簡単な説明〕
以下に示す図面は単に例示的なものであり、本発明をさらに説明する。これらの図面は、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
図1:実施例1で使用した人工核酸:
A:8位にC/Aミスマッチを有する20ヌクレオチドのアンチセンス部分と、ステムループ構造を含む模式的R/Gモチーフとを含む、人工核酸分子。
B:8位にC/Aミスマッチを有する20ヌクレオチド標的化配列(TS)と、ステムループ構造を有するR/Gモチーフと、アデノシンリンカー(AAA)を介して連結された11~16個のヌクレオチドを有する3個のリクルートメント配列(RS #1、RS #2、RS #3)のクラスターとを含む、本発明に係る人工核酸分子。
B:HeLa細胞における内因性ADAR1を用いたデュアルルシフェラーゼW417Xアンバーレポーターの編集。120,000個の細胞を、24ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して1ウェルあたり、人工核酸AおよびBをそれぞれコードする800ngのプラスミド、ならびに200ngのデュアルルシフェラーゼレポーターで、トランスフェクションした。トランスフェクションの72時間後、細胞を採取した。RNA単離、DNase-I消化およびRT-PCRの後、続いてサンガーシーケンスを行った。
図2:A:実施例2で使用した人工核酸およびR/Gモチーフバージョン:
(A):リクルートメント配列(RS)を有さず、16ntアンチセンス部分およびR/Gモチーフバージョン20(RG-V20)を有する、先行技術の設計。
(B):3つのリクルートメント配列(3×RS)およびR/Gモチーフバージョン21(RG-V21)を含む、リクルートメントクラスターを有する新規設計。
(C):RGモチーフバージョン20およびバージョン21の配列。
B:内因性ヒトADAR1およびアデノウイルス(Adenovirus:AdV)コード化R/G gRNAを用いた、HeLa細胞における編集。
200k個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種時に175 MOI gRNA AdVを用いて、リバーストランスダクション(Reverse transduction)を行った。175 MOIデュアルルシフェラーゼwt/amb AdVまたは5 MOI wt/wtを使用して、播種の24時間後にフォワードトランスダクション(Forward transduction)を達成した。注:ホタル(Firefly)はレニラ(Renilla)上で常に正規化されるので、wt/wt AdVの量は、最終パーセンテージに影響を及ぼさない。ルシフェラーゼアッセイは、リバースインフェクション(reverse infection)の96時間後に行った。
図3:いくつかの細胞株における、AdVコード化3×RSガイドRNAを用いた内因性ヒトADAR1のリクルートメントを介したデュアルルシフェラーゼレポーターの編集。デュアルルシフェラーゼアッセイを介した分析(N=3、それぞれ2回の技術的反復を伴う)。
各細胞タイプについて25k個の細胞を96ウェルスケール中に播種した。HeLa細胞において、フォワードトランスダクションは播種の24時間後に達成された。他の全ての細胞において、リバーストランスダクションは播種時に達成された。採取およびルシフェラーゼアッセイは、感染の96時間後に達成された。
ルシフェラーゼアッセイ:420データポイント(Datapoints)(35の設定、1つの設定当たり6のレニラおよび6のホタル)
設定:gRNA MOI:HeLa(100 MOI)、SK-N-BE(100 MOI)、Huh7(75 MOI)、A549(75 MOI)、HepG2(75 MOI)、SY5Y(100 MOI)、U87MG(100 MOI)、U2OS(75 MOI);DL wt/amb 50 MOI;DL wt/wt 5 MOI。
図4:いくつかの細胞株における、AdVコード化3×RSガイドRNAを用いた内因性ヒトADAR1のリクルートを介したデュアルルシフェラーゼレポーターの編集。サンガーシーケンスを介した分析。
Huh7細胞、SK-N-BE細胞、A549細胞、HepG2細胞およびSY5Y細胞の場合:1ウェルあたり25,000個の細胞(96ウェルスケール)を、1日目の播種時に指示されたMOIでリバースインフェクションさせた。2~4日目に、培地交換を行った。5日目に、1回のRT-PCRあたり6ウェルの採取およびプールを行った。HeLa細胞の場合:1日目に、1ウェルあたり25,000個の細胞(96ウェルスケール)を播種した。2日目に、以下のMOIによるフォワードインフェクションを行った:HeLa:n=2[75 MOI]、n=2[100 MOI]、n=2[125 MOI];Huh7:n=3[75 MOI];A549:n=3[75 MOI];HepG2:n=3[75 MOI];SK-N-BE(2):n=3[100 MOI];SH-SY5Y:n=3[100 MOI]。3~5日目に、培地交換を行った。6日目に、1回のRT-PCRあたり6ウェルの採取およびプールを行った。
図5:A:6-9×RSガイドRNAおよび内因性ADAR1を使用するHeLa細胞における、いくつかの疾患関連標的mRNAの編集。120,000個の細胞を、24ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり800ngのガイドRNAプラスミドおよび200ngの標的コードプラスミド(cDNA)で、トランスフェクションした。トランスフェクションの72時間後、細胞を採取した。RNA単離、DNase-I消化およびRT-PCRの後、続いてサンガーシーケンスを行った。
B:標的部位の周囲に標的外バイスタンダー編集が完全に存在しないことを示す、図5Aに表示されたデータの例示的なサンガーシーケンストレース。
図6:プラスミドをコード化したRG-V21_20p8_3×RSおよびRG-V21_20p8_8×RSガイドRNAは、HeLa細胞において主にADAR1アイソフォームp110をリクルートする。1.2×10個のHeLa細胞を12ウェルスケールに播種し、リバーストランスフェクションを、1ウェルあたり2.5pmol siRNA(3μlのHighPerfect+2.5μlの1μMのsiRNA、およびOptiMemを用いて200μl)を用いる、スクランブルsiRNA、ADAR1 siRNA、またはADAR1p150 siRNAで達成した。1つのsiRNAあたり6ウェルに播種した。12ウェルプレートの各使用ウェルは、対応するsiRNAについて、示された200μlのトランスフェクション混合物を含有した。siRNAトランスフェクションの24時間後、同様に処理したウェルを回収し、細胞をプールした。次いで、25,000個の異なる処理をされたHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promega(プロメガ)デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。
図7:リクルートメント配列の数が編集収率に及ぼす影響。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。ルシフェラーゼ転写産物上の標的配列の位置は濃い灰色で示され、各々のRS結合領域の位置は明るい灰色で示される。編集標的
の位置も示される。個々のRSは9~16nt長であり、AAAリンカーによって分離されている。
図8:A:リクルートメント配列長(7~15nt/RS)が編集収率に及ぼす影響。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。
B:37℃でのガイドRNAの最小自由エネルギー構造の模式図。
図9:A:アデノシンリンカー長が編集収率に及ぼす影響。ルシフェラーゼ活性(倍率変化)は、mRNA上の対応するgRNA結合領域(BR)を示す模式図の隣に表示される。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。
B:図9Aのデータセットは、リクルートメント配列(RS)間のリンカーとして使用されるアデノシンヌクレオチドの数、およびリクルートメント配列#1と標的化配列との間のスペーサーとして使用されるアデノシンヌクレオチドの数に関して、対応するgRNA組成物を示す模式図の隣に表示される。
図10:標的mRNA上の3つのリクルートメント配列の配置の最適化。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。(S=2つのRS間の短い距離(15~62nt);L=2つのRS間の長い距離(375~460nt))
図11:標的mRNA上の2つの短いリクルートメント配列(15nt)のコンテクストにおける、拡張リクルートメント配列(20nt)の配置の最適化。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。(S=2つのRS間の短い距離(15~62nt);L=2つのRS間の長い距離(375~460nt);15ntから20ntに拡張されたRSが強調されている)
図12:A:リクルートメント配列マスキングの影響(アンチセンス部分に強い二次構造を有するガイドRNAのシミュレーション)。図12Aの左上の部分は、gRNAおよびmRNAの相互作用を示すために使用される表現を描写する。結合模式図の部分は、mRNA上のgRNAのリクルートメント配列の結合領域(BR)を示す。RS#1はBR#1に結合する。gRNA模式図は、R/GモチーフV21、標的化配列、アデノシンヌクレオチドリンカー/スペーサー、リクルートメント配列(RS)#1~#3、およびいくつかの場合では、マスキングリクルートメント配列(mRS)#4~#6からなるgRNAの組成を示す。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。
B:37℃でのガイドRNAの最小自由エネルギー構造の模式図。
図13:gRNAおよびレポータープラスミドの流体力学的尾静脈(HDTV)注入後のC57BL/6マウスにおける、デュアルルシフェラーゼW417Xアンバーレポーターの編集。陰性対照群マウスを10μgのデュアルルシフェラーゼwt/ambレポータープラスミドで処理し、陽性対照群マウスを10μgのデュアルルシフェラーゼwt/wtレポータープラスミドで処理し、編集群マウスを5μgのデュアルルシフェラーゼwt/ambレポータープラスミドおよび25μgのガイドRNAプラスミドで処理した。ガイドRNAは20-15-15-20p8ガイドRNAであり、したがって、3つのRS(20nt長、15nt長、および15nt長を有する)と、8位のアデノシンとミスマッチするシトシンを有する典型的な20nt標的化配列と、を含む。ガイドRNAはさらに、その5’末端にV21R/Gモチーフを含んでいた(図示せず)。編集は、デュアルルシフェラーゼアッセイ(タンパク質レベル)によって、および逆転写後のサンガーシーケンス(RNAレベル)によって分析した。例示的なサンガーシーケンストレースを示す。
図14:HEK293FT細胞における内因性ADAR1を用いた内因性UTR標的の編集。60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。例示的なサンガーシーケンストレースが示され、編集部位および収率が示される。「A」および「G」は、それぞれアデノシンピークおよびグアノシンピークを表す。
図15:HEK293FT細胞における内因性ADAR1を用いた内因性ORF標的の編集。60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて、1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。例示的なサンガーシーケンストレースが示され、編集部位および編集収率が示される。「A」および「G」は、それぞれアデノシンピークおよびグアノシンピークを表す。
図16:A:本発明のガイドRNAを、NUP43 V233Vを標的とする従来技術のLEAPER gRNAと比較するベンチマーク。HEK293FT細胞における内因性ADAR1を用いた内因性標的の編集。60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて、1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。N=3の生物学的反復。
B:本発明のガイドRNAを、RAB7A 3’UTR TAG#1を標的とする従来技術のLEAPER gRNAと比較するベンチマーク。HEK293FT細胞における内因性ADAR1を用いた内因性標的の編集。60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて、1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。N=3の生物学的反復。
図17:リクルートメントクラスターファインダーツールを使用したリクルートメントクラスターインシリコ最適化。
図18:A:図18Bおよび図18Cの凡例。RM=リクルート部分。
B:リクルートメント配列(RS)および二本鎖ADARリクルートドメイン(例えば、R/Gモチーフ)は、特定の柔軟性をもって標的化配列(TS)の周囲に配置することができる。HeLa細胞におけるデュアルルシフェラーゼレポーターを標的とするCLUSTERガイドRNAのアンチセンス部分の成分を、従来の#6-#5-#4-TS設計から開始して、新たに配置した。
C:デュアルルシフェラーゼアッセイの結果。データは、N=5の生物学的反復の平均±s.d.として示す。特に、いくつかの設計(例えば、#4-TS-#3-#2)は、従来の#6-#5-#4-TS設計と比較して、良好な編集収率を与えた。重要なことに、前者の設計は、CLUSTERガイドRNAの結合のための標的化アデノシンの配列スペース3’(例えば、結合部位#3、#2、#1)を含むことを可能にする。この実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。
図19:A:化学的に合成されたCLUSTERアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)のトランスフェクションによる、Hurler症候群患者由来の初代線維芽細胞(Hurler FB、GM06214)における疾患関連hIDUA W402Xアンバー突然変異の補正。編集収率は、サンガーシーケンスによって決定した。Hurler症候群(GM06214)を有する患者由来の線維芽細胞は、Coriell Institute for Medical Research(米国)から購入した。2.5mlのDMEM+15%FBS中の2.5×10個の細胞/ウェルを、6ウェルプレートに播種した。各試験条件について、1つの6ウェルを使用して、サンガーシーケンスによってRNA編集率を決定した。CLUSTER ASOは、3×RS(20-20p8-25-20)CLUSTER設計を有する、PAGE精製され、末端ブロックされた(2’-OMe、PS)RNAオリゴヌクレオチドであり、これは、2つの市販の購入された(Biospring GmbH、ドイツ)、69nt(5’部分)長および80nt(3’部分)長のHPLC精製オリゴヌクレオチドから、本発明者らの最近公開されたプロトコールに従って、インハウスでライゲーションされた(T4 RNAリガーゼ)。完全な配列および修飾パターンを、以下の適用されたgRNAのリストに示す。トランスフェクションは、それぞれ250μlのOpti-MEMで希釈した125pmolのASOおよび7.5μlのRNAiMAXを用いて播種した24時間後に行った。両方の溶液を5分間インキュベーションした後に合わせ、さらに20分間インキュベーションした後、トランスフェクション混合物を1つのウェルに均等に分配した。トランスフェクションの24時間後に培地を交換した。トランスフェクションの48時間後、線維芽細胞をRLT緩衝液(QIAGEN、#79216)中で採取し、続いてMonarch RNAクリーンアップキット(NEB、#T2030L)を用いてRNA単離を行った。Turbo-DNase消化は、TURBO DNA-free Kit(Thermofisher、#AM1907)を用いて行った。SuperScript IV RT(Thermofisher、#18090050)を用いて、52℃で1時間、ランダムプライマーを用いて逆転写を行った。Taqポリメラーゼ(NEB、#M267S)を用いて、10%DMSOを含有する各反応で、通常のPCR、続いてネステッドPCRを行った。第2のPCRの後、生成物をSB-アガロースゲル電気泳動によって分離した。PCRクリーンアップ(NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Kit、Macherey Nagel、#740609)後、サンガーシーケンス(Microsynth AG)を行った。
B:さらに、タンパク質機能の回復を、α-L-イズロニダーゼ酵素活性アッセイを用いて決定した。Hurler線維芽細胞における測定されたhIDUA酵素活性を、Scheie患者線維芽細胞(Scheie FB、GM01323)にて測定されたIDUA酵素活性に対して正規化した。データは個々のデータ点によって示されるように、N=4~5の生物学的反復の平均±s.d.として示される。Scheie症候群(GM01323)およびHurler症候群(GM06214)の患者由来の線維芽細胞は、Coriell Institute for Medical Research(米国)から購入した。2.5mlのDMEM+15% FBS中2.5×10個の細胞/ウェルを、6ウェルプレートに播種した。各試験条件について、2つの6ウェルをIDUAアッセイに使用した。CLUSTER ASOは、3×RS(20-20p8-25-20)CLUSTER設計を有する、PAGE精製され、末端ブロックされた(2’-OMe、PS)RNAオリゴヌクレオチドであり、これは、2つの市販品(Biospring GmbH、ドイツ)、ならびに69nt(5’部分)および80nt(3’部分)長のHPLC精製オリゴヌクレオチドから、本発明者らの最近公開されたプロトコールに従って、インハウスでライゲーションされた(T4 RNAリガーゼ)。完全な配列および修飾パターンを、以下の適用されたgRNAのリストに示す。トランスフェクションは、それぞれ250μlのOpti-MEMで希釈した125pmolのASOおよび7.5μlのRNAiMAXで播種した24時間後に行った。両方の溶液を5分間インキュベートした後に合わせ、さらに20分間インキュベートした後、トランスフェクション混合物を1つのウェルに均等に分配した。トランスフェクションの24時間後に、培地を交換した。トランスフェクションの48時間後、線維芽細胞を分離し、PBSで1回洗浄した。PBS中の40μlの0.5%Triton X-100を細胞ペレットに添加し、氷上で30分間インキュベートし、α-L-イズロニダーゼ酵素アッセイを行った。α-L-イズロニダーゼ酵素活性アッセイによる編集読み出しのために、4-メチルウンベリフェロン(Sigma Aldrich、M1381)の標準希釈系を、1×PBS中で調製した。各濃度について、25μlの標準溶液を25μlの0.4Mギ酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)に添加し、3反復で96ウェルLumiNuncプレート(VWR、732-2696)に適用した。基質(4-メチルウンベリフェリルα-L-イズロニド、グリコシン、#44076)を0.4Mギ酸ナトリウム緩衝液に溶解し、最終濃度を180μMとした。HeLa細胞を用いたマウスIDUAアッセイのために、25μlの1:3希釈細胞溶解物(0.5% Tween-20/PBS)をプレート中の25μlの基質に加え、暗所で、37℃で、45分間インキュベートした。25μlの未希釈の細胞溶解物(0.5% Triton X-100/PBS)をプレート中の25μlの基質に加え、暗所で、37℃で、90分間インキュベートした。200μlの炭酸グリシン緩衝液(0.17Mグリシン/NaOH、pH10.4)を添加することによって、両方の場合で反応をクエンチした。4-メチルウンベリフェロンの蛍光を、Tecan Spark 10Mプレートリーダーを用いて、励起波長355nm、発光波長460nmで測定した。計算された酵素活性は、BCAアッセイ(Pierce BCA Protein Assay Kit、Thermofisher、23227)によって決定されるタンパク質量を基準とした。酵素活性をScheie線維芽細胞溶解物に標準化した。
図20:A:19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNAを用いて、293個のFT細胞から内因性RAB7Aの3’-UTRにおける5’UAG部位まで、内因性ADARをリクルートするためのポリ(A)+トランスクリプトームにおける標的外編集の分析。散布図は、CLUSTERまたは非標的化ガイドRNAを有するプラスミドでトランスフェクションされた細胞における編集レベルを比較する約30,000個の部位での差次的編集を示す。実験は、2つの独立した反復を用いて行った。標的上の編集は矢印で示される。有意に異なる編集部位(調整P<0.01、フィッシャーの正確確率検定、両側、N≧50)を、黒色で強調する。24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定には、非標的化ガイドRNA(NT-RNA)およびRAB7A 3’UTR 19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNAが含まれる。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M0303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベートし、95℃に3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再度精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーは、TruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて、200ngのRNAから調製し、NovaSeq6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。
B:293個のFT細胞から111ntのLEAPERガイドRNAを有する内因性RAB7Aの3’-UTRにおける5’UAG部位に、内因性ADARをリクルートするためのポリ(A)+トランスクリプトームにおける標的外編集の分析。散布図は、LEAPERまたは非標的化ガイドRNAを有するプラスミドでトランスフェクションされた細胞における編集レベルを比較する約30,000個の部位での差次的編集を示す。実験は、2つの独立した反復を用いて行った。標的上の編集は矢印で示される。有意に異なる編集部位(調整P<0.01、正確確率検定、両側、N≧50)を黒色で強調する。24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定は、非標的化ガイドRNA(NT-RNA)およびRAB7A 3’UTR 111p56 LEAPERガイドRNAを含む。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M0303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベートし、95℃に3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再度精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーは、TruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて200ngのRNAから調製し、NovaSeq6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。
C:バイスタンダー編集のための標的上の編集を用いて全てのNGSリードを分析することによって編集精度を評価する。CLUSTERガイドRNAは主にクリーンなシーケンスリード、および小さい割合で単一のバイスタンダー編集を伴うリードを与えるが、LEAPERサンプル由来のリードは、非常に頻繁にいくつかのバイスタンダー編集を含んでいた。24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定は、(1)非標的化ガイドRNA(NT-RNA)、(2)RAB7A 3’UTR 19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNA、および(3)RAB7A 3’UTR 111p56 LEAPERガイドRNAを含む。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M0303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベートし、95℃に3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再度精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーは、TruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて200ngのRNAから調製し、NovaSeq 6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。
D:クリーン編集(バイスタンダー無し)と標的上の全ての編集の収率の推定。24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定は、(1)非標的化ガイドRNA(NT-RNA)、(2)RAB7A 3’UTR 19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNA、および(3)RAB7A 3’UTR 111p56 LEAPERガイドRNAを含む。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M0303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベートし、95℃に3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再度精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーは、TruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて200ngのRNAから調製し、NovaSeq 6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。
図21:次世代シーケンシングによって決定された、CLUSTERガイドRNAおよびLEAPERガイドRNAを用いたRNA編集によって誘導された、標的外事象のリスト。このリストは、細胞がCLUSTERガイドRNAまたはLEAPERガイドRNAのいずれかで処理され、非標的化対照ガイドRNA(NT gRNA)と比較された場合に、少なくとも1つのサンプル中の有意に区別されるように編集された部位を探索するパイプラインによって検出された、「未知(unknown)」の部位での標的外編集事象のサブセットを示す。部位がRADARデータベースに列挙されていない場合には、部位に「未知」を割り当てた。非同義編集は、単一の部位HTATSF1(S742G)についてのみ検出された。マッピング分析は、CTNNAL1、HTATSF1、およびZNF740に対するRAB7AガイドRNAの潜在的な標的外結合のための部位を検出した。検出されたRAB7A部位は、パイプラインの有意性およびカットオフ基準を満たす、標的部位の近いバイスタンダー編集部位の割合を表す。データは、N=2のNGS反復の平均±s.d.を表す。24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定は、(1)非標的化ガイドRNA(NT-RNA)、(2)RAB7A 3’UTR 19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNA、および(3)RAB7A 3’UTR 111p56 LEAPERガイドRNAを含む。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M0303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベートし、95℃に3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再度精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーは、TruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて200ngのRNAから調製し、NovaSeq 6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。
実施例
以下に示す実施例は単なる例示であり、本発明をさらに説明するものである。これらの実施例は、本発明をそれに限定するものと解釈されるべきではない。
別段の記載がない限り、本明細書で提供される核酸配列は、5’から3’へと印刷される。別の言い方をすれば、本明細書に印刷される核酸配列中の最初のヌクレオチド残基は別段の記載がない限り、前記核酸配列の5’末端である。アミノ酸配列は別段の記載がない限り、N末端からC末端へと印刷される。
実施例1:HeLa細胞における内因性ADAR1を用いたデュアルルシフェラーゼW417Xアンバーレポーターの編集
実施例1で用いた人工核酸の一般構造を図1Aに示す:
A:8位にC/Aミスマッチを有する20個のヌクレオチドのアンチセンス部分と、ステムループ構造を有する模式的R/Gモチーフとを含む先行技術の人工核酸分子。
B:8位にC/Aミスマッチを有する20個のヌクレオチドのアンチセンス部分と、ステムループ構造を有するR/Gモチーフと、アデノシンリンカー(AAA)を介して連結された11~16個のヌクレオチドを有する3個のリクルートメント配列(RS #1、RS #2、RS #3)のクラスターとを含む、本発明に係る人工核酸分子。
120,000個のHeLa細胞を24ウェルスケール中に播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して1ウェルあたり、人工核酸AおよびBをそれぞれコードする800ngのRNAプラスミド、ならびに40ntのアンチセンス部分を含む人工核酸、および8個のリクルートメント配列のクラスターを含む人工核酸、および200ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。トランスフェクションの72時間後、細胞を採取した。RNA単離、DNase-I消化およびRT-PCRの後、続いてサンガーシーケンスを行った。
図1Bに示されるように、リクルートメント配列(RS)のない先行技術の20ntの短いR/GガイドRNAは、HeLa細胞において内因性ADAR1を効率的にリクルートすることができない。20ntの標的化配列を有するガイドRNAへの3個のリクルートメント配列の添加は、編集を0%から20%まで劇的に増加させる。20ntの標的化配列を有するガイドRNAへの8個のリクルートメント配列の添加は、編集を0%から24%まで劇的に増加させる。IFNaによるHeLa細胞の処理は、編集をわずかに増加させる。
実施例2:内因性ヒトADAR1およびAdVコード化R/G gRNAを用いたHeLa細胞における編集
さらなる実験において、HeLa細胞におけるRNA編集を、R/G-V20モチーフと16個のヌクレオチドの標的化配列とを含む先行技術のガイドRNA設計、および、R/G-V21モチーフと、20個のヌクレオチドの標的化配列と、トリプルアデノシンリンカー(AAA)によって連結された11~16個のヌクレオチドを有する3個のリクルートメント配列を含むリクルートメントクラスターとを含む本発明に係る人工核酸を用いて研究した。人工核酸のリクルートメント配列(RS #1、RS #2、RS #3)によって結合される標的RNA上の領域は、標的RNA上で10~100個のヌクレオチド隔てられていることに留意されたい(図2A参照)。
200k個のHeLa細胞を96ウェルスケール中に播種した。播種時に175 MOI(感染多重度)gRNA AdVを用いてリバーストランスダクション(Reverse transduction)を行った。175 MOIデュアルルシフェラーゼwt/amb AdVまたは5 MOI wt/wtを使用して、播種の24時間後にフォワードトランスダクション(Forward transduction)を達成した。ルシフェラーゼアッセイは、リバースインフェクション(reverse infection)の96時間後に行った。
図2Bに示されるように、標的RNA上の11~16個のヌクレオチドの領域に結合する3個のリクルートメント配列(RS #1、RS #2、RS #3)を含むリクルート部分を含む本発明に係る人工核酸は、ルシフェラーゼ活性を100%に回復させるが、リクルートメント配列を欠く先行技術の設計は、(正規化された)ルシフェラーゼ活性を1.5%までしか回復させることができない。
実施例3:いくつかの細胞株におけるアデノウイルスコード化3×RSガイドRNAを用いた内因性ヒトADAR1のリクルートを介したデュアルルシフェラーゼレポーターの編集
いくつかの細胞株においてアデノウイルス(AdV)コード化3×RSガイドRNAを用いた内因性ヒトADAR1のリクルートを介したデュアルルシフェラーゼレポーターの編集を評価するために、各細胞タイプについて25k個の細胞を96ウェルスケール中に播種した。HeLa細胞において、フォワードトランスダクションは、播種の24時間後に達成された。他の全ての細胞において、リバーストランスダクションは、播種時に達成された。採取およびルシフェラーゼアッセイは、感染の96時間後に行われた。
図3に示すように、RNA編集によるホタルルシフェラーゼ活性の回復は、内因性ADAR1のみを利用することによって、異なる組織(脳、肝臓、肺、子宮頸部)に由来するいくつかの細胞株において達成することができた。HeLa細胞において、正規化されたホタルルシフェラーゼ活性は、野生型レベルの90%まで回復することができた。読み出しはルシフェラーゼアッセイであった。
実施例4:AdVコード化3×RSガイドRNAおよび内因性ADAR1を用いた、いくつかの細胞株におけるデュアルルシフェラーゼレポーターの編集
Huh7、SK-N-BE、A549、HepG2およびSY5Y細胞の場合:1ウェルあたり25,000個の細胞(96ウェルスケール)を、1日目の播種時に指示されたMOIでリバースインフェクションさせた。2~4日目に培地交換を行った。1回のRT-PCRあたり6ウェルの採取およびプールを5日目に行った。HeLa細胞の場合:1ウェルあたり25,000個の細胞(96ウェルスケール)を1日目に播種した。指示されたMOIによるフォワードインフェクションを2日目に行った。3~5日目に培地交換を行った。1回のRT-PCRあたり6ウェルの採取およびプールを6日目に行った。
図4に示されるように、編集は、内因性ADAR1のみを使用することによって、異なる組織(脳、肝臓、肺、子宮頸部)に由来するいくつかの細胞株において達成することができた。今回、読み出しはサンガーシーケンス(RNAレベル)であった。しかしながら、結果は、実施例3、図3に示されるルシフェラーゼ活性(タンパク質レベル)の回復と一致する。
実施例5:6-9×RSガイドRNAおよび内因性ADAR1を用いた、HeLa細胞におけるいくつかの疾患関連標的mRNAの編集
本発明の人工核酸(ガイドRNA)の治療可能性を評価するために、6-9×RSガイドRNAおよび内因性ADAR1を用いて、HeLa細胞における以下の疾患関連標的mRNAの編集を試験した。標的mRNAは、pcDNA3発現プラスミド上のcDNAとしてコードされた。
BMPR2:骨形成タンパク質受容体タイプII(BMPR2)における変異は、肺動脈高血圧症の最も一般的な遺伝的原因である。
COL3A1:COL3A1における突然変異は、常染色体優性結合組織疾患であるエーラース-ダンロー症候群タイプIVの根底にあることが同定されている。
FANCC:FANCC(ファンコニ貧血相補性群C)の突然変異に関連する疾患には、ファンコニ貧血、相補性群Cおよびファンコニ貧血、相補性群Aが含まれる。
AHI:AHI1はJouberinタンパク質を特異的にコードし、当該遺伝子の発現における突然変異は、ジュベール症候群の特定の形態を引き起こすことが知られている。
MYBPC:心筋ミオシン結合タンパク質C(MyBP-C、MYBPC3によってコードされる)における突然変異は、肥大型心筋症の最も一般的な原因である。
IL2RG:重症複合免疫不全症(SCID)は、重度の細胞性および体液性免疫障害の症候群である。ヒトにおいて、SCIDは、インターロイキン-2および複数の他のサイトカインに対する白血球受容体の共通γ鎖、γcをコードするX連鎖遺伝子IL2RGにおける突然変異によって最も一般的に引き起こされる。
PINK1:PTEN誘導キナーゼ1(PINK1)は、PINK1遺伝子によってコードされるミトコンドリアセリン/トレオニン-タンパク質キナーゼである。ストレス誘発性ミトコンドリア機能不全から細胞を保護すると考えられている。この遺伝子における突然変異は、常染色体劣性早発性パーキンソン病の一形態を引き起こす。
120,000個の細胞を24ウェルスケール中に播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり800ngのガイドRNAプラスミドおよび200ngの標的コードプラスミド(cDNA)でトランスフェクションした。トランスフェクションの72時間後、細胞を採取した。RNA単離後、DNase-I消化およびRT-PCRを行い、続いてサンガーシーケンスを行った。
図5Aに示されるように、標的部位での編集は、全ての疾患関連標的mRNAにおいて検出された。標的上の編集レベルは、PINK1_W437X、IL2RG_W237X、およびMYBPC3_W1098X mRNAでは5~15%、AHI_W725XおよびFANCC_W506X mRNAでは30%まで、COL3A1_W1278XおよびBMPR2_W298X mRNAでは最大55~60%まで変動した。特に、標的アデノシンのごく近傍に存在する編集可能なアデノシンヌクレオチドであっても、標的外バイスタンダー編集は、サンガーシーケンスによって検出されなかった。これを示す4個の例示的なサンガーシーケンストレースを図5Bに示す。
実施例6:プラスミドをコード化したRG-V21_20p8_3×RSガイドRNAおよびRG-V21_20p8_8×RSガイドRNAはHeLa細胞において主にADAR1p110をリクルートする
どのADARアイソタイプが本発明の人工核酸(ガイドRNA)によって主にリクルートされるかを調べるために、1.2×10個のHeLa細胞を12ウェルスケール中に播種し、1ウェルあたり2.5pmolのsiRNA(3μlのHighPerfect+2.5μlの1μMのsiRNA、OptiMemを用いて200μl)を使用して、スクランブルsiRNA、ADAR1 siRNA、またはADAR1p150 siRNAを用いてリバーストランスフェクションを行った。1つのsiRNAあたり6ウェルに播種した。12ウェルプレートの各使用ウェルは、対応するsiRNAについて示された200μlのトランスフェクション混合物を含有していた。siRNAトランスフェクションの24時間後、同様に処理したウェルを採取し、細胞をプールした。次いで、別に処理された25,000個のHeLa細胞を96ウェルスケール中に播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いてトランスフェクションの48時間後に行った。
図6に示されるように、ADAR1(アイソフォームp110およびp150)のsiRNAノックダウンはルシフェラーゼアッセイにおいて編集をほぼ10倍減少させたが、特異的ADAR1p150ノックダウンは編集収率に対して最小の効果しか有さなかった。細胞のインターフェロン-α誘導は、編集収率をほとんど増加させず、編集がIFN-α誘導性ADAR1p150アイソフォームによるよりもむしろ構成的に発現されたADAR1p110によって行われることを支持した。対応するウエスタンブロットで見られるように、ノックダウンは非常に効率的であり、標的タンパク質のほぼ完全な除去をもたらした。
実施例7:リクルートメント配列の数が編集収率に及ぼす影響
リクルート部分に含まれるリクルートメント配列の数が編集収率に及ぼす影響を調べるために、0、1、2、3、6、8、または20個のリクルートメント配列、20ntの標的化配列およびRG-V21モチーフをそれぞれ含むリクルート部分を有するいくつかの人工核酸(ガイドRNA)を構築した。RSは長さが9~16ntの間であり、トリプルアデノシンリンカーによって互いに連結されていた。
25,000個のHeLa細胞を96ウェルスケール中に播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いてトランスフェクションの48時間後に行った。
図7に示されるように、本発明におけるRS要素の数は、効率的な編集を達成するために重要である。少なくとも2個のRSは、顕著な編集を提供する。3~8個のRSが最適と思われる。しかしながら、RSの数の単なる増加、例えば20×RSは、改善された編集収率を与えなかった。
実施例8:リクルートメント配列の長さが編集収率に及ぼす影響
リクルートメント配列の長さが編集収率に及ぼす影響を調べるために、異なる長さの3個のリクルートメント配列を含むリクルート部分を有する、本発明に係るいくつかの人工核酸(ガイドRNA)を構築した。RSの長さと標的mRNA上のそれらの結合領域の位置を図8において異なる構築物に対して示した。標的配列、RSの結合領域および標的コドン
を示す。ガイドRNAはさらに、5’端末R/Gモチーフを含んでいた(V21、示さず)。
25,000個のHeLa細胞を96ウェルスケール中に播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いてトランスフェクションの48時間後に行った。
図8に示すように、リクルートメント配列(RS)の長さは、効率的な編集を達成するための本発明における重要な最適化パラメータである。典型的には、顕著な編集収率が11nt以上のリクルートメント配列(RS)を用いて得られる。
実施例9:リンカーの長さが編集収率に及ぼす影響
リクルートメント配列を隔てるヌクレオチドリンカー/スペーサーの長さが編集収率に及ぼす影響を調べるために、リンカー、ならびに0、1、2、3、4、5および10個のアデノシンヌクレオチドを含むスペーサーをそれぞれ有するいくつかの人工核酸(ガイドRNA)を構築した。図9Aの左上の部分は、gRNAとmRNAの相互作用を示すために用いられた図である。けば線およびパターンは図9Aの右上の凡例に示されるように、gRNA(標的化配列、スペーサー、第1のリクルートメント配列、リンカー、第2のリクルートメント配列、リンカー、第3のリクルートメント配列)および標的mRNA(標的配列、次の結合領域までの距離、結合領域#1、次の結合領域までの距離、結合領域#2、次の結合領域までの距離、結合領域#3)の部分構造を示した。リンカーを介して互いに連結されているリクルートメント配列、およびスペーサーを介して第1のリクルートメント配列に連結されている標的化配列は図9Aの下部に示されているように、この実施例で比較した全ての人工核酸についてmRNA上の同じ結合領域に結合する。図9Bは、リクルートメント配列間のアデノシンヌクレオチドの数が異なるgRNA間の差異を示す。
編集収率(リンカーとして3つのアデノシンヌクレオチドを用いた設計に対する相対的な倍率変化として表示)を図9Aおよび9Bで、対応するgRNA結合部位(図9A)またはgRNA組成(図9B)の隣にそれぞれ表示する。25,000個のHeLa細胞を96ウェルスケール中に播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いてトランスフェクションの48時間後に行った。
図9A(mRNA上のgRNAの結合領域)および図9B(ガイドRNAの組成)に示されるように、リンカーの長さは、本発明における編集収率に比較的わずかな効果を有する。しかし、RS間の3個のアデノシンの最適なリンカーの長さが観察された。
実施例10:標的mRNA上の3つのリクルートメント配列の配置の最適化
領域を隔てる距離が、個々のリクルートメント配列が結合する標的mRNAに及ぼす影響を評価するために、標的RNA上の特定の領域にそれぞれ短い距離(15~62個のヌクレオチド)または長い距離(375~460個のヌクレオチド)で結合する15個のヌクレオチドの3個のリクルートメント配列を有するいくつかの人工核酸(ガイドRNA)を構築した。構築物および標的mRNA上のそれらの位置を図10に示す。
25,000個のHeLa細胞を96ウェルスケール中に播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いてトランスフェクションの48時間後に行った。
図10に示すように、個々のRSの位置はRNA編集収率に影響を及ぼし、標的部位に近い位置を好む。しかしながら、1つのRSが標的部位の近くに位置しない限り、他のRSは効率の重大な損失なしに、かなり遠い領域に結合することができ、本発明におけるガイドRNA設計の柔軟性および最適化に利用可能な大きな配列空間を強調する。
実施例11:標的mRNA上の2つの短いRS(15nt)のコンテクストにおける拡張RS(20nt)の配置の最適化
標的mRNA上のリクルートメント配列結合領域の距離とリクルートメント配列の長さとの相関を評価するために、それぞれ15ntの2個のRSおよび20ntの1個のRSを有するいくつかの人工核酸(ガイドRNA)を構築した。それらは、それぞれ短い距離(15~62個のヌクレオチド)または長い距離(375~460個のヌクレオチド)で標的RNA上の特定の領域に結合する。構築物および標的mRNA上のそれらの位置を図11に示す。
25,000個のHeLa細胞を96ウェルスケール中に播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いてトランスフェクションの48時間後に行った。
図11に示されるように、標的部位(短い)にごく近接したRSの位置は、他の設定(長い)よりも好ましい。このことは実施例10、図10と一致している。しかし、拡張RS(20nt)の配置は両方の設定(長いおよび短い)において、ガイドRNAの3’末端で最も有効である。したがって、ガイドRNAの3’末端に延長されたリクルートメント配列(RS)の配置は、RSからRSまでの距離(短い対長い)とは無関係に編集収率が増加する可能性がある。それゆえ、3’末端RSは、他のRSよりも長いことが好ましい。RS #1および#2の長さは、それほど重要ではないようである。
実施例12:リクルートメント配列マスキングが編集収率に及ぼす影響(アンチセンス部分に強い二次構造を有するガイドRNAのシミュレーション)
リクルートメント配列マスキングの影響を評価するために、標的mRNA上の特定の領域に結合する3個のリクルートメント配列(RS#1、RS#2、RS#3)と、様々な程度でさらなるリクルートメント配列(RS#4、RS#5、RS#6)とをそれぞれ含むいくつかの人工核酸(ガイドRNA)を構築し、それによって、アンチセンス部分において強い二次構造を有するガイドRNAをシミュレートした。構築物を図12に示す。図12Aの左上は、gRNAとmRNAの相互作用を示すのに用いられた図である。けば線およびパターンは図12Aの右上の凡例に示されるように、gRNA(標的化配列、スペーサー、第1のリクルートメント配列、リンカー、第2のリクルートメント配列、リンカー、第3のリクルートメント配列)および標的mRNA(標的配列、次の結合領域までの距離、結合領域#1、次の結合領域までの距離、結合領域#2、次の結合領域までの距離、結合領域#3)の部分構造を示した。図12Aの結合模式図の部分に示されるように、この実施例において比較される全ての人工核酸について、リクルートメント配列および標的化配列は、mRNA上の同じ結合領域に結合する。gRNA中の対応するリクルートメント配列がマスキングリクルートメント配列(mRS)によってマスキングされている結合領域は、垂直線パターンで強調されている。マスキングリクルートメント配列(mRS)は実際のmRNA結合リクルートメント配列まで折り返され、それによって、これらのリクルートメント配列がそれらのそれぞれの結合領域と相互作用することを妨げる。gRNA中のリクルートメント配列をマスキングすることによってマスキングされず、したがってgRNA-mRNA相互作用のために使用され得る結合領域は、右傾きの線パターンによって強調される。図12AのgRNA模式図の部分は、gRNA間の差異を示している。これらの差異は追加のマスキングリクルートメント配列(mRS)であり、実際のmRNA結合リクルートメント配列まで折り返され、それによってgRNA-mRNA相互作用の目的のためにそれらをマスキングする。
25,000個のHeLa細胞を96ウェルスケール中に播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いてトランスフェクションの48時間後に行った。
図12Aに示されるように、マスキングされたリクルートメント配列を有するガイドRNAは、3個のマスキングされていないヌクレオチドリクルートメント配列(3×RS gRNA、マスキングなし)を含むガイドRNAと比較して、明らかに減少した編集収率を示す。編集収率は、マスキングされたリクルートメント配列の数の増加と共に段階的に減少した。したがって、この実験は、アンチセンス部分(RSおよび標的化配列)に強い二次構造を有するガイドRNAが、減少した編集収率を示し、回避されるべきであることを示唆しており、したがって、ガイドRNA配列のコンピュータによる設計に含まれている。
図12Bに、実施例12で使用したガイドRNA構築物の最小自由エネルギー(MFE)二次構造を表す。図8Bにおける最小自由エネルギー(MFE)構造との比較は、記載されたソフトウェアが弱い二次構造を有するgRNAをスクリーニングすることをどれだけ効率的に可能にするかを示し、また、この実験に関してその重要性を強調する。
実施例13:gRNAおよびレポータープラスミドのHDTV注射後のC57BL/6マウスにおけるデュアルルシフェラーゼW417Xアンバーレポーターのインビボ編集
動物実験における本発明の人工核酸の編集能力を調べるために、人工核酸(ガイドRNA)を、流体力学的尾静脈(HDTV)注射を介してC57BL/6マウスに送達した。
C57BL/6マウスを、その体重の10%に等しい総体積で生理食塩水中に希釈したエンドトキシンを含まないプラスミド(NucleoBond(登録商標)Xtra Midi EF、Macherey Nagel)で処理した。前記総体積の流体力学的尾静脈(HDTV)注入を5~10秒以内に行った。陰性対照群マウスを10μgのデュアルルシフェラーゼwt/ambレポータープラスミドで処理し、陽性対照群マウスを10μgのデュアルルシフェラーゼwt/wtレポータープラスミドで処理し、編集群マウスを5μgのデュアルルシフェラーゼwt/ambレポータープラスミドおよび25μgのガイドRNAプラスミドで処理した。注射の72時間後、マウスを屠殺した。肝葉を個々に摘出した。各葉を3つの断片に切断し、それを他の葉の断片と一緒に再びプールして、最終的に1匹のマウスあたり3つのサンプルカテゴリーを得、それぞれが等量の各肝葉を含有していた(サンプルカテゴリーA、B、およびC)。カテゴリーAのサンプルをルシフェラーゼアッセイに使用し、カテゴリーBのサンプルをRNA単離に使用し、カテゴリーCのサンプルをバックアップ材料として-80℃で保存した。カテゴリーBおよびCのサンプルを液体窒素中で直ちに凍結した。カテゴリーAのサンプルを、500μlの1×受動的溶解緩衝液(passive lysis buffer)中で、マイクロ乳棒を用いてホモジナイズした。サンプルを5~10秒間回転させた後、1ウェルあたり50μlのサンプルを白い96ウェルLumiNuncプレート(Thermofisher)に移した。各サンプルを、1ウェルあたり35μlの各アッセイ基質を用いて、自動注射器を備えたTecan Spark 10Mプレートリーダーで3回測定した。カテゴリーBのサンプルを、1mlのTRIzol試薬(Thermofisher)およびマイクロ乳棒を用いて、1.5mlのEppendorfチューブ中でホモジナイズした。200μlのクロロホルムを添加し、30秒間ボルテックスした後、それらを室温で5~10分間インキュベーションした。その後、4℃、12,000gで20分間遠心分離した。次いで、水相を新しいチューブに移し、700μlの氷冷イソプロパノールを加えた。-20℃で一晩沈殿させた後、沈殿物を14,000rpmで60分間遠心分離し、500μlの75% EtOHで2回洗浄した。14,000rpmで5分間遠心分離した後、ペレットを50℃で3分間乾燥し、次いで87.5μlのヌクレアーゼを含まない水に溶解した。TRIzol単離後、10μlのDNase-I緩衝液および2.5μlのDNase-I(NEB)を添加することにより、37℃で30分間、RNAをDNase-I消化した。次に、RNeasy Mini RNA単離キット(QIAGEN)を用いて、RNAを今回2回洗浄した。逆転写は、ProtoScript II逆転写酵素(NEB)、ランダムプライマーミックス(High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kits、Applied Biosystems)および1μgの全RNAを用いて行った。PCRクリーンアップ(NucleoSpin Gel and PCR Clean-up kit、Macherey Nagel)後、プライマー対2898+2899を用いて2.5μlのcDNAをQ5-ポリメラーゼ(NEB)PCRに使用し、続いてプライマー対3850+3851を用いてネステッドPCRを行った。サンガーシーケンス(MWG Eurofins Genomics)を、プライマー3850を用いて行った。
図13に示すように、5μgのデュアルルシフェラーゼwt/ambレポータープラスミドおよび25μgのガイドRNAプラスミドルシフェラーゼで処理したマウスでは、活性は、ルシフェラーゼシグナル(タンパク質レベル)の回復によって示されるように、陽性対照群と比較して10.6%に回復した。陰性対照群と比較して、本発明の人工核酸(ガイドRNA)で処理された「編集群」のルシフェラーゼ活性は、約>1000倍増加した。ルシフェラーゼシグナルの回復(陽性対照の10.6%)は、RT-PCR後のサンガーシーケンスによってRNAレベルで確認された(10.6%編集収率)。代表的なサンガーシーケンストレースと編集収率を示した。
実施例14:HEK293FT細胞における内因性ADAR1を用いた内因性非翻訳領域(UTR)標的の編集
Ras関連タンパク質Rab-7aはヒトにおいてRAB7A遺伝子によってコードされるタンパク質であり、RAB7A遺伝子における突然変異は、例えばシャルコー・マリー・トゥース病を含むいくつかの疾患に関連する。
RAB7A遺伝子のUTR標的配列の編集を評価するために、HEK293FT細胞に本発明の人工核酸(ガイドRNA)をトランスフェクションした。
60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。
図14に示されるように、本発明のガイドRNAはHEK293FT細胞におけるRAB7A UTR標的部位での最良の編集と共に、平均で20~44%の編集収率を提供する。特に、標的部位の周囲に検出可能なバイスタンダー編集はなかった。例として、サンガーシーケンストレースは、RAB7A標的部位について与えられる(図14、下パネルを参照)。この標的のRS結合領域のさらなる分析を図16に示す(LEAPERベンチマーク)。
実施例15:HEK293FT細胞における内因性ADAR1を用いたいくつかの内因性オープンリーディングフレーム(ORF)標的の編集
NUP43遺伝子は、細胞質と核との間の巨大分子の双方向輸送に影響する核膜孔複合体の構成要素であるヌクレオポリン43をコードし、NUP43遺伝子の突然変異は、ファンコニ貧血、相補群L、および家族性心房細動を含むいくつかの疾患と関連している。
GusBは、グルコサミノグリカンの分解に関与するβ-グルコロニダーゼをコードする遺伝子であり、GusB遺伝子における突然変異は、ムコ多糖症、VII型、およびムコ多糖症、VI型を含むいくつかの疾患と関連する。
NUP43およびGusB遺伝子のORF標的配列の編集を評価するために、HEK293FT細胞に本発明の人工核酸(ガイドRNA)をトランスフェクションした。
60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。
図15に示されるように、本発明のガイドRNAは例えば、トランスフェクションされたHEK293FT細胞においてGUSB中のORF部位L456Lを標的とする場合、38%までの編集収率を提供する。特に、バイスタンダーの標的外編集は、標的部位の周囲にほとんど存在しない。GUSB L456LおよびNUP43 V233Vについて、標的部位の周りの例示的なサンガーシーケンストレースを示す(図15、下パネル)。NUP43標的のRS結合領域のさらなる分析を図16に示す(LEAPERベンチマーク)。
実施例16:本発明の標的上の収率および望ましくないバイスタンダーの標的外編集と先行技術のLEAPER gRNAとを比較するベンチマーク
60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。
図16Aおよび16Bに示されるように、本発明のガイドRNAは望ましくないバイスタンダーの標的外編集を回避しながら、高収率で効率的な標的上の編集を可能にする。データは、RSのインシリコ選択プロセスがバイスタンダー編集の大幅な低減または完全な回避さえももたらすが、111ntのLEAPERガイドRNAはバイスタンダー編集を確実に回避するために必要な設計柔軟性を欠いていることを示している。LEAPERガイドRNAは、Quら(Nature Biotech、上記)に従って、標的部位の周りに対称的に配置された非構造化111ntガイドRNAとして設計された。彼らの以前の研究の通り、LEAPERガイドRNAは様々な部位、例えば、RAB7Aにおいて最大20部位で、最大50%の編集収率まで、大量のバイスタンダーの標的外編集を誘導した(図16Bを参照)。彼らの以前の研究に従い、バイスタンダー編集を抑制するために、A:Gミスマッチを含めた。ただし、1つのケース(NUP43)では、バイスタンダー編集を完全に抑制することはできなかった(図16Aを参照)。もう1つのケース(RAB7A)ではバイスタンダー編集は抑制できたが、標的上の編集の犠牲の下であった(図16Bを参照)。対照的に、本発明に従って設計されたガイドRNAは、同等の標的上の編集収率で有意に改善された編集特異性(ほとんどバイスタンダーの標的外編集なし)を可能にした。
実施例17:インシリコ最適化を用いた標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸の配列の生成。
少なくとも1つのリクルートメント配列を含み、好ましくは編集対象の特定の標的mRNAの第1およびさらなる領域に結合するリクルートメント配列のクラスターを含む人工核酸(ガイドRNA)のリクルート部分の配列の生成を容易にするために、インシリコアプローチを使用して、リクルートメント配列の結合部位として適切な標的mRNA上の配列を検出し、例えば潜在的な分子内塩基対形成事象に関して、人工核酸(ガイドRNA)を最適化することが好ましい。例示的なリクルートメントクラスターインシリコ最適化のステップを図17A~17Cに示す。
コンピュータにより実行されるリクルートメントクラスターインシリコ最適化の前に、多数のプリセットがユーザによって作成される。特に、ユーザによって入力されるプリセットは以下に関して作成される:
- 編集対象の標的RNAの配列;
- 標的RNA上の標的配列に結合する標的化配列(TS)の長さ(例えば、16~40個のヌクレオチド);
- リクルートメント配列の長さ(例えば、11~16個のヌクレオチド);
- 標的RNA上の、標的配列と第1のリクルートメント配列によって結合される配列との間の距離(例えば、10~100個のヌクレオチド);
- 標的RNA上の、第1およびさらなるリクルートメント配列によって結合される領域(結合部位)間の距離(例えば、10~100個のヌクレオチド);
- ヌクレオチドリンカーの長さ(たとえばAAA);
- 第2のリクルート部分の配列(例えば、R/Gモチーフ):
- 任意の3’末端配列(例えばUUU)。
ユーザによって入力された上記のプリセットに基づいて、入力された標的RNAの部位特異的編集に適したガイドRNAの候補が、「リクルートメントクラスターインシリコ最適化」プロセスにおいて作成される。
図17A~図17Cは、入力データを処理するためにアルゴリズムによって使用される正確な組み合わせの実装を説明するのではなく、より良い理解のために概念的な方法でツールの背後にあるアイデアを説明する。
図17A~17Cに示されるように、リクルートメントクラスターインシリコ最適化法の工程1において、標的mRNAに対応する入力されたcDNAを、G、C、TおよびGAのみを含むリクルートメント配列結合領域の候補についてスクリーニングする(グアノシンヌクレオチドが標的mRNA中のアデノシンヌクレオチドに対して5’に位置する場合、編集はない)。例えば、スクリーニングは、編集対象のヌクレオチドを含む標的配列の5’で実施される。工程2では、標的配列から開始して、標的配列から特定の距離(例えば、10~100個のヌクレオチド)を有する5’に位置するリクルートメント配列結合領域を検出する。工程3において、これらのリクルートメント配列結合領域を選択し、それらのサイズ(例えば、11および13個のヌクレオチド)について分析する。工程4において、リクルートメント配列サイズの入力(例えば、11個のヌクレオチド)を使用して、リクルートメント配列結合領域の誘導体を生成する。例えば、中断されないリクルートメント配列結合領域が13個のヌクレオチドの長さを有する場合、入力されたリクルートメント配列サイズが11個のヌクレオチドに設定されると、3つの誘導体リクルートメント配列を作製することができる。工程5では、第1の組の誘導体リクルートメント配列結合領域(1A、2A、2B、2C)から開始して、設定された範囲(例えば、10~100個のヌクレオチド)内の次のリクルートメント配列結合領域が検出される。工程6では、検出されたリクルートメント配列結合領域が選択され、それらのサイズについて分析される。n個(例えば3個)のリクルートメント配列結合領域が選択されるまで、工程4~6を繰り返す。工程7において、全てが入力変数に一致する、得られたリクルートメント配列結合領域のリストをリクルートメント配列に変換し、標的配列を標的化配列に変換し、生成された配列を、入力されたR/Gモチーフ(第2のリクルート部分)、トリプルアデノシンリンカー/スペーサー、およびU6終止配列から生じる3つの末端ウリジンとアセンブルする。工程8では、Vienna RNAパッケージ(RNA二次構造の予測および分析に使用されるスタンドアロンプログラムおよびライブラリーのセット)を使用して、リスト内の全ての人工核酸(ガイドRNA)を折り畳み、これらの折り畳みのドット-ブラケット表現を生成する。「Recruitment Cluster Finder」(RCF)は、構造を、それらの自由エネルギーによって、またはそれらのドット-ブラケット比率(ドット-ブラケット表記の比率)によってソートすることを可能にする。好ましいドット-ブラケット比率を有する構造(ガイドRNAのアンチセンス部分内の最小塩基対形成)は、アンチセンス部分内の一行中の最低数のブラケットによってさらにソートされる。最も弱い二次構造を表す最も短いものは、最も高いランキングを得る。次いで、好ましい二次構造を有する得られたガイドRNAの選択されたリクルートメント配列をブラストさせて(blasted)、トランスクリプトーム内で標的外編集効果を引き起こし得るリクルートメント配列を排除することができる。
実施例18:リクルートメント配列(RS)および二本鎖ADARリクルートドメイン(例えば、R/Gモチーフ)は、特定の柔軟性をもって標的化配列(TS)の周囲に配置され得る
この実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を96ウェルスケール中に播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いてトランスフェクションの48時間後に行った。
図18A~Cに示されるように、リクルートメント配列を標的化配列の5’および/または3’に配置することが可能である。標的化配列は典型的にはADARリクルートドメインの隣に配置された場合に非常に良好に機能したが、編集効率を失うことなく他の配置も可能である。
実施例19:化学的に合成されたCLUSTERアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)のトランスフェクションによる、Hurler症候群患者由来の初代線維芽細胞(Hurler FB、GM06214)における疾患関連hIDUA W402Xアンバー突然変異の補正。
Scheie症候群(GM01323)およびHurler症候群(GM06214)の患者由来の線維芽細胞は、Coriell Institute for Medical Research(米国)から購入した。2.5mlのDMEM+15% FBS中2.5×10個の細胞/ウェルを、6ウェルプレートに播種した。各試験条件について、2つの6ウェルをIDUAアッセイに使用し、1つの6ウェルを使用して、サンガーシーケンスによりRNA編集収率を決定した。CLUSTER ASOは3×RS(20-20p8-25-20)CLUSTER設計を有する、PAGE精製され、末端ブロックされた(2’-OMe、PS)RNAオリゴヌクレオチドであり、これは、2つの市販の購入された(Biospring GmbH、ドイツ)、69nt(5’部分)長および80nt(3’部分)長のHPLC精製オリゴヌクレオチドから、インハウスでライゲーションされた(T4 RNAリガーゼ)。完全な配列および修飾パターンを、以下の適用されたgRNAのリストに示す。トランスフェクションは、それぞれ250μlのOpti-MEMで希釈した125pmolのASOおよび7.5μlのRNAiMAXを用いて播種した24時間後に行った。両方の溶液を5分間インキュベーションした後に合わせ、さらに20分間インキュベーションした後、トランスフェクション混合物を1つのウェルに均等に分配した。トランスフェクションの24時間後に培地を交換した。
サンガーシーケンスのために:トランスフェクションの48時間後、線維芽細胞をRLT緩衝液(QIAGEN、#79216)中で採取し、続いてMonarch RNAクリーンアップキット(NEB、#T2030L)を使用してRNA単離を行った。Turbo-DNase消化は、TURBO DNA-free Kit(Thermofisher、#AM1907)を用いて行った。SuperScript IV RT(Thermofisher、#18090050)を用いて、52℃で1時間、ランダムプライマーを用いて逆転写を行った。10% DMSOを含有する各反応で、Taqポリメラーゼ(NEB、#M267S)を用いて、通常のPCR、続いてネステッドPCRを実施した。第2のPCRの後、生成物をSB-アガロースゲル電気泳動によって分離した。PCRクリーンアップ(NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Kit、Macherey Nagel、#740609)後、サンガーシーケンス(Microsynth AG)を行った。
α-L-イズロニダーゼ酵素活性アッセイについて:培地をトランスフェクションの24時間後に交換した。トランスフェクションの48時間後、線維芽細胞を分離し、PBSで1回洗浄した。PBS中の0.5% Triton X-100を40μl、細胞ペレットに添加し、氷上で30分間インキュベーションし、α-L-イズロニダーゼ酵素アッセイを行った。α-L-イズロニダーゼ酵素活性アッセイによる編集読み出しのために、4-メチルウンベリフェロン(Sigma Aldrich、M1381)の標準希釈系列を1×PBS中で調製した。各濃度について、25μlの標準溶液を25μlの0.4Mギ酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)に添加し、3反復で96ウェルLumiNuncプレート(VWR、732-2696)に適用した。基質(4-メチルウンベリフェリルα-L-イズロニド、Glycosynth、#44076)を0.4Mギ酸ナトリウム緩衝液に溶解し、最終濃度を180μMとした。HeLa細胞を用いたマウスIDUAアッセイのために、25μlの1:3希釈細胞溶解物(0.5% Tween-20/PBS)をプレート中の25μlの基質に加え、暗所で37℃で45分間インキュベーションした。25μlの未希釈の細胞溶解物(0.5% Triton X-100/PBS)をプレート中の25μlの基質に加え、暗所で37℃で90分間インキュベーションした。両方の場合において、200μlの炭酸グリシン緩衝液(0.17Mグリシン/NaOH、pH10.4)を添加することにより反応をクエンチした。4-メチルウンベリフェロンの蛍光を、Tecan Spark 10Mプレートリーダーを用いて、励起波長355nm、発光波長460nmで測定した。計算された酵素活性は、BCAアッセイ(Pierce BCA Protein Assay Kit、Thermofisher、23227)によって決定されるタンパク質量を基準とした。酵素活性をScheie線維芽細胞溶解物に標準化した。
これらの実験では、Hurler患者から採取した線維芽細胞におけるhIDUA活性の回復のためのCLUSTERアプローチを試験した。これらの細胞における強力なプラスミドトランスフェクションバイアスを克服するために、アンチセンスオリゴヌクレオチドの形態のCLUSTERガイドRNAを適用した。サンガーシーケンスにより、24%のガイドRNA依存性編集収率が測定され(図19A)、IDUA酵素活性のScheie対照線維芽細胞で得られたレベルまでの回復が観察された(図19B)。Scheie症候群はあまり重症ではない疾患であるため、データは臨床的に有益な効果が手の届く範囲内であり得ることを示す。
実施例20:CLUSTER gRNAおよびLEAPER gRNAのための、グローバルな標的外効果のNGS特性評価およびクリーンな編集事象の定量化。
24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定には、非標的化ガイドRNA(NT-RNA)およびRAB7A 3’UTR 19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNAが含まれる。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベーションし、95℃まで3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再び精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーはTruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて200ngのRNAから調製し、NovaSeq 6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。RNA-seqおよびリードのマッピング:RNA-seqリードをゲノム上に正確にアラインメントするための、以前に公開されたパイプラインを採用した(Ramaswami, G., et al., Accurate identification of human Alu and non-Alu RNA editing sites. Nat Methods, 2012. 9(6): p. 579-81; Ramaswami, G., et al., Identifying RNA editing sites using RNA sequencing data alone. Nat Methods, 2013. 10(2): p. 128-32参照)。STAR(バージョン2.5.3a)(Dobin, A., et al., STAR: ultrafast universal RNA-seq aligner. Bioinformatics, 2013. 29(1): p. 15-21参照)を使用して、リードをhg19参照ゲノムにアラインメントし、Picardツール(バージョン1.129)を実行して、同じ位置にマッピングされたクローンリード(PCR重複物)を除去した。これらの同一のリードのうち、最高のマッピングクオリティを有するリードのみが、下流分析のために保持された。ユニークかつ非重複のリードを、Genome Analysis Toolkit(GATK、バージョン3.6)のIndelRealignerおよびTableRecalibrationを使用して、局所リアラインメントおよび塩基スコア再較正に供した(Li, H., et al., The Sequence Alignment/Map format and SAMtools. Bioinformatics, 2009. 25(16): p. 2078-9参照)。上記のステップを、RNA-seqサンプルのそれぞれに別々に適用した。RNA-seqデータからの編集部位の同定:標的化領域に対して誤ってアラインメントされたLEAPERガイドRNA配列を除去するために、samtoolsにおけるrmdupコマンド(Li, H., et al., The Sequence Alignment/Map format and SAMtools. Bioinformatics, 2009. 25(16): p. 2078-9参照)を使用して、RAB7A 3’UTR領域におけるPCR重複物を除去した。さらに、配列「AAGGGTG」(LEAPER gRNAの3’末端)を含む全てのリードおよび「TCAAAGAC」(LEAPER gRNAの5’末端)で終わるリードを除去した。最後のステップとして、RAB7A遺伝子のアンチセンス配列に由来する全てのリードを除去した。この手順を全てのサンプル(CLUSTER、LEAPER、非標的化gRNA)に適用した。マッピングされたRNA-seqリードからバリアントをコールするために、GATKのUnifiedGenotyper(McKenna, A., et al., The Genome Analysis Toolkit: a MapReduce framework for analyzing next-generation DNA sequencing data. Genome Res, 2010. 20(9): p. 1297-303参照)を用いた。バリアントのコールの通常のプラクティスとは対照的に、比較的緩い基準を持つバリアントを、UnifiedGenotyperツールを使用してオプションstand_call_conf 0、stand_emit_conf 0、および出力モードEMIT_VARIANTS_ONLYで同定した。非反復および反復非Alu領域由来のバリアントは、参照ゲノム配列とRNA-seqとの間のミスマッチを含む少なくとも3つのリードによってサポートされる必要があった。1つのミスマッチリードのサポートは、Alu領域におけるバリアントに必要であった。このバリアント候補のセットは、編集サイトのコールの精度を高めるために、いくつかのフィルタリングステップに供された。最初に、dbSNPビルド137中に存在する全ての既知のヒトSNPを除去した(分子タイプ「cDNA」のSNPを除く;データベースバージョン135;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/)、1000ゲノムプロジェクト、およびワシントン大学エクソーム配列決定プロジェクト(http://evs.gs.washington.edu/EVS/)。技術的アーチファクトに起因する偽陽性RNA-seqバリアントのコールを除去するために、以前に記載されたようにさらなるフィルターを適用した(Ramaswami, G., et al., Accurate identification of human Alu and non-Alu RNA editing sites. Nat Methods, 2012. 9(6): p. 579-81; Merkle, T. and T. Stafforst, New Frontiers for Site-Directed RNA Editing: Harnessing Endogenous ADARs. Methods Mol Biol, 2021. 2181: p. 331-349参照)。簡潔には、バリアントのコールのクオリティQ>20を必要とし(Ramaswami, G., et al., Accurate identification of human Alu and non-Alu RNA editing sites. Nat Methods, 2012. 9(6): p. 579-81; Merkle, T. and T. Stafforst, New Frontiers for Site-Directed RNA Editing: Harnessing Endogenous ADARs. Methods Mol Biol, 2021. 2181: p. 331-349参照)、バリアントは、リードの最初の6塩基で生じた場合には破棄され、単純な反復におけるバリアントが除去され(Li, H., et al., The Sequence Alignment/Map format and SAMtools. Bioinformatics, 2009. 25(16): p. 2078-9参照)、スプライス接合部の4bp内にあったイントロンバリアントが除去され、ホモポリマーにおけるバリアントが破棄された。さらに、BLATによってトランスクリプトームの高度に類似した領域にマッピングされたリードを除去した(Kent, W.J., BLAT--the BLAST-like alignment tool. Genome Res, 2002. 12(4): p. 656-64参照)。最後に、Gencode、RefSeq、EnsemblおよびUCSCからの遺伝子モデルに基づくANNOVAR(Wang, K., M. Li, and H. Hakonarson, ANNOVAR: functional annotation of genetic variants from high-throughput sequencing data. Nucleic Acids Res, 2010. 38(16): p. e164参照)を用いて、バリアントにアノテーションを行った。RNA-seqデータから同定された全ての部位を、RADARデータベース(Ramaswami, G. and J.B. Li, RADAR: a rigorously annotated database of A-to-I RNA editing. Nucleic Acids Res, 2014. 42(Database issue): p. D109-13参照)で入手可能な全ての部位と比較し、RADARで見出された場合は「既知」の部位、または見出されない場合は「新規」の部位と呼んだ。有意に異なって編集された部位の同定:RADARデータベースの部位を有するRNA seqサンプル中に見出された全ての部位を併合し、50リードのカバレッジ(両方の反復を合わせたカバレッジ)を有する編集された部位の編集レベルを定量し、フィッシャーの正確確率検定に続いて、Benjamini-Hochbergの多重検定補正(調整P<0.01)を行い、サンプル全体で有意に異なって編集された部位を同定した(絶対的な編集の差異>10%)。RAB7A編集精度(クリーンなリード)の測定:CLUSTERガイドRNAおよびLEAPERガイドRNAの特異性を比較するために、編集された標的配列「GCTGGCGG」を含むマッピングされた全てのリードを選択した。編集されたリードおよびそれらのパートナーのリードを、編集領域をカバーするRAB7A配列と比較して、A-Gミスマッチを同定した。対照として、非標的化サンプルを使用して、非編集標的配列「GCTAGCGG」をカバーしたリードにおけるA-Gミスマッチを定量した。
LEAPERアプローチとCLUSTERアプローチとの間の、グローバルな標的外効果および低レベルのバイスタンダー編集を比較するために、HEK293FT細胞におけるRAB7A標的についてのトランスクリプトーム全体のポリ(A)+RNA配列決定実験を行った。非標的化ガイドRNAを対照としてトランスフェクションした。確立されたパイプライン(Merkle, T., et al., Precise RNA editing by recruiting endogenous ADARs with antisense oligonucleotides. Nat Biotechnol, 2019. 37(2): p. 133-138参照)を使用して、トランスクリプトームにおける有意に異なって編集された部位を同定し、それぞれLEAPERガイドRNA(59)およびCLUSTER(44)ガイドRNAに対する少数のヒットが見出された(図20Aおよび20B)。このグローバルな標的外事象の数は、何千もの事象が報告されている改変されたエディターゼ(例えば、Lambda-N-ADAR、Cas13-ADAR)を利用するシステムと比較して非常に少ない。NGSアプローチはまた、同じリード内でバイスタンダー編集によって標的上の編集が破損する周波数を研究することを可能にする。CLUSTERガイドRNAを用いたリードの88.4%はクリーンに編集されたが、これはLEAPERガイドRNAにおいてはリードの16.6%についてのみであった(図20C)。これを考慮すると、CLUSTERガイドRNAのクリーンな標的上の編集の総収率は31%であり、9.2%しか達成されなかったLEAPERガイドRNAよりも明らかに勝っている(図20D)。
実施例21:次世代シーケンシングによって決定された、CLUSTERガイドRNAおよびLEAPERガイドRNAを用いたRNA編集によって誘導された標的外事象のリスト。
RNA編集実験およびNGSデータ処理を、実施例20について説明したように行った。このリストは、細胞がCLUSTERガイドRNAまたはLEAPERガイドRNAのいずれかで処理され、非標的化対照ガイドRNA(NT gRNA)と比較された場合に、少なくとも1つのサンプル中の有意に区別されるように編集された部位を探索するパイプラインによって検出された、「未知」の部位での標的外編集事象のサブセットを示す。RADARデータベースに列挙されていない場合、部位には「未知」が割り当てられた。非同義編集は、単一の部位HTATSF1(S742G)についてのみ検出された。マッピング分析は、CTNNAL1、HTATSF1、およびZNF740に対するRAB7AガイドRNAの潜在的な標的外結合のための部位を検出した。検出されたRAB7A部位は、パイプラインの有意性およびカットオフ基準を満たす、標的上の部位に近いバイスタンダー編集部位の割合を表す。データは、N=2のNGS反復の平均±s.d.を表す。
新規であり、非標的化対照において編集されていない部位の数は、CLUSTERガイドRNAについては(標的部位のほか)わずか3個、LEAPERガイドRNAについては7個であった(図21)。CLUSTERガイドRNAについては、3つの新規部位のうちの2つがエクソン部位(HTATSF1、CTNNAL1)であった。両方ともガイドRNAの推定結合部位を含み、低い編集収率(≦12.2%)を与えた。HTATSF1編集部位は、非同義アミノ酸変化を与える唯一のものであった。特に、LEAPERガイドRNAは、同様の程度にその部位を編集した。LEAPERガイドRNAを有する他の7つの検出された新規部位は、標的上の部位にごく近接したバイスタンダーの標的外編集であった。
実施例1で使用した人工核酸: A:8位にC/Aミスマッチを有する20ヌクレオチドのアンチセンス部分と、ステムループ構造を含む模式的R/Gモチーフとを含む、人工核酸分子。
B:8位にC/Aミスマッチを有する20ヌクレオチド標的化配列(TS)と、ステムループ構造を有するR/Gモチーフと、アデノシンリンカー(AAA)を介して連結された11~16個のヌクレオチドを有する3個のリクルートメント配列(RS #1、RS #2、RS #3)のクラスターとを含む、本発明に係る人工核酸分子。
HeLa細胞における内因性ADAR1を用いたデュアルルシフェラーゼW417Xアンバーレポーターの編集。120,000個の細胞を、24ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して1ウェルあたり、人工核酸AおよびBをそれぞれコードする800ngのプラスミド、ならびに200ngのデュアルルシフェラーゼレポーターで、トランスフェクションした。トランスフェクションの72時間後、細胞を採取した。RNA単離、DNase-I消化およびRT-PCRの後、続いてサンガーシーケンスを行った。 実施例2で使用した人工核酸およびR/Gモチーフバージョン: (A):リクルートメント配列(RS)を有さず、16ntアンチセンス部分およびR/Gモチーフバージョン20(RG-V20)を有する、先行技術の設計。
(B):3つのリクルートメント配列(3×RS)およびR/Gモチーフバージョン21(RG-V21)を含む、リクルートメントクラスターを有する新規設計。
(C):RGモチーフバージョン20およびバージョン21の配列。
内因性ヒトADAR1およびアデノウイルス(Adenovirus:AdV)コード化R/G gRNAを用いた、HeLa細胞における編集。
200k個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種時に175 MOI gRNA AdVを用いて、リバーストランスダクション(Reverse transduction)を行った。175 MOIデュアルルシフェラーゼwt/amb AdVまたは5 MOI wt/wtを使用して、播種の24時間後にフォワードトランスダクション(Forward transduction)を達成した。注:ホタル(Firefly)はレニラ(Renilla)上で常に正規化されるので、wt/wt AdVの量は、最終パーセンテージに影響を及ぼさない。ルシフェラーゼアッセイは、リバースインフェクション(reverse infection)の96時間後に行った。
いくつかの細胞株における、AdVコード化3×RSガイドRNAを用いた内因性ヒトADAR1のリクルートメントを介したデュアルルシフェラーゼレポーターの編集。デュアルルシフェラーゼアッセイを介した分析(N=3、それぞれ2回の技術的反復を伴う)。
各細胞タイプについて25k個の細胞を96ウェルスケール中に播種した。HeLa細胞において、フォワードトランスダクションは播種の24時間後に達成された。他の全ての細胞において、リバーストランスダクションは播種時に達成された。採取およびルシフェラーゼアッセイは、感染の96時間後に達成された。
ルシフェラーゼアッセイ:420データポイント(Datapoints)(35の設定、1つの設定当たり6のレニラおよび6のホタル)
設定:gRNA MOI:HeLa(100 MOI)、SK-N-BE(100 MOI)、Huh7(75 MOI)、A549(75 MOI)、HepG2(75 MOI)、SY5Y(100 MOI)、U87MG(100 MOI)、U2OS(75 MOI);DL wt/amb 50 MOI;DL wt/wt 5 MOI。
いくつかの細胞株における、AdVコード化3×RSガイドRNAを用いた内因性ヒトADAR1のリクルートを介したデュアルルシフェラーゼレポーターの編集。サンガーシーケンスを介した分析。
Huh7細胞、SK-N-BE細胞、A549細胞、HepG2細胞およびSY5Y細胞の場合:1ウェルあたり25,000個の細胞(96ウェルスケール)を、1日目の播種時に指示されたMOIでリバースインフェクションさせた。2~4日目に、培地交換を行った。5日目に、1回のRT-PCRあたり6ウェルの採取およびプールを行った。HeLa細胞の場合:1日目に、1ウェルあたり25,000個の細胞(96ウェルスケール)を播種した。2日目に、以下のMOIによるフォワードインフェクションを行った:HeLa:n=2[75 MOI]、n=2[100 MOI]、n=2[125 MOI];Huh7:n=3[75 MOI];A549:n=3[75 MOI];HepG2:n=3[75 MOI];SK-N-BE(2):n=3[100 MOI];SH-SY5Y:n=3[100 MOI]。3~5日目に、培地交換を行った。6日目に、1回のRT-PCRあたり6ウェルの採取およびプールを行った。
6-9×RSガイドRNAおよび内因性ADAR1を使用するHeLa細胞における、いくつかの疾患関連標的mRNAの編集。120,000個の細胞を、24ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり800ngのガイドRNAプラスミドおよび200ngの標的コードプラスミド(cDNA)で、トランスフェクションした。トランスフェクションの72時間後、細胞を採取した。RNA単離、DNase-I消化およびRT-PCRの後、続いてサンガーシーケンスを行った。 標的部位の周囲に標的外バイスタンダー編集が完全に存在しないことを示す、図5Aに表示されたデータの例示的なサンガーシーケンストレース。 プラスミドをコード化したRG-V21_20p8_3×RSおよびRG-V21_20p8_8×RSガイドRNAは、HeLa細胞において主にADAR1アイソフォームp110をリクルートする。1.2×10個のHeLa細胞を12ウェルスケールに播種し、リバーストランスフェクションを、1ウェルあたり2.5pmol siRNA(3μlのHighPerfect+2.5μlの1μMのsiRNA、およびOptiMemを用いて200μl)を用いる、スクランブルsiRNA、ADAR1 siRNA、またはADAR1p150 siRNAで達成した。1つのsiRNAあたり6ウェルに播種した。12ウェルプレートの各使用ウェルは、対応するsiRNAについて、示された200μlのトランスフェクション混合物を含有した。siRNAトランスフェクションの24時間後、同様に処理したウェルを回収し、細胞をプールした。次いで、25,000個の異なる処理をされたHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promega(プロメガ)デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。 リクルートメント配列の数が編集収率に及ぼす影響。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。ルシフェラーゼ転写産物上の標的配列の位置は濃い灰色で示され、各々のRS結合領域の位置は明るい灰色で示される。編集標的
の位置も示される。個々のRSは9~16nt長であり、AAAリンカーによって分離されている。
リクルートメント配列長(7~15nt/RS)が編集収率に及ぼす影響。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。 37℃でのガイドRNAの最小自由エネルギー構造の模式図。 アデノシンリンカー長が編集収率に及ぼす影響。ルシフェラーゼ活性(倍率変化)は、mRNA上の対応するgRNA結合領域(BR)を示す模式図の隣に表示される。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。 図9Aのデータセットは、リクルートメント配列(RS)間のリンカーとして使用されるアデノシンヌクレオチドの数、およびリクルートメント配列#1と標的化配列との間のスペーサーとして使用されるアデノシンヌクレオチドの数に関して、対応するgRNA組成物を示す模式図の隣に表示される。 標的mRNA上の3つのリクルートメント配列の配置の最適化。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。(S=2つのRS間の短い距離(15~62nt);L=2つのRS間の長い距離(375~460nt)) 標的mRNA上の2つの短いリクルートメント配列(15nt)のコンテクストにおける、拡張リクルートメント配列(20nt)の配置の最適化。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。(S=2つのRS間の短い距離(15~62nt);L=2つのRS間の長い距離(375~460nt);15ntから20ntに拡張されたRSが強調されている) リクルートメント配列マスキングの影響(アンチセンス部分に強い二次構造を有するガイドRNAのシミュレーション)。図12Aの左上の部分は、gRNAおよびmRNAの相互作用を示すために使用される表現を描写する。結合模式図の部分は、mRNA上のgRNAのリクルートメント配列の結合領域(BR)を示す。RS#1はBR#1に結合する。gRNA模式図は、R/GモチーフV21、標的化配列、アデノシンヌクレオチドリンカー/スペーサー、リクルートメント配列(RS)#1~#3、およびいくつかの場合では、マスキングリクルートメント配列(mRS)#4~#6からなるgRNAの組成を示す。特性評価実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。 37℃でのガイドRNAの最小自由エネルギー構造の模式図。 gRNAおよびレポータープラスミドの流体力学的尾静脈(HDTV)注入後のC57BL/6マウスにおける、デュアルルシフェラーゼW417Xアンバーレポーターの編集。陰性対照群マウスを10μgのデュアルルシフェラーゼwt/ambレポータープラスミドで処理し、陽性対照群マウスを10μgのデュアルルシフェラーゼwt/wtレポータープラスミドで処理し、編集群マウスを5μgのデュアルルシフェラーゼwt/ambレポータープラスミドおよび25μgのガイドRNAプラスミドで処理した。ガイドRNAは20-15-15-20p8ガイドRNAであり、したがって、3つのRS(20nt長、15nt長、および15nt長を有する)と、8位のアデノシンとミスマッチするシトシンを有する典型的な20nt標的化配列と、を含む。ガイドRNAはさらに、その5’末端にV21R/Gモチーフを含んでいた(図示せず)。編集は、デュアルルシフェラーゼアッセイ(タンパク質レベル)によって、および逆転写後のサンガーシーケンス(RNAレベル)によって分析した。例示的なサンガーシーケンストレースを示す。 HEK293FT細胞における内因性ADAR1を用いた内因性UTR標的の編集。60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。例示的なサンガーシーケンストレースが示され、編集部位および収率が示される。「A」および「G」は、それぞれアデノシンピークおよびグアノシンピークを表す。 HEK293FT細胞における内因性ADAR1を用いた内因性ORF標的の編集。60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて、1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。例示的なサンガーシーケンストレースが示され、編集部位および編集収率が示される。「A」および「G」は、それぞれアデノシンピークおよびグアノシンピークを表す。 本発明のガイドRNAを、NUP43 V233Vを標的とする従来技術のLEAPER gRNAと比較するベンチマーク。HEK293FT細胞における内因性ADAR1を用いた内因性標的の編集。60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて、1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。N=3の生物学的反復。 本発明のガイドRNAを、RAB7A 3’UTR TAG#1を標的とする従来技術のLEAPER gRNAと比較するベンチマーク。HEK293FT細胞における内因性ADAR1を用いた内因性標的の編集。60,000個のHEK293FT細胞を、24ウェルスケール中で、500μlのDMEM+10%FBS中に播種した。24時間後、1:3の比率のFuGene6を用いて、1200ngのガイドRNAプラスミド(トランスフェクショングレード)でトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、その後、Biotechrabbit Kitを用いたOne-Step RT-PCRを行った。RT-PCRの直前に、サンプルを1μlの10μMセンスオリゴと混合し、70℃に加熱して、残りのガイドRNAを標的mRNAから分離した。次いで、RT-PCR混合物を添加し、PCRを実施した。これに続いて、1.4%アガロースゲル、PCRクリーンアップおよびサンガーシーケンス(MWG)を行った。N=3の生物学的反復。 リクルートメントクラスターファインダーツールを使用したリクルートメントクラスターインシリコ最適化。 リクルートメントクラスターファインダーツールを使用したリクルートメントクラスターインシリコ最適化。 リクルートメントクラスターファインダーツールを使用したリクルートメントクラスターインシリコ最適化。 図18Bおよび図18Cの凡例。RM=リクルート部分。 リクルートメント配列(RS)および二本鎖ADARリクルートドメイン(例えば、R/Gモチーフ)は、特定の柔軟性をもって標的化配列(TS)の周囲に配置することができる。HeLa細胞におけるデュアルルシフェラーゼレポーターを標的とするCLUSTERガイドRNAのアンチセンス部分の成分を、従来の#6-#5-#4-TS設計から開始して、新たに配置した。 デュアルルシフェラーゼアッセイの結果。データは、N=5の生物学的反復の平均±s.d.として示す。特に、いくつかの設計(例えば、#4-TS-#3-#2)は、従来の#6-#5-#4-TS設計と比較して、良好な編集収率を与えた。重要なことに、前者の設計は、CLUSTERガイドRNAの結合のための標的化アデノシンの配列スペース3’(例えば、結合部位#3、#2、#1)を含むことを可能にする。この実験のルシフェラーゼアッセイ設定:25,000個のHeLa細胞を、96ウェルスケールに播種した。播種の24時間後、細胞を、1:1.5のプラスミド対Lipofectamine-3000の比率を使用して、1ウェルあたり160ngのガイドRNAプラスミドおよび40ngのデュアルルシフェラーゼレポーターでトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイは、Promegaデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステムを用いて、トランスフェクションの48時間後に行った。 化学的に合成されたCLUSTERアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)のトランスフェクションによる、Hurler症候群患者由来の初代線維芽細胞(Hurler FB、GM06214)における疾患関連hIDUA W402Xアンバー突然変異の補正。編集収率は、サンガーシーケンスによって決定した。Hurler症候群(GM06214)を有する患者由来の線維芽細胞は、Coriell Institute for Medical Research(米国)から購入した。2.5mlのDMEM+15%FBS中の2.5×10個の細胞/ウェルを、6ウェルプレートに播種した。各試験条件について、1つの6ウェルを使用して、サンガーシーケンスによってRNA編集率を決定した。CLUSTER ASOは、3×RS(20-20p8-25-20)CLUSTER設計を有する、PAGE精製され、末端ブロックされた(2’-OMe、PS)RNAオリゴヌクレオチドであり、これは、2つの市販の購入された(Biospring GmbH、ドイツ)、69nt(5’部分)長および80nt(3’部分)長のHPLC精製オリゴヌクレオチドから、本発明者らの最近公開されたプロトコールに従って、インハウスでライゲーションされた(T4 RNAリガーゼ)。完全な配列および修飾パターンを、以下の適用されたgRNAのリストに示す。トランスフェクションは、それぞれ250μlのOpti-MEMで希釈した125pmolのASOおよび7.5μlのRNAiMAXを用いて播種した24時間後に行った。両方の溶液を5分間インキュベーションした後に合わせ、さらに20分間インキュベーションした後、トランスフェクション混合物を1つのウェルに均等に分配した。トランスフェクションの24時間後に培地を交換した。トランスフェクションの48時間後、線維芽細胞をRLT緩衝液(QIAGEN、#79216)中で採取し、続いてMonarch RNAクリーンアップキット(NEB、#T2030L)を用いてRNA単離を行った。Turbo-DNase消化は、TURBO DNA-free Kit(Thermofisher、#AM1907)を用いて行った。SuperScript IV RT(Thermofisher、#18090050)を用いて、52℃で1時間、ランダムプライマーを用いて逆転写を行った。Taqポリメラーゼ(NEB、#M267S)を用いて、10%DMSOを含有する各反応で、通常のPCR、続いてネステッドPCRを行った。第2のPCRの後、生成物をSB-アガロースゲル電気泳動によって分離した。PCRクリーンアップ(NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Kit、Macherey Nagel、#740609)後、サンガーシーケンス(Microsynth AG)を行った。 さらに、タンパク質機能の回復を、α-L-イズロニダーゼ酵素活性アッセイを用いて決定した。Hurler線維芽細胞における測定されたhIDUA酵素活性を、Scheie患者線維芽細胞(Scheie FB、GM01323)にて測定されたIDUA酵素活性に対して正規化した。データは個々のデータ点によって示されるように、N=4~5の生物学的反復の平均±s.d.として示される。Scheie症候群(GM01323)およびHurler症候群(GM06214)の患者由来の線維芽細胞は、Coriell Institute for Medical Research(米国)から購入した。2.5mlのDMEM+15% FBS中2.5×10個の細胞/ウェルを、6ウェルプレートに播種した。各試験条件について、2つの6ウェルをIDUAアッセイに使用した。CLUSTER ASOは、3×RS(20-20p8-25-20)CLUSTER設計を有する、PAGE精製され、末端ブロックされた(2’-OMe、PS)RNAオリゴヌクレオチドであり、これは、2つの市販品(Biospring GmbH、ドイツ)、ならびに69nt(5’部分)および80nt(3’部分)長のHPLC精製オリゴヌクレオチドから、本発明者らの最近公開されたプロトコールに従って、インハウスでライゲーションされた(T4 RNAリガーゼ)。完全な配列および修飾パターンを、以下の適用されたgRNAのリストに示す。トランスフェクションは、それぞれ250μlのOpti-MEMで希釈した125pmolのASOおよび7.5μlのRNAiMAXで播種した24時間後に行った。両方の溶液を5分間インキュベートした後に合わせ、さらに20分間インキュベートした後、トランスフェクション混合物を1つのウェルに均等に分配した。トランスフェクションの24時間後に、培地を交換した。トランスフェクションの48時間後、線維芽細胞を分離し、PBSで1回洗浄した。PBS中の40μlの0.5%Triton X-100を細胞ペレットに添加し、氷上で30分間インキュベートし、α-L-イズロニダーゼ酵素アッセイを行った。α-L-イズロニダーゼ酵素活性アッセイによる編集読み出しのために、4-メチルウンベリフェロン(Sigma Aldrich、M1381)の標準希釈系を、1×PBS中で調製した。各濃度について、25μlの標準溶液を25μlの0.4Mギ酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)に添加し、3反復で96ウェルLumiNuncプレート(VWR、732-2696)に適用した。基質(4-メチルウンベリフェリルα-L-イズロニド、グリコシン、#44076)を0.4Mギ酸ナトリウム緩衝液に溶解し、最終濃度を180μMとした。HeLa細胞を用いたマウスIDUAアッセイのために、25μlの1:3希釈細胞溶解物(0.5% Tween-20/PBS)をプレート中の25μlの基質に加え、暗所で、37℃で、45分間インキュベートした。25μlの未希釈の細胞溶解物(0.5% Triton X-100/PBS)をプレート中の25μlの基質に加え、暗所で、37℃で、90分間インキュベートした。200μlの炭酸グリシン緩衝液(0.17Mグリシン/NaOH、pH10.4)を添加することによって、両方の場合で反応をクエンチした。4-メチルウンベリフェロンの蛍光を、Tecan Spark 10Mプレートリーダーを用いて、励起波長355nm、発光波長460nmで測定した。計算された酵素活性は、BCAアッセイ(Pierce BCA Protein Assay Kit、Thermofisher、23227)によって決定されるタンパク質量を基準とした。酵素活性をScheie線維芽細胞溶解物に標準化した。 19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNAを用いて、293個のFT細胞から内因性RAB7Aの3’-UTRにおける5’UAG部位まで、内因性ADARをリクルートするためのポリ(A)+トランスクリプトームにおける標的外編集の分析。散布図は、CLUSTERまたは非標的化ガイドRNAを有するプラスミドでトランスフェクションされた細胞における編集レベルを比較する約30,000個の部位での差次的編集を示す。実験は、2つの独立した反復を用いて行った。標的上の編集は矢印で示される。有意に異なる編集部位(調整P<0.01、フィッシャーの正確確率検定、両側、N≧50)を、黒色で強調する。24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定には、非標的化ガイドRNA(NT-RNA)およびRAB7A 3’UTR 19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNAが含まれる。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M0303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベートし、95℃に3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再度精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーは、TruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて、200ngのRNAから調製し、NovaSeq6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。 293個のFT細胞から111ntのLEAPERガイドRNAを有する内因性RAB7Aの3’-UTRにおける5’UAG部位に、内因性ADARをリクルートするためのポリ(A)+トランスクリプトームにおける標的外編集の分析。散布図は、LEAPERまたは非標的化ガイドRNAを有するプラスミドでトランスフェクションされた細胞における編集レベルを比較する約30,000個の部位での差次的編集を示す。実験は、2つの独立した反復を用いて行った。標的上の編集は矢印で示される。有意に異なる編集部位(調整P<0.01、正確確率検定、両側、N≧50)を黒色で強調する。24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定は、非標的化ガイドRNA(NT-RNA)およびRAB7A 3’UTR 111p56 LEAPERガイドRNAを含む。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M0303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベートし、95℃に3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再度精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーは、TruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて200ngのRNAから調製し、NovaSeq6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。 バイスタンダー編集のための標的上の編集を用いて全てのNGSリードを分析することによって編集精度を評価する。CLUSTERガイドRNAは主にクリーンなシーケンスリード、および小さい割合で単一のバイスタンダー編集を伴うリードを与えるが、LEAPERサンプル由来のリードは、非常に頻繁にいくつかのバイスタンダー編集を含んでいた。24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定は、(1)非標的化ガイドRNA(NT-RNA)、(2)RAB7A 3’UTR 19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNA、および(3)RAB7A 3’UTR 111p56 LEAPERガイドRNAを含む。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M0303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベートし、95℃に3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再度精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーは、TruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて200ngのRNAから調製し、NovaSeq 6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。 クリーン編集(バイスタンダー無し)と標的上の全ての編集の収率の推定。24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定は、(1)非標的化ガイドRNA(NT-RNA)、(2)RAB7A 3’UTR 19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNA、および(3)RAB7A 3’UTR 111p56 LEAPERガイドRNAを含む。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M0303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベートし、95℃に3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再度精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーは、TruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて200ngのRNAから調製し、NovaSeq 6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。 次世代シーケンシングによって決定された、CLUSTERガイドRNAおよびLEAPERガイドRNAを用いたRNA編集によって誘導された、標的外事象のリスト。このリストは、細胞がCLUSTERガイドRNAまたはLEAPERガイドRNAのいずれかで処理され、非標的化対照ガイドRNA(NT gRNA)と比較された場合に、少なくとも1つのサンプル中の有意に区別されるように編集された部位を探索するパイプラインによって検出された、「未知(unknown)」の部位での標的外編集事象のサブセットを示す。部位がRADARデータベースに列挙されていない場合には、部位に「未知」を割り当てた。非同義編集は、単一の部位HTATSF1(S742G)についてのみ検出された。マッピング分析は、CTNNAL1、HTATSF1、およびZNF740に対するRAB7AガイドRNAの潜在的な標的外結合のための部位を検出した。検出されたRAB7A部位は、パイプラインの有意性およびカットオフ基準を満たす、標的部位の近いバイスタンダー編集部位の割合を表す。データは、N=2のNGS反復の平均±s.d.を表す。24セルフォーマットで1:3の比率のFuGene6(Promega、#E2691)を使用して、播種の24時間後に1200ngのガイドRNAプラスミド(NucleoSpin Plasmid Transfection-grade、Macherey Nagel、#740490)を6×10個のHEK293FT細胞にトランスフェクションすることによって、RNA編集試験を行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。全体として、3つの設定を実施し、それぞれ独立した反復を行った。これらの設定は、(1)非標的化ガイドRNA(NT-RNA)、(2)RAB7A 3’UTR 19-11-13-20p8 CLUSTERガイドRNA、および(3)RAB7A 3’UTR 111p56 LEAPERガイドRNAを含む。RNAをRNeasy MinElute Kit(Qiagen、#74204)で単離し、DNase I(NEB、#M0303S)で処理し、それぞれのガイドRNAのアンチセンス部分に逆相補的であるRNA鎖と共にインキュベートし、95℃に3分間加熱し、RNeasy MinElute Kitで再度精製した。精製RNAを、ポリ(A)+mRNA配列決定のためにCeGaT(ドイツ)に送達した。ライブラリーは、TruSeq Stranded mRNA Library Prep Kit(Illumina、米国)を用いて200ngのRNAから調製し、NovaSeq 6000(50Mリード、2×100bpペアエンド、Illumina、米国)を用いて配列決定した。

Claims (64)

  1. 5’から3’への方向、または3’から5’への方向において以下を含む、標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸であって:
    a)デアミナーゼをリクルートすることができる第1のリクルート部分であって、前記標的RNA中の第1の領域に結合する少なくとも1つのリクルートメント配列を含む、第1のリクルート部分;
    b)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列、および
    c)デアミナーゼをリクルートすることができる第2のリクルート部分、
    ここで、前記標的RNA中の第1の領域および前記標的RNA中の前記標的配列は、少なくとも1つのヌクレオチドによって隔てられ、前記ヌクレオチドは前記少なくとも1つのリクルートメント配列によっては結合されず、かつ、人工核酸の標的化配列に相補的でない、
    人工核酸。
  2. 前記少なくとも1つのリクルートメント配列が、前記標的RNA中の前記第1の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、請求項1に記載の人工核酸。
  3. 前記第1のリクルート部分が、ヌクレオチドリンカーを介して連結された少なくとも2つのリクルートメント配列を含むリクルートメント配列のクラスターを含む、請求項1または2に記載の人工核酸。
  4. 前記リクルートメント配列のクラスターが、少なくとも3個、好ましくは3~10個のリクルートメント配列を含む、請求項3に記載の人工核酸。
  5. リクルートメント配列を連結する前記ヌクレオチドリンカーが、少なくとも1個のヌクレオチド、好ましくは2~6個のヌクレオチドを含む、請求項3または4に記載の人工核酸。
  6. 前記ヌクレオチドが、アデノシンヌクレオチドである、請求項5に記載の核酸配列。
  7. 前記少なくとも1つのリクルートメント配列が、少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個、より好ましくは少なくとも20個のヌクレオチドを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の人工核酸。
  8. 前記少なくとも1つのリクルートメント配列が、10~200個、好ましくは20~100の個のヌクレオチドを含む、請求項7に記載の人工核酸。
  9. 第1のリクルートメント配列が、前記標的RNA中の第1の領域に結合し、好ましくは前記標的RNA中の第1の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含み、および
    第2のまたはさらなるリクルートメント配列が、前記標的RNA中の第2のまたはさらなる領域に結合し、好ましくは前記標的RNA中の第2のまたはさらなる領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、
    請求項3~8のいずれか1項に記載の人工核酸。
  10. 前記標的RNA中の第1の領域、ならびに/または前記標的RNA中の第2のおよび/もしくはさらなる領域が編集可能なアデノシンヌクレオチドを含まない、前記請求項のいずれか1項に記載の人工核酸。
  11. 前記人工核酸が、前記第1のリクルート部分と前記標的化配列との間にヌクレオチドスペーサーを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の人工核酸。
  12. 前記ヌクレオチドスペーサーが、少なくとも1個のヌクレオチド、好ましくは2~6個のヌクレオチドを含む、請求項11に記載の人工核酸。
  13. 前記ヌクレオチドが、アデノシンヌクレオチドである、請求項12に記載の人工核酸。
  14. 前記標的化配列が、少なくとも10個のヌクレオチド、好ましくは10~50個、より好ましくは16~40個のヌクレオチドを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の人工核酸。
  15. 前記標的化配列が、編集対象のヌクレオチド、好ましくは編集対象のアデノシンに対応する位置に、編集対象のアデノシンとミスマッチするシチジンヌクレオチドを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の人工核酸。
  16. 前記編集対象のアデノシンとミスマッチするシチジンヌクレオチドが、前記標的化配列の5’末端または3’末端のいずれかから6個のヌクレオチドだけ離れて位置する、請求項15に記載の人工核酸。
  17. 前記第1のリクルート部分および前記第2のリクルート部分のうちの少なくとも1つが、前記標的RNAに結合することなく、デアミナーゼ、好ましくはアデノシンデアミナーゼに結合することができる核酸配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の人工核酸。
  18. 前記核酸配列が、デアミナーゼ、好ましくはアデノシンデアミナーゼのdsRNA結合ドメインに結合することができる、請求項17に記載の人工核酸。
  19. 前記核酸配列が、ADAR1またはADAR2、好ましくはADAR1、好ましくはヒトADAR1、特にADAR1p110に結合することができる、請求項18に記載の人工核酸。
  20. 前記核酸配列が、分子内塩基対を形成可能であり、好ましくはステムループ構造を形成可能である、請求項18または19に記載の人工核酸。
  21. 前記ステムループ構造が、少なくとも2個のミスマッチを含む二重らせんステムと、3~8個、好ましくは4~6個、より好ましくは5個のヌクレオチドからなるループとを含み、該ループが、好ましくは核酸配列GCUAAまたはGCUCAを含む、請求項20に記載の人工核酸。
  22. 前記核酸配列が、5’-GGUGU CGAGA AGAGG AGAAC AAUAU GCUAA AUGUU GUUCU CGUCU CCUCG ACACC-3’のヌクレオチド配列を含む、請求項21に記載の人工核酸。
  23. 前記核酸配列が、5’-GUG GAA UAG UAU AAC AAU AUG CUA AAU GUU GUU AUA GUA UCC CAC-3’のヌクレオチド配列を含む、請求項21に記載の人工核酸。
  24. 前記第2のリクルート部分が、請求項1~10において第1のリクルート部分に関して定義されているリクルート部分である、前記請求項のいずれか1項に記載の人工核酸。
  25. 前記標的化配列と前記第2のリクルート部分との間にヌクレオチドスペーサー、好ましくは請求項11~13のいずれか1項で定義されているヌクレオチドスペーサーを含む、請求項24に記載の人工核酸。
  26. 前記第2のリクルート部分が、デアミナーゼに結合することができる核酸配列、好ましくは請求項18~23で定義されている核酸配列を含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の人工核酸。
  27. 前記第1のリクルート部分が、請求項3~9のいずれか1項で定義されているリクルートメント配列のクラスターを含む、請求項26に記載の人工核酸。
  28. 5’から3’への方向、または3’から5’への方向において以下を含む、請求項26または27に記載の人工核酸:
    a)標的RNA中の第1の領域に結合し、好ましくは前記標的RNA中の第1の領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である少なくとも1つのリクルートメント配列を含む、第1のリクルート部分であって、好ましくは、前記標的RNAの第1の領域およびさらなる領域に結合し、好ましくは前記標的RNAの第1の領域およびさらなる領域に相補的または少なくとも部分的に相補的であるリクルートメント配列のクラスターを含む、第1のリクルート部分;
    b)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列、および
    c)デアミナーゼに結合することができる核酸配列を含む、第2のリクルート部分。
  29. 第1のリクルートメント配列および/またはさらなるリクルートメント配列は、リクルートメント配列の5’もしくは3’末端のいずれかから5nt以内であるか、またはS=CもしくはGである5’-NUSコンテクスト中にあるか、のいずれかでない限り、ウリジン塩基が枯渇している、前記請求項のいずれか1項に記載の人工核酸。
  30. 前記第2のリクルート部分が、標的RNA中のさらなる領域に結合し、好ましくは前記標的RNA中のさらなる領域に相補的または少なくとも部分的に相補的である少なくとも1つのさらなるリクルートメント配列を含み、
    前記さらなるリクルートメント配列が、好ましくは、リクルートメント配列の5’もしくは3’末端のいずれかから5nt以内であるか、またはS=CもしくはGである5’-NUSコンテクスト中にあるか、のいずれかでない限り、ウリジン塩基が枯渇している、
    請求項28または29に記載の人工核酸。
  31. 5’から3’への方向、または3’方向から5’への方向において以下を含む、標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸:
    a)デアミナーゼをリクルートすることができる第1のリクルート部分であって、標的RNA中の第1の領域に結合する少なくとも1つのリクルートメント配列を含む、第1のリクルート部分;
    b)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列、および
    c)デアミナーゼをリクルートすることができる第2のリクルート部分であって、好ましくは、デアミナーゼに結合できる核酸配列を含む、第2のリクルート部分。
  32. 前記第1のリクルート部分、前記標的化配列、および前記第2のリクルート部分が、請求項1に記載の人工核酸に関して請求項1~9および11~30で定義されている通りである、請求項31に記載の人工核酸。
  33. RNAまたはRNAアナログである、前記請求項のいずれか1項に記載の人工核酸。
  34. 内因的に発現可能なRNAである、前記請求項のいずれか1項に記載の人工核酸。
  35. 以下の工程を含む、請求項1~34のいずれか1項で定義された標的RNAの部位特異的編集のための人工核酸の配列を生成するための方法
    i)標的RNA中の第1の領域に結合する、少なくとも1つのリクルートメント配列を含む、第1のリクルート部分の配列を生成する;
    ii)少なくとも1つのヌクレオチドを含むヌクレオチドスペーサーの配列を任意に生成する;
    iii)編集対象の1つ以上のヌクレオチドを含む標的RNA中の標的配列に相補的または少なくとも部分的に相補的である核酸配列を含む、標的化配列を生成する;
    iv)デアミナーゼをリクルートすることができる第2のリクルート部分の配列を生成する;および
    v)第1のリクルート部分の配列、任意でヌクレオチドスペーサー、標的化配列、および第2のリクルート部分の配列を、5’から3’への方向または3’から5’への方向においてアセンブルする。
  36. 前記工程i)および任意で前記工程iv)が、少なくとも2つのリクルートメント配列を含むリクルート部分を生成すること、好ましくはヌクレオチドリンカーを介して連結されたリクルートメント配列のクラスターを生成することを含む、請求項35に記載の方法。
  37. 前記工程i)および任意で前記工程iv)が、少なくとも1つのリクルートメント配列への結合部位として適切であり、好ましくは編集可能なアデノシンヌクレオチドを含まない、核酸配列について編集対象の標的RNAをスクリーニングする工程を含む、コンピュータで実行される方法によって達成される、請求項35または36に記載の方法。
  38. 前記工程i)~v)の全てが、コンピュータで実行される、請求項35~37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記コンピュータで実行される方法が、以下の点に関してプリセットに基づいて実行される、請求項38に記載の方法
    - 標的RNA上の標的化配列への結合部位として機能する核酸配列の長さ、
    - 標的化配列への結合部位と、標的RNA上の少なくとも1つのリクルートメント配列への結合部位との間の距離、
    - ヌクレオチドリンカーの長さ、および任意のヌクレオチドスペーサーの長さ、
    - 標的RNA上のリクルートメント配列への結合部位として適切な核酸配列の長さ、および/または
    - 標的RNA上の個々のリクルートメント配列への結合部位間の距離。
  40. - 前記標的RNA上の標的化配列への結合部位として機能する核酸配列の長さが、10~50個、好ましくは16~40個のヌクレオチドの範囲に設定され、
    - 前記標的化配列への結合部位と、標的RNA上の少なくとも1つのリクルートメント配列への結合部位との間の距離が、少なくとも1個のヌクレオチド、好ましくは2~500個のヌクレオチド、より好ましくは2~50個のヌクレオチドの範囲に設定され、
    - 前記ヌクレオチドリンカーの長さ、および前記ヌクレオチドスペーサーの長さが、少なくとも1個のヌクレオチド、好ましくは2~6個のヌクレオチドの範囲に設定され、
    - 前記標的RNA上のリクルートメント配列への結合部位として適切な核酸配列の長さが、10~200個、好ましくは20~100個のヌクレオチドの範囲に設定され、および/または
    - 前記標的RNA上のリクルートメント配列への個々の結合部位間の距離が、少なくとも1個のヌクレオチド、好ましくは2~500個のヌクレオチド、より好ましくは2~50個ヌクレオチドの範囲に設定される、
    請求項39に記載の方法。
  41. 前記コンピュータで実行される方法が、リクルートメント配列のクラスターの代替配列を作製することを含む、請求項37~40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記コンピュータで実行される方法が、アセンブルされた人工核酸内の潜在的な分子内塩基対形成事象を決定し、最小の潜在的な分子内塩基対形成を提示する人工核酸を選択する工程をさらに含む、請求項37~41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 前記コンピュータで実行される方法が、選択されたリクルートメント配列または選択されたリクルートメント配列のクラスター、好ましくは人工核酸が、標的RNA上の他の部位または生物のトランスクリプトーム中の別のRNA分子に結合することができ、望ましくないミスマッチおよび標的外事象をもたらすかどうかを評価し、そのようなリクルートメント配列またはそのようなリクルートメント配列のクラスターを排除する工程をさらに含む、請求項37~42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記工程iv)が、工程i)に関して定義されたものと同じ工程を含む、請求項35~43のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記第2のリクルート部分が、デアミナーゼに結合することができる核酸配列、好ましくは、請求項18~23で定義された核酸配列を含む、請求項35~44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 前記第1のリクルート部分、任意で前記ヌクレオチドスペーサー、前記標的化配列、および前記第2のリクルート部分が、3’から5’への方向においてアセンブルされる、請求項35~45のいずれか1項に記載の方法。
  47. 請求項37~46のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されている手段を含む、データ処理デバイス。
  48. コンピュータによって実行される場合に、前記コンピュータに、請求項37~46のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
  49. コンピュータによって実行される場合に、前記コンピュータに、請求項37~46のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
  50. 請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸をコードする、ベクター。
  51. 前記人工核酸の配列が、請求項35~46のいずれか1項に記載の方法によって生成される、請求項50に記載のベクター。
  52. 請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、または請求項50もしくは51に記載のベクターを含む、細胞。
  53. 請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、請求項50もしくは51に記載のベクター、または請求項52に記載の細胞、ならびに追加の賦形剤、好ましくは薬学的に許容される賦形剤を含む、組成物。
  54. 請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、請求項50もしくは51に記載のベクター、請求項52に記載の細胞、または請求項53に記載の組成物を含む、キット。
  55. 標的RNAの部位特異的編集のための、請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、請求項50もしくは51に記載のベクター、請求項52に記載の細胞、請求項53に記載の組成物、または請求項54に記載のキットの使用。
  56. 医薬品として使用するための、請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、請求項50もしくは51に記載のベクター、請求項52に記載の細胞、請求項53に記載の組成物、または請求項54に記載のキット。
  57. 好ましくは代謝性疾患、腫瘍性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患および神経性疾患からなる群から選択される、遺伝性疾患または遺伝性障害の治療または予防に使用するための、請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、請求項50もしくは51に記載のベクター、請求項52に記載の細胞、請求項53に記載の組成物、または請求項54に記載のキット。
  58. 感染症、腫瘍性疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、アレルギー、および神経性疾患もしくは障害からなる群から選択される、疾患または障害の治療または予防に使用するための、請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、請求項50もしくは51に記載のベクター、請求項52に記載の細胞、請求項53に記載の組成物、または請求項54に記載のキット。
  59. 治療または予防が、標的RNAの部位特異的編集の工程を含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、請求項50もしくは51に記載のベクター、請求項52に記載の細胞、請求項53に記載の組成物、または請求項54に記載のキット。
  60. 好ましくは、代謝性疾患、腫瘍性疾患、自己免疫疾患、心血管疾患および神経性疾患からなる群から選択される、遺伝性疾患または遺伝性障害の診断に使用するための、請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、請求項50もしくは51に記載のベクター、請求項52に記載の細胞、請求項53に記載の組成物、または請求項54に記載のキット。
  61. 好ましくは、感染症、腫瘍性疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、アレルギー、および神経性疾患もしくは障害からなる群から選択される、疾患または障害の診断に使用するための、請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、請求項50もしくは51に記載のベクター、請求項52に記載の細胞、請求項53に記載の組成物、または請求項54に記載のキット。
  62. 請求項1~34のいずれか1項に記載の人工核酸、請求項50もしくは51に記載のベクター、請求項52に記載の細胞、または請求項53に記載の組成物の有効量を対象に投与することを含む、疾患または障害に罹患している対象を治療するための方法。
  63. 前記疾患または障害が、遺伝性疾患である、請求項62に記載の方法。
  64. 前記疾患または障害が、感染症、腫瘍性疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、アレルギー、および神経性疾患もしくは障害からなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
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