JP2023547522A - がんの治療のためのKRas阻害剤 - Google Patents

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Abstract

式(I)によって表される構造を有し、KRas阻害剤として使用され得る化合物、この種の化合物を含む医薬組成物、この種の化合物を調製する方法、及びがんの治療におけるこれらの化合物の使用。【化1】TIFF2023547522000138.tif54146【選択図】なし

Description

本開示は、製薬化学の分野に関する。より具体的には、本開示は、KRasタンパク質の阻害剤として有用な新規構造を持つ化合物のクラス、該化合物を含む医薬組成物、該化合物を調製する方法、及びがんの治療におけるこれらの化合物の使用に関する。
ラット肉腫発がん遺伝子ホモログであるRasは、GTPアーゼタンパク質ファミリーに属する密接に関連する単量体球状タンパク質の群を表す。具体的には、正常な生理学的条件下で、Rasは、成長因子及び種々の他の細胞外シグナルによって活性化され、調節機能、例えば、細胞成長、生存、遊走及び分化を司る。Rasタンパク質の機能は、GDP結合及びGTP結合状態を交互に繰り返すこと、すなわち「分子スイッチ」によって実施される(Alamgeerら、Current Opin Pharmacol. 2013、13:394~401)。GDP結合Rasは不活性である、すなわち休眠しているか又はオフになっており、シグナル伝達システムはオフにされる。これは、何らかの成長促進刺激に曝露された場合に活性化され、例えば、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)によって誘発されて、GDPを放出する及びGTPと結合することができ、結果として、Rasは「オンにされ」、それにより、Rasの活性形態に変換し、シグナル送信を行うための種々の下流エフェクターを動員及び活性化し、細胞表面から細胞質へシグナルを送信することができ、それにより、多数の主要な細胞プロセス、例えば、分化、生存及び増殖を制御する(Zhi Tanら、Mini-Reviews in Medicinal Chemistry、2016、16、345~357)。
RasはGTPアーゼ活性を有し、GTPの末端リン酸基を切断し、それをGDPに変換する、つまり、それ自体を不活性状態に転換する。しかし、Rasの固有の酵素活性は比較的低く、GTP-RasからGDP-Rasへの変換には外因性GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)を必要とする。GAPはRasと相互作用し、GTPからGDPへの変換を促進する。したがって、Ras及びGAPの間の相互作用に影響を及ぼす又はGTPからGDPへの変換に影響を及ぼすあらゆるRas遺伝子突然変異は、Rasの長期活性化につながり、それにより、成長及び***のためのシグナルを細胞に継続的に伝搬し、継続的な細胞増殖を刺激し、最終的には腫瘍形成及び発生につながる。
ヒト腫瘍に関連する遺伝子の中でも、3つの遍在的に発現されるRas遺伝子H-RAS、K-RAS及びN-RASがあり、これらはそれぞれ約21KDaの相同性の高いHRas、NRas及びKRasタンパク質をコードする。1982年に初めて、Rasはがん細胞株において突然変異的に活性化されていると同定された(Chang, E.H.ら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、1982、79(16)、4848~4852)。その後、様々ながん型における大規模なゲノム配列決定研究は、Rasタンパク質ががん型の30%超において変異しており、とりわけ膵臓がん(90%超)、大腸がん(45%)及び肺がん(35%)において最高の突然変異率であることを明らかにした。トランスジェニック及び遺伝子操作されたマウスモデルは、変異したRasタンパク質が複数の種類のがんを駆動及び誘発するために十分であり、Ras発がん遺伝子が複数のがん型における腫瘍の維持及び進行にも重大であることも明らかにし、例えば、RNA干渉はRas変異体がん細胞株及びがんの動物モデルにおいて腫瘍成長を減速させることが示された。これらの研究により、Ras腫瘍タンパク質が製薬分野において非常に魅力的な抗がん薬標的として広く許容されるものとなる。
研究は、KRasがRasファミリーの最も一般的に変異したメンバーであり、KRas突然変異がRas突然変異により駆動されるがんの約85%において見られ得ることを示し、Ras突然変異の大多数はコドンG12、G13及びQ61において出現し、そのうちのKRas突然変異の約80%は、コドン12のグリシンにおいて出現し、例えば、G12C突然変異、G12D突然変異及びG13D突然変異等である。KRas突然変異は、膵臓がん、肺腺がん、結腸直腸がん、胆嚢がん、甲状腺がん及び胆管がんにおいて高頻度で見られ、非小細胞肺がん患者の25%においても見ることができる(McCormick, F.ら、Clinical Cancer Research 21(8)、1797~1801、2015)。したがって、KRas変異体タンパク質はRas薬物標的研究において最も重要な部門になってきており、それらの阻害剤の開発も抗がん/腫瘍学薬開発における非常に有望なR&D動向とみなされる。
しかしながら、過去30年間にわたるRas標的薬物開発は、Rasタンパク質の滑らかな表面、小分子阻害剤と結合する明白な溝又はポケット構造の欠如、及びグアニン基質に対するその非常に高い親和性(ピコモルグレード)により、その小分子阻害剤の開発は解決できないジレンマに陥ってきたのであり、故に、Rasは業界において「創薬不可能な」標的と長い間みなされてきたことを示してきた。それにもかかわらず、Ras変異体タンパク質を標的とするための持続的な努力はいくつかの励みになる結果を生み出しており、Rasの直接標的化、Ras発現レベルの阻害、Rasタンパク質局在化の混乱、合成致死成分を標的とすること、Ras-GEF相互作用を標的とすること、Ras及びエフェクター相互作用を標的とすること並びにRasの二量化を標的とすることを含む複数の経路を介して、Ras、とりわけKRas突然変異を阻害する、一連のRas阻害剤が開発されてきた(Zhi Tanら、Mini-Reviews in Medicinal Chemistry、2016、16、345~357)。
開発されてきたRas阻害剤、例えば、最も一般的に変異したタンパク質、KRas-G12Cに向けられるものは、アロステリック共有結合阻害剤、例えば、6H05シリーズ、キナゾリンシリーズ、ARSシリーズ及びテトラヒドロピリドピリミジンシリーズ、並びに直交結合共有結合阻害剤を含み、これらは文献(Duan Niら、Pharmacology & Therapeutics、https://doi.org/10.1016/j.pharmthera.2019.06.007)において総括されている。KRas阻害剤の種々の構造型は、いくつかの特許、例えば、CN10256421、US2019/0144,444A1及びWO2019/110751A1において記載されている。
しかしながら、上記で言及したKRas阻害剤は解決すべき問題を依然として有し、それらの「創薬可能性」は不満足なままである。例えば、多くのKras依存性がんは、そのような標的治療薬に対する耐性を発生しやすく、副作用、例えば、オフターゲット効果、化学的に活性な代謝産物、乏しい代謝安定性を有するか、又は免疫原性共有結合付加物を産生する(John P. O'Bryanら、Pharmacological Research 139 (2019) 503~511; Duan Niら、Pharmacology & Therapeutics、https://doi.org/10.1016/j.pharmthera.2019.06.007)。したがって、既存の阻害剤と同等の若しくは改善されたKRas阻害活性、改善された創薬可能性、より良好な安全性、例えば、より少ない薬物相互作用若しくは代謝特性、改善された薬物動態特性、及び/又は異なる患者集団若しくは具体的な腫瘍型に対するより優れた選択性を有することが期待される、より代替的なKRas阻害剤に対する臨床上の需要は依然としてある。
本開示は、KRas変異体タンパク質に対して阻害活性を有する新規構造化合物を提供する。これらの化合物、とりわけ本開示の好ましい化合物は、先行技術の既存のKRas変異体タンパク質阻害剤と比較して、改善されたそれらの構造パターンにより、以下の技術的効果を有する:
(1)KRas変異体タンパク質及び関連するがん細胞増殖に対する同等の若しくは増強された、又はさらには有意に増強された阻害活性を保持し、
(2)異なる疾患の種類又は患者集団について異なる生物学的活性プロファイル、
(3)改善された代謝安定性、それにより、より良好な薬物動態特性をもたらし、
(4)改善された物理化学的特性、それにより、良好な創薬可能性及び安全性、例えば、体内への吸収しやすさを有する。
本発明者らは、研究を通じて、本明細書で定義される式(I)の化合物、それらの異性体又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が、Ras突然変異、とりわけKRas変異体タンパク質の有効な阻害剤であり、これは、細胞におけるRas突然変異、とりわけKRas活性を阻害することができ、Ras突然変異、とりわけKRas変異体タンパク質によって媒介される、又はRas突然変異、とりわけKRas変異体タンパク質の阻害により利益を得る疾患又は状態を治療する又は予防するために使用され得、とりわけ、Ras突然変異、とりわけKRas変異体タンパク質を阻害することによって異常な細胞増殖を阻害することができ、それにより、腫瘍又はがんを治療する又は予防することを見出した。
本開示の第1の態様は、式(I)の化合物、その異性体又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物
Figure 2023547522000002
[式中、
Aは、C-Ra又はNから選択され、ここで、Raは、ハロゲン、CN、ニトロ、C3~6シクロアルキル、又はハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルから選択され、
R1、R2及びR3は、H、ハロゲン又はC1~6アルキルからそれぞれ独立して選択され、ここで、アルキルは、ハロゲン、-N(Rc)2、-ORc又は3~8員ヘテロシクロアルキルから独立して選択される基によって場合により置換されており、
Rbは、各出現において、H、ハロゲン、CN、又はハロゲン若しくはCNによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択され、
Xは、結合、-O-又は-NH-から選択され、
R4は、H、ハロゲン、C1~6アルキル、-C0~6アルキル-C6~10アリール、-C0~6アルキル-C3~8シクロアルキル、-C0~6アルキル-C3~8シクロアルケニル、-C0~6アルキル-3~8員ヘテロシクロアルキル、-C0~6アルキル-3~8員ヘテロシクロアルケニル、-C0~6アルキル-5~10員ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル及びヘテロアリール基は、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-SRc、-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-ORc、-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-N(Rc)2から独立して選択される1つ以上の基によって場合により置換されており、ここで、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成し、
Rcは、各出現において、H、若しくはハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択されるか、又は同じ炭素若しくは窒素原子に結合している2個のRcが、それらが結合している炭素原子若しくは窒素原子と一緒に、3~6員環式基を独立して形成し、
Eは、ハロゲン、-O-Rd又は-N(Rd)2-から選択され、ここで、各Rdは、独立して、H、又はハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルであり、
R5
Figure 2023547522000003
であり、
mは、0又は1であり、
Figure 2023547522000004
は芳香族環を表し、
B及びDは、N又はCからそれぞれ独立して選択され、
Z、G及びYは、C、N、O又はSからそれぞれ独立して選択され、
R6、R7及びR8は、H、ハロゲン、及びハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルからそれぞれ独立して選択され、
但し、B及びDが両方Nであることはなく、Z、G、Y、D及びBのうちの最大3つがCではない]
を提供する。
本開示は、式(II)の化合物、その異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
Figure 2023547522000005
[式中、R1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、A及びRbはそれぞれ上記の式(I)によって与えられた意味を有する]
をさらに提供する。
本開示の第2の態様は、式(I)若しくは(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組合せを提供する。
本開示の第3の態様は、医薬として使用される、式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を提供する。
本開示の第4の態様は、Ras突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患の治療及び/又は予防のための、式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を提供する。
本開示の第5の態様は、Ras突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患を治療する及び/又は予防するための医薬の製造における、式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物又はそれらを含む医薬組成物の使用を提供する。
本開示の第6の態様は、Ras突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患を治療する及び/又は予防する方法であって、治療有効量の式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物又はそれらを含む医薬組合せを、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。
本開示の第7の態様は、式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を調製する方法を提供する。
本開示の第8の態様は、式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物及び1種以上の他の医薬活性剤を含む医薬組合せを提供する。
ヒト非小細胞肺がんNCI-H358のマウス異種移植片モデルにおける実施例9の抗腫瘍活性及び体重に対する効果を示す図である。 ヒト膵臓がんMia PaCa-2細胞のBALB/cヌードマウス皮下異種移植片モデルにおける実施例9の抗腫瘍活性及び体重に対する効果を示す図である。
定義
別段の定義がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語は、以下で指し示す意味を有する。具体的な用語又は語句が具体的に定義されていない事例では、不確実又は不明確とみなされるべきではなく、当技術分野における普通の意味に従って理解されるべきである。本明細書で定義される基の多くは場合により置換されており、この定義の項に記される置換基のリストは例示的なものにすぎず、本明細書及び特許請求の範囲の他の箇所で定義されている置換基を限定することを意図しない。
本明細書で使用される用語「Ras突然変異」又は「Ras変異体タンパク質」は、典型的には、コドンG12のグリシンにおいて、コドンG13のグリシンにおいて又はコドンQ61のグルタミンにおいて変異したRasタンパク質、例えば、変異したHRas、NRas又はKRasを含むがこれらに限定されない、1つ以上のコドンが変異したRas遺伝子によってコード及び発現されたタンパク質を指す。Rasの活性部位におけるこれらの残基の突然変異は、Rasの固有の又はGAP触媒GTPアーゼ活性を損ない、GTP結合Rasの持続をもたらす。
本開示の目的のために、「Ras突然変異」又は「Ras変異体タンパク質」は交換可能に使用され、概して変異したHRas、NRas又はKRasを指し、例えば、HRas-G12C(コドンG12におけるグリシンからシステインへの突然変異)、NRas-G12C、KRas-G12C、KRas-G12D(コドンG12におけるグリシンからアスパラギン酸への突然変異)、KRas-G13D(コドンG13におけるグリシンからアスパラギン酸への突然変異)であるがこれらに限定されず、具体的にはKRas変異体タンパク質を指し、より具体的には、KRas-G12C変異体タンパク質、KRas-G12D変異体タンパク質、KRas-G13D変異体タンパク質を指し、最も具体的にはKRas-G12C変異体タンパク質を指す。
用語「治療」又は「治療する」は、本明細書で使用される場合、疾患又は疾患の症状を、治癒させる、軽減する、緩和する又はそれに影響を及ぼすために使用するための、式(I)の化合物、それらの異性体又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1種以上の、疾患に罹患している又は疾患の症状を有する対象、例えば哺乳動物、例えばヒトへの投与を指す。本開示の具体的な一実施形態では、疾患は、以下で定義される通りのRas突然変異媒介性疾患、とりわけ腫瘍又はがんである。
用語「予防」又は「予防する」は、本明細書で使用される場合、当技術分野において周知であり、定義された疾患に罹患するリスクを低減させるための、本明細書に記載される式(I)の化合物、それらの異性体又はそれらの薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の1種以上の、Ras突然変異によって媒介される疾患、とりわけ本明細書で定義される通りのがん又は腫瘍に罹患していると疑われる又は罹患しやすい対象、例えば哺乳動物、例えばヒトへの投与を指す。用語「予防」又は「予防すること」は、任意の臨床及び/又は病理学的症状の診断又は決定前の、本開示の化合物の使用を包含する。
本明細書で使用される場合、用語「阻害する」及び「低減させる」又はこれらの用語のあらゆる変化形は、標的と直接又は間接的に相互作用することにより標的のシグナル伝達活性を低減させる生物学的活性剤の能力を指し、標的活性の任意の測定可能な低減又は完全阻害を指す。例えば、通常の状態と比較して、活性(例えば、KRas活性)は、およそ、最大でもおよそ又は少なくともおよそ5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%以上、又はその中の導出可能な任意の範囲だけ、低減され得る。
用語「選択的阻害」は、本明細書で使用される場合、標的と直接又は間接的に相互作用することにより、目的の標的のシグナル伝達活性を、オフターゲットのシグナル伝達活性よりも優先的に低減させる、生物学的活性剤の能力を指す。本開示の式(I)の化合物に関する限り、Rasタンパク質の1つ以上のコドンにおいて出現する種々の種類の突然変異と比べて、KRas、HRas又はNRasタンパク質のG12又はG13突然変異、例えば、G12C突然変異、G12D突然変異及びG13D突然変異を選択的に阻害する、及び好ましくはKRasタンパク質のG12C突然変異を選択的に阻害する能力を有する。例えば、別の具体的なRas突然変異と比較して、本開示は、具体的なRas突然変異について少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%以上、又はその中の導出可能な任意の範囲のより良好な活性を有するか、又は別の具体的なRas突然変異についての活性と比較して、具体的なRas突然変異(例えば、KRas-G12C)について少なくとも1、2、3、4、5、10、25、50、100、250又は500倍良好な活性を有する。
用語「Ras突然変異媒介性疾患」は、本明細書で使用される場合、Ras突然変異が疾患の出現及び発生を促進するか、又はRas突然変異の阻害が疾患の発生率を低減させ、病状を低減させる若しくは排除することになる、疾患を指す。本開示の目的のために、「Ras突然変異媒介性疾患」は、好ましくはKRas突然変異媒介性疾患、最も好ましくはKRas-G12C媒介性疾患、及びより好ましくはがん又は腫瘍を指す。
用語「がん」又は「腫瘍」は、本明細書で使用される場合、悪性又は良性いずれかの異常な細胞成長及び増殖並びにすべての前がん性細胞及びがん腫細胞及び組織を指す。本開示のすべての態様について、がん又は腫瘍は、肺腺がん、肺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚若しくは眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、大腸がん(colon cancer)、乳がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、膣がん、外陰がん、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、慢性若しくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓若しくは尿管がん、腎細胞がん、腎盂がん、中枢神経系腫瘍(CNS)、原発性CNSリンパ腫、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫又は下垂体腺腫を含むがこれらに限定されない。
本開示のすべての態様について、好ましくは、上記及びその好ましい範囲において記載される腫瘍型を含むがこれらに限定されない、記載されるがん又は腫瘍は、Ras突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異、最も好ましくはKRas G12C突然変異に関連する。本開示の特に好ましい腫瘍は、肺がん、肺腺がん、大腸がん、直腸がん、膵臓がん、子宮内膜がん、胆管がん、白血病及び卵巣がんを含む。
用語「対象」、「個体」又は「患者」は、本明細書で使用される場合、脊椎動物を指す。具体的な実施形態では、脊椎動物は哺乳動物である。哺乳動物は、家畜(例えば、ウシ)、競技用動物(sport animals)、愛玩動物(例えば、モルモット、ネコ、イヌ、ウサギ及びウマ)、霊長類、マウス及びラットを含むがこれらに限定されない。具体的な実施形態では、哺乳動物はヒトである。
用語「有効量」は、本明細書で使用される場合、治療を必要とするがん又は腫瘍患者に対して有益な治療効果を生成するために概して十分である量又は用量を指す。当業者ならば、従来の影響因子と組み合わせた従来の方法によって、本開示における活性原料の有効量又は投薬量を決定することができる。
本明細書で使用される用語「医薬組合せ」は、本開示の目的のために他の活性剤と組み合わせた本開示の化合物を指す。他の活性剤は、1種以上の追加の本開示の化合物であってもよいし、又は本開示の化合物に適合する、すなわち互いに悪影響を及ぼさない、又は相補的な活性を有する第2の若しくは追加の(例えば、第3の)化合物であってもよく、例えば、これらの活性剤は、他の生理活性経路を調節するか、又は本開示の化合物に関与する生理活性経路の異なる成分を調節するか、又はさらには本開示の化合物の生物学的標的と重複することが公知である。そのような活性剤は、所望の目的を実現するための有効量で適切に組み合わされる。他の活性剤を、本開示の化合物と単一の医薬組成物で共投与してもよいし、又は別々の個別の(discrete)単位で本開示の化合物とは別個に、別個に投与される場合には同時に若しくは順次にのいずれかで投与してもよい。順次投与は、時間的に近くても遠くてもよい。
一態様では、本開示の化合物と組み合わせて使用され得る他の活性剤は、化学療法剤、治療用抗体、及び放射線療法、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗物質、細胞周期阻害剤、***阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗ホルモン薬、血管新生阻害剤又は細胞毒性剤を含むがこれらに限定されない。
用語「薬学的に許容される」は、本明細書で使用される場合、動物、例えばヒトに適切な量で投与された場合に、有害、アレルギー性又は他の有害作用を生成しない分子実体及び組成物を指す。
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用される場合、酸付加塩及び塩基付加塩を含む、親化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的にも別様にも望ましくないものでない塩を指す。「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基を有する化合物から、無機又は有機酸、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等と形成され得、有機酸は、脂肪族、脂肪族、芳香族、芳香族-脂肪族、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、パモ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等から選択され得る。「薬学的に許容される塩基付加塩」は、無機塩基に由来するもの、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン及びアルミニウムの塩、並びに、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンを含むがこれらに限定されない薬学的に許容される有機非毒性塩基、及び自然発生の置換アミン、環状アミンを含む置換アンモニウム、及びアルカリ性イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒバミン、コリン、ベタイン、エタンジアミン、グルコサミン、メチルグルコサミン、トリエタノールアミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン及びポリアミン樹脂等に由来する塩を含む。
用語「異性体」は、本明細書で使用される場合、化合物の構造中に存在し得る任意の立体異性体、ラセミ体を含むエナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、幾何異性体、アトロプ異性体及び/又は互変異性体を指す。異性体の立体化学の決定及び分離方法は、当業者には周知である(S. P. Parker編、McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company、New York;並びにEliel, E.及びWilen, S.、「Stereochemistry of Compounds」、John Wiley & Sounds, Inc.、New York、1994)。したがって、本開示は、上記で定義した式(I)の化合物のすべての考えられる異性形態、及び薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物を網羅する。
本明細書における化合物の構造式又は構造フラグメントにおいて使用される「
Figure 2023547522000006
」又は「
Figure 2023547522000007
」は、立体中心、すなわちキラル中心の絶対配置を指し示し、したがって、本開示によって提供される化合物又は中間体の命名において、R及びSは、キラル中心の絶対配置を指し示す。絶対配置の決定は、当業者に周知である。
本開示で示される構造フラグメントにおいて使用される「
Figure 2023547522000008
」は、結合している結合が、そのフラグメントが分子の残りの構造に結合している結合であることを指し示す。
用語「溶媒和物」は、本明細書で使用される場合、例えば、水との溶媒和物、例えば、水和物、又は有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール若しくはアセトニトリルとの、すなわちそれぞれメタノレート、エタノレート若しくはアセトニトリル-オレートとしての溶媒和物を含む本開示の化合物の任意の溶媒和形態を含む、或いは任意の多形形態の、化学量論又は非化学量論量の溶媒を含有する溶媒付加形態を指す。本開示の化合物のそのような溶媒和物は、本開示の化合物の薬学的に許容される塩の溶媒和物も含むことが理解されるべきである。
用語「同位体バリアント」は、本明細書で使用される場合、化合物を構成する原子の1個以上において非天然の割合の同位体を含有する化合物を指す。本開示の化合物は、化合物を構成する1個以上の原子において非天然の割合の原子同位体を含有してもよく、それにより、放射性であるか否かにかかわらず、本開示の化合物又は薬学的に許容されるその塩の同位体バリアントを形成し、本開示の範囲内であることが意図される。本開示の化合物及び薬学的に許容されるその塩に組み込むことができる同位体の例は、例えば、2H、3H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F及び36Clを含む。本開示の化合物及び薬学的に許容されるその塩の同位体変化は、概して、好適な試薬の適切な同位体変化を使用する従来の方法によって調製され得ることが理解されるべきである。例えば、放射性同位体(例えば、3H又は14C)を組み組む本開示の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩のある特定の同位体変化は、薬物及び/又は基質の組織分布研究に使用され得る。トリチウム化、すなわち3H及び炭素-14、すなわち14C同位体は、調製の容易さ及び検出性により特に好ましい。さらに、同位体、例えば、重水素、すなわち2Hによる置換は、より優れた代謝安定性によって生じるある特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の増大又は必要投薬量の低減をもたらすことができ、故に、ある特定の状況において好ましい場合がある。加えて、陽電子放出同位体(例えば、11C、18F、15O及び13N)で置換されている本開示の化合物を調製することができ、基質アクセプター占有率検出のための陽電子断層撮影法(PET)研究において使用され得る。
用語「代謝産物」は、本明細書で使用される場合、具体的な化合物の代謝によってインビボで生成された生成物を指す。そのような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的切断等によって生じ得る。代謝生成物の同定及び分析は、当業者に周知の方式で実施される。
用語「プロドラッグ」は、本明細書で使用される場合、生理学的条件下で又は加溶媒分解によって本明細書に記載される生物学的活性化合物に変換され得る化合物、例えば、式(I)の化合物を指す。したがって、用語「プロドラッグ」は、生物学的活性化合物の薬学的に許容される前駆体を指す。一部の態様では、プロドラッグは、対象に投与された際には不活性であるが、インビボで、例えば加水分解によって活性化合物に変換される。プロドラッグ化合物は、概して、哺乳類の生物における溶解度、組織適合性又は遅延放出という利点を供与する(例えば、Bundgard, H.、Design of Prodrugs (1985)、7~9頁、21~24頁(Elsevier、Amsterdam)を参照)。プロドラッグの考察は、Higuchi, T.ら著、ACS Symposium Series、第14巻、及び「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Edward B. Roche (B. Roche)、Pharmaceutical Association & Pergamon Press、1987、USAにおいて見ることができ、その内容全体は参考として本明細書に組み込まれる。用語「プロドラッグ」は、哺乳動物対象に投与された場合に活性化合物をインビボで放出する任意の共有結合した担体も指す。本明細書に記載される通りの活性化合物のプロドラッグは、活性化合物上に存在する官能基を、日常的な操作中に又はインビボで修飾が切断されて親活性化合物となるように修飾することによって、概して調製される。プロドラッグは、プロドラッグが哺乳動物に投与された場合に、ヒドロキシル、アミノ又はチオール基が任意の基と結合し、これが切断して遊離ヒドロキシル、遊離アミノ又は遊離チオールを形成する、化合物を含む。プロドラッグの例は、ヒドロキシ官能基の酢酸、ギ酸及び安息香酸誘導体、又はアミン官能基のアセトアミド、ホルムアミド及びベンズアミド誘導体を活性化合物中に含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、プロドラッグは、リン酸含有プロドラッグ、ホウ酸含有プロドラッグ、ホスホロチオエート含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プ
ロドラッグ、場合により置換されているフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は場合により置換されているフェニルアセトアミド含有プロドラッグ並びに5-フルオロシトシン及び5-フルオロウリジンプロドラッグを含む。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される賦形剤又は担体」は、ヒトへの使用に好適であり、十分な純度及び低い毒性を有する、1種以上の適合する固体若しくは液体充填剤又はゲル物質を指し、その例は、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース等)、ゼラチン、タルク、固体滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、マンニトール、ソルビトール等)、乳化剤(例えば、Tween)、湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、着色剤、香味剤、安定剤、酸化防止剤、保存剤等を含むがこれらに限定されない。
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、本明細書で使用される場合、F、Cl、Br又はIを意味する。さらに、用語「ハロゲン置換されている」基は、1個以上の同じ又は異なるハロゲンが基中の1個以上の水素を置きかえている、モノハロゲン化又はポリハロゲン化基を含むように意図されている。
用語「アルキル」は、本明細書で使用される場合、炭素原子及び水素原子で構成される直鎖状又は分枝鎖状飽和炭化水素基を指す。具体的には、アルキル基は、1~10個、例えば、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個又は1~2個の炭素原子を有する。例えば、本明細書で使用される場合、用語「C1~C6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状飽和炭化水素基を指し、例は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルを含む)、ペンチル(n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルを含む)、n-ヘキシル、2-メチルペンチル等を含む。具体的なアルキル基は、1~3個の炭素原子を有する。
用語「アルコキシ」は、本明細書で使用される場合、基-O-アルキルを指し、ここで、アルキル基は、本明細書に記載される意味を有する。具体的には、該用語は、基-O-C1~6アルキル及びより具体的には-O-C1~3アルキルを含む。アルコキシの代表例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n-プロポキシ、イソプロポキシを含む)、ブトキシ(n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシを含む)、ペントキシ(n-ペントキシ、イソプロポキシ、ネオペントキシを含む)、ヘキソキシ(n-ヘキソキシ、イソヘキソキシを含む)等を含むがこれらに限定されない。具体的なアルコキシル基は、1~3個の炭素原子を有する。
用語「アルキルチオ」は、本明細書で使用される場合、-S-アルキルを指し、ここで、アルキルは、「アルキル」について上記で定義した通りである。具体的には、該用語は、基-S-C1~6アルキル及びより具体的には-S-C1~3アルキルを含む。アルキルチオの代表例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ(n-プロピルチオ、イソプロピルチオを含む)、ブチルチオ(n-ブチルチオ、イソブチルチオ、tert-ブチルチオを含む)、ペンチルチオ(n-ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオを含む)、ヘキシルチオ(n-ヘキシルチオ、イソヘキシルチオを含む)等を含むがこれらに限定されない。具体的なアルキルチオ基は、1~3個の炭素原子を有する。
用語「ハロゲン置換されているC1~C6アルキル」は、本明細書で使用される場合、1個以上の(例えば、1、2、3、4又は5個の)水素原子がハロゲンによって置きかえられている、上記で記載したC1~C6アルキル基を指す。ハロゲンは、同じであっても異なっていてもよいこと、及び1つを超えるハロゲン置換基がある場合には同じ又は異なるC原子上に位置し得ることを、当業者ならば理解するはずである。「ハロゲン置換されているC1~C6アルキル」基の例は、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CCl3、-C2F5、-C2Cl5、-CH2CF3、-CH2Cl、-CH2CH2CF3又は-CF(CF3)2等である。
用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、指定数の環原子を有する、単環式、縮合多環式、架橋多環式又はスピロ非芳香族飽和一価炭化水素環構造を指す。シクロアルキルは、3~12個の炭素原子(すなわち、C3~C12シクロアルキル)、例えば、3~10個、3~8個、3~7個、3~6個及び5~6個の炭素原子を有し得る。好適なシクロアルキルの例は、単環式構造、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル若しくはシクロオクチル;又は、スピロ、縮合若しくは架橋系を含む多環式(例えば、二重環式)構造、例えば、二環式[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、スピロ[3.4]オクチル、ビシクロ[3.1.1]ヘキシル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル若しくはビシクロ[3.2.1]オクチル等を含むがこれらに限定されない。
用語「シクロアルケニル」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの(例えば、1、2又は3つの)炭素-炭素二重結合を含有する指定数の環原子を持つ、単環式、縮合多環式、架橋多環式又はスピロ非芳香族不飽和炭化水素環構造を指す。シクロアルケニルは、3~12個の炭素原子(すなわち、C3~C12シクロアルケニル)、例えば、3~10個、3~8個、3~7個、3~6個及び5~6個の炭素原子を有し得る。好適なシクロアルケニルの例は、単環式構造、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル又はシクロオクテニルを含むがこれらに限定されない。
用語「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、O、N及びS又はそれらのN-オキシド又はそれらのS-オキシド若しくはS-ジオキシドから独立して選択される1個以上(例えば、1、2、3又は4個)のヘテロ原子を含む、単環式、縮合多環式、スピロ環式又は架橋多環式非芳香族飽和環構造を指す。ヘテロシクロアルキルは、3~12環員(3~12員ヘテロシクロアルキルと称され得る)、例えば3~10環員、3~8環員、3~7環員、4~7環員、4~6環員、5~6環員を有し得る。ヘテロシクロアルキルは、典型的には、最大4個(例えば、1、2、3又は4個)のヘテロ原子を含有する。好適なヘテロシクロアルキルの例は、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル及び3-ピロリジニル)、テトラヒドロフラニル(例えば、1-テトラヒドロフリル、2-テトラヒドロフリル及び3-テトラヒドロフリル)、テトラヒドロチオフェニル(例えば、1-テトラヒドロチオフェニル、2-テトラヒドロチオフェニル及び3-テトラヒドロチオフェニル)、ピペリジル(例えば、1-ピペリジル、2-ピペリジル、3-ピペリジル及び4-ピペリジル)、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、テトラヒドロチオピラニル(例えば、4-テトラヒドロチオピラニル)、モルホリニル(例えば、モルホリノ)、チオモルホリニル、ジオキサニル、ピペラジニル又はアゼパニル、ジアゼパニル、例えば、1,4-ジアゼパニル、3,6-ジアザ-ビシクロ[3.1.1]ヘプチル又は3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチルを含むがこれらに限定されない。化合物の残りと結合しているヘテロシクロアルキル中の原子は、化学的に実現可能である限り、炭素原子であってもヘテロ原子であってもよい。
好ましいヘテロシクロアルキル、例えば
Figure 2023547522000009
、不斉中心を持つ構造はそれらのラセミ及び/又は単一のエナンチオマー形態を網羅することが理解されるべきであり、例えば、
Figure 2023547522000010
Figure 2023547522000011
であってもよい。
用語「ヘテロシクロアルケニル」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つ(例えば、1、2又は3つ)の二重結合を含む本明細書で定義される通りの「ヘテロシクロアルキル」を指す。好適なヘテロシクロアルケニルの例は、
Figure 2023547522000012
[式中、各Wは、CH2、NH、O及びSから選択され;各Yは、NH、O、C(=O)、SO2及びSから選択され;各ZはN及びCHから選択され、但し、各環は、N、O又はSから選択される少なくとも1個の原子を含有する]を含むがこれらに限定されない。例えば、ピロリニル(例えば、1-ピロリニル、2-ピロリジニル、3-ピロリニル、4-ピロリニル又は5-ピロリニル)、ジヒドロフリル(例えば、1-ジヒドロフラニル、2-ジヒドロフリル、3-ジヒドロフリル、4-ジヒドロフリル又は5-ジヒドロフリル)、ジヒドロチエニル(例えば、1-ジヒドロチエニル、2-ジヒドロチエニル、3-ジヒドロチエニル又は4-ジヒドロチエニル)、テトラヒドロピリジル(例えば、1-、2-、3-、4-、5-又は6-テトラヒドロピリジル)、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)又はテトラヒドロチオピラニル(例えば、4-テトラヒドロチオピラニル)。
用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、芳香族環系中の単一の炭素原子から水素原子を除去することによって導出された一価芳香族炭化水素基を指す。具体的には、アリールは、指定数の環原子を持つ単環式又は縮合多環式芳香族環構造を指す。具体的には、該用語は、6~14、例えば6~10、好ましくは6環員を含有する基を含む。具体的なアリール基はフェニル及びナフチルを含み、最も具体的なアリール基はフェニルである。
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、O、N及びS又はそのN-オキシド若しくはS-オキシド若しくはS-ジオキシドから独立して選択される1個以上(例えば、1、2、3又は4個)のヘテロ原子を含む指定数の環原子を持つ単環式又は縮合多環式芳香族環を指す。具体的には、この芳香族環構造は、5~10環員を有し得る。ヘテロアリールは、例えば、5~6員単環、又は2つの6員環の縮合、2つの5員環の縮合、6員環及び5員環の縮合、又は5員環及び4員環の縮合であってもよい。ヘテロアリール環は、概して、最大4個のヘテロ原子、さらに通例は最大3個のヘテロ原子、さらに通例は最大2個の、例えばO、N及びSから独立して選択され、ここでN及びSは酸化状態、例えば、N-オキシド、S=O又はS(O)2であることができる単一のヘテロ原子を含有し得る。一実施形態では、ヘテロアリール環は、少なくとも1個の環窒素原子、少なくとも1個の環硫黄原子又は少なくとも1個の環酸素原子を含有する。例えば、ヘテロアリールは、N、O又はSから独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する縮合環であってもよく、すなわち、例は、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、ベンゾトリアゾール、ピロロ[2,3-b]ピリジン、ピロロ[2,3-c]ピリジン、ピロロ[3,2-c]ピリジン、ピロロ[3,2-b]ピリジン、イミダゾ[4,5-b]ピリジン、イミダゾ[4,5-c]ピリジン、ピラゾロ[4,3-d]ピリジン、ピラゾロ[4,3-c]ピリジン、ピラゾロ[3,4-c]ピリジン、ピラゾロ[3,4-b]ピリジン、イソインドール、プリン、インドリジン、イミダゾ[1,2-a]ピリジン、イミダゾ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリダジン、ピロロ[1,2-b]ピリミジン、イミダゾ[1,2-c]ピリミジン、5H-ピロロ[3,2-b]ピラジン、1H-ピラゾロ[4,3-b]ピラジン、1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、7H-ピロール[2,3-d]ピリミジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、1,6-ナフチリジン、1,7-ナフチリジン、1,8-ナフチリジン、1,5-ナフチリジン、2,6-ナフチリジン、2,7-ナフチリジン、ピリド[3,2-d]ピリミジン、ピリド[4,3-d]ピリミジン、ピリド[3,4-d]ピリミジン、ピリド[2,3-d]ピリミジン、ピリド[2,3-b]ピラジン、ピリド[3,4-b]ピラジン、ピリミド[5,4-d]ピリミジン、ピラジノ[2,3-b]ピラジン及びピリミド[4,5-d]ピリミジンを含む。例えば、ヘテロアリールは、N、O又はSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含有する5~6員ヘテロアリールであってもよい。好適な5員単環式ヘテロアリールの例は、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、フラザニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリルを含むがこれらに限定されず;好適な6員単環式ヘテロアリールの例は、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル及びトリアジニルを含むがこれらに限定されない。化合物の残りと結合しているヘテロアリール基中の原子は、化学的に実現可能である限り、炭素原子であってもヘテロ原子であってもよい。
「場合により置換されている」として記載される置換基は、基が非置換であってもよいし、又は該基について挙げられている置換基の1つ以上(例えば、0、1、2、3、4若しくは5つ以上、又はそこから導出される任意の範囲)によって置換されていてもよく、ここで、置換基は同じであっても異なっていてもよいことを意味する。一実施形態では、場合により置換されている基は、1つの置換基で置換されている。別の実施形態では、場合により置換されている基は、2つの置換基で置換されている。別の実施形態では、場合により置換されている基は、3つの置換基で置換されている。別の実施形態では、場合により置換されている基は、4つの置換基で置換されている。
有機合成分野の当業者ならば、安定で化学的に実現可能な複素環は、芳香族か非芳香族かにかかわらず、その中に含有されるヘテロ原子の最大数又はヘテロ原子の種類が、環のサイズ、不飽和度及びヘテロ原子の価数によって決定されることを理解する。概して、複素環は、複素環又はヘテロ芳香族環が化学的に実現可能及び安定ならば、1~4個のヘテロ原子を有することができる。
用語「ヒドロキシル」は、本明細書で使用される場合、-OH基を指す。
用語「チオール」は、この文書で使用される場合、-SH基を指す。
用語「ニトロ」は、本明細書で使用される場合、-NO2基を指す。
本明細書で使用される用語「場合により置換されている」は、別段の指示がない限り、基が非置換であってもよいし、又は該基について挙げられている置換基の1つ以上(例えば、0、1、2、3、4若しくは5つ以上、又はそこから導出される任意の範囲)によって置換されていてもよく、ここで、置換基は同じであっても異なっていてもよいことを意味する。一実施形態では、場合により置換されている基は1つの置換基を有する。別の実施形態では、場合により置換されている基は2つの置換基を有する。別の実施形態では、場合により置換されている基は3つの置換基を有する。別の実施形態では、場合により置換されている基は4つの置換基を有する。別の実施形態では、場合により置換されている基は5つの置換基を有する。
別段の指定がない限り、本開示の化合物定義におけるCn~n+m又はCn~Cmは、n~n+m個の炭素の種々の事例、例えば、C1、C2、C3、C4、C5及びC6を含むC1~6を含み、n~n+mの任意の範囲、例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C0~1、C0~2、C0~3、C0~4、C0~5、C1~2、C1~3、C1~4、C2~3等を含むC0~6及びC1~2、C1~3、C1~4、C2~6、C3~6等を含むC1~6も含む。同様に、本開示の化合物定義におけるn員~n+m員は、n~n+m個の環原子の数を表し、例えば、3~12員環は、3員環、4員環、5員環、6員環及び12員環等を含み、n~n+m員の任意の範囲も含み、例えば、3~12員環は、3~6員環、3~8員環、3~9員環、4~7員環、4~5員環、5~6員環、5~7員環、5~8員環、5~9員環、6~7員環、6~8員環及び6~10員環を含む。
本明細書全体及び以下の特許請求の範囲において使用される場合、語「を含む(comprise)」及び該語の変化形、例えば、「を含む(include)」及び「を含有する」は、「を含むがこれらに限定されない」を意味し、例えば、他の添加物、成分、整数又はステップを除外することを意図しない。ある要素が複数の成分、ステップ又は条件を含むとして記載される場合、該要素は、該複数の成分、ステップ又は条件の任意の組合せを含むとして、又は「複数の成分、ステップ若しくは条件又はそれらの組合せからなる」若しくは「複数の成分、ステップ若しくは条件又はそれらの組合せから本質的になる」としても記載され得ることが理解されるべきである。
本開示の化合物、化合物を含む医薬組成物、医薬組合せ、キット並びに関連する使用及び方法について本明細書で記載する場合には、投薬量が塩、水和物又は溶媒和物の重量に基づくことを本明細書が明言しているのでない限り、言及される投薬量は、あらゆる塩、水和物又は溶媒和物を除く遊離形態の重量に基づくことが理解されるべきである。
本開示の化合物
本開示全体を通して使用される用語「発明された化合物」及び「本開示の化合物」等は、別段の定めがない限り、アトロプ異性体を含むそれらの異性体、エナンチオマー混合物、とりわけラセミ体、ジアステレオマー混合物、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、同位体バリアント、塩(例えば、薬学的に許容される塩)及びプロドラッグを含む、本明細書における種々の実施形態及び好ましい実施形態において定義される式(I)又は式(II)の化合物を包含する。
したがって、式Iの化合物の上記の異性体及び誘導体のそれぞれは、本開示の範囲内に含まれ、それらのそれぞれの意味、調製及び具体例は上記の「定義」の項で定義されるか、又は当業者に周知である。一部の実施形態では、代謝産物、同位体バリアント又はプロドラッグ及びそれらの任意の組合せは適宜除外される。しかしながら、式(I)若しくは式(II)の化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の実質的に純粋なエナンチオマー(エナンチオマー純粋)又はジアステレオマーが優先される。
本開示は、式(I)又は式(II)の化合物が、塩基性窒素原子、例えば窒素含有複素環中に存在するものを含有するならば、これらの化合物のN-オキシドも網羅する。本開示の一部の化合物は、多形又は非晶質形態で存在することがあり、したがって、本開示の範囲内にある。
一態様では、本開示は、式(I)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
Figure 2023547522000013
[式中、
Aは、C-Ra又はNから選択され、ここで、Raは、ハロゲン、CN、ニトロ、C3~6シクロアルキル、又はハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルから選択され、
R1、R2及びR3は、H、ハロゲン又はC1~6アルキルからそれぞれ独立して選択され、ここで、アルキルは、ハロゲン、-N(Rc)2、-ORc又は3~8員ヘテロシクロアルキルから独立して選択される基によって場合により置換されており、
Rbは、各出現において、H、ハロゲン、CN、又はハロゲン若しくはCNによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択され、
Xは、結合、-O-又は-NH-から選択され、
R4は、H、ハロゲン、C1~6アルキル、-C0~6アルキル-C6~10アリール、-C0~6アルキル-C3~8シクロアルキル、-C0~6アルキル-C3~8シクロアルケニル、-C0~6アルキル-3~8員ヘテロシクロアルキル、-C0~6アルキル-3~8員ヘテロシクロアルケニル、-C0~6アルキル-5~10員ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル及びヘテロアリール基は、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-SRc、-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-ORc、-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-N(Rc)2から独立して選択される1つ以上の基によって場合により置換されており、ここで、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成し、
Rcは、各出現において、H、若しくはハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択されるか、又は同じ炭素若しくは窒素原子に結合している2個のRcが、それらが結合している炭素原子若しくは窒素原子と一緒に、3~6員環式基を独立して形成し、
Eは、ハロゲン、-O-Rd又は-N(Rd)2-から選択され、ここで、各Rdは、独立して、H、又はハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルであり、
R5
Figure 2023547522000014
であり、
mは、0又は1であり、
Figure 2023547522000015
は芳香族環を表し、
B及びDは、N又はCからそれぞれ独立して選択され、
Z、G及びYは、C、N、O又はSからそれぞれ独立して選択され、
R6、R7及びR8は、H、ハロゲン、及びハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルからそれぞれ独立して選択され、
但し、B及びDが両方Nであることはなく、Z、G、Y、D及びBのうちの最大3つがCではない]
又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を提供する。
式(I)の化合物の一実施形態では、AはNである。
式(I)の化合物の一実施形態では、AはC-Raであり、ここで、Raはハロゲンから選択される。
式(I)の化合物の一実施形態では、AはC-Raであり、ここで、Raは、F又はCl、好ましくはClである。
式(I)の化合物の一実施形態では、R1は、H又はハロゲンから選択される。
式(I)の化合物の一実施形態では、R1は、H又はFである。
式(I)の化合物の一実施形態では、R2及びR3はいずれもHである。
式(I)の化合物の一実施形態では、RbはHである。
式(I)の化合物の一実施形態では、RbはHではなく、1個のRb又は2個のRbのいずれかが存在する。
式(I)の化合物の一実施形態では、1個のRbがあり、RbはC1~6アルキルである。
具体的な一実施形態では、1個のRbがあり、RbはC1~6アルキル、好ましくはC1~3アルキルであり;より具体的な一実施形態では、1個のRbがあり、Rbは-CH3であり;より具体的な実施形態では、1個のRbがあり、Rb
Figure 2023547522000016
であり;より具体的な一実施形態では、1個のRbがあり、Rb
Figure 2023547522000017
であり、ピペラジン環との結合方式は
Figure 2023547522000018
であり;より具体的な一実施形態では、1個のRbがあり、Rb
Figure 2023547522000019
であり、ピペラジン環との結合方式は
Figure 2023547522000020
である。
式(I)の化合物の一実施形態では、1個のRbがあり、RbはCNであり;具体的な実施形態では、1個のRbがあり、RbはCNであり、アミド窒素に対してオルトで炭素原子に結合している。
式(I)の化合物の一実施形態では、1個のRbがあり、RbはC1~6アルキル、好ましくはCNによって置換されているC1~3アルキルであり;具体的な一実施形態では、1個のRbがあり、Rbはシアノメチルであり;より具体的な一実施形態では、1個のRbがあり、Rbはシアノメチルであり、ピペラジン環との結合方式は
Figure 2023547522000021
である。
式(I)の化合物の一実施形態では、2個のRbがあり、RbはC1~6アルキル、好ましくはC1~3アルキルであり;具体的な一実施形態では、2個のRbがあり、Rbは-CH3であり;より具体的な一実施形態では、2個のRbがあり、Rbは-CH3であり、ピペラジン環との結合方式は
Figure 2023547522000022
である。
式(I)の化合物の一実施形態では、Xは結合である。
式(I)の化合物の一実施形態では、Xは-O-又は-NH-である。
式(I)の化合物の一実施形態では、Xは-O-である。
式(I)の化合物の一実施形態では、Xは-NH-である。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4は、H、ハロゲン、C1~6アルキル、-C0~3アルキル-フェニル、-C0~3アルキル-C3~6シクロアルキル、-C0~3アルキル-C3~6シクロアルケニル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-4~6員ヘテロシクロアルキル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-5~6員ヘテロシクロアルケニル及びN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、フェニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル及びヘテロアリールは、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-SRc、-(CRcRc)0~6-ORc、-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されており、ここで、フェニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成する。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4は、H、ハロゲン、C1~6アルキル、-C0~3アルキル-フェニル、-C0~3アルキル-C3~6シクロアルキル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-4~6員ヘテロシクロアルキル及びN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、フェニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールは、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-SRc、-(CRcRc)0~6-ORc、-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されており、ここで、フェニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成する。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4は、H、ハロゲン、C1~6アルキル、フェニル、C3~6シクロアルキル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む4~6員ヘテロシクロアルキル及びN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、フェニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールは、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc、-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されており、ここで、フェニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成する。
式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4はHである。
式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4はHではない。
式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は-OHである。
式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は-NH2である。
式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4はハロゲンであり;具体的な一実施形態では、-X-R4は、Cl又はFのいずれかである。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4は、ハロゲン、C1~6アルキル、ヒドロキシル、C1~6アルコキシ及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されているC1~6アルキルである。具体的な一実施形態では、例示的なR4は、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH3、-CH2CH(CH3)CH3、-CH2CH2CH2CH3、-C(CH3)(CH3)(CH3)、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、-CH(CF3)CH3、-CH2CH(CF3)CH3、-CH2CH2CH2CF3、-C(CF3)(CH3)(CH3)、-CH2OH、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH、-CH2CH(OH)CH3、-CH2CH(CH2OH)CH3、-CH2CH2CH2CH2OH、-C(CH2OH)(CH3)(CH3)、-CH2OCH3、-CH2OCH2CH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2OCH2CH3、-CH2CH2CH2OCH3、-CH2CH(OCH3)CH3、-CH2CH(CH2OCH3)CH3、-CH2CH2CH2CH2OCH3、-NH2、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-N(CH3)(CH2CH3)、-N(CH2CH3)2、-CH2NH2、-CH2NHCH3、-CH2N(CH3)2、-CH2NHCH2CH3、-CH2N(CH3)(CH2CH3)、-CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2NH2、-CH2CH2NHCH3、-CH2CH2N(CH3)2、-CH(CH3)N(CH3)2、CH2CH2NHCH2CH3、-CH2CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2NHCH3、-CH2CH2CH2N(CH3)2、-CH2CH(NH2)CH3、-CH2CH(CH2NH2)CH3、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2NHCH3及び-CH2CH2CH2CH2N(CH3)2を含むがこれらに限定されない。
好ましい一実施形態では、R4は、ハロゲン、C1~6アルキル及びC1~6アルコキシから独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されているC1~6アルキルであり;より好ましくは、R4は、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH3、-CH2OCH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2OCH2CH3及び-CF3から選択される。
式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4はC1~6アルキルであり、C1~6アルキルは、上記で記載した通りのR4のC1~6アルキルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は-O-C1~6アルキルであり、C1~6アルキルは、上記で記載した通りのR4のC1~6アルキルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は-NH-C1~6アルキルであり、C1~6アルキルは、上記で記載した通りのR4のC1~6アルキルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4は、-C0~3アルキル-フェニル、好ましくはフェニルであり、これは、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されている。具体的な一実施形態では、例示的な置換基は、F、Cl、Br、I、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH3、-CH2CH(CH3)CH3、-CH2CH2CH2CH3、-C(CH3)(CH3)(CH3)、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、-CH(CF3)CH3、-CH2CH(CF3)CH3、-CH2CH2CH2CF3、-C(CF3)(CH3)(CH3)、-CH2OH、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH、-CH2CH(OH)CH3、-CH2CH(CH2OH)CH3、-CH2CH2CH2CH2OH、-C(CH2OH)(CH3)(CH3)、-OH、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、-OCH(CH3)(CH3)、-CH2OCH3、-CH2OCH2CH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2OCH2CH3、-CH2CH2CH2OCH3、-CH2CH(OCH3)CH3、-CH2CH(CH2OCH3)CH3、-CH2CH2CH2CH2OCH3、-NH2、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-N(CH3)(CH2CH3)、-N(CH2CH3)2、-CH2NH2、-CH2NHCH3、-CH2N(CH3)2、-CH2NHCH2CH3、-CH2N(CH3)(CH2CH3)、-CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2NH2、-CH2CH2NHCH3、-CH2CH2N(CH3)2、-CH(CH3)N(CH3)2、CH2CH2NHCH2CH3、-CH2CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2NHCH3、-CH2CH2CH2N(CH3)2、-CH2CH(NH2)CH3、-CH2CH(CH2NH2)CH3、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2NHCH3及び-CH2CH2CH2CH2N(CH3)2を含むがこれらに限定されない。
好ましい一実施形態では、R4は、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって置換されているフェニルである。例示的な置換基は、F、Cl、Br、I、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH3、-CH2CH(CH3)CH3、-CH2CH2CH2CH3、-C(CH3)(CH3)(CH3)、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、-CH(CF3)CH3、-CH2CH(CF3)CH3、-CH2CH2CH2CF3、-C(CF3)(CH3)(CH3)、-NH2、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-N(CH3)(CH2CH3)、-N(CH2CH3)2、-CH2NH2、-CH2NHCH3、-CH2N(CH3)2、-CH2NHCH2CH3、-CH2N(CH3)(CH2CH3)、-CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2NH2、-CH2CH2NHCH3、-CH2CH2N(CH3)2、-CH(CH3)N(CH3)2、CH2CH2NHCH2CH3、-CH2CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2NHCH3、-CH2CH2CH2N(CH3)2、-CH2CH(NH2)CH3、-CH2CH(CH2NH2)CH3、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2NHCH3及び-CH2CH2CH2CH2N(CH3)2を含むがこれらに限定されず、より好ましくは、R4は、
Figure 2023547522000023
から選択される。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4は、-(CRcRc)0~6-N(Rc)2によって置換されている-C0~3アルキル-フェニル、好ましくはフェニルであり、ここで、各Rcは、独立して、H又はC1~6アルキルであり、N上のRcの1個は、それが結合しているベンゼン環上の原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を形成する。具体的な一実施形態では、R4は、
Figure 2023547522000024
から選択され、式中、各Rcは、H、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH3、-CH2CH(CH3)CH3、-CH2CH2CH2CH3及び-C(CH3)(CH3)(CH3)から独立して選択される。
好ましい一実施形態では、R4
Figure 2023547522000025
である。
式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、-C0~6アルキル-フェニル、好ましくは-C0~3アルキル-フェニル及び好ましくはフェニルであり、ここで、フェニルは、上記で記載した通りのR4のフェニルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、-O-C0~6アルキル-フェニル、好ましくは-O-C0~3アルキル-フェニル及びより好ましくは-O-フェニルであり、ここで、フェニルは、上記で記載した通りのR4のフェニルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、-NH-C0~6アルキル-フェニル、好ましくはC0~3アルキル-フェニル及びより好ましくは-NH-フェニルであり、ここで、フェニルは、上記で記載した通りのR4のフェニルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4は、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されている、-C0~3アルキル-C3~6シクロアルキル、好ましくは-C3~6シクロアルキルである。具体的な実施形態では、例示的な置換基は、F、Cl、Br、I、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH3、-CH2CH(CH3)CH3、-CH2CH2CH2CH3、-C(CH3)(CH3)(CH3)、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、-CH(CF3)CH3、-CH2CH(CF3)CH3、-CH2CH2CH2CF3、-C(CF3)(CH3)(CH3)、-CH2OH、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH、-CH2CH(OH)CH3、-CH2CH(CH2OH)CH3、-CH2CH2CH2CH2OH、-C(CH2OH)(CH3)(CH3)、-OH、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、-OCH(CH3)(CH3)、-CH2OCH3、-CH2OCH2CH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2OCH2CH3、-CH2CH2CH2OCH3、-CH2CH(OCH3)CH3、-CH2CH(CH2OCH3)CH3、-CH2CH2CH2CH2OCH3、-NH2、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-N(CH3)(CH2CH3)、-N(CH2CH3)2、-CH2NH2、-CH2NHCH3、-CH2N(CH3)2、-CH2NHCH2CH3、-CH2N(CH3)(CH2CH3)、-CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2NH2、-CH2CH2NHCH3、-CH2CH2N(CH3)2、-CH(CH3)N(CH3)2、CH2CH2NHCH2CH3、-CH2CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2NHCH3、-CH2CH2CH2N(CH3)2、-CH2CH(NH2)CH3、-CH2CH(CH2NH2)CH3、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2NHCH3及び-CH2CH2CH2CH2N(CH3)2を含むがこれらに限定されない。
好ましい実施形態では、R4は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから選択され、より好ましくは、シクロプロピルである。
式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、-C0~6アルキル-C3~6シクロアルキル、好ましくは-C0~3アルキル-C3~6シクロアルキル、より好ましくはC3~6シクロアルキルであり、ここで、シクロアルキルは、上記で記載した通りのR4のシクロアルキルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、-O-C0~6アルキル-C3~6シクロアルキル、好ましくは-O-C0~3アルキル-C3~6シクロアルキル及びより好ましくは-O-C3~6シクロアルキルであり、ここで、シクロアルキルは、上記で記載した通りのR4のシクロアルキルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、-NH-C0~6アルキル-C3~6シクロアルキル、好ましくは-NH-C0~3アルキル-C3~6シクロアルキル及びより好ましくは-NH-C3~6シクロアルキルであり、ここで、シクロアルキルは、上記で記載した通りのR4のシクロアルキルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4は、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-4~6員ヘテロシクロアルキル、好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む4~6員ヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されている。具体的な実施形態では、例示的な置換基は、F、Cl、Br、I、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH3、-CH2CH(CH3)CH3、-CH2CH2CH2CH3、-C(CH3)(CH3)(CH3)、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、-CH(CF3)CH3、-CH2CH(CF3)CH3、-CH2CH2CH2CF3、-C(CF3)(CH3)(CH3)、-CH2OH、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH、-CH2CH(OH)CH3、-CH2CH(CH2OH)CH3、-CH2CH2CH2CH2OH、-C(CH2OH)(CH3)(CH3)、-OH、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、-OCH(CH3)(CH3)、-CH2OCH3、-CH2OCH2CH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2OCH2CH3、-CH2CH2CH2OCH3、-CH2CH(OCH3)CH3、-CH2CH(CH2OCH3)CH3、-CH2CH2CH2CH2OCH3、-NH2、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-N(CH3)(CH2CH3)、-N(CH2CH3)2、-CH2NH2、-CH2NHCH3、-CH2N(CH3)2、-CH2NHCH2CH3、-CH2N(CH3)(CH2CH3)、-CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2NH2、-CH2CH2NHCH3、-CH2CH2N(CH3)2、-CH(CH3)N(CH3)2、CH2CH2NHCH2CH3、-CH2CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2NHCH3、-CH2CH2CH2N(CH3)2、-CH
2CH(NH2)CH3、-CH2CH(CH2NH2)CH3、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2NHCH3及び-CH2CH2CH2CH2N(CH3)2を含むがこれらに限定されない。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4中の4~6員ヘテロシクロアルキルは、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル及び3-ピロリジニル)、テトラヒドロフリル(例えば、1-テトラヒドロフリル、2-テトラヒドロフリル及び3-テトラヒドロフリル)、テトラヒドロチオフェニル(例えば、1-テトラヒドロチオフェニル、2-テトラヒドロチオフェニル及び3-テトラヒドロチオフェニル)、ピペリジニル(例えば、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル及び4-ピペリジニル)、テトラヒドロピラニル(例えば、4-テトラヒドロピラニル)、テトラヒドロチオピラニル(例えば、4-テトラヒドロチオピラニル)、モルホリニル(例えば、モルホリノ)、チオモルホリル、ジオキサニル又はピペラジニルから選択される。
好ましい一実施形態では、R4は、
Figure 2023547522000026
から選択され、最も好ましくは、R4は、
Figure 2023547522000027
から選択される。
式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~6アルキル-4~6員ヘテロシクロアルキル、好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-4~6員ヘテロシクロアルキル、より好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む4~6員ヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロシクロアルキルは、上記で記載した通りのR4のヘテロシクロアルキルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-O-C0~6アルキル-4~6員ヘテロシクロアルキル、好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-O-C0~3アルキル-5~6員ヘテロシクロアルキル、より好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む4~6員ヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロシクロアルキルは、上記で記載した通りのR4のヘテロシクロアルキルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-NH-C0~6アルキル-4~6員ヘテロシクロアルキル、好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-NH-C0~3アルキル-5~6員ヘテロシクロアルキル、より好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む4~6員ヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロシクロアルキルは、上記で記載した通りのR4のヘテロシクロアルキルのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4は、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-5~6ヘテロアリール、好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む5~6ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されている。具体的な実施形態では、例示的な置換基は、F、Cl、Br、I、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH3、-CH2CH(CH3)CH3、-CH2CH2CH2CH3、-C(CH3)(CH3)(CH3)、-CH2F、-CHF2、-CF3、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、-CH(CF3)CH3、-CH2CH(CF3)CH3、-CH2CH2CH2CF3、-C(CF3)(CH3)(CH3)、-CH2OH、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH、-CH2CH(OH)CH3、-CH2CH(CH2OH)CH3、-CH2CH2CH2CH2OH、-C(CH2OH)(CH3)(CH3)、-OH、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、-OCH(CH3)(CH3)、-CH2OCH3、-CH2OCH2CH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2OCH2CH3、-CH2CH2CH2OCH3、-CH2CH(OCH3)CH3、-CH2CH(CH2OCH3)CH3、-CH2CH2CH2CH2OCH3、-NH2、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-N(CH3)(CH2CH3)、-N(CH2CH3)2、-CH2NH2、-CH2NHCH3、-CH2N(CH3)2、-CH2NHCH2CH3、-CH2N(CH3)(CH2CH3)、-CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2NH2、-CH2CH2NHCH3、-CH2CH2N(CH3)2、-CH(CH3)N(CH3)2、CH2CH2NHCH2CH3、-CH2CH2N(CH2CH3)2、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2NHCH3、-CH2CH2CH2N(CH3)2、-CH2CH(NH2)CH3
、-CH2CH(CH2NH2)CH3、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2NHCH3及び-CH2CH2CH2CH2N(CH3)2を含むがこれらに限定されない。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4中の5~6員ヘテロアリールは、ピロリル、フリル、チオフェニル、イミダゾリル、フラザニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキソトリアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル及びトリアジニルから選択される。
好ましい一実施形態では、R4は、
Figure 2023547522000028
から選択される。最も好ましくは、R4は、
Figure 2023547522000029
から選択される。
式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~6アルキル-5~6員ヘテロアリール、好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-5~6員ヘテロアリール、より好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、上記で記載した通りのR4のヘテロアリールのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-O-C0~6アルキル-5~6員ヘテロアリール、好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-O-C0~3アルキル-5~6員ヘテロアリール、及びより好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、上記で記載した通りのR4のヘテロアリールのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。式(I)の化合物の一実施形態では、-X-R4は、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-NH-C0~6アルキル-5~6ヘテロアリール、好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-NH-C0~3アルキル-5~6ヘテロアリール、及びより好ましくはN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む5~6ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、上記で記載した通りのR4のヘテロアリールのための実施形態、好ましい又はより好ましい実施形態について記されている通りの意味を有する。
式(I)の化合物の一実施形態では、R4上の置換基としての-(CRcRc)0~6-SRc、-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-ORc、-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-N(Rc)2は、それぞれ好ましくは-(CRcRc)0~6-SRc、-(CRcRc)0~6-ORc、-(CRcRc)0~6-N(Rc)2、及びより好ましくは-(CRcRc)0~3-SRc、-(CRcRc)0~3-ORc、-(CRcRc)0~3-N(Rc)2である。
式(I)の化合物の一実施形態では、Eは、ハロゲン及びより好ましくはFである。
式(I)の化合物の一実施形態では、Eは-O-Rdであり、ここで、Rdは、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、好ましくはC1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチル等であるがこれらに限定されない。
式(I)の化合物の一実施形態では、R5
Figure 2023547522000030
であり、式中、Z、G、Y、B、Dのうちの最大2つはCではない。例示的なR5は、
Figure 2023547522000031
を含むがこれらに限定されない。
好ましい一実施形態では、R5
Figure 2023547522000032
であり、式中、Z、Y、B、Dのうちの最大2つはCではない。例示的なR5は、
Figure 2023547522000033
Figure 2023547522000034
を含むがこれらに限定されない。より好ましい一実施形態では、R5
Figure 2023547522000035
であり、最も好ましくは、R5
Figure 2023547522000036
である。
好ましい一実施形態では、R5
Figure 2023547522000037
であり、より好ましくは
Figure 2023547522000038
である。
式(I)の化合物の一実施形態では、R6、R7及びR8の少なくとも1つは、ハロゲン、好ましくはFである。より好ましい一実施形態では、R6はFであり、R7及びR8はHである。
式(I)の化合物の一実施形態では、R6、R7及びR8の少なくとも1つは、ハロゲン置換されているC1~6アルキル、好ましくは-CF3である。
式(I)の化合物の一実施形態では、Rcは、H又はC1~6アルキルである。
本開示は、式(II)の化合物、その異性体、薬学的に許容される塩又は溶媒和物
Figure 2023547522000039
[式中、R1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、A、E、Rbはそれぞれ式(I)の化合物について上記で定義した通りである]
も提供する。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、
Aは、C-Ra又はNから選択され、ここで、Raはハロゲンから選択され、
R1、R2及びR3は、H、ハロゲン又はC1~6アルキルからそれぞれ独立して選択され、
Rbは、各出現において、H、ハロゲン、CN、又はハロゲン若しくはCNによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択され、
Xは、結合、-O-又は-NH-から選択され、
R4は、H、ハロゲン、C1~6アルキル、-C0~3アルキル-C6~10アリール、-C0~3アルキル-C3~8シクロアルキル、-C0~3アルキル-C3~8シクロアルケニル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-3~8ヘテロシクロアルキル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-3~8ヘテロシクロアルケニル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-5~10ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル及びヘテロアリールは、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc、-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されており、ここで、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成し、
Rcは、各出現において、H、又はハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択され、
Eは、ハロゲン、-O-Rd又は-N(Rd)2-から選択され、ここで、Rdは、H、又はハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択され、
R6、R7及びR8は、H、ハロゲン、及びハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルからそれぞれ独立して選択される、
又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、AはC-Raであり、ここで、Raは、F又はClから選択され、好ましくはClである。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、RbはHである。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、RbはHではなく、1個のRb又は2個のRbのいずれかが存在する。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、-X-R4はHである。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、-X-R4はHではない。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、R6、R7及びR8の少なくとも1つは、ハロゲン、好ましくはFであり;より好ましくは、R6はFであり、R7及びR8はHである。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、Eは、ハロゲン及び好ましくはFである。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、Eは-O-Rdであり、ここで、Rdは、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、好ましくはC1~6アルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチル等を含むがこれらに限定されない。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、R4は、H、ハロゲン、C1~6アルキル、フェニル、C3~6シクロアルキル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む4~6員ヘテロシクロアルキル及びN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールは、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されており、ここで、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成する。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、R4は、ハロゲン、好ましくはF又はClから選択される。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、R4は、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されているC1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等から選択される。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、R4は、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2によって場合により置換されている、フェニルから選択される。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、R4は、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されている、C3~6シクロアルキルから選択される。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、R4は、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む4~6員ヘテロシクロアルキルから選択され、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されている。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、R4は、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されている。
上記の実施形態のそれぞれでは、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成する。
式(II)の化合物の好ましい一実施形態では、Rcは、各出現において、H又はC1~6アルキルから独立して選択される。
本開示は、R1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、A、E及びRbがそれぞれ、式(I)の化合物について上記で記されている実施形態、好ましい、より好ましい又は最も好ましい実施形態における意味を有する、式(II)の化合物の実施形態も提供する。
本開示の化合物は、上記の独立した実施形態又は具体的な実施形態のそれぞれを網羅し、上記で言及した種々の実施形態又は具体的な実施形態の任意の組合せ又はサブ組合せによって生じる実施形態も網羅し、上記の好ましい又は例示的な実施形態のいずれかの任意の組合せによって生じる実施形態も網羅することに留意すべきである。
本開示の化合物の具体的な実施形態は、以下の具体的な化合物又はそれらの異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
Figure 2023547522000040
Figure 2023547522000041
Figure 2023547522000042
Figure 2023547522000043
を含む。
上記で定義した化合物又はそれらの種々の具体的な実施形態は、Ras突然変異、特にKRas突然変異の阻害剤であり、これは、コドンG12、G13及びQ61上での突然変異、例えば、G12C突然変異、G12D突然変異、G13D突然変異を含む。本開示の化合物、特に本明細書における具体例は、以下の活性例に示す通り、Ras変異した、特にKRas G12C変異した細胞に対する細胞アッセイにおいて増殖阻害活性を示す。したがって、本開示の化合物を使用して、Ras突然変異、好ましくはKRas突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患、例えば、Ras突然変異、好ましくはKRas突然変異、最も好ましくはKRas G12C突然変異を阻害することによって治療され得る疾患若しくは状態、又はRas突然変異、好ましくはKRas突然変異、最も好ましくはKRas G12C突然変異活性が役割を果たす若しくは関与する疾患若しくは状態を治療する又は予防すること、とりわけ、Ras突然変異、好ましくはKRas突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異を阻害することによって腫瘍又はがんを治療する又は予防することができる。
KRas G12C突然変異に対する阻害活性を示すことに加えて、本開示の一部の化合物はKRas G12D突然変異に対する阻害活性も示し、その他はKRas G13D突然変異に対する阻害活性を示す。
Ras突然変異及び好ましくはKRas突然変異に対する阻害活性を示すことに加えて、本開示で定義される化合物及びそれらの種々の具体的な実施形態、とりわけ例示的な化合物は、先行技術における既存のKRas変異体タンパク質阻害剤と比較して、改善されたそれらの構造パターンにより、KRas変異体タンパク質及び関連するがん細胞増殖に対する同等の若しくは増強された、又はさらには有意に増強された阻害活性を保持し;異なる生物学的活性プロファイルを有し、新たな症状に使用され得;より良好な薬物動態特性をもたらす改善された代謝安定性を有し;良好な創薬可能性、例えば、インビボでのより簡単な吸収等をもたらす改善された物理化学的特性を有する。
上記を踏まえて、本開示は、以下の態様において技術的解決法も提供する。
一態様では、本開示は、医薬として使用するための、化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を提供する。
別の態様では、本開示は、Ras突然変異、好ましくはKRas突然変異によって媒介される疾患を治療する及び/又は予防するための化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を提供する。
医薬組成物及びその使用
別の態様では、本開示は、上記で定義した通りの式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、及び医薬担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本開示の医薬組成物は、Ras突然変異、特にKRas突然変異、例えば、KRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異によって媒介される疾患、例えば、腫瘍又はがんを治療する又は予防するために使用され得る。
本開示の医薬組成物は、当業者に公知の技法、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences第20版で開示されているものによって製剤化され得る。
本開示の医薬組成物の投与及び適用は、医学行動規範に従う。この文脈において考慮すべき要因は、治療される具体的な障害、治療される具体的な哺乳動物、個々の患者の臨床状況、障害の原因、作用物質送達の場所、投与方法、投与の管理、及び内科医に周知である他の要因を含む。本開示の医薬組成物の最適な用量レベル及び投与頻度は、製薬分野において必要とされる臨床試験によって決定されることになる。典型的には、例えば、経口的に投与される日用量は、単回用量(single dose)又は分割用量(divided doses)として投与される、患者の体重1kg当たりおよそ0.001mg~およそ100mg、通例は体重1kg当たり0.01mg~およそ50mg、例えば、体重1kg当たり0.1~10mg、好ましくは体重1kg当たりおよそ0.01~およそ35mgの範囲に及ぶ。70kgのヒト対象では、好適な用量は、およそ0.07~およそ7000mg/日、好ましくはおよそ0.7~およそ2500mg/日の範囲に及ぶ。一部の事例ではこれらの限度を超えた用量を使用することが必要な場合があることが理解されるべきである。
本開示の組成物は、経口、局所(口腔及び舌下を含む)、経直腸、経膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内、吸入、並びに硬膜外及び鼻腔内、並びに局所療法が必要とされるならば病巣内を含む任意の好適な方式で投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下投与を含む。一部の実施形態では、経口投与が使用される。
本開示の組成物は、任意の好都合な形態、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、キャンディー剤、顆粒剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、スプレー剤、坐剤、ゲル剤、乳剤、パッチ剤等で投与され得る。組成物は、医薬製剤中に従来の成分、例えば、希釈剤(例えば、グルコース、ラクトース又はマンニトール)、担体、pH調整剤、緩衝剤、甘味料、充填剤、安定剤、界面活性剤、保湿剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、酸化防止剤、乳白剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、香味剤、他の公知の添加物及び他の作用物質を含有してもよい。好適な担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、例えば、Ansel, Howard C.ら、Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia: Lippincott、Williams& Wilkins、2004において詳述されている。
治療方法及び使用
上記で言及した通り、本開示の式(I)又は式(II)の化合物及び種々の具体的な実施形態の化合物、特に実施例において具体的に調製される及び特徴付けられるものは、Ras突然変異、特にKRas突然変異、例えば、KRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異に対して阻害効果を示す。
したがって、一態様では、本開示は、細胞におけるRas突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異を抑制する方法であって、細胞を、本開示の式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と接触させて、細胞におけるRas突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異を抑制するステップを含む方法を提供する。
同じ特性に基づき、本開示は、哺乳動物において異常な細胞成長を阻害する方法であって、哺乳動物に、治療有効量の本開示の式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、或いは本開示の式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法を対応して提供する。
別の態様では、本開示は、Ras突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患の治療及び/又は予防のための方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本開示の式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、或いは本開示の式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
別の態様では、本開示は、細胞におけるRas突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D若しくはKRas G13D突然変異、最も好ましくはKRas G12C突然変異を阻害するため、又は哺乳動物において異常な細胞成長を阻害するため、又はRas突然変異、とりわけKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D若しくはKRas G13D突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患を治療する及び/若しくは予防するための、本開示の式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、或いは式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本開示は、Ras突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患の治療及び/又は予防のための医薬の製造における、本開示の式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、或いは式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組成物の使用を提供する。
本開示によって提供される各方法及び使用の技術的解決法では、Ras突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される前記異常な細胞成長又は疾患は、特にがん又は腫瘍を指す。がん又は腫瘍の例は、肺がん、肺腺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚若しくは眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、大腸がん、乳がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、膣がん、外陰がん、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、慢性若しくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓若しくは尿管がん、腎細胞がん、腎盂がん、中枢神経系腫瘍(CNS)、原発性CNSリンパ腫、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫又は下垂体腺腫を含むがこれらに限定されない。
本開示によって提供される各方法及び使用の技術的解決法では、Ras突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異によって媒介される前記異常な細胞成長又は疾患は、好ましくは肺腺がん、肺がん、大腸がん、直腸がん、膵臓がん、胆管がん、子宮内膜がん、卵巣がん、白血病から;及び最も好ましくは肺腺がん、大腸がん、直腸がん、膵臓がん、胆管がんから選択される。
したがって、この点において好ましい一実施形態では、本開示は、KRas-G12C突然変異を阻害することによって、がん又は腫瘍を治療する又は予防する上記の方法及び使用の技術的解決法を提供する。さらなる好ましい一実施形態では、本開示は、KRas-G12C突然変異を阻害することによって、肺腺がん、大腸がん、直腸がん、膵臓がん及び胆管がんを治療する又は予防する上記の方法及び使用の技術的解決法を提供する。
医薬組合せ
本開示の化合物は、唯一の活性成分として又は別の薬物若しくは療法と組み合わせて投与され得る。
故に、別の態様では、本開示は、本開示の式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物及び他の活性剤を含む又はそれらからなる医薬組合せを提供する。この医薬組合せは、哺乳動物において異常な細胞成長を阻害するため、又はRas突然変異、好ましくはKRas突然変異によって媒介される疾患を治療する及び/若しくは予防するために使用される。
他の活性剤は、1種以上の追加の本開示の化合物であってもよく、又は互いに悪影響を及ぼさない若しくは相補的な活性を有する本開示の化合物に適合する第2の若しくは他の(例えば、第3の)化合物であってもよく、例えば、これらの活性剤は、他の生理活性経路を調節することが公知である化合物であってもよく、又は本開示の化合物に関与する生理活性経路の異なる成分を調節する化合物であってもよく、又はさらには本開示の化合物の生物学的標的と重複してもよい。
具体的な実施形態では、本開示の化合物と組み合わされ得る他の活性剤は、化学療法剤、治療用抗体及び放射線療法、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗物質、細胞周期阻害剤、***阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗ホルモン薬、血管新生阻害剤、細胞毒性剤を含むがこれらに限定されない。
本開示と組み合わせて使用される他の活性剤は、本開示の化合物と同時に、別個に又は順次に、同じ又は異なる投与ルートによって投与され得る。他の活性剤は、本開示の化合物と一緒に単一の医薬組成物で、又は本開示の化合物とは異なる個別の(discrete)単位、例えば組合せ製品(combination product)で別個に、好ましくはキットの形態で投薬されてもよく、別個に投与される場合には同時に又は連続的に行われてもよく、連続投与は、時間的に近くても遠くてもよい。それらは、同じ又は異なる製造業者によって調製及び/又は製剤化され得る。その上、本開示の化合物及び他の活性剤は、(i)組合せ物を医師に送達する前に(例えば、本開示の化合物及び他の薬物を含有するキットの事例において)、(ii)投与の直前に医師によって(又は医師の指導の下で)、(iii)例えば本開示の化合物及び他の活性剤の順次投与中に患者自身によって、組合せ療法に追加され得る。
本開示の化合物を、外科手術、放射線療法、移植(例えば、幹細胞移植、骨髄移植)、腫瘍免疫療法及び化学療法を含むがこれらに限定されない抗腫瘍療法と組み合わせてもよい。
故に、別の態様では、本開示は、本開示の式(I)若しくは式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を少なくとも1つ含有する2種以上の別個の医薬組成物、及びそれぞれそのような組成物を含有するデバイス、例えば、容器、サブボトル又は個別の(discrete)ホイル小包、例えば、錠剤、カプセル剤等を包装するブリスターパックを含むキットも提供する。本開示のキットは、異なる剤形、例えば、経口及び非経口剤形の投与に、又は異なる組成物の異なる投薬間隔での投与に特に好適である。
本開示の医薬組成物、医薬組合せ又はキットの技術的解決法では、Ras突然変異、特にKRas突然変異、好ましくはKRas G12C、KRas G12D又はKRas G13D突然変異及び最も好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される異常な細胞成長又は疾患は、本開示の方法及び使用について上記で定義した通りである。
本開示の化合物、医薬組成物、方法、使用、医薬組合せ及びキットでは、上記で言及した通りの式(II)の化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、並びにより好ましくは式(II)の具体的な実施形態で定義される通りの化合物及び上記で挙げた通りの具体的な化合物、すなわち化合物1~25が好ましい。
本開示において薬物又はその薬学的に許容される塩の用量について記載する場合には、用量が塩、水和物又は溶媒和物の重量に基づくことを本明細書が明言しているのでない限り、この用量は、遊離塩基の重量に基づき、その水和物又は溶媒和物のいずれも含まないことが理解される。
本開示の化合物の調製
別の態様では、本開示は、本明細書で定義される通りの化合物を調製する方法を提供する。
本開示の式(I)及び式(II)の化合物又はその異性体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、以下に記される方法、実施例に記される方法又は同様の方法を含む様々な手法で調製され得る。以下は、本開示の化合物の合成のための一般合成スキームを例証するものである。
各一般合成スキームの各反応ステップのための好適な反応条件は、当業者に公知であり、日常的に決定され得る。本開示の化合物を合成するために使用されるプロセスステップは、それ自体が公知の反応条件(具体的に言及されているものを含む)下、溶媒又は希釈剤(例えば、使用されている試薬に対して不活性であり、使用されている試薬を溶解する溶媒又は希釈剤を含む)の非存在下又は通例は存在下、触媒、縮合剤又は中和剤(例えばイオン交換体、例えばカチオン交換体、例えばH+形態)の非存在下又は存在下、反応及び/又は反応物質の特性に応じて、減温、常温又は昇温(例えば約-100℃~約190℃、例えば約-78℃~約150℃、例えば約0℃~約125℃、室温、-20℃~40℃又は還流温度を含む)で、大気圧下又は密閉容器内、適切な場合には圧力下、並びに/或いは不活性雰囲気、例えば、アルゴン又は窒素中であることができる。
使用される化合物の反応性に応じて、上記の反応は、通常、室温及び使用される溶媒の沸騰温度の間の温度で行われることになる。
これらの化合物の調製において使用される原材料及び試薬は、概して市販されているか、又は以下に記載する方法、以下に記されるものと同様の方法若しくは当技術分野において公知の方法によって調製され得る。
方法の記載において別段の定めがない限り、任意の特定の反応に好適な溶媒は、具体的に言及されているもの、又は、例えば、水;エステル、例えば、低級アルカン酸低級アルキルエステル、例えば、酢酸エチル;エーテル、例えば、脂肪族エーテル、例えば、ジエチルエーテル、又は環状エーテル、例えば、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン;液体芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン又はトルエン;アルコール、例えば、メタノール、エタノール又は1-若しくは2-プロパノール;ニトリル、例えば、アセトニトリル;ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン又はクロロホルム;アミド、例えば、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジン-2-オン又はジメチルアセトアミド;塩基、例えば、複素環式窒素塩基、例えば、ピリジン又はトリエチルアミン;カルボン酸無水物、例えば、低級アルカン酸無水物、例えば、無水酢酸;環式、直鎖状又は分枝鎖状炭化水素、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン又はイソペンタン;又はこれらの溶媒の混合物、例えば、水溶液を含む。そのような溶媒混合物を、例えばクロマトグラフィー又は分配によるワークアップに使用することもできる。
必要ならば、合成反応プロセスにおける原材料及び中間体は、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含むがこれらに限定されない従来の技法によって分離及び精製され得る。中間体及び最終生成物が固体形態で取得される場合、再結晶又は時効によって精製を実施してもよい。材料を、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の手段によって特徴付けることができる。
反応混合物を、従来の技法によって、例えば水と混合し、相を分離することによってワークアップすることができ、必要ならば、粗生成物をクロマトグラフィーによって精製することができる。
当業者ならば、式(I)及び式(II)に立体中心があるか否かを認識するであろう。反応のすべての段階で、得られた異性体の混合物を、個々の異性体、例えば、ジアステレオマー若しくはエナンチオマーに、又は異性体の任意の所望の混合物、例えば、ジアステレオマーのラセミ体若しくは混合物に分離することができ、例えば、「Stereochemistry of Organic Compounds」、E.L. Eliel、S. H. Wilen及びL.N. Mander著(Wiley-Interscience、1994)を参照されたい。
一部の具体的な事例では、式(I)又は式(II)において存在し得、他の反応性基との副反応により、反応と競合又はそれに干渉し得る具体的な反応性基を、適切な保護基を使用して保護することが必要な場合がある。ほんの一例として、式(I)又は式(II)の化合物中の1つ以上の基が、基C(O)OH、NH2又はOHであるか又はそれらを含有し、該基が所望の反応位置と同様又はそれよりもさらに強い反応性を有する場合、所望の反応が起こる前にこれらの基を保護することが有利である。これらの事例では、所望の反応が完了した後にこれらの保護基を除去するために、追加の脱保護ステップが必要な場合がある。好適な保護基並びに異なる置換基を保護する及び脱保護するためのそのような好適な保護基の使用は、当業者に周知であり、例は、T. W. Greene及びP. G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis (第3版)、John Wiley & Sons、NY (1999)において見ることができる。
本開示は、上記で記載した調製方法及び以下のプロセスにおける任意のステップのそれぞれにおいて中間体の形態で取得され得る化合物が出発材料として使用され、残りのプロセスステップが行われる調製方法、或いは、出発材料が反応条件下、インサイチュで形成されるか、又は誘導体の形態で、例えば保護形態若しくは塩形態で使用されるか、又は本開示の方法に従って取得可能な化合物が該方法の条件下で生成され、インサイチュでさらに加工される調製方法にも関する。
合成スキームI:
本開示の化合物は、以下の例示的なスキームに従って又は類似的に調製することができ、ここで、可変要素は、別段の定めがなければ、上記で定義した通りである。
Figure 2023547522000044
式(I)又は式(II)の化合物は、本開示における合成スキームIを通して調製される。化合物2は、ステップAにおける芳香族化合物1の塩素化によって取得される。化合物3は、ステップBにおけるメチル-エステル化によって取得され、続いて、ステップCにおけるアミノ及び酸の縮合により、化合物4を取得する。化合物4を塩基性条件下で環化して、化合物5を得、次いでこれを塩素化して、中間体Int Aを得る。主要中間体Int Aを、塩基性条件下、単一の保護基を有するピペラジン又はピペラジン誘導体との求核置換反応に供して、中間体Int Bを得る。Int Bにより、芳香族求核置換(X=Oである場合)又は金属触媒カップリング(X=直接結合である場合)を介して、化合物6を得る。ステップHにおいて、触媒カップリング反応を介してR5基(保護基を持つ)を化合物6に導入して、化合物7を得る。化合物7を脱保護して化合物8を得、これを塩化アシル又はカルボン酸でアシル化して、一般式Iの化合物を得る。
スキームIに関与する塩素化、エステル化、縮合、環化、求核置換、触媒カップリング及びアシル化反応に使用される典型的な反応条件及び試薬は、当技術分野において周知であり、当業者にとって従来の慣習の範囲内にあるか、又は当技術分野におけるそのような反応のための典型的な条件、使用される出発材料及び標的生成物の特徴に基づき、好適な修正を加えて、当業者によって決定され得る。
合成スキームII:
-X-R4をHとして持つ本開示の化合物は、以下の例証的な一般スキームに従って合成され得る。
Figure 2023547522000045
スキーム2では、化合物Int Bを触媒還元によって脱塩素化して中間体Int Cを得、これにスキームIにおいて例証されているのと同じ反応ステップH、I、Jを受けさせて、-X-R4をHとして持つ化合物を得る。
合成スキームIII:
AをNとして持つ本開示の化合物は、以下の例証的な一般スキームに従って合成され得る。
Figure 2023547522000046
このスキームでは、化合物11にヨウ素化を受けさせて化合物12を得、これをさらに金属触媒カルボニル化反応に供して化合物13を得る。化合物13から出発し、スキームIにおける同じステップC~Jを実施して、AをNとして持つ本開示の化合物を得る。
合成スキームIV:
AがNであり、-X-R4がHである本開示の化合物は、以下の例証的な一般スキームに従って合成され得る。
Figure 2023547522000047
このスキームでは、中間体Int Eから出発し、スキームIIと同じプロセスを実施して、AがNであり、-X-R4がHである本開示の化合物を合成する。
上記の合成スキームI、II、III及びIVでは、
Figure 2023547522000048
はピペラジン環を表し、関与する各反応のための典型的な反応条件は、当技術分野において周知であり、当業者にとって従来の慣習の範囲内にあるか、又は当技術分野におけるそのような反応のための典型的な条件、使用される出発材料及び標的生成物の特徴に基づき、好適な修正を加えて、当業者によって決定され得る。
合成例
本発明について実施例と併せて以下でさらに記載する。以下の実施例は例証的なものであり、本発明の保護範囲を限定するものとみなすべきではないことに留意すべきである。
この後の実施形態及び具体例の記載において、以下の略語が使用される:
Boc(tert-ブトキシカルボニル)、n-BuLi(n-ブチルリチウム)、t-BuOK(カリウムtert-ブトキシド)、CDCl3(ジュウテロクロロホルム)、DCM(ジクロロメタン)、DIEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)、DME(エチレングリコールジメチルエーテル)、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMSO-d6(ヘキサジュウテリオジメチルスルホキシド)、EA(酢酸エチル)、EDTA-K2(エチレンジアミン四酢酸二カリウム)、EtOH(エタノール)、FCC(フラッシュカラムクロマトグラフィー)、g(グラム)、h(時間)、HATU(2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、HCl(塩化水素)、HLM(ヒト肝ミクロソーム)、H2O(水)、H2SO4(硫酸)、IV(静脈内投与)、K2CO3(炭酸カリウム)、KOH(水酸化カリウム)、LCMS(LC-MS)、LC-MS/MS(LC-MS-MS)、MeCN(アセトニトリル)、MeOH(メタノール)、メタノール-d4(テトラジュウテロメタノール)、mg(ミリグラム)、MHz(メガヘルツ)、min(分)、mL(ミリリットル)、mmol(ミリモル)、m/z(質量/電荷)、N2(窒素)、NaCl(塩化ナトリウム)、NaH(水素化ナトリウム)、NaHCO3(重炭酸ナトリウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、Na2SO3(亜硫酸ナトリウム)、Na2SO4(硫酸ナトリウム)、NCCH2CO2H(2-シアノ酢酸)、NCS(クロロコハク酸イミド)、NH4Cl(塩化アンモニウム)、NIS(ヨードコハク酸イミド)、NMI(N-メチルイミダゾール)、NMP(N-メチルピロリドン)、NMR(核磁気共鳴)、Pd/C(パラジウム炭素)、Pd2(dba)3(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム)、Pd(dppf)Cl2(1,1'-ビスジフェニルホスフィノフェロセンパラジウムジクロリド)、Pd(PPh3)4(テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム)、PE(石油エーテル)、PEG(ポリエチレングリコール)、PO(経口投与)、POCl3(オキシ塩化リン)、r.t.(室温)、SiO2(シリカゲル)、TCFH(N,N,N',N'-テトラメチルクロロホルムアミジンヘキサフルオロホスフェート)、TEA(トリエチルアミン)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、TLC(薄層クロマトグラフィー)、TsOH(p-トルエンスルホン酸)、TsOH.H2O(p-トルエンスルホン酸一水和物)、μL(マイクロリットル)、μM(マイクロモル濃度)、μmol(マイクロモル)、v/v(液体体積比)、w/w(質量比)、キサントホス(4,5-ビス-ジフェニルホスフィン-9,9-ジメチルキサンテン)。
合成された化合物の名称及び構造は、以下の実施形態に記される。名称及び構造の間のいかなる逸脱も意図的ではなく、この事例では、構造が決定的である。
以下の実施例において具体的な条件が指し示されていない実験方法は、通例は、この種の反応のための従来の条件又は製造業者によって推奨される条件に準拠する。別段の指定がない限り、パーセンテージ及び部は、重量パーセンテージ及び重量部である。別段の指定がない限り、液体の比は体積によるものである。
別段の指定がない限り、以下の実施例で使用される実験材料及び試薬は、商業チャネルから取得するか、先行技術の方法に従って調製するか、又は本出願で開示されるものと同様の方法に従って調製することができる。
以下の実施例では、1H-NMRスペクトルをBruker(400MHz)で記録し、化学シフトを重溶媒ピーク(CDCl3:δ=7.26ppm、CD3OD:δ=3.31ppm、DMSO-d6:δ=2.50ppm)と比べたδ(ppm)で表現し、質量分析をAglient 1100液体クロマトグラフィー+Aglient G6100質量分析LCMS計器で記録した。
中間体aの合成
Figure 2023547522000049
(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾチアゾール-4-イル)ボロン酸
Figure 2023547522000050
ステップA: N-((2-ブロモ-5-フルオロフェニル)カルバモチオイル)ベンズアミド
ベンゾイルイソチオシアネート(28g、210mmol)を、磁気撹拌棒付きの丸底フラスコ中、THF(300mL)に溶解した。氷浴中で冷却した後、THF(100mL)中の2-ブロモ-5-フルオロアニリン(40g、210mmol)の溶液を、撹拌しながらシステムに滴下添加した。添加が完了した後、撹拌を1時間にわたって続けた。LCMSは反応が完了したことを示した。減圧下での濃縮により、粗生成物を得、これを次のステップにおいて直接使用した。LCMS (m/z): 353.1 (M + H).
ステップB: 1-(2-ブロモ-5-フルオロフェニル)チオ尿素
THF(300mL)中のN-((2-ブロモ-5-フルオロフェニル)カルバモチオイル)ベンズアミド(ステップAからの粗製物)の溶液に、水(150mL)中のNaOH(16.8g、420mmol)の溶液を室温で撹拌しながら添加し、80℃に加熱し、16時間にわたって反応させた。減圧下で濃縮後、得られた残留物をEA(200mL)で希釈し、水(150mL)で洗浄した。有機相及び水相を分離し、次いで、水相をEAで2回抽出した(100mL×2)。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、粗製物を得、これを石油エーテル(200mL)に懸濁させ、濾過して、1-(2-ブロモ-5-フルオロフェニル)チオ尿素(40g、収率77%)を白色固体として得た。LCMS (m/z): 249.0, 251.0 (M + H).
ステップC: 4-ブロモ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-アミン臭化水素酸塩
クロロホルム(70mL)中の臭素(23g、141mmol)の溶液に、クロロホルム(300mL)中の1-(2-ブロモ-5-フルオロフェニル)チオ尿素(35g、141mmol)の氷***液をゆっくりと滴下添加した。添加が完了した後、氷浴を除去し、反応物を70℃に加熱し、48時間にわたって反応させた。反応が完了し、減圧下で濃縮し、EA(100mL)に懸濁させ、濾過して、4-ブロモ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-アミン臭化水素酸塩(30.5g、収率66%)を白色固体として得た。LCMS (m/z): 247.0, 249.0 (M + H).
ステップD: tert-ブチル(4-ブロモ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-イル)カルバメート
DCM(60mL)中の二炭酸ジ-tert-ブチル(61g、280mmol)の溶液を、DCM(300mL)中の4-ブロモ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-アミン臭化水素酸塩(30g、93mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(14g、112mmol)の溶液に室温でゆっくりと添加した。反応を室温で3時間にわたって続け、LCMSにより反応の完了をモニターした。減圧下で濃縮後、反応物をEA(200mL)で希釈し、水(150mL)で洗浄した。有機相及び水相を分離し、次いで、水相をEAで2回抽出した(200mL×2)。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をPE/EA(20:1)に懸濁させ、濾過して、tert-ブチル(4-ブロモ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-イル)カルバメート(18g、収率56%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.29 (s, 1H), 7.54 (dd, J = 8.6, 4.8Hz, 1H), 6.94 - 6.81 (m, 1H), 1.52 (s, 9H). LCMS (m/z): 291.0, 293.0 (M + H).
ステップE: (2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾチアゾール-4-イル)ボロン酸
NaH(60%w/w、3g、75.6mmol)を、THF(200mL)中のtert-ブチル(4-ブロモ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-イル)カルバメート(17.5g、50.4mmol)の氷***液に窒素下で撹拌しながら添加した。混合物を同じ温度で追加で30分間にわたって撹拌し、次いで、-68℃のドライアイス/エタノール浴に移した。n-ブチルリチウム(30.2mL、75.6mmol、2.5M/THF)をゆっくりと添加し、10分間にわたって撹拌し、ホウ酸トリメチル(156g、151mmol)を添加し、得られた混合物を追加で30分間にわたって撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチし、EA(200mL)で希釈し、水(150mL)で洗浄し、水相及び有機相を分離し、水相をEAで2回抽出した(100mL×2)。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を石油エーテルに懸濁させ、濾過して、(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸(10.7g、収率68%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.25 (s, 1H), 8.50 (s, 2H), 7.84 (dd, J = 8.0, 6.4 Hz, 1H), 7.22 - 7.13 (m, 1H), 1.54 (s, 9H). LCMS (m/z): 313.2 (M + H).
中間体Int Aの合成
Figure 2023547522000051
7-ブロモ-2,4,6-トリクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000052
ステップA: 2-アミノ-4-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロ安息香酸
NCS(13.7g、102.6mmol)を、DMF(140mL)中の2-アミノ-4-ブロモ-3-フルオロ安息香酸(20g、85.5mmol)の溶液に室温で少量ずつ添加した。次いで、反応物を75℃に加熱し、この温度で20時間にわたって撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、700mLの氷水混合物に注ぎ入れた。得られた沈殿物を濾過によって収集し、水(500mL)及び石油エーテル(150mL)でそれぞれ洗浄し、真空下で乾燥させて、2-アミノ-4-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロ安息香酸(20g、収率87%)を淡黄色固体として得た。LCMS (m/z): 268.0 (M + H).
ステップB: メチル2-アミノ-4-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロベンゾエート
2-アミノ-4-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロ安息香酸(20g、74.5mmol)をメタノール(150mL)中に分散させた。氷水浴中で撹拌及び冷却しながら、塩化スルホキシド(50mL)を反応溶液に滴下添加した。添加が完了した後、反応混合物を反応のために65℃で20時間にわたって置いた。TLCにより反応が完了したことをモニターした。溶媒を濃縮乾固して、標的生成物メチル2-アミノ-4-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロベンゾエート(15.8g、収率75%)を得た。LCMS (m/z): 282.0 (M + H).
ステップC: メチル4-ブロモ-5-クロロ-2-(2-シアノアセトアミド)-3-フルオロベンゾエート
メチル2-アミノ-4-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロベンゾエート(15.8g、55.9mmol)、TCFH(18.8g、67.1mmol)及びシアノ酢酸(5.2g、61.3mmol)を、アセトニトリル(100mL)に室温で溶解し、N-メチルイミダゾール(6.7mL、83.9mmol)を撹拌しながら添加した。反応混合物を60℃に加熱し、20時間にわたって撹拌した。TLCにより反応が完了したことをモニターした。反応溶液を室温に冷却し、水(500mL)に注ぎ入れた。得られた白色沈殿物を濾過によって収集し、水(500mL)及びEA/PE(V/V=1:4、150mL)でそれぞれ洗浄し、真空下で乾燥させて、メチル4-ブロモ-5-フルオロ-2-(2-シアノアセトアミド)-3-フルオロベンゾエート(15g、収率76%)を白色固体として得た。LCMS (m/z): 349.0 (M + H).
ステップD: 7-ブロモ-6-クロロ-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシキノリン-3-カルボニトリル
化合物メチル4-ブロモ-5-クロロ-2-(2-シアノアセトアミド)-3-フルオロベンゾエート(6g、17.2mmol)をTHF(120mL)に分散させ、カリウムtert-ブトキシド(3.7g、32.6mmol)を氷浴中で撹拌しながら少量ずつ添加した。添加が完了した後、反応混合物を氷浴中で1時間にわたって撹拌した。LCMSにより反応が完了したことをモニターした。減圧下での蒸留によって溶媒を除去した後、反応物に水(200mL)を添加し、塩酸(水中1N)でpH=7に調整し、濾過して固体を収集した。固体を水(100mL)及び石油エーテル(150mL)で連続的に洗浄し、真空下で乾燥させて、7-ブロモ-6-クロロ-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシキノリン-3-カルボニトリル(5.4g、収率99%)を白色固体として得た。LCMS (m/z): 317.0 (M + H).
ステップE: 7-ブロモ-2,4,6-トリクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
化合物7-ブロモ-6-クロロ-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシキノリン-3-カルボニトリル(5.4g、17mmol)をオキシ塩化リン(100mL)に、室温で撹拌しながら分散させた。反応物を120℃に加熱し、24時間にわたって撹拌した。室温に冷却した後、混合物を真空下で濃縮して、オキシ塩化リンのほとんどを除去し、アセトニトリル(20mL)を添加した。アセトニトリル中の生成物の溶液を、水(250mL)にゆっくりと注ぎ入れ、黄色固体が沈殿した。固体を濾過によって収集し、水(200mL)及び石油エーテル(100mL)で連続的に洗浄し、真空下で乾燥させて、7-ブロモ-2,4,6-トリクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(5.4g、収率90%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 353.0 (M + H).
中間体Int B1の合成
Figure 2023547522000053
tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート
Figure 2023547522000054
THF(100mL)中の7-ブロモ-2,4,6-トリクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(中間体Int A、7.8g、22mmol)の溶液に、DIEA(7.3mL、44mmol)及びtert-ブチル(R)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(4.4g、22mmol)を室温で撹拌しながら連続的に添加した。得られた混合物を室温で1時間にわたって撹拌し続けた。反応が完了した後、反応物をロータリーエバポレーターによって濃縮して粗生成物を得、これをPE/THF混合溶媒(V/V=10:1、500mL)で洗浄して、tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(9.0g、収率79%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 519.2 (M + H).
中間体Int B2の合成
Figure 2023547522000055
tert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
中間体Int B2は、tert-ブチル(R)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレートの代わりにtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートを使用し、中間体Int B1に記載した通りの手順を参照することによって合成した。LCMS (m/z): 503.2 (M + H).
中間体Int C1の合成
Figure 2023547522000056
tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート
Figure 2023547522000057
磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体Int B1、206mg、0.4mmol)、Pd(PPh3)4(23mg、20μmol)、ギ酸(55mg、1.2mmol)及びトリエチルアミン(80.5mg、0.8mmol)を添加し、窒素で3回パージし、DMF(4mL)を添加した。反応物を50℃に加熱し、6時間にわたって撹拌した。反応が完了した後、混合物をロータリーエバポレーターによって濃縮し、得られた粗製物をFCC(SiO2、EA/PE=0~50%)によって精製して、tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(140mg、収率73%)を得た。LCMS (m/z): 485.3 (M + H).
中間体Int C2の合成
Figure 2023547522000058
tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
中間体Int C2は、tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体Int B1)の代わりにtert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体B2)を使用し、中間体Int C1に記載した通りの手順を参照することによって合成した。LCMS (m/z): 459.2, 471.2 (M + H).
中間体Int Dの合成
Figure 2023547522000059
2,4,7-ジクロロ-8-フルオロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000060
ステップA: 2-クロロ-3-フルオロ-5-ヨードピリジン-4-アミン
2-クロロ-3-フルオロピリジン-4-アミン(3g、20.47mmol)及びNIS(6.91g、30.71mmol)を、丸底フラスコ中のアセトニトリル(30mL)に室温で溶解し、TsOH・H2O(400mg、2mmol)を撹拌しながら添加した。反応溶液を70℃に加熱し、16時間にわたって反応させた。TLCにより反応の完了をモニターした後、反応溶液を室温に冷却し、飽和ブライン(100mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(25mL×3)で抽出した。合わせた有機相を飽和Na2SO3水溶液及びブラインで連続的に洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、2-クロロ-3-フルオロ-5-ヨードピリジン-4-アミン(5.4g、収率97%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 273.0 (M + H).
ステップB: エチル4-アミノ-6-クロロ-5-フルオロニコチネート
2-クロロ-3-フルオロ-5-ヨードピリジン-4-アミン(5.4g、19.82mmol)、Pd(dppf)Cl2(695mg、0.91mmol)及びトリエチルアミン(555mg、49.6mmol)を無水エタノールに分散させ、90℃に加熱し、一酸化炭素雰囲気下で40時間にわたって反応させた。反応が完了した後、反応物をセライトのパッドに通して濾過し、濾液を濃縮し、FCC(SiO2、EA/DCM=0~100%)によって精製して、エチル4-アミノ-6-クロロ-5-フルオロニコチネート(3.5g、収率81%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 219.0 (M + H).
ステップC: エチル6-クロロ-4-(2-シアノアセトアミド)-5-フルオロニコチネート
2-シアノ酢酸(778mg、9.15mmol)及び2,2,2-トリフルオロ酢酸無水物(1.44g、6.86mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解し、55℃で2時間にわたって撹拌した。反応溶液及びエチル4-アミノ-6-クロロ-5-フルオロニコチネート(1.0g、4.57mmol)を20mLのマイクロ波管に取り、105℃で2時間にわたってマイクロ波照射した。反応が完了した後、反応溶液を水(25mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(15mL)を添加した。有機相を、水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び飽和ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、次いでFCC(SiO2、THF/DCM=0~40%)によって精製して、エチル6-クロロ-4-(2-シアノアセトアミド)-5-フルオロニコチネート(550mg、収率42%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 286.0 (M + H).
ステップD: 7-クロロ-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシ-1,6-ナフチリジン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000061
エチル6-クロロ-4-(2-シアノアセトアミド)-5-フルオロニコチネート(300mg、1.05mmol)をTHF(10mL)に溶解し、氷浴中で2分間にわたって撹拌した後、カリウムtert-ブトキシド(236mg、2.10mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を1時間にわたって撹拌するのに伴い、氷浴は徐々に室温に戻った。LCMSは反応が完了したことを指し示した。反応溶液を撹拌飽和NH4Cl水溶液(50mL)に滴下添加し、HCl(1M)でpH約7に調整し、その間に白色綿状沈殿物が形成され、濾過によって収集した。得られた固体を水(10mL)及び石油エーテル(10mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、7-クロロ-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシ-1,6-ナフチリジン-3-カルボニトリル(200mg、収率79%)を白色固体として得た。LCMS (m/z): 240.1 (M + H).
ステップE: 2,4,7-トリクロロ-8-フルオロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000062
7-クロロ-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシ-1,6-ナフチリジン-3-カルボニトリル(200mg、0.83mmol)をPOCl3(15mL)に溶解し、120℃で加熱し、終夜にわたって撹拌した。TLCは反応が完了したことを示した。反応物を室温に冷却し、真空で濃縮して、オキシ塩化リンのほとんどを除去し、アセトニトリル(1mL)を添加した。アセトニトリル中の得られた溶液を飽和NaHCO3水溶液(30mL)に注ぎ入れて、黄色固体を形成した。固体を濾過し、収集し、水(10mL)及び石油エーテル(10mL)でそれぞれ洗浄した。真空下で乾燥させることにより、2,4,7-トリクロロ-8-フルオロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボニトリル(190mg、収率82%)を黄色固体として得た。
中間体Int E1の合成
Figure 2023547522000063
tert-ブチル4-(2,7-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロ-1,6-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
Int E1は、7-ブロモ-2,4,6-トリクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(中間体Int A)の代わりに2,4,7-トリクロロ-8-フルオロ-1,6-ナフチリジン-3-カルボニトリル(中間体Int D)を使用し、tert-ブチル(R)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレートの代わりにtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートを使用し、中間体Int B1に記載した手順を参照することによって合成した。LCMS (m/z): 426.3 (M + H).
中間体Int Fの合成
Figure 2023547522000064
ベンジル(S)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート
Int Fは、tert-ブチル(R)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレートの代わりにベンジル(S)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレートを使用し、中間体Int B1について記載した手順を参照することによって合成した。LCMS (m/z): 576.3, 578.3 (M + H).
[実施例1]
Figure 2023547522000065
4-((R)-4-アクリロイル-3-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000066
ステップA: tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート
NaH(60%w/w、9.3mg、0.23mmol)を、THF(2mL)中の(3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-オール(27.8mg、0.21mmol)の撹拌溶液に室温で添加し、得られた混合物を室温で10分間にわたって撹拌した。tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体B1、110mg、0.21mmol)を一度に添加し、室温で1時間にわたって撹拌した。LCMSは中間体B1が完全に反応していないことを指し示した。THF(1mL)中のNaH(60%w/w、5mg、0.12mmol)及び(3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-オール(10mg、0.78mmol)の追加の予め撹拌した(5分)溶液を添加した。得られた混合物を追加で30分間にわたって撹拌し、LCMSは反応が完了したことを示した。反応物を飽和NH4Cl水溶液(2mL)でクエンチし、EA(30mL)で希釈した。得られた有機相を飽和NaCl(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製のtert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(130mg、粗生成物)を得、これを次のステップにおいて直接使用した。LCMS (m/z): 612.4 (M+H).
ステップB: tert-ブチル(2R)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート
室温で、磁気撹拌棒を備えたマイクロ波管に、1,4-ジオキサン/H2O(v/v=3:1、1.6mL)中の、tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(170mg、0.28mmol)、(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸(112mg、0.36mmol)、Pd(dppf)Cl2(24mg、0.03mmol)及びK3PO4(104mg、0.49mmol)を投入した。システムに窒素を10分間にわたってバブリングして、反応管を密閉し、マイクロ波下、100℃で1時間にわたって加熱した。反応物を室温に冷却し、EA(20mL)で希釈し、飽和NaCl水溶液(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をFCC(SiO2、MeOH/DCM=0~20%)によって予備的に精製して、tert-ブチル(2R)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(150mg、62%純度)を得、これを次のステップにおいて直接使用した。LCMS (m/z): 800.6 (M+H).
ステップC: 7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)-4-((R)-3-メチルピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリル
TFA(1mL)を、DCM(2mL)中のtert-ブチル(2R)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(150mg、62%純度)の撹拌溶液に室温で滴下添加した。得られた混合物を室温で30分間にわたって撹拌し、LCMSは反応が完了したことを示した。反応物を減圧下で濃縮して、溶媒TFAを除去した。少量のDCMを添加し、再度減圧下で濃縮し、これを3回繰り返して、残留TFAを除去し、取得した粗生成物を精製することなく次のステップにおいて直接使用した。
ステップD: 4-((R)-4-アクリロイル-3-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-3-カルボニトリル
ステップCからの粗製の7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)-4-((R)-3-メチルピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリルをDCM(2mL)に溶解し、氷水浴で冷却し、DIEA(103μL、0.62mmol)を添加し、5分間にわたって撹拌した後、DCM(0.1mL)中の塩化アクリロイル(10μL、0.12mmol)の溶液をゆっくりと滴下添加した。添加が完了した後、反応物を、氷水浴下、追加で20分間にわたって撹拌した。LCMSは反応が完了したことを指し示した。H2O(5mL)及びEA(30mL)を反応物に添加し、水相を分離によって除去し、有機相を飽和NaCl水溶液(20mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗製物を分取HPLCによって精製して、4-((R)-4-アクリロイル-3-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-3-カルボニトリル(15.2mg、4ステップにわたって7.5%全体的収率)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 8.12 - 7.99 (m, 1H), 7.33 - 7.22 (m, 1H), 7.07 - 6.97 (m, 1H), 6.87 (dd, J = 16.7, 10.7 Hz, 1H ), 6.30 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 5.83 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 5.65 (s, 1H), 4.24 - 4.20 (m, 1H), 4.09 - 3.89 (m, 2H) , 3.83 - 3.77 (m, 1H), 3.62 - 3.48 (m, 5H), 3.43 - 3.38 (m, 2H), 3.26 - 3.18 (m, 2H), 3.09 - 3.03 (m, 1H), 2.98 - 2.92 ( m, 1H), 2.60 (s, 3H), 1.46 (d, J = 6.8 Hz, 3H). 19F NMR (376 MHz, メタノール-d4) δ -114.94, -120.48. LCMS(m/z): 654.5 (M+H).
[実施例2]
Figure 2023547522000067
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-3-カルボニトリル
実施例2は、ステップAにおいてtert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体B1)の代わりにtert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体B2)を使用し、実施例1に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.02 - 7.87 (m, 3H), 7.24 (dt, J = 8.4, 5.1 Hz, 1H), 7.07 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 6.90 (dd, J = 16.7, 10.5 Hz, 1H), 6.19 (dd, J = 16.7, 2.4 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.4, 2.4 Hz, 1H), 5.39 - 5.31 (m, 1H), 4.06 - 3.96 (m, 1H), 3.94 - 3.81 (m, 4H), 3.75 - 3.61 (m, 4H), 3.32 (s, 3H), 3.08 - 3.00 (m, 1H), 2.92 (dd, J = 11.0, 6.2 Hz , 1H), 2.73 - 2.64 (m, 1H), 2.33 (dt, J = 9.3, 4.3 Hz, 1H), 2.26 - 2.21 (m, 3H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -112.27 (d, J = 4.4 Hz), -119.59 (d, J = 22.4 Hz). LCMS (m/z): 640.5 (M+H).
[実施例3]
Figure 2023547522000068
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000069
ステップA: tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-2-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
マイクロ波管に、tert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体B2、300mg、0.60mmol)、(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)ボロン酸(108mg、0.60mmol)、Pd(PPh3)4(35mg、0.03mmol)、K2CO3(166mg、1.2mmol)、アセトニトリル(3mL)及び水(1mL)を投入した。混合物を脱気し、3回にわたって窒素を補充し、マイクロ波下、40℃で1時間にわたって加熱した。反応物を室温に冷却し、濃縮し、粗製物をFCC(SiO2、EA/PE=0~60%)によって精製して、tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-2-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(260mg、収率72%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 602.4 (M+H).
ステップB~ステップD: 4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例3のその後の合成は、ステップBにおいてtert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレートの代わりにtert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-2-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを使用し、実施例1に記載した手順を参照することによって行った。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.11 - 8.10 (m, 1H), 7.92 (s, 2H), 7.81 - 7.70 (m, 2H), 7.53 - 7.46 (m, 2H), 7.31 - 7.27 (m , 1H), 7.11 - 7.09 (m, 1H), 6.91 (dd, J = 16.6, 10.4 Hz, 1H), 6.22 - 6.17 (m, 1H), 5.77 - 5.74 (m, 1H), 3.98 - 9.84 (m , 4H), 3.83 - 3.70 (m, 4H), 3.51 - 3.46 (m, 2H), 2.24 - 2.13 (m, 6H). LCMS(m/z): 645.5 (M+H).
[実施例4]
Figure 2023547522000070
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-(1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例4は、ステップAにおいて(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)ボロン酸の代わりに(1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-ピラゾール-5-イル)ボロン酸を使用し、実施例3に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.96 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.40 - 7.30 (m, 1H), 7.01 - 6.93 (m, 2H), 6.68-6.59 (m, 1H), 6.39 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 6.26 (s, 2H), 5.80 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 4.66 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 4.04 - 3.71 (m, 8H ), 3.39 (s, 1H), 2.98 (s, 1H), 2.38 (s, 6H). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -111.07, -115.38. LCMS(m/z): 648.5 (M+H).
[実施例5]
Figure 2023547522000071
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-(3-(1-(ジメチルアミノ)エチル)フェニル)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例5は、ステップAにおいて(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)ボロン酸の代わりに(3-(1-(ジメチルアミノ)エチル)フェニル)ボロン酸を使用し、実施例3に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 8.16 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.84 - 7.78 (m, 1H), 7.61 - 7.52 (m, 2H), 7.30 ( dd, J = 8.5, 5.4 Hz, 1H), 7.09 - 6.99 (m, 1H), 6.89 (dd, J = 16.8, 10.6 Hz, 1H), 6.31 (dd, J = 16.7, 1.9 Hz, 1H), 5.84 (dd, J = 10.6, 1.9 Hz, 1H), 4.12 - 4.00 (m, 4H), 3.97 - 3.84 (m, 4H), 2.30 (s, 6H), 1.57 - 1.45 (m, 3H). 19F NMR (376 MHz, MeOH-d4) δ -114.82, -118.65 (d, J = 9.3 Hz). LCMS (m/z): 658.5 (M+H).
[実施例6]
Figure 2023547522000072
4-((R)-4-アクリロイル-3-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例6は、ステップAにおいてtert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体Int B2)の代わりにtert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体Int B1)を使用し、実施例3について記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.14 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 19.9 Hz, 2H), 7.82 (s, 1H), 7.77 (d, J = 7.6 Hz , 1H), 7.56 - 7.46 (m, 2H), 7.33 - 7.27 (m, 1H), 7.13 - 7.06 (m, 1H), 6.94 - 6.84 (m, 1H), 6.23 - 6.14 (m, 1H), 5.78 - 5.72 (m, 1H), 4.95 - 4.23 (m, 4H), 4.08 (t, J = 12.7 Hz, 1H), 4.00 - 3.90 (m, 1H), 3.77 (t, J = 12.7 Hz, 1H), 3.53 (s, 2H), 2.21 (s, 6H), 1.36 - 1.27 (m, 3H). LCMS (m/z): 658.5 (M+H).
[実施例7]
Figure 2023547522000073
4-((R)-4-アクリロイル-3-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-(1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例6は、ステップAにおいてtert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体Int B2)の代わりにtert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体Int B1)を使用し、(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)ボロン酸の代わりに(1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-ピラゾール-5-イル)ボロン酸を使用し、実施例3について記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.14 (s, 1H), 7.90 (d, J = 11.8 Hz, 2H), 7.62 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 8.6, 5.3 Hz, 1H), 7.09 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 6.94 - 6.83 (m, 2H), 6.17 (d, J = 16.7 Hz, 1H), 5.79 - 5.70 (m, 1H), 4.62 - 4.32 (m, 4H), 4.11 - 3.92 (m, 3H), 3.81 - 3.66 (m, 2H), 3.55 (s, 2H), 2.10 - 1.83 (m, 6H), 1.34 - 1.20 (m, 3H). LCMS (m/z): 662.5, (M+H).
[実施例8]
Figure 2023547522000074
4-((R)-4-アクリロイル-3-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000075
ステップA: tert-ブチル(2R)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート
マイクロ波管に、tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体C1、120mg、0.25mmol)、(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸(232mg、0.75mmol)、Pd(dppf)Cl2(18.3mg、25μmol)及びK3PO4(211mg、1.0mmol)を投入し、脱気し、3回にわたって窒素を補充し、1,4-ジオキサン/水(v/v=3:1、4ml)を添加し、管をマイクロ波反応器に入れ、90℃に加熱し、1時間にわたって反応させた。反応が完了した後、システムを室温に冷却し、溶媒をロータリーエバポレーターによって乾燥させ、粗製物をFCC(SiO2、EA/PE=0~80%)によって精製して、tert-ブチル(2R)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(92mg、収率47%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 671.5 (M+H).
ステップB: 7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-4-((R)-3-メチルピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリル
TFA(2mL)を、DCM(1ml)中のtert-ブチル(2R)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(92mg、0.14mmol)の撹拌溶液に室温で滴下添加した。反応物を室温で1時間にわたって撹拌し、LCMSは反応が完了したことを指し示した。溶媒をロータリーエバポレーターによって乾燥させ、少量のDCMを添加し、再度濃縮した。手順を3回繰り返して残留TFAを除去して、7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-4-((R)-3-メチルピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリルを得、これを次のステップにおいて直接使用した。LCMS (m/z): 471.3 (M+H).
ステップC: 4-((R)-4-アクリロイル-3-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-4-((R)-3-メチルピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリル(ステップBからの粗製物)及びDCM(3ml)を投入した。反応物を氷水浴中で0℃に冷却し、DIPEA(2ml)を添加し、次いで、DCM(1.0mL)中の塩化アクリロイル(11mg、0.12mmol)の溶液を滴下添加した。添加が完了した後、反応物を、氷水浴中、追加で30分間にわたって撹拌した。反応が完了した後、反応物を水(5mL)でクエンチし、DCM(10mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和NaCl(10mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。反応物を回転蒸発によって濃縮し、分取HPLCによって精製して、4-((R)-4-アクリロイル-3-メチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(26mg、収率35%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.88 (s, 1H), 8.08 (dd, J = 4.3, 1.4 Hz, 1H), 7.92 (s, 2H), 7.38 - 7.24 (m, 1H), 7.12 - 7.04 (m, 1H), 6.86 (dd, J = 16.6, 10.5 Hz, 1H), 6.17 (dd, J = 16.6, 2.4 Hz, 1H), 5.81 - 5.68 (m, 1H), 4.47 (d, J = 125.4 Hz, 3H), 3.94 (t, J = 12.8 Hz, 1H), 3.87 - 3.64 (m, 2H), 3.56 - 3.41 (m, 1H), 1.49 - 1.19 (m, 3H). LCMS (m/z): 525.3 (M+H).
[実施例9]
Figure 2023547522000076
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例9は、ステップAにおいてtert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体Int C1)の代わりにtert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体Int C2)を使用し、実施例8に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 8.78 (s, 1H), 8.10 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.26 (dd, J = 8.4, 5.4 Hz, 1H), 7.06 - 6.97 (m, 1H), 6.87 (dd, J = 16.8, 10.7 Hz, 1H), 6.30 (dd, J = 16.8, 1.9 Hz, 1H), 5.83 (dd, J = 10.6, 1.9 Hz, 1H), 4.05 - 3.95 (m , 4H), 3.90 - 3.78 (m, 4H). 19F NMR (376 MHz, メタノール-d4) δ -114.73, -119.40. LCMS (m/z): 511.3 (M+H).
[実施例10]
Figure 2023547522000077
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)キノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000078
ステップA: tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
磁気撹拌棒を備えたマイクロ波管に、CH3CN/H2O(v/v=3:1、2mL)中の、tert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体B2、150mg、0.3mmol)、(2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)ボロン酸(243mg、0.9mmol)、K3PO4(189mg、0.9mmol)を添加した。反応物を窒素で5分間にわたってパージし、Pd(dppf)Cl2(22mg、0.03mmol)を添加し、窒素で追加で5分間にわたってパージした。反応物を、マイクロ波下、45℃に4時間にわたって加熱し、次いで、室温に冷却した。反応物にEA(10mL)及びH2O(5mL)を添加し、分離させた。水相をEA(10mL×2)で抽出した。合わせた有機相を飽和NaCl(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して粗製物を得、これをFCC(SiO2、EA/PE=0~100%)によって精製して、tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(80mg、収率44%)を褐色固体として得た。LCMS (m/z): 614.4 (M+H).
ステップB~ステップD: 4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)キノリン-3-カルボニトリル
実施例10のその後の合成は、ステップBにおいてtert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレートの代わりにtert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5-イル)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを使用し、実施例1について記載した手順を参照することによって行った。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 8.15 (s, 1H), 7.36 - 7.22 (m, 4H), 7.01 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 6.86 (dd, J = 16.8, 10.6 Hz, 1H), 6.29 (dd, J = 16.7, 1.9 Hz, 1H), 5.82 (dd, J = 10.5, 1.9 Hz, 1H), 4.57 (s, 2H), 3.99 (s, 4H), 3.85 (s, 4H ), 3.74 (s, 2H), 2.84 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 2.73 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 2.45 (s, 3H). LCMS(m/z): 654.5 (M +H).
[実施例11]
Figure 2023547522000079
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)-1,6-ナフチリジン-3-カルボニトリル
実施例11は、ステップAにおいてtert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体B1)の代わりにtert-ブチル4-(2,7-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロ-1,6-ナフチリジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体E1)を使用し、実施例1に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.14 (s, 1H), 7.95 (s, 2H), 7.44 (dd, J = 8.5, 5.8 Hz, 1H), 7.13 - 7.04 (m, 1H), 6.91 ( dd, J = 16.6, 10.4 Hz, 1H), 6.19 (dd, J = 16.7, 2.4 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.4, 2.4 Hz, 1H), 5.47 - 5.39 (m, 1H), 4.08 - 3.99 (m, 1H), 3.89 (s, 2H), 3.83 (s, 6H), 3.34 (s, 3H), 3.08 (dd, J = 10.0, 6.4 Hz, 1H), 2.98 (dd, J = 11.1 , 6.2 Hz, 1H), 2.75 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 2.40 (dd, J = 10.0, 4.9 Hz, 1H), 2.29 (s, 3H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -111.71, -135.46. LCMS (m/z): 607.5 (M+H).
[実施例12]
Figure 2023547522000080
4-((R)-4-アクリロイル-3-メチルフェニルプロピルアミン-1-イル)-2'-アミノ-6-クロロ-5',8-ジフルオロ-[7,8'-ビキノリン]-3-カルボニトリル
実施例12は、ステップAにおいて(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸の代わりに(5-フルオロ-2-((4-メトキシベンジル)アミノ)キノリン-8-イル)ボロン酸を使用し、実施例8に記載した手順を参照することによって合成した。LCMS (m/z): 519.1 (M+H).
[実施例13]
Figure 2023547522000081
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-メトキシキノリン-3-カルボニトリル
実施例13は、ステップAにおいて、tert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体Int B1)の代わりにtert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体Int B2)を使用し、(3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-オール及びNaHの混合物の代わりにナトリウムメトキシドを使用し、実施例1について記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.94 (d, J = 5.9 Hz, 3H), 7.25 (dd, J = 8.4, 5.6 Hz, 1H), 7.08 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 6.91 (dd, J = 16.7, 10.5 Hz, 1H), 6.20 (dd, J = 16.7, 2.2 Hz, 1H), 5.76 (dd, J = 10.4, 2.2 Hz, 1H), 4.05 (s, 3H), 3.87 ( d, J = 15.7 Hz, 4H), 3.68 (s, 4H). 19F NMR (376 MHz, DMSO) δ -112.27, -119.27. LCMS (m/z): 541.3 (M+H).
[実施例14]
Figure 2023547522000082
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)キノリン-3-カルボニトリル
実施例14は、ステップAにおいて(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)ボロン酸の代わりに(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ボロン酸を使用し、実施例3に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.12 (s, 1H), 7.94 (s, 2H), 7.61 (s, 1H), 7.29 (dd, J = 8.3, 5.7 Hz, 1H), 7.10 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.00 - 6.86 (m, 2H), 6.20 (d, J = 16.7 Hz, 1H), 5.77 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.04 (s, 3H), 3.90 ( d, J = 14.7 Hz, 4H), 3.79 (s, 4H). 19F NMR (376 MHz, DMSO) δ -112.07, -118.03. LCMS (m/z): 591.4 (M+H).
[実施例15]
Figure 2023547522000083
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例15は、ステップAにおいて(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)ボロン酸の代わりに(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)ボロン酸を使用し、実施例3に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.30 (s, 1H), 8.05 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.94 (s, 2H), 7.28 (dd, J = 8.5, 5.6 Hz, 1H) , 7.09 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 6.93 (dd, J = 16.7, 10.4 Hz, 1H), 6.20 (dd, J = 16.6, 2.4 Hz, 1H), 5.77 (dd, J = 10.4, 2.4 Hz, 1H), 3.89 (d, J = 11.9 Hz, 7H), 3.73 (d, J = 5.5 Hz, 4H), 2.41 (s, 3H). 19F NMR (376 MHz, DMSO) δ -112.23, -118.42. LCMS (m/z): 605.4 (M+H).
[実施例16]
Figure 2023547522000084
7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-4-(4-(2-フルオロアクリロイル)ピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000085
7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-4-(ピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリル(88mg、0.13mmol)、2-フルオロアクリル酸(13.3mg、0.15mmol)及びHATU(77mg、0.20mmol)をDCM(5mL)に溶解し、DIPEA(52mg、0.40mmol)を反応物に室温で撹拌しながら滴下添加した。LCMSによって反応が完了したことが指し示された後、20mLの水を反応システムに添加した。有機相を分離し、収集し、濃縮乾固した。残留物を分取HPLCによって精製して、7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-4-(4-(2-フルオロアクリロイル)ピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリル(9mg、収率13%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.89 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.94 (s, 2H), 7.29 (dd, J = 8.4, 5.6 Hz, 1H), 7.09 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 5.38-5.33 (m, 1H), 5.32 (dd, J = 64, 4.1 Hz, 1H), 3.91-3.84 (m, 4H), 3.79-3.74 (m, 4H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -105.25, -112.15, -117.60. LCMS: 529.3(M+H).
[実施例17]
Figure 2023547522000086
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-メチルキノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000087
ステップA: tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-メチルキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
tert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体B2、500mg、0.99mmol)、メチルボロン酸(71mg、1.19mmol)及びK2CO3(411mg、2.98mmol)及びDME(3mL)を反応フラスコに投入し、これを窒素によって3分間にわたってパージした。Pd(dppf)Cl2(72mg、0.099mmol)を添加し、窒素を追加で3分間にわたってバブリングし続けた。フラスコを密閉し、90℃で1時間にわたって反応させ、室温に冷却した。EA(10mL)及びH2O(5mL)を分離のために添加し、水相をEA(20mL×2)で抽出した。合わせた有機相を飽和NaCl(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗製物をFCC(SiO2、EA/PE=0~100%)によって精製して、tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-メチルキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(120mg、収率25%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 483.3 (M+H).
ステップB~ステップD: 4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-メチルキノリン-3-カルボニトリル
実施例17のその後の合成は、ステップBにおいてtert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレートの代わりにtert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-メチルキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを使用し、実施例1の合成を参照することによって行った。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 8.04 - 8.01 (m, 1H), 7.94 (s, 2H), 7.27 (dd, J = 8.4, 5.6 Hz, 1H), 7.12 - 7.05 (m, 1H), 6.92 (dd, J = 16.7, 10.5 Hz, 1H), 6.20 (dd, J = 16.6, 2.4 Hz, 1H), 5.76 (dd, J = 10.5, 2.4 Hz, 1H), 3.93 - 3.82 (m, 4H), 3.69 (s, 4H), 2.74 (s, 3H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -112.20, -118.13. LCMS (m/z): 525.4 (M+H).
[実施例18]
Figure 2023547522000088
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-シクロプロピル-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例18は、ステップAにおいて(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)ボロン酸の代わりにシクロプロピルボロン酸を使用し、実施例3に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.01 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.96 (s, 2H), 7.27 (dd, J = 8.5, 5.6 Hz, 1H), 7.13 - 7.05 (m, 1H), 6.94 (dd, J = 16.7, 10.4 Hz, 1H), 6.22 (dd, J = 16.6, 2.4 Hz, 1H), 5.78 (dd, J = 10.4, 2.4 Hz, 1H), 4.00 - 3.81 (m , 4H), 3.79 - 3.65 (m, 4H), 2.57 - 2.54 (m, 1H), 1.25 - 1.12 (m, 4H). LCMS: 551.5(M+H).
[実施例19]
Figure 2023547522000089
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000090
ステップA: tert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
KOH(44mg、0.78mmol)を、THF/H2O(v/v=2:1、4mL)中のtert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(200mg、0.39mmol)の撹拌溶液に室温で添加した。得られた混合物を80℃で3時間にわたって撹拌し、LCMSは反応が完了したことを指し示した。反応物を減圧下で濃縮してTHFを除去し、飽和NH4Cl水溶液(4mL)に注ぎ入れ、1N塩酸でpHを5~6に慎重に調整した。生成物が沈殿し、濾過し、水及び石油エーテルでそれぞれ2回ずつ洗浄し、真空下で濃縮して、tert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを得、これを次のステップにおいて直接使用した。LCMS (m/z): 429.2, 431.1 (M-56).
ステップB~ステップD: 4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-3-カルボニトリル
実施例19のその後の合成は、ステップBにおいてtert-ブチル(R)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(((3R,4R)-4-メトキシ-1-メチルピロリジン-3-イル)オキシ)キノリン-4-イル)-2-メチルピペラジン-1-カルボキシレートの代わりにtert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを使用し、実施例1の合成を参照することによって行った。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.11 (s, 1H), 7.98 (s, 2H), 7.74 (s, 1H), 7.22 (dd, J = 8.5, 5.6 Hz, 1H), 7.11 - 7.04 ( m 1H), 6.90 (dd, J = 16.6, 10.4 Hz, 1H), 6.19 (dd, J = 16.7, 2.3 Hz, 1H), 5.76 (dd, J = 10.4, 2.3 Hz, 1H), 3.85 (d, J = 19.0 Hz, 4H), 3.65 (s, 4H). 19F NMR (376 MHz, DMSO) δ -112.03, -123.05. LCMS (m/z): 527.3 (M+H).
[実施例20]
Figure 2023547522000091
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-2-アミノ-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000092
ステップA: tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-2-アミノ-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(350mg、694μmol)、ジフェニルメタンイミン(126mg、694μmol)、Pd2(dba)3(64mg、69.4μmol)、キサントホス(80mg、139μmol)、Cs2CO3(679mg、2.08mmol)及びジオキサン(5mL)をマイクロ波管に添加し、窒素によって1分間にわたってパージした。管に蓋をし、マイクロ波下、80℃に加熱し、1時間にわたって反応させた。反応が完了した後、反応物を室温に冷却し、水(50mL)に注ぎ入れ、EA(50mL×3)で抽出した。抽出液を収集し、濃縮し、FCC(SiO2、EA/PE=0~50%)によってさらに精製して、tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(280mg、収率62%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 650.4 (M+H).
ステップB: tert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
磁気撹拌棒を備えた反応管に、tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(280mg、431μmol)、(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾチアゾール-4-イル)ボロン酸(135mg、431μmol)、Pd(dppf)Cl2(32mg、43μmol)、Na2CO3(137mg、1.29mmol)及び1,4-ジオキサン/H2O(v/v=4:1、8mL)を投入した。反応物を窒素で1分間にわたってパージし、管を密閉し、マイクロ波下、115℃に2時間にわたって加熱し、室温に冷却し、水(60mL)で希釈し、EA(50mL×3)で抽出し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、tert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(310mg、収率86%)を得た。LCMS (m/z): 836.6 (M+H).
ステップC: 7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロ-4-(ピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリル
TFA/CH2Cl2(V/V=1:1、15mL)をtert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(310mg、371μmol)に室温で添加し、反応物を0.5時間にわたって撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示した。反応物をEA(10mL)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液(20mL)に注ぎ入れ、EA(30mL×3)で抽出し、無水Na2SO4で乾燥させた。抽出液を収集して、7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロ-4-(ピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリル(140mg、収率59%)を得た。LCMS (m/z): 636.6 (M+H).
ステップD: 4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
CH2Cl2(0.5mL)中の塩化アクリロイル(24mg、264μmol)の溶液を、CH2Cl2(5mL)中の7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロ-4-(ピペラジン-1-イル)キノリン-3-カルボニトリル(140mg、220μmol)及びDIPEA(85mg、660μmol)の氷浴冷却溶液に、シリンジを使用して滴下添加し、10分間にわたって撹拌した。LCMSは反応が完了したことを指し示した。反応物を水(50mL)に注ぎ入れ、CH2Cl2(30mL×3)で抽出した。収集した抽出液を濃縮して、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(150mg、粗製物)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 690.0 (M+H).
ステップE: 4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-2-アミノ-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-((ジフェニルメチレン)アミノ)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(150mg、217μmol)をエタノール(30mL)に室温で溶解し、飽和クエン酸水溶液(1.5mL)を添加し、60℃に加熱し、終夜撹拌した。LCMSは生成物の形成を指し示した。反応物を濃縮し、水(30mL)を添加し、EA(50mL×3)で抽出した。濃縮によって取得された粗生成物を分取HPCLによって分離して、4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-2-アミノ-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(11mg、収率10%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.71 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.25 - 7.15 (m, 1H), 7.05 - 6.91 (m, 1H), 6.69 - 6.55 (m, 1H), 6.38 (dd, J = 16.7, 1.8 Hz, 1H), 5.80 (dd, J = 10.6, 1.8 Hz, 1H), 5.68 (s, 2H), 4.06 - 3.80 (m, 4H), 3.76 - 3.56 (m, 4H). 19F NMR (376 MHz, クロロホルム-d) δ -111.62, -119.98. LCMS (m/z): 526.4 (M+H).
化合物21-2及び22-2の合成
Figure 2023547522000093
ベンジル(2S)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(21-2)及びベンジル(2S)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(22-2)
Figure 2023547522000094
ステップA: ベンジル(S)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(21-1)及びベンジル(S)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(22-1)
磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、ベンジル(S)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(Int F、500mg、866.2μmol)、Pd(PPh3)4(100mg、87μmol)、ギ酸(159mg、3.46mmol)及びトリエチルアミン(438mg、4.33mmol)を投入した。フラスコを脱気し、3回にわたって窒素を補充し、次いで、DMF(15mL)を添加した。反応物を55℃に加熱し、6時間にわたって撹拌した。反応が完了した後、反応物を室温に冷却し、水(150mL)に注ぎ入れた。黄色固体が形成され、濾過した。濾液をPE(15mL)及びH2O(15mL)で洗浄し、固体を収集して、ベンジル(S)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(21-1)及びベンジル(S)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(22-1)の混合物(530mg)を得た。LCMS (m/z): 544.3 (M+H) (21-1)及びLCMS (m/z): 558.3 (M+H) (22-1).
ステップB: ベンジル(2S)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(21-2)及びベンジル(2S)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(22-2)
磁気撹拌棒を備えた反応管に、ベンジル(S)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(21-1)及びベンジル(S)-4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(22-1)(530mg、976.43μmol)、(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸(335.24mg、1.07mmol)、Pd(dppf)Cl2(71.64mg、97.64μmol)、Na2CO3(313mg、2.93mmol)及び1,4-ジオキサン/H2O(V/V=4:1、10mL)の混合物を添加した。反応物に窒素を1分間にわたってバブリングし、次いで密閉し、マイクロ波下、115℃に加熱し、2時間にわたって反応させた。反応物を室温に冷却し、水(60mL)で希釈し、EA(50mL×3)で抽出した。合わせた抽出物を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、FCC(SiO2、EA/PE=0~60%)によって精製して、ベンジル(2S)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(21-2)(80mg、収率17%)を得た。LCMS (m/z): 730.5 (M+H);及びベンジル(2S)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(22-2)(380mg、収率78%)。LCMS (m/z): 746.5 (M+H), 646.4 (M-100+H).
[実施例21]
Figure 2023547522000095
4-((S)-4-アクリロイル-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000096
ステップA: tert-ブチル(4-(6-クロロ-3-シアノ-4-((S)-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-8-フルオロキノリン-7-イル)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-イル)カルバメート
TMSI(110mg、548μmol)を、MeCN(3mL)中のベンジル(2S)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(80mg、110μmol)の溶液に滴下添加し、室温で5時間にわたって撹拌し、次いで、Et3N(1mL)を添加し、追加で10分間にわたって撹拌した。LCMSは反応が完了したことを指し示した。反応物をH2O(30mL)に注ぎ入れ、EA(30mL×3)で抽出し、抽出物を合わせて、tert-ブチル(4-(6-クロロ-3-シアノ-4-((S)-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-8-フルオロキノリン-7-イル)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-イル)カルバメート(68mg、粗生成物)を得た。LCMS (m/z): 596.4 (M+H).
ステップB: 7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-4-((S)-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
TFA/DCM(v/v=1:1、5mL)を、tert-ブチル(4-(6-クロロ-3-シアノ-4-((S)-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-8-フルオロキノリン-7-イル)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-イル)カルバメート(68mg、粗製物)の溶液に室温で添加し、室温で30分間にわたって撹拌した。LCMSは反応が完了したことを指し示した。反応物を濃縮して溶媒のほとんどを除去し、EA(5mL)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液(20mL)に注ぎ入れ、EA(30mL×3)で抽出し、無水Na2SO4で乾燥させた。抽出物を収集して、7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-4-((S)-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(60mg、粗製物)を得た。LCMS (m/z): 496.3 (M+H).
ステップC: 4-((S)-4-アクリロイル-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
DCM(0.5mL)中の塩化アクリロイル(11mg、121μmol)の溶液を、7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-4-((S)-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(60mg、粗製物)、飽和NaHCO3水溶液(1.5mL)及びDCM(3mL)の混合溶液に、氷浴下、シリンジを使用して滴下添加し、10分間にわたって撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示した。反応物を水(30mL)に注ぎ入れ、DCM(20mL×2)で抽出した。合わせた抽出物を濃縮し、得られた粗製物を分取HPLCによってさらに精製して、4-((S)-4-アクリロイル-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル(7mg、3ステップで10%全体的収率)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 8.77 (s, 1H), 8.07 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.26 - 7.11 (m, 1H), 7.00 - 6.88 (m, 1H), 6.82 ( s, 1H), 6.26 (dd, J = 16.7, 1.9 Hz, 1H), 5.80 (dd, J = 10.7, 1.8 Hz, 1H), 5.24 (d, J = 24.8 Hz, 1H), 4.21 (s, 1H ), 4.10 - 3.71 (m, 4H), 3.43 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 3.15 (s, 1H), 3.01 - 2.86 (m, 1H). 19F NMR (376 MHz, メタノール-d4) δ -114.73, -118.76. LCMS (m/z): 550.4 (M+H).
[実施例22]
Figure 2023547522000097
4-((S)-4-アクリロイル-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000098
ステップA: 7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-4-((S)-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-3-カルボニトリル
TMSI(510mg、2.55mmol)を、MeCN(10mL)中のベンジル(2S)-4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(380mg、510μmol)の混合溶液に滴下添加し、室温で5時間にわたって撹拌した。次いで、Et3N(3mL)を添加し、反応物を追加で10分間にわたって撹拌した。LCMSは反応の完了を示した。反応物をH2O(30mL)に注ぎ入れ、EA(50mL×2)で抽出し、抽出物を合わせて、7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-4-((S)-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-3-カルボニトリル(200mg、収率76%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 512.3 (M+H).
ステップB: 4-((S)-4-アクリロイル-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-3-カルボニトリル
CH2Cl2(0.5mL)中の塩化アクリロイル(38mg、430μmol)の溶液を、7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-4-((S)-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-8-フルオロ-キノリン-3-カルボニトリル(200mg、391μmol)、DIPEA(151mg、1.17mmol)及びDCM(5mL)の混合溶液に、氷浴下、シリンジを使用して滴下添加し、10分間にわたって撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示し、反応物を水(50mL)に注ぎ入れ、DCM(30mL×3)で抽出した。合わせた抽出物を濃縮し、得られた粗製物を分取HPLCによってさらに精製して、4-((S)-4-アクリロイル-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-3-カルボニトリル(52mg、収率24%)を黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 7.83 (s, 1H), 7.27 - 7.16 (m, 1H), 7.04 - 6.95 (m, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.32 (dd, J = 16.6, 1.9 Hz, 1H), 5.86 (dd, J = 10.6, 1.9 Hz, 1H), 5.48 - 5.12 (m, 1H), 5.02 (s, 1H), 4.09 - 3.80 (m, 4H), 3.53 - 3.39 (m, 2H), 3.05 - 2.87 (m, 1H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -112.18, -123.14. LCMS (m/z): 566.4 (M+H).
[実施例23~31]
以下の化合物は、上記と同様の方式で調製した。
Figure 2023547522000099
[実施例32]
Figure 2023547522000100
4-((S)-4-アクリロイル-3-(シアノメチル)ピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-メチルキノリン-3-カルボニトリル
実施例32は、ステップAにおいてtert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体B2)の代わりにベンジル(S)-4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)-2-(シアノメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体F)を使用し、実施例17に記載した手順を参照することによって合成した。LCMS (m/z): 564.2 (M+H).
[実施例33]
Figure 2023547522000101
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-2-アミノ-7-(2-アミノベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例33は、ステップBにおいて(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸の代わりに(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸を使用し、実施例20に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.80 - 7.69 (m, 2H), 7.63 (s, 2H), 7.19 - 7.01 (m, 4H), 6.91 (dd, J = 16.6, 10.5 Hz, 1H), 6.19 (dd, J = 16.6, 2.4 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.3, 2.4 Hz, 1H), 3.97 - 3.76 (m, 4H), 3.66 - 3.49 (m, 4H). LCMS (m/ z): 508.4 (M+H).
[実施例34]
Figure 2023547522000102
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-2-アミノ-7-(2-アミノ-5-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例34は、ステップBにおいて(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸の代わりに(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸を使用し、実施例20に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.00 - 7.67 (m, 4H), 7.24 - 7.08 (m, 2H), 7.08 - 6.99 (m, 1H), 6.91 (dd, J = 16.6, 10.5 Hz, 1H), 6.19 (d, J = 16.6 Hz, 1H), 5.76 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 3.99 - 3.73 (m, 4H), 3.73 - 3.46 (m, 4H). LCMS(m/z): 526.4 (M+H).
[実施例35]
Figure 2023547522000103
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(メチルアミノ)キノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000104
ステップA: tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(メチルアミノ)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
NaH(143mg、3.6mmol)を、THF(8mL)中のメチルアミン塩酸塩(121mg、1.8mmol)の溶液に添加し、室温で10分間にわたって撹拌した。次いで、tert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(300mg、0.60mmol)を、反応のために混合溶液に室温で2時間にわたって添加した。LCMSが生成物の産生を検出し、反応混合物をH2O(30mL)に添加し、EA(50mL×3)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させて、tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(メチルアミノ)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(200mg、収率67%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 499.6 (M+H).
ステップB~ステップD: 4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-フルオロ-2-(メチルアミノ)キノリン-3-カルボニトリル
実施例35のその後の合成は、ステップBにおいてtert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートの代わりにtert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-(メチルアミノ)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを使用し、実施例19に記載した通りに行った。LCMS (m/z): 540.4 (M+H).
[実施例36]
Figure 2023547522000105
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-(ジメチルアミノ)-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例36は、ステップAにおいてメチルアミン塩酸塩の代わりにジメチルアミン塩酸塩を使用し、実施例35に記載した手順を参照することによって合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.91 (s, 2H), 7.80 (s, 1H), 7.23 - 7.20 (m, 1H), 7.08 - 7.03 (m, 1H), 6.94 - 6.87 (m, 1H ), 6.19 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 5.76 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 3.87 (d, J = 1.6 Hz, 4H), 3.64 (s, 4H), 3.16 (s, 6H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -112.51, -120.42. LCMS (m/z): 554.5 (M+H).
[実施例37]
Figure 2023547522000106
N-(4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-2-イル)アセトアミド
Figure 2023547522000107
ステップA: tert-ブチル4-(2-アセトアミド-7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、tert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(600mg、1.2mmol)、アセトアミド(77mg、1.3mmol)、Cs2CO3(1.16g、3.6mmol)及びジオキサン(10mL)を室温で添加した。窒素でスパージした後、Pd2(dba)3(109mg、0.12mmol)及びキサントホス(65mg、0.12mmol)を添加し、窒素でさらにパージし、90℃に加熱し、終夜撹拌した。LCMSにより反応が完了したことをモニターした。反応溶液を水に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをFCC(SiO2、EA/PE=0~100%)によって精製して、tert-ブチル4-(2-アセトアミド-7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(205mg、収率33%)を得た。LCMS (m/z): 526.1 (M+H).
ステップB~ステップD: N-(4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-2-イル)アセトアミド
実施例37のその後の合成は、ステップBにおいてtert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-ヒドロキシキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートの代わりにtert-ブチル4-(2-アセトアミド-7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートを使用し、実施例19に記載した通りに行った。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.01 (s, 1H), 8.03 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.97 - 7.90 (m, 2H), 7.27 (dd, J = 8.4, 5.6 Hz, 1H), 7.13 - 7.04 (m, 1H), 6.91 (dd, J = 16.6, 10.4 Hz, 1H), 6.19 (dd, J = 16.7, 2.4 Hz, 1H), 5.76 (dd, J = 10.4, 2.4 Hz , 1H), 3.97 - 3.81 (m, 4H), 3.74 - 3.60 (m, 4H), 2.13 (s, 3H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -112.16, -118.37. LCMS (m/ z): 568.1 (M+H).
[実施例38]
Figure 2023547522000108
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-エチニル-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000109
ステップA: tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-((トリメチルシリル)エチニル)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
tert-ブチル4-(7-ブロモ-2,6-ジクロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(500mg、0.99mmol)、エチニルトリメチルシラン(292mg、3.0mmol)、Pd(PPh3)4(115mg、0.099mmol)、CuI(38mg、0.20mmol)及びTEA(301mg、3.0mmol)を、DMF(10mL)中に室温で添加し、脱気し、3回にわたって窒素を補充し、70℃で16時間にわたって反応させた。生成物が検出された後、反応溶液をH2O(100mL)に注ぎ入れ、EA(100mL×2)で抽出し、飽和ブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、FCC(SiO2、EA/PE=0~50%)によって精製して、tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-((トリメチルシリル)エチニル)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(350mg、収率62%)を黄色固体として得た。LCMS (m/z): 566.0 (M+H).
ステップB: tert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-((トリメチルシリル)エチニル)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
磁気撹拌棒を備えたバイアルに、tert-ブチル4-(7-ブロモ-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-((トリメチルシリル)エチニル)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(210mg、0.37mmol)、(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)ボロン酸(139mg、0.45mmol)、K2CO3(154mg、1.1mmol)及びジオキサン/水(v/v=3:1、5mL)を室温で添加した。バイアルを窒素でスパージすることによって脱気し、Pd(dppf)Cl2(27mg、0.037mmol)を添加し、再度窒素でパージした。反応物を90℃に加熱し、1時間にわたって撹拌した。室温に冷却した後、反応溶液を水に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをFCC(SiO2、EA/PE=0~100%)によって精製して、tert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-((トリメチルシリル)エチニル)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(90mg、収率32%)を得た。LCMS (m/z): 753.2 (M+H).
ステップC: tert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-2-エチニル-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
tert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロ-2-((トリメチルシリル)エチニル)キノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(90mg、0.12mmol)、K2CO3(33mg、0.24mmol)及びアセトニトリル(2mL)の混合物を、室温で1時間にわたって撹拌した。LCMSにより反応が完了したことをモニターした。反応物を水に注ぎ入れ、EAで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、tert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-2-エチニル-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(70mg、粗生成物)を得、これをさらに精製することなく次のステップにおいて直接使用した。LCMS (m/z): 681.2 (M+H).
ステップD及びE: 4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-2-エチニル-8-フルオロキノリン-3-カルボニトリル
実施例38のその後の合成に関与する保護基の除去及び塩化アクリロイルの導入のステップは、実施例1に記載した手順を参照することによって行った。LCMS (m/z): 535.1 (M+H).
[実施例39]
Figure 2023547522000110
4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-メトキシキノリン-3-カルボニトリル
Figure 2023547522000111
ステップA: tert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-メトキシキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
磁気撹拌棒を備えた反応バイアルに、tert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-フルオロキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(70mg、0.11mmol)、ナトリウムメトキシド(20mg、0.37mmol)、4Å分子篩(100mg)及びジオキサン(2mL)を添加した。バイアルを密閉し、110℃に加熱し、8時間にわたって撹拌した。反応が完了した後、反応物をEA(20mL)で希釈し、水(15mL)及び飽和ブライン(15mL)で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をFCC(SiO2、EA/PE=0~80%)によって精製して、tert-ブチル4-(7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-3-シアノ-8-メトキシキノリン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(42mg、収率59%)を得た。LCMS (m/z): 669.1 (M+H).
ステップB及びC: 4-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-4-イル)-6-クロロ-8-メトキシキノリン-3-カルボニトリル
実施例39のその後の合成に関与する保護基の除去及び塩化アクリロイルの導入のステップは、実施例1に記載した通りの手順を参照することによって行った。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.86 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.89 - 7.82 (m, 2H), 7.16 (dd, J = 8.4, 5.7 Hz, 1H), 7.07 - 7.01 (m, 1H), 6.91 (dd, J = 16.7, 10.5 Hz, 1H), 6.19 (dd, J = 16.7, 2.4 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.4, 2.4 Hz, 1H), 3.94 - 3.82 (m, 4H), 3.78 (s, 3H), 3.70 - 3.64 (m, 4H). 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -113.34. LCMS(m/z): 523.1 (M+H).
活性例
例1: KRas G12C変異体細胞の増殖に対する本開示の化合物の阻害活性
このアッセイは、Promega製CellTiter-Glo(登録商標)ルミネッセンス細胞生存アッセイキットを使用することにより、KRas G12C突然変異を持つヒト非小細胞肺がん細胞NCI-H358の増殖に対する本開示の化合物の阻害活性を検証した。
[試験材料]: NCI-H358細胞株(Cell Resource Center、IBMS、CAMS/PUMC、商品番号:3111C0001CCC000470)、96ウェル透明平底黒壁細胞培養プレート(Greiner Bio one、カタログ番号655096)、RPMI-1640培地(GE、カタログ番号SH30809.01)、ウシ胎児血清FBS(Thermo Fisher、カタログ番号10099-141)、CellTiter-Glo(登録商標)ルミネッセンス細胞生存アッセイキット(Promega、カタログ番号G7573)、PBS(Solarbio、カタログ番号P1020)、トリプシン(Thermo Fisher、カタログ番号25200072)、DMSO(Sigma、カタログ番号D2650)、メチルセルロース(SIGMA、カタログ番号9004-67-5)。
[実験手順]: 180μLの細胞懸濁液(10%FBS及び1%メチルセルロースを加えたRPMI1640溶液)を、96ウェル細胞培養プレートに1500細胞/ウェルの密度で投入した。細胞、化合物を含有せず3D完全培地(1%メチルセルロース及び10%FBSを加えたRPMI1640溶液)のみを含有する対照群(すなわち、培養培地対照)及び化合物を含まないが細胞を含有する対照群(すなわち、細胞対照)を用意した。AMG510又は以下の参照化合物を陽性対照として使用した。細胞プレートを細胞インキュベーターに終夜入れた。10倍薬物溶液(10%FBS及び1%DMSOを加えたRPMI1640溶液)を10μMの濃度で調製し、細胞を播種した96ウェルプレートの各ウェルに20μLのこの溶液を添加し、そのため、各ウェルにおける化合物の最終濃度が1μMとなり、DMSO濃度が0.1%となった。3つの複製ウェルを各化合物について用意した。AMG510又は以下の参照化合物の溶液を同じ手法で調製し、陽性対照ウェルに添加した。細胞プレートを細胞インキュベーターに入れ、120時間にわたって培養した。エンドポイント検出のために、CellTiter-Glo試薬を融解させ、細胞プレートを室温に移動して30分間にわたって平衡化させ、100μLのCellTiter-Gloを各ウェルに添加し、オービタルシェーカー上で5分間にわたって振とうして、細胞を完全に溶解させた。プレートを室温で20分間にわたって保って、ルミネッセンスシグナルを安定させ、各ウェルのルミネッセンス値を多機能マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、スペクトラマックスM3マイクロプレートリーダー)で全波長スキャンした。
[試験試料]実施例1~39の化合物及び参照化合物A
Figure 2023547522000112
(WO2020/081282A1に記載されている方法に従って調製及び特徴付けしたもの)及び参照化合物B
Figure 2023547522000113
(WO2015054572に記載されている方法に従って調製及び特徴付けしたもの)。
[データ分析]以下の式を使用して、各濃度の化合物の作用下での細胞阻害率を計算した:
阻害率%=[1-(Lum Drug to be tested - Lum Culture medium control)/(Lum Cell control - Lum Culture medium control)]×100%
IC50値はグラフパッドプリズム7.0ソフトウェアを使用して計算し、非線形シグモイド回帰を使用してデータを当てはめて、用量応答曲線を取得した。
[実験結果] 本開示の化合物は、KRasG12C突然変異を持つNCI-H358ヒト非小細胞肺がん細胞に対して満足な抗細胞増殖活性を示した。具体的には、試験した例はいずれも抗増殖活性を示し、IC50値は、概して1μM未満、例えば、0.5μM未満、0.1μM未満、好ましくは50nM未満、より好ましくは20nM未満、最も好ましくは10nM未満であり、例えば、実施例17、20、32、33、34及び37はいずれも50nM未満のIC50値を示し、実施例1、2、3、5、6、8、9、10及び39は20nM未満のIC50値を示した。一部の代表的な実施例についてのデータを表1に示す。
Figure 2023547522000114
例2: ラットにおける本開示の化合物の薬物動態特性
2.1 ラットにおけるカセット薬物動態実験によって評価された本開示の一部の化合物の薬物動態特性。
[試験材料]: 雄SDラット、週齢:6~8週、体重220~250g、Zhaoyan (Suzhou) New Drug Research Center Co., Ltd.から購入したもの; トルブタミド(Aladdin、カタログ番号H1401054); スルホブチル-β-シクロデキストリン(カプチゾール、Shandong Binzhou Zhiyuan Biological Technology Co., Ltd、カタログ番号20191013); ステアリン酸プロピレングリコール(15)(ソルトール、Meilun Bio、カタログ番号S0206A); DMSO(Vetec Company、カタログ番号WXBD0293V); アセトニトリル(Sigma-Aldrich、カタログ番号WXBD1744V); メタノール(Sigma-Aldrich、カタログ番号WXBD2831V)。
[実験手順]: 化合物組合せを5%DMSO/10%ソルトール/85%(20%カプチゾール)の溶媒中で調製し、各化合物の最終濃度は1mg/mLであった。SDラットを、尾静脈IV注射により1mL/kgの化合物調製物で処置し、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間及び24時間の時点で外頸静脈穿刺を介して血液試料を収集し、低温で20分間にわたって遠心分離して血漿試料を収集し、これを分析まで-80℃で保存した。
[試料分析]: LC-MS/MS化合物分析方法を確立する
標準曲線調製: 各化合物について20μLの1mg/mL DMSOストック溶液を吸引し、900μLの50%メタノールワーキング溶液に移し、得られた溶液を連続希釈して、20000、10000、5000、1000、500、100、50、20及び10ng/mLの濃度を持つ標準曲線ワーキング溶液を取得した。次いで、5μLのこの標準曲線ワーキング溶液を45μLのラットブランク血漿と混合して、未知の試料の定量化のために2000、1000、500、100、50、10、5、2及び1ng/mLの濃度を持つ標準曲線を得た。
試料前処置: 50μLの未知の血漿試料又は標準曲線試料を、沈殿剤として内部標準を含有する250μLのアセトニトリルと混合した。血漿タンパク質が沈殿し、試験化合物のために抽出し、低温で20分間にわたって遠心分離した。上清を取り出し、0.1%ギ酸水溶液と混合し、5μLの得られた溶液を血中濃度分析のために吸引した。
[データ処理]: 質量分析ソフトウェアを使用して標準曲線をプロットして未知の試料を定量化し、各時点における未知の試料の薬物濃度を使用するウィンノンリン8.2によって薬物動態パラメーターを計算する。
[実験結果]: 結果は、本開示の化合物がカセットPK研究において良好な又はさらには改善された薬物動態特性を呈したことを示す。
Figure 2023547522000115
化合物AMG510:
Figure 2023547522000116
は、Lanman Bら、J. Med. Chem. 2020、63、52~65に記載されている方法に従って調製したものである。
2.2 本開示の代表例の薬物動態特性
[試験材料] 上記の2.1と同じ。
[実験手順]: IV注射投与を、3mg/mLの薬物濃度で上記の2.1に記載したのと同様の手順に従ってラットに対して実施し、薬物調製、投与及び試料収集を、上記の2.1を参照することにより実施した。経口投与群では、薬物を0.5%メチルセルロースMC-400cp(Aladdin、M112866)中3mg/mL懸濁液に製剤化し、10mL/kgで強制経口投与した。外頸静脈穿刺を介する投与後、0.25、0.5、1、2、4、6、8及び24時間の時点で血液試料を収集し、低温で20分間にわたって遠心分離し、血漿試料を収集し、分析まで-80℃で保存した。
その後の試料分析及びデータ加工は、2.1に記載したものと同様である。
[実験結果]: 結果は、実施例9が卓越した薬物動態特性を有することを示し、表3を参照されたい。
Figure 2023547522000117
例3: ヒト非小細胞肺がんNCI-H358異種移植片マウスモデルにおける本開示の化合物の抗腫瘍活性
本開示の化合物の腫瘍成長阻害活性を、ヒト非小細胞肺がんNCI-H358異種移植片マウスモデルにおいて評価及び検証した。
[試験材料]: KYinno Biotechnology Co., Ltd.から提供されたKRAS G12C突然変異を有するNCI-H358細胞株(ATCC製、カタログ番号CRL-5807)。Beijing Phenotek Biotechnologies Inc.から提供されたNPSGマウス、雌。
[実験手順]: 5×106 NCI-H358細胞(50%マトリゲルを含有する)を、6~8週齢の雌NPSGマウスの右脇腹に0.1mLの接種体積で皮下接種した。平均腫瘍サイズが160~220mm3に到達したら、マウスを腫瘍サイズ及び体重に従って無作為に群分けし、0日目と指定されている同じ日にマウスを化合物で処置した。マウスに、1日に1回10mg/kgで又は溶媒対照(10%シクロデキストリンを含有する50mMクエン酸緩衝液、pH5.0)を強制経口投与した。研究中、腫瘍体積及び体重を週に2回測定した。腫瘍体積は、式V=D×d×d/2[式中、D及びdは、それぞれ腫瘍の長径及び短径を指す]によって計算した。平均腫瘍阻害率は、TGI% = [(C Average value - C0 Average value) - (T Average value - T0 Average value)]/(C Average value - C0 Average value)×100%[式中、T及びCは、それぞれ処置群及び対照群の腫瘍体積であり、T0及びC0は、それぞれ処置群及び対照群の初期腫瘍体積である]によって計算した。
[実験結果]: 結果は表4に示されており、本開示の代表例は、NCI-H358腫瘍の成長を有意に阻害することができる。参照化合物AMG510と比較して、本開示の化合物は、同じ投薬量下で同等の又は改善された抗腫瘍効果を示した。各群におけるマウスの体重は、有意な変化を有さなかった。
Figure 2023547522000118
加えて、上記と同じ材料及び手順を使用し、上記で言及した非小細胞肺がんマウスモデルにおける異なる用量での実施例9の腫瘍阻害活性及び体重に対するその効果も調査した。結果を図1に示す。代表例が、体重に対する有意な副作用なしに卓越した腫瘍阻害活性を示したことが分かる。
例4: シトクロムP450酵素システムに対する本開示の化合物の阻害
シトクロムP450酵素システムに対する本開示の化合物の阻害効果をこのアッセイで調査した。
[試験材料]: ヒト肝ミクロソーム(Corning、カタログ番号452161); 還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH、MCE、カタログ番号HY-F0003/CS-4998); フェナセチン、ジクロフェナク、α-ナフトフラボン、オメプラゾール及びケトコナゾールはTCIから購入し; S-メフェニトイン及びテストステロンはCAYMANから購入し; ミダゾラムはBioreclamation IVTから購入し; キニジンはDamas-betaから購入し; スルファフェナゾールはMCEから購入し; ブフラロールはTRCから購入した。
[実験手順]: 0.1Mリン酸カリウム緩衝液(K-緩衝液)の調製: 100mMリン酸カリウム緩衝液(K-緩衝液)を、リン酸二水素カリウム及びリン酸水素二カリウムを用いて調製し、pH7.4に調整した。
400×試験化合物及び参照阻害剤溶液の調製: 8μLの試験化合物の10mMストック溶液を、12μLのアセトニトリルと混合した。CYP1A2、CYP2C9及びCYP2D6の阻害剤カクテル溶液の調製: 12μLの1mM α-ナフトフラボン、10μLの40mMスルファフェナゾール、10μLの10mMキニジン及び8μLのDMSOを混合した。CYP3A4及びCYP2C19の阻害剤カクテル溶液の調製: 8μLのDMSO溶液を、12μLのアセトニトリルと混合した。
4×NADPHリン酸カリウム溶液の調製: 66.7mgのNADPHを、10mLの0.1M K-緩衝液pH7.4に添加した。4×基質リン酸カリウム溶液の調製: 異なる基質を、濃度要件に従い、10mLの0.1M K-緩衝液を用いて4倍濃度試験溶液に調製した。
0.2mg/mLヒト肝ミクロソーム(HLM)溶液の調製: 10μLの20mg/mLヒト肝ミクロソームを990μLのK-緩衝液に添加し、溶液を使用するまで氷浴中で保存した。
600μLの0.2mg/mL HLMを96ウェルプレートに添加し、続いて、3μLの400倍試験化合物溶液を添加し、200μLの0.2mg/mL HLMを96ウェルプレートに添加し、1μLの希釈した陽性対照阻害剤溶液を添加した。ヒト肝ミクロソームと混合した30μLの化合物溶液を96ウェルプレートに添加し、次いで、15μLの基質溶液を添加した。上記で取得した溶液及び調製したNADPH溶液を、37℃で5分間にわたってプレインキュベートした。15μLの予め加温したNADPH溶液を反応プレートに添加し、十分に混合して、反応を開始した。反応プレートを37℃で5分間(3A4)、10分間(1A2、2C9、2D6)、45分間(2C19)にわたってインキュベートした。反応の終わりに、内部標準を含有する120μLのアセトニトリルを添加して反応をクエンチした。試料を10分間にわたってボルテックスし、5594gで15分間にわたって遠心分離し、LC-MS/MS分析のために調製した。
[実験結果]: 実験結果は、試験濃度において、AMG510及び参照化合物Aと比較して、本開示の代表的化合物が薬物代謝のために重大なCYPサブタイプに対して有意な阻害効果を有さず、より良好な薬物間相互作用の安全性を示したことを示す(表5)。
Figure 2023547522000119
例5: 一連のKRas変異体細胞の増殖に対する本開示の化合物の阻害効果
このアッセイでは、Promega製のCellTiter-Glo(CTG)キットを使用して、12個のKRas変異体腫瘍細胞株に対する本開示の化合物の抗増殖活性を評価した。
[試験材料]: RPMI1640培地(Hyclone、カタログ番号SH30809.01); ウシ胎児血清(FBS)(Gibco、カタログ番号10099-141); リン酸緩衝液PBS(Solarbio、カタログ番号P1020-500); DMSO(Sigma、カタログ番号D8418-1L); 検出キットCTG(Promega、カタログ番号G7573); 96ウェル細胞培養プレート(Thermo、カタログ番号3100シリーズ); バイブレーター(QILINBEIER、カタログ番号QB-9001); インキュベーター(Thermo Scientific、カタログ番号モデル3100シリーズ); 顕微鏡(オリンパス株式会社、カタログ番号CKX41SF); 多機能マイクロプレートリーダー(BMG LABTECH、カタログ番号CLARIOstar(登録商標)プラス); 生物学的安全キャビネット(Thermo、カタログ番号モデル1300シリーズA2)。以下のアッセイで使用されるすべての細胞株は、KYinno Biotechnology Co., Ltd.から購入した。
[実験手順]:
Figure 2023547522000120
上記細胞株のそれぞれを、指し示されている完全培地中、37℃、5%CO2で培養し、対数成長期の細胞を収穫し、血小板カウンターを使用してカウントした。トリパンブルー排除法によって細胞生存率を検出して、細胞生存率が90%を上回ることを確実にした。完全培地を使用して細胞密度を調整し、次いで、96ウェル細胞培養プレートに、ウェル当たり90μL及び合計3000個の細胞で接種した。96ウェルプレート中の細胞を、37℃及び5%CO2で培養した。
培養培地中の10×試験化合物溶液を調製し、最高濃度を10μMとし、3.16の希釈倍率で連続希釈して、9つの濃度を得た。10μLの各希釈した化合物溶液を、96ウェル細胞プレートの対応する実験ウェルに移し、各濃度で3つの複製ウェルを用意した。投薬された96ウェルプレート中の細胞を、37℃及び5%CO2で72時間にわたってインキュベートし、次いで、CTG分析を実施した。
CTG試薬を融解させ、細胞プレートを室温に移動して30分間にわたって平衡化させた。100μLのCTG溶液を各ウェルに添加し、オービタルシェーカー上で5分間にわたって振とうして、細胞を完全に溶解させた。プレートを室温で20分間にわたって保って、ルミネッセンスシグナルを安定させ、各ウェルのルミネッセンス値をスキャンし、データを収集した。グラフパッドプリズム7.0ソフトウェアを使用してデータを分析し、非線形シグモイド回帰を使用してデータを当てはめて、用量応答曲線を取得した。相対及び絶対IC50値並びに最大阻害率は、当業者に周知の従来の方法に従って計算した。
阻害率% = [1- (Lum Drug to be tested - Lum Culture medium control)/(Lum Cell control - Lum Culture medium control)]×100%
[実験結果]:
Figure 2023547522000121
表6における結果は、本開示の代表的化合物が、一連のKRas腫瘍細胞において参照化合物Aのものよりも優れた抗増殖活性を呈し、良好な選択性を有していたことを示す。
例6: KRas G12C阻害剤耐性細胞モデルの増殖に対する本開示の化合物の阻害
獲得耐性は、KRas G12C阻害剤の処置効能に影響を及ぼす主要因子の1つである。このアッセイでは、公知の耐性モデルにおける本開示の化合物の潜在的な適用値を、KRas G12C阻害剤アダグラシブの獲得耐性モデルにおいて測定することによって評価した(Engl J Med 2021; 384:2382-93)。
このアッセイでは、Promegaによって提供されたCellTiter-Glo(CTG)キットを使用して、参照化合物A及びAMG510を対照化合物として用い、5つのKRas細胞系統(KRas G12C阻害剤アダグラシブに対して獲得耐性を持つ)の細胞増殖に対する試験化合物の効果を評価した。
[試験材料]: このアッセイで使用される実験材料及び機器は、上記の例5で挙げたものと同じである。このアッセイで使用したすべての細胞株は、KYinno Biotechnology Co., Ltdによって提供された。
[実験手順]:
Figure 2023547522000122
例5と同じ手順及び条件に準拠して、細胞成長に対する試験化合物の阻害活性を調査し、結果を表7に示す。
Figure 2023547522000123
結果は、本開示の化合物が、上記の耐性細胞モデルにおいて、参照化合物A及びAMG510のものよりも優れた阻害活性を呈したことを示す。
例7: BALB/cヌードマウスにおけるヒト膵臓がんMia PaCa-2細胞の皮下異種移植片腫瘍モデルに対する本開示の化合物のインビボ薬力学研究
ヒト膵臓がんMia PaCa-2細胞の皮下異種移植片腫瘍モデルにおける本開示の代表的化合物のインビボ効能を評価した。
[試験材料]: 6~8週齢、雌のBALB/cヌードマウス、Zhejiang Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.ヒト膵臓がんMia PaCa-2細胞(ATCC、カタログ番号:CRL-1420)。マトリゲル(マトリゲル、Corning、カタログ番号356234)。
[実験手順]: 0.2mL(5×106)のMia PaCa-2細胞(プラスマトリゲル、体積比1:1)を、各マウスの右背部に皮下接種した。平均腫瘍体積が約137mm3に到達したら、マウスを各群に8匹のマウスがいる実験群(溶媒対照群、AMG510 10mpk、実施例9化合物3mpk、実施例9化合物10mpk、実施例9化合物30mpk)に無作為に分け、0.5%メチルセルロース(400cp)水溶液のビヒクルで1日に1回強制経口投薬を開始した。アッセイ中、腫瘍体積及び体重を週に2回測定した。
腫瘍体積は、以下の式: V=0.5a×b2[式中、a及びbは、それぞれ腫瘍の長径及び短径を表す]に従って計算した。
試験化合物の腫瘍成長阻害TGI(%)は、以下の式:TGI(%)=[1-(投薬終了時における処置群の平均腫瘍体積-投薬開始時における処置群の平均腫瘍体積)/(投薬終了時における溶媒対照群の平均腫瘍体積-投薬開始時における溶媒対照群の平均腫瘍体積)]×100%に従って計算した。
[実験結果]: 結果は表8及び図2に示されており、代表例化合物が、参照化合物AMG510のものよりも優れた、ヒト膵臓がんMia PaCa-2に対する卓越した標的関連腫瘍抑制活性を呈し、各群で体重における有意な変化がなかったことを示す。
Figure 2023547522000124

Claims (24)

  1. 式(I)の化合物
    Figure 2023547522000125
    [式中、
    Aは、C-Ra又はNから選択され、ここで、Raは、ハロゲン、CN、ニトロ、C3~6シクロアルキル、又はハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルから選択され、
    R1、R2及びR3は、H、ハロゲン又はC1~6アルキルからそれぞれ独立して選択され、ここで、アルキルは、ハロゲン、-N(Rc)2、-ORc又は3~8員ヘテロシクロアルキルから独立して選択される基によって場合により置換されており、
    Rbは、各出現において、H、ハロゲン、CN、又はハロゲン若しくはCNによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択され、
    Xは、結合、-O-又は-NH-から選択され、
    R4は、H、ハロゲン、C1~6アルキル、-C0~6アルキル-C6~10アリール、-C0~6アルキル-C3~8シクロアルキル、-C0~6アルキル-C3~8シクロアルケニル、-C0~6アルキル-3~8員ヘテロシクロアルキル、-C0~6アルキル-3~8員ヘテロシクロアルケニル、-C0~6アルキル-5~10員ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル及びヘテロアリール基は、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-SRc、-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-ORc、-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-N(Rc)2から独立して選択される1つ以上の基によって場合により置換されており、ここで、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-(CO)0~1-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成し、
    Rcは、各出現において、H、若しくはハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択されるか、又は同じ炭素若しくは窒素原子に結合している2個のRcが、それらが結合している炭素原子若しくは窒素原子と一緒に、3~6員環式基を独立して形成し、
    Eは、ハロゲン、-O-Rd又は-N(Rd)2-から選択され、ここで、各Rdは、独立して、H、又はハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルであり、
    R5
    Figure 2023547522000126
    であり、
    mは、0又は1であり、
    Figure 2023547522000127
    は芳香族環を表し、
    B及びDは、N又はCからそれぞれ独立して選択され、
    Z、G及びYは、C、N、O又はSからそれぞれ独立して選択され、
    R6、R7及びR8は、H、ハロゲン、及びハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルからそれぞれ独立して選択され、
    但し、B及びDが両方Nであることはなく、Z、G、Y、D及びBのうちの最大3つがCではない]、
    又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  2. AがN又はC-Raであり、ここで、Raがハロゲン、好ましくはClから選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  3. R1が、H又はハロゲン、好ましくはH又はFから選択される、請求項1若しくは2に記載の式(I)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  4. RbがHであるか; 又は1個のRbがあり、Rbが、CN、若しくはCNによって場合により置換されているC1~6アルキルであるか; 又は2個のRbがあり、RbがC1~6アルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  5. R4が、H、ハロゲン、C1~6アルキル、フェニル、C3~6シクロアルキル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む4~6員ヘテロシクロアルキル及びN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、フェニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールが、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されており、ここで、Rcが、各出現において、H又はC1~6アルキルから独立して選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  6. Eがハロゲン、好ましくはFであるか、又はEが-O-Rdであり、Rdが、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  7. R5
    Figure 2023547522000128
    であり、式中、Z、Y、B及びDのうち最大2つがCではなく、
    Figure 2023547522000129
    から選択され、好ましくはR5
    Figure 2023547522000130
    である、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  8. R6、R7及びR8のうち少なくとも1つが、ハロゲン、好ましくはFである、請求項7に記載の式(I)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  9. R5
    Figure 2023547522000131
    から選択され、好ましくはR5
    Figure 2023547522000132
    である、請求項7に記載の式(I)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  10. 式(II)の化合物
    Figure 2023547522000133
    [式中、
    Aは、C-Ra又はNから選択され、ここで、Raはハロゲンから選択され、
    R1、R2及びR3は、H、ハロゲン又はC1~6アルキルからそれぞれ独立して選択され、
    Rbは、各出現において、H、ハロゲン、CN、又はハロゲン若しくはCNによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択され、
    Xは、結合、-O-又は-NH-から選択され、
    R4は、H、ハロゲン、C1~6アルキル、-C0~3アルキル-C6~10アリール、-C0~3アルキル-C3~8シクロアルキル、-C0~3アルキル-C3~8シクロアルケニル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-3~8員ヘテロシクロアルキル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-3~8員ヘテロシクロアルケニル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む-C0~3アルキル-5~10員ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル及びヘテロアリールは、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc、-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されており、ここで、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成し、
    Rcは、各出現において、H、又はハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルから独立して選択され、
    Eは、ハロゲン、-O-Rd又は-N(Rd)2-から選択され、ここで、各Rdは、独立して、H、又はハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルであり、
    R6、R7及びR8は、H、ハロゲン、及びハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルからそれぞれ独立して選択される]
    又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  11. AがC-Raであり、ここで、Raがハロゲン、好ましくはClである、請求項10に記載の式(II)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  12. R6、R7及びR8の少なくとも1つが、ハロゲン、好ましくはFである、請求項10に記載の式(II)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  13. R6がFであり、R7及びR8がHである、請求項12に記載の式(II)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  14. Eがハロゲン、好ましくはFである、請求項10に記載の式(II)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  15. Eが-O-Rdであり、Rdが、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキルである、請求項10に記載の式(II)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  16. R4が、H、ハロゲン、C1~6アルキル、フェニル、C3~6シクロアルキル、N、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む4~6員ヘテロシクロアルキル及びN、O又はSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールが、ハロゲン、ハロゲンによって場合により置換されているC1~6アルキル、-(CRcRc)0~6-ORc及び-(CRcRc)0~6-N(Rc)2から独立して選択される1、2又は3つの基によって場合により置換されており、ここで、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル又はヘテロアリールに結合している-(CRcRc)0~6-N(Rc)2は、Nに結合している基を介し、それが結合している環原子及び隣接する原子と一緒に、4~7員窒素含有複素環を場合により形成する、請求項10から15のいずれか一項に記載の式(II)の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  17. Figure 2023547522000134
    Figure 2023547522000135
    Figure 2023547522000136
    Figure 2023547522000137
    から選択される化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  18. 請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、及び薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
  19. 医薬として使用するための、好ましくはKRas突然変異、好ましくはKRas G12C突然変異媒介性疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  20. Ras突然変異、好ましくはKRas G12Cによって媒介される疾患を治療する及び/又は予防する方法であって、治療有効量の請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、又は請求項18に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
  21. KRas突然変異、好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患を予防する又は治療するための、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、又は請求項18に記載の医薬組成物の使用。
  22. KRas突然変異、好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患を予防する又は治療するための医薬の製造における、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、又は請求項18に記載の医薬組成物の使用。
  23. KRas突然変異、好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患が、肺がん、肺腺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚若しくは眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、大腸がん、乳がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、膣がん、外陰がん、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、慢性若しくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓若しくは尿管がん、腎細胞がん、腎盂がん、中枢神経系腫瘍(CNS)、原発性CNSリンパ腫、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫又は下垂体腺腫から選択される、請求項21又は22に記載の使用。
  24. KRas突然変異、好ましくはKRas G12C突然変異によって媒介される疾患が、肺腺がん、肺がん、大腸がん、直腸がん、膵臓がん、胆管がん、子宮内膜がん、卵巣がん、白血病から選択される; 最も好ましくは、肺腺がん、大腸がん、直腸がん、膵臓がん、胆管がんから選択される、請求項23に記載の使用。
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