JP2023546503A - 抗タウ抗体の安全な投与方法 - Google Patents

抗タウ抗体の安全な投与方法 Download PDF

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Abstract

タウに結合する、特にタウにおけるリン酸化エピトープに結合する抗タウ抗体が安全に投与されることを必要とする対象においてそれを行う方法が、記載される。本方法は、抗タウ抗体を含む医薬組成物を投与することを含み、抗タウ抗体は、1用量当たり約500mg~5000mgの量で投与される。

Description

(配列表)
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出済みである、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。当該ASCIIコピーは、2021年10月06日に作成され、名称はJAB7081WOPCT1_SL.txtであり、サイズは14,402バイトである。
(発明の分野)
本発明は、医療の分野にある。特に、本発明は、抗タウ抗体及びヒト対象へのそれらの投与に関する。
アルツハイマー病は、認知障害及び記憶喪失、並びに不安、うつ病、及び動揺を含む行動及び精神症状を特徴とする神経変性疾患である。この疾患は、加齢に関連しており、米国において4番目に多い医学的死亡原因を表すと考えられている。
アルツハイマー病の顕著な病理学的特徴は、アミロイド斑及び神経原線維変化である。アミロイド斑は主にベータ-アミロイド(Ab)からなる。アルツハイマー病の進行を修飾又は遅延させることを目的とした現在開発中の多くの療法は、Aを標的とする。b.このような療法には、Eli Lillyのソラネズマブ、Biogenのアデュカヌマブ、及びRocheのクレネズマブが含まれ、これらは全てアミロイドベータ(Aβ)に対するヒト化モノクローナル抗体である。
神経原線維変化は、過剰リン酸化タウタンパク質の凝集体からなり、一般に、記憶及び認知機能に重要なアルツハイマー病患者のヒト脳のいくつかの領域に見出される。タウの主な生理学的機能は、微小管の重合及び安定化である。タウの微小管への結合は、タウの微小管結合領域における正電荷と、微小管格子における負電荷との間のイオン性相互作用により発生する(Butner and Kirschner 1991)。タウタンパク質は、85個の可能なリン酸化反応部位を含有し、これらの部位の多くにおけるリン酸化反応が、タウの一次機能を妨げる。軸索微小管格子に結合しているタウは、低リン酸化状態にあるが、アルツハイマー病における凝集タウは、高リン酸化されている。
タウ凝集を予防又は除去するいくつかの候補薬物が、現在開発中である(Brunden et al.2009)。トランスジェニックマウスモデルにおける研究は、能動タウ免疫化及び受動タウ免疫化の両方が有益な治療効果を有し得ることを示している(Asuni et al.2007、Boutajangout et al.2011)。活性は、ホスホ指向性抗体及び非ホスホ指向性抗体の両方で報告されている(Schroeder et al.2016)。
しかしながら、タウ免疫療法の安全性に関する研究は依然として進行中であり、様々なアプローチの有効性及び安全性の機構的理解は十分に確立されていない(Sigurdsson 2016)。タウ凝集及びタウ異常症の進行を予防して、アルツハイマー病などのタウ異常症を治療するのに安全な治療薬が依然として必要とされている。
本発明の主な態様のいくつかを以下に要約する。更なる態様は、本開示の発明の詳細な説明、実施例、及び特許請求の範囲の項目に記載されている。本開示の各項目における説明は、他の項目と併せて読まれることが意図される。更に、本開示の各項目に記載される様々な実施形態は、様々な方法で組み合わせることができ、全てのそのような組み合わせは、本発明の範囲内に入ることが意図される。
したがって、本開示は、タウ、好ましくはリン酸化タウに結合するモノクローナル抗体を対象に投与する方法を提供する。
本発明の一態様は、モノクローナル抗体が投与されることを必要とする対象においてそれを行う方法であって、モノクローナル抗体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を対象に投与することを含み、モノクローナル抗体が、1用量当たり約500mg~約5000mgの量で投与される、方法に関する。
本発明の別の態様は、モノクローナル抗体が投与されることを必要とする対象においてそれを行う際に使用するための、モノクローナル抗体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、モノクローナル抗体が、1用量当たり約500mg~約5000mgの量で投与される、医薬組成物に関する。
本発明の方法及び本発明の医薬組成物において使用するためのモノクローナル抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変相補性決定領域(complementarity-determining region、CDR)1と、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR2と、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR3と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR1と、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR2と、配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR3とを含み得る。一部の実施形態では、モノクローナル抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR1と、配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR2と、配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR3と、配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR1と、配列番号14のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR2と、配列番号15のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR3とを含む。
モノクローナル抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含み得る。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号26のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域とを含む。
更に、モノクローナル抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含み得る。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号28のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。
モノクローナル抗体に加えて、組成物は、ヒスチジン、スクロース、ポリソルベート20、及びエチレンジアミン四酢酸を含有し得る。組成物は、約5~6のpHを有し得る。
本発明の方法又は医薬組成物において、モノクローナル抗体は、1用量当たり約1000mg~約3000mg、又は約2000mg~約5000mg、又は約3000mg~約5000mgの量で投与され得る。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、1用量当たり約500mg、750mg、1000mg、1200mg、1250mg、1400mg、1500mg、1600mg、1750mg、1800mg、2000mg、2200mg、2250mg、2400mg、2500mg、2600mg、2750mg、2800mg、3000mg、3200mg、3250mg、3400mg、3500mg、3600mg、3750mg、3800mg、4000mg、4200mg、4250mg、4400mg、4500mg、4600mg、4750mg、4800mg、若しくは5000mg、又はその間の任意の値の量で投与され得る。
組成物は、皮下又は静脈内注入によって投与され得る。更に、組成物は、2回以上の用量として、例えば、各用量が約4週間の期間で隔てられた2回以上の用量として投与され得る。
本発明の方法又は医薬組成物において、対象はアルツハイマー病の治療を必要としていてもよい。特定の実施形態では、対象は、初期アルツハイマー病、前駆期アルツハイマー病、又は軽度アルツハイマー病の治療を必要とし得る。
実施例3に記載される試験の設計の概略図である。
本発明の実施は、他に示されない限り、免疫学、薬学、製剤科学、細胞生物学、分子生物学、臨床薬理学、及び臨床実施の従来の技術を使用し、これらは当該分野の技術の範囲内である。
本発明をより容易に理解することができるようにするために、特定の用語を最初に定義する。更なる定義は、本開示全体を通して記載される。別段の規定がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。
本明細書に提供される任意の見出しは、本発明の様々な態様又は実施形態を限定するものではなく、全体として本明細書を参照することによって得ることができる。したがって、すぐ下で定義される用語は、本明細書全体を参照することによってより完全に定義される。
この開示で言及される全ての参考文献は、それら全体が参考として本明細書に組み込まれる。更に、本明細書において引用又は言及される任意の製品についての任意の製造業者の説明書又はカタログは、参照により組み込まれる。参照により本明細書に組み込まれる文献、又はその中の任意の教示は、本発明の実施において使用され得る。参照により本明細書に組み込まれる文献は、先行技術であるとは認められない。
定義
本開示の表現法又は用語法は、説明を目的とするものであって、限定するものではなく、それ故、本明細書の用語法又は表現法は、教示及び指導の観点から当業者によって解釈されるべきである。
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、その内容について別途明確に指示されない限り、複数の指示対象を包含する。用語「a」(又は「an」)並びに用語「1つ又は2つ以上」及び「少なくとも1つ」は、互換的に使用することができる。
更に、「及び/又は」は、2つの指定された特徴又は構成要素のそれぞれの、他方を伴う又は伴わない具体的な開示として解釈されるべきである。本明細書の「A及び/又はB」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、A及びB、A又はB、A(単独)、及びB(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、以下のようにA、B、及びC;A、B、又はC;A又はB;A又はC;B又はC;A及びB;A及びC;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)を包含することを意図している。
実施形態が「含む」という用語で記載される場合は常に、そうでなければ「からなる」及び/又は「から本質的になる」に関して記載される他の類似の実施形態も含まれる。
単位、接頭辞、及び記号は、国際単位系(Systeme International de Unites、SI)で認められた形式で示される。数値範囲は、範囲を定義する数を含み、本明細書で提供される任意の個々の値は、本明細書で提供される他の個々の値を含む範囲の終点として機能することができる。例えば、1、2、3、8、9、及び10などの値のセットは、1~10、1~8、3~9などの数の範囲の開示でもある。同様に、開示された範囲は、その範囲によって包含される各個々の値の開示である。例えば、記載された範囲5~10は、5、6、7、8、9、及び10の開示でもある。数値用語に「約」が先行する場合、その用語は、記載された数及び記載された数の±10%の値を含む。
本明細書で使用するとき、「抗体」又は「免疫グロブリン」という用語は広い意味で用いられ、ポリクローナル抗体を含む免疫グロブリン又は抗体分子、マウス、ヒト、ヒト適合、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体及び抗体断片を含むモノクローナル抗体を含む。一般に、抗体は、特定の抗原に対する結合特異性を示すタンパク質又はペプチド鎖である。抗体の構造は、周知である。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて5つの主なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。いずれの脊椎動物種の抗体軽鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なるタイプ、すなわちカッパ及びラムダのうちの一方に割り当てることができる。
重鎖及び軽鎖定常ドメインに加えて、抗体は軽鎖及び重鎖可変領域を含有する。免疫グロブリン軽鎖又は重鎖可変領域は、「抗原結合部位」が割り込んだ「フレームワーク」領域からなる。抗原結合部位は、以下のとおり様々な用語及び符番スキームを用いて定義される。
(i)Kabat符番スキーム:「相補性決定領域」又は「CDR」は、配列可変性に基づく(Wu and Kabat 1970)。一般に、抗原結合部位は、各可変領域に3つのCDR(例えば、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)にHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びに軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)にLCDR1、LCDR2、及びLCDR3)を有する。
(ii)Chothia符番スキーム:「超可変領域」、「HVR(hypervariable region)」、又は「HV」という用語は、Chothia及びLeskにより定義されているように、構造中で超可変性である抗体可変ドメインの領域を指す(Chothia and Lesk 1987)。一般に、抗原結合部位は、各VH(H1、H2、H3)及びVL(L1、L2、L3)に3つの超可変領域を有する。CDR及びHVの符番体系及び注釈は、最近、Abhinandan及びMartinにより改訂された(Abhinandan and Martin 2008)。
(iii)IMGT符番スキーム:Lefrancによって提案された(Lefranc et al.2003)、抗原結合部位を形成する領域は、免疫グロブリン及びT細胞受容体由来のVドメインの比較に基づいて定義される。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベースが、標準化したこれらの領域の符番及び定義を提供している。CDR、HV及びIMGTの記述間の対応については、Lefranc et al.に記載されている。
(iv)Martin符番スキーム(ABM符番スキームとしても知られる)、Martin(Martin 2010)によって記載されるようなKabat符番スキームとChothia符番スキームとの間の折衷。
(v)抗原結合部位は、「特異性決定残基使用」(Specificity Determining Residue Usage、SDRU)(Almagro 2004)に基づいてもまた記述されることができ、ここでは、SDRは、抗原接触に直接関与する免疫グロブリンのアミノ酸残基を意味する。
用語「医薬組成物」は、活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であり、組成物が投与される対象に対して許容できないほど毒性である追加の成分を含有しない調製物を指す。そのような組成物は無菌であってもよく、生理食塩水などの薬学的に許容される担体を含んでもよい。いくつかの実施形態は、薬学的に許容される担体は、混合物、例えば、生理食塩水と緩衝溶液との混合物などを含むことができる。適切な医薬組成物は、緩衝液(例えば、酢酸塩、リン酸塩、又はクエン酸塩緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、安定化剤(例えば、ポリオール又はアミノ酸)、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム)、及び/又は他の従来の可溶化剤若しくは分散剤のうちの1つ若しくは2つ以上を含み得る。
本明細書で使用される場合、微小管関連タンパク質タウ、MAPT、神経原線維変化タンパク質、対らせん状フィラメント(paired helical filament、PHF)-タウ、MAPTL、又はMTBT1としても知られる「タウ」又は「タウタンパク」という用語は、複数のアイソフォームを有する豊富な中枢及び末梢神経系タンパクを指す。ヒト中枢神経系(central nervous system、CNS)では、代替スプライシングにより、352~441アミノ酸長のサイズ範囲の6つの主要なタウアイソフォームが存在する(Hanger et al.,2009)。タウの例としては、限定されるものではないが、CNSにおけるタウアイソフォーム、例えば、4つの反復及び2つのインサートを有する、微小管関連タンパク質タウアイソフォーム2とも呼ばれる441アミノ酸最長タウアイソフォーム(4R2N)、例えば、GenBankアクセッション番号NP_005901.2に表されるアミノ酸配列を有するヒトタウアイソフォーム2が挙げられる。タウの他の例としては、微小管関連タンパク質タウアイソフォーム4とも呼ばれる352アミノ酸長の最短(胎児)アイソフォーム(3R0N)が挙げられ、これは、GenBankアクセッション番号NP_058525.1で表されるアミノ酸配列を有するヒトタウアイソフォーム4などの、3つの反復を有し、インサートを有さない。タウの例には、300個の追加の残基(エクソン4a)を含有する末梢神経において発現される「ビッグタウ」アイソフォームも含まれる(Friedhoff et al.2000)。タウの例としては、6762ヌクレオチド長のmRNA転写物(NM_016835.4)によってコードされる758アミノ酸長のタンパク質であるヒトビッグタウ、又はそのアイソフォームが挙げられる。例示的なヒトビッグタウのアミノ酸配列は、GenBankアクセッション番号NP_058519.3で表される。本明細書で使用される場合、「タウ」という用語は、Macaca Fascicularis(カニクイザル)、アカゲザル又はPan troglodytes(チンパンジー)などのヒト以外の種に由来するタウのホモログを含む。本明細書で使用するとき、「タウ」という用語は、完全長野生型タウの変異(例えば、点変異、断片、挿入、欠失、及びスプライスバリアント)を含むタンパク質を含む。「タウ」という用語はまた、タウアミノ酸配列の翻訳後修飾を包含する。翻訳後修飾としては、リン酸化が挙げられるが、これに限定されない。
本明細書で使用される場合、「リン酸化タウ」という用語は、タウのアミノ酸配列の1つ又は2つ以上の位置のアミノ酸残基上でリン酸化されているタウを指す。リン酸化アミノ酸残基は、例えば、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)又はチロシン(Tyr)であり得る。リン酸化されるタウ上の部位は、好ましくは、アルツハイマー病などの神経変性疾患において特異的にリン酸化される部位である。抗リン酸化タウ抗体が結合するリン酸化タウの部位としては、例えば、Tyr18、Thr181、Ser199、Ser202、Thr205、Thr212、Ser214、Thr217、Ser396、Ser404、Ser409、Ser422、Thr427が挙げられる。本出願を通して使用される場合、アミノ酸位置は、GenBankアクセッション番号NP_005901.2で表されるアミノ酸配列を有するヒト微小管関連タンパク質タウアイソフォーム2の配列を参照して与えられる。異常なリン酸化タウは、神経毒性であり、神経変性に寄与する不溶性オリゴマーに容易に凝集する(Goedertet al.1991)。オリゴマーは、いわゆる対らせん状フィラメント(PHF)のもつれに進行する(Alonso et al.2001)。神経原線維変化病理の程度は、AD対象における痴呆症の程度と相関することが一貫して示されている(Bierer et al.1995、Braak and Braak 1991、Delacourte 2001)。
本明細書で使用される場合、用語「p181タウ」、「p181+タウ」、及び「p-タウ181」は、互換的に使用され、Thr181でリン酸化されているタウを指す。同様に、用語「p217タウ」、「p217+タウ」、及び「p-タウ217」は互換的に使用され、Thr217でリン酸化されているタウを指す。同じ命名形式を使用して、異なるアミノ酸残基でリン酸化されるタウを指すことができる。
「対象」又は「個体」又は「患者」は、診断、予後診断又は治療が望まれる任意の対象、特に哺乳動物対象である。哺乳動物対象としては、ヒト、家畜、農場動物、スポーツ動物、及び実験動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ、げっ歯類(ラット及びマウスを含む)、ウサギなどを含む)が挙げられる。
治療の「有効量」は、対象において所望の生物学的又は医学的応答を誘発するなど、具体的に述べられた目的を実行するのに十分な量である。
用語「減少させる」、「阻害する」、「遮断する」、及び「抑制する」は、互換的に使用され、発生又は活性又は程度又は体積の完全な遮断又は完全な排除を含む、発生又は活性又は程度又は体積の任意の統計的に有意な減少を指す。例えば、「阻害」は、活性又は発生の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の減少を指すことができる。別の例として、「減少」は、程度又は体積における約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の低減を指すことができる。
有害事象(adverse event、AE)とは、医薬品(治験用又は非治験用医薬品)を投与された対象における任意の好ましくない医療上の出来事である。AEは、必ずしも治療と因果関係を有するわけではない。したがって、AEとは、医薬品(治験用又は非治験用医薬品)の使用と時間的に関連のある、あらゆる好ましくない、意図しない徴候(例えば、臨床検査値の異常)、症状又は疾患のことであってもよく、医薬品(治験用又は非治験用医薬品)との因果関係の有無は問わない。これには、新たな発症又はベースライン状態からの重症度若しくは頻度における悪化である任意の発症、あるいは検査室試験の異常を含む診断手順の異常な結果が含まれる。本発明のいくつかの実施形態によれば、AEは、以下の定義を使用して重症度に基づいて分類することができる。すなわち、軽度(グレード1)、容易に許容され、最小限の不快感を引き起こし、毎日の活動に干渉しない症状の認識があるAEを指し、中程度(グレード2)は、正常な活動への干渉を引き起こす十分な不快感が存在するAEを指し、重度(グレード3)は、機能の重大な障害又は機能不全及び正常な毎日の活動の妨害を引き起こす極度の苦痛が存在するAEを指す。
「重篤な有害事象」(serious adverse event、SAE)は、任意の用量において、以下の任意の好ましくない医療上の出来事である。
■死に至る、
■生命を脅かす(対象は、その事象の時点で死亡のリスクがある)、
■入院又は現行の入院期間の延長が必要となる、
■永続的又は著しい障害/機能不全に至る、
■先天異常/先天性欠損である、
■医薬品を介した任意の感染因子の疑いのある伝播である、又は
■医学的に重要である(医学的及び科学的判断の実施に基づいて、例えば、直ちに生命を脅かさないか、又は死若しくは入院をもたらすが、対象を危険にさらす可能性があるか、又は上記に列挙した他の転帰のうちの1つを予防するために介入を必要とする可能性がある重要な医学的事象など)。
抗タウ抗体
本発明は、タウに結合するモノクローナル抗体の投与に関する。このような抗タウ抗体は、タウにおけるリン酸化エピトープに結合するか又はタウにおける非リン酸化エピトープに結合し得る。
いくつかの態様において、抗タウ抗体は、リン酸化タウタンパク質に、タウタンパク質のプロリンリッチドメイン中のエピトープで結合することができる。特定の実施態様において、抗タウ抗体は、リン酸化Thr181、Thr212、及び/又はThr217残基を含むエピトープでリン酸化タウタンパク質に結合することができる。
本発明の実施形態において、抗タウ抗体は、以下の表1に示される重鎖可変CDR及び軽鎖可変CDRを含み得る。
Figure 2023546503000002
したがって、本発明の実施形態によれば、抗タウ抗体は以下を含む。
(a)配列番号1、4、7、又は10のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR1、
(b)配列番号2、5、8、又は11のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR2、
(c)配列番号3、6、9、又は12のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR3、
(d)配列番号13、16、19、又は22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR1、
(e)配列番号14、17、20、又は23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR2、及び
(f)配列番号15、18、21、又は24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR3。
いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、以下を含む。
(a)配列番号1、4、7、又は10のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR1、
(b)配列番号2、5、8、又は11のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR2、
(c)配列番号3、6、9、又は12のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR3、
(d)配列番号13、16、19、又は22のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR1、
(e)配列番号14、17、20、又は23のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR2、
(f)配列番号15、18、21、又は24のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR3。
特定の実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR1と、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR2と、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR3と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR1と、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR2と、配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR3とを含む。特定の実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR1と、配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR2と、配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR3と、配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR1と、配列番号14のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR2と、配列番号15のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR3とを含む。
本発明のいくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変と、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変とを含む。特定の実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変とを含む。
本発明のいくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、免疫グロブリンG(immunoglobulin G、IgG)抗体である。好ましい実施形態において、抗タウ抗体は、IgG1抗体である。あるいは、抗タウ抗体は、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体である。他の実施態様において、抗タウ抗体は、IgA、IgD、IgE、又はIgM抗体である。
本発明の実施形態において、抗タウ抗体は、カッパ軽鎖定常領域を含む。他の実施態様において、抗タウ抗体は、デルタ軽鎖定常領域を含む。
好ましい実施形態において、抗タウ抗体は、カッパ軽鎖定常領域を有するIgG1抗体である。
本発明のいくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号28のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。
好ましい実施形態では、抗タウ抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
本発明の抗体は、多様な技術により、例えば、ハイブリドーマ法により生成することができる(Kohler and Milstein 1975)。ドナー抗体(通常はマウス)由来の軽鎖及び重鎖の可変領域を、アクセプター抗体(通常、例えばヒトなどの別の哺乳動物種)由来の軽鎖及び重鎖の定常領域とともに含むキメラモノクローナル抗体を、米国特許第4,816,567号に開示される方法によって調製することができる。非ヒトドナー免疫グロブリン(典型的にはマウス)に由来するCDRと、1つ又は2つ以上のヒト免疫グロブリンに由来する分子の残りの免疫グロブリン由来部分とを有するCDRグラフトモノクローナル抗体は、米国特許第5,225,539号に開示されているような当業者に公知の技術によって調製することができる。非ヒト配列を欠く完全ヒトモノクローナル抗体は、Lonberg et al.,1994;Fishwild et al.1996;Mendez et al.1997)に参照される技術により、ヒト免疫グロブリントランスジェニックマウスから調製され得る。ヒトモノクローナル抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーから調製及び最適化され得る(Knappik et al.2000、Krebs et al.2001、Shi et al.2010)。
本発明の実施形態において、抗タウ抗体は、薬学的に許容される担体を含む組成物中に製剤化され得る。組成物はまた、当技術分野で周知の1つ又は2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい(Remington’s Pharmaceutical Science 1980参照)。医薬組成物の好ましい剤形は、意図される投与様式及び治療用途によって決まる。薬学的に受容可能な担体は、動物又はヒト投与のための医薬組成物を製剤化するために一般的に使用されるビヒクルであり得る。更に、医薬組成物は、他の希釈材、アジュバント、又は非毒性の非治療的、非免疫原性安定剤などを含み得る。担体、賦形剤又は希釈剤の特性は、特定の用途の投与経路によって決まる点は理解されよう。
特定の実施形態では、組成物は、1つ又は2つ以上の安定剤(例えば、デキストラン40、スクロース、グリシン、ラクトース、マンニトール、トレハロース、マルトース)、1つ又は2つ以上の緩衝剤(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン、乳酸塩、リン酸塩、トリス)、1つ又は2つ以上の界面活性剤(例えば、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール-脂肪酸エステル、レシチン)、1つ又は2つ以上のキレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediamine tetra-acetic acid、EDTA)、エデト酸ナトリウム)、及び担体(例えば、注射用水、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、ハンクス液)を含み得る。好ましい実施形態において、組成物は、注射用水、ヒスチジン、スクロース、ポリソルベート20、及びEDTAを含む。組成物は、pHが約4~約7、又は約5~約6、好ましくは、約5.5であってもよい。
使用方法
本発明の一般的な態様は、本発明の実施形態による抗タウ抗体を含む組成物を対象に投与する方法に関する。これらの方法は、有効かつ安全な量で対象への抗タウ抗体の送達を提供し得る。
本発明の実施形態によれば、組成物は、抗タウ抗体の1用量当たり約50mg~約5000mgの量で投与され得る。いくつかの実施形態において、組成物は、1用量当たり約500mg約5000mg、又は1用量当たり約1000mg~約3000mg、又は1用量当たり約2000mg~約5000mg、又は1用量当たり約3000mg~約5000mgの抗タウ抗体の量で投与され得る。特定の実施形態において、組成物は、1用量当たり、約50mg、100mg、250mg、500mg、750mg、1000mg、1200mg、1250mg、1400mg、1500mg、1600mg、1750mg、1800mg、2000mg、2200mg、2250mg、2400mg、2500mg、2600mg、2750mg、2800mg、3000mg、3200mg、3250mg、3400mg、3500mg、3600mg、3750mg、3800mg、4000mg、4200mg、4250mg、4400mg、4500mg、4600mg、4750mg、4800mg、若しくは5000mg、又はその間の任意の値の抗タウ抗体の量で投与され得る。
本発明の実施形態において、組成物は、1用量当たり約1mg/kg~約60mg/kgの抗タウ抗体の量で投与され得る。いくつかの実施形態において、組成物は、1用量当たり約10mg/kg~約40mg/kg、又は1用量当たり約20mg/kg~約60mg/kg、又は1用量当たり約40mg/kg~約60mg/kgの抗タウ抗体の量で投与され得る。特定の実施形態において、組成物は、1用量当たり、約1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、12.5mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、37.5mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、又はその間の任意の値の抗タウ抗体の量で投与され得る。
いくつかの実施形態によれば、組成物は、2回以上の用量として投与され得る。ある特定の実施形態において、各用量の投与は、ある期間、例えば、約4週間隔てられてもよい。
抗タウ抗体を含む組成物は、予防的及び/又は治療的処置のために、非経口、局所、経口、動脈内、頭蓋内、腹腔内、皮内、鼻腔内、又は筋肉内手段によって投与され得る。特定の実施形態では、組成物は皮下投与され得る。特定の実施形態では、組成物は静脈内注入によって投与され得る。
いくつかの実施形態によれば、対象は、ヒト対象である。特定の実施形態において、対象は、神経変性疾患、障害、又は状態の治療を必要とするヒト対象である。
本明細書で使用される場合、「神経変性疾患、障害、又は状態」は、本開示を考慮して当業者に公知の任意の神経変性疾患、障害、又は状態を含む。神経変性疾患、障害、又は状態の例には、タウオパチーと呼ばれるタウ関連疾患、障害又は状態などの、神経原線維病変の形成によって引き起こされるか又はそれに関連する神経変性疾患又は障害が含まれる。特定の実施形態によれば、神経変性の疾患、障害、又は状態は、限定されないが、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、クロイツフェルト-ヤコブ病、パンチドランカー、ダウン症候群、ゲルストマン-シュトロイスラー-シャインカー病、封入体筋炎、プリオンタンパク脳アミロイド血管障害、外傷性脳傷害、筋萎縮性側索硬化症、グアムのパーキンソニズム-認知症複合、神経原線維変化を伴う非グアマニアン運動ニューロン疾患、嗜銀顆粒性認知症、大脳皮質基底核変性症、筋萎縮性側索硬化症における認知症、石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病、前頭側頭型認知症、好ましくは17番染色体に連鎖したパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia with parkinsonism linked to chromosome 17、FTDP-17)、前頭側頭型認知症、ハレルフォルデン-スパッツ病、多系統萎縮症、ニーマン-ピック病C型、ピック病、進行性皮質下神経膠症、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化優位型認知症、脳炎後パーキンソン症候群、筋緊張性ジストロフィー、慢性外傷性脳症(chronic traumatic encephalopathy、CTE)、原発性加齢性タウオパチー(Primary age-related Tauopathy、PART)、脳血管障害、又はレヴィー小体認知症(Lewy body dementia、LBD)を含む、タウ及び/又はアミロイド病理の共存を示す疾患又は障害のいずれかを含む。特定の実施形態によれば、神経変性疾患、障害、又は状態は、アルツハイマー病又は別のタウオパチーである。好ましい実施形態によれば、神経変性疾患、障害又は状態はアルツハイマー病である。
アルツハイマー病の臨床経過は、認知及び機能障害の進行性パターンを有する病期に分けることができる。病期は、例えば、NIA-AA研究フレームワーク(例えば、Dubois et al.2016、Dubois et al.2016、Jack et al.2018参照)を含む当該技術分野で公知のグレーディングスケール、及び臨床認知症評価(Clinical Dementia Rating、CDR)スケール(例えば、Berg 1988を参照)を使用して定義され得、これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
例えば、National Institute on Aging-Alzheimer’s Association(NIA-AA)研究フレームワークは、神経病理学的変化又はバイオマーカーによってアルツハイマー病を生物学的に定義し、認知障害を疾患の定義ではなく疾患の症状/徴候として扱う(例えば,Jacket al.2018参照、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。NIA-AA定義によれば、正常な病的タウバイオマーカーを有するAβ沈着単独(異常なアミロイドポジトロン放出断層撮影(positron emission tomography、PET)スキャン又は低い脳脊髄液(cerebrospinal fluid、CSF)Aβ42若しくはAβ42/Aβ40比)のバイオマーカー証拠を有する個体は、ラベル「アルツハイマー病の病的変化」を割り当てられ、Aβ及び病的タウの両方のバイオマーカー証拠が存在する場合、用語「アルツハイマー病」が適用される。NIA-AAはまた、アルツハイマー病の重症度を病期分類するためのシステムを開発した。特に、NIA-AA定義(Jacket al.2018、前出のテキストボックス2から再現される)の下では、
定義:
A:Aβバイオマーカーは、個体がアルツハイマー病の連続体にあるか否かを決定する。
T:病的タウバイオマーカーは、アルツハイマー病の連続体にいる人がアルツハイマー病を有するかどうかを決定する。
病期分類重症度:
(N):神経変性/ニューロン損傷バイオマーカー
(C):認知症状
A及びTは、アルツハイマー病を定義する特定の神経病理学的変化を示すが、(N)及び(C)は、アルツハイマー病に特異的ではなく、したがって括弧内に置かれている。
好ましい実施形態によれば、神経変性疾患、障害、又は状態は、初期アルツハイマー病、前駆期アルツハイマー病(軽度認知障害(mild cognitive impairment、MCI)を伴うアルツハイマー病)、又は軽度アルツハイマー病(軽度アルツハイマー病認知症とも呼ばれる)である。
一部の実施形態では、神経変性疾患、障害、又は状態は、軽度から中等度のアルツハイマー病である。
いくつかの実施形態において、治療を必要とする対象は、脳においてアミロイド陽性であるが、有意な認知障害をまだ示していない。脳内のアミロイド沈着は、PETスキャン、免疫沈降質量分析、又は他の方法(例えば、CSFバイオマーカーの使用)などの当技術分野で公知の方法を使用して検出することができる(Jack et al.2018)。
他の実施形態において、治療を必要とするヒト対象は、アルツハイマー病の病理と一致する、異常なレベルのCSF Abアミロイド42(Aβ42)を有する。例えば、対象は、アルツハイマー病の病理と一致する、低レベルのCSF Aβ42又は低いAβ42/Aβ40比を有し得る(例えば,Jacket al.2018、前出参照)。
特定の実施形態において、対象は、少なくとも過去6カ月にわたって認知の漸進的かつ進行性の主観的減退を経験し、0.5のCDR-グローバルスコア(CDR-Global Score、CDR-GS)及び0.5以上のメモリーボックススコアを有すると評価された。いくつかの実施形態において、対象は、病理学的に上昇した血漿タウ(T+)を示す。特定の実施態様において、対象は、スクリーニングタウPETスキャンにおいて病的タウの証拠を示す。
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、前駆期又は軽度アルツハイマー病の治療を必要とする。特定の実施形態において、対象は、0.5又は1.0のCDR-GSを有すると評価された。特定の実施形態において、対象は、(異常なCSF Aβ1-42及び上昇したCSF p-タウ181又は総タウによって実証されるように)アミロイド沈着及び/又はタウオパチーの証拠を示した。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、対象において重篤な有害事象を誘導することなく投与され得る。特定の実施形態において、医薬組成物は、対象において重度の有害事象を誘導することなく投与され得る。
いくつかの実施態様において、抗タウ抗体は、CSF p181タウ及びCSF p217+タウを含む、対象におけるCSFリン酸化タウを低減させるのに有効な量で投与される。いくつかの実施態様において、抗タウ抗体は、総リン酸化タウ(例えば、総p181タウ、総p217+タウなど)を含む総タウを低減させるのに有効な量で投与される。いくつかの実施態様において、抗タウ抗体は、遊離リン酸化タウ(例えば、遊離p181タウ、遊離p217+タウなど)を含む遊離タウを低減させるのに有効な量で投与される。本明細書で使用される場合、タウの文脈における「遊離」は、本発明の抗タウ抗体などの抗体に結合していないタウを指すタウを指す。
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することにより更に理解され得る。当業者には、材料及び方法の両方に対して、本開示の範囲から逸脱することなく多くの改変を行うことができる点は明らかであろう。
実施例1:非臨床研究における安全性薬理学及び毒物学
本発明の抗タウ抗体の毒性及び安全性を評価するために、ラット、ミニブタ、及びサルにおいて研究を行った。
これらの試験で使用された抗タウ抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であった。
ラット
抗タウ抗体の毒性及び毒物動態プロファイルを、Sprague Dawleyラットにおける試験において特徴付けた(主試験:15/性別/群、毒物動態試験:4/性別/群)。動物に、0(PBS)、20、65、又は200mg/kgの抗タウ抗体のIVボーラス注射を週1回、2ヶ月間投与した(合計9用量)。10匹のラット/性別/群を64日目に安楽死させ、5匹の動物/性別/主要研究群を6週間の回復期間にわたって試験に残した。動物を、死亡率、臨床徴候、体重、摂食量、検眼鏡所見、臨床病理学パラメータ(血液学、凝固、臨床化学)、肉眼剖検、臓器重量、及び組織病理学パラメータについて評価した。加えて、毒物動態、抗薬物抗体(anti-drug antibody、ADA)、及びCSF評価(抗タウ抗体濃度)を試験中に行った。結果は、無影響量(no-observed-effect level、NOEL)と認められる最大用量である200mg/kgまで抗タウ抗体関連の効果が観察されなかったことを示した。200mg/kg用量は、雄において、それぞれ7,612.21μg/mL及び17,571.73μg・日/mLの57日目の平均Cmax及びAUCDay57-64値と関連付けられ、雌において、それぞれ5,737.42μg/mL及び10,869.84μg・日/mLの57日目の平均Cmax及びAUCDay57-64値と関連付けられた。
別の試験では、Sprague Dawleyラット(主試験:15匹/性別/群、毒物動態試験:5/性別/群)を、0(PBS)、65、200、又は300mg/kgの抗タウ抗体の週1回のIVボーラス注射を6ヶ月間投与した。全ての生存動物を183日目に安楽死させ、5匹の動物/性別/主試験群を4週間の回復期間にわたって試験に残した。生存、体重、摂食量、眼科所見、臨床病理パラメータ(血液学、凝固、臨床化学)、肉眼剖検、臓器重量及び組織病理学パラメータ、すなわち毒物動態、ADA、及びCSF評価(抗タウ濃度)は全て、この試験において評価された。抗タウ抗体関連の効果は、300mg/kgの最も高い投与量まで見られなかった。臨床的観察は、対照と比較して、赤色又は褐色の毛髪変色の発生率の有害でない増加に限定された。1匹の対照雄動物が74日目に死亡が確認され、1匹の300mg/kg/週の雄動物が170日目に死亡が確認された。死因は決定されなかったが、死亡率は、発生率が処置動物と対照動物との間で同等であり、標的器官毒性が明らかでなかったので、抗タウ抗体と無関係であると考えられた。26週間にわたる週1回のIVボーラス注射による抗タウ抗体の投与は、300mg/kg以下の用量でラットにおいてラットの忍容性が良好であった。結果として、300mg/kg用量はNOELとみなされ、それぞれ8416.45μg/mL及び14723.91μg・日/mLの176日目の平均Cmax及びAUCDay176-183曝露(雄及び雌を合わせた)と関連付けられた。
ミニブタ
抗タウ抗体の毒性及び毒物動態プロファイルを、Gottingenミニブタ(登録商標)における試験において特徴付けた(主試験:5/性別/群合計)。これらのミニブタに、0(PBS)、20、65、又は200mg/kgの抗タウ抗体の週1回の緩徐ボーラスIV注射を週1回、6週間投与し(合計6用量)、2匹の動物/性別/群を6週間の回復期間にわたって試験に残した。全ての動物を投与前にテラゾール(5mg/kg IM)で鎮静させた。死亡率、臨床徴候、体重、定性的摂食量、身体検査、検眼鏡検査、及び心電図(ECG)検査、血圧、心拍数、呼吸数、臨床病理パラメータ(血液学、凝固、臨床化学、及び尿検査)、毒物動態パラメータ、ADA分析、CSF分析、肉眼剖検、臓器重量、及び組織病理学評価は全て、試験中に行った。抗タウ抗体関連の効果は観察されず、6週間にわたる雄及び雌ミニブタにおいて、緩徐IVボーラス注射を介した抗タウ抗体の投与が、200mg/kg以下の用量で忍容性が良好であった。これらの結果に基づいて、本試験におけるNOELは200mg/kgであると考えられ、これは雄及び雌における36日目の平均合計Cmax及びAUCDay36-43値がそれぞれ3,980.97μg/mL及び10,017.24μg・日/mLであることに関連していた。
カニクイザル
非GLP試験では、0(PBS)、20、65、又は200mg/kgの抗タウ抗体週1回のIV注射を4週間(合計4用量)投与した雌カニクイザル(3匹/群)において、抗タウ抗体の忍容性及び毒物動態プロファイルを特徴付けた。死亡率、臨床徴候、体重、定性的摂食量、獣医学的身体検査、血圧、心拍数、呼吸数、臨床病理パラメータ(血液学、凝固、臨床化学、尿検査)、毒物動態パラメータ、肉眼的病理、及び臓器重量を試験中に評価した。抗タウ抗体に関連する変化は観察されず、200mg/kgまでの毎週のIV用量がカニクイザルによる忍容性が良好であることを示した。これらの結果に基づいて、この研究におけるNOELは200mg/kgであると考えられた。22日目の関連平均Cmax及びAUCDay22-29値は、それぞれ4,627.77μg/mL及び13,303.89μg・日/mLであった。
実施例2:ヒトにおける抗タウ抗体の安全性
健康な対象及びアルツハイマー病を有する対象における本発明の抗タウ抗体の安全性及び忍容性、薬物動態、並びに薬力学を調査するために、2パート無作為化、プラセボ対照、二重盲検、単回及び複数回漸増用量試験を行った。ここでの考察は、試験の安全性及び忍容性の結果に焦点を当てる。
この試験で使用された抗タウ抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であった。抗タウ抗体は、滅菌された保存剤を含まない液体として供給され、10mMヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート20、20μg/mL EDTAからなる溶液中に抗体の濃度50mg/mLを含み、pH5.5に設定された。
方法論
試験は、合計9つのコホート及びそれぞれ最大8人の対象を有する2つの部分からなった。パート1はコホート1~5を含み、パート2はコホートA、B、D、及びEを含んでいだ。
パート1は、健康な対象における単回漸増用量(single ascending dose、SAD)試験であった。1~60mg/kgの範囲の単回漸増IV用量の抗タウ抗体又はプラセボを、健康な対象の連続コホートに投与した。パート1における各コホートの投薬は、少なくとも2日間にわたって行われ、2人の対象が第1日に投薬され(1人はプラセボを受け、1人は抗タウ抗体を受け)、6人の対象が翌日に投薬された(1人はプラセボを受け、5人は抗タウ抗体を受けた)。
パート2は、健康な対象及び前駆期又は軽度アルツハイマー病を有する対象における複数漸増用量(multiple ascending dose、MAD)試験であった。2つの用量レベル(5mg/kg又は50mg/kg)の抗タウ抗体又はプラセボを健康な対象において評価し、2つの用量レベル(15mg/kg又は30mg/kg)の抗タウ抗体又はプラセボを、前駆期又は軽度アルツハイマー病を有する対象において、8週間の期間にわたる複数の漸増IV用量として評価した(IV投与は1日目、29日目、及び57日目に行った)。2人又は3人以上の対象が、パート2における任意の所定のMADコホートの開始時に投薬のために利用可能であった場合、センチネル投薬を行い(パート1について記載されるように)、1人の対象はプラセボを受け、1人の対象は更なる対象が投薬される前にプラセボを受けた。
パート1の対象は、男性及び女性であり、年齢は55~75歳(両端を含む)であり、健康であった。パート2の対象は、55~80歳(両端を含む)の男性及び女性であり、健康な対象及び前駆期又は軽度のアルツハイマー病を有する対象を含んでいた。アルツハイマー病対象は、軽度認知障害(MCI:前駆期アルツハイマー病)又は軽度アルツハイマー病のそれぞれ、並びに異常CSF Aβ1-42及び上昇したCSF p181タウによって示されるアミロイド沈着及びタウオパチーの証拠と一致する0.5又は1.0のCDR-GSを有していた。
パート1では、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg、30mg/kg、及び60mg/kgの投与量を、様々な治療群に投与した。パート2では、5mg/kg、15mg/kg、30mg/kg、及び50mg/kgの投与量を、様々な治療群に投与した。両方のパートについて、プラセボを0.9%塩化ナトリウム溶液として供給した。
投与後及び入院段階の完了後、パート1からの対象は、安全性及び忍容性並びに有効性を評価するために、投与後13週間までの定期的な追跡来診のために試験施設に戻った(本明細書では論じない)。パート2からの対象は、安全性及び忍容性並びに有効性を評価するために、29日目及び57日目にその後の用量投与のために、並びに最後の投与後13週間までの定期的な追跡来診のために戻った(ここでは論じない)
サンプリングスキームはコホートによって異なり、抗タウ抗体の薬物動態プロファイルを特徴付け、バイオマーカー応答を評価するために治療群にわたってバランスをとった。
パート1の92日目(13週目)の来診及びパート2の148日目(21週目)の来診の完了は、その来診時にCSF試料が収集されない限り、試験への参加の終了を構成した。その場合、対象は、パート1については106日目(15週目)に、又はパート2については162日目(23週目)に、追加の安全性追跡来診を受けた。
安全性及び忍容性評価には、バイタルサイン、安全性検査、脳の磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging、MRI)、12誘導ECG、及び遠隔測定(パート1のみ)が含まれた。
安全性及び忍容性結果
試験究中に死亡は報告されず、治療下で発生した有害事象(treatment-emergent adverse event、TEAE)による早期終了もなかった。重篤な有害事象が2人の対象で報告された。パート1では、プラセボで処置された健康な対象は、腰椎穿刺後症候群/脊髄後頭痛及び高血圧の疑いを経験した。パート2では、15mg/kgの抗タウ抗体用量で処置されたアルツハイマー病対象は、腎腫瘍を経験したが、この有害事象は、抗タウ抗体による治療に関連するとは考えられなかった。
少なくとも1用量の試験介入を受けた全ての対象を、安全性分析セットに含めた。試験のパート1では、抗タウ抗体で処置された30人の対象のうち24人(80%)、すなわち1mg/kgで処置された対象の50%、3mg/kgで処置された対象の66.7%、10mg/kgで処置された対象の100%、30mg/kgで処置された対象の83.3%、及び60mg/kgで処置された対象の100%が、1つ又は2つ以上の有害事象(AE)を報告した。プラセボで処置された10人の対象のうち、8人(80%)が1つ又は2つ以上のAEを報告した。
試験のパート1において、最も一般的に報告されたTEAE(対象の20%超)は、1mg/kg用量の抗タウ抗体を受けた対象における腰椎穿刺後症候群、10mg/kg用量の抗タウ抗体を受けた対象における腰椎穿刺後症候群、高コレステロール血症、頭痛、吐気、及びのぼせ、30mg/kg用量の抗タウ抗体を受けた対象における肝酵素増加、60mg/kg用量の抗タウを投与された対象における頭痛、高コレステロール血症、腰椎穿刺後症候群、処置時疼痛、筋痙攣、及び頸部疼痛、並びにプラセボを受けた対象における頭痛及び背痛であった。TEAEは、3mg/kg用量の抗タウ抗体を受けた2人以上の対象において報告されなかった。
試験のパート2では、抗タウ抗体で処置された23人の対象のうち20人(87%)、すなわち5mg/kgで処置された対象の66.7%、15mg/kgで処置された対象の83.3%、30mg/kgで処置された対象の100%、及び50mg/kgで処置された対象の100%が1つ又は2つ以上のAEを報告した。プラセボで処置された6人の対象のうち、5人(83.3%)が1つ又は2つ以上のAEを報告した。
試験のパート2において、最も一般的に報告されたTEAE(対象の20%超)は、15mg/kg用量の抗タウ抗体を受けた対象における背部痛及び頭痛、50mg/kg用量の抗タウを受けた対象における頭痛及び腰椎穿刺後症候群、並びにプラセボを受けた対象における頭痛及び倦怠感であった。TEAEは、5mg/kg用量又は30mg/kg用量の抗タウ抗体を受けた2人以上の対象において報告されなかった。
臨床上重要な異常は、検査値、バイタルサインパラメータ、又は脳MRIのいずれにおいても観察されなかった。
したがって、これらの結果は、全体として、抗タウ抗体が、健康な成人及び前駆期又は軽度のアルツハイマー病を有する対象において一般に安全であり、忍容性が良好であったことを示す。
実施例3:初期アルツハイマー病を有するヒトにおける抗タウ抗体の有効性及び安全性
無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間試験を実施して、初期アルツハイマー病を有する対象における本発明の抗タウ抗体の有効性及び安全性を評価する。
目的
主目的:統合されたアルツハイマー病評価スケール(integrated Alzheimer's Disease Rating Scale、iADRS)、認知及び機能の複合によって測定される認知減退に対する抗タウ抗体対プラセボの効果を評価すること。
認知及び機能に関する主要な副次的目的:アルツハイマー病評価スケール認知、サブスケール13項目版(Alzheimer's Disease Assessment Scale Cognitive,subscale 13-item version、ADAS-Cog13)によって測定される認知減退に対する抗タウ抗体対プラセボの効果を評価すること、及びアルツハイマー病協同試験、軽度認知障害のための日常生活活動性(Alzheimer's Disease Cooperative Study Activities of Daily Living for Mild Cognitive Impairment、ADCS-ADL-MCI)によって測定されるような、抗タウ抗体又はプラセボで処置された対象間の機能状態の変化を評価すること。
認知及び機能に関する副次的目的:神経心理学的状態の評価のためのリピータブルバッテリー(Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status、RBANS)総スケール指標スコアによって測定されるような、認知減退に対するプラセボと比較した抗タウ抗体の効果を評価すること、5つのRBANS指数及びRBANSを含む12のサブテストによって測定されるような、プラセボと比較した抗タウ抗体の効果を評価すること、抗タウ抗体による治療が、CDRスケール-ボックスの合計(CDR scale-sum of boxes、CDR-SB)により測定されるようなプラセボと比較して、臨床的進行を遅らせるかどうかを評価すること、Neuropsychiatric Inventory(NPI)によって測定して評価されるような抗タウ抗体又はプラセボで処置された対象間の神経精神病学的/行動学的状態の変化を、評価すること、ベースラインからベースライン後までに、CDR-GS0~0.5以上、0.5~1以上、又は1~2以上に進行する対象の割合に対する、プラセボと比較した抗タウ抗体の効果を評価すること。
バイオマーカー、薬物動態、及び免疫原性に関する副次的目的:タウPETによって測定される、プラセボと比較したタウ病態の蓄積及び/又は伝播に対する抗タウ抗体の効果を評価すること、CSF中の総、遊離、及び結合p217+タウ断片のレベルに対する抗タウ抗体の効果を評価すること、長期治療後の抗タウ抗体の末梢及び中枢曝露(薬物動態)を評価すること、並びに長期治療後の抗タウ抗体の免疫原性(血清中の抗薬物抗体(ADA)の存在)を評価すること。
安全性転帰に関する副次的目的:AE、SAE、AEによる早期中止、ECG、実験室評価、身体及び神経学的検査、バイタルサイン、並びにColumbia Suicide Severity Rating Scale(C-SSRS)によって評価される、早期アルツハイマー病を有する対象における抗タウ抗体の安全性及び忍容性を調査すること、並びに安全性評価のために脳MRIが含まれる。
探索的目的:Amsterdam Instrumental Activities of Daily Living Questionnaire(IADL)によって測定されるような、抗タウ抗体対プラセボで処置された対象間の機能状態の変化を評価すること、Quality of Life in Alzheimer’s Disease(QOL-AD)によって測定される、抗タウ抗体及びプラセボで処置された対象間の生活の質の変化を評価すること、臨床有効性、安全性、及びバイオマーカー評価に対する抗タウ抗体の用量と薬物動態との間の関係を評価すること、タウPET負荷とCSF及び血漿リン酸化タウ(p181タウ及びp217+タウ)レベルとの間の関係を評価すること、CSFと血漿アミロイドレベルとの間の関係を評価すること、容積MRIによって測定される脳容積の変化に対する抗タウ抗体の効果を評価すること、-プラセボと比較した、CSF及び/又は血漿/血清中のAβ病態生理学のマーカー(例えば、Aβ42、Aβ40、及びAβ42/Aβ40)並びにニューロン損傷、神経変性(例えば、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、ニューログラニン)、及び炎症(例えば、キチナーゼ-3-様タンパク質1(YKL40)、骨髄細胞2(TREM2)上に発現される可溶性トリガー受容体など)の下流マーカーに対する抗タウ抗体の効果を探索すること、タウ及び神経変性のバイオマーカー(CSFリン酸化タウ、総タウ、NfL、ニューログラニン、タウPET、容積MRI)の、臨床的減退の変化との潜在的な関係を探索すること、並びにResource Utilization in Dementia Lite(RUD-Lite))によって測定される、抗タウ抗体又はプラセボで処置された対象間の資源利用の差(介護者時間、入院、住居の変化など)を評価すること。
試験計画
試験の概略図を図1に示す。全ての登録された対象について、試験は以下からなる。
(a)13週間(90日)のスクリーニング期間(医療モニターからの事前承認により120日まで延長することができる)、
(b)最大232週間(4.5年)の可変二重盲検処置期間、及び
(c)約13週間(90日間)の追跡期間。
この試験は外来患者試験である。二重盲検処置期間は可変持続期間であり、全ての対象が128週間まで二重盲検処置を受ける機会を有するまで継続する。研究対象は、232週間(4.5年)までの最大期間の二重盲検期間において追跡され、最も早く登録された対象については最も長い追跡が行われる。
試験母集団
適格な対象のスクリーニングは、試験介入(すなわち、抗タウ抗体又はプラセボ)の投与前90日以内に行われる。
試験は、約420人の対象、治療群当たり約140人の対象を登録している。標的集団は、散発性初期アルツハイマー病を有し、病理的リン酸化タウタンパク質のバイオマーカー証拠(血漿プレスクリーニングによって最初に評価され、タウPET上の病的タウによって確認される)(T+)を有する、初回同意時に55~80歳(両端を含む)の対象からなる。
包含基準は、以下のとおりである。
(1)初回同意時に55~80歳(両端を含む)であること。
(2)初期アルツハイマー病:スクリーニング時に、対象及び情報提供者(試験パートナー)並びに0.5のCDR-GS及び0.5以上のメモリーボックススコアによって報告されるような、少なくとも過去6ヶ月にわたる対象の認知の漸進的かつ進行性の主観的減退。
(3)血漿中で最初に定義された病理学的に上昇したタウ(T+)の証拠。血漿T+対象のみが、スクリーニング時にタウPETスキャンを受けて、T+状態を確認する。
(4)有資格読者によって中心的にレビューされたスクリーニングタウPETスキャンにおける病的タウの証拠。
(5)読み取り及び書き込みが可能であり、スクリーニング時に対象及び試験パートナーによって報告された最低5年の教育で、これを行うことができる。
(6)この試験に参加し(書面によるインフォームドコンセントに署名した)、試験プロトコルに従う意思がある。
(7)参加するのに十分なリテラシーを有し、対象との試験を完了する可能性が高いと判断される、指定された試験パートナーを有する。
(8)女性対象は妊娠の可能性があってはならない。すなわち、それらは以下のいずれかでなければならない。
(a)閉経後(代替的な医学的原因なしに1年間月経がない);閉経後範囲において高レベルの卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone、FSH)(>40 IU/L又はmIU/mL)を使用して、女性がホルモン避妊薬又はホルモン置換療法を使用していない閉経後状態であることを確認することができるが、1年間の無月経がない場合には、1回のFSH測定では不十分である)、又は
(b)永久不妊手術後(例えば、卵管閉塞、子宮摘出術、両側卵管切除術)、又は
(c)若しくはそれら以外で、妊娠できないこと。
(9)妊娠する可能性のある女性との性行為に積極的である男性は、研究中、及び試験介入の最後の投与を受けた後最大16か月間、避妊のバリア法(例えば、殺***フォーム/ジェル/フィルム/クリーム/座薬付きのコンドーム、又は殺***フォーム/ジェル/フィルム/クリーム/座薬付きの閉塞キャップ(ペッサリ若しくは子宮頚部/円蓋キャップ)を使用するパートナー)を使用することに同意しなければならない。更に、彼らの女性パートナーはまた、少なくとも同じ期間、非常に有効な避妊法(例えば、ホルモン避妊薬)を使用すべきである。女性パートナーが妊娠している男性試験対象は、試験中及び試験介入の最後の投与後16週間までコンドームを使用すべきである。
10.男性対象は、試験中及び試験介入の最後の投与後16週間まで***を供与しないことに同意しなければならない。
除外基準は、以下のとおりである。
1.投与前ベースラインCDR投与時にCDR-GS≧2を有する対象。
2.アルツハイマー病以外の任意の病因(例えば、前頭側頭葉変性症、びまん性レビー小体病、パーキンソン病、脳血管病、正常圧水頭症、頭部損傷、薬物又はアルコール乱用/依存、無酸素性脳傷害などによるMCI/痴呆症)による疑いがあるMCI又は痴呆症/軽度又は重度の神経認知障害の診断基準を満たす対象。
3.老年うつ病スケール(Geriatric Depression Scale、GDS)30スコア≧12。
4.Hachinski虚血スケール(Hachinski Ischemic Scale、HIS)>4。
5.常染色体優性アルツハイマー病又は任意の他の神経変性疾患に関連するプレセニリン-1(PSEN1)、PSEN2、又はアミロイド前駆体タンパク質変異の公知のキャリア。
6.タウPETによって測定されるように、広範囲に広がったタウ病態を有する対象。
7.アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、メマンチン、及び/又は他の許可されたアルツハイマー病療法を4ヶ月未満受けたか、又はスクリーニングの開始までにこれらの治療に対する安定用量を2ヶ月未満受けた。(注:対象が最近アセチルコリンエステラーゼ阻害剤及び/又はメマンチンを停止した場合、当該対象はスクリーニング開始の少なくとも2ヶ月前に治療を中止していなければならない)。アルツハイマー病の根底にある病態生理を標的とするアルツハイマー病療法(例えば、抗アミロイド療法又は抗タウ療法)の併用は許可されない。
8.アルツハイマー病の治療(除外基準(7)に詳述されるような)を除いて、中枢神経症候群(central nervous syndrome、CNS)に影響を及ぼす薬物療法を2ヶ月未満の間受けている。すなわち、CNSに影響を及ぼす長期投薬の用量は、スクリーニングの開始前少なくとも2ヶ月間安定であるべきである。ベンゾジアゼピンの長期使用は許可されない。
9.症状発現前のハンティングトン病、多発性硬化、パーキンソン病、ダウン症候群、活性アルコール/薬物乱用又は精神***症、統合失調感情障害若しくは双極性感情障害又は大うつ病性障害の現在のエピソードを含むがこれらに限定されない大精神障害を含むがこれらに限定されない有意な認知障害又は痴呆症の長期リスクに関連する任意の神経学的、精神医学的又は医学的状態の存在。
10.TSHについての中央検査室の正常な範囲の外側にある(すなわち、正常の下限未満又は正常の上限より高い)甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone、TSH)値として定義される、甲状腺疾患又は機能不全の存在、又は中央検査室の正常下限未満であるビタミンB12若しくは葉酸値として定義される、ビタミンB12若しくは葉酸不足。対象は、処置され、少なくとも3ヶ月間正常範囲内の甲状腺刺激ホルモン、ビタミンB12、及び葉酸レベルの証拠を有する場合、再スクリーニングされ得る。
11.スクリーニング前10年以内の血管迷走神経失神以外のてんかん歴、発作歴、又は原因不明の失神歴。
12.抗タウ抗体又は製剤要素に対する既知のアレルギー、過敏症、又は不耐性。
13.スクリーニング前の過去5年以内の精神疾患の診断及び統計マニュアル基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders criteria)の最新版による物質使用障害歴、又はスクリーニング時の他の乱用薬物(バルビツレート、オピエート、コカイン、アンフェタミン、及びベンゾジアゼピンを含む)についての陽性検査結果(現在の処置に関連する場合を除く)。
14.治験責任医師の意見において、臨床的に重要であり、治験への対象の参加を安全でなくする可能性がある任意の現在の医学的状態、例えば、任意の主要臓器系の制御されていない又は不安定な疾患、血管再生処置を含む、救急治療又は入院を必要とする主要臓器系の任意の急性疾患の過去6ヶ月以内の病歴、重度の腎不全又は肝不全、不安定型又は管理不良の糖尿病、高血圧又は心不全、過去3年以内の悪性新生物(治験責任医師の意見では、再発のリスクが最小限で治癒したと考えられる、女性対象における皮膚若しくは子宮頸部の基底細胞若しくは扁平上皮細胞癌、又は男性対象における限局性前立腺癌を除く)、ローカルサイトルーチン評価に含まれる血液パラメータにおける任意の臨床的に関連する異常、視力、聴力又は伝達能力の重度の喪失。
15.治験責任医師によって判断されるように、治験において必要とされる評価の協力又は完了を妨げる任意の条件又は計画された長期間の欠席(例えば、休暇)。
16.臨床的に有意な異常な身体若しくは神経学的検査、スクリーニング若しくはベースライン(1日目の投与前)でのバイタルサイン、又はスクリーニングでの検査所見。対象は、所見が治療され、対象が少なくとも3ヶ月間医学的に安定であった後に、包含基準を満たし、除外基準を満たさない場合、再スクリーニングされ得る。
17.スクリーニング時に、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≧2×正常上限(ULN)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≧3×ULN、及び/又は総ビリルビン≧2×ULNを有する。ジルベール症候群と診断された対象は許可される。
18.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体の陽性検査の履歴、又はスクリーニング時のHIV検査で陽性。
19.Bazettの式で心拍数が補正されたQT間隔(QTcB)>450ミリ秒(男性)又は>470ミリ秒(女性)であり、スクリーニング時に中央ECGベンダーによって評価され、投与前の1日目に治験責任医師によって評価された。ECGを3回実施し、3つのQTcB測定のうちの2つ以上が>450ミリ秒(男性)又は>470ミリ秒(女性)である場合、対象を除外する。注:ECG測定を1回繰り返してもよい。任意の潜在的に臨床的に有意な所見について、施設は、標準的な臨床診療に従って対象を管理する。
20.MRIに対する任意の禁忌。
21.(MRIチャーターに概説されるような)治験責任医師又はスポンサーの意見において、脳腫瘍(良性又は悪性)、動脈瘤又は動静脈奇形、局所性脳卒中(より小さい流域梗塞を除く)、最近の出血(実質又は硬膜下)、又は閉塞性水頭症を含むがこれらに限定されない、認知に影響を及ぼし得る頭蓋内病理の任意の証拠。臨床的に有意でないと判断された小血管疾患(例えば、白質変化又は腺窩性梗塞)のマーカーを示すMRIスキャンを有する対象、又は微小脳出血は許容される。
22.頭蓋内圧上昇の徴候(例えば、臨床検査又はMRI検査に基づく)。
23.治験責任医師によって決定されたように、対象は、スクリーニング時又は現在の試験への参加期間中に、この試験と科学的又は医学的に適合しない別の臨床試験又は他の医学研究に参加している。
24.対象は、ベースライン来診(1日目)の前に、3ヶ月又は5半減期以内(いずれか長い方)に、治験薬(受動免疫を含む)を受けたか、又はアルツハイマー病のための治験用医療デバイスを使用したか、又はこの試験若しくは他の抗タウ抗体試験を以前に完了したか、若しくはここから離脱した。
25.対象は、タウに向けられた活性ワクチンを以前に受けている。
26.個人が治験責任医師の意見で試験評価に同意又は完了することができなくなる意思決定能力の低下。
27.スクリーニング前の過去6ヶ月における任意の自殺行為(試み、中断、中止、又は準備)の履歴。
28.研究タウPETリガンドによる計画された投与と組み合わせた電離放射線への過去又は計画された曝露は、局所推奨曝露限界を超える累積曝露をもたらすであろう。
29.治験責任医師又は治験実施施設の被雇用者であり、又は治験責任医師又は治験実施施設の指示に基づいて提示試験又は他の試験に直接的に関与している者、あるいはそのような被雇用者又は治験責任医師の家族である場合。
30.現在、住居用看護施設に居住している。試験中にリハビリテーションのために看護施設に入院しなければならない対象は、試験手順を完了することができる場合、試験を継続することができる。
31.良好な静脈アクセスを有さず、4週間毎の頻繁な採血及びIV注入を妨げる。
32.試験への参加を禁忌とするか、又はアルツハイマー病の不適切な臨床激怒を示唆し得る、治験責任医師及び/又はスポンサーの意見における任意の他の因子(例えば、CDR-GS及びRBANS遅延記憶指数(Delayed Memory Index、DMI)の不一致)。
33.アルツハイマー病の根底にある病態生理を標的とする承認された治療(例えば、抗アミロイド療法)を受けることを計画するか、又は現在受けている。参加者が、アルツハイマー病の根底にある病態生理を標的とする承認された治療(例えば、抗アミロイド療法)を中止した場合、治療の最後の投与と二重盲検処置期間の1日目との間に、少なくとも3ヶ月又は5半減期(いずれか長い方)がなければならない。
処置期間
対象を、以下の3つの治療群のうちの1つに1:1:1の比で無作為に割り当てる(中央無作為化)。
(i)1000mg用量の抗タウ抗体、
(ii)3000mg用量の抗タウ抗体、又は
(iii)プラセボ。
抗タウ抗体が、配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、ヒト化IgG1モノクローナル抗体である。抗タウ抗体は、滅菌された保存剤を含まない液体として供給され、10mMヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート20、20μg/mL EDTAからなる溶液中に抗体の濃度50mg/mLを含み、pH5.5に設定されている。
プラセボの製剤は、抗タウ抗体製剤と同様であるが、抗体を含まない。
抗タウ抗体又はプラセボを4週間毎に静脈内投与する。注入は、60分間にわたって一定速度で行う。対象は、全ての無作為化された対象が最大128週間の二重盲検処置を受ける機会を有するまで、割り当てられた試験介入による処置を継続し、その時点で、試験介入は全ての対象について中止される。任意の対象についての二重盲検期間処置の最大持続期間は、232週間(4.5年)である。
試験評価
以下の評価を試験中に含める。
■iADRS:iADRSにおけるベースラインからの変化は、臨床的減退に対する抗タウ抗体対プラセボの効果を評価するための主要評価項目である。
■ADAS-Cog13:ADAS-Cog13におけるベースラインからの変化は、認知減退に対する抗タウ抗体対プラセボの効果を評価するための重要な副次的評価項目である。
■ADCS-ADL-MCI:ADCS-ADL-MCIにおけるベースラインからの変化は、抗タウ抗体又はプラセボで処置された対象間の機能状態の変化を評価するための重要な副次的評価項目である。
■RBANS総スケール指標スコア:RBANS総スケール指標スコアにおけるベースラインからの変化は、認知低下に対するプラセボと比較した抗タウ抗体の効果を評価するための副次的評価項目である。
■5つの個々のRBANS指標及びRBANSを含む12のサブテスト:5つの個々のRBANS指標の各々及びRBANSを含む12個のサブテストの各々におけるベースラインからの変化は、プラセボと比較した抗タウの効果を評価するための副次的評価項目である。
■CDR-SB:CDR-SBにおけるベースラインからの変化は、抗タウ抗体による処置がプラセボと比較して臨床進行を遅らせるかどうかを評価するための副次的評価項目である。
■NPI:NPIにおけるベースラインからの変化は、抗タウ抗体又はプラセボで処置された対象間の神経精神病学的/行動学的状態の変化を評価するための副次的評価項目である。
■CDR-GS:ベースラインからベースライン後までにCDR-GS0~0.5以上、0.5~1以上、又は1~2以上に進行する対象の割合は、プラセボと比較した抗タウの効果を評価するための副次的評価項目である。
■タウPET:タウPETによって測定される脳タウ負荷のベースラインからの変化は、プラセボと比較したタウ病態の蓄積及び/又は伝播に対する抗タウ抗体の効果を評価するための副次的評価項目である。
■総、遊離、及び結合p217+タウ断片のCSF濃度:総、遊離、及び結合p217+タウ断片のCSF濃度におけるベースラインからの変化は、CSF中の総、遊離、及び結合p217+タウ断片のレベルに対する抗タウ抗体の効果を評価するための副次的評価項目である。
■抗タウ抗体のCSF及び血清濃度:異なる時点(CSF濃度について52週目、104週目、208週目、血清濃度について4、8、12、16、20、24、36、52、76、104、128、156、180、208、及び232週目)における抗タウ抗体のCSF及び血清濃度は、長期治療後の抗タウ抗体の末梢及び中枢曝露(PK)を評価するための副次的評価項目である。
■血清中のADA:異なる時点での血清中のADA最大245週目(90日目(±7日目、試験介入の最終投与後)は、長期治療後の抗タウ抗体の免疫原性を評価するための副次的評価項目である。
■AE、SAE、ECG、実験室評価、身体的及び神経学的検査、バイタルサイン、脳MRI、及びC-SSRS:AEの性質、頻度、重篤度、及びタイミング、AEによる中止、及びSAE、並びに12誘導ECGによって測定される他の安全パラメータの評価(3回実施)、実験室評価(血液学、化学、及び尿検査を含む)、完全な身体的及び神経学的検査、バイタルサイン(仰臥位及び立位の収縮期及び拡張期の血圧及び脈拍、体温、及び体重を含む、脳MRI、C-SSRSによる自殺傾向の評価は、初期ADを有する対象における抗タウ抗体の安全性及び忍容性を調査するための副次的評価項目である。
■Amsterdam IADL:Amsterdam IADLにおけるベースラインからの変化は、抗タウ抗体対プラセボで処置された対象間の機能状態の変化を評価するための探索的評価項目である。
■QOL-AD:QOL-ADにおけるベースラインからの変化は、抗タウ抗体対プラセボで処置された対象間の生活の質の変化を評価するための探索的評価項目である。
■抗タウ抗体用量並びに血清中及びCSF中レベル、並びに効力、安全、及びバイオマーカー所見:抗タウ抗体用量並びに血清中及びCSF中レベルと、注目すべき効力、安全性、及びバイオマーカー所見との相関は、臨床効力、安全性、及びバイオマーカー評価に対する抗タウ抗体の用量とPKとの関係を評価するための探索的評価項目である。
■p181タウ及びp217+タウのCSF及び血漿濃度、並びにタウPET:p181タウ及びp217+タウのCSF及び血漿濃度におけるベースライン及びベースラインからの変化の相関/一致、並びにタウPETは、タウPET負荷とCSF及び血漿中リン酸化タウ(p181タウ及びp217+タウ)レベルとの間の関係を評価するための探索的評価項目である。
■CSF Aβ及び血漿中Aβ:ベースラインでのCSF Aβと血漿中Aβとの間の相関/一致及びベースラインからの変化は、CSFと血漿アミロイドレベルとの間の関係を評価するための探索的評価項目である。
■容積MRI:MRIを使用した海馬、全脳、及び心室容積におけるベースラインからの変化は、脳容積の変化に対する抗タウ抗体の効果を評価するための探索的評価項目である。
■CSF及び/又は血漿/血清中で測定される、Aβ病態生理学、ニューロン損傷、及び神経変性、並びに炎症のバイオマーカー:CSF及び/又は血漿/血清中で測定される、Aβ病態生理学(Aβ42、Aβ40、及びAβ42/Aβ40)、ニューロン損傷、及び神経変性(NfL、ニューログラニン)又は炎症のバイオマーカー(YKL40、可溶性TREM2)におけるベースラインからの変化は、Aβ病態生理学のマーカー並びにCSF及び/又は血漿/血清中のニューロン損傷、神経変性、及び炎症の下流マーカーに対する抗タウ抗体の効果を、プラセボと比較して、CSF及び/又は血漿/血清中で探索する探索評価項目である。
■CSF p-タウ、tタウ、NfL、ニューログラニン、タウPET、容積MRI、CDR SB、iADRS、RBANS、及び/又はADAS Cog13:ベースラインと、CSF p-タウ、tタウ、NfL、ニューログラニン、タウPET、容積MRIにおけるベースラインからの変化と、臨床衰退におけるベースラインからの変化(CDR SB及びiADRS)又は認知スコアにおけるベースラインからの変化(RBANS及びADAS Cog13)との間の相関は、タウ及び神経変性のバイオマーカー(CSF p-タウ、t-タウ、NfL、ニューログラニン、タウPET、容積MRI)の臨床衰退における変化との潜在的な関係を探索するための探索的評価項目である。
■資源利用:RUD Lite上の資源利用のベースラインからの変化(例えば、介護者時間、入院、住居の変化)は、抗タウ抗体又はプラセボで処置された対象間の資源利用の差(例えば、介護者時間、入院、住居の変化)を評価するための探索的評価項目である。
処置後評価
二重盲検処置期間における試験介入の最後の投与の約90日後(±7日後)(すなわち、二重盲検処置期間の最後の来診後)、対象は、非盲検延長試験に入らない場合、追跡来診のために施設に戻る。追跡来診中に完了する手順には、身体検査、神経学的検査、バイタルサインの評価、血液学、化学、及び尿検査が含まれる。二重盲検処置期間中に試験から早期に離脱した対象はまた、試験介入の最後の投与後約90日(±7日)以内に処置後期間(追跡来診)評価、又は早期終了来診評価(いずれか最後に来る方)を完了すると予想される。
対象が、治験薬の最後の投与後90日を超えて二重盲検処置期間(治験薬なし)のままである場合、二重盲検処置期間の完了後に安全性追跡来診は必要ない。対象が、ある期間にわたって二重盲検処置期間(治験薬なし)のままであるが、治験薬の最後の投与後90日に達する前にこの段階を中止する場合、早期終了来診を行い、その後、治験薬の最後の投与後約90日に安全性追跡来診を行うべきである。
最後の来診時に、試験及び試験介入中止の詳細な理由を収集する。
治験責任医師は、安全性又は生存状態を決定するための長期追跡情報を得るために、対象又は試験パートナーと再連絡し得る。対象が死亡した場合、死亡の日付及び原因が収集され、文書化される。
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Claims (22)

  1. モノクローナル抗体が投与されることを必要とする対象においてそれを行う方法であって、前記モノクローナル抗体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を前記対象に投与することを含み、
    前記モノクローナル抗体が、1用量当たり約500mg~約5000mgの量で投与され、
    前記モノクローナル抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変相補性決定領域(CDR)1と、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR2と、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR3と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR1と、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR2と、配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR3とを含む、
    前記方法。
  2. モノクローナル抗体が投与されることを必要とする対象においてそれを行う際に使用するための、モノクローナル抗体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、
    前記モノクローナル抗体が、1用量当たり約500mg~約5000mgの量で投与され、
    前記モノクローナル抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変相補性決定領域(CDR)1と、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR2と、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変CDR3と、配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR1と、配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR2と、配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変CDR3とを含む、
    前記医薬組成物。
  3. 前記モノクローナル抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR1と、配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR2と、配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変CDR3と、配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR1と、配列番号14のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR2と、配列番号15のアミノ酸配列を有する軽鎖可変CDR3とを含む、請求項1又は2に記載の方法又は医薬組成物。
  4. 前記モノクローナル抗体が、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  5. 前記モノクローナル抗体が、配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  6. 前記モノクローナル抗体が、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  7. 前記モノクローナル抗体が、配列番号27のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号28のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  8. 前記医薬組成物が、ヒスチジン、スクロース、ポリソルベート20、及びエチレンジアミン四酢酸を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  9. 前記医薬組成物が、約5~6のpHを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  10. 前記モノクローナル抗体が、1用量当たり約1000mg~約3000mgの量で投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  11. 前記モノクローナル抗体が、1用量当たり約2000mg~約5000mgの量で投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  12. 前記モノクローナル抗体が、1用量当たり約3000mg~約5000mgの量で投与される、請求項1~9及び11のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  13. 前記モノクローナル抗体が、1用量当たり約500mg、750mg、1000mg、1200mg、1250mg、1400mg、1500mg、1600mg、1750mg、1800mg、2000mg、2200mg、2250mg、2400mg、2500mg、2600mg、2750mg、2800mg、3000mg、3200mg、3250mg、3400mg、3500mg、3600mg、3750mg、3800mg、4000mg、4200mg、4250mg、4400mg、4500mg、4600mg、4750mg、4800mg、若しくは5000mg、又はその間の任意の値の量で投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  14. 前記モノクローナル抗体が、1用量当たり約1000mgの量で投与される、請求項1~10及び13のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  15. 前記モノクローナル抗体が、1用量当たり約3000mgの量で投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  16. 前記モノクローナル抗体が、1用量当たり約4000mgの量で投与される、請求項1~10及び11~13のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  17. 前記モノクローナル抗体が、1用量当たり約5000mgの量で投与される、請求項1~10及び11~13のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  18. 前記医薬組成物が、静脈内注入によって投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  19. 前記医薬組成物が、2回以上の用量として投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  20. 各用量の前記投与が、約4週間の期間で隔てられている、請求項19に記載の方法又は医薬組成物。
  21. アルツハイマー病の治療を必要としている前記対象である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
  22. 前記対象が、初期アルツハイマー病、前駆期アルツハイマー病、又は軽度アルツハイマー病の治療を必要としている、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法又は医薬組成物。
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