JP2023544449A - コラーゲンハイブリダイジングペプチドを使用してコラーゲン含有量を決定するための方法 - Google Patents

コラーゲンハイブリダイジングペプチドを使用してコラーゲン含有量を決定するための方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、コラーゲンハイブリダイジングペプチドを使用してコラーゲン含有量を決定するための方法を提供する。本開示は、破壊されたコラーゲン(例えば、トリプルヘリックス性が破壊されたコラーゲン)及び/又は総コラーゲンの量を定量するための方法を提供する。本開示は、破壊されたコラーゲン(例えば、トリプルヘリックス性が破壊されたコラーゲン)の量を総コラーゲンの一部分として定量するための方法を提供する。【選択図】 図1

Description

[連邦政府資金による研究に関する記載]
[0001]本発明は、アメリカ合衆国保健福祉省のアメリカ国立衛生研究所によって付与された2R44OD021986-02の下での政府支援を伴ってなされた。政府は、本発明においてある一定の権利を有する。
[分野]
[0002]本開示は、ダメージを受けたコラーゲン及びコラーゲンの含有量を定量するための方法に関する。
[背景]
[0003]細胞外マトリクス(ECM)は、正常なプロセス及び病理学的プロセスの調節において基本的な役割を有する。ECMで見られる、最も多く発現される構成要素は、コラーゲンである。コラーゲンのトリプルヘリックス構造は高度に保存されていることが知られているが、しかし、ある特定の病的状態では、コラーゲンのトリプルヘリックス構造は破壊されている場合がある。多くの場合、状態の重症度は、コラーゲン破壊の程度又は量と相関し得る。コラーゲン破壊を定量するための既存の技術は、数日若しくは数週間を要し得るか、又は複雑な染色手順を伴う。さらに、この技術が正確に行われたとしても、結果の分析には訓練された病理学者又は技術者が必要であり得、このことは、個人間又は個人内の変動性を分析に導入する可能性がある。したがって、試料中のダメージを受けたコラーゲン又は総コラーゲンの含有量を決定し得る、迅速で、信頼性があり、及び/又は自動化された技術が必要とされている。
[参照による組み込み]
[0004]本明細書における全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照によって組み込まれることが具体的且つ個別に示されたのと同程度に、参照によって組み込まれる。本明細書における用語と組み込まれた参考文献における用語との間で矛盾がある場合には、本明細書における用語が優先される。
図1は、コラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)で処置した組織試料中の変性した(ダメージを受けた/リモデリング)コラーゲンの相対的含有量の計算を可能にする、変性したコラーゲンの含有量(左)及び総コラーゲン(右)を決定するための典型的なプロセスを示す図である。 図2A~Cは、線維性のヒト肝臓組織の免疫組織化学画像を示す図である。(A)熱誘導エピトープ賦活化(HIER)を伴わず、その後、50msの曝露時間でCHPでの処置を行った、健康な肝臓組織の画像を示しており、この場合、観察可能なコラーゲンシグナルは得られていない。(B)HIERを伴い(左)、及びHIERを伴わず(右、ネイティブ)、その後、CHPでの処置を行った、線維性の肝臓組織の1倍倍率の画像を示している。(C、上部)HIERを伴い(左)、及びHIERを伴わず(右)、その後、CHPでの処置を行った、パネルBで同定されている線維性の肝臓組織のはめ込み領域の5倍倍率の画像を示している。(C、下部)HIERを伴い(左)、及びHIERを伴わず(右)、その後、CHPでの処置を行った、パネルCの上列で同定されている線維性の肝臓組織のはめ込み領域の20倍倍率の画像を示している。HIERで処理された試料は、変性コラーゲンに対応するCy5シグナルの増大を示している。 図3A~Bは、ヒトの線維性肝臓組織の免疫組織化学画像を示す図である。(A)HIER(上部)とその後のCHPでの処置とを伴う線維性の肝臓組織、ヘマトキシリン及びエオシン(HE)で染色された線維性の肝臓組織、並びにマッソントリクローム(マッソン)で染色された線維性の肝臓組織の1倍倍率の画像を示している。(B、上部)HIERとその後のCHPでの処置とを伴う(左)、HE染色を伴う(中央)、及びマッソントリクロームを伴う(右)、パネルAで同定されている線維性の肝臓組織のはめ込み領域の5倍倍率の画像を示している。(B、下部)HIERとその後のCHPでの処理とを伴う(左)、HE染色を伴う(中央)、及びマッソントリクロームを伴う(右)、パネルBの上列で同定されている線維性の肝臓組織のはめ込み領域の20倍の倍率画像を示している。 図4は、誘導エピトープ賦活化後に20μMのR-CHPで染色した、異なる厚さの正常なウサギの皮膚切片を示す図である。組織切片の厚さが増大するにつれ、より大きなCHP強度が見られる。ImageJ/FIJIを使用するシグナル定量は、組織の厚さとシグナル強度との間のほぼ線形の相関を示している。 図5は、マッソントリクローム(MT)、ヘロビチ(Herovici’s)染色、ピクロシリウスレッド(PSR)、コラーゲンI及びコラーゲンIII抗体カクテル(Col I/III)、並びにビオチン標識されたCHP(B-CHP)を含む5つの異なる方法を使用して染色されたマウス肝臓の代表的な顕微鏡写真を示す図である。いくつかの切片が、健康な(コントロール)マウス肝臓(A~E)から、及びCClの注射の8週間後の線維性のマウス肝臓から(F~J)採取された。全ての写真において矢印によって同定されているコラーゲンは、MTでは青に、PSRではピンク/赤に、ヘロビチでは成熟コラーゲンでピンク/赤に、若いコラーゲンは青に、Col I/IIIカクテルでは濃い茶色から薄い茶色に、そしてCHP染色(総コラーゲン)では濃い茶色に染色されている。目的の他の特徴は、C-中心静脈、H-肝細胞、P-門脈三つ組として標識されている。倍率は40倍であり、スケールバー=200μMであった。 図6は、画像分析ソフトウェアによるコラーゲンの定量を示す図である。コラーゲンは全ての試料において検出され、ナイーブ試料では検出された全コラーゲンは少なく、疾患を有する試料では非常に多くの量のコラーゲンが検出された。 図7は、自動画像分析を使用する、線維性肝臓試料(CCl4、8週間)において検出されたコラーゲンの代表的な顕微鏡写真を示す図である。全ての画像において、緑色の点線は組織の外縁を表しており、黒の点線は分析から除外された区域を示している。上列の画像は分析前の画像であり、下列の画像は、画像分析によって強調されたコラーゲンを示している(PSRは赤、全ての他のものは明るい緑色)。 図8は、ビオチン標識されたCHP(B-CHP)を使用して染色されたヒト肝臓生検対の代表的な写真を示す図である。対象は、病理学者によって、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のスコア付けをされた。B-CHPは、集められた、NAFLDの全ステージにわたる、進行が中程度の又は遅い患者と比較した、進行が速い人における疾患のリモデリングに起因する変性コラーゲンの含有量の差を検出することができた。これらの差は、区域の陽性度×強度の乗算を利用する修正Hスコアを使用する半定量的評価で、統計的に有意であることが分かった。 図9は、B-CHPで処置されたヒト肝臓生検における、総コラーゲン(上列)及び疾患進行から生じたリモデリングされたコラーゲン(下列)を示す代表的な写真を示す図である。肝臓生検対を、NAFLDスペクトルにわたる対象から得、病理学者の評価に基づいてスコア付けした。CHPを介する総コラーゲン染色を使用して、病理学者は、ステージ1とステージ4と(p値=0.00001)、及びステージ2とステージ4と(p値=0.237)、及びステージ3とステージ4と(p値=0.0197)で、総コラーゲンとリモデリングされたコラーゲンとの間の比率を計算することによって、ステージ1、2、3、及びステージ4の間を区別することができた。
[0014]上記で同定された図面は本明細書において開示されている実施形態を示しているが、考察において記載されているように、他の実施形態もまた検討される。本開示は、限定ではなく代表の提示によって、実例となる実施形態を示している。本明細書において開示されている実施形態の原理の範囲及び趣旨に含まれる多くの他の修正及び実施形態が、当業者によって案出され得る。
[詳細な説明]
概説
[0015]総コラーゲン含有量の評価は、既存の方法によって、例えば、トリプシン-ヒドロキシプロリンアッセイを使用することによって行われ得る。しかし、この方法は完了までに最大数日間を要し得、(例えば、結果を損なわせる可能性がある複数回のピペッティングに起因して)誤差を生じやすい傾向があるため、取り扱いが難しい。さらに、この方法は試料を完全に破壊するため、試料内での変性コラーゲンの分布についての空間的情報を得るために使用することができない。逆に、本明細書において記載されるある特定の方法は、コラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)を使用して、組織の破壊も限定しながら、組織試料内の総コラーゲン含有量を迅速且つ容易に決定する。CHPは、例えば、参照によってその全体が全ての目的で本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0164220号において開示されている。Linら、「Microplate assay for denatured collagen using collagen hybridizing peptides」、J.Orthopaedic Research、2018年11月26日において示されているように、CHPは、トリプシン-ヒドロキシプロリンアッセイに等しい能力で、ダメージを受けた又は変性したコラーゲンの濃度を検出することができる。
[0016]非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性腎臓病(CKD)、及び特発性肺線維症(IPF)などの疾患における線維症の重症度を判定するための現在のゴールドスタンダードは、生検を採取し、組織病理学的又は免疫組織化学的(IHC)技術を使用して組織を評価することである。組織生検内のコラーゲンを同定するために、いくつかの染色を使用することができる(例えば、ピクロシリウスレッド(PSR)/ファストグリーン、マッソントリクローム、及びヘロビチ染色)。ダメージを受けたコラーゲンは、染色の不存在によって又は訓練された病理学者による比色分析の評価によって同定され得る。コラーゲンのダメージの間接的指標である前述の染色に加えて、これらの染色もまた、多くのステップを伴う複雑な染色手順を要し、一部は特別な画像化装置(偏光)の使用を要し、そして、コラーゲン含有量を評価するための客観的画像分析方法は存在していない。トリクローム染色(マッソン又はマロリー)は、コラーゲン含有量を過小評価することが分かっている。この方法は、3つの異なる色素を利用して、細胞核、コラーゲン性タンパク質、及び細胞質を染色する。無傷のコラーゲンは青又は緑色に染色され、ケラチン及び筋肉線維は赤に染色され、細胞質はピンクに染色され、そして細胞核は茶色又は黒に染色される。ダメージを受けたコラーゲンは、構造がダメージを受けているために、利用可能な色の間の混在となるため、区別するのがより困難であり、したがって、客観的画像分析方法では、正確な領域を同定することは困難である。シリウスレッド/ファストグリーン染色は、トリクローム染色での課題を克服するために開発され、偏光によって、より良い可視化をもたらすことができた。シリウスレッド/ファストグリーン染色はコラーゲン線維及び線維束を赤く染色するが、非コラーゲン性タンパク質(すなわち、フィブロネクチン、ラミニン)は緑/黄色に染色される。この染色手順は、特異性、感度、及び解像度を増大させるために偏光を利用する。しかし、ダメージを受けたコラーゲンは、無傷のコラーゲン原線維の方向を失っているため、ダメージを受けたコラーゲンは暗い領域として現れる。ピクロシリウスレッドは長い複屈折分子であり、組織において、ピクロシリウスレッドは、コラーゲンだけではなく様々な分子に結合する。しかし、コラーゲンに結合すると、ピクロシリウスレッドはコラーゲン原線維と平行の方向となり、これによって、コラーゲン原線維の天然の複屈折を大きく増強させる。したがって、原線維性コラーゲン/シリウスレッド複合体は、シリウスレッド及び他のタンパク質で作られた複合体よりも複屈折性である。シリウスレッドが結合した原線維性コラーゲンはこうして偏光の下で検出され得、偏光の下で当該原線維性コラーゲンは明るく見え、暗い/黒いままである組織の残り部分と比較して鮮明なコントラストがある。コラーゲンがダメージを受けている場合、コラーゲンは複屈折を有さない。最後に、ヘロビチ染色は、I型コラーゲンとIII型コラーゲンとを、また、若いコラーゲン又は古いコラーゲンを区別することができる。若いコラーゲンは青く染色され、成熟コラーゲンは赤く染色され、細胞核は青/黒に染色される。しかし、この染色は、コラーゲンが変性している組織では非常に変化しやすく、染色用の色を多く使用することで、不定の結果が生じ得る。
[0017]これらの染色の評価は、組織の呈色を評価するために目が訓練された病理学者を必要とし、各染色の着色は誤って解釈されやすく、観察者間及び観察者内の変動をもたらす。これは一部には、ダメージを受けたコラーゲンが非構造化タンパク質であり、また、ほとんどの染色又は抗体が非構造化3Dエピトープを標的化することが困難であり、これによって、部分的に染色された又は不完全な染色を有する領域が生じるという事実に起因する。したがって、これらの染色方法を使用する場合には、病理学者は、染色を有さない区域に基づいてダメージコラーゲンの領域を同定する(例えば、マッソントリクローム染色を使用して)。
[0018]組織を染色するための別の方法は、IHCのために抗体を利用することによる。抗体は非常に特異的であることは知られているが、主な困難の1つは、特異的な又は非特異的なバックグラウンドを取り除くことであり、これは多くの場合、適用の前に、複数回のブロックステップ、洗浄ステップ、及び抗原賦活化ステップを必要とする。さらに、抗体は、うまく結合するために、規定された無傷の3Dエピトープを必要とし、そのため、変性コラーゲンなどのダメージを受けた非構造化タンパク質への結合を試みることは、多くの場合、不可能である。1つの市販されている抗体は、切断されたI型又はII型コラーゲンセグメントを検出し得る、C1,2C抗体(Col 2 3/4C短鎖抗体)ウサギポリクローナル抗体(Ibex Pharmaceuticals、モントリオール、CA)である。より詳細には、当該抗体は、II型コラーゲンのコラーゲナーゼ(MMP-1、MMP-8、及びMMP-13)切断によって生じる4分の3片のカルボキシ末端におよそ8個のアミノ酸からなる配列(GPPGPQG)を有するα鎖断片を認識する。しかし、いずれかのMMPによるさらなる切断の機会、又は、酵素の切断反応速度が速いことを理由に他の酵素が、抗体が結合し得る前に当該ペプチドを切断し得ることに起因して、及びその区域からの短い断片のクリアランスに起因して、この断片の検出は一貫しておらず、ダメージを完全に伝えるわけではない。本開示の方法におけるCHPはα鎖の二次構造モチーフを認識するため、これらCHPは、(Gly-X-Y)の配列又はそれよりも長い(例えば(Gly-X-Y))配列を有するあらゆる切片にハイブリダイズすることができる。加えて、本明細書において記載されるCHPは、ダメージのメカニズム(すなわち、熱による、機械的な、化学的な、又は酵素による)に関わらず、あらゆるコラーゲン型(すなわち、I型、II型、III型、IV型など)とハイブリダイズすることができ、これによってCHPは、組織切片内のコラーゲンダメージの検出のために特に優れたものとなっている。
[0019]CHPの使用は、既存の技術に伴う問題に直接対処する。一態様では、本開示は、(あらゆるタイプの)ダメージを受けたコラーゲンを単一のステップで単一の染色として高い特異性で直接染色する、CHPに基づく方法を提供し、また、組織染色の呈色を評価する必要性を伴わずに、ダメージを受けたコラーゲンの領域を定量するため又は総コラーゲン含有量を決定するための、客観的画像化分析方法を提供する。ビオチン標識されたCHPを、光学顕微鏡(例えば、染色された試料を画像化及びスコアリングするために病理学者によって使用される現在の器具)又は蛍光強度を読み取るための蛍光顕微鏡と共に使用することができる。さらに、CHPに基づく方法は、他の染色方法が複数のステップ及び染色(例えば、マッソントリクローム)を必要とすることに対し、単一の染色試薬を使用し得る。
[0020]別の態様では、本開示の方法は、熱を介する染色プロセスにおいて、ダメージを受けたコラーゲン及び総コラーゲンの両方を染色し、これによって、代替的な染色方法(例えば、ピクロシリウスレッド)で見られるような、無傷のコラーゲンとダメージを受けたコラーゲンとの境界面での不完全な又は部分的な染色を避ける。本開示の方法は、組織切片中の総コラーゲン含有量を染色するため、及びソフトウェア(例えば、ImageJ)を使用してCHPの蛍光強度を評価するために、どのようにCHPが使用され得るかを示している。ある特定の実施形態では、医師は、疾患の進行の間の様々な時点での総コラーゲン含有量を比較することによって、線維性の状態の進行をモニタリングすることができる。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、CHP染色技術を使用して組織切片内の全てのコラーゲン型を完全に定量する方法を記載している。ある特定の実施形態では、CHPは、組織切片内のダメージを受けたコラーゲンの含有量を迅速且つ正確に同定し、組織内のダメージのパーセントを決定する(例えば、総コラーゲン含有量を、ダメージを受けたものの100%として使用することによって)ために使用される。
定義
[0021]本明細書において使用される場合、「コラーゲン」は、あらゆる組織型(例えば、骨、真皮、腱、靭帯など)に由来し得る。コラーゲンは、ポリプロリンII様構造の3つのアルファ鎖が共にフォールディングしてトリプルヘリックスとなっている分子を指し得る。加えて、コラーゲンという用語は、I型~XXVIII型コラーゲン及び細菌コラーゲンを含むトリプルヘリックス領域を有するあらゆるタンパク質に適用され得る。用語「コラーゲン」は、本明細書において使用される場合、人工コラーゲン及び処理されているか又は他の方法で修飾されているコラーゲンを含む、全ての形態のコラーゲンを指し得る。一部の実施形態では、コラーゲンは、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、VIII型コラーゲン、IX型コラーゲン、X型コラーゲン、XI型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、XV型コラーゲン、XVI型コラーゲン、XVII型コラーゲン、XVIII型コラーゲン、XIX型コラーゲン、XX型コラーゲン、XXI型コラーゲン、XXII型コラーゲン、XXIII型コラーゲン、XXIV型コラーゲン、XXV型コラーゲン、XXVI型コラーゲン、XXVII型コラーゲン、XXVIII型コラーゲン、及びこれらの組合せから選択される。
[0022]本明細書において使用される場合、「コラーゲン含有量」は、コラーゲン含有試料(例えば、組織)中のコラーゲンの量を指し得る。コラーゲン含有量は、試料中のコラーゲンの重量、試料中のコラーゲンの容積、試料中のコラーゲンの総量に対する試料中の特定のタイプのコラーゲン(例えば、破壊された又は変性したコラーゲン)の割合を指し得る。一部の実施形態では、コラーゲン含有量の決定は、試料中の総コラーゲンの量の決定を含み得る(例えば、ネイティブコラーゲンを意図的に変性させることによる)。他の実施形態では、コラーゲン含有量の決定は、試料中の破壊されたコラーゲンの量の決定(例えば、試料中の総コラーゲンに対する割合として)を含み得る。「変性した」コラーゲンは、もはやトリプルヘリックス形態ではないコラーゲンを指す。
[0023]本明細書において使用される場合、「試料」は、生物学的生命体の一部を指し得る。試料は、細胞、組織、臓器、又は身体の一部であり得る。試料は、生物学的生命体から(すなわち、エクスビボで)採取又は単離され得、例えば、対象から除去された腫瘍試料であり得る。典型的な生体試料には、限定はしないが、皮膚試料、筋肉試料、骨格試料(骨)、ニューロン試料、結合組織試料、臓器組織試料(例えば、脳、肺、肝臓、膀胱、腎臓、心臓、胃、腸など)、腫瘍試料、がん性試料、生体液(例えば、血清試料又は尿試料)、又はこれらに類するものが含まれる。用語「試料」としてはまた、上記の試料の混合物も含まれる。用語「試料」としてはまた、未処置の又は前処置された(又は前処理された)生体試料も含まれる。一部の実施形態では、試料は、対象に由来する1つ又は複数の細胞を含み得る。一部の実施形態では、試料は、実質的に又は完全に無傷である(例えば、インビボでの組織に類似している形態学)。他の実施形態では、試料は、処理されていてよい(例えば、溶液中に砕かれている又はホモジナイズされていてよい)。さらに別の実施形態では、試料は、人工又は合成のものであり得る。
[0024]本明細書において使用される場合、「コラーゲン含有試料」又は「コラーゲン含有組織」は、コラーゲンを含有する、哺乳動物の身体から単離され得る皮膚、筋肉、及びこれらに類するものを指し得る。用語「コラーゲン含有試料」はまた、それが有するコラーゲン又はコラーゲン含有材料が身体の外側で組み立てられた又は製造された、「合成的に」産生された組織(例えば、人工組織)も包含する。「コラーゲン含有試料」はまた、均質な溶液にホモジナイズされている試料(例えば、組織試料又は血清若しくは尿などの生体液)も指し得る。
[0025]本明細書において使用される場合、「破壊されたコラーゲン」は、コラーゲンタンパク質の3つのアルファ鎖が、これら3つのアルファ鎖がフォールディングするべきであることが配列から示唆されている領域においてトリプルヘリックスを少なくとも部分的に形成していないコラーゲン分子又はそのマトリクスを指し得る。「破壊されたコラーゲン」は、コラーゲンタンパク質の3つのアルファ鎖が少なくとも部分的にほどけている、コラーゲン分子又はそのマトリクスを指し得る。破壊されたコラーゲンは、破壊された完全長コラーゲン又はコラーゲンの断片であり得る。コラーゲンの断片は、完全長コラーゲン配列よりも短いあらゆるコラーゲン配列であり得る。断片はまた、当該断片が顕著なネイティブ構造を有さなくなるか又は顕著なネイティブなトリプルヘリックス形態を伴わない領域を有するようになるサイズのものであり得る。
[0026]本明細書において使用される場合、「変性コラーゲン」は、熱による、機械的な、化学的な、酵素による、酸による、又は他の影響によって生じる、そのネイティブなトリプルヘリックス形態ではもはやないコラーゲンを指し得る。変性コラーゲンは、変性した完全長コラーゲン又はコラーゲンの断片であり得る。コラーゲンの断片は、完全長コラーゲン配列よりも短いあらゆるコラーゲン配列であり得る。断片はまた、当該断片が顕著なネイティブ構造を有さなくなるか又は顕著なネイティブなトリプルヘリックス形態を伴わない領域を有するようになるサイズのものであり得る。
[0027]本明細書において使用される場合、「コラーゲンハイブリダイジングペプチド」又はCHPは、配列S-(Gly-X-Y)3~20を有するペプチドであって、式中、Sがペーサー分子であり、mが0~10の整数であり、Glyがグリシンであり、そしてX及びYの少なくとも1つがプロリン、修飾プロリン、及び/又はヒドロキシプロリンである、ペプチドを指し得る。一実施例では、CHPは、式中、Sがスペーサー分子であり、mが0~10の整数であり、Xがプロリン又は修飾プロリンであり、Glyがグリシンであり、そしてHypがヒドロキシプロリンである、S-(Gly-X-Hyp)であり得る。
[0028]本明細書において使用される場合、「スペーサー分子」は、検出可能な部分及び/又はCHPに結合している1つ又は複数の分子又はアミノ酸を指し得る。一実施形態では、スペーサーは、Sと呼ばれる任意の1つ又は複数のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、ここで、mは0~10の整数である。
[0029]一態様では、CHPは、検出可能な部分で標識されていてよい。本明細書において使用される場合、「検出可能な部分」は、CHPが標的に結合すると検出可能なシグナルを生じさせ得る、CHPに結合している分子を指し得る。検出可能なシグナルは、光学画像化システムを使用して画像化され得る光学的シグナルであり得る。光学的シグナルは、1つ又は複数の光波長の光強度の変化によって生じ得る。検出可能な部分は、CHPに直接的に若しくは間接的に結合し得るか、ハイブリダイズし得るか、コンジュゲートし得るか、又は共有結合し得る。一部の実施形態では、検出可能な部分は、蛍光分子又は化学発光分子である。CHPは、検出可能な部分を介して光学的に検出することができる。結合は、共有結合又は非共有結合(例えば、イオン相互作用、ファンデルワールス力などを介する)であり得る。共有結合が生じているところでは、検出可能な部分はリンカーを介してCHPに結合することができる。一部のケースにおいて、リンカーは切断可能であり、例えば、光切断可能である(例えば、紫外線の下で切断可能である)か、化学的に切断可能であるか(例えば、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などの還元剤を介して)、又は酵素によって切断可能である(例えば、エステラーゼ、リパーゼ、ペプチダーゼ、又はプロテアーゼを介して)。一部の実施形態では、標識されたCHPは、以下の式I:
L-S-(Gly-X-Y)3~20(式I)
を含み得、式中、Lは1つ又は複数の検出可能な部分であり、Sはスペーサー分子であり、そしてmは0~10の整数であり、Glyはグリシンであり、そしてX及びYの少なくとも1つはプロリン、修飾プロリン、及び/又はヒドロキシプロリンである。一部の実施形態では、mは0ではない。一部の実施形態では、mは1である。一部の実施形態では、mは2である。一部の実施形態では、mは3である。
[0030]本明細書において使用される場合、用語「抗原」は、特異的な液性又は細胞性免疫の産物、例えば抗体分子又はT細胞受容体が特異的に結合し得る化合物、組成物、又は物質を指す。抗原は、例えば、ハプテン、単純な中間代謝産物、糖(例えば、オリゴ糖)、脂質、及びホルモン、並びに、複雑な炭水化物(例えば、多糖)、リン脂質、核酸、及びタンパク質などの高分子を含む、あらゆるタイプの分子であり得る。
[0031]本明細書において使用される場合、用語「固定された試料」は、細胞の形態学的及び/又は生化学的特徴並びに構造を、試料が生命体から得られる前に当該特徴及び構造が存在していた通りに保存することを促進するように処置されている試料を指す。固定された試料は、試料をホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、又はグルタルアルデヒドなどのアルデヒド系固定液と接触させることによって準備され得る。固定された試料は、試料をメタノール、エタノール、又は酢酸を含むものなどのアルコールベースの固定液と接触させることによって準備され得る。或いは、固定された試料は、試料を四酸化オスミウム若しくは過マンガン酸カリウムなどの酸化剤と接触させることによって準備され得るか、又は固定された試料は、塩化第二水銀若しくはピクリン酸などの金属ベースの固定液を使用して準備され得る。特定の実施形態では、固定された試料は、細胞を含む試料を中性緩衝ホルマリン(NBF)溶液と接触させることによって準備され、前記溶液は、約2%~約6%、又は約3.7%のホルマリン(10%ホルムアルデヒド及び1%メタノール)である溶液として典型的には使用される。
[0032]本明細書において使用される場合、用語「スライド」は、生物学的標本が分析のために置かれる、あらゆる適切な寸法のあらゆる基板(例えば、全体が又は部分的にガラス、クオーツ、プラスチック、シリコンなどで作製されている基板)を、またより詳細には、標準的な3インチ(7.62cm)×1インチ(2.54cm)の顕微鏡スライド、又は標準的な75mm×25mmの顕微鏡スライドなどの「顕微鏡スライド」を指す。
[0033]本明細書において使用される場合、単数形の用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈から別段のことが明らかに示されていない限り、複数形の言及を含む。同様に、「又は」という語は、文脈から別段のことが明らかに示されていない限り、「及び」を含むものである。
[0034]本発明の明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、1つ又は複数の要素の列挙への参照における「少なくとも1つ」という表現は、要素の列挙内の要素のうちの任意の1つ又は複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素の列挙内の具体的に列挙されているそれぞれの及び全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含む必要はなく、また、要素の列挙内の要素のいかなる組合せも排除しないと理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも1つ」という表現が指す、要素の列挙内で具体的に同定されている要素以外にも要素が任意選択で存在し得ることを許容し、後者の要素は、具体的に同定されている前記要素に関係していてもしていなくてもよい。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は同等に「A若しくはBのうちの少なくとも1つ」、又は同等物に「A及び/若しくはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない(及び、B以外の要素を任意選択で含む)、2つ以上のAを任意選択で含む少なくとも1つのAを指し得、別の実施形態では、Aが存在しない(及び、A以外の要素を任意選択で含む)、2つ以上のBを任意選択で含む少なくとも1つのBを指し得、さらに別の実施形態では、2つ以上のAを任意選択で含む少なくとも1つのA、及び2つ以上のBを任意選択で含む少なくとも1つのB(及び他の要素を任意選択で含む)を指す、などである。
[0035]用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、及びこれらに類するものは、区別せずに使用され、同一の意味を有する。同様に、「含む(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(has)」、及びこれらに類するものは、区別せずに使用され、同一の意味を有する。具体的には、これら用語の各々は、「含む(comprising)」の米国特許法上の一般的な定義と一致するように定義され、したがって、「少なくとも以下のもの」を意味するオープンタームであると解釈され、また、追加の特徴、限定、態様などを排除するものではないと解釈される。したがって、例えば、「構成要素a、b、及びcを有する装置」は、装置が少なくとも構成要素a、b、及びcを含むことを意味する。同様に、「ステップa、b、及びcを伴う方法」という表現は、方法が少なくともステップa、b、及びcを含むことを意味する。さらに、ステップ及びプロセスは本明細書において特定の順序で概説され得るが、当業者には、文脈によって特定の順序が明らかに示されていない限り、順序付けられているステップ及びプロセスが変化し得ることが認識されよう。
[0036]本明細書において使用される場合、用語「約」は、明確に示されていてもいなくても、例えば整数、割合、及びパーセンテージを含む数値を指す。用語「約」は一般に、言及された値に等しい(例えば、同一の機能又は結果を有する)と当業者が考えるであろう様々な数値(例えば、言及された値の+/-5、6、7、8、9、又は10%)を指す。一部の場合において、用語「約」は、最も近い有効数字に四捨五入されている数値を含み得る。
[0037]本明細書において使用される場合、用語「実質的に」は、目的の特徴又は特性の全て又はほぼ全ての規模又は程度を示す定性的条件を意味する。一部の実施形態では、「実質的に」は、約20%以内を意味する。一部の実施形態では、「実質的に」は、約15%以内を意味する。一部の実施形態では、「実質的に」は、約10%以内を意味する。一部の実施形態では、「実質的に」は、約5%以内を意味する。
コラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)及びこれを使用する方法
[0038]コラーゲンは、ほとんど全てのヒト組織で見られる主要な構造タンパク質である。コラーゲンのターンオーバーは天然組織のホメオスタシスに必要であり、したがって、変性コラーゲンは基底レベルで存在する。しかし、過剰なコラーゲンリモデリング(分解又は合成の両方)は、多くのヒト疾患及び損傷と関係していることが多い。ある特定の実施形態では、CHPは、変性した、分解した、リモデリングしている、又はほどけているコラーゲンに特異的に結合することができ、無傷のコラーゲン分子に対する親和性は有していない、短鎖反復トリペプチドを含む。CHPは、無傷のコラーゲン分子では利用できない構造的モチーフ(例えば、アルファ鎖のポリプロリンII様ヘリックス)を認識することによって、ダメージを受けたコラーゲンを区別し得、こうして、CHPは、非常に安定で長持ちする結合を形成することによって、ハイブリダイゼーションを介してコラーゲンのトリプルヘリックスを再形成する。ある特定の実施形態では、本開示は、総コラーゲン含有量、及び組織の総コラーゲン含有量に基づく組織内のダメージを受けたコラーゲンのパーセントを直接決定するためにCHPを使用する方法を提供する。
[0039]図1は、CHPを使用する、病理学的組織標本中の分解したコラーゲンの含有量を推定するための本開示の典型的な方法を示している。図1は、どのようにCHPを使用して、熱変性を有するコラーゲンの総量を明らかにし(右)、そしてその後、試料中の分解したコラーゲンの割合をコラーゲンの総量の関数として決定することができるかについての、典型的なプロセスの略図を示している。簡潔に述べると、破壊されたコラーゲンの量を決定するために、組織試料をガラス上に準備し、破壊されたコラーゲンの領域に局在するCHPで染色する。組織試料を、蛍光顕微鏡法を例えば使用して画像化し、蛍光強度を測定する(図1、左)。総コラーゲンの量を決定するために、一連の組織切片又は試料をガラス上に準備し、熱変性及び/又は抗原賦活化(例えば、熱誘導エピトープ賦活化、HIER)する。その後、試料を、破壊されたコラーゲンを測定する試料と同様に処理する。具体的には、試料をCHPで染色し、画像化する(図1、右)。試料はHIERを使用して処理されているため、試料中のコラーゲンは全体的に破壊されており、CHPの結合を可能にし、試料中の総コラーゲンに対応する光学的シグナルを生じさせる。
[0040]図2A~Cは、線維性のヒト肝臓組織の免疫組織化学画像を示している。状態がより重度であるほど、より多くの総コラーゲンが存在することになるため、本開示の方法は、線維性の状態を評価する研究者にとって有用であり得、本方法は、疾患の進行を理解する上での手掛かりとなり得るか、又は診断のためのさらなるバイオマーカーとして機能し得る。コラーゲンの総量は、HIER後のCHPでの染色によって明らかになり得る。150msの曝露でのネイティブ(非加熱、非HIER)試料よりも、50msでのHIER試料において、顕著に大きいシグナルがある。(A)は、熱誘導エピトープ賦活化(HIER)を伴わず、その後、50msの曝露時間でのCHPでの処置を行った、健康な肝臓組織の画像を示しており、この場合、観察可能なコラーゲンシグナルは得られていない。(B)は、HIERを伴い(左、HIER)、及びHIERを伴わず(右、ネイティブ)、その後、CHPでの処置を行った、線維性の肝臓組織の1倍倍率の画像を示している。(C、上部)は、HIERを伴い(左)、及びHIERを伴わず(右)、その後、CHPでの処置を行った、パネルBで同定されている線維性の肝臓組織のはめ込み領域の5倍倍率の画像を示している。(C、下部)は、HIERを伴い(左)、及びHIERを伴わず(右)、その後、CHPでの処置を行った、パネルCの上列で同定されている線維性の肝臓組織のはめ込み領域の20倍倍率の画像を示している。HIERで処理された試料は、変性コラーゲンに対応するCy5シグナルの増大を示している。
[0041]図3A~Bは、本開示の方法(HIER)、ヘマトキシリン及びエオシン(HE)、又はマッソントリクローム(マッソン)を使用して染色された線維性の肝臓組織の免疫組織化学画像の比較を示している。(A)は、HIER(上部)とその後のCHPでの処置とを伴う線維性の肝臓組織、ヘマトキシリン及びエオシン(HE)で染色された線維性の肝臓組織、並びにマッソントリクローム(マッソン)で染色された線維性の肝臓組織の1倍倍率の画像を示している。(B、上部)は、HIERとその後のCHPでの処置とを伴うパネルAで同定されている線維性の肝臓組織(左)、HE染色を伴うパネルAで同定されている線維性の肝臓組織(中央)、及びマッソントリクロームを伴うパネルAで同定されている線維性の肝臓組織(右)のはめ込み領域の5倍倍率の画像を示している。(B、下部)は、HIERとその後のCHPでの処置とを伴うパネルBの上列で同定されている線維性の肝臓組織(左)、HE染色を伴うパネルAで同定されている線維性の肝臓組織(中央)、及びマッソントリクロームを伴うパネルAで同定されている線維性の肝臓組織(右)のはめ込み領域の20倍倍率の画像を示している。CHP染色(HIER)をH&E及びマッソントリクローム染色と比較すると、肝臓における線維性コラーゲンは、CHP染色(HIER)で、より明らかに且つより容易に視覚化され得る。
[0042]ある特定の実施形態では、本開示の方法は、組織切片中のコラーゲンを完全に変性させる、熱を介する抗原賦活化/熱誘導エピトープ賦活化(HIER)方法の際の、CHPの適用を含む。この方法は、様々な厚さの健康なウサギの皮膚組織を使用して成功したことが示されており、結果は、コラーゲン含有量とCHPシグナル強度との間のほぼ線形の相関を示している(図4)。
[0043]ある特定の態様では、本開示は、試料中の総コラーゲン含有量を測定する方法を提供する。一般に、総コラーゲン含有量は、コラーゲン含有試料(例えば、組織)中のコラーゲンの総量を指し得る。コラーゲン含有量は、試料中のコラーゲンの重量、試料中のコラーゲンの容積、試料中のコラーゲンの総量に対する試料中の特定のタイプのコラーゲン(例えば、破壊された又は変性したコラーゲン)の割合を指し得る。一部の実施形態では、コラーゲン含有量の決定は、試料中の総コラーゲンの量の決定を含み得る(例えば、ネイティブなコラーゲンを意図的に変性させることによる)。他の実施形態では、コラーゲン含有量の決定は、試料中の破壊されたコラーゲンの量の決定(例えば、試料中の総コラーゲンに対する割合として)を含み得る。
[0044]一部の実施形態では、組織試料は、状態を有する対象から得られる。一部の実施形態では、状態は、III型糖原病(GSD II)、IV型糖原病(GSD VI)、IX型糖原病(GSD IX)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、肝炎、強皮症、アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、アテローム性動脈硬化症、喘息、線維症、心臓線維症、臓器移植線維症、筋肉線維症、膵臓線維症、骨髄線維症、肝線維症、肝臓及び胆嚢の硬変、脾臓の線維症、腎臓線維症、肺線維症、特発性肺線維症、びまん性実質性肺疾患、特発性間質性線維症、びまん性間質性線維症、間質性肺炎、剥離性間質性肺炎、呼吸細気管支炎、間質性肺疾患、慢性間質性肺疾患、急性間質性肺炎、過敏性肺炎、非特異性間質性肺炎、特発性器質化肺炎、リンパ球性間質性肺炎、塵肺、珪肺症、気腫、間質性線維症、サルコイドーシス、縦隔線維症、心臓線維症、心房性線維症、心内膜心筋線維症、心筋梗塞、腎臓線維症、慢性腎臓病、II型糖尿病、黄斑変性、加齢性黄斑変性、ケロイド病変、肥厚性瘢痕、腎性全身性線維症、注射線維症、外科手術の合併症、線維性の慢性同種移植血管障害及び/若しくは移植臓器における慢性拒絶反応、虚血性再灌流障害に伴う線維症、精管結紮後疼痛症候群、関節リウマチに伴う線維症、関節線維化、デュピュイトラン病、皮膚筋炎-多発性筋炎、混合性結合組織病、口腔の線維性の増殖性病変、線維化性腸狭窄、クローン病、グリア性瘢痕、軟膜線維症、髄膜炎、全身性エリテマトーデス、放射線被爆に起因する線維症、***嚢胞破裂に起因する線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症、創傷、創傷治癒、加齢皮膚、変形性関節症、又はこれらの症候若しくは後遺症、又は細胞外マトリクス構成要素の破壊(例えば、コラーゲンのトリプルヘリックス性の破壊)をもたらす他の疾患若しくは状態からなる群から選択される。
[0045]一部の実施形態では、試料は組織試料を含み、組織試料は、約1マイクロメートル(μm)~約100μmの間の厚さを有する。一部の実施形態では、試料は組織試料を含み、組織試料は、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、約15μm、約16μm、約17μm、約18μm、約19μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、約1ミリメートル(mm)、約1.2mm、約1.4mm、約1.6mm、約1.8mm、約2mm、約2.2mm、約2.4mm、約2.6mm、約2.8mm、約3mm、約4mm、約5mm、又はこれらのうちの任意の2つの値の範囲の厚さを有する。
[0046]本明細書において使用される場合、「生物学的生命体」又は「対象」は、ヒト若しくは動物若しくは細菌、又は前述の群のいずれかに由来する細胞培養物を指し得る。動物の非限定的な例には、霊長類、齧歯動物、家畜動物、又は狩猟動物などの脊椎動物が含まれる。霊長類には、チンパンジー、カニクイザル、スパイダーモンキー、及びマカク(例えば、アカゲザル)が含まれる。齧歯動物には、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギ、及びハムスターが含まれる。家畜動物及び狩猟動物には、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ヘラジカ、ネコ種(例えば、家ネコ)、及びイヌ種(例えば、イヌ、キツネ、オオカミ)が含まれる。魚類には、軟骨魚綱(軟骨魚類)及び硬骨魚類(硬骨魚)が含まれる。ある特定の実施形態では、生物学的生命体又は対象は、ゼブラフィッシュを指し得る。対象は、哺乳動物であり得る。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、又はウシであり得るが、これらの例に限定されない。加えて、本明細書において記載されている方法は、家畜動物又はペットを診断及び/又は処置するために使用され得る。この用語は、特定の年齢又は性別を示さない。したがって、オスであってもメスであっても、成体及び産まれたばかりの対象、並びに胎児が、この用語の範囲内に含まれる。
[0047]対象は、処置を必要とする状態(例えば、線維症、創傷/創傷治癒、特発性肺線維症(IPF)、加齢皮膚、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、腎臓線維症、心筋梗塞(MI)、加齢性黄斑変性(AMD)、変形性関節症(OA)、円錐角膜、若しくはこれらに類するもの)、又は当該状態に関連する1つ若しくは複数の合併症を有すると事前に診断されている、前記状態又は合併症に罹患していると同定されている、及び/或いは前記状態又は合併症を有することが分かっている人であり得る。一部の実施形態では、状態は、肝線維症である。一部の実施形態では、状態は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。一部の実施形態では、状態は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。一部の実施形態では、状態は、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)である。対象は、状態又は状態に関連する1つ若しくは複数の合併症のための処置を任意選択で既に受けていてよい。
[0048]一部の実施形態では、本明細書において記載される方法は、患者における状態の存在又は進行を決定するために使用され得る。一部の実施形態では、総コラーゲン含有量及びダメージを受けたコラーゲンの含有量は、特定の試料群に対して正規化されたダメージを受けたコラーゲンの客観的尺度のための比率として組み合わされる。一部の実施形態では、比率は、病態の進行又は回復の予測バイオマーカーとして使用される。
[0049]一部の実施形態では、本明細書において記載される方法は、患者に由来する別の試料における総コラーゲン含有量を検出することをさらに含み得る。一部の実施形態では、本明細書において記載される方法は、標識されたCHPを非トリプルヘリックスコラーゲンに接触させることによって、患者に由来する同一の試料又は別の試料中の非トリプルヘリックスコラーゲンを検出することをさらに含み得る。非トリプルヘリックスコラーゲンは、コラーゲンの変性に熱を加えないことを除いて、トリプルヘリックスコラーゲンの検出と同一の手順によって検出される。さらなる実施形態において、本方法は、試料中の検出されたコラーゲン含有量(例えば、総コラーゲン、非トリプルヘリックスコラーゲン、又は両方)を、前記別の試料中の検出されたコラーゲン含有量と、又はコントロール含有量値と比較することをさらに含む。
[0050]或いは、対象は、状態又は当該状態に関連する1つ若しくは複数の合併症を有すると事前に診断されていない人であり得る。例えば、対象は、状態又は当該状態に関連する1つ若しくは複数の合併症についての1つ又は複数の危険因子を示す人であり得る。対象は、危険因子を示さなくてもよい。特定の状態のための処置を「必要とする対象」は、その状態を有する疑いがある、その状態を有すると診断された、その状態を既に処置された若しくは処置されているところである、その処置を処置されていない、又はその状態を発症するリスクがある対象であり得る。
[0051]本明細書において記載される方法及びシステムは、限定はしないが、ヒト及び非ヒト霊長類、例えば、チンパンジー並びに他の類人猿及びサル種;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、及びウマなどの家畜;イヌ及びネコなどの飼育哺乳動物;マウス、ラット、モルモット、及びゼブラフィッシュなどの、齧歯動物を含む実験動物;並びにこれらに類するものを含む、様々な対象に由来する試料を画像化するために使用され得る。試料は、対象から単離され得る(すなわち、エクスビボ)。他の実施形態では、試料は対象全体であり得る(すなわち、インビボ又はインサイチュ)。
[0052]一部の実施形態では、本方法は、試料中のコラーゲンを変性させるステップを含む。当業者に公知の任意の方法が試料の変性に使用され得ることが理解されよう。試料中のコラーゲンの変性は、試料中のコラーゲンのトリプルヘリックス性を破壊し得る。
[0053]一部の実施形態では、本方法は、抗原賦活化によって試料中のコラーゲンを変性させて、変性した試料を作製するステップを含む。一部の実施形態では、賦活化剤は、水、緩衝液、酵素、カオトロピック試薬、キレート剤、求核剤、酸化剤、有機酸/塩基対、ルイス酸などの電子不足化合物、及び界面活性剤のうちの1つ又は複数を含む、抗原賦活化剤である。一部の実施形態では、抗原賦活化剤は、水、緩衝液、酵素、カオトロピック試薬、キレート剤、求核剤、酸化剤、有機酸/塩基対、ルイス酸などの電子不足化合物、及び界面活性剤のうちの少なくとも2つを含む。一部の実施形態では、抗原賦活化剤は、水、緩衝液、酵素、カオトロピック試薬、キレート剤、求核剤、酸化剤、有機酸/塩基対、ルイス酸などの電子不足化合物、及び界面活性剤のうちの少なくとも3つを含む。一部の実施形態では、抗原賦活化剤は緩衝液(例えば、TRIS)を含み、約6~約9の範囲のpHを有する。
[0054]一部の実施形態では、本方法は、試料を熱に曝露させることによって試料中のコラーゲンを変性させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、試料をマイクロ波に曝露させることによって試料中のコラーゲンを変性させるステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、試料を超音波に曝露させることによって試料中のコラーゲンを変性させるステップを含む。一部の実施形態では、試料は、摂氏約50度(℃)~約160℃の間に加熱される。一部の実施形態では、試料は、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、約125℃、約130℃、約135℃、約140℃、約145℃、約150℃、約155℃、約160℃、又はこれらのうちの任意の2つの値の間の範囲まで加熱される。一部の実施形態では、試料が加熱されるとき、試料は、抗原賦活化剤の蒸発を最小にする、又は抗原賦活化剤の沸騰を和らげる若しくは防ぐような圧力下で保持され得る。
[0055]一部の実施形態では、本方法は、試料を熱に曝露させることによって試料中のコラーゲンを変性させるステップを含み、試料は、約10秒~約45分の間にわたり加熱される。一部の実施形態では、本方法は、試料を熱に曝露させることによって試料中のコラーゲンを変性させるステップを含み、試料は、約10秒(s)、約20s、約30s、約40s、約50s、約1分(min)、約1.5min、約2min、約2.5min、約3min、約3.5min、約4min、約4.5min、約5min、約5.5min、約6min、約6.5min、約7min、約7.5min、約8min、約8.5min、約9min、約9.5min、約10min、約11min、約12min、約13min、約14min、約15min、約16min、約17min、約18min、約19min、約20min、約21min、約22min、約23min、約24min、約25min、約26min、約27min、約28min、約29min、約30min、約31min、約32min、約33min、約34min、約35min、約36min、約37min、約38min、約39min、約40min、約41min、約42min、約43min、約44min、約45min、又はこれらのうちの任意の2つの値の範囲にわたり加熱される。
[0056]一部の実施形態では、本方法は、試料を電磁放射線に曝露させることによって試料中のコラーゲンを変性させるステップを含む。一部の実施形態では、電磁放射線は、約10nm~約400nmの間の波長を有する(UV照射)。一部の実施形態では、電磁放射線は、約200nm~約400nmの間の波長を有する。一部の実施形態では、電磁放射線は、約250nm~約400nmの間の波長を有する。一部の実施形態では、電磁放射線には、UVA放射線(約315nm~約400nmの範囲の波長を有する)、UVB放射線(約280nm~約315nmの範囲の波長を有する)、及びUVC放射線(約100nm~約280nmの範囲の波長を有する)のうちの1つ又は複数が含まれる。曝露時間は、約10分~約2時間、約10分~約1時間、又は約20分~約45分であり得る。電力は、UVAでは約1J/cm~最大約25J/cm、約5J/cm~最大約15J/cm、又は約9J/cm~最大約12J/cmであり得、UVBでは約100mJ/cm~約1J/cm、約200mJ/cm~約500mJ/cm、又は約250mJ/cm~約350mJ/cmであり得る。
[0057]一部の実施形態では、本方法は、上記の方法を使用してコラーゲンを変性させるステップを含み、本方法はまた、抗原賦活化も含む。一部の実施形態では、変性及び抗原賦活化は、同時に行われる。一部の実施形態では、変性及び抗原賦活化は、連続して行われる。一部の実施形態では、変性は、抗原賦活化の前に行われる。一部の実施形態では、変性は、抗原賦活化の後に行われる。
[0058]一部の実施形態では、本方法は、上記の方法を使用してコラーゲンを変性させるステップを含み、本方法はまた、標識されたコラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)を変性コラーゲンに接触させるステップも含む。一部の実施形態では、変性させるステップ、及び変性コラーゲンへ標識されたコラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)を接触させるステップは、同時に行われる。一部の実施形態では、変性させるステップ、及び変性コラーゲンへ標識されたコラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)を接触させるステップは、連続して行われる。一部の実施形態では、変性させるステップは、変性コラーゲンへ標識されたコラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)を接触させる前に行われる。一部の実施形態では、変性させるステップは、試料への標識されたコラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)の接触(例えば、CHPを含む溶液中で試料をインキュベートし、次いで、試料を加熱してコラーゲンを変性させること)の後に行われる。一実施形態では、本開示の方法は、未変性の試料を、標識されたコラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)と接触させるステップ、並びに、試料を同時に画像化及び加熱して、ネイティブな試料中の破壊されたコラーゲンの量とコラーゲンの総量との間の差に対応する蛍光強度の変化を得るステップ(例えば、リアルタイムで)を含み得る。
[0059]一部の実施形態では、試料中の総コラーゲン含有量を決定する場合、本方法は、標識されたコラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)を変性したコラーゲンに接触させるステップ(例えば、試料中のコラーゲンを変性させた後に、試料をCHPと接触させること)を含む。一部の実施形態では、ネイティブ試料中の破壊されたコラーゲンの量を決定する場合、本方法は、標識されたコラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)をネイティブ試料中のコラーゲンに接触させるステップ(例えば、試料中のコラーゲンの変性を伴わずに、試料をCHPと接触させること)を含む。
[0060]コラーゲン含有量(例えば、ネイティブ試料中の総コラーゲン含有量又は破壊されたコラーゲンの量)は、CHP上の標識から放出される、光学的に検出可能なシグナルの強度(又は強度の変化)を検出することによって測定され得る。
[0061]本明細書において開示されている方法及び組成物は、検出可能な部分(例えば、標識又はタグ)を含むCHPを使用する。標識又はタグによって、標識された又はタグ付けされたCHPの検出が可能となる。標識又はタグによって、標識された又はタグ付けされたCHPに結合している場合の、試料中の破壊されたコラーゲン(例えば、CHPの標的)の検出が可能となる。標識は、直接的に(すなわち、一次標識)又は間接的に(すなわち、二次標識)検出され得る分子を意味する。例えば、標識は、視覚化及び/若しくは測定することができるか、又はそれ以外の方法で同定することができ、これによって、標識の存在又は不存在が分かる。標識された又はタグ付けされたCHPによって、試料中の破壊されたコラーゲン(例えば、CHPの標的)の検出が可能となる。化合物は、検出可能なシグナルを生じさせる標識、例えば、放射性同位体、フルオロフォア、酵素、抗体、磁気粒子などの粒子、化学発光化合物、又は特異的結合分子、及びこれらに類するものに直接的に又は間接的にコンジュゲートさせることができる。標識の例には、限定はしないが、標識、標識酵素、及び放射性同位体を含む、光学的蛍光及び色素生成性の色素が含まれる。
[0062]標識の非限定的な例には、a)放射性同位体又は重同位体であり得る、同位体標識、b)磁気標識、電気的標識、熱標識、c)着色標識、発光を含む光学的標識、リン性の及び蛍光性の色素又は部分、並びにd)結合パートナーが含まれる。標識としてはまた、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、及びこれに類するもの)及び磁気粒子も含まれる。
[0063]標識には、蛍光色素又は蛍光部分などの光学的標識が含まれる。フルオロフォアは、「低分子」蛍光体又はタンパク性の蛍光体(例えば、緑色蛍光タンパク質及びその全てのバリアント)のいずれかである。
[0064]適切な蛍光標識には、限定はしないが、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー(Cascade Blue)(商標)、テキサスレッド、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、LC Red 640、Cy5、Cy5.5、LC Red 705、及びオレゴングリーンが含まれる。適切な光学的色素は、Richard P.Hauglandによる、1996 Molecular Probes Handbookにおいて記載されている。適切な蛍光標識としてはまた、限定はしないが、緑色蛍光タンパク質(GFP:Chalfieら、Science 263(5148):802~805、1994、及びEGFP:Clontech-Genbank受託番号U55762)、青色蛍光タンパク質(BFP:Quantum Biotechnologies,Inc.;Stauber,R.H.、Biotechniques 24(3):462~471(1998);Heim,R.及びTsien,R.Y.、Curr.Biol.6:178~182(1996))、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP、Clontech Laboratories,Inc.)、ルシフェラーゼ(Ichikiら、J.Immunol.150(12):5408~5417(1993))、β-ガラクトシダーゼ(Nolanら、Proc Natl Acad Sci USA 85(8):2603~2607(1988年4月))、及びウミシイタケ(国際公開第92/15673号、国際公開第95/07463号、国際公開第98/14605号、国際公開第98/26277号、国際公開第99/49019号、米国特許第5,292,658号、米国特許第5,418,155号、米国特許第5,683,888号、米国特許第5,741,668号、米国特許第5,777,079号、米国特許第5,804,387号、米国特許第5,874,304号、米国特許第5,876,995号、及び米国特許第5,925,558号)も含まれる。
[0065]一部の実施形態では、標識には、Alexa-Fluor色素(Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680)、カスケードブルー、カスケードイエロー、及びR-フィコエリスリン(PE)(Molecular Probes)(ユージーン、オレゴン州)、FITC、ローダミン、及びテキサスレッド(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)、シアニン3(Cy3)、Cy5、Cy5.5、Cy7、Cy7.5(Amersham Life Science、ピッツバーグ、ペンシルベニア州)、スルホシアニン3、スルホシアニン5、スルホシアニン5.5、スルホシアニン7、スルホシアニン7.5(Lumiprobe、ハント・バレー、メリーランド州)が含まれる。Cy5PE、Cy5.5PE、Cy7PE、Cy5.5APC、Cy7APCのためのタンデムコンジュゲートプロトコルが公知である。さらなる標識が、BD Biosciences、Beckman Coulter、AnaSpec、Invitrogen、Cell Signaling Technology、Millipore、eBioscience、Santa Cruz Biotech、Abcam、LiCor、及びSigma-Aldrichなどの商業的供給源から入手可能である。
[0066]CHPに付着される蛍光標識は、1つの波長の光(例えば、青又は緑)の光によって励起され、可視スペクトル内の異なる波長の光を放出する、免疫蛍光のために選択された色素を含み得る。最も一般的な蛍光色素は、緑色光を放出するフルオレセイン、赤色光を放出するテキサスレッド及びペリジニンクロロフィルタンパク質(PerCP)、並びにオレンジ/赤色の光を放出するローダミン及びフィコエリスリン(PE)である。選択的フィルターを使用することによって、使用した色素又は蛍光色素から出る光のみが蛍光顕微鏡で検出される。この技術は、試料中の破壊されたコラーゲン(例えば、CHPの標的)を検出するために使用することができる。
[0067]細胞又は組織の極薄の光学切片を得るためにコンピュータを利用した技術を使用する、共焦点蛍光顕微鏡法は、緻密な試料準備の必要性を伴わない、非常に高解像度の免疫蛍光顕微鏡法を提供する。共焦点顕微鏡の解像度は、強度の低い照明を使用してさらに増大し得、そのため、蛍光色素を励起させるために2つの光子が必要である。パルスレーザービームが使用され、このビームが顕微鏡の焦点面にフォーカスされた場合のみ、強度は蛍光を励起させるために十分となる。この方法で、蛍光発光自体が光学切片に限定され得る。一実施形態では、共焦点蛍光顕微鏡の使用によって、いかなる試料の準備も伴わずに試料の分析が可能となる。
[0068]本開示のCHPのための標識として使用され得るフルオロフォアの1つの群はキサンテン色素であり、この色素には、3,6-ジヒドロキシ-9-フェニルキサントヒドロール及びレザミンに由来するフルオレセイン、並びに3,6-ジアミノ-9-フェニルキサントヒドロール及びリサニム(lissanime)ローダミンBに由来するローダミンが含まれる。9-o-カルボキシフェニルキサントヒドロールのローダミン及びフルオレセイン誘導体は、9-o-カルボキシフェニル基を有する。アミノ基及びイソチオシアネート基などの反応性結合基を有するフルオレセイン化合物、例えばフルオレセインイソチオシアネート及びフルオレスカミンは、入手が容易である。蛍光化合物の別の基は、α位又はβ位にアミノ基を有するナフチルアミンである。一態様では、CHPは、Goding,J.W.(Monoclonal Antibodies:Principles And Practice.New York:Academic Press(1983)208~249頁)によって記載されている手順によって、蛍光色素又は発色団で標識される。
[0069]一部の実施形態では、ルシフェリンなどの化学発光物質がCHPに付着させられる(例えば、合成及び検出方法については、米国特許第5,098,828号を参照されたい)。
[0070]一部の実施形態では、CHPは、検出可能な二次標識を含む。二次標識は、間接的に検出される標識である。例えば、二次標識は、検出対象の一次標識と結合又は反応し得、一次標識(例えば、酵素)を作製するための追加の産物に作用し得、またこれらに類することが可能である。二次標識には、限定はしないが、結合パートナー対の一方、化学修飾可能な部分、ヌクレアーゼ阻害剤、酵素、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、及びこれらに類するものが含まれる。
[0071]一部の実施形態では、二次標識は、結合パートナー対である。一態様では、標識は、その結合パートナーを結合するハプテン又は抗原である。例えば、適切な結合パートナー対には、限定はしないが、抗原(タンパク質(ペプチドを含む)及び低分子など)及び抗体(その断片(FAb及びそれに類するもの)を含む);ビオチン/ストレプトアビジンを含むタンパク質及び低分子;酵素及び基質又は阻害剤;他のタンパク質-タンパク質相互作用対;受容体-リガンド;並びに炭水化物及びそれらの結合パートナーが含まれる。核酸-核酸結合タンパク質対が検討される。結合パートナー対には、限定はしないが、ビオチン(又はイミノビオチン)及びストレプトアビジン、並びにジゴキシゲニン及び抗体(Ab)が含まれる。
[0072]一部の実施形態では、二次標識は、化学修飾可能な部分である。この実施形態では、反応性の官能基を含む標識が、標識対象の分子に組み込まれる。官能基はこうしてその後、一次標識で標識される(例えば、アッセイの前又は後に)。適切な官能基には、限定はしないが、アミノ基、カルボキシ基、マレイミド基、オキソ基、及びチオール基が含まれる。公知のリンカー、例えば、ホモ又はヘテロ二官能性のリンカーを例えば使用して、例えば、アミノ基を有する一次標識が、アミノ基を有する二次標識に付着させられる。
[0073]一部の実施形態では、複数の蛍光標識が、本明細書において開示されている方法及び組成物において利用される。一部の実施形態では、各標識は異なっており、他の標識と区別可能である。
[0074]一部の実施形態では、CHPは、Chattopadhyay,P.K.ら、Quantum dot semiconductor nanocrystals for immunophenotyping by polychromatic flow cytometry.、Nat.Med.12、972~977(2006)によって開示されている量子ドットで標識されている。
[0075]一部の実施形態では、CHPは、Tannerら、Spectrochimica Acta Part B:Atomic Spectroscopy、2007年3月、62(3):188~195;Ornatskyら、Translational Oncogenomics(2006):1、1~9;Ornatskyら、Multiple Cellular Antigen Detection by ICP-MS、J.Imm.Methods 308(2006)68~76;及びLouら、Polymer-Based Elemental Tags for Sensitive Bioassays、Angew.Chem.Int.Ed.、(2007)46、6111~6114において開示されている、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)に適したタグで標識されている。
[0076]一態様では、CHPは、酵素標識を含む。酵素標識は、検出可能な産物を産生する標識酵素基質の存在下で反応し得る酵素を意味する。酵素標識には、限定はしないが、CHPに共有結合しているホスファターゼ又はペルオキシダーゼが含まれる。適切な酵素標識には、限定はしないが、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、及びグルコースオキシダーゼが含まれる。酵素標識の存在は、検出及び測定される同定可能な産物を生産する標識酵素基質との反応の酵素による触媒作用を介して、一般に明らかにされる。同定可能な産物は、肉眼で若しくは分光光度的な技術によって検出される色の変化であり得るか、又は、シグナルは、蛍光によって検出される産物への基質の転換であり得る。ホースラディッシュペルオキシダーゼとテトラメチルベンジジンとの反応などの、このような産物は不透明であり得、様々な色を有し得る。蛍光反応産物を産生するルミノール(Pierce Chemical Co.から入手可能である)などの他の標識酵素基質が開発されている。標識酵素と標識酵素基質とを同定するための方法は、当技術分野において周知であり、多くの市販のキットが利用可能である。様々な標識酵素の使用についての例及び方法は、Savageら、Previews 247:6~9(1998)、Young,J.Virol.Methods 24:227~236(1989)において記載されている。
[0077]一態様では、CHPは、放射性同位体/放射性標識を含む。放射性同位体は、あらゆる放射性分子を意味する。適切な放射性同位体には、限定はしないが、14C、3H、32P、33P、35S、125I、131I、13N、15O、18F、57Co、99mTc、及び51Crが含まれる。放射性標識は、共有結合によってCHPに付着する。一態様では、CHPは放射性標識を含む。このようなケースでは、シンチレーションカウンティングが使用される。このようなケースでは、放射性標識されたCHPに曝露された試料は単離され、結合したリガンドの放射能が測定される。
[0078]一部の実施形態では、陽電子放出断層撮影(「PET」)スキャナーによって検出可能な陽電子放出同位体が、リガンドに付着している。陽電子放出同位体の例には、半減期が短い放射性同位体、例えば11C(約20分)、13N(約10分)、15O(約2分)、及び18F(約110分)が含まれる。放射性同位体でペプチドを標識するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、このような方法は、Ohtaら、(1999)Molec.Cell 3:535~541で見られる。一部の実施形態では、CHPは、19F原子、又は15N原子、又は複数のこのような原子などのNMR活性な同位体標識で標識されている。
[0079]一部の実施形態では、本開示の方法は、CHPの使用を含む。全般的に、CHPは、式I:
L-S-(Gly-X-Y)3~20(式I)
によって表される配列を含み、式中、Lが1つ又は複数の検出可能な部分であり(例えば、標識)、Sがスペーサー分子であり、mが0~10の整数であり、(Gly-X-Y)3~20が、Glyがグリシンである反復部分を表しており、そしてX及びYの少なくとも1つが、プロリン、修飾プロリン、及び/又はヒドロキシプロリンである。一部の実施形態では、本開示の方法は、L-S-(Gly-X-Y)によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)10によって表される配列L-Sm-(Gly-X-Y)11によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)12によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)13によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)14によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)15によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)16によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)17によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)18によって表される配列、L-S-(Gly-X-Y)19によって表される配列、又はL-S-(Gly-X-Y)20によって表される配列を含むCHPの使用を含み、式中、Lが1つ又は複数の検出可能な部分であり(例えば、標識)、Sがスペーサー分子であり、mが0~10の整数であり、Glyがグリシンであり、そしてX及びYの少なくとも1つが、プロリン、修飾プロリン、及び/又はヒドロキシプロリンである。一部の実施形態では、mは0ではない。一部の実施形態では、mは1である。一部の実施形態では、mは2である。一部の実施形態では、mは3である。
[0080]一部の実施形態では、本開示の方法は、試料を、配列番号1~337(例えば、表1を参照されたい)から選択される配列を有するCHPと接触させるステップを含み得る。
Figure 2023544449000002

Figure 2023544449000003

Figure 2023544449000004

Figure 2023544449000005

Figure 2023544449000006

Figure 2023544449000007

Figure 2023544449000008

Figure 2023544449000009

Figure 2023544449000010

Figure 2023544449000011

Figure 2023544449000012

Figure 2023544449000013

Figure 2023544449000014
[0081]上記の表1で示されているある特定の配列において、「GGG」は、トリプルグリシンリンカーを表している。上記の表1で示されているある特定の配列において、「NH」は、アミド化されたC末端を表している。上記の表1で示されているある特定の配列において、「GfO」配列中の「f」は、2S,4S-4-フルオロプロリン(シスコンフォメーション)を表している。上記の表1で示されているある特定の配列において、「Ahx」は、6-アミノヘキサン酸リンカーを表している。上記の表1で示されているある特定の配列において、「GcO」配列中の「c」は、2S,4S-4-クロロプロリン(シスコンフォメーション)を表している。上記の表1で示されているある特定の配列において、「GPF」配列中の「F」は、2S,4R-4-フルオロプロリン(トランスコンフォメーション)を表している。
[0082]一部の実施形態では、本開示の方法は、試料を、GGG又はAHXスペーサー分子を有さない、上記の表1において列挙されている配列番号1~337から選択される配列を有するCHPと接触させるステップを含み得る。一部の実施形態では、配列は、式中、Sがスペーサー分子であり、mが0である、式1、L-S-(Gly-X-Y)3~20のCHPを含む。
[0083]一部の実施形態では、本開示の方法は、試料をCHPと接触させるステップを含み得、ここでCHP配列は(Gly-X-Y)3~20反復部分を含み、CHPの反復部分は、配列番号338~349から選択される配列を有する(例えば、表2を参照されたい)。
Figure 2023544449000015
[0084]他の実施形態及び同等物には、限定はしないが、二量体型の、表1及び表2において列挙されている各配列が含まれる。ある特定の実施形態では、二量体の配列は、表1及び表2のいずれかにおいて示されているアミノ酸配列と、1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、又は10を超えるアミノ酸と異なり得る。ある特定の実施形態では、二量体の配列は、グリシンオフセット及び/又はリジン分岐点を含み得る。
[0085]別の態様では、本開示は、標識されたCHPを非トリプルヘリックスコラーゲンに接触させることによって、患者に由来する試料中の非トリプルヘリックスコラーゲン含有量を検出するステップを含む、患者における状態の存在又は進行を決定する方法に関する。一部の実施形態では、状態は、線維症、創傷治癒、特発性肺線維症(IPF)、加齢皮膚、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患状態(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、腎臓線維症、心筋梗塞(MI)、加齢性黄斑変性(AMD)、変形性関節症(OA)、及び円錐角膜における進行又は回復からなる群から選択される1つ又は複数である。一部の実施形態では、状態は、肝線維症である。一部の実施形態では、状態は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。一部の実施形態では、状態は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。一部の実施形態では、状態は、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)である。一部の実施形態では、本方法は、患者に由来する別の試料中の非トリプルヘリックスコラーゲン含有量を検出するステップをさらに含む。さらなる実施形態において、本方法は、試料中の検出された非トリプルヘリックスコラーゲン含有量を、前記別の試料中の含有量と、又はコントロール含有量値と比較するステップをさらに含む。
[0086]本明細書において使用される節の見出しは、構成上の目的のためのものにすぎず、記載されている主題を限定するものとして解釈されるものではない。
[0087]本明細書において記載される方法は、本明細書において記載される特定の方法論、プロトコル、対象、及びシーケンシング技術に限定されず、したがって変化し得ることが理解される。本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためのものにすぎず、本明細書において記載される方法及び組成物の範囲を限定するものとは解釈されるものではないことも理解され、本明細書において記載される方法及び組成物の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。本明細書において、本開示の一部の実施形態が示されており、記載されているが、当業者には、このような実施形態が例示としてのみ提供されていることは明らかであろう。多くの変形、変更、及び置換が、本開示から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。本明細書において記載される本開示の実施形態に対する様々な代替物が本開示の実施において利用され得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を規定しており、また、これらの特許請求の範囲に含まれる方法及び構造並びにこれらの同等物は、特許請求の範囲によって網羅されている。
[0088]いくつかの態様が、説明のために、例となる適用を参照して記載されている。別段の指示がない限り、あらゆる実施形態を、あらゆる他の実施形態と組み合わせることができる。多くの具体的な詳細、関係、及び方法が、本明細書において記載される特徴を完全に理解するために示されていることが理解されるべきである。当業者には、しかし、本明細書において記載される特徴が、具体的な詳細のうちの1つ若しくは複数を伴わずに又は他の方法を伴って実施され得ることが、容易に認識されよう。一部の作業は異なる順序で及び/又は他の作業若しくは事象と同時に行われ得るため、本明細書において記載される特徴は、記載されている作業又は事象の順序によっては限定されない。さらに、説明されている作業又は事象の全てが、本明細書において記載される特徴に従った方法論の実行に必要であるわけではない。さらに、本開示の方法が、本明細書において示されている特定のステップ順序に従わない限りにおいては、当該特定のステップ順序は、特許請求の範囲での限定であると解釈されるべきではない。本開示の方法を対象としたいかなる請求項も、記載された順序での当該方法のステップの実行に限定されるべきではなく、当業者には、ステップが変化し得、それでも本開示の趣旨及び範囲に含まれることを依然として維持し得ることが、容易に理解され得る。
[0089]一部の実施形態が本明細書において示されており、記載されているが、当業者には、このような実施形態が例としてのみ提供されていることは明らかであろう。本開示の実施形態は、本明細書内で提供される具体的な実施例によって限定されるとは解釈されない。本開示のある特定の実施形態が、前述の明細書を参照して記載されているが、本明細書における実施形態の記載及び説明は、限定の意味で解釈されるものではない。多くの変型、変更、及び置換が、本開示から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。
[0090]さらに、本開示の実施形態の全ての態様は、本明細書において示されている具体的な描写、立体配置、又は相対的比率に限定されず、これらは様々な条件及び変数に応じるということが理解されるべきである。本明細書において記載されている本開示の実施形態に対する様々な代替物が本発明の実施において利用され得ることが理解されるべきである。したがって、本開示があらゆるこのような代替物、修正、変型、又は同等物も網羅することが検討される。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を少なくとも部分的に規定しており、また、これらの特許請求の範囲に含まれる方法及び構造並びにこれらの同等物は、特許請求の範囲によって網羅されている。
[0091]上記で示されており記載されている典型的な実施形態に、これら実施形態の広い発明概念から逸脱することなく変更が加えられ得ることは当業者に理解されよう。したがって、本開示は、示されている及び記載されている典型的な実施形態に限定されないが、特許請求の範囲によって規定されている本開示の趣旨及び範囲内の修正を網羅するものであることが理解される。例えば、典型的な実施形態の具体的な特徴は、特許請求の範囲に記載の発明の一部であってもなくてもよく、開示されている実施形態の様々な特徴を組み合わせることができる。「右側」、「左側」、「下方」、及び「上方」という語は、参照している図面中の方向を指す。本明細書において具体的に示されていない限り、用語「a」、「an」、及び「the」は、1つの要素に限定されず、むしろ、「少なくとも1つの」を意味すると解釈されるべきである。
[0092]本明細書において言及されている範囲は、言及されているエンドポイントを含む、当該範囲内の値の全てについての省略表現であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、及び50からなる群のあらゆる数、数の組合せ、又は部分範囲を含むと理解される。
[0093]本開示の図面及び説明の少なくとも一部は、本開示の明確な理解に関連する要素に焦点を当てて単純化されており、一方、明確性を目的として、本開示の一部をやはり構成し得ることが当業者に理解される他の要素を排除していることが理解される。しかし、このような要素は当技術分野において周知であり、これら要素は本開示のより良い理解を必ずしも促進するわけではないため、このような要素の記載は本明細書において提供されていない。
[実施例]
[0094]実施例1-CHPを使用する、組織中の分解したコラーゲンの相対的含有量の決定
[0095]一方は十分な熱変性(例えば、凍結切片の90℃の水浴での10分間のインキュベーション、又は2ラウンドの95℃での5分間の熱を介する抗原賦活化)で処置されており、他方は全く処置されていない、同一の疾患を有するマウス心臓組織の2つの隣接する切片を、同一の条件下で、5-FAM-二量体CHP又はビオチン二量体CHP(diCHP)で染色する。完全に変性した切片からのdiCHPシグナルは総コラーゲン含有量を表し、一方、未処置切片におけるシグナルは、疾患状態の天然に分解したコラーゲンに由来する。2つのスライド内の目的の同一領域で検出される蛍光シグナルの間の比率は、その区域で分解しているコラーゲンのパーセンテージの推定を示す。
[0096]蛍光シグナルは、ImageJに基づくプロトコルを使用して定量することができる。MI後の早期及び後期(1週間と3週間)に採取した心臓についての分解したコラーゲンの含有量を、ネガティブコントロールとしての正常な心臓と比較する。各時点の各群について、5つの心臓を分析する。各心臓で、10個の凍結切片及び10個のパラフィン切片を統計分析のために染色する。このアッセイの精度を確認するために、MI心臓組織の分解したコラーゲンのレベルを、凍結切片及びトリプシン-ヒドロキシプロリンアッセイを使用して定量する。切片を、分解したフォールディングしていないコラーゲンを選択的に可溶化するトリプシン溶液で処置する。トリプシン溶液及び残りの組織切片中のコラーゲン含有量を、標準的なヒドロキシプロリンアッセイによって定量し、これによって、プロテアーゼ分解した、組織中に元々存在するコラーゲンのパーセンテージを計算することができる。トリプシンアッセイは、固定されていない凍結切片でのみ機能し、切片全体の平均パーセンテージを測定するだけであるため、トリプシンアッセイの結果は、di-CHPで染色された凍結スライドの切片全体のスキャンから定量されるパーセンテージと比較される。
[0097]実施例2-他の染色技術と比較した、CHPを使用する総コラーゲン含有量の決定
[0098]線維性のマウス肝臓モデルにおける総コラーゲンを検出して、これをビオチン標識されたCHP(B-CHP)と比較するために、PSR、MT、ヘロビチ染色、並びにコラーゲンI抗体及びコラーゲンIII抗体を使用して直接染色比較研究を行った。全ての染色及び画像分析は、評価におけるバイアスを避けるため、及び全ての染色が確実に正確に行われるようにするために、第三者の開発業務受託機関であるHistoTox Labsによって行われた。各スライドにおける線維症の重症度が、獣医学病理学者によってスコア付けされた。
[0099]図5A~5Jは、5つの異なる方法を使用して染色されたマウス肝臓の代表的な顕微鏡写真を示している。一連の切片は、健康な(コントロール)マウス肝臓(図5A~5E)、及びCClの注射の8週間後の線維性のマウス肝臓(図5F~5J)から採取された。全ての写真において矢印によって同定されているコラーゲンは、MTでは青に、PSRではピンク/赤に、ヘロビチでは成熟コラーゲンでピンク/赤に、若いコラーゲンで青に、Col I/IIIカクテルでは濃い茶色から薄い茶色に、そしてCHP染色では濃い茶色に染色されている。目的の他の特徴は、C-中心静脈、H-肝細胞、P-門脈三つ組として標識されている。倍率は40倍であり、スケールバー=200μMであった。
[00100]図5A~5Jの写真から明らかであるように、B-CHPは、全ての他の染色より良好とは言わないまでも、丁度同じ程度に機能した。CHPの空間染色パターンを、抗体Col I/IIIカクテルを含む全ての他の染色と比較すると、CHPはコラーゲンのより容易な可視化を可能にし、病理学者は、色の濃淡を判断する必要なく、コラーゲンを容易に同定することができた。さらに、B-CHPは、レチクリン線維を同定した唯一の染色であり、このことは、CHPもまた、レチクリン線維の銀染色(例えば、ゴモリのレチクリン染色、ゴードン及びスウィートのレチクリン染色、又はモバットペンタクローム染色)の代わりに使用され得ることを示している。レチクリン染色は、肝臓の構造の変化(肝細胞の喪失、肝細胞索の肥厚、分葉の変化、線維症/肝硬変など)の同定に最も有用である。
[00101]標準的な組織学的評価に加えて、スライドのそれぞれを、自動画像分析を使用して評価して、各試料において染色されたコラーゲンの区域を定量した。全ての画像で、目的の領域は肝臓組織を含むように、しかしアーチファクト(ひだ、裂け目など)、大きい血管、及び非肝臓組織は排除するように作製された。目的の領域を次いでいくつかのイメージングフィルターにかけて、染色が陽性の区域を陰性の区域から分けた。陽性区域を定量し、次いで、目的の領域の総区域と比較した。
[00102]PSR染色では、コラーゲンは明るい赤になり、残りの組織は淡い黄色である。これらの画像は、陽性領域と陰性領域との間の大きなコントラストを理由に、自動画像分析を使用して問題なく容易に特徴付けすることができた。マッソントリクロームでは、コラーゲンは青くなり、細胞は赤くなる。しかし、一部の内皮細胞はその細胞質において弱い青色の染色を示し、その結果、慎重な閾値決定の後でも、自動画像分析によって断続的に検出された。このことにより、定量の際のコラーゲンの過検出がもたらされた可能性が高い。ヘロビチ染色された切片は、成熟コラーゲンではピンク/赤の染色を示し、若いコラーゲンでは淡い青を示した。肝細胞の細胞質は淡いピンクから、ピンクがかった紫に染色され、無機物領域は濃い紫から黒に染色された。全体的に、ヘロビチ染色された組織ではコントラストは非常に小さく、その結果、若いコラーゲンは染色が陰性の領域から区別できないため、画像分析は成熟コラーゲン(ピンク/赤)にのみ行うことができた。
[00103]CHP染色された切片は、コラーゲン線維の薄い茶色の染色を示した(B-CHPのDAB染色)。陰性領域は、細胞質では水色から灰色に染色され、核では濃い青に染色された(ヘマトキシリン対比染色による)。画像分析はCHP標識されたコラーゲン原線維に対して全体的に特異的であったが、バックグラウンド染色が強まった一部の区域では、CHP染色された領域をわずかに過小検出するためのアルゴリズムが必要であった。
[00104]図6は、画像分析によるコラーゲンの定量を示している。コラーゲンは全ての試料において検出され、ナイーブ試料では検出された全体的なコラーゲンは少なく、疾患を有する試料では非常に多くのコラーゲンが検出された。ナイーブ試料において、総コラーゲンは、全ての試料及び染色方法で低かった。しかし、疾患を有する組織に由来する試料における染色の間で、かなりの差が観察された。マッソントリクロームを使用して、ほとんどのコラーゲンが検出された。しかし、上記のように、肝細胞細胞質の弱い青色の染色は特異的分析に干渉し、コラーゲンの量は過剰に示されている可能性が高い。
[00105]PSRとHIERを伴うCHPとは非常に類似しており、総コラーゲン含有量の正確な評価を表している可能性が高い。ヘロビチ染色は、画像分析を使用して正確に評価することが困難であり、検出されたコラーゲンの区域が最も小さかった。加えて、全てのコラーゲンよりも変性コラーゲンに対する特異性をCHPが有すること一致して、HIERを受けていない組織切片は、検出されたコラーゲンの量がより少なく、このことは、無傷のコラーゲン及び変性コラーゲンの両方が線維性の組織において上昇していることを示している。線維性の試料の代表的な画像及び分析を図7に示す。
[00106]実施例3-ヒト肝臓生検における総コラーゲン及びダメージを受けたコラーゲンの検出
[00107](i)CHPが、慢性的な肝臓損傷において、既存の組織化学的アプローチ及びコラーゲン比率区域に代わる信頼性のある標識として使用され得るかどうか、並びに(ii)CHPが肝臓に関する転帰を予測し得る追加の臨床的に重要な情報を提供し得るかどうかを評価するための実験を行った。
[00108]方法
[00109]76人の良く特徴付けされたNAFLD患者の経皮的生検を、架橋壊死及び非活動性肝硬変と活動性肝硬変との両方を有するものを含む一連の外植片組織として使用した。切片を、ビオチン化されたCHPと室温でインキュベートして、ダメージを受けたコラーゲンを検出した。80℃で予熱した切片を使用して、総コラーゲン含有量を分析した。(i)半定量的指標を使用して、及び(ii)QuPathを使用してスキャンされたスライドにおいて、標識の強度及び区域を評価した。ダメージを受けたコラーゲン:総コラーゲンの比率を計算した。臨床的パラメータとの、並びに疾患の悪性度及びステージとの相関を探した(NIH CRNスコアリングシステム)。
[00110]結果及び考察
[00111]CHPは、通常の処理をされたヒト肝臓生検におけるダメージを受けたコラーゲン及び総コラーゲンの検出のための、並びに従来の組織化学的アプローチよりも一貫性があり得る検出のための、信頼性のあるツールを提供する。NAFLDにおいて、ダメージを受けたコラーゲンの総コラーゲンに対する比率は、疾患のCRNステージと有意に相関している(ステージ1とステージ4でp<0.00001)。有利には、ダメージを受けたリモデリングされたコラーゲンの量は、進行の速い人と比較して、進行が遅い/中程度であると考えられる人において有意に少なく(p=0.023)、このことは、これらが、予後予測及び臨床試験において高い価値を有する可能性があることを示唆している。
[00112]図8は、全てのNAFLDステージにわたる(ステージ2及びステージ4のNAFLDが示されている)対象から得られた、B-CHPで処置された外植片組織の代表的な写真を示している。進行が遅い/中程度の人の修正Hスコアは15.16(平均)であり、進行の速い人では29.29(平均)であり、t値は-2.3397、p値は0.023であった。したがって、リモデリングコラーゲンのCHP染色は、NAFLDの進行の予後予測に有用である。
[00113]図9は、全てのNAFLDステージにわたる(ステージ1、ステージ2、及びステージ4のNAFLDが示されている)対象から得られた、B-CHPで処置された外植片組織における総コラーゲン及びダメージを受けたコラーゲンを示す代表的な写真を示している。画像から決定された、総コラーゲンの、ダメージを受けたコラーゲンに対する比率(otal to amaged atios)(TDR)は、以下の通りである:ステージ1は17.14(平均)、ステージ2は8.3(平均)、及びステージ4は11.12(平均)。ステージ1とステージ4との間の(p<0.00001)、及びステージ2とステージ4との間の(p=0.237)、及びステージ3とステージ4との間の(示されていない)(p=0.0197)TDRの比較は、TDRが、異なる疾患ステージ間の統計的に有意なマーカーを提供することを示している。TDRは、HIERを介するCHP染色及びHIERを介さないCHP染色を使用して計算される。
[00114]さらに、他の慢性的な線維性の状態におけるCHPプローブの探求は、類似の診断/予後の見通しを提供し得た。
[00115]実施例4-ImageJ/FIJIを使用する、ホルマリン固定パラフィン包埋された(FFPE)組織切片における総コラーゲン含有量の決定
[00116]総コラーゲン含有量
[00117]FFPE組織切片内の総コラーゲン含有量の評価にCHPを使用するために、コラーゲンは、全ての利用可能なコラーゲンへのCHP結合を可能にするために完全に変性されなければならない。脱パラフィン後、組織切片を加熱して、コラーゲンを熱変性させる。試験は、熱誘導エピトープ賦活化(HIER)方法において使用される長い加熱時間が、試料中のコラーゲンを完全に変性させるために十分である(使用する緩衝液に関わらず)ことを示している。本明細書において示される組織切片を、95~100℃の組織スチーマー内のクエン酸緩衝液50mL中に45分間置いた。或いは、凍結された組織スライド中のコラーゲン含有量を変性させるために、水浴を使用して、DI水を有する密閉された50mLの試験管を、85℃を超える温度まで加熱してよい。加熱した後、熱いDI水を組織試料にピペットで移し、5分間放置してよい(10回反復する)。
[00118]実験プロトコル
[00119]FFPE切片:CHP染色の前に、2×5分間の洗浄のために、キシレン、100%エタノール、95%エタノール、50%エタノール、及びDI水の中にこの順序で切片を浸すことによって、脱パラフィンを行う。
[00120]総コラーゲン含有量の決定のために、HIERを行うか又は組織を意図的に熱変性させる。
[00121]1×PBS中にCHP粉末を溶解することによって、CHP染色のための溶液を作製し、濃度を5~20μMの範囲内とする。正確な濃度は、必要な組織切片及び容積の最適化されたパラメータに応じる。
[00122]CHP溶液を80℃に加熱する。CHPは溶液中で経時的に(例えば、4℃での保管の間に)ホモ三量体に自己組織化し得、コラーゲンハイブリダイゼーションのためのその駆動力を失うため、三量体CHPを、80℃で軽く加熱することによって一本鎖に熱解離する必要がある。
[00123]熱いCHP溶液を氷水浴中で素早く冷まし(約30~90秒間)、その後、これを、組織中のフォールディングしていないコラーゲンに結合させるために使用する。
[00124]冷却したCHP溶液を組織切片にアプライする。組織切片をCHP染色溶液で完全に覆い、湿度チャンバー内で、4℃で一晩結合させる。
[00125]1×PBS又は1×Tween-20での3×5分間の洗浄を使用して、切片を洗浄する。
[00126]カバースリップを載せ、画像化する。
[00127]過剰なCHP溶液を洗い流した後、組織を画像化し、蛍光シグナル定量のためにImageJ/FIJIに移してよい。シグナル強度は、試料中のコラーゲン量と相関している。組織切片が厚くなるにつれ、組織切片はより多くのコラーゲンを含有しており、したがって、本発明者らは、変性コラーゲン鎖に結合しているCHPから、より強いシグナル強度が見られると予想する。図4に示すように、CHPシグナルは、組織が厚みを増すほど強力であり、このことは、CHPシグナルが総コラーゲン含有量と相関していることを裏付けている。バックグラウンドを差し引いた後に、画像化した全区域の平均ピクセル強度を測定することによって、強度を決定した。この方法によって、研究者は、組織切片内の総コラーゲン含有量を容易に可視化し、定量することが可能となる。
[00128]考察
[00129]一度、適切な画像化設定が見出されたら、CHP染色によって、異なる組織試料における総コラーゲン含有量の容易な決定が可能となる。CHP染色は、線維性の組織における総コラーゲン含有量を調べるために有益であり、コラーゲンリモデリングが多くの病理学的疾患及び健康な臓器の維持と関連するため、CHP染色は、創傷治癒又は疾患の進行の評価に有益であることが明らかとなり得る。蛍光強度は、ImageJ/FIJIプラットフォームを使用して定量することができる。

Claims (24)

  1. 熱又は抗原賦活化によって試料中のコラーゲンを変性させて、変性した試料を作製するステップ、
    標識されたコラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)を前記変性したコラーゲンに接触させるステップ、及び
    前記標識されたCHPからのシグナルを測定して、前記試料中の総コラーゲン含有量を決定するステップ
    を含む、試料中の総コラーゲン含有量を測定する方法。
  2. 前記変性させることが、60℃~160℃の温度で前記試料を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 事前のコラーゲン変性を行わずに、標識されたコラーゲンハイブリダイジングペプチド(CHP)を試料に接触させるステップ、及び
    標識されたCHPからのシグナルを測定して、前記試料中の総変性コラーゲン含有量を決定するステップ
    をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記CHPが、蛍光又はビオチン色素で標識されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記試料が溶液(例えば、ホモジナイズされている組織試料、ECMなど)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記試料が組織切片(例えば、骨切片)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記試料が人工組織切片である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記組織切片が、少なくとも1~100μmの厚さを有する、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 前記標識されたCHPの各々が、式I:
    L-S-(Gly-X-Y)3~20(式I)
    によって表される配列を含み、
    式中、Lが1つ又は複数の検出可能な部分であり、Sがスペーサー分子であり、mが0~10の整数であり、Glyがグリシンであり、且つX及びYの少なくとも1つがプロリン、修飾プロリン、及び/又はヒドロキシプロリンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記CHPの各々が、配列番号1~118のうちのいずれか1つの配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記試料が、肝線維症を有する患者に由来する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. トリプシン-ヒドロキシプロリンアッセイを含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 偏光を伴うピクロシリウスレッドを含まない、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記方法にかかる時間が3日間未満である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記方法にかかる時間が2日間未満である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 請求項1~15のいずれか一項に記載の方法によって、患者に由来する試料中の総コラーゲン含有量を検出するステップ
    を含む、患者における状態の存在又は進行を決定する方法であって、
    前記状態が、線維症、創傷治癒、特発性肺線維症(IPF)、加齢皮膚、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、腎臓線維症、心筋梗塞(MI)、加齢性黄斑変性(AMD)、変形性関節症(OA)、及び円錐角膜からなる群から選択される1つ又は複数である、方法。
  17. 総コラーゲン含有量及びダメージを受けたコラーゲンの含有量が、特定の試料群に対して正規化されたダメージを受けたコラーゲンの客観的尺度のための比率として組み合わされる、請求項16に記載の方法。
  18. 前記比率が、病態の進行又は回復の予測バイオマーカーとして使用される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記状態が、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、又はアルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)である、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記患者に由来する別の試料中の総コラーゲン含有量を検出するステップをさらに含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 標識されたCHPを非トリプルヘリックスコラーゲンに接触させることによって、前記患者に由来する別の試料中の非トリプルヘリックスコラーゲンを検出するステップをさらに含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 標識されたCHPを非トリプルヘリックスコラーゲンに接触させることによって、患者に由来する試料中の非トリプルヘリックスコラーゲン含有量を検出するステップ
    を含む、患者における状態の存在又は進行を決定する方法であって、
    前記状態が、線維症、創傷治癒、特発性肺線維症(IPF)、加齢皮膚、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患状態(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、腎臓線維症、心筋梗塞(MI)、加齢性黄斑変性(AMD)、変形性関節症(OA)、及び円錐角膜における進行又は回復からなる群から選択される1つ又は複数である、方法。
  23. 前記状態が、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、又はアルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記患者に由来する別の試料中の非トリプルヘリックスコラーゲン含有量を検出するステップをさらに含む、請求項22又は23に記載の方法。
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