JP2023543743A - チーズ代替品を生産するための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、液体組成物が得られるように、非動物由来のカゼインのみを含んでなるカゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物のなかの少なくとも1つの成分を含んでなる他の成分と混合すること、少なくとも1つの凝固剤を添加することによって液体組成物をカードに変換すること、ならびにカードをさらにプロセスしてチーズ代替品を得ることを含んでなるチーズ代替品の生産のための方法に関する。

Description

本発明は、乳中に存在することが知られている成分を含む一連の成分の混合と、この混合物を、凝乳化を含む一連の工程によってチーズ代替品に変換することに基づく、チーズ代替品の生産のための方法に関する。この方法により、より良好に最終製品の組成を制御することができ、乳糖などの望ましくない成分を抑えることが可能になる。非動物由来の原料のみを使用する場合、この方法により、正確に決められた組成を持つ動物性を含まない(animal-free)チーズ代替品を生産でき、チーズの組成に限りなく近く、テクスチャーおよび味の点でチーズの本質的な特徴を再現することができる。
乳を生産する動物の家畜化は数千年前に始まり、おそらく地球上のさまざまな場所で始まったと思われる。タンパク質、糖および脂質に富む栄養素としての乳の使用は、伝統的な社会にほぼ世界共通になっている。加えて、数週間、さらには数か月から数年保存可能な様々な派生物への乳の変換は、人間の農業産業の最も古い例の一つである。チーズ生産の起源については様々な説がいまだに議論されているが、タンパク質および脂質に富み、長期間経ても食べられ、固形で濃縮された食品として容易に輸送しやすい栄養素であるチーズの生産は、牧畜集団にとって重要な財産(considerable asset)であったことは明らかである。数千年のチーズの生産の後、世界中で多種多様なチーズが作り出され、特定の国では文化的な基準(cultural benchmark)となり、それだけでなく多くの料理の材料としても使われるようになった。今日、チーズ市場は年間2000万トンの製品、その価値は約1400億ドルである。
農業食品(agro-alimentary)産業の高まり(raise)は、増え続ける都市人口の需要によって後押しされた。生産は、バランスのとれた食事に対する合理的な需要に見合うものでなければならなかった(一般に、動物由来の食物は植物由来の食物よりもタンパク質の供給源として優れている)。しかし、世界的な需要は他の要因によっても形成されうる。例えば、消費者は経済的な理由から、工業製品と元来の伝統的なモデルとの間に多くの乖離があることをしばしば容認してきた一方で、消費者はまた、工業製であろうとなかろうと、文化的レファレンスとしてチーズを保持し、ピザ、ハンバーガーにおける、またはパスタの添加物としてのチーズの使用を国際基準の多くの例として維持してきた。したがって、チーズは巨大な市場であるだけでなく、世界の食品界における非常に安定したレファレンス(very stable reference)である。
しかし、一般的に乳製品、特にチーズは、健康面でも、環境および倫理面でもいくつかの問題および懸念を伴っている。これらの懸念は、これらの様々な問題を緩和する乳製品代替品の必要性を強調している。
健康上の問題としては、乳糖不耐症、アレルギー、およびその他、例えば飽和脂肪酸の含有量が高いことなどが含まれる。乳糖不耐症は、胃および小腸で乳糖を分解する酵素であるラクターゼが不足し、結果として結腸に乳糖が蓄積し、細菌によって消化されることに起因する(Ugidos-Rodriguez et al (2018) Lactose malabsorption and intolerance: a review. Food Funct, Volume 9(8), pages 4056-4068)。これはヒトにおいて非常によくみられる特徴であり、遺伝的に決定され、結果として乳製品を含まない食事が必要となる。この不耐性は新鮮な乳製品、そもそも乳では非常に強く、熟成発酵チーズなどの、乳糖が発酵プロセスで大きく変えられた乳製品では、不耐性はあまり顕著でない、または観察されない。それにもかかわらず、リコッタやカッテージチーズなどのフレッシュチーズ、および多少なりとも、乳糖を高レベルで保つチーズ製品の多くでは、依然として重大な問題である。
乳アレルギーはたいてい、α-S1-、α-S2-、β-、およびκ-カゼインや、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリンなどの牛乳タンパク質に対する免疫反応として生じる(Mousan and Kamat (2016) Cow's Milk Protein Allergy. Clin Pediatr (Phila), Volume 55(11) pages 1054-63.; Manuyakorn and Tanpowpong (2018) Cow milk protein allergy and other common food allergies and intolerances. Paediatr Int Child Health, Volume 39(1), pages 32-40). Cow milk protein allergy and other common food allergies and intolerances)。それは2~3%の乳児(infant)および幼児(young children)に影響を及ぼし、とりわけその結果母乳育児に代わって牛乳(ヒトの食物の主要な乳供給源)を与えることができなくなる。なおかつ、牛由来の他の乳製品も避ける必要がある。成人の0.4%で牛乳アレルギーは残り、その場合少量でも牛乳由来の乳製品を摂取することは不可能であることになる。実際、乳糖不耐症とは対照的に、これらのアレルギーは非常に少量のアレルゲン性タンパク質によって誘発される可能性がある。したがって、牛のアレルゲン性タンパク質を他の種の非アレルゲン性ホモログもしくは低アレルゲン性ホモログ(Villa et al (2018) Bovine Milk Allergens: A Comprehensive Review. Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety Volume 17, pages 137-164)またはアレルゲン性エピトープを抑制するために局所的に改変されたタンパク質によって完全に置き換えることができれば、非常に有益であり、その改変を示す代替乳製品のより広範な消費が可能になる。
乳はタンパク質や炭水化物だけでなく、バランスのとれた食事に必要な脂質ももたらすので、栄養素が豊富である。しかし、乳の脂肪には飽和脂肪酸が豊富に含まれていることが知られており、健康に悪影響を及ぼす可能性がある((Micha and Mozaffarian (2010) Saturated fat and cardiometabolic risk factors, coronary heart disease, stroke, and diabetes: A fresh look at the evidence. Lipids, Volume 45, pages 893-905; Jakobsen et al (2009) Major types of dietary fat and risk of coronary heart disease: A pooled analysis of 11 cohort studies. Am. J. Clin. Nutr; Volume 89, pages 1425-1432; Nettleton et al (2017) Saturated fat consumption and risk of coronary heart disease and ischemic stroke: A science update. Ann Nutr Metab Volume 70, pages 26-33)。乳製品の代替品では、この組成を調節できる可能性がある。さらに、この組成は、例えばα-リノレン酸、エイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸を含むオメガ3脂肪酸(Shahidi and Ambigaipalan (2018) Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acids and Their Health Benefits. Annu Rev Food Sci Technol, Volume 9, pages 345-381)などの健康上の利点を有することが知られている脂質で強化できる可能性がある。チーズでは、乳の脂質の大部分が保たれるが、タンパク質の場合と同様に、特に熟成したチーズでは、大部分が広範に分解されるおよび/または変質する可能性がある。それにもかかわらず、概してチーズは飽和脂肪酸が豊富であると考えられ、そう認識されている(Markey et al (2017) J Dairy Science, Volume 100(10):7953-7966)。
さらに、特に肉や、乳製品、チーズなどの動物由来の食品に関する環境への懸念および倫理的な懸念は、ここ数十年で重要性が増してきている。
70億人(2050年には110億人)の人口に対する動物育種の負担はますます大きくなっている。人間集団が自らを最終段階と考えたい食物連鎖(alimentary chain)において、各変換段階では本質的にかなり減少する運命にある。動物由来製品に富んだ食事を伴う、何十億人もの人間を養うために必要な動物の数は膨大であり、今度はこの動物集団が非常にパフォーマンスの高い農業で養われる必要がある。環境への影響は深刻である。今日では、これらは主に人為的な温室効果ガス(GHG)の排出、水の消費、排水による汚染、および土地の占有という観点から検討されている。
今日では、牛(Cattle)の飼育は一番目の(first)温室効果ガス排出源の一つと考えられており、年間推定7.1ギガトンのCO2相当量で、すべての人為的温室効果ガス(GHG)の排出の14.5%に相当する(Rotz CA (2017) Modeling greenhouse gas emissions from dairy farms. J Dairy Science, Volume 101, pages 6675-6690)。しかし、国連の研究は、2010年、世界の酪農部門のみの寄与は人為的GHG排出量の4%であると推定した(FOOD AND AGRICULTURE ORGANIZATION OF THE UNITED NATIONs, Greenhouse Gas Emissions from the Dairy Sector. A Life Cycle Assessment)。
非常に多量の水の消費は、動物の畜産飼育(farming breeding)とも関連している(Sultana et al (2014). Comparison of water use in global milk production for different typical farms. Agricultural Systems, Volume 129, pages 9-21)。ここでも、情報源によって数字は大きく異なる。それにもかかわらず、1トンの動物性タンパク質を生産するためには、1トンの植物性タンパク質と比べて、より多くの水が必要であることが一般的に認められている(Ercin and Aldaya (2012) The water footprint of soy milk and soy burger and equivalent animal products. Ecological Indicators, Volume 18, pages 392-402,)。
さらに、農業排水も環境に強い影響を与える。地下水に対する作物の肥料の影響も無視すべきではないが、畜産廃液の影響は多くの場合甚大であり、世界の多くの地域で悲惨なことが証明されている(https://www.nrdc.org/issues/livestock-production)。
結局のところ、家畜は世界の農地の80%近くを占めているが、世界のカロリー供給量の20%未満しか生産しておらず、畜産が土地資源にもたらすストレスが非常に大きいことを示している。さらに、産業的なオフソイルブリーディング(off soil breeding)による土地占有に対処することは、別の種類の問題を引き起こす。
実際、動物福祉はますます重大な懸念になってきている。自然界では、捕食者の集団の大きさは通常、捕食する植食動物の集団の大きさによって制限されるが、人間はむしろ、そのニーズが不可欠であるかどうかにかかわらず、家畜の集団を自分たちのニーズに合わせてきた。ほとんどの文明において、畜産は主に収量を考慮して進められてきており、肉と乳製品の集約的な生産およびプロセスのスケールアップによって、大規模で集約的な工業プロセスへと変わり、ますます倫理的に受け入れられないと認識されている。さらに、動物福祉への関心は過去には食肉に焦点が当てられることが多かったが(70年代、菜食主義の人々は、動物性タンパク質の不足を乳製品の摂取によって補っていた)、 酪農産業に対する批判がますます高まってきている。第一の点は、乳を生産するために、牛、雌羊、およびヤギが毎年1頭の子を産む必要があるからである。
したがって、上記の問題を緩和する乳製品の代替品が強く求められている。乳の大部分はチーズに変えられ(ヨーロッパでは約38%)、これは今でも国際的な食品基準となっているので、このニーズは大部分においてチーズ代替品に対するニーズということになる。
植物をベースとする代替品は、従来のチーズの代替品となる可能性がある。しかし、豆乳、アーモンドミルク、またはココナッツミルクに由来することが多いこれらの製品は、乳製品の味を模倣するには程遠いことが多く、元来の製品のテクスチャーや味に近づけようとどんな工夫をしても、いずれにせよ組成の点で根本的に異なる。
したがって、今日、
(i)望ましくない化合物を含まず、
(ii)外観、テクスチャーおよび味において、元来の製品に類似し、
(iii)栄養の点で元来の製品に匹敵するまたはそれより優れている
チーズ代替品が必要とされている。
理想的には、上記で定義されたチーズ代替品では、すべての成分またはその大部分が非動物由来であり、乳糖およびアレルゲン性タンパク質が他の分子に置き換えられることになり、飽和/不飽和脂肪酸の組成が最適化されることになる。しかし、最終的な製品は、チーズに不可欠な官能的な(organoleptic)特性および栄養特性を依然として有することになる。
基本的にチーズは乳と塩から作られ、凝固剤(酸、乳酸菌、および/またはレンネット)の添加を伴い、様々な発酵体および他の成分の添加を伴う可能性もある。チーズの主要で、かつ必須な成分である乳は、液体の形態で独特の栄養素の源として哺乳動物が進化させたものであり、乳獣(sucklings)にとって容易に食べることができ、迅速な成長に必要なすべての要素を供給することができる。それは基本的には脂肪球のエマルションで、水相には溶解した炭水化物、タンパク質、ミネラル、ビタミンなどの他の栄養素が入っている。乳タンパク質の80%以上を占める4つのカゼイン分子(α-S1-、α-S2-、β-、またはκ-カゼイン)は、ミセル内のリン酸カルシウムで構築され、直径が50~600nmの範囲で、平均直径が約200nmであるおおよそ球形の粒子である(Kruif, Supra-aggregates of casein micelles as a prelude to coagulation (1998) J Dairy Sci, Volume 81 pages 3019-3028; de Kruif et al. Casein micelles and their internal structure (2012) Advances in Colloid and Interface Science, Volume 171-172, pages 36-52)。カゼインミセルは、組換えカゼインまたは乳から単離された非ミセルカゼインから再構成することができる(Haham et al (2012) Stability and bioavailability of vitamin D nanoencapsulated in casein micelles. Food Funct, Volume 3(7), pages 737-44; Bar-Zeev et al (2018) β-Casein micelles for oral delivery of SN-38 and elacridar to overcome BCRP-mediated multidrug resistance in gastric cancer. European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics, Volume 133, pages 240-249)。κ-カゼインはミセル構造の安定剤として重要な役割を有する。乳の組成は哺乳類によって異なる。牛乳の典型的な組成は表1に記載され、さまざまな脂質、タンパク質、塩、ビタミン、その他の栄養素の一覧を含む、牛乳および他の動物の乳のより詳細な組成は、多数の供給源から見出すことができる(https://en.wikipedia.org/wiki/Milk#Cow's_milk; Haug et al (2007) Bovine milk in human nutrition - a review, Lipids Health Dis.; Volume 6, pages 25; Dominguez-Salasa et al (2019) Contributions of Milk Production to Food and Nutrition Security; Encyclopedia of Food Security and Sustainability, Volume 3, pages 278-291)。
Figure 2023543743000001
脂質および炭水化物(乳糖を除く)は植物から、カルシウムは無機源から、動物源から、または植物(海藻など)から回収することができる。タンパク質の場合、他の供給源を考慮する必要があり、それは(i)動物性タンパク質は植物性タンパク質とアミノ酸含量が異なる、(ii)乳の重要な特徴であるミセル構造はカゼインに特有であり、どの植物にも天然には発現しないからである。しかし、乳のタンパク質は、動物由来でない成分の別の供給源である、発酵によって作られうる。
発酵による生産は、発酵槽で目的の化合物を生産する細菌または真菌の培養に基づき、通常は目的の化合物の回収および精製が続く。歴史的には、最初の例は、発酵飲料中で数千年にわたって人間によって、また人間のために生産され、蒸留飲料中で部分的に精製されているエタノールである。エタノールは今日、人間が直接消費するだけでなく、エネルギー需要のかなりの部分を占めるバイオ燃料としても十分な規模の発酵によって生産されている。
乳酸、アミノ酸およびプロパンジオールを含む他の多くの化合物が発酵槽で数千トン生産されている。発酵によるタンパク質の生産も古典的な方法であり、食品産業で何十年にもわたって使用されており、最初の例の1つは組換えキモシンであり、米国食品医薬品局によって登録および許可された最初の人工的に生産された酵素であり、今日ではレンネット市場の主要なシェアを占めている(米国では今日80%超)(Food Biotechnology in the United States: Science, Regulation, and Issues". U.S. Department of State. Retrieved 2006-08-14)。
それ以降、いくつかの研究により、様々な微生物での発酵による乳の構成タンパク質またはホモログの生産が報告され(下記参照)、発酵タンパク質を含む成分を集めた乳の代替品の生産が何度か報告されている(米国特許第6270827号;米国特許第5,942,274号;米国特許出願公開第20180271111号;国際公開第2016029193号;国際公開第2018039632号;国際公開第2020219596号;国際公開第2020223700号)。
しかし、チーズの場合、チーズ生産の非常に完成されたプロセスを考えると、テクスチャー、匂い(smell)、および味の点で元来の製品の本質的な特徴を有する代替品を作ることは非常に困難である。
チーズは、凝乳化、水切り、加塩、その他多くの工程を経て乳が変化することによって生じる(Gillis JC, Ayerbe A, Le fromage 4eme edition, Lavoisier - Technique Et Documentation 20 avril 2018)。凝乳化は、酸性化および/またはレンネットの使用によって達成することができ、いずれもカゼインとリン酸カルシウムによって作られるミセル構造を不安定にする性質を有する。酸性化は、酸溶液の添加、またはほとんどの場合、乳酸菌を含むスターターカルチャーの添加によって得られ、乳酸の生成が結果としてpHが低下する。しかし、ほとんどのチーズ品種ではレンネットが添加されることになる。レンネットはとりわけキモシンを含む一連の酵素である。レンネットは伝統的に若い子牛の胃から得られてきたが、今日で多くの場合組換えキモシンに置き換わっている(Emtage et al (1983). Synthesis of calf prochymosin (prorennin) in Escherichia coli. Proc Natl Acad Sci U.S.A., Volume 80 (12), pages 3671-5; Harris et al (1982) Molecular cloning and nucleotide sequence of cDNA coding for calf preprochymosin. Nucleic Acids Res, Volume 10 (7), pages 2177-87)。
凝乳化の間、主要な乳タンパク質であるカゼインが凝固する。レンネット酵素によってk-カゼインが酸性化および/または消化されると、ミセル構造は急速に不安定になり、カゼインは脂質、塩、炭水化物とゲルを形成する一方で、他のタンパク質はホエイ中に、乳の水分の大部分と一緒に回収される。このゲルの物理的および化学的性質は熟成の際に変わることになり、プロセスはチーズの形状および視覚的外観、テクスチャー、風味および味を決めるのに強く寄与することになる。多くのデータから、凝乳化工程、および結果として、最終製品のテクスチャーおよび味が、タンパク質または脂質の濃度や、ミセルのサイズ、pH、温度などの多くの要因に影響されることが示されている(Garnot et al (1982) Influence of Protein and Fat Contents of Ultrafiltered Milk on Rheological Properties of Gels Formed by Chymosin. J Dairy Science, Volume 65 (12), pages 2267-2273; Carlson et al (1987) Kinetics of Milk coagulation: the kinetics of Kappa casein hydrolysis in the presence of enzyme deactivation. Biotechnology Bioengineering Volume 29, pages 582-7; Guyomarc'h et al (2003) Role of the soluble and micelle-bound heat-induced protein aggregates on network formation in acid skim milk gels. J Agric Food Chem, Volume 51(26), pages 7743-50; Lee and Lucey (2004) Structure and physical properties of yogourt gels; effect of inoculation rate and incubation temperature. J Dairy Science, Volume.87(10), pages 3153-64; Bittante et al (2012) Genetics and modeling of milk coagulation properties J Dairy Science, Volume 95(12), pages 6843-70; Kethireddipalli and Hill (2015) Rennet Coagulation and Cheesemaking Properties of Thermally Processed Milk: Overview and Recent Developments. J Agric Food Chem, Volume 63(43), pages 9389-403; Brule and Maubois, Coagulation du lait. In Le fromage Gillis JC, Ayerbe A (2018), Lavoisier ed., Paris)。
したがって、塩、植物ベースの脂質および炭水化物は非常にリーズナブルな価格で購入でき、カゼインは購入または単に発酵によって生産できるのに対して、これらの成分が集合してできた液体組成物をプロセスした結果は、(乳と比較して)濃縮されるかどうかにかかわらず、予測不可能である。
したがって、そのような成分の混合物を、チーズの本質的な官能的特徴を有する食品に変換する実際の方法が必要とされている。
米国特許第5068118号は、再懸濁、濾過および凍結乾燥されたカゼイネートから出発するチーズの生産を開示している。
米国特許第6270827号は、乳児の食事を補ったり、強化したりするために、ヒト乳タンパク質を化学的に合成すること、または組換えヒト乳タンパク質を生産するための遺伝子工学技術によって調製されたヒト乳タンパク質含有組成物を開示している。
米国特許第5942274号は、ヒトα-ラクトアルブミンおよびヒトβ-カゼインと実質的に同じアミノ酸配列および生物学的特性を有するタンパク質を含んでなる、ヒト乳児の栄養要求を満たすのに十分なヒト向け調製粉乳を開示している。タンパク質は、微生物、特に大腸菌から作ることができる。
米国特許出願公開第20180271111号はカゼインを含む組成物を開示しており、本質的にそれらを使用していくつかの合成乳(すなわち、乳と同じ組成で、口当たりが似ている液体製剤)を調製することに対して関心を示している。合成チーズ製品を生産するためにそのような組成物を使用することが想定されている([0250])が、例は示されていない。実施例4および特に[0292]は、ミセルの存在が探求され(presence of micelles is sought)、したがってCaが添加されることを示している。実施例8は合成乳調製物の様々な例を示している。同様の開示は国際公開第2016029193号に見られる。
国際公開第2018039632号は、乳タンパク質および他の非動物性タンパク質を含んでなる食品を開示している。
国際公開第2020219596号は、食品生産のための非ネイティブ翻訳後修飾をもつ組換え乳タンパク質を開示している。組換えβ-ラクトグロブリンが実施例に開示されている。
国際公開第2020011975号は、天然のウシ乳(bovine milk)と比較してミセルカゼイン含量が増加した乳を使用し、非ミセルカゼインタンパク質をチーズ乳に添加してカゼイン補充(supplemented)チーズ乳を得て、カゼイン補充チーズ乳を凝固プロセスに供してゲルを形成するチーズの生産に関する。実施例では、カゼインナトリウムもしくはカゼインカルシウム、またはカゼインマクロペプチドが使用されている。
国際公開第2020223700号では、1つまたは複数の組換えタンパク質を使用したチーズおよびヨーグルト組成物ならびにその生産方法が論じられている。この文献はミセルの形成を強く主張しており、β-カゼインなしでチーズおよびカードを作る例(実施例9)も挙げている。なお、その実施例では、チーズを得るために組換えカゼインのみを使用するではなく、精製ウシカゼイン、または(実施例13および14では)組換えα-S1カゼインと精製ウシκカゼインのいずれかを使用している。
仏国特許出願公開第2052121号(FR2052121)は、加圧下において膜上で乳を濾過し、膜を流れない液体生成物を得て、それをタンパク質に濃縮することを開示している。
本発明は、以下を含んでなるカードの生産のための方法に関する:
(a)カゼイン組成物を用意すること、
(b)液体プレカード組成物が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること、
(c)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること。
次いで、前記カードはさらにプロセスされて、チーズ代替品を得ることができる。
カードのそのようなプロセスは、例えば以下のような1つまたは複数の工程を含む:
(d)カードを切断し、それを加熱すること、
(e)カードがマット(mat)を形成できるように、カードを水切りして水分を除去すること(これは乳を用いた伝統的なチーズプロセスにおけるホエイの除去に相当する)、
(f)カードにテクスチャーを与える:必要な場合には、より多くの水を排出させる、発酵を続けさせるように、切り分ける、重ねる(piled)、裏返す、圧搾することができる。
(g)製品を乾燥させる、かつ/または加塩する、かつ/または塩水で処理する。
(h)チーズ代替品のブロックを形成する。
代替品は保存することができ、かつ熟成させることが可能であり、特に味およびテクスチャーを熟成および発展させることができる。
このプロセスは、カードの組成を正確に調節できるという利点を有する。最終製品においてチーズの組成およびその官能的な特性を厳密に模倣する一方で、望ましくない化合物を抑制する、または健康に有益な影響を与える成分を強化するために、様々な成分の組成を調整することができる。特に、動物由来の成分を最小限に抑えることが可能であり、完全に抑制することさえ可能である。このプロセスはまた、乳糖不耐症を引き起こしうるアレルゲン性成分、すなわち乳糖を取り除き、脂質組成を正確に調節して、例えばオメガ3などの脂質の割合を高めることができる。
定義
本発明の文脈において、「食用組成物」という用語は食品(food product)を意味する。
本明細書の文脈において、(重量/重量)((w/w))は、全重量に対する、重量/重量(weight/weight)を示す(乾燥物質について量を評価するときに言及)。
「フレッシュチーズ」という用語は、無脂肪ベースで80%超の水分(脂肪を含まない製品の全質量に対する水の比率)、および全重量の2%~15%のタンパク質含量(全製品質量に対するタンパク質質量の比率)をもつチーズを指す。
「ソフトチーズ」または「セミソフトチーズ」という用語は、無脂肪ベースで62%~80%の水分(脂肪を含まない製品の全質量に対する水の比率)、および全重量の15%~30%のタンパク質含量(全製品質量に対するタンパク質質量の比率)をもつチーズを指す。ソフトチーズは、無脂肪ベースで67%~80%の水分を有し、セミソフトチーズは、無脂肪ベースで62%~67%の水分を有する。
「硬質(firm)チーズまたはハードチーズ」という用語は、無脂肪ベースで62%を下回る水分(脂肪を含まない製品の全質量に対する水の比率)、および全重量の25%を上回るタンパク質含量(全製品質量に対するタンパク質質量の比率)をもつチーズを指す。
本発明の文脈において、「間」という用語は限界を含む。
本発明の文脈において、「チーズ代替品」という用語は、栄養価、外観、テクスチャーおよび味の点でチーズの本質的な特徴を有する食品を意味する。チーズ代替品は、チーズの代替品は、上記の代替するチーズのカテゴリー(フレッシュチーズまたはソフト/セミソフトチーズまたは硬質/ハードチーズ)のタンパク質含量および水分含量を特に有するべきである。
本発明の文脈において、「カゼイン」という用語は、哺乳類動物にみられる天然カゼインと相同なタンパク質を指す。そのようなカゼインは、α-S1-、α-S2-、β-、またはκ-カゼインと相同でありうる。
乳では、カゼインがリン酸カルシウムと結合した構造体である平均直径120nm~180nmのミセルにカゼインは組織されている。そのようなミセルは電子顕微鏡法で観察することができ、そのサイズは例えば動的光散乱で評価することができる(Kruif, Supra-aggregates of casein micelles as a prelude to coagulation (1998) J Dairy Sci, Volume 81 pages 3019-3028; Cohen et al (2017) Re-assembled casein micelles improve in vitro bioavailability of vitamin D in a Caco-2 cell model. Food Funct 8:2133-2141)。本発明の文脈において、「ミセルカゼイン」は、リン酸カルシウムおよび場合によっては他の分子またはイオンと一緒に、50~600nmの範囲の大きさをもつ、かかる高次構造に組織されたカゼインを指す。
本発明の文脈において、「カゼイン組成物」という用語は、乳に見られるものとは対照的に、カゼインが乾燥重量の主要部分を占める組成物を指す(乳の全タンパク質はその組成の3.2%を占め、その80%はカゼインである)。そのようなカゼイン組成物は、固体または液体であることができ、上記で定義した少なくとも1つのカゼインを含有する。そのようなカゼイン組成物は、乳からのカゼインの精製、または微生物培養もしくは培養哺乳類細胞によるカゼインの生産およびそれに続く精製から生じうる。そのようなカゼイン組成物は、他の化合物、特にカルシウム、他のタンパク質、脂質などを含んでなることができる。微生物培養によって作られたカゼイン組成物は、非動物由来のカゼイン組成物である。
本発明の文脈において、「液体プレカード組成物」または「LpCC」という用語は、レンネットおよび発酵体の添加ならびに凝乳化(特にカゼインの凝固)の前の、少なくともカゼインと、水、カルシウム、脂質、炭水化物のなかの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分を含有する組成物を指す。
本発明の文脈において、「凝固剤」という用語は、凝乳化を引き起こすことができる化学的または生化学的組成物を示す。凝乳化は、酸溶液の添加、スターター培養物の添加(炭水化物の存在下で増殖する発酵体がpHの減少を引き起こす)、熱処理、カルシウムキレート剤の添加、天然もしくは組換えレンネットの添加、動物性プロテアーゼもしくは植物性凝乳化酵素などのレンネット代替品の添加、またはこれらの方法の組み合わせによって達成できる。凝固剤は、単独で、またはもう1つのもしくは他の添加剤、化合物、組成物、もしくは処理との組み合わせで、添加が凝乳化をもたらす添加剤、化合物、組成物、または処理のいずれかでありうる。動物質を含まない食用組成物を調製する場合、レンネットの使用を避けるために、酸性化剤(酸またはスターター培養物など)を使用することが好ましく、その結果凝固剤は動物由来の要素を一切含まない。酸性化剤が乳酸菌または複数の乳酸菌を含んでなる場合が有利であるが、酸性の薬品を使用することもできる。
本発明の文脈において、「カード」という用語は、カゼインが凝固剤の作用下で凝固または沈殿した組成物であって、もしあれば液相から、例えばチーズ布の上で水切りすることによって分離できるものを意味する。カードはまた、水および脂質(存在する場合)を含む他の成分を含んでなる。
本発明の文脈において、「発酵体」という用語は、チーズ代替品の生産のプロセス中において添加される少なくとも1つの微生物菌株を含有する組成物を指す。乳酸発酵体は乳酸発酵を引き起こし、特に培地の酸性化をもたらす。結果として、凝固剤として使用することができる。
他の発酵体はチーズ生産においてカードのプロセスに使用され、テクスチャー、味、匂い、および化学組成(特にタンパク質のより小さなペプチドへの切断)の変化をもたらす。これらの発酵体は「熟成用発酵体(ferments for maturation)」、「熟成発酵体(maturation ferments)」または「熟成発酵体(ripening ferments)」と呼ばれることがあり、一般にフレッシュチーズの生産には使用されない。そのような熟成用発酵体は凝固剤と一緒に添加することができる。
本発明の文脈において、「非動物由来の」という用語は、動物に直接由来しておらず、培養中の動物細胞から産生されてもおらず、乳などの動物性製品から単離されてもいない化合物または組成物を意味する。したがって、微生物の発酵によって生産される化合物または組成物は、バクトペプトンなどの動物由来の一部の製品が発酵中に関与する可能性があるにもかかわらず、「非動物由来」である。したがって、本発明の文脈において、動物で自然に生産されるタンパク質は、その配列または構造が、動物から単離されるであろうタンパク質の配列または構造と同一である可能性があっても、微生物(細菌または酵母など)細胞または植物細胞で生産される場合には、非動物由来と呼ばれることになる。
本発明の文脈では、「動物質を含まない」という用語は、動物、培養中の動物細胞、または乳などの動物製品に由来しておらず、その生産プロセスに動物由来の供給原料も、添加物も一切関与しない化合物または組成物を意味する。
本発明の文脈において、「発酵」という用語は、目的の化合物を産生する細胞培養物を発酵槽で培養する工程、および目的の化合物を回収する工程を含んでなる、目的の化合物の生産に使用されるプロセスを指す。微生物発酵の場合、細菌または真菌(酵母など)が生産に使用される。しかし、発酵という用語は、CHO細胞などの培養哺乳類細胞に依る生産プロセスにも使用される。発酵プロセスには原核細胞または真核細胞を使用することができる。
本発明の文脈において、「組換え」という用語は、野生型または非改変型の生物または微生物と比較して、少なくともタンパク質をコードする核酸分子を含有するように生物または微生物が遺伝子工学的に改変されていることを意味する。
本発明の文脈において、「テクスチャー改良剤(texturing agent)」という用語は、レシチンなどの乳化剤、およびカシアガム、セスバニアガム、タマリンドガム、グアーガム、フェヌグリークガム、アラビアガム、アガーアガー(agar agar)(またはアガーアガー(agar-agar))、カラギーナン、トラガカントガム、キサンタンガム、キャロブ(ローカストビーン)ガム、セルロースガムなどの親水コロイドを含む任意のゲル化剤を意味する。
本発明の文脈において、「風味(flavor)化合物」という用語は、(i)少量、例えば全体の1%(重量/重量)未満で、(ii)最終製品の味を調節する目的のために添加される化合物を指す。
本発明は、以下を含んでなる食用組成物(特にカード)の生産のための方法に関する:
(i)カゼイン組成物を用意すること、
(j)液体組成物が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること、
(k)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること。
本発明はまた、以下を含んでなる食用組成物の生産のための方法に関する:
a)カゼイン組成物を用意すること、
b)液体組成物が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること、
c)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること、
d)カードをさらにプロセスして食用組成物を得ること。
特定の実施形態では、本発明は、以下を含んでなる食用組成物の生産のための方法に関する:
a)非動物由来のカゼインのみを含んでなるカゼイン組成物を用意すること、
b)液体プレカード組成物(LpCC)が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること、
c)カードが得られるように、少なくとも1つの凝固剤を液体プレカード組成物に添加すること、
d)カードをさらにプロセスして食用組成物を得ること。
上記実施形態では、b)またはd)においてゲル化剤が添加される場合が好ましい。
「非動物由来のカゼインのみを含んでなる」ことは、動物由来のカゼインが存在しないこと(すなわち、非動物由来のカゼインのみを含んでなる)ことを示す。好ましい実施形態では、他の成分が存在する場合、それらも非動物由来である。他の実施形態では、カゼイン組成物は、(非動物由来の)カゼイン以外の他の成分を含有しない。
b)において添加される他の成分はすべて非動物由来であることが好ましい。
好ましい実施形態では、b)において添加される成分は以下を含んでなる:
i.任意選択で、カゼイン以外のタンパク質、
ii.脂質、
iii.水、および
iv.炭水化物。好ましい実施形態では、食用組成物が乳糖不耐症の顧客(customers)に許容可能にするために、炭水化物は乳糖を含まない。
全体として、食用組成物は、
i.25%未満、好ましくは2~25%または5~25%(重量/重量)のタンパク質含量を有し、
ii.無脂肪ベースで62%より高い水分含量を有する。
好ましい実施形態では、食用組成物はチーズ代替品である。
本明細書で開示の方法では、動物由来の成分を含有しない食用組成物が得られるように非動物由来の製品のみを使用することが好ましい。
カゼイン
本発明の文脈において、カゼイン組成物が使用される。好ましい実施形態では、カゼインは前記組成物の乾燥重量の50%超である。好ましい実施形態では、カゼインは前記組成物の乾燥重量の60%超である。別の好ましい実施形態では、カゼインは前記組成物の乾燥重量の70%超である。別の好ましい実施形態では、カゼインは前記組成物の乾燥重量の80%超である。別の好ましい実施形態では、カゼインは前記組成物の乾燥重量の90%超である。別の好ましい実施形態では、カゼインは前記組成物の乾燥重量の80%超である。別の好ましい実施形態では、カゼインは前記組成物の乾燥重量の95%超である。乾燥重量に対するカゼインの割合は、カゼインの質量を組成物内の全乾燥重量で割ったものに相当する。
好ましい実施形態では、カゼイン組成物は、α-S1-、α-S2-、β-、またはκ-カゼインのうち少なくとも1つのカゼインを含有する。より好ましい実施形態では、カゼイン組成物は、α-S1-、α-S2-、β-、またはκ-カゼインンのうち少なくとも2つのカゼインを含有する。より好ましい実施形態では、カゼイン組成物は、α-S1-、α-S2-、β-、またはκ-カゼインを含有する。一実施形態では、α-S1カゼイン、α-S2カゼイン、β-カゼインおよびκカゼインからなる群から選択される少なくとも1つのカゼインが、カゼイン組成物に存在しない。一実施形態では、κカゼインはカゼイン組成物に存在しない。1つの実施形態では、カゼイン組成物はβ-カゼインのみを含有する。1つの実施形態では、カゼイン組成物はβおよびα-S2カゼインのみを含有する。1つの実施形態では、カゼイン組成物はβおよびα-S1カゼインのみを含有する。1つの実施形態では、カゼイン組成物はβ、α-S1およびα-S2カゼインのみを含有する。実際、本発明の発明者らは、κカゼインなしでカードおよびチーズ代替品である食用組成物を得ることが可能であることを示し、その結果発明者らはミセル形成を再構成すること、または溶液が実際にミセルを呈するかどうかを確認することを試みなかった。以下に示すように、カゼインが非動物由来である、または動物質を含まない場合が好ましい。
カゼインは、乳の主要なタンパク質としても、必須アミノ酸や分岐鎖アミノ酸(BCAA)を多く含むバランスの良いアミノ酸源としても、乳製品の特徴(hallmark)の1つである。凝乳化工程の間、カゼインは固相の状態のままであり、この点で、カゼインはすべてのチーズおよびチーズ前駆体の必須タンパク質成分である。しかし、カゼインはチーズのプロセスおよび熟成の間に徐々に分解される。発酵体によって生成される、またはレンネット組成物に入っているプロテアーゼは、徐々にそれらカゼインをより小さなペプチドに、さらには遊離アミノ酸に切断する。このタンパク質分解は、最終生成物の官能的な特性の変化に大きく寄与する。ペプチドおよび遊離アミノ酸は、直接的な官能的な役割を有することもあり、官能的な特性に影響を与える他の分子に次に変換されたときに間接的な役割を有することもある。
この質的な進化に加えて、全体的な(global)タンパク質含量(カゼインや誘導ペプチドを含む)は、水切りおよび熟成によって大きく変化する。したがって、チーズの種類および生産プロセスに大きく左右される。LpCCのタンパク質含量は最終製品のタンパク質含量に大きな影響を与えることになり、所望のタイプのチーズの代替品を生産するために調整することができる。LpCCのタンパク質含量(重量含量)は、LpCC中のタンパク質の質量をLpCCの全質量で割ったものに相当する。
好ましい実施形態では、LpCCのタンパク質含量は12%(重量含量)を下回る。より好ましい実施形態では、それは2%~10%である(重量含量)。より好ましい実施形態では、それは5%~10%である(重量含量)。これらの量は、特にフレッシュチーズの代替品の生産にとって特に興味深い。
別の好ましい実施形態では、LpCCのタンパク質含量は10%~25%である(重量含量)。より好ましい実施形態では、それは10%~18%である(重量含量)。これらの量は、特にソフトまたはセミソフトチーズの代替品の生産にとって特に興味深い。
別の好ましい実施形態では、LpCCのタンパク質含量は25%~35%である(重量含量)。これらの量は、特に硬質チーズまたはハードチーズの代替品の生産にとって特に興味深い。
別の好ましい実施形態では、LpCCのタンパク質含量は35%(重量含量)より高い。これらの量は、従来のチーズと比較して、カゼイン組成物が強化されたチーズ代替品の生産にとって特に興味深い。
乳由来のカゼインは、今日比較的安価で市販されており、食品成分として、ボディビルダー向けの食品添加物として、または糊剤や塗料などの成分として使用されている。乳中では、カゼインはミセルに組織化され、大量のリン酸カルシウムを複雑な組織に封じ込めている(上記参照)。精製したカゼインは、ミセルカゼインとして、またはミセル構造をもたない単離物であるカゼイネートとして商品化されている。さらに、カゼインミセルは、組換えカゼインまたは乳から単離された非ミセルカゼインから再構成することができる(上記参照)。
好ましい実施形態では、カゼイン組成物はミセルカゼインを含んでなる。より好ましい実施形態では、カゼイン組成物は50%超のミセルカゼインを含んでなる。より好ましい実施形態では、カゼイン組成物は90%超のミセルカゼインを含んでなる。
別の好ましい実施形態では、カゼイン組成物は非ミセルカゼインを含んでなる。より好ましい実施形態では、カゼイン組成物は50%超の非ミセルカゼインを含んでなる。より好ましい実施形態では、カゼイン組成物は90%超の非ミセルカゼインを含んでなる。別の実施形態では、カゼイン組成物は非ミセルカゼインからなる。そのような非ミセルカゼインは、カゼイネート、すなわちカゼインカルシウムやカゼインナトリウムなどのカゼイン塩を含み、またはそれからなることができる。そのようなカゼイネートは、特に乳由来の誘導物として市販されている。しかし、後述のように、非ミセルカゼインは非動物由来である場合もある。
乳糖、非アレルギー性のカゼイン(牛以外の動物由来、もしくは牛のカゼインの非アレルギーバリアント由来)の含有量が低く、かつ/またはオメガ3脂質などのニュートラシューティカルズの含有量が高いチーズ代替品を生産するために、動物由来のカゼインは、植物ベースの脂質、炭水化物および他の成分とともに使用することができる。別の実施形態では、そのような動物由来のカゼインは、家畜から直接ではなく、動物細胞から生成される。そのような細胞は、組換えカゼインを発現する組換え体であることができる。
なおかつ、発酵技術によって非動物由来のカゼインを生産することもできる。いくつかの研究により、様々な微生物における発酵(Goda et al (2000) Recombinant expression analysis of natural and synthetic bovine alpha-casein in Escherichia coli. Appl Microbiol Biotechnol, Volume 54, pages 671-676; Kim et al (1997) High-level expression of bovine beta-lactoglobulin in Pichia pastoris and characterization of its physical properties. Protein Eng, Volume10(11), pages 1339-45; Kim et al (2005) Production of human caseinomacropeptide in recombinant Saccharomyces cerevisiae and Pichia Pastoris; J Ind Microbiol. Biotechnology, Volume 32, pages 402-408; Choi BK and Jimenez-Flores R (2001) Expression ad purification of Glycosylated Bovine b-casein (L70S/P71S) in Pichia Pastoris. J Agric Food Chem, Volume 49, pages 1761-1766; Viaene et al (1991) Efficient expression of bovine alpha-lactalbumin in Saccharomyces cerevisiae. Eur J Biochem, Volume 202(2), pages 471-7;米国特許出願公開第6,232,094号;国際公開第2013/148328号;米国特許出願公開第2010/0223682号;米国特許出願公開第5,942,274号;国際公開第2018039632号)または植物細胞(米国特許出願公開第20100119691号)による乳構成タンパク質またはホモログの生産が報告されている。
好ましい実施形態では、カゼイン組成物は非動物由来のカゼインを含んでなる。非動物由来のカゼインが存在することは、同じ量のチーズを作るのに必要な動物の数を減らし、それにより、上記の環境への懸念および倫理的な懸念に部分的に対処することになる。動物由来のカゼインと非動物由来のカゼインを含む組成物では、動物由来のカゼインは非動物由来のカゼインと混ぜ合わせられる。より好ましい実施形態では、カゼイン組成物は50%超の非動物由来のカゼインを含んでなる。より好ましい実施形態では、カゼイン組成物は非動物由来のカゼインのみを含んでなる。その実施形態では、カゼイン組成物は動物由来のタンパク質または成分を一切含まない。
本発明はまた、以下を含んでなる食用組成物の生産のための方法に関する:
(l)非動物由来のカゼインを含んでなるカゼイン組成物を用意すること、
(m)液体組成物が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること、
(n)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること、
(o)さらにカードをプロセスしてチーズ代替品を得ること。
好ましい実施形態では、前記カゼイン組成物はすべて非動物由来である。別の好ましい実施形態では、前記カゼイン組成物は少なくとも75%の非動物由来のカゼインを含んでなる。別の好ましい実施形態では、前記カゼイン組成物は少なくとも50%の非動物由来のカゼインを含んでなる。
好ましい実施形態では、カゼイン組成物のカゼイン(複数可)は、組換え微生物の発酵によって生産される。より好ましい実施形態では、カゼイン組成物のカゼイン(複数可)は、組換え真菌または細菌の発酵によって生産される。より好ましい実施形態では、カゼイン組成物のカゼイン(複数可)は、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、サッカロミケス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ピキア・パストリス(Pichia Pastoris)、およびトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reseei)のなかから選ばれる組換え微生物、または真菌のサッカロミケス、クルイベロマイセス、ピキア、ジゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)、カンジダ(Candida)、およびトリコデルマ属のなかから選ばれる微生物中の発酵によって生産される。
そのような組換え微生物は、1個または数個(several)のカゼインをコードする核酸分子を単独で、またはベクターの一部として導入することによって得ることができる。核酸分子さらに、核酸分子に含まれるポリヌクレオチドに作動可能に連結された発現制御配列を含んでなることができる。本明細書全体を通して使用されるとき、「作動的に連結された」または「作動可能に連結された」とは、1つまたは複数の発現制御配列と、発現制御配列と適合する条件下で発現が達成される方法で発現されるポリヌクレオチドのコード領域との間の連結を意味する。真菌および細菌における発現を確実にする調節エレメントは当業者に周知である。これらには、プロモーター、エンハンサー、終結シグナル、ターゲティングシグナルなどが包含される。核酸分子につなげて使用するプロモーターは、その起源および/または発現される遺伝子に関して同種(homologous)であっても、異種(heterologous)であってもよい。好適なプロモーターは、例えば恒常的発現を付与するプロモーターである。ただし、外部からの影響によって決められた時点でのみ活性化されるプロモーターも使用することができる。人工的および/または化学的に誘導可能なプロモーターをこの状況で使用することができる。遺伝子組換え細菌または真菌では、1個または数個のカゼインをコードするポリヌクレオチドをプラスミドに導入することができる。
したがって、本発明によれば、上記のポリヌクレオチド、核酸分子またはベクターを真菌または細菌に導入することを含んでなる真菌または細菌を遺伝子工学的に改変することによって、組換え生物または微生物が生産される。様々な発現系の概要は、例えば、Baghban et al. Yeast Expression Systems: Overview and Recent Advances. Mol Biotechnol. 2019 May;61(5):365-384; Yang and Zhang. Engineering strategies for enhanced production of protein and bio-products in Pichia pastoris: A review. Biotechnol. Adv. 2018 Jan-Feb;36(1):182-195.; Mojzita et al. Gene expression engineering in fungi. Curr. Opin. Biotechnol. 2019 Oct;59:141-149.; Gomez et al. Alternative Eukaryotic Expression Systems for the Production of Proteins and Protein Complexes. Adv Exp Med Biol. 2016;896:167-84.; Freudl. Signal peptides for recombinant protein secretion in bacterial expression systems. Microb Cell Fact. 2018 Mar 29;17(1):52.; Cui et al. Exploitation of Bacillus subtilis as a robust workhorse for production of heterologous proteins and beyond. World J Microbiol Biotechnol. 2018 Sep 10;34(10):145.; Chen. Bacterial expression systems for recombinant protein production: E. coli and beyond. Biotechnol Adv. 2012 Sep-Oct;30(5):1102-7; Deckers et al, Genetically Modified Micro-Organisms for Industrial Food Enzyme Production: An Overview. Foods 2020, 9, 326に含まれる。宿主細胞は、特にpH値、温度、塩濃度、通気性、抗生物質、ビタミン、微量元素などに関する、使用する特定の宿主細胞の要求を満たす栄養培地で培養される。
カゼインは当該技術分野で公知である。UniprotやGenbankに存在するカゼインを例示として挙げることができる。そのようなカゼインの例を下表に示す。
Figure 2023543743000002
牛(ボス・タウルス(Bos taurus))、ヤギ(カプラ・ヒルカス(Capra hircus))、ヒツジ(アヴィス(Avis)アリエス(aries))およびバッファロー(ブバルス・ブバリス(Bubalus bubalis))由来のカゼインの例
そのようなカゼインは、通常、成熟タンパク質には存在しないシグナルペプチドを含む。例えば、配列番号1~4は、牛由来の成熟カゼイン、すなわちα-S1(配列番号1)、α-S2(配列番号2)、β(配列番号3)およびκ(配列番号4)に対応する。カゼイン組成物には、カゼインタンパク質の断片(特にシグナルペプチドが存在しないカゼイン)、または天然カゼインに相同なタンパク質を使用することが可能である。
さらにより好ましい実施形態では、カゼイン組成物からのカゼインの一つ一つが、
・上記配列の1つと同一である、または
・それらの配列の1つと少なくともn%同一であり、nは10~100の整数、好ましくは10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98もしくは99である、または
・それらの配列の1つから取られる一続きのp個のアミノ酸と少なくともn%同一であり、nは10~100の整数、好ましくは10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98もしくは99であり、かつ、pは30~100の整数、好ましくは30、40、50、60、70、80、90もしくは100である。
配列同一性の決定に関しては、以下が適用されるべきである:比較される配列の長さが同じを有しない場合、同一性の程度は、長いほうの配列のアミノ酸残基と同一である短いほうの配列のアミノ酸残基のアミノ酸残基の割合、または短いほうの配列のアミノ酸残基と同一である長いほうの配列のアミノ酸残基のアミノ酸残基の割合のいずれかを意味する。好ましくは、長いほうの配列のアミノ酸残基と同一である短いほうの配列のアミノ酸残基の割合を意味する。配列の同一性の程度は、好ましくはCLUSTALなどの好適なコンピュータアルゴリズムを使用して、当該技術分野で周知の方法に従って決定することができる。Clustal解析法を用いて、特定の配列が例えば参照配列と少なくとも60%同一であるかどうかを判定する場合、デフォルトの設定を用いてもよく、または好ましくは以下のような設定とする:マトリックス:Blosum 30;開始ギャップペナルティ(gap penalty):10.0;伸長ギャップペナルティ:0.05;ディレイダイバージェント(Delay divergent):40;ギャップ分離距離:8、アミノ酸配列の比較用。ヌクレオチド配列の比較では、ギャップペナルティは好ましくは5.0に設定される。好ましい実施形態では、アミノ酸配列の比較のためにClustalW2が使用される。ペアワイズ比較/アラインメントの場合、以下の設定が選択されることが好ましい:タンパク質重量マトリックス:BLOSUM62;ギャップ開始:10;ギャップ伸長:0.1。複数の比較/アラインメントの場合、以下の設定が選択されることが好ましい:タンパク質重量マトリックス:BLOSUM62;ギャップ開始10;ギャップ伸長:0.2;ギャップ距離:5;エンドギャップなし。好ましくは、同一性の程度は配列の全長(complete length)にわたって計算される。
本発明の文脈おいて断片または相同タンパク質を使用する場合、凝乳化は凝固剤の添加後に起こる。
本発明の文脈において断片または相同タンパク質を使用する場合、これらがカルシウムの存在下でミセルを形成できる場合が好ましい。
発酵によって組換えカゼインを生産するこの方法は、カゼインに関して多くの可能性を提供する。実際、カゼインは、アレルゲン性カゼインを回避する、またはアレルゲン性がより低いカゼインに置き換えるために、局所的に改変または置換することができる。好ましい実施形態では、カゼイン組成物は、ラクダ、ロバ、または雌馬からの組換えカゼインを含む。
他のタンパク質
カゼイン以外のタンパク質は、凝乳化プロセスでホエイ中にほとんど除去されるが、それでもなおチーズは、乳に少量で存在するタンパク質、またはホエイタンパクを含む他のタンパク質を含有しうる。
本発明によるチーズ代替品および食用組成物はまた、ホエイタンパク質を含むカゼイン以外のタンパク質を含有しうる。そのようなタンパク質は、カゼイン組成物の一部である可能性もあり、または本方法の2番目の工程で別途添加することもできる。好ましくは、非動物由来である、または動物質を含まない。
カルシウムおよび他の塩
牛乳は1リットルあたり約1.2gのカルシウムを含有する(約0.12%、重量含量)。カルシウムはチーズに存在し、その栄養価に寄与している。カルシウムはチーズの重量の0.1~1%の範囲を占め、カルシウムの最も低い含有量は通常、フレッシュチーズ(0.125%、フランスの「フロマージュ・ブラン」の重量含量)でみられ、最も低い含有量は通常、硬質チーズおよびハードチーズでみられる(エメンタールでは0.97%)。カマンベールでは、0.25%(重量含量)の範囲である。チーズの生産プロセスにおいて、乳に残るカルシウムの量はプロセスによって異なり(Mietton et Chablain, Du lait au fromage: les fondamentaux technologiques. In Gillis JC, Ayerbe A, Le fromage 4eme edition, Lavoisier - Technique Et Documentation 20 avril 2018)、乳酸凝固剤(16~17%のカルシウム)よりもレンネット(62~67%のカルシウム)を用いたほうが、より良好な保持が達成される。さらに、所与のチーズのカテゴリーの特性を厳密に再現するためには、LpCC中のカルシウムの割合が重要であることになる。なおかつ、カルシウム含量を高めたチーズも想定される。
好ましい実施形態では、LpCCのカルシウム含量は0.1%~1.7%である。
カルシウムを含む食品添加物、特に炭酸カルシウム(E170)は、動物由来のものがある。ただし、ミネラルまたは植物由来(例えばリトサムネ(lithothamne)海藻由来)のカルシウムも存在する。本明細書に開示の方法は、乳カルシウムを非動物由来のカルシウムで代替する可能性を提供し、それにより動物由来の成分を減少させることが可能になる。より好ましい実施形態では、カルシウムは非動物由来である。乳の重要な成分であるリン酸塩などの他の塩を添加することができる。
脂質
脂質はほとんどのチーズに存在し、官能的な感覚において役割を果たす。しかし、健康への懸念に対処するために、ここ数十年の間に脂肪含量を減らした(低脂肪)、ひいては脂肪を含まないチーズが生産されている。本明細書に開示の方法は、乳脂質を非動物由来の脂質で代替する可能性を提供し、それにより動物由来の成分を減少させることが可能になる。より好ましい実施形態では、前記脂質は、植物から抽出された脂質である。
チーズでは、脂肪含量は、完全無脂肪製品の0%から最大40%(一般的には最大30%)までの範囲で変化する可能性がある。チーズの脂肪含量は、チーズ中の脂質の質量をチーズの全質量で割ったものに相当する。
脂肪組成は、既存のチーズの組成を模倣するために、量および質において調整することができる。ほとんどのチーズには脂質が多量に存在する。乳中の脂質の95%~10%が凝乳化の間にカードに残る。しかし、脂質含量は乳の由来(牛、ヤギ、ヒツジ)によって、かつ乳の調整およびチーズの生産プロセスによって大きく異なる。
フレッシュチーズではわずか7%、またはそれより低いことさえあり、伝統的なハードチーズでは30%よりも高いことがある。最近の工業用チーズには、無脂肪製品の需要のために脂質含量が非常に低い製品、および脂質レベルが非常に高い製品(例えば、フランスBongrain製のブルソーでは35%)が含まれる。
本発明の文脈において、LpCC中の脂肪組成は、無脂肪または脂肪に富む製品を得るために自由に改変することができる。LpCCの脂肪含量(重量含量)は、LpCC中の脂質の質量をLpCCの全質量で割ったものに相当する。
好ましい実施形態では、LpCC中の脂肪組成は0%(重量含量)である。別の好ましい実施形態では、それは10%(重量含量)より低い。別の好ましい実施形態では、それは10%~20%である(重量含量)。別の好ましい実施形態では、それは20%~30%である(重量含量)。別の好ましい実施形態では、それは30%~40%である(重量含量)。別の好ましい実施形態では、それは40%~50%である(重量含量)。別の好ましい実施形態では、それは50%~60%である(重量含量)。別の好ましい実施形態では、それは60%(重量含量)より高い。
乳中では、脂質はリグリセリド、すなわちグリセロール分子と3つの脂肪酸のエステル化による融合から生じる分子で本質的になるが、この組成はチーズのプロセス中に大きく変わり、トリグリセリドの加水分解によって様々な量のモノおよびジグリセリドならびに遊離脂肪酸が生成される。遊離脂肪酸はさらにプロセスすることができ、最終製品の味および匂いに非常に重要な役割を有する。
脂質は、植物から抽出された脂質の組成物として含まれうる。牛乳脂肪中の主要な脂肪酸は、パルミチン酸(31%)、オレイン酸(24%)、ミリスチン酸(12%)、ステアリン酸(11%)、より小さいサイズの飽和酸(lower size saturated acid)(11%)、パルミトレイン酸(4%)リノール酸(3%)、トランス不飽和酸(3%)およびα-リノール酸(1%)である。そのような組成はLpCCで再現することができる。しかし、それは、例えば不飽和脂肪酸の割合を増加させるために調節することもできる。
乳製品は飽和脂肪酸が豊富であり、乳では飽和パルミチン酸、ミリスチン酸およびステアリン酸が、より小さいサイズの分子と一緒に、脂肪酸の65%を占める。例えば植物由来の脂質組成物を使用することの利点の1つは、より健康的な脂肪源を提供しうることである。実際、植物性脂肪は通常、動物性脂肪よりも少ない飽和脂肪酸およびトランス脂肪酸を含有する。さらに、組成物は、例えばα-リノレン酸、エイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸を含むオメガ3脂肪酸など、健康上の利点を有することが知られている脂質で強化されうる。
本発明の文脈では、キャノーラまたは菜種、ヒマワリ、大豆、ココ油、オリーブ油、クルミ油、ヘーゼルナッツ油、およびマーガリンなど、植物由来の様々な脂質源を使用することができる。そのような製品は、大部分が商品化されている。ただし、望ましくない風味やおよび/または味の持ち越しを避けるために、十分な純度の製品が使用されるべきである。脱臭されたオイルを使用することができる。脱臭は、脱気され、適切に処理された給水から発生する良質の蒸気を、低い絶対圧および十分に高い温度の下で大豆油に噴射して、遊離脂肪酸(FFA)および悪臭を放つ化合物を気化させ、これらの揮発性物質を供給原料から運び出す水蒸気除去プロセスである。大豆油プロセスの様々な方法は、Practical Handbook of Soybean Processing and Utilization (1995), OCS Press. Elsevier Inc.に記載されている。
好ましい実施形態では、脂質は、キャノーラ油、菜種油、ヒマワリ油、大豆油、ココ油(coco oil)、オリーブ油、クルミ油、ヘーゼルナッツ油、またはマーガリンにある。より好ましい実施形態では、脂質は、キャノーラ油、菜種油、大豆油またはココ油にある。
乳化剤およびゲル化剤
乳化剤(emulsifier)または乳化剤(emulsifying agent)は、乳化の安定剤として作用し、通常は混ざり合わない液体が分離するのを防ぐ化合物や物質である。LpCCの調製中および調製後の固相および液相の形成を避けるために、乳化剤を使用することが有用でありうる。非常に広く使われているのがレシチンである。その用語は実際のところ動物および植物にみられる両親媒性化合物のファミリーを指すが、市販の大豆またはヒマワリのレシチンは容易にみつけることができる。
好ましい実施形態では、液相および固相の形成を避けるために、乳化剤が添加される。より好ましい実施形態では、この乳化剤はレシチンである。乳化剤は、工程b)において、またはc)において凝固剤を添加する前に(または添加しながら)LpCCに添加することができる(ただし、乳化剤は凝乳化前にLpCCと混合すべきである)。
代替えとして、または追加として、アガーアガーや、グアーガム、アラビアガム、トラガカントガム、キサンタンガム、キャロブ(ローカストビーン)ガム、セルロースガム、カシアガム、セスバニアガム、タマリンドガム、フェヌグリークガム、カラギーナンなどのゲル化剤が使用されうる。そのような親水コロイドは、硬さ(firmness)をもたらし、保水性を高める。デンプンもゲル化剤として使用することができる。ゼラチンなどの動物由来のゲル化剤は、組成物から排除すべきである。
凝乳化前または凝乳化後ゲル化剤の添加(カードと混合)が、本発明の文脈において特に興味深い。これは、食用組成物にテクスチャーを与えるのに役立つことになる。特にローカストビーンガムを使用することができる。
アガーアガー(LpCCの0.50%~1%(重量/重量)、または0.66%~1%(重量/重量)、またはLpCCの0.68%~1%)に相当する量でLpCCに添加されることになる)が特に興味深い。
炭水化物
別の好ましい実施形態では、他の成分は、少なくともカルシウム、脂質、および炭水化物を含有する。乳糖は主要な乳炭水化物である。牛乳は、乳糖を70mg/L、ガラクトースを20mg/L、かつ様々なオリゴ糖を含む他の炭水化物を微量含有する。熟成中および熟成したチーズでは(During and in aged cheese)、最終的に完全に、またはほぼ完全に分解されている。しかし、それはフレッシュチーズにはまだかなりの量が含まれており、強い乳糖不耐症の人は通常避けるべきである。いずれにせよ、チーズの種類ごとに、個々の反応は乳糖不耐症の重症度に異なることになる。
乳糖はチーズの微生物叢(発酵体)の供給原料であるので重要である。しかし、ブドウ糖または他の炭水化物で置き換えることができる。ブドウ糖、ショ糖または果糖などの炭水化物は植物由来であるのに対して、市販の乳糖のほとんどは今日では動物由来である。本明細書に開示の方法は、乳の乳糖をブドウ糖または非動物由来の別の炭水化物で置き換える可能性を提供し、それにより動物由来の成分の削減を可能にし、乳糖不耐症に確実に対処するという追加の利点がある。
好ましい実施形態では、乳糖は組成物に添加されない。より好ましい実施形態では、非動物由来の炭水化物が組成物に添加される。さらにより好ましい実施形態では、その炭水化物はブドウ糖である。
ビタミン
より好ましい実施形態では、他の成分は、少なくともカルシウム、脂質、炭水化物、およびビタミンを含有する。乳製品は通常、ビタミンが豊富である。乳は、水溶性ビタミンB12、B、B、Bの良好な供給源であるが、ビタミンBの必要量にはほとんど寄与しない。乳は脂溶性ビタミンAをもたらすが、ビタミンD、E、Kの供給源としては不十分である。しかし、通常脂肪が豊富であるチーズでは、この脂溶性ビタミンの含有量が低いことは緩和される。チーズ代替品は、ビタミンの点で従来のチーズと同じ栄養価を有し、より高いビタミン量を補うことすらできる。しかし、ビーガン食または動物性製品の含有量が低い食事と関連しうることが多い非動物由来の代替品が必要とされる状況で、ビタミンB12は、本質的に動物由来の食物によって通常もたらされるので、供給すべき最も重要な添加物である。より好ましい実施形態では、組成物は少なくともビタミンが補充されている。さらにより好ましい実施形態では、このビタミンはビタミンB12である。
より好ましい実施形態では、他の成分は、少なくともカルシウム、脂質、炭水化物、およびビタミンB12を含有する。
凝固剤
乳の凝固は、酸の添加よって、または単に乳酸発酵によって達成されるのに対し、今日のチーズのほとんどはレンネットを使用して、ほとんどの場合、乳酸菌と併せて作られている。レンネット酵素によるκ-カゼインの消化により、カゼイン/リン酸カルシウムのミセルが不安定になり、凝固が起こり、その結果カードが形成される。したがって、ほとんどの場合、レンネットが使われることになる。しかし、上記のように、様々な種類のレンネットが存在する。従来のレンネットは、子牛の胃由来であるが、植物ベースのレンネットおよび組換え微生物由来のレンネットを含む、他のタイプのレンネットが開発されている。そのような非動物性レンネットは、例えば、Chr. Hansen Lab.(デンマーク)、Gist Brocades/DSM.(オランダ)、Pfizer Inc.(アメリカ合衆国)から購入することができる(Le fromage Gillis JC, Ayerbe A (2018), Lavoisier ed., Parisを参照)。
より好ましい実施形態では、前記非動物由来凝固剤は、酸化合物または乳酸菌などの酸を産生する細菌でありうる酸性化剤を含有する組成物である。
発酵体
より好ましい実施形態では、発酵体が添加される。乳酸菌(Lactic bacteria)はチーズ発酵体に必須の成分である。それらは乳酸の生成に寄与し、次にpHを変化させ、それにより物理化学的条件を変化させ、レンネットと一緒に最終製品のテクスチャーに寄与する。この場合、そのような乳酸菌は凝固剤としても機能する。
さらにより好ましい実施形態では、その発酵体は少なくとも1つの乳酸菌を含んでなる。さらにより好ましい実施形態では、乳酸菌は、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・ジアセチラクチス(Streptococcus diacetylactis)、ストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcus thermophilus)、Leuconostoc lactis、ロイコノストック・シトロボラム(Leuconostoc citrovorum)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、およびラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)のなかから選ばれる。
乳酸菌は乳およびカードの中で最初に広がる微生物であり、カードの組成を変化させる次の発酵体の波(the next wave of ferments.)への下準備をする。この次の発酵体の波(this next wave of ferments)と一緒に、それらは熟成(maturation)または熟成(aging)(熟成(ripening))に寄与する。それらの他の発酵体には、非スターター乳酸菌(NSLAB)および他の微生物が含まれる。そのような他の発酵体は、熟成(maturation)(または熟成(aging)もしくは熟成(ripening))発酵体として機能する。熟成の間、それらは炭水化物を代謝し、タンパク質を、製品の官能的な特性に関与する小さいペプチドに分解し(上記参照)、新しい風味を作り出すことになる。それにより、味およびテクスチャーが変化する。また、例えば、ある種のソフトチーズ中のゲオトリクム・カンディダム(Geotrichum candidum)のように、チーズの表面で成長することによって、チーズの色および全体的な外観を変化させることもある。
さらにより好ましい実施形態では、発酵体は少なくとも1つのNSLABを含んでなる。さらにより好ましい実施形態では、そのNSLABは、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus ramnosus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus bucheneri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterocuccus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterocuccus faecium)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、およびカルディオバクテリウム・ラルタロマティウム(Carbiobacterium laltaromatium)からなる群から選択される。
さらにより好ましい実施形態では、発酵体は、乳酸菌ではない少なくとももう1つ微生物を含有し、酵母、カビ、または非乳酸菌であることができる。
さらにより好ましい実施形態では、発酵体は、デバリオミセス・ハンセニー(Debaryomyces hansenii)、ゲオトリクム・カンディダム(Geotrichum candidum)、クルイベロマイセス・ラルシアナス(Kluyveromyces larxianus)、クルイベロマイセス・ラクティス、サッカロミケス・セレビシエ、カンディダ・カテヌラタ(Candida catenulate)、カンディダ・インテルメディアタ(Candida intermediata)、トルラスポラ・ デルブリュッキイ(Torulaspora delbrueckii、カンジダ・ゼイラノイデス(Candida zeylanoides)、ピキア・メンブラニファシエンス(Pichia mebranifaciens)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugiosa)、およびピキア・フェルメンタンス(Pichia fermentans)からなる群から選択される酵母である少なくとももう1つの微生物を含有する。
さらにより好ましい実施形態では、発酵体は、ペニシリウム・カメンベルティ(Penicillium camemberti)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)、クリソスポリウム・スルフレウム(Chrysosporum sulfureum)、フザリウム・ドメスティクム(Fusarium domesticum)、イソムコル・フスクス(Isomucor fuscus)、ムコル・プルンベウス(Mucor plumbeus)、ペニシリウム・コンミュネ(Penicillium commune)、およびスプレンドネマ・カセイ(Sprendonema casei)からなる群から選択されるカビである少なくとももう1つの微生物を含有する。
発酵体は、例えばChr.Hansenを含む数多くの会社から商業的に入手することができる。
水(水分)
牛乳では、水は約87.4%(重量含量)であり、無脂肪ベースでは90.8%である。水含量、重量含量は、所与の体積において、水の質量を全重量で割ったものである。水含量は水分とも呼ばれ、無脂肪ベースで、製品に存在する水の質量を、全質量から脂肪の質量を引いた質量で割ったもの(=水の質量/(全質量-脂肪の質量))である。水分はチーズの種類の重要な特徴であり、以下に定義されるチーズの種類の主要な基準である。
理想的には、ある程度の水切りを可能にしつつ、廃棄物を避けるために、LpCC中の水分は可能な限り低くすべきである。ソフトチーズまたはセミソフトチーズおよび硬質チーズまたはハードチーズ(下記参照)の場合、LpCCは、乳の水分含量よりかなり低い水分含量を有しうる。
好ましい実施形態では、LpCCの水分含量は無脂肪ベースで90%を下回る。より好ましい実施形態では、それは80%未満である。
その他
風味を変えるために製品に添加される他の化合物を添加することも可能である。そのような製品は、δ-デカラクトン、酪酸エチル、2-フリルメチルケトン、2,3-ペンタンジオン、γ-ウンデカラクトン、およびδ-ウンデカラクトンから選択することができる。
プロセス
チーズの生産は何世紀にもわたる経験に基づいたプロセスである。伝統的なプロセスを超えて、主に地域の伝統に触発されて工業プロセスが発展してきた。伝統的なまたは最近の、職人的なまたは工業的なこれらのプロセスは、Le fromage Gillis JC, Ayerbe A (2018), Lavoisier ed., Parisに詳しく記載されている。チーズは、得られるカードの種類およびそのプロセスによって異なる生産のプロセスに応じて、様々なカテゴリーに分類することができる。
本発明はまた、以下を含んでなる食用組成物の生産のための方法に関する:
(p)カゼイン組成物を用意すること、
(q)液体組成物が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること、
(r)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること、
(s)カードをさらにプロセスして以下からなる群から選択される食用組成物(チーズ代替品)を得ること:
(i)フレッシュチーズの代替品、および
(ii)ソフトチーズまたはセミソフトチーズの代替品、および
(iii)硬質チーズまたはハードチーズの代替品。
上記のように、使用される成分がすべて非動物由来であり、ゲル化剤が凝乳化前および/またはカードのプロセス中に添加される場合が好ましい。
LpCCの組成は、凝乳化および熟成による(熟成の期間および条件を変えることによって当業者が調節できる)水の減少を考慮し、食用組成物に望まれる最終的な組成に適合される。
好ましい実施形態では、チーズ代替品は、フレッシュチーズの本質的な特徴を有する。フレッシュチーズは、無脂肪ベースで80%以上の水分を含有する。無脂肪ベースでの水分の割合は、製品中に存在する水の質量を、全質量から脂肪の質量を引いた質量で割ったもの(=水の質量/全質量-脂肪の質量)である。フレッシュチーズでは、タンパク質含量は通常15%より低く、全重量の7%まで低いこともあれば、それより低いこともある。
この実施形態では、食用組成物は、好ましくは、
i.2~15%のタンパク質含量(重量含量)、
ii.無脂肪ベースで、80%を上回る水分含量
を有する。
より具体的には、食用組成物は、5~15%のタンパク質含量(重量含量)を有することになる。
b)において得られたLpCCが、
i.12%を下回るタンパク質含量(重量含量)を有し、
ii.無脂肪ベースで、80%を上回る水分含量を有する
場合に、これらの特徴を得ることが可能である。
特に、b)において得られたLpCCは、
i.5%~10%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
ii.無脂肪ベースで、80%を上回る水分含量を有する。
この実施形態では、アガーアガーがLpCCの0.5%~1%(重量/重量)に相当する量でLpCCに添加される場合が好ましい。
この実施形態では、アガーアガーがLpCCの0.68%~1%(重量/重量)に相当する量でLpCCに添加される場合がさらにより好ましい。
食用組成物を作るためのプロセスの間に使用される食用組成物またはLpCCのいくつかの他の特徴が以下に記載されており、単独でまたは組み合わせでみられうる。
(a)食用組成物が、10%~30%の脂質含量(重量含量)を有する。
(b)LpCCが、10%~30%の脂質含量(重量含量)を有する。
(c)食用組成物が、2.8%より低いカルシウム含量(重量含量)を有する。
(d)LpCCが、0.1%~1%のカルシウム含量(重量含量)を有する。
したがって、(a)もしくは(b)もしくは(c)もしくは(d)単独、または(a)+(b)、(a)+(b)、(a)+(c)、(a)+(d)、(b)+(c)、(b)+(d)もしくは(c)+(d)、or(a)+(b)+(c)、(a)+(b)+(d)もしくは(b)+(c)+(d)、または(a)+(b)+(c)+(d)を有することができる。
フレッシュチーズ代替品であることになる食用組成物を得るための方法を行う場合、カードのプロセスは以下の工程を含みうる:
a)ゲル化剤をカードと混合すること、
b)補充カードを成型および水切りすること、
c)他の実施形態も以下で開示されている(Other embodiments are also disclosed below)。
この実施形態では、本発明は、以下を含んでなる食用組成物の生産のための方法に関する:
a)非動物由来のカゼインのみを含んでなるカゼイン組成物を用意すること、
b)液体プレカード組成物(LpCC)が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること、
c)カードが得られるように、少なくとも1つの凝固剤を液体プレカード組成物に添加すること、
d)カードをさらにプロセスして食用組成物を得ること。ここでゲル化剤はb)および/またはd)において添加される。
1つの実施形態では、ゲル化剤はb)において添加される。
別の実施形態では、ゲル化剤はd)において添加される。
別の実施形態では、ゲル化剤はb)およびd)において添加される。
この実施形態では、食用組成物が、
i.2~15%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
ii.無脂肪ベースで、80%を上回る水分含量を有する
場合が好ましい。
したがって、この実施形態は、フレッシュチーズの代替品の生産によく適合する。
別の好ましい実施形態では、チーズ代替品は、ソフトチーズまたはセミソフトチーズの本質的な特徴を有する。ソフトチーズは、無脂肪ベースで67~80%の水分を含有し、白かびチーズまたはウォッシュチーズでありうる。それらのタンパク質含量は、全重量の20%の範囲であることが多い。ソフトチーズ、白かびチーズは、コクのある(rich)クリーミーなテクスチャーを有し、チーズにわずかな弾力がある。熟成プロセスはその厚みによって異なる。このチーズは、特定のカビで接種され、水切りがゆっくりした混合凝固物を有する。ソフト、ウォッシュチーズは、コクのあるクリーミーなテクスチャーを有し、チーズにわずかな弾力がある。熟成プロセスの間、チーズは定期的に裏返され、ビール、ミード、ワイン、またはスピリッツが入った塩水でブラッシングされる、または洗われる。セミソフトチーズは、無脂肪ベースで62%~67%の水分を含有する。テクスチャーはソフトでクリーミーでありうる。熟成させる際に、チーズは(アルコールを含むまたは含まない)赤いスメア(red smear)の入った塩水で洗うことができる(ウォッシュチーズ)。そのチーズはまた、ブラッシングすることができる、かつ/または天然の表皮を作ることができる。
特に、この実施形態では、食用組成物は、
i.15~25%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
ii.無脂肪ベースで62%~80%の水分含量を有する。
これは、特に、b)において得られたLpCCが、
i.10~18%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
ii.無脂肪ベースで62%を上回る水分含量を有する
場合に達成することができる。
この実施形態では、アガーアガーが、LpCCの0.5%~1%(重量/重量)に相当する量でLpCCに添加される場合が好ましい。
アガーアガーが、LpCCの0.66%~1%(重量/重量)に相当する量でLpCCに添加される場合がさらにより好ましい。
この実施形態では、熟成用発酵体[熟成発酵体]がc)において添加され、d)がカードを加塩および成型することを含んでなる場合が有利である。
特に、工程d)は、熟成用発酵体の成長を可能にする温度、特に14℃でカードを熟成させることを含んでなる。熟成の期間は、食用組成物に望まれる態様(aspect)に応じて、当業者によって決定される。数日(few days)である場合もあり、数週間(few weeks)である場合もある。
食用組成物を作るためのプロセスの間に使用される食用組成物またはLpCCのいくつかの他の特徴が以下に記載されており、単独でまたは組み合わせでみられうる。
(a)食用組成物が、10~30%の脂質含量(重量含量)を有する。
(b)LpCCが、10%~30%の脂質含量(重量含量)を有する。
(c)食用組成物が、2.8%より低いカルシウム含量(重量含量)を有する。
(d)LpCCが、0.3%~1.7%のカルシウム含量(重量含量)を有する。
したがって、(a)もしくは(b)もしくは(c)もしくは(d)単独、または(a)+(b)、(a)+(b)、(a)+(c)、(a)+(d)、(b)+(c)、(b)+(d)もしくは(c)+(d)、または(a)+(b)+(c)、(a)+(b)+(d)もしくは(b)+(c)+(d)、または(a)+(b)+(c)+(d)を有しうる。
他の実施形態も以下に開示される。
1つの特定の実施形態では、本発明は、以下を含んでなる食用組成物の生産のための方法に関する:
a)非動物由来のカゼインのみを含んでなるカゼイン組成物を用意すること、
b)液体プレカード組成物(LpCC)が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること、
c)カードが得られるように、少なくとも1つの凝固剤を液体プレカード組成物に添加すること、
d)カードをさらにプロセスして食用組成物を得ること。
ここでゲル化剤はb)において添加され、熟成用発酵体はc)において添加され、d)はカードを加塩および成型することを含んでなる。
その実施形態では、食用組成物は、
i.15~25%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
ii.無脂肪ベースで62%~80%の水分含量を有する
場合が好ましい。
その実施形態は、ソフトチーズの本質的な特徴を有するチーズ代替品のよく適合する。
別の好ましい実施形態では、チーズ代替品は、硬質チーズまたはハードチーズの本質的な特徴を有する。一般的には、凝乳化プロセスの後にきるだけ多くのホエイを取り除くために、硬質チーズまたはハードチーズは圧搾される。硬質チーズは、無脂肪ベースで50%および62%の水分を含有する。そのタンパク質含量は、全重量の30%の範囲でありうる。このチーズのテクスチャーは、硬質で(firm)、かつ弾力がある。硬質チーズのなかには、熟成させず、よりマイルドなチーズもみられるようである。この種類のチーズの熟成は、数ヶ月から数年続くことがある。ハードチーズは、無脂肪ベースで50%未満の水分を有し、数年間熟成および保存することができる。また、通常、高いタンパク質含量(>30%)を有する。
ブルーチーズはしばしば独立したカテゴリーとして考慮されるのに対し、本発明の文脈におけるブルーチーズは、上記で定義された基準に応じて、フレッシュチーズ、ソフトもしくはセミソフトチーズ、またはファームもしくはハードチーズとして限定して考慮されることになる。
伝統的なチーズは、多くの場合脂肪含量が所与の範囲と結び付けられることが多かったのに対し、近年の低脂肪チーズ品種の生産において、少なくともフレッシュチーズおよびソフトチーズについては、典型的な特徴から脂肪含量がいくらか消されており、チーズを上記のカテゴリーのいずれか1つに分類するために使用することになる要素は、脂肪含量よりもむしろ、水分およびタンパク質である。
本発明の文脈において、カードまたはチーズ代替品の生産のための方法は、カゼイン組成物と、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分とを混合する工程によって、LpCC(液体プレカード組成物(Liquid pre-Curd Composition))と名付けられた液体組成物を得ることを含んでなる。
LpCCの組成は、乳の組成を再現することを意味するものではないことが理解されるべきである。実際、凝乳化の間、非カゼインタンパク質および他の分子と一緒に、乳の水含量のほとんどが除去される。したがって、LpCCは、好ましくは、水を節約でき、水切りプロセスを簡素化できる濃縮された溶液である。
60年代には、チーズの生産のために新しい方法が開発され、それは限外濾過による乳の栄養素の濃縮および水に枯渇したプレチーズ(pre-cheese)またはチーズミルク(cheese milk)の形成にあり、最終製品に近い組成を有する(米国特許第4205090号;Maubois and Mocquot (1975) Application of membrane ultrafiltration to preparation of various types of cheese. J. Dairy Science, Volume 58, page 1001)。この方法では、ホエイタンパク質は大部分がカードに保持され、タンパク質の質量収量が増加し、必要なレンネットの量が大きく減少する。しかし、凝固プロセスのキネティクスが変化した(Garnot et al (1982) Influence of Protein and Fat Contents of Ultrafiltered Milk on Rheological Properties of Gels Formed by Chymosin. J. Dairy Science, Volume 65 (12), pages 2267-2273)。
本発明の文脈において、濃縮されたLpCCを使用することにより、大規模な水切りの間の水の浪費が避けられる。カード形成およびカードプロセスのプロセスは、配合(formulation)に適合させる必要がありうる。
牛乳では、有機分子および塩が乳の全質量の10%の範囲を占める。この数値は、哺乳類によって非常に様々である。例えば、クジラは非常に濃厚な乳を作り、脂肪36%、タンパク質13%、炭水化物1%含む、水分はわずか49%である。本発明の文脈において、LpCCでは、タンパク質、脂質、塩および炭水化物のそれぞれの濃度は、チーズ代替品における最終的な所望の組成に合うように調整されることになる。しかし、牛乳と比較して、組成物は濃縮されたものでありうる。
カゼインは、凝乳化のプロセスにおいて重要な役割を有する。それらは乳においてンパク質の大部分(牛乳の全タンパク質の約85%)を占め、チーズでは他のタンパク質のほとんどがホエイに除去されるので、さらに大きな割合を占める。好ましい実施形態では、液体組成物をもたらす、水、カルシウム、脂質のうちの少なくとも1つの成分を含んでなる他の成分と一緒にカゼイン組成物を混合する工程の間、前記液体組成物またはLpCCのカゼイン含量は5%~35%(重量含量)に維持される。LpCCのカゼイン含量(重量含量)は、LpCC中のカゼインの質量をLpCCの全質量で割ったものに相当する。
LpCCのタンパク質含量は、最終製品のタンパク質含量に大きく影響することになり、チーズの所望の品種を生産するために調整することができる。
さらに、本明細書に記載の方法では、水、カルシウムおよび/または脂肪(一般にこれらの成分のすべて)は、生産したいチーズ代替品の種類に応じて当業者によって決定できる所望の官能的な品質および栄養価をもつ組成物であるLpCCが得られるようにカゼイン組成物に添加される。
フレッシュチーズを作るための方法
本明細書に記載の方法はまた、上記に提示の実施形態(ゲル化剤の添加、カルシウム含量、カードのプロセス(水切り、成型))を使用することができる。
好ましい実施形態では、本発明は、以下を含んでなるカードまたは食用組成物の生産のための方法に関する:
(a)カゼイン組成物を用意すること、
(b)液体組成物(LpCC)が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること(ここでタンパク質含量は12%(重量含量)未満である)、
(c)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること、ならびに任意選択で、
(d)カードをさらにプロセスして食用組成物(チーズ代替品)を得ること。ここで、前記チーズ代替品はフレッシュチーズの代替品である。
より好ましい実施形態では、本発明は、以下を含んでなるカードまたは食用組成物の生産のための方法に関する:
(a)カゼイン組成物を用意すること、
(b)液体組成物(LpCC)が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること(ここでタンパク質含量は2%~10%(重量含量)である)、
(c)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること、ならびに任意選択で
(d)カードをさらにプロセスして食用組成物(チーズ代替品)を得ること。ここで、前記チーズ代替品はフレッシュチーズの代替品である。
より好ましい実施形態では、フレッシュチーズの前記代替品は、無脂肪ベースで80%以上の水分含量を有する。さらにより好ましい実施形態では、フレッシュチーズの前記代替品は、3%~15%のタンパク質含量(重量含量)を有する。
より好ましい実施形態では、本発明は、以下を含んでなるカードまたは食用組成物の生産のための方法に関する:
(a)カゼイン組成物を用意すること、
(b)液体組成物(LpCC)が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること(タンパク質含量は5%~10%(重量含量)である)、
(c)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること、ならびに任意選択で
(d)カードをさらにプロセスして食用組成物(チーズ代替品)を得ること。ここで、前記チーズ代替品はフレッシュチーズの代替品である。
好ましい実施形態では、LpCCの水分は85%を上回る。好ましい実施形態では、LpCCの水分は90%を上回る。
好ましい実施形態では、LpCCは、0.1%~1%のカルシウム含量を有する。より好ましい実施形態では、LpCCは、0.5%~1%のカルシウム含量を有し、凝固剤は、天然または合成の任意のレンネットを含くまない。
より好ましい実施形態では、フレッシュチーズの前記代替品は、無脂肪ベースで80%以上の水分含量を有する。さらにより好ましい実施形態では、フレッシュチーズの前記代替品は、3%~15%のタンパク質含量(重量含量)を有する。さらにより好ましい実施形態では、フレッシュチーズの前記代替品は、5%~15%のタンパク質含量(重量含量)を有する。
チーズ代替品のタンパク質含量(重量含量)は、この代替品中のタンパク質の質量をチーズ代替品の全質量で割ったものに相当する。
ソフトチーズまたはセミソフトチーズを作るための方法
本明細書に記載の方法はまた、上記に提示の実施形態を使用することができる(ゲル化剤の添加、熟成発酵体、カルシウム含量、カードのプロセス(水切り、成型、熟成))。
好ましい実施形態では、本発明は、以下を含んでなるカードまたは食用組成物の生産のための方法に関する:
(a)カゼイン組成物を用意すること、
(b)液体組成物(LpCC)が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること(ここでタンパク質含量は10%~25%(重量含量)である)、
(c)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること、ならびに任意選択で
(d)カードをさらにプロセスして食用組成物(チーズ代替品)を得ること。ここで、前記チーズ代替品はソフトチーズまたはセミソフトチーズの代替品である。
より好ましい実施形態では、本発明は、以下を含んでなるカードまたは食用組成物の生産のための方法に関する:
(a)カゼイン組成物を用意すること、
(b)液体組成物(LpCC)が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること(ここでタンパク質含量は10%~18%(重量含量)である)、
(c)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること、ならびに任意選択で
(d)カードをさらにプロセスして食用組成物(チーズ代替品)を得ること。ここで、前記チーズ代替品はソフトチーズまたはセミソフトチーズの代替品である。
好ましい実施形態では、LpCCの水分は85%を下回る。より好ましい実施形態では、LpCCの水分は80%を下回る。
好ましい実施形態では、LpCCは、0.3%~1.7%のカルシウム含量を有する。好ましい実施形態では、LpCCは、0.3%~0.5%のカルシウム含量を有し、凝固剤は、天然、しかし好ましくは合成のレンネットを含んでなる。
別の好ましい実施形態では、LpCCは、0.3%~0.5%のカルシウム含量を有し、凝固剤をレンネット含んでなる、含まない(the curdling agents comprise do not comprise rennet)。
より好ましい実施形態では、ソフトチーズまたはセミソフトチーズの前記代替品は、無脂肪ベースで、62~80%の水分含量を有する。
さらにより好ましい実施形態では、ソフトチーズまたはセミソフトチーズの前記代替品は、15%~30%のタンパク質含量(重量含量)を有する。
より好ましい実施形態では、熟成発酵体はLpCCに添加されており、前記ソフトチーズまたはセミソフトチーズは熟成断片(ripening fragments)を含有し、少なくとも7日間熟成されている。
チーズ代替品のタンパク質含量(重量含量)は、この代替品中のタンパク質の質量をチーズ代替品の全質量で割ったものに相当する。
硬質チーズまたはハードチーズを作るための方法
硬質チーズまたはハードチーズは、最も高いタンパク質含量および最も低い水分含量を有する。低い水分は、チーズを圧搾してホエイを取り除く工程、および長期熟成の両方に起因する。水の浪費を避けるために、ハードチーズの代替品の生産は、15%の範囲のタンパク質に富んだ液体組成物(LpCC)で開始すべきであり、熟成を含むプロセス中の最大50%の重量減少を許容する。硬質チーズまたはハードチーズのタンパク質含量の範囲(長期熟成(old)パルミジャーノ(Parmiginano)では38~40%)を考えると、熟成のための余地を残すために、LpCCではこの濃度は35%(重量含量)より低い必要がある。しかし、最大50%またはより多いタンパク質(up to 50% of protein or more)(重量含量)をもつハードチーズの「タンパク質に富む」代替品も、本明細書に開示の方法の応用である。
好ましい実施形態では、本発明は、以下を含んでなるカードまたは食用組成物の生産のための方法に関する:
(a)カゼイン組成物を用意すること、
(b)液体組成物が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること(ここで、タンパク質含量は15~35%(重量含量)である)、
(c)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること、ならびに任意選択で
(d)カードをさらにプロセスして食用組成物(チーズ代替品)を得ること(前記プロセスは、カードが圧搾されてホエイが取り除かれる工程を含んでなる)。ここで、前記チーズ代替品は硬質チーズまたはハードチーズの代替品である。
好ましい実施形態では、LpCCの水分は80%を下回る。
好ましい実施形態では、LpCCは1%~1.7%のカルシウム含量を有する。
より好ましい実施形態では、硬質チーズまたはハードチーズの前記代替品は、無脂肪ベースで62%より低い水分含量を有する。
さらにより好ましい実施形態では、硬質チーズまたはハードチーズの前記代替品は、25%~50%のタンパク質含量(重量含量)を有する。
チーズ代替品のタンパク質含量(重量含量)は、この代替品中のタンパク質の質量をチーズ代替品の全質量で割ったものに相当する。
方法の他の態様
成分を混合する順序は様々である。例えば、カゼイン乾燥粉末がカゼイン組成物として使用される場合、本発明によれば、最初にそれを水およびカルシウムとともに低温で1時間超インキュベートすることが好ましい場合がある。したがって、液体組成物をもたらす、水、カルシウム、脂質のうちの少なくとも1つの成分を含んでなる他の成分と一緒にカゼイン組成物を混合する工程の間、様々な成分を逐次的に添加することができる。
好ましい実施形態では、液体組成物をもたらす、水、カルシウム、脂質のうちの少なくとも1つの成分を含んでなる他の成分と一緒にカゼイン組成物を混合する工程の間、カゼイン組成物は、最初にカルシウムおよび水と混合され、低温で少なくとも1時間インキュベートされる。低温は4℃であってもよい。インキュベーション時間は2時間以上であってもよい。脂質、炭水化物、ビタミンなどの他の成分がこのインキュベーションの後に添加されることになる。
より好ましい実施形態では、本方法は以下の工程を含んでなる:
(a)カゼイン組成物、カルシウムおよび水を混合すること、
(b)この混合物に、炭水化物および脂質または炭水化物および脂質を含有する1個もしくは数個の組成物を添加してLpCCを得ること、
(c)凝固剤および発酵体をLpCCに添加すること、
(d)成型、水切りすること、および任意選択で熟成させること。
本発明はまた、カゼイン組成物を用意すること、ならびに凝固剤を添加すると凝乳化可能な組成物が得られるように、そのようなカゼイン組成物を少なくともカルシウムおよび水と混合することを含んでなる凝乳化可能な組成物を得る方法に関する。本明細書に記載のLpCCは、そのような方法に従って得ることができる。
製品
本発明はまた、以下によって生産される食用組成物に関する:
(a)カゼイン組成物を用意すること、
(b)液体組成物が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること、
(c)カードが得られるように少なくとも1つの凝固剤を液体組成物に添加すること、
(d)カードをさらにプロセスして以下のなかから選ばれるチーズ代替品を得ること:
(i)フレッシュチーズの代替品、および
(ii)ソフトチーズまたはセミソフトチーズの代替品、および
(iii)硬質チーズまたはハードチーズの代替品。
より好ましい実施形態では、前記食用組成物は、フレッシュチーズの代替品であり、無脂肪ベースで80%またはより高い水分含量を有する。さらにより好ましい実施形態では、ソフトチーズまたはセミソフトチーズの前記代替品は、5%~15%のタンパク質含量(重量含量)を有する。
より好ましい実施形態では、前記食用組成物は、ソフトチーズまたはセミソフトチーズの代替品であり、無脂肪ベースで62~80%の水分含量を有する。さらにより好ましい実施形態では、ソフトチーズまたはセミソフトチーズの前記代替品は、15%~30%のタンパク質含量(重量含量)を有する。
好ましい実施形態では、そのような食用組成物は乳糖を含まない。
好ましい実施形態では、前記チーズ代替品は動物由来のカゼインを含有しない。
より好ましい実施形態では、前記チーズ代替品は動物由来の成分を一切含有しない。
より好ましい実施形態では、前記チーズ代替品は完全に動物質を含まない。
特に、本発明は、本明細書で開示の方法に従って非動物成分から作られ、かつ
i.2~15%、特に5~15%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
ii.無脂肪ベースで、80%を上回る水分含量を有し、
iii.好ましくはゲル化剤、特にアガーアガーを含有し、
iv.好ましくは10%~30%の脂質(脂肪)含量(重量含量)を有し、
v.好ましくは2.8%より低いカルシウム含量(重量含量)を有し、
vi.開示の構造化剤を含んでなることがある
食用組成物(フレッシュチーズを模倣)に関する。
別の実施形態では、本発明は、本明細書で開示の方法に従って非動物成分から作られ、かつ
i.15~25%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
ii.無脂肪ベースで62%~80%の水分含量を有し、
iii.好ましくはゲル化剤、特にアガーアガーを含有し、
iv.好ましくは10%~30%の脂質(脂肪)含量(重量含量)を有し、
v.好ましくは2.8%より低いカルシウム含量(重量含量)を有し、
vi.少なくとも7日間熟成された熟成断片を含有する
食用組成物(ソフトチーズまたはセミソフトチーズ模倣する)に関する。
図1は、実施例1に記載のように、本発明に従って作られたソフトチーズを示す。写真の製品は2週間熟成させたものである。 図2は、実施例2に記載のように、本発明に従って作られたフレッシュチーズを示す。 図3は、実施例3に記載のように、本発明に従って作られたソフトチーズを示す。写真の製品は1日熟成させたものである。 図4は、カゼインカルシウムおよびゲル化剤を用いた凝乳化。LpCCにゲル化剤(アガーアガー)の存在下または非存在下で播種した。組成およびプロトコールは実施例に記載されている。水切り工程の終了時の調製物を表す。左:ゲル化剤の非存在下における凝乳化。中央:0.68%アガーアガーの存在下における凝乳化。右:0.68%アガーアガー、凝固剤なし。 図5:カゼインカルシウムを用いた凝乳化および凝乳化後に添加されるゲル化剤の添加(addition of a gelling agents added after curdling)。組成およびプロトコールは実施例6に記載されている。水切り工程の終了後の調製物を示す。左:0.53%アガーアガーが凝乳化後に添加される。右:0.53%アガーアガーが凝乳化なしで添加される。 図6:組換えカゼインの凝固。組成およびプロトコールは実施例8に記載されている。左:β-カゼインを用いた凝乳化。凝乳化は脂質および炭水化物の存在下、ゲル化剤なしで行われた。水切り工程終了時の調製物を示す。右:酸性pHでのα-S1およびβ-カゼインの凝固。脂質も炭水化物もカゼイン組成物に添加されなかった。左右の写真は同じ縮尺ではない(Left and right pictures are not at scale.)。 図7:組換えカゼインからのソフトチーズの生産。組成およびプロトコールは実施例8に記載されている。水切り工程終了時の調製物を示す。左:0.68%アガーアガーの存在下におけるβ-カゼイン(バッチ1)の凝乳化。中央:β-カゼインの凝乳化、0.68%アガーアガー、凝固剤なし。右:0.68%アガーアガーの存在下におけるα-S1およびβ-カゼインの凝乳化 図8:β-カゼインの凝乳化後に添加されるゲル化剤の添加(Addition of a gelling agents added after curdling of beta casein)。組成およびプロトコールは実施例8に記載されている。水切り工程終了後の調製物を示す。左:0.53%アガーアガーが凝乳化後に添加される。右:0.53%アガーアガーが凝乳化の非存在下で添加される。 図9:組換えβ-カゼインから作られたソフトチーズ代替品。製品は実施例9に記載のように作られた。7日間の熟成させた後の製品を示している。
実施例1:ソフトチーズ代替品の生産
カゼイン組成物の調達:カゼイン、カルシウム、水を混合する:
-90gのカゼイン組成物(スローリリースカゼイン(Slow-Release Casein)、マイプロテイン(MyProtein))を、10gの炭酸カルシウム(Calcidose Mayoly Spinder)および500mlの水と混合した。マイプロテインのスローリリースカゼインは、総量100gに対して、76gのタンパク質(カゼイン)、1.5gの脂質、4gの糖質、0.25gの塩を含んでなる乾燥組成物である。混合物を4℃~8℃の温度で2時間超インキュベートし、均質化した。
液体プレカード組成物の調製
上記で得られたカゼイン組成物を35℃で加熱した。次に、3gのブドウ糖(デキストロース糖(dextrose Sugar)、ToquedeChef、フランス)および40gの脱臭ココナッツオイル(BioPlanete、フランス)またはヒマワリ油(Monoprix、フランス)を添加し、溶液を混合した。LpCCのタンパク質含量は約10%(重量含量)と推定された。
凝乳化
レンネット、乳酸発酵体および熟成発酵体を含有する0.5gのBeaugel9(Etablissement Coquard、フランス)混合物を添加し、組成物を型内で20℃にて2~12時間、次いで低温(4℃~8℃)で16時間インキュベートする。更なる工程で水切りを正確にモニターするために、組成物の重量を測定した。
水切り、加塩および熟成
低温で16時間経た後、生成物を型から取り出し、水切り型に入れ、水切りした。チーズ型を箱に入れ、湿度を管理した。所望の味に応じて、小さじ約1/4~1/2の食卓塩(La Baleine、フランス)を上面に塗り広げることができる。製品を14℃でインキュベートする。24時間後、製品を反転し、もう一方の面に同じ塩の組成物を塗り広げる。次いで、製品を水切り型から取り出し、グリッドにセットし、14℃にて熟成箱(refining box)で湿度を管理し、2日おきに反転させ、数週間インキュベートする。この間、定期的にチーズ型から水を除去する。
水切りの程度を評価するために、製品の重量を毎日モニターする。重量の減少は本質的に水によるものと考えられる。最初の組成がわかっているので、水の減少を評価することにより、所与の時点の水分およびタンパク質の組成の点から、製品の組成を計算することができる。製品がソフトチーズの特徴(特に無脂肪ベースで<80%の水分)に達し、硬質チーズの低水分(無脂肪ベースで<62%)になる前に熟成を中止する。
2週間後の製品を図1に載せる。
試験
製品を12名のパネルで外観、色、香りおよび味について評価し、ソフトチーズの外観、香りおよび味を有することがわかった。
LpCCのタンパク質含量は約10%(重量含量)であると推定された。より少ない量のタンパク質を用いた試みは、ソフトチーズでは難しく、固いテクスチャーが少なくなることが判明した。しかし、タンパク質組成を容易に増やせると推定されうる。しかし、LpCCの25%のタンパク質により、十分な水切り(全重量の>10%の減少)はいずれも、硬質チーズにより近いタンパク質含量をもたらすことになると合理的に推測することができる。全重量の30%を超える減少を許容するためには、LpCCにおいて18%を下回るタンパク質含量(重量含量)が好ましいと推測される。
実施例2:フレッシュチーズ代替品の生産
カゼイン組成物の調達:カゼイン、カルシウムおよび水を混合する:
-8gのミセルカゼイン(スローリリースカゼイン、マイプロテイン)を、1gの炭酸カルシウム(Calcidose Mayoly Spinder)および190mlまたは250mlの水と混合した。混合物を4℃~8℃の温度で2時間超インキュベートし、均質化した。次いで、組成物を12gの脱臭ココナッツオイル(BioPlanete、フランス)またはヒマワリ油(Monoprix、フランス)と混合した。
液体プレカード組成物の調製
カゼイン組成物を35℃で加熱した。次いで、12.5gのブドウ糖(デキストロースシュガー、ToquedeChef、フランス)を添加した。pHは6.5に近かった。
凝乳化
0.5gの乳酸発酵体(ストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、Mon yaourt maison、Alsa)を添加し、組成物を40℃~45℃で8~10時間インキュベートした。その時点ではpHは4に近かった。
この工程の後、チーズクロスを使用していくらかの液体を除去し、よりコンパクトな組成物を得る。
塩およびテクスチャー改良剤と混合する。
必要であれば、テクスチャー改良剤(キサンタンガム、キャロブビーンガム、グアーガム、アラビアガムなど)を添加することができる。
低温(4℃~8℃)で12時間経た後、製品を消費することができる。
水切りの程度を評価するために、製品の重量をモニターする。重量の減少は本質的に水によるものと考えられる。最初の組成がわかっているので、フレッシュチーズの特性(特に無脂肪ベースで>80%の水分)を有することを確認するために、水の減少を評価することにより、所与の時点の水分およびタンパク質の組成の点から、製品の組成を計算することができる。
新鮮な製品(fresh product)を図2に載せる。
試験
製品を10名のパネルで外観、色、香りおよび味について評価し、フレッシュチーズの外観、香りおよび味を有することがわかった。
LpCCのタンパク質含量は、LpCCに250mlの水を添加した場合には約2%(重量含量)、LpCCに210mlの水を添加した場合には約3%(2.7%)と推定された。タンパク質含量は容易に増やせうる。しかし、LpCCの12%のタンパク質により、十分な水切り(全重量の>20%の減少)はいずれも、ソフトチーズに近いタンパク質組成および水分含量をもたらすことになると合理的に推測することができる。全重量の20%を超える減少を許容するためには、LpCCにおいて10%を下回るタンパク質含量(重量含量)が好ましいと推測される。
タンパク質含量が2%より低い試行は、可能ではあるが、大量の水切りを使用しない限り、半固体のテクスチャーになることが判明した。タンパク質含量は2%(重量含量)を上回ることが好ましいと推測する。また、タンパク質含量が高く、水切りが少なく、かつ水の無駄が少ないフレッシュチーズを作るためには、5%(重量含量)を超えるLpCCのタンパク質含量がさらに好ましいことになる。
実施例3:カゼインカルシウムを用いたチーズ代替品の生産
LpCCの調達:カゼインカルシウム、キャロブパウダー、水、脱臭ココナッツオイルおよびグルコースを混合する。
-小さじ1/4のキャロブパウダー(ローカストビーンパウダー、Top Cake)を、190mlの室温の水と混合した。
-この溶液を沸騰するまで加熱し、次いで室温で冷却した。
-45gのカゼインカルシウム(Armor Proteines)、75gの脱臭ココナッツオイル(BioPlanete、フランス)および17gのブドウ糖を、ブレンダーを使用して、冷却した前述のキャロブ溶液と混合した。
pHは6.5に近かった。
凝乳化
0.5gの乳酸発酵体(ストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、mon yaourt maison、Alsa)を添加し、組成物を40℃~45℃で10~12時間インキュベートした。その時点ではpHは4.5に近かった。
この工程の後、チーズクロスを使用していくらかの液体を除去し、よりコンパクトな組成物を得る。チーズクロス内での4℃、24時間のインキュベーション。
塩およびテクスチャー改良剤との混合
必要であれば、テクスチャー改良剤(キサンタンガム、キャロブビーンガム、グアーガム、アラビアガムなど)を添加することができる。さらに、必要であれば、塩、レモン汁およびハーブも添加することができる。
低温(4℃~8℃)で12時間経た後、製品を消費することができる。
水切りの程度を評価するために、製品の重量をモニターする。重量の減少は本質的に水によるものと考えられる。最初の組成がわかっているので、フレッシュチーズの特性(特に無脂肪ベースで>80%の水分)を有するかどうかを確認するために、水の減少を評価することにより、所与の時点の水分およびタンパク質の組成の点から、製品の組成を計算することができる。必要であれば、水を添加することによって水分含量を調整することができる。
試験
得られた製品の外観、香りおよび味は、フレッシュチーズのものであった。
実施例4:カゼインカルシウムを用いたソフトチーズ代替品の生産
カゼインカルシウムからの2ステップでのLpCCの調達:
カゼインカルシウム、ヒマワリ油、キャロブパウダーおよび水を混合して第1の組成物を調製すること
-小さじ半分のキャロブパウダー(ローカストビーンパウダー、Top Cake)を150mlの水と室温で混合した。
-その溶液を沸騰するまで加熱し、次いで室温で冷却した。
-50gのカゼインカルシウム(Armor Proteines)と30gのヒマワリ油を、冷却した前述のキャロブ溶液と混合した。4℃~8℃の温度で少なくとも12時間インキュベートし、均質化した。
水分を含んだ(hydrated)カシューナッツの調達
55gの無塩カシューナッツを4℃で一晩水分を含ませた。
次いで、水を新しい水に入れ替え、カシューナッツを30分間茹でた。
液体プレカード組成物(LpCC)の調製
上記で得られた第1の組成物を、67gの茹でたカシューナッツ、40gのヒマワリ油、20gの水を、ブレンダーを使用して混合した。
凝乳化
小さじ1/16杯の好熱性スターターカルチャー(ストレプトコッカス・サーモフィルス(St. thermophilus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lb Helveticus)、Cashewbert、チーズスターターカルチャー(cheese starter culture))および小さじ1/16の伝統的な菌株ペニシリウム・キャンディダム(P. candidum)(Cashewbert)を液体プレカード組成物に添加した。
この組成物を型内で、20℃で12時間インキュベートし、次いで低温(4℃~8℃)で12時間インキュベートする。更なる工程で水切りを正確にモニターするために、組成物の重量を測定した。
水切り、加塩および熟成
低温で12時間経た後、製品を型から取り出し、水切り型に入れ、水切りを行った。チーズ型を箱に入れ、湿度を管理した。所望の味に応じて、小さじ約1/4~1/2杯の食卓塩(La Baleine、フランス)を、上面に塗り広げることができる。製品を12℃でインキュベートする。24時間後、製品を反転し、もう一方の面に同じ塩の組成物を塗り広げる。次いで、製品を水切り型から取り出し、グリッドにセットし、12℃にて熟成箱で湿度を管理し、2日おきに反転させ、数週間インキュベートした。この間、定期的にチーズ型から水を除去する。
このようにして作られ、1日経過した製品を図3に載せる。
水切りの程度を評価するために、製品の重量を容易にモニターすることができる。重量の減少は本質的に水によるものである。最初の組成がわかっているので(乾燥カシューナッツの組成は約22%の炭水化物、20%のタンパク質、および53%の脂質、ならびに数(few)%の水である)、水の減少の評価を用いて、特に水分の点から、製品の組成を計算し、特に水分の点から、期待される組成物またはソフトチーズを得ることができる(無脂肪ベースで62%~80%の水分)。
試験
製品を4名のパネルで外観、色、香りおよび味について評価し、ソフトチーズの外観、香りおよび味を有することがわかった。
実施例5:ゲル化剤を使用したカゼイネートを用いたソフトチーズ代替品の生産
実施例4に記載の手順を中心に多くの変形形態を作製したところ、テクスチャー改良剤が存在しない場合、型を取り外した後および熟成開始時に製品がたるむ(sagging)ことがあり、それはゲル化剤の存在下で完全に修正されることが観察された。一例を以下に示す。
50gのカゼインカルシウム(Armor Proteines、92%カゼイン;1%脂質、および1%カルシウムを含有)を140gの水で一晩水和させた。カシューナッツ(Naturalia;17%タンパク質、55%脂質、12%炭水化物、0.02%灰分含有)を30分間茹で、水に一晩浸すと、結果として重量が55%増加する。水分を含んだカシューナッツの組成は次のように推定される:11%タンパク質、15%脂質、8%炭水化物、0.01%の塩、および46%水。次の日、180gの水和カゼイン組成物を、17.5gの水分を含んだカシューナッツ、51gのヒマワリ油および7.5gのブドウ糖と混合し、全重量256gとする。次いで、この組成物を45~50℃で予熱し、250gを、加熱した50gのアガーアガー/水煮沸調製物(boiled preparation)(4~6%アガーアガー)と混合して、0.66~1%の範囲のアガーアガー濃度を得る。0.66%アガーアガーに関するLpCC組成を表2に記載する(その他の割合については、アガーアガーと水の寄与を調整すべきである)。
アガーアガーの添加後すぐに凝乳化発酵体を添加し、組成物を20℃で12時間、次いで14℃で48時間静置した後、型から取り出し、熟成箱のグリッドに置いたこと以外は、実施例1および4に記載のように、様々な発酵体を使用して、凝乳化、水切り、加塩、熟成、重量モニタリングおよび試験を行った。所望の水分を達成するために(無脂肪ベースで62%~80%の水分)最終的な製品は最初の66%未満の重量を有すべきではない。
製品を7~10日熟成させた。製品を4名のパネルで外観、色、香りおよび味について評価し、ソフトチーズの外観、香りおよび味を有することがわかった。水分およびタンパク質含量(全重量の15%~25%)の点で、ソフトチーズの特徴は保たれていた。次いで製品を包装して低温(4℃~14℃)で保存することができる。
Figure 2023543743000003
実施例6:フレッシュチーズ代替品の調製に対するゲル化剤の影響の試験
カゼインカルシウム、アガーアガー、水、脱臭ココナッツオイルおよびブドウ糖を混合すること:
18gのカゼインカルシウム(Armor Proteines、カゼイネートとして92%カゼイン;1%脂質、および1%カルシウムを含有)を195gの水に再懸濁し、結果として水中7.8%(重量/重量)カゼイン懸濁液を得た。15グラムのこのカゼイン組成物を、2gの脱臭ココナッツオイル(BioPlanete、フランス)および2.5gの25%(重量/重量)ブドウ糖水溶液と混合した。その新しい組成物を45℃に加熱し、加熱した0%、2%、3%または4%の寒天調製物(水に溶かしたアガーアガー)を4ml、穏やかに混合しながら添加した。試料1~4は2連で行った。試料5~8も同様。(試料1、4および8は、第2の独立した実験で2連とした(duplicated in a second, independent experiment))。得られた組成物(LpCC)を表3に記載する。pHは7.0である。
Figure 2023543743000004
凝乳化
0.2gの乳酸発酵体(ストレプトコッカス・サーモフィル(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、Alsa)を、試料1~4に(25℃の初期温度で)添加したが、試料5~8には添加せず(表4を参照)、組成物を40℃で10時間インキュベートした。試料1~4では、pHは約4.5まで低下し、乳酸発酵が活発であることを示した。試料5~8では、pHは安定して7.0前後のままであった。
水切り
組成物全体を穏やかに撹拌し、最も高いアガーアガー濃度で得られた滑らかな(smooth)構造を崩し、チーズクロスに置いて4℃で16時間水切りした。カードの重量は、表4に記載のように約7gから約15gの範囲であった。カゼイン、脂質、およびアガーアガーがカード内にすべて保持されていると仮定して、組成を推定した(表4)。実際、試料1~4の水切りした液体(drained liquid)では着色はほとんど観察されず、4℃の水切りした液体ではココナッツオイルまたはアガーアガーの凝結(concretion)は観察されなかった。対照的に、それらの化合物の一部は水切りした液体に含まれている可能性があるので、カルシウムおよびブドウ糖の推定値は最大値である。同様の理由で、水含量の推定値(全量ベースと無脂肪ベース)は最小の推定値である。
Figure 2023543743000005
結果は、ゲル化剤を使用して、水分、したがって全体の組成を調節できることを示す。0.68%アガーアガーでは、60%を超えるLpCCが保持され(ゲル化剤を用いない場合の30%に対して)、製品はフレッシュチーズのカゼイン含量および水分、そして予想通りの可塑性のテクスチャー(plastic texture)および外観を有した(図4)。
乳酸発酵がない場合、試料5~8はアガーアガー濃度に依存して、およそ様々な大きさの固相を生じた。水切りした液体の着色から、カゼインの一部が固相から失われたことが示唆され、したがって表4に推定値を示していない。発酵させずに得られた固相は、発酵させたカードと比較して小さかったが(表4)、やはり緩い構造(loose structure)を保持した(図4)。
凝乳化後のゲル化剤添加の場合
凝乳化後にゲル化剤を添加することによっても同じ効果を得ることができた:試料:同様の組成のLpCCを乳酸菌とともに40℃で10時間インキュベートした。pHは約7.0から約4.5に低下した。凝乳化後、上記のように水中の4%アガーアガーを3ml添加し、カードおよび液相を含む全混合物を穏やかに攪拌し、チーズクロスに置いて水切りした。
凝乳化前(LpCC)、凝乳化およびアガーアガー添加後の組成、ならびに水切り後の推定値を表5に示した。凝乳化および水切り後の組成に関して上記と同じ条件である。4℃で16時間水切りした後、2つの独立した試料で約12gのカードが得られ、ゲル化剤の非存在下で観察されるもの(上記参照)よりも優れた保水性(全体の53%)を示した。
製品は、フレッシュチーズのカゼイン含量および水分(表5)、ならびに予想通り可塑性のテクスチャーと外観を有した(図5)。したがって、半固形状のまま残る特定のタイプのチーズでは、凝乳化前または凝乳化後にそれを添加することが可能である。
その手順は発酵なしでも再現された。低い重量(約6g、全体の27%)の固相が得られた。しかし、図5に示すように、テクスチャーは非常に緩かった(very loose)。
Figure 2023543743000006
実施例7:組換えαおよびβ-カゼインバッチの生産
組換えカゼインの生産は、他によって以前に報告されている(説明を参照)。
天然のカゼイン遺伝子は、シグナルペプチド前駆体タンパク質をコードしている。哺乳類では、そのペプチドはカゼインのプロセス中に切断され、乳の成熟タンパク質には存在しない。α-S1およびβ-カゼインをコードする合成遺伝子(それぞれ、天然の遺伝子P02662およびP02666に関連)を改変してシグナルペプチドを除去した。新しい合成オープンリーディングフレームの配列を表6の最終列(last column)に示した。
Figure 2023543743000007
Figure 2023543743000008
得られたORFを古典的な分子生物学技術を用いて細菌で過剰発現させ、カゼインを精製した。最終的に、動物質を含まない組換えカゼインの3つのバッチをカゼインカルシウムとして得た。濃縮カゼインカルシウムを得るために、pH=4.6でHSOで沈殿させたカゼイン抽出物を水に再懸濁させ、Ca(OH)でpHをゆっくり7に調整し、Rotavapor R-300(Buchi)装置を用いて蒸発濃縮した。
バッチ1:β-カゼイン(カゼインカルシウム)、150mg/gの組成物、pH7
バッチ2:α-S1カゼインおよびβ-カゼイン(カゼインカルシウム)、それぞれ約50mg/gおよび25mg/g、pH=7
バッチ3:α-S1カゼインおよびβ-カゼイン(カゼインカルシウム)、それぞれ約6mg/gおよび3mg/g、pH=7
これらのバッチでは、他のタンパク質および他の有機分子が存在する可能性があったが、カゼインは全タンパク質の90%超を占め、乾燥重量の2/3超を占めると推定された。
実施例8:部分的に精製した組換えβ-カゼインの凝乳化の試験
実施例7のバッチ1を用い、組み換えβ-カゼインを含油するカゼイン組成物を使用して、テクスチャー改良剤が一切存在しない場合の組換えβ-カゼインの凝乳化能力を試験した。これには、実施例6の試料1とほぼ同じカゼイン、脂質、および水の含量の調製物を用意したが、市販のカゼイネートの代わりに組換えβ-カゼインを使用した。
バッチ1調製物を水で希釈して、58.7mg/gの濃度の組換えβ-カゼイン組成物を得た。20グラムのこのカゼイン組成物を、水で溶かしたココナッツオイル、グルコース、およびアガーアガーと混合し、水中の5%カゼイン、8.5%脂質、2.7%ブドウ糖および0.68%アガーアガーを含有する23.5gの組成物とした。更なる炭水化物およびタンパク質は、塩と同様にカゼイン組成物に由来する可能性があり、この表では扱わない。したがって、水含量も推定値にすぎないが、最初のカゼイン組成物においてカゼインが乾燥重量の少なくとも2/3を占めていたことを考えると、水含量の誤差はしたがって、3%を超えるべきではない。
その組成物に0.3gの乳酸発酵体を播種し、40℃で10時間インキュベートした。pHは約7.0から約4.5に低下した。次いで組成物全体をチーズクロスに置き、4℃で16時間水切りした。市販のカゼイネートを用いた同様の条件で得られたものほど硬質ではないが、水を切り後に7gのカードを得ることができた(図6)。
実施例7のα-S1およびβ-カゼインが低pHで効率的に凝固する(coagulate)能力は、90mlの低濃度のバッチ3組成物に乳酸を添加してpHを約4.5に調整することによって簡易に試験した。チーズクロス上での濾過による分離後、約0.7gの物質が得られた(図6)。対照的に、乳酸を同量の組成物に添加しなかった場合、組成物全体がチーズクロスを通って流れた。
実施例8:部分的に精製した組換えカゼインからのフレッシュチーズ代替品の生産
バッチ1の調製物を水で希釈して、組換えβ-カゼイン組成物を78.2mg/gの濃度で得た。15グラムのこのカゼイン組成物を実施例6に記載のようにココナッツオイル、ブドウ糖、およびアガーアガーと混合して、表7に記載の組成物を得た。更なる炭水化物およびタンパク質は、塩と同様にカゼイン組成物に由来する可能性があり、この表では扱わない。したがって、水含量も推定値にすぎないが、最初のカゼイン組成物においてカゼインが乾燥重量の少なくとも2/3を占めていたことを考えると、水含量の誤差はしたがって、3%を超えるべきではない。
組成物に0.3gの乳酸発酵体を播種し、40℃で10時間インキュベートした。pHは約7.0から約4.5に低下した。組成物全体を穏やかに攪拌し、チーズクロスに置き、4℃で16時間水切りした。
カード重量は約14gであった。その組成(表7)を上記および実施例6と同じ条件で推定した。約60%のLpCCが保持された。得られた製品は、フレッシュチーズに望まれるカゼイン含量および水分を有した。テクスチャーは、実施例6の市販のカゼインカルシウムを用いたものほど硬く(stiff)なかったが、それでもなおフレッシュチーズには適しており、安定した形状に成形される可塑性および硬さ(firmness)を呈した(図7)。比較のため、同じではあるが、乳酸菌を欠いた手順に従って試料を調整した。凝固剤の非存在下では、約13gの固相を得ることができたが、構造が緩く、形状を安定的に保持することができなかった(図7)。
α-S1カゼインおよびβ-カゼインが入っているカゼインのバッチ2を使用して、同じ手順を行った。わずか38%のLpCCが保持され、これは低いタンパク質含量(LpCCの2.5%)に起因する可能性があるが、得られた製品にはフレッシュチーズに望まれるカゼイン含量および水分を有した。テクスチャーは実施例6の市販のカゼインカルシウムを用いたものほど硬くはなかったが、それでもなおフレッシュチーズには適しており、安定した形状に成形される可塑性および硬さを呈した(図7)。
Figure 2023543743000009
凝乳化後にゲル化剤を添加する場合
さらに、実施例6と同じ手順に従って、凝乳化後のゲル化剤の添加についても試験した。凝乳化前(LpCC)の組成、凝乳化およびアガーアガー添加後の組成、ならびに水切り後の推定値を表8に示した。凝乳化および水切り後の組成については上記と同じ条件である。乳酸発酵し、アガーアガー(0.53%)を添加し、4℃にて16時間チーズクロスで水切りした後、約10g(全体の44%)のカードが得られた。発酵体の非存在下では、より低い重量(約6g、全体の27%)の固相が得られた。しかし、図8に示されるように、テクスチャーは非常に緩かった。
Figure 2023543743000010
実施例10:部分的に精製した組換えカゼインからのソフトチーズ代替品の生産
実施例1のバッチ1を、250mg/gの組成の濃度に達するようにさらに濃縮した。
15gのヒマワリ油、34gの水分を含んだカシューナッツ(水分を含んだカシューナッツの組成については上記実施例5を参照)、70gの水および1.5gのアガーアガーを混合した。混合物を沸騰させ、10~20秒間煮沸した。25gの組換えβ-カゼインを含有する100グラムの濃縮カゼイン組成物をこの混合物に添加し、穏やかに混合した。LpCCの組成を表9に詳述する。
凝乳化、水切り、加塩、および熟成
(全部で220.5gのうち)200gのこのLpCCに、乳酸菌(MBT、SOGEBUL、Dole、フランス)、酵母(DH2d SOGEBUL、Dole、フランス)および追加の熟成発酵体(PC12H、SOGEBUL、Dole、フランス)を含む発酵体を、35℃を下回る温度で播種した。組成物を型内で20℃にて24時間インキュベートした。
製品を型から取り出し、水切り用のグリッドにセットした。製品およびグリッドを箱に入れ、湿度を管理した。所望の味に応じて、小さじ約1/4~1/2の食卓塩(La Baleine、フランス)を上面に塗り広げることができる。製品を14℃でインキュベートする。24時間後、製品を反転し、もう一方の面に同じ塩の組成物を塗り広げる。製品を、グリッド上で14℃にて熟成箱内で湿度を管理し、2日おきに反転させ、数週間インキュベートした。この間、定期的に熟成箱から水を除去する。7日目の製品を図9に載せる。
重量の減少は本質的に水によるものである。最初の組成がわかっているので(乾燥カシューナッツの組成は約22%の炭水化物、20%のタンパク質、および53%の脂質、ならびに数%の水である)、水の減少の評価を用いて、製品の組成を計算し、特に水分の点から、期待される組成物またはソフトチーズを得ることができる(無脂肪ベースで62%~80%の水分)。7日目までに、製品は150gであり、タンパク質含量と脂質含量がそれぞれ17.4%(15.1%カゼインおよび派生ペプチドを含む)と16.6%であり、水分が無脂肪ベースで76%である推定された。
Figure 2023543743000011

Claims (34)

  1. 食用組成物を製造する方法であって、
    a)非動物由来のカゼインのみを含んでなるカゼイン組成物を用意すること、
    b)液体プレカード組成物(LpCC)が得られるように、前記カゼイン組成物を、水、カルシウム、脂質、および炭水化物からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる少なくとも1つの他の成分と混合すること、
    c)カードが得られるように、少なくとも1つの凝固剤を前記液体プレカード組成物に添加すること、
    d)前記カードをさらにプロセスして食用組成物を得ること
    を含んでなる、方法。
  2. ゲル化剤がb)またはd)において添加される、請求項1に記載の方法。
  3. b)において添加される前記他の成分がすべて非動物由来である、請求項1または2に記載の方法。
  4. b)において添加される前記成分が、
    i.任意選択で、カゼイン以外のタンパク質、
    ii.脂質、
    iii.水、および
    iv.乳糖を含まない炭水化物
    を含んでなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記凝固剤が動物由来の薬剤を一切含まず、酸性化剤を含んでなり、前記酸性化剤が酸または発酵体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 熟成用発酵体が、c)において前記凝固剤と一緒に添加される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記食用組成物が、
    iii.2~25%のタンパク質含量(重量/重量)を有し、
    iv.無脂肪ベースで62%より高い水分含量を有する
    請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. α-S1カゼイン、α-S2カゼイン、β-カゼインおよびκカゼインからなる群から選択される少なくとも1つのカゼインが、前記カゼイン組成物に存在しない、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記カゼイン組成物がκカゼインを含有しない、請求項8に記載の方法。
  10. 前記カゼイン組成物が、α-S1カゼインのみ、β-カゼインのみ、またはα-S1カゼインとβ-カゼインの混合物を含有する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記酸性化剤が乳酸菌を含んでなる、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 乳化剤が、b)またはc)において、凝乳化前に添加される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. ゲル化剤が前記LpCCに添加される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記ゲル化剤がアガーアガーである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記ゲル化剤がローカストビーンガムである、請求項13に記載の方法。
  16. 前記食用組成物が、
    i.15~25%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
    ii.無脂肪ベースで62%~80%の水分含量を有する
    請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. b)において得られた前記LpCCが、
    i.10~18%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
    ii.無脂肪ベースで62%を上回る水分含量を有する
    請求項16に記載の方法。
  18. アガーアガーが、前記LpCCの0.5%~1%(重量/重量)、好ましくは前記LpCCの0.66%~1%(重量/重量)に相当する量で、前記LpCCに添加される、請求項16または17に記載の方法。
  19. 熟成用発酵体がc)において添加され、d)が前記カードを加塩および成型することを含んでなる、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. d)が、前記カードを、前記熟成用発酵体の成長を可能にする温度で、特に14℃で熟成させることを含んでなる、請求項19に記載の方法。
  21. 前記食用組成物が、10~30%の脂質含量(重量含量)を有する、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. LpCCが、10%~30%の脂質含量(重量含量)を有する、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記食用組成物が、2.8%(重量含量)より低いカルシウム含量を有する、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. LpCCが、0.3%~1.7%のカルシウム含量(重量含量)を有する、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記食用組成物が、
    i.2~15%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
    ii.無脂肪ベースで、80%を上回る水分含量を有する
    請求項1~6および8~15のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記食用組成物が、5~15%のタンパク質含量(重量含量)を有する、請求項25に記載の方法。
  27. b)において得られた前記LpCCが、
    i.12%を下回るタンパク質含量(重量含量)を有し、
    ii.無脂肪ベースで、80%を上回る水分含量を有する
    請求項25または26に記載の方法。
  28. b)において得られた前記LpCCが、
    i.5%~10%のタンパク質含量(重量含量)を有し、
    ii.無脂肪ベースで、80%を上回る水分含量を有する
    請求項27に記載の方法。
  29. アガーアガーが、LpCCの0.5%~1.0%(重量/重量)、好ましくはLpCCの0.68%~1.0%(重量/重量)に相当する量で、前記LpCCに添加される、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記食用組成物が、10%~30%の脂質含量(重量含量)を有する、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記LpCCが、10%~30%の脂質含量(重量含量)を有する、請求項25~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記食用組成物が、2.8%(重量含量)より低いカルシウム含量を有する、請求項25~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記LpCCが、0.1%~1%のカルシウム含量(重量含量)を有する、請求項25~31のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記カードをさらにプロセスすることが、
    a)ゲル化剤を前記カードと混合し、補充カードを得る工程、および
    b)前記補充カードを成型および水切りする工程
    を含む、請求項25~33のいずれか一項に記載の方法。
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