JP2023542521A - ループス腎炎(ln)及び/又はiga腎症(igan)を含むc5媒介性糸球体腎炎(gn)の治療のための抗c5抗体の投与量及び投与 - Google Patents

ループス腎炎(ln)及び/又はiga腎症(igan)を含むc5媒介性糸球体腎炎(gn)の治療のための抗c5抗体の投与量及び投与 Download PDF

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Abstract

抗C5抗体又はその抗原結合断片(例えば、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)))を、場合によりLNを治療するための背景療法(例えば、免疫抑制剤)又はIgANを治療するための背景療法(例えば、レニン-アンギオテンシン系(RAS)阻害薬)と一緒に使用する、ヒト患者におけるループス腎炎(LN)及び免疫グロブリンA腎症(IgAN)を含むC5媒介性糸球体腎炎(GN)の臨床治療のための投与量及び方法が提供される。

Description

関連出願に対する相互参照
本出願は、2020年9月21日に出願された米国仮出願第63/081,182号の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2021年9月14日に作成された前記ASCIIコピーは、0640WO_SL.txtと命名され、サイズが58,872バイトである。
慢性腎疾患(CKD)は、その高い発生率、不良な予後、及び実質的な経済的負担のために、世界的な公衆衛生問題となっている。適切に診断及び管理されない場合、CKDは、末期腎疾患(ESRD)などの多くの有害な結果をもたらし得る。免疫抑制治療の進歩にもかかわらず、ループス腎炎(LN)及び免疫グロブリンA腎症(IgAN)などの特定のタイプのC5媒介性糸球体腎炎(GN)は、治療に対する応答が不十分であり続け、その結果、時がたつにつれてCKDが生じる。疾患特異的治療法は、現在利用可能ではなく、従って、LN及びIgANを含むGNを管理するための有効な治療は、満たされていない高い医学的ニーズを表している。従って、本開示の目的は、LN及び/又はIgANなどのGNを有する患者を治療するための改善された方法を提供することである。
ヒト患者(例えば、成人患者)において、ループス腎炎(LN)及び免疫グロブリンA腎症(IgAN)を含むC5媒介性糸球体腎炎(GN)を治療するための組成物及び方法であって、患者に抗C5抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片が特定の臨床投与量レジメンに従って(例えば、特定の用量で、特定の投与スケジュールに従って)投与される(又は投与のためである)組成物及び方法が、本明細書において提供される。
例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号14及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖、又はその抗原結合断片及び変異体を含むラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))である。他の実施形態では、抗体は、ラブリズマブの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)又は可変領域(VR)を含む。従って、一実施形態では、抗体は、配列番号12に示される配列を有するラブリズマブの重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するラブリズマブの軽鎖可変(VL)領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH領域及びVL領域を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号13に示される重鎖定常領域を含む。
別の実施形態では、抗体は、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含み、変異ヒトFc CH3定常領域は、それぞれEU番号付け規則に従って、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基にMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む。
別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含み、変異ヒトFc CH3定常領域は、それぞれEU番号付け規則に従って、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基にMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む。
別の実施形態では、抗C5抗体は、BNJ421抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む(国際公開第2015134894号及び米国特許第9,079,949号に記載)。別の実施形態では、抗C5抗体は、7086抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む(米国特許第8,241,628号及び第8,883,158号参照)。別の実施形態では、抗C5抗体は、8110抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む(米国特許第8,241,628号及び第8,883,158号参照)。別の実施形態では、抗C5抗体は、305LO5抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む(米国特許第9,765,135号参照)。別の実施形態では、抗C5抗体は、SKY59抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態では、抗C5抗体は、REGN3918抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。
別の実施形態では、抗体は、上述の抗体のいずれかとの結合について競合し、及び/又はC5上の同じエピトープに結合する。別の実施形態では、抗体は、上述の抗体のいずれかと少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、配列番号12又は配列番号8と少なくとも約90%、95%又は99%の可変領域同一性)を有する。
別の実施形態では、抗体は、pH7.4及び25℃で、0.1nM≦K≦1nMの範囲の親和性解離定数(K)でヒトC5に結合する。別の実施形態では、抗体は、pH7.4及び25℃で、約0.5nMの親和性解離定数(K)でヒトC5に結合する。別の実施形態では、抗体は、pH6.0及び25℃で、K≧10nMでヒトC5に結合する。別の実施形態では、抗体は、pH6.0及び25℃で、約22nMのKでヒトC5に結合する。さらに別の実施形態では、抗体の[(pH6.0及び25℃でのヒトC5に対する抗体又はその抗原結合断片のK)/(pH7.4及び25℃でのヒトC5に対する抗体又はその抗原結合断片のK)]は、25を超える。
一実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片の用量は、患者の体重に基づく。一実施形態では、例えば、900mg、2400mg、又は3000mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片が、≧40kg~<60kgの体重の患者に投与される。別の実施形態では、900mg、2700mg、又は3900mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片が≧60kg~<100kgの体重の患者に投与される。別の実施形態では、900mg、3000mg、又は5400mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片が体重≧100kgの患者に投与される。特定の実施形態において、投与量レジメンは、最適な所望の応答(例えば、有効な応答)を提供するように調整される。
別の実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、1回以上の投与サイクルの間投与される。一実施形態では、治療(例えば、投与サイクル)は、26週間である。一実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、(例えば、投与サイクルの)1日目、15日目、71日目、127日目、及び183日目に1回投与される。別の実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、2年間まで(例えば、900mg、2400mg、2700mg、又は3000mgの用量で)投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、患者に(例えば、投与サイクル中に)、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、抗C5抗体、又はその抗原結合断片を患者にさらに:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重100kg以上の患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
一実施形態では、C5媒介性GNは、LNである。別の実施形態では、C5媒介性GNは、IgANである。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、抗C5抗体、又はその抗原結合断片を患者にさらに:
(a)体重が40~60kg未満の患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重100kg以上の患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
一実施形態では、C5媒介性GNは、LNである。別の実施形態では、C5媒介性GNは、IgANである。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体は、≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体は、体重≧60<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体は、体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、その後体重≧100kgの患者に2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、体重≧40~<60kgの患者に抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、体重≧60<100kgの患者に抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、体重≧100kgの患者に抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)1日目に1回、3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
別の実施形態では、LNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、LNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、LNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体は、≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、LNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体は、体重≧60<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、LNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体は、体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、その後体重≧100kgの患者に2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、免疫グロブリンA腎症(IgAN)を有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を、患者に(例えば、投与サイクル中に)投与することを含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、IgANを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、IgANを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者にさらに:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重100kg以上の患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
別の実施形態では、IgANを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、体重≧40~<60kgの患者に抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
別の実施形態では、IgANを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、体重≧60<100kgの患者に抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
別の実施形態では、IgANを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、体重≧100kgの患者に抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
一実施形態では、患者は以前にエクリズマブで治療されていない。別の実施形態では、患者は以前にエクリズマブで治療されている。別の実施形態では、患者は以前にエクリズマブで治療されており、1日目(例えば、投与サイクルの)は、患者のエクリズマブの最終用量から2週間以上である。
別の実施形態では、患者は免疫抑制剤、例えば、コルチコステロイド及びミコフェノール酸モフェチルを含む背景療法で以前に治療されたLN患者である。
別の実施形態では、患者はアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤又はアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)などのレニン-アンギオテンシン系(RAS)阻害薬を含む背景療法で以前に治療されたIgAN患者である。
別の実施形態では、治療は以下のうちの1つ以上を、例えば、LN患者に投与することをさらに含む:ニューモシスチス肺炎予防、抗マラリア剤(例えば、ヒドロキシクロロキン)、及び/又は骨粗鬆症を治療するための薬剤(例えば、炭酸カルシウム若しくは、クエン酸カルシウム、ビタミンD、及び/又はビスホスホネート)。
別の態様では、記載される治療レジメンは、抗C5抗体又はその抗原結合断片の特定の血清トラフ濃度を維持するのに十分である。一実施形態では、例えば、治療レジメンは、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、200、205、210、215、220、225、230、240、245、250、255、260、265、270、280、290、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395又は400μg/mL以上の血清トラフ濃度を維持する。一実施形態では、治療レジメンは、100μg/mL以上、150μg/mL以上、200μg/mL以上、250μg/mL以上、又は300μg/mL以上の抗C5抗体又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、治療は、100μg/mL~200μg/mLの抗C5抗体又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、治療は、約175μg/mLの抗C5抗体又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。
別の実施形態において、有効な応答を得るために、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり少なくとも50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、200μg、205μg、210μg、215μg、220μg、225μg、230μg、235μg、240μg、245μg、250μg、255μg又は260μgの抗体を維持する量及び頻度で患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり50μg~250μgの抗体を維持する量及び頻度で患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり100μg~200μgの抗体を維持する量及び頻度で患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり約175μgの抗体を維持する量及び頻度で患者に投与される。
別の実施形態において、有効な応答を得るために、抗C5抗体は、最小遊離C5濃度を維持する量及び頻度で患者に投与される。一実施態様において、例えば、抗C5抗体は、0.5μg/mL以下(例えば、0.4μg/mL、0.3μg/mL、0.2μg/mL、又は0.1μg/mL以下)の遊離C5濃度を維持する量及び頻度で患者に投与される。
抗C5抗体又はその抗原結合断片は、任意の適切な手段によって患者に投与することができる。一実施形態では、抗体は、静脈内投与用に処方される。
本明細書で提供される治療方法の有効性は、任意の適切な手段を使用して評価することができる。一実施形態において、治療は、CD163、MCP-1、及びEGFからなる群から選択される1つ以上の腎傷害バイオマーカーの正常レベルへのシフトをもたらす。
別の実施形態では、治療は、sC5b-9、Ba因子、Bb因子、C5a、C3c、C3、C4d、CD68、プロペルジン、補体成分9[C9]、C1q、C5aR、及びクレアチニンからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常レベルへのシフトをもたらす。
別の実施形態では、治療は、ベースラインと比較して推定糸球体濾過率(eGFR)の変化をもたらす。
別の実施形態では、治療は、ベースラインと比較して血清アルブミンの変化をもたらす。
別の実施形態では、治療は、ベースラインと比較してタンパク尿の減少をもたらす。別の実施形態では、患者は、治療前に、推定糸球体濾過速度(eGFR)≧30mL/分/1.73m2及びタンパク尿を有する。別の実施形態では、LN患者のタンパク尿は、1回の24時間尿収集からの尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)≧1g/gである。別の実施形態では、IgAN患者のタンパク尿は、2回の有効な24時間収集からの平均タンパク質≧1g/24時間である。別の実施形態では、治療は、ベースラインと比較して、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%のタンパク尿の減少をもたらす。別の実施形態では、タンパク尿の減少は、ベースラインと比較して、治療後6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、又は30週間で起こる。別の実施形態では、タンパク尿は、完全な24時間尿収集によって測定される。
別の実施形態では、治療は、LN患者においてベースラインと比較して、以下の症状の1つ以上の減少又は休止をもたらす:泡沫尿、タンパク尿、浮腫、高血圧、腎炎症、腎障害、関節痛、関節腫脹、筋肉痛、原因不明の発熱、血液中の高レベルのクレアチニン、及び/又は赤い発疹。
別の実施形態では、治療は、LN患者が治療前に活性フレアを有することをもたらす。
別の実施形態では、治療は、LN患者において完全腎応答(CRR)をもたらす。別の実施形態では、CRRは:
(a)2回の24時間尿収集に基づく平均尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)の≦0.5g/gへの減少;
(b)推定糸球体濾過率(eGFR)>60mL/分/1.73m2、又は2つの値の平均に基づくベースライン値からのeGFRの≧20%の減少なし;及び
(c)治療失敗なし
を含む。
別の実施形態では、治療は、IgAN患者において腎部分応答(PRR)をもたらす。別の実施形態では、PRRは:
(a)2回の24時間尿収集の平均に基づく、ベースライン値と比較してUPCRの>50%の減少;
(b)推定糸球体濾過率(eGFR)>60mL/分/1.73m2、又は2つの値の平均に基づくベースライン値からのeGFRの≧20%の減少;及び
(c)治療失敗なし
を含む。
別の実施形態では、治療は、LN患者における腎フレアを予防し:
(a)CRRを達成した患者の腎フレアは、≧1g/gのタンパク尿の再現性のある再発である;及び
(b)CRRを達成していない患者の腎フレアは:
(i)ベースラインより>25%高い、又は正常値の上限を超える、血清クレアチニン値の再現性のある増加(以下のいずれかを含む):
a.ベースラインより≧75%高い再現性のあるタンパク尿;
b.≧5の赤血球/高倍率視野(hpf)若しくは新たな赤血球円柱の増加によって定義されるベースラインと比較した活性尿沈渣の悪化(少なくとも2つのサンプルからの現地検査結果に基づく);及び/又は
c.LNクラスIII若しくはIV活性を示す適格性のために使用された生検以来、新たに実施された腎生検;
(ii)抗C5抗体又はその抗原結合断片の初回用量後に得られた最低の以前の値と比較して、24時間尿収集からのUPCRの再現性のある倍加である。
別の実施形態では、治療は、LN患者における腎外性SLEフレアを予防し、腎外性SLEフレアは、タンパク尿、血尿、尿細胞円柱、低補体血症、又は抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体レベルの増加によっては説明されない、全身性エリテマトーデス・ナショナル・アセスメントにおけるエストロゲンの全身性エリテマトーデス疾患活動性指数安全性(Systemic Lupus Erythematosus Disease Activity Index Safety of Estrogen in Lupus Erythematosus National Assessment)(SELENA)修正(SLEDAI-2K)における≧4点の増加を含む。
別の実施形態では、治療は、IgAN患者において部分寛解(PR)をもたらす。別の実施形態では、PRは、2回の有効な24時間尿収集に基づいて、<1g/24時間の平均タンパク尿を含む。
別の実施形態では、治療は、ベースラインと比較して、IgAN患者における以下の症状のうちの1つ以上の減少又は休止をもたらす:血尿、暗褐色又はコーラ色の尿、浮腫、側腹部痛、高血圧、泡沫尿、及び/又はタンパク尿。
別の実施形態では、治療は、欧州クオリティ・オブ・ライフ・ヘルス5項目質問表次元5レベル(EQ-5D-5L)及び/又は簡易(36)健康調査(SF-36)総スコアによって評価されるように(例えば、LN及び/又はIgAN患者について)、患者のクオリティ・オブ・ライフの改善をもたらす。
別の実施形態では、治療は、慢性療法の機能評価(FACIT)-疲労スコアによって評価されるように(例えば、LN患者について)、患者のクオリティ・オブ・ライフの改善をもたらす。
別の実施形態では、治療は、終末補体阻害をもたらす。
別の実施形態では、治療は、有害事象の減少をもたらす。
別の態様では、以下の投与のための、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む、抗C5抗体又はその抗原結合断片が提供される:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回。
別の態様では、以下の投与のための、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む、抗C5抗体又はその抗原結合断片が提供される:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回。
一実施形態では、抗体は、LN及び/又はIgAN患者を含むC5媒介性GN患者において使用するための複数IV用量後に、安全であり、耐容性があり、十分に非免疫原性であると決定される。
さらに、本明細書に記載の方法における使用に適合された治療有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片、例えばラブリズマブ、及び薬学的に許容される担体を、場合により背景療法と一緒に含む医薬組成物を含むキットが提供される。一実施形態では、キットは、(a)ある用量の、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む、抗C5抗体又はその抗原結合断片と、(b)本明細書に記載の方法で抗C5抗体又はその抗原結合断片を使用するための説明書とを含む。
一実施形態では、キットは、ある用量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、場合により、ヒト患者においてC5媒介性糸球体腎炎(GN)を治療するための背景療法と一緒に:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、キットは、ある用量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、場合により、ヒト患者においてC5媒介性糸球体腎炎(GN)を治療するための背景療法と一緒に:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト患者におけるLN及び/又はIgANなどのC5媒介性GNの治療に使用するための、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)と、それぞれ配列番号4、5及び6に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む組成物、例えば医薬組成物又は医薬品に関し、組成物は、C5媒介性GNを治療するための背景療法を場合により含む。具体的には、ヒト患者におけるLN及び/又はIgANなどのC5媒介性GNの治療のための、有効量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片を含む組成物が本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、有効量は、抗C5抗体、例えばラブリズマブの上記の投与量の使用及びスケジューリングの使用を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト患者においてC5媒介性GN、例えばLN及び/又はIgANを治療するための組成物、例えば医薬組成物又は医薬品の製造における、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片の使用に関し、組成物は、C5媒介性GNの治療のための背景療法を場合により含む。具体的には、ヒト患者においてC5媒介性GN、例えばLN及び/又はIgANを治療するための組成物、例えば医薬組成物又は医薬品の製造における、有効量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片の使用が本明細書において提供され、組成物は、C5媒介性GNの治療のための背景療法を含む。いくつかの実施形態において、有効量は、抗C5抗体、例えばラブリズマブの上記の投与量及びスケジューリングを、場合により背景療法の投与量及びスケジューリングと一緒に使用することを含む。いくつかの実施形態では、場合による背景療法は、(a)免疫抑制剤、例えば、コルチコステロイド及び/若しくはミコフェノール酸モフェチルを含むLNを治療するための背景療法、又は(b)レニン-アンギオテンシン系(RAS)阻害剤、例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤若しくはアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)を含むIgANを治療するための背景療法を含む。
LNコホートの全体的な試験デザインを示す概略図である。無作為化は、スクリーニング前にコルチコステロイド誘導治療を開始したか、それともスクリーニング期間中に開始したかによって層別化される。背景療法は、コルチコステロイドとミコフェノール酸モフェチルからなる。体重ベースの投与レジメン(実施例1参照)は、最後に記録された試験来院体重に基づく。略語:LN=ループス腎炎;PK=薬物動態。 IgANコホートの全体的な試験デザインを示す概略図である。無作為化は、スクリーニング期間中の2回の有効な24時間尿収集に基づいて、平均タンパク尿(1~2g/日対2g/日超)によって層別化する。ACE阻害剤又はARBの安定した最大耐量からなる背景療法。体重ベースの投与レジメン(実施例1参照)は、最後に記録された試験来院体重に基づく。略語:ACE=アンギオテンシン変換酵素;ARB=アンギオテンシンII受容体遮断薬;IgAN=免疫グロブリンA腎症;PK=薬物動態。
I.定義
本明細書で使用される場合、用語「対象」又は「患者」は、ヒト患者(例えば、造血LN及び/又はIgANを有する患者)である。
本明細書で使用される場合、用語「小児」患者は、非成人カテゴリーに属するものとして医師又は介護者によって分類されているヒト患者であり、例えば、新生児(早期及び満期の両方)、乳児、小児、及び青年を含むことができる。典型的には、小児患者は、18歳未満(<18歳)の患者である。
本明細書で使用される場合、用語「成人」患者は、医師又は介護者によって、例えば、年齢、発達状態、生理学的特徴などに基づいて、例えば新生児、乳児、小児又は青年ではない人に分類されているヒト患者である。典型的には、成人患者は、18歳以上(≧18歳)の患者である。
本明細書で使用される場合、用語「糸球体腎炎(GN)」は、例えば、免疫学的機構によって媒介される損傷に起因する、糸球体に影響を及ぼす腎疾患の群を指す。疾患発現の大部分は、補体系の障害によって引き起こされる。本明細書で使用される場合、C5媒介性糸球体腎炎(GN)は、補体成分C5に起因して全体的又は部分的に引き起こされるGNを指す。C5媒介性GNは、ループス腎炎(LN)及び免疫グロブリンA腎症(IgAN)などの障害を含む。
本明細書で使用される場合、ループス腎炎(LN)は、全身性エリテマトーデス(SLE)の重篤な進行を表す腎臓の炎症を指す。LNの症状としては、泡沫尿(タンパク尿、尿中の過剰なタンパク質による)、浮腫(例えば、手、足首又は足の浮腫)、高血圧(高血圧症)、腎炎症、腎障害、関節痛若しくは腫脹、筋肉痛、原因不明の発熱、血液中の高レベルのクレアチニン、及び/又は赤い発疹(例えば、多くの場合、顔面、鼻及び頬を横切って、時にはその形状のために蝶形発疹と呼ばれる)が挙げられるが、これらに限定されない。
LNは、SLEを有する患者の約50%に発生し、自己抗原に対する寛容の喪失、自己抗体の産生、及び損傷組織における補体固定免疫複合体(IC)の沈着によって引き起こされる自己免疫障害である(例えば、Bao et al.,Kidney Dis.2015;1(2):91-99を参照されたい)。LNの診断は、2018 International Society of Nephrology/Renal Pathology Society(ISN/RPS)の命名法及び2003年の報告(例えば、Bajema et al.,Kidney Int.2018;93(4):789-796)及びMarkowitz et al.,Kidney Int.2007;71(6):491-495参照)から改定された分類によって決定される。合計で6つのクラスのLNがある:クラスI~VI(Markowitz、2007)。LNを発症するSLEを有する患者のサブセットは、最悪の予後を有する(例えば、Hoover et al.,Kidney Int.2016;90(3):487-492を参照されたい)。CKDに至るループス腎炎は、心血管疾患及び敗血症性ショックに起因する全死亡率及び罹患率の独立した主要な危険因子である。現在の導入及び維持療法では、5年死亡率は約20%であり、5、10、及び15年目にESRDを発症するリスクは、それぞれ11%、17%、及び22%である(例えば、Mageau et al.,Autoimmun Rev.2019;18(7):733-737を参照されたい)。治療後のLNの再発(腎フレア)は、患者の最大25%において1年以内に起こり、CKD進行のリスク増加と関連する(例えば、Almaani,Clin J Am Soc Nephrol.2017;12(5):825-835を参照されたい)。
LNの病態生理学は、補体が異常な免疫応答のメディエーターとして働く複数の重複経路を含む(例えば、Bao et al,2015;Pickering et al.,Rheumatology(Oxford).2000;39(2):133-141、及びSchur et al.,Nephrologie.1988;9(2):53-60を参照されたい)。終末補体成分(C5a及び終末補体複合体[C5b-9])は、インターロイキン及びサイトカインシグナル伝達の活性化を介して急性細胞炎症応答を誘発する。補体はまた、腎臓において免疫グロブリン及びICを固定するように働く。実際に、補体及び補体分割生成物は、LNの腎生検における顕著な組織学的所見である(例えば、Biesecker et al.,J Exp Med.1981;154(6):1779-1794,1981及びWilson et al.,Kidney Int.2019;95(3):655-665を参照されたい)。これらの自己免疫及び補体バイオマーカーの血清レベルは、疾患活性と関連している(例えば、Birmingham et al.,Semin Nephrol.2015;35(5):444-454及びDall’Era et al.,Arthritis Care Res.2011;63(3):351-357を参照されたい)。補体成分3、4、及び1q(C3、C4、及びC1q)の減少は、新規LN及びLNフレアに関連する。同様に、補体バイオマーカーのレベルは、SLEにおける疾患活性と相関する(例えば、Kim et al,Arthritis Rheumatol.2019;71(3):420-430を参照されたい)。
米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)(ACR)、並びに欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism)(EULAR)及び欧州腎臓病・透析移植学会(European Renal Association-European Dialysis and Transplant Association)(ERA-EDTA)からの共同勧告は、「増殖性」LNとも呼ばれるクラスIII、IV、III/V、及びIV/V LNに対する免疫抑制治療を勧告している(例えば、Bertsias et al.,Ann Rheum Dis.2012;71:1771-1782参照)。本ガイドラインは、グルココルチコイド+ミコフェノール酸モフェチル(MMF)又はシクロホスファミドによる導入療法に同意している。維持療法については、ガイドラインは、低用量グルココルチコイドを伴う又は伴わないMMF又はアザチオプリンに同意している。LNを有する患者においては、治療の主な目標は、CKD進行、ESRD、及び死亡の予防である。寛解、特に完全寛解の達成の欠如は、腎疾患の進行の主要な危険因子の1つである。従って、短期の完全及び部分的腎寛解を用いて、標準治療及び新規治療の有効性を評価する。しかしながら、6~12ヶ月の治療後、患者の10%~40%のみが標準治療で完全腎応答(CRR)を達成する(例えば、Parikh et al.,J Am Soc Nephrol.2016;27(10):2929-2939を参照されたい)。
本明細書で使用される場合、ベルガー病としても知られるIgA腎症(IgAN)は、腎不全に進行し得る最も一般的な世界的な原発性糸球体腎症を指す(例えば、Lai et al.,F1000Research.2016;5:161を参照されたい)。IgANの症状としては、血尿(時には尿をピンク色、暗褐色又はコーラ色にし得る尿中の血液)、浮腫(例えば、手、足首又は足の)、背中側の痛み(側腹痛)、高血圧(高血圧症)、及び/又は泡沫尿(タンパク尿、尿中の過剰なタンパク質による)が挙げられるが、これらに限定されない。
免疫グロブリンA(IgA)腎症は、CKDに至る生涯にわたる疾患であり、20~30年の間に患者の30人%~40%においてESRDに進行する(Lai、2016)。患者は、最初に血尿及び高血圧を呈し、疾患が進行することにつれてタンパク尿が発症する。IgANの診断は、Oxford分類命名法に従って、糸球体におけるIgA免疫蛍光が通常補体3(C3)と共優性であることを示す腎生検によってなされる(例えば、KDIGO Clinical practice guideline for glomerulonephritis.Kidney International Supplements.2012;2(2):140,Rizk et al.,Front Immunol.2019;10:504;及びTrimarchi et al.,Kidney Int.2017;91(5):1014-1021を参照されたい)。
IgANの病態生理は、腎糸球体に蓄積するグリコシル化不足の免疫グロブリンA1(IgA1)の過剰産生に関連する。しかしながら、異常なガラクトシル化単独では、腎傷害を誘導するには不十分であり、ガラクトシル化不足のIgA1分子を認識するグリカン特異的免疫グロブリンA(IgA)及び免疫グロブリンG(IgG)自己抗体も寄与する可能性が高い。このプロセスは、腎臓における局所炎症及び補体活性化をもたらす(例えば、Oortwijn et al.,Semin Nephrol.2008;28(1):58-65を参照されたい)。代替及びレクチン補体経路の両方が活性化され得、アナフィラトキシン及び膜攻撃複合体終末補体(C5b-9)の生成をもたらし、その後、炎症性メディエーターが促進される(例えば、Maillard et al.,J Am Soc Nephrol.2015;26(7):1503-1512を参照されたい)。補体成分4(C4)及びC3複合体並びに活性化C3生成物は、IgANを有する患者の30%までで上昇する。活性化C3生成物は、正常レベルを有するIgANを有する患者と比較して高レベルのタンパク尿及び血尿と関連し、腎機能の悪化と相関する(例えば、Zwirner et al.,Kidney Int.1997;51(4):1257-64を参照されたい)。腎生検及び循環補体タンパク質に対する補体活性は、疾患活性及びCKDの進行と関連する。まとめると、これらの知見は、IgANにおける補体バイオマーカーの病態生理学及び予後価値における補体の役割を示唆する(例えば、Rizk et al.,Front Immunol.2019;10:504を参照されたい)。
IgANの治療には、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤又はアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)などのRAS遮断薬が含まれる。これらの治療法は、血圧を制御し、糸球体内圧を低下させる(これは次にタンパク尿を低下させる)ことによって腎機能を維持し、免疫応答を抑制することを目的とする。これらの治療は、CKD及びESRDに進行する患者の割合が高いため、腎機能を維持するには不十分である。ベースライン高血圧及び>1g/日のタンパク尿を有する患者は、進行のリスクが高い(Reich,et al.,J Am Soc Nephrol.2007;18(12):3177-3183を参照されたい)。
本明細書で使用される場合、「有効な治療」は、有益な効果、例えば、疾患又は障害の少なくとも1つの症状の改善をもたらす治療を指す。有益な効果は、ベースラインに対する改善、例えば、本方法による治療の開始前に行われる測定又は観察に対する改善の形態をとることができる。有効な治療は、LNの少なくとも1つの症状(例えば、泡沫尿(タンパク尿、尿中の過剰なタンパク質による)、浮腫(例えば、手、足首又は足の)、高血圧(高血圧症)、腎炎症、腎障害、関節痛若しくは腫脹、筋肉痛、原因不明の発熱、血液中の高レベルのクレアチニン、及び/又は赤い発疹(例えば、多くの場合、顔面、鼻及び頬を横切って、時にはその形状のために蝶形発疹と呼ばれる)の緩和を指し得る。有効な治療は、IgANの少なくとも1つの症状(例えば、血尿(時には尿をピンク色、暗褐色又はコーラ色とし得る尿中の血液)、浮腫(例えば、手、足首又は足の)、背中側の痛み(側腹痛)、高血圧(高血圧症)、及び/又は泡沫尿(タンパク尿、尿中の過剰なタンパク質による)の緩和を指し得る。
用語「有効量」は、所望の生物学的、治療的及び/又は予防的結果を提供する薬剤の量を指す。その結果は、疾患の1つ以上の徴候、症状若しくは原因の低減、改善、緩和(palliation)、軽減、遅延及び/若しくは緩和(alleviation)、又は生体系の任意の他の所望の変化であり得る。一例では、「有効量」は、LNの少なくとも1つの症状(例えば、泡沫尿(タンパク尿、尿中の過剰なタンパク質による)、浮腫(例えば、手、足首又は足の)、高血圧(高血圧症)、腎炎症、腎障害、関節痛若しくは腫脹、筋肉痛、原因不明の発熱、血中の高レベルのクレアチニン、及び/若しくは赤い発疹(例えば、多くの場合、顔面、鼻及び頬を横切って、時にはその形状のために蝶形発疹と呼ばれる)、並びに/又はIgAN(例えば、血尿(時には、尿をピンク色、暗褐色又はコーラ色にし得る尿中の血液)、浮腫(例えば、手、足首又は足の)、背中側の痛み(側腹痛)、高血圧(高血圧症)、及び/若しくは泡沫尿(タンパク尿、尿中の過剰なタンパク質による))を緩和することが臨床的に証明されている抗C5抗体又はその抗原結合断片の量である。
有効量は、1回以上の投与において投与され得る。
本明細書で使用される場合、用語「負荷用量」は、投与される最初の用量(例えば、投与サイクル中)を指す。
本明細書で使用される場合、用語「維持」及び「維持相」は、互換的に使用され、治療の第2の相を指す。特定の実施形態において、治療は、臨床的利益が観察される限り、又は管理不可能な毒性若しくは疾患進行が起こるまで継続される。
本明細書で使用される場合、用語「血清トラフレベル」は、薬剤(例えば、抗C5抗体又はその抗原結合断片)又は医薬が血清中に存在する最低レベルを指す。対照的に、「ピーク血清レベル」は、血清中の薬剤の最高レベルを指す。「平均血清レベル」は、経時的な血清中の薬剤の平均レベルを指す。
用語「抗体」は、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位(例えば、VH/VL領域若しくはFv、又はCDR)を含むポリペプチドを記載する。抗体には、既知の形態の抗体が含まれ、例えば、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、又はキメラ抗体であり得る。抗体はまた、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、Affibody(登録商標)、ナノボディ又は単一ドメイン抗体であり得る。抗体はまた、以下のアイソタイプのいずれかのものであり得る:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、IgE又はそれらの組み合わせ。抗体は、天然に存在する抗体、又はタンパク質工学技術によって(例えば、突然変異、欠失、置換、非抗体部分へのコンジュゲーションによって)改変された抗体であり得る。抗体は、例えば、抗体の特性(例えば、機能的特性)を変化させる(天然に存在する抗体と比較して)1つ以上の変異体アミノ酸を含むことができる。例えば、半減期、エフェクター機能、及び/又は患者における抗体に対する免疫応答に影響を及ぼす、多数のそのような改変が当技術分野で公知である。抗体という用語はまた、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位を含む人工又は操作されたポリペプチド構築物を含む。
II.抗C5抗体
本明細書に記載の抗C5抗体は、補体成分C5(例えば、ヒトC5)に結合し、C5の断片C5a及びC5bへの切断を阻害する。上述したように、そのような抗体はまた、例えば、治療目的のために使用される他の抗C5抗体(例えば、エクリズマブ)と比較して改善された薬物動態特性を有する。
本明細書に記載の方法における使用に適した抗C5抗体(又はそれに由来するVH/VLドメイン)は、当技術分野で公知の方法を用いて作製することができる。或いは、当技術分野で認識されている抗C5抗体を使用することができる。C5への結合について、これらの当技術分野で認識されている抗体又は本明細書に記載の抗体のいずれかと競合する抗体も使用することができる。
例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号14及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含むラブリズマブ、又はその抗原結合断片及び変異体である。ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)、BNJ441及びALXN1210としても知られる)は、国際公開第2015134894号及び米国特許第9,079,949号に記載されており、それらの全教示は、参照により本明細書に組み込まれる。ラブリズマブ、BNJ441、及びALXN1210という用語は、本明細書全体を通して互換的に使用され得るが、全てが同じ抗体を指す。ラブリズマブは、ヒト補体タンパク質C5に選択的に結合し、補体活性化中のC5a及びC5bへのその切断を阻害する。この阻害は、炎症促進性メディエーターC5aの放出及び細胞溶解性細孔形成膜攻撃複合体(MAC)C5b-9の形成を防止する一方で、微生物のオプソニン化及び免疫複合体のクリアランスに必須の補体活性化の近位又は初期成分(例えば、C3及びC3b)を保存する。
他の実施形態では、抗体は、ラブリズマブの重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。従って、一実施形態では、抗体は、配列番号12に示される配列を有するラブリズマブのVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するラブリズマブのVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号4、5及び6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH領域及びVL領域を含む。
別の例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号20及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含む抗体BNJ421、又はその抗原結合断片及び変異体である。BNJ421(ALXN1211としても知られる)は、国際公開第2015134894号及び米国特許第9,079,949号に記載されており、それらの全教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
他の実施形態では、抗体は、BNJ421の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。従って、一実施形態では、抗体は、配列番号12に示される配列を有するBNJ421のVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するBNJ421のVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18及び3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号4、5及び6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH領域及びVL領域を含む。
CDRの正確な境界は、異なる方法に従って異なるように定義される。いくつかの実施形態では、軽鎖又は重鎖可変ドメイン内のCDR又はフレームワーク領域の位置は、Kabat et al.[(1991)「Sequences of Proteins of Immunological Interest.」NIH Publication No.91-3242,U.S.Department of Health and Human Services,Bethesda,MD]によって定義される通りである。そのような場合、CDRは、「Kabat CDR」(例えば、「Kabat LCDR2」又は「Kabat HCDR1」)と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、軽鎖又は重鎖可変領域のCDRの位置は、Chothia et al.(Nature,342:877-83,1989)によって定義される通りである。従って、これらの領域は、「Chothia CDR」(例えば、「Chothia LCDR2」又は「Chothia HCDR3」)と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のCDRの位置は、Kabat-Chothiaの組み合わせ定義によって定義することができる。そのような実施形態では、これらの領域は、「組み合わせKabat-Chothia CDR」と称することができる。Thomas,C.et al.(Mol.Immunol.,33:1389-401,1996)は、Kabat及びChothiaの番号付けスキームに従ったCDR境界の特定を例示している。
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許第8,241,628号及び第8,883,158号に記載の7086抗体である。一実施形態において、抗体は、7086抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む(米国特許第8,241,628号及び第8,883,158号を参照されたい)。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号21、22及び23に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号24、25及び26に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27に示される配列を有する7086抗体のVH領域、及び配列番号28に示される配列を有する7086抗体のVL領域を含む。
別の例示的な抗C5抗体は、同じく米国特許第8,241,628号及び第8,883,158号に記載されている8110抗体である。一実施形態において、抗体は、8110抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号29、30及び31に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号32、33及び34に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号35に示される配列を有する8110抗体のVH領域、及び配列番号36に示される配列を有する8110抗体のVL領域を含む。
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許第9,765,135号に記載されている305LO5抗体である。一実施形態において、抗体は、305LO5抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号37、38及び39に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、それぞれ配列番号40、41及び42に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号43に示される配列を有する305LO5抗体のVH領域、及び配列番号44に示される配列を有する305LO5抗体のVL領域を含む。
別の例示的な抗C5抗体は、SKY59抗体である(Fukuzawa,T.et al.,Sci.Rep.,7:1080,2017)。一実施形態において、抗体は、SKY59抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号45を含む重鎖及び配列番号46を含む軽鎖を含む。
いくつかの実施形態において、抗C5抗体は、REGN3918抗体の重鎖及び軽鎖可変領域又は重鎖及び軽鎖を含む(米国特許第10,633,434号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、配列番号47に示される重鎖可変領域配列及び配列番号48に示される配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、配列番号49に示される重鎖配列及び配列番号50に示される軽鎖配列を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:GHIFSNYWIQ(配列番号19)を含むか、又はそれからなる重鎖CDR1を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:EILPGSGHTEYTENFKD(配列番号18)を含むか、又はそれからなる重鎖CDR2を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む:
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む:
本明細書に記載の抗C5抗体は、いくつかの実施形態では、変異体ヒトFc定常領域が由来する天然ヒトFc定常領域の親和性よりも高い親和性でヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含むことができる。Fc定常領域は、例えば、変異体ヒトFc定常領域が由来する天然ヒトFc定常領域と比較して、1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、又は8個以上)のアミノ酸置換を含むことができる。置換は、相互作用のpH依存性を維持しながら、変異体Fc定常領域を含むIgG抗体のpH6.0でのFcRnへの結合親和性を増加させることができる。抗体のFc定常領域における1つ以上の置換が、pH6.0でのFcRnに対するFc定常領域の親和性を増加させるかどうかを試験するための方法は、当技術分野で公知であり、実施例に例示されている。例えば、それぞれの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015134894号及び米国特許第9,079949号を参照されたい。
FcRnに対する抗体Fc定常領域の結合親和性を増強する置換は、当技術分野で公知であり、例えば、(1)M252Y/S254T/T256E三重置換(Dall’Acqua,W.et al.,J.Biol.Chem.,281:23514-24,2006);(2)M428L又はT250Q/M428L置換(Hinton,P.et al.,J.Biol.Chem.,279:6213-6,2004;Hinton,P.et al.,J.Immunol.,176:346-56,2006);及び(3)N434A又はT307/E380A/N434A置換(Petkova,S.et al.,Int.Immunol.,18:1759-69,2006)を含む。さらなる置換対:P257I/Q311I、P257I/N434H及びD376V/N434H(Datta-Mannan,A.et al.,J.Biol.Chem.,282:1709-17,2007)、これらの各開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、変異体定常領域は、バリンのEUアミノ酸位置(posaition)255での置換を有する。いくつかの実施形態において、変異体定常領域は、アスパラギンのEUアミノ酸位置309での置換を有する。いくつかの実施形態において、変異体定常領域は、イソロイシンのEUアミノ酸位置312での置換を有する。いくつかの実施形態において、変異体定常領域は、EUアミノ酸位置386での置換を有する。
いくつかの実施形態では、変異体Fc定常領域は、それが由来する天然定常領域と比較して、30個以下(例えば、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3又は2個以下)のアミノ酸置換、挿入又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、変異体Fc定常領域は、M252Y、S254T、T256E、N434S、M428L、V259I、T250I及びV308Fからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域の428位にメチオニン及び434位にアスパラギンを含む。いくつかの実施形態では、変異体Fc定常領域は、例えば米国特許第8,088,376号に記載されるような428L/434S二重置換を含む。
いくつかの実施形態では、これらの突然変異の正確な位置は、抗体操作に起因して、天然のヒトFc定常領域位置からシフトされ得る。例えば、IgG2/4キメラFcにおいて使用される場合、428L/434S二重置換は、ラブリズマブにおいて見出され、米国特許第9,079,949号に記載されるM429L及びN435S変異体におけるようなM429L及びN435Sに対応し得、該特許の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、変異体定常領域は、天然ヒトFc定常領域に対するアミノ酸位置237、238、239、248、250、252、254、255、256、257、258、265、270、286、289、297、298、303、305、307、308、309、311、312、314、315、317、325、332、334、360、376、380、382、384、385、386、387、389、424、428、433、434又は436(EU番号付け)での置換を含む。いくつかの態様において、置換は、237位のグリシンに対するメチオニン;238位のアラニンに対するプロリン;239位のリシンに対するセリン;248位のリシンに対するイソロイシン;250位のトレオニンに対するアラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、メチオニン、グルタミン、セリン、バリン、トリプトファン、又はチロシン;252位のメチオニンに対するフェニルアラニン、トリプトファン、又はチロシン;254位のセリンに対するトレオニン;255位のアルギニンに対するグルタミン酸;256位のトレオニンに対するアスパラギン酸、グルタミン酸、又はグルタミン;257位のプロリンに対するアラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、セリン、トレオニン、又はバリン;258位のグルタミン酸に対するヒスチジン;265位のアスパラギン酸に対するアラニン;270位のアスパラギン酸に対するフェニルアラニン;286位のアスパラギンに対するアラニン又はグルタミン酸;289位のトレオニンに対するヒスチジン;297位のアスパラギンに対するアラニン;298位のセリンに対するグリシン;303位のバリンに対するアラニン;305位のバリンに対するアラニン;307位のトレオニンに対するアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファン、又はチロシン;308位のバリンに対するアラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、又はトレオニン;309位のロイシン又はバリンに対するアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、又はアルギニン;311位のグルタミンに対するアラニン、ヒスチジン、又はイソロイシン;312位のアスパラギン酸に対するアラニン又はヒスチジン;314位のロイシンに対するリシン又はアルギニン;315位のアスパラギンに対するアラニン又はヒスチジン;317位のリシンに対するアラニン;325位のアスパラギンに対するグリシン;332位のイソロイシンに対するバリン;334位のリシンに対するロイシン;360位のリシンに対するヒスチジン;376位のアスパラギン酸に対するアラニン;380位のグルタミン酸に対するアラニン;382位のグルタミン酸に対するアラニン;384位のアスパラギン又はセリンに対するアラニン;385位のグリシンに対するアスパラギン酸又はヒスチジン;386位のグルタミンに対するプロリン;387位のプロリンに対するグルタミン酸;389位のアスパラギンに対するアラニン又はセリン;424位のセリンに対するアラニン;428位のメチオニンに対するアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシン;433位のヒスチジンに対するリシン;434位のアスパラギンに対するアラニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、セリン、トリプトファン、又はチロシン;及び436位のチロシン又はフェニルアラニンに対するヒスチジン(全てEU番号付けで)からなる群から選択される。
本明細書に記載の方法で使用するのに適した抗C5抗体は、いくつかの実施形態では、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び/又は配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。或いは、本明細書に記載の方法で使用するための抗C5抗体は、いくつかの実施形態では、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び/又は配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。
一実施態様において、抗体は、pH7.4及び25℃で(そうでなければ、生理学的条件下で)、少なくとも0.1(例えば、少なくとも0.15、0.175、0.2、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95又は0.975)nMの親和性解離定数(K)でC5に結合する。一実施態様では、抗体は、pH7.4及び25℃で(そうでなければ、生理学的条件下で)、約0.5nMである親和性解離定数(K)でC5に結合する。いくつかの実施形態において、抗C5抗体又はその抗原結合断片のKは、1nM以下(例えば、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、又は0.2以下)である。いくつかの実施形態において、抗体は、pH6.0及び25℃で(そうでなければ、生理的条件下で)、約22nMであるKで、C5に結合する。
他の実施形態では、[(25℃でのpH6.0でのC5に対する抗体のK)/(25CでのpH7.4でのC5に対する抗体のK)]が21を超える(例えば、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500又は8000を超える)。
抗体がタンパク質抗原に結合するかどうか、及び/又はタンパク質抗原に対する抗体の親和性を決定する方法は、当技術分野で公知である。タンパク質抗原に対する抗体の結合は、例えば、限定されないが、ウェスタンブロット、ドットブロット、表面プラズモン共鳴(SPR)検出(例えば、BIAcoreシステム;Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、Sweden及びPiscataway、NJ)、又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA;Benny K.C.Lo(2004)「Antibody Engineering:Methods and Protocols,」Humana Press(ISBN:1588290921);Johne,B.et al.,J.Immunol.Meth.,160:191-8,1993;Jonsson,U.et al.,Ann.Biol.Clin.,51:19-26,1993;Jonsson,U.et al.,Biotechniques,11:620-7,1991)などの多様な技術を用いて検出及び/又は定量することができる。さらに、親和性(例えば、解離及び会合定数)を測定するための方法は、実施例に記載されている。
本明細書で使用される場合、用語「k」は、抗原に対する抗体の会合の速度定数を指す。用語「k」は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離の速度定数を指す。用語「K」は、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。平衡解離定数は、速度定数の比、K=K/Kから導かれる。そのような決定は、例えば、25C又は37Cで測定することができる(実施例を参照されたい)。ヒトC5への抗体結合の動態は、例えば、Fc捕捉法を用いて抗体を固定化して、BIAcore 3000機器上でSPRを介してpH8.0、7.4、7.0、6.5及び6.0で決定することができる。
一実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、C5のC5a及びC5bへの切断を遮断する。この遮断効果により、例えば、C5aの炎症誘発効果、及び細胞表面でのC5b-9膜攻撃複合体(MAC)の生成が阻害される。
本明細書に記載される特定の抗体がC5切断を阻害するかどうかを決定するための方法は、当技術分野で公知である。ヒト補体成分C5の阻害は、対象の体液中の補体の細胞溶解能力を低下させることができる。体液中に存在する補体の細胞溶解能のそのような低下は、当技術分野で公知の方法、例えば、溶血アッセイ(Kabat and Mayer(eds.),「Experimental Immunochemistry,2nd Edition,」135-240,Springfield,IL,CC Thomas(1961),135-139頁)などの従来の溶血アッセイ、又はニワトリ赤血球溶血法(Hillmen,P.et al.,N.Engl.J.Med.,350:552-9,2004)などのそのアッセイの従来の変形によって測定することができる。候補化合物がヒトC5の形態C5a及びC5bへの切断を阻害するかどうかを決定するための方法は、当技術分野で公知である(Evans,M.et al.,Mol.Immunol.,32:1183-95,1995)。体液中のC5a及びC5bの濃度及び/又は生理活性は、例えば、当技術分野で公知の方法によって測定することができる。C5bについては、溶血アッセイ又は本明細書で論じられる可溶性C5b-9についてのアッセイを使用することができる。当技術分野で公知の他のアッセイも使用することができる。これら又は他の適切なタイプのアッセイを用いて、ヒト補体成分C5を阻害することができる候補薬剤をスクリーニングすることができる。
限定されないが、ELISAなどの免疫学的技術を用いて、C5及び/又はその分割生成物のタンパク質濃度を測定して、抗C5抗体又はその抗原結合断片の、C5の生物学的に活性な生成物への変換を阻害する能力を決定することができる。いくつかの実施形態では、C5a生成が測定される。いくつかの実施形態では、C5b-9ネオエピトープ特異的抗体を用いてMAC形成を検出する。
補体活性化に対する抗C5抗体又はその抗原結合断片の阻害活性を決定するために、溶血アッセイを用いることができる。インビトロでの血清試験溶液中の古典的補体経路媒介溶血に対する抗C5抗体又はその抗原結合断片の効果を決定するために、例えば、溶血素でコーティングされたヒツジ赤血球又は抗ニワトリ赤血球抗体で感作されたニワトリ赤血球を標的細胞として使用する。100%溶解を阻害剤の非存在下で起こる溶解に等しいと考慮することによって、溶解のパーセンテージを正規化する。いくつかの実施形態では、古典的補体経路は、例えば、Wieslab(登録商標)古典的経路補体キット(Wieslab(登録商標)COMPL CP310、Euro‐Diagnostica、Sweden)において利用されるように、ヒトIgM抗体によって活性化される。簡潔には、試験血清を、抗C5抗体又はその抗原結合断片と共に、ヒトIgM抗体の存在下でインキュベートする。生成されたC5b-9の量は、混合物を酵素結合抗C5b-9抗体及び蛍光発生基質と接触させ、適切な波長で吸光度を測定することによって測定される。対照として、試験血清を、抗C5抗体又はその抗原結合断片の非存在下でインキュベートする。いくつかの実施形態では、試験血清はC5ポリペプチドで再構成されたC5欠損血清である。
代替経路媒介溶血に対する抗C5抗体又はその抗原結合断片の効果を決定するために、非感作ウサギ又はモルモット赤血球を標的細胞として使用することができる。いくつかの実施形態では、血清試験溶液は、C5ポリペプチドで再構成されたC5欠損血清である。100%溶解を阻害剤の非存在下で起こる溶解に等しいと考慮することによって、溶解のパーセンテージを正規化する。いくつかの実施形態では、代替補体経路は、例えば、Wieslab(登録商標)代替経路補体キット(Wieslab(登録商標)COMPL AP330、Euro‐Diagnostica、Sweden)において利用されるように、っは、リポ多糖によって活性化される。簡潔には、試験血清を、リポ多糖の存在下で、抗C5抗体又はその抗原結合断片と共にインキュベートする。生成されたC5b-9の量は、混合物を酵素結合抗C5b-9抗体及び蛍光発生基質と接触させ、適切な波長で蛍光を測定することによって測定される。対照として、試験血清を、抗C5抗体又はその抗原結合断片の非存在下でインキュベートする。
いくつかの実施形態において、C5活性又はその阻害は、CH50eqアッセイを用いて定量される。CH50eqアッセイは、血清中の全古典的補体活性を測定するための方法である。この試験は、古典的補体経路の活性化因子として抗体感作赤血球を使用し、試験血清の様々な希釈を用いて、50%溶解(CH50)を得るのに必要な量を決定する溶解アッセイである。溶血パーセントは、例えば、分光光度計を用いて決定することができる。CH50eqアッセイは、TCC自体が測定される溶血に直接関与するので、終末補体複合体(TCC)形成の間接的測定値を提供する。このアッセイは、当業者に公知であり、一般的に実施されている。簡潔には、古典的補体経路を活性化するために、未希釈血清サンプル(例えば、再構成ヒト血清サンプル)を、抗体感作赤血球を含むマイクロアッセイウェルに添加し、それによってTCCを生成する。次に、活性化された血清を、捕捉試薬(例えば、TCCの1つ以上の成分に結合する抗体)でコーティングされたマイクロアッセイウェル中で希釈する。活性化サンプル中に存在するTCCは、マイクロアッセイウェルの表面をコーティングするモノクローナル抗体に結合する。ウェルを洗浄し、検出可能に標識され、結合したTCCを認識する検出試薬を各ウェルに添加する。検出可能な標識は、例えば、蛍光標識又は酵素標識であり得る。アッセイ結果を、CH50単位当量/ミリリットル(CH50 U Eq/mL)で表す。
阻害は、例えば、終末補体活性に関する場合、類似の条件下及び等モル濃度での対照抗体(又はその抗原結合断片)の効果と比較して、例えば、溶血アッセイ又はCH50eqアッセイにおける終末補体の活性の少なくとも5(例えば、少なくとも6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60)%の減少を含む。本明細書で使用される実質的な阻害は、少なくとも40(例えば、少なくとも45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95以上)%の所与の活性(例えば、終末補体活性)の阻害を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体は、エクリズマブのCDR(即ち、配列番号1~6)に対して1つ以上のアミノ酸置換を含むが、溶血アッセイ又はCH50eqアッセイにおいて、エクリズマブの補体阻害活性の少なくとも30(例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95)%をなお保持する。
本明細書に記載の抗C5抗体は、少なくとも20(例えば、少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54又は55)日のヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体は、少なくとも40日のヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体は、約43日のヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体は、39~48日のヒトにおける血清半減期を有する。抗体の血清半減期を測定するための方法は、当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗C5抗体又はその抗原結合断片は、例えば、実施例に記載のマウスモデル系(例えば、C5欠損/NOD/scidマウス又はhFcRnトランスジェニックマウスモデル系)の1つで測定したエクリズマブの血清半減期よりも少なくとも20(例えば、少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、250、300、400又は500)%大きい血清半減期を有する。
一実施形態では、抗体は、本明細書に記載の抗体と結合について競合し、及び/又はC5上の同じエピトープに結合する。2つ以上の抗体に関して、用語「同じエピトープに結合する」は、所与の方法によって決定して、抗体がアミノ酸残基の同じ区分に結合することを意味する。抗体が本明細書に記載の抗体と同じC5上のエピトープに結合するかどうかを決定するための技術としては、例えば、エピトープマッピング法、例えば、抗原:抗体複合体の結晶のx線分析、及び水素/重水素交換質量分析(HDX-MS)が挙げられる。他の方法は、ペプチド抗原断片又は抗原の突然変異体への抗体の結合をモニターし、ここで抗原配列内のアミノ酸残基の修飾による結合の喪失は、しばしばエピトープ成分の指標とみなされる。さらに、エピトープマッピングのためのコンビナトリアル計算法(computational combinatorial method)も使用することができる。これらの方法は、コンビナトリアルファージディスプレイペプチドライブラリーから特異的な短いペプチドを親和性単離する、目的の抗体の能力に依存する。同じVH及びVL又は同じCDR1、CDR2及びCDR3配列を有する抗体は、同じエピトープに結合すると予想される。
「標的への結合について別の抗体と競合する」抗体は、標的への他の抗体の結合を(部分的に又は完全に)阻害する抗体を指す。2つの抗体が標的への結合について互いに競合するかどうか、即ち、一方の抗体が他方の抗体の標的への結合を阻害するかどうか、及びどの程度阻害するかは、公知の競合実験を用いて決定することができる。特定の実施形態では、抗体は、別の抗体と競合し、標的に対する別の抗体の結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%阻害する。阻害又は競合のレベルは、どちらの抗体が「遮断抗体」(即ち、最初に標的と共にインキュベートされる抗体)であるかに応じて異なり得る。競合抗体は、例えば、同じエピトープ、重複エピトープ、又は隣接エピトープに結合することができる(例えば、立体障害によって証明されるように)。
本明細書に記載される方法で使用される、本明細書に記載される抗C5抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で認められた多様な技術を用いて生成され得る。モノクローナル抗体は、当業者によく知られている様々な技術によって得ることができる。簡潔には、所望の抗原で免疫化された動物由来の脾臓細胞を、一般に骨髄腫細胞との融合によって不死化させる(Koehler,G.&Milstein,C.,Eur.J.Immunol.,6:511-9,1976)。不死化の方法には、エプスタインバーウイルス、癌遺伝子、若しくはレトロウイルスによる形質転換、又は当技術分野で公知の他の方法が含まれる。単一の不死化細胞から生じるコロニーを、抗原に対する所望の特異性及び親和性を有する抗体の産生についてスクリーニングし、それらの細胞によって産生されるモノクローナル抗体の収率を、脊椎動物宿主の腹腔への注射を含む様々な技術によって増強することができる。或いは、ヒトB細胞からDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体又はその結合断片をコードするDNA配列を単離してもよい(Huse,W.et al.,Science,246:1275-81,1989)。
いくつかの実施形態において、抗C5抗体は、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片(例えば、エクリズマブの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(それぞれ、HCDR1-3及びLCDR1-3)を含む)を含まない。いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))のバイオシミラー、例えば、ABP 959抗体(Amgen Inc.、USA製)、ELIZARIA(登録商標)(Generium JNC、Russia製)、又はSB12(Samsung Bioepis、Incheon、韓国製)ではない。
III.組成物
抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む組成物も本明細書に提供される。一実施形態では、組成物は、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含み、配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む抗C5抗体を含む。別の実施形態では、抗C5抗体は、それぞれ配列番号14及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含む。別の実施形態では、抗C5抗体は、それぞれ配列番号20及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含む。
組成物は、例えば、LN及び/又はIgANを含むC5媒介性GNの治療のための対象への投与のための医薬溶液として処方することができる。医薬組成物は、一般に、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合可能な任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを指し、それらを含む。組成物は、薬学的に許容される塩、例えば、酸付加塩又は塩基付加塩、糖、炭水化物、ポリオール及び/又は張度調整剤を含むことができる。
組成物は、標準的な方法に従って処方することができる。医薬処方は、確立された技術である(例えば、Gennaro(2000)「Remington:The Science and Practice of Pharmacy,」20th Edition,Lippincott,Williams&Wilkins(ISBN:0683306472);Ansel et al.(1999)「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,」7th Edition,Lippincott Williams&Wilkins Publishers(ISBN:0683305727);及びKibbe(2000)「Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association,」3rd Edition(ISBN:091733096X)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、適切な濃度の、2~8C(例えば、4℃)での保存に適した緩衝溶液として処方することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、0C未満の温度(例えば、-20℃又は80℃)での貯蔵のために処方することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、2~8℃(例えば、4℃)で2年間まで(例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、1.5年間又は2年間)の貯蔵のために処方することができる。従って、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、2~8℃(例えば、4℃)で少なくとも1年間の貯蔵において安定である。
医薬組成物は、様々な形態であり得る。これらの形態には、例えば、液体、半固体及び固体剤形、例えば、液体溶液(例えば、注射可能及び注入可能な溶液)、分散液又は懸濁液、錠剤、丸剤、散剤、リポソーム及び坐薬が含まれる。好ましい形態は、部分的には、意図される投与様式及び治療的適用に依存する。全身又は局所送達を意図した組成物を含む組成物は、例えば、注射可能又は注入可能な溶液の形態であり得る。従って、組成物は、非経口様式(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、又は筋肉内注射)による投与のために処方することができる。「非経口投与」、「非経口的に投与される」及び他の文法的に等価な語句は、本明細書で使用される場合、通常、注射による、腸内及び局所投与以外の投与方法を指し、静脈内、鼻腔内、眼内、肺内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、肺内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内、及び胸骨内注射及び注入を含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト患者におけるLN及び/又はIgANを含むC5媒介性GNの治療に使用するための、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)と、それぞれ配列番号4、5及び6に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む組成物、例えば医薬組成物又は医薬品に関し、有効量は、抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与することを含む。
いくつかの実施形態において、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、さらに:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgに、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
いくつかの実施形態において、本発明は、ヒト患者におけるLN及び/又はIgANを含むC5媒介性GNの治療に使用するための、配列番号19、18及び3を含むHCDR1-3並びに配列番号4、5及び6を含むLCDR1-3を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む組成物、例えば医薬組成物又は医薬品に関し、抗C5抗体は、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域をさらに含み、変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む。特に、本明細書は、ヒト患者におけるLN及び/又はIgANを含むC5媒介GNの治療に使用するための、例えばラブリズマブのHCDR1-3及びLCDR1-3を含む、有効量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片を含む医薬組成物又は医薬品に関する。
IV.方法
抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含む、ヒト患者におけるLN及び/又はIgANを含むC5媒介性GNを治療するための方法が本明細書に提供され、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、特定の臨床投与量レジメンに従って(例えば、特定の用量で、特定の投与スケジュールに従って)投与される(又は投与のためである)。
一実施形態において、抗C5抗体又はその抗原結合断片の用量は、患者の体重に基づく。一実施形態では、例えば、900mg、2400mg、又は3000mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片が体重≧40kg~<60kgの患者に投与される。別の実施形態では、900mg、2700mg、又は3900mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片が体重≧60kg~<100kgの患者に投与される。別の実施形態では、900mg、3000mg、又は5400mgの抗C5抗体、又はその抗原結合断片が体重≧100kgの患者に投与される。特定の実施形態では、投与量レジメンは、最適な所望の応答(例えば、有効な応答)を提供するように調整される。
別の実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、1回以上の投与サイクルの間投与される。一実施形態では、治療(例えば、投与サイクル)は、26週間である。一実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は(例えば、投与サイクルの)1日目、15日目、71日目、127日目、及び183日目に1回投与される。別の実施形態では、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、2年間まで(例えば、900mg、2400mg、2700mg、又は3000mgの用量で)投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、患者に(例えば、投与サイクル中)、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、ここで、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、抗C5抗体、又はその抗原結合断片を患者にさらに:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与することを含む。
一実施形態では、C5媒介性GNは、LNである。別の実施形態では、C5媒介性GNは、IgANである。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、抗C5抗体、又はその抗原結合断片を患者にさらに:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与することを含む。
一実施形態では、C5媒介性GNは、LNである。別の実施形態では、C5媒介性GNは、IgANである。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体は、≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体は、体重≧60<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体は、体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、その後体重≧100kgの患者に、2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、抗C5抗体又はその抗原結合断片を、体重≧40~<60kgの患者に:
(a)1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回投与することを含む。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、抗C5抗体又はその抗原結合断片を、体重≧60<100kgの患者に:
(a)1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回投与することを含む。
別の実施形態では、C5媒介性GNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、抗C5抗体又はその抗原結合断片を、体重≧100kgの患者に:
(a)1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与することを含む。
別の実施形態では、LNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、LNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に投与することを含み、変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、LNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に(例えば、投与サイクル中)投与することを含み、抗C5抗体は、≧40kg~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、LNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に(例えば、投与サイクル中)投与することを含み、抗C5抗体は、体重≧60kg~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、LNを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に(例えば、投与サイクル中)投与することを含み、抗C5抗体は、体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、その後体重≧100kgの患者に、2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与される。
別の実施形態では、免疫グロブリンA腎症(IgAN)を有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に(例えば、投与サイクル中)投与することを含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、IgANを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びにヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域を含む、有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者に(例えば、投与サイクル中)投与することを含み、変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、IgANを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、抗C5抗体又はその抗原結合断片を患者にさらに:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
別の実施形態では、IgANを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、体重≧40kg~<60kgの患者に抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
別の実施形態では、IgANを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、体重≧60kg~<100kgの患者に抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
別の実施形態では、IgANを有するヒト患者を治療する方法が提供され、該方法は、体重≧100kgの患者に抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回;及び
(b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
一実施形態では、患者は、以前にエクリズマブで治療されていない。別の実施形態では、患者は、以前にエクリズマブで治療されている。別の実施形態では、患者は、以前にエクリズマブで治療されており、1日目(例えば、投与サイクルの)は、患者のエクリズマブの最終用量から2週間以上である。
一実施形態では、患者は、以前にエクリズマブで治療されていない。別の実施形態では、患者は、以前にエクリズマブで治療されている。別の実施形態では、患者は、以前にエクリズマブで治療されており、1日目(例えば、投与サイクルの)は、患者のエクリズマブの最終用量から2週間以上である。
別の実施形態では、患者は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤又はアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)などのレニン-アンギオテンシン系(RAS)阻害薬で以前に治療されているIgAN患者である。
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト患者におけるLN及び/又はIgANを含むC5媒介性GNを治療するための組成物、例えば医薬組成物又は医薬品の製造における、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片の使用に関し、有効量は、抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与することを含む。
いくつかの実施形態において、抗C5抗体又はその抗原結合断片は、さらに:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト患者におけるLN及び/又はIgANを含むC5媒介性GNを治療するための組成物、例えば医薬組成物又は医薬品の製造における、配列番号19、18及び3を含むHCDR1-3並びに配列番号4、5及び6を含むLCDR1-3を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片の使用に関し、抗C5抗体は、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域をさらに含み、変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む。特に、本開示は、ヒト患者におけるLN及び/又はIgANを含むC5媒介性GNのための組成物、例えば医薬組成物又は医薬品の製造における、例えば、ラブリズマブのHCDR1-3及びLCDR1-3を含む、有効量のラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はその抗原結合断片の使用に関する。
V.結果
患者に抗C5抗体を投与することを含む、患者におけるLN及び/又はIgANを含むC5媒介性GNを治療する方法が本明細書に提供される。
LNの症状としては、例えば、泡沫尿(タンパク尿、尿中の過剰なタンパク質による)、浮腫(例えば、手、足首又は足の)、高血圧(高血圧症)、腎炎症、腎障害、関節痛若しくは腫脹、筋肉痛、原因不明の発熱、血液中の高レベルのクレアチニン、及び/又は赤い発疹(例えば、多くの場合、顔面、鼻及び頬を横切って、時にはその形状のために蝶形発疹と呼ばれる)が挙げられるが、これらに限定されない。
IgANの症状としては、例えば、血尿(時には尿をピンク色、暗褐色又はコーラ色にし得る尿中の血液)、浮腫(例えば、手、足首又は足の)、背中側の痛み(側腹痛)、高血圧(高血圧症)、及び/又は泡沫尿(タンパク尿、尿中の過剰なタンパク質による)が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、開示される方法に従って治療される患者は、少なくとも150、155、160、165、170、175、180、185、190、200、205、210、215、220、225、230、240、245、250、255、260、265、270、280、290、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395又は400g/mL以上の抗C5抗体又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。一実施形態では、開示される方法に従って治療される患者は、少なくとも175μg/mL以上の抗C5抗体又はその抗原結合断片の血清トラフ濃度を維持する。
一実施形態では、開示される方法に従って治療される患者は、0.5μg/mL以下(例えば、0.4μg/mL、0.3μg/mL、0.2μg/mL、又は0.1μg/mL以下)の遊離C5濃度を有する。
本明細書で提供される治療方法の有効性は、任意の適切な手段を用いて評価することができる。一実施形態では、治療は、CD163、MCP-1、及びEGFからなる群から選択される1つ以上の腎傷害バイオマーカーの正常レベルへのシフトをもたらす。
別の実施形態では、治療は、sC5b-9、Ba因子、Bb因子、C5a、C3c、C3、C4d、CD68、プロペルジン、補体成分9[C9]、C1q、C5aR、及びクレアチニンからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常レベルへのシフトをもたらす。
別の実施形態では、治療は、ベースラインと比較して推定糸球体濾過率(eGFR)の変化をもたらす。
別の実施形態では、治療は、ベースラインと比較して血清アルブミンの変化をもたらす。
別の実施形態では、治療は、ベースラインと比較してタンパク尿の減少をもたらす。別の実施形態では、患者は、治療前に、推定糸球体濾過速度(eGFR)≧30mL/分/1.73m2及びタンパク尿を有する。別の実施形態では、LN患者のタンパク尿は、1回の24時間の尿収集からの尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)≧1g/gである。別の実施形態では、IgAN患者のタンパク尿は、2回の有効な24時間収集からの平均タンパク質≧1g/24時間である。別の実施形態では、治療は、ベースラインと比較して、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%のタンパク尿の減少をもたらす。別の実施形態では、タンパク尿の減少は、ベースラインと比較して、治療後6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、又は30週間で起こる。別の実施形態では、タンパク尿は、完全な24時間の尿収集によって測定される。
別の実施形態では、治療は、LN患者において、ベースラインと比較して以下の症状の1つ以上の減少又は休止をもたらす:泡沫尿、タンパク尿、浮腫、高血圧、腎炎症、腎障害、関節痛、関節腫脹、筋肉痛、原因不明の発熱、血液中の高レベルのクレアチニン、及び/又は赤い発疹。
別の実施形態では、治療は、LN患者が治療前に活性フレアを有することをもたらす。
別の実施形態では、治療は、LN患者において完全腎応答(CRR)をもたらす。別の実施形態では、CRRは:
(a)2回の24時間尿収集に基づく平均尿タンパク質/クレアチニン比(UPCR)の≦0.5g/gへの減少;
(b)推定糸球体濾過率(eGFR)>60mL/分/1.73m2、又は2つの値の平均に基づくベースライン値からのeGFR減少≧20%なし;及び
(c)治療失敗なし。
別の実施形態では、治療は、IgAN患者において部分腎応答(PRR)をもたらす。別の実施形態では、PRRは:
(a)2回の24時間尿収集の平均に基づくベースライン値と比較してUPCR>50%の減少;
(b)推定糸球体濾過率(eGFR)>60mL/分/1.73m2、又は2つの値の平均に基づくベースライン値からのeGFR減少≧20%なし;及び
(c)治療失敗なし。
別の実施形態では、治療は、LN患者における腎フレアを予防し、ここで:
(a)CRRを達成した患者の腎フレアは、タンパク尿≧1g/gの再現性のある再発であり;
(b)CRRを達成していない患者の腎フレアは:
(i)以下のいずれか1つを含む、ベースラインより>25%高く、又は正常値の上限を上回る血清クレアチニンの再現性のある上昇:
a.ベースラインより≧75%高い再現性のあるタンパク尿;
b.≧5のRBC/高倍率視野(hpf)若しくは新たなRBC円柱(少なくとも2つのサンプルからの現地検査結果に基づく)の増加によって定義されるベースラインと比較した活性尿沈渣の悪化;及び/又は
c.LNクラスIII若しくはIV活性を示す適格性のために使用された生検から新たに実施された腎生検;
(ii)抗C5抗体又はその抗原結合断片の初回用量後に得られた最低の以前の値と比較して、24時間の尿収集からのUPCRの再現性のある倍加である。
別の実施形態では、治療は、LN患者における腎外性SLEフレアを予防し、腎外性SLEフレアは、タンパク尿、血尿、尿細胞円柱、低補体血症、又は抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体レベルの増加によっては説明されない、全身性エリテマトーデス・ナショナル・アセスメントにおけるエストロゲンの全身性エリテマトーデス疾患活動性指数安全性(SELENA)修正(SLEDAI-2K)における≧4点の増加を含む。
別の実施形態では、治療は、IgAN患者において部分寛解(PR)をもたらす。別の実施形態では、PRは、2回の有効な24時間尿収集に基づいて、<1g/24時間の平均タンパク尿を含む。
別の実施形態では、治療は、ベースラインと比較して、IgAN患者における以下の症状のうちの1つ以上の減少又は休止をもたらす:血尿、暗褐色又はコーラ色尿、浮腫、側腹部痛、高血圧、泡沫尿、及び/又はタンパク尿。
別の実施形態では、治療は、欧州クオリティ・オブ・ライフ・ヘルス5項目質問表5レベル(EQ-5D-5L)及び/又は簡易(36)健康調査(SF-36)総スコア(例えば、LN及び/又はIgAN患者について)によって評価される、患者のクオリティ・オブ・ライフの改善をもたらす。
別の実施形態では、治療は、慢性療法の機能評価(FACIT)-疲労スコア(例えば、LN患者について)によって評価される、患者のクオリティ・オブ・ライフの改善をもたらす。
別の実施形態では、治療は、終末補体阻害をもたらす。
別の実施形態では、治療は、有害事象の減少をもたらす。
VI.キット及び単位剤形
抗C5抗体又はその抗原結合断片、例えばラブリズマブ又はBNJ421、及び薬学的に許容される担体を、前述の方法における使用に適合された治療有効量で含有する医薬組成物を含むキットも本明細書に提供される。キットはまた、場合により、施術者(例えば、医師、看護師、又は患者)がその中に含有される組成物を投与して、C5媒介性GN(例えば、LN及び/又はIgAN)を有する患者に組成物を投与することを可能にするための、例えば、投与スケジュールを含む説明書を含むことができる。キットはまた、注射器を含むことができる。
場合により、キットは、上記で提供される方法に従って、単回投与のための、それぞれ有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む単回投与医薬組成物の複数のパッケージを含む。医薬組成物を投与するために必要な器具又はデバイスもまた、キットに含まれ得る。例えば、キットは、ある量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含む1つ以上のプレフィルド注射器を提供し得る。
一実施形態では、ヒト患者におけるC5媒介性GN(例えば、LN及び/又はIgAN)を治療するためのキットは:(a)ある用量の、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインと、配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインとを含む抗C5抗体又はその抗原結合断片;並びに(b)本明細書に記載の方法のいずれかに従って抗C5抗体又はその抗原結合断片を使用するための説明書を含む。
一実施形態では、キットは、ある用量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
別の実施形態では、キットは、ある用量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を含み、抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
(a)体重≧40kg~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
(b)体重≧60kg~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
(c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、投与される。
以下の実施例は、単なる例示であり、本開示を読むことによって多くの変形及び等価物が当業者に明らかになるため、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本出願を通して引用される全ての参考文献、Genbankエントリー、特許及び公開特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
実施例1:増殖性ループス腎炎(LN)又は免疫グロブリンA腎症(IgAN)を有する成人参加者におけるラブリズマブの有効性及び安全性を評価するための第2相二重盲検無作為化プラセボ対照試験
ラブリズマブの第2相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設試験(「ALXN1210 NEPH 202試験」と呼ばれる)を、以下に考察され、実施例2においてさらに詳述されるように、LN又はIgANのいずれかを有する120人の成人参加者(18~75歳)において、標準治療と一致する背景療法に加えて実施する。LNコホートの試験デザインを図1に示す。IgANコホートの試験デザインを図2に示す。
1.目的
両コホートの試験の主要目的は、LN又はIgANの成人参加者におけるタンパク尿を減少させるためのラブリズマブの有効性をプラセボと比較して評価することである。この目的は、ベースラインから26週目までのタンパク尿のパーセンテージ変化に基づいて評価される(各時点での24時間尿収集に基づく)。
両コホートについての副次的目的は、LN又はIgANの成人参加者における腎機臓能の測定値を改善するためのラブリズマブの有効性をプラセボと比較して評価することである(例えば、(1)ベースラインから50週目までのタンパク尿のパーセンテージ変化(各時点での24時間尿収集に基づく)、(2)ベースラインと比較して26週目及び50週目でのタンパク尿の>30%及び>50%減少を有する参加者のパーセンテージ(各時点での24時間尿収集に基づく)、(3)26週目及び50週目でのeGFRのベースラインからの変化、並びに(4)26週目及び50週目での血清C3及びC4濃度の絶対値及びベースラインからの変化)。
LNコホートのみについての副次的目的は、LNの成人参加者における腎機能の測定値を改善するためのラブリズマブの有効性をプラセボと比較して評価することである(例えば、(1)26週目及び50週目でCRRの基準を満たす参加者のパーセンテージ、(2)26週目及び50週目でPRRの基準を満たす参加者のパーセンテージ、(3)スポット尿サンプルで測定したUPCR<0.5g/gまでの時間、(4)14、26及び50週目で7.5mg/日へのコルチコステロイド漸減を達成した参加者のパーセンテージ、(5)50週目までの腎フレアの参加者のパーセンテージ、(6)50週目までの腎外性SLEフレアの参加者のパーセンテージ、(7)50週目までの治療失敗の参加者のパーセンテージ、並びに(8)26週目及び50週目での血清アルブミンの絶対値及びベースラインからの変化)。
IgANコホートのみについての副次的目的は、IgANの成人参加者における腎機能の測定値に対するラブリズマブの有効性をプラセボと比較して評価することである(例えば、26週目及び50週目で部分寛解の基準を満たす参加者のパーセンテージを介して)。
両コホートについてのPK/PD/免疫原性の目的は、LN又はIgANの成人参加者におけるラブリズマブのPK/PDを特徴付けること(例えば、(1)総C5及び遊離C5濃度の絶対値及びベースラインからの経時的な変化、並びに(2)ラブリズマブ濃度の絶対値及びベースラインからの経時的な変化を介して)、並びにLN又はIgANの成人参加者におけるラブリズマブの免疫原性の可能性を特徴付けること(例えば、ADAの経時的な発生率)を含む。
両コホートについての安全性の目的は、LN又はIgANの成人参加者におけるラブリズマブの安全性及び耐容性を特徴付けることである(例えば、AE及びSAEの経時的な発生率を介して)。
両コホートについての探索的目的は、(1)LN又はIgANの成人参加者における血尿に対するラブリズマブの有効性をプラセボと比較して評価すること(例えば、ベースラインから26週目及び50週目までの尿中のRBCの絶対値及びベースラインからの変化によって測定される血尿に対する効果、及び≧10のRBCを有する参加者のパーセンテージ)、(2)ラブリズマブによる治療に基づくLN又はIgANの成人参加者における治療報告結果に基づくクオリティ・オブ・ライフをプラセボと比較して評価すること(例えば、26週目及び50週目のSF-36のベースラインからの変化、並びに26週目及び50週目のEQ-5D-5Lのベースラインからの変化)、(3)LN又はIgANの成人参加者における補体及び自己免疫バイオマーカーを評価すること(例えば、26週目及び50週目の血液、尿及び腎組織におけるバイオマーカーのレベルの絶対値及びベースラインからの変化)。
LNコホートのみについての探索的目的は、(1)探索的有効性エンドポイントにおけるラブリズマブの有効性を評価すること(例えば、CRR及びPRRまでの時間(スポットUPCRを使用)、26週目及び50週目の全腎応答を有する参加者のパーセンテージ(CRR及びPRR)、並びにベースラインからUPCR>50%減少までの時間(スポットUPCRを使用))、(2)参加者報告結果に基づいてクオリティ・オブ・ライフを評価すること(26週目及び50週目でのFACIT疲労スコアのベースラインからの変化)、並びに(3)他の探索的エンドポイントにおけるラブリズマブの有効性を評価すること(26週目及び50週目での抗dsDNA及び抗C1q抗体の絶対値及びベースラインからの変化、並びにベースラインから50週目までの組織学的変化)を含む。
IgANコホートのみについての探索的目的は、探索的有効性エンドポイントにおけるラブリズマブの有効性を評価すること(ベースラインから26週目及び50週目まで計算されたeGFRの勾配)を含む。
2.全体デザイン
これは、ループス腎炎(LN)又はIgANのいずれかの成人参加者(18~75歳)における標準治療と一致する背景療法に加えたラブリズマブの第2相無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験である。全参加者は、補体阻害剤治療に対してナイーブであり、腎生検、eGFR≧30mL/分/1.73m2、及びタンパク尿[1回の24時間尿収集からの尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)≧1g/gとして(LNコホート)、又は2回の有効な24時間収集からの平均タンパク質≧1g/24時間として(IgANコホート)定義される]に基づいて、活性フレアを有するLN又はIgANのいずれかの診断を有する。IgANコホートの参加者は、安定用量の最大耐容RAS阻害薬で治療されており、スクリーニング前に≧3ヶ月間、制御された安定血圧(<140/90mmHg)を有している。
試験は、6週間までのスクリーニング期間、26週間の初期評価期間、24週間の延長期間、及び36週間の治療後追跡期間からなる。従って、全治療期間は50週間であり、全試験期間は86週間までである。
参加者は、スクリーニング期間中、6週間まで適格性についてスクリーニングされる。LN又はIgANのいずれかを有する約120人の成人参加者を本試験に登録する。各疾患コホートについて、参加者60人を無作為に2:1の比で割り当てて、ラブリズマブ又はプラセボ(ラブリズマブ40人、プラセボ20人)を受けるようにする。無作為化は、LNコホートの参加者については、スクリーニング期間の前に、対、スクリーニング期間中に、コルチコステロイド誘導治療が開始されたかどうか、及びIgANコホートの参加者については、スクリーニング期間中の2回の有効な24時間尿収集からの平均タンパク尿(1~2g/日対>2g/日)によって層別化される。
LNコホートの参加者については、全てのスクリーニング臨床検査は、インフォームドコンセントフォーム(ICF)の署名後、できるだけ早く行われる。LNコホートの全参加者は、適格性が確認された後、できるだけ早く無作為化される。
全参加者は、髄膜炎菌ワクチン接種を受ける必要があるが、IgANコホートの参加者については、抗生物質予防を避け、タンパク尿及び血尿に影響を及ぼす可能性のある先天性免疫の誘発を最小限に抑えるために、無作為化の少なくとも14日前に髄膜炎菌ワクチン接種シリーズを開始するためにあらゆる努力を払うべきである。
初期評価期間中、全参加者は、1日目にラブリズマブ又はプラセボの体重ベースの負荷用量を受け、続いて15日目にラブリズマブ又はプラセボの体重ベースの維持用量を受け、その後q8wとなる(表2参照)。全参加者は、試験全体を通して、LN及びIgANの参加者のための標準治療と一致する背景療法を受ける。
24週間の延長期間中、参加者は、治験薬(ラブリズマブ又はプラセボ)を受け続ける:
1.LNコホートの参加者は、延長期間の終了まで、治験薬(ラブリズマブ又はプラセボ)q8wの無作為割り付けを受け続ける。
2.プラセボ群に無作為化されたIgANコホートの参加者は、26週目にラブリズマブの盲検負荷用量を受け、次いで、延長期間の終了までラブリズマブq8wの非盲検の体重ベースの投与を受けるように切り替えられる。
3.ラブリズマブ群に無作為化されたIgANコホートの参加者は、ラブリズマブ900mgの盲検用量を受け、次いで、延長期間の終了までラブリズマブq8wの非盲検の体重ベースの投与を受ける。
36週間の治療後フォローアップ期間中、参加者は、治験責任医師の裁量で標準治療を受け続け、関心のある臨床事象及び腎機能についてモニタリングされる。
治験薬を早期に中止した参加者を含む全参加者を、治験薬の最終用量後8週間まで安全性についてフォローアップする。試験の終了は、治療後フォローアップ期間における最後の参加者の最終来院と定義される。
用量レジメンの妥当性を保証するために、用量確認のための中間薬物動態(PK)/薬力学(PD)分析を、独立した臨床薬理学者によって行う。中間PKは、ラブリズマブで治療された最初の10人の参加者(各疾患特異的コホートにおいて最低3人の参加者)からのマスクされたPK/PDデータを用いて行う。用量調整の場合、以前の用量で治療された参加者は、新たな用量に切り替わり、試験で治療を継続するが、主要有効性分析から除外される。試験力を維持するために代替参加者を登録することができる。
3.選択及び除外基準
試験に参加する資格を得るためには、両コホートの参加者は以下の基準の全てを満たさなければならない。
1.参加者は、インフォームド・コンセントに署名した時点で18歳以上75歳以下でなければならない;
2.スクリーニング時の体重≧40kg;
3.男性又は女性。妊娠の可能性のある女性参加者、男性参加者、及び妊娠の可能性のある女性パートナーを有する男性参加者は、プロトコル定義の避妊ガイダンスに従わなければならない;
4.インフォームド・コンセントができる;
5.髄膜炎菌感染症(N meningitidis)のリスクを低減するために、全参加者は、国/地方のガイドラインに従って無作為化前3年以内又は無作為化時に、血清群A、C、W、Y、及びBからの髄膜炎菌感染に対してワクチン接種を受けなければならない。この要件を満たさない参加者は、国/地域のガイドラインに従って無作為化前に髄膜炎菌感染症に対してワクチン接種され、初回ワクチン接種後2週間未満で無作為化が行われた場合、髄膜炎菌ワクチン接種後少なくとも2週間は、予防的抗生物質を受ける;
6.全参加者は、現在の国/地方のワクチン接種ガイドラインに従って、以前にワクチン接種されていない限り、無作為化の前にインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型(Hib)及び肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)のワクチン接種も受けなければならない;
7.診断に使用される生検からの現地病理報告が利用可能でなければならない
8.SGLT-2阻害剤(例えば、エンパグリフロジン)の参加者は、試験中に用量の計画された変更なしに、≧3ヶ月間、安定用量でなければならない。
さらに、LNコホートに含めるためには、参加者は、以下の基準を満たさなければならない:
1.2019年米国リウマチ学会(ACR)及び欧州リウマチ学会(EULAR)基準によるSLEの臨床診断;
2.2018年改訂ISN/RPS分類の診断(スクリーニング前又はスクリーニング期間中の6ヵ月以内に得られた生検により確認された活動性の限局性又はびまん性増殖性LNクラスIII又はIV。参加者は、クラスV疾患を共発症し得る。デノボ又は再発疾患を有する参加者が適格であり得る;
3.治験責任医師の意見で免疫抑制誘導療法を必要とする/受けているスクリーニング時に臨床的に活性なLN;並びに
4.スクリーニング期間中の1回の24時間尿収集に基づくUPCR≧1g/gのタンパク尿。
さらに、IgANコホートに含めるためには、参加者は、以下の基準を満たさなければならない:
1.スクリーニング期間前又はスクリーニング時間中に得られた腎生検に基づく原発性IgANの確定診断;
2.スクリーニング期間中の2回の完全且つ有効な24時間尿収集における平均タンパク尿≧1g/日;
3.尿ディップスティックに基づく1+血液、又は尿沈渣の≧10の赤血球(RBC)/hpf顕微鏡検査(現地の検査室が実施)によって定義される血尿の存在;
4.試験中に用量の予想される変化を伴わない、スクリーニング前3カ月以上にわたる、最大許容又は耐容ACE阻害剤及び/又はアンギオテンシン受容体遮断薬用量を含むRAS阻害剤治療の安定且つ最適用量の遵守;
5.過去3ヵ月間の制御され且つ安定な血圧<140/90mmHg。
以下の基準のいずれかが適用される場合、両コホートの参加者は、試験から除外される。
1.CKD-EPIにより計算したスクリーニング中の推定GFR<30mL/分/1.73m2;
2.スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中の直近の腎生検での糸球体における50%以上の間質性線維症、尿細管萎縮、糸球体硬化症、又は半月体形成;
3.スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中の直近の生検でのLN又はIgAN以外の有意な腎疾患の併発;
4.腎臓移植の病歴又は治療期間中に計画された腎臓移植;
5.他の固形臓器(心臓、肺、小腸、膵臓、肝臓)若しくは骨髄移植の既往歴;又は治療期間中に計画された移植;
6.脾摘出又は機能性無脾症;
7.治験責任医師の意見で、試験への参加者の完全な参加を妨げ、参加者に追加的なリスクをもたらし、又は参加者の評価若しくは試験の結果を混乱させる可能性のある既知の医学的又は心理的状態又は危険因子;
8.スクリーニング期間開始前1年以内の薬物又はアルコール乱用又は依存の既往又は疑い;
9.再発の証拠のない治療を受けた非黒色腫皮膚癌又は子宮頸部上皮内癌を除き、スクリーニングから5年以内の悪性腫瘍の病歴;
10.B型肝炎又はC型肝炎ウイルス感染の既知の病歴;
11.HIV感染の既知の病歴(HIV 1型又は2型[HIV 1、HIV 2]抗体によって証明される);
12.絶対好中球数1.3×103/μL未満、血小板減少(血小板数50,000/mm3未満)の骨髄不全;
13.無作為化前14日以内の活性全身性細菌、ウイルス、又は真菌感染;
14.髄膜炎菌感染の病歴;
15.標準治療の背景療法を受けられない、又は耐えられない;
16.スクリーニング前6ヵ月以内にベリムマブ又はリツキシマブを含むが、これらに限定されない生物学的製剤を投与;
17.以前に補体阻害剤(例えば、エクリズマブ)を時間投与された;
18.本治験の1日目の治験薬投与開始前30日以内又は治験薬の半減期が5倍以内のいずれか長い期間内に他の治験薬又は治験機器の治験に参加すること
19.妊娠中、授乳中、又は試験期間中に妊娠しようとする場合。
さらに、LNコホートからの参加者は、以下の基準のいずれ癌適用される場合、試験から除外される。
1.適格性のために使用された適格腎生検後に以下の治療のいずれかを受けた参加者:シクロホスファミド≦6ヶ月のスクリーニング、カルシニューリン阻害剤≦3ヶ月のスクリーニング、IVメチルプレドニゾロンの累積用量>3g、ミコフェノール酸モフェチル>2g/日(又は同等物)の連続4週間以上の累積用量、又は連続4週間以上の経口コルチコステロイド≧0.5mg/kg/日;
2.クリーニング期間中の2回以上の測定でコントロール不良の高血圧(収縮期血圧>160又は拡張期血圧>110mmHg);又は
3.臨床的に活動性のSLE関連脳炎、発作、心膜炎、脳卒中、又は治療を必要とする脳卒中症候群。
さらに、IgANコホートからの参加者は、以下の基準のいずれ癌適用される場合、試験から除外される。
1.スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中の3ヶ月間にわたるeGFR損失≧30%によって測定される急速進行性糸球体腎炎の診断;
2.IgANの二次的病因(例えば、SLE、肝硬変、セリアック病);
3.治療を必要とする臨床的に活性なヘノッホ-シェーンライン紫斑病(IgA血管炎)
4.プレドニゾン又はプレドニゾン等価物>20mg、連続14日以上、又はスクリーニングから6カ月以内の他の免疫抑制;
5.スクリーニング期間中に140/90mmHg以上の血圧が30分以上離れた2つの測定値で確認された場合;又は
6.ボディマスインデックス≧35。
4.治験薬
ラブリズマブは、pH7.0で処方され、30mLの単回使用バイアルで供給される。ラブリズマブの各バイアルは、10mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、及び注射用水中に300mgのラブリズマブ(10mg/mL)を含む。比較製品(プラセボ)は、同じ緩衝成分を有するが、活性成分を含まない、適合する無菌の透明な無色の溶液として処方される。さらなる詳細を表1に示す。
投与レジメン(表2)は、負荷用量、続いてq8wで投与される維持投与からなる。維持投与は、負荷用量投与の2週間後に開始される。体重ベースの投与は、注入来院日に記録された参加者の体重に基づく。注入当日の体重が得られない場合は、直前の来院時に記録された体重を用いることができる。
予定された投与来院時に、治験薬は、投与後サンプル収集(PK/PD/バイオマーカー)を除いて、全ての他の試験及び手順が完了した後に投与される。
初期評価期間(1日目~26週目)中、各コホートの参加者は、ラブリズマブ又はプラセボの盲検用量を受けるように2:1に無作為化される。
・ ラブリズマブ群:参加者は、1日目にラブリズマブの盲検負荷用量をIV注入により受け、次いで2週目に盲検維持用量を受け、その後、初回評価期間の終了までq8wで受ける
・ プラセボ群の参加者は、1日目に盲検一致プラセボ用量をIV注入により受け、次いで2週目に盲検一致プラセボ用量を受け、その後、初回評価期間の終了までq8wで受ける。
延長期間(26週目~50週目)中、LNコホートの参加者は、同じ維持レジメンを継続する。IgANコホートでは、プラセボ群の参加者は、26週目にラブリズマブの盲検負荷用量を受けるように切り替え、ラブリズマブ群の参加者は、26週目に900mgの盲検ラブリズマブ用量を受ける。28週目から開始して、IgANコホートの全参加者は、延長期間の終了まで、非盲検の体重ベースの用量のラブリズマブ(表3)q8wを受ける。
5.LNコホートに対する背景療法
試験期間中、LNコホートの参加者は、LNの導入及び維持治療の標準治療と一致する背景療法を受ける。
スクリーニング前にコルチコステロイド導入治療を開始していない参加者の場合:
1.参加者は、スクリーニング期間中(1日目の前)に1つ又は複数の分割用量で投与されるメチルプレドニゾロンIV 1gの累積用量を受ける。
2.スクリーニング期間中及び2日目までに、全参加者はプレドニゾン又はプレドニゾン等価物0.5mg/kg/日と共に経口コルチコステロイドを受ける。許容される開始最小及び最大用量は、それぞれ、30mg/日及び60mg/日である。コルチコステロイドの漸減は、表4に概略されるように、2週目(14日目)に開始する。
3.スクリーニング期間中及び1日目までに、参加者は、スクリーニング期間中及び1日目までのIVメチルプレドニゾロンの完了後の任意の時間に、MMFの1~1.5g/日の累積用量を受ける。用量は、複数の分割用量で投与することができる。参加者は、1~1.5g/日を1週間受け続ける。
4.1~1.5g/日を1週間受けた後、治験責任医師の裁量により、用量を4週目(28日目)までに2~2.5g/日のMMFの累積用量に増加させる。用量は、複数の分割用量で投与することができる。参加者は、2~2.5g/日のMMFを最低50週間受け続け、その後、治験責任医師の判断及びKDIGO臨床ガイドライン(KDIGO Clinical practice guideline for glomerulonephritis.Kidney International Supplements.2012;2(2):1400)に基づいて減少させ又は中止することができる。
スクリーニング前にコルチコステロイド導入治療を開始し、除外基準を満たさない参加者の場合:
1.参加者がすでにメチルプレドニゾロンIV≧1g又は同等物を受けており、スクリーニング前にMMF≧2g/日を受けている場合、メチルプレドニゾロンIVは付与されず、MMFは、最低50週間、現在の用量で継続され、その後、治験責任医師の判断及びKDIGO臨床ガイドラインに基づいて、減少し又は中止され得る。
2.参加者がすでにメチルプレドニゾロンIV≧1g又は同等物を受けており、MMF<2g/日を受けている場合、メチルプレドニゾロンIVは付与されず、MMF用量は、スクリーニング期間中(1日目まで)、1~1.5g/日の累積用量に増加される。参加者は、1~1.5g/日を1週間受け続け、その後、治験責任医師の裁量によりMMF用量を増加させて、4週目(28日目)までに2~2.5g/日に到達させる。これらの用量は、複数の分割用量で投与することができる。参加者は、最低50週間、2~2.5g/日を受け続け、その後、治験責任医師の判断及びKDIGO臨床ガイドラインに基づいて減少させ又は中止することができる。
3.参加者がすでにプレドニゾン又はプレドニゾン等価物を受けている場合、用量は2日目まで継続され、その時点で0.5mg/kg/日が投与されるべきである(許容される最小用量及び最大用量は、それぞれ30mg/日及び60mg/日である)。プレドニゾンの用量は、2週目(14日目)から表のスケジュールに従って漸減される。
MMF投与に関するその他の考慮事項:
1.MMFの代わりに、等価用量の腸溶コーティングミコフェノール酸ナトリウム(MPS)を使用することができる(即ち、360mg用量のMPSは、500mg用量のMMFと等価である)
2.治験責任医師は、寛容又はAEによりMMFの投与量を調整することができる。症状が消失した後、治験責任医師は、MMF(又は同等物)を目標レベルまで増加させることを試みることができる。症状が再発する場合、参加者は最高耐容用量で継続される。
3.MMFの用量の変更及び妥当性を、CRFに記載する。
コルチコステロイドの漸減に関するその他の考慮事項:
1.全参加者は、14日目に開始して、予定されたコルチコステロイドの漸減を有する。参加者は、用量が12週目までに7.5mg/日になるまで、10週間にわたりベースライン体重に従ってプレドニゾン用量を減少させる(表4)。
2.腎フレア又は腎外性SLEフレア以外の理由による予定されたコルチコステロイドの漸減からの逸脱は、解釈を混乱させるため、漸減スケジュールに従うようにあらゆる試みを行うべきである。
3.治験責任医師の意見により、2週目後にコルチコステロイドの漸減を開始するには、疾患が臨床的に活性が高すぎる場合、参加者は、さらに28日間まで、最初のコルチコステロイド用量を受け続けることができる。同様に、漸減を開始し、疾患が臨床的に活性が高く、漸減を続けることができない参加者は、さらに28日間まで、達成された同じ漸減用量を維持することができる。12週目までにコルチコステロイドの漸減が達成されなかったことは、治療失敗とみなされず、副次的エンドポイントとして捕捉される。
4.しかしながら、プレドニゾンの用量は、参加者が腎フレア及び/又は重度の腎外性SLEフレアのプロトコル定義の基準を満たさない限り、達成された漸減用量を超えて増加させることはできない。この場合、参加者は、救助療法を受け、治療失敗として含められる。
6.IgANコホートの背景療法
IgANコホートの参加者のための背景療法は、標準治療と一致し、最大耐用量のACE阻害剤又はARBなどのRAS遮断薬を含む。背景治療は、試験の治療期間を通して安定に保たれる。
7.LNコホートの救助療法
LNコホートの参加者は、プロトコル定義の腎フレア又は重度の腎外性SLEフレアの場合、救助療法を受ける。救助療法は、現在の標準治療の強化又は新たな免疫抑制療法の導入として定義される。
救助療法の具体的な選択は、一般に、治験責任医師の裁量による。しかしながら、プロトコル定義の腎フレア及び重度の腎外性SLEフレアに対するコルチコステロイド投与に関する以下のガイドラインを、治療の一貫性を維持するために考慮するべきである:
1.プロトコル定義の腎フレアの参加者は、プレドニゾンで最大0.5mg/kg/日(60mg/日を超えない)で最大2週間治療することができる。その後、プレドニゾンを、最初のプレドニゾン増加後6週間以内に、週1回、10mg/日に漸減することができる。プレドニゾンは、さらに、治験責任医師の裁量により7.5mg/日に漸減することができる。
2.重度の腎外性SLEフレアの参加者は、プレドニゾンで最大1mg/kg/日(60mg/日を超えない)で最大2週間治療することができる。その後、プレドニゾンを2週間ごとに漸減して、最初のコルチコステロイド増加後12週間以内に7.5mg/日を達成する。
3.消化管の関与が経口コルチコステロイド使用を一時的に妨げる場合、等価な用量の静脈内コルチコステロイドが可能であり得る。
以下の場合には、プレドニゾン≧10mg(≦14日間)は救助療法とはみなされない:(1)腎フレアのプロトコル定義基準を満たさない腎フレア、(2)>14日間のプレドニゾン>10mg若しくは等価物を必要としない腎外性SLEフレア、又は治験責任医師の意見による新たな免疫抑制薬の導入;及び(3)他の医学的状態又は手術。
8.併用療法
試験中の参加者のケア、又は任意のAEの治療に必要と考えられる任意の医薬又は治療(市販薬又は処方薬、ワクチン、ビタミン、及び/又はハーブサプリメントを含む)を、治験責任医師の裁量で与えることができる。
試験中に適切な血圧制御が達成されない場合、参加者は追加の降圧剤を受けることができるが、試験中にタンパク尿に影響を及ぼす薬剤は受けない。腎機能への有害作用の可能性があるため、NSAIDは試験中に開始しないことが推奨される。しかしながら、症状の制御に必要であれば、それらを使用してもよい。
LNコホートの参加者の場合、(1)治験責任医師の裁量によりニューモシスチス肺炎の予防が可能である、(2)禁忌でない限り、ヒドロキシクロロキンなどの抗マラリア剤による治療、及び(3)試験中、骨粗鬆症の予防及び治療のための措置が強く奨励される;これらの措置には、以下のいずれか又は全てが含まれ得る:炭酸カルシウム又はクエン酸カルシウム、ビタミンD、及びビスホスホネート。
両コホートの参加者は、試験参加の全期間中、以下の医薬及び治療のいずれかを受けることが禁止される:(1)実験的介入又は治療、(2)エクリズマブ、並びに(3)SGLT-2阻害剤及び直接レニン拮抗薬。
参加者が禁止薬及び/又は禁止療法を受けた場合、参加者は、SGLT-2阻害剤及び直接レニン拮抗薬を除いて、治験薬を中止するべきである(SGLT-2阻害剤及び直接レニン拮抗薬は、禁止されるが、治験責任医師及び医学モニターの議論及び承認に基づいて、治験薬の中止を必要としない場合がある)。
IgANコホートの参加者はまた、試験参加の全期間中、以下の医薬及び治療のいずれかを受けることが禁止される:(1)ヒドロキシクロロキン、(2)免疫抑制剤(例えば、MMF)、及び(3)>14日間の連続した全身性コルチコステロイド(IgAN又は手術に関連しない医学的状態について≦14日間の短期ステロイド経過が許可される)。
実施例2:増殖性ループス腎炎(LN)又は免疫グロブリンA腎症(IgAN)の成人参加者におけるラブリズマブの有効性及び安全性を評価するための第2相二重盲検無作為化プラセボ対照試験のさらなる詳細
ラブリズマブの第2相無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験(「ALXN1210 NEPH 202試験」と呼ばれる)は、標準治療と一致する背景療法に加えて、LN又はIgANのいずれかの成人参加者120人(18~75歳)で実施される。LNコホートの試験デザインを図1に示す。IgANコホートの試験デザインを図2に示す。
1.全体デザイン
ALXN1210 NEPH 202試験は、LN又はIgANのいずれかの成人参加者120人(18~75歳)における標準治療と一致する背景療法に加えたラブリズマブの第2相無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験である。全参加者は、補体阻害剤治療に対してナイーブであり、腎生検、推定糸球体濾過率(eGFR)≧30mL/分/1.73m2、及びタンパク尿[1回の24時間尿収集からの尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)≧1g/gとして(LNコホート)、又は2回の有効な24時間収集からの平均タンパク質≧1g/24時間として(IgANコホート)定義される]に基づいて、活性フレアを有するLN又はIgANのいずれかの診断を有する。IgANコホートの参加者は、安定用量の最大耐容レニン-アンギオテンシン系(RAS)阻害薬で治療されており、スクリーニング前に≧3ヶ月間、制御された安定血圧(<140/90mmHg)を有している。
各疾患コホートの約60人の参加者を、ラブリズマブ又はプラセボを受けるように2:1の比で無作為に割り当てる(40人のラブリズマブ、20人のプラセボ)。無作為化は、LNコホートの参加者については、スクリーニング期間の前に、対、スクリーニング期間中に、コルチコステロイド誘導治療が開始されたかどうか、及びIgANコホートの参加者については、スクリーニング期間中の2回の有効な24時間尿収集からの平均タンパク尿(1~2g/日対>2g/日)によって層別化される。
試験は、6週間までのスクリーニング期間、26週間の初期評価期間、24週間の延長期間、及び36週間のフォローアップ期間からなる。
初期評価期間中、全参加者は、1日目にラブリズマブ又はプラセボの体重ベースの負荷用量を受け、続いて15日目にラブリズマブ又はプラセボの維持用量を受け、その後8週間に1回(q8w)となる。負荷及び維持用量は、表2に示されるように、体重に基づいて決定される。全参加者は、試験全体を通して、LN及びIgANの参加者のための標準治療と一致する背景療法を受ける。
24週間の延長期間中、LNコホートの参加者は、治験薬(ラブリズマブ又はプラセボ)q8wの無作為割り付けを受け続ける。IgANコホートの場合、プラセボ群の参加者は、26週目にラブリズマブの盲検負荷用量を受け、ラブリズマブ群の参加者は、26週目に900mgの盲検ラブリズマブ用量を受ける。28週目から開始して、IgANコホートの全参加者は、延長期間の終了まで、ラブリズマブq8wの非盲検の体重ベースの用量を受ける。
36週間の治療後フォローアップ期間中、全参加者は、標準治療を受け続け、安全性、関心のある臨床事象、及び腎機能についてモニタリングされる。治験薬を早期に中止した参加者を含む全参加者を、治験薬の最終用量後8週間まで安全性についてフォローアップする。試験の終了は、治療後フォローアップ期間における最後の参加者の最終来院と定義される。
用量レジメンの妥当性を保証するために、用量確認のための中間薬物動態(PK)/薬力学(PD)分析を、独立した臨床薬理学者によって行う。中間PKは、ラブリズマブで治療された最初の10人の参加者(各疾患特異的コホートにおいて最低3人の参加者)からのマスクされたPK/PDデータを用いて行う。用量調整の場合、以前の用量で治療された参加者は、新たな用量に切り替わり、試験で治療を継続するが、主要有効性分析から除外される。試験力を維持するために代替参加者を登録することができる。
開示声明:これは、参加者、治験責任医師、及び結果評価者が盲検化された2つの治療のうちの1つに無作為に割り当てられた参加者の2つの疾患コホートによる並行群間治療試験である。
参加者数:約120人の成人参加者が無作為化される。これは、LNコホートにおける約60人の参加者及びIgANコホートにおける約60人の参加者を含む。
適格な参加者を試験に登録し、ラブリズマブIV注入又はプラセボIV注入のいずれかを背景療法と組み合わせて受けるように、2:1の比で無作為化する。
ラブリズマブは、市販の生理食塩水に希釈することにより、IV注入による投与のために設計された、単回使用バイアル中の無菌の保存剤を含まない10mg/mL溶液として供給される(0.9%塩化ナトリウム注射液)。投与量は、表2に示されるように、参加者の体重に基づく。
2.活動スケジュール
初期評価期間(26週目(183日目)来院までのスクリーニング)の活動スケジュールを、LNコホートについては表5に、IgANコホートについては表6に示す。
延長期間の活動スケジュールを、LNコホートについては表7に、IgANコホートについては表8に示す。
両コホートの治療後フォローアップの活動スケジュールを表9に示す。
3.エンドポイントの目的の概要
両コホートの試験の主要目的は、LN又はIgANの成人参加者におけるタンパク尿を減少させるためのラブリズマブの有効性をプラセボと比較して評価することである。この目的は、ベースラインから26週目までのタンパク尿のパーセンテージ変化に基づいて評価される(各時点での24時間の尿収集に基づく)。
両コホートについての副次的目的は、LN又はIgANの成人参加者における腎機能の測定値を改善するためのラブリズマブの有効性をプラセボと比較して評価することである(例えば、(1)ベースラインから50週目までのタンパク尿のパーセンテージ変化(各時点での24時間尿収集に基づく)、(2)ベースラインと比較して26週目及び50週目でのタンパク尿の>30%及び>50%減少を有する参加者のパーセンテージ(各時点での24時間尿収集に基づく)、(3)26週目及び50週目でのeGFRのベースラインからの変化、並びに(4)26週目及び50週目での血清C3及びC4濃度の絶対値及びベースラインからの変化)。
LNコホートのみについての副次的目的は、LNの成人参加者における腎機能の測定値を改善するためのラブリズマブの有効性をプラセボと比較して評価することである(例えば、(1)26週目及び50週目でCRRの基準を満たす参加者のパーセンテージ、(2)26週目及び50週目でPRRの基準を満たす参加者のパーセンテージ、(3)スポット尿サンプルで測定したUPCR<0.5g/gまでの時間、(4)14、26及び50週目で7.5mg/日へのコルチコステロイド漸減を達成した参加者のパーセンテージ、(5)50週目までの腎フレアの参加者のパーセンテージ、(6)50週目までの腎外性SLEフレアの参加者のパーセンテージ、(7)50週目までの治療失敗の参加者のパーセンテージ、並びに(8)26週目及び50週目での血清アルブミンの絶対値及びベースラインからの変化)。
IgANコホートのみについての副次的目的は、IgANの成人参加者における腎機能の測定値に対するラブリズマブの有効性をプラセボと比較して評価することである(例えば、26週目及び50週目で部分寛解の基準を満たす参加者のパーセンテージを介して)。
両コホートについてのPK/PD/免疫原性の目的は、LN又はIgANの成人参加者におけるラブリズマブのPK/PDを特徴付けること(例えば、(1)総C5及び遊離C5濃度の絶対値及びベースラインからの経時的な変化、並びに(2)ラブリズマブ濃度の絶対値及びベースラインからの経時的な変化を介して)、並びにLN又はIgANの成人参加者におけるラブリズマブの免疫原性の可能性を特徴付けること(例えば、ADAの経時的な発生率)を含む。
両コホートについての安全性の目的は、LN又はIgANの成人参加者におけるラブリズマブの安全性及び耐容性を特徴付けることである(例えば、AE及びSAEの経時的な発生率を介して)。
両コホートについての探索的目的は、(1)LN又はIgANの成人参加者における血尿に対するラブリズマブの有効性をプラセボと比較して評価すること(例えば、ベースラインから26週目及び50週目までの尿中のRBCの絶対値及びベースラインからの変化によって測定される血尿に対する効果、及び≧10のRBCを有する参加者のパーセンテージ)、(2)ラブリズマブによる治療に基づくLN又はIgANの成人参加者における治療報告結果に基づくクオリティ・オブ・ライフをプラセボと比較して評価すること(例えば、26週目及び50週目のSF-36のベースラインからの変化、並びに26週目及び50週目のEQ-5D-5Lのベースラインからの変化)、(3)LN又はIgANの成人参加者における補体及び自己免疫バイオマーカーを評価すること(例えば、26週目及び50週目の血液、尿及び腎組織におけるバイオマーカーのレベルの絶対値及びベースラインからの変化)。
LNコホートのみについての探索的目的は、(1)探索的有効性エンドポイントにおけるラブリズマブの有効性を評価すること(例えば、CRR及びPRRまでの時間(スポットUPCRを使用)、26週目及び50週目の全腎応答を有する参加者のパーセンテージ(CRR及びPRR)、並びにベースラインからUPCR>50%減少までの時間(スポットUPCRを使用))、(2)参加者報告結果に基づいてクオリティ・オブ・ライフを評価すること(26週目及び50週目でのFACIT疲労スコアのベースラインからの変化)、並びに(3)他の探索的エンドポイントにおけるラブリズマブの有効性を評価すること(26週目及び50週目での抗dsDNA及び抗C1q抗体の絶対値及びベースラインからの変化、並びにベースラインから50週目までの組織学的変化)を含む。
IgANコホートのみについての探索的目的は、探索的有効性エンドポイントにおけるラブリズマブの有効性を評価すること(ベースラインから26週目及び50週目まで計算されたeGFRの勾配)を含む。
4.エンドポイントの定義
a.腎(LNコホートのみ)
腎フレアは、以下に概略される基準に加えて、治験責任医師の意見において決定される。CRRを達成した参加者にとって、腎フレアは、≧1g/gのタンパク尿の再現性のある再発である。
他の全参加者について、腎フレアは、以下のいずれかである:
ベースラインより>25%高い、又は正常値の上限を超える再現性のある血清クレアチニンの上昇、及び以下のいずれか1つ:ベースラインより≧75%高い再現性のあるタンパク尿、≧5のRBC/高倍率視野(hpf)若しくは新たな赤血球円柱(少なくとも2つのサンプルからの現地検査結果に基づく)の増加によって定義されるベースラインと比較した活性尿沈渣の悪化、又はLNクラスIII若しくはIV活性を示す適格性のために使用された生検から新たに実施された腎生検。
治験薬の初回用量後に得られた最低の以前の値と比較して、24時間の尿収集からのUPCRの再現性のある倍加。
タンパク尿の再現性は、朝のスポット尿収集からのUPCRに基づくタンパク尿が2週間以内に得られた24時間の尿収集で計算されたUPCRによって確認されることを必要とする。
血清クレアチニンの再現性は、2週間以内に2回の血液検査を必要とする。
プロトコル定義の腎フレアの基準を満たす参加者は、救助療法(6.6項に規定)を受ける。治験責任医師又は治験分担医師が医療モニターに腎フレアを通知しなければならない。プロトコル定義の腎フレアの基準を満たさない腎フレアは、医療モニターとの話し合いの後、限られた期間の経口コルチコステロイドの増加(<14日間)で治療することができる。このような治療は救助療法とはみなされず、治療失敗とはみなされない。腎フレア基準は、腎フレア症例報告書(CRF)に記録される。
b.腎外性全身性エリテマトーデスフレア(LNコホートのみ)
腎外性SLEフレアは、タンパク尿、血尿、尿細胞円柱、低補体血症、又は抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体レベルの増加で説明できない、全身性エリテマトーデス・ナショナル・アセスメントにおけるエストロゲンの全身性エリテマトーデス疾患活動性指数安全性(SELENA)修正(SLEDAI-2K)における≧4点の増加として定義される。腎外性SLEフレアの基準を満たすLNコホートの参加者は、治験責任医師が臨床的に適切とみなした場合、救助治療を受けることができる。救助治療が投与された場合、この事象は、重度の腎外性SLEフレアとみなされる。
臨床的に保障される場合、参加者は、非重度の腎外性SLEフレアのために、限られた期間(<14日間)のコルチコステロイド増加を受けることができる。このような治療は救助療法とはみなされず、治療失敗とはみなされない。
c.治療失敗(LNコホートのみ)
治療失敗は、以下の事象のいずれかの発生として定義される:プロトコル定義の腎フレア又は重度の腎外性SLEフレアのための、50週目までの任意の時点での救助療法の受容。
重度の腎外性SLEフレアのプロトコル定義に適合しない腎外性SLEフレア、腎フレアのプロトコル定義に適合しない腎フレア、他の医学的状態又は手術のためのコルチコステロイドの増加は、治療失敗に含まれない。限られた期間のコルチコステロイドの増加(≦14日間)は、救助療法とはみなされない。
治療失敗の基準を満たす参加者は、治験薬を受け続けることができる。
d.完全及び部分腎応答(LNコホートのみ)
完全腎応答及び部分腎応答(PRR)は、26週目及び50週目に評価される。CRRを達成するために、LNコホートの参加者は、以下の基準の3つ全てを満たさなければならない:
(1)試験来院(26週目又は50週目)前の2週間以内に得られた2回の24時間尿収集に基づく≦0.5g/gへの平均UPCRの減少
(2)2つの値の平均に基づいて、推定糸球体濾過率(eGFR)>60mL/分/1.73m2、又はベースライン値からのeGFRの≧20%の減少なし。第1のeGFR値は、試験来院(26週目又は50週目)前の2週間以内に得られなければならず、第2のeGFR値は、試験来院(26週目又は50週目)で得られる。
(3)治療失敗なし。
PRRを達成するために、LNコホートの参加者は、以下の基準の3つ全てを満たさなければならない:
(1)試験来院(26週目又は50週目)前の2週間以内に得られた2回の24時間尿収集の平均に基づいて、ベースライン値と比較して>50%のUPCRの減少;
(2)2つの値の平均に基づいて、推定糸球体濾過率(eGFR)>60mL/分/1.73m2、又はベースライン値からのeGFRの≧20%の減少なし。第1のeGFR値は、試験来院(26週目又は50週目)前の2週間以内に得られなければならず、第2のeGFR値は、試験来院(26週目又は50週目で得られる。
(3)治療失敗なし。
e.部分寛解(IgANコホートのみ)
部分寛解は、試験来院(26週目又は50週目)前の2週間以内に得られた2回の有効な24時間尿収集に基づいて、<1g/24時間の平均タンパク尿として定義される。
5.選択及び除外基準
試験に参加する資格を得るためには、両コホートの参加者は以下の基準の全てを満たさなければならない。
1.参加者は、インフォームド・コンセントに署名した時点で18歳以上75歳以下でなければならない;
2.スクリーニング時の体重≧40kg;
3.男性又は女性。妊娠の可能性のある女性参加者、男性参加者、及び妊娠の可能性のある女性パートナーを有する男性参加者は、プロトコル定義の避妊ガイダンスに従わなければならない;
4.インフォームド・コンセントができる;
5.髄膜炎菌感染症(N meningitidis)のリスクを低減するために、全参加者は、国/地方のガイドラインに従って無作為化前3年以内又は無作為化時に、血清群A、C、W、Y、及びBからの髄膜炎菌感染に対してワクチン接種を受けなければならない。この要件を満たさない参加者は、国/地域のガイドラインに従って無作為化前に髄膜炎菌感染症に対してワクチン接種され、初回ワクチン接種後2週間未満で無作為化が行われた場合、髄膜炎菌ワクチン接種後少なくとも2週間は、予防的抗生物質を受ける;
6.全参加者は、現在の国/地方のワクチン接種ガイドラインに従って、以前にワクチン接種されていない限り、無作為化の前にインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型(Hib)及び肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)のワクチン接種も受けなければならない;
7.診断に使用される生検からの現地病理報告が利用可能でなければならない
8.SGLT-2阻害剤(例えば、エンパグリフロジン)の参加者は、試験中に用量の計画された変更なしに、≧3ヶ月間、安定用量でなければならない。
さらに、LNコホートに含めるためには、参加者は、以下の基準を満たさなければならない:
1.2019年米国リウマチ学会(ACR)及び欧州リウマチ学会(EULAR)基準によるSLEの臨床診断;
2.2018年改訂ISN/RPS分類の診断(スクリーニング前又はスクリーニング期間中の6ヵ月以内に得られた生検により確認された活動性の限局性又はびまん性増殖性LNクラスIII又はIV。参加者は、クラスV疾患を共発症し得る。デノボ又は再発疾患を有する参加者が適格であり得る;
3.治験責任医師の意見で免疫抑制誘導療法を必要とする/受けているスクリーニング時に臨床的に活性なLN;並びに
4.スクリーニング期間中の1回の24時間尿収集に基づくUPCR≧1g/gのタンパク尿。
さらに、IgANコホートに含めるためには、参加者は、以下の基準を満たさなければならない:
1.スクリーニング期間前又はスクリーニング時間中に得られた腎生検に基づく原発性IgANの確定診断;
2.スクリーニング期間中の2回の完全且つ有効な24時間尿収集における平均タンパク尿≧1g/日;
3.尿ディップスティックに基づく1+血液、又は尿沈渣の≧10の赤血球(RBC)/hpf顕微鏡検査(現地の検査室が実施)によって定義される血尿の存在;
4.試験中に用量の予想される変化を伴わない、スクリーニング前3カ月以上にわたる、最大許容又は耐容ACE阻害剤及び/又はアンギオテンシン受容体遮断薬用量を含むRAS阻害剤治療の安定且つ最適用量の遵守;
5.過去3ヵ月間の制御され且つ安定な血圧<140/90mmHg。
以下の基準のいずれかが適用される場合、両コホートの参加者は、試験から除外される。
1.CKD-EPIにより計算したスクリーニング中の推定GFR<30mL/分/1.73m2;
2.スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中の直近の腎生検での糸球体における50%以上の間質性線維症、尿細管萎縮、糸球体硬化症、又は半月体形成;
3.スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中の直近の生検でのLN又はIgAN以外の有意な腎疾患の併発;
4.腎臓移植の病歴又は治療期間中に計画された腎臓移植;
5.他の固形臓器(心臓、肺、小腸、膵臓、肝臓)若しくは骨髄移植の既往歴;又は治療期間中に計画された移植;
6.脾摘出又は機能性無脾症;
7.治験責任医師の意見で、試験への参加者の完全な参加を妨げ、参加者に追加的なリスクをもたらし、又は参加者の評価若しくは試験の結果を混乱させる可能性のある既知の医学的又は心理的状態又は危険因子;
8.スクリーニング期間開始前1年以内の薬物又はアルコール乱用又は依存の既往又は疑い;
9.再発の証拠のない治療を受けた非黒色腫皮膚癌又は子宮頸部上皮内癌を除き、スクリーニングから5年以内の悪性腫瘍の病歴;
10.B型肝炎又はC型肝炎ウイルス感染の既知の病歴;
11.HIV感染の既知の病歴(HIV 1型又は2型[HIV 1、HIV 2]抗体によって証明される);
12.絶対好中球数1.3×103/μL未満、血小板減少(血小板数50,000/mm3未満)の骨髄不全;
13.無作為化前14日以内の活性全身性細菌、ウイルス、又は真菌感染;
14.髄膜炎菌感染の病歴;
15.標準治療の背景療法を受けられない、又は耐えられない;
16.スクリーニング前6ヵ月以内にベリムマブ又はリツキシマブを含むが、これらに限定されない生物学的製剤を投与;
17.以前に補体阻害剤(例えば、エクリズマブ)を時間投与された;
18.本治験の1日目の治験薬投与開始前30日以内又は治験薬の半減期が5倍以内のいずれか長い期間内に他の治験薬又は治験機器の治験に参加すること
19.妊娠中、授乳中、又は試験期間中に妊娠しようとする場合。
さらに、LNコホートからの参加者は、以下の基準のいずれ癌適用される場合、試験から除外される。
1.適格性のために使用された適格腎生検後に以下の治療のいずれかを受けた参加者:シクロホスファミド≦6ヶ月のスクリーニング、カルシニューリン阻害剤≦3ヶ月のスクリーニング、IVメチルプレドニゾロンの累積用量>3g、ミコフェノール酸モフェチル>2g/日(又は同等物)の連続4週間以上の累積用量、又は連続4週間以上の経口コルチコステロイド≧0.5mg/kg/日;
2.クリーニング期間中の2回以上の測定でコントロール不良の高血圧(収縮期血圧>160又は拡張期血圧>110mmHg);又は
3.臨床的に活動性のSLE関連脳炎、発作、心膜炎、脳卒中、又は治療を必要とする脳卒中症候群。
さらに、IgANコホートからの参加者は、以下の基準のいずれ癌適用される場合、試験から除外される。
1.スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中の3ヶ月間にわたるeGFR損失≧30%によって測定される急速進行性糸球体腎炎の診断;
2.IgANの二次的病因(例えば、SLE、肝硬変、セリアック病);
3.治療を必要とする臨床的に活性なヘノッホ-シェーンライン紫斑病(IgA血管炎)
4.プレドニゾン又はプレドニゾン等価物>20mg、連続14日以上、又はスクリーニングから6カ月以内の他の免疫抑制;
5.スクリーニング期間中に140/90mmHg以上の血圧が30分以上離れた2つの測定値で確認された場合;又は
6.ボディマスインデックス≧35。
6.治験薬
ラブリズマブはpH7.0で処方され、30mLの単回使用バイアルで供給される。ラブリズマブの各バイアルは、10mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、及び注射用水中に300mgのラブリズマブ(10mg/mL)を含む。比較製品(プラセボ)は、同じ緩衝成分を有するが活性成分を含まない、適合する無菌の透明な無色の溶液として処方される。さらなる詳細を表1に示す。
投与レジメン(表2)は、負荷用量、続いてq8wで投与される維持投与からなる。維持投与は、負荷用量投与の2週間後に開始される。体重ベースの投与は、注入来院日に記録された参加者の体重に基づく。注入当日の体重が得られない場合は、直前の来院時に記録された体重を用いることができる。
予定された投与来院時に、治験薬は、投与後サンプル収集(PK/PD/バイオマーカー)を除いて、全ての他の試験及び手順が完了した後に投与される。
初期評価期間(1日目~26週目)の間、各コホートの参加者は、ラブリズマブ又はプラセボの盲検用量を受けるように2:1に無作為化される。
・ ラブリズマブ群:参加者は、1日目にラブリズマブの盲検負荷用量をIV注入により受け、次いで2週目に盲検維持用量を受け、その後、初回評価期間の終了までq8wで受ける
・ プラセボ群の参加者は、1日目に盲検一致プラセボ用量をIV注入により受け、次いで2週目に盲検一致プラセボ用量を受け、その後、初回評価期間の終了までq8wで受ける。
延長期間(26週目~50週目)中、LNコホートの参加者は、同じ維持レジメンを継続する。IgANコホートでは、プラセボ群の参加者は、26週目にラブリズマブの盲検負荷用量を受けるように切り替え、ラブリズマブ群の参加者は、26週目に900mgの盲検ラブリズマブ用量を受ける。28週目から開始して、IgANコホートの全参加者は、延長期間の終了まで、非盲検の体重ベースの用量のラブリズマブ(表3)q8wを受ける。
7.LNコホートの背景療法
試験期間中、LNコホートの参加者は、LNの導入及び維持治療の標準治療と一致する背景療法を受ける。
スクリーニング前にコルチコステロイド導入療法を開始していない参加者の場合:
1.参加者は、スクリーニング期間中(1日目の前)に1つ又は複数の分割用量で投与されるメチルプレドニゾロンIV 1gの累積用量を受ける。
2.スクリーニング期間中及び2日目までに、全参加者はプレドニゾン又はプレドニゾン等価物0.5mg/kg/日と共に経口コルチコステロイドを受ける。許容される開始最小及び最大用量は、それぞれ、30mg/日及び60mg/日である。コルチコステロイドの漸減は、表4に概略されるように、2週目(14日目)に開始する。
3.スクリーニング期間中及び1日目までに、参加者は、スクリーニング期間中及び1日目までのIVメチルプレドニゾロンの完了後の任意の時間に、MMFの1~1.5g/日の累積用量を受ける。用量は、複数の分割用量で投与することができる。参加者は、1~1.5g/日を1週間受け続ける。
4.1~1.5g/日を1週間受けた後、治験責任医師の裁量により、用量を4週目(28日目)までに2~2.5g/日のMMFの累積用量に増加させる。用量は、複数の分割用量で投与することができる。参加者は、2~2.5g/日のMMFを最低50週間受け続け、その後、治験責任医師の判断及びKDIGO臨床ガイドライン(KDIGO Clinical practice guideline for glomerulonephritis.Kidney International Supplements.2012;2(2):1400)に基づいて減少させ又は中止することができる。
スクリーニング前にコルチコステロイド導入治療を開始し、除外基準を満たさない参加者の場合:
1.参加者がすでにメチルプレドニゾロンIV≧1g又は同等物を受けており、スクリーニング前にMMF≧2g/日を受けている場合、メチルプレドニゾロンIVは付与されず、MMFは、最低50週間、現在の用量で継続され、その後、治験責任医師の判断及びKDIGO臨床ガイドラインに基づいて、減少し又は中止され得る。
2.参加者がすでにメチルプレドニゾロンIV≧1g又は同等物を受けており、MMF<2g/日を受けている場合、メチルプレドニゾロンIVは付与されず、MMF用量は、スクリーニング期間中(1日目まで)、1~1.5g/日の累積用量に増加される。参加者は、1~1.5g/日を1週間受け続け、その後、治験責任医師の裁量によりMMF用量を増加させて、4週目(28日目)までに2~2.5g/日に到達させる。これらの用量は、複数の分割用量で投与することができる。参加者は、最低50週間、2~2.5g/日を受け続け、その後、治験責任医師の判断及びKDIGO臨床ガイドラインに基づいて減少させ又は中止することができる。
3.参加者がすでにプレドニゾン又はプレドニゾン等価物を受けている場合、用量は2日目まで継続され、その時点で0.5mg/kg/日が投与されるべきである(許容される最小用量及び最大用量は、それぞれ30mg/日及び60mg/日である)。プレドニゾンの用量は、2週目(14日目)から表のスケジュールに従って漸減される。
MMF投与に関するその他の考慮事項:
1.MMFの代わりに、等価用量の腸溶コーティングミコフェノール酸ナトリウム(MPS)を使用することができる(即ち、360mg用量のMPSは、500mg用量のMMFと等価である)
2.治験責任医師は、寛容又はAEによりMMFの投与量を調整することができる。症状が消失した後、治験責任医師は、MMF(又は同等物)を目標レベルまで増加させることを試みることができる。症状が再発する場合、参加者は最高耐容用量で継続される。
3.MMFの用量の変更及び妥当性を、CRFに記載する。
コルチコステロイドの漸減に関するその他の考慮事項:
5.全参加者は、14日目に開始して、予定されたコルチコステロイドの漸減を有する。参加者は、用量が12週目までに7.5mg/日になるまで、10週間にわたりベースライン体重に従ってプレドニゾン用量を減少させる(表4)。
6.腎フレア又は腎外性SLEフレア以外の理由による予定されたコルチコステロイドの漸減からの逸脱は、解釈を混乱させるため、漸減スケジュールに従うようにあらゆる試みを行うべきである。
7.治験責任医師の意見により、2週目後にコルチコステロイドの漸減を開始するには、疾患が臨床的に活性が高すぎる場合、参加者は、さらに28日間まで、最初のコルチコステロイド用量を受け続けることができる。同様に、漸減を開始し、疾患が臨床的に活性が高く、漸減を続けることができない参加者は、さらに28日間まで、達成された同じ漸減用量を維持することができる。12週目までにコルチコステロイドの漸減が達成されなかったことは、治療失敗とみなされず、副次的エンドポイントとして捕捉される。
8.しかしながら、プレドニゾンの用量は、参加者が腎フレア及び/又は重度の腎外性SLEフレアのプロトコル定義の基準を満たさない限り、達成された漸減用量を超えて増加させることはできない。この場合、参加者は、救助療法を受け、治療失敗として含められる。
8.IgANコホートの背景療法
IgANコホートの参加者のための背景療法は、標準治療と一致し、最大耐用量のACE阻害剤又はARBなどのRAS遮断薬を含む。背景治療は、試験の治療期間を通して安定に保たれる。
9.LNコホートの救助療法
LNコホートの参加者は、プロトコル定義の腎フレア又は重度の腎外性SLEフレアの場合、救助療法を受ける。救助療法は、現在の標準治療の強化又は新たな免疫抑制療法の導入として定義される。
救助療法の具体的な選択は、一般に、治験責任医師の裁量による。しかしながら、プロトコル定義の腎フレア及び重度の腎外性SLEフレアに対するコルチコステロイド投与に関する以下のガイドラインを、治療の一貫性を維持するために考慮するべきである:
1.プロトコル定義の腎フレアの参加者は、プレドニゾンで最大0.5mg/kg/日(60mg/日を超えない)で最大2週間治療することができる。その後、プレドニゾンを、最初のプレドニゾン増加後6週間以内に、週1回、10mg/日に漸減することができる。プレドニゾンは、さらに、治験責任医師の裁量により7.5mg/日に漸減することができる。
2.重度の腎外性SLEフレアの参加者は、プレドニゾンで最大1mg/kg/日(60mg/日を超えない)で最大2週間治療することができる。その後、プレドニゾンを2週間ごとに漸減して、最初のコルチコステロイド増加後12週間以内に7.5mg/日を達成する。
3.消化管の関与が経口コルチコステロイド使用を一時的に妨げる場合、等価な用量の静脈内コルチコステロイドが可能であり得る。
以下の場合には、プレドニゾン≧10mg(≦14日間)は救助療法とはみなされない:(1)腎フレアのプロトコル定義基準を満たさない腎フレア、(2)>14日間のプレドニゾン>10mg若しくは等価物を必要としない腎外性SLEフレア、又は治験責任医師の意見による新たな免疫抑制薬の導入;及び(3)他の医学的状態又は手術。
10.併用療法
試験中の参加者のケア、又は任意のAEの治療に必要と考えられる任意の医薬又は治療(市販薬又は処方薬、ワクチン、ビタミン、及び/又はハーブサプリメントを含む)を、治験責任医師の裁量で与えることができる。
試験中に適切な血圧制御が達成されない場合、参加者は追加の降圧剤を受けることができるが、試験中にタンパク尿に影響を及ぼす薬剤は受けない。腎機能への有害作用の可能性があるため、NSAIDは試験中に開始しないことが推奨される。しかしながら、症状の制御に必要であれば、それらを使用してもよい。
LNコホートの参加者の場合、(1)治験責任医師の裁量によりニューモシスチス肺炎の予防が可能である、(2)禁忌でない限り、ヒドロキシクロロキンなどの抗マラリア剤による治療、及び(3)試験中、骨粗鬆症の予防及び治療のための措置が強く奨励される;これらの措置には、以下のいずれか又は全てが含まれ得る:炭酸カルシウム又はクエン酸カルシウム、ビタミンD、及びビスホスホネート。
両コホートの参加者は、試験参加の全期間中、以下の医薬及び治療のいずれかを受けることが禁止される:(1)実験的介入又は治療、(2)エクリズマブ、並びに(3)SGLT-2阻害剤及び直接レニン拮抗薬。
参加者が禁止薬及び/又は禁止療法を受けた場合、参加者は、SGLT-2阻害剤及び直接レニン拮抗薬を除いて、治験薬を中止するべきである(SGLT-2阻害剤及び直接レニン拮抗薬は、禁止されるが、治験責任医師及び医学モニターの議論及び承認に基づいて、治験薬の中止を必要としない場合がある)。
IgANコホートの参加者はまた、試験参加の全期間中、以下の医薬及び治療のいずれかを受けることが禁止される:(1)ヒドロキシクロロキン、(2)免疫抑制剤(例えば、MMF)、及び(3)>14日間の連続した全身性コルチコステロイド(IgAN又は手術に関連しない医学的状態について≦14日間の短期ステロイド経過が許可される)。
11.一般的な評価及び手順
LN及びIgANの診断は、スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中に得られた腎生検に基づく。適格性は、以下のように、標準化された世界的に認められたガイドラインに従って、現地病理報告を用いて決定される。LNコホートの参加者の場合、腎生検は、スクリーニング前≦6ヶ月又はスクリーニング期間中に得られていなければならない;適格性はISN/RPS分類ガイドラインに基づく。IgANコホートの参加者の場合、腎生検は、1日目の前の任意の時点で得られていてもよい(例えば、Haas M.,Am J Kidney Dis.1997;29(6):829-842、及びTrimarchi H,et al.,Kidney Int.2017;91(5):1014-1021を参照されたい)。
現地病理報告は、CRF完了ガイドラインに従ってスクリーニング中にCRFに入力される。特に、IgG、IgA、免疫グロブリンM(IgM)、C3、及びC1qの程度(両コホート);活性スコア/クラス(LNコホートのみ);並びにMEST-Cスコア(IgANコホートのみ)は、利用可能であれば、現地病理報告から得られ、CRFにおいて記録される。
腎生検は、腎フレア又は他の適応症について、治験責任医師の裁量で、試験中いつでも実施することができる。
LNコホートの参加者については、延長期間(50週目)の終了時の反復生検は、任意であり、54週目まで実施することができる。
中央病理検査室を使用して、適格性のために使用される腎生検の診断を確認し、組織学的スコアリングにおける対人間変動を最小限にする。中央病理検査室は、治療の割り付けについて盲検化されている。中央病理検査室は:(a)LNコホートの参加者の適格性のために使用された全ての腎生検、(2)IgANコホートの参加者のスクリーニングから1年以内又はスクリーニング中に実施された腎生検、及び(3)ED又は延長期間(50週目)の完了前の任意の時間において試験中に実施された全ての腎生検を検査する。
その作用機序のため、ラブリズマブの使用は、参加者のN髄膜炎菌(N meningitidis)による髄膜炎菌感染に対する感受性を増加させる。感染のリスクを低減するために、全参加者は、治験薬の最初の注入の前又は注入の時点の3年以内にワクチン接種されなければならない。何らかの理由で治験薬を開始する前にワクチン接種を受けていない参加者は、ワクチン接種の前及びワクチン接種後少なくとも2週間、適切な予防的抗生物質を受けるべきである。一般的に病原性の髄膜炎菌血清型の予防には、利用可能な場合、血清型A、C、Y、W135、Bに対するワクチンが推奨される。参加者は、完全な一次ワクチン接種シリーズを受け、現在の国内ワクチン接種ガイドラインに従って指示される場合は再接種されなければならない。ワクチン接種は、髄膜炎菌感染を予防するのに十分ではない可能性がある。
参加者には、初回ワクチン接種後<2週間で無作為化が行われる場合、ワクチン接種後少なくとも2週間まで髄膜炎菌感染の予防的抗生物質が投与される。予防的抗菌薬の適切な使用については、公的指導及び現地の診療に従って考慮される。全参加者を髄膜炎菌感染の初期徴候についてモニターし、感染が疑われる場合は直ちに評価し、必要であれば適切な抗生物質で治療する。
髄膜炎菌血清群ACWY及びBワクチン接種は、以前のワクチン接種の基準を満たさない参加者に対してスクリーニング中に必要とされる。ワクチン接種シリーズは、国及び地方のワクチン接種スケジュールガイドラインに従って試験中に完了する。IgANの参加者では、無作為化の少なくとも14日前に髄膜炎菌ワクチン接種シリーズを開始するためにあらゆる努力を払うべきである。
現在の国/地方のワクチン接種ガイドラインに従い、以前にワクチン接種されていない限り、全参加者はまた、無作為化の前にHib及び肺炎球菌(S pneumoniae)に対してワクチン接種されなければならない。
12.有効性評価
タンパク尿の決定のために、スクリーニング、26週目、及び50週目中に24時間尿収集を得、中央検査室によって分析する。タンパク質に加えて、アルブミン、ナトリウム、及びクレアチニンもまた、24時間の尿収集のそれぞれで定量する。タンパク質対クレアチニン(UPCR)及びアルブミン対クレアチニン比(UACR)の両方も、24時間の尿収集のアリコートで計算する。
24時間尿サンプルの収集前48時間以内は、可能な限り、激しい運動及び食事(特に、塩分摂取)の有意な変化を避ける。
収集物は、ワクチンの投与又は生検手順の前又は>7日後、及び投与日にラブリズマブ又はプラセボの投与前に得る。
LNコホートの参加者の場合、タンパク尿は、UPCRによって測定される。適格性を評価するために、スクリーニング時に単一の24時間尿収集を得る。26週目の来院(主要エンドポイントを評価するため)及び50週目の来院(副次的エンドポイントを評価するため)前の2週間以内に、2つの別々の24時間尿収集物を得る。プロトコル定義の腎フレアの確認には、スポット尿サンプルから2週間以内の単一の24時間尿収集が必要である。
IgANコホートの参加者は、スクリーニング期間中(適格性を評価するため)、26週目(主要エンドポイントを評価するため)、及び50週目(副次的エンドポイントを評価するため)に、2回の別々の完全且つ有効な24時間尿収集を提供する必要がある。2つの有効な24時間尿収集物は、26週目及び50週目の来院前の2週間以内に得る。
24時間尿収集の完全性は、クレアチニン***率から推定される。クレアチニン***の正常値は、年齢及び体重によって異なる。従って、24時間の尿収集は、以下の基準の全てが満たされていれば有効であるとみなされ、さもなければ、尿収集が繰り返される必要がある:(1)収集は、22~26時間の期間(即ち、最初の廃棄された排尿から最後の排尿/排尿試行までの時間)である、(2)参加者の尿収集日誌によって示されるように、収集の開始時間と終了時間との間に排尿が見逃されない、(3)24時間のクレアチニン含有量は、以下の式:[(140-年齢)×体重]/5000によって推定される予想範囲の25%以内である(体重は、キログラムである)。この結果は、女性で0.85倍される(Ix JH,et al.,Clin J Am Soc Nephrol.2011;6(1):184 191を参照)、及び(4)2回の尿収集の間の全24時間尿クレアチニンの最大変動は、≦25%でなければならない。収集物のいずれかが上記に概略した有効性基準を満たさない場合、評価のスケジュールに概略された時間枠内にできるだけ早く収集を繰り返して、試験時点のそれぞれについて2つの有効な収集物を得ることを確実にしなければならない。
投薬前の朝のスポット尿サンプルからの尿タンパク質、アルブミン、及びクレアチニンレベルもまた、UPCR及び尿アルブミンクレアチニン比(UACR)に対するラブリズマブの効果を評価するために、スクリーニング中及び評価のスケジュールに従って試験中に測定される。両疾患コホートの参加者について、18週目の来院時に2つの連続したスポット尿サンプルを得る。スポット尿サンプルは、ワクチンの投与又は生検手順の前又は>7後に、及び投与日のラブリズマブ又はプラセボの投与前に得る。定期的な標準治療として実施されるスポット尿サンプルは、評価のスケジュールに従った治療後フォローアップ期間中にUPCRに使用される。
腎機能の変化は、評価のスケジュールに概略されているように、24時間尿収集時の推定糸球体濾過率(eGFR)(mL/分/1.73m)及びクレアチニンクリアランスを用いてモニターする。eGFR計算は、該当する場合、治験薬投与前に収集した血清クレアチニンを用いて、全参加者についての慢性腎臓病疫学共同試験(CKD-EPI)式に基づく。26週目及び50週目のCRR及びPRRの決定のために、これらの試験来院のそれぞれの前の2週間以内に2つの血清クレアチニンサンプルを得る。eGFRのベースラインからの変化を、試験の過程を通して測定する。さらに、eGFRの勾配を、IgANコホートの参加者について26週目及び50週目まで計算する。
両疾患コホートの参加者について、スポット尿サンプルからの血尿を評価して、疾患経過に対するラブリズマブの効果を評価する。血尿の程度は、遠心分離した尿沈渣の顕微鏡による検査(RBC/hpf)によって評価される。血尿評価のための無作為スポット尿サンプルの単一排尿収集物を収集する。治験責任医師が、女性の月経又は運動により血尿が一過性であると判断した場合、サンプルを繰り返す必要があり得る。血尿測定のための無作為スポット尿サンプルは、評価のスケジュールに概略されるように、試験全体を通して収集され、中央検査室によって分析される。投与日に、適用可能であれば、治験薬投与の前にサンプルを収集する。
顕微鏡又は尿ディップスティックによる現地血尿評価を利用して、IgANの参加者についてスクリーニング時に試験の適格性を決定する。
13.バイオマーカー
バイオマーカー研究のための血液(全血、血清及び血漿)サンプルは、評価スケジュールに指定された時点で全参加者から収集される。測定されるバイオマーカーとしては、以下の評価が挙げられるがこれに限定されない:補体経路調節不全(例えば、可溶性C5b-9[sC5b-9]、Ba因子、Bb因子、C5aなど)。
バイオマーカー研究のための尿サンプルは、評価のスケジュールに指定された時点で全参加者から収集される。測定されるバイオマーカーとしては、以下の評価が挙げられるが、これらに限定されない:補体経路調節不全(例えば、sC5b-9、Ba因子、Bb因子、C5aなど)、腎傷害バイオマーカー(例えば、CD163、MCP-1、EGFなど)、及びクレアチニン。
疾患病態生理学の臨床的証拠及び治療に対する応答を提供するバイオマーカー(例えば、C5b-9、C3c、C3、C4d、CD68、プロペルジン、補体成分9[C9]、C1q、C5aRなど)の存在について、腎組織生検を染色する。試験中に腎生検を繰り返すLNコホートの参加者について、LN分類を評価する。
探索的バイオマーカー、PK、PD、免疫原性からの残存血液、尿、及び生検サンプルは、アッセイのさらなる方法開発(例えば、試験訳標的に関連する予後及び/又はコンパニオン診断、疾患プロセス、疾患状態に関連する経路、他の補体関連疾患、及び/又はラブリズマブの作用機序)のために再保存される。ラブリズマブのさらなる分析を可能にするために、サンプルは保持されるが、試験の終了後5年以内又は現地の要件に従った他の期間である。
14.その他の探索的評価
自己抗体をLNコホートについて評価する。血液サンプルを、スクリーニング中、及び延長期間(351日目)の終了までの評価のスケジュールに従って、抗dsDNA及び抗C1q)自己抗体について収集する。
SLEDAI-2KをLNコホートについて評価する。SLEDAI-2Kツールは、24の疾患記述子にわたって疾患活動性を評価する。総スコアは0~105の範囲であり、より高いスコアは、疾患活動性のより有意な程度を表す。SLEDAI-2K評価は、タンパク尿、血尿、尿円柱、低補体血症、膿尿、又は抗dsDNA抗体レベルの増加によっては説明されないSLEDAI-2K≧4点の増加として定義される腎外性SLEフレアの決定に使用される。
スクリーニング中の探索的リアルタイム補体活性(RTCA)のために、及び初期評価期間(183日目)の終了まで評価スケジュールに従って、血液及び尿サンプルを収集する(選択された試験施設のみで)。RTCA分析は、新たに収集された全血エチレンジアミン四酢酸二カリウム(K2EDTA)及び尿サンプルを使用して、臨床施設で実施される。RTCAのための血液及び尿サンプルは、適用可能であれば、投与日の治験薬の投与前に収集される。結果は、参加者試験ID番号を使用して匿名化され、全ての施設職員は、RTCA結果から盲検化される。
クオリティ・オブ・ライフスケールは、評価のスケジュールに明記された来院時の他の試験手順の前に、治験責任医師又は適格な施設スタッフによって電子的に管理される。両コホートの参加者は、管理された以下の有効なクオリティ・オブ・ライフスケールを有する。
簡易(36)(SF-36v2)健康調査を用いて、参加者のクオリティ・オブ・ライフを評価する。SF-36v2質問表では、過去4週間の身体機能、身体的役割制限、身体的痛み、全身の健康、活力、社会的機能、感情的役割制限、及び精神的健康を含む8つのドメインにおいて日常生活動作を遂行する健康及び能力を評価するように参加者に指示する。生ドメインスコアを決定し、SF-36v2マニュアルに記載されているように、0~100のスケールに変換する。ドメインは0~100にスコア化され、より低いスコアは、障害の増加を示す。
EuroQoL 5-次元5-レベル(EQ-5D-5L)は、健康に関連するクオリティ・オブ・ライフを測定するための自己評価の、標準化された手段であり、幅広い健康状態で使用されてきた。EQ 5D 5Lは、疼痛/不快感、可動性、セルフケア、通常の活動及び不安/抑欝を測定する5スケールの参加者報告結果ツールである。
LNコホートの参加者はまた、管理された以下の有効なクオリティ・オブ・ライフスケールを有する:慢性疾病治療の機能評価(FACIT)疲労スケール、バージョン4.0は、自己報告疲労及びその日常活動及び機能への影響を過去7日間にわたって評価する13項目の質問表である。
ラブリズマブに対する抗薬物抗体(即ち、抗薬物抗体)は、評価のスケジュールに従って全参加者から収集された血清サンプルにおいて評価される。さらに、血清サンプルは、治験薬を中止したか、又は試験から撤退した参加者の最終来院時にも収集される。
血清サンプルをラブリズマブに結合する抗体についてスクリーニングし、確認された陽性サンプルの力価を報告する。ラブリズマブの免疫原性をさらに特徴付けるために、他の分析を行うことができる。
ラブリズマブに対する抗体の検出及び特徴付けは、検証済みのアッセイ法を用いて行われる。また、ラブリズマブに対する抗体の検出のために収集したサンプルを、ラブリズマブの血清濃度について評価して、抗体データの解釈を可能にする。確認された抗体陽性サンプルを、抗体力価及び中和抗体の存在についてさらに評価することができる。
15.統計的考察
本試験の主要な仮説は、タンパク尿の減少においてラブリズマブがプラセボより優れていることである。仮説検定は片側検定とし、0.05の有意レベルで実施する。
本試験では、合計120名の参加者について、IgAN及びLNの両コホートに60名の参加者を、ラブリズマブ及びプラセボに対して2:1の比で登録する。サンプルサイズの計算は、対数変換されたタンパク尿値の片側両サンプルt検定に基づく。
表10に示す以下の集団を、この試験のために定義する:
要約統計は、該当する場合、治療群及び来院ごとに計算及び表示される。連続変数の記述統計には、最小限、参加者数、平均、SD、最小値、中央値、及び最大値が含まれる。カテゴリー変数について、頻度及びパーセンテージが示される。必要に応じてグラフィック表示が提供される。SAS(登録商標)ソフトウェアバージョン9.4以降を使用して解析を行う。
LNコホートの参加者及びIgANコホートの参加者についての解析を実施し、別々に報告する。各疾患特異的コホートの参加者は、受けた実際の治療にかかわらず、無作為化として解析される。
主要有効性エンドポイントの主要解析は、最大の解析対象集団(FAS)に基づく。
LNコホートの場合、タンパク尿はスクリーニング時の単一の24時間尿収集及び26週目の2つの別々の24時間尿収集の平均に由来するUPCR(単位g/g)によって測定される。
IgANコホートの場合、タンパク尿は2つの有効な24時間尿収集物の平均に由来する絶対タンパク質(単位g/日)によって測定される。
歪度を低減するために、自然対数を使用して、分析前にタンパク尿値を変換する。全ての利用可能な時系列データ(完全又は部分的のいずれか)を使用して、主要有効性エンドポイントに反復測定のための混合効果モデル(MMRM)を使用する。モデルは、応答変数としての対数変換タンパク尿のベースラインからの変化、及び治療群、来院、及び治療群来院相互作用の固定されたカテゴリー効果、並びに共変量としてのベースライン対数タンパク尿の固定された持続的効果を含む。非構造化共分散行列を使用して、各参加者内の反復測定間の相関をモデル化する。この分析が収束しない場合、一次自己回帰共分散行列を使用する。Kenward-Roger近似を用いて分母自由度を推定する。治療効果は、26週目の来院ごとの治療群項のコントラストを用いて評価する。対数変換されたタンパク尿の平均差の点推定及び両側90%信頼区間(CI)を逆変換して(べき乗を介して)、GMR及び対応する両側90% CIを得る。次いで、これらの値を、ベースラインに対する26週目のタンパク尿の調整された幾何平均のパーセンテージ変化として表す。
プロトコル定義の腎フレアのために救助治療を受けたLNコホートの参加者は、割り当てられた治療のみの効果を評価するために、主要有効性解析のためにのみ救助治療の時点まで評価される。不足データ及び仮定の影響を評価するために、追加の感度分析を実施する。
IgANコホートの場合、最初にプラセボ群に無作為化された参加者は、延長期間にラブリズマブを受ける。従って、延長期間中の副次エンドポイントの解析は、各治療群について別々に要約され、プラセボ群のベースラインは、延長期間(即ち、26週目の測定)中のラブリズマブの最初の用量の前に収集された最後の測定値として再定義される。主要有効性エンドポイントの解析は、プロトコルごとのセットでも実施する。
副次的有効性解析は、本質的に記述的であり、FASに基づく。副次エンドポイントの解析には、プロトコル定義の腎フレアのための救助療法を受けたLNコホートの参加者に対する救助療法の時点までのデータのみを含める。不足データ仮定のロバスト性を評価するために、追加の感度分析を実施する。
LNコホート及びIgANコホートの両方についての副次的有効性分析は、以下の通りである。50週目のタンパク尿のベースラインからのパーセント変化を、MMRM解析で用いるコントラストが50週目の来院ごとの治療群項であることを除いて、主要エンドポイントと同様に解析する。26週目及び50週目の>30%及び>50%のタンパク尿の減少を有する参加者のパーセンテージを、Clopper Pearson方法を用いた正確な信頼限界に基づいて、点推定及び両側90% CIを計算することにより治療群ごとに要約する。以下のエンドポイントを、ベースライン及びベースライン後の各時点で、観察値及びベースラインからの変化についての記述統計を用いて治療群ごとに要約する:推定糸球体濾過率(eGFR)並びに血清C3及びC4濃度
以下の副次エンドポイントを、Clopper-Pearson方法を用いて正確な信頼限界に基づいて、点推定及び両側90% CIを計算することによって治療群ごとに要約する:(1)26週目及び50週目のCRR及びCRRの個々の構成要素の基準を満たす参加者のパーセンテージ、(2)26週目及び50週目のPRRの基準を満たす参加者のパーセンテージ、(3)14週目、26週目及び50週目のコルチコステロイドの漸減が成功した参加者のパーセンテージ、(4)50週目までのプロトコル定義の腎フレアを有する参加者のパーセンテージ、(5)50週目までのプロトコル定義の重度の腎外性SLEフレアを有する参加者のパーセンテージ、並びに(6)50週目までの治療失敗を有する参加者のパーセンテージ。
UPCR≦0.5g/gまでの時間を、スポット尿サンプルに基づいて要約する。Kaplan-Meier累積分布曲線を治療群ごとに生成し、曲線を比較するログランク検定を行う。対応する要約表は、治療群ごとに、累積分布関数(CDF)推定値、リスクのある参加者の数、応答する参加者の数、及びベースライン後の各時点で打ち切られた参加者の数を示す。表はまた、UPCR≦0.5g/gまでの時間の第1四分位数、中央値、及び第3四分位数を、両側90% CIと共に示す。血清アルブミンは、観察値及びベースラインからの変化についての記述統計を用いて、ベースライン及びベースライン後の各時点で治療群ごとに要約される。
IgANコホートの副次的有効性解析:Clopper-Pearson方法を用いた正確な信頼限界に基づいて、点推定及び両側90% CIを計算することによって、26週目及び50週目の部分寛解の基準を満たす参加者のパーセンテージを治療群ごとに要約する。
副次的有効性解析は、本質的に記述的なものであり、多重性の調整は行わない。
全ての安全性解析は安全性セットで実施され、受けた実際の治療に基づく。
治療下の有害事象(TEAE)は、治験薬の初回用量中又は初回用量後に開始するあらゆる有害事象である。治験薬の最終用量後56日以降に開始した有害事象は、治療下とはみなされない。治療下のSAE(TESAE)は、重大なTEAEである。TEAEの発生率、試験からの撤退に至ったTEAE、治験薬中止に至ったTEAE、治験薬関連のTEAE、及びTESAEを、各疾患コホートについて治療群ごとに要約する。全ての有害事象を、MedDRAバージョン23.0以上を用いてコード化され、器官別大分類(SOC)及び基本語全体、重症度別、及び治験薬との関係別に要約する。
身体検査所見のベースラインからの有害変化は、AEとして分類され、それに応じて分析される。バイタルサインは、ベースライン及びベースライン後の時点で治療群ごとに、及び各疾患コホートで別々にベースラインからの変化について記述的に要約する。
臨床化学、血液学、及び尿検査において観察された値及びベースラインからの変化は、ベースライン及びベースライン後の各時点で、各疾患コホートで別々に、治療群ごとに記述的に要約する。正常範囲値に基づいて正常、低又は高に分類できる臨床検査結果については、分類におけるベースラインからのシフトが全ての試験来院についてまとめられる。
心電図(ECG)パラメータの参加者別データリストは、各疾患コホートについて別々に提供される。心電図は、正常、臨床的に有意でない異常、又は臨床的に有意な異常として評価及び要約される。心電図の結果について、ベースラインから最悪の試験中心電図へのシフトの表を示す。ECG間隔(PR、RR、QT、及びQTc)における観察値及びベースラインからの変化は、ベースライン及びベースライン後の各時点で記述的に要約される。QT間隔は、Fridericiaの式(QTcF)を用いて心拍数について補正される。
薬物動態(PK)/薬力学(PD)分析のために、平均血清ラブリズマブ濃度-時間プロファイルのグラフを構築する。個々の参加者についての血清濃度-時間プロファイルのグラフも提供することができる。実際の用量投与及びサンプリング時間が全ての計算に使用される。必要に応じて、各サンプリング時間における血清濃度データについて記述統計が計算される。ラブリズマブのPD効果は、必要に応じて、血清遊離C5濃度の絶対値及びベースラインからの経時的な変化及びパーセンテージ変化を評価することによって評価される。記述統計は、必要に応じて、各サンプリング時間におけるPDデータについて計算される。
ラブリズマブに対するADAの発生率及び力価は、ベースライン後の各時点で、各疾患コホートについて別々に表形式で示される。さらに、確認されたADA陽性サンプルはいずれも、ラブリズマブに対する中和抗体の存在について試験される。
探索的有効性解析は、本質的に記述的であり、FASに基づく。連続エンドポイントについては、観察値の記述統計、及びベースラインからの変化を用いて、ベースライン及びベースライン後の各時点のデータを治療群ごとに要約する。カテゴリー別エンドポイントについては、Clopper-Pearson方法を用いた正確な信頼限界に基づいて、点推定及び両側90% CIを計算することにより、データを治療群ごとに要約する。
LNコホートの場合、CRRまでの時間、PRRまでの時間、及びベースラインからのUPCR>50%減少までの時間を、スポット尿サンプルを用いて要約する。参加者は、CRR、PRR、若しくはベースラインからのUPCR>50%減少の時点でそれぞれ応答者として割り当てられ、又は中止時間、救助療法の受容、若しくはそれまでに応答せず若しくは救助療法を受けなかった場合は50週目の最も早い時点で打ち切られる。Kaplan-Meier累積分布曲線を各治療群について生成し、曲線を比較するログランク検定を行う。対応する要約表は、CDF推定値、リスクのある参加者の数、応答する参加者の数、及びベースライン後の各時点で打ち切られた参加者の数を治療群ごとに示す。この表はまた、反応までの時間の第1四分位数、中央値、及び第3四分位数を、対応する両側90% CIと共に示す。
IgANコホートについてのeGFRの勾配は、26週目又は50週目までの全ての利用可能な評価を用いて計算される。eGFR勾配は、eGFRを従属変数とし、時間を独立変数として単純線形回帰を用いて参加者ごとに推定され、平均勾配(mL/分/1.73m/年)が治療群ごとに記述的に要約される。
以下のクオリティ・オブ・ライフ評価は、観察値及びベースラインからの変化についての連続変数の記述統計を用いて、ベースライン及びベースライン後の各時点での治療群によって要約される:EQ-5D-5L、SF-36総スコア、及びFACIT-疲労(好ましくは、LNコホートについて)。
用量レジメンの妥当性を保証するために、用量確認のための中間PK/PD分析が、独立した臨床薬理学者によって行われる。中間PK確認分析は、ラブリズマブで治療された最初の10人の参加者(各疾患特異的コホートにおいて最低3人の参加者)からのマスクされたPK/PDデータを用いて、10人目の参加者が最初の用量後2週間(即ち、15日目)に達したときのデータカットを用いて実施される。レビューのためのPKデータセットは、(1)10人の参加者全てについての1日目のCmax、15日目のCtrough、及びCmaxを含み、(2)15日目のCmax時点を超える薬物動態データ(例えば、29日目のPK)がデータセットに含まれてもよく(利用可能性は登録率に依存する)、(3)上記の時点に関連する遊離及び総C5データ、並びにADAデータが支持的エビデンスとしてデータセットに含まれる。観察された1日目のCmax、15日目のCmax及びCtrough値、並びに他の利用可能なPK/PDデータが予想範囲内である場合、試験は不変に進行する。用量レジメンの調整が必要な場合、新たなレジメンが決定されるまで、登録は中断される。用量調整の場合、以前の用量で治療された参加者は、新たな用量に切り替えられ、試験で治療を継続するが、主要有効性分析から除外される。試験力を維持するために代替参加者を登録することができる。
疾患特異的コホートの全参加者が26週間の初期評価期間を完了又は撤退した後、26週間の初期評価期間の終了時に、各疾患特異的コホートについて主要有効性分析を行う。この分析は、主要エンドポイント及び第3相計画の評価を可能にし、本試験の進行に影響を及ぼさない。
さらに、参加者の少なくとも50%が試験治療に無作為に割り当てられ、26週間の初期評価期間を完了する機会を得た場合、IgAN疾患コホートについて(実現可能性に基づいて)早期中間解析を実施することができる。この中間解析は、実施される場合、別々の非盲検チームによって実施され、試験進行に影響を及ぼすことなく、第3相計画の目的のためにのみ実施される。
疾患特異的コホートの全参加者が50週間の延長期間を完了又は撤退した後、50週間の延長期間の終了時に、各疾患特異的コホートについて中間有効性分析を実施する。
最終的な試験分析は、試験の終了時に行われる。
16.有害事象
有害事象(AE)は、試験介入との関連性の有無にかかわらず、試験介入の使用と時間的に関連する、参加者における任意の有害な医学的発生である。従って、AEは、試験介入の使用に時間的に関連する、任意の好ましくない、且つ意図しない徴候(異常な臨床検査所見を含む)、症状、又は疾患(新規又は増悪)であり得る。
以下の事象は、AE定義を満たしている:
1.治験責任医師の医学的及び科学的判断において臨床的に有意であると考えられる(即ち、基礎疾患の進行とは関連しない)、ベースラインから悪化したものを含む、異常な臨床検査結果(血液学、臨床化学、又は尿検査)又は他の安全性評価(例えば、心電図、放射線スキャン査、バイタルサイン測定)。
2.状態の頻度及び/又は強度の増加を含む、慢性又は断続的な既存の状態の増悪。
3.試験開始前に存在していた可能性があるにもかかわらず、試験介入投与後に検出又は診断された新たな状態。
4.薬物間相互作用が疑われる徴候、症状、又は臨床的続発症。
5.試験介入又は併用薬の過剰投与が疑われる徴候、症状又は臨床的続発症。過剰投与自体は、自殺/自傷行為の可能性のある意図的な過剰投与でない限り、AE/SAEとして報告されない。このような過剰投与は、続発症に関係なく報告するべきである。
6.「有効性の欠如」又は「予測される薬理作用の欠如」自体は、AE又はSAEとして報告されない。このような事例は、有効性評価において捕捉される。しかしながら、有効性の欠如に起因する徴候、症状、及び/又は臨床的続発症は、AE又はSAEの定義を満たす場合、AE又はSAEとして報告される。
以下の事象は、AE定義を満たしていない:
1.内科的又は外科的手順(例えば、内視鏡検査、虫垂切除術):この手順につながる状態は、AEである。有害な医学的発生が起こらなかった状態(例えば、ICFに署名する前に予定される場合、待機的手術のための入院、社会的理由又は便宜のための入院)。
2.試験開始時に存在し又は検出された、悪化しない既存の疾患又は状態の予測される日々の変動。
3.医薬ミス(治験薬の意図的な誤用、乱用、過剰投与を含む)又はプロトコルで定義されているもの以外の使用は、医薬ミスの結果として有害な医学的発生が存在しない限り、AEとはみなされない。
4.治験薬への母親又は父親の曝露中に発生した妊娠の事例は、試験責任医師/施設の認識から24時間以内に報告されるものとする。規制報告及び安全性評価のために、胎児の転帰及び授乳に関するデータを収集する。
5.治験責任医師により参加者の状態に対して予想されるよりも重度であると判断されない限り、基礎疾患に関連する臨床的に有意な異常な臨床検査所見又は他の異常な安全性評価。
6.参加者の状態に対して予想されるよりも重度でない限り、試験される疾患/障害、又は試験される疾患/障害の予想される進行、徴候、又は症状。
7.有害な医学的発生が生じなかった状況(病院への社会的及び/又は便宜的入院)。
事象が上記の定義によるAEでない場合、重篤な状態(例えば、試験中の疾患の徴候/症状のための入院、疾患の進行による死亡)が満たされても、それは重篤な有害事象(SAE)ではない。SAEの定義を表11に示す。
予期せぬ重篤な有害事象(SUSAR)の疑いは、治験責任医師のパンフレットにリストされず、且つ治験責任医師が治験薬又は治験手順に関連すると特定した重篤な事象と定義される。米国タイトル21 Code of Federal Regulations(CFR)312.32及びEuropean Union Clinical Trial Directive 2001/20/EC、及び参加国における関連する詳細なガイダンス又は国内規制要件は、SUSARの報告を要求している。予期せぬ重篤な有害反応の疑いは、該当する場合、国の管轄当局及びIRB/IECに報告される。
治験責任医師は、試験中に報告された各AE及びSAEの強度の評価を行い、2017年11月27日に発表されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)v5.0の以下のカテゴリーの1つに割り当てる:
1.グレード1:軽度(徴候又は症状を認識するが、容易に忍容される)
2.グレード2:中等度(通常の活動に支障をきたすのに十分な不快感)
3.グレード3:重度(能力不足、通常の活動ができない)
4.グレード4:生命を脅かす
5.グレード5:致命的
事象は、SAEの定義に記載されている以前に定義した結果の少なくとも1つを満たす場合に「重篤」と定義され、重度と評価される場合ではない。
17.臨床検査
臨床化学、血液学、及び尿検査において観察された値及びベースラインからの変化は、ベースライン及びベースライン後の各時点で、各疾患コホートについて別々に、治療群ごとに記述的に要約される。正常範囲の値に基づいて正常、低又は高に分類できる臨床検査結果については、分類におけるベースラインからのシフトが全ての試験来院について要約される。
表12に示される試験は、試験中央検査室によって実施される。現地検査結果は、中央検査結果が試験介入の投与及び/又は応答評価のいずれかに間に合って利用ではない場合にのみ必要とされる。現地サンプルが必要な場合、中央分析のためのサンプルが同時に得られることが重要である。
妊娠の可能性のある女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査結果が陰性であった後にのみ登録されるべきである。施設の方針、現地の規制、又はIRB/IECによって血清検査が要求され、活動スケジュールに明記された時点ごとに実施されない限り、追加の尿妊娠検査がプロトコルの標準である。

Claims (57)

  1. C5媒介性糸球体腎炎(GN)を有するヒト患者を治療する方法であって、前記方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を前記患者に投与することを含み、前記抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
    (a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
    (b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
    (c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回
    投与される、方法。
  2. 前記抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
    (a)体重≧40~<60kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
    (b)体重≧60~<100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
    (c)体重≧100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回
    投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. ループス腎炎(LN)を有するヒト患者を治療する方法であって、前記方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を前記患者に投与することを含み、前記抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
    (a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
    (b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
    (c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回
    投与される、方法。
  4. 免疫グロブリンA腎症(IgAN)を有するヒト患者を治療する方法であって、前記方法は、それぞれ配列番号19、18及び3に示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びにそれぞれ配列番号4、5及び6に示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む有効量の抗C5抗体又はその抗原結合断片を前記患者に投与することを含み、前記抗C5抗体又はその抗原結合断片は:
    (a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
    (b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
    (c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回
    投与される、方法。
  5. 前記抗C5抗体又はその抗原結合断片を:
    (a)体重≧40~<60kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
    (b)体重≧60~<100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
    (c)体重≧100kgの患者に、183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回
    投与することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記抗C5抗体又はその抗原結合断片が、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異体ヒトFc定常領域をさらに含み、前記変異体ヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記抗C5抗体が、配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記抗C5抗体が、配列番号13に示される重鎖定常領域をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記抗体が、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドと、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドとを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記抗C5抗体が、0.1nM≦K≦1nMの範囲(例えば、約0.5nM)の親和性解離定数(K)で、pH7.4及び25℃でヒトC5に結合する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記抗C5抗体が、K≧10nM(例えば、約22nM)で、pH6.0及び25℃でヒトC5に結合する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記抗C5抗体が、体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記抗C5抗体が、体重≧60<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記抗C5抗体が、体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回投与される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記抗C5抗体が、体重≧40~<60kgの患者に:
    (a)1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;及び
    (b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回
    投与される、請求項1、2又は4~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記C5抗体が、体重≧60<100kgの患者に:
    (a)1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;及び
    (b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回
    投与される、請求項1、2又は4~14のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記C5抗体が、体重≧100kgの患者に:
    (a)1日目に1回、3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回;及び
    (b)183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回
    投与される、請求項1、2又は4~14のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記治療が、100μg/mL以上の前記抗C5抗体の血清トラフ濃度を維持する、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記治療が、200μg/mL以上の前記抗C5抗体の血清トラフ濃度を維持する、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記抗C5抗体が、静脈内投与用に処方される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記LN患者が、免疫抑制剤、例えば、コルチコステロイド及びミコフェノール酸モフェチルを含む背景療法で以前に治療されている、請求項3、6~14、又は18~20のいずれか1項に記載の方法、並びに/又は前記IgAN患者が、レニン-アンギオテンシン系(RAS)阻害薬を含む背景療法で以前に治療されている、請求項4~11又は15~20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記RASが、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤又はアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記治療が、CD163、MCP-1、及びEGFからなる群から選択される1つ以上の腎傷害バイオマーカーの正常レベルへのシフトをもたらす、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記治療が、sC5b-9、Ba因子、Bb因子、C5a、C3c、C3、C4d、CD68、プロペルジン、補体成分9[C9]、C1q、C5aR、及びクレアチニンからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの正常レベルへのシフトをもたらす、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記治療が、ベースラインと比較して推定糸球体濾過率(eGFR)の変化をもたらす、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記治療が、ベースラインと比較して血清アルブミンの変化をもたらす、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記治療が、ベースラインと比較してタンパク尿の減少をもたらす、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記患者が、治療前に、推定糸球体濾過速度(eGFR)≧30mL/分/1.73m2及びタンパク尿を有する、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
  29. タンパク尿が、1回の24時間尿収集からの尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)≧1g/gである、請求項27又は28に記載の方法。
  30. タンパク尿が、2回の有効な24時間尿収集からの≧1g/24時間の平均タンパク質である、請求項27又は28に記載の方法。
  31. ベースラインと比較して、治療後にタンパク尿の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の減少がある、請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記タンパク尿の減少が、ベースラインと比較して、治療後6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、又は30週間で起こる、請求項27~31のいずれか1項に記載の方法。
  33. タンパク尿が、完全な24時間尿収集によって測定される、請求項27~32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記治療が、ベースラインと比較して、以下の症状の1つ以上:泡沫尿、タンパク尿、浮腫、高血圧、腎炎症、腎障害、関節痛、関節腫脹、筋肉痛、原因不明の発熱、血液中の高レベルのクレアチニン、及び/又は赤い発疹の減少又は休止をもたらす、請求項3、6~14、又は18~20のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記LN患者が、治療前に活性フレアを有する、請求項3、6~14、又は18~20のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記治療が、完全腎応答(CRR)をもたらす、請求項3、6~14、又は18~20のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記CRRが:
    (a)2回の24時間尿収集に基づく平均尿タンパク質/クレアチニン比(UPCR)の≦0.5g/gへの減少;
    (b)推定糸球体濾過率(eGFR)>60mL/分/1.73m2、又は2つの値の平均に基づくベースライン値からのeGFRの≧20%の減少なし;及び
    (c)治療失敗なし
    を含む、請求項36に記載の方法。
  38. 前記治療が、腎部分応答(PRR)をもたらす、請求項13、6~14、又は18~20のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記PRRが:
    (a)2回の24時間尿収集の平均に基づく、前記ベースライン値と比較してUPCRの>50%の減少;
    (b)推定糸球体濾過率(eGFR)>60mL/分/1.73m2、又は2つの値の平均に基づく前記ベースライン値からのeGFRの≧20%の減少;及び
    (c)治療失敗なし
    を含む、請求項38に記載の方法。
  40. 前記治療が腎フレアを予防し:
    (a)CRRを達成した患者の腎フレアは、≧1g/gのタンパク尿の再現性のある再発である;及び
    (b)CRRを達成していない患者の腎フレアは:
    (i)ベースラインより>25%高い、又は正常値の上限を超える、血清クレアチニン値の再現性のある増加(以下のいずれかを含む):
    a.ベースラインより≧75%高い再現性のあるタンパク尿;
    b.≧5の赤血球/高倍率視野(hpf)若しくは新たな赤血球円柱の増加によって定義されるベースラインと比較した活性尿沈渣の悪化(少なくとも2つのサンプルからの現地検査結果に基づく);及び/又は
    c.LNクラスIII若しくはIV活性を示す適格性のために使用された前記生検以来、新たに実施された腎生検;
    (ii)前記抗C5抗体又はその抗原結合断片の前記初回用量後に得られた最低の以前の値と比較して、24時間尿収集からの前記UPCRの再現性のある倍加である、
    請求項3、6~1又は18~20のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記治療が腎外性SLEフレアを予防し、前記腎外性SLEフレアが、タンパク尿、血尿、尿細胞円柱、低補体血症、又は抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体レベルの増加によっては説明されない、全身性エリテマトーデス・ナショナル・アセスメントにおけるエストロゲンの全身性エリテマトーデス疾患活動性指数安全性(SELENA)修正(SLEDAI-2K)における≧4点の増加を含む、請求項13、6~14、又は18~20のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記治療が部分寛解(PR)をもたらす、請求項4~11又は15~20のいずれか1項に記載の方法。
  43. PRが、2回の有効な24時間尿収集に基づいて、<1g/24時間の平均タンパク尿を含む、請求項42に記載の方法。
  44. 前記治療が、ベースラインと比較した以下の症状:血尿、暗褐色又はコーラ色の尿、浮腫、側腹部痛、高血圧、泡沫尿、及び/又はタンパク尿の1つ以上の減少又は休止をもたらす、請求項4~11又は15~20のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記治療が、欧州クオリティ・オブ・ライフ・ヘルス5項目質問表次元5レベル(EQ-5D-5L)及び/又は簡易(36)健康調査(SF-36)総スコアによって評価される前記患者のクオリティ・オブ・ライフの改善をもたらす、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 前記治療が、慢性療法の機能評価(FACIT)-疲労スコアによって評価される前記患者のクオリティ・オブ・ライフの改善をもたらす、請求項3、6~14、又は18~20のいずれか1項に記載の方法。
  47. 前記治療が、以下の1つ以上:
    (a)ニューモシスチス肺炎予防;
    (b)抗マラリア剤;及び/又は
    (c)骨粗鬆症を治療するための薬剤
    を投与することをさらに含む、請求項3、6~14、又は18~20のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記抗マラリア剤がヒドロキシクロロキンである、請求項47に記載の方法。
  49. 前記骨粗鬆症を治療するための薬剤が、炭酸カルシウム又はクエン酸カルシウム、ビタミンD、及びビスホスホネートからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
  50. 前記治療が、終末補体阻害をもたらす、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
  51. 前記治療が、有害事象の減少をもたらす、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 前記ヒト患者が成人患者である、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法。
  53. ヒト患者におけるループス腎炎(LN)を治療するためのキットであって:
    (a)ある用量の、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む抗C5抗体又はその抗原結合断片;並びに
    (b)請求項1、4~12、16~18、又は21~27のいずれか1項に記載の方法における抗C5抗体又はその抗原結合断片の使用のための説明書
    を含む、キット。
  54. ヒト患者における免疫グロブリンA腎症(IgAN)を治療するためのキットであって:
    (a)ある用量の、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む抗C5抗体又はその抗原結合断片;並びに
    (b)請求項2~27のいずれか1項に記載の方法における前記C5抗体又はその抗原結合断片の使用のための説明書
    を含む、キット。
  55. 配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む抗C5抗体又はその抗原結合断片であって、C5媒介性糸球体腎炎(GN)を治療するための背景療法と、場合により一緒に:
    (a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
    (b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
    (c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回
    投与される、抗C5抗体又はその抗原結合断片。
  56. 配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む抗C5抗体又はその抗原結合断片であって、C5媒介性糸球体腎炎(GN)を治療するための背景療法と、場合により一緒に:
    (a)体重≧40~<60kgの患者に、1日目に1回2400mgの用量で、次いで2週目に3000mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3000mgの用量で、その後8週間に1回;
    (b)体重≧60~<100kgの患者に、1日目に1回2700mgの用量で、次いで2週目に3900mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に3900mgの用量で、その後8週間に1回;又は
    (c)体重≧100kgの患者に、1日目に1回3000mgの用量で、次いで2週目に5400mgの用量で、その後8週間に1回、及び183日目に1回900mgの用量で、次いで197日目に5400mgの用量で、その後8週間に1回
    投与される、抗C5抗体又はその抗原結合断片。
  57. 前記抗体が、ヒト患者における複数IV用量後に、安全であり、耐容性があり、有効であり、且つ十分に非免疫原性であると決定され、前記場合による背景療法が、(a)免疫抑制剤、例えばコルチコステロイド及び/若しくはミコフェノール酸モフェチルを含むループス腎炎(LN)を治療するための背景療法、又は(b)レニン-アンギオテンシン系(RAS)阻害薬を含むIgA腎症(IgAN)を治療するための背景療法を含む、請求項55又は56に記載の抗体。
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