JP2023541542A - コロナウイルスを処置するための方法及び組成物 - Google Patents

コロナウイルスを処置するための方法及び組成物 Download PDF

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Abstract

開示されるのは、コロナウイルスが細胞に感染するか又は細胞中で複製されることを阻害する方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度がコロナウイルスの感染又は複製を阻害する、工程を含む、方法である。開示されるのは、細胞当たりのコロナウイルスコピー数を低減させる方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度が細胞中のコロナウイルスコピー数を低減させる、工程を含む、方法である。開示されるのは、コロナウイルスに感染した対象を処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、標的部位が1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞を含む、工程を含む、方法である。

Description

本発明は、コロナウイルスが細胞に感染するか又は細胞中で複製されることを阻害する方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度がコロナウイルスの感染又は複製を阻害する、工程を含む、方法に関する。また、本発明は、細胞当たりのコロナウイルスコピー数を低減させる方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度が細胞中のコロナウイルスコピー数を低減させる、工程を含む、方法に関する。更には、本発明は、コロナウイルスに感染した対象を処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、標的部位が1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞を含む、工程を含む、方法に関する。
ウイルスは、小さい細胞内偏性寄生体である。ウイルスは、ウイルス複製、及び、最も単純なウイルスにおいて、保護タンパク質コートのために宿主細胞の合成機構をプログラムするために必要な遺伝情報を含有する核酸を含む。
細胞に感染するために、ウイルスは、細胞表面に付着し、細胞中に透過し、十分にコート解除されてそのゲノムの転写又は翻訳のためのウイルス機構又は宿主機構に接近可能としなければならない。ウイルスの倍加は、通常、細胞損傷又は細胞死を引き起こす。増殖性感染は子孫ウイルスの形成を結果としてもたらす。
コロナウイルスは、哺乳動物及び鳥類において疾患を引き起こすRNAウイルスの一群である。ヒト及び鳥類において、それらは、軽度から致死的までの範囲に及び得る気道感染症を引き起こす。ヒトにおける軽度の病気は、感冒の一部の症例(他のウイルス、主にライノウイルスによっても引き起こされる)を包含するが、より致死的な変種は、SARS、MERS、及びCOVID-19を引き起こし得る。ウシ及びブタにおいてそれらは下痢を引き起こし、マウスにおいてそれらは肝炎及び脳脊髄炎を引き起こす。
コロナウイルスは、リボウィリア(Riboviria)界、ニドウイルス(Nidovirales)目、コロナウイルス(Coronaviridae)科、オルトコロナウイルス(Orthocoronavirinae)亜科のメンバーである。それらは、ポジティブセンス一本鎖RNAゲノム及びらせん対称性のヌクレオカプシドを有するエンベロープ型ウイルスである。コロナウイルスのゲノムサイズは約26~32キロ塩基の範囲に及び、RNAウイルスの中で最大のものの1つである。それらは、それらの表面から突出する特徴的なこん棒形のスパイクを有し、電子顕微鏡写真において、それらの名称の由来となる太陽コロナに似た画像を作出する。
過去20年にかけて、ヒト及び動物において生命を脅かす疾患を引き起こす能力を有する新興の病原性コロナウイルスが同定されており、これらは即ち重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)及び中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)である。2019年12月に、Wuhan Municipal Health Committee (Wuhan、China)は、未知の原因のウイルス性肺炎症例の大流行を同定した。コロナウイルスRNAがこれらの患者の一部において同定された。この新規のコロナウイルスはSARS-CoV-2と命名されており、このウイルスにより引き起こされる疾患はCOVID-19と命名されている。現行で世界中で約5000万のCOVID-19の確定症例及び120万を上回る死となっている。
全ての年齢の個体は感染症及び重症疾患のリスクがある。しかしながら、深刻なCOVID-19疾患の確率は、60歳以上の人々、ナーシングホーム又は長期看護施設に生活する人々、及び慢性の医学的状態を有する人々においてより高い。病気のスペクトルは、無症候性感染症から急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び死を伴う重症肺炎までの範囲に及び得る。COVID-19患者は多くの異なる症状を示し得るが、主な症状は、発熱、咳又は息切れである。胸部X線において見られる異常は様々であるが、両側性の多病巣状影(multi-focal opacities)が最も一般的である。胸部のコンピューター断層撮影法(CT)において見られる異常も様々であるが、最も一般的なものは、臨床経過の後期において発症する硬化の区画を伴う、両側性の末梢すりガラス状影(peripheral ground-glass opacities)である。疾患の早期及び無症候性発現においてX線及びCTの両方のイメージングは正常であり得る。ウイルス学的検査(即ち、SARS-CoV-2を検出するために分子診断検査又は抗原検査を使用する)がNIHにより、COVID-19症状が疑われる患者においてSARS-CoV-2を診断するために推奨されている。
COVID-19患者は、病気の重症度により以下の群 - 無症候性又は前駆症状性、軽症、中等症、重症及び重病(critical illness)にグループ分け可能であり、重症の病気を有する患者は、1分当たり30呼吸を上回る呼吸頻度、海面レベルの室内空気においてSpO2<94%、吸気酸素分圧に対する動脈酸素分圧の比(PaO2/FiO2)<300mmHg、又は肺浸潤>50%を有する個体である。重症の病気を有するCOVID-19患者の管理は、適応される場合、肺イメージング及びECGを包含する。実験室評価は、肝臓及び腎臓の機能検査を包含する、差次的及び代謝プロファイルを伴う、全血球計算(CBC)を包含する。炎症性マーカー、例えばC反応性タンパク質(CRP)、D-ダイマー、及びフェリチンの測定は、標準治療の部分ではないが、予後診断的価値を有し得る。
COVID-19肺炎の最初の症例からほぼ1年となるが、現行の処置オプションは限られており、症状の処置、支持療法、隔離、及び実験的手段を伴う。したがって、COVID-19の処置のための新たな療法を開発する緊急のアンメットニーズが存在する。
米国特許第7,016,725号明細書 米国特許第7,565,205号明細書 米国特許第9,750,934号明細書
www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019
細胞が、有糸***を起こしている間に特有の周波数範囲の交流電場(AEF)に曝露された場合、AEFは有糸***プロセスを妨害し、アポトーシスを引き起こすことができることが以前に示されている。米国特許第7,016,725号明細書及び米国特許第7,565,205号明細書(これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、この現象は、腫瘍(例えば膠芽腫、中皮腫等)を処置するために成功裏に使用されている。また、腫瘍を処置する文脈において、これらの交流電場は「TTフィールド」(又は「腫瘍治療電場」(Tumor Treating Fields))として参照される。TTフィールド療法が腫瘍を処置するために良好に適する理由の1つは、TTフィールドは有糸***の間の***細胞を選択的に妨害し、***していない細胞には効果を有しないようであるということである。また、腫瘍細胞はヒトの身体において他の細胞よりもはるかにより頻繁に***するため、対象へのTTフィールドの適用は、他の細胞を無害で残しながら腫瘍細胞を選択的に攻撃する。米国特許第9,750,934号明細書(参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、同じ現象はまた、細菌を破壊するために有用であることが成功裏に示されている。また、ここでも再び、このアプローチが細菌を破壊するために良好に適する理由の1つは、細菌細胞はヒトの身体において他の細胞よりもはるかに急速に***するということである。
本明細書に開示されるのは、コロナウイルスが細胞に感染するか又は細胞中で複製されることを阻害する方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度がコロナウイルスの感染又は複製を阻害する、工程を含む、方法である。
本明細書に開示されるのは、細胞当たりのコロナウイルスコピー数を低減させる方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度が細胞中のウイルスコピー数を低減させる、工程を含む、方法である。
本明細書に開示されるのは、コロナウイルスに感染した対象を処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、標的部位が1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞を含む、工程を含む、方法である。
開示されるのは、コロナウイルスに対する感染症のリスクがある対象を処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有する、工程を含む、方法である。
開示されるのは、コロナウイルスに感染した対象から感染していない対象へのコロナウイルスの拡散を予防する方法であって、交流電場をコロナウイルスに感染した対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、標的部位が1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞を含む、工程を含む、方法である。
開示されるのは、対象においてウイルス感染症を予防する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有する、工程を含む、方法である。
開示されるのは、細胞中のコロナウイルスの複製を低減させる方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度が細胞中のウイルスコピー数を低減させる、工程を含む、方法である。
開示される方法及び組成物の追加の利点は、部分的には後続する記載において説明され、部分的には本明細書、図面から理解され、並びに/又は開示される方法及び組成物の実施により理解され得る。開示される方法及び組成物の利点は、添付の請求項において特に指摘される要素及び組合せによって実現及び達成される。以上の概要及び以下の詳細な説明の両方は例示的及び説明的なものに過ぎず、クレームされる発明を制限しないことが理解されるべきである。
本明細書に組み込まれてその部分を構成する添付の図面は、開示される方法及び組成物のいくつかの実施形態を図示し、本明細書と共に、開示される方法及び組成物の原理を説明するために役立つ。
細胞増殖及びウイルス複製に対する感染及び複製期の間の24時間にわたるTTフィールド適用の効果の例を示す。 細胞増殖及びウイルス複製に対する感染及び複製期の間の48時間にわたるTTフィールド適用の効果の例を示す。 ウイルスの非存在下でのTTフィールドあり及びなしでの細胞増殖の例を示す。 感染のみの間(TTフィールド+感染)又は感染及び複製期の間(TTフィールド+感染+増殖)の細胞数及びウイルスコピーに対するTTフィールド適用の効果の例を示す。 229Eコピー数/細胞及びPR8コピー数/細胞の例を示す。 ウイルス濃度及び時間に依存する229Eに対するTTフィールドの効果の例を示す。ウイルスでの全ての実験において、対照細胞は、TTフィールドを与えない感染細胞である。 A549細胞中のPR8ウイルスに対する48hrのTTフィールド処置の効果の例を示す。 複製コンピテント溶解ビリオンの濃度(PFU)に対するウイルス感染及び増殖の間の229Eウイルスに感染させたMRC5細胞への48時間のTTフィールド適用の効果を示す。 TTフィールドを用いてウイルスに感染させた細胞を処置するための例示的な実験的設計である。 ウイルス侵入に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。これは、最適な周波数を評価するための周波数走査として行った。MRC-5細胞を、100、150又は400kHzのTTフィールドに曝露させながら1%のHCoV-229Eウイルスに感染させ、細胞ウイルス負荷をRT-qPCRにより2hpi(hours post infection;感染後時間)に測定した。RQ、相対的定量化;ER=小胞体;DMS=二重膜小球;黒アステリスク=二重膜小胞(DMV)。値は平均±SDである。*p<0.05、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;aのために一元配置ANOVA。 ウイルス侵入に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。これは、最適な周波数を評価するための周波数走査として行った。MRC5細胞を、150kHzのTTフィールドに曝露させながら1%のHCoV-229Eウイルスに感染させ、続いて細胞ウイルス負荷をRT-qPCRにより0.5hpiに測定した。RQ、相対的定量化;ER=小胞体;DMS=二重膜小球;黒アステリスク=二重膜小胞(DMV)。値は平均±SDである。*p<0.05、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較。 ウイルス侵入に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。これは、最適な周波数を評価するための周波数走査として行った。MRC-5細胞を、150kHzのTTフィールドに曝露させながら20の多重感染度(MOI)でHCoV-229Eウイルスに感染させ、続いて0.5hpiにSEM検査により細胞に付着したウイルス(黄矢印で指定される)の数を決定した。RQ、相対的定量化;ER=小胞体;DMS=二重膜小球;黒アステリスク=二重膜小胞(DMV)。値は平均±SDである。*p<0.05、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較。cのためにスチューデントT検定。 ウイルス侵入に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。これは、最適な周波数を評価するための周波数走査として行った。MRC-5細胞を、150kHzのTTフィールドに曝露させながら20の多重感染度(MOI)でHCoV-229Eウイルスに感染させ、続いて0.5hpiにSEM検査により細胞に付着したウイルス(黄矢印で指定される)の数を決定した。RQ、相対的定量化;ER=小胞体;DMS=二重膜小球;黒アステリスク=二重膜小胞(DMV)。値は平均±SDである。*p<0.05、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較。 ウイルス侵入に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。これは、最適な周波数を評価するための周波数走査として行った。MRC-5細胞を3%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。48hpiに、TEM検査を行って細胞からのウイルス(白矢印で指定される、N=150/群)の距離を決定した。RQ、相対的定量化;ER=小胞体;DMS=二重膜小球;黒アステリスク=二重膜小胞(DMV)。値は平均±SDである。*p<0.05、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較。eのためにマン-ホイットニー検定。 ウイルス侵入に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。これは、最適な周波数を評価するための周波数走査として行った。MRC-5細胞を3%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。48hpiに、TEM検査を行って細胞からのウイルス(白矢印で指定される、N=150/群)の距離を決定した。RQ、相対的定量化;ER=小胞体;DMS=二重膜小球;黒アステリスク=二重膜小胞(DMV)。値は平均±SDである。*p<0.05、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較。 長期ウイルス曝露に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を、TTフィールドに24、48又は72hr曝露させながら0.01%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞内(図11A)及び細胞外(図11B)ウイルス量をRT-qPCRにより調べた。細胞数も測定した(図11C)。RQ=相対的定量化、ns=有意でない。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001、対照との比較;シダックの多重比較。 長期ウイルス曝露に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を、TTフィールドに24、48又は72hr曝露させながら0.01%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞内(図11A)及び細胞外(図11B)ウイルス量をRT-qPCRにより調べた。細胞数も測定した(図11C)。RQ=相対的定量化、ns=有意でない。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001、対照との比較;シダックの多重比較。 長期ウイルス曝露に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を、TTフィールドに24、48又は72hr曝露させながら0.01%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞内(図11A)及び細胞外(図11B)ウイルス量をRT-qPCRにより調べた。細胞数も測定した(図11C)。RQ=相対的定量化、ns=有意でない。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001、対照との比較;シダックの多重比較。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を1%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。24hpiに、dsRNAを緑色染色での蛍光顕微鏡法により検出し、細胞の核を青色DAPIでイメージングした(20倍の倍率)。感染細胞当たりのフォーカスの数、フォーカスサイズ、及び感染細胞当たりのフォーカス面積を定量化した。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を1%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。24hpiに、dsRNAを緑色染色での蛍光顕微鏡法により検出し、細胞の核を青色DAPIでイメージングした(20倍の倍率)。感染細胞当たりのフォーカスの数、フォーカスサイズ、及び感染細胞当たりのフォーカス面積を定量化した。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を1%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。24hpiに、dsRNAを緑色染色での蛍光顕微鏡法により検出し、細胞の核を青色DAPIでイメージングした(20倍の倍率)。感染細胞当たりのフォーカスの数、フォーカスサイズ、及び感染細胞当たりのフォーカス面積を定量化した。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を1%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。24hpiに、dsRNAを緑色染色での蛍光顕微鏡法により検出し、細胞の核を青色DAPIでイメージングした(20倍の倍率)。感染細胞当たりのフォーカスの数、フォーカスサイズ、及び感染細胞当たりのフォーカス面積を定量化した。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を3%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。48hpiに、TEM検査を行って二重膜小胞(DMV)の陥入(黒矢印で指定される)及び融合(黄矢印で指定される)を測定し、オートファゴリソソーム(白矢印で指定される)を定量化した。黒アステリスク=DMV;白アステリスク=膜結合性液胞内の細胞内ウイルス粒子;AL=オートファゴリソソーム;M=ミトコンドリア;Lys=リソソーム。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を3%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。48hpiに、TEM検査を行って二重膜小胞(DMV)の陥入(黒矢印で指定される)及び融合(黄矢印で指定される)を測定し、オートファゴリソソーム(白矢印で指定される)を定量化した。黒アステリスク=DMV;白アステリスク=膜結合性液胞内の細胞内ウイルス粒子;AL=オートファゴリソソーム;M=ミトコンドリア;Lys=リソソーム。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を3%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。48hpiに、TEM検査を行って二重膜小胞(DMV)の陥入(黒矢印で指定される)及び融合(黄矢印で指定される)を測定し、オートファゴリソソーム(白矢印で指定される)を定量化した。黒アステリスク=DMV;白アステリスク=膜結合性液胞内の細胞内ウイルス粒子;AL=オートファゴリソソーム;M=ミトコンドリア;Lys=リソソーム。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を3%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。48hpiに、TEM検査を行って二重膜小胞(DMV)の陥入(黒矢印で指定される)及び融合(黄矢印で指定される)を測定し、オートファゴリソソーム(白矢印で指定される)を定量化した。黒アステリスク=DMV;白アステリスク=膜結合性液胞内の細胞内ウイルス粒子;AL=オートファゴリソソーム;M=ミトコンドリア;Lys=リソソーム。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞を3%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞を洗浄した後にのみTTフィールドを適用した。48hpiに、TEM検査を行って二重膜小胞(DMV)の陥入(黒矢印で指定される)及び融合(黄矢印で指定される)を測定し、オートファゴリソソーム(白矢印で指定される)を定量化した。黒アステリスク=DMV;白アステリスク=膜結合性液胞内の細胞内ウイルス粒子;AL=オートファゴリソソーム;M=ミトコンドリア;Lys=リソソーム。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。48hr長期曝露実験からの上清をMRC-5細胞(いかなるステージにおいてもTTフィールドに曝露されなかった)に加え、プラーク形成を等しいウイルス数について決定したか、又は等しい上清体積について算出した。PFU=プラーク形成単位;SN=上清。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 ウイルス複製に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。48hr長期曝露実験からの上清をMRC-5細胞(いかなるステージにおいてもTTフィールドに曝露されなかった)に加え、プラーク形成を等しいウイルス数について決定したか、又は等しい上清体積について算出した。PFU=プラーク形成単位;SN=上清。値は平均±SDである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;スチューデントT検定。 レムデシビルとのTTフィールドの組合せ効果の例を示す。MRC-5細胞を、TTフィールドに単独で又は随伴的な0.011若しくは0.023μMのレムデシビルと共に48hr曝露させながら1%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞内(図13A)及び細胞外(図13B)ウイルス量をRT-qPCRにより調べた。dsRNAを緑色染色での蛍光顕微鏡法により検出し、細胞の核を青色DAPIでイメージングした(20倍の倍率)(図13C)。RQ=相対的定量化。値は平均±SDである。**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;シダックの多重比較。 臨床研究設計の例を示す。 経時的なウイルス排出レベルの例を示す。MRC-5細胞を0.01%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞外ウイルス量をRT-qPCRにより24及び48hpiにおいて調べた。SN=上清。 ウイルスを伴わないMRC-5細胞に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。MRC-5細胞をTTフィールドに24又は48hr曝露させ、細胞数を測定した。値は平均±SDである。スチューデントT検定、対照との比較;ns=有意でない。シダックの多重比較。 A549ウイルス感染に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。A549細胞を、TTフィールドに48hr曝露させながら0.01%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞内(図17A)及び細胞外(図17B)ウイルス量をRT-qPCRにより調べた。細胞数もウイルス感染のあり又はなしで測定した(図17C)。RQ=相対的定量化、ns=有意でない、w/o=なし(without)。値は平均±SDである。***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;図17AのためにスチューデントT検定。 A549ウイルス感染に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。A549細胞を、TTフィールドに48hr曝露させながら0.01%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞内(図17A)及び細胞外(図17B)ウイルス量をRT-qPCRにより調べた。細胞数もウイルス感染のあり又はなしで測定した(図17C)。RQ=相対的定量化、ns=有意でない、w/o=なし(without)。値は平均±SDである。***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;図17BのためにスチューデントT検定。 A549ウイルス感染に対するTTフィールドの例示的な効果を示す。A549細胞を、TTフィールドに48hr曝露させながら0.01%のHCoV-229Eウイルスに3hr感染させ、細胞内(図17A)及び細胞外(図17B)ウイルス量をRT-qPCRにより調べた。細胞数もウイルス感染のあり又はなしで測定した(図17C)。RQ=相対的定量化、ns=有意でない、w/o=なし(without)。値は平均±SDである。***p<0.001、及び****p<0.0001、対照との比較;図17Cのためにシダックの多重比較。
開示される方法及び組成物は、特定の実施形態の以下の詳細な説明及びそれに含まれる実施例並びに図面及びそれらの先行する及び以後の説明を参照することによってより容易に理解され得る。
開示される方法及び組成物は、他に指定されなければ、特有の合成方法、特有の分析技術、又は特定の試薬に限定されず、そのため、変更され得ることが理解されるべきである。本明細書において使用される学術用語は、特定の実施形態を記載する目的のものに過ぎず、限定的であることは意図されないこともまた理解される。
開示されるのは、開示される方法及び組成物のために使用され得るか、それらと組み合わせて使用され得るか、それらのための準備において使用され得るか、又はそれらの製造物である材料、組成物、及び構成要素である。これら及び他の材料が本明細書に開示され、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群等が開示される場合、これらの化合物の各々の様々な個々の及び集団的な組合せ及び並べ替えの特有の参照が明示的に開示されない場合であっても、各々が本明細書において特に想定及び記載されることが理解される。そのため、分子A、B、及びCのクラスが開示される他に、分子D、E、及びFのクラス並びに組合せ分子、A-Dの例が開示される場合、各々が個々に記載されていなかったとしても、各々は個々に及び集団的に想定される。そのため、この例において、組合せA-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、及びC-Fの各々は特に想定され、A、B、及びC;D、E、及びF;並びに例示的組合せA-Dの開示から開示されていると考えられるべきである。同様に、これらの任意のサブセット又は組合せもまた特に想定及び開示される。そのため、例えば、A-E、B-F、及びC-Eの部分群が特に想定され、A、B、及びC;D、E、及びF;並びに例示的組合せA-Dの開示から開示されていると考えられるべきである。この概念は、開示される組成物を製造及び使用する方法における工程を包含するがこれらに限定されない、本出願の全ての態様に適用される。そのため、行われ得る様々な追加の工程がある場合、これらの追加の工程の各々は、開示される方法の任意の特有の実施形態又は実施形態の組合せで行われ得ること、及び各々のそのような組合せが特に想定され、開示されていると考えられるべきであることが理解される。
A.定義
開示される方法及び組成物は、記載される特定の方法論、プロトコール、及び試薬に限定されず、これらは変更され得ることが理解される。本明細書において使用される学術用語は特定の実施形態を記載する目的のために過ぎず、本発明の範囲を限定することは意図されず、該範囲は添付の請求項によってのみ限定されることもまた理解される。
本明細書及び添付の請求項において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他に明確に規定しなければ複数の指示対象を含むことが留意されなければならない。そのため、例えば、「細胞」(a cell)への言及は複数のそのような細胞を含み、「細胞」(the cell)への言及は、1つ又は複数の細胞及び当業者に公知のその均等物を含む、等である。
本明細書において使用される場合、「コロナウイルス」は、リボウィリア界、ニドウイルス目、コロナウイルス科、及びオルトコロナウイルス亜科のRNAウイルスの一群を指す。それらは、ポジティブセンス一本鎖RNAゲノム及びらせん対称性のヌクレオカプシドを有するエンベロープ型ウイルスである。コロナウイルスのゲノムサイズは約26~32キロ塩基の範囲に及び、RNAウイルスの中で最大のものの1つである。それらは、それらの表面から突出する特徴的なこん棒形のスパイクを有し、電子顕微鏡写真において、それらの名称の由来となる太陽コロナに似た画像を作出する。一部の態様において、コロナウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、ヒトコロナウイルス-エラスムス大学医療センター(HCoV-EMC)、SARS-CoV、又はSARS-CoV-2である。
本明細書において使用される場合、「標的部位」は、対象或いは患者内の若しくは上に存在する特有の部位又は位置である。例えば、「標的部位」は、細胞、細胞の集団、臓器、又は組織を指すことができるが、これらに限定されない。一部の態様において、標的部位は、コロナウイルスに感染しているか又は該ウイルスを含む細胞であることができる。一部の態様において、臓器は肺であることができる。一部の態様において、細胞又は細胞の集団は1つ又は複数の肺細胞であることができる。一部の態様において、「標的部位」は肺細胞標的部位であることができる。一部の態様において、標的部位は鼻腔又は鼻咽頭であることができる。一部の態様において、「標的部位」は、コロナウイルス受容体が存在する特有の部位又は位置であることができる。一部の態様において、「標的部位」は、SARS-CoV-2受容体、特にはACE2受容体が存在する特有の部位又は位置であることができる。一部の態様において、「標的部位」は、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)又はアミノペプチダーゼN(APN)が存在する特有の部位又は位置であることができる。
本明細書において使用される場合、「交流電場」(alternating electric field)又は「交流電場」(alternating electric fields)は、対象、対象から得られた試料又は対象若しくは患者内の特有の位置(例えば標的部位)に送達される非常に低強度の、方向性の、中間周波数の交流電場を指す。一部の態様において、交流電場は単一の方向又は複数の方向性であることができる。一部の態様において、交流電場は、処置される肺内に垂直な電場を生成するトランスデューサーアレイの2つのペアを通じて送達され得る。例えば、Optune(商標)システム(交流電場送達システム)について電極の1つのペアは肺の左及び右(LR)に位置し、電極の他のペアは肺の前部及び後部(AP)に位置する。これらの2つの方向(即ち、LR及びAP)の間で電場をサイクルさせることは、細胞配向性の最大範囲が標的化されることを確実にする。
インビボ及びインビトロ研究は、交流電場療法の有効性は、電場の強度が増加するにつれて増加することを示す。したがって、所望される領域中の強度を増加させるために患者上のアレイ配置を最適化することは、Optuneシステムを用いて行われ得る。アレイ配置最適化は、「経験則」(rule of thumb)(例えば、可能な限り標的部位(例えば肺)の所望される領域の近くで胸部上にアレイを置くこと)、患者の身体の幾何形状、身体寸法を記載する測定により行われてもよい。インプットとして使用される測定は、イメージングデータに由来してもよい。イメージングデータは、任意の種類の視覚的データを包含することが意図される。ある特定の実施態様において、画像データは、3Dスキャナーから得られたか又はそれにより生成された3Dデータ(例えば、点群データ)を含んでもよい。最適化は、電場がアレイの位置の関数として肺内でどのように分布するかの理解に依拠することができ、一部の態様において、異なる患者の標的部位(例えば感染細胞)内の電気的特性分布における変動を考慮に入れることができる。
「対象」という用語は、投与の標的、例えば動物を指す。そのため、開示される方法の対象は、脊椎動物、例えば哺乳動物であることができる。例えば、対象はヒトであることができる。該用語は、特定の年齢又は性別を表さない。対象は、「個体」又は「患者」と交換可能に使用され得る。例えば、投与の対象は、交流電場のレシピエントを意味することができる。
「処置する」により、治療、例えば交流電場を、コロナウイルス感染症を有するか、コロナウイルスに感染しているリスクがあるか、又はコロナウイルス感染症を発症する増加した感受性を有する対象、例えばヒト又は他の哺乳動物(例えば、動物モデル)に投与又は適用して、コロナウイルス感染症の影響の悪化を予防するか若しくは遅延させるか、又はコロナウイルス感染症の影響を部分的に若しくは全的に逆転させることが意味される。例えば、コロナウイルスに感染した対象を処置することは、対象においてコロナウイルスが細胞に感染するか若しくは細胞中で複製されることを阻害すること又は対象において細胞当たりのコロナウイルスコピー数を低減させることを含むことができる。
「予防する」により、対象がコロナウイルス感染症を発症する可能性を最小化するか又は減少させることが意味される。
本明細書において使用される場合、「投与する」及び「投与」という用語は、治療、例えば抗ウイルス剤又はコロナウイルス治療(例えば、レムデシビル若しくは血漿療法)を対象に提供する任意の方法を指す。そのような方法は当業者に周知であり、経口投与、経皮投与、吸入による投与、経鼻投与、外用投与、腟内投与、眼投与、壁内投与、脳内投与、直腸投与、舌下投与、頬側投与、並びに注射剤、例えば静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、及び皮下投与を包含する非経口投与を包含するが、これらに限定されない。投与は連続的又は間欠的であることができる。様々な態様において、調製物は治療的に投与可能であり;即ち、既存の疾患又は状態を処置するために投与され得る。更なる様々な態様において、調製物は予防的に投与可能であり;即ち、疾患又は状態の予防のために投与され得る。一態様において、当業者は、対象を処置するように投与の有効な用量、有効なスケジュール、又は有効な経路を決定することができる。一部の態様において、投与は曝露を含む。そのため、一部の態様において、対象を交流電場に曝露することは、交流電場を対象に投与することを意味する。
「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象、状況、又は材料が、発生又は存在してもよいししなくてもよいこと、並びに該記載が、事象、状況、又は材料が発生又は存在する場合及びそれが発生又は存在しない場合を含むことを意味する。
範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして本明細書において表現されることがある。そのような範囲が表現される場合、文脈が特に他に指し示さなければ、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までの範囲もまた特に想定され及び開示されると考えられる。同様に、値が、先行詞「約」の使用により、おおよそのものとして表現される場合、文脈が特に他に指し示さなければ、特定の値は、開示されると考えられるべき別の、特に想定される実施形態を形成することが理解されるであろう。文脈が特に他に指し示さなければ、範囲の各々の端点は、他の端点に関して、及び他の端点から独立しての両方で意義を持つことが更に理解される。最後に、文脈が特に他に指し示さなければ、明示的に開示される範囲内に含有される個々の値及び値の部分的範囲の全てもまた特に想定され、開示されると考えられるべきことが理解されるべきである。以上は、特定の場合においてこれらの実施形態の一部又は全てが明示的に開示されているかどうかにかかわらず適用される。
他に定義されなければ、本明細書において使用される全ての科学技術用語は、開示される方法及び組成物が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料が本発明の方法及び組成物の実施又は試験において使用され得るが、特に有用な方法、デバイス、及び材料が記載されている。本明細書において参照される刊行物及びそのために刊行物が参照される材料は、これにより特に参照により組み込まれる。本明細書におけるいずれの記載も、本発明は、先行発明を理由としてそのような開示に先行する権利がないという承認として解釈されるべきではない。任意の参考文献が先行技術を構成するという承認はされない。参考文献の議論は、それらの著者らが主張することを述べたものであり、本出願人は、参照される文献の正確性及び妥当性に挑戦する権利を保持する。多数の刊行物が本明細書において参照されているが、そのような参照は、これらの文献のいずれかが当技術分野における一般的知識の部分を形成するという承認を構成しないことが明確に理解される。
本出願の明細書及び請求項の全体を通じて、「含む」(comprise)という語並びに該語のバリエーション、例えば「含む」(comprising)及び「含む」(comprises)は、「含むがそれに限定されない」ことを意味し、例えば、他の添加剤、構成要素、整数又は工程を除外することは意図されない。特に、1つ又は複数の工程又は操作を含むとして記載される方法において、各々の工程は、列記されるものを含む(その工程が限定的な用語、例えば「からなる」を含む場合を除く)ことが特に想定され、即ち、各々の工程は、例えば、工程中に列記されない他の添加剤、構成要素、整数又は工程を除外することは意図されない。
B.コロナウイルスの感染又は複製を阻害する方法
一部の態様において、細胞においてウイルスの感染を阻害するか又はその複製を阻害する開示される方法は、受容体との静電相互作用に依拠する任意のウイルスのために使用され得る。例えば、ウイルスはコロナウイルス又はレンチウイルスであることができる。本明細書に記載されるコロナウイルスは、細胞における感染又は複製から阻害され得るウイルスの例として使用される。一部の態様において、細胞においてウイルスの感染を阻害するか又はその複製を阻害する開示される方法は、受容体との静電相互作用に依拠する任意のウイルスのために使用可能であり、ウイルスはインフルエンザではない。
開示されるのは、コロナウイルスが細胞に感染するか又は細胞中で複製されることを阻害する方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度がコロナウイルスの感染又は複製を阻害する、工程を含む、方法である。一部の態様において、コロナウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、ヒトコロナウイルス-エラスムス大学医療センター(HCoV-EMC)、SARS-CoV、又はSARS-CoV-2である。一部の態様において、コロナウイルスは、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、又はデルタコロナウイルスであることができる。アルファコロナウイルスの例は、アルファコロナウイルス1、ヒトコロナウイルス229E、ヒトコロナウイルスNL63、ユビナガコウモリ(Miniopterus bat)コロナウイルス1、ユビナガコウモリコロナウイルスHKU8、ブタ流行性下痢ウイルス、キクガシラコウモリ(Rhinolophus bat)コロナウイルスHKU2、イエローハウスコウモリ(Scotophilus bat)コロナウイルス512を包含し得るが、これらに限定されない。ベータコロナウイルスの例は、ベータコロナウイルス1(ウシコロナウイルス、ヒトコロナウイルスOC43)、ハリネズミコロナウイルス1、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス、マウスコロナウイルス、アブラコウモリ(Pipistrellus bat)コロナウイルスHKU5、ルーセットコウモリ(Rousettus bat)コロナウイルスHKU9、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV、SARS-CoV-2)、タケコウモリ(Tylonycteris bat)コロナウイルスHKU4を包含し得るが、これらに限定されない。ガンマコロナウイルスの例は、トリコロナウイルス、ベルーガクジラコロナウイルスSW1を包含し得るが、これらに限定されない。デルタコロナウイルスの例は、ヒヨドリ(Bulbul)コロナウイルスHKU11、ブタコロナウイルスHKU15を包含し得るが、これらに限定されない。一部の態様において、コロナウイルスは、1つ又は複数のコロナウイルスのバリアントであることができる。例えばバリアントは、SARS-CoV-2のバリアント、例えばアルファ(B.1.1.7)、ベータ(B.1.351、B.1.351.2、B.1.351.3)、デルタ(B.1.617.2、AY.1、AY.2、AY.3)、及びガンマ(P.1、P.1.1、P.1.2)バリアントであることができる。
一部の態様において、交流電場の周波数は150kHzである。
一部の態様において、交流電場のパラメーターは150kHz及び1.7V/cmである。
一部の態様において、交流電場は250kHz~350kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は50~190kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は210~400kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は50kHZ~1MHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する。一部の態様において、交流電場は50~190kHzの周波数を有する。一部の態様において、交流電場は210~400kHzの周波数を有する。一部の態様において、交流電場は少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する。一部の態様において、交流電場は1~4V/cm RMSの電場強度を有する。
一部の態様において、一定期間は、時間(hr)、日、又は週であることができる。一部の態様において、細胞は、交流電場に24又は48時間曝露され得る。
一部の態様において、交流電場は、コロナウイルスの感染及び複製の両方を阻害する。一部の態様において、交流電場はコロナウイルスの感染を阻害する。一部の態様において、交流電場はコロナウイルスの複製を阻害する。
一部の態様において、交流電場は、リソソームとのオートファゴソームの融合を促進してウイルスの溶解を結果としてもたらす。
一部の態様において、交流電場は、細胞によりシェディングされるウイルスを予防するか又はその量を低減させることができる。そのため、一部の態様において、交流電場は、より少ないウイルスを産生する感染細胞を結果としてもたらすことができ、これは次により少ない再感染を結果としてもたらすことができる。
一部の態様において、コロナウイルスに感染していない細胞は損傷されない。
一部の態様において、細胞生存は維持される。
一部の態様において、対象におけるウイルス負荷は減少され、及び細胞増殖は影響されない。
一部の態様において、標的部位における細胞の生存は維持され、及びウイルス複製又はウイルス感染は減少される。
交流電場は、高度に極性の細胞内要素、例えばチューブリンに対して2方向の力を発揮することにより抗有糸***効果を誘導することが公知である。そのため、一部の態様において、交流電場は、他の高度に極性の要素、例えばウイルスタンパク質に対して効果を有し得る。例えば、コロナウイルスのスパイクタンパク質は、高度に極性及び静電性であり、その受容体(例えばACE2)への結合を可能とする。一部の態様において、交流電場は、コロナウイルスがその受容体と相互作用する能力に干渉することができる。コロナウイルスがその受容体と相互作用する能力への干渉は、コロナウイルスが細胞に感染する能力を妨害又は阻害することができる。
一部の態様において、交流電場は、ウイルスが細胞に感染することを予防することができる。例えば、一部の態様において、交流電場は、ウイルスが細胞膜に十分に近接して細胞に感染することを予防するか又は減少させることができる。
一部の態様において、交流電場は、リソソームとのウイルスの融合を増加させることができる。リソソームとのウイルスの融合はウイルスの殺傷を結果としてもたらすことができる。一部の態様において、ウイルスはコロナウイルスであり、及び交流電場はリソソームとのコロナウイルスの融合を増加させることができる。
C.ウイルスコピー数を低減させる方法
一部の態様において、細胞中のウイルスのコピー数を低減させる開示される方法は、受容体との静電相互作用に依拠する任意のウイルスのために使用され得る。例えば、ウイルスはコロナウイルス又はレンチウイルスであることができる。本明細書に記載されるように、コロナウイルスは、コピー数が交流電場の適用により低減され得るウイルスの例として使用される。
開示されるのは、細胞当たりのコロナウイルスコピー数を低減させる方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度が細胞中のウイルスコピー数を低減させる、工程を含む、方法である。
開示されるのはまた、細胞中のコロナウイルスの複製を低減させる方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度が細胞中のウイルスコピー数を低減させる、工程を含む、方法である。一部の態様において、コロナウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、ヒトコロナウイルス-エラスムス大学医療センター(HCoV-EMC)、SARS-CoV、又はSARS-CoV-2である。一部の態様において、コロナウイルスは、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、又はデルタコロナウイルスであることができる。アルファコロナウイルスの例は、アルファコロナウイルス1、ヒトコロナウイルス229E、ヒトコロナウイルスNL63、ユビナガコウモリコロナウイルス1、ユビナガコウモリコロナウイルスHKU8、ブタ流行性下痢ウイルス、キクガシラコウモリコロナウイルスHKU2、イエローハウスコウモリコロナウイルス512を包含し得るが、これらに限定されない。ベータコロナウイルスの例は、ベータコロナウイルス1(ウシコロナウイルス、ヒトコロナウイルスOC43)、ハリネズミコロナウイルス1、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス、マウスコロナウイルス、アブラコウモリコロナウイルスHKU5、ルーセットコウモリコロナウイルスHKU9、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV、SARS-CoV-2)、タケコウモリコロナウイルスHKU4を包含し得るが、これらに限定されない。ガンマコロナウイルスの例は、トリコロナウイルス、ベルーガクジラコロナウイルスSW1を包含し得るが、これらに限定されない。デルタコロナウイルスの例は、ヒヨドリコロナウイルスHKU11、ブタコロナウイルスHKU15を包含し得るが、これらに限定されない。一部の態様において、コロナウイルスは、1つ又は複数のコロナウイルスのバリアントであることができる。例えばバリアントは、SARS-CoV-2のバリアント、例えばアルファ(B.1.1.7)、ベータ(B.1.351、B.1.351.2、B.1.351.3)、デルタ(B.1.617.2、AY.1、AY.2、AY.3)、及びガンマ(P.1、P.1.1、P.1.2)バリアントであることができる。
一部の態様において、交流電場の周波数は150kHzである。
一部の態様において、交流電場のパラメーターは150kHz及び1.7V/cmである。
一部の態様において、交流電場は250kHz~350kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は50~190kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は210~400kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は50kHz~1MHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する。一部の態様において、交流電場は50~190kHzの周波数を有する。一部の態様において、交流電場は210~400kHzの周波数を有する。一部の態様において、交流電場は少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する。一部の態様において、交流電場は1~4V/cm RMSの電場強度を有する。
一部の態様において、一定期間は、時間(hr)、日、又は週であることができる。一部の態様において、細胞は、交流電場に24又は48時間曝露され得る。
一部の態様において、細胞当たりのコロナウイルスコピー数における低減は、交流電場で処理されていない細胞中の細胞当たりのコロナウイルスコピー数との比較に基づいて決定される。
一部の態様において、細胞当たりのコロナウイルスコピー数における低減は、同時に細胞生存を維持しながら達成される。
一部の態様において、コロナウイルスに感染していない細胞は損傷されない。
一部の態様において、細胞生存は維持される。
一部の態様において、対象におけるウイルス負荷は減少され、及び細胞増殖は影響されない。
一部の態様において、標的部位における細胞の生存は維持され、及びウイルス複製又はウイルス感染は減少される。
D.処置方法
一部の態様において、ウイルスに感染した対象を処置する開示される方法は、受容体との静電相互作用に依拠する任意のウイルスのために使用され得る。例えば、ウイルスはコロナウイルス又はレンチウイルスであることができる。本明細書に記載されるように、コロナウイルスは、交流電場がコロナウイルスに感染した対象を処置するために使用され得るウイルスの例として使用される。
開示されるのは、コロナウイルスに感染した対象を処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、標的部位が1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞を含む、工程を含む、方法である。
開示されるのは、コロナウイルスに対する感染症のリスクがある対象を処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有する、工程を含む、方法である。一部の態様において、コロナウイルスに対する感染症のリスクがある対象は、ファーストレスポンダー(例えば医療従事者)又はコロナウイルスを有するか若しくはコロナウイルスに曝露されたことが既知である対象と緊密に接触した対象であることができる。
開示されるのは、対象においてウイルス感染症を予防する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有する、工程を含む、方法である。一部の態様において、対象は、コロナウイルスに以前に感染していない。一部の態様において、対象は、コロナウイルスに感染しているリスクがある。一部の態様において、コロナウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、ヒトコロナウイルス-エラスムス大学医療センター(HCoV-EMC)、SARS-CoV、又はSARS-CoV-2である。一部の態様において、コロナウイルスは、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、又はデルタコロナウイルスであることができる。アルファコロナウイルスの例は、アルファコロナウイルス1、ヒトコロナウイルス229E、ヒトコロナウイルスNL63、ユビナガコウモリコロナウイルス1、ユビナガコウモリコロナウイルスHKU8、ブタ流行性下痢ウイルス、キクガシラコウモリコロナウイルスHKU2、イエローハウスコウモリコロナウイルス512を包含し得るが、これらに限定されない。ベータコロナウイルスの例は、ベータコロナウイルス1(ウシコロナウイルス、ヒトコロナウイルスOC43)、ハリネズミコロナウイルス1、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス、マウスコロナウイルス、アブラコウモリコロナウイルスHKU5、ルーセットコウモリコロナウイルスHKU9、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV、SARS-CoV-2)、タケコウモリコロナウイルスHKU4を包含し得るが、これらに限定されない。ガンマコロナウイルスの例は、トリコロナウイルス、ベルーガクジラコロナウイルスSW1を包含し得るが、これらに限定されない。デルタコロナウイルスの例は、ヒヨドリコロナウイルスHKU11、ブタコロナウイルスHKU15を包含し得るが、これらに限定されない。一部の態様において、コロナウイルスは、1つ又は複数のコロナウイルスのバリアントであることができる。例えばバリアントは、SARS-CoV-2のバリアント、例えばアルファ(B.1.1.7)、ベータ(B.1.351、B.1.351.2、B.1.351.3)、デルタ(B.1.617.2、AY.1、AY.2、AY.3)、及びガンマ(P.1、P.1.1、P.1.2)バリアントであることができる。
一部の態様において、交流電場の周波数は150kHzである。一部の態様において、交流電場は約150kHz~300kHzである。
一部の態様において、交流電場のパラメーターは150kHz及び1.7V/cmである。
一部の態様において、交流電場は250kHz~350kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は250kHz~350kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は50~190kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は210~400kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は50kHz~1MHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する。一部の態様において、交流電場は50~190kHzの周波数を有する。一部の態様において、交流電場は210~400kHzの周波数を有する。一部の態様において、交流電場は少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する。一部の態様において、交流電場は1~4V/cm RMSの電場強度を有する。
開示されるのは、対象においてCOVID-19を処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、標的部位が1つ又は複数のSARS-CoV-2感染細胞を含む、工程を含む、方法である。
一部の態様において、交流電場は1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞中のウイルスコピー数を低減させる。一部の態様において、交流電場の周波数は150kHzである。一部の態様において、交流電場のパラメーターは150kHz及び1.7V/cmである。一部の態様において、交流電場は250kHz~350kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は50~190kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は210~400kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する。一部の態様において、交流電場は50~190kHzの周波数を有する。一部の態様において、交流電場は210~400kHzの周波数を有する。一部の態様において、交流電場は少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する。一部の態様において、交流電場は1~4V/cm RMSの電場強度を有する。
一部の態様において、開示される方法は、第2の治療を対象に投与することを更に含む。一部の態様において、第2の治療は、抗ウイルス治療であることができるが、それに限定されない。一部の態様において、第2の治療は交流電場の前に投与される。一部の態様において、第2の治療は交流電場と同時に投与される。一部の態様において、第2の治療は交流電場の後に投与される。一部の態様において、抗ウイルス剤が対象又は標的領域に送達され、その結果、交流電場が投与される間に抗ウイルス剤は標的領域中に存在する。一部の態様において、抗ウイルス治療は、細胞若しくは遺伝子療法治療、免疫調節剤、抗体又は抗体若しくは抗ウイルス剤の混合物である。一部の態様において、抗ウイルス治療は、レムデシビル(ベクルリー)、アビガン(ファビラビル)、バムラニビマブ、オルミエント及びバリシニクス(Baricinix)(バリシチニブ)、ヒドロキシクロロキン/クロロキン、カシリビマブ及びイムデビマブ(旧名REGN-COV2)、PTC299、レロンリマブ(PRO 140)、バムラニビマブ(LY-CoV555)、レンジルマブ、イベルメクチン、RLF-100(アビプタジル)、メトホルミン(グルコファージ、グルメツァ(Glumetza)、リオメット(Riomet))、AT-527、アクテムラ(トシリズマブ)、ニクロシド(ニクロサミド)、回復期血漿、ペプシド(Pepcid)(ファモチジン)、カレトラ(ロピナビル-リトナビル)、レミケード(インフリキシマブ)、AZD7442、CT-P59、ヘパリン(UF及びLMW)、VIR-7831(GSK4182136)、JS016、ケブザラ(サリルマブ)、SACCOVID(CD24Fc)、ヒュミラ(アダリムマブ)、COVI-GUARD(STI-1499)、デキサメタゾン(デクステンザ(Dextenza)、オズルデクス(Ozurdex)、その他)、PB1046、ガリデシビル、ブシラミン、PF-00835321(PF-07304814)、エリキュース(アピキサバン)、タクザイロ(Takhzyro)(ラナデルマブ)、ヒドロコルチゾン、イラリス(カナキヌマブ)、コルヒチン(ミティガレ(Mitigare)、コルクリス(Colcrys))、BLD-2660、アビガン(ファビラビル/アビファビル)、Rhu-pGSN(ゲルゾリン)、MK-4482、TXA127、LAM-002A(二メシル酸アピリモド(apilimod dimesylate))、DNL758(SAR443122)、INOpulse、ABX464、AdMSCs、ロスマピモド、マブリリムマブ、又はカルクエンス(アカラブルチニブ)である。一部の態様において、コロナウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、ヒトコロナウイルス-エラスムス大学医療センター(HCoV-EMC)、SARS-CoV、又はSARS-CoV-2である。一部の態様において、コロナウイルスは、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、又はデルタコロナウイルスであることができる。アルファコロナウイルスの例は、アルファコロナウイルス1、ヒトコロナウイルス229E、ヒトコロナウイルスNL63、ユビナガコウモリコロナウイルス1、ユビナガコウモリコロナウイルスHKU8、ブタ流行性下痢ウイルス、キクガシラコウモリコロナウイルスHKU2、イエローハウスコウモリコロナウイルス512を包含し得るが、これらに限定されない。ベータコロナウイルスの例は、ベータコロナウイルス1(ウシコロナウイルス、ヒトコロナウイルスOC43)、ハリネズミコロナウイルス1、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス、マウスコロナウイルス、アブラコウモリコロナウイルスHKU5、ルーセットコウモリコロナウイルスHKU9、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV、SARS-CoV-2)、タケコウモリコロナウイルスHKU4を包含し得るが、これらに限定されない。ガンマコロナウイルスの例は、トリコロナウイルス、ベルーガクジラコロナウイルスSW1を包含し得るが、これらに限定されない。デルタコロナウイルスの例は、ヒヨドリコロナウイルスHKU11、ブタコロナウイルスHKU15を包含し得るが、これらに限定されない。一部の態様において、コロナウイルスは、1つ又は複数のコロナウイルスのバリアントであることができる。例えばバリアントは、SARS-CoV-2のバリアント、例えばアルファ(B.1.1.7)、ベータ(B.1.351、B.1.351.2、B.1.351.3)、デルタ(B.1.617.2、AY.1、AY.2、AY.3)、及びガンマ(P.1、P.1.1、P.1.2)バリアントであることができる。
一部の態様において、標的部位は肺であることができる。一部の態様において、標的部位は腫瘍を含まない。
開示されるのはまた、コロナウイルスの拡散を予防する方法である。一部の態様において、コロナウイルスに感染した対象は、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、標的部位が1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞を含む、工程により処置され得る。交流電場は、欠陥性ウイルスの産生を結果としてもたらすことができ、欠陥性ウイルスは野生型コロナウイルスよりも低い感染性であり、その結果、対象は他の対象よりも低い感染性である。一部の態様において、交流電場は、対象において感染細胞により産生されるウイルスを変更し、それにより欠陥性ウイルスを結果としてもたらすことができるか、又は交流電場は、ウイルスを産生する細胞を変更し、それにより欠陥性ウイルスの産生を結果としてもたらすことができる。一部の態様において、交流電場は、コロナウイルス複製のために要求される複製機構を与えることができる。
一部の態様において、コロナウイルスに感染していない対象内の細胞は損傷されない。
一部の態様において、標的部位における細胞生存は維持される。
一部の態様において、対象におけるウイルス負荷は減少され、及び細胞増殖は影響されない。
一部の態様において、標的部位における細胞の生存は維持され、及びウイルス複製又はウイルス感染は減少される。
E.併用療法
TTフィールドを使用する開示される方法のいずれも、コロナウイルス感染症に対する公知の標準治療の1つ又は複数と組み合わせて行われ得る。そのため、一部の態様において、TTフィールドは、抗体、又は抗体カクテル、ナノボディ、抗ウイルス性小分子、硫酸化多糖の高分子、及びポリペプチドと組み合わせられ得る。頻繁な標的は、ウイルススパイクタンパク質、宿主アンギオテンシン変換酵素2、宿主膜貫通プロテアーゼセリン2、及びクラスリン媒介性エンドサイトーシスである。例えば、TTフィールドを使用する開示される方法は、レムデシビル(ベクルリー)、ナファモスタット、アビガン(ファビラビル)、バムラニビマブ、オルミエント及びバリシニクス(バリシチニブ)、ヒドロキシクロロキン/クロロキン、カシリビマブ及びイムデビマブ(旧名REGN-COV2)、PTC299、レロンリマブ(PRO 140)、バムラニビマブ(LY-CoV555)、レンジルマブ、イベルメクチン、RLF-100(アビプタジル)、メトホルミン(グルコファージ、グルメツァ、リオメット)、AT-527、アクテムラ(トシリズマブ)、ニクロシド(ニクロサミド)、回復期血漿、ペプシド(ファモチジン)、カレトラ(ロピナビル-リトナビル)、レミケード(インフリキシマブ)、AZD7442、CT-P59、ヘパリン(UF及びLMW)、VIR-7831(GSK4182136)、JS016、ケブザラ(サリルマブ)、SACCOVID(CD24Fc)、ヒュミラ(アダリムマブ)、COVI-GUARD(STI-1499)、デキサメタゾン(デクステンザ、オズルデクス、その他)、PB1046、ガリデシビル、ブシラミン、PF-00835321(PF-07304814)、エリキュース(アピキサバン)、タクザイロ(ラナデルマブ)、ヒドロコルチゾン、イラリス(カナキヌマブ)、コルヒチン(ミティガレ、コルクリス)、BLD-2660、アビガン(ファビラビル/アビファビル)、Rhu-pGSN(ゲルゾリン)、MK-4482、TXA127、LAM-002A(二メシル酸アピリモド)、DNL758(SAR443122)、INOpulse、ABX464、AdMSCs、ロスマピモド、マブリリムマブ、又はカルクエンス(アカラブルチニブ)、キノリン系抗マラリア剤((ヒドロキシ)-クロロキン及びその他)、RAAS修飾剤(カプトプリル、ロサルタン、及びその他)、スタチン(アトルバスタチン及びシンバスタチン)、グアニジノ系セリンプロテアーゼ阻害剤(カモスタット及びナファモスタット)、抗菌剤(マクロライド、クリンダマイシン、及びドキシサイクリン)、抗寄生虫剤(イベルメクチン及びニクロサミド)、心臓血管薬(アミオダロン、ベラパミル、及びトラネキサム酸)、抗精神病剤(クロルプロマジン)、抗ウイルス剤(ウミフェノビル及びオセルタミビル)、DPP-4阻害剤(リナグリプチン)、JAK阻害剤(バリシチニブ及びその他)、硫酸化グリコサミノグリカン(UFH及びLMWHs)並びにポリペプチド、例えば酵素DAS181及びrhACE2のうちの1つ又は複数と組み合わせて行われ得る。それらはまた、ウイルススパイクタンパク質標的化モノクローナル抗体REGN10933及びREGN10987を包含する。
F.交流電場
本明細書に開示される方法は交流電場を含む。一部の態様において、本明細書に開示される方法において使用される交流電場は、腫瘍治療電場である。一部の態様において、交流電場は、細胞の種類又は交流電場が適用される条件に依存して変更され得る。一部の態様において、交流電場は、対象の身体上に置かれた1つ又は複数の電極を通じて適用され得る。一部の態様において、2つ又はより多くのペアの電極が存在することができる。例えば、アレイは、患者の前部/背部及び側部に置くことができ、本明細書に開示されるシステム及び方法と共に使用され得る。一部の態様において、電極の2つのペアが使用される場合、交流電場は、電極のペアの間で交替することができる。例えば、電極の第1のペアは対象の前部及び背部に置くことができ、電極の第2のペアは対象のいずれかの側部に置くことができ、交流電場が次に適用可能であり、前部及び背部の電極、及び次に側部及び側部の電極の間で交替することができる。
一部の態様において、交流電場の周波数は150kHzであることができる。交流電場の周波数はまた、約150kHz、約200kHz、50~500kHz、100~500kHz、25kHz~1MHz、50kHz~1MHz、50~190kHz、25~190kHz、又は210~400kHzであることができるが、これらに限定されない。一部の態様において、交流電場の周波数は、50kHz、100kHz、150kHz、200kHz、300kHz、400kHz、500kHz、1MHz、又は間にある任意の周波数の電場であることができる。
一部の態様において、交流電場の周波数は、約150kHz~約300kHz、約100kHz~約300kHz、約200kHz~約400kHz、約250kHz~約350kHzであり、約300kHzであってもよい。
一部の態様において、交流電場の電場強度は1~5V/cm RMSであることができる。一部の態様において、異なる電場強度が使用され得る(例えば、0.1~10V/cm)。一部の態様において、電場強度は1.75V/cm RMSであることができる。一部の実施形態において電場強度は少なくとも1V/cmである。一部の態様において、電場強度の組合せが適用され、例えば2つ若しくはより多くの周波数が同時に組み合わせられ、及び/又は2つ若しくはより多くの周波数が異なる時点において適用される。
一部の態様において、交流電場は250kHz~350kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は50~190kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は210~400kHzの周波数で適用される。一部の態様において、交流電場は少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する。一部の態様において、交流電場は50~190kHzの周波数を有する。一部の態様において、交流電場は210~400kHzの周波数を有する。一部の態様において、交流電場は少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する。一部の態様において、交流電場は1~4V/cm RMSの電場強度を有する。
一部の態様において、交流電場は、0.5時間~72時間の範囲に及ぶ様々な異なる間隔にわたり適用され得る。一部の態様において、異なる持続期間が使用され得る(例えば、0.5時間~14日)。一部の態様において、交流電場の適用は周期的に繰り返され得る。例えば、交流電場は、2時間の持続期間にわたり毎日適用され得る。
一部の態様において、曝露は、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、又は少なくとも72時間又はより長く続いてもよい。
G.デバイス
開示されるのは、対象においてウイルス感染症を予防又は処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有する、工程を含む、方法である。一部の態様において、開示される方法は、受容体との静電相互作用に依拠する任意のウイルスのために使用され得る。例えば、ウイルスはコロナウイルス又はレンチウイルスであることができる。本明細書に記載されるのはまた、交流電場を対象の標的部位に適用するために使用され得るデバイスである。
開示されるのは、対象においてコロナウイルス感染症を予防又は処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有する、工程を含む、方法である。本明細書に記載されるのはまた、交流電場を対象の標的部位に適用するために使用され得るデバイスである。
本明細書に開示されるのは、開示される方法における使用のためのデバイスである。例えば、開示されるのは、コロナウイルスが細胞に感染するか又は細胞中で複製されることを阻害する開示される方法における使用のためのデバイスである。開示されるのは、細胞当たりのコロナウイルスコピー数を低減させる開示される方法における使用のためのデバイスである。開示されるのは、コロナウイルスに感染した対象を処置する開示される方法における使用のためのデバイスである。開示されるのは、コロナウイルスに感染した対象から感染していない対象へのコロナウイルスの拡散を予防する開示される方法における使用のためのデバイスである。
一部の態様において、開示されるデバイスは、電気療法処置用の装置であることができる。一般に、装置は、トランスデューサーアレイ又は他の電極の手段によって身体内に交流電場を生成する携帯型の、バッテリー又は電力供給稼働型デバイスであることができる。装置は、電場生成器、及び複数の電極を各々が含む1つ又は複数の電極(例えば、トランスデューサー)アレイを含むことができる。装置は、電場生成器を介して腫瘍治療電場(TTフィールド)(例えば、150kHz)を生成し、及びTTフィールドを身体の区画に1つ又は複数の電極アレイを通じて送達するために構成され得る。電場生成器はバッテリー及び/又は電力供給稼働型デバイスであることができる。
電場生成器は、信号生成器(signal generator)と連絡したプロセッサーを含むことができる。電場生成器は、プロセッサー及び信号生成器の動作を制御するために構成された制御ソフトウェアを含むことができる。それは電場生成器内にあることができるが、プロセッサー及び/又は制御ソフトウェアは、電場生成器とは別々に提供可能であり、但し、プロセッサーは、信号生成器に連絡可能に連結されており、制御ソフトウェアを実行するように構成されていることが想定される。
信号生成器は、波形又は一連のパルスの形状の1つ又は複数の電気信号を生成することができる。信号生成器は、約50KHz~約1MHz(好ましくは約100KHz~約300KHz)の範囲内の周波数の交流電圧波形(例えば、TTフィールド)を生成するために構成され得る。電圧は、処置される組織中の電場強度が典型的には約0.1V/cm~約10V/cmの範囲内にあるようなものである。
電場生成器の1つ又は複数の出力は、その1つの端部において信号生成器に取り付けられた1つ又は複数の導電性リードに連結され得る。導電性リードの反対端は、電気信号(例えば、波形)により駆動される1つ又は複数の電極アレイに接続される。導電性リードは、柔軟な金属遮蔽を有する標準的な絶縁導体を含むことができ、導電性リードにより生成される電場の拡散を予防するために接地され得る。1つ又は複数の出力が逐次的に稼働され得る。信号生成器の出力パラメーターは、例えば、電場の強度、波の周波数(例えば、処理周波数)、1つ若しくは複数の電極アレイの最大許容温度、及び/又はこれらの組合せを含むことができる。一部の態様において、温度センサーは、各々の電極アレイと関連付けられ得る。温度センサーが閾値より高い温度を測定すると、前記温度センサーと関連付けられる電極アレイへの電流は、第2の、より低い閾値温度が感知されるまで停止され得る。出力パラメーターは、プロセッサーと組み合わせて制御ソフトウェアにより設定及び/又は決定され得る。所望される(例えば、最適)処理周波数を決定した後に、制御ソフトウェアは、プロセッサーが制御信号を信号生成器に送信することを引き起こすことができ、それにより、信号生成器は、所望される処理周波数を1つ又は複数の電極アレイに出力する。
1つ又は複数の電極アレイは、処理を集中させるように標的部位(本明細書において「標的体積」又は「標的領域」としても参照される)において所望される構成、方向及び強度の電場を生成するように様々な形状及び位置で構成され得る。任意選択的に、1つ又は複数の電極アレイは、関心対象の体積を通る2つの垂直な電場方向を送達するように構成され得る。
一部の態様において、ファーストレスポンダー/医療専門家は、開示される方法の1つ又は複数における使用のための開示されるデバイスを着用することができる。例えば、コロナウイルスに曝露されるファーストレスポンダーは、デバイス内の電場で処置可能であり、そのため、ウイルスの任意の更なる起こり得る拡散が予防され得る。
H.キット
上記される材料の他に、他の材料は、一緒に任意の好適な組合せで、開示される方法を行うため又はその動作を補助するために有用なキットとしてパッケージ化され得る。それは、所与のキット中のキット構成要素が、開示される方法において一緒に使用するために設計及び適合される場合に有用である。例えば、開示されるのは、イメージング及び/又は処置のためのキットである。一部の態様において、キットは、交流電場を対象に適用するためのデバイス及び他の機器を含むことができる。
開示されるのはまた、交流電場を投与するためのシステム又は機器及び開示される第2の治療、以下に限定されないが例えば抗ウイルス治療の1つ又は複数を含むキットである。
I.実施形態
実施形態1:コロナウイルスが細胞に感染するか又は細胞中で複製されることを阻害する方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度がコロナウイルスの感染又は複製を阻害する、工程を含む、方法。
実施形態2:細胞当たりのコロナウイルスコピー数を低減させる方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度が細胞中のウイルスコピー数を低減させる、工程を含む、方法。
実施形態3:コロナウイルスに感染した対象を処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、標的部位が1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞を含む、工程を含む、方法。一部の態様において、実施形態3は、本明細書に示されている医療用途であることができる。交流電場をコロナウイルス感染症を有する対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、標的部位が1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞を含む、工程を含む、コロナウイルス感染症の処置における使用のための交流電場。
実施形態4;コロナウイルスがSARS-CoV-2である、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態5;交流電場が250kHz~350kHzの周波数で適用される、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態6;交流電場が50~190kHzの周波数で適用される、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態7;交流電場が210~400kHzの周波数で適用される、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態8;交流電場が少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態9;交流電場が50~190kHzの周波数を有する、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態10;交流電場が210~400kHzの周波数を有する、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態11;交流電場が少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態12;交流電場が1~4V/cm RMSの電場強度を有する、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態13;交流電場の周波数が150kHzである、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態14;交流電場のパラメーターが150kHz及び1.7V/cmである、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態15;交流電場のパラメーターが約150kHz及び約1.5V/cmである、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態16;対象の標的部位が肺である、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態17;交流電場が多方向性に適用される、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態18;多方向性が少なくとも2つの方向である、実施形態17に記載の方法。
実施形態19;コロナウイルスに感染していない細胞が損傷されない、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態20;細胞生存が維持される、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態21;対象におけるウイルス負荷が減少され、及び細胞増殖が影響されない、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態22;標的部位における細胞の生存が維持され、及びウイルス複製又はウイルス感染が減少される、任意の先行する実施形態に記載の方法。
実施形態23;コロナウイルスに感染した対象から感染していない対象へのコロナウイルスの拡散を予防する方法であって、交流電場をコロナウイルスに感染した対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、標的部位が1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞を含む、工程を含む、方法。
実施形態24;交流電場が、コロナウイルスに感染した対象が欠陥性ウイルスを産生することを結果としてもたらし、欠陥性ウイルスが野生型コロナウイルスよりも低い感染性である、実施形態23に記載の方法。
実施形態25;細胞中のコロナウイルスの複製を低減させる方法であって、細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場の周波数及び電場強度が細胞中のウイルスコピー数を低減させる、工程を含む、方法。
実施形態26;対象においてウイルス感染症を予防する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有する、工程を含む、方法。
実施形態27;対象がコロナウイルスに感染していない、実施形態26に記載の方法。
実施形態28;対象が、コロナウイルスに感染しているリスクがある、実施形態26又は27に記載の方法。
実施形態29;コロナウイルスに対する感染症のリスクがある対象を処置する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有する、工程を含む、方法。
実施形態30;ウイルスが細胞に十分に近接して細胞に感染することを予防する方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有する、工程を含む、方法。
実施形態31;リソソームとのウイルスの融合を増加させる方法であって、交流電場を対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、交流電場が周波数及び電場強度を有し、交流電場がリソソームとのウイルスの融合を結果としてもたらす、工程を含む、方法。
実施形態32:細胞が対象中にある、実施形態1又は2に記載の方法。
実施形態33:交流電場が50kHz~1MHzの周波数で適用される、任意の先行する実施形態に記載の方法。
A.(実施例1)
コロナウイルス疾患2019(COVID-19)は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)により引き起こされる感染性疾患である。それは、2019年12月にWuhan、Hubei、Chinaにおいて最初に同定され、進行中のパンデミックを結果としてもたらした。2020年8月19日現在、2200万近くの症例が188の国及び領地にわたり報告されており、775,000人より多くの死亡を結果としてもたらしている(www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019)。管理は、症状の処置、支持療法、隔離、及び実験的手段を伴う。支持療法は、輸液療法、酸素サポート、及び他の罹患した重要臓器のサポートを包含し得る。COVID-19の処置のための新たな療法を開発する緊急のアンメットニーズが存在する。
腫瘍治療電場(TTフィールド)は、がん細胞***を妨害することが示された低強度(1~5V/cm)、中間周波数(100~500kHz)の交流電場である。TTフィールド適用は、細胞の内側及び周囲に電場を生成するため、双極子及び分極化可能な物体上の力を誘導する。TTフィールド適用は、そのアセンブリーが高い電気的双極子を有するサブユニット間の静電相互作用に依拠する細胞構造要素の組織化を妨害することが示された。追加的に、TTフィールド適用は、複製ストレス及び複製フォークの崩壊を誘導することが実証された。TTフィールドにより誘導される細胞死は、免疫原性細胞死の特徴を有するため免疫系をプライムした。診療所におけるTTフィールド適用は、最小有害事象と共に、ほとんどの高悪性度型のがんの一部において全生存期間の増加を実証し、新たに診断された膠芽腫、再発性膠芽腫及び悪性胸膜中皮腫の処置のためのモダリティーのFDA承認に繋がった。最近の研究は、TTフィールド適用はレンチウイルス複製を阻害することができ、感染細胞のパーセンタイルを低減させることができることを実証したが(未刊行)、COVID-19に対するTTフィールドの潜在的な効果に関するデータはない。
この研究の目的は、インビトロの状況においてコロナウイルスに対するTTフィールドの効果を研究することであった。
1.要約
腫瘍治療電場(TTフィールド)は、がん細胞***を妨害することが示された低強度(1~5V/cm)、中間周波数(100~500kHz)の交流電場である。TTフィールド適用は、細胞の内側及び周囲に電場を生成するため、双極子及び分極化可能な物体上の力を誘導する。診療所におけるTTフィールド適用は、最小有害事象と共に、ほとんどの高悪性度型のがんの一部において全生存期間の増加を実証し、新たに診断された膠芽腫、再発性膠芽腫及び悪性胸膜中皮腫(MPM)の処置のためのモダリティーのFDA承認に繋がった。最近の研究は、TTフィールド適用はレンチウイルス複製を阻害することができ、感染細胞のパーセンタイルを低減させることができることを実証した。
ヒトコロナウイルスHCoV-229Eを使用して、処理の間又は後に、以前に感染させたMRC5細胞により産生されるウイルスの数に対する2方向性TTフィールド(150kHz、1.7V/cm)の効果を研究した。生存細胞の数、ml当たりのウイルス、細胞当たりのウイルス及びRQ(宿主ハウスキーピング遺伝子に対して正規化されたウイルス粒子)を処理の終わりに決定した。
結果は、6時間の感染期及び42時間の複製期の間に48時間TTフィールドで処理された細胞において、細胞当たりのウイルスコピー数(対照と比較して32.4%の細胞当たりのウイルスコピー、p<0.0001)及びハウスキーピング遺伝子当たりのウイルスコピー(RQ=TTフィールドアームにおいて0.284、対照アームにおいて1.561、p<0.0001)における有意な低減があったことを実証する。6時間の感染期及び18時間の複製期の間の24時間にわたりTTフィールドを適用した場合に類似した傾向が観察されたが、結果は統計的に有意でなかった。48時間処理された培養物において、上清中のウイルスコピー数(297,345コピー)もまた対照(1,411,880コピー)と比較して低減された(p<0.0001)。TTフィールドで24又は48時間処理された感染培養物において、非処理の培養物と比較して有意により多くの細胞がHCoV-229E感染の傷害を生き延びた。
以上を合わせると、この研究の結果は、TTフィールドは、コロナウイルスの感染及び複製を阻害することができる証拠を提供する。留意されることとして、この研究において使用されたTTフィールドパラメーター(150kHz、1.7V/cm)は、悪性胸膜中皮腫(MPM)の処置のためのFDA承認を受けたOptune Luaシステム(Novocure Ltd社)により送達される処置に対して周波数及び強度の両方において類似している。
2.材料及び方法
i.細胞株及びウイルス
MRC5細胞(ATCC、CCL-171(商標))及びHCoV-229E(ATCC、VR740(商標))は、Sheba medical centerのDr. Michal Mendelbaumにより提供された。細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)(Biological Industries社、04-007-1A)を補充したイーグル最小必須培地(EMEM)(ATCC、30-2003(商標))中で生育した。
ii.ウイルスの感染及び増殖
MRC5細胞をガラスカバースリップ(22mmの直径)上に1.5×105細胞/カバースリップの密度で播種した。24時間の培養後に、インキュベーター温度を37℃から35℃へと変化させ、細胞を、2%のFBSを補充した2mlのEMEMを含有するinovitroディッシュに移した。細胞をHCoV-229Eウイルスに0.01%の濃度で6時間にかけて感染させた。感染後に、細胞をPBSで洗浄し、追加の18時間又は42時間にわたり2%のFBSを補充したEMEM中で維持した。TTフィールドを感染期及び増殖期のいずれかの間に適用した。感染の24時間又は48時間後に、増殖培地を収集し、細胞をトリプシン処理し、再懸濁し、Scepter(商標) 2.0 Cell Counter(Merck社、Millipore)を使用してカウントした。再懸濁後に細胞をPBSで洗浄した。上清及びペレットを-80℃で凍結させ、ウイルスゲノム抽出及びqRT-PCRのためにShebaに移した。
iii.TTフィールド適用
TTフィールド(150kHz、1.7V/cm RMS)を、以下の補正「inovitroプレートをパラフィルムで覆い、培地を細胞培養の間に置き換えなかった」と共に、記載されるようにInovitro(商標)システム(Novocure Ltd社)を使用して適用した。
iv.統計分析
各々の実験を3回繰り返した。全ての反復からのデータを分析のためにプールした。データは平均±SDとして提示される。統計的有意性をクラスカル-ウォリス検定により分析した。
3.結果
事前の試験後に、0.01%のウイルス/細胞感染比を全ての実験において使用した。TTフィールド(150kHz、1.7V/cm)を感染の6時間及びウイルス複製の18時間又は42時間の間、24又は48時間の合計持続期間にわたり適用した。3回の独立した反復を各々の群のために実行した。反復の間のばらつきに起因して、以下のパラメーターを各々の反復の平均対照に対して正規化した:細胞数、細胞当たりのウイルスコピー及び上清(SN)中のウイルスコピー。
非処理の培養物と比較してTTフィールドで24時間処理された感染培養物において処理終了時に有意により多くの細胞があった(p<0.0001)。対照と比較して、上清(SN)中のウイルスコピー及びハウスキーピング遺伝子のコピーと比較したウイルスコピー数の数(RQ)の間に有意な差異はなかった。24時間のTTフィールド適用は、細胞当たりのウイルスコピー数におけるある程度の低減に繋がったが、結果は統計的有意性に達しなかった(図1を参照)。
TTフィールドの有効性は処理持続期間に依存することが公知であるので、次の実験のセットにおいて、TTフィールド適用の持続期間を48時間に延長させた。
非処理の培養物と比較してTTフィールドで24時間処理された感染培養物において処理終了時に有意により多くの細胞があった(p<0.01)。48時間のTTフィールド適用は、対照と比較して上清(SN)中のウイルスコピーにおける有意な低減(p<0.01)並びに細胞当たりのウイルスコピー数(p<0.0001)及びハウスキーピング遺伝子のコピーと比較したウイルスコピー数の数(RQ)(p<0.0001)における有意な低減に繋がった(図2を参照)。
4.結論
本明細書に開示されるように、TTフィールドを、コロナウイルス229Eに感染させたMRC5細胞培養物に適用した。使用された周波数(150kHz)及び強度(1.7V/cm)は、処置の有効性及び安全性を実証した成功裏のSTELLAR臨床研究後に悪性胸膜中皮腫の処置のためにFDA承認を受けたOptune Luaデバイスにより適用されるものと同等である。
細胞当たりのウイルスコピー数は、TTフィールドでの24時間の処理後に低減された。TTフィールドの有効性は処理の持続期間に依存することが公知であり、したがって第2の実験のセットにおいて、TTフィールドを48時間適用した。実際に、処理持続期間の延長は、細胞当たり、ハウスキーピング遺伝子当たり及び上清中のウイルスコピー数における有意な低減を結果としてもたらした。
150kHz及び1.7V/cmでの48時間のTTフィールド適用は、***するがん細胞を有効に殺傷することが実証された。しかし、この研究において、TTフィールドで処理された感染細胞の数は、TTフィールドで処理されなかった感染培養物と比較してより多かった。
以上を合わせると、この研究の結果は、現行で利用可能なOptune Luaシステムを使用するCOVID-19に対する処置としてのTTフィールドの使用のための証拠を提供する。
B.(実施例2)
この研究の目的は、コロナウイルスを処置するためにTTフィールドを使用する実現可能性を試験することであった。追加の実験を細胞において行って、感染細胞の細胞当たりのウイルスコピー数の他に、ウイルスを感染させなかった細胞に対するTTフィールドの効果を決定した。
細胞をヒトコロナウイルス229Eに感染させ、次にTTフィールドに曝露した他に、培養物をTTフィールドに曝露しなかった。ヒトコロナウイルス229Eに感染させなかった細胞もまたTTフィールドに曝露した。
細胞の数は、TTフィールドで処理されなかった培養物と比べてTTフィールドで処理された培養物において有意に異ならなかった(図3)。229Eに感染させた培養物を比較した場合にのみ、TTフィールドで処理されなかった感染細胞と比較して、TTフィールドでの処理後のMRC5細胞の生存利益があった。
非感染細胞はTTフィールドなしよりもTTフィールドありでより速く増殖するので、この効果に対する正規化の後にも同じ結果を示すことは価値があり得る。結果を対照培養物中の細胞の数に対して正規化した。
細胞ペレットからのウイルス検出器コピーの数をハウスキーピング遺伝子(RNAseP)当たりで正規化した。RQ - 定量的RT-PCRデータ分析のための相対的定量化戦略。この方法は、TTフィールド処理あり又はなしでの細胞ペレットからの試料の間の相対的な229Eウイルス遺伝子発現レベルを算出するために使用された。RQ方法は、算出のためにqPCRシステムにより生成される閾値サイクル(CT)を直接的に使用する。
報告は、3つ全ての実験からの蓄積/正規化されたデータを示す。結果は、TTフィールドで処理された細胞において、細胞当たりのウイルスコピー数における有意な低減があったことを実証する(図2)。行った3つ全ての実験において類似した傾向が観察された。
細胞を2つのTTフィールド方向で処理する。ヒトデバイスの他に、全ての標準的なインビトロ及びインビボ研究は2方向TTフィールドを常に利用する。
傾向は24時間の適用の間に同一であった。TTフィールドは、DNA複製及び組込みに関するプロセスに影響することが既知であるので、報告される実験を通じて見られた効果はウイルスの細胞内活動性に関し、累積的な効果は、がんモデルにおいても見られるような長期化された電場の適用後に統計的に有意となると考えられる。
ウイルス負荷における低減が、上清(SN)及び細胞の両方において24h後に見られ、それは、TTフィールドが感染の間のみ(6h)に適用されたのか、それとも24h全体の間に適用されたのかで有意に変化しなかった(図4)。
150kHz及び約1.5V/cmでの48時間のTTフィールド適用は、細胞当たり、ハウスキーピング遺伝子当たり及び上清中のウイルスコピー数における有意な低減を結果としてもたらした。この研究の結果は、現行で利用可能なOptune Lunaシステムを使用するCOVID-19に対する処置としてのTTフィールドの使用のための証拠を提供する。
図5は、MRC5細胞(肺からのヒト線維芽細胞)中のヒトコロナウイルス229E及びA549細胞(ヒト肺癌)中のマウス適合インフルエンザウイルスPR8を示す。24時間後に229Eウイルスは細胞溶解液のウイルスコピー/mlにおける増加を示し、48時間後に細胞の培地における増加を示す。PR8について、ウイルスコピーは6時間後に既に検出可能である。
図3は、MRC5細胞に対するTTフィールドの効果を示す。細胞数は、対照とTTフィールド処理されたMRC5細胞との間で有意に変化しなかった。
図6は、ウイルス濃度に依存した229Eに対するTTフィールドの効果の例を示す。ウイルスコピー数/細胞をTTフィールド後24hr及び48hrにおいて測定した。細胞を0.01%のウイルス又は1%のウイルスのいずれかに感染させた。48hr後に、ウイルスコピー数/細胞は、ウイルス濃度にかかわらずTTフィールドの処理で有意に減少した。TTフィールドはより低いウイルス対細胞比においてより大きい効果を有し、慢性感染症はより低いウイルス負荷で起こり得るので、TTフィールドは慢性感染症のために使用され得ることが留意され得る。
図4は、感染又は感染及び複製期の間のTTフィールドを示す。0.01%のウイルスを使用して細胞に感染させた。TTフィールド感染を6時間行った。TTフィールド感染+増殖を18時間行った。TTフィールド処理されたプレートにおいて増加した細胞の量は対照におけるよりも大きかったが、ウイルスコピー数/細胞はTTフィールド処理された細胞において減少した。健常(非感染)細胞はTTフィールドにより影響されない。多くの治療は、「悪い」細胞又は非健常/感染細胞と共に健常細胞を損傷させ得る。TTフィールドは健常細胞に対する最小の損傷を示すため、コロナウイルスに対する処置として使用する場合にこの安全性要因の追加的な利益を有する。
事前の試験後に、0.01%のウイルス/細胞感染比を両方の実験において使用した(図1及び図2)。TTフィールド(150kHz、1.5V/cm)を感染の6時間及びウイルス複製の18時間又は42時間の間、24(図1)又は48(図2)時間の合計持続期間にわたり適用した。4回の独立した反復を各々の群のために実行した。反復の間のばらつきに起因して、以下のパラメーターを各々の反復の平均対照に対して正規化した:細胞数、ウイルスコピー/細胞及び上清(SN)中のウイルスコピー。
非処理の培養物と比較してTTフィールドで24時間処理された感染培養物において処理終了時に有意により多くの細胞があった(p<0.0001)。対照と比較して、上清(SN)中のウイルスコピー及びハウスキーピング遺伝子のコピーと比較したウイルスコピー数の数(RQ)の間に有意な差異はなかった。24時間のTTフィールド適用は、細胞当たりのウイルスコピー数におけるある程度の低減に繋がったが、結果は統計的有意性に達しなかった(図12を参照)。
次の実験のセットにおいて、TTフィールド適用の持続期間を48時間に延長させた。非処理の培養物と比較してTTフィールドで48時間処理された感染培養物において処理終了時に有意により多くの細胞があった(p=0.0862)。48時間のTTフィールド適用は、対照と比較して上清(SN)中のウイルスコピーにおける有意な低減(p<0.0001)並びに細胞当たりのウイルスコピー数(p<0.0001)及びハウスキーピング遺伝子のコピーと比較したウイルスコピー数の数(RQ)(p<0.0001)における有意な低減に繋がった(図2を参照)。
細胞当たりのウイルスコピー数は、TTフィールドでの24時間の処理後にわずかに低減されたが、結果は統計的有意性に達しなかった。TTフィールドの有効性は処理持続期間に依存することが公知であるので、第2の実験のセットにおいて、TTフィールドを48時間適用した。実際に、処理持続期間の延長は、細胞当たり、ハウスキーピング遺伝子当たり及びSN中のウイルスコピー数における有意な低減を結果としてもたらした。更に、TTフィールド処理はまた、複製コンピテント溶解ビリオンの濃度(PFU)における有意な低減に繋がった(図8を参照)。
1.5×105個のMRC5細胞を229Eウイルスに感染させ、感染の間又は感染及び複製期の間にTTフィールドで処理した。24時間後に、2つの期間の間に処理された細胞の細胞数における約40%の低減、感染の間にのみ処理された細胞の細胞数における約55%の低減及び対照細胞の細胞数における約75%の低減があった(図4左)。細胞当たりのウイルスコピー数は、両方の処理(感染のみ又は感染+複製)におけるTTフィールドでの24時間の処理後にわずかに低減された。
図7は、A549細胞中のPR8ウイルスに対する48hrのTTフィールド処理の効果の例を示す。229eウイルスとは対照的に、PR8ウイルス実験は、TTフィールド処理された細胞を対照と比較した場合に細胞数における減少を示した。対照と比較してTTフィールド処理された細胞においてウイルスコピー数/細胞における増加もあった。そのため、PR8ウイルスはTTフィールドに応答して229eウイルスと同じに振舞わなかったか、又はウイルスとがん若しくは健常細胞との間の相互作用に対するTTフィールドの異なる効果がある。
C.(実施例3)
1.プラークアッセイ
プラークアッセイは、ウイルス検体の段階希釈液での感染で細胞培養物中に形成されるプラークを定量化することにより感染性コロナウイルスを測定する定量的な方法として役立ち得る。そのため、プラークアッセイは依然として、複製コンピテント溶解ビリオンの濃度の定量化におけるゴールドスタンダードである。この実施例は、コロナウイルス感染MRC5細胞から48hrの処理後に収集された上清の部分中の229Eを定量化するために行ったプラークアッセイを記載する。
i.試薬及び溶液
a.感染培地:
2%のウシ胎仔血清(FBS)(Biological Industries社、04-007-1A)を補充したイーグル最小必須培地(EMEM)(ATCC、30-2003(商標))。
b.オーバーレイ希釈液:
DMEM x2 - 500ml
Pen-Strep - 10ml
グルタミン- 10ml
ピルビン酸塩- 10ml
FBS - 20ml
c.カルボキシメチルセルロース(CMC)、3%(w/v)
6gのカルボキシメチルセルロース、培地粘度(固体;Sigma-Aldrich社 #C4888-500G)、
200mlの蒸留水
121℃で15分間オートクレーブすることにより滅菌
室温で最長2か月貯蔵
d.クリスタルバイオレット、1%(w/v)
1gのクリスタルバイオレット
20mlの無水エタノール
80mlの蒸留水
フィルター滅菌
室温で貯蔵
2.方法
i.細胞培養(0日目)
シードプレート:細胞をトリプシン処理した。1mlの細胞懸濁液を各々のウェルに加えることにより12ウェルプレートに2×105細胞/ウェルを播種した。37℃で5%のCO2インキュベーター中で終夜インキュベートして100%のコンフルエンスを翌日に達成する。細胞を翌日に光学顕微鏡を使用して可視化した。95%~100%のコンフルエンスに達した細胞を感染させた。
ii.検体希釈、細胞の感染、及び一次オーバーレイ(1日目)
検体希釈:滴定されるべき各々の検体について、2mlの微量遠心チューブを以下のように標識した:
(1.)陰性対照(感染培地のみ);(2.)1mlの感染培地中の190571ウイルスコピー;及び(3.)No.2の10-1(100μlのNo.2を900μlの培地に加える)
感染:細胞単層からの培地を吸引した。細胞を1mlのPBSで洗浄した。900μlの感染培地を各々のウェルに加えた。100μlの各々の検体を適切なウェルに移すことによりウイルス検体を10倍に希釈した。細胞を35℃で5%のCO2インキュベーター中で2hrインキュベートした。
液体オーバーレイ培地(LOM)の調製:インキュベーションが終わる約10分前にオーバーレイ希釈液を44℃で水浴中でインキュベートした。LOMは、等量(1:1)のオーバーレイ希釈液及び3%のCMC(液体マトリックス)を加えることにより調製した。
細胞を1mlのPBSで2回洗浄した。1mlのLOMをプレートの各々のウェルに加えた。細胞を35℃で5%のCO2インキュベーター中で4日間インキュベートした。このインキュベーションの間に、プレートの移動を最小化した。
iii.固定、染色、プラークの計数、及び力価算出(5日目)
a.固定:
LOMを各々のウェルから吸引し、廃棄ボトル中に処分した。細胞をPBSx1で2回穏やかに洗浄し、ウェルを氷冷無水エタノールで満たし、-20℃で15分間インキュベートした。
b.染色:
固定液をウェルから吸引し、廃棄物を処分した。300μlの1% CVを各々のウェルに加え、室温で5分間インキュベートした。
c.洗浄:
細胞を蒸留水で3~4回洗浄し、ブロットドライした(blotted dry)。この時点において、適切な殺菌剤を用いてプレートを表面除染することができ、4℃で最長1か月間貯蔵することができる。
d.プラークの計数:
プラークは、細胞の紫色単層上の明確な円として出現する。陰性対照は均一な単層を有するべきであり、これは参照として使用され得る。各々のウイルス希釈においてウェル当たりで観察されたプラークの数を記録した。
e.力価算出:
PFU/[感染のml] = PFU/ウェル×希釈係数
PFU/[収集されたSNのml] = PFU×1000/1mlの感染培地中のSNの感染体積。
iv.プラークアッセイ
MRC5細胞を12ウェルプレート中に2×105細胞/ウェルの密度で播種した。24時間の培養後に、インキュベーター温度を37℃から35℃へと変化させ、培地を、2%のFBSを補充した新たな1mlのEMEMで置き換えた。細胞を1.9×105ウイルスコピーに2時間にかけて感染させた。感染後に、細胞をPBSで洗浄し、2%のFBS及び1.5%のCMCを補充した培地で覆った。感染の4日後に細胞を、氷冷した無水エタノールで15分間固定し、1%のCristal Violetで5分間室温で染色した。プラーク形成単位(PFU)をカウントし、PFU/ml SNを算出した(PFU×1000/1mlの感染培地中のSNの感染体積)。
3.結果
このアッセイは、コロナウイルス感染MRC5細胞から48hrの処理後に収集された上清の部分中の229Eの定量化のために使用した。48hrのTTフィールド適用は、各々の処理において等量のウイルスコピー当たりのPFUにおける有意な低減(P=0.0143)及び上清1ミリリットル当たりのPFUにおける追加の低減(P=0.0002)に繋がった(図8を参照)。上清1ml当たりのPFUにおけるより強い低減は、コンピテントウイルスの数における低減及び全ウイルスコピーにおける低減の相互的な効果により説明され得る。
D.(実施例4)
臨床試験研究
開示されるのは、COVID-19を有する入院患者における最良標準治療と比較したOptune-Lua(登録商標)(TTフィールド、150Hz)のパイロット無作為化オープンラベル研究である。この研究の目的は、COVID-19を有する患者を処置するために最良標準治療(SOC)と比較して最良SOCと随伴的なTTフィールドの有効性及び安全性を評価することである。
本出願の全体を通じて提供されるデータは、TTフィールドは、インビトロでコロナウイルスの感染及び複製を有意に低減させることができることを示す。このモデルにおいて使用される周波数(150kHz)及び強度(1.7V/cm)は、処置の有効性及び安全性を実証した成功裏のSTELLAR臨床研究後にMPMの処置のためにFDA承認を受けたOptune Lua(NovoTTF-100L)デバイスにより適用されるものと同等である。
以上を合わせると、実証された前臨床有効性を有する新規の、安全な及び局所的な療法として、TTフィールド(150kHz)は、NovoTTF-100Lシステムを使用して送達可能であり、COVID-19に対する有効な処置となる潜在能力を有する。
この実施例は、COVID-19疾患に対する処置としてのSOCへの、NovoTTF-100Lシステムを使用して胸郭に送達されるTTフィールドの追加は、単独でのSOC処置と比較して、患者の臨床転帰を有意に改善することを示すことができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、回復までの時間を短縮させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、8、15、22及び29日目における患者の臨床状態を改善するかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、入院の持続期間を短縮させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、全原因死亡率を減少させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、ICU搬送の発生を減少させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、ICU滞在の持続期間を減少させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、非侵襲的換気又は高流速酸素使用の発生を減少させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、非侵襲的換気又は高流速酸素使用の持続期間を短縮させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、侵襲的換気の発生を減少させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、侵襲的換気の持続期間を短縮させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、ECMOの発生を減少させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、ECMOの持続期間を短縮させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、病院への復帰の発生を減少させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、飽和レベル及び安定性を増加させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、体温の持続期間及びレベルを短縮させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、酸素補給の持続期間を短縮させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、患者の炎症性状態を減少させるかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、患者の肺の放射線学的評価を改善するかどうかを評価することができる。
一部の態様において、この研究は、COVID-19を有する入院患者の処置におけるSOCを伴う150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、単独でのSOC処置と比較して、安全であるかどうかを評価することができる。
1.研究処置
研究における全ての対象は、研究アームにかかわらず、COVID-19疾患に対する最良SOC処置を与えられる。
i.デバイス
本研究はOptune Lua(登録商標) Systemを使用することができる。このNovoTTF-100L Systemは、COVID-19を有する18歳以上の患者の処置のために胸郭に150kHzのTTフィールドを送達する治験用医療用デバイスである。それは、月毎の平均で1日当たり少なくとも18時間及び排他的に臨床研究における患者により使用され得る。
デバイスは、絶縁されたトランスデューサーアレイの手段によって胸郭に150kHzのTTフィールドを送達する携帯型のバッテリー稼働型システムである。NovoTTF-100Lは、SARS-CoV-2の感染及び複製を減弱することが意図される電気的力を生成する。
ii.デバイスを使用したTTフィールドの適用
処置計画:トランスデューサーアレイレイアウトは、臨床プラクティスガイドライン:TTフィールド処置された患者(胸郭感染性疾患)におけるトランスデューサーアレイの最適化に基づいて決定され得る。
処置開始:NovoTTF-100L処置は、入院後24時間以内に研究者により開始され得る。トランスデューサーアレイが適用されることが計画される毛を有する対象は、トランスデューサーアレイ配置の前にそれを剃毛することを要求され得る。トランスデューサーアレイ配置は、皮膚損傷の区画、例えば創傷を回避して、処置開始の前に選択されたトランスデューサーアレイレイアウトマップに基づいて行われ得る。
NovoTTF-100L Systemは、150kHzのTTフィールドを胸郭に2つの逐次的な、垂直な2つの電場方向において1414mA(RMS)の最大強度において送達するようにプログラムされ得る。
トランスデューサーアレイの交換:対象は、介護者の助けと共にトランスデューサーアレイを週当たり2~3回交換することができる。各々のトランスデューサーアレイの交換において、対象の皮膚は、必要な場合に再剃毛され、下記に示すガイドラインにしたがって処理され得る。
iii.持続期間
150kHzでの胸郭へのTTフィールドは、平均で1日当たり少なくとも18時間にわたり連続的であることができる。平均処置が依然として1日当たり18時間(月毎の平均)である限り、対象は個人的な必要性(例えばシャワー、トランスデューサーアレイの交換)のための休憩を取ることができる。TTフィールドは29日間、又は対象が入院を終え、活動に制限がなくなるか、死、許容できない有害事象、処置の更なる投与を予防する介入性の病気、対象を取り下げる研究者の決定、対象が同意書を取り下げる、対象の妊娠、研究処置若しくは手順の要求への不遵守、若しくは行政的な理由まで継続することができる。
2.研究手順及びスケジュール
i.研究特異的な手順
以下のデータが研究において収集され得る。
臨床状態スコア:各々の研究日について、臨床状態は以下のように8点順序尺度で記録され得る:1日目 - 無作為化の時点における臨床的評価;2日目 - 最も重症の評価が無作為化と無作為化の日の真夜中との間の任意の時点に行われる;3日目及びそれ以後 - 最も重症の評価が前日の真夜中から真夜中まで(00:00~23:59)で行われる(例えば、3日目に記録される値は2日目に起こった最も重症の転帰であることができる)。
臨床状態尺度は以下のように定義され得る:入院しておらず、活動に制限なし;入院しておらず、活動に制限あり;入院しており、酸素補給を要求していない - もはや継続中の医療を要求していない;入院しており、酸素補給を要求していない - 継続中の医療(COVID-19関連若しくはその他)を要求している;入院しており、酸素補給を要求している;入院しており、非侵襲的換気若しくは高流速酸素デバイスを受けている;入院しており、侵襲的機械的換気若しくはECMOを受けている;又は死。
病歴は、過去5年に焦点を当てて、患者の任意の臨床的に重大な歴史、及び5年を超えて任意の他の重要な歴史を含むことができる。歴史は、患者との問診により補完された医療記録から得られ得る。医療記録が利用可能でない場合、歴史は患者を問診することにより得られ得る。病歴は喫煙及び重大な併存疾患を含む。
随伴的な医薬品は、用量、頻度、適応症、開始及び停止日を含む、研究期間の全体を通じて患者により服用される処方及び店頭医薬品の両方を含む。
COVID-19の病歴は、診断日を含む、COVID-19症状及び徴候の開始の日、以前のSARS-CoV-2 RT-PCR検査の日付及び結果、全ての過去の処置を含む。
患者人口統計もまた含められ得る。
身体検査もまた行われ得る。身体検査は、心拍数、血圧、呼吸速度、体温、体重、身長、血液飽和レベル(SpO2)を含むことができる。以下の系の検査及び審査が行われ得る:頭頸部、心臓、肺、腹部、四肢、皮膚、神経。
CT/X線スキャンもまた行うことができ、これは、COVID-19肺放射線学的状態の評価のために要求される完全なデータの収集を含む、胸部スキャンを含むが、これに限定されない。
ii.臨床試験室評価
血液検査もまた行われ得る。全血球計算及び分類計算(differential)は、ヘモグロビン、ヘマトクリット、MCV、RBC、WBC、好中球数、好酸球数、好塩基球数、リンパ球数、単球数、血小板数を含むことができる。化学は、ナトリウム、カリウム、尿素/BUN、クレアチニン、グルコース、LDH、AST、ALT、アルブミン、ビリルビンを含むことができる。凝固は、PTT/aPTT、PT/INRを含むことができる。炎症性血液マーカーは、CRP、D-ダイマー及びフェリチンを含むことができる。妊娠検査は、血清ベータ-hCG検査を使用して行われ得る。
RT-PCR SARS-CoV-2 OPスワブ検査及びRT-PCR SARS-CoV-2血液検査もまた行われ得る。
iii.スクリーニング
以下は入院後24時間以内に行われ得る:8点順序尺度に基づく臨床状態;COVID-19疾患歴(以前のSARS-CoV-2検査結果の審査を含む);RT-PCR SARS-CoV-2 OPスワブ検査;RT-PCR SARS-CoV-2血液検査;胸部のCT/X線スキャン;人口統計及び病歴;随伴的な医薬品の記録;身体検査(バイタルサイン及びSpO2レベルを含む);血清妊娠検査(適用可能な場合);分類計算を含む全血球計算;血清化学パネル;凝固検査;炎症性血液マーカー検査。
iv.無作為化
患者は、処置開始の前にIxRSシステムを使用して1:1の比で2つの処置アームに中央無作為化され得る:処置アームI:患者はSOCと共にNovoTTF-100L Systemを使用した胸郭への150kHzのTTフィールドを与えられる;及び処置アームII:患者はSOCを単独で与えられる。
3.事象のスケジュール
事象のスケジュールの例を下記のTable 1(表1)に示す。
4.エンドポイントの分析
一次転帰は、8カテゴリー(下記に定義される)を有する順序重症度尺度を使用することができる。29日目に打ち切られる、8点順序尺度の状態1、2、又は3における臨床状態として回復が定義される、回復までの時間。
8点順序尺度:入院しておらず、活動に制限なし;入院しておらず、活動に制限あり及び/又は在宅酸素を要求している;入院しており、酸素補給を要求していない - もはや継続中の医療を要求していない;入院しており、酸素補給を要求していない - 継続中の医療(COVID-19関連又はその他)を要求している;入院しており、酸素補給を要求している;入院しており、非侵襲的換気又は高流速酸素デバイスを受けている;入院しており、侵襲的機械的換気又はECMOを受けている;死。
回復までの時間が最良SOC単独アームにおけるよりもTTフィールド+最良SOCアームにおいて有意により短くあり得る場合に主要エンドポイントは達成され得る。統計仮説は、片側層化ログランク検定を使用して2つの群のカプラン-マイヤーの回復までの時間の曲線を比較することにより検定され得る。
回復の日は、無作為化の日から順序尺度からの以下の3つのカテゴリー:1)入院しておらず、活動に制限なし;2)入院しておらず、活動に制限あり及び/又は在宅酸素を要求している;3)入院しており、酸素補給を要求していない及びもはや継続中の医療を要求していないのうちの1つを対象が満たす日までで測定され得る。
フォローアップにいなくなったか又は回復の観察の前の早期に終了した任意の対象は、その対象の最後の観察された評価の日で打ち切られ得る。フォローアップを完了したが回復を経験しない対象は、その対象の29日目の来診の日で打ち切られ得る。29日以内(及び回復の前)の全ての死亡は、28日で打ち切られたと考えられ得る。
処置アームによるカプラン-マイヤー曲線からのメジアン概算値及び信頼区画が示され得る。表は、事象までのメジアン時間を各々の処置アームについて全体的な95%信頼区画と共に、ハザード比概算値及びログランクp値と共に示すことができる。
特有の時点における臨床状態は、8、15、22、及び29日目における臨床状態スコアの評価を含むことができる。
臨床状態のカテゴリーによる95%信頼区画と共に対象の数及び割合は、8、15、22、及び29日目において処置アームにより示され得る。
入院の持続期間は、入院の1日目として定義され得る。入院の持続期間は、入院の1日目から退院の日までで測定され得る。
持続期間は、処置アームによるメジアン及び四分位数を使用して表中に要約され得る。
全原因死亡の発生は、処置アームにより示される15日目及び29日目までに死亡した対象の数及びパーセンテージを含むことができる(パーセンテージのための分母は、各々の処置アームにおける安全性集団中の対象の数であることができる)。各々の対象についてのフォローアップ時間の量を考慮することができる14及び28日死亡率が算出及び示され得る。29日を通じた死亡は、無作為化と死との間の、日数での時間間隔として測定され得る。
分析の時点において、フォローアップにいなくなったか又は同意書を取り下げたか又は依然として研究の継続中である対象は、29日目の前に生存していることが既知である最後の日において打ち切られ得る。フォローアップを完了した対象は、29日目の来診の日で打ち切られ得る。事象エンドポイントまでの時間における差異は、処置アームによるカプラン-マイヤー曲線からのメジアン概算値及び信頼区画と共に要約可能であり、示され得る。表は、事象までのメジアン時間を各々の処置アームについて全体的な95%信頼区画と共に、ハザード比概算値及びログランクp値と共に示すことができる。
15及び29日死亡率は、それぞれ14及び28日において死亡している対象の割合である。これらは、定義された時点における生存率のカプラン-マイヤー概算値から導出され得る。
ICU搬送の発生は、処置アームにより分析され得る。搬送された対象の数及び発生率(及びCI)が報告され得る。
ICU滞在の持続期間は、ICU搬送日からICUからの退去日までにより測定され得る。これは、登録時に搬送されていなかった対象のみを含むことができる。持続期間は、処置アームによるメジアン及び四分位数を使用して表中に要約され得る。
非侵襲的換気又は高流速酸素使用の発生は、臨床状態スコアが6に等しい場合として定義され得る。
新たな非侵襲的換気又は高流速酸素使用の発生は、処置アームにより分析され得る。非侵襲的換気又は高流速酸素使用を使用する対象の数及び発生率(CIを含む)が報告され得る。
非侵襲的換気又は高流速酸素使用の持続期間は、臨床状態(8点順序尺度に基づく)スコアが6に等しい日から臨床状態スコアが6より低い日までで測定され得る。総持続期間は、事象が連続的に起こるのかそれとも離れた間隔で起こるのかにかかわらず、全ての持続期間の和であることができる。持続期間は、処置アームによるメジアン及び四分位数を使用して表中に要約され得る。
侵襲的換気の発生は、処置アームにより分析され得る。侵襲的換気装置を使用する対象の数及び発生率(及びCI)が報告され得る。
侵襲的換気の持続期間は、侵襲的換気開始の日から侵襲的換気停止の日までで測定され得る。総持続期間は、事象が連続的に起こるのかそれとも離れた間隔で起こるのかにかかわらず、全ての持続期間の和であることができる。
持続期間は、処置アームによるメジアン及び四分位数を使用して表中に要約され得る。
ECMO使用の発生は、処置アームにより分析され得る。ECMOを使用する対象の数及び発生率(及びCI)が報告され得る。
ECMO使用の持続期間は、ECMO使用開始の日からECMO使用停止の日までで測定され得る。総持続期間は、事象が連続的に起こるのかそれとも離れた間隔で起こるのかにかかわらず、全ての持続期間の和であることができる。
持続期間は、処置アームによるメジアン及び四分位数を使用して表中に要約され得る。
C0VID-19症状に起因する病院への再入院の発生は、処置アームにより分析され得る。再入院した対象の数及び発生率(及びCI)が報告される。
飽和レベル(安定性を含む):平均、メジアン、標準偏差、最大、及び最小値を含む記述統計並びに時点によるベースラインからの変化は、処置アームにより要約され得る。ベースライン値からの変化は、処置アームによりプロットされた平均及びSDと共に経時的に線グラフにおいて示され得る。
体温≧38℃の持続期間は、無作為化後に患者が体温≧38℃を有する最初の日から体温が減少(<38℃)した日までで測定され得る。持続期間は、処置アームによるメジアン及び四分位数を使用して表中に要約され得る。
体温のレベル:平均、メジアン、標準偏差、最大、及び最小値を含む記述統計並びに時点によるベースラインからの変化は、処置アームにより要約され得る。ベースライン値からの変化は、処置アームによりプロットされた平均及びSDと共に経時的に線グラフにおいて示され得る。
酸素補給は、臨床状態(8点順序尺度に基づく)スコアが5、6又は7に等しい場合として定義され得る。酸素補給の持続期間は、臨床状態スコアが5、6又は7に等しい日から臨床状態スコアが5より低い日までで測定され得る。総持続期間は、事象が連続的に起こるのかそれとも離れた間隔で起こるのかにかかわらず、全ての持続期間の和であることができる。持続期間は、処置アームによるメジアン及び四分位数を使用して表中に要約され得る。
炎症性状態は、2つの研究アームの間の退院までの3、8及び15日目におけるベースラインからのCRP、D-ダイマー及びフェリチン血中レベルにおける差異として測定される。各々の炎症性バイオマーカーについての平均、メジアン、標準偏差、最大、及び最小値を含む記述統計並びに時点によるベースラインからの変化は、処置アームにより要約され得る。ベースライン値からの変化は、処置アームによりプロットされた平均及びSDと共に経時的に線グラフにおいて示され得る。
放射線学的評価における改善を有する患者の数及びパーセンテージは、処置アームにより要約され得る。
E.(実施例5)
1.序論
コロナウイルスは、一本鎖のポジティブセンスRNAゲノムを有するエンベロープ型RNAウイルスである。それらのゲノムは、ヌクレオカプシド(N)タンパク質と複合体化しており、そこに包埋された3つの構造タンパク質:エンベロープ(E)、膜(M)、及びスパイク(S)を有する脂質二重層により被包されている。Sタンパク質は、2つのサブユニット、宿主細胞受容体へのウイルス結合を媒介するS1、及び宿主細胞膜とのウイルスエンベロープの融合を促進するS2から構成される。ウイルス感染における決定的な工程は宿主細胞へのウイルスの侵入であるので、感染を予防するための治療的なアプローチは、Sタンパク質のその受容体への結合の遮断にほぼ集中している。
宿主受容体に対するウイルスの結合親和性は、静電的なタンパク質-タンパク質相互作用により主に影響される。COVID-19パンデミックの原因となる感染性因子、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の場合、宿主細胞への侵入は、ヒトアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体との相互作用を介して媒介される。正に荷電したS三量体は、その閉じたコンホメーションにおいて、負に荷電したACE2受容体との一時的な非特異的結合に従事し、これは静電力により支配される相互作用である。次に、三量体は、開いた状態に再編成され、その特有の受容体結合インターフェースを露出し、追加の相互作用により安定化される複合体を形成する。ACE2受容体に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質の結合親和性は、より以前のSARS-CoV系統のそれよりも高いことが見出されており、これは前者のより高い正電荷に帰せられている現象であり、コロナウイルス感染症における静電相互作用の重要性を更に強調している。
ウイルス感染のための静電相互作用のこの重要な役割は、ウイルスの宿主侵入への干渉のための電場の利用を示唆する。電場の適用に基づく臨床的に承認された処置は腫瘍治療電場(TTフィールド)である[10]。TTフィールド療法は、米国及び欧州において2つの肺がん適応症、悪性胸膜中皮腫(STELLAR試験に基づく、承認された適応症)及び非小細胞肺癌(進行中のフェーズ3研究、LUNAR試験、NCT02973789)の処置のために腫瘍患者の胸郭に適用されている。この強力ながん処置モダリティーは、腫瘍部位において患者の皮膚に置かれたアレイを介する低強度(1~3V/cm二乗平均平方根(RMS))、中間周波数(100~500kHz)の交流電場の非侵襲的な送達に基づく。これらの周波数の電場は神経細胞を刺激するためには高すぎ、及び重大な組織加熱を引き起こすためには低すぎるが、それらは、がん性細胞を透過してそこにおいて2方向性の力を発揮するために的確に十分である。TTフィールドは、電場にしたがって極性チューブリン及びセプチン分子のアライメントを引き起こし、そのため細胞***の間のそれらの適正な機能を障害して、抗有糸***効果及びその後に細胞死を引き起こすことが示されている。コロナウイルスのSタンパク質、特にSARS-CoV-2のSタンパク質上の高い電荷は、その機能に対するTTフィールドの可能な効果を示唆する。
本研究の目標は、コロナウイルス感染症に対するTTフィールドのインビトロ効果を調べること及びCOVID-19患者におけるそれらの安全性を評価することであった。宿主細胞へのウイルス付着及び侵入に関与する主要なウイルスタンパク質であるSタンパク質は全てのヒトコロナウイルスにおいて高度に保存されているので、このファミリーのより低い感染性のメンバー、HCov-229Eをこの研究において利用した。ヒト肺細胞へのTTフィールドの適用は、ウイルス侵入及び複製を低下させることが示された。更には、TTフィールド下で形成される子孫ビリオンはより低い感染力を示した。TTフィールドはまた、重症疾患を有するCOVID-19患者のための認可された処置、レムデシビルのインビトロ有効性を増強することが示された。最後に、レムデシビルと随伴的なCOVID-19患者へのTTフィールドの適用の安全性が実証された。
2.方法
i.細胞株及びウイルス
ヒトMRC-5肺線維芽細胞(ATCC、CCL-171(商標))及びヒト肺癌細胞株A549(ATCC、CCL-185(商標))を5%のCO2の加湿されたインキュベーター中37℃で、10%のウシ胎仔血清(FBS)(Biological Industries社、04-007-1A)を補充されたそれぞれイーグル最小必須培地(EMEM)(ATCC、30-2003(商標))及びダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Biological Industries社、01-055-1A)中で増殖させた。HCoV-229E(ATCC、VR740(商標))は、バイオセーフティーレベル2(BSL2)の施設中で取り扱い、全体を通じて35℃のその最適な温度で増殖させた。ストックウイルスプールの製造のために、商用のHCoV-229Eを、供給業者の指示書にしたがってMRC-5細胞中で増殖させ、プラークアッセイにより定量化し、アリコート中-80℃で貯蔵した。
ii.TTフィールド適用
TTフィールドをInovitro(商標)システム(Novocure社、ISR)を使用して適用した。トランスデューサーの2つの垂直ペアがそれらの外壁上にプリントされた、高誘電性定常セラミック(ニオブ酸鉛マグネシウム-チタン酸鉛[PMN-PT])から構成されるinovitro(商標)ディッシュ中で細胞懸濁液を生育した。1秒毎に垂直に電場方向性を変化させながら、選択された周波数及び強度で交流電場を生成する正弦波形生成器にトランスデューサーを接続した。1.5V/cm RMSの強度でTTフィールドを生成するためにインキュベーター温度を18℃に設定し、その結果、ディッシュ内の温度は35℃であった。
iii.ウイルス侵入に対するTTフィールドの効果
MRC-5細胞をガラスカバースリップ(22mmの直径)上に1.5×105細胞/カバースリップの密度で播種した。24h後に、細胞を、2%のFBSを補充した2mlのEMEMを含有するinovitroディッシュに移した。細胞を次にTTフィールドに100~400kHzの周波数範囲で曝露し、継続したTTフィールド適用と共に30分後にHCoV-229Eに0.01の多重感染度(MOI)で感染させた。対照細胞は、いかなる時点においてもTTフィールドで処理しなかった。感染後0.5又は2h(hpi)に細胞をPBSで洗浄し、トリプシン処理し、再懸濁し、Scepter(商標) 2.0 Cell Counter(Merck社、Millipore)を使用してカウントした。次に細胞をPBSで洗浄し、RT-qPCR分析まで-80℃で凍結させた。
iv.長期ウイルス曝露及びウイルス複製に対するTTフィールドの効果
上記のようにMRC-5細胞を播種し、増殖させ、TTフィールド(150kHz)に曝露し、次にHCoV-229Eに0.0001のMOIで感染させた。3hpiにおいて細胞をPBSで洗浄して未結合のウイルスを除去し、新鮮な培地中で計24、48又は72h維持した。感染の30分前に開始して全体を通じてTTフィールドを適用したが、対照細胞はいかなる時点においてもTTフィールドに曝露されなかった。処理の終わりに、増殖培地を収集し、RT-qPCR分析及びプラークアッセイのために-80℃で貯蔵した。細胞を上記のように処理した。1.0×105細胞/カバースリップで播種して、同じ手順をA549細胞で行った。代替的に、MRC-5細胞をHCoV-229Eに0.01のMOIで感染させ、細胞を3hpiにおいて洗浄した後にのみ、TTフィールドを24hpiまで適用し、続いてdsRNA形成の分析を行った。
v.レムデシビルとのTTフィールドの組合せ効果
上記のようにMRC-5細胞を播種し、増殖させ、TTフィールド(150kHz)に曝露し、次にHCoV-229Eに0.01のMOIで感染させた。3hpiにおいて細胞をPBSで洗浄し、0、0.011、又は0.023μMのレムデシビル(Cayman Chemicals社、Cay30354)を加えた新鮮な培地中でTTフィールドの適用あり又はなしで維持した。48hpiにおいて、増殖培地及び細胞を収集し、上記のように分析した。
vi.実時間定量的逆転写PCR(RT-qPCR)
生産者の指示書にしたがってMagnaPure 96機器(Roche社、Germany)を使用してトータルRNAを抽出した。反応は、ヌクレオカプシド遺伝子の高い保存のゲノム領域に基づいてPrimer Expressソフトウェア(PE Applied Biosystems社)を用いて選択されたHCoV-229Eのための型特異的プライマー及びプローブ(Hylabs社、Israel):フルオレセインアミダイト(FAM)で5'標識されたフォワード:5'-CAGTCAAATGGGCTGATGCA-3';リバース:5'-AAAGGGCTATAAAGAGAATAAGGTATTCT-3';プローブ:5'-CCCTGACGACCACGTTGTGGTTCA-3'を使用してAgPath-ID(商標) One-Step RT-PCR Reagents(Applied Biosystems社、Thermo Fisher Scientific社)を用いて調製された25μlの反応混合物中で行った。増幅及び検出は、TaqMan Chemistryを使用してABI 7500機器上で以下の条件:48℃で30分間(1サイクル);95℃で10分間(1サイクル);及び95℃で10s、続いて60℃で1分間(45サイクル)を用いて行った。上清(SN)中のHCoV-229Eの量を体積当たりで定量化し、対照と比べたパーセントとして表現した。細胞内HCoV-229Eを決定するために、細胞内正規化遺伝子としてRNaseP:FAMで5'標識されたフォワード:5'-AGATTTGGACCTGCGAGCG-3';リバース:5'-GAGCGGCTGTCTCCACAAGT- 3';プローブ:5'- TTCTGACCTGAAGGCTCTGCGCG-3'を使用して相対的定量化(RQ)を用いた。
vii.走査電子顕微鏡法(SEM)
MRC-5細胞をガラスカバースリップ(13mmの直径)上に4×104細胞/カバースリップの密度で播種し、上記のように処理した。細胞をHCoV-229Eウイルスに20のMOIで感染させた。感染の30分前に開始して全体を通じてTTフィールド(150kHz)を適用したが、対照細胞はTTフィールドで処理されなかった。0.5hpiにおいてスライドを清潔なプレートに移し、PBSで簡単に洗浄し、0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液中の2%のグルタルアルデヒド及び1%のパラホルムアルデヒドを使用して室温で2h固定した。カコジル酸緩衝液中の四酸化オスミウムでの15分の固定後に、試料をグレード化エタノールシリーズ中で脱水し、臨界点乾燥(Quorum K850)し、4nmのイリジウム(Quorum Q150T)でスパッターコーティングした。試料を次にZeiss Ultra Plus HR Scanning Electron Microscopeで観察した。
viii.透過電子顕微鏡法(TEM)
MRC-5細胞をthermanoxカバースリップ(22mmの直径)(Thermo社、174977)上に3×104細胞/カバースリップの密度で播種した。細胞を次に上記のように増殖させ、HCoV-229Eに0.03のMOIで感染させ、3hpiにおいて洗浄した後にのみTTフィールドを48hpiまで適用した。対照細胞は、いかなる時点においてもTTフィールドで処理しなかった。次に細胞を、5mMのCaCl2を含有する0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液中の2%のグルタルアルデヒド、3%のパラホルムアルデヒドで2h固定した。試料を洗浄し、2%の四酸化オスミウムを使用して事後固定し、DDWで洗浄し、2%の酢酸ウラニル中でインキュベートした。グレード化エタノールシリーズ中での脱水後に、細胞を含むカバースリップを、包埋のためにEpon812を満たした新鮮なウェルに移した。ウルトラミクロトームUC7(Leica社)を使用して75nmの横断切片を切断し、銅グリッドに移し、Talos L120C Transmission Electron Microscopeを使用して120keVの加速電圧で観察した。
ix. dsRNAの免疫蛍光イメージング
細胞を、氷冷した無水エタノール(Millipore、100983)を用いて15分間固定し、続いてPBSで3回洗浄した。細胞を次に、PBS中に希釈された1%のBSA(Sigma社、A7906)中で30分間ブロッキングし、1%のBSAを含有するPBS中に1:100で希釈された抗二本鎖RNAモノクローナル抗体(SCICONS社J2、10010200)と少なくとも1hr室温でインキュベートし、続いてPBSで3回洗浄した。次に、細胞を、1%のBSA及び1μg/mlの4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)(Sigma社、32670)を含有するPBS中に1:800で希釈されたIgG Alexa fluor 488共役ロバ抗マウス抗体と40分間インキュベートし、PBSで3回洗浄し、スライドにマウントした。LSM 700レーザー走査共焦点システム(Zeiss社、Gottingen)を使用して画像を収集した。FIJIソフトウェアを使用して画像解析及び定量化を行った。
x.プラークアッセイ
MRC-5細胞を12ウェルプレート中に2×105細胞/ウェルの密度で播種した。24hr後に、インキュベーター温度を35℃に変化させ、培地を、2%のFBSを補充した新鮮な1mlのEMEMで置き換え、細胞を48hr長期ウイルス曝露実験からの上清に1.9×105ウイルスコピー/ウェルで感染させ、5回の連続10倍希釈を行った。2hpiにおいて、細胞をPBSで洗浄して未結合のウイルスを除去し、2%のFBS及び1.5%のカルボキシメチルセルロース(CMC)(Sigma社、C4888)を補充したEMEMで覆った。4日後に細胞を、氷冷した無水エタノールで15分間固定し、1%のCristal Violet(Mercury、1159400025)、20%のエタノールを用いて室温で5分間染色した。プラーク形成単位(PFU)をカウントし、等しいウイルス量当たりのPFUを得るために希釈係数で除算した。等しい上清(SN)体積についてのPFUを算出するために以下の式を適用した:同一のウイルス希釈により形成されたプラークの数/希釈係数×1mlの感染培地中のSNの感染体積。
xi.統計分析
各々のインビトロ実験を3回繰り返し、全ての反復からのデータを分析のためにプールし、平均±SDとして示している。図のレジェンドにおいて記載される使用された特有の検定と共に、GraphPad Prism 8ソフトウェア(La Jolla)を使用して統計的有意性を算出した。差異は、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001の値において有意と考えた。
xii.安全性臨床試験
EF-37研究は、COVID-19疾患を有する入院患者におけるNovoTTF-100L(150kHzのTTフィールド)の単一アーム、オープンラベルパイロット試験であった。
全体として10人の患者を登録した。研究のために適格なのは、COVID-19に対して陽性であることが見出された入院患者であった。包含基準は以下の通りであった:年齢≧18;処置開始前72hr以内にRT-PCRでのCOVID-19感染症の診断と共に入院;海面レベルにおいてSpO2≦93%;胸部イメージングで確認された肺関与;全ての研究手順を遵守することができ、その意思がある;並びに妊娠可能な年齢の女性参加者について、高度に有効な避妊(一貫して及び正確に使用された場合に年当たり1%以下の失敗率)の使用。除外基準は以下を含んだ:研究の前若しくは間にCOVID-19に対する任意の実験的処置を受けた;補助換気;呼吸不全(SpO2/FiO2<150)、敗血症性ショック、及び/若しくは多臓器機能障害として定義される危険な病気;臨床的に重大な血液学的、肝臓及び腎臓機能障害(好中球数<1.5×109/L及び血小板数<100×109/L、ビリルビン>1.5×ULN、AST及び/若しくはALT>2.5×ULN、並びに血清クレアチニン>2.5mg/dLとして定義される)を含むベースラインでの重大な併存疾患、疾患が良好に制御されるまで重大な心臓血管疾患の歴史(第2/第3度心臓ブロック、重大な虚血性心臓疾患、高血圧の不良な制御、鬱血性心不全、若しくは安静時の心不全の症状)、症候性の若しくは処置を要求する不整脈の歴史、又は研究の要求を理解するか若しくは遵守するため若しくは同意書を提供するための患者の能力を損なう可能性がある任意の精神医学的状態の歴史;胴体上部における埋込型電子医療用デバイス(例えばペースメーカー、除細動器);妊娠若しくは授乳;医療用接着剤若しくはハイドロゲルに対する既知のアレルギー;又はこのプロトコールの要求を遵守する意思がないか若しくはそれができない。
任意の研究関連評価/手順が実行される前に全ての患者から書面によるインフォームドコンセントを得た。登録は入院の48hr以内に行い、患者を胸郭に送達されたTTフィールド(≧18hr/日)を用いて、COVID-19標準治療での随伴的な処置を与えながら29日の持続期間にわたり又はもはや入院していなくなるまで処置した。臨床的なフォローアップを処置終了後30日間継続した。安全性プロファイルを、Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) V5.0に基づいて処置関連有害事象の頻度及び重症度により測定した。二次エンドポイントは以下を含んだ:全原因死亡、集中治療室(ICU)搬送の発生、非侵襲的換気又は高流速酸素使用の発生、侵襲的換気の発生、体外膜型人工肺(ECMO)の発生、患者の炎症性状態、入院の持続期間、回復までの時間、及び処置の8、15、22、29日目における臨床状態。
患者の胸部において2つの垂直な電場を生成するように胸郭周囲の患者の皮膚に置かれた4つの絶縁された表面アレイを通じて患者にTTフィールドを送達した。アレイの適用が計画された区画を必要な場合に剃毛し、粘着性ハイドロゲルの層をアレイの下に配置し、低アレルギー性医療用テープをアレイの上に置いた。トランスデューサーアレイと患者の皮膚との間の最適な連結を維持するためにアレイを週に2~3回交換した。アレイを、2つの逐次的な、垂直な方向において1414mAの電流を送達する電場発生器に取り付けた。NovoTTF-100Aの内部メモリーユニットによりTTフィールドが送達された時間を捕捉し、それにより客観的な使用報告を可能とした。処置は、研究の全体を通じて1日当たり少なくとも18hrにわたり連続的に与えた。
3.結果
i.ウイルス侵入に対するTTフィールドの効果
0.01のMOIでのHCoV-229Eの感染の2hの間のMRC-5肺線維芽細胞への150kHzのTTフィールドの適用は、処理なしの感染細胞と比べて細胞ウイルス負荷における有意な42%の低減を生成した(図10A)。100及び400kHzのTTフィールドの周波数はより低い有効性であり、それぞれ19及び32%の低減を示した。よって、150kHzのTTフィールド周波数を全ての連続する実験のために選択した。細胞付着工程に焦点を当てるように30分のみの30分ウイルスインキュベーションのみと共に行った類似した実験は、対照と比べてTTフィールドについて43%の阻害を示した(図10B)。
ウイルスの細胞付着に対するTTフィールドの効果を更に調べるために、SEM及びTEM検査を行った。ビリオンのより容易な視覚化を可能とするように20の高いMOIでHCoV-229Eに30分間曝露されたMRC-5細胞に対してSEMを利用したところ、対照と比べてTTフィールドを適用した場合に細胞表面に結合したビリオンの数における25%の低減を示した(図10C及び図10D)。0.03のMOIでHCoV-229Eに3h感染させた対照細胞において48hpiにおいて行ったTEM検査は、細胞からのビリオンの平均距離は75nm(範囲=21~307nm)であることを明らかにした一方、TTフィールドを感染後の一定期間の間に適用した場合に平均距離は158nm(範囲=21~740nm)まで上昇した(図10E及び図10F)。
ii.長期ウイルス曝露に対するTTフィールドの効果
感染の間及び24、48又は72hpiまで150kHzのTTフィールドに曝露しながら0.0001のMOIでHCoV-229Eに感染させたMRC-5細胞は、対照と比べてそれぞれ42、51、及び58%のウイルス細胞負荷の低減を示した(図11A)。培地に分泌されたウイルスの数もまたTTフィールドにより影響され、対照と比べてTTフィールドの48及び72hrの送達についてそれぞれ68及び74%の低減であった(図11B)。感染の24時間以内に非常に低いレベルのウイルスが細胞から分泌され(図15)、それゆえ有意差はこの時間枠における細胞外ウイルス量に関して対照とTTフィールドとの間で見られなかった。感染したMRC-5細胞は、TTフィールドの非存在下で非感染細胞よりも低い細胞数を示し、48hpiにおいて9%、及び72hpiにおいてX%であり(FIG)、TTフィールドが感染細胞に適用された場合、細胞の数は、24、48、及び72hrの処理について対照細胞と比べてそれぞれ19、21、及び35%上昇した(図11C)。細胞数は、しかしながら、ウイルスの非存在下での細胞へのTTフィールドの送達により影響されず(図17C)、以上を合わせると、TTフィールドは細胞をウイルスの有害効果から保護していることを指し示した。48h長期ウイルス曝露からの上清を、TTフィールドの更なる適用なしで、MRC-5細胞におけるプラーク形成アッセイに供した。TTフィールドの適用下で形成されたウイルス力価は、等しい上清体積を調べた場合にTTフィールドなしで形成されたものよりも79%低く(図11D)、等量のウイルス当たりのPFUは50%低く(図11E)、ウイルス量におけるだけでなく、その病原性における差異も指し示した。
A549肺がん細胞の感染に対するTTフィールドの効果も調べた。これらの細胞は、MRC-5細胞と比べてウイルスに対するより高い感受性を示し、48hpiにおいて非感染A549細胞に対してHCoV-229E感染(0.0001のMOI)A549細胞について細胞数における25%の減少があった(図17B)。それにもかかわらず、150kHzのTTフィールドの保護効果はまた、これらの細胞において上昇しており、細胞内ウイルス負荷は92%低減し(図17A)、細胞外ウイルスコピーの数は85%減少した(図17C)。150kHzのTTフィールドは、がん性細胞に対するTTフィールドの抗有糸***効果の部分としてA549細胞に対して細胞傷害性であることが公知であることが留意されるべきである。実際に、ウイルス感染なしで、150kHzのTTフィールドに48hr曝露されたA549細胞は、対照と比べて33%低い細胞数を示した(図17C)。しかしながら、細胞数における差異は、対照と比べてウイルスの存在下で48hr TTフィールドに曝露された細胞について見られなかった。
iii.ウイルス複製に対するTTフィールドの効果
MRC-5細胞をHCoV-229Eに0.01のMOIで3hr感染させ、細胞を次に洗浄して任意の細胞外ビリオンを除去した後にのみ、TTフィールドを24hpiまで適用し、これは培地へのビリオンの分泌が乏しく(図15)、そのため最小のレベルの再感染事象が予想される時間枠である。このプロトコールは、ウイルス複製と関連付けられるdsRNAの検出のために蛍光顕微鏡法により測定される複製工程に対するTTフィールドの効果を単離することを可能とした(図12A)。感染工程はTTフィールドの送達なしに同一に行われたので、感染細胞の数は両方の群において等しかった(図示せず)。しかしながら、対照と比べてTTフィールドの適用について感染細胞当たりのフォーカスの数における24%の低減(図12B)の他に、フォーカスサイズにおける23%の減少(図12C)、及び感染細胞当たりの全体的なフォーカス面積における41%の低下(図12D)があった。細胞内事象の調査を可能にするようにTEM検査を行った(図12E及び図12H)。細胞を3h、HCoV-229Eに0.03のMOIで感染させ、TTフィールドに曝露させながら48hpiにおいて調べたところ、70%少ない二重膜小胞(DMV)陥入(図12F)、及び98%少ないDMV融合(図12G)を示した。他方、3倍高いレベルのオートファゴリソソームが、対照細胞と比べてTTフィールドで処理された感染細胞において見られた(図12I、図12H)。
48hr長期ウイルス曝露からの上清を、TTフィールドの更なる適用なしで、MRC-5細胞におけるプラーク形成アッセイに供した。TTフィールドの適用あり又はなしで形成された等量のウイルスを調べた場合、前者は、44%低いプラーク形成能力(図12I);及び等しい上清体積当たりのPFUを算出した場合の71%の低減(図12K)を示した。
iv.レムデシビルとのTTフィールドの組合せ効果
HCoV-229Eに0.01のMOIで3hr感染させ、続いてレムデシビルで処理したMRC-5細胞は用量依存性応答を示し、48hpiにおいて0.011μMのレムデシビルについて細胞ウイルス負荷の27%の阻害及び0.023μMのレムデシビルについて65%の低減を有した(図13A)。これらの条件下での単独でのTTフィールドの送達はウイルス負荷を42%低減させ、レムデシビルとのTTフィールドの随伴的な適用は、ウイルス負荷を低用量について54%及び高用量について85%低減させた。レムデシビルとのTTフィールドの併用についてのより低いウイルス負荷はまた、単独療法と比べた細胞内のdsRNAのレベルの低減からも明らかであった(図13C)。培地に分泌されるビリオンの数もまた、0.011及び0.023μMのレムデシビルについてそれぞれ31%及び75%、並びに単独でのTTフィールドについて55%低減した(図13B)。2つの処理の随伴的な適用は、低用量について68%及び高用量について88%の減少を結果としてもたらした。
算出される付加的効果は、単独でのレムデシビルを単独でのTTフィールドと乗算することにより算出された。算出された効果を測定された効果と比較した場合、より高い濃度(0.023)において小さい付加的効果がある(Table 2(表2)を参照)。
4.考察
本研究において、コロナウイルスによる肺感染症に対するTTフィールドの効果を、より低い感染性の系統HCoV-229Eを使用して調べた。TTフィールドをいくつかの周波数において調べたところ、RT-qPCR測定から決定されたように、全てはMRC-5肺線維芽細胞へのウイルス侵入の有意な阻害を示した。150kHzの効果が最も著明であることが見出されため、全体を通じてそれを用いた。TTフィールドによる同じレベルの阻害がウイルス感染の2h及び30分の両方について検出され、TTフィールドは細胞内部移行工程ではなくウイルス付着工程に主に干渉することを示唆した。SEM及びTEM検査はビリオンの視覚化を可能とし、TTフィールドを適用した場合に、前者は細胞へのビリオンのより少ない付着を示し、後者は細胞からのビリオンのより大きい平均距離を実証した。全体として、これらの結果は、TTフィールドは細胞へのウイルス付着に干渉して、ウイルス侵入の低減に繋がることを指し示す。
ウイルスライフサイクルは細胞からの子孫ビリオンの分泌及び繰返しの侵入を含むので、TTフィールドの長期効果も調べた。これらの72h長期調査においてTTフィールドは既に24h後に有効にウイルス細胞内負荷を低減させ、より長い処理持続期間にわたり増加した効果を有した。これは、RT-qPCR測定及びプラークアッセイの両方から著明なように、細胞から培地へのビリオンの分泌における減少を伴った。更には、細胞数は、TTフィールドで処理された細胞について対照よりも多く、効果はより長い処理時間について上昇しており、TTフィールドはウイルス感染の有害な帰結から細胞を保護していることを示した。長期調査をA549肺癌細胞においても行ったところ、細胞ウイルス負荷及び培地へのウイルス分泌における著明な減少が、TTフィールドで処理された細胞について観察された。
電場の適用は、SARS-CoV-2 Sタンパク質の二次及び三次構造に影響することが示されている。シミュレーションは、局所的な双極子のアライメント及び電場方向性に平行な電荷の移動を明らかにし、これは、100V/cmの低い強度で電場が数百ナノ秒にわたり送達された場合に、非可逆的な方式で受容体結合に関与する鍵となる残基の空間的組織化の妨害を結果としてもたらした。電場への曝露後のSタンパク質のこの構造交替は、ビリオンの不活性化又は弱毒化を引き起こすことが示唆された。本研究において利用されたTTフィールドは1.5V/cm RMSの強度に過ぎなかったが、強度増幅がその非誘電性に起因して細胞膜の近傍において起こることが示されている。
長期実験からのプラークアッセイの徹底的な調査は興味深い成果を明らかにした - TTフィールドの適用下で形成されたビリオンについてのPFUは、等しい上清体積についてだけでなく、同一の量のウイルスについても対照よりも低かった。これは、TTフィールド下で形成される子孫ビリオンは、対照よりも低い病原性であったことを指し示す。この現象のための1つの説明は、上記されるように、電場により誘導されるSタンパク質のコンホメーション変化であり得る。第2のオプションはチューブリンと関連付けられ、チューブリンは、Sタンパク質輸送、局在性、及びビリオンへのアセンブリーに関与することが示唆されており、微小管解重合を誘導した場合に感染性ウイルス粒子の放出の低減が観察されている。TTフィールドは、がん性細胞における微小管組織化及び動態における変化を媒介することが示されている。TTフィールドのこの効果は、非がん性細胞に関連し得るため、ビリオンの適正なアセンブリーに干渉する。TTフィールドは、ウイルスライフサイクルの追加の工程に干渉し得る。
ウイルス複製に対するTTフィールドの効果を調べるために、細胞を最初にHCoV-229Eに感染させた後にのみ、TTフィールドを送達した。感染工程は対照群及び処理群の両方において同一に行ったので、感染細胞の数において差異は見られなかった。しかしながら、TTフィールドを適用した場合に感染細胞内に形成されたdsRNAフォーカスの量及びサイズは対照よりも低く;DMV陥入及び融合事象はより少なかった。他方、より多くの量のオートファゴリソソーム(リソソームとのオートファゴソームの融合の結果)が、TTフィールドに曝露された細胞において見られ、これらの細胞におけるオートファジーフラックスの上昇を指し示した。コロナウイルスに感染した細胞は、オートファジー経路を利用してウイルスを感知し、増殖を制御し、及びウイルスをクリアランスすることが公知である。ウイルスは、自身を保護するためにこの宿主応答を阻害するか、それから逃避するか、又はそれをマニピュレートするように進化してきた。コロナウイルスの場合、感染でウイルスはオートファゴソームをハイジャックして、リソソームとのそれらの融合を予防し、これらのDMVを複製及び翻訳ニッチとして利用する。後のステージにおいて、DMV陥入及び融合は、更なるビリオン産生のための膜の目的変更を可能とする。合わせると、結果は、TTフィールドはウイルス複製に干渉することを実証し、膠芽腫、ルイス肺癌、及び肝細胞癌細胞株において以前に実証されたように、これはオートファジーを上昇させるTTフィールドの能力に少なくとも部分的に帰せられ得る。
2020年5月1日に、FDAは、レムデシビルの潜在的な利益はその既知の及び潜在的なリスクを凌ぐと決定されたため、重症疾患を有するCOVID-19患者のための処置としてのこの薬物の使用の救急使用認可を発行した。レムデシビルとのTTフィールドの可能な組合せを調べたところ、インビトロでウイルス細胞内蓄積及び分泌の両方に関して単独での各々の処理よりも優れることが示された。これは、より低いレムデシビル用量は、TTフィールドとの随伴的な処置のために十分であり得るため、レムデシビル関連リスクの軽減を可能とし得ることを指し示す。TTフィールド及びレムデシビルの組合せの安全性をフェーズ1臨床試験において調べた。
結論として、コロナウイルスの感染及び複製を予防するためのTTフィールドの有効性の他に、COVID-19患者へのTTフィールドの適用の安全性が実証された。COVID-19パンデミックは世界中で急速に拡大し続けているため、ウイルスは迅速なペースで突然変異し続けている。Sタンパク質における中枢的な残基における変化は、ウイルス宿主細胞接着及び融合の増強並びにそれゆえこれらの新たな形態のウイルスの感染力の増加及び処置可能性の低減を示すバリアントを結果としてもたらす。これは、Sタンパク質受容体結合性ドメイン中に複数の突然変異を宿し、並びに回復期及びワクチン接種個体において誘発される中和抗体に対して相対的な耐性を示す、現在拡大しているより高い伝染性のバリアント、デルタ(B.1.617.2系列)及びラムダ(C.37系列)バリアントと共に見られ得る。これらの変化はまた、Sタンパク質の構造及び宿主受容体とのその相互作用に主に依存する治療的なアプローチの有効性を邪魔し得る。TTフィールドは、任意の特有のSタンパク質アミノ酸配列に対して特別設計されたものではなく、むしろ宿主受容体結合の増加の原因となる高いタンパク質極性に対して特別設計されたものであるので、それらは異なるウイルスバリアントの処置のために好適であり得、絶え間なく変化するウイルスランドスケープにおけるこの処置モダリティーの有望性を示唆する。
当業者は、本明細書に記載される方法及び組成物の特有の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、又は常用に過ぎない実験を使用してそれを確認することができる。そのような均等物は、以下の請求項により包含されることが意図される。
(参考文献)
Figure 2023541542000006
Figure 2023541542000007

Claims (15)

  1. コロナウイルスが細胞に感染するか又は細胞中で複製されることを阻害する方法であって、
    前記細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、前記交流電場が周波数及び電場強度を有し、
    前記交流電場の前記周波数及び電場強度がコロナウイルスの感染又は複製を阻害する、
    工程を含む、
    方法。
  2. 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記交流電場が50kHz~1MHzの周波数を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記交流電場が少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する、請求項1に記載の方法。
  5. 細胞当たりのコロナウイルスコピー数を低減させる方法であって、
    前記細胞を交流電場に一定期間にわたり曝露する工程であって、前記交流電場が周波数及び電場強度を有し、
    前記交流電場の前記周波数及び電場強度が前記細胞中のウイルスコピー数を低減させる、
    工程を含む、
    方法。
  6. 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記交流電場が50kHz~1MHzの周波数を有する、請求項5に記載の方法。
  8. 前記交流電場が少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する、請求項5に記載の方法。
  9. コロナウイルス感染症の処置における使用のための交流電場であって、前記処置が、
    交流電場をコロナウイルス感染症を有する対象の標的部位に一定期間にわたり適用する工程であって、前記交流電場が周波数及び電場強度を有し、
    前記標的部位が1つ又は複数のコロナウイルス感染細胞を含む、
    工程を含む、
    使用のための交流電場。
  10. 前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項9に記載の使用のための交流電場。
  11. 前記交流電場が50kHz~1MHzの周波数で適用される、請求項9に記載の使用のための交流電場。
  12. 前記対象の前記標的部位が肺である、請求項9に記載の使用のための交流電場。
  13. コロナウイルスに感染していない細胞は損傷されない、請求項10に記載の使用のための交流電場。
  14. 前記交流電場が少なくとも1V/cm RMSの電場強度を有する、請求項9に記載の使用のための交流電場。
  15. 前記標的部位における前記細胞の生存が維持され、及びウイルス複製又はウイルス感染が減少される、請求項9に記載の使用のための交流電場。
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