JP2023534355A - ヒト化抗-c5a抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ヒトC5aの立体構造エピトープに特異的に結合する抗体に関する。本発明は、特にヒト化抗-C5A抗体に関する。本明細書に記載されている抗体は、医薬組成物における活性剤として有用である。抗体および医薬組成物は、とりわけ、病理学的C5a活性に関連する疾患または障害の処置および予防のために有用である。

Description

技術分野
本発明は、ヒトC5aの立体構造エピトープに特異的に結合する抗体に関する。本発明は、特に、ヒト化抗-C5A抗体に関する。本明細書に記載されている抗体は、医薬組成物における活性剤として有用である。抗体および医薬組成物は、とりわけ、病理学的C5a活性に関連する疾患または障害の処置および予防のために有用である。
発明の背景
C5a
C5aは、その「マザー分子」C5の74アミノ酸にわたる分解産物であり、補体活性化カスケードの1つのエンドポイントを示す。それは、少なくとも3つのよく説明される経路(代替、古典およびMBL経路)の活性化を介して生成することできる。全ての経路は、C3のレベルで統合し、C5または代替C5転換酵素を形成し、C5のC5aおよびC5bへの開裂をもたらす。後者は、C6、C7、C8および複数のC9分子と結合し、例えば細菌膜において孔の形成を最後にもたらす(末端膜侵襲複合体=MAC)。補体系が炎症および他の免疫学的および炎症性障害/疾患の状況において活性化されるとき、C5aは生成される。
補体活性化産物の中で、C5aは、最も強力な炎症性ペプチドの1つであり、広範囲の機能を有する(Guo and Ward 2005)。C5aは、高親和性C5a受容体(C5aRおよびC5L2)を介してその効果を発揮する(Ward 2009)。C5aRは、7回膜貫通セグメントを有するG-タンパク質-共役受容体のロドプシンファミリーに属する;C5L2は、同様の構造を有するが、G-タンパク質-共役ではないようである。現在、生物学的応答がほとんどC5a-C5L2相互作用に対して見られないため、C5aはC5a-C5aR相互作用を主に介してその生物学的機能を発揮すると考えられている。しかしながら、最新のレポートは、C5L2活性化も介するシグナル伝達を証明している(Rittirsch et al. 2008)。
C5aRは、好中球、好酸球、好塩基球、および単球を含む骨髄細胞、および多くの臓器、とりわけ肺および肝臓における非骨髄細胞上に広範に発現され、C5a/C5aRシグナル伝達の重要性を示す。C5aR発現の広範囲にわたる上方制御は、敗血症の発症中に起こり、抗-C5a、または抗-C5aR抗体、またはC5aRアンタゴニストによるC5a/C5aR相互作用の遮断は、敗血症の齧歯動物モデルにおいて保護効果を高度に与える(Czermak et al. 1999; Huber-Lang et al. 2001; Riedemann et al. 2002)。
C5aは、種々の生物学的機能を有する(Guo and Ward 2005)。C5aは、好中球に対する強力な化学誘引物質であり、また単球およびマクロファージに対する走化性活性を有する。C5aは、好中球において酸化的破壊(O消費)を引き起こし、食作用および粒状酵素の放出を増強する。C5aはまた、血管拡張薬であることが見いだされている。C5aは、種々の細胞型からのサイトカイン発現の調節に関与すること、および好中球における接着分子発現の発現を増強することが示されている。高用量のC5aは、好中球の非特異的走化性「脱感作」を引き起こし、それにより広範な機能障害を引き起こすことができる。敗血症、急性肺損傷、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎などを含む多くの炎症性疾患は、C5aの効果に起因する。敗血症の実験的状況において、好中球のC5aへの暴露は、好中球機能障害およびシグナル伝達経路のまひを引き起こし、NADPHオキシダーゼの集合欠損、MAPKシグナル伝達カスケードのまひ、酸化的破壊の重大な鬱病、食作用および走化性を引き起こすことができる(Guo et al. 2006; Huber-Lang et al. 2002)。胸腺細胞のアポトーシスおよび遅延性好中球アポトーシスは、敗血症発症のための2つの重要な病原性事象であり、これらはC5aの存在に依存する。実験的敗血症中、C5aは、好中球におけるβ2-インテグリン発現を上方制御し、臓器への細胞遊走を促進し、これは多臓器機能不全(MOF)の主な原因の1つである。C5aが実験的敗血症において起こる凝固経路の活性化に起因することも見いだされる。C5aは、ヒト白血球からの、炎症性サイトカイン、例えばTNF-α、IL-1β、IL-6、IL-8、およびマクロファージ遊走阻止因子(MIF)の合成および放出を刺激する。補体活性化が急性炎症の発症中に発生する事象であるため、C5aはほとんどの炎症性「サイトカイン・ストーム」の出現前に作用し始める可能性がある。C5aが、サイトカインネットワークの能力および全身性炎症反応症候群(SIRS)の形成を調整することおよび増幅することにおいて重要な役割を果たすようである。
適応免疫につながる免疫学的調節ネットワークにおいて、C5aは樹状細胞(DC)およびγδT細胞間のクロストークに影響し、これが炎症性メディエーター、例えばIL-17の大量生産をもたらし得る(Xu et al. 2010)。C5aに対して重要な役割は、全身性エリテマトーデス(SLE)における病原性Th17応答の生成において確立および定義されている(Pawaria et al. 2014)。加えて、C5aが、Treg増殖および誘導の強力な抑制効果を提供するTreg細胞に対する重要な調節因子であることが報告されている(Strainic et al. 2013)。TregおよびTH17が自己免疫疾患状況において重要なプレーヤーであるという事実を考慮すると、C5aシグナル伝達の阻害は、自己免疫疾患において過活動免疫状態を有意に低下させることが期待される。
IFX-1
IFX-1は、可溶性ヒト補体分解産物C5aに特異的に結合するキメラモノクローナルIgG4抗体である。IFX-1は、1328アミノ酸から構成され、およそ148,472ダルトンの分子量を有する。IFX-1のCDRおよびFR配列は、US 2017/0137499 A1としても開示されている、WO 2015/140304 A1の表3に記載されている。WO 2015/140304 A1およびUS 2017/0137499 A1の内容を、それら全体において出典明示により包含させる。
IFX-1は、組換えタンパク質として哺乳動物CHO細胞系において発現され、静脈内投与のためにリン酸緩衝生理食塩水溶液(PBS + 0.05% polysorbate 80)において最後に製剤化される。ヒトC5aへのこの抗体の結合は、その対応する細胞結合受容体へのC5a結合および該受容体との反応を無効にすることによって、C5a誘導生物学的効果の非常に効果的な遮断を促進する。
(IFX-1を使用する)インビトロ/エキソビボ試験およびカニクイザルにおけるGLP毒物学テストを含むインビボ試験に分類することができる様々な非臨床試験が実施され、IFX-1の薬理学的および毒物学的局面を評価した。実施された非臨床テストおよび試験は、IFX-1に対して毒物学的または安全性の懸念を示さなかった。ヒト第I相試験は、安全性実験室パラメーター、バイタルサインおよびECGパラメーターが、臨床的に関連する時間または用量依存的変化を示さなかったことを示した。
IFX-1のインビトロ分析は、可溶性ヒトC5aへの強い結合能力ならびにC5a誘導生物学的効果、例えば、ヒト好中球からのリゾチーム放出またはヒト全血における好中球においてCD11b上方制御の高い遮断活性を証明する。1つのIFX-1抗体は、実験的インビトロ状況においてほぼ100%効率で2分子C5aの効果を中和する能力に達する。IFX-1での臨床試験は、いくつかの炎症性疾患におけるその臨床的有効性を試験するために継続している。
本発明の根底にある技術的問題
C5のC5a部分に特異的に結合するが、C5b部分に結合しない抗体は、先行技術に記載されている(Klos et al. (1998) J. Immunol. Meth. 111: 241-252; WO 01/15731; WO 03/015819)。以前に生成された抗C5a抗体は、C5aによって誘導される生物学的効果に対して中程度の遮断活性しか示さなかった。その結果、先行技術の抗C5a抗体は、C5a誘導生物学的効果の完全な遮断を達成することができないか、またはC5a活性の適度に高い遮断に達するために超化学量論で使用されなければならなかった。本発明者らは、化学量論的量、すなわちC5aの1モル当たり二価抗体の0.5モルにおいて使用されたときでさえ、C5a誘導生物学的効果に対して強い遮断活性を示す2つのモノクローナル抗C5a抗体(INab308及びINab708と命名)を製造することに成功した(WO 2011/063980 A1参照、この内容は出典明示により本明細書に包含させる)。モノクローナル抗体INab308に基づいて、本発明者らは、同じ強い遮断活性を示すキメラ抗体IFX-1を開発した(WO 2015/140304 A1参照、この内容は出典明示により本明細書に包含させる)。
しかしながら、WO 2011/063980 A1に具体的に記載されている2つのモノクローナル抗体INab308およびINab708は、マウス抗体である。WO 2015/140304 A1に記載されている抗体IFX-1は、キメラ抗体である。結果として、これらの抗体は、ヒトに投与されたとき、望ましくない免疫学的応答を誘導し得る。
したがって、患者における意図される臨床的使用を考慮して、ヒト抗体により近く似ているが、なおC5a活性の優れた遮断を示す抗C5a抗体について先行技術において必要性が残されていた。
今回、本発明者らは、WO 2011/063980 A1およびWO 2015/140304 A1に記載されている抗体と比較して、大幅に向上したヒトらしさを有し、WO 2011/063980 A1およびWO 2015/140304 A1に記載されている抗体の有利な特性をまだ維持する、すなわちC5bの生物学的活性に影響を与えることなくC5a誘導生物学的効果に対して同様の高い遮断活性を示す、ヒト化抗C5a抗体の製造に成功した。
上記概観は、本発明によって解決される全ての課題を必ずしも記載しない。
発明の概要
第1の局面において、本発明は、
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
該VHドメインは、
配列番号:10
によるアミノ酸配列、または
配列番号:10と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列であって、該配列番号:10と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:20から22のCDR1H、CDR2H、およびCDR3H配列を含み、そして該配列番号:10と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列は、アミノ酸位置5でのV、アミノ酸位置10でのE、アミノ酸位置12でのK、アミノ酸位置13でのK、アミノ酸位置16でのA、アミノ酸位置40でのA、および/またはアミノ酸位置76でのTを含む、アミノ酸配列
を含み、本質的にからなり、またはからなり、そして
該VLドメインは、
配列番号:16
によるアミノ酸配列、または
配列番号:16と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列であって、該配列番号:16と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:23から25のCDR1L、CDR2L、CDR3L配列を含み、そして該配列番号:16と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列は、アミノ酸位置13でのA、アミノ酸位置15でのV、アミノ酸位置17でのD、アミノ酸位置19でのV、アミノ酸位置22でのT、アミノ酸位置46でのK、アミノ酸位置47でのA、アミノ酸位置64でのS、アミノ酸位置78でのT、アミノ酸位置80でのS、アミノ酸位置81でのS、アミノ酸位置82でのL、アミノ酸位置83でのQ、アミノ酸位置87でのF、および/またはアミノ酸位置104でのQを含む、アミノ酸配列
を含む、本質的にからなる、またはからなる、
抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
第2の局面において、本発明は、
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
該VHドメインは、
配列番号:17(QVQLVQSGXE X11KKPGASVKX20 SCKASGYSFT TFWMDWVX38QA PGQGLEWX48GR IDPSDSESRL DQX63FKDRX68TX70 TVDKSTSTVY MX82LSSX8687SED X91AVYYCARGN DGYYGFAYWG QGTLVTVSS)によるアミノ酸配列であって、XはAまたはPであり、X11はLまたはVであり、X20はIまたはVであり、X38はKまたはRであり、X48はIまたはMであり、X63はKまたはRであり、X68はAまたはVであり、X70はLまたはMであり、X82はEまたはQであり、X86はLまたはPであり、X87はRまたはTであり、そしてX91はSまたはTであるか、または
1つ、2つまたは3つのアミノ酸置換を有する配列番号:17によるアミノ酸配列であって、該1つ、2つまたは3つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:20から22のCDR1H、CDR2H、CDR3H配列を含むアミノ酸配列
を含み、本質的にからなり、またはからなり、そして
該VLドメインは、
配列番号:18(DIXTQSPXS LX12ASVGDRVT ITCKASQSVD YDGDSYMKWY QQKPGKAPKL LIYAASNLQS GX62PSRFSGSG SGTDFTLTIS SLQX84EDFATY YCQQSNEDPY TFGQGTKLEI K)によるアミノ酸配列であって、XはVまたはQであり、XはLまたはMであり、XはAまたはSであり、X12はAまたはSであり、X62はIまたはVであり、そしてX84はEまたはPであるか、または
1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つのアミノ酸置換を有する配列番号:18によるアミノ酸配列であって、該1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:23から25のCDR1L、CDR2L、CDR3L配列を含むアミノ酸配列
を含む、本質的にからなる、またはからなる、
抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
第3の局面において、本発明は、
第1の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントまたは第2の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、そして
1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、増量剤、結合剤、滑剤、流動促進剤、崩壊剤、吸着剤、および/または防腐剤をさらに含む、
医薬組成物に関する。
第4の局面において、本発明は、医薬における使用のための、第1の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントまたは第2の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
第5の局面において、本発明は、病理学的C5a活性に関連する疾患または障害の処置または予防における使用のための、第1の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントまたは第2の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
この発明の概要は、本発明の全ての特徴を必ずしも説明しない。他の態様は、次の詳細な説明の説明から明らかになるであろう。
図1。同等の用量依存性における異なる濃度でのIFXクローンのrhC5aへの結合。親分子IFX-1はVH0Vk0と表記した。
図2。CH50を計算するためのサンプル溶血(%)および血漿希釈倍率(-倍)のプロット。親分子IFX-1はVH0Vk0と表記した。
図3。IFX-1(testAB-IgG4-004)による遮断と比較しての、1:1のAg:Abモル比での12個のIFX-2クローンによる、アナフィラトキシンrhC5a誘導CD11b上方調節およびその個々の遮断。
発明の詳細な説明
定義
本発明を以下に詳細に説明する前に、本発明が、変化できるとき本願明細書に記載されている特定の方法論、プロトコールおよび試薬に限定されないことを理解されたい。本願明細書において使用される用語が、特定の態様のみを説明する目的のためであり、添付の特許請求の範囲のみによって限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されたい。他に定義されていない限り、本願明細書において使用される全ての専門および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
好ましくは、本願明細書において使用される用語は、“A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)”, Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and Kolbl, H. eds. (1995), Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland)に記載されているとおりに定義される。本願明細書および添付の特許請求の範囲を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、用語「含む」、および「含み」および「含むこと」などの変形は、記載されている整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の包含を意味するが、あらゆる他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の除外をされないと理解される。
いくつかの文書(例えば:特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の説明書、指示書、GenBank受入番号配列寄託など)は、本願明細書の本文を通して引用されている。本願明細書において、本発明が以前の発明の理由でかかる記載に先立つ権利がないという承認として解釈されるべきでない。本願明細書に引用される文書のいくつかは、「出典明示により包含させる」として特徴付けられる。かかる組み込まれた文献の定義または教示と本願明細書に引用される定義または教示間で矛盾がある場合、本願明細書の本文が優先される。
配列:本願明細書において言及される全ての配列は、添付の配列表に記載されており、その全体の内容および記載と共に、本願明細書の一部である。
本明細書において使用される「ヒトC5a」は、以下の74個のアミノ酸ペプチドを指す:
(配列番号:1)
ヒトC5のアミノ酸配列は、受入番号UniProtKB P01031(CO5_HUMAN)の下に見ることができる。「ヒトC5a」および「hC5a」なる用語は、本明細書において互換的に使用される。
本願明細書において使用されるとき、第1の化合物(例えば抗体)は、1μM以下、好ましくは900nM以下、さらに好ましくは800nM以下、さらに好ましくは700nM以下、さらに好ましくは600nM以下、さらに好ましくは500nM以下、さらに好ましくは400nM以下、さらに好ましくは300nM以下、さらに好ましくは200nM以下、よりさらに好ましくは100nM以下、よりさらに好ましくは90nM以下、よりさらに好ましくは80nM以下、よりさらに好ましくは70nM以下、よりさらに好ましくは60nM以下、よりさらに好ましくは50nM以下、よりさらに好ましくは40nM以下、よりさらに好ましくは30nM以下、よりさらに好ましくは20nM以下、よりさらに好ましくは10nM以下、よりさらに好ましくは5nM以下、よりさらに好ましくは4nM以下、よりさらに好ましくは3nM以下、よりさらに好ましくは2nM以下、およびよりさらに好ましくは1nM以下の第2の化合物への解離定数Kを有するとき、第2の化合物(例えば抗原、例えば標的タンパク質)に「結合する」と考えられる。
本発明による「結合」なる用語は、好ましくは、特異的結合に関する。「特異的結合」は、結合部分(例えば抗体)が、別の標的への結合と比較して特異的である標的、例えばエピトープにより強く結合することを意味する。結合部分は、第2の標的に対する解離定数よりも低い解離定数(K)を有する第1の標的に結合するとき、第2の標的と比較して第1の標的により強く結合する。好ましくは、結合部分が特異的に結合する標的に対する解離定数(K)は、結合部分が特異的に結合しない標的に対する解離定数(K)よりも、10倍以上、好ましくは20倍以上、さらに好ましくは50倍以上、よりさらに好ましくは100倍、200倍、500倍または1000倍以上低い。
本願明細書において使用されるとき、「K」(通常「mol/L」において測定される、ときどき「M」として略される)なる用語は、結合部分(例えば抗体またはそのフラグメント)と標的分子(例えば抗原またはそのエピトープ)間の特定の相互作用の解離平衡定数を指すことを意図される。
化合物の結合親和性を決定するための、すなわち解離定数Kを決定するための方法は、当業者に知られており、例えば当分野で知られている以下の方法から選択することができる:表面プラズモン共鳴(SPR)ベースの技術、バイオレイヤー干渉法(BLI)、酵素免疫吸着法アッセイ(ELISA)、フローサイトメトリー、等温滴定熱量計(ITC)、分析超遠心分離、放射免疫測定法(RIAまたはIRMA)および増強化学発光(ECL)。典型的に、解離定数Kは、20℃、25℃、30℃、または37℃で決定される。他に具体的に示されていないとき、本願明細書に記載されるK値は、SPRによって20℃で決定される。
抗原性決定因子としても知られている「エピトープ」は、免疫系により、具体的には抗体、B細胞、またはT細胞により認識される高分子の一部である。本願明細書において使用されるとき、「エピトープ」は、本願明細書に記載されている化合物(例えば抗体またはその抗原結合フラグメント)に結合することができる高分子の一部である。この文脈において、「結合」なる用語は、好ましくは特異的結合に関する。エピトープは、通常、分子、例えばアミノ酸または糖側鎖の化学的に活性な表面グループからなり、通常、特定の三次元構造的特性、ならびに特定の電荷特性を有する。立体および非立体構造エピトープは、後者ではなく前者への結合は変性溶媒の存在下で喪失されることにおいて区別することができる。
本明細書において使用されるとき、「立体構造エピトープ」は、線状高分子(例えばポリペプチド)のエピトープであって、該高分子の三次元構造により形成されるエピトープを指す。本出願の文脈において、「立体構造エピトープ」は、「不連続的なエピトープ」、すなわち高分子の一次配列(例えばポリペプチドのアミノ酸配列)における少なくとも2つの別々の領域から形成される高分子(例えばポリペプチド)上の立体構造エピトープである。言い換えれば、エピトープが、本発明の抗体(またはその抗原結合フラグメント)が同時に結合する一次配列において少なくとも2つの別個の領域からなり、これらの少なくとも2つの別個の領域は、本発明の抗体(またはその抗原結合フラグメント)が結合しない一次配列において1つ以上の領域によって中断されているとき、エピトープは本発明の文脈において「立体構造エピトープ」であると考えられる。好ましくは、かかる「立体構造エピトープ」は、ポリペプチド上に存在し、そして、一次配列において2つの別個の領域が、本発明の抗体(またはその抗原結合フラグメント)が結合する2つの別個のアミノ酸配列であり、これらの少なくとも2つの別個のアミノ酸配列が、本発明の抗体(またはその抗原結合フラグメント)が結合しない一次配列において1つ以上のアミノ酸配列によって中断される。好ましくは、中断するアミノ酸配列は、抗体(またはその抗原結合フラグメント)が結合しない2つまたはそれ以上のアミノ酸を含む隣接するアミノ酸配列である。本発明の抗体(またはその抗原結合フラグメント)が結合する少なくとも2つの別個のアミノ酸配列は、それらの長さに関して特に限定されない。このような別個のアミノ酸配列は、該少なくとも2つの別個のアミノ酸配列内のアミノ酸の総数が、抗体(またはその抗原結合フラグメント)および立体構造エピトープ間の特異的結合をもたらすように十分な大きさである限り、1つのアミノ酸のみからなってもよい。
「パラトープ」は、エピトープに結合する抗体の一部である。本発明の文脈において、「パラトープ」は、エピトープに結合する本願明細書に記載されている抗-C5a抗体(またはその抗原結合フラグメント)の一部である。
「抗体」なる用語は、一般的に、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部分を指す。「抗体」なる用語はまた、抗体の、特に本願明細書に記載されている抗体、例えば原核生物において発現される抗体、非グリコシル化抗体、真核生物(例えばCHO細胞)において発現される抗体、グリコシル化抗体、および以下に記載されるあらゆる抗原結合抗体フラグメントおよび誘導体の全ての組換え形態を含む。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本願明細書においてVHまたはVと省略される)および重鎖定常領域で構成される。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本願明細書においてVLまたはVと省略される)および軽鎖定常領域で構成される。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存されている領域で散在される相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分化することができる。それぞれのVHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、アミノ-末端からカルボキシ-末端に以下の順番において配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の最初の成分(C1q)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
本願明細書において使用されるとき、抗体の「抗原結合フラグメント」なる用語(または単に「結合部分」)は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントによって行うことができることが示されている。抗体の「抗原結合部分」なる用語内に包含される結合フラグメントの例は、(i)VL、VH、CLおよびCHドメインからなる一価のフラグメントであるFabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結される2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントであるF(ab’)フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341: 544-546);(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、および(vii)所望により合成リンカーによって連結されてもよい2つまたはそれ以上の単離されたCDRの組合せを含む。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLおよびVHが別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え方法を使用して、VLおよびVH領域が対になって一価の分子を形成する単一のタンパク質鎖として作ることが可能である合成リンカーによって連結することができる(一本鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Bird et al. (1988) Science 242: 423-426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883参照)。かかる一本鎖抗体はまた、抗体の「抗原結合フラグメント」なる用語内に包含されることを意図される。さらなる例は、(i)免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドに融合される結合ドメインポリペプチド、(ii)ヒンジ領域に融合される免疫グロブリン重鎖CH2定常領域、および(iii)CH2定常領域に融合される免疫グロブリン重鎖CH3定常領域、を含む結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である。結合ドメインポリペプチドは、重鎖可変領域または軽鎖可変領域であってよい。結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質は、US 2003/0118592およびUS 2003/0133939にさらに記載されている。これらの抗体フラグメントは、当業者に知られている慣用の技術を使用して得られ、フラグメントは、無傷な抗体と同じ様式において有用性についてスクリーニングされる。「抗原結合フラグメント」のさらなる例は、単一のCDRに由来する、いわゆるマイクロ抗体である。例えば、Heap et al., 2005は、HIV-1のgp120エンベロープ糖タンパク質に対する抗体の重鎖CDR3に由来する17アミノ酸残基マイクロ抗体を記載している(Heap C.J. et al. (2005) Analysis of a 17-amino acid residue, virus-neutralizing microantibody. J. Gen. Virol. 86:1791-1800)。他の例は、好ましくはコグネイトフレームワーク領域によって、互いに融合される2つまたはそれ以上のCDR領域を含む小さい抗体模倣物を含む。コグネイトV FR2によって連結されるV CDR1およびV CDR3を含むかかる小さい抗体模倣物は、Qiu et al., 2007によって記載されている(Qiu X.-Q. et al. (2007) Small antibody mimetics comprising two complementary-determining regions and a framework region for tumor targeting. Nature biotechnology 25(8):921-929)。
したがって、本願明細書において使用されるとき、「抗体またはその抗原結合フラグメント」なる用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を指す。広義では、用語「抗体またはその抗原結合フラグメント」は、免疫グロブリン分子のあらゆるタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)を含む。しかしながら、本発明の好ましい免疫グロブリン分子は、IgGタイプである。IgGタイプ内で、本発明の好ましい免疫グロブリン分子は、あらゆるクラスまたはサブクラス(例えば、IgG1;IgG2、好ましくはIgG2aおよびIgG2b;IgG3;またはIgG4)であることができる。
本発明において使用可能な抗体およびその抗原結合フラグメントは、鳥および哺乳動物を含むあらゆる動物起源由来であってよい。したがって、抗体またはそれらのフラグメントは、ヒト、チンパンジー、齧歯動物(例えばマウス、ラット、モルモット、またはウサギ)、ニワトリ、シチメンチョウ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ウシ、ウマ、ロバ、ネコ、またはイヌ起源からのものであることができる。多数の適用について、抗体がヒトまたはマウス起源であることが特に好ましい。本発明において使用のために適切である抗体は、1つの種、例えばヒトに由来する抗体定常領域が、別の種、例えばマウスに由来する抗原結合部位と組み合わせられているキメラ分子を含む。本発明の非常に好ましい態様において、抗体およびその抗原結合フラグメントは、非ヒト種に由来する(例えばマウスに由来する)抗体の抗原結合部位が、ヒト起源の定常およびフレームワーク領域と組み合わせられているヒト化分子を含む。
本願明細書に例示されるとき、本発明の抗体は、抗体を発現するハイブリドーマから直接的に得ることができるか、または宿主細胞(例えば、CHO細胞、またはリンパ球細胞)においてクローニングさせるおよび組換え的に発現させることができる。宿主細胞のさらなる例は、微生物、例えば大腸菌、および真菌、例えば酵母である。あるいは、それらは、トランスジェニック非ヒト動物または植物において組換え的に生産することができる。
「キメラ抗体」なる用語は、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの1つの部分が特定の種に由来するかまたは特定のクラスに属する抗体において対応する配列と同種であるが、鎖の残りのセグメントが別の種またはクラスにおいて対応する配列と同種である抗体を指す。一般的には、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は哺乳動物の1つの種に由来する抗体の可変領域を模倣するが、定常部分は別の種に由来する抗体の配列と同種である。かかるキメラ形態の1つの明確な利点は、例えばヒト細胞調製物に由来する定常領域と組み合わせて、非ヒト宿主生物からの容易に利用できるB細胞またはハイブリドーマを使用して、可変領域が現在知られている供給源に便利に由来することができることである。可変領域が調製の容易さの利点を有し、特異性が供給源によって影響されないが、ヒトである定常領域は、非ヒト供給源からの定常領域よりも、抗体が注射されるときヒト対象から免疫応答を引き起こす可能性が低い。しかしながら、定義は、この特定の例に限定されない。
「ヒト化抗体」なる用語は、非ヒト種からの免疫グロブリンに実質的に由来する抗原結合部位を有し、分子の残りの免疫グロブリン構造がヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく、分子を指す。抗原結合部位は、定常ドメイン上に融合される完全な可変ドメインまたは可変ドメインにおいて適当なフレームワーク領域上にグラフトされる相補性決定領域(CDR)のみのいずれかを含んでよい。抗原結合部位は、野生型であってもよく、または1つ以上のアミノ酸置換によって修飾されてもよく、例えばより密接にヒト免疫グロブリンに似るように修飾されてもよい。ヒト化抗体のいくつかの形態は、全てのCDR配列(例えばマウス抗体からの全ての6つのCDRを含むヒト化マウス抗体)を保存している。他の形態は、起源抗体に対して変化されている1つ以上のCDRを有する。
抗体をヒト化するための種々の方法は、Almagro & Fransson, 2008, Frontiers in Bioscience, 13:1619-1633(その内容を出典明示によりその全体において本願明細書に包含させる)により説明されるとおり、当業者に知られている。Almagro & Franssonによるレビュー記事は、国際特許出願WO 2011/063980 A1の国内段階事項であるUS 2012/0231008 A1において簡潔に要約される。US 2012/0231008 A1およびWO 2011/063980 A1の内容を出典明示によりそれら全体において本願明細書に包含させる。
本願明細書において使用されるとき、「ヒト抗体」は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含む。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでランダムまたは部位特異的突然変異誘発またはインビボで体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含んでよい。本発明のヒト抗体は、例えばKucherlapati & Jakobovitsによる米国特許第5,939,598号に記載されているように、ヒト免疫グロブリンライブラリーまたは1つ以上のヒト免疫グロブリンに対してトランスジェニック動物から単離され、内因性免疫グロブリンを発現しない、抗体を含む。
本願明細書において使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、単一の分子組成物の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。典型的には、モノクローナル抗体は、不死化細胞に融合された非ヒト動物、例えばマウスから得られるB細胞を含むハイブリドーマにより生産される。
本願明細書において使用されるとき、「組換え抗体」なる用語は、組換え手段によって調製、発現、作成または単離される全ての抗体、例えば、(a)免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックまたはトランス染色体である動物(例えば、マウス)またはそこから調製されるハイブリドーマから単離される抗体、(b)例えばトランスフェクトーマから、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から単離される抗体、(c)組み換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離される抗体、および(d)免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む他の手段によって調製、発現、作成または単離される抗体を含む。
本願明細書において使用されるとき、「トランスフェクトーマ」なる用語は、抗体を発現する組換え真核宿主細胞、例えばCHO細胞、NS/0細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、植物細胞、または酵母細胞を含む真菌を含む。
本願明細書において使用されるとき、「異種抗体」は、かかる抗体を生産するトランスジェニック生物に関して定義される。この用語は、トランスジェニック生物からならない生物体において見いだされたものに対応し、一般的にトランスジェニック生物以外の種に由来するアミノ酸配列を有する抗体またはコードする核酸配列を指す。
本願明細書において使用されるとき、「ヘテロハイブリッド抗体」は、異なる生物起源の軽鎖および重鎖を有する抗体を指す。例えば、マウス軽鎖を伴うヒト重鎖を有する抗体は、ヘテロハイブリッド抗体である。
したがって、「抗体およびその抗原結合フラグメント」は、一般的に、限定はしないが、ポリクローナル、モノクローナル、一価、二重特異性、ヘテロコンジュゲート、多特異的、組換え、異種、ヘテロハイブリッド、キメラ、ヒト化(特にCDRグラフト化)、脱免疫化、またはヒト抗体、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって生産されるフラグメント、Fd、Fv、ジスルフィド連結Fv(dsFv)、一本鎖抗体(例えばscFv)、ダイアボディまたはテトラボディ(Holliger P. et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90(14), 6444-6448)、ナノボディ(単一ドメイン抗体としても知られている)、抗-イディオタイプ(抗-Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗-Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントを含む。
本願明細書に記載されている抗体は、好ましくは、単離されている。本願明細書において使用される「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない;例えば、C5aに特異的に結合する単離された抗体は、C5a以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない、抗体を指すことを意図する。しかしながら、ヒトC5aのエピトープ、アイソフォームまたは変異体に特異的に結合する単離された抗体は、他の関連抗原、例えば他の種からの抗原(例えばC5a種ホモログ、例えばラットC5a)に対して交差反応性を有してもよい。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。本明細書において使用されるとき、「単離された抗体の組合せ」は、異なる特異性を有し、明確な組成物において組み合わせられている抗体に関する。
物体に適用されるとき、本願明細書において使用されるとき、「天然」なる用語は、物体が自然界で見つけることができるという事実を指す。例えば、自然界で供給源から単離することができる生物体(ウイルスを含む)において存在する、および研究室においてヒトによって意図的に修飾されていない、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然である。
「保存的置換」は、例えば関連するアミノ酸残基の極性、電荷、サイズ、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいて行われてよい。アミノ酸は、以下の6つの標準的なアミノ酸グループにグループ分けすることができる:
(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族性:Trp、Tyr、Phe。
本明細書において使用されるとき、「保存的置換」は、上記の6つの標準アミノ酸グループの同じグループ内に列挙された別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。例えば、AspのGluへの交換は、そのように修飾されたポリペプチドにおいて1つの負電荷を保持する。加えて、グリシンおよびプロリンは、αヘリックスを破壊する能力に基づいて互いに置換されてもよい。上記の6つのグループ内のいくつかの好ましい保存的置換は、以下のサブグループ内で交換される:(i)Ala、Val、LeuおよびIle;(ii)SerおよびThr;(ii)AsnおよびGln;(iv)LysおよびArg;および(v)TyrおよびPhe。既知の遺伝子コード、および組み換えおよび合成DNA技術があれば、当業者は保存的アミノ酸変異体をコードするDNAを容易に構築することができる。
本明細書において使用されるとき、「非保存的置換」または「非保存的アミノ酸交換」は、上記の6つの標準アミノ酸グループ(1)から(6)の異なるグループに列挙された別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。
ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の類似性、すなわち配列同一性のパーセントは、配列アラインメントを介して決定することができる。このようなアラインメントは、いくつかの当分野に知られたアルゴリズムで実施することができ、好ましくは、Karlin and Altschulの数学アルゴリズム(Karlin & Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5877)、hmmalign(HMMERパッケージ)またはCLUSTALアルゴリズム(Thompson, J. D., Higgins, D. G. & Gibson, T. J. (1994) Nucleic Acids Res. 22, 4673-80)またはCLUSTALW2アルゴリズム(Larkin MA, Blackshields G, Brown NP, Chenna R, McGettigan PA, McWilliam H, Valentin F, Wallace IM, Wilm A, Lopez R, Thompson JD, Gibson TJ, Higgins DG. (2007). Clustal W and Clustal X version 2.0. Bioinformatics, 23, 2947-2948)で実施することができる。
配列同一性(配列の一致)のグレードは、例えば、BLAST、BLATまたはBlastZ(またはBlastX)を用いて計算されてよい。同様のアルゴリズムは、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410のBLASTNおよびBLASTPプログラムに組み込まれている。BLASTによるタンパク質検索は、例えばWebサイトで利用できるBLASTPプログラムによって行われる:
http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PROGRAM=blastp&BLAST_PROGRAMS=blastp&PAGE_TYPE=BlastSearch&SHOW_DEFAULTS=on&LINK_LOC=blasthome
使用される好ましいアルゴリズムパラメーターは、指定のWebサイトで設定されているとおりのデフォルトパラメーターである:
予期閾値(Expect threshold)=10、ワードサイズ(word size)=3、クエリー範囲における最大マッチ(max matches in a query range)=0、マトリックス(matrix)=BLOSUM62、ギャップコスト(gap costs)=存在(Existence):11 伸長(Extension):1、組成調節(compositional adjustments)=非冗長タンパク質配列(nr)のデータベースと共に条件付き組成スコアマトリックス調節(conditional compositional score matrix adjustment together with the database of non-redundant protein sequences(nr))。
比較目的のためにギャップド・アラインメント(gapped alignments)を得るために、Gapped BLASTを、Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載されているように利用する。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用するとき、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーターを使用する。配列マッチング分析は、Shuffle-LAGAN (Brudno M., Bioinformatics 2003b, 19 Suppl 1:I54-I62)またはMarkovランダムフィールドのような確立した相同性マッピング技術によって補完してよい。
配列同一性のパーセンテージが本出願において言及されるとき、これらのパーセンテージは、他に具体的に示されていないとき、示された参照配列の全長に関して計算される。例えば、「配列番号:XYZと少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列」なる記載は、配列同一性パーセンテージが配列番号:XYZの全長に関して計算されることを意味する。
本明細書において使用される「生物学的活性」は、ポリペプチドが示し得るあらゆる活性を指し、限定はしないが、酵素活性;別の化合物への結合活性(例えば、別のポリペプチドへの結合、特に受容体への結合、または核酸への結合);阻害活性(例えば酵素阻害活性);活性化活性(例えば酵素活性化活性);または毒性効果を含む。ポリペプチドの変異体および誘導体に関して、変異体または誘導体が親ポリペプチドと同じ程度にそのような活性を示すことは必要とされない。変異体は、親ポリペプチドの活性の少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%)の程度で関連する活性を示すとき、本出願の文脈内において、変異体と見なされる。同様に、誘導体は、親ポリペプチドの活性の少なくとも10%の程度で関連する生物学的活性を示すとき、本願の文脈において誘導体と見なされる。本発明の文脈において特に関連する「生物学的活性」は、アミノ酸配列NDETCEQRA(配列番号:2)およびSHKDMQL(配列番号:3)によって形成されるヒトC5aの立体構造エピトープに対する結合活性である。好ましくは、本発明の文脈において関連する「生物学的活性」は、アミノ酸配列DETCEQR(配列番号:4)およびHKDMQ(配列番号:5)によって形成されるヒトC5aの立体構造エピトープに対する結合活性である。よりさらに好ましくは、本発明の文脈において関連する「生物学的活性」は、アミノ酸配列DETCEQR(配列番号:4)およびKDMによって形成されるヒトC5aの立体構造エピトープに対する結合活性である。結合活性を決定するためのアッセイは、当業者に知られており、ELISAおよび表面プラズモン共鳴アッセイを含む。
本願明細書において使用されるとき、「患者」は、本願明細書に記載されている抗-C5a抗体での処置から利益を得ることができるあらゆる哺乳動物または鳥を意味する。好ましくは、「患者」は、実験動物(例えばマウスまたはラット)、家畜動物(例えばモルモット、ウサギ、ニワトリ、シチメンチョウ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ウシ、ウマ、ロバ、ネコ、またはイヌを含む)、またはサル(例えばアフリカングリーンモンキー(African green monkeys)、チンパンジー、ボノボ(bonobos)、ゴリラ)およびヒトを含む霊長類からなる群から選択される。「患者」がヒトであることが特に好ましい。「患者」および「処置される対象」(または要するに「対象」)なる用語は、本明細書において互換的に使用される。
本願明細書において使用されるとき、疾患または障害の「処置する」、「処置すること」または「処置」は、以下のものの1つ以上を達成することを意味する:(a)障害の重症度および/または期間を減少させること;(b)処置される障害の症状特性の発生を限定または防止すること;(c)処置される障害の症状特性の悪化を阻害すること;(d)以前に障害を有していた患者において障害の再発を限定または防止すること;および(e)障害に対して以前に症候的であった患者において症状の再発を限定または防止すること。
本願明細書において使用されるとき、疾患または障害の「防止する」、「防止すること」、「防止」、または「予防」は、ある時間の間、障害が対象において起こることを防止することを意味する。例えば本発明の抗体(またはその抗原結合フラグメント)が疾患または障害を防止する目的で対象に投与されるとき、該疾患または障害は、少なくとも投与の日および好ましくは投与の日後1日以上(例えば1から30日間;または2から28日間;または3から21日間;または4から14日間;または5から10日間)にて発生から防止される。
本明細書において使用されるとき、「投与する」は、インビボ投与、ならびにエキソビボでの組織への直接的投与、例えば静脈移植片を含む。
本発明による「医薬組成物」は、異なる活性成分および希釈剤および/または担体が互いに混合されている組成物の形態で存在してもよく、または活性成分が部分的にまたは完全に異なる形態で存在する組み合わせ調製物の形態をとってもよい。かかる組合せまたは組み合わせ調製物の例は、複数パーツのキットである。
「有効量」は、意図される目的をなし遂げるために十分な治療剤の量である。所定の治療剤の有効量は、薬剤の性質、投与経路、治療剤を受ける対象のサイズおよび種、および投与の目的などの要因で変化する。それぞれの個々の場合において有効量は、当分野で確立された方法によって当業者により経験的に決定することができる。
文脈が他に記載がないとき、用語「活性剤」は、本発明の抗体および本発明の抗原結合フラグメントを指す。用語「活性剤」及び「治療剤」は、本明細書において互換的に使用される。
本明細書において使用されるとき、用語「補助療法」は、少なくとも2つの異なる薬剤が患者に投与される併用療法を指す。これらの少なくとも2つの異なる薬物は、両方の薬物を含む1つの単一の医薬組成物に製剤化することができる。あるいは、各薬物を別々の医薬組成物に製剤化することができ、そして医薬組成物を患者に(例えば、異なる時点で、および/または異なる投与経路によって)別々に投与する。この後者の代替において、(少なくとも)2つの異なる薬物は、複数パーツのキットにおいて提供することができる。
「薬学的に許容される」は、連邦政府または州政府の監督官庁によって承認されているか、または動物、さらに特にヒトにおける使用のための米国薬局方または他の一般的に認識された薬局方に列挙されていることを意味する。
本明細書において使用されるとき、「担体」なる用語は、治療剤と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。かかる医薬担体は、滅菌液体、例えば、塩水および石油、動物、植物または合成起源のものを含む油、例えばピーナッツオイル、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などであってよい。医薬組成物が静脈内に投与されるとき、塩水が好ましい担体である。塩水および水性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた、特に注射可能な溶液のための、液体担体として使用することができる。適当な医薬賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、穀粉(flour)、チョーク(chalk)、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。組成物は、所望により、少量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤もまた含むことができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、持続放出製剤などの形態をとることができる。組成物は、従来の結合剤および担体、例えばトリグリセリドを用いて、坐薬として製剤化することができる。本発明の化合物は、中性または塩の形態として製剤化することができる。薬学的に許容される塩は、遊離アミノ基で形成されるもの、例えば塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するもの、および遊離カルボキシル基で形成されるもの、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するものを含む。適当な医薬担体の例は、“Remington: The Science and Practice of Pharmacy” 22nd edition, Loyd V. Allen Jr. et al. (eds.), Pharmaceutical Press, 2012に記載されている。このような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するように、適切な量の担体とともに、好ましくは精製された形態において、治療有効量の化合物を含む。製剤は、投与様式に適するべきである。
分子生物学、細胞生物学、タンパク質化学および抗体技術の分野において一般的に知られ、実施されている方法は、継続的に更新される出版物“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, (Sambrook et al., Cold Spring Harbor); “Current Protocols in Molecular Biology” (F. M. Ausubel et al. Eds., Wiley & Sons); “Current Protocols in Protein Science” (J. E. Colligan et al. eds., Wiley & Sons); “Current Protocols in Cell Biology” (J. S. Bonifacino et al., Wiley & Sons) および “Current Protocols in Immunology” (J. E. Colligan et al., Eds., Wiley & Sons)に完全に記載されている。細胞培養および培地に関する知られている技術は、“Large Scale Mammalian Cell Culture (D. Hu et al., Curr. Opin. Biotechnol. 8:148-153, 1997); “Serum free Media” (K. Kitano, Biotechnol. 17:73-106, 1991); および “Suspension Culture of Mammalian Cells” (J.R. Birch et al. Bioprocess Technol. 10:251-270, 1990)に記載されている。
本発明の態様
本発明は、ここにさらに説明される。以下の段落において、本発明の異なる局面は、さらに詳細に定義される。以下に定義されるそれぞれの局面は、明確に反対の指示がない限り、あらゆる他の1つの局面または複数の局面と組み合わせてよい。特に、好ましいまたは有利であると示されているあらゆる特徴は、好ましいまたは有利であると示されているあらゆる他の1つの特徴または複数の特徴と組み合わせてよい。
第1の局面において、本発明は、
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
該VHドメインは、
配列番号:10
によるアミノ酸配列、または
配列番号:10と少なくとも80%配列同一性(好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも97%、よりさらに好ましくは少なくとも98%、またはより好ましくは少なくとも99%配列同一性)を有するアミノ酸配列であって、該配列番号:10と少なくとも80%配列同一性(少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%)を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:20から22のCDR1H、CDR2H、およびCDR3H配列を含み、そして該配列番号:10と少なくとも80%配列同一性(少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%)を有するアミノ酸配列は、アミノ酸位置5でのV、アミノ酸位置10でのE、アミノ酸位置12でのK、アミノ酸位置13でのK、アミノ酸位置16でのA、アミノ酸位置40でのA、および/またはアミノ酸位置76でのTを含む、アミノ酸配列
を含み、本質的にからなり、またはからなり、そして
該VLドメインは、
配列番号:16
によるアミノ酸配列、または
配列番号:16と少なくとも80%配列同一性(好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも97%、よりさらに好ましくは少なくとも98%、またはより好ましくは少なくとも99%配列同一性)を有するアミノ酸配列であって、該配列番号:16と少なくとも80%配列同一性(少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%)を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:23から25のCDR1L、CDR2L、CDR3L配列を含み、そして該配列番号:16と少なくとも80%配列同一性(少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%)を有するアミノ酸配列は、アミノ酸位置13でのA、アミノ酸位置15でのV、アミノ酸位置17でのD、アミノ酸位置19でのV、アミノ酸位置22でのT、アミノ酸位置46でのK、アミノ酸位置47でのA、アミノ酸位置64でのS、アミノ酸位置78でのT、アミノ酸位置80でのS、アミノ酸位置81でのS、アミノ酸位置82でのL、アミノ酸位置83でのQ、アミノ酸位置87でのF、および/またはアミノ酸位置104でのQを含む、アミノ酸配列
を含む、本質的にからなる、またはからなる、
抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
第1の局面の好ましい態様において、配列番号:10と少なくとも80%(好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも97%、よりさらに好ましくは少なくとも98%、またはより好ましくは少なくとも99%)配列同一性を有するアミノ酸配列は、指定された位置で以下の7つのアミノ酸の少なくとも4つ(好ましくは少なくとも5つ、さらに好ましくは少なくとも6つ、より好ましくは7つ)を含む:
-アミノ酸位置5でのV、
-アミノ酸位置10でのE、
-アミノ酸位置12でのK、
-アミノ酸位置13でのK、
-アミノ酸位置16でのA、
-アミノ酸位置40でのA、または
-アミノ酸位置76でのT。
第1の局面の好ましい態様において、配列番号:16と少なくとも80%(好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも97%、よりさらに好ましくは少なくとも98%、またはより好ましくは少なくとも99%)配列同一性を有するアミノ酸配列は、指定された位置で以下の15個のアミノ酸の少なくとも8つ(好ましくは少なくとも9つ、さらに好ましくは少なくとも10個、さらに好ましくは少なくとも11個、よりさらに好ましくは少なくとも12個、よりさらに好ましくは少なくとも13個、よりさらに好ましくは少なくとも14個、より好ましくは15個)を含む:
-アミノ酸位置13でのA、
-アミノ酸位置15でのV、
-アミノ酸位置17でのD、
-アミノ酸位置19でのV、
-アミノ酸位置22でのT、
-アミノ酸位置46でのK、
-アミノ酸位置47でのA、
-アミノ酸位置64でのS、
-アミノ酸位置78でのT、
-アミノ酸位置80でのS、
-アミノ酸位置81でのS、
-アミノ酸位置82でのL、
-アミノ酸位置83でのQ、
-アミノ酸位置87でのF、または
-アミノ酸位置104でのQ。
第1の局面の好ましい態様において、配列番号:10と少なくとも80%(好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも97%、よりさらに好ましくは少なくとも98%、またはより好ましくは少なくとも99%)配列同一性を有するアミノ酸配列は、指定された位置で以下の7つのアミノ酸の少なくとも4つ(好ましくは少なくとも5つ、さらに好ましくは少なくとも6つ、より好ましくは7つ)を含み:
-アミノ酸位置5でのV、
-アミノ酸位置10でのE、
-アミノ酸位置12でのK、
-アミノ酸位置13でのK、
-アミノ酸位置16でのA、
-アミノ酸位置40でのA、または
-アミノ酸位置76でのT、
そして、所望により、配列番号:10のアミノ酸位置1から4または6から9で位置される1、2、または3つのアミノ酸置換、好ましくは保存的置換を含み;
そして
配列番号:16と少なくとも80%(好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも97%、よりさらに好ましくは少なくとも98%、またはより好ましくは少なくとも99%)配列同一性を有するアミノ酸配列は、指定された位置で以下の15個のアミノ酸の少なくとも8つ(好ましくは少なくとも9つ、さらに好ましくは少なくとも10個、さらに好ましくは少なくとも11個、よりさらに好ましくは少なくとも12個、よりさらに好ましくは少なくとも13個、よりさらに好ましくは少なくとも14個、より好ましくは15個)を含み:
-アミノ酸位置13でのA、
-アミノ酸位置15でのV、
-アミノ酸位置17でのD、
-アミノ酸位置19でのV、
-アミノ酸位置22でのT、
-アミノ酸位置46でのK、
-アミノ酸位置47でのA、
-アミノ酸位置64でのS、
-アミノ酸位置78でのT、
-アミノ酸位置80でのS、
-アミノ酸位置81でのS、
-アミノ酸位置82でのL、
-アミノ酸位置83でのQ、
-アミノ酸位置87でのF、または
-アミノ酸位置104でのQ
そして、所望により、配列番号:16のアミノ酸位置1から10で位置される1、2、または3つのアミノ酸置換、好ましくは保存的置換を含む。
第2の局面において、本発明は、
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
該VHドメインは、
配列番号:17(QVQLVQSGXE X11KKPGASVKX20 SCKASGYSFT TFWMDWVX38QA PGQGLEWX48GR IDPSDSESRL DQX63FKDRX68TX70 TVDKSTSTVY MX82LSSX8687SED X91AVYYCARGN DGYYGFAYWG QGTLVTVSS)によるアミノ酸配列であって、XはAまたはPであり、X11はLまたはVであり、X20はIまたはVであり、X38はKまたはRであり、X48はIまたはMであり、X63はKまたはRであり、X68はAまたはVであり、X70はLまたはMであり、X82はEまたはQであり、X86はLまたはPであり、X87はRまたはTであり、そしてX91はSまたはTであるか、または
1つ、2つまたは3つのアミノ酸置換を有する配列番号:17によるアミノ酸配列であって、該1つ、2つまたは3つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:20から22のCDR1H、CDR2H、CDR3H配列を含むアミノ酸配列
を含み、本質的にからなり、またはからなり、そして
該VLドメインは、
配列番号:18(DIXTQSPXS LX12ASVGDRVT ITCKASQSVD YDGDSYMKWY QQKPGKAPKL LIYAASNLQS GX62PSRFSGSG SGTDFTLTIS SLQX84EDFATY YCQQSNEDPY TFGQGTKLEI K)によるアミノ酸配列であって、XはVまたはQであり、XはLまたはMであり、XはAまたはSであり、X12はAまたはSであり、X62はIまたはVであり、そしてX84はEまたはPであるか、または
1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つのアミノ酸置換を有する配列番号:18によるアミノ酸配列であって、該1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:23から25のCDR1L、CDR2L、CDR3L配列を含むアミノ酸配列
を含む、本質的にからなる、またはからなる、
抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
第1または第2の局面の態様において、VHドメインは、VH1からVH5(配列番号:7から11)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなる;および/またはVLドメインは、Vκ1からVκ4(配列番号:13から16)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなる。
第1または第2の局面の態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、
a)配列番号:10(VH4)のアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなるVHドメインおよび配列番号:16(Vκ4)によるアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなるVLドメイン、または
b)配列番号:11(VH5)のアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなるVHドメインおよび配列番号:15(Vκ3)によるアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなるVLドメイン
を含む。
第1または第2の局面の態様において、抗体はヒト化抗体である。
第1または第2の局面の態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは定常ドメインをさらに含む。第1または第2の局面のいくつかの態様において、定常ドメインは、配列番号:19(IgG4 WT定常)によるアミノ酸配列を含み、本質的にからなり、またはからなり、
配列番号:19による該アミノ酸配列は、所望により以下のアミノ酸交換:
-アミノ酸交換S108P;
-アミノ酸交換T130QおよびM308L;
-アミノ酸交換M132Y、S134T、およびT136E
の1つ以上を含む。
第1または第2の局面の態様において、抗体の抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、ジスルフィド連結Fv(dsFv)、単一ドメイン抗体および一本鎖Fv(scFv)抗体からなる群から選択される。
第1または第2の局面の態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下の特性:
-該抗体または該その抗原結合フラグメントは、10nM以下(例えば9nM以下;8nM以下、7nM以下、6nM以下、5nM以下、4nM以下、3nM以下、または2nM以下)のK値でのC5aへの結合定数を有する;
-該抗体または該その抗原結合フラグメントは、1つの分子C5aによって誘導される生物学的効果に対して少なくとも75%の遮断活性を示す;
-該抗体または該その抗原結合フラグメントは、ヒト血漿においてCH50活性を阻害しない;
-該抗体または該その抗原結合フラグメントは、ヒト全血において大腸菌誘導IL-8生産を低下させることができる;
-該抗体または該その抗原結合フラグメントは、IFX-1と比較して低下した免疫原性を有する、
の1つ以上を示す。
相対的な免疫原性を決定する方法は、以下の実施例に示されており、すなわちADAスクリーニングアッセイである。略語ADAは、抗薬物抗体(anti-drug-antibodies)を指す。
第1または第2の局面の態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、C5aのアミノ酸配列NDETCEQRA(配列番号:2)およびSHKDMQL(配列番号:3)によって形成される立体構造エピトープに結合し、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号:2によるアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸および配列番号:3によるアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸に結合する。
第1または第2の局面のさらなる態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、C5aのアミノ酸配列DETCEQR(配列番号:4)およびHKDMQ(配列番号:5)によって形成される立体構造エピトープに結合し、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号:4によるアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸および配列番号:5によるアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸に結合する。
第1または第2の局面のさらなる態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、C5aのアミノ酸配列DETCEQR(配列番号:4)およびKDMによって形成される立体構造エピトープに結合し、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号:4によるアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸およびKDMによるアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸に結合する。
第3の局面において、本発明は、
第1の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントまたは第2の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、そして
1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、増量剤、結合剤、滑剤、流動促進剤、崩壊剤、吸着剤、および/または防腐剤をさらに含む、
医薬組成物に関する。
第4の局面において、本発明は、医薬における使用のための、第1の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントまたは第2の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
第5の局面において、本発明は、病理学的C5a活性に関連する疾患または障害の処置または予防における使用のための、第1の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントまたは第2の局面による抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
第5の局面の態様において、疾患または障害は、
-自己免疫疾患、
-炎症性疾患、自己炎症性障害、または関連状態、
-心臓血管または脳血管障害、
-細菌感染またはウイルス感染、
-神経変性障害または関連疾患、および
-癌または前癌状態
からなる群から選択される。
第5の局面のいくつかの態様において、ウイルス感染はHIVまたはAIDSである。
実施例
以下の実施例は、当業者に本発明の化合物、組成物および方法の製造方法および使用方法の完全な開示および説明を提供するように提示されており、本発明者らが発明とみなす範囲を制限することを意図していない。使用される数値に関して正確さを確保するための努力がなされているが、いくらかの実験誤差および偏差を考慮すべきである。特に断らない限り、分子量は平均分子量、温度は摂氏、圧力は大気圧または大気圧近傍である。
実施例1:IFX-1由来の完全ヒト化抗-C5A抗体(IFX-2クローン)の作製
本実施例は、キメラ抗体IFX-1(VH0/Vκ0)をコードするV領域遺伝子配列を用いて、Composite Human AntibodyTM技術を使用する一連の完全ヒト化抗体を構築した例を記す。設計した重鎖および軽鎖の可変領域遺伝子をそれぞれ、ヒトIgG4重鎖定常ドメイン(S108Pアミノ酸交換を有するが配列番号:19参照)およびヒトカッパ軽鎖定常ドメインをコードするベクターにクローニングした。他の刊行物において、S108Pアミノ酸交換は、ときどき、S241Pアミノ酸交換(全長ヒトIgG4のKabat番号付けを使用する)と称される。キメラ抗体およびヒト化抗体は、HEK EBNA細胞で一過性に発現させ、プロテインA精製を行った。
方法および結果
合成ヒト抗体 TM 可変領域配列の設計
IFX-1抗体のV領域の構造モデルをSwiss PDBを用いて作成し、抗体の結合特性に必須である可能性のあるV領域における重要な「制約(constraining)」アミノ酸を特定するために分析した。多くのフレームワーク残基と共にCDR内に含まれるほとんどの残基が、重要であると考えられた。IFX-1のVHおよびVκ配列は、典型的なフレームワーク残基を含み、CDR1、2および3モチーフは多くのマウス抗体と同等である。
上記の分析から、IFX-1の複合ヒト配列は、CDRの外側の代替残基には広い幅があるが、CDR配列内の可能な残基には狭いメニューしかないと考えられた。予備的な分析は、いくつかのヒト抗体から対応する配列セグメントを組み合わせて、マウス配列のCDRと類似または同一のCDRを作成することができることが示された。CDRの外側にある領域およびCDRに隣接する領域について、ヒト配列セグメントの幅広い選択が新規のヒト化V領域の可能な構成要素として同定された。
CD4+ T細胞エピトープ回避
構造分析に基づいて、IFX-1ヒト化変異体を作成するために使用することができる配列セグメントの大規模な予備セットを選択し、ヒトMHCクラスII対立遺伝子へのペプチド結合のコンピューター内分析のためのiTopeTM技術(Perry et al New Approaches to Prediction of Immune Responses to Therapeutic Proteins during Preclinical Development (2008). Drugs R D 9 (6): 385-396)を用いて、および既知の抗体配列関連T細胞エピトープのTCEDTM(Bryson et al Prediction of Immunogenicity of Therapeutic Proteins (2010). Biodrugs 24 (1):1-8)を用いて分析した。ヒトMHCクラスIIに対する有意な非ヒト生殖細胞系列結合因子として同定されたか、またはTCEDTMに対して有意なヒットを記録した配列セグメントを、廃棄した。これはセグメントの低下したセットをもたらし、これらの組合せを上記のとおりに再び分析し、セグメント間のジャンクション(junction)が起こりうるT細胞エピトープを含まないことを保証した。選択された配列セグメントを、有意なT細胞エピトープを欠いている完全なV領域配列に集合させた。次に、5つの重鎖(VH1からVH5)および4つの軽鎖(Vκ1からVκ4)配列を、哺乳動物細胞における遺伝子合成および発現のために選択した。VH1からVH5のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号:7から11として配列表において示される。Vκ1からVκ4のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号:13から16として配列表において示される。
キメラ抗体およびヒト化変異体の構築
IFX-1のVHおよびVκ配列(VH0(配列番号:6)およびVκ0(配列番号:12))およびそのヒト化変異体を、それぞれ、ヒトIgG4(S241P)重鎖およびカッパ軽鎖のためのAbzena’s pANT発現ベクター系にクローニングするための制限酵素部位に隣接させて合成した。VH領域はMlu IおよびHind III制限酵素認識部位間にクローニングされ、Vκ領域はBssH IIおよびBamH I制限酵素認識部位間にクローニングされた。全てのコンストラクトを配列決定により確認した。
抗体の発現および精製
キメラIFX-1(VH0/Vκ0)、2つのコントロール抗体(VH0/Vκ1、VH1/Vκ0)および合成IgG4(S241P)VHおよびVκ鎖の組合せ(合計23組、表1)を、PEIトランスフェクション法を使用してHEK EBNA付着細胞(LGC Standards, Teddington, UK)に一時的にトランスフェクトし、トランスフェクション後7日間インキュベートした。上清の抗体価をELISAによって決定し、VH1を含む変異体が他の変異体と比較したとき一貫して低い発現を示したことが観察された(データは示していない)。
表1.キメラ(VH0/Vκ0)、2つのコントロールヒト化変異体(VH1/Vκ0およびVH0/Vκ1)および20個のIFX-1合成ヒト抗体TM変異体を含む一過性のトランスフェクション(交差されたボックス)によって生成された抗体の概要表。

抗体(発現が乏しいVH1変異体を除いた)を、プロテインAセファロースカラム(GE Healthcare, Little Chalfont, UK)で細胞培養上清から精製し、1x PBS pH7.2にバッファー交換し、予測アミノ酸配列に基づく減衰係数(Ec(0.1%))を使用してOD280nmによって定量した。1μgのそれぞれの抗体をゲル上に付加することによってSDS-PAGEを使用して抗体を分析し、典型的な抗体のプロフィールに対応するバンドを観察した(データは示していない)。
実施例2:親抗体IFX-1に対する異なるIFX-2クローンの比較
材料および試薬
CD11bアッセイのため:
o ACD, Sigma Aldrich (Taufkirchen, Germany), Cat. No. C3821-50ML
o フローサイトメーターのための試薬(全てBD Bioscience, NJ, USA)
■ FACS Flow Sheat Fluid, Cat. No. 342003
■ FACS Shutdown solution, Cat. No. 334224
■ FACS Clean solution, Cat. No. 340345
■ ラット 抗マウスCD11b:FITC, Cat. No. 553310, 0.5 mg/mL
■ 10× 溶解溶液、BD Bioscience (NJ, USA), Cat. No. 349202 → AnalaR水にて1:10希釈した
o HBSS, Life Technologies GmbH (Darmstadt, Germany), Cat. No. 14025-050
o FBS, Invitrogen (CA, USA), Cat. No. 10099133 → 熱不活化:56℃、30分
o アジ化ナトリウム、Merck (Darmstadt, Germany), Cat. No. 1.06688.0250
o 組換えヒトC5a(rhC5a)、Sigma Aldrich (Taufkirchen, Germany), Cat. No. C5788-.1MG、大腸菌において発現される、純度:~95%、滅菌AnalaR水において溶解された
o 染色バッファー(SB-buffer):1×PBS中 1% 熱不活化FBS+0.1% アジ化ナトリウム
o 12% ACDを含む健常ドナーからのヒト血液(即座に使用された)
C5aベースのPK ELISAのため:
o AnalaR水、VWR International (Darmstadt, Germany), Cat. No. 102923C
o 滅菌AnalaR水において溶解され、大腸菌において発現された、組換えヒトC5a(rhC5a)、Hycult Biotech (Uden, The Netherlands), Cat. No. HC2101
o 滅菌AnalaR水において溶解され、大腸菌において発現された、rhC5a デサルギニン(desarginine) 誘導体(rhC5aDArg), Hycult Biotech (Uden, The Netherlands), Cat. No. HC2102
o IFX-1、コントロールとして使用される抗-ヒトC5a抗体、InflaRx (Jena, Germany)、PBS + 0.05% Tween80中10mg/mL
o マウス抗-ヒトIgG4:HRP、AbD Serotec (Puchheim, Germany), Cat. No. MCA2098P、1mg/mL
o NaCO、Sigma-Aldrich (Taufkirchen, Germany), Cat. No. 71350 (Sigma, WI, USA, Cat. No. 31432)
o NaHCO、VWR International (Darmstadt, Germany), Cat. No. L1730
o NaN、VWR International, (Darmstadt, Germany), Cat. No. 1.06688.0100
o PBS粉末、Sigma-Aldrich (Taufkirchen, Germany), Cat. No. P5368-10PAK → 1000mLの脱イオン水に溶解させた1パッケージ
o Tween 20、Sigma-Aldrich, (Taufkirchen, Germany), Cat. No. P1379-25ML
o BSA、Sigma-Aldrich (Taufkirchen, Germany), Cat. No. A7030-100G
o 被覆バッファー:1000mL AnalaR水中 1.59g NaCO + 2.93g NaHCO + 0.2g NaN、pH9.6
o 洗浄バッファー: 1x PBS + 0.05% Tween 20
o アッセイ希釈剤: 1×PBS + 0.05% Tween 20中 3% BSA(3% BSA/PBST)
o TMB基質(基質溶液C)、BioLegend/Biozol (Heidelberg, Germany), Cat. No. BLD-78105
o 停止液:AnalaR水で1:10希釈した硫酸(Sigma-Aldrich, Cat. No. 258105-100ML)
血漿の溶血活性(CH50)について:
o AnalaR水、VWR International (Darmstadt, Germany), Cat. No. 102923C
o 補体CH50アッセイ、Haemoscan (Groningen, Netherlands), Cat. No. K002
o 健常なヒト血漿プール、huPP-013、自社調製
方法
rhC5aベースのELISA
ELISAのために、100μLのrhC5a(1μg/mL)を96-ウェルELISAプレート上に一晩4℃で被覆した。プレートを洗浄し(5×)、200μLのブロッキングバッファーで1時間37℃でブロックした。洗浄工程(5×)後、250ng/mL-3.91ng/mLの2倍連続希釈におけるIFXクローンをC5a-被覆ウェルに加えた。37℃での2時間インキュベーションおよび洗浄工程(5×)後、0.04μg/mLのHRP標識抗ヒトIgG4抗体を、37℃で1時間適用し、結合したIFXクローンを検出した。発色のために、100μLのTMB基質を洗浄(5×)後に加え、RTで5分インキュベートした。発色反応を100μL 停止液で停止した。450nmでの吸光度読み取りを、プレートリーダーを使用して発色反応後30分以内に行った。ブランクの低下を生データで行った。
血漿の溶血活性(CH50)
総溶血性補体価(CH50)は、古典的補体経路の活性化を決定するための慣用の方法である。簡潔には、ヒツジ赤血球(sRBC)を遠心分離によって新鮮なヒツジ全血から調製し、抗sRBC抗体で感作した。IFXクローンを含む健常ボランティアからの血漿サンプルを、連続希釈し、感作したsRBCと共に37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、混合物を遠心分離し、上清に放出されたヘモグロビンの吸光度を450nmで測定することにより溶血の程度を定量した。補体活性の量を、感作されたsRBCを溶解する試験血漿サンプルの種々の希釈物の能力を試験することによって、決定した。
CD11b効力アッセイ
ヒト全血を16.7nM rhC5aで刺激した。rhC5a誘導CD11b上方調節に対するIFX-1およびIFX-2クローンのブロッキング活性をテストするために、抗体を1:1のAg:Ab比で最終濃度まで希釈した。バッファーのみでインキュベートした血液(HBSSコントロール)は、ベースラインCD11b発現を評価するための非刺激条件として使用した。IFX抗体単独を有する血液を、ヒト血液に対する抗体の阻害効果または刺激効果を除外するために使用した。混合サンプルを、37℃で20分インキュベートし、C5a介在CD11b上方調節を誘導した。その後、FITC-コンジュゲートされた抗マウスCD11b抗体をさらに氷上で30分サンプルとインキュベートし、顆粒球の細胞表面上のCD11bを染色した。蛍光シグナルを、フローサイトメーターを通して捕獲した。
統計分析
グラフおよび統計分析を、GraphPad PRISM(登録商標) V7.05で行った。
結果
IFX-2クローンは、IFX-1と比較して、C5aに十分に等しく結合した
IFX-2クローンのC5aへの結合を特徴付けるために、rhC5aベースのELISAプラットフォームを使用した。3.91ng/mL-250ng/mLの範囲において12×IFX-2および1×IFX-1(VH0Vk0)クローンを、サンプルとして、1μg/mL rhC5aコーティングされた96-ウェルプレートに適用した。次に、C5a捕捉IFXクローンを、0.04μg/mLのHRPコンジュゲートされた抗ヒトIgG4mAbで検出した。IFX抗体がC5aに結合しているほど、化学発光シグナルは強く現れる。図1に示されるとおり、適用される濃度範囲においてすべての試験された抗体が、同等の用量依存性でコーティングされたrhC5aに結合した。
C5a結合に対するIFXクローンのEC50を定量化するために、同様のELISAベースのアッセイをABZENAで実施した。0-100ng/mLの範囲において、すべてのIFXクローンはC5aに対して非常に近い結合挙動を示した。親分子IFX1と比較すると、すべてのIFX2クローンの相対EC50は2倍の範囲内にあり、中央値は1.04であった(表2)。
表2.C5a結合親和性に関するIFX-1(VH0Vk0)に対するIFX-2の相対的なEC50


IFX-2抗体は、膜侵襲複合体(MAC)の形成を阻害しないことを示した
親IFX-1(VH0Vk0)は、C5aおよびC5bへのC5開裂を妨害することなく、C5aを中和することが知られている。C5bは古典的補体経路の終末産物である膜侵襲複合体C5b-9の出発物質であり、膜に孔を形成する。総溶血補体価(CH50)を、感作されたヒツジ赤血球(SRBC)のMAC介在溶血を介して古典的補体経路の活性化を指標とするために使用した。それぞれのIFXクローン(12×IFX-2および1×IFX-1(VH0Vk0))の初期濃度100μg/mLを有するプールしたヒト血漿を、4、8、16、32、64および128倍に連続希釈し、赤血球懸濁液とインキュベートした。上清に放出されたヘモグロビンの吸光度を450nmで測定することにより溶血の程度を定量した。
表3.各試験IFXクローンのCH50(血漿希釈倍率)

図2および表3に示されるとおり、完全に比較可能である50%溶血(CH50)をなし遂げるために、IFX-2クローンの70から77倍(中央74倍)希釈または親分子IFX-1の74倍希釈が必要であった。このことから、IFX-2クローンの突然変異が古典的補体経路の活性化を損なわないことを証明した。
IFX-2抗体はrhC5a駆動のCD11b上方調節を効果的にブロックした
ヒト顆粒球の表面上のCD11b上方調節は、ヒト全血へのrhC5aの添加後、数分以内で検出可能である。CD11bレベルを、蛍光標識抗CD11b抗体を用いて測定し、平均蛍光強度(MFI)として示した。rhC5a駆動のCD11b上方調節のブロッキングを、2つのCD11b効力アッセイにおいてIFX-1と比較して、12×IFX-2抗体で評価した。両方のアッセイにおいて、16.7nM rhC5aを刺激として使用し、それぞれCD11b発現の3.65倍および5.89倍の上方調節を誘導した。全てのIFXクローンを、CD11b上方調節に対するブロッキングについて1:1のモル比でテストした。IFXクローンのブロッキング活性を、rhC5a刺激条件に対するそれぞれの蛍光強度の変化に従って計算した。親分子IFX-1の活性を100%と設定した。1:1のrhC5a:IFXクローン比率で、IFX-2クローンは94%-104%の相対的なブロッキング活性を示した(図3参照)。IFX-2クローンの相対的なブロッキング活性の中央は100.68%であった。
実施例3:IFX-1/IFX-2処置後の非ヒト霊長類におけるADA分析
材料および試薬
表4. 試薬およびこれらの供給者

方法
抗薬物抗体を、二段階アプローチにおいて決定する。血清サンプルを、ADAスクリーニングELISAで抗薬物抗体についてスクリーニングする。光学濃度(OD)に基づく一定のアッセイカットポイントは、0.102であり(IFX-1 ADAの検出のためのヒト血漿を用いたADAスクリーニングELISA確認による)、そして9%の偽陽性サンプルをもたらすはずである。したがって、ADAスクリーニングELISAで陽性となったサンプルを、ADA確認ELISAで分析し、結果を確認または拒絶し、そして適用できるときADA濃度を決定しなければならない。
ADAスクリーニングELISAは、薬物IFX-1(抗ヒトC5a抗体)を捕捉抗体(非標識)および検出抗体(ビオチン標識)として使用するブリッジング(bridging)ELISAである。検量線(calibration (CAL) curve)の作成および品質管理(QC)サンプルのスパイク(spiking)のために使用される抗薬物抗体を、精製IFX-1でのウサギの免疫化後に、ウサギ血清から精製した。抗薬物抗体は2つの結合部位を有するため、これらは、捕獲用IFX-1ならびに検出のために使用される標識IFX-1の両方に結合(ブリッジ)することができる。ADA陽性とスクリーニングされた血漿サンプルはすべて、ADAスクリーニングELISAセットアップに基づくADA確認ELISAで再評価される。さらなる遊離の非標識薬物(IFX-1)をサンプルに加え、プレート上に捕捉されたIFX-1への起こりうる抗薬物抗体の結合と競合させる。もし利用できる抗薬物抗体が存在すれば、それらは加えられた遊離非標識IFX-1に結合し、検出されなくなる。薬物特異的なADA阻害が観察され、スクリーニング結果が確認されたとき、サンプルは陽性が確認されたとみなされる。
ADAスクリーニングELISAおよびADA確認ELISAは、以下に記載されているように実施した:
簡潔には、100μl/ウェルの捕捉抗体(IFX-1、0.5μg/ml)を、高結合プレート上で5±3℃で一晩インキュベートする。洗浄工程後、200μlのブロッキングバッファーをそれぞれのウェルに分注し、プレートを37℃±2℃で2時間インキュベートする。別の洗浄工程後、100μl/ウェルのCALサンプル、QCサンプルおよび興味あるサンプル(試験サンプル)を、ウェルに分注し、37℃±2℃で2時間インキュベートする。洗浄工程後、100μLの検出抗体(ビオチン化IFX-1、0.08μg/ml)をそれぞれのウェルに分注し、37℃±2℃で60分間インキュベートする。その後プレートを洗浄し、100μl希釈アビジン-HRP(1:3000)をそれぞれのウェルに加え、37℃±2℃で30分間インキュベートする。最終洗浄工程後、100μl/ウェルのTMB(基質溶液)を加え、遮光して室温で5分間インキュベートし、そして100μl/ウェルの希硫酸を加えて反応を停止させる。発色強度を、magellanTM 6.5ソフトウェアを使用してTecan Infinite M200リーダーで450nmで分析する。
知られていないADA濃度を有する血漿サンプルは、ADAスクリーニングELISAで分析する前に、CrossDownバッファーで1:2希釈する。ADA確認用ELISAにおける再評価のために、サンプルをCrossDownバッファーで1回および薬物スパイク(spiked)CrossDownバッファー(IFX-1濃度100μg/ml)で1回、1:2希釈する。
ADAスクリーニングアッセイにおいて0.102未満のOD値を有するサンプルは、「陰性」に分類される。ADA確認アッセイにおいて50%以上のシグナルブロッキングを有するサンプルは「陽性確定」に分類される。結果を表5に示す。
結果
IFX-2処置動物は、投与後8週間、検出可能なADAを発症しなかった。
表5.ADAスクリーニングおよび確認ELISAの概要

配列表フリーテキスト情報

Claims (12)

  1. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
    該VHドメインは、
    配列番号:10
    によるアミノ酸配列、または
    配列番号:10と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列であって、該配列番号:10と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:20から22のCDR1H、CDR2H、およびCDR3H配列を含み、そして該配列番号:10と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列は、アミノ酸位置5でのV、アミノ酸位置10でのE、アミノ酸位置12でのK、アミノ酸位置13でのK、アミノ酸位置16でのA、アミノ酸位置40でのA、および/またはアミノ酸位置76でのTを含む、アミノ酸配列
    を含み、本質的にからなり、またはからなり、そして
    該VLドメインは、
    配列番号:16
    によるアミノ酸配列、または
    配列番号:16と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列であって、該配列番号:16と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:23から25のCDR1L、CDR2L、CDR3L配列を含み、そして該配列番号:16と少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列は、アミノ酸位置13でのA、アミノ酸位置15でのV、アミノ酸位置17でのD、アミノ酸位置19でのV、アミノ酸位置22でのT、アミノ酸位置46でのK、アミノ酸位置47でのA、アミノ酸位置64でのS、アミノ酸位置78でのT、アミノ酸位置80でのS、アミノ酸位置81でのS、アミノ酸位置82でのL、アミノ酸位置83でのQ、アミノ酸位置87でのF、および/またはアミノ酸位置104でのQを含む、アミノ酸配列
    を含む、本質的にからなる、またはからなる、
    抗体またはその抗原結合フラグメント。
  2. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
    該VHドメイン、
    配列番号:17(QVQLVQSGXE X11KKPGASVKX20 SCKASGYSFT TFWMDWVX38QA PGQGLEWX48GR IDPSDSESRL DQX63FKDRX68TX70 TVDKSTSTVY MX82LSSX8687SED X91AVYYCARGN DGYYGFAYWG QGTLVTVSS)によるアミノ酸配列であって、XはAまたはPであり、X11はLまたはVであり、X20はIまたはVであり、X38はKまたはRであり、X48はIまたはMであり、X63はKまたはRであり、X68はAまたはVであり、X70はLまたはMであり、X82はEまたはQであり、X86はLまたはPであり、X87はRまたはTであり、そしてX91はSまたはTであるか、または
    1つ、2つまたは3つのアミノ酸置換を有する配列番号:17によるアミノ酸配列であって、該1つ、2つまたは3つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:20から22のCDR1H、CDR2H、CDR3H配列を含むアミノ酸配列
    を含み、本質的にからなり、またはからなり、そして
    該VLドメインは、
    配列番号:18(DIXTQSPXS LX12ASVGDRVT ITCKASQSVD YDGDSYMKWY QQKPGKAPKL LIYAASNLQS GX62PSRFSGSG SGTDFTLTIS SLQX84EDFATY YCQQSNEDPY TFGQGTKLEI K)によるアミノ酸配列であって、XはVまたはQであり、XはLまたはMであり、XはAまたはSであり、X12はAまたはSであり、X62はIまたはVであり、そしてX84はEまたはPであるか、または
    1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つのアミノ酸置換を有する配列番号:18によるアミノ酸配列であって、該1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または7つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:23から25のCDR1L、CDR2L、CDR3L配列を含むアミノ酸配列
    を含む、本質的にからなる、またはからなる、
    抗体またはその抗原結合フラグメント。
  3. 請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
    該VHドメインが、VH1からVH5(配列番号:7から11)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなる;および/または
    該VLドメインが、Vκ1からVκ4(配列番号:13から16)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなる、
    抗体またはその抗原結合フラグメント。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントであって、該抗体または該その抗原結合フラグメントが、
    a)配列番号:10(VH4)によるアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなるVHドメインおよび配列番号:16(Vκ4)によるアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなるVLドメイン、または
    b)配列番号:11(VH5)によるアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなるVHドメインおよび配列番号:15(Vκ3)によるアミノ酸配列を含む、本質的にからなる、またはからなるVLドメイン
    を含む、抗体またはその抗原結合フラグメント。
  5. 抗体がヒト化抗体である、請求項1から4のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
  6. 定常ドメインをさらに含む請求項1から5のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントであって、該定常ドメインが、配列番号:19(IgG4 WT定常)によるアミノ酸配列を含み、本質的にからなり、またはからなり、
    配列番号:19による該アミノ酸配列は、所望により以下のアミノ酸交換:
    -アミノ酸交換S108P;
    -アミノ酸交換T130QおよびM308L;
    -アミノ酸交換M132Y、S134T、およびT136E
    の1つ以上を含む、抗体またはその抗原結合フラグメント。
  7. 抗体の抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、ジスルフィド連結Fv(dsFv)、単一ドメイン抗体および一本鎖Fv(scFv)抗体からなる群から選択される、請求項1から5のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントであって、該抗体または該その抗原結合フラグメントは、以下の特性:
    -該抗体または該その抗原結合フラグメントが、10nM以下のK値でのC5aへの結合定数を有する;
    -該抗体または該その抗原結合フラグメントが、1つの分子C5aによって誘導される生物学的効果に対して少なくとも75%の遮断活性を示す;
    -該抗体または該その抗原結合フラグメントが、ヒト血漿においてCH50活性を阻害しない;
    -該抗体または該その抗原結合フラグメントが、IFX-1と比較して低下した免疫原性を有する、
    の1つ以上を示す、抗体またはその抗原結合フラグメント。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含み;そして
    1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、増量剤、結合剤、滑剤、流動促進剤、崩壊剤、吸着剤、および/または防腐剤をさらに含む、
    医薬組成物。
  10. 医薬における使用のための、請求項1から8のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
  11. 病理学的C5a活性に関連する疾患または障害の処置または予防における使用のための、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
  12. 疾患または障害が、
    -自己免疫疾患、
    -炎症性疾患、自己炎症性障害、または関連状態、
    -心臓血管または脳血管障害、
    -細菌感染またはウイルス感染、
    -神経変性障害または関連疾患、および
    -癌または前癌状態
    からなる群から選択される、請求項11に記載の使用のための化合物。
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