JP2023534275A - Mww骨格型のモレキュラーシーブの合成方法 - Google Patents

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Abstract

MWW骨格型のモレキュラーシーブの合成方法、及びそのように合成されたモレキュラーシーブを開示する。本方法は、MWW骨格型のモレキュラーシーブを形成するための合成混合物を調製することを含み、前記合成混合物は、水、ケイ素源、三価元素X源、カリウムカチオン源、構造指向剤R、及び別のアルカリ金属カチオンM源を含む。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照することにより本明細書に援用する2020年7月16に出願されたUSSN 63/052,526、及び2020年10月28日に出願されたEP 20204269.3に対する優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、MWW骨格型のモレキュラーシーブの新規合成方法、及びそのように作製されたモレキュラーシーブに関する。
発明の背景
天然及び合成の両モレキュラーシーブ材料は、これまでに種々のタイプの炭化水素変換反応に適した触媒特性を有することが実証されている。ゼオライト、AlPO、及びメソポーラス材料等の特定のモレキュラーシーブは、X線回折(XRD)により決定される明確な結晶構造を有する多孔性結晶性材料と分類される。特定のモレキュラーシーブは秩序化され、具体的な同定できるXRDパターンを生成するが、厳密には結晶性でない。特定のモレキュラーシーブ材料内には多数の空洞が存在する可能性があり、これらは数多くのチャネル又は細孔によって相互接続され得る。これらの空洞及び細孔は特定のモレキュラーシーブ材料内ではサイズが均一である。これらの細孔の寸法は特定寸法の吸着分子を受け入れるようなものであるが、より大きい寸法のものを拒否するので、これらの材料は「モレキュラーシーブ」として知られるようになり、様々の工業プロセスで利用されている。
このような天然及び合成の両モレキュラーシーブには、種々多様の陽イオン含有結晶性ケイ酸塩が含まれる。これらのケイ酸塩は、SiO4四面体と周期表第13族元素の酸化物(例えばAlO4)四面体の三次元骨格と記述することができる。四面体は、典型的にカチオン、例えばプロトン、アルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンを含むことにより釣り合った荷電状態である第13族元素(例えばアルミニウム、ガリウム又はホウ素)を含有する四面体の電気原子価を有する酸素原子を介して頂点共有している。
典型的に、ゼオライト合成は、ゼオライト中に存在する全ての元素の供給源、例えばシリカだけでなくアルミナ等、並びに多くの場合構造指向剤及び/又は水酸化物イオン若しくはフッ化物イオンの供給源を含む合成混合物からの水熱結晶化を伴う。多くの場合、合成混合物は、アルミン酸塩及びケイ酸塩の溶液を、Si-O結合を切断し、結果としてSiを有する結晶を成長させ、場合によっては非晶質構造を崩壊するように作用する化合物で処理することによって得られる。多くの場合、Si-O結合の切断を補助するために水酸化物イオン(OH-)源が用いられる。ゼオライト合成は、一般的に所望構造を有する結晶の形成促進を助けるために構造指向剤(SDA)、特に有機分子構造指向剤をも使用する。典型的に、ゼオライト結晶が構造指向剤の周りに生じて、結晶化が完了するとすぐに構造指向剤がゼオライトの細孔を占有する。従って、「合成されたまま(as-synthesized)」のゼオライトは、その細孔内に構造指向剤を含有し、その結果、結晶化後に、「合成されたまま」のゼオライトは、通常、か焼ステップを受けて構造指向剤を除去する。多くの触媒用途のためには、モレキュラーシーブ構造内に金属カチオン、例えば元素周期表の第2~15族の金属カチオンを含めることも望ましい。これは、典型的にイオン交換処理によって達成される。合成混合物に種晶(seed crystal)を添加することによって所望のゼオライト構造の形成を促すこともできる。モレキュラーシーブ合成混合物のシーディングは、例えば生成物の粒子サイズの制御、合成の促進、所望構造型に対する選択性の改善、及び時には有機構造指向剤の必要性を回避することを含め、有利な効果を発揮し得る。
ゼオライト結晶構造体等のモレキュラーシーブは、精製プロセス及び石油流を操作するための他のプロセスにおいて種々多様の用途を見出した。本質的に触媒的であるゼオライトの用途もあれば、ガス流内の分子を選択的に吸着するゼオライトの能力に着目した用途もある。
MWW型モレキュラーシーブは、例えば触媒作用を含め、工業プロセスに役立つゼオライトの1つの分類である。MWWゼオライトファミリーのいくつかのメンバーは、アルキル化等のプロセス用の市販触媒の活性成分である。MCM-22は、クメンを生産するためのベンゼンのアルキル化において商業規模での利用に成功している。
MWWトポロジーのものであるとIZA-SCによって表されるゼオライト材料は、10員環と12員環の両方の存在から生じる2つの細孔系を有する多層材料である。結果として、MWW型モレキュラーシーブは、ミクロポーラスでもメソポーラスでもあり得る。本明細書で使用する場合、ミクロポーラスという用語を用いて1.5nm未満の直径を有する細孔を備えた材料を表し、メソポーラスという用語を用いて1.5nm~50nmの直径を有する細孔を備えた材料を表す。それらの10員内部細孔系に基づいて、MWW骨格型ゼオライトは、一般的に約5Åから約7Å未満の孔径を有する中間の孔径のゼオライトであるとみなされる。しかしながら、10員内部細孔系と連通しない12員表面ポケットは、より大きい細孔のゼオライトアルキル化触媒、例えばモルデナイトにより類似のいくつかの特性を与え得る。
MWW骨格構造を有するモレキュラーシーブは、一般的に「MWWファミリーモレキュラーシーブ材料」と呼ばれる。本明細書で使用する場合、用語「MWWファミリーモレキュラーシーブ材料」には下記の1つ以上が含まれる:
(i) 単位格子がMWW骨格トポロジーを有する共通の一次(first degree)結晶性構成要素(building block)単位格子でできているモレキュラーシーブ。(単位格子は、三次元空間にタイリングされた(tiled)場合に結晶構造を表す原子の空間配列である。該結晶構造については、"Atlas of Zeolite Framework Types" ,Fifth edition, 2001に論じられており、その内容全体が参照文献として組み込まれる);
(ii) 該MWW骨格トポロジーの単位格子の二次元のタイリング(tiling)であり、1単位格子厚、好ましくは、1c単位格子厚の単層を形成する共通の二次(second degree)構成要素でできているモレキュラーシーブ;
(iii) 1又は2以上の単位格子厚の層である共通の二次構成要素でできているモレキュラーシーブであって、2以上の単位格子厚の層は1単位格子厚の少なくとも2つの単層のスタッキング、パッキング又は結合からできている。該二次構成要素のスタッキングは、規則的様式、不規則な様式、ランダムな様式又はその任意の組み合わせであり得る;及び
(iv) MWW骨格トポロジーを有する単位格子の任意の規則的又はランダムな二次元又は三次元の組み合わせによってできているモレキュラーシーブ。
MWWファミリーモレキュラーシーブ材料は、12.4±0.25、3.57±0.07及び3.42±0.07Åに最大面間隔(d-spacing maxima)を含むXRDパターンを有すること(か焼されたか又は合成されたまま)を特徴とする。MWWファミリーモレキュラーシーブ材料は、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07及び3.42±0.07Åに最大面間隔を含むXRDパターンを有すること(か焼されたか又は合成されたまま)を特徴とすることもある。前記モレキュラーシーブを特徴づけるために用いるXRDデータは、入射線として銅のK-アルファ二重線及び収集システムとしてシンチレーションカウンター及び関連コンピューターを備えた回折計を使用する標準的な技術によって得られる。MWWファミリーに属する材料としては、限定するものではないが、MCM-22(米国特許第4,954,325号に記載);PSH-3(米国特許第4,439,409号に記載);SSZ-25(米国特許第4,826,667号に記載);ERB-1(欧州特許第0293032号に記載);ITQ-1(米国特許第6,077,498号に記載);ITQ-2(国際特許公開第WO1997/017290号に記載);ITQ-30(国際特許公開第WO2005/118476号に記載);MCM-36(米国特許第5,250,277号に記載);MCM-49(米国特許第5,236,575号に記載);MCM-56(米国特許第5,362,697号、第5,827,491号、及び第5,453,554号に記載);EMM-10(米国特許第8,110,176号に記載)、EMM-10-P(米国特許第7,959,599号に記載)、EMM-12(国際特許公開第WO2010/021795号に記載)、EMM-13(国際特許公開第W02010/014406号に記載)、及びMCM-22ファミリー材料(米国特許第7,842,277号に記載)が挙げられる。また、UZM-8(米国特許第6,756,030号に記載);及びUZM-8HS(米国特許第7,713,513号に記載)も含まれる。前記特許及び出願の全内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。WO2007/094937は、MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブの製造方法を開示する。WO2015/112293は、MWW骨格構造を有するモレキュラーシーブを沈降アルミノケイ酸塩を用いて作製するための方法を開示する。
MWW型ゼオライトはラメラ三次元構造を有し、各二次元層は約1~2nmの厚さである。MWWファミリーにおいては、多くの個々に定義された材料は、分離ラメラの異なるスタッキング配列を示す。MWWファミリーの様々のメンバーを得るために利用された種々の戦略は“Lamellar MWW-Type Zeolites: Toward Elegant Nanoporous Materials”, A. Schwanke et al., Appl. Sci. 2018, v.8, pg. 1636に概説されており、この内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。例えば、MCM-22は、個々のラメラ間に挟まれた構造指向剤(SDA)ヘキサメチレンイミン(HMI)を含有し、HMI分子間に水素結合及び適所にラメラを保持するゼオライト表面にシラノール基を有する前駆体(P)MCM-22経由で形成し得る。か焼がHMI分子を除去し、シラノール基を縮合し、それによって三次元MCM-22を形成する。MCM-49と称するMCM-22の三次元類似体は、ゲル混合物から、この場合もやはりSDAとしてHMIを使用する直接結晶化によって、組成のアルカリ金属(ナトリウム)の相対比率を高めることによって形成可能である。“Zeolite MCM-49: A Three-Dimensional MCM-22 Analogue Synthesized by in situ Crystallization”, S. L. Lawton et al., J. Phys. Chem., 1996, v.100, pp. 3788-3798は、MCM-22、(P)MCM-22及びMCM-49の合成及び特徴づけを開示する。(P)MCM-22は、反応混合物が2.0より大きい有機テンプレート/無機カチオン(アルカリ金属)比を有するときに合成されるが、一方でMCM-49は、このモル比が2.0未満であるときに生じると開示されている。MCM-22及びMCM-49は、ラメラ構造内の層間距離の増加を示唆するMCM-49の単位格子のcパラメーターがより大きいことを除き、構造的に非常に類似していることが分かった。反応混合物中のアルカリ金属の比率の上昇は、ゼオライト骨格へのアルミニウムの組み込みの増加をもたらした。MCM-49については、17~22の結晶骨格Si/Al2比がSDAとしてのHMIと共に報告された。9~46の範囲のSi/Al比(18~92のSi/Al2比に相当する)を有するMCM-22ゼオライトは、“Synthesis of MCM-22 zeolites of different Si/Al ratio and their structural, morphological and textural characterisation”, C. Delitala et al., Microporous and Mesoporous Materials, vv.118(1-3), 2009, pp. 1-10に開示されている。
反応混合物から鉱化剤としてNaOH又はKOH及びSDAとしてHMIを使用するMCM-22の製法が“Synthesis and characterization of MCM-22 and MCM-49 zeolites”, D. Vuono et al., Studies in Surface Science and Catalysis, v.154, 2004, pp. 203-210に開示されている。この研究では、MCM-49ゼオライトをも報告されたが、鉱化剤としてNaOHのみを使用した(KOHを用いたら(P)MCM-22のみを得ることができただろう)。
MCM-56は、部分的なラメラの無秩序があるMWWファミリーゼオライトであり、MCM-49の中間体として生じる(A. Schwanke et al.参照)。MCM-56の各層は多孔性であり、MCM-22及び他のMCM-22ファミリーメンバーの骨格構造に密接に関連する骨格構造を有する。MCM-56は、結晶化過程の中間でMCM-49を形成するために用いられる反応を停止することによって単離される。結晶化を継続させれば、初期に剥離され、ランダムに充填されたMCM-56シート(MCM-22トポロジー及び1つの25Å厚の単位格子を有する)がc方向に秩序だった三次元骨格に徐々に組織化されてくる。これは形式的にゼオライトMCM-49である。MCM-56の形成は、それは一過性生成物であり、製造プロセス中にさらなる変化を受ける可能性があるので、特に大規模では特有の難題を提示する。例えば、実験室規模では結晶化条件の慎重な制御を管理できるが、商業規模では結晶化を停止し、ひいては有用な量の中間体ゼオライトを単離するための的確な時を決めることが問題になり得る。WO2013/048636は、多量の多孔性結晶性MCM-56材料の製造方法を開示している。
MWWゼオライトは、高アルミニウム含量を特徴とする。高アルミニウム含量は、触媒プロセスにおける高活性のために重要である。ゼオライトのアクセス可能部分の各アルミニウム中心は、触媒活性をもたらし得る酸性サイトを提供する。アルミニウム含量が高いほどゼオライトの酸性を高め、ひいては高い活性をもたらす。アルミニウム中心がゼオライト細孔内に位置するとき、細孔のサイズ及び形状が選択性及び活性に影響を及ぼす可能性がある。例えば、細孔にアクセスできる反応体分子は、細孔へのアクセスを妨げるサイブ及び/又は形状を有する分子に優先して容易に触媒反応を受けることができる。このことは、ゼオライト触媒の利点及び限界を提示し得る。例えば、アルミニウム中心が相対的に小さい細孔内のサイトに組み込まれる場合、結果として生じるゼオライト触媒は小さい反応体分子との反応に対して高い選択性を示すが、相対的に低い活性でもある(より小さい分子とでさえ、例えば反応は反応体分子が細孔に出入りするのにかかる時間によって遅くなるので)。該触媒は、より大きい反応体分子、例えば芳香族分子を伴う反応の触媒作用には有効でないことがある。MWW型ゼオライトでは、12環表面の細孔内に位置するアルミニウム中心が比較的大きい分子にアクセスできる可能性のある触媒サイトを提供するが、一方で10環内部細孔ネットワーク内に位置するアルミニウム中心は、より小さい分子にアクセスできるだけであり得る。MWWゼオライトの混合10環/12環構造は、アルミニウムがゼオライト骨格に組み込まれる場所に応じて、比較的幅広い種類の反応体分子との使用に適した触媒を提供することができる。
ゼオライトの高アルミニウム含量は異なる構造への変態をもたらす可能性が高いので、
どれだけのアルミニウム含量をMWW構造に組み込めるか実用限界がある。それにもかかわらず、今日まで実施中に達成されたより多い骨格アルミニウム含量を有するMWWゼオライトを調製することが可能なはずであると考えられる。Lawtonらは、17のSi/Al2を有するMCM-49を開示している。Si/Al2比は、ゼオライトトポロジーに影響を及ぼす可能性があり、MCM-56ゼオライトのSi/Al2比を低くすることを困難にしてきた。例えば、ゼオライト合成混合物のAl含量を単に増やすと、かなりの量の不純物の形成、又はMWWゼオライト生成物の完全な非存在さえもたらす可能性がある。より低いSi/Al2比を有するさらなるMWWゼオライトに対する必要性が残っている。しかしながら、アルミニウム含量を増やしながら、MWWゼオライト構造をも維持する一貫して繰り返し可能な合成経路を特定することは困難である。
発明の概要
本発明は、MWW骨格型のモレキュラーシーブの合成方法であって、MWW骨格型のモレキュラーシーブを形成する能力がある合成混合物を調製することを含み、前記合成混合物は、水、ケイ素源、三価元素X源、カリウムカチオン源、構造指向剤R、場合によっては別のアルカリ金属カチオンM源、場合によっては五価元素Z源、場合によっては水酸化物イオン源、及び場合によっては種晶を含む、方法を提供する。合成混合物は、下記モル比組成:Si:X2=8~18、H2O:Si=5~100、(M+K+):Si=0.1~0.5、M:K+=0~10、R:Si=0.1~1を有する。本方法は、結晶化条件下で前記MWW骨格型のモレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な時間前記合成混合物を加熱することをさらに含み、前記結晶化条件には100℃~220℃の温度が含まれ、及び合成混合物から前記MWW骨格型のモレキュラーシーブの結晶を回収することを含む。
ゼオライト合成混合物にK+が存在すると、低Si/Al2比を有し、かつ既知MCM-49及びMCM-56ゼオライトの物理的性質の中間の物理的性質を有するMWW型モレキュラーシーブの形成を助けることが分かった。ゼオライト骨格のAl含量を増やすと、ゼオライトの触媒活性を高めると予想される。本発明の方法によって形成されるMWW型モレキュラーシーブは、MCM-49のラメラ無秩序とMCM-56のラメラ無秩序の中間レベルのラメラ無秩序、及びMCM-49のメソポーラス性とMCM-56のメソポーラス性の中間のメソポーラス性を有すると思われる。さらに、本発明の方法によって形成されるMWW型モレキュラーシーブは、MCM-49及びMCM-56の密度の中間の密度を有すると予想されたが、驚いたことにMCM-49及びMCM-56の密度より高い密度を有することが分かった。この密度増加は、本発明の方法によって形成されるMWW型モレキュラーシーブの密度が高いほど、触媒床に多量のゼオライトを充填できるという効果があるので、工業プロセスにおいて特に有利である。従って、本発明の方法に従って生成されるMWW型材料は、メソポーラス性と密度の改善された組み合わせを提供することができる。合成混合物中のK+の存在は、非MWW結晶性材料(例えばモルデナイト)及びメソポーラス性が低いMWW材料(例えばMCM-49)を含めた不純物の形成低減に役立つと考えられる。理論によって束縛されることを望むものではないが、相対的に大きいサイズのK+イオン(MWW型モレキュラーシーブ合成混合物により一般的に存在するNa+イオンに比べて)が結晶化中のラメラ分離増加を助け、結果としてMCM-56と同様に、より多くのラメラ無秩序及び高いメソポーラス性を有する材料の形成を促すと考えられる。骨格Alの増加は、おそらくSi骨格の破壊が原因で、ラメラ間隔をも大きくし得ると考えられる。理論によって束縛されることを望むものではないが、合成混合物中のK+イオンの存在によって促進されるラメラ間隔の増加は、望ましくない非MWW材料不純物(例えばモルデナイト)の形成を少なくしながらAlをより多く組み込めるようにすると考えられる。従って、驚いたことにK+は高骨格Al含量を有するMWW型材料の生成を支援できることが分かった。さらに、本発明の方法は、MCM-49ゼオライトとMCM-56ゼオライトの中間の物理的性質を有するMWW型ゼオライトへの信頼できるスケーラブルな経路を提供し、かつ結晶化中のMCM-56の一過性から生じる困難さの少なくとも一部を回避するのに役立ち得ると考えられる。
好ましくは、合成混合物はMを含む。例えば、M:K+=1~10である。好ましくはMはナトリウムである。Mの存在は、高カリウム濃度を回避しながら合成混合物に大量のアルカリ金属を含めることを可能にし得る。
本発明は、本発明の合成方法によって得ることができるか又は本発明の方法に従って作製されたMWW骨格型のモレキュラーシーブをも提供する。
本発明は、本発明のMWW骨格型のモレキュラーシーブを含む触媒をさらに提供する。
本発明は、炭化水素原料を本発明の触媒と接触させるステップを含む炭化水素触媒プロセスをさらに提供する。一実施形態では、触媒プロセスはアルキル化、例えば芳香族アルキル化である。
本発明の一態様に関連して記載した特徴を本発明の他の態様に組み入れてよいことは当然に認められる。例えば、本発明の方法は、本発明の装置に関して述べたいずれの特徴をも組み入れてよく、逆もまた同じである。
実施例の比較サンプル1、2b、及び3、並びにサンプル4~10のXRDスペクトルを示す。 実施例の比較サンプル11のXRDスペクトルを示す。 実施例の比較サンプル1の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 実施例の比較サンプル2a及び2bの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 実施例の比較サンプル3の走査型電子顕微鏡(SEM)画像及び拡大図を示す。 実施例のサンプル4及び5の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 実施例のサンプル6及び7の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 実施例のサンプル8及び9の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 実施例のサンプル10及び比較サンプル11の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 実施例の比較サンプル1、2a、及び3、並びにサンプル6の27Al NMRスペクトルを示す。 実施例の比較サンプル1及び2a、並びにサンプル6、9及び10のN2物理吸着等温線を示す。 実施例の比較サンプル3及びサンプル6のN2物理吸着等温線を比較サンプル1及び2aのN2物理吸着等温線と比較する。
詳細な説明
本発明のMWW骨格型のモレキュラーシーブの合成方法は、合成混合物がカリウムカチオン源を含むことを除き、従来技術に従って合成混合物を調製することを含む。本発明のモレキュラーシーブの合成方法は、従来技術に従ってモレキュラーシーブを結晶化すること、及び従来技術に従ってモレキュラーシーブを単離することをさらに含む。
合成混合物
上述したように、合成混合物は従来の方法に従って調製することができる。合成混合物の成分はいずれの順序で混ぜ合わせてもよい。
合成混合物は、カリウムカチオン源、例えば水酸化カリウム、アルミン酸カリウム、ケイ酸カリウム、カリウム塩、例えばKCl若しくはKBr又は硝酸カリウム、或いはその組み合わせを含む。好ましくは、カリウムカチオン源は水酸化カリウムを含み、例えばカリウムカチオン源は水酸化カリウムである。場合によっては、合成混合物は、モル比(M+K+):Si=0.11~0.5、例えば0.12~0.3、例えば0.15~0.25、例えば0.17~0.22を有する。場合によっては、合成混合物は、モル比K+:Si=0.01~0.5、例えば0.01~0.1、例えば0.02~0.05を有する。
合成混合物は、さらに構造指向剤Rを含む。MWW型モレキュラーシーブの形成に適したいずれの構造指向剤を使用してもよいことが分かるだろう。適切な構造指向剤としては、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、ヘキサメチレンイミン(HMI)、ヘプタメチレンイミン、ホモピペラジン、及びその組み合わせが挙げられる。さらに又はこれとは別に、構造指向剤は、ジクワット(diquat)塩又はジクワット水酸化物、例えばペンタメトニウム塩若しくは水酸化物(例えばペンタメトニウム臭化物若しくは水酸化物)、ヘキサメトニウム塩若しくは水酸化物(例えばヘキサメトニウム臭化物若しくは水酸化物)、及び/又はヘプタメトニウム塩若しくは水酸化物(例えばヘプタメトニウム臭化物若しくは水酸化物)であり得る。さらに又はこれとは別に、構造指向剤はジエチル-ジメチルアンモニウム塩若しくは水酸化物、又はN,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウム塩若しくは水酸化物、又はN,N,N-トリメチル-2-アダマンタンアンモニウム塩若しくは水酸化物、例えば塩化物、臭化物若しくは水酸化物であってよい。好ましくは構造指向剤Rはヘキサメチレンイミン(HMI)である。構造指向剤Rは、R:Si=0.1~1、場合によっては0.1~0.5、例えば0.15~0.25、例えば0.16~0.20のケイ素に対するモル比で存在する。
合成混合物は、三価元素X、例えばアルミニウム、ホウ素、及び/又はガリウム等の1種以上の供給源を含み、好ましくはXはAlを含み、さらに好ましくはXはAlである。合成混合物を調製するために使用できる三価元素Xの適切な供給源は、選択される元素Xによって決まる。Xがアルミニウムである実施形態では、本方法での使用に適したAl源(例えば酸化アルミニウム)としては、アルミニウム塩、特に水溶性塩、例えば硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、及びアルミニウムアルコキシド、例えばアルミニウムイソプロポキシド、並びに水和酸化アルミニウム、例えばベーマイト、ギブサイト、及び擬ベーマイト、並びにその混合物が挙げられる。Xがホウ素である実施形態では、B源として、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム及び四ホウ酸カリウムが挙げられる。ホウ素源は、水酸化物媒介合成系にアルミニウム源より溶けやすい傾向がある。Xがガリウムである実施形態では、Ga源として、没食子酸ナトリウム、没食子酸カリウム、及びガリウム塩、例えば塩化ガリウム、硫酸ガリウム、及び硝酸ガリウムが挙げられる。好ましくは、XはAlであり、合成混合物中のアルミニウム源はAl2O3を含み、例えばアルミニウム源はアルミン酸ナトリウムである。合成混合物は、少なくとも8、好ましくは少なくとも10、さらに好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13、例えば少なくとも15のSi:X2のモル比を有する。合成混合物は最大で18、特に最大で17のSi:X2のモル比を有する。合成混合物は、例えば8~18、特に10~18、さらに特に12~18、最も特に14~18、例えば15~17のSi:X2のモル比を有してよい。好ましくはXはAlである。
本方法で使用するのに適したSi源(例えば酸化ケイ素)としては、ケイ酸塩、例えば、オルトケイ酸テトラアルキル、例えばオルトケイ酸テトラメチル、ヒュームドシリカ、例えばAerosil(登録商標)(Degussaから入手可能)及びCabosil(登録商標)(DMSから入手可能)、沈降シリカ、例えばUltrasil(登録商標)及びSipernat(登録商標)340(Evonikから入手可能)、アルカリ金属ケイ酸塩、例えばケイ酸カリウム及びケイ酸ナトリウム、並びにシリカの水性コロイド懸濁液、例えば、E.I. du Pont de Nemoursによって商品名Ludox(登録商標)で販売されているものが挙げられる。
Si及びAlの既述源とは別に又はそれに加えて、SiとAlの両元素を含有する供給源をSi源及びAl源として使用することもできる。SiとAlの両元素を含有する適切な供給源の例としては、非晶質シリカ-アルミナゲル又は乾燥シリカアルミナ粉末、シリカアルミナ、粘土、例えばカオリン、メタカオリン、及びゼオライト、特にアルミノケイ酸塩、例えば合成フォージャサイト及び超安定フォージャサイト、例えばUSY、ベータ又は他の大孔から中孔のゼオライトが挙げられる。
場合によっては、合成混合物は、リン等の五価元素Zの1種以上の供給源を含む。五価元素Zの適切な供給源は、選択される元素Zによって決まる。好ましくは、Zはリンである。適切なリン源としては、リン酸、有機リン酸塩、例えばリン酸トリエチル及びリン酸テトラエチルアンモニウム、及びアルミノリン酸塩が挙げられる。或いは、合成混合物は、いずれの五価元素Zをも含有しない。
場合によっては、合成混合物は、アルカリ金属カチオンMの1種以上の供給源を含み、Mはカリウムでない。場合によっては、Mはリチウム、ルビジウム及び/又はナトリウム、好ましくはナトリウムである。さらに又はこれとは別に、合成混合物は、場合によってはアルカリ土類金属カチオン、例えばマグネシウム及び/又はカルシウムの1種以上の供給源を含む。存在するとき、ナトリウム源は水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム又はナトリウム塩、例えばNaCl、NaBr若しくは硝酸ナトリウムであり得る。存在するとき、リチウム源は、水酸化リチウム又はリチウム塩、例えばLiCl、LiBr、LiI、硝酸リチウム、若しくは硫酸リチウムであってよい。存在するとき、ルビジウム源は、水酸化ルビジウム又はルビジウム塩、例えばRbCl、RbBr、RBI、若しくは硝酸ルビジウムであってよい。存在するとき、カルシウム源は、例えば、水酸化カルシウムであってよい。存在するとき、マグネシウム源は、例えば、水酸化マグネシウムであってよい。合成混合物は、0~10のM:K+のモル比でMを含む。例えば、合成混合物はいずれのアルカリ金属カチオンMをも含有しない。すなわち合成混合物は、カリウム以外のいずれのアルカリ金属をも含有しない。或いは、合成混合物は、場合によっては1~8、例えば2~7のM:K+のモル比でMを含み、好ましくは、MはNa+である。さらに又はこれとは別に、合成混合物はアルカリ金属カチオンM源を0.1~0.25、例えば0.12~0.22、例えば0.14~0.20のM:Siのモル比で含む。
場合によっては、合成混合物は、1種以上の水酸化物イオン源、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム又は水酸化リチウム、ほとんどの場合水酸化カリウム及び場合によって水酸化ナトリウムを含む。水酸化物は、構造指向剤の対イオンとして、又はX源としての水酸化アルミニウムの使用によって存在することもある。或いは、合成混合物は、水酸化物源を含まなくてよい。場合によっては合成混合物は水酸化物イオン源を0.1~0.5、場合により0.15~0.25、例えば0.16~0.22のOH-/Siモル比で含む。好ましくは水酸化物イオン源はKOH及び/又はNaOHである。
場合によっては、合成混合物は、種晶を0.05~2、例えば0.1~1.5、例えば0.15~1gseed/g(ケイ素源+三価元素X源)の量で含む。この任意的種晶は、骨格型MWWのもの又は合成混合物がMWW骨格型のモレキュラーシーブを形成する能力がある任意の他の骨格型のものであってよい。場合によっては種晶はMWW骨格型のモレキュラーシーブを含み、例えば種晶は、好ましくはMCM-49及び/又はMCM-56ゼオライト、好ましくはMCM-56ゼオライトを含み、好ましくはMCM-49及び/又はMCM-56ゼオライト、好ましくはMCM-56ゼオライトから成る。場合によっては、種晶は、水等の液状媒体中のコロイド懸濁液の形態で合成混合物に含まれる。本明細書で使用する場合、「コロイド懸濁液」という表現は、連続液相に分散した個別の微粉化粒子を含有する懸濁液を指し;好ましくは、それは、意図した使用に十分な時間、有利には少なくとも10時間、さらに有利には少なくとも20時間、好ましくは少なくとも100時間、さらに好ましくは少なくとも500時間、周囲温度(23℃)で、目に見える分離が起こらないか又は沈降物が生じないという意味で、安定性のある懸濁液を指す。懸濁液が安定性を保つ(解膠させる)ための粒子の最大サイズは、ある程度はそれらの形状、及び連続媒体の性質とpH、並びに懸濁液が使用可能なままでなけれならない時間によって決まるだろう。粒子は球状であってよく、又は他の形状のものであってよい。粒子が球状以外である場合、言及する寸法はそれらの最小寸法である。コロイド種は、意図した使用に十分な時間、目に見える分離が起こらないか又は沈降物が生じないという意味で、前記コロイド種が安定懸濁液を形成するという条件で、一般的に300nm以下、特に200nm以下、されに特に100nm以下の平均径(又は最小寸法、100個以上の粒子についてSEMにより決定される数平均一次粒子サイズに相当)を有する。コロイド種の懸濁液の生成及びそれらのモレキュラーシーブ合成における使用については、例えば、国際特許出願公開第WO2000/006493号及び第WO2000/006494号に開示されている。
場合によっては、合成混合物は、H2O及びSiO2を5~100、例えば10~50、例えば15~25のH2O:SiO2比で含む。
場合によっては、合成は、ゼオライト成長モディファイヤーを含む。いずれの適切なゼオライト成長モディファイヤーを使用してもよいことが分かるだろう。
結晶化及び回収
場合によっては、本方法のステップ(b)の結晶化条件は100℃~200℃、好ましくは140℃~160℃、例えば145℃~155℃、例えば約150℃の温度を含む。
結晶化を行うのに必要な時間は異なるだろう。例えば、より高い温度では、結晶化時間は短くてよい。場合によっては、本方法のステップ(b)の結晶化条件は、1~約800時間、例えば約10~600時間未満、特に約24~140時間、例えば、約60~約90時間にわたって加熱することを含む。結晶化時間は、技術上周知の方法によって、例えば種々の時間に合成混合物をサンプリングし、沈降固体の収率及びx線による結晶化度を測定することによって定めることができる。
結晶化は、いずれの適切な反応容器でも、例えば、ポリエチレンジャー又はTeflon(登録商標)ボトル、酸蒸解容器、Teflon(登録商標)裏打ち若しくはステンレススチールオートクレーブ、プラウ(plough)シェアミキサー、又は反応ケトル、好ましくはポリエチレンジャー、Teflon(登録商標)ボトル、又はTeflon(登録商標)裏打ち若しくはステンレススチールオートクレーブで行うことができる。
場合によっては、合成混合物は、ステップ(b)の間に撹拌を受け、例えばステップ(b)の条件は撹拌を含む。場合によっては、合成混合物は、ステップ(b)の少なくとも一部、例えばステップ(b)の間じゅう撹拌される。或いは、合成混合物は、ステップ(b)の間に撹拌されない。すなわち結晶化が静的条件下で行われる。場合によってはステップ(b)の間に、合成混合物は、ピッチブレードタービンミキサーで起こるような乱流形式で混合物を動かす混合装置によって与えられる撹拌と共に加熱される。当業者に既知の他の撹拌導入手段、例えば混合物を保持する容器周囲の合成混合物のポンピングを利用することができる。撹拌の目的は、物質及び熱が均一様式で合成混合物を通って移動するのを助けることである。撹拌の度合は、合成混合物におけるせん断誘起種形成を最小源にするのに十分低いべきである。ミキサーの先端速度も合成混合物の温度分布及び加熱中の混合物粘度の変化に応じて異なり得る。好ましくは約100℃~約120℃の温度に達するまで約1~2.0M/sの一定先端速度を利用してから、加熱が続くように徐々に先端速度を上昇させる。最も好ましくは最大先端速度は、約130℃~約150℃の温度で約2~5M/s、最も好ましくは約140℃~約150℃の温度で約2~約3.5M/sである。合成混合物が加熱される時間は、せん断誘起シーディング(seeding)を減らすために合成混合物が撹拌される時間量を最小限にする実用的速さと同じであるべきである。場合によっては、130℃超の温度で撹拌が行われる時間は、約6時間未満、例えば3時間未満である。場合によっては、合成混合物が所定の設定温度に達したらすぐに撹拌が停止される。場合によっては、撹拌停止後に合成混合物の加熱が継続する。或いは、撹拌を停止したときに達した温度に温度を維持することができる。場合によってはステップ(b)の後に合成混合物を撹拌してよいことが分かるだろう。場合によっては、合成混合物は、加熱しながら不連続撹拌を受け、それに従って合成混合物は、撹拌結晶化ステップで隔てられた複数の静的結晶化ステップを受けることがある。例えば、撹拌結晶化条件下で合成混合物を加熱するステップの後に本方法のステップ(b)を繰り返してよく、前記結晶化条件は100℃~220℃の温度を含む。
場合によっては、ステップ(b)の結晶化条件は、合成混合物の有効な核形成温度以上の温度を含む。有効な核形成温度は、加熱されたゼオライト合成混合物の継続撹拌が生成物ゼオライト結晶の質量平均結晶径の有意な減少、例えば生成物結晶の15パーセント以上の質量平均結晶径の減少をもたらすことになる温度であると理解することができる。好ましくは、本方法のステップ(b)の温度は、合成混合物が撹拌される場合、撹拌が、対応する非撹拌合成混合物から得られる生成物ゼオライト結晶に比べて、10パーセント未満、さらに好ましくは5パーセント未満の生成物ゼオライト結晶の質量平均結晶径の減少をもたらすであろう温度である。合成混合物の有効な核形成温度は、合成混合物の組成によって決まり、これは、調製されるゼオライトによって支配されることが分かるだろう。有効な核形成温度は、技術上周知の手法によって、例えばいずれの種レベルより大きい結晶の存在のx線検出によって確認することができる。最初の時間中の合成混合物の粘度変化を利用して結晶化の開始を決定することもできる。有効な核形成温度は、調製されるゼオライトの型の関数であり、単一の明瞭に規定される温度ではなく温度範囲として表されることが多いだろう。
モレキュラーシーブの加工
結晶化プロセスの結果として、回収されるモレキュラーシーブ生成物は、その細孔内に、合成に用いられる構造指向剤の少なくとも一部を含有する。好ましくは、本方法は、モレキュラーシーブを活性化して構造指向剤をモレキュラーシーブから除去し、活性サイトをモレキュラーシーブのミクロポーラスチャネル内に原料との接触のために開けたままにしておくことをさらに含む。活性化プロセスは、典型的に、テンプレートを含むモレキュラーシーブを酸素含有ガスの存在下でか焼するか、又は本質的に加熱することによって達成される。一部の例では、低いか又はゼロの酸素濃度を有する環境内でモレキュラーシーブを加熱することが望ましいことがある。結晶内細孔系から構造指向剤を部分的に又は完全に除去するためにこのタイプのプロセスを利用することができる。特により小さい構造指向剤を含む他の例では、モレキュラーシーブからの完全又は部分的な除去を従来の吸着プロセスによって達成することができる。典型的に、回収されたモレキュラーシーブは、少なくとも約200℃、好ましくは少なくとも約300℃、さらに好ましくは少なくとも約370℃の温度で少なくとも1分間、一般的に20時間以下、材料を加熱することを含むか焼ステップを受ける。 熱処理のために低大気圧を利用できるが、便宜上の理由で通常は大気圧が望ましい。熱処理は、約925℃までの温度で行うことができる。例えば、熱処理は、300~600℃、例えば400~550℃、例えば500~550℃の温度で、酸素含有ガスの存在下、例えば、空気及び/又はオゾン中で行うことができる。
モレキュラーシーブは、残存アルカリ金属カチオン及び/又はアルカリ土類金属カチオンを除去し、それらをプロトンと交換することによってモレキュラーシーブの酸形態を生成するため、例えば、水性アンモニウム塩、例えば硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、及び酢酸アンモニウムを用いて、イオン交換処理を受けることもある。望ましい程度まで、合成されたままの材料の本来のカチオン、例えばアルカリ金属カチオンをイオン交換によって他のカチオンと交換することができる。好ましい交換カチオンとしては、水素イオン、水素前駆体、例えばアンモニウムイオン及びその混合物を挙げることができる。イオン交換ステップは、生成されたままのモレキュラーシーブの乾燥後に行ってよい。イオン交換ステップは、か焼の前又は後に行ってよい。
モレキュラーシーブは、他の処理、例えば溶媒による蒸気処理及び/又は洗浄を受けることもある。該処理は当業者に周知であり、モレキュラーシーブの特性を所望どおりに改変するために行われる。
モレキュラーシーブが合成されたらすぐに、それを他の材料、例えば最終生成物に追加の硬度を与える結合剤及び/又はマトリックス材料と組み合わせて生成物組成物に調合することができる。これらの他の材料は不活性又は触媒活性材料であり得る。
特に、本発明のモレキュラーシーブ又は本発明のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブを使用中に用いられる温度及び他の条件に耐える別の材料と共に組み込むことが望ましいことがある。該材料としては、合成若しくは天然起源のゼオライト並びに無機材料、例えば粘土、シリカ及び/又は金属酸化物、例えばアルミナ、イットリア、ジルコニア、酸化ガリウム、酸化亜鉛並びにその混合物が挙げられる。金属酸化物は、天然起源であるか又はゼラチン状沈殿物若しくはシリカと金属酸化物の混合物を含むゲルの形態であってよい。使用し得る天然起源の粘土としては、モンモリロナイト及びカオリンファミリーがあり、これらのファミリーには、準ベントナイト、及び一般にDixie、McNamee、Georgia及びFlorida粘土として知られるカオリン又は主鉱物成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、若しくはアナウキサイト(anauxite)である他の粘土が含まれる。該粘土は、最初に採掘されたままの未加工状態で又はか焼、酸処理若しくは化学的改変を受けた後に使用することができる。これらの結合剤材料は、温度及び他の条件、例えば、種々の炭化水素分離プロセスで生じる機械的摩耗に耐性がある。このように本発明のモレキュラーシーブ又は本発明のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブは、結合剤との押出物の形態で使用してよい。それらは典型的に小球、球、又は押出物を形成することによって結合される。押出物は、通常はモレキュラーシーブを場合によっては結合剤の存在下で押し出し、結果として生じる押出物を乾燥及びか焼することによって形成される。必要に応じて蒸気処理等のさらなる処理、及び/又はイオン交換を行ってよい。場合によっては少なくとも100m2/g、例えば少なくとも200m2/g、場合によっては少なくとも300m2/gの表面積を有する結合剤でモレキュラーシーブを結合させてよい。
これらの材料を天然起源の粘土、例えば、ベントナイト及びカオリンに組み込んで、商業的操作条件下での製品の破砕強度を改善することができる。
前述の材料に加えて、本発明のモレキュラーシーブは、多孔性マトリックス材料、例えばシリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア並びに三元組成物、例えばシリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア及びシリカ-マグネシア-ジルコニアと複合化することができる。
モレキュラーシーブ及び無機酸化物マトリックスの相対比率は広範に異なってよく、モレキュラーシーブ含量は、複合材の約1~約100質量パーセントの範囲であり、さらに通常は、特に複合材が押出物の形態で調製されるときには、複合材の約2~約95、場合によっては約20~約90質量パーセントの範囲である。
モレキュラーシーブ
本発明は、本発明の方法によって得ることができるか又は本発明の方法に従って作製されたMWW骨格型のモレキュラーシーブをも提供する。本発明のMWW骨格型のモレキュラーシーブは、不純物、例えば非晶質材料;非MWW骨格トポロジー(例えば、MFI、MTW、MOR、FER、石英、トリジマイト又は結果として生じる触媒の性能に影響を与えるかどうか分からない他の濃密相)を有する単位格子;及び/又は他の不純物(例えば、重金属及び/又は有機炭化水素)を含有し得ることを当業者なら理解するだろう。本発明のMWW骨格型モレキュラーシーブと共存する非MWW骨格型モレキュラーシーブの典型例は、ケニアイト(Kenyaite)、EU-1、ZSM-50、ZSM-12、ZSM-48、ZSM-5、フェリエライト、モルデナイト、方ソーダ石、及び/又は方沸石(Analcine)である。他の例は、EUO、MTW、FER、MOR、SOD、ANA、及び/又はMFIの骨格型を有するモレキュラーシーブである。本発明のMWW骨格型モレキュラーシーブは、好ましくは実質的に不純粋がない。本明細書で使用する「実質的に不純物がない」という用語は、本発明のMWW骨格型モレキュラーシーブが、好ましくは低率(50wt%未満)、好ましくは20wt%未満、さらに好ましくは10wt%未満、もっとさらに好ましくは5wt%未満、最も好ましくは1wt%未満の該不純物(又は「非MWW骨格型モレキュラーシーブ」)を含有することを意味し、質量パーセント(wt%)値は、不純物と純粋相MWW骨格型モレキュラーシーブを合わせた質量に基づいている。不純物の量は、粉末XRD、回転電子回折、及び/又はSEM/TEM(例えば異なる結晶形態学)によって適切に決定可能である。
場合によっては、MWW骨格型のモレキュラーシーブは、そのか焼された無水形態で、16以下、例えば15.5以下又は15以下のSi/X2モル比の組成を有する。場合によっては、Si/X2モル比は、少なくとも8、好ましくは少なくとも10、さらに好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13、例えば少なくとも14である。場合によっては、Si/X2モル比は8~16、又は10~16、特に12~16又は13~16、例えば13~15又は14~15である。Si:X2モル比は、モレキュラーシーブ骨格内のモル比であることが分かるだろう。任意の適切な方法、例えば誘導結合プラズマ発光分光(inductively coupled plasma optical emission spectrometry)(ICP-OES)分析を用いてモレキュラーシーブ材料の組成を検証することができる。好ましくは、XはAlである。27Al NMR分光法を用いて、モレキュラーシーブサンプルに検出されたAlがモレキュラーシーブ骨格に組み込まれたAl、又は不純物として材料に沈着したAlであるかを判定することができる。骨格外アルミニウムは、27Al NMR分光法によって約0ppmの化学シフト(δ)を有するシグナルとして目に見えて予測できることが分かるだろう。骨格Alは、27Al NMR分光法によって50ppmに近いシフト(δ)を有するシグナルとして目に見える。
場合によっては、MWW骨格型のモレキュラーシーブは、その乾燥した合成されたままの形態で、乾燥モレキュラーシーブの質量に基づいて、約0.5~約5wt%、例えば約1~約4.5wt%、例えば約2~約4wt%の(K+M)含量を有する。さらに又はこれとは別に、モレキュラーシーブは、その乾燥した合成されたままの形態で、乾燥モレキュラーシーブの質量に基づいて、約0.4~約4wt%、例えば約0.6~約3wt%、例えば約1~約2wt%のK含量を有する。場合によっては、MWW骨格型のモレキュラーシーブは、そのか焼及びイオン交換された形態で、か焼及びイオン交換されたモレキュラーシーブの質量に基づいて、約0.02~約1wt%、例えば約0.05~約0.8wt%、例えば約0.1又は0.1未満~約0.5wt%の(K+M)含量を有し、ここで、場合によっては、か焼及びイオン交換されたモレキュラーシーブは、約0~約2、例えば約0.2~約1.8、例えば約0.3~約1.5のM:K質量比を有する。さらに又はこれとは別に、モレキュラーシーブは、そのか焼及びイオン交換された形態で、か焼及びイオン交換されたモレキュラーシーブの質量に基づいて、約0.02~約1wt%、例えば約0.04~約0.6wt%、例えば約0.06~約0.4wt%のK含量を有する。
典型的に、モレキュラーシーブ生成物は、溶液中で形成され、標準的手段によって、例えば遠心分離又は濾過によって回収可能である。分離生成物を洗浄し、遠心分離又は濾過によって回収し、乾燥させることもできる。
場合によっては、MWW骨格型のモレキュラーシーブは、そのか焼及びイオン交換された形態で、250~500、例えば280~480、例えば390~460m2/gの窒素ブルナウアー‐エメット‐テラー(BET)表面積(N2 SBET)を有する。場合によっては、MWW骨格型のモレキュラーシーブは、そのか焼及びイオン交換された形態で、80~160、例えば90~150、例えば115~140m2/gの窒素外部表面積(N2 Sext)(一般的にメソポア表面積とも呼ばれる)を有する。場合によっては、MWW骨格型のモレキュラーシーブは、そのか焼及びイオン交換された形態で、0.08~0.2、例えば0.09~0.18、例えば0.1~0.15cm3/gのミクロポア容積(Vmicro)を有する。N2 Sext及びVmicroを得るための適切な方法は、参照することによりその内容を本明細書に援用する“Analytical Methods in Fine Particle Technology, P. A. Webb and C. Orr, Micrometrics Instrument Corporation, ISBN 0-9656783-0-X”で言及されているように、t-プロットモデルのN2等温線への当てはめによる。場合によっては、MWW骨格型のモレキュラーシーブは、そのか焼及びイオン交換された形態で、少なくとも25%、例えば少なくとも28%のN2 Sext/SBET比、場合によっては25~45、例えば26~40、例えば28~35%のN2 Sext/SBET比を有する。
場合によっては、MWW骨格型のモレキュラーシーブは、その合成されたまま乾燥された形態で、2.0g/cm3超、例えば少なくとも2.05g/cm3、例えば少なくとも2.1g/cm3、又は2.1g/cm3超さえの、ピクノメーターによって測定される密度(すなわち粉末材料の密度)を有する。
モレキュラーシーブの使用
本発明のMWW骨格型のモレキュラーシーブは、例えばモレキュラーシーブに対して差次的吸着特性を有する、気相又は液相内の成分の混合物から少なくとも1つの成分を分離するための吸着剤として使用してもよい。従って、混合物をモレキュラーシーブと接触させて選択的にその1つの成分に吸着させることによって、モレキュラーシーブに対して差次的吸着特性を有する成分の混合物から部分的又は実質的に全体的に少なくとも1つの成分を分離することができる。
本発明のモレキュラーシーブを用いて、現在商業的/工業的に重要な多くのプロセスを含め、種々多様の化学変換プロセスを触媒することができる。モレキュラーシーブによって、それ単独で又は結晶性触媒を含めた1種以上の他の触媒活性物質と組み合わせて効果的に触媒される化学変換の例には、酸活性を有する触媒を必要とするものが含まれる。具体例として以下のものが挙げられる:
(1) 芳香族炭化水素、例えば、ベンゼンの長鎖オレフィン、例えばC14オレフィンによるアルキル化、引き続きスルホン化して合成洗剤を提供し得る長鎖アルキル芳香族化合物を与えるための反応条件は約340℃~約500℃の温度、ほぼ大気圧~約200気圧の圧力、約2時間-1~約2000時間-1の質量毎時空間速度及び約1/1~約20/1の芳香族炭化水素/オレフィンモル比を含む;
(2) 短鎖アルキル芳香族化合物を与えるための芳香族炭化水素のガス状オレフィンによるアルキル化、例えば、エチルベンゼンを与えるためのベンゼンのエチレンによるアルキル化、この反応条件は、約170℃~約260℃の温度、約20~約55気圧の圧力、及び0.1時間-1~約20時間-1のエチレンアルキル化剤の質量毎時空間速度(WHSV)を含み、又はクメンを与えるためのベンゼンのプロピレンによるアルキル化、この反応条件は、約10℃~約125℃の温度、約1~約30気圧の圧力、及び5時間-1~約50時間-1の芳香族炭化水素の質量毎時空間速度(WHSV)を含む;
(3) とりわけ、モノアルキレート及びジアルキレートを与えるための、相当量のベンゼンとトルエンを含有するリフォーメートのC5オレフィン含有燃料ガスによるアルキル化、この反応条件は、約315℃~約455℃の温度、約400~約800psigの圧力、約0.4時間-1~約0.8時間-1のWHSV-オレフィン、約1時間-1~約2時間-1のWHSV-リフォーメート及び約1.5~2.5vol/volの燃料ガス供給のガス再循環を含む;
(4) アルキル化芳香族潤滑油ベースストックを与えるための芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン及びナフタレンの、長鎖オレフィン、例えば、C14オレフィンによるアルキル化、この反応条件は約160℃~約260℃の温度及び約350~450psigの圧力を含む;
(5) 長鎖アルキルフェノールを与えるためのフェノールのオレフィン又は等価アルコールによるアルキル化、この反応条件は約200℃~約250℃の温度、約200~300psigの圧力及び約2時間-1~約10時間-1の全WHSVを含む;並びに
(6) イソアルカン、例えば、イソブタンのオレフィン、例えば、2-ブテンによるアルキル化、この反応条件は、約-25℃~約400℃、例えば、75℃~200℃の温度、大気圧未満~約35,000kPa(5,000psig)、例えば、100~7,000kPa(1~1,000psig)の圧力、0.01時間-1~約100時間-1、例えば、0.1時間-1~20時間-1のオレフィンに基づく質量毎時空間速度約、及び約1:2~約100:1、例えば3:1~30:1の総イソアルカンと総オレフィンのモル比を含む。
本発明のモレキュラーシーブは、高オクタン燃料、ジェト及びディーゼルへのアルコールの変換用触媒の調製にも好適であり得る。
ここで、下記実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
実施例
これらの実施例では、合成されたままの材料のXRD回折パターンは、X線粉末回折計(Bruker, D8 Discover or STOE, Stadi P Combi)で銅K-α線を2~40度の2θ範囲で用いて記録した。
SEM画像は、FEI Company, Helios Nanolab G3 UC走査型電子顕微鏡(SEM)で得た。
固体状態27Al MAS NMRスペクトル(1パルス)は130.3MHzで作動するBruker Avance III-HD 500分光器(11.7T)で記録した。測定は、14kHzで回転する外径4mmのジルコニアローターを用いて行った。π/12パルス及び1秒の待ち時間(recycle delay)でMAS NMRスペクトルを得た。化学シフトは1MのAl(NO3)3溶液を基準にした。分析前に一晩サンプルを水和させた。
粉末材料の密度はピクノメーターを用いて測定した。ピクノメーターを空にして秤量してから水で満たして正確な容積を決定した。正確な既知量の材料をピクノメーターに添加してから水で満たした。ピクノメーターを超音波浴内に置くことによって、粉末材料間に閉じ込められた空気を除去した。上部液体が清澄になるまで材料を沈殿させた。次にピクノメーターを水で満たして秤量した。質量差に基づいて粉末の体積を決定し、質量と体積に基づいて密度を計算した。
本明細書で使用する場合、XRDは、x線粉末回折を指す。既知ゼオライト材料のXRDパターンに対するそれらのXRDパターンの比較によって比較サンプルのゼオライトを同定した。SEM画像を用いて生成物純度の評価を助けた。すなわち、SEM画像中の明白に異なる結晶モルフォロジーの存在は、他の結晶性材料の形態の不純物の兆候であり得る。このような近似分析は、生成物のXRDパターンでは確認できないことがある相対的に少ない量の結晶性不純物形成の存在を確認する際に特に役立ち得る。本明細書で使用する場合、SDAは構造指向剤である。
比較サンプル1は、以下に開示する方法に従って調製したMCM-49ゼオライトである。比較サンプル2a及び2bは、以下に開示し、かつUS 5,362,697に開示された方法から適応させた方法に従って調製したMCM-56ゼオライトである。比較サンプル3は、下記方法に従って合成したMWWゼオライトである。サンプル4~10は、本発明の方法によって調製したMWWゼオライトであり、その合成については以下に開示する。比較サンプル11は、合成混合物がカリウム源を含まず、60時間160℃で撹拌したことを除き、比較サンプル3の合成方法に従って調製した。
比較サンプル1-MCM-49ゼオライトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(23.5wt%のアルミナ、19.4wt%の酸化ナトリウム)。18,891.0mgの水、1,192.4mgのアルミン酸ナトリウム溶液、89.6mgの水酸化ナトリウム溶液(40.0wt%)、3,779.3mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)、及び1,047.7mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.0wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下160℃で60時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比):
Si/Al2:20.84、(Na++K+)/Si:0.15、K+/Na+:0.00、SDA/Si:0.18、H2O/Si:19.02。
XRDを用いて、MCM-49として回収された材料を同定した。
比較サンプル2a-MCM-56ゼオライトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(23.5wt%のアルミナ、19.4wt%の酸化ナトリウム)。18,986.0mgの水、1,332.1mgのアルミン酸ナトリウム溶液、183.8mgのMCM-56種晶(20.0wt%)、3,846.5mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)、及び651.6mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.0wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下160℃で60時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比、種晶を除く):
Si/Al2:19.01、(Na++K+)/Si:0.14、K+/Na+:0.00、SDA/Si:0.11、H2O/Si:18.94。
用いた種晶の量は0.95wt%[gseed(gSiO2+gAl2O3)-1]だった。
XRDを用いて、MCM-56として回収された材料を同定した。
比較サンプル2b-MCM-56ゼオライトの合成
比較サンプル2aの手順を繰り返した。
XRDを用いて、MCM-56として回収された材料を同定した。
比較サンプル3-MWW型ゼオライトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(10.0wt%のアルミナ、7.4wt%の酸化ナトリウム)。16,291.6mgの水、3,406.8mgのアルミン酸ナトリウム溶液、503.5mgの水酸化ナトリウム溶液(20.0wt%)、3,756.6mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)、及び1,041.4mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.0wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下150℃で65時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比):
Si/Al2:17.00、(Na++K+)/Si:0.19、K+/Na+:0.00、SDA/Si:0.18、H2O/Si:19.02。
XRDを用いて、MWW型ゼオライトとして回収された材料を同定した。
サンプル4-MWW型ゼオライトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(10.1wt%のアルミナ、7.4wt%の酸化ナトリウム)。14,784.6mgの水、3,392.0mgのアルミン酸ナトリウム溶液、2,045.6mgの水酸化カリウム溶液(10.0wt%)、3,740.8555mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)、及び1,037.0167mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.0wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下150℃で65時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比):
Si/Al2:17.00、(Na++K+)/Si:0.21、K+/Na+:0.43、SDA/Si:0.18、H2O/Si:19.02。
XRDを用いて、MWW型ゼオライトとして回収された材料を同定した。
サンプル5-MWW型ゼオライトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(9.6wt%のアルミナ、7.1wt%の酸化ナトリウム)。15,444.4mgの水、3,574.1mgのアルミン酸ナトリウム溶液、802.2720mgの水酸化カリウム溶液(10.0wt%)、3,753.3mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)、及び1,040.5mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.0wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下150℃で70時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比):
Si/Al2:17.00、(Na++K+)/Si:0.19、K+/Na+:0.15、SDA/Si:0.18、H2O/Si:19.02。
XRDを用いて、MWW型ゼオライトとして回収された材料を同定した。
サンプル6-MWW型ゼオライトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(10.1wt%のアルミナ、7.4wt%の酸化ナトリウム)。15,411.3mgの水、3,391.2mgのアルミン酸ナトリウム溶液、1,407.3mgの水酸化カリウム溶液(10.0wt%)、3,750.5mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)、及び1,039.7mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.0wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下150℃で65時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比):
Si/Al2:17.00、(Na++K+)/Si:0.19、K+/Na+:0.30、SDA/Si:0.18、H2O/Si:19.02。
XRDを用いて、MWW型ゼオライトとして回収された材料を同定した。
サンプル7-MWW型ゼオライトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(10.1wt%のアルミナ、7.4wt%の酸化ナトリウム)。14,834.2mgの水、3,400.0mgのアルミン酸ナトリウム溶液、1,405.2mgの水酸化カリウム溶液(10.0wt%)、571.4mgのMCM-49種晶(1wt%)、3,749.7mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)、及び1,039.5mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.0wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下150℃で65時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比、種晶を除く):
Si/Al2:17.00、(Na++K+)/Si:0.19、K+/Na+:0.30、SDA/Si:0.18、H2O/Si:19.02。
用いた種晶の量は0.15wt%[gseed(gSiO2+gAl2O3)-1]だった。
XRDを用いて、MWW型ゼオライトとして回収された材料を同定した。
サンプル8-MWW型ゼオライトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(9.6wt%のアルミナ、7.1wt%の酸化ナトリウム)。15,678.3mgの水、3,577.6mgのアルミン酸ナトリウム溶液、184.8mgの水酸化ナトリウム溶液(10.0wt%)、760.8mgの水酸化カリウム溶液(10.0wt%)、3,757.0mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)、及び1,041.5mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.0wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下150℃で70時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比):
Si/Al2:17.00、(Na++K+)/Si:0.18、K+/Na+:0.15、SDA/Si:0.18、H2O/Si:19.02。
XRDを用いて、MWW型ゼオライトとして回収された材料を同定した。
サンプル9-MWW型ゼオライトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(10.1wt%のアルミナ、7.4wt%の酸化ナトリウム)。15,411.6mgの水、3,597.7mgのアルミン酸ナトリウム溶液、1,442.9mgの水酸化カリウム溶液(10.0wt%)、3,744.4mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)、及び1,038.0mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.9wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下150℃で70時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比):
Si/Al2:16.00、(Na++K+)/Si:0.20、K+/Na+:0.29、SDA/Si:0.18、H2O/Si:19.02。
XRDを用いて、MWW型ゼオライトとして回収された材料を同定した。
サンプル10-MWW型ゼオライトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(10.1wt%のアルミナ、7.4wt%の酸化ナトリウム)。14,953.3mgの水、3,833.8mgのアルミン酸ナトリウム溶液、1,438.6mgの水酸化カリウム溶液(10.0wt%)、3,738.1mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)、及び1,036.2mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.0wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下150℃で80時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比):
Si/Al2:15.00、(Na++K+)/Si:0.21、K+/Na+:0.27、SDA/Si:0.18、H2O/Si:19.02。
XRDを用いて、MWW型ゼオライトとして回収された材料を同定した。
比較サンプル11-モルデナイトの合成
アルミン酸ナトリウム粉末を水に溶かすことによってアルミン酸ナトリウム溶液を調製した(23.5wt%のアルミナ、19.4wt%の酸化ナトリウム)。17,727.7mgの水、1,441.2mgのアルミン酸ナトリウム溶液、1,084.5mgの水酸化ナトリウム溶液(40.0wt%)、3,716.3mgの沈降シリカ(Ultrasil(登録商標)VN3)及び1,030.2mgのヘキサメチレンイミン溶液(99.0wt%)をTeflon(登録商標)ライナーに添加した。各添加後に5分間及び最後の添加後に10分間混合物を撹拌した。次に混合物をU字形インペラーで撹拌しながら水熱条件下160℃で60時間処理した。その後固体材料を回収し、水で数回洗浄し、120℃で乾燥させた。
合成混合物は以下のとおりだった(合成混合物/モル比):
Si/Al2:17.00、(Na++K+)/Si:0.19、K+/Na+:0.00、SDA/Si:0.18、H2O/Si:19.02。
XRDを用いて、モルデナイトとして回収された材料を同定した。
結晶性材料生成物の分析
表1は、調製されたまま及びイオン交換後のサンプルのシリカ、アルミナ、ナトリウムカチオン及びカリウムカチオン含量を示す。イオン交換及びか焼を受けた各サンプルについて、用いた手順は以下のとおりだった:調製されたままのサンプルを1Mの硝酸アンモニウム溶液で3回洗浄してから537℃で10時間か焼した。
表1:調製されたままの結晶子及びイオン交換後の結晶子の組成
Figure 2023534275000002

1開示したSi/Al2比は、か焼及びイオン交換されたゼオライトのものである。シリカ、アルミナ、ナトリウム及びカリウム含量は、誘導結合プラズマ発光分光(ICP-OES)分析によって解析した。N/Aは、アルカリ金属がサンプル中に存在しないことを意味し、一方でダッシュ記号はデータが得られなかったことを意味する。
表1に示すように、イオン交換は、調製されたままのサンプルに比べてサンプル6、9及び10のカリウムカチオン及びナトリウムカチオン含量を減少させた。サンプル4~10の全てがイオン交換後に低いナトリウム及びカリウム含量を有した。骨格アルカリ金属の除去は、残存アルカリ金属はゼオライトの細孔を封鎖し、触媒活性を損なうので、触媒活性化にとって重要である。K+の除去は、カリウムイオンの方がサイズが大きいのでNa+の除去より困難な可能性がある。イオン交換の結果は、本発明の方法に従って従来のイオン交換技術によって調製された結晶性材料からK+イオンを除去できることを確証する。
表1の結果により分かるように、サンプル4~10のSi/Al2比は、比較サンプル1、2a及び2bのSi/Al2比より低く、生成物中のアルミニウム含量の増加を示唆している。
サンプル7は、MCM-49種晶を用いて調製した。表1に示すように、MCM-49の種晶を用いても高アルミニウム含量のゼオライト骨格が得られる。表1に示すように、またXRDパターン(後述する)によって、MCM-49種晶の存在は、結果として生じる結晶性材料の組成にほとんど影響を与えないと思われる(特にサンプル7をサンプル6と比較せよ)。
図1aは、比較サンプル1、2b、及び3、並びにサンプル4~10のイオン交換及びか焼後のXRDスペクトルを示す。図1bは、比較サンプル11のイオン交換及びか焼後のXRDスペクトルを示す。比較サンプル1及び2bのXRDパターンと同様に、サンプル4~10のXRDパターンはMWW骨格結晶性材料のピーク特性を示す。比較サンプル1(MCM-49)のXRDパターンと比べて、比較サンプル2(MCM-56)のXRDパターンは、ブロードな、しばしば融合したピークを示す。理論によって束縛されることを望むものではないが、これらの差異は、MCM-49に存在するより規則的に積み重ねられた層に比べて、MCM-56における無秩序ラメラの優勢の兆候であると考えられる。最も注目すべきは、MCM-49材料のXRDパターンは、約8及び10(2θ)に明白に同定できる2つの別々のピークを示すが、MCM-56のXRDパターンは、同領域にブロードな融合ピークを示す(比較サンプル1及び2bに関するXRDスペクトルの比較によって分かるように)。例えば、MCM-49と比べてMCM-56の特徴的なXRDパターンのさらに詳細な検討のためには、参照することによりそれらの内容を本明細書に援用する米国特許第5,362,697号、第5,827,491号、及び第5,453,554号を参照されたい。サンプル4~10の回折パターンにおいては、約8及び10(2θ)のそれらのピークの強度及び鋭さが異なる。サンプル4~10の全てのXRDパターンにおいて、約8及び10(2θ)のピークは、MCM-49におけるより(比較サンプル1に比べて)あまりよく分割されていない。理論によって束縛されることを望むものではないが、結晶性生成物のアルミニウム含量増加と反応混合物中のK+イオンの存在の組み合わせによって、結晶化中のラメラの無秩序を増やすと考えられる。さらに詳細には、ゼオライト骨格中のアルミニウムがケイ素で置換されると無秩序を増やし、層パッキングを破壊し、その上、K+イオンのより大きいサイズ(Na+イオンに比べて)が、成長するゼオライト構造内にアルカリ金属カチオンが捕捉される結晶化中の層分離を増やす可能性があると考えられる。
比較サンプル11のXRDパターンは、モルデナイトの形成を示していると考えられる。比較サンプル1と比較サンプル11の間の比較は、結晶化温度又は持続時間を調整せずに合成混合物のアルミニウム含量を単に増やすと、より高いアルミニウム含量を有するMWWゼオライトではなく、望まれないモルデナイトの形成をもたらすことを示唆する。
図2a~2gは、比較サンプル1~3、サンプル4~10、及び比較サンプル11のそれぞれの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。SEM画像は、比較サンプル3は別として、研究した各サンプルの部分の一貫したモルフォロジーを示す。例えば不純物及び/又は非晶質の存在に起因するモルフォロジーの変化は、比較サンプル3以外のいずれのサンプルのSEM画像にも見えない。このように、比較サンプル3を除く全てのサンプルについて、SEM解析は単一のゼオライト構造の形成を示唆する。
図2cは、比較サンプル3のSEM画像を示す。図2cの拡大図には、棒状構造(右上隅に白四角形で示される)が見える。理論によって束縛されることを望むものではないが、棒状モルフォロジーを有する不純物の存在はモルデナイト混入を示していると考えられる。上で説明したように、比較サンプル11は、比較サンプル3の調製に用いた結晶化条件と同様の結晶化条件下でモルデナイトが生じ得ることを確証させる。サンプル4~10のSEM画像にはこのような棒状の特徴は検出されなかった。これは、合成混合物中のK+の存在がMWW結晶性材料の形成の信頼性を高めたことを示唆している。
図3は、比較サンプル1、2a、及び3、並びにサンプル6の27Al NMRスペクトルを示す。全てのスペクトルにおいて、およそ50ppmに実質的なピークが観察される。50ppmに近い化学シフト(δ)は、ゼオライト骨格に組み込まれたAlの特性である。骨格外Alを意味することになる約0ppmの領域にはスペクトルはピークを示していない。このように、27Al NMR分光分析は、ICP-OES分析によって検出されたAlが骨格Alであることを示唆し、発明方法が、ゼオライト骨格中に高比率のAlをうまく組み込んだことを示している。
表2は、イオン交換及びか焼後の比較サンプル1~3、及びサンプル4~10のテクスチャ特性及び化学的特性(全表面積、メソポア表面積、及びミクロポア容積)を示す。
表2:イオン交換及びか焼後のサンプルのテクスチャ特性及び化学的特性
Figure 2023534275000003

a BET表面積;b N2等温線に当てはめたt-プロットから得たメソポア表面積;
c “Analytical Methods in Fine Particle Technology, P. A. Webb and C. Orr, Micrometrics Instrument Corporation ISBN 0-9656783-0-X”で言及されたように、t-プロットから得たミクロポア容積。
表2の結果によって示されるように、サンプル4~10は、それぞれMCM-49より高く、MCM-56に匹敵するメソポア表面積と全表面積の比(Sext/SBET/%として表される)を有する。理論によって束縛されることを望むものではないが、ゼオライトの層状構造間の分離、及び/又はゼオライトの層状構造の無秩序を増やすにつれてメソポロシティーは上昇するが、一方で層状構造の崩壊が10環内部細孔系を有する材料の量を減らせばミクロポロシティーは低減する可能性があると考えられる。結果として、MCM-49は、その相対的に秩序だった層状構造のために、より無秩序なMCM-56より高いミクロポロシティー、及び低いメソポロシティーを示すことが分かった。サンプル4~10の場合、MCM-49に比べて高いSext/SBETは、本発明に従って調製されたゼオライトにおけるラメラの無秩序増加を反映すると考えられる。ラメラの無秩序増加は、アクセス可能な12環表面ポアの比率を高め、この結果としてメソポアによって作り出される全表面積の比率を高める(言い換えれば、ミクロポロシティーに対するメソポロシティーの度合を高める)と考えられる。ミクロポロシティーに対するメソポロシティーの度合上昇は、本発明の方法に従って調製されたゼオライトをベースとする触媒をより大きい反応体との触媒反応に役立つようにし得ると予想される。
さらに、合成混合物にカリウムカチオンを含めて調製されたサンプル4~10は全て、カリウムカチオンの非存在下で調製された比較サンプル3より高いSext/SBETを示した。この知見は、合成混合物中のカリウムカチオンの存在が、ゼオライト骨格への高率のアルミニウムの組み込みと共に、より大きいメソポロシティーを促すことを示唆する。
要約すると、合成混合物中のアルミニウム増加及びカリウムカチオンの存在は、表面積及び細孔容積の変化を伴う。一般に、合成混合物中のカリウムカチオンの存在並びに追加のアルミニウムは、MCM-49とMCM-56の中間の層状構造を有するゼオライトを与える。さらに、合成混合物中のカリウムカチオンの存在は、不純物(例えば比較サンプル3に存在すると考えられるモルデナイト)の形成の抑制にも役立つように思われる。
図4は比較サンプル1及び2a、並びにサンプル6、9及び10のか焼及びイオン交換後のN2物理吸着等温線を示す。物理吸着等温線は、参照することによりその内容を本明細書に援用する“Analytical Methods in Fine Particle Technology”, P. A. Webb and C. Orr, Micrometrics Instrument Corporation ISBN 0-9656783-0-Xに開示された方法に従って収集した。
比較サンプル1(MCM-49)の物理吸着等温線は、比較サンプル2a(MCM-56)の等温線とは、MCM-56の等温線が、約4.8p/p0の初期曲線と再結合する強いヒステリシスループを示すという点で異なる。p/p0が1から0に減少するにつれてゼオライトからのN2の有意に遅延した吸着を示すMCM-56の大きい明白なヒステリシスループは、MCM-56がMCM-49のメソポアとは異なるメソポア形状を有する証拠であると考えられる。図4で明らかなように、サンプル6、9、及び10のN2物理吸着等温線は、少なくともサンプル6、9、及び10の等温線がより少ない明白なヒステリシスループを有するという点で、比較サンプル1(MCM-49)の等温線により類似している。それにもかかわらず、サンプル6、9及び10の等温線、最も顕著にはサンプル10の等温線にヒステリシスループが見える。図4に提示した結果は、MCM-49とMCM-56の中間の物理的特性を有するサンプル6、9及び10のゼオライトの別の兆候である。
図5は、比較サンプル3及びサンプル6のN2物理吸着等温線を比較サンプル1及び2aの等温線と比較し、比較サンプル3及びサンプル6がMCM-49とMCM-56の中間の物理的性質を示すことを示唆している。比較サンプル3の等温性は比較サンプル1の等温線より明白なヒステリシスループを特徴とするが、サンプル6の等温線は、比較例2aの等温線のヒステリシスループに最も近いもっとさらに明白なヒステリシスループを示す。従って、サンプル6のゼオライトのメソポア形状は、比較例3のメソポア形状よりMCM-56の形状に類似すると考えられる。理論によって束縛されることを望むものではないが、これらの結果は、ゼオライト骨格のアルミニウム含量を増やすとメソポア形状に影響を及ぼし、これは合成混合物中のK+の存在によって増強され得ることを証明すると考えられる。
表3は、比較サンプル1及び2並びにサンプル6の合成されたまま乾燥した形態の密度を示す。
表3:サンプルの合成されたまま乾燥した形態の密度
Figure 2023534275000004
表3の結果によって分かるように、サンプル6(MWW型)の密度は、比較サンプル1(MCM-49)及び比較サンプル2(MCM-56)の密度より有意に高い。これは、一旦調合された固定触媒床容積に詰め込めるゼオライト材料の質量を大きくできるので特に有利である。
調合押出物の分析
比較サンプル1及び3、並びにサンプル6の一部を下記方法に従って1/20thインチ(1.27mm)の四葉体(quadrulobe)押出物に成形した。これらの押出物は比較サンプル11及び12、並びにサンプル13に相当する。乾燥質量ベースで、ゼオライトの80質量部(それぞれ比較サンプル1及び3並びにサンプル6の)を20部のVeral-300アルミナと混ぜ合わせて乾燥粉末を形成した。この乾燥粉末をミラー(miller)又はミキサーに約5~15分間入れた。混合プロセス中に十分な水を粉末に加えて押し出し可能ペーストを生成した。ラム押出機を用いて押し出し可能ペーストを1/20thインチ(1.27mm)の四葉体押出物に成形した。押出後、l/20thインチ(1.27mm)の四葉体押出物を121℃~168℃の範囲の温度で乾燥させた。乾燥押出物を次に窒素中454℃と593℃の間の温度までか焼し、窒素流下で冷却した。次に押出物を交換カラムに詰め、加湿し、硝酸アンモニウムと交換した。押出物を水で洗浄した後、それらを空気流下454℃と593℃の間でか焼した。次に下記方法に従って乾燥押出物をコリジン取り込みについて試験した。窒素流下200℃で60分間熱重量分析機で乾燥させた組成物サンプル1グラム当たり吸収されたコリジン(触媒毒の一種)のマイクロモルとして押出物ゼオライト組成物のコリジン取り込みを決定した。触媒サンプルの乾燥後、コリジンを60分間3トルのコリジン分圧で触媒サンプル上に散布した。次にサンプルに窒素を60分間流した。下記式からコリジン取り込みを計算した:(コリジンによる散布後のサンプル質量-乾燥触媒サンプル質量)÷(コリジンの分子量×乾燥触媒サンプル質量)。サンプル質量及び乾燥サンプル質量はグラムで測定し、コリジンンの分子量は、1マイクロモル当たり121.2×10-4グラムである。
表4は、比較サンプル11、12及びサンプル13の押出物の測定されたコリジン取り込みを示す。コリジン(2,4,6-トリメチルピリジン)は、芳香環コアを有する比較的大きい分子なので、コリジンの取り込みは、より大きい分子にアクセス可能なメソポア内に位置する酸サイトの割合の指標となり得る。高コリジン取り込みを示す触媒は、より大きい分子、特に単環芳香族分子のアルキル化に有効である可能性があると考えられる。より大きい分子にアクセスできる表面酸サイトを多数有すると、長時間にわたってアクセスできる活性レベルを触媒が与え続けられるようになる可能性がある。
表4:四葉体押出物の形態のサンプルのコリジン取り込み
Figure 2023534275000005
表4の結果により分かるように、ゼオライト合成混合物中のアルミニウムを増やすにつれてコリジン取り込みが増加するように見える(比較サンプル12によって実証される)が、カリウムカチオンもゼオライト合成混合物に含まれるとコリジン取り込みはさらに増加する(サンプル13によって実証される)。コリジン取り込みの結果は、合成混合物中のカリウムカチオンの存在はMCM-49材料に見られるより大きいメソポロシティーを有するゼオライト構造の形成に有利に働くことを示唆する表面積と細孔容積の試験を裏付ける。
特定の実施形態を参照して本発明を記述及び説明したが、本発明は、本明細書で具体的に説明していない様々な変形形態に役立つことを当業者なら理解するであろう。
前述の説明において、整数又は要素が既知、明白又は予見可能な等価物を有すると言及されている場合、該述等価物は、あたかも個々に記載されたかのように本明細書に組み込まれる。本発明の真の範囲を決めるためには特許請求の範囲を参照すべきであり、いずれの該等価物をも包含するように解釈すべきである。好ましい、有利、好都合等と記述される本発明の整数又は特徴は任意的であり、独立請求項の範囲を限定しないことをも読者は理解するであろう。さらに、このような任意的な整数又は特徴は、本発明のいくつかの実施形態では有効であり得るとはいえ、望ましくないこともあり得るので、他の実施形態では存在しなくてもよいことを理解すべきである。
さらに又はこれとは別に、本発明は、下記実施形態に関する。
実施形態1:MWW骨格型のモレキュラーシーブの合成方法であって、下記ステップ:
a) MWW骨格型のモレキュラーシーブを形成する能力がある合成混合物調製すること(前記合成混合物は、水、ケイ素源、三価元素X源、カリウムカチオン源、構造指向剤R、別のアルカリ金属カチオンM源、場合によっては五価元素Z源、場合によっては水酸化物イオン源、及び場合によっては種晶を含み、前記合成混合物は下記モル比組成を有する:
Si:X2=8~18
H2O:Si=5~100
(M+K+):Si=0.1~0.5
M:K+=1~10
R:Si=0.1~1);
b) 前記合成混合物を結晶化条件下で前記MWW骨格型のモレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な時間加熱すること(前記結晶化条件は100℃~220℃の温度を含む);及び
c) 前記MWW骨格型のモレキュラーシーブの結晶を合成混合物から回収すること
を含む方法。
実施形態2:カリウム源が、水酸化カリウム、アルミン酸カリウム、ケイ酸カリウム、カリウム塩、例えばKCl若しくはKBr又は硝酸カリウム、或いはその組み合わせ、好ましくは水酸化カリウムを含む、実施形態1の方法。
実施形態3:合成混合物がモル比(M+K+):Si=0.15~0.25を有する、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態4:合成混合物がモル比K+:Si=0.01~0.1を有する、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態5:構造指向剤Rが、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、ヘキサメチレンイミン(HMI)、ヘプタメチレンイミン、ホモピペラジン、ペンタメトニウム臭化物若しくは水酸化物、ヘキサメトニウム臭化物若しくは水酸化物、ヘプタメトニウム臭化物若しくは水酸化物、及びその組み合わせから成る群より選択され、好ましくは構造指向剤Rがヘキサメチレンイミン(HMI)である、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態6:Xが、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、及びその混合物から成る群より選択され、好ましくはXが少なくともアルミニウムを含み、さらに好ましくはXがアルミニウムである、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態7:三価元素X源がAl2O3を含み、好ましくは三価元素XがAl2O3である、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態8:ケイ素源がSiO2を含み、好ましくはケイ素源がSiO2である、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態9:存在する場合、Zがリンであり;好ましくは合成混合物がいずれの五価元素Zをも含有しない、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態10:合成混合物がモル比M:K+=2~8を有し、Mがナトリウム、リチウム及び/又はルビジウム、好ましくはナトリウムである、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態11:合成混合物が、アルカリ金属カチオンM源を0.1~0.25のM:Siのモル比で含む、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態12:存在する場合、OH-源がアルカリ金属水酸化物、好ましくはKOH、NaOH又はその組み合わせであり、場合によっては合成混合物が水酸化物イオン源を0.1~0.5、場合によっては0.15~0.25のOH-/Siモル比で含む、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態13:合成混合物が種晶を0.05~2gseed/g(ケイ素源+三価元素X源)の量で含み、場合によっては種晶がMWW骨格型のモレキュラーシーブを含む、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態14:ステップ(b)の結晶化条件が、100℃~200℃、好ましくは140℃~160℃の温度を含む、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態15:ステップ(b)の結晶化条件が、1~800時間、特に10~600時間未満、特に24~140時間、例えば60~90時間にわたって加熱することを含む、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態16:MWW骨格型のモレキュラーシーブの回収された結晶が、8~16、好ましくは10~16、さらに好ましくは12~16、最も好ましくは14~15のSi/X2モル比を有する、いずれかの先行実施形態の方法。
実施形態17:場合によってはモレキュラーシーブが、そのか焼された無水形態で、8~18、好ましくは10~18、さらに好ましくは12~18、最も好ましくは12~16、場合によっては14~15のSi/X2モル比の組成を有し、場合によってはXがAlである、実施形態1~19のいずれか1つの方法によって得ることができるMWW骨格型のモレキュラーシーブ。
実施形態18:その合成されたまま乾燥された形態で2.0g/cm3超、好ましくは少なくとも2.10g/cm3の、ピクノメーターによって測定される密度(すなわち粉末材料の密度)を有する、実施形態17のモレキュラーシーブ。
実施形態19:炭化水素化学変換プロセスにおける実施形態17又は18のモレキュラーシーブの使用であって、特に炭化水素化学変換プロセスがアルキル化反応、さらに特に芳香族アルキル化である、使用。

Claims (19)

  1. MWW骨格型のモレキュラーシーブの合成方法であって、下記ステップ:
    a) MWW骨格型のモレキュラーシーブを形成する能力がある合成混合物を調製すること(前記合成混合物は、水、ケイ素源、三価元素X源、カリウムカチオン源、構造指向剤R、別のアルカリ金属カチオンM源、場合によっては五価元素Z源、場合によっては水酸化物イオン源、及び場合によっては種晶を含み、前記合成混合物は下記モル比組成:
    Si:X2=8~18
    H2O:Si=5~100
    (M+K+):Si=0.1~0.5
    M:K+=1~10
    R:Si=0.1~1
    を有する);
    b) 前記合成混合物を結晶化条件下で前記MWW骨格型のモレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な時間加熱すること(前記結晶化条件は100℃~220℃の温度を含む);及び
    c) 前記MWW骨格型のモレキュラーシーブの結晶を前記合成混合物から回収すること
    を含む、前記方法。
  2. 前記カリウム源が、水酸化カリウム、アルミン酸カリウム、ケイ酸カリウム、カリウム塩、例えばKCl若しくはKBr又は硝酸カリウム、或いはその組み合わせ、好ましくは水酸化カリウムを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記合成混合物が、モル比(M+K+):Si=0.15~0.25を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 前記合成混合物が、モル比K+:Si=0.01~0.1を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記構造指向剤Rが、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、ヘキサメチレンイミン(HMI)、ヘプタメチレンイミン、ホモピペラジン、ペンタメトニウム臭化物若しくは水酸化物、ヘキサメトニウム臭化物若しくは水酸化物、ヘプタメトニウム臭化物若しくは水酸化物、及びその組み合わせから成る群より選択され、好ましくは前記構造指向剤Rがヘキサメチレンイミン(HMI)である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. Xが、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、及びその混合物から成る群より選択され、好ましくはXが少なくともアルミニウムを含み、さらに好ましくはXがアルミニウムである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記三価元素X源がAl2O3を含み、好ましくは前記三価元素XがAl2O3である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記ケイ素源がSiO2を含み、好ましくは前記ケイ素源がSiO2である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 存在する場合、Zがリンであり;好ましくは前記合成混合物がいずれの五価元素Zをも含有しない、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記合成混合物がモル比M:K+=2~8を有し、Mがナトリウム、リチウム及び/又はルビジウム、好ましくはナトリウムである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記合成混合物が、前記アルカリ金属カチオンM源を0.1~0.25のM:Siのモル比で含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 存在する場合、前記OH-源がアルカリ金属水酸化物、好ましくはKOH、NaOH又はその組み合わせであり、場合によっては前記合成混合物が、水酸化物イオン源を0.1~0.5、場合によっては0.15~0.25のOH-/Siモル比で含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記合成混合物が、種晶を0.05~2gseed/g(ケイ素源+三価元素X源)の量で含み、場合によっては前記種晶がMWW骨格型のモレキュラーシーブを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. ステップ(b)の前記結晶化条件が100℃~200℃、好ましくは140℃~160℃の温度を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. ステップ(b)の前記結晶化条件が1~800時間、特に10~600時間未満、特に24~140時間、例えば60~90時間にわたって加熱することを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記MWW骨格型のモレキュラーシーブの回収された結晶が8~16、好ましくは10~16、さらに好ましくは12~16、最も好ましくは14~15のSi/X2モル比を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 場合によっては前記モレキュラーシーブが、そのか焼された無水形態で、8~18、好ましくは10~18、さらに好ましくは12~18、最も好ましくは12~16、場合によっては14~15のSi/X2モル比の組成を有し、場合によってはXがAlである、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるMWW骨格型のモレキュラーシーブ。
  18. その合成されたまま乾燥された形態で2.0g/cm3超、好ましくは少なくとも2.10g/cm3の、ピクノメーターによって測定される密度(すなわち粉末材料の密度)を有する、請求項17に記載のモレキュラーシーブ。
  19. 炭化水素化学変換プロセスにおける請求項17又は18に記載のモレキュラーシーブの使用であって、特に前記炭化水素化学変換プロセスがアルキル化反応、さらに特に芳香族アルキル化である、前記使用。
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