JP2023532134A - 網膜変性の処置において使用するための環式化合物 - Google Patents

網膜変性の処置において使用するための環式化合物 Download PDF

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Abstract

それを必要とする対象の網膜変性を処置するための方法の実施形態が開示される。一部の実施形態では、方法は、治療有効量の3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド、あるいは本明細書に記載される式I、IIまたはIIIから選択される式に従う構造を有する化合物から選択される化合物、および/または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体を対象に投与するステップを含む。いくつかの非限定的な例では、対象は、網膜色素変性、LCA、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、全脈絡膜萎縮または加齢黄斑変性を有している。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2020年7月2日出願の米国仮特許出願第63/047,858号の最先の優先日の利益を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
政府支援への謝辞
本発明は、米国国立眼病研究所によって授与されたZIAEY000474およびZIAEY000546の下で米国政府支援を受けた。米国政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
分野
本開示は、網膜変性疾患の分野に関し、特に網膜変性を処置するために使用される化合物に関する。
背景
網膜は、脊椎動物の目の内表面に位置する、特殊な感光性神経組織の層である。角膜、水晶体および硝子体液を通過した後に網膜に到達した光は、神経インパルスを誘発する化学的および電気的事象に変換される。光をこれらの生物学的プロセスに変換するためのプロセスである伝達に関与する細胞が、光受容細胞と呼ばれる特殊なニューロンである。網膜の感光性ニューロンである光受容体の機能不全および/または変性は、世界的に、不可逆的な失明に著しく寄与する網膜疾患における顕著な特色である。
多くの眼疾患、例えば(加齢)黄斑変性、黄斑ジストロフィー、例えばシュタルガルト病およびシュタルガルト様病、ベスト病(卵黄様黄斑ジストロフィー)、成人型卵黄様ジストロフィー(vitelliform dystrophy)、錐体桿体ジストロフィー、レーバー先天黒内障および網膜色素変性は、網膜の機能不全、変性または悪化と関連する。一部の動物モデルでは、RPE細胞の網膜下移植によってまたは遺伝子治療によって、視覚機能の光受容体救出および保存が達成され得ることが実証されたが、網膜変性疾患の処置のために使用する化合物が必要である。
概要
本明細書では、対象の網膜変性を処置するための方法の実施形態が開示される。一部の実施形態では、方法は、対象に、治療有効量の3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド、あるいは式I、IIまたはIIIから選択される式に従う構造を有する化合物
Figure 2023532134000002
を投与し、それによって、対象の網膜変性を処置するステップを含む[式中、
式Iに関して、
は、ヘテロ脂肪族であり、
は、ORまたはNRであり、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族もしくは芳香族、または有機官能基から選択され、
およびRのそれぞれは、独立に、脂肪族、芳香族、アシル、またはスルホニルから選択され、
nは、0~4から選択される整数であり得、
式IIに関して、
は、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
は、芳香族であり、
およびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族から選択され、
mは、0~4から選択される整数であり、
式IIIに関して、
R’は、脂肪族、芳香族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
各R’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
各R’’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
pは、0~4から選択される整数であり、
qは、0~4から選択される整数であり、
rは、0または1から選択される整数である]。
本開示の前述のおよび他の目的および特色は、添付の図を参照しながら進められる以下の詳細な説明から、より明らかになろう。
図1Aおよび1Bは、網膜繊毛関連疾患と関連する典型的なオートファジー経路を示す模式図(図1A)および網膜繊毛関連疾患と関連する典型的なオートファジー経路を示す模式図である。図1Bは開示される化合物の実施形態の作用機序の提案モデル(図1B)である。 図2A~2Gは、CEP290-LCA対象の人工多能性幹細胞由来の網膜オルガノイドにおける疾患関連表現型の分析から得られた結果を示す。図2Aは、RHO(ロドプシン、赤紫色)、OPN1SW(Sオプシン、赤色)、OPN1M/LW(L/Mオプシン、緑色)の免疫染色を示し、図2Bは、RHO(ロドプシン、緑色)、およびARL13B(ADPリボシル化因子様タンパク質13B、赤色)の免疫染色を示し、ここで核をDAPIによって染色し、画像は、対象ごとに2種の細胞株の代表的画像であり、そのそれぞれは少なくとも6回の実験を受けており、各実験に少なくとも6つの網膜オルガノイドを備えていた。図2Cは、D67日目、D90日目、D120日目およびD150日目の対照および対象のiPSC由来の網膜オルガノイドの遺伝子プロファイルの主成分分析を示す。図2Dは、発達にわたる対照のオルガノイドと対象のオルガノイドの間の、差次的発現(DE)遺伝子の概要を示す。図2Eは、対照および対象の試料の、発達および年齢をマッチさせたペアワイズ比較におけるDE遺伝子を示すベン図を提供する。図2Fは、対象の試料におけるCEP290突然変異にユニークなDE遺伝子のKEGGおよびReactome経路分析を示す。図2Gは、光伝達遺伝子の発現が、対象のオルガノイドにおいてほとんど下方調節されたことを示す。 同上。 同上。 同上。 同上。 図3は、化合物発見パイプラインの模式図を示し、ここで、様々な濃度のおよそ6000種の化合物を、rd16マウス(CEP290-LCAモデル)網膜オルガノイドからの光受容体を含む解離細胞に施与し、推定上の化合物の実施形態を様々な基準によって選択し、そのヒットを、マウス網膜オルガノイドを使用し、次にヒト網膜オルガノイドを使用して検証した(トランスクリプトーム分析を実施して、それらの作用機序を解明し、それらの効果を、変性マウス網膜においてin vivoで試験する)。 図4A~4Dは、rd16人工多能性幹細胞(iPSC)由来の網膜オルガノイドにおける光受容体の発達を改善した化合物の実施形態と関連する結果を示す。図4Aは、rd16網膜オルガノイドにおける、小分子処置の模式図を示す。図4Bは、ロドプシン(緑色)およびSオプシン(赤色)の免疫染色を示し、ここで核はDAPIによって染色され、画像は少なくとも3回の実験の代表的画像であり、実験はそれぞれ、少なくとも3つの網膜オルガノイドを備えていた。図4Cおよび4Dは、少なくとも3回の実験(実験はそれぞれ、少なくとも3つの網膜オルガノイドを備えていた)からの未処置および処置rd16網膜オルガノイドのロドプシン(図4C)およびSオプシン染色(図4D)の蛍光強度の定量化を示す。 同上。 図5A~5Cは、対象の人工多能性幹細胞(iPSC)由来の網膜オルガノイドにおける化合物の実施形態による光受容体および繊毛の生合成の改善を確認する結果を示す。図5Aは、対象の網膜オルガノイドにおける、小分子処置の模式図を示す。図5Bは、桿体細胞マーカーであるロドプシン(緑色)および繊毛軸糸マーカーであるARL13B(赤色)の免疫染色を示す。図5Cは、S錐体およびL/M錐体が、OPN1L/MW(緑色)およびOPN1SW(赤色)の免疫染色によって示されたことを示し、ここで核はDAPIによって染色され、画像は対象ごとに2種の細胞株の代表的画像であり、そのそれぞれは少なくとも3回の実験を受けており、各回少なくとも3つの網膜オルガノイドを備えていた。 同上。 図6Aおよび6Bは、注射した化合物の実施形態(レセルピン)が、in vivo投与した場合にrd16マウスの外側顆粒層を維持したことを確認する結果を示す。図6Aは、rd16マウスにおける硝子体内注射の模式図を示す。図6Bは、桿体細胞マーカーであるロドプシン(赤紫色)、PDEβ(赤色)およびGFP(緑色)の免疫染色を示し、ここでGFP(緑色)は、外側顆粒層における桿体光受容体を示し、ロドプシン(赤紫色)およびPDEβ(赤色)は、光受容体の外節に位置する繊毛タンパク質である(核はDAPIによって染色され、画像は、注射された3匹の動物のうち2匹の代表的画像である)。 図7A~7Eは、対象の網膜オルガノイドに対する薬物効果の評価から得られた結果を示す。図7Aは、CEP290-LCA(IVS26+1655A>G p.C998X;c.5668G>T p.G1890X)に対する薬物処置のタイムラインを示す。図7Bは、対象のオルガノイドにおけるロドプシンレベルのウエスタンブロット分析を示す。図7Cは、対象のオルガノイドにおけるロドプシンレベルを定量化する、用量関数としての相対的倍率変化のグラフを示す。図7Dおよび7Eは、それぞれ対象1および2について桿体(ロドプシン、緑色)、S錐体(Sオプシン、赤色)、L/M錐体(L/M-オプシン、赤紫色)光受容体(上パネル)および繊毛軸糸(ARL13B、赤色)(下パネル)の免疫染色から得られた画像を示す(核は、DAPIによって染色され、画像は、少なくとも3回の実験の代表的画像であり、実験はそれぞれ、少なくとも3つの網膜オルガノイドを備えていた。矢頭は、関連する染色を示す)。 同上。 図8A~8Gは、対象のオルガノイドにおけるオートファジーの誤調節の分析から得られた結果を示す。図8Aは、オートファジーの簡素化された模式図を示す。図8Bは、分析のためのタイムラインを示す。図8Cは、対象のオルガノイドにおけるある特定のオートファジー成分(p-ULK1 Ser757、ULK1、p62、およびLC3-II)のウエスタンブロット分析を示す。図8D~8Gは、対象のオルガノイドにおけるこれらのオートファジー成分の定量化を示す、時間関数としてのタンパク質の相対量の棒グラフである。 同上。 図9Aおよび9Bは、対象のオルガノイドへのオートファジー阻害剤の施与と関連する結果を示す。図9Aは、対象のオルガノイドへのFDA承認オートファジー阻害剤薬物の施与の効果を示す模式図を示す。図9Bは、桿体(ロドプシン、緑色)、S錐体(Sオプシン、赤色)およびL/M錐体(L/M-オプシン、赤紫色)光受容体の免疫染色から得られた結果を示す(核は、DAPIによって染色され、画像は、2回の実験の代表的画像であり、実験はそれぞれ、少なくとも6つの網膜オルガノイドを備えていた)。 図10A~10Gは、レセルピンの薬物効果のためのメディエーターとして作用するp62の能力の分析から得られた結果を示す。図10Aは、p62およびLC3-IIのウエスタンブロット分析を示す。図10Bは、p62およびLC3-IIの定量化を示す、処置状況の関数としてのタンパク質の相対量の棒グラフを含む。図10Cは、処置された対象のオルガノイドにおけるp62およびアセチル化チューブリン(DM1T)の免疫染色の結果を示す(核は、DAPIによって染色され、画像は、少なくとも2回の実験の代表的画像であり、実験はそれぞれ、少なくとも3つの網膜オルガノイドを備えていた)。図10Dは、処置されたオルガノイドにおける、p62の相互作用パートナー/繊毛分解のキードライバーであるHDAC6、ならびにIFT88(鞭毛内輸送)、BBS6およびCEP164(繊毛形成の開始のための遠位付属器成分)を含めた他の繊毛調節タンパク質のウエスタンブロット分析および定量化を示す。図10Eは、これらのタンパク質の定量化を示す、処置状況の関数としてのタンパク質の相対量の棒グラフを含む。図10Fは、オルガノイドのTEM画像を示しており、この画像は、レセルピンを用いる処置に起因する、前繊毛(preciliary)小胞のドッキングおよび繊毛膜の形成の欠陥の低減を示し(上パネル)、処置された光受容体において繊毛軸糸がより長いことを示す(下パネル)。図10Gは、オルガノイド、およびオルガノイド培養物において希少な、十分に組織化されたディスクのような構造のTEM画像を示しており、外節(光受容体の一次繊毛)の発達に対するレセルピンの好ましい効果を示している。 同上。 同上。 図11Aおよび11Bは、CEP290-LCA対象の人工多能性幹細胞由来の網膜オルガノイドの短期処置後の、改善された光受容体形態を示す結果を示す。図11Aは、CEP290-LCA網膜オルガノイドのための小分子処置パラダイムを示す模式図である。図11Bは、桿体細胞(緑色)、S錐体(赤色)およびL/M錐体(赤紫色)の免疫染色を示す(核は、DAPIによって染色され、画像は、2回の実験の代表的画像であり、実験はそれぞれ、少なくとも3つの網膜オルガノイドを備えていた)。
詳細な説明
I.用語の説明
以下の用語の説明は、本開示をより良く説明し、本開示を実施できるよう当業者を導くために提供される。本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味し、単数形「1つの(a)」または「1つの(an)」または「その(the)」は、文脈によって別段明示されない限り、複数の言及対象を含む。「または」という用語は、文脈により別段明示されない限り、記述された代替要素の単一要素、または2つもしくはそれよりも多い要素の組合せを指す。
別段説明されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似のまたは均等な方法および材料を、本開示の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。材料、方法、および例は、別段の指示がない限り、単なる例であり、限定することを企図されない。本開示の他の特色は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかである。
別段の指示がない限り、成分の量、分子量、パーセンテージ、温度、時間などを表すすべての数値は、本明細書または特許請求の範囲で使用される場合、「約」という用語によって修正されると理解されるべきである。したがって別段の指示がない限り、暗示的にも明確にも、記載される数値パラメーターは、求められる所望の特性および/または標準試験条件/方法下での検出限界に応じて変わることができる近似である。論じられている従来技術から実施形態を直接的に明確に区別する場合の実施形態の数値は、「約」という用語が列挙されていない限り、近似ではない。さらに、本明細書に列挙されるすべての代替物が均等物であるというわけではない。
本明細書に開示される化合物の実施形態は、1つまたは複数の不斉要素、例えば、不斉中心、不斉軸など、例えば不斉炭素原子を含有することができ、したがって、様々な立体異性体で化学コンジュゲートが存在することができる。これらの化合物の実施形態は、例えば、ラセミ体または光学的に活性な形態であってもよい。加えて、2つまたはそれよりも多い不斉要素を有する化合物の実施形態について、これらの化合物の実施形態は、ジアステレオマーの混合物であってもよい。不斉中心を有する化合物の実施形態について、純粋形態のすべての光学異性体およびそれらの混合物は、文脈により別段明示されていないか、または異性体を除く明確な記述が提供されていない限り、対応する一般式によって包含される。こうした文脈では、単一鏡像異性体、すなわち光学的に活性な形態は、当業者に公知の方法、例えば不斉合成、光学的に純粋な前駆体からの合成によって、またはラセミ体の分割によって得ることができる。またラセミ体の分割は、例えば、従来の方法、例えば分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを使用するクロマトグラフィーによって達成することができる。本明細書では、異性体を得るために使用される方法に関わらず、すべての異性体が考慮される。
活性剤のすべての形態(例えば、溶媒和物、光学異性体、鏡像異性体、多形、遊離化合物および塩)が、単独または組合せのいずれかで用いられ得る。本明細書で使用される立体化学の定義および慣習は、一般に、S. P. Parker, Ed., McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York、およびEliel, E. and Wilen, S., Stereochemistry of Organic Compounds (1994) John Wiley & Sons, Inc., New Yorkに従う。多くの有機化合物が、光学的に活性な形態で存在し、すなわち、平面偏光の平面を回転させる能力を有している。光学的に活性な化合物の記載において、そのキラル中心周りの分子の絶対配置を示すために、接頭辞(+/-)DおよびLまたはRおよびSが使用される。接頭辞dおよびlまたは(+)および(-)は、化合物による平面偏光の回転符号を指定するために用いられ、(-)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。接頭辞(+)またはdを有する化合物は、右旋性である。
本開示の様々な実施形態の概説を促進するために、具体的な用語の説明を以下に提供する。ある特定の、官能基についての用語には、定義された官能基が、それが結合する化合物にまたはその中にどのように結合するかを示すために使用される記号「-」が含まれる。
また、本明細書に記載されるある特定の式において使用される、破線で示された結合(すなわち、「---」)は、結合(および一部の実施形態では置換基)が存在していても存在していなくてもよいという意味で、水素以外の式の置換基または原子との「必要に応じた」結合を示す。破線で示された結合を含む任意の式において、必要に応じた結合および/または任意の対応する置換基が存在しない場合には、それに結合している任意の原子の原子価の要件は、水素原子との結合によって満たされる。単なる例として、次式において、ピリジン環の炭素原子とR’基との間の破線で示された結合は、存在していてもよく、またはこの結合およびR’置換基は存在していなくてもよく、その代わりに水素原子との結合が存在する。また、式の縮合環における破線で示された結合は、二重結合が存在していても存在していなくてもよく、存在しない場合には単結合が存在し、対応する炭素原子が、それに既に結合している任意の他の置換基に加えて水素原子に結合していることを示す。さらに、この特定の式に関して、rが0である場合には(本明細書で提供される通り)、ピリジンの各炭素原子の原子価は、その代わり縮合環とは反対に水素との結合によって満たされる。
Figure 2023532134000003
記号「
Figure 2023532134000004
」は、本明細書で提供される簡略構造/式における結合の中断を示すために使用される。当業者は、以下に提供される定義ならびに本明細書に含まれる化合物および式が、許容されない置換パターン(例えば、5個の異なる基で置換されているメチルなど)を含むことを企図されないことを認識されよう。このような許容されない置換パターンは、当業者によって容易に認識される。本明細書に開示される式および化合物において、官能基または他の原子がどこにも示されていなくても、水素原子が存在しており、任意の正式な原子価の要件を満たしている(しかし、必ずしも示されていないことがある)。例えば、
Figure 2023532134000005
として図示されるフェニル環は、水素原子が示されていなくても、「a」の炭素以外のフェニル環の各炭素原子に結合している水素原子を含んでいる。本明細書に開示されるかつ/または先に定義される任意の官能基は、本明細書で別段の指示がない限り、置換されていても置換されていなくてもよい。本明細書に記載される任意の化合物の実施形態は、本明細書で別段の指示がない限り、重水素化されていても重水素化されていなくてもよい。化合物を重水素化することができる適切な位置は、当業者によって容易に認識される。
当業者は、化合物が、互変異性、立体配座異性、幾何異性、および/または光学異性の現象を示し得ることを認識されよう。例えば、開示されるある特定の化合物は、1つまたは複数のキラル中心および/または二重結合を含むことができ、結果として、立体異性体、例えば二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、鏡像異性体、ジアステレオマー、およびそれらの混合物、例えばラセミ混合物として存在することができる。別の例として、開示されるある特定の化合物は、エノール型、ケト型、およびそれらの混合物を含めたいくつかの互変異性体で存在することができる。本明細書および特許請求の範囲における様々な化合物の名称、式および化合物の図は、可能な互変異性体、立体配座異性体、光学異性体、または幾何異性体の1つだけを表すことができるので、当業者は、開示される化合物が、本明細書に記載される化合物の任意の互変異性体、立体配座異性体、光学異性体、および/または幾何異性体、ならびにこれらの様々な異なる異性体の混合物を包含することを認識されよう。鏡像異性体および/または立体異性体の混合物を含めた、異なる異性体の混合物は、特に本発明の利益を受ける当業者に公知の技術を使用して分離して、それぞれ別個の鏡像異性体および/または立体異性体を提供することができる。回転が制御されている場合、例えば、アミド結合の周り、またはピリジニル環、ビフェニル基などの直接結合している2つの環の間では、アトロプ異性体も可能であり、やはり本明細書に開示される化合物に特に含まれる。
任意の実施形態では、化合物に、または化合物の特定の基もしくは部分に存在するありとあらゆる水素は、重水素またはトリチウムによって置き換えられていてもよい。したがって、アルキルの列挙には、重水素化されたアルキルが含まれ、その場合、存在する1個から最大個数の水素が、重水素によって置き換えられていてもよい。例えば、メチルは、CH、またはCD3-xなどにおいて1~3個の水素が重水素によって置き換えられているCHの両方を指す。
本明細書で使用される場合、「置換されている」という用語は、ある用語においてそれに続くすべての修飾語句を指し、例えば「置換されている脂肪族-芳香族」という用語において、置換は、「脂肪族」部分、「芳香族」部分または脂肪族-芳香族基の両方の部分上で生じ得る。
「置換されている」とは、特定の基または部分を修飾するために使用される場合、特定の基または部分の少なくとも1個、おそらくは2個またはそれよりも多い水素原子が、独立に、同じまたは異なる置換基で置き換えられていることを意味する。特定の実施形態では、基、部分、または置換基は、「置換されていない」または「置換されている」のいずれかとして明確に定義されていない限り、置換されていても置換されていなくてもよい。したがって、本明細書で特定される官能基のいずれも、文脈により別段指定されないか、または特定の構造式が置換を除外していない限り、置換されていても置換されていなくてもよい。特定の実施形態では、置換基は、置換されているとして明確に定義されていてもされていなくてもよいが、やはり、必要に応じて置換されていることが考慮される。例えば、「脂肪族」または「環式」部分は、置換されていても置換されていなくてもよいが、「置換されていない脂肪族」または「置換されていない環式」は、置換されていない。一実施形態では、置換されている基は、少なくとも1個の置換基から、特定の部分について可能な最大数までの置換基、例えば1個の置換基、2個の置換基、3個の置換基、または4個の置換基を有する。
本明細書で定義される任意の基または部分は、その基または部分と構造のその他の部分との結合が明確に記述されていないか、または文脈によって暗示されていない限り、例えば原子価の規則を考慮し、例示的な種と比較し、および/または官能性を考慮することによって当業者に理解され得る通り、開示される構造、例えば親またはコア構造の任意の他の部分に結合していてもよい。
アシル:-C(O)R(Rは、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
ハロゲン化アシル:-C(O)X(Xは、ハロゲン、例えばBr、F、I、またはClである)。
加齢黄斑変性(AMD):米国および他の先進工業国における失明の主原因である疾患。(Evans J, Wormald R., British Journal Ophthalmology 80:9-14, 1996、Klein R, Klein B E K, Linton K L P, Ophthalmology 99:933-943, 1992、Vingerling J R, Ophthalmology 102:205-210, 1995)。初期AMDは、網膜色素上皮(RPE)の真下に位置する、タンパク質、脂質、および細胞片の細胞外沈着物であるドルーゼンによって臨床的に特徴付けられる(Hageman G S, Mullins R F, Mol Vis 5:28, 1999)。RPEは、その上を覆う光受容体のために栄養的、代謝的、および食作用的機能を提供する。著しい視覚喪失は、AMDの後期と関連する、黄斑における光受容体の機能不全または死滅(網膜色素上皮細胞の地図状萎縮および網膜下新血管新生)から生じる。
アルデヒド:-C(O)H。
脂肪族:少なくとも1個の炭素原子~50個の炭素原子(C1~50)、例えば1~25個の炭素原子(C1~25)、または1~10個の炭素原子(C1~10)を有し、アルカン(またはアルキル)、アルケン(またはアルケニル)、アルキン(またはアルキニル)を含む(その環式基を含み、さらに直鎖および分枝鎖配置、ならびにすべての立体異性体および位置異性体も同様に含む)、炭化水素基。
アルケニル:少なくとも2個の炭素原子~50個の炭素原子(C2~50)、例えば2~25個の炭素原子(C2~25)、または2~10個の炭素原子(C2~10)、および少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する、一価の不飽和炭化水素(一価の不飽和炭化水素は、親アルケンの1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導することができる)。アルケニル基は、分枝、直鎖、環式(例えば、シクロアルケニル)、シス、またはトランス(例えば、EまたはZ)であってもよい。
アルコキシ:-O-脂肪族、例えば-O-アルキル、-O-アルケニル、-O-アルキニル。例示的な実施形態には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシが含まれるが、それらに限定されない(このような基の脂肪族成分のいずれかは、二重結合も三重結合も含むことができないか、または1つもしくは複数の二重結合および/もしくは三重結合を含むことができる)。
アルキル:少なくとも1個の炭素原子~50個の炭素原子(C1~50)、例えば1~25個の炭素原子(C1~25)、または1~10個の炭素原子(C1~10)を有する、一価の飽和炭化水素(一価の飽和炭化水素は、親化合物(例えば、アルカン)の1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導することができる)。アルキル基は、分枝、直鎖、または環式(例えば、シクロアルキル)であってもよい。
アルキニル:少なくとも2個の炭素原子~50個の炭素原子(C2~50)、例えば2~25個の炭素原子(C2~25)、または2~10個の炭素原子(C2~10)、および少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する、一価の不飽和炭化水素(一価の不飽和炭化水素は、親アルキンの1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導することができる)。アルキニル基は、分枝、直鎖、または環式(例えば、シクロアルキニル)であってもよい。
アミド:-C(O)NRまたは-NRC(O)R(RおよびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
アミノ:-NR(RおよびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
芳香族:別段特定されない限り、単一の環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(そのうちの少なくとも1つの環は、芳香族(例えば、ナフチル、インドリル、またはピラゾロピリジニル)であり、すなわち、少なくとも1つの環、および必要に応じて複数の縮合環は、連続的な非局在化π電子系を有する)を有する、5~15個の環原子のコンジュゲートした環式基または環式部分。典型的に、面外π電子の数は、ヒュッケル則(4n+2)に対応する。親構造への結合点は、典型的に、縮合環系の芳香族部分を介する。例えば、
Figure 2023532134000006
。しかし、ある特定の例では、文脈または明確な開示により、結合点が縮合環系の非芳香族部分を介することが示されることがある。例えば、
Figure 2023532134000007
。芳香族基または芳香族部分は、アリール基もしくはアリール部分などにおいて、環中に炭素原子だけを含み得るか、またはヘテロアリール基もしくはヘテロアリール部分などにおいて、1つもしくは複数の環炭素原子、および孤立電子対を含む1つもしくは複数の環ヘテロ原子(例えば、S、O、N、P、またはSi)を含み得る。芳香族基は、水素以外の1つまたは複数の基、例えば脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基で置換されていてもよい。
アリール:少なくとも5個の炭素原子~15個の炭素原子(C~C15)、例えば5~10個の炭素原子(C~C10)を含み、単一の環または複数の縮合環(縮合環は、本明細書に開示される化合物の残りの位置への結合点が、芳香族炭素環式基の原子を介するという条件で、芳香族であっても芳香族でなくてもよい)を有する、芳香族炭素環式基。アリール基は、水素以外の1つまたは複数の基、例えば脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基で置換されていてもよい。
アロキシ(aroxy):-O-芳香族。
アゾ:-N=NR(Rは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基である)。
カルバメート:-OC(O)NR(RおよびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
カルボキシル:-C(O)OH。
カルボキシレート:-C(O)Oまたはその塩(カルボキシレート基の負電荷は、対イオンMと平衡状態であり得、Mは、アルカリイオン、例えばK、Na、Li、アンモニウムイオン、例えばN(R(Rは、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族または芳香族である)、またはアルカリ土類イオン、例えば[Ca2+0.5、[Mg2+0.5もしくは[Ba2+0.5であってもよい)。
担体:本明細書に記載される化合物を送達することができる成分として働く賦形剤。一部の実施形態では、担体は、懸濁助剤、溶解補助剤、またはエアロゾル化助剤であってもよい。一般に、担体の性質は、用いられる特定の投与方法に応じて決まる。例えば、非経口製剤は、通常、ビヒクルとして薬学的および生理的に許容される流体、例えば水、生理食塩水、平衡塩溶液、ブドウ糖水溶液、グリセロールなどを含む、注射可能な流体を含む。いくつかの例では、薬学的に許容される担体は、対象への投与(例えば、非経口、筋肉内、または皮下注射による)に適したものになるように滅菌され得る。投与されることになる医薬製剤は、生物学的に中性の担体に加えて、少量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤など、例えば酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタンを含有することができる。
全脈絡膜萎縮(Chorioderemia):男性に影響を及ぼす遺伝性網膜変性のX連鎖性劣性形態。この疾患は、小児期の夜盲から始まる漸進的失明を引き起こし、続いて周辺視野が喪失し、後年に中心視野の喪失に進行する。全脈絡膜萎縮は、Rabタンパク質の脂質修飾に関与するタンパク質であるRabエスコートタンパク質1(REP1)をコードするCHM遺伝子の機能喪失型突然変異によって引き起こされる。全脈絡膜萎縮の前触れを有する多くの個体の初期症状は、夜間視力の著しい喪失である。周辺視野の喪失は、徐々に生じ、視覚喪失の一環として始まり、続いて成人期の「トンネル状視野」に進行する。全脈絡膜萎縮を有する個体は、40歳代までは良好な視覚を維持する傾向があるが、最終的に50~70歳になるときにはすべての視力を喪失する。
錐体桿体ジストロフィー:小児期に生じることが多い錐体桿体ジストロフィーの初期徴候および症状は、通常、視覚の鮮明さ(視力)の低下および光への感受性の増大(羞明)である。典型的に、これらの特色に続いて、色覚障害(色弱)、視野中心の盲点(暗点)、および部分的な側面(周辺)視野喪失が生じる。罹患した個体は、経時的に夜盲およびそれらの周辺視野の悪化を発症し、それによって一人での移動が制限されることがある。錐体ジストロフィーは、暗順応機能の保存を伴う、明順応系の進行性機能不全によって特徴付けられる。異常な桿体機能は、初発症状の一部であり得るが、桿体関与は、重症度が低いか、または錐体機能不全よりも遅く生じ得る。30種類を超える錐体桿体ジストロフィーが存在し、それらの遺伝的原因、ならびにそれらの遺伝パターン:常染色体劣性、常染色体優性およびX連鎖性によって区別される。30種類を超える遺伝子の突然変異が、錐体桿体ジストロフィーを引き起こすことが公知である。これらの遺伝子のうちのおよそ20種類は、常染色体劣性パターンの遺伝性の錐体桿体ジストロフィーの形態と関連する。GUCY2DおよびCRX遺伝子の突然変異は、この疾患の常染色体優性型の約半分を占める。
シアノ:-CN。
ジスルフィド:-SSR(Rは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
ジチオカルボン酸:-C(S)SR(Rは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
有効量:薬剤で処置される対象または細胞において所望の効果を達成するのに十分な、特定の医薬品または治療剤の量。核酸分子などの薬剤の有効量は、以下に限定されないが、処置される対象または細胞、および治療組成物の投与方式を含めたいくつかの因子に依存して決まる。有効量は、網膜症を有する対象を処置するのに十分な量であり得る。
エステル:-C(O)ORまたは-OC(O)R(Rは、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
エーテル:-脂肪族-O-脂肪族、-脂肪族-O-芳香族、-芳香族-O-脂肪族、または-芳香族-O-芳香族。
ハロ(またはハライドまたはハロゲン):フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード。
ハロ脂肪族:1つまたは複数の水素原子、例えば1~10個の水素原子が、独立に、ハロゲン原子、例えばフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードで置き換えられている、脂肪族基。
ハロアルキル:1つまたは複数の水素原子、例えば1~10個の水素原子が、独立に、ハロゲン原子、例えばフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードで置き換えられている、アルキル基。独立な実施形態では、ハロアルキルは、CX基(各Xは、独立に、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードから選択することができる)であってもよい。
ヘテロ脂肪族:以下に限定されないが、基における酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、亜リン酸、およびそれらの酸化形態から選択することができる少なくとも1個のヘテロ原子~20個のヘテロ原子、例えば1~15個のヘテロ原子、または1~5個のヘテロ原子を含む脂肪族基。アルコキシ、エーテル、アミノ、ジスルフィド、ペルオキシ、およびチオエーテル基は、ヘテロ脂肪族の例示的な(ただし非限定的な)例である。一部の実施形態では、例えばヘテロ脂肪族基が複素環式基である場合、フルオロフォアは、本明細書ではヘテロ脂肪族基と記載することもできる。
ヘテロアリール:以下に限定されないが、環における酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、亜リン酸、およびそれらの酸化形態から選択することができる少なくとも1個のヘテロ原子~6個のヘテロ原子、例えば1~4個のヘテロ原子を含むアリール基。このようなヘテロアリール基は、単一の環または複数の縮合環(縮合環は、結合点が、芳香族ヘテロアリール基の原子を介するという条件で、芳香族であっても芳香族でなくてもよく、かつ/またはヘテロ原子を含有していても含有していなくてもよい)を有することができる。ヘテロアリール基は、水素以外の1つまたは複数の基、例えば脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基で置換されていてもよい。一部の実施形態では、フルオロフォアは、本明細書ではヘテロアリール基と記載することもできる。
ヘテロ原子:炭素または水素以外の原子、例えば(以下に限定されない)酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、セレン、または亜リン酸。特に開示される実施形態では、例えば原子価の制約により認められない場合、ヘテロ原子は、ハロゲン原子を含まない。
阻害:例えば、網膜症、例えば以下に限定されないがLCAまたはAMDなどの疾患のリスクがある対象において、疾患または状態の完全な発症を阻害すること。
眼内投与:薬剤を、例えば硝子体もしくは前房に送達することによって、または網膜下に、局所的に目に直接的に投与すること。間接的眼内送達(例えば、角膜を介する拡散による)は、目への直接投与ではない。
硝子体内投与:薬剤を硝子体腔に投与すること。硝子体腔は、その前縁として水晶体およびその懸垂系(チン小帯)を有し、周縁として網膜およびその被膜を有する、目の中核の体積の大部分を占める空間である。硝子体内投与は、注射、ポンプ注入、またはインプラントによって達成することができる。
レーバー先天黒内障(LCA):出生時または人生の初期段階(乳児期または幼児期)に出現し、主に網膜に影響を及ぼす、遺伝性の眼の希少疾患。その症状は、複数の遺伝子と関連するため、ばらつきがあり得る。しかし、眼振、羞明、遅鈍または瞳孔応答なし、および重症の視覚喪失または失明によって特徴付けられる。一般的な遺伝様式は、常染色体劣性および常染色体優性である。
通常、目に入ってくる光の量に応答して伸縮する瞳孔が、光に対して正常に反応しない。その代わり、瞳孔は、正常状態よりもゆっくり伸縮するか、または光に対して全く応答できなくなる。加えて、目の前面の透明な被覆(角膜)が錐体形になり、異常に薄くなることがあり、これは円錐角膜として公知の状態である。
Franceschettiの目-手指徴候(oculo-digital sign)と呼ばれる特異的挙動は、レーバー先天黒内障の特徴である。この徴候は、指関節または手指で目をつつく、押す、および擦ることからなる。
オプシン:網膜の光受容細胞に見出されるレチナール発色団(またはバリアント)により感光性にされたタンパク質群の一員。オプシンは、光伝達タンパク質である。哺乳動物のオプシンは、Gタンパク質受容体スーパーファミリーの7回膜貫通タンパク質である。脊椎動物および刺胞動物に見出される繊毛(c)オプシンは、桿体および錐体などの繊毛構造に結合している。感桿型オプシンは、感桿分体と呼ばれる集光小器官に結合している。繊毛オプシン(またはcオプシン)は、繊毛の光受容細胞に発現し、これには脊椎動物の視覚型オプシンおよび脳のオプシンが含まれる。これらのオプシンは、細胞膜を隔てて電荷の差が増大する(過分極)ことによって作用する環式ヌクレオチド依存性イオンチャネルを介して、光信号を神経インパルスに変換する。脊椎動物は、典型的に、最初の脊椎動物から遺伝した(したがって最初の脊椎動物よりも前に存在する)4種の錐体オプシン(長波感受性(LWS)、短波感受性(SWS)1、SWS2、およびロドプシン様(Rh)2)、ならびに桿体オプシン、ロドプシン(Rh1)を有する。ヒトでは、RHOは、桿体細胞に発現するオプシンである。ヒト錐体細胞は、以下を発現する。
a)長波感受性(OPN1LW)オプシン:電磁スペクトルの黄色-緑色領域における560nmのλmax、「赤色オプシン」、「赤錐体色素(erythrolabe)」、「Lオプシン」または「LWSオプシン」とも呼ばれる。
b)中波感受性(OPN1MW)オプシン:電磁スペクトルの緑色領域における530nmのλmax、「緑色オプシン」、「緑錐体色素(chlorolabe)」、「Mオプシン」または「MWSオプシン」とも呼ばれる。
c)短波感受性(OPN1SW)オプシン:電磁スペクトルの青色領域における430nmのλmax、「青色オプシン」、「青錐体色素(cyanolabe)」、「Sオプシン」、「オプシン-S」または「SWSオプシン」とも呼ばれる。
有機官能基:脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ハロ脂肪族、および/またはハロ複素芳香族基の任意の組合せによって提供され得るか、あるいは以下に限定されないが、アルデヒド、アロキシ、ハロゲン化アシル、ニトロ、シアノ、アジド、カルボキシル(またはカルボキシレート)、アミド、アシル、カーボネート、イミン、アゾ、カルバメート、ヒドロキシル、チオール、スルホニル(またはスルホネート)、オキシム、エステル、チオシアネート、チオアシル、チオカルボン酸、チオエステル、ジチオカルボン酸もしくはジチオカルボン酸エステル、ホスホネート、ホスフェート、シリルエーテル、スルフィニル、チアール、またはそれらの組合せから選択され得る官能基。
オキシム:-CR=NOH(Rは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基である)。
ペルオキシ:-O-OR(Rは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基である)。
薬学的に許容される賦形剤:化合物の製剤に含まれる、化合物以外の物質。本明細書で使用される場合、賦形剤は、医薬組成物の粒子内に組み込まれていてもよく、または医薬組成物の粒子と物理的に混合されていてもよい。賦形剤はまた、溶液、懸濁液、エマルションなどの形態であってもよい。賦形剤は、例えば、活性剤を希釈するため、および/または医薬組成物の特性を修正するために使用することができる。賦形剤には、抗接着剤、結合剤、コーティング、腸溶コーティング、崩壊剤、香味剤、甘味剤、着色剤、滑沢剤、流動促進剤、吸着剤、防腐剤、アジュバント、担体またはビヒクルが含まれていてもよいが、それらに限定されない。賦形剤は、デンプンおよび加工デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体、糖類およびそれらの誘導体、例えば二糖類、多糖類および糖アルコール、タンパク質、合成ポリマー、架橋ポリマー、抗酸化剤、アミノ酸または防腐剤であり得る。例示的な賦形剤として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、植物性ステアリン酸、スクロース、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(ビタミンE TPGS、またはTPGSとしても公知)、カルボキシメチルセルロース、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニル、セレン、システイン、メチオニン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、糖、シリカ、タルク、炭酸マグネシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、タートラジン、アスパルテーム、塩化ベンザルコニウム、ゴマ油、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸ナトリウムまたはラノリンが挙げられるが、それらに限定されない。独立な実施形態では、水は、薬学的に許容される賦形剤として企図されない。
薬学的に許容される塩:当業者に公知の通り、様々な有機および無機対イオンから誘導され、単なる例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが含まれ、分子が塩基性官能基を含有する場合には、有機または無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などが含まれる、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される塩。「薬学的に許容される酸付加塩」は、酸パートナーによって形成されると同時に、遊離塩基の生物学的効果を保持している、「薬学的に許容される塩」のサブセットである。特に、開示される化合物の実施形態は、以下に限定されないが、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、ならびに有機酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含めた、薬学的に許容される様々な酸と塩を形成する。「薬学的に許容される塩基付加塩」は、無機塩基から誘導される「薬学的に許容される塩」、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などのサブセットである。例示的な塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩である。薬学的に許容される有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級および第三級アミン、自然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環式アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂の塩などが含まれるが、それらに限定されない。例示的な有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、およびカフェインである。(例えば、参照により本明細書に組み込まれるS. M. Berge, et al., "Pharmaceutical Salts," J. Pharm. Sci., 1977; 66:1-19を参照されたい)。
ホスフェート:-O-P(O)(OR(各Rは、独立に、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族もしくは有機官能基であり、または1つもしくは複数のR基は、存在せず、したがってホスフェート基は、対イオンMによって平衡状態になり得る少なくとも1つの負電荷を有し、各Mは、独立に、アルカリイオン、例えばK、Na、Li、アンモニウムイオン、例えばN(R(Rは、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族または芳香族である)、またはアルカリ土類イオン、例えば[Ca2+0.5、[Mg2+0.5もしくは[Ba2+0.5であってもよい)。
ホスホネート:-P(O)(OR(各Rは、独立に、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族もしくは有機官能基であり、または1つもしくは複数のR基は、存在せず、したがってホスフェート(phosphate)基は、対イオンMによって平衡状態になり得る少なくとも1つの負電荷を有し、各Mは、独立に、アルカリイオン、例えばK、Na、Li、アンモニウムイオン、例えばN(R(Rは、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族または芳香族である)、またはアルカリ土類イオン、例えば[Ca2+0.5、[Mg2+0.5もしくは[Ba2+0.5であってもよい)。
光網膜症:太陽放射または他の明るい光、例えばレーザーまたはアーク溶接機への長時間曝露による網膜、例えば黄斑への損傷。この用語は、日光、レーザー、および溶接機の網膜症を含む。一部の実施形態では、光網膜症は、強烈な人工光または太陽光によって引き起こされる。光は、紫外線(UV-B、295~320nm;UV-A、320~400nm)または可視光線(400~700nm)であってもよい。光毒性損傷は、網膜色素上皮細胞、脈絡膜、および桿体外節で生じることがある。光網膜症は、長期間にわたる視力低下、および中心暗点または傍中心暗点をもたらす。眼底変化は、通常(常にではないが)、両側性である。
プロドラッグ:最も典型的には、例えば腸内加水分解または酵素的変換によってin vivoで変換されて、生物学的に活性な化合物、特に親化合物をもたらす、本明細書に開示される化合物の実施形態。プロドラッグ部分の一般的な例として、カルボン酸部分を担持する活性形態を有する化合物の、薬学的に許容されるエステルおよびアミド形態が挙げられるが、それらに限定されない。本開示の化合物の実施形態の薬学的に許容されるエステルの例として、ホスフェート基およびカルボン酸のエステル、例えば脂肪族エステル、特にアルキルエステル(例えばC1~6アルキルエステル)が挙げられるが、それらに限定されない。他のプロドラッグ部分には、リン酸エステル、例えば-CH-O-P(O)(ORまたはその塩(Rは、水素または脂肪族(例えば、C1~6アルキル)である)が含まれる。許容されるエステルには、シクロアルキルエステルおよびアリールアルキルエステル、例えばベンジルも含まれるが、それに限定されない。本開示の化合物の実施形態の薬学的に許容されるアミドの例として、第一級アミド、ならびに第二級および第三級アルキルアミド(例えば1~6個の間の炭素を有する)が挙げられるが、それらに限定されない。本開示による化合物の実施形態の、開示される例示的な実施形態のアミドおよびエステルは、従来の方法に従って調製することができる。プロドラッグの徹底的な議論は、T. Higuchi and V. Stella, "Pro-drugs as Novel Delivery Systems," Vol 14 of the A.C.S. Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に提供されており、これらは共に参照により本明細書に組み込まれる。
網膜:光に対する光受容体(錐体および桿体)を含有する、光(光子)に感受性の目の部分。網膜の層は、a)内境界膜、b)視神経線維層、c)神経節細胞層、d)内網状層、e)内顆粒層、f)外網状層、g)外顆粒層、h)外境界(limtans)膜、i)桿体錐体層(光受容体の内節および外節)、およびj)網膜色素上皮を含む。野生型(非疾患状態の)成人ヒトでは、網膜全体は、直径約22mmの球のおよそ72%である。網膜全体は、約700万の錐体および7500万~1.5億の桿体を含有する。桿体および錐体は、視覚サイクルを開始する光伝達タンパク質である感光性色素の使用により光を知覚し、したがって、桿体および錐体は、視覚(vison)を形成する光受容体である。感光性色素には、オプシンと呼ばれるタンパク質およびビタミンAのバリアントであるレチナールと呼ばれる発色団が含まれる。桿体はロドプシンを含有し、一方錐体は、錐体オプシン、例えばSオプシン、MオプシンおよびLオプシンを含有する。桿体および錐体は、網膜の出力細胞および神経節細胞において神経放電を誘発する連続的ニューロンを介して信号を伝達する。視覚信号は、視神経によって外側膝状体に伝えられ、そこから視覚信号が視覚野(後頭葉)に伝わり、視覚刺激として登録される。「桿体細胞」または「桿体」は、目の網膜の光受容細胞であるが、視覚光受容体の他方の種類の錐体細胞よりも強烈でない光において機能することができる。桿体は、網膜の外縁に集中しており、周辺視野で使用される。桿体は、錐体よりもわずかに長く細いが、同じ構造基盤を有する。オプシンまたは色素は、網膜色素上皮に隣接して外側に存在し、細胞のホメオスタシスを完成させる。この上皮の端部は、スタックされた多くのディスクを含有している。桿体は、視色素のための大きな領域を有しており、したがって実質的な光吸収効率を有する。桿体細胞は、錐体と同様に、シナプス終末、内節、および外節を有する。シナプス終末は、別のニューロン、例えば双極細胞とシナプスを形成する。内節および外節は、末節に一列に並んでいる結合繊毛によって結合している。内節は、小器官および細胞核を含有しており、一方、眼の後部に向かう桿体外節は、光を吸収する物質を含有している。光による感光色素の活性化は、桿体細胞を過分極させることによって信号を送り、桿体細胞がその神経伝達物質を送らないようにし、それが双極細胞につながり、次にその伝達物質を双極神経節シナプスで放出し、シナプスを興奮させる。「錐体細胞」または「錐体」は、色覚に関与する光受容体であり、相対的に明るい光で最も良好に機能する。錐体細胞は、中心窩に高密度に詰まっており、この中心窩は、桿体を含まない直径0.3mmの領域であり、非常に細く高密度に詰まっている錐体(網膜末梢に向かって数が急速に減少する)を有する。ヒトの目には、約600~700万の錐体が存在し、黄斑に向かって最も集中している。錐体は、網膜の桿体細胞(微光レベルで視覚を支える)よりも光に対して感受性が低いが、色の知覚を可能にする。錐体はまた、刺激に対するそれらの応答時間が、桿体の応答時間よりも急速なので、画像のより微細な詳細およびより急速な変化を知覚することができる。ヒトでは、錐体は、普通、それぞれ異なる色素を有する3種類、すなわちS-錐体、M-錐体およびL-錐体のうちの1種である。したがって各錐体は、短波長、中波長および長波長光に対応する可視波長の光に対して感受性がある。3種類は、個体に応じて、それぞれ420~440nm、534~545nmおよび564~580nmに近いピーク波長を有する。
網膜色素上皮:哺乳動物においてin vivoで存在する、下層の脈絡膜に結合している感覚神経網膜のすぐ外側にある六角形細胞の色素上皮層。これらの細胞は、色素顆粒が高密度に詰まっており、入射光から網膜を保護する。網膜色素上皮はまた、脈絡膜の血液媒介性物質に対する堅固なバリアであり続けながら、小分子、例えばアミノ酸、アスコルビン酸およびD-グルコースを供給することによって、網膜環境を維持する輸送制限因子として働く。
網膜色素変性(RP):網膜の桿体光受容細胞の進行性変性に起因して重症の視覚機能障害を引き起こす、眼の遺伝性変性疾患。この形態の網膜ジストロフィーは、年齢とは独立な初期症状を現す。網膜色素変性の初期の網膜変性症状は、夜間視力の低下(夜盲症)および中心~周辺視野の喪失によって特徴付けられる。微光視覚に関与し、網膜末梢に配向されている桿体光受容細胞は、この疾患の非症候性形態の間に最初に影響を受ける網膜プロセスである。視覚低下は、遠周辺視野において相対的に急速に進行し、最終的にはトンネル状視野が増大すると中心視野にまで及ぶ。視力および色覚は、中心視野の色覚、視力、および視界に関与する錐体光受容細胞において随伴する異常に起因して損なわれることがある。疾患症状の進行は、対称な様式で進行し、左目および右目の両方が類似の速度で症状を経験する。変異すると網膜色素変性の表現型を引き起こすことがある、複数の遺伝子が存在する。RPの遺伝パターンは、常染色体優性、常染色体劣性、X連鎖性、および母方から(ミトコンドリアを通じて)獲得されたものとして特定されており、親世代に存在する特異的RP遺伝子突然変異に依存して決まる。
ロドプシン:視覚光伝達に関与する感光性Gタンパク質共役受容体タンパク質。ロドプシンは、桿体視覚オプシンとも呼ばれるタンパク質分子と、レチナールと呼ばれる共有結合により結合した補因子の、2種の成分からなる。桿体視覚オプシンは、タンパク質の7回膜貫通ドメインを使用して細胞膜の脂質二重層に包埋されている、感光性Gタンパク質共役受容体であるオプシンである。これらのドメインはポケットを形成しており、そのポケットに、光反応性発色団であるレチナールが細胞膜と水平に並んでおり、このタンパク質の7回膜貫通ドメインのリシン残基に連結している。数千ものロドプシン分子が、ホスト桿体細胞の各外節ディスクに見出される。レチナールは、食事性ベータ-カロテン由来のビタミンAから、網膜で生成される。光による11-cis-レチナールからall-trans-レチナールへの異性化は、オプシンにおいて一連のコンフォメーション変化(「漂白」)を始動させ、最終的にはそれをメタロドプシンII(メタII)と呼ばれる形態にし、これが関連Gタンパク質であるトランスデューシンを活性化して、環状グアノシン一リン酸(cGMP)のセカンドメッセンジャーカスケードを誘発する。例示的なヒトロドプシンタンパク質配列は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年6月1日に入手可能になったGENBANK(登録商標)受託番号NP_000530に開示されており、ヒトロドプシンをコードする例示的なmRNAは、参照により本明細書に組み込まれる、2020年6月1日に入手可能になったGENBANK(登録商標)受託番号NM_000539に開示されている。
桿体環状GMPホスホジエステラーゼ6β(PDE6β):PDE6B遺伝子によってコードされるタンパク質複合体PDE6のベータサブユニット。PDE6は、視覚信号の伝達および増幅において非常に重要であり、このサブユニットの突然変異は、網膜色素変性または先天性停止性(statutory)夜盲などにおける網膜変性(degermation)の原因となる。例示的なヒトオルソログは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2020年6月1日に入手可能になったGENBANK(登録商標)受託番号NM_000283(mRNA)およびNP_000274(タンパク質)に開示されている。
シリルエーテル:-OSiR(RおよびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
シュタルガルト病:最も一般的な単一遺伝子の遺伝性網膜疾患である若年性黄斑変性としても公知の疾患。シュタルガルト病は、通常、ABCA4遺伝子の突然変異によって引き起こされる常染色体劣性遺伝を有している。シュタルガルト病は、まれに、ELOVL4またはPROM1遺伝子の欠陥に起因する常染色体優性遺伝を有している。シュタルガルト病は、小児期、青年期または成人期に始まり、進行性失明をもたらす黄斑変性によって特徴付けられる。
症状は、通常、小児期または青年期に生じるが、症状に関して年齢の上限はない。主な症状は、眼鏡では矯正不可能な視力喪失である。視覚喪失は、通常、読むまたは遠くの物を見るときの、微細な詳細を見る能力の喪失として現れる。症状は、典型的に、20歳よりも前に発症し(発生の年齢中央値:約17歳)、症状には見え方の波状歪み(wavy vision)、盲点、かすみ、奥行き知覚の喪失、まぶしさに対する感受性、色覚障害、および薄暗い光への順応障害(暗順応の遅延)が含まれる。周辺視野は、通常、緻密な中心(窩)視野ほどは影響を受けない。
対象:哺乳動物および他の動物、例えばヒト、ペット(例えば、イヌ、ネコ、ウサギなど)、役畜、および飼育動物。したがって、開示される方法は、ヒト治療および獣医学的適用の両方に適用できる。
スルフィニル:-S(O)R(Rは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
スルホニル:-SO(Rは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
スルホンアミド:-SONRまたは-N(R)SO(RおよびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
スルホネート:-SO (スルホネート基の負電荷は、対イオンMと平衡状態であり得、Mは、アルカリイオン、例えばK、Na、Li、アンモニウムイオン、例えばN(R(Rは、H、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族または芳香族である)、またはアルカリ土類イオン、例えば[Ca2+0.5、[Mg2+0.5もしくは[Ba2+0.5であってもよい)。
治療有効量:特定の障害もしくは疾患を処置するか、あるいは疾患または障害、例えば網膜変性の症状の1つもしくは複数を緩和もしくは根絶するおよび/またはその発生を防止するのに十分な、化合物の量。「治療有効量」を構成する化合物の量は、化合物、病状およびその重症度、処置される対象の年齢などに応じて変わる。治療有効量は、当業者によって決定することができる。
チアール:-C(S)H。
チオアシル:-C(S)R(Rは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
チオカルボン酸:-C(O)SH、または-C(S)OH。
チオシアネート:-S-CNまたは-N=C=S。
チオエステル:-C(O)SRまたは-C(S)OR(Rは、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロ複素芳香族、芳香族、または有機官能基から選択される)。
チオエーテル:-S-脂肪族または-S-芳香族、例えば-S-アルキル、-S-アルケニル、-S-アルキニル、-S-アリールもしくは-S-ヘテロアリール、または-脂肪族-S-脂肪族、-脂肪族-S-芳香族、-芳香族-S-脂肪族もしくは-芳香族-S-芳香族。
処置する、処置、および治療:任意の客観的または主観的パラメーター、例えば回復、寛解、症状を軽減させることもしくは状態を対象がより耐えられるものにすること、変性もしくは減退の速度を緩徐すること、変性の最終点における衰弱を少なくすること、対象の身体もしくは精神の幸福を改善すること、または視覚を改善することを含めた、傷害、病理または状態の減弱または緩和の任意の成功または成功の兆候。処置は、身体検査、神経学的検査、または精神医学的評価の結果を含めた客観的または主観的パラメーターによってアセスメントされ得る。疾患または病理学的状態に言及する「緩和」という用語は、処置の任意の観察可能な有益な効果を指す。有益な効果は、例えば、感受性のある対象における疾患の臨床症状の発生遅延、疾患の一部もしくはすべての臨床症状の重症度の低減、より緩慢な疾患進行、対象の全体的健康もしくは幸福の改善、または特定の疾患に特異的な当技術分野で周知の他のパラメーター、例えば視覚の改善によって証明することができる。「予防的」処置は、病理を発症するリスクを低減する目的で、疾患の徴候を示していないか、またはごく初期の徴候を示している対象に投与される処置である。
本明細書で使用される場合、「疾患」および「状態」という用語は、交換可能に使用することができ、または特定の病弊もしくは状態が、公知の原因物質を有していないと思われ(したがって、まだ病因が決定されていない)、したがって、まだ疾患としては認識されていないが、単に望ましくない状態もしくは症候群として認識されている(程度の差はあれ、症状の特異的な組が臨床医によって特定されている)という点で、異なっていてもよい。
II.導入
本明細書では、対象の網膜変性を処置および/または防止するための化合物が開示される。一部の実施形態では、化合物は、光受容体の生存を維持することができる。例えば、一部の実施形態では、化合物は、ロドプシンの発現および極性を改善し、かつ/または錐体光受容体におけるSオプシンの発現および極性化を増大させる。またさらなる実施形態では、化合物は、光受容体における繊毛タンパク質を増大させることができる。一部の実施形態では、化合物は、オートファジー阻害剤であり、オートファジー経路を低減することができ、したがって網膜変性疾患において、繊毛の生合成を改善し、光受容体の生存を維持する。網膜の繊毛関連疾患において、オートファジー経路は、繊毛欠陥(例えば、内節における外節タンパク質の誤った局在化)から生じるストレスによって活性化される。その後、タンパク質分解の加速に起因してp62レベルが低下し、繊毛分解のドライバーである光受容体HDAC6におけるその相互作用パートナーの増大に至る(図1A)。本開示の化合物の実施形態は、リソソームとのオートファゴソームの融合を阻害し、それによってp62を増大させ、HDAC6の分解を修復する(図1B)。化合物の実施形態は、オートファジー経路の低減およびその後の繊毛生合成の改善により、網膜変性疾患、例えば(以下に限定されない)LCAまたは網膜色素変性において、光受容体の生存を維持することができる。
それを必要とする対象の網膜変性を処置するための方法の実施形態も開示される。一部の実施形態では、方法は、対象に、本明細書で提供される治療有効量の3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド、または式I、IIもしくはIIIから選択される式に従う構造を有する化合物を投与するステップを含む。いくつかの非限定的な例では、対象は、網膜色素変性、LCA、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、全脈絡膜萎縮または加齢黄斑変性を有している。薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、および/または互変異性体を含むさらなる化合物の実施形態が、その化合物を含む組成物の実施形態と共に、本明細書に記載される。
III.化合物の実施形態
本開示の化合物の実施形態は、薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含めて、以下に示される式I~IIIのいずれか1つに従う構造を有することができる。
Figure 2023532134000008
Figure 2023532134000009
式Iに関して、以下の変数の列挙を適用することができる:
は、存在する場合(例えば、nが0以外の整数である場合)、ヘテロ脂肪族であってもよく、
は、ORまたはNRから選択することができ、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族もしくは芳香族、または有機官能基から選択され、
およびRのそれぞれは、独立に、脂肪族、芳香族、アシル、またはスルホニルから選択することができ、
nは、0~4から選択される整数であり得る。
式Iの実施形態では、nが0である場合、当業者は、そうでなければ任意のR基に結合するはずの炭素原子のいずれかの原子価を満たすために、水素原子が存在することを認識されよう。
式IIに関して、以下の変数の列挙を適用することができる:
は、存在する場合(例えば、mが0以外の整数である場合)、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択することができ、
は、芳香族であってもよく、
およびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、もしくはヘテロ脂肪族から選択することができ、またはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式(heterocylic)環系を形成することができ、
mは、0~4から選択される整数であり得る。
式IIの実施形態では、mが0である場合、当業者は、そうでなければ任意のR基に結合するはずの炭素原子のいずれかの原子価を満たすために、水素原子が存在することを認識されよう。
式IIIに関して、以下の変数の列挙を適用することができる:
R’は、存在する場合(例えば、破線によって表される必要に応じた結合が存在する場合)、脂肪族、芳香族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択することができ、
各R’’は、存在する場合(例えば、pが0以外の整数である場合)、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択することができ、
各R’’’は、存在する場合(例えば、qが0以外の整数であり、rが1である場合)、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択することができ、
pは、0~4から選択される整数であり、
qは、0~4から選択される整数であり、
rは、0または1から選択される整数である。
式IIIの実施形態では、pおよび/またはqが0である場合、当業者は、そうでなければ任意のR’またはR’’基に結合するはずの炭素原子のいずれかの原子価を満たすために、水素原子が存在することを認識されよう。当業者はまた、rが0である場合には、縮合環がそうでなければ結合するはずの炭素原子のそれぞれの原子価が、水素原子によって満たされることをさらに認識されよう。また、当業者は、式IIIの破線によって表される必要に応じた結合のいずれも存在しない場合には、式の対応する炭素原子の原子価が、水素原子との結合によって満たされることを認識されよう。
式I(および以下の任意の式IA~IEを含む)の特定の実施形態では、以下の変数の列挙を適用することができる:
は、アルコキシ、例えば-OMe、-OEt、-OPr、-OiPr、-OnBu、-OBuなどであってもよく、
は、-ORまたは-NRであってもよく、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、水素、アルキル(例えば、C1~6アルキルまたはC3~シクロアルキル)、ヘテロアリール(例えば、C3~6ヘテロアリール)、またはアリール(例えば、C6~10アリール)から選択することができ、
およびRのそれぞれは、独立に、アルキル(例えば、C1~6アルキルまたはC3~6シクロアルキル);ヘテロアリール(例えば、C3~10ヘテロアリール);アリール(例えば、C6~10アリール);またはスルホニルもしくはアシルから選択される有機官能基から選択することができる。一部の実施形態では、スルホニル基は、式-SOを有することができ、Rは、脂肪族、アミン、または芳香族から選択することができる。一部の実施形態では、アシル基は、式-C(O)Rを有することができ、Rは、アルキル(例えば、C1~10アルキル、C1~10シクロアルキル、C1~10アルケニル、またはC1~10シクロアルケニル);ヘテロアリール(例えば、C4~10ヘテロアリール);ハロゲン、-CF、-CN、-OH、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、スルホニル、スルホンアミド(例えば、C1~6アルキルスルホニルアミノ、例えば-SONHC1~6アルキル)、アミド(例えば、C1~6アルキルアミノカルボニル、例えば-C(O)NHC1~6アルキル)から選択される1つまたは複数の置換基を含むヘテロアリール(例えば、C4~10ヘテロアリール);アリール(例えば、C6~10アリール);ハロゲン、-CF、-CN、-OH、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、スルホニル、スルホンアミド(例えば、C1~6アルキルスルホニルアミノ、例えば-SONHC1~6アルキル)、アミド(例えば、C1~6アルキルアミノカルボニル、例えば-C(O)NHC1~6アルキル)から選択される1つまたは複数の置換基を含むアリール(例えば、C6~10アリール)から選択することができ、
nは、0、1、2、3、または4である。
式Iの一部の実施形態では、化合物は、薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含めて、以下の式IAに示される立体化学を有することができる。
Figure 2023532134000010
一部の実施形態では、式Iおよび/またはIAの化合物の実施形態は、薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含めて、以下の式IB、IC、ID、またはIEに従う構造をさらに有することができる。
Figure 2023532134000011
式IまたはIA~IEのいずれかの一部のさらなる実施形態では、Rは、以下の基のいずれかから選択することができる。
Figure 2023532134000012
Figure 2023532134000013
代表的な実施形態では、RおよびRは、共に-OMeであり、Rはメチルであり、Rは、先に示される基のいずれかから選択される。特定の実施形態では、式Iの化合物は、任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含めて、以下のいずれかから選択される。
Figure 2023532134000014
Figure 2023532134000015
一部の実施形態では、化合物は、薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含めて、以下のいずれかから選択することができる:
メチル(1S,2R,3R,4aS,13bR,14aS)-2,11-ジメトキシ-3-((3,4,5-トリメトキシベンゾイル)オキシ)-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート(本明細書では「レセルピン」または「NCGC0091250」とも呼ばれる);
メチル(1S,2R,3R,4aS,13bR,14aS)-2-メトキシ-3-((3,4,5-トリメトキシベンゾイル)オキシ)-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
メチル(1S,2R,3R,4aS,13bR,14aS)-3-(((E)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アクリロイル)オキシ)-2,11-ジメトキシ-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート(本明細書では「レシメトール」または「NCGC00253604」とも呼ばれる);
メチル(1S,2R,3R,4aS,13bR,14aS)-2,11-ジメトキシ-3-(2-(4-メトキシフェノキシ)アセトキシ)-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
メチル(1S,2R,3R,4aS,13bR,14aS)-2,11-ジメトキシ-3-(((E)-3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリロイル)オキシ)-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
メチル(1S,2R,3R,4aS,13bR,14aS)-3-((4-((エトキシカルボニル)オキシ)-3,5-ジメトキシベンゾイル)オキシ)-2,11-ジメトキシ-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
メチル(1S,2R,3R,4aS,13bR,14aS)-3-ヒドロキシ-2,11-ジメトキシ-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
(1S,2R,3R,4aS,13bR,14aS)-3-ヒドロキシ-2,11-ジメトキシ-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボン酸;
メチル2,11-ジメトキシ-3-((3,4,5-トリメトキシベンゾイル)オキシ)-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
メチル2-メトキシ-3-((3,4,5-トリメトキシベンゾイル)オキシ)-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
メチル(E)-3-((3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アクリロイル)オキシ)-2,11-ジメトキシ-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
メチル2,11-ジメトキシ-3-(2-(4-メトキシフェノキシ)アセトキシ)-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
メチル(E)-2,11-ジメトキシ-3-((3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)アクリロイル)オキシ)-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
メチル3-((4-((エトキシカルボニル)オキシ)-3,5-ジメトキシベンゾイル)オキシ)-2,11-ジメトキシ-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;
メチル3-ヒドロキシ-2,11-ジメトキシ-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレート;または
3-ヒドロキシ-2,11-ジメトキシ-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボン酸。
式II(または以下の式IIA)の特定の実施形態では、以下の変数の列挙を適用することができる:
各Rは、独立に、ハロゲン(例えば、Cl、F、Br、またはI)、-OMe、-CN、または-CFから選択することができ、
は、アリール(例えば、C6~10アリール);ハロゲン、-CF、-CN、-OH、アルキル(例えば、C1~6アルキル)、アルコキシ(例えば、C1~6アルコキシ)から選択される1つまたは複数の置換基を含むアリール(例えば、C6~10アリール);ヘテロアリール(例えば、C4~10ヘテロアリール);ハロゲン、-CF、-CN、-OH、アルキル(例えば、C1~6アルキル)、アルコキシ(例えば、C1~6アルコキシ)から選択される1つまたは複数の置換基を含むヘテロアリール(例えば、C4~10ヘテロアリール)から選択することができ、
およびRのそれぞれは、独立に、水素、アルキル(例えば、C1~12アルキルまたはC3~8シクロアルキル)、アミノ(例えば、C1~12アルキルアミノアルキル、例えばN,N-ジエチルアミノブタニル、またはC3~8シクロアルキルアミノアルキル)から選択することができ、またはRおよびRは一緒になって、それらが結合している窒素原子と共に、芳香族および非芳香族環系を含む4員、5員、6員、または7員の複素環式環系を形成することができ、
mは、0、1、2、3、または4である。
一部の実施形態では、式IIの化合物の実施形態はさらに、薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含めて、式IIAに従う構造を有することができる。
Figure 2023532134000016
式IIまたはIIAのいずれかの一部のさらなる実施形態では、Rは、以下の基のいずれかから選択することができる。
Figure 2023532134000017
Figure 2023532134000018
代表的な実施形態では、mは2であり、各Rは、独立に、ハロゲン(例えば、Cl)であり、Rは存在しないか、またはビチオフェン基であり、RおよびRの一方は水素であり、他方はN,N-ジエチルアミノブタニルである。特定の実施形態では、化合物は、
Figure 2023532134000019
N1-(3-([2,2’-ビチオフェン]-5-イル)-6,7-ジクロロキノキサリン-2-イル)-N4,N4-ジエチルブタン-1,4-ジアミン(本明細書では「NCGC00263128」とも呼ばれる)
または任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体である。
式III(または式IIIA~IIIDのいずれか1つ)の特定の実施形態では、以下の変数の列挙を適用することができる:
R’は、存在する場合、ハロ、-CN、-CF、-OCF、アルキル(例えば、C1~12アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、1つもしくは複数の窒素原子、1つもしくは複数の酸素原子、1つもしくは複数の硫黄原子、またはそれらの組合せを含み、その環式および非環式ヘテロアルキルを含めたC1~12ヘテロアルキル)、アミノアリール(例えば、-NRa’-アリール、またはハロゲン、-CN、-CF、-OCF、アミノ、ヘテロアルキル、アミドもしくはスルホンアミドから選択される1つもしくは複数の置換基を含む-NRa’-アリール)から選択することができ、
R’’は、存在する場合、ハロゲン、アルコキシ、または-NRa’b’から選択することができ、Ra’およびRb’のそれぞれは、独立に、アルキル(例えば、C1~12アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、C1~12ヘテロアルキル)、ベンジル(例えば、-CH芳香族、またはアルコキシ、ハロゲンもしくはアミドから選択される1つもしくは複数の置換基を含む-CH芳香族)、アシル(例えば、-C(O)アルキル、-C(O)アルケニル、-C(O)ヘテロアルキル、-C(O)芳香族;アルキル、ハロゲン、-CF、-OCF、または-CNから選択される1つまたは複数の置換基を含む-C(O)芳香族)、スルホニル(例えば、-SO、ここでRは、水素、アルキル、芳香族;アルキル、アミド、またはアルコキシから選択される1つまたは複数の置換基を含む芳香族から選択される)から選択され、
R’’’は、存在する場合、ハロゲン、アルコキシ、または-NRa’b’から選択することができ、Ra’およびRb’のそれぞれは、独立に、アルキル(例えば、C1~12アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、C1~12ヘテロアルキル)、ベンジル(例えば、-CH芳香族、またはアルコキシ、ハロゲンもしくはアミドから選択される1つまたは複数の置換基を含む-CH芳香族)、アシル(例えば、-C(O)アルキル、-C(O)アルケニル、-C(O)ヘテロアルキル(heteralkyl)、-C(O)芳香族;アルキル、ハロゲン、-CF、-OCF、または-CNから選択される1つまたは複数の置換基を含む-C(O)芳香族)、スルホニル(例えば、-SO、ここでRは、水素、アルキル、芳香族;アルキル、アミド、またはアルコキシから選択される1つまたは複数の置換基を含む芳香族から選択される)から選択され、
pおよびqのそれぞれは、独立に、0、1、2、3、または4から選択される整数であり、
rは、0または1である。
一部のさらなる実施形態では、R’は存在し、R’’は存在し、R’’’は存在せず、rは0である。他の一部の実施形態では、R’、R’’、およびR’’’のそれぞれが存在し、R’’およびR’’’は同じである。さらに追加の一部の実施形態では、R’’およびR’’’のそれぞれが存在し、R’は存在しない。さらに追加の一部の実施形態では、R’は存在し、R’’またはR’’’はいずれも存在せず、このような一部の実施形態では、rは1であってもよく、生じた環は、飽和していてもよい。特定の実施形態では、R’’およびR’’’のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよい。これらの選択肢の少なくともいくつかに示される例示的な式は、以下に示される。
Figure 2023532134000020
式IIIA~IIIDのいずれかの一部のさらなる実施形態では、Rは、以下の基のいずれかから選択することができる。
Figure 2023532134000021
Figure 2023532134000022
R’’および/またはR’’’が-NRa’b’である実施形態では、Ra’および/またはRb’のそれぞれは、以下の基のいずれかおよび水素から選択することができる。
Figure 2023532134000023
Figure 2023532134000024
代表的な実施形態では、R’はヘテロアルキルであり、R’’およびR’’’は存在し、それぞれClおよびOMeである。特定の実施形態では、式IIIの化合物は、任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含めて、以下から選択される。
Figure 2023532134000025
Figure 2023532134000026
一部の実施形態では、化合物は、以下のいずれかから選択することができる:
N4-(6-クロロ-2-メトキシアクリジン-9-イル)-N1,N1-ジエチルペンタン-1,4-ジアミン;
N,N’-(ピペラジン-1,4-ジイルビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(6-クロロ-2-メトキシアクリジン-9-アミン);
N4-(6-クロロ-2-メトキシアクリジン-9-イル)-N1,N1-ジエチルペンタン-1,4-ジアミンジヒドロクロリド二水和物(本明細書では「キナクリンジヒドロクロリド二水和物」または「NCGC0015874」とも呼ばれる);
N,N’-(ピペラジン-1,4-ジイルビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(6-クロロ-2-メトキシアクリジン-9-アミン);
N1,N7-ビス(1,2,3,4-テトラヒドロアクリジン-9-イル)ヘプタン-1,7-ジアミン;
N4-(7-クロロキノリン-4-イル)-N1,N1-ジエチルペンタン-1,4-ジアミン(本明細書では「クロロキン」とも呼ばれる);
2-((4-((7-クロロキノリン-4-イル)アミノ)ペンチル)(エチル)アミノ)エタン-1-オール(本明細書では「ヒドロキシクロロキン」とも呼ばれる);
1-((2-((2-((7-クロロキノリン-4-イル)アミノ)エチル)(メチル)アミノ)エチル)アミノ)-4-メチル-9H-チオキサンテン-9-オン(本明細書では「ROC-325」とも呼ばれる);
アクリジン-3,6-ジアミン;
アクリジン-3,6-ジアミンヘミサルフェート(本明細書では「プロフラビンヘミサルフェート」とも呼ばれる);
6-クロロ-2-メトキシ-9-(2-メトキシエトキシ)アクリジン;
N1-(7-クロロキノリン-4-イル)-N2-(2-((7-クロロキノリン-4-イル)アミノ)エチル)エタン-1,2-ジアミン(本明細書では「Lys05」とも呼ばれる);または
6-クロロ-2-メトキシ-9-(ピペリジン-4-イルオキシ)アクリジン。
独立な実施形態では、化合物は、3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド(または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体)であってもよく、構造
Figure 2023532134000027
を有する。
別の独立な実施形態では、化合物は、N-[3-[[5-シクロプロピル-2-[(2-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-6-イル)アミノ]ピリミジン-4-イル]アミノ]プロピル]シクロブタンカルボキサミド(または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体)であってもよく、構造
Figure 2023532134000028
を有する。
IV.化合物の実施形態を作製する方法
本開示の化合物の実施形態を作製するための方法の実施形態も記載される。例示的な方法の実施形態は、本開示の実施例に記載されている。
一部の実施形態では、式Iに従う化合物を作製するための方法は、以下に記載される通り作製することができる。
式Iの化合物を作製するための一部の実施形態では、メチル(1S,2R,3R,4aS,13bR,14aS)-3-ヒドロキシ-2,11-ジメトキシ-1,2,3,4,4a,5,7,8,13,13b,14,14a-ドデカヒドロインドロ[2’,3’:3,4]ピリド[1,2-b]イソキノリン-1-カルボキシレートを、出発材料として使用することができる(以下のスキーム1の化合物100)。特定の実施形態では、R基は、以下の方法の実施形態のいずれかを使用して、この出発化合物上に組み入れることができる。いずれかのこのような方法はさらに、式IおよびIA~IEのいずれかについて前述の通り、R基を提供するために使用することができる。
一部の実施形態では、ある特定のR基を、100とのハロゲン化アルキルの反応から、ウィリアムソンエーテル合成を使用してスキーム1に示される塩基条件下で組み入れ、それによって生成物102を提供することができる。さらなる実施形態を以下に提供し、代表的な方法は、実施例の節に記載される。
Figure 2023532134000029
他の実施形態では、ある特定のR基を、スキーム1Aおよび1Bにそれぞれ示される通り、対応するハロゲン化アシルまたはカルボン酸との100の反応によって組み入れ、それによって生成物104を提供することができる。
Figure 2023532134000030
さらなる他の実施形態では、ある特定のR基を、スキーム1Cに示される通り、対応する塩化スルホニルとの100の反応によって組み入れ、それによって生成物106を提供することができる。
Figure 2023532134000031
一部の実施形態では、異なるR基(スキーム1および1A~1Cに示されるメチルエステル基とは異なる)を含む上述の式Iの化合物は、生成物110または112を提供するスキーム1Dに示される以下の方法の実施形態に従って作製することができる。
Figure 2023532134000032
また、式II(および/または式IIA)によって表される化合物を作製するための方法の実施形態が開示される。このような実施形態では、方法は、以下のスキーム2に示される出発材料200を使用し、それを対応するパラジウムカップリング試薬202とカップリングさせ、それによってR基を提供するステップを含むことができる。スキーム2は、ボロン酸カップリングパートナー(202)を使用するパラジウムベースのカップリング反応を示しているが、スティルベースのカップリング(例えば、RSn(Bu)(Rは、定義の節に記載されるR基から選択することができる)または根岸ベースのカップリング(例えば、RZnX’(Rは、定義の節に記載されるR基から選択することができ、X’は、ハロゲン、トリフレート、エステルなどであってもよい)に適したものを含めた、他のカップリングパートナーを使用することもできる。さらなる実施形態は、以下に提供され、代表的な方法は、実施例の節に記載される。
Figure 2023532134000033
一部の実施形態では、方法は、スキーム2Aに概説されるものなどのステップを含むことができ、ここで、X’’は、CHまたはN(またはその酸化形態)であってもよく、Yは、芳香族(例えば、アリールまたはヘテロアリール);ハロゲン、-CN、アルコキシ、-OCFから選択される1つもしくは複数の置換基を含む芳香族(例えば、アリールまたはヘテロアリール);または脂肪族(例えば、環式脂肪族)から選択することができる。
Figure 2023532134000034
また、式III(および/または式IIIA~IIID)によって表される化合物を作製するための方法の実施形態が開示される。このような実施形態では、方法は、前駆体化合物300(Zは、ハロゲン、例えばクロロである)を、適切なカップリング条件下で適切なカップリング成分と反応させて、生成物302を提供するか、または前駆体化合物304(Z’およびZ’’のそれぞれは、独立に、アミン基またはヒドロキシ基であってもよい)を、適切なカップリング条件下で適切なカップリング成分と反応させて、生成物306を提供するステップを含むことができる。さらなる実施形態は、以下に提供され、代表的な方法は、実施例の節に記載される。
Figure 2023532134000035
一部の実施形態では、方法は、スキーム3Aに概説されるものなどのステップを含むことができ、ここで、RONa試薬のR基は、アルキルまたはヘテロアルキルであってもよく、各Y’は、アミノ、ヘテロ脂肪族、アミド、またはスルホンアミドから選択することができ、m’は、0~5から選択される整数である。
Figure 2023532134000036
一部の実施形態では、方法は、スキーム3Bに概説されるものなどのステップを含むことができ、このスキームは、出発材料314(出発材料は、任意のRa’またはRb’基に加えて、示されるアミン基のそれぞれに結合した少なくとも1個の水素原子を含む)を使用することを含み、その出発材料に、同じまたは異なるアシル基および/またはスルホニル基のうちの2つを、対応するアシルまたはスルホニルカップリング試薬(例えば、ハロゲン化アシルおよび/またはハロゲン化スルホニル)を使用してカップリングさせることができる。スキーム3Bを参照すると、生成物316の各アミンに結合しているRa’またはRb’基の少なくとも一方は、アシル基またはスルホニル基である。各NRa’b’基が同じである生成物316の対称生成物を作製することができ、または各NRa’b’基が異なっている生成物316の非対称生成物を作製することができる。
Figure 2023532134000037
さらに追加の一部の実施形態では、方法は、スキーム3Cに概説されるものなどのステップを含むことができ、ここで、出発材料314は、一連の保護、付加、および脱保護ステップを使用して生成物316に変換される。このような実施形態は、ある特定の例において、アミン窒素が少なくとも1個の脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または芳香族基に結合している化合物を提供するために使用することができる。
Figure 2023532134000038
V.使用方法
本明細書では、対象の網膜変性を処置および/または防止するための方法の実施形態が開示される。方法の実施形態は、網膜変性を有する対象、または網膜変性のリスクがある対象を選択するステップを含むことができる。一般に、本明細書に開示される治療有効量の化合物が投与される。一部の実施形態では、化合物は、3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド、または3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールの別の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、および/もしくは互変異性体であってもよい。さらなる実施形態では、化合物は、式I、II、またはIIIのうちの1つ、または任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体を含む、本明細書に開示される化合物のいずれかに従う構造を有することができる。この投与は、網膜変性を処置、阻害および/または防止するのに十分である。一部の実施形態では、対象は、進行中の光受容体変性を有する。さらなる実施形態では、方法は、対象の網膜変性を処置する。
本明細書に開示される化合物の実施形態を使用することによって、目の様々な状態が処置または防止され得る。その状態には、網膜機能不全もしくは劣化、網膜傷害、および/または網膜色素上皮の喪失と一般に関連する網膜疾患または障害が含まれる。開示される方法は、網膜変性疾患、網膜(または網膜色素)上皮機能不全、網膜劣化、網膜(または網膜色素)上皮損傷を処置するために使用される。開示される方法はまた、網膜色素上皮の喪失を処置するために使用される。方法は、対象の目に化合物の実施形態(またはその組成物)を投与する、例えば局所投与するステップを含む。
一部の実施形態では、網膜変性疾患は、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、網膜色素変性、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、レーバー先天黒内障(LCA)、遅発性網膜変性、遺伝性黄斑もしくは後天性網膜変性、全脈絡膜萎縮、ベスト病、ソースビー眼底変性症、脳回転状萎縮、全脈絡膜萎縮、パターンジストロフィー、または錐体桿体ジストロフィーである。非限定的な特定の例では、対象は、網膜色素変性、LCA、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、全脈絡膜萎縮、または加齢黄斑変性を有する。
一部の実施形態では、方法は、処置のための対象を選択するステップを含むことができる。一部の実施形態では、方法は、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、網膜色素変性、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、レーバー先天黒内障、遅発性網膜変性、遺伝性黄斑もしくは後天性網膜変性、全脈絡膜萎縮、ベスト病、ソースビー眼底変性症、脳回転状萎縮、全脈絡膜萎縮、パターンジストロフィー、または錐体桿体ジストロフィーを有する対象を選択するステップを含むことができる。非限定的な特定の例では、対象は、網膜色素変性、LCA、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、全脈絡膜萎縮または加齢黄斑変性を有する。したがって、方法は、網膜変性を有する対象、例えば、以下に限定されないが、網膜色素変性、LCA、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、全脈絡膜萎縮または加齢黄斑変性を有する対象を選択するステップを含むことができる。さらなる実施形態では、対象は、糖尿病性網膜症を有していることがある。方法は、糖尿病性網膜症を有する対象、または糖尿病性網膜症のリスクがある対象、例えば糖尿病対象を選択するステップを含むことができる。対象は、選択された後に、本明細書に開示される実施形態の、任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含む有効量の1種または複数の化合物を投与される。
ある特定の実施形態では、本開示の方法の実施形態は、いかなる種類の網膜色素変性を処置するためにも使用することができる。一部の実施形態では、網膜色素変性は、ロドプシン遺伝子、ペリフェリン遺伝子、および/または桿体に発現した他の遺伝子の突然変異によって引き起こされる。網膜色素変性は、常染色体優性、常染色体劣性またはX連鎖性様式で遺伝した遺伝的状態の結果であってもよい。X連鎖性の網膜色素変性は、劣性、男性影響性(affecting males)、または優性であってもよく、したがって男性にも女性にも影響を及ぼす。網膜色素変性は、中心黄斑色素変化(標的黄斑症)と共に存在する桿体錐体網膜変性と関連していてもよい。網膜色素変性は、X連鎖性劣性網膜変性疾患である全脈絡膜萎縮であってもよい。一般に、網膜色素変性(RP)は、進行性の光受容細胞喪失によって特徴付けられる。
さらなる実施形態では、本開示の方法は、加齢黄斑変性(AMD)を防止または処置するために使用することができる。一部の実施形態では、対象は、萎縮型AMD(「乾燥」AMDとも呼ばれる)を有しており、その対象は、網膜委縮に起因する中心視覚喪失を有している。他の実施形態では、対象は、滲出型AMDを有している。
さらなる実施形態では、開示される方法は、LCAを有する対象を処置するために使用される。さらなる実施形態では、開示される方法は、CEP290タンパク質に欠陥を有しており、したがって、繊毛タンパク質の輸送に欠陥を有していることがあるLCAを処置するために使用される。
さらなる他の実施形態では、対象は、シュタルガルト黄斑ジストロフィーを有している。さらなる実施形態では、対象は、錐体桿体ジストロフィーを有している。さらなる実施形態では、対象は、全脈絡膜萎縮を有している。
診断は、眼底を検査し、および/または視野を評価する試験を利用することができる。これらには、網膜電図、蛍光血管造影(fluorangiography)、および視覚検査が含まれる。眼底検査は、網膜の状態を評価し、網膜表面上の特徴的な色素斑の存在について評価することを目的とする。視野の検査により、光刺激に対する網膜の様々な部分の感受性を評価することが可能になる。特定の光刺激に対して応答する網膜の電気的活動を記録し、2つの異なる種類の光受容体(例えば、錐体細胞および桿体細胞)の機能性を別個に評価することができる網膜電図(ERG)を使用することができる。
相乗的に作用する組合せを含めた、化合物の組合せを使用することができる。したがって、開示される方法のいずれにおいても、2種、3種、4種またはそれよりも多い種類の化合物を投与することができる。
一部の実施形態では、化合物は、10日間、15日間、20日間、25日間、または30日間、投与される。さらなる実施形態では、化合物は、少なくとも1カ月間、少なくとも2カ月間、少なくとも3カ月間、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月間、少なくとも6カ月間、少なくとも7カ月間、少なくとも8カ月間、少なくとも9カ月間、少なくとも10カ月間、少なくとも11カ月間または少なくとも12カ月間、投与される。さらなる実施形態では、化合物は、6カ月間まで、または1年間まで、2年間まで、3年間まで、またはそれよりも長期間まで、投与することができる。いくつかの例では、化合物は、特定された期間の間、1日1回、2日に1回、3日に1回、または週1回、投与することができる。持続放出製剤、例えば化合物を放出する薬物デポー、または持続放出インプラントもしくはデバイスを使用することもできる。いくつかの例では、化合物は、1日1回投与される。
全身投与方法には、経口および非経口経路が含まれる。非経口経路には、例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、鼻腔内および腹腔内経路が含まれる。全身投与される化合物は、以下に限定されないが硝子体内投与などのように、成分を目に標的化するように修正または製剤化され得る。他の実施形態では、化合物は、経口投与される。
化合物の適切な経口製剤は、例えば、約10mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kgまたは約40mg/kgの化合物を含有する錠剤またはカプセル剤、好ましくは錠剤である。一部の実施形態では、化合物は、1日当たり約20mg/kg~約160mg/kg、例えば約20mg/kg~約80mg/kg、例えば、約20mg/kg~約40mg/kgの範囲の用量で、単一用量または分割用量のいずれかとして投与することができる。非限定的な特定の例では、この用量は、1日1回投与される。
他の実施形態では、化合物は、約10mg/kg~約80mg/kgの用量で経口投与される。他の実施形態では、化合物は、約40mg/kg~約80mg/kgの用量で経口投与される。いくつかの例では、化合物は、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kgまたは約80mg/kgの用量で経口投与される。特定の非限定的な例では、この用量は、1日1回投与される。
ヒトについてのさらなる実施形態では、化合物は、約0.8mg/kg~約6.5mg/kg(約10mg/kg/日、成人ヒトにおける0.81mg/kg/日の用量にほぼ等価)の用量で1日1回経口投与される。いくつかの非限定的な例では、化合物は、1kg当たり約3.2mg/kg~約6.5mgの用量で1日1回経口投与される。適切な用量には、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2mg/kg、約2.1mg/kg、約2.2mg/kg、約2.3mg/kg、約2.4mg/kg、約2.5mg/kg、約2.6mg/kg、約2.7mg/kg、約2.8mg/kg、約2.9mg/kg、約3mg/kg、約3.1mg/kg、約3.2mg/kg、約3.3mg/kg、約3.4mg/kg、約3.5mg/kg、約3.6mg/kg、約3.7mg/kg、約3.8mg/kg、約3.9mg/kg、約4.0mg/kg、約4.1mg/kg、約4.2mg/kg、約4.3mg/kg、約4,4mg/kg、約4.5mg/kg、約4.6mg/kg、約4.7mg/kg、約4.8mg/kg、約4.9mg/kg、約5.0mg/kg、約5.1mg/kg、約5.2mg/kg、約5.3mg/kg、約5.4mg/kg、約5.5mg/kg、約5.6mg/kg、約5.7mg/kg、約5.8mg/kg、約4.9mg/kg、約6.0mg/kg、約6.1mg/kg、約6.2mg/kg、約6.3mg/kg、約6.4mg/kgおよび約6.5mg/kgが含まれるが、それらに限定されない。化合物は、固体または液体製剤を含めた任意の経口製剤で投与するために製剤化することができる。化合物は、1日1回投与することができる。
非限定的な一例では、化合物は、最短で1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間または12カ月間、約40mg/kg~約80mg/kgの用量で1日1回経口投与される。他の非限定的な一例では、化合物は、最短で1カ月間、2カ月間 3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間または12カ月間、約0.8mg/kg~約6.5mg/kgの用量で1日1回経口投与される。さらなる実施形態では、化合物は、6カ月まで、または1年間まで、2年間まで、3年間まで、またはそれよりも長期間まで、約0.8mg/kg~約6.5mg/kgの用量で1日1回経口投与することができる。いくつかの例では、化合物は、特定された期間の間、1日1回、2日に1回、3日に1回、または週1回、経口投与することができる。いくつかの例では、化合物は、1日1回、経口投与される。いくつかの非限定的な例では、化合物は、少なくとも3カ月間、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月間、少なくとも6カ月間、少なくとも7カ月間、少なくとも8カ月間、少なくとも9カ月間、少なくとも10カ月間、少なくとも11カ月間または少なくとも12カ月間、約40mg/kg~約80mg/kgの用量で1日1回経口投与される。さらに非限定的な例では、化合物は、少なくとも3カ月間、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月間、少なくとも6カ月間、少なくとも7カ月間、少なくとも8カ月間、少なくとも9カ月間、少なくとも10カ月間、少なくとも11カ月間または少なくとも12カ月間、約0.8mg/kg~約6.5mg/kgの用量で1日1回経口投与される。
化合物は、目に局所投与することができる。局所投与方法には、例えば、眼内、眼窩内、結膜下、テノン嚢下、網膜下または経強膜経路が含まれる。一実施形態では、局所(例えば、硝子体内)投与される場合、全身(例えば、静脈内)投与される場合と比較して著しく少量(全身アプローチと比較して)の成分により、効果が発揮され得る。一実施形態では、化合物は、例えば、網膜下注射によって網膜下に送達される。網膜下注射は、例えば、黄斑下注射によって黄斑に直接行われ得る。例示的な方法には、眼内注射(例えば、眼球後、網膜下、黄斑下、硝子体内および脈絡膜内(intrachoridal))、イオン導入、点眼薬、および眼内注入(例えば、硝子体内、テノン嚢下および結膜下)が含まれる。
一実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、硝子体内注射によって送達される。硝子体内注射は、網膜剥離のリスクが相対的に低い。目に薬剤を投与するための方法は、医療分野で公知であり、本明細書に記載される成分を投与するために使用することができる。
投与は、単一投与、周期的ボーラス、または持続注入として提供され得る。一部の実施形態では、投与は、内部リザーバーから(例えば、眼内または外眼位置に配置されたインプラントから、例えば、関連部分が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,443,505号および同5,766,242号を参照されたい)または外部リザーバーから(例えば、点滴用バッグから)行われる。成分は、目の内壁に固定された徐放薬物送達デバイスから、または脈絡膜への標的化された経強膜制御放出により、特定の期間にわたって連続的放出によって投与することができる(例えば、関連部分が参照により本明細書に組み込まれるPCT/US00/00207、PCT/US02/14279、Ambati et al., Invest. Opthalmol. Vis. Sci. 41:1181-1185, 2000およびAmbati et al., Invest. Opthalmol. Vis. Sci. 41:1186-1191, 2000を参照されたい)。目の内側に成分を局所投与するのに適した様々なデバイスが、当技術分野で公知であり、本開示において使用するために選択することができる。例えば、関連部分が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,251,090号、米国特許第6,299,895号、米国特許第6,416,777号、米国特許第6,413,540号、およびPCT出願PCT/US00/28187を参照されたい。
投薬処置は、先に特定された量を最終的に送達するための、単回投薬スケジュールまたは複数回投薬スケジュールであり得る。投薬は、間欠的であってもよい。さらに、対象は、必要な回数の用量を投与され得る。一部の実施形態では、対象は、状態の発生前に化合物を投与される。
個々の用量は、典型的に、少なくとも対象に対して測定可能な効果をもたらすのに必要な量であり、主題の組成物またはその副生成物の吸収、分布、代謝、および排出(「ADME」)についての薬物動態および薬理作用に基づいて、したがって対象における組成物の性質に基づいて決定され得る。これには、投与経路および投薬量の考慮が含まれ、それらは、局所および全身(例えば、経口)適用に合わせて調整され得る。有効投薬量および/または投薬レジメンは、前臨床アッセイから、安全性および漸増および用量範囲治験、個々の臨床医と患者の関係、ならびにin vitroおよびin vivoアッセイから経験的に、容易に決定することができる。一般に、これらのアッセイは、網膜変性、または網膜変性に影響を及ぼす生物学的成分(サイトカイン、特異的炎症性細胞、ミクログリアなど)の発現を評価する。一部の実施形態では、用量は、(i)in vitroでの20μMもしくは30μMの間欠的高用量、または(ii)ロドプシン染色および/もしくは繊毛軸糸発達の改善における化合物の有効性を決定するために使用されるCEP290-LCAのin vitroアッセイで投与される場合には、in vitroでの10μMの持続的低用量に対応するin vivo用量であり得る。
一部の実施形態では、主題の方法は、治療利益をもたらし、例えば、網膜変性の発症を防止し、網膜変性の進行を停止し、かつ/または網膜変性の進行を逆行させる。対象は、先に開示される通り、網膜変性のいかなる形態を有していてもよい。
一部の実施形態では、方法は、治療利益が達成されたことを検出するステップを含む。治療有効性の尺度は、修飾される特定の疾患に適用することができ、本開示の利益を受ける、少なくとも当技術分野における通常の技術を有する技術者は、治療有効性を測定するために使用するのに適した検出方法を認識されよう。さらなる実施形態では、本明細書に開示される化合物の実施形態(任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含む)は、対照と比較して、網膜における光受容体の数を増大させることができる。さらなる他の実施形態では、本明細書に開示される化合物の実施形態(任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含む)を用いる処置は、網膜における光受容体の顆粒層の厚さを、経時的に維持することができる。さらなる実施形態では、本明細書に開示される化合物の実施形態(任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含む)は、対照と比較して、光伝達タンパク質、例えばオプシン、ロドプシン、および/または桿体環状GMPホスホジエステラーゼ6β(PDE6β)の発現を増大させることができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物の実施形態(任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含む)は、対照と比較して、ロドプシンおよび/またはSオプシンの発現を増大させることができる。さらなる実施形態では、本明細書に開示される化合物の実施形態(任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含む)は、対照と比較して、光伝達タンパク質、例えば光受容体(それに限定されない)を増大させることができる。またさらなる実施形態では、本明細書に開示される化合物の実施形態(任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含む)は、繊毛軸糸の生成および/もしくは伸長、繊毛生合成(例えば、繊毛ポケット形成)、ならびに/またはp62発現を改善(例えば、増大)することができる。またさらなる実施形態では、本明細書に開示される化合物の実施形態(任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含む)は、リソソームとのオートファゴソームの融合を阻害し、それによって、p62発現を増大させ、HDAC6分解を修復することができる。適切な対照には、標準値、化合物で処置されていない対象の平均値、または処置前の対象の値が含まれる。適切な例示的な試験は、実施例に開示される。
一部の実施形態では、治療有効性は、眼底撮影法またはERG応答の評価によって観察することができる。方法は、主題の組成物の投与後の検査結果を、主題の組成物の投与前の検査結果と比較するステップを含むことができる。
別の例として、進行性錐体機能不全の処置における治療有効性は、錐体機能不全の進行速度の低下として、錐体機能不全の進行の休止として、または錐体機能の改善として観察され得、その効果は、例えば網膜電図検査(ERG)および/もしくはcERG、色覚検査、機能的補償光学測定(functional adaptive optics)、ならびに/または視力検査によって、例えば、主題の組成物の投与後の検査結果を、主題の組成物の投与前の検査結果と比較し、錐体の生存率および/または機能の変化を検出することによって、観察され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物の実施形態(任意の薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、または互変異性体を含む)は、光受容体の喪失を先延ばしにし、光受容体の機能低下を低減し、かつ/または視覚機能喪失を低減する。
別の例では、視覚異常の処置における治療有効性は、個体の視覚、例えば赤色波長、緑色波長、および/または青色波長の知覚の変化として示されることがある。このような効果は、cERGおよび色覚検査を使用することによって、例えば、本開示の化合物の対象への投与後に得られた検査結果を、本開示の化合物の投与前に得られた検査結果と比較し、錐体および桿体の生存率および/または機能の変化を検出することによって、観察することができる。一部の実施形態では、方法は、形態および構造保持の評価、ならびに/またはERGを含む。
VI.いくつかの実施形態の概要
本明細書では、対象の網膜変性を処置する方法の実施形態であって、対象に、治療有効量の化合物を投与し、それによって、対象の網膜変性を処置するステップを含み、化合物が、式I、II、またはIIIから選択される式に従う構造を有する化合物
Figure 2023532134000039
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体、3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド、またはその別の薬学的に許容される塩、もしくはプロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体から選択される、方法の実施形態が開示される
[式中、
(i)式Iに関して、
は、ヘテロ脂肪族であり、
は、ORまたはNRであり、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、脂肪族、水素、芳香族、または有機官能基から選択され、
は、脂肪族、芳香族、アシル、またはスルホニルから選択され、
は、アシル、脂肪族、芳香族、またはスルホニルから選択され、
nは、0~4から選択される整数であり、
(ii)式IIに関して、
は、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
は、芳香族であり、
およびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族から選択され、
mは、0~4から選択される整数であり、
(iii)式IIIに関して、
R’は、脂肪族、芳香族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
各R’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
各R’’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
pは、0~4から選択される整数であり、
qは、0~4から選択される整数であり、
rは、0または1から選択される整数である]。
一部の実施形態では、対象は、網膜色素変性、LCA、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、全脈絡膜萎縮または加齢黄斑変性を有する。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、経口投与される。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、対象の目に局所投与される。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、硝子体内投与される。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、対象は、ヒトである。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、対象の目の網膜における光受容体の顆粒層の厚さを維持する。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、対象の目における光受容体繊毛オプシンおよび/または光伝達タンパク質の発現を増大させる。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、光受容体繊毛オプシンは、ロドプシンもしくはSオプシン、または桿体環状GMPホスホジエステラーゼ6β(PDE6β)である。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、対象の光受容細胞の数を増大させる。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、方法は、対象の視覚を評価するステップをさらに含む。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、方法は、対象に対して網膜電図検査を実施するステップを含む。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、式IA、ICまたはIEのいずれか1つ、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する。
Figure 2023532134000040
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、
が、アルコキシであり、
が、-ORまたは-NRであり、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、水素、アルキル、ヘテロアリール、またはアリールから選択され、
が、アルキル、ヘテロアリール、アリール、スルホニル、またはアシルから選択され、
が、アシル、アルキル、ヘテロアリール、アリール、またはスルホニルから選択され、
nが、0、1、2、3、または4である、
式I、IA、ICまたはIE、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、
が、
Figure 2023532134000041
Figure 2023532134000042
から選択される、
式I、IA、ICまたはIE、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、
Figure 2023532134000043
Figure 2023532134000044
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体から選択される。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、式IIA、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する。
Figure 2023532134000045
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、
各Rが、独立に、ハロゲン、-OMe、-CN、または-CFから選択され、
が、アリール;ハロゲン、-CF、-CN、-OH、アルキル、またはアルコキシから選択される1つまたは複数の置換基を含むアリール;ヘテロアリール;ハロゲン、-CF、-CN、-OH、アルキル、またはアルコキシから選択される1つまたは複数の置換基を含むヘテロアリールから選択され、
およびRのそれぞれが、独立に、水素、アルキル、またはアミノから選択され、
mが、0、1、2、3、または4である、
式IIまたはIIA、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、式IIまたはIIA、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有し、Rは、
Figure 2023532134000046
Figure 2023532134000047
から選択される。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、
Figure 2023532134000048
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体である。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、式IIIA~IIID、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する。
Figure 2023532134000049
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、
R’が、ハロ、-CN;-CF;-OCF;アルキル;1つもしくは複数の窒素原子、1つもしくは複数の酸素原子、1つもしくは複数の硫黄原子、またはそれらの組合せを含むヘテロアルキル;あるいはアミノアリールから選択され、
R’’が、ハロゲン、アルコキシ、または-NRa’b’から選択され、Ra’およびRb’のそれぞれは、独立に、アルキル、ヘテロアルキル、ベンジル、アシル、スルホニルから選択され、
R’’’が、ハロゲン、アルコキシ、または-NRa’b’から選択され、Ra’およびRb’のそれぞれは、独立に、アルキル、ヘテロアルキル、ベンジル、アシル、またはスルホニルから選択され、
pおよびqが、独立に、0、1、2、3、または4から選択される整数であり、
rが、0または1である、
式IIIまたはIIIA~IIID、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、
R’が、
Figure 2023532134000050
から選択され、
R’’およびR’’’が、独立に、-NRa’b’であり、Ra’およびRb’の一方は、Hであり、他方は、
Figure 2023532134000051
Figure 2023532134000052
から選択される、
式IIIまたはIIIA~IIID、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、
Figure 2023532134000053
Figure 2023532134000054
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体から選択される。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、化合物は、
Figure 2023532134000055
から選択される。
また本明細書では、対象の網膜変性の処置において使用するための、治療有効量の上述の実施形態のいずれかまたはすべてによる化合物を含む組成物の実施形態が開示される。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、組成物は、経口投与のために製剤化されている。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、組成物は、剤形に含まれる。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、組成物は、目への局所投与のために製剤化されている。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、組成物は、硝子体内投与のために製剤化されている。
上述の実施形態のいずれかまたはすべてでは、組成物は、治療的に許容される賦形剤をさらに含む。
また本明細書では、上述の実施形態のいずれかまたはすべてのいずれか1つの方法において使用するための治療有効量の化合物を含む組成物の実施形態であって、化合物が、3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド、またはその別の薬学的に許容される塩、もしくはプロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体、あるいは式I、IIまたはIIIから選択される式に従う構造を有する化合物
Figure 2023532134000056
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体から選択される、組成物の実施形態が開示される
[式中、
式Iに関して、
は、ヘテロ脂肪族であり、
は、ORまたはNRであり、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、脂肪族、水素、芳香族、または有機官能基から選択され、
は、脂肪族、芳香族、アシル、またはスルホニルから選択され、
は、アシル、脂肪族、芳香族、またはスルホニルから選択され、
nは、0~4から選択される整数であり、
式IIに関して、
は、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
は、芳香族であり、
およびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族から選択され、
mは、0~4から選択される整数であり、
式IIIに関して、
R’は、脂肪族、芳香族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
各R’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
各R’’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
pは、0~4から選択される整数であり、
qは、0~4から選択される整数であり、
rは、0または1から選択される整数である]。
VII.実施例
本開示は、以下の非限定的な実施例によって示される。
(実施例1)
エーテルアナログを、ウィリアムソンエーテル合成により、塩基条件(1)下でハロゲン化アルキルと100の反応から調製する。アシル官能化アナログを、カップリング試薬(3)または対応する塩化アシル(2)の下で100とカルボン酸の反応から合成する。スルホニルアナログを、100と対応する塩化スルホニル(4)の反応から生成する。
Figure 2023532134000057
具体的な例では、レセルプ酸メチルエステル100を、トルエンに溶解させ、次にRIおよびAgOを添加し、生じた混合物を80℃の油浴中で6~12時間加熱し、その後、出発材料100の大部分が変換する。次に、生成物を濾過し、濾液を収集し、濃縮し、CombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製する。
Figure 2023532134000058
レセルプ酸メチルエステル100およびDIPEAを、DCMに溶解させ、生じた混合物を、氷水浴中4℃で冷却する。ハロゲン化アシル試薬(商業的供給源からか、または当技術分野で公知の手順に従って作製するかのいずれかにより得られる)を、5分間にわたって滴下添加する(DCM溶液として)。次に、反応混合物を、1~5時間にわたって室温に加温する。反応が終了したら(すべての出発材料が変換したことを確認するためにLCMSによってモニタリングする)、それを濾過して不溶性塩を除去し、濾液を収集し、濃縮し、CombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製する。
Figure 2023532134000059
氷水浴中4℃に冷却したカルボン酸、カップリング試薬(DCC、EDC)、DIPEAおよびDPAMのDCM溶液に、レセルプ酸メチルエステル100を添加する。次に、反応混合物を、12~24時間にわたって室温に加温する。反応が終了したら(すべての出発材料が変換したことを確認することによってモニタリングする)、それを濾過して不溶性塩を除去し、濾液を収集し、濃縮し、CombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製する。
Figure 2023532134000060
レセルプ酸メチルエステル100およびDIPEAを、DCMに溶解させ、生じた混合物を、氷水浴中4℃で冷却する。塩化スルホニル試薬(商業的供給源からか、または当技術分野で公知の手順に従って作製するかのいずれかにより得られる)のDCM溶液を、5分間にわたって滴下添加する。反応混合物を、1~5時間にわたって室温に加温する。反応が終了したら(すべての出発材料が変換したことを確認することによってモニタリングする)、それを濾過して不溶性塩を除去し、濾液を収集し、濃縮し、CombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製する。
(実施例2)
Figure 2023532134000061
MeOH/HOで溶解させた前駆体(102、104、または106)の溶液に、LiOHを添加する。生じた混合物を、出発材料の大部分が変換するまで室温で20~48時間撹拌する。混合物を濃縮し、DCM/水で溶解させ、HClによって酸性にし、次に有機相を収集し、それをNaSO下で乾燥させ、濾過し、濃縮し、高真空下で乾燥させ、次のステップでさらなる精製なしに使用するために準備する。上述のスキームは、対応するエステル生成物(110、112、および114)を調製するための方法を示しているが、アルコール試薬(ROH)を、アミン試薬(例えば、RNH)およびDIPEAおよびベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(または「PyBOP」)で置き換えることによって、アミドを調製することもできる。
(実施例3)
この実施例では、式IIに従う化合物を調製する。いくつかの例では、前駆体200を、ボロン酸208との鈴木カップリングにおいて使用するが、ボロン酸は商業的に入手可能であるか、または本開示の利益を受ける当業者に公知の方法を使用して調製することができる。CsCOおよびボロン酸208を、ジオキサン/HO=10:1中、前駆体200に添加し、それを窒素ガスの通気によって脱気し、それにPd(PPhを添加する。反応混合物にキャップをし、マイクロ波を80℃で1時間照射する。得られた溶液を濾過し、濃縮し、CombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製して、生成物210を提供する。210のDCE溶液に、アルデヒド試薬およびNaBH(OAc)を添加する。生じた混合物を、12~24時間撹拌し、LCMSによってモニタリングする。混合物を濃縮し、CombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製して、生成物212を提供する。
Figure 2023532134000062
(実施例4)
この実施例では、式IIIの化合物を作製する。いくつかの例では、前駆体318を、生成物320に変換することができる(Rは、スキーム3Aについて本明細書に列挙される通りである)。「RONa」試薬は、商業的に購入するか、または対応するアルコールをNaもしくはNaOHと反応させることによって調製することができる。次に、前駆体318のジオキサン溶液に、RONaを添加し、反応容器にキャップをし、反応混合物を100~120℃で10~24時間加熱した。反応混合物を濃縮し、次にCombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製して、生成物320を提供する。
Figure 2023532134000063
いくつかのさらなる例では、アミン官能化スキームの化合物310などの化合物(スキーム3A)は、スキーム3Aに示される方法を使用して作製することができる。いくつかの例では、出発材料318のDMF溶液に、KCOおよび所望のアミン試薬を添加する。反応容器にキャップをし、反応混合物を、100~120℃で10~24時間加熱する。反応混合物を濃縮し、次にCombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製して、スキーム3Aの式310に従う生成物を提供する。
いくつかの他の例では、出発材料318のEtOH溶液に、ジオキサンに溶解させたHClおよび所望のアミン試薬を添加する。反応容器にキャップをし、反応混合物を、100~120℃で10~24時間加熱する。反応混合物を濃縮し、次にCombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製して、スキーム3Aの式310に従う生成物を提供する。
またさらなる例では、出発材料318の溶液に、ジオキサン中、CsCOおよびアリールアミンカップリングパートナーを添加する。反応容器を、窒素ガスの通気によって脱気し、次にPd(OAc)およびキサントホスを添加する。次に、反応容器にキャップをし、マイクロ波を80℃で1時間照射する。反応混合物を濾過し、濃縮し、次にCombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製して、スキーム3Aの式312に従う生成物を提供する。
(実施例5)
この実施例では、スキーム3Bに従う化合物を作製する。特定の実施形態では、式316を有する化合物(スキーム3B)を、DCMに溶解させたアクリジン-3,6-ジアミンおよびDIPEAの溶液を提供し、それを氷水浴中4℃に冷却することによって作製する。次に、所望の塩化アシルまたは塩化スルホニルを、5分間にわたって滴下添加する。反応物を室温に加温し、さらに1~3時間撹拌する。反応混合物を濾過して不溶性塩を除去し、濾液を収集し、濃縮し、次にCombiFlash(登録商標)精製系を使用して、スキーム3Bの式316に従う生成化合物に精製する。これらの実施形態では、化合物316は、対称性アミンである。
Figure 2023532134000064
非対称性アミンは、以下のスキームに示される通り、異なるカップリングパートナーを使用することによって作製することができる。
Figure 2023532134000065
スルホニル含有化合物は、以下に示される通り作製される。特定の実施形態では、DCMに溶解させたアクリジン-3,6-ジアミンおよびDIPEAの溶液を、氷水浴中4℃に冷却し、スルホン酸塩化物を、5分間にわたって滴下添加する。反応物を室温に加温し、さらに1~3時間撹拌する。反応混合物を濾過して不溶性塩を除去し、濾液を収集し、濃縮し、次にCombiFlash(登録商標)精製系を使用して精製して、スルホニル含有生成物を提供する。
Figure 2023532134000066
またさらなる例では、他のアミン化合物は、THF/水に溶解させたアクリジン-3,6-ジアミンおよびNaHCOの溶液を、BocOと混合することによって作製することができる。生じた混合物を一晩撹拌し、抽出して、粗製Boc-保護アクリジン-3,6-ジアミンを提供する。NaHを使用して脱プロトン化し、所望のRa’またはRb’基を付加する。次に、TFAを使用してBoc保護基を除去する。
Figure 2023532134000067
(実施例6)
CEP290-LCA対象の人工多能性幹細胞(iPSC)から誘導したオルガノイドの神経網膜は、疾患関連欠陥を示す。レーバー先天黒内障(LCA)は、20種を超える様々な遺伝子の欠陥によって引き起こされる、早期発症型の遺伝性失明疾患である。LCAと関連する遺伝的欠陥は、光受容体の発達および/または機能に加えて、他の組織に影響を及ぼし、症候性臨床表現型を呈することがある。CEP290は、移行帯の非常に重要な成分であり、繊毛タンパク質の輸送を制御する可能性が高い繊毛-中心体タンパク質である。CEP290の欠陥は、LCAがより軽度のスペクトルに向かうと思われる複数の症候性表現型をもたらすことがある。
胚幹細胞(ESC)およびiPSCを含めたヒト多能性幹細胞(PSC)は、層状神経網膜を有する網膜オルガノイドおよび外節のような未発達構造を有する光受容体に分化することができる。ヒトオルガノイド培養系が、CEP290-LCA対象に観察される疾患関連表現型を再現することができるか否かを研究するために、表現型的に正常な母(対照)およびその2種のLCA子孫(LCA1およびLCA2)から構成されたファミリーを動員した。対照および対象のiPSCを、線維芽細胞から再プログラム化し、網膜オルガノイドに分化させた。異常表現型を、対象の網膜オルガノイドにおいて、対照と比較して特定した。対照オルガノイドでは、桿体光受容体オプシンであるロドプシンが、分化(D)120日目に明らかになり、続いて、D150日目に神経網膜の頂端側に極性化し、D200日目までには外節領域に輸送された(図2A)。しかし、LCA1オルガノイドでは、ロドプシンを発達中ずっと観察することができたが、外節には送達されず、細胞体に誤って局在化したままであった。LCA2オルガノイドは、ロバストなロドプシン発現がなかったことによって示される通り、さらにより重症の表現型を示した。錐体オプシンであるOPN1SWおよびOPN1MWは、対照の神経網膜と比較してあまりロバストでなかったが、対照のオルガノイドと対象のオルガノイドの間で、錐体光受容体に有意な形態学的相違を観察することはできなかった。結合繊毛および繊毛軸糸マーカーであるARL13Bの免疫染色により、対象のオルガノイドにおいて、光受容体の繊毛欠陥によって光受容体の異常発達が引き起こされたことが明らかになった(図2B)。ARL13B染色は、対照の光受容体の結合繊毛に集中しており、外節が発達すると分化プロセスに従って伸長した。それとは対照的に、その光受容体は、両方の対象のオルガノイドで結合繊毛の異常発達を一貫して実証し、外節の生合成がなかった。
疾患機序を理解し、有効な処置を評価することを目指して、CEP290-LCA対象のオルガノイドにおける遺伝子/シグナル伝達経路シグネチャーを決定するために、対照および対象のオルガノイド試料を、D67日目、D90日目、D120日目およびD150日目に採取し、トランスクリプトーム分析を実施した。主成分分析により、対照および対象のオルガノイド試料が、分化にわたって2群に大まかに分けられたことが示されたが、このことは、対照の試料と対象の試料の間の遺伝子プロファイルに矛盾があることを示唆している(図2C)。差次的発現分析では、対照の試料と対象の試料の間に、D90日目およびD120日目に最も大きな矛盾が生じていたことが明らかになり、差次的発現(DE)遺伝子は、D67日目の162およびD150日目の190と比較して、それぞれ2026および1911であった(図2D)。発達ではなく突然変異によって引き起こされたDE遺伝子を単離するために、対照のトランスクリプトームと対象のトランスクリプトームの間で、年齢をマッチさせたペアワイズ比較を実施し、発達段階に起因していたDE遺伝子を除去した(図2E)。この分析のうち779種のユニークな遺伝子が、小胞体におけるタンパク質の代謝、小胞媒介輸送、膜輸送、翻訳、クエン酸回路およびタンパク質プロセシングと関連するシグナル伝達経路に属していた(図2F)。特に、光受容体機能にとって重要な光伝達遺伝子の発現は、対象のオルガノイドにおいてほとんど下方調節された(図2G)。
(実施例7)
マウス網膜オルガノイドにおけるハイスループット表現型スクリーニングにより、桿体光受容体の生存を維持する化合物の実施形態を特定した。網膜変性を処置する、特に網膜繊毛関連疾患(CEP290欠陥と関連する疾患を含む)を処置するのに有用な化合物として、本開示の化合物の実施形態を特定するための代表的な方法を、図3に示す。CEP290関連疾患の発症機序は、ほとんど不明なので、光受容体の生存を維持する化合物の実施形態を特定するために、非標的ハイスループットスクリーニング(HTS)を実施することに決めた。網膜オルガノイドへのヒトiPSCの分化は、技術的困難により、HTSでの細胞の大規模必要量をほとんど満たすことができなかった。繊毛の生合成は、マウスとヒトの間で大規模に保存されているので(Soares et al., 2 Cells, 8, 2019)、Nrl-GFP rd16マウス(CEP290-LCAモデル(Chang et al., Hum Mol Genet, 15, 1847-57, 2006))のiPSCから誘導した網膜オルガノイドを使用して、多重化HTSプラットフォームを設定した。これらのオルガノイドは、比較するとはるかに短い分化時間で、iPSCから効率的に産生することができた(Chen et al., Mol Vis, 22, 1077-1094, 2016)。桿体光受容体の初回***終了マーカーであるNrlのプロモーターの制御下のGFPタグにより(Akimoto et al., Proc Natl Acad Sci USA, 103, 3890-5, 2006)、オルガノイド培養物における桿体細胞の生合成をモニタリングするためのツールを提供した。Nrl-GFP rd16 iPSC由来の網膜オルガノイドにおける>30%低いGFP+細胞および>50%低い生存率に基づいて、GFPおよび核染色4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)の蛍光強度を増大させる化合物の実施形態を特定するための選別に続いて、マウス網膜オルガノイドにおけるヒットの検証により、桿体光受容体の生存率を維持するための化合物発見パイプラインを開発した。そのヒットを、トランスクリプトーム分析、対象のiPSC由来の網膜オルガノイド、およびin vivoでのrd16マウス網膜によってさらに確認した(図3)。
一次選別では、光受容体の繊毛が成長し始め、異常表現型を観察することができたD26日目のrd16網膜オルガノイドを、単細胞(桿体光受容体となるGFP+細胞)に解離し、1,536ウェルプレートに4,000細胞/ウェルの密度で蒔いた。D30日目に、正の対照として網膜オルガノイドも蒔いた。24時間後、Sigma LOPACのライブラリーからのおよそ6000の小分子、FDA承認薬物、ならびに主要細胞シグナル伝達経路のアゴニストおよびアンタゴニストを、DMSO(小分子のための溶媒)を対照として用いて、7つの異なる濃度で細胞に施与した。48時間のインキュベーション後に、処置した細胞を固定し、DAPIで染色した。未処置群でゲートすることによって、およそ100種の化合物が、GFPおよびDAPIシグナル強度に対してプラス効果を示したように見えた。化合物の自己蛍光に起因する偽陽性ヒットを除去するために、一次選別からのこれらの初期のヒットを、GFPマーカーを持っていない親PSC由来のオルガノイドから分化した、解離したD26日目のオルガノイドに施与した。次に、高い自己蛍光シグナルを有する化合物を、その後の実験から除外した。DMSO対照で標準化した後、ヒルの式のモデルから誘導した最大半量活性の濃度として計算したそれらの効力に基づいて、14種の化合物の実施形態を選択した。
(実施例8)
ロドプシンおよびSオプシンの発現は、化合物の実施形態で処置したrd16網膜オルガノイドにおいて増大した。次に、14種の化合物の実施形態を、インタクトなrd16網膜オルガノイド培養物で、AC50およびAC50の半分で試験して、それらの毒性および効果を評価した。0.5×AC50で網膜オルガノイドの解離または光受容体の死滅をもたらした小分子を、その後の検証から除去することができた。化合物を、D22日目に培養物に直接施与し、D25日目に除去した。処置したオルガノイドを、D28日目に化合物を除去した72時間後に採取した(図4A)。5種の化合物の実施形態(NCGC0091250、レセルピン;NCGC00253604、レシメトール;NCGC00263128、CHEMBL39740;NCGC00015874、キナクリン二塩酸塩二水和物;NCGC00166245、プロフラビンヘミ硫酸塩)により、rd16オルガノイド培養物における桿体および/錐体光受容体のためのマーカーのより高い免疫染色が実証された。図4Bに示される通り、未処置rd16光受容体におけるロドプシンの免疫染色は、かなりおぼろげであり、神経網膜の頂端側では極性が消失している。これらの化合物の実施形態を用いる処置により、可変効力でロドプシンの発現および極性が改善された。特に、錐体光受容体の生合成は、D28日目にはWTオルガノイドでも損なわれたが、一部の化合物の実施形態、例えばNCGC0091250は、錐体光受容体におけるSオプシンの発現および極性化を増大させることができ、S錐体に対しても同様に好ましい効果があることを示唆した。マウス網膜オルガノイドの高い変動性を説明するために、ほとんどの画素を取り込み、免疫染色のバックグラウンドを回避する画像処理アルゴリズムを使用して、すべての未処置および処置神経網膜におけるロドプシンおよびSオプシン染色の蛍光強度(図4C)を定量化した。rd16網膜オルガノイドにおける桿体および/または錐体光受容体に対する改善を、選択した化合物の実施形態で確認した。NCGC00253604は、NCGC0091250の誘導体であるが、NCGC0091250ほど強力ではなく、マウス網膜オルガノイドにおいてロドプシ染色の境界域の改善しか示さない。
(実施例9)
対象のiPSC由来の網膜オルガノイドは、化合物の実施形態での処置後に光受容体の生合成の改善を示した。5種の化合物の実施形態をさらに検証するために、LCA対象のiPSCを、網膜オルガノイドに分化させ、選択された小分子で処置した。対照および対象の網膜オルガノイドの遺伝子プロファイルのトランスクリプトーム比較分析により、最も劇的なダイバージェンスがD120日目に観察されたことが示された(図2D)。したがって、薬物処置をD110日目およびD135日目に施与し、それぞれ3日間継続し、網膜オルガノイドを、免疫染色による光受容体および繊毛の生合成の評価のためにD125日目およびD150日目に採取した(図5A)。小分子の様々な感受性およびマウスとヒトの網膜オルガノイドの神経網膜の反転構成に起因して、5~40μMの各化合物を、対象のオルガノイドで再評価した。1種の化合物の実施形態、NCGC00166245により、対象の1つのオルガノイドにおける毒性がこの範囲内で実証され、これをさらなる妥当性実験から除去した。残りの4種を、対象のオルガノイド培養物に施与した。D150日目の対象のオルガノイドは、かろうじて検出可能なロドプシンを有しており、繊毛軸糸の発達が制限されていたが、これは様々な小分子での処置によって改善された(図5B)。錐体光受容体は、対象のオルガノイドにおいて劇的には影響を受けなかったが、錐体細胞の改善が、2種の小分子処置(NCGC0091250、NCGC0015874)で、対象のオルガノイドにおいて認められ、これはマウスオルガノイドに対するそれらの効果と一致している(図5C)。NCGC009125の誘導体であるNCGC00253604での処置により、マウスと比較してヒト桿体光受容体に対してより強力な効果があったことが実証された。
(実施例10)
rd16マウスへの化合物の実施形態の硝子体内注射により、光受容体の外側顆粒層の厚さが維持された。in vivoでの化合物の実施形態を検証するために、硝子体内注射を実施して、化合物をNrl-GFP rd16マウス網膜に送達し、外側顆粒層(ONL)における光受容体の生存をアセスメントした。野生型とrd16マウスの網膜の相違は、生後(P)6日目もの早期に現れるので、化合物をP4日目に硝子体内に送達し、一方の目にはDMSO(対照)を投与し、他方の目には候補化合物を投与した。P21日目に両目を採取した(図6A)。注射技術を含めた技術的な問題、化合物の濃度および毒性を系統的にアセスメントするために、実験を1種の化合物NCGC0091250で開始し、それによって、マウスおよびヒトのオルガノイドにおいて最も著しい効果が明らかになった。注射された動物3匹のうち2匹において、40μMのNCGC0091250の注射により、GFP(桿体細胞)およびDAPI(図6B)によって示される通り、処置なしの対照の目と比較して、P21日目にONLの厚さが維持されていた。桿体に特異的なタンパク質であるロドプシン(RHO)および環状GMPホスホジエステラーゼβ(PDE6β)を含めた光受容体繊毛タンパク質は、外節領域に輸送された。処置された網膜には、未処置網膜と比較してより多い繊毛タンパク質が、より長い外節に一貫して位置していた。注射されたすべての3匹のマウスにおいて、明らかな毒性は観察されなかった。
(実施例11)
対象の網膜オルガノイドに対する薬物効果の評価。CEP290-LCA(IVS26+1655A>G p.C998X;c.5668G>T p.G1890X)に対する薬物処置のタイムラインを、図7Aに示す。対象の人工多能性幹細胞(iPSC)由来の網膜オルガノイドを使用し、(1)間欠的高用量(20μMおよび30μM)および(2)持続的低用量(10μM)の2つの処置モジュールを評価した。処置を開始して3日後に、対象のオルガノイドにおいて異常表現型を観察することができ(D117日目)、分析のためにオルガノイドをD150日目に採取した。薬物ビヒクルであるDMSOを、対照として1%未満の濃度(v/v)で添加した。図7Bおよび7Cは、それぞれ対象のオルガノイドにおけるウエスタンブロット分析およびロドプシンレベルの定量化を示す。データを、2回の実験からの平均±標準偏差として表し、実験はそれぞれ、少なくとも2つの網膜オルガノイドを備えていた。ベータ-アクチン(ACTB)をローディングコントロールとして使用した。データから決定される通り、両方の対象からの網膜オルガノイドは、家族性対照由来のもの(図7Bおよび7Cにおいて「C」として標識した)と比較して、より低いロドプシン発現を有しており、桿体光受容体に欠陥があることを示唆した。様々な濃度のレセルピンによる処置(図7A~7Cにおいて「R」として標識した)は、ロドプシン染色を改善することができた。この実施例において、対象1では30μMのレセルピンがプラス効果を示したのに対して、対象2では10μMで十分であったが、このことはおそらく、対象または細胞株に変動があることを示している。図7Dおよび7Eに示される画像により、レセルピンが、対象のオルガノイドにおける光受容体および繊毛軸糸の両方の改善を示したというウエスタンブロットの結果が確認された。
(実施例12)
対象のオルガノイドにおけるオートファジーの誤調節の評価。rd16オルガノイドマウスにおけるすべての陽性ヒットの一般経路がオートファジー阻害であったので、対象の網膜オルガノイドのオートファジーレベルをアセスメントした。オートファジーは、細胞のホメオスタシス機序であり、その開始は、ストレスによって誘導され、ULK1のリン酸化をもたらし得る(図8Aを参照されたい)。p-ULK1は、他のオートファジー成分ATG101およびATG13と一緒になって、小胞体膜が拡張したものである隔離膜の形成を誘発する。非常に重要なオートファジーアダプターであるp62は、ユビキチン化細胞成分に結合し、それらを隔離膜に送達して、オートファゴソームと呼ばれる密閉された小胞を形成する。オートファゴソームの標準マーカーであるLC3-IIを、新生オートファゴソームLC3-IIの表面上のホスファチジルエタノールアミン(PE)と細胞質のLC3-Iのコンジュゲーションによって産生する。オートファゴソームの細胞成分は、リソソームとの融合によって分解される。対象のオルガノイドにおける全体的なオートファジー状態を評価するために、p-ULK1、ULK1、p62およびLC3を含めたプロセスのいくつかの成分を評価した。図8Bは、この実施例における評価のために使用したタイムラインを概説する。繊毛の生合成および光受容体の成熟は、ほぼD90日目に開始するので、対照および対象のオルガノイドをD60日目およびD120日目に採取して、細胞オートファジーに対する繊毛欠陥の影響を評価した。図8Cおよび8D~8Gは、それぞれ対象のオルガノイドにおけるウエスタンブロット分析およびオートファジー成分の定量化を示す(データは、2回の実験からの平均±標準偏差として表し、実験はそれぞれ、少なくとも3つの網膜オルガノイドを備えていた)。ベータ-アクチン(ACTB)をローディングコントロールとして使用した。D60日目に、対照のオルガノイドと対象のオルガノイドの間に、試験したオートファジー成分の有意差は見出されなかった。しかし、p-ULK1の上方調節によって示される通り、増強されたオートファジーの開始を、対象のオルガノイドにおいて観察することができた。p62の著しい下方調節およびLC3-IIの上方調節は、対照と比較して、対象のオルガノイドにおいてオートファジーフラックスの誤調節があったことを一貫して示した。
(実施例13)
オートファジー阻害剤のドラッグリパーパシング。対象の光受容体の救出に対するオートファジー阻害の効果を確認し、このプロセスに関与する非常に重要なオートファジー分子を特定するために、様々なFDA承認オートファジー阻害剤薬物を、報告されたそれらのAC50および2×AC50でオルガノイド培養物上に施与した(図9Aに概説)。MRT68921およびLys05は、ULK1のリン酸化を阻害する。クロロキン(Q)、ヒドロキシクロロキン(HQ)およびROC-325は、リソソームのpHを上昇させて、リソソームとオートファゴソームの融合を防止する。MRT68921およびLys05は、0.5×AC50でも高い毒性を示し(データ示さず)、したがってその後の分析では除外した。図9Bは、桿体(ロドプシン、緑色)、S錐体(Sオプシン、赤色)およびL/M錐体(L/M-オプシン、赤紫色)光受容体の免疫染色の結果を示す。免疫染色分析により、様々な有効性ではあるものの、対象の光受容体に対するすべてのオートファジー阻害剤のプラス効果が明らかになったが、このことは、オートファジー阻害が、網膜変性疾患における光受容体の維持/改善において役割を果たすことを示唆している。
(実施例14)
p62による媒介。この実施例では、処置された対象のオルガノイドにおけるレセルピンによるp62の増大を評価した。図10Aおよび10Bは、それぞれウエスタンブロット分析、ならびにp62およびLC3-IIの定量化を示す。図10Bから分かる通り、一方の対象でLC3-IIレベルが低下したが、他方の対象では低下しなかった。特に、レセルピン処置に対してより応答性の対象において、p62のより有意な変化が観察された。図10Cは、処置された対象のオルガノイドにおけるp62およびアセチル化チューブリン(DM1T)の免疫染色の結果を示しており、この免疫染色を実施して、レセルピンおよびヒドロキシクロロキン(HQ)によって処置された対象のオルガノイドにおける光受容体のp62の増大を確認した。DM1T染色はまた、処置された対象の光受容体において、より十分に発達した繊毛軸糸を示した。図10Dおよび10Eは、処置されたオルガノイドにおける、p62の相互作用パートナーおよび繊毛分解のキードライバーであるHDAC6、ならびにIFT88(鞭毛内輸送)、BBS6およびCEP164(繊毛形成の開始のための遠位付属器成分)を含めた他の繊毛調節タンパク質のウエスタンブロット分析および定量化を示す。レセルピンで処置した対象のオルガノイドにおいて、HDAC6の下方調節およびCEP164の上方調節が観察された。HDAC6は、繊毛の生合成のための主要ドライバーであり、CEP164は、繊毛形成の開始のための前繊毛小胞のドッキングの遠位付属器に位置しているので、透過型電子顕微鏡(TEM)を実施して、未処置対象および処置対象のオルガノイドにおける光受容体のさらなる詳細を明らかにした。前繊毛小胞のドッキングの欠陥および繊毛膜の形成は、CEP290-LCA対象の網膜オルガノイドにおける初期表現型であることが報告されており、このような欠陥は、レセルピンの処置によって軽減することができた(図10F、上パネルを参照されたい)。TEM分析により、処置された光受容体において、より長い繊毛軸糸も明らかになった(図10F、下パネルを参照されたい)。特に、オルガノイド培養物において希少な、十分に組織化されたディスクのような構造を、対象のオルガノイドにおいて観察することができたが(図10Gを参照されたい)、このことは、外節(光受容体の一次繊毛)の発達に対するレセルピンの好ましい効果を示唆している。
(実施例15)
CEP290-LCA対象の人工多能性幹細胞(iPSC)由来の網膜オルガノイドの短期処置後の、改善された光受容体形態。様々な突然変異によって引き起こされる対象のオルガノイドに対するレセルピンの効果を評価するために、CEP290-LCAの最も一般的な突然変異であるホモ接合性IVS26+1655A>G p.C998Xによって引き起こされるCEP290-LCA対象のオルガノイドに対して、レセルピンの短期処置を実施した。図11Aは、この実施例のために使用したCEP290-LCA網膜オルガノイドのための小分子処置パラダイムを示す模式図を提供する。図11Bは、桿体細胞(緑色)、S錐体(赤色)およびL/M錐体(赤紫色)の免疫染色から得られた画像を示す。画像により、IVS26+1655A>G p.C998Xについてホモ接合性のCEP290-LCA網膜オルガノイドが、光受容体の発達において欠陥を示し、レセルピンによる処置が、培養物において桿体光受容体を改善することができたことが確認される。
多くの可能な実施形態に本開示の原理が適用され得ることを考慮して、示される実施形態は、単に好ましい例であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを認識されたい。むしろ本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。したがって本発明者らは、これらの特許請求の範囲および思想内に該当するすべてを、本発明として特許請求する。

Claims (34)

  1. 対象の網膜変性を処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の化合物を投与し、それによって、前記対象の前記網膜変性を処置するステップを含み、前記化合物が、式I、II、またはIIIから選択される式に従う構造を有する化合物
    Figure 2023532134000068
    または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体、あるいは3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド、またはその別の薬学的に許容される塩、もしくはプロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体から選択される、方法
    [式中、
    (i)式Iに関して、
    は、ヘテロ脂肪族であり、
    は、ORまたはNRであり、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、脂肪族、水素、芳香族、または有機官能基から選択され、
    は、脂肪族、芳香族、アシル、またはスルホニルから選択され、
    は、アシル、脂肪族、芳香族、またはスルホニルから選択され、
    nは、0~4から選択される整数であり、
    (ii)式IIに関して、
    は、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
    は、芳香族であり、
    およびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族から選択され、
    mは、0~4から選択される整数であり、
    (iii)式IIIに関して、
    R’は、脂肪族、芳香族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
    各R’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
    各R’’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
    pは、0~4から選択される整数であり、
    qは、0~4から選択される整数であり、
    rは、0または1から選択される整数である]。
  2. 前記対象が、網膜色素変性、LCA、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、全脈絡膜萎縮または加齢黄斑変性を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記化合物が、経口投与される、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記化合物が、前記対象の目に局所投与される、請求項1または請求項2に記載の方法。
  5. 前記化合物が、前記対象の目に硝子体内投与される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記対象が、ヒトである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記化合物が、前記対象の目の網膜における光受容体の顆粒層の厚さを維持する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記化合物が、前記対象の網膜におけるオプシンの発現を増大させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記光受容体オプシンが、錐体オプシン、ロドプシン、または桿体環状GMPホスホジエステラーゼ6β(PDE6β)を含む光伝達タンパク質である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記化合物が、前記対象の光受容細胞の数を増大させる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記対象の視覚を評価するステップをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記対象に対して網膜電図検査を実施するステップを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記化合物が、式IA、ICまたはIEのいずれか1つ、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
    Figure 2023532134000069
  14. 前記化合物は、
    が、アルコキシであり、
    が、-ORまたは-NRであり、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、アルキル、水素、ヘテロアリール、またはアリールから選択され、
    が、アルキル、ヘテロアリール、アリール、スルホニル、またはアシルから選択され、
    が、アシル、アルキル、ヘテロアリール、アリール、またはスルホニルから選択され、
    nが、0、1、2、3、または4である、
    式I、IA、ICまたはIE、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記化合物は、
    が、
    Figure 2023532134000070
    Figure 2023532134000071
    から選択される、
    式I、IA、ICまたはIE、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記化合物が、
    Figure 2023532134000072
    Figure 2023532134000073
    または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記化合物が、式IIA、
    Figure 2023532134000074
    または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記化合物は、
    各Rが、独立に、ハロゲン、-OMe、-CN、または-CFから選択され、
    が、アリール;ハロゲン、-CF、-CN、-OH、アルキル、またはアルコキシから選択される1つまたは複数の置換基を含むアリール;ヘテロアリール;ハロゲン、-CF、-CN、-OH、アルキル、またはアルコキシから選択される1つまたは複数の置換基を含むヘテロアリールから選択され、
    およびRのそれぞれが、独立に、水素、アルキル、またはアミノから選択され、
    mが、0、1、2、3、または4である、
    式IIまたはIIA、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する、請求項1~12または17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記化合物が、式IIまたはIIA、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有し、Rが、
    Figure 2023532134000075
    Figure 2023532134000076
    から選択される、請求項1~12、17、または18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記化合物が、
    Figure 2023532134000077
    または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体である、請求項1~12または17~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記化合物が、式IIIA~IIID、
    Figure 2023532134000078
    または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記化合物は、
    R’が、ハロ、-CN;-CF;-OCF;アルキル;1つもしくは複数の窒素原子、1つもしくは複数の酸素原子、1つもしくは複数の硫黄原子、またはそれらの組合せを含むヘテロアルキル;あるいはアミノアリールから選択され、
    R’’が、ハロゲン、アルコキシ、または-NRa’b’から選択され、Ra’およびRb’のそれぞれは、独立に、アルキル、ヘテロアルキル、ベンジル、アシル、スルホニルから選択され、
    R’’’が、ハロゲン、アルコキシ、または-NRa’b’から選択され、Ra’およびRb’のそれぞれは、独立に、アルキル、ヘテロアルキル、ベンジル、アシル、またはスルホニルから選択され、
    pおよびqが、独立に、0、1、2、3、または4から選択される整数であり、
    rが、0または1である、
    式IIIまたはIIIA~IIID、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する、請求項1~12または21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記化合物は、
    R’が、
    Figure 2023532134000079
    Figure 2023532134000080
    から選択され、
    R’’およびR’’’が、独立に、-NRa’b’であり、Ra’およびRb’の一方は、Hであり、他方は、
    Figure 2023532134000081
    から選択される、
    式IIIまたはIIIA~IIID、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体に従う構造を有する、請求項1~12、21、または22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記化合物が、
    Figure 2023532134000082
    Figure 2023532134000083
    または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体から選択される、請求項1~12または21~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記化合物が、
    Figure 2023532134000084
    から選択される、請求項1に記載の方法。
  26. 対象の網膜変性の処置において使用するための、請求項1または13~25のいずれか一項に記載の治療有効量の化合物を含む組成物。
  27. 経口投与のために製剤化されている、請求項26に記載の組成物。
  28. 剤形に含まれる、請求項27に記載の組成物。
  29. 目への局所投与のために製剤化されている、請求項26に記載の組成物。
  30. 硝子体内投与のために製剤化されている、請求項29に記載の組成物。
  31. 治療的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項26~30のいずれか一項に記載の組成物。
  32. 請求項1~25のいずれか一項に記載の方法において使用するための治療有効量の化合物を含む組成物であって、前記化合物が、式I、II、またはIIIから選択される式に従う構造を有する化合物
    Figure 2023532134000085
    または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体、あるいは3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド、またはその別の薬学的に許容される塩、もしくはプロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体から選択される、組成物
    [式中、
    (i)式Iに関して、
    は、ヘテロ脂肪族であり、
    は、ORまたはNRであり、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、脂肪族、水素、芳香族、または有機官能基から選択され、
    は、脂肪族、芳香族、アシル、またはスルホニルから選択され、
    は、アシル、脂肪族、芳香族、またはスルホニルから選択され、
    nは、0~4から選択される整数であり、
    (ii)式IIに関して、
    は、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
    は、芳香族であり、
    およびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族から選択され、
    mは、0~4から選択される整数であり、
    (iii)式IIIに関して、
    R’は、脂肪族、芳香族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
    各R’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
    各R’’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
    pは、0~4から選択される整数であり、
    qは、0~4から選択される整数であり、
    rは、0または1から選択される整数である]。
  33. 対象の網膜変性を処置するための方法における医薬として使用するための化合物であって、前記方法が、治療有効量の化合物を前記対象に投与し、それによって、前記対象の網膜変性を処置するステップを含み、前記化合物が、式I、II、またはIIIから選択される式に従う構造を有する化合物
    Figure 2023532134000086
    または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体、あるいは3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド、またはその別の薬学的に許容される塩、もしくはプロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体から選択される、化合物
    [式中、
    (i)式Iに関して、
    は、ヘテロ脂肪族であり、
    は、ORまたはNRであり、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、脂肪族、水素、芳香族、または有機官能基から選択され、
    は、脂肪族、芳香族、アシル、またはスルホニルから選択され、
    は、アシル、脂肪族、芳香族、またはスルホニルから選択され、
    nは、0~4から選択される整数であり、
    (ii)式IIに関して、
    は、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
    は、芳香族であり、
    およびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族から選択され、
    mは、0~4から選択される整数であり、
    (iii)式IIIに関して、
    R’は、脂肪族、芳香族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
    各R’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
    各R’’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
    pは、0~4から選択される整数であり、
    qは、0~4から選択される整数であり、
    rは、0または1から選択される整数である]。
  34. 対象の網膜変性を処置するための方法において使用するための化合物であって、前記方法が、治療有効量の化合物を前記対象に投与し、それによって、前記対象の網膜変性を処置するステップを含み、前記化合物が、式I、II、またはIIIから選択される式に従う構造を有する化合物
    Figure 2023532134000087
    または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体、あるいは3-(ジブチルアミノ)-1-(1,3-ジクロロ-6-(トリフルオロメチル)フェナントレン-9-イル)プロパン-1-オールヒドロクロリド、またはその別の薬学的に許容される塩、もしくはプロドラッグ、溶媒和物、水和物もしくは互変異性体から選択される、化合物
    [式中、
    (i)式Iに関して、
    は、ヘテロ脂肪族であり、
    は、ORまたはNRであり、R、R、およびRのそれぞれは、独立に、脂肪族、水素、芳香族、または有機官能基から選択され、
    は、脂肪族、芳香族、アシル、またはスルホニルから選択され、
    は、アシル、脂肪族、芳香族、またはスルホニルから選択され、
    nは、0~4から選択される整数であり、
    (ii)式IIに関して、
    は、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
    は、芳香族であり、
    およびRのそれぞれは、独立に、水素、脂肪族、またはヘテロ脂肪族から選択され、
    mは、0~4から選択される整数であり、
    (iii)式IIIに関して、
    R’は、脂肪族、芳香族、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、または有機官能基から選択され、
    各R’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
    各R’’’は、独立に、ハロゲン、ヘテロ脂肪族、またはアミノから選択され、
    pは、0~4から選択される整数であり、
    qは、0~4から選択される整数であり、
    rは、0または1から選択される整数である]。
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