JP2023529024A - 山椒の葉抽出物を有効成分として含むコロナウイルス治療剤 - Google Patents

山椒の葉抽出物を有効成分として含むコロナウイルス治療剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物及びコロナウイルス感染の予防又は改善用食品組成物に関する。本発明に係る山椒の葉抽出物、その分画物又はこれから分離した活性化合物として、ケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド及び/又はケンペロール-3-O-α-L-ラムノシドは、哺乳動物において呼吸器疾患、消化器疾患、肝疾患、脳疾患などを引き起こすウイルスであるコロナウイルス、特にコロナ-19ウイルスに対する優れた抗ウイルス活性を示すので、コロナウイルスの感染による疾患の予防、改善又は治療のための医薬品及び食品などに有用に利用可能である。【選択図】 図6

Description

本発明は、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物及びコロナウイルス感染の予防又は改善用食品組成物に関する。
コロナウイルス(coronavirus)は、哺乳類及び鳥類において呼吸器疾患、消化器疾患、肝疾患、脳疾患などを引き起こすRNAウイルスである(Gallagher TM.et.al.,Virology,279(2):371-374,2001)。特に、コロナウイルスに属するウイルスのうち豚伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV、transmissble gastroenteritis virus)及び豚流行性下痢ウイルス(PEDV、porcine epidemic diarrhea virus)は、非常に伝染性の高いウイルス性疾病であって、胃腸管消化器系統に侵入し、嘔吐及び下痢による脱水及び高熱を起こし、致死率も高いので、相当な経済的損失を誘発するウイルスである(Duarte M.et.al.,J Gen Virol.,75(Pt 5):1195-1200,1994)。これらのウイルスは、致死率が非常に高いにもかかわらず、他のウイルス感染による疾病のように治療剤が開発されていない。よって、ウイルス感染を防止するためのワクチンの開発研究が進められているが、未だに効率性が低い実情にある(Alonso S.et.al.,J Gen Virol.,83(Pt 3):567-579,2002)。
コロナウイルスによるコロナウイルス感染症-19(coronavirus disease 2019、COVID-19)又はコロナ-19は、2019年12月に中国の武漢で最初に発生した後、中国全域及び全世界に拡散された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2;コロナウイルス科に属するRNAウイルス)による呼吸器感染疾患である。初期には原因が確認されていない呼吸器伝染病としてのみ知られていたが、世界保健機関(WHO)が、2020年1月9日に該当の肺炎の原因が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2、国際ウイルス分類委員会2月11日命名)であると明らかにしながら病原体が確認された。
コロナウイルス感染症-19の病原体は、「SARS-CoV-2」である。国際ウイルス分類委員会(ICTV)は、2020年2月11日に、コロナ-19の病原体にSARS-CoV-2という名称を提案した論文を発表したが、委員会は、このウイルスが2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症侯群)と類似していることを強調したものであると明らかにした。
韓国の疾病管理本部は、中国が学界を通じて公開した該当のウイルスの遺伝子塩基配列を入手して分析した結果、コウモリ由来類似コロナウイルスと最も高い相同性(89.1%)を有することを確認した。ヒトコロナウイルス4種との相同性は39%~43%と低く、MERSとは50%の相同性、SARSとは77.5%の相同性を有することを確認した。
コロナ-19は、感染者の飛沫(唾液)が呼吸器や目、鼻、口の粘膜に浸透したときに伝染される。ここで、飛沫感染は、感染者が咳及びくしゃみをするとき、唾液などの小さい飛沫にウイルス及び細菌が混じることによって他人に感染することであって、通常、移動距離は2mと知られている。目の場合、患者の唾などが目に直接入ったり、ウイルスに汚染した手で目を擦ると目を通じて伝染し得る。そこで、***は、2月19日に、空気中に浮いている固体又は液体微粒子、すなわち、エアロゾルによるコロナ19の伝播可能性を初めて認めたことがある。
コロナ-19に感染すると、約2日~14日(推定)の潜伏期を経た後、発熱(37.5℃)、咳や呼吸困難などの呼吸器症状、及び肺炎が主な症状として表れる。また、筋肉痛、疲労感、及び下痢症状が表れることもあるが、珍しくは無症状感染事例もある。
現在、コロナ-19のワクチンや治療剤は未だに開発されていない状態であって、コロナ-19患者と確診されると、咳、咽喉痛、肺炎などの主要症状によって抗ウイルス剤や2次感染予防のための抗生剤の投与などの対症治療(対症療法)が行われる。
一方、山椒(Zanthoxylum piperitum)は、芸香科の落葉灌木であって、主に韓国、日本及び中国に分布している。山椒は、概して果皮を香辛料及び薬として使用し、種子、若葉、木、茎も多くの用途で使用する。山椒の実は、油が多いので食用油として使用されており、漢方では、芳香性健胃剤、腸代謝促進剤、解毒、駆虫、鎮痛剤として使用されるが、サンショウ(サンショウの木ではない)又は崖椒という名称で呼ばれている。また、漢方によると、動脈硬化、虫歯、歯周炎に山椒の葉を煎じて飲むと良いと言われているが、具体的な効果は未だに科学的に確認されていない。
近年、山椒は、胡椒と芥子を凌ぐ世界第一の天然香辛料として使用されており、従来技術では、主に山椒の果皮、根、木質部をターゲットとして研究が進められてきた。これを抽出した抽出物は、抗菌、殺虫、坑癌、抗炎症、動脈硬化、高脂血症、糖尿、骨粗鬆症、皮膚美白に有効な活性を示すものとして知られている。具体的には、これを使用した従来技術としては、大韓民国公開特許第10-1997-0002913号に開示された生薬(山椒及び犬山椒の果皮)を主材とした薬用酒及びその製造方法、大韓民国登録特許第10-0314545号に開示された山椒から分離した抗菌物質及びその分離方法、大韓民国登録特許第10-0656969号に開示された山椒粗抽出物を有効成分とする結核治療用薬学組成物及び健康機能性食品、大韓民国登録特許第10-0883992号に開示された山椒抽出物又はこれから分離した化合物を含む心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物、大韓民国登録特許第10-1182824号に開示された山椒の実抽出物又はこれから分離された糖タンパク質を含有する抗アレルギー性組成物などがある。
しかし、現在まで発表されたいずれの文献にも、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物がコロナウイルス、特にコロナ-19ウイルス感染の予防、改善又は治療に有効であることが開示されていない。さらに、山椒の葉抽出物は、ケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド及びケンペロール-3-O-α-L-ラムノシドを指標物質と活性化合物として含んでいるが、この点のみを検討したときにも、従来の山椒果皮、根、木質部の抽出物とは相違している。また、ケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド又はケンペロール-3-O-α-L-ラムノシドが、抗コロナウイルス効能、特にコロナ-19ウイルス感染に対する治療効能を有することについては、いずれの文献にも開示されていない。
大韓民国公開特許第10-1997-0002913号
大韓民国登録特許第10-0314545号
大韓民国登録特許第10-0656969号
大韓民国登録特許第10-0883992号
大韓民国登録特許第10-1182824号
Gallagher TM.et.al.,Virology,279(2):371-374,2001
Duarte M.et.al.,J Gen Virol.,75(Pt 5):1195-1200,1994
Alonso S.et.al.,J Gen Virol.,83(Pt 3):567-579,2002
本発明の目的は、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する、コロナウイルス感染の予防又は改善用食品組成物を提供することにある。
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されない。本発明の目的は、以下の説明でより明らかになり、特許請求の範囲に記載の手段及びその組み合わせで実現され得る。
前記目的を達成するために、下記の解決手段を提供する。
本発明の一側面は、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記抽出物は、水、C-Cの低級アルコール又はこれらの混合溶媒で抽出したものである、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記低級アルコールはエタノールである、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記抽出物は、エタノール又は60%乃至99%のエタノール水溶液で抽出したものである、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記抽出物は、90%乃至99%のエタノール水溶液で抽出したものである、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記分画物は、前記山椒の葉抽出物を蒸留水に懸濁させた後、n-ヘキサン、ジクロロメタン、エチルアセテート、及びn-ブタノールで順次分画化して得られたエチルアセテート分画物である、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記山椒の葉抽出物又はエチルアセテート分画物は、活性成分として、下記の[化学式1]で表されるケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド、下記の[化学式2]で表されるケンペロール-3-O-α-L-ラムノシド、下記の[化学式3]で表される4'-ヒドロキシアセトフェノン、下記の[化学式4]で表される2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、及び下記の[化学式5]で表される1,2-ベンゼンジカルボン酸からなる群から選ばれる一つ以上の化合物を含むものである、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
Figure 2023529024000002
Figure 2023529024000003
Figure 2023529024000004
Figure 2023529024000005
Figure 2023529024000006
本発明の一側面において、前記コロナウイルスは、豚伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV、transmissble gastroenteritis virus)、豚流行性下痢ウイルス(PEDV、porcine epidemic diarrhea virus)、犬コロナウイルス(canine coronavirus)、牛コロナウイルス(bovine Coronavirus)、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)及びコロナ-19ウイルス(SARS-CoV-2)からなる群から一つ以上選ばれるものである、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記薬学的組成物は、薬剤学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤を含むものである、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の一側面において、前記薬学的組成物は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤及び液体形態からなる群から選ばれ、経口投与するものである、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の他の側面は、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する、コロナウイルス感染の予防又は改善用食品組成物を提供する。
本発明の山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離した活性化合物として、ケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド及び/又はケンペロール-3-O-α-L-ラムノシドは、哺乳動物において呼吸器疾患、消化器疾患、肝疾患、脳疾患などを引き起こすウイルスであるコロナウイルス、特にコロナ-19ウイルスに対する優れた抗ウイルス活性を示すので、コロナウイルスの感染による疾患の予防、改善又は治療のための医薬品及び食品などに有用に利用可能である。
本発明の一実施例に係る山椒の葉抽出物からの溶媒分画物及び活性化合物を収得する過程を示す工程図である。
本発明の一実施例によって収得された(A)ZPE6A分画物及び(B)ZPE6C小分画物のGC-MSスペクトルである。
実施例4においてMDCK及びBEAS-2B細胞での山椒95%のエタノール水溶液抽出物の細胞毒性結果である。
実施例5の1次プラークアッセイ(plaque assay)結果である。
実施例5の2次プラークアッセイ結果である。
実施例5の5μg/mL以下の濃度の山椒抽出物のプラークアッセイ結果である。
実施例5の5μg/mL以下の濃度の山椒抽出物のプラークアッセイ結果である。
実施例6のMDCK細胞でのウイルスタンパク質発現を阻害する山椒95%のEtOH Ext.効能結果である。
実施例7のRaw264.7細胞でLPSによるIκBα分解(degradation)を抑制する山椒95%のEtOH Ext.効能結果である。
実施例8においてRaw264.7細胞でのウイルスによるTNF-α mRNA発現(expression)に対する山椒95%のEtOH Ext.抑制効能結果である。
実施例8においてRaw264.7細胞でのウイルスによるIL-6mRNA発現に対する山椒95%のEtOH Ext.抑制効能結果である。
実施例8においてRaw264.7細胞でのウイルスによるIL-1β mRNA発現に対する山椒95%のEtOH Ext.抑制効能結果である。
別に明示されない限り、本明細書で使用された成分、反応条件、成分の含量を表現する全ての数字、値及び/又は表現は、これらの数字が本質的に異なるもののうち、このような値を得るのに発生する測定の多様な不確実性が反映された近似値であるので、全ての場合、「約」という用語によって修飾されるものと理解しなければならない。また、本記載で数値の範囲が開示される場合、このような範囲は連続的であり、別に指摘されない限り、このような範囲の最小値から最大値が含まれた前記最大値までの全ての値を含む。さらに、このような範囲が整数を称する場合、別に指摘されない限り、最小値から最大値が含まれた前記最大値までを含む全ての整数が含まれる。
本明細書において、範囲が変数に対して記載される場合、前記変数は、前記範囲の記載された各終了点を含む記載された範囲内の全ての値を含むものと理解され得る。例えば、「5乃至10」の範囲は、5、6、7、8、9、及び10の値のみならず、6乃至10、7乃至10、6乃至9、7乃至9などの任意の下位範囲を含み、5.5、6.5、7.5、5.5乃至8.5及び6.5乃至9などのような記載された範囲の範疇に妥当な各整数の間の任意の値も含むものと理解され得る。また、例えば、「10%乃至30%」の範囲は、10%、11%、12%、13%などの各値及び30%までを含む全ての整数のみならず、10%乃至15%、12%乃至18%、20%乃至30%などの任意の下位範囲を含み、10.5%、15.5%、25.5%などのように記載された範囲の範疇内の妥当な各整数の間の任意の値も含むものと理解され得る。
また、本明細書で使用された用語及び略語は、別に定義されない限り、本発明の属する技術分野の当業者に通常的に理解される意味として解釈され得る。
本発明者等は、コロナウイルスの感染による疾患の予防、改善又は治療効果を示しながら副作用の少ない天然物を見出すために鋭意努力した結果、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離した活性化合物として、ケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド及び/又はケンペロール-3-O-α-L-ラムノシドが、哺乳動物において呼吸器疾患、消化器疾患、肝疾患、脳疾患などを引き起こすウイルスであるコロナウイルス、特にコロナ-19ウイルスに対する優れた抗ウイルス活性を示すことを確認することによって、本発明を完成するに至った。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離した活性化合物として、ケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド及び/又はケンペロール-3-O-α-L-ラムノシドを有効成分として含有する、コロナウイルス、特にコロナ-19ウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物及びコロナウイルス感染の予防又は改善用食品組成物に関する。
本発明の一側面は、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物を提供する。
本発明の一側面は、対象体のコロナウイルス感染の予防、軽減又は治療方法であって、前記方法は、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物の有効量を、これを必要とする対象に投与する段階を含む、方法を提供する。
本発明の一側面は、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療のための薬物の製造のための山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物の用途を提供する。
本発明の一側面は、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療の用途のための山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を提供する。
前記山椒(Zanthoxylum piperitum)から抽出物、分画物及び活性化合物を分離するための一連の方法を特徴とし、具体的には、下記の段階を含む:
1)山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉に抽出溶媒を加えて抽出する段階;
2)段階1)の抽出物をろ過する段階;
3)段階2)のろ過した抽出物を減圧濃縮した後で乾燥し、山椒の葉の抽出物を製造する段階;
4)段階3)の山椒の葉抽出物を追加的に有機溶媒で抽出し、山椒の葉分画物を製造する段階;及び
5)段階4)で得た分画物のうちエチルアセテート分画物に対してシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び中圧クロマトグラフィー(MPLC)を行い、下記の[化学式1]で表されるケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド又は下記の[化学式2]で表されるケンペロール-3-O-α-L-ラムノシドをそれぞれ収得する段階。
図1の工程図を参照して、山椒の葉からの抽出物、溶媒分画物又は活性化合物の分離方法をより具体的に説明すると、下記の通りである。
前記方法において、段階1)の山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉は、栽培したもの又は市販されるものなどを制限なく使用することができる。また、段階1)は、これに制限されないが、山椒の葉以外に、茎、枝、根を全て含む植物全体を抽出するものであり得る。
前記方法において、前記段階1)の抽出溶媒としては、水、アルコール又はこれらの混合物を使用することが好ましい。前記アルコールとしては、C乃至C低級アルコールを用いることが好ましく、低級アルコールとしてはエタノールを用いることが好ましい。前記エタノールは、これに制限されないが、好ましくは60%乃至99%のエタノール水溶液であってもよく、さらに好ましくは90%乃至99%のエタノール水溶液であってもよい。抽出方法としては、振とう抽出、ソックスレー(Soxhlet)抽出又は還流抽出を用いることが好ましいが、これに限定されない。前記抽出溶媒は、乾燥した山椒の葉分量に1倍乃至30倍、1倍乃至20倍、又は1倍乃至10倍で添加して抽出することが好ましい。抽出温度は、20℃乃至100℃であることが好ましく、20℃乃至60℃であることがさらに好ましく、室温であることが最も好ましいが、これに限定しない。また、前記抽出時間は、1日乃至10日であることが好ましいが、これに限定しない。併せて、抽出は1回以上行えるが、抽出が継続されるほど活性成分の収得量が著しく減少するので、5回以上繰り返し行うことは経済的でない場合がある。そこで、抽出は1回乃至5回行うことが好ましく、2回乃至5回繰り返し行うことがさらに好ましいが、これに限定されない。
前記抽出方法は、当業界で通常的に知られている方法であって、例えば、超臨界抽出、亜臨界抽出、高温抽出、高圧抽出又は超音波抽出法などの抽出装置を用いた方法又はXAD及びHP-20を含む吸着樹脂を用いる方法などであり得る。
前記方法において、段階3)の減圧濃縮は、真空減圧濃縮器又は真空回転蒸発器を用いて行うことが好ましいが、これに限定しない。また、乾燥は、減圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥又は凍結乾燥であることが好ましいが、これに限定しない。
前記方法において、段階4)の有機溶媒は、ノルマル-ヘキサン(n-Hexane)、ジクロロメタン(CHCl)、エチルアセテート(EtOAc)又はブタノール(BuOH)であることが好ましいが、これに限定しない。前記分画物は、山椒の葉抽出物を水に懸濁させた後、ノルマル-ヘキサン(n-Hexane)、ジクロロメタン(CHCl)、エチルアセテート(EtOAc)、ノルマル-ブタノール(n-BuOH)及び水(HO)で順次に系統分画して収得したノルマル-ヘキサン分画物、ジクロロメタン分画物、エチルアセテート分画物、ノルマル-ブタノール分画物及び水分画物のうちいずれか一つであることが好ましく、エチルアセテート分画物であることがさらに好ましいが、これに限定しない。前記分画物は、前記山椒の葉抽出物から分画過程を1回乃至5回、好ましくは3回繰り返して収得することができ、分画後に減圧濃縮することが好ましいが、これに限定しない。
前記方法において、前記段階5)は、段階4)で得た分画物のうちエチルアセテート分画物に対してシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び中圧クロマトグラフィー(MPLC)を行い、活性化合物を分離・収得する段階である。
具体的には、前記段階4)で収得したエチルアセテート分画物を、シリカビード(Silica beads)が充填されたガラスカラム(5×50cm)に充填させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行う。このとき、溶出液としては、エチルアセテートとメタノールの混合溶液を使用し、エチルアセテート/メタノールの体積比を90/10から60/40まで変化させながら溶出する。前記シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行った結果、7個の分画を得た。そして、得られた分画物は、ZPE1、ZPE2、ZPE3、ZPE4、ZPE5、ZPE6、ZPE7と命名した。前記シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って得た7個の分画のうちZPE6が最も優れた活性を示しており、分画ZPE6を選択し、その後で中圧クロマトグラフィー(MPLC)を行った。
選択された分画ZPE6は、セファデックスLH-20(sephadex LH-20)カラムに充填させ、中圧クロマトグラフィー(MPLC)を行う。このとき、溶出液としてメタノール単独溶液を使用して溶出する。前記中圧クロマトグラフィー(MPLC)を行った結果、3個の小分画を得た。そして、得られた小分画物は、ZPE6A、ZPE6B、ZPE6Cと命名した。前記中圧クロマトグラフィー(MPLC)を行って得た3個の小分画のうちZPE6Bが最も優れた活性を示しており、小分画ZPE6Bを選択し、活性化合物を分離する。
小分画ZPE6Bから活性化合物を分離するために、オクタデシル化シリカが充填された逆相カラムを用いる高性能液体クロマトグラフィー(high-performance liquid chromatography、HPLC)を行う。このとき、溶出液としては、メタノールと水の混合溶液を使用し、好ましくは、メタノールと水が同等量で含まれた50%のメタノール水溶液を使用する。
前記HPLCを通じて分離された活性化合物は、核磁気共鳴分光分析を通じて、下記の[化学式1]で表されるケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド(クェルシトリン(Quercitrin))、及び下記の[化学式2]で表されるケンペロール-3-O-α-L-ラムノシド(アフゼリン(Afzelin))であることが確認された。
前記で分離した活性成分1及び活性成分2は、それぞれ核磁気共鳴分光分析を通じて化学構造を究明した。
Figure 2023529024000007
Figure 2023529024000008
一方、これに制限されないが、前記エチルアセテート(EtOAc)分画物は、活性成分として、前記[化学式1]で表されるケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド、及び前記[化学式2]で表されるケンペロール-3-O-α-L-ラムノシドのみならず、下記の[化学式3]で表される4'-ヒドロキシアセトフェノン、下記の[化学式4]で表される2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、及び下記の[化学式5]で表される1,2-ベンゼンジカルボン酸を含むものであり得る。
Figure 2023529024000009
Figure 2023529024000010
Figure 2023529024000011
以上の分離方法を通じて収得される山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、前記抽出物を有機溶媒で抽出した溶媒分画物及びこれから分離されたケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド(化学式1)及びケンペロール-3-O-α-L-ラムノシド(化学式2)は、多様なコロナウイルス、特にコロナ-19ウイルスに対して有意な結果を示していることを確認できた。よって、山椒の葉抽出物、その分画物及び/又はこれから分離された活性化合物として、[化学式1]又は[化学式2]で表される化合物は、コロナウイルスの感染による疾患、特にコロナウイルス感染症-19の予防、改善、治療を目的とする薬学的組成物又は食品組成物に有効成分として含まれ得る。
本発明において、前記コロナウイルスは、これに制限されないが、豚伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV、transmissble gastroenteritis virus)、豚流行性下痢ウイルス(PEDV、porcine epidemic diarrhea virus)、犬コロナウイルス(canine coronavirus)、牛コロナウイルス(bovine Coronavirus)、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)及びコロナ-19ウイルス(SARS-CoV-2)からなる群から一つ以上選ばれ得る。
本発明において、前記コロナウイルスは、好ましくは、コロナ-19ウイルス(SARS-CoV-2)であり得る。
本発明に係る薬学的組成物は、山椒の葉抽出物、その分画物及び/又はこれから分離された活性化合物を有効成分として含み、組成物の総重量に対して、前記有効成分が0.01重量%乃至80重量%で含まれてもよく、本発明がこれに限定されない。
本発明の薬学的組成物は、薬剤学的に許容可能な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。本発明の用語「薬学的に許容可能な」とは、前記組成物に露出する細胞や人間に毒性のない特性を示すことを意味する。前記担体としては、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤、基剤、賦形剤、潤滑剤などの当業界に公知となったものであれば制限なく使用することができる。
また、本発明の薬学的組成物は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して使用され得る。本発明の組成物に含まれ得る担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、未晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油を挙げることができる。剤形化する場合は、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調剤される。
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記山椒の葉抽出物、その分画物及び/又はこれから分離された活性化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤以外に、マグネシウムステアレート、タルクなどの潤滑剤も使用される。経口のための液状製剤は、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などに該当するが、頻繁に使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含むことができる。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、及び坐剤が含まれる。非水性溶剤及び懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物性油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが使用され得る。坐剤の基剤としては、ウイテプゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用され得る。
一方、本発明の薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明の用語「投与」とは、適切な方法で個体に所定の物質を導入することを意味し、前記組成物の投与経路は、目的組織に到逹し得る限り、如何なる一般的な経路であってもよい。腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与があり得るが、これに制限されない。
前記用語「個体」とは、人間を含むネズミ、マウス、家畜などの全ての動物を意味する。好ましくは、人間を含む哺乳動物であり得る。
前記用語「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な受恵/危険比率で疾患を治療するのに十分であり、副作用を起こさない程度の量を意味し、有効用量水準は、患者の性別、年齢、体重、健康状態、疾病の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与方法、投与時間、投与経路、排出比率、治療期間、配合又は同時に使用される薬物を含む要素、及びその他の医学分野でよく知られている要素によって当業者が容易に決定することができる。しかし、好ましい効果のために、大人の場合、本発明の組成物は、1回投与量として0.0001mg/kg乃至1000mg/kg、好ましくは10mg/kg乃至300mg/kg(体重)含むことができる。前記勧奨投与量は、1日に1回であってもよく、又は数回に分けてもよい。前記投与量は、如何なる面でも本発明の範囲を限定しない。
本発明の他の側面は、山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する、コロナウイルス感染の予防又は改善用食品組成物を提供する。
前記山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物に関するものと、前記山椒の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物によるコロナウイルスの感染に対する予防、改善、治療効果は、上述した通りであり、本発明の組成物を食品添加物として使用する場合、前記山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物をそのまま添加したり、他の食品又は食品成分と共に使用することができ、通常の方法によって適宜使用することができる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康又は治療的処置)によって適宜決定することができ、食品学的に許容可能な食品補助添加剤をさらに含むことができる。本発明の組成物は、天然物から由来した抽出物及びその分画物を有効成分とするので、安定性の面で問題がなく、混合量に大きな制限はない。
本発明の食品組成物は、通常的な意味の食品を全て含むことができ、機能性食品、健康機能食品などの当業界に知られている用語と混用可能である。
本発明の用語「機能性食品」は、健康機能食品に関する法律第6727号による人体に有用な機能性を有する原料や成分を使用して製造及び加工した食品を意味し、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節したり、生理学的作用などの保健用途に有用な効果を得る目的で摂取することを意味する。
また、本発明の用語「健康機能食品」は、健康補助の目的で特定成分を原料としたり、食品原料に入っている特定成分を抽出、濃縮、精製、混合などの方法で製造及び加工した食品を意味し、前記成分によって生体防御、生体リズムの調節、疾病の防止及び回復などの生体調節機能を生体に対して十分に発揮できるように設計・加工された食品を意味するものであって、前記健康食品用組成物は、疾病の予防及び疾病の回復などと関連した機能を行うことができる。
本発明の組成物が使用され得る食品の種類には制限がない。併せて、本発明の山椒の葉抽出物、その分画物及び/又はこれから分離された活性化合物を活性成分として含む組成物は、当業者の選択によって食品に含有され得る適切なその他の補助成分と公知の添加剤とを混合して製造することができる。添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、これらは、本発明に係る抽出物及びその分画物を主成分として製造した汁、お茶、ゼリー及びジュースなどに添加して製造することができる。
また、本発明に適用され得る食品としては、例えば、特殊栄養食品(例:調剤乳類、嬰・乳児食など)、食肉加工品、魚肉製品、豆腐類、ムク(ゼリー状食品)類、麺類(例:ラーメン類、麺類など)、健康補助食品、調味食品(例:醤油、味噌、唐辛子味噌、混合醤など)、ソース類、菓子類(例:スナック類)、乳加工品(例:発酵乳、チーズなど)、その他の加工食品、キムチ、漬け食品(各種キムチ類、漬物など)、飲料(例:果実、野菜類飲料、豆乳類、発酵飲料類など)、天然調味料(例:ラーメンスープなど)などの全ての食品を含むことができる。
本発明の健康機能食品組成物が飲料の形態で使用される場合は、通常の飲料のように、様々な甘味剤、香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。前記以外に、本発明の健康機能食品組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができ、その他に、天然果物ジュース、果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。
本発明の山椒の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物は、天然薬用植物を原料とするので、薬学的組成物又は食品組成物として使用する場合にも一般的な合成化合物に比べて副作用が少なく、安全に含まれるので有用に使用され得る。
以下、実施例を通じて本発明の構成及び効果をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎなく、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるのではない。
実施例1:山椒の葉抽出物、分画物及び活性化合物の分離
図1に示した工程図に基づいて、山椒の葉から抽出物、分画物及び活性化合物を分離する過程を説明すると下記の通りである。
山椒(Zanthoxylum piperitum)としては、韓国の南部地方で採取した国内産山椒を入手した。山椒の葉は、洗浄及び乾燥(陰乾)させた後で細かく切った。その後、山椒の葉は、90%のエタノール水溶液に浸漬し、室温で2回~5回繰り返し抽出した。抽出液を減圧蒸留し、山椒の葉のエタノール抽出物を得た。
山椒の葉のエタノール抽出物68.8gを蒸留水2Lに懸濁した後、同等量のノルマル-ヘキサン(n-hexane)、ジクロロメタン(CHCl)、エチルアセテート(EtOAc)、ノルマル-ブタノール(n-BuOH)及び水で順次分画した後で減圧濃縮し、各溶媒分画物を得た。得られた各溶媒分画物のそれぞれに対してウイルス抑制能を分析し、そのうち最も優れた抗ウイルス能を示すエチルアセテート分画物を選択した。
エチルアセテート分画物は、シリカビード(Silica beads)が充填されたガラスカラム(5×50cm)に充填させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行った。このとき、溶出液としては、エチルアセテートとメタノールの混合溶液を使用し、エチルアセテート/メタノールの体積比を90/10から60/40まで変化させながら溶出した。前記シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、7個の分画(分画ZPE1、2.86g;分画ZPE2、0.32g;分画ZPE3、0.30g;分画ZPE4、1.13g;分画ZPE5、0.54g;分画ZPE6、1.90g;分画ZPE7、1.90g)を得た。前記7個の分画のそれぞれに対してウイルス抑制能を分析し、そのうち最も優れた活性を示す分画ZPE6を選択した。
分画ZPE6を減圧濃縮し、完全に乾燥させた後、セファデックスLH-20(sephadex LH-20)カラムに充填させ、中圧クロマトグラフィー(MPLC、Medium pressure liquid chromatography)を行った。このとき、溶出液としてメタノール単独溶液を使用して溶出した。前記中圧クロマトグラフィーを行い、3個の小分画(分画ZPE6A、24.7mg;分画ZPE6B、416mg;分画ZPE6C、65.4mg)を得た。前記3個の小分画のそれぞれに対してウイルス抑制能を確認し、そのうち最も優れた活性を示す小分画ZPE6Bを選択した。
小分画ZPE6Bに対して、オクタデシル化シリカが充填された逆相カラムを用いるHPLC(溶出液:メタノール/水=50:50)を行い、活性成分1と活性成分2とを分離した。
前記で分離した活性成分1と活性成分2は、それぞれ核磁気共鳴分光分析を通じて化学構造を究明した。
活性成分1:
H-NMR(300MHz、DMSO-d)δ0.9(d、J=6Hz、CH)、5.2(d、J=1.5Hz、H-1")、6.15(d、J=2.2Hz、H-6)、6.36(d、J=2.2Hz、H-8)、6.95(d、J=8.2Hz、H-5')、7.25(dd、J=2.2Hz and J=8.2Hz、H-6')、7.35(d、J=2.2Hz、H-2');13C-NMR(75MHz、DMSO-d)δ17.5(C-6")、70.0(C-5")、70.2(C-3")、70.5(C-2")、71.1(C-4")、93.6(C-8)、98.6(C-6)、101.8(C-1")、104.0(C-10)、115.4(C-2')、115.6(C-5')、120.7(C-6')、121.1(C-1')、134.2(C-3)、145.1(C-3')、148.3(C-4')、156.4(C-2)、157.2(C-9)、161.3(C-5)、164.2(C-7)、177.7(C-4)
以上の分光分析結果に基づいて、活性成分1は、下記の[化学式1]で表されるケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド(Quercetin-3-O-α-L-rhamnoside)であることが確認された。活性成分1の分光分析結果は、ケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド(クェルシトリン、Quercitrin)の文献値とよく一致した。
Figure 2023529024000012
活性成分2:
H-NMR(300MHz、DMSO-d)δ0.9(d、J=6Hz、CH)、5.29(1H、d、J=1.5Hz、H-1")、6.21(1H、d、J=2.5Hz、H-6)、6.42(1H、d、J=2.5Hz、H-1")、6.21(1H、d、J=2.5Hz、H-6)、6.42(1H、d、J=2.5Hz、H-8)、6.91(2H、d、J=8.4Hz、H-3' and H-5')、7.74(2H、d、J=8.4Hz、H-2' and H-6');13C-NMR(75MHz、DMSO-d)δ17.4(C-6")、70.0(C-5")、70.2(C-2")、70.6(C-3")、71.0(C-4")、93.7(C-8)、98.7(C-6)、101.7(C-1")、104.0(C-10)、115.3(C-3'、C-5')、120.5(C-1)、130.6(C-2'、C-6')、134.2(C-3)、156.5(C-9)、157.2(C-2)、159.9(C-4')、161.2(C-5)、164.3(C-4)、177.7(C-7)
以上の分光分析結果に基づいて、活性成分2は、下記の[化学式2]で表されるケンペロール-3-O-α-L-ラムノシド(Kaempferol 3-O-α-L-rhamnoside)であることが確認された。活性成分2の分光分析結果は、ケンペロール-3-O-α-L-ラムノシド(アフゼリン、Afzelin)の文献値とよく一致した。
Figure 2023529024000013
実施例2:ZPE6A及びZPE6C小分画物のGC-MS分析
前記実施例1で分離した小分画ZPE6A及びZPE6Cに含まれた活性成分を分析するために、GC-MS(gas chromatography-mass spectrometry)分析を行い、その結果を下記の表1に示した。
Figure 2023529024000014
前記表1のGC-MS分析結果によると、ZPE6A及びZPE6C分画物中には、下記の[化学式3]で表される4'-ヒドロキシアセトフェノン(4'-hydroxy-acetophenone)、下記の[化学式4]で表される2,4-ジ-tert-ブチルフェノール(2,4-di-tert-butylphenol)、及び下記の[化学式5]で表される1,2-ベンゼンジカルボン酸(1,2-benzenedicarboxylic acid)が含有されていることが確認された。
Figure 2023529024000015
Figure 2023529024000016
Figure 2023529024000017
また、ZPE6A又はZPE6C分画物から分離した4'-ヒドロキシアセトフェノン、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、1,2-ベンゼンジカルボン酸のコロナウイルス複製に対する阻害能を測定し、その結果を図3に示した。
実施例3:抽出条件による活性化合物の含量差
前記実施例1に係る山椒の葉の抽出物を収得する過程で、抽出溶媒及び温度条件を変化させながらそれぞれの抽出物を得た。そして、各抽出物に対しては、活性化合物(クェルシトリン、アフゼリン)の含量をHPLCで分析した。分析結果は表2の通りであった。
Figure 2023529024000018
前記表2によると、抽出条件によって活性化合物の含量が変わり得ることが分かる。
実施例4:山椒抽出物のIn vitro細胞毒性評価
山椒抽出物が細胞毒性なしで抗ウイルス効果を示すことができる最適な濃度を決定するために、MTTアッセイを用いて細胞毒性を確認した。
細胞株としては、MDCK(Madin-Darby canine kidney)細胞株及びヒト気管支上皮(Human bronchial epithelial)(BEAS-2B)細胞株を使用した。
試験方法は下記の通りであった。
1)細胞を各96ウェルに1×10cells/wellの濃度で100μlずつ入れて分注し、これを24時間にわたって37℃、5%COの条件で培養する。
2)24時間後、それぞれの細胞を95%のエタノール山椒抽出物で処理し、これを4時間にわたって37℃、5%COの条件で反応させる。
3)MTT溶液で処理した後で表れる蛍光強度を、570nmでマルチリーダー(Synergy H1 Multi-mode Reader、Biotek)を用いて確認する。
4)MTT試験法を用いて細胞生存率を対照群と比較して計算する。
-対照群としては、何ら処理もしていない群を使用する。
実験結果は、図3及び下記の表3の通りであった。
Figure 2023529024000019
前記結果のように、山椒95%のEtOH Ext.自体のみの細胞毒性が観察された(溶媒による細胞毒性がない)。山椒抽出物の細胞毒性影響がない濃度範囲で下記の抗ウイルス有効性評価を行った。(160μg/ml>IC50)。
実施例5:細胞内のウイルス感染阻害能_プラーク減少の確認
山椒抽出物の細胞内のウイルス感染阻害能を確認するために、プラーク減少分析法(Plaque reduction assay)を行った。
プラークとは、ウイルス感染によって細胞変性を起こした単層細胞部位であって、一つの感染性を有するウイルス粒子が一つのプラークを形成するという理論の下でウイルス定量に応用される。本試験では、山椒抽出物の細胞内のプラーク形成程度を測定し、山椒抽出物の抗ウイルス効能を評価した。
細胞株としては、MDCK(Madin-Darby canine kidney)細胞株を使用した。
試験方法は下記の通りであった。
実験は、下記のプロトコルで準備した。
-細胞:MDCK(Madin-Darby Canine Kidney cells)
-ウイルス:インフルエンザ(A/California/07/2009/H1N1)
-ウイルス濃度:最初の試みは、3×10PFU/mL
二番目の試みは、1×10PFU/mL
-サンプル:ウイルスのみ(only virus)/溶媒/ウイルス+山椒抽出物(N=4)
山椒抽出物;エタノール(≧99.45%)に100mg/mlの濃度でストック(Stock)準備
溶媒;山椒250μg/mlを基準にして0.25%のEtOH
ウイルス感染条件(virus infection condition):100μl、1.5h、37℃、5%CO
(1)1次プラークアッセイ結果は図4の通りであって、2次プラークアッセイ結果は図5の通りであった。実験確認の結果、溶媒(0.04%のEtOH)による抗ウイルス影響はほとんどなかった。山椒抽出物の細胞毒性影響がほとんどない31.25μg/mL以下の濃度範囲から5μg/mLの濃度までプラークが形成されないことを確認した。(山椒95%のEtOH Ext.31.25μg/mLでの細胞生存能力(Cell viability)>85%)
(2)そこで、5μg/mL以下の濃度まで確認が必要であり、下記の追加実験を行った。
-細胞:MDCK(Madin-Darby Canine Kidney cells)
-ウイルス:インフルエンザ(A/California/07/2009/H1N1)
-ウイルス濃度:1×10PFU/mL
-サンプル:ウイルスのみ(only virus)/溶媒/ウイルス+山椒抽出物(N=4)
山椒抽出物;DMSO(≧99%)に20mg/mlの濃度でストック準備
溶媒;山椒10μg/mlを基準にして0.05%のDMSO
-ウイルス感染条件:100μl、1.5h、37℃、5%CO
実験結果は、図6及び図7の通りであった。溶媒による抗ウイルスの影響はほとんどなく、山椒抽出物自体の抗ウイルス効果であることを確認した。山椒95%のEtOH Ext.処理した群では、濃度依存的にプラークが形成されないことを確認した。すなわち、10μg/mlの濃度で約95%以上の阻害率を有することを確認した。
実施例6:細胞内のウイルス感染阻害能_ウエスタンブロット確認
山椒抽出物の有無による細胞内で発現されるウイルスのタンパク質の量の差をウエスタンブロット分析法(Western blot assay)を用いて確認した。
山椒抽出物をウイルスと共に処理し、濃度によって感染細胞で発現されるウイルスタンパク質の発現程度をウエスタンブロットで確認し、山椒抽出物のウイルス不活性化効果及びウイルス感染阻害効果を確認した。
細胞株としては、MDCK(Madin-Darby canine kidney)細胞株を使用した。
試験方法は下記の通りであった。
1)MDCK細胞を1×10cells/wellで分注した6ウェル細胞培養皿に、2×10PFU/mlの濃度のウイルスと山椒抽出物の混合物を1.5時間にわたって処理する。ウイルスとしては、インフルエンザ(A/California/07/2009/H1N1)を使用した。
-対照群として、ウイルスのみを処理した群、何も処理していない群で進行
2)1.5時間後、MDCK細胞をPBSで洗浄し、0.3%のBSA(牛血清アルブミン)が含有されたDMEM培地で2日間培養することによってウイルスタンパク質を発現させる。
2日後、前記細胞を細胞溶解バッファー(RIPA buffer)で処理し、スクレーパーで細胞が培養されているプレートの各ウェルを掻きながら細胞を集めた後、遠心分離によって上澄み液を分離する。
3)BCAタンパク質分析キットを使用して上澄み液のタンパク質定量分析を行い、SDS-PAGEでタンパク質を分離してからPVDF膜に移す。
4)タンパク質が移されたPVDF膜を5%の脱脂乳(skim milk)溶液で1時間にわたってブロックし、ウイルスの表面タンパク質(例;インフルエンザの場合、ヘマグルチニン)に特異的に認識する1次抗体で処理した後、4℃で一晩中反応させる。
5)反応後、TBST(0.1%tween-20が含まれる)バッファー溶液で十分に洗浄し、2次抗体(HRP conjugated)で処理しながら常温で2時間反応させる。
6)TBST(0.1%tween-20が含まれる)バッファー溶液で十分に洗浄し、ECL(enhanced chemiluminescence)溶液で処理し、Chemi-docイメージ装備で発現されるバンドを確認する。
-同一の量の細胞で発現されるウイルスタンパク質の量を比較するために、全ての細胞で類似する水準で発現されるタンパク質であるβ-アクチンに対するウエスタンブロットを同一の方法で同時に行う。
実験結果は図8の通りであった。ウイルスのみを処理した群に比べて、山椒95%のEtOH Ext.を共に処理した群で濃度依存的にウイルスタンパク質発現阻害を確認した。そして、プラーク減少分析法(Plaque reduction assay)の結果と正の線形的相関関係を示すことを確認した。
実施例7:抗炎症IκBα分解抑制効能評価
山椒95%のEtOH Ext濃度によるIκBα分解抑制程度を確認し、山椒抽出物(95%のEtOH Ext.)の抗炎症効果を確認しようとした。IκBαは、炎症反応が活性化されると細胞内で分解され、NF-kB転写を活性化させ、前炎症性サイトカイン分泌を増加させる。
実験方法は下記の通りであった。
-細胞:RAW264.7(マウスマクロファージ細胞(mouse macrophage cell))
-サンプル:対照群(Control)/LPS/LPS+山椒抽出物
山椒抽出物;DMSO(≧99%)に20mg/mlの濃度でストック準備
LPS(Lipopolysaccharides);細菌性炎症誘発成分である脂質多糖体
山椒の前処理を1時間行った後、LPSで6時間処理(in SF media)した。
実験結果は図9の通りであった。LPSのみを処理した場合、IκBα分解が誘導され、バンドが薄れて見えることを確認した。山椒95%のEtOH Ext.前処理群の場合、LPSによるIκBα分解を抑制させることを確認した。(濃度依存的にタンパク質バンドが有意な差を示す。)
実施例8.RT-PCRを通じた山椒抽出物のサイトカイン発現率評価
山椒95%のEtOH Ext濃度による細胞内のサイトカインmRNA発現率を確認し、山椒抽出物(95%のEtOH Ext.)の抗炎症効果を確認しようとした。TNF-α、IL-6、IL-1βは、前炎症性サイトカイン(proinflammatory cytokine)として急性期炎症反応で主要な役割をするので、これらの発現率を測定した。
実験方法は下記の通りであった。
-細胞:RAW264.7(マウスマクロファージ細胞)
-ウイルス:インフルエンザ(A/California/07/2009/H1N1)
-サンプル:対照群(Control)/ウイルス/ウイルス+山椒抽出物
山椒抽出物;DMSO(≧99%)に20mg/mlの濃度でストック準備
ウイルスの前処理を1時間行った後、山椒抽出物で16時間処理した。
実験結果は、図10乃至図12の通りであった。
ウイルスのみを処理した場合、対照群に比べてTNF-α/IL-6/IL-1β発現率が最大2倍増加することを確認した。山椒95%のEtOH Ext.で処理した場合、TNF-α/IL-6/IL-1β発現率を濃度依存的に抑制することを確認した。
前記実施例4乃至6の実験結果のように、山椒抽出物の細胞内のインフルエンザ感染及び複製を抑制する抗ウイルス有効性を確認した。また、実施例7乃至8の結果のように、山椒抽出物のIκBα分解及びサイトカイン(TNF-α、IL-6、IL-1β)抑制効能を確認し、ウイルス感染による過度な炎症反応(cytokine storm)を効果的に緩和できることを確認した。
[製剤例]
下記の製剤例では、本発明の抽出物、分画物又は活性化合物(クェルシトリン(quercitrin)とアフゼリン(afzelin)又はその混合物)を有効成分として含む薬学的組成物又は食品組成物の製造例を説明した。下記の製剤例は、本発明を具体的に説明するためのものであって、これによって本発明が限定されるのではない。
製剤例1:薬学的組成物の製造
製剤例1-1:錠剤の製造
エタノール50gにポビドン10gを溶かしながら結合液を調剤した後、有効成分150gを結合液に入れてから均質に撹拌した。ケイ素化未結晶セルロース130g、クロスカルメロースナトリウム15g、及びコロイド状シリコンジオキシド20gを混合した後、有効成分と均質に撹拌させた結合液を投入し、顆粒工程を行った後で顆粒物を乾燥及び整粒した。製造された顆粒物にクロスポビドン15gを入れて混合し、コロイド状シリコンジオキシド3.5gとステアリン酸マグネシウム6.5gを入れ、滑沢工程を行った後で錠剤に製造した。
製剤例1-2:錠剤の製造
エタノール50gにポビドン19gを溶かしながら結合液を調剤した後、有効成分150gを結合液に入れてから均質に撹拌した。ケイ素化未結晶セルロース143g、クロスカメロースナトリウム15g、及びノイシリン20gを混合した後、有効成分と均質に撹拌させた結合液を投入し、顆粒工程を行った後で顆粒物を乾燥及び整粒した。製造された顆粒物にクロスポビドン15gを入れて混合し、コロイド状シリコンジオキシド5gとステアリン酸マグネシウム8gを入れ、滑沢工程を行った後で錠剤に製造した。
製剤例1-3:錠剤の製造
エタノール50gにポビドン12.5gを溶かしながら結合液を調剤した後、有効成分150gを結合液に入れてから均質に撹拌した。ケイ素化未結晶セルロース62.5g、乳糖水和物65g、クロスカメロースナトリウム15g、及びコロイド状シリコンジオキシド20gを混合した後、有効成分と均質に撹拌させた結合液を投入し、顆粒工程を行った後で顆粒物を乾燥及び整粒した。製造された顆粒物にクロスポビドン15gを入れて混合し、コロイド状シリコンジオキシド3.5gとステアリン酸マグネシウム6.5gを入れ、滑沢工程を行った後で錠剤に製造した。
製剤例1-4:錠剤の製造
エタノール33.5gにポビドン19gを溶かしながら結合液を調剤した後、有効成分150gを結合液に入れてから均質に撹拌した。ケイ素化未結晶セルロース105g(主成分が含有しているエタノールの量だけケイ素化未結晶セルロースの量を追加する)、クロスカメロースナトリウム17.5g、及びノイシリン20gを混合した後、有効成分と均質に撹拌させた結合液を投入し、顆粒工程を行った後で顆粒物を乾燥及び整粒した。製造された顆粒物にクロスポビドン17.5gとケイ素化未結晶セルロース33gを入れて混合し、コロイド状シリコンジオキシド7.5gとステアリン酸マグネシウム8gを入れ、滑沢工程を行った後で錠剤に製造した。
製剤例1-5:コーティング錠の製造
前記製剤例1-1乃至1-4で製造した錠剤755mg(有効成分300mgを含む)は、通常のフィルムコーティングシステム(Opadry(登録商標)、Opadry200(登録商標)又はOpaglos(登録商標))を用いてコティング錠に製造した。
製剤例1-6:注射液剤の製造
有効成分1g、塩化ナトリウム0.6g及びアスコルビン酸0.1gを蒸留水に溶解させながら100mlを製造した。この溶液を瓶に入れ、20℃で30分間加熱して滅菌させた。
製剤例2:健康食品の製造
製剤例2-1:飲料の製造
有効成分1000mg、クエン酸1000mg、オリゴ糖100g、及びタウリン1gを混合し、これに精製水を加えながら全体の体積を900mlにした。約1時間にわたって85℃で撹拌して加熱した後、製造された溶液をろ過し、滅菌された2lの容器に入れて密封滅菌することによって飲料を製造した。

Claims (9)

  1. 山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する、コロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物。
  2. 前記抽出物は、60%乃至99%のエタノール水溶液で抽出したものである、請求項1に記載のコロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物。
  3. 前記抽出物は、90%乃至99%のエタノール水溶液で抽出したものである、請求項1に記載のコロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物。
  4. 前記分画物は、前記山椒の葉抽出物を蒸留水に懸濁させた後、n-ヘキサン、ジクロロメタン、エチルアセテート、及びn-ブタノールで順次分画化して得られたエチルアセテート分画物である、請求項1に記載のコロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物。
  5. 前記山椒の葉抽出物又はエチルアセテート分画物は、活性成分として、下記の[化学式1]で表されるケルセチン-3-O-α-L-ラムノシド、下記の[化学式2]で表されるケンペロール-3-O-α-L-ラムノシド、下記の[化学式3]で表される4'-ヒドロキシアセトフェノン、下記の[化学式4]で表される2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、及び下記の[化学式5]で表される1,2-ベンゼンジカルボン酸からなる群から選ばれる一つ以上の化合物を含むものである、請求項1から4のいずれか1項に記載のコロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物:
    [化1]
    Figure 2023529024000020
    [化2]
    Figure 2023529024000021
    [化3]
    Figure 2023529024000022
    [化4]
    Figure 2023529024000023
    [化5]
    Figure 2023529024000024
  6. 前記コロナウイルスは、豚伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV、transmissble gastroenteritis virus)、豚流行性下痢ウイルス(PEDV、porcine epidemic diarrhea virus)、犬コロナウイルス(canine coronavirus)、牛コロナウイルス(bovine Coronavirus)、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)及びコロナ-19ウイルス(SARS-CoV-2)からなる群から一つ以上選ばれるものである、請求項1に記載のコロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物。
  7. 前記薬学的組成物は、薬剤学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤を含むものである、請求項1に記載のコロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物。
  8. 前記薬学的組成物は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤及び液体形態からなる群から選ばれ、経口投与するものである、請求項1に記載のコロナウイルス感染の予防、軽減又は治療用薬学的組成物。
  9. 山椒(Zanthoxylum piperitum)の葉抽出物、その分画物又はこれから分離された化合物を有効成分として含有する、コロナウイルス感染の予防又は改善用食品組成物。
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