JP2023520414A - Vegf及びpdgf-bに結合する抗体及び使用方法 - Google Patents

Vegf及びpdgf-bに結合する抗体及び使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗VEGF/抗PDGF-B抗体及びその使用方法に関する。

Description

発明の分野
本発明は、抗VEGF/抗PDGF-B抗体及びその使用方法に関する。
発明の背景
別個のVEGFアンタゴニスト及びPDGFアンタゴニストを使用して眼血管新生疾患の処置のVEGF及びPDGFをブロッキングする併用療法アプローチが以前に示唆されている(国際公開第2005/020972号、国際公開第2010/127029号、国際公開第2016/025313号)。
PDGF-B及びVEGFに結合する二重特異性抗体は以前に報告されており、眼血管疾患の処置について示唆された(国際公開第2016/075036号、抗体「0117」)。二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B抗体0117は、1つの結合アームにドメイン交差交換を有する完全長IgG様抗体である(Schaefer,W.et al,PNAS,108(2011)11187-1191)。VEGF結合アームは、抗VEGF抗体ラニビズマブのVHドメイン及びVLドメインを含む。
可変重鎖ドメイン(VH)及び可変軽鎖ドメイン(VL)の1つの対に2つのパラトープを含む多重特異性抗体は、国際公開第2008/027236号;国際公開第2010/108127号及びBostrom,J.,et al.,Science 323(2009)1610-1614並びに国際公開第2012/163520号に記載されている。
国際公開第2012/163520号は、一対のVHドメイン及びVLドメインに2つの重複しないパラトープを含む二重特異性抗体を開示している(「DutaFab」)。国際公開第2012/163520号の二重特異性抗体の各パラトープは、重鎖CDR-H1及びCDR-H3並びに軽鎖CDR-L2が第1のパラトープに寄与し、軽鎖CDR-L1及びCDR-L3並びに重鎖CDR-H2が第2のパラトープに寄与する、重鎖及び軽鎖CDRからのアミノ酸を含む。個々のパラトープを含む単一特異性抗体を、2つの独立したFabライブラリーから独立してスクリーニングする。上記単一特異性抗体のアミノ酸配列が同定され、バイパラトピックVH及びVL対に融合される。VEGF及びIL-6に特異的に結合する例示的なFabフラグメントの一例は、国際公開第2012/163520号に開示されている。
VEGF及びPDGF-Bに結合する改善された治療用抗体が必要とされている。
発明の概要
本発明は、二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B抗体及びその使用方法に関する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、可変軽鎖ドメイン(VLドメイン)及び可変重鎖ドメイン(VHドメイン)の1つの同族対内のVEGFパラトープ及びPDGF-Bパラトープを含み、VEGFパラトープが、抗体のCDR-H2、CDR-L1及びCDR-L3由来のアミノ酸残基を含み、PDGF-Bパラトープが、抗体のCDR-H1、CDR-H3及びCDR-L2由来のアミノ酸残基を含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、VLドメイン及びVHドメインの1つの同族対内にVEGFパラトープ及びPDGF-Bパラトープを含み、可変軽鎖ドメインと可変重鎖ドメインの対がヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに同時に結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、VLドメイン及びVHドメインの1つの同族対内にVEGFパラトープ及びPDGF-Bパラトープを含み、VEGFパラトープに含まれるアミノ酸のいずれもPDGF-Bパラトープに含まれない抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、VLドメイン及びVHドメインの1つの同族対内のVEGFパラトープ及びPDGF-Bパラトープを含み、配列番号11の可変重鎖ドメイン及び配列番号21の可変軽鎖ドメインを有する抗体と同一のヒトVEGF上のエピトープ及び同一のヒトPDGF-B上のエピトープに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、抗体の抗体Fabフラグメントが、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、抗体の抗体Fabフラグメントが68℃以上の凝集開始温度を示す抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン、並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、I2を含むFR1、及び(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングが、Kabatナンバリングシステムに従っている抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン、並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、I2を含むFR1、及び(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングが、Kabatナンバリングシステムに従っている抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み;VHドメイン及びVLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従う、抗体を提供する。一実施形態では、抗体は、VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65及びR66、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含む、VEGFパラトープ;並びに、VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、D73、D74、T75、N76、R94、D96、D98、D101、及びT102、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:E55及びH56を含む、PDGF-Bパラトープを含む。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み;VHドメイン及びVLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従う、抗体を提供する。一実施形態では、抗体は、VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65及びR66、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含む、VEGFパラトープ;並びに、VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、D73、D74、T75、N76、R94、D96、D98、D101、及びT102、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:E55及びH56を含む、PDGF-Bパラトープを含む。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでおりD1、L2、D25、G26、W27、W28、R66、D73、D74、T75、N76、及びR94を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでおりA1、I2、H68、及びE69を含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングはKabatナンバリングシステムに従っている抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン;並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに従っており、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む抗体を提供する。一実施形態では、抗体は、(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメインであって、該アミノ酸置換が位置3~24、29、30、35c~52、52b、54、59、60、67~72、77~93、95、97、99、又は103~113に位置するVHドメイン;(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号21の位置3~25、27d~54、57~67、70~91、又は97~107に位置する可変軽鎖ドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従っている。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びにVLドメイン(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン;並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに従っており、(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む、抗体を提供する。
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号22、配列番号26又は配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク領域1(L-FR-1)を含む。
一態様では、本発明は、配列番号11のVH配列及び配列番号21のVL配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号11のVH配列及び配列番号25のVL配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号28のVH配列及び配列番号25のVL配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号28のVH配列及び配列番号31のVL配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号19の軽鎖アミノ酸配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号27の軽鎖アミノ酸配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号30の重鎖アミノ酸配列及び配列番号27の軽鎖アミノ酸配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号30の重鎖アミノ酸配列及び配列番号33の軽鎖アミノ酸配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン;並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに従っており、抗体の抗体Fabフラグメントが、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、抗体の抗体Fabフラグメントは、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する、抗体を提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、抗体の抗体Fabフラグメントは、68℃以上の凝集開始温度を示す、抗体を提供する。
本発明の一実施形態は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体フラグメントに関する。本発明の一実施形態は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する二重特異性抗体フラグメントに関する。一実施形態では、抗体フラグメントは、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)又はそれに由来する単鎖抗体から選択される。本発明の一実施形態は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合するFabフラグメントに関する。本発明の一実施形態は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合するFvフラグメントに関する。
本発明の一実施形態は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する完全長IgG抗体に関する。
一態様では、本発明は、本発明の抗体をコードする単離された核酸を提供する。
一態様では、本発明は、本発明の核酸を含む宿主細胞を提供する。
一態様では、本発明は、本発明の核酸を含む発現ベクターを提供する。
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を産生する方法であって、抗体が産生されるように本発明の宿主細胞を培養することを含む方法を提供する。
一態様では、本発明は、本発明の方法によって産生される抗体を提供する。
一態様では、本発明は、本発明の抗体及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬製剤を提供する。
一態様では、本発明は、医薬として使用するための、一実施形態では血管疾患の処置に使用するための本発明の抗体を提供する。
一態様では、本発明は、医薬、一実施形態では血管疾患を処置するための医薬の製造における本発明の抗体又は本発明の医薬組成物の使用を提供する。
一態様では、本発明は、有効量の本発明の抗体又は本発明の医薬組成物を個体に投与することを含む、血管疾患を有する個体を処置する方法を提供する。
一態様において、本発明は、個体における血管新生を阻害する方法であって、血管新生を阻害するために有効量の本発明の抗体又は本発明の医薬組成物を個体に投与することを含む方法を提供する。
本発明によれば、二重特異性Fabフラグメントとして提供される場合であっても、その標的抗原に同時に結合することができる治療用抗VEGF/抗PDGF-B抗体が提供される。さらに、本発明の抗体は、高い親和性、親水性、高い安定性並びに高いVEGF121及びVEGF165ブロッキング活性のような、その治療適用を可能にするいくつかの有益な特性を提供する。本発明の抗体は、眼への適用に適した粘度を有する高濃度液体製剤で提供することができる。本発明の抗体は、眼血管疾患の処置に適している。
本発明の抗VEGF/抗PDGF-B抗体のFabフラグメントの概略図。CDRアミノ酸の配置を含む同族VH/VL対の上面図が示されている(上の画像)。VHドメインは灰色で示され、VLドメインは白色で示される。さらに、CDR領域の空間的配置が示されている。本発明の抗体のパラトープ領域が強調されており(下の画像)、VEGFパラトープがH-CDR2、L-CDR1及びL-CDR2の領域に配置され、PDGF-BパラトープがH-CDR1、H-CDR3及びL-CDR2の領域に配置される。LN:VLドメインのN末端;HN:VHドメインのN末端; 本発明の例示的な抗VEGF/抗PDGF-B抗体のVHドメインのアミノ酸配列。アミノ酸位置のKabatナンバリング、並びにCDR及びFR領域が示されている。VEGFパラトープ及び実施例8で同定されたPDGF-Bパラトープに寄与するアミノ酸位置を強調している。 本発明の例示的な抗VEGF/抗PDGF-B抗体のVLドメインのアミノ酸配列。アミノ酸位置のKabatナンバリング、並びにCDR及びFR領域が示されている。VEGFパラトープ及び実施例8で同定されたPDGF-Bパラトープに寄与するアミノ酸位置を強調している。 実施例7で試験した、示された抗体のVEGF121及びVEGF165ブロッキング活性。
発明の詳細な説明
1.定義
本明細書で特に定義されていない限り、本発明に関連して使用される科学的及び技術的な用語は、当技術分野の当業者に一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上特に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本開示の方法及び技術は、一般的に、当技術分野で周知の従来の方法に従って行われる。一般的に、本明細書中に記載されている生化学、酵素学、分子生物学、及び細胞生物学、微生物学、遺伝学、及びタンパク質及び核酸の化学、並びにハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法並びに技術は、当技術分野でよく知られ、一般的に使用されているものである。
本明細書で特に定義されていない限り、「含む(comprising of)」という用語は、「からなる(consisting of)」という用語を含むものとする。
特定の値(例えば、温度、濃度、時間など)に関連して本明細書で使用される「約」という用語は、「約」という用語が指す特定の値の+/-1%の変動を指すものとする。
本明細書において「抗体」という用語は、最も広い意味で使用されており、所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば二重特異的抗体)、及び抗体フラグメントを含む多様な抗体構造を包含するが、これらに限られない。
「単離された」抗体とは、その自然環境の構成要素から分離されているものである。いくつかの実施形態では、抗体は、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点フォーカシング(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)の方法によって決定される95%超又は99%超の純度に精製される。抗体純度の評価のための方法の総説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体が同一であり、及び/又は同一のエピトープと結合しているが、例えば、自然に生じる突然変異を含むか、又はモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる可能性のあるバリアント抗体を除いて、そのようなバリアントは、一般的に微量で存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤のそれぞれのモノクローナル抗体は、1つの抗原上の単一の決定基に対して指向する。したがって、改変詞「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするように解釈すべきではない。
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書で、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、又は本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように同義に使用される。
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の型を指す。抗体には、次の5種類の主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかを、「サブクラス」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2に更に分けることができる。特定の実施形態では、抗体はIgG1アイソタイプである。特定の実施形態では、抗体は、Fc領域エフェクター機能を低下させるためのP329G、L234A及びL235A変異を有するIgG1アイソタイプのものである。他の実施形態では、抗体は、IgG2アイソタイプのものである。特定の実施形態では、抗体は、IgG4抗体の安定性を改善するためにヒンジ領域にS228P変異を有するIgG4アイソタイプのものである。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2種類の1つに割り当てられてもよい。
用語「Fc領域」とは、本明細書では定常領域の少なくとも一部分を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。該用語は、天然配列Fc領域とバリアントFc領域とを含む。一実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。本明細書で特に明記されない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EUインデックスとも呼ばれる、EUナンバリングシステムに従う。
「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域に起因する生物学的活性のことで、抗体のアイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例には、以下:C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;及びB細胞活性化が含まれる。
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗原に対する抗体の結合に関与する抗体重鎖又は抗体軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、概して、類似の構造を有しており、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(framework region:FR)と、3つの超可変領域(hypervariable region:HVR)とを含む(例えば、Kindt等のKuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい)。本発明の抗体において、VHドメイン及びVLドメインの単一の対、すなわち同族VH/VL対は、その2つの標的:VEGF及びPDGF-Bに特異的に結合する。
「DutaFab」は、国際公開第2012/163520号に開示されている二重特異性抗体である。DutaFabでは、VHドメインとVLドメインの単一の対が2つの異なるエピトープに特異的に結合し、一方のパラトープはCDR-H2、CDR-L1及びCDR-L3由来のアミノ酸残基を含み、他方のパラトープはCDR-H1、CDR-H3及びCDR-L2由来のアミノ残基を含む。DutaFabは、同族VH/VL対内に2つの重複しないパラトープを含み、2つの異なるエピトープに同時に結合し得る。DutaFab及び単一特異性Fabフラグメントを含むライブラリーのスクリーニングによるそれらの作製方法は、国際公開第2012/163520号に開示されている。
「ヒト抗体」とは、ヒト若しくはヒト細胞により産生された抗体、又はヒト抗体レパートリーなどのヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト由来の抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において、最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991)、第1-3巻におけるようなサブグループである。一実施形態では、VLについては、サブグループは、Kabatら(上記参照)におけるサブグループカッパIである。一実施形態では、VHについては、サブグループは、Kabatら(上記参照)におけるサブグループIIIである。
「抗体フラグメント」とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子である。抗体フラグメントの例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線形抗体;一本鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が含まれるが、これらに限られない。
「パラトープ」又は「抗原結合部位」とは、抗原を認識して抗原に結合する抗体の一部分を指し、本明細書では互換可能に使用される。パラトープは、Fv領域の三次構造において空間的に近接して配置された、抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメインからの複数の個別のアミノ酸残基によって形成される。本発明の抗体は、1つの同族VH/VL対に2つの「重複しない」パラトープを含む。「重複しない」とは、2つのパラトープの一方に含まれるアミノ酸のいずれも他方のパラトープに含まれないことを意味する。
本明細書で使用される場合、「VEGFパラトープ」は、VEGFに結合するパラトープ又は抗原結合部位である。本発明の抗体のVEGFパラトープは、抗体のCDR-H2、CDR-L1及びCDR-L3由来のアミノ酸残基を含む。
本明細書で使用される場合、「PDGF-Bパラトープ」は、PDGF-Bに結合するパラトープ又は抗原結合部位である。本発明の抗体のPDGF-Bパラトープは、抗体のCDR-H1、CDR-H3及びCDR-L2由来のアミノ酸残基を含む。
本明細書で使用される「VEGF」という用語は、特に示さない限り、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えばマウス及びラット)などの哺乳類を含む、任意の脊椎動物源からの任意の天然VEGFを指す。この用語は、「完全長」の未処理のVEGFだけでなく、細胞内での処理に起因する任意の形態のVEGFをも包含する。この用語はまた、VEGFの自然発生的なバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントをも包含する。例示的なヒトVEGF121のアミノ酸配列は、配列番号23に示されている。
「抗VEGF抗体」及び「VEGFに結合する抗体」という用語は、VEGFを標的とした診断及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性でVEGFと結合することができる抗体を指す。一実施形態では、無関係な非VEGFタンパク質への抗VEGF抗体の結合の程度は、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定されたVEGFへの抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、VEGFに結合する抗体は、解離定数(K)が1nM以下、又は0.1nM以下である。抗体が1μM以下のKを有する場合、抗体はVEGFに「特異的に結合」すると言われる。
本明細書で使用される「PDGF-B」という用語は、特に示さない限り、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えばマウス及びラット)などの哺乳類を含む、任意の脊椎動物源からの任意の天然PDGF-Bを指す。この用語は、「完全長」の、未処理のPDGF-B及び細胞内での処理から生じる任意の形態のPDGF-Bも包含する。この用語は、天然に存在するPDGF-Bのバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトPDGF-Bのアミノ酸配列は、配列番号24に示されている。
用語「抗PDGF-B抗体」及び「抗PDGF-Bに結合する抗体」とは、抗体が抗PDGF-Bの標的化において診断剤及び/又は治療剤として有用であるような充分な親和性を有して、抗PDGF-Bに結合可能である抗体を指す。一実施形態では、無関係な非抗PDGF-Bタンパク質への抗-抗PDGF-B抗体の結合の程度は、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定された抗PDGF-Bへの抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、PDGF-Bに結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下の解離定数(K)を有する。抗体が1μM以下のKを有する場合、抗体は抗PDGF-Bに「特異的に結合」すると言われる。
本発明の抗体は、「ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに同時に結合」し、これは、(a)ヒトPDGF-Bに結合した本発明の抗体FabフラグメントがヒトVEGFに(も)特異的に結合し、(b)ヒトVEGFに結合した本発明の抗体FabフラグメントがヒトPDGF-Bに(も)特異的に結合することを意味する。同時に結合することは、当技術分野で公知の方法で、例えば表面プラズモン共鳴によって評価され得る。
本明細書において使用する用語「相補性決定領域」又は「CDR」は、配列が超可変で、抗原に接触する残基を含む、抗体の可変ドメインの各領域を指す。一般的に抗体は、6つのCDRを含む:VHドメインに3つ(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)、VLドメインに3つ(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)。特に断りのない限り、本明細書では、CDR残基及び可変ドメインの他の残基(例えば、FR残基)は、Kabatナンバリングシステムに従って付番されている(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991)。
本明細書で使用する「フレームワーク」又は「FR」は、CDR残基以外の可変ドメインのアミノ酸残基を指す。可変ドメインのフレームワークは一般的に、4つのフレームワークドメイン:FR1、FR2、FR3及びFR4からなる。したがって、CDR及びFRアミノ酸配列は、一般に、以下の順番で現れる。(a)VHドメイン中:FR1-CDR-H1-FR2-CDR-H2-FR3-CDR-H3-FR4;及び(b)VLドメイン中:FR1-CDR-L1-FR2-CDR-L2-FR3-CDR-L3-FR4。
Kabatナンバリングシステムによれば、本明細書で使用される場合、フレームワーク及びCDR領域は、可変ドメインの以下の領域に位置する。
Figure 2023520414000001
本明細書で言及されるKabatナンバリングシステムによるアミノ酸位置は、本発明の抗体のアミノ酸配列と並べて図2に示されている。アミノ酸配列内のある特定の位置のアミノ酸への言及は、それぞれのアミノ酸及びアミノ酸位置を述べることによって当技術分野で周知のように本明細書でなされ、例えば、「E2」は、それぞれの抗体ドメインのアミノ酸配列のKabat位置2に位置するグルタミン酸残基を指す。
「親和性」は、分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一の結合部位の間の非共有性相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(K)によって表し得る。親和性は、本明細書に記載するものを含め、当技術分野で一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な説明的、例示的な実施形態は、本明細書に記載されている。
「エピトープ」との用語は、抗体が結合する相手である、タンパク質性又は非タンパク質性のいずれかの、抗原上の部位を示す。エピトープは、連続したアミノ酸ストレッチ部位から形成される場合(線状エピトープ)、又は非連続のアミノ酸を含む場合(構造的エピトープ)の両方があり、例えば、抗原の折り畳みに起因して(すなわち、タンパク質性抗原の三次折り畳みによって)空間的に近接して形成される。線状エピトープは、典型的には、タンパク質性抗原を変性剤に曝露した後も依然として抗体によって結合されているが、コンフォメーションエピトープは、典型的には、変性剤での処理により破壊される。エピトープは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、又は8~10個のアミノ酸を、独特な空間的構造で含む。
特定のエピトープに結合する抗体(すなわち、同じエピトープに結合する抗体)のスクリーニングは、例えば、限定されないが、アラニン・スキャニング、ペプチドブロット(Meth.Mol.Biol.248(2004)443-463)、ペプチド切断分析、エピトープ切除、エピトープ抽出、抗原の化学的修飾(Prot.Sci.9(2000)487-496を参照)、及びクロスブロッキング(「Antibodies」,Harlow and Lane,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harb.,NYを参照)などの、当該技術分野で慣用の方法を用いて行われ得る。
抗原構造系抗体プロファイリング(Antigen Structure-based Antibody Profiling:ASAP)は、変性促進型プロファイリング(Modification-Assisted Profiling:MAP)としても知られ、VEGF又はPDGF-Bに特異的に結合する多数のモノクローナル抗体を、化学的又は酵素的に修飾された抗原表面に対する多数の抗体のそれぞれの結合プロファイルに基づいて区分けすることができる(例えばUS 2004/0101920参照)。区分けされた各抗体は同じエピトープに結合するが、このエピトープは、他の区分けで表されるエピトープとは明確に異なることがあるか、又は部分的に重なっている独特なエピトープであり得る。
また、競合結合は、抗体が本発明の参照抗体と同じVEGF又はPDGF-Bのエピトープに結合するか、又は結合について競合するかを容易に決定するために使用することができる。例えば、参照抗体と「同じVEGF及びPDGF-B上のエピトープに結合する抗原」は、それぞれの競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原に対する結合を50%以上ブロックする抗体を指し、逆に、参照抗体は、それぞれの競合アッセイにおいて、抗体のその抗原に対する結合を50%以上ブロックする。また例えば、抗体が参照抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体を飽和状態でVEGF又はPDGF-Bに結合させることができる。過剰な参照抗体を除去した後、問題の抗体がVEGF又はPDGF-Bに結合する能力が評価される。問題の抗体が参照抗体の飽和結合後にVEGF又はPDGF-Bに結合できる場合、対象の抗体は、参照抗体とは異なるエピトープに結合すると結論付けることができる。しかし、問題の抗体が参照抗体の飽和結合後にVEGF又はPDGF-Bに結合できない場合、対象の抗体は、参照抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合する可能性がある。問題の抗体が同じエピトープに結合しているのか、又は立体的な理由で結合が妨害されているだけなのかを確認するためには、慣用的な実験を用いることができる(例えばペプチド変異や、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー、又は当技術分野で利用可能なその他の定量的又は定性的な抗体結合アッセイを用いた結合分析など)。このアッセイは、2つのセットアップ、すなわち、両方の抗体が飽和抗体である状態で実施されるべきである。両方の設定において、第1の(飽和)抗体のみがVEGF又はPDGF-Bに結合できる場合、対象の抗体と参照抗体は、VEGF又はPDGF-Bへの結合をめぐって競合すると結論付けることができる。
いくつかの実施形態では、競合結合アッセイで測定して、一方の抗体の1、5、10、20又は100倍過剰が他方の結合を少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、更には99%以上阻害する場合、2つの抗体は同じ又は重複するエピトープに結合するとみなされる。(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50(1990)1495-1502を参照)。
いくつかの実施形態では、一方の抗体の結合を低下又は排除する抗原のアミノ酸変異のうち、実質的に全てのアミノ酸変異が他方の抗体の結合も低下又は排除する場合、2つの抗体は同じエピトープに結合するとみなされる。2つの抗体は、一方の抗体の結合を減少又は排除するアミノ酸変異のサブセットのみが、他方の抗体の結合を減少又は排除する場合、「重複エピトープ」を有するとみなされる。
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列の同一性率(%)」は、アラインメントの目的で、配列をアラインメントし、最大の配列同一性率を達成するために、必要ならばギャップを導入した後、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮せずに、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の割合であると定義される。アミノ酸配列同一性率を決定するためのアラインメントは、当該技術分野の技術の範囲内にある種々の様式で、例えば、公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、Clustal W、Megalign(DNASTAR)ソフトウェア又はFASTAプログラムパッケージを用いて達成することができる。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。あるいは、同一性率の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成することができる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作成されており、ソースコードは、U.S.Copyright Office(Washington D.C.,20559)のユーザドキュメンテーションにファイルされており、U.S.Copyright Registration No.TXU510087の下に登録されており、かつ、国際公開第2000/005319号に記載されている。
しかしながら、別段の指定がない限り、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%の値は、FASTAパッケージバージョン36.3.8cのggsearchプログラムを使用するか、又はその後にBLOSUM50比較マトリックスを用いて生成される。FASTAプログラムパッケージは、W.R.Pearson and D.J.Lipman(1988),「Improved Tools for Biological Sequence Analysis」PNAS 85:2444-2448;W.R.Pearson(1996)「Effective protein sequence comparison」Meth.Enzymol.266:227-258;及び、Pearson et.al.(1997)Genomics 46:24-36により記載されており、www.fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/fasta_down.shtml or www.ebi.ac.uk/Tools/sss/fastaから公に利用可能である。あるいは、ggsearch(グローバルタンパク質:タンパク質)プログラム及びデフォルトオプション(BLOSUM50;open:-10;ext:-2;Ktup=2)を使用して、fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/index.cgiでアクセス可能な公共サーバを使用して配列を比較し、ローカルではなくグローバルなアライメントを確実に実行することができる。アミノ酸同一性パーセントは、アウトプットアラインメントヘッダーで与えられる。
「核酸分子」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/又は物質を含む。各ヌクレオチドは、塩基で構成され、具体的には、プリン塩基又はピリミジン塩基(すなわち、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)又はウラシル(U))、糖(すなわち、デオキシリボース又はリボース)、及びリン酸基で構成される。多くは、核酸分子は、塩基配列によって記述され、ここで、当該塩基は、核酸分子の一次構造(線形構造)を表す。塩基の配列は、典型的には、5’から3’へと表される。本明細書において、核酸分子という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)、例えば、相補性DNA(cDNA)及びゲノムDNA、リボ核酸(RNA)、特に、メッセンジャーRNA(mRNA)、DNA又はRNAの合成形態、及びこれらの分子の2つ以上を含む混合ポリマーを包含する。核酸分子は、線形又は環状であってもよい。これに加え、核酸分子という用語は、センス鎖及びアンチセンス鎖、並びに一本鎖形態及び二本鎖形態の両方を含む。さらに、本明細書で記載される核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド又は天然に存在しないヌクレオチドを含むことができる。天然に存在しないヌクレオチドの例としては、誘導体化された糖若しくはリン酸骨格結合を有する修飾ヌクレオチド塩基又は化学的に修飾された残基が挙げられる。核酸分子は、例えば、宿主又は患者において、インビトロ及び/又はインビボで本発明の抗体の直接的な発現のためのベクターとして適したDNA分子及びRNA分子も包含する。そのようなDNA(例えば、cDNA)又はRNA(例えば、mRNA)ベクターは、修飾されていなくてもよく、又は修飾されていてもよい。例えば、mRNAは、インビボで抗体を産生するために対象にmRNAを注入することができるように、RNAベクターの安定性及び/又はコードされた分子の発現を高めるように化学修飾されてもよい(例えば、Stadler ert al,Nature Medicine 2017、2017年6月12日にオンラインで公開、doi:10.1038/nm.4356又は欧州特許第2101823B1号明細書を参照)。
「単離された」核酸とは、自然環境の構成要素から切り離されている核酸分子のことである。単離された核酸には、通常核酸分子を含む細胞内に含まれる核酸分子が含まれるが、核酸分子は、染色体外、又は天然の染色***置とは異なる染色***置に存在する。
抗体を「コードする単離された核酸」とは、抗体の重鎖及び軽鎖(又はそのフラグメント)をコードする1つ又は複数の核酸分子を指し、そのような核酸分子を単一のベクター又は別個のベクターに含み、そのような核酸分子が宿主細胞の1つ又は複数の位置に存在する。
「ベクター」という用語は、本明細書では、連結している別の核酸を増殖可能な核酸分子を指す。この用語には、自己複製する核酸構造としてのベクターだけでなく、ベクターが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターも含まれる。特定のベクターは、作動可能に連結された核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターを本明細書では、「発現ベクター」と呼ぶ。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養」という用語は、互換可能に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫も含まれる。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これらは、継代数によらず、一次形質転換細胞及びそれに由来する子孫を含む。子孫は、親細胞と完全に同一の核酸含量でない場合があるが、突然変異を含んでもよい。元々の形質転換された細胞についてスクリーニングされるか若しくは選択されるのと同じ機能、又は生物活性を有する突然変異型の後代が本発明に含まれる。
「医薬組成物」又は「医薬製剤」という用語は、調製物に含まれる有効成分の生物活性が有効になるような形態をしており、かつ、医薬組成物が投与されるであろう対象に対して容認できないほど毒性のある追加の成分を含まない、調製物を指す。
「薬学的に許容され得る担体」は、有効成分以外の医薬組成物又は製剤中の成分であって、対象にとって非毒性である成分を指す。薬学的に許容され得る担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
薬剤、例えば、医薬組成物の「有効量」は、所望の治療結果又は予防結果を達成するために必要な投薬量及び所要期間で有効な量を指す。
「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類、例えば、サル)、ウサギ及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、個体又は対象は、ヒトである。
本明細書で使用される場合、「処置(treatment)」(及びその文法的な変化形、例えば、「処置(treat)する」又は「処置すること(treating)」)は、処置される個体において疾患の本来の経過を変える試行における臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の経過の間に行うことができる。処置の所望の効果としては、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減弱、転移を予防すること、疾患進行率を低下させること、病状の寛解又は緩和、及び回復又は改良された予後が挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるため、又は疾患の進行を遅延させるために使用される。
本明細書で使用される「眼疾患」という用語は、病理学的血管新生及び/又は萎縮に関連する任意の眼疾患を含む。眼疾患は、網膜又は角膜などの眼組織の構造内への新生血管の増殖及び/又は浸潤の変化又は非調節によって特徴付けることができる。眼疾患は、網膜組織(光受容体並びにその下の網膜色素上皮(RPE)及び脈絡毛細管板)の萎縮によって特徴付けることができる。非限定的な眼疾患には、例えば、AMD(例えば、滲出型AMD、乾燥型AMD、中間型AMD、進行型AMD、及び地図状萎縮(GA))、黄斑変性、黄斑浮腫、DME(例えば、焦点、非中心DME、及び、びまん性、中心関与DME)、網膜症、糖尿病性網膜症(DR)(例えば、増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、及び高所DR)、他の虚血関連網膜症、ROP、網膜静脈閉塞(RVO)(例えば、中心(CRVO)及び分岐(BRVO)形態)、CNV(例えば、近視性CNV)、角膜血管新生、角膜血管新生に関連する疾患、網膜血管新生、網膜/脈絡膜血管新生に関連する疾患、中心性漿液性網膜症(CSR)、病的近視、フォンヒッペル・リンダウ病、眼のヒストプラズマ症、FEVR、コーツ病、ノーリー病、骨粗鬆症性偽神経膠腫症候群(OPPG)に関連する網膜異常、結膜下出血、ルベオーシス、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、網膜色素変性症(RP)、高血圧性網膜症、網膜血管腫状増殖、黄斑血管拡張症、虹彩血管新生、眼内血管新生、網膜変性、類嚢胞黄斑浮腫(CME)、血管炎、乳頭浮腫、限定されないが以下を含む網膜炎:CMV網膜炎、眼黒色腫、網膜芽細胞腫、結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性(例えば、アレルギー性)結膜炎)、レーバー先天性黒丸症(レーバー先天性黒丸症又はLCAとしても知られる)、ブドウ膜炎(感染性及び非感染性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎(例えば、多巣性脈絡膜炎)、眼ヒストプラズマ症、眼瞼炎、ドライアイ、外傷性眼損傷、シェーグレン病、並びに、疾患又は疾患が眼血管新生、血管漏出、及び/又は網膜浮腫若しくは網膜萎縮に関連する他の眼疾患を含む。さらなる例示的な眼疾患には、網膜分離症(網膜神経感覚層の異常な***)、ルベオーシス(隅角の血管新生)に関連する疾患、及び線維血管組織又は線維組織の異常な増殖によって引き起こされる疾患(増殖性硝子体網膜症のすべての形態を含む)が含まれる。角膜血管新生に関連する例示的な疾患には、限定するものではないが、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズオーバーウェア、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片、乾性角膜炎、シェーグレン症候群、酒さ性ざ瘡(acne rosacea)、フリクテン症(phylectenulosis)、梅毒、マイクバクテリア感染症、脂肪変性症、化学的火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原虫感染症、カポシ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン周辺角膜変性、周辺角質溶解、リウマチ性関節炎、全身性紅斑、多発性動脈炎、外傷、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンジョンソン症候群、類天疱瘡、角膜放射状切開、及び角膜移植後拒絶反応が含まれる。血管漏出の増加、動脈瘤及び毛細血管脱落を含む、脈絡膜新生血管形成及び網膜血管系の欠陥に関連する例示的な疾患には、糖尿病性網膜症、黄斑変性、鎌状赤血球貧血、サルコイド、梅毒、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染症、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、網膜浮腫(黄斑浮腫を含む)、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎又は脈絡膜炎を引き起こす感染症(例えば、多焦点脈絡膜)、推定眼ヒストプラズマ症、ベスト病(硝子体黄斑変性)、近視、視神経乳頭、扁平部炎、網膜剥離(例えば、慢性網膜剥離)、過粘度症候群、トキソプラスマ症、外傷及びレーザー後合併症が含まれるが、これらに限定されない。網膜組織の萎縮に関連する例示的な疾患(光受容体及びその下のRPE)には、萎縮性又は非滲出性AMD(例えば、地図状萎縮又は進行性乾燥型AMD)、黄斑萎縮(例えば、新生血管形成及び/又は地図状萎縮に関連する萎縮)、糖尿病性網膜症、シュタルガルト病、Sorsby Fundusジストロフィー、網膜分離症及び網膜色素変性症が含まれるが、これらに限定されない。
「パッケージ添付文書」との用語は、治療製品の市販パッケージに通常含まれる指示を指すために用いられ、このような治療製品に関する適応症、使用、投薬量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む。
2.本発明の実施形態の詳細な記載
一態様において、本発明は、部分的には、治療適用のための二重特異性抗体の提供に基づく。ある特定の態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体が提供される。本発明の抗体は、例えば、血管疾患、例えば眼血管疾患の診断又は処置に有用である。
A.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する例示的抗体
一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。一態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する単離された抗体が提供される。一態様では、本発明は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体を提供する。
ある特定の態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、VLドメイン及びVHドメインの1つの同族対内にVEGFパラトープ(すなわち、VEGFに結合する抗原結合部位)及びPDGF-Bパラトープ(すなわち、PDGF-Bに結合する抗原結合部位)を含み、
● VEGFパラトープは、抗体のCDR-H2、CDR-L1及びCDR-L3由来のアミノ酸残基を含み、PDGF-Bパラトープは、抗体のCDR-H1、CDR-H3及びCDR-L2由来のアミノ酸残基を含む;及び/又は
● 可変軽鎖ドメインと可変重鎖ドメインとの対は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに同時に結合する;及び/又は
● VEGFパラトープに含まれるアミノ酸のいずれもPDGF-Bパラトープに含まれない;及び/又は
● 配列番号11の可変重鎖ドメイン及び配列番号21の可変軽鎖ドメインを有する抗体と同一のヒトVEGF上のエピトープ及び同一のヒトPDGF-B上のエピトープに結合する;及び/又は
● 抗体の抗体Fabフラグメントは、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する;及び/又は
● 抗体の抗体Fabフラグメントが、68℃以上の凝集開始温度を示す。
別の態様では、本発明は、以下を含む抗体を提供する:
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメイン;又は
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメイン。
別の態様では、本発明は、以下を含む抗体を提供する:
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン、並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、及び(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメイン;又は
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン、並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、及び(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメイン(VHドメイン及びVLドメインはKabatナンバリングシステムに従う)。
別の態様では、本発明は、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含む抗体を提供し、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに従う。一実施形態では、抗体は、VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65及びR66、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含む、VEGFパラトープ;並びに、VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、D73、D74、T75、N76、R94、D96、D98、D101、及びT102、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:E55及びH56を含む、PDGF-Bパラトープを含む。
別の態様では、本発明は、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含む抗体を提供し、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに従う。一実施形態では、抗体は、VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65及びR66、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含む、VEGFパラトープ;並びに、VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、D73、D74、T75、N76、R94、D96、D98、D101、及びT102、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:E55及びH56を含む、PDGF-Bパラトープを含む。
別の態様において、本発明は、以下を含む抗体を提供する:
● 配列番号11のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
● 配列番号11のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
● 配列番号28のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
● 配列番号28のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号31のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン。
別の態様において、本発明は、以下を含む抗体を提供する:
● (a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメインであって、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン;(b)配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインであって、アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメイン;又は
● (a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメインであって、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン;(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインであって、アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメイン;又は
● (a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメインであって、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン;(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインであって、アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメイン;又は
● (a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメインであって、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン;(b)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインであって、アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメイン(VHドメイン及びVLドメインのナンバリングはKabatナンバリングシステムに従う)。
別の態様では、本発明は、以下を含む抗体を提供する:
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む;又は
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む;又は
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む;又は
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
別の態様では、本発明は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含む抗体であって、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン;(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含んでおり、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従っている、抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むアミノ酸残基FR3を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン;並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含む抗体であって、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従っており、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む抗体を提供する。
別の態様において、本発明は、以下を含む抗体を提供する:
● (a)1個~15個、1個~10個又は1個~5個のアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)1個~15個、1個~10個又は1個~5個のアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメイン;又は
● (a)1個~15個、1個~10個又は1個~5個のアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)1個~15個、1個~10個又は1個~5個のアミノ酸置換を有する配列番号25のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメイン;又は
● (a)1個~15個、1個~10個又は1個~5個のアミノ酸置換を有する配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)1個~15個、1個~10個又は1個~5個のアミノ酸置換を有する配列番号25のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメイン;又は
● (a)1個~15個、1個~10個又は1個~5個のアミノ酸置換を有する配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)1個~15個、1個~10個又は1個~5個のアミノ酸置換を有する配列番号31のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメイン。
別の態様において、本発明は、以下を含む抗体を提供する:
● (a)1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号11の位置3~24、29、30、35c~52、52b、54、59、60、67~72、77~93、95、97、99、又は103~113に位置するVHドメイン;(b)1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号21の位置3~25、27d~54、57~67、70~91、又は97~107に位置する可変軽鎖ドメイン;又は
● (a)1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号11の位置3~24、29、30、35c~52、52b、54、59、60、67~72、77~93、95、97、99、又は103~113に位置するVHドメイン;(b)1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換を有する配列番号25のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号25の位置3~25、27d~54、57~67、70~91、又は97~107に位置する可変軽鎖ドメイン;又は
● (a)1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換を有する配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号28の位置3~24、29、30、35c~52、52b、54、59、60、67~72、77~93、95、97、99、又は103~113に位置するVHドメイン;(b)1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換を有する配列番号25のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号25の位置3~25、27d~54、57~67、70~91、又は97~107に位置する可変軽鎖ドメイン;又は
● (a)1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換を有する配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号28の位置3~24、29、30、35c~52、52b、54、59、60、67~72、77~93、95、97、99、又は103~113に位置するVHドメイン;(b)1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換を有する配列番号31のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号31の位置3~25、27d~54、57~67、70~91、又は97~107に位置する可変軽鎖ドメイン(VHドメイン及びVLドメインのナンバリングはKabatナンバリングシステムに従う)。
別の態様では、本発明は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含む抗体であって、(a)1個~15個、1個~10個又は1個~5個のアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)1個~15個、1個~10個又は1個~5個のアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D72、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン;並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基I2を含むFR1、(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに従っており、(a)1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び、1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む、抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、以下を含む抗体を提供する:
● 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(g)配列番号22のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含むVLドメイン;又は
● 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(g)配列番号26のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含むVLドメイン;又は
● 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(g)配列番号26のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含むVLドメイン;又は
● 配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(g)配列番号32のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含むVLドメイン。
別の態様では、本発明は、以下を含む抗体を提供する:
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(g)配列番号22のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む;又は
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(g)配列番号26のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む;又は
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(g)配列番号26のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含むVLドメインを含み、(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む;又は
● (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(g)配列番号32のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含むVLドメインを含み、(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
一態様において、本発明は、配列番号11又は配列番号28のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVHドメインを含む抗体を提供する。ある特定の態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、その配列を含むヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する能力を保持する。ある特定の態様では、配列番号11又は配列番号28において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。特定の態様では、VHは、a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13又は配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
一態様において、本発明は、配列番号21、配列番号25又は配列番号31のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含む抗体を提供する。ある特定の態様では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入又は欠失を含むが、その配列を含むヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する能力を保持する。ある特定の態様では、配列番号21、配列番号25又は配列番号31において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入及び/又は欠失されている。ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、CDRの外側の領域で(即ち、FRで)生じる。特定の態様では、VLは、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
別の態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、上に提供される態様のいずれかのVH配列及び上に提供される態様のいずれかVL配列を含む抗体が提供される。一態様では、抗体は、それぞれ配列番号11及び配列番号21のVH及びVL配列を含み、これにはそれらの配列の翻訳後修飾が含まれる。一態様では、抗体は、それぞれ配列番号11及び配列番号25のVH及びVL配列を含み、これにはそれらの配列の翻訳後修飾が含まれる。一態様では、抗体は、それぞれ配列番号28及び配列番号25のVH及びVL配列を含み、これにはそれらの配列の翻訳後修飾が含まれる。一態様では、抗体は、それぞれ配列番号28及び配列番号31のVH及びVL配列を含み、これにはそれらの配列の翻訳後修飾が含まれる。
別の態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む抗体が提供される。
別の態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号19の軽鎖アミノ酸配列を含む抗体が提供される。
別の態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号27の軽鎖アミノ酸配列を含む抗体が提供される。
別の態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、配列番号30の重鎖アミノ酸配列及び配列番号27の軽鎖アミノ酸配列を含む抗体が提供される。
別の態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号33の軽鎖アミノ酸配列を含む抗体が提供される。
本発明のさらなる態様では、上記態様のいずれかによるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体はモノクローナル抗体である。一態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、抗体フラグメント、例えばFv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)フラグメントである。別の態様では、抗体は、完全長抗体である。
さらなる態様では、上記態様のいずれかによるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、以下のセクション1~7に記載されるように、任意の特徴を単独で又は組み合わせて組み込むことができる。
1.抗体親和性
特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、1nM以下、又は0.1nM以下の解離定数(K)でVEGFに結合する。特定の実施形態では、PDGF-Bに結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、又は10nM以下の解離定数(K)を有する。
一態様では、Kは、実施例3に記載のBIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。
例えば、VEGFに結合する抗体のKは、約10応答単位(RU)でC1チップ上の固定化VEGF121を用いて25°Cで実施されるBIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用するアッセイで測定される。動態測定のために、Fabの2倍連続希釈物(1.2~100nM)をHBS-P+(10mM HEPES、150mM NaCl pH7.4、0.05%界面活性剤P20)中に25°Cで約30μl/分の流速で注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、会合センサグラム及び解離センサグラムを同時に適合することによって、単純1対1Langmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Software第3.2版)を使用して計算する。平衡解離定数(K)は、koff/kon比として計算される。例えば、ChenらJ.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。
2.抗体フラグメント
ある特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、抗体フラグメントである。
一態様では、抗体フラグメントは、Fab、Fab’、Fab’-SH、又はF(ab’)フラグメント、特にFabフラグメントである。無傷の抗体をパパイン消化すると、重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ順にVH及びVL)に加えて、軽鎖の定常ドメイン(CL)及び重鎖の第1定常ドメイン(CH1)もそれぞれが含む、2つの同一の抗原結合フラグメント(いわゆる「Fab」フラグメント)が得られる。よって「Fabフラグメント」とは、VLドメイン及びCLドメインを含む軽鎖と、VHドメイン及びCH1ドメインを含む重鎖フラグメントを有する抗体フラグメントのことである。「Fab’フラグメント」は、抗体ヒンジ領域から1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にて、残基を添加することによって、Fabフラグメントとは異なる。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数価)が遊離チオール基を保持するFab’フラグメントである。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位(2つのFabフラグメント)と、Fc領域の一部とを有するF(ab’)フラグメントが得られる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボ半減期が長くなったFab及びF(ab’)フラグメントの説明については、米国特許第5,869,046号を参照のこと。
抗体フラグメントは、限定されないが、本明細書に記載される、インタクト抗体のタンパク質分解による消化、及び組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌、CHO)による組換え産生を含む種々の技術によって作製することができる。
3.熱安定性
本明細書で提供される抗体は、優れた熱安定性を示す。ある特定の実施形態では、本明細書中に提供される抗体のFabフラグメントは、68°Cを超える凝集開始温度を示す。
4.ライブラリー由来の抗体
一部の態様では、本明細書に提供される抗体はライブラリーから得られる。本発明の抗体は、1つ以上の所望の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。コンビナトリアルライブラリをスクリーニングするための方法は、例えば、Lerner et al.in Nature Reviews 16:498-508(2016)に総説がある。例えば、ファージディスプレイライブラリーを産生し、所望の結合特性を有する抗体についてかかるライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が当該技術分野で知られている。このような方法は、例えば、Frenzel等のmAbs8:1177-1194(2016);Bazan等のHuman Vaccines and Immunotherapeutics 8:1817-1828(2012)及びZhao等のCritical Reviews in Biotechnology 36:276-289(2016)及びHoogenboom等のMethods in Molecular Biology178:1-37(O’Brien等の編集、Human Press,Totowa,NJ,2001)及びMarks and Bradbury Methods in Molecular Biology248:161-175(Loの編集、Human Press,Totowa,NJ,2003)に見られる。
一部のファージディスプレイ法において、VH遺伝子及びVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって個別にクローニングされ、ファージライブラリーにおいて無作為に組み換えられ、次いで、Winter et al.in Annual Review of Immunology 12:433-455(1994)に記載のように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、抗体フラグメントを一本鎖Fv(scFv)フラグメント又はFabフラグメントのいずれかとしてディスプレイする。免疫化源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原に対する高親和性抗体を与える。代替的に、Griffiths et al.in EMBO Journal 12:725-734(1993)によって記載されるように、ナイーブなレパートリーをクローン化し(例えば、ヒトから)、免疫化することなく、非自己及び更には自己抗原の広範囲に対する単一の抗体源を得ることができる。最終的に、ナイーブライブラリーはまた、Hoogenboom and Winter in Journal of Molecular Biology 227:381-388(1992)により記載されるように、再整列していないV遺伝子セグメントを幹細胞からクローニングすること、及びランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して、高度に可変性のCDR3領域をコードし、インビトロで再整列を達成することによって、合成により作製することができる。ヒト抗体ファージライブラリーを説明する特許刊行物には、例えば、以下が含まれる:米国特許第5,750,373号、同第7,985,840号、同第7,785,903号及び同第8,679,490号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2007/0117126号、同第2007/0237764号及び同第2007/0292936号。
所望の活性又は複数の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングするための当該技術分野で知られている方法のさらなる例には、リボソーム及びmRNAディスプレイ、並びに細菌、哺乳動物細胞、昆虫細胞又は酵母細胞における抗体ディスプレイ及び選択のための方法が含まれる。酵母表面ディスプレイのための方法は、例えば、Scholler et al.in Methods in Molecular Biology 503:135-56(2012)及びCherf et al.in Methods in Molecular biology 1319:155-175(2015)並びにZhao et al.in Methods in Molecular Biology 889:73-84(2012)に概説がある。リボソームディスプレイのための方法は、例えば、He et al.Nucleic Acids Research 25:5132-5134(1997)and in Hanes et al、PNAS94:4937-4942(1997)に記載される。
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又は抗体フラグメントは、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体フラグメントとみなされる。
5.多重特異性抗体
ある特定の態様では、本明細書で提供される抗体は多重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位、すなわち、異なる抗原上の異なるエピトープ又は同じ抗原上の異なるエピトープに対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の態様では、多重特異性抗体は3つ以上の結合特異性を有する。
本明細書で提供される抗体を含む3つ以上の結合特異性を有する多重特異性抗体は、同じ抗原特異性の1つ又は複数の結合アームにドメインクロスオーバーを持つ非対称の形で、すなわちVH/VLドメイン(例えば、国際公開第2009/080252号及び国際公開第2015/150447号を参照)、CH1/CLドメイン(国際公開第2009/080253号を参照)又は完全なFabアーム(国際公開第2009/080251号、国際公開第2016/016299号を参照、Schaefer et al,PNAS,108(2011)1187-1191、及びKlein at al.,MAbs 8(2016)1010-20も参照)を交換することによっても提供され得る。多重特異性抗体の様々なさらなる分子形式が当技術分野で知られており、本明細書に含まれる(例えばSpiess et al.,Mol Immunol 67(2015)95-106参照)。
6.抗体バリアント
ある特定の態様では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的性質を変化させることが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。このような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入及び置換の任意の組み合わせは、最終コンストラクトが、所望の特徴(例えば、抗原結合)を有する限り、最終コンストラクトに到達するように行うことができる。
ある特定の態様では、1つ又は複数のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換変異誘発に関心のある部位には、CDR及びFRが含まれる。保存的置換は、以下の表において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表1において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下に更に記載されるとおりである。目的の抗体中にアミノ酸置換を導入することができ、その産物を、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについてスクリーニングする。
Figure 2023520414000002
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを伴うことになる。
ある種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、さらなる試験ために選択される結果として生じるバリアント(複数可)は、親抗体と比較して特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)の修正(例えば、改善)を有し、かつ/又は実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有する。例示的な置換バリアントは、親和性成熟した抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を用い、簡便に作製され得る。要するに、1つ以上のCDR残基が変異され、バリアント抗体がファージにディスプレイされ、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
抗体親和性を向上させるために、例えば、CDRにおいて改変(例えば、置換)を行ってもよい。そのような改変は、CDR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/又は抗原と接触する残基内で行われ得、結果として得られるバリアントVH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリーの構築及びそこからの再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの態様では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリーが作製される。次いで、このライブラリーをスクリーニングして、所望の親和性を有する抗体バリアントを同定する。多様性を導入する別の方法は、いくつかのCDR残基(例えば、一度に4~6残基)がランダム化されるCDR指向手法を含む。抗原結合に関与するCDR残基は、例えば、アラニン・スキャニング突然変異誘発又はモデル化を用いて、特異的に同定され得る。特に、CDR-H3及びCDR-L3が、標的にされることが多い。
ある特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のCDR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的な変更(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)は、CDRにおいて行われてもよい。そのような改変は、例えば、CDR中の抗原接触残基の外側であってもよい。上述の特定のバリアントVH及びVL配列において、各CDRは、改変されていないか、又は1つ、2つ、又は3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
変異導入の標的となり得る抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されているように「アラニン・スキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電残基)の残基又はグループを同定し、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)で置換して、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。さらなる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入されてもよい。代替的に、又は追加的に、抗原-抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原との間の接触点が特定され得る。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、又は除去されてもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを判定するためにスクリーニングされてもよい。
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに1個以上のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントとしては、酵素(例えば、ADEPT(抗体指向性酵素プロドラッグ治療法のための)又はポリペプチドへの抗体のN末端若しくはC末端の融合が挙げられ、これは抗体の血清半減期を増大させる。
a)Fc領域バリアント
ある特定の態様では、1つ以上のアミノ酸改変は、本明細書で提示される抗体のFc領域に導入されてもよく、それにより、Fc領域バリアントを作製する。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸改変(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG、IgG、IgG、又はIgGFc領域)を含み得る。
ある特定の態様では、本発明は、全てではないがいくつかのエフェクター機能を有することで、抗体のインビボ半減期が重要でありながら、特定のエフェクター機能(例えば補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞傷害(ADCC))が不必要、又は有害である用途に対して望ましい候補となる、抗体バリアントを想到する。CDC及び/又はADCC活性の低下/消失を確認するために、インビトロ及び/又はインビボの細胞毒性アッセイを実施することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠いている(そのため、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確認することができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、一方で単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現については、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA83:7059-7063(1986)を参照)及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA82:1499-1502(1985);5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照)に記載されている。代替としては、非放射性アッセイ法を採用してもよい(例えば、ACTI(商標)フローサイトメトリー用非放射性細胞毒性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View、CA)、及び CytoTox 96(登録商標)非放射性細胞毒性試験法(Promega、Madison、WI)を参照されたい)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核球(PBMC:peripheral blood mononuclear cell)及びナチュラルキラー(Natural Killer:NK)細胞が挙げられる。あるいは、又は加えて、目的のADCC活性は、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示されるような動物モデルにおいて、インビトロで評価され得る。また、抗体がC1qに結合することができず、CDC活性を欠いていることを確認するために、C1q結合アッセイを実施してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び同第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045-1052(2003);及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738-2743(2004)を参照)、FcRn結合及びインビトロクリアランス/半減期の決定は、当該技術分野に既知の方法を使用して実施することもできる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006);WO2013/120929Alを参照されたい)。
エフェクター機能が低下した抗体としては、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327及び329の1つ以上の置換を有する抗体が挙げられる(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体としては、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうち2つ以上での置換を有するFc変異体が挙げられ、残基265及び297がアラニンに置換されている、いわゆる「DANA」Fc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
FcRへの結合が改善又は減少した特定の抗体バリアントが記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号,及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)
ある特定の態様では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/又は334位(残基のEUナンバリング)での置換を有するFc領域を含む。
ある特定の態様では、抗体バリアントは、FcγR結合を減少さあせる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置234及び235(EU付番の残基)を有するFc領域を含む。一態様では、置換はL234A及びL235A(LALA)である。ある特定の態様では、抗体バリアントは、ヒトIgGFc領域に由来するFc領域に、D265A及び/又はP329Gを更に含む。一態様において、置換は、ヒトIgGFc領域に由来するFc領域における、L234A、L235A、及びP329G(LALA-PG)である。(例えば、国際公開第2012/130831号を参照されたい。)別の態様において、置換は、ヒトIgGFc領域に由来するFc領域における、L234A、L235A、及びD265A(LALA-DA)である。
いくつかの態様では、例えば米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されているように、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(すなわち向上又は低下のいずれか)をもたらすFc領域内で変化が起こる。
半減期が増大し、胎生Fc受容体(FcRn)への結合が向上した、母体IgGを胎児に移行する役割を果たす抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))は、米国特許出願公開第2005/0014934号(Hinton et al.)に記載されている。それらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含む。このようなFcバリアントとしては、Fc領域残基:238、252、254、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、又は434の1つ以上において置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものが挙げられる(例えば、米国特許第7,371,826号;Dall’Acqua,W.F.,et al.J.Biol.Chem.281(2006)23514-23524を参照のこと)。
マウスFcマウスFcRn相互作用に決定的なFc領域残基は、部位特異的突然変異誘発により識別されている(例えば、Dall’Acqua,W.F.,et al.J.Immunol 169(2002)5171-5180を参照のこと)。残基I253、H310、H433、N434、及びH435(EUインデックス付番)が、相互作用に関与する(Medesan,C.,et al.,Eur.J.Immunol.26(1996)2533;Firan,M.,et al.,Int.Immunol.13(2001)993;Kim,J.K.,et al.,Eur.J.Immunol.24(1994)542)。残基I253、H310、及びH435が、ヒトFcとマウスFcRnの相互作用に決定的であることが発見された(Kim,J.K.,et al.,Eur.J.Immunol.29(1999)2819)。ヒトFc-ヒトFcRn複合体の研究により、残基I253、S254、H435、及びY436が相互作用に決定的であることが示されている(Firan,M.,et al.,Int.Immunol.13(2001)993;Shields,R.L.,et al.,J.Biol.Chem.276(2001)6591-6604)。Yeung,Y.A.,et al.(J.Immunol.182(2009)7667-7671)において、残基248~259、及び301~317、及び376~382、及び424~437の様々な変異が報告され、調査されている。
ある特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を低下させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fcの領域位置253、及び/又は310、及び/又は435(EU付番の残基)における変異を有するFc領域を含む。ある特定の態様では、抗体バリアントは、位置253、310、及び435におけるアミノ酸置換を有するFc領域を含む。一態様において、置換は、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域における、I253A、H310A、及びH435Aである。例えば、Grevys,A.,et al.,J.Immunol.194(2015)5497-5508を参照のこと。
ある特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を低下させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置310、及び/又は433、及び/又は436(EU付番の残基)における変異を有するFc領域を含む。ある特定の態様では、抗体バリアントは、位置310、433、及び436におけるアミノ酸置換を有するFc領域を含む。一態様において、置換は、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域における、H310A、H433A、及びY436Aである。(例えば、国際公開第2014/177460号を参照されたい。)
ある特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を増加させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fcの領域位置252、及び/又は254、及び/又は256(EU付番の残基)における変異を有するFc領域を含む。ある特定の態様では、抗体バリアントは、位置252、254、及び256におけるアミノ酸置換を有するFc領域を含む。一態様において、置換は、ヒトIgG Fc領域に由来するFc領域におけるM252Y、S254T、及びT256Eである。Fc領域バリアントの他の例に関しては、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
本明細書に報告されるような抗体の重鎖のC末端は、アミノ酸残基PGKで終わる完全なC末端であってもよい。重鎖のC末端は、C末端アミノ酸残基のうち1つ又は2つが除去された、短くなったC末端であってもよい。1つの好ましい態様では、重鎖のC末端は短縮C末端末端PGである。本明細書に報告される全ての態様のうちの1つの態様では、本明細書に明記されるC末端のCH3ドメインを含む重鎖を含む抗体は、C末端グリシン-リシンジペプチドを含む(G446及びK447、EUインデックス付番のアミノ酸位置)。本明細書に報告される全ての態様のうちの1つの態様では、本明細書に明記されるC末端のCH3ドメインを含む重鎖を含む抗体は、C末端グリシン残基を含む(G446、EUインデックス付番のアミノ酸位置)。
b)システイン操作抗体バリアント
ある特定の態様では、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されているシステイン操作抗体、例えば、THIOMAB(商標)を生成することが望ましい場合がある。特定の態様では、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書に更に記載されるように、抗体を薬物部位又はリンカー薬物部位等のような他の部位に複合して免疫コンジュゲートを作成するために使用することができる。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号、同第8,30,930号、同第7,855,275号、同第9,000,130号、又は国際公開第2016040856号に記載のように生成することができる。
7.免疫コンジュゲート
本発明はまた、細胞傷害剤、化学療法剤、薬物、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、若しくは動物起源の酵素活性毒素、又はそれらのフラグメント)、又は放射性同位体などの1つ以上の治療剤と複合された本明細書中に開示のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を含む、免疫コンジュゲートを提供する。
一態様において、免疫コンジュゲートは、抗体が、前述の治療剤の1つ以上にコンジュゲートされた、抗体薬物コンジュゲート(ADC)である。抗体は典型的には、リンカーを使用して、治療剤の1つ以上に接続される。治療剤及び薬剤及びリンカーの例を含む、ADC技術の概観は、Pharmacol Review 68:3-19(2016)に記載されている。
B.組換え方法及び組成物
抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されているように、組換え方法及び組成物を使用して産生することができる。これらの方法のために、抗体をコードする1つ以上の単離された核酸が提供される。
一態様では、本発明の抗体をコードする単離された核酸が提供される。
一態様では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を作製する方法であって、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意に、抗体を宿主細胞(又は宿主細胞培養物)から回収することとを含む、方法が提供される。
ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体の組換え産生に関しては、例えば、上述の抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/又は発現のために、1つ以上のベクター中に挿入される。このような核酸は、容易に単離することができ、一般的な手順を用いて(例えば、抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定することができる。
抗体コード化ベクターのクローニング又は発現のための好適な宿主細胞には、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特に糖鎖修飾やFcエフェクター機能を必要としない場合には、細菌中で産生されてもよい。細菌中の抗体フラグメント及びポリペプチドの発現については、例えば、US5,648,237号、US5,789,199号及びUS5,840,523号を参照。(大腸菌における抗体フラグメントの発現を記載するCharlton,K.A.,In:Methods in Molecular Biology,Vol.248,Lo,B.K.C.(ed.),Humana Press,Totowa,NJ(2003),pp.245-254も参照。)発現後、抗体は、適切なフラクション中の細菌細胞ペーストから単離されてもよく、更に精製されてもよい。
脊椎動物細胞も、宿主として使用され得る。例えば、懸濁物中で成長するように適合した哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株、ヒト胚腎臓株(例えばGraham,F.L.et al.,J.Gen Virol.36(1977)59-74に記載されるような293細胞又は293T細胞、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,J.P.,Biol.Reprod.23(1980)243-252に記載されるようなTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリサル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト頸部癌腫細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス***腫瘍(MMT060562)、TRI細胞(例えば、Mather,J.P.et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383(1982)44-68に記載)、MRC5細胞及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub,G.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77(1980)4216-4220)、及び、骨髄腫細胞株、例えば、Y0、NS0及びSp2/0が挙げられる。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞の総説としては、例えば、Yazaki,P.and Wu,A.M.,Methods in Molecular Biology,Vol.248,Lo,B.K.C.(ed.),Humana Press,Totowa,NJ(2004),pp.255-268を参照。
一態様において、宿主細胞は、真核生物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ球細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。
C.医薬組成物
さらなる態様において、例えば、以下の治療方法のいずれかにおいて使用するための、本明細書に提供される抗体のいずれかを含む、医薬組成物が提供される。一態様では、医薬組成物は、本明細書に提供される抗体のいずれかと、薬学的に許容され得る担体とを含む。別の態様では、医薬組成物は、本明細書で提供される抗体のいずれかと、少なくとも1つのさらなる治療剤、例えば、以下に記載するものとを含む。
本明細書に記載されているヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体の医薬組成物は、所望の純度を有するかかる抗体を1つ以上の必要に応じて存在する薬学的に許容され得る担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と、凍結乾燥された組成物又は水溶液の形態で混合することによって調製される。薬学的に許容され得る担体は、一般的に、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、ヒスチジン、ホスファート、シトラート、アセタート及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容され得る担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Halozyme,Inc.)等のヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質等の介在性薬物分散剤を更に含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載される。一態様では、sHASEGPを、1つ以上のさらなるグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わせる。
例示の凍結乾燥抗体組成物は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体組成物としては、米国特許第6,171,586号及びWO2006/044908に記載のものが挙げられ、後者の組成物は、ヒスチジン-酢酸緩衝液を含む。
本明細書の医薬組成物はまた、処置されている特定の徴候に必要とされる複数の有効成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない補完的な活性を有するものも含みうる。そのような有効成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
有効成分は、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル中に封入されてもよく(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに封入されてもよい。そのような技術が、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
徐放性の医薬組成物を調製することができる。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、これらのマトリクスは、成形物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。
インビボ投与に使用される医薬組成物は、一般に無菌である。滅菌は、例えば滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成され得る。
D.治療方法及び投与経路
本明細書中に提供されるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する任意の抗体を治療方法において使用され得る。
一態様では、医薬として使用するためのヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体が提供される。さらなる態様では、血管疾患の処置に使用するためのヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体が提供される。ある特定の態様では、処置方法に使用するためのヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体が提供される。ある特定の態様では、本発明は、血管疾患を有する個体を処置する方法に使用するためのヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する有効量の抗体を個体に投与することを含む抗体を提供する。そのような一態様では、本方法は、例えば以下に記載されるように、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのさらなる治療剤)を個体に投与することを更に含む。さらなる態様では、本発明は、血管新生の阻害に使用するためのヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を提供する。ある特定の態様では、本発明は、個体における血管新生を阻害する方法で使用するためのヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、血管新生を阻害するためにヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する有効量の抗体を個体に投与することを含む抗体を提供する。上記の態様のいずれかによる「個体」は、好ましくはヒトである。
さらなる態様では、眼疾患の処置に使用するためのヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体が提供される。一実施形態では、眼疾患は、AMD(一実施形態では、滲出型AMD、乾燥型AMD、中間型AMD、進行型AMD、及び地図状萎縮(GA))、黄斑変性、黄斑浮腫、DME(一実施形態では、焦点、非中心DME、及び、びまん性、中心関与DME)、網膜症、糖尿病性網膜症(DR)(一実施形態では、増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、及び高所DR)、他の虚血関連網膜症、ROP、網膜静脈閉塞(RVO)(一実施形態では、中心(CRVO)及び分岐(BRVO)形態)、CNV(一実施形態では、近視性CNV)、角膜血管新生、角膜血管新生に関連する疾患、網膜血管新生、網膜/脈絡膜血管新生に関連する疾患、中心性漿液性網膜症(CSR)、病的近視、フォンヒッペル・リンダウ病、眼のヒストプラズマ症、FEVR、コーツ病、ノーリー病、骨粗鬆症性偽神経膠腫症候群(OPPG)に関連する網膜異常、結膜下出血、ルベオーシス、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、網膜色素変性症(RP)、高血圧性網膜症、網膜血管腫状増殖、黄斑血管拡張症、虹彩血管新生、眼内血管新生、網膜変性、類嚢胞黄斑浮腫(CME)、血管炎、乳頭浮腫、限定されないが以下を含む網膜炎:CMV網膜炎、眼黒色腫、網膜芽細胞腫、結膜炎(一実施形態では、感染性結膜炎及び非感染性(一実施形態では、アレルギー性)結膜炎)、レーバー先天性黒丸症(レーバー先天性黒丸症又はLCAとしても知られる)、ブドウ膜炎(感染性及び非感染性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎(一実施形態では、多巣性脈絡膜炎)、眼ヒストプラズマ症、眼瞼炎、ドライアイ、外傷性眼損傷、シェーグレン病、並びに、疾患又は疾患が眼血管新生、血管漏出、及び/又は網膜浮腫若しくは網膜萎縮に関連する他の眼疾患から選択される。一実施形態では、眼疾患は、AMD(一実施形態では、滲出型AMD、乾燥型AMD、中間型AMD、進行型AMD、及び地図状萎縮(GA))、黄斑変性、黄斑浮腫、DME(一実施形態では、焦点、非中心DME、及び、びまん性、中心関与DME)、網膜症、糖尿病性網膜症(DR)(一実施形態では、増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、及び高所DRから選択される。
さらなる態様では、本発明は、医薬の製造又は調製におけるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体の使用を提供する。一態様では、医薬は血管疾患の処置用である。さらなる態様では、医薬は、血管疾患を有する個体に有効量の医薬を投与することを含む、血管疾患を処置する方法に使用するためのものである。そのような一つの態様では、該方法は、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤、例えば、以下に記載されるものを個体に投与することを更に含む。
一態様では、医薬は眼疾患の処置用である。さらなる態様では、医薬は、眼疾患を有する個体に有効量の医薬を投与することを含む、眼疾患を処置する方法に使用するためのものである。そのような一つの態様では、該方法は、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤、例えば、以下に記載されるものを個体に投与することを更に含む。
さらなる態様では、本発明は、血管疾患を処置する方法を提供する。一態様では、本方法は、そのような血管疾患を有する個体に、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する有効量の抗体を投与することを含む。そのような一つの態様では、該方法は、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤、以下に記載されるものを個体に投与することを更に含む。
さらなる態様では、本発明は、眼疾患を処置する方法を提供する。一態様では、本方法は、そのような眼疾患を有する個体に、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する有効量の抗体を投与することを含む。そのような一つの態様では、該方法は、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤、以下に記載されるものを個体に投与することを更に含む。
上記の態様のいずれかによる「個体」は、ヒトであってもよい。
さらなる態様では、本発明は、例えば上記の治療方法のいずれかで使用するための、本明細書で提供されるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体のいずれかを含む医薬組成物を提供する。一態様では、医薬組成物は、本明細書で提供されるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体のいずれかと、薬学的に許容され得る担体とを含む。別の態様では、医薬組成物は、本明細書で提供されるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体のいずれかと、例えば以下に記載される少なくとも1つのさらなる治療剤とを含む。
本発明の抗体は、単独で投与され得るか、又は併用療法において使用され得る。例えば、該併用療法には、本発明の抗体を投与することと、少なくとも1種類の追加の治療剤(例えば、1種類、2種類、3種類、4種類、5種類、又は6種類の追加の治療剤)を投与することとが含まれる。
例えば、特定の実施形態では、任意の前述の方法は、1つ以上のさらなる化合物を投与することを更に含む。特定の実施形態では、本明細書に提供されるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、さらなる化合物(複数可)と同時に投与される。特定の実施形態では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、さらなる化合物(複数可)の前又は後に投与される。特定の実施形態では、さらなる化合物は、IL-6;IL-6R;IL-13;IL-13R;PDGF;アンジオポエチン;Ang2;Tie2;S1P;インテグリンαvβ3、αvβ5及びα5β1;ベタセルリン;アペリン/APJ;エリスロポエチン;補体因子D;TNFα;HtrA1;VEGF受容体;ST-2受容体;及びAMDリスクに遺伝的に関連するタンパク質、例えば補体経路成分C2、B因子、H因子、CFHR3、C3b、C5、C5a及びC3a;HtrA1;ARMS2;TIMP3;HLA;インターロイキン-8(IL-8);CX3CR1;TLR3;TLR4;CETP;LIPC;COL10A1;及びTNFRSF10Aからなる群から選択される第2の生物学的分子に結合する。特定の実施形態において、さらなる化合物は、抗体又はその抗原結合フラグメントである。
上の実施形態のいずれかに従った(又は適用される)特定の実施形態では、眼疾患は、増殖性網膜症、脈絡膜血管新生(CNV)、加齢性黄斑変性(AMD)、糖尿病性及び他の虚血関連網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、病理学的近視、フォンヒッペル・リンダウ病、眼のヒストプラズマ症、CRVO及びBRVOを含む網膜静脈閉塞症(RVO)、角膜血管新生、網膜血管新生、及び未熟児網膜症(ROP)からなる群から選択される眼内血管新生疾患である。
いくつかの例において、本明細書中に提供されるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、眼障害、例えば、本明細書中に記載される眼障害(例えば、AMD(例えば、滲出型AMD)、DME、DR、RVO、又はGA)を処置するための少なくとも1つのさらなる治療剤と組み合わせて投与され得る。眼障害を処置するための併用療法のための例示的なさらなる治療剤としては、限定されないが、抗血管新生剤、例えば、抗VEGF抗体(例えば、抗VEGF Fab LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ))、可溶性受容体融合タンパク質(例えば、組換え可溶性受容体融合タンパク質EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト、VEGF Trap Eye;Regeneron/Aventisとしても知られる))、アプタマー(例えば、抗VEGFペグ化アプタマーMACUGEN(登録商標)(ペガプタニブナトリウム;NeXstar Pharmaceuticals/OSI Pharmaceuticals))及びVEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、4-(4-ブロモ-2-フルオロアニリノ)-6-メトキシ-7-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474)、4-(4-フルオロ-2-メチルインドール-5-イルオキシ)-6-メトキシ-7-(3-ピロリジン-1-イルプロポキシ)キナゾリン(AZD2171)、バタラニブ(PTK787)、セマキサミニブ(SU5416;SUGEN)、及びSUTENT(登録商標)(スニチニブ));トリプトファニル-tRNAシンセターゼ(TrpRS);スクアラミン;RETAANE(登録商標)(デポー懸濁液用の酢酸アカンノルタベ;Alcon,Inc.);コンブレタスタチンA4プロドラッグ(CA4P);MIFEPREX(登録商標)(ミフェプリストン-ru486);サブテノントリアムシノロンアセトニド;硝子体内結晶トリアムシノロンアセトニド;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(例えば、Prinomastat(AG3340;Pfizer));フルオシノロンアセトニド(フルオシノロン眼内インプラントを含む;Bausch&Lomb/Control Delivery Systems);リノミド;インテグリンβ3機能の阻害剤;アンジオスタチン、及びそれらの組み合わせを含むVEGFアンタゴニストなどが挙げられる。本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体と組み合わせて投与することができるこれら及び他の治療剤は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第2014/0017244号に記載されている。
眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のために本明細書中に提供されるヒトVEGF及びヒトPDGF-Basに結合する抗体と組み合わせて使用することができるさらなる治療剤のさらなる例としては、限定されないが、VISUDYNE(登録商標)(バーテポルフィン;非熱レーザーを用いた光線力学的療法と併せて典型的に使用される光活性化薬物)、PKC412、Endovion(NS 3728;NeuroSearch A/S)、神経栄養因子(例えば、グリア由来神経栄養因子(GDNF)及び毛様体神経栄養因子(CNTF))、ジルチアゼム、ドルゾラミド、PHOTOTROP(登録商標)、9-シス-レチナール、点眼薬(例えば、ヨウ化ホスホリン、エコーチオフェート又は炭酸脱水酵素阻害剤)、ベオバスタット(AE-941;AEterna Laboratories,Inc.)、シルナ-027(AGF-745;Sima Therapeutics,Inc.)、ニューロトロフィン(例としてのみ、NT-4/5、Genentechを含む)、Cand5(Acuity Pharmaceuticals)、INS-37217(Inspire Pharmaceuticals)、インテグリンアンタゴニスト(Jerini AG及びAbbott Laboratoriesからのものを含む)、EG-3306(Ark Therapeutics Ltd.)、BDM-E(BioDiem Ltd.)、サリドマイド(例えば、EntreMed,Inc.によって使用される)、カルジオトロフィン-1(Genentech)、2-メトキシエストラジオール(Allergan/Oculex)、DL-8234(Toray Industries)、NTC-200(Neurotech)、テトラチオモリブデン酸塩(ミシガン大学)、LYN-002(Lynkeus Biotech)、微細藻類化合物(Aquasearch/Albany,Mera Pharmaceuticals)、D-9120(Celltech Group plc)、ATX-S10(Hamamatsu Photonics)、TGF-ベータ2(Genzyme/Celtrix)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、Allergan、SUGEN、又はPfizerからのもの)、NX-278-L(NeXstar Pharmaceuticals/Gilead Sciences)、Opt-24(OPTIS France SA)、網膜細胞神経節神経保護剤(Cogent Neurosciences)、N-ニトロピラゾール誘導体(Texas A&M University System)、KP-102(Krenitsky Pharmaceuticals)、シクロスポリンA、光線力学療法に使用される治療剤(例えば、VISUDYNE(登録商標)、受容体を標的とするPDT、Bristol-Myers Squibb,Co.;PDTとの注射用ポルフィマーナトリウム;ベルテポルフィン、QLT Inc.;PDTとのロスタポーフィン、Miravent Medical Technologies;PDTとのタラポーフィンナトリウム、Nippon Petroleum;及びモテクサーフィンルテチウム、Pharmacyclics,Inc.)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例として、Novagali Pharma SA及びISIS-13650、Ionis Pharmaceuticalsによって試験された製品を含む)、及びそれらの組合せが挙げられる。
本明細書で提供されるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、例えば、レーザー光凝固(例えば、汎網膜光凝固(PRP))、ドルーゼンレーザー発振、黄斑円孔手術、黄斑転座手術、埋め込み型小型望遠鏡、PHI運動血管造影法(マイクロレーザー治療及びフィーダー血管処置としても知られる)、陽子線療法、微小刺激療法、網膜剥離及び硝子体手術、強膜バックル、黄斑下手術、経乳頭温熱療法、光化学系I療法、RNA干渉(RNAi)の使用、体外レオフェレーシス(膜分画濾過及びレオセラピーとしても知られる)、マイクロチップ移植、幹細胞療法、遺伝子置換療法、リボザイム遺伝子療法(低酸素応答エレメントの遺伝子療法を含む、Oxford Biomedica;Lentipak、Genetix;及びPDEF遺伝子療法、GenVec)、光受容体/網膜細胞移植(移植可能な網膜上皮細胞を含む、Diacrin,Inc.;網膜細胞移植、例えば、Astellas Pharma US,Inc.、ReNeuron、CHA Biotech)、穿刺、及びそれらの組み合わせを含む、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のための治療又は外科的手順と組み合わせて投与され得る。
いくつかの例では、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)を処置するための抗血管新生剤と組み合わせて投与することができる。任意の適切な抗血管新生剤を、Carmeliet et al.Nature 407:249-257,2000によって列挙されたものを含むがこれらに限定されない、本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、抗血管新生剤は、限定するものではないが、抗VEGF抗体(例えば、抗VEGF Fab LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)、RTH-258(以前はESBA-1008、抗VEGF一本鎖抗体フラグメント;Novartis)、又は二重特異性抗VEGF抗体(例えば、抗VEGF/抗血管新生2二重特異性抗体、例えば、ファリシマブ;Roche))、可溶性組換え受容体融合タンパク質(例えば、EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト))、VEGFバリアント、可溶性VEGFRフラグメント、VEGFをブロッキングすることができるアプタマー(例えば、ペガプタニブ)又はVEGFR、中和抗VEGFR抗体、VEGFRチロシンキナーゼの小分子阻害剤、抗VEGF DARPin(登録商標)(例えば、アビシパル・ペゴル、Molecular Partners AG/Allergan)、VEGF又はVEGFRの発現を阻害する低分子干渉RNA、VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、4-(4-ブロモ-2-フルオロアニリノ)-6-メトキシ-7-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474)、4-(4-フルオロ-2-メチルインドール-5-イルオキシ)-6-メトキシ-7-(3-ピロリジン-1-イルプロポキシ)キナゾリン(AZD2171)、バタラニブ(PTK787)、セマキサミニブ(SU5416;SUGEN)及びSUTENT(登録商標)(スニチニブ))、及びそれらの組み合わせを含むVEGFアンタゴニストである。
眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のために本明細書で提供されるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体と組み合わせて投与され得る他の適切な抗血管新生剤としては、コルチコステロイド、血管新生抑制ステロイド、酢酸アカンコルターブ、アンギオスタチン、エンドスタチン、チロシンキナーゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤、インスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP 3)、間質由来因子(SDF-1)アンタゴニスト(例えば、抗SDF-1抗体)、色素上皮由来因子(PEDF)、ガンマ-セクレターゼ、Delta様リガンド4、インテグリンアンタゴニスト、低酸素誘導性因子(HIF)-1αアンタゴニスト、プロテインキナーゼCK2アンタゴニスト、新生血管形成)部位にホーミングする幹細胞(例えば、内皮前駆細胞)を阻害する薬剤(例えば、抗血管内皮カドヘリン(CD-144)抗体及び/又は抗SDF-1抗体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
さらなる例では、いくつかの例において、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体、及び/又はそのポリマー製剤は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のための新生血管形成に対して活性を有する薬剤、例えば抗炎症薬、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)阻害剤(例えば、ラパマイシン、AFINITOR(登録商標)(エベロリムス)及びTORISEL(登録商標)(テムシロリムス))、シクロスポリン、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト(例えば、抗TNFα抗体若しくはその抗原結合フラグメント(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ・ペゴル、及びゴリムマブ)又は可溶性受容体融合タンパク質(例えば、エタネルセプト))、抗補体剤、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与することができる。
なおさらなる例では、いくつかの例において、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を、神経保護的であり、潜在的に乾燥型AMDから湿潤型AMDへの進行を減少させることができる薬剤、例えばデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)(商品名:PRASTERA(商標)及びFIDELIN(登録商標))、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート、及びプレグネノロンサルフェートなどの薬物を含む 「ニューロステロイド」 と呼ばれる薬物クラスと組み合わせて投与することができる。
任意の適切なAMD治療剤は、VEGFアンタゴニスト、例えば抗VEGF抗体(例えば、LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)、RTH-258(以前はESBA-1008、抗VEGF一本鎖抗体フラグメント;Novartis)、又は二重特異性抗VEGF抗体(例えば、抗VEGF/抗アンジオポエチン2二重特異性抗体、例えば、ファリシマブ;Roche))、可溶性VEGF受容体融合タンパク質(例えば、EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト))、抗VEGF DARPin(登録商標)(例えば、アビシパル・ペゴル;Molecular Partners AG/Allergan)、又は抗VEGFアプタマー(例えば、MACUGEN(登録商標)(ペガプタニブナトリウム);血小板由来成長因子(PDGF)アンタゴニスト、例えば、抗PDGF抗体、抗PDGFR抗体(例えば、REGN2176-3)、抗PDGF-BBペグ化アプタマー(例えば、FOVISTA(登録商標);Ophthotech/Novartis)、可溶性PDGFR受容体融合タンパク質、又は二重PDGF/VEGFアンタゴニスト(例えば、小分子阻害剤(例えば、DE-120(Santen)又はX-82(TyrogeneX))又は二重特異性抗PDGF/抗VEGF抗体));光線力学的療法と組み合わせたVISUDYNE(登録商標)(verteporfin);酸化防止剤;補体系アンタゴニスト、例えば補体因子C5アンタゴニスト(例えば、小分子阻害剤(例えば、ARC-1905;Opthotech)又は抗C5抗体(例えば、LFG-316;Novartis)、プロパージンアンタゴニスト(例えば、抗プロパージン抗体、例えば、CLG-561;Alcon)、又は補体因子Dアンタゴニスト(例えば、抗補体因子D抗体、例えば、ランパリズマブ;Roche));C3ブロッキングペプチド(例えば、APL-2、Appellis);視覚サイクル調整剤(例えば、エミクススタット塩酸塩);スクアラミン(例えば、OHR-102;Ohr Pharmaceutical);ビタミン及びミネラル補助剤(例えば、加齢性眼疾患試験1(AREDS1;亜鉛及び/又は酸化防止剤)及び試験2(AREDS2;亜鉛、酸化防止剤、ルテイン、ゼアキサンチン、及び/又はオメガ-3脂肪酸)に記載されているもの);細胞ベースの治療、例えば、NT-501(Renexus);PH-05206388(Pfizer)、huCNS-SC細胞移植(StemCells)、CNTO-2476(臍帯幹細胞株;Janssen)、OpRegen(RPE細胞の懸濁液;Cell Cure Neurosciences)、又はMA09-hRPE細胞移植(Ocata Therapeutics);組織因子アンタゴニスト(例えば、hI-con1;Iconic Therapeutics);α-アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、酒石酸ブリモニジン;Allergan);ペプチドワクチン(例えば、S-646240;Shionogi);アミロイドβ拮抗薬(例えば、抗βアミロイドモノクローナル抗体、例えばGSK-933776);S1Pアンタゴニスト(例えば、抗S1P抗体、例えばiSONEP(商標);Lpath Inc);ROBO4アンタゴニスト(例えば、抗ROBO4抗体、例えばDS-7080a;Daiichi Sankyo);エンドスタチン及びアンジオスタチンを発現するレンチウイルスベクター(例えば、RetinoStat);及びそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、眼疾患(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のために本明細書において提供されるヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体と組み合わせて、追加の治療剤として投与することができる。いくつかの例では、AMD治療剤(前述のAMD治療剤のいずれかを含む)を共製剤化することができる。例えば、抗PDGFR抗体REGN2176-3は、アフリベルセプト(EYLEA(登録商標))と共製剤化することができる。いくつかの例では、そのような共製剤は、本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの例では、眼障害はAMD(例えば、滲出型AMD)である。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のためにLUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)と組み合わせて投与することができる。いくつかの例では、眼障害はAMD(例えば、滲出型AMD)である。いくつかの例では、眼障害はGAである。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のためにEYLEA(登録商標)(アフリベルセプト)と組み合わせて投与することができる。いくつかの例では、眼障害はAMD(例えば、滲出型AMD)である。いくつかの例では、眼障害はGAである。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のためにMACUGEN(登録商標)(ペガプタニブナトリウム)と組み合わせて投与することができる。いくつかの例では、眼障害はAMD(例えば、滲出型AMD)である。いくつかの例では、眼障害はGAである。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)を処置するための光線力学療法と組み合わせてVISUDYNE(登録商標)(ベルテポルフィン)と組み合わせて投与することができる。いくつかの例では、眼障害はAMD(例えば、滲出型AMD)である。いくつかの例では、眼障害はGAである。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のためにPDGFアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体と組み合わせて使用され得る例示的なPDGFアンタゴニストには、抗PDGF抗体、抗PDGFR抗体、小分子阻害剤(例えば、スクアラミン)、FOVISTA(登録商標)などの抗PDGF-Bペグ化アプタマー(E10030;Ophthotech/Novartis)、又は二重PDGF/VEGFアンタゴニスト(例えば、小分子阻害剤(例えば、DE-120(Santen)又はX-82(TyrogeneX))又は二重特異性抗PDGF/抗VEGF抗体)が含まれる。例えば、FOVISTA(登録商標)は、本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体の補助療法として投与することができる。OHR-102は、LUCENTIS(登録商標)又はEYLEA(登録商標)などのVEGFアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態では、本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、OHR-102、LUCENTIS(登録商標)及び/又はEYLEA(登録商標)と組み合わせて投与することができる。いくつかの例では、眼障害はAMD(例えば、滲出型AMD)である。いくつかの例では、眼障害はGAである。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のためにRTH-258と組み合わせて投与することができる。RTH-258は、例えば、硝子体内注射又は眼注入によって投与することができる。いくつかの例では、眼障害はAMD(例えば、滲出型AMD)である。いくつかの例では、眼障害はGAである。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のためにアビシパル・ペゴルと組み合わせて投与することができる。いくつかの例では、眼障害はAMD(例えば、滲出型AMD)である。いくつかの例では、眼障害はGAである。
限定されないが、VEGFアンタゴニスト(例えば、LUCENTIS(登録商標)又はEYLEA(登録商標))、コルチコステロイド(例えば、コルチコステロイドのインプラント(例えば、OZURDEX(登録商標)(デキサメタゾン硝子体内インプラント)又はILUVIEN(登録商標)(フルオシノロンアセトニド硝子体内インプラント))又は硝子体内注射による投与のために製剤化されたコルチコステロイド(例えば、トリアムシノロンアセトニド))、又はそれらの組み合わせを含む任意の適切なDME及び/又はDR治療剤は、眼障害(例えば、AMD、DME、DR、RVO、又はGA)の処置のために、本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体と組み合わせて投与することができる。いくつかの例では、眼障害はDME及び/又はDRである。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、DME及び/又はDR(例えば、NPDR又はPDR)の処置のためにLUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)と組み合わせて投与することができる。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、DME及び/又はDR(例えば、NPDR又はPDR)の処置のためにEYLEA(登録商標)(アフリベルセプト)と組み合わせて投与することができる。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、DME及び/又はDRの処置のためにOZURDEX(登録商標)(デキサメタゾン硝子体内インプラント)と組み合わせて投与することができる。
本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体は、DME及び/又はDRの処置のためにILUVIEN(登録商標)(デキサメタゾン硝子体内インプラント)と組み合わせて投与することができる。
場合によっては、TAO/PRN処置レジメン又はTAE処置レジメンを使用して、本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体及び/又はそのポリマー製剤と組み合わせてAMD治療剤(例えば、ラニビズマブ又はアフリベルセプト)を投与してもよい。いくつかの例では、眼障害はAMD(例えば、滲出型AMD)である。いくつかの例では、眼障害はGAである。
上述したそのような併用療法は、併用投与(ここでは、2つ以上の治療剤が同一又は別個の製剤中に含まれる)及び別個の投与を包含し、この場合、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する本発明の抗体の投与は、追加の治療剤又は薬剤の投与に先立って、同時に、及び/又はそれに続いて、行われ得る。一実施形態では、本発明のヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体の投与及びさらなる治療剤の投与は、互いに約1、2、3、4、若しくは5ヶ月以内、又は約1、2、若しくは3週間以内、又は約1、2、3、4、5、若しくは6日以内に行われる。
本発明の抗体(及び任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内、並びに局所的な処置のために望まれる場合、病変内投与を含む、任意の適切な手段によって投与することができる。非経口輸液には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、又は皮下投与が含まれる。投薬は、投与が短期又は長期であるかに部分的に応じて、任意の好適な経路、例えば、静脈内又は皮下注射等の注射によるものであり得る。単回又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス輸注を含むが、これらに限定されない様々な投薬スケジュールが、本明細書では企図される。
本発明の抗体は、良好な医療行為と一致した方法で製剤化され、投与され、投与されるであろう。これに関連して考慮すべき要因としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に既知である他の要因が挙げられる。抗体は、問題の疾患を予防又は処置するために現在使用されている1種以上の薬剤と一緒に製剤化されている必要はないが、任意に製剤化される。このような他の薬剤の有効量は、医薬組成物中に存在する抗体の量、疾患又は処置の種類、及び上述した他の要因に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載のものと同じ投薬量及び投与経路によって、又は本明細書に記載の投薬量の約1~99%、又は適切であると経験的/臨床的に判断される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
疾患の予防又は処置について、本発明の抗体の適切な投薬量は(単独で、又は1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)、処置される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的又は治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴及び抗体への応答、並びに主治医の裁量に依存するだろう。本発明の抗体は、好適には、患者に一度に又は一連の処置にわたって投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体が、例えば、1回以上の別個の投与によるか、又は連続注入によるかにかかわらず、患者への投与のための初期候補投薬量であり得る。典型的な1日投薬量は、上述の因子に依存して、約1μg/kg~100mg/kgの範囲であってもよい。数日間又はそれ以上にわたる反復投与において、状態に応じ、処置は通常、疾患症状の所望の抑制が生じるまで続けられる。抗体の1つの例示的な投与量は、約0.05mg/kgから約10mg/kgの範囲であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、又は10mg/kg(又はこれらの任意の組合せ)のうちの1つ以上の用量が、患者に投与され得る。かかる用量は、断続的に、例えば毎週又は3週間毎(例えば、患者が約2~約20回、又は例えば約6回の用量の抗体を受容するように)投与されてもよい。最初の多めの投与量、それに続く1回以上の量の少ない用量を投与してよい。この療法の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易に監視される。
E.製造物品
本発明の別の態様では、上述の障害の処置、予防及び/又は診断に有用な材料を含む製造物品が提供される。製造物品は、容器と、容器に挿入されるか、又は容器に付随するラベル又はパッケージ添付文書とを備えている。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。容器は、状態を処置、予防、及び/又は診断するのに有効な別の組成物と単独で又は組み合わせて使用される組成物を保持し、無菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本発明の抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が、選択される症状を処置するために使用されることを示す。さらに、製造物品は、(a)組成物を含む第1の容器を含み、この組成物は本発明の抗体を含み、(b)組成物を含む第2の容器を含み、この組成物は細胞疾患性又は他の治療剤を更に含む。本発明のこの態様における製造物品は、組成物が特定の状態を処置するために使用され得ることを示すパッケージ添付文書を更に含んでいてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、製造物品は、薬学的に許容され得る緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝化生理食塩水、Ringer溶液及びデキストロース溶液を含む第2の(又は第3の)容器を更に備えていてもよい。他の緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針、注射器等、商業的及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含んでいてもよい。
3.本発明の特定の実施形態
以下に、本発明の特定の実施形態を列挙する。
1.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、可変軽鎖ドメイン(VLドメイン)及び可変重鎖ドメイン(VHドメイン)の1つの同族対内のVEGFパラトープ及びPDGF-Bパラトープを含み、VEGFパラトープが、抗体のCDR-H2、CDR-L1及びCDR-L3由来のアミノ酸残基を含み、PDGF-Bパラトープが、抗体のCDR-H1、CDR-H3及びCDR-L2由来のアミノ酸残基を含む、抗体。
2.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、可変軽鎖ドメイン(VLドメイン)及び可変重鎖ドメイン(VHドメイン)の1つの同族対内にVEGFパラトープ及びPDGF-Bパラトープを含み、可変軽鎖ドメインと可変重鎖ドメインの対がヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに同時に結合する、抗体。
3.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、可変軽鎖ドメイン(VLドメイン)及び可変重鎖ドメイン(VHドメイン)の1つの同族対内にVEGFパラトープ及びPDGF-Bパラトープを含み、VEGFパラトープに含まれるアミノ酸のいずれもPDGF-Bパラトープに含まれない、抗体。
4.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、可変軽鎖ドメイン(VLドメイン)及び可変重鎖ドメイン(VHドメイン)の1つの同族対内のVEGFパラトープ及びPDGF-Bパラトープを含み、配列番号11の可変重鎖ドメイン及び配列番号21の可変軽鎖ドメインを有する抗体と同一のヒトVEGF上のエピトープ及び同一のヒトPDGF-B上のエピトープに結合する、抗体。(RO7113083).
5.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、可変軽鎖ドメイン(VLドメイン)及び可変重鎖ドメイン(VHドメイン)の1つの同族対内にVEGFパラトープ及びPDGF-Bパラトープを含み、
● VEGFパラトープは、抗体のCDR-H2、CDR-L1及びCDR-L3由来のアミノ酸残基を含み、PDGF-Bパラトープは、抗体のCDR-H1、CDR-H3及びCDR-L2由来のアミノ酸残基を含む;及び/又は
● 可変軽鎖ドメインと可変重鎖ドメインとの対は、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに同時に結合する;及び/又は
● VEGFパラトープに含まれるアミノ酸のいずれもPDGF-Bパラトープに含まれない;及び/又は
● 配列番号11の可変重鎖ドメイン及び配列番号21の可変軽鎖ドメインを有する抗体と同一のヒトVEGF上のエピトープ及び同一のヒトPDGF-B上のエピトープに結合する;及び/又は
● 抗体の抗体Fabフラグメントは、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する;及び/又は
● 抗体の抗体Fabフラグメントが、68℃以上の凝集開始温度を示す、抗体。
6.(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
7.(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
8.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含む、抗体。
9.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含む、抗体。
10.(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン、並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、及び(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインはKabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
11.(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン、並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、及び(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインはKabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
12.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン、並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、及び(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングが、Kabatナンバリングシステムに従う、抗体。
13.アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングが、Kabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
14.
- VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65及びR66、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含む、VEGFパラトープ;並びに、
- VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、D73、D74、T75、N76、R94、D96、D98、D101、及びT102、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:E55及びH56を含む、PDGF-Bパラトープを含む、実施形態13に記載の抗体。
15.アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングが、Kabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
16.
- VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65及びR66、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含む、VEGFパラトープ;並びに、
- VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、D73、D74、T75、N76、R94、D96、D98、D101、及びT102、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:E55及びH56を含む、PDGF-Bパラトープを含む、実施形態15に記載の抗体。
17.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、一組のVLドメイン及びVHドメイン内に、(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み;VHドメイン及びVLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従う、抗体。
18.
- VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65及びR66、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含む、VEGFパラトープ;並びに
- VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、D73、D74、T75、N76、R94、D96、D98、D101、及びT102、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:E55及びH56を含む、PDGF-Bパラトープを含む、実施形態17に記載の抗体。
19.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、一組のVLドメイン及びVHドメイン内に、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み;VHドメイン及びVLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従う、抗体。
20.
- VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65及びR66、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含む、VEGFパラトープ;並びに、
- VHドメイン中に以下のアミノ酸残基:D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、D73、D74、T75、N76、R94、D96、D98、D101、及びT102、並びにVLドメイン中に以下のアミノ酸残基:E55及びH56を含む、PDGF-Bパラトープを含む、実施形態19に記載の抗体。
21.(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
22.(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
23.(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
24.(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
25.(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメインであって、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン;(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインであって、アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングはKabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
26.(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメインであって、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン;(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインであって、アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングはKabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
27.(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメインであって、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン;(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインであって、アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングはKabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
28.(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメインであって、アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン;(b)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインであって、アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングはKabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
29.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗体。
30.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗体。
31.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗体。
32.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗体。
33.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでおりD1、L2、D25、G26、W27、W28、R66、D73、D74、T75、N76、及びR94を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでおりA1、I2、H68、及びE69を含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングはKabatナンバリングシステムに従う、抗体。
34.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン;並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに従っており、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗体。
35.(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
36.(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号25のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
37.(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号25のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
38.(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号31のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
39.(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメインであって、該アミノ酸置換が位置3~24、29、30、35c~52、52b、54、59、60、67~72、77~93、95、97、99、又は103~113に位置するVHドメイン;(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号25のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号25の位置3~25、27d~54、57~67、70~91、又は97~107に位置する可変軽鎖ドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
40.(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメインであって、該アミノ酸置換が位置3~24、29、30、35c~52、52b、54、59、60、67~72、77~93、95、97、99、又は103~113に位置するVHドメイン;(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号25のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号25の位置3~25、27d~54、57~67、70~91、又は97~107に位置する可変軽鎖ドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
41.(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメインであって、該アミノ酸置換が位置3~24、29、30、35c~52、52b、54、59、60、67~72、77~93、95、97、99、又は103~113に位置するVHドメイン;(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号25のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインであって、該アミノ酸置換が配列番号31の位置3~25、27d~54、57~67、70~91、又は97~107に位置する可変軽鎖ドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従う、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
42.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びにVLドメイン(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む、抗体。
43.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン;並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに従っており、(a)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号11のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)15個までのアミノ酸置換を有する配列番号21のアミノ酸配列を含む可変軽鎖ドメインを含む、抗体。
44.配列番号22のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
45.配列番号26のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
46.配列番号32のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
47.配列番号11のVH配列及び配列番号21のVL配列を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
48.配列番号11のVH配列及び配列番号25のVL配列を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
49.配列番号28のVH配列及び配列番号25のVL配列を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
50.配列番号28のVH配列及び配列番号31のVL配列を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
51.配列番号11のVH配列及び配列番号21のVL配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体。
52.配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
53.配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体。
54.配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号19の軽鎖アミノ酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
55.配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号19の軽鎖アミノ酸配列を含む、ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体。
56.配列番号18の重鎖アミノ酸配列及び配列番号27の軽鎖アミノ酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
57.配列番号30の重鎖アミノ酸配列及び配列番号27の軽鎖アミノ酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
58.配列番号30の重鎖アミノ酸配列及び配列番号33の軽鎖アミノ酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
59.抗体の抗体Fabフラグメントが、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
60.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、抗体の抗体Fabフラグメントが、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する、抗体。
61.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含む抗体であって、抗体の抗体Fabフラグメントが、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する、抗体。
62.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン;並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに従っており、抗体の抗体Fabフラグメントが、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満の KでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する、抗体。
63.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、一対のVHドメイン及びVLドメイン中に、(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングが、Kabatナンバリングシステムに従っており、抗体の抗体Fabフラグメントは、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する、抗体。
64.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、抗体の抗体Fabフラグメントは、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する、抗体。
65.抗体Fabフラグメントが68℃以上の凝集開始温度を示す、先行する実施形態のいずれか一つの抗体。
66.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、抗体の抗体Fabフラグメントが68℃以上の凝集開始温度を示す抗体。
67.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、抗体の抗体Fabフラグメントは、68℃以上の凝集開始温度を示す、抗体。
68.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン、並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、及びI2を含むFR1、及び(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングが、Kabatナンバリングシステムに従っており、抗体の抗体Fabフラグメントは68℃以上の凝集開始温度を示す、抗体。
69.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、一対のVHドメイン及びVLドメイン中に、(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインのナンバリングが、Kabatナンバリングシステムに従っており、抗体の抗体Fabフラグメントが68°C以上の凝集開始温度を示す、抗体。
70.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに、(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメインを含み、(a)配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、抗体の抗体Fabフラグメントは、68℃以上の凝集開始温度を示す、抗体。
71.モノクローナル抗体である、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
72.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体フラグメントである、先行する実施形態のいずれか一つの抗体。
73.二重特異性である、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
74.Fabフラグメントである、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
75.二重特異性抗体フラグメントである、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
76.多重特異性抗体である、先行する実施形態のいずれか一つに記載の抗体。
77.実施形態1~76のいずれか一つに記載の抗体をコードする、単離された核酸。
78.実施形態77の核酸を含む、宿主細胞。
79.実施形態77の核酸を含む、発現ベクター。
80.ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を産生する方法であって、抗体が産生されるように実施形態78に記載の宿主細胞を培養するステップを含む、方法。
81.抗体を宿主細胞から回収することをさらに含む、実施形態80に記載の方法。
82.実施形態80又は81の方法によって産生される抗体。
83.実施形態1~76のいずれか一項に記載の抗体と、薬学的に許容され得る担体とを含む、医薬製剤。
84.医薬として使用するための、実施形態1~76のいずれか一項に記載の抗体。
85.血管疾患の処置における使用のための実施形態1~76のいずれか一項に記載の抗体。
86.眼血管疾患の処置における使用のための実施形態1~76のいずれか一項に記載の抗体。
87.医薬の製造における実施形態1~76のいずれか1つに記載の抗体又は実施形態83に記載の医薬組成物の使用。
88.血管新生を阻害するための医薬の製造における実施形態1~76のいずれか1つに記載の抗体又は実施形態83に記載の医薬組成物の使用。
89.血管疾患を有する個体を処置する方法であって、有効量の実施形態1~76のいずれか一項に記載の抗体又は実施形態83に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、方法。
90.眼血管疾患を有する個体を処置する方法であって、有効量の実施形態1~76のいずれか一項に記載の抗体又は実施形態83に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、方法。
91.個体における血管新生を阻害する方法であって、血管新生を阻害するために有効量の実施形態1~76のいずれかに記載の抗体又は実施形態83のいずれかに記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、方法。
Figure 2023520414000003

Figure 2023520414000004

Figure 2023520414000005

Figure 2023520414000006

Figure 2023520414000007
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために提供されており、その真の範囲は、特許請求の範囲に明記されている。本発明の思想から逸脱することなく、定められた手順に変更を加えることができると理解される。
実施例1:
二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B Fabフラグメントの作製
合成Fabフラグメントの2つの異なるファージディスプレイライブラリーを利用し、第1のファージディスプレイライブラリーでは、FabフラグメントのCDR-H1、CDR-H3及びCDR-L2領域内の残基が多様化しており、第2のファージディスプレイライブラリーでは、FabフラグメントのCDR-L1、CDR-L3及びCDR-H2領域内の残基が多様化していた。各ライブラリーにおいて、他の3つのCDR領域は不変ダミー配列として多様化されないままであった。両方のライブラリーにおいて、ファージディスプレイを促進するために、FabフラグメントのCH1ドメインをリンカーを介して切断型遺伝子-IIIタンパク質に融合した。
ファージライブラリーパニングによって、第1のライブラリーをヒトPDGF-Bに対する結合剤について濃縮し、第2のライブラリーをヒトVEGF-Aに対する結合剤について濃縮した。パニング後、ファージミドベクターの両方の濃縮プールについてプラスミドミニプレップを作製した。ミニプレップを制限酵素で消化して、切断型遺伝子-IIIタンパク質をコードする領域を切り出し、ライゲーションによって再環状化して、それぞれPDGF-B結合剤又はVEGF-A結合剤が濃縮された可溶性Fabフラグメントをコードする発現ベクターのプールを得た。これらのベクタープールをTG1大腸菌細胞に形質転換し、個々のコロニーを採取し、マイクロタイタープレートにおける個々のFabクローンの可溶性発現のために培養した。可溶性Fabフラグメントを含む上清を、標準的なELISA法を使用してPDGF-B又はVEGF-Aへの結合についてスクリーニングし、特異的結合剤を産生するTG1クローンをDNAプラスミド調製及び配列決定に供して、それぞれPDGF-B又はVEGF-Aのいずれかに特異的に結合するVH及びVL配列の対を得た。
VEGF-PDGF適用のための二重特異性設計の説明:
一対の二重特異性VH配列及びVL配列を、(1)重鎖N末端領域を含むVH残基1~3、CDR-H1を含む23~35、VH外側ループ領域を含む71~77、及びPDGF-B特異的Fab配列からのCDR-H3を含む93~102、並びにVEGF-A特異的Fab配列からのCDR-H2を含むVH残基50~65をVH3及びJHフレームワーク配列とインフレームで配置し、(2)軽鎖N末端領域を含むVL残基1~3、CDR-L1を含む24~34、VL外側ループ領域を含む66~71、及びVEGF-A特異的Fab配列からのCDR-L3を含む89~97、並びにPDGF-B特異的Fab配列からのCDR-L2を含むVL残基49~57をVkappa1及びJKフレームワークとインフレームで配置することによって、インシリコで設計した。
得られた二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B抗体「P1AE2845」は、配列番号9の重鎖と配列番号10の軽鎖とを特徴とする。
実施例2:
二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B FabフラグメントP1AE2845の発現
設計した二重特異性DutaFabのVH及びVL配列の対を合成し、CH1及びCkappaドメインをコードする遺伝子配列のコンテキストで大腸菌発現ベクターにクローニングした。ベクターをTG1大腸菌細胞に形質転換し、二重特異性Fabフラグメントの可溶性発現のために個々のコロニーを培養した。TG1培養上清からアフィニティークロマトグラフィーにより二重特異性Fabフラグメントを精製し、PDGF-B及びVEGF-Aの両方に対する特異的結合を検証した。
実施例3:
二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B FabフラグメントP1AE2845の特徴付け
二重特異性抗体P1AE2845の結合親和性、親水性及び熱安定性を以下のように評価した。
表面プラズモン共鳴(SPR)によって評価した場合のVEGF結合動態:
抗His捕捉抗体(anti-His capturing antibody:GE Healthcare 28995056)を、標準的なアミンカップリング化学を用いてSeries S Sensor Chip C1(GE Healthcare 29104990)に固定化し、約500共鳴単位(RU)の表面密度を得た。ランニングバッファー及び希釈バッファーとして、HBS-P+(10mM HEPES,150mM NaCl pH7.4,0.05%界面活性剤P20)を使用した。ヒトVEGF121-Hisを表面に捕捉した結果、それぞれ約10及び20RUのリガンド密度であった。二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B Fabフラグメントの希釈系列(1.2~100nM、1:3希釈)をそれぞれ90秒間連続して注入し、解離を30μl/分の流量で3600秒間監視した(単一サイクル速度論)。10mMのグリシンpH1.5を60秒間注入して表面を再生した。バルク屈折率の差は、ブランク注入を差し引くことで補正し、ヒトVEGF121を捕捉していない対照フローセルから得られた応答を差し引くことで補正した。Biacore評価ソフトウェア内の1:1 Langmuir結合モデルを用いて、曲線適合を行った。より堅牢なフィッティングを提供するために、両方のリガンド密度を使用したグローバルフィッティングのために、Multiple Rmaxオプションを選択した。
表面プラズモン共鳴(SPR)によって評価した場合のPDGF-B結合動態:
ヒトPDGF-BB結合ELISA:結合分析は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)ベースの技術を使用して行った。抗原ヒトPDGF-BB(Cell Signaling、カタログ番号8921BF)を、384ウェルマイクロタイタープレート(Thermo Scientific、カタログ番号464718)上に、PBS、0.5% BSA及び0.05% Tween中25μLで125ng/mLの濃度で固定化した。以下の各ステップの後に、分注及び吸引を伴う90μLのPBSの3回の洗浄ルーチンを行った:1)ブロッキング工程:飽和非結合面(1時間、2% BSA);2)1時間の漸増濃度の抗PDGF-BB抗体;3)検出抗体、希釈=1:3000(ECL抗ウサギIgG-POD、NA9340V+ECL抗ヒトIgG-POD、NA933V、あるいはマウス抗体の場合はECL抗マウスIgG-POD;NA9310V)。基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB、Piercenet、カタログ番号34021)を添加してから20~30分後、光学密度を370nmで測定した。EC50は、GraphPadPrism 6.0ソフトウェアを使用して4パラメータ・ロジスティック・モデルで計算した。
カニクイザルPDGF-BB結合ELISA:結合分析は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)ベースの技術を使用して行った。抗原ヒトPDGF-BBを、384ウェルマイクロタイタープレート(Thermo Scientific、カタログ番号464718)上に、PBS、0.5% BSA及び0.05% Tween中25μLで125ng/mLの濃度で固定化した。以下の各ステップの後に、分注及び吸引を伴う90μLのPBS、0.5%のBSA、0.05%のTweenの3回の洗浄ルーチンを行った:1)ブロッキング工程:飽和非結合面(1時間、2% BSA);2)1時間の漸増濃度の抗PDGF-BB抗体;3)検出抗体、希釈=1:3000(ECL抗ウサギIgG-POD、NA9340V+ECL抗ヒトIgG-POD、NA933V、あるいはマウス抗体の場合はECL抗マウスIgG-POD;NA9310V)。基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB、Piercenet、カタログ番号34021)を添加してから20~30分後、光学密度を370nmで測定した。EC50は、GraphPadPrism 6.0ソフトウェアを使用して4パラメータ・ロジスティック・モデルで計算した。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC):
見かけの疎水性は、20μgの二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B Fabフラグメントを、25mMのリン酸Na、1.5Mの硫酸アンモニウム、pH7.0で平衡化したHIC-Ether-5 PW(Tosoh)カラムに注入することによって決定した。溶出は、0~100%の緩衝液B(25mMリン酸ナトリウム、pH 7.0)の直線勾配で60分以内に行った。保持時間を、既知の疎水性を有するタンパク質標準と比較した。
熱安定性:
二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B Fabフラグメントの試料を、20mM ヒスチジン/ヒスチジンクロリド、140mM NaCl中、pH 6.0で1mg/mLの濃度にて調製し、0.4μmフィルタプレートで遠心分離して光学384ウェルプレートに移し、パラフィンオイルで覆った。試料を25℃から80℃へ0.05℃/分の率で加熱しながら、流体力学半径を、DynaProプレートリーダ(Wyatt)における動力学的光散乱により繰り返し、測定した。あるいは、試料を10μLマイクロキュベットアレイへ移し、それらを25℃から90℃へ0.1℃/分の率で加熱しながら、静的光散乱データ及び266nmレーザでの励起による蛍光データをOptim1000装置(Avacta Inc.)で記録した。
凝集開始温度は、流体力学半径(DLS)又は散乱光強度(Optim1000)が増加し始める温度として定義される。
結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023520414000008

Figure 2023520414000009
実施例4:
二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B FabフラグメントP1AE2845の改善
臨床適用のために、抗体は、例えばPDGF-B及びVEGF結合に関してさらに改善された。VHドメイン及びVLドメインに異なるアミノ酸置換を導入することによって、数回の成熟を行った。熟成中、抗体P1AE2845に由来する候補抗体をスクリーニングし、収率、親和性、同時抗原結合、親水性、安定性、粘度及び他のパラメータに関するそれらの所望の特性に基づいて選択した。
改善された候補抗体P1AA9124並びに28.01、28.02、RO7113083及び28.07を、複数の試験された候補抗体分子から選択した。これらの改善された二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B Fabフラグメントのアミノ酸配列を表3に特定する。
Figure 2023520414000010
図2及び図3は、生成された二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B Fabフラグメントの可変重鎖ドメイン及び可変軽鎖ドメインのアラインメントを示す。VHドメイン及びVLドメイン内のアミノ酸位置のナンバリングは、Kabatナンバリングシステムに従う。簡単にするために、ナンバリングを図に含め、フレームワーク及びCDRアミノ酸位置をさらに例示する。
実施例5:
改善された二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B Fabフラグメントの抗原結合動態
候補抗体について、VEGF及びPDGF-Bに対する結合動態を、示された二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B Fabフラグメント(表3に示されるアミノ酸配列)を使用して実施例3に記載されるように評価した。
PDGF-B結合動態の結果を表4a、4b並びに表5a、b及びcに示す。比較のために、国際公開第2016/075036号に開示される完全長IgG抗体である先行技術の抗VEGF/抗PDGF-B抗体0117の抗原の結合動態を示す。また、ペグ化アプタマーである先行技術のPDGF阻害剤ペグプレラニブ(Fovista(登録商標))のPDGF結合動態を示す。
Figure 2023520414000011
Figure 2023520414000012

Figure 2023520414000013

Figure 2023520414000014

Figure 2023520414000015

Figure 2023520414000016
VEGF結合動態の結果を表6a及びbに示す。
Figure 2023520414000017

Figure 2023520414000018
実施例6:
改善された二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B Fabフラグメントの生物物理学的特性(安定性及び疎水性)
候補抗体の示された生物物理学的特性を、示された二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B Fabフラグメント(表3に示されるアミノ酸配列)を使用して実施例3に記載されるように評価した。
表7は、分析した抗体の熱安定性及び疎水性を示す。比較のために、国際公開第2016/075036号に開示される完全長IgG抗体である先行技術の抗VEGF/抗PDGF-B抗体0117の熱安定性が含まれる。
Figure 2023520414000019
実施例7:
VEGF121及びVEGF165のブロッキング活性(VEGFベースラインアッセイ)
Maxisorp 96ウェルプレート(ThermoScientific#442404)を、1μg/mLの最終濃度で室温で1時間、200mM NaHCO、pH9.4中の50μL/ウェルのhVEGFR-1-Fcでコーティングした。示されている候補Fabフラグメントを、280μLのPBST-1%BSA中409.6 nMの濃度に希釈した。2倍段階希釈では、この希釈Fab試料140μLを、140μLのPBST-1%BSAと混合し、穏やかなピペッティングによって7回混合した。この2倍希釈工程をさらに9回繰り返した。丸底96ウェルプレートに、PBST-1%BSA中の2nM VEGF121又は2nM VEGF165を50μL/ウェルで予め充填した。50μLのFab希釈液をVEGFプレートに添加し、6回混合し、1.5時間インキュベートした。続いて、maxisorpプレートをPBSTで2回洗浄した後、200μLの2% MPBSTを添加し、続いて室温で45分間インキュベートした。その後、プレートをPBSTで2回洗浄した。50μlのFab-VEGFプレミックスをMaxisorpプレートに移し、室温で1.5時間インキュベートした。その後、プレートをPBSTで2回洗浄し、50μLの抗VEGF-バイオ抗体(PBSTで1:2000希釈)及びSA-HRP(PBSTで1:2000希釈)を添加し、室温で30分間インキュベートした。プレートをPBSTで6回洗浄し、50μLのTMB基質溶液を添加し、室温で30分間インキュベートした。最後に、50μLの1N硫酸を添加して反応を停止させ、450nmで吸光度を読み取る。結果を図4に示す。
実施例8:
改善された二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B FabフラグメントP1AA9124の構造解析
VEGF及びPDGF-Bと複合体を形成した二重特異性抗VEGF/抗PDGF-B FabフラグメントP1AA9124の結晶構造から、それぞれの抗原VEGF及びPDGF-Bと接触しているアミノ酸残基を同定した。
Fab-VEGF複合体の結晶化:VEGFA-121(Peprotech-カタログ番号100-20A)と複合体を形成したFabフラグメントP1AA9124の結晶を得るために、両タンパク質をVEGFモノマーに対して1:1のモル比で混合した。複合体を11mg/mlに濃縮し、20°Cで0.1M MES pH6.5及び1.6M硫酸マグネシウムに対し、滴下蒸気拡散法により結晶化を行った。針状結晶は約120日間で成長し、凍結防止剤として20%グリセロールを含む液体窒素中で凍結された。
データ収集及び結晶構造決定Fab-VEGF複合体:MarMosaic 225検出器を備えたステーションI911-3(MAX IV Laboratory,Lund,Sweden)で、100Kの温度でデータを収集した。露光時間30秒及び画像あたり1°の振動範囲で合計200個の回折画像を収集した。データを統合し、XDS(J.Appl.Cryst.(1993).26,795-800)を使用してスケーリングし、次いでXDSCONVを使用してマージし、MTZフォーマットに変換した。The CCP4 suite(Acta Cryst.(2011).D67,235-242)を使用して、Phaser(J.Appl.Cryst.(2007).40,658-674)を用いた分子置換によってDutaFab:VEGF複合体の構造を解明及び精密化した。溶媒含有量及びMatthewsの係数は、それぞれ43.5%及び2.18Å/Daであると計算された。これは非対称単位中の2つのFab:VEGF複合体に対応する。探索モデルとして、VEGFの構造(PDB 1BJ1)及び関連Fab(PDB 1JPS)を使用して、それぞれ非対称単位中の1及び2コピーを探索した。Phaserは、二量体VEGF及び2つのFab分子を局在化することができた。分子置換後、Refmac5(Acta Cryst.(1997).D53,240-255)で剛体精密化を行った。Refmac5における反復の制限された精密化及びCoot(Acta Cryst.(2004).D60,2126-2132)におけるモデル構築は、それぞれ22.2%及び27.2%のR値及びRfree値を有する最終構造をもたらした。
Fab-PDGF複合体の結晶化:PDGF-BB(Peprotech-カタログ番号100-13A)と複合体を形成したFabフラグメントP1AA9124の結晶を得るために、両タンパク質をPDGF モノマーに対して1:1のモル比で混合した。複合体を12mg/mlに濃縮し、20°Cで0.1M Tris pH7.5、42%(+/-)-2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPD)に対し、滴下蒸気拡散法により結晶化を行った。板状結晶は数週間以内に成長し、凍結防止剤として20%グリセロールを含む液体窒素中で凍結させた。
データ収集及び結晶構造決定Fab-PDGF複合体:Pilatus3 6M検出器を備えたステーションI03(Diamond Light Source,UK)で100Kの温度でデータを収集した。露光時間0.1秒及び画像あたり0.2°の振動範囲で合計800個の回折画像を収集した。データを統合し、XDS(J.Appl.Cryst.(1993).26,795-800)を使用してスケーリングし、次いでXDSCONVを使用してマージし、MTZフォーマットに変換した。The CCP4 suite(Acta Cryst.(2011).D67,235-242)を使用して、Phaser(J.Appl.Cryst.(2007).40,658-674)を用いた分子置換によってDutaFab:PDGF-BB複合体の構造を解明及び精密化した。溶媒含有量及びMatthewsの係数は、それぞれ53.2%及び2.63Å/Daであると計算された。これは非対称単位中の2つのDutaFab:PDGF複合体に対応する。検索モデルとして、単量体PDGF(PDB 4QCI)及びDutaFab:VEGF構造からのFabを使用して、非対称単位中のそれぞれ2コピーを検索した。Phaserは、2つのFab分子を局在化することができた。分子置換後、Refmac5(Acta Cryst.(1997).D53,240-255)で剛体精密化を行った。制限された精密化の第1ラウンドは、十分に明確なマップをもたらしたので、二量体PDGF-BBを手動で配置することができた。Refmac5における反復の制限された精密化及びCoot(Acta Cryst.(2004).D60,2126-2132)におけるモデル構築は、それぞれ26.7%及び30.9%のR値及びRfree値を有する最終構造をもたらした。
Figure 2023520414000020
VHドメイン及びVLドメイン内のパラトープアミノ酸残基の位置の例示を図2に示す。図示されているように、VEGFパラトープとPDGF-Bパラトープは重なっていない。VEGFパラトープに寄与するアミノ酸はPDGF-Bパラトープに寄与しない。逆に、PDGF-Bパラトープに寄与するアミノ酸はVEGFパラトープに寄与しない。
軽鎖CDR1及びCDR3並びに重鎖CDR2由来のアミノ酸は、VEGFパラトープに寄与する。VEGFパラトープは、軽鎖CDR2、重鎖CDR1及び重鎖CDR3由来のアミノ酸を含まない。
抗原結合に寄与すると同定されたアミノ酸残基を以下の表8(可変重鎖ドメインアミノ酸残基について)及び表9(可変軽鎖ドメインアミノ酸残基について)に同定する。アミノ酸位置は、Kabatナンバリングシステムに従ってナンバリングされる(図1及び図2において同じナンバリングが使用される)。抗原結合に関与するアミノ酸位置は、VH又はVLドメイン中のそれらのKabat位置によって同定される(図1及び図2のナンバリングも参照)。
Figure 2023520414000021

Figure 2023520414000022

Claims (15)

  1. ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、可変軽鎖ドメイン(VLドメイン)及び可変重鎖ドメイン(VHドメイン)の1つの同族対内のVEGFパラトープ及びPDGF-Bパラトープを含み、前記VEGFパラトープが、前記抗体のCDR-H2、CDR-L1及びCDR-L3由来のアミノ酸残基を含み、前記PDGF-Bパラトープが、前記抗体のCDR-H1、CDR-H3及びCDR-L2由来のアミノ酸残基を含む、抗体。
  2. ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、
    - (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメイン;又は
    - (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含むVHドメイン、並びに(d)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含むVLドメイン
    を含む、抗体。
  3. ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体であって、
    - (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン、並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、I2を含むFR1、及び(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメイン;又は
    - (a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)(i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、及びW28を含むFR1、(ii)アミノ酸残基D73、D74、T75、N76、及びR94を含むFR3を有するヒト重鎖フレームワークを含むVHドメイン、並びに、(e)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、(g)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び(h)(i)アミノ酸残基A1、I2を含むFR1、及び(ii)アミノ酸残基H68、及びE69を含むFR3を有するヒト軽鎖フレームワークを含むVLドメイン
    を含み、前記VHドメイン及び前記VLドメインがKabatナンバリングシステムに従う、抗体。
  4. ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、一組のVLドメイン及びVHドメイン内に、
    - (i)アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、S56、T57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメイン;又は
    - アミノ酸残基D1、L2、D25、G26、W27、W28、Y31、T35b、Y52a、G55、H56、K57、Y58、T61、K62、F63、I64、G65、R66、D73、D74、T75、N76、R94、D96、Y98、D101、及びT102を含むVHドメイン、並びに(ii)アミノ酸残基A1、I2、S26、Y27、W27a、L27b、S27c、E55、H56、H68、E69、R92、Y93、H94、P95及びY96を含むVLドメイン
    を含み、前記VHドメイン及び前記VLドメインのナンバリングがKabatナンバリングシステムに従う、抗体。
  5. - (a)配列番号11のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号21のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
    - (a)配列番号11のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
    - (a)配列番号28のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号25のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
    - (a)配列番号28のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号31のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン
    を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
  6. 配列番号22;配列番号26;又は配列番号32のアミノ酸配列を含むL-FR-1を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
  7. - 配列番号11のVH配列及び配列番号21のVL配列;
    - 配列番号11のVH配列及び配列番号25のVL配列;
    - 配列番号28のVH配列及び配列番号25のVL配列;又は
    - 配列番号28のVH配列及び配列番号31のVL配列
    を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体。
  8. ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに特異的に結合する抗体であって、
    - 配列番号11のVH配列及び配列番号21のVL配列;
    - 配列番号11のVH配列及び配列番号25のVL配列;
    - 配列番号28のVH配列及び配列番号25のVL配列;又は
    - 配列番号28のVH配列及び配列番号31のVL配列
    を含む、抗体。
  9. 前記抗体の抗体Fabフラグメントが、(i)表面プラズモン共鳴によって測定して50pM未満のKでヒトVEGF121に結合し、(ii)表面プラズモン共鳴によって測定して10nM未満のKでヒトPDGF-Bに結合する、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体。
  10. 前記抗体の抗体Fabフラグメントが68℃以上の凝集開始温度を示す、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体。
  11. 前記抗体がFabフラグメントである、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の抗体をコードする、単離された核酸。
  13. 請求項12に記載の核酸を含む、宿主細胞。
  14. 請求項13に記載の核酸を含む、発現ベクター。
  15. ヒトVEGF及びヒトPDGF-Bに結合する抗体を産生する方法であって、前記抗体が産生されるように請求項13に記載の宿主細胞を培養することを含み、前記宿主細胞から前記抗体を回収することをさらに含む、方法。
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