JP2023515010A - 免疫原性細胞死を促進するためのmiRNA-193a - Google Patents

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Abstract

本発明は遺伝子発現を調節するためのmiRNA-193aの使用に関し、特にそれはCRTの細胞表面発現を促進するCRTアゴニストとしてのmiRNA-193aの使用に関する。これは、CRTの低い表面発現の有る無しでがんの有利な処置を可能にする。本発明は、そのような処置において使用するためのmiRNAを含む組成物にさらに関する。【選択図】 なし

Description

[発明の分野]
本発明は遺伝子発現を調節するためのmiRNA-193aの使用に関し、特にそれはがん細胞で免疫原性細胞死を達成する手段としてのmiRNA-193aの使用に関する。これは、様々ながん型、特にカルレティキュリンの発現が低いがんの有利な処置を可能にする。本発明は、そのような状態を処置することにおいて使用するためのmiRNAを含む組成物にさらに関する。
[背景技術]
マイクロRNA(miRNA)は、標的mRNAにおける相補的配列に結合し、それによって、翻訳を阻害するか又はmRNA分解を誘導することによって遺伝子発現を制御する、天然に存在する、一本鎖の低分子非コードRNAである。miRNAは、近年、発生中の遺伝子発現の重要な調節因子として出現し、ヒトの疾患状態、例えばがんにおいて誤って発現される頻度が高い。実際に、miRNAは、特定のがん遺伝子をサイレンシングさせるために使用することができる。いくつかのmiRNAは、がんの有効なモジュレーターであると報告されている。例えば、miRNA-193aは黒色腫の処置で有効であると記載されている(WO2012005572)。
免疫原性細胞死(ICD)は、死細胞関連の抗原に対して適応性免疫系を活性化する、調節された細胞死の特異なクラスである。したがって、ICDは抗原特異的免疫応答を導き出すことが可能である(Galluzzi、Lorenzo及びIlio Vitale。2018年。「Molecular Mechanisms of Cell Death:Recommendations of the Nomenclature Committee on Cell Death 2018年」、486~541頁;及びKroemer、Guido、Lorenzo Galluzzi、Oliver Kepp及びLaurence Zitvogel。2013年。「Immunogenic Cell Death in Cancer Therapy」を参照する。)瀕死の細胞に対して適応性免疫応答を促すことにおけるICDの可能性を考慮すると、腫瘍細胞でのICDの誘導は強化された抗腫瘍免疫細胞媒介細胞傷害性に、及びより重要なことに腫瘍抗原に対する免疫学的記憶の形成に最終的に達する。したがって、腫瘍細胞におけるICD誘導は、抗腫瘍免疫を活性化する強力な免疫療法アプローチと考えられている(Obeid、Michel、Antoine Tesniereら。2007年。「Calreticulin Exposure Dictates the Immunogenicity of Cancer Cell Death」13(1):54~61頁;及びPalucka、Karolina及びJacques Banchereau。2012年。「NIH Public Access。」Nature Reviews Cancer 12(4):265~77頁を参照)。
ICDは傷害関連の分子パターン(DAMP)として知られる一連の免疫原性分子パターンと関連している。DAMPは、生前の小胞体ストレス及び自己貪食の結果として分泌、放出又は表面曝露される分子である。これらの分子は、免疫系を活性化するアジュバント又は危険性シグナルとして次に機能することができる。DAMPには、熱ショックタンパク質(HSP)(HSP70及びHSP90を含む)及びシャペロンカルレティキュリン(CRT)の原形質膜の外部表面への転位、並びに高移動性群ボックス1タンパク質(HMGB1)及びアデノシン三リン酸(ATP)を含む可溶性媒介物の放出が含まれる(Krysko、Dmitri V、Abhishek D Gargら、2012年。Nature Reviews Cancer 12(12):860~75頁;Casares、Noelia、Marie O Pequignotら、2005年。「Caspase-Dependent Immunogenicity of Doxorubicin-Induced Tumor Cell Death」202(12)を参照)。CRT、ATP及びHMGB1は樹状細胞(DC)受容体CD91、P2RX7及びTLR4にそれぞれ結合する。これらの結合は、DCの成熟、腫瘍微小環境への成熟DCの動員(ATPによって刺激される)、DCによる腫瘍抗原の貪食(CRTによって刺激される)、及びT細胞の増殖及び活性化につながるT細胞への腫瘍細胞関連抗原の最適な抗原提示(HMGB1によって刺激される)を促進する。全体として、これらのプロセスは細胞傷害性T細胞を含む強力な抗腫瘍免疫応答をもたらす(上で引用したKroemerら、を参照する)。
DNAアルキル化剤シクロホスファミド、アントラサイクリンドキソルビシン及びミトキサントロン、並びにプラチナ誘導体オキサリプラチンを限定されずに含む選択された承認済み化学療法剤は、ICDを誘発する、したがって抗がん免疫応答を活性化する能力を有する。これらの薬物は、***及び卵巣、結腸直腸及び前立腺がん並びに骨髄性及びリンパ性白血病を含む異なる種類の血液学的及び固形悪性腫瘍を処置するために使用される(Vacchelli、Erika、Laura Senovillaら、2013年。「Trial Watch Chemotherapy with Immunogenic Cell Death Inducers Trial Watch。」;及びGarg、Abhishek D、Sanket Moreら、「Trial Watch:Immunogenic Cell Death Induction by Anticancer Chemotherapeutics」6(12):1~18頁を参照。)さらに、免疫原性を導き出すことにおける従来の化学療法の適応外の可能性を調査するいくつかの継続中の臨床試験がある(Showalter、Anne、Arati Limayeら、Cytokine 97(5月):123~32頁を参照。)しかし、限られた数の細胞死インデューサーだけが本物のICDを導き出すことができ、この能力は構造的又は機能的類似性に基づいて予測することができない(上で引用したGargら、を参照する)。
ICDを引き起こす特異的刺激の能力を評価するアプローチは、ワクチン接種実験に依存する。この設定では、免疫適格マウスは死同系腫瘍細胞でワクチン接種され、選択の細胞傷害剤によってin vitroで殺される。後に、ワクチン接種をされたマウスは同じ種類の生きている腫瘍細胞で抗原投与される。腫瘍を生じないマウスの割合は、評価する細胞傷害剤によって誘導される細胞死の免疫原性の程度を反映する。それらはICDの検出のための一般的アプローチを構成するが、免疫適格マウス及び同系がん細胞に依存するワクチン接種アッセイは大きなスクリーニングと本質的に相容れない。この問題を回避し、ICD誘導のための異なる細胞傷害剤の速い能力評価を可能にするために、1つ又は複数のICD発現の検出を可能にする様々なin vitro技術が開発されている。それらには、細胞表面CRT曝露、ATP分泌及びHMGB1放出を含む代わりのICDバイオマーカーを検出する方法が含まれる(Kepp、Oliver、Laura Senovilla、Ilio Vitaleら、2014年。「Consensus Guidelines for the Detection of Immunogenic Cell Death。」を参照)
カルレティキュリン(CRT)は、通常小胞体の内腔に存在するが、がん細胞の表面に曝露されることがあるタンパク質である(Zitvogelら、Clin.Cancer Res.、2010年、DOI:10.1158/1078-0432.CCR-09-2891)。それは汎用性バイオマーカーでなく、全てのがんがそれらの表面でカルレティキュリンを発現するとは限らない。例えば、Haradaら(Oncol.Lett.2017年、doi:10.3892/ol.2017年。6062)は、免疫組織化学によって決定したとき、111人の口扁平上皮癌(OSCC)患者からとられた組織試料で、CRTの高発現が44人の患者(39.6%)で観察されたが、低発現が67人の患者(60.4%)で観察されたことを見出した。CRTが低いがんは、全体的生存確率の増加と関連することが報告された(Harada、上記参照)。
CRT発現の低いがんは、既存の抗がん療法の免疫介在性成分に難治性である。アントラサイクリンなどの化学療法薬によって導き出されるとき、CRTの曝露経路は、アポトーシス前小胞体(ER)ストレス及び真核生物翻訳開始因子eIF2αのキナーゼPERKによるリン酸化によって、続いてER固着性タンパク質BAP31のカスパーゼ8媒介タンパク質分解、アポトーシス促進タンパク質Bax及びBakの活性化、ERからゴルジ装置へのCRTの前方輸送、並びにCRT含有小胞のエキソサイトーシスによって活性化され、最後に原形質膜表面へのCRT転位をもたらす。この複雑な経路の中断はCRT曝露を撤廃し、それはアポトーシスの免疫原性を消滅させる。
ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)は47kDaタンパク質であり、1997年に、広範囲の腫瘍型で損失を示すことが知られている染色体10q23の領域からのそのポジショナルクローニングの後にがん抑制遺伝子候補として最初に特定された。それ以来、PTENの変異が、***、甲状腺、神経膠芽腫、子宮内膜及び前立腺がん及び黒色腫を含む様々なヒトがんで検出されている。この遺伝子では継承した変異は、キャリアーがカウデン病、遺伝性のがんリスク症候群及びいくつかの関連した状態を起こす素因にもなる。PTENは、様々ながんでその活性が欠失、変異によって、又は後成変化を通して失われるので、がん抑制因子と分類される。PTENの分子機構の研究は、腫瘍抑制におけるその関与の根拠への洞察を提供した。PTENタンパク質は、タンパク質ホスファターゼ及び脂質ホスファターゼ活性の両方を有する。PTENの腫瘍抑制機能はその脂質ホスファターゼ活性に主に帰されているが、細胞周期調節及びin vitroでの細胞侵入の阻害におけるPTENタンパク質ホスファターゼ活性の役割も示唆されている。PTEN機能の損失は、PTEN欠損黒色腫の表現型形質の多くの原因であるようであり、したがって、PTENは薬物開発の潜在的標的の役割をすることができる。PTENの変異が最小限の作用を及ぼすときでも、それは他の遺伝子変化との関連で腫瘍形成にしばしば寄与する(Aguissa-Toureら、Cellular and Molecular Life Sciences 69:1475~1491頁(2012年))。
PTENアゴニストは当技術分野で公知であり、がんの処置におけるそれらの使用が記載されている(WO2009126842)。それらの活性は、mTORの阻害から生じることができる。既知のPTENアゴニストには、ラパマイシン(シロリムス)及びその化学的類似体、例えばCCI-779(テムシロリムス)及びRAD-001(エベロリムス)が含まれる。多くのPTENアゴニストは小分子である(すなわち、比較的低い分子量、多くの場合500又は600kDa未満、又はラパマイシンなどのマクロライドの場合約1000kDa未満を有する化合物)。他のアゴニストには、PTENに結合してその転写を活性化するように工学操作された、モノクローナル抗体、及びジンクフィンガータンパク質又はそれをコードする核酸が含まれる(国際公開第00/00388号を参照する)。他のPTENアゴニストは、米国特許出願公開第20070280918号に記載される。ヒトPTEN及びmTOR(FRAPl)の例示的な配列は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号P60484及びP42345が割り当てられる。
PTENアゴニストの欠点は、それらがいくつかの有害作用と関連していることである。例えば、PTENアゴニストシロリムスは、末梢水腫、高コレステロール血症、腹痛、頭痛、吐き気、下痢、疼痛、便秘、高トリグリセリド血症、高血圧、クレアチニン上昇、発熱、***症、貧血、関節痛及び血小板減少に加えて糖尿病様症状、及びUV照射曝露から皮膚がんになるリスクの増加でさえと同じくらい多様な作用と一般的に(30%を超える発生率)関連する(「Rapamune Prescribing Information」、United States Food and Drug Administration、Wyeth Pharmaceuticals社、2015年5月、を参照する)。PTENアゴニストテムシロリムスは、疲労、皮膚発疹、粘膜炎、ヘモグロビン減少及びリンパ球減少と関連している(Bellmuntら、Annals of Oncology、2008年DOI:10.1093/annonc/mdn066)。
したがって、がん細胞の細胞表面でCRTの発現又は提示を増加させるための代替の及び向上したCRTアゴニスト又は方法への継続した必要性がある。代替の及び向上したPTENアゴニストへの継続した必要性がある。腫瘍に対するマイクロRNA療法を改善するための継続的な必要性、及び処置に関する新たな戦略を切り開くことができる、腫瘍のマイクロRNA処置へのより深い推定機構のための継続的な必要性が存在する。障害のある免疫原性細胞死経路を回復するための、及びがん細胞の免疫原性細胞死を促進するための手段への継続した必要性がある。
[発明の概要]
本発明は、カルレティキュリン(CRT)の低発現と関連する状態を処置することにおける使用のための、miRNA-193a又はそのソースを提供する。好ましくは、miRNA-193aはCRTアゴニストである。好ましくは、miRNA-193aはmiRNA-193a分子、isomiR又はその模倣体であり、ここで、それは好ましくは配列番号22で表されるシード配列の7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含むシード配列を有するオリゴヌクレオチドである。好ましくは、miRNAのソースが、miRNAの前駆体であり、少なくとも50ヌクレオチド長の核酸である。好ましくは、前記miRNAは配列番号56、121又は122のいずれか1つと少なくとも70%の配列同一性を共有し、及び/又は前記miRNAが、15~30ヌクレオチド長であり、及び/又はmiRNAの前記ソースは前記miRNAの前駆体であり、配列番号5又は13のいずれか1つと少なくとも70%の配列同一性を共有する。好ましくは、低いCRT発現と関連する状態は、低CRTがんである。好ましくは、低CRTがんは、低CRT肉腫、脳がん、頭頸部がん、乳がん、肺がん、腎臓がん、肝がん、結腸がん、卵巣がん、黒色腫、膵がん、甲状腺がん、過誤腫、造血器腫及びリンパ系腫瘍の腫瘍又は前立腺がんである。好ましくは、miRNA-193aは、CRT、HMGB1、RPS6KB2、KRAS、PDGFRB、SOS2、TGFBR3、CASP9、INPPL1、PIK3R1、PTK2、CBL、PDPK1、CCND1、BCAR1、MAGI3、MDM2、YWHAZ及びMCL1からなる群から、好ましくは、RPS6KB2、KRAS、PDGFRB、CASP9、INPPL1、PIK3R1、PTK2、CBL、PDPK1、CCND1、BCAR1、MAGI3、MDM2、YWHAZ、MCL1からなる群から選択される、より好ましくはPDPK1又はINPPL1から選択される遺伝子の発現をモジュレートする。
本発明は、上で定義された使用のための、上で定義されたmiRNA-193a又はそのソースを含む組成物をさらに提供する。好ましくは、組成物は、さらなるmiRNA又はその前駆体をさらに含み、ここで、さらなるmiRNAは、miRNA-323、miRNA-342、miRNA-520f、miRNA-520f-i3、miRNA-3157及びmiRNA-7又はそのisomiR、又はその模倣体からなる群から選択される。それは好ましくは、PP2Aメチル化剤、肝細胞増殖因子(HGF)の阻害剤、抗体、PI3K阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、OX40の結合剤などのT細胞副刺激分子の結合剤、及び化学療法剤からなる群から好ましくは選択される、追加の薬学的に活性な化合物をさらに含む。
本発明は、上で定義された使用のためのナノ粒子組成物をさらに提供し、ナノ粒子は、ジアミノ脂質及び上で定義されたmiRNA-193a又はそのソースを含み、ジアミノ脂質は一般式(I)
Figure 2023515010000001

(式中、
nは、0、1又は2であり、
、T及びTは、それぞれ独立して、任意選択で不飽和であり、0、1、2、3又は4つの置換基を有するC10~C18鎖であり、置換基は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される)のものである。
好ましくは、ナノ粒子は、20~60モル%のジアミノ脂質、及び0~40モル%のリン脂質、及び30~70モル%のステロール、及び0~10モル%の水溶性ポリマー及び親油性アンカーのコンジュゲートを含む。
本発明は、CRTをアゴナイズするためのin vivo、in vitro又はex vivoの方法も提供し、本方法は、細胞を上で定義されたmiRNA、又は上で定義された組成物と接触させるステップを含む。
本発明は、低CRTがんを処置するための方法も提供し、本方法は、対象に上で定義されたmiRNA-193a又は上で定義された組成物を投与するステップを含む。
[発明の概要]
[課題を解決するための手段]
驚くべきことに、本発明者らはmiRNA-193aをCRTアゴニストとして特定し、低いCRT発現と関連した疾患又は状態、特に低CRT腫瘍を処置するためのmiRNA-193aの使用を可能にした。したがって、本発明は、低いCRT発現と関連した状態を処置することにおける使用のための、miRNA-193a又はそのソースを提供する。そのようなmiRNA-193a又はそのソースは、以降で、本発明による使用のためのmiRNA又は本発明による使用のためのmiRNA-193aと呼ばれる。好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、CRTアゴニストである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、カルレティキュリン曝露経路を増加させるか、活性化するか、誘導するか、促進するためのものである。
本発明による使用のためのmiRNAは、PBMCに、好ましくはT細胞に腫瘍細胞を感作させることにおいて使用するためのものであってもよく、それは好ましくは、PBMC又はT細胞の細胞毒性に腫瘍細胞を感作させることを含む。本発明による使用のためのmiRNAは、PBMCへの、好ましくはT細胞への腫瘍細胞の脆弱さを増加させることにおいて使用するためのものであってもよく、それは好ましくは、PBMC又はT細胞の細胞毒性への腫瘍細胞の脆弱さを増加させることを含む。好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、トランスフェクトされた腫瘍細胞からのシグナルの放出を刺激するためのものであり、これらのシグナルは、PBMCを、好ましくはT細胞を活性化することができる。シグナルの放出は、好ましくはHGMB1の放出、ATPの放出、及び/又はカルレティキュリン(CRT)の表面発現、より好ましくはATPの放出及びCRTの表面発現、最も好ましくはCRTの表面発現を含む。
本明細書で使用されるように、「CRTのアゴニスト」又は「CRTアゴニスト」は、細胞内でのCRT mRNAの生成を刺激する薬剤、又は細胞表面でCRTの所望の発現を刺激する薬剤、又はCRTの表面提示のための欠陥のある経路を修復する薬剤、又は細胞内でのCRTタンパク質の発現を刺激するか若しくはCRTタンパク質の活性を刺激する薬剤、又は、例えば細胞表面でのCRTの発現を調節することにおけるCRTの機能の1つ又は複数を提供することができる薬剤を指す。好ましくは、CRTアゴニストは細胞でCRTの表面提示若しくは表面発現を増加させるか、又はCRT表面発現経路を回復する。
本明細書で使用されるように、低CRTは、CRT表面発現のレベルが低いがんを指す。例えば小胞体におけるCRTレベルは正常であっても、又は低くても、又は高くてもよい。CRT表面発現は、好ましくはKuramitsuら(Anticancer Res.2010年;30:2093~2099頁)によって記載される方法によって決定される。簡潔には、がん性組織からのがん細胞におけるCRT染色の強度は、正常組織のそれと比較される。陽性細胞のパーセンテージは、0、0%免疫陽性細胞;1、<50%陽性細胞;2、≧50%陽性細胞、にグレード分けされる。染色強度は、0、陰性;1、弱い;2、中等度;3、強い、にグレード分けされる。陽性細胞のパーセンテージ及び染色強度の割り当てられた値の合計は、免疫反応スコアとみなされる。0~2の間のスコアは低CRTとみなされ、3~5の間のスコアは高CRTとみなされる。CRT発現の免疫反応性は、好ましくは複数の異なる顕微鏡専門家によって、又は自動画像認識ツールによって評価される。
miRNA、isomiR、模倣体又はそのソース
マイクロRNA(miRNA)は、17~25ヌクレオチドの小さなRNAであり、真核生物における遺伝子発現のレギュレーターとして機能する。miRNAは、一次miRNA(プリ-miRNA)と呼ばれる長い一次転写産物の一部として、核内で最初に発現される。核の内部では、プリ-miRNAが、酵素Droshaによって部分的に消化され、活性分子であるより短い成熟miRNAへと、Dicerによってさらに処理するために細胞質へと輸送される、65~120ヌクレオチド長のヘアピン前駆体miRNA(プリ-miRNA)を形成する。動物では、これらの短いRNAは、5’の近位「シード」領域(一般的には、ヌクレオチド2~8)を含み、これは、miRNAの、標的mRNAの3’非翻訳領域(3’-UTR)への対合特異性の主要な決定因子であると考えられる。
miRNA分子、miRNA模倣体又はmiRNA isomiR又はそれらのいずれかのソースに関する以下に与えられる定義のそれぞれを、この出願において述べられている、特定されたmiRNA、分子若しくは模倣体若しくはisomiR又はそのソース:miRNA-193a、miRNA-323、miRNA-342、miRNA-520f、miRNA-520f-i3、miRNA-3157、及びmiRNA-7、若しくはisomiR若しくは模倣体又はそのソースのそれぞれに対して使用するべきである。好ましい成熟配列(配列番号51~57)、シード配列(配列番号17~50、ここで、配列番号17~23は、カノニカルなmiRNAのシード配列であり、配列番号24~50は、isomiRに関するシード配列である)、isomiR配列(配列番号58~125)、又は前記miRNA分子又はその模倣体若しくはisomiRのソースの配列(配列番号1~8のようなRNA前駆体、又は配列番号9~16のようなRNA前駆体をコードするDNA))は、それぞれ、配列表において特定される。
この本発明との関連で、miRNA-193aはmiRNA-193a分子(すなわちカノニカルなオリゴヌクレオチド)、又はそのisomiR、又はその模倣体を指す。好ましくは、miRNA-193aはmiRNA-193a-3p、より好ましくはmiRNA-193a-3p分子、isomiR又はその模倣体であり、配列番号22のシード配列に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、及びより好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド、又はそれ以上の長さを有する。miRNA-193a分子では(すなわちカノニカルなmiRNAでは)、好ましいシード配列は配列番号22である。miRNA-193aのisomiRでは、好ましいシード配列は配列番号22である。
miRNA-193aの好ましい模倣体はセンス鎖及びアンチセンス鎖を有し、アンチセンス鎖は配列番号22のシード配列に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、アンチセンス鎖は、好ましくは少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド、又はそれ以上の長さを有し、アンチセンス鎖は、好ましくは配列番号56、121、122又は219、好ましくは56又は219、より好ましくは219にわたって、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは配列番号131、196、197、206又は218、より好ましくは218にわたって、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド、又はそれ以上の長さを有する。
模倣体は、miRNA分子と類似するか又は同一の活性を有する分子である。この文脈では、類似する活性は、活性の許容されるレベルと同じ意味を与えられる。模倣体は、機能的決定において、antagomirに対抗する。好ましい模倣体は、好ましくは、ロックド核酸モノマーなどの1つ若しくは複数のヌクレオチド類似体を含む合成オリゴヌクレオチド、並びに/又は足場修飾を含むヌクレオチド及び/若しくは塩基修飾を含むヌクレオチドである。模倣体は、miRNAに関するか又はisomiRに関する模倣体であってもよい。好ましい模倣体は、miRNA又はisomiRの模倣体である。好ましい模倣体は、二本鎖模倣体である。
好ましい模倣体は、センス鎖(パッセンジャー鎖とも呼ばれる)及びアンチセンス鎖(ガイド鎖とも呼ばれる)を含む二重鎖オリゴヌクレオチドである。天然に存在するようなカノニカルなmiRNAは、天然に存在する標的のセンス配列に対して相補的であるため、アンチセンス配列を有するものとして、本明細書において定義される。本発明による使用に対して好ましい模倣体である二重鎖模倣体において、一方がセンス鎖として設計され、もう一方がアンチセンス鎖として設計されている二本鎖が存在することになる。アンチセンス鎖は、miRNAと、若しくはmiRNAの前駆体と、若しくはisomiRと同じ配列を有してもよく、又はその断片と同じ配列を有するか、若しくは同じ配列を含むか、若しくはその断片と同じ配列を含んでもよい。センス鎖は、アンチセンス鎖に対して少なくとも部分的に逆相補的であり、二重鎖模倣体の形成を可能にする。センス鎖はそれ自体必ずしも生物学的に活性であるとは限らず、その重要な機能の1つはアンチセンス鎖を安定させること、又はその分解を阻止すること、又はその送達を促進することである。成熟miRNAのセンス鎖の例は、配列番号131である。isomiRのセンス鎖の例は、配列番号196又は197である。
miRNA-193aの好ましい模倣体はセンス鎖及びアンチセンス鎖を有し、アンチセンス鎖は配列番号22のシード配列に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、アンチセンス鎖は、好ましくは少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド、又はそれ以上の長さを有し、アンチセンス鎖は、好ましくは配列番号56、121、122又は219、好ましくは56、より好ましくは219にわたって、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは配列番号131、196、197、206又は218、より好ましくは218にわたって、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド、又はそれ以上の長さを有する。
好ましい実施形態では、アンチセンス鎖は、好ましくは、架橋核酸ヌクレオチド、例えば、ロックド核酸(LNA)ヌクレオシド、2’-O-アルキルヌクレオシド、例えば、2’-O-メチルヌクレオシド、2’-フルオロヌクレオシド、及び2’-アジドヌクレオシド、好ましくは2’-O-アルキルヌクレオシド、例えば、2’-O-メチルヌクレオシドからなる群から選択される少なくとも1つの修飾ヌクレオシドを含む。このような少なくとも1つの修飾ヌクレオシドによって、1番目若しくは最後のRNAヌクレオシドが置き換えられるか、又は2番目若しくは最後から2番目のRNAヌクレオシドが置き換えられることが好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも2つの修飾ヌクレオシドによって、最初の2つの又は最後の2つのRNAヌクレオシドが置き換えられる。より好ましくは、1番目と最後のRNAヌクレオシドの両方が置き換えられ、さらにより好ましくは、最初の2つと最後の2つの両方が置き換えられる。修飾ヌクレオシドを置き換えることが、置き換えられるヌクレオシドと同じ対合能を有すること、好ましくは、同じ核酸塩基を有することが理解されるべきである。好ましくは、アンチセンス鎖は、最初の2つ又は最後の2つのRNAヌクレオシドを除いて修飾ヌクレオシドを含まない。好ましい実施形態では、アンチセンス鎖の最後の塩基は、DNAヌクレオシドであり;より好ましくは、アンチセンス鎖の最後の2つの塩基は、DNAヌクレオシドである。好ましくは、アンチセンス鎖がセンス鎖と対を形成する場合、アンチセンス鎖の最後の1つ又は2つの残基がオーバーハングを形成し;より好ましくは、アンチセンス鎖の最後の2つの残基が、このようなオーバーハングを形成する。好ましくは、アンチセンス鎖は、最後の2つのヌクレオシドを除いて、又はオーバーハングを除いて、DNAヌクレオシドを含まない。好ましくは、センス鎖は、RNAヌクレオシドのみを含む。
好ましい実施形態では、センス鎖は、好ましくは架橋核酸ヌクレオシド、例えばロックド核酸(LNA)ヌクレオシド、2’-O-アルキルヌクレオシド、例えば2’-O-メチルヌクレオシド、2’-フルオロヌクレオシド、及び2’-アジドヌクレオシドからなる群から選択される少なくとも1つの修飾ヌクレオシド、好ましくは2’-O-アルキルヌクレオシド、例えば2’-O-メチルヌクレオシドを含む。そのような少なくとも1つの修飾ヌクレオシドが最初の若しくは最後のRNAヌクレオシドを置き換えるか、又は第2の若しくは第2から最後のRNAヌクレオシドを置き換えることが好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも2つの修飾ヌクレオシドが最初の2つ又は最後の2つのRNAヌクレオシドを置き換える。より好ましくは、最初の及び最後のRNAヌクレオシドが置き換えられ、さらにより好ましくは最初の2つ及び最後の2つが置き換えられる。置き換える修飾ヌクレオシドは、それが置き換えるヌクレオシドと同じ対合能を有することを理解すべきであり、好ましくは、それは同じ核酸塩基を有する。好ましくは、センス鎖は最初の2つ及び最後の2つのRNAヌクレオシド以外の修飾ヌクレオシドを含まない。好ましい実施形態では、センス鎖の3’プライム末端はDNAヌクレオシドによって伸長し;より好ましくは、センス鎖の最後の2つの塩基はDNAヌクレオシドであり、さらに好ましくは、DNAヌクレオシドはデオキシチミジンである。好ましくは、センス鎖がアンチセンス鎖と対を形成する場合、センス鎖の最後の1、2の残基はオーバーハングを形成し;より好ましくは、センス鎖の最後の2つの残基が、このようなオーバーハングを形成する。好ましくは、センス鎖は最後の2つのヌクレオシドを除いて、又はオーバーハングを除いて、DNAヌクレオシドを含まない。特に好ましい実施形態では、模倣体は、RNAヌクレオシドだけを含むアンチセンス鎖及び上記のような修飾を含むセンス鎖を含む。
好ましくは、センス鎖とアンチセンス鎖は、完全には重複せず、3’末端に1、2、3、又は4つの追加の塩基を有し、好ましくは3’末端に2つの追加の塩基を有し、付着末端を形成する。したがって、対応するアンチセンス鎖では、3’末端の1、2、3、又は4つの塩基は、好ましくは、センス鎖に逆相補的塩基を有さず、付着末端も形成し;より好ましくは、センス鎖の最初の2つの塩基は、付着末端を形成し、アンチセンス鎖に相補的塩基を有さない。センス鎖は、必ずしも生物学的に活性ではなく、アンチセンス鎖の安定性を増加させるために主に作用する。模倣体に関するセンス/アンチセンス対の好ましい配列の例は、センス鎖では配列番号206及び218、より好ましくはセンス鎖では配列番号218並びにアンチセンス鎖では配列番号219である。好ましい対は、配列番号206又は218及び配列番号219、より好ましくは配列番号218及び配列番号219である。
好ましい実施形態では、模倣体は、センス鎖とアンチセンス鎖を含む二重鎖オリゴヌクレオチドであり、両方の鎖は、15~30ヌクレオチド長、好ましくは17~27ヌクレオチド長を有し、アンチセンス鎖は、配列番号56、121又は122のうちのいずれか1つと70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を有し、センス鎖は、配列番号131、196又は197、好ましくは131又は196のうちのいずれか1つと70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を任意選択で有し、センス鎖とアンチセンス鎖は、好ましくはアニーリングして、前記二重鎖オリゴヌクレオチドを形成することができ、任意選択で、オリゴヌクレオチドの一方又は両方の末端は、1、2、3、又は4つの、好ましくは2つのヌクレオチドの重複を有する付着末端であり、センス鎖は、化学修飾されたヌクレオチドを任意選択で含む。好ましくは、二重鎖模倣体の二本鎖は、同じ長さを有するか、又は1、2、3、4、5、若しくは6ヌクレオチド長で異なる。
別段に指定されていなければ、本出願の全文脈内で、miRNAは、miRNA分子、miR、isomiR、若しくは模倣体、又はそのソース若しくは前駆体と称される場合もある。本明細書で特定される各配列は、本出願の本文で使用される配列番号として、又は配列表における対応する配列番号として特定することができる。この出願において定義される配列番号は、前記miRNA、isomiR、模倣体、又は前駆体などのそのソースの塩基配列を指し得る。全ての配列番号について、一部の塩基が交換可能であることを当業者は認識している。例えば、各例のTは、Uで個々に置換可能であり、その逆も同様である。成熟miRNAに与えられるRNA配列は、例えば、RNAヌクレオチドの代わりにDNAヌクレオチドを使用して、DNAオリゴヌクレオチドとして合成され得る。このような場合には、ウラシル塩基の代わりにチミン塩基が使用され得る。或いは、デオキシリボース足場のチミン塩基が使用され得る。当業者は、塩基対合挙動が正確な配列よりも重要であり、T及びUがこのような目的で一般的に交換可能であることを理解する。したがって、模倣体は、DNA又はRNA分子のいずれかであってもよく、又は本明細書で後に定義されているように、さらに修飾されたオリゴヌクレオチドであってもよい。
本発明の文脈では、miRNA分子又は模倣体又はisomiRは、一般的定義に掲げられた部分においてさらに定義されているように、合成であるか又は天然であるか又は組換えであるか又は成熟しているか又は成熟miRNA若しくはヒトmiRNAの一部であってもよく、又はヒトmiRNAから導出されてもよい。ヒトmiRNA分子は、ヒトの細胞、組織、器官又は体液中に見られるmiRNA分子である(すなわち、内因性ヒトmiRNA分子)。ヒトmiRNA分子は、ヌクレオチドの置換、欠失及び/又は付加によって内因性ヒトmiRNA分子から導出されるヒトmiRNA分子でもあり得る。miRNA分子又は模倣体又はisomiRは、一本鎖又は二本鎖RNA分子であり得る。
好ましくは、miRNA分子又はその模倣体若しくはisomiRは、6~30ヌクレオチド長、好ましくは12~30ヌクレオチド長、好ましくは15~28ヌクレオチド長であり、より好ましくは、前記分子は、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
好ましい実施形態では、miRNA分子又は模倣体又はisomiRは、前記miRNA分子又はその模倣体若しくはisomiR(配列番号17~50)のシード配列に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含む。好ましくは、この実施形態では、miRNA分子又は模倣体又はisomiRは、6~30ヌクレオチド長であり、より好ましくは、前記miRNA分子又は模倣体又はisomiRのシード配列に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含む。さらにより好ましくは、miRNA分子又は模倣体又はisomiRは、15~28ヌクレオチド長であり、より好ましくは、シード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、さらにより好ましくは、miRNA分子は、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
この文脈では、シード配列に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含むことは、最大1つの位置でシード配列と異なる7ヌクレオチドの連続ストレッチを指すことを意図する。或いは、これは、単一ヌクレオチドの脱落によってのみシード配列と異なる6ヌクレオチドの連続ストレッチを指し得る。本出願全体を通して、より好ましいmiRNA分子、isomiR、模倣体、若しくはその前駆体は、示されたシード配列に存在する7ヌクレオチドのうちの7つ全てを含むか、又は、言い換えれば、前記シード配列と100%の配列同一性を有する。好ましくは、miRNA、isomiR、又は模倣体中に含まれる場合、シード配列は、ヌクレオチド番号1、2、又は3で始まり、ヌクレオチド番号7、8、9、10、又は11で終わり;最も好ましくは、このようなシード配列は、ヌクレオチド番号2で始まり、ヌクレオチド番号8で終わる。
本発明による使用のためのmiRNA-193aは、miRNA-323、miRNA-342、miRNA-520f、miRNA-520f-i3、miRNA-3157及びmiRNA-7又はそのisomiR、又はその模倣体からなる群から選択されるさらなるmiRNAと組み合わせることができる。
好ましいmiRNA-323は、miRNA-323-5p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号17又は24~28のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、より好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
miRNA-323の好ましい模倣体は、センス鎖及びアンチセンス鎖を有し、アンチセンス鎖は、配列番号17又は24~28のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、アンチセンス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し、アンチセンス鎖は、好ましくは、配列番号51、58~68、又は209に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、配列番号126、133~143、201、又は208に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
好ましいmiRNA-342は、miRNA-342-5p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号18又は29~42のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つ含み、より好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
miRNA-342の好ましい模倣体は、センス鎖及びアンチセンス鎖を有し、アンチセンス鎖は、配列番号18又は29~42のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、アンチセンス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し、アンチセンス鎖は、好ましくは、配列番号52、69~113、又は211に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、配列番号127、144~188、202、又は210に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
好ましいmiRNA-520fは、miRNA-520f-3p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号19又は43~44のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、より好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
miRNA-520fの好ましい模倣体は、センス鎖及びアンチセンス鎖を有し、アンチセンス鎖は、配列番号19又は43~44のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、アンチセンス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し、アンチセンス鎖は、好ましくは、配列番号53、114、115、又は213に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、配列番号128、189、190、203、又は212に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
さらに好ましいmiRNA-520fは、miRNA-520f-3p-i3分子又はその模倣体であり、配列番号20のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、より好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
miRNA-520f-3p-i3の好ましい模倣体は、センス鎖及びアンチセンス鎖を有し、アンチセンス鎖は、配列番号20のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、アンチセンス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し、アンチセンス鎖は、好ましくは、配列番号54又は215に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、配列番号129、204、又は214に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
好ましいmiRNA-3157は、miRNA-3157-5p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号21又は45~48のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、より好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
miRNA-3157の好ましい模倣体は、センス鎖及びアンチセンス鎖を有し、アンチセンス鎖は、配列番号21又は45~48のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、アンチセンス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し、アンチセンス鎖は、好ましくは、配列番号55、116~120、又は217に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、配列番号130、191~195、205、又は216に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
好ましいmiRNA-7は、miRNA-7-5p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号23又は50のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、より好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
miRNA-7の好ましい模倣体は、センス鎖及びアンチセンス鎖を有し、アンチセンス鎖は、配列番号23又は50のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、アンチセンス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し、アンチセンス鎖は、好ましくは、配列番号57、123~125、又は221に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、配列番号132、198~200、207、又は220に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、センス鎖は、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
好ましくは、miRNA分子、isomiR、又はその模倣体は、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し、配列番号17~50のうちのいずれか1つの所与のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、配列番号51~125のうちのいずれか1つの成熟配列全体に対して少なくとも70%の同一性を有する。好ましくは、同一性は、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%である。
或いは、好ましくは、miRNA分子、isomiR、又はその模倣体は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40ヌクレオチド以下の長さを有し、配列番号17~50のうちのいずれか1つの所与のシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含み、配列番号51~125のうちのいずれか1つの成熟配列全体に対して少なくとも70%の同一性を有する。好ましくは、同一性は、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%である。
別の好ましい実施形態では、miRNA分子のisomiRは、配列番号58~125のうちのいずれか1つのisomiR配列全体に対して少なくとも70%の同一性を有する。好ましくは、同一性は、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%又はそれを超える。好ましくは、この実施形態では、miRNA分子のisomiR又はその模倣体は、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有する。
したがって、好ましいmiRNA-323分子、isomiR、又はその模倣体は、miRNA-323-5p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号17、24~28として特定されるシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含む及び/又は配列番号51、58~68に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有する及び/又は少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40ヌクレオチド長若しくはそれより長いヌクレオチド長を有する。
したがって、好ましいmiRNA-323分子、isomiR、又はその模倣体は、miRNA-323-5p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号17、24~28として特定されるシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含む及び/又は配列番号51、58~68に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有する及び/又は少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40ヌクレオチド長若しくはそれより長いヌクレオチド長を有する。
したがって、好ましいmiRNA-342分子、isomiR、又はその模倣体は、miRNA-342-5p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号18、29~42として特定されるシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含む及び/又は配列番号52、69~113に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有する及び/又は少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40ヌクレオチド長若しくはそれより長いヌクレオチド長を有する。
したがって、好ましいmiRNA-520f分子、isomiR、又はその模倣体は、miRNA-520f-3p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号19、43~44として特定されるシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含む及び/又は配列番号53、114~115に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有する及び/又は少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40ヌクレオチド長若しくはそれより長いヌクレオチド長を有する。さらに好ましいmiRNA 520f分子、isomiR、又はその模倣体は、miRNA-520f-3p-i3分子又はその模倣体であり、配列番号20として特定されるシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含む及び/又は配列番号54に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有する及び/又は少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40ヌクレオチド長若しくはそれより長いヌクレオチド長を有する。
したがって、好ましいmiRNAー3157分子、isomiR、又はその模倣体は、miRNA-3157-5p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号21、45~48として特定されるシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含む及び/又は配列番号55、116~120に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有する及び/又は少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40ヌクレオチド長若しくはそれより長いヌクレオチド長を有する。
したがって、好ましいmiRNA-193a分子、isomiR、又はその模倣体は、miRNA-193a-3p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号22として特定されるシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含む及び/又は配列番号56、121~122に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有する及び/又は少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40ヌクレオチド長若しくはそれより長いヌクレオチド長を有する。
したがって、好ましいmiRNA-7分子、isomiR、又はその模倣体は、miRNA-7-5p分子、isomiR、又はその模倣体であり、配列番号23又は50として特定されるシード配列中に存在する7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含む及び/又は配列番号57、123~125に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%若しくは100%の同一性を有する及び/又は少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40ヌクレオチド長若しくはそれより長いヌクレオチド長を有する。
別の好ましいmiRNA分子、isomiR、又はその模倣体は、配列番号17~50のうちのいずれか1つのシード配列と、又は配列番号51~57のいずれか1つの成熟配列と、又は配列番号1~16のいずれか1つ、好ましくは配列番号1~8のいずれか1つの前駆体配列と、又は配列番号9~16のいずれか1つのRNA前駆体をコードするDNAと、又は配列番号58~125のいずれか1つのisomiR配列と、少なくとも60%の同一性を有する。同一性は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%であり得る。同一性は、所与の配列番号で特定されるように、配列番号全体に関して評価されるのが好ましい。しかし、同一性はまた、所与の配列番号の一部に関して評価されてもよい。一部とは、その配列番号の長さの少なくとも50%、少なくとも60%、70%、80%、90%又は100%を意味し得る。
前駆体配列は、成熟プロセスに応じて2つ以上のisomiR配列を生じる場合がある-例えば、ある特定の組織において、複数のisomiRが特定されている(配列番号58~68)miRNA-323(成熟配列の配列番号51)を参照されたい。miRNA分子のisomiRは同じ前駆体に由来し、逆に、前駆体は複数のmiRNA分子をもたらす可能性があり、そのうちの1つはカノニカルなmiRNAと称され(例えば、miRNA-323-5p、配列番号51)、その他はisomiRと称される(例えば、配列番号58~68によって表されるオリゴヌクレオチド)。カノニカルなmiRNAとそのisomiRの間の差は、それらの蔓延度においてのみ存在すると考えられるが、一般的には、最も蔓延している分子がカノニカルなmiRNAと呼ばれ、一方、その他はisomiRである。種類、環境、生活環における位置、又は細胞の病理学的状態に応じて、個々のisomiR又はmiRNAは異なるレベルで発現される可能性があり;発現は、人種又は性別間でさらに異なる可能性がある(Loherら、Oncotarget(2014年)DOI:10.18632/oncotarget.2405頁)。
miRNA分子若しくは模倣体又はそのソースの、或いはmiRNAの又はisomiRの模倣体におけるセンス鎖又はアンチセンス鎖のヌクレオチドの化学構造を修飾して、安定性、結合親和性及び/又は特異性を増加させてもよい。前記センス鎖又はアンチセンス鎖は、RNA分子又は好ましくは修飾されたRNA分子を含むか又はそれからなってもよい。好ましい修飾されたRNA分子は、修飾された糖を含んでもよい。このような修飾の1つの例は、ヌクレアーゼ耐性及びRNAに対する結合親和性を改善するための、核酸における2’-O-メチル又は2’-O-メトキシエチル基若しくは2’フルオリド基の導入である。このような修飾の別の例は、立体構造をロックし(ロックド核酸(LNA))、相補的一本鎖RNAへの親和性を改善するための、2’-O原子と核酸の4’-C原子を接続するメチレン架橋の導入である。第3の例は、ヌクレアーゼの攻撃に対する安定性を改善するための、RNA鎖における核酸間のリンカーとしてのホスホロチオエート基の導入である。第4の修飾は、安定性及び細胞内送達を改善するための、コレステロールなどの分子の3’末端における親油性部分のコンジュゲーションである。
好ましい実施形態では、模倣体のセンス鎖の最初の2塩基は、修飾糖、好ましくは2’-O-メチル修飾を有する。好ましい実施形態では、模倣体のセンス鎖の最後の4塩基のうちの最初の2塩基は、修飾糖、好ましくは2’-O-メチル修飾を有する。好ましい実施形態では、模倣体のセンス鎖の最初の2塩基と最後の4塩基のうちの最初の2塩基とは、修飾糖、好ましくは2’-O-メチル修飾を有する。好ましい実施形態では、模倣体のセンス鎖の最後の2塩基は、修飾糖、好ましくは2’-O-メチル修飾を有する。好ましい実施形態では、模倣体のセンス鎖の最初の2塩基と最後の2塩基とは、修飾糖、好ましくは2’-O-メチル修飾を有する。好ましい実施形態では、模倣体のセンス鎖の最後の2塩基は、DNA塩基である。好ましい実施形態では、模倣体のセンス鎖の最初の2塩基と最後の4塩基のうちの最初の2塩基は、修飾糖、好ましくは2’-O-メチル修飾を有し、前記センス鎖の最後の2塩基は、DNA塩基である。好ましい実施形態では、模倣体のセンス鎖の最初の2塩基は、修飾糖、好ましくは2’-O-メチル修飾を有し、前記センス鎖の最後の2塩基は、DNA塩基である。好ましい実施形態では、模倣体のセンス鎖の最後の4塩基のうちの最初の2塩基は、修飾糖、好ましくは2’-O-メチル修飾を有し、前記センス鎖の最後の2塩基は、DNA塩基である。
miRNAのソース又は模倣体若しくはisomiRのソースは、本明細書において特定されるmiRNA分子の又は模倣体若しくはisomiRの産生を誘導することができ、好ましくはヘアピン様構造及び/若しくは二本鎖核酸分子を含む任意の分子であってもよい。ヘアピン様構造の存在は、80、100及び120nt又はそれを超えるスライディングウインドウを使用するRNAshapesプログラム(Steffen Pら 2006年)を使用して評価することができる。ヘアピン様構造は、miRNA分子の天然又は内因性ソースに通常存在するが、二本鎖核酸分子は、miRNA分子の又はisomiR若しくはその模倣体の組換え又は合成ソースに通常存在する。
miRNA分子の又は模倣体若しくはisomiRのソースは、一本鎖、二本鎖RNA又は部分的に二本鎖のRNAであってもよく、又は三本鎖を含んでもよく、その例は、国際公開第2008/10558号に記載されている。本明細書で使用される場合、部分的に二本鎖とは、5’及び/又は3’末端に、一本鎖構造も含む二本鎖構造を指す。miRNA分子の各鎖が同じ長さを有さない場合も生じ得る。一般的に、このような部分的に二本鎖のmiRNA分子は、75%未満の二本鎖構造及び25%を超える一本鎖構造、又は50%未満の二本鎖構造及び50%を超える一本鎖構造、又はより好ましくは、25%、20%若しくは15%未満の二本鎖構造及び75%、80%、85%を超える一本鎖構造を有してもよい。
或いは、miRNA分子の又はその模倣体若しくはisomiRのソースは、miRNA分子又はその模倣体若しくはisomiRの前駆体をコードするDNA分子である。この文脈では、好ましいDNA分子は、配列番号9~16である。本発明による使用のためのmiRNAでは、配列番号13が好ましい。本発明は、前記配列番号13と少なくとも70%の同一性を有するmiRNA分子の前駆体をコードするDNA分子の使用を包含する。好ましくは、同一性は、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%である。好ましくは、この実施形態では、DNA分子は、少なくとも50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、130、150、200、250、300、350、400ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し、配列番号13のDNA配列と少なくとも70%の同一性を有する。
所与のmiRNA分子の又は模倣体若しくはisomiRの産生の誘導は、前記ソースが、以下に定義されているように、1つのアッセイを使用して細胞中に導入される場合に得られることが好ましい。本発明に包含される細胞は、後で定義される。
miRNA分子の又はその模倣体若しくはisomiRの好ましいソースは、その前駆体、より好ましくは前記miRNA分子又はその模倣体若しくはisomiRをコードする核酸である。好ましい前駆体は、天然に存在する前駆体である。前駆体は、合成又は組換え前駆体であってもよい。合成又は組換え前駆体は、天然に存在する前駆体を発現することができるベクターであってもよい。好ましい実施形態では、この態様は、本発明による使用のためのmiRNAを提供し、ここで、miRNAのソースが、miRNAの前駆体であり、少なくとも50ヌクレオチド長の核酸である。好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNA-193a又はそのソースが提供され、前記miRNAは配列番号56、121又は122のいずれか1つと少なくとも70%の配列同一性を共有し、及び/又は前記miRNAが、15~30ヌクレオチド長であり、及び/又はmiRNAの前記ソースは前記miRNAの前駆体であり、配列番号5又は13のいずれか1つと少なくとも70%の配列同一性を共有する。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNA-193aは、配列番号56、121又は122のいずれか1つと少なくとも70%の配列同一性を共有し、15~30ヌクレオチド長である;より好ましくはmiRNA-193aの前記ソースは前記miRNA-193aの前駆体であり、配列番号5又は13のいずれか1つと少なくとも70%の配列同一性を共有する。
所与のmiRNA分子の好ましい前駆体は、配列番号1~16のうちのいずれか1つで表される配列を有する。本発明は、前記配列と少なくとも70%の同一性を有する、miRNA分子の又はそのisomiR若しくは模倣体の前駆体の使用を包含する。好ましくは、同一性は、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%である。好ましくは、この実施形態では、DNA分子は、少なくとも50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、130、150、200、250、300、350、400ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し、配列番号1~16のうちのいずれか1つで表される配列と少なくとも70%の同一性を有する。好ましくは、この実施形態では、前駆体は、配列番号17~50によって表される群から選択されるシード配列と、7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを共有するシード配列を含む。より好ましくは、前駆体は、配列番号17~50によって表される群から選択されるシード配列を含む。所与のmiRNA分子のより好ましい前駆体は、配列番号1~8のうちのいずれか1つで表される配列を有する。本発明は、前記配列と少なくとも70%の同一性を有する、miRNA分子の又はそのisomiR若しくは模倣体の前駆体の使用を包含する。好ましくは、同一性は、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%である。好ましくは、この実施形態では、DNA分子は、少なくとも50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、130、150、200、250、300、350、400ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し、配列番号1~8のうちのいずれか1つで表される配列と少なくとも70%の同一性を有する。好ましくは、この実施形態では、前駆体は、配列番号17~50によって表される群から選択されるシード配列と、7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを共有するシード配列を含む。より好ましくは、前駆体は、配列番号17~50によって表される群から選択されるシード配列を含む。
したがって、miRNA-323分子の好ましいソースは、配列番号1又は9、好ましくは配列番号1と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、少なくとも50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、130、150、200、250、300、350、400ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を任意選択で有し、配列番号17又は24~28のうちのいずれか1つの7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを共有するシード配列を任意選択で含む。このようなソースは、miRNA-323分子の及びmiRNA-323 isomiRの前駆体である。
したがって、miRNA-342分子の好ましいソースは、配列番号2又は10、好ましくは配列番号2と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、少なくとも50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、130、150、200、250、300、350、400ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を任意選択で有し、配列番号18又は29~42のうちのいずれか1つの7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを共有するシード配列を任意選択で含む。このようなソースは、miRNA-342分子の及びmiRNA-342 isomiRの前駆体である。
したがって、miRNA-520f分子の好ましいソースは、配列番号3又は11、好ましくは配列番号3と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、少なくとも50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、130、150、200、250、300、350、400ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を任意選択で有し、配列番号19、20、43、又は44のうちのいずれか1つの7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを共有するシード配列を任意選択で含む。このようなソースは、miRNA-520f分子の及びmiRNA-520f-3p-i3などのmiRNA-520f isomiRの前駆体である。
したがって、miRNA-3157分子の好ましいソースは、配列番号4又は12、好ましくは配列番号4と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、少なくとも50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、130、150、200、250、300、350、400ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を任意選択で有し、配列番号21又は45~48のうちのいずれか1つの7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを共有するシード配列を任意選択で含む。このようなソースは、miRNA-3157分子の及びmiRNA-3157 isomiRの前駆体である。
したがって、miRNA-193a分子の好ましいソースは、配列番号5又は13、好ましくは配列番号5と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、少なくとも50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、130、150、200、250、300、350、400ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を任意選択で有し、配列番号22のうちのいずれか1つの7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを共有するシード配列を任意選択で含む。このようなソースは、miRNA-193a分子の及びmiRNA-193a isomiRの前駆体である。
したがって、miRNA-7分子の好ましいソースは、配列番号6~8又は14~16、好ましくは配列番号6~8と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、少なくとも50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、130、150、200、250、300、350、400ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を任意選択で有し、配列番号23又は50のうちのいずれか1つの7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを共有するシード配列を任意選択で含む。このようなソースは、miRNA-7分子の及びmiRNA-7 isomiRの前駆体である。
この文脈では、所与の成熟miRNA分子のいくつかの前駆体が同一のmiRNA分子をもたらす場合があることが指摘される。例えば、miRNA-7は、前駆体miRNA-7-1、miRNA-7-2又はmiRNA-7-3(好ましくは、それぞれ、配列番号6、7、又は8として特定される)に由来してもよい。また、この文脈では、所与の成熟miRNA分子のいくつかのisomirが同一のシード配列を有するmiRNA分子をもたらす場合があることが指摘される。例えば、成熟miRNA-323-5p(配列番号51)及び配列番号58又は59を少なくとも有するisomirは全て、同じシード配列(好ましくは、配列番号17として特定される)を共有する。
好ましいソース又は前駆体は、本明細書の他の箇所で定義されている。好ましいソースは、前記miRNAの前記前駆体をコードする、核酸、すなわち、DNAを含む発現構築物を含むか(include)又は含み(comprise)、より好ましくは、前記発現構築物は、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス及びレトロウイルスに基づいて、遺伝子療法ベクターから選択されるウイルス性遺伝子療法ベクターである。好ましいウイルス遺伝子療法ベクターは、AAV又はレンチウイルスベクターである。他の好ましいベクターは、腫瘍溶解性ウイルスベクターである。このようなベクターについては、本明細書の以下においてさらに記載される。或いは、ソースは、一般的定義に掲げられた部分でさらに定義されているように、合成miRNA分子又は化学的模倣体であってもよい。
PTEN欠乏症と関連する状態
本発明による使用は、PTEN欠乏症と関連する状態を処置することにおける使用である。そのような状態又は疾患は、PTEN欠乏状態と本明細書で呼ばれる。本発明は、miRNA-193aのこの新規の医学的使用を提供する。この使用は、医薬の製造における組成物又はmiRNAの使用であってもよい。組成物は、後のセクションで定義される。処置は好ましくは状態を防止すること、軽快させること、回復させること、治癒させること及び/又は遅延させることを指す。PTEN欠乏状態がPTEN欠乏腫瘍であるとき、好ましい処置は抗腫瘍効果を得ることであってよい。
本明細書で使用される用語「処置すること」及びその派生語は、治療的療法を意味する。特定の状態に関して、処置することは以下を意味する:(1)状態又は状態の生物学的徴候の1つ又は複数を軽快させること;(2)(a)状態につながるか若しくはその原因である生物学的カスケードの中の1つ又は複数のポイント、又は(b)状態の生物学的徴候の1つ又は複数に干渉すること;(3)状態と関連する症状、作用若しくは副作用のうちの1つ又は複数、又は状態若しくはその処置と関連する症状、作用若しくは副作用のうちの1つ又は複数を軽減すること;(4)状態又は状態の生物学的徴候の1つ又は複数の進行を遅延させること、及び/又は(5)状態の生物学的徴候の1つ又は複数を、寛解の期間にわたって追加の処置なしにその徴候の寛解の状態であるとみなされる期間、排除又は低減する(好ましくは検出不能なレベルまで)ことによって、前記状態又は状態の生物学的徴候の1つ又は複数を治療すること。当業者は、特定の疾患又は状態の寛解とみなされる期間を理解する。防止的療法も企図される。当業者は、「防止」が必ずしも絶対的用語でないことを理解する。医学において、「防止」は薬物の防止的投与を指すものと、状態若しくはその生物学的徴候の可能性若しくは重症度を実質的に減らすものと、又はそのような状態若しくはその生物学的徴候の開始を遅延させるものと理解される。防止的療法は、例えば対象ががんを起こすリスクが高いとみなされるとき、例えば、対象ががんの強力な家族歴を有するとき、又は対象が発がん物質に曝露したとき、又はPTEN欠乏症が患者で診断されるとき適当である。
T細胞媒介免疫療法は、有望ながん療法である。しかし、多くの患者は、これらの療法になお応答することができない。免疫抵抗性の分子決定因子は、十分に理解されていない。黒色腫の前臨床モデルにおける腫瘍細胞中のPTENの損失は、T細胞媒介腫瘍殺滅を阻害し、腫瘍へのT細胞輸送を減少させる。患者(例えば、対象)では、PTEN損失は腫瘍部位におけるT細胞侵入の減少、切除された腫瘍からの良好なT細胞増大の可能性の低減、及びPD-1阻害療法による劣った結果と相関する。腫瘍細胞におけるPTEN損失は、免疫抑制サイトカインの発現を増加させ、腫瘍におけるT細胞侵入の減少をもたらし、自己貪食を阻害し、そのことはT細胞媒介細胞死を減少させた。選択的RI3Kb(PI3Kb)阻害剤による処置は、マウスモデルにおいて抗PD-1及び抗CTLA-4抗体の有効性を向上させることができる。これらの所見は、PTEN損失が免疫抵抗性を促進することを実証し、免疫療法及びPI3K-AKT経路阻害剤の組み合わせを探る理論的根拠を支持する。Pengら、Cancer Discovery 6:202~216頁(2016年)を参照する。
増殖及び生存を含むいくつかの決定的な細胞プロセスを調節することによって、PI3K経路はがんで決定的な役割を演ずる。この経路ががんにおいて活性化される最も一般的な方法の1つは、PI3Kシグナル伝達の活性を弱める脂質ホスファターゼであるがん抑制因子PTENの発現の損失によるものである。複数の腫瘍型で、PTENの損失は、PI3K-AKT経路の活性化の増加に対応する。PTENの損失はがんで普遍的ではない-例えば、それは黒色腫の最高30%で起こる。
本明細書で使用されるように、「PTEN欠乏性」又は「PTEN欠乏症」は、好ましくはPTENのがん抑制因子機能の欠損、例えばPTENがん抑制因子の発現の損失によって引き起こされるか又はそれによって悪化する状態を指す。そのような欠乏症には、好ましくはPTEN遺伝子における変異、PTEN野生型と比較したときのPTENタンパク質の低減若しくは不在、又はPTEN機能の抑制を引き起こす他の遺伝子の変異若しくは不在が含まれる。それには、より好ましくは、欠失、変異によって又は後成変化を通して失われるPTENの活性又は発現が含まれる。PTENの調節には、転写、mRNA安定性、miRNA標的化、翻訳及びタンパク質安定性を含む複数の機構が存在する。PTENは、PTEN欠乏性の子宮内膜、胃、肺、甲状腺、***及び卵巣の腫瘍並びに神経膠芽腫においてプロモーターメチル化によって転写がサイレンシングされる。PTENの機能の損失又はレベルの低減、並びにPTENの欠失又は変化をもたらす変異は、いくつかの散発性の腫瘍で見出される。Aguissa-Toureら、Cellular and Molecular Life Sciences 69:1475~1491頁(2012年)を参照。当業者は、がんなどの状態がPTEN欠乏性であるかどうかについて決定する方法を知っている。PTEN欠乏症は、Q-PCR又はELISA又は免疫組織化学などの方法によって決定することができる。ヒトPTEN qPCRプライマー対は、例えば、Sino Biological及びGenecopoeiaから市販されている。PTEN(ヒト)ELISAキットは、例えば、BioVision及びAbeamから市販されている。免疫組織化学プロトコールは、例えば、Sakrら、Appl.Immunohistochem.Mol.Morphol.18:371~374頁(2010年)で提供される。PTEN抗体は、例えば、Abeam及びSino Biologicalから市販されている。参考のために、ヒトPTEN mRNA配列は、NCBI受託番号NM_000314.4である;タンパク質配列は、NCBI受託番号AAH05821.1である。
PTEN欠乏状態は当技術分野で公知であり、前記のように、状態のPTEN欠乏性はルーチンのアッセイを使用して容易に確立することができる。PTEN欠乏性バリアントが存在する状態の例は、がん、自閉症、巨大頭蓋症、良性腫瘍及び非がん性新生物である。PTEN欠乏性バリアントが存在する好ましい状態は、がん、良性腫瘍及び非がん性新生物であり、それらは本明細書ではPTEN欠乏性腫瘍と総称される。非がん性新生物の例は、過誤腫、例えばバナヤン-ゾナナ症候群、バナヤン-ライリー-ルバルカバ症候群、プロテウス症候群、プロテウス様症候群、カウデン病、PTEN過誤腫腫瘍症候群(PHTS)及びレルミット-デュクロ病で起こるそれらである。最も好ましいPTEN欠乏性腫瘍は、PTEN欠乏性がんである。
好ましいPTEN欠乏性状態は腫瘍であり、言い換えると、本発明による好ましい使用はPTEN欠乏性腫瘍、より好ましくはPTEN欠乏性がんを処置することにある。一般的に、本明細書で使用されるように、がんの処置への言及は、PTEN欠乏性がんの処置を指すものである。別途指示がない限り、抗腫瘍作用は、処置された対象において好ましくは処置の前に、及び少なくとも1週、2週、3週、4週、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月又はそれ以上後に評価又は検出される。抗腫瘍効果は:
増殖の阻害又は腫瘍細胞の増殖の検出可能な低下又は腫瘍細胞若しくはメラニン形成細胞の細胞生存率の低下、並びに/或いは
腫瘍細胞の分化能の増加、並びに/或いは
腫瘍細胞の生存の低下と等しい、腫瘍細胞死の増加、並びに/或いは
転移及び/又は腫瘍細胞の移動の発生の遅延、並びに/或いは
腫瘍重量又は成長の増加の阻害又は防止又は遅延、並びに/又は
少なくとも1カ月、数カ月又はそれより長い期間の患者の生存の延長(処置されていないか若しくは対照で処置されたものと比較して、又は処置の開始時の対象と比較して)、並びに/或いは
腫瘍サイズ又は体積の減少
として対象において特定されるのが好ましい。
本発明の文脈では、患者は、生存していてもよく、疾患を有さないとみなされてもよい。或いは、疾患又は状態が、停止又は遅延又は消失していてもよい。腫瘍細胞の増殖の阻害は、少なくとも20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%又はそれより高い割合であってもよい。細胞の増殖は、公知の技法を使用して評価することができる。腫瘍細胞又はメラニン形成細胞の細胞生存率の低下は、少なくとも20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%又はそれより高い割合の低下であってもよい。このような低下は、所与のmiRNA分子、その等価物又はソースによるトランスフェクションの4日後に評価されてもよい。細胞生存率は、MTSアッセイなどの公知の技法によって評価することができる。
腫瘍又はがんの処置は、腫瘍体積の低減又は腫瘍細胞生存率の低下であり得る。腫瘍体積の低減は、カリパスを使用して評価することができる。腫瘍体積又は細胞生存率又は生存の低下は、少なくとも、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合の低下であり得る。腫瘍細胞におけるアポトーシスの誘導又は腫瘍細胞死の誘導は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合であり得る。腫瘍細胞生存率又は生存又は死滅は、当業者に公知の技法を使用して評価することができる。腫瘍細胞生存率及び死滅は、MRI、CT若しくはPETなどの通常の撮像法、及びその派生法、又は生検を使用して評価することができる。腫瘍細胞生存率は、いくつかの時点で、病変の拡大を可視化することによって評価されてもよい。少なくとも一度に観察される病変の10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合の低下が、腫瘍細胞生存率の低下と考えられることになる。
腫瘍細胞の増殖の阻害は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合であり得る。細胞の増殖は、標準的な増殖アッセイのような公知の技法を使用して評価することができる。このような増殖アッセイは、Cell Titer Blue(Promega)などの生体染色を使用してもよい。これには、代謝酵素によって蛍光分子へと変換される基質分子が含まれる。その後、蛍光のレベルが、生きている、代謝的に活性な細胞の数を反映する。或いは、このような増殖アッセイは、有糸***指数を決定し得る。有糸***指数は、全腫瘍細胞数と比較した、増殖段階にある腫瘍細胞数に基づく。増殖細胞の標識化は、抗体Ki-67及び免疫組織化学染色を使用して実施することができる。腫瘍細胞の増殖の阻害は、有糸***指数が少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%又はそれより高い割合で低減する場合に見ることができる(Kearsley J.Hら、1990年、PMID:2372483頁に記載されているように)。
転移及び/又は腫瘍細胞の移動の発生の遅延は、少なくとも1週間、1カ月、数カ月、1年又はそれより長い期間の遅延であり得る。転移の存在は、MRI、CT若しくはエコー検査又は循環腫瘍細胞(CTC)の検出を可能とする技法を使用して評価することができる。後者の検査の例は、CellSearch CTC検査(Veridex)、すなわち、末梢血由来のCTCのEpCamに基づく磁気選別である。
ある特定の実施形態では、腫瘍重量の阻害若しくは低下又は腫瘍成長の遅延又は腫瘍成長の阻害は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合であり得る。腫瘍重量又は腫瘍成長の体積は、当業者に公知の技法を使用して評価することができる。腫瘍成長の検出又は腫瘍細胞の増殖の検出は、グルコース類似体2-[18F]-フルオロ-2-デオキシ-D-グルコース(FDG-PET)又は[18F]-3’-フルオロ-3’-デオキシ-L-チミジン PETによるポジトロン放出断層撮影によって、グルコース利用の変化を測定することによって、in vivoで評価することができる。ex vivoでの代替法は、Ki67による腫瘍生検の染色であり得る。腫瘍細胞の分化能の増加は、特異的分化マーカーを使用し、処置細胞におけるこのようなマーカーの存在を追跡して評価することができる。好ましいマーカー又はパラメーターは、p16、Trp-1及びPLZF、c-Kit、MITF、チロシナーゼ、及びメラニンである。これは、RT-PCR、ウエスタンブロッティング又は免疫組織化学を使用してなされる。分化能の増加は、特定された技法のいずれかを使用して、処置の少なくとも1週間後の少なくとも検出可能な増加であり得る。好ましくは、増加は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、又はそれより高い割合の増加であり、したがって、所与の試料内の分化細胞数が増加することになる。ある特定の実施形態では、腫瘍成長は、少なくとも1週間、1カ月、2カ月又はそれより長い期間遅延され得る。ある特定の実施形態では、転移の発生は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月又はそれより長い期間遅延される。
好ましい実施形態では、PTEN欠乏性腫瘍は、PTEN欠乏性の肉腫、脳がん、頭頸部がん、乳がん、肺がん、腎臓がん、肝がん、結腸がん、卵巣がん、黒色腫、膵がん、甲状腺がん、過誤腫、造血器腫及びリンパ系腫瘍の腫瘍、又は前立腺がんである。他のより好ましい実施形態では、PTEN欠乏性腫瘍は、PTEN欠乏性の肉腫、脳がん、頭頸部がん、乳がん、肺がん、腎臓がん、肝がん、結腸がん、卵巣がん、膵がん、甲状腺がん、過誤腫、造血器腫及びリンパ系腫瘍の腫瘍、又は前立腺がんである。他のより好ましい実施形態では、PTEN欠乏性腫瘍は、PTEN欠乏性の肉腫、脳がん、頭頸部がん、卵巣がん、甲状腺がん又は過誤腫である。他のより好ましい実施形態では、PTEN欠乏性腫瘍は、PTEN欠乏性肺がん(好ましくは非小細胞肺がん)、肝がん(好ましくは肝細胞癌)、乳がん(好ましくは三重陰性乳がん)及び黒色腫(好ましくは活性化BRAF変異による黒色腫)である。他のより好ましい実施形態では、PTEN欠乏性腫瘍は、PTEN欠乏性肺がん(好ましくは非小細胞肺がん)、肝がん(好ましくは肝細胞癌)又は乳がん(好ましくは三重陰性乳がん)である。
本発明による処置に好適であるがんのさらなる例には、限定されずに、頭頸部、***、肺、結腸、卵巣及び前立腺のがんの原発性及び転移性の型が含まれる。好ましくは、がんは下から選択される:脳(神経膠腫)、神経膠芽腫、星状細胞腫、多形性神経膠芽腫、バナヤン-ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット-デュクロ病、***、炎症性乳がん、ウィルム腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、結腸、頭頸部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨の巨大細胞腫瘍、甲状腺、リンパ芽球T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、毛様細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、AML、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽細胞大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽細胞腫、膀胱がん、尿路上皮性がん、肺がん、外陰がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、中皮腫、食道がん、唾液腺がん、肝細胞がん、胃がん、鼻咽頭がん、口内がん、口のがん、GIST(消化管間質腫瘍)及び精巣がん。好ましい過誤腫は、バナヤン-ゾナナ症候群、バナヤン-ライリー-ルバルカバ症候群、プロテウス症候群、プロテウス様症候群、カウデン病、PTEN過誤腫腫瘍症候群(PHTS)及びレルミット-デュクロ病である。
さらに、処置される(PTEN欠乏性の場合)がんの例には、バレットの腺癌;胆管の癌腫;乳がん;子宮頸がん;胆管癌;神経膠芽腫、星状細胞腫(例えば、多形性神経膠芽腫)及び上衣細胞腫などの原発性CNS腫瘍、及び二次性のCNS腫瘍(すなわち、中枢神経系の外で始まる腫瘍の中枢神経系への転移)を含む中枢神経系腫瘍;大腸結腸癌を含む結腸直腸がん;胃がん;頭頸部の扁平上皮癌を含む頭頸部の癌;急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、脊髄形成異常症候群、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、巨核芽球白血病、多発性骨髄腫及び赤白血病などの白血病及びリンパ腫を含む血液がん;肝細胞癌;小細胞肺がん及び非小細胞肺がんを含む肺がん;卵巣がん;子宮内膜がん;膵がん;下垂体腺腫;前立腺がん;腎臓がん;肉腫;黒色腫を含む皮膚がん;並びに甲状腺がんが含まれる。
好ましい実施形態では、がんは:脳(神経膠腫)、神経膠芽腫、星状細胞腫、多形性神経膠芽腫、バナヤン-ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット-デュクロ病、乳がん、結腸がん、頭頸部がん、腎臓がん、肺がん、肝がん、黒色腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、肉腫及び甲状腺がんからなる群から選択される。他の好ましい実施形態では、がんは:卵巣、乳がん、膵がん及び前立腺がんからなる群から選択される。他の好ましい実施形態では、がんは非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、膀胱がん又は転移性ホルモン抗療性の前立腺がんである。他の好ましい実施形態では、がんは乳がん、甲状腺がん、神経膠芽腫、子宮内膜がん、前立腺がん又は黒色腫である。他の好ましい実施形態では、がんは乳がん、甲状腺がん、神経膠芽腫、子宮内膜がん又は前立腺がんである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、ソラフェニブ抵抗性がんなどの化学療法抵抗性がんの処置で使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、癌腫の処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、化学療法耐性の癌腫、例えば、ソラフェニブ耐性の癌腫の処置において使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、肝細胞癌(HCC)の処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、VEGF受容体阻害剤、例えば、アキシチニブ、セジラニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、セマクサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、チボザニブ、トセラニブ、又はバンデタニブ、好ましくはソラフェニブに耐性である肝細胞癌腫(HCC)などの化学療法耐性のHCCの処置において使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、非小細胞肺癌(NSCLC)の処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、プラチナ系細胞周期非特異的抗腫瘍剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ジシクロプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、又はサトラプラチン、好ましくはシスプラチン又はカルボプラチン)に耐性であるか、又はタキサン(例えば、カバジタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル、又はテセタキセル、好ましくはパクリタキセル又はドセタキセル、より好ましくはパクリタキセル)に耐性であるか、又はピリミジン系抗代謝薬(例えば、フルオロウラシル、カペシタビン、ドキシフルリジン、テガフール、カルモフール、フロクスウリジン、シタラビン、ゲムシタビン、アザシチジン、又はデシタビン、好ましくはゲムシタビン)に耐性であるか、又はビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビンデシン、又はビノレルビン、好ましくはビノレルビン)に耐性であるか、又は葉酸抗代謝薬(アミノプテリン、メトトレキサート、ペメトレキセド、プララトレキサート、又はラルチトレキセド、好ましくはペメトレキセド)に耐性である、NSCLCなどの化学療法耐性NSCLCの処置において使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、三重陰性乳がん(TNBC)の処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、アントラサイクリン耐性TNBC、例えば、アクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシン、又はゾルビシン、好ましくはドキソルビシンに耐性のTNBCなどの化学療法耐性TNBCの処置において使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、黒色腫の処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、非古典的細胞周期非特異的抗腫瘍剤(例えば、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、アルトレタミン、ミトブロニトール、又はピポブロマン、好ましくはダカルバジン又はテモゾロミド)に耐性であるか、又はタキサン(例えば、カバジタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル、又はテセタキセル、好ましくはパクリタキセル、例えば、アルブミン結合パクリタキセル)に耐性であるか、又はプラチナ系細胞周期非特異的抗腫瘍剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ジシクロプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、又はサトラプラチン、好ましくはシスプラチン又はカルボプラチン)に耐性であるか、又はビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビンデシン、又はビノレルビン、好ましくはビンブラスチン)に耐性である、黒色腫などの化学療法耐性黒色腫の処置において使用するためのものである。他の好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、黒色腫の処置で使用するためのものでない。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、膵臓がんの処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、タキサン(例えば、カバジタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル、又はテセタキセル、好ましくはパクリタキセル、例えば、アルブミン結合パクリタキセル)に耐性であるか、又はピリミジン系抗代謝薬(例えば、フルオロウラシル、カペシタビン、ドキシフルリジン、テガフール、カルモフール、フロクスウリジン、シタラビン、ゲムシタビン、アザシチジン、又はデシタビン、好ましくはフルオロウラシル又はゲムシタビン)に耐性であるか、又はトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトテシン、コシテカン、ベロテカン、ジマテカン、エキサテカン イリノテカン、ラルトテカン、シラテカン、トポテカン、ルビテカン、好ましくはイリノテカン)に耐性である、膵臓がんなどの化学療法耐性膵臓がんの処置において使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、結腸がんの処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、ピリミジン系抗代謝薬(例えば、フルオロウラシル、カペシタビン、ドキシフルリジン、テガフール、カルモフール、フロクスウリジン、シタラビン、ゲムシタビン、アザシチジン、又はデシタビン、好ましくはフルオロウラシル又はカペシタビン)に耐性であるか、又はトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトテシン、コシテカン、ベロテカン、ジマテカン、エキサテカン、イリノテカン、ラルトテカン、シラテカン、トポテカン、ルビテカン、好ましくはイリノテカン)に耐性であるか、又はプラチナ系細胞周期非特異的抗腫瘍剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ジシクロプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、又はサトラプラチン、好ましくはオキサリプラチン)に耐性であるか、又はトリフルリジン若しくはチピラシル、又はトリフルリジンとチピラシルの組合せに耐性である、結腸がんなどの化学療法耐性結腸がんの処置において使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、腎細胞がん(RCC)の処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、VEGF受容体阻害剤、例えば、アキシチニブ、セジラニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、セマクサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、チボザニブ、トセラニブ、又はバンデタニブ、好ましくはスニチニブ、ソラフェニブ、又はパゾパニブ、より好ましくはソラフェニブに耐性であるRCCなどの化学療法耐性RCCの処置において使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、頭頚部がん(HNSCC)の処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、タキサン(例えば、カバジタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル、又はテセタキセル、好ましくはパクリタキセル又はドセタキセル)に耐性であるか、又はピリジン系抗代謝薬(例えば、フルオロウラシル、カペシタビン、ドキシフルリジン、テガフール、カルモフール、フロクスウリジン、シタラビン、ゲムシタビン、アザシチジン、又はデシタビン、好ましくはフルオロウラシル)に耐性であるか、又は葉酸抗代謝薬(アミノプテリン、メトトレキサート、ペメトレキセド、プララトレキサート、又はラルチトレキセド、好ましくはメトトレキサート)に耐性であるか、又はプラチナ系細胞周期非特異的抗腫瘍剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ジシクロプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、又はサトラプラチン、好ましくはシスプラチン)に耐性であるか、又はアントラサイクリン(例えば、アクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシン、又はゾルビシン、好ましくはドキソルビシン)に耐性であるか、又はインターカレート架橋剤(例えば、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、プリカマイシン、好ましくはブレオマイシン又はマイトマイシン)に耐性である、HNSCCなどの化学療法耐性HNSCCの処置において使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、前立腺がんの処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、タキサン(例えば、カバジタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル、又はテセタキセル、好ましくはドセタキセル)に耐性であるか、又はアントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン又はピクサントロン、好ましくはミトキサントロン)に耐性であるか、又はアルキル化抗腫瘍剤(例えば、エストロゲン系アルキル化抗腫瘍剤、例えば、アレストラムスチン、アトリムスチン、シテストロールアセテート(cytestrol acetate)、エストラジオールマスタード、エストラムスチン、エストロムスチン、スチルボスタット(stilbostat);又はフェネストロール、好ましくはエストラムスチン)に耐性である、前立腺がんなどの化学療法耐性前立腺がんの処置において使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、造血器腫瘍及びリンパ系腫瘍の腫瘍の処置において使用するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAは、ボルテゾミブに耐性であるか、若しくはレナリドミドに耐性である骨髄腫など、又はシクロホスファミドに若しくはヒドロキシダウノルビシンなどのアントラサイクリンに若しくはオンコビンに若しくはプレドニゾンに対する耐性など、CHOPに若しくはリツキシマブに耐性であるリンパ腫など、又はビンクリスチン、アントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン、L-アスパラギナーゼ、シクロホスファミド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、クロラムブシル、シクロホスファミド、コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン若しくはプレドニゾロン、フルダラビン、ペントスタチン、若しくはクラドリビンに耐性である白血病などの、造血器腫瘍及びリンパ系腫瘍の化学療法耐性腫瘍の処置において使用するためのものである。本明細書に記載のソラフェニブ耐性がんなどの化学療法耐性がんの処置は、ソラフェニブ処置などの化学療法が、有効でないこと、又は所期若しくは所望の効果よりも低いことが判明した場合に、セカンドライン処置となり得る。
固形腫瘍は、もともと上皮系であることが多い(すなわち、癌腫)。上皮細胞マーカー(例えば、E-カドヘリン)の損失及び間葉細胞マーカー(例えば、N-カドヘリン及びビメンチン)の取得は、前立腺がんを含む患者の腫瘍試料に対して公知である。がん細胞は、このいわゆる上皮間葉転換(EMT)によって脱分化し得る。EMTの間、細胞間の細胞結合が破壊され、それによって、腫瘍細胞に、周囲組織へと又は血管壁を通って移動及び侵入する能力が与えられる。このような表現型の変化は、疾患の伝播において重要な役割を果たし、最終的に疾患の進行をもたらし、これは、患者にとって予後不良を伴うことが多い。
E-カドヘリン発現の損失は、EMTの分子ホールマークとみなされる。腫瘍細胞におけるEMTは、細胞の転写再プログラミングから生じる。特に、E-カドヘリン(CDH1)遺伝子プロモーターの転写抑制は、EMT表現型を誘発することが示されている。E-カドヘリンタンパク質は、上皮細胞/組織において細胞間の接触を媒介する最も重要なカドヘリン分子の1つである。CDH1は、転写抑制因子、SNAI1、SNAI2、TCF3、TWIST、ZEB1、ZEB2又はKLF8の、CDH1近位プロモーター領域の3つのいわゆるE-ボックスへの結合によって抑制される。これらの抑制因子のCDH1プロモーターへの結合を阻害することにより、間葉上皮転換(MET)とも呼ばれるEMTが回復し、腫瘍細胞の侵入及び腫瘍進行が阻害される。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、EMTと関連する疾患又は状態の処置、防止、遅延又は軽快で使用するためのものであり、この場合、そのような疾患又は状態はPTEN欠乏と関連する。本明細書で、miRNAは好ましくはmiRNA-518b分子、miRNA-520f分子又はmiRNA-524分子;又はそのisomiR若しくは模倣体、又はその前駆体と組み合わされる。EMTに関連する疾患又は状態は、好ましくはがん、より好ましくは膀胱がん又は前立腺がんである。この使用は、間葉上皮転換を誘導することによるのが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物(本発明による使用のための組成物は本明細書で後に定義される)又は本発明による使用のためのmiRNAは、免疫抑制腫瘍微小環境を下方制御することによるがんの処置、防止、遅延又は軽快で使用するためのものである。関連する好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、腫瘍による宿主免疫の回避を防止又は低減することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。このような使用は、例えば、アデノシンを産生するためにATPを脱リン酸化するものなどの細胞表面エクトエンザイムの活性を阻害又は低減することによって、アデノシン生成を防止、阻害、又は低減するのに好ましい。このような使用は、NT5E発現を低減する及び/又はENTPD1発現を低減する及び/又はアデノシン生成を阻害するのにより好ましい。より好ましくは、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、NT5E発現を低減するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのこの組成物又は本発明による使用のためのこのmiRNAは、ENTPD1発現を低減するためのものである。より好ましくは、本発明による使用のためのこの組成物又は本発明による使用のためのこのmiRNAは、アデノシン生成を阻害するためのものである。さらにより好ましい実施形態では、本発明による使用のためのこの組成物又は本発明による使用のためのこのmiRNAは、がん細胞の移動を低減するためのものであり、好ましくは、アデノシン誘導性のがん細胞の移動を低減するためのものであり、最も好ましくは、NT5E発現に関連するアデノシン誘導性のがん細胞の移動を低減するためのものである。NT5E又はENTPD1発現の低減は、ルシフェラーゼアッセイによって又はRT-PCRによって、評価されるのが好ましい。がん細胞の移動の低減は、好ましくは、in vitroトランスウェルアッセイによって、評価される。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がん細胞における、好ましくは肝臓がん細胞における、肺がん細胞における、膵臓がん細胞における、癌腫細胞における、又は黒色腫細胞における、より好ましくは、肝臓がん細胞における、癌腫細胞における、又は黒色腫細胞における、さらにより好ましくは、肝細胞癌細胞における又は黒色腫細胞における、G2/Mアレストを促進又は増加させることによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。このような使用は、MPP2及び/又はSTMN1などの細胞骨格に関連することによって、細胞***及び/又は増殖を調節する因子の発現又は活性を低減するのに好ましい。このような使用は、YWHAZ及び/又はCCNA2などの、サイクリン依存性キナーゼに結合及び/又はそれを封鎖する因子を促進又は増加させるのに好ましい。好ましくは、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、MPP2、STMN1、YWHAZ、及びCCNA2のうちの少なくとも1つの発現又は活性を低減することによる、より好ましくは、少なくともYWHAZ又はSTMN1の、さらにより好ましくは、少なくともYWHAZの、最も好ましくは、MPP2、STMN1、YWHAZ、及びCCNA2のそれぞれの発現又は活性を低減することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。G2/Mアレストの増加は、未処置細胞と比較した場合の増加であることが好ましく、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50%又はそれより高い割合の増加であることが好ましい。これは、DNA染色と、その後の、DNA含量に基づく核強度を決定するための顕微鏡画像によって評価されるのが好ましい。MPP2、STMN1、YWHAZ、及びCCNA2のうちの少なくとも1つの発現又は活性の低減は、好ましくは、RT-PCRを使用して評価される。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がん細胞の移動、がん細胞の付着、若しくはがん細胞の増殖を低下させるか若しくは低減することによる、又はがん細胞のアポトーシスを増加させるか若しくは促進することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。これらのがん細胞は、好ましくは、肺がん細胞、肝臓がん細胞、乳がん細胞、黒色腫細胞、又は癌腫細胞、より好ましくは肺がん細胞、肝臓がん細胞、乳がん細胞、又は癌腫細胞、さらにより好ましくは肺がん細胞、例えば、A549及びH460、肝臓がん細胞、例えば、Hep3B及びHuh7、乳がん細胞、例えば、BT549、並びに皮膚がん細胞、例えば、A2058である。より好ましい実施形態では、がんの処置、防止、遅延、又は軽快におけるこの使用は、FOXRED2、ERMP1、NT5E、SHMT2、HYOU1、TWISTNB、AP2M1、CLSTN1、TNFRSF21、DAZAP2、C1QBP、STARD7、ATP5SL、DCAF7、DHCR24、DPY19L1、AGPAT1、SLC30A7、AIMP2、UBP1、RUSC1、DCTN5、ATP5F1、CCDC28A、SLC35D2、WSB2、SEC61A1、MPP2、FAM60A、PITPNB、及びPOLE3からなる群から選択される、さらにより好ましくは、NT5E及びTNFRSF21からなる群から選択される、少なくとも1つの遺伝子の発現又は活性を低下させることによるものであり;好ましくは、アポトーシス、細胞の移動、付着、及び増殖に関する上記の使用は、これらの遺伝子の少なくとも1つと関連するアポトーシス、細胞の移動、付着、及び/又は増殖に関する使用である。発現は、好ましくは、RT-PCRによって評価される。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がん細胞のアポトーシスを増加させるか又は促進することによる、好ましくは、KCNMA1、NOTCH2、TNFRSF21、YWHAZ、CADM1、NOTCH1、CRYAA、ETS1、AIMP2、SQSTM1、ZMAT3、TGM2、CECR2、PDE3A、STRADB、NIPA1、MAPK8、TP53INP1、PRNP、PRT1、GCH1、DHCR24、TGFB2、NET1、PHLDA2、及びTPP1からなる群から、より好ましくは、NOTCH2、TNFRSF21、YWHAZ、ETS1、TGFB2、及びMAPK8からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子と関連するアポトーシスを増加させるか又は促進することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。遺伝子の発現又は活性は、本発明による使用のための組成物によって又は本発明による使用のためのmiRNAによって、低減されるのが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、血管新生、好ましくはがん細胞に関連する血管新生を低下させるか又は阻害することによる、より好ましくはCRKL、CTGF、ZMIZ1、TGM2、ELK3、LOX、UBP1、PLAU、CYR61、及びTGFB2、さらにより好ましくはCRKL,TGFB2又はPLAU、最も好ましくはPLAUからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子と関連する血管新生を低下させるか又は阻害することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。遺伝子の発現又は活性は、本発明による使用のための組成物によって又は本発明による使用のためのmiRNAによって、低減されるのが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がん細胞の小胞体ストレス応答をモジュレートすることによる、より好ましくはERMP1、NCEH1、SEC31A、CLSTN1、FOXRED2、SEPN1、EXTL2、HYOU1、SLC35D1、SULF2、PTPLB、HHAT、ERAP2、FAF2、DPM3、PDZD2、SEC61A1、DHCR24、IDS、MOSPD2、DPM、PRNP、及びAGPAT1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子と関連する小胞体ストレス応答をモジュレートすることによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。遺伝子の発現又は活性は、本発明による使用のための組成物によって又は本発明による使用のためのmiRNAによって、低減されるのが好ましい。小胞体ストレス応答のモジュレーションは、好ましくは、小胞体ストレス応答の阻害又は低減である。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がん細胞の走化性を低下させるか又は阻害することによる、より好ましくはCXCL1、RAC2、CXCL5、CYR61、PLAUR、KCNMA1、ABI2、及びHPRT1、最も好ましくはPLAURからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子と関連する走化性を低下させるか又は阻害することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。遺伝子の発現又は活性は、本発明による使用のための組成物によって又は本発明による使用のためのmiRNAによって、低減されるのが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がん細胞におけるタンパク質輸送を低下させるか又は阻害することによる、より好ましくはSTON2、RAB11FIP5、SRP54、YWHAZ、SYNRG、GCH1、THBS4、SRP54、TOMM20、SEC31A、TPP1、SLC30A7、TGFB2、AKAP12、AP2M1、ITGB3、GNAI3、SORL1、KRAS、SLC15A1、SEC61A1、APPL1、LRP4、PLEKHA8、STRADB、SCAMP4、HFE、CADM1、ZMAT3、ARF3、VAMP8、NUP50、DHCR24、RAB11FIP5、ATP6V1B2、SQSTM1、及びWNK4、さらにより好ましくは,YWHAZ,TGFB2,又はKRAS、最も好ましくはYWHAZからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子と関連するタンパク質輸送を低下させるか又は阻害することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。遺伝子の発現又は活性は、本発明による使用のための組成物によって又は本発明による使用のためのmiRNAによって、低減されるのが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がん細胞におけるヌクレオシドの代謝を低下させるか又は阻害することによる、より好ましくはNUDT3、NUDT15、NUDT21、DERA、NT5E、GCH1、及びHPRT1、最も好ましくはNT5Eからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子と関連するヌクレオシドの代謝を低下させるか又は阻害することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。遺伝子の発現又は活性は、本発明による使用のための組成物によって又は本発明による使用のためのmiRNAによって、低減されるのが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がん細胞のグリコシル化を低下させるか又は阻害することによる、より好ましくはSLC35D1、ST3GAL5、SULF2、LAT2、GALNT1、NCEH1、ST3GAL4、CHST14、B3GNT3、DPM3、GALNT13、DHCR24、NUDT15、IDH2、PPTC7、HPRT1、EXTL2、SEC61A1、ERAP2、及びGALNT14からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子と関連するグリコシル化を低下させるか又は阻害することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。遺伝子の発現又は活性は、本発明による使用のための組成物によって又は本発明による使用のためのmiRNAによって、低減されるのが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、発癌を低下させるか又は阻害することによる、より好ましくはCCND1、CBL、CXCL1、CRKL、MAX、KCNMA1、TBL1XR1、GNAI3、YWHAZ、RAC2、ETS1、PTCH1、MAPK8、LAMC2、PIK3R1、CDK6、CBL、APPL1、GNAI3、PDE3A、TGFB2、ABI2、MAX、ITGB3、LOX、CXCL5、ARPC5、PPARGC1A、及びTHBS4からなる群から選択される、さらにより好ましくはCRKL、TGFB2、YWHAZ、ETS1、MAPK8、及びCDK6から、最も好ましくはYWHAZ、ETS1、MAPK8、及びCDK6から選択される少なくとも1つの遺伝子と関連する発癌を低下させるか又は阻害することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。遺伝子の発現又は活性は、本発明による使用のための組成物によって又は本発明による使用のためのmiRNAによって、低減されるのが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、機能障害性創傷治癒を低下させるか又は阻害することによる、より好ましくはNOTCH2、KCNMA1、CXCL1、ITGB3、PLAU、CCND1、ZMIZ1、ELK3、YWHAZ、IL11、PLAUR、LOX、CTGF、及びTGFB2からなる群から選択される、さらにより好ましくはTGFB2、NOTCH2、PLAU、YWHAZ、及びPLAURから、最も好ましくはNOTCH2、PLAU、YWHAZ、及び任意選択でPLAURから選択される、少なくとも1つの遺伝子と関連する機能障害性創傷治癒を低下させるか又は阻害することによる、がんの処置、防止、遅延、軽快において使用するためのものである。遺伝子の発現又は活性は、本発明による使用のための組成物によって又は本発明による使用のためのmiRNAによって、低減されるのが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、免疫活性化、好ましくはがんに対する免疫応答と関連する免疫活性化を増加させるか又は促進することによる、より好ましくはNOTCH2、LAT2、CRKL、LRRC8A、YWHAZ、PIK3R1、IRF1、TGFB2、IL11、UNG、CDK6、及びHPRT1からなる群から選択される、さらにより好ましくはCRKL、TGFB2、NOTCH2、YWHAZ、及びCDK6から、最も好ましくはNOTCH2、YWHAZ、及びCDK6から選択される、少なくとも1つの遺伝子と関連する免疫活性化を増加させるか又は促進することによる、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。遺伝子の発現又は活性は、本発明による使用のための組成物によって又は本発明による使用のためのmiRNAによって、低減されるのが好ましい。
本発明は、本発明による使用のためのmiRNAで、又は本発明による使用のための組成物で処置した対象から得られたT細胞も提供する。このようなT細胞は、本明細書の他の箇所に記載したがんの処置において使用するためのものであり得る。その使用では、T細胞は、好ましくは本発明による使用のためのmiRNAで、又は本発明による使用のための組成物で処置された対象から前もって得られる。T細胞は、ヒト対象に由来することが好ましい。ワクチンとして、又はがんの再発若しくは転移を防止するのに使用するためのものであることが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、CDK6、EIF4B、ETS1、IL17RD、MCL1、MAPK8、NOTCH2、NT5E、PLAU、PLAUR、TNFRSF21、及びYWHAZからなる群から選択される、より好ましくはNOTCH2、NT5E、PLAU、PLAUR、及びYWHAZから選択される、少なくとも1つの遺伝子と関連するがんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、CDK4、CDK6、CRKL、NT5E、HMGB1、IL17RD、KRAS、KIT、HDAC3、RTK2、TGFB2、TNFRSF21、PLAU、NOTCH1、NOTCH2、及びYAP1からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子と関連するがんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。これらの遺伝子は、抗腫瘍免疫における関与が知られている。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、ETS1、YWHAZ、MPP2、PLAU、CDK4、CDK6、EIF4B、RAD51、CCNA2、STMN1、及びDCAF7からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子と関連するがんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものである。これらの遺伝子は、細胞周期の調節に関与する。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がんの処置、防止、遅延、又は軽快において使用するためのものであり、好ましいがんは、結腸癌などの結腸がん、肺癌などの肺がん、黒色腫、細網肉腫などのリンパ腫、膵腺癌などの膵臓がん、肝細胞癌又は肝細胞腫などの肝臓がん、乳癌などの乳がん、前立腺がん、腎腺癌などの腎臓がん、腺癌又は結腸、肺、肝臓、膵臓、腎臓、若しくは乳癌などの癌腫、及び膵腺癌又は腎腺癌などの腺癌からなる群から選択されるがんである。より好ましいがんは、結腸癌などの結腸がん、肺癌などの肺がん、黒色腫、細網肉腫などのリンパ腫、膵腺癌などの膵臓がん、肝細胞癌などの肝臓がん、乳癌などの乳がん、前立腺がん、腺癌又は結腸、肺、肝臓、膵臓、若しくは乳癌などの癌腫、及び膵腺癌などの腺癌からなる群から選択されるがんである。さらにより好ましいがんは、結腸癌などの結腸がん、肺癌などの肺がん、黒色腫、細網肉腫などのリンパ腫、及び結腸、肺などの癌腫からなる群から選択されるがんである。
さらに好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNAは、がんの処置において使用するためのものであり、組成物は、ソラフェニブなどのさらなる化学療法剤と組み合わされる。これは、以降で、本発明による組合せと称される。本発明による組合せは、本発明による使用のための組成物として、上記のように、使用するためのものであることが好ましい。
本発明による組合せは、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAを含む、及びがんの処置に好適なキナーゼ阻害剤薬物などの化学療法剤を含む組合せ、例えば、本発明による使用のための組成物を含む、及びソラフェニブを含む、又は、例えば、本発明による使用のためのmiRNAを含む及びソラフェニブを含む組合せなどである。
好適な化学療法剤は、ソラフェニブなどのキナーゼ阻害剤薬物又はB-raf阻害剤又はMEK阻害剤又はRNR阻害剤又はAURKB阻害剤である。好ましいB-raf阻害剤は、ベムラフェニブ及び/又はダブラフェニブである。好ましくはMEK阻害剤は、トラメチニブ及び/又はセルメチニブである。好ましいRNR阻害剤は、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、clolar クロファラビン及びトリアピンからなる群から選択される。
B-raf阻害剤は、BRAF遺伝子の変異形態をコードする、B-rafタンパク質を特異的に阻害する化合物である。BRAF遺伝子のいくつかの変異は、黒色腫を引き起こすことが知られており、B-rafタンパク質の変異形態を阻害する特異的化合物が開発されてきた。B-raf阻害剤は、当技術分野で公知であり、これらに限定されないが、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、GDCー0879、PLXー4720、ソラフェニブ、SB590885、PLX4720、XL281及びRAF265を含む。B-raf阻害剤は、例えば、Wong K.K.らに記載されている。1つのB-raf阻害剤は、本発明による組合せにおいて他のB-raf阻害剤と一緒に使用されてもよい。本発明で使用される好ましいB-raf阻害剤は、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ又はベムラフェニブとダブラフェニブの混合物である。ベムラフェニブは、RG7204又はN-(3-{[5-(4-クロロフェニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル]カルボニル}-2,4ージフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミドとしても知られており、Zelborafとして市販されている。ダブラフェニブは、N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(1,1-ジメチルエチル)チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル-2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミドとしても知られている。
MEK阻害剤は、MEKタンパク質を特異的に阻害する化合物である。いくつかのMEK阻害剤は、当技術分野で公知であり、これらに限定されないが、トラメチニブ(GSK1120212)、セルメチニブ(AZD-6244)、XL518、CI-1040、PD035901を含む。トラメチニブは、N-(3-(3-シクロプロピル-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)アセトアミドとしても公知である。セルメチニブは、6-(4-ブロモ-2-クロロフェニルアミノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチル-3Hベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボキサミドとしても公知である。MEK阻害剤は、例えば、Wong,K.K.(PMID:19149686)に記載されている。1つのMEK阻害剤は、本発明による組合せにおいて、他のMEK阻害剤と一緒に使用されてもよい。いくつかのMEK阻害剤は、いくつかの別個のMEK阻害剤と同義である。本発明において使用される好ましいMEK阻害剤は、トラメチニブ及び/又はセルメチニブである。
RNR及び/又はAURKB阻害剤は、RNA及び/又はAURKBタンパク質を特異的に阻害する化合物である。RNRは、リボヌクレオチド還元酵素(RNR)であり、それ自体、リボヌクレオシド二リン酸(NDP)のデオキシリボヌクレオシド二リン酸(dNDP)へのde novo変換を担う唯一の酵素である(Zhouら 2013年)。RNRは、細胞内のdNTP供給の重要な調節因子である。均衡なdNTPプールの維持は、DNA合成及び修復のための基質における不均衡の結果に変異誘発及び細胞死が含まれるため、基礎的な細胞機能である。ヒトRNRは、酵素調節因子に対する触媒部位と2つの結合部位を含有するサブユニット(RRM1)及び触媒に必要な安定したチロシルラジカルを生じる二核鉄補因子(binuclear iron cofactor)を有するbサブユニット(RRM2)から構成される。RNRの阻害剤は、RRM1及び/又はRRM2を阻害し得る。好ましいRNR阻害剤は、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、clolar クロファラビン及びトリアピンからなる群から選択される。
AURKB(Aurora Bキナーゼ)は、セントロメアへの紡錘体の付着において機能するタンパク質である。有糸***及び減数***の間の染色体分離は、キナーゼとホスファターゼによって調節される。Auroraキナーゼは、染色体移動及び分離の間の微小管に関連する。がん細胞では、これらの酵素の過剰発現が、がんのホールマークである異数体細胞を作成する、遺伝情報の不均一な分布をもたらす。
化学療法剤は、本明細書で定義される抗がん作用を誘導又は促進することができる薬物である。好ましい化学療法剤は、キナーゼ阻害剤又はRNR阻害剤又はAURKB阻害剤である。このような阻害剤の例は、RNR及び/又はAURKBタンパク質を特異的に阻害する化合物である。RNR及び/又はAURKBタンパク質を阻害する治療用化合物の能力を評価するために、リードアウトとしてRNR(RRM1及び/又はRRM2)又はAURKBタンパク質を用いるウエスタンブロッティングを実施することができる。細胞を6ウェルプレートにプレーティングし、0.01、0.1及び1μMの前記化合物で72時間処置した。処置後、RIPA溶解緩衝液としての溶解緩衝液中に細胞をスクレープする。等量のタンパク質抽出物を10%のSDS PAGEを使用することによって分離し、次いで、ポリフッ化ビニリデンの膜に移した。0.1%のTween 20と5%の無脂肪乳を含有するTris緩衝生理食塩水中で1時間ブロッキングした後、RNR(すなわち、RRM1及び/又はRRM2)及び/又はAURKB一次抗体、続いて、フィルム上での化学蛍光検出のための西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートされた二次抗体で膜をプローブした。チューブリンをローディング対照として使用する。使用される好ましいRRM2抗体は、Santa Cruz(製品番号 sc-10846)に由来し、及び/又は好ましいAURKB抗体は、Cell Signalling(製品番号 3094)に由来する。前記RNR及び/又はAURKB阻害剤の治療能力の評価は、ノーザンブロットを行うことによって又はPCRによってRNAレベルでも評価することができる。
本発明による好ましい組合せは:
i)本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNA、並びに
ii)
a.VEGF受容体阻害剤などの受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、アキシチニブ、セジラニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、セマクサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、チボザニブ、トセラニブ、又はバンデタニブ、好ましくはスンチニブ、ソラフェニブ、又はパゾパニブ、より好ましくはソラフェニブ;
b.プラチナ系細胞周期非特異的抗腫瘍剤、例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ジシクロプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、又はサトラプラチン、好ましくはシスプラチン又はカルボプラチン又はオキサリプラチン;
c.タキサン、例えば、カバジタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル、又はテセタキセル、好ましくはパクリタキセル又はドセタキセル、より好ましくはパクリタキセル又はドセタキセル;
d.ピリミジン系抗代謝薬、例えば、フルオロウラシル、カペシタビン、ドキシフルリジン、テガフール、カルモフール、フロクスウリジン、シタラビン、ゲムシタビン、アザシチジン、又はデシタビン、好ましくはフルオロウラシル又はゲムシタビン又はカペシタビン;
e.ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビンデシン、又はビノレルビン、好ましくはビノレルビン又はビンブラスチン;
f.葉酸抗代謝薬、アミノプテリン、メトトレキサート、ペメトレキセド、プララトレキサート、又はラルチトレキセド、好ましくはペメトレキセド又はメトトレキサート;
g.アントラサイクリン、例えば、アクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシン、又はゾルビシン、好ましくはドキソルビシン;
h.非古典的細胞周期非特異的抗腫瘍剤、例えば、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、アルトレタミン、ミトブロニトール、又はピポブロマン、好ましくはダカルバジン又はテモゾロミド;
i.タキサン、例えば、カバジタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセル、又はテセタキセル、好ましくはパクリタキセル、例えば、アルブミン結合パクリタキセル;
j.トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、カンプトテシン、コシテカン、ベロテカン、ジマテカン、エキサテカン、イリノテカン、ラルトテカン、シラテカン、トポテカン、ルビテカン、好ましくはイリノテカン;
k.トリフルリジン又はチピラシル、又はトリフルリジンとチピラシルの組合せ;
l.インターカレート架橋剤、例えば、アクチノマイシン、ブレオマイシ、マイトマイシン、プリカマイシン、好ましくはブレオマイシン又はマイトマイシン;
m.アントラセンジオン、例えば、ミトキサントロン又はピクサントロン、好ましくはミトキサントロン;及び
n.アルキル化抗腫瘍剤、例えば、エストロゲン系アルキル化抗腫瘍剤、例えば、アレストラムスチン、アトリムスチン、シテストロールアセテート、エストラジオールマスタード、エストラムスチン、エストロムスチン、スチルボスタット;又はフェネストロール、好ましくはエストラムスチン
からなる群から選択される、少なくとも1つの化学療法剤
を含む。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がんの処置において使用するためのものであり、組成物は、がん細胞への免疫応答を増加させる。これは、免疫応答が存在しない場合に、免疫応答が開始することを意味し得る。
免疫応答を増加させるためにより好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、サイトカイン、例えば、IL-2を活性化する免疫系の生成を増加させるためのものである。好ましくは、サイトカイン産生は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で増加され、好ましくは、FACSによって、検出されるのが好ましい。サイトカインを活性化する免疫系を、処置の1週間後に、三重陰性乳がん(TNBC)に関する4T1マウスモデルで増加させる。サイトカインの増加により、がんの免疫抑制の上昇が導かれ、そうでなければ免疫抑制に感受性ではないがんの免疫抑制又は部分的免疫抑制がもたらされ得る。好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、T細胞の機能を増大させる、例えば、IFNγ及びIL-2の産生を増加させるためのものである。
免疫応答を増加させるためのより好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、調節性T細胞集団を減少させるためのものである。調節性T細胞(Treg)は、免疫抑制調節性T細胞であり、Tregを減少させることは、がんに対する免疫応答を増加させる。好ましくは、Tregは、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で減少する。Tregの減少は、FOXP3又はLAG3の決定によって、決定することができる。この効果は、上記のように、サイトカイン産生の増加と並行することが好ましい。
CD8+エフェクターT細胞の動員は、処置の2週間後に、三重陰性乳がん(TNBC)に関する4T1マウスモデルで増加し、T細胞の機能が誘導される一方、Treg集団は減少する。したがって、免疫応答を増加させるための好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、T細胞の出現頻度を増加させるためのものである。好ましくは、このような増加は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合である。このような増加は、CD8を測定することによって、決定することができる。免疫応答を増加させるための好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、T細胞の機能を誘導させるため、好ましくは、IFNγ産生を誘導することによってT細胞の機能を誘導するためのものである。最も好ましくは、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、T細胞の出現頻度を増加させ、好ましくは同時に調節性T細胞集団を減少させながら、同時にT細胞の機能を誘導するためのものである。Tregが減少し、CD8+エフェクターT細胞が増加した腫瘍は、「ホット」腫瘍と称され、免疫抑制された微小環境を有さない腫瘍である。逆に、免疫抑制された微小環境における腫瘍は、「コールド」腫瘍と称される。
さらに、本発明による組成物は、ENTPD1(CD39)又はTIM-3などの免疫抑制標的遺伝子の発現を低減することができる。このような低減は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合であることが好ましい。TIM-3又はENTPD1発現は、qPCRによって、決定することができる。ENTPD1は、トリホスホ及びジホスホヌクレオシドのγ-及びβーホスフェート残基のモノホスホヌクレオシド誘導体への加水分解を触媒するエクトヌクレオチダーゼである。これは、多量のアデノシンの生成によって免疫抑制の役割を有する。ENTPD1発現の低減は、腫瘍細胞への免疫応答を増加させる。TIM-3は、A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2)としても知られており、免疫抑制マーカーとして作用する阻害性受容体である、免疫チェックポイントである。TIM-3は、活性化CD8+T細胞上で主に発現され、マクロファージの活性化を抑制する。TIM-3発現の低減は、腫瘍細胞への免疫応答を増加させる。好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、ENTPD1の若しくはTIM-3の発現を低減するためのものであるか又はENTPD1及びTIM-3の発現を低減するためのものである。
免疫系に関する本発明による組成物又は本発明による使用のためのmiRNAのプラスの効果は、それが、腫瘍細胞及びがん細胞に関するため、新たな腫瘍の成長を防止するか、転移を防止するか、又は例えば、手術によって、サイズで除去された腫瘍の成長を低減するのに好適である、本発明をもたらす。例えば、本発明による使用のための組成物による処置によって、手術によって切除された腫瘍の再成長が低減され、このような腫瘍の転移が低減され、罹患した対象の生存が増加する。転移が由来する腫瘍は、原発腫瘍と称される。さらに、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAで処置された特定の腫瘍型を有する対象は、既に処置されたのと同じ型の新たな腫瘍細胞を再度負荷した場合に、腫瘍取込みの制限を示す。腫瘍取込みの制限後に、腫瘍は完全に退縮する。異なる腫瘍型を負荷した場合、腫瘍を完全に取り込むが、次に、完全に退縮もする。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による組成物及び本発明による使用のためのmiRNAは、がん又は転移性がんを防止する、低減する、又は遅延させるための医薬品として使用するためのものである。この文脈では、好ましいがんは、乳がん、癌腫、及び肝臓がん、より好ましくは乳がん及び肝臓がんである。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による組成物及び本発明による使用のためのmiRNAは、がんワクチンとして使用するためのものであり、好ましくは、がんの防止又は処置のためのがんワクチンとして使用するためのものである。このようなワクチンは、好ましくは、原発腫瘍の再成長又は再発を防止又は低減するためのものである。好ましくは、再成長は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で低減される。別の使用では、このようなワクチンは、好ましくは、転移性がんを低減又は処置するためのものである。好ましくは、転移性がんは、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で低減され、或いはがん細胞の運動能は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で低減される。この文脈では、好ましいがんは、乳がん、癌腫、及び肝臓がん、より好ましくは乳がん及び肝臓がんである。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による組成物及び本発明による使用のためのmiRNAは、医薬として使用するためのものであり、医薬は、転移性がんの防止、低減、又は処置のためのものであり、好ましくは、原発腫瘍は、手術によって切除されているか又は退縮しており、より好ましくは、原発腫瘍は、手術によって切除されている。好ましくは、転移性がんは、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で低減される。この文脈では、好ましいがんは、乳がん、癌腫、及び肝臓がん、より好ましくは乳がん及び肝臓がんである。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による組成物及び本発明による使用のためのmiRNAは、医薬として使用するためのものであり、医薬は、手術による切除後に、がんの再成長又は再発の防止、低減、又は処置のためのものである。好ましくは、再成長又は再発は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で低減される。この文脈では、好ましいがんは、乳がん、癌腫、及び肝臓がん、より好ましくは乳がん及び肝臓がんである。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による組成物及び本発明による使用のためのmiRNAは、医薬として使用するためのものであり、医薬は、前記がんが退縮したか又は処置に成功した後の、がんの再成長又は再発の防止、低減、又は処置のためのものである。好ましくは、再成長又は再発は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で低減される。この文脈では、好ましいがんは、乳がん、癌腫、及び肝臓がん、より好ましくは乳がん及び肝臓がんである。
好ましい実施形態では、本発明による組成物又は本発明によるmiRNAは、免疫原性細胞死を誘導することにおいて使用するためのものである。好ましくは、この使用は、腫瘍細胞を死滅させること及び樹状細胞の成熟の刺激を包含する。本明細書で定義されるmiRNA-193aは、免疫原性細胞死を誘導するのに好適であることが見出された。
好ましい実施形態では、本発明による(使用のための)組成物又は本発明による(使用のための)miRNAは、樹状細胞の成熟を促進するための、好ましくは単球からの樹状細胞の成熟を促進するためのものである。樹状細胞(又は、それらの前駆体単球)は、本発明による使用のためのmiRNAを含む細胞に近接するときに、例えばトランスフェクションのため、又は増強された発現のために、特に増強された速度で成熟する。樹状細胞の成熟は、表面マーカー、好ましくはCD80又はMHCIIの発現をモニタリングすることによって決定することができる。好ましくは、対象を本発明による使用のためのmiRNAで処置した後に、樹状細胞はプラセボ対照と比較して少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9又は9.5倍多くの表面マーカーを発現する。この文脈では、処置される好ましい対象は、本明細書の他の場所で記載される状態を患い、さらに障害のある免疫系も患う対象である。本明細書で定義されるmiRNA-193aは、樹状細胞の成熟を促進するのに好適であることが見出された。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、腫瘍細胞の増殖を阻害するためのものである。本発明による組成物は、K-RAS及びMCL1の発現を低減し、腫瘍細胞の増殖の低減をもたらすことができる。KRAS、K-ras、Ki-rasとしても知られているK-RASは、当技術分野で公知の癌原遺伝子である。MCL1は、誘導性骨髄性白血病細胞分化タンパク質Mcl-1としても公知である。これは、アポトーシスを阻害することによって、がん細胞の生存を促進し得る。K-RASとMCL1は両方とも、がん細胞の増殖を促進する。好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、K-RAS若しくはMCL1の発現を低減するためのもの、又はK-RAS及びMCL1の発現を低減するためのものである。好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、K-RAS及びMCL1及びENTPD1及びTIM-3の発現を低減するためのものである。
増殖の阻害は、アポトーシスの誘導によることが好ましい。本発明による組成物は、カスパーゼの活性化及びPARP切断によるPARPの不活性化によって、がん細胞のアポトーシスを誘導する。好ましいカスパーゼの活性化は、カスパーゼ3/7の活性化である。PARPは、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼとしても公知であり、プログラム細胞死に関与するタンパク質のファミリーを指す。これは、カスパーゼ3によって及びカスパーゼ7によって、in vivoで切断され、アポトーシスを誘発する。PARPの切断は、ブロッティング技法によって決定することができ、カスパーゼの活性化は、ブロッティングによりPARPの切断を決定することによって、又はqPCRによって、アッセイすることができる。好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、がん細胞においてアポトーシスを誘導するためのものである。好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、カスパーゼ3及びカスパーゼ7を活性化するためのものである。好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、PARPを不活性化するためのものである。好ましくは、PARPは、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で不活性化される。PARPの不活性化は、ブロッティング技法によってモニタリングし、未切断酵素のより小さい断片を検出することができる。好ましくは、カスパーゼの活性は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で増加する。
さらなる好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、K-RAS、MCL1、ENTPD1、TIM-3、c-Kit、CyclinD1、及びCD73からなる群から選択される遺伝子のうちの少なくとも1つの発現を低減するためのものである。c-Kitは、チロシン-タンパク質キナーゼキット又はCD117としても知られている癌原遺伝子であり、受容体チロシンキナーゼタンパク質をコードする。サイクリンD1の過剰発現は、早期のがん発症及び腫瘍進行と相関する。CD73は、5’-ヌクレオチダーゼ(5’-NT)として、及びエクト-5’-ヌクレオチダーゼとしても公知である。CD73によってコードされる酵素は、エクト-5-プライム-ヌクレオチダーゼ(5-プライム-リボヌクレオチドホスホヒドロラーゼ;EC 3.1.3.5)であり、中性pHで、プリン5-プライムモノヌクレオチドのヌクレオシドへの変換を触媒し、好ましい基質はAMPである。このような遺伝子の発現は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合で低減されるのが好ましく、例えば、qPCR技法によって決定することができる。
好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、アデノシンA2A受容体経路を調節するためのものである。ADORA2Aとしても知られているアデノシンA2A受容体は、免疫細胞を抑制することができるアデノシン受容体である。上記のように、CD73の及び/又はENTPD1の発現を低減する際の、本発明による組成物の活性は、A2A受容体経路を妨害し、免疫抑制を低減する。これは、免疫監視を回避する腫瘍細胞の能力が低減されるため、抗腫瘍効果をもたらす。好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、免疫監視に対する腫瘍細胞の感受性を増加させるためのものである。このような増加は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%若しくは75%、又はそれより高い割合の腫瘍体積の低減をもたらすのが好ましい。より好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物又は本発明による使用のためのmiRNAは、CD8+エフェクターT細胞の動員を増加させながら、好ましくは、LAG3の若しくはFoxP3の、又は両方の発現を低減することなどによって、Tregを減少させながら、免疫監視に対する腫瘍細胞の感受性を増加させるためのものである。免疫監視に対して増加した感受性は、腫瘍体積の低減をもたらすことが好ましい。
本発明者らは、miRNA-193aがいくつかの経路及び遺伝子をモジュレートすることを見出した。miRNA-193aのこの活性は、それらの経路又は遺伝子と関連する状態を処置するために使用することができる。したがって、好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNA-193a又はそのソースが提供され、ここでmiRNA-193aは、RPS6KB2、KRAS、PDGFRB、SOS2、TGFBR3、CASP9、INPPL1、PIK3R1、PTK2、CBL、PDPK1、CCND1、BCAR1、MAGI3、MDM2、YWHAZ及びMCL1、及び任意選択でHMGB2からなる群から、好ましくはRPS6KB2、KRAS、PDGFRB、CASP9、INPPL1、PIK3R1、PTK2、CBL、PDPK1、CCND1、BCAR1、MAGI3、MDM2、YWHAZ、MCL1からなる群から選択される、より好ましくはPDPK1又はINPPL1から選択される遺伝子の発現をモジュレートする。このモジュレーションは、好ましくは下方制御である。好ましい実施形態では、PDPK1はmiRNAによってモジュレートされ、好ましくは下方制御される。好ましい実施形態では、INPPL1はmiRNAによってモジュレートされ、好ましくは下方制御される。一実施形態では、遺伝子はHMGB1であり、それは好ましくは下方制御される。
モジュレーションは、本明細書の他の箇所で定義される。上方制御は、発現の増加を指し、それは増加した転写、mRNAの生成、翻訳、遺伝子産物の生成及び/又は遺伝子産物の活性を指すことができる。下方制御は発現の減少を指し、減少した転写、mRNAの生成、翻訳、遺伝子産物の生成及び/又は遺伝子産物の活性を指すことができる。好ましくは、上方制御及び下方制御はmRNAの生成の転写を指す。他の好ましい実施形態では、上方制御及び下方制御は遺伝子産物の活性を指す。上方制御及び下方制御は、好ましくは参照と、例えば健常な細胞と、又は、例えばさもなければ同一の条件の下で培養されるときの未処置の細胞と比較したものである。例えば、miRNA-193aが細胞中のINPPL1の下方制御のために使用されるならば、miRNA-193aは、好ましくはmiRNA-193aと接触しなかった細胞(同じ種類の)と比較して、その細胞でのINPPL1の発現を減少させる。発現の変化は、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、100、125、150、200、250%又はそれ以上、より好ましくは少なくとも50%以上、さらにより好ましくは少なくとも100%以上である。下方制御の場合には、任意選択で下方制御の後にはいかなる検出可能な発現もない。
本発明による使用のための組成物及び本発明による使用のためのmiRNAは、腫瘍細胞において細胞周期アレストを促進する。好ましい実施形態では、本発明による使用のためのmiRNA又は本発明による使用のための組成物は、がんの処置における使用のためのものであり、この使用は、細胞周期アレストを誘導するためのものである。細胞周期アレストプロファイルは、例えば核画像化又はフローサイトメトリーを実行することによって測定することができ、好ましくは実施例で実証される通りである。この文脈では、細胞周期アレストは、好ましくはG2/M又はSubG1細胞周期アレストプロファイルの誘導である。好ましくは、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%又は75%又はそれ以上の腫瘍細胞が細胞周期アレストを受ける。好ましくは、本発明による使用のためのmiRNAが、PTEN欠乏性の黒色腫、肝がん、癌腫、肺がん又は膵がんを処置するためのものである場合、本発明による使用のためのmiRNAは、細胞周期アレストプロファイルを増加させるためのものである。
組成物
本発明は、本発明による使用のためのmiRNAを含む組成物にも関し、ここで、組成物はその同じ使用のためのものである。そのような組成物は、本発明による使用に関するmiRNA-193a又はそのソースを含む。それは、本発明による使用のための組成物と以降で呼ばれる。好ましくは、そのような組成物は、医薬組成物である。そのような組成物は、好ましくは薬学的に許容される溶媒、又は薬学的に許容される賦形剤、又は薬学的に許容される希釈剤、又は薬学的に許容される担体をさらに含む。
本発明による使用のための好ましい組成物は、miRNA-193a又はそのソースを含み、ここで好ましくは、miRNA-193aはmiRNA-193a分子、isomiR又はその模倣体である。より好ましくは、本発明による使用のための組成物は、miRNA-193a又はそのソースを含み、ここで、miRNA-193aはmiRNA-193a分子、isomiR又はその模倣体であり、配列番号22で表されるシード配列の7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含むシード配列を有するオリゴヌクレオチドである。非常に好ましい組成物は、後に本明細書で定義されるようなナノ粒子を含む。
好ましい実施形態では、この態様は、さらなるmiRNA又はその前駆体をさらに含む、本発明による使用のための組成物を提供し、ここで、さらなるmiRNAは、miRNA-323、miRNA-342、miRNA-520f、miRNA-520f-i3、miRNA-3157及びmiRNA-7又はそのisomiR、又はその模倣体からなる群から選択される。
本発明者らは、本発明による使用のための組成物として使用するとき、ジアミノ脂質を含むナノ粒子製剤が優れた結果を提供することを驚くべきことに見出した。したがって、好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物はナノ粒子組成物であり、ナノ粒子はジアミノ脂質及び上で定義されたmiRNA-193a又はそのソースを含み、
ジアミノ脂質は一般式(I)
Figure 2023515010000002

(式中、
nは、0、1又は2であり、
、T及びTはそれぞれ独立して、任意選択で不飽和であり、0、1、2、3又は4つの置換基を有するC10~C18鎖であり、置換基は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される)のものである、ナノ粒子組成物。
そのような組成物は、本発明による使用のためのナノ粒子組成物と以降で呼ばれる。この出願の文脈では、ナノ粒子は、ナノメートル範囲、又は一部の場合にはマイクロメートル範囲の寸法を有する粒子である。好ましくは、ナノ粒子は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200ナノメートル又はそれを超えるナノメートルの直径であり、直径は、好ましくは、ナノ粒子の集団の平均径である。好ましくは、ナノ粒子は、最大100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、2000、5000、又は10000ナノメートルの直径である。より好ましくは、ナノ粒子は、40~300nmの、さらにより好ましくは50~200nmの、さらにより好ましくは50~150nmの、最も好ましくは65~85nmの、例えば約70nmの平均径を有する。
本発明による使用のためのナノ粒子組成物は、オリゴヌクレオチドをさらに含む脂質ナノ粒子を含む。オリゴヌクレオチドは、ナノ粒子のカーゴ又はペイロードと考えることができる。したがって、ナノ粒子は、例えば、ミセル、リポソーム、リポプレックス、単層ベシクル、多層ベシクル、又はその架橋バリアントであり得る。ナノ粒子は、ミセル、リポソーム、又はリポプレックスであることが好ましい。ナノ粒子の組成について言及される場合、ジアミノ脂質及び任意選択でさらなる賦形剤への言及が意図され、いずれのカーゴ物質への言及も意図されない。非限定的な例として、ナノ粒子が50モル%のジアミノ脂質及び50モル%の他の賦形剤を含むと考えられる場合、モルパーセンテージは、ジアミノ脂質及び他の賦形剤のみに関し、オリゴヌクレオチドのモル分率又は溶媒のモル分率は考慮されていない。
本発明が複数のmiRNA分子、isomiR、模倣体又はそのソースを含む組成物に関するとき、各miRNA分子、isomiR、模倣体又はそのソースはそれぞれ別個の組成物に存在してもよいことが包含される。各組成物は、逐次的に若しくは同時に対象へ投与することができるか、又は使用前に単一の組成物中に混合されてもよい。或いは、複数のmiRNA分子、isomiR、模倣体又はそのソースが、本明細書に定義される単一の組成物中に存在することも包含される。
本発明による使用のためのナノ粒子組成物は、一般式(I)のジアミノ脂質を含むが、それはさらなる脂質を含むこともできる。好ましい実施形態では、ジアミノ脂質は、モルパーセントでナノ粒子中に最も多く見られる脂質である。本明細書で使用されるように、用語脂質はCHClなどの無極性の溶媒に可溶性である物質を指す。本発明で使用するジアミノ脂質は、スペーサーに連結される3つのテイルを有し、したがって天然に存在するトリグリセリド脂質に似ている。いくつかのこのような脂質が公知である(米国特許第8691750号)。
一般式(I)のジアミノ脂質は、様々な長さの脂肪族スペーサーによって分離されている2つの第三級アミンを含む。スペーサーは、脂質の頭部サイズを決定する助けとなる。nは、0、1、又は2であり得、そのため、スペーサーは、事実上、1,2-エチレン、n-1,3-プロピレン、又はn-1,4-ブチレンスペーサーである。特に好ましい実施形態では、nは、0である。特に好ましい実施形態では、nは、1である。特に好ましい実施形態では、nは、2である。nが1であることが最も好ましい。したがって、好ましい実施形態では、本発明は、本発明による使用のためのナノ粒子組成物を提供し、ジアミノ脂質は一般式(I)(式中、nは1である)のものである、ナノ粒子組成物。したがって、好ましい実施形態では、本発明は、本発明による使用のためのナノ粒子組成物を提供し、ジアミノ脂質は一般式(I-1)
Figure 2023515010000003

(式中、T、T、及びTは、それぞれ独立して、任意選択で不飽和であり、0、1、2、3、又は4つの置換基を有するC10~C18鎖であり、置換基は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される)
のものである。
、T、及びTは、脂質のテイルと考えることができ、任意選択で不飽和であり、最大4つの任意選択の置換基を有する脂肪族C10~C18である。T、T、及びTは、独立して選択されてもよく、又はT、T、及びTのうちの2若しくは3つについて、同じ選択がなされてもよい。好ましい実施形態では、この態様は、本発明による使用のためのナノ粒子組成物であって、ジアミノ脂質が、一般式(I)(式中、T、T、及びTは同一である)のものである、ナノ粒子組成物を提供する。同一であることは、同位体の天然存在比を考慮すべきであることを意味するほど狭くに解釈されるべきではなく-同一であることは、好ましくは、描写された構造式で表される分子構造だけを指すに過ぎない。
鎖が長いほど、一般的には、より強固な脂質膜をもたらすことになる。この出願では、C10~C18における数値は、Cの総含量ではなく、決定することができる最も長い連続した鎖を指す。非限定的な例として、6位にn-プロピル置換基を有するn-ドデシル鎖は、15C原子を含むが、最も長い連続鎖が12C原子の長さを有することから、C12鎖である。不飽和であることは、不飽和が鎖のcisにある場合、より強固ではない膜をもたらし、それを曲げることができる。好ましい不飽和は、cisである。好ましい実施形態では、T、T、及びTは、0、1、2、3、又は4つの不飽和を含有する。より好ましい実施形態では、T、T、及びTは、1、2、3、又は4つの不飽和を含有する。さらにより好ましい実施形態では、T、T、及びTは、1、2、又は3つの不飽和、好ましくは3つの不飽和を含有する。
任意選択の置換基は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される。好ましい任意選択の置換基は、C~Cアルキルであり、より好ましくはC~Cアルキルであり、最も好ましくはメチル(-CH)である。このような置換基のうちの0、1、2、3、又は4つが存在し、このことは、置換基が存在しない可能性もあることを意味する。このように、置換基は任意選択的である。好ましくは、0、1、2、又は3つのこのような置換基が存在する。
好ましい実施形態では、T、T、及びTは、それぞれ独立して、任意選択で不飽和であり、0、1、2、3、又は4つの置換基を有するC10~C18鎖であり、置換基は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される。より好ましい実施形態では、T、T、及びTは、それぞれ独立して、任意選択で不飽和であり、0、1、2、3、又は4つの置換基を有するC10~C14鎖であり、置換基は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される。最も好ましくは、T、T、及びTは、それぞれ独立して、任意選択で不飽和であり、0、1、2、3、又は4つの置換基を有するC12鎖であり、置換基は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される。
好ましい実施形態では、T、T、及びTは、それぞれ独立して、1、2、3、又は4つの不飽和を有し、0、1、2、3、又は4つの置換基を有するC10~C18鎖であり、置換基は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される。
好ましい実施形態では、T、T、及びTは、それぞれ独立して、1、2、又は3つの不飽和を有し、1、2、3、又は4つの置換基を有するC10~C18鎖であり、置換基は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される。
好ましい実施形態では、T、T、及びTは、それぞれ独立して、1、2、又は3つの不飽和を有し、1、2、3、又は4つの置換基を有するC10~C18鎖であり、置換基は、C~Cアルキルからなる群から選択される。
好ましい実施形態では、T、T、及びTは、それぞれ独立して、1、2、又は3つの不飽和を有し、1、2、又は3つの置換基を有するC10~C14鎖であり、置換基は、C~Cアルキルからなる群から選択される。
、T及びTのための好ましい実施形態は(名前は系統的なC番号付けによる、コロンの後の数字(C12:3におけるような)は不飽和の程度を示す)、(2E、6E)-ファルネシル(C12:3)、ラウリル(C12)、トリデシル(C13)、ミリスチル(C14)、ペンタデシル(C15)、セチル(C16)、マルガリル(C17)、ステアリル(C18)、α-リノレニル(C18:3)、γ-リノレニル(C18:3)、リノレイル(C18:2)、ステアリジル(C18:4)、ワクセニル(C18:1)、オレイル(C18:1)、エライジル(C18:1)、パルミトレイル(C16:1)、(2E、6Z)-ファルネシル、(2Z、6E)-ファルネシル、(2Z、6Z)-ファルネシル及び3,7,11-トリメチルドデシルである。
したがって、好ましい実施形態では、この態様は、本発明による使用のためのナノ粒子組成物であって、ジアミノ脂質が、一般式(I)(式中、T、T、及びTは、それぞれ独立して、ファルネシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、マルガリル、ステアリル、α-リノレニル、γ-リノレニル、リノレイル、ステアリジル、ワクセニル、オレイル、エライジル、パルミトレイル及び3,7,11-トリメチルドデシルからなる群から選択される)のものである、ナノ粒子組成物を提供する。好ましくは、T、T、及びTは、それぞれ独立して、ファルネシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、α-リノレニル、γ-リノレニル、リノレイル、ステアリジル、オレイル、パルミトレイル、及び3,7,11-トリメチルドデシルからなる群から選択される。より好ましくは、T、T、及びTは、それぞれ独立して、ファルネシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ステアリジル、パルミトレイル、及び3,7,11-トリメチルドデシルからなる群から選択される。さらにより好ましくは、T、T、及びTは、それぞれ独立して、ファルネシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、及び3,7,11-トリメチルドデシルからなる群から選択される。さらにより好ましくは、T、T、及びTは、それぞれ独立して、ファルネシル、ラウリル、及び3,7,11-トリメチルドデシルからなる群から選択される。最も好ましくは、T、T、及びTは、それぞれ独立して、ファルネシル、例えば、(2E,6E)ファルネシル、(2E,6Z)ファルネシル、(2Z,6E)ファルネシル、又は(2Z,6Z)ファルネシルであり、好ましくは、それらは、それぞれ、(2E,6E)ファルネシルである。
ファルネシルは、3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエニルとしても公知であり、不飽和直鎖状C12鎖であり;(2E,6E)、(2E,6Z)、(2Z,6E)、又は(2Z,6Z)であり得;好ましくは、(2E,6E)である。ラウリルは、ドデシルとしても知られており、飽和直鎖状C12鎖である。トリデシルは、飽和直鎖状C13鎖である。ミリスチルは、テトラデシルとしても知られており、飽和直鎖状C14鎖である。ペンタデシルは、飽和直鎖状C15鎖である。セチルは、パルミチルとしても知られており、飽和直鎖状C16鎖である。マルガリルは、ヘプタデシルとしても知られており、飽和直鎖状C17鎖である。ステアリルは、オクタデシルとしても知られており、飽和直鎖状C18鎖である。α-リノレニルは、(9Z,12Z,15Z)-9,12,15-オクタデカトリエニルとしても知られており、不飽和直鎖状C18鎖である。γ-リノレニルは、(6Z,9Z,12Z)-6,9,12-オクタデカトリエニルとしても知られており、不飽和直鎖状C18鎖である。リノレイルは、(9Z,12Z)-9,12-オクタデカジエニルとしても知られており、不飽和直鎖状C18鎖である。ステアリジルは、(6Z,9Z,12Z,15Z)-6,9,12,15-オクタデカテトラエニルとしても知られており、不飽和直鎖状C18鎖である。バクセニルは、(E)-オクタデカ-11-エニルとしても知られており、不飽和直鎖状C18鎖である。オレイルは、(9Z)-オクタデカ-9-エニルとしても知られており、不飽和直鎖状C18鎖である。エライジルは、(9E)-オクタデカ-9-エニルとしても知られており、不飽和直鎖状C18鎖である。パルミトレイルは、(9Z)-ヘキサデカ-9-エニルとしても知られており、不飽和直鎖状C18鎖である。3,7,11-トリメチルドデシルは、飽和ファルネシルであり、飽和直鎖状C12鎖である。
組成物は、溶媒及び/又は賦形剤、好ましくは薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことができる。好ましい溶媒は、薬学的に許容される緩衝液、例えば、PBS又はクエン酸緩衝液などの水性溶液である。好ましいクエン酸緩衝液は、好ましくはNaOHを使用して設定された、pH2.5~3.5、例えば、pH3の50mMのクエン酸塩を含む。好ましいPBSは、pH7~8、例えば、pH7.4である。PBSは、二価のカチオン、例えば、Ca2+及びMg2+を含まないのが好ましい。別の好ましい薬学的に許容される賦形剤は、エタノールである。最も好ましくは、組成物は、生理的緩衝液、例えば、PBS又はグッドの緩衝液又はHepes緩衝食塩水又はハンクス平衡塩類溶液又はリンガー平衡塩類溶液又はTris緩衝液を含む。好ましい組成物は、医薬組成物である。組成物は、さらなる賦形剤を含んでもよい。これらのさらなる賦形剤は、ナノ粒子中に含まれてもよい。
好ましい実施形態では、この態様は、アドステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、コレカルシフェロール、コレステンジオン、コレステノール、コレステロール、デルタ-7-スチグマステロール、デルタ-7-アベナステロール、ジヒドロタキステロール、ジメチルコレステロール、エルゴカルシフェロール、エルゴステロール、エルゴステノール、エルゴスタトリエノール、エルゴスタジエノール、エチルコレステノール、フシジン酸、ラノステロール、ノルコレスタジエノール、β-シトステロール、スピナステロール、スチグマスタノール、スチグマステノール、スチグマスタジエノール、スチグマスタジエノン、スチグマステロール及びスチグマステノンからなる群から好ましくは選択されるステロール、より好ましくはコレステロールをさらに含む、本発明による使用のためのナノ粒子組成物を提供する。より詳細には、好ましい実施形態では、この態様は、本発明による使用のためのナノ粒子組成物を提供し、ナノ粒子は、アドステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、コレカルシフェロール、コレステンジオン、コレステノール、コレステロール、デルタ-7-スチグマステロール、デルタ-7-アベナステロール、ジヒドロタキステロール、ジメチルコレステロール、エルゴカルシフェロール、エルゴステロール、エルゴステノール、エルゴスタトリエノール、エルゴスタジエノール、エチルコレステノール、フシジン酸、ラノステロール、ノルコレスタジエノール、β-シトステロール、スピナステロール、スチグマスタノール、スチグマステノール、スチグマスタジエノール、スチグマスタジエノン、スチグマステロール及びスチグマステノンからなる群から好ましくは選択されるステロール、より好ましくはコレステロールをさらに含む。
好ましくは、このようにさらに含まれるステロールは、いずれの部分にもコンジュゲートされない。コンジュゲートされたステロールはまた、本明細書で後に説明されるように含まれ得る。このように、コンジュゲートされたステロールとコンジュゲートされていないステロールの両方が含まれ得る。別段に明示的に示されていなければ、ステロールへの言及は、コンジュゲートされていないステロールへの言及を意図する。
ステロールが組成物中に含まれる場合、ナノ粒子中に含まれることが好ましく、好ましくは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、又は70モル%のステロールが含まれ;好ましくは、最大80、75、70、65、60、65、50、45、40、35、又は30モル%のステロールが含まれる。上記で説明されたように、このモルパーセンテージは、脂質ナノ粒子を作製する物質に関するに過ぎず、溶媒又はオリゴヌクレオチドなどのカーゴに関するものではない。ステロールが組成物中に含まれる場合、好ましくは5~70モル%、15~60モル%、25~60モル%、35~60モル%、40~60モル%、又は45~55モル%が含まれ;より好ましくは40~60モル%又は45~55モル%が含まれ、最も好ましくは45~55モル%、例えば、48モル%又は54モル%が含まれる。
好ましい実施形態では、この態様は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、卵ホスファチジルコリン(EggPC)、ダイズホスファチジルコリン(SoyPC)からなる群から好ましくは選択されるリン脂質、より好ましくはジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)をさらに含む、本発明による使用のためのナノ粒子組成物を提供する。より詳細には、好ましい実施形態では、この態様は、本発明による使用のためのナノ粒子組成物を提供し、ナノ粒子は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、卵ホスファチジルコリン(EggPC)、ダイズホスファチジルコリン(SoyPC)からなる群から好ましくは選択されるリン脂質、より好ましくはジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)をさらに含む。
好ましくは、このようにさらに含まれるリン脂質は、いずれの部分にもコンジュゲートされない。コンジュゲートされたリン脂質はまた、本明細書で後に説明されるように含まれ得る。このように、コンジュゲートされたリン脂質とコンジュゲートされていないリン脂質の両方が含まれ得る。
リン脂質が組成物中に含まれる場合、ナノ粒子中に含まれることが好ましく、好ましくは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、又は60モル%のリン脂質が含まれ;好ましくは、最大65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、又は5モル%のリン脂質が含まれる。上記で説明されたように、このモルパーセンテージは、脂質ナノ粒子を作製する物質に関するに過ぎず、溶媒又はオリゴヌクレオチドなどのカーゴに関するものではない。リン脂質が組成物中に含まれる場合、好ましくは0~40モル%、0~35モル%、0~30モル%、5~30モル%、5~25モル%、又は5~20モル%が含まれ;より好ましくは5~20モル%又は5~15モル%が含まれ、最も好ましくは5~15モル%、例えば、10モル%又は11モル%が含まれる。
好ましい実施形態では、この態様は、水溶性ポリマー及び親油性アンカーのコンジュゲートをさらに含む、本発明による使用のためのナノ粒子組成物を提供し、
ここで:
i)水溶性ポリマーが、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ヒドロキシエチル-l-アスパラギン)(PHEA)、ポリ-(ヒドロキシエチル-L-グルタミン)(PHEG)、ポリ(グルタミン酸)(PGA)、ポリグリセロール(PG)、ポリ(アクリルアミド)(PAAm)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)(PHPMA)、及びポリ(2-オキサゾリン)(POx)、例えば、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)(PMeOx)及びポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEtOx)、又はそのコポリマーからなる群から選択され、
ii)親油性アンカーが、ステロール、脂質、及びビタミンE誘導体からなる群から選択される。好ましくは、親油性アンカーは、脂質、より好ましくはジグリセリドである。
より詳細には、好ましい実施形態では、この態様は、本発明による使用のためのナノ粒子組成物を提供し、ここで、ナノ粒子は上で定義された水溶性ポリマー及び親油性アンカーのコンジュゲートをさらに含む。水溶性ポリマーは、一般的に、親油性アンカーを介して連結されている、ナノ粒子のコロイド安定性を増大させる。一般的に、親油性アンカーは、脂質二重層又はミセル中に埋め込まれ、よって、水溶性ポリマーをナノ粒子表面に連結させる。このために、このような水溶性ポリマーを使用することは、当技術分野で公知である(Knopら、2010年、doi:10.1002/anie.200902672)。好ましい水溶性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)である。好ましくは、水溶性ポリマーは、約750Da~約15000Da、より好ましくは約1000Da~約6000Da、さらにより好ましくは約1000Da~約3000Da、最も好ましくは約1500Da~約3000Daの範囲の、例えば、約2000Daの分子量を有する。したがって、PEG-2000は、上記のように、コンジュゲートにおいて使用するのに好ましい水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーは、直鎖状ポリマーであることが好ましく、その2つの末端のうちの1つでコンジュゲートされていることが好ましい。他の末端は、生理的条件で非荷電であること、例えば、ヒドロキシル基又はメチル若しくはエチルエーテルであることが好ましい。好ましくは、コンジュゲートされていない末端は、メチルエーテル又はヒドロキシル基、最も好ましくはメチルエーテルである。
水溶性ポリマーがコンジュゲートされる親油性アンカーは、一般的に、水溶性ポリマーとナノ粒子の間の接続を確保するために機能する。ポリマーとアンカー間の特定のコンジュゲーションは重要でなく、当業者は任意の好適な化学結合、例えばエステル結合、アミド結合、エーテル結合、トリアゾール又は水溶性ポリマーを親油性アンカーにコンジュゲートすることから生じる任意の他の部分を選択することができる。コハク酸又はグルタル酸などの小さなリンカーの使用も想定される。親油性アンカーは、ステロール、脂質、及びビタミンE誘導体からなる群から選択される。好ましいステロールは上記されている。好ましいビタミンE誘導体は、トコフェロール及びトコトリエノール、例えば、アルファ-トコフェロール、ベータ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、デルタ-トコフェロール、及び対応するトコトリエノールである。好ましくは、親油性アンカーは、脂質、より好ましくはジグリセリド又はリン脂質である。好ましい脂質の例は上記されており、好ましいジグリセリドの例は、ジステアロイルグリセロール、好ましくは、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール、ジパルミトイルグリセロール、好ましくは1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール、ジオレオイルグリセロール、好ましくは1,2-ジオレオイル-sn-グリセロール、及びジアラキドイルグリセロール、好ましくは1,2-ジアラキドイル-sn-グリセロールである。最も好ましいジグリセリドは、ジステアロイルグリセロール、好ましくは1,2-ジステアロイル-sn-グリセロールである。
上記のように、コンジュゲートの好適な例は、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール)-[メトキシ(ポリエチレングリコール-2000)]エーテル、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール)-[メトキシ(ポリエチレングリコール-1500)]エーテル、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール)-[メトキシ(ポリエチレングリコール-3000)]エーテル、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール)-[ヒドロキシ(ポリエチレングリコール-2000)]エーテル、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール)-[ヒドロキシ(ポリエチレングリコール-1500)]エーテル、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール)-[ヒドロキシ(ポリエチレングリコール-3000)]エーテル、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[メトキシ(ポリエチレングリコール-2000)カルボキシレート]、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[メトキシ(ポリエチレングリコール-1500)カルボキシレート]、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[メトキシ(ポリエチレングリコール-3000)カルボキシレート]、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[ヒドロキシ(ポリエチレングリコール-2000)カルボキシレート]、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[ヒドロキシ(ポリエチレングリコール-1500)カルボキシレート]、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[ヒドロキシ(ポリエチレングリコール-3000)カルボキシレート]、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[メトキシ(ポリエチレングリコール-2000)カルバメート]、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[メトキシ(ポリエチレングリコール-1500)カルバメート]、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[メトキシ(ポリエチレングリコール-3000)カルバメート]、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[ヒドロキシ(ポリエチレングリコール-2000)カルバメート]、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[ヒドロキシ(ポリエチレングリコール-1500)カルバメート]、及び(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[ヒドロキシ(ポリエチレングリコール-3000)カルバメート]であり、ステアロイル部分は、他の脂肪酸によって、好ましくは他のC10~C20脂肪酸によって任意選択で置き換えることができる。上記のように、カルバメート及びエステルでは、親アミン及び親アルコール及び親カルボン酸を入れ替えることもでき、例えば、PEG-アルコールをジグリセリドのカルボン酸類似体と反応させることができる。コンジュゲートの最も好ましい例は、DSG-PEG(CAS番号:308805ー39-2)としても知られている、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール)-[メトキシ(ポリエチレングリコールー2000)]エーテル、及びそのエステル類似体(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[メトキシ(ポリエチレングリコール-2000)カルボキシレート]、及びそのカルバメート類似体(1,2-ジステアロイル-sn-グリセリル)-[メトキシ(ポリエチレングリコールー2000)カルバメート]又はDSA-PEG、及びそのアミド類似体としても知られている、1,2-ジステアロイルオキシプロピルアミン3-N-メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000カルバモイルである。
上記のようなコンジュゲートが組成物中に含まれる場合、ナノ粒子中に含まれることが好ましく、好ましくは、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、又は5.0モル%のコンジュゲートが含まれ;好ましくは、最大6.5、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、又は0.5モル%のコンジュゲートが含まれる。上記で説明されているように、このモルパーセンテージは、脂質ナノ粒子を作製する物質に関するに過ぎず、溶媒又はオリゴヌクレオチドなどのカーゴに関するものではない。コンジュゲートが組成物中に含まれる場合、好ましくは、0~4モル%、0~3モル%、0.3~3モル%、0.5~3モル%、0.5~2.5モル%、又は1~2.5モル%が含まれ、より好ましくは、0.5~2.5モル%又は0.7~2.5モル%が含まれ、最も好ましくは、0.8~2.4モル%、例えば、1モル%又は2モル%が含まれる。
好ましいナノ粒子は、ジアミノ脂質及びステロールを含む。さらに好ましいナノ粒子は、ジアミノ脂質及びリン脂質を含む。さらに好ましいナノ粒子は、ジアミノ脂質及び水溶性ポリマーと親油性アンカーのコンジュゲートを含む。好ましいナノ粒子は、ジアミノ脂質及びステロール及びリン脂質を含む。好ましいナノ粒子は、ジアミノ脂質及びステロール及び水溶性ポリマーと親油性アンカーのコンジュゲートを含む。好ましいナノ粒子は、ジアミノ脂質及びリン脂質及び水溶性ポリマーと親油性アンカーのコンジュゲートを含む。最も好ましいナノ粒子は、ジアミノ脂質及びステロール及びリン脂質及び水溶性ポリマーと親油性アンカーのコンジュゲートを含む。
好ましい実施形態では、この態様は、本発明による使用のためのナノ粒子組成物を提供し、ナノ粒子は以下を含む:
i)20~60モル%のジアミノ脂質、及び
ii)0~40モル%のリン脂質、及び
iii)30~70モル%のステロール、好ましくはコレステロール、及び
iv)0~10モル%の水溶性ポリマー及び上で定義された親油性アンカーのコンジュゲート。
さらなる好ましい実施形態では、ナノ粒子は、
i)25~55モル%のジアミノ脂質、及び
ii)1~30モル%のリン脂質、及び
iii)35~65モル%のステロール、好ましくはコレステロール、及び
iv)0.1~4モル%の、水溶性ポリマーと親油性アンカーのコンジュゲート
を含む。
さらなる好ましい実施形態では、ナノ粒子は、
i)30~50モル%のジアミノ脂質、及び
ii)5~15モル%のリン脂質、及び
iii)40~60モル%のステロール、好ましくはコレステロール、及び
iv)0.5~2.5モル%の、水溶性ポリマーと親油性アンカーのコンジュゲート
を含む。
さらなる好ましい実施形態では、ナノ粒子は、
i)約38~42モル%のジアミノ脂質、及び
ii)約8~12モル%のリン脂質、及び
iii)約46~50モル%のステロール、好ましくはコレステロール、及び
iv)約1.8~2.2モル%の、水溶性ポリマーと親油性アンカーのコンジュゲート
を含む。
本発明による使用のための組成物は、追加の治療的活性剤を有利に含むことができる。好ましい実施形態では、PP2Aメチル化剤、肝細胞増殖因子(HGF)の阻害剤、抗体、PI3K阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、OX40の結合剤などのT細胞副刺激分子の結合剤、及び化学療法剤からなる群から好ましくは選択される、追加の薬学的に活性な化合物をさらに含む、本発明による使用のための組成物が提供される。化学療法剤は、本明細書で後に定義される。
PP2Aメチル化剤はPP2Aを活性化することができ、それはp53などのがん抑制因子を次に活性化する(米国特許出願公開第2007280918号を参照する)。特に好ましいPP2Aメチル化剤は、ベタイン(水和ベタイン又はさらにトリメチルアンモニオ-2酢酸塩)又はその薬学的に許容される塩の1つ、特にクエン酸ベタインである。HGF阻害剤はHGFを阻害することができ、それは肺、結腸、直腸、胃、腎臓、卵巣、皮膚、多発性骨髄腫及び甲状腺組織に由来する腫瘍を含む、様々なヒト固形腫瘍の上で同時発現され、しばしば過剰発現される(国際出願2009126842を参照する)。好ましいHGF阻害剤は、トランケーションされたHGFタンパク質、例えば、NK1(N末端ドメインプラスクリングルドメイン1;Lokkerら、J.Biol.Chem.268:17145、1993年);NK2(N末端ドメインプラスクリングルドメイン1及び2;Chanら、Science 254:1382、1991年);及び、ヌードマウスモデルでマウスの肺腫瘍LLCの一次増殖及び転移を部分的に阻害することが示された(Kubaら、Cancer Res.60:6737、2000年)NK4(N末端ドメインプラス4つのクリングルドメイン)、抗HGFmAb、例えばL2G7(Kimら、Clin Cancer Res 12:1292、2006年、及び米国特許第7,220,410号)、HuL2G7(国際公開07115049A2)、国際出願2005/017107A2に記載されるヒトmAb、及び国際公開07143090A2又は国際公開07143098A2に記載されるHGF結合性タンパク質である。PI3K阻害剤は公知である。好ましいPI3K阻害剤は、GSK2636771B、GSK2636771、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ及びアルペリシブである。Akt阻害剤は公知である。好ましいAkt阻害剤は、VQD-002、ペリホシン、ミルテフォシン、MK-2206、AZD5363及びイパタセルチブである。mTOR阻害剤は公知である。好ましいmTOR阻害剤は、シロリムス、エベロリムス、リダホロリムス、テムシロリムス、ウミロリムス及びゾタロリムスである。T細胞副刺激分子の結合剤は、国際出願2019106605に記載されている。好ましいそのような結合剤は、OX40に対する抗体などのOX40の結合剤である。
PTENをアゴナイズするための方法
本発明は、PTENをアゴナイズするための方法も提供し、本方法は、細胞を上の使用について定義されるmiRNA-193aと、又は上の使用について定義される組成物と接触させるステップを含む。したがって、細胞はmiRNA-193a分子、isomiR、模倣体又はそのソースと接触させる。本方法は、in vivo、in vitro又はex vivoの方法であってよく、好ましくは、それはin vitro又はex vivoの方法である。PTENをアゴナイズすることは本明細書の他の箇所で定義される通りであり、好ましくはPTENの発現を増加させるか、PTENタンパク質の活性を増加させるか、又はPTENタンパク質のレベルを増加させ、より好ましくは、それはPTENタンパク質の活性を増加させる。PTENの活性又はレベルは好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも25%増加する。細胞を接触させる方法は、当技術分野で公知である;好ましくは、miRNAはさらなる賦形剤なしで細胞培地に加えられるか、又はそれは例えばトランスフェクション試薬を用いてトランスフェクトされる。
一般的定義
この文書及びその特許請求の範囲では、動詞「含むこと(to comprise)」及びその活用形は、その語の後に続く項目が含まれることを意味するために非限定的意味で使用されるが、具体的に述べられていない項目を除外するものではない。さらに、不定冠詞「a」又は「an」による要素への言及は、文脈が要素のうちの1つ及び1つだけが存在することを明確に要求していなければ、要素の2つ以上が存在する可能性を除外するものではない。よって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
「約(about)」又は「およそ(approximately)」という語は、数値と共に使用される場合(例えば、約10)、好ましくは、その値が、その値の1%多いか又は少ない所与の値であってもよいことを意味する。分子の部分又は下位構造が同一であると言われる場合、同位体の天然存在度分布は説明されない。同一の性質は、描かれるであろう構造式を指す。
本明細書で使用される場合、モル%は、モル分率(mole fraction)又はモル分率(molar fraction)又はモルパーセント又は物質量分率としても公知である、モルパーセンテージを指す。これは、混合物中の全成分の総量で除した、成分のモル量を指し、モルでも表される。
本発明の文脈では、評価されるパラメーターの低下又は増加は、そのパラメーターに対応する値の少なくとも5%の変化を意味する。より好ましくは、値の低下又は増加は、少なくとも10%、さらにより好ましくは少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも90%、又は100%の変化を意味する。この後者の場合には、パラメーターと関連する検出可能な値がもはや存在しない場合であり得る。
この文書において記載されているように、医薬としての物質の使用は、医薬の製造における前記物質の使用として解釈することもできる。同様に、物質が処置のために又は医薬として使用される際は常に、その物質は、処置のための医薬の製造のためにも使用することができる。使用のための製品は処置の方法で、例えばPTEN欠乏症、好ましくはPTEN欠乏性がんと関連した状態を処置するための方法で使用するのに好適であり、本方法は、対象に本発明による使用のためのmiRNA-193a又は本発明による使用のための組成物を投与するステップを含む。
本発明は、いくつかの例示的な実施形態に関して上記されている。いくつかの部品又は要素の修飾及び代替的実施が可能であり、添付の特許請求の範囲に定義されているように、保護の範囲内に含まれる。文献及び特許文書についての引用は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用されるように、例えば遺伝子の発現に関して「モジュレートする」は、機能の任意の天然又は既存のレベルを変更することを意味し、例えば、それは増加又は低減することによって発現に影響を及ぼすことを意味する。モジュレーションは、例えばシグナル伝達を上方制御又はアゴナイズすること、並びにシグナル伝達又は不変の若しくはモジュレートされていない状態で生じるリガンド若しくは化合物若しくは分子との相互作用を下方制御、拮抗又はブロックすることを含む。したがって、モジュレーターはアゴニスト又はアンタゴニストであってよい。アゴニスト又はアンタゴニストの活性は、当技術分野で公知である様々なアッセイ、例えば、限定されずに、細胞シグナル伝達、細胞増殖、免疫細胞活性化マーカー及びサイトカイン生成の測定によってin vitroで測定することができ、任意選択でモジュレートされていない参照試料との比較を含む。アゴニスト又はアンタゴニストの活性は、代用エンドポイントを測定する様々なアッセイ、例えば、限定されずに、T細胞増殖又はサイトカイン生成の測定によってin vivoで測定することもできる。
本明細書で言及される一般的技術
マイクロRNA分子(「miRNA」)は、17ヌクレオチド長から最大25ヌクレオチド長であることが報告されているが、一般的には、21~22ヌクレオチド長である。したがって、17、18、19、20、21、22、23、24、25の任意の長さが本発明に包含される。miRNAはそれぞれ、より長い前駆体RNA分子(「前駆体miRNA」)からプロセシングされる。前駆体miRNAは、非タンパク質コード遺伝子から転写される。前駆体は、少なくとも50、70、75、80、85、100、150、200ヌクレオチド長又はそれより長いヌクレオチド長を有し得る。前駆体miRNAは、動物においてDicer及びDroshaと呼ばれる酵素によって切断される、ステム-ループ-又はフォールド-バック様構造の形成を可能にする2つの相補的な領域を有する。Dicer及びDroshaは、リボヌクレアーゼIII様ヌクレアーゼである。プロセシングされたmiRNAは、典型的には、ステムの一部である。
プロセシングされたmiRNA(「成熟miRNA」とも称される)は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)という複合体として知られている大きな複合体の一部となり、特定の標的遺伝子を(下方又は上方)調節する。動物のmiRNAの例には、mRNA標的と完全に又は不完全に塩基対合し、それぞれ、mRNA分解又は翻訳の阻害をもたらすものを含む(Olsenら、1999年、Seggersonら、2002年)。SiRNA分子もDicerによってプロセシングされるが、長い、二本鎖RNA分子からはプロセシングされない。SiRNAは、動物細胞で天然には見られないが、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)中のこのような細胞では機能し、mRNA標的の配列特異的切断を指示することができる(Denliら 2003年)。
内因性miRNA分子の研究は、米国特許出願第60/575,743号に記載されている。miRNAは、miRNAにハイブリダイズするmRNAの翻訳を調節するタンパク質複合体が、成熟した、一本鎖RNAに結合する場合に、miRNAは、細胞において明らかに活性である。内因的に発現したmiRNAと同じように細胞に影響を及ぼす外因性RNA分子を導入することは、内因性の成熟miRNAと同じ配列の一本鎖RNA分子が、翻訳の制御を容易にするタンパク質複合体によって取り込まれることを必要とする。種々のRNA分子の設計が評価されている。miRNA経路によって所望の一本鎖miRNAの取込みを最大化する3つの一般的な設計が特定されている。3つの設計のうちの少なくとも1つを有するmiRNA配列を有するRNA分子は、合成miRNAと称される場合がある。
本発明のmiRNA分子は、内因性miRNAの遺伝子サイレンシング活性を置き換えるか又は補うことができる。このような分子の例、このような分子及びこのような分子を含む組成物の好ましい特徴及び修飾について、国際公開第2009/091982号に記載されている。
本発明のmiRNA分子又はそのisomiR若しくは模倣体若しくはソースは、一部の実施形態では、2つのRNA分子を含み、1つのRNAは、天然に存在する、成熟miRNAと同一である。成熟miRNAと同一であるRNA分子は、活性鎖又はアンチセンス鎖と称される。第2のRNA分子は、相補鎖又はセンス鎖と称され、活性鎖に少なくとも部分的に相補的である。活性鎖と相補鎖はハイブリダイズされ、二本鎖RNAを生じ、これは、細胞内のmiRNA活性化の直前に、タンパク質複合体が結合する天然に存在するmiRNA前駆体に類似する。前記miRNAの活性を最大化することは、翻訳のレベルで遺伝子発現を調節するmiRNAタンパク質複合体によって、活性鎖の取込みを最大化し、相補鎖の取込みを最小化することを必要とする。最適なmiRNA活性をもたらす分子設計は、相補鎖の修飾を含む。2つの設計は、相補鎖の化学的修飾を組み込んでいる。第1の修飾は、5’末端にホスフェート又はヒドロキシル以外の基を有する相補的RNAを生じることを含む。5’修飾の存在は、相補鎖の取込みを明らかに排除し、次に、miRNAタンパク質複合体による活性鎖の取込みを支持する。5’修飾は、NH2、NHCOCH3、ビオチン、その他を含む種々の分子のいずれかであり得る。miRNA経路による相補鎖の取込みを有意に低減する第2の化学的修飾戦略は、相補鎖の最初の2~6ヌクレオチドに糖修飾を有するヌクレオチドを組み込むことである。第2の設計戦略と一致する糖修飾を、miRNA活性をさらに促進する第1の設計戦略と一致する5’末端修飾と結びつけることができることに留意すべきである。第3のmiRNA設計は、活性鎖に相補的ではない相補鎖の3’末端にヌクレオチドを組み込むことを含む。得られた活性且つ相補的RNAのハイブリッドは、活性鎖の3’末端で非常に安定であるが、活性鎖の5’末端では比較的不安定である。siRNAに関する研究によって、5’ハイブリッドの安定性が、RNA干渉をサポートするタンパク質複合体によるRNA取込みの重要な指標であり、少なくとも細胞内のmiRNA経路に関連することが示される。本発明者らは、相補的RNA鎖におけるミスマッチの賢明な使用によって、前記miRNAの活性が有意に促進されることが見出された。
核酸、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸類似体、修飾されたヌクレオチドのさらなる定義、核酸の調製、miRNAの設計、5’ブロッキング剤、宿主細胞及び標的細胞、送達方法、並びにナノ粒子官能基化は、好ましくは国際出願2013/095132に記載されている通りである。
治療適用
表現型形質に影響を及ぼすmiRNAは、治療適用及び診断適用に対する介入点を提供する(特定のmiRNAの有無又は特定のmiRNAの変更された濃度についてスクリーニングすることによって)。本発明のRNA分子を使用して、前出の項目で議論した疾患又は状態のいずれかを処置できることが具体的に企図される。さらに、上記方法のいずれかを、本発明の治療態様及び診断態様に関して用いることもできる。例えば、miRNAを検出すること又はそれをスクリーニングすることに関する方法を、診断の文脈で用いることもできる。治療適用では、有効量の本発明のmiRNAが、動物におけるものであってもそうでなくてもよい細胞に投与される。一部の実施形態では、治療有効量の本発明のmiRNAが、疾患又は状態の処置のために個体に投与される。用語「有効量」は、本明細書で使用される場合、それが投与される細胞又は組織において所望の生理学的変化をもたらすのに必要である、本発明の分子の量として定義される。本明細書で使用される用語「治療的有効量」は、前に本明細書で定義されている疾患又は状態と関連した疾患又は状態に関して所望の効果を達成する、本発明の分子の量と定義される。当業者は、多くの場合、分子は、治癒をもたらさないかもしれないが、部分的な利益、例えば、少なくとも1つの症状の軽減又は改善をもたらすことができることを容易に認識する。一部の実施形態では、いくつかの利益を有する生理学的変化は、治療上有益であるとも考えられる。よって、一部の実施形態では、生理学的変化をもたらす分子の量は、「有効量」又は「治療有効量」とみなされる。
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の活性化合物を含んでもよい。他の実施形態では、活性化合物は、2%~75%の重量の単位、又は例えば、25%~60%、及びその中から導き出せる任意の範囲を含んでもよい。他の非限定的な例では、用量は、投与当たり、体重1kg当たり1マイクログラム未満、又は体重1kg当たり1マイクログラム、体重1kg当たり5マイクログラム、体重1kg当たり10マイクログラム、体重1kg当たり50マイクログラム、体重1kg当たり100マイクログラム、体重1kg当たり200マイクログラム、体重1kg当たり350マイクログラム、体重1kg当たり500マイクログラム、体重1kg当たり1ミリグラム、体重1kg当たり5ミリグラム、体重1kg当たり10ミリグラム、体重1kg当たり50ミリグラム、体重1kg当たり100ミリグラム、体重1kg当たり200ミリグラム、体重1kg当たり350ミリグラム、又は体重1kg当たり500ミリグラムから体重1kg当たり1000mg又はそれを超える量、及びその中から導き出せる任意の範囲を含んでもよい。本明細書に列挙した数値から導き出せる範囲の非限定的な例では、体重1kg当たり5mg~体重1kg当たり100mg、体重1kg当たり5マイクログラム~体重1kg当たり500ミリグラムなどの範囲を、上記数値に基づいて投与することができる。
いずれの場合にも、組成物は、1つ又は複数の構成成分の酸化を遅らせるための様々な抗酸化剤を含んでもよい。さらに、微生物の作用の防止は、これらに限定されないが、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール又はこれらの組合せを含む、様々な抗菌剤及び抗真菌剤などの保存剤によってもたらすことができる。
分子は、遊離塩基、中性又は塩形態で組成物中に製剤化され得る。薬学的に許容される塩は、酸付加塩、例えば、タンパク性組成物の遊離アミノ基により形成されたもの、又は例えば、塩酸若しくはリン酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸若しくはマンデル酸のような有機酸により形成されたものを含む。遊離のカルボキシル基により形成された塩は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム若しくは水酸化鉄などの無機塩基;又はイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン若しくはプロカインのような有機塩基に由来してもよい。
組成物は、一般的に、水性媒体中のナノ粒子の懸濁液である。しかし、これは、凍結乾燥されても、粉末として提供されてもよく、粉末は、ナノ粒子と任意選択で緩衝塩又は他の賦形剤を含む。
有効投薬量
本発明の分子は、一般的に、意図される目的を達成するために有効な量で使用される。疾患状態を処置又は防止するための使用では、本発明の分子、又はその医薬組成物は、治療有効量で投与又は適用される。治療有効量は、症状を軽快させるか又は防止するのに、又は処置される患者の生存を延長するのに有効な量である。治療有効量の決定は、特に、本明細書で提供される詳細な開示を考慮して、十分に、当業者の能力の範囲内である。全身投与では、治療有効用量は、in vitroアッセイから最初に推定することができる。例えば、用量は、細胞培養において決定されるEC50を含む循環濃度範囲を達成するために、動物モデルで製剤化することができる。このような情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。初期投薬量は、当技術分野で周知の技法を使用して、in vivoデータ、例えば、動物モデルから推定することもできる。当業者は、動物データに基づいて、ヒトへの投与を容易に最適化することができる。投与量と投与間隔は、個々に調整され、治療効果を維持するのに十分な分子の血漿レベルをもたらすことができる。注射による投与のための通常の患者の投薬量は、1日に0.01~0.1mg/kg、又は1日に0.1~5mg/kg、好ましくは1日に0.5~1mg/kg又はそれ以上の範囲である。治療上有効な血漿レベルは、毎日複数用量を投与することによって達成することができる。
局所投与又は選択的取込みの場合には、タンパク質の有効な局所濃度は、血漿濃度に関連しなくてもよい。当業者であれば、過度な実験なしで、治療上有効な局所投薬量を最適化することができるであろう。投与される分子の量は、当然のことながら、処置される対象、対象の重量、苦痛の重症度、投与方式及び処方する医師の判断に依存することになる。治療は、症状が検出可能である間又は症状が検出可能でない場合でさえ、断続的に繰り返すことができる。治療は、単独で又は他の薬物若しくは処置(手術を含む)と組み合わせて提供されてもよい。
配列同一性
「配列同一性」は、本明細書において、配列を比較することによって決定される、2つ又はそれより多い核酸(ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、RNA、DNA)配列の間の関係として定義される。当技術分野では、「同一性」は、核酸配列間の配列の関連性の程度も意味し、場合場合で、このような配列のストリング間のマッチによって決定される。「同一性」及び「類似性」は、これらに限定されないが、Computational Molecular Biology、Lesk, A. M.編、Oxford University Press、New York、1988年;Biocomputing: Informatics and Genome Projects、Smith, D. W.編、Academic Press、New York、1993年;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin, A. M.、及びGriffin, H. G.編、Humana Press、New Jersey、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heine, G.、Academic Press、1987年;並びにSequence Analysis Primer、Gribskov, M. 及びDevereux, J.編、M Stockton Press、New York、1991年;並びにCarillo, H.,、及びLipman, D.、SIAM J. Applied Math.、48:1073頁(1988年)に記載されているものを含む、公知の方法によって容易に算出することができる。実施形態では、同一性は、所与の配列番号の全長に関して評価される。
同一性を決定するための好ましい方法は、検査される配列間に最大マッチを与えるように設計される。同一性及び類似性を決定するための方法は、公に利用可能なコンピュータープログラムで体系化される。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するために好ましいコンピュータープログラム方法は、例えば、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J.ら、Nucleic Acids Research 12(1): 387頁(1984年))、BestFit、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Altschul, S. F.ら、J. Mol. Biol. 215:403~410頁(1990年)を含む。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他の供給源から公に利用可能である(BLAST Manual、Altschul, S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda、MD 20894;Altschul, S.ら、J. Mol. Biol. 215:403~410頁(1990年)。周知のSmith Watermanアルゴリズムを使用して、同一性を決定してもよい。
核酸の比較に対して好ましいパラメーターは、以下のものを含む:アルゴリズム:Needleman及びWunsch、J. Mol. Biol. 48:443~453頁(1970年);比較マトリックス:マッチ=+10、ミスマッチ=0;ギャップペナルティ:50;ギャップレングスペナルティ:3。ウィスコンシン州マディソンに位置するGenetics Computer Groupからのギャッププログラムとして利用可能である。上記は、核酸比較のデフォルトパラメーターである。
化学療法剤
本発明による組合せにおいて使用するための化学療法剤の例としては、チオテパ及びシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホロアミド、トリエチレンチオホスホロアミド及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメチロールメラミン(methylamelamines);アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(アドゼレシン、カルゼルシン及びビセレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオルカマイシン(合成類似体、KW-2189及びCBI-TMIを含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニマスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロソウレア;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ及びカリケアマイシンオメガ);ジネマイシンAを含むジネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カルビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン(morpholmo-doxorubicm)、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリン-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾトシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗代謝薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フォリン酸などの葉酸補填剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン;エリプチニウム酢酸塩;エポチロン;エトグルシド;ガリウムトリニトラート;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);マイタンシン及びアンサマイトシンなどのマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2トキシン、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル及びドセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンなどの白金配位錯体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-II);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;ゲフィチニブ、並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。
この定義には、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン(keoxifene)、LYI17018、オナプリストン、及びトレミフェンを含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)などの、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤;例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール、エキセメスタン、ホルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、及びアナストロゾールなどの副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤;並びにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、PKC-α、Raf及びH-Rasなどの、特に異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの;VEGF発現阻害剤及びHER2発現阻害剤などのリボザイム;遺伝子療法ワクチンなどのワクチン並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体も含まれる。認可された指示を伴う米国FDA認可癌薬物のリストは、accessdata.fda.gov/scripts/cder/onctools/druglist.cfmにおけるワールドワイドウェブ上で見出すことができる。好適なRNR阻害剤は、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、clolar、クロファラビン、及びトリアピンからなる群から選択される。好適なAURKB阻害剤は、AZD1152、VX-680、MLN8054、MLN8237、PHA680632、PH739358、ヘスペリジン、ZM447439、JNJ770621、SU6668、CCT129202、AT9283、MP529、SNS314、R763、ENMD2076、XL228、TTP687、PF03814735及びCYC116からなる群から選択される。別の好適な抗がん薬は、ゲフィチニブである。
正規経路分析を示す図である。(A)P値に基づいてランク付けされた24時間後の少なくとも3つの細胞株においてmiR-193aによって調節された上位25の正規経路。点線は、P<0.01を示す。白色のバー:活性化された、黒色のバー:阻害された、灰色のバー:方向決定されず。(B)少なくとも4つの有意な経路で特定された遺伝子のツリーマップ。ボックスサイズは、遺伝子が差示的に発現された経路の数に対応する。 正規経路分析を示す図である。(A)P値に基づいてランク付けされた24時間後の少なくとも3つの細胞株においてmiR-193aによって調節された上位25の正規経路。点線は、P<0.01を示す。白色のバー:活性化された、黒色のバー:阻害された、灰色のバー:方向決定されず。(B)少なくとも4つの有意な経路で特定された遺伝子のツリーマップ。ボックスサイズは、遺伝子が差示的に発現された経路の数に対応する。 PTEN経路でmiR-193aによって下方制御された遺伝子を示す図である。少なくとも3つの細胞株で24時間後にmiR-193aによって有意に下方制御された(mock<1と比較した平均の相対的発現、P<0.05)遺伝子は、網掛けなしで示される。PTENは、黒で強調される。尖頭矢印は刺激を示し、バーヘッド矢印は阻害を示す。 miRNA-193aによって影響を受ける生物学的機能を示す図である。zスコアが<-2及び>2の(腫瘍)細胞に関連する生物学的機能。全てのP値は0.00001より小さい。 PTEN経路におけるmiR-193a-3p標的のウエスタンブロットを示す図である。ヒト腫瘍細胞株を10nMのスクランブル対照又は10nMのmiRNA-193aでトランスフェクトさせ、72時間後に溶解した。透明にした全細胞ライセートを、FAK、P70S6K、PIK3R1及びTGFBRIIIについてイムノブロットにかけた。ビンキュリン及びチューブリンは、ローディング対照である。ボックスは、タンパク質下方制御を示す。 PTEN経路におけるリンタンパク質のウエスタンブロットを示す図である。ヒト腫瘍細胞株を10nMのスクランブル対照又は10nMのmiRNA-193aでトランスフェクトさせ、72時間後に溶解した。透明にした全細胞ライセートを、pSer473 AKT、AKT、pThr202/Tyr204 ERK1/2、ERK1/2、pSer259 c-RAF及びc-RAFについてイムノブロットにかけた。ビンキュリン及びチューブリンは、ローディング対照である。完全なボックスはタンパク質の下方制御を示し、破線のボックスはタンパク質の上方制御を示す。 miRNA-193aによるトランスフェクションは、A2058、HEP3B、HCT116及びHuh7細胞におけるCRTの表面発現を誘導することを示す図である。(A-B)グラフは、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)及び瀕死(DAPIlow)であるが死(DAPI)ではないA2058及びHEP3B細胞のパーセンテージを示す。細胞は、0.1、1、3及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照でトランスフェクトした。(C-D)パネルは、トランスフェクションの72時間後に分析したA2058(C)及びHEP3B(D)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。(E-F)グラフは、1及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照によるトランスフェクションの96時間後の、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)HCT116及びHuh7細胞のパーセンテージを示す。(G-H)パネルは、トランスフェクションの96時間後に分析したHCT116(G)及びHuh7(H)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。 miRNA-193aによるトランスフェクションは、A2058、HEP3B、HCT116及びHuh7細胞におけるCRTの表面発現を誘導することを示す図である。(A-B)グラフは、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)及び瀕死(DAPIlow)であるが死(DAPI)ではないA2058及びHEP3B細胞のパーセンテージを示す。細胞は、0.1、1、3及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照でトランスフェクトした。(C-D)パネルは、トランスフェクションの72時間後に分析したA2058(C)及びHEP3B(D)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。(E-F)グラフは、1及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照によるトランスフェクションの96時間後の、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)HCT116及びHuh7細胞のパーセンテージを示す。(G-H)パネルは、トランスフェクションの96時間後に分析したHCT116(G)及びHuh7(H)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。 miRNA-193aによるトランスフェクションは、A2058、HEP3B、HCT116及びHuh7細胞におけるCRTの表面発現を誘導することを示す図である。(A-B)グラフは、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)及び瀕死(DAPIlow)であるが死(DAPI)ではないA2058及びHEP3B細胞のパーセンテージを示す。細胞は、0.1、1、3及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照でトランスフェクトした。(C-D)パネルは、トランスフェクションの72時間後に分析したA2058(C)及びHEP3B(D)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。(E-F)グラフは、1及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照によるトランスフェクションの96時間後の、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)HCT116及びHuh7細胞のパーセンテージを示す。(G-H)パネルは、トランスフェクションの96時間後に分析したHCT116(G)及びHuh7(H)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。 miRNA-193aによるトランスフェクションは、A2058、HEP3B、HCT116及びHuh7細胞におけるCRTの表面発現を誘導することを示す図である。(A-B)グラフは、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)及び瀕死(DAPIlow)であるが死(DAPI)ではないA2058及びHEP3B細胞のパーセンテージを示す。細胞は、0.1、1、3及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照でトランスフェクトした。(C-D)パネルは、トランスフェクションの72時間後に分析したA2058(C)及びHEP3B(D)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。(E-F)グラフは、1及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照によるトランスフェクションの96時間後の、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)HCT116及びHuh7細胞のパーセンテージを示す。(G-H)パネルは、トランスフェクションの96時間後に分析したHCT116(G)及びHuh7(H)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。 miRNA-193aによるトランスフェクションは、A2058、HEP3B、HCT116及びHuh7細胞におけるCRTの表面発現を誘導することを示す図である。(A-B)グラフは、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)及び瀕死(DAPIlow)であるが死(DAPI)ではないA2058及びHEP3B細胞のパーセンテージを示す。細胞は、0.1、1、3及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照でトランスフェクトした。(C-D)パネルは、トランスフェクションの72時間後に分析したA2058(C)及びHEP3B(D)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。(E-F)グラフは、1及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照によるトランスフェクションの96時間後の、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)HCT116及びHuh7細胞のパーセンテージを示す。(G-H)パネルは、トランスフェクションの96時間後に分析したHCT116(G)及びHuh7(H)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。 miRNA-193aによるトランスフェクションは、A2058、HEP3B、HCT116及びHuh7細胞におけるCRTの表面発現を誘導することを示す図である。(A-B)グラフは、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)及び瀕死(DAPIlow)であるが死(DAPI)ではないA2058及びHEP3B細胞のパーセンテージを示す。細胞は、0.1、1、3及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照でトランスフェクトした。(C-D)パネルは、トランスフェクションの72時間後に分析したA2058(C)及びHEP3B(D)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。(E-F)グラフは、1及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照によるトランスフェクションの96時間後の、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)HCT116及びHuh7細胞のパーセンテージを示す。(G-H)パネルは、トランスフェクションの96時間後に分析したHCT116(G)及びHuh7(H)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。 miRNA-193aによるトランスフェクションは、A2058、HEP3B、HCT116及びHuh7細胞におけるCRTの表面発現を誘導することを示す図である。(A-B)グラフは、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)及び瀕死(DAPIlow)であるが死(DAPI)ではないA2058及びHEP3B細胞のパーセンテージを示す。細胞は、0.1、1、3及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照でトランスフェクトした。(C-D)パネルは、トランスフェクションの72時間後に分析したA2058(C)及びHEP3B(D)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。(E-F)グラフは、1及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照によるトランスフェクションの96時間後の、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)HCT116及びHuh7細胞のパーセンテージを示す。(G-H)パネルは、トランスフェクションの96時間後に分析したHCT116(G)及びHuh7(H)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。 miRNA-193aによるトランスフェクションは、A2058、HEP3B、HCT116及びHuh7細胞におけるCRTの表面発現を誘導することを示す図である。(A-B)グラフは、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)及び瀕死(DAPIlow)であるが死(DAPI)ではないA2058及びHEP3B細胞のパーセンテージを示す。細胞は、0.1、1、3及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照でトランスフェクトした。(C-D)パネルは、トランスフェクションの72時間後に分析したA2058(C)及びHEP3B(D)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。(E-F)グラフは、1及び10nMのmiRNA-193a又はmockトランスフェクション対照によるトランスフェクションの96時間後の、それらの表面でCRTを発現する生(DAPI)HCT116及びHuh7細胞のパーセンテージを示す。(G-H)パネルは、トランスフェクションの96時間後に分析したHCT116(G)及びHuh7(H)細胞の細胞蛍光測定プロットを示す。 miRNA-193aでトランスフェクトした細胞は、共培養アッセイで単球からの樹状細胞の成熟を著しく刺激することができることを示す図である。単球は、mockトランスフェクトされたか又はmiRNA-193aでトランスフェクト(1又は10nM)されたA2058細胞との共培養に保った。成熟したDCのマーカーとしてのCD80及びMHCクラスII分子の表面発現は、共培養から7日後にフローサイトメトリーで測定した。TNFαは、公知のDC成熟刺激物質として使用した。 miRNA-193aでトランスフェクトした細胞は、共培養アッセイで単球からの樹状細胞の成熟を著しく刺激することができることを示す図である。単球は、mockトランスフェクトされたか又はmiRNA-193aでトランスフェクト(1又は10nM)されたA2058細胞との共培養に保った。成熟したDCのマーカーとしてのCD80及びMHCクラスII分子の表面発現は、共培養から7日後にフローサイトメトリーで測定した。TNFαは、公知のDC成熟刺激物質として使用した。 miRNA-193aでトランスフェクトしたA2058腫瘍細胞との共培養は、T細胞の増殖を増強することを示す図である。PBMCはCFSEで標識し、単独で培養に、又はmockトランスフェクトしたか又はmiRNA-193aでトランスフェクトしたA2058細胞との共培養に保った。細胞蛍光測定プロットは、共培養の2日又は6日後の、CD3T細胞のCFSEのレベルを示す。 ヒト黒色腫A2058及びNSCLC A549腫瘍細胞に及ぼすヒト末梢血単核細胞(PBMC)の作用を示す図である。ヒト黒色腫A2058(A)及びNSCLC A549(B)腫瘍細胞は、ヒト抗CD3/CD28抗体(T細胞活性化因子)の不在下又は存在下で、ヒトPBMCの腫瘍細胞に対する指示された比で72時間共培養した。次に生存細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した。生存細胞の相対的パーセンテージ(PBMCがない場合の類似の実験条件と比較した)は、染色された細胞の比色分析によって定量化した(Feoktistovaら、2016年)。エラーバーは、3つの独立した複製の平均へのSDを表す。 miRNA-193aによる腫瘍細胞トランスフェクションの時の、ヒト黒色腫A2058(A)及びNSCLC A549(B)腫瘍細胞に及ぼすヒト末梢血単核細胞(PBMC)の影響を示す図である。ヒト黒色腫A2058及びNSCLC A549腫瘍細胞は、陰性miRNA対照又はmiR-193a-3pの指示された濃度でトランスフェクトし(RNAiMAX)、その後、細胞はヒトPBMCの腫瘍細胞に対する指示された比で指示された時間共培養した。次に生存細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した。生存細胞の相対的パーセンテージ(mockトランスフェクトした条件と比較した)は、染色された細胞の比色分析によって定量化した(Feoktistovaら、2016年)。N.S.:有意でない、:p<0.05及び**:p<0.01、スチューデントt検定(漸近有意性[両側])によって決定。エラーバーは、3つの独立した複製の平均へのSDを表す。
[実施例]
実施例1-miRNA-193aによる異なるがん細胞株の処置の後のRNAシーケンシング、差示的遺伝子発現及び経路分析
ハイスループットRNAシーケンシング(RNA-seq)の実施は、遺伝子及びエクソンレベルで、全トランスクリプトームの包括的特徴に対して、並びに高い解像度及び有効性で、差示的に発現した遺伝子、新規遺伝子及び転写物を特定する特有の能力に関する強力なツールとなっている。しかし、今日まで、がん発症におけるその特異的役割について非常に少ないmiRNAしか特徴付けられてこなかった。したがって、本発明者らは、10nMのmiR-193aによるトランスフェクションの24時間後に、A540及びH460(共に肺がん)、Huh7及びHep3B(共に肝がん)及びBT549(乳がん)を含む5つの異なるがん細胞株でmiRNA-193a(すなわちmiRNA-193a-3p模倣体)を過剰発現させた後に、ハイスループットRNAシーケンシングを使用した。遺伝子発現は対照としてmockと比較し、差示的に発現された遺伝子及びそれらの細胞経路をその後特定した。
1.1 材料及び方法
1.1.1 RNAシーケンシングのための細胞調製
ヒトがん細胞株を適当な培地(表1)で培養し、Lipofectamine RNAiMAX(Thermofisher)を使用した10nMのmiRNA-193a-3p模倣体又はmockによるトランスフェクションの24時間前に6ウェルプレートに播種した。模倣体は二本鎖模倣体であって、アンチセンス鎖は配列番号56(カノニカルなmiRNA-193a-3p)を有するRNAオリゴヌクレオチドからなり、センス鎖は配列番号218で表されるオリゴヌクレオチドからなった。
トランスフェクションの16時間後に試薬を吸い取り、新たな6ウェルプレートに細胞を継代した。トランスフェクションの後に培地を24時間吸引し、プレートを-80℃で保存した。各細胞株について、3つの独立した複製を実施した。
Figure 2023515010000004
1.1.2 RNAシーケンシングのためのRNA単離
RNAは、miRNeasy Miniキット(Qiagen)を使用して単離した。手順には、カラムの上でのDNase処理が含まれた。RNA濃度は、NanodropOneで測定した。150ngのそれぞれ独立した複製をプールし、450ngの試料(試料ID A549 Mock_24、A549 miRNA-193a-3p_24、BT549 Mock_24、BT549miRNA-193a-3p_24、H460 Mock_24、H460 miRNA-193a-3p_24、HEP3B Mock_24、HEP3B miRNA-193a-3p_24、HUH7 Mock_24及びHUH7 miRNA-193a-3p_24を有する)をGenomeScan BV(Leiden、The Netherlands)にかけた。
1.1.3 RNAシーケンシング手順
ポリA富化を実行し、続いてGenomeScanBVでIllumina NovaSeq6000を使用して次世代RNAシーケンシングが実行された。データ処理ワークフローは、生データ品質管理、アダプタートリミング、及び短いリードのアラインメントを含んだ。参照GRCh37.75.dna.primary_assemblyを各試料に対するリードのアラインメントに使用した。アラインメントファイルにマッピングした位置に基づいて、どの程度の頻度でリードが転写物にマッピングされたかを決定した(特徴集計)。集計をカウントファイルに保存し、下流RNA-Seq示差発現分析のためのインプットとした。
1.1.4 RNAシーケンシングのためのデータ分析
GenomeScan BVによって設定された短いリードデータに関して、示差発現分析を実施した。リード集計をR platform v3.4.4内の統計パッケージであるDESeqパッケージ v1.30.0にローディングした。試料サイズが小さく、過剰に分散したRNA-seqデータに関して、2つの条件(mock対miRNA-193a-3p)の間の示差発現遺伝子を見つけるために、DESeqを特異的に開発した。示差発現比較の群分けを表に示す。
Figure 2023515010000005
1.1.5 経路分析
本発明者らのRNAシーケンシングデータセットで有意に(P<0.05)差示的に発現された遺伝子のリストをアップロードし、Ingenuity Pathway Analysis(IPA)ソフトウェア(www.ingenuity.com)を使用して分析した。
1.2 結果
1.2.1 固形腫瘍細胞株でmiR-193a-3p模倣体によって調節された遺伝子
トランスフェクションの24時間後に有意に(P<0.05)差示的に発現された遺伝子(相対的発現miRNA-193a/相対的発現mock)のリストを、全ての細胞株のために作製した(発明の説明を参照する)。ほとんどの遺伝子は、mockと比較して下方制御された(相対的発現miRNA-193a/相対的発現mock<1)(表3を参照する)。
Figure 2023515010000006
表4は、各細胞株におけるmiRNA-193aによって下方制御されたがんで公知の役割を有する遺伝子を示す。全ての細胞株で下方制御された遺伝子には、以下が含まれる:CCND1、CDK6、KRAS、MCL1、NT5E、STMN1、TGFBR3及びYWHAZ。
Figure 2023515010000007
1.2.2 固形腫瘍細胞株でmiR-193aによって調節された細胞経路
差示的発現データに基づき、mockと比較してmiRNA-193a処置細胞で影響を受けるカノニカルな経路を特定するために、IPAを実行した。目的が、がん型にわたってmiR-193aの作用方式をより精細に定義することによって新規の処置オプションを開発することであったので、本発明者らは、少なくとも3つの細胞株で差示的に発現される遺伝子によって調節された経路を次に分析した。この分析は、細胞増殖及び腫瘍進行を誘導する多くの増殖因子シグナル伝達経路を含め、経路の大半は影響を受けたか又は阻害された(図1A)ことを示した。最も富化されたカノニカルな経路、腫瘍抑制性PTEN経路は、活性化された(2.309のzスコア)ことが示された。この経路で差示的に発現された遺伝子には、RPS6KB2、KRAS、PDGFRB、SOS2、TGFBR3、CASP9、INPPL1、PIK3R1、PTK2、CBL、PDPK1、CCND1、BCAR1及びMAGI3が含まれる(図2)。
ニューレグリンシグナル伝達(-2.333のzスコア)及びHGFシグナル伝達(-3.162のzスコア)を含め、他の特定された経路は有意に阻害された。これらの経路に参加する本発明者らの差示的発現データセットからの遺伝子は図1bで示され、PI3KR1、KRAS、SOS2及びPTK2を含む。多くは、増殖因子シグナル伝達及びマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の重要な成分であり、細胞増殖及び腫瘍進行のための核シグナルを誘導する。
その後、生物学的機能及び疾患プロセスに及ぼす観察された遺伝子発現変化の下流側影響を予測するために、IPAソフトウェアを使用した。24時間後の193aによって変更された100個の最も有意な生物学的機能のうち、阻害された(zスコア<-2)ものは細胞の生存、増殖、移動又はがんに関連し、活性化された(zスコア>2)ものは(腫瘍)細胞死に関連していた(図3)。さらに、影響を受けた生物学的機能の過半数(24時間後に55%)は、がんのカテゴリーに属した(表5、24時間後のmiRNA-193aによって調節された機能(全てP<0.00001)の数に基づいてランク付けされた上位100個の生物学的機能のカテゴリーを示す)。
Figure 2023515010000008
実施例2-miRNA-193aによる異なるがん細胞株の処置の後のRNAシーケンシング、差示的遺伝子発現及び経路分析
miRNA-193aを、異なるがん細胞株で試験した(表2.1を参照する)。細胞は、実施例1に記載されるように異なる濃度(1、3、10nM)でmiRNA-193aによって処置した。対照(mock、未処置及びスクランブル化)は、全ての細胞型について測定した。アッセイは、24時間後、48時間後及び72時間後に実行した。表2.1は、指示された時点における10nM濃度の結果を示す。結果を定量化し、mock対照に正規化した。細胞がその濃度で毒性作用の徴候を示さなかったので、10nMは好適な濃度であった。
Figure 2023515010000009
MTSアッセイ又は細胞計数によって測定される通り、がん細胞株でのmiRNA-193a処置は細胞生存率を経時的に減少させた。カスパーゼ3/7アポトーシスアッセイによって測定される通り、アポトーシス誘導は経時的に増強された。細胞周期アレストプロファイルは、核画像化又はフローサイトメトリーを実行することによって測定した。miRNA-193a処置は、細胞株に依存する方法でG2/M又はSubG1細胞周期アレストプロファイルを誘導した。指示された方法によりHUH7では明らかな細胞周期アレストプロファイルは観察されなかったが、この細胞株でのmiRNA-193a処置の後、ウエスタンブロット(データ示さず)におけるカスパーゼ3/7活性化及び切断parpタンパク質の増強によって示されるアポトーシスの増加が観察された。この結果は、miRNA-193a処置が細胞の生存能に影響を及ぼすことを示す。ボイデンチャンバーアッセイを通して調査された通り、2つの細胞株の細胞運動能は処置の後に有意に減少した。
結論
miRNA-193a処置は、一部アポトーシスを誘導することによって、及び細胞周期アレストプロファイルの増加によって細胞生存率を減少させた。miRNA-193a処置は、がん細胞の細胞運動能も減少させ、がん細胞移動の阻害におけるその役割を示す。
実施例3-PTEN経路活性化のさらなる研究
実施例1は、IPA分析が腫瘍抑制性PTEN経路を、miRNA-193aによって活性化された最も富化されたカノニカルな経路として特定したことを示す。ここで、FAK(PTK2)、P70S6(RPS6KB2)、PI3KR1、TGFBRIII並びにP-AKT、AKT、p-ERK1/2、ERK1/2、p-c-RAF及びc-RAFを含む他の重要なシグナル伝達分子を含む選択されたmiRNA-193a標的の調節は、ウエスタンブロッティングによってタンパク質レベルで分析され、全ての因子はPTEN経路の中にある。
材料及び方法
細胞調製
ヒトがん細胞株を適当な培地(下の表を参照する)で培養し、実施例1に記載された10nMのmiRNA-193a-3p模倣体、10nMのスクランブルしたランダム対照、又はmockによる、Lipofectamine RNAiMAX(Thermofisher)を使用したトランスフェクションの前に、6ウェルプレートに播種した。トランスフェクションの後に培地を72時間吸引し、プレートを-80℃で保存した。
3.1.細胞株詳細
Figure 2023515010000010
タンパク質単離及び定量化
プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤カクテルを補ったRIPA緩衝液(50mM Tris-HCl pH8、150mM NaCl、1%NP40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.5mM EDTA)を、採取した細胞に加えた。ライセートを15,000gにより4℃で1時間遠心分離し、細胞破片ペレットを除去することによって透明にした。タンパク質濃度は、Pierce BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Fisher)を使用して決定した。
電気泳動及びイムノブロッティング
ミニプロテアンTGX無染色成型ゲル(Bio Rad)でのSDS-PAGEによって、試料を120Vで分離した。タンパク質は、転移緩衝液(25mM Tris、192mMグリシン、20%メタノール)の中でPVDF膜に200mAで2時間転移させた。膜は、Tweenを含有するTris-緩衝食塩水(20mM Tris pH7.6、137mM NaCl、0.1%Tween)中の5%ミルク又は5%BSAを使用してブロックした。ブロットは、一次及びホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体で調べた。タンパク質は、ECL試薬を使用して検出した。膜は剥脱緩衝液(62.5mM Tris pH6.8、2%SDS、100mM2-メルカプトエタノール)の中で50℃で30分間剥脱し、適宜再び調べた。
結果
選択された予測されたmiR-193a-3p標的遺伝子のタンパク質レベル並びにPTEN経路の重要なシグナル伝達タンパク質のリン酸化状態を調査するために、実施例1に記載される10nMのスクランブル化対照又は10nMのmiRNA-193a-3p模倣体でトランスフェクトした細胞からのライセートをイムノブロットにかけた。試験した全細胞株(A549、HUH7、SNU449、BT549、H460、A2058、HEP3B及びPANC-1)では、PTK2とも呼ばれるFAKの下方制御が、mock及びスクランブルされた対照と比較してmiRNA-193a試料で観察された(図4)。構成的発現レベルを観察することができる細胞株(A549、HUH7、SNU449、BT549及びH460)で、miRNA-193aによってTGFBRIIIも下方制御された。PI3Kの調節サブユニットであるPIK3R1のタンパク質レベルは、SNU449以外は全ての細胞株で減少した。RPS6KB2とも呼ばれるP70S6は、H460、A2058及びHEP3Bにおいて下方制御された。ビンキュリン及びチューブリンは、ローディング対照として使用した。A549及びH460では、チューブリンはmiRNA-193aの影響を受けたが、ビンキュリンは安定しており、miRNA-193aは一般的なタンパク質レベルを低減しないことを示した。さらに、本発明者らはほとんどの細胞株(A549、A2058、SNU449、HUH7、H460及びHEP3B)でmiRNA-193aによるAKTリン酸化の下方制御を観察した(図5)。興味深いことに、miRNA-193aは、少なくとも2つの細胞株(A549及びA2058)でERKのリン酸化を増加させた。SNU449では、ERKリン酸化及びERK全タンパク質レベルは上方制御された。c-RAFのリン酸化は、PANC-1で下方制御されるだけだった。
結論
これらの結果は、前に得られたRNAシーケンシングデータと一致している。miRNA-193a-3p模倣体miRNA-193aは、複数のヒト腫瘍細胞株においてFAK、P70S6K、PIK3R1及びTGFBRIIIのタンパク質発現を減少させた。さらに、miRNA-193a-3p模倣体miRNA-193aによる細胞の処置は、AKTのリン酸化の低減につながり、それはPIK3R1及びFAKなどの上流のシグナル伝達タンパク質の下方制御によるかもしれない。さらに、本発明者らは、ERKのリン酸化の増加を観察し、それはRAFへの作用を通したAKT活性の減少の結果であるかもしれないが、c-RAFのリン酸化は1細胞株(PANC-1)だけで減少した。ERKのリン酸化の増加は、ホスファターゼ活性の減少又は上流キナーゼ活性の増加を含む、他の上流の事象の結果であるかもしれない。
実施例4-miRNA-193aは、免疫原性細胞死(ICD)インデューサーである
序論:免疫原性細胞死(ICD)の概念は、傷害関連の分子パターン(DAMP)として知られる危険シグナルの空間時間的に定義されたセットの放出を通して抗原特異的適応性免疫応答を導き出すことが可能な、調節された細胞死の特異なクラスとして定義されている(Kryskoら、Nat.Rev.Cancer、2012年;Casaresら、J.Exp.Med.、2005年;Kroemerら、Annu.Rev.Immunol.、2013年)。最も注目すべきDAMPは以下の通りである:HGMB1の放出、ATPの放出及びカルレティキュリン(CRT)の表面発現であり、これはERストレスの印である。がん細胞死の誘導の後の一部の(特異的)抗がん剤によるICDの誘導は、腫瘍微小環境(TME)へのDAMPの放出につながり、それはそれらの成熟を加速するために樹状細胞(DC)によって発現される受容体の上で作動し、次に、T細胞への腫瘍関連抗原の提示を刺激し、T細胞の活性化及び増殖につながり、最終的に腫瘍細胞に対する増強された細胞毒性及び腫瘍抗原に対する免疫学的記憶の形成に達する。
材料及び方法
トランスフェクション:A2058黒色腫、HEP3B及びHuh7肝細胞及びHCT116結腸腫瘍細胞を、実施例1に記載される異なる濃度のmiRNA-193a又はmock(「偽のトランスフェクション」)対照でトランスフェクトした。簡潔には、5×10のA2058又はHEP3B細胞を、6ウェル細胞培養プレートの中の1.5mLの完全培地に播種した。両方の細胞株は、4時間後にトランスフェクトした。7.5μLのリポフェクタミンRNAiMAX(Thermo Fisher)及び適当な濃度のmiRNA-193a-3pを含有する500μLのトランスフェクションミックスを、各ウェルに加えた。含まれたトランスフェクション条件は、0.1、1、3又は10nMのmiRNA-193a及びmockトランスフェクトされた陰性対照であった。Huh7及びHCT116細胞株は、24時間後にトランスフェクトした。最初に、培地を1.5mLの新鮮な培地に置き換えた。次に、7.5μLのリポフェクタミンRNAiMAX及び適当な濃度のmiRNA-193aを含有する500μLのトランスフェクションミックスを、各ウェルに加えた。含まれたトランスフェクション条件は、1又は10nMのmiRNA-193a及びmockトランスフェクトされた陰性対照であった。培地を5mL管に吸引して保持し、TrypLE(Gibco)により1×洗浄し、脱離まで10~12分間インキュベートすることによるトランスフェクションから16時間後に、全ての細胞株を24ウェルプレートに継代培養した。細胞を1mLの新鮮な培地で収集し、保持された培地に加えた。管を1,500RPMで5分間遠心分離し、上清を除去した。細胞を500μLの新鮮な培地に再懸濁させ、Luna-II細胞カウンター(Westburg)を使用してトリパンブルーによる1:1の希釈溶液を使用して数えた。1mLの新鮮培地中の5×10細胞を各ウェルに播種した。
フローサイトメトリー:トランスフェクション後の指摘された時間のフローサイトメトリー分析のために、TrypLE(Gibco)で1×洗浄し、脱離まで10~12分間インキュベートした後に細胞を採取した。各条件のために、5×10細胞を含有する200μLの単一の細胞懸濁液を、4mLポリプロピレン管の中で調製した。1:200希釈溶液の中で細胞を蛍光標識抗体で染色した。CRTの発現は、DyLight(商標)488コンジュゲート抗ヒトカルレティキュリン(CRT)抗体(クローンFMC75、Enzo Lifescience)を使用して測定した。DCの成熟状態を検出するために、CD80及びMHCクラスII分子の表面発現を、それぞれPerCP/Cyanine5.5抗ヒトCD80抗体(クローン2D10、BioLegend)及びAPC抗ヒトHLA-DR、DP、DQ抗体(クローンTu39、BioLegend)を使用して測定した。さらに、生/死細胞を検出するためにDAPI(BioLegend)を2μMの最終濃度で加え、死細胞はさらなる分析から排除した。FACSCanto IIサイトメーター(BD Biosciences)を使用してフローサイトメトリーを実行し、データはFlowJoソフトウェア(Tree Star社)で分析した。
CFSE標識PBMCとの共培養:SepMate(商標)-50管(STEMCELL)を製造業者のプロトコールに従って使用して、PBMCを新鮮な血液バフィーコート(Sanquin)から単離した。Ficoll(登録商標)Paque Plus(Sigma Aldrich)を、密度勾配培地として使用した。CFSE細胞***トラッカーキット(BioLegend)を製造業者のプロトコールに従って使用して、PBMCをCFSEで次に標識した。A2058細胞をトランスフェクトし、トランスフェクションの16時間後に、前に説明した通り細胞を24ウェルプレートに継代培養した。3×10のA2058細胞を各ウェルの0.5mLの新鮮な培地に播種した。さらに、1.2×10のPBMCを含有する0.5mLのCFSE標識PBMC懸濁液を各ウェルに加えた。A2058細胞なしの同量のPBMCを、「PBMCのみ」の対照条件として培養した。共培養は、指摘した時間37℃でインキュベートした。T細胞の検出のために、細胞を1:200の希釈溶液中でBrilliant Violet 510(商標)抗ヒトCD3抗体(クローンUCHT1、BioLegend)で染色した。
PBMCからの単球の単離:MACS細胞分離システム及び汎単球単離キット(Miltenyi Biotec)を製造業者のプロトコールに従って使用して、単球をPBMCから単離した。簡潔には、単球以外のPBMCに存在する全ての異なる主要な細胞型で発現される抗原に対するビオチンコンジュゲートモノクローナル抗体のカクテルでPBMCを標識した。標識細胞は、次にモノクローナル抗ビオチン抗体とコンジュゲートされたマイクロビーズを含有するカラムを通った。このアプローチは、磁気標識非単球細胞の消失によって、高度に純粋な非標識及び無傷な単球の単離を可能にした。
単球とのA2058細胞の共培養:前に説明したように、A2058細胞は1若しくは10nM濃度のmiRNA-193a又はmockトランスフェクトした陰性対照でトランスフェクトした。前に説明した通り細胞はトランスフェクションの16時間後に採取し、96ウェルプレートに播種した。100μLの新鮮培地中の4×10の細胞を、各ウェルに播種した。4時間後に、4×10、4×10又は0単球(「単球:腫瘍細胞比」条件による)を含有する100μLのDC生成培地(PromoCell)を、各ウェルに加えた。共培養を開始した4日後に、全てのウェルの培地を150μLの新鮮なDC生成培地で置き換えた。成熟したDCのための陽性対照を有するために、共培養に細胞を入れてから6日後に、DC成熟刺激物質としてTNFαを含有するDC生成サイトカインパック(C-28050、PromoCell)の成分Bを、陽性対照条件でウェルに加えた(5000U/mLの最終TNFα濃度を有するために、1.5μL/ウェルの成分Bサイトカインパック)。共培養から7日目、成熟したDCの細胞表面マーカーに対する蛍光抗体で細胞を染色し、前に説明した通りフローサイトメトリーで分析した。
結果
腫瘍細胞に及ぼすmiRNA-193aの影響を調査するために、miRNA-193aでトランスフェクトした腫瘍細胞の表面でのCRTの発現を、フローサイトメトリーによって調査した。図6に示すように、miRNA-193aは、それぞれわずか5%及び10%の表面CRT細胞を含有するmockトランスフェクトした細胞と比較して、A2058細胞(72時間後に最高46%)(図6-A及びC)及びHCT116細胞(96時間後に最高65%)(図6-E及びG)において細胞表面のCRTマーカーの発現を誘導した。それぞれわずか4%及び23%の表面CRT細胞を含有するmockトランスフェクトした細胞と比較して、CRTマーカーの誘導は、Hep3B細胞(72時間後に最高8%)(図6-B及びD)及びHuh7細胞(96時間後に最高35%)(図6-F及びH)においてもより少ない程度で観察された。さらに、2つの主要なエクトヌクレオチダーゼCD39及びCD73を標的にすることを通して、miRNA-193aはADP、AMP及びアデノシンへの細胞外ATPの変換を阻止することができ、それによってTMEのATP含有量を保持する。
次に、A2058細胞に及ぼすmiRNA-193aの細胞傷害性の作用が完全に成熟したDCへの単球の成熟プロセスを刺激することができるかどうかについて本発明者らは調査した。これに対処するために、単球をmiRNA-193a又はmockでトランスフェクトしたA2058細胞との共培養に置いた。共培養から7日後、成熟したDC表面マーカー(CD80及びMHCII)を発現する細胞の頻度を、フローサイトメトリー分析で測定した。陽性対照を作製するために、TNFαを公知のDC成熟インデューサーとして使用した。図7に示すように、単球を10nMのmiRNA-193aでトランスフェクトしたA2058細胞と10対1の比で共培養したとき、CD80及びMHCII細胞の頻度は、mockトランスフェクトした細胞との共培養と比較して有意に増加した(それぞれ、10×及び4.9×)。これらの結果は、miRNA-193aでトランスフェクトしたA2058細胞が、細胞ベースのアッセイで単球からの樹状細胞の成熟を著しく刺激することができることを示す。
最後に、本発明者らはmiRNA-193aでトランスフェクトした腫瘍細胞との共培養においてT細胞の増殖に及ぼすmiRNA-193aの影響を扱った。PBMCは、細胞の中で保持することができ、細胞***ごとに希釈される蛍光性無毒マーカーであるCFSEで標識した。フローサイトメトリーによって測定したCFSEのレベルは、3つの条件の間で比較した:1)培養中のPBMCだけ、2)mockトランスフェクトしたA2058細胞による培養中のPBMC、及び3)miRNA-193a 1nMでトランスフェクトしたA2058細胞による培養中のPBMC。結果は、miRNA-193aでトランスフェクトしたA2058細胞との共培養にPBMCを保つことは、T細胞の増殖を増強したことを示す(図8)。
さらに、PBMCとの共培養の後の生存した腫瘍細胞の固定、染色及び比色定量化が示す通り、miRNA-193aは、PBMC媒介細胞毒性への腫瘍細胞の脆弱さを増加させた。興味深いことに、同系マウスの4T1同所性乳がんモデルにおけるin vivo実験は、miRNA-193a処置動物、又はmiRNA-193a処置マウスから養子T細胞転移を受けたナイーブマウスにおいて、長期のT細胞媒介抗腫瘍免疫の形成を確認した。
まとめると、これらの結果は、miRNA-193aが、全体的抗腫瘍有効性を増強するためにPBMC媒介細胞毒性を刺激するだけでなく、DC成熟も刺激し、適応性抗腫瘍免疫の形成を活性化する方法で腫瘍細胞を死滅させる、本物のICDインデューサーであることを強く示唆する。
実施例5-ヒト腫瘍細胞でのトランスフェクションの後のヒトPBMC媒介腫瘍細胞死滅に及ぼすmiRNA-193aの影響
がん生物学の理解における最も近年の進展の1つは、免疫腫瘍学(IO)の分野である。しばしば、腫瘍はがん免疫監視を避ける能力を提示し、それはがんの特質の1つを表す(Hanahanら、2011年)。したがって、がん免疫療法の主な目標は、腫瘍認識及び免疫抑制機構の破壊のためのその能力を向上させることによって腫瘍への患者の免疫応答を強化することである(Chenら、2017年)。腫瘍の顕著な免疫抑制を支える誘導機構の一部として、腫瘍学における新規治療的介入を開発するために、腫瘍微小環境(TME)中のアデノシンレベルがかなりの注目を近年集めている。腫瘍微小環境(TME)中のアデノシンは、エクトヌクレオチダーゼCD39(ENTPD1;細胞外アデノシン三リン酸(ATP)をアデノシン二リン酸(ADP)に、次にアデノシン一リン酸(AMP)に変換する)及びCD73(NT5E;AMPからのアデノシンの生成を担う)によって主に生成される(Staggら、2010年)。NT5Eによって生成される遊離アデノシンは細胞性免疫応答を阻害し、それによって腫瘍細胞の免疫エスケープを促進するので、NT5Eは阻害性免疫チェックポイント分子として作用することができる。実際、アデノシンは、低酸素又は虚血によって開始される細胞性ストレスなどの炎症誘発性刺激に応答して生成される、強力な免疫抑制代謝産物である。Ohta及び同僚らによる画期的な研究は、腫瘍免疫エスケープのためのアデノシンの重要性を強調した(Ohtaら、2006年)。固形腫瘍における細胞外アデノシン濃度は、正常な生理的条件下より高いことが報告されている(Blayら、1997年)。
本発明者らのトランスクリプトーム分析は、その発現が実施例1に記載されるmiR-193a-3pの模倣体による影響を受けた遺伝子の間で、免疫関連遺伝子のプールを特定した。それらには、CD73などのTMEの調節剤が含まれた。さらに、マウスモデルにおける本発明者らのin vivo研究は、miR-193a-3pが、他の作用を抑えて、免疫細胞が腫瘍細胞を死滅させることにおいてより活性になる方法で腫瘍細胞と免疫系の間の相互作用を修飾することを強く示唆した。ヒト細胞におけるmiR-193a-3pのIO関連の作用を調査し、さらにmiR-193a-3p媒介のIO作用の機構を調査するために、本発明者らは腫瘍細胞が健常なドナーの末梢血から単離されたヒト末梢血単核細胞(hPBMC)と共培養されたin vitroアッセイを確立し、腫瘍細胞に及ぼすhPBMCの細胞傷害性作用を、miR-193a-3pによるトランスフェクションの有る無しで調査した(実施例4を参照する)。
第1のステップとして、及びそのような細胞ベースのアッセイの技術的正当性を確立するために、ヒト抗CD3/CD28 T細胞活性化因子抗体(陽性対照)を腫瘍細胞及びPBMC共培養に加えた。使用した活性化因子は、CD3及びCD28免疫細胞表面リガンドに結合する可溶性四量体抗体複合体を含む。この結合はCD3及びCD28の架橋をもたらし、それによって、有効なT細胞活性化のために必要な一次及び共刺激シグナルを提供する(Riddellら、1990年;Bashourら、2014年)。図9に例示されるように、刺激されていないヒトPBMCは腫瘍細胞生存(共培養)への限定的な作用を示したが、共培養への抗CD3/CD28抗体の追加は、腫瘍細胞生存の顕著な低下につながり、これは、おそらく効率的なT細胞活性化及び以降のT細胞媒介腫瘍細胞殺滅の結果であろう。興味深いことに、一次ヒト真皮線維芽細胞で実行された類似の研究では、線維芽細胞の生存能に及ぼす抗CD3/CD28の影響は観察されず(データ示さず)、実験的なT細胞活性化がT細胞によって媒介される正常な線維芽細胞殺滅につながらないことを強く示唆した。
次に、ヒト黒色腫A2058及びNSCLC A549腫瘍細胞をmiR-193a-3pの漸増濃度でトランスフェクトし、その後、それらをヒトPBMCと(異なるPBMC:腫瘍細胞比で)異なる時間共培養した。独立したドナーからのヒトPBMCは、実施例1に記載されるmiRNA-193aによる腫瘍細胞のトランスフェクションの後に時間依存性の顕著な腫瘍細胞殺滅を誘導することができたが、(陰性)miRNA対照(スクランブル化)はできず、miRNA-193a活性の配列特異性を立証した(図10)。
まとめると、本発明者らの結果は、miR-193a-3pによる腫瘍細胞のトランスフェクションは、腫瘍細胞をPBMCに感作させることによって、及び/又はT細胞含有PBMCを活性化するシグナルをトランスフェクトした腫瘍細胞から放出させることによって、ヒトPBMC細胞毒性への腫瘍細胞(例えば、A2058及びA549腫瘍細胞)の脆弱さを明らかに増加させることを実証する。

Claims (15)

  1. カルレティキュリン(CRT)の低発現と関連する状態又は障害のある免疫原性細胞死(ICD)経路と関連する状態を処置することにおける使用のためのmiRNA-193a又はそのソース。
  2. 前記miRNA-193aが、CRTアゴニストであるか又はCRTの細胞表面発現を促進するか、又は前記ICD経路をレスキュー若しくは回復する、請求項1に記載の使用のためのmiRNA-193a又はそのソース。
  3. 前記miRNA-193aが、miRNA-193a分子、isomiR又はその模倣体であり、好ましくは配列番号22で表されるシード配列の7ヌクレオチドのうちの少なくとも6つを含むシード配列を有するオリゴヌクレオチドである、請求項1又は2に記載の使用のためのmiRNA-193a又はそのソース。
  4. miRNAのソースが、miRNAの前駆体であり、少なくとも50ヌクレオチド長の核酸である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のためのmiRNA-193a又はそのソース。
  5. 前記miRNAが、配列番号56、121又は122のいずれか1つと少なくとも70%の配列同一性を共有し、
    及び/又は前記miRNAが、15~30ヌクレオチド長であり、
    及び/又はmiRNAの前記ソースが、前記miRNAの前駆体であり、配列番号5又は13のいずれか1つと少なくとも70%の配列同一性を共有する、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのmiRNA-193a又はそのソース。
  6. CRTの低発現と関連する前記状態が、低CRTがん又はICD経路に障害のあるがんである、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のためのmiRNA-193a又はそのソース。
  7. 前記低CRTがんが、低CRT肉腫、脳がん、頭頸部がん、乳がん、肺がん、腎臓がん、肝がん、結腸がん、卵巣がん、黒色腫、膵がん、甲状腺がん、過誤腫、造血器腫及びリンパ系腫瘍の腫瘍又は前立腺がんである、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのmiRNA-193a又はそのソース。
  8. 前記miRNA-193aが、CRT、RPS6KB2、KRAS、PDGFRB、SOS2、TGFBR3、CASP9、INPPL1、PIK3R1、PTK2、CBL、PDPK1、CCND1、BCAR1、MAGI3、MDM2、YWHAZ及びMCL1、及び任意選択でHMGB1からなる群から、好ましくはRPS6KB2、KRAS、PDGFRB、CASP9、INPPL1、PIK3R1、PTK2、CBL、PDPK1、CCND1、BCAR1、MAGI3、MDM2、YWHAZ、MCL1からなる群から選択される、より好ましくはPDPK1又はINPPL1から選択される遺伝子の発現をモジュレートする、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のためのmiRNA-193a又はそのソース。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための、請求項1~8のいずれか一項に記載のmiRNA-193a又はそのソースを含む組成物。
  10. さらなるmiRNA又はその前駆体をさらに含み、前記さらなるmiRNAは、miRNA-323、miRNA-342、miRNA-520f、miRNA-520f-i3、miRNA-3157及びmiRNA-7又はそのisomiR、又はその模倣体からなる群から選択される、請求項9に記載の使用のための組成物。
  11. PP2Aメチル化剤、肝細胞増殖因子(HGF)の阻害剤、抗体、PI3K阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、OX40の結合剤などのT細胞副刺激分子の結合剤、及び化学療法剤からなる群から好ましくは選択される、追加の薬学的に活性な化合物をさらに含む、請求項9又は10に記載の使用のための組成物。
  12. 請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のためのナノ粒子組成物であって、前記ナノ粒子は、ジアミノ脂質及び請求項1~8のいずれか一項に記載のmiRNA-193a又はそのソースを含み、前記ジアミノ脂質は一般式(I)であり、
    Figure 2023515010000011

    式中、
    nは、0、1又は2であり、
    、T、及びTは、それぞれ独立して、任意選択で不飽和であり、0、1、2、3又は4つの置換基を有するC10~C18鎖であり、置換基は、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される、ナノ粒子組成物。
  13. 前記ナノ粒子が、
    i)20~60モル%のジアミノ脂質、及び
    ii)0~40モル%のリン脂質、及び
    iii)30~70モル%のステロール、及び
    iv)0~10モル%の水溶性ポリマー及び親油性アンカーのコンジュゲート
    を含む、請求項12に記載の使用のためのナノ粒子組成物。
  14. CRTをアゴナイズするための、又はCRTの細胞表面発現を増加させるためのin vivo、in vitro又はex vivoの方法であって、細胞を請求項1~8のいずれか一項に記載のmiRNA、又は請求項9~13のいずれか一項に記載の組成物と接触させるステップを含む、方法。
  15. 低CRTがんを処置するための方法であって、対象に請求項1~8のいずれか一項に記載のmiRNA-193a、又は請求項9~13のいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
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