JP2023507809A - Rna検出 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023507809000001
生体試料におけるRNA検出のための方法は、(a)生体試料を、試料中のRNA種にハイブリダイズする複数の異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを特徴とする第1の組成物と接触させる工程と、(b)生体試料を、カオトロピック化合物を特徴とするハイブリダイゼーション剤と接触させる工程と、(c)生体試料を、複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む第2の組成物と接触させる工程であって、異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブの各々が異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの1つに選択的にハイブリダイズする工程と、(d)複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像を取得する工程と、(e)異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対応する少なくとも1つの画像の構成要素に基づいて、試料中のRNA種の空間的位置を特定する工程とを含み、生体試料は等温条件下で第2の組成物と接触する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は米国仮出願第62/950,928号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に援用される。
本開示は、生体試料中のRNAの検出、並びに試料分析のための組成物、方法、及びシステムに関する。
RNA及びRNA関連種のインサイチュ検出は、天然の試料環境の理解並びに重要な生物学的指標及びパラメータの測定にとって非常に重要である。いくつかのインサイチュアッセイは、単一のRNA標的種の検出に限定される。一部のアッセイは、ハイブリダイゼーション状態を制御し、試料を加熱してRNAプローブの特定のハイブリダイゼーションを行うことによる、複数のRNA種の共検出を伴う。
米国特許第7,321,791号 PCT特許出願公開第WO 2005/040769号 PCT特許出願公開第WO 2020/163397号
Torら、Pure Appl. Chem. 81(2): 263~272頁(2009) Chengら、Curr. Opin. Struct. Biol. 11(4); 478~484頁(2001) Warnerら、Nat. Rev. Drug Discovery 17: 547~558頁(2018) Aboul-ela、Future Med. Chem. 2(1): 93~119頁(2010) Yarus、J. Mol. Evol. 47: 109~117頁(1998) Dryginら、Nucl. Acids. Res. 26(21): 4791~4796頁(1998) Gampeら、Angew. Chem. Int. Ed. 55935): 10283頁(2016) Ishizukaら、Chem. Commun. 88: 10835~10837頁(2012) Collinsら、Nucl. Acids. Res. 25(15): 2979~2984頁(1997) Urdea、Nature Biotechnology 12: 926~928頁(1994) Hornら、Nucleosides and Nucleotides 8(5~6): 875~877頁(1989) Ballalら、J. Biomol. Tech. 20(4): 190~194頁(2009) Lawsonら、Scientific Reports 8: 13970頁(2018) Giustiら、Genome Res. 2: 223~227頁(1993) Smithら、Meth. Enzymology 155: 260~301頁(1987) Buckhout-Whiteら、ACS Omega 3(1): 495~502頁(2018)
本開示は、様々な異なる種類の生体試料で多重RNA検出を行うための、組成物、方法、及びシステムを特徴とする。特に、一部の組成物は、試料中で、試料温度を変えることなく、色素標識されたオリゴヌクレオチドプローブをオリゴヌクレオチド標識RNA種とハイブリダイズさせるように製剤化される。試料加熱工程を排除することで、分析ワークフローがとても簡単になる。緩衝溶液に相当し、1つ以上のカオトロピック成分を含有する組成物を使用して、試料中のオリゴヌクレオチド標識RNA種のハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション状態を制御し、それにより、色素標識オリゴヌクレオチドプローブの、検出対象である試料へのハイブリダイゼーション、又は追加の分析サイクルの準備のための、色素標識オリゴヌクレオチドプローブの試料からの脱ハイブリダイゼーションのいずれかを生じさせることができる。単一の分析サイクルにおいて、生体試料を複数の異なる色素標識RNAプローブで標識することができ、異なる色素標識RNAプローブの各々に対応するRNA種を定量化することができる。異なる色素標識RNAプローブのバッチを用いてRNA種の検出を複数サイクル繰り返して、試料中の多数のRNA種を検出することができる。
本開示は、(a)生体試料を、試料中のRNA種にハイブリダイズする複数の異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを特徴とする第1の組成物と接触させる工程と、(b)生体試料を、カオトロピック化合物を特徴とするハイブリダイゼーション剤と接触させる工程と、(c)生体試料を、複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを特徴とする第2の組成物と接触させる工程であって、異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブの各々が異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの1つに選択的にハイブリダイズする工程と、(d)複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像を取得する工程と、(e)異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対応する少なくとも1つの画像の構成要素に基づいて、試料中のRNA種の空間的位置を特定する工程とを含み、生体試料が等温条件下で第2の組成物と接触する、方法を特徴とする。
本方法の実施形態は、以下の特徴のいずれか1つ以上を含むことができる。
本方法は、(f)標識されたオリゴヌクレオチドプローブを試料から除去することを含むことができる。本方法は、異なる組の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを用いて工程(c)~(e)を繰り返して、試料中の少なくとも1つの更なるRNA種の空間的位置を特定する工程を含むことができる。本方法は、工程(c)~(e)を繰り返す工程の前に、工程(b)を繰り返す工程を含むことができる。
本方法は、工程(c)~(e)を繰り返す工程の前に、生体試料を、試料中のRNA種にハイブリダイズする複数の異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを特徴とする第3の組成物と接触させる工程を含むことができ、この場合、第3の組成物の複数の異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、第1の組成物中にも存在する。
カオトロピック化合物は、ジメチルスルホキシド及び/又はホルムアミドを含むことができる。ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の質量百分率は、5%から20%の間とすることができる。
本方法は、標識されたオリゴヌクレオチドプローブを還元的開裂及び/又は酵素的開裂によって試料から除去する工程を含むことができる。
本方法は、試料を脱ハイブリダイゼーション剤に曝露して、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブから標識されたオリゴヌクレオチドプローブを脱ハイブリダイズすることにより、標識されたオリゴヌクレオチドプローブを試料から除去する工程を含むことができる。脱ハイブリダイゼーション剤は、ジメチルスルホキシド及び/又はホルムアミド等のカオトロピック化合物を含むことができる。脱ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の質量百分率は、50%以上とすることができる(例えば、80%以上)。
ハイブリダイゼーション剤は、少なくとも1つの緩衝剤を含むことができる。ハイブリダイゼーション剤は、少なくとも1つの塩を含むことができる。ハイブリダイゼーション剤は、少なくとも1つの界面活性剤を含むことができる。ハイブリダイゼーション剤は、少なくとも1つのキレート化剤を含むことができる。ハイブリダイゼーション剤は、少なくとも1つのアジド系抗菌剤を含むことができる。
脱ハイブリダイゼーション剤は、少なくとも1つの緩衝剤を含むことができる。脱ハイブリダイゼーション剤は、少なくとも1つの塩を含むことができる。脱ハイブリダイゼーション剤は、少なくとも1つの界面活性剤を含むことができる。脱ハイブリダイゼーション剤は、少なくとも1つのキレート化剤を含むことができる。脱ハイブリダイゼーション剤は、少なくとも1つのアジド系抗菌剤を含むことができる。
第1の組成物は、20以上の異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを含むことができる。第2の組成物は、4以上(例えば、6以上)の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含むことができる。各々の種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも5個の塩基(例えば、少なくとも20個の塩基)を含むことができる。各々の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも5個の塩基(例えば、少なくとも10個の塩基)を含むことができる。
各々の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、異なる光学標識を含むことができる。異なる光学標識は、異なる蛍光色素、異なる発色性部分、異なるペプチド含有部分、異なる量子ドット系種、及びこれらのいずれかの組合せを含むことができる。
第2の組成物は、複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブのうちの第1の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含むことができ、異なる組の標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、第1の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含むことができ、複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像は、第1の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対応する測定シグナルを特徴とする第1の画像を含むことができ、異なる組の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像は、第1の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対応する測定シグナルを特徴とする第2の画像を含むことができ、本方法は、複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像及び異なる組の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像を、第1及び第2の画像中の第1の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対応する測定シグナルに基づいて登録する工程を含むことができる。
本方法の実施形態は、明示的に別段の記述がない限り、本明細書に記載される他の特徴のいずれかを含むこともでき、異なる実施形態に関して記載される特徴の任意の組合せを含むこともできる。
別段の定義がなされない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書における主題を実施又は試験する際、本明細書で記載される方法及び材料と類似又は等価な方法及び材料を使用することができるが、以下に好適な方法及び材料を記載する。本明細書において言及される全ての出版物、特許出願、特許、及びその他の文献は、参照によりそれらの全体が援用される。矛盾する場合、定義を含めて本明細書が優先する。更に、材料、方法、及び例は単なる例示であり、限定することを意図していない。
1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面及び以下の説明にて述べる。その他の特徴及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなる。
図1は、生体試料におけるRNA検出のための一連の例示的工程を示すフローチャートである。 図2Aは、試料中における、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブのRNA種へのハイブリダイゼーションを示す概略図である。 図2Bは、試料中における、標識されたオリゴヌクレオチドプローブの標識されていないオリゴヌクレオチドプローブへのハイブリダイゼーションを示す概略図である。 図3は、試料画像化システムの一例の概略図である。 図4は、生体試料におけるRNA検出のための一連の例示的工程を示すフローチャートである。 図5は、制御装置の一例の概略図である。
種々の図面における類似の参照符号は、類似の要素を示す。
生体試料におけるRNA検出により、試料環境についての重要な情報、並びに細胞の発生及びシグナル伝達経路に関する豊富な情報が得られる。インサイチュRNA検出法は、広汎な試料型に適用でき、それらとは別に標準的な実験法では分析できない試料にも適用できるので、特に有用である。
従来のRNA検出法は様々な形で制限されうる。例えば、ある検出法は、温度サイクリング(即ち、試料を加熱してハイブリダイゼーションを誘発し、その後、分析及び/又は脱ハイブリダイゼーション中に試料を放冷すること)によるRNAプローブの試料へのハイブリダイゼーションを伴う。残念ながら、試料温度を繰り返し調整することは分析ワークフローに大幅な遅れをもたらし、正確な温度制御は、維持管理が比較的困難な計測手段を必要とする可能性がある。更に、RNAプローブの結合効率が温度依存的反応に依存する場合、分析ワークフローにおいてRNA種の定量が一貫性を欠きやすい可能性がある。
ある検出法は、単一の種類のRNAプローブを特定のRNA種を検出するための試料に適用することを伴う。しかしながら、このような方法を使用して試料中の複数のRNA種の特徴付けを行うことは大変な作業となる可能性があり、複数の試料(即ち、ひと続きの連続組織切片)並びに/又は単一のRNAプローブの適用、適用したプローブの検出、及び検出後のプローブの除去を伴う数多くのサイクルを必要とする。
本開示は、複数の異なる種類のRNAプローブを単一の試料に適用することができる方法を特徴とする。対象とするRNA種を含有する試料を、二段階の過程で標識する。まず、RNA種を含有する試料を標識されていない組のオリゴヌクレオチドプローブに曝露する。標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの組は、異なる配列を有するオリゴヌクレオチドからなる。各々の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブに対して少なくとも部分的に相補的な配列を介して、試料中の異なるRNA種にハイブリダイズする。標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの組は、多数の固有のプローブを含むことができ、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを、RNA検出より前の単一の工程で(或いは、複数の工程で)試料に添加することができる。標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの組に試料を曝露した後、オリゴヌクレオチド標識RNA種を有する試料が生成される。
次に、試料中のオリゴヌクレオチド標識RNA種を、標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブの組に曝露する。標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブは、各々が光学標識を含む。異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブは、互いに別個の(即ち、区別可能な)光学標識を含む。異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブは、各々、特定のオリゴヌクレオチド標識RNA種にハイブリダイズする。標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブによる試料中のオリゴヌクレオチド標識RNA種へのハイブリダイゼーションの後、異なる標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブを個別に検出及び定量化することができる。光学標識は互いに別個であるので、試料を複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブに同時に曝露することができ、複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブに対応するシグナルを多重に検出及び定量化することができる。
検出後、複数の標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブを、脱ハイブリダイゼーション又は他の化学的若しくは酵素的方法により、単一の除去工程で除去することができる。標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブの追加のバッチを用いて、試料に対して追加のハイブリダイゼーション-検出-脱ハイブリダイゼーションサイクルを行うことができ、各サイクルにおいて、複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブを試料に結合させることができる。このように、各サイクルは、異なる標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブの多重検出を特徴とすることができる。
任意選択で、本明細書に記載される方法の全体又は一部を等温条件下で行ってもよい。本明細書で使用される場合、「等温」という用語は、試料温度を摂氏+/-5度の温度範囲内に維持する工程又は一連の工程を指す。実際は、試料温度が概ね試料を取り巻く周囲温度と同じであり続けられるように、試料を加熱することも冷却することもせずに本方法の全体又は一部分を行うことができる。
本方法を多種多様な生体試料で使用することができる。このような試料としては、新鮮試料、凍結試料、固定凍結試料、及びホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、このような試料は組織切片に相当するが、他の形態でも試料を同様に分析することができる。例えば、組織培養物、細胞懸濁液、培養細胞、全腫瘍又は生体組織、組織生検、及び細胞塗抹等の試料も分析することができる。
一般に、試料は様々な供給源に由来しうる。一部の実施形態において、試料は、ヒト、マウス、ラット、ウシ、及びブタ等の動物対象に由来する。ある特定の実施形態において、試料は植物に由来する。試料は、他の供給源、例えば、ウィルス、細菌、及びプラスミド等の合成供給源から得た遺伝物質で改変された(即ち、感染させた又は遺伝子導入された)動物又は植物にも由来しうる。
分析ワークフロー
図1は、試料中のRNA種を検出するための一連の例示的工程を示すフローチャート100である。試料の分析における第1の工程102として、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの配列に対して少なくとも部分的に相補的な配列を介して、試料中のRNA種にハイブリダイズさせる。各々の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、一般に、5個から100個の間の塩基(例えば、5個から90個の間の塩基、10個から90個の間の塩基、10個から80個の間の塩基、15個から70個の間の塩基、20個から70個の間の塩基、20個から50個の間の塩基、20個から100個の間の塩基、又はこれらの範囲のいずれかの中の任意の数の塩基)を含む。
一般に、オリゴヌクレオチドプローブは、それがオリゴヌクレオチドプローブを検出する目的で光学シグナルを直接生成するために使用されない場合、「標識されていない」。標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは一般に、試料中のRNA種へのハイブリダイゼーションのための核酸配列に加え、様々な異なる化学的及び生化学的部分を含む。しかし、これらの更なる部分のいずれもオリゴヌクレオチドプローブの検出に使用されない場合、プローブは以下の解説の目的で「標識されていない」とみなされる。
一般に、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、試料を複数の異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを含む組成物に曝露することによって試料中に導入される。各々の異なる種類のプローブは、試料中の異なるRNA種又は配列に選択的にハイブリダイズし、これにより、RNA種又は配列を「認識する」。それにより、異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、対象とする試料が曝露されるプローブの組を形成する。
多種多様な異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを試料中に導入することができる。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、上述のような核酸配列を含む。核酸配列は、RNA配列又はDNA配列とすることができる。配列は、天然(例えば、野生型)又は合成配列とすることができる。核酸配列は、DNA塩基(例えば、A、C、G、T)、RNA塩基(例えば、A、C、G、U)、並びにDNA及び/又はRNA塩基についての任意の組合せを含むことができる。塩基を、天然の連結、非天然の(例えば、合成による)連結、及び天然の連結と非天然の連結の組合せを介してコンジュゲートしてもよい。
1つ以上の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、試料中のRNA種の相補的ヌクレオチドと高い信頼性で塩基対形成することが可能な、1つ以上のヌクレオチドを含むことができる。このようなヌクレオチドとしては、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-グアニン、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、2-デアザ-2-チオ-グアノシン、2-チオ-7-デアザ-グアノシン、2-チオ-アデニン、2-チオ-7-デアザ-アデニン、イソグアニン、7-デアザ-グアニン、5,6-ジヒドロウリジン、5,6-ジヒドロチミン、キサンチン、7-デアザ-キサンチン、ヒポキサンチン、7-デアザ-キサンチン、2,6-ジアミノ-7-デアザプリン、5-メチル-シトシン、5-プロピニル-ウリジン、5-プロピニル-シチジン、2-チオ-チミン、及び2-チオ-ウリジンが挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、1つ以上の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、1つより多くの核酸配列を含むことができ、これら1つより多くの配列は、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ中において連続していても非連続であってもよい。
他の種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブも使用することができる。例えば、一部の実施形態において、1つ以上の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、ペプチド核酸、モルホリノ、ロックド、及びアンロックド核酸、グリコール核酸、トレオース核酸、並びにアプタマー等のペプチド含有種を含むことができる。
ある特定の実施形態において、ヌクレオシド模倣体等の化学結合剤を標識されていないプローブにおいて使用することができる。好適なヌクレオシド模倣体の例はTorら、Pure Appl. Chem. 81(2): 263~272頁(2009)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に援用される。小分子系薬剤等の分子系結合剤の他の例は、Chengら、Curr. Opin. Struct. Biol. 11(4); 478~484頁(2001)、Warnerら、Nat. Rev. Drug Discovery 17: 547~558頁(2018)、Aboul-ela、Future Med. Chem. 2(1): 93~119頁(2010)、及びYarus、J. Mol. Evol. 47: 109~117頁(1998)に記載されており、これらの各々の全内容は参照により本明細書に援用される。
以下の解説において、説明を簡単にするため、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、試料中の相補的なRNA種にハイブリダイゼーションを介して選択的に結合する核酸配列を含むものとする。ただし、本明細書に記載される方法は、オリゴヌクレオチド配列を含まないため「オリゴヌクレオチド」プローブではないプローブを含め、上記の種類のいずれの標識されていないプローブに対しても使用することができる点に留意されたい。
工程102では、試料を標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの組に、単一の工程で、或いは複数の(例えば、連続する)工程で曝露することができる。試料が標識されていないオリゴヌクレオチドプローブに複数の工程で曝露される場合、プローブの組をバッチに分けることができ、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの複数のバッチを連続して試料に適用し、連続する曝露工程の間に洗浄工程を設けることで、未結合の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを除去することができる。或いは、以下で更に詳細に解説するが、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの第1の部分を最初に試料中のRNA種の組に適用することができ、標的種を検出することができる。検出後、任意選択で、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの第1の部分を試料から除去することができ、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの第2の部分を試料中の同一又は(より典型的には)異なる組のRNA種に適用することができる。このRNA種の組を検出することができ、任意選択で、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの第2の部分を除去することができ、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを適用する1回以上の追加のサイクルを行うことができる。一般に、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを適用する回数は、2回以上(例えば、3回以上、4回以上、5回以上、6回以上、7回以上、8回以上、9回以上、10回以上、又は更に多くの回数)でありうる。
標識されていないオリゴヌクレオチドプローブによる試料中のRNA種又は配列へのハイブリダイゼーションを促進するために、ハイブリダイゼーション剤を使用することができる。好適なハイブリダイゼーション剤は、1つ以上のカオトロピック化合物をはじめとした、様々な異なる薬剤のうちの1つ以上を含むことができる。好適なハイブリダイゼーション剤の例を以下でより詳細に説明する。
一部の実施形態において、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを等温条件下で試料に結合させる。いくつかの従来のRNA検出法は、試料を加熱して、RNAプローブによるRNA種へのインサイチュのハイブリダイゼーションを誘発することを必要とする。本明細書に開示される方法では、試料が環境の周囲温度のままであるように、試料を加熱することなく、標識されていないオリゴヌクレオチドRNAプローブを試料中のRNA配列又は種にハイブリダイズさせることができる。
試料に付与することができる異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの総数は、一般に、分析対象である異なるRNA配列又は種の数に基づいて、所望の通りに選択することができる。例えば、異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの総数は、2以上(例えば、4以上、6以上、8以上、10以上、15以上、20以上、30以上、40以上、50以上、70以上、100以上、150以上、200以上、500以上、又は更に多くの数)とすることができる。
標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの配列が試料中のRNA配列又は種と少なくとも部分的に相補的である場合、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、一般に、そのRNA配列又は種と選択的に結合する。本明細書で使用される場合、1つの核酸配列は、それが第2の核酸配列の70%以上と相補的である塩基の連続配列を含むならば、第2の核酸配列と「少なくとも部分的に相補的」である。
試料中の特定のRNA種にハイブリダイズする標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、一般に、脱ハイブリダイゼーションによって除去することができる。しかし、一部の実施形態において、標識されていないプローブは、他の方法を介して試料中のRNA種と結合する。例えば、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを、試料中の特定のRNA種にライゲーションすることができる。より一般的には、標識されていないプローブ(上記で解説した通り)はオリゴヌクレオチドを含まない可能性があるが、その代わり、試料中のRNA種に選択的に結合する他の部分を含む可能性がある。これらの部分をRNA種に結合させる機序により、標識されていないプローブとRNA種の間の可逆的(例えば、標識されていないプローブを試料から任意選択で除去することができるような)又は不可逆的な(例えば、標識されていないプローブが試料中のRNA種に永久に結合するような)会合が生じる可能性がある。
また、異なる種類の標識されていないプローブの組合せを本明細書に記載される方法で使用することができる点にも留意されたい。更に、標識されていないプローブをある特定のRNA種に、ひと続きの分析サイクルの中で1回より多く結合させることができる。例えば、1サイクル中で、ある特定のRNA種を、試料からその後除去される第1の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブに選択的にハイブリダイズさせることができる。後続のサイクルにおいて、RNA種を、オリゴヌクレオチドプローブ又は非オリゴヌクレオチドプローブでありうる第2の標識されていないプローブに結合させる(即ち、ハイブリダイゼーション又は別の結合機序を介して)ことができる。第2の標識されていないプローブを、RNA種に可逆的又は非可逆的に結合させることができる。
生体試料の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブへの曝露の後、ハイブリダイズしていない(例えば、未結合の)プローブを、例えば、水性洗浄液を適用することにより試料から洗い流す。図2Aは、試料中のRNA配列又は種に標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを付与した結果を示す、概略図である。図2A中の試料200は対象とするRNA種202を含み、これに対し、上記で解説した通り、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204がハイブリダイズされている。ハイブリダイゼーションの結果として、試料200はオリゴヌクレオチド標識RNA種206を含む。
図1に戻ると、工程102で試料中のRNA種が異なる標識されていないオリゴヌクレオチドプローブに選択的にハイブリダイズされた後、1回以上の分析サイクルを行って、試料中のRNA種を検出し定量化する。分析サイクルにおける第1の工程104として、任意選択で、試料をハイブリダイゼーション剤に曝露して、試料中のオリゴヌクレオチド標識RNA種のハイブリダイゼーション状態を調整する(そしてより具体的には、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーション状態を調整する)。ハイブリダイゼーション剤は、一般に、相補的な標識されたオリゴヌクレオチドRNAプローブにハイブリダイズするようにオリゴヌクレオチド標識RNA種を整える、1つ以上の物質を含む。ハイブリダイゼーション剤の好適な例を、以下でより詳細に説明する。
ある特定の実施形態において、試料中のオリゴヌクレオチド標識RNA種を等温条件下で、即ち、試料に熱を印加することなく、ハイブリダイゼーション剤に曝露する。先に解説した通り、試料中のオリゴヌクレオチド標識RNA種を加熱することなくハイブリダイゼーション剤に曝露することで、分析ワークフローをとても簡単にすることができ、温度サイクリングを伴う従来の方法に比べて加速することができる。
工程104は任意選択である点に留意されたい。一部の実施形態において、工程104を省略することができ、試料中のオリゴヌクレオチド標識RNA種を、以下の工程106で説明するように直接処理することができる。
次に、工程106で、試料を複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む組成物に曝露する。各々の標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、全般に、少なくとも1つの光学標識とコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、N個の塩基の配列を特徴とし、Nは典型的には5から100の間(例えば、5から90の間、5から80の間、10から90の間、10から80の間、15から90の間、15から80の間、5から70の間、10から70の間、20から70の間、5から50の間、5から40の間、5から30の間、10から50の間、10から40の間、20から50の間、20から40の間、及び前記された範囲内の任意の範囲)である。
典型的には、試料が曝露される組成物はM個の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含み、Mは2以上である。例えば、Mは3以上(例えば、4以上、5以上、6以上、8以上、10以上、12以上、15以上、20以上、25以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、又は更に多くの数)とすることができる。
組成物中の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブの各々は、試料中のRNA種にハイブリダイズされる標識されていないオリゴヌクレオチドプローブに結合する。一般に、標識されたオリゴヌクレオチドプローブと標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの間の結合は、プローブ配列の部分が少なくとも部分的に相補的である場合にハイブリダイゼーションによって発生する。
図2Bは、標識されたオリゴヌクレオチドプローブと標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの間のハイブリダイゼーションの結果を示す、概略図である。標識されたオリゴヌクレオチドプローブ212は、少なくとも1つの光学標識210とコンジュゲートしたオリゴヌクレオチド配列208を含む。オリゴヌクレオチド配列208は標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204の部分にハイブリダイズし、試料200中で光学標識されたRNA種214を形成する。試料の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む組成物への曝露後、未結合の標識されたプローブは試料から洗い流される(例えば、1回以上のサイクルで水性洗浄液を適用することによって)。
標識されていないプローブが上述のように試料中のRNA種に結合する非オリゴヌクレオチド結合部分を含む実施形態において、標識されていないプローブは、標識されたオリゴヌクレオチドプローブにとって相補的ハイブリダイゼーション部位となる結合部分に連結した、オリゴヌクレオチド配列を含むことができる点には留意されたい。オリゴヌクレオチド配列を小分子、ペプチド、及び他のアミノ酸型部分に連結するための方法は当技術分野において周知であり、例えば、Dryginら、Nucl. Acids. Res. 26(21): 4791~4796頁(1998)、Gampeら、Angew. Chem. Int. Ed. 55935): 10283頁(2016)、及びIshizukaら、Chem. Commun. 88: 10835~10837頁(2012)に記載されており、これらの各々の全内容は参照により本明細書に援用される。
図2Bに示されている例では、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204は単一の標識されたオリゴヌクレオチドプローブ212に結合する(例えば、ハイブリダイズする)。しかし、より一般的には、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204は、標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対する複数の結合部位を有しうる。例えば、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブは、各々が標識されたオリゴヌクレオチドプローブに結合する、複数のオリゴヌクレオチド配列を有しうる。このような標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを、RNA種(例えば、上述の結合部分のいずれか)に選択的に結合する結合部分を含む分枝型のオリゴヌクレオチド構造、及び各々が標識されたオリゴヌクレオチドプローブに結合する、結合部分に連結した複数のオリゴヌクレオチドとして実装することができる。好適な分枝型の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを、例えば、Collinsら、Nucl. Acids. Res. 25(15): 2979~2984頁(1997)、Urdea、Nature Biotechnology 12: 926~928頁(1994)、及びHornら、Nucleosides and Nucleotides 8(5~6): 875~877頁(1989)に記載されているように調製することができ、これらの各々の全内容は参照により本明細書に援用される。
次に、工程108で、試料中の光学標識されたRNA種を、対応する光学標識210から生成される光学シグナルを検出することにより、検出し定量化する。上述のように、標識されたオリゴヌクレオチドプローブ212の各々は、少なくとも1つの光学標識210を含む。一般に、標識されたプローブは、様々な異なる種類の光学標識を含むことができ、光学標識としては、蛍光種、発色性(即ち、吸収性)種、リン光種、並びに入射光を変える(例えば、入射光と異なる反射又は透過光を生成する)及び/又は入射光に応答して光を発するその他の種が挙げられるが、これらに限定されない。
以下の解説の目的で、標識されたプローブとコンジュゲートした光学標識を「色素」と称するが、「色素」という用語が一般的に上述の異なる種類の光学標識のいずれかを指す点は理解されたい。本明細書で使用される場合、「色素」とは入射光と相互作用する部分であり、そこから発せられる光を測定し、試料中の色素の存在を検出することができる。一般に、色素は、蛍光性部分、吸収性部分(例えば、発色性部分)、又は、光を発する、若しくは色素が存在する試料を通過した若しくはそこから反射した入射光を変化させ、そのため、試料からの透過光若しくは反射光の変化を測定することにより色素の存在を決定できる、別種の部分でありうる。
多種多様な光学標識又は色素をオリゴヌクレオチドとコンジュゲートさせることができ、これが本明細書に記載される方法で使用することができる標識されたオリゴヌクレオチドプローブとして機能する。このような光学標識の例としては、蛍光性又はリン光性の小部分又は小分子、タンパク質(内因性及び外因性タンパク質を含む)、ペプチド及びペプチド含有部分、並びに量子ドット(例えば、金属及び半金属量子ドット)が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態において、標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、フルオレセイン色素及び/又はローダミン色素等のキサンテン系色素を含んでいてもよい。好適なフルオレセイン及びローダミン色素の例としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、6-カルボキシフルオレセイン(一般に、FAM及びFという略称で知られる)、6-カルボキシ-2',4',7',4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン(JOE又はJ)、N,N,N',N'-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA又はT)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX又はR)、5-カルボキシローダミン-6G(R6G5又はG5)、6-カルボキシローダミン-6G(R6G6又はG6)、及びローダミン110が挙げられるが、これらに限定されない。
また、色素はシアニン系色素であってもよい。このような色素の好適な例としては、Cy3、Cy5、及びCy7色素が挙げられるが、これらに限定されない。また、色素は、クマリン色素(例えば、ウンベリフェロン)、ベンズイミド色素(例えば、Hoechst 33258等のHoechst色素のいずれか)、フェナントリジン色素(例えば、Texas red)、エチジン色素、アクリジン色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素(例えば、BODIPY色素のいずれか)、及びキノリン色素であってもよい。
色素が蛍光性部分である場合、色素は、以下の非限定的な例及び/又はその誘導体のいずれかに対応する部分であってもよい:ピレン類、クマリン類、ジエチルアミノクマリン類、FAM、フルオレセインクロロトリアジニル、フルオレセイン、Rl 10、JOE、R6G、テトラメチルローダミン、TAMRA、リサミン、ナフトフルオレセイン、Texas Red、Cy3、及びCy5。
ある特定の実施形態において、色素は1つ以上の量子ドット系種を含んでいてもよい。量子ドット系フルオロフォアは、多くの異なるスペクトル帯での蛍光発光スペクトルで利用可能であり、好適な量子ドット系色素を本明細書に記載される方法における標識種として使用することができる。
様々な方法を使用して、色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを調製することができる。例えば、一部の実施形態において、標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、1つ以上の色素含有塩基(上述の光学標識として機能する)を含んでいてもよい。ある特定の実施形態において、標識されたオリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチド配列は、色素部分に連結される(例えば、連結部分を介して)。光学標識を含む標識されたオリゴヌクレオチドプローブを、Ballalら、J. Biomol. Tech. 20(4): 190~194頁(2009)、Lawsonら、Scientific Reports 8: 13970頁(2018)、Giustiら、Genome Res. 2: 223~227頁(1993)、及びSmithら、Meth. Enzymology 155: 260~301頁(1987)に記載されている方法等の様々な方法を使用して調製することができ、それらの各々の全内容は参照により本明細書に援用される。
一般に、異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブの各々は、固有のオリゴヌクレオチド配列にコンジュゲートした異なる種類の色素を含む。試料に結合した異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを検出するために、1つ以上の試料画像を取得する。標識されたオリゴヌクレオチドプローブの各々は異なる色素を含むため、1つ以上の試料画像に対する異なる色素のスペクトルへの寄与を分離及び定量化することで、試料中の異なる標識されたオリゴヌクレオチドプローブの各々を特定し定量化することが可能となる。試料中のRNA種と標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの間及び標識されたオリゴヌクレオチドプローブと標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの間で生じる特定のハイブリダイゼーションの結果、試料中に存在する異なるRNA種を個別に特定し定量化することができる。
標識されたオリゴヌクレオチドプローブの異なる色素からのスペクトルへの寄与を含む試料画像は、様々な異なる試料画像化システムを使用して取得することができる。顕微鏡(例えば、蛍光顕微鏡)として実装した1つの試料画像化システム300の一例を、図3に示す。システム300は、光源302、ダイクロイックミラー304、光学フィルタ306(励起フィルタ306a及び発光フィルタ306bとして実装)、対物レンズ308、ステージ310、及び検出器312を備える。これらの構成要素の各々は、処理装置316を備える制御装置314に連結されている。
制御装置314は、システム構成要素の各々からの制御及びデータ信号を送信及び受信し、したがって、構成要素の各々を制御することができる(より具体的には、処理装置316がシステム構成要素の各々を制御する)。ある特定の実施形態において、システム300に関して記載される工程及び/又は制御機能の全てが制御装置314によって行われる。或いは、一部の実施形態において、ある特定の工程は、システム300の人間のオペレータによって行われてもよい。
光源302は、可変の照射波長分布を有する光を生成することが可能な、調整可能な光源である。例えば、一部の実施形態において、光源302は、制御装置314が選択的に作動させることで所望のスペクトル特性を有する照射光を発生させることが可能な、異なる波長を有する複数のLEDを備える。ある特定の実施形態において、光源302は、各々が制御装置314によって制御可能な、1つ以上のレーザダイオード、レーザ、白熱光源、及び/又は蛍光光源を備える。
光源302によって発生した照射光はダイクロイックミラー304で反射し、光学フィルタ306に入射する。フィルタ306は、典型的には複数のフィルタを備え、その各々を照射光の経路中に選択的に挿入することができる。フィルタの各々は、関連する励起スペクトル帯と1つ以上の発光スペクトル帯とを有する。制御装置314は、光源302によって発生する照射光に基づいてフィルタ306を調整して、好適な波長分布を有する光を試料に入射させる。
フィルタ306は種々の手法で実装することができる。例えば、一部の実施形態において、フィルタ306は複数の異なるエピフィルタキューブを備え、その各々を、制御装置314によって照射光の経路へと選択的に回転させることができる。ある特定の実施形態において、フィルタ306は、制御装置314によってその励起及び発光スペクトル帯を選択的に選ぶことができる、調整可能なフィルタリング素子(例えば、液晶系素子)を備える。フィルタ306の他の実装もシステム300で使用することができる。
フィルタ306から出るフィルタリングされた照射光はその後、レンズ308により、ステージ310上に設置されたスライド352が支持する試料350の表面に集束させられる。ステージ310は試料350がx及びy方向の各々に動くことを可能とし、これは制御装置314により制御可能である。また、ステージ310は、制御装置314により制御される加熱素子326を任意選択で備えていてもよい。制御装置314は加熱素子326を調整して、ステージ310上に位置付けられた際の試料350の温度を調節することができる。
X及びY方向でステージ310を動かすことにより、フィルタリングされた照射光を試料の異なる領域に向けることができる。試料を照射光の焦点領域に対して動かすことで、照射光を試料の複数の異なる領域に向けることができ、これにより、試料350のスライド全体に及ぶ画像化が可能となる。
フィルタリングされた照射光は試料350から蛍光発光を生じさせ、レンズ308の方向に発せられた蛍光はレンズ308によって平行化され、フィルタ306を通過する。上記で解説したように、フィルタ306は制御装置314で調整することができ、1つ以上の発光スペクトル帯を画定する。試料350からの蛍光発光は、この1つ以上の発光スペクトル帯内の光のみがフィルタ306によって透過させられるように、フィルタ306によってフィルタリングされる。フィルタリングされた蛍光発光光はダイクロイックミラー304によって透過され、検出器312によって検出される。
検出器312は種々の手法で実装することができる。例えば、一部の実施形態において、検出器312はCCD系検出素子を備える。ある特定の実施形態において、検出器312はCMOS系検出素子を備える。検出器312は、フィルタリングされた蛍光発光光の波長選択的検出が可能となるように、1つ以上のプリズム、格子、回折素子、及び/又はフィルタ等のスペクトル選択的光学素子を任意選択で備えていてもよい。入射するフィルタリングされた蛍光発光光に応答して、検出器312は、フィルタリングされた蛍光発光光の定量測定値を表す1つ以上の電気信号を発生させる。この信号は制御装置314に送信され、制御装置314は信号を処理して、試料350に対応する測定情報を抽出する。
一部の実施形態において、システム300は、制御装置314によって制御される流体送出装置320を備える。流体送出装置320は、1つ以上の送出管322を介してステージ310上の試料350に、本明細書に記載される流体のいずれかを含む流体を任意選択で送出し、試料350から、本明細書に記載される流体のいずれかを含む流体を任意選択で除去する。流体の送出及び除去を容易にするために、流体送出装置320は、流体を収容するための1つ以上の貯蔵器、流体を加圧して流体の流れを生じさせるための1つ以上のポンプ、流体の流れを調節するための1つ以上のバルブ、及び装置内で流体を輸送するための1つ以上の導管を任意選択で備えていてもよい。流体送出装置320は、混合素子、流体環状路、加熱素子、冷却素子、及び流体の特性(例えば、流体のスペクトル特性、流体の吸収特性、及び流体の他の属性等の光学特性)を測定するためのセンサー等の、他の流体操作及び輸送用構成要素を任意選択で備えていてもよい。これらの構成要素の各々は、任意選択で制御装置314により制御してもよい。
試料から取得した(例えば、システム300を使用して)各画像は、典型的には、1つ以上のスペクトル寄与体からの寄与を含む。スペクトル寄与体は、例えば、上記で解説した標識されたオリゴヌクレオチドプローブの光学標識に相当しうる。単一のスペクトル寄与体(例えば、試料中の単一のRNA種と会合した単一の標識されたオリゴヌクレオチドプローブ)のみからの寄与を実質的に含む画像の場合、会合したRNA種についての情報を画像から直接取得することができる。
複数のスペクトル寄与体(例えば、複数の標識されたオリゴヌクレオチドプローブ)からの寄与を含む画像の場合、画像を成分画像の組に分解することにより、スペクトル寄与体と会合している複数のRNA種についての情報を取得することができ、このとき、成分画像の各々は実質的に単一のスペクトル寄与体のみからの寄与を含み、したがって単一のRNA種と会合している。スペクトル分解法を使用してこのような分解を行うことができ、スペクトル分解をするための方法は、例えば、米国特許第7,321,791号及びPCT特許出願公開第WO 2005/040769号に記載されており、これらの各々の全内容は参照により本明細書に援用される。システム300によって取得されたマルチスペクトル画像を解析するために、制御装置314は、任意選択でスペクトル分解及び他の分解法を実装してもよい。
上記で解説した通り、本明細書に記載される方法により、複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを試料に適用し、同時に検出することが可能となる。したがって、本方法では、試料中における複数の異なる種類のRNA種の特定及び定量化を単一の分析サイクルで行うことが可能である。単一の分析サイクルで特定及び任意選択で定量化が可能な異なる種類のRNA種の数はM(即ち、試料に適用される異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブの数)である。
図1に戻ると、標識されたオリゴヌクレオチドプローブの検出後、工程110において、標識されたオリゴヌクレオチドプローブを任意選択で試料から除去することができる。標識されたオリゴヌクレオチドプローブを、例えば、異なる標識されたオリゴヌクレオチドプローブを伴う別の分析サイクルのための調製中に、又は試料を異なるアッセイ(例えば、試料中のペプチド断片又はゲノムDNAを検出するアッセイ)のために調製する際に、試料から除去することができる。
特に、試料中の異なる種類のRNAの特定及び/又は定量化により、DNA及びタンパク質等の他の種類の分析物を標的とするその後のアッセイにとって価値のある情報を得ることができる。特定の種類の分析物に対するその後のアッセイを対象とするために、試料中に存在する異なる種類のRNAの性状及び量についての情報を使用することができる(例えば、制御装置314によって)。例えば、試料中で検出された特定の種類のRNAに対応する、試料へ送るための特定のDNAプローブを選択することにより、本明細書に記載されるRNA分析の後で行われるゲノムDNAに対するアッセイを対象とすることができる。DNAアッセイを行う制御装置314(及びより一般的には、システム300)は、試料へ送るための特定のプローブ及び/又はプローブプールを選択し、これにより、使用されるDNAプローブの量を減らすことができる。更に、特定のDNA配列を優先的に分析できるため、その後のDNA分析を簡素化することができる。
別の例として、本明細書に記載されるRNA分析中に取得された情報に基づいて、試料中の特定のタンパク質、マーカー、抗体、及び/又は抗原に関するアッセイを対象とすることができる。特定のタンパク質及びマーカーをコードするDNA配列に相補的な、試料中の異なるRNA種の性状及び量に基づいて、制御装置314により、当該タンパク質及びマーカー用の抗体型プローブを試料に送ることができる。一部の実施形態において、システム300を両方の種類の解析を行うように構成することができ、その後のタンパク質による分析及びプロテオミクス分析のためのプローブ、試薬、及びアッセイ条件を選択するために、制御装置314はRNA分析から取得した情報を使用することができる。このような分析を行うための方法は、例えば、PCT特許出願公開第WO 2020/163397号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に援用される。
標識されたオリゴヌクレオチドプローブを試料から除去するために、種々の方法を使用することができる。例えば、一部の実施形態において、化学的開裂法(還元的ジスルフィド開裂等)を使用することができる。ある特定の実施形態において、酵素的開裂法を使用することができる。核酸種と共に使用するための酵素的開裂法の例はBuckhout-Whiteら、ACS Omega 3(1): 495~502頁(2018)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に援用される。
ある特定の実施形態において、標識されたオリゴヌクレオチドプローブ212は、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204からの脱ハイブリダイゼーションを介して試料から除去される。脱ハイブリダイゼーションを行うために、1つ以上の物質を含む脱ハイブリダイゼーション剤に試料を曝露し、これらの物質は、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーション状態を調整するようにまとまって機能する。脱ハイブリダイゼーション剤の組成は以下でより詳細に解説する。標識されたオリゴヌクレオチドプローブの脱ハイブリダイゼーション後、水性洗浄液を1回以上のサイクルで適用することにより、遊離したプローブを試料から洗い流す。
次に、判定工程112に示されるように、試料中のRNA種の検出が完了していれば、工程114で処理を終える。或いは、試料中のRNA種の検出が完了していなければ、試料を任意選択で1つ以上の追加の分析サイクルに供してもよい。各々の追加のサイクルで、1つ以上(例えば、一般にM個)の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む組成物を試料に適用することができる。上述のように、異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブの各々が、試料中のただ1種類のRNA種を特異的に特定する。
1つ以上の追加の分析サイクルを種々の手法で実装することができる。一部の実施形態において、追加の分析サイクルの実装はフローチャート100の工程104への移行であり、そこで試料を再びハイブリダイゼーション剤に曝露する。その後、工程106で複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む組成物に試料を曝露するが、上記で解説したように、そこでは一般に、各々の標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも1つの光学標識にコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドを含む。異なる標識されたオリゴヌクレオチドプローブの各々は、これまでの1つ以上のサイクルで試料が曝露された標識されたオリゴヌクレオチドプローブと異なっていてもよい。或いは、標識されたオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上は、先行する分析サイクルで既に試料が曝露された標識されたオリゴヌクレオチドプローブのうちの1つ以上と同一であってもよい。
一部の実施形態において、試料がこれまでの分析サイクルで既にハイブリダイゼーション剤に曝露されている場合、追加の分析サイクルは工程104を迂回し(即ち、試料は再びハイブリダイゼーション剤に曝露されることはない)、代わりに図1の工程106で開始する。
ある特定の実施形態において、追加の分析サイクルは、制御が図1の工程112から工程102に戻ったときに実装される。工程102に戻ると、試料を再び標識されていないオリゴヌクレオチドプローブに曝露して、標識されていないプローブを試料中のRNA種にハイブリダイズさせる。除去工程110の間、標識されたオリゴヌクレオチドプローブ212に加え、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204を試料から除去することができる。標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204をその後の分析サイクルで使用する可能性があるため、工程102に戻って試料を再び標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204に曝露することにより、試料中のRNA種にハイブリダイズした標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204の集団を「リフレッシュ」してもよい。ワークフローが工程102に戻ったときに試料が曝露される標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204の種類は、これまでの分析サイクルの先行する工程102で既に試料が曝露された標識されていないオリゴヌクレオチドプローブと同一の種類であってもよい。
或いは、一部の実施形態において、第1の分析サイクルで試料が曝露された標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204の一部又は全てを、工程110で試料から除去することができる。その後、第1の分析サイクルが完了した後で、ワークフローは工程102に戻り、試料を再び標識されていないオリゴヌクレオチドプローブ204に曝露する。ただし、第2のサイクルで試料が曝露される標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの一部又は全ての種類は、これまでに試料が曝露された標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの種類と異なる。このように、第1の分析サイクル(又は複数の分析サイクルのうちの第1の群)において、第1の組の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを第1の組のRNA標的種にハイブリダイズさせることによって第1の組のRNA標的種を調べることができ、第2の分析サイクル(又は複数の分析サイクルのうちの第2の群)において、第2の組の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを第2の組のRNA標的種にハイブリダイズすることによって第2の組のRNA標的種を調べることができる。第1及び第2の組の標識されていないオリゴヌクレオチド種の構成物は全体が異なっていてもよく、一部の構成物(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は更に8よりも多い)を共通して有していてもよい。
一部の実施形態において、複数の分析サイクルの中で、各々の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブは試料中の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズされ、試料中で1度だけ検出される。このような実施形態において、各々の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブは、典型的には特定のRNA標的種に対応する。標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対応する測定シグナル(例えば、光学シグナル)の検出後、試料中の対応するRNA標的種の存在を特定することができ、ある特定の実施形態においては定量化することができる。分析ワークフローのその後の工程で、特定のRNA標的種は再び検出及び/又は定量化される必要がない。
ただし、ある特定の実施形態においては、1つ以上の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを、1回より多くの分析サイクル(例えば、2回以上、3回以上、4回以上、5回以上、6回以上、7回以上、8回以上、又は更に多くの回数、又は更に全ての分析サイクル)で試料に適用する。1つ以上の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを複数の分析サイクルで検出することにより、プローブの測定された縮重したシグナルが、1度だけ適用及び検出される他の種類のプローブに対する制御シグナルとして機能しうる。例えば、標識されたオリゴヌクレオチドプローブの縮重したシグナルに基づいて、1度だけ適用される標識されたオリゴヌクレオチドプローブについて検出されるシグナルを規格化又はそうでなければ調整することで、定量測定値を正確なものとすることができる。更に、共発現分析を容易にするために、標識されたオリゴヌクレオチドプローブのある特定の種類を、他の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブと組み合わせて、試料に複数回適用することができる。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、標識されたオリゴヌクレオチドプローブと標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの両方に対する除去工程を含むことができる。図4は、標識されたオリゴヌクレオチドプローブと標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの両方を任意選択で試料から除去することが可能な、生体試料におけるRNA検出のための一連の例示的工程を示すフローチャート400である。工程402で、上記工程102と同様に、試料を標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの組に曝露して、プローブを試料中のRNA種に結合させる(例えば、ハイブリダイゼーション介して)。次に、工程404で、工程104と同様に、試料を任意選択でハイブリダイゼーション剤に曝露する。
工程106との関連で上記で解説したように、工程406で第1の組の標識されたオリゴヌクレオチドプローブは試料と結合し、次いで工程408で、標識されたオリゴヌクレオチドプローブと会合した試料中のRNA種が、工程108との関連で上記で解説したように検出される。工程410で、標識されたオリゴヌクレオチドプローブは任意選択で試料から除去されてもよく(工程110との関連で上記で解説したように)、次いで、制御は判定工程412に移行する。工程406以降で標識されたプローブの組によって標的化された全ての所望のRNA種を調べ終えた場合、標識サイクルは完了し、制御は工程414に移行する。制御が工程406に戻らない場合、任意選択で試料のハイブリダイゼーション剤への曝露を伴い又は伴わずに、新しい組の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが試料に結合する。
工程414では、試料中の全ての所望のRNA種を調査し終えた場合、処理は工程416で終了する。或いは、分析対象の更なるRNA種が残存している場合、工程418で標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの一部又は全てを任意選択で試料から除去してもよく、その後、上記で解説したように、制御は工程402又は404のいずれかに戻る。標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを試料から除去するために、種々の方法を使用することができる。例えば、一部の実施形態において、試料を加熱して脱ハイブリダイゼーションを誘発することにより(例えば、加熱素子326を作動させることにより)、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを試料から除去することができる。或いは、化学的及び/又は酵素的方法等の他の方法を使用して、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの一部又は全てを除去することができる。
画像の登録
一部の実施形態において、各分析サイクルで取得された各々の画像又は画像の組がRNA標的種に対応する光学シグナルを含むように、各分析サイクルにおいて試料中のRNA標的種を同一のオリゴヌクレオチドプローブで標識することができる。このように、RNA標的種に対応する光学シグナルは、位置合わせマーカーとして機能する。各々の画像又は画像の組における測定された光学シグナルの空間的位置を使用して、各サイクル及び/又は複数の分析サイクル間で取得された試料画像を整列させることができる。測定された光学シグナルが現れる画像を整列させるために、位置合わせマーカーに対する基準位置を選択し(例えば、これは画像のうちの1つにおける位置合わせマーカーの位置に相当しうる)、他の画像の各々について画像の平行移動分を決定して、他の画像の各々の位置合わせマーカーを基準位置に合わせる。
画像の登録を他の手法で行ってもよい。例えば、一部の実施形態において、ある特定の試料位置に特異的に局在化する試料に1つ以上の染料を適用することができる。これらの染料からの発光シグナルを画像の組のうちの1つ以上において測定することにより、1つ以上の染料が結合する試料の特徴に基づいて、画像の組を登録することができる。例えば、細胞核に選択的に結合する試料に核染料を適用することができる。核染料に対応する発光シグナルが測定された場合、発光シグナルの空間的位置は、試料中における核の位置を示す。複数の画像間で核の空間的位置を位置合わせマーカーとして使用することで、上述のように、複数の画像を登録することができる。
上記では核染料の適用を例として解説したが、試料画像を登録するために、様々な異なる染料を試料に適用し画像化することができる。このような染料としては、細胞核、細胞膜、細胞質、及び細胞小器官を選択的に標的とする染料が挙げられるが、これらに限定されない。
或いは又は更に、試料画像を登録するために、対比染料及び他の非特異的染料を試料に適用し、画像化することもできる。一般に、対比染料及び他の非特異的染料は試料中の様々な特徴部分に結合する。したがって、試料中の対比染料又は非特異的染料を画像化することにより、試料の複数の特徴部分が画像中で可視化されうる。とはいえ、画像中の複数の特徴部分のうちの1つ以上を特定し選択することにより、選択された特徴部分の空間的位置は位置合わせマーカーとして機能することができ、上述のように、画像を登録するために使用することができる。
ハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤
上述の方法を実装するために、種々のハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤を使用することができる。等温条件下でRNAプローブを生体試料に対し効率的にハイブリダイズ及び脱ハイブリダイズさせるためには、少なくとも1つのカオトロピック化合物を含有するハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤が特に効果的であると見出されている。
等温ハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤は一般に1つ以上のカオトロピック化合物を含み、任意選択で以下の更なる成分のうちの1つ以上を含む:1つ以上の界面活性剤、1つ以上の塩、1つ以上の緩衝剤、及び1つ以上のキレート化剤。
カオトロピック化合物は、試料中のRNA種のハイブリダイゼーション状態を調整するために使用される。種々のカオトロピック化合物をハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤において使用することができ、このような薬剤は、1つ以上のカオトロピック化合物を含みうる。好適なカオトロピック化合物の例としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミド、尿素、チオ尿素、ドデシル硫酸ナトリウム、イソプロパノール、n-ブタノール、及び塩化グアニジニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態において、脱ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の質量百分率は、50%以上(例えば、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上)とすることができる。ある特定の実施形態において、脱ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の体積百分率は、50%以上(例えば、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上)とすることができる。
ハイブリダイゼーション剤が複数のカオトロピック化合物を含むある特定の実施形態において、脱ハイブリダイゼーション剤中の全カオトロピック化合物の総質量百分率は、50%以上(例えば、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上)とすることができる。同様に、脱ハイブリダイゼーション剤が複数のカオトロピック化合物を含む場合、ハイブリダイゼーション剤中の全カオトロピック化合物の総体積百分率は、50%以上(例えば、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上)とすることができる。
一般に、ハイブリダイゼーション剤中の1つ以上のカオトロピック化合物の質量百分率及び体積百分率は、脱ハイブリダイゼーション剤の対応する百分率より小さい。例えば、ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の質量百分率は、10%以上(例えば、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上)且つ/又は50%以下(例えば、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下)とすることができる。ある特定の実施形態において、ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の体積百分率は、10%以上(例えば、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上)且つ/又は50%以下(例えば、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下)とすることができる。
一部の実施形態において、脱ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の質量百分率は、50%以上(例えば、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上)且つ/又は99%以下(例えば、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下)とすることができる。ある特定の実施形態において、脱ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の体積百分率は、50%以上(例えば、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上)且つ/又は99%以下(例えば、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下)とすることができる。
ハイブリダイゼーション剤が複数のカオトロピック化合物を含む場合、ハイブリダイゼーション剤中の全カオトロピック化合物の総質量百分率は、10%以上(例えば、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上)且つ/又は50%以下(例えば、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下)とすることができる。同様に、ハイブリダイゼーション剤が複数のカオトロピック化合物を含む場合、ハイブリダイゼーション剤中の全カオトロピック化合物の総体積百分率は、10%以上(例えば、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上)且つ/又は50%以下(例えば、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下)とすることができる。
脱ハイブリダイゼーション剤が複数のカオトロピック化合物を含む場合、ハイブリダイゼーション剤中の全カオトロピック化合物の総質量百分率は、50%以上(例えば、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上)且つ/又は99%以下(例えば、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下)とすることができる。同様に、脱ハイブリダイゼーション剤が複数のカオトロピック化合物を含む場合、脱ハイブリダイゼーション剤中の全カオトロピック化合物の総体積百分率は、50%以上(例えば、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上)且つ/又は99%以下(例えば、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下)とすることができる。
上記で指摘したように、ハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤は、任意選択で1つ以上の界面活性剤を含んでいてもよい。一般に、界面活性剤は試料中への化合物及び薬剤の浸透を補助し、試料からの過剰な/未結合の化合物の除去を容易にする働きをする。好適界面活性剤としては、Triton(登録商標) X-100、X-114、及びX-405(Dow Inc.、Midland、MIより入手可能)、Tween(登録商標) 20 及び-80、並びにBrij(登録商標)-35及び-58 (Thermo Fisher、Waltham、MAより入手可能)等の、芳香族炭化水素親油性又は疎水性基を有するポリエチレンオキシド系界面活性剤、オクチル-ベータ-グルコシド、オクチルチオグルコシド、並びにドデシル硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。薬剤中の1つ以上の界面活性剤の体積百分率は、0.01%から0.5%の間(例えば、0.02%から0.4%の間、0.03%から0.3%の間、0.05%から0.3%の間、0.1%から0.5%の間、0.1%から0.4%の間、0.1%から0.3%の間)とすることができ、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%等、前述の範囲のいずれかの中の任意の百分率を含む。
ハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤は、任意選択で1つ以上の塩を含んでいてもよい。塩は、試料中のpH及び浸透圧条件を維持する働きをする。このような塩の好適な例としては、NaCl、MgCl2、CaCl2、及びKClが挙げられるが、これらに限定されない。ハイブリダイゼーション又は脱ハイブリダイゼーション剤中の総塩濃度は、0.01質量%から1.0質量%の間 (例えば、0.03%から0.9%の間、0.03%から0.8%の間、0.05%から0.8%の間、0.05%から0.7%の間、0.1%から0.6%の間、0.1%から0.5%の間)とすることができ、前述の範囲のいずれかの中の任意の百分率を含む。
試料のpHを調整及び制御し、RNAプローブによる試料中の相補的なRNA種に対するハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーションに適したpH条件を維持するために、ハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤は、任意選択で1つ以上の緩衝剤を含んでいてもよい。好適な緩衝剤としては、Tris-HCL(Sigma-Aldrich、St. Louis、MOより入手可能)、Tris-EDTA(Thermo Fisher、Waltham、MAより入手可能)、及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられるが、これらに限定されない。緩衝剤は、ハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤中に1mMから100mMの間の濃度で(例えば、この範囲内の任意の濃度で)存在していてもよい。
ハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤は、任意選択で1つ以上のキレート化剤を含んでいてもよい。好適なキレート化剤の例としては、EDTA、DOTA、ベンゾトリアゾール、EDDS、EGTA、エチレンジアミン、ペンテト酸、シュウ酸、クエン酸ナトリウム、TPEN、テトラフェニルポルフィリン、TFAC、トリエチレントリアミン、DTPMP、DIOP、及びTTFAが挙げられるが、これらに限定されない。キレート化剤は、ハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤中に1mMから10mMの間の濃度で、例えば、この範囲内の任意の濃度で存在していてもよい。
一部の実施形態において、ハイブリダイゼーション及び脱ハイブリダイゼーション剤は、任意選択で1つ以上の細菌増殖阻害剤を含んでいてもよい。細菌増殖阻害剤の例としては、NaN3等の1つ以上のアジド種が挙げられるが、これらに限定されない。
ハードウェア及びソフトウェアの実装
図5は、本明細書で開示されるシステム及び方法と共に使用することができる制御装置314の一例を示す。制御装置314は、1つ以上の処理装置502(例えば、図3の処理装置316に相当する)、メモリ504、記憶装置506、及び相互接続のためのインタフェース508を備えていてもよい。処理装置502は、メモリ504中又は記憶装置506上に記憶された命令をはじめとした、制御装置314内で実行するための命令を処理することができる。例えば、これらの命令により、本明細書で開示される分析及び制御工程のいずれかを行うよう、処理装置502に命令することができる。
メモリ504は、処理装置502に実行可能な命令、励起及び検出波長等の、システムのパラメータについての情報、並びに測定されたスペクトル画像情報を記憶することができる。記憶装置506は、フロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光学ディスク装置、若しくはテープ装置等のコンピュータ可読媒体、フラッシュメモリ若しくは他の類似の固体記憶装置、又は記憶領域ネットワーク若しくは他の構成中の装置を含む、装置の配列とすることができる。記憶装置506は、上述の処理装置502によって実行可能な命令、及びメモリ504によって記憶可能な他の情報のいずれかを記憶することができる。
一部の実施形態において、制御装置314は、グラフィック情報を表示装置318等の外部入力/出力装置に表示する(例えば、GUI又はテキストインタフェースを使用して)、グラフィック処理部を備えていてもよい。本明細書で開示される情報のいずれかを表示するために、グラフィック情報を表示装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)によって表示することができる。ユーザは、入力装置(例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチスクリーン、音声認識デバイス)を使用して制御装置314に入力することができる。
制御装置314(並びに処理装置502及び316)を用いて、制御装置314上の実行可能及び/又は解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラム中の命令を実行することにより、本明細書で開示される方法を実装することができる。これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても知られる)は、プログラマブルなプロセッサのためのマシン命令を含み、高級手続き型及び/若しくはオブジェクト指向プログラミング言語、並びに/又はアッセンブリ/マシン語で実装することができる。例えば、コンピュータプログラムは、メモリ504中、記憶装置506中、及び/又はコンピュータ可読媒体上で記憶可能であり、上述のように処理装置502(処理装置316)に実行可能な命令を含むことができる。本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読媒体」という用語は、マシン命令を受信するマシン可読媒体をはじめとした、マシン命令及び/又はデータをプログラマブルなプロセッサに与えるために使用される、任意のコンピュタプログラム製品、装置、及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ASIC、及び電子回路)を指す。
用途
本明細書に記載される方法、組成物、及びシステムを、生体試料中の様々な異なるRNA種の検出及び定量化に適用することができる。例えば、試料中の検出可能なRNA種としては、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、トランスファー-メッセンジャーRNA(tmRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、ガイドRNA(gRNA)、アンチセンスRNA(aRNA)、CRISPR RNA(crRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、トランス作用性siRNA(tasiRNA)、及びエンハンサーRNA(eRNA)が挙げられる。
他の種類のRNA含有種を分析することもできる。例えば、試料がRNA含有タグ付け剤(試料中の対応する抗原に選択的に結合する抗体とコンジュゲートした、RNA塩基配列等)で標識されている場合、本明細書に記載される方法を使用してRNA型タグ付け剤を検出及び定量化することができる。このようにして、多種多様な異なる種類のRNA型タグ付け剤を分析することができる。
他の実施形態
本開示は特定の実装を記載しているが、これらは本開示の範囲に対する限定と解釈されてはならず、ある特定の実施形態における特徴の記載と解釈されなくてはならない。全般に、別々の実施形態の文脈で記載されている特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実装することもできる。逆に単一の実施形態の文脈で記載されている種々の特徴を、複数の実施形態において別々に、又は任意の好適な副次的組合せで実装することもできる。更に、特徴がある特定の組合せに存在するように上記で記載され、冒頭ではそのようなものとして主張されているものの、全般に、主張されている組合せに由来する1つ以上の特徴をその組合せから切り取ることができ、主張されている組合せを副次的な組合せ又は副次的な組合せの変形形態に割り当ててもよい。
本明細書で明示的に開示された実施形態だけでなく、本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、記載された実施形態に対する種々の改変を行うことができることが理解されるはずである。したがって、他の実施形態は以下の特許請求の範囲内にある。
100 フローチャート
200 試料
202 RNA種
204 オリゴヌクレオチドプローブ
206 オリゴヌクレオチド標識RNA種
208 オリゴヌクレオチド配列
210 光学標識
212 標識されたオリゴヌクレオチドプローブ
214 光学標識されたRNA種
300 試料画像化システム
304 ダイクロイックミラー
316 処理装置
322 送出管
324
326 加熱素子
350 試料
352 スライド
400 フローチャート
314 制御装置
318 表示装置
502 処理装置
504 メモリ
506 記憶装置
508 インタフェース

Claims (39)

  1. (a)生体試料を、試料中のRNA種にハイブリダイズする複数の異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを含む第1の組成物と接触させる工程と、
    (b)生体試料を、カオトロピック化合物を含むハイブリダイゼーション剤と接触させる工程と、
    (c)生体試料を、複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む第2の組成物と接触させる工程であって、異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブの各々が異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブの1つに選択的にハイブリダイズする工程と、
    (d)複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像を取得する工程と、
    (e)異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対応する少なくとも1つの画像の構成要素に基づいて、試料中のRNA種の空間的位置を特定する工程と
    を含み、
    生体試料が等温条件下で第2の組成物と接触する、方法。
  2. (f)標識されたオリゴヌクレオチドプローブを試料から除去する工程
    を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 異なる組の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを用いて工程(c)~(e)を繰り返して、試料中の少なくとも1つの更なるRNA種の空間的位置を特定する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
  4. 工程(c)~(e)を繰り返す工程の前に、工程(b)を繰り返す工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
  5. 工程(c)~(e)を繰り返す工程の前に、
    生体試料を、試料中のRNA種にハイブリダイズする複数の異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを含む第3の組成物と接触させる工程
    を更に含み、
    第3の組成物の複数の異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブが、第1の組成物中にも存在する、
    請求項3に記載の方法。
  6. カオトロピック化合物がジメチルスルホキシドを含む、請求項1に記載の方法。
  7. カオトロピック化合物がホルムアミドを含む、請求項1に記載の方法。
  8. ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の質量百分率が5%から20%の間である、請求項1に記載の方法。
  9. 標識されたオリゴヌクレオチドプローブを還元的開裂によって試料から除去する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
  10. 標識されたオリゴヌクレオチドプローブを酵素的開裂によって試料から除去する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
  11. 試料を脱ハイブリダイゼーション剤に曝露して、標識されていないオリゴヌクレオチドプローブから標識されたオリゴヌクレオチドプローブを脱ハイブリダイズすることにより、標識されたオリゴヌクレオチドプローブを試料から除去する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
  12. 脱ハイブリダイゼーション剤がカオトロピック化合物を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 脱ハイブリダイゼーション剤のカオトロピック化合物がジメチルスルホキシドを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 脱ハイブリダイゼーション剤のカオトロピック化合物がホルムアミドを含む、請求項12に記載の方法。
  15. 脱ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の質量百分率が50%以上である、請求項12に記載の方法。
  16. 脱ハイブリダイゼーション剤中のカオトロピック化合物の質量百分率が80%以上である、請求項15に記載の方法。
  17. ハイブリダイゼーション剤が少なくとも1つの緩衝剤を含む、請求項1に記載の方法。
  18. ハイブリダイゼーション剤が少なくとも1つの塩を含む、請求項1に記載の方法。
  19. ハイブリダイゼーション剤が少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
  20. ハイブリダイゼーション剤が少なくとも1つのキレート化剤を含む、請求項1に記載の方法。
  21. ハイブリダイゼーション剤が少なくとも1つのアジド系抗菌剤を含む、請求項1に記載の方法。
  22. 脱ハイブリダイゼーション剤が少なくとも1つの緩衝剤を含む、請求項12に記載の方法。
  23. 脱ハイブリダイゼーション剤が少なくとも1つの塩を含む、請求項12に記載の方法。
  24. 脱ハイブリダイゼーション剤が少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項12に記載の方法。
  25. 脱ハイブリダイゼーション剤が少なくとも1つのキレート化剤を含む、請求項12に記載の方法。
  26. 脱ハイブリダイゼーション剤が少なくとも1つのアジド系抗菌剤を含む、請求項12に記載の方法。
  27. 第1の組成物が20以上の異なる種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブを含む、請求項1に記載の方法。
  28. 第2の組成物が4以上の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む、請求項1に記載の方法。
  29. 第2の組成物が6以上の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む、請求項1に記載の方法。
  30. 各々の種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブが少なくとも5個の塩基を含む、請求項1に記載の方法。
  31. 各々の種類の標識されていないオリゴヌクレオチドプローブが少なくとも20個の塩基を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 各々の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが少なくとも5個の塩基を含む、請求項1に記載の方法。
  33. 各々の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが少なくとも10個の塩基を含む、請求項32に記載の方法。
  34. 各々の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが異なる光学標識を含む、請求項1に記載の方法。
  35. 異なる光学標識が異なる蛍光色素を含む、請求項34に記載の方法。
  36. 異なる光学標識が異なる発色性部分を含む、請求項34に記載の方法。
  37. 異なる光学標識が異なるペプチド含有部分を含む、請求項34に記載の方法。
  38. 異なる光学標識が異なる量子ドット系種を含む、請求項34に記載の方法。
  39. 第2の組成物が、複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブのうちの第1の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含み、
    異なる組の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが、第1の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含み、
    複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像が、第1の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対応する測定シグナルを含む第1の画像を含み、
    異なる組の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像が、第1の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対応する測定シグナルを含む第2の画像を含み、
    複数の異なる種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像及び異なる組の標識されたオリゴヌクレオチドプローブが結合した生体試料の少なくとも1つの画像を、第1及び第2の画像中の第1の種類の標識されたオリゴヌクレオチドプローブに対応する測定シグナルに基づいて登録する工程を更に含む、
    請求項3に記載の方法。
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