JP2023506626A - p53とFOXO4の相互作用を阻害するペプチドを含む医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、細胞老化によって引き起こされる変性疾患(好ましくは変形性関節症またはアテローム性動脈硬化症)を予防、改善または治療するための医薬組成物であって、特定のペプチドを有効成分として含む医薬組成物を提供する。このペプチドは、p53とFOXO4(フォークヘッドボックスタンパク質O4)の相互作用を顕著に阻害することから、細胞老化調節因子の発現を阻害することができる。
Description
本発明は、p53とFOXO4(フォークヘッドボックスタンパク質O4)の相互作用を阻害するペプチドを含む医薬組成物に関する。より具体的には、本発明は、p53とFOXO4の相互作用に対して阻害活性を有するペプチドを有効成分として含む、細胞老化によって引き起こされる変性疾患を予防、改善または治療するための医薬組成物に関する。
FOXO4は、電離放射線などの外部刺激を受けると、DNA損傷部位のp53に結合し、細胞老化の調節因子であるp21を発現させることにより細胞老化を誘導する。FOXO4とp53の結合を阻害することによって、ミトコンドリアへのp53の移行とシトクロムCの放出が誘導され、老化細胞のアポトーシスが誘導される(Baar MP. et. al. (2017). targeted apoptosis of senescent cells restores tissue homeostasis in response to chemotoxicity and aging. Cell 169: 132-147, e16)。
この機構を利用して、細胞老化によって引き起こされる様々な変性疾患を治療できるかどうかが検討されている(Childs BG et al. (2017) Senescent cells: an emerging target for diseases of aging. Nat Rev Drug Discov. 16:718-735)。例えば、変形性関節症では、関節軟骨の表面に蓄積した老化軟骨細胞を除去することによって、疼痛が軽減し、軟骨が再生される可能性がある。また、アテローム性動脈硬化症では、老化した泡沫細胞、血管平滑筋細胞、内皮細胞などを除去することによって、プラークの形成および病変の成長を抑制し、疾患を緩和することができる。
このように、p53とFOXO4の相互作用を阻害することによって、細胞老化の主要な調節因子であるp21の発現が抑制され、変形性関節症やアテローム性動脈硬化症などの変性疾患の効果的な予防、改善または治療が可能になると期待される。
本発明者らは、特定のペプチドを使用することにより、PKA(タンパク質チロシンキナーゼ)とSHP2(Src相同領域2ドメイン含有ホスファターゼ2)の相互作用を顕著に増加させることによって、β1インテグリンのシグナル伝達を介したがん細胞の転移を抑制することができ、このペプチドを炎症性疾患の予防または治療に有用に適用できることを見出した(韓国特許公開第10-2018-0099092号)。驚くべきことに、この特定のペプチドは、p53とFOXO4の相互作用を顕著に阻害することから、変形性関節症やアテローム性動脈硬化症などの変性疾患に対する予防活性、改善活性または治療活性を発揮することが見出された。
したがって、本発明は、この特定のペプチドを有効成分として含む、変性疾患を予防、改善または治療するための医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、細胞老化によって引き起こされる変性疾患を予防、改善または治療するための医薬組成物であって、式1:
<式1>
Leu-X-Asp
(式中、
Xは、グルタミン酸(Glu)、セリン(Ser)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、ロイシン(Leu)、チロシン(Tyr)、アスパラギン酸(Asp)、フェニルアラニン(Phe)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、スレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、またはバリン(Val)であり、
-は、ペプチド結合である)
で示される3つのアミノ酸からなるペプチドを有効成分として含む医薬組成物が提供される。
<式1>
Leu-X-Asp
(式中、
Xは、グルタミン酸(Glu)、セリン(Ser)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、ロイシン(Leu)、チロシン(Tyr)、アスパラギン酸(Asp)、フェニルアラニン(Phe)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、スレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、またはバリン(Val)であり、
-は、ペプチド結合である)
で示される3つのアミノ酸からなるペプチドを有効成分として含む医薬組成物が提供される。
本発明による医薬組成物に含まれる前記ペプチドは、好ましくは、配列番号1、3、4、5、7、8、9、11、13、14、15、17、18、19または20のアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
また、本発明による医薬組成物に関して、細胞老化によって引き起こされる前記変性疾患は、変形性関節症またはアテローム性動脈硬化症であってもよい。
本発明において、式1のペプチド、すなわち、式1で示される3つのアミノ酸からなるペプチドが、p53とFOXO4の相互作用を顕著に阻害することが見出された。したがって、このペプチドは、例えばp21などの細胞老化調節因子の発現を阻害することから、変形性関節症やアテローム性動脈硬化症などの変性疾患を予防、改善または治療するための医薬組成物に有用に適用することができる。
本明細書において、「変性疾患」は、細胞老化によって引き起こされる疾患を意味し、例えば、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、アルツハイマー病、パーキンソン病、慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症、網膜症などが挙げられ、変形性関節症またはアテローム性動脈硬化症であることが好ましい。
本発明は、細胞老化によって引き起こされる変性疾患を予防、改善または治療するための医薬組成物であって、式1:
<式1>
Leu-X-Asp
(式中、
Xは、グルタミン酸(Glu)、セリン(Ser)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、ロイシン(Leu)、チロシン(Tyr)、アスパラギン酸(Asp)、フェニルアラニン(Phe)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、スレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、またはバリン(Val)であり、
-は、ペプチド結合である)
で示される3つのアミノ酸からなるペプチドを有効成分として含む、医薬組成物
を提供する。
<式1>
Leu-X-Asp
(式中、
Xは、グルタミン酸(Glu)、セリン(Ser)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、ロイシン(Leu)、チロシン(Tyr)、アスパラギン酸(Asp)、フェニルアラニン(Phe)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、スレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、またはバリン(Val)であり、
-は、ペプチド結合である)
で示される3つのアミノ酸からなるペプチドを有効成分として含む、医薬組成物
を提供する。
本発明による医薬組成物において、配列番号1、3、4、5、7、8、9、11、13、14、15、17、18、19または20のアミノ酸配列からなるペプチドは、p53とFOXO4の相互作用を阻害するのに特に優れた活性を有することが見出された。したがって、一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号1、3、4、5、7、8、9、11、13、14、15、17、18、19または20のアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
本発明の医薬組成物は、例えば、乳糖やトウモロコシ澱粉などの賦形剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、現在入手可能な乳化剤、懸濁剤、緩衝剤、等張化剤などの薬学的に許容可能な担体を含んでいてもよい。本発明の医薬組成物は、経口投与形態または非経口投与形態に製剤化することができ、経皮投与、皮下投与、筋肉内投与などのための非経口投与形態に製剤化することが好ましい。例えば、筋肉内投与形態、皮下投与形態または静脈内投与形態に製剤化する場合、通常、有効成分を含む滅菌溶液が調製され、この滅菌溶液は、この溶液のpHを適切に調整することが可能な緩衝液を含んでいてもよい。静脈内投与の場合は、製剤を等張にするための等張化剤が含まれていてもよい。また、本発明の医薬組成物は、例えば、pH7.4の生理食塩水などの薬学的に許容可能な担体を含む水溶液の形態であってもよい。このような水溶液は、局所ボーラス注射により患者の筋肉内の血流に導入してもよい。本発明の医薬組成物は、変性疾患を予防、改善または治療するのに適した量で患者に投与してもよく、例えば、1日あたり約0.01~10mg/kgの用量で患者に投与してもよいが、1日あたりの用量は、通常、患者の年齢、体重および状態に応じて変更してもよい。
以下の実施例および試験例を参照することにより本発明をさらに詳しく説明する。しかし、これらの実施例および試験例は、本発明を説明するためのものであり、本発明はこれらの実施例および試験例に限定されない。
実施例1:ペプチドの合成
自動ペプチド合成装置(PeptrEx-R48、Peptron社製、大韓民国テジョン)を用いて、配列番号1~20のペプチド(以下の表1参照)をFMOC固相法により合成した。C18分析用RPカラム(資生堂カプセルパック)を使用した逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)(Prominence LC-20AB、島津製作所製、日本)を用いて、合成したペプチドを精製および分析し、質量分析計(HP1100シリーズLC/MSD、Hewlett-Packard社製、米国ローズビル)を使用して同定した。
自動ペプチド合成装置(PeptrEx-R48、Peptron社製、大韓民国テジョン)を用いて、配列番号1~20のペプチド(以下の表1参照)をFMOC固相法により合成した。C18分析用RPカラム(資生堂カプセルパック)を使用した逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)(Prominence LC-20AB、島津製作所製、日本)を用いて、合成したペプチドを精製および分析し、質量分析計(HP1100シリーズLC/MSD、Hewlett-Packard社製、米国ローズビル)を使用して同定した。
実施例2:ペプチドを含有する組成物の調製
配列番号1~20のペプチドをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)にそれぞれ溶解して、その濃度を1Mとした。得られたタンパク質溶液を使用して、以下の試験例を実施した。
配列番号1~20のペプチドをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)にそれぞれ溶解して、その濃度を1Mとした。得られたタンパク質溶液を使用して、以下の試験例を実施した。
試験例1:p53とFOXO4の物理的結合に対する各ペプチドの効果の評価
本発明の各ペプチドで細胞を処理した後、p53とFOXO4の物理的結合に対する本発明の各ペプチドの効果を、in situ PLA(近接ライゲーションアッセイ)法で評価した。24ウェルマイクロプレートの各ウェルに、10%ウシ胎児血清を含むDMEMとともにHaCaT細胞(ヒトケラチノサイト、CLS)を4.5×104個/ウェルの密度で加え、5%CO2インキュベーターにおいて37℃で24時間培養した。培地中のH2O2濃度が200μMになり、かつ各ペプチドの濃度が20μMになるように、H2O2と実施例2の各ペプチド溶液をそれぞれ添加した後、同じ条件下で1時間インキュベートした。対照群として、未処理群(図1では「control」で表す)と、H2O2のみで処理した群(図1では「-」で表す)とを使用した。各ウェルの細胞をPBSで洗浄し、2%ホルムアルデヒドで15分間処理して固定した後、0.1%TritonX-100で5分間処理することにより細胞への抗体の透過性を向上させた。抗p53ポリクローナル抗体(Abcam、英国)および抗FOXO4ポリクローナル抗体(Santa Cruz、米国カリフォルニア州)を添加した。in situ PLAキット(Sigma-Aldrich)を使用して、PLAプローブを添加した後、ハイブリダイゼーション工程、ライゲーション工程、増幅工程および封入工程を製造業者のプロトコルに従って行った。p53とFOXO4の物理的相互作用は、共焦点レーザー顕微鏡(オリンパスfluoview FW1000;オリンパス、日本、東京)を用いて各細胞において検出された発光シグナル(PLAシグナル)を測定することによって定量した。この結果を図1に示す。図1に示した結果から、本発明の各ペプチドで処理した群は、未処理対照群と比較して、p53とFOXO4の相互作用が有意に阻害されたことが確認できる。特に、Pep1、Pep3、Pep4、Pep5、Pep7、Pep8、Pep9、Pep11、Pep13、Pep14、Pep15、Pep17、Pep18、Pep19またはPep20(すなわち、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、配列番号19または配列番号20のペプチド)で処理した群では、対照群と比較して、p53とFOXO4の相互作用が顕著に阻害されたことが確認できる。また、Pep1、Pep9、Pep11、Pep14、Pep15、Pep17、Pep18またはPep20(すなわち、配列番号1、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18または配列番号20のペプチド)で処理した群では、対照群と比べて、p53とFOXO4の相互作用に対して2倍以上の顕著な阻害効果が認められたことが確認できる。
本発明の各ペプチドで細胞を処理した後、p53とFOXO4の物理的結合に対する本発明の各ペプチドの効果を、in situ PLA(近接ライゲーションアッセイ)法で評価した。24ウェルマイクロプレートの各ウェルに、10%ウシ胎児血清を含むDMEMとともにHaCaT細胞(ヒトケラチノサイト、CLS)を4.5×104個/ウェルの密度で加え、5%CO2インキュベーターにおいて37℃で24時間培養した。培地中のH2O2濃度が200μMになり、かつ各ペプチドの濃度が20μMになるように、H2O2と実施例2の各ペプチド溶液をそれぞれ添加した後、同じ条件下で1時間インキュベートした。対照群として、未処理群(図1では「control」で表す)と、H2O2のみで処理した群(図1では「-」で表す)とを使用した。各ウェルの細胞をPBSで洗浄し、2%ホルムアルデヒドで15分間処理して固定した後、0.1%TritonX-100で5分間処理することにより細胞への抗体の透過性を向上させた。抗p53ポリクローナル抗体(Abcam、英国)および抗FOXO4ポリクローナル抗体(Santa Cruz、米国カリフォルニア州)を添加した。in situ PLAキット(Sigma-Aldrich)を使用して、PLAプローブを添加した後、ハイブリダイゼーション工程、ライゲーション工程、増幅工程および封入工程を製造業者のプロトコルに従って行った。p53とFOXO4の物理的相互作用は、共焦点レーザー顕微鏡(オリンパスfluoview FW1000;オリンパス、日本、東京)を用いて各細胞において検出された発光シグナル(PLAシグナル)を測定することによって定量した。この結果を図1に示す。図1に示した結果から、本発明の各ペプチドで処理した群は、未処理対照群と比較して、p53とFOXO4の相互作用が有意に阻害されたことが確認できる。特に、Pep1、Pep3、Pep4、Pep5、Pep7、Pep8、Pep9、Pep11、Pep13、Pep14、Pep15、Pep17、Pep18、Pep19またはPep20(すなわち、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、配列番号19または配列番号20のペプチド)で処理した群では、対照群と比較して、p53とFOXO4の相互作用が顕著に阻害されたことが確認できる。また、Pep1、Pep9、Pep11、Pep14、Pep15、Pep17、Pep18またはPep20(すなわち、配列番号1、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18または配列番号20のペプチド)で処理した群では、対照群と比べて、p53とFOXO4の相互作用に対して2倍以上の顕著な阻害効果が認められたことが確認できる。
試験例2:p53とFOXO4の物理的結合に対するペプチドの阻害シグナルに対するERKおよびSHP2の効果の評価
本発明のペプチド(配列番号3のペプチド)、H2O2、ERK阻害剤(PD98059)およびSHP2阻害剤(NSC878777)で細胞を処理した後、p53とFOXO4の物理的結合に対するこれらの効果を、in situ PLA(近接ライゲーションアッセイ)法で評価した。24ウェルマイクロプレートの各ウェルに、10%ウシ胎児血清を含むDMEMとともにHaCaT細胞(ヒトケラチノサイト、CLS)を4.5×104個/ウェルの密度で加え、5%CO2インキュベーターにおいて37℃で24時間培養した。H2O2(200μM)および配列番号3のペプチド(20μM)で細胞を処理した。これとは別に、H2O2(200μM)および配列番号3のペプチド(20μM)で細胞を処理した後、PD98059(10μM)またはNSC878777(10μM)でさらに細胞を処理した。これらの細胞を前記と同じ条件下で1時間インキュベートした。対照群として、未処理群(図2では「control」で表す)と、H2O2のみで処理した群とを使用した。各ウェルの細胞をPBSで洗浄し、2%ホルムアルデヒドで15分間処理して固定した後、0.1%TritonX-100で5分間処理することにより細胞への抗体の透過性を向上させた。抗p53ポリクローナル抗体(Abcam、英国)および抗FOXO4ポリクローナル抗体(Santa Cruz、米国カリフォルニア州)を添加した。in situ PLAキット(Sigma-Aldrich)を使用して、PLAプローブを添加した後、ハイブリダイゼーション工程、ライゲーション工程、増幅工程および封入工程を製造業者のプロトコルに従って行った。p53とFOXO4の物理的相互作用は、共焦点レーザー顕微鏡(オリンパスfluoview FW1000;オリンパス、日本、東京)を用いて各細胞において検出された発光シグナル(PLAシグナル)を測定することによって定量した。この結果を図2に示す。図2に示した結果から、本発明のペプチドで処理した群は、未処理対照群と比較して、p53とFOXO4の相互作用が有意に阻害されたことが確認できる。さらに、本発明のペプチドによる阻害シグナルは、ERKとSHP2の活性化に依存していることが確認できる。
本発明のペプチド(配列番号3のペプチド)、H2O2、ERK阻害剤(PD98059)およびSHP2阻害剤(NSC878777)で細胞を処理した後、p53とFOXO4の物理的結合に対するこれらの効果を、in situ PLA(近接ライゲーションアッセイ)法で評価した。24ウェルマイクロプレートの各ウェルに、10%ウシ胎児血清を含むDMEMとともにHaCaT細胞(ヒトケラチノサイト、CLS)を4.5×104個/ウェルの密度で加え、5%CO2インキュベーターにおいて37℃で24時間培養した。H2O2(200μM)および配列番号3のペプチド(20μM)で細胞を処理した。これとは別に、H2O2(200μM)および配列番号3のペプチド(20μM)で細胞を処理した後、PD98059(10μM)またはNSC878777(10μM)でさらに細胞を処理した。これらの細胞を前記と同じ条件下で1時間インキュベートした。対照群として、未処理群(図2では「control」で表す)と、H2O2のみで処理した群とを使用した。各ウェルの細胞をPBSで洗浄し、2%ホルムアルデヒドで15分間処理して固定した後、0.1%TritonX-100で5分間処理することにより細胞への抗体の透過性を向上させた。抗p53ポリクローナル抗体(Abcam、英国)および抗FOXO4ポリクローナル抗体(Santa Cruz、米国カリフォルニア州)を添加した。in situ PLAキット(Sigma-Aldrich)を使用して、PLAプローブを添加した後、ハイブリダイゼーション工程、ライゲーション工程、増幅工程および封入工程を製造業者のプロトコルに従って行った。p53とFOXO4の物理的相互作用は、共焦点レーザー顕微鏡(オリンパスfluoview FW1000;オリンパス、日本、東京)を用いて各細胞において検出された発光シグナル(PLAシグナル)を測定することによって定量した。この結果を図2に示す。図2に示した結果から、本発明のペプチドで処理した群は、未処理対照群と比較して、p53とFOXO4の相互作用が有意に阻害されたことが確認できる。さらに、本発明のペプチドによる阻害シグナルは、ERKとSHP2の活性化に依存していることが確認できる。
試験例3:p53活性の増加による老化細胞のアポトーシスの誘導に対するペプチドの活性の評価
細胞をH2O2で処理して老化を誘導した後、本発明のペプチド(配列番号3のペプチド)で24時間処理することによって、老化細胞のアポトーシスに対する活性を評価するため、X-Gal染色を行うことにより残存する老化細胞の数を測定した。12ウェルマイクロプレートの各ウェルに、10%ウシ胎児血清を含むDMEMとともにARPE-19細胞(網膜色素上皮細胞)をウェルあたり80%の密度で加え、5%CO2インキュベーターにおいて37℃で24時間培養した。培地中のH2O2濃度が25μMになるようにH2O2を添加した後、同じ条件下で24時間インキュベートした。その後、各ウェルの細胞をPBSで洗浄し、配列番号3のペプチドの濃度が0.2μM、2μMまたは20μMになるように実施例2のペプチド溶液を加えた後、同じ条件下で24時間インキュベートした。対照群として、未処理群(図3および図4では「Con」で表す)と、H2O2のみで処理した群(図3および図4では「-」で表す)とを使用した。各ウェルの細胞をPBSで洗浄し、製造業者のプロトコルに従ってSenescence β-Galactosidase Stainingキット(CST)を使用してX-gal染色を行った。老化が誘導された細胞において検出された青緑色の発色を位相差顕微鏡(オリンパス、日本、東京)で測定し、老化細胞の数をそれぞれ定量した。この結果を図3および図4に示す。図3および図4に示した結果から、本発明のペプチドで処理した群は、未処理対照群(すなわち、「-」群)と比較して、老化細胞のアポトーシスが有意に誘導されたことが確認できる。
細胞をH2O2で処理して老化を誘導した後、本発明のペプチド(配列番号3のペプチド)で24時間処理することによって、老化細胞のアポトーシスに対する活性を評価するため、X-Gal染色を行うことにより残存する老化細胞の数を測定した。12ウェルマイクロプレートの各ウェルに、10%ウシ胎児血清を含むDMEMとともにARPE-19細胞(網膜色素上皮細胞)をウェルあたり80%の密度で加え、5%CO2インキュベーターにおいて37℃で24時間培養した。培地中のH2O2濃度が25μMになるようにH2O2を添加した後、同じ条件下で24時間インキュベートした。その後、各ウェルの細胞をPBSで洗浄し、配列番号3のペプチドの濃度が0.2μM、2μMまたは20μMになるように実施例2のペプチド溶液を加えた後、同じ条件下で24時間インキュベートした。対照群として、未処理群(図3および図4では「Con」で表す)と、H2O2のみで処理した群(図3および図4では「-」で表す)とを使用した。各ウェルの細胞をPBSで洗浄し、製造業者のプロトコルに従ってSenescence β-Galactosidase Stainingキット(CST)を使用してX-gal染色を行った。老化が誘導された細胞において検出された青緑色の発色を位相差顕微鏡(オリンパス、日本、東京)で測定し、老化細胞の数をそれぞれ定量した。この結果を図3および図4に示す。図3および図4に示した結果から、本発明のペプチドで処理した群は、未処理対照群(すなわち、「-」群)と比較して、老化細胞のアポトーシスが有意に誘導されたことが確認できる。
Claims (3)
- 細胞老化によって引き起こされる変性疾患を予防、改善または治療するための医薬組成物であって、式1:
<式1>
Leu-X-Asp
(式中、
Xは、グルタミン酸(Glu)、セリン(Ser)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、ロイシン(Leu)、チロシン(Tyr)、アスパラギン酸(Asp)、フェニルアラニン(Phe)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、スレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、またはバリン(Val)であり、
-は、ペプチド結合である)
で示される3つのアミノ酸からなるペプチドを有効成分として含む、医薬組成物。 - 前記ペプチドが、配列番号1、3、4、5、7、8、9、11、13、14、15、17、18、19または20のアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項1に記載の医薬組成物。
- 細胞老化によって引き起こされる前記変性疾患が、変形性関節症またはアテローム性動脈硬化症である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
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