JP2023184377A - 小形、平面形、多周波対応、高感度万能アンテナとicタグ - Google Patents

小形、平面形、多周波対応、高感度万能アンテナとicタグ Download PDF

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Abstract

【課題】グランド面から高くしないでパッチアンテナの原理を用いて磁流を利用し、磁流に位相を持たせてBroadside ArrayやEndfire Arrayを構築し、低姿勢ながら水平面に高感度なアンテナ構造及びこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステムを提供する。【解決手段】アンテナは、電気長で約1/2波長の放射素子を左又は右若しくは両側に対称的に或いは非対称的に側方に向って下方に配列して、夫々の素子を励振する。中央部のX部は基本線路であり、主放射素子あるいは1次放射素子を示している。主放射素子あるいは1次放射素子は、片側から給電を行う構造でもよい。段々に重ねていく金属面を、絶縁体Insで誘電体あるいは磁性体でPEやPPやFRP等で一定に保持する。【選択図】図7

Description

放射部を多素子化し、金属面においても高感度化し、小形化、薄形化も可能とし、多周波対応としたアンテナ、とICタグやブルウトウス、ビーコン等の応用に関する。
従来アンテナの指向性を持たせる方法として、約90度進み位相で励振し前方で同相となるEndfire Array[縦形配列]のアンテナと横にほぼ同相に励振して前方で同相となるアンテナ利得上昇させるBroadside Array(横形配列)のアンテナがある。
従来用いられている金属面で動作するアンテナはMicro Strip Antenna(MSA)が一般的で1/2波長の共振形パッチアンテナあるいはこれを半分にした1/4波長のアンテナが使用されている。これらの放射素子は一般に独立して存在しているため給電していないと放射に寄与すべき電界は夫々の放射素子が隣接している場合でも無給電素子としては結合が弱く殆んどがグランド面に電流が流れて失われるため連続して隣接素子を励振し高利得化するには向いていない。
また放射方向が横向きであったり斜め方向の放射であったりで正面では逆にアンテナ感度が落ちる。
(特許の比較 資料一頁を添付)
Microstrip and Printed Antenna Design:Randy Bancroft 小形・平面アンテナ 羽石、平澤、鈴木共著 電子情報通信学会 その他IEEE Report多数
金属面で動作するアンテナはストリップラインアンテナと導波管アンテナ等がある。
小形化が望まれるICタグやビーコンはストリップアンテナあるいは線状アンテナが向いている。
しかし高利得なアンテナで小形化、簡略化することは難しい。ストリップラインの代表的なアンテナはパッチアンテナであるが小形化、高利得化が難しく、これを解決するためにはパッチ素子を一つ一つ給電していた。これでは大形化し、且つ、給電損失も増える。
素子を同一平面に並べて結合する方法は、結合が弱く、殆んどの電力はグランドに落ちて無給電素子と結合しない。
無給電素子と結合させるために一部を上または下に重ねて結合させることにより強い結合を行わせた。
グランドに落ちた電力を更に放射アンテナに次々に利用する方式を取り無駄をなくし、高利得のアンテナを実現させた。
グランド面から高くしないでパッチアンテナの原理を用いて磁流を利用し、磁流に位相を持たせてBroadside ArrayやEndfire Arrayを構築し、低姿勢ながら水平面に高感度なアンテナを構築できた。
更に移動体アンテナとして自動車や航空機等、金属製で風の抵抗を受け難くするアンテナの構成に役立つ。
図1は、本発明のStrip Line Antenna(ストリップラインアンテナ)の構成を示す斜視図である。 図2は、本発明のStrip Line Antenna(ストリップラインアンテナ)の動作原理を旧発明と対照する説明図である。 図3は、本発明のStrip Line Antenna(ストリップラインアンテナ)の動作原理と応用を示す説明図である。 図4は、本発明のStrip Line Antenna(ストリップラインアンテナ)の動作原理による3素子アンテナの実施例を示す。 図5は、本発明のStrip Line Antenna(ストリップラインアンテナ)の共振器付高感度アンテナや多周波アンテナの実施例を示す。 図6は、本発明のStrip Line Antenna(ストリップラインアンテナ)の他の方法の共振器付高感度アンテナや多周波antenna(アンテナ)の実施例を示す。 図7は、本発明のStrip Line Antenna(ストリップラインアンテナ)で多段とすることの実施例の説明図である。 図8は、水平面内(xy面内)無指向性で、低い姿勢のアンテナ高、高利得、上方(z軸)方向は円偏波高利得のアンテナ、多周波アンテナのっ説明図である。 図9は、低姿勢の垂直偏波アンテナの実施例を示す。 図10は、垂直偏波(Ez)アンテナで水平面内無指向性。 図11は、高利得円偏波アンテナを小形で作製する場合を示す。 図12は、本発明のStrip Line Antenna(ストリップラインアンテナ)を多周波アンテナとした場合のSmith Chartのインピーダンスの変化を示す説明図である。 図13は、連続して、本発明のStrip Line Antenna(ストリップラインアンテナ)を連続して安価に製造する装置の説明図である。
本発明の詳細を図によって実施例で説明する。
図1(a)は先願の万能ICタグの基本的な動作を示したものである。幅の狭いストリップラインにH形のスリットあるいはスロットを設けた場合を示し、放射部はストリップラインのほぼ中央部に設けられたスリットあるいはスロットからの放射によることを示している。
ストリップラインの全長は電気長で約1/2波長となり、端部は短絡されている。このため、放射部のスリットまたはスロットの切り口で変位電流あるいは電界Exが発生し、この電界Exにより放射が起こることを示している。
図1(b)は放射部スリットあるいはスロットを3素子に増やした図でストリップラインの幅が狭いためH形スロットを設けている。両端は短絡しているので、端部から約1/4波長離れた部分では無限大となるトレンチ構造あるいはトラップ構造となる。
これを図1(c)、(c1)と(c2)のトラップで示している。
トラップC1、C2は無限大であるので切り取っても線路には影響はない。両端のトラップC1、C2を取り除いたアンテナが図2(e)や(g)である。端部の放射は線路幅全体で行われるので、H形やコ字形とする必要はない。
動作が同様なストリップラインの線路長を電気的に短縮するため線路に切り込みを入れ、遅波回路とした場合を図1(g)に示す。動作的には(d)と変わりはないが、アンテナ長が短くなるのでアンテナ利得は多少下がる。
図1(i)は、コ字形放射部を有し3素子の放射部とした場合の例である。放射部はスロットの両端の切り口2素子が足され3素子となる。
つぎに図1(g)(h)(i)にはコ字形スロットの実施例を示す。
遅波回路により全長は1/4波長に近い。切り込みの遅波回路がなく、回路の絶縁体による誘電体とによる遅波とフリンジ電界によるCの追加による短縮のみなので短縮はあまりされず、アンテナ長はある程度確保でき、誘起電圧もある程度大きく取れる。他の一般の1/4波長トレンチ形アンテナと異なり、スロットは上面の金属面に切られているので、放射指向性は金属面と垂直な方向を向くので指向性利得もその分、高く得ることが出来る。云わば、図1(a)のアンテナの片側のみを使っている状態であり、遅波回路を設けていないのでアンテナ長も取れ感度を上げることが出来る。また、もう一方のトラップ部が直列に加わらないのでインピーダンスは少し低くなる。
スロット長は全体の切り込みの長さ約1/2波長となるが、スロット長は端部の短絡からの長さとなるため、図1(g)では920MHzでは端部から1/4波長8cmで短縮率が入り1/2で
Figure 2023184377000002
長アンテナに近い。
Figure 2023184377000003
方がよい。
図1(h’)は従来の1/4波長ストリップアンテナと異なり、端部が切りっぱなしでなく、前図(g)、(h)等と同じく、グランド部の金属板M2が折り曲げられM3を構成し、更に折り曲げられ、上面M1’として上面の金属面の一部となっている場合を示す。これにより単体のアンテナでは横放射がなくなり金属面に垂直に近い利得の指向性のICタグやアンテナが得られる。
図1(h”)は、基板等でタグを作る場合、端部の短絡はスルーホールで行う方が簡単であるの
Figure 2023184377000004
タンスが入らず有利であることは図1(h’)の場合と同様である。
つぎにこれらの(g)(h)(h’)(h”)アンテナを放射部として、H形の放射器の両端に開放素子を設けた(f)のアンテナに対してコ字形の放射部を設けた3素子のアンテナを用いてICタグを構成した実施例を図1(i)に示す。
図1(i)は給電部やICが取り付けられている主要放射部を図1(g)(h)(h’)等のコ字形スロットで励振し、更に両端の開放放射部で放射を行う3素子の放射の実施例を示す。
H字スロットを用いている図2(e)の3素子アレーに対応する構造である。
つぎに図2には3素子の基本的なスロット構造の先願の構造と動作を示す。図2(d)(e)(g)等のように更に簡単化し、アンテナ長を短くし、アンテナ利得を高める方式を具体的に説明する。
図2(a)には、先願のストリップ線路に約1/2波長λ/2のスロットを1/2波長の間隔で3素子配列した場合を示している。線路の遅波率を考慮すると絶縁体の誘電率ε=εεrやスロットによる遅波等が入るため、一般には自由空間の波長λより短縮され、電気長λeは自由空間の物理長λより短くλeとなり、λ>λeとなっている。一般のPEやPPを用いた場合、短縮率はεr=2.3であるため短縮率即ち遅波率ζ=1/√(εrμr)=1/√(2.3x1)=0.66であり、66%線路波長が短くなり物理長も従って短縮できる。更に、これにより短くし50%程度、即ち半分程度に短縮するためには、線路の一部に切り欠きを入れてCを増やしたり、ジグザグにして電流の流れる線路長lを長くし、線路の物理長を短くすることが出来る。位相定数β=2π/λおよびω=vβであるので切り込み等による電気的波長λeが変わりβe=2π/λeとなる。従って、線路長leや(伝播定数)βe何れを変えることも可能である。従って、物理長を自由空間の波長の半分(1/2)の長さや1/4の長さに調整することは誘電体を用いたり、切り欠きを入れたりして調整することが出来る。実施例としては145~165mm程度となる。これは自由空間の1/2波長の半分で自由空間の波長λ=326mmとすると約1/4波長で1/2波長163mmとはならない。即ち約半分の長さで実現していることになる。比誘電率を適切に選ぶことによって適切な大きさを実現できる。約誘電率のみで半分に短縮するには、εr=4であるガラスエポキシ基板を用いれば実現できる。即ち、ζ=1/√4=1/2≒50%の短縮を実現している。この場合は更に半分の大きさ約80mmの長さに構成できる。
FR基板やセラミックを用いれば更に短くできる。
周波数が920MHz帯の場合の説明であったが、2.45GHzの場合には920MHz/2450MHz≒0.38倍となるので総ての長さが相似の理で0.38倍となる。1波長が122mm、1/2波長が61mm、1/4波長が30.6mmとなる。5.8GHzの場合は920/5800≒0.16となるので更に小形となる。
図2(a)は両端を短絡している先願の万能ICタグや3素子スロットアンテナの構成図である。
両端をスロットから1/4波長離してトラップ(トレンチ、チョーク)を設けスロット部より端末を見た線路インピーダンスがZ=jZtanβl=jZtanπ/2(l=λ/4)=∞となるように構成し放射部の金属の影響をなくし、理想状態を作るようにしている。
図2(b)にはストリップ線路内部の電流の定在波分布を示しており、周期的に最大、最小を繰り返していることを示している。
図2(b)(c)に電流と電圧の分布の様子を示す。同図2(b)(c)を見ても分かる通り両端短絡により1/4波長給電部FPまたはICの載っているスロット部に近づいている所では損失がなければ電流は零、電圧は最大となり、インピーダンスZ=∞となることは述べた通りである。
従って、図2(d)に示すように左右のトラップ(トレンチ、チョーク)部Trを取り除いても変化はない。
従ってこの両端を取り除き、両端開放としても理論的には等価となる。厳密に云うと、開放端部に発生するフリンジ電界は容量の増加となるため、線路長を僅か短めに構成する必要がある。またフリンジからの放射はスロットの場合とほぼ同様である。
図2(c)の電圧電流分布を見ると電流がドミナント(主)となる範囲、電圧がドミナント(主)となる範囲が約λ/4波長離れて繰り返されていることが分かる。電流域の所にカット(切り欠き)を入れ電流を迂回させ、電圧域の所が容量域となるので、電界、電圧がドミナント(主)となるようにし電界放射し易い構造とすることが必要である。従ってこの範囲ではカット(切り欠き)を入れない、凡その目安は図面を見ても分かる通り、cosやsinの角度±45°の範囲と考えられる。
図2(d)にはストリップ線路の内部の電界の分布を示している。これは図2(b)(c)の電圧、電流に対応するものでトラップ(トレンチ、チョーク)部Trを切り離して示してある。
つぎのこのトラップ部(トレンチ部)を省略して示した構造が図2(e)である。先の説明の通りこのトラップ部(Tr)があってもなくても線路内の電流電圧分布は変わらなく、但し、チョーク部(トレンチ部)を省略できたので短く、小形に構成することが出来た。上面はエッチングのインレイで構成し、下面は単一の金属面で中間には発泡のPEまたはPPを用い上下の金属を絶縁し、ストリップラインを構成している。
若し自由空間の波長λと線路内波長λeとが近い場合に放射源1,2,3の間隔が約1/2波長となるための3素子が1/2波長に横型に1/2波長離して配列されたブロードサイドアレイ図(f)図(h)となり、1放射素子に較べ約3倍の利得が得られるので小形化できた。
放射電界Ex1、Ex2、Ex3は同一方向となり、電界Exと直角な方向Z方向となる上方に放射を行う。
実施例ではICタグとして1Wのリーダで30m読み取り距離のものが得られている。
図2(f)には3素子のほぼ同相の波源が距離d離れて配置されている場合の360°方向の指向性を求める場合の数式を示す。
この時の指向性はつぎの式によって求めることができる。
Figure 2023184377000005
若しθを零に近づけるとθ=Δθ≒0となるのでE(θ)≒3を得ることができ、約3倍4.7dBの利得を得ることができる。
図2(h)の場合もほぼ同様で、放射素子の間隔は狭くなりd’となっているのでつぎの式となる。
Figure 2023184377000006
図2(f)の場合と同様にθを零に近づけるとθ=Δθ≒0となり、同様にE’(θ)≒3を得る。
実際には主ローブは多少広くなり利得は下がるが、3素子による利得は1素子よりかなり上昇する。
図2(g)は、端部の延長線路にも切り欠きによる遅波回路を設けた場合を示す。これによっても遅波率も増え更に前図2(e)よりアンテナ長を短くすることができる。
ICの取り付け場所をスロットの中央給電部でなくて、インピーダンスの低い部分に給電線を別途設けて、インピーダンスマッチングを行う例を図2(g’)に示す。図1(h)(i)に示すようにコ字形スロットの場合にはスロットは非対称となり片側のみとなるのでスロットの端部に近いインピーダンスの低い部分にICを直接取り付けICと整合をとることも出来る。
図2(i)および図2(j)には2周波fとfに対応するICタグを構成する場合を示す。ストリップラインの共振周波数が重なり夫々の共振周波数がfおよびfで共振するように構成する。ヨーロッパ帯域866MHzと、日本、米国の帯域920MHz、両方をカバーすることができる。双峯性の特性となる。上方のストリップラインが922MHzでほぼ共振となり、下方のストリップラインが866MHzでほぼ共振状態となる。図2(j)は左右非対称としてある。
つぎに図3には端部の約1/4波長のトレンチまたはチョークまたはトラップを取り除いた場合、図2と同様、電圧、電流の分布がほぼ同様となることを示しており、端部においても、斜め放射となる傾向はあるが、1/4波長のトレンチまたはチョークまたはトラップが両側で省けて小形化している。折り曲げ部分がないので簡略化でき、且つ、アンテナ部を短く構成できる。
図3(a)のH形スロット線路部の内部の放射を行うアンテナ部の幅YSの線路には切り欠きを設け、線路内を伝送する電波の遅波を行っている。更にH形スロットの先の線路ではストリップ線路自体が伝送線路であり、この端部の開放部が放射部となっているので、放射線路の両側に切り欠きを設け遅波回路を作っている。切り欠きは出来るだけ電流域で行い、迂回電流による遅波あるいは位相定数β=2π/λeを変えるようにし放射部に近い所では、電圧が高く電界が集中する容量域であるため、切り欠きを行わないようにする。両端部は開口部が広くなり電束数が増え、従って磁流ベクトルも中央部より少し大きくなる。
内部電界分布を示したのが図3(b)である。3素子のICタグで金属面Mの上に載せられている場合の図である。図3(c)は両端開放の場合の内部の電流の定在波の分布を示す。即ち、線路両端と中央部が電流がほぼ零になる電圧が高い部分となり強い電界となる。受信としてはよい部分である。図3(c)の電流は両端で零になっている。
中央部および端部は電圧電界の最大部で強い放射を行い、受信においても最大の電圧が得られる。放射は電界があるので、図3(c)のように両端部では電流は完全に零とはならない。
中央部でも同様である。但し、電流は零に近く、電圧は腹部となるため端部および中央部は
Figure 2023184377000007
るので受信電圧を受けるには都合がよい。
図3(b)の線路内の電界分布は、両端部で最大となり、左側では上向き即ちグランド面M(G)に接触する下方の金属面M2から電界が上面M1方向に向き、中央部に向って(約1/4波長の位置で電界零(電界の節)となり、電流最大となっている。更に線路右に進みICが接続されている中央部の給電点FPL、FPR最大となり、電界は下方を向いている。一方、給電部FPL、FPRでは取り付けられたICを挟んで電界の方向は逆転し、アンテナの切り口と同様下方に向ってて最大値を示している。即ち左側アンテナの素子M1から右側のアンテナ素子M’1に向って電界Ex1が励起されている。右側のアンテナ素子M1’の電界分布についても左側のアンテナ素子M1の電界分布と同様であり、右側の金属面M1’の右端部の開口面では左側の切り口の開口面と同様の電界分布で且つ逆方向のベクトルとなるため、図に示すように、上方に放射するポインティングベクトルP2’もP3’も中央部の主放射ベクトルP1と同方向となり、電界方向Exと磁界方向Hyとの積が放射電力Pとなるので放射ベクトルはプラスに加算されることが分かる。
図3(c)は、線路の電流の定在波を示したもので放射や損失があるが、ほぼsine分布あるいはcosine分布となる。電圧は絶対値で示している。
然るに本発明では中央部の給電部における開口部や両端部を開放して開口部を作っているので放射が発生し、この放射による損失抵抗raが発生するため、図3(c)のように電流は節においても零とはならない。
放射しない場合フリンジ電界は容量Cとして蓄積エネルギーとなるが、一部は前説明のように放射して失われる。実際にはアンテナ線路におけるLとCによる共振特性に左右されバンド幅も定まって来るし、金属面や誘電体の損失も加算される。
図3(d)には、更に素子数が増え5素子となった場合を示す。この場合には、
Figure 2023184377000008
られ電界が端部で最大となるため5倍の利得が得られる。dが1/2波長より短くなった場合にはアンテナ利得は少し落ちるので5倍とはならない。図3(e)にこの状態の電界、磁界のベクトルの大きさを示す。線路内部ではHスロットとなっているため放射部の幅Ysは線路幅Yには及ばなく、磁流素子の長さは短くなり、従って電束は小さくなる。一方、両端では放射部の幅Yはそのまま有効に使えるので磁流長さ延び電束も大きくなるためH形スロットのみより僅か乍ら有利に働く。これを図3(e)でベクトルの大きさで示している。実際には左の数字で表すアレーファクターの方が有効に働くのでそれ程大きな差とはならない。スロットの切り込みが大きくストリップラインの電界を大きく乱すので多素子とする場合にはスロット長を放射に応じて大きさを変える必要がある。
図3(f)は図3(a)の3素子の放射素子を用い端部の電界E、Eを用いて、図1(k)(l)(m)(n)
Figure 2023184377000009
射させる方式で、多素子アンテナとして構成する場合、比較的簡単に素子数を増やしてアンテナの利得を上昇できる。
5素子アンテナの実施例である。アンテナの放射面M、M’と両端の1/2波長無給電放射素
Figure 2023184377000010
これにより、更にアンテナ利得が5倍(7dB)の感度上昇が得られる。これにより実施例のICタグでは約45~50mの距離のものが得られている。図3(a)の3素子アンテナのYを2倍にすることによって磁流長は伸び約42mm程度の距離が得られた。
図3(e)にはスロット幅Ys=lsとし、端部のストリップライン幅Y=lcとしてこの場合の等価的なベクトルの大きさを変えて表示しているが、中央部のH形スロットの幅Ys=lsが少し位小さくても図3(e)に示すように等価的に小さくなるがアレーファクターの方が利得に大きく効くのでこの差は小さい。
図4(a)、図4(b)は線路幅の違いにより、中央部の放射部の幅Ys=lsと端部の放射部の幅Y=lとの差も小さくでることを示す。従って磁流ベクトルの大きさも異なってくる。
図4(c)の場合には、中央部の放射部の幅Ys=lsは小さく、端部の放射部の幅Y=lが大きい場合でも多少利得や指向性の変動があるが放射部が両端にもあり、中央部は短い放射素子となるが、両端の放射に助けられゲインの高いアンテナとなる。
放射部lo(Ys)がストリップライン幅Y=lより小さい場合はストリップラインの電界を乱す割合も小さくなるので多素子化としてスロット数が多い場合は有利である。
中央部のみの1素子の放射の場合には、線路長即ちアンテナ長は誘起電圧V=∫Edlであるためアンテナ長lが長い方が有利であり、電界強度も上昇し磁流長も長く取れる場合、線路幅Ys可成り影響を受けたが両端の放射が中央部の放射を伴い大きな利得が得られた。
ベクトルの大きさを示したのが同図(d)である。線路幅は電束の数あるいは変位電流の量と考えてよい。これにより、小形が実現でき可成り高い利得が得られた。
若し、磁流の利得をダイポールに置き換えて2.15dBiとし、金属面による反射を2倍の3dBとして、3素子の利得約5dBを加えると概算で、2.15+3+5=10.15dBi≒10dBiとなる。
つぎに図4(e)にはコ字形スロットを用いた場合の例を示す。コ字形スロットが有利なのはスロット長が片側ではあるがスロットを励振するアンテナ長がほぼフルに生かされ1/4波長の長さで構成でき誘起電圧を高く取れることと、全長約1/2波長のスロット長のスロットインピーダンスの低い所FPにICを取り付け20Ω近いICの抵抗部と整合が取れ易いことである。従ってスロットの中央部FP1あるいはストリップラインの中心線にICを取り付ける方式でなく、図4(e)のようにスロットインピーダンスの低いスロットの途中に給電部FPを設けこれにICを取り付けることによりスロットとICのマッチングを取ることができることを示している。
図4(f)は、図4(e)のアンテナあるいはICタグを横から見た場合を示す。即ち、図3の場合と同様、中央部のスロットSによる放射電界Eと端部による放射電界E、Eにより放射が行われ3素子のアンテナが得られ図3の構成のアンテナよりやや高感度な特性を得ることができる。
つぎに図4(g)には更にアンテナ素子数を増やす場合で、図3(d)のようにコ字形スロット数を増やしてもよいが、これを省略し、図3(f)のようにストリップライン端部の両側あるいは片側に1/2波長の共振形放射素子を一部重ねて結合させ、5素子の放射素子によるアンテナを構成した場合を示す。この方が電界の乱れが少なくて済む。
中央部のコ字形スロットによる1/4波長アンテナ図4(e)を用いてもよい(図4(a))のH形スロットによる両サイドに1/2波長の金属面M3LとMICのアンテナ片が2個あるので、この分の感度上昇は図3のアンテナと同様5素子のアンテナとなる。
図5には放射部の上部または下部にあるいは側部に、1/2波長または1/4波長の共振アンテナ素子を配列し連続励振を行う場合を示す。多素子化や多周波対応に応用できる。
図1で説明したように、共振形半波長(1/2波長)1/4波長の素子を用いて更にアンテナ感度を上昇させる方法の実施例を示す。
図5は1/2波長の共振形放射部を主放射アンテナあるいは前出願万能ICタグ等のICタグの主アンテナを1次アンテナとし、1次アンテナの下に共振する素子による放射部を更に増やして、全体として複数の放射部によるアンテナ感度を上昇させる方法である。
このときグランドに流れる電流を利用し、2つあるいは複数の共振回路を1次アンテナと強い結合をさせ、また複数の周波数に対してアンテナを動作させることができる。ICタグとして利用した場合、国内や米国等では920MHz帯の中心周波数となるが、ヨーロッパでは866MHz帯を利用しており、日本や米国等のように920MHz帯の両周波数で利用することができるようになる。また、雪や雨、氷等の条件による外部の影響の変化に対してもアンテナの周波数特性が変わるので常時と環境が変わった場合の誘電率の変化に対応して周波数を合わせることができる。即ち、周波数を10MHz程度上昇させ1G程度と920MHz両周波数に同調を取ることにより乾燥時と水に浸かっている時、両方で利用できる。即ち、雪害対策のアンテナや水対策アンテナとして用いることができる。
図5(a)は1次アンテナあるいは主ICタグの下方に金属面Mを設け、更に下方の金属面Mとの間隔を一定に保つための絶縁体誘電率ε=εεrのシートを設けた場合を示す。絶縁体シートの厚さは0.3mm~9mm程度が現実的である。
誘電率が比較的小さい発泡PEやPPの場合には短縮率が低く、1/2波長の線路長は80~160mm程度となった。厚みは0.5~8mmの絶縁体シートを重ねて所望の厚さとした。
比誘電率εr=4のPCBの場合には0.5~2.6mmの厚みの板を用いた。
この場合の放射は主アンテナの中大部の放射部による電界Eと下方のM、Mの金属面によって発生する電界EとEによって放射される放射電力P、P、Pの合成となるので約3素子のアンテナとなる高い感度のアンテナが得られる。アンテナとしてはM~Mの金属面で構成され、これが一体となっているが、アンテナやICタグを取り付ける対象物となる金属面Mが存在し、一般には金属面Mに載せられた時にはフリンジ電界は金属面MやMに終端する。金属面MおよびM、M、Mには電界によって誘起された電流Iが流れる。
図5(b)の場合はアンテナの応用で、下方線路2によるアンテナの誘電率ε=εεr2が高く、例えばFRPのPCBによる絶縁体基板のような場合で、通常FR4と云っているがεr2=4となるのでPEやテフロンやPE、PP等のεr=2.3と異なり、また発泡絶縁体を用いチグザグ線路を用いた線路より可成り短縮され主放射器を形成する基本線路1とほぼ同じ長さとなる。この場合線路長は約80mm程度となった。同図では金属面Mを省略し基本線路1の下方の金属面Mをそのまま利用している。図5(a)においてもMとMを共通にすることができる。機能的には同様の結果が得られる。
図5(c)はICタグの応用例で、構造としては図5(b)と同様である。即ち、各種アンテナとしてもICタグとしても応用できることを示している。
図5(d)は、図5(a)がアンテナとして描かれているのをICタグで描いてある場合を示している。図5(d)もICタグとしての例である。
図5(e)は、主アンテナが1/4波長のアンテナの場合を示す。
ICタグとしては線路の途中の適当な位置にICが接続されていると考えてよい。主アンテナが上記の図と異なるだけで、主アンテナの放射を助けたり複数の周波数に対応させる考えは同様である。
図5(e’)は、主アンテナも補助用アンテナも1/4波長の共振線路を用いている場合を示す。
放射部が2個所となるので感度上昇が得られる。下方に取り付ける共振アンテナも同様な構造として小形化できる。
つぎに図5(f)には、1/4波長共振線路を連続して配列し励振する方式を示す。
この方式は、グランド面M側の金属面Mと連続放射部の1/4波長共振部は絶縁されているので総ての電流はグランドMに落ちず隣りの1/4波長共振放射部を励振して放射に役立立て、結果高い指向性利得を持つアンテナやICタグを作ることができる。直列の給電方式となるため、周波数特性は主放射部から離れるにしたがって周波数偏差に対する位相差が加算され周波数特性が狭くなる欠点があるが薄くできる利点がある。
図6(a)には、基本線路による1次アンテナ1の上方に金属面Mを設置しされ上方線路3を設け、1次アンテナに取り付けたICの信号を基本線路1のみでなく上方線路2でも励振し、この信号を金属面Mの両端から電界EとE、ExとExとして放射することにより、同じ大きさのアンテナでも放射部がEとEの2個となるためアンテナ利得を高くすることができる。下方の基本線路1により構成された主アンテナの上方に一枚の電気長で約1/2波長λe/2の長さ(λeは上方線路の絶縁体の誘電率ε=εεr3によって短縮される電気長でλe=λ/√εで)E、Eの2素子の放射部による放射を行うので絶縁シートεの上に金属面Mを一枚加えるだけでほぼ2倍(約3dB)の利得上昇を得ることができる有利な方法である。下方に図5(a)(b)(c)のように更に共振回路を設け多周波アンテナとしても用いることができる。これは組み合わせによるメリットである。
図6(b)は、この原理を1/4波長の共振を利用したアンテナにも応用した場合で、図6(a)と同様アンテナの上方に一枚の電気長約1/2波長の金属面Mを置くだけで2素子アンテナとなるので感度上昇が得られる。よって利得の上昇あるいはICタグの感度上昇が得られる。
上方に金属板を備える方法は放射部やICタグを守ることにもなるので、環境の悪い所や衝撃のかかる所や放射線等のICに害を与える所での使用を行う場合に適している。
図6(c)は、図1(g)(h)のコ字形スロットのICタグ本体A-1にプラスチックカバーをかけ防水構造とした場合を示す。H字形のスロットのを用いたICタグでも同様のカバーを用いることができる。カバーの両端には対象物に取り付けるための袖C-1、C-2と、対象にボルトや磁石で取り付けるための穴hが付けられている。
図6(d)には、周波数の異なる共振回路に対応する長さl、lの共振回路を金属面M、Mの中央部に短絡板Msとして設けた場合を示す。上面Mに誘起された電圧は夫々下方の長さ即ち周波数の異なる共振回路を励振するので2周波(多周波)で励振を行うことができるので、2周波に対して感度のあるアンテナやICタグとなる。一方の共振回路の電圧発生部にL形、F形のスロットを切ってもよいし、モノポールアンテナによりストリップ線路を励振してもよい。何れの場合でもストリップラインを励振可能であり、ICを従って励振することができる。線路長あるいはスロット長のインダクタンスLとICの容量Cとが共振することが必要で他の例でも同様である。
図6(e)は、更に上部と下部に金属面を足し、前述のように上部の線路による高感度化と下部の線路による高感度化を行い、且つ、独立部も励振することができ多周波高感度化を達成している実施例である。
図6(f)は、図2(b)のパッチアンテナ等のように約1/2波長両端開放形の放射アンテナ(パッチアンテナ)と下方に多段に重ねて行った場合を示す。
従って、主放射アンテナをどのように選んでも、1/4波長や1/2波長の共振形アンテナを多段に重ねて下方の金属板に流れる電流を利用して放射効率を増やすことができることを示す図である。
図7には、共振形無給電素子を上下左右に配置し、多素子放射素子によるアンテナ利得を上昇させたり多周波対応とする場合の説明をする。特徴としては隣りと重なる部分Δlと間隙gがあることである。
図7(a)のように電気長で約1/2波長の放射素子を左または右、あるいは両側に対称的にあるいは非対称的に側方に向って下方に配列して、夫々の素子を励振する場合の実施例を示している。中央部のX部は基本線路であり、主放射素子あるいは1次放射素子を示している。前述の1/4波長、1/2波長放射素子、H形、コの字形、スリット端部放射等の放射器を意味している。
主放射素子あるいは1次放射素子が中央部にあるが、片側から給電を行う構造でもよい。
金属面としては段々に重ねていく方式となる。金属面を一定に保持するのは絶縁体Insで誘電体あるいは磁性体でPEやPPやFRP等である。現在の所、磁性体で損失の少ないものがない。
上下に隣接する金属面の重なっている部分をΔlとして、間隔をgとすると、重なっている長さΔlが長い程結合が大きく、長さΔlよる位相差も生ずる。また互いの金属面との距離あるいは間隔gも厚みtをtと分配するため電位差に影響を受け電位差も変わる。間隔g
Figure 2023184377000011
の重なる長さΔlと間隔gを変えて結合係数を制御し、多数n個の素子の放射を行わせるには、1/nの電力の配分を行い、また同相の放射素子となるように線路長l1n、重なりΔl、間隙gの調整を行う。基準としては、線路長はほぼ線路内波長λeの1/2波長である。厳密には電界の乱れによる容量Cの追加の補正が必要である。追加される放射素子の間隔gによる放射部の位相差は線路長X/2-2Δlによりlを調整し、位相差の補正ができる。
図7(b)は、同様に図7(b’b’b’)の下方の金属板がグランドG(M)に絶縁体Insで絶縁されていることを示す。
図7(b’)(b”)には、図7(a)(b)の放射部の一例を示している。
即ち、放射部下方の金属板に流れる電流は次に放射部上の電流となり、放射で一部失われた電力の残りの電流は下方の金属板を励振し、この下方の金属板に流れる電流は次の上方の金属板の電流を励振すると云うように次々に放射開口部を励振して行くように動作することを示している。
図7(b)には、多素子の放射素子の例を示す。主放射素子(1次放射素子)Xの一例を示す。
放射部の端部の電界により隣接する共振素子を励振することを示す。1次放射部(基本素子)と隣接する素子は一部端部の電界の強い所でΔlだけ重なっている。
同図の中央部の金属面は図1~図6等に示すような約1/2波長のストリップアンテナの断面を示してあるが、給電アンテナXあるいはICタグXであって、図(b’)のH形万能ICタグのような放射器あるいは図(b’)のようなコ字形放射素子によるICタグやλ/4の放射素子や(b’)のような1/2波長形のICタグでもよい。これらの主アンテナとしてXで示してある。
図7(c)には図7(a)(b)と反対に中央の主アンテナXを中心に連続結合アンテナが上方に配列されている場合を示す。
放射に係る電界が連続的に隣接する1/2波長の金属ストリップ片を励振し、多数子アンテナや多周波アンテナを構成し高利得のアンテナや高感度ICタグを構成することができる。
図7(a)および図7(c)は下方または上方の1/2波長共振素子を一部重ねて励振する特殊な場合である。
実際には図7(d)に示すように、交互に上下の結合を組み合わせる方式が現実的であり、1/2波長λe/2の金属面アンテナを二層にして絶縁体を支持層として構成することができる。中央部のアンテナXは図7(b’)(b’)(b’)等に示すような主放射アンテナ1次アンテナまたは基本アンテナである。
図7(e)には主放射アンテナの両側に1/2波長の共振素子が配列される場合、図7(e’)には片側のみに共振素子が配列される場合を示す。
上記のように断続的な素子を連続励振する方法を示した。
図7(f)には、折り曲げ部を設けてf~fnの周波数の異なる1/2波長の共振素子を重ねて多周波に対応としたり高利得アンテナとしたりして使用する場合の実施例である。図7(g)はアンテナ素子を少し斜めとして構成した場合を示す。(f)の変形として考えられる。図7(h)は多層にアンテナを重ねた場合の例で、高利得・多周波対応の例である。図7(a)(b)(c)(d)についても夫々λne/2の異なる周波数fnに対応する波長λnに対して組み合わせることができる。
側方に配列する方法に多周波の共振素子を配列する場合も共振電流が強く発生する素子とそうでない素子が存在するため、均一に放射させるためには、重ね合わせΔlや間隙gを調整し均一に放射させることもできるし、条件によって任意に設計することができる。
図8には当該技術の応用として、円偏波アンテナに応用したり、偏平な構造で水平面一様な指向性で、垂直面面内を鋭い指向性とするアンテナについて実施例で説明する。
図8(a)は、従来の円偏波パッチアンテナの例である。
約1/2波長の円板または正方形の一部に切り欠きがある場合45°の方向で給電を行うと直交するベクトルに90°位相差を生じ円偏波が得られることが知られている。図8(a)には当該技術を用いた円偏波アンテナで高利得を達成する方法を示す。
従来の方法でパッチアンテナを給電してアレーアンテナを作り、給電する方法は複雑で線路損失を発生させるので問題である。円偏波を放射する主アンテナの下方に径方向約1/2波長の金属幅を持つ円環2を一部主アンテナ1と重ねて寄生アンテナ2を励振する方法で円方向にハイヤーモード(高次姿態)が発生しても円偏波であるので円周方向には回転して不均一となることはない。点線内に示された第2アンテナの切り欠きはなくてもよい。
つぎに更に下方には同様な方法で、一部第2の円環アンテナ2と一部重なった一回り大きな約半波長の幅を持つ円環アンテナ3を重ね方法で1mm~10mm程度の絶縁体Ins(誘電率ε)シートを介して重ねていく。ε≒ε≒εでもよいし、別ε≠ε≠εでもより第3アンテナもハイヤーモード(高次モード)が発生するとしても円偏波であるので一様性は保たれる。
図8(b)には上方から見た図を示す。
図8(c)(c’)には斜視図を示す。第一放射器となる円板アンテナ1により励振された電界により、円環により構成された第2アンテナ2を励振する。次々に第3アンテナ3を励振する構造となる。円環の幅径は短縮率含めてλe/2としている。
夫々のアンテナの重なり具合は結合係数や位相によって0.15~0.5λeとなる。
円板または円環アンテナを支える絶縁体はポリエチレン、テフロン、ポリプロピレン、FRP等で夫々比誘電率の違いで短縮率が変わってくる。
絶縁体の大きさは、円環の大きさや短縮の必要性およびサーフェースウェーブの必要性に応じて図8(c)に示すように上方のアンテナと合わせるか?下方のアンテナに合わせるかを選択する。
図8(d)には1/4波長チョークを用いて連続的に給電する方法を示している。1/2波長開放形とするか?1/4波長短絡形とするかは、製造上、構造上の選択どちらで行ってもよい。位相差励振を行っているのでエンドファイヤー形の指向性アンテナを構成し、低い姿勢で高利得が得られる。
図8(e)には、指向性を示すもので水平面内には一様の指向性となり、つまり金属面と平行な面内には一様となり、金属面に垂直な面、つまり、垂直面にも鋭い指向性となる。
水平面内の通信と垂直方向の通信両方に役立つことができる。
図8(f)にはドーム形カバーを用いれば、防水、防雪にもなり、アンテナのカバーを設け、風の影響も殆んど受けずに済む。
図8(g)に応用例で車の屋根、後部トランク、前部ボンネットの上等に取り付けることができ、風の抵抗や影響も受けない、水平無指向性、垂直指向性を実現できる。
コネクテッドカー用通信、地上固定局との通信多周波用アンテナとして、上空ヘリコプター、ドローンとの通信、場合によっては衛星やGPSとの通信に用いることができる。
図9には、水平面内に垂直偏波の電波で水平面内一様指向性、垂直方向には放射を殆んど行われない低い身長の水平面高利得アンテナの例を示す。
一般の車載用アンテナは垂直偏波であるが、モノポールアンテナのように棒を車体から垂直に立てたものか、1スロットアンテナのようなものが多い。
それとは異なり、図9(a)は円板1のほぼ中央部から給電し、縁の電界に第2円環アンテナを結合させ、第3円環と次々に励振する方法を示す。
図中、円板の放射部1はほぼ中央部下方に給電部を備え、下方の円環または円板2に電界が結合する。下方にグランド平面があるのでこの方向に電界は落ちる。
前述のように電界は下方の円環を次々に励振して最終的にグランド面で終端する。
ほぼ中央部で垂直電界を励振しているので、中心部から広がるTEMモードの電波となるため高次モードの心配はなく、図9(c)に示すように円周方向に対しては均一の指向性となり、水平面内(xy面内)では一葉指向性で、垂直面内(yz面)(zx面)では垂直方向の放射はなく、水平面内のみの放射または受信となり、コネクテッドカーのように、車同士、地上固定局との通信が可能となる。
また、アンテナ高の低い水平面内には高い利得を持つ一様指向性アンテナの実現ができるので車載用、固定用、何れの用途にも適している。
図9(b)には別の給電方法を示す。
図10においては、垂直偏波のアンテナを低い姿勢で構成する場合を示す。第1アンテナ、第2アンテナと続く場合、同相給電で行ってもよいが、約1/4波長の位相給電あるいはインクリーズドディレクティビティ―となる位相で励振し、更に垂直面の指向性を水平方向に対して鋭くなる方式を取っていることが特徴である。これにより水平面内に鋭い指向性のアンテナが構成でき、図8、図9と同様種々の応用に用いることができる。
図3、図4のアンテナを1/2波長離して直角に配列したものが図11(a)のアンテナとなる。
直線偏波のアンテナとして並列に用いた場合には約3dB上昇の指向性となり約12dBiのアンテナとなる。
然るに円偏波のアンテナを得るためには、同様に▲2▼、▲4▼の直交するアンテナを配列し、90°の位相で励振する必要がある。直交する▲2▼、▲4▼の素子の励振を▲1▼、▲3▼のアンテナに対して90°進み位相で励振するのか、90°遅れ位相で励振するのかによって右旋あるいは左旋偏波となるかは、図11(a)進み位相、(a)遅れ位相のベクトル図で右旋か左旋かを選んで励振あるいは給電すればよい。
実際には3素子の放射アンテナの組み合わせであり、アンテナ自体も短縮率がかかっており、電気長1波長λeであるが、両アンテナの間隔は自由空間のλ/2波長λ/2であり、アンテナ幅とアンテナ長を考慮して前出のアンテナ長は短縮率も含めて145~160mmであり、アンテナの幅は40mm程度であるので2台の幅は40+40=80であり全体で(60+40)200~250mm程度の大きさとなる。
図11には、図11(a)のアンテナの#▲1▼のアンテナはそのままにして、#▲2▼のアンテナと直交して90°位相で配列(b)するか、直交する#▲2▼、#▲4▼のアンテナ素子と半分の素子▲2▼、▲4▼を2個用いて励振することにより、円偏波アンテナを作る場合を示す。
半分の長さのアンテナは性能は落ちるが、2台#▲2▼、#▲4▼を使い、#▲1▼のアンテナと同等のベクトルの大きさを得るようにする。
図11(a)の円偏波用4素子のアンテナ#▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の給電方法を示す。
図11(b)の2素子あるいは▲3▼素子のアンテナを給電する場合には同軸ケーブルあるいはストリップラインで給電を行い、4分岐あるいは2分岐あるいは3分岐の分岐器による給電を行う。
つぎに図5、図6、図7のように共振素子が並び、且つ、夫々の素子が結合している場合、必要な周波数に合わせた共振周波数を持たせることができる。
それにより、2周波あるいは3周波、多周波に対応するアンテナあるいはICタグとすることができる。
図12には、ICタグとしての対応の場合、ヨーロッパの周波数帯域と日本や米国等の使用帯域が異なっているので、両方の帯域で用いることのできるICタグを構成することができる。多周波対応のICタグを実現できる。様々な用途のアンテナについても同様である。
図12(a)は、例えば日本や米国で使用する920MHz帯の単一バンドで使用する場合のICが取り付けられている端子のスミスチャートのインピーダンス特性を示す。図12(a’)に示すように、ICはコンデンサCic、抵抗Ricである。一方、アンテナ部はインダクタンスLANT、放射抵抗Rradで表すことができる。
この2つの素子が並列に接続されているので、ICの端子では並列共振(***振)となり高インピーダンスとなる。この場合には図12(a)に示すように、920MHzの近辺で実軸上を920MHzで横切るようなインピーダンスの周波数特性となる。
然るに先にも説明したように、図2や図5、図7等のように多数の共振回路からなる線路の場合、図12(b)に示すように実軸上を横切る周波数が2つ存在し、866MHz近辺と922MHz近辺で実軸上を横切り、周波数特性は途中キンクしている。即ち、2つの周波数、ヨーロッパと日本、米国等の周波数に対応したICタグを作ることができる。多数の周波数対応やブロードバンド化に役立つ。
図12(c)はICタグの感度特性を示す図である。
同図によっても2つの感度の高い山を示しており、両周波数においてほぼ同じ感度のICタグを得ることができた。1/4波長共振、1/2波長共振、1波長共振においても、線長の異なる結合線路によって簡単な構造で対応することができる例を示す。
図13には、図2、3、4、7等のICタグが、スロットを持つアンテナを連続して構成するインレイフィルムを供給し、中間に絶縁体シートを下部にはストリップラインの下方金属面となる金属帯のラミネートシートを供給し、連続してICタグの帯を製造し、これを切断し夫々のアンテナあるいはICタグを量産する製造過程を示す。
前記の説明ように、小形高感度のアンテナを連続的に多数作ることができる。
まず、上のアンテナ面はアルミ箔あるいは銅箔のPETラミネート面によるアンテナが構成され、アンテナ一個一個にICチップがボンディングされている。このようなインレイシートが上のロールで巻き取られている。このシートが上面となり、中間には絶縁体シートが供給され、下面にはアルミあるいは銅箔による金属面を備えるペットシートがあてがわれ、約0.3~7mm程度となる絶縁体シートを挟むような状態でストリップ線路を構成したICタグの単体が連続して作ることができるので安価に製造できる。シートは何枚か積層したものでもよいし、発泡体やハニカム構造ものもでもよい。このユニットを防水カバーすることにより、ICタグやビーコン、アクティブ、セミアクティブ等のデバイスを構成することができる。
金属面上やその近くで動作させるアンテナや、天候によるアンテナ周囲条件の変化にも対応し、小形化、高利得化が可能となるアンテナであり、これを利用するICタグ、ビーコン、ブルウトウス等の応用や、自動車、航空機、鉄骨、鋼材等とともに利用できるアンテナおよびこの応用が期待される。
ε 第1アンテナの誘電率
ε 第2アンテナの誘電率
E 電界強度
Ex x方向の電界
Ey y方向の電界
Ez z方向の電界
第1アンテナ(放射部)の電界
第2アンテナ(放射部)の電界
第3アンテナ(放射部)の電界
IC IC
I アンテナ面に流れる電流
l アンテナ長
Al アンテナの重なり
G 隣りのアンテナ素子との間隙
Ins 絶縁体
第1アンテナの上部金属面
第1アンテナの下部金属面
短絡面
短絡面
第2アンテナの上部金属面
第2アンテナの下部金属面
M アンテナ下方の金属面
P 放射電力(ExH)
V 電圧V=∫Edl

Claims (14)

  1. ストリップラインの放射において一素子の放射については約1/4波長片端矩約または両端短絡で他方開放部による放射を行い放射部はほぼ電圧最大部となるように設け、開放部同士の端部に平面となるスロット部にICを接続することを特徴とするアンテナとこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  2. ストリップライン放射において、素子放射については約1/4波長片端短絡として自由空間1/4波長に近い長さを取り、他方の接続部は同一平面ではあるが一方のグランド面に出来るだけ短い長さで短絡し平面の間で放射部を構成し、当該平面にICチップを接続し、側方放射をできるだけなくすようにしながら、且つ、リアクタンスが装荷されないように短い距離で短絡する構造のストリップライン放射器を特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  3. 放射部が2素子以上あるストリップラインアンテナにおいて、放射部の間隔を?内の位相が約1/2波長(λe/2)となるように構成し、ストリップライン平面と直角な方向でも同相な放射で行うように構成することを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  4. 放射部が3素子のストリップラインアンテナにおいて、主放射部を除く、両端開放の端部放射を行わせ場合、約内部線路波長が約1/2波長(λe/2)となり、1/2波長共振による両端開放インピーダンス共振の放射を行わせ、両端のチョークを取り除いて短くし両端ほぼ無限大の高インピーダンスによる共振形放射を行わせることを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  5. ストリップライン構成による線路において、線路の幅が狭い場合はスロット放射部の影響が強くなり過ぎ線路に多重反射が発生することを防止するため、1/4波長、1/2波長の独立した共振器線路を並べこれを適切な結合をする方がより安定するので、一部重ねるように上方または下方に線路をまたは交互に共振回路を重ねて連続して給電することを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  6. 給電方法としては、ブロードサイドアレイとして構成することを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  7. 位相を約1/4波長(Inphaie形)に配列し、平面であるにも拘らず、End fire形の配列として横方向に鋭い放射が行われるように構成することを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  8. ストリップラインを2層、3層、多層に重ねることにより、多周波の共振回路特性を持たせ、多周波対応を可能とすることを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  9. 多周波特性を利用して、アンテナの周囲環境が変わった場合でも、多周波ブロードバンド特性を持たせることにより、環境の変化に追従できるアンテナを構成するアンテナシステム。
  10. 無給電共振回路により、ブースター効果を持たせることを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  11. 円偏波を発生するアンテナ素子の下方に更に1/2波長または1/4波長の円環素子を設け、水平面内あるいは垂直面内に高指向性となる配列を組むことを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  12. 垂直偏波水平面内無指向性アンテナをInphase形およびIncreased directivityの位相となるよう次々に給電を行うことを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  13. 上面のインレイフィルムと下面の金属フィルムの間に絶縁体を挟み、サンドイッチ形に連続してICタグを製造することを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
  14. 直線偏波帯状ストリップラインアンテナを90°の角度で配列し、90°位相で励振することにより円偏波を発生させることを特徴とするアンテナ構造とこれを用いたICタグ、ブルートウス、ビーコンシステム。
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