JP2023170164A - ウエハ支持体 - Google Patents

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一政 森
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Abstract

【課題】プラズマに対する耐食性に優れた新たなウエハ支持体を提供する。【解決手段】ウエハ支持体28は、マシナブルセラミックスからなる基材14と、基材の表面を覆う中間層15と、中間層の表面を覆う保護層16と、基材に少なくとも一部が内包された導電部材18と、を備える。中間層15は、融点が800℃以上の金属材料または合金材料で構成されており、保護層16は、基材14よりもプラズマによる腐食が少ない材料で構成されている。【選択図】図5

Description

本願発明は、ウエハを支持する支持体に関する。
従来の静電チャック等に用いられるセラミックス材料は、窒化ケイ素や窒化アルミニウムといった加工が難しいファインセラミックスが多く、切削速度やチッピング(欠け)の観点から複雑な加工が困難であった。そこで、加工性に優れたマシナブルセラミックスを基材に用いたウエハ支持体が考案されている(特許文献1参照)。
特開2020-155571号公報
しかしながら、前述のウエハ支持体は、半導体製造プロセスにおける腐食性のガスやプラズマ雰囲気に曝されると、表面からパーティクルが発生しやすい。そのパーティクルがウエハに付着すると、その後の半導体製造プロセスにおける不良の原因となる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プラズマに対する耐食性に優れた新たなウエハ支持体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のウエハ支持体は、マシナブルセラミックスからなる基材と、基材の表面を覆う中間層と、中間層の表面を覆う保護層と、基材に少なくとも一部が内包された導電部材と、を備える。中間層は、融点が800℃以上の金属材料または合金材料で構成されており、保護層は、基材よりもプラズマによる腐食が少ない材料で構成されている。
マシナブルセラミックスは、一般的なファインセラミックスと比較して加工が容易である。そこで、この態様によると、基材を作製する段階で複雑な形状を実現しなくても、基材を作製してから加工ができるため、様々な形状のウエハ支持体の製造が可能となる。加えて、この態様によると、基材に対するプラズマによる腐食を保護層により低減できる。また、基材を構成する材料が剥離しやすい場合であっても、保護層により剥離を低減できる。また、融点が800℃以上の金属材料または合金材料で構成された中間層を基材と保護層との間に設けることで、基材と保護層との密着力を向上できる。
中間層は、チタン、クロム、ベリリウム、コバルト、ニッケル、タンタル、プラチナ、シリコン、銅、バナジウム、パラジウム、ニオブ、ゲルマニウム、ジルコニウム、銀、金、ハフニウム、イットリウムからなる群から選択された少なくとも一つ以上の元素を含む金属材料または合金材料であってもよい。
中間層は、厚みが0.1~10μmの範囲であってもよい。保護層は、厚みが1.0~30μmの範囲であってもよい。中間層と保護層との厚みの合計が2.0~31μmの範囲であってもよい。これにより、所望の吸着力とプラズマに対する耐食性とを両立できる。保護層の厚みは、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上であれば、プラズマに対してより良好な耐食性が得られる。また、保護層の厚みは、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下であれば、より十分な吸着力が得られる。また、中間層の厚みが薄すぎる場合、応力緩和作用が弱く所望の耐久性が得られない可能性がある。一方、中間層の厚みが厚すぎる場合、所望の吸着力が得られない可能性がある。
マシナブルセラミックスは、窒化ホウ素(BN)、酸化ジルコニウム(ZrO)、窒化ケイ素(Si)および炭化ケイ素(SiC)からなる群より選択された窒化ホウ素を必須とする少なくとも二つ以上の材料からなる焼結体であってもよい。窒化ホウ素は、被削性に優れており、窒化ホウ素を必須成分とするマシナブルセラミックスを用いることで加工レートを大きくできる。また、基材の内部に異種材料である導電部材が内包されたウエハ支持体の場合、基材と導電部材の物性の違いによっては温度変化に対して内部応力が生じる。または、ウエハ支持体の外周部と中心部の温度差によって熱応力が生じる。しかしながら、窒化ホウ素は、優れた耐熱衝撃性を有しているため、基材が割れにくくなる。
基材は、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素および炭化ケイ素のセラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、窒化ホウ素を15~55質量%含有し、酸化ジルコニウムを0~10質量%含有し、窒化ケイ素を25~65質量%含有し、炭化ケイ素を10~30質量%含有してもよい。セラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、更に焼結助剤成分を3~25質量%含有してもよい。
基材は、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素および炭化ケイ素のセラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、窒化ホウ素を15~55質量%含有し、酸化ジルコニウムを25~65質量%含有し、窒化ケイ素を0~10質量%含有し、炭化ケイ素を10~30質量%含有してもよい。セラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、更に焼結助剤成分を3~25質量%含有してもよい。
基材は、吸水率が0.2%以下であってもよい。これにより、吸水率が低く緻密な基材の上に中間層を作製した場合に、緻密な中間層が得られる。
保護層は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化イットリウム(Y)、酸化マグネシウム(MgO)、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG:YAl12)及びイットリウムアルミニウムモノクリニック(YAM:YAl)からなる群より選択された少なくとも一つ以上の材料で構成されていてもよい。これにより、基材に対するプラズマによる腐食を更に低減できる。
保護層は、算術平均高さSaが0.07~0.20μmの範囲であってもよい。これにより、支持するウエハと適切な接触が可能となる。
保護層は、99.0%以上のAlNを含んでもよい。これにより、AlN本来のプラズマに対する耐食性が得られる。
導電部材は、モリブデン、タングステン、タンタルおよびそれらを含む合金からなる群から選択される金属材料で構成されていてもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。また、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
本発明によれば、プラズマに対する耐食性に優れた新たなウエハ支持体を実現できる。
本実施の形態に係るウエハ支持体の概略断面図である。 参考例1に係るウエハ支持体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真を示す図である。 図3(a)は、窒化アルミニウムの基板表面のSEM写真を示す図、図3(b)は、マシナブルセラミックスの基板表面のSEM写真を示す図、図3(c)は、参考例1に係るウエハ支持体の保護層表面のSEM写真を示す図である。 図4(a)~図4(c)は、プラズマ暴露試験を説明するための模式図である。 実施例に係るウエハ支持体の要部を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
(ウエハ支持体)
ウエハ支持体は、シリコンウエハ等の半導体基板を支持できればよく、吸着機構や加熱機構を備えていてもよい。例えば、ウエハ支持体は、単にウエハを搭載するサセプタであってもよい。また、ウエハ支持体は、搭載されたウエハに対して吸着力を生じる静電チャックや、ウエハを加熱するヒータであってもよい。また、ウエハ支持体が支持する対象物は、主にウエハであるが、その他の部材や部品を支持するものであってもよい。
本実施の形態では、ウエハ支持体がヒータ付きの静電チャックである場合を一例に説明する。図1は、本実施の形態に係るウエハ支持体の概略断面図である。
本実施の形態に係るウエハ支持体10は、プラズマCVDといった半導体製造装置のチャンバ12内でウエハWを支持するために用いられる。ウエハ支持体10は、マシナブルセラミックスからなる基材14と、基材14の表面14aを覆う保護層16と、基材14に少なくとも一部が内包された導電部材18,20と、を有する。ウエハWは、搭載面16aである保護層16の表面に搭載される。
導電部材18は、搭載面16aにウエハWを固定するための吸着力を発生させる電流が流れる静電チャック電極として機能する。また、導電部材20は、ウエハWを所定のプロセス温度まで加熱するための抵抗加熱体(ヒータ)として機能する。なお、本実施の形態に係るウエハ支持体10において、導電部材18,20は、焼結体である基材14に埋設されている。そのため、導電部材18,20は、焼成の段階で原料粉末の内部に配置されている必要があり、焼成温度で溶けないような高融点金属であることが好ましい。例えば、導電部材の材料としては、モリブデン、タングステン、タンタル等の高融点金属や、それらを二種以上含む合金が好ましい。
また、ウエハ支持体10は、チャンバ側に露出する搭載面16aから基材14の内部を通過して外部のガス供給源(不図示)まで繋がっているガス導入口22が形成されていてもよい。ガス導入口22は、搭載面16aに吸着されたウエハWを裏面側から冷却するガスを供給するためのものである。
(マシナブルセラミックス)
本発明者は、ウエハ支持体に適した材料を見出すために鋭意検討した結果、加工性がよい(快削性を有する)いわゆるマシナブルセラミックスからなる焼結体が好ましいことを見出した。
マシナブルセラミックスは、一般的なファインセラミックス、例えば酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素等と比較して、機械加工が容易である。つまり、マシナブルセラミックスにおいては、セラミックスの加工で問題になるチッピングと呼ばれる欠けが発生しにくく、複雑な加工が可能となる。また、マシナブルセラミックスの加工時の研削量(加工レート)は、ファインセラミックスの加工時の研削量の数倍から数百倍であり、効率のよい加工が可能である。
マシナブルセラミックスはセラミックス成分となる複数の原料化合物が混合されている複合材であり、例えば、炭化ケイ素の配合割合によって、体積抵抗率を調整できる。その結果、クーロン型やジョンソン・ラーベック型といった静電チャックの吸着機構のどちらにも対応できる。また、ヒータの場合は炭化ケイ素を添加しないことで絶縁体として使用できる。なお、マシナブルセラミックスは全体が均一組成である必要はなく、ウエハWが搭載される搭載面16aに近い導電部材18を収容する部分、導電部材20を収容する部分のそれぞれで、各部分の機能が最適になるように組成を異ならせてもよい。
更に主成分の一つに窒化ホウ素が挙げられているが、一般的な酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素に比べ優れた耐熱衝撃性を有しており、製品であるウエハ支持体になった際、割れによる破損を防止することができる。
本実施の形態に係るマシナブルセラミックスは、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素および炭化ケイ素からなる群より選択された窒化ホウ素を必須とする少なくとも二つ以上の材料からなる焼結体である。窒化ホウ素は、被削性にも優れており、窒化ホウ素を必須成分とするマシナブルセラミックスを用いることで加工レートを大きくできる。また、基材の内部に異種材料である導電部材が内包されたウエハ支持体の場合、基材と導電部材の物性の違いによっては温度変化に対して内部応力が生じる。または、ウエハ支持体の外周部と中心部の温度差によって熱応力が生じる。しかしながら、窒化ホウ素は、優れた耐熱衝撃性を有しているため、基材が割れにくくなる。
本実施の形態に係るマシナブルセラミックスは、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素および炭化ケイ素のセラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、窒化ホウ素を10~80質量%含有し、窒化ケイ素を0~80質量%含有し、酸化ジルコニウムを0~80質量%含有し、炭化ケイ素を0~40質量%含有しているとよい。
また、本実施の形態に係るマシナブルセラミックスは、焼結助剤成分を含有している。焼結助剤は、窒化ケイ素や窒化ホウ素の焼結に使用されているものから選択することができる。好ましい焼結助剤は酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化イットリウム(イットリア)、およびランタノイド金属の酸化物から得られた1種若しくは2種以上である。より好ましくはアルミナとイットリアの混合物、若しくはこれに更にマグネシアを添加した混合物、若しくはイットリアとマグネシアの混合物等である。
焼結助剤成分の配合量は、セラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、外掛けで1~25質量%、特に3~25質量%の範囲とすることが望ましい。焼結助剤成分の配合量が1質量%以上、好ましくは3質量%以上であれば、緻密化しやすくなり、焼結体の密度不足や機械的特性の低下を抑制できる。一方、焼結助剤成分の配合量が25質量%以下であれば、強度の低い粒界相が低減されることで、機械的強度の低下や粒界相の増加による加工性の低下が抑制できる。
なお、窒化ホウ素は、被削性に優れるものの強度特性が悪い。したがって、焼結体中に粗大な窒化ホウ素が存在すると、それが破壊起点となって、加工時のカケ、割れ発生要因となる。このような粗大な窒化ホウ素粒子を形成しないためには、原料粉末を微粉にすることが有効である。主原料粉末、特に窒化ホウ素の原料粉末は平均粒径2μm未満のものを使用することが望ましい。窒化ホウ素は、六方晶系(h-BN)低圧相のものや立方晶系(c-BN)高圧相のものなどが存在するが、快削性の観点では六方晶系の窒化ホウ素が好ましい。また、加工性の観点では、窒化ホウ素が多いほど、また、窒化ケイ素(および酸化ジルコニウム)が少ないほど好ましい。また、機械的強度やヤング率は、窒化ホウ素が多いほど、また、窒化ケイ素(および酸化ジルコニウム)が少ないほど低くなる。
マシナブルセラミックスとしては、例えば、BN含有窒化ケイ素系セラミックス(「ホトベールII」、「ホトベールII-k70」:株式会社フェローテックマテリアルテクノロジーズ製)が挙げられる。なお、ホトベールII-k70の組成は、窒化ホウ素が38.5質量%、窒化ケイ素が54.1質量%、イットリアが5.5質量%、マグネシア1.9質量%である。このBN含有窒化ケイ素系セラミックスは、曲げ強度が600MPa以下、ヤング率が250GPa以下、ビッカース硬度が5GPa以下である。このような特性を有するマシナブルセラミックスは、加工時の単位時間当たりの研削量(加工レート)が大きく、複雑な形状のウエハ支持体であっても効率良く生産できる。また、基材を単純な形状のブロックとして作製してから、所望の形状に切削加工することで、一部品で複雑なウエハ支持体を製造できる。
(焼結体の製造方法)
まず、後述する各参考例や各参考比較例の配合量に応じて、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素および炭化ケイ素等のセラミックス成分となる主原料粉末と、セラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、3~25質量%の焼結助剤粉末と、を混合して原料粉末を調製する。この混合は、例えば、湿式ボールミル等により行うことができる。
次に、原料粉末または成型体あるいはその両方を高温加圧下で成形し、焼成することで焼結体が作製される。なお、原料粉末または成型体の一部を焼結体に置き換えてもよい。また、ヒータのための抵抗加熱体や静電チャックの電極を焼結体の内部に設けるためには、ホットプレス装置に原料粉末、成型体または焼結体を充填する際に、焼成後に導電体となる部材や材料(例えば、金属板、金属箔、導電ペースト、コイル、メッシュ等)を所定位置に配置(埋設)すればよい。なお、導電体の形状は特に限定されない。この焼成は、例えば、ホットプレス装置を用いて行うことができる。ホットプレスは、非酸化性(不活性)雰囲気である例えば窒素やアルゴン雰囲気中で行うが、加圧窒素中で行ってもよい。ホットプレス温度は例えば、1300~1950℃の範囲である。温度が低すぎると焼結が不十分となり、高すぎると主原料の熱分解が起こるようになる。加圧力は20~50MPaの範囲内が適当である。ホットプレスの持続時間は温度や寸法にもよるが、通常は1~4時間程度である。高温加圧焼結は、HIP(ホットアイソスタティクプレス)により行うこともできる。この場合の焼結条件も、当業者であれば適宜設定できる。
その後、焼結体を所望の形状に加工し、ウエハ支持体が製造される。本実施の形態に係るマシナブルセラミックスは、高強度で高マシナブル性(快削性)を有するので、複雑な微細加工が工業的に現実的な時間で可能である。また、焼結体を製造する際の諸条件は、後述するプラズマによる耐食性を考慮して、マシナブルセラミックスの平均結晶粒径が0.5μm以下になるように選択されているとよい。これにより、仮に多結晶の一部がプラズマ雰囲気における腐食でパーティクルとして剥離された場合であっても、パーティクル自体が小さいことで半導体製造プロセスでの不良を低減できる。なお、マシナブルセラミックスの平均結晶粒径は、0.1μm以下がより好ましい。
上述のように、本実施の形態に係る基材14に用いられるマシナブルセラミックスは、一般的なファインセラミックスと比較して加工が容易である。そこで、この態様によると、基材14を作製する段階で複雑な形状を実現しなくても、基材を作製してから加工ができるため、様々な形状のウエハ支持体の製造が可能となる。
一方、ウエハ支持体10は、用途によっては半導体製造プロセスにおいて腐食性のガスやプラズマ雰囲気に曝される。腐食性のプラズマとしては、CF、C、SF、NF、CHF等のフッ素系ガスが例示され、加えて、Ar、O、CO等のガスが混合されることがある。ケイ素成分はフッ素系のプラズマと反応性が高いため、ケイ素を含む基材はこれらのプラズマに対し耐性が低い。また、窒化ホウ素は、Oプラズマと反応性が高い。
前述のように、本実施の形態に係るマシナブルセラミックスは、主成分に窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素が含まれることがあり、本願発明者は、ケイ素や窒化ホウ素を含むマシナブルセラミックスが腐食性のプラズマ雰囲気において耐食性が低くなる可能性に想到した。そして、プラズマに対するウエハ支持体の耐食性を向上するために、本実施の形態に係るウエハ支持体10の基材14の表面に保護層16を設けた。
(保護層)
本実施の形態に係る保護層16は、基材14よりもプラズマによる腐食が少ない材料で構成されている。これにより、基材14に対するプラズマによる腐食を保護層16により低減できる。また、基材14を構成する材料が剥離しやすい場合であっても、保護層16により剥離を低減できる。本実施の形態に係る保護層16は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG:YAl12)及びイットリウムアルミニウムモノクリニック(YAM:YAl)からなる群より選択された少なくとも一つ以上の材料で構成されている。特に窒化アルミニウムは耐熱衝撃性に優れているため、静電チャックに高い熱衝撃が加わるプロセスにおいて好適な材料である。
図1に示すように、保護層16の表面である搭載面16aと導電部材18との間の厚みが誘電体層の厚みtとなる。そのため、保護層16の膜厚が厚すぎると、誘電体層の厚みtが大きくなり、十分な吸着力が得られなくなる。また、厚みtが大きすぎると、高い熱衝撃が加えられた際に保護層16にクラックが発生しやすくなる。一方、保護層16の厚みtが小さすぎると、プラズマに対して十分な耐食性が得られなくなる。そこで、本実施の形態に係る保護層16は、厚みが1~30μmの範囲である。これにより、所望の吸着力とプラズマに対する耐食性とを両立できる。保護層16の厚みは、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上であれば、プラズマに対してより良好な耐食性が得られる。また、保護層16の厚みは、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下であれば、より十分な吸着力が得られる。
(保護層の成膜方法)
保護層の成膜は、例えば、CVD、PVD(スパッタリングやイオンプレーティング)、エアロゾルデポジションといった方法で行われる。これらの方法は、膜厚制御に優れているため、前述の保護層の厚みのように1~30μmの範囲で精度の高い成膜が可能である。
スパッタリングは、基板とターゲット(膜となる材質)を対向させ、10-1~数Pa程度のArガス雰囲気中で、ターゲットに負の高電圧を印加して放電させ、Arイオンをターゲットに衝突させる。Arイオンが衝突すると、スパッタリング現象でターゲットから原子が飛び出てくる。飛び出た原子が基材に堆積することで保護層が形成される。
本実施の形態に係る保護層16の形成には、反応性スパッタリング法が好適である。酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの化合物をターゲットに用いると、スパッタ率が顕著に低下するため、コーティング速度が極めて小さくなることや、元素ごとにスパッタ率が異なるためにターゲットの組成からズレた膜が形成されることが知られている。そのため、本実施の形態に係る保護層の構成材料が窒化アルミニウムの場合、単一金属のアルミニウムのターゲットを用いて、反応性ガスであるNと反応させる反応性スパッタリング法が適している。
保護層の他の成膜方法であるイオンプレーティングは、基板と蒸発源(膜となる材質)を対向させ、10-2~10-4Pa程度の真空中で蒸発源から膜の原料を溶解・蒸発させて基板に堆積させる方法である。蒸発させる材料の種類や反応ガスの導入で様々な材質の膜を作製できる。真空蒸着を基盤としたコーティング技術の中で、イオンを用いた方法全般をイオンプレーティングと呼ぶ。具体的には、高周波イオンプレーティング、反応性イオンプレーティング、イオンアシスト蒸着など多様な手法があるが、いずれも採用できる。本実施の形態に係る保護層の構成材料が酸化イットリウムの場合、蒸着源に金属イットリウムを使用し、反応ガスにOを導入してプラズマ雰囲気中で成膜できる。また、イオンアシスト蒸着の場合、蒸着源に酸化イットリウムを使用し、アシストイオンにOイオンを使用することで、構成材料が酸化イットリウムの保護層を成膜できる。なお、構成材料が酸化マグネシウムや酸化アルミニウムの保護層である場合も、高周波イオンプレーティング、反応性イオンプレーティング、イオンアシスト蒸着によって成膜できる。
前述のスパッタリングやイオンプレーティングなどの、イオンを用いた成膜方法の場合、成膜前にArイオンで表面をクリーニング(イオンの衝撃で表面付着物や酸化膜を除去)できるため、密着力の高い膜を得ることができる。NイオンやHイオンは特に有機物のクリーニング(一般的にイオンボンバードメントと呼ばれる工程)に有効である。ボンバードメント工程により、基材であるマシナブルセラミックス表面の極微細なパーティクル(超音波洗浄などでは除去しきれないもの)を除去できるので、保護膜を備える基材は、保護膜のない基材より初期のパーティクル発生を低減できる。これらの手法は、粉を焼き固めて作るバルクセラミックスと比べ、窒化アルミニウムの純度も高くできるので、ウエハ汚染の懸念も下がり、不良低減に寄与する。
また、マシナブルセラミックスからなる基材を用いた静電チャックは、基材の表面粗さが所定の範囲(例えば、算術平均粗さRaが0.02μm≦Ra≦0.2μmの範囲)であれば、ウエハと点接触するため、デチャック時にウエハとのこすれが少ない。一方で窒化ホウ素のへき開性のため、物理的な力で粒子の剥離(クラック)が生じやすいので、そのままではパーティクルが発生しやすい。しかしながら、前述の窒化アルミニウムなどの保護層16を基材14表面にコートすることで、粒子の剥離が低減され、パーティクルの発生を低減できる。加えて、本実施の形態に係る成膜方法で作製された保護層16は、基材14の表面粗さに追従し、算術平均粗さRaが0.02μm≦Ra≦0.2μmの範囲の表面を有する。つまり、プラズマに対する耐食性のある保護層16を備えながら、保護層16自体がウエハと点接触できるため、本実施の形態に係るウエハ支持体10は、パーティクル低減に極めて優れている。
また、各層が硬質材料(ヤング率が高い材料の組合せ)で構成された多層部材の場合、いずれの層も変形しにくいため、熱応力などでクラックが発生しやすい。しかしながら、本実施の形態に係るウエハ支持体10のように、主たる成分として窒化ホウ素を含む基材14を用いることで応力を吸収(緩和)できる。また、本実施の形態に係るマシナブルセラミックスは複合材料であるため、基材14の熱膨張率を保護層16の熱膨張率に合わせることが可能である。その結果、各層の熱膨張率の相違による熱応力を小さくでき、クラックの発生、すなわちパーティクルの発生が抑制される。
[参考例]
次に、各参考例や各参考比較例に係るウエハ支持体の特性について説明する。各参考例および各参考比較例におけるセラミックス成分および焼結助剤成分の含有量は表1に示すとおりである。膜厚は走査型電子顕微鏡により撮影した断面写真から計測した。図2は、参考例1に係るウエハ支持体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真を示す図である。図2に示す保護層16は、反応性スパッタリング法により成膜された厚さ5μmの窒化アルミニウム膜である。図2に示すように、参考例1に係る保護層16は、ボイドがなく緻密な膜である。
Figure 2023170164000002
参考例1~6、参考比較例1~3に係るウエハ支持体の試料表面特性とプラズマ暴露試験の結果を表2に示す。
Figure 2023170164000003
(試料表面特性)
図3(a)は、窒化アルミニウムの基板表面のSEM写真を示す図、図3(b)は、マシナブルセラミックスの基板表面のSEM写真を示す図、図3(c)は、参考例1に係るウエハ支持体の保護層表面のSEM写真を示す図である。試料表面の状態として、JIS B 0601で規定された算術平均粗さRaを測定した。また、他の試料表面の状態として、ISO 25178で規定された算術平均高さSaを、株式会社キーエンス製共焦点顕微鏡VK-X1050で測定した。なお、参考例1~6については保護層の表面を、参考比較例1~3については焼結体である基材の表面を測定した。
図3(a)に示す窒化アルミニウムの基材表面のRaは0.05μm、Saは0.061μmである。これに対して、図3(b)に示す窒化ホウ素を含むマシナブルセラミックスの基材表面のRaは0.05μm、Saは0.116μmであり、図3(c)に示す参考例1に係るウエハ支持体の保護層表面のRaは0.08μm、Saは0.082μmである。つまり、少なくともマシナブルセラミックスが基材の場合は、窒化アルミニウムが基材の場合と比較して、保護層の有無にかかわらず算術平均高さSaが大きく、ウエハとの接触面積が小さくなっている。その結果、前述のように、ウエハ支持体から発生するパーティクルを低減できる。本実施の形態に係る保護層は、算術平均高さSaが0.07~0.20μmの範囲であるとよい。これにより、支持するウエハと適切な接触が可能となる。
(プラズマ暴露試験)
図4(a)~図4(c)は、プラズマ暴露試験を説明するための模式図である。試験に用いたプラズマ発生装置は、サムコ株式会社製のRIE-10Nである。プラズマ出力は100W、ガス種はCFを40sccm、Oを10sccm混合したものである。圧力は40Pa、処理時間は240分(30分×8回)である。図4(a)に示すように、ウエハ支持体を模した試験対象の試料24の一部にカプトンテープ等のマスク26を貼り付け、図4(b)に示すようにプラズマ処理をする。所定の処理時間後にマスク26を除去し、マスク26が覆われていなかった場所と、マスク26で覆われていた場所との段差dを腐食量として測定した(図4(c)参照)。
表2に示すように、参考例1~6に係るウエハ支持体は、段差dが0μmであり腐食が確認されなかった。一方、保護膜のない参考比較例1~3に係るウエハ支持体は、いずれも段差dが4μm以上生じていた。また、参考例1~6に係るウエハ支持体は、参考比較例1~3に係るウエハ支持体と比較して、いずれもプラズマ暴露試験後の表面粗さを示す算術平均高さSaの値の増加量が小さい。つまり、腐食量(段差)が小さく、表面粗さ(算術平均高さ)が小さいほどプラズマ耐性が高いため、本実施の形態に係るウエハ支持体における保護層の有用性が明らかとなった。
(ビッカース硬度)
プラズマに対する耐食性には、前述の化学反応によるエッチング以外に物理的なエッチングが影響を与える可能性がある。例えば、フッ素系(CF)のガスを用いたプラズマと反応しても昇華しにくい物質(例えばアルミニウムやイットリウム)を含む材料を保護層とすることで、化学的反応による耐食性は向上する。加えて、物理的な衝撃にも強い高硬度な保護層であれば、プラズマに対する更に高い耐食性が期待される。
そこで、本願発明者らは、保護層の膜硬度に着目した。膜硬度は、ナノインデンテーション法でナノインデンテーション硬さH_ITを測定し、ビッカース硬度(GPa)に換算した。例えば、参考例1,3,4に係るウエハ支持体は、ビッカース硬度が10GPa以上であり、プラズマ暴露試験による腐食量の結果と合わせて、プラズマに対する更に高い耐食性が期待される。一方、参考比較例2に係るウエハ支持体のように、ビッカース硬度が小さい場合、梱包や装置への組み付け時に傷が入り、パーティクルの要因となり得る。
(保護層を構成する材料の純度)
ジョンソン・ラーベック(J-R)型の静電チャックでは、ウエハ支持体におけるセラミックスの体積抵抗率を10Ωcm程度に制御する必要がある。成膜用(PVD、CVD)の静電チャックは、使用温度域が~500℃と高いが、一般的な絶縁性セラミックスは、温度が上がると抵抗率が下がってくる。そのため、使用温度域毎に抵抗率を変えたセラミックスを使用する。
抵抗率を変えるためには添加物を入れることが多く、例えば、炭化ケイ素、カーボン(C)、酸化チタン(TiO)などを数%~十数%程度窒化アルミニウムに混ぜることが行われている。しかしながら、これら添加物によって、プラズマに対する耐食性が弱くなったり、不均一にエッチング(腐食)されたりすることでパーティクルが発生する場合がある。
そこで、本実施の形態に係るウエハ支持体は、基材で体積抵抗率を制御しつつ、その表面を覆う保護層の材料を高純度にすることで、保護層における添加物の影響を低減している。例えば、参考例1や参考例3に係るウエハ支持体のように、高純度の窒化アルミニウムを保護層として備えていてもよい。保護層は、99.0%以上、より好ましくは99.5%以上の窒化アルミニウムを含んでいるとよい。これにより、窒化アルミニウム本来のプラズマに対する耐食性が得られる。なお、高純度の窒化アルミニウムをスパッタリングで作製する場合、高純度のアルミニウム金属と高純度のNガスを用いて、かつ不純物コンタミの少ない真空雰囲気で成膜することで実現できる。
(保護層の厚み)
成膜用の静電チャック、特にCVD用のヒータ入り静電チャックでは、処理温度(ヒータ温度)が~500℃と高い。このような高温の静電チャックに、例えば室温(25℃)のウエハを搬送してくると、Δ475℃の熱衝撃がかかる。これに対して、窒化アルミニウムセラミックスの耐熱衝撃はΔ400℃程度であるため、窒化アルミニウムが主成分の基材のみからなる静電チャックの場合、セラミックスの破損が懸念される。
これに対して、本実施の形態に係るウエハ支持体のように、マシナブルセラミックスからなる基材を備える場合、耐熱衝撃性に優れている。加えて、基材表面を覆う保護層が窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、YAGのような耐熱衝撃性がマシナブルセラミックスほど高くない材料で構成されていたとしても、1~30μm程度の薄膜であれば、耐熱衝撃性を損なうことがない。また、基材がマシナブルセラミックス製の静電チャックでは熱伝導率の異方性が得られるが、保護層が薄膜であれば基材で得られる異方性を損なうことがない。
[実施例]
上述のように、参考例に係るウエハ支持体は、少なくとも窒化ホウ素を含有するマシナブルセラミックスからなる基材と、基材の表面を覆う保護層と、基材に少なくとも一部が内包された導電部材と、を備える。保護層は、基材よりもプラズマによる腐食が少ない材料で構成されている。これにより、プラズマに対する耐食性に優れた新たなウエハ支持体を実現できた。
ウエハ支持体をヒータ付きの静電チャックとして使用する場合、ヒータの温度分布は、デバイスの品質や歩留りに直結するため、極力小さい方が好ましい。窒化ホウ素はマシナブルセラミックスの中で熱伝導率が高く、快削性も良好なため、窒化ホウ素を含有する基材はヒータの温度分布の観点から好ましい。一方、窒化ホウ素はマシナブルセラミックスの中で熱膨張率が非常に小さく、基材が含有する窒化ホウ素の割合が多くなると基材全体の熱膨張率が小さくなる。そのため、参考例に係るウエハ支持体の保護層を構成する材料の熱膨張率が基材より大きい場合、保護層と基材との熱膨張率差が大きいほど、昇温降温時に発生する応力が大きくなり、長期間の使用によって保護層にクラックが発生したり保護層が基材から剥離したりする一因となり得る。
そこで、本発明者は、基材と保護層との密着性を向上する方法の一つとして、融点が800℃以上の金属材料または合金材料で構成されている中間層で基材と保護層とを密着させることに想到した。以下の実施例では、参考例と重複する構成は同じ符号や名称を付して説明を適宜省略する。図5は、実施例に係るウエハ支持体の要部を示す模式図である。実施例に係るウエハ支持体28は、マシナブルセラミックスとして少なくとも窒化ホウ素を含有する基材14と、基材の表面を覆う中間層15と、中間層15の表面を覆う保護層16と、基材14に少なくとも一部が内包された導電部材18と、を備える。
各実施例および各比較例におけるセラミックス成分および焼結助剤成分の含有量は表3に示すとおりである。
Figure 2023170164000004
表3に示すように、比較例1~6は、中間層がない場合であり、実施例1~6は、比較例1~6と同じ組成の基材の上に中間層が配置されている場合である。また、各実施例や各比較例に係るウエハ支持体の製造方法は参考例とほぼ同じであるが、基材と保護層の間に中間層を設ける点で多少異なる。
具体的には、基材は、表3に示す組成の粉体をホットプレスの型に詰めて一軸加圧した後、成形体をホットプレス焼成することで得られる。その後、基材の上に薄膜コーティングして中間層を作製する。具体的には、緻密な被膜が得られる手法として、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、メッキなどが挙げられる。なお、メッキなどの表面粗さが比較的大きくなる成膜手法の場合、成膜後に表面を研磨して表面粗さを小さくしてもよい。これにより、中間層15の上に設けられる保護層16の表面粗さRaをある程度の大きさに抑えられる。
本実施の形態に係るウエハ支持体28では、実施例1~6に例示されるように、金属材料または合金材料で構成された中間層15が基材14と保護層16との間に設けられている。塑性変形しやすい金属を含む中間層15を設けることで、熱応力が加わった際に中間層15が変形して応力が緩和されるため、保護層16の剥離が抑制される。
また、ウエハ支持体は800℃までの範囲で昇温して使用されることが多いため、中間層に含まれる金属の融点が高い方がよい。融点が低いと使用中に中間層15が溶解してしまい、保護層16が基材14から剥離してしまう。さらにはウエハ支持体が設けられている装置内に金属が流出し、装置やウエハを汚染する可能性もある。そこで、本実施の形態に係る中間層15は、融点が800℃以上の金属材料や合金材料が好ましい。中間層15は、好ましくは900℃以上の融点を持つ金属を含んでいるとよい。
本実施の形態に係る中間層15は、チタン、クロム、ベリリウム、コバルト、ニッケル、タンタル、プラチナ、シリコン、銅、バナジウム、パラジウム、ニオブ、ゲルマニウム、ジルコニウム、銀、金、ハフニウム、イットリウムからなる群から選択された少なくとも一つ以上の元素を含む金属材料または合金材料であるとよい。好ましくは、チタン、クロム、チタンやクロムを含む合金がよい。チタンやクロムは幅広い材料と親和性が高く、高い密着力が得られやすい。
実施例1~6及び比較例1~6に示すウエハ支持体において、保護膜の密着力をスクラッチ試験(ISO20502)に従って測定した。具体的には、基材14が露出した地点の荷重(N)を読み取った。読み取った値を、基準となる比較例の値で割り、その比率を%で算出した。表3に示すように、各実施例に係るウエハ支持体の密着力は、基準となる各比較例に係るウエハ支持体の密着力の120~210%であり、中間層を設けることで密着性が向上することがわかる。
中間層15の厚みは0.1~10μmの範囲、好ましくは0.2~8μmの範囲、より好ましくは、1.0~5μmの範囲であるとよい。中間層の厚みが薄すぎる場合、応力緩和作用が弱く所望の耐久性が得られない可能性がある。一方、中間層の厚みが厚すぎる場合、中間層の表面粗さが大きくなるだけでなく、その上にある保護層16の表面粗さも大きくなりがちであり、表面粗さを所望の範囲にすることが難しくなる。また、中間層の厚みが厚すぎる場合、ウエハ支持体において所望の吸着力が得られない可能性がある。保護層16の好適な厚みは参考例と同様である。また、中間層と保護層との厚みの合計が2.0~31μmの範囲、好ましくは、5~20μmの範囲、より好ましくは6~13μmの範囲であるとよい。
このように、中間層15に含まれる金属は、保護層16との密着力を向上させるとともに、ウエハとの接触時などで荷重が加わった際に、塑性変形して応力を緩和させることもできる。その結果、ウエハ支持体の耐久性が向上する。したがって、中間層15は、保護層16や基材14よりもヤング率が低い方が好ましい。マシナブルセラミックス基材はヤング率が150~300GPaであるため、中間層15のヤング率は300GPa以下が好ましく、より好ましくは250GPa以下である。
また、中間層15の金属は、保護層16や基材14と、熱膨張率の値が近い方がよい。熱膨張率差が大きいと、熱サイクル時に熱応力が加わり耐久性が低下する。基材14の熱膨張率は2~10ppm程度、保護層16の熱膨張率は4~10ppm程度なので、中間層15の熱膨張率は12ppm以下が好ましい。
なお、マシナブルセラミックスからなる基材は、多種の原料を混ぜた複合材料であるため、単一系の材料と比べて表面外観が不均一になりやすい。保護層16が薄くかつ透明である場合、下地の基材が透けて見えることから、外観の不均一性が顕在化しやすく、このような外観は美観の観点から改善の余地がある。しかしながら、均一な外観である中間層を設けることで、ウエハ支持体として均一な表面外観となり、商品価値を向上できる。
本実施の形態に係るウエハ支持体では、実施例1~3に例示されるように、基材14は、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素および炭化ケイ素のセラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、窒化ホウ素を15~55質量%含有し、酸化ジルコニウムを0~10質量%含有し、窒化ケイ素を25~65質量%含有し、炭化ケイ素を10~30質量%含有しているとよい。また、セラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、更に焼結助剤成分を3~25質量%含有しているとよい。
また、実施例4~6に例示されるように、基材14は、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素および炭化ケイ素のセラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、窒化ホウ素を15~55質量%含有し、酸化ジルコニウムを25~65質量%含有し、窒化ケイ素を0~10質量%含有し、炭化ケイ素を10~30質量%含有しているとよい。また、セラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、更に焼結助剤成分を3~25質量%含有しているとよい。
また、各実施例に係る基材14は、吸水率が0.2%以下である。これにより、吸水率が低く緻密な基材14の上に中間層15を作製した場合に、緻密な中間層15が得られる。なお、吸水率は、JIS C 2141に従って測定した。また、中間層15は1層より多くてもよい。
窒化ホウ素の粒子が大きいと、強度特性が低く、クラックの起点になり得るため、基材14に含まれる窒化ホウ素の粒子径は平均で2.0μm以下が好ましい。
以上、本発明を上述の実施の形態や実施例を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや工程の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
10 ウエハ支持体、 12 チャンバ、 14 基材、 15 中間層、 16 保護層、 16a 搭載面、 18 導電部材、 20 導電部材、 22 ガス導入口、 24 試料、 26 マスク、 28 ウエハ支持体、 W ウエハ。

Claims (11)

  1. マシナブルセラミックスからなる基材と、前記基材の表面を覆う中間層と、前記中間層の表面を覆う保護層と、前記基材に少なくとも一部が内包された導電部材と、を備え、
    前記中間層は、融点が800℃以上の金属材料または合金材料で構成されており、
    前記保護層は、前記基材よりもプラズマによる腐食が少ない材料で構成されていることを特徴とするウエハ支持体。
  2. 前記中間層は、チタン、クロム、ベリリウム、コバルト、ニッケル、タンタル、プラチナ、シリコン、銅、バナジウム、パラジウム、ニオブ、ゲルマニウム、ジルコニウム、銀、金、ハフニウム、イットリウムからなる群から選択された少なくとも一つ以上の元素を含む金属材料または合金材料であることを特徴とする請求項1に記載のウエハ支持体。
  3. 前記中間層は、厚みが0.1~10μmの範囲であり、
    前記保護層は、厚みが1.0~30μmの範囲であり、
    前記中間層と前記保護層との厚みの合計が2.0~31μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のウエハ支持体。
  4. 前記マシナブルセラミックスは、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素および炭化ケイ素からなる群より選択された窒化ホウ素を必須とする少なくとも二つ以上の材料からなる焼結体であることを特徴とする請求項1に記載のウエハ支持体。
  5. 前記基材は、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素および炭化ケイ素のセラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、窒化ホウ素を15~55質量%含有し、酸化ジルコニウムを0~10質量%含有し、窒化ケイ素を25~65質量%含有し、炭化ケイ素を10~30質量%含有し、
    前記セラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、更に焼結助剤成分を3~25質量%含有することを特徴とする請求項4に記載のウエハ支持体。
  6. 前記基材は、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素および炭化ケイ素のセラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、窒化ホウ素を15~55質量%含有し、酸化ジルコニウムを25~65質量%含有し、窒化ケイ素を0~10質量%含有し、炭化ケイ素を10~30質量%含有し、
    前記セラミックス成分の合計を100質量%とした場合に、更に焼結助剤成分を3~25質量%含有することを特徴とする請求項4に記載のウエハ支持体。
  7. 前記基材は、吸水率が0.2%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のウエハ支持体。
  8. 前記保護層は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG:YAl12)及びイットリウムアルミニウムモノクリニック(YAM:Yl2)からなる群より選択された少なくとも一つ以上の材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のウエハ支持体。
  9. 前記保護層は、算術平均高さSaが0.07~0.20μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のウエハ支持体。
  10. 前記保護層は、99.0%以上の窒化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のウエハ支持体。
  11. 前記導電部材は、モリブデン、タングステン、タンタルおよびそれらを含む合金からなる群から選択される金属材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のウエハ支持体。
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