JP2023169748A - 円すいころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】油量不足に起因する破損を抑制する機能を備えた保持器を有する円すいころ軸受を提供する。【解決手段】円すいころ軸受1は、内輪2と、外輪3と、内輪軌道21及び外輪軌道31に転がり接触する複数の円すいころ4と、円すいころ4を収容するポケット9を複数有する環状の保持器5と、を備え、複数のポケット9は、収容する円すいころ4の小径側端面41に対向する小径側側面6aと、大径側端面42に対向する大径側側面7aと、大径側側面7aに形成された溝部10と、を有し、溝部10が、V字状溝11を複数含むと共に、V字状溝11の頂部11cを大径側側面7aの周方向に向けつつ、大径側側面7aの周方向に複数のV字状溝11を並べて配置したヘリングボーン溝10である。【選択図】図4

Description

本開示は、円すいころ軸受に関する。
特許文献1に円すいころ軸受が開示されている。円すいころ軸受は、内輪と、外輪と、複数の円すいころと、環状の保持器とを備える。保持器は、円すいころを収容するポケットを複数有し、複数の円すいころを周方向に間隔をあけて保持する。保持器は、隣り合う円すいころ同士の接触を防止するセパレータとしての役割を有する。
円すいころ軸受では、樹脂製の保持器を採用する事例が多くなっている。樹脂製の保持器は、従来の金属製の保持器に比べて、形状等の設計自由度が高い。このため、近年では、円すいころのセパレータとしての役割以外の機能を保持器に付与することが検討されている。
特開2013-221592号公報
円すいころ軸受では、稼働直後の円すいころが油量不足に起因して焼き付く場合がある。円すいころ軸受では、このような油量不足に起因する破損を防止することが望まれる。
そこで、本開示は、油量不足に起因する破損を抑制する機能を備えた保持器を有する円すいころ軸受を提供することを目的とする。
本開示の円すいころ軸受は、外周側に、内輪軌道、当該内輪軌道の軸方向一方側に設けられている小鍔部、及び、当該内輪軌道の軸方向他方側に設けられている大鍔部を有する内輪と、内周側に外輪軌道を有する外輪と、前記内輪軌道及び前記外輪軌道に転がり接触する複数の円すいころと、前記円すいころを収容するポケットを複数有する環状の保持器と、を備え、複数の前記ポケットそれぞれは、収容する前記円すいころの小径側端面に対向する小径側側面と、収容する前記円すいころの大径側端面に対向する大径側側面と、前記大径側側面に形成された溝部と、を有し、前記溝部が、前記大径側側面に直交する方向から見てV字状の形態を有するV字状溝を複数含むと共に、前記V字状溝の頂部を前記大径側側面の周方向に向けつつ、前記大径側側面の周方向に複数の前記V字状溝を並べて配置したヘリングボーン溝である。
前記円すいころ軸受によれば、ヘリングボーン溝として構成された溝部によって、保持器の大径側側面に潤滑油を貯留することができ、円すいころ軸受の非稼働時に、大径側側面に潤滑油を保持することが可能となる。この場合、円すいころ軸受の稼働直後に、大径側側面に保持されていた潤滑油を円すいころ及び内輪に供給することが可能となり、油量不足に起因する円すいころの破損を抑制することができる。
また、本開示の円すいころ軸受は、前記へリングボーン溝が、前記頂部が前記大径側側面の周方向の第1の方向を向くと共に、前記大径側側面の径方向の外側に配置される第1の前記V字状溝と、前記頂部が前記大径側側面の周方向の第2の方向を向くと共に、前記大径側側面の径方向の内側に配置される第2の前記V字状溝と、を含むと好ましい。
この構成によれば、円すいころの回転方向に関わらず、溝部から円すいころに潤滑油を供給することが可能となる。
また、本開示の円すいころ軸受は、前記ヘリングボーン溝が、前記大径側側面の径方向外側に位置する第1の前記V字状溝と、前記大径側側面の径方向内側に位置する第2の前記V字状溝とを含み、前記大径側側面の径方向において、前記第1のV字状溝の形成領域の幅が前記第2のV字状溝の形成領域の幅に比べて小さいと好ましい。
この構成によれば、円すいころの回転方向が第1の方向である場合に発生する動圧、及び回転方向が第2の方向である場合に発生する動圧を、同程度とすることが可能となる。
また、本開示の円すいころ軸受において、前記保持器は、軸方向一方側に設けられる小径環状体と、軸方向他方側に設けられる大径環状体と、前記小径環状体と前記大径環状体とを繋ぐ複数の柱と、を有し、前記柱の径方向外側に凹み部が設けられていると好ましい。
この構成によれば、円すいころ軸受の非稼働時において、油溜まりでない位置に配置された凹み部によって、潤滑油を貯めることが可能となる。また、凹み部を有する保持器によれば、柱から大径側端面へ向かって潤滑油を流れやすくすることができる。
本開示によれば、円すいころ軸受の保持器によって、当該円すいころ軸受の油量不足に起因する破損を抑制することが可能となる。
本開示の円すいころ軸受を示す概略的な断面図である。 保持器を示す斜視図である。 中心軸を含む位置における保持器の部分断面図である。 ポケット及び溝部の周囲を示す部分断面図である。 第1の実施形態に係る溝部を示す部分模式図である。 第1の実施形態に係る溝部における潤滑油の流れを示す模式図である。 円すいころの大径側端面と溝部との位置関係を示す部分断面図である。 円すいころの大径側端面と溝部との位置関係を示す部分断面図である。 第2の実施形態に係る溝部を示す部分模式図である。 第3の実施形態に係る溝部を示す部分模式図である。
[円すいころ軸受の構成]
図1は、本開示の円すいころ軸受を示す概略的な断面図である。図2は、保持器を示す斜視図である。図3は、中心軸を含む位置における保持器の部分断面図である。図4は、ポケット及び溝部の周囲を示す部分断面図である。なお、図4は、図3におけるI-I線部分の断面矢視図であるが、説明の便宜上、図3及び図4では中心軸回りの位相を変更して図示している。ここでは、図1に示す円すいころ軸受1に基づいて、本開示の円すいころ軸受1の構成を説明する。図1に示す円すいころ軸受1は、内輪2と、内輪2の径方向外方に設けられている外輪3と、これら内輪2と外輪3との間に設けられている複数の円すいころ4と、これら円すいころ4を保持する環状の保持器5とを備える。
内輪2、外輪3、保持器5の各説明における「軸方向」「径方向」「周方向」について定義する。「軸方向」とは、内輪2、外輪3、保持器5それぞれの中心線に沿った方向である。なお、その軸方向には、前記中心線に平行な方向も含まれる。「径方向」とは、それぞれの中心線に直交する方向である。「周方向」とは、それぞれの中心線を中心とした円に沿う方向である。各図において、内輪2、外輪3、保持器5それぞれの中心線が一致した状態でのその中心線の符号を「C0」としている。
円すいころ4の説明における「軸方向」「径方向」「周方向」について定義する。円すいころ4の「軸方向」とは、円すいころ4の中心線C1に沿った方向である。内輪2、外輪3、保持器5の軸方向と区別するために、保持器5等の軸方向を単に「軸方向」と称し、円すいころ4の軸方向を「ころ軸方向」と称する場合がある。なお、ころ軸方向には、中心線C1に平行な方向も含まれる。「径方向」とは、円すいころ4の中心線C1に直交する方向であり、「ころ径方向」と称する場合がある。「周方向」とは、円すいころ4の中心線C1を中心とした円に沿う方向であり、「ころ周方向」と称することができる。
内輪2は、軸受鋼又は機械構造用鋼等を用いて形成された環状の部材である。内輪2は、その外周側に、テーパー状の内輪軌道21を有する。内輪2は、内輪軌道21の軸方向一方側(図1Aでは左側、図1Bでは右側)に設けられている小鍔部22と、内輪軌道21の軸方向他方側(図1Aでは右側、図1Bでは左側)に設けられている大鍔部23とを有する。小鍔部22及び大鍔部23それぞれは、径方向外方に突出している。
外輪3は、軸受鋼又は機械構造用鋼等を用いて形成された環状の部材である。外輪3は、その内周側に、テーパー状の外輪軌道31を有する。
円すいころ4は、軸受鋼等を用いて形成された円すい台形状の部材である。円すいころ4は、ころ軸方向の一方側(図1Aでは左側、図1Bでは右側)に直径の小さい円形の小径側端面41を有し、ころ軸方向の他方側(図1Aでは右側、図1Bでは左側)に直径の大きい円形の大径側端面42を有する。円すいころ4は、内輪軌道21及び外輪軌道31に転がり接触する。大径側端面42は、大鍔部23の側面(鍔面)24に転がり接触する。
図1~図4に示すように、保持器5は、軸方向一方側の小径環状体6、小径環状体6よりも外径が大きい軸方向他方側の大径環状体7、及び周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱8を有する。小径環状体6及び大径環状体7は円環形状であり、軸方向に離れて設けられている。柱8は、小径環状体6と大径環状体7とを連結している。小径環状体6と大径環状体7との間であって周方向で隣り合う二つの柱8,8の間に形成される空間が、ポケット9となる。各ポケット9に一つの円すいころ4が収容される。
保持器5は、円すいころ4を収容するポケット9を複数有し、複数の円すいころ4を周方向に等しい間隔をあけて保持する。
前記二つの柱8,8の各側面8a,8aは、ポケット9の内側において対向している。各側面8a,8aは、その面間距離が保持器5の径方向外方に向かって小さくなるようにした所定の角度をなしている。側面8aは、ポケット9に収容された円すいころ4が径方向外方に脱落するのを阻止する抜け止め部としての役割を有する。
小径環状体6には小径側側面6aが形成されている。小径側側面6aは、ポケット9に収容された円すいころ4の小径側端面41と対向する部位である。小径側側面6aは、ポケット9に収容された円すいころ4の小径側部分4aが径方向外方へ変位するのを規制する役割を有する。
大径環状体7には大径側側面7aが形成されている。大径側側面7aは、ポケット9に収容された円すいころ4の大径側端面42と対向する部位である。大径側側面7aは、ポケット9に収容された円すいころ4の大径側部分4bが径方向外方へ変位するのを規制する役割を有する。
ポケット9の内側には、各側面8a,8aと、小径側側面6aと、大径側側面7aと、によって囲まれた空間が形成されている。ポケット9に収容された円すいころ4は、錘状の外周面43が各側面8a,8aと対向する。また、ポケット9に収容された円すいころ4は、小径側端面41が小径側側面6aと対向し、大径側端面42が大径側側面7aと対向する。
保持器5は、大径側側面7aにおいて、溝部10が形成されている。溝部10は、大径側側面7aにおいて潤滑油を保持する役割を有する。なお、溝部10の形態については、後で詳細に説明する。
保持器5は、柱8の径方向外側の側面それぞれに、凹み部8bが形成されている。柱8は、凹み部8bにおける径方向外側の面の中心線C0に対する傾斜角度が、柱8の凹み部8b以外の部位における径方向外側の面の中心線C0に対する傾斜角度に比べて小さい。換言すると、凹み部8bでは、柱8の径方向外側の面の傾斜角度が、凹み部8b以外の部位に比べて、水平に近くなっている。このため、凹み部8bでは、凹み部8b以外の部位に比べて、潤滑油が溜まりやすくなっている。そして、凹み部8bを有する保持器5では、円すいころ軸受1の非稼働時において油溜まりの上側に位置する一部の凹み部8bに潤滑油を貯めることが可能となる。また、保持器5では、凹み部8bを設けることによって、柱8の径方向外側に付着した潤滑油が大径側側面7a側へ流れやすくなる。このため、凹み部8bを有する保持器5では、凹み部8bで潤滑油を保持すると共に、大径側側面7aに形成された溝部10によって潤滑油が保持しやすくなる。凹み部8bは、円すいころ軸受の油量不足に起因する破損を抑制することに寄与する。
保持器5は、合成樹脂製であり、射出成形によって成形される。本形態の保持器5は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)製である。その保持器5は、潤滑油に対する耐性(耐油性)を有し、比較的、硬質であり、弾性変形し難い。保持器5は3Dプリンタにより製造されてもよい。
本開示では、保持器5は、外輪3の内周面の一部に滑り接触可能であり、これにより、保持器5の回転は外輪3によって案内される。つまり、図1に示す円すいころ軸受1は、保持器5が外輪3によって案内される外輪案内形式の軸受である。
以上に説明した通り、本開示の円すいころ軸受1において、保持器5は、軸方向一方側に設けられる小径環状体6と、軸方向他方側に設けられる大径環状体7と、小径環状体6と大径環状体7とを繋ぐ複数の柱8と、を有し、柱8の径方向外側に凹み部8bが設けられている。この構成によれば、円すいころ軸受1の非稼働時において、油溜まりでない位置に配置された凹み部8bによって、潤滑油を貯めることが可能となる。また、凹み部8bを有する保持器5によれば、柱8から大径側端面7aへ向かって潤滑油を流れやすくすることができる。
図1に示すように、保持器5の中心線が内輪2の中心線と一致していて、その保持器5に保持されている複数の円すいころ4が内輪軌道21及び大鍔部23の側面(鍔面)24に適切に接触している状態を「基準状態」と定義する。前記基準状態であって、円すいころ4が外輪軌道31に接触している状態では、円すいころ4は、ころ径方向及びころ軸方向に変位不能である。円すいころ4の小径側端面41と小径環状体6との間には、隙間が設けられていて、円すいころ4の外周面43と柱8の各側面8a,8aの間には、隙間が設けられている。このため、保持器5は、円すいころ4に対して径方向及び軸方向に僅かに変位可能である。
基準状態で、円すいころ4の小径側端面41の中心を結ぶ仮想円が、円すいころ4の(設計上の)小径側のピッチ円と定義され、円すいころ4の大径側端面42の中心を結ぶ仮想円が、円すいころ4の(設計上の)大径側のピッチ円であると定義される。
[第1実施形態に係る溝部]
図5は、第1実施形態に係る溝部を示す概略的な構成図である。本開示の円すいころ軸受1を構成する保持器5は、図4及び図5に示す形態の溝部10を採用することができる。図4及び図5に示すように、溝部10は、複数のV字状溝11を含んでいる。V字状溝11は、大径側側面7aに直交する方向から見た場合にV字状の形態を有する溝部であり、第1溝部11a、第2溝部11b、及び頂部11cを備えている。
溝部10を構成する各V字状溝11は、第1溝部11aが大径側側面7aの径方向外側に位置すると共に、第2溝部11bが大径側側面7aの径方向内側に位置し、かつ、大径側側面7aの周方向の一方に頂部11cを向けた姿勢で、大径側側面7aに設けられる。溝部10では、複数のV字状溝11が大径側側面7aの周方向に並べて形成されており、ヘリングボーン状の形態を有している。なお、以下の説明では、溝部10を「ヘリングボーン溝10」とも称する。以下の説明では、図4及び図5に示す第1実施形態に係るヘリングボーン溝10を、第1ヘリングボーン溝10Aとも称する。なお、本実施形態で示す第1ヘリングボーン溝10Aは、5個のV字状溝11を含んでいるが、本開示のヘリングボーン溝を構成するV字状溝の個数はこれに限定されない。
[溝部における潤滑油の流れについて]
図6は、第1の実施形態に係る溝部における潤滑油の流れを示す模式図である。図7A及び図7Bは、円すいころの大径側端面と溝部との位置関係を示す部分断面図である。なお、図6では、説明の便宜上、各V字状溝11同士の間隔を拡げて図示している。図6には、円すいころ4が矢印R1の方向(図7A参照)に回転する場合の、へリングボーン溝10周辺の潤滑油Jの流れを示している。図6に示すように、円すいころ4が矢印R1の方向に回転する場合、円すいころ4の回転に伴って、第1溝部11a及び第2溝部11bに潤滑油Jが流入する。これにより、V字状溝11内に潤滑油Jが貯留される。円すいころ軸受1では、非稼働状態となった場合に、潤滑油JがV字状溝11内に保持される。
第1溝部11a及び第2溝部11b内の各潤滑油Jは、円すいころ4が矢印R1の方向へ回転することに伴って、各溝部11a,11bに沿って流動すると共に、頂部11cの近傍で合流し、V字状溝11の外側へと流出する。円すいころ軸受1の上部に位置するV字状溝11から流出した潤滑油Jは、自重によって自然流下し、大径側側面7aの下方に位置する大鍔部23の側面(鍔面)24に到達する。これにより、円すいころ4の大径側端面42と側面(鍔面)24との間に、潤滑油Jを供給することができる。
さらに、円すいころ軸受1では、このような潤滑油Jの流れによって、溝部10と大径側端面42との間に動圧が生じる。円すいころ軸受1では、前記動圧によって円すいころ4が軸方向に変位され、大鍔部23の側面(鍔面)24と大径側端面42との間に隙間が生じる。このため、円すいころ軸受1では、保持器5によって、側面(鍔面)24と大径側端面42との間に生じた隙間に確実に潤滑油を供給することができる。これにより、油量不足に起因する円すいころ4の破損を抑制することができる。
図7A及び図7Bに示すように、保持器5では、第1ヘリングボーン溝10Aが、円すいころ4の大径側端面42の回転中心(中心軸C1の位置)に比べて径方向外側に設けられている。換言すると、保持器5を備えた円すいころ軸受1では、複数の円すいころ4のピッチ円が、溝部10の径方向内側に位置している。保持器5を備えた円すいころ軸受1では、大径側端面42が溝部10に接する範囲は、円形を有する大径側端面42の半円以下の範囲となっている。
図7Aに示すように、円すいころ4が矢印R1の方向へ回転する状態で使用される円すいころ軸受1では、第1ヘリングボーン溝10Aを構成する各V字状溝11の頂部11cを、円すいころ4の回転方向(矢印R1の方向)と一致する方向へ向けると好ましい。図7Bに示すように、円すいころ4が矢印R2の方向へ回転する状態で使用される円すいころ軸受1では、第1ヘリングボーン溝10Aを構成する各V字状溝11の頂部11cを、円すいころ4の回転方向(矢印R2の方向)と一致する方向へ向けると好ましい。このような構成の円すいころ軸受1では、ヘリングボーン溝10の向きを円すいころ4の回転方向に合わせることによって、側面(鍔面)24と大径側端面42との間に隙間を生じさせることが可能な動圧を確実に生じさせることができる。
以上に説明した通り、本開示の円すいころ軸受1は、外周側に、内輪軌道21、当該内輪軌道21の軸方向一方側に設けられている小鍔部22、及び、当該内輪軌道21の軸方向他方側に設けられている大鍔部23を有する内輪2と、内周側に外輪軌道31を有する外輪3と、内輪軌道21及び外輪軌道31に転がり接触する複数の円すいころ4と、円すいころ4を収容するポケット9を複数有する環状の保持器5と、を備える。複数のポケット9それぞれは、収容する円すいころ4の小径側端面41に対向する小径側側面6aと、収容する円すいころ4の大径側端面42に対向する大径側側面7aと、大径側側面7aに形成された溝部10と、を有する。円すいころ軸受1では、溝部10が、大径側側面7aに直交する方向から見てV字状の形態を有するV字状溝11を複数含むと共に、V字状溝11の頂部11cを大径側側面7aの周方向に向けつつ、大径側側面7aの周方向に複数のV字状溝11を並べて配置したヘリングボーン溝10である。このような円すいころ軸受1によれば、ヘリングボーン溝として構成された溝部10によって、保持器5の大径側側面7aに潤滑油Jを貯留することができ、円すいころ軸受1の非稼働時に、大径側側面7aに潤滑油を保持することが可能となる。この場合、円すいころ軸受1の稼働直後に、大径側側面7aに保持されていた潤滑油Jを円すいころ4及び内輪2に供給することが可能となり、油量不足に起因する円すいころ4の破損を抑制することができる。
[第2実施形態に係る溝部]
図8は、第2実施形態に係る溝部を示す概略的な構成図である。本開示の円すいころ軸受1を構成する保持器5では、ヘリングボーン溝10が、図8に示す形態であってもよい。以下の説明では、図8に示す第2実施形態に係るヘリングボーン溝10を、第2ヘリングボーン溝10Bとも称する。
第2ヘリングボーン溝10Bは、複数のV字状溝11により構成されている。第2ヘリングボーン溝10Bを構成するV字状溝11には、第1のV字状溝11である第1V字状溝11Aと、第2のV字状溝11である第2V字状溝11Bとが含まれる。第1V字状溝11Aは、第1溝部11a、第2溝部11b、及び頂部11cを備えている。第2V字状溝11Bは、第1溝部11d、第2溝部11b、及び頂部11eを備えている。
第2ヘリングボーン溝10Bでは、第2溝部11bの径方向外側の半分が第1V字状溝11Aを構成し、第2溝部11bの径方向内側の半分が第1V字状溝11Aを構成しており、第1V字状溝11A及び第2V字状溝11Bで第2溝部11bを共有している。このため、第2ヘリングボーン溝10Bでは、一つの第1V字状溝11Aと一つの第2V字状溝11Bとが一体となっており、全体として略S字状の形態を有している。なお、本実施形態の第2ヘリングボーン溝10Bでは、第1V字状溝11A及び第2V字状溝11Bが一体となっているが、第1V字状溝11A及び第2V字状溝11Bは分離していてもよい。
第2ヘリングボーン溝10Bでは、第1V字状溝11Aは、頂部11cが大径側側面7aの周方向の第1の方向(図8では略左側)を向くと共に、大径側側面7aの径方向の外側に配置され、第2V字状溝11Bは、頂部11eが大径側側面7aの周方向の第2の方向(図8では略右側)を向くと共に、第1V字状溝11Aに比べて大径側側面7aの径方向内側に配置される。
第2ヘリングボーン溝10Bを有する保持器5では、円すいころ4の回転方向が矢印R1(図7A参照)である場合には、各第1V字状溝11Aが、動圧を発生する役割を果たし、円すいころ4の回転方向が矢印R2(図7B参照)である場合には、各第2V字状溝11Bが、動圧を発生する役割を果たす。このため、第2ヘリングボーン溝10Bを有する保持器5を用いた円すいころ軸受1では、円すいころ4の回転方向が矢印R1(図7A参照)・矢印R2(図7B参照)のどちらであっても、溝部10に存在する潤滑油J(図6参照)によって動圧を発生させることができる。このため、第2ヘリングボーン溝10Bを有する保持器5は、円すいころ4の回転方向に関わらず使用することができる。
以上に説明した通り、本開示の円すいころ軸受1を構成する第2へリングボーン溝10Bは、頂部10cが大径側側面7aの周方向の第1の方向を向くと共に、大径側側面7aの径方向の外側に配置される第1V字状溝11Aと、頂部10eが大径側側面7aの周方向の第2の方向を向くと共に、大径側側面7aの径方向の内側に配置される第2V字状溝11Bと、を含んでいる。この構成によれば、円すいころ4の回転方向に関わらず、溝部10(第2へリングボーン溝10B)から円すいころ4に潤滑油を供給することが可能となる。
[第3実施形態に係る溝部]
図9は、第3実施形態に係る溝部を示す概略的な構成図である。本開示の円すいころ軸受1を構成する保持器5では、ヘリングボーン溝10が、図9に示す形態であってもよい。以下の説明では、図9に示す第3実施形態に係るヘリングボーン溝10を、第3ヘリングボーン溝10Cとも称する。なお、第3ヘリングボーン溝10Cは、径方向におけるV字状溝11の形成領域の幅が、径方向外側及び径方向内側で異なる点が、前述した第2ヘリングボーン溝10Bと異なっている。
第3ヘリングボーン溝10Cは、複数のV字状溝11により構成されている。第3ヘリングボーン溝10Cを構成するV字状溝11には、第3のV字状溝11である第3V字状溝11Cと、第4のV字状溝11である第4V字状溝11Dとが含まれる。第3V字状溝11Cは、第1溝部11a、第2溝部11b、及び頂部11cを備えている。第4V字状溝11Dは、第1溝部11d、第2溝部11b、及び頂部11eを備えている。
第3ヘリングボーン溝10Cでは、第2溝部11bの径方向外側の一部分(後で説明する形成領域の幅W3に含まれる部分)が第3V字状溝11Cを構成し、第2溝部11bの径方向内側の一部分(後で説明する形成領域の幅W4に含まれる部分)が第4V字状溝11Dを構成しており、第3V字状溝11C及び第4V字状溝11Dで第2溝部11bを共有している。第3ヘリングボーン溝10Cでは、第3V字状溝11Cの第2溝部11bと第4V字状溝11Dの第2溝部11bとを共有している。このため、第3ヘリングボーン溝10Cでは、一つの第3V字状溝11Cと一つの第4V字状溝11Dとが一体となっており、全体として略S字状の形態を有している。なお、本実施形態の第3ヘリングボーン溝10Cでは、第3V字状溝11C及び第4V字状溝11Dが一体となっているが、第3V字状溝11C及び第4V字状溝11Dは分離していてもよい。
第3ヘリングボーン溝10Cでは、第3V字状溝11Cは、頂部11cが大径側側面7aの周方向の第1の方向(図9では略左側)を向くと共に、大径側側面7aの径方向の外側に配置され、第4V字状溝11Dは、頂部11eが大径側側面7aの周方向の第2の方向(図9では略右側)を向くと共に、第3V字状溝11Cに比べて大径側側面7aの径方向内側に配置される。
第3ヘリングボーン溝10Cでは、大径側側面7aの径方向において、第3V字状溝11Cの形成領域の幅W3が第4V字状溝11Dの形成領域の幅W4に比べて小さい。
第3ヘリングボーン溝10Cを有する保持器5では、円すいころ4の回転方向が矢印R1(図7A参照)である場合には、各第3V字状溝11Cが、動圧を発生する役割を果たし、円すいころ4の回転方向が矢印R2(図7B参照)である場合には、各第4V字状溝11Dが、動圧を発生する役割を果たす。
溝部10に存在する潤滑油J(図6参照)によって生じる動圧の大きさは、溝部10に対向する大径側端面42の移動速度との間に相関があり、前記移動速度が大きいと発生する動圧が大きくなる。大径側端面42の周速度は、径方向外側ほど大きくなり、径方向内側ほど小さくなる。このため、前述した第2ヘリングボーン溝10B(図8参照)では、溝部10の径方向外側に位置する第1V字状溝11Aから生じる動圧と、溝部10の径方向内側に位置する第2V字状溝11Bから生じる動圧との間で差異が生じる可能性がある。
第3ヘリングボーン溝10Cでは、第3V字状溝11Cの形成領域の幅W3が、第4V字状溝11Dの形成領域の幅W4に比べて小さい。つまり、第3ヘリングボーン溝10Cでは、大径側端面42の周速度が大きくなる径方向外側に位置する第3V字状溝11Cは、その形成領域の幅W3を小さくし、大径側端面42の周速度が小さくなる径方向内側に位置する第4V字状溝11Dは、その形成領域の幅W4を小さくしている。
このような第3ヘリングボーン溝10Cを有する保持器5では、径方向外側の第3V字状溝11Cから生じる動圧と、径方向内側の第4V字状溝11Dから生じる動圧との差異を抑制することができる。第3ヘリングボーン溝10Cを有する保持器5では、円すいころ4の回転方向が矢印R1(図7A参照)である場合の動圧と、回転方向が矢印R2(図7B参照)である場合の動圧を、同程度の動圧とすることができる。このため、第3ヘリングボーン溝10Cを有する保持器5では、円すいころ4の回転方向が矢印R2(図7B参照)であり、各第4V字状溝11Dが、動圧を発生する役割を果たす場合に、動圧不足が生じるのを抑制することができる。
換言すると、第3ヘリングボーン溝10Cを有する保持器5では、円すいころ4の回転方向が矢印R1(図7A参照)・矢印R2(図7B参照)のどちらであっても、側面(鍔面)24と大径側端面42との間に確実に隙間を生じさせることができ、当該隙間に潤滑油Jを供給することができる。第3ヘリングボーン溝10Cを有する保持器5によれば、油量不足に起因する円すいころ4の破損をより確実に抑制することができると共に、円すいころ4の回転方向を気にせずに使用することが可能となる。なお、前述した第1へリングボーン溝10A(図5参照)では、第1溝部11a及び第2溝部11bの溝長さを略同一としているが、第1へリングボーン溝10Aにおける第1溝部11a及び第2溝部11bの溝長さは異なっていてもよい。この場合、第1溝部11aの溝長さを第2溝部11bの溝長さに比べて短くすると好ましい。
以上に説明した通り、本開示の円すいころ軸受を構成する第3ヘリングボーン溝10Cは、大径側側面7aの径方向外側に位置する第1V字状溝11Cと、大径側側面7aの径方向内側に位置する第2V字状溝11Dとを含み、大径側側面7aの径方向において、第1V字状溝11Cの形成領域の幅W3が第2V字状溝11Dの形成領域の幅W4に比べて小さい。この構成によれば、円すいころ4の回転方向が第1の方向(例えば、図7Aに示す矢印R1の方向)である場合に発生する動圧、及び回転方向が第2の方向(例えば、図7Bに示す矢印R2の方向)である場合に発生する動圧を、同程度とすることが可能となる。
前記開示では、周方向に複数の円すいころ4が一列となって並ぶ単列の円すいころ軸受1について説明した。図示しないが、複列の円すいころ軸受の保持器が、前記のような構成を備えていてもよい。また、別の形態として、自動車の車輪を支持する車輪用軸受装置(ハブユニットとも言われる。)の一部が、円すいころ軸受により構成されている場合に、つまり、車輪用軸受装置がその一部に円すいころを転動体として有する場合、その円すいころを保持する保持器が、前記のような構成を備えていてもよい。
今回開示した形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
1:円すいころ軸受
2:内輪
3:外輪
4:円すいころ
5:保持器
6:小径環状体
6a:小径側側面
7:大径環状体
7a:大径側側面
8:柱
8b:凹み部
9:ポケット
10:溝部(ヘリングボーン溝)
11:V字状溝
11A:第1V字状溝(第1のV字状溝)
11B:第2V字状溝(第2のV字状溝)
11C:第1V字状溝(第1のV字状溝)
11D:第2V字状溝(第2のV字状溝)
11a:第1溝部
11d:第1溝部
11b:第2溝部
11c:頂部
11e:頂部
21:内輪軌道
22:小鍔部
23:大鍔部
31:外輪軌道
41:小径側端面
42:大径側端面

Claims (4)

  1. 外周側に、内輪軌道、当該内輪軌道の軸方向一方側に設けられている小鍔部、及び、当該内輪軌道の軸方向他方側に設けられている大鍔部を有する内輪と、
    内周側に外輪軌道を有する外輪と、
    前記内輪軌道及び前記外輪軌道に転がり接触する複数の円すいころと、
    前記円すいころを収容するポケットを複数有する環状の保持器と、を備え、
    複数の前記ポケットそれぞれは、収容する前記円すいころの小径側端面に対向する小径側側面と、収容する前記円すいころの大径側端面に対向する大径側側面と、
    前記大径側側面に形成された溝部と、を有し、
    前記溝部が、
    前記大径側側面に直交する方向から見てV字状の形態を有するV字状溝を複数含むと共に、前記V字状溝の頂部を前記大径側側面の周方向に向けつつ、前記大径側側面の周方向に複数の前記V字状溝を並べて配置したヘリングボーン溝である、円すいころ軸受。
  2. 前記へリングボーン溝が、
    前記頂部が前記大径側側面の周方向の第1の方向を向くと共に、前記大径側側面の径方向の外側に配置される第1の前記V字状溝と、
    前記頂部が前記大径側側面の周方向の第2の方向を向くと共に、前記大径側側面の径方向の内側に配置される第2の前記V字状溝と、を含む、請求項1に記載の円すいころ軸受。
  3. 前記ヘリングボーン溝が、
    前記大径側側面の径方向外側に位置する第1の前記V字状溝と、前記大径側側面の径方向内側に位置する第2の前記V字状溝とを含み、
    前記大径側側面の径方向において、前記第1のV字状溝の形成領域の幅が前記第2のV字状溝の形成領域の幅に比べて小さい、請求項1又は請求項2に記載の円すいころ軸受。
  4. 前記保持器は、軸方向一方側に設けられる小径環状体と、軸方向他方側に設けられる大径環状体と、前記小径環状体と前記大径環状体とを繋ぐ複数の柱と、を有し、
    前記柱の径方向外側に凹み部が設けられている、請求項1又は請求項2に記載の円すいころ軸受。
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