JP2023169451A - 窓ガラスシステム及び窓ガラス - Google Patents

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慎也 田中
Shinya Tanaka
二郎 西濱
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Abstract

【課題】吸放湿性膜に曇りが生じる可能性を効果的に低減する。【解決手段】移動体に取り付けられるガラスと、ガラスの室内側表面に設けられる吸放湿性膜と、ガラスの室内側表面の温度を検出する温度センサと、室内の温度及び湿度を検出する温湿度センサと、吸放湿性膜に吸収された水分を放出させる乾燥手段と、温度センサにより検出されるガラス温度と、温湿度センサにより検出される室内の温度及び湿度とに基づいて、乾燥手段を作動させる制御装置とを備え、制御装置は、吸放湿性膜の吸湿速度又は放湿速度に応じて、乾燥手段の作動の開始タイミング、終了タイミング、乾燥手段の作動時における乾燥能力の増減タイミング、及びこれらの推奨タイミングのうちの、少なくともいずれか1つのタイミングを変化させる、窓ガラスシステムが開示される。【選択図】図5

Description

本開示は、窓ガラスシステム及び窓ガラスに関する。
車両に取付けられた窓ガラスに付着する水分の状況を検出手段により検知し、該検出手段の出力に応じ制御手段が乾燥手段を作動させて窓ガラスに付着した水分を気化させる車両用防曇窓システムが知られている。この車両用防曇窓システムでは、窓ガラスは、車室内側表面に吸放湿性膜を有し、検出手段は、吸放湿性膜に付着した水分量を検知する水分検出センサである。そして、制御手段は、水分検出センサが閾値を超える水分量を検出した際に乾燥手段を作動させる信号を発するように動作し、乾燥手段は、当該信号に従って作動し吸放湿性膜に付着した水分を気化させる(例えば、特許文献1参照)。
特開2006-264458号公報
ところで、吸放湿性膜の吸水性能が飽和する飽和吸水量は、車両の室内の温度と湿度によって変動する。従って、単に、水分検出センサの検出値が閾値を超えた際に乾燥手段を作動させるような、上述したような従来技術では、吸放湿性膜に曇りが生じる可能性を効果的に低減することが難しい。すなわち、上述したような従来技術では、水分検出センサの検出値が閾値を超えた際には吸放湿性膜に曇りが生じているおそれがある。
そこで、本開示は、吸放湿性膜に曇りが生じる可能性を効果的に低減することを目的とする。
1つの側面では、移動体に取り付けられるガラスと、
前記ガラスの室内側表面に設けられ、前記移動体の室内の温度及び湿度に応じて水分を吸収し放出する吸放湿性膜と、
前記ガラスの室内側表面の温度を検出する温度センサと、
前記移動体の室内の温度及び湿度を検出する温湿度センサと、
前記吸放湿性膜に吸収された水分を放出させる乾燥手段と、
前記温度センサにより検出されるガラス温度と、前記温湿度センサにより検出される室内の温度及び湿度とに基づいて、前記吸放湿性膜に曇りが生じないように前記乾燥手段を作動させる制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記吸放湿性膜の吸湿速度又は放湿速度に応じて、前記乾燥手段の作動の開始タイミング、終了タイミング、前記乾燥手段の作動時における乾燥能力の増減タイミング、及びこれらの推奨タイミングのうちの、少なくともいずれか1つのタイミングを変化させる、窓ガラスシステムが提供される。
本開示によれば、吸放湿性膜に曇りが生じる可能性を効果的に低減することが可能となる。
実施形態の窓ガラスシステムを搭載した車両を示す図である。 窓ガラスシステムの一例を示す図である。 窓ガラスシステムの他の一例を示す図である。 オンガラス表示部の説明図である。 制御部により実現される各種機能のうちの、吸湿速度補償機能に関連した機能を概略的に示すブロック図である。 制御部が実行するメイン処理を表すフローチャートを示す図である。 制御部が実行する防曇処理を表すフローチャートを示す図である。 制御部が実行する閾値判定処理を表すフローチャートを示す図である。 情報取得装置をガラス本体に取り付けるブラケット及び筐体の構造を示す図である。 情報取得装置をガラス本体に取り付けるブラケット及び筐体の構造を示す図である。 情報取得装置をガラス本体に取り付けるブラケット及び筐体の構造を示す図である。 実施形態の変形例によるブラケットを示す図である。
以下、窓ガラスシステム及び窓ガラスに係る実施形態について説明する。
図1は、一実施形態の窓ガラスシステム100を搭載した車両10の一例を示す図である。窓ガラスシステム100は、一例としてフロントガラスとして車両10に取り付けられる。窓ガラスシステム100は、吸放湿性膜120を含み、吸放湿性膜120に付着する水分を気化する乾燥手段を有する。乾燥手段は、一例としてデフロスタ20を含む。デフロスタ20は、作動状態にされると、空調装置によって除湿された空気を窓ガラスシステム100に向かって送風し、曇りを除去する装置である。
ここで、車両10は、例えば、EV(Electric Vehicle)車、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)車、HV(Hybrid Vehicle)車、ガソリン車、又はディーゼル車等の自動車である。また、車両10は、電車や汽車であってもよい。車両10は、乗員を運んで移動する移動体の一例である。
また、ここでは、窓ガラスシステム100が車両10に取り付けられる形態について説明するが、窓ガラスシステム100は、車両10以外の移動体(例えば、航空機やヘリコプター等)に取り付けてもよい。
図2は、窓ガラスシステム100の一例を示す図である。窓ガラスシステム100は、窓ガラス110、及びスイッチ140を含む。また、窓ガラスシステム100は、乾燥手段としてデフロスタ20を有してもよい。
以下では、車両10に取り付けられた状態における窓ガラスシステム100の上下の関係を用いて説明する。なお、本願発明において、ガラス111の上部、下部及び側部は、それぞれ、車両10に取り付けられた状態における上部、下部及び側部を意味する。
窓ガラス110は、ガラス111と、吸放湿性膜120と、後述する出力部8の一部を形成するオンガラス表示部用LED80(後述)とを有する。また、窓ガラス110は、更に、乾燥手段として電熱線130を有してもよい。また、窓ガラス110は、更に、制御ユニット150(温度センサ150A、温湿度センサ150B、制御装置150C)を有してもよい。窓ガラス110は、更に遮蔽領域を有していてもよい。ガラス111は、中間膜が封入された合わせガラスであってもよい。遮蔽領域は、ガラス111の車室内(車両10の室内)側の表面において、ガラス111の周囲に沿って設けられていることが好ましい。
遮蔽領域は、着色層が形成された領域、もしくは中間膜の着色領域である。着色層は、着色セラミック層112又は着色有機インク層である。着色セラミック層112は、一例として、暗色セラミックペーストの焼成体である。遮蔽領域は、ガラス111が車両10に接着された状態で接着剤が紫外線により劣化するのを防止する目的と、車両10の外側からガラス111と車体との接続部分が見えないよう見栄えを良くするために形成されている。なお、遮蔽領域に囲まれたガラス111の中央部111Aは、透明な部分である。また、ガラス111が合わせガラスである場合、着色セラミック層112又は着色有機インク層は、中間膜と接するように設けられるか、ガラス111の車室内側の表面に設けられることが好ましい。
吸放湿性膜120は、ガラス111の室内側の表面に設けられる。吸放湿性膜120は、ガラス111の中央部111Aの車室内(車両10の室内)側の表面に設けられていることが好ましい。
また、吸放湿性膜120の設けられる領域は、図3に示すように、平面視で、遮蔽領域と重なってもよい。図3は、窓ガラスシステム100の他の一例を示す図である。吸放湿性膜120の設けられる領域と遮蔽領域との重なりは、ガラス111の下部及び/又は側部にあることが好ましい。該重なりが、ガラス111の下部及び/又は側部にあることで、ガラス111の曇り始めを効率的に遅延できる。
また、吸放湿性膜120の設けられる領域の少なくとも一部が、電熱線130による加熱領域と重ならないことが好ましい。該加熱領域と重ならないことで、吸放湿性膜120の設けられる領域の視認性が向上する。
吸放湿性膜120は、吸放湿性を有する膜である。吸放湿性膜120は、高い吸水性を実現するため、吸水性高分子又は親水性高分子を含むことが好ましい。吸放湿性膜120は、粘着剤層を有するフィルムを介してガラス111に取り付けられていてもよい。
電熱線130には電源160Hが接続される。電熱線130による加熱領域は、平面視で、吸放湿性膜120が設けられる領域と重なってもよい。電熱線130による加熱領域と吸放湿性膜120が設けられる領域とが重なることで、吸放湿性膜120に含まれる水分が蒸発(放湿)して、吸放湿性膜120の吸水量が効率的に低下する。
電熱線130による加熱領域は、平面視で、吸放湿性膜120が設けられる領域と重ならない領域を有することが好ましい。電熱線130による加熱領域で、吸放湿性膜120が設けられる領域と重ならない領域に、温度センサ150Aを設けることで、温度センサ150Aに対する吸放湿性膜120の影響を低減できる。更に、電熱線130が設けられる領域が、吸放湿性膜120の設けられる領域を包含していてもよい。
電熱線130は、ガラス111の中央部111Aの室内側の表面に設けられていることが好ましい。電熱線130は、一例としてタングステン製の導線であり、両端に端子131を有する。電熱線130は、銀製の導線であってもよい。端子131は、一例として銀(Ag)を印刷した銀箔製のバスバーである。
一方の端子131(図中左)はスイッチ140に接続され、他方の端子131(図中右)は電源160Hに接続されている。
ガラス111が合わせガラスである場合、電熱線130は、2枚のガラスの間に存在し、両ガラスを接着する中間膜に挟まれて設けられることが好ましい。なお、電熱線130は、合わせガラスの車室内側の表面に設けられていてもよい。また、電熱線130は、遮蔽領域に設けられていてもよく、着色セラミック層112又は着色有機インク層の上に設けられていてもよい。
本実施形態の窓ガラスシステム100において、電熱線130を電熱膜に代えてもよい。電熱膜は、ガラス111の中央部111Aに設けられることが好ましい。電熱膜は、一例としてITO(Indium Tin Oxide)透明膜であり、端子131に接続されている。電熱膜は、乾燥手段の一例である。
スイッチ140は、ガラス111の車室内側の表面において、遮蔽領域に設けられていてもよい。スイッチ140は、電熱線130又は電熱膜の一方の端子と車両10のグランド電位点との間に直列に挿入される。スイッチ140のオン/オフは、制御ユニット150又はECU170によって切り替えられる。ECU170による切り替えは、制御ユニット150から出力される信号に基づき行われてもよい。なお、スイッチ140を設けず、制御ユニット150又はECU170が、ガラス111に取り付けられる電熱線130又は電熱膜を、通電状態又は非通電状態にしてもよい。ECU170による制御は、制御ユニット150から出力される信号に基づき行われてもよい。
制御ユニット150には電源160LとECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)170が接続されてよい。ECU170は、例えばメータやドアロック等を制御するボデーECUや空調装置を制御するECU、又はこれらの組み合わせにより実現されてもよい。
制御ユニット150は、ガラス111の車室内側の表面に設けられていてもよい。制御ユニット150は、制御装置150Cと温度センサ150Aと温湿度センサ150Bとを有する。制御装置150Cは、ガラス111に取り付けられる電熱線130又は電熱膜を通電状態又は非通電状態にする。なお、制御装置150C、温度センサ150A及び温湿度センサ150Bのうちの、制御装置150Cは、ガラス111から離れた位置に設けられてもよい。例えば、制御装置150Cは、ECU170により実現されてもよい。
温度センサ150Aは、ガラス111の室内側の表面に設けられることが好ましい。温度センサ150Aは、平面視で、遮蔽領域に設けられていることが好ましい。温度センサ150Aが遮蔽領域にあることで、車両10の外側から見えないよう見栄えをよくできる。温度センサ150Aは、ガラス111の室内側表面に設けられている着色セラミック層112又は着色有機インク層の上に設けられていてもよい。
温度センサ150Aは、ガラス111の下部又は上部若しくは側部に設けられることが好ましい。特に、温度センサ150Aが上部又は側部に設けられることで、車両走行に伴い発生する曇りを検知しやすくなる。なお、温度センサ150Aは、ガラス111の全てのコーナー部に設けられていてもよい。温度センサ150Aが全てのコーナーに設けられることで、車室内の構造に関わらず、発生する曇りの全てを検知しやすくなる。更に、温度センサ150Aは、ガラス111の運転者席側に設けられていてもよい。例えば、温度センサ150Aは、ガラス111の中央部111Aのうち上部側で遮蔽領域との境界の近くに設けられることが好ましい。
また、温度センサ150Aは、平面視で、吸放湿性膜120の設けられる領域の外側に設けられていることが好ましい。特に、温度センサ150Aは、平面視で、遮蔽領域と吸放湿性膜120が設けられる領域の間に設けられていることが好ましい。温度センサ150Aが遮蔽領域と吸放湿性膜120が設けられる領域の間に設けられることで、ガラス温度を正確に検知できる。
更に、温度センサ150Aは、平面視で、電熱線130又は電熱膜による加熱領域に設けられていてもよい。温度センサ150Aが加熱領域に設けられることで、電熱線130又は電熱膜を通電状態にするタイミング及び非通電状態にするタイミングを正確に把握できる。
制御ユニット150は、遮蔽領域に固定される筐体151を更に有していてもよい。筐体151は、制御装置150C、温度センサ150A及び温湿度センサ150Bを、内部に収納する。制御装置150C、温度センサ150A及び温湿度センサ150Bには、電源160Lから電力が供給される。
制御装置150Cは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び内部バス等を含むコンピュータ(回路)によって実現される。制御装置150Cは、温度センサ150Aによって検出されるガラス111の温度と、温湿度センサ150Bによって検出される車室内の温度及び湿度に基づいて、電熱線130又は電熱膜を通電状態にし、所定時間経過後に非通電状態にする制御を行う。制御装置150Cは、ECU170の近傍に設けることが好ましい。ECU170は、日射の影響を受けづらい場所に設けられることが多いため、制御装置150Cも同様に、日射の影響を避けることができる。この場合、温度センサ150Aは、ガラス111に接触して設けられ、温湿度センサ150Bは、ガラス111の温度境界層に設けられることが好ましい。なお、以下では、温度センサ150Aによって検出されるガラス111の温度をガラス温度と称す。また、制御装置150Cによる制御の内容及び所定時間等については後述する。
制御装置150Cは、車両10に搭載される複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)のうちのいずれかにネットワークを介して接続されていてもよい。例えば、制御装置150Cを空調装置用のECUに接続しておけば、空調装置と連携して窓ガラスシステム100を作動させることができる。また、窓ガラスシステム100全体の電源のオン/オフは、空調装置等の操作部で行えるようになっていてもよい。
温度センサ150Aは、ガラス温度を検出する。温度センサ150Aは、ガラス111に接触していることが好ましい。温湿度センサ150Bは、移動体の車室内の温度及び湿度を検出する。温湿度センサ150Bは、ガラス111から離れていることが好ましい。温湿度センサ150Bとしては、温度センサと温湿度センサとが1つのチップとして一体化されたものを用いることができる。温度センサ150A及び温湿度センサ150Bは制御装置150Cに接続されており、検出したガラス温度、車室内の温度、及び車室内の湿度を表すデータを制御装置150Cに出力する。なお、温度センサ150A及び温湿度センサ150Bは、無線通信型のセンサであってもよい。温湿度センサ150Bは、車両に搭載されたセンサであってもよい。
また、温度センサ150A及び温湿度センサ150Bは、隣り合って設けられることが好ましい。両センサが隣り合って設けられることで、配線構造を単純化できる。
また、温度センサ150A及び温湿度センサ150Bは、好ましくは、デフロスタ20からの気流等のような、空調装置に係る気流の影響を受け難い位置に配置される。例えば、温度センサ150A及び温湿度センサ150Bは、図2に示すように、ガラス111の助手席側かつ下側の隅に配置されてもよいし、図3に示すように、ガラス111の助手席側かつ上側の隅に配置されてもよい。特に、図3に示す例では、ガラス111の上部であって吸放湿性膜120の上縁よりも上側に配置されるので、空調装置に係る気流の吹き出し口の配置に有意に依存しない態様で、空調装置に係る気流の影響を受け難い配置を実現できる。
なお、温湿度センサ150Bの代わりに別々の温度センサと湿度センサを用いてもよい。車室内の温度を検出する温度センサとしては、例えば熱電対を用いることができる。車室内の湿度を検出する湿度センサとしては、例えば、湿度の変化に応じて変化する素子の抵抗値を出力するセンサ、又は、湿度の変化により変化する素子の静電容量を出力するセンサを用いることができる。
電源160Hは、電熱線130の他方の端子131と、車両10のバッテリ及び/又は発電機との間に接続されており、バッテリ及び/又は発電機から供給される電力を電熱線130又は電熱膜に供給する。電源160Hの出力電圧は、電源160Lの出力電圧よりも高い。電源160Hは、一例として電圧が12Vの電力を電熱線130に供給する。
電源160Lは、制御ユニット150と、車両10のバッテリ及び/又は発電機との間に接続されており、バッテリ及び/又は発電機から供給される電力を制御ユニット150に供給する。電源160Lの出力電圧は、電源160Hの出力電圧よりも低く、一例として5Vである。
本実施形態では、窓ガラスシステム100は、運転者等の乗員に、吸放湿性膜120に係る各種情報を出力(報知)する出力部8を含む。以下で説明する各種の出力部8は、吸放湿性膜120の各種の状態を表す情報を表示(出力)する表示装置の一例を形成できる。
出力部8は、光、音、振動等のような任意の媒体を介して情報を出力できる構成であれば任意である。本実施形態では、出力部8は、一例として、窓ガラス110の構成要素としてのオンガラス表示部用LED(Light Emitting Diode)80を含む。また、本実施形態では、出力部8は、一例として、更に、デフロスタスイッチ用LED81、A/Cスイッチ用LED82、及びHUD(Head UP Display)ユニット83を含む。なお、変形例では、出力部8は、これらのうちの任意の1つ、又は複数の組み合わせであってもよいし、他の出力装置を含んでよい。他の出力装置は、メータや、インナーミラー70に埋設されるLEDランプ84(図1参照)等のような光発生部を含んでよい。
なお、本実施形態では、一例として、出力部8のうちの、オンガラス表示部用LED80は、制御ユニット150に接続され、その他のデフロスタスイッチ用LED81等は、ECU170に接続されている。具体的には、ECU170には、上述したデフロスタ20に加えて、出力部8として、オンガラス表示部用LED80、デフロスタスイッチ用LED(Light Emitting Diode)81、A/Cスイッチ用LED82、及び、HUDユニット83が接続されている。
オンガラス表示部用LED80は、ガラス111の室内側の表面に設けられるオンガラス表示部800用のLEDである。図4は、オンガラス表示部800の説明図であり、オンガラス表示部800を平面視で視た概略図である。オンガラス表示部800は、デフロスタ20を想起させる図柄(ガラス111に向かうデフロスタ20からの気流をイメージさせる図柄)に対応した発光部802を含む。発光部802には、オンガラス表示部用LED80が光学的に接続される。オンガラス表示部用LED80は、複数の色に対応して複数設けられてもよい。この場合、発光部802は、各オンガラス表示部用LED80からの光に基づいて、複数の色で発光できる。
オンガラス表示部800(及びそれに伴いオンガラス表示部用LED80)は、制御ユニット150の近傍に設けられることが好ましい。オンガラス表示部用LED80が制御ユニット150の近傍に設けられることで、制御ユニット150からの配線構造を単純化できる。例えば、オンガラス表示部用LED80は、制御ユニット150の位置に応じて、図2に示すように、ガラス111の助手席側かつ下側の隅に配置されてもよいし、図3に示すように、ガラス111の助手席側かつ上側の隅に配置されてもよい。
デフロスタスイッチ用LED81は、例えばインストルメントパネルに配置される空調装置用操作スイッチ類のうちの、デフロスタ20を操作するための操作スイッチ(図示せず)に設けられる。デフロスタ20を操作するための操作スイッチは、典型的には、ガラス111に向かうデフロスタ20からの気流をイメージさせる図柄(図4参照)が描画されており、デフロスタスイッチ用LED81は、オンしたとき、当該図柄自体又はその近傍の点灯部を点灯させる。デフロスタスイッチ用LED81は、デフロスタ20が作動している状態でオンする。
A/Cスイッチ用LED82は、例えばインストルメントパネルに配置される空調装置用操作スイッチ類のうちの、冷房・除湿機能を操作するための操作スイッチ(図示せず)に設けられる。冷房・除湿機能を操作するための操作スイッチは、典型的には、文字“A/C”が描画されており、A/Cスイッチ用LED82は、オンしたとき、当該文字自体又はその近傍の点灯部を点灯させる。A/Cスイッチ用LED82は、冷房・除湿機能を実現するコンプレッサ(図示せず)が作動している状態でオンする。
HUDユニット83は、インストルメントパネルの内部に設けられる画像表示装置である。HUDユニット83は、インストルメントパネルの上部の開口部(図示せず)から、ガラス111の運転者の視線方向の領域に設けられるコンバイナ60に、表示光を出射することで、ガラス111よりも車両前方に、表示光に係る表示画像(虚像)を発生させる。HUDユニット83は、車速やナビゲーション情報等に係る車両情報を表示画像を介して運転者に伝達する。
本実施形態では、制御装置150Cは、オンガラス表示部用LED80を介して、吸放湿性膜120に係る各種情報を出力(報知)し、ECU170は、制御装置150Cの制御状態や制御装置150Cからの情報に基づいて、デフロスタスイッチ用LED81等を介して、吸放湿性膜120に係る各種情報を出力(報知)する。吸放湿性膜120に係る各種情報は、吸放湿性膜120の状態に関する情報を含んでよい。
例えば、吸放湿性膜120の状態に関する情報は、吸放湿性膜120に吸収されている水分量や相対吸水率FRH(後述)、吸放湿性膜120に曇りが生じるまでの時間Ts(後述)を示唆する情報であってよい。
オンガラス表示部用LED80の場合、水分量や相対吸水率FRH、時間Ts等は、オンガラス表示部用LED80からの光の色、光るパターン、及び輝度のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、示唆されてもよい。例えば、水分量や相対吸水率FRHが増加するにつれて、又は、時間Tsが減少するにつれて、光の色が青から黄色を経て赤に変化してもよい。同様に、水分量や相対吸水率FRHが増加するにつれて、又は、時間Tsが減少するにつれて、光るパターンとして点滅速度が早くなってもよい。同様に、水分量や相対吸水率FRHが増加するにつれて、又は、時間Tsが減少するにつれて、輝度が高くなってもよい。このようなルールは、事前にユーザに周知されてよい。
これにより、乗員は、オンガラス表示部800を見ることで、吸放湿性膜120の状態を容易に把握でき、適切なタイミングで、デフロスタ20や電熱線130等を作動させたり、デフロスタ20や電熱線130等を停止させたりすることが容易となる。
また、デフロスタスイッチ用LED81の場合も、水分量や相対吸水率FRHは、デフロスタスイッチ用LED81からの光の色、光るパターン、及び輝度のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、示唆されてもよい。ただし、デフロスタスイッチ用LED81が単一のLEDからなる場合、水分量や相対吸水率FRHは、光るパターン及び輝度のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、示唆されてもよい。A/Cスイッチ用LED82の場合も、デフロスタスイッチ用LED81の場合と同様であってよい。なお、オンガラス表示部用LED80や、デフロスタスイッチ用LED81、A/Cスイッチ用LED82等のLEDの発光輝度は、LEDに供給する電流のデューティを変更することで可変とすることができる。
HUDユニット83の場合、上述したオンガラス表示部800と同様の表示を表示画像により実現してもよい。なお、このような構成の場合、窓ガラス110の構成要素としての出力部8は、上述したオンガラス表示部用LED80に加えて、HUDユニット83の構成要素であるコンバイナ60を含むことになる。
このようにして本実施形態によれば、窓ガラスシステム100は、運転者等の乗員に、吸放湿性膜120に係る各種情報を出力(報知)する出力部8を含むので、乗員は、吸放湿性膜120の状態を容易に把握できる。
従って、以下で説明するように、吸放湿性膜120に曇りが生じないように制御装置150Cが乾燥手段を自動的に作動/停止(又は乾燥手段の乾燥能力を自動的に増減)させる構成又はオートモードにおいては、乗員は、乾燥手段が自動的に作動したり停止したりした際に(又は乾燥手段の乾燥能力が自動的に増減する際に)、その理由を、出力部8を介して、容易に把握できる。また、吸放湿性膜120に曇りが生じないように乗員に乾燥手段の作動/停止操作(又は乾燥手段の乾燥能力を増減操作)を促す構成又はマニュアルモードにおいては、乗員は、出力部8を介して、乾燥手段が作動したり停止したりする適切なタイミング(又は乾燥手段の乾燥能力を増減する適切なタイミング)を、容易に把握できる。換言すると、出力部8は、乾燥手段の作動の開始タイミングや終了タイミング(又は乾燥手段の作動時における乾燥能力の増減タイミング)に係る推奨タイミングを乗員に知らせる機能を有する。
なお、以下では、主に、吸放湿性膜120に曇りが生じないように制御装置150Cが乾燥手段を自動的に作動/停止(又は乾燥手段の乾燥能力を自動的に増減)させる構成又はオートモードについて説明するが、出力部8は、上述したように、吸放湿性膜120に曇りが生じないように乗員に乾燥手段の作動/停止操作(又は乾燥手段の乾燥能力を増減させる増減操作)を促す構成や、オートモードとマニュアルモードが選択可能な構成に対しても適用可能である。また、以下では、主に、吸放湿性膜120に曇りが生じないように制御装置150Cが乾燥手段を自動的に作動/停止させる構成について説明するが、乾燥手段の乾燥能力が可変である場合には、乾燥手段の乾燥能力を自動的に増減させる構成にも同様に適用可能である。例えば、後述するように乾燥手段が、デフロスタ20、電熱線130又は電熱膜を含む場合、乾燥手段の乾燥能力は、デフロスタ20及び電熱線130のうちのいずれか一方だけを作動させる場合と、デフロスタ20及び電熱線130の双方を作動させる場合とで変化する。また、デフロスタ20の作動時のブロアモータの出力を変化させることで、乾燥手段の乾燥能力を変化させることも可能である。
次に、制御装置150Cが乾燥手段を作動及び停止するタイミングについて説明する。
吸放湿性膜120は、温度と湿度に応じて吸水できる量(吸水性能が飽和する量(飽和吸水量))が変動する。吸放湿性膜120は、吸水量が飽和吸水量を超えると曇り始める。すなわち、吸放湿性膜120は、吸放湿性膜120が設けられていない窓ガラスに比べて、曇りが生じるタイミングを遅らせることができる。
制御装置150Cは、温度センサ150Aによって検出されるガラス温度、及び温湿度センサ150Bによって検出される移動体の室内の温度及び湿度から、吸放湿性膜120に曇りが発生すると予想されるまでの残り時間を算出する。残り時間があらかじめ設定した時間に到達すると、制御装置150Cは乾燥手段を作動させる。乾燥手段は、デフロスタ20、電熱線130又は電熱膜を含む。なお、デフロスタ20については、制御装置150Cは、ECU170を介して作動させることができる。
また、制御装置150Cは、乾燥手段を作動してから所定の時間が経過すると、乾燥手段を停止する制御を行う。電熱線130又は電熱膜を通電状態にしてガラス温度を上昇させると、吸放湿性膜120に吸収されている水分が放出されて吸放湿性膜120の吸水量が低下する。デフロスタ20をオンにすると、同様に吸放湿性膜120の吸水量が低下する。
このため、制御装置150Cが乾燥手段を作動してから停止するまでの所定時間は、例えば、吸放湿性膜120の吸水量が電熱線130を通電状態にする前の所定割合以下(例えば70%以下)になるような時間に設定することができる。
また、例えば、吸放湿性膜120の吸水量が最大量である場合に、電熱線130を通電状態にする前の所定割合以下(例えば70%以下)になるような時間に設定すれば、どのような吸水量である場合においても、当分の間、吸放湿性膜120に曇りが生じない状況にすることができる。
次に、吸放湿性膜120の曇りの発生を推測する方法について説明する。吸放湿性膜120の曇りの発生を推測するには、吸放湿性膜120全体の吸水状態を指標とするよりも、吸放湿性膜120の最表面における相対吸水率FRHを指標とした方が、急激な温度及び湿度の変化による過渡応答条件や、低温下で水分吸収速度が遅くなっている条件でも、曇りが生じるタイミングをより正確に推測できる。すなわち、本願発明は、吸放湿性膜120に付着した全ての水分量を指標とするのではなく、吸放湿性膜120の最表面における相対吸水率を指標とすることを特徴とする。
吸放湿性膜120の材料中の水分拡散係数は、温度の関数であり、ガラス基板が低温になると拡散係数は小さくなる。
水分拡散係数は、材料中の水分の活性化エネルギーの関数であり、JIS7209-2000(ISO62-1999) プラスチック-吸水率の求め方などの計測方法により、複数の異なる温度での拡散係数を求めることができる。
吸放湿性膜120の最表面における水分吸収速度は、ある温度と湿度とを有する空気の水蒸気圧と、ある温度と吸水率とを有する吸放湿性膜120の最表面の水蒸気圧との差によって決まる。
吸放湿性膜120を備えない通常のガラスでは、単純に、ガラス温度が、ある温度と湿度とを有する空気の露点以下になると曇りが生じる。これに対して、吸放湿性膜120では、車室内の空気から吸放湿性膜120の最表面に向かう水分吸収速度の方が、吸放湿性膜120の最表面から内部に向かう水分拡散速度より大きい場合は、吸放湿性膜120が吸水飽和していなくても表の最表面が飽和してしまうことで曇りが生じる。
吸放湿性膜120が曇っている状態では、吸放湿性膜120の最表面の相対吸水率FRHがほぼ100%に到達しているものの、膜内の相対吸水率FRHが100%に達しておらず、水分を吸収する余地が残っていることが一般的である。また、吸放湿性膜120が乾燥(放湿)する過程では、吸放湿性膜120の最表面が乾燥状態になっているが、吸放湿性膜120の膜内の相対吸水率FRHが最表面の相対吸水率FRHよりも高い状態であることが一般的である。
車両10に多人数が乗り込んで車室内の湿度が急激に上昇した条件や、低温のため飽和水蒸気圧が低くて吸放湿性膜120の水分吸収速度が低い条件では、吸放湿性膜120の最表面に曇りが生じても、膜内の相対吸水率FRHが70%程度である場合がある。
車両10に乗員が乗り込む直前は、吸放湿性膜120の相対吸水率FRHは、車室内の空気の湿度と平衡状態になっている。すなわち吸放湿性膜120の水蒸気圧は、車室内の水蒸気圧と等しい。また、吸放湿性膜120の最表面から最深部まで等しい水蒸気圧になっている。ガラス温度と車室内の温度とが異なる場合でも、そのガラス温度における膜内水蒸気圧は、室温での水蒸気圧と等しく平衡になっている。
以上の考え方により、吸放湿性膜120の最表面、膜中(膜内)、最深部におけるΔt時間後の水分濃度分布をフィックの法則(濃度勾配の拡散方程式)で予測する。同条件(ガラス温度と車室内の温度及び湿度とが変化しない状態)が例えば10分間続いた場合の10分先までの水分濃度分布を計算する。
吸放湿性膜120の最表面の相対吸水率FRHをモニターして100%になったところを曇り発生と判断する。ここで、吸放湿性膜120の最表面の相対吸水率FRHは、吸放湿性膜120の最表面の吸水質量濃度FDを飽和吸水質量濃度FWで除算することで得られる。このように、本願発明は、吸放湿性膜120の最表面における相対吸水率を将来にわたり予測することも特徴とする。
曇りが発生すると予想される時点までの残り時間をあらかじめ設定した残り時間(例えば30秒)に設定し、残り時間がゼロになった時点で、電熱線130又は電熱膜を通電状態にする、又は、デフロスタ20を作動することで、吸放湿性膜120を乾燥するモードにする。
電熱線130又は電熱膜を通電状態にすると、残り時間は例えば10分以上になるので、吸放湿性膜120の最表面の相対吸水率FRHがあらかじめ設定した相対吸水率(例えば80%)になるまで電熱線130又は電熱膜を通電状態にし、最表面の相対吸水率FRHが80%未満になった時点で電熱線130又は電熱膜を非通電状態にする。これは、デフロスタ20を作動する場合も同様である。
次に、車室内の空気と吸放湿性膜120の最表面との界面における曇りの発生について説明する。車室内の空気と吸放湿性膜120の最表面との界面での水蒸気の流れは次の手順で計算する。
ここで、水蒸気の分子量を18として、水蒸気の1モルあたりの気体定数(8.3144598[J/K/mol])を1キログラムあたりに換算すると、気体定数Rは461.5149[J/K/kg]である。水の比熱Cwを1007[J/K/kg]、室温で無風の自然対流状態における水蒸気の熱伝達率Hを4.2[W/m/K]、室温Troom[℃]、車室内の雰囲気中の水蒸気圧ES[Pa]とする。
空気密度ρairは次式で表される。
ρair=(1.2923/(1+0.00366×T))×((101325-0.378×ES)/101325)[kg/m
大気圧における空気の水拡散係数Dairの実験式は次式で表される。
Dair=0.241×((Troom+273.15)/288)1.75×10-4[m/s]
空気の熱拡散係数TDairは次式で表される。
TDair=(0.1356×Troom+18.51)×10-6[m/s]
熱伝達率から換算した無風状態の水面上の蒸気圧差に応じた水分蒸発速度Hwaterは次式で表される。Hwater=H×(Dair/TDair)(2/3)/(R×Cw×(Troom+273.15)×Dair)[kg/s/m/Pa]
ある相対湿度の空気と平衡状態にある吸放湿性膜120の最表面の相対吸水率FRHは、空気の相対湿度とほぼ等しい。空気の飽和水蒸気圧は、低温になると大幅に低下するが、吸放湿性膜120の飽和吸水質量濃度FWはほぼ一定で水蒸気圧だけ低下する。
ここで、空気の相対湿度RH[%]、飽和水蒸気圧EW[Pa]を用いると、車室内の空気の水蒸気圧ES[Pa]は次式で表される。ES=EW×RH
また、吸放湿性膜120の吸水質量濃度FD[kg/m]、吸放湿性膜120の飽和吸水質量濃度FW[kg/m]を用いると、吸放湿性膜120の最表面の相対吸水率FRH[%]は次式で表される。FRH=FD/FW
また、ガラス111のある温度における空気の飽和水蒸気圧EWF[Pa]とすると、吸放湿性膜120の水蒸気圧Fsは次式で表される。Fs=EWF×FRH[Pa]
吸放湿性膜120の最表面での水分移動量FWS(Flow Water Surface)[kg/m/s]は次式で表される。FWS=(ES-Fs)×Hwater
吸放湿性膜120の膜内の水分拡散係数D[m/s]は次のように求めることができる。吸放湿性膜120の最表面での水蒸気の拡散活性化係数α、気体定数R(=461.5149)[J/K/kg]、膜内の水分活性化エネルギーeFilm(=2.8×106)[J]、ガラス温度Tg[K]とすると、水分拡散係数Dは次式で表される。D=α×Exp(-eFilm/R/(Tg+273.15))
吸放湿性膜120の吸水質量濃度分布FD(x,t)[kg/m]の非定常解析を、以下の拡散方程式を用いて差分法で解析する。
∂FD(x)/∂t=D×∂FD(x)/∂x+FWS (x=0)
∂FD(x)/∂t=D×∂FD(x)/∂x (0<x<d)
∂FD(x)/∂t=0 (x=d)
非定常解析は、無次元の吸水体積濃度U(x,t)で解く。吸放湿性膜120の吸水質量濃度FD(x,t)は、下式で与えられる。ここでCは水の密度であり1000[kg/m]とする。FD(x,t)=U(x,t)×C[kg/m
また、非定常解析は、膜厚xが0[m]~d[m]の範囲で行う。例えば、吸放湿性膜120を厚さ方向に等分割して取り扱う。例えば、吸放湿性膜120の膜厚が20μmである場合、厚さ方向に最上層~最下層まで2μmおきに10分割する。FD(x=0,t)は、吸放湿性膜120の空気と接する最上層における吸水質量濃度である。FD(x=d,t)は、吸放湿性膜120のガラス111と接する最下層における吸水質量濃度である。差分解析では、例えば、吸放湿性膜120の最上層における吸水質量濃度FD(x=0,t)について、一定時間評価する。また、時間t=0[s]は、吸放湿性膜120の最上層における吸水質量濃度を予測する時刻を表す。なお、本願発明において、吸放湿性膜120の最上層は、吸放湿性膜120を厚さ方向に任意の厚さで分割した場合に、空気と接する層を意味する。任意の厚さは、目的に応じて適宜設定される。
非定常解析は、最初に解析を開始した後、継続的に実施することが好ましい。
この偏微分方程式である拡散方程式を解くには、途中で膜の吸水飽和によって最上層に曇りが発生する、解析的に不連続なポイントがあるため、時間に関して前進差分、空間に関して中心差分で、陽解法で計算するのが適切である。
時刻t=0における初期条件の吸水体積濃度U(x,0)[kg/m]は、U(x,0)=U0(0≦x≦d)である。また、境界条件は、最上層での吸水体積濃度の変化U(0,t)、最下層での吸水体積濃度の変化U(d,t)である。なお、U0は膜中の初期の均一な平衡吸水体積濃度[kg/m]である。
陽解法の解の安定性の公式から時間前進差分のdtの制限範囲は下記となる。
dt<dx/2/(Hwater×dx+D)×C×ρ[s]
なお、dx:膜厚を分割する厚さ[m]、Hwater:水分蒸発速度 [kg/s/m/Pa]、D:膜中拡散係数[m/s]、C:水の密度1000[kg/m]、ρ:水の比熱[J/kg/K]である。
吸放湿性膜120の最表面における吸水体積濃度の時刻t+dtにおけるU(x=0,t+dt)は次式で表される。U(0,t+dt)=Hwater/C/ρ×(ES-FW)×dt×dx+(1-1×D/C/ρ×(dt/dx))×U(0,t)+D/C/ρ×(dt/dx)×U(dx,t)
吸放湿性膜120の膜中(表面から深さxの位置)における吸水体積濃度の時刻t+dtにおけるU(x,t+dt)は次式で表される。U(x,t+dt)=D/C/ρ×(dt/dx)×U(x-dx,t)+(1-2×D/C/ρ×(dt/dx))×U(x,t)+D/C/ρ×(dt/dx)×U(x+dx,t)
吸放湿性膜120の最下層(x=d)における吸水体積濃度の時刻t+dtにおけるU(x=d,t+dt)は次式で表される。U(x=d,t+dt)=D/C/ρ×(dt/dx)×U(d-dx,t)+(1-1×D/C/ρ×(dt/dx))×U(dt)
以上より、吸放湿性膜120に曇りが生じないようにするために、例えば次のように制御ユニット150で制御すればよい。
吸放湿性膜120の飽和吸水質量濃度FW[kg/m]と、吸放湿性膜120の最上層の吸水質量濃度FD(x=0)との比較で、FD(x=0)<FWである場合、曇りは生じない。FD(x=0)≧FWになった段階で、吸放湿性膜120の飽和吸水質量濃度FW以上の凝縮水は曇りとなって表面に析出する。
FD(x=0)≧FWとなって、吸放湿性膜120に曇りが生じるまでの時間Ts(吸放湿性膜120の最上層の吸水質量濃度FD(x=0)を予測した時刻から、曇りが発生すると予想される時刻までの所要時間)を求め、時間Tsが例えば30秒以下(Ts≦30[s])、好ましくは時間Tsが10秒以下(Ts≦10[s])になったときに乾燥モードを始動させるようにスイッチ140をオンにして制御装置150Cが電熱線130を通電状態(オン)にする。
FD(x=0)≧FWとなって、吸放湿性膜120に曇りが生じるまでの時間Tsは、以下のように所定時間(例えば10分)に至るまでの吸放湿性膜120の最表面の吸水質量濃度FD(x=0)を予測することにより、算出する。
算出時点から10分(600[s])先までの吸水質量濃度FD(x=0)を予測する計算の、i番目の計算ステップにおける時間ステップdtiは可変であるが、ここでは説明の便宜上一定であることとする。
各時刻ステップt=0、1×dt、2×dt、3×dt、4×dt、5×dt、…、(n-1)×dt、n×dt、(n+1)×dt、…、600[s]において、逐次、吸放湿性膜120の最上層の吸水質量濃度FD(x=0)[kg/m]を算出する。
(n-1)ステップの時刻Tn-1=Σdti(Ii=1~n-1)において、吸放湿性膜120の最上層の吸水質量濃度FD(0,Tn-1)と飽和吸水質量濃度FWには次の関係が成り立つ。FD(0,Tn-1)[kg/m]<FW[kg/m
nステップの時刻Tn=Σdti(i=1~n)において、吸放湿性膜120の最上層の吸水質量濃度FD(0,Tn)と飽和吸水質量濃度FWに次式が成り立つ。吸放湿性膜120の最上層の吸水質量濃度(x=0)を予測した時刻から、時刻Tnまでの所要時間を、吸放湿性膜120に曇りが生じるまでの時間Tsとする。FD(0,Tn)[kg/m]≧FW[kg/m
すなわち、時間Tsが例えば30秒以下(Ts≦30[s])、好ましくは時間Tsが10秒以下(Ts≦10[s])となった時に、制御装置150Cが電熱線130又は電熱膜を通電状態にする。
そして、計算上、吸放湿性膜120の最表面の相対吸水率FRH(x=0)が例えば80%以下(FRH(x=0)≦80%)になった時点で制御装置150Cが電熱線130又は電熱膜を非通電状態にする。
なお、ここでは、一例として吸放湿性膜120を乾燥させるために、電熱線130又は電熱膜を通電状態にする形態について説明したが、電熱線130又は電熱膜を通電状態にすることの代わりに、又は、電熱線130又は電熱膜を通電状態にすることに加えて、デフロスタ20をオンにすること、空調装置の内気循環モードを外気導入モードに切り替えること、又は、加湿器を停止させること等を行ってもよい。
また、吸放湿性膜120に曇りが発生するまでの時間Tsは、最初に解析を開始した後、所定の制御周期で繰り返し算出されることが好ましい。
ところで、上述した制御装置150Cが乾燥手段を作動及び停止するタイミングに関する考え方は、水分移動量FWSといった吸放湿性膜120の吸湿速度又は放湿速度に係るパラメータの値が、ある一定値である場合に好適である。しかしながら、吸放湿性膜120の吸湿速度又は放湿速度は、乗員の数や、乗員の状態(例えば発汗状態)、乗車の際の持ち込み物に含まれる水分量(例えば濡れた傘に付着する水分量)等に応じて変化する。
従って、本実施形態では、更に、このような因子に起因した吸放湿性膜120の吸湿速度又は放湿速度の変化を補償する機能(以下、「吸湿速度補償機能」とも称する)を実現する。具体的には、例えば、上述した吸水質量濃度FDが1人の乗員を想定して算出される場合、乗員が2人以上である場合に、吸放湿性膜120の吸湿速度が高くなることを考慮して、算出された吸水質量濃度FDが、より高い値へと補正されてもよい。あるいは、等価的に、算出された時間Tsが、より短い時間へと補正されてもよいし、算出された時間Tsに比べられる所定閾値に対応する閾値時間TreOn(電熱線130又は電熱膜を通電状態にする際の時間)が、より大きい値へと補正されてもよい。
図5は、制御装置150Cにより実現される各種機能のうちの、吸湿速度補償機能に関連した機能を概略的に示すブロック図である。なお、以下で説明する制御装置150Cにより実現される吸湿速度補償機能の一部又は全部は、ECU170により実現されてもよい。
制御装置150Cは、図5に示すように、パラメータ値取得部500と、イベント検出部502と、タイミング設定部504と、指標値算出部506と、補正部508と、情報出力制御部510とを含む。なお、パラメータ値取得部500から情報出力制御部510の各部は、制御装置150CのCPUが、記憶装置内の1つ以上のプログラムを実行することで、実現できる。
パラメータ値取得部500は、吸放湿性膜120の吸湿速度に影響する所定パラメータの値を取得する。本実施形態では、所定パラメータは、乗員数を含む。これは、乗員が多いほど、乗員から放出される水分量が多くなる傾向があり、吸放湿性膜120の吸湿速度に影響するためである。また、所定パラメータは、乗員の体格を含んでよい。これは、乗員数が同じである場合、乗員の体格が大きいほど、乗員から放出される水分量が多くなる傾向があり、吸放湿性膜120の吸湿速度に影響するためである。また、所定パラメータは、乗員(人)以外の水分発生物(例えば濡れた傘や、濡れた靴、濡れたコート等)の持ち込み有無等を含んでよい。また、所定パラメータは、デフロスタ20の昇温乾燥性能(高温で乾燥した空気をある風速でガラス111に吹き付ける際の昇温乾燥性能)や、電熱線130又は電熱膜の単位面積発熱量(W/m)を含んでもよい。以下では、一例として、所定パラメータは、乗員数のみであるとするが、複数の組み合わせであってもよい。なお、乗員数は、乗車に伴って開閉されたドアの数や、各シートに設けられうる荷重センサからのセンサ情報、シートベルトの着用情報等に基づいて算出(取得)できる。なお、これらの所定パラメータは、吸放湿性膜120の放湿速度にも影響する。
イベント検出部502は、吸放湿性膜120の吸湿速度に影響する所定イベントを検出する。所定イベントは、乗車に関連したイベントであり、例えば大雨や積雪環境におけるドアの開閉イベントを含んでよい。これは、かかる環境下でドアが開閉されると、車室内に有意な量の水分(すなわち吸放湿性膜120の吸湿速度に有意に影響する量の水分)が持ち込まれる可能性が高く、吸放湿性膜120の吸湿速度に影響するためである。また、所定イベントは、温泉やスポーツ施設などで発汗状態にある人が乗車するイベントを含んでよい。このような人が乗車すると、車室内の水分量が比較的急速に増加する可能性が高く、吸放湿性膜120の吸湿速度に影響するためである。なお、温泉やスポーツ施設等のような施設での乗車イベントは、地図データと車両位置情報とに基づいて検出できる。なお、これらの所定イベントは、吸放湿性膜120の放湿速度にも影響する。
タイミング設定部504は、作動開始タイミング設定部5041と、作動終了タイミング設定部5042とを含む。
作動開始タイミング設定部5041は、後述する指標値算出部506(第1指標値算出部5061)により算出される上述した時間Tsと、所定閾値に対応する閾値時間TreOnとの関係に基づいて、乾燥手段の作動開始タイミングを設定する。具体的には、作動開始タイミング設定部5041は、時間Tsが閾値時間TreOnとなった時を、作動開始タイミングとして設定する。この場合、制御装置150Cは、時間Tsが閾値時間TreOnとなった時に、上述したように、電熱線130又は電熱膜を通電状態にする。
作動終了タイミング設定部5042は、指標値算出部506(第2指標値算出部5062)により算出される、上述した吸放湿性膜120の最表面の相対吸水率FRH(x=0)と、所定閾値に対応する所定値βとの関係に基づいて、乾燥手段の作動終了タイミング(電熱線130又は電熱膜を非通電状態にするタイミング)を設定する。具体的には、作動終了タイミング設定部5042は、指標値算出部506により算出される相対吸水率FRH(x=0)が、所定閾値に対応する所定値β以下になった時点を、乾燥手段の作動終了タイミングに設定する。
指標値算出部506は、吸放湿性膜120に曇りが生じるか否かに関連する所定の指標値を算出する。
本実施形態では、指標値算出部506は、第1指標値算出部5061と、第2指標値算出部5062とを含む。
第1指標値算出部5061は、上述した時間Tsを所定の指標値として算出する。時間Tsの算出方法は、上述した通りである。
第2指標値算出部5062は、上述した吸放湿性膜120の最表面の相対吸水率FRH(x=0)を所定の指標値として算出する。相対吸水率FRH(x=0)の算出方法は、上述した通りである。
補正部508は、第1補正部5081と、第2補正部5082とを含む。
第1補正部5081は、パラメータ値取得部500により取得される所定パラメータの値に基づいて、第1指標値算出部5061により算出される時間Ts、及び、閾値時間TreOnのうちの少なくともいずれか一方を補正する。具体的には、第1補正部5081は、パラメータ値取得部500により取得される所定パラメータの値に基づいて、吸放湿性膜120の吸湿速度が高くなるほど作動開始タイミングが早まるように、補正を実行する。
本実施形態では、所定パラメータは乗員数であり、第1補正部5081は、乗員数が多いほど、第1指標値算出部5061により算出される時間Tsが短くなるように、補正を実行してよい。例えば、第1補正部5081は、第1指標値算出部5061により算出された時間Tsに対して、補正係数K1を用いて以下のように、補正後の時間Tsを算出する。
補正後の時間Ts=K1×Ts
この場合、K1は、0から1の間の数値であり、乗員数が多いほど小さい値とされる。
あるいは、等価的に、第1補正部5081は、第1指標値算出部5061による時間Tsの算出過程で補正を実現してもよい。このような補正は、例えば、算出された吸水質量濃度FDや、水分移動量FWS、吸水体積濃度U(x,t)等の補正により実現されてもよい。
また、本実施形態では、所定パラメータは乗員数であり、第1補正部5081は、乗員数が多いほど、閾値時間TreOnが大きい値になるように、閾値時間TreOnに対して補正を実行してもよい。例えば、第1補正部5081は、補正係数K2を用いて以下のように、補正後の閾値時間TreOnを算出する。
補正後の閾値時間TreOn=K2×閾値時間TreOn
この場合、K2は、1より大きい数値であり、乗員数が多いほど大きい値とされる。
また、第1補正部5081は、パラメータ値取得部500により取得される所定パラメータの値に基づいて、第2指標値算出部5062により算出される相対吸水率FRH(x=0)、及び、所定値βのうちの少なくともいずれか一方を補正する。具体的には、第1補正部5081は、パラメータ値取得部500により取得される所定パラメータの値に基づいて、吸放湿性膜120の放湿速度が遅くなるほど作動終了タイミングが遅くなるように、補正を実行する。
本実施形態では、所定パラメータは乗員数であり、第1補正部5081は、乗員数が多いほど、第2指標値算出部5062により算出される相対吸水率FRH(x=0)が大きくなるように、補正を実行してよい。あるいは、等価的に、第1補正部5081は、第2指標値算出部5062による相対吸水率FRH(x=0)の算出過程で補正を実現してもよい。また、本実施形態では、第1補正部5081は、乗員数が多いほど、所定値βが小さい値になるように、所定値βに対して補正を実行してもよい。
他の実施形態では、所定パラメータは、上述したように、デフロスタ20の昇温乾燥性能や、電熱線130又は電熱膜の単位面積発熱量(W/m)を含んでもよい。この場合、乾燥手段の立ち上がり応答速度が速い場合、及び/又は、乾燥速度が高い場合は、時間Tsを短くできる。また、デフロスタ20の除湿エヴァポレーターの立ち上がり速度が遅い場合、及び/又は、電熱線130又は電熱膜の発熱量が小さくガラス昇温速度が低い場合は、時間Tsを長めに調整することとしてもよい。
第2補正部5082は、イベント検出部502による所定イベントの検出結果に基づいて、第1指標値算出部5061により算出される時間Ts、及び、閾値時間TreOnのうちの少なくともいずれか一方を補正する。具体的には、第2補正部5082は、イベント検出部502による所定イベントの検出結果に基づいて、吸放湿性膜120の吸湿速度が高くなるほど作動開始タイミングが早まるように、補正を実行する。
本実施形態では、第2補正部5082は、イベント検出部502により所定イベントが検出された場合、第1指標値算出部5061により算出される時間Tsが短くなるように、補正を実行してよい。なお、第1補正部5081の場合と同様、等価的に、第2補正部5082は、第1指標値算出部5061による時間Tsの算出過程で補正を実現してもよい。あるいは、第2補正部5082は、イベント検出部502により所定イベントが検出された場合、閾値時間TreOnが大きい値になるように、閾値時間TreOnに対して補正を実行してもよい。
また、第2補正部5082は、イベント検出部502による所定イベントの検出結果に基づいて、第2指標値算出部5062により算出される相対吸水率FRH(x=0)、及び、所定値βのうちの少なくともいずれか一方を補正する。具体的には、第2補正部5082は、パラメータ値取得部500により取得される所定パラメータの値に基づいて、吸放湿性膜120の放湿速度が遅くなるほど作動終了タイミングが遅くなるように、補正を実行する。
本実施形態では、第2補正部5082は、イベント検出部502により所定イベントが検出された場合、第2指標値算出部5062により算出される相対吸水率FRH(x=0)が大きくなるように、補正を実行してよい。あるいは、等価的に、第2補正部5082は、第2指標値算出部5062による相対吸水率FRH(x=0)の算出過程で補正を実現してもよい。また、本実施形態では、第2補正部5082は、イベント検出部502により所定イベントが検出された場合、所定値βが小さい値になるように、所定値βに対して補正を実行してもよい。
情報出力制御部510は、上述した出力部8を介して、上述した吸放湿性膜120に係る各種情報を出力する指令を生成する。
具体的には、情報出力制御部510は、作動開始タイミング設定部5041により上述した作動開始タイミングが設定されると、その旨を表す情報を出力部8を介して出力する指令を生成する。この場合、例えばオンガラス表示部800は、作動開始タイミングに合わせて、上述したオンガラス表示部用LED80を点灯させることで、デフロスタ20が作動している状態を表す情報を出力してよい。あるいは、オンガラス表示部800は、作動開始タイミングに近づくにつれて、オンガラス表示部用LED80の点灯色を変化させてもよい。この場合、上述したように、オンガラス表示部用LED80の点灯色は、作動開始タイミングで赤となる態様で、青、黄色、赤の順に変化されてもよい。
そして、情報出力制御部510は、作動終了タイミング設定部5042により上述した作動終了タイミングが設定されると、その旨を表す情報を出力部8を介して出力する指令を生成する。この場合、オンガラス表示部800は、上述したオンガラス表示部用LED80を消灯させることで、デフロスタ20が作動していない非作動状態を表す情報又は当該非作動状態への遷移を表す情報を出力してよい。
なお、ここでは、出力部8の動作について、オンガラス表示部800のオンガラス表示部用LED80についてだけ例示したが、他のデフロスタスイッチ用LED81等の場合も同様であってよい。
このようにして、本実施形態によれば、吸放湿性膜120の吸湿速度が通常的な速度(例えば乗員数が1人であるときの速度)に対して大幅に増加した場合、吸湿速度補償機能が機能する。吸湿速度補償機能が機能すると、上述のように、作動開始タイミングが早まることで又は作動終了タイミングが遅くなることで、吸放湿性膜120に曇りが生じてしまう可能性を効果的に低減できる。
なお、本実施形態において、制御装置150Cは、上述したように吸放湿性膜120の吸湿速度の増加に応じて作動開始タイミングを早めることに加えて、上述したように吸放湿性膜120の放湿速度の減少に応じて乾燥手段の作動終了タイミングを遅らせることを実現しているが、いずれか一方だけを実現してもよい。
なお、本実施形態では、作動終了タイミング設定部5042は、上述したように、第2指標値算出部5062により算出される相対吸水率FRH(x=0)と所定値βとの関係に基づいて、乾燥手段の作動終了タイミングを設定するが、これに限られない。例えば、一の変形例では、作動終了タイミング設定部5042は、第1指標値算出部5061により算出される上述した時間Tsが、所定閾値に対応する閾値時間TreOffよりも大きくなった時点を、作動終了タイミングとして設定してもよい。この場合、第1補正部5081は、パラメータ値取得部500により取得される所定パラメータの値に基づいて、乗員数が多いほど、時間Tsが短くなるように及び/又は閾値時間TreOffが大きい値になるように、補正を実行してもよい。同様に、第2補正部5082は、イベント検出部502により所定イベントが検出された場合、そうでない場合に比べて、時間Tsが短くなるように及び/又は閾値時間TreOffが大きい値になるように、補正を実行してもよい。
なお、上述した例では、指標値算出部506は、指標値として、時間Tsや相対吸水率FRHを算出しているが、以下で説明する図6から図7Bに示す例のように、その他の指標値として、吸水質量濃度FDや、ガラス温度Tgと露点温度Tdewとの温度差ΔT等を算出することも可能である。
次に、図6から図7Bを参照して、制御装置150Cによる動作例について説明する。
図6は、制御装置150Cが実行するメイン処理を表すフローチャートの一例を示す図である。制御装置150Cは、ECUによって電源が投入されると図6の処理をスタートし、電源がオフとなるまで、所定の処理周期ごとに繰り返し実行する。
メイン処理では、制御装置150Cは、まず、初期化処理を実行済みであるか否かを判定する(ステップS600)。初期化処理は、ECUによって電源が投入された直後等に実行される処理であり、各種パラメータやフラグを初期値に設定する処理を含む。初期化処理が実行済みである場合(S600:YES)、ステップS604に進み、初期化処理が実行済みでない場合(S600:NO)、初期化処理を実行する(ステップS602)。初期化処理では、制御装置150Cは、イベント有無確定フラグF1及び乗員数確定フラグF2をそれぞれ初期値“0”にセットし、補正用パラメータ値F3を初期値“1”にセットする。イベント有無確定フラグF1が“0”である状態は、イベント検出部502により所定イベントが検出されたか否かの判定が確定されていない状態に対応する。乗員数確定フラグF2が“0”である状態は、パラメータ値取得部500により所定パラメータの値が取得されていない状態(すなわち乗員数が確定されていない状態)に対応する。補正用パラメータ値F3は、吸放湿性膜120の吸湿速度が高くなるほど大きい値となる。
ついで、制御装置150Cは、イベント有無確定フラグF1が“0”であるか否かを判定する(ステップS604)。イベント有無確定フラグF1が“0”である場合(S604:YES)、ステップS606に進み、制御装置150Cは、それ以外の場合(S604:NO)、ステップS616に進む。
ステップS606に進むと、制御装置150Cは、所定イベントが検出されたか否かを判定し(ステップS606)、今回の処理周期で所定イベントが検出された場合(S606:YES)、補正用パラメータ値F3を“1”だけインクリメントし(ステップS608)、かつ、イベント有無確定フラグF1を“1”にセットし(ステップS610)、ステップS628に進む。他方、今回の処理周期で所定イベントが検出されない場合(S606:NO)、制御装置150Cは、イベント検出終了条件が成立したか否かを判定し(ステップS612)、イベント検出終了条件が成立すると(S612:YES)、イベント有無確定フラグF1を“1”にセットし(ステップS614)、ステップS628に進む。イベント検出終了条件は、任意であるが、例えば初期化処理が実行されてから、イベント検出用時間が経過した場合に成立してよい。なお、イベント検出用時間は、所定イベントが発生したか否かを判定するのに要する通常的な時間に対応してよい。イベント検出終了条件が成立しない場合(S612:NO)は、そのままステップS628に進む。
他方、ステップS616に進むと、制御装置150Cは、乗員数確定フラグF2が“0”であるか否かを判定する(ステップS616)。乗員数確定フラグF2が“0”である場合(S616:YES)、ステップS618に進み、それ以外の場合(S616:NO)、ステップS628に進む。
ステップS618では、制御装置150Cは、2以上の乗員数が検出されたか否かを判定し(ステップS618)、今回の処理周期で2以上の乗員数が検出された場合(S618:YES)、補正用パラメータ値F3を“1”だけインクリメントし(ステップS620)、かつ、乗員数確定フラグF2を“1”にセットし(ステップS622)、ステップS628に進む。なお、変形例では、補正用パラメータ値F3は、乗員数に応じた数や、乗員の体格等に応じて、1より大きい値がインクリメントされてもよい。例えば、補正用パラメータ値F3は、乗員数が多いほど大きい値がインクリメントされ、体格が大きいほど大きい値がインクリメントされてもよい。なお、乗員の体格等は、シートの荷重センサからのセンサ情報等に基づいて判定されてもよい。
他方、今回の処理周期で2以上の乗員数が検出されない場合(S618:NO)、制御装置150Cは、乗員数検出終了条件が成立したか否かを判定し(ステップS624)、乗員数検出終了条件が成立すると(S624:YES)、乗員数確定フラグF2を“1”にセットし(ステップS626)、ステップS628に進む。乗員数検出終了条件は、任意であるが、例えば初期化処理が実行されてから、乗員数検出用時間が経過した場合や、車両の走行が開始された場合等に成立してよい。なお、乗員数検出用時間は、乗員数を判定するのに要する通常的な時間に対応してよい。乗員数検出終了条件が成立しない場合(S624:NO)は、そのままステップS628に進む。
ステップS628に進むと、制御装置150Cは防曇処理を実行する。防曇処理は、例えば、図7Aに示す態様で実現されてもよい。
図7Aは、制御装置150Cが実行する防曇処理(ステップS628)を表すフローチャートの一例を示す図である。図7Bは、制御装置150Cが実行する閾値判定処理を表すフローチャートを示す図である。
図7Aに示す防曇処理(ステップS628)では、制御装置150Cは、補正用パラメータ値F3の今回値に基づいて、閾値設定処理を実行する(ステップS700)。図7Aでは、6種類の所定閾値に対応する閾値時間TreOn、閾値時間TreOff、閾値濃度FDOn、閾値濃度FDOff、閾値温度差DtOn、及び閾値温度差DtOffが利用される。この場合、補正用パラメータ値F3の今回値が初期値“1”である場合、閾値時間TreOn、閾値時間TreOff、閾値濃度FDOn、閾値濃度FDOff、閾値温度差DtOn、及び閾値温度差DtOffは、それぞれ、1人の乗員を想定しかつ所定イベントが発生しないときの通常値が採用される。他方、補正用パラメータ値F3の今回値が1よりも大きい場合は、当該今回値に応じて、閾値時間TreOn、閾値時間TreOff、閾値濃度FDOn、閾値濃度FDOff、閾値温度差DtOn、及び閾値温度差DtOffのうちの少なくともいずれかが補正される。すなわち、上述した補正部508による補正が実現される。
例えば、閾値時間TreOn及び閾値時間TreOffは、それぞれ、補正用パラメータ値F3の今回値が大きいほど大きい値へと補正されてよい。あるいは、閾値時間TreOn及び閾値時間TreOffは、それぞれ、2種類のみ用意され、補正用パラメータ値F3の今回値が1よりも大きい場合は、大きい方の値が利用されてもよい。
また、閾値濃度FDOn及び閾値濃度FDOffは、それぞれ、補正用パラメータ値F3の今回値が大きいほど小さい値へと補正されてよい。同様に、閾値濃度FDOn及び閾値濃度FDOffは、それぞれ、2種類のみ用意され、補正用パラメータ値F3の今回値が1よりも大きい場合は、小さい方の値が利用されてもよい。
また、閾値温度差DtOn及び閾値温度差DtOffは、それぞれ、補正用パラメータ値F3の今回値が大きいほど大きい値へと補正されてよい。同様に、閾値温度差DtOn及び閾値温度差DtOffは、それぞれ、2種類のみ用意され、補正用パラメータ値F3の今回値が1よりも大きい場合は、大きい方の値が利用されてもよい。
このような閾値設定処理を実行すると、制御装置150Cは、ステップS700で設定した各種の所定閾値である閾値時間TreOn、閾値時間TreOff、閾値濃度FDOn、閾値濃度FDOff、閾値温度差DtOn、及び閾値温度差DtOffに基づいて、閾値判定処理を実行する(ステップS702)。
閾値判定処理(ステップS702)は、例えば図7Bに示す態様で実行されてよい。
図7Bに示す閾値判定処理(ステップS702)では、制御装置150Cは、まず、6種類の所定閾値を利用した3系統のそれぞれに係る閾値判定処理の結果を表すパラメータ値sigT、sigF、及びsigDを、それぞれ初期値“0”に設定する(ステップS800)。ついで、制御装置150Cは、温度センサ150A及び温湿度センサ150Bによって検出されるガラス温度、車室内の温度及び湿度を取得する(ステップS802)。そして、制御装置150Cは、ステップS802で得たガラス温度と車室内の温度及び湿度とに基づいて、10分後までの吸放湿性膜120の最表面の吸水質量濃度FDを算出し、上述した時間Tsを算出し、かつ、ガラス温度Tgと露点温度Tdewとの温度差ΔT(=Tg-Tdew)を算出する(ステップS804)。
次に、制御装置150Cは、第1系統に係る閾値判定処理を実行する(ステップS810からステップS818)。具体的には、制御装置150Cは、ステップS804で算出した時間Tsと、ステップS700で設定した閾値時間TreOn及び閾値時間TreOffとの関係に基づいて、パラメータ値sigTの今回値を設定する。図7Bでは、時間Ts≧閾値時間TreOffであるか否かが判定され(ステップS810)、時間Ts≧閾値時間TreOffである場合(S810:YES)、パラメータ値sigT=-1に設定され(ステップS812)、時間Ts≧閾値時間TreOffでない場合(S810:NO)、時間Ts≦閾値時間TreOnであるか否かが判定される(ステップS814)。時間Ts≦閾値時間TreOnである場合(S814:YES)、パラメータ値sigT=1に設定され(ステップS816)、時間Ts≦閾値時間TreOnでない場合(S814:NO)、パラメータ値sigT=0に設定される(ステップS818)。
同様に、制御装置150Cは、第2系統に係る閾値判定処理を実行する(ステップS820からステップS828)。具体的には、制御装置150Cは、ステップS804で算出した吸水質量濃度FDと、ステップS700で設定した閾値濃度FDOn及び閾値濃度FDOffとの関係に基づいて、パラメータ値sigFの今回値を設定する。図7Bでは、吸水質量濃度FD≦閾値濃度FDOffであるか否かが判定され(ステップS820)、吸水質量濃度FD≦閾値濃度FDOffである場合(S820:YES)、パラメータ値sigF=-1に設定され(ステップS822)、吸水質量濃度FD≦閾値濃度FDOffでない場合(S820:NO)、吸水質量濃度FD≧閾値濃度FDOnであるか否かが判定される(ステップS824)。吸水質量濃度FD≧閾値濃度FDOnである場合(S824:YES)、パラメータ値sigF=1に設定され(ステップS826)、吸水質量濃度FD≧閾値濃度FDOnでない場合(S824:NO)、パラメータ値sigF=0に設定される(ステップS828)。
同様に、制御装置150Cは、第3系統に係る閾値判定処理を実行する(ステップS830からステップS838)。具体的には、制御装置150Cは、ステップS804で算出した温度差ΔTと、ステップS700で設定した閾値温度差DtOn及び閾値温度差DtOffとの関係に基づいて、パラメータ値sigDの今回値を設定する。図7Bでは、温度差ΔT≧閾値温度差DtOffであるか否かが判定され(ステップS830)、温度差ΔT≧閾値温度差DtOffである場合(S830:YES)、パラメータ値sigD=-1に設定され(ステップS832)、温度差ΔT≧閾値温度差DtOffでない場合(S830:NO)、温度差ΔT≦閾値温度差DtOnであるか否かが判定される(ステップS834)。温度差ΔT≦閾値温度差DtOnである場合(S834:YES)、パラメータ値sigD=1に設定され(ステップS836)、温度差ΔT≦閾値温度差DtOnでない場合(S834:NO)、パラメータ値sigD=0に設定される(ステップS838)。
制御装置150Cは、このようにして図7Bに示す閾値判定処理(ステップS702)を終了すると、図7Aに示す防曇処理に戻り、閾値判定処理の結果に基づいて、3つのパラメータ値sigT、sigF、及びsigDの各今回値の合計値Sumsig(=sigT+sigF+sigD)を算出し(ステップS704)、デフロスタ20及び電熱線130の最新の状態に基づいて、デフロスタ20又は電熱線130が非作動状態であるか否かを判定する(ステップS706)。
デフロスタ20又は電熱線130が非作動状態である場合(S706:YES)、制御装置150Cは、ステップS704で得た合計値Sumsigが1より大きいか否かを判定する(ステップS708)。Sumsig>1である場合(S708:YES)、デフロスタ20及び電熱線130のうちの、非作動状態である一方又は双方の作動を開始させる(ステップS710)。他方、Sumsig>1でない場合(S708:NO)、そのまま終了する。この場合、デフロスタ20又は電熱線130が非作動状態のままとなる。
他方、デフロスタ20又は電熱線130が非作動状態でない場合(S706:NO)、すなわち、いずれか一方又は双方が作動状態である場合、制御装置150Cは、ステップS704で得た合計値Sumsigが-1より小さいか否かを判定する(ステップS712)。Sumsig<-1である場合(S712:YES)、デフロスタ20及び電熱線130のうちの、作動状態である一方又は双方の作動を終了させる(ステップS714)。他方、Sumsig<-1でない場合(S712:NO)、そのまま終了する。この場合、デフロスタ20及び/又は電熱線130が作動状態のままとなる。
このようにして、図6から図7Bに示す処理によれば、閾値時間TreOnが上述のようにステップS700にて補正用パラメータ値F3に応じて設定されるので、吸放湿性膜120の吸湿速度の増加に伴って時間Tsが比較的短くなる場合でも、遅すぎない適切なタイミングでデフロスタ20及び/又は電熱線130を作動開始させることができる。また、閾値時間TreOnが上述のようにステップS700にて補正用パラメータ値F3に応じて設定されるので、吸放湿性膜120の放湿速度の低減に伴って時間Tsが比較的長くなる場合でも、早すぎない適切なタイミングでデフロスタ20及び/又は電熱線130を作動終了させることができる。
また、閾値濃度FDOnが上述のようにステップS700にて補正用パラメータ値F3に応じて設定されるので、吸放湿性膜120の吸湿速度の増加に伴って吸放湿性膜120の最表面の吸水率が比較的短時間で高くなる場合でも、遅すぎない適切なタイミングでデフロスタ20及び/又は電熱線130を作動開始させることができる。また、閾値濃度FDOffが上述のようにステップS700にて補正用パラメータ値F3に応じて設定されるので、吸放湿性膜120の放湿速度の低減に伴って吸放湿性膜120の最表面の吸水率が比較的長時間をかけて低くなる場合でも、早すぎない適切なタイミングでデフロスタ20及び/又は電熱線130を作動終了させることができる。
また、閾値温度差DtOnが上述のようにステップS700にて補正用パラメータ値F3に応じて設定されるので、吸放湿性膜120の吸湿速度が高くなる場合でも、遅すぎない適切なタイミングでデフロスタ20及び/又は電熱線130を作動開始させることができる。また、閾値温度差DtOffが上述のようにステップS700にて補正用パラメータ値F3に応じて設定されるので、吸放湿性膜120の放湿速度が低くなる場合でも、早すぎない適切なタイミングでデフロスタ20及び/又は電熱線130を作動終了させることができる。
次に、図8乃至図10を参照して、情報取得装置270を備える構成について説明する。
窓ガラス110は、図8乃至図10に示すように、移動体の外の情報を取得する情報取得装置270を備えてもよい。図8乃至図10は、情報取得装置270をガラス111に取り付けるブラケット280及び筐体290の構造を示す図である。図8は、図9におけるA-A矢視断面を示す図であり、図9は正面図である。ここでは、図8に示すように情報取得装置270、ブラケット280、及び筐体290がガラス111に取り付けられた状態における上下方向を用いて説明する。また、図8における左方向が車両の前方であり、右方向が車両の後方である。また、図面を貫通する方向が横方向(側方)であり、図面を表から裏に貫通する方向が右方向であり、図面を裏から表に貫通する方向が左方向である。左と右は、車両10(図1参照)の進行方向に対する左と右である。以下では、前後方向と横方向(側方)を用いて説明する。図8及び図10には、前後左右の方向を示し、図9には、左右の方向を示す。
また、図8では、ガラス111は、ガラス板111B、111Dの間に中間膜111Cが封入された合わせガラスである。ガラス板111Bの車室内側の表面には、着色セラミック層112、電熱線130(図示せず)、吸放湿性膜220、温度センサ150A、温湿度センサ150B、及び風速センサ250Dが取り付けられている。なお、制御装置150Cも取り付けられる場合、制御装置150Cは、情報取得装置270の近傍に設けることが好ましい。情報取得装置270は、日射の影響を受けないように設けられることが多いため、制御装置150Cも同様に、日射の影響を避けることができる。なお、電熱線130は、2枚のガラスの間に存在していてもよい。また、本実施形態の窓ガラスシステム100において、電熱線130を電熱膜に代えてもよい。
着色セラミック層112は、ブラケット280が取り付けられる部分に、ガラス111を正面から見て矩形環状に取り付けられている。
吸放湿性膜220は、ガラス111のガラス板111Bの車室内側の表面における、着色セラミック層112で囲まれた領域内の上端側を除いた部分に形成されている。吸放湿性膜220は、情報取得装置270の情報取得部271の正面に位置しており、情報取得部271の正面におけるガラス111の曇りの発生を抑制するために設けられている。
温度センサ150A、温湿度センサ150B、及び風速センサ250Dは、ガラス111のガラス板111Bの車室内側の表面における、着色セラミック層112で囲まれた領域内で、吸放湿性膜220を避けて設けられている。一例として、温度センサ150A、温湿度センサ150B、及び風速センサ250Dは、吸放湿性膜220よりも上側に設けられている。風速センサ250Dとしては、熱線式風速計や超音波式風速計を用いることができる。
情報取得装置270としては、カメラなどの撮像装置、及び、レーダー又は光ビーコン等の信号を受信する受光装置等が挙げられる。情報取得装置270は、ブラケット280及び筐体290を介してガラス111に固定される。ブラケット280及び筐体290は、取り付け部材の一例である。情報取得装置270は、情報取得部271を有し、情報取得部271で画像や、レーダー又は光ビーコン等の信号を取得することで、車両10の前方の情報を取得する。ガラス111のうち、情報取得部271の正面の領域は、情報取得領域の一例である。吸放湿性膜220は、少なくともガラス111の情報取得領域に設けられることになる。
ブラケット280は、矩形環状の枠状の部材であり、前方の上面側に凹部281を有する。ブラケット280は、一例として樹脂製である。
筐体290は、図10に示すように、矩形板状の底部291、三角板状の側壁292、及び矩形板状の背面壁293を有する。側壁292は、底部291の側方から上方向に延在しており、背面壁293は、底部291の後方から上方向に延在している。底部291、側壁292、及び背面壁293で囲まれた空間は、収納部294であり、背面壁293の前側の表面に固定される情報取得装置270は、収納部294内に位置する。筐体290は、一例として樹脂製である。
このような筐体290は、底部291の前端と、側壁292及び背面壁293の上端とがブラケット280の下面に接着され、更にブラケット280が接着層285を介してガラス111のガラス板111Bの車室内側の表面にある着色セラミック層112に貼り付けられている。接着層285は、ブラケット280の矩形環形状に沿って分断されており、また、ブラケット280の凹部281の部分には設けられていない。
筐体290が接着されたブラケット280を接着層285でガラス板111Bの車室内側の表面に取り付けると、ブラケット280の凹部281とガラス板111Bの車室内側の表面との間には隙間が生じる。また、ブラケット280の凹部281以外の部分とガラス板111Bの車室内側の表面との間には、接着層285で接着されていない区間において、隙間が生じる。
このような隙間から筐体290の収納部294には、車室内側の空気が流入する。特に、凹部281の部分の隙間は大きく、前方の斜め下方向を向いているため、収納部294には、例えば空気調節装置で調温された空気が流入する。
このため、風速センサ250Dで空気調節装置による風の風速を検出することができる。
また、温度センサ150Aで、ガラス111の近くにおける温度を検出でき、温湿度センサ150Bで、取り付け部材に囲まれた空間の温度及び湿度を検出できる。
また、デフロスタ20をオンにすると、デフロスタ20で除湿された空気は、凹部281から収納部294内に流入し、吸放湿性膜220に吹き付けられ、凹部281以外の隙間から流出するため、吸放湿性膜220の最上層の吸水質量濃度FD(x=0)が効率的に下がり、デフロスタ20の稼働時間を短くできる。
温度センサ150A及び温湿度センサ150Bは、接着層285が分断された区間の隙間の近傍に設けられることが好ましい。温度センサ150A及び温湿度センサ150Bが、接着層285が分断された区間の隙間の近傍に設けられることで、吸放湿性膜220の最上層の吸水質量濃度FD(x=0)を正しく算出できる。温度センサ150A及び温湿度センサ150Bが設けられる位置は、隙間から平面視で半径50mm以内であることが好ましく、40mm以内であることがより好ましく、30mm以内であることが特に好ましい。
また、風速センサ250Dを用いれば、熱伝達率Hを求める式を、車室内の風速V[m/s]を考慮して熱伝達率Hを求める以下の式に置き換えて、吸放湿性膜220に曇りが生じるまでの時間Tsを算出することができる。H=5.8+4.2V [W/m/K]
風速センサ250Dは、デフロスタ20で除湿された空気が通過する部分に設けられることが好ましい。このため、ここでは一例として、風速センサ250Dは、温度センサ150A及び温湿度センサ150Bよりもブラケット280の凹部281に近い側に設けられている。また、風速センサ250Dは、接着層285が分断された区間の隙間の近傍に設けられている。
風速センサ250Dが隙間の近傍に設けられることで、吸放湿性膜220の最上層の吸水質量濃度FD(x=0)を更に正しく算出できる。風速センサ250Dが設けられる位置は、接着層285が分断された区間の隙間から平面視で半径100mm以内であることが好ましく、80mm以内であることがより好ましく、50mm以内であることが特に好ましい。
なお、図8乃至図10に示すブラケット280の代わりに、図11に示すブラケット280Mを用いてもよい。図11は、実施形態の変形例によるブラケット280Mを示す図である。
ブラケット280Mは、開口部281Mを有する。このようなブラケット280Mを用いれば、ブラケット280M及び筐体290で囲まれる空間内に、デフロスタ20で乾燥された空気が流入するので、図8乃至図10に示すブラケット280を用いる場合と同様に、吸放湿性膜220の最上層の吸水質量濃度FD(x=0)が効率的に下がり、デフロスタ20の稼働時間を短くできる。また、風速センサ250Dを用いれば、熱伝達率Hを求める式を、車室内の風速V[m/s]を考慮して熱伝達率Hを求める式に置き換えて、吸放湿性膜220に曇りが生じるまでの時間Tsを算出することができる。
以上、本発明の例示的な実施形態の窓ガラスシステム及び窓ガラスについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
8 出力部
100 窓ガラスシステム
110 窓ガラス
111 ガラス
111A 中央部
112 着色セラミック層
120 吸放湿性膜
130 電熱線
140 スイッチ
150 制御ユニット
150A 温度センサ
150B 温湿度センサ
150C 制御装置
160H 電源
160L 電源

Claims (17)

  1. 移動体に取り付けられるガラスと、
    前記ガラスの室内側表面に設けられ、前記移動体の室内の温度及び湿度に応じて水分を吸収し放出する吸放湿性膜と、
    前記ガラスの室内側表面の温度を検出する温度センサと、
    前記移動体の室内の温度及び湿度を検出する温湿度センサと、
    前記吸放湿性膜に吸収された水分を放出させる乾燥手段と、
    前記温度センサにより検出されるガラス温度と、前記温湿度センサにより検出される室内の温度及び湿度とに基づいて、前記吸放湿性膜に曇りが生じないように前記乾燥手段を作動させる制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記吸放湿性膜の吸湿速度又は放湿速度に応じて、前記乾燥手段の作動の開始タイミング、終了タイミング、前記乾燥手段の作動時における乾燥能力の増減タイミング、及びこれらの推奨タイミングのうちの、少なくともいずれか1つのタイミングを変化させる、窓ガラスシステム。
  2. 前記制御装置は、
    前記吸放湿性膜の吸湿速度に影響する所定パラメータの値を取得する取得部と、
    前記温度センサにより検出されるガラス温度と、前記温湿度センサにより検出される室内の温度及び湿度と、前記取得部により取得される前記所定パラメータの値とに基づいて、前記少なくともいずれか1つのタイミングを設定する設定部とを含む、請求項1記載の窓ガラスシステム。
  3. 前記制御装置は、
    前記温度センサにより検出されるガラス温度と、前記温湿度センサにより検出される室内の温度及び湿度とに基づいて、前記吸放湿性膜に曇りが生じるか否かに関連する所定の指標値を算出する算出部と、
    前記取得部により取得される前記所定パラメータの値に基づいて、前記算出部により算出される前記指標値及び所定閾値のうちの少なくともいずれか一方を補正する補正部とを更に含み、
    前記設定部は、前記算出部により算出される前記指標値と前記所定閾値との関係であって、前記補正部による補正後の関係に基づいて、前記少なくとも1つのタイミングを設定する、請求項2記載の窓ガラスシステム。
  4. 前記制御装置は、
    前記吸放湿性膜の吸湿速度に影響する所定イベントを検出する検出部と、
    前記温度センサにより検出されるガラス温度と、前記温湿度センサにより検出される室内の温度及び湿度と、前記検出部による検出結果とに基づいて、前記少なくともいずれか1つのタイミングを設定する設定部とを含む、請求項1記載の窓ガラスシステム。
  5. 前記制御装置は、
    前記温度センサにより検出されるガラス温度と、前記温湿度センサにより検出される室内の温度及び湿度とに基づいて、前記吸放湿性膜に曇りが生じるか否かに関連する所定の指標値を算出する算出部と、
    前記検出部により前記所定イベントが検出された場合に、前記算出部により算出される前記指標値及び所定閾値のうちの少なくともいずれか一方を補正する補正部とを更に含み
    前記設定部は、前記算出部により算出される前記指標値と前記所定閾値との関係であって、前記補正部による補正後の関係に基づいて、前記少なくとも1つのタイミングを設定する、請求項4記載の窓ガラスシステム。
  6. 前記移動体の乗員に対して前記推奨タイミングを知らせる出力部を更に備える、請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の窓ガラスシステム。
  7. 前記出力部は、前記ガラスに設けられる、請求項6記載の窓ガラスシステム。
  8. 前記出力部は、光発生部を含む、請求項7記載の窓ガラスシステム。
  9. 前記光発生部は、光の色、光るパターン、及び輝度のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、前記推奨タイミングを知らせる、請求項8記載の窓ガラスシステム。
  10. 前記光発生部は、現時点から前記推奨タイミングまでの時間に応じて、光の色、光るパターン、及び輝度のうちの少なくともいずれか1つを変化させる、請求項9記載の窓ガラスシステム。
  11. 移動体に取り付けられるガラスと、
    前記ガラスの室内側表面に設けられ、前記移動体の室内の温度及び湿度に応じて水分を吸収し放出する吸放湿性膜と、
    前記ガラスに設けられ、前記吸放湿性膜の状態を表す情報を出力する出力部とを備える、窓ガラス。
  12. 前記出力部は、光発生部を含む、請求項11記載の窓ガラス。
  13. 前記光発生部は、光の色、光るパターン、及び輝度のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、前記吸放湿性膜に曇りが生じないように作動可能な乾燥手段の作動の開始タイミング、終了タイミング、前記乾燥手段の作動時における乾燥能力の増減タイミングのうちの、少なくともいずれか1つに係る推奨タイミングを、前記吸放湿性膜の状態を表す情報として出力する、請求項12記載の窓ガラス。
  14. 前記光発生部は、現時点から前記推奨タイミングまでの時間に応じて、光の色、光るパターン、及び輝度のうちの少なくともいずれか1つを変化させる、請求項13記載の窓ガラス。
  15. 前記光発生部は、前記ガラスにおける幅方向の中心よりも助手席側に設けられる、請求項12から14のうちのいずれか1項に記載の窓ガラス。
  16. 前記ガラスの室内側表面の温度を検出する温度センサと、
    前記移動体の室内の温度及び湿度を検出する温湿度センサとを更に備え、
    前記温度センサ及び前記温湿度センサは、前記ガラスの上部であって前記吸放湿性膜の上縁よりも上側に配置される、請求項11から15のうちのいずれか1項に記載の窓ガラス。
  17. 吸放湿性膜の状態を表す情報を出力する出力部を備え、
    前記吸放湿性膜は、移動体に取り付けられるガラスの室内側表面に設けられ、前記移動体の室内の温度及び湿度に応じて水分を吸収し放出する、表示装置。
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