JP2023167531A - 光学積層体及び物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動前後における色変化が目視で目立ちにくい、光学積層体及び物品を提供することを目的とする。【解決手段】この光学積層体は、透明基材とハードコート層と密着層と光学機能層と防汚層とが順に積層され、ショアD硬度が40で直径が0.8mmの摺動具を用いて、荷重250gで500往復の摺動試験をした際に、摺動箇所の摺動前後のL*a*b*表色系におけるb*値の変化量Δb*の絶対値が1.9以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体及び物品に関する。
例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)、タッチパネル、太陽電池等の表面に、反射防止用の光学積層体を設けることがある。画像は、光学積層体を介して視認されるため、光学積層体が視認性に悪影響を及ぼさないことが求められている。また光学積層体は、各種操作機器のタッチパネル化に伴い、耐擦傷性の向上も求められている。
例えば、特許文献1には、CIE-Lab表色系におけるa値とb値の差を2以上にすることで、ディスプレイの色むらを低減できることが記載されている。
例えば、特許文献2には、最外層となる低屈折率層の組成を最適化することで、耐ペン摺動性を高めることができることが記載されている。
例えば、特許文献3には、ひっかき傷や指紋に伴って生じる表面欠陥の視認性を低下させることができる反射防止コーティングを有する物品が記載されている。
例えば、特許文献4には、耐擦傷性層を有し、耐久性及び耐擦傷性に優れる物品が記載されている。
特開2019-28364号公報 特開2004-86196号公報 特開2020-126278号公報 特許第6761348号公報
ペンタッチ方式のタッチパネルの場合、光学積層体の表面をペンが摺動する。ペンが摺動した後の摺動跡が視認性を低下させる場合がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、摺動前後における色変化が目視で目立ちにくい、光学積層体及び物品を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる光学積層体は、透明基材とハードコート層と密着層と光学機能層と防汚層とが順に積層され、ショアD硬度が40で直径が0.8mmの摺動具を用いて、荷重250gで500往復の摺動試験をした際に、摺動箇所の摺動前後のL表色系におけるb値の変化量Δb値の絶対値が1.9以下である。
(2)上記態様にかかる光学積層体において、前記光学機能層は、前記密着層に近い側から順に、第1高屈折率層と第1低屈折率層と第2高屈折率層と第2低屈折率層とを備え、前記第1高屈折率層と前記第2高屈折率層のそれぞれは、前記第1低屈折率層と前記第2低屈折率層のそれぞれより屈折率が高く、前記第1高屈折率層の物理膜厚は、10nm以上20nm以下であり、前記第1低屈折率層の物理膜厚は、2nm以上15nm以下であり、前記第2低屈折率層の物理膜厚は、70nm以上85nm以下であってもよい。
(3)上記態様にかかる光学積層体において、前記光学機能層は、前記密着層に近い側から順に、第1高屈折率層と第1低屈折率層と第2高屈折率層と第2低屈折率層とを備え、前記第1高屈折率層と前記第2高屈折率層のそれぞれは、前記第1低屈折率層と前記第2低屈折率層のそれぞれより屈折率が高く、前記第1高屈折率層の光学膜厚は、20nm以上48.8nm以下であり、前記第1低屈折率層の光学膜厚は、2.9nm以上21.9nm以下であり、前記第2低屈折率層の光学膜厚は、102nm以上124.1nm以下であってもよい。
(4)上記態様にかかる光学積層体において、前記光学機能層の物理膜厚の総厚は、170nm以上220nm以下でもよい。
(5)上記態様にかかる光学積層体において、前記光学機能層の光学膜厚の総厚は、320nm以上410nm以下でもよい。
(6)上記態様にかかる光学積層体において、前記防汚層の物理膜厚は、2nm以上10nm以下でもよい。
(7)上記態様にかかる光学積層体において、前記光学機能層がスパッタリング膜でもよい。
(8)上記態様にかかる光学積層体において、前記防汚層が蒸着膜でもよい。
(9)上記態様にかかる光学積層体において、前記防汚層はフッ素化合物を含んでもよい。
(10)第2の態様にかかる物品は、上記態様にかかる光学積層体を備える。
上記態様にかかる光学積層体及び物品は、摺動前後における色変化が目視で目立ちにくい。
第1実施形態に係る光学積層体の一例の断面図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「光学積層体」
本実施形態に係る光学積層体10は、ショアD硬度が40で直径が0.8mmの摺動具を用いて、荷重250gで500往復の摺動試験をした際に、摺動箇所の摺動前後のL表色系におけるb値の変化量Δbの絶対値が1.9以下である。
摺動試験は、以下の手順で行う。まず、光学積層体10の防汚層5が表面にくるように、透明粘着剤シート(リンテック株式会社製)を用いて、1mm厚のガラスに貼合する。そして、ポリアセタール製のペン(先端形状が0.8mmφ、ショアD硬度が40)を用いて、摺動試験機(井本製作所製)を用いて直線的に摺動試験を行う。荷重は250gf、摺動回数は1000回(500回往復)、往復距離は50mm、往復の速さは1秒間に2回(1往復)摺動する。
表色系において、Lは明度を表し、a値およびb値は色度を示す。a値およびb値の絶対値が大きい座標の色であるほど彩度が大きい。すなわち、a値およびb値の絶対値が大きい座標の色であるほど鮮やかな色であり、a値およびb値の絶対値が小さい座標の色であるほど無彩色に近い色である。+aの座標は赤方向の色相であり、-aの座標は緑方向の色相であり、+bの座標は黄方向の色相であり、-bの座標は青方向の色相である。色彩測定は、標準光源D65による波長380nm~780nmの光を用いて行う。摺動前後のL値、a値、b値の測定に於ける、測定表面に対する光の入射角は0°とした。
摺動前後のL表色系におけるb値の変化量Δbの絶対値が1.9以下だと、ペン摺動試験後に、摺動跡が視認しにくい。色度を表すパラメータは、上述のようにa値とb値とがあるが、摺動前後の視認性に与える影響が大きいのはb値であった。b値の変化量Δbの絶対値の変化幅が小さいほど、視認性に与える影響は小さい。b値の変化量Δbの絶対値は、好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.3以下である。
摺動前後のL表色系におけるa値の変化量Δaの絶対値は、好ましくは3.8以下であり、より好ましくは2.8以下であり、さらに好ましくは2.4以下である。変化量Δaが小さいほど、摺動に伴う視認性の低下を起こしにくい。なお、摺動前後のa値の変化量Δaは、b値の変化量Δbの絶対値より視認性に与える影響は小さい。
また光学積層体10の摺動前後の色差ΔEabは、例えば3.4以下であり、好ましくは3.2以下であり、より好ましくは2.9以下であり、さらに好ましくは2.8以下である。摺動前後の色差ΔEabは、ΔEab=(ΔL*2+Δa*2+Δb*21/2で表される。ここでΔLは摺動前後の明度の変化量ΔLであり、Δaは摺動前後のa値の変化量であり、Δbは摺動前後のb値の変化量である。
また本実施形態に係る光学積層体10は、好ましくは、入射角5°で入射した際の反射光のL表色系におけるb値と、入射角45°で入射した際の反射光のL表色系におけるb値と、の間の変化量Δbの絶対値が6.0以下である。色彩測定は、標準光源D65による波長380nm~780nmの光を用いて行う。
前述の通り、+aの座標は赤方向の色相であり、-aの座標は緑方向の色相であり、+bの座標は黄方向の色相であり、-bの座標は青方向の色相である。一方、視感度に与える影響が高い可視光の波長の中心は565nm近傍にあり、これはL表色系に於いては-aかつ+bの座標にあり、黄方向と緑方向からなる座標域の色相である。本実施形態の光学積層体は、入射角の変化による視認上の色相の変化(色むら)を抑制するために、視認しやすい黄方向と緑方向からなる座標方向への色相の変化を抑制し、色むらを視認し難くするものである。
本実施形態にかかる光学積層体は、入射角5°で入射した際の反射光のL表色系におけるb値と、入射角45°で入射した際の反射光のL表色系におけるb値との間の変化量Δbの絶対値が6.0以下であることを満たす。
また、本実施形態に係る光学積層体は、入射角5°で入射した際の反射光のL表色系におけるb値と、入射角45°で入射した際の反射光のL表色系におけるb値とはそれぞれ、好ましくは-20≦b≦10を満たし、より好ましくは-20≦b≦0を満たす。
さらに、本実施形態に係る光学積層体は、入射角5°で入射した際の反射光のL表色系におけるa値と、入射角45°で入射した際の反射光のL表色系におけるa値とはそれぞれ、好ましくは-10≦a≦20を満たし、より好ましくは-3≦a≦6を満たす。
また、さらに入射角5°で入射した際の反射光のL表色系におけるa値と、入射角45°で入射した際の反射光のL表色系におけるa値との間の変化量Δaの絶対値が10以下であることを満たすことが、視認角度を変化させることによる色むらがより視認され難くなる点でより好ましい。またこの時、入射角45°に於けるa*値から入射角5°でのa値を引いた差分が正であることが好ましい。
値は、視感度に与える影響が大きく、物品の色相に影響を及ぼしやすい。視認角度の違いに伴うb値の変化量Δbが小さいと、視認角度を変化させることによる色相の変化が視認されにくくなり、色むらが視認されにくい。
値が-15≦b≦10を満たし、好ましくは-15≦b≦0であることにより、a値の変化が視認されにくくなる。特に、b≦0であることにより、a値の変化が視認されにくくなる。
値が-10≦a≦20を満たし、好ましくは-3≦a≦6を満たすことにより、色むらがより視認しやすい緑方向の色彩の影響を回避することができる。
値の変化量Δbに加えてa*値の変化量△aが小さいと、視認角度を変化させることによる色むらがより一層視認難くなる。
また光学積層体10の光の入射角の違いに伴う色差ΔEabは、例えば19.4以下であり、好ましくは15.2以下であり、より好ましくは13.6以下であり、さらに好ましくは10以下である。光の入射角の違いに伴う色差ΔEabは、入射角5°で入射した際の反射光のL値と入射角45°で入射した際の反射光のL値とからΔEab=(ΔL*2+Δa*2+Δb*21/2で求められる。ここでΔLは光の入射角の違いによる明度の変化量ΔLであり、Δaは光の入射角の違いによるa値の変化量であり、Δbは光の入射角の違いによるb値の変化量である。
図1は、第1実施形態に係る光学積層体10の一例の断面図である。光学積層体10は、透明基材1とハードコート層2と密着層3と光学機能層4と防汚層5とが順に積層されている。
(透明基材)
透明基材1は、可視光域の光を透過可能な透明材料からなる。透明基材1は、例えば、プラスチックフィルムである。プラスチックフィルムの構成材料は、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、である。透明基材1は、無機基材であって、ガラスフィルムでもよい。
透明基材1の構成材料は、好ましくは、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂である。透明基材1は、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)基材又はトリアセチルセルロース(TAC)基材が好ましい。
なお、本発明でいう「透明材料」とは、本発明の効果を損なわない範囲で、使用波長域の光の透過率が80%以上の材料であることをいう。また、本実施形態において「(メタ)アクリル」は、メタクリル及びアクリルを意味する。
透明基材1は、光学特性を著しく損なわない限りにおいて、補強材料を含んでいてもよい。補強材料は、例えば、セルロースナノファイバー、ナノシリカ等である。
透明基材1は、光学的機能および/または物理的機能が付与されたフィルムであっても良い。光学的および/または物理的な機能を有するフィルムは、例えば、偏光板、位相差補償フィルム、熱線遮断フィルム、透明導電フィルム、輝度向上フィルム、バリア性向上フィルム、レンズシートなどである。またこれらのフィルムに帯電防止機能を付与してもよい。
透明基材1の厚みは、特に限定されないが、例えば25μm以上であり、好ましくは40μm以上である。透明基材1の厚みは物理膜厚である。透明基材1の厚みが25μm以上であると、基材自体の剛性が確保され、光学積層体10に応力が加わっても皺が発生し難くなる。また透明基材1の厚みが25μm以上であると、透明基材1上にハードコート層2を連続的に形成しても、皺が生じにくく製造上の懸念が少ない。透明基材1の厚みが25μm以上であると、光学積層体10を製造途中にカールしにくく、取り扱いやすい。
透明基材1の厚みは、1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることが特に好ましい。透明基材1の厚みが1mm以下であると、透明基材1の実質的な光学透明性を担保できる。また、透明基材1の厚みが1mm以下であると、透明基材1上に、枚葉方式であってもロールトウロール方式であっても成膜できる。特に、透明基材1の厚みが300μm以下であると、ロールトウロール方式で光学積層体10を製造する場合に、ロール状に巻き付けられた透明基材1の1度に投入可能な長さを長くできる。このため、透明基材1の厚みが300μm以下であると、ロールトウロール方式で光学積層体10を連続的に生産する場合に、生産性に優れる。また、透明基材1の厚みが300μm以下であると、品質の良好な光学積層体10となるため、好ましい。
透明基材1は、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化等のエッチング処理および/または下塗り処理が施されていてもよい。これらの処理が予め施されていることで、透明基材1の上に形成されるハードコート層2の密着性が向上する。また透明基材1上にハードコート層2を形成する前に、必要に応じて、透明基材1の表面に対して溶剤洗浄、超音波洗浄等を行うことにより、透明基材1の表面を除塵、清浄化させてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層2は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。ハードコート層2は、例えば、バインダー樹脂とフィラーとを含んでもよい。ハードコート層2は、この他、レベリング剤を含んでもよい。
バインダー樹脂は、好ましくは透明性を有するものであり、例えば、紫外線、電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などである。
バインダー樹脂である電離放射線硬化型樹脂の一例は、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N-ビニルピロリドン等である。また電離放射線硬化型樹脂は、2以上の不飽和結合を有する化合物でもよい。2以上の不飽和結合を有する電離放射線硬化型樹脂は、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等である。これらのなかでも、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が、バインダー樹脂に好適に用いられる。なお、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、電離放射線硬化型樹脂として、上述した化合物をPO(プロピレンオキサイド)、EO(エチレンオキサイド)、CL(カプロラクトン)等で変性したものでもよい。電離放射線硬化型樹脂は、アクリル系の紫外線硬化型樹脂組成物が好ましい。
またバインダー樹脂である熱可塑性樹脂の一例は、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等である。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマー、硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶である。特に、透明性および耐候性という観点から、バインダー樹脂は、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等であることが好ましい。
バインダー樹脂である熱硬化性樹脂は、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂(かご状、ラダー状などのいわゆるシルセスキオキサン等を含む)等でもよい。
ハードコート層2は、有機樹脂と無機材料を含んでいても良く、有機無機ハイブリッド材料でもよい。一例としては、ゾルゲル法で形成されたものが挙げられる。無機材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアが挙げられる。有機材料としては、例えば、アクリル樹脂が挙げられる。
フィラーは、有機物からなるものでもよいし、無機物からなるものでもよいし、有機物および無機物からなるものでもよい。ハードコート層2に含まれるフィラーは、防眩性、後述する光学機能層4との密着性、アンチブロッキング性の観点等から、光学積層体10の用途に応じて種々のものを選択できる。具体的にはフィラーとして、例えば、シリカ(Siの酸化物)粒子、アルミナ(酸化アルミニウム)粒子、有機微粒子など公知のものを用いることができる。
フィラーがシリカ粒子および/またはアルミナ粒子の場合、フィラーの平均粒子径は、例えば800nm以下であり、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは40nm以上70nm以下である。フィラーが有機微粒子の場合、有機微粒子の平均粒子径は、例えば10μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下である。
ハードコート層2の厚みは、例えば、0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは1μm以上である。ハードコート層2の厚みは、100μm以下であることが好ましい。ハードコート層2の厚みは、物理膜厚である。ハードコート層2は、単一の層からなるものであってもよいし、複数の層が積層されたものであってもよい。
(密着層)
密着層3は、ハードコート層2と光学機能層4との間にある。密着層3は。ハードコート層2と光学機能層4との密着を良好にする。
密着層3は、例えば、シリコン、ニッケル、クロム、スズ、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、アルミニウム、ジルコニウム、パラジウム、インジウム等の金属;これらの金属の合金;これらの金属の酸化物、フッ化物、硫化物または窒化物;から選ばれるいずれか1種または2種以上からなるものである。
密着層3は、非化学量論組成の無機酸化物を含んでもよい。密着層3は、例えば、酸素欠乏状態にある金属酸化物でもよく、例えばSiO(Si酸化物)を主成分とするものでもよい。密着層3は、Si酸化物のみからなるものであってもよいし、Si酸化物とは別に、50質量%以下の範囲、好ましくは10質量%以下の範囲で、別の元素を含んでいてもよい。別の元素としては、密着層3の耐久性を向上させるためにNaを含んでいてもよいし、密着層3の硬度を向上させるためにZr、Al、Nから選ばれる1種または2種以上の元素を含んでいてもよい。
密着層3の厚みは、例えば、1nm以上10nm以下であることが好ましく、1nm以上5nm以下であることがより好ましい。密着層3の厚みは、物理膜厚である。密着層3の厚みが上記範囲内であると、光学機能層4とハードコート層2との密着性が高まる。
(光学機能層)
光学機能層4は、光学機能を発現させる層である。光学機能とは、光の性質である反射と透過、屈折をコントロールする機能であり、例えば、反射防止機能、選択反射機能、防眩機能、レンズ機能などが挙げられる。
光学機能層4は、例えば、密着層3側から順に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された積層膜である。高屈折率層は、低屈折率層より屈折率が高い。それぞれの高屈折率層の屈折率は、同じでも異なっていてもよい。それぞれの低屈折率層の屈折率は、同じでも異なっていてもよい。
光学機能層4における低屈折率層と高屈折率層の積層数の合計は、特に問わない。例えば、図1に示すように、各層の積層数は4層でもよく、3層以下でもよく、5層以上でもよい。光学機能層4における低屈折率層と高屈折率層の積層数の合計は、4層以上10層以下であることが好ましく、4層以上6層以下であることがより好ましく、4層であることが最も好ましい。光学機能層4の積層数が4層の場合、積層数が少なく、厚みが薄いため、積層数が5層以上である場合と比較して、生産性に優れる。また、光学機能層4の積層数が4層の場合、積層数が3層以下である場合と比較して、反射防止性が高く、反射光の色相をより一層ニュートラル(無彩色)に近づけることができる。
光学機能層4は、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された積層体の界面のそれぞれで反射した反射光が干渉すること、及び、防汚層5側から入射した光を拡散することで、反射防止機能を示す。
以下、光学機能層4が、密着層3に近い側から順に、第1高屈折率層41a、第1低屈折率層41b、第2高屈折率層42a、第2低屈折率層42bの4層が積層された積層体である場合を例に挙げて説明する。第1高屈折率層41aと第2高屈折率層42aのそれぞれは、第1低屈折率層41bと第2低屈折率層42bのそれぞれより屈折率が高い。
第1高屈折率層41a及び第2高屈折率層42aの屈折率は、例えば、2.00以上2.60以下であり、好ましくは2.10以上2.45以下である。第1高屈折率層41aと第2高屈折率層42aの屈折率は、同じでも、異なっていてもよい。
第1高屈折率層41a及び第2高屈折率層42aの材料としては、例えば、五酸化ニオブ(Nb、屈折率2.33)、酸化チタン(TiO、屈折率2.33~2.55)、酸化タングステン(WO、屈折率2.2)、酸化セリウム(CeO、屈折率2.2)、五酸化タンタル(Ta、屈折率2.16)、酸化亜鉛(ZnO、屈折率2.1)、酸化インジウムスズ(ITO、屈折率2.06)、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率2.2)などが挙げられる。第1高屈折率層41aおよび第2高屈折率層42aは、好ましくは、五酸化ニオブである。第1高屈折率層41aと第2高屈折率層42aを構成する材料は、同じでも、異なっていてもよい。
第1低屈折率層41b及び第2低屈折率層42bの屈折率は、例えば1.20以上1.60以下であり、好ましくは1.30以上1.50以下である。第1低屈折率層41bと第2低屈折率層42bの屈折率は、同じでも、異なっていてもよい。
第1低屈折率層41b及び第2低屈折率層42bは、例えば、Siの酸化物を含む。第1低屈折率層41b及び第2低屈折率層42bは、例えば、SiO(Siの酸化物)を主成分とした層である。Siの酸化物は、入手が容易でコストの面で有利である。SiO単層膜は、無色透明である。本実施形態において、主成分とは、層に含まれる成分のうち50質量%以上を占める成分である。第1低屈折率層41bと第2低屈折率層42bの屈折率は、同じでも、異なっていてもよい。
第1低屈折率層41b及び第2低屈折率層42bは、Siの酸化物が主成分の場合に、50質量%未満の別の元素を含んでも良い。Siの酸化物とは別の元素の含有量は、好ましくは10%以下である。別の元素は、例えば、Na、Zr、Al、Nである。Naは、第1低屈折率層41b及び第2低屈折率層42bの耐久性を高める。Zr、Al、Nは、第1低屈折率層41b及び第2低屈折率層42bの硬度を高め、耐アルカリ性を高める。
第1高屈折率層41aの物理膜厚は、例えば、10nm以上20nm以下である。第1高屈折率層41aの物理膜厚は、好ましくは10nm以上17nm以下である。第1高屈折率層41aの光学膜厚は、例えば、20nm以上48.8nm以下である。第1高屈折率層41aの光学膜厚は、好ましくは23.8nm以上44.3nm以下である。光学膜厚は、物理膜厚にその層の屈折率を乗じたものである。
第1低屈折率層41bの物理膜厚は、例えば、2nm以上15nm以下である。第1低屈折率層41bの物理膜厚は、好ましくは4nm以上9nm以下であり、より好ましくは7nm以上9nm以下である。第1低屈折率層41bの光学膜厚は、例えば、2.9nm以上21.9nm以下である。第1低屈折率層41bの光学膜厚は、好ましくは5.8nm以上13.7nm以下であり、より好ましくは10.22nm以上13.72nm以下である。
第2高屈折率層42aの物理膜厚は、例えば、30nm以上110nm以下である。第2高屈折率層42aの物理膜厚は、好ましくは74nm以上102nm以下である。第2高屈折率層42aの光学膜厚は、例えば、60nm以上277.2nm以下である。第2高屈折率層42aの光学膜厚は、好ましくは172.4nm以上226.8nm以下であり、より好ましくは172.4nm以上217.9nm以下である。
第2低屈折率層42bの物理膜厚は、例えば、70nm以上85nm以下である。第2低屈折率層42bの物理膜厚は、好ましくは73nm以上81nm以下である。第2低屈折率層42bの光学膜厚は、例えば、102nm以上124.1nm以下である。第2低屈折率層42bの光学膜厚は、好ましくは106.6nm以上118.3nm以下である。
第1高屈折率層41a、第1低屈折率層41b、第2高屈折率層42a、第2低屈折率層42bのそれぞれの膜厚が規定の範囲内とすることで、表面からの反射光のL表色系におけるb値が摺動試験で変動しにくい光学積層体10を実現することができる。この時、第1低屈折率層41bの膜厚は、光学機能層4の各層の中で最薄となる。
光学機能層4の物理膜厚の総厚は、例えば170nm以上220nm以下であり、好ましくは180nm以上210nm以下であり、より好ましくは189nm以上198nm以下である。光学機能層4の光学膜厚の総厚は、例えば320nm以上410nm以下であり、好ましくは341.4nm以上399.0nm以下であり、より好ましくは362.8nm以上386.8nm以下である。光学機能層4の総厚が所定の範囲内であることで、反射光の色相をニュートラルに近づけることができると共に、効率的に生産できる。
光学機能層4の各層は、例えば、スパッタリング膜である。スパッタリング膜は、一般的な真空蒸着法または塗布法を用いて形成された膜と比較して、緻密である。例えば、光学機能層4の水蒸気透過性は、1.0g/m/day以下となる。緻密なスパッタリング膜は、水蒸気透過率が低い。スパッタリング膜は、緻密であり、摺動跡が残りにくい。例えば、ペン摺動により防汚層5の一部が剥離した場合でも、光学機能層4が緻密であることでペン摺動の跡が付きにくくなる。
光学機能層4を形成している層のうち防汚層5側には、例えば、低屈折率層4bが配置される。光学機能層4の低屈折率層4bが防汚層5と接している場合、光学機能層4の反射防止性能が良好となる。
(防汚層)
防汚層5は、光学機能層4の密着層3と接する面と反対側の面上にある。防汚層5は、光学機能層4の最外面上にある。防汚層5は、光学機能層4の汚損を防止する。また、防汚層5は、タッチパネル等に適用する際のペン摺動によって光学機能層4が損耗することを抑制する。
防汚層5は、例えば、防汚性材料を蒸着させた蒸着膜である。防汚層5は、例えば、光学機能層4を構成する第2低屈折率層42bの一面に、防汚性材料としてフッ素系化合物を真空蒸着することによって形成される。防汚層5がフッ素系化合物を含むと、ペンによる入力時に摺動を滑らかにすると同時に光学積層体10のペン摺動耐性がより向上する。
防汚層5に含まれるフッ素系化合物は、例えばフッ素系有機化合物である。フッ素系有機化合物は、例えば、フッ素変性有機基と反応性シリル基(例えば、アルコキシシラン)とからなる化合物である。防汚層5に用いることができる市販品としては、オプツールDSX(ダイキン株式会社製)、KY-100シリーズ(信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
防汚層5にフッ素変性有機基と反応性シリル基(例えば、アルコキシシラン)とからなる化合物を用い、光学機能層4の第2低屈折率層42bにSiOを用いた場合、フッ素系有機化合物の骨格であるシラノール基とSiOと間でシロキサン結合が形成される。シロキサン結合は、光学機能層4と防汚層5との密着性を高める。
防汚層5の厚みは、例えば、1nm以上20nm以下であり、好ましくは3nm以上10nm以下である。防汚層の厚みは、物理膜厚である。防汚層5の厚みが1nm以上であると、光学積層体10をタッチパネル用途などに適用した際に、耐摩耗性を十分に確保できる。また防汚層5の厚みが20nm以下であると、蒸着に要する時間が短時間で済み、効率よく製造できる。
防汚層5は、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤などの添加剤を含んでいてもよい。
蒸着によって形成された防汚層5は、光学機能層4と強固に結合し、空隙が少なく緻密である。そのため蒸着によって形成された防汚層5は、防汚性材料の塗布などの他の方法によって形成された防汚層5とは異なる特性を示す。蒸着によって形成された防汚層5は、摩耗しにくい。
次いで、本実施形態に係る光学積層体の製造方法について説明する。まず透明基材1を準備する。透明基材は、例えば、市販品を購入することで入手できる。
次いで、透明基材1の一面にハードコート層2を形成する。透明基材1上にハードコート層2となる材料を含むスラリーを塗布し、ハードコート層2となる材料を公知の方法により硬化させることで、ハードコート層2が得られる。透明基材1上にハードコート層2を形成する前に、必要に応じて表面を洗浄してもよい。透明基材1の表面の洗浄方法としては、例えば、溶剤洗浄、超音波洗浄などが挙げられる。透明基材1の洗浄を行うことにより、透明基材1の表面を除塵でき、表面が清浄化されるため、好ましい。また市販されているハードコート層2が形成された透明基材1を購入してもよい。
次いで、ハードコート層2上に、密着層3を形成する。密着層3の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の製造方法を用いて製造できる。密着層3は、例えば、スパッタリング法により形成できる。
次いで、ハードコート層2上に、光学機能層4を形成する。光学機能層4は、例えば、密着層3上に、第1高屈折率層41a、第1低屈折率層41b、第2高屈折率層42a、第2低屈折率層42bを順に成膜する。第1高屈折率層41a、第1低屈折率層41b、第2高屈折率層42a、第2低屈折率層42bのそれぞれは、例えば、スパッタリング法を用いて作製する。スパッタリング法の電源方法としてはDC(直流)、RF(高周波)、MF(中周波)が挙げられる。光学機能層が酸化物膜からなる場合、DCではスパッタリングできず、RFでは生産性に劣る。このため、酸化物膜をスパッタリングする場合、スパッタリング装置としてはMF電源を使用したデュアルマグネトロンスパッタ装置が好ましい。スパッタリング時の周波数として、20KHzから60KHzが好ましい。スパッタリング時の真空度は、例えば1.0Pa以下である。またロールトゥロール方式で光学機能層4を形成する場合は、搬送速度(ラインスピード)を例えば、0.5m/min以上20m/min以下とする。このような条件で光学機能層4を形成すると、光学機能層4の各層が緻密になる。
次いで、光学機能層4の第2低屈折率層42b上に、防汚層5を形成する。防汚層5の形成前に、光学機能層4の表面に対してプラズマ処理を行うことが好ましい。プラズマ処理によって第2低屈折率層42の表面を改質すると、光学機能層4と防汚層5との密着性が高まる。プラズマ処理の際の積算出力は130W・min/m以上2000W・min/m以下であることが好ましい。この範囲にあることで、耐摺動性が向上する。
防汚層5は、例えば、蒸着によって形成する。蒸着は、防汚層5となる材料を蒸気圧温度に加熱することで行う。蒸着時の真空度は、例えば1.0Pa以下である。このような条件で防汚層5を形成すると、防汚層5が緻密になり、摩耗しにくくなる。
密着層3、光学機能層4の各層、防汚層5の成膜は、ロールトゥロールで減圧環境下で行うことが好ましい。上記手順を経ることで、光学積層体10を作製できる。
第1実施形態にかかる光学積層体10は、摺動前後のL表色系におけるb値の変化量Δb値の絶対値が所定値以下である。摺動前後のb値の変化量Δb値が小さいと、明確な理由は分からないが、摺動試験後の摺動跡を視認しにくい。
以上、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
光学積層体10は、透明基材1、ハードコート層2、密着層3、光学機能層4及び防汚層5以外の層を有してもよい。また光学積層体10は、透明基材1の光学機能層4などが形成された面と対向する面に、必要に応じて各種の層を有してもよい。例えば、他の部材との接着に用いられる粘着剤層が設けられていても良い。また、この粘着剤層を介して他の光学フィルムが設けられていても良い。他の光学フィルムは、例えば偏光フィルム、位相差補償フィルム、1/2波長板、1/4波長板として機能するフィルムなどがある。
また透明基材1の対向する面に、反射防止、選択反射、防眩、偏光、位相差補償、視野角補償又は拡大、導光、拡散、輝度向上、色相調整、導電などの機能を有する層が直接形成されていても良い。光学積層体10の表面には、モスアイ、防眩機能を発現するナノオーダーの凹凸構造を形成してもよい。光学積層体10の表面には、レンズ、プリズムなどのマイクロからミリオーダーの幾何学形状が形成されていてもよい。
また光学積層体10は、様々な物品に適用できる。例えば、液晶表示パネル、有機EL表示パネルなど、画像表示部の画面に光学積層体10を設けてもよい。これにより、例えば、スマートフォンや操作機器のタッチパネル表示部が高い耐擦傷性を示し、実使用に好適な画像表示装置が得られる。
また物品は画像表示装置に限定されず、窓ガラス、ゴーグル、太陽電池の受光面、スマートフォンの画面やパーソナルコンピューターのディスプレイ、情報入力端末、タブレット端末、AR(拡張現実)デバイス、VR(仮想現実)デバイス、電光表示板、ガラステーブル表面、遊技機、航空機や電車などの運行支援装置、ナビゲーションシステム、計器盤、光学センサーの表面などに光学積層体10を適用できる。
「実施例1」
透明基材1として、厚さ80μmのポリエチレンテレフタラート(PET)からなるフィルムを用意した。そして、透明基材1上に、物理膜厚5μmのハードコート層2を形成した。ハードコート層2は、表1に示す組成を有する塗布液を、バーコーターを用いて透明基材1上に塗布し、紫外線を照射して光重合させて、硬化させる方法により形成した。
Figure 2023167531000002
続いて、ハードコート層2上に、スパッタリングターゲットとしてSiターゲットとNbターゲットとを用い、ArガスとOガスとの混合ガスを用いて反応性スパッタ法により、密着層3と、光学機能層4とを連続して形成した。
密着層3として、物理膜厚が3nmで、酸素欠乏したSi酸化物(SiO)を成膜した。光学機能層4の各層は、Nbからなる第1高屈折率層41aと、SiOからなる第1低屈折率層41bと、Nbからなる第2高屈折率層42aと、SiOからなる第2低屈折率層42bとをこの順に成膜した。それぞれの層の物理膜厚及び光学膜厚は表2及び表3に示す。密着層3及び光学機能層4は、ロールトゥロール方式で作成し、ラインスピードは2.0m/minとした。スパッタリング装置としてMFデュアルマグネトロンスパッタ装置を用い、周波数は40KHzとした。
次に、光学機能層4上に、蒸着チャンバー内圧力0.01Pa以下、蒸着温度230℃、ラインスピード2.0m/min、フッ素を有する有機化合物であるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物(KY-1901、信越化学工業株式会社製)からなる防汚層5を蒸着によって形成した。防汚層5の厚みは、5nmとした。その後、ロール状に巻き取り、実施例1の光学積層体(反射防止フィルム)を得た。
作製した光学積層体の表面粗さRa、反射率、鉛筆硬度を測定した。表面粗さRaは、原子間力顕微鏡(AFM)で測定した。これらの結果を表4及び表5にまとめた。反射率は、分光光度計(日本分光株式会社製V-770)を用いて、反射スペクトルから求めた。鉛筆硬度は、JIS K5600-5-4に準じて測定した。
光学積層体の表面に対してペン摺動試験を行った。ペン摺動試験は、以下の手順で行う。まず、光学積層体10を防汚層5が表面にくるように、透明粘着剤シート(リンテック株式会社製)を用いて、1mm厚のガラスに貼合した。そして、ポリアセタール製のペン(先端形状が0.8mmφ、ショアD硬度が40)を用いて、摺動試験機(井本製作所製)を用いて直線的に摺動試験を行った。荷重は250gf、摺動回数は1000回(500回往復)、往復距離は50mm、往復の速さは1秒間に2回(1往復)摺動した。
摺動試験前後の反射光の色度変化は、次のように求めた。ペン摺動試験サンプルのガラス裏面側に粘着剤付き黒色PETフィルムを貼合し、オリンパス株式会社製USPM-RU-Wを用いて、摺動前と摺動後のサンプルのそれぞれについて測定した。入射する光は、標準光源D65による波長380nm~780nmの光とした。光の入射角は0°とした。その結果を表4及び表5に示す。
また、得られた光学積層体について、光学積層体の表面に対する光の入射角を変えて、反射光の色度変化を求めた。反射光の色度変化は、アクリル系透明粘着剤を用いて黒色のアクリルパネルの表面に光学積層体の透明基材側の面を貼付し、分光光度計(日本分光株式会社製V-770)を用いて測定した。入射する光は、標準光源D65による波長380nm~780nmの光とした。光の入射角は5°と45°のそれぞれで行った。その結果を表4及び表5に示す。
「実施例2~13」
実施例2~13は、透明基材1の材料、第1高屈折率層41aの厚さ、第1低屈折率層41bの厚さ、第2高屈折率層42aの厚さ、第2低屈折率層42bの厚さ、第1高屈折率層41aの材料、第2高屈折率層42aの材料、防汚層5の膜厚のうちの少なくとも一つを変更した点が実施例1と異なる。実施例1との変更点は、表2及び表3にまとめた。その他の条件は、実施例1と同様にし、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表4及び表5にまとめた。
「比較例1~4」
実施例1~4は、透明基材1の材料、第1高屈折率層41aの厚さ、第1低屈折率層41bの厚さ、第2高屈折率層42aの厚さ、第2低屈折率層42bの厚さのうちの少なくとも一つを変更した点が実施例1と異なる。実施例1との変更点は、表2及び表3にまとめた。その他の条件は、実施例1と同様にし、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表4及び表5にまとめた。
Figure 2023167531000003
Figure 2023167531000004
Figure 2023167531000005
Figure 2023167531000006
ペン摺動試験における目視判定は、目視で反射色にほとんど変化がない場合を「◎」、反射色がわずかに変化した場合を「〇」、反射色が著しく変化又は光学機能層4の一部が剥離した場合を「×」とした。
角度分光に於ける判定は以下のように行ない、総合評価とした。Δb値の絶対値が6以下であるものを「○」、Δb値の絶対値が6以下且つΔa値の絶対値が10以下であるものを「◎」、|b|値が6以上であった場合を「×」とした。
1…透明基材、2…ハードコート層、3…密着層、4…光学機能層、41a…第1高屈折率層、41b…第1低屈折率層、42a…第2高屈折率層、42b…第2低屈折率層、5…防汚層、10…光学積層体

Claims (10)

  1. 透明基材とハードコート層と密着層と光学機能層と防汚層とが順に積層され、
    ショアD硬度が40で直径が0.8mmの摺動具を用いて、荷重250gで500往復の摺動試験をした際に、摺動箇所の摺動前後のL表色系におけるb値の変化量Δbの絶対値が1.9以下である、光学積層体。
  2. 前記光学機能層は、前記密着層に近い側から順に、第1高屈折率層と第1低屈折率層と第2高屈折率層と第2低屈折率層とを備え、
    前記第1高屈折率層と前記第2高屈折率層のそれぞれは、前記第1低屈折率層と前記第2低屈折率層のそれぞれより屈折率が高く、
    前記第1高屈折率層の物理膜厚は、10nm以上20nm以下であり、
    前記第1低屈折率層の物理膜厚は、2nm以上15nm以下であり、
    前記第2低屈折率層の物理膜厚は、70nm以上85nm以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記光学機能層は、前記密着層に近い側から順に、第1高屈折率層と第1低屈折率層と第2高屈折率層と第2低屈折率層とを備え、
    前記第1高屈折率層と前記第2高屈折率層のそれぞれは、前記第1低屈折率層と前記第2低屈折率層のそれぞれより屈折率が高く、
    前記第1高屈折率層の光学膜厚は、20nm以上48.8nm以下であり、
    前記第1低屈折率層の光学膜厚は、2.9nm以上21.9nm以下であり、
    前記第2低屈折率層の光学膜厚は、102nm以上124.1nm以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  4. 前記光学機能層の物理膜厚の総厚は、170nm以上220nm以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  5. 前記光学機能層の光学膜厚の総厚は、320nm以上410nm以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  6. 前記防汚層の物理膜厚は、2nm以上10nm以下である、請求項1に記載の光学積層体。
  7. 前記光学機能層がスパッタリング膜である、請求項1に記載の光学積層体。
  8. 前記防汚層が蒸着膜である、請求項1に記載の光学積層体。
  9. 前記防汚層は、フッ素系化合物を含む、請求項1に記載の光学積層体。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の光学積層体を備える、物品。
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