JP2023166245A - 堅牢な分子認識素子、センサ、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温の過酷環境下で機能することが可能な堅牢な分子認識素子を提供する。【解決手段】セラミックスで構成された基材、及び前記基材上にセラミックスで構成された原子層堆積膜を含み、前記原子層堆積膜は、1種または複数種のターゲット分子の分子形状を認識可能な前記ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔で構成された認識部を備える分子認識素子。【選択図】図1

Description

本発明は、過酷環境下でも機能する分子認識素子、センサ、及びその製造方法に関する。
ターゲット分子を特異的に認識できる人工レセプター合成法の1つとして、分子インプリンティング法(MI法)が知られている。MI法とは、認識対象である分子(ターゲット分子)を鋳型として、そのターゲット分子に選択性のある結合部位を人工的に材料中に構築する方法である。MI法を用いて合成されるポリマーは分子インプリントポリマー(MIP)と呼ばれる。
MIPは、ターゲット分子またはその誘導体と機能性モノマーの複合体を共有結合/非共有結合にて形成し、架橋剤とともに重合した後、ターゲット分子を除去することで得られるターゲット分子に対する結合空間を持つ分子認識材料である。安価・安定に大量生産できることから、高価で不安定な生体材料に替わる材料として注目されている。
また、揮発性アルデヒド、特に生物試料中に含まれるバイオマーカーとしての揮発性アルデヒドに対して高感度性と高選択性を備えた分子認識材料が提案されている(特許文献1)。
特開2018-75518号公報
これらの従来の分子認識材料は、低温の比較的な温和な環境で機能し得るが、ポリマーで構成されることから高温の過酷環境下で機能させることは困難であった。したがって、高温の過酷環境下で機能することが可能な堅牢な分子認識素子が求められている。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)セラミックスで構成された基材、及び
前記基材上のセラミックスで構成された原子層堆積膜
を含み、
前記原子層堆積膜は、1種または複数種のターゲット分子の分子形状を認識可能な前記ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔で構成された認識部を備える
分子認識素子。
(2)前記原子層堆積膜は0.5~30nmの平均厚みを有する、上記(1)に記載の分子認識素子。
(3)前記原子層堆積膜は、金属原子に対して酸素が6配位するカチオン系のイオン酸化物を含む、上記(1)または(2)に記載の分子認識素子。
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の分子認識素子を備えるセンサ。
(5)表面にOH基を有するセラミックスで構成された基材上に、極性官能基を有する1種または複数種のターゲット分子を配置すること、
前記ターゲット分子を配置した前記基材上に、原子層堆積法を用いてセラミックスで構成された原子層堆積膜を形成すること、及び
前記原子層堆積膜を形成した前記基材を熱処理し前記ターゲット分子を除去して、前記ターゲット分子の分子形状を認識可能な前記ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔で構成された認識部を形成すること
を含む、分子認識素子の製造方法。
(6)前記原子層堆積膜は0.5~30nmの平均厚みを有する、上記(5)に記載の分子認識素子の製造方法。
(7)前記原子層堆積膜は、金属原子に対して酸素が6配位するカチオン系のイオン酸化物を含む、上記(5)または(6)に記載の分子認識素子の製造方法。
(8)前記熱処理の温度が300℃以上である、上記(5)~(7)のいずれかに記載の分子認識素子の製造方法。
本発明により、高温の過酷環境下で機能することが可能な堅牢な分子認識素子を提供することが可能となる。
図1は、本開示の分子認識素子の構成の一例を説明する断面模式図である。 図2は、本開示の製造方法の一例の模式図である。 図3は、基材が六方晶系ウルツ型構造を有するZnOの針状結晶であるときの、ALD法で原子層堆積膜を形成したとき、ターゲット分子を脱離処理したとき、及び分子認識しているときの態様の一例を表す模式図である。 図4は、ターゲット分子であるノナナールがカルボニル基を介して基材であるZnOのm面にピンニングされる場合の、ターゲット分子を配置したとき、原子層堆積膜を形成したとき、及びターゲット分子を除去したときの態様の一例を表す模式図である。 図5は、横軸をALDステップのサイクル数(以下、ALDサイクル数ともいう)、縦軸をガスクロマトグラフィー質量分析法(TPD-GC/MS)で測定した脱離量(nmol)として分子選択性を評価するグラフである。 図6は、横軸をALDサイクル数、縦軸をTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)として分子選択性を評価するグラフである。 図7は、横軸をALDサイクル数、縦軸をTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)として分子選択性を評価するグラフである。 図8は、横軸をデカナール(C8)、ノナナール(C9)、及びオクタナール(C10)、縦軸をTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)とするグラフである。 図9は、横軸をALDサイクル数、縦軸をTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)として分子選択性を評価するグラフである。 図10は、横軸をALDサイクル数、縦軸をTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)として分子選択性評価のグラフである。 図11は、横軸をALDサイクル数、縦軸をTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)として分子選択性を評価するグラフである。 図12は、横軸をALDサイクル数、縦軸をTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)として分子選択性を評価するグラフである。 図13は、ターゲット分子としてノナナールを吸着させたZnO基材に、ALDステップのサイクル数を0~600サイクルとしたときの、CH及びCHの赤外吸収分光法(IR)スペクトルである。 図14は、横軸をALDサイクル数、縦軸をターゲット分子として基材に吸着させたノナナールの脱離量(nmol)としたグラフである。 図15は、実施例1で60サイクルのALDで作製した分子認識素子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図16は、図15の分子認識素子の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)像と、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で分子認識素子の表面から測定したZn及びTiの元素マッピング像である。 図17は、比較例1で60サイクルのALDで作製した比較試料の断面TEM像と、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で比較試料の表面から測定したZn及びTiの元素マッピング像である。 図18は、ALDサイクル数に対する原子層堆積膜であるTiOxの平均厚みを表すグラフである。 図19は、ターゲット分子としてノナナールを吸着させたZnO基材を100~250℃での温度で熱処理したときの、CH及びCHの赤外吸収分光法(IR)スペクトルである。 図20は、ALDサイクル数に対する分子の脱離量を表すグラフである。 図21は、175℃で予備加熱して作製した分子認識素子と、予備加熱しないで作製した分子認識素子のALDサイクル数による分子の脱離量のピーク位置を比較したグラフである。 図22は、実施例1で作製した分子認識素子を、300~600℃で30分間熱処理し、次いでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールを等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露し、TPD-GC/MSでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールの脱離量を測定したクロマトグラフである。 図23は、図22で得られたクロマトグラフの測定値をmol単位に変換したグラフである。 図24は、実施例1で作製した分子認識素子を、400℃で1時間、1日、1週間、及び1ヶ月間熱処理し、次いでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールを等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露し、TPD-GC/MSでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールの脱離量を測定したグラフである。 図25は、実施例1で作製した分子認識素子を、300~600℃で30分間~3ヶ月間熱処理し、次いでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールを等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露し、TPD-GC/MSでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールの脱離量を測定し、ヘキサナールに対するノナナールの脱離量の比率を表したグラフである。 図26は、(A)QCM装置の外観模式図、及び(B)QCM装置の水晶上に配置した分子認識素子の外観模式図である。 図27は、(A)ターゲット分子を介在させないで原子層堆積を行った比較試料と、(B)QCM装置の水晶上に配置したノナナールをターゲット分子とする分子認識素子について、ヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールを含むガスをそれぞれ、QCM装置のチャンバー内に別個に流して暴露したときの、時間(秒)に対する水晶振動子の振動数変化量ΔFのグラフである。
本開示は、セラミックスで構成された基材、及び前記基材上のセラミックスで構成された原子層堆積膜を含み、前記原子層堆積膜は、1種または複数種のターゲット分子の分子形状を認識可能な前記ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔で構成された認識部を備える分子認識素子を対象とする。
本発明者は鋭意研究を行い、原子層堆積(ALD)法による結晶成長界面にターゲット分子を意図的に介在させた空間選択的な結晶成長技術を駆使することによって、堅牢であり且つ優れた分子認識機能を有するセラミックスで構成された分子認識素子を実現するに至った。
本分子認識素子は、基材上にターゲット分子を介在させてALD法を用いた原子層制御で原子層堆積膜を結晶成長させることによって作製することができる。通常は極力不純物を取り除いて堆積を行うALD法であるが、本技術ではあえてターゲット分子を基材上に吸着させ、基材表面を起点としてターゲット分子の周囲を覆うようにセラミックスの原子堆積を行った後、熱処理でターゲット分子を除去することで、原子層堆積膜にターゲット分子の認識機能を現出させることができる。
本分子認識素子においては、原子層レベルで制御された原子層堆積膜の材料と平均膜厚を所望のターゲット分子の特性に応じて容易に選択することができる。したがって、本分子認識素子は、多種多様な分子群の分子認識素子としての用途に適用することができる。
本分子認識素子は、セラミックスの基材とセラミックスの原子層堆積膜とで構成されるので、熱耐熱性に優れる。本分子認識素子は、好ましくは300℃以上、より好ましくは400℃以上、さらに好ましくは500℃以上、さらにより好ましくは600℃以上の温度に対する耐熱性を有する。耐熱性は、その温度で熱処理した後に、選択的な分子認識ができるかどうかを評価することによって判断することができる。
本分子認識素子は熱耐熱性に優れるため、高温の過酷環境下で機能することができる。本分子認識素子は、例えば、300~400℃の高温に暴露しても機能することができる。本分子認識素子はまた、1ヶ月以上等の長期間、例えば3ヶ月で20回以上の長期・繰り返し利用が可能である。そのため、本分子認識素子は、例えば、300~400℃の高温下、3ヶ月で20回以上の長期・繰り返し利用にも耐えられる。
本分子認識素子は熱耐熱性に優れるため、高温の熱処理での初期化が可能である。有機化合物を実質的に脱離させるためには300~400℃、好ましくは400℃で熱処理することが好ましいが、本分子認識素子は、300℃以上、例えば400℃の熱処理にも耐えられるので、ほぼ完全な初期化を行うことができ、分子認識の精度を維持したまま、分子認識素子として繰り返し利用が可能である。
従来の気相のにおいセンサでは、例えば感応膜を用いたものの場合、膜表面の初期化には時間を要すること、完全な初期化が難しいことに課題があった。気相系の分子を固体表面から完全に取り除くためには300~400℃程度の熱処理が必要であるためであるが、このような高温の熱処理に従来の感応膜は耐えられない。MIPについても同様である。これに対して、本分子認識素子は、上記のように300~400℃での熱処理による初期化が可能であり、分子認識の精度を維持したまま、分子認識素子として繰り返し利用が可能である。
また、本分子認識素子は、低分子の認識及び分子の構造の微差の識別が可能である。従来技術のMIPや特許文献1は分子量が大きく特徴の多い分子を認識できるが、特徴の少ない低分子の認識は難しい。本分子認識素子によれば、特徴の少ない低分子や、その構造的なわずかな違いまで認識できることができる。
図1に、本開示の分子認識素子10の構成の一例を説明する断面模式図を示す。分子認識素子10は、基材1及び基材1上の原子層堆積膜2を含み、原子層堆積膜2は、ターゲット分子の分子形状を認識可能な認識部3を備える。認識部3は、ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔で構成される。
基材1は、分子認識素子10の製造プロセスにおいて、ターゲット分子を表面にピンニングすることができ、且つ前記表面上に原子層堆積膜をALD法で堆積できるセラミックスであれば特に限定されない。基材1は、酸化物、窒化物、炭化物等であることができ、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化銅、酸化タングステン、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化コバルト、酸化ガリウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化シリコン、炭化シリコン等である。
基材1は、板状、棒状、針状、球状等の任意の形状であることができる。基材1は、表面積をかせぐ観点で、棒状若しくは針状のナノワイヤ、または球状のナノ粒子が好ましい。ナノワイヤは、例えば、10~200nmの直径、及び100~10000nmの長さを有する。ナノ粒子は、例えば10~200nmの直径を有する。
基材1がナノワイヤ等の棒状または針状である場合、例えば(1010)面を有する酸化亜鉛を用いることができる。例えば、ターゲット分子がノナナールで基材が酸化亜鉛の場合、ノナナールのカルボニル基と基材のZn2+との相互作用によりターゲット分子を基材上にピンニングすることができる。また、例えば、ターゲット分子がノナナールで基材が酸化スズ鉛の場合、ノナナールのカルボニル基と基材のSn4+との相互作用によりターゲット分子を基材上にピンニングすることができる。
原子層堆積膜2は、極性表面を有するセラミックス材料で構成され得、ターゲット分子の非極性の主鎖部分と相互作用を有し得る。原子層堆積膜2はまた、親水性表面を有するセラミックス材料で構成され得、ターゲット分子の疎水性の主鎖部分と相互作用を有し得る。上記相互作用は第1原理計算により確認することができる。原子層堆積膜2中の1つの認識部3内の複数箇所に、上記相互作用を有するので、認識部が3分子の形状を精密に認識できると考えられる。
原子層堆積膜2は、アモルファスまたは結晶性であることができるが、好ましくはアモルファスである。原子層堆積膜2は、共有結合性、イオン結合性、またはそれらの組合せを有するセラミックスであることができるが、好ましくは、イオン結合性が主体のセラミックスである。共有結合性結晶は結合の方向性を有するが、それに対してイオン結合性結晶は、カチオンとアニオンとがクーロン力で結合するため、カチオンとアニオンのとり得る配位角度の範囲が広くなり、分子認識に好ましい。
原子層堆積膜2は、好ましくは酸化物であり、より好ましくは金属酸化物であり、さらに好ましくは金属原子に対して酸素が6配位するカチオン系のイオン酸化物を含み、さらにより好ましくはルチル構造を備える金属酸化物である。原子層堆積膜2は、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化銅、酸化タングステン、酸化ハフニウム等である。
原子層堆積膜2の形成は、ALD法を用いて行われる。ALD法を用いて原子層堆積膜2を形成することにより、原子層レベルでの薄膜形成が可能となり、原子層堆積膜2の機能を発現することができる。
ALD法は、1原子層ずつ堆積可能な成膜方法であるため、通常は、得られる原子層堆積膜は均一な厚みを有する。しかしながら、分子認識素子10の作製プロセスにおいては、原子層堆積膜は、ターゲット分子を介在させながら形成され、次いで熱処理でターゲット分子が除去されるため厚みは不均一になり得る。
原子層堆積膜は、好ましくは0.5~30nm、より好ましくは0.7~20nm、さらに好ましくは1~12nm、さらにより好ましくは1.5~10nmの平均厚みを有する。上記のように、原子層堆積膜2は、ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔で構成された認識部3を有しているため不均一な厚みを有するが、平均厚みが上記好ましい範囲にあることにより、より精度の良い分子認識が可能となる。原子層堆積膜の厚みは透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することができる。平均厚みは、原子層堆積膜の厚みをランダムに20点測定した平均値とすることができる。
CVD、PVDは成長速度が速く上記好ましい厚みの薄膜形成を安定して行うことが難しく、且つ選択性がないのでターゲット分子上にも堆積し得るが、ALD法は基材表面のOH基を基点として、ターゲット分子の周辺を覆うように基材上に1原子層ずつ堆積可能である。
認識部3は、ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔である。ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔は、ターゲット分子を覆うようにしてALD法で形成したセラミックスの原子層堆積膜を熱処理してターゲット分子を除去することにより形成することができる。
認識部3は、認識したい任意のターゲット分子を認識可能であり、親水性の分子でも疎水性の分子でも認識可能である。ターゲット分子が疎水性の分子の場合、基材にピンニングさせるために少なくとも一部に極性を有する官能基を備えることが好ましい。
認識部3は、1種類のターゲット分子を認識可能でもよく、複数種類のターゲット分子を認識可能でもよい。1種類のターゲット分子を介在させて原子層堆積膜2を形成することにより、1種類のターゲット分子を認識可能な認識部3を形成することができる。複数種類のターゲット分子を介在させて原子層堆積膜2を形成することにより、複数種類のターゲット分子を認識可能な認識部3を形成することができる。すなわち、ターゲット分子が1種類の場合は、原子層堆積膜2は1種類のターゲット分子の分子形状を鋳型とする1種類の孔を備え、ターゲット分子が複数種類の場合は、原子層堆積膜2は複数種類のターゲット分子の分子形状を鋳型とする複数種類の孔を備える。
認識部3は、好ましくは、所定の割合(mol比)を有する複数種類のターゲット分子を認識可能である。所定の割合(mol比)を有する複数種類のターゲット分子を介在させて原子層堆積膜2を形成することにより、所定の割合(mol比)を有する複数種類のターゲット分子を認識可能な認識部3を形成することができる。
認識部3を備える原子層堆積膜2は、セラミックスで構成されているので、従来のMIPのように柔軟性は有さず、むしろ固い。認識部3を備える原子層堆積膜2が固い材料で構成されることも、分子の形状を従来よりも精密に且つ長期間にわたって劣化することなく認識できることに寄与していると考えられる。
認識部3は、分子の大きさを認識するのではなく、分子の形状を認識することができる。したがって、原子層堆積膜2の認識部3は、孔の大きさという概念ではなく孔の形状という概念を有する。そのため、ターゲット分子に対して大きい分子だけでなく小さい分子も誤認識せずに、ターゲット分子のみを認識することができる。例えば、化学式C18Oで表されるノナナールを認識したい場合に、原子層堆積膜2は、比較的大きい分子である化学式C1122Oで表されるウンデカナールだけでなく比較的小さい分子である化学式C12Oで表されるヘキサナールも誤認識せずに、ノナナールのみを認識することができる。ノナナールがターゲット分子である場合、ターゲット分子が基材に吸着する箇所であるカルボニル基と基材から遠い他端のメチル基との間の距離がより短いヘキサナールは、嵩高いメチル基が認識部3に入ることができない。
分子認識素子10によれば、分子量、化学的特性、及び反応性が同じ構造異性体の認識が可能である。例えば、
Figure 2023166245000002
の構造を有する2-ノナノンと
Figure 2023166245000003
の構造を有する3-ノナノンと
Figure 2023166245000004
の構造を有する5-ノナノンとは、カルボニル基の位置のみが異なる構造異性体であり蒸気圧もほぼ同じであるが、分子認識素子10によれば、選択的に認識することが可能である。
認識部3が分子の形状を精密に認識できるので、上記のように、長い分子をターゲット分子とする認識部3が、より長い分子だけでなく、より短い分子も誤認識せずに、ターゲット分子のみを正しく選択的に認識することができる。これは、認識部3は、分子の大きさではなく、分子の形を認識しているためである。理論に束縛されるものではないが、ターゲット分子を覆うようにしてALD法で形成したセラミックスの原子層堆積膜を熱処理してターゲット分子を除去することにより形成される認識部3の形成プロセスにより、ターゲット分子の分子運動に起因した分子形状を認識可能な型が得られるためと考えられる。
分子認識素子10で認識可能な分子は、好ましくは炭素数4~炭素数15の分子である。本分子認識素子は、例えば、アセトアルデヒド等の低分子の構造異性体も認識可能である。低分子をターゲット分子とする場合は、ALD法の条件をできるだけマイルドにしてALDプロセス中にターゲット分子が揮発しないようにすることが好ましい。
分子認識素子10は、においセンサ等のセンサ、分子選択的固体触媒、正確性が求められる診断機器、個人認証等に用いることができる。分子認識素子10が針状である場合、例えば、QCMセンサとして用いると、表面積が従来比で100倍程度と極めて大きいので、分子の数が少なくても明確に検出することが可能である。
本開示はまた、表面にOH基を有するセラミックスで構成された基材上に、極性官能基を有する1種または複数種のターゲット分子を配置すること、
前記ターゲット分子を配置した前記基材上に、原子層堆積法を用いてセラミックスで構成された原子層堆積膜を形成すること、及び
前記原子層堆積膜を形成した前記基材を熱処理し前記ターゲット分子を除去して、前記ターゲット分子の分子形状を認識可能な前記ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔で構成された認識部を形成すること
を含む、分子認識素子の製造方法を対象とする。
図2に、本開示の製造方法の一例の模式図を示す。基材1上にターゲット分子4を配置し、原子層堆積(ALD)法で原子層堆積膜2を形成し、熱処理によりターゲット分子4を除去して原子層堆積膜2中に分子形状を認識する機能を有する認識部3を形成することができる。
ALD法は、吸着させたターゲット分子が多量に揮発しない温度で行うことが好ましい。ALD法においては、好ましくは、100~200℃程度の温度で原子層堆積が行われる。
熱処理の温度は、好ましくは300℃以上、より好ましくは350℃以上、さらに好ましくは400℃以上である。前記好ましい温度で熱処理を行うことにより、ターゲット分子を実質的に除去することができる。熱処理の温度の上限は、セラミックスで構成された原子層堆積膜2及び認識部3が耐えられる温度であることができ、例えば600℃、500℃、または400℃である。
図3に、基材1が六方晶系ウルツ型構造を有するZnOの針状結晶である場合の、ALD法で原子層堆積膜2を形成したとき、ターゲット分子4を脱離処理(熱処理)したとき、及び分子認識素子10が分子認識しているときの態様の一例を表す模式図を示す。針状結晶のZnOである基材1の表面にターゲット分子4を介在させながら原子層堆積膜2を形成し、熱処理によりターゲット分子4を脱離(揮発)させて認識部3を形成する。認識部3は、分子の大きさだけでなく形状も適合する分子のみを認識することができる。
原子層堆積(ALD)法は、基材1上に原子層を一層ずつ堆積することができる。ALDプロセスは、(1)蒸気(ガス)の状態でプリカーサ(前駆体)として第1の材料を投入、(2)パージ、(3)別のプリカーサ(前駆体)として第2の材料を投入、及び(4)パージを含む。この4ステップを1サイクルとしてサイクルを繰り返し、サイクル数を調整することで所望の膜厚を成膜することができる。例えば、TiOxの製膜は1サイクルで約0.5Åずつ製膜ができるので、100サイクル行うことで、約100Å(約5nm)の膜厚を得ることができる。ALD中の温度は、好ましくは約150~170℃である。
本方法においては、第1の材料のプリカーサはキャリアガスとともに投入され、基材1の表面に付着(物理吸着)することができる。第1の材料のプリカーサは、基材1の表面のOH基と結合し得る。基材1上に原子1つが結合し核が形成され、核を基点に膜が横方向に成長し、成膜される。
第1の材料は、チタニウムプリカーサとしてテトラキスジメチルアミノチタニウム(TDMAT)、アルミニウムプリカーサとしてトリメチルアルミニウム(TMA)、ビス(ジメチルアミノ-2-メチル-2-ブトキシ)スズ(II)[Sn(dmamb)]等であることができる。第2の材料は、水であることができる。
ALD法は、例えば、10~600サイクル、15~400サイクル、20~200サイクル、25~100サイクル、30~80、または40~60サイクルで行うことができる。
ターゲット分子4は、極性官能基を有する限り、認識したい任意の分子であることができる。ターゲット分子4は、基材1上に原子層堆積膜2を形成する前に配置される。ターゲット分子4は、認識したい分子の種類に応じて、1種類または2種類以上でもよい。
所定の割合を有する複数種類のターゲット分子4を基材1上に配置することにより、所定の割合を有する複数種類の分子を認識することができる。分子認識素子10が所定の割合を有する複数種類の分子を認識可能であることにより、嗅覚センサに好適に用いることができる。例えば、バナナの匂いを示すガス中に基材1を暴露して原子層堆積膜2を形成することにより、バナナの匂いを示す所定の割合の分子を認識可能な認識部3を備える分子認識素子10を得ることができる。
ターゲット分子4の基材1上への配置方法は特に限定されず、ターゲット分子4を含むガスに基材1を暴露、ターゲット分子4を含む溶液に基材1を浸漬、物理的輸送(PVT)法、化学的輸送(CVT)法等で行うことができる。
基材1は、分子認識素子10の製造プロセスにおいて、ターゲット分子を表面にピンニングすることができ、且つ前記表面上に原子層堆積膜をALD法で堆積できるセラミックス、すなわち表面にOH基を有するセラミックスであれば特に限定されない。
基材1の表面に吸着させるターゲット分子4は、基材1にピンニングさせるために極性官能基を備える。極性官能基は特に限定されないが、例えば、カルボニル基、アミノ基、アミド基、それらの組み合わせ等である。
例えば、基材1であるZnOの(1010)面上にノナナールを配置する場合、ノナナールのカルボニル基を、(1010)面上のルイス酸点に酸・塩基反応の相互作用で吸着させることができる。この場合、カルボニル基が基材1の表面にピンニングされるので、ALD法による堆積中のダメージでターゲット分子4が基材1の表面から脱離することなく、原子層堆積膜2を堆積させることができる。
図4に、ターゲット分子4であるノナナールがカルボニル基を介して基材1であるZnOのm面にピンニングされる場合の、ターゲット分子4を配置したとき、原子層堆積膜2を形成したとき、及びターゲット分子4を除去したときの態様の一例を表す模式図を示す。
基材1上へのターゲット分子4の配置は、基材1上に密に配置されるよりも間隔を開けて配置されることが好ましい。ALD法でターゲット分子4が存在しない箇所の基材1上に結晶成長の核を形成し、その核を起点としてターゲット分子4の周囲を覆うように原子層堆積膜を形成することができる。
ターゲット分子4の基材1上への配置密度は、ターゲット分子4の基材1への配置方法や配置条件で調整することができる。
ターゲット分子4を基材1上に配置した後、ALD法で原子層堆積膜2を形成する前に、ターゲット分子4の密度を調整するために、予備加熱をしてもよい。予備加熱をすることによって、ターゲット分子4の基材1上の配置密度を減少するように調整することができる。予備加熱の温度は、好ましくは160~200℃である。ALD法による原子層堆積膜の形成サイクル中に、ターゲット分子4は徐々に脱離し得るので、ALD法の温度条件、サイクル数等を調整して、基材1上のターゲット分子4の密度を調整してもよい。
分子認識素子10で認識した分子の定性分析及び定量分析は、加熱発生ガスクロマトグラフィー質量分析法(TPD-GC/MS)で行うことができる。分子認識に用いた本分子認識素子を約300~500℃で加熱して分子を認識部3から脱離させて、分子の種類及び量をTPD-GC/MSで測定することができる。TPD-GC/MSにおいては、ピーク領域のキャリブレーションをあらかじめ取得しておき、測定値をmol単位に変換することができる。
(実施例1)ノナナールをターゲット分子とする分子認識素子の作製
図4に模式的に示すプロセスで、ノナナールをターゲット分子とする分子認識素子を作製した。まず、20nmの直径及び6000nmの長さを有する針状でm面を有するZnO基材を作製した。ZnO基材は、水熱合成法により作製した。ZnO基材は、m面上にOH基を備えていた。
準備したZnO基材を、ノナナール溶液中に浸漬し、取り出して乾燥して、ZnO基材のm面上にノナナール分子を表面に吸着させた。
ノナナール分子を吸着させたZnO基材のm面に、ALD(Veeco製、savannah G2 S100)を用いて、平均厚みが0.75nmの原子層堆積膜を形成した。ALDにおいては、ノナナール分子を吸着させたZnO基材をチャンバー内に配置し、チャンバー内を160℃に加熱しながら、(1)第1の材料のチタニウムプリカーサとしてテトラキスジメチルアミノチタニウム(TDMAT)を投入、(2)パージ、(3)別のプリカーサ(前駆体)として水を投入、及び(4)パージを含む(1)~(4)のステップを1サイクルとして、20サイクルを繰り返した。
次いで、400℃で熱処理を行ってターゲット分子を除去して認識部を形成し、ZnO基材、TiOxの原子層堆積膜、及びノナナール分子の認識部を有する分子認識素子を作製した。
同様にして、ALDステップを40サイクル、60サイクル、100サイクル、及び600サイクル繰り返して、それぞれ分子認識素子を作製した。
(分子選択性の評価)
ALDステップを20サイクル、40サイクル、60サイクル、100サイクル、及び600サイクル繰り返して作製した分子認識素子を、ヘキサナール(C6)、ノナナール(C9)、及びウンデカナール(C11)を等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露して、ノナナール分子の選択的認識評価を行った。また、ALDステップのサイクルを0、すなわち原子層堆積膜を形成しなかったものを比較試料として評価した。20サイクル、40サイクル、60サイクル、100サイクル、及び600サイクル繰り返して作製した分子認識素子の原子層堆積膜の平均厚みはそれぞれ、0.2nm未満、0.5nm、1nm、2nm、及び12nmであった。平均厚みは、原子層堆積膜の厚みをランダムに20点測定した平均値である。
図5に、横軸がALDステップのサイクル数(以下、ALDサイクル数ともいう)、縦軸がTPD-GC/MS(島津製作所製、GCMS-QP2010)で測定した脱離量(nmol)とする分子選択性評価のグラフを示す。脱離量は300℃で加熱してTPD-GC/MSで測定した(以下、同様である)。20~100サイクルで作製した分子認識素子は、ノナナールを選択的に認識することができた。0サイクルで作製した比較試料は認識部を備えないため分子選択性がなく、600サイクルで作製した分子認識素子については、ターゲット分子が基材表面から脱離して認識部の形成が不十分であったか、あるいは原子層堆積膜の厚みが大きすぎて認識部が覆われ認識部が機能しなかったと考えられる。
(実施例2)ウンデカナールをターゲット分子とする分子認識素子の作製及び分子選択性評価
実施例1と同様にして、ZnO基材、TiOxの原子層堆積膜、及びウンデカナール分子の認識部を有する分子認識素子を作製し、ウンデカナール分子の選択的認識評価を行った。20サイクル、40サイクル、60サイクル、100サイクル、及び600サイクル繰り返して作製した分子認識素子の原子層堆積膜の平均厚みはそれぞれ、0nm、0.5nm、1nm、2nm、及び12nmであった。
図6に、横軸がALDステップのサイクル数、縦軸がTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)とする分子選択性評価のグラフを示す。20~40サイクルで作製した分子認識素子は、ウンデカナールを選択的に認識することができた。0サイクルで作製した比較試料は認識部を備えないため分子選択性がなく、60~100サイクルで作製した分子認識素子については、ターゲット分子が基材表面から脱離して認識部の形成が不十分であったか、あるいは原子層堆積膜の厚みが大きすぎて認識部が覆われて認識部が機能しなかったと考えられる。
(比較例1)
ターゲット分子を介在させなかったこと以外は実施例1と同様に、ZnO基材状にTiOxの原子層堆積膜を形成して比較試料を作製し、ヘキサナール(C6)、ノナナール(C9)、及びウンデカナール(C11)を等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露し、分子の選択的認識評価を行った。
図7に、横軸がALDステップのサイクル数、縦軸がTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)とする分子選択性評価のグラフを示す。どのサイクル数においても脱離量が小さく有意な量で分子を認識できなかった。
(実施例3)ノナナールをターゲット分子とする分子認識素子の分子選択性評価
ALDステップのサイクル数を100サイクルとして実施例1で作製した分子認識素子を、デカナール(C8)を含む飽和蒸気圧のガス、ノナナール(C9)を含む飽和蒸気圧のガス、及びオクタナール(C10)を含む飽和蒸気圧のガスのそれぞれに暴露して、選択的認識評価を行った。
図8に、横軸がデカナール(C8)、ノナナール(C9)、及びオクタナール(C10)、縦軸がTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)とするグラフを示す。デカナール(C8)、ノナナール(C9)、及びオクタナール(C10)は炭素原子数が互いに近接した分子であるが、本例で作製した分子認識素子はノナナールを選択的に認識することができた。
(実施例4)2-ノナノンをターゲット分子とする分子認識素子の作製及び分子選択性評価
ターゲット分子を2-ノナノンをとし、ALDサイクルを20サイクル、40サイクル、60サイクル、80サイクル、及び100サイクルとしたこと以外は実施例1と同様にして、ZnO基材、TiOxの原子層堆積膜、及び2-ノナノン分子の認識部を有する分子認識素子を作製した。作製した分子認識素子を2-ノナノン、3-ノナノン、及び5-ノナノンを等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露して、2-ノナノン分子の選択的認識評価を行った。20サイクル、40サイクル、60サイクル、80サイクル、及び100サイクル繰り返して作製した分子認識素子の原子層堆積膜の平均厚みはそれぞれ、0.2nm未満、0.4nm、0.6nm、0.8nm、及び1nmであった。
図9に、横軸がALDステップのサイクル数、縦軸がTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)とする分子選択性評価のグラフを示す。20~100サイクル、特に40~60サイクルで作製した分子認識素子は、2-ノナノンを選択的に認識することができた。0サイクルで作製した比較試料は認識部を備えないため分子選択性がなく、20サイクルで作製した分子認識素子は認識部の形成が少なく、80~100サイクルで作製した分子認識素子は、ターゲット分子が基材表面から脱離して認識部の形成が不十分であったか、あるいは原子層堆積膜の厚みが大きく認識部が覆われて認識機能が小さくなったと考えられる。
(実施例5)3-ノナノンをターゲット分子とする分子認識素子の作製及び分子選択性評価
実施例4と同様にして、ZnO基材、TiOxの原子層堆積膜、及び3-ノナノン分子の認識部を有する分子認識素子を作製し、3-ノナノン分子の選択的認識評価を行った。20サイクル、40サイクル、60サイクル、80サイクル、及び100サイクル繰り返して作製した分子認識素子の原子層堆積膜の平均厚みはそれぞれ、0.2nm未満、0.4nm、0.6nm、0.8nm、及び1nmであった。
図10に、横軸がALDステップのサイクル数、縦軸がTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)とする分子選択性評価のグラフを示す。20~100サイクル、特に40~80サイクル、さらには40~60サイクルで作製した分子認識素子は、3-ノナノンを選択的に認識することができた。
(実施例6)5-ノナノンをターゲット分子とする分子認識素子の作製及び分子選択性評価
実施例4と同様にして、ZnO基材、TiOxの原子層堆積膜、及び5-ノナノン分子の認識部を有する分子認識素子を作製し、5-ノナノン分子の選択的認識評価を行った。20サイクル、40サイクル、60サイクル、80サイクル、及び100サイクル繰り返して作製した分子認識素子の原子層堆積膜の平均厚みはそれぞれ、0.2nm未満、0.4nm、0.6nm、0.8nm、及び1nmであった。
図11に、横軸がALDステップのサイクル数、縦軸がTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)とする分子選択性評価のグラフを示す。40~80サイクル、特に40~60サイクルで作製した分子認識素子は、5-ノナノンを選択的に認識することができた。
(比較例2)
ターゲット分子を介在させなかったこと以外は実施例4と同様に、ZnO基材状にTiOxの原子層堆積膜を形成して、2-ノナノン、3-ノナノン、及び5-ノナノンを等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露し、分子の選択的認識評価を行った。
図12に、横軸がALDステップのサイクル数、縦軸がTPD-GC/MSで測定した脱離量(nmol)とする分子選択性評価のグラフを示す。どのサイクル数においても脱離量が小さく有意な量で分子を認識できなかった。
(ALDサイクルによるターゲット分子の脱離評価)
図13に、実施例1と同様の方法で、ターゲット分子としてノナナールを吸着させたZnO基材にALDステップのサイクル数を0~600サイクルとして原子層堆積を行ったときの、CH及びCHの赤外吸収分光法(IR)スペクトルを示す。ALDサイクル数が大きくなるにつれてCH及びCHのピーク強度は減少する傾向を示した。
図14に、横軸をALDサイクル数、縦軸をターゲット分子として基材に吸着させたノナナールの脱離量(nmol)とするグラフを示す。ALDサイクル数が大きくなるにつれてノナナールの脱離量は減少する傾向を示した。図13及び図14の結果から、ALDサイクル数が多くなるほど基材表面に吸着させたターゲット分子が脱離する傾向があることが示唆された。
(原子層堆積膜の厚み評価)
図15に、実施例1で60サイクルのALDで作製した分子認識素子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。分子認識素子は、針状のm面を有するZnO基材上に認識部を備えたTiOx膜(原子層堆積膜)を有する。
図16に、図15の分子認識素子の断面TEM像と、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で分子認識素子の表面から測定したZn及びTiの元素マッピング像を示す。結晶性を有するZnO基材上にアモルファスのTiOxが堆積されているが、ZnO基材上にノナナール分子を介在させながらTiOxを堆積させたため、破線で示すZnO基材とTiOxの界面及び実線で示すTiOxの表面ともに凹凸があり、TiOx膜は不均一な厚みを有していた。
図17に、比較例1で60サイクルのALDで作製した比較試料の断面TEM像と、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で比較試料の表面から測定したZn及びTiの元素マッピング像を示す。結晶性を有するZnO基材上にアモルファスのTiOxが堆積されており、ZnO基材とTiOxの界面及びTiOxの表面ともに平坦であり、TiOx膜は2.1nmの均一な厚みを有していた。
(ALDサイクル数と原子層堆積膜の膜厚の関係評価)
実施例1と同様に、ノナナールのターゲット分子を介在させて20~400のALDサイクルで分子認識素子を作製し、図16と同様に断面TEM観察を行い、原子層堆積膜であるTiOxの平均厚みを測定した。ターゲット分子を介在させずに0~400のALDサイクルとしたこと以外は同様の方法で比較試料を作製し、図17と同様に断面TEM観察を行い、原子層堆積膜であるTiOxの平均厚みを測定した。
図18に、ALDサイクル数に対する原子層堆積膜であるTiOxの平均厚みを表すグラフを示す。ALDサイクル数に比例してTiOxの平均厚みは大きくなった。ターゲット分子を介在させない比較試料よりもターゲット分子を介在させた分子認識素子の方が、原子層堆積膜の平均厚みは若干小さいが、ターゲット分子の有無に関わらず、ほぼ同様の傾向を示した。
(熱処理温度によるターゲット分子の脱離評価)
図19に、実施例1と同様の方法でターゲット分子としてノナナールを吸着させたZnO基材を100~250℃での温度で熱処理したときの、CH及びCHの赤外吸収分光法(IR)スペクトルを示す。熱処理温度が250℃の場合は、CH及びCHのピークは小さくなり、ノナナールが揮発したことが示唆されるが、熱処理温度が100~200℃の範囲ではCH及びCHのピークがみられ、ノナナールが基材上に存在していることが示唆された。
原子層堆積膜を形成する前に175℃で予備加熱して作製したこと以外は実施例1と同様にして、ALDサイクル数20~600で分子認識素子を作製した。作製した分子認識素子を、ヘキサナール(C6)、ノナナール(C9)、及びウンデカナール(C11)を等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露して、ノナナール分子の選択的認識評価を行った。図20に、ALDサイクル数に対する分子の脱離量を表すグラフを示す。175℃で予備加熱して作製した分子認識素子においても、ノナナールを選択的に認識することができた。図19の結果からも示唆されるとおり、175℃の加熱後にもターゲット分子であるノナナールは基材上に残存しており、原子層堆積膜中にノナナール分子の認識部を良好に形成できたためである。
図21に、実施例1で予備加熱しないで作製した分子認識素子と、175℃で予備加熱して作製した分子認識素子のALDサイクル数による分子の脱離量のピーク位置を比較したグラフを示す。
予備加熱しないで作製した分子認識素子と、175℃で予備加熱して作製した分子認識素子とでは、ALDサイクル数による脱離量のピーク位置が異なる。予備加熱して作製した分子認識素子では、ALDサイクル数がより少ないときに(原子層堆積膜の厚みがより小さいときに)、脱離量のピークを示す。これは、ターゲット分子の配置密度が小さいために、より少ないALDサイクル数から原子層堆積膜が成膜されやすく、より少ないALDサイクル数で認識部が形成されやすいためである。
(分子認識素子の耐熱性評価)
図22は、実施例1でALDサイクル数60で作製したノナナールをターゲット分子とする分子認識素子を、300~600℃で30分間熱処理し、次いでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールを等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露し、TPD-GC/MSでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールの脱離量を測定したクロマトグラフである。
図23は、図22で得られたクロマトグラフの測定値をnmol単位に変換したグラフである。図22及び図23の結果から、実施例1で作製した分子認識素子は、300~600℃の熱処理をした後でも、ターゲット分子であるノナナールを選択的に認識することができたことが分かる。
図24は、実施例1でALDサイクル数60で作製したノナナールをターゲット分子とする分子認識素子を、400℃で1時間、1日、1週間、及び1ヶ月間熱処理し、次いでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールを等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露し、TPD-GC/MSでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールの脱離量を測定したグラフである。分子認識素子は、400℃で1ヶ月間という長時間の熱処理をした後でも、ターゲット分子であるノナナールを選択的に認識することができた。
図25は、実施例1でALDサイクル数60で作製したノナナールをターゲット分子とする分子認識素子を、300~600℃で30分間~3ヶ月間熱処理し、次いでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールを等量で含む飽和蒸気圧の混合ガスに暴露し、TPD-GC/MSでヘキサナール、ノナナール、及びウンデカナールの脱離量を測定し、ヘキサナールに対するノナナールの脱離量の比率を表したグラフである。
作製した分子認識素子は、300~400℃で3ヶ月という長時間の熱処理をした後でも、ターゲット分子であるノナナールを選択的に認識することができた。熱処理温度が500℃の場合、分子認識素子のヘキサナールに対するノナナールの脱離量の比率がやや低下し、熱処理温度が600℃の場合、ヘキサナールに対するノナナールの脱離量の比率がさらに低下したが、ノナナールの選択性は見られた。分子認識素子は、300~600℃で熱処理した後でも、特に良好には300~400℃で熱処理した後でも、ターゲット分子であるノナナールを選択的に認識することができた。
(分子認識素子の応用デバイス特性評価)
実施例1でALDサイクル数60で作製したノナナールをターゲット分子とする分子認識素子を、水晶振動子マイクロバランス(QCM)装置の水晶上に配置し、QCMセンサ動作の評価を行った。図26に、(A)QCM装置の外観模式図、及び(B)QCM装置の水晶上に配置した分子認識素子の外観模式図を示す。
図27に、(A)ターゲット分子を介在させないで原子層堆積を行った比較試料と、(B)QCM装置の水晶上に配置したノナナールをターゲット分子とする分子認識素子について、ヘキサナールを飽和蒸気圧で含むガス、ノナナールを飽和蒸気圧で含むガス、及びウンデカナールを飽和蒸気圧で含むガスをそれぞれ、QCM装置のチャンバー内に別個に流して暴露したときの、時間(秒)に対する水晶振動子の振動数変化量ΔFのグラフを示す。それぞれのガスは、300~600秒の間及び900~1200秒の間で流した。
ターゲット分子を介在させないで作製した比較試料は、分子選択性を示さなかった。ターゲット分子を介在させないで作製した比較試料について、ヘキサナールを含むガスを流したときにΔFが比較的大きく立ち上がりを示したのは、ヘキサナールの分子量が小さく蒸気圧が高いために分子の数が多いためである。ノナナールをターゲット分子とする分子認識素子は、ノナナールを選択的に認識することができ、且つ分子を含むガスに暴露するとΔFがすぐに立ち上がり、分子を含むガスの流れを止めるとΔFはすぐに減少した。このように、本分子認識素子は、高性能なQCMセンサとして動作可能であることが確認された。
10 分子認識素子
1 基材
2 原子層堆積膜
3 認識部
4 ターゲット分子

Claims (8)

  1. セラミックスで構成された基材、及び
    前記基材上のセラミックスで構成された原子層堆積膜
    を含み、
    前記原子層堆積膜は、1種または複数種のターゲット分子の分子形状を認識可能な前記ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔で構成された認識部を備える
    分子認識素子。
  2. 前記原子層堆積膜は0.5~30nmの平均厚みを有する、請求項1に記載の分子認識素子。
  3. 前記原子層堆積膜は、金属原子に対して酸素が6配位するカチオン系のイオン酸化物を含む、請求項1または2に記載の分子認識素子。
  4. 請求項1または2に記載の分子認識素子を備えるセンサ。
  5. 表面にOH基を有するセラミックスで構成された基材上に、極性官能基を有する1種または複数種のターゲット分子を配置すること、
    前記ターゲット分子を配置した前記基材上に、原子層堆積法を用いてセラミックスで構成された原子層堆積膜を形成すること、及び
    前記原子層堆積膜を形成した前記基材を熱処理し前記ターゲット分子を除去して、前記ターゲット分子の分子形状を認識可能な前記ターゲット分子の分子形状を鋳型とする孔で構成された認識部を形成すること
    を含む、分子認識素子の製造方法。
  6. 前記原子層堆積膜は0.5~30nmの平均厚みを有する、請求項5に記載の分子認識素子の製造方法。
  7. 前記原子層堆積膜は、金属原子に対して酸素が6配位するカチオン系のイオン酸化物を含む、請求項5または6に記載の分子認識素子の製造方法。
  8. 前記熱処理の温度が300℃以上である、請求項5または6に記載の分子認識素子の製造方法。

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