JP2023154902A - 障害物検知装置及び走行制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行予定経路と実際の走行経路とがずれても、障害物の誤検知を抑制することができる障害物検知装置及び走行制御装置を提供する。【解決手段】障害物検知装置30は、複数の経路点Pで形成されたフォークリフト1の走行予定経路Rを取得する経路生成部32と、経路生成部32により取得された走行予定経路Rの経路点Pに対してフォークリフト1を全体的に取り囲む検知枠Fをマッピングすることで、フォークリフト1の進行方向に存在する障害物Xを検知するための障害物検知領域Eを設定する検知領域設定部35と、障害物Xを検出する障害物センサ23と、障害物センサ23の点群データに基づいて、検知領域設定部35により設定された障害物検知領域Eに障害物Xが存在しているかどうかを判定する障害物判定部37とを備える。【選択図】図2
Description
本発明は、障害物検知装置及び走行制御装置に関する。
従来の走行制御装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の走行制御装置は、作業車両の走行を制御する車両ECUと、GPSアンテナで受信した測位信号に基づいて作業車両の自己位置を算出し、予定走行経路と自己位置とを比較して車両ECUに対する制御信号を送信する自動運転ECUと、作業車両の前方の障害物の有無を検出する障害物センサとを備えている。
ところで、無人の自動運転では、走行予定経路と実際の走行経路とがずれることがある。この場合には、作業車両の前方に障害物が存在していると間違って検知され、作業車両が停止してしまうことがある。
本発明の目的は、走行予定経路と実際の走行経路とがずれても、障害物の誤検知を抑制することができる障害物検知装置及び走行制御装置を提供することである。
(1)本発明の一態様に係る障害物検知装置は、複数の経路点で形成された産業車両の走行予定経路を取得する経路取得部と、経路取得部により取得された走行予定経路の経路点に対して産業車両を全体的に取り囲む検知枠をマッピングすることで、産業車両の進行方向に存在する障害物を検知するための障害物検知領域を設定する検知領域設定部と、障害物を検出する障害物検出部と、障害物検出部の検出データに基づいて、検知領域設定部により設定された障害物検知領域に障害物が存在しているかどうかを判定する障害物判定部とを備える。
このような障害物検知装置においては、複数の経路点で形成された産業車両の走行予定経路が取得される。そして、走行予定経路の経路点に対して産業車両を全体的に取り囲む検知枠をマッピングすることで、産業車両の進行方向に存在する障害物を検知するための障害物検知領域が設定される。そして、障害物を検出する障害物検出部の検出データに基づいて、障害物検知領域に障害物が存在しているかどうかが判定される。従って、産業車両の実際の走行経路が走行予定経路とずれてしまっても、複数の検知枠から得られた障害物検知領域に障害物が存在していれば、産業車両の進行方向に障害物が存在すると検知される。これにより、走行予定経路と実際の走行経路とがずれても、障害物の誤検知が抑制される。
(2)(1)において、検知枠の寸法は、産業車両の外形寸法よりも産業車両の前後方向及び左右方向に大きくてもよい。このような構成では、検知枠の寸法が産業車両の外形寸法に対して産業車両の前後方向及び左右方向にマージンを有することとなるため、大きな障害物検知領域が設定される。従って、産業車両を走行予定経路に沿って走行させる際に生じる誤差に関わらず、産業車両の進行方向に障害物が存在するかどうかが精度良く検知される。
(3)(1)または(2)において、産業車両は、産業車両の前後方向及び左右方向の少なくとも一方の寸法が異なる複数種類の着脱可能な作業具を有し、検知領域設定部は、作業具の種類に応じて、寸法が異なる検知枠をマッピングしてもよい。このような構成では、使用される作業具の種類によって、走行予定経路の経路点に対して適切な検知枠がマッピングされることとなる。従って、複数種類の作業具が使用される場合でも、障害物の誤検知が抑制される。
(4)(1)~(3)の何れかにおいて、障害物検知装置は、障害物検出部の検出データにおいて障害物以外の物体に相当する部分を除去する除去処理部を更に備え、障害物判定部は、除去処理部により障害物以外の物体に相当する部分が除去された処理後データに基づいて、障害物検知領域に障害物が存在しているかどうかを判定してもよい。このような構成では、障害物検出部の検出データにおいて障害物以外の物体に相当する部分が除去されるため、障害物の誤検知が更に抑制される。
(5)本発明の他の態様に係る走行制御装置は、産業車両を走行させる駆動部と、複数の経路点で形成された産業車両の走行予定経路を取得する経路取得部と、産業車両を走行予定経路に沿って走行させるように駆動部を制御する第1制御部と、経路取得部により取得された走行予定経路の経路点に対して産業車両を全体的に取り囲む検知枠をマッピングすることで、産業車両の進行方向に存在する障害物を検知するための障害物検知領域を設定する検知領域設定部と、障害物を検出する障害物検出部と、障害物検出部の検出データに基づいて、検知領域設定部により設定された障害物検知領域に障害物が存在しているかどうかを判定する障害物判定部と、障害物判定部により障害物検知領域に障害物が存在していると判定されたときに、産業車両を減速または停止させるように駆動部を制御する第2制御部とを備える。
このような走行制御装置においては、複数の経路点で形成された産業車両の走行予定経路が取得される。そして、走行予定経路の経路点に対して産業車両を全体的に取り囲む検知枠をマッピングすることで、産業車両の進行方向に存在する障害物を検知するための障害物検知領域が設定される。そして、障害物を検出する障害物検出部の検出データに基づいて、障害物検知領域に障害物が存在しているかどうかが判定される。従って、産業車両の実際の走行経路が走行予定経路とずれてしまっても、複数の検知枠から得られた障害物検知領域に障害物が存在していれば、産業車両の進行方向に障害物が存在すると検知される。これにより、走行予定経路と実際の走行経路とがずれても、障害物の誤検知が抑制される。
(6)(5)において、第2制御部は、障害物までの距離が規定値以下であるときは、産業車両を停止させるように駆動部を制御し、障害物までの距離が規定値よりも長いときは、産業車両を減速させるように駆動部を制御してもよい。このような構成では、産業車両の進行方向に障害物が存在すると検知されたときは、産業車両から障害物までの距離に応じて、産業車両の走行状態が適切に制御される。
本発明によれば、走行予定経路と実際の走行経路とがずれても、障害物の誤検知を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図中、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る障害物検知装置及び走行制御装置を具備した産業車両としてフォークリフトを示す斜視図である。図1において、フォークリフト1は、荷役を行う産業車両である。フォークリフト1は、走行装置2と、この走行装置2の前側に配置された荷役装置3とを備えている。
走行装置2は、車体4と、この車体4の前部に配置された左右1対の駆動輪である前輪5と、車体4の後部に配置された左右1対の操舵輪である後輪6とを有している。
荷役装置3は、車体4の前端部に取り付けられたマスト7と、このマスト7にリフトブラケット8を介して昇降可能に取り付けられた左右1対のフォーク9と、このフォーク9を昇降させるリフトシリンダ10と、マスト7を傾動させるティルトシリンダ11とを有している。フォーク9は、パレット12(図3参照)を保持する作業具である。フォーク9は、リフトブラケット8に着脱可能に取り付けられている。
パレット12は、例えばプラスチック製または木製の平パレットである。パレット12は、平面視で四角形状を呈している。パレット12上には、荷物(図示せず)が載置される。パレット12には、各フォーク9が差し込まれる左右1対のフォーク穴13が設けられている。
図2は、本発明の第1実施形態に係る走行制御装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の走行制御装置20は、例えば図3に示されるように、パレット12の荷降ろし作業を行う際に、フォークリフト1を荷降ろし位置まで自動走行させるように制御する装置である。荷降ろし位置は、フォーク9をパレット12のフォーク穴13に差し込むことが可能な位置である。走行制御装置20は、フォークリフト1に搭載されている。
図2において、走行制御装置20は、レーザセンサ21と、地図記憶部22と、障害物センサ23と、車速センサ24と、駆動部25と、警報器26と、コントローラ27とを備えている。
レーザセンサ21は、フォークリフト1の周囲に向けてレーザ光を照射し、レーザ光の反射光を受光することにより、フォークリフト1の周囲に存在する物体までの距離を検出して点群データを取得する。点群は、レーザ光の反射点の集まりである。フォークリフト1の周囲に存在する物体には、パレット12も含まれる。レーザセンサ21としては、例えばLIDAR(light detection and ranging)またはレーザレンジファインダ等が使用される。
地図記憶部22は、フォークリフト1により荷役作業を実施するエリアの地図データを記憶する。地図データには、柱、棚及び壁等が含まれている。
障害物センサ23は、フォークリフト1の周囲に存在する障害物X(図6参照)を検出する障害物検出部である。障害物Xは、作業者及び他の車両等である。障害物センサ23としては、レーザセンサ21と同様に、LIDARまたはレーザレンジファインダ等が使用される。障害物センサ23の数としては、1つでもよいし、複数でもよい。車速センサ24は、フォークリフト1の走行速度(車速)を検出する。
駆動部25は、例えば図示はしないが、駆動輪である前輪5を回転させる走行モータと、操舵輪である後輪6を転舵させる操舵モータとを有している。警報器26は、フォークリフト1の前方(進行方向)に障害物Xが存在することが検知されたときに、警報音または警報表示によって警報を行う。
コントローラ27は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ27は、パレット位置算出部31と、経路生成部32と、自己位置推定部33と、誘導制御部34(第1制御部)と、検知領域設定部35と、除去処理部36と、障害物判定部37と、減速停止制御部38(第2制御部)とを有している。これらの機能は、例えば操作スイッチ(図示せず)によりフォークリフト1の自動走行の開始が指示されると実行される。
経路生成部32、検知領域設定部35、除去処理部36及び障害物判定部37は、障害物センサ23と協働して、フォークリフト1の進行方向に障害物Xが存在するかどうかを検知する障害物検知装置30を構成している。
パレット位置算出部31は、レーザセンサ21の点群データに基づいて、フォークリフト1に対するパレット12の位置を算出する。パレット位置算出部31は、例えばRANSAC(Random Sample Consensus)や最小二乗法等を用いてパレット12の前面の平面方程式を算出し、その平面方程式に基づいてフォークリフト1に対するパレット12の位置を算出する。
経路生成部32は、パレット位置算出部31により算出されたフォークリフト1に対するパレット12の位置に基づいて、荷降ろし位置(前述)までのフォークリフト1の走行予定経路R(図3参照)を生成する。走行予定経路Rは、フォークリフト1が走行しようとする経路であり、複数の経路点P(図6参照)で形成されている。経路生成部32は、複数の経路点Pで形成されたフォークリフト1の走行予定経路Rを取得する経路取得部を構成している。
自己位置推定部33は、レーザセンサ21の点群データ及び地図記憶部22に記憶された地図データに基づいて、フォークリフト1の自己位置を推定する。具体的には、自己位置推定部33は、例えばSLAM(simultaneous localization andmapping)手法を用いて、点群データと地図データとをマッチングさせてフォークリフト1の自己位置を推定する。SLAMは、センサデータ及び地図データを用いて自己位置推定を行う自己位置推定技術である。
誘導制御部34は、経路生成部32により生成された走行予定経路Rに沿ってフォークリフト1を荷降ろし位置まで誘導走行させるように駆動部25を制御する。
図4は、誘導制御部34により実行される誘導制御処理の手順を示すフローチャートである。図4において、誘導制御部34は、まず経路生成部32により生成された走行予定経路Rのデータと自己位置推定部33により推定されたフォークリフト1の自己位置データとを取得する(手順S121)。
続いて、誘導制御部34は、フォークリフト1の自己位置と走行予定経路Rとのズレ量が閾値以下であるかどうかを判断する(手順S122)。閾値は、例えば検知枠Fの幅寸法W1(図7参照)である。
誘導制御部34は、フォークリフト1の自己位置と走行予定経路Rとのズレ量が閾値以下であると判断したときは、フォークリフト1を荷降ろし位置に向けて走行させるように駆動部25を制御する(手順S123)。このとき、誘導制御部34は、フォークリフト1の自己位置が走行予定経路Rに近づくように駆動部25を制御する。
続いて、誘導制御部34は、フォークリフト1が荷降ろし位置に達したかどうかを判断する(手順S124)。誘導制御部34は、フォークリフト1が荷降ろし位置に達していないと判断したときは、上記の手順S121を再度実行する。誘導制御部34は、フォークリフト1が荷降ろし位置に達したと判断したときは、フォークリフト1を停止させるように駆動部25を制御する(手順S125)。
誘導制御部34は、手順S122でフォークリフト1の自己位置と走行予定経路Rとのズレ量が閾値よりも大きいと判断したときは、フォークリフト1を緊急停止させるように駆動部25を制御する(手順S126)。誘導制御部34は、警報を行うように警報器26を制御する(手順S127)。
図2に戻り、検知領域設定部35は、経路生成部32により生成された走行予定経路Rの経路点Pに対してフォークリフト1を全体的に取り囲む検知枠をマッピングすることで、フォークリフト1の進行方向に存在する障害物Xを検知するための障害物検知領域を設定する。
図5は、検知領域設定部35により実行される検知領域設定処理の手順を示すフローチャートである。図5において、検知領域設定部35は、まず経路生成部32により生成された走行予定経路Rのデータを取得する(手順S101)。
続いて、検知領域設定部35は、図6及び図7に示されるように、走行予定経路Rの複数の経路点Pに対してフォークリフト1を全体的に取り囲む矩形の検知枠Fをマッピングする(手順S102)。このとき、経路点Pが検知枠Fの中心に位置するように、検知枠Fが経路点Pに対してマッピングされる。これにより、複数の検知枠Fからなる障害物検知領域Eが設定される。
検知枠Fの寸法は、図7に示されるように、フォークリフト1の外形寸法よりもフォークリフト1の前後方向及び左右方向に大きくなっている。具体的には、検知枠Fの長さ寸法L1は、フォークリフト1の全長L2よりも大きい。フォークリフト1の全長L2は、フォークリフト1のフォーク9の先端(前端)から車体4の後端までの長さ寸法である。検知枠Fの幅寸法W1は、フォークリフト1の全幅W2よりも大きい。フォークリフト1の全幅W2は、フォークリフト1の車幅寸法である。
検知枠Fの寸法は、フォークリフト1の外形寸法よりも前後左右に規定量dだけ大きい。自己位置推定部33により生じる自己位置の推定誤差及び誘導制御部34により生じる誘導誤差等によって、フォークリフト1の実際の走行経路が走行予定経路Rに対してずれることがある。そこで、規定量dは、走行予定経路Rに対するフォークリフト1の実際の走行経路のずれ量を吸収することが可能な値に設定されている。
検知領域設定部35は、走行予定経路Rの全ての経路点Pに対して検知枠Fをマッピングする必要はなく、所定間隔毎の経路点Pに対して検知枠Fをマッピングしてもよい。これにより、計算処理時間の短縮につながる。この場合、隣り合う検知枠Fの一部同士が重なるようにマッピングを行う経路点Pの間隔を設定することにより、障害物検知領域Eの一部に抜けが生じることが防止される。
なお、障害物検知領域Eの抜けが生じる部分においてのみ、マッピングを行う経路点Pの間隔を短くしてもよいし、或いは障害物検知領域Eの抜けが生じる部分では、検知枠Fの寸法を大きくしてもよい。
検知領域設定部35は、手順S102を実行した後、障害物検知領域Eのデータを障害物判定部37に出力する(手順S103)。
図2に戻り、除去処理部36は、障害物センサ23の点群データにおいて障害物X以外の物体に相当する反射点を除去する。つまり、除去処理部36は、障害物センサ23の検出データにおいて障害物X以外の物体に相当する部分を除去する。これにより、障害物X以外の物体に相当する反射点が除去された点群データ(処理後データ)が得られる。
障害物X以外の物体は、位置及び寸法が既知または取得可能な物体である。ここでは、障害物X以外の物体としては、フォーク9及びパレット12等がある。フォーク9の位置、フォーク9の長さ及びパレット12の寸法は、予め分かっている。フォークリフト1に対するパレット12の位置は、パレット位置算出部31より取得される。従って、障害物センサ23の点群データにおいて、フォーク9及びパレット12等に相当する部分を容易に除去することができる。
障害物判定部37は、障害物センサ23の点群データに基づいて、検知領域設定部35により設定された障害物検知領域Eに障害物Xが存在しているかどうかを判定する。このとき、障害物判定部37は、除去処理部36により障害物X以外の物体に相当する反射点が除去された処理後データに基づいて、障害物検知領域Eに障害物Xが存在しているかどうかを判定する。
減速停止制御部38は、障害物判定部37により障害物検知領域Eに障害物Xが存在していると判定されたときに、フォークリフト1を減速または停止させるように駆動部25を制御すると共に、警報を行うように警報器26を制御する。減速停止制御部38は、障害物Xまでの距離が規定値以下であるときは、フォークリフト1を停止させるように駆動部25を制御し、障害物Xまでの距離が規定値よりも長いときは、フォークリフト1を減速させるように駆動部25を制御する。
図8は、減速停止制御部38により実行される減速停止制御処理の手順を示すフローチャートである。図8において、減速停止制御部38は、まず障害物判定部37により障害物検知領域Eに障害物Xが存在していると判定されたかどうかを判断する(手順S111)。
減速停止制御部38は、障害物検知領域Eに障害物Xが存在していると判定されたと判断したときは、車速センサ24の検出値を取得する(手順S112)。そして、減速停止制御部38は、車速センサ24の検出値に基づいて、フォークリフト1が走行予定経路Rに沿って走行する際にフォークリフト1の走行を停止させるための距離を算出する(手順S113)。
ここで、フォークリフト1の現在の車速をvとし、フォークリフト1の減速度をaとした場合、フォークリフト1の走行を停止させるためには、下記式の時間tが必要となる。なお、減速度aは、予め決まっている。
t=v/a
t=v/a
フォークリフト1の走行を停止させるための距離xは、フォークリフト1の現在の車速vを積分することで、下記式で表される。
x=v2/2a
x=v2/2a
続いて、減速停止制御部38は、障害物検知領域E内の停止エリアe1(図6参照)に障害物Xが存在しているかどうかを判断する(手順S114)。停止エリアe1は、障害物検知領域E内における停止用閾値S1(規定値)よりもフォークリフト1に近いエリアである。
停止用閾値S1は、フォークリフト1の車速vを極低速に相当する固定値v0としたときの上記の距離xにマージンを加えた値である。極低速に相当する固定値v0は、フォークリフト1の実際の車速vよりも低い。停止用閾値S1は、例えば停止エリアe1と減速エリアe2(後述)とを含む検知枠Fにおける経路点Pに相当する位置である(図6参照)。
減速停止制御部38は、障害物検知領域E内の停止エリアe1に障害物Xが存在していると判断したときは、フォークリフト1を停止させるように駆動部25を制御する(手順S115)。また、減速停止制御部38は、停止用警報を行うように警報器26を制御する(手順S116)。
減速停止制御部38は、障害物検知領域E内の停止エリアe1に障害物Xが存在していないと判断したときは、障害物検知領域E内の減速エリアe2(図6参照)に障害物Xが存在しているかどうかを判断する(手順S117)。減速エリアe2は、障害物検知領域E内における停止用閾値S1と減速用閾値S2との間のエリアである。
減速用閾値S2は、停止用閾値S1よりもフォークリフト1から遠い位置にある。減速用閾値S2は、フォークリフト1の現在の車速vにおける上記の距離xにマージンを加えた値である。減速用閾値S2は、例えば減速エリアe2におけるフォークリフト1から最も遠い検知枠Fの進行方向側の端に相当する位置である(図6参照)。
減速停止制御部38は、障害物検知領域E内の減速エリアe2に障害物Xが存在していると判断したときは、フォークリフト1を減速させるように駆動部25を制御する(手順S118)。また、減速停止制御部38は、減速用警報を行うように警報器26を制御し(手順S119)、上記の手順S111を再度実行する。
減速停止制御部38は、障害物検知領域E内の減速エリアe2に障害物Xが存在していないと判断したときは、上記の手順S111を再度実行する。
ところで、例えば現在のハンドル15(図1参照)の操作方向及び操作量に基づいて走行予定経路Rを予測する場合には、実際のフォークリフト1の走行経路が走行予定経路から大きくずれる可能性がある。有人運転では、作業者がハンドル操作を行うため、実際の走行経路に障害物Xが存在していなければ、フォークリフト1の走行を停止させることはない。しかし、無人運転では、実際の走行経路が走行予定経路からずれると、実際の走行経路に障害物Xが存在していなくても、障害物Xが存在していると間違って検知されることがある。この場合には、実際の走行経路に障害物Xが存在していないにも関わらず、フォークリフト1の走行が停止してしまう。
例えば図9(a)に示されるように、実際のフォークリフト1の位置に基づいて障害物検知領域Eが設定される場合には、フォークリフト1の走行予定経路Rに関係なく、実際のフォークリフト1の位置によって障害物検知領域Eの位置が変わる。従って、図9(b)に示されるように、フォークリフト1の実際の走行経路が走行予定経路Rからずれたときには、実際の走行経路に障害物Xが存在していなくても、障害物検知領域Eに障害物Xが存在していると、フォークリフト1の進行方向に障害物Xが存在すると誤検知されてしまう。
そのような課題に対し、本実施形態では、図10(a)に示されるように、フォークリフト1の走行予定経路Rに基づいて、複数の検知枠Fからなる障害物検知領域Eが設定される。このため、フォークリフト1の実際の走行経路が走行予定経路Rからずれても、障害物検知領域Eの位置は変わらず、障害物検知領域Eに障害物Xが存在していなければ、フォークリフト1の進行方向に障害物Xが存在すると誤検知されることはない。
また、図10(b)に示されるように、フォークリフト1の自己位置が走行予定経路Rから必要以上にずれたときは、障害物Xの有無に関わらず、フォークリフト1が緊急停止する。
以上のように本実施形態においては、複数の経路点Pで形成されたフォークリフト1の走行予定経路Rが取得される。そして、走行予定経路Rの経路点Pに対してフォークリフト1を全体的に取り囲む検知枠Fをマッピングすることで、フォークリフト1の進行方向に存在する障害物Xを検知するための障害物検知領域Eが設定される。そして、障害物Xを検出する障害物センサ23の検出データに基づいて、障害物検知領域Eに障害物Xが存在しているかどうかが判定される。従って、フォークリフト1の実際の走行経路が走行予定経路Rとずれてしまっても、複数の検知枠Fから得られた障害物検知領域Eに障害物Xが存在していれば、フォークリフト1の進行方向に障害物Xが存在すると検知される。これにより、走行予定経路Rと実際の走行経路とがずれても、障害物Xの誤検知が抑制される。その結果、障害物Xの誤検知によるフォークリフト1の走行停止を抑制することができる。
また、本実施形態では、検知枠Fの寸法は、フォークリフト1の外形寸法よりもフォークリフト1の前後方向及び左右方向に大きい。この場合には、検知枠Fの寸法がフォークリフト1の外形寸法に対してフォークリフト1の前後方向及び左右方向にマージンを有することとなるため、大きな障害物検知領域Eが設定される。従って、フォークリフト1を走行予定経路Rに沿って走行させる際に生じる誤差に関わらず、フォークリフト1の進行方向に障害物Xが存在するかどうかが精度良く検知される。
また、本実施形態では、障害物センサ23の点群データにおいて障害物X以外の物体(フォーク9及びパレット12等)に相当する反射点が除去され、その反射点が除去された処理後データに基づいて、障害物検知領域Eに障害物Xが存在しているかどうかが判定される。このように障害物センサ23の点群データにおいて障害物X以外の物体に相当する反射点が除去されるため、障害物Xの誤検知が更に抑制される。
また、本実施形態では、障害物Xまでの距離が停止用閾値S1以下であるときは、フォークリフト1を停止させるように駆動部25が制御され、障害物Xまでの距離が停止用閾値S1よりも長いときは、フォークリフト1を減速させるように駆動部25が制御される。このようにフォークリフト1の進行方向に障害物Xが存在すると検知されたときは、フォークリフト1から障害物Xまでの距離に応じてフォークリフト1の走行状態が適切に制御される。
図11は、本発明の第2実施形態に係る走行制御装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の走行制御装置20Aは、パレット12の荷積み作業及び荷降ろし作業を行う際に、フォークリフト1を自動走行させるように制御する装置である。
走行制御装置20Aは、図12(a)に示されるように、パレット12の荷積み作業を行う際には、ノーマルフォーク41によりパレット12が保持された状態のフォークリフト1を荷積み位置まで自動走行させるように制御する。ノーマルフォーク41は、上記の第1実施形態におけるフォーク9と同じである。ここでは、荷積み位置は、ノーマルフォーク41に保持されたパレット12を既に置かれた他のパレット12の上に積むことが可能な位置である。
走行制御装置20Aは、図12(b)に示されるように、パレット12の荷降ろし作業を行う際には、ロングフォーク42が装着されたフォークリフト1を荷降ろし位置まで自動走行させるように制御する。ロングフォーク42は、ノーマルフォーク41よりも長いフォークである。ロングフォーク42を使用することにより、前後方向(奥行方向)に配置された2つのパレット12を一緒に荷降ろしすることができる。荷降ろし位置は、ロングフォーク42を2つのパレット12のフォーク穴13に差し込むことが可能な位置である。
ノーマルフォーク41及びロングフォーク42は、フォークリフト1の前後方向の寸法が異なる複数種類の着脱可能な作業具である。
図11において、走行制御装置20Aは、上記の第1実施形態における構成に加え、作業指示スイッチ43を備えている。作業指示スイッチ43は、作業者が荷積み作業及び荷降ろし作業の何れかを指示するための操作スイッチである。
また、走行制御装置20Aのコントローラ27は、上記の第1実施形態における検知領域設定部35に代えて、検知領域設定部45を有している。
経路生成部32、検知領域設定部45、除去処理部36及び障害物判定部37は、障害物センサ23と協働して、フォークリフト1の進行方向に障害物Xが存在するかどうかを検知する障害物検知装置30Aを構成している。
検知領域設定部45は、走行予定経路Rの経路点Pに対して検知枠Fをマッピングすることで、フォークリフト1の進行方向に存在する障害物Xを検知するための障害物検知領域Eを設定する。このとき、検知領域設定部45は、使用されるフォークの種類に応じて、寸法が異なる検知枠Fをマッピングする(図14参照)。
図13は、検知領域設定部45により実行される検知領域設定処理の手順を示すフローチャートであり、図4に対応している。図13において、検知領域設定部45は、まず作業指示スイッチ43により荷積み作業が指示されたかどうかを判断する(手順S105)。
検知領域設定部45は、荷積み作業が指示されたと判断したときは、図14(a)に示されるように、ノーマルフォーク41用の検知枠Faを選択する(手順S106)。ノーマルフォーク41用の検知枠Faは、上記の第1実施形態における検知枠Fと同じである。
検知領域設定部45は、荷積み作業が指示されていないと判断したときは、荷降ろし作業が指示されているということで、図14(b)に示されるように、ロングフォーク42用の検知枠Fbを選択する(手順S107)。ロングフォーク42用の検知枠Fbの長さ寸法L1は、ロングフォーク42の長さとノーマルフォーク41の長さとの差分だけノーマルフォーク41用の検知枠Faの長さ寸法L1よりも大きい。ロングフォーク42用の検知枠Fbの幅寸法W1は、ノーマルフォーク41用の検知枠Faの幅寸法W1と等しい。
検知領域設定部45は、手順S106または手順S107を実行した後、経路生成部32により生成された走行予定経路Rのデータを取得する(手順S101)。続いて、検知領域設定部45は、走行予定経路Rの経路点Pに対して手順S106で選択された検知枠Faまたは手順S107で選択された検知枠Fbをマッピングすることで、障害物検知領域Eを設定する(手順S102)。続いて、検知領域設定部45は、障害物検知領域Eのデータを障害物判定部37に出力する(手順S103)。
以上のような本実施形態においても、上記の第1実施形態と同様に、走行予定経路Rと実際の走行経路とがずれても、障害物Xの誤検知が抑制される。
また、本実施形態では、使用されるフォークの種類(ノーマルフォーク41及びロングフォーク42)によって、走行予定経路Rの経路点Pに対して適切な検知枠Fがマッピングされることとなる。従って、複数種類のフォークが使用される場合でも、障害物Xの誤検知が抑制される。
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。上記の第1実施形態では、パレット12の荷降ろし作業を行う際に、フォークリフト1が荷降ろし位置まで走行するように制御されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、上記の第2実施形態と同様に、パレット12の荷積み作業を行う際に、フォーク9によりパレット12が保持された状態のフォークリフト1を荷積み位置まで走行させるように制御してもよい。また、フォーク9を使用した他の荷役作業を行う際に、フォークリフト1を所定位置まで走行させるように制御してもよい。
また、上記の第2実施形態では、ノーマルフォーク41を使用してパレット12の荷積み作業を行う際に、フォークリフト1が荷積み位置まで走行するように制御され、ロングフォーク42を使用してパレット12の荷降ろし作業を行う際に、フォークリフト1が荷降ろし位置まで走行するように制御されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、着脱可能なフォーク及びアタッチメントを使用して、荷役作業を行ってもよい。フォーク及びアタッチメントは、フォークリフト1の前後方向及び左右方向のうち少なくとも左右方向の寸法が異なる複数種類の作業具である。この場合には、フォーク用の検知枠とアタッチメント用の検知枠とが設定されることとなる。
また、上記実施形態では、検知枠Fの長さ寸法L1がフォークリフト1の全長L2よりも大きくなっていると共に、検知枠Fの幅寸法W1がフォークリフト1の全幅W2よりも大きくなっているが、特にそのような形態には限られない。フォークリフト1を全体的に取り囲むのであれば、検知枠Fの長さ寸法L1のみがフォークリフト1の全長L2よりも大きくてもよいし、検知枠Fの幅寸法W1のみがフォークリフト1の全幅W2よりも大きくてもよい。また、検知枠Fの長さ寸法L1がフォークリフト1の全長L2と等しく、検知枠Fの幅寸法W1がフォークリフト1の全幅W2と等しくてもよい。
また、上記実施形態では、検知枠Fの形状は矩形であるが、検知枠Fの形状としては、特に矩形には限られず、フォークリフト1を全体的に取り囲むような多角形であればよい。
また、上記実施形態では、レーザセンサ21の点群データに基づいて、フォークリフト1に対するパレット12の位置が算出されると共に、レーザセンサ21の点群データと地図記憶部22に記憶された地図データとに基づいて、フォークリフト1の自己位置が推定されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、パレット検知用のレーザセンサと自己位置推定用のレーザセンサとを別々に備えてもよい。
また、上記実施形態では、レーザセンサ21の点群データによるSLAM手法を用いて、フォークリフト1の自己位置が推定されているが、特にそのような形態には限られない。フォークリフト1の自己位置を推定する手法としては、例えばカメラの画像データによるSLAM手法、フォークリフト1の移動量及び移動方向を検出するオドメトリセンサ、或いはフォークリフト1の角速度及び加速度を計測する慣性計測ユニット(IMU)等を用いてもよい。
また、上記実施形態では、フォークリフト1に対するパレット12の位置に基づいて、フォークリフト1の走行予定経路Rが生成されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、フォークリフト1に対するパレット12の位置が算出されない場合には、フォークリフト1のハンドル15の操作方向及び操作量等に基づいて、フォークリフト1の走行予定経路Rを予測してもよい。
また、上記実施形態では、フォークリフト1が走行予定経路Rに沿って所定位置まで走行するように制御されているが、本発明は、トーイングトラクタ等の産業車両にも適用可能である。
1…フォークリフト(産業車両)、9…フォーク(作業具)、20,20A…走行制御装置、23…障害物センサ(障害物検出部)、25…駆動部、30,30A…障害物検知装置、32…経路生成部(経路取得部)、34…誘導制御部(第1制御部)、35…検知領域設定部、36…除去処理部、37…障害物判定部、38…減速停止制御部(第2制御部)、41…ノーマルフォーク(作業具)、42…ロングフォーク(作業具)、45…検知領域設定部、P…経路点、R…走行予定経路、E…障害物検知領域、F…検知枠、Fa,Fb…検知枠、L1…長さ寸法、W1…幅寸法、L2…全長(前後方向の寸法)、W2…全幅(左右方向の寸法)、S1…停止用閾値(規定値)、X…障害物。
Claims (6)
- 複数の経路点で形成された産業車両の走行予定経路を取得する経路取得部と、
前記経路取得部により取得された前記走行予定経路の前記経路点に対して前記産業車両を全体的に取り囲む検知枠をマッピングすることで、前記産業車両の進行方向に存在する障害物を検知するための障害物検知領域を設定する検知領域設定部と、
前記障害物を検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部の検出データに基づいて、前記検知領域設定部により設定された前記障害物検知領域に前記障害物が存在しているかどうかを判定する障害物判定部とを備える障害物検知装置。 - 前記検知枠の寸法は、前記産業車両の外形寸法よりも前記産業車両の前後方向及び左右方向に大きい請求項1記載の障害物検知装置。
- 前記産業車両は、前記産業車両の前後方向及び左右方向の少なくとも一方の寸法が異なる複数種類の着脱可能な作業具を有し、
前記検知領域設定部は、前記作業具の種類に応じて、寸法が異なる前記検知枠をマッピングする請求項1記載の障害物検知装置。 - 前記障害物検出部の検出データにおいて前記障害物以外の物体に相当する部分を除去する除去処理部を更に備え、
前記障害物判定部は、前記除去処理部により前記障害物以外の物体に相当する部分が除去された処理後データに基づいて、前記障害物検知領域に前記障害物が存在しているかどうかを判定する請求項1記載の障害物検知装置。 - 産業車両を走行させる駆動部と、
複数の経路点で形成された前記産業車両の走行予定経路を取得する経路取得部と、
前記産業車両を前記走行予定経路に沿って走行させるように前記駆動部を制御する第1制御部と、
前記経路取得部により取得された前記走行予定経路の前記経路点に対して前記産業車両を全体的に取り囲む検知枠をマッピングすることで、前記産業車両の進行方向に存在する障害物を検知するための障害物検知領域を設定する検知領域設定部と、
前記障害物を検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部の検出データに基づいて、前記検知領域設定部により設定された前記障害物検知領域に前記障害物が存在しているかどうかを判定する障害物判定部と、
前記障害物判定部により前記障害物検知領域に前記障害物が存在していると判定されたときに、前記産業車両を減速または停止させるように前記駆動部を制御する第2制御部とを備える走行制御装置。 - 前記第2制御部は、前記障害物までの距離が規定値以下であるときは、前記産業車両を停止させるように前記駆動部を制御し、前記障害物までの距離が前記規定値よりも長いときは、前記産業車両を減速させるように前記駆動部を制御する請求項5記載の走行制御装置。
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