JP2023153091A - 樹脂組成物 - Google Patents

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直人 惟高
Naoto Koretaka
敬一 竹内
Keiichi Takeuchi
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Abstract

【課題】高速の負荷がかかる場合にも良好な摺動特性を発現し、摩耗量が少なく、相手材の表面粗さを小さくし、摺動面近傍温度を低くすることができる樹脂組成物を提供する。【解決手段】テトラフルオロエチレン系樹脂、充填剤及びピッチ系炭素繊維を含有し、前記充填剤が、ガラス繊維、二硫化モリブデン、黒鉛、銅及びチタン酸アルカリ金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。
ポリテトラフルオロエチレン樹脂に代表されるテトラフルオロエチレン系樹脂は、耐熱性が高く、摩擦係数が低く、化学的にも極めて安定しているため、各種シール材、軸受、ベアリング等の摺動部材として広く利用されている。テトラフルオロエチレン系樹脂単独では、耐摩耗性、機械特性等に劣るため、通常は、充填剤を添加してこれらの特性を改善した樹脂組成物が使用されている。テトラフルオロエチレン系樹脂に添加される充填剤としては、黒鉛、炭素繊維、二硫化モリブデン、銅等が挙げられる。
例えば、特許文献1では、所定のモース硬度及び平均粒径を有する粉末状の硬質材料を添加したシール材が記載されている。また、特許文献2には、チタン酸アルカリ金属の多孔質球状粒子を添加することが記載されている。
特開2005-036198号公報 特開2016-164216号公報
一方、自動車、建設機械等、多くの産業分野で機械部品の性能向上が図られている。したがって、テトラフルオロエチレン系樹脂を含む樹脂組成物及びその成形品において、より高負荷で使用可能な摺動部材を提供することが求められている。
本発明は、このような課題を解決しようとするものであり、高速の負荷がかかる場合にも良好な摺動特性を発現し、摩耗量が少なく、相手材の表面粗さを小さくし、摺動面近傍温度を低くすることができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ガラス繊維とピッチ系炭素繊維とを組合せて使用することで、テトラフルオロエチレン系樹脂を含む樹脂組成物に対して、高速の負荷がかかる場合にも良好な摺動特性を発現し、摩耗量が少なく、相手材の表面粗さを小さくし、摺動面近傍温度を低くすることができることを見出した。本発明者らは、このような知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.テトラフルオロエチレン系樹脂、充填剤及びピッチ系炭素繊維を含有し、
前記充填剤が、ガラス繊維、二硫化モリブデン、黒鉛、銅及びチタン酸アルカリ金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、樹脂組成物。
項2.前記テトラフルオロエチレン系重合体が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を含有する、項1に記載の樹脂組成物。
項3.前記充填剤が、ガラス繊維、二硫化モリブデン及び黒鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1又は2に記載の樹脂組成物。
項4.前記ガラス繊維の平均繊維長が20~300μmである、項3に記載の樹脂組成物。
項5.前記樹脂組成物の総量を100体積%として、前記充填剤の含有量が1.0~28.0体積%である、項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
項6.前記ピッチ系炭素繊維が、等方性ピッチ系炭素繊維である、項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
項7.前記ピッチ系炭素繊維の平均繊維長が20~300μmである、項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
項8.前記樹脂組成物の総量を100体積%として、前記ピッチ系炭素繊維の含有量が1.0~28.0体積%である、項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
項9.摺動部材用樹脂組成物である、項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
項10.項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いた成形品。
項11.摺動部材である、項10に記載の成形品。
本発明によれば、高速の負荷がかかる場合にも良好な摺動特性を発現し、摩耗量が少なく、相手材の表面粗さを小さくし、摺動面近傍温度を低くすることができる樹脂組成物を提供することができる。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。
また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
本発明の樹脂組成物は、テトラフルオロエチレン系樹脂、充填剤及びピッチ系炭素繊維を含有し、前記充填剤が、ガラス繊維、二硫化モリブデン、黒鉛、銅及びチタン酸アルカリ金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
1.テトラフルオロエチレン系樹脂
本発明で使用するテトラフルオロエチレン系樹脂は、一部又は全部の繰り返し単位としてテトラフルオロエチレン(TFE)を有する樹脂を意味している。つまり、テトラフルオロエチレン系樹脂としては、テトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合体であるポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE樹脂)の他、テトラフルオロエチレン(TFE)と共重合可能な単量体が繰り返し単位として含まれるテトラフルオロエチレン共重合体樹脂も使用できる。
テトラフルオロエチレン(TFE)と共重合可能な単量体が繰り返し単位として含まれるテトラフルオロエチレン共重合体樹脂(変性PTFE樹脂)を採用する場合、テトラフルオロエチレン(TFE)と共重合可能な単量体の含有量は、特に制限はなく、例えば、0.1~50モル%、好ましくは0.2~30モル%、より好ましくは0.3~10モル%、さらに好ましくは0.4~5モル%とすることができる。
テトラフルオロエチレン(TFE)と共重合可能な単量体が繰り返し単位として含まれるテトラフルオロエチレン共重合体樹脂(変性PTFE樹脂)を採用する場合、テトラフルオロエチレン(TFE)と共重合可能な単量体としては、特に制限はなく使用できるが、耐熱性、耐摩耗性、化学的安定性等のテトラフルオロエチレン系樹脂の優れた性能を維持しやすい観点からは、フッ素含有単量体を使用することが好ましく、炭素数3以上(好ましくは3~6)のパーフルオロアルケン、炭素数1~6のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ハロゲン化トリフルオロエチレン等が挙げられる。テトラフルオロエチレン(TFE)と共重合可能な単量体としては、具体的には、エチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)(PBVE)、クロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。これらのテトラフルオロエチレン(TFE)と共重合可能な単量体は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
このようなテトラフルオロエチレン(TFE)と共重合可能な単量体を有するテトラフルオロエチレン共重合体樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(FEP樹脂)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂(PFA樹脂)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂(ETFE樹脂)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-フッ化ビニリデン共重合体樹脂(THV樹脂)等が挙げられる。これらのテトラフルオロエチレン(TFE)と共重合可能な単量体を有するテトラフルオロエチレン共重合体樹脂は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
なかでも、テトラフルオロエチレン系樹脂としては、耐熱性、耐摩耗性、化学的安定性、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)等の観点から、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE樹脂)が好ましい。
本発明の樹脂組成物において、テトラフルオロエチレン系樹脂の含有量は、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、本発明の樹脂組成物の総量を100体積%として、44.0~98.0体積%が好ましく、65.0~96.8体積%がより好ましく、78.0~95.5体積%がさらに好ましい。
2.充填剤
充填剤としては、特に制限はなく、上記したテトラフルオロエチレン系樹脂に対して充填剤として添加することができるピッチ系炭素繊維以外の充填剤を採用することができる。このような充填剤としては、具体的には、ガラス繊維、二硫化モリブデン、黒鉛、銅、チタン酸アルカリ金属(2チタン酸ナトリウム、2チタン酸カリウム、3チタン酸ナトリウム、3チタン酸カリウム、4チタン酸ナトリウム、4チタン酸カリウム、トンネル構造型チタン酸ナトリウム、トンネル構造型チタン酸カリウム、6チタン酸ナトリウム、6チタン酸カリウム、8チタン酸ナトリウム、8チタン酸カリウム)等が挙げられる。なかでも、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、ガラス繊維、二硫化モリブデン、黒鉛等が好ましい。
充填剤としてガラス繊維を使用する場合、ガラス繊維の平均繊維長は、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、20~300μmが好ましく、40~200μmがより好ましく、50~150μmがさらに好ましい。
なお、平均繊維長(Lv)は、以下の式のように定義される。
Lv=(l×l+l×l+…+l×l)/(l+l+…+l
ここで、l~lは、それぞれ1~n番目の繊維の長さを示す。ガラス繊維の平均繊維長は、(株)KEYENCE社製のマイクロスコープVHX-7000と、付属の画像解析ソフトを使用し、6000個のガラス繊維の長さを測定し、上記式により算出する。
充填剤としてガラス繊維を使用する場合、ガラス繊維の平均繊維径は、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、4~24μmが好ましく、5~20μmがより好ましく、6~15μmがさらに好ましい。なお、ガラス繊維の平均繊維径は、(株)KEYENCE社製のマイクロスコープVHX-7000と、付属の画像解析ソフトを使用し、繊維長と同時に測定する。
充填剤としてガラス繊維を使用する場合、ガラス繊維の平均アスペクト比は、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、2~75が好ましく、2~40がより好ましく、3~25がさらに好ましい。なお、ガラス繊維の平均アスペクト比は、上記により算出した平均繊維長及び平均繊維径を用いて、平均繊維長/平均繊維径により算出する。
充填剤として二硫化モリブデン、黒鉛、銅、チタン酸アルカリ金属等を使用する場合、これら充填剤の平均粒子径は、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、0.5~30μmが好ましく、1.5~15μmがより好ましく、2~10μmがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物において、充填剤の含有量は、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、本発明の樹脂組成物の総量を100体積%として、1.0~28.0体積%が好ましく、1.2~15.0体積%がより好ましい。
3.ピッチ系炭素繊維
ピッチ系炭素繊維としては、ピッチを炭素前駆体とする炭素繊維を意味する。なかでも、テトラフルオロエチレン系樹脂に対して充填剤として添加することができるものを採用することができるが、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)等の観点から、等方性ピッチを炭素前駆体とする等方性ピッチ系炭素繊維が好ましい。特に、等方性ピッチ系炭素繊維は、炭素六角網面からなる結晶子が小さく、且つ、ランダムに並んでいるため、機械的強度及び硬度が比較的低い。そのため、等方性ピッチ系炭素繊維は摺動により、さらに適度な破壊が起こりやすく、炭素繊維の結晶子を含んだ良質な摺動皮膜を形成しやすいため、摺動特性を向上させやすい。なお、等方性とは、光学的に等方性であって、分子や分子の集団が無秩序に配向している場合も包含する。また、炭素前駆体とは、目的とする最終炭素製品であるピッチ系炭素繊維の前の段階にある一連の炭素化中間体を意味する。
炭素前駆体であるピッチとは、木材、石炭等の乾留の際に得られる液状タール、オイルサンドから得られるビチューメン、オイルシェールの乾留によって得られる油分、原油の蒸留による残渣油、石油留分のクラッキングによって生成するタール等を熱処理及び重合して得られる常温で固体状のものである。具体的には、原材料によって、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、ナフタレン等の芳香族化合物を重合した合成ピッチ等が挙げられる。ピッチは、化学的には無数の縮合多環芳香族化合物の混合物である。石炭を原料として得られる石炭系ピッチとしては、コークス炉から生じるコールタールを熱処理して得られるピッチ等が挙げられる。本発明におけるピッチは、特に限定されないが、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)等の観点から、等方性ピッチが好ましく、石炭系等方性ピッチ(石炭を原料として得られる等方性ピッチ)がより好ましい。
なお、ピッチからピッチ系炭素繊維を製造する方法は特に制限されず、常法にしたがって行うことができる。
ピッチ系炭素繊維の平均繊維長は、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、20~300μmが好ましく、40~200μmがより好ましく、50~150μmがさらに好ましい。
なお、平均繊維長(Lv)は、以下の式のように定義される。
Lv=(l×l+l×l+…+l×l)/(l+l+…+l
ここで、l~lは、それぞれ1~n番目の繊維の長さを示す。ピッチ系炭素繊維の平均繊維長は、(株)KEYENCE社製のマイクロスコープVHX-7000と、付属の画像解析ソフトを使用し、6000個のピッチ系炭素繊維の長さを測定し、上記式により算出する。
ピッチ系炭素繊維の平均繊維径は、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、5~20μmが好ましく、7~18μmがより好ましく、10~15μmがさらに好ましい。なお、ピッチ系炭素繊維の平均繊維径は、(株)KEYENCE社製のマイクロスコープVHX-7000と、付属の画像解析ソフトを使用し、繊維長と同時に測定する。
ピッチ系炭素繊維の平均アスペクト比は、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、2~60が好ましく、2~30がより好ましく、3~15がさらに好ましい。なお、ピッチ系炭素繊維の平均アスペクト比は、上記により算出した平均繊維長及び平均繊維径を用いて、平均繊維長/平均繊維径により算出する。
本発明の樹脂組成物において、ピッチ系炭素繊維の含有量は、摺動特性(摩耗量、相手材への攻撃性、摺動面近傍温度等)、分散性等の観点から、本発明の樹脂組成物の総量を100体積%として、1.0~28.0体積%が好ましく、2.0~20.0体積%がより好ましい。
4.樹脂組成物及び成形品
本発明の樹脂組成物は、上記のとおり、テトラフルオロエチレン系樹脂、ガラス繊維及びピッチ系炭素繊維を含有するものであるが、これ以外に、各種添加剤、例えば、ピッチ系炭素繊維以外の炭素材料(黒鉛等)、二硫化モリブデン、銅、チタン酸アルカリ金属(チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム等)、各種分散剤等を含ませることも可能である。
本発明の樹脂組成物に、上記した添加剤を含ませる場合、添加剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定することができ、本発明の樹脂組成物の総量を100体積%として、0.1~10.0体積%(好ましくは0.2~5.0体積%)とすることができる。
本発明の樹脂組成物は、上記したテトラフルオロエチレン系樹脂、ガラス繊維及びピッチ系炭素繊維を含有していればよく、その製造方法は特に制限されないが、例えば、テトラフルオロエチレン系樹脂、ガラス繊維及びピッチ系炭素繊維、並びに必要に応じて添加剤を、常法により混合することができる。
混合方法は特に制限されず、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー等を用いて乾式で行うことができる。
混合後、得られる本発明の樹脂組成物を常法で成形し、成形品を製造することができる。例えば、粉末状の本発明の樹脂組成物を金型に投入し、10~60MPa程度に加圧して圧粉体を得た後に、金型から取り出し、250~400℃程度で熱処理して成形することができる。また、熱処理の際に圧縮成形することもできるし、ラム押出機等によって連続成形することもできる。
このようにして得られる本発明の成形品は、高速の負荷がかかる場合にも良好な摺動特性を発現し、摩耗量が少なく、相手材の表面粗さを小さくし、摺動面近傍温度を低くすることができる特性を生かして、各種シール材、軸受、ベアリング等の摺動部材として有用である。つまり、本発明の樹脂組成物は、摺動部材用樹脂組成物として有用である。
本発明の樹脂組成物を用いた成形品を摺動部材として使用する場合、相手部材としては、金属又は金属合金であれば特に制限なく採用することができ、なお、相手部材が金属又は金属合金である場合、通常は、わずかに摩耗した金属片が研磨材として作用し相手部材の摩耗が顕著になりやすい。しかしながら、本発明の樹脂組成物を用いた成形品を摺動部材として使用する場合は、そのような場合であっても、摺動部材及び相手部材への摩耗量を有効に低減することができる。
本発明の樹脂組成物を用いた成形品を摺動部材として使用する場合、相手部材としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、亜鉛、ニッケル等や、これらの合金等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。
(実施例1)
テトラフルオロエチレン樹脂(ダイキン工業(株)製 ポリフロンM-111)に、ガラス繊維(セントラルグラスファイバー(株)製 EFH-50-31 平均繊維径11μm、平均繊維長50μm、平均アスペクト比4.5)を8体積%、等方性ピッチ系炭素繊維(大阪ガスケミカル(株)製 SG-241 平均繊維径13μm、平均繊維長140μm、平均アスペクト比10.8)を2体積%になるように配合した。この配合物をヘンシェルミキサーを用いて1200rpmで2分間混合した。得られた樹脂組成物を常温でプレス成形して、125mm×125mm×(厚み)3mm程度の平板とした。このときプレスは、15MPaで5分間保持した後、30MPaで15分間保持することによって行った。得られた平板をオーブンに入れて350℃程度の温度で加熱し、成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.20g/cmであった。
(実施例2)
ガラス繊維を5体積%、等方性ピッチ炭素繊維を5体積%になるように配合した以外は実施例1と同様な方法で成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.17g/cmであった。
(実施例3)
ガラス繊維を2体積%、等方性ピッチ炭素繊維を8体積%になるように配合した以外は実施例1と同様な方法で成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.15g/cmであった。
(比較例1)
等方性ピッチ炭素繊維を使用せず、ガラス繊維を10体積%になるように配合した以外は実施例1と同様な方法で成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.21g/cmであった。
(実施例4)
テトラフルオロエチレン樹脂(ダイキン工業(株)製 ポリフロンM-111)に、二硫化モリブデン((株)ダイゾー製 Tパウダー 平均粒子径3.5μm)を8体積%、等方性ピッチ系炭素繊維(大阪ガスケミカル(株)製 SG-241 平均繊維径13μm、平均繊維長140μm、平均アスペクト比10.8)を2体積%になるように配合した。この配合物をヘンシェルミキサーを用いて1200rpmで2分間混合した。得られた樹脂組成物を常温でプレス成形して、125mm×125mm×(厚み)3mm程度の平板とした。このときプレスは、15MPaで5分間保持した後、30MPaで15分間保持することによって行った。得られた平板をオーブンに入れて350℃程度の温度で加熱し、成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.65g/cmであった。
(実施例5)
二硫化モリブデンを5体積%、等方性ピッチ炭素繊維を5体積%になるように配合した以外は実施例4と同様な方法で成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.47g/cmであった。
(実施例6)
二硫化モリブデンを2体積%、等方性ピッチ炭素繊維を8体積%になるように配合した以外は実施例4と同様な方法で成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.27g/cmであった。
(比較例2)
等方性ピッチ炭素繊維を使用せず、二硫化モリブデンを10体積%になるように配合した以外は実施例4と同様な方法で成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.76g/cmであった。
(実施例7)
テトラフルオロエチレン樹脂(ダイキン工業(株)製 ポリフロンM-111)に、黒鉛粉(新越化成工業(株)製 BF-5A 平均粒子径5.0μm)を8体積%、等方性ピッチ系炭素繊維(大阪ガスケミカル(株)製 SG-241 平均繊維径13μm、平均繊維長140μm、平均アスペクト比10.8)を2体積%になるように配合した。この配合物をヘンシェルミキサーを用いて1200rpmで2分間混合した。得られた樹脂組成物を常温でプレス成形して、125mm×125mm×(厚み)3mm程度の平板とした。このときプレスは、15MPaで5分間保持した後、30MPaで15分間保持することによって行った。得られた平板をオーブンに入れて350℃程度の温度で加熱し、成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.16g/cmであった。
(実施例8)
黒鉛粉を5体積%、等方性ピッチ炭素繊維を5体積%になるように配合した以外は実施例7と同様な方法で成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.15g/cmであった。
(実施例9)
黒鉛粉を2体積%、等方性ピッチ炭素繊維を8体積%になるように配合した以外は実施例7と同様な方法で成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.14g/cmであった。
(比較例3)
等方性ピッチ炭素繊維を使用せず、黒鉛粉を10体積%になるように配合した以外は実施例7と同様な方法で成形品を得た。得られた成形品のかさ密度は、2.17g/cmであった。
[摺動試験]
実施例1~9及び比較例1~3について摺動試験を実施した。摺動試験は、各成形体から30mm×30mm×3mmの試験片を切り出し、(株)エー・アンド・デイ製摩擦摩耗試験機「MODEL EFM-III-H」を用いてJIS K7218A法に準拠して行った。相手材は、SUS304リング(中心線平均表面粗さRa:0.07μm程度)を用いた。試験環境は、23℃±2℃、50%RH±5%RHであった。
試験(1):一定の滑り速度で段階的に圧力を上げて摺動させた場合の摩耗量の測定(PV試験)
この試験では、滑り速度(V)2m/sの下、初期圧力(P)250kPaから、荷重ステップ125kPa/10分、すなわち、10分毎に125kPa圧力を上げて、試験を行った。試験片の摩耗量は、試験片を押さえているトルク軸に取り付けられている金属板との変位を、渦流式変位センサーで検知することにより求めた。摩耗量が急に多くなり始める直前の値、すなわち限界PV値を求めた。ここで、PV値とは圧力と滑り速度の積である。
表1~3に限界PV値、限界PV値における摩擦係数、及び摺動面近傍の温度を示す。
試験(2):一定の滑り速度及び圧力下に長時間摺動させた場合の摩耗量の測定(摩耗試験)
この試験では、滑り速度2m/sの下、圧力500kPaで40km摺動させ、試験片の比摩耗量、摩擦係数及び摺動面近傍の温度を測定した。なお、比摩耗量とは、一定滑り距離後の摩耗量を、滑り距離及び加重で除した値を意味する。また、試験終了後の相手材SUS304の平均表面粗さRaを、表面粗さ計を用いて測定した。
表1~3に、動摩擦係数、比摩耗量、相手材の表面粗さRa及び摺動面近傍の温度を示す。
Figure 2023153091000001
Figure 2023153091000002
Figure 2023153091000003
表1の結果から分かるように、実施例1では比較例1で配合されるガラス繊維のうち、2体積%を等方性ピッチ炭素繊維に置き換えることで限界PV値が向上している。等方性ピッチ炭素繊維の配合比を5体積%に増やした実施例2ではさらに限界PV値が向上し、動摩擦係数、比摩耗量、相手材の表面粗さ及び摺動面近傍温度が小さくなり、優れた摺動性を示した。等方性ピッチ炭素繊維の配合比を8体積%に増やした実施例3では限界PV値は実施例2と同等であったが、動摩擦係数、比摩耗量、相手材の表面粗さ及び摺動面近傍温度が小さくなり、実施例2よりもさらに優れた摺動性を示した。このため、実施例1~3は比較例1と比較し、高速の負荷がかかる場合にも良好な摺動特性を発現し、摩耗量が少なく、相手材の表面粗さを小さくし、摺動面近傍温度を低くすることができるうえに、等方性ピッチ炭素繊維の含有量が多い場合にはさらに好ましいことが理解できる。また、表2~3においても、同様の傾向が見られた。

Claims (13)

  1. テトラフルオロエチレン系樹脂、充填剤及びピッチ系炭素繊維を含有し、
    前記充填剤が、ガラス繊維、二硫化モリブデン、黒鉛、銅及びチタン酸アルカリ金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、樹脂組成物。
  2. 前記テトラフルオロエチレン系樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記充填剤が、ガラス繊維、二硫化モリブデン及び黒鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ガラス繊維の平均繊維長が20~300μmである、請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記樹脂組成物の総量を100体積%として、前記充填剤の含有量が1.0~28.0体積%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ピッチ系炭素繊維が、等方性ピッチ系炭素繊維である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 前記ピッチ系炭素繊維の平均繊維長が20~300μmである、請求項1に記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂組成物の総量を100体積%として、前記ピッチ系炭素繊維の含有量が1.0~28.0体積%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  9. 摺動部材用樹脂組成物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いた成形品。
  11. 請求項9に記載の樹脂組成物を用いた成形品。
  12. 摺動部材である、請求項10に記載の成形品。
  13. 摺動部材である、請求項11に記載の成形品。
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